経営や営業を学ぶとはどういうことか
経営や営業には答えがありません。
哲学と同じと言えば、営業がインテリジェンスに見えてきます。
自分なりの営業哲学を作って成功している人もたくさんいます。
答えのないものを学ぶということはどういうことでしょうか?
歴史を知ることでしょうか?
本を読むことでしょうか?
それはヒントになるかもしれないが、そこにズバリ答えは書いていません。
テクニックや知識ではなく、
状況の把握力と思考プロセスを習得すること
その姿勢や態度を持つことだと思います。
INDEX
1: 教材より、小さな情報のやり取りを増やす2: 主役はコンピュータではなく営業担当である
3: 人間関係があって、はじめて情報は流れる
4: いい料理人より、いい素材にこだわる
5: その情報がもたらす利益を意識する
6: 反省や検証は、口頭ではなく、文字で残す
7: 古くなった情報は定期的にチェックする
8: ひとりひとりの声を集めたものが市場の声
9: あなたが欲しかった情報が含まれているか?
10: 事例以外はナレッジではない
11: 企業内ナレッジのシステムロジックを持つ
12: ナレッジはプロの集まりからしか創出されない
13: 知っていることと、整理していつでも使えるようにすることが違う
14: 競合がいればいるほど強くなるチャンス
なんで、企業も、チャットを使うようになったのでしょうか?
息抜きで使うならまだしも、仕事でチャットを使いこなします。
2ー3行の文章が流れてきて、その返答も、2ー3行で行われます。
北海道にいるベテラン社員が、九州にいる新人とチャットをする。
昔なら、信じられない光景だと思います。
チャットの根底には気軽さがあります。
チャットの中で、学びがあります。
しかも、学びのスピードがとても速いです。
疑問に思ったら、数分後には解決しています。
本で学ぶより、身近な人からのアドバイスがなりよりも効果があります。
現場で学ぶことに勝るものはありません。
チャットはそれを満たしてくれるのです。
さらに、受け身ではなく、自ら情報を発信し、周りに積極的に働きかけることで、
自主的に学ぶこともできます。
同じ新人でも、積極的に活用している人と、そうでない人は一気に差が出てしまいます。
ここで間違えてほしくないのは、情報が重要なのではなく、
情報をベースに活動することが重要であり、
情報化が進んでも、主役はあくまでも営業担当だということです。
営業は、人と人との対話で成立し、それを担うのが営業担当です。
より対話がしやすくなる環境とは何か、
どのような営業環境を構築すれば、営業の効果を上げることができるのか、
どうすれば一人一人の営業担当にそうした環境を提供することができるのか、
それを検討し、実施に移すのが経営者の役割になります。
まずは、営業担当が必要としている情報が流れる仕組みを作ることです。
現状の営業組織をみると、ほとんどがピラミット組織です。
情報を持っている人が必要な人を選んで情報を渡すということが繰り返されています。
つまり、主観的で、かつ最大公約数的な情報しか流れません。
しかも必要な人に必要な情報が行き届いていれば問題はありませんが、
場合によっては、自分の保身のために、わざと価値の高い情報を独占する行為も行われています。
情報は、必要な人に渡って、初めて意味の出るものです。
必要な人でなければ、貴重な情報であってもゴミ箱に捨てられてしまいます。
情報を必要としている人に、必要な情報が渡る仕組みを作ることです。
そのためには、情報をオープンにすることから始めます。
しかし、すべての情報をオープンにすることは現実的ではありません。
どこまで情報をオープンにすべきか経営者が大枠を作る必要があります。
そして、その大枠にしたがって、情報をオープンにする仕組みを構築します。
情報が共有されていない組織は単なる人の集まりにすぎません。
また、今のように個人のスキルに頼っていては、顧客の高度な要求に答えることもできません。
まずは、情報をオープンにして共有することから始めることです。
人間関係があって、はじめて情報は流れます。
人間関係を作るのは、信頼関係です。
企業や組織の理論で、情報を流しても、そこに信頼関係がなければ、それは形骸化された情報として扱われます。
たとえば、デキル営業からダメ営業へ、ノウハウという情報を流していくこと決めても、
デキル営業は積極的に参加したがりません。
自分のノウハウを教えても何の得にもならないし、文字として渡せるものでもなく、
そこに時間を使っても、運用できないからです。
いくらでも理由はあげることができますが、
根底には、ダメ営業は信頼できないという、本質的な人間関係が形成されていないことです。
たとえば、3つの提案書が検索されたとします。
その3つの提案書の違いこそ、本来はナレッジの源泉になるはずですが、
何が違うか、違う理由はなぜか?
そこを考えて取捨選択するスキルが求められます。
つまり、情報そのものよりも、再利用するための思考プロセスのスキルが求められます。
そして、思考プロセスキルは、問題意識を持つことからはじまります。
料理で言えば、同じ材料を使って、どう創作していくか?
