財務諸表
CoverPage
提出書類、表紙 | 有価証券報告書 |
提出日、表紙 | 2025-06-26 |
英訳名、表紙 | ispace, inc. |
代表者の役職氏名、表紙 | 代表取締役CEO 袴田 武史 |
本店の所在の場所、表紙 | 東京都中央区日本橋浜町三丁目42番3号 |
電話番号、本店の所在の場所、表紙 | 03-6277-6451(代表) |
様式、DEI | 第三号様式 |
会計基準、DEI | Japan GAAP |
連結決算の有無、DEI | true |
当会計期間の種類、DEI | FY |
corp
沿革 | 2【沿革】 当社グループの創業者である袴田武史は、米大学院で航空宇宙工学修士号を取得後、経営コンサルティング会社を経て、民間による月面探査車(以下、「ローバー」という。 )開発及び、世界初の民間月面探査レース「Google Lunar XPRIZE」への参加を目指し、2010年9月に合同会社ホワイトレーベルスペース・ジャパン(現当社)を設立いたしました。 その後、ローバー開発及び資金調達面で提携していた欧州のホワイトレーベルスペース財団が「Google Lunar XPRIZE」から脱退したことを受け、2013年5月に組織変更を行い、現在の株式会社ispaceに社名を変更した後、2013年7月に「Google Lunar XPRIZE」に日本唯一のチーム「HAKUTO」として独自に参加いたしました。 当社グループは、将来の米国進出に向けて2015年1月に米国デラウェア州にispace technologies, inc.を設立し、当社を子会社化する組織変更を実施しましたが、2016年10月には、日本での事業化加速を優先するために親会社であるispace technologies, inc.を解散の上、当社を親会社とした上で改めて子会社ispace technologies U.S., inc.を米国デラウェア州に設立し、NASA Ames Research Park(米国カリフォルニア州)内にオフィスを設置しました。 なお、2020年12月には米国子会社において月着陸船(以下、「ランダー」という。 )の開発を実施するための体制を構築するため、子会社ispace technologies U.S., inc.のオフィスをコロラド州デンバーに移転しております。 また2017年3月には、ルクセンブルク大公国政府との間で月の資源開発に関する覚書を締結し、子会社ispace EUROPE S.A.をルクセンブルク市に設立しております。 直近では、当社事業運営上必要となる電波法に係る無線免許の取得及び電波利用を実施するための子会社として、株式会社ispace Japanを2021年7月に設立し、現在に至っております。 資金調達面では、2017年12月から2018年2月にかけてシリーズAとして国内過去最高額、また、宇宙分野のシリーズAとしては世界過去最高額(いずれも2018年2月当時)となる103.5億円の新株発行による資金調達を行いました。 その後、2020年のシリーズB、2021年のシリーズCの資金調達を経て、2023年4月には、グロース市場に上場しております。 上場後も、2024年3月には海外募集を、2024年10月から2025年3月にかけては第三者割当増資を実施し、累計で415億円の新株発行による資金調達を実施しております。 また、2021年5月には複数行と総額19.5億円の借入を実行、2022年7月には総額50億円のシンジケートローン契約を締結の上、本件融資を実行しております。 続く2024年3月期においては、複数行と融資契約を締結し総額75億円の借入を実行、2025年3月期には総額100億円のシンジケートローン契約を含め、借換も含めて総額193億円の融資契約を締結し実行しております。 進行期である2026年3月期も、2025年5月に株式会社三井住友銀行と100億円、株式会社みずほ銀行と50億円の融資契約をそれぞれ締結し実行し、本書提出日現在までに創業以来の累計値で496億円の融資契約を締結し実行しております。 これらの資金を原資としたランダー及びローバーの開発並びに当社ミッションの実行を進めると同時に、事業化のための市場と顧客の開拓を行っております。 年月事項2010年1月当社代表取締役CEOの袴田武史が東北大学吉田和哉教授とともに日本からGoogle Lunar XPRIZE(注1)参加の検討を開始2010年9月合同会社ホワイトレーベルスペース・ジャパン(現 当社)を埼玉県入間市に設立2011年8月Google Lunar XPRIZE向けの月面探査車(ローバー)のプロトタイプを発表2013年5月合同会社を株式会社に組織変更し、社名を株式会社ispaceに変更2013年7月Google Lunar XPRIZEに日本唯一の参加チーム「HAKUTO」(注2)として始動2015年1月「HAKUTO」で開発するローバーが宇宙空間でも機能する性能を持つことが評価され、Google Lunar XPRIZEの中間賞を受賞2015年1月米国デラウェア州にispace technologies, inc.を設立し、株式会社ispaceを子会社化する組織変更を実施2015年8月業容拡大に伴い、本社を東京都港区麻布台に移転2016年4月月面開発事業への本格進出に向け、月着陸船(ランダー)の開発に着手2016年10月インキュベイトファンド株式会社及び株式会社日ノ樹よりコンバーティブル・エクイティで2億円を調達2016年10月日本での事業化加速のため、米国本社ispace technologies, inc.を解散の上、株式会社ispaceを本社に変更2016年10月新規に子会社ispace technologies U.S., inc.(連結子会社)を米国デラウェア州に設立し、NASA Ames Research Park(米国カリフォルニア州)内にオフィスを設置2017年3月ルクセンブルク大公国政府と月の資源開発に関する覚書を締結し、子会社ispace EUROPE S.A.(連結子会社)を設立2017年12月月着陸船(ランダー)開発のために101.5億円の資金調達(シリーズA)を実施2018年2月シリーズAの追加ラウンドとして2億円(累計103.5億円)の資金調達を実施2018年3月Google Lunar XPRIZEの終了に伴い、HAKUTOプログラムを終了2018年7月業容拡大に伴い、本社を東京都港区芝に移転2018年9月月面探査の技術検証ミッション「HAKUTO-R」(注3)プログラムの立上げ及びSpace Exploration Technologies Corp.(以下、「SpaceX社」という。 )のファルコン9ロケットで相乗りでの打上げを公表2018年11月NASAによる月面輸送サービスの商業的購買プログラムであるCommercial Lunar Payload Serviceに米国The Charles Stark Draper Laboratory, Inc.のチームとして選定2019年5月European Space Agency(以下、「ESA」という。 )との間で、月資源利用の実証に向けたミッション「In-Situ Resource Utilization」(ISRU)の事前検討に係る契約を締結2019年7月子会社のメンバーが、ESAの月の水探査を目指すプロジェクト(PROSPECT)のサイエンスチームに選出2020年7月月着陸船(ランダ―)開発のために追加で30億円の資金調達(シリーズB)を実施2020年12月ispace technologies U.S., inc.のオフィスをカリフォルニア州からコロラド州デンバーへ移転2020年12月ミッション・コントロール・センター(月着陸船及び月面探査車を地球から操縦するための管制室)を東京都中央区日本橋に開設2020年12月NASAによる月面で採取した月のレゴリス(砂)の販売に関する商取引プログラムに、当社とispace EUROPE S.A.が採択される2020年12月シリーズBの追加ラウンドとして5億円(累計35億円)の資金調達を実施2021年2月業容拡大に伴い、本社を東京都中央区日本橋浜町に移転2021年5月国内大手銀行4行から、総額19.5億円の借入を実行2021年7月東京都中央区に株式会社ispace Japanを設立2021年7~8月月着陸船開発のために追加で53.1億円の資金調達(シリーズC)を実施2021年10月シリーズCの追加ラウンドとして2.5億円(累計55.6億円)の資金調達を実施2021年12月子会社ispace EUROPE S.A.がESAの月面輸送サービスパイロットプログラムにAriane groupと共同採択される2022年7月ispace technologies U.S., inc.がチャールズ・スターク・ドレイパー研究所(以下、「ドレイパー研究所」という。 )を中心とするチームの一員としてNASAの商業的物資輸送プログラム(Commercial Lunar Payload Services、以下、「CLPS」という。 )のタスクオーダーCP-12のサービスプロバイダーに採択される2022年7月金融機関各行より総額50億円の借入を実行2022年12月民間月面探査プログラムミッション1の打上げをフロリダ州ケープカナベラル宇宙基地より実施2023年4月東京証券取引所グロース市場に株式を上場し、65.1億円の資金調達を実施2023年4月ミッション1マイルストーンのSuccess8までを完了、Success9の完了が困難と判断2023年12月SBIR制度の公募テーマ「月面ランダーの開発・運用実証」において、補助対象事業として採択され、補助金120億円の交付決定通知書を受領2024年1月金融機関各行より、2024年3月期の総額として75億円の借入を実行2024年3月海外募集により83.6億円の資金調達を実施2024年4月株式会社三井住友銀行より借換も含めた総額70億円の融資契約を締結2024年7月金融機関各行より総額100億円の借入を実行2024年9月ルナ・アドバイザリー・ボードの創設を発表2024年10月Heights Capital Management, Inc.に対する第三者割当による普通株式及び新株予約権の発行2024年11月株式会社三井住友銀行がHAKUTO-Rオフィシャルパートナーとして参画2025年1月Mission2“SMBC x HAKUTO-R VENTURE MOON”の打上げを実施2025年4月宇宙戦略基金(第1期)として公募された「月面の水資源探査技術(センシング技術)の開発・実証」に、当社が連携機関として参画する研究開発課題「テラヘルツ波リモートセンシング衛星による月地下浅部の資源探索」が採択2025年5月株式会社三井住友銀行から100億円、株式会社みずほ銀行から50億円の借入を実行2025年6月Mission2“SMBC x HAKUTO-R VENTURE MOON”のSuccess9である月面着陸の完了が困難と判断 (注)1.Googleがスポンサーとなり、Xプライズ財団によって開催、運営された世界初の民間月面探査レースであります。 2.当社運営のGoogle Lunar XPRIZEに向けた月面探査チームであり、名称は日本古来の「月にはウサギがいる」という伝承に因んだ「白兎」に由来しております。 3.「HAKUTO-R」プログラムは、米国Google社がスポンサーとなりXプライズ財団によって開催、運営された世界初の民間月面探査レース「Google Lunar XPRIZE」に、当社が日本から唯一参加して挑んだ際のチーム名称「HAKUTO」に由来しております。 当該レースは最終的に参加全チームが期日内の打上げを達成できず、勝者のないまま期限切れにより終了しておりますが、チーム「HAKUTO」は、最終選考の5チームに選ばれ、2015年1月には開発するローバーが宇宙空間でも機能する性能を持つとして高い評価を受け、モビリティ部門における中間賞(賞金50万米ドル)を受賞いたしました。 レース終了後、HAKUTOを応援していただいた多くの皆様の想いを継承しつつ、初心に立ち返って、日本初の民間月面探査実現への挑戦を”R”eboot(再起動)するという想いを込め、当社ミッション1及びミッション2からなる技術実証ミッションを「HAKUTO-R」と呼称しております。 なお、ロゴは、HAKUTOでモチーフとした白いうさぎと頭文字の「H」を継承しながら、さらに一筆書きできる曲線によって地球から月へ向かうランダーの軌道と月面を表現しております。 |
事業の内容 | 3【事業の内容】 当社は「Expand our planet. Expand our future.」をビジョンに掲げ、人類の生活圏を宇宙に広げ持続的な世界を実現するべく、月面開発の事業化に取り組んでいる次世代の民間宇宙企業です。 当社グループは、当社及び連結子会社であるispace EUROPE S.A.(ルクセンブルク大公国)、ispace technologies U.S., inc.(米国)、株式会社ispace Japan(日本)の計4社で構成されております。 <ビジネスモデルについて> 当社グループは、現在自社にて開発中のランダー及びローバーを用いて、1.ペイロードサービス、2.データサービス及び3.パートナーシップサービスを提供することを、ビジネスモデルとしております。 1.ペイロードサービス 月に輸送する物資である顧客の荷物(以下、「ペイロード」という。 )を当社グループのランダーやローバーに搭載し、月まで輸送するサービスを提供します。 本サービスには、ロケットの打上げから月面へのペイロードの輸送は勿論のこと、打上げの約1~3年前頃を目途に開始される、顧客のペイロードをランダー及びローバーに搭載するための技術的なアドバイスと調整、更には月面到着後の実験や、これらに関連するデータ通信等に係るサービスの提供まで含まれます。 当社グループでは、基本的に1機のランダーによる1回の月着陸及び月面探査のプロジェクトを「1ミッション」と定義し、ミッション単位で事業を運営しております。 当社グループでは、初の月面着陸ミッションとなる2022年のミッション1及び、続く月面探査ミッションとなる2025年のミッション2を、技術実証ミッションとして位置付け、これら2ミッションを総括して「HAKUTO-R」プログラムと呼称しております。 ミッション1およびミッション2において、当社のランダーはSpaceX社のファルコン9ロケットにより打ち上げられ、成層圏を超えた宇宙の比較的地球に近いポイントまで運搬された後、ロケットから放出され、ランダー自身で燃料噴射による軌道制御等を繰り返した後、月遷移軌道と呼ばれる軌道へ入り、約4ヵ月の期間をかけて月の周回軌道へと入った後に月面着陸をします。 着陸後はローバー(当社自身の開発ローバーはミッション2以降で輸送する計画)等の一部の稼働ペイロードはランダーから放出され、また一部のペイロードはランダー内部に搭載されたまま、月面での観測活動等を行い、データ収集等を行います。 ミッション1では、取得したデータは当社のランダーを経由して地球に伝送され、月面におけるミッション期間は、太陽光エネルギーをランダー及びローバーが獲得可能な、月の日中時間(約14日間)を計画しておりました。 なお、ロケットから放出された後、ミッション完了まで当社が中央区日本橋に開設いたしましたミッション・コントロール・センターにおいて、人工衛星のミッション・オペレーションの知見を有する当社の従業員(ミッション・オペレーション・グループ)により制御されました。 図1:提供サービスのイメージ図 本サービスは、ペイロード重量に応じて1kg当たりの価格を顧客に課金する料金体系(注1)であり、ロケット打上げの1~3年前の本契約時からロケット打上げまでの間に、その全額が一括若しくは複数回に分割されて入金されます。 宇宙開発分野においては、ミッションのための開発コストを負担する場合等、支出がミッションの1~3年前から発生することが多いことから、この様な打上げの1~3年前から入金が発生する契約体系は、当該分野において比較的一般的な商慣行となっており、ミッション1及びミッション2の契約締結済み顧客だけでなく、今後契約締結を進めていくミッション3以降の顧客との間でも同様の契約体系を基本とする予定です。 また、売上の計上方法につきましては、ロケット打上げの1~3年前からペイロードの仕様や当社ランダーとのインターフェースの調整等のエンジニアリング検討の提供が開始されることから、本契約以降、ランダーが月へ到着しミッションを完了させるまでの期間にわたって、履行義務充足に応じた売上計上がなされる想定となります(注2)。 ミッション1では自社で開発したランダーを月面に着陸させ、顧客ペイロードの月面への輸送や、顧客の要望に応じた月面データの取得等のサービスを実現することを試み、事前に設定した10個のマイルストーンの内、Success8「月周回軌道上での全ての軌道制御マヌーバの完了」迄を完了しました。 ミッション2では、ミッション1で得られたミッションデータを基に改善を行い、更に自社で開発したローバーを月面で走行させ、月の多様な情報を取得するための月面探査を行う予定としておりました。 ミッション2も同様に、事前に設定した10個のマイルストーンの内、Success8「月周回軌道上での全ての軌道制御マヌーバの完了」迄を完了したものの、月面軟着陸の完了には至りませんでした。 当社グループが開発するランダー及びローバーの外観は図2のとおりで、基本的に有人を想定しない、ロボティックス(無人)ミッションを想定しております。 ミッション1及びミッション2で使用したRESILIENCEランダーは、最大30kgのペイロードを運搬可能な設計となります。 一方、2027年(予定)のミッション3以降で使用するAPEX 1.0ランダーは、この設計を拡張させ、足許最大で300kg、将来的には最大500kgのペイロードを運搬可能な設計へ変更する予定であり、既に開発に着手しております。 また、SBIRの補助金120億円の交付決定を受け、ミッション4以降での利用を目指したシリーズⅢランダー(仮称)の開発も開始しております。 シリーズⅢランダー(仮称)は、APEX 1.0ランダーと同様に最大500kgのペイロードを運搬可能な設計を想定しており、日本を開発拠点としつつ、米国のみならず世界中のサプライヤーからの柔軟な部材調達を可能とすることで開発コストの低減を目指しています。 ミッション4以降は、原則として年間2回、さらに中長期的には年間3回のミッションを通じて、高頻度にランダーでの月面着陸とローバーでの月面探査を実施することで、顧客荷物の月輸送や、顧客の要望に応じた月面データの取得等のサービスを行う、安定的な商業プラットフォームを構築することを目指しております。 特に2020年代後半から2030年代に向けては、ペイロードサービスによりもたらされる安定的な収益を基盤としながら、高頻度ミッションにより取得したデータを解析・高付加価値化したデータプラットフォームを構築し、顧客が必要とする情報にアクセス可能なサブスクリプションモデルのビジネスを展開することで当社事業の更なる成長を目指してまいります。 また、データプラットフォーム構築のための先端開発投資として、データ取得のためのセンサー開発、データ解析、水資源探査、輸送サービス向上等を順次実施していく予定です。 当社初の実証ミッションとなる2022年のミッション1では、全体で約12.43kgのペイロードを輸送しましたが、その内の10kgについてはアラブ首長国連邦(UAE)のドバイの政府宇宙機関であるMohammed Bin Rashid Space Centre(以下、「MBRSC」という。 )との間で月面探査ローバーの輸送を、日本特殊陶業株式会社との間では固体電池の輸送に関するペイロードサービス契約を締結しております。 また、カナダ宇宙庁が推進する月面技術開発、宇宙空間での実証、科学ミッションを支援する月面探査加速プログラムであるLunar Exploration Accelerator Program(以下、「LEAP」という。 )に採択されたカナダの民間企業であるMission Control Space Services(以下、「MCSS」という。 )との間で人工知能のフライトコンピューター、同じくカナダの民間企業であるCanadensys Aerospace Corporation(以下、「Canadensys」という。 )との間でカメラのペイロードサービス契約を締結しております。 その他、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(以下、「JAXA」という。 )との間で変形型月面ロボットのペイロード輸送を合意し、2021年4月に本契約を締結しております。 また、2025年のミッション2では全体で10.5kgのペイロード輸送をしており、高砂熱学工業株式会社の月面用水電解装置、台湾中央大学の深宇宙放射線プローブ、株式会社ユーグレナの微細藻類培養装置及びムーンハウスとの間でアート作品を輸送するペイロードサービス契約を締結しております。 