【EDINET:S100ULVN】有価証券報告書-第19期(2023/08/01-2024/07/31)

CoverPage

提出書類、表紙有価証券報告書
提出日、表紙2024-10-31
英訳名、表紙StemRIM Inc.
代表者の役職氏名、表紙代表取締役社長CEO  岡島 正恒
本店の所在の場所、表紙大阪府茨木市彩都あさぎ七丁目7番15号
電話番号、本店の所在の場所、表紙072-648-7152(代表)
様式、DEI第三号様式
会計基準、DEIJapan GAAP
連結決算の有無、DEIfalse
当会計期間の種類、DEIFY

corp

沿革 2【沿革】
年月概要2006年10月国立大学法人大阪大学 大学院医学系研究科の玉井克人教授らが同定した骨髄多能性幹細胞動員因子を医薬品として開発することを目的に会社設立。
2007年4月大阪大学との共同研究を開始。
以後、研究成果の知財化を進め、これまでに多数の特許を取得。
2010年4月本社を彩都バイオインキュベータ(大阪府茨木市)に移転。
彩都ラボ開設。
塩野義製薬株式会社と骨髄由来幹細胞動員因子に関する共同研究契約締結。
(注)12011年11月独立行政法人 科学技術振興機構(JST)A-STEP本格研究開発シーズ育成タイプに採択。
2012年6月神戸ポートアイランド内に神戸ラボ(兵庫県神戸市)を開設。
疾患モデル動物を用いた薬効試験の実施体制を強化。
2013年7月彩都バイオインキュベータ内のラボを増床。
加えて自社の動物飼育/実験施設を開設し、神戸ラボの機能を吸収。
2013年12月独立行政法人 科学技術振興機構(JST)A-STEP本格研究開発シーズ育成タイプに採択。
大阪大学の早期探索的臨床試験拠点整備事業と連携し、医師主導治験を支援。
2014年4月大阪大学最先端医療イノベーションセンターの共同研究プロジェクトに採択(テーマは「体内再生誘導医薬開発のための非臨床試験及び新規候補物質の探索」)。
大阪大学ラボ開設。
2014年5月独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)2013年度イノベーション実用化ベンチャー支援事業に採択。
2014年11月塩野義製薬とレダセムチド(HMGB1ペプチド)に関するライセンス契約締結。
(注)22015年8月大阪大学にてレダセムチドに関する医師主導治験開始。
2017年3月レダセムチドに関する表皮水疱症を対象とした医師主導治験(第Ⅰ相試験)終了。
2017年8月中小企業庁助成事業「戦略的基盤技術高度化支援事業」に採択。
2017年12月大阪大学においてレダセムチドに関する表皮水疱症を対象とした医師主導治験(第Ⅱ相試験)開始。
2018年7月株式会社ステムリム(StemRIM Inc.)に社名変更。
2019年4月塩野義製薬においてレダセムチドに関する脳梗塞を対象とした企業治験(第Ⅱ相試験)開始。
2019年8月東京証券取引所マザーズに株式を上場。
2020年4月レダセムチドに関する表皮水疱症を対象とした医師主導治験(第Ⅱ相試験)終了。
2020年6月大阪大学・テクノアライアンス棟に再生誘導医学協働研究所(床面積1,540㎡)を開設。
2020年6月塩野義製薬とレダセムチドの適応拡大(変形性膝関節症、慢性肝疾患、心筋症)に向けた新たな契約を締結。
2020年11月国立大学法人弘前大学においてレダセムチドに関する変形性膝関節症を対象とした医師主導治験(第Ⅱ相試験)開始。
2020年11月国立大学法人新潟大学においてレダセムチドに関する慢性肝疾患を対象とした医師主導治験(第Ⅱ相試験)開始。
2021年12月レダセムチドに関する急性期脳梗塞を対象とした企業治験(第Ⅱ相試験)終了。
2022年4月東京証券取引所の市場区分見直しによりマザーズからグロースに市場区分を変更。
2022年7月レダセムチドに関する栄養障害型表皮水疱症を対象とした追加第Ⅱ相臨床試験開始。
2023年4月レダセムチドに関する慢性肝疾患を対象とした医師主導治験(第Ⅱ相試験)終了。
2023年4月日本及び米国においてレダセムチドに関する脳梗塞を対象とした医師主導治験(グローバル後期第Ⅱ相試験)開始。
2023年7月欧州及び中国においてレダセムチドに関する脳梗塞を対象とした医師主導治験(グローバル後期第Ⅱ相試験)開始。
2024年3月レダセムチドに関する虚血性心筋症を対象とした医師主導治験(第Ⅱ相試験)開始。
(注)1.「骨髄由来幹細胞動員因子に関する共同研究契約」:HMGB1を候補品とし、医薬品としての開発可能性を検討することを目的とした契約です。
2.「レダセムチド」:HMGB1より創製したペプチド医薬です。
HMGB1(high mobility group box-1 protein)は、様々な細胞の核内に存在し、DNAと結合して遺伝子発現を制御する核蛋白です。
HMGB1は細胞が壊死した際や炎症細胞が活性化した際に細胞外に放出され、細胞遊走、増殖などを誘導し、自然免疫、自然炎症を助ける働きをすると共に、それに続く組織再生反応を活性化することが知られています。
事業の内容 3【事業の内容】
 当社が創業以来、その実現を目指し研究開発に取り組んできた「再生誘導医薬®」は、怪我や病気により損傷し機能を失った生体組織の機能的再生・治癒を促進する、唯一無二の新しい作用メカニズムに基づく医薬品です。
 再生誘導医薬®は、従来型の再生医療(※1)/細胞治療とは異なり、生きた細胞の投与を必要とせず、物質=医薬品の投与によって、患者自身の体内に存在する幹細胞(※2)を活性化する方法で、より簡便かつ安全に、治療効果の高い再生医療を実現します。
再生誘導医薬®により、細胞製剤では難しい安定した品質による迅速な再生医療を実現する製品供給が可能となることから、広く普及可能な新しい再生医療の実現が可能となり得ます。
 再生誘導医薬®の投与によって患者の体内で誘導される幹細胞は、血液循環を介して体内を巡り、損傷した組織に集積します。
幹細胞は、神経や皮膚、骨、軟骨、筋肉、血管など、様々な種類の組織を構成する細胞に分化する能力を有するため、再生誘導医薬®という共通のプラットフォームによって、脳梗塞、頭部外傷、筋萎縮性側索硬化症(ALS)や脊髄損傷などの中枢神経系疾患、心筋梗塞や心筋症などの循環器系疾患、難治性皮膚潰瘍などの上皮系疾患、慢性肝疾患や潰瘍性大腸炎などの消化器系疾患、難治性骨折や軟骨損傷などの骨格器系疾患、肺線維症などの呼吸器系疾患のように、多様な疾患に対して幅広い治療効果をもたらすことが期待されます。
(1)事業の内容① 事業モデル 当社は、医薬品の研究開発を主たる業務としております。
自社研究若しくは大学等研究機関との共同研究を通じて、生体内における組織再生誘導メカニズム(※3)の解明と幹細胞の特性解析、幹細胞の制御技術(※4)に関する基礎研究を行い、その成果を活用したスクリーニング(※5)系によって、新規再生誘導医薬®シーズ(※6)の探索を行っております。
 同定した候補物質については、自社単独若しくは共同研究を実施した大学等研究機関と共同で特許を出願し、研究開発活動の果実である知的財産の構築を進めております。
大学等研究機関と共同で出願した特許については、当社が独占的な実施権の許諾を受け、以後の製品化に向けた研究開発を当社主導で進めております。
 候補物質については、自社若しくは大学等研究機関/パートナー企業と共同で、製造方法の開発、非臨床薬効薬理試験(※7)、安全性試験(※8)、初期臨床試験等(※9)までを実施し、医薬品開発の成功可能性と知的財産価値を高めたうえで、国内・海外の製薬企業に対して、製品の開発権、製造権、販売権等をライセンスアウトすることで、(a)契約一時金、(b)開発の進捗に応じて支払われるマイルストーン収入、(c)製品上市後に売上高の一定割合が支払われるロイヤリティ収入、(b)売上高に対する目標値を達成するごとに支払われる販売マイルストーン収入等を得る事業モデルを採用しております。
 また、パートナー企業とは、ライセンス契約に至る前の比較的早期の研究開発段階において、将来のライセンス契約を前提とした共同研究契約を締結することもあります(事業系統図の(共同研究))。
この場合、当社は、パートナー企業から(a)契約一時金、(d)共同研究収入を得ることで、自社の費用負担を低減しつつ、かつパートナー企業の開発リソースも活用することで、研究開発を加速できるメリットを得られます。
 このほか、研究進捗に応じてパートナー企業に対し研究データの使用権を許諾した際に収受する一時金等、(e)その他の一時金収入が発生する可能性があります。
 当社の事業セグメントは、再生誘導医薬®事業のみの単一セグメントであり、事業の系統図及び事業収入の形態は以下のとおりであります。
(事業系統図) (事業収入の形態) 収入形態内容a.契約一時金共同研究やライセンス許諾の契約時に一時金として得られる収入b.マイルストーン収入医薬の開発段階毎に設定した目標(開発マイルストーン)を達成するごとに得られる一時金収入。
また、製品上市後に、売上高に対する目標値(販売マイルストーン)を達成するごとに得られる一時金収入c.ロイヤリティ収入製品が上市された後に、ライセンス許諾の契約を締結した製薬会社より当該製品の売上高に対して予め契約によって設定した一定割合を得られる収入d.共同研究収入当社の知的財産を活用した共同研究の実施の対価として得られる収入e.その他一時金研究データ使用権の許諾等により得られる(a)以外の一時金収入 ② 再生誘導医薬®について/新しい再生医療 「再生誘導医薬®(Stem cell Regeneration-Inducing Medicine™)」とは、生きた細胞や組織を用いることなく、医薬品(化合物)の投与のみによって、再生医療と同等の治療効果を得られる医薬品です。
 これまでは、怪我や病気で身体の臓器や組織に大規模な損傷や不可逆的な病変による機能不全が生じた場合、一般的な医薬品によってこれを根治することは難しく、その回復には、正常な臓器と取り換える移植医療(心臓移植や腎臓移植等の臓器移植や輸血等)を行う他に方法がありませんでした。
しかしながら、このような移植医療は、難治性疾患に対する根治療法となり得る一方で、臓器提供者(ドナー)の慢性的な不足と他人の臓器に対する免疫拒絶(※10)反応、また倫理的な問題等から、すべての患者が享受できる、広く普及可能な一般医療にはなり得ません。
 この移植医療の限界を突破する技術として、近年注目を集めているのが再生医療/細胞治療です。
再生医療/細胞治療は、患者本人若しくは健常なドナー(提供者)から採取した細胞を、生体外で大量に培養することで、治療に必要な十分量の移植用細胞を確保したうえで患者に移植する新しい移植医療技術です。
この再生医療/細胞治療は、従来の移植医療が抱える普及への制約を解消し、かつ同等な治療効果を得ることが期待できる新しい医療と言えます。
 しかしながら、この再生医療/細胞治療についても、その実用化に向けては数多くの解決すべき課題があります。
 再生医療/細胞治療は、最終製品として生きた細胞自体を用いる必要があることから、①製造工程における品質管理の難しさ(均質な細胞製剤を安定的に製造することが難しい)、②安全性への懸念(生体外で大量培養する工程で細胞が変質・癌化するリスクがある)、③治療可能時期の制約(自家の細胞を治療に用いる場合、採取から十分量の移植細胞を得るまでに数週間におよぶ細胞培養期間が必要となり急性期~早期治療の機会は失われる)、④免疫拒絶反応(他人から提供された細胞を培養して治療に用いる場合、免疫拒絶の問題が生じる)、⑤保管・流通の制約(冷凍・冷蔵により細胞を生きたまま運搬・保存する際に非常に手間がかかり、保存期間も限られる)など、数多くの構造的な課題を抱えており、一般医療として普及するためには更なる技術革新が必要な状況にあります。
 このような背景のもと、当社が大阪大学との共同研究を通じて先駆的な概念を構築し開発を進めてきた「再生誘導医薬®」は、製品として生きた細胞を一切用いることなく、『物質(化合物)の投与によって、再生医療/細胞治療を実現する』をコンセプトとする、新しい『再生医療』であります。
 再生誘導医薬®は、下図に示す作用メカニズムによって、損傷した組織の再生を実現します。
(再生誘導医薬®のコンセプト) 1)静脈注射等で血液中に再生誘導医薬®を投与する。
2)当該医薬品により患者自身の体内に存在する幹細胞、特に骨髄内に存在する間葉系幹細胞(※11)を刺激し、幹細胞を血液中に放出させる。
3)骨髄から血液中に放出された間葉系幹細胞は、末梢血循環を介して身体中に運ばれ、損傷により低酸素状態になった組織から放出される特有の化学物質(ケモカイン(※12))を目印に患部に集積する。
4)患部に集積した間葉系幹細胞は、抗炎症作用を発揮し損傷部位の炎症を鎮め、かつ組織の線維化(瘢痕形成)(※13)を抑制しながら、幹細胞の多分化能(※14)を発揮することで、行き着き生着した組織の環境に応じた、適切な種類の細胞に分化を遂げ、損傷した組織の機能的な再生を促進する。
 体外で培養し加工した細胞を用いず、医薬品の投与によって患者自身の体内で間葉系幹細胞の集積誘導による再生医療を実現する再生誘導医薬®は、従来型の再生医療が抱える数多くの課題を克服する、革新的な再生医療技術であります。
<細胞治療と比較した場合の再生誘導医薬®のメリット>(ⅰ)品  質:工業生産可能な化合物医薬品であり品質管理された安定した製造が可能(ⅱ)安  全:生体外における細胞培養の工程がないため、細胞や培養液などの材料に由来する不純物による免疫反応、細胞を汚染しているウイルスやバクテリアによる感染症、細胞を培養する過程で生じる細胞の腫瘍化や癌化などのリスクがない(ⅲ)供  給:細胞とは異なり、原材料の供給が容易く、製造・保管・管理も容易。
従来の医薬品と同じく医療機関(病院、薬局等)に常備しておき、必要な時にいつでも投与が可能。
そのため、急性期治療(※15)への利用が可能(ⅳ)免疫拒絶:投与するのは本人の幹細胞を動員する化合物医薬品であり、他人の細胞を利用しないため、投与される細胞に対する免疫拒絶がない (2)研究開発の経緯■ 骨髄間葉系幹細胞の損傷組織への集積による体内組織再生誘導メカニズムの発見 再生誘導医薬®開発の発端は、大阪大学で進められていた遺伝性皮膚難病「栄養障害型表皮水疱症(以下、「表皮水疱症(※16)」という。
)」の病態解明研究から得られた「骨髄由来間葉系幹細胞の損傷組織への集積による組織再生誘導メカニズム」の発見にあります。
 当時既に、損傷臓器・組織の再生はそれぞれの臓器・組織に存在する“組織幹細胞”に依存していることは良く知られていました。
しかし、表皮水疱症の患者では、皮膚の最外層にある表皮組織の接着に必要な7型コラーゲンが遺伝的に欠損しているため、生まれた直後から全身皮膚の表皮剥離を繰り返し(図1参照)、その結果、表皮内に存在する“表皮幹細胞”が大量に失われてしまいます。
表皮幹細胞を失った表皮水疱症の患者は、剥離した表皮を再生できないと容易に予想されます。
しかし、患者の表皮は再生能力を維持しているという診療上の観察事実から、骨髄から血液を介した皮膚への幹細胞補充メカニズム仮説が想起されました。
図1  骨髄と各臓器は血管を介して繋がっています。
例えば、骨髄から血液に供給された赤血球は全身全ての臓器・組織に酸素を供給し、白血球は免疫作用を、血小板は止血作用を供給しています。
その意味において、表皮水疱症の患者の皮膚に生体内で幹細胞が補充されるのだとしたら、血液を介して骨髄から補充されるのではないかという仮説は妥当に思われます。
その後、当社創業者でもある大阪大学教授の玉井らによりその仮説が証明されました(出典:Am J Pathol 2008 Sep;173(3)803-14, PNAS 2011 Apr 19;108(16):6609-14,J Immunol. 2015 Feb 15;194(4):1996-2003)。
即ち、壊死した表皮細胞の核から放出されたHMGB1蛋白が、骨髄内の“間葉系幹細胞”と名付けられた組織再生能力の高い幹細胞を刺激して血中へと動員すること、HMGB1蛋白により血中へと動員された間葉系幹細胞は表皮水疱症皮膚の壊死組織周囲にある血管内皮細胞が産生するケモカインSDF-1α(※17)の作用により壊死組織周囲に集積すること、壊死組織周囲に集積した骨髄由来間葉系幹細胞は、強い抗炎症作用、抗線維化作用、組織再生促進作用を発揮することにより、表皮水疱症の剥離表皮再生を誘導していることが明らかとなりました(図2参照)。
図2  HMGB1蛋白は生体内のあらゆる細胞の核内に存在していることから、これら壊死組織と骨髄間葉系幹細胞のクロストークによる組織再生誘導メカニズムは、皮膚のみならず、生体内のあらゆる臓器・組織の重度壊死性障害において、その再生誘導メカニズムとして作動していると考えられます。
■ HMGB1蛋白の再生誘導医薬®としての可能性と想定されたリスク HMGB1蛋白は、生体内の全ての細胞の核内に存在し、DNAと結合して遺伝子発現を制御する核蛋白であることが40年以上前から知られていました。
上述したHMGB1蛋白の骨髄間葉系幹細胞動員活性による組織再生誘導メカニズムの発見は、HMGB1蛋白を静脈内投与して血液中の間葉系幹細胞を人為的に増加させ、その抗炎症作用、抗線維化作用、組織再生促進作用により機能的組織再生を促進する、いわゆる再生誘導医薬®としての可能性を生み出しました(出典:Sci Rep. 2015 Jun5;5:11008)。
 一方、損傷組織で壊死細胞から細胞外に放出されたHMGB1蛋白は、ヒストンやDNA、あるいは細菌・ウイルス由来因子(※18)と結合すると好中球やマクロファージ(※19)を活性化し、炎症反応を誘導することが近年明らかにされました。
即ち、細胞外のHMGB1蛋白は壊死組織や感染組織において自然免疫を活性化し、壊死組織や感染組織除去反応を誘導すると共に、それに続く組織再生反応を活性化する極めて重要な生体内分子であると言えます。
しかし、敗血症のような重篤な感染症では、HMGB1蛋白が細菌由来LPS(※20)と血中で結合して全身性に強い病的炎症反応を喚起することが報告されています。
これらの事実は、HMGB1蛋白を医薬として静脈内投与した際に、重度な感染症を合併している患者では局所性あるいは全身性に強い炎症反応を喚起してしまうリスクがあることを示しています。
■ 安全性の高いHMGB1ペプチド医薬の開発 HMGB1蛋白はA-box及びB-boxと呼ばれる二つのDNA結合ドメイン(※21)を持ち、炎症反応を誘導する自然免疫活性化ドメインはB-box内に存在することが明らかにされていました。
(出典:J Intern Med. 2004 Mar;255(3):351-66.)これらの事実を背景として、当社は大阪大学と共同でHMGB1蛋白の骨髄間葉系幹細胞活性化ドメイン(以下、「KOI2ドメイン」という。
)の探索を進め、KOI2ドメインはA-box内に存在することを明らかにしました。
即ち、自然免疫活性化ドメインを含まないKOI2ドメインの化学合成ペプチド(HMGB1ペプチド、一般名:レダセムチド、以下、「レダセムチド」という。
)は、炎症反応を喚起せずに間葉系幹細胞動員活性のみを持つ、安全性の高い再生誘導ペプチド医薬となることが期待されました。
 大阪大学よりHMGB1蛋白及びレダセムチドの独占的実施権を得た当社は、大阪大学及び塩野義製薬株式会社(以下、「塩野義製薬」という。
)のそれぞれとレダセムチド創薬の共同研究を推進し、表皮水疱症、脳梗塞、心筋梗塞、虚血性心筋症、拡張型心筋症、脊髄損傷といった、現在有効な治療法の無い難治性疾患の動物モデルにレダセムチドの静脈内投与が有効であること、炎症反応は全く喚起されないことを証明し、医薬特許取得を精力的に進め、レダセムチド医薬開発権を塩野義製薬にライセンスいたしました。
 また、ヒトでの安全性及び有効性を確認する目的で行われた、大阪大学における健康成人を対象としたレダセムチド第Ⅰ相医師主導治験では、レダセムチドの安全性及び間葉系幹細胞血中動員活性が証明されました。
 現在、栄養障害型表皮水疱症において第Ⅱ相医師主導治験追加試験が実施中、急性期脳梗塞においてグローバル後期第Ⅱ相試験が実施中、虚血性心筋症において第Ⅱ相医師主導治験が実施中、変形性膝関節症、慢性肝疾患において第Ⅱ相医師主導治験が完了というステータスになっております。
各研究開発進捗の詳細は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 経営成績等の状況」をご参照ください。
■ 第2世代再生誘導医薬®の開発 上述したように、骨髄内に存在する間葉系幹細胞は生体内の壊死細胞が放出するHMGB1蛋白の血中濃度上昇を感知して活性化し、末梢循環を介して壊死組織周囲に集積して組織再生を促進していることが明らかとなりました。
これらの発見から、HMGB1蛋白以外の壊死細胞由来因子にもHMGB1蛋白と同様の骨髄間葉系幹細胞活性化作用、組織再生誘導作用がある可能性が想起されました。
そこで当社は、大阪大学と共同で壊死細胞から血中放出される可能性のある生体内蛋白を網羅的に探索し、その活性ドメインペプチドの骨髄間葉系幹細胞活性化作用を評価することにより、レダセムチドと同等あるいはそれ以上の骨髄間葉系幹細胞活性化作用を持つ生体内物質を複数同定いたしました。
現在、当社はこれらの第2世代再生誘導医薬®候補物質の疾患モデル動物に対する薬効評価を進めています。
(3)技術の優位性 間葉系幹細胞を利用した細胞治療が、様々な疾患に対して行われているのは、間葉系幹細胞が有する、様々な細胞種に分化する能力(分化能力)、サイトカイン(※22)・ケモカイン・成長因子(※23)を分泌する能力(トロフィック能力)、免疫応答(※24)を調整する能力(免疫調整能力)、損傷組織に遊走する能力(細胞遊走能力(※25))、線維化を調整する能力(線維化調整能力)があるためと考えられています。
(図3参照; Cell Transplantation, Vol. 25, pp. 829–848,2016より引用。
図の一部改変。
出典:Nat Immunol. 2014 Nov;15(11):1009-16, Stem Cell Trans Med. 2012 Feb;1
