売上順位は、過去の結果です。
売上順位だけで顧客を選別しているだけでは、強い会社にはなれません。
売上以外の顧客のセグメントを持つ必要があります。
そして、顧客セグメントをしたら、顧客セグメントごとに営業を変えなければなりません。
・将来のために攻めるべき顧客
・効率よく売上げをあげるべき顧客
・見切るべき商談客
・アプローチしない見込客
・受動的にしか対応しない顧客
・現状維持を死守する顧客
・新規の顧客(1か月以内、3か月以内、1年以内)
・細分化されたリピータ顧客
・ライフライクルで分類した顧客
・途中でドロップした顧客
・完全に失注した顧客(他社に取られた顧客)

潜在購買力が高く、将来優良客になる可能性の高い顧客です。
思い切ったチーム営業や赤字でも受注するなど、企業としての戦略的な判断が必要になる顧客です。
これが戦略的に出来るのが強い会社の証です。

懐疑客とは、製品の効果や価値に対して疑問を持っている顧客です。
そもそも、疑問がゼロということはありえません。
デキル営業であれば、全く最初から相手にしない顧客です。
そのため会社の中には、懐疑客の意見はほとんど蓄積、共有が行われません。
目先の売上という視点では、無視することは正しい判断ですが、強い会社作りのためには、この対応が間違えています。
売上にならなくても、懐疑客にアプローチして、懐疑客の意見を蓄積する仕組みを作るようにします。

売上のみが評価のモノサシであれば、売上が上がらないアフターフォローは誰も担当しようとしません。
これは「アフターフォローの活動は評価が難しい」等の事情によるものです。
そのため、営業とは違う専門部署がアフターフォローを担当している企業もあります。
これでは、顧客満足度を大きく左右する大切なステージを放棄していることと同じです。
顧客は黙って去っていくものです。
これを効率化するためには、いつ、誰が、何をすべきなのか、事前に設計しておくことです。

車の場合、取引実績のない新規顧客を開拓するよりも、既存顧客を確実に維持して、
その買い換え需要を狙う方が、一台あたりの販売コストが大幅に下がる(1/5)そうです。
新規顧客を獲得するためのコストは年々増加傾向にあります。
広告費やプロモーション費、新規顧客キャンペンなど莫大なコストが費やされています。
せっかく獲得した顧客もまたすぐに他社に移ってしまっては、新規顧客獲得コストの回収すらできないケースが出てきます。
さらに、新規顧客に資源を割いた分だけ、既存客のフォローが手薄になってしまいます。
既存顧客の方が、新規顧客に比較して、より適切な情報をより多く入手することも出来ています。
良好な関係を維持続ける方がコミュニケーションコストも安くて済みます。
多額のコストが掛かる新規顧客の開拓に目を奪われずに、
既存客から安定した収益構造を作り上げる設計が必要です。
◆カード会社のライフタイムバリュー
カード会社は、勧誘したカード会員が、入会から退会するまでの期間の間にどの程度利益を生んでくれるのか測定します。
入会しても使わない会員が多く存在し、入会のためのキャンペーンや懸賞オプションを派手にやっていても、
「会員は増えたけど利益はあがらない」深刻な問題になります。
新規会員だけに目をやらずに、既存会員を引き止める、さらにカードを利用してもらうことに事業領域が変化しています。
その最たる施策が、ポイント施策です。
◆レンタル店の既存顧客維持プログラム
あるレンタル店では、売上データと顧客データから3か月間来店がないと、そのまま来店しなくなってしまうことがわかりました。
新規顧客獲得に多額のコストが掛かっていることから、これでは採算ベースにもっていくことが困難になります。
このため、3か月以内に必ずリピートしてもらうように、「過去2か月間来店がなかった会員」に無料サービスのオファーをつけて来店を促進しています。
また、1年以上来店がなければ、顧客情報を一度捨て、逆にプロモーションは一切せず、深追いしないようにしています。
プロモーションコストもゼロではないのです。

既存客は、「再購入してもらえる」「関連商品の提案が行なえる」「競合より優位に進められる」「顧客を紹介してもらえる」など
売上アップに直結する施策が盛りだくさんです。
しかし、これには、信頼がベースになければ成立しません。
信頼構築とは、顧客が喜ぶフォローです。
では、この信頼を構築するために、どれくらいコストが必要でしょうか?
予算は設定されているでしょうか?
ゼロということはないでしょうか?

