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提出書類、表紙 | 有価証券報告書 |
提出日、表紙 | 2025-03-28 |
英訳名、表紙 | CANON INC. |
代表者の役職氏名、表紙 | 代表取締役会長兼社長 CEO 御手洗 冨士夫 |
本店の所在の場所、表紙 | 東京都大田区下丸子三丁目30番2号 |
電話番号、本店の所在の場所、表紙 | 03(3758)2111 |
様式、DEI | 第三号様式 |
会計基準、DEI | US GAAP |
連結決算の有無、DEI | true |
当会計期間の種類、DEI | FY |
corp
沿革 | 2【沿革】 1933年11月東京麻布六本木に高級小型カメラの研究を目的とする精機光学研究所として発足。 1937年8月東京目黒に精機光学工業株式会社として資本金100万円で創立。 カメラ製造販売開始。 1947年9月キヤノンカメラ株式会社と商号変更。 1949年5月東京証券取引所に上場。 1951年11月東京都大田区下丸子に本社・工場を集結。 1952年12月(株)目黒精機製作所(現キヤノンプレシジョン(株))を設立。 1954年5月(株)秩父英工舎(現キヤノン電子(株))を設立。 1955年10月ニューヨーク支店開設。 1957年9月スイスに欧州総代理店としてCanon Europe S.A.開設。 1961年8月三栄産業(株)(現キヤノン化成(株))に出資。 1964年10月電子式卓上計算機を発売、本格的に事務機分野に進出。 1966年4月米国にCanon U.S.A.,Inc.を設立。 1968年2月キヤノン事務機販売(株)を設立。 4月NPシステムを開発、普通紙複写機(PPC)分野に進出。 1969年3月キヤノン株式会社と商号変更。 1970年3月半導体製造装置を発表。 6月台湾佳能股份有限公司を設立。 1971年11月キヤノンカメラ販売(株)、キヤノン事務機サービス(株)をキヤノン事務機販売(株)へ合併、キヤノン販売(株)(現キヤノンマーケティングジャパン(株))と商号変更。 1972年7月Physotec GmbH(現Canon Giessen GmbH)に出資。 8月第一精機工業(株)(現キヤノンファインテックニスカ(株))に出資。 1975年5月レーザープリンターの開発に成功。 1978年8月オーストラリアにCanon Australia Pty.Ltd.を設立。 1979年10月シンガポールにCanon Singapore Pte.Ltd.を設立。 12月コピア(株)(現キヤノンファインテックニスカ(株))に出資。 1980年5月キヤノン販売(株)(現キヤノンマーケティングジャパン(株))とコピア(株)の共同出資によりコピア販売(株)(現キヤノンシステムアンドサポート(株))を設立。 1981年10月バブルジェット記録方式の開発に成功。 1982年1月オランダにCanon Europa N.V.を設立。 2月大分キヤノン(株)を設立。 1983年8月フランスにCanon Bretagne S.A.(現Canon Bretagne S.A.S.)を設立。 1984年1月キヤノン・コンポーネンツ(株)を設立。 1985年7月キヤノン販売(株)(現キヤノンマーケティングジャパン(株))が日本タイプライター(株)(現キヤノンセミコンダクターエクィップメント(株))に出資。 11月米国にCanon Virginia,Inc.を設立。 1988年9月長浜キヤノン(株)を設立。 12月マレーシアにCanon Opto(Malaysia)Sdn.Bhd.を設立。 1989年9月中華人民共和国に佳能大連事務機有限公司を設立。 1990年8月タイにCanon Hi-Tech(Thailand)Ltd.を設立。 1997年3月中華人民共和国にCanon(China)Co.,Ltd.を設立。 1998年1月大分キヤノンマテリアル(株)を設立。 2000年9月ニューヨーク証券取引所に上場(2023年3月 上場廃止)。 11月キヤノン化成(株)を完全子会社化。 2001年1月イギリスにCanon Europe Ltd.を設立。 4月ベトナムにCanon Vietnam Co.,Ltd.を設立。 9月中華人民共和国に佳能(蘇州)有限公司を設立。 2002年4月上野キヤノンマテリアル(株)をキヤノン(株)より分社化。 2003年4月福島キヤノン(株)をキヤノン(株)より分社化。 2005年9月アネルバ(株)(現キヤノンアネルバ(株))の株式を取得。 10月NECマシナリー(株)(現キヤノンマシナリー(株))の株式を取得。 2006年7月普通株式1株につき1.5株の割合で株式分割を実施。 2007年6月キヤノンマーケティングジャパン(株)が(株)アルゴ21(現キヤノンITソリューションズ(株))の株式を取得。 12月2008年7月2009年7月2010年2月3月2014年4月7月2015年4月2016年12月トッキ(株)(現キヤノントッキ(株))の株式を取得。 長崎キヤノン(株)を設立。 欧州の本社機能をCanon Europe Ltd.に集約。 OPTOPOL Technology S.A.(現Canon Ophthalmic Technologies Sp. z o.o.)の株式を取得。 Océ N.V.(現Canon Production Printing Holding B.V.)の株式を取得。 Molecular Imprints, Inc.(現Canon Nanotechnologies, Inc.)の株式を取得。 Canon Europa N.V.がMilestone Group A/Sの株式を取得。 Axis ABの株式を取得。 東芝メディカルシステムズ(株)(現キヤノンメディカルシステムズ(株))の株式を取得。 2017年3月6月東芝医用ファイナンス(株)(現キヤノンメディカルファイナンス(株))の株式を取得。 宮崎ダイシンキヤノン(株)(現宮崎キヤノン(株))の株式を取得。 2021年9月Redlen Technologies Inc.の株式を取得。 2023年7月キヤノンメディカルシステムズ(株)がミナリスメディカル(株)の株式を取得。 2024年3月キヤノンマーケティングジャパン(株)が(株)プリマジェストの株式を取得。 |
事業の内容 | 3【事業の内容】 当社は米国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準(以下「米国会計基準」という。 )によって連結財務諸表を作成しており、関係会社についても当該会計基準の定義に基づいて開示しております。 第2「事業の状況」及び第3「設備の状況」においても同様であります。 また、セグメント情報につきましては、米国財務会計基準審議会会計基準書(以下「基準書」という。 )280「セグメント報告」に基づき作成しております。 当社グループ(2024年12月31日現在、当社及びその連結子会社334社、持分法適用関連会社10社で構成)は、プリンティング、メディカル、イメージング、インダストリアル、その他及び全社の分野において、開発、生産から販売、サービスにわたる事業活動を営んでおります。 なお、当社は、第124期より、報告セグメントごとの業績をより適切に管理するため、その他及び全社におけるグループ間取引の業績管理方法を変更しております。 詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 注23 セグメント情報」をご参照ください。 開発については主として当社において、生産については当社及び事業内容別に編成された国内外の生産関係会社により行っております。 また、一部の生産関係会社は各事業セグメントに部品を供給しております。 販売及びサービス活動は、主として国内においてはキヤノンマーケティングジャパン(株)によって、また海外においてはCanon U.S.A.,Inc.(米国)、Canon Europe Ltd.(英国)、Canon Europa N.V.(オランダ)、Canon (UK) Ltd.(英国)、Canon France S.A.S.(フランス)、Canon Deutschland GmbH(ドイツ)、Canon(China)Co.,Ltd.(中国)、Canon Singapore Pte.Ltd.(シンガポール)等、地域ごとに設立された販売関係会社により行っております。 メディカルビジネスユニットの製品において、キヤノンメディカルシステムズ(株)は直販もしくは地域ごとに設立された販売関係会社及び代理店により販売活動を行っております。 また、キヤノン電子(株)、キヤノン・コンポーネンツ(株)等の生産子会社は、当社に対して部品及び製品の供給を行っているほか、国内外において独自に販売活動を行っております。 セグメントごとの製品及び生産を担当する主な会社は以下のとおりであります。 セグメントの名称主要製品主な生産会社プリンティングデジタル連帳プリンター、デジタルカットシートプリンター、大判プリンター、オフィス向け複合機、ドキュメントソリューション、レーザー複合機、レーザープリンター、インクジェットプリンター、イメージスキャナー、電卓当社キヤノン電子(株)キヤノンファインテックニスカ(株)キヤノン化成(株)キヤノンプレシジョン(株)長浜キヤノン(株)大分キヤノンマテリアル(株)福島キヤノン(株)キヤノン・コンポーネンツ(株) Canon Virginia, Inc.(米国)Canon Production Printing Netherlands B.V.(オランダ)佳能大連事務機有限公司(中国)佳能(中山)事務機有限公司(中国)佳能(蘇州)有限公司(中国)Canon Vietnam Co.,Ltd.(ベトナム)Canon Prachinburi (Thailand) Ltd.(タイ)Canon Business Machines (Philippines),Inc.(フィリピン)Canon Hi-Tech(Thailand)Ltd.(タイ)メディカルCT装置、超音波診断装置、X線診断装置、MRI装置、デジタルラジオグラフィ、眼科機器、体外診断システム及び試薬、ヘルスケアITソリューションキヤノンメディカルシステムズ(株)キヤノン電子管デバイス(株)ミナリスメディカル(株)Quality Electrodynamics, LLC(米国)イメージングレンズ交換式デジタルカメラ、交換レンズ、コンパクトデジタルカメラ、コンパクトフォトプリンター、MRシステム、ネットワークカメラ、ビデオ管理ソフトウェア、映像解析ソフトウェア、デジタルビデオカメラ、デジタルシネマカメラ、放送機器当社大分キヤノン(株)長崎キヤノン(株)宮崎キヤノン(株) 台湾佳能股份有限公司(台湾)Canon Opto(Malaysia)Sdn.Bhd.(マレーシア)Axis Communications AB(スウェーデン)インダストリアル半導体露光装置、FPD露光装置、有機ELディスプレイ製造装置、真空薄膜形成装置、ダイボンダー当社キヤノンマシナリー(株)キヤノンアネルバ(株)キヤノントッキ(株)キヤノンセミコンダクターエクィップメント(株)Canon Machinery(Malaysia)Sdn.Bhd.(マレーシア)その他及び全社ハンディターミナル、ドキュメントスキャナー当社キヤノン電子(株)キヤノン・コンポーネンツ(株)キヤノンプレシジョン(株) 事業の系統図は次のとおりであります。 |
関係会社の状況 | 4【関係会社の状況】 2024年12月31日現在名称住所資本金又は出資金主要な事業の内容議決権の所有割合関係内容(連結子会社 国内) 百万円 キヤノンプレシジョン(株)青森県弘前市300プリンティングビジネスユニット・イメージングビジネスユニット・その他及び全社100%当社製品の部品及び消耗品の製造会社であります。 土地、建物、機械装置、その他を貸与しております。 キヤノントッキ(株)新潟県見附市6,573インダストリアルビジネスユニット100%当社製品の開発・製造・販売会社であります。 建物を貸与しております。 福島キヤノン(株)福島県福島市80プリンティングビジネスユニット100%当社製品の部品及び消耗品の製造会社であります。 土地、建物、機械装置、その他を貸与しております。 ※キヤノンメディカルシステムズ(株)栃木県大田原市20,700メディカルビジネスユニット100%当社製品の開発・製造・販売会社であります。 キヤノン電子管デバイス(株)栃木県大田原市480同上100%当社製品の開発・製造・販売会社であります。 キヤノン・コンポーネンツ(株)埼玉県児玉郡上里町80プリンティングビジネスユニット・メディカルビジネスユニット・その他及び全社100%当社製品の部品及び消耗品の製造会社であります。 土地、建物、機械装置、その他を貸与しております。 キヤノンセミコンダクターエクィップメント(株)茨城県稲敷郡阿見町70インダストリアルビジネスユニット・その他及び全社100%当社製品の開発・製造・販売会社であります。 キヤノン化成(株)茨城県つくば市5,735プリンティングビジネスユニット100%当社製品の部品及び消耗品の製造会社であります。 建物、機械装置、その他を貸与しております。 *キヤノン電子(株)埼玉県秩父市4,969プリンティングビジネスユニット・その他及び全社55.2%当社製品及び部品の製造会社であります。 キヤノンファインテックニスカ(株)埼玉県三郷市3,451プリンティングビジネスユニット100%当社製品及び部品の製造会社であります。 ミナリスメディカル(株)東京都中央区450メディカルビジネスユニット100%当社製品の開発・製造・販売会社であります。 キヤノンアネルバ(株)神奈川県川崎市麻生区1,800インダストリアルビジネスユニット100%当社製品の開発・製造・販売会社であります。 土地、建物、機械装置、その他を貸与しております。 長浜キヤノン(株)滋賀県長浜市80プリンティングビジネスユニット・インダストリアルビジネスユニット100%当社製品及び消耗品の製造会社であります。 建物、機械装置、その他を貸与しております。 キヤノンマシナリー(株)滋賀県草津市2,781インダストリアルビジネスユニット100%当社製品の開発・製造・販売会社であります。 2024年12月31日現在名称住所資本金又は出資金主要な事業の内容議決権の所有割合関係内容(連結子会社 国内) 百万円 大分キヤノンマテリアル(株)大分県杵築市80プリンティングビジネスユニット100%当社製品の部品及び消耗品の製造会社であります。 土地、建物、機械装置、その他を貸与しております。 ※大分キヤノン(株)大分県国東市80イメージングビジネスユニット100%当社製品の製造会社であります。 土地、建物、機械装置、その他を貸与しております。 長崎キヤノン(株)長崎県東彼杵郡波佐見町80同上100%当社製品の製造会社であります。 土地、建物、機械装置、その他を貸与しております。 宮崎キヤノン(株)宮崎県児湯郡高鍋町80同上100%当社製品の製造会社であります。 土地、建物、機械装置、その他を貸与しております。 ※*(注)5キヤノンマーケティングジャパン(株)東京都港区73,303プリンティングビジネスユニット・イメージングビジネスユニット・インダストリアルビジネスユニット・その他及び全社51.2%当社製品の国内開発・製造・販売会社であります。 キヤノンシステムアンドサポート(株)東京都港区4,561プリンティングビジネスユニット100%(100%)当社製品の国内販売会社であります。 キヤノンITソリューションズ(株)東京都港区3,617同上100%(100%)当社製品にかかわるITサービスを行っております。 (株)プリマジェスト神奈川県川崎市100同上100%(100%)当社製品にかかわるITサービスを行っております。 キヤノンメディカルファイナンス(株)東京都中央区120メディカルビジネスユニット100%(35.0%)当社製品のリース関連販売会社であります。 (連結子会社 海外) 千 Canon Virginia,Inc.Virginia,U.S.A.US$30,000プリンティングビジネスユニット・イメージングビジネスユニット100%(99.3%)当社製品の部品及び消耗品の製造会社であります。 ※(注)5Canon U.S.A.,Inc.New York,U.S.A.US$204,355プリンティングビジネスユニット・イメージングビジネスユニット・インダストリアルビジネスユニット・その他及び全社100%当社製品の北米地域販売会社であり、当社役員1名がその役員を兼任しております。 Canon Canada Inc.Ontario,CanadaC$0.1同上100%(100%)Canon U.S.A.,Inc.のカナダ地域販売会社であります。 2024年12月31日現在 名称住所資本金又は出資金主要な事業の内容議決権の所有割合関係内容(連結子会社 海外) 千 Canon Solutions America,Inc.New York,U.S.A.US$21,750プリンティングビジネスユニット100%(100%)Canon U.S.A.,Inc.の販売会社であります。 Canon Financial Services,Inc.New Jersey,U.S.A.US$7,310同上100%(100%)Canon U.S.A.,Inc.のリース関連販売会社であります。 ※Canon Medical Systems USA,Inc.California,U.S.A.US$262,250メディカルビジネスユニット100%(100%)キヤノンメディカルシステムズ(株)の米国販売会社であります。 Quality Electrodynamics, LLCOhio,U.S.A.-同上100%(100%)当社製品の部品の開発・製造会社であります。 Canon Bretagne S.A.S.Liffre,FranceEUR28,179プリンティングビジネスユニット・その他及び全社100%当社製品の部品及び消耗品の製造会社であり、当社役員1名がその役員を兼任しております。 Canon Production Printing Netherlands B.V.Venlo,The NetherlandsEUR21,465同上100%(100%)Canon Production Printing Holding B.V.の製造・開発会社であります。 Canon Production Printing Germany GmbH & Co.KGPoing,GermanyEUR20,452同上100%(100%)Canon Production Printing Holding B.V.の製造会社であります。 Axis ABLund,SwedenSEK695イメージングビジネスユニット100%Axis Communications AB等を傘下にもつ持株会社であり、当社役員1名がその役員を兼任しております。 Axis Communications ABLund,SwedenSEK160同上100%(100%)Axis ABの開発・製造・販売会社であります。 ※(注)5Canon Europa N.V.Amstelveen,The NetherlandsEUR360,021プリンティングビジネスユニット・イメージングビジネスユニット・インダストリアルビジネスユニット・その他及び全社100%(100%)当社製品のヨーロッパ地域販売会社であり、当社役員3名がその役員を兼任しております。 Canon Europe Ltd.Uxbridge,U.K.EUR1,642同上100%(100%)当社製品のヨーロッパ地域販売会社であります。 Canon Ru LLCMoscow,RussiaRUB315,519同上100%(100%)Canon Europa N.V.のロシア地域販売会社であります。 Canon(UK)Ltd.Uxbridge,U.K.Stg.£6,100同上100%(100%)Canon Europa N.V.の英国、アイルランド地域販売会社であります。 Canon Deutschland GmbHKrefeld,F.R.GermanyEUR8,349同上100%(100%)Canon Europa N.V.のドイツ国内販売会社であります。 Canon(Schweiz)AGWallisellen,SwitzerlandS.Fr.20,920同上100%(100%)Canon Europa N.V.のスイス国内販売会社であります。 2024年12月31日現在名称住所資本金又は出資金主要な事業の内容議決権の所有割合関係内容(連結子会社 海外) 千 Canon Nederland N.V.Den Bosch,The NetherlandsEUR7,723同上100%(100%)Canon Europa N.V.のオランダ国内販売会社であります。 Canon France S.A.S.Paris,FranceEUR141,940同上100%(100%)Canon Europa N.V.のフランス国内販売会社であります。 Canon Middle East FZ-LLCDubai,United Arab EmiratesUS$5,000プリンティングビジネスユニット・イメージングビジネスユニット・インダストリアルビジネスユニット・その他及び全社100%(100%)Canon Europa N.V.の中近東地域販売会社であります。 Canon Italia S.p.A.Milano,ItalyEUR48,244同上100%(100%)Canon Europa N.V.のイタリア国内販売会社であります。 Canon Medical Systems Europe B.V.Zoetermeer,The NetherlandsEUR7,718メディカルビジネスユニット100%(100%)キヤノンメディカルシステムズ(株)のヨーロッパ地域販売会社であります。 Milestone Systems A/SBrondby,DenmarkDKK2,480イメージングビジネスユニット100%当社製品の開発・販売会社であります。 Canon Research Centre France S.A.S.Rennes,FranceEUR6,553プリンティングビジネスユニット・メディカルビジネスユニット・イメージングビジネスユニット・インダストリアルビジネスユニット・その他及び全社100%(60.0%)当社の開発会社であります。 佳能大連事務機有限公司中華人民共和国遼寧省US$133,219プリンティングビジネスユニット100%(14.4%)当社製品及び消耗品の製造会社であります。 佳能(蘇州)有限公司中華人民共和国江蘇省US$67,000同上100%(33.5%)当社製品の製造会社であり、当社役員1名がその役員を兼任しております。 佳能(中山)事務機有限公司中華人民共和国広東省US$5,800同上100%当社製品の製造会社であります。 台湾佳能股份有限公司台湾台中市TW$800,000イメージングビジネスユニット100%当社製品の製造会社であります。 Canon Semiconductor Equipment Taiwan,Inc.台湾新竹市TW$74,000インダストリアルビジネスユニット100%当社製品の販売会社であります。 ※Canon Vietnam Co.,Ltd.Hanoi,VietnamUS$94,000プリンティングビジネスユニット100%当社製品の製造会社であります。 Canon Hi-Tech (Thailand) Ltd.Phra Nakhon Sri Ayutthaya,ThailandBAHT1,800,000同上100%当社製品の製造会社であります。 Canon Prachinburi (Thailand) Ltd.Prachinburi,ThailandBAHT2,220,000同上100%当社製品の製造会社であり、当社役員1名がその役員を兼任しております。 2024年12月31日現在名称住所資本金又は出資金主要な事業の内容議決権の所有割合関係内容(連結子会社 海外) 千 Canon Business Machines (Philippines),Inc.Batangas,PhilippinesUS$76,969同上100%当社製品の製造会社であります。 Canon Opto(Malaysia)Sdn.Bhd.Selangor,MalaysiaM$113,400イメージングビジネスユニット100%当社製品の製造会社であります。 Canon Machinery(Malaysia)Sdn.Bhd.Selangor,MalaysiaM$11,000インダストリアルビジネスユニット100%(100%)キヤノンマシナリー(株)の製造会社であります。 Canon(China)Co.,Ltd.中華人民共和国北京市US$56,050プリンティングビジネスユニット・イメージングビジネスユニット・その他及び全社100%当社製品の中国地域販売会社であります。 ※Canon Singapore Pte.Ltd.SingaporeS$7,000プリンティングビジネスユニット・イメージングビジネスユニット・インダストリアルビジネスユニット・その他及び全社100%当社製品の東南アジア地域販売会社であります。 Canon Hongkong Co.,Ltd.Kowloon,Hong KongUS$720同上100%(100%)Canon Singapore Pte. Ltd.の香港地域販売会社であります。 Canon India Pvt.Ltd.New Delhi,IndiaUS$58,049同上100%(100%)Canon Singapore Pte. Ltd.のインド国内販売会社であります。 Canon Australia Pty.Ltd.Macquarie Park,AustraliaA$40,000同上100%当社製品のオセアニア地域販売会社であります。 連結子会社その他 270社-----(持分法適用関連会社) 千 Canon Korea Inc.Seoul,KoreaWon8,925,000プリンティングビジネスユニット・イメージングビジネスユニット50.0%当社製品の製造・販売会社であります。 持分法適用関連会社その他 9社----- (注)1 主要な事業の内容欄には、セグメントの名称を記載しております。 2 会社の名称欄※印は特定子会社であります。 3 議決権の所有割合欄( )内は、間接所有であります。 4 会社の名称欄*印は、有価証券届出書又は有価証券報告書の提出会社であります。 5 キヤノンマーケティングジャパン(株)、Canon U.S.A.,Inc.及びCanon Europa N.V.は、連結売上高に占める売上高(連結会社相互間の売上高を除く)の割合が10%を超えております。 主要な損益情報等は以下のとおりであります。 なお、キヤノンマーケティングジャパン(株)は有価証券報告書の提出会社でありますので、主要な損益情報等の記載は省略しております。 主要な損益情報等(百万円)売上高税引前当期純利益当期純利益株主資本総資産額Canon U.S.A.,Inc.826,19618,60613,615469,953892,379Canon Europa N.V.707,53617,00814,675355,264635,153 |
従業員の状況 | 5【従業員の状況】 (1)連結会社の状況 2024年12月31日現在セグメントの名称従業員数(人)プリンティングビジネスユニット111,733メディカルビジネスユニット13,289イメージングビジネスユニット25,612インダストリアルビジネスユニット7,740その他及び全社11,966合計170,340 (注) 従業員数は就業人員数であり、パートタイマー、期間社員等を含んでおります。 (2)提出会社の状況 2024年12月31日現在従業員数(人)平均年齢(歳)平均勤続年数(年)平均年間給与(円)23,45744.219.08,657,347 セグメントの名称従業員数(人)プリンティングビジネスユニット9,271メディカルビジネスユニット627イメージングビジネスユニット4,044インダストリアルビジネスユニット2,557その他及び全社6,958合計23,457 (注)1 従業員数は就業人員数であり、パートタイマー、期間社員等を含んでおります。 2 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。 (3)労働組合の状況 当社グループでは主に会社別に労働組合が組織されております。 当社及びその販売子会社であるキヤノンマーケティングジャパン(株)にはキヤノン労働組合があり、労協N.E.T及び全日本光学工業労働組合協議会に加入しております。 現在まで労使関係は良好であります。 また、その他の会社における労働組合に関しましても、現在まで労使関係は良好であります。 (4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異①提出会社当事業年度管理職に占める女性労働者の割合(%)(注)1男性労働者の育児休業取得率(%)(注)2労働者の男女の賃金の差異(%) (注)1・3全労働者うち正規雇用労働者うちパート・有期雇用者4.264.675.375.674.5 (注)1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。 2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基 づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省 令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものです。 3 女性に比べ男性の方が管理職比率が高いことが男女間賃金差異の要因となっております。 女性管理職比率の向上 は、当社としても重要な課題と認識しており、ダイバーシティ推進に向けた全社横断組織を発足し、女性管理職 候補を育成する女性リーダー研修や仕事と育児の両立を支援する活動を行っております。 その結果、正規雇用労 働者の賃金差異は、前事業年度から0.6ポイント改善しました。 詳細は、第2 事業の状況 2 サステナビリテ ィに関する考え方及び取組 (6)人的資本に記載しております。 なお、正規雇用労働者のうち、同一役職レベル における男女の賃金の差異は、部長職で98.0%、課長職で98.4%となります。 ②主な国内の連結子会社当事業年度名称管理職に占める女性労働者の割合(%) (注)1男性労働者の育児休業取得率(%) (注)2・3労働者の男女の賃金の差異(%) (注)1・4全労働者うち正規雇用労働者うちパート・有期労働者キヤノンマーケティングジャパン(株)5.949.082.778.0105.7キヤノンITソリューションズ㈱5.665.184.683.396.6キヤノンシステムアンドサポート㈱3.745.077.775.365.0キヤノンプロダクションプリンティングシステムズ㈱1.8100.054.176.550.2キヤノンカスタマーサポート㈱19.1100.078.291.293.1㈱プリマジェスト7.560.021.765.449.0クオリサイトテクノロジーズ㈱15.8100.085.686.666.8TCS㈱12.70.076.875.7-キヤノンITSメディカル㈱5.30.070.469.857.7キヤノンビズアテンダ㈱18.950.075.881.982.4キヤノンビジネスサポート㈱2.0-91.185.1-㈱キュービーファイブ75.00.082.396.080.3キヤノン電子(株)4.765.280.678.880.7キヤノン電子テクノロジー(株)3.637.573.973.743.3キヤノンメディカルシステムズ(株)4.664.365.770.688.7キヤノンメドテックサプライ(株)3.7100.074.974.485.9 当事業年度名称管理職に占める女性労働者の割合(%) (注)1男性労働者の育児休業取得率(%) (注)2・3労働者の男女の賃金の差異(%) (注)1・4全労働者うち正規雇用労働者うちパート・有期労働者ミナリスメディカル(株)9.760.068.679.064.0キヤノン電子管デバイス(株)1.533.471.378.594.2キヤノン化成(株)4.264.775.674.478.3キヤノンプレシジョン(株)3.868.679.079.289.8キヤノンファインテックニスカ(株)5.568.877.674.687.8キヤノンオプトロン(株)5.333.076.188.2142.2キヤノン・コンポーネンツ(株)5.064.383.281.696.5キヤノンセミコンダクターエクィップメント(株)0.0100.068.669.780.1キヤノンイメージングシステムズ(株)6.8100.090.089.0-キヤノンアネルバ(株)2.050.077.575.359.5キヤノンマシナリー(株)1.333.374.676.772.5キヤノントッキ(株)1.278.675.474.372.8大分キヤノン(株)5.643.572.472.553.2長浜キヤノン(株)1.957.175.974.290.8大分キヤノンマテリアル(株)6.268.279.180.481.6上野キヤノンマテリアル(株)0.066.777.377.186.1福島キヤノン(株)3.376.972.676.289.8キヤノンエコロジーインダストリー(株)5.6100.072.773.586.4キヤノンモールド(株)1.450.077.074.593.5長崎キヤノン(株)7.417.268.168.1-宮崎キヤノン(株)5.965.074.574.683.3福井キヤノンマテリアル(株)20.0100.091.191.889.5 (注)1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。 2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基 づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令 第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものです。 3 「-」は、対象となる従業員(当該事業年度中に配偶者が出生した男性従業員)がいないことを示しております。 4 「-」は、算出に必要な従業員が在籍していないことを示しております。 |
経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 | 1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)経営理念当社グループは、企業理念として、世界中のステークホルダーの皆さまとともに歩む「共生」を掲げています。 「共生」とは、文化、習慣、言語、民族などの違いを問わず、すべての人類が末永く共に生き、共に働き、幸せに暮らしていける社会をめざすものです。 この「共生」の理念のもと、当社グループは、世界の繁栄と人類の幸福のため、企業の成長と発展を目指し企業活動を進めています。 (2)中長期経営計画:グローバル優良企業グループ構想フェーズⅥ 当社は、「共生」の理念のもと、永遠に技術で貢献し続け、世界各地で親しまれ、尊敬される企業を目指し、1996年に5か年計画『グローバル優良企業グループ構想』をスタートしました。 2021年を初年度とする新5か年計画「グローバル優良企業グループ構想 フェーズⅥ」(以下、フェーズⅥ)では、「生産性向上と新事業創出によるポートフォリオの転換を促進する」を基本方針に、テクノロジーとイノベーションによって、社会の「安心」「安全」「快適」「豊かさ」の向上につながる新たな価値を創造していきます。 ①産業別グループの事業競争力の徹底強化 当社が保有する多岐にわたる技術や資産を最大限活用することを目的として、2021年に技術的に親和性のある複数の事業本部をプリンティング、メディカル、イメージング、インダストリアルの4つのグループに再編成しました。 産業別グループ内では各事業・グループ会社がもつ技術や人材の連携を深めて、将来技術の開発や生産技術の強化など新たなイノベーションを創出し、事業の進化・拡大に取り組んでいます。 2023年10月に開催したキヤノンの総合技術展である「Canon EXPO」では、事業ポートフォリオの転換を支える産業別グループの技術と当社が目指す技術の方向性を紹介しました。 今後は当社がこれまで培ってきた独自技術に加えてM&Aなども活用することにより、時代のニーズに応える新たな価値を創出し、複雑化、多様化する社会課題の解決に貢献することを目指します。 2024年には、さらなる競争力の強化を図るべく、販売および生産の構造改革とメディカル事業の構造改革に着手しました。 販売構造の見直しについては、DX推進、販売チャネルの見直し、組織再編を進めることで、要員適正化と資産効率の向上を目指します。 生産構造の見直しについては、地政学的リスクや生産性の観点から生産拠点の集約を進めることで、稼働率の向上や資産効率の向上を図ります。 メディカル事業の構造改革については、「メディカル事業革新委員会」を立ち上げ、あらゆるオペレーションを徹底的に精査しています。 当社は、これらの構造改革を通じて収益性向上を図り、より一層の競争力強化を目指します。 各グループにおける、フェーズⅥの主な戦略・施策の進捗状況は以下の通りです。 プリンティンググループアナログからデジタルへのシフトにより今後も大きな成長が見込まれるカタログ印刷等の商業印刷分野と、ラベル印刷やパッケージ印刷等の産業印刷分野では、プリンティンググループの総力を挙げて商品ラインアップの強化とワークフロー・ソフトの拡充に取り組んでいます。 2024年は、前年に引き続き、商業印刷向けの「imagePRESS Vシリーズ」が米国を中心に好評を博しました。 また、8年ぶりに開催された世界最大の国際印刷機器展示会である「drupa 2024」ではプリンティンググループの将来技術と新製品を幅広く展示し、多くの受注獲得につながりました。 さらに、オフセット印刷の分野で長年の歴史と幅広い顧客基盤を持つドイツのHeidelberger Druckmaschinen AG(ハイデルベルグ社)とキヤノンプロダクションプリンティング(CPP)は、CPPが製造する枚葉インクジェット印刷機をハイデルベルグブランドで販売する業務提携に合意しました。 ハイデルベルグ社の高速・大量印刷を実現するオフセット印刷機のワークフローと、当社の多品種・小ロット印刷を提供するデジタル印刷機のワークフローをシームレスに統合したソリューションを提供することで、顧客の収益性や生産性の向上に貢献します。 プリンティンググループでは、紙のプリントを通じて人間がものを考える、共同作業をする、生活を楽しむといった活動を支えることで、人類の新たな価値創造や価値の保管・伝達に貢献してきました。 近年の社会情勢の変化により、ペーパーレス化は今後も進行すると考えられる一方で、紙での情報処理が迅速性や利便性の点でデジタルデータやディスプレイの機能を上回る場面もあることから、人間の活動においてプリンティングは今後も重要な役割を果たしていくと考えております。 また、働く環境をめぐっては、コロナ禍を通じてリモートワークが普及し、サテライトオフィスや自宅など働く場所の分散や働き方の多様化が進みました。 このような中、オフィス、ホームの分野では働く場所で制約を受けない安全・安心・簡単・快適なプリンティング環境・サービスへのニーズが高まっています。 プリンティンググループでは、多様なシーンに合わせてどのような環境においても高い生産性、利便性、セキュリティ環境を提供すべく、当社製の複合機、レーザープリンター、インクジェットプリンターとクラウドを連携したオンデマンドプリンティング環境を提供しています。 2024年におけるオフィス複合機の需要は、オフィスにおける中核のプリンティング機器として底堅く推移しました。 当社においては、豊かな表現力と高い生産性を提供する新ブランド「imageFORCEシリーズ」を立ち上げ、新製品「imageFORCE C7165F」を発売しました。 本製品は、豊かな表現力をもたらす高解像度を実現する新露光技術や複数のセンサーを使った紙の位置ずれを防止する機能を搭載し、通常のオフィス文書の印刷だけでなく、高い印刷品位が求められるチラシやポスター、名刺などの企業内印刷を可能にします。 レーザープリンターとインクジェットプリンターでは、ユーザーのプリントスタイルが変化する中、ビジネスから在宅までの幅広いニーズに対応するためラインアップを拡充しました。 