(2):142-9) 図3  すなわち生体内においては、組織や臓器に損傷を受けると、細胞レベルのダメージを生じ、不可逆的な障害を受けた細胞は壊死します。
更に、傷口から侵入した細菌などを制御する他、壊死した細胞を除去するために、損傷組織には受傷直後から炎症細胞が集まります。
間葉系幹細胞は血流を介し損傷組織まで遊走し(細胞遊走能力)、免疫反応を調節し、過剰な炎症による組織損傷の拡大を抑えます(免疫調整能力)。
また、損傷組織の細胞に対し成長因子やサイトカインを分泌することで、細胞の増殖や組織の修復を促進します(トロフィック能力)。
更に、間葉系幹細胞自身が、様々な種類の細胞に分化することによって(分化能力)、間葉系幹細胞由来の細胞が損傷組織の細胞に置き換わり組織を再生します。
このような間葉系幹細胞の能力は、様々な組織や臓器の再生で効果を発揮するため、多種多様な疾患に対して間葉系幹細胞を細胞治療や再生医療に利用することができると考えられます。
 一方で次のような課題も存在します。
・ES細胞、iPS細胞[生命倫理上の課題(ES細胞)] ES細胞はヒトの生命の萌芽である胚を破壊して作る必要があるため、倫理的課題があります(参考文献:ヒトES細胞の樹立に関する指針平成31年文部科学省・厚生労働省告示第4号)。
更に近年では、ES細胞のように多能性を有しほぼ無限に増殖可能なiPS細胞が発明され、また、iPS細胞は受精卵を利用せず本人の細胞から作成することが可能であるため、倫理的課題のみではなく免疫拒絶についても解決に向けて大きく前進しました。
[細胞の安全性の課題と医療コストの課題(ES細胞、iPS細胞)] ES細胞もiPS細胞も無限に増殖するため、増殖の過程で生じる遺伝子の変異や癌化のリスクに対応をする必要があります。
・その他の細胞 ES細胞やiPS細胞を使用しない、幹細胞を使用した再生医療/細胞治療としては、自家細胞(自己の細胞=患者本人の細胞)を利用するものと他家細胞(他人の細胞)を利用するものがあります。
表皮細胞、筋芽細胞、軟骨細胞、間葉系幹細胞など様々な細胞が再生医療、細胞治療に使用されています。
[自家細胞の課題] 自家細胞では、患者本人から採取した細胞を培養し増殖、加工し使用します。
他人の細胞を使用しないので、感染症や免疫拒絶のリスクを最小限に抑えることができますが、一人の患者から採取できる細胞の量に限界があります。
また、ES細胞やiPS細胞とは違い細胞を無限に増殖させることができないため、治療に十分な細胞を用意することが課題となります。
また、オーダーメイドで作成する必要があるため、急性期の治療が困難で、治療費が高額になるという課題があります。
[他家細胞の課題] 他家細胞では、多数のドナーから細胞の提供を受け、細胞バンクに細胞を保存しておくことで、急性期の治療にも対応でき、医療コストも抑えることができますが、ドナーに由来する未知の感染症や免疫拒絶のリスクがあります。
(参考文献:経済産業省「再生医療の実用化・産業に関する研究会」の最終報告書) [間葉系幹細胞の課題] ほぼ無限に増殖することが可能なES細胞やiPS細胞とは異なり、間葉系幹細胞が増殖する能力には限界があります。
間葉系幹細胞は、細胞分裂を繰り返す過程で細胞の老化現象(senescence)を起こし、分化能力や免疫調整能力や細胞遊走能力という細胞治療の効果に寄与する重要な能力が失われることが知られています。
このため、間葉系幹細胞を使用した医療を広く行うためには、継続的に大量の細胞を供給する必要があります。
すなわち、多数のドナーの骨髄から細胞を採取し、大量の細胞を確保しなければならず、一般的な医療とするためには、原材料の供給の面で課題があると言えます。
(出典:Stem Cells Transl Med. 2017 Dec;6(12):2173-2185.) [細胞を利用する再生医療や細胞治療の課題] このように、再生医療や細胞治療は、これまでにない新しい医療で、従来の医療では治療困難な疾患に対して優れた治療効果があるものの、既存の医薬品と異なり生きた細胞を治療用に使用するため、従来の医薬品では問題にならなかった、様々な課題を解決する必要があります。
(参考文献:平成26年度「再生医療の産業化に向けた評価基盤技術開発事業」原料細胞の入手等に関する調査等報告書) ■ 再生誘導医薬®(当社シーズ)による課題の解決 再生誘導医薬®は、生体内に存在する骨髄間葉系幹細胞を損傷組織へ動員する、生体が元来有する治癒能力を促進する医薬です。
損傷組織を直接治療するのは、薬剤の投与によって損傷組織に動員された間葉系幹細胞であるため、間葉系幹細胞の特徴である、細胞遊走能、免疫調整能、トロフィック能、線維化調整能、組織再生能等によって一つの物質で広範な疾患領域に対する適応が期待できます。
また、投与するのはペプチド、タンパクなどの物質であり、従来の医薬品と同じ方法で製造、輸送、保管、投与が可能です。
そのため、再生医療や細胞治療の様々な課題を解決しながら、従来の医療では治療困難であった疾患を治療のターゲットとすることができます。
図4 (4)当社技術のターゲットとなる適応症 間葉系幹細胞を使用した細胞治療で効果が期待できる疾患領域や病態が治療のターゲットとなります。
以下のように広い疾患領域や様々な病態が適応症として期待できます。
図5 (5)パイプラインの概要 当社の手掛ける研究開発パイプラインとその進捗状況は以下のとおりであります。
パイプラインは、以下5つのプロジェクト(PJ1~PJ5)に分類されます。
※ PJ1-01について、対象となる栄養障害型表皮水疱症は、全国の患者数がに400名前後と推定される希少難治性疾患であり、大規模な第Ⅲ相試験を計画することが困難であるとともに現在有効な治療法がありません。
したがって、当社としては、追加第Ⅱ相試験の結果を踏まえ、医薬品の承認申請を行うことを見込んでおります。
 各パイプラインの主な市場ターゲットは、日本、アジア圏(中国、韓国等)、米国、欧州などです。
 各パイプラインの概要は、以下のとおりです。
PJ1再生誘導医薬®レダセムチド(HMGB1ペプチド)概要生体内タンパク質HMGB1の生理活性ドメインから創生したペプチド製剤(※26)です。
静脈内投与により患者の骨髄内間葉系幹細胞を末梢血中に動員し、損傷部位に集積させることで、患部の組織再生と治癒を促進します。
間葉系幹細胞を介した治療メカニズムにより、組織損傷を伴う幅広い疾患が適応症となります。
これまでに実施した疾患モデル動物を用いた非臨床薬効試験で、脳梗塞、心筋梗塞/心筋症、表皮水疱症、難治性皮膚潰瘍、脊髄損傷、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、外傷性脳損傷等に対する良好な治療効果を確認しています。
開発最も先行する表皮水疱症(PJ1-01)については、第Ⅱ相試験の追加試験実施中です。
急性期脳梗塞(PJ1-02)については、日本、米国、欧州及び中国においてグローバル第Ⅱ相試験の実施中です。
虚血性心筋症(PJ1-03)については、医師主導第Ⅱ相試験の実施中です。
変形性膝関節症(PJ1-04)、慢性肝疾患(PJ1-05)については、医師主導第Ⅱ相試験が完了しております。
提携PJ1については、2014年11月に塩野義製薬との間にライセンス契約を締結しております。
当社は、既に受領済みの契約一時金及びマイルストーン収入に加え、今後の開発の進捗に応じたマイルストーン収入及び製品上市後のロイヤリティ収入及びマイルストーン収入を得ることができます。
PJ2全身投与型再生誘導医薬®新規ペプチド(TRIM3,TRIM4)概要大阪大学と共同で、新規に開発したスクリーニング法によって発見した、静脈内投与により末梢血中の間葉系幹細胞を増加させる作用を有するペプチドです。
PJ1と同じく、組織損傷を伴う幅広い疾患に対する再生誘導治療薬®となることが期待されます。
生体由来のペプチドの他、生体由来活性ペプチドの情報を基に作成したペプチドの開発も行っています。
開発これまでのスクリーニングから多数の候補ペプチドを保有しており、その中から特に顕著な幹細胞誘導活性を示す2つの候補ペプチド(TRIM3、TRIM4)について、臨床試験の開始までに必要となる非臨床試験を実施しております。
これまでの動物実験により良好な間葉系幹細胞血中動員作用を確認しており、現在、複数種類の疾患モデル動物を用いた薬効試験データの拡充を行い、最適な開発対象疾患の選定を進めております。
提携PJ2については、GLP非臨床毒性試験(※27)~早期臨床試験(※28)の段階まで自社で開発を進め、その後、製薬企業にライセンスアウトする方針であり、現時点において、商業化(開発・製造・販売等)に係る権利は、すべて当社が保有しております。
PJ3局所投与型再生誘導医薬®新規ペプチド(TRIM5)概要生体組織から抽出された生体内タンパク質に由来するタンパク質製剤です。
静脈内投与若しくは局所投与により、生体内の間葉系幹細胞を効率よく患部に集積させる作用を有しており、組織損傷を伴う幅広い疾患に対する治療薬となることが期待されます。
開発これまでに得られた複数の候補タンパクの中から、最も治療効果の高いものを選定し、開発を進めていく計画です。
これまでの動物実験で良好な間葉系幹細胞集積作用を確認しており、複数種類の疾患モデル動物による薬効試験によって、最適な適応症の選定を進めております。
提携PJ3については、GLP非臨床毒性試験~早期臨床試験の段階まで自社で開発を進め、その後、製薬企業にライセンスアウトする方針であり、現時点において、商業化(開発・製造・販売等)に係る権利は、すべて当社が保有しております。
PJ4治療用自己細胞採取デバイス概要幹細胞誘引物質を用いて患者体内の間葉系幹細胞を回収し、これを患部に移植することで組織の再生治療を行う再生誘導医療デバイス(※29)です。
生体内埋没型デバイスに、当社が見出した間葉系幹細胞を誘引する物質を含ませたうえで患者の皮下に一定期間埋め込み、このデバイスに集積した患者自身の間葉系幹細胞を収集し治療に用います。
間葉系幹細胞移植が治療効果を発揮することが報告されている幅広い疾患に対して有効な医療デバイスとなることが期待されます。
開発まず、骨・軟骨損傷を伴う疾患、難治性皮膚潰瘍等に対する医療デバイスとしての開発を計画しております。
これまでの動物実験で当デバイスが良好な幹細胞回収能力を有することを確認しており、複数種類の疾患モデル動物による薬効試験によって、最適な適応症の選定を進めながら、臨床試験の開始までに必要となる非臨床試験を実施しております。
提携PJ4については、非臨床毒性試験~早期臨床試験段階まで自社で開発を進め、その後、製薬企業や医療機器メーカー等にライセンスアウトする方針であり、現時点において、商業化(開発・製造・販売等)に係る権利は、すべて当社が保有しております。
PJ5幹細胞遺伝子治療概要遺伝子欠損等に起因する重度の遺伝性疾患に対しても再生誘導医療®を可能にする治療技術です。
当社がこれまでに培った独自の幹細胞培養・調整技術を駆使し、患者自身の幹細胞に対して体外で遺伝子編集を施し、欠損/変異した遺伝子を補ったうえで患者の体内に戻す、根治的再生誘導型細胞治療製品(※30)です。
開発初めの適応症として、遺伝子完全欠損型の重度表皮水疱症を対象に開発を進める計画です。
遺伝子編集技術を用いて正常遺伝子を組み込んだ間葉系幹細胞を動物に移植する実験により、移植を受けた動物体内に目的タンパク質(7型コラーゲン)が十分量安定的に産生されることを確認しており、想定する作用機序(※31)が機能することを証明しております。
現在、疾患モデル動物による薬効試験など臨床試験の開始までに必要な非臨床試験を追加実施しております。
提携PJ5については、非臨床毒性試験~早期臨床試験段階まで自社で開発を進め、その後、製薬企業や医療機器メーカー等にライセンスアウトする方針であり、現時点において、商業化(開発・製造・販売等)に係る権利は、すべて当社が保有しております。
(a)PJ1 再生誘導医薬®レダセムチド(HMGB1ペプチド)① PJ1-01 栄養障害型表皮水疱症治療薬(適応症:栄養障害型表皮水疱症について) 皮膚は、表皮(E)と真皮(D)からなる2層の構造をとっています。
表皮もまた体の外側から角層(①)、有棘層(②)、基底層(③)と層構造をとっています(図6参照)。
基底層には表皮細胞の幹細胞(表皮幹細胞)が存在します。
幹細胞から分裂した未分化な表皮細胞は次第に分化して体の外側へと移動します。
一番外側まで移動すると、角質となって体のバリアーを形成し体内の水分を保持するほか、外界からの刺激やバクテリアなどの感染症から体の内部を守っています。
表皮の直下にある真皮は1型コラーゲンという蛋白を主成分とする組織で皮膚に物理的な強さを与えるほか水分を保持しています。
図6  皮膚は特殊な『糊』によって表皮と真皮がしっかりと接着しています。
強い機械的刺激でも表皮が皮膚からはがれることはありません。
表皮と真皮を接着させる『糊』の役割をしているのが、表皮細胞や真皮に存在する線維芽細胞から分泌される7型コラーゲンと呼ばれるタンパクです。
7型コラーゲンに異常があると『糊』としての機能が低下して表皮と真皮を接着する力が弱くなり、弱い刺激であっても表皮が真皮からはがれてしまいます(図7参照)。
 はがれた表皮と真皮の間には組織液がたまり水ぶくれ(水疱)が生じます。
水疱が破れると潰瘍となり、治癒が追い付かずに傷が遷延化(※32)すると、瘢痕化(線維化)し皮膚がひきつれるために関節などが動かないようになってしまいます。
 表皮水疱症の患者は7型コラーゲンの遺伝子に異常があるため、機械的刺激により容易に表皮と真皮の間が裂けます。
その結果出生時から全身の皮膚に水ぶくれができ、生涯にわたり症状が続きます。
遺伝子治療をのぞいて現時点で根治的な治療法はありません。
図7  前述のように、表皮水疱症では、表皮が剥離する際に表皮幹細胞が失われてしまうため、新しい表皮を再生することが困難な状態になります。
再生誘導医薬®により供給される骨髄間葉系幹細胞は皮膚に集積することによって、細胞成分や7型コラーゲンを供給します。
病因である7型コラーゲンの異常があるため、完治はできませんが、難治性皮膚潰瘍などの症状の改善が期待できます。
② PJ1-02 急性期脳梗塞治療薬(適応症:脳梗塞について) 脳梗塞は、主に脳に酸素や栄養を供給する血管が血栓によって閉そくすることが原因で生じる疾患です。
脳は低酸素状態に極めて弱く、また一度障害を受けると再生をすることが極めて困難な臓器であるため、これまで有効な治療はほとんどありませんでした。
血栓を溶解させる薬(血栓溶解剤)が有効ですが、発症初期の数時間後までにしか使用できないため、一部の患者にしか投与されていません。
血栓溶解剤を投与できなかった場合や投与されても十分な効果が得られなかった場合、脳梗塞によって生じる麻痺などの治療はリハビリテーションなどによって行われています。
骨髄間葉系幹細胞による細胞治療は、免疫寛容効果による炎症の抑制や、トロフィック効果による組織再生を期待されています。
しかし、患者本人の骨髄間葉系幹細胞を利用する場合、細胞採取の後、細胞培養による増殖工程にかかる時間が必要であり、発症後すぐに患者に投与することができません。
また、高額な医療コストなどの課題があります。
再生誘導医薬®は、タンパクやペプチドなどの従来の医薬と同様に扱うことが可能であり、必要時にすぐに使用することが可能です。
また、骨髄採取や細胞培養の設備が必要ないため、一般の病院においても治療を行うことが可能です。
③ PJ1-03 虚血性心筋症治療薬(適応症:心筋症について) 心臓は全身の臓器に血液を送り出すポンプの役割を果たしています。
心臓は心筋と呼ばれる筋肉でできていて心筋が伸びる際に血液を心臓に取り込み、心筋が縮む際に血液を心臓から送り出します。
心筋症は、心筋が線維化などによって伸縮が不良になり心臓のポンプ機能が障害される疾患です。
心筋症の原因は、心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患、高血圧、アルコールの多飲等が知られていますが、これらの原因が明らかな心筋症を特定(2次性)心筋症とし、原因が不明な特発性心筋症とに区分されます。
④ PJ1-04 変形性膝関節症治療薬(適応症:変形性膝関節症について) 変形性膝関節症は加齢、関節軟骨の変性、及び外傷後に生じる膝関節退行性疾患です。
関節軟骨の摩耗により軟骨下骨への負荷が増大し、関節全体の構造変化を伴いながら慢性疼痛や歩行運動能力及びActivities of Daily Living (ADL) が低下することで,Quality of Life (QOL) が損なわれる疾患です。
変形性膝関節症の治療法は保存的治療と手術に大別されます。
保存療法は対症療法であり、摩耗した年骨を修復する根治療法ではないためその効果には限界があります。
保存療法で効果が十分に得られない場合や、症状が強い症例では外科的治療が施行されます。
この外科的治療として関節鏡手術、高位脛骨骨切り術、人工関節置換術等が行われています。
日本人に多い内側型変形性膝関節症に対しては高位脛骨骨切り術がよい適応となりますが、その目的は下肢全体のアライメントを整えることで内側の過重負荷を軽減し残存軟骨を保護することであり、軟骨自体を修復するものではありません。
人工関節置換術は骨変化や関節構造の破壊が進行した重症の変形性膝関節症に対し適応となっており、その件数は増加傾向にあります。
⑤ PJ1-05 慢性肝疾患治療薬(適応症:慢性肝疾患について) 肝臓は、B、C型肝炎ウイルスなどに起因するウイルス性肝炎やアルコール性、非アルコール性脂肪性肝炎等生活習慣に起因する慢性肝障害によって、肝臓内に細胞外基質が過度に蓄積された線維化へと至ります。
その進行した状態を肝硬変といい、肝機能低下、門脈圧亢進、発癌など様々な問題が生じ得る疾患です。
(b)PJ2 全身投与型再生誘導医薬®新規ペプチド(TRIM3,TRIM4) 当社は骨髄間葉系幹細胞による損傷組織の再生や再生誘導物質を発見して以来、骨髄中に存在する間葉系幹細胞、血流中に存在する間葉系幹細胞、損傷組織に存在する間葉系幹細胞など生体に存在する自然の状態の細胞に注目し研究を続けてきました。
それらの知見をもとに新たに開発した間葉系幹細胞血中動員活性のスクリーニング法と組み合わせることで再生誘導医薬®の研究を加速しています。
 以上のような基礎的な研究の結果、生体内に存在する骨髄間葉系幹細胞に対する新たな知見を積み重ね、新規骨髄間葉系幹細胞の血中動員新規合成ペプチドを複数得ることができました。
これらの中で特に有望なペプチドであるTRIM3,TRIM4は複数の組織損傷疾患の動物モデルにおいて症状の改善が認められております。
(c)PJ3 局所投与型再生誘導医薬®新規ペプチド(TRIM5) PJ1及びPJ2の開発品は、再生誘導医薬®を静脈投与することで骨髄内の間葉系幹細胞を血中動員する物質です。
一方、PJ3では、損傷組織部位が小さく、また時間が経過している損傷部位に対して局所的に再生誘導医薬®を投与することで、より効率的に間葉系幹細胞を動員し組織損傷の修復を促します。
 レダセムチドとは作用メカニズムが異なるため、レダセムチドと併用若しくは単独で使用することによって、再生誘導医療®の対象疾患の拡大が期待できます。
特に、損傷組織が小さい病態においては、虚血領域も小さいため、低酸素状態で分泌量が増大するSDF-1αの量が少なく、間葉系幹細胞が損傷個所に集積できない恐れがあります。
そのようなときに、本物質を患部周囲へ投与することで、循環血流中の間葉系幹細胞を治療する臓器に集積させる効果を狙います。
 応用例としては、レダセムチド投与によって、末梢循環血流中に増加した間葉系幹細胞を、PJ3の開発品投与によって末梢循環血流中から損傷組織に効率的に集積させることが考えられます。
図8 (d)PJ4 治療用自己細胞採取デバイス 骨髄間葉系幹細胞の動員因子をデバイス内に挿入し、皮下など生体内に埋没することで生体内に存在する細胞を直接回収する技術を開発しています。
現在、実験動物を使用した非臨床の研究を行っており、良好な幹細胞回収効果を得ております。
臨床の場面では、医師によって患者本人の皮膚に局所麻酔を行った後、数mmから数cmの皮膚切開をします。
あらかじめ骨髄間葉系幹細胞の動員因子(※33)を挿入しておいたデバイスを、切開した皮膚から皮下に挿入します。
挿入後数日経過した後にデバイスを体外に取り出し、デバイス内に集積した細胞を損傷組織(患部)に直接投与します。
デバイスを挿入する手術も、外来通院にて施行可能な程度の簡単な手術となります(図9参照)。
図9  治療用自己細胞採取デバイスの特徴は下表のとおりです。
体外で培養する工程や細胞を加工する工程がないため、セルプロセッシングセンター(※34)が必要なく、細胞の製造、保管、輸送にかかわるコストを削減できるため、低コストで細胞治療を行うことができます。
 間葉系幹細胞は様々な組織(神経系、循環器系、上皮系、間葉系)の疾患の治療に応用することができるため、本技術の治療対象は広範な領域となることが期待されます。
再生誘導医薬デバイス従来型の間葉系幹細胞を利用した再生医療、細胞治療細胞の提供元自己の細胞自己の細胞他人の細胞体外での培養の有無無(自分の皮下から採取した細胞を直接使用する)有(セルプロセッシングセンターで培養する)有(セルプロセッシングセンターで培養する)免疫拒絶反の有無無無有医師による手術必要必要必要 (e)PJ5 幹細胞遺伝子治療 遺伝性疾患の患者本人の間葉系幹細胞を採取し、体外で病因となる遺伝子の修復を行う技術です。
一般に、遺伝子治療では病変臓器の幹細胞を治療対象とするため、疾患ごとに様々な臓器の幹細胞に対して遺伝子治療を施さなければなりません。
ヒト間葉系幹細胞に正常な7型コラーゲンを遺伝子導入し、表皮水疱症モデルマウスの皮膚に細胞移植しました。
その結果、ヒト由来の7型コラーゲンがマウスの皮膚で正常に機能していることが証明されました。