さらには、2027年(予定)のミッション3ではアメリカ航空宇宙局(the National Aeronautics and Space Administration(以下、「NASA」という。 ))のペイロード約95kgを輸送する予定であるほか、米国民間企業であるRhea Space Activity社、欧州宇宙機関から支援を受けたルーマニア民間企業であるControl Data Systems SRL社及びイタリア宇宙機関とも本契約を締結しております。 (注1) 本書提出日現在の当社の価格設定としては、ランダーに搭載するペイロード価格として月面まで輸送する場合は1.5百万米ドル/kg、月周回軌道上まで輸送する場合は0.5百万米ドル/kg、ローバーに搭載するペイロード価格として、3.5百万米ドル/kgを基本価格として設定しています。 なお、当社が行うペイロードサービスの単価については既に確立した水準は存在しないことから、契約相手方との関係や競合相手の状況によっては、当社が希望する水準での価格設定を行えない可能性があります。 一方で、ペイロードの技術要件等の諸条件によっては、上記以上の価格での契約締結となる場合もあります。 (注2) 具体的な計上方法としては、ミッション1については原価回収基準を適用いたしました。 ミッション2については原価回収基準を適用しておりましたが、2025年1月の打上げ成功を契機として履行義務の進捗度に基づき収益を認識する方法に変更しております。 ミッション3については、本書提出日現在まで原価回収基準を適用しており、今後も引き続き原則として原価回収基準を適用する見込みです。 ミッション4以降の会計方針については検討中となりますが、契約時からミッション完了時までの期間にわたり、原価の発生割合により履行義務の進捗度に基づき収益を認識する方法により売上を計上することを想定しております。 図2:当社が開発する月着陸船(ランダー:左)と月面探査車(ローバー:右)(それぞれの縮尺は異なります) 2.データサービス 当連結会計年度末において売上計上の開始には至っておりませんが、当社は将来的にデータサービスを主要サービスの1つとして提供する予定となります。 顧客自身がペイロードを準備の上、当社に輸送を委託し、月面や月周回軌道から地球へ試験データをフィードバックする当社のペイロードサービスを活用した直接的なデータ収集に加えて、顧客が当社のペイロードを利用してデータ収集を行い、地球へその結果をデータとして送り返し、解析の上、次なるR&Dへ活用したいというニーズが確認されています。 当社ではこれをデータサービスとして定義しており、LEAPに採択されたカナダの民間企業であるNGC Aerospace Ltd(以下、「NGC」という。 )、スウェーデン民間企業と契約を締結しており、2026年3月期第1四半期より売上の計上が開始されることを想定しております。 ① 足許で需要が顕在化すると見込まれる、ミッションを通じたデータ取得サービス 当面の間(足許から2027年頃まで)は、ミッションごとに、当社自らが開発・購入するデータ計測機器やカメラ機器等(インターナル・ペイロード)を輸送し、主に月のデータを取得し、時には顧客の特定のニーズに合わせて取得するデータも都度アレンジしつつ、取得したデータを顧客に対して提供する予定です。 またデータ提供だけではなく、(1)データ取得前の取得に関する技術コンサルテーションや運用計画、(2)取得後にデータを地球にフィードバックするための運用(電力・通信の運用)等もサービスの一環として提供することを目指しており、当社が現時点で想定している主なデータは以下のとおりです。 マーケティングデータ: 宇宙空間・月面風景・月から見た地球に関する画像・映像等サイエンスデータ:資源分布、土壌、気温、放射線等の環境情報等R&Dデータ:特定顧客・特定産業の将来のR&Dに必要なデータ(例:建築業界や自動車業界の研究開発の検討に資する地形・地質・堆砂圧データ等) ② 将来的に顕在化することが見込まれる大規模データベースの利用サービス 将来的(2028年以降を想定)には、当社の高頻度なミッションを通じて、当社のインターナル・ペイロードから取得・蓄積した情報に、地球上で入手可能な既存のデータも加え、加工、解析、統合することで、顧客にとって高付加価値な「大規模な月のデータベース」をクラウド上に構築し、顧客が自由にアクセスし、定額料金を課金の上、利用して頂く、SaaS(Software as a Service - サービスとしてのソフトウェア)型・サブスクリプションモデルのビジネスの展開を目指しています。 地球上で、月面活動や試験等を簡易的にシミュレーションすることが可能となれば、より多くの企業が、より少ない負担で、月面事業への参画を検討することが可能となります。 また、顧客はデータにアクセスするだけで、デジタル上でビジネスにおける潜在的なニーズを把握することが可能となり、これにより能動的な新事業開発の促進が期待され、将来の月面社会の創出へ大きく寄与することが想定されます。 入金と売上の計上方法につきましては、前者はペイロードサービス同様、ロケット打上げの1~3年前の本契約時から打上げまでの間に、その全額が一括若しくは複数回に分割されて入金され、本契約以降月へ到着しミッションを完了させるまでの期間にわたり、履行義務の進捗度に応じて売上が計上される想定であり、後者は、サブスクリプションモデルによる月額課金及び月次での売上計上を想定しております。 図3:データビジネスの成長イメージ 3.パートナーシップサービス 当社グループは、当社グループの活動を、コンテンツとして利用する権利や広告媒体上でのロゴマークの露出、データ利用権等をパッケージとして販売し、技術開発や事業開発で協業を行うパートナーシップ・プログラムの提供を行っております。 過去にはGoogle Lunar XPRIZEに伴う当社の活動に関するパートナーシップ・プログラムを実施し、累計約10億円の売上を計上いたしました。 続く、月面探査プログラムとなる「HAKUTO-R」においても、ミッション1及びミッション2の活動期間を対象とするパートナーシップサービスを提供しており、複数の民間企業とパートナーシップ関係を構築しております。 入金については、契約時からプログラム終了期間までの間に、総額一括若しくは複数回に分割して行われます。 また売上の計上方法につきましては、パートナー各社から受領した協賛金総額を、契約時以降プログラム終了までの期間で分割して月々計上しております。 本パートナーシップサービスを通じた対象企業との関係構築は、一過性の広告活動やブランディング活動に留まらず、当社グループのペイロードサービス及びデータサービスに係る将来の潜在的な顧客ニーズを創出し、当社の中長期的なビジョンである「Moon Valley 2040」の実現に向けて、月面での経済圏の創出に多様な産業から民間企業の参入を実現する上での重要な布石と位置付けております。 ペイロードサービス及びデータサービスからの収入に対して、パートナーシップサービスからの収益の割合は今後相対的に減少する予定です。 なお、本パートナーシップサービスの展開に当たっては、当社は株式会社電通と業務提携契約を締結の上、販売窓口として当サービスを推進頂いております。 図4:HAKUTO-Rコーポレートパートナー(本書提出日現在) <当社グループが注力する月面輸送サービスのセグメントについて> 現在の月面物資輸送市場は、主にランダーで運搬されるペイロードのサイズに応じて、小型セグメント(500kg以下のペイロード)、大型セグメント(500kg以上のペイロード)の二分類に分かれると考えております。 ペイロードの大きさが拡大するに伴ってランダーのサイズも大型化され、一般的に大型セグメントのランダーは有人向けのものが中心となります。 当社グループは、ランダーとローバーの小型軽量化による開発費の低コスト化の優位性を活かし、年複数回の高頻度なミッションを実現することを見据え、小型セグメントへの戦略的集中を行っております。 当小型セグメントには、独自の顧客市場の存在、及び技術的観点の差異から、大型セグメントとの間に明確な区分けが存在し、それぞれのセグメントで活動するプレーヤーも区別されていると考えられます。 顧客の観点では、特に足許の市場草創期においては、民間企業や研究機関等からの比較的小型のペイロードを月面に輸送したいというニーズが存在しています。 例えば、ペイロードを月面に輸送するに当たっては、顧客のペイロードをランダー及びローバーに搭載するための技術的なアドバイスと調整等の事前のアレンジメントが多数発生いたしますが、同様の顧客が複数、1機のランダーに相乗りをするケースが通常です。 小型のペイロードの顧客の観点からは、大型ランダーの中で多数のペイロードの1つとして格納されるケースに比べ、小型ランダーの中で主要なペイロードの1つとして格納されるケースの方が、より自身のニーズに沿ってカスタマイズされたミッション設計(着陸地点・ミッション期間・ペイロードの環境条件等)を得られるメリットを享受できると考えております。 また大型のペイロードによるミッションと比べて、より低コストかつ高頻度なミッションを実現できるため、上記のミッション設計の選択肢が多いというメリットもあります。 また、技術的観点からは、一般的に、無人が主流の小型ランダーと有人が主流の大型ランダーとでは、開発に求められる安全性要件の高さも異なれば、サイズ・重量等も異なるため、基本的にそれぞれの開発要素が全く異なるものと考えられます。 特に当社グループの場合は民生品(Commercially available Off-The-Shelf、(以下、「COTS品」という。 ))を活用して低コスト化も実施する開発コンセプトでのエンジニアリングを追求しておりますが、これは大手プレーヤーによる大型ランダーの開発原則とは必ずしも一致しないと考えられます。 従って、大型ランダーを製造するプレーヤーが小型ランダーに参入する場合には、低コスト・軽量化を実現するための技術的障壁が一定程度存在すると考えられます。 なお、当社は将来的にランダーのサイズアップを予定しており、輸送可能なペイロード容量を、ミッション1及びミッション2で予定する最大30kgから、ミッション3以降最大500kg程度まで増大させる開発に現在着手しておりますが、小型セグメントへの戦略的集中に変わりはありません。 <当社グループの開発及びミッション推進体制について> 当社グループは、技術実証ミッションとして月面探査プログラム「HAKUTO-R」であるミッション1及びミッション2のためのランダー及びローバーを開発し、ミッション2の打上げを2025年1月15日に実施いたしました。 ミッション2ランダーは打上げ後、当社ミッション・コントロール・センターからの運用を実施し、2025年6月6日未明に月面着陸を試みました。 ランダーとは天体の表面に着陸し、静止することができる宇宙機であり、ローバーとは地球外の天体の表面を移動し、観測するために使われる車両であります。 なお、当社のランダー及びローバーにつきましては有人利用を想定せず、無人のロボティックスとして開発しております。 ペイロード及びローバーは、ランダーの内部に格納され、更にそのランダーは打上ロケットの内部に格納され、打上ロケットによって宇宙空間における一定ポイントまで輸送されます。 ランダーはロケットから分離された後、一定期間をかけて月に向けて自力で宇宙空間を推進し、月の周回軌道へと入り、月面に着陸をします。 着陸後、ローバーはランダーから分離され、月面を自走しながら探査活動を行います。 ランダー及びローバーの開発、ランダー又はローバーへのペイロードの搭載、打上ロケットから切り離された後の月までの航行と着陸、月面の探査活動はすべて当社グループが行う活動です(ランダー及びローバーはすべて、当社グループのミッション・コントロール・センターから、当社グループオペレーターにより遠隔操作されます)。 一方で当社グループは、打上ロケットに関しては自身で開発等は行わず、既に市場でサービス提供を行っている打上プロバイダーと契約の上、打上サービスを購買しております。 当社グループは2016年以降、ランダーの本格的な自社開発に着手するとともに、経験豊富なエンジニアを順次採用しており、足許では約200名のランダー開発エンジニア及びオペレーション専門のエンジニアが在籍し、開発プロジェクトのリーダー層には、衛星開発等で豊富な知見と経験を有する人材を確保しております。 多数の外国籍のエンジニアが在籍していることに加え、宇宙/非宇宙のバックグラウンドを持つエンジニア、ハードウェア/ソフトウェアの専門家等、幅広いエンジニアリング人材で構成されていることが1つの特徴です。 これまでの宇宙開発ノウハウを最大限活用する一方で、自動車・機械産業等で培われた民間企業ならではの柔軟・迅速な開発プロセスを目指しています。 また、ソフトウェア技術の活用も民間企業として宇宙開発へ参入する上での重要な鍵となります。 高い信頼性が求められる宇宙開発においては、これまで確実な信頼性評価が可能なハードウェア技術による開発が優先されてきました。 一例としては、ロケットの推進力を向上させるためにはより大型のエンジンを多額のコストを投じて開発していくという考え方が挙げられます。 一方、近年のソフトウェアによる制御技術の著しい進化により、民間企業でのソフトウェアを駆使した高度な開発が可能となり、上記のケースであれば、小型のエンジン複数機をソフトウェアで制御することにより、同程度の推進力を維持しつつも大幅なコスト削減が可能となります。 このように、今後宇宙開発分野においてソフトウェア技術との融合によりハードウェアの小型軽量化を進めることで、大きなコスト削減が可能になると考えており、当社においても多くのソフトウェアエンジニアを採用し開発に従事しております。 なお、当社グループでは、信頼性を維持しながらコストと開発期間を短縮するべく、システム・インテグレータとしての開発スタンスを基本としております。 すなわち、当社ではシステム要件を整理の上でシステム設計をしますが、部品については既に宇宙で実績のあるCOTS品を中心に調達をしており、内製化する部品を最小限としています。 その上で、調達した部材を組立て、システム・インテグレートし、システム環境試験を行い、完成したことを検証することとしています。 <ランダー・ローバーのテクノロジー及びペイロード>1.ローバーについて 当社は2010年の創業以来、一貫してローバー開発に取り組んでおり、その技術は当社の取締役兼テクノロジー・アドバイザーであった吉田和哉氏が教授を務める東北大学大学院工学研究科において研究開発されたロボティクス・ローバー技術がベースとなっております。 当社は米国のGoogle社がスポンサーとなりXPRIZE財団が運営する世界初の月面探査レース「Google Lunar XPRIZE」に参戦しておりましたが、そこで使用するローバーのプロトタイプを2011年8月に発表し、2015年1月にはローバーのエンジニアリングモデル(注1)が宇宙空間でも機能する性能を持つことが評価され、Google Lunar XPRIZEの中間賞を受賞し50万米ドルの賞金を獲得しました。 その後もフライトモデル(注2)の製造まで当社は完了させ、相乗り先である他社のランダーの打上げを待つ状態に有りましたが、月面探査レースは残念ながら2018年3月に勝者がいないまま終了となりました。 当社のローバーは月面での実証を行うことができなかったものの、フライトモデルの製造まで完了させたことが一定の評価を受け、本ローバーは2019年に米ワシントンD.C.のスミソニアン航空宇宙博物館へ寄贈されました。 当社がGoogle Lunar XPRIZEを通じて開発したローバーは、総重量約4.0kgであり、当社が認識する限り、世界でも最小・最軽量の四輪ローバーです。 月面の不整地を走破できる4輪駆動、360度の視野を持つカメラで静止画と動画の撮影等、宇宙空間で月面探査ミッションを達成できる能力を維持しつつ、可能な限りCOTS品を活用し、小型軽量化とコスト削減を実現しました。 (注1)基本設計に基づき製作し、機能・性能・環境試験に供することで設計の妥当性を確認し、次の詳細設計段階に移行するための設計を固めるためのデータを取得するためのモデル(注2)実際に宇宙に打ち上げる本番モデル 2.ランダーについて 当社は2016年よりランダーの自社開発を開始し、2017年以降実施している複数回の資金調達を原資として開発作業を進捗させております。 ミッション1及びミッション2で利用するRESILIENCEランダーのサイズは、乾燥重量:約340kg(燃料含まず)、ミッション3以降で利用予定のAPEX 1.0ランダーのサイズは乾燥重量:約1,350kg(燃料含まず)となっております。 ランダー開発と月面着陸の歴史は、1959年にソビエト連邦共和国によって開発され月面着陸を行った無人探査機のルナ2号から始まり(以降、1976年のルナ24号までに複数回の着陸を実現)、その後1961年から1972年にかけてNASAが実施したアポロ計画、2013年と2019年にそれぞれ月面着陸を果たした中国の嫦娥3号・4号等、過去にも様々な開発事例が存在しており、ランダー開発技術は原理的に既に確立されたものであります。 特にアポロ計画で開発されたランダーは合計6回の有人月面着陸を成功させましたが、これを契機に、ランダーの様な大規模システムを高い品質を保ちながら確実に効率よく開発するための手法として、「段階的プロジェクト計画」(Phased Project Planning:PPP)がNASAによって生み出されました。 以降、この手法をベースとして多数の民間企業による人工衛星の開発が行われており、JAXAもまた「段階的プロジェクト計画法におけるシステムエンジニアリング活動」として同様の手法を提唱しています。 図5:システムエンジニアリング活動に準拠した開発の工程(JAXA発行「ライフサイクルにおけるプロセスのアウトプット/アクティビティの例」を元に当社作成) 技術審査MDRMissionDefinitionReviewSRRSystem Requirement ReviewSDRSystemDefinitionReviewPDRPreliminary DesignReviewCDRCriticalDesignReviewPSRPre-Shipment ReviewLRRLaunch Readiness Review目的ミッションの意義・目的・成功要件・コスト等、ミッション定義の妥当性を確認する審査会ビジネス要件とシステム要件の整合性を確認の上、システム設計開始を承認する審査会 システム仕様、及びそれに対する検証計画の妥当性、基本設計フェーズに向けた技術・体制・計画等の一連の準備が完了されていることを確認する審査会仕様値に対する設計結果、設計検証計画の実現性を確認する審査会製造と試験の詳細設計と検証計画が適正かを、これまでに実施した試作評価、熱構造特性の評価、電気機械設計等の評価を活用して確認する審査会試験結果の確認及び、打上場への輸送承認を行う審査会 ロケットへのインテグレーション作業終了の確認及び、打上げと初期運用への移行承認を行う審査会 本手法の概要は、開発全体を複数のフェーズに区分し、各フェーズで行うべき作業内容を段階的に定義しながら、それぞれのフェーズにおける結果を審査により評価し、次フェーズへの移行可否を判断しながらフェーズを進めていくものであり、これにより可能な限りの不具合・エラー等を事前に検知し、ミッションまでに確かな開発品質へと高めていく手法です。 当社のランダー開発もまた、機能面において人工衛星と近似する部分を多く有しているため、基本的には既存の人工衛星開発のプロセスである「段階的プロジェクト計画法におけるシステムエンジニアリング活動」を踏襲して進められています(詳細な当社の開発状況については、後記「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」をご参照下さい)。 また上記「システムエンジニアリング活動に準拠した開発の工程」は一般的な人工衛星開発のプロセスを示したものですが、これを基礎としつつ、民間企業等の人工衛星の開発現場においては、そのプロジェクトの複雑性や新規性に拠って、必要とされる審査プロセスを柔軟にアレンジされるケースも一般的です。 例えば、新規開発ではない量産型の人工衛星の製造等の場合、既存設計は過去の物を踏襲し、プロジェクト開始後即座にPDRを実施の上、フェーズCへ移行するケースも存在します。 当社の場合も、ミッション2の開発においては基本的にミッション1と類似する設計となることから、ミッション1よりも比較的短期のプロセスとなっております。 3.外部の開発パートナーの積極的な活用 当社は経験豊富なエンジニア陣による「段階的プロジェクト計画法におけるシステムエンジニアリング活動」に万全を期すことで、確かな開発品質を実現させていく計画ですが、技術実証ミッションを遂行する上では外部パートナーの積極的な活用にも取り組んでおります。 