営業組織とチームプレー

ネットワークを通したコミュニケーション手段がなかった時代、
すなわち情報の流れを経営層や管理職がコントロールできた時代は、
組織や役職を変えることで、現場の社員に届く情報の質と量を自由にコントロールすることができました。
今は、「本音の情報」はネットワークを通してメールで飛び交い,
「建前の情報」だけが空疎に組織図の上を流れているだけです。
組織における情報とは何かを再考します。

INDEX

1: 組織の役割とは
2: マーケティング部と営業部の仲が良くない件について
3: 営業本部や企画部は、もっときめ細かい施策が必要
4: 非連続の先に、市場の変化がある
5: スピードがある会社は、スピードある組織がある
6: 人のプランニング(中継ぎ、抑え)
7: チームのプランは「未着手」、「進行中」、「完成」の3段階で管理する
8: 計画変更をチームで共有できているか
9: 掛け声だけのチームプレーはタチが悪い
10: 個性尊重は命とり、軍隊組織論
11: すぐに組織変えようとする会社が結構ある
12: 組織を否定するまえに、組織の意義を考えよう
13: ほうれんそうの生産性
14: 見えない部分はマネジメントできない
15: 何が障害になっているのか見極める
16: ほうれんそう型マネジメントがうまく機能しない理由
17: よくある1ヶ月の反省シートは辞める
18: 1日30分だったら何をすべきか
19: ほうれんそうから、チケット駆動に変える
20: 誰に、何を報告すべきか
21: 事実と推測を混在させない
22: 受注予測は希望であってはならない
23: 選択入力形式の報告書のノウハウとは
24: 会議の生産性=会議コスト
25: 報告中心の会議から作戦中心の会議にする
26: オンライン会議はどうだろう?
27: 数字の先にある状況から、アクションが起こせますか
28: マネージャーの生産性
29: マネージャーとマネジメント
30: マネージャーの5つのタイプ
31: 営業の代表的なマネジメントである行動管理派
32: 経営層のYESマン型
33: リレーション型
34: プロデュース型
35: 変革、チャレンジ型
36: 居酒屋型
37: マネージャーが管理できる適正人数は、5人程度
38: マネジメントのゴールはアクションを起すこと
39: 信頼関係は成功体験を共有することでしか生まれない
40: 行動を見るのではなく、顧客のニーズと戦略を見る

組織の役割は、個々の営業に任せるには酷なことを、組織が引き受けることです。
それを得意としている人材が対応できるようにすることです。
組織に必要なスキルや人材を定義し、人材を確保することです。

営業部、営業企画部、販売促進部、マーケティング部など営業に関連する部署はいろいろ存在しますが、
果たしてそれぞれの部署が有効に機能しているでしょうか。
かえって仲が悪いということはないでしょうか。
営業部は、「現場の感触から得た情報」を中心に活用し、
企画部は、「外部の市場情報」を中心に見ています。
見ている情報が違えば、うまく機能する方が、不思議なのです。

企画部や本部が考える施策は、一人の顧客に対して行われることはありません。
全顧客対象、エリアの顧客が対象、セグメント化された顧客が対象という施策になります。
その施策が間違っていれば、それを担当する営業に負担を掛けるいるだけです。
もちろん、効果も得られません。
インタネット上ではワンツーワンというように、一人の顧客に対して施策を行います。
それに近い感覚で施策を打っていくことが必要です。
さらに、施策をきめ細かく実施していくことで、
施策の成果や効果がより明確になり、施策の検証もしやすくなります。
マスで攻めるより、個で攻めた方が、響くのは当たり前です。
個で攻めるためにシステムを最大限活用するという流れになります。

大きな変化は非連続になります。
今までの延長線上に大きな変化は起きません。
たとえば、アンケートやリサーチ、営業から上がってきた情報に、
大きな変化は見出すことは難しいです。
ただ、別の人が、別の視点で情報を見れば、
今まで気づいていない情報を読み取れる可能性があります。
現状では、本部という部署が、これらの情報をまとめて見ることにより、
そこから「そのものの本質」「ある種の変化やコンセプトを抜き出すこと」
「次の商品計画や営業手法への新たな対応」を創り上げることをしています。
そのためには、サマリー化された情報ではなく、生の情報にアクセスできるような仕組みが必要です。

