4つのデザインをしないと営業DXは失敗する

デザインのない情報化は、失敗のスタートを切るだけです。
また、情報化を過大評価しているうちも失敗します。
現場起点で4つの要素をデザインすることが成功の近道になります。
・I(Information):情報
・T(Technology):テクノロジ
・H(Human):ヒューマン
・M(Management):マネジメント

INDEX

1: I(Information)のデザイン
2: 担当者がすべての情報を握っている
3: なぜ?で情報収集する
4: 内部情報と外部情報の役割を区別する
5: フローとストックで情報を区別する
6: どんな情報であれ、問わないということです
7: 大きな部屋ではなく、小さな部屋をたくさん用意する
8: 必要な情報が埋もれないようにする
9: 情報の信憑性を区別する
10: 生保レディーの情報収集は誕生日から
11: 簡単に手に入る情報は、簡単に使えなくなる可能性が高い
12: 入手が困難な情報ほど重要な情報である
13: なぜ売れなかったのかの情報
14: 悪い情報をクローズする傾向にある
15: 一度利用すれば必要性が低くなるデータ
16: T(Technology)のデザイン
17: コンピュータなら朝飯前、T(テクノロジー)のメリット
18: 伝達スピード
19: 非同期性
20: 同胞性
21: 検索性
22: 多角性
23: 蓄積性、保存性
24: モバイル性
25: ノマドワーカ、ワーケーション
26: 電話の欠点を補うために電子メールを利用する
27: コミュニケーションのスピードアップ
28: M(Management)のデザイン
29: なぜ改善できないか?
30: 情報の洪水で溺れたヒトはいない
31: 同じ素材でも、料理人が違うと出来上がるものが違う
32: 情報を「小分け」にすることで、情報を消化しきる
33: 情報を分散させないこと
34: 情報の蓄積度と実際のビジネスの関係を見る
35: 情報にも棚卸が必要
36: 過去のプロセスを検証することができる
37: プランに影響を与える情報かどうかを見定める
38: 鳥の目による分析
39: 虫の目による分析
40: 魚の目による分析
41: 時間の目による分析
42: 目的の目による分析
43: ベクトルの目による分析
44: H(Human)のデザイン
45: 情報は、発信するより、解釈する方が、数倍難しい
46: 道具を切り替える

蓄積する情報にこだわる。
この段階では、運用面も想定して、誰が、どんな情報を入力して、
その情報を、誰が何のために、どのように活用して、
どのように成果につなげるか?
ここを省くことなく、明確に設計出来れば、システムは勝手に出来上がっていきます

営業は、重要事項を自分の手帳に書いています。
辞めるときに手帳を会社に置いていく、手帳のコピーを取って、次の担当者に渡すなんていう話しは聞いたことがありません。
大方が、引継書と言われているものをさらりと書いて終わりにしています。
そのため、担当が変われば、今まで築いた関係や入手できた情報はすべて消えてしまいます。
かといって、営業が持っている、すべての情報を引き継ごうとするのはナンセンスです。
会社として最低限引き継ぐ情報を定義し、日々入力できる仕組みが必要です。

情報収集は、特段、難しいスキルは必要ありません。
実際の情報収集は、「なぜ?」だけで充分です。
なぜ、このニーズ。
なぜ、今。
なぜ、この商品。
なぜ、このプラン。
なぜ、弊社から。
こうやって書き出してみれば簡単に整理できるものです。
逆に、なぜ?がない情報は、尾びれが付いて間違った情報として伝わっていきやすいです。

社内には、様々な情報収集と情報発信が繰り返されています。
その情報の流れをよくしていくことが1つのゴールになります。
・誰が発信している情報なのか?
・それは、内部情報なのか、外部情報なのか?
・それは、うわさなのか、パブリックな情報なのか?
・それは、外部に出す情報なのか、内部だけで使う情報なのか?
わかりやすい例で言うと、Q&Aです。
外部公開用のQ&Aには、理路整然と書かれていませんが、
Q&Aを作るまでには、その背景や社内事情などがあるはずです。
また、これは、内部情報を外部情報に転換させて、価値を創出しているとも言えます。
この価値創出プロセスの可視化こそが、情報を扱うシステムの基本的な考え方になります。