プリンティンググループでは、今後も顧客のニーズに合わせた商品・サービスを拡充し、オフィス、ホームの分野において世界No.1を目指します。 メディカルグループ近年、世界の医療を取り巻く環境は技術面でめざましい発展を遂げる一方、医師不足、高齢化社会、医療費の高騰、医療の地域格差をはじめ、医療従事者の働き方改革、医療DXの推進など、さまざまな課題に直面しています。 メディカルグループでは「画像診断事業」、「ヘルスケアIT事業」、「体外診断事業」の分野に特に注力し、社会の変化に対応し、医療の現場に寄り添いながら、よりよいソリューションを提供することで医療課題の解決や価値提供に貢献することを目指しています。 画像診断事業では、ディープラーニング技術を用いて設計した画像再構成技術や、複雑化する医療従事者の診断ワークフローを支援する自動化技術を搭載した製品を開発するなど、医療従事者と患者の負担の軽減と高品質の画像の提供を目指して製品・サービスを提供してきました。 2024年には、主要コンポーネントを一新し、さまざまなAIソリューションを搭載した3テスラMRI装置「Vantage Galan 3T / Supreme Edition」の販売を開始しました。 AIを活用した自動化技術や直感的な操作性を実現するGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)を採用することで、快適な画像解析ワークフローを実現します。 超音波診断装置においては、オリンパス株式会社と協業することを合意し、当社の超音波診断装置とオリンパスの超音波内視鏡を組み合わせて高画質診断を可能とする製品「Aplio i800 EUS」の販売を開始しました。 ヘルスケアIT事業においては、医療従事者の業務効率や迅速な診断をサポートする医用画像解析ワークステーション用プログラム「Abierto Vision」を販売開始しました。 体外診断事業の領域では、2023年に当社グループの一員に加わったミナリスメディカル株式会社は、2024年3月に大腸がん検診に用いられる便潜血検査を行うことが可能な「自動分析装置 HM― CODIAM」を発売し、2025年2月にキヤノンメディカルダイアグノスティックス株式会社へ社名変更しました。 引き続き、キヤノングループの持つ技術シナジーを活かして「予防、診断、治療」を支援する技術・製品・サービスを創出し、臨床検査により高い付加価値を創出すると同時に、今までにない診断薬トータルサービス・ソリューションを提供していきます。 メディカルグループは次世代技術の研究開発にも積極的に取り組んでいます。 2024年9月には、京都大学iPS細胞研究所(CiRA)を中心とする研究開発プロジェクト「高品質人工血小板の連続製造システムの研究開発とその実用化」への参画を発表しました。 再生医療を含むバイオメディカル領域の事業成長を目指す一環として、細胞を大量に培養することができる細胞製造装置の技術開発を推進しています。 また、次世代のX線CTとして期待されるフォトンカウンティングCT(PCCT)の早期実用化を目指し、これまで推進している日欧3か所の医療機関との共同研究に加え、2024年11月には、新たに米国ペンシルベニア大学系列の医療グループ「Penn Medicine」と共同研究を開始しました。 特に胸部や心臓、筋骨格系などにおける画像診断の専門分野を中心テーマとしてPCCTの可能性を開拓します。 このように幅広い領域でグローバルな共同研究活動にも積極的に参画しながら、医療に新たな価値を提供できる技術の開発に注力します。 当社はメディカル関連市場について、長期的には安定した成長が期待できる市場と考えておりますが、地政学的リスクの高まりによって一部のビジネスが制限を受け、中国の景気低迷は長期化し、日本国内においても医療機関の経営状況が悪化しています。 このような事業環境の変化を考慮し、2016年に旧東芝メディカルシステムズ株式会社(現キヤノンメディカルシステムズ株式会社)買収時に認識したのれんについて、2024年に1,651億円の減損損失を計上しました。 現在メディカルグループでは、2024年2月に全社組織として立ち上がった「メディカル事業革新委員会」を中心として構造改革を進めています。 その中で、当社が持つ人材、技術、ノウハウなどのリソースを全面的に投入して、開発、生産、管理、販売などあらゆるオペレーションを抜本的に見直しています。 この構造改革によって利益創出力を高め、安定した成長が見込まれるメディカル関連市場での事業拡大を目指します。 イメージンググループデジタルカメラ全体の市場は、スマートフォンの普及によりピーク時と比較すると大きく縮小したものの、この数年は、動画撮影ニーズや若年層の需要の高まりにより、底堅さを示しています。 そうした中、当社は2024年に「EOS Rシリーズ」で初となるフラッグシップモデル「EOS R1」やプロ・ハイアマチュア向け主力モデル「EOS R5 Mark II」を発売しました。 新開発のエンジンシステムやディープラーニング技術の活用により、静止画・動画機能を進化させ、プロ・ハイアマチュア顧客の高い要望に応えるラインアップを構築し、ミラーレスカメラ市場でのプレゼンスを更に高めてきました。 世界屈指の光学技術を有する当社は、今後も市場のニーズに応えるカメラ・交換レンズを順次市場に投入し、ミラーレスカメラでも圧倒的な世界シェアNo.1の実現を目指します。 また、コンパクトデジタルカメラにおいても、手軽に本格的な動画撮影を楽しめる「PowerShot Vシリーズ」を展開しており、2023年にはシリーズ第一弾としてVlog(ビデオブログ)撮影に特化した「PowerShot V10」を発売しました。 さらに2025年4月にはPowerShot Vシリーズのフラッグシップ機「PowerShot V1」を発売予定です。 このように、新しいコンセプトの製品をラインアップに加えることで、今後も幅広いユーザーの期待に応えます。 映像制作の分野では、IPストリーミングの需要が増大を続けていることから、高画質リモートカメラシステムのラインアップ強化に取り組んでいます。 撮影コンテンツが増加している中で求められる映像制作現場の効率化のニーズに応えると同時に、従来難しかったアングルからの撮影などの新しい映像表現を可能にするソリューションとして、AI技術を用いながら複数のリモートカメラをメインカメラの動きに連動させる次世代映像制作システム「マルチカメラオーケストレーション」の開発を進めています。 ネットワークカメラ事業では、世界有数のメーカーであるアクシス社や映像管理ソフトおよび映像解析ソフト・ベンダーのマイルストーンシステムズ社といった優れた技術を持つグループ会社を擁しております。 今後もグループの総力を挙げて多様化するニーズを捉えながらセキュリティ分野におけるプレゼンスを強化します。 また同時に、製造や流通における検査や社会インフラ点検など、従来のセキュリティ目的を超えて、各種業務に対する映像を活用したDXを提供する製品・サービスの展開を図ります。 近年、様々な分野で仮想現実映像、立体映像、360度映像などの利活用が進み、新たな映像体験市場の拡大が期待されています。 当社では、高画質な3D VR(Virtual Reality:仮想現実)映像を手軽に撮影できる「EOS VRシステム」、現実世界とCG映像をリアルタイムに違和感なく融合するMR(Mixed Reality:複合現実)製品の「MREAL」などの3Dイメージング技術を用いた製品・サービスを拡充していくことで、新たな映像体験市場の活性化と事業領域の拡大を図ります。 インダストリアルグループ半導体は、デジタル化やスマート化が進む現代社会において無くてはならないデバイスであり、AIを始めとして自動運転、5G通信、IoTなど様々な用途で需要が拡大することが見込まれます。 インドが新たな一大生産拠点となることが現実味を帯び始め、また、地政学上のリスクを背景とした半導体自国生産の流れがあることから、製造装置市場は浮き沈みを繰り返しつつも成長が確実視されております。 インダストリアルグループは、半導体の性能向上および半導体メーカーの生産性向上ニーズに応える製造装置を提供し、引き続き半導体製造技術の進化に貢献します。 2024年9月には、ナノインプリント半導体製造装置(NIL)「FPA-1200NZ2C」を、米国テキサス州にある半導体コンソーシアムのTexas Institute for Electronics(TIE)へ向けて出荷しました。 TIEでは、最先端半導体の研究開発や試作品の製造等に活用されます。 今後も半導体デバイスの量産適用に向けた活動を加速するとともに、国内外の研究機関や半導体メーカーと協力し、NILの長所を活かせるアプリケーションの拡大を図ります。 また、製品ラインアップの拡充を目指してArFドライ半導体露光装置の開発を開始しました。 顧客企業の生産性向上に貢献する半導体露光装置ソリューションプラットフォーム「Lithography Plus」は、多数の半導体製造拠点に導入されており、今後も歩留まり改善や稼働率向上を支援します。 現在、半導体露光装置の旺盛な需要に応えるため、宇都宮事業所隣地に新工場を建設中であり、目標としている2025年内の稼働開始に向けて各種工事が順調に進行しています。 新工場完成後は、生産能力の大幅な向上により、従来にも増して迅速かつ安定的な供給が可能となります。 緩やかな回復を見せ始めたディスプレイ製造装置市場においては、生産性向上を図った装置を積極的に投入し、また、高機能化と高品位化の顧客ニーズをとらえた開発を加速します。 半導体およびディスプレイ製造装置以外の領域にも注力しており、新たにリサイクル機器分野に参入しました。 独自開発のトラッキング型ラマン分光技術を活用したプラスチック選別装置の受注を開始し、マテリアルリサイクルの最大化を通じてサーキュラーエコノミーの構築に寄与します。 グループ会社では、キヤノンアネルバが半導体・電子部品製造装置の新シリーズ「Adastra(アダストラ)」を開発しました。 プロセスモジュールを自由に選択できる構成により多様なニーズに柔軟に対応するとともに、フットプリントや消費エネルギーを大幅に改善し、高い生産性を提供します。 キヤノンマシナリーは、生産性、精度、ユーザービリティ、省エネルギーのすべてを向上させたダイボンダー「BESTM-D610」を発表しました。 キヤノントッキは、需要が高まっているITパネル製造に最適な有機EL蒸着装置の開発・製造に取り組み、顧客企業の生産性向上に貢献します。 インダストリアルグループは、超精密位置合わせ、真空システム、超高精度加工、高速マテリアルハンドリングといった各社のコア技術を融合して新たな装置を開発し、事業領域拡大を目指します。 ②本社機能の徹底強化によるグループ生産性の向上当社では事業の競争力の強化と拡大を図るため、人事制度を改定し、より一層の競争原理を働かせることで管理部門の生産性を向上するとともに、事業貢献を意識した本社R&D体制の整備など、本社機能の強化に取り組んでいます。 2023年からは、優秀な技術者を「トップサイエンティスト」および「トップエンジニア」として任用する「高度技術者認定」制度を設け、イノベーションを牽引する人材の確保・育成を推進しています。 また当社では、これまで培ってきたあらゆる技術を活用して材料やコンポーネントなどの領域で事業化を進めるなど、全社横断的な視点での新規事業創出にも取り組み、収益拡大への貢献を目指しています。 さらに今後は、自社技術の開発に加えて外部の最先端技術を積極的に取り入れるべくM&Aなども活用し、一層の業容拡大を図ります。 (3)中期経営計画連結業績目標 当社は、フェーズⅥ期間最終年度である2025年度の連結業績目標として、売上高では当社史上最高を記録した2007年を上回る売上高4兆5,000億円以上、利益では営業利益率12%以上、当期純利益率8%以上の達成を目指してきました。 このうち、売上高については2024年に4兆5,098億円となり、目標を1年前倒しで達成しました。 2025年には二期連続での史上最高売上高の記録更新を目指します。 一方、2024年にメディカル事業で足元の市況悪化を背景に将来計画の見直しを行ったことや、現在進めている構造改革に伴うコストの発生など、短期的に見込まれる減益要素を勘案し、2025年の業績見通しについて、売上高では4兆7,360億円、利益では営業利益率11.0%、当期純利益率7.7%を見込んでおります。 また、事業ポートフォリオの転換を評価する指標として、当社では連結売上高に対する新規事業※1売上高の比率を設定しています。 今5カ年計画の4年目となる2024年は、地政学的リスクが不透明感を増す一方、世界各地でインフレの状況に落ち着きが見られるようになり、金融引き締めが緩和される中、世界経済は総じて緩やかな回復が続きました。 当社においては、ネットワークカメラなどの新規事業だけでなく、半導体露光装置やミラーレスカメラ、レーザービームプリンターなどの現行事業においても販売が堅調に推移しました。 これに加えて円安が追い風となり、売上高は4期連続となる増収を達成し、同時に2007年以来の過去最高記録を更新しました。 新規事業の売上高は成長を続けており、2017年と比較すると連結売上高に占める構成比が22%から28%に上昇しています。 今後も新規事業の成長をさらに加速させ、事業ポートフォリオの転換を着実に進めます。 当社では、企業価値向上をより一層加速させるため株主資本利益率(ROE)を重視しております。 コロナ禍の2020年に3.2%まで落ち込んだROEはその後の業績回復により改善を続けています。 2024年は前年比3.4ポイントの悪化となる4.8%となりましたが、メディカルビジネスユニットでののれんの減損損失の影響を除くと、前年比1.2ポイントの改善となる9.4%となりました。 引き続き、着実なコストダウン活動による収益性の向上、棚卸資産の削減や生産拠点の集約等を通じた資産の圧縮、負債・資本の最適バランスの追求といった取り組みを進めることで、2025年にはROEを10%以上に向上させることを目指します。 ※1新規事業には、キヤノンプロダクションプリンティング、キヤノントッキ、アクシス、キヤノンメディカルシステムズなど、フェーズⅠ以降に取得した主要な事業会社の事業と、フェーズⅥ期間中の事業化を目指す新規事業を含めています。 2022年実績2023年実績2024年実績2024年実績(調整後※2)2025年業績見通し 2025年フェーズⅥ目標売上高4兆314億円4兆1,810億円4兆5,098億円4兆5,098億円4兆7,360億円 4兆5,000億円以上営業利益率8.8%9.0%6.2%9.9%11.0% 12.0%以上当期純利益率6.1%6.3%3.5%7.2%7.7%8.0%以上 ROE8.1%8.2%4.8%9.4%10.6% 10.0%以上 ※2恒常的な業績の比較のため、営業利益率、当期純利益率およびROEについて、メディカルビジネスユニットで計上したのれんの減損損失1,651億円を除いて計算しております。 |
サステナビリティに関する考え方及び取組 | 2【サステナビリティに関する考え方及び取組】 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)キヤノンのサステナビリティ当社グループは、1988年より世界の繁栄と幸福のために貢献する「共生」を企業理念として掲げ、努力してまいりました。 「すべての人々が、文化、習慣、言語、民族、地域などあらゆる違いを超えて共に生き、共に働き、互いに尊重し、幸せに暮らす社会。 そして、自然と調和し、未来の子どもたちに、かけがえのない地球環境を引き継ぐことのできる社会。 」このような社会の実現に向け、当社グループは、イノベーションとテクノロジーの力で新たな価値を創造し、世界初の技術、世界一の製品・サービスを提供するとともに、社会課題の解決にも貢献していきます。 また、すべての製品ライフサイクルにおいて、より多くの価値を、より少ない資源で提供することで、豊かな生活と地球環境の両立を目指します。 当社グループは、これからもすべての企業活動を通じて、持続可能な社会の実現に向けて積極的に取り組んでまいります。 (2)マテリアリティ当社グループは、時代とともに変化する社会の動きを捉えながら、企業理念である「共生」のもと、人間尊重、技術優先、進取の気性と言った企業DNAと、自社の強固な財務基盤や豊富な人材、高い技術力など、様々なリソースを有効に活用し、健全なコーポレート・ガバナンスを保ちながら事業を展開してまいりました。 当社グループのこれまでの取り組みや中長期経営計画に沿った様々な事業活動の中から、当社グループが取り組むべきと考える重要事項の中で、ステークホルダーの皆さまの関心が特に高い「新たな価値創造、社会課題の解決」、「地球環境の保護・保全」ならびに、これらに取り組む上で支えとなるテーマとして「人と社会への配慮」をマテリアリティとし活動を進めています。 また、2024年は欧州サステナビリティ報告基準(ESRS)や国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)などで定められたサステナビリティ開示基準への対応を視野に、新たなマテリアリティの検討を開始いたしました。 (3)サステナビリティ推進体制当社グループではサステナビリティ推進本部を設置し、サステナビリティ担当役員をその責任者に任命しています。 当社グループ全体のサステナビリティ活動を推進するとともに、専門的な課題については、法務、人事、品質、調達などの部門が専門性を生かした取り組みを実施しています。 これに加え、当社グループが対応または取り組むべきサステナビリティ関連事項について、CEOまたは取締役会による適切かつ実効性ある判断を確保することを目的に、情報共有と事前審議を行うサステナビリティ委員会を2024年4月に新設しました。 委員会は年に2回、上期と下期にそれぞれ開催されるほか、委員長が必要と判断したときは臨時に開催されます。 委員は、当社の本部、事業本部等の社長直轄部門の長からCEOが任命し、委員長はCFOが担っています。 2024年度の委員会では、欧州サステナビリティ報告基準(ESRS)や国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)などで定められたサステナビリティ開示基準、当社グループのサステナビリティ課題とその対応の共有、さらに外部専門家を招いたサステナビリティ勉強会を実施しました。 サステナビリティ推進体制 (4)サステナビリティ課題当社グループを取り巻くサステナビリティの課題は多岐に渡りますが、そのうち、気候変動、人的資本、人権、サイバーセキュリティについては、以下(5)気候変動(6)人的資本(7)人権(8)サイバーセキュリティをご覧ください。 またその他の項目を含め、詳細については当社ホームページに掲載されておりますサステナビリティレポートをご参照ください。 (5)気候変動当社グループは、自らの事業活動だけでなく、サプライヤーにおける原材料や部品の製造、販売店等への輸送、お客さまの使用、廃棄・リサイクルに至るまで、製品ライフサイクル全体で気候変動による影響を捉え、GHG排出量削減に取り組んでいます。 2050年までにGHG排出量をネットゼロとすることをめざし、2030年までにスコープ1、2排出量を2022年比で42%削減、スコープ3(カテゴリー1、11)排出量を2022年比で25%削減を目標としており、科学的根拠に基づいたCO2排出削減目標の設定を推奨する国際イニシアティブのSBTiの認定を取得しています。 そのために、再生材を使用した製品の開発、製品の小型・軽量化、生産拠点での省エネルギー活動、製品使用時の省エネルギー、製品リサイクル、物流の効率化など、様々な取組みを推進しています。 GHG排出量削減イメージ Scope1+2 Scope3(カテゴリー1、11) スコープ1:直接排出(都市ガス、LPG、軽油、灯油、非エネルギー系温室効果ガスなど)スコープ2:間接排出(電気、蒸気など)スコープ3:サプライチェーンでの排出(1:購入した物品・サービス、11:販売した製品の使用) 気候変動による当社グループへの影響や対応計画、目標については、サステナビリティ委員会の傘下の気候変動ワーキンググループ(WG)で議論しました。 気候変動WGは、各事業部門とコーポレート部門の幹部社員で構成され、議論した内容は、サステナビリティ委員会にて報告し、承認を得たうえで、CEOに報告しています。 目標達成に向けては、サステナビリティ推進本部が中心となり、グループ全体で活動を推進しています。 目標の進捗については、毎月経営層に報告するとともに、年間のレビューをCEOに報告しています。 当社グループは、非財務情報開示で推奨されているTCFD*フレームワークに基づいたシナリオ分析を行い、バリューチェーン上のGHG排出量の削減を図る「緩和」と物理リスクへの「適応」の両面からのアプローチが当社グループにとって重要と認識し、GHG排出削減目標の達成、及び気候関連の影響にレジリエントで持続可能なビジネスモデルの構築に向け、取組みを進めています。 * Task force on Climate-related Financial Disclosures 気候関連財務情報開示タスクフォース 企業の気候リスク・機会関連の開示推奨項目を公表 ■分析のために参照したシナリオシナリオ分析では、現在の政策の延長線上で経済活動が行われる「現行シナリオ」と、パリ協定の目標が達成されることを前提に、世界が2050年までのネットゼロ実現に向けてGHGの排出を抑制し、気候変動に関する政策や技術開発が現状以上の速度で進展する「1.5℃シナリオ」を選択しました。 参照したシナリオは以下のとおりです。 現行シナリオ:(移行リスク)IEA APS、NGFS Current Policies (物理リスク)IPCC RCP8.51.5℃シナリオ:(移行リスク)IEA NZE、NGFS Net Zero 2050 (物理リスク)IPCC RCP2.6当社グループが事業を営む主要地域の気候関連政策や法規制、技術の進展、顧客の行動変容、市場環境等も考慮しています。 ■時間軸と影響度の定義時間軸については、当社グループの中長期経営計画と整合した形で検討しています。 短期:~2025年 中期:~2030年 長期:2030年~影響度については、非常に重要、重要、軽微の3段階で検討し、以下の基準としています。 非常に重要:売上高±10%以上の変動要因になりうる 重要:売上高±5~10%程度の変動要因になりうる 軽微:売上高±5%未満の影響 ※各グループの影響度基準については、当該グループの売上高に基づき判断しています。 ■現行/1.5℃シナリオの下の事業環境の想定当社グループでは、プリンティング、メディカル、イメージング、インダストリアルの産業別グループの事業によって気候関連のリスク・機会が異なるため、全社および各グループにおける主な気候関連のリスク・機会とその対応策、財務影響について検討を行いました。 現行シナリオの下での事業環境として、既存の気候関連の規制の継続、カーボンプライシングの導入、再生材やバイオプラスチックの普及、モーダルシフトの導入、顧客からの脱炭素要求と気候変動対応を意識した購買行動の拡大、各国の脱炭素に向けた産業政策の導入等を予想しています。 1.5℃シナリオの下では、前述の環境がさらに厳格化し、進展するほか、サプライチェーン全体でのカーボンニュートラルを目指す動きが加速すると想定しています。 ■キヤノンに影響のあるリスク・機会要因と財務影響試算結果 移行リスク・機会(低炭素経済への「移行」に関するリスク・機会)の概要 -移行リスク- -機会-政策・法規制・カーボンプライシング対応費用増・規制に対応できない場合の売上減・規制対応の設備投資増技術・気候変動対応のための研究開発費増 資源の効率性・エネルギー効率改善による原価低下・共同配送、モーダルシフトによる物流費の低下エネルギー源・低炭素エネルギー活用によるカーボンプライシング影響減市場・再生材の採用による原価増・他社製品が優位となった場合の売上減・気候変動対応コストの価格転嫁が受容されない場合の売上減評判・気候変動対応が十分でない場合のステークホルダーの懸念の高まりに伴う売上減 市場・ステークホルダーの評価向上に伴う売上増・資金調達の多様化製品/サービス・GX、資源循環対応製品の売上増・低炭素製品の売上増・適応製品の売上増 移行リスク・機会の詳細 - 全社レベルシナリオ分析の結果、カーボンプライシングが全社的に影響を受ける可能性のあるリスク要因であることがわかりました。 当社グループのスコープ1、2及び3の排出量見通しに基づき、2030年以降のカーボンプライシングの導入を想定した場合の影響額は、現行シナリオ、1.5℃シナリオの炭素価格を使用した場合、2030年で約83~445億円、2050年で約43~403億円と試算しています。 リスク対応策として、グリーン技術開発を通じて脱炭素化を図る活動をすでに行っています。 例えば、各拠点においては、搬送や加工など生産設備の動作単位まで電力を細かく分解し、隠れたムダを見つけ出すとともに改善ターゲットを浮き彫りにするなど、「電力の可視化」「削減ポテンシャルの分析」「削減施策の展開」の3つのステップで生産時の電力削減をめざす取り組みを進めています。 電力コストの想定削減額は、2030年で約45~57億円、2050年で約97~121億円と試算しており、プラスの影響ももたらすことを確認しました。 それぞれの事業特性を勘案して物流面での気候変動対応も進めており、その成果も機会としてとらえています。 さらに、全社共通で原材料調達におけるCO2排出量(スコープ3 カテゴリー1)削減に取り組み、調達における低炭素部材の検討や今後の調達に向けた準備を行っております。 取引先から収集した部品原材料CO2の実データをLCA(ライフサイクルアセスメント)に組み込むなど製品開発でLCAの手法を導入し、ライフサイクル全体で環境負荷低減をめざしています。 気候変動対応が十分でない場合、気候変動対応を重視するステークホルダーの懸念の増加による評価の悪化と販売機会逸失による売上の減少をリスクとして認識しています。 対応策として、実効性のある気候変動の取り組みの推進とステークホルダーへの適時かつ適切な開示を継続して行っていきます。 さらに、気候変動対応の適切な開示により、投資家、顧客をはじめとするステークホルダーの理解と評価の向上や金融機関の投融資要件を満たすことによる資金調達の多様化も機会となるととらえています。 移行リスク・機会の詳細 - 産業別グループ別産業別グループごとの分析では、プリンティング事業は、電機・電子業界に対する気候関連の規制や消費者選好の変化、競合他社との競争などの影響を受けることが予想されますが、規制動向の把握や規制対応のための研究開発・設備投資、調達要件の取得などリスク低減策はすでに計画に織り込まれており、試算の結果、現行シナリオ、1.5℃シナリオのいずれのシナリオ下でも大きな影響はないことを確認しました。 低炭素製品の需要増に伴う販売機会の増加やエネルギー効率改善に伴うコスト削減が機会となり、プラスの影響があると見込んでいます。 メディカル事業では、欧州の顧客を中心にサステナビリティへの関心が高まり、省電力等が入札要件となる事例もあります。 イメージング事業、インダストリアル事業においては、足元では規制や顧客からの要求は比較的低いものの、今後、要求が高まる可能性があります。 そのため、新たな研究開発や設備投資が必要となる可能性を想定して試算を行いました。 その結果、コスト増加のリスクはあるものの、事業を展開する地域における法規制動向の調査やエネルギー効率改善に向けた取り組みを始めており、影響は比較的小さいことがわかりました。 エネルギー効率改善に伴う原価低減をはじめ、既存技術を活用した気候変動への適応に資する製品やGX推進など各国の産業促進策に合致した製品の販売機会増加など、機会の側面の方が大きいと考えています。 -移行リスク(全社・産業別グループ)-移行リスク分類リスク要因全社/グループ財務影響発現時期影響度対応策政策・法規制カーボンプライシング全社対応費用の増加中期~長期軽微・全社でのGHG排出量削減に向けた取組み既存製品に対する気候関連規制の強化プリンティング対応できない場合の売上の減少短期~長期軽微・各種規制対応の研究開発・設備投資の継続(オフィス機器の省エネルギー制度である国際エネルギースタープログラム改定への対応、再生機開発等)プリンティング規制対応の研究開発費の増加、設備投資の増加短期~長期軽微・規制動向に対応した研究開発計画及び設備投資計画と係る費用計画の検討メディカル規制対応に伴う原価の増加長期軽微・省エネ性能向上の取組みの継続インダストリアル対応できない場合の売上の減少長期軽微・規制措置(PFCs等)に対応する製品開発、生産技術開発技術顧客の気候変動対応に関する要望の強化メディカル対応できない場合の売上の減少長期軽微・省エネ関連の入札要件に合致した製品開発インダストリアル 対応できない場合の取引制限及び縮小に伴う売上の減少長期軽微・顧客要望の変化に対応した低炭素製品開発、生産技術開発市場再生材の普及プリンティング再生材使用による原材料費の増加短期~長期軽微・各種再生材の使用に関する検討・評価を実施・材料メーカー集約による価格交渉、長期契約による価格保証及び新規採用拡大の検討・代替素材の情報収集・代替素材の内製検討競合他社との比較プリンティングライフサイクルCO2が他社よりも大きい場合の売上の減少短期~長期軽微・LCAを活用した研究・製品開発の継続・製品ライフサイクル全体でのGHG排出量管理顧客選好の変化イメージング気候変動対応コストの価格転嫁が顧客に受容されない場合の売上の減少長期軽微・各国・地域の気候変動対応の価格受容調査の継続 -機会(全社・産業別グループ)-機会分類機会要因全社/グループ財務影響発現時期影響度対応策資源の効率性エネルギー効率の改善全社電力費の削減による原価の低下短期~長期軽微・エネルギー効率改善の取り組みを全社で展開物流費の低下全社共同配送、モーダルシフトによる物流費、販管費の低下短期~長期軽微・グループ内及び他社との共同輸送/ラウンド輸送・モーダルシフトの適用拡大エネルギー源低炭素エネルギーへの切換え全社カーボンプライシング影響低減に伴う費用の低下中期~長期軽微・低炭素エネルギーの活用を含む多様な低炭素化手段を継続して検討製品/サービス低炭素製品の需要増加プリンティング販売機会の増加に伴う売上増加短期~長期軽微・低炭素製品の開発(省エネルギー製品、製品の長寿命化、再生材の採用等)・調達要件への対応(環境評価システム「EPEAT」登録、環境ラベル「ブルーエンジェル」等取得)顧客選好の変化に伴う売上の増加メディカル販売機会の増加に伴う売上増加短期~長期軽微・省エネ関連の入札要件に合致した製品の開発気候変動への適応に資する製品の需要増加イメージング販売機会の増加に伴う売上増加中期~長期軽微・気候変動への適応に資する製品の開発(防災用ネットワークカメラ、画像ベースインフラ構造物点検サービス等)各国の半導体産業促進策による製造装置需要の増加インダストリアルGX推進による半導体需要増加に伴う売上増加短期~長期重要・パワー半導体向け半導体製造装置拡大・新工場建設等、増産体制の整備顧客選好の変化に伴う売上の増加インダストリアル販売機会の増加に伴う売上増加短期~長期軽微・低消費電力製品の販売拡大(ナノインプリントリソグラフィ及び現行品のモデルチェンジ等)・プラスチックリサイクル対応製品の販売拡大(プラスチック選別装置) 物理リスク(気候変動による気象変化に伴うリスク)当社グループの施設や事務所は、世界中に点在しており、気候変動による自然災害は、事業に影響を及ぼす可能性があります。 気候変動による物理リスクについては、日本と海外の主要拠点を対象に、河川洪水、高潮、暴風などのリスクについて、世界資源研究所のAqueduct、自治体のハザードマップ、XDI社の自然災害リスク分析サービス等の分析ツールを使用して検証した結果、国内外の生産拠点や事業所のうち、4拠点について河川洪水、高潮リスクが中程度または高いとの結果となりましたが、すでに止水板設置や雨水配管の改造、外周フェンスのブロック嵩上げなど、拠点の状況に応じて必要な施策を実施済みです。 なお、これら4拠点の資産額が当社グループ総資産に占める割合は約3%となります。 今後も自然災害による被害及び損失の影響を低減すべく、各種対応策を検討してまいります。 ■シナリオ分析結果バリューチェーン上では、特に、研究開発、調達、販売において、規制強化に伴う研究開発、原材料価格の変動、お客様や取引先の低炭素製品への考え方や需要動向による影響があることが、シナリオ分析を通じて明らかになりました。 対応策を講じない場合は、いずれのシナリオにおいても販売機会の逸失やコスト増加をはじめとする財務上のリスクが生じる可能性があります。 これらは配慮すべきリスクではありますが、すでに規制動向の把握や規制対応のための研究開発・設備投資、調達要件の取得など、リスク低減の取り組みを計画に織り込み済みです。 各シナリオ下で実施した複数パターンの財務シミュレーションを通じて、対応策については、現在実行中の取組みや計画中のものを含め、財務に大きな影響を与えるものはないことを確認していることから、影響は限定的であると判断し、従来から実施している対応策に不足はなく、製品や生産拠点における取り組みの方向性が正しいことを再確認しました。 また、脱炭素への移行が進む世界では、消費者選好の変化や適応製品の需要の増加、GX推進に向けた産業施策の進展などに伴う当社グループの低炭素製品や適応製品、GX推進に資する製品の売上の増加やエネルギー効率改善に伴うコスト削減により、プラスの影響を見込んでいます。 シナリオ分析を通じて、気候変動によるキヤノングループ全社及び主要事業の売上高や営業利益等の財務業績、財政状態、キャッシュ・フローへの影響は、短期・中期・長期においていずれも限定的であり、ポートフォリオやビジネスモデルを見直す必要性はないことを確認しました。 ただし、今後カーボンプライシングや気候変動に関する規制等が導入された場合、対応費用や研究開発費・設備投資の増加等により、当社グループの財務業績やバリューチェーン全体が影響を受ける可能性があることも認識しており、気候関連リスク・機会への影響について分析を行うとともに、引き続き事業環境を注視していきます。 気候関連のリスク・機会への対応は、全社環境目標や重点施策に反映されるとともに、当社グループでは、環境への対応を経営評価の一部として取り入れており、各部門の環境目標の達成状況や環境活動の実績は、グループ全体の経営状況の実績を評価する「連結業績評価制度」の一指標として実施される「環境・CSR業績評価」の中で、年2回、評価しています。 評価結果はCEOをはじめとする経営層に報告されています。 当社グループは、環境保証活動の継続的な改善を実現する仕組みとして、全世界の事業所においてISO14001によるグループ共通の環境マネジメントシステムを構築しており、特定した気候リスクは、ISO14001のPDCAサイクルに沿って管理しています。 具体的には、環境マネジメントシステムは、各部門の活動と連携した環境保証活動を推進(DO)するために、中期ならびに毎年の「環境目標」を決定(PLAN)し、その実現に向けた重点施策や実施計画を策定して事業活動に反映させています。 さらに、各部門における取組み状況や課題を確認する「環境監査」や、業績評価に環境側面を取り込んだ「環境・CSR業績評価」を実施(CHECK)することで、環境保証活動の継続的な改善・強化(ACT)へつなげています。 当社グループは、製品ライフサイクルを通じたCO2排出量を2050年にネットゼロとすることをめざしております。 その達成に向けて、2030年にスコープ1、2排出量を2022年比42%削減、スコープ3(カテゴリー1、11)排出量を2022年比で25%削減することを掲げ、SBTi(Science Based Targets イニシアティブ)の認定を2023年11月に取得しました。 また、2008年以来、キヤノングループ環境目標の総合目標として「ライフサイクルCO2製品1台当たりの改善指数 年平均3%改善」(原単位目標)を掲げています。 この目標を継続的に達成することで、2030年に2008年比で50%の改善を見込んでいます。 2024年は、目標を上回る年平均3.76%、2008年比44.6%の改善となりました。 当事業年度の実績は、スコープ1は198千t-CO2、スコープ2は733千t-CO2、スコープ3は7,173千t-CO2となり、ライフサイクルCO2排出量 (スコープ1、2、3合計)は8,104千t-CO2となりました。 次年度以降も、目標の継続的な達成をめざします。 「ライフサイクルCO2製品1台当たりの改善指数」推移 ※ 2008年を100とした場合 Scope1、2、3(カテゴリー1、11)排出量実績 Scope1+2 Scope3(カテゴリー1、11) Scope1:直接排出(都市ガス、LPG、軽油、灯油、非エネルギー系温室効果ガスなど)Scope2:間接排出(電気、蒸気など)Scope3:サプライチェーンでの排出(1:購入した物品・サービス、11:販売した製品の使用) ライフサイクルCO2排出量の推移Scope1 : 直接排出(都市ガス、LPG、軽油、灯油、非エネルギー系温室効果ガスなど)Scope2 : 間接排出(電気、蒸気など)Scope3 : サプライチェーンでの排出(購入した物品・サービス、輸送・流通、販売した製品の使用など) なお、2024年のデータは第三者保証を取得しています。 また、2022年、2023年のデータは一部、2024年算定方法に合わせて再計算しております。 (6)人的資本当社は、創業以来受け継がれている「人間尊重」の企業DNAのもと、価値創造の源泉は人材にあると考え、人材価値の最大化に向けた投資を積極的に行っています。 現在、キヤノンでは、グローバル優良企業グループ構想フェーズⅥにおいて、生産性向上と、新規事業創出によるポートフォリオの転換を進めています。 その実現に向けて、新技術の研究開発や全社での業務自動化・内製化を推進するための人材ポートフォリオの構築を目指しています。 具体的には、イノベーションを創出する人材の獲得・育成と、多様な人材やアイデアを最大限活かす自由闊達な組織風土の醸成に取り組んでいます。 また、ジョブ型の「役割給制度」を導入し、年齢や性別にとらわれない適材適所の人材配置を推進しています。 また、社員一人ひとりが能力を最大限に発揮するため、さまざまな健康支援を通じて社員の心身の健康を支えています。 さらに、働きやすさと働きがいを通じて、エンゲージメントを向上させることで、個人と会社の成長を実現しています。 以下に示す戦略は、キヤノン株式会社を対象とし、今後、グループ会社に対して各社の状況を考慮しながら、展開していきます。 多様性の確保を含む人材育成と社内環境整備に関する戦略ならびに指標及び目標1.イノベーション人材の獲得と育成当社は、革新的な製品を創出することによって社会に新たな価値を提供するため、優秀な技術人材の獲得と育成に取り組んでいます。 定期採用では、インターンシップを通じて当社の魅力を訴求し、学生の関心を高めるとともに、優秀な学生に直接コンタクトするダイレクトリクルーティングを強化しています。 あわせて、自社にない技術を持つ人材を獲得するキャリア採用(経験者採用)も積極的に行っています。 また、技術人材育成委員会のもと、250以上の専門講座を整備し、長期的視点に立って次世代を担う技術人材を育成しています。 2024年の技術研修の効果(実務への役立ち度)は、5段階で平均4.0と高い水準です。 近年では、保有技術や特許情報などを集約した技術人材データベースを構築し、効果的な人材育成につなげています。 特に、イノベーションに不可欠なデジタル人材の育成については、ソフトウエア技術者の育成を専門的に担う社内教育機関「CIST(Canon Institute of Software Technology)」を2018年に設立し、ソフトウエアに関するスキルを受講者のレベルに応じて身につけられる体制を整えています。 また、全社員に対して、生産性向上やDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するためのIT・DXリテラシー研修を実施し、2024年までに延べ28,000人が受講しました。 さらに、上級者に対しては、最先端のソフト技術を学ぶための社外の教育・研究機関への派遣を積極的に行っています。 2023年からは、「高度技術者認定制度」を導入し、高度な技術的知見を有する技術者を「Top Scientist」「Top Engineer」などとして顕彰することにより、モチベーションの向上や後進の育成に取り組んでいます。 