トレンドフォロー(ベクトル、乖離)

トレンド フォロー系指標

トレンドフォロー系の指標のほとんどのものは移動平均の考え方をベースにしています。

短期線が中期線や長期線を上抜け、下抜けする移動平均線同士のクロスをもってトレンドが転換したとする見方で、上昇転換をゴールデンクロス、下降転換をデッドクロスと呼びます。

ワイルダーの考え方

ワイルダー(Wilder)は、テクニカル分析のパイオニア。

1978年に出版された "New Concepts in Technical Trading Systems"

ワイルダー功績は、RSI、ADX、パラボリック SAR

「ワイルダーの定義」は前日の四本値から見た相場の癖をまとめた経験則による定義

  1. 始値=本日の思惑を織り込んだ価格
  2. 高値=明日の相場のレジスタンスになる価格
  3. 安値=明日の相場のサポートになる価格
  4. 終値=翌日の思惑を織り込んだ確定値

TR トゥルー レンジ

TR トゥルー レンジ

TR(トゥルーレンジ)の特徴は、当日のボラティリティを分析する際に、高値、安値を用いることです。大きく乖離した価格に秘められた変動性のポテンシャルに対応しようとするものです。

TR(トゥルー・レンジ)の算出

TRとは下記の3つのうち絶対値が最大となるものです。

当日の高値、安値で計算するより、前日からの変動も考慮することで、より包括的なボラティリティの測定が可能になります。

当日の高値-当日の安値
当日の高値-前日の終値
前日の終値-当日の安値

TH/TL

TH/トゥルー・ハイ:昨日の終値と今日の高値のいずれか高い方
TL/トゥルー・ロウ:昨日の終値と今日の安値のいずれか低い方

たとえば、前日終値100円、高値105円、安値95円だと、TRは10、TH105円、TLは98円になる。

ATR (アベレージトゥルーレンジ)

ATRはTR(真のレンジ)を一定期間移動平均にしたもの

直近の一定期間の相場の価格の変動率を知ることで、価格のボラティリティ指標として利用される。

ADX(Average Directional Index:平均方向指数)

トレンドの強さを測定するために使用される指標です。市場がトレンド上にあるか、レンジ相場内なのかを判断するのに役立ちます。

ADXの値は0から100で変動します。ADXが25を超えるとトレンドが強いと判断され、20以下の場合は、トレンドが弱いまたはレンジ相場と考えられます。

DX=(PDI-MDIの絶対値)÷(PDI+MDI)×100
ADX=DXのm日間の移動平均
ADXR=ADXのk日間の移動平均
計算期間は、通常14日を使用使用します。

パラボリックSAR

相場のトレンド変換を認識する際に出るSAR(ストップ・アンド・リバース)、AF(加速因子)、EP(極大値)を売買シグナルとするワイルダーのチャート分析です。

SARとは「ストップ・アンド・リバース」は、トレンドの転換点のことです。

「トレンドの最終地点」の想定値を、任意の係数を付加することで求めようとする。

これは、トレンドが勢いがだんだん失われてくると、パラボリックはその勢いを更に大きく失う設定となっているため価格ラインとクロスすることでトレンド転換を見極めるもの。

AFは、SAR の加速を調整するパラメータです。通常 0.02 から始まり、最大 0.2 まで段階的に増加します。AF が大きいほど、SAR は価格の動きに敏感に反応します。

EPは、現在のトレンド内での最高値または最安値を指します。新しい極大値が更新されるたびに、AF は増加し、SAR の計算に影響を与えます。

加速度を把握ということで、新高値をとるか、その前に勢いは失うか?見えると面白い。

加速度は、単位時間あたりの速度の変化量で、勢いは運動量。

ピボット

複数の抵抗線や支持線を作ることで、複数の差異からピポット(回転軸)を探る手法です。

考え方として、直近からの高値、その次、さらに次という価格認知は人間も自然にやっている。最近、波が一方的だったり、ボラティリティが大きかったりと、適用が難しくなっていると思われる。

計算方法

HBOP(高値ブレークアウト価格)
R2(上値抵抗2の価格)
R1(上値抵抗1の価格)
PIVOT(PP)
S1(下値支持1の価格)
S2(下値支持2の価格)
LBOP(安値ブレークアウト価格)

DMI(Directional Movement Index:方向性移動指数)

DMIのチャートは強気(PDI)弱気(MDI)の二本のラインで描かれます。

現在のトレンドのポテンシャル(潜在的な勢い)がどの程度あるのかを計ろうとするものです。

PDMMDMで、前日の高値と安値をさらに追加して考慮しているところが特徴。

PDIとMDIの算出

TR = 価格のボラティリティ指標(前日、高値、安値から)
PDM = 当日の高値-前日の高値
MDM = 前日の安値-当日の安値
PDI = n日間のPDMの合計÷n日間のTRの合計×100
MDI = n日間のMDMの合計÷n日間のTRの合計×100