タイミングが重要な情報とストックが重要な情報に分ける必要があります。
債権情報などはリアルタイム性が要求されます。
危ないうわさがあれば、すぐにその真意を確認し、場合によっては、すぐに手を打たなければなりません。
一方で、その顧客の戦略や方向性を知るための情報は、いろいろな情報を積み重ねていくことで見えてきたり、価値が出てきます。
これら情報の性質の違いを考慮して情報を扱うことが重要です。

情報過多の時代は、情報の選別が重要なスキルと言われています。
しかし、まずは、情報の選別はせずに、とにかく情報が流れる道を作ることです。
情報が流れやすくするためには、
大きな情報ではなく、小分けされた情報にすることです。
とにかく情報の単位を小さくしなければなりません。
また、どんな情報であれ、問わないということです。
そして、どんどん情報が流れることで、何が起きているのかがわかり、それだけで組織の雰囲気はよくなります。
これは、チャットに近い発想です。
逆に、従来の情報システムは、全員が、同じ書式で、情報を蓄積し、蓄積された情報を能動的に見ていくシステムです。
そのため、情報を入力するにも時間が掛かりますし、読むのにも時間が掛かります。
さらに、蓄積されている情報は正しいことが前提になるため、情報の入力者に正確な情報入力が求められ、大きな負担になっています。
また、情報の単位が大きくなることで、情報が消化されにくくなります。
その結果、蓄積された情報がどう生かされているのか見えづらく、現場に負担感だけが残り、社内の風通しがどんどん悪くなっていきます。
情報が流れるようにすることで、まずは雰囲気を作り、情報の単位を小さく、柔軟性を持たせることで
入力者の負担を無くし、その流れてくる情報で、人と人のつながりを作っていくこです。
その人の集合体である企業体を作ることです。

コミュニティーは小さければ小さいほど活性化します。
なぜならば、当事者としての自覚を持つようになるからです。
この一人一人の当事者意識が、組織カルチャーになり、強い企業体を作る源泉になります。
逆に、大きな部屋で大勢の人が参加すれば、当事者意識は薄れ、それぞれが目指している方向に違いも生じ、分散していきます。
情報によるコミュニケーションの活性化は、小さな部屋で運用しない限り達成されません。
組織もどんどん小さな単位にしていくことで、企業の成長につながります。

すでに、今は情報の洪水状態です。
すべての情報を見ることは現実的ではなく、どんどん必要な情報が埋もれていきます。
メールですら、見逃しますが、振り分け機能を使っていたとしても、埋もれます。
では、必要な情報とは何でしょうか?
経営トップの方が見たい情報、マネージャーの方が見たい情報、現場の担当者が見たい情報は、
それぞれ異なりますし、一概に定義することは出来ません。
これは、テクノロジーでは解決できないことです。
改善すべき内容が、だんだん明確になってきます。
たくさんの情報を扱っている営業では、情報化が進み、情報量が増えてくると、本当に必要な情報が埋もれてしまうことがよくあります。
そのため、あまり必要とされていない情報まですべてに目を通さないと、本当に必要な情報を手に入れることができなくなってしまいます。
これでは、情報を読むことが仕事になってしまい、情報を活用して、売上をアップするということが出来なくなります。
たとえば、「中途に入社した社員に、最低知っていて欲しい情報」「部長に必ず見て欲しい情報」という切り口で、
情報にタグを付けるというので、情報の流通経路をコントロールできるようになります。

変化の激しい時代こそ、あらゆる角度から分析する必要があります。
バラバラに存在している情報を、いろいろな切り口から分析するのです。
たとえば、競合情報は、競合に直接聞くわけにはいきません。
さまざまなルートから断片的に得ることが多く、たとえば、営業担当Aさんの聞いてきた情報と営業担当Bさんが聞いてきた情報、多少違うことはよくあることです。
いろいろな情報を整理し、多角的に分析することで、より正しく競合を認識することができるようになります。
しかしながら、現実は、専任者を置かないとなかなか実現できるものではありません。

