商談のプロセス管理

商談プロセスごとに、顧客は離脱していきます。
商談タスクには、ほとんどが事前準備です。
実際に顧客に合っている時間は、全タスクの20-30%ぐらいしかないはずです。

INDEX

1: やるべき商談プロセス
2: 見込み発掘はとにかく効率で
3: あなたは、見込のない客を見切ることができますか
4: 見切るためのキーワードの引き出し方と貯め方
5: セラミック住宅販売は道幅が第一条件になる
6: 見込み度を判定するためのキーワード化
7: 見込み対応は「選択と集中」で
8: 見込み発掘の再アプローチはシステマッチックは対応で
9: 興味を持たせて提案へ
10: 顧客は、一歩引いた反応を示すのが常
11: 売り込むまえに、信頼という種をまく
12: 信頼関係とは、昔ながらの八百屋さんになること
13: 顧客から引き出すとは、顧客からアドバイスをもらうこと
14: 情報収集するための提案をビフォア提案といいます
15: 提案は、「なぜ」で、顧客の頭の中を整理する
16: 提案で顧客を説得しようとしていませんか
17: 顧客が興味を持てる提案をする
18: 提案するために、より具体的な内容を聞き出す
19: 2回目の商談である、受け入れ提案は、自社のアピールタイム
20: 顧客満足を獲得するのではなく、顧客の不安を無くすことを
21: 動機のウラをとる
22: 顧客が突っ込んだ質問をしてきたら
23: 提案からクロージングへ
24: 欲しいと買うは違うためにクロージングが必要
25: 決定を促すためのクロージングのための提案
26: 複数提案することは、クロージングを早めます

一般的な商談プロセスは、以下のようになります。
・アポを取る
・興味を持ってもらう
・お客様のニーズを知る
・見込み度を判定する
・製品を理解してもらう
・メリット・ベネフィットを伝える
・信頼感・安心感を与える
・キーマンを掴む
・反対者を掴む
・その商談がいつ成立するか知る
・競合に注意を払う
・失注要因を解決する

広い海から、どのようにターゲットを絞っていくか?
時間が余れば、余った時間で「新規顧客を開拓する」というのでは、なかなかできるものではありません。
具体的に何件の新規顧客を獲得するのかの目標を立てます。
何件新規顧客を獲得するために、何件のアプローチが必要なのか、アプローチ数を設定します。
そのアプローチを実施するためのリソースと時間を確保します。

見込み営業で大切なことは、見込み不明のままだらだら営業することを避けることです。
なんとかなると思って、営業を続けて、いい線までいったとしても、
「やはり、どうしても購入できない」など、結局商談に結びつかず、そこに費やした時間はすべて無駄に終わってしまうケースもあります。
もしかすると、見込みのない顧客に対応している時間に、見込みの高い顧客を逃してしまっているかもしれません。
見込みの高い客と見込みのない客で同じ営業コスト(時間)をかけることは、間違っています。
見込みのない顧客は見切ることが必要です。
ただ、顧客を見切るには相当の勇気がいります。
実際問題として、見込みのない顧客を見切るということはなかなか行われていません。
見込みのある顧客は誰か、見込のない客は誰か、個々の営業に依存するのではなく、
組織として、ある程度判断できる仕組みを持つという考え方が必要です。
ある条件を満たすことができなければ、そこで見切る決断をします。
そうすることにより、見込みのない客を深追いせずに、見込み度の高い顧客にその分労力を割くように営業を変えていくのです。

たとえば、不動産の営業であれば、購入動機を聞き出すことから始められます。
「子供が大きくなり手狭になった」ということであれば、かなり本気で不動産の購入を考えていると思われますが、
「自宅の近くに物件が出たので見に来た」とか、「将来の勉強のため」とかであれば、なかなか購入まで至らないのが現状です。
つまり、購入動機を聞き出すことにより、見込み度を判定するのです。
このように見込み営業で大切なことは、商品を売り込む前に見込み度を知るための情報を収集することです。
見込みカードにあらかじめ、それらの項目を入れておき、営業は、その項目にそって見込み客に接することで、見込み営業が効率よくできるようになります。
場合によっては、営業ではなく、専用のオペレータを置いて、見込み度の判定を行い、
その中で、見込みの高い顧客を情報ともども営業に引き継ぐようにします。

