もしAIに営業をさせたら

株取引の世界はすっかりAIが牛耳っています。
AIで全取引をしているヘッジファンドが大きな成果を上げているそうです。
そんな世の中になりつつあるなかで、AIに営業をさせたら、どうなるのでしょう?

AIは間違わないし、サボらないので、マネジメントや指導が不要ということになります。
ということは、マネージャーは全員不要になってしまいます。
もし、マネージャーがAIに向かって説教していたら、それこそ漫画です。
AIが間違えたら、そのバグはプログラマーが修正します。
そういう世界が来るでしょうか?

しゃんしゃん経営からの脱却

外から経営者がくることはなく、内部からの昇進で構成される経営層。
事前に根回しが完了し、意思決定はしゃんしゃんで終わっていく。
なかなか生産性が上がらない。
ここから日本の組織はなかなか抜けられません。
聖徳太子の十七条憲法が語源とされている
「和をもって尊し」という日本文化も絡んでいると思います。

AIは、外から強風によってやってきます。
今までとは違う判断基準で経営が動いていきます。
ものすごくスローな経営に強風が吹き荒れます。

これを受け入れる経営層は少ない。
自分たちの存在意義がなくなってしまうからです。


AIで出来るならことを営業が代替しているのであれば意味がない

商談は出来ない。
コンピュータは、命令されたことを100%忠実にこなすツールです。
どう命令を出したらよいのかわからないことに対しては無力です。
たとえば、製品の性能を数値だけで説明して売れるのであれば、
AIは数字の説明は100%正確に行うことができます。
そうであれば、わざわざ営業が商談する必要がありません。
考えてみれば、顧客は本音は言わないし、製品に期待する効果も顧客によってバラバラです。
これらは、まさに、営業があうんの呼吸で補っているものです。
営業は、勘や経験がものをいう世界なのは事実だと思います。


先取りで動く

店員もベテランになると、
お店に入って来たとたんに、「ひやかしの客」か「買う客」なのかが、瞬時にわかるそうです。
また、お店に入って来た人が何を買うかはわかりませんが、
この商品を買ったということは、これも買う可能性が高いは想像できます。

それを「先取り」して、動く。
またもや、それっぽい言葉ですが、
AIを活用したからといって「先取り」なんて出来るのでしょうか?


飲み屋さん

八百屋と飲み屋はAIに任せたほうがいい

まず、お店に入ると「○○さんいらっしゃい」と名前で呼ばれます。
→ワン・ツー・ワンマーケティング、パーソナルな対応
好みを知っていて、いいネタが入っていれば、教えてくれます。
→お客様のニーズの把握と、それに基づく有用な情報の提供や提案
同じお任せでも、同僚と飲む時と、商談で飲む時では料理を変えてくれます。
→お客様の目的・状況に応じたソリューションの提供
また、メニューにない注文とか、他の店からの出前とかわがままにも応えてくれます。
→定型商品からオーダーメイドまで、自社製に拘らずお客様に最適な商品・サービスを提供
飲み過ぎたりすると、さりげなく身体を心配してくれます。
→お客様の健全な成長・発展を絶えず考え、時には諌言も
多少お金を払っても、気持ちよく飲めるため、行きつけになります。
→継続的な高付加価値サービスの提供による、長期的なリレーションシップの構築
その結果、お客様も満足を得られるし、お店も儲かるのです。
→「顧客満足度の向上」と「売上/収益の向上」の同時実現

さらに、こういう飲み屋さんは、しばらく行かないと給料日にタイミングよく「お誘い」の電話がかかってきたりして、「アフターフォロー」もしっかりしています
友達を連れて行くと、いつのまにかその友達も常連になっていたりします。


競合会社のAIとの戦い

AIが正解を出してくれるのであれば、競合会社のAIと自社のAIがどちらが強いかという話になります。
どちらの企業が、強いAIを育てられるかという話になります。
強いAIを作るのは誰でしょうか?技術者でしょうか?
技術者に営業ができるでしょうか?
この戦いはいつまで続くのでしょうか?


属性や嗜好をきめ細かく把握して需要を喚起する

新車買い換え率を現在の40%から60%へと高めるのが狙い。
だったら、買い替えに決断に絡む属性とは何か?
その属性を設定して、その情報を入力したら、どのようにアプローチできるか?
その答えを出してくれるシステムがあったら、面白い。
たぶん、デキル営業が頭の中でやっていることを、システムに置き換えることになります。

面白いと書いたのは、これは現実味があるかということ。
新車の購入には、最後のひと押しが必要で、営業が担う部分はまさにそこにあるはずです。
決断のきっかけになるような情報を顧客にすばやく見せられるようにすることです。
顧客によって、その決断のきっかけになる情報は違います。
値引きなのかもしれませんし、納車時期なのかもしれません。
また、家族が気に入るかどうかなのかもしれません。
それが何になるのか、見極めることができれば、AI化が可能かと思います。