生命保険の営業にとって最も重要な情報は「生年月日」です。
これがわかると、平均的な保険料がはじき出せますし、平均的な年収とか、いつ結婚するとか、子供は何人ぐらいとか、大体のライフステージが分かります。
生年月日がわかることで「こんな生命保険はどうですか」と最初の提案を作ることができるのです。
で、「生年月日」で思い付くのが占いです。
占いをしてあげるので、「生年月日」を教えて欲しいと言われれば、抵抗なく「生年月日」を教えてしまうことでしょう。
「教えたくない」という顧客の心理もうまくクリアーしながら、営業に必要な情報を収集するひとつの手法として、有名な手法です。
この手の仕掛けは、インタネットを使うといくらでも出来ます。

その代表例がメールアドレス。
個人で複数のメールアドレスを所有している人も多いです。
複数あるということは、それぞれの目的に応じて使い分けているわけで、
本命アドレス以外は、遊び感覚で使うものです。
その遊びのメールアドレスでは、なかなかビジネスは成立しません。
つまり、プレゼントをエサに集めたメールアドレスがこれに該当しますが、
日々、多くのプレゼン企画が実施されています。

情報は入手が困難な情報こそ、ビジネスにとって重要な情報であることが多いものです。
これは、顧客との関係を深めていく過程でしか、蓄積できないものです。
情報化云々よりは、本来の営業の本質の話になってきました。

なぜ売れなかったのかの情報は、企業を強くするための情報になります
現実は、購入する顧客より購入しない顧客が圧倒的に多く存在します。
しかしながら、購入しなかった理由は次の商品開発や営業手法に繋がる大切な情報であるにも関わらず、
購入しなかった人の意見やなぜ購入しなかったのかの原因が企業に残されていないことが多いです。
購入しなかった人の意見を集まることはアンケートやリサーチではできません。
なぜならば、断るときは、本音を言わないからです。
適当な理由を付けて断るからです。
言うまでもなく、そのような情報は営業がいやというほどたくさん持っています。
何度か繰り返しになりますが、目に見える利益だけ追っていては強い会社になりません。
売上にならなくても、将来のために、やっておかなければいけないことがあります。
そして、それらの活動を通して、組織として判断する仕組みを持つことで、強い会社になります。

悪い情報は必ず存在します。
ただ、偶然でしか表に出てきません。
商談が上手くいったときは、聞いてもいないのに、話しをしてくれますが、
失敗したときやミスをしたときは、何事もなかったかのようにしておきたいものです。
それが人間の心理というものです。
すべての商談を契約につなげるとか、ミスをゼロにするというのは現実的ではありません。
ミスは次に活かすための活力です。
ミスや悪い情報こそ、重要な情報であり、営業が成長することができるのです。
ある会社では、一番ミスをした人を表彰し、敬意を表する制度があると聞きました。
そこまで行かないにしても、自分のミスは組織がカバーしてくれる雰囲気や文化を作ることが必要になります。

一度利用すれば必要性が低くなる情報にも関わらず、そこに情報化投資をしている企業が多いです。
その情報とは、分析、帳票系の情報です。
たとえば、顧客分析をしたとしましょう。
そこから。顧客の特徴や傾向はある程度わかるものです。
毎日見るようなものではありません。
分析機能は、意外に使われないケースが多いです。
それよりも、毎日使う部分に、情報化投資することが重要です。

必要な人が、必要なときに、必要な情報が、いつでも使える。
情報の蓄積、検索、抽出、情報の加工、情報の共有、伝達スピード。
これは、Tで画一的に解決されます。
最近は、AIというものもトレンドになっています。

・情報をそのまま正確に伝達することができる(正確性)
・任意の人に同じ情報を流すことができる(同報性)
・瞬時に情報を共有化できる(伝達性)
・情報伝達の作業工数が削減できる(コスト)
・複数のレポートラインに同時に情報が伝えることができる
・履歴を記録に残すことができる(保存性)時系列の記録が残る。
・条件で情報を取り出すことができる(検索性)
・情報を使いまわすことができる(再利用性)
・いつでもどこにいても情報が受け取れる(モバイル性)
・情報公開レベルをコントロールして情報を伝達できる(機密性)

