営業部門の営業DXとは

同じ道を通るのにカーナビは見ないでしょう。
「新しいところにいく」「道に迷った」「現在位置がわからない」「渋滞しているので他の道を探したい」時にカーナビが非常に便利です。
今の営業って、こんな混沌としているような気がしませんか?
昔、通った成功の道がなくなっていませんか?
営業の情報化は、地図を作るようなものです。
勝手に地図は出来ません。
誰かが地図を作る必要があります。

INDEX

1: 効率よく行き先にたどり着く(近道)
2: この道で間違っていないか随時確認する(検証、軌道修正)
3: 地図があれば、初めての場所でもなんとかなる(ナレッジ)
4: 伝言ゲームを卒業しましょう
5: マップに情報を埋め込め
6: 地図で目的地を共有し、搭乗者で協動する
7: 営業の地図メンテナンス
8: デキル営業ほど、営業の情報化に懐疑的
9: 顧客対応した活動はすべて記録に残す
10: 情報が手元にあれば、あとは知恵を出すだけです
11: システムに営業ノウハウを組み込まない
12: 営業の行動管理はしない
13: メールの日報は悪循環
14: 紙の日報は、点の情報
15: 日報は、誰に報告するかが重要
16: 日報は、顧客の反応を報告することが重要
17: ダメな報告書の例
18: 情報を利益につなけること
19: 情報は資産となりえるか?
20: 情報はお金を生むか?
21: 情報の価値は、情報提供者の信頼度と比例する
22: 情報発信には、当事者意識の必然性の創出
23: 情報は時間とともに価値が減少します
24: 売るまでの情報化が営業部門の情報化になる
25: 自社の付加価値情報を定義する
26: 仮説検証に社員を巻き込まない
27: 現場を混乱させない
28: システムは感動を与えることができて初めて成立します
29: シンプルなシステムにするためのプライオリティー基準
30: 「勘」「根性」「経験」の否定からスタートしたSFA

地図を持たないでドライブに出かけてしまえば、目的地に着くために試行錯誤を繰り返し時間はとめどもなく掛かってしまいます。
ドライブだったらのんびりすることもできますが、ビジネスではそうはいきません。
限られた時間でいかに目的地にたどり着くかという時間の制約の中で最も効果的な営業のあり方、営業の生産性を上げるにはどうしたら良いかに着目しています。
日々の営業活動の情報化をベースに、市場・技術動向、競合他社の状況分析、営業方針、重点取扱商品、前年予算達成度などをデータとして蓄積し、
その情報を有効活用すること、さらには、営業のプランニング、商談ステップ管理、営業活動の検証などの考え方を取り入れることで、
営業の効率アップに役立てるのです。

ゴールに対していまどれくらい進んでいるのか、
営業であれば、営業日報という形で報告されているものですが、
営業日報は、「今日は何件訪問した」とか「受注があった」などの結果にとらわれやすく、
「全体の中での商談がどう進んでいるのか」「クロージングできるのか」
「顧客の課題やニーズを満たす方向に向かっているのか」など、今までのプロセスや顧客の状況を知ることはできません。
忙しいマネージャーは、
間違った方向に進んでいないか?よい方向性に向かっているかをチェックしています。
営業が間違った方向に進んでいれば、マネージャがそれに気づき、
早めに軌道修正できるような情報化を支援するものです。

営業の地図が会社に置いてあり、誰でもがその地図を自由に見ることができれば、
営業初心者であっても、地図を頼りにゴールにたどり着けるかもしれません。
現実の地図は、すでにスマートフォンで実現されています。
営業の地図をスマートフォンで見る。
なんか、少し使ってみたい気がします。
そして、これらを利用し、改修を繰り返すことで、質の高い営業地図が出来上がります。
営業の地図を作るための営業情報は、社内に豊富に存在するでしょうか?
すでにたくさんあるにも関わらず、それを地図として使えるようになっていないだけでしょうか?
そして、情報がデジタル化され、どこでも、簡単に見れる環境があるでしょうか?

