はじめに

営業は、その企業を映す鏡ではないだろうか?
その企業の営業を見れば、その企業がわかるような気がします。
さらに、その企業の未来まで見えるような気がします。
企業にとって本当に重要なのは、戦略であり、戦術であるにも関わらず、
売れないのは営業の根性が足りないからだと言ってしまえば、
そこで議論が終わってしまいます。
もう、営業を根性で語るひとはいないと思いますが、
本当にいないでしょうか?
現場では、まだまだ根性、精神論で働いていないでしょうか?
同じ武器を持ったとしたら、最後は根性が勝つと思っていないでしょうか?
競合との戦いでは、同じ武器を持つことはありえませんが、
同じ組織にいて、同じ商品を売っていて、売上に違いが出るのは、
根性の違いでしょうか?
能力の差でしょうか?
個人でも、戦略や戦術を持ちながら、動いているからではないでしょうか?
戦略は共有すべきものでしょうか?
戦略はひとりひとりが考えるものでしょうか?
戦略は社長が考えるものでしょうか?
戦略を立案するにあたり、情報化はどのように関係するでしょうか?
これに答えを持っている企業の営業は幸せだと思います。
おそらく、継続的に企業成長を続けていくことでしょう。
そうです。その企業の営業を見れば、
その企業が成長するか、ダメになるか?
わかってしまうのではないでしょうか?
当たり前ですよね。
顧客の最前線にいるのが営業なんですから。
ここでは、「営業の成長戦略」について書きたいと思います。
営業が成長することで、企業競争力を高めていくことです。
具体的には以下の3つのテーマについて書いていきます。
(1)従来の営業スタイルから脱却して、「新しい営業スタイル」を構築する
(2)企業や営業を取り巻く環境の変化に営業が的確に対応し、必要なサービスをタイムリーに提供できる「仕組み」を構築する
(3)中長期を見据えて、顧客を生の声を、その最前線にいる営業が企業の隅々まで届け、「情報のマネジメント」を構築する
さらに、営業の成長戦略を実装するためのITの環境についても書きたいと思います。
今の言葉を使えば、営業DXということなると思います。
営業DXとは、目まぐるしい環境変化に即応するために欠かせない、経営や組織運営のあり方を支えるIT化ということになります。
具体的には、スピードや効率、チームや役割分担など、フレキシビリティ、機敏性を含めた概念である
「アジリティ」(Agility)を兼ね備えたIT化ということになります。
言い換えると、一度作ったら終わり、導入したら終わりではなく、
日々、どんどん状況に応じて変化していくITシステムを構築するということになります。
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企業を取り巻く環境の変化

経済成長は様々な問題を先送りしてくれる魔法でした。
成長しているからといって、問題が存在していなかったわけではなく、
それを解決せずに、曖昧のままにしておくことが出来ました。
ある意味、すごくラッキー時代だったと思います。
その魔法が無くなりつつあります。
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営業を取り巻く環境の変化

国勢調査によれば、日本には2000年まで468万人の「営業職」がいました。
ところが2015年までに336万人に減りました。
いろいろな要因があるにせよ、
誰でも営業ができる時代は終わったという意味だと思います。
これからの営業は、才能がある人が対応していく仕事になるはずです。
その才能とは、従来の営業の才能とは限りません。
さらに、それは、人ということにも限定されません。
営業が取り巻く環境が変わってきています。
企業は、売上がなければ維持することが出来ません。
その売上を作る役割を担うのが営業ということは変わりません。
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デキル営業とダメ営業

会社にはデキル営業とダメな営業がいます。
デキル営業は、北極や南極に住む人に冷蔵庫を売ってこれる人です。
これは、不用なものでも売ってくるという意味で使われます。
一方、ダメ営業は、その営業部の中で一番売上が低い人です。
これは、その企業の営業のやり方にマッチできない人です。
そこにマッチできないだけで、才能がないわけではありません。
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デキル営業を起点した営業力強化は限界