中でもランダー固有の開発点として、以下の二点については外部パートナーの協力を積極的に活用しております。 ・微小重力下で月面着陸姿勢を制御可能な大型推進システムの開発・月面着陸を精度高く行うための着陸制御システムの開発 推進システムについては、宇宙空間における推進システムの開発における長年の実績を有する、欧州大手の航空宇宙企業であるエアバスから分離独立したAriane Group社から、推進系システムの設計協力(レビュー等)を得つつ、基幹部品であるスラスター・バルブ・配管等を調達し、推進系システムの組立も同グループの工場を賃借し行う等、緊密な協力関係を構築しております。 なお、ミッション3については米国子会社をランダーの開発拠点とし、NASAによる月面への輸送サービス委託するプログラムであるCLPSへ採択されサービス提供を実行することから、CLPSの要求事項であるDomestic Source Requirements(US内製品の使用)の条件を満たす必要があり基本的に米国企業からの部材調達を実施しております。 着陸制御システムの開発については、1960年代から70年代にかけてのアポロ計画でランダーの同システムの開発を担当した米国のドレイパー研究所(本社:米国マサチューセッツ州)に委託をしております。 同社との契約関係により、当社は2028年6月末までの期間、地球以外の惑星に500kg以下のペイロードを着陸させる能力を持つ宇宙機への利用に関して、同社が開発する着陸制御システムを独占的に使用する権利を保有しています。 また、前述のとおり、当社グループは、打上ロケットの自社開発は行わず、既に市場でサービス提供を行っている打上プロバイダーと契約の上、打上サービスを購買してまいりますが、現時点でミッション1からミッション3までについて、SpaceX社との間で打上契約を締結しております。 同社のロケットであるファルコン9は、累計で450回超の打上げを行い、過去の打上の成功確率としても約99%と極めて信頼性の高い実績を持つパートナーです。 これらの外部パートナーの協力を積極的に活用することで、当社はより着実なミッションの成功を目指してまいります。 <開発・営業におけるグローバルネットワーク> 上述のとおり、当社グループでは、グローバルなエンジニア人材による「段階的プロジェクト計画法におけるシステムエンジニアリング活動」や海外の外部パートナーの積極的な活用により技術実証ミッションを遂行しております。 これを実現する上では、世界中の優秀なエンジニアを獲得することが必要となります。 当社グループでは、東京の本社にミッション1及びミッション2のランダーの開発拠点を置く他、米国デンバーの子会社ではミッション3で利用予定の大型化したランダーの開発拠点を、またルクセンブルク大公国の子会社ではローバーの開発拠点を置く等、グローバルに開発部隊を配置し、それぞれの拠点の強みを活用しております。 またそれぞれの拠点は、日本のJAXAや米国NASA、欧州のESA等の重要な宇宙機関と物理的距離を近く取ることにより、各地での月面開発ニーズの吸い上げを行っております。 また顧客開拓の観点においても、当社は世界各国において、宇宙機関や民間企業の顧客需要を開拓していく上でも、グローバルなネットワークを構築し、各拠点営業人員を配置しております。 欧州においては子会社ispace EUROPE S.A.の従業員が、ESAが実施する月の水資源探査プロジェクトのサイエンスチームに選出される等、当社グループは、民間による月面開発の事業化に取り組むグローバル企業として、国内外から認知されております。 図6:当社グループのグローバルネットワーク <長期ビジョン> 当社グループが掲げる「Expand our planet. Expand our future.」には、月を人類が宇宙内で活動する上でのエネルギー補給基地として活用し、2040年以降に「地球と月がひとつのエコシステムとなる経済圏を創出する」というビジョンを実現させる意思が込められています。 この経済圏を具現化した構想として、当社グループは2040年以降に1,000人が月に暮らし、年間1万人が地球との間を往来することを想定した月面上の都市「Moon Valley 2040」の構想を併せて掲げています。 月を「エネルギー補給基地」として活用する上で鍵となるのが、月における水の存在です。 近年の調査で月には水資源が存在することが明らかとなっており(*1)、そのサイズは数億~60億トン(*2)とも言われ、その分布状況や分量の確定に更なる調査と分析が必要とされています。 また月には水資源だけでなく、鉱物資源やヘリウム3も存在する可能性があり、これらの資源の利用可能性にも注目が集まっています。 *1 出所:Direct evidence of surface exposed water ice in the lunar polar regions, PNAS https://www.pnas.org/content/115/36/8907*2 出所:Dr.David R. Williams, https://nssdc.gsfc.nasa.gov/planetary/text/lp_pr_19980903.txt 水から電気分解された水素と酸素は、液体水素・液体酸素として、近年の宇宙開発におけるロケット推進燃料として利用されています。 将来的に月の水資源を有効活用し、エネルギー源の生成からロケットの推進燃料としての利用までを、一気通貫して月で行うことができれば、地球の1/6ともされる微小重力下の月から抜け出し宇宙空間を移動する燃料輸送コストは、地球の重力から抜け出すことが所与となっていた従来の燃料輸送コストに比べて、大幅に引下げることが可能になると考えられております。 これが現在、世界中の注目が月に集まる最大の背景と考えられます。 図7:エネルギー補給基地としての月の可能性 小惑星・火星等の深宇宙探査は、科学的観点から人類に大きな利益をもたらすと考えられており、将来的にもより高頻度で実施されることが期待されています。 また、現在地球の周回にはGPS(全地球測位システム)・気象観測衛星等、数千機もの人工衛星が存在し、近い将来にはメガ・コンステレーション(大規模な人工衛星群)によるインターネット接続も計画されている等、これらの衛星が地球上の人類の生活を維持する上で必要不可欠なインフラになっており、長期的な維持利用を見据えて燃料補給等のメンテナンスをいかに行うかが課題です。 将来的に更に増大することが見込まれる深宇宙探査のための移動燃料、また人工衛星の活動維持のための燃料を、すべて地球上から賄うことは、特に地球の重力から抜け出す際に膨大なエネルギーコストが必要になることを考えれば、深刻な課題と言えます。 本課題を解消するために月を人類が宇宙内で活動する上でのエネルギー補給基地として活用し、2040年以降に「地球と月がひとつのエコシステムとなる経済圏を創出する」ことを目指す当社のビジョンは、長期的に人類の地球上の生活を持続させることに繋がる世界的に重要な施策の1つと言えます。 <ビジョン実現に向けたロードマップ> 当社グループでは、前述の「Moon Valley 2040」の実現に向けたロードマップを下記図8のように大きく2つのフェーズに分けて整理しております。 図8:「Moon Valley 2040」の実現に向けたロードマップ フェーズ1では、当社グループは月の水資源やその他資源の商業的価値に着目し、高頻度・低コストな月面輸送を行うプラットフォームを構築するとともに、月面資源のデータマッピングを行い、月ビジネスに参入するすべての顧客(政府宇宙機関・研究機関・民間企業等)に有益な月のデータ(画像データ・環境データ・資源情報等)を提供することを計画しております。 続くフェーズ2では、月面資源探査/開発プラットフォームを構築するために、月の水資源からロケット推進燃料を生成する事業パートナー企業とのアライアンス構築に取り組む計画です。 これらを通じて、2040年代には地球と月がひとつのエコシステムとなる経済圏「Moon Valley 2040」を創造していきます。 [事業系統図]当社グループの事業系統図は、次のとおりであります。 |
関係会社の状況 | 4【関係会社の状況】 名称住所資本金主要な事業の内容議決権の所有割合(又は被所有割合)(%)関係内容(連結子会社) ispace EUROPE S.A.ルクセンブルク大公国ルクセンブルク市40,000ユーロ月面開発事業100役員の兼任 2名資金の援助ispace technologies U.S., inc.(注)2.3.4米国コロラド州デンバー500,000.01米ドル月面開発事業100役員の兼任 2名資金の援助その他1社 (注)1.有価証券届出書又は有価証券報告書を提出している会社はありません。 2.ispace technologies U.S., inc.は特定子会社に該当しております。 3.ispace technologies U.S., inc.については、売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く。 )の連結売上高に占める割合が10%を超えております。 主要な損益情報等 (1)売上高 2,149,938千円(2)経常損失 △2,854,499千円(3)当期純損失 △2,871,086千円(4)純資産額 △4,485,275千円(5)総資産額 17,329,744千円4.ispace technologies U.S., inc.は、債務超過の状況にあり、債務超過の額は2024年12月31日時点で4,485,275千円であります。 |
従業員の状況 | 5【従業員の状況】 (1)連結会社の状況2025年3月31日現在従業員数317(18) (注)1.従業員数は就業人員(当社グループからグループ外への出向者を除き、グループ外から当社グループへの出向者を含む。 )であり、臨時雇用者数(パートタイマー、人材会社からの派遣社員、季節工を含む。 )は、年間の平均人員を( )外数で記載しております。 2.当社グループは、月面開発事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。 (2)提出会社の状況 2025年3月31日現在従業員数(人)平均年齢(歳)平均勤続年数(年)平均年間給与(円)176(18)42.32.89,784,776 (注)1.従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。 )であり、臨時雇用者数(パートタイマー、人材会社からの派遣社員、季節工を含む。 )は、年間の平均人員を( )外数で記載しております。 2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。 3.当社は、月面開発事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。 (3)労働組合の状況 当社グループにおいて労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。 (4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異 提出会社及び連結子会社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。 |
経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 | 1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。 (1)経営方針 当社グループは、「Expand our planet. Expand our future.」をビジョンとし、地球と月が1つのエコシステムとなる世界を築くことにより、月に新たな経済圏を創出することを目的としています。 この実現に向け、史上初の民間月面探査へ向け研究・開発を推進する企業として、持続的な成長と企業価値の最大化を目指すことを基本方針としております。 (2)経営戦略等1.品質向上サイクルの実現 当社グループは現在、2027年に計画している月着陸のミッション(ミッション3及びミッション4)に向けて、ローバー及びランダーの開発を進めておりますが、過去の国主導の宇宙ミッションでは実現が困難であった、民間企業ならではの品質向上サイクルを回すことを企図しています。 既存の宇宙開発の課題の1つに、コストの高さ及びそれに起因する実証機会の少なさが挙げられます。 過去の宇宙ミッションの多くが国主導のミッションですが、民間企業と比較して失敗に対する許容度を相対的に低く設定せざるを得ないことから、より慎重かつ複雑な開発プロセスと、より重層的な実証試験等を行わざるを得ず、開発コストが大規模かつ開発期間が長期化する傾向があります。 一般的に、技術的な品質を向上させ成功率を高めるためには、リスク・コントロールが可能な範囲での技術的失敗と改善を繰り返す、言わば健全な反復プロセスが必要不可欠とされています。 しかしこれまでの宇宙ミッションでは、高額な開発コストはそのまま実証機会の少なさにつながり、結果的に宇宙開発におけるプロダクトの品質向上サイクルを回すことに限界が生じていたと考えられます。 当社グループは提供するプロダクトをロボティックスによる無人かつ小型で軽量化されたモデルに設定し、また必要とされる部材についても、近年その品質が急速に向上しているCOTS品から十分に宇宙品質に耐えられるものを選定し、柔軟に調達することを基本としています。 また国主導のミッションと比較して、失敗に対する許容度を相対的に高く設定することが可能な民間企業としての特性を活かし、実用性が高く迅速な開発プロセスを設計し、結果的に既存の宇宙機器開発と比較して大幅な開発コストの低減が可能となっています。 これにより実証機会を増加させ、将来的に反復ミッションと十分な研究開発による品質向上を実現し、更には量産による品質安定化を図ることを計画しております。 当社は、初の実証ミッションとなる2022年のミッション1及び2025年のミッション2を、技術実証ミッションとして位置づけています。 前述のとおり、経験を十分に有するエンジニア陣による「段階的プロジェクト計画法におけるシステムエンジニアリング活動」に万全を期すことで、確かな開発品質を実現させていく計画ですが、失敗が一切存在しないミッションを保証するものではありません。 当社としては、リスク・コントロール可能な範囲での失敗については、仮に発生した場合にも企業として許容可能な十分な手当を準備しています。 実際に、ミッション1及び2で獲得されたミッションデータは、着陸失敗の要因分析に関するデータまでを含めて、ミッション3以降の後続ミッションへと活用されており、当社はそのために、後続するミッション3及びミッション4の開発も並行して進捗させております。 ミッションを高頻度に実施し、技術的な経験値を継続して蓄積させていくことが、当社の技術的リスクを低減させ、持続安定的な事業運営を達成する上での重要な鍵となります。 2.ミッションリスクに備えた手当 当社グループが行う月着陸ミッションには、宇宙開発における一定の不確定要素が存在すること、特にミッション1及びミッション2においては当社の実証段階であることも踏まえれば、一定のミッションリスクが存在しますが、これに備えた十分な手当を行うことを戦略としております。 当社は、ミッション1を含めた複数ミッションについて、SpaceX社のファルコン9ロケットにランダーを搭載し打上げを行う予定です。 ファルコン9はSpaceX社により開発された中型ロケットであり、打上価格が機当たり69百万米ドル/1回(本書提出日時点における公表値(https://www.spacex.com/media/Capabilities&Services.pdf))と同規模の他社ロケットと比較し安価であり、市場において大きなシェアを獲得しております。 打上契約後は、仮に何か問題が発生しミッション継続に支障が起きた場合にも、SpaceX社は打上代金の返金をせず、打上業者と顧客である当社の双方がお互いに損害賠償請求権を放棄して、自損自弁にしておくことが業界慣行となっています。 当社は、累計で450回超の打上げを行い、過去の打上げの成功確率としても約99%と極めて信頼性の高い実績を持つSpaceX社のファルコン9を選定しておりますが、仮に問題が発生した事態における財務的リスクを軽減するために、第三者の損害保険会社との間ですべてのミッションについて月保険を締結する予定であり、ミッション1については、三井住友海上火災保険株式会社との間で損害保険契約を締結しておりました。 当該保険はロケットが打ち上げられてからランダーが月面に着陸し、通信の機能が正常に作動して地球とランダーとの間でデータ送受信が行われるまでを保険責任期間としており、実際にミッション1の月面着陸未完に伴い約38億円の保険金を受領しております。 ミッション2についても同様に三井住友海上火災保険株式会社との間で月保険を締結しており、保険責任期間はロケットが打ち上げられてからランダーが高度100kmの月周回円軌道上までの軌道制御確認完了までとし、保険金は約21億円としておりました。 ただし、ミッション2の月面着陸未完は、当該保険責任期間外となっているため保険金の受領は見込んでおりません。 同様に、当社と当社の顧客との間においても、SpaceX社と当社との間と同様の仕組みを踏襲し、当社と顧客の双方がお互いに損害賠償請求権を放棄して自損自弁とする契約体系を基本としております。 また、当社が手掛ける①ペイロードサービス、②データサービス及び③パートナーシップサービスでは、基本的にロケット打上げに先立つ1~3年前に本契約をし、以降、ロケット打上げまでの間に、ほぼ全額の金銭的対価を顧客から受領することを基本としていますが、仮に契約後に問題が発生しミッション継続に支障が起きた場合にも、当社側に契約不履行に繋がる程の重大な瑕疵(マテリアル・ブリーチ)が生じない限り、原則として当社から顧客への返金が生じない契約体系となり、複数のペイロード顧客との間で、既に上記趣旨の内容で最終契約を締結しております。 将来的には、より多くの顧客に安心して当社のサービスを利用してもらい、産業を活性化させる上では、損害保険等の商品により顧客の財務的リスクを軽減させる仕組みが不可欠と考えており、月面輸送サービスにおける損害保険商品の将来的な導入を見据え、現在第三者の損害保険会社との間で検討を進めております。 3.継続的なミッション資金の十分な確保 先に記載のとおり、宇宙開発における技術の品質向上サイクルを実現させることは民間企業ならではの利点と言え、当社は、常に単発ではなく同時並行で継続的なミッションの準備を進めておくことで、リスク・コントロールが可能な範囲での技術的失敗を、タイムリーに次のミッションの改善へと反映させることを実現させます。 当社は足許、2027年に計画するサイズアップされたAPEX 1.0ランダーでのミッション3、並びに2027年に計画するシリーズⅢランダー(仮称)の開発にも人的・財務的なリソースを配分しております。 ランダー及びローバーの開発には一般的に高額の開発費用を要すること、また継続的に打上業者との間で高額な打上契約に関する合意を形成していかねばならないこと、そして複数ミッションの検討を同時並行して実施可能な十分の開発エンジニアを確保することから、当社は常に比較的大規模な財務的原資を手当する必要があり、継続的な資金調達の実施が持続的な事業運営上不可欠です。 当社は2014年の無担保転換社債型新株予約権付社債の発行(シード投資)、2017年から2018年(シリーズA)、2020年(シリーズB)及び2021年(シリーズC)の三度の第三者割当増資に加え、2023年及び2024年の公募増資、2024年の第三者割当増資により累計で約415億円の資金調達を実施しております。 その他にも2021年5月に実施した金融機関からの総額19.5億円の借入、2022年7月に実施したシンジケートローン契約による50億円の調達、2023年度には複数行から計75億円の借入を実行、2024年度には借換も含めて約193億円の借入を実行、進行期である2025年度も本書提出日現在で155億円の借入を実行しております。 しております。 今後も積極的に、グローバルな資本市場へアクセスし、十分な財務的資金バッファを確保することで、宇宙開発における技術の品質向上サイクルを実現していく計画です。 4.政府宇宙機関及び民間企業の双方の顧客ターゲティング 足許の当社の売上は、グローバルな顧客ニーズの高まりを背景に、顧客からのペイロードを輸送するペイロードサービスの売上が重要な割合を占めております。 当社は、2019年12月にアラブ首長国連邦(UAE)のドバイの政府宇宙機関であるMBRSCより、ミッション1において10kgのペイロード(月面探査ローバー)を運ぶ大型受注を獲得し、2021年に本契約を締結致しました。 