情報の同報性の確保できます。
日本で書いたメールが数秒で米国に伝わる時代です。
しかも、コストは数円です。
つまり、日本で起きた出来事が、数秒で米国に伝達されます。

同時でなくても情報が伝えることができます。
空いた時間にまとめて、いつでも見ることができます。
タイムシフト、タイムマネジメントができます。

複数のレポートラインに同時に伝えることができます。
これにより情報伝達のコストが削減することができます。
マスメディアと同じ機能を安いコストで達成することができます。

条件で情報を取り出すことができます。
シェークスピアの全集から、「愛」について書いてるセンテンスだけを数秒で抽出することできます。
一昔前なら数年掛けて行った作業でした。

情報を複数のビュー(切り口)で見ることができます。
時系列で並べ替えたり、用途別に並べ替えたりすることができます。

大量のデータを容易に低コストで保存することができます。
アマゾンのkindleは、わずか 200gで、4000冊分の本を持ち歩くことが出来ます。

どこにいても情報が受信することができます。
どこにいても情報を発信することができます。
通信速度はますます早くなり、どこからでもYoutubeで発信できる時代です。
自分で手軽にテレビ局を作れる時代です。

モーバイルといっても、携帯情報端末やノートパソコンを持ち歩くことではありません。
移動先でもあっても、あたかもオフィスにいるのと同じ感覚で仕事環境がなんでも揃うことであり、
仕事環境(仕事道具)を持ち出せることが本来の意味です。
今までオフィスに出社しなければならなかった仕事環境が、
場所に関係なく、得ることができます。

電子メールや電話のやり取りだけで商談をすべて行うことはできません。
実際に会って商談することが最終的に必要になります。
これを電子社会の限界と思う方も多いことでしょう。
その通り限界を持っています。
だからこそ、複数のメディアが存在するのです。
電話の欠点を補充するために電子メールを利用すればよいのです。
たとえば、忙しい人や海外にいる人との連絡には、電子メールが最も適しています。
それぞれの状況や用途に応じて、使い分けるスキルこそが重要なのです。
つまり、道具というものは、使う側のスキルが求められます。

コミュニケーションは、情報の交換が目的です。
情報の交換スピードが速くなれば、情報をベースにして行なう営業活動そのもののスピードが速くなります。
今、世界的に進んでいる情報化革命は、こうしたスピード革命そのものです。
お客様にとって真に価値のあるサービスを、タイムリーに提供するための仕組みを提供します。

従来のマネジメントと情報化をベースにしたマネジメントの違いは何でしょう?

改善出来ない理由は、改善箇所が明確でないからです。
改善箇所を可視化するためにデータを使う、数値化することで、
改善すべき内容が見えてきます。
改善すべき内容が明確になれば、もう改善出来たと同じです。
たとえば、顧客ランク別に訪問回数などの集計すれば、
訪問回数が多いのに、売上が上がらないのは、
売上があがらない顧客ばかり訪問しているからで、
訪問先を売上がある顧客に変えればいいわけです。
では、なぜ、そのような行動が出来ないのか、その原因を見ます。
そこには、顧客割り当てに不公平があったり、
単に1回で済む商談を3回商談していたりと、
改善すべき内容が、だんだん明確になってきます。

情報が多くあればあるほど、正しく判断されるようになるというのは少し希望が入っています。
実際は、ヒトには無視するという機能を備えているからです。
無視されることで、そこに費やしたコストは全て無駄になります。
であれば、最初から、そのような情報は扱わないほうがまだマシという判断ができます。
情報化は、情報を捨てることからスタートします。
この発想がなにより重要です。
Windowsにゴミ箱機能があるように、
営業の情報システム上に「捨てるボタン」を作ればいいだけです。