間葉系幹細胞は、多分化能の他にも、免疫調節能などを有し、様々な疾患に対して治療効果を有するため、間葉系幹細胞を遺伝子治療の対象にすることにより、様々な遺伝性疾患に対する治療が期待できます。
図10 (6)再生誘導医薬®における医療の可能性 再生誘導医薬®は、元来生体が持っている損傷組織の再生能力を、生体内に存在する幹細胞を体外で人工的に操作(培養や加工など)することなく、生体内で活性化することで、難治性の疾患の治癒を目指す医薬品です。
現在、当社では、骨髄に存在する間葉系幹細胞を血中に動員する再生誘導医薬®、血中に存在する間葉系幹細胞を損傷組織に集積する再生誘導医薬®、血中に存在する間葉系幹細胞を皮下に埋めたデバイス内に集積させ細胞治療に利用する医療、間葉系幹細胞を標的とした遺伝子治療と細胞治療のハイブリッド医療の研究開発を行っています。
 再生誘導医薬®の場合、薬が患部に直接作用するのではなく、骨髄や血液などに存在する幹細胞に作用することが特徴です。
患部を治療するのはあくまで生体に存在する活性化された幹細胞です。
生体内に存在する幹細胞の理解を深めることで、再生誘導医療を発展させることが可能になります。
 現在、日進月歩で幹細胞の研究が進んでおり、当社においても幹細胞の最新の知見をもとに、難治性疾患に対する新たな再生誘導医薬®の開発を進めています。
(7)用語解説No用語解説※1再生医療(1)患者の体外で人工的に培養した幹細胞等を、患者の体内に移植等することで、損傷した臓器や組織を再生し、失われた人体機能を回復させる医療(2)患者の体外において幹細胞等から人工的に構築した組織を、患者の体内に移植等することで、損傷した臓器や組織を再生し、失われた人体機能を回復させる医療(3)生きた細胞を組み込んだ機器等を患者の体内に移植等すること又は内因性(生体又は細胞の内部で生産される)幹細胞を細胞増殖分化因子(動物体内において、特定の細胞の増殖や分化を促進する内因性のタンパク質の総称)により活性化/分化させることにより、損傷した臓器や組織の自己再生能力を活性化することで失われた機能を回復させる広義の再生医療(←再生誘導医薬®が該当する医療)(内閣府 総合科学技術会議基本政策推進専門調査会『失われた人体機能を再生する医療の実現』(平成20年5月)参照)※2幹細胞自己複製能と分化能をあわせもつ細胞。
自己複製能とは体細胞分裂を経て形成される2つの娘細胞のうち、少なくともひとつに親細胞である幹細胞と同等の自己複製能と分化能が賦与されることをいう。
また、分化能とは、体細胞分裂を経て形成される娘細胞が、最終的に少なくとも1種類の、親細胞である幹細胞とは異なる表現型を有する細胞になることをいう。
(引用文献 蛋白質 核酸 酵素 Vol.51 No.11(2006))※3組織再生誘導メカニズム骨髄内に存在する間葉系幹細胞が循環血流を介して損傷組織へ集積する現象の発見の結果、再生誘導医薬®であるレダセムチドの発明につながった。
生体内における組織再生誘導の原理(組織再生誘導メカニズム)を明らかにすることによって、新たな再生誘導医薬®の開発が期待できる。
※4幹細胞の制御技術幹細胞は、生体内における環境や培養条件などによって容易に性質を変化させ、幹細胞(自己複製能、分化能)としての性質を失ってしまう。
そこで、幹細胞を維持するための細胞制御技術は必須の技術である。
また、幹細胞が分化しながら組織再生に必要な機能を付与されるためには、適切な分化制御が必要になる。
このように、再生医療や再生誘導医薬®の開発のために、幹細胞の制御技術の開発は必須である。
※5スクリーニング有効な化合物を選定するために、種々の評価系を用いて多くの化合物を評価すること。
※6再生誘導医薬シーズ再生誘導医薬®として事業化・製品化が可能な、技術、ノウハウ、アイデア、化合物など。
※7非臨床薬効薬理試験動物を使用し物質の効果を評価する試験。
※8安全性試験物質の毒性の有無等を評価する試験。
※9臨床試験臨床現場でヒトを対象に行う試験であるが、ここでは医薬品の承認を受けるためのいわゆる治験をいう。
治験は、一般的に以下の段階を経て行われる。
・第Ⅰ相試験(フェーズ Ⅰ)…少数の健常成人を対象とし、候補薬の安全性や薬がどのように体内で吸収、分布、代謝され排泄されるか、などを調べる。
・第Ⅱ相試験(フェーズ Ⅱ)…少数例の患者を対象に、有効性・安全性・適切な投与量などの検討を行う試験。
・第Ⅲ相試験(フェーズ Ⅲ)…多数の患者を対象に、実際の医療に近い形で有効性や安全性を確認することを目的とし、比較対照試験などを含めて行われる。
※10免疫拒絶人体はウイルスやバクテリアなど異物が体内に侵入した際に排除する免疫がある。
同様に治療を目的として他人の細胞や臓器を移植する際にもそれらを異物と認識し排除すること。
※11間葉系幹細胞生体内では、骨髄、さい帯、胎盤、脂肪、筋肉、胸腺、歯髄中といった成体組織において発見されており、生体内に存在する一般的な組織幹細胞とは異なり、多分化能を持つと考えられている。
(ギルバート発生生物学10版参照)通常、成体に存在する間葉系幹細胞は、他の間葉系の細胞と同じように中胚葉由来と考えられていたが、少なくとも胎児期には外胚葉由来の間葉系幹細胞が存在することが明らかになっている。
(Cell.2007 Jun 29;129(7):1377-88.参照)※12ケモカイン特定の白血球に作用し、濃度勾配の方向に白血球を遊走させる活性(走化性)を持つサイトカインの総称。
No用語解説※13線維化(瘢痕形成)組織を構成している結合組織と呼ばれる部分が異常増殖する現象のこと。
例えば、心筋に線維化が生じたときには心臓の働きに異常が起き、呼吸困難や心悸亢進(動悸)などの症状が出る。
また関節リウマチにおける骨の萎縮や変性、肝臓全体の線維化を示す肝硬変の病態なども、結合組織が線維化した例である。
※14多分化能様々な細胞に分化する能力。
多細胞生物においては、細胞が様々な特化した機能を持つ細胞へと変化(分化)し、複雑なシステムを作り上げていく。
※15急性期治療症状が急激にあらわれる時期、病気のなり始めの治療。
※16表皮水疱症表皮水疱症は、表皮~基底膜~真皮の接着を担っている接着構造分子が生まれつき少ないか消失しているため、日常生活で皮膚に加わる力に耐えることができずに表皮が真皮から剥がれて水ぶくれ(水疱)や皮膚潰瘍を生じてしまう病気。
特に、7型コラーゲンの遺伝子異常によって、基底膜と真皮の間で剥がれる病型を栄養障害型表皮水疱症と呼ぶ。
※17(ケモカイン)SDF-1αSDF(Stromal Derived Factor)-1αはケモカインCXCファミリーの一種。
リンパ球の強力な化学誘引因子であり、リンパ球を新しく形成した血管へ補充、胎児と成人両方の生体の血管新生に関与する。
低酸素状態の血管内皮細胞などで発現が亢進する。
※18因子現象や機能の原因を因子と呼ぶが、生化学で原因が物質として特定された場合にはその物質も因子という。
※19好中球やマクロファージ白血球の一種。
遊走運動を行い、細菌などの異物を捕食する。
炎症初期には好中球が炎症部位に集まり、細菌類を貪食殺菌する。
後期になるとマクロファージが集まり死んだ細胞や細菌を食作用により処理、分解する。
※20LPSリポ多糖、Lipopolysaccharide。
グラム陰性菌細胞壁外膜の構成成分であり、脂質及び多糖から構成される物質(糖脂質)である。
LPSは内毒素(エンドトキシン、英:Endotoxin)であり、ヒトや動物など他の生物の細胞に作用すると、多彩な生物活性を発現する。
※21(タンパク質)ドメインタンパク質の構造の一部で、固有の機能を持つ部分。
※22サイトカインサイトカイン(cytokine)は、細胞から分泌される低分子のタンパク質で生理活性物質の総称。
生理活性蛋白質とも呼ばれ、細胞間相互作用に関与し周囲の細胞に影響を与える。
※23成長因子体内において、特定の細胞の増殖や分化を促進する内因性のタンパク質の総称。
※24免疫応答体内の抗原を察知し、排除する反応。
※25細胞遊走細胞がある場所から別の場所に移動すること。
創傷治癒や胚の発生の過程などで重要な役割を担っている。
※26HMGB1の生理活性ドメインから創生したペプチド製剤当社と大阪大学との共同研究でA-box内に存在することが明らかとなった、HMGB1蛋白の骨髄間葉系幹細胞活性化ドメイン(以下、「KOI2ドメイン」という。
)。
PJ1は当該KOI2ドメインの化学合成ペプチド(レダセムチド)の医薬品化を目的とするPJである。
※27GLPGLP(Good Laboratory Practice)とは、医薬品の非臨床試験の安全性に関する信頼性を確保するための基準をいう。
※28早期臨床試験第Ⅰ相試験、初期第Ⅱ相試験などの臨床試験のこと。
後期第Ⅱ相試験、第Ⅲ相試験など後期臨床試験に対する用語。
※29デバイス生体内から細胞を回収する治療用の装置。
患者の皮下に埋め込んで用いることを想定している。
※30根治的再生誘導型細胞治療製品再生誘導医療のメカニズムを用いた、遺伝病等に対する根治的な細胞治療製品の意。
※31作用機序薬剤がその薬理学的効果を発揮するための特異的な生化学的相互作用を意味する。
※32遷延化治癒までの期間が長期になること。
※33動員因子幹細胞を誘引・集積させるための物質。
※34セルプロセッシングセンター細胞の調整や、培養、加工などの工程(細胞プロセッシング Cell Processing)を行う場所。
関係会社の状況 4【関係会社の状況】
 該当事項はありません。
従業員の状況 5【従業員の状況】
(1)提出会社の状況 2024年7月31日現在従業員数(名)平均年齢(歳)平均勤続年数(年)平均年間給与(千円)44(24)40.35.16,036(注)1.従業員数は、就業員数(執行役員、契約社員、常用パートを含む。
)であります。
なお、臨時雇用者数(派遣社員)は、年間平均雇用人員を( )内に外数で記載しております。
2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
3.当社は単一セグメントであるため、セグメント情報との関連は記載しておりません。
(2)労働組合の状況 当社の労働組合は、結成されておりませんが、労使関係は円満な関係にあり、特記すべき事項はありません。
経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
 文中の将来に関する事項は、提出日現在において、当社が判断したものであります。
(1)経営方針 当社は、人体が本来備えている組織修復能力を引き出す「再生誘導医薬®」をはじめとした最先端生命科学研究の成果をもとに、新しいコンセプトの治療薬を生み出し続けることで、世界の健康と幸福の実現に貢献することを経営理念として掲げております。
(2)目標とする経営指標等 現在、研究開発段階にある当社は、ROA、ROEその他の数値的な目標となる経営指標等は用いておりません。
現在、当社の主要な開発品目であるレダセムチドについては、栄養障害型表皮水疱症、脳梗塞を適応症とする開発が先行する段階にあり、慢性肝疾患、変形性膝関節症、心筋症を適応症とする開発が続いております。
当社は、これらの開発を推進することはもちろん、更なる他の適応症への展開や後発パイプラインの開発推進、新たな開発候補品の探索等を行い、開発パイプラインを質・量ともに充実させることが、企業価値を高め、経営を安定させる上で不可欠の目標と認識しております。
当該目標達成のために、共同研究や事業提携を推進するとともに、より充実した研究・開発体制の確立のための設備導入等の施策を実施してまいります。
(3)経営環境及び対処すべき課題等 当社が属する再生医薬品分野は、世界的にも普及段階まで至っておらず、このような最先端医療分野は環境変化のスピードが極めて早いと考えられ、潜在的な競争相手に先行し、他社の知的財産権を上回る開発をする必要性があります。
 このような経営環境の下、当社が対処すべき当面の課題としては、主に下記①~④の4点があります。
① 既存事業の展開支援と新規事業の開発推進 レダセムチドについては、塩野義製薬への導出が完了していることから、今後も引き続き、導出先企業による臨床開発が滞りなく進められ、さらに、将来幅広い適応症に対して開発が展開されるよう、導出先企業に対する側面支援を継続していくことが、当社の重要な役割であると考えております。
また、大阪大学において虚血性心筋症を対象として実施されている医師主導治験、新潟大学において慢性肝疾患を対象として実施されている医師主導治験、弘前大学において変形性膝関節症を対象として実施されている医師主導治験に対する継続的な支援も、引き続き、当社の重要な役割であると認識しております。
 レダセムチド以外の再生誘導医薬®開発候補品については、再生誘導医学協働研究所における産学連携による大阪大学をはじめとした各大学とのコラボレーションの推進など、次世代の開発候補品選定に向けた積極的な研究開発投資を続けながら候補物質スクリーニングを多面的に展開してきたことで、これまでに顕著な活性を有する複数の新規候補化合物を同定するに至っております。
それらの再生誘導医薬®開発候補品の導出活動を促進し、新たな事業提携に繋げていくことが、今後の当社の重要な経営課題であると考えております。
 具体的には以下のような内容になります。
■ 新規再生誘導医薬®の開発について 開発リスクの分散と企業価値の向上を目指して、当社では、新規再生誘導医薬®候補物質の探索研究を積極的に進めております。
これまでの研究を通じて同定した複数の候補物質について、疾患モデル動物を用いた薬効試験で治療効果を確認し、その一部につき特許出願を完了するなど、着実に成果を積み重ねております。
この探索研究を更に推し進め、既存の開発品を補完する新たな薬効プロファイルを有する新規再生誘導医薬®の開発を進めます。
■ 生体内治療用細胞採取デバイスの開発について 再生誘導医薬®の研究成果を基礎として、生体内に埋没したデバイス内に集積させた治療用の細胞を採取する技術を研究中です。
対象疾患は、皮膚や骨、軟骨、筋肉などの難治性損傷性疾患等になります。
■ 間葉系幹細胞を標的とした遺伝子治療技術開発について 脳梗塞、心筋梗塞といった後天的組織障害の治療に対して、再生誘導医薬®は循環血流を介した骨髄由来間葉系幹細胞供給という極めて画期的な治療効果を発揮します。
しかし、表皮水疱症、血友病、代謝異常症など、先天的機能障害の根治的治療を実現するためには、それぞれの病態における根本原因である遺伝子異常の改善、すなわち遺伝子治療が必要であることは言うまでもありません。
遺伝子治療の成功は、生体内のどの細胞をどのように遺伝子治療するかにかかっており、特に長期間の根治的な治療効果を得るためには、それぞれの臓器・組織で長期間細胞を供給し続ける組織幹細胞の遺伝子治療が必要不可欠です。
再生誘導医薬®開発の経験を活かし、生体内で長期間機能する可能性のある骨髄間葉系幹細胞を標的とした、遺伝子治療の開発を目指します。
直近では、現在治療法の全くない遺伝性皮膚難病に苦しむ患者に向けて、低侵襲性生体組織採取法による高度な根治的治療の研究を進めています。
■ 生体組織の網羅的単一細胞機能評価技術を基盤にした生体幹細胞高機能化医薬開発について 創薬成功確率を高める鍵は、開発候補品を投与した後の各臓器・組織の生体反応を如何に正確かつ漏れなく把握できるかにあります。
当社は大阪大学と共同で、生体内間葉系幹細胞の単一細胞レベルの遺伝子発現解析、網羅的遺伝子構造解析の研究を進め、その技術を確立しています。
 以上の技術を利用して、現在当社と大阪大学は、第1、第2、第3世代の再生誘導医薬®が生体の各臓器・組織の個々の細胞に与える網羅的遺伝子発現変化、網羅的遺伝子構造変化について、詳細なデータベースの蓄積を進めております。
現在、本邦はもとより世界的視点から見ても、単一細胞レベルでの網羅的遺伝子発現解析、網羅的遺伝子構造解析が可能な施設はNIH(アメリカ国立衛生研究所)などの限られた大規模研究施設に限定されており、ベンチャー企業レベルでその技術を有していることは当社の創薬開発技術が世界に通用し得ることを示すものと確信しております。
今後、当社の創薬研究のみならず、国内外のアカデミア研究者や製薬企業とこの技術を共有することにより、国内外の創薬開発の確率向上、安全性及び有効性評価に大きく貢献するとともに、組織幹細胞のもつ組織再生作用を安全に最大化する、世界に類の無い再生誘導医療®の開発を進めて行く予定です。
■ 細胞治療分野の再生誘導技術基盤における今後の展開について 当社が注力してきた再生誘導技術基盤は、効率よく循環血流中に幹細胞を動員し、動員した幹細胞を損傷組織に集積させ、分化能を損なわせることなく、自己の幹細胞を活用し損傷組織の再生を誘導する技術です。
これらの技術基盤は、医薬品で生体の組織再生を促進するという、細胞治療領域において計り知れないポテンシャルを有するものと考えております。
 当社は、当該技術基盤を用いて、低コストかつ高い安全性を保ちながら機能回復や組織再生を可能にすることにより、「細胞治療の常識を変えていく」ことを課題として開発を推進していきます。
② 臨床応用の加速 再生誘導医薬®は生体内に存在する間葉系幹細胞を活性化することにより、損傷組織の機能的再生を促進しますが、生体内における間葉系幹細胞については、正確な局在、機能、性質、種類など不明な点も数多く存在します。
 一方で、大阪大学と当社は、これまで10年以上の長期間にわたり、再生誘導医薬®の共同研究を続け、数多くの知見やノウハウを手にしています。
また、これまでに再生誘導医薬®における表皮水疱症、急性期脳梗塞、慢性肝疾患及び変形性膝関節症を対象とした臨床治験が実施されております。
大阪大学と当社が蓄積してきた基礎研究の膨大なデータと臨床研究及び治験のデータの相互評価及び相互利用によって、今後も引き続き再生誘導医薬®における臨床応用を加速させることが、当社の重要な経営課題であると認識しております。
③ 研究助成金の獲得 医薬品の研究開発には、多額の先行投資が必要とされ、同時に少なからぬ開発リスクが伴います。
当社では、プロジェクトが非臨床試験若しくは早期臨床開発段階に達した時点で、製薬企業との提携若しくは候補品の導出を行い、比較的早期に自社の開発費負担を低減させることを基本戦略としておりますが、それでもなお、候補物質スクリーニング法の開発と薬効メカニズム検討のための基礎研究、候補化合物の探索研究、パイロット製造、薬効薬理・安全性試験など、臨床試験に至るまでの過程で多大な研究開発費を自社で負担する必要が生じます。
 これまで当社は、公的研究助成金を積極的に活用することで、これらリスクの高い早期探索研究に要する研究開発費の負担を補ってまいりました。
既存プロジェクトの導出が完了し、今後、探索研究段階にある新規プロジェクトの数が増加していくことからも、引き続き、公的研究助成金を積極的に獲得し活用していくことが、当社の重要な経営課題であると認識しております。
④ 優秀な人材の育成及び獲得 当社が取り組む再生誘導医薬®の分野は、今後、国内外バイオ・製薬企業との競争が激化することが予想され、より一層の研究開発の加速と競合他社との差別化が必要になると考えております。
そのため、独創的な研究活動を支える優秀な研究人材の育成及び獲得は、当社の喫緊の経営課題であると認識しております。
サステナビリティに関する考え方及び取組 2【サステナビリティに関する考え方及び取組】
 当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
 なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社が判断したものであり、その達成を保証するものではありません。
・サステナビリティに関する考え方 当社は、「再生誘導®で難治性疾患を克服する」を企業理念に掲げ、大阪大学をはじめとする各大学との共同研究並びに再生誘導医学協働研究所での研究成果を最大限に活用し、従来の再生医療及び細胞治療が抱える課題を克服した次世代の医薬品である「再生誘導医薬®」の開発に注力しております。
当社のミッションである「再生誘導医薬®の開発を通じて、難治性疾患に苦しむ世界中の患者の皆様に笑顔をお届けすること」は、社会に多大な影響をもたらすものと確信しております。
今後も、再生誘導医薬®の開発事業を通じて社会の発展に寄与するとともに、事業に関連する社会の重要課題への取り組みを継続してまいります。
・マテリアリティについて 当社では、「社会・ステークホルダーにとっての重要性」と「ステムリムにとっての重要性」の2つの視点から課題を精査し、その中でも特に重要と判断した6つを重要課題(マテリアリティ)として特定し、そのうち4つを最優先課題として設定いたしました。
特定したマテリアリティに対する取り組みを推進することにより、「再生誘導医薬®の実現を通じて難治性疾患に苦しむ世界中の患者の皆様に笑顔をお届けする」という当社のミッションのもと、社会課題の解決と持続的成長の両立を目指して邁進してまいります。
 ※マテリアティの分類をE(環境)S(社会)G(ガバナンス)で記載しております。
(1)ガバナンス 当社は、サステナビリティに関する取り組みを企業経営における最重要課題の一つとして位置付け、これを推進するためのガバナンス体制を厳格に構築しております。
具体的には、代表取締役が責任者として全体の統括を行い、経営管理部が事務局の役割を担い、当該分野における具体的な方針や戦略の検討および計画の策定を実施しております。
経営管理部は、サステナビリティに関する考え方に則り、各種課題に対して適切に対応するための体制を整備し、当社の持続的成長に寄与するための活動を着実に推進してまいります。
 また、当社はサステナビリティ関連のリスク及び機会を、その他の経営上のリスク及び機会と一体的に監視及び管理しております。
詳細は、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ③ 企業統治に関するその他の事項 b.リスク管理及びコンプライアンス体制について」をご参照ください。
(2)戦略■再生誘導医薬®の開発を通じて、社会的課題の解決に取り組む 当社は、再生誘導医薬®の実現に向けた開発活動を通じ、社会的課題の解決に積極的に取り組んでおります。
