【EDINET:S100VWTW】臨時報告書

タイトル内容
提出書類、表紙臨時報告書
会社名、表紙日野自動車株式会社
EDINETコード、DEIE02146
証券コード、DEI7205
提出者名(日本語表記)、DEI日野自動車株式会社
提出理由 1【提出理由】
 当社は、2025年6月10日開催の取締役会において、当社の羽村工場を、当社が新たに設立する会社(以下「本新会社」といいます。
)に承継(以下「本承継」といいます。
)させたうえ、新設会社の全株式をトヨタ自動車株式会社(以下「トヨタ」といいます。
)へ譲渡する旨の株式譲渡契約(以下「本株式譲渡契約」といい、当該譲渡を「本株式譲渡」といいます。
)(これらの一連の行為を以下「本移管」と総称します。
)を締結することを決議し、本株式譲渡契約を同日付で締結いたしました。
 これに伴い、当社及び当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に著しい影響を与える事象が発生する見込みとなりましたので、金融商品取引法第24条の5第4項並びに企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第12号及び第19号の規定に基づき、本臨時報告書を提出するものであります。
なお、現時点で本承継の具体的な方法は決まっておりませんが、当該方法が今後決まった場合には、当該方法に係る提出事由に基づき改めて臨時報告書を提出する予定であります。
財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に著しい影響を与える事象 2【報告内容】
Ⅰ.当該事象の発生年月日2025年6月10日(本株式譲渡契約締結に係る取締役会決議日) Ⅱ.当該事象の内容1.本承継に関する事項(1)本承継の相手会社についての事項 本新会社の詳細については、確定しておりません。
なお、本移管後の本新会社の代表者は青木是篤氏(注)となる予定です。
(注) 2025年6月10日付でトヨタから当社へ出向し、CMO付執行職に任用されております。
(2)本承継の目的 当社は、2025年6月10日、商用車領域の競争力強化に向けて、本移管について合意いたしました。
本移管は、当社と三菱ふそうトラック・バス株式会社(以下「三菱ふそう」といいます。
)の経営統合(以下「本経営統合」といいます。
)を契機に、商用車の未来をつくり、持続可能なモビリティ社会の実現に向けて、トヨタと当社で最適な役割分担を進めるものです。
 羽村工場は1963年の生産開始以来、両ブランドの小型トラック及びトヨタのハイラックスやランドクルーザー250などの生産を担い、世界中のお客様のニーズにお応えしてまいりました。
60年以上の歴史を通じて積み重ねたモノづくりの知見を活かし、今後はトヨタグループにおけるフレーム構造車両の中核工場の1つとして、「もっといいクルマづくり」に貢献し、お客様や地域の皆さまのご期待に応えてまいります。
 なお、本経営統合の詳細については、本経営統合に係る2025年6月10日付臨時報告書をご参照ください。
(3)本承継の方法、本承継に係る対価の内容その他の本承継の内容① 本承継の方法 吸収分割又は事業譲渡のいずれかとする予定です。
② 本承継に係る対価の内容 本新会社は、当社の100%子会社となるため、本承継の方式が会社分割の場合は、本承継に際し、本新会社は当社に対して対価を交付しない予定です。
本承継の方式が事業譲渡の場合の対価の内容は協議の上で決定する予定です。
③ その他の本承継の内容ア 本承継の日程 本移管の日程は以下のとおりです。
取締役会決議2025年6月10日本株式譲渡契約の締結2025年6月10日本新会社の設立本株式譲渡契約の締結後本新会社への羽村工場の承継及びトヨタへの本株式譲渡の実施日2026年4月1日(予定) (注)1.本移管については、当社及び三菱ふそうの本経営統合の効力発生に向けた進捗状況(本経営統合が実行されることが確実であると見込まれることを本移管の実施の条件としています。
)、本移管に関する競争法その他法令上必要なクリアランス・許認可等の取得手続の進捗等の状況その他の理由により、上記日程が今後変更される可能性や本移管の実施に至らない可能性があります。
2.当社から本新会社への羽村工場の承継の方法については、吸収分割又は事業譲渡のいずれかとする予定です。
なお、本承継は会社法第796条第2項に定める簡易吸収分割の規定又は会社法第467条第1項第2号に定める簡易事業譲渡の規定により当社株主総会の承認手続を経ずに行う予定です。
3.本新会社の商号及び所在地等の事項は追って決定する予定です。
イ 本承継に伴う新株予約権及び新株予約権付社債に関する取扱い 当社は、新株予約権及び新株予約権付社債のいずれも発行していないため、該当事項はありません。
ウ 本承継により増減する資本金 該当事項はありません。
エ 承継会社が承継する権利義務 対象となる羽村工場に係る事業に関する資産、負債、契約その他の権利義務の全部又は一部を本新会社が承継いたします。
オ 債務履行の見込み 対象となる羽村工場の事業が生み出すキャッシュ・フローは相応の水準にあることから、本新会社による債務履行の見込みについては、特段の問題はないと判断しております。
カ 承継させる事業部門の概要(a)承継させる事業部門の事業内容 SUV、小型トラック等の自動車製造、自動車部品製造 (b)その他 その他の分割する事業部門の詳細については、決定次第お知らせいたします。
(4)本承継に係る対価の内容の算定根拠 上記「(3)本承継の方法、本承継に係る対価の内容その他の本承継の内容 ② 本承継に係る対価の内容」をご参照ください。
(5)本承継の後の承継会社となる会社の商号、本店の所在地、代表者の氏名、資本金の額、純資産の額、総資産の額及び事業の内容 本新会社の詳細については、確定しておりません。
なお、本移管後の本新会社の代表者は青木是篤氏となる予定です。
2.本株式譲渡に関する事項(1)本株式譲渡の相手会社についての事項① 商号、本店の所在地、代表者の氏名、資本金の額、親会社の所有者に帰属する持分の額、資産合計の額及び事業の内容商号トヨタ自動車株式会社本店の所在地愛知県豊田市トヨタ町1番地代表者の氏名代表取締役社長  佐藤 恒治資本金の額635,402百万円(2025年3月31日現在)親会社の所有者に帰属する持分の額35,924,826百万円(2025年3月31日現在)資産合計の額93,601,350百万円(2025年3月31日現在)事業の内容自動車事業、金融事業及びその他事業 ② 最近3年間に終了した各事業年度の営業収益、営業利益、税引前利益及び親会社の所有者に帰属する当期利益(連結、単位:百万円) 事業年度2023年3月期2024年3月期2025年3月期営業収益37,154,29845,095,32548,036,704営業利益2,725,0255,352,9344,795,586税引前利益3,668,7336,965,0856,414,590親会社の所有者に帰属する当期利益2,451,3184,944,9334,765,086 ③ 大株主の名称及び発行済株式の総数に占める大株主の持株数の割合(2025年3月31日現在) 大株主の名称発行済株式の総数に占める大株主の持株数の割合日本マスタートラスト信託銀行株式会社13.84%株式会社豊田自動織機9.14%株式会社日本カストディ銀行6.22%日本生命保険相互会社4.85%ステート ストリート バンクアンド トラスト カンパニー(常任代理人 株式会社みずほ銀行決済営業部)4.38%ジェーピー モルガン チェース バンク(常任代理人 株式会社みずほ銀行決済営業部)4.21%株式会社デンソー3.45%ザ バンク オブ ニューヨーク メロン アズ デポジタリ バンク フォー デポジタリ レシート ホルダーズ(常任代理人 株式会社三井住友銀行)2.57%トヨタ不動産株式会社1.91%三井住友海上火災保険株式会社1.56% (注) 発行済株式の総数に占める大株主の持株数の割合については、自己株式を除く発行済株式総数に基づき計算しております。
④ 当社との間の資本関係、人的関係及び取引関係(2025年5月31日現在) 資本関係トヨタは当社の発行済株式総数の50.14%(287,897千株)を保有しています。
人的関係トヨタは当社に対して取締役1名を派遣しており、トヨタから当社に対して15名が出向しており、また、当社からトヨタに対して22名が出向しております。
取引関係当社は、トヨタより乗用車及び一部の小型トラックの生産を委託されており、また小型トラックのOEM供給を行っております。
 (注) 持株比率については、自己株式を除く発行済株式総数に基づき計算しております。
(2)本株式譲渡の目的 上記「1.本承継に関する事項 (2)本承継の目的」をご参照ください。
(3)譲渡株式数、譲渡価額及び譲渡前後の所有株式の状況異動前の所有株式数未定(議決権保有割合:100%)譲渡株式数未定譲渡価額1,500億円異動後の所有株式数0株(議決権保有割合:0%) (注) 異動前の所有株式数及び譲渡株式数は、決定次第お知らせします。
(4)本株式譲渡に係る対価の内容の根拠等① 対価の内容の根拠及び理由 当社は、下記「(6)公正性を担保するための措置」に記載のとおり、本株式譲渡に係る譲渡価額の算定にあたり、公平性・妥当性を確保するため、第三者算定機関としてデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社(以下「デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー」といいます。