伝言ゲームを無くすためには、事実のみに着目することです。
事実のみが、デジタル化され、ダイレクトに見ることが出来れば、伝言ゲームになることなく正確な情報が伝わります。
直属の上長だけではなく、関連部署など必要な人にも、伝言ゲームになることなく、正確に伝わります。
様々な部署の人達が、ダイレクトに、多角的に状況を見ることが出来れば、より情報の活用が深まります。
また、伝言ゲームに費やすコストも一切不要になります。

Googleマップには、施設情報や飲食店など、さまざまな情報が埋め込まれています
お店があれば、そのお店の営業時間から、写真、口コミなどあたりまえです。
営業の地図を作って、そこに情報を埋め込んでいく、その発想が必要です。
情報を蓄積しないのは、そのゴールが見えないからです。意味がわからないからです。
地図を埋めるという行為であれば、ゴールも意味も見えやすくなるのではないでしょうか
情報化を活用しようと思ったら、ちょっとした工夫次第で、可能性が無限大になります。
会社には、すでにたくさんの情報があります。それをバラバラのままにせずに、
地図という場所に集約させていくことで、情報がどんどんつながっていきます。
自分の行きたい場所が探せない地図は意味がありません。
地図を見れば、自分が必要としている情報にたどりつけるのが地図の特徴なのです。

長距離運転であれば、途中でドライバーも交代します。
ドライバが変更しても、地図があれば、地図にそって運転すれば目的地に達すことができますが、
営業の場合は、担当者が交代すると、挨拶から始まり前任者がすでに知っていることと同じことを聞いたりしています。
また、引継書なるものが存在しますが、とても充分なものではなく、実際はうまく機能していません。
引継ぎに限らず、チームで顧客対応している場合も同様です。
企画やマーケティングが現場のことがわかっていないが減って来ます。
どんな施策が現場で喜ばれているか、どんな施策やナレッジの効果が出ているのか確認することができます。
今までの経路と、現在地、最終的な目的地を共有することが地図になります。

営業は1対1の世界だから、システムは関係ないと思っています。
そのため、デキル営業ほど、情報化がスタートしても、ほとんど使いません。
使わなくても、今まで通り、売上を上げてきます。
空き家は傷みが早いように、
多額のコストを掛けて作ったシステムでも、使わなければそのまま腐っていきます。
また、一度腐ってしまったシステムは復活することはありません。

・役員が客先に訪問した、そこで話した内容が記録として残っている
・チームメンバーが電話で受けた相談内容が記録として残る
・担当営業の日々の活動情報が残る
それが、いつでも見れるようになる。
ボタンひとつで、様々な情報にアクセスできる。
記録を残さない理由も、見れなくする理由もありませんが、
現実は、何も見ることができない。

組織的な営業はどのようにすれば達成できるのでしょうか。
まずは、指導力のあるマネージャーが営業担当に積極的に働きかけを行うことから始まります。
マネージャーは、報告をもらわなければ始まりませんが、報告をもらうことが仕事ではありません。
報告の内容から次の手を営業担当と一緒に考えることが仕事になります。
マネージャーの手元に、考えることができるだけの情報がいつでも見れる環境を用意する。
自分のパソコンやスマートフォンからすべての情報を見ることができる。
情報が手元にあれば、あとは知恵を出すだけです。

一番厄介なのは、特定の営業ノウハウが組み込まれているシステムです。
そもそもノウハウは、そんなに簡単に継承できるものではありません。
また、営業は個客対応といわれるように、顧客ごとに違います。
そのようなシステムは、いくら使い続けても効果が出るはずがありません。
そのような、システムは、直ぐに使うのをやめるべきです。

従来は管理職と言われているように、一人一人の営業の行動を把握して、
「予算の達成がされていなければ、ハッパを掛ける」「営業がさぼっていれば、叱る」つまり営業の行動を管理することが仕事でした。
そして、営業がサボらずに働いてくれれば、それはそのまま売上げにつながっていました。
そういう時代はとっくのとうに終わりました。