ひとつの情報がビジネスの突破口になることがよくあります。
この言葉やキーワードが出たら、これだな!
専門家や経験者だからこそ、わかる言葉です。
長年経験してきたからこそわかる、そのウラにある本音が見える言葉です。
同じ情報でも、よい情報料理人ならではのアウトアップが出来ます。

「報告書を書きたくない」これが、営業の要望です。
なぜならば、営業は報告することが仕事ではなく、お客様に会うのが仕事だからです。
面倒な作業は、出来るだけやりたくないのが本音です。
しかしながら、帰社すれば、様々な報告書を書かなければなりません。
さらに、報告書は時間を掛けている割には、有効活用されている実感もありません。
このような状態なら、誰でもやりたがらなくて当たり前です。
それにも関わらず、企業はひたすらこの儀式を続けているのです。
たとえば、報告書を無くして、すべてメモに変えてみたらどうでしょう?
1つのメモは、200字以内という制限を付けてみたらどうでしょうか?
書く方も、読む方も一気に楽になります。
書き手にとっては文章の体裁にこだわる必要がなくなり、読み手にとっては、何が伝えたいことなのか明確になります。
この情報を「小分け」にするという仕組みにするだけで、情報の目的や意図が明確になり、情報の精度があがります。
つまり、情報を「小分け」にすることで、「情報を消化しきる」仕組みを作るのです。
情報は、消化されてはじめて価値が出ます。
情報洪水の中で、いかに消化してもらうための情報にするか?
報告書を辞めて情報を小分けにしたメモにするだけで、情報の洪水から逃れることができます。

メモや、小さな情報は、分散してしまいがちです。
分散しないように、一箇所で集中管理する仕組みが必要です。
誰もが、その場で更新や追加しやすいシステムの環境を用意することです。
一箇所に集めることにより、バラバラに散在している情報が利用しやすくなり、
利用されることで更新もされるようになり活きた情報になります。
たとえば、Excelで情報を管理して、ファイルサーバで管理しているとどうなるでしょうか?
どんどん情報が分散されていき、ファイル名に日付が追加されファイルがどんどん増えてきます。
そうなってしまうと、もう、最新の情報に更新しつづけるのは無理になってきます。

・とにかく埋めることだけに専念するのもひとつのやり方
・一方で情報を埋めることが仕事じゃないという視点ももちろん重要
情報の埋まり具合と実際の売上の関係を見るようにします。
情報が蓄積されていても、売上に貢献しない場合は、無駄な行為なので停止します。

経理は決算時に材料や資産の棚卸しをします。
このために、店を休業するケースすらあります。
営業情報も年に一度ぐらいは棚卸は必要です。
ただ、それをやっている企業は皆無だと思います。
やらない、やれない理由は単純です。
情報を資産だと思っていないからです。

情報は検証のために使います。
そのためには、アクションに対する結果を情報として保存していきます。
検証のために使用しない情報であれば、最初から蓄積しないことです。
蓄積したからには検証します。
それだけではありません。
アクションも明確になり、アクションに対するゴールとゴールとの乖離も明確になります。
このようにして、情報化を

設定したゴールは不変。
だが、プランは臨機応変に普通、ゴールは1つしかありませんが、そのゴールに辿り着く道筋は1本とは限りません。
選定した ルートが途中で行き詰まったら、別なルートを辿ってゴールに着けば良いのです。

鳥が大空から地上を眺めている姿を想像してください。
全体の状況が一目でわかるのではないでしょうか。
たくさんある情報をひとつずつ見る前に、大きな括りで情報を見ることで、全体の状況、大きな流れが見えてきます。

草木にいる虫を想像してください。
日頃、意識しないすごく小さな世界です。
今まで気づかなかったものが見えてくるのではないでしょうか。
細かいレベルにかみ砕いて状況を見ることで、より状況が見えてきます。
たとえば、ある顧客の売上げが急に下がったことがわかったとします。
その原因を追求するために、その顧客に関するすべての情報を抜き出してみます。
「商談中に何か起きていなかったのか」「キーマンに変更がないか」「クレームは無かったか」「顧客の業界で何か起きていないか」
「その顧客の競合先に変化はないか」などです。
営業担当が特にないと言っていても、マネージャーが見ることにより、問題が発見されるかもしれません。
虫の目による分析は、このように特定の問題は発生した場合に原因や解決策を得るための視点を持つことです。