)を選定の上、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーによる本株式譲渡に基づき承継させる事業部門の価値の算定結果を参考にし、慎重に協議・検討した結果、上記「(3)譲渡株式数、譲渡価額及び譲渡前後の所有株式の状況」の「譲渡価額」に記載の譲渡価額(以下「本株式譲渡価額」といいます。
)は、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーによる算定結果のレンジ内であり、上記本移管の意義・目的も勘案の上、当社の株主の利益を損ねるものではなく、本株式譲渡価額により本株式譲渡を行うことが妥当であると判断しました。
② 算定に関する事項ア 算定機関の名称並びに当社及びトヨタとの関係 デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーは、当社及びトヨタから独立した第三者算定機関であり、これらの関連当事者には該当せず、本株式譲渡において記載すべき重要な利害関係を有しません。
イ 算定の概要 デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーは、承継させる事業部門(以下「本羽村工場事業」といいます。
)の価値評価にあたり、将来の事業活動の状況を反映するため、ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法(以下「DCF法」といいます。
)を採用して算定を行いました。
 DCF法において算定された羽村工場に係る事業の価値の範囲は以下のとおりです。
算定手法算定結果DCF法116,903百万円~157,877百万円  上記算定において、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーは、当社が作成した2027年3月期から2034年3月期までの本羽村工場事業の事業計画に基づく財務予測及び一般に公開された情報等の諸要素を前提として、2025年6月9日を算定基準日として、2026年4月1日以降に本羽村工場事業が創出すると見込まれる将来キャッシュ・フローを、一定の割引率で現在価値に割り引いて本羽村工場事業の事業価値を評価しております。
当該割引率は8.2%~8.9%を採用しており、継続価値の算定に当たっては、永久成長率法を採用し、永久成長率は0.0%~1.4%を採用しております。
なお、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーがDCF法で算定の前提とした本羽村工場事業の事業計画においては、対前年度比較において、大幅な増減益を見込んでいる事業年度が含まれております。
具体的には、2027年3月期から2028年3月期にかけて、主に海外向けの販売台数の増加及び原価低減により、営業利益が対前年度比で大幅な増加となること(2028年3月期において対前年度比93%増)を見込んでおります。
また、当社が提供した事業計画は、本移管の実施を前提としております。
(注) デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーは、本羽村工場事業の事業価値の算定に際し、当社から提供を受けた情報及び一般に公開された情報等を原則としてそのまま採用し、それらの資料及び情報等が、全て正確かつ完全なものであること、本羽村工場事業の事業価値の算定に重大な影響を及ぼす可能性のある事実でデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーに対して未開示の事実はないことを前提としており、独自にそれらの正確性及び完全性の検証を行っておりません。
加えて、本羽村工場事業の事業計画に関する情報については、当社の経営陣による現時点で得られる最善の予測と判断に基づき合理的に作成されたことを前提としております。
DCF法で算定の前提とした本羽村工場事業の財務数値については、2026年3月期の予測値を使用しておりますが、本羽村工場事業の将来の財政状態について、その内容の実現性や蓋然性等を保証するものではなく所与として扱っており、将来時点における市場データの想定を保証するものでもありません。
また、本羽村工場事業の資産及び負債(金融派生商品、簿外資産及び負債、その他偶発債務を含みます。
)に関して、独自に評価、鑑定又は査定を行っておらず、第三者機関への鑑定又は査定の依頼も行っておりません。
デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーの算定は、2025年6月9日までの上記情報を反映したものであります。
なお、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーの算定は、当社取締役会が本羽村工場事業の事業価値を検討するための参考に資することを唯一の目的としております。
③ エンジン認証問題に関する特別補償 当社は、2022年3月4日付「エンジン認証に関する当社の不正行為について」の公表以降、当社のエンジンの排出ガス及び燃費を含む認証に関する問題(以下「エンジン認証問題」といいます。
)について従前から開示をしております(2024年6月26日付第112期有価証券報告書等をご参照ください。
)。
 本株式譲渡契約に基づき、当社が負担するエンジン認証問題に起因又は関連する義務、負担及び費用等のうち、当社の義務、負担及び費用等を本新会社が何らかの理由により承継し、これによりトヨタ及び本新会社が損失を被った場合、当社は、トヨタに対して、その損失の金銭補償義務を負います。
(5)上場廃止となる見込み及びその理由 本株式譲渡により、当社が上場廃止となる見込みはありません。
なお、当社及び三菱ふそうの本経営統合に伴う当社株式の上場に関する事項については、本経営統合に係る2025年6月10日付臨時報告書をご参照ください。
(6)公正性を担保するための措置 本株式譲渡の相手方であるトヨタは当社親会社であり、本株式譲渡を含む本移管は支配株主との取引に該当することから、公正性を担保する必要があると判断し、以下のとおり、本移管の公正性を担保するための措置を実施しております。
① 独立した第三者算定機関からの算定書の取得 当社はデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーを第三者算定機関として選任し、本株式譲渡の対価に関する算定書を取得済みです。
なお、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーは、当社及びトヨタとの間で重要な利害関係を有しておりません。
② 独立した法律事務所からの助言 当社は長島・大野・常松法律事務所を本移管に関するリーガル・アドバイザーとして選任し、本移管に関する諸手続並びに意思決定方法及び意思決定過程等に関する法的助言を受けております。
なお、長島・大野・常松法律事務所は、当社及びトヨタとの間で重要な利害関係を有しておりません。
(7)利益相反を回避するための措置 上記「(6)公正性を担保するための措置」に記載のとおり、当社において、本株式譲渡を含む本移管は支配株主との取引に該当することから、利益相反を回避するための措置として、以下の措置を実施しております。
① 当社における利害関係を有しない特別委員会からの答申書の取得 当社は、本移管の是非を審議及び決議するに先立って、本移管の実行に係る当社の意思決定に慎重を期し、また、本移管の取締役会の意思決定過程における恣意性及び利益相反のおそれを排除し、その公正性を担保するとともに、当社の取締役会において本移管を実行する旨の決定をすることが当社の少数株主にとって不利益なものであるかどうかについての意見を取得することを目的として、トヨタグループとの重要な取引について妥当性を判断する目的で2022年度より継続して設置されている当社の特別委員会(以下「本特別委員会」といいます。
)に対して諮問を行いました。
 本特別委員会は、当社及びトヨタとの間で利害関係を有しない社外取締役であり、かつ、独立役員である吉田元一氏、武藤光一氏、中島正博氏及び君嶋祥子氏の4名によって構成されています。
当社は、本特別委員会に対し、(a)本移管の目的の正当性・合理性、(b)本移管の条件の妥当性、(c)本移管の手続の公正性、並びに(d)上記(a)乃至(c)を前提に、本移管を実行することが、当社の少数株主にとって不利益なものでないかを検討・判断し、当社取締役会に意見を述べること(以下「本諮問事項」といいます。
)について、諮問いたしました。
当社は本移管について本特別委員会に諮問した当初から吉田元一氏、武藤光一氏、中島正博氏及び君嶋祥子氏を本特別委員会の委員として選定しており(本特別委員会の委員長は吉田元一氏であります。
)、その後に本移管に関する諮問を行うに際して本特別委員会の委員を変更した事実はありません。
また、各委員の職務の対価には、本移管の公表、決定及び実施等を条件とする成功報酬は含まれておりません。
 なお、当社は、当社取締役会における本移管に関する意思決定については、本特別委員会の意見を最大限尊重して行うものとし、本特別委員会が、本移管が当社の少数株主にとって不利益であると判断した場合には、当社取締役会は本移管の推進・実施を決定しないものとすることを併せて決議しております。