このほか、さまざまな領域でイノベーションを牽引する事業系人材やものづくり人材などを育成するため、多様な研修やトレーニー制度を整備するとともに、各分野における幹部候補者の計画的な配置・育成を行っています。 〈2024年研修実績〉 研修時間研修費用合計62.5万時間40.6億円従業員一人あたり26.7時間17.3万円 〈人材育成の基本的な考え方〉 〈人材育成体系図〉 CPT:Canon Production Trainee CGAP:Canon Global Assignment Policy CGMST:Canon Global Marketing & Sales Trainee CIST:Canon Institute of Software Technology 2.適材適所と少数精鋭の推進当社は、生産性の高い少数精鋭の組織を実現するため、戦略的な人材配置とキャリア形成支援による適材適所を推進しています。 新入社員に対しては、専門性や志向にマッチした配属を行うため、配属先を入社前に確約するジョブマッチング型の採用を拡大しています。 入社3年経過時には、キャリア研修や面談を通じて職務適合性を確認し、万一の配属ミスマッチの早期解消に取り組んでいます。 また、成長領域への人材シフトと、社員の主体的なキャリア形成を実現する仕組みとして「キャリアマッチング制度」(社内公募制度)を導入しています。 2015年からは、新たな職種にチャレンジする社員を支援するため、職種転換研修と社内公募制度を組み合わせた「研修型キャリアマッチング制度」を導入し、2024年までに累計2,445人が社内公募で異動しました。 さらに、2021年からは、国内グループ会社に社内公募制度を拡大し、グループ間の出向・転籍を可能にすることで、キヤノングループ全体での適材適所を推進しています。 そのほか、全社員に対して多様な研修メニューを定期的に紹介するなど、社員のリスキリングを強化しています。 シニア社員に対しては、主体的なキャリア形成を促すセミナーや60歳以上向けの社内公募制度を設けるほか、豊富な知識やスキルを発揮できる柔軟な勤務体系を整備し、年齢にとらわれない全社員戦力化を目指しています。 これらの取り組みの結果、離職率は全国平均(12.1%)※より大幅に少ない1.6%(定年退職扱いを除く)となり、高い定着率を維持しています。 ※厚生労働省 令和5年雇用動向調査 産業、就業形態別離職率 一般労働者 産業計より 〈キャリアマッチングによる社内転職〉 〈研修型キャリアマッチング制度〉 〈社内公募異動者〉累計 3.ジョブ型人材マネジメントの進化当社は、年齢や性別にとらわれない、優秀人材の抜擢と公平・公正な処遇を実現するため、2001年から、ジョブ型の「役割給制度」を導入しています。 役割給制度においては、ポジションごとに職務記述書を作成し、職務に求められる知識やスキルを明確化することにより、自律的なキャリア形成と適材適所の人材配置を可能にしています。 近年は、職務を基軸とした職種別採用やキャリア採用、社内公募などを拡大し、ジョブ型の人材マネジメントを強化しています。 また、処遇面においても、めざましい活躍をした人材に対して特別報酬が支払われるOS(Outstanding)評価制度や、少ない人的リソースで高い利益を創出した場合により高い賞与が支払われる仕組みの導入に加え、ベースアップを継続的に実施するなど、さまざまな報酬制度の改善を通じて人的投資を強化しています。 〈役割等級〉 ※T:Tentative/Training、 G:Job Grade Band 、M:Management Mission Band 4.創造的な組織風土の醸成当社は、イノベーションを創出する自由闊達な職場風土を醸成するため、組織開発に取り組んでいます。 具体的には、コミュニケーションやリーダーシップなどの課題に対して、専任の社内コンサルタントの支援のもと、職場メンバーが対話を通じて課題解決に取り組む「CKI(Canon Knowledge-intensive staff Innovation)」活動を実施し、2024年までに延べ469部門、1万6,600人が参画しました。 さらに、毎年11月に、人材育成と組織開発の総合イベントとして「Canon Inspire Summit」を開催し、組織の活性化に向けた取り組みを加速しています。 また、社員の自発的な創発活動を積極的に支援しています。 例えば、2018年に活動を開始した「Developers Conference」は、社員が事業の枠を超えて製品開発や技術トレンドについて意見を交わす相互啓発の場として広く定着しています。 そのほか、社員同士が活発にコミュニケーションを行うためのオフィス環境づくりを進めるなど、創造的な職場環境の整備に取り組んでいます。 〈基本的な考え方〉 5.ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの推進当社は、多様な価値観やアイデアを取り込みながら、イノベーションを生み出していくためにDE&I※を推進しています。 DE&I推進の組織体制として、2012年に全社横断組織「VIVID(Vital workforce and Value Innovation through Diversity)」を発足し、重点施策として「女性の活躍推進」と「男性の育児参画支援」を掲げ、さまざまな活動を展開しています。 ※ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン 重点施策とKPI・女性管理職比率:2025年末までに2011年比で3倍以上とする・男性の育児休業取得率:2025年末までに50%以上とする 女性の活躍推進については、女性の管理職候補育成を目的とした「女性リーダー研修」を実施し、計画的な育成に取り組んでいます。 加えて、仕事と育児の両立を支援するため、育児休業復職セミナーや管理職によるメンタリングなどのサポート体制を整え、女性が活躍できる環境づくりに努めています。 これらの取り組みの結果、女性活躍のKPIである女性管理職比率は、2024年末時点で、2025年末までの目標を前倒しで達成しました。 さらに、部長職以上の女性幹部社員の人数は過去5年間で約50%増加するなど、着実に活躍の場を広げています。 これらの実績が評価され、女性活躍推進の優良企業として厚生労働省より「えるぼし(3つ星)」の認定を受けています。 一方で、従業員に占める女性比率が低いことが当社の課題となっています。 これは、当社が技術開発を重視した会社であり、一般的に女子学生の割合が少ない技術系の採用が多いことが原因です。 そのため、女性の採用において目標値を設定し、女性採用をより強化するとともに、将来的には女性管理職比率を社員総数における女性比率(2024年末17.0%)と同等にすることを目指しています。 また、2024年より、女子中高生の理工系進学を支援する内閣府男女共同参画局の取り組みである「リコチャレ」に賛同し、さまざまなイベントを実施しました。 なお、2024年は初の女性社外取締役が就任し、2025年は初の女性社外監査役が就任しています。 男性の育児参画支援については、育児休業制度を利用した男性社員の座談会やインタビュー、育児関連セミナーなどを実施し、男女共同参画へ向けた意識改革や職場風土醸成に努めています。 これらの取り組みの結果、男性育児参画のKPIである育児休業取得率は、2024年末時点で、2025年末までの目標を前倒しで達成しました。 また、育児休業の平均取得期間は、経団連平均と比較して、高い水準となっています。 これらの実績が評価され、2019年から子育てサポート企業として厚生労働省より「プラチナくるみん」の認定を受けています。 そのほか、DE&I向上の取り組みとして、障がい者やLGBTQ+などマイノリティについての全社研修やイベントなどを開催し、社員の理解を深める活動を行っています。 連結子会社含む各社の女性管理職比率・男性の育児休業取得率・男女の賃金差異は、第1 企業の概況 5 従業員の状況をご参照ください。 〈女性管理職比率〉 〈男性の育児休業取得率・平均取得期間〉 KPI目標実績経団連平均育児休業取得率50%64.6%47.5%平均取得期間-86.5日43.7日 ※一般社団法人日本経済団体連合会(経団連)平均は2022年実績 6.従業員エンゲージメントの向上当社は、社員一人ひとりが会社の理念や戦略に共感し、意欲的に業務に取り組むためのさまざまな施策を展開しています。 まず、組織と従業員の現状を把握するため、2年に一度、従業員意識調査を実施しています。 調査結果を多面的に分析した上で、調査翌年に全ライン管理職を対象とした「CAMP(Canon Active Management Program)研修」を実施しています。 CAMP研修では、職場ごとに管理職が自組織の課題を議論し、具体的な施策につなげ、その効果を翌年の従業員意識調査で確認するサイクルを回しています。 2023年の従業員意識調査では、前回から「担当業務における自律性」や「自己成長」をはじめとする全項目において、肯定回答率が上昇しました。 特に、やりがい、自己成長、働きやすい環境などエンゲージメントに関連する項目は、着実に改善しています。 2024年のCAMP研修では、「Think Engagement」をテーマとして掲げ、140部門の約1,800名がエンゲージメント向上について議論を行いました。 今後も多様な視点から、組織の課題を洗い出し、さまざまな人事施策に結びつけることによって、社員と会社の双方の成長につなげていきます。 また、若手社員に対しては、2024年より「モチベーション診断」や「パルスサーベイ」を実施し、上司・先輩・人事が一体となってエンゲージメントの向上に取り組んでいます。 これらの取り組みの結果、入社後の早期離職やメンタル不調の抑止などの効果が表れています。 また、ワークライフバランスの充実をはかるため、労働時間の短縮やライフステージに合わせて柔軟に働くことができる労働環境の整備に取り組んでいます。 具体的には、育児や介護を理由とした短時間勤務等の制度の充実や、計画的な休暇取得の促進のほか、ITを活用した業務効率化などを行っています。 これら取り組みの結果、2024年の年間総実労働時間は、全国平均※(1,945時間)より大幅に少ない1,730時間となりました。 ※厚生労働省 毎月勤労統計調査 一般労働者 調査産業計より 〈従業員意識調査を活用したマネジメント改善サイクル〉 〈従業員エンゲージメント〉 ※やりがい、自己成長、働きやすい環境などエンゲージメントに関連する項目における肯定回答率 7.健康経営の推進当社は、創業当初から「健康第一主義」を行動指針に掲げ、健康経営を推進しています。 従業員の心身の状態や生活習慣、業務の状況など、健康診断で得られたデータの詳細な分析をもとに、健康保険組合と協働で8つの健康行動(こころ・がん・運動・食事・体重・睡眠・飲酒・禁煙)の目標値を設定し、実効性のある健康支援を行っています。 例えば、生活習慣病については、睡眠や喫煙が影響していることを踏まえ、良質な睡眠を確保するために専用機器を用いた個別指導や禁煙プログラムの実施などを行っています。 また、2016年からは、全ての国内事業所の敷地内を禁煙とするなどの取り組みを進めた結果、2024年末の喫煙率は13.8%となり、2004年から18.6ポイント減少しました。 また、健康診断や健康行動のデータを組織ごとに分析した「健康レポート」を配布し、社員の健康づくりに向けた職場の自律的な取り組みを後押ししています。 メンタルヘルスについては、ストレスチェックを毎年実施し、高ストレス者に対する産業医面談や保健師による健康相談を行うほか、職場との懇談会を実施するなど職場全体で改善を図っています。 これら取り組みの結果、年々、高ストレス者の割合は減少するなど、効果が表れています。 このほかヘルスリテラシー向上の取り組みとして、健康に関するセミナーやイベントを行うなど、さまざまな健康支援を通じて社員が能力を最大限発揮することを目指しています。 KPI目標値実績健康診断受診率100%100%ストレスチェック受診率100%96.2%がん検診受診率70%51.6% (7)人権<人権の尊重>当社グループは、企業理念「共生」のもと、従業員や取引先をはじめとする事業活動に関わるすべてのステークホルダーの人権を尊重し、①人権方針の策定・見直し②人権デュー・デリジェンス(DD)③救済メカニズムの整備・運用④人権啓発活動⑤ステークホルダーエンゲージメント⑥サプライチェーンにおける人権リスクの対応などを行っています。 2021年には「キヤノングループ人権方針」を定め、各国・地域のステークホルダーにWebサイトで周知することにより、人権尊重の取り組みを推進しています。 参考:キヤノングループ人権方針https://global.canon/ja/sustainability/society/human-rights/pdf/hr-policy-j.pdf <ガバナンス>人権の担当役員である代表取締役CFOを責任者として、当社のサステナビリティ、法務、人事部門が事務局となり、人権対応を推進しています。 事務局では、人権対応の全体計画の立案、救済メカニズムの整備・運用、ステークホルダーエンゲージメントの実施などを行い、重要案件については、担当役員に報告します。 また、取締役会決議により設置されるリスクマネジメント委員会において、人権侵害リスクが重大なリスクとして特定され、当社各部門および各グループ会社において人権リスクを防止・低減するための取り組みを実施しています。 取り組みの結果はリスクマネジメント委員会において毎年評価し、CEOおよび取締役会に報告される体制となっています。 <人権デュー・デリジェンスの実施>当社では、人権DDをリスクマネジメント委員会下の活動として位置づけ、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」や「責任ある企業行動のためのOECDデュー・ディリジェンス・ガイダンス」にもとづき、グループ全体で実施しています。 当社の各部門および各グループ会社は、サプライチェーンを含むそれぞれの事業活動における人権に対する負の影響の洗い出し、評価および顕著な人権リスクの特定を行っています。 その後、事務局は各組織の人権リスクを集約、分析、評価し、ステークホルダーエンゲージメントを経て、当社グループとしての顕著な人権リスクを特定しています。 サプライチェーンを含む当社グループの事業活動において発生する可能性がある顕著な人権リスクとして特定したのは、次の11項目であり、これらのリスクについては、リスクを防止・軽減するためのさまざまな対応策がとられています。 当社グループにおける顕著な人権リスク 権利主体サプライヤー・委託先従業員自社従業員顧客・消費者地域社会人種・性別・宗教等による差別 ● ハラスメント ● 児童労働● 強制労働● 賃金不払い・低賃金● 過重労働●● 労働安全衛生●● プライバシーの保護 ●● 紛争鉱物の調達 ●事業拠点の騒音、環境汚染 ●製品に起因する健康被害・事故 ● <救済メカニズム>当社では、人権に関する具体的な懸念についての内部通報を受ける窓口を設けております。 イントラネットや研修などを通じて通報窓口の周知に努めるなど、適切な利用のための施策を行っております。 また、従業員が現地語で通報することができる内部通報窓口を国内外のほぼすべてのグループ会社にも設けております。 さらに、当社では、社外のステークホルダーに対しても窓口を設けており、この窓口を通じて、当社グループの企業活動にともなう人権に関する具体的な懸念について通報することが可能となっております。 <人権啓発活動>当社グループでは、ビジネスと人権に関わる基礎的な知識および当社グループの人権に関する取り組みの周知・啓発を目的として、2021年より従業員を対象としたeラーニングプログラムを実施しております。 海外で教育を実施するにあたっては、国・地域による特性を考慮し、各社で内容を最適化し、各言語へ翻訳した上で実施いたしました。 <ステークホルダーエンゲージメント>当社グループは、人権リスクを特定・評価し、その防止や軽減に取り組むにあたり、キヤノン労働組合のほか、機関投資家、サプライヤー、協力会社とも対話を実施しております。 <サプライチェーンにおける人権リスクの対応>当社グループは、サプライチェーンにおけるCSRのさらなる向上を目的として、2019年にRBA(Responsible Business Alliance)に加盟しました。 RBAの行動規範を採用した「キヤノンサプライヤー行動規範」を策定し、労働・安全衛生・環境・マネジメントシステムなどに配慮した調達活動を推進しております。 また、主要サプライヤーについては、行動規範の遵守に関する同意書を取得するほか、RBAに承認された当社独自の調査票を用いた自己点検を毎年実施することにより、サプライヤーにおける児童労働・強制労働・不合理な移動制限・過重労働等の人権リスクの特定・評価・防止に取り組んでおります。 (8)サイバーセキュリティ当社は、情報セキュリティ担当執行役員である情報通信システム本部長を情報セキュリティの意思決定責任者と位置づけ、当社の情報通信システム本部が実務組織として、グループ全体の情報セキュリティマネジメントを担っています。 情報セキュリティ担当執行役員である情報通信システム本部長は6年間にわたり情報セキュリティの意思決定責任を担っており、リスク評価・管理に関する十分な経験と知識を備えています。 また、実務組織である情報通信システム本部には、サイバーセキュリティに関する実践的な知識・技能を有する専門人材の日本における国家資格である「情報処理安全確保支援士」を配置しており、リスク管理を支援しています。 情報セキュリティに関する中期計画については、情報通信システム本部が策定の上、CEOの承認を得ています。 当社では取締役会決議に基づきリスクマネジメント委員会※1を設置し、情報セキュリティに関する事件・事故情報を速やかに集約・報告する体制を構築しています。 万一、情報セキュリティに関する事件・事故が発生した場合は、情報通信システム本部に報告され、状況に応じリスクマネジメント委員会を経て、CEO及び取締役会に報告する体制となっています。 同委員会では、当社が事業遂行に際して直面し得る重大なリスクの特定(法令・企業倫理違反、財務報告の誤り、環境問題、品質問題、情報漏洩など)を含む当社のリスクマネジメント体制の整備に関する諸施策を立案します。 法務部門、ロジスティクス部門、品質部門、人事部門、経理部門など、事業活動にともなう各種リスクを所管する当社の各管理部門は、それぞれ関連する分科会に所属し、その所管分野について、当社各部門および各グループ会社のリスクマネジメント活動を統制・支援しています。 当社の各部門および各グループ会社は、自律的にリスクマネジメント体制の整備・運用を行い、その活動結果をリスクマネジメント委員会に毎年報告しています。 リスクマネジメント委員会は、各分科会および各部門・各社からの報告を受け、リスクマネジメント体制の整備・運用状況を評価し、その評価結果を代表取締役CEOおよび取締役会に報告しています。 ※1 詳細は3 事業等のリスク(1)リスクマネジメント体制をご参照ください。 1.情報システムセキュリティ対策当社は、情報セキュリティの三要素といわれる「機密性」「完全性」「可用性」※2を保持するための施策に取り組んでいます。 内部からの情報漏洩対策として、最重要情報はセキュリティを強化した専用のシステムに保管し、アクセス制限や利用状況の記録を徹底しています。 また、社外から自社の情報資産に安全にアクセスできる環境を構築した上で、メールのファイル添付送信やPC・記録メディアの社外持ち出しを管理しています。 また、外部からのサイバー攻撃対策として、マルウェア※3などが添付された不審メールの侵入監視、社内からインターネットへの不正通信の監視を実施し、攻撃被害の拡大防止に努めています。 さらに、サイバー攻撃を想定した対応訓練(NISC※4/NCA※5連携 分野横断的演習)に2017年より毎年参加し、障害対応体制の強化を図っています。 また、セキュリティツールベンダーと毎月サイバーセキュリティリスクのトレンド・対策に関する情報共有も実施しております。 ※2 機密性:許可された者だけが情報にアクセスできるようにすること 完全性:情報や処理方法が正確で、改ざんされないよう保護すること 可用性:許可された者が必要とする時に情報にアクセスできるようにすること※3 不正かつ有害な動作を行う意図で作成された悪意のあるソフトウエア。 コンピューターウイルス、ランサム ウェアなど※4 National center of Incident readiness and Strategy for Cybersecurity(内閣サイバーセキュリティセ ンター)の略※5 Nippon CSIRT Association(日本シーサート協議会)の略 2.生産設備の情報セキュリティ対策当社は、マルウェアやサイバー攻撃によって工場の生産設備に稼働障害が発生し、生産計画に問題が生じることがないよう、生産設備の情報セキュリティ対策に取り組んでいます。 従来、サイバー攻撃の対象は企業の業務システムやWebシステムなどの情報システムが主体でしたが、生産設備においても汎用OSの利用やIoT化が進み、情報システムと同等の情報セキュリティリスクが生じています。 生産設備の運用期間は汎用OSのサポート期間よりも長期にわたり、情報システムとは別のセキュリティ対策が必要となるため、当社および国内外のグループ生産会社では、ウイルス感染などによる操業停止に陥らないよう、生産設備系ネットワークの不正通信監視を行っています。 また、生産設備についてもセキュリティ監査を実施し、安全な生産環境の維持を図っています。 3.従業員の意識の向上をめざす情報セキュリティ教育当社は、情報セキュリティの維持・向上のため、情報システムの利用者である従業員の意識向上にも注力しています。 定期入社者、中途入社者ともに集合教育を通じて当社の情報セキュリティに関する施策やルールの徹底を図っています。 また、毎年、全従業員を対象として、eラーニングによる情報セキュリティ研修を実施しています。 2024年は当社の従業員全員の約2万3,000人が受講しました。 研修内容は、脆弱性リスクとその対応方法、Web会議における注意点など、従業員の情報セキュリティリテラシー※6を向上させるものとなっています。 また、当社およびグループ会社ののべ約6万人の従業員に対し、不審メールを受け取った際に適切に対処し被害を拡大させないための実践教育として標的型攻撃メール対応訓練も実施しました。 特に、メールでの業務に慣れていない新入社員については、別途訓練を実施し、教育を強化しています。 ※6 セキュリティ対策を実行する時に知っておくべき知識やスキル 4.情報セキュリティマネジメント体制情報セキュリティインシデントに対処する専門チームCSIRT※7(シーサート)を2015年に当社情報通信システム本部内に設置しました。 同時に、日本シーサート協議会(NCA)に加盟し、他社CSIRT組織との連携強化を図っています。 また、当社では情報セキュリティ部門を対象として、情報セキュリティマネジメントシステムの構築・運用の国際規格ISO27001の外部認証を取得しています。 サードパーティのクラウドサービスを利用する際には、情報通信システム本部が当該サービスのセキュリティリスクを事前評価し、利用を許可するプロセスを運用しています。 また利用開始後も、毎年1回同様のプロセスを実施することにより、継続的なリスク低減を図っています。 ※7 Computer Security Incident Response Teamの略。 コンピューターセキュリティにかかる事件・事故に対処 するための組織の総称 |
戦略 | 当社グループは、非財務情報開示で推奨されているTCFD*フレームワークに基づいたシナリオ分析を行い、バリューチェーン上のGHG排出量の削減を図る「緩和」と物理リスクへの「適応」の両面からのアプローチが当社グループにとって重要と認識し、GHG排出削減目標の達成、及び気候関連の影響にレジリエントで持続可能なビジネスモデルの構築に向け、取組みを進めています。 * Task force on Climate-related Financial Disclosures 気候関連財務情報開示タスクフォース 企業の気候リスク・機会関連の開示推奨項目を公表 ■分析のために参照したシナリオシナリオ分析では、現在の政策の延長線上で経済活動が行われる「現行シナリオ」と、パリ協定の目標が達成されることを前提に、世界が2050年までのネットゼロ実現に向けてGHGの排出を抑制し、気候変動に関する政策や技術開発が現状以上の速度で進展する「1.5℃シナリオ」を選択しました。 参照したシナリオは以下のとおりです。 現行シナリオ:(移行リスク)IEA APS、NGFS Current Policies (物理リスク)IPCC RCP8.51.5℃シナリオ:(移行リスク)IEA NZE、NGFS Net Zero 2050 (物理リスク)IPCC RCP2.6当社グループが事業を営む主要地域の気候関連政策や法規制、技術の進展、顧客の行動変容、市場環境等も考慮しています。 ■時間軸と影響度の定義時間軸については、当社グループの中長期経営計画と整合した形で検討しています。 短期:~2025年 中期:~2030年 長期:2030年~影響度については、非常に重要、重要、軽微の3段階で検討し、以下の基準としています。 非常に重要:売上高±10%以上の変動要因になりうる 重要:売上高±5~10%程度の変動要因になりうる 軽微:売上高±5%未満の影響 ※各グループの影響度基準については、当該グループの売上高に基づき判断しています。 ■現行/1.5℃シナリオの下の事業環境の想定当社グループでは、プリンティング、メディカル、イメージング、インダストリアルの産業別グループの事業によって気候関連のリスク・機会が異なるため、全社および各グループにおける主な気候関連のリスク・機会とその対応策、財務影響について検討を行いました。 現行シナリオの下での事業環境として、既存の気候関連の規制の継続、カーボンプライシングの導入、再生材やバイオプラスチックの普及、モーダルシフトの導入、顧客からの脱炭素要求と気候変動対応を意識した購買行動の拡大、各国の脱炭素に向けた産業政策の導入等を予想しています。 1.5℃シナリオの下では、前述の環境がさらに厳格化し、進展するほか、サプライチェーン全体でのカーボンニュートラルを目指す動きが加速すると想定しています。 ■キヤノンに影響のあるリスク・機会要因と財務影響試算結果 移行リスク・機会(低炭素経済への「移行」に関するリスク・機会)の概要 -移行リスク- -機会-政策・法規制・カーボンプライシング対応費用増・規制に対応できない場合の売上減・規制対応の設備投資増技術・気候変動対応のための研究開発費増 資源の効率性・エネルギー効率改善による原価低下・共同配送、モーダルシフトによる物流費の低下エネルギー源・低炭素エネルギー活用によるカーボンプライシング影響減市場・再生材の採用による原価増・他社製品が優位となった場合の売上減・気候変動対応コストの価格転嫁が受容されない場合の売上減評判・気候変動対応が十分でない場合のステークホルダーの懸念の高まりに伴う売上減 市場・ステークホルダーの評価向上に伴う売上増・資金調達の多様化製品/サービス・GX、資源循環対応製品の売上増・低炭素製品の売上増・適応製品の売上増 移行リスク・機会の詳細 - 全社レベルシナリオ分析の結果、カーボンプライシングが全社的に影響を受ける可能性のあるリスク要因であることがわかりました。 当社グループのスコープ1、2及び3の排出量見通しに基づき、2030年以降のカーボンプライシングの導入を想定した場合の影響額は、現行シナリオ、1.5℃シナリオの炭素価格を使用した場合、2030年で約83~445億円、2050年で約43~403億円と試算しています。 リスク対応策として、グリーン技術開発を通じて脱炭素化を図る活動をすでに行っています。 例えば、各拠点においては、搬送や加工など生産設備の動作単位まで電力を細かく分解し、隠れたムダを見つけ出すとともに改善ターゲットを浮き彫りにするなど、「電力の可視化」「削減ポテンシャルの分析」「削減施策の展開」の3つのステップで生産時の電力削減をめざす取り組みを進めています。 電力コストの想定削減額は、2030年で約45~57億円、2050年で約97~121億円と試算しており、プラスの影響ももたらすことを確認しました。 それぞれの事業特性を勘案して物流面での気候変動対応も進めており、その成果も機会としてとらえています。 さらに、全社共通で原材料調達におけるCO2排出量(スコープ3 カテゴリー1)削減に取り組み、調達における低炭素部材の検討や今後の調達に向けた準備を行っております。 取引先から収集した部品原材料CO2の実データをLCA(ライフサイクルアセスメント)に組み込むなど製品開発でLCAの手法を導入し、ライフサイクル全体で環境負荷低減をめざしています。 気候変動対応が十分でない場合、気候変動対応を重視するステークホルダーの懸念の増加による評価の悪化と販売機会逸失による売上の減少をリスクとして認識しています。 対応策として、実効性のある気候変動の取り組みの推進とステークホルダーへの適時かつ適切な開示を継続して行っていきます。 さらに、気候変動対応の適切な開示により、投資家、顧客をはじめとするステークホルダーの理解と評価の向上や金融機関の投融資要件を満たすことによる資金調達の多様化も機会となるととらえています。 移行リスク・機会の詳細 - 産業別グループ別産業別グループごとの分析では、プリンティング事業は、電機・電子業界に対する気候関連の規制や消費者選好の変化、競合他社との競争などの影響を受けることが予想されますが、規制動向の把握や規制対応のための研究開発・設備投資、調達要件の取得などリスク低減策はすでに計画に織り込まれており、試算の結果、現行シナリオ、1.5℃シナリオのいずれのシナリオ下でも大きな影響はないことを確認しました。 低炭素製品の需要増に伴う販売機会の増加やエネルギー効率改善に伴うコスト削減が機会となり、プラスの影響があると見込んでいます。 メディカル事業では、欧州の顧客を中心にサステナビリティへの関心が高まり、省電力等が入札要件となる事例もあります。 イメージング事業、インダストリアル事業においては、足元では規制や顧客からの要求は比較的低いものの、今後、要求が高まる可能性があります。 そのため、新たな研究開発や設備投資が必要となる可能性を想定して試算を行いました。 その結果、コスト増加のリスクはあるものの、事業を展開する地域における法規制動向の調査やエネルギー効率改善に向けた取り組みを始めており、影響は比較的小さいことがわかりました。 エネルギー効率改善に伴う原価低減をはじめ、既存技術を活用した気候変動への適応に資する製品やGX推進など各国の産業促進策に合致した製品の販売機会増加など、機会の側面の方が大きいと考えています。 -移行リスク(全社・産業別グループ)-移行リスク分類リスク要因全社/グループ財務影響発現時期影響度対応策政策・法規制カーボンプライシング全社対応費用の増加中期~長期軽微・全社でのGHG排出量削減に向けた取組み既存製品に対する気候関連規制の強化プリンティング対応できない場合の売上の減少短期~長期軽微・各種規制対応の研究開発・設備投資の継続(オフィス機器の省エネルギー制度である国際エネルギースタープログラム改定への対応、再生機開発等)プリンティング規制対応の研究開発費の増加、設備投資の増加短期~長期軽微・規制動向に対応した研究開発計画及び設備投資計画と係る費用計画の検討メディカル規制対応に伴う原価の増加長期軽微・省エネ性能向上の取組みの継続インダストリアル対応できない場合の売上の減少長期軽微・規制措置(PFCs等)に対応する製品開発、生産技術開発技術顧客の気候変動対応に関する要望の強化メディカル対応できない場合の売上の減少長期軽微・省エネ関連の入札要件に合致した製品開発インダストリアル 対応できない場合の取引制限及び縮小に伴う売上の減少長期軽微・顧客要望の変化に対応した低炭素製品開発、生産技術開発市場再生材の普及プリンティング再生材使用による原材料費の増加短期~長期軽微・各種再生材の使用に関する検討・評価を実施・材料メーカー集約による価格交渉、長期契約による価格保証及び新規採用拡大の検討・代替素材の情報収集・代替素材の内製検討競合他社との比較プリンティングライフサイクルCO2が他社よりも大きい場合の売上の減少短期~長期軽微・LCAを活用した研究・製品開発の継続・製品ライフサイクル全体でのGHG排出量管理顧客選好の変化イメージング気候変動対応コストの価格転嫁が顧客に受容されない場合の売上の減少長期軽微・各国・地域の気候変動対応の価格受容調査の継続 -機会(全社・産業別グループ)-機会分類機会要因全社/グループ財務影響発現時期影響度対応策資源の効率性エネルギー効率の改善全社電力費の削減による原価の低下短期~長期軽微・エネルギー効率改善の取り組みを全社で展開物流費の低下全社共同配送、モーダルシフトによる物流費、販管費の低下短期~長期軽微・グループ内及び他社との共同輸送/ラウンド輸送・モーダルシフトの適用拡大エネルギー源低炭素エネルギーへの切換え全社カーボンプライシング影響低減に伴う費用の低下中期~長期軽微・低炭素エネルギーの活用を含む多様な低炭素化手段を継続して検討製品/サービス低炭素製品の需要増加プリンティング販売機会の増加に伴う売上増加短期~長期軽微・低炭素製品の開発(省エネルギー製品、製品の長寿命化、再生材の採用等)・調達要件への対応(環境評価システム「EPEAT」登録、環境ラベル「ブルーエンジェル」等取得)顧客選好の変化に伴う売上の増加メディカル販売機会の増加に伴う売上増加短期~長期軽微・省エネ関連の入札要件に合致した製品の開発気候変動への適応に資する製品の需要増加イメージング販売機会の増加に伴う売上増加中期~長期軽微・気候変動への適応に資する製品の開発(防災用ネットワークカメラ、画像ベースインフラ構造物点検サービス等)各国の半導体産業促進策による製造装置需要の増加インダストリアルGX推進による半導体需要増加に伴う売上増加短期~長期重要・パワー半導体向け半導体製造装置拡大・新工場建設等、増産体制の整備顧客選好の変化に伴う売上の増加インダストリアル販売機会の増加に伴う売上増加短期~長期軽微・低消費電力製品の販売拡大(ナノインプリントリソグラフィ及び現行品のモデルチェンジ等)・プラスチックリサイクル対応製品の販売拡大(プラスチック選別装置) 物理リスク(気候変動による気象変化に伴うリスク)当社グループの施設や事務所は、世界中に点在しており、気候変動による自然災害は、事業に影響を及ぼす可能性があります。 気候変動による物理リスクについては、日本と海外の主要拠点を対象に、河川洪水、高潮、暴風などのリスクについて、世界資源研究所のAqueduct、自治体のハザードマップ、XDI社の自然災害リスク分析サービス等の分析ツールを使用して検証した結果、国内外の生産拠点や事業所のうち、4拠点について河川洪水、高潮リスクが中程度または高いとの結果となりましたが、すでに止水板設置や雨水配管の改造、外周フェンスのブロック嵩上げなど、拠点の状況に応じて必要な施策を実施済みです。 なお、これら4拠点の資産額が当社グループ総資産に占める割合は約3%となります。 今後も自然災害による被害及び損失の影響を低減すべく、各種対応策を検討してまいります。 ■シナリオ分析結果バリューチェーン上では、特に、研究開発、調達、販売において、規制強化に伴う研究開発、原材料価格の変動、お客様や取引先の低炭素製品への考え方や需要動向による影響があることが、シナリオ分析を通じて明らかになりました。 対応策を講じない場合は、いずれのシナリオにおいても販売機会の逸失やコスト増加をはじめとする財務上のリスクが生じる可能性があります。 これらは配慮すべきリスクではありますが、すでに規制動向の把握や規制対応のための研究開発・設備投資、調達要件の取得など、リスク低減の取り組みを計画に織り込み済みです。 各シナリオ下で実施した複数パターンの財務シミュレーションを通じて、対応策については、現在実行中の取組みや計画中のものを含め、財務に大きな影響を与えるものはないことを確認していることから、影響は限定的であると判断し、従来から実施している対応策に不足はなく、製品や生産拠点における取り組みの方向性が正しいことを再確認しました。 また、脱炭素への移行が進む世界では、消費者選好の変化や適応製品の需要の増加、GX推進に向けた産業施策の進展などに伴う当社グループの低炭素製品や適応製品、GX推進に資する製品の売上の増加やエネルギー効率改善に伴うコスト削減により、プラスの影響を見込んでいます。 シナリオ分析を通じて、気候変動によるキヤノングループ全社及び主要事業の売上高や営業利益等の財務業績、財政状態、キャッシュ・フローへの影響は、短期・中期・長期においていずれも限定的であり、ポートフォリオやビジネスモデルを見直す必要性はないことを確認しました。 ただし、今後カーボンプライシングや気候変動に関する規制等が導入された場合、対応費用や研究開発費・設備投資の増加等により、当社グループの財務業績やバリューチェーン全体が影響を受ける可能性があることも認識しており、気候関連リスク・機会への影響について分析を行うとともに、引き続き事業環境を注視していきます。 |
指標及び目標 | 当社グループは、製品ライフサイクルを通じたCO2排出量を2050年にネットゼロとすることをめざしております。 その達成に向けて、2030年にスコープ1、2排出量を2022年比42%削減、スコープ3(カテゴリー1、11)排出量を2022年比で25%削減することを掲げ、SBTi(Science Based Targets イニシアティブ)の認定を2023年11月に取得しました。 また、2008年以来、キヤノングループ環境目標の総合目標として「ライフサイクルCO2製品1台当たりの改善指数 年平均3%改善」(原単位目標)を掲げています。 この目標を継続的に達成することで、2030年に2008年比で50%の改善を見込んでいます。 2024年は、目標を上回る年平均3.76%、2008年比44.6%の改善となりました。 当事業年度の実績は、スコープ1は198千t-CO2、スコープ2は733千t-CO2、スコープ3は7,173千t-CO2となり、ライフサイクルCO2排出量 (スコープ1、2、3合計)は8,104千t-CO2となりました。 次年度以降も、目標の継続的な達成をめざします。 「ライフサイクルCO2製品1台当たりの改善指数」推移 ※ 2008年を100とした場合 Scope1、2、3(カテゴリー1、11)排出量実績 Scope1+2 Scope3(カテゴリー1、11) Scope1:直接排出(都市ガス、LPG、軽油、灯油、非エネルギー系温室効果ガスなど)Scope2:間接排出(電気、蒸気など)Scope3:サプライチェーンでの排出(1:購入した物品・サービス、11:販売した製品の使用) ライフサイクルCO2排出量の推移Scope1 : 直接排出(都市ガス、LPG、軽油、灯油、非エネルギー系温室効果ガスなど)Scope2 : 間接排出(電気、蒸気など)Scope3 : サプライチェーンでの排出(購入した物品・サービス、輸送・流通、販売した製品の使用など) なお、2024年のデータは第三者保証を取得しています。 また、2022年、2023年のデータは一部、2024年算定方法に合わせて再計算しております。 |