そこに料理人のスキルの違いが出ます。
スキルとは、それをどうアレンジするかになります。
つまり情報そのものではなく、情報をどのようにアレンジするかです。
それよりも、いい素材を手に入ればおいしい料理になります。
誰でもが、美味しいと感じることが出来ます。
情報そのものの素材にこだわることで、
特段スキルも必要とせず、恩恵に預かることができます。
いい素材が集まる仕組みは何かを考えていくことが必要です。
とにかく利益を意識しなければ、ビジネスではありません。
それは、目先の利益かもしれないし、1年後の利益かもしれません。
いつの利益になるかはありますが、とにかく利益を意識して情報収集しなければなりません。
これこそが、目先の売上げをあげるよりも、ゆくゆく会社を強くするための大切なプロセスになります。
また、第三者の検証が入ることで、その原因が明確になります。
反省や検証は機械的に出来ません。
もし、機械的に出来るのであれば、それは事前にやっていないだけの話です。
その都度考えなければなりません。
そこに新しい発見があるはずです。
目先の売上には全く関係ない、かなり面倒な作業です。
だから、それをルール化して、必ずやるようにしなければなりません。
競合企業も日々変化しています。
戦略を変えたりと、昔と全く変わらないということはありえません。
しかしながら、競合情報は社内で半年1回程度資料が作成され、そのままになっていことが結構あります。
そのため、データが古く使い物にならないだけでなく、誤った方向へいっていってしまうことすらあります。
情報は入力した時点で古くなるものです。
一度作成したら同じ物を使い続けるのではなく、現場で使い込みながら情報を更新していかなければなりません。
そのためには、情報は一箇所で集中管理することです。
そして誰でもがその場で更新や追加しやすい環境を用意することです。
資料を一箇所に集めることにより、利用しやすくなり、利用されることで更新もされるようになります。
なお、情報の改ざんを防ぐために、更新日と更新者などがわかるようにしておくことも大切な要件になります。
顧客から寄せられた声が、本来は市場の声になるはずです。
しかしながら、いつも、どこか市場と乖離しています。
乖離を埋めるためには、何が足りないのでしょうか?
含まれているなら、そのシステムは使い続けますし、
含まれていないなら、そのシステムは使われなくなります。
それをビジネスにしているのがGoogleです。
Googleで検索しても、欲しい情報が出てこなければ、徐々に使わなくなります。
社内システムは、欲しい情報を探しだすこと、なかなか出来ません。
そもそも、その情報があるのか、無いのかすらわかりません。
Google検索みたいに、全部から検索できる仕組みがあれば、情報の有無まではわかります。
社内にGoogleみたいな機能は無理と思うかもしれませんが、
逆に、そのような機能を準備しないという特段の理由もありません。
ただ、そのためのシステム開発のコストが問題とも思うかもしれません。
安くやるための手段は、実はたくさんあります。
それを知らないだけということかもしれません。
お客様は不安だから、隣の芝生が気になる。
それが事例である。
全ていいことばかり書いてあるプレゼン資料とは意味合いが違います。
プレゼン資料みたいな事例集に、お客様は興味を示しません。
Googleの上位表示は、人の判断を介在させず、システムロジックのみで実現したものです。
そのロジックは、引用数=リンク数というとても単純なものからスタートしています。
企業内のナレッジには、その単純なロジックすらない場合がほとんどです。
そこに、ロジックを少し追加するだけで、情報の活用度が一気に変わります。
問題意識がなければ、情報からは何も生み出すことはできません。
会社として、専任者を任命しなければ、情報を武器に変えることはできません。
そもそも問題意識がないので、専任者を任命することは行われません。
米国ではナレッジ担当という職種がすでに確立されており重要な役割を担っています。
情報がないのではなくバラバラに存在しているため使いたいときに情報に辿りつけない。
知っていることと、整理されて、いつでも使える状態にしておくことは、似ているようで違います。
必要な人が、必要なときに、いつでも使える状態にして、はじめて情報共有の威力を発揮します。
どんな切り口で情報を整理するか、また、それがどのように活用されるのか、
これを明確にしておくことが重要です。
重要なのは「競合が顧客に何をしているのか」ではなく、「顧客にとって競合は何をしてくれるのか」です。
つまり顧客の視点にたった競合情報という切り口です。
競合がしていることが、顧客に喜ばれているのか否か、また何が喜ばれているのか?
それを知っているのは、競合ではなく顧客です。
顧客は、競合をどのように評価し、
期待しているものは「品質か」「利便性か」「価格か」などを知ること、
つまり顧客の立場にたって、競合の強みと弱みを知ることが大切です。
その情報こそ一番大切な競合情報です。