製品のライフサイクルと営業の関係

市場や製品にライフサイクルがあるというは聞いたことがあると思います。
製品が生まれてから死ぬまで、これをプロダクトのライフサイクルといいます。
ライフサイクルは、導入期、成長期、成熟期、衰退期の4つに分かれます。
そして、それぞれのフェーズに置いて、あるべき営業の姿は異なります。


顧客の分類と購買要因

・導入期→ビジョナリー(変革のための手段を探している)
・成長期→実利主義者(具体的な効果を探している)
・成熟期→保守主義者(変化を嫌う、楽を探している)

・ビジョナリーは、製品ではなく、変革を買っています
・実利主義者は、製品ではなく、効果と満足を買っています
・保守主義者は、製品ではなく、安心を買っています

・材料買って自分で作る型(ビジョナリー/自分で作りたい)
・バイキング型(実利主義者/自ら選択したい)
・お弁当型(保守主義者/定番お弁当しか選択しない)


製品ライフサイクルの導入期

製品が開発され、製品が徐々に売れはじめている状態。
まだ知名度の低さもあり売上は低水準。
一方、広告宣伝費等のマーケティングコスト負担が大きく、
製品の本質的なベネフィットを顧客に認知させる事を中心に実施されます。
財務的には、損益分岐点を越える時期までを導入期として、採算的には赤字の状態です。


あくなき理想を追い求めるビジョナリー

ライフサイクル初期のころは、ビジョナリー相手に商売をしなければなりません。
理想も高く、スキルもあり、厳しいニーズを要求してくるお客様になります。
しかしながら、ビジョナリーに対しては営業は必要ありません。
ビジョナリーは自分が納得すればセルフサービスで買ってくれます。
むしろ技術者やサポート窓口が重要にになります。
ビジョナリーから飛んでくる厳しい質問に的確に答えられなければ、すぐに去っていきます。

具体的には、ビジョナリーはそれぞれに自分なりの価値観を持っているので、
価値観にあった商談をするようにします。
ビジョナリーの期待を管理します。
・過去に商品トラブルに苦い思いをした→トラブルに慎重
・思ったような効果が全然なかった→効果に慎重つまり
・ビジョナリーが目指すところを理解してもらえない→同じゴール



導入期の顧客になるビジョナリーとは

・新しいもの好きで、新しい技術を積極的に評価する
・今までの連続、延長線上とは違うものを好む
・早い時期に製品を採用する人たちで、機能の評価眼を持っている
・その機能が自社の戦略や目的に合うかどうかを洞察できる
・自らがリスクを負って現実のプロジェクトに展開する
・独自の仕様を好む
・利点を検討し、理解し、正当に評価を下す。
・もしいいと思えば、進んで製品を購入する。
・他社の導入事例よりは、自らの直感と先見性を信じる。
・変革の価値に対する対価を自分の価値で判断する
・飛躍を目指す

理想を追い求めるビジョナリー客

ビジョナリー客は、製品ではなく、変革や価値を買いにきます。
理想も高く、知見も高く、厳しいニーズを要求してくるお客様です。


ビジョナリーは、ひとりの営業じゃ太刀打ちできない

最近のプロ野球では、先発完投のパターンは少なくなってきています。
場合によってはバッターごとに投手を変えることすらあります。
それぞれの得意部分を最大限に利用して、勝負にかけているのです。
プロの世界はまさに厳しいものです。
プロ野球のように、控えの選手を何人も用意しておくことは無理としても、活動の状況をモニタリングしながら、
必要なときに、必要な人が能動的に動くことで、商談率は変わってきます。
しかし現状のチーム組織をみると、情報を持っている人が必要な人を選んで情報を渡すということが繰り返されています。
スピードも遅く、主観的で、かつ最大公約数的な情報しか流れません。
しかも必要な人に、必要な情報が行き届いていれば問題はありませんが、
場合によっては、正確に伝わっていなかったり、漏れが出たり、さらに情報が伝わっていなかったり、
バラバラの対応が顧客の不満を作ってしまう原因にもなっています。
違うスキルを持ったメンバーで、チームが構成され、どのようなニーズに対しても、いつでも、スピーディに対応できるようにする。
それが、ビジョナリー対応になります。