スィング・インデクス

当日と前日の四本値の価格差を集計して、それぞれの重要度をランク付けし、値動きの「勢い」を見ようとするワイルダーのインジケーター。-100~+100までの値をとるオシレータタイプの指標としたもの。

5つの要素

当日終値と前日終値の差
当日終値と当日始値の差
当日高値と前日終値の差
当日安値と前日終値の差
前日終値と前日始値の差

どの要素に加重するか、さらに、出来高ファクターを追加すると面白いかも

アルーン(夜明けの光)

相場サイクルの再現性を根拠に、一定期間の最高値、最安値からの経過日数で現在のトレンドの時間的なポテンシャルを探ろうとする定番のインジケーター。

たとえば

高値と安値から、何日経過したかをカウントする(次の高値まで5日なのか、1年なのかでも見えるものがある)

乖離率から、今どこらへんにいるのか、乖離率が10%でも、1日後なのか、1週間後なのかで違うし、それを可視化できる

高値安値更新中は、100と-100で同じ値が続くなど、数値化することで、インジゲータになる

平均足(コマ足)

ローソク足自体を解体して再合成する。ローソク足ほどシンプルなものはないと思うけど、それをさらに分解するというのは、無しだとは思うけど、ローソク足の考え方を再定義するのは面白い。

計算方法

(平均足)始値=(前日の平均足始値+前日の平均足終値)÷ 2
(平均足)高値= 当日の高値
(平均足)安値= 当日の安値
(平均足)終値=(当日の始値+当日の高値+当日の安値+当日の終値)÷ 4

KRI(移動平均乖離率)

現在値の移動平均からどれくらい乖離しているか?

移動平均乖離率は、相場は上がりすぎれば下がり、下がりすぎれば上がるという経験則に基づいて作られたオシレータです。(価格は修正されて、元の価格に戻る

計算方法

KRI=(終値-移動平均値)÷移動平均値×100
百分率は、普通プラスマイナス10数パーセント以内の動きになります。

MACD

長期移動平均線と短期移動平均線の相関関係から相場の上昇を判定する

更にMACDでは売買ポイントを読み取るために、このMACD自体をさらに指数平滑化移動平均にしたSIGNALと言うものも使います。

MACDとSIGNALのゴールデンクロス、デッドクロスが売り買いシグナルとなります。

計算方法

MACD=短期・指数平滑化移動平均-長期・指数平滑化移動平均
SIGNAL=MACDの指数平滑化移動平均
MACD2=MACD-SIGNAL

ウイリアムズ%R

過去の一定期間の高値安値レンジの売られすぎ買われすぎゾーンから売買シグナルを出す定番のインジケーター。

オシレータ系指標が最も効果を発揮するのは一定の値幅を往復するようなボックス銘柄になります。

ボックス相場なら、指標を見るまでもなくだけど、スクリーニングのため、数値化してピックアップするには有効。

「%R」は、レンジのことで、レンジ幅を見て、現在値が「%」の位置に示すもの

レンジは、高値圏か、底値圏が0-100で表すことができる

計算方法

Williams'%R=(Hn-当日終値)÷(Hn-Ln)×100
Hn=過去n日間の最高値(一定期間レンジで求める)
Ln=過去n日間の最安値(一定期間レンジで求める)
標準では一定期間レンジ(計算対象期間)に14

一目均衡表

「抵抗値」「支持値」を雲で表したもの。

「日柄」(相場の周期、帰納性)の研究から生まれたものと思われます。

値動き線が「雲」より上にあれば上昇トレンド、下にあれば下落トレンドであると解釈します。

また、値動き線の「雲」への突入はトレンド転換ポイントの目安となり、上抜ければ上昇サイン、下抜ければ下落サインとなります。

また、「雲」の厚さは相場のレジスタンス(抵抗性)やサポート(支持性)の強さを表しており、厚ければ厚いほど値動きの接近や交差を跳ね返す力も強く、相場の反転が難しいとされています。

計算方法:一目均衡表の5つのライン

転換線=(過去9日間の最高値+9日間の最安値)÷2
基準線=(過去26日間の最高値+26日間の最安値)÷2
先行スパン1=(転換値+基準値)÷2を26日将来に移動
先行スパン2=(52日間の最高値+52日間の最安値)÷2を26日将来に移動
遅行スパン=終値を26日過去に移動
当日を含む

スパンモデル

一目均衡表のうち「」と「遅行スパン」だけを表示させ、シンプルにしたチャートがスパンモデルです。

雲が厚ければ、現在のトレンドは明確なものと判断し、雲が狭ければ、現在のトレンドが弱いと判断することができます。