難治性疾患や高齢化に伴う慢性疾患の増加など、現代社会が抱える多様な医療ニーズに対応するため、新たな治療法の開発に注力し、様々な医療課題に革新的なアプローチで対応してまいります。
また、これらの取り組みを通じ、当社は単に医薬品の開発にとどまらず、医療アクセスの向上や地域医療の支援といった幅広い社会的課題の解決に寄与できると確信しております。
レダセムチドについては、塩野義製薬への導出が完了しているため、引き続き塩野義製薬による臨床開発が滞りなく進められ、将来幅広い適応症に対して開発が展開されるよう、支援を継続してまいります。
レダセムチド以外の再生誘導医薬®開発候補品については、引き続き導出活動を促進し、新たな事業提携に繋げていくことができるよう取り組んでまいります。
■多様な人材が活躍できる職場風土の醸成 「再生誘導医薬®の開発を通じて、難治性疾患に苦しむ世界中の患者の皆様に笑顔を届けたい」という当社のミッションを実現するためには、高度な専門的知識、技能及び経験を有する多様な人材の確保と継続的な育成、さらに社員がいきいきと活躍できる職場風土の醸成が、重要課題の一つであると認識しております。
この課題の維持・向上に向け、当社は基本的な人事施策の実施に取り組んでおります。
具体的には、2021年にフレックスタイム制度を導入し、社員がライフスタイルに応じて出勤時間、退勤時間、及び労働時間を柔軟に選択できるようにすることで、生産性の向上に寄与しております。
また、従業員及び派遣社員を対象としたストック・オプション制度を導入しており、優秀な人材確保及び定着に向けた取り組みを進めております。
さらに、研修管理システムを活用し、コンプライアンス研修、情報セキュリティ研修、ハラスメント防止研修等、多岐にわたるオンライン研修を定期的に実施することで、人材育成に努めております。
■安全で働きやすい職場環境の構築 当社では、社員の多様性を尊重し、各人がその能力を最大限に発揮できるよう成長を支援することが、持続的かつ安定的な組織の成長に直結すると考え、各種人事施策の推進に積極的に取り組んでおります。
社員にとって働きやすい職場環境を実現するため、施策の内容については定期的に見直しを行っております。
具体的には、出産や育児などのライフステージの変化に柔軟に対応できるよう、仕事と育児の両立を支援するための出産育児休暇・休業制度、時短勤務制度等の各種制度を整備し、社員の多様なニーズに応える環境を整えております。
■資源の循環利用の促進 当社では、すべての経営資源を最大限に有効活用することにより、グローバルな持続可能社会の実現を目指し活動を推進しています。
また、分別廃棄の徹底や節電を通じたCO2排出削減を図るほか、社内における紙資源等の効率的な活用を推進し、持続可能社会並びに資源循環型社会の構築に向けて全社的に取り組んでおります。
今後も、社会及び事業の持続的発展に貢献するべく、不用品の消費の見直しを含めた資源の有効利用を徹底し、貴重な資源の最適な活用に努めてまいります。
■知的財産の保護・強化 当社のビジネスモデルは、製薬企業に対し当社が開発する医薬品の開発権・販売権等をライセンスアウトし、その対価として契約一時金、研究進捗に応じたマイルストーン収入、並びに製品販売時の一定割合のロイヤリティ収入を通じて収益を確保するというものであります。
このため、当社の保有する知的財産を適切に管理・活用することは、企業価値の向上において極めて重要な要素と位置付けております。
企業価値の向上を図るべく、自社の事業を支える知的財産の戦略的な確保及び取得済み知的財産の適切な維持・管理に注力しております。
さらに、当社の知財部門には、弁理士資格を有するもののみならず、再生誘導医薬®に関する高度な専門的知識を持つ人材が在籍しており、国内外の市場における特許出願及び知的財産の保護に積極的に取り組んでおります。
■コンプライアンスの徹底 当社では、役員、派遣社員を含む従業員のコンプライアンス意識の向上を図ることを目的として、研修管理システムを活用したコンプライアンス研修、情報セキュリティ研修、ハラスメント防止研修等、多岐にわたるオンライン研修を定期的に実施しております。
これらを通じて、役職員におけるコンプライアンスに対する理解力の向上や、コンプライアンスを意識した業務上の適切判断の実践に努めております。
 また、社内外でのコンプライアンス違反、兆候の通報・相談窓口として内部通報窓口を整備し、コンプライアンス違反の早期発見及び未然防止に努めております。
内部通報窓口には部門長、弁護士のみならず、比較的相談しやすい人員を窓口に配置することで、より早期に問題事案を把握することが期待でき、内部通報制度を通じた透明性の高い組織構築の実現を目指す方針です。
 さらに、コンプライアンス体制の有効性を確認や実効性の確保を目的として、リスク・コンプライアンス委員会を定期的に開催しております。
リスク・コンプライアンス委員会では、内部通報制度の実効性、社内コンプライアンス体制について定期的に見直しを行い、社内コンプライアンスの遵守体制の整備に努めております。
 詳細については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ③企業統治に関するその他の事項 b.リスク管理及びコンプライアンス体制について」をご参照ください。
(3)リスク管理 当社ではサステナビリティに関連するリスク及び機会を、その他の経営上のリスク及び機会と一体的に監視・管理しております。
詳細は、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ③ 企業統治に関するその他の事項 b.リスク管理及びコンプライアンス体制について」をご参照ください。
(4)指標及び目標 当社におけるサステナビリティへの取組みに関するリスクの評価及び対応については、経営資源の有限性を考慮し、影響の重要性に応じて取り組むべき事項の優先順位を決定し、それに基づいた目標を設定する方針としております。
現在、人材育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針については、具体的な定量的指標や目標の策定には至っておりませんが、目標達成に向けた進捗状況を継続的に注視するとともに、今後の状況に応じて指標及び目標の設定の必要性についても継続的に検討してまいります。
戦略 (2)戦略■再生誘導医薬®の開発を通じて、社会的課題の解決に取り組む 当社は、再生誘導医薬®の実現に向けた開発活動を通じ、社会的課題の解決に積極的に取り組んでおります。
難治性疾患や高齢化に伴う慢性疾患の増加など、現代社会が抱える多様な医療ニーズに対応するため、新たな治療法の開発に注力し、様々な医療課題に革新的なアプローチで対応してまいります。
また、これらの取り組みを通じ、当社は単に医薬品の開発にとどまらず、医療アクセスの向上や地域医療の支援といった幅広い社会的課題の解決に寄与できると確信しております。
レダセムチドについては、塩野義製薬への導出が完了しているため、引き続き塩野義製薬による臨床開発が滞りなく進められ、将来幅広い適応症に対して開発が展開されるよう、支援を継続してまいります。
レダセムチド以外の再生誘導医薬®開発候補品については、引き続き導出活動を促進し、新たな事業提携に繋げていくことができるよう取り組んでまいります。
■多様な人材が活躍できる職場風土の醸成 「再生誘導医薬®の開発を通じて、難治性疾患に苦しむ世界中の患者の皆様に笑顔を届けたい」という当社のミッションを実現するためには、高度な専門的知識、技能及び経験を有する多様な人材の確保と継続的な育成、さらに社員がいきいきと活躍できる職場風土の醸成が、重要課題の一つであると認識しております。
この課題の維持・向上に向け、当社は基本的な人事施策の実施に取り組んでおります。
具体的には、2021年にフレックスタイム制度を導入し、社員がライフスタイルに応じて出勤時間、退勤時間、及び労働時間を柔軟に選択できるようにすることで、生産性の向上に寄与しております。
また、従業員及び派遣社員を対象としたストック・オプション制度を導入しており、優秀な人材確保及び定着に向けた取り組みを進めております。
さらに、研修管理システムを活用し、コンプライアンス研修、情報セキュリティ研修、ハラスメント防止研修等、多岐にわたるオンライン研修を定期的に実施することで、人材育成に努めております。
■安全で働きやすい職場環境の構築 当社では、社員の多様性を尊重し、各人がその能力を最大限に発揮できるよう成長を支援することが、持続的かつ安定的な組織の成長に直結すると考え、各種人事施策の推進に積極的に取り組んでおります。
社員にとって働きやすい職場環境を実現するため、施策の内容については定期的に見直しを行っております。
具体的には、出産や育児などのライフステージの変化に柔軟に対応できるよう、仕事と育児の両立を支援するための出産育児休暇・休業制度、時短勤務制度等の各種制度を整備し、社員の多様なニーズに応える環境を整えております。
■資源の循環利用の促進 当社では、すべての経営資源を最大限に有効活用することにより、グローバルな持続可能社会の実現を目指し活動を推進しています。
また、分別廃棄の徹底や節電を通じたCO2排出削減を図るほか、社内における紙資源等の効率的な活用を推進し、持続可能社会並びに資源循環型社会の構築に向けて全社的に取り組んでおります。
今後も、社会及び事業の持続的発展に貢献するべく、不用品の消費の見直しを含めた資源の有効利用を徹底し、貴重な資源の最適な活用に努めてまいります。
■知的財産の保護・強化 当社のビジネスモデルは、製薬企業に対し当社が開発する医薬品の開発権・販売権等をライセンスアウトし、その対価として契約一時金、研究進捗に応じたマイルストーン収入、並びに製品販売時の一定割合のロイヤリティ収入を通じて収益を確保するというものであります。
このため、当社の保有する知的財産を適切に管理・活用することは、企業価値の向上において極めて重要な要素と位置付けております。
企業価値の向上を図るべく、自社の事業を支える知的財産の戦略的な確保及び取得済み知的財産の適切な維持・管理に注力しております。
さらに、当社の知財部門には、弁理士資格を有するもののみならず、再生誘導医薬®に関する高度な専門的知識を持つ人材が在籍しており、国内外の市場における特許出願及び知的財産の保護に積極的に取り組んでおります。
■コンプライアンスの徹底 当社では、役員、派遣社員を含む従業員のコンプライアンス意識の向上を図ることを目的として、研修管理システムを活用したコンプライアンス研修、情報セキュリティ研修、ハラスメント防止研修等、多岐にわたるオンライン研修を定期的に実施しております。
これらを通じて、役職員におけるコンプライアンスに対する理解力の向上や、コンプライアンスを意識した業務上の適切判断の実践に努めております。
 また、社内外でのコンプライアンス違反、兆候の通報・相談窓口として内部通報窓口を整備し、コンプライアンス違反の早期発見及び未然防止に努めております。
内部通報窓口には部門長、弁護士のみならず、比較的相談しやすい人員を窓口に配置することで、より早期に問題事案を把握することが期待でき、内部通報制度を通じた透明性の高い組織構築の実現を目指す方針です。
 さらに、コンプライアンス体制の有効性を確認や実効性の確保を目的として、リスク・コンプライアンス委員会を定期的に開催しております。
リスク・コンプライアンス委員会では、内部通報制度の実効性、社内コンプライアンス体制について定期的に見直しを行い、社内コンプライアンスの遵守体制の整備に努めております。
 詳細については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ③企業統治に関するその他の事項 b.リスク管理及びコンプライアンス体制について」をご参照ください。
指標及び目標 (4)指標及び目標 当社におけるサステナビリティへの取組みに関するリスクの評価及び対応については、経営資源の有限性を考慮し、影響の重要性に応じて取り組むべき事項の優先順位を決定し、それに基づいた目標を設定する方針としております。
現在、人材育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針については、具体的な定量的指標や目標の策定には至っておりませんが、目標達成に向けた進捗状況を継続的に注視するとともに、今後の状況に応じて指標及び目標の設定の必要性についても継続的に検討してまいります。
人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略 ■多様な人材が活躍できる職場風土の醸成 「再生誘導医薬®の開発を通じて、難治性疾患に苦しむ世界中の患者の皆様に笑顔を届けたい」という当社のミッションを実現するためには、高度な専門的知識、技能及び経験を有する多様な人材の確保と継続的な育成、さらに社員がいきいきと活躍できる職場風土の醸成が、重要課題の一つであると認識しております。
この課題の維持・向上に向け、当社は基本的な人事施策の実施に取り組んでおります。
具体的には、2021年にフレックスタイム制度を導入し、社員がライフスタイルに応じて出勤時間、退勤時間、及び労働時間を柔軟に選択できるようにすることで、生産性の向上に寄与しております。
また、従業員及び派遣社員を対象としたストック・オプション制度を導入しており、優秀な人材確保及び定着に向けた取り組みを進めております。
さらに、研修管理システムを活用し、コンプライアンス研修、情報セキュリティ研修、ハラスメント防止研修等、多岐にわたるオンライン研修を定期的に実施することで、人材育成に努めております。
■安全で働きやすい職場環境の構築 当社では、社員の多様性を尊重し、各人がその能力を最大限に発揮できるよう成長を支援することが、持続的かつ安定的な組織の成長に直結すると考え、各種人事施策の推進に積極的に取り組んでおります。
社員にとって働きやすい職場環境を実現するため、施策の内容については定期的に見直しを行っております。
具体的には、出産や育児などのライフステージの変化に柔軟に対応できるよう、仕事と育児の両立を支援するための出産育児休暇・休業制度、時短勤務制度等の各種制度を整備し、社員の多様なニーズに応える環境を整えております。
人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績、指標及び目標  当社におけるサステナビリティへの取組みに関するリスクの評価及び対応については、経営資源の有限性を考慮し、影響の重要性に応じて取り組むべき事項の優先順位を決定し、それに基づいた目標を設定する方針としております。
現在、人材育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針については、具体的な定量的指標や目標の策定には至っておりませんが、目標達成に向けた進捗状況を継続的に注視するとともに、今後の状況に応じて指標及び目標の設定の必要性についても継続的に検討してまいります。
事業等のリスク 3【事業等のリスク】
 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
また、必ずしも事業上のリスク要因に該当しないと考えられる事項についても、投資家の判断において重要と考えられる事項は、積極的な情報開示の観点から記載しています。
当社は、これら事業等のリスクを認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応を図り事業活動を行っていますが、このような諸策の成否には不確実性が存在します。
また、当社の事業はこれら以外にも様々なリスクを伴っており、下記の記載はリスクを網羅するものではありません。
当社は、医薬品等の開発を行っていますが、医薬品等の開発には長い年月と多額の研究費用を要し、各パイプラインの開発が必ずしも成功するとは限りません。
特に研究開発段階のパイプラインを有する製品開発型バイオベンチャー企業は、事業のステージや状況によっては、一般投資者の投資対象として供するには相対的にリスクが高いと考えられており、当社への投資はこれに該当します。
 なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社が判断したものであります。
(1)再生医療事業全般に係るリスク① 医薬品パイプラインの開発及びそれに伴う収益獲得の不確実性 医療用医薬品の開発には多額の研究開発投資と長い年月を要しますが、臨床試験で有用な効果を発見できないこと等により、研究開発が予定通りに進行せず、開発の延長や中止の判断を行うことは稀ではありません。
また、日本国内はもとより、海外市場の展開においては、各国の薬事関連法等の法的規制の適用を受けており、新薬の製造及び販売には各国別に厳格な審査に基づく承認を取得しなければならないため、有効性、安全性及び品質等に関する十分なデータが得られず、予定していた時期に上市できずに延期になる、又は上市を断念する可能性があります。
 これは、当社のパイプラインを他社にライセンスアウトした場合も同様であり、当社が研究開発を行った医療用医薬品候補及び他社にライセンスアウトした医療用医薬品の候補の上市が延期又は中止された場合、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす場合があります。
② 再生誘導医薬®の開発に関するリスク(ⅰ)先端医療に関する事業であることに由来するリスク 当社が研究開発を進める再生誘導医薬®とは、患者本人の体内に存在する幹細胞の働きを高めることで、怪我や病気によって損傷した組織や臓器の自己修復/再生を促進させる新しいタイプの医薬品です。
再生誘導医薬®は、細胞の採取や生体外培養を一切必要とせず、医薬品の投与のみによって、患者本人の体内に存在する幹細胞を損傷部位に動員し、組織の機能的な再生を促します。
医薬品により「再生医療」を実現する再生誘導医薬®は、細胞を一旦生体外に取り出し培養したのちに体内に戻す、従来型の「再生医療」の実用化に伴う課題を一気にクリアし、難病に苦しむ世界中の患者の手に届く、革新的な治療手段となり得るものと考えております。
 しかしながら、現在において、再生誘導医薬®が医療用医薬品として当局から製造承認を受けたものはありません。
また、他の再生医療技術についても、現時点では本格的な普及段階には至っておらず、主に特定の医療機関や研究機関が用いる高度な医療技術として比較的限定された範囲での臨床研究・臨床試験を中心として行われております。
 こういった現状の背景には、最先端の医療・医薬品に特有の課題やリスクが存在します。
まず再生医療の基盤となる学問や技術が急速な進歩を遂げている中で再生医療そのものに関する研究開発も非常に速いスピードで進んでおり、日々新しい研究開発成果や安全性・有効性に関する知見が生まれてきております。
 当社の再生誘導医薬®は現時点では新規性の高い再生医療技術であり、また学術的に見ても安全性・有効性・応用可能性ともに他の再生細胞薬等よりも優れていると自負しておりますが、一方で常に急激な技術革新の波に追い越されるリスクや想定していない副作用が出るリスクが存在し、またそのために当社の事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(ⅱ)法規制改正・政府推進政策等の変化に由来するリスク 再生誘導医薬®に関連する法規制についても、最新の技術革新の状況に対応すべく常時変更や見直しがなされる可能性があります。
例えば、法律・ガイドライン等の追加・改正により、これまで使用が認められてきた原材料が突然全く使用できなくなるといったリスクや当社の想定通りの内容で薬事承認が下りない又は薬事承認の取得に想定以上の時間を要するといったリスクも否定できません。
また世界的な医療費抑制の流れの中で、当社が想定している製品価値よりも低い薬価・保険償還価格となる可能性もあります。
当然このような場合には、当社の事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
 また現在、米国や日本をはじめとする医療先進国においては先端医療に係る各種の推進政策が実施されております。
これらの推進政策は、当社が推進する再生誘導医薬®に大きな影響を与える可能性がありますが、その影響の内容・大きさはまだ定かではないことから、当社の今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。
③ 副作用発現、製造物責任 医薬品には、臨床試験段階から更には上市後以降において、予期せぬ副作用が発現する可能性があります。
当社は、こうした事態に備えて、製造物責任を含めた各種賠償責任に対応するための適切な保険に加入する予定ですが、最終的に当社が負担する賠償額の全てに相当する保険金が支払われる保証はありません。
 また、当社に対する損害賠償の請求が認められなかったとしても、製造物責任請求等がなされたこと自体によるネガティブ・イメージにより、当社及び当社の製品に対する信頼に悪影響が生じる可能性があります。
これら予期せぬ副作用が発現した場合、当社の業績及び財政状態に重大な影響が及ぶ可能性があるとともに、社会的信頼の失墜を通じて当社の事業展開にも重大な影響を及ぼす可能性があります。
④ 競合 医薬品業界は、国際的な巨大企業を含む国内外の数多くの企業や研究機関等による激しい競争状態にあり、その技術革新は急速に進んでいる状況であります。
これら競合相手との競争において必ずしも当社が優位性をもって継続できるとは限らず、研究、開発、製造及び販売のそれぞれの事業活動における競争の結果により、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 医療費抑制策 世界各国において、政府は増え続ける医療費に歯止めをかけるため、医療費の伸びを抑制していく方針を示しており、定期的な薬価引き下げをはじめ、ジェネリック医薬品の使用促進等が進んでいます。