メールで日報をやりとりしている企業はすごく多いのですが、それは悪循環です。
しかし、変われません。
これを変えることができる人がいないかです。
メールに変わる他の方法を提案することができないからです。

時間帯別に表形式で書かれている営業日報
何時から何時まで、どこで、何をしてきたかが報告されています。
しかし、これは点の情報に過ぎません。
そこに書かれている内容を読んでも、全体の商談の流れや顧客の状況の変化はわかりません。

日報は報告するためのものですが、報告して欲しいことをあらかじめ決めることで、
つまり、あらかじめ聞くべき内容を日報に項目に入れておくことで、
必要なポイントを自覚して、それを聞き出すような営業努力を行うようになります。
もうひつは、上司だけではなく、
収益責任を担っている関係者に対しても、日報を送るようにすることです。
まったく、異なる視点で、その内容を見てくれます。

振り返ってみると、活動がうまく行ったときは、多少時間をかけても情報をきちんと整理していたのではないでしょうか。
逆に失敗したときは情報を整理仕切れていなかったのではないでしょうか。
報告は情報を整理するために、とても役立ちます。
上司のためではなく、自分のために報告書を作成します。
活動を整理して報告書にすることで、報告作成に費やした時間が、これからの自らの活動に生きてくるのです。

・話した内容は報告されるが、肝心の相手の反応について報告がない
・顧客の反応から、次回の提案や活動予定が書かれていない
・報告書の形式が明確でないため、ダラダラ書いてある
・顧客が何に興味を示し、何に興味を示さなかったのかわからない
・顧客からの質問事項が書いてない
・自社にとって、悪い情報が書かれていない
・誰が、キーマンなのかわからない
・商談を進めるにあって何が最大の障害なのか書かれていない

利益には3つあります。
短期利益、中期利益、長期利益です。
まず、その区別をしっかりすることです。
その区別ごとに、蓄積すべき情報や報告すべき人が変わるはずです。

資産の定義は、誰かに売ることができること。
その情報は売れるか?、お金を払っても欲しい情報なのか?
お金を払っても、欲しいと思う情報が社内にあるでしょうか?

情報を溜めるだけではお金は生みませんが、最適なタイミングで情報を交換することでお金を生みます。
つまり、顧客と情報を交換することでビジネスになります。
営業は、情報の交換活動と言い換えることさえ可能です。
そして、社内で情報を交換しやすくすることで、企業力を増していきます。
つまり、情報をお金に変える作業を全社員で行うのです。
それが、経営のための情報化になります。

同じ情報を提供したとしても、誰が提供するかで、その情報の価値や受け止められ方が変わります
誰もが実感できることでしょう。
このヒトなら信頼できる。
そんなヒトの情報は、頂けるならありがたい。
まさに、「欲しいもの」と言えます。
逆に言ってしまえば、それ以外の情報は、どうでもいい情報という位置づけになります。
つまり、情報の前に信頼のタグが付いていないと情報だけ捉えてもダメなのがわかります。

当事者意識とは、必然性の創出です。
やらざるおえない状況を作り出すことです。
この状況が出来れば、自然と人は動きます。
つまり、君にしかできないという必然性を作ることです。
その人だけしかできない役割を作ることです。
本人がやらない限り、誰も、その役割を担ってくれないことを作ることです。
当事者になることで、ひとつ上の視点で考えるようになります。
また、ハードルが高くてもやらされ感がなく、自分の意思で自主的に行ないます。
それだけで、充分です。
当事者意識があるだけで、聞いている質問や確認事項が変わります。

見込み案件としていたものが、実はすでに無くなったというのはよくあることです。
情報は、時間とともに価値が減少していきます。
資産であれば償却するように、古い情報は捨てて、新しい情報を追加していかなければなりません。
それを繰り返すことにより、はじめて情報は資産になりえるのです。
そのために膨大な情報をどう整理して蓄積していくか、そこにはノウハウが必要になります。
情報を溜めるだけでは、情報を使おうと思ったときに使えません。