住宅販売では、まず資金があるかどうかが確認条件であるかのように思われますが、
セラミック住宅では道幅が第一条件になります。
セラミック住宅は、建築機材を持ち込む関係から道幅が4m以下のところは、
どんなに資金があっても機材を持ち込めずに建築することができません。
そのために、営業は最初に道幅を確認し、その条件がクリアできなければ、
それ以上は商談を進めることはしません。
もし道幅を確認せずに、商談を進め、契約になり、
いざ建築というときに、建築機材が運べなければ、どうなるか、想像できることでしょう。

すぐに購入したい人もいれば、少し興味がある程度の人もいます。
それらに対し同じように営業していたのでは効率がよいはずがありません。
見切るためのキーワードをクリアーしたら、次は見込み度の判定を行います。
本当に購入していただけるお客様なのかどうか、時間をかけるに値するお客様なのかどうかを判断することが必要になります。
これを確実に行うことにより、無駄な営業時間を削減することができます。
これは個人としてではなく、組織として判断基準を持つことが重要です
たとえば、次にようなキーワードは、見切る基準です
・キーマンが出てこない
・最低限の情報しか与えてくれない
・値段しか聞いてこない
・次回商談日が決まっていない

戦略論のキーワードになりつつ「選択と集中」。
聞こえがいいが、その本質を簡単に言ってしまえば、ダメなものは「切る」「捨てる」「相手にしない」ということです。
具体的には、潜在購買力がある顧客に対しては、将来の優良顧客になるべく営業施策をとり、
また、潜在購買力が低い企業は効率的な営業に変えていくなど、
限られた時間(経営資源)を有効に使うことを考えます。
このように顧客のポジショニングに応じた顧客対応を実践することで、企業全体の売上が変わってきます。

営業は見込み客を探すことからはじまります。
システムマッチに対応するためには、
蓄積した情報を有効に活用しながら、再アプローチのタイミングをつかむことです。
動きがなくなってしまった顧客のリストアップや、保留のままになってしまっている案件のリストを常に参照できるようにしておきます
また、実際に再アプローチする場合は、過去の商談履歴やご担当者などの関連情報を確認しながら顧客対応します。
ただし、機械的な対応していれば、それはお客様にバレます。

攻めるべき顧客がわかれば、次はどのように商品に興味を持ってもらうか、
そのためにはどうすればよいのということになります。

顧客は、欲しいものがあるから企業に対してアクションを起こしてきます。
その欲しいものがそこでしか手に入らないものであれば話は別ですが、ほとんどの商品には競合が存在します。
商品が欲しいということと、そのものをどこで買うかは全く別の問題です。
一番安いところで買うかもしれませんし、一番サービスがよいところだったり、ただ単に家から近いという理由かもしれません。
買う基準はいろいろ存在します。
そのため、最初の顧客の心理としては、「何か押し売りされそう」「自社製品だけがすべてよい」など、
買わなければいけない状態を作られることに強い抵抗を持っています。
顧客は営業の攻勢から身を守るために、本音を言わなくなりますし、アンケートももちろん本音で書きません。
では、顧客は何を信頼しているのでしょうか。
一般的には信頼できる人物の意見を尊重します。
それは友人であったり、信頼しているメディアだったりします。
つまり、押し売りではなく公平性を保ち情報を提供してくる人を信用しているのです。
よく営業の本に書かれている「商品を売り込むな、自分を売れ」というのは、このことを指しています。

売り込むまえに「役に立つ」。
信頼関係を育てる商談。
このヒトなら信頼できる。
そのヒトの情報なら、頂けるなら頂きたい。
逆に言ってしまえば、それ以外の情報は、欲しくない情報になります。
情報提供には信頼が付いていないとダメということになります。
・あの営業担当者は他社と何かが違う
・キーパーソンが彼と会うのを楽しみにしてくれる
そうなれば、そのヒトとの面談を最優先するようになり、そうであれば信頼されている証拠です。
これが営業の醍醐味ともいえます。
具体的には、
・お客様の欲していることを、うまく吸い上げることができる
・その欲していることに対して、何が的確な情報なのか理解できる
・その欲していることに対して、的確な情報が提示できるさらに、優秀であれば、
・お客様の状況やマーケットを理解した上で提案する
・お客様の状況に応じた具体的な話しや事例を話す
・同業他社や異業種の事例が話せる
・多面的に分析した話をするなどのスパイスも付け加えることが出来る。
顧客のニーズは多種多様、且つ高度化してきます。
このように、ニーズに満たしてくる営業は貴重です。
お客様も、そのような人に担当してもらいたいはずです。
一方で、信頼を築くには時間がかかりますが、失うのはあっという間です。
信頼がダウンしているときには、いくらよい提案しても、話は聞いてくれません。