・新規顧客に比べて、すでに顧客の状況を知っている
・新規顧客に比べて、アポがとりやすい
・新規顧客に比べて、さらに情報が入手し易い
・新規顧客に比べて、こちらの都合で動きやすい
・新規顧客に比べて、コミュニケーションのコストを低く抑えられる
・新規顧客に比べて、事務コストのコストを低く抑えられる

顧客が一生涯に使う金額は決まっています。
稼いだ以上には使えませんし、逆に、稼いだ分は、必ずどこかで使われます。
そのパイを、企業で争っているのです。
これは、一顧客を継続的にフォローして、その中で収益最大化を目指という考え方になります。
そして、その既存客のライフサイクル全体に渡ってビジネスを展開していくのが多角化になります。
実に、さまざまなビジネスチャンスがころがっています。
・スーパーマーケットが金融サービスを始めたり
・自動車メーカが、家を販売したり
・マンション業界が、リフォーム事業をしたり
自社のビジネスドメインに捕らわれることなく、様々なビジネスが展開されています。

製品の優位性は追随者にすぐ追い付かれてしまいますが、
信頼関係はすぐ追い付かれるものではありません。
つまり、真似されないサービスを構築することです。
たとえば、結婚式ビジネスから新居ビジネスへの展開は昔からありました。
今では、お見合いという青田買いに参入しています。
「お見合い→結婚式場の紹介→新婚旅行の紹介→新居の紹介→出産の病院紹介」と、
すべてをビジネスチャンスにしていきます。
また、牛乳メーカは、赤ちゃん用の粉ミルクを、産婦人科等と提携してお母さんに無料配布します。
もちろん、子供が成長していくとともに、自社の牛乳や製品を購買してくれることにつなげるためです。

いつまでも顧客でいてくれる保証はどこにもありません。
「欠陥商品」「対応の遅れ」など、顧客の不信感を引き起こす要因がなかったとしても、顧客は自然と減少していくものです。
経営学者ヒューズの調査によると次のような結果になります。
・1年後50%の顧客が残る
・2年後残りの55%の顧客が残る
・3年後残りの60%の顧客が残る
つまり、100人の顧客がいても、3年後は16人程度の顧客しか残っていないことになります。

・あら捜しをはじめる
・隣人に不満をいう
・第三者に不満をいう
・当該企業に不満をいう
当該企業に不満をいう人は4%に満たないという調査があります。
つまり、96%の人は企業に知らぬまま、負のセールスをしてくれます。
不満は企業にとって負債になるのです。

同じサービスを受けるのに、今より高いコストを支払わなければならないのであれば、他社には乗り換えることはしません。
逆に、今より低いコストで同じサービスを受けることができるのであれば、他社に乗り換えます。
スイチング・コストを高くするということは、同じコストでは、これ以上のサービスは受けられないと顧客に思ってもらうことです。
その重要なステージがアフターフォローやクレーム対応になります。

その中でフォローしてきれない顧客がどうしても出てきてしまうことは仕方ありません。
アフターフォローが効率的できる仕組みが必要で、
その仕組みの有無により、アフターフォローからの収益構造が異なってきます。
たとえば、アフターフォローの項目を事前に登録しておけば、
自動的にやるべきことをシステムが1次対応してくれます。
そこで行われた対応をすべて履歴として残しておくことができます。
さらに、1歩進めて、購入後の疑問や不満がゼロということもありえないので、
タイミングよくその使用状況を確認することで、
顧客から疑問や不満を蓄積していくことができます。
それを繰り返すうちに、顧客との信頼関係が構築され、
やがて、事前に相談を持ち込まれるようになったりもします。
事前相談されるようになれば、信頼されている証であり、
さらに、新しい顧客も紹介してくれるようになります。
◆ある家電販売会社のアフターフォロー
保証期間が切れる前に、「いついつに保証期間が切れますが、何か故障等はございませんか」という電話を入れます。
同様に、ポイントの有効期限が切れる前にメールを入れます。
これは直接的な売り上げには一切影響しません。
売上を追求するとなると、その効果は疑問です。
という話の流れになりますが、やらないよりはやったほうがいいです。
どれだコストを掛けずにやれるかです。
◆通信教育の教材販売会社
ホコリをかぶってしまうことが多いのが通信教育の教材ですが、ある教材販売会社では、年に5回程度フォローの電話を入れます。
そのときに「前回は仕事が忙しくて、勉強する時間がとれないとおしゃっていましたが、
その後、お仕事のほうはどうですか」と前回話した内容を踏まながら、フォローしています。
前回の話の内容を履歴そて保存しているから、できることです。