MBRSCの前身となる機関は2006年に設立され、以降、2009年のDubaiSat-1、2013年のDubaiSat-2等、複数の衛星プロジェクトを打上げた実績を持つ、中東を代表する先進的宇宙機関の1つです。 2020年7月には、UAE建国50周年を迎える2021年に中東初となる無人探査機の火星到着を目指す火星探査ミッションにおいて、MBRSCは火星探査機「HOPE」の設計と技術面の取りまとめを行い、三菱重工のロケットH-IIAによる打上げを成功させています。 この他の宇宙機関との間では、カナダ宇宙庁が推進するプログラムであるLEAPに採択されたカナダの民間企業であるMCSSとの間で人工知能のフライトコンピューターのペイロードサービス、Canadensysとの間でカメラのペイロードサービス、NGCとの間でデータサービスを提供する契約を締結しております。 また、JAXAとの間では変形型月面ロボットのペイロードを月面へ輸送することで合意し、2021年4月に本契約を締結しております。 加えて、当社子会社であるispace EUROPE S.A.はミッション3においてはイタリア宇宙機関とレーザー反射鏡を月面へ輸送することで合意し、欧州宇宙機関とは今後の「MAGPIE(The Mission for Advanced Geophysics and Polar Ice Exploration)」と呼ばれるミッションの実現可能性、定義・設計、ミッションを実行するための全体的な枠組みの検討を行う契約を締結しております。 また、当社子会社であるispace technologies U.S., inc.は、主契約者であるドレイパー研究所等で構成されるドレイパーチームの一員として、2022年7月においてNASAのCLPSのタスクオーダーCP-12のサービスプロバイダーの1社に選ばれており、当該タスクオーダーの総額は採択時点で73百万米ドルとなります。 これに関して、当社子会社であるispace technologies U.S., inc.は、ドレイパー研究所との間で、ランダーの製造やペイロードサービスを実施するための請負契約を締結し、当該契約に基づき、ミッション3において、2機のリレー衛星を月周回軌道に投入し、月震計(FSS)、地下の熱流探査機(LITMS)、及び電磁場測定器(LuSEE)といった一連の科学実験機器を含むペイロードを月の裏側に存在する南極付近に輸送する予定です。 これらの2機のリレー衛星はBlue Canyon Technologies Inc.が製造し、Advanced Space, LLC が運用をサポートする予定で、これらの衛星を活用して月震データを最大1年間にわたり収集する予定です。 当社子会社とドレイパー研究所の間の上記請負契約の契約金額は当初約5,450万米ドルとなっており、2024年12月に約6,218万米ドルに増額となっておりますが、支払は一定のマイルストーンの達成を条件とした分割払いとなっており、打上日(2028年3月期中を現時点で想定)までに総額の10%を除いた金額が支払われ、残り10%相当額については月面着陸及びペイロードからのデータの受信時に支払われる予定です。 また、NASAの要請によりドレイパー研究所がミッション期間を延長した場合には、2機のリレーの衛星につき最大で280万米ドルの支払いを追加で受領できる可能性があります。 ただし、当社子会社は、ドレイパー研究所との契約上、自らの契約不履行又は履行遅滞に起因して発生した損害についてドレイパー研究所に対して損害賠償義務を負う可能性があり、また、当社起因の理由によりタスクオーダーCP-12の費用が増加した場合には、当該増加費用分をドレイパー研究所に対して当社が負担することになる可能性があることから、最終的な受取金額は減少する可能性もあります。 民間企業との間では、ミッション1のペイロードとして、日本特殊陶業株式会社との間で固体電池を月面へ輸送する契約を獲得しており、既に本契約を締結の上、全額の入金も完了しております。 また、ミッション2顧客として、高砂熱学工業株式会社との間で月面用水電解装置、台湾中央大学との間で深宇宙放射線プローブ、株式会社ユーグレナとの間で微細藻類培養装置及びムーンハウスとの間でアート作品のペイロードサービス契約を締結しております。 ミッション3顧客として、Rhea Space Activity社、Control Data Systems SRL社とペイロードサービス契約を締結しております。 また、当社は世界各国の民間企業・宇宙機関・研究機関との間で、MOU(Memorandum of Understanding)やinterim Payload Service Agreement(ペイロードサービス中間契約。 以下、「i-PSA」という。 )を締結しております(以下、MOUとi-PSAを総称して「MOU等」という。 )。 当該MOU等は基本的にミッション3以降における将来的なペイロードサービス、データサービスについて共同検討や共同開発を進める内容であり、今後も多くの民間企業・宇宙機関・研究機関とMOU等の締結を拡大させる予定です。 民間企業とのMOU等締結の背景は様々ですが、直近では特に、月面における水資源を活用したバリューチェーンに含まれる事業と関係する企業との強固な関係を築いております。 例えば、バリューチェーンのエンド・ユーザーとなるトヨタ自動車株式会社との間では、日米両政府による「Lunar Surface Exploration Implementing Arrangement」にて日本からの提供が決まった「有人与圧ローバー」に関連する地上試験、月面環境での技術実証に関する協議を進めております。 2025年5月9日時点で、世界各国の民間企業との間でミッション3以降を対象とした総額662百万米ドルのMOU等を締結しております。 上記のMOU等には法的拘束力が認められず、受注及び当社の売上計上に繋がるかは不確実ではあるものの、当社は今後も民間企業各社とのMOU締結を進めてより多くの顧客と間で強固な関係を築く予定であり、将来的な民間企業からのペイロードサービスの受注につなげることを見込んでおります。 5.中長期的な売上拡大及び収益性の改善 当社は、技術が一定程度確立され、安定的な月面輸送が可能となると想定されるミッション5以降、平均して年2回から3回のミッションを実施することを計画しております。 またミッション3以降は、顧客のペイロード需要が大型化する傾向が予想されることから、最大300-500kgまでのペイロード輸送を可能とするデザインのAPEX1.0ランダーを開発中です。 実際の顧客への販売重量は、デザイン上の重量から開発における不確実性や販売充足率を加味した歩留まり率をもとに販売重量を想定しており、ミッションを重ねるごとに開発マージンの効率化、販売充足率の向上により、顧客への販売重量を順次拡大させていくことを目指します。 表1:ミッションスケジュール及び想定販売重量ミッション打上げ(予定)時期販売可能重量(kg) ミッション打上げ予定時期販売可能重量(kg)12022年12月約12 62028年約14622025年1月約11 72029年約14632027年約145 82029年約16042027年約208 92029年約16052028年約146 102030年約163※上記は本書提出日時点の想定であり今後変更となる可能性があります。 このようにミッション3以降は当社の収益源となるペイロードサイズが増大し、更に将来的にミッションが高頻度かつ同時並行的に実施される予定であることから、ペイロードサービスからの売上を一層拡大させることを目指します。 また、売上の拡大を図ると同時にコスト削減を実施することで収益性の向上を実現するよう計画しており、そのための施策としてCOTS品の利用、大量購入によるスケールメリットの享受、開発人員の習熟化による人件費削減、ノウハウ蓄積による試験工程の効率化の実施を目指します。 また中長期的には、複数のミッションから収集されたデータの蓄積を元に、データサービスからの売上も徐々に拡大することを想定しています。 データサービスの提供の方法としては、(1)データの取得前から取得するためのペイロード機器の開発から当社が検討に加わり、データ取得のために必要なペイロードの輸送コストまで含めて顧客へ課金するケースと、 (2)既に当社で保有する取得済みの顧客の需要に応じた付加価値の高いデータセットへ加工し、データ販売のみ提供するケースが存在します。 2020年代において高頻度輸送を確立することで他社に先行してデータの収集、解析、高付加価値化を実施し、2020年代後半から2030年代に向けてデータプラットフォームを活用した高収益なデータビジネスモデルの構築を目指します。 (3)経営環境 当社グループの事業が属する経営環境は次のような特徴があります。 当社グループが属する宇宙資源開発の分野では、2023年8月にインド宇宙研究機関の「チャンドラヤーン3号」が月面着陸、2024年1月にはJAXAの「SLIM」が月面へのピンポイント着陸に成功、2024年6月には中国が「嫦娥6号」により月面着陸とサンプルリターンを実施する等、世界各国で政府主導による宇宙探査活動が活発化しています。 一方、近年ではテクノロジーの進化とCOTS品の拡大、ソフトウェア技術の進化を背景に、これまでは政府主導の宇宙機関に限定されてきた宇宙事業の門戸が民間企業へ開かれてきております。 NASAを筆頭とする各国の宇宙機関では、地球低軌道における活動等に関する宇宙関連予算の大幅な節約につなげるべく、宇宙開発に民間企業を活用する傾向が拡大しており、サービスを提供可能な民間企業に対して政府が発注する「サービス調達」の形態による宇宙探査活動も活発化しております。 特に米国ではその傾向が顕著であり、一例として、NASAは2008年より商業補給サービス(Commercial Resupply Services:CRS)計画を発表しており、国際宇宙ステーション(International Space Station、(以下、「ISS」という。 )への輸送を民間企業に委託しています。 実際に2011年には高コストであったNASA自身によるスペースシャトルの開発と運用が停止され、その後、SpaceX社やオービタル・サイエンシズ社等、民間によるロケットの打上げと宇宙船のISSへのドッキングが成功しており、直近では2020年6月にSpaceX社のロケットから切り離された宇宙船「クルー・ドラゴン」が、民間企業としては史上初となるISSへのドッキングを成功させたことは世間の記憶にも新しいところです。 日本政府もまた民間による宇宙開発を推進していく考えであり、日本政府が主導する「中小企業イノベーション創出推進事業」では宇宙分野にも補助金の配分がなされ、そのなかで当社は「月面ランダーの開発・運用実証」と提示された経済産業省の実施するテーマに選定され、予算額(補助上限)120億円の補助対象事業として採択されました。 中小企業イノベーション創出推進事業は、日本のイノベーション創出を促進するためのSBIR(Small Business Innovation Research)制度の下、革新的な研究開発を行うスタートアップ等が社会実装に繋げるための大規模技術実証を実施し、日本におけるスタートアップ等の有する先端技術の社会実装の促進を図ることを目的とするものです。 また2023年11月には、民間企業・大学等による複数年度にわたる宇宙分野の先端技術開発や技術実証、商業化を支援するため、宇宙航空研究開発機構(JAXA)に10年間の「宇宙戦略基金」を設置し、総額1兆円規模の支援を行うことを目指すことが閣議決定されました。 2024年4月には第一期として約3000億円、2025年3月には第二期として約3000億円分のテーマが発表されております。 宇宙市場全体の成長可能性については、2040年代にはその市場規模はグローバルで1兆米ドル以上に成長するとの予測がありますが(*)、宇宙産業の中でも特に月は、前述のとおりその存在が見込まれている水資源をエネルギーとして利用する経済価値が高く着目されており、世界各国が月面へのミッションを実行しております。 2019年初頭には中国の無人探査機「嫦娥4号(じょうが4号)」が世界で初めて月の裏側へ着陸し、また米国ではバイデン政権下で、昨年度対比で約15億米ドルもの増額となる248億米ドル相当の2022年度NASA予算が議会に申請され、1970年代のアポロ計画以降初となる月面の有人探査を2024年までに実施する「アルテミス計画」が推進されています。 2020年10月以降本アルテミス計画の一環として、月面における平和的・友好的かつ透明性ある活動のガイドラインとなる「Artemis Accords(アルテミス合意)」に日本と米国を含む世界55カ国(2025年5月15日時点)が合意・署名する等、引き続き活発な進捗が見られております。 日本もまたJAXAがSLIM(Smart Lander for Investigating Moon)プロジェクトにより、将来の月惑星探査に必要な高精度着陸技術を小型探査機で実証しています。 また、欧州宇宙機関のESAは、3Dプリンティング技術を活用して月面土壌から基地を製造し宇宙飛行士による深宇宙探査の拠点とすることを想定した、Moon Village構想を検討しています。 また昨今、NASAは、民間企業に対して今後10年間で総額26億米ドルの予算を投じ、月面への輸送サービス委託するCLPSプログラムを開始しております。 当社子会社であるispace technologies U.S., inc.は米国のドレイパー研究所を中心とするチームに所属し、同チームで応募したCLPSに関する初期提案書は、2018年11月にNASAにより採択され、ispace technologies U.S., inc.は同プログラムにてNASAから受注する資格を有するチームの1社として選定されました。 その後2022年7月において、同チームの提案がNASAに採択されており、ミッション3において、2機のリレー衛星を月周回軌道に投入し、月震計(FSS)、地下の熱流探査機(LITMS)及び電磁場測定器(LuSEE)といった一連の科学実験機器を含むペイロードを月の裏側に存在する南極付近に輸送する予定です。 これらの2機のリレー衛星はBlue Canyon Technologies Inc.が製造し、Advanced Space, LLC が運用をサポートする予定で、これらの衛星を活用して月震データを最大1年間にわたり収集する予定です。 更には、宇宙機関による月面開発の本格化の動きを受け、月面でのエネルギー経済圏が創出されることを見据えた民間企業による新しいビジネスも生まれつつあります。 トヨタ自動車株式会社は、水素を燃料とし、月面で1万キロ以上の走行が可能な有人与圧ローバー(ルナ・クルーザー)をJAXAと共同で開発し、早ければ2032年に月に打ち上げることを目指しています。 清水建設株式会社は、月面拠点の開発に向けた構想や、月面での大規模太陽光発電により生まれたエネルギーを地球上にまで伝送するLunar Ring構想を掲げています。 加えて、2024年4月には、日本の月面与圧ローバー提供及び運用と米国によるアルテミス計画での日本人宇宙飛行士による2回の月面着陸の機会提供などを含む「Lunar Surface Exploration Implementing Arrangement」への署名に関する共同声明が日米両政府により発表されました。 さらに2025年2月には石破首相とトランプ米大統領の首脳会談にて月面探査におけるパートナーシップの継続が共同声明に織り込まれるなど、月面開発への具体的な政府の取り組みが大きく進捗しております。 PwC社の調査に基づくと、当社がターゲットとする市場が大きく拡大することが予想されております。 各地域の市場トレンドや観測可能な調査に基づくボトムアップ分析の楽観的シナリオにおいては、月面輸送サービス事業の市場は2040年に84億米ドル(注)、月面データ取得・販売事業の市場は12億米ドル(注)に達するとされており、それぞれの2020年から2040年の期間においての年平均成長率は12%/22%と高い成長が予測されております。 また、当社のビジョンである「2040年以降に月に1,000人が居住」することと同様の前提を置いた場合のロードマップ分析による同社の調査データによると、月面輸送市場は年間約1,502億米ドル(注)まで達すると推定されております。 (注)2036~2040年の累計値の年平均値 (*) 出所:総務省 宙を拓くタスクフォース(第6回)平成31年3月1日開催。 NTTデータ経営研究所作成の「長期的な宇宙ビジネス市場規模の試算」 (4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 当社グループがステークホルダーから主に期待されている点は、計画から遅延しない研究開発活動による技術確立とミッションの実行、顧客からの事業収益の獲得、事業運営のために必要な原資の適時な調達、及び限られた資金の最大限に効率的な使用等を通じて、収益の最大化を図ることと認識しております。 技術確立の実現のため、今後複数ミッションの同時開発を実施し、後続ミッションへの技術フィードバックを適時に実施してまいりますが、複数ミッションを同時並行で進捗させるために、事業収益の獲得や資金調達を通じた財務基盤の確立が重要となります。 より直接的に開発の進捗を確認する上では、当社が開示するミッションごとの開発スケジュール及び、1つの開発フェーズが完了し、次のフェーズへ移行する上でマイルストーンとなる審査の完了報告が重要となります。 当社は2017年よりミッション1のランダー開発を開始しており、以降、途中でミッション内容の変更を行った影響により開発期間の長期化等も発生しましたが、2022年10月までに製造、最終試験まで完了し、2022年12月11日にミッション1の打上げを実施しました。 「段階的プロジェクト計画法におけるシステムエンジニアリング活動」では、各フェーズで行われるべき作業プロセスが完了すると、それぞれのフェーズにおける結果を評価し、次フェーズへの移行可否を判断する技術審査を行いますが、ミッション1の開発プロセスにおいても以下のとおりの審査を経ております。 表2:ランダー開発フェーズの概観(ミッション1のケース) フェーズフェーズA➡フェーズB➡―➡フェーズC➡フェーズD技術審査SRRSystem RequirementReviewPDRPreliminaryDesignReview⊿SRR・⊿PDRDelta SRR・Delta PDRCDRCriticalDesignReviewPSRPre-Shipment ReviewLRRLaunch Readiness Review目的ビジネス要件とシステム要件の整合性を確認の上、システム設計開始を承認する審査会仕様値に対する設計結果、設計検証計画の実現性を確認する審査会―製造と試験の詳細設計と検証計画が適正かを、これまでに実施した試作評価、熱構造特性の評価、電気機械設計等の評価を活用して確認する審査会試験結果の確認及び、打上場への輸送承認を行う審査会ロケットへのインテグレーション作業終了の確認及び、打上げと初期運用への移行承認を行う審査会当社のケース2017年下期に実施。 外部専門家がオブザーバーとして参加。 MDR及びSDRを包含して実施2018年下期に実施。 グローバルに約30名の外部専門家が審査に参加ランダー開発を月周回から月面着陸へと変更する上で必要な変更を審議するため、SRR(2019年8月)及び⊿PDR(2019年11月)を実施2020年9月以降、外部専門家も交えて実施、2021年2月に最終完了2022年10月に実施2022年11月に実施 上記審査過程の中でも、特にPDRとCDRを特に重要なマイルストーンであると認識をしております。 ミッション2の開発プロセスにおいては、2022年7月にPDRを、2023年1月にCDRを完了しており、ミッション3の開発プロセスにおいては、2023年9月にPDRが完了し、2025年冬にはCDRを完了させる予定です。 また、顧客からの事業収益の観点では、ペイロードサービス契約及びデータサービス契約に加え、MOU及びi-PSAの締結総額が収益の先行指標として重要となります。 2025年3月末現在、ミッション1の総契約金額(ペイロードサービス契約及びデータサービス契約)は約10百万米ドルであり、ミッション2の総契約金額(すべてペイロードサービス契約)は約16百万米ドルであり、ミッション3以降の総契約金額は約65百万米ドルになります。 また、2025年5月9日時点のペイロードサービスに係るMOU及びi-PSAの締結総額は約662百万米ドルとなります。 (5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 当社グループの属する宇宙関連ビジネスはグローバル・ベースで、継続的かつ加速度的に拡大していくものと見込まれており、この産業の潮流に対応するために必要な技術確立が急がれる状況です。 