デキル営業の延長線上で効果が出ていなければ、それは、なにもしていないのと同じです。
であれば、その路線はあきらめ、違う路線に切り替えるべきです。
しかしながら、多くの企業が、この路線を進んでいます。
現在、伸びている会社であれば、今のやり方を変える必要はありません。
ただ、残念ながら、会社は永遠に伸びつづけることはありえません。
必ず浮き沈みがあるものです。
限界に達すれば必然性を生み出します。
この道しかないという道が見えてきます。
ただ、限界に到来してしまったら企業は倒産です。
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ダメ営業を起点にした「新しい営業」

会社を変えるのは、経営者だと思います。
次に可能性があるのが、商品を企画する人だと思います。
そして、最後の方に営業がくるような位置づけだと思います。
しかしながら、
顧客に一番近い位置にいるのは誰かと言えば、営業です。
企業は顧客がいなければ成立しません。
営業を起点に会社が変わっていくという仕組みは、
顧客を起点に会社を変えていくという流れる作ることと同じです。
営業は、属人的な傾向が強く、デキル営業が売上を作っていきます。
そのような営業とは違う、新しい営業の仕組みを持つことを考えていきます。
持つというのは、全面的に仕組みに変えるのではなく、
既存の売上を上げる仕組みにプラスして、もうひとつ仕組みを持つということです。
どのように営業の役割を再定義するか?
ダメ営業を前提に会社をどのようにデザインするか?
デキル営業とダメ営業の役割分担をどうするか?
簡単に言えってしまえば、
デキル営業は、徹底的に売上に徹する。
デキル営業が担わない部分、デキル営業がやりたがらないで、
かつ、会社を強くするためにやらなければいけないところをダメ営業が担う仕組みです。
目に見える利益は、デキル営業の役割。
目に見えない利益は、ダメ営業の役割です。
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商談のプロセス管理

商談プロセスごとに、顧客は離脱していきます。
商談タスクには、ほとんどが事前準備です。
実際に顧客に合っている時間は、全タスクの20-30%ぐらいしかないはずです。
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顧客の購買プロセス管理

顧客にも購入までに様々なプロセスが存在し、
そのプロセスごとで欲しい情報や営業スタイルが異なります。
また、顧客側の状況もどんどん変化していきます。
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商談のプロセスマネジメント

商談のタスクは営業がやること、
タスクのマネジメントはマネージャーがやることです。
タスクが明確になってくると、
タスクマネジメントが出来るようになります。
マネジメントの成否は、具体性、明確化で決まります。
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マネジメントのプロセス管理

マネジメントに要求されるものは、目標達成です。
そのための仕組みを作ることです。
マネジメントすることが明確になれば、結果が出しやすくなります。
結果が出しやすい環境が出来れば目標が達成しやすくなります。
・営業計画を作る
・計画を達成するためのチームを作る
・計画を達成するための組織を作る
・計画の進捗を確認する(ほうれんそう、会議)
・目標未達なら、新たな対策を講じる
・マネジメントの質を検証する
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営業計画に必要な4つの視点

計画通り行動出来れば、赤字会社はなくなります。
営業計画とは先を見て、利益が最大になるように行動の計画を立てることです。
ヒト、モノ、カネ、情報、時間といった限られた経営リソースを配分することです。
・どの顧客に注力するかで、売上は変わります
・いつ、その顧客にアプローチするかで、売上は変わります
・誰が、どのように営業するかで、売上は変わります
・失敗を分析する時間を作ることで、売上は変わります
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営業組織とチームプレー

ネットワークを通したコミュニケーション手段がなかった時代、
すなわち情報の流れを経営層や管理職がコントロールできた時代は、
組織や役職を変えることで、現場の社員に届く情報の質と量を自由にコントロールすることができました。
今は、「本音の情報」はネットワークを通してメールで飛び交い,
「建前の情報」だけが空疎に組織図の上を流れているだけです。
組織における情報とは何かを再考します。
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顧客分類と営業スタイル

すべてのお客様に同じ対応しているようであれば、
何も考えていない営業と同じです。
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営業スタイルの分類