また、当社取締役会は、本特別委員会に対し、(a)本特別委員会が独自のアドバイザーを選任することができるものとし、その場合の当該アドバイザーに係る合理的な費用は当社が負担するものとする権限を与えること、並びに(b)当社は、本特別委員会に適時に交渉状況の報告を行うとともに、重要な局面で本特別委員会の意見を聴取し、本特別委員会からの要請を勘案して交渉を行うなど、本特別委員会に対し、取引条件に関する交渉過程に実質的に影響を与え得る状況を確保することを決議しております。
 本移管に関する本特別委員会は2024年5月31日から2025年6月10日までに、合計20回開催したほか、情報収集を行い、必要に応じて随時協議を行う等して、本諮問事項に関し、慎重に検討を行いました。
また、本特別委員会は、独立性及び専門性・実績等を検討の上、当社及びトヨタから独立した独自のファイナンシャル・アドバイザーとして株式会社プルータス・コンサルティングを、当社及びトヨタから独立した独自のリーガル・アドバイザーとしてアンダーソン・毛利・友常法律事務所を、それぞれ選定しました。
 その上で、本特別委員会は、当社及び当社のリーガル・アドバイザーである長島・大野・常松法律事務所から、本移管の意義を含む本移管の諸条件の交渉経緯及び決定過程等についての説明を適時に受け、質疑応答等を行った上で、その合理性について検証を行っております。
さらに、本特別委員会は、そのファイナンシャル・アドバイザーである株式会社プルータス・コンサルティング及びリーガル・アドバイザーであるアンダーソン・毛利・友常法律事務所の助言を踏まえて、重要な局面で意見を述べ、当社に対して指示や要請を行うこと等の方法により、交渉過程に関与しております。
 本特別委員会は、このような経緯のもと、上記の各説明、アドバイザーからの助言その他の検討資料を前提として、本諮問事項について慎重に審議及び検討を行い、(a)本移管の目的には一定の正当性及び合理性があると認められ、(b)本移管の条件が、妥当性を欠くとすべき特段の事情は認められず、(c)本移管の手続は公正なものであると認められ、また、(d)上記(a)乃至(c)を踏まえると、本株式譲渡契約を締結し、本移管を実行することは、当社の少数株主にとって不利益ではないと考えられる旨の答申書を、2025年6月10日付で、当社の取締役会に対して提出しております。
当該答申書の概要については、以下のとおりです。
Ⅰ.答申の内容(a)本移管は当社の企業価値向上に資し得るものであり、その目的には一定の正当性及び合理性があると認められ、本答申書作成日時点でかかる正当性・合理性を失わせる特段の事情は認められない。
(b)本移管の交渉状況、及び本株式譲渡契約に定める条件について、それぞれ不合理であるとまでいうことはできないことを踏まえれば、本移管の条件が、少数株主(一般株主)に特に不利益な条件を含んでいないことを含め、妥当性を欠くとすべき特段の事情は認められない。
(c)本移管の条件を検討・交渉する体制、本移管の条件の交渉経緯及び決定過程等において、公正性を疑わせる事情はなく、本移管の実行に際して公正性を担保するための措置が取られていることからすると、本移管の手続は公正なものであると認められる。
(d)上記(a)乃至(c)を踏まえると、本株式譲渡契約を締結し、本株式譲渡契約に定める前提条件が充足される場合に本移管を実行することが不合理とはいえないことから、本株式譲渡契約を締結し、本株式譲渡契約に定める前提条件が充足される場合に本移管を実行することは、当社の少数株主にとって不利益ではないと考えられる。
Ⅱ.答申の理由(a)本移管の目的の正当性・合理性ア 本移管の目的・羽村工場は、主にトヨタ製品の工場という歴史的経緯があり、製造しているものの多くはSUV(Prado)などトヨタの車種であるが、一部当社の小型トラックも製造している。
事業環境の変化に対応するため、当社は、本経営統合により商用車・トラック製造に資金をはじめとする経営資源を集中していくことで経営の効率化・生産性を高めることを企図している。
羽村工場は、長年にわたりトヨタ車の生産を通してものづくりの力を築き上げてきた工場であり、トヨタの100%子会社となることで、更なる競争力の強化が見込まれ、その結果、他の相手によって購入される場合に比して、トヨタが購入する場合には、その価値を他社と同等かそれ以上に評価する可能性は相応に認められる。
ひいては、当社としても、エンジン認証問題に関連して当社に生じる金銭的負担に備えるためのまとまった資金を調達できる。
・そのため、本羽村工場事業をトヨタに売却し、事業環境の変化に対応し、トヨタの100%子会社として本羽村工場事業の競争力を強化し、ステークホルダーの期待に応えること、また、当社に必要な資金を得ることが本移管の目的である。
また、本移管を適正な価格によって実行することは、本経営統合において統合比率を決めるに当たって当社にとって有利な要因となり得るものであり、少数株主の利益にも資し得るものであると考えられる。
イ 当社における現状認識・当社にとって重要性の高いと思われる羽村工場の本羽村工場事業を売却することの正当性・合理性については慎重な検討が必要となるが、本羽村工場事業の売却によって当社の生産能力が全く失われてしまうわけではなく、譲渡の必要性や対価の相当性が認められれば、譲渡を行うことに合理性は認められ得る。
・当社における事業環境の認識としては、商用車におけるCASE技術等の新たな領域へのリソースの投入が必須となっており、主要なユニットについて欧州や中国が主たるプレーヤーとなる中、リソース確保及び国際競争力の向上等を目指す商用車連合に当社は現時点において参加できていない状況にある。
そのため、当社における資金確保・経営資源の集中の必要性は高い状況にある。
・当社における経営課題の認識としては、エンジン認証問題に関連して当社に生じる金銭的負担により、当社の経営、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に対し、重大な悪影響を及ぼす可能性が否定できない状況である。
現状においては、当社が金融機関から好条件で追加の資金調達を行うことは困難な状況にあるため、何らかの形で資金を得なければ、今後顕在化する認証不正に係る債務の支払い、事業の中長期的成長のための投資、あるいは事業の継続性そのものに影響が生じる可能性もある。
・以上のような羽村工場の意義を踏まえた、当社の事業環境及び経営課題の認識は、いずれも合理的なものであると認められる。
したがって、上記の経営課題の解決、及びその実現へ向けた戦略の一環としての上記の施策に寄与する方策を講じることは、一般論としては当社の企業価値の向上に資するものであると考えることができる。
ウ 本経営統合との関連性・三菱ふそうとの本経営統合の交渉におけるバリュエーションを含めた協議を行うに当たって、本移管の実施により当社単独で必要資金を確保した状態でバリュエーションを実施することが前提とされており、本移管が実施されない場合、三菱ふそうとの本経営統合自体の実現にも支障が出ることが懸念される。
・また、本経営統合を行う場合において、想定される経営課題に対応するための資金の一部について目途が立っていることは、統合比率の評価・交渉において当社に有利に働き得る事項であり、ひいては当社のトヨタ以外の少数株主にとっても利益になる可能性がある。
エ 譲渡先選定の適切性・本移管は限定した当事者間で協議が進められる本経営統合の前提として行うものであり、守秘性も高く、トヨタ以外の買い手候補を探し、価値評価を含めた交渉を行うことは実際上困難である。
羽村工場は主にトヨタ製品の工場であることからすると、トヨタが羽村工場の価値を他社と同等かそれ以上に評価する可能性は相応に認められる。
・他方で、羽村工場の業績はトヨタの動向に依存するため、トヨタ以外が羽村工場を取得する場合、価値評価が保守的なものとなるおそれがある。
トヨタは当社の親会社であるが、特別委員会の設置を含め、利益相反のおそれを排除し、適切なバリュエーションを前提とした交渉を行うことで、譲渡価格も適正な範囲となることが見込まれる。
・したがって、譲渡先にトヨタを選ぶことに合理性が認められる。
オ 小括・以上を踏まえると、本移管は、当社の企業価値向上に資し得るものであると認められ、また、本移管の目的には正当性・合理性があると認められる。
(b)本移管の条件の妥当性についてア 交渉状況の確保・当社は、本株式譲渡契約について、当社のリーガル・アドバイザーの助言を受けながらトヨタに対し複数回にわたり交渉をし、一定の範囲において当社の主張が反映された内容となっている。
また、一連の交渉経緯については、本特別委員会に対して説明が行われ、本特別委員会のリーガル・アドバイザー及び本特別委員会のファイナンシャル・アドバイザーも含め議論が行われており、本特別委員会が必要又は望ましいと考える条件を本株式譲渡契約に反映するための交渉も行われている。
その結果、当初にトヨタが提示した条件から一定の範囲で変更が加えられており、本特別委員会が交渉過程に実質的に関与した上で、当社として、当社及び少数株主(一般株主)にとってできる限り有利な取引条件で本移管が行われることを目指して交渉がされた経緯が認められる。
・以上からすれば、本株式譲渡契約に関する交渉は、当社とトヨタとの間においても、独立当事者間に相当する客観的かつ整合性のある議論を踏まえてなされたものであることが推認され、合意プロセスの透明性や公正性を疑わせるような事情は特段見当たらない。