多額の先行研究開発投資と長期の開発期間を要する宇宙関連機器の開発に従事していることから、当社は現在のところすべての開発投資を補うための収益は生じておらず、継続的な営業損失の発生及び営業キャッシュ・フローのマイナスを計上していることから、当連結会計年度末時点において、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。 当該事象又は状況を解消し、安定的な事業収益が創出されるまでの間、下記を重要な課題として取り組んでおります。 ただし、当該重要事象等を解決するための対応策を実施していることから、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。 ① 研究開発の推進 米国での初の打上げとなるミッション3及び日本で商業用の新たなモデルを使用するミッション4に向けて、打上事業者による打上機会を確保すると同時に、開発スケジュール、開発コスト及び開発クオリティを厳格に管理することで、ランダー及びローバーの開発を着実に進めてまいります。 ② 顧客の開拓 当社が事業収益を獲得するために必要なランダー及びローバーは開発途上にあります。 また当社が事業収益を見込む市場は、現在グローバルでも草創期に当たります。 当社では現在ミッション3からミッション6までの顧客からの潜在的受注を確認していますが、事業収益の安定化に向けて引き続き中長期的に持続可能な顧客市場を開拓してまいります。 ③ 人材の確保 当社はランダー及びローバーの研究開発を遂行するために、継続して多様な開発領域について高度な専門性と能力を備えた人材を国内外から雇用しております。 また、急速に従業員数が拡大する組織の中において、各人材がその能力を最大限に発揮することが可能な環境を整えるための取り組みを引き続き行ってまいります。 ④ 成長に対応した内部統制の構築と適切な運用 今後の事業運営及び業容拡大に対応すべく、必要な業務プロセス、財務・経理上の体制、労務管理、子会社管理、セキュリティ管理等を整備する等、当社の成長に対応した内部統制の構築及び運用の実施を引き続き行ってまいります。 ⑤ 財務上の課題について 当社にとって、安定的な事業収益化を目指す上で将来的に継続的なミッションの実現が必要であり、そのための必要資金を着実に確保することが重要です。 当社ではこれまで、無担保転換社債型新株予約権付社債の発行、第三者割当増資、金融機関からの借入、クラウドファンディング、公募増資等によって資金調達をしてまいりましたが、今後も、ミッション推進のために機動的な資金調達の可能性を適時検討してまいります。 また、当社はミッション1に関して三井住友海上火災保険株式会社との間で損害保険契約を締結しミッション1において保険金を受領しております。 当社は保険によるリスク低減も財務安全性確保のための一つの手段として認識しており、ミッション3以降も保険の利用を検討しております。 なお、ミッション2においては、その保険責任範囲外であるため、保険金の受領は見込んでおりません。 金融機関からの借入については、2022年7月には総額50億円のシンジケートローン契約、2024年3月期には複数行より総額75億円の融資契約を締結しており、2025年3月期には複数行より借換も含めて179億円の融資契約を締結しております。 また、2026年3月期においても本書提出日現在までに155億円の融資契約を締結しております。 加えて、第三者割当増資について、2024年10月にはCVI Investments, Inc.との間でのEquity・Program・Agreementを締結し第三者割当による新株式及び新株予約権を発行しております。 |
サステナビリティに関する考え方及び取組 | 2【サステナビリティに関する考え方及び取組】 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。 (1)サステナビリティに関する考え方当社グループは、事業を通して「地球と月がひとつのエコシステムとなる経済圏を創出すること」に貢献し、経済圏の構築を通じて、地球上の社会・環境・経済システムの持続可能性向上に寄与することを目指しております。 このような視点に立ち、当社グループは事業の成長と持続を可能にするため、顧客、取引先、従業員、株主をはじめとするあらゆるステークホルダーとの信頼関係を大切に、サステナビリティを重視した経営を実践しております。 (2)具体的な取り組み①ガバナンス 当社グループは、「Expand our planet. Expand our future.」というビジョンのもと、経営の効率化、健全性、透明性を高め、中長期的、安定的かつ継続的に株主価値を向上させることが、コーポレート・ガバナンスの基本であると認識しております。 当社グループでは、取締役会が法令・定款に定められた事項の決議、経営に関する重要事項の決定及び業務執行の監督についての責任と権限を有しております。 サステナビリティ関連のリスク及び機会については、主に経営戦略会議及び業務執行の中で識別・評価・管理がなされ、重要事項については取締役会に付議・報告がなされ、取締役会の中で検討及び議論を実施しております。 取締役会には主に取締役・監査役が出席し、経営戦略や重要施策にかかわる事項に加え、「宇宙開発事業に対する国内外の政策・法規制動向(宇宙安全保障、宇宙資源利用等)」や「人材の確保・育成や労働環境に関する人的資本経営の課題」等のサステナビリティに関する論点についても取り扱っております。 なお、当社グループにおけるコーポレート・ガバナンス体制の詳細については「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ②企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由」に記載のとおりです。 ②リスク管理 当社グループは、経営の透明化の向上とコンプライアンス遵守の経営を徹底するため、コーポレート・ガバナンスの強化を図りながら、経営環境の変化に迅速に対応できる組織体制を構築することを重要な経営課題と位置付けております。 サステナビリティ関連のリスクについても、上記の通り、経営戦略会議及び業務執行の中で識別・評価・管理がなされ、重要事項については取締役会に付議・報告がなされた上で検討及び議論を実施しており、必要に応じて適切な対処が行われる体制となっております。 なお、当社グループにおけるリスク管理体制の詳細については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ③企業統治に関するその他の事項」に記載のとおりです。 ③戦略 当社グループの事業は、エンジニア、ビジネスデベロップメント、及びコーポレート含めた全ての職種における、様々なバックグラウンドと知見を持つ多様な人材こそが、最大の価値創造の源泉であると考えております。 当社グループにおける、人材の多様性の確保、及び社内環境の整備に関する方針は以下のとおりです。 当社グループでは、バリューとして、ダイバーシティ・インテグリティ・リスペクトを掲げており、様々な知識と技能を持つ人材に対して、国籍や性別を問わず門戸を開いております。 日本・世界中の複数の大学・大学院の研究室との連携や、当社の役職員からの紹介等も活用しながら、多様なチャネルを用いて世界中から優秀な人材の採用を進めております。 その結果、当社グループとしては世界34か国から、当社としては世界24か国からの人材が集結しています。 また、当社グループでは69%。 当社単体でも43%が日本以外の国籍を持つ人材で占められております。 当社の強みである多様性こそが、先駆者の少ない月着陸船の開発をはじめとした当社事業における技術革新の原動力となっております。 最終的には、多様性が基礎となる「Moon Valley 2040」を実現することを目指してまいります。 当社のみならず、宇宙産業全体の発展に当たり、人材の確保は、非常に重要な課題と認識しております。 そのため、報酬制度を含む競争力のある各種人事制度の確立や、役職員の育成・成長を目的とした各種制度を導入しております。 自主的な能力開発のサポートを目的としたe-learningコースの提供や自己研鑽補助制度の導入、キャリア開発の観点から360度フィードバックやキャリア・能力開発目標の設定の導入など、より働きがいのある環境を整備しております。 毎年実施しておりますエンゲージメントサーベイ内の、成長・キャリアの項目における2023年度の結果(肯定的な回答率:47%)を受け、2024年度は“All for the GROWTH of the company and the crews”を人材戦略のテーマに掲げました。 各種新規施策を導入した結果、肯定的な回答率が8%ほど、大きく改善しております。 但し、未だ他指標と比較しても改善の余地はあり、当社の人材の更なる成長に繋がるよう、引き続き人事戦略・制度の改善に取り組んで参ります。 ④指標及び目標多様な人材の確保を当社の事業・人材戦略の根幹に位置付けております。 具体的には、毎年実施しておりますエンゲージメントサーベイにおいて、特にエンゲージメントスコア、及びインクルージョンスコアの重要指標を定期的にモニタリングし、高い水準を維持することを事業・人材戦略として目指しております。 当連結会計年度の実績は以下の通りです。 (エンゲージメントサーベイスコア)エンゲージメントスコアの中でも、特に当社のビジョンへの共感度を示す、「私は、当社で働くことを誇りに思う」という設問への結果を重視しております。 当連結会計年度の実績は、参加者の85%が当該設問へ肯定的な回答をしております(昨年度は84%)。 非常に高い水準を継続できており、当社の強み・特徴を反映していることを確認しております。 一方、多様性を図るインクルージョンスコアは、複数の設問から成る総合指標を定点観測しておりますが、参加者の74%が肯定的な回答をしております(昨年度は77%)。 本スコアも、他指標と比較しても突出した高い水準で推移しております。 |
戦略 | ③戦略 当社グループの事業は、エンジニア、ビジネスデベロップメント、及びコーポレート含めた全ての職種における、様々なバックグラウンドと知見を持つ多様な人材こそが、最大の価値創造の源泉であると考えております。 当社グループにおける、人材の多様性の確保、及び社内環境の整備に関する方針は以下のとおりです。 当社グループでは、バリューとして、ダイバーシティ・インテグリティ・リスペクトを掲げており、様々な知識と技能を持つ人材に対して、国籍や性別を問わず門戸を開いております。 日本・世界中の複数の大学・大学院の研究室との連携や、当社の役職員からの紹介等も活用しながら、多様なチャネルを用いて世界中から優秀な人材の採用を進めております。 その結果、当社グループとしては世界34か国から、当社としては世界24か国からの人材が集結しています。 また、当社グループでは69%。 当社単体でも43%が日本以外の国籍を持つ人材で占められております。 当社の強みである多様性こそが、先駆者の少ない月着陸船の開発をはじめとした当社事業における技術革新の原動力となっております。 最終的には、多様性が基礎となる「Moon Valley 2040」を実現することを目指してまいります。 当社のみならず、宇宙産業全体の発展に当たり、人材の確保は、非常に重要な課題と認識しております。 そのため、報酬制度を含む競争力のある各種人事制度の確立や、役職員の育成・成長を目的とした各種制度を導入しております。 自主的な能力開発のサポートを目的としたe-learningコースの提供や自己研鑽補助制度の導入、キャリア開発の観点から360度フィードバックやキャリア・能力開発目標の設定の導入など、より働きがいのある環境を整備しております。 毎年実施しておりますエンゲージメントサーベイ内の、成長・キャリアの項目における2023年度の結果(肯定的な回答率:47%)を受け、2024年度は“All for the GROWTH of the company and the crews”を人材戦略のテーマに掲げました。 各種新規施策を導入した結果、肯定的な回答率が8%ほど、大きく改善しております。 但し、未だ他指標と比較しても改善の余地はあり、当社の人材の更なる成長に繋がるよう、引き続き人事戦略・制度の改善に取り組んで参ります。 |
指標及び目標 | ④指標及び目標多様な人材の確保を当社の事業・人材戦略の根幹に位置付けております。 具体的には、毎年実施しておりますエンゲージメントサーベイにおいて、特にエンゲージメントスコア、及びインクルージョンスコアの重要指標を定期的にモニタリングし、高い水準を維持することを事業・人材戦略として目指しております。 当連結会計年度の実績は以下の通りです。 (エンゲージメントサーベイスコア)エンゲージメントスコアの中でも、特に当社のビジョンへの共感度を示す、「私は、当社で働くことを誇りに思う」という設問への結果を重視しております。 当連結会計年度の実績は、参加者の85%が当該設問へ肯定的な回答をしております(昨年度は84%)。 非常に高い水準を継続できており、当社の強み・特徴を反映していることを確認しております。 一方、多様性を図るインクルージョンスコアは、複数の設問から成る総合指標を定点観測しておりますが、参加者の74%が肯定的な回答をしております(昨年度は77%)。 本スコアも、他指標と比較しても突出した高い水準で推移しております。 |
人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略 | 当社グループでは、バリューとして、ダイバーシティ・インテグリティ・リスペクトを掲げており、様々な知識と技能を持つ人材に対して、国籍や性別を問わず門戸を開いております。 日本・世界中の複数の大学・大学院の研究室との連携や、当社の役職員からの紹介等も活用しながら、多様なチャネルを用いて世界中から優秀な人材の採用を進めております。 その結果、当社グループとしては世界34か国から、当社としては世界24か国からの人材が集結しています。 また、当社グループでは69%。 当社単体でも43%が日本以外の国籍を持つ人材で占められております。 当社の強みである多様性こそが、先駆者の少ない月着陸船の開発をはじめとした当社事業における技術革新の原動力となっております。 最終的には、多様性が基礎となる「Moon Valley 2040」を実現することを目指してまいります。 当社のみならず、宇宙産業全体の発展に当たり、人材の確保は、非常に重要な課題と認識しております。 そのため、報酬制度を含む競争力のある各種人事制度の確立や、役職員の育成・成長を目的とした各種制度を導入しております。 自主的な能力開発のサポートを目的としたe-learningコースの提供や自己研鑽補助制度の導入、キャリア開発の観点から360度フィードバックやキャリア・能力開発目標の設定の導入など、より働きがいのある環境を整備しております。 毎年実施しておりますエンゲージメントサーベイ内の、成長・キャリアの項目における2023年度の結果(肯定的な回答率:47%)を受け、2024年度は“All for the GROWTH of the company and the crews”を人材戦略のテーマに掲げました。 各種新規施策を導入した結果、肯定的な回答率が8%ほど、大きく改善しております。 但し、未だ他指標と比較しても改善の余地はあり、当社の人材の更なる成長に繋がるよう、引き続き人事戦略・制度の改善に取り組んで参ります。 |
人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績、指標及び目標 | (エンゲージメントサーベイスコア)エンゲージメントスコアの中でも、特に当社のビジョンへの共感度を示す、「私は、当社で働くことを誇りに思う」という設問への結果を重視しております。 当連結会計年度の実績は、参加者の85%が当該設問へ肯定的な回答をしております(昨年度は84%)。 非常に高い水準を継続できており、当社の強み・特徴を反映していることを確認しております。 一方、多様性を図るインクルージョンスコアは、複数の設問から成る総合指標を定点観測しておりますが、参加者の74%が肯定的な回答をしております(昨年度は77%)。 本スコアも、他指標と比較しても突出した高い水準で推移しております。 |
経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 | 4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 (1)経営成績等の状況の概要 当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。 )の状況の概要は次のとおりであります。 ① 財政状態の状況(資産) 当連結会計年度末における資産合計は27,189,129千円となり、前連結会計年度末に比べ155,685千円増加いたしました。 これは主に、現金及び預金が1,197,853千円、引出制限付預金が2,517,482千円減少した一方で、建設仮勘定が2,097,971千円増加したことによるものであります。 (負債) 当連結会計年度末における負債合計は20,181,542千円となり、前連結会計年度末に比べ2,893,353千円増加いたしました。 これは主に、返済及び新規借入により短期借入金が5,980,000千円減少した一方で、長期借入金が9,558,034千円増加したことによるものであります。 (純資産) 当連結会計年度末における純資産の残高は7,007,587千円となり、前連結会計年度末に比べて2,737,668千円減少いたしました。 これは主に、資本金及び資本剰余金がそれぞれ3,766,831千円増加した一方、親会社株主に帰属する当期純損失を計上したことにより利益剰余金が11,945,139千円減少したことによるものであります。 ② 経営成績の状況 当社グループは、人類の生活圏を宇宙に広げ、持続的な世界を実現するべく、「Expand our planet. Expand our future.」をビジョンに掲げ、月面開発の事業化に取り組んでいる次世代の民間宇宙企業です。 当連結会計年度における世界経済は、世界各地での地政学リスクへの懸念が依然として収まらない中、再び米国大統領に就任したドナルド・トランプ氏の第二次政権による、関税措置を始めとする新政策発動の影響により、世界的な景気後退への懸念とそれに伴う不安定な資本市場及び為替の変動等が生じ、見通しが不透明な状況が続いております。 当社グループが属する宇宙資源開発の分野では、特に米国において、第二次トランプ政権により、足許、アメリカ航空宇宙局(the National Aeronautics and Space Administration、以下「NASA」という。 )に対して2026年度予算の大幅な削減が要求され、一部大型プロジェクトについても中止の方向性が示されるなど、大変不透明な状況が続いています。 その一方、2025年2月に実施された日米首脳会談においても有人月探査計画「Artemis Program(以下「アルテミス計画」という。 )」の将来のミッションでの月面探査を含む有人探査に係る両国による強力なパートナーシップの継続が共同声明に盛り込まれるなど、引き続き、民間企業を活用した宇宙政策の積極的な推進や、月面探査活動の継続も見込まれています。 第二次トランプ政権下の今後の政策動向を引き続き注視し、慎重かつ柔軟な対応が求められる環境が当面続くことが予想されます。 なお、かかる不透明な中においても、アルテミス計画においては、月面における平和的・友好的かつ透明性ある活動のガイドラインとなる「Artemis Accords(アルテミス協定)」に、当連結会計年度では前連結会計年度から新たに16か国が合意し、日本と米国を含む全55の国及び地域が調印(2025年5月15日時点)するなど、引き続き活発な進捗が見られております。 加えて2025年1月と2025年2月には、米国の民間企業がそれぞれ月面着陸を目指し打上げを完了させており、当社ミッション2の打上げが同じく2025年1月であったことも踏まえると、まさに「民間月面ビジネスの幕開け」と呼ぶにふさわしい年となりました。 日本政府においても、宇宙分野の民間企業等を後押しする動きが加速しております。 2023年11月、民間企業・大学等による複数年度にわたる宇宙分野の先端技術開発や技術実証、商業化を支援するために設置された、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の「宇宙戦略基金」は、10年間で総額1兆円規模の支援を行うことを目指し始動しております。 既にその第1期については3,000億円の予算の下、全テーマの採択結果が発表され、既に採択が確定している「月面の水資源探査技術(センシング技術)の開発・実証」に当社も中核的連携機関として参画しております。 