情報化と人事制度のデザイン

意外にコロコロ人事制度を変える会社はあります。
どうすれば社員が動くのかわかっている会社です。

情報化が進んでも、同じ人事制度では意味がありません。
情報化を前提にした人事制度に変える必要があります。
これに着手しないと、社員は変わってくれません。


終身雇用時代は、時代がよかった

終身雇用時代では、人事制度と給与が連動してました。
周りの人を見ていれば、何歳で課長、年収いくらがわかりました。
それが人事制度になっていました。

仕事が出来るのに、年齢が若いというだけで、役職も給与も抑えられ、
本来は、そういう人にとっては不満になるはずですが、
暗黙知として、不満も言わず、働くことも含めて終身雇用制度なのです。

経済成長が前提であれば、この終身雇用制度を支えることは可能でしたが、
今は、それが期待することは出来ずに、
今まで黙って仕事をしてきた人から、不満が表面化され、
転職ビジネスにも支えられ、人材の流動化が進み、
終身雇用が終焉を迎えようとしています。


生かすも殺すも人事次第

会社も、社員も、基本は儲けたい。
誰しも、時間をかけずに効率よく働いて高い給与が欲しいはずです。
会社も、社員も一致しているはずの「効率よく」が意外とうまくかみ合っていません。

社員が思ったように働かないと嘆いても、人事制度が働きたいと思うようになっていなければ、それは仕方がありません。
つまり、人事制度によりその会社の社員像が出来上がっているのです。
たとえば、営業では「訪問件数」や「提案件数」などがインセンティブとして与えられるなら、
これらの仕事も積極的に行うようになるはずです。
だからと言って、「提案件数」を評価するように変えればいいのかというと、そう簡単なものではありません。

アタマを使って収益を上げる仕事なら、長い時間を働いても、利益を生み出すとは限りません。
このような人事制度は意味がありません。
それどころか、できる人、やる気のある人が、どんどんやる気に無くすだけです。


なぜアフターフォローが疎かになるのか

アフターフォローは、直接的な売上にはならなず、かつ人事のインセンティブにもなっていないからです。
必然的に疎かになります。
ヤレと指示を出しても、最初だけで継続性がありません。
人事制度を変えない限りは、アフターフォローは疎かのままになります。


営業マンは独自の情報を公開することに消極的である

今のように複雑な時代は、個人で何から何までカバーすることができません。
協力し合うこと、組織として対応することがなりより重要です。
ただ、見返りがなく、リスクを負うだけならば、情報は提供されなくなり、情報の共有も実現されません。
何もなければ、積極的に協力することに期待するのは間違っています。


人材の流動化を疎かにしない人事の仕組み

これから会社がどうなるのかわからない状態で、終身雇用を保証するなど言えるわけがありません。
終身雇用の保証が無くなれば、人材の流動化が始まります。
外資企業からの引き抜きもあるでしょうし、キャリアアップを目指した転職もあることでしょう。
いずれにしても優秀な人材から、流動化していきます。
営業であれば、取引先や顧客までも一緒に持っていかれることも珍しくありません。
転職しないような仕組みを作ることも大切ですが、ゼロにすることは不可能です。
それよりも、人がいなくなくなっても、強い会社であり続けるための仕組みを作ることが先決です。



歩合制度は情報化には向いていない

社員のモラールをあげるために売上げに比例した歩合制度を導入している会社は多く存在しています。
また、それが営業の醍醐味にも繋がっています。
しかしながら、この歩合制の見直し、廃止が最近検討され始められています。
その理由としては「やる気があっても売れないときがある」「テリトリー等で不公平感がでる」「結果だけではなく努力を評価して欲しいという意見が出る」などが挙げられます。
また、少しでも売上げをあげるために、無理な押し込みが行われたり、攻めるべき顧客は時間がかかるので、取り易い顧客に行ってしまうなど、
これでは顧客満足からはほど遠い存在になってしまいます。
生活が安定しない状態では、長期のビジョンに基づいて仕事をすることは無理があります。
また、売上げという成績がすべてなので、個人プレーに走りやすい、情報を公開して共有しようという情報化は適していません。


歩合制度は不要なのか?

歩合制度は、あったほうがいいか?、無くした方がいいか?
どうでしょうか?
歩合を獲得できる社員は賛成し、無理だと思っている社員は反対します。
これが答えです。
なので、歩合制度は無くすことは出来ません。

これが答えならば、2つの制度を作る必要があります。
歩合派は、基本給なしで、すべて歩合制にして、徹底したインセンティブでいいと思います。
ある意味、個人事業主に近い考え方です。
非歩合派は、仕事を進めるプロセスを評価することです。
仕事のプロセスを評価でけいる、プロセスの可視化の仕組みが必要です。

たとえば、
・攻めるべき顧客を攻めているチームとして役割を果たした
・クレーム対応を片付けた
・誰よりも先に、新商品で実績を作った
・将来に貢献する情報素材を提供した
など、今までとは違うモノサシと、それを図ることが出来る仕組みが必要です。
これがなければ、プロセスの評価が出来ないだけではなく、
誰もチャンレジしようとしません。

また、プロセスを可視化する仕組み出来たら、可視化された情報で、マネジメントする担当者も必要になります。
一方で、インセンティブ派は、個人事業主に近いので、マネジメントは不要になります。

営業部中に、まったく性質の違う2つの部署があるような制度です。

営業は、ほぼ全員、正しく評価されていない不満がある

そのためには、ルールは最低限にしてカルチャーを作っていかなければなりません。

予算達成率だけではなく、日々の努力も判断して欲しい。
営業なら誰しも思っていることです。
たとえば、売上は、個人のスキルや努力に関係なく成り行きであがる売上があります。
また、担当している顧客により、売上に差が出ます。
これらの不公平に対する不満は、評価のモノサシに対する不満です。
つまり、陰の努力や将来のための活動の中身を評価するモノサシがなく、
デキル営業を基準した単一的な予算達成というモノサシになっているからです。

営業マンの評価はどうしても短期的になりがちです。
長期的な視点から現在を評価することも必要です。


予算達成率の中身を評価する

利益の成果を定義するのはが難しい。複合的な要因が絡んでいるからです。
しかし、難しいから評価対象外にすると、そこに不満が発生します。
システムを使っていると、単品管理ではありませんが、細かい数値を見ることが可能になります。
この領域にシステム投資を行うことは人事的にも意味があります。

たとえば、予算が達成されていれば、その中身まで踏まえ、未達成ならはプロセスを評価する仕組みを作ります。
予算達成率だけ見ると営業Aが74%、営業Bが82%であり、営業Bが営業Aよりも評価されるのが一般的です。
しかし、顧客ランク別の予算実績達成率を見ると、
営業マンAは攻めるべき顧客にアプローチして成果を出している一方で、
営業マンBは、攻めるべき顧客の予算は達成されておらず、予算が達成しやすいところだけで成果をあげています。

この分析によれば、攻めるべき顧客にアプローチして、成果を出している。
つまり、将来につながる営業活動を行なっている営業Aを高く評価すべきと判断することができます。

これを、絵にかいた餅と捉えるか、一度分析してみる価値があると思うか?
そこで企業の成長に差が出ます。