イ 譲渡対象範囲について・本移管においては、羽村工場における本羽村工場事業以外の事業に係る実験エリアを含む羽村工場の全体を一括して売却することが想定されている。
その場合、一部譲渡の場合に生じる雨水対策を新たに実施する必要性、汚水処理施設・産業廃棄物処理施設を新設する必要性はなく、また、建蔽率・緑地率に係る法令遵守の観点からも問題は生じない。
したがって、譲渡対象範囲を羽村工場の全体一括とすることは妥当であるといえる。
ウ 事業価値算定と譲渡価額の関係について・本移管に係る譲渡価額の公正性・妥当性の検討に当たっては、当社算定機関及び本特別委員会のファイナンシャル・アドバイザーによる事業価値の算定結果が中心的な資料となるが、これは当社作成の事業計画(以下「本移管事業計画」という。
)を基礎資料とするものである。
本移管事業計画は、2025年3月期から2029年3月期までの当社(本羽村工場事業)の財務予測として、本移管の実施を前提としないスタンドアローン・ベースで作成されており、トヨタ又はその関係者がその作成に関与し又は影響を及ぼした事実は窺われない。
また、本特別委員会の要請に基づき、本特別委員会において、当社から説明の機会が設けられ、質疑応答が行われたが、その中では、本移管事業計画の修正を要する事情その他本移管事業計画の合理性に疑念を差し挟むべき事情は見当たらなかった。
以上からすれば、本移管事業計画については、その策定プロセスに、トヨタの圧力が介在した事実は認められず、また、その内容において不合理な予測となっている点は認められない。
・本特別委員会は、本特別委員会において、当社の第三者算定機関及び本特別委員会のファイナンシャル・アドバイザーから、本羽村工場事業の事業価値の算定結果、算定方法及び算定結果に関する考察過程等について詳細な説明を受けた。
まず、当社の第三者算定機関及び本特別委員会のファイナンシャル・アドバイザーが採用した評価手法は、いずれも継続企業を前提とした企業価値評価手法であり、具体的には、当社の第三者算定機関及び本特別委員会のファイナンシャル・アドバイザーにおいてDCF法を採用している。
事業価値評価手法の選択並びにそれぞれの算定方法及び算定根拠について、いずれも不合理な点は見当たらなかったため、本特別委員会は、本羽村工場事業の事業価値の検討に当たり、当社の第三者算定機関及び本特別委員会のファイナンシャル・アドバイザーが作成した各事業価値算定書に依拠することができるものと評価した。
・当社の第三者算定機関及び本特別委員会のファイナンシャル・アドバイザーが作成した各事業価値算定書によれば、各算定方法による本羽村工場事業の事業価値は、当社の第三者算定機関はDCF法で116,903百万円~157,877百万円と算定した一方、本特別委員会のファイナンシャル・アドバイザーはDCF法で133,479百万円~213,486百万円と算定した。
本移管の対価である1,500億円は、上記算定結果のレンジの範囲内である価格であり、本移管の対価は、当社の第三者算定機関及び本特別委員会のファイナンシャル・アドバイザーにより算定された本羽村工場事業の事業価値との比較の観点からしても、当社にとって不利益ではない水準に達していると考えられ、少数株主にとっても不利益ではないと考えられる。
エ 譲渡価額以外の本株式譲渡契約における条件について・本株式譲渡契約における重要な事項として、トヨタの雇用に関する事項及びエンジン認証問題に関する特別補償が定められている。
・トヨタの雇用に関する事項については、移管となる組織の従業員から、本移管の理解を得ることにつながる配慮が一定程度認められる。
・当社が負担するエンジン認証問題に起因又は関連する義務、負担及び費用等のうち、当社の義務、負担及び費用等を本新会社が何らかの理由により承継し、これによりトヨタが損失を被った場合、当社は、トヨタに対して、その損失の金銭補償義務を負うものとされている。
羽村工場においては、エンジンの開発・製造や認証取得に関する業務は行われておらず、米国市場向け補給用部品が若干数製造されている以外に米国市場との接点はないとのことであり、本新会社やトヨタが費用等を負担する可能性は低く、万一あったとしても経済的なインパクトは小さいと見込まれる。
・以上の点に鑑みれば、譲渡価額以外の本株式譲渡契約に定める条件で本移管を実行することが不合理であるとまでいうことはできない。
オ 小括・以上のとおり、本移管の交渉状況、譲渡価額及び本株式譲渡契約に定める条件について、それぞれ不合理であるとまでいうことはできないことを踏まえれば、本移管の条件が妥当性を欠くとすべき特段の事情は認められない。
(c)本移管の手続の公正性についてア 特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得・本特別委員会は、当社の独立した社外取締役により構成される委員会である。
また、本特別委員会は、本諮問事項の検討に当たって、特別委員会が果たすべきとされる役割を実施している。
・このほか、本特別委員会については、以下の点への配慮が認められることから、公正性担保措置として有効に機能していると認められる。
① 本特別委員会は、当社において、トヨタとの利益が相反する重要な取引・行為に対する透明性を確保するために取引全体を監督する体制を構築することを目的に設置されていたものであり、本移管に当たっても、当社及びトヨタとの間の本株式譲渡契約に係る実質的な交渉が継続している段階で諮問がなされている。
② 本特別委員会の委員は社外取締役で構成されており、当社及びトヨタ並びに本移管の成否から独立していることが確認されている。
③ 本特別委員会は、本移管の取引条件に関する交渉について事前に方針を確認し、適時にその状況の報告を受け、重要な局面で意見を述べ、指示や要請を行うことなどにより、本移管の取引条件に関する交渉過程に実質的に関与する権限を与えられており、取引条件に関する交渉過程に実質的に影響を与え得る状況を確保している。
④ 本特別委員会は、当社及びトヨタ並びに本移管の成否から独立した独自のリーガル・アドバイザーを選任するとともに、当社及びトヨタ並びに本移管の成否から独立したファイナンシャル・アドバイザーを選任している。
また、当社のリーガル・アドバイザーの高い専門性及び独立性に問題がないことを確認した上で、本特別委員会として、必要に応じてその意見も聴取している。
⑤ 本特別委員会は、少数株主(一般株主)には公開されていない本株式譲渡契約に係る交渉の状況についても説明を受けるとともに、必要に応じて情報提供を求めた。
⑥ 本特別委員会の委員の報酬については、既存の当社社外取締役としての報酬のみとしており、成功報酬は採用していない。
イ 意思決定のプロセス・当社の取締役のうち長田准氏については、下記「(7)利益相反を回避するための措置」の「② 当社における利害関係を有しない取締役全員の承認」のとおり本移管に関して利益が相反し又は相反するおそれがあるため、当社における本移管に関する協議及び交渉に参加しておらず、今後開催される本移管に関する取締役会の審議及び決議にも参加しない予定であることなど、意思決定過程における恣意性の排除に努めているといえる。
ウ アドバイザー及び第三者算定機関の関与・当社は、意思決定過程の公正性を確保する観点から、当社及びトヨタ並びに本移管の成否から独立したリーガル・アドバイザーから助言を受けている。
・本特別委員会は、諮問事項の検討を行うに当たり、当社及びトヨタ並びに本移管の成否から独立したリーガル・アドバイザーから、本特別委員会における諮問事項に関する検討及び審議に関する法的助言を受けている。
・本移管に係る譲渡価額の妥当性を担保するために、当社は、当社及びトヨタ並びに本移管の成否から独立した第三者算定機関より事業価値算定書を取得している。
・本移管に係る譲渡価額の公正性を担保するために、本特別委員会は、当社及びトヨタ並びに本移管の成否から独立したファイナンシャル・アドバイザーより事業価値算定書を取得している。
エ 少数株主(一般株主)への情報提供の充実とプロセスの透明性の向上・本特別委員会に付与された権限の内容、本特別委員会における検討経緯やトヨタとの間の本株式譲渡契約に係る条件の交渉過程への関与状況、本答申書の内容及び本特別委員会の委員の報酬体系等、本株式譲渡契約の合意に至るプロセスや交渉経緯並びに本株式譲渡契約の内容等について充実した情報開示がなされる予定となっており、当社の株主に対し、取引条件の妥当性等についての判断に資する重要な判断材料は提供されていると認められる。
オ 小括・本移管の条件を検討・交渉する体制、本株式譲渡契約の交渉経緯及び合意過程等において、公正性を疑わせる事情はなく、本移管の実行に際して公正性を担保するための措置が取られていることからすると、本移管の手続は公正なものであると認められる。
(d)上記(a)乃至(c)を前提に、当社取締役会における本移管を実行することが当社の少数株主にとって不利益なものでないかについて・上記(a)乃至(c)において、本移管の目的の正当性・合理性、本移管の条件の妥当性及び本移管の手続の公正性が確認され、いずれも問題があるとは認められない。
以上より、本株式譲渡契約を締結し、本株式譲渡契約に定める前提条件が充足される場合に本移管を実行することが不合理とはいえず、当社の少数株主にとっても不利益ではないと考えられる。