2025年3月には、第2期についても同様に3,000億円の予算の下、公募テーマが公表され、文部科学省による公募内容である「月面開発」にも合計予算280億円が割り当てられる予定です。 また、2024年1月に日本初の月面着陸を成功させ3度の越夜も成功させたJAXAのSLIMが2024年8月に月面活動を終了する等、月面開発への具体的な政府の取り組みが大きく進捗した年となりました。 このような状況の中、当社グループは、ミッション2及びミッション3の開発を進捗させ、ミッション2に関しては2025年1月に打上げを実施しております。 その後、2025年5月までの間に、事前に設定したミッション完了までの10個のマイルストーンの内、Success8「月周回軌道上での全ての軌道制御マヌーバの完了」までを完了いたしました。 2025年6月6日に挑戦したSuccess9「月面着陸の完了」は未達となりましたが、当社はランダーのハードウェアの実証と、月面着陸フェーズでの貴重なフライト・データの取得を実現しております。 Success9未達の要因はレーザーレンジファインダーのハードウェア異常が着陸未達の技術的要因であることを特定し、ミッション3以降の成功確率を高めるべく今後の改善点を明確にしていく所存です。 売上面においては、当連結会計年度にミッション2の売上計上基準の変更に伴う一時的な大きな売上を計上した他、2027年に打ち上げを予定しておりますミッション3についても、それぞれのランダー開発を進捗させるとともに、ペイロードサービスの契約済み顧客からの売上計上を進捗させ、かつ新規顧客の獲得を推進しております。 また、当社グループの活動をコンテンツとして利用する権利や広告媒体上でのロゴマーク露出、データ利用権等をパッケージとして販売し技術面や商品開発面での協業を行うパートナーシップ事業においても、既存パートナー企業とのパートナーシップ関係を推進するとともに、ミッション2までを対象とする「HAKUTO-R」の新規顧客獲得を推進いたしました。 また、当社米国子会社で開発する「APEX1.0ランダー」を使用するミッション3については、この度、発注先のエンジン部材の納品遅延を受け、新たなエンジン開発計画への変更が必要となったことから、打ち上げ時期を2026年から2027年に約1年間後ろ倒しすることを決定いたしました。 ミッション3においては、現在までに「NASA商業月面輸送サービス(CLPS)」のタスクオーダーCP-12の契約に基づくペイロード及び、イタリア政府宇宙機関、民間企業2社のペイロードを輸送することが確定しており、総契約金額は65百万米ドルですが、本遅延により当初見込みよりもミッション3に関する売上計上が遅延することが予想されます。 その一方、当連結会計年度においてはCP-12の契約に関して、当社パートナー企業であるDraper社より約770万米ドルの追加契約金を受領するなど、引き続きNASAおよびドレイパーとの間で良好な関係が続いております。 なおミッション4においては、2027年に打ち上げを予定している「シリーズⅢランダー(仮称)」の開発が、日本拠点において日本版SBIR制度に基づく補助金120億円を活用して順調に進んでおります。 また、この度、宇宙戦略基金の第1期として公募された「月面の水資源探査技術(センシング技術)の開発・実証」に、当社が中核的連携機関として参画する研究開発課題「テラヘルツ波リモートセンシング衛星による月地下浅部の資源探索」が採択されるなど、ミッション4を対象とするペイロードの確定も開始されました。 本件は、2026年3月期以降の当社連結業績に寄与することを想定しており、より詳細が決定次第、速やかに開示する予定です。 以上の結果、当連結会計年度における売上高は4,743,238千円(前期比101.2%増)、営業損失は9,795,143千円(前期は5,501,696千円の営業損失)、経常損失は11,334,495千円(前期は6,097,990千円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純損失は11,945,139千円(前期は2,366,265千円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。 なお、当社グループの事業は月面開発事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。 ③ キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。 )は、前連結会計年度末に比べ3,715,335千円減少し、当連結会計年度末には13,117,557千円となりました。 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー) 営業活動により使用した資金は12,049,809千円(前連結会計年度は5,024,543千円の使用)となりました。 これは主に、税金等調整前当期純損失11,956,713千円等によるものであります。 (投資活動によるキャッシュ・フロー) 投資活動の結果使用した資金は2,671,770千円(前連結会計年度は2,062,916千円の使用)となりました。 これは主に、有形固定資産の取得による支出2,440,499千円等によるものであります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー) 財務活動の結果獲得した資金は10,423,789千円(前連結会計年度は20,366,898千円の獲得)となりました。 これは主に、株式の発行による収入6,985,000千円等によるものであります。 ④ 生産、受注及び販売の実績a.生産実績 当社グループが提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。 b.受注実績 当連結会計年度の受注実績をサービスごとに示すと、次のとおりであります。 サービスの名称当連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)受注高(千円)前年同期比(%)受注残高(千円)前年同期比(%)ペイロードサービス1,564,80219.77,190,55580.7その他186,7881,232.9447,680107.6合計1,751,59122.07,638,23681.9(注)1.当連結会計年度において、受注実績に著しい変動がありました。 これは、前連結会計年度のペイロードサービスにおきまして、大型案件を受注したことによるものです。 2.パートナーシップサービスについては、その事業の性質上、受注生産形態になじまないため、受注実績は記載しておりません。 3.当社グループは単一セグメントであるため、サービスごとに記載しております。 c.販売実績 当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。 なお、当社グループは、月面開発事業の単一セグメントのため、セグメント別の記載はしておりません。 セグメントの名称当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)金額(千円)前年同期比(%)月面開発事業4,743,238201.2 (注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。 相手先前連結会計年度(自 2023年4月1日至 2024年3月31日)当連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)The Charles Stark Draper Laboratory, Inc.1,209,38651.32,118,71944.7高砂熱学工業株式会社47,2252.01,824,87038.5Mohammed Bin Rashid Space Centre270,50411.5-- (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。 ① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。 この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積もりを必要としております。 経営者は、これらの見積もりについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りとは異なる場合があります。 当社の連結財務諸表を作成するにあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。 ② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容a.経営成績(売上高) 当連結会計年度の売上高は前連結会計年度に比べて2,386,183千円(101.2%)増加し、4,743,238千円となりました。 これは主に、2021年4月以降順次顧客獲得を進捗させているペイロードサービスの売上が増加したことによるものであります。 なお、当社ミッション2の打上げ成功を契機として一部の契約において原価回収基準から履行義務の充足に係る進捗度に基づき収益を認識する方法に変更したことで、当連結会計年度の売上高は1,813,906千円増加しております。 (売上原価、売上総利益) 当連結会計年度の売上原価は、前連結会計年度に比べて1,069,894千円(74.9%)増加し、2,498,705千円となりました。 これは主に、ミッション2およびミッション3の開発を並行して進めたことによるものであります。 この結果、売上総利益は前連結会計年度に比べて1,316,288千円(141.8%)増加し、2,244,532千円となりました。 (販売費及び一般管理費、営業損失) 当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べて5,609,735千円(87.2%)増加し、12,039,675千円となりました。 これは主に、ミッション2の打上げ完了に伴い打上げ費用が一括計上されたことに加え、ミッション3及びミッション4の開発進捗により研究開発費が増加したことによるものであります。 この結果、営業損失は9,795,143千円(前年同期は5,501,696千円の営業損失)となりました。 (営業外収益、営業外費用、経常損失) 当連結会計年度の営業外収益は、前連結会計年度に比べて254,120千円(38.4%)減少し、406,991千円となりました。 これは主に、前連結会計年度に計上されていた為替差益が計上されなかった一方で、補助金収入228,639千円を計上したことによります。 営業外費用は、688,937千円(54.8%)増加し1,946,343千円となりました。 これは主に、借入金増加に伴う支払利息920,442千円の計上(前期支払利息は367,997千円)及び為替差損644,231千円の計上によるものであります。 この結果、経常損失は11,334,495千円(前年同期は6,097,990千円の経常損失)となりました。 (特別利益、特別損失、税金等調整前当期純損失) 特別利益は、新株予約権戻入益429千円を計上しております。 また、特別損失は、固定資産除却損1,562千円及び減損損失621,083千円を計上しております。 その結果、税金等調整前当期純損失は11,956,713千円(前年同期は2,347,592千円の税金等調整前当期純損失)となりました。 (法人税等、親会社株主に帰属する当期純損失) 法人税等は、主に法人税、住民税及び事業税△11,573千円(前年同期は18,673千円の計上)を計上いたしました。 その結果、親会社株主に帰属する当期純損失は11,945,139千円(前年同期は2,366,265千円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。 b.財政状態 主な増減内容については、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態の状況」に記載のとおりであります。 ③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報 キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。 当社グループは、安定的な事業収益化を目指す上で将来的に継続的なミッションの実現が必要であり、2022年12月にミッション1を、2025年1月にミッション2の打上げを実施するだけでなく、後続ミッションであるミッション3及びミッション4のランダー開発も既に着手しており、今後も積極的に開発活動を推進してまいります。 当社の資金需要として主なものは、ランダー開発のための部材調達費用、事業の拡大に伴う人件費、打上げ費用等です。 必要な資金は自己資金、金融機関からの借入及びエクイティファイナンス等で調達していくことを基本方針としております。 なお、これらの資金調達方法の優先順位等に特段方針はなく、資金需要の額や使途に合わせて柔軟に検討を行う予定です。 現預金保有残高については、2025年3月期末における現金及び現金同等物が13,117,557千円であり、必要な流動性を確保しております。 ④ 経営成績に重要な影響を与える要因について 当社グループの将来の財政状態及び経営成績に重要な影響を与えるリスク要因については、「3 事業等のリスク」に記載しております。 ⑤ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりです。 ⑥ 経営者の問題認識と今後の方針について 経営者の問題認識と今後の方針については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。 |
研究開発活動 | 6【研究開発活動】 当社グループは月着陸、月面探査プロジェクトの達成に向けて、ランダー及びローバーの開発を実施しております。 現在の研究開発は、当社のCTO室で実施されており、当連結会計年度における研究開発費の総額は、7,730,999千円となっております。 当該研究開発費の内訳には、本社で発生する研究開発費用(主にミッション2、ミッション4ランダーの開発に係るもの)6,522,393千円及び米国子会社で発生する研究開発費用(主にミッション3ランダーの開発に係るもの)744,452千円及び欧州子会社で発生する研究開発費用(主にローバー開発に係るもの)464,154千円が含まれます。 ランダーの様な大規模システムを高い品質を保ちながら確実に効率よく開発するための手法としては、1961年から1972年にかけてNASAが実施したアポロ計画の知見を踏まえ「段階的プロジェクト計画」(Phased Project Planning:PPP)が生み出されました。 以来、この手法をベースとして多数の民間企業による人工衛星の開発が行われており、JAXAもまた「段階的プロジェクト計画法におけるシステムエンジニアリング活動」として同様の手法を提唱しています。 本手法の概要は、開発全体を複数のフェーズに区分し、各フェーズで行うべき作業内容を段階的に定義しながら、それぞれのフェーズにおける結果を審査により評価し、次フェーズへの移行可否を判断しながらフェーズを進めていくものであり、これにより可能な限りの不具合・エラー等を事前に検知し、ミッションまでに確かな開発品質へと高めていく手法です。 当社のランダー開発もまた、機能面において人工衛星と近似する部分を多く有しているため、基本的には既存の人工衛星開発のプロセスである「段階的プロジェクト計画法におけるシステムエンジニアリング活動」を踏襲して進められています。 当社のミッション1の開発においては、2018年下期に最初のPDR(Preliminary Design Review:仕様値に対する設計結果、設計検証計画の実現性を確認する審査会)の実施を経てフェーズB(基本設計)を完了し、その後2021年9月以降にミッション1のランダー開発に係るCDR(Critical Design Review:製造と試験の詳細設計と検証計画が適正かを、これまでに実施した試作評価、熱構造特性の評価、電気機械設計等の評価を活用して確認する審査会)を経て、フェーズC(詳細設計)を完了いたしました。 CDRは、ミッション要求からシステム仕様を経て設計結果に至るまでの一貫した整合性・実現性、開発計画を審査するものであり、一般的に宇宙機の開発において、設計段階が完了しモノ作りとしての製造段階への移行可否を判断する、開発上の中でも重要なマイルストーンとされています。 CDRの実施に際しては、JAXA等の宇宙機関、民間企業、教育機関等、開発の各分野における外部専門家をレビュアーとして招聘し審議を頂きました。 一連の審査過程においては、社内エンジニアとは離れた中立的な外部専門家の立場から、設計(システム設計全般や帯放電環境等について)、試験(フライトモデルシステム試験計画等について)、運用(軌道設計等について)に関する一連の流れについて審査を頂きました。 その結果、当社が実施したミッション1のランダー開発について、開発計画、設計の成果と、CDR後に実施する試験、運用の計画検討を審査頂いた結果、適切に進められていることをご確認頂いております。 CDRの完了後、ランダーはフェーズD(制作・試験)の段階へと開発フェーズを移行し、必要な加工やテストなどが完了したコンポーネントが段階的にランダーシステムへと組み立てられ、当社のミッション1においては、2022年10月までにすべてのランダー製造工程及び最終試験が完了しました。 その後、打上地である米国へ輸送の上、ロケットへの搭載作業、燃料充填等の最終準備を完了させ、2022年12月11日に米国フロリダ州ケープカナベラル宇宙軍基地 40射点より打上を実施しております。 当社のランダーは打上後、約4か月をかけて低エネルギー遷移軌道と呼ばれる軌道を通って月周回軌道に達し、その後月周回軌道上で約1か月間の航行を経て、日本時間の2023年4月26日に月面着陸に臨みました。 この間、当社ランダーは日々細かい問題に対処し解決しつつも、基本的に順調に月までの航行を行い、負荷の高いロケットの打上時や長期間の深宇宙航行を経た後もランダーに損傷が確認されず、過酷な環境に耐え得る構造設計が実証できたと考えられ、また複数回の軌道制御マヌーバを通して、当社のハードウェアは良好なパフォーマンスを実現することができました。 ミッション1において、当社は10個のサクセス・マイルストーンを事前に設定しておりましたが(下図参照)、着陸シーケンスの前に計画されている全ての月軌道制御マヌーバを完了し、ランダーが着陸シーケンスを開始する準備が出来ていることを実証しました(Success8迄の完了)。 その後、2023年4月26日(日本時間)には着陸シーケンスを実施しましたが、シーケンスの終盤、ランダーとの通信の回復が見込まれないことから、Success9「月面着陸の完了」および Success10「月面着陸後の安定状態の確立」の達成は困難と判断しました。 ミッション2においても同様のプロセスで開発を進捗させ、2022年2月から同年7月にかけてPDRを、2022年4月から9月にかけてCDRを実施し、2025年1月に打上を実施しております。 当社のランダーは打上後、約4か月をかけて低エネルギー遷移軌道と呼ばれる軌道を通って月周回軌道に達し、その後月周回軌道上で約1か月間の航行を経て、日本時間の2025年6月6日に月面着陸に臨みました。 ミッション2においても、当社は10個のサクセス・マイルストーンを事前に設定しておりましたが(下図参照)、着陸シーケンスの前に計画されている全ての月軌道制御マヌーバを完了し、ランダーが着陸シーケンスを開始する準備が出来ていることを実証しました(Success8迄の完了)。 その後、2025年6月6日(日本時間)には着陸シーケンスを実施しましたが、シーケンスの終盤、ランダーとの通信の回復が見込まれないことから、Success9「月面着陸の完了」および Success10「月面着陸後の安定状態の確立」の達成は困難と判断しました。 当社は、ミッション2の打上げ前より、継続的な高頻度ミッションの実現に向けて、ミッション3及びミッション4に用いるランダーの開発を、日米の両法人を通じて並行して行っております。 2027年に打上を計画するミッション3では、現在「APEX1.0ランダー」の開発がコロラド州デンバーにある当社米国法人にて進められております。 2023年12月には、ランダー設計の成熟度向上を目的に、PDRとCDRの間のマイルストーンとなるIDR(Interim Design Review)と呼ばれる中間設計審査を完了いたしました。 APEX1.0ランダーはこれまでのRESILIENCEランダーから設計を変更し、ミッション3では最大300kgのペイロードが輸送可能となるサイズアップを計画しており、以降は最大500kgまで搭載するペイロード輸送が可能となるような開発を目指しております。 また複数のペイロードベイを備えたモジュール式のペイロードデザインを採用しているため、政府系、民間、科学分野などの、より幅広い顧客のペイロードに最適な柔軟性の高いデザインを目指しております。 現行のスケジュールでは、2025年度中のCDRを予定しております。 ミッション4では、SBIR制度(Small Business Innovation Research)において経済産業省が実施する「中小企業イノベーション創出推進事業」の予算額(補助上限)120億円の補助対象事業として採択されたことを受け、2027年の打上を目指し、100kg以上のペイロードが輸送可能となるシリーズⅢランダー(仮称)の開発を日本にて本格的に開始をしております。 2025年度中のPDR及び2026年度中のCDRの実施を予定しております。 (注) 上記は、現時点での想定であり、今後、変更される可能性があります。 |