AIを前提にした営業スタイルのデザイン

AIのイメージと言えば、将棋プログラムだろう。
過去の棋譜を解析して、プロ棋士を負かす。
過去の営業活動を解析して、最強の営業ノウハウを構築する。
しかしながら、営業活動は解析できるようにデジタル化されていないケースがほとんどです。

では、営業活動をデジタル化したところで、その解析から、提案書が作成できるか?
実は、AIが判断できるようにするための情報を入力することができるようであれば、
わざわざAIを利用しなくても、受注できるというオチになる。


営業AIは、アメフトに近くなる

営業をゲームとみなして、営業ルールを作ろうとしたら、
おそらく、アメフトのゲームの進め方(ルール)に近くなると思います。
簡単に説明すると、次の4つのルールになります。

・4回の攻撃権が与えられます。
・「4回の攻撃で10ヤード前進」が出来ないときに、攻撃権が移動します。
・1回1回のプレーごとに作戦会議をします。(「ハドルを組む」と言う)
・攻撃には、大きく「ラン」と「パス」の2種類の攻撃方法があります。

アメフトのように4回攻撃したら終わりにはなりませんが、これを営業に置き換えて考えてみると、
・商談は無制限に行なえるものではなく、ある程度の回数でクロージングすることが必要です。(4回の攻撃)
・商談に失敗すれば競合にもっていかれてしまいます。(攻撃権の移動)
・顧客ごと、商談ごとに上司を含めて作戦や方針を決めます。(作戦会議)
・商談の進め方には、いろいろな方法があります。(攻撃方法)

また、アメフトではゴールを獲得するために、1回1回の攻撃ごとに、目標を決めてプレーをしています。
ゴールから遠いところでは、10ヤードをいかに進めるかを考え、ゴールに近いところでは、いかにタッチダウンを取るかを考えて、プレーを選びます。
しかも、プレーごとに選手も入れ替えられます。
「このプレーをするなら、この選手の出番だ」というように、
それぞれのプレーごとに目的を明確にして、ベストな選手で挑むのです。

再び、これも営業に置き換えると、
商品に興味を持ってもらうステップでは、どのような営業をすべきか、
商品を欲しいと思わせるためには、また、購入を決断して頂くためには、
つまり、それぞれのプロセスごとに営業スタイルが異なるはずです。
現在、どのプロセスにいるかを明確にして、それぞれのプロセスの目的やゴール、選ぶべき営業手法を決めます。
ドアオープンに強い、クロージングに強いなど、プロセスごと最適な営業担当が担います。

このように、すべてをルール化、数値化することで、状況を判断し、次に何をすべきかAIは教えてくれることでしょう。


営業のカーナビ化

営業にAIが入るとしたら、カーナビみたいに、目的地を入れると、そこまでの道順を示してくれる
そのまま進めば、目的地にたどり着くつまり、受注できることになる。

・どれくらいの距離で、どのくらいの時間が掛かるかなどプランを立てる
・効率のよい道を検討する(近道や高速道路の利用の有無)
・同乗者の役割分担を考える(ナビゲーション、運転の交替)
・進んでいる道が正しい道なのかチェックしてくれる
・道を間違えた場合は地図をもとに軌道修正を促す
・めでたく目的地に到着営業だったら音が出る

現在の営業は、地図なしでドライブに出かけるようなもので、
目的地に到着できるかどうかわからないし、どれくらい時間がかかるかもわかりません。
そのような営業をいつまでも続けていては、やがて迷子になって、途方に暮れてしまうことは目に見えています。

「うちは、いつも同じ道しか通らないから大丈夫」と思っていても、
今は、その道、すなわち市場環境そのものが大きく変わろうとしています。
今までと同じような営業しかしていなければ、現状の売上を維持することすら難しくなっています。

また、カーナビが特に便利なところは、「自分の居場所がわからなくなったとき」「標識がわかりずらい夜中の走行」などです。
営業に置き換えてみると「にっちもさっちも進まなくなってしまう」「見込度不明のまま、だらだらと営業を重ねる」等いくらでも似たような状況はあります。
まさに、営業の初心者にとっては、カーナビは必需品ということでしょう。
そんな営業のカーナビができれば使ってみたい人は多いはずです。


営業の仕事は地図を埋めることになる

地図を埋めること。
つまりAI用の学習用の教師データを作ること。

・お客様の多様化したニーズに応じて個客情報量が増えていく
・提案を繰り返すことにより個客情報量は増えていく
・個客を深く知れば知るほど個客情報量が増えていく


AI時代のマネジメントとは

AI時代になれば、マネジメントは不要。

AIを叱ることはできない。
指導することもできない。
AIにPDCAも必要ない。
目標の数字を管理する必要もない。
営業が一言しゃべるごとに商談受注率がどんどん変わっていく。
優勢、劣勢がその場でわかる。
マネージャーはいなくなる。