未来につながるビジョナリーとは

新しいもの好きで、新しい技術を積極的に評価する他者より、
自らの直感と先見性を信じる今までの連続、延長線上とは違うものを好む機能の評価眼を持っており、
正当に評価を下すことができるその機能が自社の戦略や目的に合うかどうかを洞察できる変革の価値に対する対価など、
価格も含め自分の価値感で判断する未来のためには、ビジョナリー相手に商売をしなければなりません。


スピード対応が求められるビジョナリー

スピード対応できないとダメ。
ビジョナリーは忙しいというより、時間が限られている。
このプロジェクトが終わったら、次のプロジェクトに行く。
限られた時間の中で、「自分のニーズにあうかどうかの的確な情報を提供して欲しい」
「あれもできる、これもできるか?」
というように極めて我が侭な存在です。

そのニーズにスピードよく応えられるかが、まさにビジネスチャンスになる。
さらに、お客さんが成長すれば、新たなニーズが生じ、
そのニーズに対して継続的なビジネスチャンスが可能になります。



製品ライフサイクルの成長期

良い製品であれば導入期の顧客から口コミで評判が伝わったり、
メディア等で紹介されるなどして人気が上昇しはじめる。
また初期の宣伝効果が現れるのもこの時期。
まだ類似商品が少ないために、比較的強気な価格設定でも売ることができます。
そのため利益率はライフサイクルを通して最も高いフェーズになります。
この時点で中小企業は、大企業との競争に勝つことができずにプレイヤーが入れ替わります。

徐々に、競合企業の参入がはじまりますが、
市場全体に成長が規模を吸収し、利益を分け合うことができます。


実利主義者は数字的表現、実績、事例を好む

偉い人ほど数値表現を好む。
とよく言われます。
数字があるということは、すでに実績があり、成果についても測定可能な状態です。
新製品であれば、成果については効果が測定できる段階です。
コンセプトはどうでもいい。
というか、すでにわかっている。
ゆえに、具体的にどの程度の成果が出るのか?
そこに興味があり、
それゆえ、数字的表現、実績、事例にしか興味がない。


何を実利と思うか、キーマンの数だけ存在する

実利主義者は、上司からミッションを受けた窓口担当者が最初に対応します。
窓口の奥には、多くのキーマンが存在しており、部署や役職に応じて、ミッションや判断基準が異なります。
さらに厄介なのは、その部署間で、トレードオフの関係になるケースが多いことです。
たとえば、システムを導入する場合は、エンドユーザ部門は、その効果を実利と考えるが、
情報システム部は、そのシステムが安定的に柔軟性を持って動作するのかを実利と捉える。
尖った機能や最新の機能は大きな効果を得ることができるかもしれないが、
新しさゆえシステムは不安定になるケースが多い。

・そのキーパーソンが責任を持っている分野を知っておく
・キーパーソンが抱えている課題を知っておく
・キーパーソンも、その上司から提示されている課題を知っておく
・決定に影響を与える部門を知っておく
・最も重視する数字を知っておく




成長期の顧客である実利主義者とは

・極めて実利的な人たちで技術そのものには興味がない
・その技術が製品としてもたらす効用を極めて実利的に評価します。
・価格に対してシビア(費用対効果を必ず判断基準にする)
・全く違うニーズを持っている
・着実に効果測定できる進歩を目指す
・最初のころに顔を出すが情報収集だけで、すぐには買わない

現実でモノを考える実利主義客

実利主義客は、製品ではなく、効果と満足を買いにきます。
実際の利益。
実際の効用を重んずるお客様です。
また、実際の利益は、キーマンの数だけ存在し、キーマンごとに欲している利益が異なります。
たとえば、システムを導入する場合は、エンドユーザ部門は、その効果を実利と考えますが、
情報システム部は、そのシステムが安定的に動作するかを実利と考えます。
また、旦那さんは、夢を買いますが、奥さんはコストと機能を購入基準にします。
実利主義客とは技術そのものには興味がない
その技術が製品としてもたらす効用を極めて実利的に評価する価格に対してシビア(費用対効果を必ず判断基準にする)
着実に効果測定できることを望む、また要求してくる比較検討が好きなので、すぐには買わない
この実利主義客を得意とする営業がいるとすれば、それはデキル営業です。
それぞれのキーマンの期待利益を調整し、言葉でも、数字でも、顧客を説得して、商談をすすめることが出来るからです。
この層は、最初から担当する営業を決めておくことです。
もし、デキル営業で、かつ硬直化、自己目的化しない営業が居るとすれば、その営業が担当するのがベストです。
それが着実に売上につながり、未来につながっていきます。