設備投資等の概要 | 1【設備投資等の概要】 当連結会計年度に実施した設備投資の総額は2,526,310千円であり、その主なものは当社子会社においてミッション3ランダーに搭載される、地球と月の間の直接通信をサポートするリレー衛星等への投資であります。 なお、当社グループは、月面開発事業の単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載を行っておりません。 また、当連結会計年度において重要な設備の除却、売却等はありません。 |
主要な設備の状況 | 2【主要な設備の状況】 当社グループにおける主要な設備は、次のとおりであります。 (1)提出会社2025年3月31日現在 事業所名(所在地)セグメントの名称設備の内容帳簿価額従業員数(人)建物附属設備(千円)工具、器具及び備品(千円)ソフトウエア(千円)その他(千円)合計(千円)本社(東京都中央区、他)月面開発事業事務所設備、計測器等1,46942,8579,21216,77970,317176(18) (2)在外子会社2024年12月31日現在 会社名事業所名(所在地)セグメントの名称設備の内容帳簿価額従業員数(人)建物附属設備(千円)工具、器具及び備品(千円)ソフトウエア(千円)使用権資産(千円)合計(千円)ispace EUROPE S.A.ルクセンブルク大公国(5,Rue de l'Industrie, L-1811 Luxembourg)月面開発事業事務所設備、計測器等4,19715,294--19,49145(-)ispace technologies U.S., inc.米国(12876 E.Adam Aircraft Circle, Englewood, Colorado 80112, U.S.A.)月面開発事業事務所設備、計測器等-504,76678,852285,821869,44099(-) (注)1.本社事務所は賃借しており、年間賃借料は90,291,298千円であります。 2.連結子会社であるispace EUROPE S.A.及びispace technologies U.S., inc.は、本社を賃借しております。 年間賃借料はそれぞれ、40,592千円、160,395千円であります。 3.現在休止中の設備はありません。 4.従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。 )であり、臨時雇用者数(パートタイマー、人材会社からの派遣社員、季節工を含む。 )は、年間の平均人員を( )外数で記載しております。 5.当社グループは月面開発事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。 |
設備の新設、除却等の計画 | 3【設備の新設、除却等の計画】 (1)重要な設備の新設 該当事項はありません。 (2)重要な設備の除却等 該当事項はありません。 |
研究開発費、研究開発活動 | 7,730,999,000 |
設備投資額、設備投資等の概要 | 2,526,310,000 |
Employees
平均年齢(年)、提出会社の状況、従業員の状況 | 42 |
平均勤続年数(年)、提出会社の状況、従業員の状況 | 3 |
平均年間給与、提出会社の状況、従業員の状況 | 9,784,776 |
Investment
株式の保有状況 | (5)【株式の保有状況】 ① 投資株式の区分の基準及び考え方 当社は、保有目的が純投資目的の株式及び純投資目的以外の目的の株式のいずれも所有しておりません。 ② 保有目的が純投資目的以外の目的である株式投資 該当事項はありません。 ③ 保有目的が純投資目的である株式投資 該当事項はありません。 |
Shareholders
大株主の状況 | (6)【大株主の状況】 2025年3月31日現在 氏名又は名称住所所有株式数(株)発行済株式(自己株式を除く。)の総数に対する所有株式数の割合(%) 袴田 武史東京都渋谷区9,000,0008.52 インキュベイトファンド3号投資事業有限責任組合東京都港区赤坂一丁目12番32号5,992,5805.67 株式会社日本政策投資銀行東京都千代田区大手町一丁目9番6号3,495,8803.31 赤浦 徹東京都港区2,636,6032.50 IF GROWTH OPPORTUNITY FUND I, L.P.(常任代理人 SMBC日興証券株式会社)Cricket Square, Hutchins Drive PO Box 2681 Grand Cayman, KY1-1111 Cayman Islands2,135,7202.02 三井住友信託銀行株式会社(常任代理人 株式会社日本カストディ銀行)東京都千代田区丸の内一丁目4番1号1,968,5001.86 BOFAS INC SEGREGATION ACCOUNT(常任代理人 BOFA証券株式会社)The Corporation Trust Company, 1209 Orange ST. Country of New Castle Wilmington, DE US1,923,4331.82 楽天証券株式会社東京都港区南青山二丁目6番21号1,612,0001.53 IF SPV1号投資事業組合東京都港区赤坂一丁目12番32号1,174,8801.11 吉田 和哉宮城県仙台市泉区896,0000.85計-30,835,59629.18(注)前事業年度末において主要株主であった袴田武史は当事業年度末現在では主要株主ではなくなりました。 |
株主数-金融機関 | 6 |
株主数-金融商品取引業者 | 40 |
株主数-外国法人等-個人 | 658 |
株主数-外国法人等-個人以外 | 84 |
株主数-個人その他 | 75,159 |
株主数-その他の法人 | 321 |
株主数-計 | 76,268 |
氏名又は名称、大株主の状況 | 吉田 和哉 |
株主総利回り | 1 |
株主総会決議による取得の状況 | (1)【株主総会決議による取得の状況】 該当事項はありません。 |
株主総会決議又は取締役会決議に基づかないものの内容 | (3)【株主総会決議又は取締役会決議に基づかないものの内容】 該当事項はありません。 |
Shareholders2
発行済株式及び自己株式に関する注記 | 1.発行済株式の種類及び総数並びに自己株式の種類及び株式に関する事項 当連結会計年度期首株式数(株)当連結会計年度増加株式数(株)当連結会計年度減少株式数(株)当連結会計年度末株式数(株)発行済株式 普通株式 (注)193,131,90312,543,300-105,675,203合計93,131,90312,543,300-105,675,203自己株式 普通株式 (注)255--55合計55--55(注)1.普通株式の増加の内訳は、次のとおりであります。 第三者割当増資による増加 11,000,000株新株予約権の権利行使に伴う新株の発行による増加 690,000株譲渡制限付株式報酬に伴う新株の発行による増加 853,300株 |
Audit
監査法人1、連結 | 有限責任 あずさ監査法人 |
独立監査人の報告書、連結 | 独立監査人の監査報告書 2025年6月26日株式会社ispace 取締役会 御中 有限責任 あずさ監査法人 東京事務所 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士鶴 彦太 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士有吉 真哉<連結財務諸表監査>監査意見 当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられている株式会社ispaceの2024年4月1日から2025年3月31日までの連結会計年度の連結財務諸表、すなわち、連結貸借対照表、連結損益計算書、連結包括利益計算書、連結株主資本等変動計算書、連結キャッシュ・フロー計算書、連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項、その他の注記及び連結附属明細表について監査を行った。 当監査法人は、上記の連結財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、株式会社ispace及び連結子会社の2025年3月31日現在の財政状態並びに同日をもって終了する連結会計年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。 監査意見の根拠 当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。 監査の基準における当監査法人の責任は、「連結財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。 当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。 当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。 強調事項 重要な後発事象に関する注記に記載されているとおり、会社は、2025年5月15日に5,000百万円、23日に10,000百万円の借入を実行している。 当該事項は、当監査法人の意見に影響を及ぼすものではない。 監査上の主要な検討事項 監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。 監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 継続企業の前提に関する重要な不確実性の有無についての経営者による判断の妥当性の評価監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応 連結財務諸表の作成に当たり、経営者は継続企業の前提が適切であるかどうかを評価することが求められる。 また、継続企業の前提に関する評価の結果、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況を解消し、又は改善するための対応をしてもなお継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められるときは、当該不確実性について連結財務諸表に注記することが必要となる。 株式会社ispace及び連結子会社(以下「会社グループ」という。 )は、長期の開発期間を要する宇宙関連機器を含む多額の研究開発投資を行っているため、継続的に営業損失及びマイナスの営業キャッシュ・フローを計上している状況にある。 よって、当連結会計年度末において、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在している。 以上の状況を踏まえ、経営者は当該事象又は状況を解消するための対応策として、新規受注の獲得を基礎とした事業計画の実現に向けた施策に取り組んでいる。 経営者は、対応策の実行によって、当連結会計年度末から12ヶ月間の会社グループの資金繰りに重要な懸念はないと判断しており、連結財務諸表において継続企業の前提に関する重要な不確実性の注記を行っていない。 継続企業の前提に関する重要な不確実性の有無についての判断に当たっては、会社グループの2026年3月31日までの期間の資金繰り計画が考慮される。 資金繰り計画の前提となる事業計画には新規受注の獲得及び資金の調達という仮定を含むが、当該仮定には高い不確実性を伴うことから、継続企業の前提に関する重要な不確実性の有無についての判断に重要な影響を及ぼす。 以上から、当監査法人は、継続企業の前提に関する重要な不確実性の有無についての経営者による判断の妥当性の評価が、当連結会計年度の連結財務諸表監査において特に重要であり、監査上の主要な検討事項に該当すると判断した。 当監査法人は、継続企業の前提に関する重要な不確実性の有無についての経営者による判断の妥当性を評価するため、主に以下の手続を実施した。 (1) 内部統制の評価 経営者が作成した資金計画の基礎となる翌連結会計年度の予算の策定に関連する内部統制の整備及び運用状況の有効性を評価した。 (2) 経営者の対応策についての検討 経営者の対応策が継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象や状況を解消し、又は改善するものであるかどうか、及びその実行可能性について検討するため、経営者が作成した資金繰り計画を分析した。 当該分析に当たり、有利子負債の返済計画について、契約書との整合性を確認した。 その上で、資金繰り計画の前提となる事業計画に含まれている主要な仮定が適切かどうかについて評価するため、以下の手続を実施した。 ● 新規受注の獲得見込みについて、経営者に対して質問した。 ● 新規受注の獲得見込みについて、法的拘束力を伴わない覚書に基づく見込み受注高と比較した。 ● 資金の調達見込みに関して、決算日後監査報告書日までに実行された5月15日付5,000百万円及び5月23日付10,000百万円について、入金証憑及び借入契約書の閲覧により入金の事実を確認した。 上記手続の結果を踏まえて、経営者が作成した資金繰り計画に、一定の不確実性を織り込んだ場合の2026年3月31日までの期間の資金繰りを監査人独自に見積もった。 その上で、当該監査人独自の見積りに基づいた場合の各月末の資金残高が、翌月の収支見込みに照らして十分か否かを検討した。 その他の記載内容 その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。 経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。 また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 当監査法人の連結財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。 連結財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と連結財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 連結財務諸表に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任 経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して連結財務諸表を作成し適正に表示することにある。 これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない連結財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。 連結財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき連結財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。 監査役及び監査役会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 連結財務諸表監査における監査人の責任 監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての連結財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から連結財務諸表に対する意見を表明することにある。 虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、連結財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。 監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。 ・不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。 また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。 監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。 さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。 ・連結財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。 ・経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。 ・経営者が継続企業を前提として連結財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。 継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において連結財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する連結財務諸表の注記事項が適切でない場合は、連結財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。 監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。 ・連結財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた連結財務諸表の表示、構成及び内容、並びに連結財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。 ・連結財務諸表に対する意見表明の基礎となる、会社及び連結子会社の財務情報に関する十分かつ適切な監査証拠を入手するために、連結財務諸表の監査を計画し実施する。 監査人は、連結財務諸表の監査に関する指揮、監督及び査閲に関して責任がある。 監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。 監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。 監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。 監査人は、監査役及び監査役会と協議した事項のうち、当連結会計年度の連結財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。 ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。 <報酬関連情報> 当監査法人及び当監査法人と同一のネットワークに属する者に対する、会社及び子会社の監査証明業務に基づく報酬及び非監査業務に基づく報酬の額は、「提出会社の状況」に含まれるコーポレート・ガバナンスの状況等 (3)【監査の状況】 に記載されている。 利害関係 会社及び連結子会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。 以 上 (注)1.上記の監査報告書の原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。 2.XBRLデータは監査の対象には含まれていません。 |