組織を運営するためには、合意や調整が欠かせません。
この合意や調整は「根回し」や「会議」という形で行なわれていますが、決して効率がよいものではありません。
だからといって、スピードを優先して、組織を否定することは絶対に間違いです。
この時代、1人で出来るほど、シンプルではありません、複雑化も増しています。
スピードある組織を作ることが、重要になりますが、
スピードのある組織とは、お客様とのコミュニケーションのスピードを早めることにほかなりません。
そのためには、社内のコミュニケーションのスピードが速くなければなりません。
そのコミュニケーションとは、情報の交換を目的としているものです。
情報の交換スピードが速くなれば、組織のスピードが速くなります。
また、情報の交換が止まることもよく起きます。
返事が戻ってこないとかは、その例です。
返事が戻らない理由は、忙しい、返事するためには調整が必要、判断できないなどです。
おそらく、忙しい理由も、大元には情報が不足している、それを補うために時間が掛かることでしょう。
このように、情報は連鎖しており、次のコミュケーションを踏まえて情報を発信するという
情報交換のスキルが求めれます。

最近のプロ野球では、先発完投のパターンは少なくなってきています。
場合によってはバッターごとに投手を変えることすらあります。
それぞれの得意部分を最大限に利用して、勝負にかけているのです。
プロの世界はまさに厳しいものです。
プロ野球のように、控えの選手を何人も用意しておくことは無理としても、
商談の状況をモニタリングしながら、必要なときに、必要な人をアサインすることで、
商談の勝敗はかなり上がるはずです。
時には、マネージャー自ら帯同することも大切です。
これも、重要な組織要素です。

進捗を管理したら見直すことが必要です。
なにより大切ですが、これがなかなか出来ない。
なぜ、出来ないのでしょうか?
答えは、1人ではなく、チームや組織で仕事をしているからです。
1人であれば、3つのステータスは頭の中にありますが、
これがチームや組織になると、とたんに共有出来なくなります。
共有できないので、会議を開いて報告会を行います。
そんなことをいつまでも続けていては先がないです。
これらは、仕組みを一つ追加するだけで、
すぐに対応でき、共有することができるようになります。
やるか、やらないかだけです。

状況により計画は随時変更していく必要がありますが、
当初は共有できていた計画も、変更が重なるとなかなか共有できないのが現実です。
だからと言って、バラバラに動いていれば、それはチームとは言えません。
これも同じで、メールやExcelから情報共有ツールに移行するだけで、解消します。
過去、現在、未来をチームで常に共有できます。
「出来ていないこと」をそのまま放置しておく。
誰が旗振りしない限りは、放置のまま続きます。

ツールを与えずに掛け声だけのチームプレー推進はよくあります。
これは、継続性がなく、罪ですらあります。

組織論は軍隊から来ていると言われています。
軍隊は、勝つための組織です。
勝たないと命を取られてしまうからです。
適正な判断しないと、命を取られてしまうからです。
統率がとれていなくバラバラでだと、命を取られてしまうからです。
徹底的に論理的であるべきもの、それが軍隊になります。
なぜ、これが機能すからといえば、守るべきものが明確であるからです。
命を守らなければいけないからです。
軍隊は、そもそも、どんなに無能な人間であろうとも、
その人間の適性を評価して、適性にあった場所を提供するものです。
適正な配置をしなければ、全体の足をひっぱるだけで、それによって、全員が命取りになるからです。
企業は、経営者以下、会社の目的を達成するために必要な人の集まり、機能集団として、必要のない人はいないのが本来の姿です。
全社員が、それぞれ明確な目的を持った機能集団が、今回目指す強い会社になります。

そもそも組織変更や、人事異動は、組織の活性化のため決め手として使われてきました。
組織のトップが変われば、組織が変わるからです。
これには前提があります。
経営層や管理職が情報の流れをコントロールできるということです。
組織や役職を変更することは、現場に届く情報、伝える情報が変わることを意味します。
そうなれば、確かに組織は活性化されます。
言い方を変えると中国の情報統制と同じ考え方です。
考えるべきことは、情報をコントロールするか否かではなく、
情報をコントロールすることで、会社が強くなるかということです。
組織を変えるだけで、会社が強くなるかということです。
一昔前の言い方なら、呑み屋のインフォーマルコミュケーションで会社が強くなるかです。