人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略 | (6)人的資本当社は、創業以来受け継がれている「人間尊重」の企業DNAのもと、価値創造の源泉は人材にあると考え、人材価値の最大化に向けた投資を積極的に行っています。 現在、キヤノンでは、グローバル優良企業グループ構想フェーズⅥにおいて、生産性向上と、新規事業創出によるポートフォリオの転換を進めています。 その実現に向けて、新技術の研究開発や全社での業務自動化・内製化を推進するための人材ポートフォリオの構築を目指しています。 具体的には、イノベーションを創出する人材の獲得・育成と、多様な人材やアイデアを最大限活かす自由闊達な組織風土の醸成に取り組んでいます。 また、ジョブ型の「役割給制度」を導入し、年齢や性別にとらわれない適材適所の人材配置を推進しています。 また、社員一人ひとりが能力を最大限に発揮するため、さまざまな健康支援を通じて社員の心身の健康を支えています。 さらに、働きやすさと働きがいを通じて、エンゲージメントを向上させることで、個人と会社の成長を実現しています。 以下に示す戦略は、キヤノン株式会社を対象とし、今後、グループ会社に対して各社の状況を考慮しながら、展開していきます。 多様性の確保を含む人材育成と社内環境整備に関する戦略ならびに指標及び目標1.イノベーション人材の獲得と育成当社は、革新的な製品を創出することによって社会に新たな価値を提供するため、優秀な技術人材の獲得と育成に取り組んでいます。 定期採用では、インターンシップを通じて当社の魅力を訴求し、学生の関心を高めるとともに、優秀な学生に直接コンタクトするダイレクトリクルーティングを強化しています。 あわせて、自社にない技術を持つ人材を獲得するキャリア採用(経験者採用)も積極的に行っています。 また、技術人材育成委員会のもと、250以上の専門講座を整備し、長期的視点に立って次世代を担う技術人材を育成しています。 2024年の技術研修の効果(実務への役立ち度)は、5段階で平均4.0と高い水準です。 近年では、保有技術や特許情報などを集約した技術人材データベースを構築し、効果的な人材育成につなげています。 特に、イノベーションに不可欠なデジタル人材の育成については、ソフトウエア技術者の育成を専門的に担う社内教育機関「CIST(Canon Institute of Software Technology)」を2018年に設立し、ソフトウエアに関するスキルを受講者のレベルに応じて身につけられる体制を整えています。 また、全社員に対して、生産性向上やDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するためのIT・DXリテラシー研修を実施し、2024年までに延べ28,000人が受講しました。 さらに、上級者に対しては、最先端のソフト技術を学ぶための社外の教育・研究機関への派遣を積極的に行っています。 2023年からは、「高度技術者認定制度」を導入し、高度な技術的知見を有する技術者を「Top Scientist」「Top Engineer」などとして顕彰することにより、モチベーションの向上や後進の育成に取り組んでいます。 このほか、さまざまな領域でイノベーションを牽引する事業系人材やものづくり人材などを育成するため、多様な研修やトレーニー制度を整備するとともに、各分野における幹部候補者の計画的な配置・育成を行っています。 〈2024年研修実績〉 研修時間研修費用合計62.5万時間40.6億円従業員一人あたり26.7時間17.3万円 〈人材育成の基本的な考え方〉 〈人材育成体系図〉 CPT:Canon Production Trainee CGAP:Canon Global Assignment Policy CGMST:Canon Global Marketing & Sales Trainee CIST:Canon Institute of Software Technology 2.適材適所と少数精鋭の推進当社は、生産性の高い少数精鋭の組織を実現するため、戦略的な人材配置とキャリア形成支援による適材適所を推進しています。 新入社員に対しては、専門性や志向にマッチした配属を行うため、配属先を入社前に確約するジョブマッチング型の採用を拡大しています。 入社3年経過時には、キャリア研修や面談を通じて職務適合性を確認し、万一の配属ミスマッチの早期解消に取り組んでいます。 また、成長領域への人材シフトと、社員の主体的なキャリア形成を実現する仕組みとして「キャリアマッチング制度」(社内公募制度)を導入しています。 2015年からは、新たな職種にチャレンジする社員を支援するため、職種転換研修と社内公募制度を組み合わせた「研修型キャリアマッチング制度」を導入し、2024年までに累計2,445人が社内公募で異動しました。 さらに、2021年からは、国内グループ会社に社内公募制度を拡大し、グループ間の出向・転籍を可能にすることで、キヤノングループ全体での適材適所を推進しています。 そのほか、全社員に対して多様な研修メニューを定期的に紹介するなど、社員のリスキリングを強化しています。 シニア社員に対しては、主体的なキャリア形成を促すセミナーや60歳以上向けの社内公募制度を設けるほか、豊富な知識やスキルを発揮できる柔軟な勤務体系を整備し、年齢にとらわれない全社員戦力化を目指しています。 これらの取り組みの結果、離職率は全国平均(12.1%)※より大幅に少ない1.6%(定年退職扱いを除く)となり、高い定着率を維持しています。 ※厚生労働省 令和5年雇用動向調査 産業、就業形態別離職率 一般労働者 産業計より 〈キャリアマッチングによる社内転職〉 〈研修型キャリアマッチング制度〉 〈社内公募異動者〉累計 3.ジョブ型人材マネジメントの進化当社は、年齢や性別にとらわれない、優秀人材の抜擢と公平・公正な処遇を実現するため、2001年から、ジョブ型の「役割給制度」を導入しています。 役割給制度においては、ポジションごとに職務記述書を作成し、職務に求められる知識やスキルを明確化することにより、自律的なキャリア形成と適材適所の人材配置を可能にしています。 近年は、職務を基軸とした職種別採用やキャリア採用、社内公募などを拡大し、ジョブ型の人材マネジメントを強化しています。 また、処遇面においても、めざましい活躍をした人材に対して特別報酬が支払われるOS(Outstanding)評価制度や、少ない人的リソースで高い利益を創出した場合により高い賞与が支払われる仕組みの導入に加え、ベースアップを継続的に実施するなど、さまざまな報酬制度の改善を通じて人的投資を強化しています。 〈役割等級〉 ※T:Tentative/Training、 G:Job Grade Band 、M:Management Mission Band 4.創造的な組織風土の醸成当社は、イノベーションを創出する自由闊達な職場風土を醸成するため、組織開発に取り組んでいます。 具体的には、コミュニケーションやリーダーシップなどの課題に対して、専任の社内コンサルタントの支援のもと、職場メンバーが対話を通じて課題解決に取り組む「CKI(Canon Knowledge-intensive staff Innovation)」活動を実施し、2024年までに延べ469部門、1万6,600人が参画しました。 さらに、毎年11月に、人材育成と組織開発の総合イベントとして「Canon Inspire Summit」を開催し、組織の活性化に向けた取り組みを加速しています。 また、社員の自発的な創発活動を積極的に支援しています。 例えば、2018年に活動を開始した「Developers Conference」は、社員が事業の枠を超えて製品開発や技術トレンドについて意見を交わす相互啓発の場として広く定着しています。 そのほか、社員同士が活発にコミュニケーションを行うためのオフィス環境づくりを進めるなど、創造的な職場環境の整備に取り組んでいます。 〈基本的な考え方〉 5.ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの推進当社は、多様な価値観やアイデアを取り込みながら、イノベーションを生み出していくためにDE&I※を推進しています。 DE&I推進の組織体制として、2012年に全社横断組織「VIVID(Vital workforce and Value Innovation through Diversity)」を発足し、重点施策として「女性の活躍推進」と「男性の育児参画支援」を掲げ、さまざまな活動を展開しています。 ※ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン 重点施策とKPI・女性管理職比率:2025年末までに2011年比で3倍以上とする・男性の育児休業取得率:2025年末までに50%以上とする 女性の活躍推進については、女性の管理職候補育成を目的とした「女性リーダー研修」を実施し、計画的な育成に取り組んでいます。 加えて、仕事と育児の両立を支援するため、育児休業復職セミナーや管理職によるメンタリングなどのサポート体制を整え、女性が活躍できる環境づくりに努めています。 これらの取り組みの結果、女性活躍のKPIである女性管理職比率は、2024年末時点で、2025年末までの目標を前倒しで達成しました。 さらに、部長職以上の女性幹部社員の人数は過去5年間で約50%増加するなど、着実に活躍の場を広げています。 これらの実績が評価され、女性活躍推進の優良企業として厚生労働省より「えるぼし(3つ星)」の認定を受けています。 一方で、従業員に占める女性比率が低いことが当社の課題となっています。 これは、当社が技術開発を重視した会社であり、一般的に女子学生の割合が少ない技術系の採用が多いことが原因です。 そのため、女性の採用において目標値を設定し、女性採用をより強化するとともに、将来的には女性管理職比率を社員総数における女性比率(2024年末17.0%)と同等にすることを目指しています。 また、2024年より、女子中高生の理工系進学を支援する内閣府男女共同参画局の取り組みである「リコチャレ」に賛同し、さまざまなイベントを実施しました。 なお、2024年は初の女性社外取締役が就任し、2025年は初の女性社外監査役が就任しています。 男性の育児参画支援については、育児休業制度を利用した男性社員の座談会やインタビュー、育児関連セミナーなどを実施し、男女共同参画へ向けた意識改革や職場風土醸成に努めています。 これらの取り組みの結果、男性育児参画のKPIである育児休業取得率は、2024年末時点で、2025年末までの目標を前倒しで達成しました。 また、育児休業の平均取得期間は、経団連平均と比較して、高い水準となっています。 これらの実績が評価され、2019年から子育てサポート企業として厚生労働省より「プラチナくるみん」の認定を受けています。 そのほか、DE&I向上の取り組みとして、障がい者やLGBTQ+などマイノリティについての全社研修やイベントなどを開催し、社員の理解を深める活動を行っています。 連結子会社含む各社の女性管理職比率・男性の育児休業取得率・男女の賃金差異は、第1 企業の概況 5 従業員の状況をご参照ください。 〈女性管理職比率〉 〈男性の育児休業取得率・平均取得期間〉 KPI目標実績経団連平均育児休業取得率50%64.6%47.5%平均取得期間-86.5日43.7日 ※一般社団法人日本経済団体連合会(経団連)平均は2022年実績 6.従業員エンゲージメントの向上当社は、社員一人ひとりが会社の理念や戦略に共感し、意欲的に業務に取り組むためのさまざまな施策を展開しています。 まず、組織と従業員の現状を把握するため、2年に一度、従業員意識調査を実施しています。 調査結果を多面的に分析した上で、調査翌年に全ライン管理職を対象とした「CAMP(Canon Active Management Program)研修」を実施しています。 CAMP研修では、職場ごとに管理職が自組織の課題を議論し、具体的な施策につなげ、その効果を翌年の従業員意識調査で確認するサイクルを回しています。 2023年の従業員意識調査では、前回から「担当業務における自律性」や「自己成長」をはじめとする全項目において、肯定回答率が上昇しました。 特に、やりがい、自己成長、働きやすい環境などエンゲージメントに関連する項目は、着実に改善しています。 2024年のCAMP研修では、「Think Engagement」をテーマとして掲げ、140部門の約1,800名がエンゲージメント向上について議論を行いました。 今後も多様な視点から、組織の課題を洗い出し、さまざまな人事施策に結びつけることによって、社員と会社の双方の成長につなげていきます。 また、若手社員に対しては、2024年より「モチベーション診断」や「パルスサーベイ」を実施し、上司・先輩・人事が一体となってエンゲージメントの向上に取り組んでいます。 これらの取り組みの結果、入社後の早期離職やメンタル不調の抑止などの効果が表れています。 また、ワークライフバランスの充実をはかるため、労働時間の短縮やライフステージに合わせて柔軟に働くことができる労働環境の整備に取り組んでいます。 具体的には、育児や介護を理由とした短時間勤務等の制度の充実や、計画的な休暇取得の促進のほか、ITを活用した業務効率化などを行っています。 これら取り組みの結果、2024年の年間総実労働時間は、全国平均※(1,945時間)より大幅に少ない1,730時間となりました。 ※厚生労働省 毎月勤労統計調査 一般労働者 調査産業計より 〈従業員意識調査を活用したマネジメント改善サイクル〉 〈従業員エンゲージメント〉 ※やりがい、自己成長、働きやすい環境などエンゲージメントに関連する項目における肯定回答率 7.健康経営の推進当社は、創業当初から「健康第一主義」を行動指針に掲げ、健康経営を推進しています。 従業員の心身の状態や生活習慣、業務の状況など、健康診断で得られたデータの詳細な分析をもとに、健康保険組合と協働で8つの健康行動(こころ・がん・運動・食事・体重・睡眠・飲酒・禁煙)の目標値を設定し、実効性のある健康支援を行っています。 例えば、生活習慣病については、睡眠や喫煙が影響していることを踏まえ、良質な睡眠を確保するために専用機器を用いた個別指導や禁煙プログラムの実施などを行っています。 また、2016年からは、全ての国内事業所の敷地内を禁煙とするなどの取り組みを進めた結果、2024年末の喫煙率は13.8%となり、2004年から18.6ポイント減少しました。 また、健康診断や健康行動のデータを組織ごとに分析した「健康レポート」を配布し、社員の健康づくりに向けた職場の自律的な取り組みを後押ししています。 メンタルヘルスについては、ストレスチェックを毎年実施し、高ストレス者に対する産業医面談や保健師による健康相談を行うほか、職場との懇談会を実施するなど職場全体で改善を図っています。 これら取り組みの結果、年々、高ストレス者の割合は減少するなど、効果が表れています。 このほかヘルスリテラシー向上の取り組みとして、健康に関するセミナーやイベントを行うなど、さまざまな健康支援を通じて社員が能力を最大限発揮することを目指しています。 KPI目標値実績健康診断受診率100%100%ストレスチェック受診率100%96.2%がん検診受診率70%51.6% |
人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績、指標及び目標 | (6)人的資本当社は、創業以来受け継がれている「人間尊重」の企業DNAのもと、価値創造の源泉は人材にあると考え、人材価値の最大化に向けた投資を積極的に行っています。 現在、キヤノンでは、グローバル優良企業グループ構想フェーズⅥにおいて、生産性向上と、新規事業創出によるポートフォリオの転換を進めています。 その実現に向けて、新技術の研究開発や全社での業務自動化・内製化を推進するための人材ポートフォリオの構築を目指しています。 具体的には、イノベーションを創出する人材の獲得・育成と、多様な人材やアイデアを最大限活かす自由闊達な組織風土の醸成に取り組んでいます。 また、ジョブ型の「役割給制度」を導入し、年齢や性別にとらわれない適材適所の人材配置を推進しています。 また、社員一人ひとりが能力を最大限に発揮するため、さまざまな健康支援を通じて社員の心身の健康を支えています。 さらに、働きやすさと働きがいを通じて、エンゲージメントを向上させることで、個人と会社の成長を実現しています。 以下に示す戦略は、キヤノン株式会社を対象とし、今後、グループ会社に対して各社の状況を考慮しながら、展開していきます。 多様性の確保を含む人材育成と社内環境整備に関する戦略ならびに指標及び目標1.イノベーション人材の獲得と育成当社は、革新的な製品を創出することによって社会に新たな価値を提供するため、優秀な技術人材の獲得と育成に取り組んでいます。 定期採用では、インターンシップを通じて当社の魅力を訴求し、学生の関心を高めるとともに、優秀な学生に直接コンタクトするダイレクトリクルーティングを強化しています。 あわせて、自社にない技術を持つ人材を獲得するキャリア採用(経験者採用)も積極的に行っています。 また、技術人材育成委員会のもと、250以上の専門講座を整備し、長期的視点に立って次世代を担う技術人材を育成しています。 2024年の技術研修の効果(実務への役立ち度)は、5段階で平均4.0と高い水準です。 近年では、保有技術や特許情報などを集約した技術人材データベースを構築し、効果的な人材育成につなげています。 特に、イノベーションに不可欠なデジタル人材の育成については、ソフトウエア技術者の育成を専門的に担う社内教育機関「CIST(Canon Institute of Software Technology)」を2018年に設立し、ソフトウエアに関するスキルを受講者のレベルに応じて身につけられる体制を整えています。 また、全社員に対して、生産性向上やDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するためのIT・DXリテラシー研修を実施し、2024年までに延べ28,000人が受講しました。 さらに、上級者に対しては、最先端のソフト技術を学ぶための社外の教育・研究機関への派遣を積極的に行っています。 2023年からは、「高度技術者認定制度」を導入し、高度な技術的知見を有する技術者を「Top Scientist」「Top Engineer」などとして顕彰することにより、モチベーションの向上や後進の育成に取り組んでいます。 このほか、さまざまな領域でイノベーションを牽引する事業系人材やものづくり人材などを育成するため、多様な研修やトレーニー制度を整備するとともに、各分野における幹部候補者の計画的な配置・育成を行っています。 〈2024年研修実績〉 研修時間研修費用合計62.5万時間40.6億円従業員一人あたり26.7時間17.3万円 〈人材育成の基本的な考え方〉 〈人材育成体系図〉 CPT:Canon Production Trainee CGAP:Canon Global Assignment Policy CGMST:Canon Global Marketing & Sales Trainee CIST:Canon Institute of Software Technology 2.適材適所と少数精鋭の推進当社は、生産性の高い少数精鋭の組織を実現するため、戦略的な人材配置とキャリア形成支援による適材適所を推進しています。 新入社員に対しては、専門性や志向にマッチした配属を行うため、配属先を入社前に確約するジョブマッチング型の採用を拡大しています。 入社3年経過時には、キャリア研修や面談を通じて職務適合性を確認し、万一の配属ミスマッチの早期解消に取り組んでいます。 また、成長領域への人材シフトと、社員の主体的なキャリア形成を実現する仕組みとして「キャリアマッチング制度」(社内公募制度)を導入しています。 2015年からは、新たな職種にチャレンジする社員を支援するため、職種転換研修と社内公募制度を組み合わせた「研修型キャリアマッチング制度」を導入し、2024年までに累計2,445人が社内公募で異動しました。 さらに、2021年からは、国内グループ会社に社内公募制度を拡大し、グループ間の出向・転籍を可能にすることで、キヤノングループ全体での適材適所を推進しています。 そのほか、全社員に対して多様な研修メニューを定期的に紹介するなど、社員のリスキリングを強化しています。 シニア社員に対しては、主体的なキャリア形成を促すセミナーや60歳以上向けの社内公募制度を設けるほか、豊富な知識やスキルを発揮できる柔軟な勤務体系を整備し、年齢にとらわれない全社員戦力化を目指しています。 これらの取り組みの結果、離職率は全国平均(12.1%)※より大幅に少ない1.6%(定年退職扱いを除く)となり、高い定着率を維持しています。 ※厚生労働省 令和5年雇用動向調査 産業、就業形態別離職率 一般労働者 産業計より 〈キャリアマッチングによる社内転職〉 〈研修型キャリアマッチング制度〉 〈社内公募異動者〉累計 3.ジョブ型人材マネジメントの進化当社は、年齢や性別にとらわれない、優秀人材の抜擢と公平・公正な処遇を実現するため、2001年から、ジョブ型の「役割給制度」を導入しています。 役割給制度においては、ポジションごとに職務記述書を作成し、職務に求められる知識やスキルを明確化することにより、自律的なキャリア形成と適材適所の人材配置を可能にしています。 近年は、職務を基軸とした職種別採用やキャリア採用、社内公募などを拡大し、ジョブ型の人材マネジメントを強化しています。 また、処遇面においても、めざましい活躍をした人材に対して特別報酬が支払われるOS(Outstanding)評価制度や、少ない人的リソースで高い利益を創出した場合により高い賞与が支払われる仕組みの導入に加え、ベースアップを継続的に実施するなど、さまざまな報酬制度の改善を通じて人的投資を強化しています。 〈役割等級〉 ※T:Tentative/Training、 G:Job Grade Band 、M:Management Mission Band 4.創造的な組織風土の醸成当社は、イノベーションを創出する自由闊達な職場風土を醸成するため、組織開発に取り組んでいます。 具体的には、コミュニケーションやリーダーシップなどの課題に対して、専任の社内コンサルタントの支援のもと、職場メンバーが対話を通じて課題解決に取り組む「CKI(Canon Knowledge-intensive staff Innovation)」活動を実施し、2024年までに延べ469部門、1万6,600人が参画しました。 さらに、毎年11月に、人材育成と組織開発の総合イベントとして「Canon Inspire Summit」を開催し、組織の活性化に向けた取り組みを加速しています。 また、社員の自発的な創発活動を積極的に支援しています。 例えば、2018年に活動を開始した「Developers Conference」は、社員が事業の枠を超えて製品開発や技術トレンドについて意見を交わす相互啓発の場として広く定着しています。 そのほか、社員同士が活発にコミュニケーションを行うためのオフィス環境づくりを進めるなど、創造的な職場環境の整備に取り組んでいます。 〈基本的な考え方〉 5.ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの推進当社は、多様な価値観やアイデアを取り込みながら、イノベーションを生み出していくためにDE&I※を推進しています。 DE&I推進の組織体制として、2012年に全社横断組織「VIVID(Vital workforce and Value Innovation through Diversity)」を発足し、重点施策として「女性の活躍推進」と「男性の育児参画支援」を掲げ、さまざまな活動を展開しています。 ※ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン 重点施策とKPI・女性管理職比率:2025年末までに2011年比で3倍以上とする・男性の育児休業取得率:2025年末までに50%以上とする 女性の活躍推進については、女性の管理職候補育成を目的とした「女性リーダー研修」を実施し、計画的な育成に取り組んでいます。 加えて、仕事と育児の両立を支援するため、育児休業復職セミナーや管理職によるメンタリングなどのサポート体制を整え、女性が活躍できる環境づくりに努めています。 これらの取り組みの結果、女性活躍のKPIである女性管理職比率は、2024年末時点で、2025年末までの目標を前倒しで達成しました。 さらに、部長職以上の女性幹部社員の人数は過去5年間で約50%増加するなど、着実に活躍の場を広げています。 これらの実績が評価され、女性活躍推進の優良企業として厚生労働省より「えるぼし(3つ星)」の認定を受けています。 一方で、従業員に占める女性比率が低いことが当社の課題となっています。 これは、当社が技術開発を重視した会社であり、一般的に女子学生の割合が少ない技術系の採用が多いことが原因です。 そのため、女性の採用において目標値を設定し、女性採用をより強化するとともに、将来的には女性管理職比率を社員総数における女性比率(2024年末17.0%)と同等にすることを目指しています。 また、2024年より、女子中高生の理工系進学を支援する内閣府男女共同参画局の取り組みである「リコチャレ」に賛同し、さまざまなイベントを実施しました。 なお、2024年は初の女性社外取締役が就任し、2025年は初の女性社外監査役が就任しています。 男性の育児参画支援については、育児休業制度を利用した男性社員の座談会やインタビュー、育児関連セミナーなどを実施し、男女共同参画へ向けた意識改革や職場風土醸成に努めています。 これらの取り組みの結果、男性育児参画のKPIである育児休業取得率は、2024年末時点で、2025年末までの目標を前倒しで達成しました。 また、育児休業の平均取得期間は、経団連平均と比較して、高い水準となっています。 これらの実績が評価され、2019年から子育てサポート企業として厚生労働省より「プラチナくるみん」の認定を受けています。 そのほか、DE&I向上の取り組みとして、障がい者やLGBTQ+などマイノリティについての全社研修やイベントなどを開催し、社員の理解を深める活動を行っています。 連結子会社含む各社の女性管理職比率・男性の育児休業取得率・男女の賃金差異は、第1 企業の概況 5 従業員の状況をご参照ください。 〈女性管理職比率〉 〈男性の育児休業取得率・平均取得期間〉 KPI目標実績経団連平均育児休業取得率50%64.6%47.5%平均取得期間-86.5日43.7日 ※一般社団法人日本経済団体連合会(経団連)平均は2022年実績 6.従業員エンゲージメントの向上当社は、社員一人ひとりが会社の理念や戦略に共感し、意欲的に業務に取り組むためのさまざまな施策を展開しています。 まず、組織と従業員の現状を把握するため、2年に一度、従業員意識調査を実施しています。 調査結果を多面的に分析した上で、調査翌年に全ライン管理職を対象とした「CAMP(Canon Active Management Program)研修」を実施しています。 CAMP研修では、職場ごとに管理職が自組織の課題を議論し、具体的な施策につなげ、その効果を翌年の従業員意識調査で確認するサイクルを回しています。 2023年の従業員意識調査では、前回から「担当業務における自律性」や「自己成長」をはじめとする全項目において、肯定回答率が上昇しました。 特に、やりがい、自己成長、働きやすい環境などエンゲージメントに関連する項目は、着実に改善しています。 2024年のCAMP研修では、「Think Engagement」をテーマとして掲げ、140部門の約1,800名がエンゲージメント向上について議論を行いました。 今後も多様な視点から、組織の課題を洗い出し、さまざまな人事施策に結びつけることによって、社員と会社の双方の成長につなげていきます。 また、若手社員に対しては、2024年より「モチベーション診断」や「パルスサーベイ」を実施し、上司・先輩・人事が一体となってエンゲージメントの向上に取り組んでいます。 これらの取り組みの結果、入社後の早期離職やメンタル不調の抑止などの効果が表れています。 また、ワークライフバランスの充実をはかるため、労働時間の短縮やライフステージに合わせて柔軟に働くことができる労働環境の整備に取り組んでいます。 具体的には、育児や介護を理由とした短時間勤務等の制度の充実や、計画的な休暇取得の促進のほか、ITを活用した業務効率化などを行っています。 これら取り組みの結果、2024年の年間総実労働時間は、全国平均※(1,945時間)より大幅に少ない1,730時間となりました。 ※厚生労働省 毎月勤労統計調査 一般労働者 調査産業計より 〈従業員意識調査を活用したマネジメント改善サイクル〉 〈従業員エンゲージメント〉 ※やりがい、自己成長、働きやすい環境などエンゲージメントに関連する項目における肯定回答率 7.健康経営の推進当社は、創業当初から「健康第一主義」を行動指針に掲げ、健康経営を推進しています。 従業員の心身の状態や生活習慣、業務の状況など、健康診断で得られたデータの詳細な分析をもとに、健康保険組合と協働で8つの健康行動(こころ・がん・運動・食事・体重・睡眠・飲酒・禁煙)の目標値を設定し、実効性のある健康支援を行っています。 例えば、生活習慣病については、睡眠や喫煙が影響していることを踏まえ、良質な睡眠を確保するために専用機器を用いた個別指導や禁煙プログラムの実施などを行っています。 また、2016年からは、全ての国内事業所の敷地内を禁煙とするなどの取り組みを進めた結果、2024年末の喫煙率は13.8%となり、2004年から18.6ポイント減少しました。 また、健康診断や健康行動のデータを組織ごとに分析した「健康レポート」を配布し、社員の健康づくりに向けた職場の自律的な取り組みを後押ししています。 メンタルヘルスについては、ストレスチェックを毎年実施し、高ストレス者に対する産業医面談や保健師による健康相談を行うほか、職場との懇談会を実施するなど職場全体で改善を図っています。 これら取り組みの結果、年々、高ストレス者の割合は減少するなど、効果が表れています。 このほかヘルスリテラシー向上の取り組みとして、健康に関するセミナーやイベントを行うなど、さまざまな健康支援を通じて社員が能力を最大限発揮することを目指しています。 KPI目標値実績健康診断受診率100%100%ストレスチェック受診率100%96.2%がん検診受診率70%51.6% |
事業等のリスク | 3【事業等のリスク】 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) リスクマネジメント体制当社は、取締役会決議に基づき、キヤノングループのリスクマネジメント体制の整備に関する諸施策を立案する「リスクマネジメント委員会」を設置しております。 同委員会は、財務報告の信頼性確保のための体制整備を担当する財務リスク分科会、企業倫理や主要法令の遵守体制の整備を担当するコンプライアンス分科会、事業運営上のリスク全般の管理体制の整備を担当する事業リスク分科会の三分科会から構成されております。 法務部門、ロジスティクス部門、品質部門、人事部門、経理部門など、事業活動に伴う各種リスクを所管する当社の本社管理部門は、それぞれ関連する分科会に所属し、その所管分野について、各部門及び子会社のリスクマネジメント活動を統制・支援しております。 当社各部門及び子会社は、上記体制の下、自律的にリスクマネジメント体制の整備・運用を行い、その活動結果をリスクマネジメント委員会に毎年報告しております。 リスクマネジメント委員会は、各分科会並びに各部門及び子会社からの報告を受け、リスクマネジメント体制の整備・運用状況を評価し、その結果をCEO及び取締役会に報告する役割を担っております。 リスクマネジメント体制 リスクマネジメントプロセス (2) 事業等のリスク 当社グループ(当社及びその連結子会社。 以下、当該項目では「当社」という。 )の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性のある主なリスクには以下のようなものがあります。 当社では、グループ経営上のリスクについて、取締役会が定める「リスクマネジメント基本規程」に基づき設置されるリスクマネジメント委員会において、毎年、当社の経営に重大な影響を及ぼす可能性のあるリスクの特定を行っており、以下のリスクも同委員会で審議のうえ特定されたものです。 ただし、以下のリスクは当社に関するすべてのリスクを網羅したものではなく、対応策もこれらのリスクを完全に排除するものではありません。 なお、下記の事項は有価証券報告書提出日(2025年3月28日)現在において判断した記載となっております。 リスクマップ (注)リスクマップ上の各リスク番号は、当社で各リスクを「①事業特有の重要性が高いリスク」、「②事業横断的な重要性が高いリスク」、「③一般的なリスク」に分類の上、これらの順に設定しております。 ①事業特有の重要性が高いリスク ①-1.プリント市場における環境の変化に関連するリスク影響度:大発生可能性:中●リスク 多機能・高性能なスマートデバイスやアプリケーションの普及によるデジタル化、環境への配慮に伴うペーパーレス化の浸透、リモートワークの普及による働き方の変化などにより、プリント市場全体としては、将来的にプリント機会が減少していくことが予想されます。 このような市場環境の変化に対応した製品やサービス、ソリューションを当社が十分に提供できない場合、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 ☆対応・機会 当社は、家庭用インクジェットプリンターからオフィス向け複合機、大判プリンターや高速商業印刷までに至る幅広い製品群とクラウドサービスを活かして、市場環境の変化に対しても、お客様がプリントを必要とする様々な場所や機会において最適な選択肢を提供できるよう取り組んでおります。 オフィスにおけるプリント機会の変化は、柔軟な働き方の広がりにより自宅など別の場所へプリント機会がシフトすることなどに起因しておりますが、当社はインクジェットプリンターや小型レーザープリンターを活用し、オフィス外でもセキュリティの高い業務印刷と管理機能を提供するサービスを開始し、新しい市場環境への適合を進めております。 ペーパーレス化の浸透についても、デジタルトランスフォーメーションを促進する高速スキャナーとしての機能も併せ持つオフィス向け複合機を、様々なドキュメントマネジメントサービスと連携させることにより、ソリューションの提供を行っていきます。 さらに、アナログ印刷からデジタル印刷への切り替えや多品種少量印刷のニーズの高まりにより中長期的な成長が見込まれる商業印刷・産業印刷の分野を、当社にとって成長期待の高い領域として新製品やサービスを投入し需要の取り込みを進めていきます。 (注)当社の事業活動については、第2 事業の状況 4「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の(2)「経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」の ⑦「トレンド情報」に記載しております。 ①-2.カメラ・ネットワークカメラ・映像解析技術のビジネスにおける競争に関連するリスク影響度:大発生可能性:中●リスク カメラ市場は、スマートフォンなどのデジタルデバイスの撮影機能が著しく向上する中、撮影行為そのものに対する消費者の嗜好も変化し多様化しており、価格と性能の競争が激化しています。 競合他社に対して優位性を維持できる新製品の投入及び消費者の嗜好の変化にマッチした製品や映像を楽しむ新たなサービスの提供ができない場合、当社の地位が相対的に低下し、結果として当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 一方、ネットワークカメラ市場は、セキュリティや映像解析ソリューションに対するニーズの高まりにより、市場は拡大傾向にありますが、競争が激化する中で他社に対して優位性を維持できる製品やサービスが提供できない場合、当社の地位が相対的に低下し、結果として当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 ☆対応・機会 当社はデジタルカメラの性能をさらに進化させ、スマートフォンとの一層の差別化を図り、高品質且つ多様化する映像表現へのニーズに応えるため、プロやハイアマチュアからエントリーユーザー向けまで幅広いラインアップのさらなる強化を進めております。 また、更なる撮影表現の拡大を目指しVR(Virtual Reality:仮想現実)映像撮影システムも拡張しています。 加えて、手軽さや特定シーンでの撮影を求める新たなユーザーを掘り起こしていくために、新ジャンルのカメラの展開を進めております。 ネットワークカメラは、防犯や防災などのセキュリティ分野の成長はもちろんのこと、AIやクラウドといった技術との融合により、店舗での顧客行動の分析や工場での生産工程の効率化など、多岐にわたる分野で活用が進んでおります。 市場の変化をいち早く捉え、対策を講じるべく、キヤノンがこれまで培ってきた光学技術、映像処理・解析技術とネットワーク技術を融合させ、既存事業の競争力をさらに強化するとともに、ネットワークカメラを活用した映像DX市場での事業拡大を進めます。 (注)当社の事業活動については、第2 事業の状況 4「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の(2)「経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」の ⑦「トレンド情報」に記載しております。 ①-3.医療機器市場における認証・承認等の事業環境対応に関連するリスク影響度:大発生可能性:中●リスク 画像診断装置を主とする医療機関向け医療機器市場は、その製品の性質上、医師・技師等の医療従事者に対する営業活動を行っておりますが、各国・地域における営業活動に対しては種々の規制・行動基準が定められており、それらの把握及び遵守に努める必要があります。 また、新技術・新製品の臨床効果の検証、さらに各国・地域の医療機器規制へ対応し認証・承認等を取得する必要があることから、製品構想、研究開発から製品販売までに時間を要します。 今後の新技術・新製品の臨床効果を読みきれず、適時に製品を市場投入できずに競争力を維持できない場合、あるいは想定外の新規制により新規事業の大幅な軌道修正を余儀なくされるような場合には、投資に対して十分な収益が生み出されず、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 さらに、昨今の地政学的リスクをはじめとする事業環境の不確実性に加え、がんや循環器疾病の早期発見、パンデミックや社会保障制度改革への対応、医療従事者の人手不足、病院経営の悪化などの様々な事業環境の変化や市場ニーズに即応できない場合には、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 ☆対応・機会 医療業界特有の各国・地域の様々な法規制が厳格化される中において、取引先や協業会社と連携しながら、お客様のご要望や事業環境の変化を見極め、AI技術やキヤノンのコア技術を活用し、臨床価値、経済的価値の高い製品やサービスをタイムリーに提供してまいります。 更に、DXを活用した営業生産性向上や業務効率化も推進します。 また、新興国を含む新規市場の開拓にあたっては技術流出や国産優遇のリスクのミニマム化を図ってまいります。 また、個別化医療や再生医療が注目される中で、医療の潮流への影響をいち早く捉え、より迅速に対策を講じてまいります。 医療の高度化に伴いデータ量が増大する中、初期投資やメンテナンス費用を削減できる医療クラウドプラットフォームの活用が不可欠となっている状況において、医療機関を中心とした情報セキュリティの強化を支援し、臨床的価値と安心・安全の両方を提供することでお客様との信頼関係を構築していきます。 (注)当社の事業活動については、第2 事業の状況 4「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の(2)「経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」の ⑦「トレンド情報」に記載しております。 ①-4.半導体・FPD業界における特有のビジネスサイクルに関連するリスク影響度:大発生可能性:中●リスク 半導体・FPD業界のビジネスサイクルには変動幅、時期、期間が予測しづらいという特徴があります。 半導体デバイスやパネルが供給過剰となる時期には、当社の半導体露光装置、FPD露光装置や有機EL蒸着装置を含む製造設備への投資が大きく減少します。 このようなビジネスサイクルを持つ環境の中で、当社は競争力を維持向上するために、研究開発へ多額の投資を継続していく必要があります。 市況の下降局面では、売上減少や在庫増によるキャッシュ・フロー悪化の影響で、研究開発費などの発生した費用の全てもしくは一部を回収できない場合があり、当社のビジネス、経営成績及び財政状態は悪影響を受ける可能性があります。 市場の変化が当社の想定と異なり、顧客のニーズを満たせなかった場合、顧客のビジネスに悪影響を与え、結果的に顧客との信頼関係を損ねてしまう可能性があります。 ☆対応・機会 当社は、継続的な装置性能の向上と顧客ニーズへの対応力を強化することで、幅広い需要を取り込み、顧客や用途の多様化・販売地域バランスの向上に向けた製品開発を進めております。 