今後の医療費政策の動向が当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(2)固有のパイプラインに関するリスク① 特定のパイプラインに関する提携契約への依存、収益の不確実性 当社は、塩野義製薬株式会社に、レダセムチド又は同化合物を有効成分として含有する医薬品の医薬品用途、及びそれらの製法又は製剤に関連する全世界における特許に基づき、全世界において当該医薬品の医薬品用途での独占的な開発、製造、使用又は販売するための再実施許諾権付のライセンスを付与しており、これらの提携契約による収益を中心とした事業収益計画を有しています。
 しかしながら、このような提携契約は、相手先企業の経営方針の変更や経営環境の極端な悪化等の、当社がコントロールし得ない何らかの事情により、期間満了前に終了する可能性があります。
現時点ではこれらの契約が終了となる状況は発生していませんが、本契約が終了した場合は、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
 また、製品上市前の収益として、所定の成果達成に基づくマイルストーン収益を見込んでいますが、この発生時期は開発の進捗に依存した不確定なものであり、開発に遅延が生じた場合には、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
 なお、当社では今後、後続パイプラインによる収益化に努め、現状の提携契約に基づく収益への依存度を低減していく方針ですが、それらの収益化についても、開発の進捗に依存した不確実なものであり、これらの開発に遅延が生じた場合には、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(3)その他事業活動に関するリスク① マイナスの繰越利益剰余金の計上 当社は、医薬品の研究開発を主軸とするベンチャー企業であります。
医薬品の研究開発には多額の初期投資を要し、その投資資金回収も他産業と比較して相対的に長期に及ぶため、ベンチャー企業が当該事業に取り組む場合は、一般的に期間損益のマイナスが先行する傾向にあります。
当社も過去5事業年度において第15期(2020年7月期)及び第18期(2023年7月期)は、営業利益及び当期純利益を計上しておりますが、第16期(2021年7月期)、第17期(2022年7月期)及び第19期(2024年7月期)と営業損失及び当期純損失を計上しています。
 当社は、レダセムチドを始めとするパイプラインの開発を推し進めることにより、将来の利益拡大を目指しております。
しかしながら、開発の進捗状況によっては、将来において計画通りに当期純利益を計上できない可能性もあります。
仮に、当社事業が計画通りに進展せず収益を獲得できない場合には、繰越利益剰余金がプラスとなる時期が著しく遅れる可能性があります。
② 剰余金の分配について 当社は、当面は、多額の先行投資を行う研究開発活動の継続的かつ計画的な実施に備えた資金の確保を優先するため、配当等の株主還元は行わない方針としております。
しかし、株主への利益還元については、重要な経営課題と認識しており、将来的には経営成績及び財政状態を勘案しつつ剰余金の分配を行うことを考えております。
 剰余金の分配には、配当可能利益が必要となりますが、「① マイナスの繰越利益剰余金の計上」に記載したとおり、当社事業の進捗いかんによっては、繰越利益剰余金がマイナスとなり、配当可能利益が確保できる時期が著しく遅れる可能性があります。
この場合、剰余金の分配を行う時期についても遅延する可能性があります。
③ 収益計上が大きく変動する傾向 当社の事業収益は、レダセムチドを始めとする現在開発中のパイプラインのライセンスアウト時の契約一時金及び開発進捗に伴うマイルストーン収入に大きく影響されるため、過年度の事業収益、当期純損益は不安定に推移しています。
この傾向は、現在開発中のパイプラインが上市され安定的な収益基盤となるまで続くと見込まれます。
④ 再生誘導医薬®の市場規模に係るリスク 当社が研究開発を進める再生誘導医薬®は、投与によって患者の体内で誘導される幹細胞が、血液循環を介して体内を巡り、損傷した組織特異的に集積し、神経や皮膚、骨、軟骨、筋肉、血管など、様々な種類の組織に分化する能力を有するため、再生誘導医薬®という共通のプラットフォームによって、脳梗塞や脊髄損傷などの中枢神経系疾患、心筋梗塞や心筋症などの循環器系疾患、難治性皮膚潰瘍などの上皮系疾患、難治性骨折などの間葉系疾患など、組織損傷を伴う数多くの難病に対して幅広い治療効果をもたらすことが期待されます。
 よって、再生誘導医薬®は、大きな市場を獲得できると考えており、当社収益にも大きく寄与するものと考えております。
しかしながら、何らかの事情により当社の想定通りに適応範囲が拡大できない場合、将来の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 小規模組織及び少数の事業推進者への依存 当社は、提出日現在、取締役4名、監査役3名(非常勤監査役2名を含む。
)及び、2024年7月末現在、従業員71名(執行役員、臨時雇用者含む)の小規模組織であり、現在の内部管理体制はこのような組織規模に応じたものとなっています。
今後、業容拡大に応じて内部管理体制の拡充を図る方針であります。
 また、当社の事業活動は、現在の経営陣、事業を推進する各部門の責任者及び少数の研究開発人員に強く依存するところがあります。
そのため、常に優秀な人材の確保と育成に努めていますが、人材確保及び育成が順調に進まない場合、並びに人材の流出が生じた場合には、当社の事業活動に支障が生じ、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 特定の提携契約に依存した事業計画について 当社は、現時点で、特定の製薬企業との限られた共同研究契約及びライセンス契約を主軸とする事業計画を有しております。
 しかしながらこのような提携契約は、相手先企業の経営環境の極端な悪化や経営方針の変更など、当社がコントロールし得ない何らかの事情により、期間満了前に終了する可能性及び当社の想定と異なる事態が生じる可能性があります。
 このような事態が発生した場合には、他の製薬企業との新たな提携等により当社事業計画への影響を最小限に食い止める所存ではありますが、これが適時に実現できる保証はなく、このため当社の希望通りの事業活動ができず、若しくは制約を受け、その結果、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。
 なお、当社が現時点で有している提携契約としては、2014年11月に塩野義製薬株式会社との間で締結した、レダセムチド又は同化合物を有効成分として含有する医薬品の医薬品用途、及びそれらの製法又は製剤に関連する全世界における特許に基づき、全世界において当該医薬品の医薬品用途での独占的な開発、製造、使用又は販売するための再実施許諾権付のライセンス契約があります。
 塩野義製薬株式会社とは2010年4月よりレダセムチドに関する共同研究を開始しております。
一般論として、候補物質に係る研究を進め、およそ2億円から3億円の投資である非臨床試験の研究ステージから、最終的には少なくとも数百億円規模の投資となる臨床開発ステージに進むことは、巨大な製薬企業といえども、大きな決定です。
塩野義製薬株式会社がステージを進めることを決定するためには、多面的な審査をうけ、塩野義製薬株式会社の要求する基準を充足する必要があります。
 当社プロジェクトは当該基準をクリアし、2014年11月にレダセムチドに係るライセンス契約を締結しております。
当社は当該ライセンス契約に基づき、これまでに契約一時金、マイルストーン収益として、総額4,046百万円を受領しております。
 ライセンス契約によるライセンスアウト後の収入については、所定条件の達成が条件となることから、ライセンスアウト後の開発の進捗状況によっては予定された収益の計上時期が遅れる、それが得られない等の事態があり得ます。
 なお、塩野義製薬株式会社とのライセンス契約に係る開発の進捗状況としては、先行する栄養障害型表皮水疱症の追加第Ⅱ相医師主導治験が2022年7月より開始され2023年3月には第一例目となる患者への投与が開始いたしました。
また、脳梗塞については日本、米国、欧州及び中国においてグローバル第Ⅱ相試験の実施中、慢性肝疾患、変形性膝関節症においては第Ⅱ相医師主導治験が完了し、虚血性心筋症においては2024年3月より第Ⅱ相医師主導治験が開始されております。
 これらの治験の実施においては前述のとおり相当の費用が発生することが見込まれるため、当然将来的な上市を期待した上で、治験を実施することになりますが、必ずしも望ましい結果が得られるとは限りません。
仮に、治験の結果が望ましいものとならなかった場合、当社事業にも重要な影響を及ぼす可能性があります。
 これらを含め、当社の事業展開上、重要と思われる契約の概要は「第2 事業の状況 5 経営上の重要な契約等」に記載しておりますが、当該契約が期間満了、解除、その他の理由に基づき終了した場合若しくは当社にとって不利な改定が行われた場合、又は契約の相手方の財務状況が悪化したり、経営方針が変更されたりした場合には、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 資金繰り 当社は、研究開発型企業として多額の研究開発資金を必要とし、また研究開発費用の負担により長期にわたって先行投資の期間が続きます。
この先行投資期間においては、継続的に営業損失を計上し、営業活動によるキャッシュ・フローはマイナスとなる傾向があります。
当事業年度においては、営業キャッシュ・フローのマイナスを計上しており、かつ現状では、当社は継続的なロイヤリティ収入などの安定的な収益源を有しておらず、今後の収益獲得については、レダセムチドの開発の進捗状況や、その他のパイプラインのライセンス交渉等の結果に大きく左右されるため、未だ、営業活動から安定的に資金が得られる状況にあるとは言えません。
 このため、安定的な収益源を確保するまでの期間においては、必要に応じて適切な時期に資本市場からの資金調達等を実施し、財務基盤の強化を図る方針ですが、必要なタイミングで資金を確保できなかった場合は、当社事業の継続に重大な懸念が生じる可能性があります。
⑧ 設備投資に係るリスク 当社は、研究事業拡大のために、2020年6月に大阪大学と共同で再生誘導医学協働研究所を開設し、2021年1月に本社研究所を拡張し、同建屋内に動物実験施設を新設いたしました。
当社として研究開発を推進する上でその意義は大きく、今後事業進展の拡大に寄与するものと考えております。
 しかしながら、現時点において当該設備投資の効果が十分に実現する保証はありません。
仮に、当社が想定したとおりに事業を展開できない場合、減損会計の適用による減損処理が必要となるなど、当社の経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
⑨ 新株発行による資金調達 当社は医薬品の研究開発型企業であり、将来の研究開発活動の拡大に伴い、増資を中心とした資金調達を機動的に実施していく可能性があります。
その場合には、当社の発行済株式数が増加することにより、1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。
⑩ 株式の希薄化について 当社は医薬品の研究開発型企業であり、将来の研究開発活動の拡大に伴い、増資を中心とした資金調達を機動的に実施していく可能性があります。
その場合には、当社の発行済株式数が増加することにより、1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。
 また、当社は取締役(社外取締役を含む)及び監査役に対する中長期的なインセンティブの付与及び株主価値の共有を目的として譲渡制限付株式報酬制度を導入しており、また、役職員に対して、業績向上意欲や士気を高めることを目的として、ストック・オプション制度を採用しています。
今後、譲渡制限付株式報酬制度に基づき新株式が発行された場合又は発行済みの新株予約権が行使された場合には、当社の1株当たりの株式価値は希薄化する可能性があります。
今後も優秀な人材の確保のため、株式価値の希薄化に配慮しつつも同様のインセンティブ・プランを継続する可能性があります。
従って、今後割当が行われる譲渡制限付株式及び付与される新株予約権等によっても、当社の1株当たりの株式価値は希薄化する可能性があります。
⑪ 知的財産権 当社では研究開発をはじめとする事業展開において様々な知的財産権を使用しており、これらは当社所有の権利であるか、あるいは適法に使用許諾を受けた権利であるものと認識しています。
 また、当社が保有している現在出願中の特許が全て成立する保証はありません。
更に、特許が成立した場合でも、当社の研究開発を超える優れた研究開発により、当社の特許に含まれる技術が淘汰される可能性は常に存在しています。
当社の特許権の権利範囲に含まれない優れた技術が開発された場合には、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
 また、当社では他社の特許権の侵害を未然に防止するため、当社として必要と考える特許の調査を実施しており、これまでに、当社の開発パイプラインに関する特許権等の知的財産権について第三者との間で訴訟が発生した事実はありません。
しかし、当社のような研究開発型企業にとって知的財産権侵害の問題を完全に回避することは困難であり、第三者との間で知的財産権に関する紛争が生じた場合には、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
⑫ 国立大学法人大阪大学との関係について 当社は、自社での研究活動の他、国立大学法人大阪大学と共同研究を実施しており、特許権について共同保有するなどしております。
 当社は、同大学との間で、レダセムチドにかかる同大学との共有特許について同大学から独占的実施権の許諾を受け、その対価として、当社の新株予約権1,460個を同大学に割り当てること、契約一時金及びかかる特許権を第三者に実施許諾したことによる収入(契約一時金、マイルストーン収入、ロイヤリティ収入)の一定料率に相当する金額を同大学に支払うこと等を定めた契約を締結しており、当該契約に基づき、塩野義製薬株式会社等から上記に該当する収入を受け取った場合には、一定率の金額を大阪大学に支払うことになります。
 当社は、今後も同大学との間で良好な関係を維持し、共同研究を継続していく方針であります。
また、2020年4月より、同大学と共同で再生誘導医学協働研究所を設置しており、研究拠点を確保すると共に、幅広い学部・学科との緊密かつ横断的・効率的な連携を図り、より一層研究能力を強化しております。
しかしながら、何らかの理由で、これらの契約の更新が困難となった場合又は解除等により取引が困難となった場合、当社の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。
 また、同大学との取引については、良好な関係を維持しつつも当社又は株主の利益を害することのないよう、法規制を遵守するとともに、取締役会の監視等を通じて十分留意しております。
しかしながら、このような留意にかかわらず、利益供与を疑われるなどの事態が発生した場合には、当社の利益及び社会的評価を損ねる可能性があり、その結果として当社の事業、業績や財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要 当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。
)の状況の概要及び経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。
 なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において、当社が判断したものであります。
① 経営成績等の状況 当事業年度(2023年8月1日から2024年7月31日まで)の事業の概況としましては、再生誘導医薬®開発品レダセムチド(HMGB1より創製したペプチド医薬)について、新たな臨床試験開始に向けた研究開発が引き続き進捗するとともに、レダセムチドに続く第二世代の再生誘導医薬®TRIM3、TRIM4について、非臨床開発及びライセンスアウトに向けた事業開発活動が引き続き進捗いたしました。
再生誘導医薬®は、従来の再生医療とは異なり、体外で人工的に培養した細胞の移植や投与を一切必要とせず、医薬品の投与によって患者自身の体内で間葉系幹細胞の集積誘導による再生医療を実現する全く新しい作用メカニズムに基づく医薬品であり、再生医療・細胞治療と比較し、より手軽かつ安価に損傷組織の再生を促すことが可能であり、再生医療・細胞治療と同等もしくはそれ以上の効果を発揮することができる、次世代の医薬品です。
近年、当社の事業領域である再生医療業界においては、iPS細胞、CRISPRなどの遺伝子編集技術や、3Dバイオプリンティング、AIによるビッグデータの活用など急速に技術革新が進んでいるほか、創薬ベンチャー支援に対する政府予算額が大幅に増額されるなど、実用化に向けた期待が広がる一方で、コストの高騰や、長期的な安全性の確保、治療法の普及など、多くの課題が生じています。
また世界の再生医療における市場規模は2023年160億米ドルから2028年490億米ドルに推移することが予測されているなど、従来の医薬品や医療では治療が困難であった疾患に対する新たな医療への期待がいかに大きいものかがわかります。
このような状況の中、「生きた細胞を一切用いることなく、物質(化合物)の投与によって、再生医療/細胞治療を実現する」をコンセプトとする再生誘導医薬®は、移植治療や従来型の再生医療が抱える数多くの問題を克服する革新的な再生医療技術として、日本のみならず世界的な再生医療業界のゲームチェンジャーになることが期待されます。
(*)「再生誘導」、「再生誘導医薬」、「再生誘導医学」、「再生誘導医療」は当社の登録商標です。
 各パイプラインにおける対象疾患ごとの進捗は以下のとおりです。
■PJ1:レダセムチド(HMCB1 より創製したペプチド医薬)a)栄養障害型表皮水疱症治療薬(PJ1-01)の開発について、2022年7月より追加第Ⅱ相臨床試験が開始され、2023年3月に第一例目の患者への投与が開始されました。
2020年3月に終了した栄養障害型表皮水疱症患者を対象とした医師主導治験及び追跡調査(第Ⅱ相試験)のデータ解析結果について、本治験に参加した栄養障害型表皮水疱症患者全例(9例)の解析で、レダセムチド投与により主要評価項目(全身皮膚の水疱、びらん、潰瘍の合計面積の治療前値からの変化率)で、統計学的に有意な改善が確認されました。
医師主導治験におけるレダセムチド投与終了後の最終観察時点(投与開始28週後)においても、9例中7例が治療前値を下回る改善を示し、そのうち4例は50%以上の著明な改善を示しました。
また、有効性維持の評価を目的とした追跡調査の観察時点(投与開始52週後)においても有効性を確認したことから、栄養障害型表皮水疱症に対するレダセムチド治療効果の長期持続性も確認されました。
副次評価項目(安全性評価)では懸念となる有害事象は観察されず、本治験において栄養障害型表皮水疱症患者におけるレダセムチド投与の有効性と安全性が確認されております。
本治験の結果を踏まえ医薬品の承認申請を行うべく、レダセムチドのライセンス先である塩野義製薬株式会社(以下「塩野義製薬」)において規制当局との協議を進めておりましたが、本治験の結果は著効例が認められるものの、更なる有効例の積み上げが必要との結論に至っており、本治験結果の再現性を確認することを目的として、追加第Ⅱ相臨床試験を実施するに至っております。
追加第Ⅱ相臨床試験は、難治性潰瘍を有する栄養障害型表皮水疱症患者を対象に、難治性潰瘍の閉鎖を指標として、レダセムチドの難治性潰瘍に対する有効性を検討することを目的とし、実施被験者数は3例以上を予定しています。
 表皮水疱症治療薬について、対象となる栄養障害型表皮水疱症は、全国の患者数が400名前後と推定される希少難治性疾患であり現在有効な治療法が存在せず、大規模な第Ⅲ相試験を計画することが困難であります。
そのため、追加第Ⅱ相臨床試験の結果を踏まえ医薬品の承認申請を行う予定です。
 なお、レダセムチドは2023年5月に厚生労働省より栄養障害型表皮水疱症を対象とした希少疾病用医薬品の指定を受けました。
レダセムチドが希少疾病用医薬品の指定を受けたことは、表皮水疱症に対して有効である可能性及び現在の開発計画の妥当性について厚生労働省から一定の評価を受けたことになります。
また、塩野義製薬においては、レダセムチドをできるかぎり早く医療の現場に提供できるよう、他の医薬品に優先して承認審査を受けることやその他の支援措置を享受することが可能になり、審査期間の短縮による早期の承認取得、販売開始が期待されます。
b)脳梗塞治療薬(PJ1-02)の開発について、2023年4月10日より日本において、2023年4月28日より米国において、2023年7月25日より欧州及び中国において、グローバル後期第Ⅱ相臨床試験がそれぞれ開始しております。
2022年10月に開示された第Ⅱ相臨床試験においては、薬剤投与開始90日後のmRS(脳出血や脳梗塞などの脳血管障害、パーキンソン病などの神経疾患といった神経運動機能に異常を来す疾患の重症度を評価するためのスケールであり、スコア0(症状なし)~スコア6(死亡)の7段階評価)を評価した結果、5日間投与完了の翌日に介助が必要な状態(mRS≧3)の患者が投与開始90日後に介助不要(mRS≦2)になった(症状が改善した)割合について、プラセボ投与群では18%(11例/60例)であることに対し、レダセムチド投与群では34%(23例/68例)となり、急性期脳梗塞患者に対するレダセムチドの有効性が示唆されました。