組織とは「ある目的を達成するために作られた、指揮・命令権のあるリーダーを含む複数の人の集まり」です。
多くの組織では、上司と部下は管理する側とされる側に分かれています。
そこに、ある種の緊張関係が生まれます。
緊張感が生産性向上につながるような組織であれば、これは理にかなっています。
一方で、全員が自律的に活動することで、生産性が向上するのであれば、
上下関係が弱い、フラットな組織が、理にかなっています。
どちらの組織形態にせよ、情報が共有されていない組織は単なる人の集まりにすぎません。
ひと昔前は、ビジョンを共有していなければ、組織ではないとも言われてました。
今は、ビジョンより情報です。
ビジョンが人を作るのではなく、情報が人を作り、組織を作るのです。

ほうれんそうは生産性が悪い。
ほうれんそうをやめて、何をすべきか?

マネジメントをするためには、営業活動が可視化されていないと出来ません。
目隠ししたまま戦うことは出来ないのと同じです。
可視化の手段として営業ではKPIなどの数値が用いられます。
数値化することで、問題点が把握しやすくなります。
たとえば、
マネジメントとは、「問題を特定する」「優先順位をつける」「問題を解決する」こと。
マネジメントとは、「計画を立て」「実行し」「計画の進捗を確認し」「次のアクションを起こす」こと。
などと言われます。
KPIと数値化は、前半の部分、すなわり、優先順位をつけたり、計画の進捗を確認するところまです。
そのKPIを使ってやるべきことは、最後の「問題を解決する」「次のアクションを起こす」です。
やれ目標が未達とか、数字に使われるのではなく、数字を使うのです。
酒は飲んでも、飲まれるでなければならないのです。
そして、マネジメントは、KPIの数字を見て、いいとか、悪いとか言っていることではありません
言われるまでもなく、数値を見れば誰でわかります。
その最後の「問題を解決する」「次のアクションを起こす」を支援するのが仕事です。
そうでなければ、マネジメントをしていないのと同じです。

商談が先に進まない理由を掴んでいますか?
担当者が何が障害になっているのかわかっていれば、それは障害にはなりません。
障害は、担当者が以外の目で確認することが必要です。
つまり、マネジメント側の仕事になります。
・本音を聞けていない
・誰が、どのような理由で反対しているのかわからない
・決定を遅らせている原因がなにかわからない
・競合の動きをつかんでいない
・購買の判断基準が不明確になっている
・想定している予算内の提案になっているのか
・顧客の望んでいるタイミングで動けているか
・性能、機能要求に問題はないのか
・課題に対する解決策が適正なのか

ほうれんそうは部下側から見たものです。
ホウレンソウは、マネージャーにとっては受身でしかないのです。
また、報告と連絡の違いも、ほとんどありません。
この根幹にあるものは、情報がないということです。
情報がないから報告してもらいたい。
ただ、それだけです。
システムを導入すれば、それらの問題は一気に解決します。
・月1回の会議を待つのではなく、日常的にチェックできる
・常に最新の状態が見られる(内容と進捗情報)
・いろいろな資料を作らなくて済む
などです。
しかし、
・そもそも報告すべき内容なのか?
・情報の何を見て、何をマネジメントするか?
それこそが、明確すべきことです。
それが明確でなければ、
「書くことがない、書くことが苦手、書く時間がもったいない」だけで終わります。
ちなみに、報連相で一番大切なことは相談です。
なぜならば、報告も連絡も過去の話にすぎませんが、相談は未来の話だからです。

各自が書く反省ノート。
自ら活動を振り返って、次のようなことを書いていきます。
・重点的に取り組んだことは
・営業活動で成功したことは(および理由)
・失敗ことは?
・新しく発生した問題は?
・上司から指示や注意を受けたことは?
反省シートは、個人の行動結果に対しての反省の意味合いが強く、
個人に反省を求めている時点で、企業の成長はありません。
もし、反省したいのであれば、顧客別に反省するカタチに変えるべきです。
顧客が求めていて、応えることが出来なかったことは何か?
そこを反省ノートにどんどん書いていくべきです。
おそらく、まだやっている企業はそれなりにあると思います。
個人が、「来月はがんばります」という文章はいくら読んでも何の効果も期待できません。