加えて、既に市場で稼働する装置に対しては、更なる装置性能向上や仕様の追加など、顧客ニーズに対応するサービスサポートを行っており、製品開発とアフターサービスの両輪で収益基盤の安定化を図っております。 また当社では、市場の変化をいち早く捉え、対策を講じるべく、事前の情報収集と分析を重視し、定常的に実施しております。 半導体において、中長期的な市場の成長や当社製品のシェア拡大に向けて、新生産工場の建設を進めております。 生産能力の向上に当たっては既存製造設備の活用やグループ内での柔軟な人員配置体制の構築を進めるなど、今後の市況変動の影響を最小限に抑える施策を講じております。 (注)当社の事業活動については、第2 事業の状況 4「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の(2)「経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」の ⑦「トレンド情報」に記載しております。 ①-5.販売に関連するリスク影響度:大発生可能性:低●リスク 当社において、HP Inc.とのビジネスは重要であり、OEMパートナーとして、長年にわたり強固な関係を構築しておりますが、HP Inc.が、政策、ビジネス、経営成績の変化により、当社との関係を制限または縮小する決定を為す場合、当社のビジネス、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、当社と取引のあるその他の大手ビジネスパートナーとも良好な関係を構築しております。 しかし、これらのパートナーが政策、ビジネス、経営成績の変化により、当社との関係を制限または縮小する決定を為す場合、当社のビジネス、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 さらに、当社の想定を超える環境の変化が起こる場合、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 ☆対応・機会 当社は、直接、間接販売のチャネルを地域ごとでバランスよく展開しております。 特定パートナーの変化についても既存チャネルでの対応に加え、積極的な新規ビジネスパートナーの開拓を継続しております。 また、HP Inc.とのビジネスにおいては、多様化するワークスタイルやオフィス環境の変化に対応した競争力ある製品を提供し続けるとともに、良好かつ強固なパートナーシップを維持強化していきます。 ②事業横断的な重要性が高いリスク ②-1.サプライチェーンに関連するリスク影響度:大発生可能性:高●リスク 当社は部品や材料の購入から、製品の生産、販売までの一連の流れについて、最適なサプライチェーンの構築に努めております。 しかし、当社は重要な部品や材料を外部の特定サプライヤーに依存しており、当社の製品で横断的に使用されている部品や材料に品質問題、あるいは供給不足や価格高騰が発生する場合、生産活動の中断や製造原価の上昇等を引き起す可能性があります。 これに加えて、部品や材料の調達、製品の世界各国・地域へのスムーズな供給において、物流サービスが有効に機能する必要がありますが、コンピューター化されたロジスティクス・システムに何らかのトラブルが発生する場合、米中対立・ウクライナ紛争・中東情勢等の地政学的リスクや港湾労働者によるストライキ等の労使紛争により物流が混乱する場合、高額製品が輸送中の事故により損害を受け、保険で補償が不可能な場合、また、代替製品を顧客に納品できない場合、当社のサプライチェーンに悪影響を及ぼすとともに、販売機会の損失等により当社の経営成績に悪影響を及ぼし、顧客からの信用を失う可能性があります。 さらに、企業の社会的責任として、サプライチェーンにおける人権の尊重及び保護や環境保全への取り組みが、国際的に求められているため、人権や環境に関連する法令違反や倫理違反などが当社グループのサプライチェーンで発生する場合、当社の社会的信頼とブランド価値が毀損される可能性があります。 ☆対応・機会 当社は、最適な生産システムの構築と品質の向上に努めるとともに、グループ全体の物流を全世界的に運営、管理し、効率的な物流体制の構築及び物流コストの低減に努めるほか、問題発生時に迅速に対応できる体制の整備を図っております。 最適生産システムに関しては、自動化、ロボット化技術等を用いた効率的な生産体制の構築やキーパーツの内製化を進め、外部依存度を管理し、製造原価の低減を図っております。 さらに、新規サプライヤーや別部品、別材料の開拓等により、供給元の多元化を推進し、原材料の高騰と供給不足に対する耐性を高めております。 品質の向上に関しては、品質管理専門の組織を設置し、外部サプライヤーと一緒に品質向上活動を推進し、安定的な原材料、部品の調達に努めております。 これらに加えて、サプライチェーンにおける人権の尊重及び保護への取り組みとして、当社では人権方針を策定し、人権デュー・デリジェンスや救済メカニズムの整備にも取り組んでおります。 当社は、当社が加盟するRBA(Responsible Business Alliance)の行動規範を採用した「キヤノンサプライヤー行動規範」を策定し、労働・安全衛生・環境・マネジメントシステム等に配慮した調達活動を推進しており、主要サプライヤーから行動規範の遵守に関する同意書を取得しております。 さらに、それらのサプライヤーにおける、児童労働・強制労働・過重労働の防止、労働安全衛生の確保、温室効果ガスの削減、原材料の削減、環境法規制遵守等の取り組みを促進すべく、RBAに承認されたキヤノン独自の調査票を用いた点検を毎年実施しております。 ②-2.自然災害・感染症に関連するリスク影響度:大発生可能性:高●リスク 当社の本社ビル、情報システムや研究開発の基幹設備は、東京近郊に集中しておりますが、一般的に日本は世界の他の地域と比較して地震の頻度が多いため、それに伴う被害も受けやすい地域であるといえます。 また、研究開発、調達、生産、ロジスティクス、販売、サービスといった当社の施設や事務所は、世界中に点在しており、地震・気候変動による洪水や森林火災等の自然災害、テロ攻撃といった事象に伴うインフラの停止により混乱状態に陥る可能性があります。 そのような要因は当社の営業活動に悪影響を与え、物的、人的な損害に関する費用を発生させ、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 感染症の拡大により、世界経済・当社の事業活動が停滞する状況や取引先の事業活動や投資意欲の減退等が発生する場合、また、各国政府等の要請により当社の事業活動が制限される事態においては、当社のビジネス、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 特に、当社関連市場において、リモートワークの進展により、オフィス機器のプリントボリュームが当社の想定ほど回復しない状況や、渡航制限により露光装置や産業機器の設置が当社の予想を下回る事態が発生する場合、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 さらに、感染症の拡大は、世界各地のサプライチェーンや当社の生産活動に混乱をきたし、東南アジアなどに所在する当社の一部の工場で生産活動が停滞する可能性があります。 加えて、日本及び海外で経済活動の制限が生じ、オフィスや販売店の閉鎖、海外渡航制限、国際貨物輸送の需給逼迫などが発生する場合、当社の販売活動が悪影響を受ける可能性があります。 ☆対応・機会 当社は、本社の各所管部門が中心となってリスクマネジメント活動を継続的に実施しております。 具体的には、工場操業停止といった最悪の事態に備え、同類機種を複数の拠点で並行生産するというバックアップ体制を一部整えるほか、会社の営業停止時に迅速な復旧を実現するため、初動対応事項や関係部門の役割分担の確認、緊急時の連絡体制やガイドラインの整備、訓練等を行っております。 さらに、研究開発、調達、生産、品質、ロジスティクス、販売、サービスに用いる基幹システムについては、情報システムのダウンに備えてバックアップ体制を整えております。 また、当社は、安定した事業活動維持のため、災害により出勤が不可能になる等、緊急事態におけるリモートワーク体制の確立を行うと共に、各拠点には、産業医や保健師を配置し、万が一の感染症拡大に対して適切な対応に努めております。 今後も自然災害や感染症の再拡大等の状況を想定し、国内・海外における生産活動及び販売活動の体制再構築や強化に取り組んでおります。 ②-3.為替・金利変動に関連するリスク影響度:大発生可能性:高●リスク 当社は、国際的な事業活動により売上の重要な割合を稼得しており、国内外の金融当局の政策変更等に伴う急激な為替レートの変動が、外貨建売上など当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社製品の外貨建売上は、外貨に対する円高により悪影響を受ける一方で、円安は追い風となります。 また、外貨建の取引から生じる当社の資産及び負債の円貨額や海外子会社の外貨建財務諸表から発生する為替換算調整勘定も変動する恐れがあります。 加えて当社は、資産・負債の評価に影響を与える金利変動のリスクにもさらされております。 ☆対応・機会 急激な為替レートの変動に関しては、当社は当社現地法人を含め、定常的に短期為替予約の為替ヘッジ取引を実施しております。 また、競争力の高い製品の投入により安定的な収益を維持すると共に、直近の為替水準を反映した価格で市場に投入するなどの対策を講じております。 金利変動のリスクに対しては、外部からの借入を最小限に抑え、金利動向に左右されない強固な財務体質の維持に努めております。 ②-4.国際政治経済に関連するリスク影響度:大発生可能性:高●リスク 当社は生産及び販売活動の多くを日本国外で行っておりますが、海外における事業活動には主に政治、外交問題または不利な経済状況の発生と予期しない政策及び法制度、規制等の変更のリスクがあります。 主要な市場におけるインフレの長期化や金融引締めに伴う景気後退、ウクライナ・中東情勢や貿易摩擦の問題がさらに深刻化するなど、政治、外交問題または不利な経済状況が発生し、法人顧客の投資抑制や個人消費の低迷が生じる場合、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 特に米国の通商政策に変化があり、当社の売上において一定の割合を占める米国販売へ影響を与える場合、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 法人顧客の投資抑制は、主に当社のオフィス複合機、レーザープリンター、医療機器、露光装置、産業機器など法人顧客向け製品の需要を、また、個人消費の低迷は、カメラやインクジェットプリンターのような消費者向け製品の需要をそれぞれ減少させる可能性があります。 この場合、当社製品の売上が低下し、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 加えて、世界の各国・地域では政治、行政や法制度整備に係る様々な問題やウクライナ・中東情勢に係る問題があり、当社が予期しない政策及び法制度、規制等の変更に直面するリスクがあります。 ☆対応・機会 政治、外交問題または不利な経済状況の発生については、当社は、当社現地法人と日常的な意思疎通を通じて収集した関連情報や定期的なビジネス概況ヒアリングによる関連情報を経営戦略、業績予想に反映しております。 また、特定の市場または世界全体で需要の減少が見込まれる場合は、当社は商品の生産、供給体制に応じて生産調整を実施しております。 予期しない政策及び法制度、規制等の変更については、当社は特に国際的な環境規制や国際及び国内税制変更に係る対策を強化しております。 また、公正競争、腐敗防止、個人情報保護、安全保障貿易管理、環境その他の法規制に関しては、各所管部門による統制の下、遵守を徹底しております。 ②-5.人材の確保に関連するリスク影響度:中発生可能性:高●リスク 当社の将来の経営成績は、有能な人材の継続的な会社への貢献に拠るところが大きいといえます。 また、開発、生産、販売、管理といった当社の活動に関して有能な人材を採用・育成し、実力ある従業員の雇用の維持を図ることができるかどうかが、当社の将来の経営成績に影響すると考えております。 一方、当社が属する先端技術産業での労働市場における人材獲得競争は、近年ますます激しさを増してきております。 さらに、技術進歩が日進月歩で加速するため、製品の研究開発面で求められる能力を満たすまでに新しい従業員を育てることはますます重要になってきております。 また当社の製造技術の重要課題の一つに技能の伝承があります。 レンズ加工など、特殊技能については、短期間に習得できるものではありません。 有能な人材を採用・育成できず、また有能な人材の流出が生じた場合、開発や生産の遅れなどをもたらし、研究成果や技術が流出するほか、技能が適切に伝承されないリスクが発生します。 ☆対応・機会 当社では、戦略的な要員配置と従業員への積極的なキャリア形成支援により、適材適所を実現し、有能な人材の雇用の維持を図っております。 採用活動では、専門知識や本人の志向をもとに、配属先を入社前に確約するジョブマッチング型の採用を拡大し、各事業が求める人材を最適な部署へ配置しております。 また、入社後3年が経過した従業員に対し、仕事や職場との適応状況を確認する面談を人事部門が行い、一人ひとりが安心して能力を発揮できる環境を整えております。 また、当社ではキャリアマッチング制度(社内公募制度)を充実させ、毎年多くの社員が自らの意思で新しい仕事にチャレンジしております。 その中でも、従業員に研修の機会を提供し、自らの変身に挑戦できる「研修型キャリアマッチング制度」では、専門知識を身につける学び直しの機会を提供し、未経験の仕事にもチャレンジできる仕組みを構築することで、人生100年時代における自律的なキャリア形成を支援しております。 さらに、当社が2018年に設立した「Canon Institute of Software Technology(CIST)」では、製品のソフトウエア開発を中心とした技術者のスキルアップから、新入社員の基礎教育や職種転換をめざす社員の教育まで、体系的かつ継続的な人材育成に取り組んでおり、技術人材の強化と同時に、技術人材への転身を支援しております。 人材育成においては、次世代リーダーの発掘・育成・任用を図る「LEADプログラム」をはじめ、研究開発・ものづくり・販売・管理などのプロフェッショナルを育成する研修プログラムや、トレーニー制度を体系的に実施しております。 当社の事業活動に欠かせない特殊技能においては、卓越した技能をたたえる「キヤノンの名匠認定・表彰」制度への取り組みを通じて、伝承を図っております。 また、急速に進歩する技術に対応すべく、優秀な技術者を発掘・任用し、支援する「高度技術者認定制度」を制定しました。 これらの取り組みに加え、仕事の成果を公平・公正に評価し、有能な人材に、より高度な役割を与え処遇するという好循環を実現することで、人材の流出防止を図っております。 (注)人材育成・多様性の考え方及び取り組みについては、第2 事業の状況 2「サステナビリティに関する考え方及び取組」の(6)「人的資本」に記載しております。 ②-6.情報・製品セキュリティに関連するリスク影響度:中発生可能性:高●リスク 当社は、製造・研究開発・調達・生産・販売・会計などのビジネスプロセスに関する機密情報や、顧客やその他関係者に関する機密情報を電子データとして保有しております。 当社はこれらの電子データを、第三者によって管理されているものも含め、様々なシステムやネットワークを介して利用しております。 これらの電子データに関し、ハッカーやコンピューターウイルスによるサイバー攻撃やインフラの障害、天災などによって、個人情報の漏洩、サービスの停止などが発生する可能性があります。 特にサイバー攻撃はますます高度化、複雑化し、その攻撃対象は世界各地にわたっております。 日本及び海外において事業活動を展開する当社の拠点が、情報技術の脆弱性を突かれ、攻撃を受けた場合、当社ネットワークへの不正アクセスやウェブサイト・オンラインサービスの停止などが発生する可能性があります。 また、当社の製品・サービスは、ネットワークを介してクラウドやスマートフォンと連携し、ますます利便性を高めています。 電子データの活用や情報サービス機能の利用が進む中で、顧客に提供する製品・サービスにおいても個人情報や機密情報の漏洩などのセキュリティリスクは増大しており、インシデントが発生する可能性があります。 このような事態が起きた場合、重要な業務の中断や、顧客やその他関係者に関する個人情報・営業機密などの機密データの漏洩、製品の情報サービス機能などへの悪影響のほか、損害賠償責任などが発生する可能性もあります。 その結果、社会的信用失墜やブランド価値の低下、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 ☆対応・機会 当社では保有する電子データを安全かつ厳密に管理するため、情報セキュリティならびに情報インフラの強化を図っております。 当社は、情報セキュリティ担当執行役員を情報セキュリティの意思決定者と位置づけ、情報通信システム本部が実務組織として、グループ全体の情報セキュリティマネジメントにおける責任を担っております。 また、情報セキュリティをグループ全体で同じレベル、同じ考え方で維持することを目的として、「グループ情報セキュリティルール」を策定し、全世界のグループ会社に適用しております。 サイバー攻撃などの情報セキュリティインシデントへの対処としては、専門チームCSIRT(Computer Security Incident Response Team)を設置しており、外部からのサイバー攻撃への対策として、不審電子メールの遮断、社内ネットワークへの不正侵入監視、インターネットへの不正通信監視などの環境を構築し攻撃被害の拡大防止に努めるとともに、定期的にサイバー攻撃対応訓練を実施し対応体制の強化を図っております。 また、外部に公開するウェブサイトに対しても日常的に脆弱性(セキュリティホール)の調査・対策を実施し、オンラインサービス停止リスクを低減しております。 従業員に対しても、業務に使用するソフトウエアの管理や情報の取り扱い及びサイバー攻撃に対する社員研修、標的型攻撃メール訓練などを全社で行い、意識の向上、リテラシーの向上に努めております。 また、情報セキュリティ施策適用の徹底を図るため、毎年当社及びグループ会社に対する情報セキュリティ監査を実施し、情報セキュリティレベルの継続的な維持・向上に努めております。 また、当社は市場での製品セキュリティ問題へ対応するため、社内にPSIRT(Product Security Incident Response Team)を設置しております。 PSIRTは、経済産業省の早期警戒パートナーシップの枠組みや外部団体と連携して、つねに脆弱性に関する市場動向に注意を払い、最新の情報を収集しています。 また、当社の製品・サービスに関する脆弱性情報を世界中の研究者から受け付ける仕組みを構築すると共に、当社からお客さまへ情報を迅速に開示・掲載するための場所として、外部向けWebサイト(https://psirt.canon)を公開して、世界標準レベルの製品セキュリティ対応に取り組んでいます。 (注)サイバーセキュリティの考え方及び取り組みについては、第2 事業の状況 2「サステナビリティに関する考え方及び取組」の(8)「サイバーセキュリティ」に記載しております。 ②-7.企業買収及び業務提携・戦略的投資に関連するリスク影響度:大発生可能性:低●リスク 当社は、事業拡大を目的として企業買収を実施しております。 また、業務提携、合弁事業、戦略的投資といった様々な形態で、他社との関係を構築しております。 これらの活動は、当社の成長のための施策として重要なものであります。 しかし、景気動向の悪化や、対象会社もしくはパートナーの業績不振により、期待していた事業拡大を実現できない可能性があります。 当社とその対象会社もしくはパートナーが互いに共通の目的を定義し、その目的達成に対して協力していくことが肝要ですが、協力体制の確立が困難となる可能性や、協力体制が確立されても、当社の事業とその対象会社もしくはパートナーが営む事業におけるシナジー効果やビジネスモデルなどが十分な成果を創出できない可能性、また業務統合に想定以上の時間を要する可能性もあります。 また、予測される将来キャッシュ・フローの低下により、当社が貸借対照表に計上しております企業買収に伴うのれん及びその他の無形固定資産が、減損の対象となる可能性もあります。 さらに、有力な提携先との提携が解消になった場合、共同開発を前提とした事業計画に支障をきたし、投資に対する回収が遅れる可能性が生じたり、または回収可能性が低下し、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 ☆対応・機会 当社は、既存事業の成熟化に対応すべく、M&A戦略を強力に推進し、事業ポートフォリオの転換を進めております。 社内で保有する技術や得意とするビジネスに親和性の高い領域を企業買収及び業務提携、戦略的投資の対象とし、中でも優良企業でかつ経営陣の優れた会社に絞り込んで投資を行っております。 企業買収及び業務提携・戦略的投資は、当社取締役会決議やCEO決裁を要しますが、健全な経営判断を担保するため、事前審査のプロセスを強化しております。 事業戦略との整合性及び経済合理性、収益性や成長性、リスク等の観点で投資計画の検証を行い、それらを本社管理部門がそれぞれの専門的な視点で事前審査を行います。 決議や決裁された投資案件に関しては、CEOと本社管理部門が進捗をモニタリングすることにより、継続的に投資の管理が行われております。 買収後は、当社のものづくりノウハウの共有や取引先の共有及びサプライチェーンのサポートを行い、生産効率の向上やコスト削減などのシナジー効果を発揮する取り組みを行っております。 ②-8.環境に関連するリスク影響度:中発生可能性:中●リスク 当社は、急激な気候変動、資源枯渇、有害化学物質による暴露、大気汚染、水質汚濁等、環境における様々なリスクの可能性を認識しております。 また日本及び海外の環境に関する規制の適用を受けております。 これらのリスクの顕在化及び規制の強化により環境に関する費用負担や損害賠償責任が生じる可能性があります。 この場合、当社のビジネス、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、当社は、現在所有しまたは操業している事業所、また以前に所有しまたは操業していた事業所に対する環境汚染の調査と浄化のための責任と義務を負っております。 もし当社が将来の訴訟あるいはその他の手続により損害賠償責任を負わなければならない場合、その費用は保険で賄うことができない可能性もあります。 この場合当社に与える影響は大きくなる可能性があります。 加えて、こうしたリスクへの対応に想定以上にコストを要する事態が生じた場合には、当社のビジネス、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 ☆対応・機会 当社はグループを挙げて地球温暖化ガスの排出削減、省エネ活動、省エネ製品開発等に取り組むと同時に、高度な資源循環をめざし、製品の小型・軽量化やリマニュファクチュアリング、消耗品のリサイクル、更には水資源の効率利用や廃棄物の再資源化等の環境保護対策を進めております。 世界が脱炭素社会への移行を目指す中、製品ライフサイクル全体でCO2排出量を削減する製品に対する販売機会の拡大が期待されます。 また、グリーン調達による有害化学物質の厳格な管理に加え、生産工程で使用する化学物質の削減、排出抑制等の環境活動も行っております。 これらの活動は本社所管部門を中心に、ISO14001によるグループ共通の環境マネジメントシステムを運用する方法を通じて推進されており、日本及び海外の環境に関する規制を遵守するため、本社所管部門がグループ全体における対応を統制しております。 (注)気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)のフレームワークに基づく開示情報は、第2 事業の状況 2「サステナビリティに関する考え方及び取組」の(5)「気候変動」に記載しております。 ③一般的なリスク ③-1.製品品質・製造物責任に関連するリスク影響度:大発生可能性:低●リスク当社が提供する製品及びサービスに、品質問題や製造物責任問題が生じた場合、顧客や社会からの信頼が失墜し、ブランド価値が毀損され、販売に悪影響を及ぼす可能性があります。 特に、製品に重大な品質問題が発生した場合、問題への対応に多大な費用が掛かる可能性があります。 これらによって、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 ☆対応・機会 当社は、国際的な品質管理規格であるISO9001の要求事項にキヤノン独自の仕組みを加えた「品質マネジメントシステム」を構築しております。 キヤノンの各事業部門は、本社品質部門や世界中のグループ会社と連携しながら、品質マネジメントシステムをベースに、各国・地域の法規制にも対応したそれぞれの事業特性に最適な品質保証体制を構築し、徹底した品質管理を行っております。 あらゆる当社製品の品質に関しては、法令で定められた安全基準はもとより、顧客目線での安全性を更に考慮した当社独自の安全基準を設定しております。 また、開発設計から生産・出荷にいたるすべてのプロセスにおいて品質を確認し、品質基準を満たしている製品のみ市場へ出荷する仕組みを徹底することで、製品の品質問題発生によるリスクの最小化を目指しております。 万が一、品質問題が発生した場合、お客様の窓口である各国・地域の販売会社から各事業本部の品質保証部門に報告が入ります。 同部門では、原因の究明や対策の検討を行うとともに、重大な品質問題については事業本部内の関連部門や本社品質部門、ならびに法務部門や広報部門などと適切な対応を協議し、CEOへ報告の上、承認のもと、速やかに対応を実施します。 ③-2.新製品への移行に関連するリスク影響度:大発生可能性:低●リスク 当社が参入している業界の特徴として、ハードウエア及びソフトウエアの性能面における急速な技術の進歩、頻繁な新製品の投入、製品ライフサイクルの短縮化、また製品価格を維持しながらの従来製品以上の性能改善等が挙げられます。 新製品や新サービスの導入に伴うリスクは多岐にわたります。 開発または生産の遅延、導入期における品質問題、製造原価の変動、新製品への切り替えによる現行製品への販売影響、需要予測の不確実性と適正な在庫水準を維持することの難しさに加えて、当社の製品・サービスの基盤である情報システムやネットワーク技術において技術革新が成された場合の移行対応への遅れ等のリスクがあり、当社の収益に大きな影響を及ぼす可能性があります。 また、当社の収益は競合者の製品またはサービスの導入時期によっても影響を受けます。 競合者が当社製品と類似した新製品を当社より先に投入する場合は特に影響を受ける可能性があり、この場合、今後の製品やサービスの需要に影響し、結果として経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 ☆対応・機会 当社は市場のニーズに応えるイノベーティブで価格競争力のある新製品を投入するために多くの経営資源を投入しております。 当社は、上記のリスクに対応するため、業界をリードするコア製品を生み出す「コアコンピタンス技術」と、技術蓄積のベースとなる「基盤要素技術」、さらには成長の中で蓄えられてきたキヤノンブランドを支える技術・ノウハウであり、商品化技術のベースとなる「価値創造基盤技術」を多様に組み合わせた「コアコンピタンスマネジメント」を展開して事業の多角化を行うと共に、事業の競争力を高め、市場のニーズを汲み取った商品をスピーディーに市場に供給することに努めております。 (注)当社の事業活動については、第2 事業の状況 4「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の(2)「経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」の ⑦「トレンド情報」に記載しております。 また、当社の研究開発活動については、第2 事業の状況 6「研究開発活動」に記載しております。 ③-3.有価証券に関連するリスク影響度:中発生可能性:中●リスク 当社の資産には、株式等の有価証券への投資も含まれております。 金融市場におけるボラティリティ及び経済全般に対する不確実性により、株式及び債券市場の変動影響を受け、将来において当社が実施する投資額と現在のその投資額に対する公正価値との間に大きな乖離を生じる場合には、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 ☆対応・機会 当社は、株価の変動や配当の受取りによって利益を受けることを目的とした株式を保有しておらず、主に中長期的成長を目的としたグループ外の企業との連携の一環として、株式を保有しております。 (注)株式の政策保有に関する方針や保有株式の合理性の検証について、第4 提出会社の状況 4「コーポレート・ガバナンスの状況等」 の(5)「株式の保有状況」に記載しております。 ③-4.コンプライアンス・法的行為に関連するリスク影響度:中発生可能性:中●リスク 当社は、多くの国・地域で事業活動を行うにあたり、各種法規制を遵守する必要があります。 また、第三者から訴訟その他の法的行為を受ける可能性があります。 しかし、現在当社が当事者となっている、または今後当事者となる可能性のある訴訟及び法的手続の結果を予測することは困難です。 例えば、当社が高いシェアを占める市場においては、独占禁止法関連の訴訟または調査を受ける可能性があります。 当社にとって不利な結果が生じた場合や、訴訟や調査への対応に多大なコストが発生した場合、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 さらに、コンプライアンス上の問題、例えば、社員の不祥事や組織的不正行為が発生した場合、当社の社会的信頼とブランド価値が毀損される可能性があります。 ☆対応・機会 当社では、リスクが現実の問題として発現する可能性や、発生した場合の経営や事業への影響度合いなどを勘案して、当社が直面し得る独占禁止法違反、腐敗防止法違反、安全保障輸出規制違反などの重大なコンプライアンス違反リスクを特定しております。 これらのリスクを低減するために、業務フローの整備、ルールの整備、関係従業員への法令教育、監査・点検の実施など遵法体制の整備を行っております。 また、当社リスクマネジメント委員会「コンプライアンス分科会」では、「キヤノングループ行動規範」に基づく企業倫理をグループ内で徹底させております。 さらに、第三者からの訴訟その他の法的行為を受けたときに備え、社内に法務部門を設置し、外部弁護士等と連携して対応できるようにしております。 ③-5.知的財産に関連するリスク影響度:中発生可能性:中●リスク頻繁な技術革新を伴う当社製品にとって、プロダクト・イノベーションは非常に重要であり、そのため、特許やその他の知的財産は、競争上重要なファクターとなっておりますが、競合他社が同様の技術を独自に開発したり、当社が出願した特許が認められなかったり、当社の知的財産の不正使用あるいは侵害を防ぐために講じる手段が成功しない等のリスクがあります。 特に新興市場等において、知的財産法が、当社の知的財産を保全するには不十分である等のリスクに直面しております。 一方で、第三者の知的財産権に関して、第三者からの当社に対する侵害主張が正当であると裁定される場合、特定市場における製品の販売差止め、損害賠償の支払い、他社の権利を侵害しない技術の開発や他社技術についてのライセンス取得とそれに伴うロイヤリティの支払いを要求される可能性があります。 当社の知的財産権を有効せしめるため、または他社からの権利侵害の主張に対抗するため、当社は訴訟手続を取らざるを得ない可能性があり、その場合は費用が嵩み、手続に長い期間を費やす可能性があります。 また当社は、特許使用料受取または相手技術のライセンスを受けることと引き換えに、第三者に対して自社特許のライセンスを与えることもあります。 そのようなライセンスの条件や更新時の条件変更によっては、当社のビジネスが影響を受ける可能性があります。 また当社は、ルールや評価システムを設定して、当社従業員の職務発明に対して適切な支払いを行っておりますが、その金額について将来争いが生じないという保証はありません。 更に、当社の商標権をはじめとする知的財産権を侵害する模倣品が流通し、模倣品の使用により顧客に事故、故障、品質不良などの被害が及ぶことで当社のブランド価値が毀損されるとともに、当社のビジネスに悪影響を及ぼす可能性があります。 上記の要因は全て、当社のビジネス、ブランド価値及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 ☆対応・機会 当社は、知的財産活動の目的を事業展開の支援と明確に位置づけ、10年後、20年後の姿を描いて知的財産戦略を策定・実行しております。 当社の知的財産活動は、強い特許ポートフォリオを構築することで、競争優位性の確保と事業の自由度の確保をバランスよく両立させていることが特徴であり、事業のコア技術に関する特許などの取得はもちろんのこと、事業では競合しないが知財で競合するIT系企業などとの訴訟・交渉に備えて、例えば、AI技術やIoT技術、標準化技術などの特許取得にも力を入れております。 このように外部環境や将来の事業を見据えて特許取得を行うとともに、保有する特許の入れ替えを行うことで、強い特許ポートフォリオを維持しております。 当社の知的財産戦略の基本方針として、当社はコアコンピタンス技術に関わる特許は、競争領域において事業を守る特許としてライセンスせずに競争優位性の確保に活用しております。 また、通信、GUI(Graphical User Interface)などの汎用技術に関わる協調領域の特許は、クロスライセンスなどに利用することで、研究開発や事業の自由度を確保し、魅力的な製品やサービスの提供につなげております。 そして、他者の知的財産を尊重する一方で、当社の知的財産の侵害に対しては毅然と対応をしております。 また、他者が容易に到達できない検証困難な発明は、ノウハウとして秘匿し、守ることで他社の追随を許さず、競争優位を確保しております。 当社は上記の知的財産活動における基本的な考え方を実行しつつ、時代とともに戦術を変化させ、知的財産に関連するリスクに対応しております。 (注)当社の知的財産戦略については、第2 事業の状況 4「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」 (2)「経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」の⑥「知的財産戦略」に記載しております。 ③-6.繰延税金資産の回収可能性及び国際的な二重課税に関連するリスク影響度:中発生可能性:低●リスク 経営環境悪化に伴う事業計画の目標未達などにより課税所得の見積りの変更が必要となった場合や、税率の変動を伴う税制の変更などがあった場合には、繰延税金資産の修正が必要となり、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、各国・地域の税務当局との間で見解の相違が生じる場合、国際的な二重課税が生じ、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 ☆対応・機会 当社は繰延税金資産に影響を与えるような、当社及び当社現地法人の課税所得に影響を及ぼす事業計画の変動要因や、各国・地域の税制変更を迅速に把握するよう、定期的な確認を行っております。 また、一部の多国籍企業の過度なタックスプランニングによる国際的な租税回避行為が政治問題化したことを契機として、G20の委託を受けたOECDにおいてBEPS(Base Erosion and Profit Shifting:税源浸食と利益移転)プロジェクトが発足し、2015年10月のBEPSに関する最終報告書公表を受け、各国・地域において税法や租税条約の改正が行われております。 さらに近年においては、経済の電子化に伴う課税上の課題に対処するため、市場国へ課税権を配分する制度及びグローバルミニマム課税制度の導入に関するOECD/IFにおける合意に基づき、各国・地域での制度化が進められております。 このうち、グローバルミニマム課税制度についてはEU主要国や韓国、オーストラリア、ベトナム、タイなどですでに制度化され、また我が国日本においても2023年3月28日に成立した令和5年度税制改正において法制化されました。 こうした国際課税制度の強化が図られる中、当社は、二重課税リスクを低減するため、税務に関するガバナンス体制を整備し、当社現地法人と共に各国・地域における税制や税務行政執行状況の変化への対応を実施するとともに、OECDの各種報告書や経済の電子化に伴う課税上の課題に対処するための新しい国際課税ルールの整備状況などを踏まえた国際税務に係る方針の見直しを適宜実施しております。 ③-7.退職給付会計に関連するリスク影響度:中発生可能性:低●リスク 当社及び一部の子会社は、確定給付型年金制度を有しており、未払退職及び年金費用を数理計算によって認識しております。 数理計算は、割引率、期待運用収益率、昇給率、死亡率といった前提条件に基づいており、これらの前提条件と実際の結果が異なることにより生じた年金数理上の損失は、従業員の平均残存勤務年数にわたり規則的に償却し、年金費用に含めております。 当社は、これらの数理計算上の前提は適切であると考えておりますが、金利低下に伴う割引率の低下や、運用収益の悪化による年金資産の減少など、予測が困難な事象から生じる前提条件からの乖離は、年金数理上の損失の増加につながり、将来の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 ☆対応・機会 当社は、各国・地域の年金積立状況や政府の規制、また人事制度を踏まえ、適宜制度の見直しを検討・実施しております。 |
経営上の重要な契約等 | 5【経営上の重要な契約等】 (1)当社が締結している技術供与契約相手方の名称国名契約内容契約期間京セラドキュメントソリューションズ(株)日本電子写真に関する特許実施権の許諾2002年4月1日から対象特許の満了日までブラザー工業(株)日本電子写真及びファクシミリに関する特許実施権の許諾2009年6月27日から対象特許の満了日まで (2)当社が締結している相互技術援助契約相手方の名称国名契約内容契約期間HP Inc.米国バブルジェットプリンターに関する特許実施権の許諾1993年2月19日から対象特許の満了日までInternational Business Machines Corporation米国情報処理システム製品及びその製造装置に関する特許実施権の許諾2005年12月15日から対象特許の満了日までEastman Kodak Company米国電子写真及びイメージ・プロセス技術に関する特許実施権の許諾2006年11月1日から対象特許の満了日までセイコーエプソン(株)日本情報関連機器に関する特許実施権の許諾2008年8月22日から対象特許の満了日まで |