トップセールスマンと言われている人は、
何も扱ったとしても、売れるという説は本当か?
一口で営業と言っても、いろいろ営業スタイルが存在します。
たとえば、億単位の金融商品の営業と1個2000円の店頭販売セールの営業では
同じ営業でも、営業の中身は全然違うということは想像できると思いますが、
では、どのような違いがあるのでしょうか?
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製品のライフサイクルと営業の関係

市場や製品にライフサイクルがあるというは聞いたことがあると思います。
製品が生まれてから死ぬまで、これをプロダクトのライフサイクルといいます。
ライフサイクルは、「導入期」「成長期」「成熟期」「衰退期」の4つに分かれます。
それぞれ、営業先の担当者を、「ビジョナリー」「実利主義者」「保守主義者」と分けられています。
そして、それぞれのフェーズで、あるべき営業の姿は異なります。
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業界のポジションによる営業の違い

リーダにはリーダーたる戦略があり、チャレンジャーには、チャレンジャーたる戦略があります。
営業も同じで、リーダとチャレンジャーでは、営業に求めらえることが違います。
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経営を支える営業DXとは

CPU の演算速度とメモリ容量はこの10年間で100~1000倍の勢いで向上し続けています。
値段に換算すると、数億円していたものが、今では数十万円で買えるようになりました。
少し強引すぎますが、新幹線のスピードは10年で何キロ向上したでしょうか、
また、東京大阪間の移動時間はどれくらい短縮されたでしょうか。
あきらかにこれまでの技術進歩とは性質が違っています。
この技術進歩は、今まで不可能だったことを可能にする力を持っています。
「こんなことができたらいい、あんなことができれば」が現実のものになりつつあります。
AIなどは、その例です。
その可能性に気づいた企業は、
情報技術を利用することにより、商売の強みとして、またそれを会社の強みとして、企業競争力を向上させています。
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営業部門の営業DXとは

同じ道を通るのにカーナビは見ないでしょう。
「新しいところにいく」「道に迷った」「現在位置がわからない」「渋滞しているので他の道を探したい」時にカーナビが非常に便利です。
今の営業って、こんな混沌としているような気がしませんか?
昔、通った成功の道がなくなっていませんか?
営業の情報化は、地図を作るようなものです。
勝手に地図は出来ません。
誰かが地図を作る必要があります。
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顧客が喜ぶ営業DXとは

企業起点、売上優先で営業の情報化をすれば、
それは、顧客の喜ぶ情報化にはなりません。
・最適なタイミングで、最適な提案をしてくれる情報化
・不満につながることをしない情報化
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4つのデザインをしないと営業DXは失敗する

デザインのない情報化は、失敗のスタートを切るだけです。
また、情報化を過大評価しているうちも失敗します。
現場起点で4つの要素をデザインすることが成功の近道になります。
・I(Information):情報
・T(Technology):テクノロジ
・H(Human):ヒューマン
・M(Management):マネジメント
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経営や営業を学ぶとはどういうことか

経営や営業には答えがありません。
哲学と同じと言えば、営業がインテリジェンスに見えてきます。
自分なりの営業哲学を作って成功している人もたくさんいます。
答えのないものを学ぶということはどういうことでしょうか?
歴史を知ることでしょうか?
本を読むことでしょうか?
それはヒントになるかもしれないが、そこにズバリ答えは書いていません。
テクニックや知識ではなく、
状況の把握力と思考プロセスを習得すること
その姿勢や態度を持つことだと思います。
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営業DXは、欲張れば欲張るほど失敗する

情報化が無駄に終わっている現場の特徴は、理想論に走っているところです。
情報システムを導入するとなると、すべてをシステムに置き換えようと考えがちです。
あれもやりたい、これもやりたいと機能がどんどん膨らみ、複雑になってきます。
思った以上に手作業が増えてしまったり、一番欲しい情報は簡単に引き出せないなどの現象が起きます。
そうなってしまうと、システムは使いにくくなり、使われなくなります。
あくまでも目的は、コンピュータの操作を覚えることではなく、見たい情報が簡単に見られることです。
そのことを考えて設計することが必要です。
具体的には、マウスやタッチパネルを中心にほとんどの処理ができるようなシステムが望まれます。
インターネットを見るのと同じ感覚です。
もし、インターネットをやるために、難しいコンピュータの操作を覚えなければならないとしたら、
こんなに普及することは無かったことでしょう。
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営業DXによるカルチャーとモチベーション