② 当社における利害関係を有しない取締役全員の承認 2025年6月10日に開催した当社の取締役会においては、長田准氏を除く当社の取締役の全員が出席し、全員一致で、本株式譲渡契約の締結に関する審議及び決議を行いました。
なお、当社の取締役のうち、2024年12月までトヨタの執行役員であり、本日現在トヨタ(非常勤嘱託)から当社の取締役として派遣されている長田准氏は、本移管に関し利害が相反し又は相反するおそれがあるため、本移管に関する協議及び交渉に参加しておらず、また上記当社取締役会における本株式譲渡契約の締結に関する審議には参加しておりません。
Ⅲ.当該事象の損益及び連結損益に与える影響額 当該事象による2026年3月期以降の業績に与える影響につきましては現在精査中であります。
以 上
連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に著しい影響を与える事象 2【報告内容】
Ⅰ.当該事象の発生年月日2025年6月10日(本株式譲渡契約締結に係る取締役会決議日) Ⅱ.当該事象の内容1.本承継に関する事項(1)本承継の相手会社についての事項 本新会社の詳細については、確定しておりません。
なお、本移管後の本新会社の代表者は青木是篤氏(注)となる予定です。
(注) 2025年6月10日付でトヨタから当社へ出向し、CMO付執行職に任用されております。
(2)本承継の目的 当社は、2025年6月10日、商用車領域の競争力強化に向けて、本移管について合意いたしました。
本移管は、当社と三菱ふそうトラック・バス株式会社(以下「三菱ふそう」といいます。
)の経営統合(以下「本経営統合」といいます。
)を契機に、商用車の未来をつくり、持続可能なモビリティ社会の実現に向けて、トヨタと当社で最適な役割分担を進めるものです。
 羽村工場は1963年の生産開始以来、両ブランドの小型トラック及びトヨタのハイラックスやランドクルーザー250などの生産を担い、世界中のお客様のニーズにお応えしてまいりました。
60年以上の歴史を通じて積み重ねたモノづくりの知見を活かし、今後はトヨタグループにおけるフレーム構造車両の中核工場の1つとして、「もっといいクルマづくり」に貢献し、お客様や地域の皆さまのご期待に応えてまいります。
 なお、本経営統合の詳細については、本経営統合に係る2025年6月10日付臨時報告書をご参照ください。
(3)本承継の方法、本承継に係る対価の内容その他の本承継の内容① 本承継の方法 吸収分割又は事業譲渡のいずれかとする予定です。
② 本承継に係る対価の内容 本新会社は、当社の100%子会社となるため、本承継の方式が会社分割の場合は、本承継に際し、本新会社は当社に対して対価を交付しない予定です。
本承継の方式が事業譲渡の場合の対価の内容は協議の上で決定する予定です。
③ その他の本承継の内容ア 本承継の日程 本移管の日程は以下のとおりです。
取締役会決議2025年6月10日本株式譲渡契約の締結2025年6月10日本新会社の設立本株式譲渡契約の締結後本新会社への羽村工場の承継及びトヨタへの本株式譲渡の実施日2026年4月1日(予定) (注)1.本移管については、当社及び三菱ふそうの本経営統合の効力発生に向けた進捗状況(本経営統合が実行されることが確実であると見込まれることを本移管の実施の条件としています。
)、本移管に関する競争法その他法令上必要なクリアランス・許認可等の取得手続の進捗等の状況その他の理由により、上記日程が今後変更される可能性や本移管の実施に至らない可能性があります。
2.当社から本新会社への羽村工場の承継の方法については、吸収分割又は事業譲渡のいずれかとする予定です。
なお、本承継は会社法第796条第2項に定める簡易吸収分割の規定又は会社法第467条第1項第2号に定める簡易事業譲渡の規定により当社株主総会の承認手続を経ずに行う予定です。
3.本新会社の商号及び所在地等の事項は追って決定する予定です。
イ 本承継に伴う新株予約権及び新株予約権付社債に関する取扱い 当社は、新株予約権及び新株予約権付社債のいずれも発行していないため、該当事項はありません。
ウ 本承継により増減する資本金 該当事項はありません。
エ 承継会社が承継する権利義務 対象となる羽村工場に係る事業に関する資産、負債、契約その他の権利義務の全部又は一部を本新会社が承継いたします。
オ 債務履行の見込み 対象となる羽村工場の事業が生み出すキャッシュ・フローは相応の水準にあることから、本新会社による債務履行の見込みについては、特段の問題はないと判断しております。
カ 承継させる事業部門の概要(a)承継させる事業部門の事業内容 SUV、小型トラック等の自動車製造、自動車部品製造 (b)その他 その他の分割する事業部門の詳細については、決定次第お知らせいたします。
(4)本承継に係る対価の内容の算定根拠 上記「(3)本承継の方法、本承継に係る対価の内容その他の本承継の内容 ② 本承継に係る対価の内容」をご参照ください。
(5)本承継の後の承継会社となる会社の商号、本店の所在地、代表者の氏名、資本金の額、純資産の額、総資産の額及び事業の内容 本新会社の詳細については、確定しておりません。
なお、本移管後の本新会社の代表者は青木是篤氏となる予定です。
2.本株式譲渡に関する事項(1)本株式譲渡の相手会社についての事項① 商号、本店の所在地、代表者の氏名、資本金の額、親会社の所有者に帰属する持分の額、資産合計の額及び事業の内容商号トヨタ自動車株式会社本店の所在地愛知県豊田市トヨタ町1番地代表者の氏名代表取締役社長  佐藤 恒治資本金の額635,402百万円(2025年3月31日現在)親会社の所有者に帰属する持分の額35,924,826百万円(2025年3月31日現在)資産合計の額93,601,350百万円(2025年3月31日現在)事業の内容自動車事業、金融事業及びその他事業 ② 最近3年間に終了した各事業年度の営業収益、営業利益、税引前利益及び親会社の所有者に帰属する当期利益(連結、単位:百万円) 事業年度2023年3月期2024年3月期2025年3月期営業収益37,154,29845,095,32548,036,704営業利益2,725,0255,352,9344,795,586税引前利益3,668,7336,965,0856,414,590親会社の所有者に帰属する当期利益2,451,3184,944,9334,765,086 ③ 大株主の名称及び発行済株式の総数に占める大株主の持株数の割合(2025年3月31日現在) 大株主の名称発行済株式の総数に占める大株主の持株数の割合日本マスタートラスト信託銀行株式会社13.84%株式会社豊田自動織機9.14%株式会社日本カストディ銀行6.22%日本生命保険相互会社4.85%ステート ストリート バンクアンド トラスト カンパニー(常任代理人 株式会社みずほ銀行決済営業部)4.38%ジェーピー モルガン チェース バンク(常任代理人 株式会社みずほ銀行決済営業部)4.21%株式会社デンソー3.45%ザ バンク オブ ニューヨーク メロン アズ デポジタリ バンク フォー デポジタリ レシート ホルダーズ(常任代理人 株式会社三井住友銀行)2.57%トヨタ不動産株式会社1.91%三井住友海上火災保険株式会社1.56% (注) 発行済株式の総数に占める大株主の持株数の割合については、自己株式を除く発行済株式総数に基づき計算しております。
④ 当社との間の資本関係、人的関係及び取引関係(2025年5月31日現在) 資本関係トヨタは当社の発行済株式総数の50.14%(287,897千株)を保有しています。
人的関係トヨタは当社に対して取締役1名を派遣しており、トヨタから当社に対して15名が出向しており、また、当社からトヨタに対して22名が出向しております。
取引関係当社は、トヨタより乗用車及び一部の小型トラックの生産を委託されており、また小型トラックのOEM供給を行っております。
 (注) 持株比率については、自己株式を除く発行済株式総数に基づき計算しております。
(2)本株式譲渡の目的 上記「1.本承継に関する事項 (2)本承継の目的」をご参照ください。
(3)譲渡株式数、譲渡価額及び譲渡前後の所有株式の状況異動前の所有株式数未定(議決権保有割合:100%)譲渡株式数未定譲渡価額1,500億円異動後の所有株式数0株(議決権保有割合:0%) (注) 異動前の所有株式数及び譲渡株式数は、決定次第お知らせします。
(4)本株式譲渡に係る対価の内容の根拠等① 対価の内容の根拠及び理由 当社は、下記「(6)公正性を担保するための措置」に記載のとおり、本株式譲渡に係る譲渡価額の算定にあたり、公平性・妥当性を確保するため、第三者算定機関としてデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社(以下「デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー」といいます。
)を選定の上、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーによる本株式譲渡に基づき承継させる事業部門の価値の算定結果を参考にし、慎重に協議・検討した結果、上記「(3)譲渡株式数、譲渡価額及び譲渡前後の所有株式の状況」の「譲渡価額」に記載の譲渡価額(以下「本株式譲渡価額」といいます。