1日30分、1年間続けるとしたら、何をすべきか?
売上げは回収して終了すると言われるように、商談は報告して終わりになります。
報告しなければ、何もしなかったと同じなのです。
だからと言って、報告にだらだらと時間をかけて、
本来の営業活動の時間が減ってしまっては、本末転倒です。
振り返ってみると、商談がうまく行ったときは、
多少時間をかけても情報をきちんと整理していたのではないでしょうか。
逆に失敗したときは情報を整理仕切れていなかったのではないでしょうか。
報告は情報を整理するために、とても役立ちます。
商談を整理して報告することで、報告に費やした時間が、
これからの商談で生きてくるのです。
整理方法についても、記入サンプル等を付けることや、
運用方針や目的を利用者に徹底させることで、スキルをあげていくこともできます。
このように、日々の30分の時間の積み重ねだけで、
企業の財産になり、情報に強い会社に変えることことができるのです。

チケット駆動型マネジメントは、チケット単位でマネジメントするやりかたです。
エンジニアの世界では当たり前のように行われる手法です。
たとえば、顧客からの要望を、出来るだけ小さな単位でチケットとして上げます。
そのチケットに対して、対応していくというやりかたです。
このチケットという発想は、より小さな単位を意味します。
1チケットは、1つの要望、小さければ小さいほどいいわけです。
そして、そのチケットに対して、どんどん対応していくようにします。
これを短いサイクルで回すことで、当事者意識や緊張を持って運用が始まります。
市場や顧客はどんどん変化していくものです。
その変化を掴むためのチケットをたくさん作って、対応していくのです。

報告者は収益責任を負っているヒトにになります。

報告では、事実と推測を分けて報告することが鉄則です。
「お客様が言ったこと」「あなたが見たこと」が事実です。
推測は、事実を踏まえて、あなたが考えたことです。
事実は一つしかありませんが、その事実に基づく推測は人によりまちまちです。
情報は他人が見るものですから、これらの違いを明確にしておくことで、見る側が見やすくなります。
つまり、数字ならウラを取る、情報なら根拠を見る癖をつける必要があります。
そういう癖が付くことで、事実なのか、推測なのか、区別が付くようになり、情報の正確性が増してきます。
たとえば、受注予測などに正確性が出てきます。
さらに、報告するときも、これらを区別して、わかりやすい報告ができるようになります。

マネージャーであれば、間違いなく、受注予測が知りたいはずです。
受注予測、今月の着地が見えれば、その状況に応じた手を早めに打つことができます。
これが、できるマネージャーの共通点だと思います。
しかし、一番知りたい情報であるにもかかわらず、正確な数字が掴めないことが多いです。
経験や勘で行われていた受注予測は、予測というより、期待を込めた希望だったりして、
蓋を空けてみると、思うような売上が達成しないケースです。
どのような情報が、あれば、受注予測が正確にすることができるか?
仮に、それらの情報が全部揃ったとして、
デキルマネージャーの受注予測とAIが行う受注予測では、どちらの精度が高いのか?
必要な情報が全部揃うことはなく、
また、情報はある種、主観的なものになります。
AIで営業の受注予測は、もう少し先の話かと思います。

報告書なのに、報告は4つ選択肢から1つ選ぶだけ。
アンケートに応えているかような報告書です。
そんな報告書に意味があると思いますか?
まず、入力は楽になることでしょう?
1枚報告書くのに1分も掛からないかもしれません。
実は、形式が決まっていることで、必要なポイントを自覚して、活動が変わっていきます。
それが、最大のメリットです。
営業が強い会社ほど、この必要なポイントを自覚するが徹底的に行われています。

会議では質問が行われます。
報告を受ける側が一番知りたいことです。
もしかして、
一番重要で聞きたい情報なのに、そもそも資料に入っていない。
場合によっては、「確認します」で、先送りされる。
このギャップは、なぜ解消されないのでしょうか?
これが解消できれば、わざわざ会議をしなくてもいいのではないでしょうか?
ある調査によると、打ち合せのための資料準備、実際の打ち合わせ、打ち合せ後の報告書作成など、
そこに費やしている時間は、全仕事の1/2であるという報告があります。
その他、いくつかの調査でも、最低でも1/3は費やします。
これだけ会議にコストを掛けているにもかかわらず、なぜ解消されないのでしょうか?
それは、過去しか報告出来ないからです。
未来の話がないからです。