店主は、奥さんの顔を覚えていることはもちろん、家族構成や食事の好みなどお客さんごとの特徴を踏まえています。
「奥さん、今日はネギがおいしいよ、すき焼きにでもしたらどうです」と、ネギを売るのに奥さんに夕食のメニューまで提案しているのです。
しかも最近この家族はすき焼きがご無沙汰であることを店主は知っているのです。
今はスーパーが台頭し、昔ながらの八百屋さんのようにはいきませんが、少しでも八百屋さんに近づくためのシステム化が進められています。
これらは、マーケティングが理想とする顧客とのあり方であり、顧客満足を論じるための前提になっています。
言い方を変えると、他社が真似できない信頼関係を構築することになります。

顧客が商談に時間を割くのは、
自分を満たしてくれる企業や商品を探しているからです。
裏腹に、顧客がアドバイスしているときは、顧客は満足しています。
顧客に説明するのではなく、顧客からアドバイスをもらうことを目標にします。

教えてくださいでは教えてくれません。
ビフォア提案こそ、顧客を知るすべてです。
提案は、少なくとも3つ存在します。
ビフォア提案、受けて入れ提案、クロージング提案です。

顧客は、ニーズや問題点を整理して話をしてくれるわけではありません。
想定されるニーズを洗出し、情報提供(ビフォア提案)することで、顧客の頭の中を整理する。
特に顧客が、購入の決め手にしていることに対して、質の高い情報が得られるかどうかです。
質の高い情報が得られるかどうかは、あなたの質問の仕方次第です。
・背景を探る。いわいる購入動機です。
・疑問点や不安を探る。購入する際の迷っている、悩んでいる疑問点や不安です。
・疑問点や不安に対する回答の反応を探る。回答に対して満足したのか、疑っているかです。

・ひとつの視点からしか説明できない
・複数パターンの提案内容をすぐに準備できない
・成功パターンを複数持っていない
・顧客のニーズにあったものというよりは、こちらの都合で提案している
・説明のテクニックに走っている
提案が受け入れられないと、その商談はそこで終わってしまいます。
特に初回の提案、ビフォアー提案がですが、あまりにもビフォアーにこだわることで、
質問ばかりの商談をしていると、それも顧客からの不満になります。
つまり、ビフォアー提案でありながら、顧客が興味を持てる提案をすることです。

聞き出すだけでも、ワンパターン営業でも、それらの提案はダメです。
それぞの顧客ニーズにあった提案しなければなりません。
かといって、高度な提案を思いうかべる必要もありません。
つまり、聞き出したい項目に対して、具体的な事例をぶつけることさえできれば、それは立派な提案になります。
まず、過去に同様の顧客がいなかったかチェックすることから始めます。
もし、過去の事例が、ビフォアー提案の内容と、それに対する顧客の反応が整理されていたらどうでしょうか?
それは、かなりのヒントになるばかりではなく、提案書を作成する手間も一気に削減できます。
なにより、顧客の関心が高いときに、スピード提案が出来ます。
また、最初の提案から、このような提案が出来れば、
顧客から見ればどうでしょうか?
「提案力をもった営業」「問題解決能力をもった営業」ということになります。
ここで、考えて欲しいことは、過去の事例や提案書を組織として共有することではありません。
受け入れ提案やクロージング提案は、それこそ顧客にとって、千差万別です。
過去の事例は見ない方がいいぐらいです。
ただ、ビフォア提案であれば、顧客のニーズを聞き出すことが目的のため、
ある程度、共通の提案書等の仕組みを作ることができることです。
ただ、情報共有という掛け声だけでは、絶対に効率はあがりません。
最低限のことを決めて、それを必ず実践していくということが重要です。