新商品が出たとしても、すべての既存顧客がその新商品を望んでいるとは限りません。
その新商品を最も望んでいるであろう既存顧客を知っていることが重要です。
新商品を購入してくれる可能性の高いところを分析することで、
情報を活用することにより、今までのような均一的な営業から、「売れそうなところに積極的に営業をかける」
に特化した営業ができるようになります。

クレームは避けられません。
但し、いかに対応するかで顧客満足は変わります。
ただ、積極的にクレーム対応をやりたがる人材は稀です。
クレームは顧客主導で事が進みます。待ってくれません。
クレームを言ってくるときは、顧客は怒っています。
一度怒ってしまうと、直接的な理由だけでなく、間接的、感情的なものが含まれてしまいます。
最悪の場合は、SNSで拡散されてしまうこともあります。
悪質なクレーマーもいます。
単に平謝りするしか方法がない場合も多いです。
解決できたとしても、売上には貢献しません。
うまくクレーム対応できたとしても、評価されません。
対応を間違えると、会社の致命的なリスクを負うことにもなります。
同じようなクレームが来ても、会社として根本的な解決しない限りは、同じクレームが繰り返されます。
クレーム担当者以外は、クレーム担当者と同じ危機感を感じながら対応してくれません。
いわば、会社の構造的な問題をすべて含んでいるのがクレーム対応です。
個別の担当者に任せる問題ではありません。

すぐに対応するのは営業ならではですが、クレーム対応だけは、営業だけで片付けてはいけません。
必ず、組織対応、会社対応で行う必要があります。
顧客にとっても、会社として受け止めてくれているという感覚は、なによりよいアピールになります。
それは、顧客満足や信頼関係にもつながっていきます。

顧客側からも、クレーム窓口にアクセスしやすくなりました。
今までは、ちょっとクレームをつけたくなっても、電話だと、相手がでるから文句を言いにくいし、
そのうち何もせずに終わってしまう人が多かったと思われます。
それが電子メールになると、ある種の匿名性も手伝って、発言しやすくなり、
今まで寡黙だった顧客が発言する顧客に変わってしまうことが報告されています。
これから迎える本格的なネット社会に向けて、
クレームをはじめ、しっかり顧客対応ができる体制を作っておくことが必要です。

新規顧客開拓は、断られることから始まります。
断られる原因は、「必要がない」「商品(機能)が十分でない」などいろいろ理由がありますが、見逃している理由に、「今はいらない」というものがあります。
魅力ある商品であるにも関かわらず、予算などタイミングの問題で、「今は購入しない」という結論が出されることです。
では、何時ならば予算が取れるのか、そこを聞き出すことが重要になります。
購入には必ずタイミングが存在します。
夜中にこども番組を放送しても誰も見ないように、タイミングを逃した営業は全く意味がありません。
しかし営業では、このようなことが日常茶飯事に行なわれています。
急いでいるときに、のろのろ対応していてはだめですし、逆に急いでいないのに、せかしてもだめです。
その顧客に対して、どのように継続的に営業をしていくかです。
たとえば、そのような見込み客が100件あったとして、
日常の営業をやりながら、管理しつつ、アプローチできるものでしょうか?
できる営業はいるかもしれませんが、そこに期待するの企業としては失格です。
顧客のベスト購入タイミングを常に意識して営業するだけで変わります。
コピー機の営業であれば、リースアップ時期が商談のベストタイミングになります。
そのため、リースアップ時期を知ることが営業の重要な仕事になります。
リースアップ時期がいつなのかを聞き出し、その情報を登録することにより、リースアップ時期が到来するころに、本格的な営業活動を開始します。
このように、売上げをあげるために、要因となるタイミングを考え、情報を積極的に収集することで、生きた商談が増えます。
しかも、顧客が真剣に検討し、情報を欲しているときですから、情報提供すること(営業すること)は顧客から望まれていますし、
必要とされる存在になることができます。
たった、これだけのことで、求められる営業に変わります。