今までのコンピュータが得意としていた事務の効率化、事務コストの削減は、売った後の処理でした。
営業部門の情報化は、売った後との処理ではなく、売るまでの処理、どうすれば売れるかという目的で情報化するものです。
それは、発想や閃きを支援したり、シミュレーションしてみたり、社員間のコミュニケーションの道具として、
営業のあらゆる活動を支援するためのものです。
扱う情報も、数値情報だけでなく、文字や画像情報、音声など、いろいろな情報を扱うことになります。
但し、これを鵜呑みして、総花的な情報化を進めると、営業には役立たない、手間が増えただけの情報化が出来上がります。

営業部門の情報化は、「売上アップ」が目的になりますが、
「売上アップをするためには、それぞれの企業の考え方や方法論があります。
さらには、使う人の立場により、システムの目的も異なります。
経営者、マネージャー、現場では、それぞれ見たい情報や欲しい情報化が違うはずです。
また、月始、月中、月末でも、見たい情報が違うはずです。
だからと言って、繰り返しになりますが、たくさんの入力項目を作っても、
入力するのがたいへんなだけで、実際使われない項目が多い情報化は、
だんだんと入力しなくなって、使えないものになっていきます。
導入にあたっては、これらすべての要因を頭で整理して、完璧なものを作ることは至難の業です。
そのため、目的を1か2つに絞り、その目的を達成するための絞ったシステム構築をお勧めします。
それは、つまり、自社の付加価値とは何かを考える作業に他ありません。

どうすれば売上げがあがるのか、誰も正解は持っていないという現実問題もあります。
まずは、仮説を立て「こうすれば売上げがあがるはずである」「そのためにはこのような情報を管理しなければならい」と考えがちです。
しかも、その仮説は、外れることが多いです。
そのために、営業を巻き込むのは、可哀そうです。
企画やマーケティングの人にありがちな思考パターンなので注意が必要です。

目的が明確でないと、現場は混乱するだけです。
また、目的を営業の全員が正しく理解し、行動することも期待できません。
営業の情報化は、他の情報化と異なり、けしてスムーズには進みません。
現場を混乱させないようにすることに特段注意を払う必要があります。

初めてシステムに触ったときに感動すれば、
是非、そのシステムが使いたいになるわけです。
システム利用者が感動すること、その視点で、営業DXを考えてみることで、
意外にシンプルな答えが出てくると思います。

(1)ないと仕事がまわない機能
(2)使えば成果が大きく変わる機能
(3)あれば便利な機能
この基準で言えば、目指すべき機能は「(2)使えば成果が大きく変わる機能」です。
(1)はとにかく操作性にこだわる。(3)は作らないということです。

SFAが目指したものは「情報的」「科学的」な営業です。
営業に科学を持ち込むという期待からスタートしました。
時代は、ようやく営業担当1人に1台のPCが配れれるようになり、
名刺にはメールアドレスが記載されるようになった時代です。
こんな感じの宣伝文句です。
「鉄道や自動車がビジネスに大きな変化をもたらしたように、
コンピュータもビジネスに大きな変化をもたらそうとしています。
情報化社会では、情報に乗らないことは、鉄道や自動車に乗らないで生活するのと同じことです。
営業は、情報システムと関係ないなどといつまでも言っていられません。
この情報化の波に乗り遅れてしまったら、二度と追いつくことができないかもしれないのです。
このような情報化社会の到来が情報化投資に拍車を掛けており、会社の要である営業の情報化に脚光が注がれています。」
今なら、企業にAIを持ち込むという感じでしょうか?
すべてのAIが成功している世の中はどんな感じでしょうか?
自動運転、計算されしつくされた食事、バーチャル観光、マッチング恋愛、、、
現実はそう単純ではありません。