監査上の主要な検討事項、連結 | 監査上の主要な検討事項 監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。 監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 継続企業の前提に関する重要な不確実性の有無についての経営者による判断の妥当性の評価監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応 連結財務諸表の作成に当たり、経営者は継続企業の前提が適切であるかどうかを評価することが求められる。 また、継続企業の前提に関する評価の結果、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況を解消し、又は改善するための対応をしてもなお継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められるときは、当該不確実性について連結財務諸表に注記することが必要となる。 株式会社ispace及び連結子会社(以下「会社グループ」という。 )は、長期の開発期間を要する宇宙関連機器を含む多額の研究開発投資を行っているため、継続的に営業損失及びマイナスの営業キャッシュ・フローを計上している状況にある。 よって、当連結会計年度末において、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在している。 以上の状況を踏まえ、経営者は当該事象又は状況を解消するための対応策として、新規受注の獲得を基礎とした事業計画の実現に向けた施策に取り組んでいる。 経営者は、対応策の実行によって、当連結会計年度末から12ヶ月間の会社グループの資金繰りに重要な懸念はないと判断しており、連結財務諸表において継続企業の前提に関する重要な不確実性の注記を行っていない。 継続企業の前提に関する重要な不確実性の有無についての判断に当たっては、会社グループの2026年3月31日までの期間の資金繰り計画が考慮される。 資金繰り計画の前提となる事業計画には新規受注の獲得及び資金の調達という仮定を含むが、当該仮定には高い不確実性を伴うことから、継続企業の前提に関する重要な不確実性の有無についての判断に重要な影響を及ぼす。 以上から、当監査法人は、継続企業の前提に関する重要な不確実性の有無についての経営者による判断の妥当性の評価が、当連結会計年度の連結財務諸表監査において特に重要であり、監査上の主要な検討事項に該当すると判断した。 当監査法人は、継続企業の前提に関する重要な不確実性の有無についての経営者による判断の妥当性を評価するため、主に以下の手続を実施した。 (1) 内部統制の評価 経営者が作成した資金計画の基礎となる翌連結会計年度の予算の策定に関連する内部統制の整備及び運用状況の有効性を評価した。 (2) 経営者の対応策についての検討 経営者の対応策が継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象や状況を解消し、又は改善するものであるかどうか、及びその実行可能性について検討するため、経営者が作成した資金繰り計画を分析した。 当該分析に当たり、有利子負債の返済計画について、契約書との整合性を確認した。 その上で、資金繰り計画の前提となる事業計画に含まれている主要な仮定が適切かどうかについて評価するため、以下の手続を実施した。 ● 新規受注の獲得見込みについて、経営者に対して質問した。 ● 新規受注の獲得見込みについて、法的拘束力を伴わない覚書に基づく見込み受注高と比較した。 ● 資金の調達見込みに関して、決算日後監査報告書日までに実行された5月15日付5,000百万円及び5月23日付10,000百万円について、入金証憑及び借入契約書の閲覧により入金の事実を確認した。 上記手続の結果を踏まえて、経営者が作成した資金繰り計画に、一定の不確実性を織り込んだ場合の2026年3月31日までの期間の資金繰りを監査人独自に見積もった。 その上で、当該監査人独自の見積りに基づいた場合の各月末の資金残高が、翌月の収支見込みに照らして十分か否かを検討した。 |
全体概要、監査上の主要な検討事項、連結 | 監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。 監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 |
見出し、監査上の主要な検討事項、連結 | 継続企業の前提に関する重要な不確実性の有無についての経営者による判断の妥当性の評価 |
内容及び理由、監査上の主要な検討事項、連結 | 連結財務諸表の作成に当たり、経営者は継続企業の前提が適切であるかどうかを評価することが求められる。 また、継続企業の前提に関する評価の結果、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況を解消し、又は改善するための対応をしてもなお継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められるときは、当該不確実性について連結財務諸表に注記することが必要となる。 株式会社ispace及び連結子会社(以下「会社グループ」という。 )は、長期の開発期間を要する宇宙関連機器を含む多額の研究開発投資を行っているため、継続的に営業損失及びマイナスの営業キャッシュ・フローを計上している状況にある。 よって、当連結会計年度末において、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在している。 以上の状況を踏まえ、経営者は当該事象又は状況を解消するための対応策として、新規受注の獲得を基礎とした事業計画の実現に向けた施策に取り組んでいる。 経営者は、対応策の実行によって、当連結会計年度末から12ヶ月間の会社グループの資金繰りに重要な懸念はないと判断しており、連結財務諸表において継続企業の前提に関する重要な不確実性の注記を行っていない。 継続企業の前提に関する重要な不確実性の有無についての判断に当たっては、会社グループの2026年3月31日までの期間の資金繰り計画が考慮される。 資金繰り計画の前提となる事業計画には新規受注の獲得及び資金の調達という仮定を含むが、当該仮定には高い不確実性を伴うことから、継続企業の前提に関する重要な不確実性の有無についての判断に重要な影響を及ぼす。 以上から、当監査法人は、継続企業の前提に関する重要な不確実性の有無についての経営者による判断の妥当性の評価が、当連結会計年度の連結財務諸表監査において特に重要であり、監査上の主要な検討事項に該当すると判断した。 |
監査上の対応、監査上の主要な検討事項、連結 | 当監査法人は、継続企業の前提に関する重要な不確実性の有無についての経営者による判断の妥当性を評価するため、主に以下の手続を実施した。 (1) 内部統制の評価 経営者が作成した資金計画の基礎となる翌連結会計年度の予算の策定に関連する内部統制の整備及び運用状況の有効性を評価した。 (2) 経営者の対応策についての検討 経営者の対応策が継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象や状況を解消し、又は改善するものであるかどうか、及びその実行可能性について検討するため、経営者が作成した資金繰り計画を分析した。 当該分析に当たり、有利子負債の返済計画について、契約書との整合性を確認した。 その上で、資金繰り計画の前提となる事業計画に含まれている主要な仮定が適切かどうかについて評価するため、以下の手続を実施した。 ● 新規受注の獲得見込みについて、経営者に対して質問した。 ● 新規受注の獲得見込みについて、法的拘束力を伴わない覚書に基づく見込み受注高と比較した。 ● 資金の調達見込みに関して、決算日後監査報告書日までに実行された5月15日付5,000百万円及び5月23日付10,000百万円について、入金証憑及び借入契約書の閲覧により入金の事実を確認した。 上記手続の結果を踏まえて、経営者が作成した資金繰り計画に、一定の不確実性を織り込んだ場合の2026年3月31日までの期間の資金繰りを監査人独自に見積もった。 その上で、当該監査人独自の見積りに基づいた場合の各月末の資金残高が、翌月の収支見込みに照らして十分か否かを検討した。 |
その他の記載内容、連結 | その他の記載内容 その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。 経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。 また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 当監査法人の連結財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。 連結財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と連結財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 |
報酬関連情報、連結 | <報酬関連情報> 当監査法人及び当監査法人と同一のネットワークに属する者に対する、会社及び子会社の監査証明業務に基づく報酬及び非監査業務に基づく報酬の額は、「提出会社の状況」に含まれるコーポレート・ガバナンスの状況等 (3)【監査の状況】 に記載されている。 |
Audit1
監査法人1、個別 | 有限責任 あずさ監査法人 |
独立監査人の報告書、個別 | 独立監査人の監査報告書 2025年6月26日株式会社ispace 取締役会 御中 有限責任 あずさ監査法人 東京事務所 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士鶴 彦太 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士有吉 真哉 <財務諸表監査>監査意見 当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられている株式会社ispaceの2024年4月1日から2025年3月31日までの第15期事業年度の財務諸表、すなわち、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、重要な会計方針、その他の注記及び附属明細表について監査を行った。 当監査法人は、上記の財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、株式会社ispaceの2025年3月31日現在の財政状態及び同日をもって終了する事業年度の経営成績を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。 監査意見の根拠 当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。 監査の基準における当監査法人の責任は、「財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。 当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。 当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。 強調事項 重要な後発事象に関する注記に記載されているとおり、会社は、2025年5月15日に5,000百万円、23日に10,000百万円の借入を実行している。 当該事項は、当監査法人の意見に影響を及ぼすものではない。 監査上の主要な検討事項 監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。 監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 (継続企業の前提に関する重要な不確実性の有無についての経営者による判断の妥当性の評価) 財務諸表の監査報告書で記載すべき監査上の主要な検討事項「継続企業の前提に関する重要な不確実性の有無についての経営者による判断の妥当性の評価」は、連結財務諸表の監査報告書に記載されている監査上の主要な検討事項「継続企業の前提に関する重要な不確実性の有無についての経営者による判断の妥当性の評価」と実質的に同一の内容である。 このため、財務諸表の監査報告書では、これに関する記載を省略している。 その他の記載内容 その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。 経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。 また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 当監査法人の財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。 財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 財務諸表に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任 経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して財務諸表を作成し適正に表示することにある。 これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。 財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。 監査役及び監査役会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 財務諸表監査における監査人の責任 監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から財務諸表に対する意見を表明することにある。 虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。 監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。 ・不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。 また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。 監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。 さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。 ・財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。 ・経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。 ・経営者が継続企業を前提として財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。 継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する財務諸表の注記事項が適切でない場合は、財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。 監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。 ・財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた財務諸表の表示、構成及び内容、並びに財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。 監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。 監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。 監査人は、監査役及び監査役会と協議した事項のうち、当事業年度の財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。 ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。 <報酬関連情報> 報酬関連情報は、連結財務諸表の監査報告書に記載されている。 利害関係 会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。 以 上 (注)1.上記の監査報告書の原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。 2.XBRLデータは監査の対象には含まれていません。 |
監査上の主要な検討事項、個別 | 監査上の主要な検討事項 監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。 監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 (継続企業の前提に関する重要な不確実性の有無についての経営者による判断の妥当性の評価) 財務諸表の監査報告書で記載すべき監査上の主要な検討事項「継続企業の前提に関する重要な不確実性の有無についての経営者による判断の妥当性の評価」は、連結財務諸表の監査報告書に記載されている監査上の主要な検討事項「継続企業の前提に関する重要な不確実性の有無についての経営者による判断の妥当性の評価」と実質的に同一の内容である。 このため、財務諸表の監査報告書では、これに関する記載を省略している。 |
全体概要、監査上の主要な検討事項、個別 | 監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。 監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 |
見出し、監査上の主要な検討事項、個別 | (継続企業の前提に関する重要な不確実性の有無についての経営者による判断の妥当性の評価) |
連結と同一内容である旨、監査上の主要な検討事項、個別 | 財務諸表の監査報告書で記載すべき監査上の主要な検討事項「継続企業の前提に関する重要な不確実性の有無についての経営者による判断の妥当性の評価」は、連結財務諸表の監査報告書に記載されている監査上の主要な検討事項「継続企業の前提に関する重要な不確実性の有無についての経営者による判断の妥当性の評価」と実質的に同一の内容である。 このため、財務諸表の監査報告書では、これに関する記載を省略している。 |
その他の記載内容、個別 | その他の記載内容 その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。 経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。 また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 当監査法人の財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。 財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 |
報酬関連情報、個別 | <報酬関連情報> 報酬関連情報は、連結財務諸表の監査報告書に記載されている。 |
BS資産
仕掛品 | 6,439,000 |
その他、流動資産 | 297,104,000 |
建設仮勘定 | 4,011,915,000 |
有形固定資産 | 60,820,000 |
ソフトウエア | 9,212,000 |
無形固定資産 | 9,497,000 |
投資その他の資産 | 143,877,000 |
BS負債、資本
未払金 | 620,739,000 |
未払法人税等 | 89,980,000 |
未払費用 | 70,676,000 |
資本剰余金 | 11,449,310,000 |
利益剰余金 | -18,644,439,000 |
株主資本 | 4,365,646,000 |
為替換算調整勘定 | 815,926,000 |
評価・換算差額等 | 815,926,000 |
負債純資産 | 22,068,789,000 |
PL
売上原価 | 75,854,000 |
販売費及び一般管理費 | 10,068,716,000 |