会議が不要だとは思っていません。
会議は、作戦会議の場に変えることです。
課題を出して、解決する場、決定する場にすることです。
自ら解決できない課題を洗い出し、組織で解決することです。
知恵を借りる場、意思決定の場にすることです。
未来の話をする場に変えることです。
ちなみに、自ら解決できない課題は、
その前提となる、情報が入手困難なだけの場合が多いです。
情報さえ、揃えば、必然的に、解決策は出てきます。

やっぱり顔を合わせないと、わからない、見えないものがあります。
オンライン、テレワーク、在宅勤務は、歴史的には失敗を繰り返しています。
これは事実です。
しかし、ちょと古い考え方です。
その根本にあるのは、会議の議事録だけ読んでも内容が頭に入ってこないように、
会議などで直接合うことで、様々なプロセスが重要な情報として入ってくるからです。
笑っているか、怒っているかで、それは重要な情報です。
そういう情報で、人は判断しているのです。
ホワイトボードでも同じです。
無地のホワイトボードに書き出されていくプロセスが重要な情報になるのです。
つまり、手段を問わず、重要なのは、
結果だけではなく、プロセスや状況が見えるようにすることです。
プロセスが見えていれば、必然的に結果も見えてきます。

「がんばります」のウラをとることが必要です。
具体的には、
・数字の先にある状況が見えますか?
・状況が見えたら、ダメな理由がわかりますか?
・ダメな部分で対して、次の一手がわかります?
・次の一手を打つタイミングがわかりますか?
これらが見えている状態です。
それがなければ、口だけ「がんばります」です。

マネージャーの役割は、部下、もしくはチームメンバーの生産性を上げることです。
生産性が低い部分を見つけ出し改善していくことです。
個別に担当者を指導していくというやり方もあるとは思いますが、
・仕組みを作ること
・解決すべき課題を解決すること
この2つがマネジメントの生産性に大きく寄与します。

マネジメント側とは、自分のことではなく、組織や企業のことを考えるのが仕事です。
そのため、一般社員とマネージャーは、見ている視点が違います。
一般社員にも、マネージャーと同じ視点になれということが、よく言われますが、
期待するのは、自由ですが、強制するのは、間違っています。
たとえば、テレワークの是非をひとつとっても、
見ている視点で、結論が変わってきます。
様々な理由があるにせよ、マネジメント側は否定的です。
おそらく、会社を守る、組織を守らなければならいと考えると、
顔が見て仕事した方が安心できるからです。
それだけの理由であっても、一般社員にはない、何か背負っているのがマネージャーです。

一言でマネージャーと言っても、いろいろなタイプの人がいます。
タイプ別にマネジメントのやり方が異なります。
企業が扱っている商材やおかれている経営状態、その企業のカルチャーなどによって
どれが最適化は違ってくるものです。

マイクロマネジメントはテラーの生産性論から始まりました。
タイムウオッチを使って人間の動作の無駄を徹底的に省いたのが、テラーの科学的管理法でした。
テラーは、人間を機械のように扱っていると、批判も受けましたが、
限られた時間の中で、いかに大きな成果をあげるかという命題にチャレンジしたわけです。
行動管理重視の営業マネジメントとは、
一言で言ってしまえば、サボらないように緊張感を作っていくマネジメントになります。
日本の営業は、昔から行動管理重視の営業マネジメントが根強いです。
高度経済成長時代は、サボらないだけで、売上が上げることが出来たからです。
巷の営業が強い会社のマネジメント手法だったりします。
なぜかといえば、緊張感を作ってサボらないように行動していくことで、
やがて、営業の質も向上していきます。
営業の量にプラスして、営業の質が追加されています。
そして、強い営業が完成していきます。
一方で、強い緊張感がストレスを生み、社員が持たずに退職していく人も多いです。
さぼらないマネジメントをビジネスにしている会社もあります。
あのライザップです。
継続するのは何より難しいです。
これが、継続支援がビジネスになるぐらい、簡単には出来ないものです。

経営者が間違いているか否かは問わないです。
上に意見を言うこともしません。
軍隊の組織と同じで、規律を重視します。
経営者がすごければ、そのまま凄い会社になりますが、
経営者が間違えると、会社ごと無くなる可能性も高いです