企業の教育目的の大部分がモチベーションに向けられていますが、
情報化とモチベーションの関係は、どうなるのでしょうか?
動物は、同じことで再生産を繰り返しています。
人間は、変化をしながら再生産を繰り返しています。
変化の担い手はカルチャーであり、
カルチャーは継承するものでもあり、パラダイムシフトをもたらすものでもあります。
・企業カルチャーが情報化を作るのか?
・情報化が企業カルチャーを作るのか?
・モチベーションがカルチャーを作るのか?
・カルチャーがモチベーションを作るのか?
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営業DXと人事制度のデザイン

コロコロ人事制度を変える会社はあります。
どうすれば社員が動くのかわかっている会社です。
情報化が進んでも、同じ人事制度では意味がありません。
情報化を前提にした人事制度に変える必要があります。
人事制度に着手しないと、社員は変わってくれません。
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営業DXとトップの役割

実際に営業部門の情報化に取り組もうとすると、
どこから手をつけてよいかが分からないというのが多くの企業の本音だと思います。
・導入はどのように進めればいいのか?
・どこにどれくらいのリソースを割く必要があるのか?
・導入を失敗しないようにするために何をしなければならないのか?
・社内のコンセンサス、費用と効果の問題など、
ひとつずつクリアーしていかなければならないことがたくさんあります。
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もしAIに営業をさせたら

株取引の世界はすっかりAIが牛耳っています。
AIで全取引をしているヘッジファンドが大きな成果を上げているそうです。
そんな世の中になりつつあるなかで、AIに営業をさせたら、どうなるのでしょう?
AIは間違わないし、サボらないので、マネジメントや指導が不要ということになります。
ということは、マネージャーは全員不要になってしまいます。
もし、マネージャーがAIに向かって説教していたら、それこそ漫画です。
AIが間違えたら、そのバグはプログラマーが修正します。
そういう世界が来るでしょうか?
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おわりに

もう10年以上前の話なのですが、
SFAを業としていたときの思い出で、
定年間際の社員が、毎朝1時間早く出社して苦手なパソコンと格闘していました。
そこで、何をしているかと言えば、
40年の会社人生を文字に残していく作業でした。
キーボードに向かて、自分が得たことを、一生懸命入力しているのです。
この会社にいた証を残しておきたい。
今回、このコンテンツを書こうと思ったのは、
まさに、これと同じ感覚で、何か残したいという動機がすべてです。
役立つかどうかはわからないけど、なにか残しておきたい。
幸い、今はインタネットという便利なものがあります。
そこにコンテンツを残しておくことができます。
売るという営業行為がどんなに難しいか考えると、
売る営業行為は、本当に素晴らしい行為です。
その営業が成長し、素晴らしい仕事になれれば思います。
ここに書いたことは、営業DX(デジタルトランスフォーメーション)ですかね。
営業DXとは、「ITの浸透が、営業の仕事をあらゆる面でより良い方向に変化させる」ということになります。
ITの浸透と書くと、IT化となんら変わらないのではと思いますが、
具体的には、コミュニケーションのメソッドが変わることで、社会にインパクトを与えるということです。
コミュニケーションは、口頭伝承から始まり、印刷の発明と本の普及、組織では紙からデジタルに、
さらに、社会全体がデジタル化される、顧客がデジタル化されることで、
すべてがデジタルでつながってしまうということです。
デジタル社会と言われて久しいですが、それが社会の枠組み取り込まれ、
その枠組みの中にいること、それに対応できることが、企業や営業の成長条件になるということだと思います。
読んでいただけて感謝です。
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