・その背景や理由
・どのような使用を想定しているか
・どのようなメリットを想定しているか
・疑問点や解決しなければいけない課題
・競合の有無
・予算額
・スタート時期
顧客の方針と違う提案が受け入れられることはない。
まず、顧客の方針や考え方、価値観を知る必要がある。

そもそも提案内容をすべて受け入れてくれる顧客はまずいません。
なにかしら違いが出るのが当たり前です。
その違いこそが顧客の本音であり、提案することにより、顧客の本音に近づけるのです。
それを埋めるのが1回目の商談であり、ビフォア提案ということです。
お客様のニーズと違いを整理して、その違いに対して、自社ならでは出来ることがあるか?
それが、次回に提案になります。

何に満足を感じるかは、お客様ごとに違います。
そして、それぞれの満足を獲得することは非常にスキルを必要とする仕事です。
一方で、不安は解消することは比較的簡単に出来ます。
まず、不安であれば、話したいことがあるわけですから、お客様が話やすい。
その話を聞いて、満足してもらえる対応を伝えることで、不安は解消していきます。
顧客満足の獲得に比べると、やるべきこといが明確で、やりやすいです。
さらに、不安を無くための解消方法は、どの企業でも、似たりよったりで、
解決策も明確に提示することができます。
顧客満足を獲得するのではなく、顧客不安をゼロにする。
ゼロを1にするのではなく、マイナスをゼロにすることです。

ニーズには動機があり、動機のウラを取ることがポイントになります。
いつまでという具体的な期限があれば、その期限になにか隠されているはずです。
そこを掴むことで、的確な提案ができるようになります。
常に、その先のことを質問してみるということが大切です。

提案した際、顧客から突っ込んだ質問を受ける場合があります。
その背景を考え、その質問に的確に対応することが必要です。
・自社の説明が求めるものと違うと思っている
・担当者自身が納得できないから
・上司の疑問点を代弁している
・他社との違いを明確にしたい
・反対者の説得のため
・意思決定に対する慎重さから

顧客が購入を急いでいる場合は別ですが、
顧客の判断に任せていれば、なかなか購入まで至りません。
最後の一押しがクロージングになります。

欲しいからといって、すぐにそれを買う行為にはなかなかなりません。
しばらく見合わせるという結論を出してしまうのが一般的です。
顧客は最後の最後まで迷っています。
「もう少し待ったらもっといいものが見つかるのではないか」「もっと有利な条件を引き出すことができるのではないか」と思っているのです。
営業は、それをひとつずつ解決していかなければなりません。
簡単に言えば、迷っている人を決断させなければならないのです。
クロージングは、顧客をその気にさせるトークも必要になりますが、
何が問題になっているか見極め、適切な解決策を提示することが、最も重要になります。
これらの問題は、「押し」や「粘り」だけでは解決することができません。
理論的に説明し、解決することが求められます。
具体的には、決断のきっかけになるような情報を顧客にすばやく見せられるようにすることです。
たとえば、不動産の場合は、高額商品であり、顧客の迷いも相当のものです。
それをクロージングさせるために、「いま買うことがベストの選択です」というありきたりのセールストークから、
「買替えなら築5年ものが売る場合にベストです」「金利が安い今がベストです」など、
具体的な資料や情報を出して、客観的に、ロジカルに、説明していくことが重要です。

顧客が検討するための提案と決定を促す提案は違います。
クロージングとは、顧客の疑問や不安を納得に変える提案になります。
これは自身にとってプラスになる内容だと思ってもらうことです。
クロージング提案は、キーマンを説得するのではなく、考えを取り入れた支援をすることです。
キーパーソンは、その商品を決定するとき、自分の決定に間違いがないと確信をもって決断をしたいものです。
キーパーソンの脳裏をよぎる疑問や不安を取り除くような内容を入れていきます。
さらに、予想される脅威や機会を顧客に事前に認識してもらうことです。
クロージングの段階で、特に重要なのはお客様の価値観です。
価値観と相容れない提案が受入れられることはありません。

1つの提案に対して、これがベストですという提案を決断するのは、なかなか勇気が居るものです。
必ずしも自分のニーズを正しく解決する方法を理解しているわけではなく、最後まで判断を迷います。
このために、複数の提案を用意して、どれかひとつ選んでもらう提案をすることもよく行われます。
複数の中から選択したという行為で、顧客の頭の中を整理することができます。