)は、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーによる算定結果のレンジ内であり、上記本移管の意義・目的も勘案の上、当社の株主の利益を損ねるものではなく、本株式譲渡価額により本株式譲渡を行うことが妥当であると判断しました。
② 算定に関する事項ア 算定機関の名称並びに当社及びトヨタとの関係 デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーは、当社及びトヨタから独立した第三者算定機関であり、これらの関連当事者には該当せず、本株式譲渡において記載すべき重要な利害関係を有しません。
イ 算定の概要 デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーは、承継させる事業部門(以下「本羽村工場事業」といいます。
)の価値評価にあたり、将来の事業活動の状況を反映するため、ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法(以下「DCF法」といいます。
)を採用して算定を行いました。
 DCF法において算定された羽村工場に係る事業の価値の範囲は以下のとおりです。
算定手法算定結果DCF法116,903百万円~157,877百万円  上記算定において、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーは、当社が作成した2027年3月期から2034年3月期までの本羽村工場事業の事業計画に基づく財務予測及び一般に公開された情報等の諸要素を前提として、2025年6月9日を算定基準日として、2026年4月1日以降に本羽村工場事業が創出すると見込まれる将来キャッシュ・フローを、一定の割引率で現在価値に割り引いて本羽村工場事業の事業価値を評価しております。
当該割引率は8.2%~8.9%を採用しており、継続価値の算定に当たっては、永久成長率法を採用し、永久成長率は0.0%~1.4%を採用しております。
なお、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーがDCF法で算定の前提とした本羽村工場事業の事業計画においては、対前年度比較において、大幅な増減益を見込んでいる事業年度が含まれております。
具体的には、2027年3月期から2028年3月期にかけて、主に海外向けの販売台数の増加及び原価低減により、営業利益が対前年度比で大幅な増加となること(2028年3月期において対前年度比93%増)を見込んでおります。
また、当社が提供した事業計画は、本移管の実施を前提としております。
(注) デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーは、本羽村工場事業の事業価値の算定に際し、当社から提供を受けた情報及び一般に公開された情報等を原則としてそのまま採用し、それらの資料及び情報等が、全て正確かつ完全なものであること、本羽村工場事業の事業価値の算定に重大な影響を及ぼす可能性のある事実でデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーに対して未開示の事実はないことを前提としており、独自にそれらの正確性及び完全性の検証を行っておりません。
加えて、本羽村工場事業の事業計画に関する情報については、当社の経営陣による現時点で得られる最善の予測と判断に基づき合理的に作成されたことを前提としております。
DCF法で算定の前提とした本羽村工場事業の財務数値については、2026年3月期の予測値を使用しておりますが、本羽村工場事業の将来の財政状態について、その内容の実現性や蓋然性等を保証するものではなく所与として扱っており、将来時点における市場データの想定を保証するものでもありません。
また、本羽村工場事業の資産及び負債(金融派生商品、簿外資産及び負債、その他偶発債務を含みます。
)に関して、独自に評価、鑑定又は査定を行っておらず、第三者機関への鑑定又は査定の依頼も行っておりません。
デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーの算定は、2025年6月9日までの上記情報を反映したものであります。
なお、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーの算定は、当社取締役会が本羽村工場事業の事業価値を検討するための参考に資することを唯一の目的としております。
③ エンジン認証問題に関する特別補償 当社は、2022年3月4日付「エンジン認証に関する当社の不正行為について」の公表以降、当社のエンジンの排出ガス及び燃費を含む認証に関する問題(以下「エンジン認証問題」といいます。
)について従前から開示をしております(2024年6月26日付第112期有価証券報告書等をご参照ください。
)。
 本株式譲渡契約に基づき、当社が負担するエンジン認証問題に起因又は関連する義務、負担及び費用等のうち、当社の義務、負担及び費用等を本新会社が何らかの理由により承継し、これによりトヨタ及び本新会社が損失を被った場合、当社は、トヨタに対して、その損失の金銭補償義務を負います。
(5)上場廃止となる見込み及びその理由 本株式譲渡により、当社が上場廃止となる見込みはありません。
なお、当社及び三菱ふそうの本経営統合に伴う当社株式の上場に関する事項については、本経営統合に係る2025年6月10日付臨時報告書をご参照ください。
(6)公正性を担保するための措置 本株式譲渡の相手方であるトヨタは当社親会社であり、本株式譲渡を含む本移管は支配株主との取引に該当することから、公正性を担保する必要があると判断し、以下のとおり、本移管の公正性を担保するための措置を実施しております。
① 独立した第三者算定機関からの算定書の取得 当社はデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーを第三者算定機関として選任し、本株式譲渡の対価に関する算定書を取得済みです。
なお、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーは、当社及びトヨタとの間で重要な利害関係を有しておりません。
② 独立した法律事務所からの助言 当社は長島・大野・常松法律事務所を本移管に関するリーガル・アドバイザーとして選任し、本移管に関する諸手続並びに意思決定方法及び意思決定過程等に関する法的助言を受けております。
なお、長島・大野・常松法律事務所は、当社及びトヨタとの間で重要な利害関係を有しておりません。
(7)利益相反を回避するための措置 上記「(6)公正性を担保するための措置」に記載のとおり、当社において、本株式譲渡を含む本移管は支配株主との取引に該当することから、利益相反を回避するための措置として、以下の措置を実施しております。
① 当社における利害関係を有しない特別委員会からの答申書の取得 当社は、本移管の是非を審議及び決議するに先立って、本移管の実行に係る当社の意思決定に慎重を期し、また、本移管の取締役会の意思決定過程における恣意性及び利益相反のおそれを排除し、その公正性を担保するとともに、当社の取締役会において本移管を実行する旨の決定をすることが当社の少数株主にとって不利益なものであるかどうかについての意見を取得することを目的として、トヨタグループとの重要な取引について妥当性を判断する目的で2022年度より継続して設置されている当社の特別委員会(以下「本特別委員会」といいます。
)に対して諮問を行いました。
 本特別委員会は、当社及びトヨタとの間で利害関係を有しない社外取締役であり、かつ、独立役員である吉田元一氏、武藤光一氏、中島正博氏及び君嶋祥子氏の4名によって構成されています。
当社は、本特別委員会に対し、(a)本移管の目的の正当性・合理性、(b)本移管の条件の妥当性、(c)本移管の手続の公正性、並びに(d)上記(a)乃至(c)を前提に、本移管を実行することが、当社の少数株主にとって不利益なものでないかを検討・判断し、当社取締役会に意見を述べること(以下「本諮問事項」といいます。
)について、諮問いたしました。
当社は本移管について本特別委員会に諮問した当初から吉田元一氏、武藤光一氏、中島正博氏及び君嶋祥子氏を本特別委員会の委員として選定しており(本特別委員会の委員長は吉田元一氏であります。
)、その後に本移管に関する諮問を行うに際して本特別委員会の委員を変更した事実はありません。
また、各委員の職務の対価には、本移管の公表、決定及び実施等を条件とする成功報酬は含まれておりません。
 なお、当社は、当社取締役会における本移管に関する意思決定については、本特別委員会の意見を最大限尊重して行うものとし、本特別委員会が、本移管が当社の少数株主にとって不利益であると判断した場合には、当社取締役会は本移管の推進・実施を決定しないものとすることを併せて決議しております。
また、当社取締役会は、本特別委員会に対し、(a)本特別委員会が独自のアドバイザーを選任することができるものとし、その場合の当該アドバイザーに係る合理的な費用は当社が負担するものとする権限を与えること、並びに(b)当社は、本特別委員会に適時に交渉状況の報告を行うとともに、重要な局面で本特別委員会の意見を聴取し、本特別委員会からの要請を勘案して交渉を行うなど、本特別委員会に対し、取引条件に関する交渉過程に実質的に影響を与え得る状況を確保することを決議しております。
