営業スタイルの分類

トップセールスマンと言われている人は、
何も扱ったとしても、売れるという説は本当か?
一口で営業と言っても、いろいろ営業スタイルが存在します。
たとえば、億単位の金融商品の営業と1個2000円の店頭販売セールの営業では
同じ営業でも、営業の中身は全然違うということは想像できると思いますが、
では、どのような違いがあるのでしょうか?

INDEX

1: 商談が長い場合
2: 商談が短い場合
3: 商談金額が小さい場合
4: 法人営業
5: 個人営業
6: ルート営業
7: 案件営業
8: 提案営業とは
9: コンサル営業
10: ソリューション営業
11: 1年のサイクルで繰り返す農業型営業
12: 長いプロセスを通して育てる林業型営業
13: 広く網を張る漁業型営業

商談が長いということは、それだけお客様側で判断しなければならないことが多いことを意味します。
お客様にとっても重要な商談ということになります。
また、金額が大きくなれば、お客様は失敗が許されず、慎重になります。
顧客側の購買ステップを見極ながら商談を行います。
顧客は、現在どのステップにいるか、そのステップごとに顧客のニーズを満たしていくことが重要なポイントになります。
また、コンペが当たり前に行われ、最終的に1社だけが決定されることから、
コンペに敗れた企業は、その商談に費やした時間が無駄に終わってしまいます。
受注、失注が企業の収益に直結しています。
そのため、早い段階から、顧客の実態を見極め、見切って、撤退ラインを決めてしまうこともポイントになります。
さらに毎月安定的な売上げを確保するためには、年間通して、継続中の商談を複数持っている必要があります。
そして最後は、顧客と営業の信頼関係が決め手になったりします。
売り込みではなく信頼関係を築くための活動がその都度出来ているかが重要なポイントになります。

商談が短いというのは、1時間説明して、その場で商談が成立するという商材です。
商談期間が短い場合は、今月どこの顧客に行くかで、今月の売上げがおおよそ決まっていきます。
限られた営業時間をどの顧客に割り当てるか、それを見極め、活動計画をプランニングすることが重要なポイントになります。
今月注力する顧客、来月以降に注力する顧客など、顧客の状況を知った上で、活動計画をプランニングをすることが重要になります。
また、計画はあくまでも顧客に左右されるものですので、計画通りいくことは稀です。
月末にダメだったでは遅すぎます。
今月の売上げをあげるための軌道修正を早めにしていくことが重要なポイントになります。

商談金額が小さいのに商談時間が掛かる営業をしていると、
たとえ受注が出来たとしても営業コスト高になり、最終的には赤字ということも考えられます。
案件金額に見合った標準的な商談期間を決めるとともに、
提案作業の効率化やバックエンドの支援が重要なポイントになります。

法人のお客様は、意思決定者と享受者が異なるのが特徴です。
複数の関係者にアプローチしながら、営業していく必要があります。
複数の関係者が存在すれば、それぞれの立場で視点や関心事項が違うのは当たり前です。
すべて関係者に信頼や納得を得ていく必要があります。
法人なので経済合理性で判断しますが、その合理性の中には、
機能やサービス内容だけではなく、長年の取引だったり、会社ブランドなども、合理性の要素に入ってきます。

個人の場合は、ライフタイムバリュー(生涯収益)の極大化を目指します。
長い付き合いを前提としたフォロアップ的な営業が必要になります。
フォローアップには、積極的に顧客のライフイベントを活用します。
そして、フォローアップを通じて、顧客の変化を読み取っていく必要があります。
その変化に応じて、顧客が喜ぶサービスを提供していくことになります。
一方で、生涯収益とは関係ない売り切りのビジネスであれば、
強い会社になるための仕組みは無用で、
営業へのインセンティブ(歩合)等の設定に注力し、
デキル営業を如何に揃えるかだけになります。

ルート営業は、固定客に対して如何に収益を最大化するか?がポイントになります。
一昔前は、ルート営業のイメージは、愛嬌で商売する的なところがあったと思いますが、
確かにそういう面はあるものの、実はそんなことはなく、これからはさらに厳しいです。
そもそも、担当している、すべてのお客様に対して、同じような対応をすることは、
限られた時間の中では不可能ですので、
収益最大化という視点から、優先順位を決めていきます。
優先順位は言葉で言うのは簡単ですが、
実際は、「日々変わる混沌とした状況の中で、条件を探りながら決める」ことであり、
誰でもが出来るものではありません。経験豊富な上長の出番になります。
マネージャーによって、優先順位の判断が変わり、
マネージャー次第で、その組織の成果が大きく変わる傾向が強いです。