とにかくこまめに連絡するタイプです。
そのため、その人にいろいろな情報が集まっています
連絡役、橋渡し役に徹しているところがあるので、自ら判断することはあまりしません。
必ず誰かに判断を仰ぎます。
組織には常に摩擦が発生していますので、その摩擦を調整していることになります。

自分は動かず、周りを動かすのがうまいタイプです。
ある意味、人を動かすことがマネジメントの極意でもあり、
人が動くということは、そこにお金も動くので、費用対効果のセンスに掛けています。
ある意味、放任主義的なところがあると思いますが、
現場で、何か課題や障害が起きたときは、自らが先頭に立って課題や障害を解決していきます。

ゼロから自分で考え、新しいことを取り入れていくタイプです。
組織が複雑で関係部署との調整が必要な場合は、中途半端に終わることが多いです。
種をまき、水をやり、刈り取っていく農耕型マネジメント能力が必要になります。

居酒屋談義には、ホワイトボードもなければ、議事録もありません。
熱く議論を交わすだけです。
人へのダメだしや陰口も平然と行われます。
本音ベースといれば聞こえがいいかもしれませんが、
単なるガス抜きか?かもしれません。
一定のマネジメントスタイルとして、現在根強いです。
居酒屋で、小さな意思決定がどんどん行われます。

マネージャーが扱える部下の人数には限界があります。
通常は、マネージャーが管理出来る営業の適正人数は、5人程度と言われています。
これがわかっている会社は5人営業がいれば、その上に、かならずリーダをを置きます。
それがピラミット組織を支えている理由にもなっています。
営業のマネージャーは、過去売上を上げてきた営業です。
自らの目でマーケットを見て、自らの頭で戦略を練り、率先して実行できる人です。
状況を全部把握できているからこそ、的確な行動で、売上を上げてきたのです。
多くの部下を抱えていると、1人1人に状況を全部把握しようとしても、
実際に時間も足りませんし、漏れも出てきます。
たとえば、
・必要な情報を瞬時に引き出せる(言われてなくても、既にある)
・少し空いた時間にざっと目を通す(見たときにすぐに用意できる)
・何か指示を出したいときは、不在でもあっても、その場で指示が出せる
・報告を受けるまでもなく、状況が見える
・無駄な会議に出席しなくてよくなる
最近では、これらのことは徐々に意識されるようになってきました。
ただ、このレベルで止まってしまっているのは、もったいないです。
少し便利になったぐらいで、根本的な解決にはなっていません。
もう少し先の情報化とマネジメントを考えていくことで、新しい世界が広がります。

アクションと結びついてないものはマネジメントとは言えません。
マネジメントのゴールはアクションを起すことです。
動いてなんぼです。
議論ばかりしていても売りにはなりません。
目標を実現させるためにいるのがマネージャーです。
目標がない、もしくは目標が不明確であれば、
それは、単に信頼されているいい人にすぎません。
たとえば、目的が不明確であれば、
自らの目でマーケットを見て、自らの頭で戦略を練り、目標を立案する。
作った目的に対して、まわりのコンセンサスを取る。
その目標を遂行するために、率先して具体的に動く。
それが、デキルマネージャーであり、マネジメントそのものです。

マネージャーからの適確な指示で、
営業担当が目的が達成できれば、そこに信頼関係が生まれます。
部下の成功体験を作ってあげることが、マネージャーへの信頼関係になり、
組織として、機能するようになります。
そして、信頼関係ほど、強い組織はありません。
逆に、信頼関係がない組織は、信頼関係がないマネージャーは、
何をやっても結果を出すことはできません。

営業の行動ではなく、顧客の状況を掴むこと。
営業に指示を出すことは、顧客ごとにどのようにアプローチするか指示することです。
おそらく、マネージャーごとに欲しい情報は違うと思います。
これが、営業の情報化の一番難しいところです。
最低限でも、次のような内容を報告してもらわないと、商談から顧客の状況は見えてきません。
・情報源のチェック(その情報の背景にあるエビデンス)
・面談者のチェック(キーマンが出ているのか)
・顧客の反応のチェック(いいのか、悪いのか、スルーなのか)
・優先順位のチェック(何が譲れないのか)
・解決方向性のチェック(課題が何で、それをどう解決しようとしているのか)