要介護の脳梗塞患者において、介助不要となり社会的自立が可能なレベルにまで症状が改善することの社会的意義は大きく、レダセムチドの投与による急性期脳梗塞患者のQOL(Quality of Life)の向上が見込まれます。
本治験の良好な結果を踏まえグローバル第Ⅲ相試験を開始すべく進めて参りましたが、各規制当局との協議の結果、用量設定を目的としたグローバル後期第Ⅱ相試験を実施する運びとなっております。
急性期脳梗塞の治療においては、血管再開通療法である血栓溶解療法は発症後4.5時間まで、機械的血栓回収療法は発症後8時間までと発症から治療までに時間的な制約があり、十分な治療効果が得られていない領域です。
従来の血管溶解療法・機械的血栓回収療法と比較し、より時間的制約が緩和されたレダセムチドによる治療の選択肢は、これらのアンメット・メディカル・ニーズを満たすことが期待されます。
c)虚血性心筋症治療薬(PJ1-03)の開発について、2024年3月より、大阪大学医学部附属病院を中心とした複数の施設において第Ⅱ相医師主導治験が開始されました。
本治験は冠動脈バイパス手術を施行した虚血性心筋症患者に対し、レダセムチド若しくはプラセボ(各10例)を5日間投与し、レダセムチドの有効性、安全性を評価することを主たる目的としています。
有効性においては投与開始52週後の心エコーなどによる各種心機能検査等について評価することが予定されております。
虚血性心筋症は心筋が血流不足や酸素不足により損傷を受ける状態を指し、心筋の主な血流供給源である冠動脈が狭窄または閉塞することによって発生します。
発症すると心筋の機能障害を引き起こし、最終的には心不全を招く可能性があります。
非臨床においては、レダセムチドの投与による心筋の壊死部分の縮小や心臓の繊維化の減少が確認されており、虚血性心筋症の新たな治療薬となることが期待されます。
d)変形性膝関節症治療薬(PJ1-04)の開発について、弘前大学医学部附属病院において実施された医師主導治験(第Ⅱ相試験、レダセムチド群10例、プラセボ群10例)について、2023年3月に主要評価項目を達成した旨の連絡を受けました。
主要目的として設定したレダセムチド投与時の安全性評価については、重篤な有害事象及び本剤との関連性が認められると判定された副作用は認められず、変形性膝関節症を対象とする本剤投与時の安全性について確認されました。
また、副次目的として設定した本剤投与時の有効性評価につきましては、変形性膝関節症の根本的な原因の一つである軟骨の損傷部位の形態学的評価としてMRI撮像を行ったところ、投与開始後52週時点の大腿骨内側顆軟骨欠損面積率の変化量(中央値)はプラセボ群で-3.5%であったのに対し、レダセムチド群では-7.5%であり、レダセムチド群でより欠損部位が縮小した傾向でした。
なお、事後解析の結果になりますが、専門医師による内視鏡での肉眼観察においても、良好な軟骨再生の所見がレダセムチド群では5例に認められました(プラセボ群では2例) 変形性膝関節症は膝関節軟骨の摩耗により膝の形が変形し、痛みや腫れをきたす疾患で、重度の症例では強い痛みのため歩行困難になることも多く、QOL (Quality of Life) 及び日常生活動作の低下が顕著になります。
国内の潜在患者数は約2,500万人、そのうち自覚症状を有する患者数は約1,000万人と推定されています。
主な原因は加齢によるものが多く、40代以降の中高年に多く発症します。
損傷をうけた関節軟骨は自己修復しにくいことが知られており、損傷した軟骨組織の修復促進、あるいは人工関節置換術への移行を回避できるような新たな治療法の開発が望まれています。
レダセムチドは、マウス膝関節軟骨欠損モデルを用いた本剤の非臨床試験で軟骨修復作用等が確認されており、変形性膝関節症患者に対する新たな治療薬となることが期待されます。
e)慢性肝疾患治療薬(PJ1-05)の開発について、新潟大学医歯学総合病院により実施された医師主導治験(第Ⅱ相試験、レダセムチド群10例)について、2023年4月に主要評価項目を達成した旨の連絡を受けました。
主要目的として設定したレダセムチド投与時の安全性評価については、10例の患者のうち2例で治験薬との因果関係が否定できない有害事象(発声障害、発熱)が発現しましたが、いずれも軽度で回復しています。
また、重篤な有害事象(肝生検実施時の出血)が1例発現しましたが、処置なく回復し、レダセムチドとの因果関係は否定されたことから、レダセムチドの忍容性は良好であると考えられます。
副次目的として設定した探索的な有効性評価については、レダセムチド1.5mg/kg(体重換算)を週1回4週間投与(計4回投与)した5例において、投与開始78日後及び162日後の時点で、MRエラストグラフィを指標とした肝硬度の改善傾向が認められました(投与開始前と比較して平均12%及び8%の減少率)。
また、MRエラストグラフィによる肝硬度の改善だけでなく、他の線維化指標(線維化インデックス、線維化マーカー、modified HAIのFibrosis stage値)も随伴して改善傾向を示す症例が複数例認められました。
これら各種有効性評価指標結果をふまえた治験責任医師による総合評価では、レダセムチド1.5mg/kg(体重換算)を週1回4週間投与(計4回投与)した5例のうち3例(60%)、1週目に4日間連続投与及び2~4週目に週1回投与(計7回投与)した5例のうち2例(40%)で肝線維化の改善傾向が示唆されたと考察しています。
以上の結果を踏まえ、慢性肝疾患に対する今後の開発方針が検討されています。
 線維化が進行した肝硬変は、肝機能低下、門脈圧亢進、発癌など生命予後を左右する様々な問題が生じうる疾患であり、肝硬変の患者数は国内40~50万人と推定されております。
現状、一般治療において、線維化が進行した肝硬変に対し完治が期待できる治療法は肝移植を除き確立されておらず、移植医療に頼らない新たな肝線維化改善薬や組織再生促進薬の開発が期待されております。
レダセムチドは、有効な治療法の乏しい線維化を伴う慢性肝疾患の患者に対し、新たな治療の選択肢になり得る可能性があります。
■PJ2:TRIM3、TRIM4(全身投与型再生誘導医薬®新規ペプチド)レダセムチドに続く新規再生誘導医薬®候補物質の探索プロジェクトについて、次世代の開発候補品選定に向けた積極的な研究開発投資を続けながら候補物質スクリーニングを多面的に展開してきたことで、これまでに顕著な活性を有する新規候補化合物(TRIM3、TRIM4)を同定するに至っております。
次世代の再生誘導医薬®TRIM3,TRIM4はPJ1:レダセムチドと同様に抹消血中の間葉系幹細胞を増加させることで、組織損傷を伴う幅広い疾患に対する組織再生を誘導します。
当事業年度においては、各疾患モデル動物での実験データを着実に蓄積し、ライセンスアウトに向けた事業開発活動が引き続き進捗いたしました。
■PJ5:SR-GT1(表皮水疱症の根治治療を目的とした幹細胞遺伝子治療)当社が大阪大学との共同研究で開発を進めている幹細胞遺伝子治療(PJ5:SR-GT1)は、表皮水疱症患者の水疱から間葉系幹細胞を採取する独自の開発技術を基盤として、レンチウイルスベクタ―を用いてⅦ型コラーゲン遺伝子を患者皮膚由来間葉系幹細胞に効率的に導入し、水疱内へと戻して持続的Ⅶ型コラーゲン供給を可能にする根治的表皮水疱症治療技術です。
患者由来皮膚細胞を用いて表皮水疱症モデル皮膚組織を作製し、吸引法により水疱を人工的に形成したところ、Ⅶ型コラーゲン遺伝子を導入した間葉系幹細胞を水疱内と同じ領域に投与して作製した表皮水疱症モデル皮膚組織では、Ⅶ型コラーゲンタンパク質を広範囲に基底膜領域へ供給しており、水疱が形成されないことが確認されました。
また、他の投与経路と比較して水疱内投与は生体内において高い生着能を確認しております。
遺伝子導入細胞の表皮シートを介した移植や皮内投与と比較し、より患者の負担が少なく高い薬効を長期間持続的に示す幹細胞遺伝子治療は、現在有効な根治療法のない栄養障害型表皮水疱症の根治的治療法となることが期待されます。
また当社は、2022年4月より国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)が実施する令和4年度「難治性疾患実用化研究事業」において、共同研究企業として参画しております。
本AMED採択研究では、当社においてこれまで蓄積された幹細胞遺伝子治療研究の豊富なデータと知見を活用しながら、栄養障害型表皮水疱症の根治的治療の実現を目的としています。
これらの結果、当事業年度の経営成績の状況は以下のとおりであります。
(事業収益)当事業年度における事業収益はなし(前年同期は2,350,000千円の事業収益)となりました。
(事業費用)当事業年度における研究開発費は前事業年度に比べて113,277千円減少し1,453,969千円(前年同期比7.2%減)、販売費及び一般管理費は前事業年度に比べて18,246千円減少し622,114千円(前年同期比2.8%減)となりました。
研究開発費の減少は、主に研究用機材費の減少によるものであります。
販売費及び一般管理費の減少は、主に株式報酬費用の減少によるものであります。
この結果、当事業年度における事業費用は前事業年度に比べて131,523千円減少し2,076,084千円(前年同期比6.0%減)となりました。
(営業損益)当事業年度において、事業収益なし、事業費用2,076,084千円を計上した結果、営業損失は2,076,084千円(前年同期は142,391千円の営業利益)となりました。
(営業外損益・経常損益)当事業年度における営業外収益は前事業年度に比べて2,812千円減少し295千円(前年同期比90.5%減)、営業外費用は前事業年度に比べて1,957千円増加し2,083千円(前年同期は126千円の営業外費用)となりました。
営業外収益の主な内訳は物品売却益256千円であります。
また、営業外費用の主な内訳は契約解除損失1,354千円であります。
これらの結果、経常損失は2,077,872千円(前年同期は145,373千円の経常利益)となりました。
(特別損益・税引前当期純損益)当事業年度における特別利益は59,047千円(前年同期比137.8%増)となりました。
特別利益の主な内訳は従業員の退職に伴う新株予約権戻入益58,989千円であります。
これらの結果、税引前当期純損失は2,018,825千円(前年同期は170,207千円の税引前当期純利益)となりました。
(当期純損益)当事業年度における法人税等は3,341千円となりました。
この結果、当期純損失は2,022,166千円(前事業年度は168,350千円の当期純利益)となりました。
なお、当社は再生誘導医薬®事業の単一セグメントであるため、セグメント別の業績記載を省略しております。
② 財政状態(資産)当事業年度末における流動資産合計は8,877,489千円となり、前事業年度末に比べ1,562,917千円減少いたしました。
これは主に現金及び預金が1,807,315千円減少したことによるものです。
また、固定資産合計は202,925千円となり、前事業年度末に比べ63,149円減少いたしました。
これは主に、減価償却により有形固定資産が41,148千円減少、ソフトウエアの取得及び償却により無形固定資産が1,640千円増加、主に長期前払費用の流動資産への振替により投資その他の資産が23,641千円減少したことによるものです。
この結果、資産合計は9,080,415千円となり、前事業年度末に比べ1,626,066千円減少となりました。
(負債)当事業年度末における流動負債合計は67,527千円となり、前事業年度末に比べ150,026千円減少いたしました。
これは主にその他流動負債に含まれる未払消費税等が117,680千円減少したことによるものです。
また、固定負債合計は118,353千円となり、前事業年度末に比べ114千円減少いたしました。
これは主に繰延税金負債が288千円減少したことによるものです。
この結果、負債合計は185,880千円となり、前事業年度末に比べて150,141千円減少となりました。
(純資産)当事業年度末における純資産合計は8,894,534千円となり、前事業年度末に比べ1,475,925千円減少いたしました。
これは主に当期純損失2,022,166千円を計上した一方、新株予約権が140,102千円増加、新株予約権の行使及び役員の株式報酬としての譲渡制限付株式の発行により資本金及び資本準備金がそれぞれ203,069千円増加したことによるものです。
なお、2024年7月30日効力発生の減資により資本金が208,071千円減少し、資本準備金が208,071千円増加しております。
この結果、資本金10,750千円、資本剰余金9,422,825千円、利益剰余金△1,853,816千円となりました。
③ キャッシュ・フローの状況当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。
)は8,410,449千円と前事業年度末と比べ1,807,315千円の減少となりました。
営業活動の結果支出した資金は1,881,497千円(前事業年度は1,135,315千円の収入)となりました。
これは主に、税引前当期純損失の計上2,018,825千円、株式報酬費用の計上501,501千円、未収消費税等の増加187,137千円、未払消費税等の減少117,680千円等によるものであります。
投資活動の結果支出した資金は4,784千円(前事業年度は344千円の支出)となりました。
これは主にソフトウエアの取得によるものであります。
なお、研究用機器については取得時に研究開発費として費用処理しております。
財務活動の結果得られた資金は78,966千円(前事業年度は202,602千円の収入)となりました。
これは主に、新株予約権の行使による株式発行収入によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績a)生産実績 当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
b)受注実績 当社は受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。
c)販売実績 当社は再生誘導医薬®事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の記載を行っておりません。
また、当事業年度における販売実績はないため記載を省略しております。
 なお、最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
前事業年度においては、レダセムチドにおける急性期脳梗塞を対象とした治療薬開発に関するマイルストーン・ペイメントの条件をみたし、2,350,000千円の事業収益を計上いたしました。
当事業年度における事業収益はありませんでした。
相手先前事業年度(自 2022年8月1日至 2023年7月31日)当事業年度(自 2023年8月1日至 2024年7月31日)金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)塩野義製薬㈱2,350,000100.0--合計2,350,000100.0-- (2)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。
当社の財務諸表の作成にあたり採用している重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項」の「重要な会計方針」に記載のとおりであります。
また、当社における重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項」の「重要な会計上の見積り」に記載の通りであります。
(3)資本の財源及び資金の流動性についての分析 当社の資金需要の主なものは、継続的な候補物質の探索や候補物質の製品化に向けた開発に関する研究開発費と、販売費及び一般管理費などの事業費用であります。
これらの資金需要に対して安定的な資金供給を行うための財源については主に内部資金を活用することにより確保しております。
手元資金については、資金需要に迅速かつ確実に対応するため、流動性の高い銀行預金により確保しております。
(4)経営成績に重要な影響を与える要因について 経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
経営上の重要な契約等 5【経営上の重要な契約等】
(1)共同研究契約相手先の名称契約締結日契約期間契約内容国立大学法人大阪大学2009年9月10日2009年9月10日から2025年9月30日まで・骨髄幹細胞動員因子の大量生産系を基にして、皮膚潰瘍、脳梗塞を始めとする種々の難治性組織損傷に対する非瘢痕性機能的組織再生誘導医薬®開発に必要な共同研究を行う。
(2)共同研究講座設置契約相手先の名称契約締結日契約期間契約内容国立大学法人大阪大学2019年3月20日2019年4月1日から2027年3月31日まで・再生誘導医薬®開発研究を基盤とし、体内再生誘導治療を遺伝性難病の根治的治療へと発展させるべく、間葉系幹細胞を標的とした遺伝子治療技術を開発し、現在根治的治療法の無い遺伝性難病に苦しむ患者に低侵襲かつ効率的な遺伝子治療を提供することを目的とした研究開発を行う。
(3)実施許諾契約相手先の名称契約締結日契約期間契約内容塩野義製薬㈱2014年11月14日2014年11月14日から塩野義製薬㈱が本医薬品を開発し販売している期間中・当社は塩野義製薬㈱に対し、本特許(蛋白特許及びペプチド特許を含み、本契約期間中に当社が(ⅰ)単独又は第三者若しくは塩野義製薬㈱と共同で所有又は出願し、又は(ⅱ)実施権を保有し又は取得する化合物(骨髄由来幹細胞動員作用を有するHMGB1蛋白及びHMGB1ペプチド)又は化合物を有効成分として含有する医薬品の医薬品用途、及びそれらの製法又は製剤に関連する全世界における特許)に基づき、全世界において先行化合物及び先行製品の医薬品用途での独占的な開発、製造、使用又は販売するための再実施許諾権付のライセンスを付与する。
・許諾の対価として当社は契約一時金、マイルストーン収入及びロイヤリティ収入を受領する。
・皮膚疾患領域を含め、ヒトの疾病の治療又は予防のための使用を許諾領域とする。
国立大学法人大阪大学2014年12月26日2014年12月26日から特許存続期間・当社と国立大学法人大阪大学が共有する特許について、国立大学法人大阪大学が当社へ独占的実施権を許諾する。
・許諾の対価として、当社及び国立大学法人大阪大学は一定の実施料の支払い又は受領をする。
(4)協働研究所設置契約相手先の名称契約締結日契約期間契約内容国立大学法人大阪大学2020年3月23日2020年4月1日から2030年3月31日まで・再生誘導医薬®の作用機構を基盤とした創薬等新規医療への応用研究及び、生体内間葉系幹細胞の活性化機構を基盤とした創薬等新規医療を課題とし、大阪大学とともに、多面的な産学協働活動の推進、研究の高度化、高度人材育成の充実を図る組織を設置する。
研究開発活動 6【研究開発活動】
 「第1 企業の概況 3 事業の内容」をご参照ください。
 当社は、医薬品の研究開発を主たる業務としております。
自社研究若しくは大学等研究機関との共同研究を通じて、生体内における組織再生誘導メカニズムの解明と幹細胞の特性解析、幹細胞の制御技術に関する基礎研究を行い、その成果を活用したスクリーニング系によって、再生誘導医薬®シーズの探索を行っております。
 同定した候補物質については、自社単独若しくは共同研究を実施した大学等研究機関と共同で特許を出願し、研究開発活動の果実である知的財産の構築を進めております。
大学等研究機関と共同で出願した特許については、当社が独占的な実施権の許諾を受け、以後の製品化に向けた研究開発を当社主導で進めております。
 当社は、設立以来積極的な研究開発を行っており、当事業年度における研究開発費の総額は、1,453,969千円と事業費用全体の70.0%の割合を占めています。
また、現在までに発生した研究開発費用は、主に再生誘導医薬®の研究開発にかかる費用となっております。
当社としては、今後も研究開発活動を加速していく方針であり、相応の研究開発費用が発生していく見込みとなります。
設備投資等の概要 1【設備投資等の概要】
 当事業年度において実施した設備投資の額は、4,842千円であります。
その主なものは、工具、器具及び備品の購入及び事務用ソフトウエアの購入によるものであります。
 なお、当社は再生誘導医薬®事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
 また、当事業年度における重要な設備の除却・売却はありません。
主要な設備の状況 2【主要な設備の状況】
2024年7月31日現在 事業所名(所在地)設備の内容帳簿価額(千円)従業員数(名)建物工具、器具及び備品車両運搬具合計本社・彩都ラボ(大阪府茨木市)事務所研究施設39,8240039,8249(13)大阪大学ラボ(大阪府吹田市)研究施設716--7169(2)再生誘導医学協働研究所(大阪府吹田市)研究施設141,2623,985-145,24725(8)(注)1.現在休止中の主要な設備はありません。
2.本社等の建物を賃借しており、年間賃借料は30,053千円であります。
3.当社の事業セグメントは、再生誘導医薬®事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の記載はしておりません。
4.従業員数は就業人員(執行役員を含む)であり、臨時雇用者数は年間の平均人員を()外数で記載しております。
設備の新設、除却等の計画 3【設備の新設、除却等の計画】
(1)重要な設備の新設等 当社の設備投資については、研究の進捗及び投資効率等を総合的に勘案して行っております。
(2)重要な設備の除却等 重要な設備の除却等の計画はありません。
研究開発費、研究開発活動1,453,969,000
設備投資額、設備投資等の概要4,842,000