 本移管に関する本特別委員会は2024年5月31日から2025年6月10日までに、合計20回開催したほか、情報収集を行い、必要に応じて随時協議を行う等して、本諮問事項に関し、慎重に検討を行いました。
また、本特別委員会は、独立性及び専門性・実績等を検討の上、当社及びトヨタから独立した独自のファイナンシャル・アドバイザーとして株式会社プルータス・コンサルティングを、当社及びトヨタから独立した独自のリーガル・アドバイザーとしてアンダーソン・毛利・友常法律事務所を、それぞれ選定しました。
 その上で、本特別委員会は、当社及び当社のリーガル・アドバイザーである長島・大野・常松法律事務所から、本移管の意義を含む本移管の諸条件の交渉経緯及び決定過程等についての説明を適時に受け、質疑応答等を行った上で、その合理性について検証を行っております。
さらに、本特別委員会は、そのファイナンシャル・アドバイザーである株式会社プルータス・コンサルティング及びリーガル・アドバイザーであるアンダーソン・毛利・友常法律事務所の助言を踏まえて、重要な局面で意見を述べ、当社に対して指示や要請を行うこと等の方法により、交渉過程に関与しております。
 本特別委員会は、このような経緯のもと、上記の各説明、アドバイザーからの助言その他の検討資料を前提として、本諮問事項について慎重に審議及び検討を行い、(a)本移管の目的には一定の正当性及び合理性があると認められ、(b)本移管の条件が、妥当性を欠くとすべき特段の事情は認められず、(c)本移管の手続は公正なものであると認められ、また、(d)上記(a)乃至(c)を踏まえると、本株式譲渡契約を締結し、本移管を実行することは、当社の少数株主にとって不利益ではないと考えられる旨の答申書を、2025年6月10日付で、当社の取締役会に対して提出しております。
当該答申書の概要については、以下のとおりです。
Ⅰ.答申の内容(a)本移管は当社の企業価値向上に資し得るものであり、その目的には一定の正当性及び合理性があると認められ、本答申書作成日時点でかかる正当性・合理性を失わせる特段の事情は認められない。
(b)本移管の交渉状況、及び本株式譲渡契約に定める条件について、それぞれ不合理であるとまでいうことはできないことを踏まえれば、本移管の条件が、少数株主(一般株主)に特に不利益な条件を含んでいないことを含め、妥当性を欠くとすべき特段の事情は認められない。
(c)本移管の条件を検討・交渉する体制、本移管の条件の交渉経緯及び決定過程等において、公正性を疑わせる事情はなく、本移管の実行に際して公正性を担保するための措置が取られていることからすると、本移管の手続は公正なものであると認められる。
(d)上記(a)乃至(c)を踏まえると、本株式譲渡契約を締結し、本株式譲渡契約に定める前提条件が充足される場合に本移管を実行することが不合理とはいえないことから、本株式譲渡契約を締結し、本株式譲渡契約に定める前提条件が充足される場合に本移管を実行することは、当社の少数株主にとって不利益ではないと考えられる。
Ⅱ.答申の理由(a)本移管の目的の正当性・合理性ア 本移管の目的・羽村工場は、主にトヨタ製品の工場という歴史的経緯があり、製造しているものの多くはSUV(Prado)などトヨタの車種であるが、一部当社の小型トラックも製造している。
事業環境の変化に対応するため、当社は、本経営統合により商用車・トラック製造に資金をはじめとする経営資源を集中していくことで経営の効率化・生産性を高めることを企図している。
羽村工場は、長年にわたりトヨタ車の生産を通してものづくりの力を築き上げてきた工場であり、トヨタの100%子会社となることで、更なる競争力の強化が見込まれ、その結果、他の相手によって購入される場合に比して、トヨタが購入する場合には、その価値を他社と同等かそれ以上に評価する可能性は相応に認められる。
ひいては、当社としても、エンジン認証問題に関連して当社に生じる金銭的負担に備えるためのまとまった資金を調達できる。
・そのため、本羽村工場事業をトヨタに売却し、事業環境の変化に対応し、トヨタの100%子会社として本羽村工場事業の競争力を強化し、ステークホルダーの期待に応えること、また、当社に必要な資金を得ることが本移管の目的である。
また、本移管を適正な価格によって実行することは、本経営統合において統合比率を決めるに当たって当社にとって有利な要因となり得るものであり、少数株主の利益にも資し得るものであると考えられる。
イ 当社における現状認識・当社にとって重要性の高いと思われる羽村工場の本羽村工場事業を売却することの正当性・合理性については慎重な検討が必要となるが、本羽村工場事業の売却によって当社の生産能力が全く失われてしまうわけではなく、譲渡の必要性や対価の相当性が認められれば、譲渡を行うことに合理性は認められ得る。
・当社における事業環境の認識としては、商用車におけるCASE技術等の新たな領域へのリソースの投入が必須となっており、主要なユニットについて欧州や中国が主たるプレーヤーとなる中、リソース確保及び国際競争力の向上等を目指す商用車連合に当社は現時点において参加できていない状況にある。
そのため、当社における資金確保・経営資源の集中の必要性は高い状況にある。
・当社における経営課題の認識としては、エンジン認証問題に関連して当社に生じる金銭的負担により、当社の経営、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に対し、重大な悪影響を及ぼす可能性が否定できない状況である。
現状においては、当社が金融機関から好条件で追加の資金調達を行うことは困難な状況にあるため、何らかの形で資金を得なければ、今後顕在化する認証不正に係る債務の支払い、事業の中長期的成長のための投資、あるいは事業の継続性そのものに影響が生じる可能性もある。
・以上のような羽村工場の意義を踏まえた、当社の事業環境及び経営課題の認識は、いずれも合理的なものであると認められる。
したがって、上記の経営課題の解決、及びその実現へ向けた戦略の一環としての上記の施策に寄与する方策を講じることは、一般論としては当社の企業価値の向上に資するものであると考えることができる。
ウ 本経営統合との関連性・三菱ふそうとの本経営統合の交渉におけるバリュエーションを含めた協議を行うに当たって、本移管の実施により当社単独で必要資金を確保した状態でバリュエーションを実施することが前提とされており、本移管が実施されない場合、三菱ふそうとの本経営統合自体の実現にも支障が出ることが懸念される。
・また、本経営統合を行う場合において、想定される経営課題に対応するための資金の一部について目途が立っていることは、統合比率の評価・交渉において当社に有利に働き得る事項であり、ひいては当社のトヨタ以外の少数株主にとっても利益になる可能性がある。
エ 譲渡先選定の適切性・本移管は限定した当事者間で協議が進められる本経営統合の前提として行うものであり、守秘性も高く、トヨタ以外の買い手候補を探し、価値評価を含めた交渉を行うことは実際上困難である。
羽村工場は主にトヨタ製品の工場であることからすると、トヨタが羽村工場の価値を他社と同等かそれ以上に評価する可能性は相応に認められる。
・他方で、羽村工場の業績はトヨタの動向に依存するため、トヨタ以外が羽村工場を取得する場合、価値評価が保守的なものとなるおそれがある。
トヨタは当社の親会社であるが、特別委員会の設置を含め、利益相反のおそれを排除し、適切なバリュエーションを前提とした交渉を行うことで、譲渡価格も適正な範囲となることが見込まれる。
・したがって、譲渡先にトヨタを選ぶことに合理性が認められる。
オ 小括・以上を踏まえると、本移管は、当社の企業価値向上に資し得るものであると認められ、また、本移管の目的には正当性・合理性があると認められる。
(b)本移管の条件の妥当性についてア 交渉状況の確保・当社は、本株式譲渡契約について、当社のリーガル・アドバイザーの助言を受けながらトヨタに対し複数回にわたり交渉をし、一定の範囲において当社の主張が反映された内容となっている。
また、一連の交渉経緯については、本特別委員会に対して説明が行われ、本特別委員会のリーガル・アドバイザー及び本特別委員会のファイナンシャル・アドバイザーも含め議論が行われており、本特別委員会が必要又は望ましいと考える条件を本株式譲渡契約に反映するための交渉も行われている。
その結果、当初にトヨタが提示した条件から一定の範囲で変更が加えられており、本特別委員会が交渉過程に実質的に関与した上で、当社として、当社及び少数株主(一般株主)にとってできる限り有利な取引条件で本移管が行われることを目指して交渉がされた経緯が認められる。
・以上からすれば、本株式譲渡契約に関する交渉は、当社とトヨタとの間においても、独立当事者間に相当する客観的かつ整合性のある議論を踏まえてなされたものであることが推認され、合意プロセスの透明性や公正性を疑わせるような事情は特段見当たらない。
イ 譲渡対象範囲について・本移管においては、羽村工場における本羽村工場事業以外の事業に係る実験エリアを含む羽村工場の全体を一括して売却することが想定されている。
その場合、一部譲渡の場合に生じる雨水対策を新たに実施する必要性、汚水処理施設・産業廃棄物処理施設を新設する必要性はなく、また、建蔽率・緑地率に係る法令遵守の観点からも問題は生じない。
したがって、譲渡対象範囲を羽村工場の全体一括とすることは妥当であるといえる。
ウ 事業価値算定と譲渡価額の関係について・本移管に係る譲渡価額の公正性・妥当性の検討に当たっては、当社算定機関及び本特別委員会のファイナンシャル・アドバイザーによる事業価値の算定結果が中心的な資料となるが、これは当社作成の事業計画(以下「本移管事業計画」という。