研究開発活動 | 6【研究開発活動】 当社は創業当時から、業界をリードするコア製品を生みだす「コアコンピタンス技術(以下、コア技術)」と、技術蓄積のベースとなる「基盤要素技術」、さらには、商品化技術のベースとなる「価値創造基盤技術」を多様に組み合わせた「コアコンピタンスマネジメント」を展開して事業の多角化を行ってきました。 コアコンピタンスマネジメントでは、コア技術はその進化にともない、他事業でも再活用できる基盤要素技術として蓄積されていきます。 たとえば、カメラの人物認識というコア技術は、AI・データ統計解析という基盤要素技術として蓄積され進化し、現在では、多角化を担うメディカル事業の医療ITシステムに組み込まれて事業の強化に貢献しています。 このコアコンピタンスマネジメントは、研究開発のプロセスのなかでは「マトリックス研究開発体制」を通して行われています。 本社の研究部門とそれぞれの製品を担う事業部の開発部門がマトリックス型の体制を敷き、全社技術の利活用が可能な体系を構築しています。 製品の競争力のもととなるコア技術は事業部の開発部門が主体ですが、本社の研究部門は、先行的なトレンドリサーチと基盤技術開発を担い、事業部のもつコア技術の先行的な開発につなげています。 さらに、コア技術/基盤要素技術という「製品に入る技術」と、価値創造基盤技術という「製品を支える技術」が一体となって全社で利活用が可能なホリスティックな(技術を複合的に連携できる)開発環境が整っていることが、当社の研究開発の最大の特徴となっています。 これにより、製品に入る技術と製品を支える技術が強い技術として、同時に製品開発に投入されることで、競争力のある製品を生みだしています。 当事業年度におけるグループ全体の研究開発費は、337,348百万円であり、セグメントごとの主な研究開発の成果は次のとおりです。 Ⅰ.プリンティングビジネスユニット 商業印刷向け大型複合機は、高速印刷を実現する、熱効率を高めた定着システム「Print on Demand-Surface Rapid Fusing(POD-SURF)」を搭載した「imagePRESS Vシリーズ」を2022年より販売しています。 「V1350」では、135枚/分のシリーズ最高の高速印刷を実現、印刷物の短納期化に寄与し、効率的に大量出力したい印刷業などのお客様のビジネスを力強く支援します。 「V1000」では、一冊の冊子で厚紙と普通紙が混在するような印刷でも用紙ごとに定着温度を切り替える頻度を抑制し、温度調整によるダウンタイムを削減しました。 厚紙と普通紙で機器を分けずに、1台で高い生産性を維持した連続印刷が可能です。 「V900」では、コンパクト設計でありながら、オプションユニットの拡張性と幅広い用紙対応力で多様な印刷が可能になりました。 これまで上位機種でしか採用されていなかったオプションのインライン分光センサーで、高精度な色調整がボタン一つで実施可能になり、オペレーターの負荷軽減を実現します。 ハードウエアだけでなく、リモート印刷管理アプリ「PRISMAremote Manager」を活用することで、印刷機から離れた場所でも用紙の補充タイミングや稼働状況をリアルタイムに把握可能です。 用紙切れなどのエラーを事前に防止することで、ダウンタイムを削減し業務効率化を支援します。 大判インクジェットプリンターは、基本性能の強化と印刷作業の省力化に取り組みました。 新たに画質を向上させながら耐光性と光沢紙/半光沢紙での耐擦過性を強化した顔料インク「LUCIA PRO II(ルシアプロツー)」を開発しました。 このインクを搭載したグラフィックアート市場向けの「PRO-6600/PRO-4600/PRO-2600」は、imagePROGRAFシリーズ最高の写真画質とプリントの長期保存を両立させました。 また、広告などのグラフィックポスターの出力を担う出力センターや社内印刷部門向けの「GP-6600S/GP-4600S/GP-2600S」は、人目を引く鮮やかなポスターを高速出力するとともに、擦れによる印刷面のキズを抑制し、カット作業などの印刷後の加工や掲示を容易にしました。 これらの機種と、CAD・ポスター市場向けの大判インクジェットプリンター「TZ-32000/TX-4200/TX-3200/TX-2200」は、用紙の給紙や種類の検知、残量の推計を自動で行う「スマートロール紙セット」機能を備え、給紙処理を高速化することでロール紙セットにかかる時間を従来機種より短縮しました。 また、新開発のインクセンシングシステムにより、インク吐出状態を定期的にモニタリングし、インク着弾位置を自動で最適化して高画質を維持するなど、作業の効率化や生産性向上に寄与します。 オフィス向け複合機は、「imageRUNNER ADVANCE DX シリーズ」において、業界トップレベル※1の標準消費電力量(TEC2018※2)の実現、小サイズ紙の出力生産性向上、さまざまな静音化の工夫による稼働音の低減などの、複合機としての本質性能向上に加え、セキュリティ面でも強固な暗号化機能を提供する最新規格への対応など、ラインアップの強化を進めてきました。 2024年に新たに加わった「imageFORCE C7165F」は、光源にLEDマルチチップを採用した次世代露光デバイス「D² Exposure(ディー・スクエア・エクスポージャー)」を搭載し、4,800×2,400dpiの高品位プリントを実現しています。 また、新搭載した紙種を判別する「メディアセンサー」による用紙に応じた最適な印刷設定の自動適応や、プリンタードライバー画面上のガイダンス機能による操作性向上により、高品位成果物の内製ワークフローを簡略化します。 セキュリティ面では、AIを活用したネットワーク環境分析により、最適なセキュリティ設定を推奨することで、IT管理者 がいない企業でもセキュアな運用を支援します。 高性能で使いやすい複合機とクラウド型MFP機能拡張プラットフォーム「uniFLOW Online」を介した多彩なデジタルサービスの組み合わせで、オフィス業務のデジタルトランスフォーメーションを強力にサポートします。 ビジネス向けインクジェットプリンターは、低ランニングコストを実現する特大容量タンク製品シリーズを強化しています。 在宅勤務に特化したフルフロントオペレーション対応の「GX2030/GX1030」、物流・薬局・小売りで使用される用紙の種類・サイズに幅広く対応し、1台で様々な印刷ができる「GX5530」、さらには、受付業務や窓口業務に特化したフロント操作のADF(Automatic Document Feeder)による対面業務の効率化を実現した「GX6530」により、さまざまな角度からビジネスを支援していきます。 家庭用インクジェットプリンターは、仕事や趣味・学習などのさまざまなユースシーンに応える機能と使い勝手を向上させました。 写真や文書印刷に適した「PIXSUS XK130/TS8830」、特大容量タンクを搭載し大量文書を印刷するユーザーに最適な「G3390」では、ユーザーのユースシーンに合わせて選択できるUI(ユーザーインターフェース)の採用により、それぞれの活動に適した使いたい機能に素早くアクセスできます。 当社は、次世代の太陽電池として注目されているペロブスカイト太陽電池の耐久性及び量産安定性を向上させることが期待される高機能材料を開発しました。 ペロブスカイト太陽電池は軽量で曲げられるほか、室内光でも発電できるため、現在の主流となっているシリコン型と比較して設置の自由度が高く、設備投資コストの抑制も期待されています。 新開発の高機能材料は、複合機やレーザープリンターの基幹部品である感光体の開発を通して培ってきた材料技術を応用することで、従来は難しかった高い光電変換効率を維持しながら光電変換層を厚く被覆できることが特長です。 今後、さらなる技術開発を進め、2025年の生産開始をめざします。 当ビジネスユニットに係る研究開発費は、100,361百万円であります。 ※1 オフィス向けカラー複合機(A4片面、毎分25-35枚の出力速度)において。 2024年12月3日現在。 オフィス向けモノクロ複合機(A4片面、毎分25-45枚の出力速度)において。 2024年12月3日現在。 (当社調べ)※2 国際エネルギースタープログラムで定められた測定法による数値。 Ⅱ.メディカルビジネスユニット 当社では国産としては初めてのフォトンカウンティング検出器を搭載したX線CTの医療機器としての認証を2022年12月に取得、国立がん研究センター先端医療開発センター・国立がん研究センター東病院と連携し、特定臨床研究として早期のフォトンカウンティングCT(PCCT)実用化に向けた研究を推進、2024年にはオランダのラドバウド大学、広島大外、ペンシルベニア大学でも、PCCTを用いた臨床研究を開始しました。 当社は、共同臨床研究で得られた意見や評価を開発にフィードバックし、PCCTの開発研究を加速します。 これまでにキヤノンが培ってきた数々の技術を結集したPCCTの早期実用化を通じてCTグローバルシェアNo.1を実現し、画像診断技術のさらなる発展に寄与してまいります。 超音波診断装置では「Aplio iシリーズ」のアプリケーション「Liver Package」を用いた非侵襲的な肝病態の評価法を検証する研究を支援しており、多施設共同研究「iLEAD (innovative Liver Elasticity, Attenuation, and Dispersion ultrasound study)」において、「Liver Package」の「Attenuation Imaging(ATI)」、「Shear Wave Dispersion(SWD)」、「Shear Wave Elastography(SWE)」から得られる情報が、肝臓の脂肪化、炎症、線維化と関連があることが確認され、研究成果に関する論文が国際学術誌「Radiology」に採択され臨床エビデンスとして掲載されました。 このような新たな臨床価値を生み出す技術をベースにアップストリームマーケティングを強化するべく、米国クリーブランド市近郊に「Canon Healthcare USA,Inc.」を設立し、臨床ニーズをとらえたグローバルな製品開発につなげる活動を行っています。 さらに米国クリーブランド・クリニック財団と戦略的研究パートナーシップに合意し、クリーブランド・クリニックの生物医学研究や臨床ケアにおける高い専門性と当社のイメージング技術を生かして共同研究を推進しています。 また、DXを取り入れた、より効率的な販売活動についても進めています。 新製品や販売情報を集中管理し、お客様にとって最適な情報やテクノロジーをタイムリーに提供するという「Canon Medical Academy構想」のもと、オランダとアメリカに新たにトレーニングセンターを稼働させ、プレゼンスの向上にも取り組んでいます。 当ビジネスユニットに係る研究開発費は、52,639百万円であります。 Ⅲ.イメージングビジネスユニット レンズ交換式デジタルカメラ(デジタル一眼レフカメラ及びミラーレスカメラ)では、プロ・ハイアマチュア向けの主力モデル「EOS R5 Mark II」及び「EOS Rシステム」初のフラッグシップ機「EOS R1」を発売しました。 新開発のエンジンシステムやディープラーニング技術の活用により、静止画・動画機能を進化させ、プロ・ハイアマチュア顧客の高い要望に応えるラインアップを構築しました。 また、「RFレンズ」では、動画機能を強化したハイブリッドレンズやVRレンズなどの新製品を投入し、ラインアップを拡充いたしました。 「CINEMA EOS SYSTEM」と業務用ビデオカメラにおいて、マルチカメラワークフローを効率化するワイヤレスリモートアプリケーション「Canon Multi-Camera Control」の提供を開始しました。 「CINEMA EOS SYSTEM」では、印象的な映像表現を可能とするRFマウント採用・6Kフルサイズセンサ搭載の「EOS C400」「EOS C80」、RFマウント採用・通信機能拡充のCINE-SERVO レンズ「CN7×17 KAS T/R1」を発売しました。 放送レンズにおいて、運用性と機能性を高めた新開発のデジタルドライブユニットを搭載した4K放送用カメラ対応ポータブルズームレンズ「CJ27e×7.3B IASE T」の発売を開始しました。 リモートカメラシステムでは映像制作から講義・会議まで用途に適した商品ラインアップを整備し、さらにリモートカメラコントローラー最上位モデル「RC-IP1000」の導入や最大200台までカメラ接続の一括管理が可能な「マルチカメラマネジメントアプリ」によりリモートプロダクションの利便性向上を実現しました。 また、登録した画角へ繰り返し動作する「自動ループアプリケーション」や人物の動きに合わせて自動で被写体を追尾する「自動追尾アプリケーション」の機能強化など、映像制作の効率化・省人化や講義・会議の映像コミュニケーションを支援します。 高度監視市場向けに発売した「映像鮮明化ソフトウェア」は、カメラメーカーとして蓄積してきた膨大な画像データベースと画像処理の知見をもとに、独自開発したディープラーニング画像処理技術を採用しています。 カメラ単体では避けられない低照度環境下などで発生するノイズに対して、さらなる低減処理を行うことが可能です。 また、SPADセンサーの特性を活かすための開発を続けており、SPADセンサー搭載の超高感度カメラ「MS-500」をアップグレードして明暗差が大きい環境やより強いノイズ低減が求められる環境に適応できるようにしました。 同時にネットワーク接続による制御や映像配信も可能とし、より多様なユーザーニーズに対応できる製品になりました。 製造や流通における点検・検査の自動化を支援する映像解析ソフトウェア「Vision Edition」のバージョンアップ版をリリースしました。 大規模遠隔モニタリングに対応するため、マルチカメラ接続機能を拡張し、ビデオ管理ソフトウェア「Milestone XProtect」からの画像取得も可能です。 また、画像添付可能なメール通知機能やAI画像処理との連携機能により、製造工程や物流拠点など、さまざまなシーンで顧客のDX推進に貢献しております。 3Dイメージングの領域においては、「ボリュメトリックビデオシステム」によりスポーツ放送で実際のカメラ位置にとらわれない自由な視点からの映像を展開しました。 3Dコンテンツの撮影から編集までをワンストップで実現した「ボリュメトリックビデオスタジオ-川崎」では、ミュージックビデオなどの映像制作やAR/VRの3Dコンテンツ制作で実績を積み重ねました。 またMR(Mixed Reality:複合現実)では、製造業をはじめとして幅広い分野に3Dデータを活用したソリューションを提供してまいります。 当ビジネスユニットに係る研究開発費は、101,200百万円であります。 Ⅳ.インダストリアルビジネスユニット 半導体露光装置においては、ハンコのように押し付けるシンプルな仕組みで微細な回路パターン形成を実現するナノインプリント半導体製造装置「FPA-1200NZ2C」により、最先端の半導体デバイス製造に貢献します。 この装置は、投影露光装置のように光源の波長による微細化を必要としないため、消費電力やCO2の削減にも貢献しています。 また、高透過率と高耐久性が特徴の新投影レンズを採用したi線ステッパー「FPA-3030i6」により、今後も成長が見込まれるパワーデバイス、グリーンデバイスなどの製造をサポートします。 FPD露光装置においては、第6世代ガラス基板向け「MPAsp-E1003H」により、ディスプレイパネルの使用用途拡大に貢献しています。 この装置は、65型パネルを一括で露光可能な第8世代ガラス基板向け投影光学系を搭載したことで、一度に露光できる幅を約1.2倍に拡大、高解像力と高生産性を両立しました。 さらに車載用途に使われる横長の大型特殊ディスプレイも繋ぎ目なく2ショットで露光できるため、量産時の生産性向上に寄与します。 計測機器分野においては、判別が困難な黒色プラスチック片とその他プラスチック片を高精度に選別する「トラッキング型ラマン分光技術」を用いたプラスチック選別装置を開発しました。 再利用できるプラスチック量の最大化により、サーキュラーエコノミーの構築に寄与します。 当ビジネスユニットに係る研究開発費は、30,559百万円であります。 また、基礎研究等のその他及び全社に係る研究開発費は52,589百万円であります。 注:製品名は日本国内での名称です。 |
設備投資等の概要 | 1【設備投資等の概要】 当連結会計年度の設備投資については、研究開発拠点整備、生産技術の強化、高付加価値製品の生産体制充実を主目的に幅広く投資を実施いたしました。 この結果、当連結会計年度の設備投資総額は219,202百万円となりました。 なお、重要な設備の売却、撤去または滅失はありません。 セグメントの名称設備投資金額(百万円)主な設備投資の目的・内容プリンティングビジネスユニット64,646生産設備の拡充メディカルビジネスユニット10,037生産設備の拡充イメージングビジネスユニット37,194生産設備の拡充インダストリアルビジネスユニット11,808生産設備の拡充その他及び全社95,517研究開発拠点整備及び管理業務用設備の合理化並びに拡充合計219,202 (注) 上記金額に消費税等は含まれておりません。 |
主要な設備の状況 | 2【主要な設備の状況】 当連結会計年度末現在における当社グループの主要な設備の状況は次のとおりであります。 (1)提出会社の状況 2024年12月31日現在 事業所名(所在地)セグメントの名称設備の内容帳簿価額(百万円)従業員数(人)土地(面積㎡)建物及び構築物機械装置及びその他資産合計本社(東京都大田区)プリンティング、メディカル、イメージング、インダストリアル、その他及び全社研究開発用設備及び管理業務用設備36,986(115,201)44,2983,76885,0526,129取手事業所(茨城県取手市)プリンティング生産設備1,156(259,957)17,7188,74327,6174,574阿見事業所(茨城県稲敷郡阿見町)インダストリアル同上1,409(126,586)4,6817936,883311宇都宮事業所(栃木県宇都宮市)イメージング、インダストリアル研究開発用設備及び生産設備11,845(441,443)17,74937,84667,4403,985富士裾野リサーチパーク(静岡県裾野市)プリンティング研究開発用設備10,276(275,780)6,02888217,186907綾瀬事業所(神奈川県綾瀬市)その他及び全社研究開発用設備及び生産設備4,518(50,549)2,0158847,417248矢向事業所(神奈川県川崎市幸区)プリンティング研究開発用設備12,732(42,404)12,3221,61426,6682,064川崎事業所(神奈川県川崎市幸区)プリンティング、イメージング、その他及び全社研究開発用設備及び生産設備24,350(114,732)34,1445,38163,8753,944平塚事業所(神奈川県平塚市)その他及び全社同上6,068(67,241)31,31722,75760,142310玉川事業所(神奈川県川崎市高津区)同上管理業務用設備298(18,330)5,4622085,968221大分事業所(大分県大分市)同上研究開発用設備及び生産設備1,211(103,365)8,8785,96916,058230 (2)国内子会社の状況 2024年12月31日現在 会社名(所在地)事業所名(所在地)セグメントの名称設備の内容帳簿価額(百万円)従業員数(人)土地(面積㎡)建物及び構築物機械装置及びその他資産合計キヤノンプレシジョン(株)(青森県弘前市)本社北和徳事業所(青森県弘前市)プリンティング、その他及び全社生産設備694(60,024)5,1165836,393757北和徳第二事業所(青森県弘前市)同上同上1,574(87,782)3,2762,2877,1371,059福島キヤノン(株)(福島県福島市)同左プリンティング同上659(126,796)9,3991,05011,1081,598キヤノンメディカルシステムズ(株)(栃木県大田原市)本社(栃木県大田原市)メディカル同上2,175(261,205)7,1553,83713,1672,450キヤノン・コンポーネンツ(株)(埼玉県児玉郡 上里町)同左プリンティング、メディカル、その他及び全社同上1,561(49,131)6,1254,53412,220976キヤノンエコロジーインダストリー(株)(茨城県坂東市)同左プリンティング同上1,898(132,224)5,4946358,027555キヤノン化成(株)(茨城県つくば市)岩間事業所(茨城県笠間市)同上同上3,441(118,259)5,1032,22110,765914キヤノン電子(株)(埼玉県秩父市)赤城事業所(群馬県利根郡 昭和村)プリンティング、その他及び全社同上4,929(264,028)1,8218847,634253キヤノンファインテックニスカ(株)(埼玉県三郷市)本社(埼玉県三郷市)プリンティング研究開発用設備及び管理業務用設備6,330(21,659)2,248668,644671キヤノンマーケティングジャパン(株)(東京都港区)本社(東京都港区)プリンティング、イメージング、インダストリアル、その他及び全社管理業務用設備17,319(5,119)9,4797,16933,9672,845キヤノンアネルバ(株)(神奈川県川崎市 麻生区)本社(神奈川県川崎市 麻生区)インダストリアル生産設備4,413(28,887)3,5092,59810,520686長浜キヤノン(株)(滋賀県長浜市)同左プリンティング、インダストリアル同上6,574(215,572)2,5571,56110,6921,067大分キヤノン(株)(大分県国東市)本社安岐事業所(大分県国東市)イメージング同上851(159,492)5,4491,2717,5711,321大分事業所(大分県大分市)同上同上4,364(348,153)11,7894,02220,1751,269日田事業所(大分県日田市)同上同上5,182(366,975)3,3556549,191201大分キヤノンマテリアル(株)(大分県杵築市)本社杵築事業所(大分県杵築市)プリンティング同上2,283(172,287)5,074147,371122大分事業所(大分県大分市)同上同上3,235(276,781)14,7676,40124,4031,263長崎キヤノン(株)(長崎県東彼杵郡 波佐見町)同左イメージング同上2,680(204,403)2,7591,3936,832649宮崎キヤノン(株)(宮崎県児湯郡 高鍋町)同左同上同上1,687(265,952)10,0991,28713,073888 (3)在外子会社の状況 2024年12月31日現在 会社名(所在地)セグメントの名称設備の内容帳簿価額(百万円)従業員数(人)土地(面積㎡)建物及び構築物機械装置及びその他資産合計Canon Europa N.V.(Amstelveen, The Netherlands)プリンティング、イメージング、インダストリアル、その他及び本社管理業務用設備1,534(79,981)2,5611,2285,323564Canon Production Printing Netherlands B.V. (Venlo,The Netherlands)プリンティング研究開発用設備及び生産設備1,611(627,548)13,10412,22426,9391,876Canon Production Printing Germany GmbH & Co.KG (Poing,Germany)同上生産設備8,393(243,367)3,3682,64314,404884Canon U.S.A.,Inc.(New York,U.S.A.)プリンティング、イメージング、インダストリアル、その他及び本社管理業務用設備19,907(591,812)23,7453,65147,3035,137Canon Virginia,Inc.(Virginia,U.S.A.)プリンティング、イメージング生産設備3,136(673,684)3,4517,88414,471802佳能大連事務機有限公司(中華人民共和国遼寧省)プリンティング同上-(171,880)3,5523,6527,204934佳能(蘇州)有限公司(中華人民共和国江蘇省)同上同上-(319,663)1,7794,2155,9942,456台湾佳能股份有限公司(台湾)イメージング同上1,793(137,385)10,9023,09115,7863,852Canon Vietnam Co.,Ltd.(Hanoi,Vietnam)プリンティング同上-(547,494)10,9786,16317,14120,902Canon Hi-Tech (Thailand) Ltd.(Phra Nakhon Sri Ayutthaya,Thailand)同上同上3,258(652,000)11,8572,33017,4456,856Canon Prachinburi(Thailand) Ltd.(Prachinburi,Thailand)同上同上1,636(313,797)5,8865,70213,2245,071Canon Business Machines (Philippines),Inc.(Batangas,Philippines)同上同上-(195,077)6,8749387,8124,254 (注)1 「機械装置及びその他資産」は、機械及び装置、車両運搬具、工具、器具及び備品、建設仮勘定並びにファイ ナンスリースであります。 2 上記金額は、グループ内で賃借している資産分を含んでおります。 3 上記金額に消費税等は含まれておりません。 4 佳能大連事務機有限公司、佳能(蘇州)有限公司、Canon Vietnam Co.,Ltd.、 Canon Business Machines(Philippines),Inc.の土地は、連結会社以外から賃借しております。 |
設備の新設、除却等の計画 | 3【設備の新設、除却等の計画】 当社グループは、多様な事業を国内外で行っており、期末時点においてその設備の新設及び拡充の計画を個々のプロジェクト単位で決定しておりません。 このため、セグメントごとの数値を開示する方法によっております。 当社グループの、2024年12月31日現在において計画している当連結会計年度後1年間の設備投資計画(新設・拡充)は次のとおりであります。 セグメントの名称設備投資計画金額(百万円)主な設備投資の目的・内容プリンティングビジネスユニット63,600生産設備の拡充メディカルビジネスユニット14,900生産設備の拡充イメージングビジネスユニット32,500生産設備の拡充インダストリアルビジネスユニット15,800生産設備の拡充その他及び全社83,200研究開発設備及び管理業務用設備の合理化並びに拡充合計210,000 (注)1 上記計画に伴う所要資金は、自己資金により賄う予定であります。 2 経常的な設備更新のための除売却を除き、重要な設備の除売却の計画はありません。 |
研究開発費、研究開発活動 | 30,559,000,000 |
設備投資額、設備投資等の概要 | 219,202,000,000 |
Employees
平均年齢(年)、提出会社の状況、従業員の状況 | 44 |
平均勤続年数(年)、提出会社の状況、従業員の状況 | 19 |
平均年間給与、提出会社の状況、従業員の状況 | 8,657,347 |
管理職に占める女性労働者の割合、提出会社の指標 | 0 |
全労働者、労働者の男女の賃金の差異、提出会社の指標 | 1 |
正規雇用労働者、労働者の男女の賃金の差異、提出会社の指標 | 1 |
非正規雇用労働者、労働者の男女の賃金の差異、提出会社の指標 | 1 |
Investment
株式の保有状況 | (5)【株式の保有状況】 ①投資株式の区分の基準及び考え方 当社は、保有する投資株式の区分について、専ら株価の変動や配当の受取りによって利益を受けることを目的として保有する場合を純投資目的として区分し、それ以外の株式を純投資目的以外の目的で保有する投資株式として区分しております。 なお、純投資目的である投資株式は保有しておりません。 ②保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式a. 保有方針及び保有の合理性を検証する方法、並びに個別銘柄の保有の適否に関する取締役会等における検証の 内容(1)政策保有に関する方針 当社の中長期的成長のためには、開発・生産・販売の各体制の不断の進化が不可欠であり、これらを全てキヤノングループ自らの経営資源で実現することは困難です。 当社は、これら体制の強化に有益と判断するときは、キヤノングループ外の企業との連携の一環として、当該企業の株式を保有することがあります。 (2)保有株式の合理性の検証の内容 当社は、個別の政策保有株式について、保有目的などの定性面に加え、株式保有による投資収益が当社資本コストを上回っているか否か、定量面での検証も勘案の上、毎年定期的に評価したうえ取締役会に報告し、中長期的な観点から保有の合理性を検証しております。 現在保有する株式については、2025年2月開催の取締役会において、保有の合理性があるものと確認しました。 b. 銘柄数及び貸借対照表計上額 銘柄数(銘柄)貸借対照表計上額の合計額(百万円)非上場株式211,734非上場株式以外の株式119,151 (当事業年度において株式数が増加した銘柄) 銘柄数(銘柄)株式数の増加に係る取得価額の合計額(百万円)株式数の増加の理由非上場株式---非上場株式以外の株式62株主への情報開示、株主総会運営に関する情報収集のため (当事業年度において株式数が減少した銘柄) 銘柄数(銘柄)株式数の減少に係る売却価額の合計額(百万円)非上場株式--非上場株式以外の株式23 c. 特定投資株式及びみなし保有株式の銘柄ごとの株式数、貸借対照表計上額等に関する情報 特定投資株式銘柄当事業年度前事業年度保有目的、業務提携等の概要、定量的な保有効果及び株式数が増加した理由 (注)1当社の株式の保有の有無株式数(株)株式数(株)貸借対照表計上額(百万円)貸借対照表計上額(百万円)ルネサスエレクトロニクス(株)4,166,6004,166,600半導体露光装置の大口顧客、ならびに半導体サプライヤーとして取引関係の維持・強化等のため無8,52710,621Median Technologies S.A.961,826961,826メディカル事業における診断/診療ソリューションの販売・提供に係る取引関係の維持・強化等のため無599718トヨタ自動車(株)6,9956,995株主への情報開示、株主総会運営に関する情報収集のため無2218日本電気(株)100-株主への情報開示、株主総会運営に関する情報収集のため無1-ソニーグループ(株)100100株主への情報開示、株主総会運営に関する情報収集のため無01日本製鉄(株)100-株主への情報開示、株主総会運営に関する情報収集のため無0-パナソニックホールディングス(株)1551,155株主への情報開示、株主総会運営に関する情報収集のため無02日本航空(株)100-株主への情報開示、株主総会運営に関する情報収集のため無0-丸紅(株)100-株主への情報開示、株主総会運営に関する情報収集のため無0-(株)LIXIL100-株主への情報開示、株主総会運営に関する情報収集のため無0-日産自動車(株)100-株主への情報開示、株主総会運営に関する情報収集のため無0- (注)1.銘柄ごとの定量的な保有効果についての詳細は記載困難ですが、各銘柄の株式保有の合理性については、上記 記載のとおり、定量的な側面も勘案した評価結果を2025年2月の取締役会に報告し、検証しております。 2.「-」は、当該銘柄を保有していないことを示しております。 みなし保有株式銘柄当事業年度前事業年度保有目的、業務提携等の概要、定量的な保有効果及び株式数が増加した理由 (注)1当社の株式の保有の有無株式数(株)株式数(株)貸借対照表計上額(百万円) (注)2貸借対照表計上額(百万円) (注)2第一生命ホールディングス(株)6,300,0006,300,000退職給付信託に拠出しており、当社が議決権行使の指図権を有している有26,68118,850SOMPOホールディングス(株)4,697,5831,565,861退職給付信託に拠出しており、当社が議決権行使の指図権を有している有19,34910,798(株)みずほフィナンシャルグループ4,925,0234,925,023退職給付信託に拠出しており、当社が議決権行使の指図権を有している有19,07511,882ダイキン工業(株)987,400987,400退職給付信託に拠出しており、当社が議決権行使の指図権を有している有18,42522,695ニデック(株)2,489,6481,244,824退職給付信託に拠出しており、当社が議決権行使の指図権を有している無7,1087,089東京海上ホールディングス(株)1,156,5001,156,500退職給付信託に拠出しており、当社が議決権行使の指図権を有している有6,6244,081(株)三菱UFJフィナンシャル・グループ3,112,1703,112,170退職給付信託に拠出しており、当社が議決権行使の指図権を有している有5,7453,770ヒューリック(株)3,018,7083,018,708退職給付信託に拠出しており、当社が議決権行使の指図権を有している有4,1364,457(株)三井住友フィナンシャルグループ908,481302,827退職給付信託に拠出しており、当社が議決権行使の指図権を有している有3,4202,083ウシオ電機(株)560,557560,557退職給付信託に拠出しており、当社が議決権行使の指図権を有している無1,1941,135(株)大林組540,500540,500退職給付信託に拠出しており、当社が議決権行使の指図権を有している有1,131659(株)テレビ東京ホールディングス206,500206,500退職給付信託に拠出しており、当社が議決権行使の指図権を有している無667618(株)大塚商会120,00060,000退職給付信託に拠出しており、当社が議決権行使の指図権を有している無433349NIPPON EXPRESSホールディングス(株)61,80020,600退職給付信託に拠出しており、当社が議決権行使の指図権を有している有148165 (注)1.銘柄ごとの定量的な保有効果についての詳細は記載困難ですが、各銘柄の株式保有の合理性については、上記 記載のとおり、定量的な側面も勘案した評価結果を2025年2月の取締役会に報告し、検証しております。 2.「みなし保有株式」の貸借対照表計上額とは、議決権行使権限の対象となる株式数に、事業年度末日の時価を乗 じた金額です。 ③保有目的が純投資目的である投資株式該当事項はありません。 ④当事業年度中に投資株式の保有目的を純投資目的から純投資目的以外の目的に変更したもの該当事項はありません。 |
株式数が増加した銘柄数、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 6 |
株式数が減少した銘柄数、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 2 |
銘柄数、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 21 |
貸借対照表計上額、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 1,734,000,000 |
銘柄数、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 11 |
貸借対照表計上額、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 9,151,000,000 |
株式数の増加に係る取得価額の合計額、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 2,000,000 |
株式数の減少に係る売却価額の合計額、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 3,000,000 |
株式数、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社 | 100 |
貸借対照表計上額、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社 | 0 |
株式数、保有目的が純投資目的以外の目的であるみなし保有株式の明細、提出会社 | 61,800 |
貸借対照表計上額、保有目的が純投資目的以外の目的であるみなし保有株式の明細、提出会社 | 148,000,000 |
株式数が増加した理由、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 株主への情報開示、株主総会運営に関する情報収集のため |
銘柄、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社 | 日産自動車(株) |
保有目的、業務提携等の概要、定量的な保有効果及び株式数が増加した理由、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社 | 株主への情報開示、株主総会運営に関する情報収集のため |
当該株式の発行者による提出会社の株式の保有の有無、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社 | 無 |
銘柄、保有目的が純投資目的以外の目的であるみなし保有株式の明細、提出会社 | NIPPON EXPRESSホールディングス(株) |
保有目的、業務提携等の概要、定量的な保有効果及び株式数が増加した理由、保有目的が純投資目的以外の目的であるみなし保有株式の明細、提出会社 | 退職給付信託に拠出しており、当社が議決権行使の指図権を有している |
当該株式の発行者による提出会社の株式の保有の有無、保有目的が純投資目的以外の目的であるみなし保有株式の明細、提出会社 | 有 |
脚注(保有目的が純投資目的以外の目的であるみなし保有株式)、提出会社 | 2.「みなし保有株式」の貸借対照表計上額とは、議決権行使権限の対象となる株式数に、事業年度末日の時価を乗 じた金額です。 |
Shareholders
大株主の状況 | (6)【大株主の状況】 2024年12月31日現在 氏名又は名称住所所有株式数(株)発行済株式(自己株式を除く。)の総数に対する所有株式数の割合(%) 日本マスタートラスト信託銀行(株)(信託口)東京都港区赤坂一丁目8番1号172,090,50018.23 (株)日本カストディ銀行(信託口)東京都中央区晴海一丁目8番12号64,575,3506.84 (株)みずほ銀行[常任代理人](株)日本カストディ銀行東京都千代田区大手町一丁目5番5号(東京都中央区晴海一丁目8番12号)22,558,1732.39 ステート ストリート バンクウェスト クライアント トリーティー505234[常任代理人](株)みずほ銀行米国、ノースクインシー(東京都港区港南二丁目15番1号)21,857,9782.32 SMBC日興証券(株)東京都千代田区丸の内三丁目3番1号20,241,5042.14 (株)大林組東京都港区港南二丁目15番2号16,527,6071.75 JPモルガン証券(株)東京都千代田区丸の内二丁目7番3号13,980,9531.48 損害保険ジャパン(株)[常任代理人](株)日本カストディ銀行東京都新宿区西新宿一丁目26番1号(東京都中央区晴海一丁目8番12号)13,080,0871.39 モックスレイ・アンド・カンパニー・エルエルシー (注)1[常任代理人](株)三菱UFJ銀行米国、ニューヨーク(東京都千代田区丸の内一丁目4番5号)13,004,2791.38 第一生命保険(株) (注)2[常任代理人](株)日本カストディ銀行東京都千代田区有楽町一丁目13番1号(東京都中央区晴海一丁目8番12号)12,120,7801.28計-370,037,21139.20 (注) 1 モックスレイ・アンド・カンパニー・エルエルシーは、ADR(米国預託証券)の受託機関である ジェーピー・モルガン・チェース・バンクの株式名義人です。 2 第一生命保険(株)については、上記の他に、退職給付信託に係る信託財産として設定した当社株式が 6,180,000株あります。 3 上記の他に、当社が所有している自己株式389,771,598株(発行済株式総数に対する所有株式数の割合 29.22%)があります。 |
株主数-金融機関 | 171 |
株主数-金融商品取引業者 | 46 |
株主数-外国法人等-個人 | 414 |
株主数-外国法人等-個人以外 | 986 |
株主数-個人その他 | 316,921 |
株主数-その他の法人 | 2,081 |
株主数-計 | 320,620 |
氏名又は名称、大株主の状況 | 第一生命保険(株) (注)2[常任代理人](株)日本カストディ銀行 |
株主総利回り | 2 |
株主総会決議による取得の状況 | (1)【株主総会決議による取得の状況】 該当事項はありません。 |
株主総会決議又は取締役会決議に基づかないものの内容 | (3)【株主総会決議又は取締役会決議に基づかないものの内容】 区分株式数(株)価額の総額(円)当事業年度における取得自己株式7,17232,093,503当期間における取得自己株式7593,813,228 (注)当期間における取得自己株式には、2025年3月12日からこの有価証券報告書提出日までの単元未満株式の買取り による株式は含まれておりません。 |