案件営業は、有望な案件を見出し、1件づつ落としていくがポイントになります。
受注までの商談時間は比較的長く、金額も比較的大きくなる傾向が強いです。
ある意味、一発勝負の世界に近いです。
蓋を開けたらゼロとなりかねない世界です。
安定的に収益を敢えていくためには、失注数も見込んで一定数の案件を確保して動くことが必要です。
具体的には、有望な案件とは何かを定義することです。
そして、その案件をどのようにして受注につなげていくかのシナリオを持つことです。
常に3ヶ月先~半年先の受注をにらんだ営業活動を計画していきます。

顧客の関心事に対して、自社の商品・サービスがいかにお役立ちできるのかを提案します。
提案営業は、商品説明をするさいに、機能を説明するのではなく、機能がもたらすメリットや問題解決を説明することになります。
つまり、商品説明しているだけではないということです。
また、商品やサービスについてどんな質問にも答えられることが重要で、
なぜ、お客様は、そのような質問をするのか?
その背景を探りながら、回答するスキルが求められます。

コンサルティング料を別途料金で頂くコンサルティングとコンサル営業は、異なります。
コンサル営業は、顧客の課題について相談相手になる営業です。
具体的には、お客様とともに潜在ニーズを顕在化させていくことになります。
お客様の漠然とした要望を、わかりやすく分解して、具体的な解決方法やメリット、デメリットを顕在化させていきます。
顕在化したニーズに対して、顧客にとっての付加価値の定義を行い、自社の商品・サービスにこだわらず、あらゆる可能性を提示します。
お客様ごとに優先させるニーズが異なるからこそ、コンサルティングが必要になり、ひとりひとりのお客様にあった動きをしなければなりません。
提案営業との違いは、複雑に絡み合っている顧客のニーズに対して、さらに深読みして、対応する必要があることです。
このようなコンサル営業は重要になってきています。

ソリューション営業は問題解決営業です。
お客様の課題に対して、弊社の「解決策はこれです」という提案を行う営業です。
お客様の置かれている状況の違いを把握し、どの手順に、何をしていくのかを、具体的な解決策を提示します。
コンサル営業との違いは、課題が明確になっているか、いないかです。
たとえば、ある課題に対して、ソリューション営業なら、課題に対する解決策を提示しますが、
コンサル営業であれば、そもそも課題の設定自体が正しいかどうかの判断からスタートします。

1年のサイクルで営業活動を考え、来年度も同じ動きをする営業のスタイルです。
ただ、毎年の収穫に違いがあるように、その違いを踏まえた営業が必要になります。
顧客のニーズを知ることで、ニーズの広がりが見出して、ビジネスを拡大していく営業スタイルになります。
具体的には、顧客ニーズの仮説を立てて、提案活動を繰り返していきます。
お客様の立場にたって、常に行動していくことで、
最終的には、お客様の代理人として、また信頼できる相談相手のポジションを獲得していきます。

種を撒き、肥料をやり、風雨を乗り越えて刈り取るような営業スタイルです。
自分で種を撒いて、じっくりじっくり育て上げる営業スタイルです。
お客様から会うのが楽しみといわれる営業になることです。
そうなることで、お客様のニーズや考え方、タイミングを知ることに一歩近づけます。
親身という種を撒きながら、信頼という芽を育てていくことになります。
まさに、ポエムの営業世界です。

大海原の中に、時々の天候や潮の状況を見定め、ポイントを見つけ、
狙うべき魚の特性を研究し、その日のタナを探りつつ的確に、そのタナに落とす餌を考えます。
さらに、状況の変化に常に気を配りつつ、仕掛けや餌を変えていきます。
言わば、科学的な分析に基づく戦略と、状況変化に応じた柔軟な対応が求められます。
数を狙う営業であり、けして大物の一本釣りではありません。
ようは、マスメディアを利用した広告戦略や施策などが重要になります。