)を基礎資料とするものである。
本移管事業計画は、2025年3月期から2029年3月期までの当社(本羽村工場事業)の財務予測として、本移管の実施を前提としないスタンドアローン・ベースで作成されており、トヨタ又はその関係者がその作成に関与し又は影響を及ぼした事実は窺われない。
また、本特別委員会の要請に基づき、本特別委員会において、当社から説明の機会が設けられ、質疑応答が行われたが、その中では、本移管事業計画の修正を要する事情その他本移管事業計画の合理性に疑念を差し挟むべき事情は見当たらなかった。
以上からすれば、本移管事業計画については、その策定プロセスに、トヨタの圧力が介在した事実は認められず、また、その内容において不合理な予測となっている点は認められない。
・本特別委員会は、本特別委員会において、当社の第三者算定機関及び本特別委員会のファイナンシャル・アドバイザーから、本羽村工場事業の事業価値の算定結果、算定方法及び算定結果に関する考察過程等について詳細な説明を受けた。
まず、当社の第三者算定機関及び本特別委員会のファイナンシャル・アドバイザーが採用した評価手法は、いずれも継続企業を前提とした企業価値評価手法であり、具体的には、当社の第三者算定機関及び本特別委員会のファイナンシャル・アドバイザーにおいてDCF法を採用している。
事業価値評価手法の選択並びにそれぞれの算定方法及び算定根拠について、いずれも不合理な点は見当たらなかったため、本特別委員会は、本羽村工場事業の事業価値の検討に当たり、当社の第三者算定機関及び本特別委員会のファイナンシャル・アドバイザーが作成した各事業価値算定書に依拠することができるものと評価した。
・当社の第三者算定機関及び本特別委員会のファイナンシャル・アドバイザーが作成した各事業価値算定書によれば、各算定方法による本羽村工場事業の事業価値は、当社の第三者算定機関はDCF法で116,903百万円~157,877百万円と算定した一方、本特別委員会のファイナンシャル・アドバイザーはDCF法で133,479百万円~213,486百万円と算定した。
本移管の対価である1,500億円は、上記算定結果のレンジの範囲内である価格であり、本移管の対価は、当社の第三者算定機関及び本特別委員会のファイナンシャル・アドバイザーにより算定された本羽村工場事業の事業価値との比較の観点からしても、当社にとって不利益ではない水準に達していると考えられ、少数株主にとっても不利益ではないと考えられる。
エ 譲渡価額以外の本株式譲渡契約における条件について・本株式譲渡契約における重要な事項として、トヨタの雇用に関する事項及びエンジン認証問題に関する特別補償が定められている。
・トヨタの雇用に関する事項については、移管となる組織の従業員から、本移管の理解を得ることにつながる配慮が一定程度認められる。
・当社が負担するエンジン認証問題に起因又は関連する義務、負担及び費用等のうち、当社の義務、負担及び費用等を本新会社が何らかの理由により承継し、これによりトヨタが損失を被った場合、当社は、トヨタに対して、その損失の金銭補償義務を負うものとされている。
羽村工場においては、エンジンの開発・製造や認証取得に関する業務は行われておらず、米国市場向け補給用部品が若干数製造されている以外に米国市場との接点はないとのことであり、本新会社やトヨタが費用等を負担する可能性は低く、万一あったとしても経済的なインパクトは小さいと見込まれる。
・以上の点に鑑みれば、譲渡価額以外の本株式譲渡契約に定める条件で本移管を実行することが不合理であるとまでいうことはできない。
オ 小括・以上のとおり、本移管の交渉状況、譲渡価額及び本株式譲渡契約に定める条件について、それぞれ不合理であるとまでいうことはできないことを踏まえれば、本移管の条件が妥当性を欠くとすべき特段の事情は認められない。
(c)本移管の手続の公正性についてア 特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得・本特別委員会は、当社の独立した社外取締役により構成される委員会である。
また、本特別委員会は、本諮問事項の検討に当たって、特別委員会が果たすべきとされる役割を実施している。
・このほか、本特別委員会については、以下の点への配慮が認められることから、公正性担保措置として有効に機能していると認められる。
① 本特別委員会は、当社において、トヨタとの利益が相反する重要な取引・行為に対する透明性を確保するために取引全体を監督する体制を構築することを目的に設置されていたものであり、本移管に当たっても、当社及びトヨタとの間の本株式譲渡契約に係る実質的な交渉が継続している段階で諮問がなされている。
② 本特別委員会の委員は社外取締役で構成されており、当社及びトヨタ並びに本移管の成否から独立していることが確認されている。
③ 本特別委員会は、本移管の取引条件に関する交渉について事前に方針を確認し、適時にその状況の報告を受け、重要な局面で意見を述べ、指示や要請を行うことなどにより、本移管の取引条件に関する交渉過程に実質的に関与する権限を与えられており、取引条件に関する交渉過程に実質的に影響を与え得る状況を確保している。
④ 本特別委員会は、当社及びトヨタ並びに本移管の成否から独立した独自のリーガル・アドバイザーを選任するとともに、当社及びトヨタ並びに本移管の成否から独立したファイナンシャル・アドバイザーを選任している。
また、当社のリーガル・アドバイザーの高い専門性及び独立性に問題がないことを確認した上で、本特別委員会として、必要に応じてその意見も聴取している。
⑤ 本特別委員会は、少数株主(一般株主)には公開されていない本株式譲渡契約に係る交渉の状況についても説明を受けるとともに、必要に応じて情報提供を求めた。
⑥ 本特別委員会の委員の報酬については、既存の当社社外取締役としての報酬のみとしており、成功報酬は採用していない。
イ 意思決定のプロセス・当社の取締役のうち長田准氏については、下記「(7)利益相反を回避するための措置」の「② 当社における利害関係を有しない取締役全員の承認」のとおり本移管に関して利益が相反し又は相反するおそれがあるため、当社における本移管に関する協議及び交渉に参加しておらず、今後開催される本移管に関する取締役会の審議及び決議にも参加しない予定であることなど、意思決定過程における恣意性の排除に努めているといえる。
ウ アドバイザー及び第三者算定機関の関与・当社は、意思決定過程の公正性を確保する観点から、当社及びトヨタ並びに本移管の成否から独立したリーガル・アドバイザーから助言を受けている。
・本特別委員会は、諮問事項の検討を行うに当たり、当社及びトヨタ並びに本移管の成否から独立したリーガル・アドバイザーから、本特別委員会における諮問事項に関する検討及び審議に関する法的助言を受けている。
・本移管に係る譲渡価額の妥当性を担保するために、当社は、当社及びトヨタ並びに本移管の成否から独立した第三者算定機関より事業価値算定書を取得している。
・本移管に係る譲渡価額の公正性を担保するために、本特別委員会は、当社及びトヨタ並びに本移管の成否から独立したファイナンシャル・アドバイザーより事業価値算定書を取得している。
エ 少数株主(一般株主)への情報提供の充実とプロセスの透明性の向上・本特別委員会に付与された権限の内容、本特別委員会における検討経緯やトヨタとの間の本株式譲渡契約に係る条件の交渉過程への関与状況、本答申書の内容及び本特別委員会の委員の報酬体系等、本株式譲渡契約の合意に至るプロセスや交渉経緯並びに本株式譲渡契約の内容等について充実した情報開示がなされる予定となっており、当社の株主に対し、取引条件の妥当性等についての判断に資する重要な判断材料は提供されていると認められる。
オ 小括・本移管の条件を検討・交渉する体制、本株式譲渡契約の交渉経緯及び合意過程等において、公正性を疑わせる事情はなく、本移管の実行に際して公正性を担保するための措置が取られていることからすると、本移管の手続は公正なものであると認められる。
(d)上記(a)乃至(c)を前提に、当社取締役会における本移管を実行することが当社の少数株主にとって不利益なものでないかについて・上記(a)乃至(c)において、本移管の目的の正当性・合理性、本移管の条件の妥当性及び本移管の手続の公正性が確認され、いずれも問題があるとは認められない。
以上より、本株式譲渡契約を締結し、本株式譲渡契約に定める前提条件が充足される場合に本移管を実行することが不合理とはいえず、当社の少数株主にとっても不利益ではないと考えられる。
② 当社における利害関係を有しない取締役全員の承認 2025年6月10日に開催した当社の取締役会においては、長田准氏を除く当社の取締役の全員が出席し、全員一致で、本株式譲渡契約の締結に関する審議及び決議を行いました。
なお、当社の取締役のうち、2024年12月までトヨタの執行役員であり、本日現在トヨタ(非常勤嘱託)から当社の取締役として派遣されている長田准氏は、本移管に関し利害が相反し又は相反するおそれがあるため、本移管に関する協議及び交渉に参加しておらず、また上記当社取締役会における本株式譲渡契約の締結に関する審議には参加しておりません。
Ⅲ.当該事象の損益及び連結損益に与える影響額 当該事象による2026年3月期以降の業績に与える影響につきましては現在精査中であります。
以 上