Shareholders2
自己株式の取得 | -200,032,000,000 |
Audit
監査法人1、連結 | 有限責任監査法人トーマツ |
独立監査人の報告書、連結 | 独立監査人の監査報告書及び内部統制監査報告書 2025年3月28日 キヤノン株式会社 取締役会 御中 有限責任監査法人トーマツ 東 京 事 務 所 指定有限責任社員 業務執行社員 公認会計士山田政之 指定有限責任社員 業務執行社員 公認会計士中村 進 指定有限責任社員 業務執行社員 公認会計士高木秀明 指定有限責任社員 業務執行社員 公認会計士中井雅佳 <連結財務諸表監査>監査意見 当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられているキヤノン株式会社の2024年1月1日から2024年12月31日までの連結会計年度の連結財務諸表、すなわち、連結貸借対照表、連結損益計算書、連結包括利益計算書、連結資本勘定計算書、連結キャッシュ・フロー計算書、注記事項及び連結附属明細表について監査を行った。 当監査法人は、上記の連結財務諸表が、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則の一部を改正する内閣府令(平成14年内閣府令第11号)附則」第3項の規定により米国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、キヤノン株式会社及び連結子会社の2024年12月31日現在の財政状態並びに同日をもって終了する連結会計年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。 監査意見の根拠 当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。 監査の基準における当監査法人の責任は、「連結財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。 当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。 当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。 監査上の主要な検討事項 監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。 監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 のれんの減損テスト ― メディカル報告単位 ― 連結財務諸表注記1及び8監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応 会社の連結財務諸表には、当連結会計年度末において、915,258百万円(資産合計の15.9%)ののれんが計上されており、内、403,131百万円(のれんの44.0%)はメディカル報告単位に配分されている。 のれんについては、毎年第4四半期に、又は潜在的な減損の兆候があればより頻繁に減損テストが実施される。 メディカル報告単位の公正価値は、割引キャッシュ・フロー分析に基づいて決定されており、将来キャッシュ・フロー及び割引率等の見積りを伴う。 将来キャッシュ・フローの見積りは、今後の医療機器市場の成長や事業活動地域の成長を考慮した上で経営者が立案した中期経営計画及び計画策定期間より後の期間の成長率(長期成長率)に基づいている。 割引率の見積りは、主として関連する市場及び産業データ並びに特定のリスク要因を考慮した加重平均資本コストに基づいている。 測定日においてメディカル報告単位の公正価値が帳簿価額を下回った結果、当連結会計年度においてのれんの減損損失165,100百万円が認識されている。 メディカル報告単位に配分されたのれんは、のれん全体の44.0%を占めていること、当該のれんの評価においては、将来キャッシュ・フロー計画や割引率に関する見積り及び仮定についての経営者の重要な判断について、監査人の高度な判断が必要になることに加えて、当監査法人が所属するネットワーク・ファームの評価専門家の関与も含め、より深度ある監査手続が必要となることから、監査上の主要な検討事項であると判断した。 メディカル報告単位の公正価値の評価に用いられた、将来キャッシュ・フロー計画、割引率及び長期成長率については、主に以下の監査上の対応を実施した。 (1) 内部統制の評価• のれんの減損テストに関連する内部統制の整備・運用状況の有効性を評価した。 評価に当たっては、将来キャッシュ・フロー計画、割引率及び長期成長率の見積り及び仮定に関する合理性を確保する統制に焦点を当てた。 (2) 将来キャッシュ・フロー計画の合理性の評価• キャッシュ・フローの実績と、過年度の将来キャッシュ・フロー計画を比較することにより、将来キャッシュ・フロー計画の策定に関する経営者による見積りの精度を評価した。 • 経営者への質問により、将来キャッシュ・フロー計画の重要な仮定を理解した。 • 将来キャッシュ・フロー計画を売上高、売上原価等の要素別に分解し、過年度の実績及び経営者への報告資料等と比較することにより、その合理性を評価した。 • メディカル報告単位の公正価値に与える影響が特に高く、経営者の重要な仮定である売上高成長率を、外部機関の業界レポートに含まれる医療機器別及び事業活動地域別の市場成長予測率と比較することにより、その合理性を評価した。 (3) 評価手法、割引率及び長期成長率の合理性の評価• 当監査法人が所属するネットワーク・ファームの評価専門家を利用し、以下により公正価値の評価手法、割引率及び長期成長率の合理性を評価した。 ‐割引率及び長期成長率の算定を含め、評価手法が、実務上一般に公正妥当と認められる評価手法と整合的であり、妥当であるかの検証 ‐割引率及び長期成長率の決定に利用されたデータ及び計算の正確性の検証 ‐独自に見積りの許容範囲を設定し、会社が選択した割引率及び長期成長率と比較 その他の記載内容 その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。 経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。 また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 当監査法人の連結財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。 連結財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と連結財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 連結財務諸表に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任 経営者の責任は、米国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して連結財務諸表を作成し適正に表示することにある。 これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない連結財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。 連結財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき連結財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、米国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。 監査役及び監査役会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 連結財務諸表監査における監査人の責任 監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての連結財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から連結財務諸表に対する意見を表明することにある。 虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、連結財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。 監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。 ・ 不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。 また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。 監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。 さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。 ・ 連結財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。 ・ 経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。 ・ 経営者が継続企業を前提として連結財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。 継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において連結財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する連結財務諸表の注記事項が適切でない場合は、連結財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。 監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。 ・ 連結財務諸表の表示及び注記事項が、米国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた連結財務諸表の表示、構成及び内容、並びに連結財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。 ・ 連結財務諸表に対する意見を表明するために、会社及び連結子会社の財務情報に関する十分かつ適切な監査証拠を入手する。 監査人は、連結財務諸表の監査に関する指示、監督及び実施に関して責任がある。 監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。 監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。 監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。 監査人は、監査役及び監査役会と協議した事項のうち、当連結会計年度の連結財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。 ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。 <内部統制監査>監査意見 当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第2項の規定に基づく監査証明を行うため、キヤノン株式会社の2024年12月31日現在の内部統制報告書について監査を行った。 当監査法人は、キヤノン株式会社が2024年12月31日現在の財務報告に係る内部統制は有効であると表示した上記の内部統制報告書が、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して、財務報告に係る内部統制の評価結果について、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。 監査意見の根拠 当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に準拠して内部統制監査を行った。 財務報告に係る内部統制の監査の基準における当監査法人の責任は、「内部統制監査における監査人の責任」に記載されている。 当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。 当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。 内部統制報告書に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任 経営者の責任は、財務報告に係る内部統制を整備及び運用し、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して内部統制報告書を作成し適正に表示することにある。 監査役及び監査役会の責任は、財務報告に係る内部統制の整備及び運用状況を監視、検証することにある。 なお、財務報告に係る内部統制により財務報告の虚偽の記載を完全には防止又は発見することができない可能性がある。 内部統制監査における監査人の責任 監査人の責任は、監査人が実施した内部統制監査に基づいて、内部統制報告書に重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、内部統制監査報告書において独立の立場から内部統制報告書に対する意見を表明することにある。 監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。 ・ 内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果について監査証拠を入手するための監査手続を実施する。 内部統制監査の監査手続は、監査人の判断により、財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性に基づいて選択及び適用される。 ・ 財務報告に係る内部統制の評価範囲、評価手続及び評価結果について経営者が行った記載を含め、全体としての内部統制報告書の表示を検討する。 ・ 内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果に関する十分かつ適切な監査証拠を入手する。 監査人は、内部統制報告書の監査に関する指示、監督及び実施に関して責任がある。 監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。 監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した内部統制監査の範囲とその実施時期、内部統制監査の実施結果、識別した内部統制の開示すべき重要な不備、その是正結果、及び内部統制の監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。 監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。 <報酬関連情報> 当監査法人及び当監査法人と同一のネットワークに属する者に対する、会社及び子会社の監査証明業務に基づく報酬及び非監査業務に基づく報酬の額は、「提出会社の状況」に含まれるコーポレート・ガバナンスの状況等(3)【監査の状況】 に記載されている。 利害関係 会社及び連結子会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。 以 上(注)1. 上記の監査報告書の原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。 2. XBRLデータは監査の対象には含まれていません。 |
監査上の主要な検討事項、連結 | 監査上の主要な検討事項 監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。 監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 のれんの減損テスト ― メディカル報告単位 ― 連結財務諸表注記1及び8監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応 会社の連結財務諸表には、当連結会計年度末において、915,258百万円(資産合計の15.9%)ののれんが計上されており、内、403,131百万円(のれんの44.0%)はメディカル報告単位に配分されている。 のれんについては、毎年第4四半期に、又は潜在的な減損の兆候があればより頻繁に減損テストが実施される。 メディカル報告単位の公正価値は、割引キャッシュ・フロー分析に基づいて決定されており、将来キャッシュ・フロー及び割引率等の見積りを伴う。 将来キャッシュ・フローの見積りは、今後の医療機器市場の成長や事業活動地域の成長を考慮した上で経営者が立案した中期経営計画及び計画策定期間より後の期間の成長率(長期成長率)に基づいている。 割引率の見積りは、主として関連する市場及び産業データ並びに特定のリスク要因を考慮した加重平均資本コストに基づいている。 測定日においてメディカル報告単位の公正価値が帳簿価額を下回った結果、当連結会計年度においてのれんの減損損失165,100百万円が認識されている。 メディカル報告単位に配分されたのれんは、のれん全体の44.0%を占めていること、当該のれんの評価においては、将来キャッシュ・フロー計画や割引率に関する見積り及び仮定についての経営者の重要な判断について、監査人の高度な判断が必要になることに加えて、当監査法人が所属するネットワーク・ファームの評価専門家の関与も含め、より深度ある監査手続が必要となることから、監査上の主要な検討事項であると判断した。 メディカル報告単位の公正価値の評価に用いられた、将来キャッシュ・フロー計画、割引率及び長期成長率については、主に以下の監査上の対応を実施した。 (1) 内部統制の評価• のれんの減損テストに関連する内部統制の整備・運用状況の有効性を評価した。 評価に当たっては、将来キャッシュ・フロー計画、割引率及び長期成長率の見積り及び仮定に関する合理性を確保する統制に焦点を当てた。 (2) 将来キャッシュ・フロー計画の合理性の評価• キャッシュ・フローの実績と、過年度の将来キャッシュ・フロー計画を比較することにより、将来キャッシュ・フロー計画の策定に関する経営者による見積りの精度を評価した。 • 経営者への質問により、将来キャッシュ・フロー計画の重要な仮定を理解した。 • 将来キャッシュ・フロー計画を売上高、売上原価等の要素別に分解し、過年度の実績及び経営者への報告資料等と比較することにより、その合理性を評価した。 • メディカル報告単位の公正価値に与える影響が特に高く、経営者の重要な仮定である売上高成長率を、外部機関の業界レポートに含まれる医療機器別及び事業活動地域別の市場成長予測率と比較することにより、その合理性を評価した。 (3) 評価手法、割引率及び長期成長率の合理性の評価• 当監査法人が所属するネットワーク・ファームの評価専門家を利用し、以下により公正価値の評価手法、割引率及び長期成長率の合理性を評価した。 ‐割引率及び長期成長率の算定を含め、評価手法が、実務上一般に公正妥当と認められる評価手法と整合的であり、妥当であるかの検証 ‐割引率及び長期成長率の決定に利用されたデータ及び計算の正確性の検証 ‐独自に見積りの許容範囲を設定し、会社が選択した割引率及び長期成長率と比較 |
全体概要、監査上の主要な検討事項、連結 | 監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。 監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 |
見出し、監査上の主要な検討事項、連結 | のれんの減損テスト ― メディカル報告単位 |
内容及び理由、監査上の主要な検討事項、連結 | 会社の連結財務諸表には、当連結会計年度末において、915,258百万円(資産合計の15.9%)ののれんが計上されており、内、403,131百万円(のれんの44.0%)はメディカル報告単位に配分されている。 のれんについては、毎年第4四半期に、又は潜在的な減損の兆候があればより頻繁に減損テストが実施される。 メディカル報告単位の公正価値は、割引キャッシュ・フロー分析に基づいて決定されており、将来キャッシュ・フロー及び割引率等の見積りを伴う。 将来キャッシュ・フローの見積りは、今後の医療機器市場の成長や事業活動地域の成長を考慮した上で経営者が立案した中期経営計画及び計画策定期間より後の期間の成長率(長期成長率)に基づいている。 割引率の見積りは、主として関連する市場及び産業データ並びに特定のリスク要因を考慮した加重平均資本コストに基づいている。 測定日においてメディカル報告単位の公正価値が帳簿価額を下回った結果、当連結会計年度においてのれんの減損損失165,100百万円が認識されている。 メディカル報告単位に配分されたのれんは、のれん全体の44.0%を占めていること、当該のれんの評価においては、将来キャッシュ・フロー計画や割引率に関する見積り及び仮定についての経営者の重要な判断について、監査人の高度な判断が必要になることに加えて、当監査法人が所属するネットワーク・ファームの評価専門家の関与も含め、より深度ある監査手続が必要となることから、監査上の主要な検討事項であると判断した。 |
開示への参照、監査上の主要な検討事項、連結 | 連結財務諸表注記1及び8 |
監査上の対応、監査上の主要な検討事項、連結 | メディカル報告単位の公正価値の評価に用いられた、将来キャッシュ・フロー計画、割引率及び長期成長率については、主に以下の監査上の対応を実施した。 (1) 内部統制の評価• のれんの減損テストに関連する内部統制の整備・運用状況の有効性を評価した。 評価に当たっては、将来キャッシュ・フロー計画、割引率及び長期成長率の見積り及び仮定に関する合理性を確保する統制に焦点を当てた。 (2) 将来キャッシュ・フロー計画の合理性の評価• キャッシュ・フローの実績と、過年度の将来キャッシュ・フロー計画を比較することにより、将来キャッシュ・フロー計画の策定に関する経営者による見積りの精度を評価した。 • 経営者への質問により、将来キャッシュ・フロー計画の重要な仮定を理解した。 • 将来キャッシュ・フロー計画を売上高、売上原価等の要素別に分解し、過年度の実績及び経営者への報告資料等と比較することにより、その合理性を評価した。 • メディカル報告単位の公正価値に与える影響が特に高く、経営者の重要な仮定である売上高成長率を、外部機関の業界レポートに含まれる医療機器別及び事業活動地域別の市場成長予測率と比較することにより、その合理性を評価した。 (3) 評価手法、割引率及び長期成長率の合理性の評価• 当監査法人が所属するネットワーク・ファームの評価専門家を利用し、以下により公正価値の評価手法、割引率及び長期成長率の合理性を評価した。 ‐割引率及び長期成長率の算定を含め、評価手法が、実務上一般に公正妥当と認められる評価手法と整合的であり、妥当であるかの検証 ‐割引率及び長期成長率の決定に利用されたデータ及び計算の正確性の検証 ‐独自に見積りの許容範囲を設定し、会社が選択した割引率及び長期成長率と比較 |
その他の記載内容、連結 | その他の記載内容 その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。 経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。 また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 当監査法人の連結財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。 連結財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と連結財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 |
報酬関連情報、連結 | <報酬関連情報> 当監査法人及び当監査法人と同一のネットワークに属する者に対する、会社及び子会社の監査証明業務に基づく報酬及び非監査業務に基づく報酬の額は、「提出会社の状況」に含まれるコーポレート・ガバナンスの状況等(3)【監査の状況】 に記載されている。 |
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監査法人1、個別 | 有限責任監査法人トーマツ |
独立監査人の報告書、個別 | 独立監査人の監査報告書 2025年3月28日 キヤノン株式会社 取締役会 御中 有限責任監査法人トーマツ 東 京 事 務 所 指定有限責任社員 業務執行社員 公認会計士山田政之 指定有限責任社員 業務執行社員 公認会計士中村 進 指定有限責任社員 業務執行社員 公認会計士高木秀明 指定有限責任社員 業務執行社員 公認会計士中井雅佳 <財務諸表監査>監査意見 当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられているキヤノン株式会社の2024年1月1日から2024年12月31日までの第124期事業年度の財務諸表、すなわち、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、重要な会計方針、その他の注記及び附属明細表について監査を行った。 当監査法人は、上記の財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、キヤノン株式会社の2024年12月31日現在の財政状態及び同日をもって終了する事業年度の経営成績を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。 監査意見の根拠 当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。 監査の基準における当監査法人の責任は、「財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。 当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。 当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。 監査上の主要な検討事項 監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。 監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 子会社株式の評価 ― キヤノンメディカルシステムズ株式会社の株式 ― 財務諸表注記(重要な会計上の見積り)及び(有価証券関係)監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応 会社の財務諸表には、市場価格のない子会社株式が、当事業年度末において1,494,257百万円(資産合計の49.4%)計上されており、内、658,304百万円(市場価格のない子会社株式の44.1%)は子会社であるキヤノンメディカルシステムズ株式会社の株式の帳簿価額である。 キヤノンメディカルシステムズ株式会社は超過収益力(連結財務諸表におけるのれんに相当)を反映して財務諸表から得られる1株当たり純資産額よりも高い価額で取得されている。 この場合、同社の財政状態の悪化がないとしても、取得後に超過収益力が著しく低下し、将来の期間にわたってその状態が続くと予想される場合には、実質価額が帳簿価額の50%程度を下回っている限り、減損処理が必要とされている。 当事業年度末においては、キヤノンメディカルシステムズ株式会社が有する超過収益力を反映する手法によって算定された同社株式の実質価額が帳簿価額と比較して著しく低下していないため、同社株式の減損は認識されていない。 同社株式の実質価額には超過収益力が含まれるため、その算定に際しては将来キャッシュ・フロー及び割引率等の見積りを伴う。 将来キャッシュ・フローの見積りは、今後の医療機器市場の成長や事業活動地域の成長を考慮した上で経営者が立案した中期経営計画及び計画策定期間より後の期間の成長率(長期成長率)に基づいている。 割引率の見積りは、主として関連する市場及び産業データ並びに特定のリスク要因を考慮した加重平均資本コストに基づいている。 キヤノンメディカルシステムズ株式会社の株式の帳簿価額は、市場価格のない子会社株式の44.1%を占めていること、当該株式の実質価額の評価においては、将来キャッシュ・フロー計画や割引率に関する見積り及び仮定についての経営者の重要な判断について、監査人の高度な判断が必要になることに加えて、当監査法人が所属するネットワーク・ファームの評価専門家の関与も含め、より深度ある監査手続が必要となることから、監査上の主要な検討事項であると判断した。 キヤノンメディカルシステムズ株式会社の株式の実質価額の算定に用いられた、将来キャッシュ・フロー計画、割引率及び長期成長率については、主に以下の監査上の対応を実施した。 (1) 内部統制の評価• 実質価額の算定に関連する内部統制の整備・運用状況の有効性を評価した。 評価に当たっては、将来キャッシュ・フロー計画、割引率及び長期成長率の見積り及び仮定に関する合理性を確保する統制に焦点を当てた。 (2) 将来キャッシュ・フロー計画の合理性の評価• キャッシュ・フローの実績と、過年度の将来キャッシュ・フロー計画を比較することにより、将来キャッシュ・フロー計画の策定に関する経営者による見積りの精度を評価した。 • 経営者への質問により、将来キャッシュ・フロー計画の重要な仮定を理解した。 • 将来キャッシュ・フロー計画を売上高、売上原価等の要素別に分解し、過年度の実績及び経営者への報告資料等と比較することにより、その合理性を評価した。 • キヤノンメディカルシステムズ株式会社の株式の実質価額に与える影響が特に高く、経営者の重要な仮定である売上高成長率を、外部機関の業界レポートに含まれる医療機器別及び事業活動地域別の市場成長予測率と比較することにより、その合理性を評価した。 (3) 評価手法、割引率及び長期成長率の合理性の評価• 当監査法人が所属するネットワーク・ファームの評価専門家を利用し、以下により実質価額の評価手法、割引率及び長期成長率の合理性を評価した。 – 割引率及び長期成長率の算定を含め、評価手法が、実務上一般に公正妥当と認められる評価手法と整合的であり、妥当であるかの検証 – 割引率及び長期成長率の決定に利用されたデータ及び計算の正確性の検証 – 独自に見積りの許容範囲を設定し、会社が選択した割引率及び長期成長率と比較 その他の記載内容 その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。 経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。 また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 当監査法人の財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。 財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 財務諸表に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任 経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して財務諸表を作成し適正に表示することにある。 これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。 財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。 監査役及び監査役会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 財務諸表監査における監査人の責任 監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から財務諸表に対する意見を表明することにある。 虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。 監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。 ・ 不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。 また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。 監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。 さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。 ・ 財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。 ・ 経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。 ・ 経営者が継続企業を前提として財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。 継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する財務諸表の注記事項が適切でない場合は、財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。 監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。 ・ 財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた財務諸表の表示、構成及び内容、並びに財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。 監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。 監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。 監査人は、監査役及び監査役会と協議した事項のうち、当事業年度の財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。 ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。 <報酬関連情報> 報酬関連情報は、連結財務諸表の監査報告書に記載されている。 利害関係 会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。 以 上(注)1. 上記の監査報告書の原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。 2. XBRLデータは監査の対象には含まれていません。 |
監査上の主要な検討事項、個別 | 監査上の主要な検討事項 監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。 監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 子会社株式の評価 ― キヤノンメディカルシステムズ株式会社の株式 ― 財務諸表注記(重要な会計上の見積り)及び(有価証券関係)監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応 会社の財務諸表には、市場価格のない子会社株式が、当事業年度末において1,494,257百万円(資産合計の49.4%)計上されており、内、658,304百万円(市場価格のない子会社株式の44.1%)は子会社であるキヤノンメディカルシステムズ株式会社の株式の帳簿価額である。 キヤノンメディカルシステムズ株式会社は超過収益力(連結財務諸表におけるのれんに相当)を反映して財務諸表から得られる1株当たり純資産額よりも高い価額で取得されている。 この場合、同社の財政状態の悪化がないとしても、取得後に超過収益力が著しく低下し、将来の期間にわたってその状態が続くと予想される場合には、実質価額が帳簿価額の50%程度を下回っている限り、減損処理が必要とされている。 当事業年度末においては、キヤノンメディカルシステムズ株式会社が有する超過収益力を反映する手法によって算定された同社株式の実質価額が帳簿価額と比較して著しく低下していないため、同社株式の減損は認識されていない。 同社株式の実質価額には超過収益力が含まれるため、その算定に際しては将来キャッシュ・フロー及び割引率等の見積りを伴う。 将来キャッシュ・フローの見積りは、今後の医療機器市場の成長や事業活動地域の成長を考慮した上で経営者が立案した中期経営計画及び計画策定期間より後の期間の成長率(長期成長率)に基づいている。 割引率の見積りは、主として関連する市場及び産業データ並びに特定のリスク要因を考慮した加重平均資本コストに基づいている。 キヤノンメディカルシステムズ株式会社の株式の帳簿価額は、市場価格のない子会社株式の44.1%を占めていること、当該株式の実質価額の評価においては、将来キャッシュ・フロー計画や割引率に関する見積り及び仮定についての経営者の重要な判断について、監査人の高度な判断が必要になることに加えて、当監査法人が所属するネットワーク・ファームの評価専門家の関与も含め、より深度ある監査手続が必要となることから、監査上の主要な検討事項であると判断した。 キヤノンメディカルシステムズ株式会社の株式の実質価額の算定に用いられた、将来キャッシュ・フロー計画、割引率及び長期成長率については、主に以下の監査上の対応を実施した。 (1) 内部統制の評価• 実質価額の算定に関連する内部統制の整備・運用状況の有効性を評価した。 評価に当たっては、将来キャッシュ・フロー計画、割引率及び長期成長率の見積り及び仮定に関する合理性を確保する統制に焦点を当てた。 (2) 将来キャッシュ・フロー計画の合理性の評価• キャッシュ・フローの実績と、過年度の将来キャッシュ・フロー計画を比較することにより、将来キャッシュ・フロー計画の策定に関する経営者による見積りの精度を評価した。 • 経営者への質問により、将来キャッシュ・フロー計画の重要な仮定を理解した。 • 将来キャッシュ・フロー計画を売上高、売上原価等の要素別に分解し、過年度の実績及び経営者への報告資料等と比較することにより、その合理性を評価した。 • キヤノンメディカルシステムズ株式会社の株式の実質価額に与える影響が特に高く、経営者の重要な仮定である売上高成長率を、外部機関の業界レポートに含まれる医療機器別及び事業活動地域別の市場成長予測率と比較することにより、その合理性を評価した。 (3) 評価手法、割引率及び長期成長率の合理性の評価• 当監査法人が所属するネットワーク・ファームの評価専門家を利用し、以下により実質価額の評価手法、割引率及び長期成長率の合理性を評価した。 – 割引率及び長期成長率の算定を含め、評価手法が、実務上一般に公正妥当と認められる評価手法と整合的であり、妥当であるかの検証 – 割引率及び長期成長率の決定に利用されたデータ及び計算の正確性の検証 – 独自に見積りの許容範囲を設定し、会社が選択した割引率及び長期成長率と比較 |
全体概要、監査上の主要な検討事項、個別 | 監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。 監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 |