製品ライフサイクルの成熟期とは

供給が需要を追いぬいてしまった。
いわゆる飽和状態。
この時期になるとディスカウントショップなどでの安売り商品として使われたり、同等のPB商品を販売しはじめる。
シェアを維持するためのマーケティング費用の増加に伴い、利益は減少する。
売上額は伸びるが他社との価格競争が激化して利益率は低下し始めます。




成熟期の顧客になる保守主義者とは

・パラダイムがもはや斬新なものではなくなったところに保守派が出る
・古くからの習慣
・制度
・考え方などを尊重し、急激な改革に反対すること
・取り残されないために、そこに手を出す
・邪魔される、混乱を招くことを極端に嫌う
・将来の安定を望む
・リスクを避けるためのサービスを重視する
・業界標準にしか手を出さない
・他社の動向を窺う
・リーダーから買う
・何か問題が発生したときに電話する相手が1社だけで済むこと
・業界に精通しなければならない





買う場所も決まっている

このフェーズで、新規開拓に注力しても効果は得られない。
同じものを購入するにしても、すでに、購入する場所を決めているからである。
リーダー企業の製品を好む、それしか買わない。
顧客から直接問い合わせてくることは少なくアライアンス販売に主眼を置く。
実は、このような恩恵を受けるために、多少高くても、保険という意味合いが強くまた、それを好む傾向がある。
また、製品だけでなく、付帯サービスも同時に買う傾向が強い。
もしかしたら、一番賢い買い方かもしれない。



コンピュータ業界では、ターンキー・ソリューションという呼び方がある。
これは、リターンキーを1回押せば、あとは全自動でインストールしてくれるものである。
つまり、いちいち面倒な設定がいない。
もちろん、あとから設定したければ、設定できる仕様にはなっている。
これ、面倒なことは一切やだ。
というニーズを反映しているものであり、
これにより、市場を一気に広げた。
じゃあターンキー・ソリューションを提供すればいいという話になるが、
ターンキー・ソリューションは、いろいろなケースを想定していないと提供することが出来ない。
そこには、相当の実績とノウハウが求められ、市場が成熟したフェーズでなければ実現することはできない。


急激な変化を嫌う保守主義客

保守主義客は、製品ではなく、安心を買いにきます。
多少高くても、購入する場所、企業を決めているお客様です。
保守主義客とはもはや斬新では無くなったことに出てくる
古くからの習慣制度考え方などを尊重し、急激な改革を嫌う
混乱を招くことを極端に嫌うリスクを避けるためのサービスを重視する保険という意味合いが強く、それを好む傾向があります。
そのため、製品だけでなく、付帯サービスも同時に買う傾向が強いです。
営業の力量というよりは、企業力を求めてきます。
この層は、デキル営業に任せれば、確実に利益をあげていくことができます。


体験版や返品オッケーの施策を喜ばない顧客

体験版や返品オッケーは、本来買いやすくする、リスクを負わないというメリットを訴求しているものである。
リスクを負いたくない実利主義者は喜ぶが、自分でチェックしなければならないために、保守主義者は喜ばない。
見向きもしない。

個人のリテール市場は保守主義

日本の個人金融資産市場であるが、外資が仕掛けては撤退していく。
この層は新しいものに動かない、一番ブランドが強い郵便局ということにもうなづける
しかも、金利が多少低くてもそれは大きな問題にならない。
大きな花火をあげるというよりは、コストを掛けずにコツコツ行い、とにかく顧客のニーズを把握して、
保守主義層にあった商品やサービスを開発していく必要がある。

衰退期の中で営業が出来ること

一度は制覇するも、いずれは衰退していくものです。
たとえば、白黒テレビからカラーテレビに、やがてデジタルテレビになる。
頑固に白黒テレビがよいといっても、それをビジネスとして行っていくことは難しい。
このように商品は時代とともに消えていきます。

営業だけはどうにもならない。
ただ、営業が一番身近に、その変化を感じているはずです。
その変化の声を早くキャッチして、
撤退するか、イノベーションにより新たな価値創造を行うか、
早めに戦略転換をすることがなによりです。