Employees

平均年齢(年)、提出会社の状況、従業員の状況40
平均勤続年数(年)、提出会社の状況、従業員の状況5
平均年間給与、提出会社の状況、従業員の状況6,036,000

Investment

株式の保有状況 (5)【株式の保有状況】
 該当事項はありません。

Shareholders

大株主の状況 (6)【大株主の状況】
2024年7月31日現在
氏名又は名称住所所有株式数(千株)発行済株式(自己株式を除く。)の総数に対する所有株式数の割合(%)
玉井 克人大阪府豊中市9,70215.8
玉井 佳子青森県弘前市5,4008.8
冨田 憲介東京都杉並区5,0158.2
五味 大輔長野県松本市3,2605.3
株式会社SMBC信託銀行信託口08900027東京都千代田区丸の内1丁目3番2号2,8504.6
山﨑 尊彦大阪府豊中市2,4504.0
みやこ京大イノベーション投資事業有限責任組合京都府京都市左京区吉田本町36-11,9433.2
金崎 努京都府京都市中京区1,8443.0
塩野義製薬株式会社大阪府大阪市中央区道修町3丁目1番8号1,8002.9
公益財団法人加藤記念バイオサイエンス振興財団東京都町田市旭町3丁目6-69001.5計-35,16557.2(注)1.株式会社SMBC信託銀行信託口の所有株式数2,850千株については、
塩野義製薬株式会社が委託した信託財産であり、その議決権の指図権は
塩野義製薬株式会社に留保されております。2.2024年6月14日付で公衆の縦覧に供されている大量保有報告書において、五味大輔氏が2024年6月10日現在で以下の株式を所有している旨が記載されているものの、当社として実質所有株式数の確認ができませんので、上記「大株主の状況」は2024年7月31日現在の株主名簿に基づいて記載しております。なお、大量保有報告書の変更報告書の内容は以下のとおりであります。
氏名又は名称住所保有株券等の数(千株)株券等保有割合(%)
五味 大輔長野県松本市4,5057.3
株主数-金融機関3
株主数-金融商品取引業者24
株主数-外国法人等-個人74
株主数-外国法人等-個人以外32
株主数-個人その他22,259
株主数-その他の法人119
株主数-計22,511
氏名又は名称、大株主の状況公益財団法人加藤記念バイオサイエンス振興財団
株主総利回り1
株主総会決議による取得の状況 (1)【株主総会決議による取得の状況】
 該当事項はありません。
株主総会決議又は取締役会決議に基づかないものの内容 (3)【株主総会決議又は取締役会決議に基づかないものの内容】
 該当事項はありません。

Shareholders2

発行済株式及び自己株式に関する注記 1.発行済株式及び自己株式に関する事項株式の種類当事業年度期首株式数(株)当事業年度増加株式数(株)当事業年度減少株式数(株)当事業年度末株式数(株)発行済株式 普通株式60,877,600645,600-61,523,200合計60,877,600645,600-61,523,200自己株式 普通株式121--121合計121--121(注)普通株式の発行済株式の株式数の増加645,600株は譲渡制限付株式報酬としての割当433,000株及びストック・オプションの権利行使による増加212,600株であります。

Audit1

監査法人1、個別EY新日本有限責任監査法人
独立監査人の報告書、個別 独立監査人の監査報告書及び内部統制監査報告書 2024年10月31日 株式会社 ステムリム 取締役会 御中 EY新日本有限責任監査法人 大阪事務所 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士坂井 俊介 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士中尾 志都 <財務諸表監査>監査意見 当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられている株式会社ステムリムの2023年8月1日から2024年7月31日までの第19期事業年度の財務諸表、すなわち、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、キャッシュ・フロー計算書、重要な会計方針、その他の注記及び附属明細表について監査を行った。
 当監査法人は、上記の財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、株式会社ステムリムの2024年7月31日現在の財政状態並びに同日をもって終了する事業年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。
監査意見の根拠 当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。
監査の基準における当監査法人の責任は、「財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。
当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。
当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。
監査上の主要な検討事項 監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。
監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。
固定資産の減損監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応 会社は、2024年7月31日現在、貸借対照表上、有形固定資産を185,847千円、無形固定資産を2,439千円、投資その他の資産(長期前払費用)を5,052千円計上している。
 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載されているとおり、会社は、全社を一つの資産グループとしている。
固定資産は減損の兆候があると認められる場合には、当該資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額と帳簿価額を比較することによって、減損損失の認識の要否を判定する必要がある。
判定の結果、減損損失の認識が必要と判定された場合、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、帳簿価額の減少額は減損損失として認識される。
 会社は、多額の資金を投入して医薬品の研究開発を進めているが、安定的な収益計上に至っていない。
前事業年度においてはマイルストーン収入を計上したことにより、営業活動から生ずる損益又はキャッシュ・フローが継続してマイナスとはなっていないが、過年度の業績及び経営者が作成した次年度以降のパイプライン開発計画を踏まえ、実質的に減損の兆候が継続していると判断し、固定資産に対する減損損失の認識の要否の検討を行っている。
この検討は、経営者が作成したパイプライン開発計画を基礎として行われており、当該開発計画に基づく収益の見積りには主要なパイプラインである表皮水疱症及び脳梗塞等を対象疾患としたレダセムチドの開発段階ごとのマイルストーン収入及び上市した際の販売ロイヤリティ収入が含まれている。
開発計画に基づく収益見積りを基礎として算定した割引前将来キャッシュ・フローの総額が固定資産の帳簿価額を上回ったことから、会社は減損損失の認識は不要と判断している。
 しかしながら、当該パイプライン開発計画の達成可能性は、レダセムチドの今後の臨床試験の進捗及びその結果に大きく依存しており、想定通りに進展しない場合には固定資産の減損損失が計上されるリスクがある。
 レダセムチドの開発マイルストーン収入及び販売ロイヤリティ収入は、研究開発の進捗、想定患者数及びそのうちレダセムチドを使用する患者の割合、想定される薬価、開発段階ごとの次の段階に進む成功確率及び上市に至る成功確率という見積要素によって算定結果が大きく変動するため、高い不確実性を伴っており、経営者による判断が将来キャッシュ・フローの見積りに重要な影響を及ぼす。
 以上から、当監査法人は当該事項を監査上の主要な検討事項と判断した。
 当監査法人は、固定資産の減損損失の認識の判定における割引前将来キャッシュ・フローの見積りについて、主として以下の監査手続を実施した。
・将来キャッシュ・フローの予測期間について、主要な資産の残存耐用年数と比較した。
・将来キャッシュ・フローについて、経営者によって承認されたパイプライン開発計画との整合性を検討した。
・経営者の見積プロセスの有効性を評価した。
・過年度におけるパイプライン開発計画とその後の実績を比較した。
・臨床試験の進捗及び結果について経営者への質問を行った。
・算定根拠となっている適応疾患ごとの想定患者数、レダセムチドを使用する患者の割合、想定される薬価について経営者へ質問を行うとともに厚生労働省の公表するデータや外部機関が公表しているデータ、その他公表論文を参照し、経営管理者の仮定を評価した。
・開発段階ごとの次の段階に進む成功確率及び上市に至る成功確率について、外部機関が公表している確率を参照し、経営管理者の仮定を評価した。
・将来の変動リスクを考慮した感応度分析を行った。
その他の記載内容 その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、財務諸表及びその監査報告書以外の情報である。
経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。
また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。
 当監査法人の財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。
 財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。
 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。
 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。
財務諸表に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任 経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して財務諸表を作成し適正に表示することにある。
これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。
 財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。
 監査役及び監査役会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。
財務諸表監査における監査人の責任 監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から財務諸表に対する意見を表明することにある。
虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。
 監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。
・ 不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。
また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。
監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。
さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。
・ 財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。
・ 経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。
・ 経営者が継続企業を前提として財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。
継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する財務諸表の注記事項が適切でない場合は、財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。
監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。
・ 財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた財務諸表の表示、構成及び内容、並びに財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。
 監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。
 監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。
 監査人は、監査役及び監査役会と協議した事項のうち、当事業年度の財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。
ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。
<内部統制監査>監査意見 当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第2項の規定に基づく監査証明を行うため、株式会社ステムリムの2024年7月31日現在の内部統制報告書について監査を行った。
 当監査法人は、株式会社ステムリムが2024年7月31日現在の財務報告に係る内部統制は有効であると表示した上記の内部統制報告書が、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して、財務報告に係る内部統制の評価結果について、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。
監査意見の根拠 当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に準拠して内部統制監査を行った。
財務報告に係る内部統制の監査の基準における当監査法人の責任は、「内部統制監査における監査人の責任」に記載されている。
当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。
当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。
内部統制報告書に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任 経営者の責任は、財務報告に係る内部統制を整備及び運用し、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して内部統制報告書を作成し適正に表示することにある。
 監査役及び監査役会の責任は、財務報告に係る内部統制の整備及び運用状況を監視、検証することにある。
 なお、財務報告に係る内部統制により財務報告の虚偽の記載を完全には防止又は発見することができない可能性がある。
内部統制監査における監査人の責任 監査人の責任は、監査人が実施した内部統制監査に基づいて、内部統制報告書に重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、内部統制監査報告書において独立の立場から内部統制報告書に対する意見を表明することにある。
 監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。
・ 内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果について監査証拠を入手するための監査手続を実施する。
内部統制監査の監査手続は、監査人の判断により、財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性に基づいて選択及び適用される。
・ 財務報告に係る内部統制の評価範囲、評価手続及び評価結果について経営者が行った記載を含め、全体としての内部統制報告書の表示を検討する。
・ 内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果に関する十分かつ適切な監査証拠を入手する。
監査人は、内部統制報告書の監査に関する指示、監督及び実施に関して責任がある。
 監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した内部統制監査の範囲とその実施時期、内部統制監査の実施結果、識別した内部統制の開示すべき重要な不備、その是正結果、及び内部統制の監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。
 監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。
<報酬関連情報> 当監査法人及び当監査法人と同一のネットワークに属する者に対する、会社の監査証明業務に基づく報酬及び非監査業務に基づく報酬の額は、「提出会社の状況」に含まれるコーポレート・ガバナンスの状況等(3)【監査の状況】
に記載されている。
利害関係 会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。
以 上 (注)1.上記の監査報告書の原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。
2.XBRLデータは監査の対象には含まれていません。
監査上の主要な検討事項、個別 監査上の主要な検討事項 監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。
監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。
固定資産の減損監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応 会社は、2024年7月31日現在、貸借対照表上、有形固定資産を185,847千円、無形固定資産を2,439千円、投資その他の資産(長期前払費用)を5,052千円計上している。
 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載されているとおり、会社は、全社を一つの資産グループとしている。
固定資産は減損の兆候があると認められる場合には、当該資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額と帳簿価額を比較することによって、減損損失の認識の要否を判定する必要がある。
判定の結果、減損損失の認識が必要と判定された場合、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、帳簿価額の減少額は減損損失として認識される。
 会社は、多額の資金を投入して医薬品の研究開発を進めているが、安定的な収益計上に至っていない。
前事業年度においてはマイルストーン収入を計上したことにより、営業活動から生ずる損益又はキャッシュ・フローが継続してマイナスとはなっていないが、過年度の業績及び経営者が作成した次年度以降のパイプライン開発計画を踏まえ、実質的に減損の兆候が継続していると判断し、固定資産に対する減損損失の認識の要否の検討を行っている。
この検討は、経営者が作成したパイプライン開発計画を基礎として行われており、当該開発計画に基づく収益の見積りには主要なパイプラインである表皮水疱症及び脳梗塞等を対象疾患としたレダセムチドの開発段階ごとのマイルストーン収入及び上市した際の販売ロイヤリティ収入が含まれている。
開発計画に基づく収益見積りを基礎として算定した割引前将来キャッシュ・フローの総額が固定資産の帳簿価額を上回ったことから、会社は減損損失の認識は不要と判断している。
 しかしながら、当該パイプライン開発計画の達成可能性は、レダセムチドの今後の臨床試験の進捗及びその結果に大きく依存しており、想定通りに進展しない場合には固定資産の減損損失が計上されるリスクがある。
 レダセムチドの開発マイルストーン収入及び販売ロイヤリティ収入は、研究開発の進捗、想定患者数及びそのうちレダセムチドを使用する患者の割合、想定される薬価、開発段階ごとの次の段階に進む成功確率及び上市に至る成功確率という見積要素によって算定結果が大きく変動するため、高い不確実性を伴っており、経営者による判断が将来キャッシュ・フローの見積りに重要な影響を及ぼす。
 以上から、当監査法人は当該事項を監査上の主要な検討事項と判断した。
 当監査法人は、固定資産の減損損失の認識の判定における割引前将来キャッシュ・フローの見積りについて、主として以下の監査手続を実施した。
・将来キャッシュ・フローの予測期間について、主要な資産の残存耐用年数と比較した。
・将来キャッシュ・フローについて、経営者によって承認されたパイプライン開発計画との整合性を検討した。
・経営者の見積プロセスの有効性を評価した。
・過年度におけるパイプライン開発計画とその後の実績を比較した。
・臨床試験の進捗及び結果について経営者への質問を行った。
・算定根拠となっている適応疾患ごとの想定患者数、レダセムチドを使用する患者の割合、想定される薬価について経営者へ質問を行うとともに厚生労働省の公表するデータや外部機関が公表しているデータ、その他公表論文を参照し、経営管理者の仮定を評価した。
・開発段階ごとの次の段階に進む成功確率及び上市に至る成功確率について、外部機関が公表している確率を参照し、経営管理者の仮定を評価した。
・将来の変動リスクを考慮した感応度分析を行った。
全体概要、監査上の主要な検討事項、個別  監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。
監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。
見出し、監査上の主要な検討事項、個別固定資産の減損
その他の記載内容、個別 その他の記載内容 その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、財務諸表及びその監査報告書以外の情報である。
経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。
また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。
 当監査法人の財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。
 財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。
 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。
 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。
報酬関連情報、個別 <報酬関連情報> 当監査法人及び当監査法人と同一のネットワークに属する者に対する、会社の監査証明業務に基づく報酬及び非監査業務に基づく報酬の額は、「提出会社の状況」に含まれるコーポレート・ガバナンスの状況等(3)【監査の状況】
に記載されている。

BS資産

その他、流動資産195,379,000
工具、器具及び備品(純額)4,044,000
有形固定資産185,847,000
ソフトウエア2,439,000
無形固定資産2,439,000
長期前払費用5,052,000
投資その他の資産14,638,000

BS負債、資本

未払金35,533,000
未払法人税等3,630,000
未払費用24,365,000
繰延税金負債9,973,000
資本剰余金9,422,825,000
利益剰余金-1,853,816,000
株主資本7,579,640,000
負債純資産9,080,415,000

PL

営業利益又は営業損失-2,076,084,000
営業外収益295,000
支払利息、営業外費用1,000
営業外費用2,083,000
固定資産売却益、特別利益57,000
特別利益59,047,000
法人税、住民税及び事業税3,630,000
法人税等調整額-288,000
法人税等3,341,000

PL2

株主資本以外の項目の当期変動額(純額)140,102,000
当期変動額合計-1,475,925,000

FS_ALL

現金及び現金同等物の残高8,410,449,000
減価償却累計額、有形固定資産、一括控除-195,720,000
役員報酬、販売費及び一般管理費79,200,000
減価償却費、販売費及び一般管理費28,024,000
現金及び現金同等物の増減額-1,807,315,000

営業活動によるキャッシュ・フロー

減価償却費、営業活動によるキャッシュ・フロー44,349,000
受取利息及び受取配当金、営業活動によるキャッシュ・フロー0
支払利息、営業活動によるキャッシュ・フロー1,000
補助金収入、営業活動によるキャッシュ・フロー-37,000
棚卸資産の増減額(△は増加)、営業活動によるキャッシュ・フロー-20,819,000
未払消費税等の増減額、営業活動によるキャッシュ・フロー-117,680,000
その他、営業活動によるキャッシュ・フロー-5,600,000
小計、営業活動によるキャッシュ・フロー-1,877,903,000
利息及び配当金の受取額、営業活動によるキャッシュ・フロー又は投資活動によるキャッシュ・フロー0
利息の支払額、営業活動によるキャッシュ・フロー又は財務活動によるキャッシュ・フロー-1,000
補助金の受取額、営業活動によるキャッシュ・フロー37,000
法人税等の支払額、営業活動によるキャッシュ・フロー-3,630,000