見出し、監査上の主要な検討事項、個別 | 子会社株式の評価 ― キヤノンメディカルシステムズ株式会社の株式 |
その他の記載内容、個別 | その他の記載内容 その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。 経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。 また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 当監査法人の財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。 財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 |
報酬関連情報、個別 | <報酬関連情報> 報酬関連情報は、連結財務諸表の監査報告書に記載されている。 |
BS資産
仕掛品 | 112,909,000,000 |
原材料及び貯蔵品 | 10,050,000,000 |
その他、流動資産 | 108,168,000,000 |
建物及び構築物(純額) | 290,643,000,000 |
工具、器具及び備品(純額) | 12,412,000,000 |
土地 | 150,227,000,000 |
建設仮勘定 | 59,895,000,000 |
有形固定資産 | 568,493,000,000 |
ソフトウエア | 14,855,000,000 |
無形固定資産 | 19,983,000,000 |
投資有価証券 | 10,885,000,000 |
長期前払費用 | 11,986,000,000 |
繰延税金資産 | 65,038,000,000 |
投資その他の資産 | 1,701,737,000,000 |
BS負債、資本
短期借入金 | 540,545,000,000 |
未払金 | 52,572,000,000 |
未払法人税等 | 39,330,000,000 |
未払費用 | 40,799,000,000 |
賞与引当金 | 5,689,000,000 |
資本剰余金 | 306,288,000,000 |
利益剰余金 | 2,786,589,000,000 |
株主資本 | 1,709,420,000,000 |
その他有価証券評価差額金 | 6,000,000,000 |
評価・換算差額等 | 5,715,000,000 |
負債純資産 | 3,026,990,000,000 |
PL
売上原価 | 1,303,472,000,000 |
販売費及び一般管理費 | 362,338,000,000 |
営業利益又は営業損失 | 220,221,000,000 |
受取利息、営業外収益 | 1,501,000,000 |
受取配当金、営業外収益 | 262,626,000,000 |
営業外収益 | 291,698,000,000 |
支払利息、営業外費用 | 6,391,000,000 |
営業外費用 | 46,461,000,000 |
固定資産売却益、特別利益 | 124,000,000 |
投資有価証券売却益、特別利益 | 2,000,000 |
特別利益 | 60,275,000,000 |
特別損失 | 1,678,000,000 |
法人税、住民税及び事業税 | 57,102,000,000 |
法人税等調整額 | -2,130,000,000 |
法人税等 | 54,972,000,000 |
PL2
剰余金の配当 | -141,530,000,000 |
株主資本以外の項目の当期変動額(純額) | -3,068,000,000 |
当期変動額合計 | 124,513,000,000 |
FS_ALL
受取手形 | 7,538,000,000 |
売掛金 | 282,137,000,000 |
減価償却費、販売費及び一般管理費 | 13,969,000,000 |
研究開発費、販売費及び一般管理費 | 201,168,000,000 |
概要や注記
連結財務諸表等の適正性を確保するための特段の取組み、経理の状況 | 当社は、連結財務諸表等の適正性を確保するための特段の取組みを行っております。 具体的には、会計基準等の内容を適切に把握し、または会計基準等の変更等について的確に対応するため、米国財務会計基準審議会及び公益財団法人財務会計基準機構等から情報の収集を行い、適正性の確保に努めております。 |
有形固定資産の圧縮記帳額の注記 | 3 国庫補助金等により有形固定資産の取得価額から控除している圧縮記帳額及びその内訳は次のとおりであります。 第123期(2023年12月31日)第124期(2024年12月31日)建物及び構築物5,792百万円6,167百万円機械及び装置2,6413,007車両運搬具-5工具、器具及び備品4777土地905905合計9,38510,161 |
主要な販売費及び一般管理費 | 2 販売費及び一般管理費の主要な費目及び金額は次のとおりであります。 なお、販売費及び一般管理費のうち販売費に属する費用のおおよその割合は、第123期は20%、第124期は20%であります。 第123期(2023年1月1日から 2023年12月31日まで)第124期(2024年1月1日から 2024年12月31日まで)製品保証引当金繰入額4,992百万円5,064百万円研究開発費211,737201,168従業員給料及び手当58,01859,898減価償却費14,93913,969 |
社債明細表、連結財務諸表 | 【社債明細表】 該当事項はありません。 |
借入金等明細表、連結財務諸表 | 【借入金等明細表】 当該情報は連結財務諸表に関する注9に記載されております。 |
資産除去債務明細表、連結財務諸表 | 【資産除去債務明細表】 前連結会計年度末及び当連結会計年度末における資産除去債務の金額が、各連結会計年度末における負債及び純資産合計額の100分の1以下であるため、記載を省略しております。 |
その他、連結財務諸表等 | (2)【その他】 当連結会計年度における四半期情報等(累計期間)第1四半期中間連結会計期間第3四半期当連結会計年度売上高 (百万円) 988,5192,156,3053,236,1114,509,821税引前中間(当期)(四半期)純利益(百万円) 89,222221,447310,769301,161当社株主に帰属する中間(当期)(四半期)純利益 (百万円)59,949149,806218,569160,025基本的1株当たり当社株主に帰属する中間(当期)(四半期)純利益 (円)60.70152.53224.49165.53 (会計期間)第1四半期第2四半期第3四半期第4四半期基本的1株当たり当社株主に帰属する四半期純利益(損失) (円)60.7091.8871.88△62.03 (注)1.第1四半期については、旧金融商品取引法第24条の4の7第1項の規定による四半期報告書を提出しております。 2.第3四半期については、金融商品取引所の定める規則により四半期に係る財務情報を作成しており、当該四半期に係る財務情報に対する期中レビューを受けております。 |
貸借対照表 | ①【貸借対照表】 (単位:百万円) 第123期(2023年12月31日)第124期(2024年12月31日)資産の部 流動資産 現金及び預金43,84544,670受取手形2,1607,538売掛金248,023282,137製品92,57990,868仕掛品105,592112,909原材料及び貯蔵品7,79110,050短期貸付金93,36780,567その他77,994108,168貸倒引当金-△130流動資産合計671,351736,777固定資産 有形固定資産 建物及び構築物305,256290,643機械及び装置58,14555,083車両運搬具248233工具、器具及び備品12,28112,412土地150,227150,227建設仮勘定26,57459,895有形固定資産合計552,731568,493無形固定資産 ソフトウエア14,53114,855のれん3,9453,636その他1,7701,492無形固定資産合計20,24619,983投資その他の資産 投資有価証券14,02910,885関係会社株式1,560,5351,562,850関係会社出資金37,45337,453長期前払費用14,32111,986前払年金費用-8,021繰延税金資産61,44465,038その他6,5155,591貸倒引当金△87△87投資その他の資産合計1,694,2101,701,737固定資産合計2,267,1872,290,213資産合計2,938,5383,026,990 (単位:百万円) 第123期(2023年12月31日)第124期(2024年12月31日)負債の部 流動負債 支払手形9831電子記録債務24,45425,666買掛金270,974333,252短期借入金883,620540,545未払金30,16952,572未払費用39,52440,799未払法人税等22,94739,330預り金9,73310,082製品保証引当金5,3535,232賞与引当金5,1985,689役員賞与引当金326543その他30,29339,928流動負債合計1,322,6891,093,669固定負債 長期借入金-200,000退職給付引当金20,77614,062環境対策引当金720681永年勤続慰労引当金1,3371,109その他1,1401,080固定負債合計23,973216,932負債合計1,346,6621,310,601 (単位:百万円) 第123期(2023年12月31日)第124期(2024年12月31日)純資産の部 株主資本 資本金174,762174,762資本剰余金 資本準備金306,288306,288資本剰余金合計306,288306,288利益剰余金 利益準備金22,11422,114その他利益剰余金 固定資産圧縮積立金3,2033,069別途積立金1,249,9281,249,928繰越利益剰余金1,183,8081,511,478利益剰余金合計2,459,0532,786,589自己株式△1,358,264△1,558,219株主資本合計1,581,8391,709,420評価・換算差額等 その他有価証券評価差額金7,5576,000繰延ヘッジ損益1,495△285評価・換算差額等合計9,0525,715新株予約権9851,254純資産合計1,591,8761,716,389負債純資産合計2,938,5383,026,990 |
損益計算書 | ②【損益計算書】 (単位:百万円) 第123期(2023年1月1日から 2023年12月31日まで)第124期(2024年1月1日から 2024年12月31日まで)売上高1,668,0071,886,031売上原価1,157,4471,303,472売上総利益510,560582,559販売費及び一般管理費376,399362,338営業利益134,161220,221営業外収益 受取利息2,1281,501受取配当金394,531262,626受取賃貸料18,64418,730雑収入17,6928,841営業外収益合計432,995291,698営業外費用 支払利息10,7956,391貸与資産減価償却費15,34815,079為替差損24,20319,517雑損失5,1925,474営業外費用合計55,53846,461経常利益511,618465,458特別利益 固定資産売却益944124投資有価証券売却益112関係会社株式売却益-60,149特別利益合計95560,275特別損失 固定資産除売却損909772投資有価証券評価損-906その他96-特別損失合計1,0051,678税引前当期純利益511,568524,055法人税、住民税及び事業税38,22857,102法人税等調整額△3,415△2,130法人税等合計34,81354,972当期純利益476,755469,083 |
株主資本等変動計算書 | ③【株主資本等変動計算書】 第123期(2023年1月1日から2023年12月31日まで) (単位:百万円) 株主資本評価・換算差額等新株予約権純資産合計 資本金資本剰余金利益剰余金自己株式株主資本合計その他有価証券評価差額金繰延ヘッジ損益 資本準備金利益準備金その他利益剰余金 固定資産圧縮積立金別途積立金繰越利益剰余金当期首残高174,762306,28822,1143,3391,249,928837,828△1,258,3471,335,9124,325797871,341,103当期変動額 固定資産圧縮積立金の積立 - -固定資産圧縮積立金の取崩 △136 136 - -剰余金の配当 △130,870 △130,870 △130,870当期純利益 476,755 476,755 476,755自己株式の取得 △100,019△100,019 △100,019自己株式の処分 △4110261 61株主資本以外の項目の当期変動額(純額) -3,2321,4161984,846当期変動額合計---△136-345,980△99,917245,9273,2321,416198250,773当期末残高174,762306,28822,1143,2031,249,9281,183,808△1,358,2641,581,8397,5571,4959851,591,876 第124期(2024年1月1日から2024年12月31日まで) (単位:百万円) 株主資本評価・換算差額等新株予約権純資産合計 資本金資本剰余金利益剰余金自己株式株主資本合計その他有価証券評価差額金繰延ヘッジ損益 資本準備金利益準備金その他利益剰余金 固定資産圧縮積立金別途積立金繰越利益剰余金当期首残高174,762306,28822,1143,2031,249,9281,183,808△1,358,2641,581,8397,5571,4959851,591,876当期変動額 固定資産圧縮積立金の積立 - -固定資産圧縮積立金の取崩 △134 134 - -剰余金の配当 △141,530 △141,530 △141,530当期純利益 469,083 469,083 469,083自己株式の取得 △200,032△200,032 △200,032自己株式の処分 △177760 60株主資本以外の項目の当期変動額(純額) -△1,557△1,780269△3,068当期変動額合計---△134-327,670△199,955127,581△1,557△1,780269124,513当期末残高174,762306,28822,1143,0691,249,9281,511,478△1,558,2191,709,4206,000△2851,2541,716,389 |
重要な会計方針、財務諸表 | (重要な会計方針)1 有価証券の評価基準及び評価方法(1)子会社株式及び関連会社株式移動平均法による原価法(2)その他有価証券市場価格のない株式等以外のもの期末日の市場価格等に基づく時価法(評価差額は全部純資産直入法により処理し、売却原価は移動平均法により算定)市場価格のない株式等移動平均法による原価法 2 棚卸資産の評価基準及び評価方法 総平均法による原価法(貸借対照表価額は収益性の低下に基づく簿価切下げの方法) 3 固定資産の減価償却の方法(1)有形固定資産(リース資産を除く)定率法を採用しております。 ただし、1998年4月1日以降に取得した建物(建物附属設備を除く)については、定額法を採用しております。 (2)無形固定資産定額法を採用しております。 なお、市場販売目的ソフトウエアについては、関連製品の販売計画等を勘案した見積販売可能期間(3年)に、自社利用ソフトウエアについては社内における利用可能期間(5年)に基づいております。 のれんの償却については、超過収益力の効果の発現する期間を見積り、20年で均等償却を行っております。 (3)リース資産定額法を採用しております。 なお、リース期間を耐用年数としております。 4 引当金の計上基準(1)貸倒引当金 債権の貸倒れによる損失に備えるため、回収不能見込額を計上しております。 ・一般債権 貸倒実績率法によっております。 ・貸倒懸念債権及び破産更生債権 財務内容評価法によっております。 (2)製品保証引当金 製品のアフターサービスに対する支出及び製品販売後の無償修理費用等の支出に備えるため、過去の実績等を基礎として見積算出額を計上しております。 (3)賞与引当金 従業員に対する賞与の支出に備えるため、支給見込額に基づき計上しております。 (4)役員賞与引当金 役員に対する賞与の支出に備えるため、支給見込額に基づき計上しております。 (5)退職給付引当金 従業員の退職給付に備えるため、当事業年度末における退職給付債務及び年金資産の見込額に基づき、当事業年度において発生していると認められる額を計上しております。 なお、退職給付債務の算定にあたり、退職給付見込額を当事業年度までの期間に帰属させる方法については、給付算定式基準によっております。 過去勤務費用はその発生時の従業員の平均残存勤務期間による定額法により費用処理し、数理計算上の差異はその発生時の従業員の平均残存勤務期間による定額法により翌事業年度から費用処理することとしております。 (6)環境対策引当金 土壌汚染拡散防止工事や法令に基づいた有害物質の処理等、環境対策に係る支出に備えるため、今後発生すると見込まれる金額を計上しております。 (7)永年勤続慰労引当金 永年勤続の従業員に対する内部規程に基づく慰労金の支出に備えるため、支給見込額に基づき計上しております。 5 収益及び費用の計上基準 当社は、主にプリンティング、メディカル、イメージング、インダストリアルの各ビジネスユニットにおいて、製品、消耗品並びに製品に関連したサービスを提供しております。 製品及び消耗品の販売及びサービスについて、顧客との契約に基づき履行義務を識別しております。 製品の販売については、顧客への引渡の際に据付を要しない製品については主に出荷または引渡時点に、据付を要する製品については据付時点に、顧客が当該製品に対する支配を獲得し、履行義務が充足されると判断し、収益を認識しております。 サービスの提供については、履行義務が一時点で充足される場合には、サービス提供完了時点において、一定期間にわたり充足される場合には、サービス提供期間にわたり収益を認識しております。 製品及びサービスの取引価格は、合理的に算定した独立販売価格の比率に基づいて各履行義務へ配分しております。 独立販売価格を直接観察できない場合には、独立販売価格を見積もっております。 取引価格に含まれる変動対価は不確実性が解消された時点で取引価格に含め、定期的に見直しをしております。 6 ヘッジ会計の方法(1)ヘッジ会計の方法繰延ヘッジ処理を適用しております。 (2)ヘッジ手段とヘッジ対象ヘッジ手段……デリバティブ取引(為替予約取引)ヘッジ対象……外貨建のグループ会社間の予定売上取引及び売上債権(3)ヘッジ方針 内部規程に基づき、為替変動リスクを回避することを目的として、デリバティブ取引を実施しております。 なお、デリバティブ取引は実需の範囲で行っており、投機目的で行うことはありません。 (4)ヘッジの有効性評価の方法 ヘッジ対象と重要な条件が同一であるヘッジ手段を用いているため、ヘッジ開始時及びその後も継続して双方の相場変動が相殺されておりますので、その確認をもって有効性の評価としております。 7 その他財務諸表作成のための基本となる重要な事項(1)消費税等の会計処理……税抜方式によっております。 (2)グループ通算制度の適用……グループ通算制度を適用しております。 |
重要な会計上の見積り、財務諸表 | (重要な会計上の見積り) 会計上の見積りにより当事業年度に係る財務諸表にその額を計上した項目であって、翌事業年度に係る財務諸表に重要な影響を与える可能性のあるものは、以下のとおりであります。 市場価格のない子会社の株式評価1 当事業年度の財務諸表に計上した金額 関係会社株式 1,562,850百万円 (うち、市場価格のない子会社株式が1,494,257百万円) 2 見積りの内容について財務諸表利用者の理解に資するその他の情報 市場価格のない子会社株式の実質価額は、子会社の財務情報や事業計画を基礎に、超過収益力等を加味して算出しております。 超過収益力は、主として子会社が生み出す将来キャッシュ・フロー及び割引率等の見積りに基づいて測定しております。 将来キャッシュ・フローの見積りは、主として将来の成長率に関する予測に基づいて測定しております。 割引率の見積りは、主として関連する市場及び産業のデータ並びに特定のリスク要因を考慮した加重平均資本コストに基づいております。 算出された子会社株式の実質価額は、取得価額と比較して著しく低下しておらず、当事業年度において子会社株式の減損処理は不要と判断しております。 しかし、上記の見積りは将来の不確実な経済環境の変動などにより、子会社の将来キャッシュ・フローが想定よりも減少した場合には減損損失が認識され、翌事業年度の財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。 なお、重要な子会社株式にキヤノンメディカルシステムズ株式会社の株式があり、当事業年度の財務諸表において658,304百万円が計上されております。 当該子会社の将来キャッシュ・フローの見積りは、今後の医療機器市場の成長や事業活動地域の成長を考慮した上で立案された中期経営計画に基づいております。 当事業年度に算出した当該子会社の超過収益力を加味した実質価額は、株式の取得価額と比較して著しく低下しておらず、減損処理は不要と判断しております。 |
関係会社に関する資産・負債の注記 | 1 区分掲記されたもの以外で各科目に含まれている関係会社に対するものは次のとおりであります。 第123期(2023年12月31日)第124期(2024年12月31日)短期金銭債権362,414百万円422,514百万円短期金銭債務795,035588,877 |
関係会社との営業取引による取引高の総額及び営業取引以外の取引による取引高の総額の注記 | 1 関係会社との取引に係るものは次のとおりであります。 第123期(2023年1月1日から2023年12月31日まで)第124期(2024年1月1日から2024年12月31日まで)売上高1,516,767百万円1,683,967百万円仕入高1,114,9811,246,547営業取引以外の取引高437,628380,456 |
有価証券関係、財務諸表 | (有価証券関係)子会社株式及び関連会社株式第123期(2023年12月31日)区分貸借対照表計上額(百万円)時価(百万円)差額(百万円)子会社株式89,035369,722280,687関連会社株式1475,1034,956合計89,182374,825285,643 第124期(2024年12月31日)区分貸借対照表計上額(百万円)時価(百万円)差額(百万円)子会社株式67,364341,880274,516関連会社株式1475,3995,252合計67,511347,279279,768 (注)上記に含まれない市場価格のない株式等の貸借対照表計上額(単位:百万円) 区分第123期(2023年12月31日)第124期(2024年12月31日)子会社株式1,470,2711,494,257関連会社株式1,0821,082 |
税効果会計関係、財務諸表 | (税効果会計関係)1 繰延税金資産及び繰延税金負債の発生の主な原因別の内訳 第123期(2023年12月31日) 第124期(2024年12月31日)繰延税金資産 退職給付引当金16,660百万円 15,457百万円関係会社株式7,340 7,336棚卸資産評価損2,145 2,247未払事業税1,853 2,447減価償却費損金算入限度超過額15,587 16,148ソフトウェア償却超過額5,459 4,869繰延資産償却超過額18,077 21,657その他11,098 12,929繰延税金資産小計78,219 83,090評価性引当額△9,865 △10,183繰延税金資産合計68,354 72,907 繰延税金負債 固定資産圧縮積立金△1,405 △1,347前払年金費用- △2,446その他△5,505 △4,076繰延税金負債合計△6,910 △7,869繰延税金資産の純額61,444 65,038 2 法定実効税率と税効果会計適用後の法人税等の負担率との間に重要な差異があるときの、当該差異の原因となった主要な項目別の内訳 第123期(2023年12月31日) 第124期(2024年12月31日)法定実効税率31.0% 31.0%(調整) 受取配当金等永久に益金に算入されない項目△22.4 △18.5試験研究費税額控除△2.0 △2.4控除不能外国税額等税務上損金算入されない費用地域未来投資促進税制に係る税額控除その他0.70.1△0.1△0.5 0.90.00.0△0.5税効果会計適用後の法人税等の負担率6.8 10.5 |
収益認識関係、財務諸表 | (収益認識関係) 収益を理解するための基礎となる情報については、「連結財務諸表注記事項<注15 収益>」に記載しております。 |
重要な後発事象、財務諸表 | (重要な後発事象)資金の借入当社は、(株)みずほ銀行及び(株)三井住友銀行との当座貸越契約に基づき、次のとおり借入を実行いたしました。 (1) 資金使途 運転資金 (2) 借入実行日、借入金額 2025年1月6日 200,000百万円 2025年2月19日 50,000百万円 2025年2月26日 20,000百万円 2025年3月12日 30,000百万円 2025年3月19日 70,000百万円(3) 借入先 (株)みずほ銀行、(株)三井住友銀行(4) 金利 基準金利+スプレッド 自己株式の取得1. 自己株式の取得に係る決議の内容当社は、2025年1月30日開催の取締役会において、会社法第165条第3項の規定により読み替えて適用される同法第156条の規定に基づく自己株式の取得について次のとおり決議し、実施いたしました。 (1) 自己株式の取得を行う理由当社は、積極的な成長投資により企業価値の更なる向上を目指すと共に、資本効率の向上を通じて株主還元の充実を図っております。 この株主還元策の一環として、自己株式を取得いたします。 (2) 取得する株式の種類及び数 普通株式 26,000,000株(上限)(3) 取得価額の総額 100,000百万円(上限)(4) 取得の時期 2025年2月3日~2026年1月30日(5) 取得方法 東京証券取引所における市場買付 ①自己株式立会外買付取引(ToSTNeT-3)による市場買付 ②取引一任契約に基づく立会取引市場における市場買付 2. 自己株式の取得の終了2025年1月30日の取締役会決議に基づく自己株式の取得は終了いたしました。 (1) 取得した株式の種類及び数 普通株式 19,685,200株 (2) 取得価額の総額 99,999,605,100円(3) 取得期間 2025年2月3日~2025年3月7日 3. 自己株式の取得に係る決議の内容当社は、2025年3月13日開催の取締役会において、会社法第165条第3項の規定により読み替えて適用される同法第156条の規定に基づく自己株式の取得について次のとおり決議し、実施いたしました。 (1) 自己株式の取得を行う理由当社は、積極的な成長投資により企業価値の更なる向上を目指すと共に、資本効率の向上を通じて株主還元の充実を図っております。 この株主還元策の一環として、自己株式を取得いたします。 (2) 取得する株式の種類及び数 普通株式 26,000,000株(上限)(3) 取得価額の総額 100,000百万円(上限)(4) 取得の時期 2025年3月14日~2026年1月30日(5) 取得方法 東京証券取引所における市場買付 ①自己株式立会外買付取引(ToSTNeT-3)による市場買付 ②取引一任契約に基づく立会取引市場における市場買付 |
有形固定資産等明細表 | 【有形固定資産等明細表】 (単位:百万円)区分資産の種類当期首残高当期増加額当期減少額当期償却額当期末残高減価償却累計額有形固定資産建物及び構築物1,095,39112,2986,68126,6261,101,008810,365 機械及び装置735,31335,50422,54438,324748,273693,190 車両運搬具2,779182501962,9112,678 工具、器具及び備品166,88211,26512,90711,011165,240152,828 土地150,227---150,227- 建設仮勘定26,57494,83861,517-59,895- 計2,177,166154,087103,69976,1572,227,5541,659,061無形固定資産ソフトウエア32,0577,2336,4376,91532,85317,998 のれん5,260--3095,2601,624 その他3,29085413593,3341,842 計40,6077,3186,4787,58341,44721,464 投資その他 の資産 長期前払費用35,9422,16610,5614,33227,54715,561(注)1 当期首残高及び当期末残高は、取得価額であります。 2 建物及び構築物の増加額のうち、主なものは、大分地区で3,356百万円、川崎地区で2,521百万円であります。 3 建物及び構築物の減少額のうち、主なものは、大分地区で2,611百万円であります。 4 機械及び装置の増加額のうち、主なものは、本社地区(その他及び全社)で15,265百万円、 取手地区(プリンティングビジネスユニット)で12,765百万円、 阿見・宇都宮地区(インダストリアルビジネスユニット)で3,776百万円、 本社地区(プリンティングビジネスユニット)で2,493百万円であります。 5 機械及び装置の減少額のうち、主なものは、取手地区(プリンティングビジネスユニット)で11,573百万円、 本社地区(プリンティングビジネスユニット)で4,537百万円、 本社地区(その他及び全社)で3,132百万円であります。 6 工具、器具及び備品の増加額のうち、主なものは、本社地区 (その他及び全社)で5,920百万円であります。 7 工具、器具及び備品の減少額のうち、主なものは、本社地区 (その他及び全社)で4,193百万円、 取手地区(プリンティングビジネスユニット)で3,143百万円、 本社地区(プリンティングビジネスユニット)で2,488百万円であります。 |
引当金明細表 | 【引当金明細表】 (単位:百万円)科目当期首残高当期増加額当期減少額当期末残高貸倒引当金87130-217製品保証引当金5,3535,0645,1855,232賞与引当金5,1985,6895,1985,689役員賞与引当金326543326543退職給付引当金20,7761,2457,95914,062環境対策引当金720-39681永年勤続慰労引当金1,3374436711,109 |
主な資産及び負債の内容 | (2)【主な資産及び負債の内容】 連結財務諸表を作成しているため、記載を省略しております。 |
その他、財務諸表等 | (3)【その他】 該当事項はありません。 |
提出会社の株式事務の概要 | 第6【提出会社の株式事務の概要】 事業年度1月1日から12月31日まで定時株主総会3月中基準日12月31日剰余金の配当の基準日6月30日12月31日1単元の株式数100株単元未満株式の買取り・売渡し 取扱場所(特別口座)東京都千代田区丸の内一丁目3番3号みずほ信託銀行株式会社 本店証券代行部株主名簿管理人(特別口座)東京都千代田区丸の内一丁目3番3号みずほ信託銀行株式会社取次所―買取手数料・売渡手数料無料公告掲載方法当社の公告は、電子公告により行う。 https://global.canonただし、事故その他やむを得ない事由によって電子公告による公告をすることができない場合は、日本経済新聞に掲載して行う。 株主に対する特典該当事項なし(注) 当社定款の定めにより、単元未満株主は、会社法第189条第2項各号に掲げる権利及び単元未満株式の売渡請 求をする権利以外の権利を有しておりません。 |
提出会社の親会社等の情報 | 1【提出会社の親会社等の情報】 当社は、金融商品取引法第24条の7第1項に規定する親会社等はありません。 |
その他の参考情報 | 2【その他の参考情報】 当事業年度の開始日から有価証券報告書提出日までの間に、次の書類を提出しております。 (1)有価証券報告書及びその添付書類並びに確認書 事業年度(第123期) (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) 2024年3月28日関東財務局長に提出 (2)内部統制報告書及びその添付書類 2024年3月28日関東財務局長に提出 (3)四半期報告書及び確認書 (第124期第1四半期) (自 2024年1月1日 至 2024年3月31日) 2024年5月10日関東財務局長に提出 (4)半期報告書及び確認書 (第124期中) (自 2024年1月1日 至 2024年6月30日) 2024年8月8日関東財務局長に提出 (5)臨時報告書 2024年3月28日関東財務局長に提出 企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第2号の2(ストックオプションとしての新株予約権の 発行)に基づく臨時報告書であります。 2024年3月29日関東財務局長に提出 企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第9号の2(株主総会における議決権行使の結果)に基づく 臨時報告書であります。 2025年1月30日関東財務局長に提出 企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第19号(連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フ ローの状況に著しい影響を与える事象)に基づく臨時報告書であります。 (6)臨時報告書の訂正報告書 2024年4月30日関東財務局長に提出 2024年3月28日提出時の臨時報告書(ストックオプションとしての新株予約権の発行)にかかる訂正報告書で あります。 (7)自己株券買付状況報告書 報告期間(自 2024年3月1日 至 2024年3月31日) 2024年4月12日関東財務局長に提出 報告期間(自 2024年4月1日 至 2024年4月30日) 2024年5月13日関東財務局長に提出 報告期間(自 2024年5月1日 至 2024年5月31日) 2024年6月13日関東財務局長に提出 報告期間(自 2024年6月1日 至 2024年6月30日) 2024年7月12日関東財務局長に提出 報告期間(自 2024年7月1日 至 2024年7月31日) 2024年8月9日関東財務局長に提出 報告期間(自 2024年8月1日 至 2024年8月31日) 2024年9月12日関東財務局長に提出 報告期間(自 2024年9月1日 至 2024年9月30日) 2024年10月11日関東財務局長に提出 報告期間(自 2024年10月1日 至 2024年10月31日) 2024年11月14日関東財務局長に提出 報告期間(自 2024年11月1日 至 2024年11月30日) 2024年12月13日関東財務局長に提出 報告期間(自 2024年12月1日 至 2024年12月31日) 2025年1月14日関東財務局長に提出 報告期間(自 2025年1月1日 至 2025年1月31日) 2025年2月13日関東財務局長に提出 報告期間(自 2025年2月1日 至 2025年2月28日) 2025年3月13日関東財務局長に提出 |
提出会社の保証会社等の情報 | 第二部【提出会社の保証会社等の情報】 該当事項はありません。 |
連結経営指標等 | (1)連結経営指標等回次第120期第121期第122期第123期第124期決算年月2020年12月2021年12月2022年12月2023年12月2024年12月売上高(百万円)3,160,2433,513,3574,031,4144,180,9724,509,821税引前当期純利益(百万円)130,280302,706352,440390,767301,161当社株主に帰属する当期純利益(百万円)83,318214,718243,961264,513160,025包括利益(損失)(百万円)80,941406,815476,959495,000393,160株主資本(百万円)2,575,0312,873,7733,113,1053,353,0223,380,273総資産(百万円)4,625,6144,750,8885,095,5305,416,5775,766,2461株当たり株主資本(円)2,462.652,748.363,065.973,394.923,581.36基本的1株当たり当社株主に帰属する当期純利益(円)79.37205.35236.71264.20165.53希薄化後1株当たり当社株主に帰属する当期純利益(円)79.35205.29236.63264.08165.44株主資本比率(%)55.760.561.161.958.6株主資本当社株主に帰属する当期純利益率(%)3.27.98.18.24.8株価収益率(倍)24.913.612.113.731.2営業活動によるキャッシュ・フロー(百万円)333,805451,028262,603451,190606,831投資活動によるキャッシュ・フロー(百万円)△155,439△207,256△180,820△275,372△297,322財務活動によるキャッシュ・フロー(百万円)△183,449△267,366△146,844△156,729△225,996現金及び現金同等物の期末残高(百万円)407,684401,395362,101401,323501,565従業員数(人)181,897184,034180,775169,151170,340 (注)1 当社の連結財務諸表は、米国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて作成されております。 2 売上高には、消費税等を含んでおりません。 |
提出会社の経営指標等 | (2)提出会社の経営指標等回次第120期第121期第122期第123期第124期決算年月2020年12月2021年12月2022年12月2023年12月2024年12月売上高(百万円)1,255,4991,508,7521,739,8201,668,0071,886,031経常利益(百万円)40,481247,994214,323511,618465,458当期純利益(百万円)42,845227,999193,624476,755469,083資本金(百万円)174,762174,762174,762174,762174,762発行済株式総数(株)1,333,763,4641,333,763,4641,333,763,4641,333,763,4641,333,763,464純資産(百万円)1,225,7581,367,5491,341,1031,591,8761,716,389総資産(百万円)2,855,1392,819,2152,914,2322,938,5383,026,9901株当たり純資産(円)1,171.591,307.101,319.841,610.541,816.901株当たり配当額(円)80.00100.00120.00140.00155.00(内1株当たり中間配当額)(40.00)(45.00)(60.00)(70.00)(75.00)1株当たり当期純利益(円)40.81218.02187.84476.12485.14潜在株式調整後1株当たり当期純利益(円)40.80217.96187.78475.92484.90自己資本比率(%)42.948.546.054.156.7自己資本利益率(%)3.317.614.332.528.4株価収益率(倍)48.512.815.27.610.6配当性向(%)195.345.963.429.231.5従業員数(人)25,71325,37724,71723,93123,457株主総利回り(%)68.999.8105.7135.9192.7(比較指標:配当込みTOPIX)(%)(106.9)(120.2)(117.1)(147.8)(175.5)最高株価(円)3,0992,9383,5163,9125,274最低株価(円)1,6271,8762,5382,7543,594(注)1 売上高には、消費税等を含んでおりません。 2 最高株価及び最低株価は東京証券取引所(市場第一部またはプライム市場)におけるものであります。 |