水中にいる魚は、水面上180度の視野を持つといわれています。
垂直、水平、対角でそれぞれ180度の視野で情報を見てみると、それらを取り巻く世界が見えてくるのではないでしょうか。

日々の忙しさに追われていると、時間はいつのまにか経過しています。
今までの一連の情報を時系列で情報を並べて見ると、その場限りではわからなかった変化や流れが見えてきます。
変化や流れを掴むことで、より状況が見えてきます。
たとえば、キーマン情報を更新された順に並べてみます。
そこからは、前日更新されたものか、1年以上更新されていないものまで、見えてきます。
1年以上更新されていないものは、営業担当が怠惰で情報を更新しないかもしれませんし、すでに取引きが無くなってしまっているかもしれません。
いずれにしても、それらの情報を抜き出すことで、何が原因なのか追求していくことができます。
時間の目による分析は、時間を軸に情報を見ることにより見えていなかった状況をわかるようする視点を持つことです。

「こんな情報があれば、こんな営業が仕掛けられるはずだ」と言うように、
目的に応じて情報を分析してみると、今まで抜けてしまっていたものが見えてきます。
たとえば、休眠顧客に再アプローチするという営業を仕掛けることを決めました。
ただし、すべての休眠顧客を対象にするのは効率が悪いので、
まずはこの3ヵ月間に取引のない顧客を攻めてみることにしました。
この3ヵ月間に取引がなくなってしまった顧客と、取引が大幅に減少してしまった顧客をリトアップして、1件ずつアプローチして行きました。
目的の目による分析は、特定の目的にもとづいて、必要な情報を見るという視点を持つことです。

全体としてどちらに向かっているか、それがベクトルです。
売上増加傾向なのか、減少傾向なのか、方向性を知ることで、次の手が変わってきます。
売上ベクトルは月次推移等で簡単につかむことが出来ますが
たとえば、口コミなど、そのお店の顧客満足度は、どちらの方向に向かっているか?
すぐにわかるでしょうか?

情報化はあくまでも電話と同じツールに過ぎません。
人や仕事を中心に設計することが必要です。
しかしながら、システムを設計するのは、システム屋さんです。
そこに乖離が生じます。
人をデザインできる人こそが、システムを設計すべきです。

情報は、電子化されたことにより世界中をものすごいスピードで走っています。
さらに、電子化された情報は、再利用が簡単に行なえるために、その処理や対応についても、
今までに比べものにならないぐらいのスピードで行えるようになりました。
たとえば、図書館で文献を探して、コピーを取って、内容をノートに書き写す作業と
インターネットから情報を取り出して、その情報を再加工してレポートを作成する作業を比べれば、その違いは明らかでしょう。
ここでの本質は、図書館で得た情報があたかも価値があるように思いがちですが、
その情報をどこから得たということよりも、意味のある情報なのか峻別することが強く求められていることです。
ビジネス上、重要なのは、得た情報を峻別するリテラシーなのです。
また、社内にファイルサーバに置くだけで全員でファイルが共有できます。
これは本屋状態です。
本屋に行けば、たくさんの本が並んでいるのと同じです。
重要なのは、本屋で必要な本を見つけることではなく、
その本から得た情報を、行動やビジネスに変える力を持っていることです。

計算や検索はコンピュータの仕事であって、活用ではありません。
活用は、その計算や検索の結果を受けて、どうするのか考えることです。
ネットの使い方が上手いだけで、いいマネジメントが出来るとは限らないと同じです。
とにかく、情報システムは、道具でしかありません。
道具の使い勝手が悪ければ、道具を変えればいいだけです。
その道具がシステムとなると、ハサミのように簡単に変えることが出来ません。
それは簡単に変えることができないシステムにしてしまったからです
これからは、変えることができることを前提にシステムを構築する必要があります。