財務活動によるキャッシュ・フロー

リース債務の返済による支出、財務活動によるキャッシュ・フロー-531,000

投資活動によるキャッシュ・フロー

有形固定資産の取得による支出、投資活動によるキャッシュ・フロー-2,397,000
有形固定資産の売却による収入、投資活動によるキャッシュ・フロー58,000

概要や注記

連結財務諸表等の適正性を確保するための特段の取組み、経理の状況 当社は、財務諸表等の適正性を確保するための特段の取組みを行っております。
具体的には、会計基準等の内容を適切に把握し、会計基準等の変更等について的確に対応できるよう、証券印刷会社や、監査法人等主催の各種セミナーへ参加し、財務諸表等の適正性の確保に努めております。
有形固定資産の減価償却累計額の注記 ※1 有形固定資産の減価償却累計額 前事業年度(2023年7月31日)当事業年度(2024年7月31日)有形固定資産の減価償却累計額154,515千円195,720千円
主要な販売費及び一般管理費 ※3 販売費及び一般管理費のうち一般管理費に属する費用の割合は100%であります。
主要な費目及び金額は、次のとおりであります。
前事業年度(自 2022年8月1日至 2023年7月31日)当事業年度(自 2023年8月1日至 2024年7月31日)役員報酬64,200千円79,200千円給与手当45,795 〃40,199 〃株式報酬費用346,868 〃329,899 〃支払手数料64,828 〃69,915 〃減価償却費31,460 〃28,024 〃
固定資産売却益の注記 ※4 固定資産売却益の内容は次のとおりであります。
前事業年度(自 2022年8月1日至 2023年7月31日)当事業年度(自 2023年8月1日至 2024年7月31日)工具、器具及び備品5千円57千円
顧客との契約から生じる収益の金額の注記 ※1 顧客との契約から生じる収益 事業収益については、顧客との契約から生じる収益及びそれ以外の収益を区分して記載しておりません。
顧客との契約から生じる収益の金額は、財務諸表「注記事項(収益認識関係)1.顧客との契約から生じる収益を分解した情報」に記載しております。
新株予約権等に関する注記 2.新株予約権等に関する事項内訳目的となる株式の種類目的となる株式の数(株)当事業年度末残高(千円)当事業年度期首増加減少当事業年度末ストック・オプションとしての新株予約権-----1,314,893合計----1,314,893
配当に関する注記 3.配当に関する事項 該当事項はありません。
現金及び現金同等物の期末残高と貸借対照表に掲記されている科目の金額との関係 ※1 現金及び現金同等物の期末残高と貸借対照表に掲記されている科目の金額との関係は次のとおりであります。
前事業年度(自 2022年8月1日至 2023年7月31日)当事業年度(自 2023年8月1日至 2024年7月31日)現金及び預金10,217,764千円8,410,449千円現金及び現金同等物10,217,764千円8,410,449千円
製品及びサービスごとの情報 1 製品及びサービスごとの情報 当期において顧客との契約から生じる収益の発生はないため記載を省略しております。
売上高、地域ごとの情報 (1)事業収益 顧客との契約から生じる収益の発生がないため、該当事項はありません。
有形固定資産、地域ごとの情報 (2)有形固定資産 本邦以外に所在している有形固定資産がないため、該当事項はありません。
主要な顧客ごとの情報 3 主要な顧客ごとの情報該当事項はありません。
貸借対照表 ①【貸借対照表】
(単位:千円) 前事業年度(2023年7月31日)当事業年度(2024年7月31日)資産の部 流動資産 現金及び預金10,217,7648,410,449貯蔵品8,51429,334前払費用207,536242,326その他6,590195,379流動資産合計10,440,4068,877,489固定資産 有形固定資産 建物(純額)224,164181,803車両運搬具(純額)00工具、器具及び備品(純額)2,8304,044有形固定資産合計※1 226,995※1 185,847無形固定資産 ソフトウエア7992,439無形固定資産合計7992,439投資その他の資産 長期前払費用28,6935,052敷金及び保証金9,5869,586投資その他の資産合計38,28014,638固定資産合計266,075202,925資産合計10,706,4829,080,415 (単位:千円) 前事業年度(2023年7月31日)当事業年度(2024年7月31日)負債の部 流動負債 未払金65,48135,533未払費用22,10724,365未払法人税等3,6303,630リース債務531-預り金8,1233,999その他117,680-流動負債合計217,55467,527固定負債 資産除去債務108,206108,380繰延税金負債10,2619,973固定負債合計118,467118,353負債合計336,022185,880純資産の部 株主資本 資本金15,75210,750資本剰余金 資本準備金9,011,6839,422,825資本剰余金合計9,011,6839,422,825利益剰余金 その他利益剰余金 繰越利益剰余金168,350△1,853,816利益剰余金合計168,350△1,853,816自己株式△118△118株主資本合計9,195,6687,579,640新株予約権1,174,7911,314,893純資産合計10,370,4608,894,534負債純資産合計10,706,4829,080,415
損益計算書 ②【損益計算書】
(単位:千円) 前事業年度(自 2022年8月1日至 2023年7月31日)当事業年度(自 2023年8月1日至 2024年7月31日)事業収益※1 2,350,000-事業費用 研究開発費※2 1,567,247※2 1,453,969販売費及び一般管理費※3 640,361※3 622,114事業費用合計2,207,6082,076,084営業利益又は営業損失(△)142,391△2,076,084営業外収益 受取利息及び配当金00補助金収入1,26337為替差益645-物品売却益380256雑収入8171営業外収益合計3,107295営業外費用 支払利息581為替差損-182契約解除損失-1,354撤去費用-374雑損失67170営業外費用合計1262,083経常利益又は経常損失(△)145,373△2,077,872特別利益 固定資産売却益※4 5※4 57新株予約権戻入益24,82858,989特別利益合計24,83459,047税引前当期純利益又は税引前当期純損失(△)170,207△2,018,825法人税、住民税及び事業税3,6303,630法人税等調整額△1,773△288法人税等合計1,8563,341当期純利益又は当期純損失(△)168,350△2,022,166
株主資本等変動計算書 ③【株主資本等変動計算書】
前事業年度(自 2022年8月1日 至 2023年7月31日) (単位:千円) 株主資本 資本金資本剰余金 資本準備金その他資本剰余金資本剰余金合計当期首残高76,31510,620,172-10,620,172当期変動額 新株の発行256,970256,970 256,970減資△317,534△1,865,4592,182,994317,534欠損填補 △2,182,994△2,182,994当期純利益 自己株式の取得 株主資本以外の項目の当期変動額(純額) 当期変動額合計△60,563△1,608,488-△1,608,488当期末残高15,7529,011,683-9,011,683 株主資本新株予約権純資産合計 利益剰余金自己株式株主資本合計 その他利益剰余金利益剰余金合計 繰越利益剰余金当期首残高△2,182,994△2,182,994△318,513,462891,4819,404,943当期変動額 新株の発行 513,941 513,941減資 - -欠損填補2,182,9942,182,994 - -当期純利益168,350168,350 168,350 168,350自己株式の取得 △86△86 △86株主資本以外の項目の当期変動額(純額) 283,310283,310当期変動額合計2,351,3452,351,345△86682,206283,310965,516当期末残高168,350168,350△1189,195,6681,174,79110,370,460 当事業年度(自 2023年8月1日 至 2024年7月31日) (単位:千円) 株主資本 資本金資本剰余金 資本準備金資本剰余金合計当期首残高15,7529,011,6839,011,683当期変動額 新株の発行203,069203,069203,069減資△208,071208,071208,071当期純損失(△) 株主資本以外の項目の当期変動額(純額) 当期変動額合計△5,002411,141411,141当期末残高10,7509,422,8259,422,825 株主資本新株予約権純資産合計 利益剰余金自己株式株主資本合計 その他利益剰余金利益剰余金合計 繰越利益剰余金当期首残高168,350168,350△1189,195,6681,174,79110,370,460当期変動額 新株の発行 406,138 406,138減資 - -当期純損失(△)△2,022,166△2,022,166 △2,022,166 △2,022,166株主資本以外の項目の当期変動額(純額) 140,102140,102当期変動額合計△2,022,166△2,022,166-△1,616,028140,102△1,475,925当期末残高△1,853,816△1,853,816△1187,579,6401,314,8938,894,534
重要な会計方針、財務諸表 (重要な会計方針)1.棚卸資産の評価基準及び評価方法貯蔵品個別法による原価法(収益性の低下による簿価切り下げの方法) 2.固定資産の減価償却の方法(1)有形固定資産 定率法を採用しております。
 ただし、建物(建物附属設備は除く)並びに2016年4月1日以降に取得した建物附属設備及び構築物については定額法を採用しております。
 なお、主な耐用年数は以下の通りであります。
建物     3~18年工具器具備品 4~15年車両運搬具    2年 (2)無形固定資産 定額法を採用しております。
 なお、主な償却年数は以下の通りであります。
ソフトウエア   5年 (3)リース資産所有権移転ファイナンス・リース取引に係るリース資産 自己所有の固定資産に適用する減価償却方法と同一の方法を採用しております。
所有権移転外ファイナンス・リース取引に係るリース資産 リース期間を耐用年数とし、残存価額を零とする定額法を採用しております。
(4)長期前払費用 定額法を採用しております。
3.収益及び費用の計上基準(収益の計上基準) 当社は、医薬品の研究開発を行っており、ライセンス契約等に基づく契約一時金及びマイルストーン収入を得ております。
当社の顧客との契約から生じる収益に関する主な履行義務の内容及び当該履行義務を充足する通常の時点(収益を認識する通常の時点)は以下のとおりであります。
① 契約一時金 契約一時金は、履行義務が充足される一時点であるライセンスを付与した時点で収益を認識しております。
② マイルストーン収入 マイルストーン収入は、契約上定められた履行義務であるマイルストーンが達成された時点で収益を認識しております。
③ ロイヤリティ収入 ロイヤリティ収入は、契約相手先の売上収益等を基礎に算定された契約対価であり、契約相手先の売上収益等の発生時点で収益を認識することとしておりますが、現時点において当該収益は発生しておりません。
④ 共同研究収入 共同研究収入は、契約上定められた履行義務が充足された一時点で収益を認識しております。
⑤ その他一時金 その他のデータ使用権許諾契約等に係る収益は、契約上定められた履行義務が充足された時点で収益認識しております。
4.キャッシュ・フロー計算書における資金の範囲 手許現金、随時引き出し可能な預金及び容易に換金可能であり、かつ、価値の変動について僅少なリスクしか負わない取得日から3カ月以内に償還期限の到来する短期的な投資からなっております。
重要な会計上の見積り、財務諸表 (重要な会計上の見積り)(固定資産の減損)(1)当事業年度の財務諸表に計上した金額(単位:千円) 貸借対照表計上額減損損失計上額有形固定資産185,847-無形固定資産2,439-投資その他の資産(長期前払費用)5,052- (2)識別した項目に係る重要な会計上の見積りの内容に関する情報 当社は、多額の資金を投入して医薬品の研究開発を進めておりますが、安定的な収益計上に至っておらず、前事業年度においてはマイルストーン収入を計上したことにより、営業活動から生ずる損益又はキャッシュ・フローが継続してマイナスとはなっておりませんが、過年度の業績及び次年度以降のパイプライン開発計画を踏まえ、実質的に減損の兆候が継続していると判断し、当事業年度において、固定資産に対する減損損失の認識の要否の検討を行っております。
検討の結果、固定資産の帳簿価額(有形固定資産185,847千円、無形固定資産2,439千円、投資その他の資産5,052千円)を回収できるだけの将来キャッシュ・フローが見込めるとして減損損失の計上は不要と判断しております。
 当社の事業は、再生誘導医薬®事業のみの単一事業であり、全社一体としてグルーピングを行っております。
減損の兆候があると認められる場合には、資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額と帳簿価額を比較することによって、減損損失の認識の要否を判定する必要があります。
判定の結果、減損損失の認識が必要と判定された場合、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、帳簿価額の減少額は減損損失として認識されます。
 将来キャッシュ・フローの算出はパイプライン開発計画を基礎として行っており、主要なパイプラインである表皮水疱症及び脳梗塞等を対象疾患としたレダセムチドの開発段階ごとのマイルストーン収入及び上市した際の販売ロイヤリティ収入が含まれております。
当該収入については、研究開発の進捗、想定患者数及びそのうちレダセムチドを使用する患者の割合、想定される薬価、開発段階ごと及び上市に至る成功確率という見積要素によって算定結果が大きく変動するため、高い不確実性を伴っており、将来キャッシュ・フローの見積りに重要な影響を及ぼす可能性があります。
税効果会計関係、財務諸表 (税効果会計関係)1.繰延税金資産及び繰延税金負債の発生の主な原因別の内訳 前事業年度(2023年7月31日) 当事業年度(2024年7月31日)繰延税金資産 税務上の繰越欠損金(注)2508,494千円 969,826千円研究開発費27,702 〃 101,082 〃資産除去債務36,887 〃 36,946 〃新株予約権72,895 〃 68,768 〃譲渡制限株式72,224 〃 168,767 〃一括償却資産償却超過額475 〃 902 〃繰延税金資産小計718,680千円 1,346,294千円税務上の繰越欠損金に係る評価性引当額(注)2△508,494 〃 △969,826 〃将来減算一時差異の合計に係る評価性引当額△197,694 〃 △368,284 〃評価性引当額小計(注)1△706,188 〃 △1,338,110 〃繰延税金資産合計12,491千円 8,183千円 繰延税金負債 資産除去費用△22,753千円 △18,157千円繰延税金負債合計△22,753千円 △18,157千円繰延税金資産純額△10,261千円 △9,973千円(注)1.評価性引当額が631,921千円増加しております。
この現象の内容は、主に税務上の繰越欠損金が増加したことによるものであります。
(注)2.税務上の繰越欠損金及びその繰延税金資産の繰越期限別の金額前事業年度(2023年7月31日)(単位:千円) 1年以内1年超2年以内2年超3年以内3年超4年以内4年超5年以内5年超合計税務上の繰越欠損金(b)---1,494-506,999508,494評価性引当額---△1,494-△506,999△508,494繰延税金資産-------(b)税務上の繰越欠損金は、法定実効税率を乗じた額であります。
当事業年度(2024年7月31日)(単位:千円) 1年以内1年超2年以内2年超3年以内3年超4年以内4年超5年以内5年超合計税務上の繰越欠損金(b)--1,494--968,332969,826評価性引当額--△1,494--△968,332△969,826繰延税金資産-------(b)税務上の繰越欠損金は、法定実効税率を乗じた額であります。
2.法定実効税率と税効果会計適用後の法人税等の負担率との間に重要な差異があるときの、当該差異の原因となった主要な項目別の内訳 前事業年度(2023年7月31日) 当事業年度(2024年7月31日)法定実効税率34.1% -(調整) 株式報酬費用56.1% -住民税均等割2.1% -評価性引当額の増減39.4% -繰越欠損金の使用△131.4% -その他0.8% -税効果会計適用後の法人税等の負担率1.1% -(注) 当事業年度は、税引前当期純損失であるため、記載を省略しております。
収益認識関係、財務諸表 (収益認識関係)1.顧客との契約から生じる収益を分解した情報当期において顧客との契約から生じる収益の発生はないため記載を省略しております。
2.顧客との契約から生じる収益を理解するための基礎となる情報(重要な会計方針)「3.収益及び費用の計上基準」に記載のとおりです。
3.顧客との契約に基づく履行義務の充足と当該契約から生じるキャッシュ・フローとの関係並びに当事業年度末において存在する顧客との契約から翌事業年度以降に認識すると見込まれる収益の金額及び時期に関する情報(1)契約資産及び契約負債の残高等契約資産及び契約負債の残高が存在しないため、記載を省略しております。
(2)残存履行義務に配分した取引価格契約期間が1年を超える重要な契約がないため、記載を省略しております。
重要な後発事象、財務諸表 (重要な後発事象)(ストック・オプションとしての新株予約権の発行) 当社は、2024年7月25日開催の取締役会において、当社の研究開発の進展に対する貢献意欲や士気を高めることにより、企業価値向上に資することを目的として、当社の派遣社員及び社外協力者に対し、2023年10月25日開催の定時株主総会で承認されました、ストック・オプションとしての新株予約権を発行することを決議し、2024年8月9日に発行しております。
 なお、当該新株予約権の詳細については、「第4 提出会社の状況 1 株式等の状況 (2)新株予約権等の状況 ① ストック・オプション制度の内容」に記載のとおりであります。
有形固定資産等明細表 【有形固定資産等明細表】
資産の種類当期首残高(千円)当期増加額(千円)当期減少額(千円)当期末残高(千円)当期末減価償却累計額又は償却累計額(千円)当期償却額(千円)差引当期末残高(千円)有形固定資産 建物350,202--350,202168,39842,361181,803工具、器具及び備品29,2502,3972,34029,30725,2631,1834,044車両運搬具2,059--2,0592,059-0有形固定資産計381,5112,3972,340381,568195,72043,545185,847無形固定資産 ソフトウエア2,3212,445-4,7662,3268042,439無形固定資産計2,3212,445-4,7662,3268042,439長期前払費用28,69366924,3115,052--5,052(注)1.当期増加額のうち主なものは、次のとおりであります。
工具器具備品PC・OA機器関連2,397千円ソフトウエアシステム関連2,445千円2.長期前払費用は、費用の期間配分に係るものであり、償却資産とは性格が異なるため、「当期末減価償却累計額又は償却累計額」及び「当期償却額」には含めておりません。
引当金明細表 【引当金明細表】
 該当事項はありません。
主な資産及び負債の内容 (2)【主な資産及び負債の内容】
① 現金及び預金区分金額(千円)預金 普通預金8,410,449合計8,410,449 ② 貯蔵品区分金額(千円)研究用試薬・材料29,334合計29,334
その他、財務諸表等 (3)【その他】
当事業年度における四半期情報等(累計期間)第1四半期第2四半期第3四半期当事業年度事業収益(千円)----税引前四半期純損失(△)(千円)△466,238△1,003,797△1,516,278△2,018,825四半期純損失(△)(千円)△467,145△1,005,612△1,519,000△2,022,1661株当たり四半期純損失(△)(円)△7.66△16.45△24.80△32.98 (会計期間)第1四半期第2四半期第3四半期第4四半期1株当たり四半期純損失金額(△)(円)△7.66△8.79△8.35△8.18
提出会社の株式事務の概要 第6【提出会社の株式事務の概要】
事業年度毎年8月1日から翌年7月31日まで定時株主総会毎事業年度末日の翌日から3か月以内基準日毎年7月31日剰余金の配当の基準日毎年1月31日毎年7月31日1単元の株式数100株単元未満株式の買取り 取扱場所大阪府大阪市中央区北浜四丁目5番33号 三井住友信託銀行株式会社 証券代行部株主名簿管理人東京都千代田区丸の内一丁目4番1号 三井住友信託銀行株式会社取次所-買取手数料株式の売買の委託に係る手数料相当額として別途定める金額公告掲載方法当社の公告の方法は、電子公告としております。
ただし、事故その他やむを得ない事由によって、電子公告による公告ができない場合には、日本経済新聞に掲載しております。
なお、電子公告は、当社ホームページに掲載しており、そのアドレスは、次のとおりです。
https://stemrim.com/株主に対する特典該当事項はありません。
(注) 当社の株主は、その有する単元未満株式について、次に掲げる権利以外の権利を有しておりません。
会社法第189条第2項各号に掲げる権利会社法第166条第1項の規定による請求をする権利株主の有する株式数に応じて募集株式の割当て及び募集新株予約権の割当てを受ける権利
提出会社の親会社等の情報 1【提出会社の親会社等の情報】
 当社は、金融商品取引法第24条の7第1項に規定する親会社等はありません。
その他の参考情報 2【その他の参考情報】
 当事業年度の開始日から有価証券報告書提出日までの間に、次の書類を提出しております。
(1)有価証券報告書及びその添付書類並びに確認書 事業年度 第18期(自 2022年8月1日 至 2023年7月31日) 2023年10月26日近畿財務局長に提出。
(2)内部統制報告書及びその添付書類 事業年度 第18期(自 2022年8月1日 至 2023年7月31日) 2023年10月26日近畿財務局長に提出。
(3)四半期報告書及び確認書 第19期第1四半期(自 2023年8月1日 至 2023年10月31日) 2023年12月14日近畿財務局長に提出。
 第19期第2四半期(自 2023年11月1日 至 2024年1月31日) 2024年3月14日近畿財務局長に提出。
 第19期第3四半期(自 2024年2月1日 至 2024年4月30日) 2024年6月13日近畿財務局長に提出。
(4)臨時報告書 企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第9号(代表取締役の異動)の規定に基づく臨時報告書を2023年10月27日近畿財務局長に提出。
 企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第9号の2(株主総会における議決権行使の結果)の規定に基づく臨時報告書を2023年10月27日近畿財務局長に提出。
 企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第9号の2(株主総会における議決権行使の結果)の規定に基づく臨時報告書を2024年7月25日近畿財務局長に提出。
 企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第2号の2(新株予約権の発行)に基づく臨時報告書を2023年9月20日近畿財務局長に提出。
 企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第2号の2(新株予約権の発行)に基づく臨時報告書を2023年9月20日近畿財務局長に提出。
 企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第2号の2(新株予約権の発行)に基づく臨時報告書を2024年7月26日近畿財務局長に提出。
 企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第2号の2(新株予約権の発行)に基づく臨時報告書を2024年7月26日近畿財務局長に提出。
(5)臨時報告書の訂正報告書 2023年9月20日提出の臨時報告書に係る訂正報告書を2023年9月22日近畿財務局長に提出。
(6)有価証券届出書(参照方式)及びその添付書類 譲渡制限付株式報酬制度としての新株式の発行に係る有価証券届出書を2023年11月8日近畿財務局長に提出。
(7)有価証券届出書の訂正届出書 2023年11月8日提出の有価証券届出書に係る訂正届出書を2023年11月10日近畿財務局長に提出。
提出会社の保証会社等の情報 第二部【提出会社の保証会社等の情報】
 該当事項はありません。
提出会社の経営指標等 回次第15期第16期第17期第18期第19期決算年月2020年7月2021年7月2022年7月2023年7月2024年7月事業収益(千円)2,100,0001,400,00022,9762,350,000-経常利益又は経常損失(△)(千円)361,030△583,827△1,972,325145,373△2,077,872当期純利益又は当期純損失(△)(千円)347,761△582,448△1,948,307168,350△2,022,166持分法を適用した場合の投資利益(千円)-----資本金(千円)49,28832,42476,31515,75210,750発行済株式総数(株)56,789,40058,851,60059,402,40060,877,60061,523,200純資産額(千円)10,850,05410,696,6409,404,94310,370,4608,894,534総資産額(千円)11,281,41510,909,2799,597,37310,706,4829,080,4151株当たり純資産額(円)189.62174.98143.32151.05123.201株当たり配当額(円)-----(1株当たり中間配当額)(-)(-)(-)(-)(-)1株当たり当期純利益金額又は当期純損失金額(△)(円)6.44△10.02△32.922.80△32.98潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額(円)5.74--2.69-自己資本比率(%)95.594.488.785.983.4自己資本利益率(%)5.2--1.9-株価収益率(倍)127.3--330.3-配当性向(%)-----営業活動によるキャッシュ・フロー(千円)575,413△519,649△1,404,5651,135,315△1,881,497投資活動によるキャッシュ・フロー(千円)△153,711△92,715△330△344△4,784財務活動によるキャッシュ・フロー(千円)7,757,140109,317112,859202,60278,966現金及び現金同等物の期末残高(千円)10,675,24210,172,2228,880,19110,217,7648,410,449従業員数(名)3446444444〔外、平均臨時雇用者数〕〔17〕〔19〕〔21〕〔22〕〔24〕株主総利回り(%)-80.9102.4112.954.8(比較指標:東証グロース市場250指数)(%)(-)(113.3)(75.0)(81.1)(67.6)最高株価(円)1,3111,0391,0691,518935最低株価(円)278605485728361(注)1.持分法を適用した場合の投資利益については、関連会社がないため記載しておりません。
2.第15期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、当社株式が2019年8月9日に東京証券取引所マザーズへ上場したため、新規上場日から第15期末までの平均株価を期中平均株価とみなして算定しております。
3.第16期、第17期及び第19期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、潜在株式は存在するものの、当社は、1株当たり当期純損失金額を計上しているため記載しておりません。
4.第16期、第17期及び第19期の自己資本利益率については、当期純損失のため、記載しておりません。
5.第16期、第17期及び第19期の株価収益率は、1株当たり当期純損失金額のため、記載しておりません。
6.従業員数は就業人員(執行役員、契約社員、常用パートを含む。
)であり、平均臨時雇用者数(派遣社員)は〔 〕内に外数で記載しております。
7.第15期の株主総利回り及び比較指標は、2019年8月9日に東京証券取引所マザーズに上場したため記載しておりません。
第16期、第17期、第18期及び第19期の株主総利回り及び比較指標は、2020年7月末を基準として算定しております。
8.株主総利回りの比較指標については、指数の名称変更に伴い、第19期より東証マザーズ指数から東証グロース市場250指数へ変更しております。
9.最高株価及び最低株価は2022年4月3日までは東京証券取引所マザーズにおけるものであり、2022年4月4日以降は東京証券取引所(グロース市場)におけるものであります。
ただし、当社は、2019年8月9日付で、東京証券取引所マザーズに上場したため、それ以前の株価については記載しておりません。
10.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第17期の期首から適用しており、第17期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。