財務諸表
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提出書類、表紙 | 有価証券報告書 |
提出日、表紙 | 2025-06-25 |
英訳名、表紙 | ISHIHARA SANGYO KAISHA,LTD. |
代表者の役職氏名、表紙 | 代表取締役社長 大 久 保 浩 |
本店の所在の場所、表紙 | 大阪市西区江戸堀1丁目3番15号 |
電話番号、本店の所在の場所、表紙 | 06(6444)1853 |
様式、DEI | 第三号様式 |
会計基準、DEI | Japan GAAP |
連結決算の有無、DEI | true |
当会計期間の種類、DEI | FY |
corp
沿革 | 2 【沿革】 当社は、1920年9月に創始者石原廣一郎が、マレー半島ジョホール州スリメダン鉱山(鉄)を開発の為、大阪市に合資会社南洋鉱業公司を設立したのが始まりであります。 その後 1924年5月 マレー半島の鉱山(鉄、マンガン)を買収、また自社船で海運業を兼営1929年8月 商号を石原産業海運合資会社と改称1934年3月 株式会社に組織変更し、三重県に紀州鉱山(銅、硫化鉱)を開設1938年10月 四日市工場(三重県)建設に着手(1941年1月銅製錬所、硫酸工場完成)1943年6月 海運業を日本海運株式会社に譲渡し、石原産業株式会社に社名変更1949年6月 企業再建整備法により解散し、第二会社三和鉱工株式会社を設立し再発足同月石原産業株式会社に社名復帰1949年7月 東京・大阪両証券取引所に株式上場1950年4月 四日市に除草剤製造工場完成1952年7月 四日市に化成肥料工場完成1954年3月 四日市に硫酸法酸化チタン工場完成1958年6月 四日市に研究所開設(1963年6月中央研究所と改称)1961年7月 四日市に硫安工場完成1963年3月 四日市に黄色顔料チタンイエロー工場完成1965年4月 中央研究所を滋賀県草津市に移転1970年9月 四日市に総合排水処理施設完成1971年6月 四日市に合成ルチル工場完成(1994年3月生産終了)1974年10月 四日市に塩素法酸化チタン工場完成1974年12月 四日市に硫黄専焼による硫酸工場完成1976年1月 肥料の製造販売を子会社石原肥料工業株式会社(1990年2月に解散)に移管1978年5月 紀州鉱山を閉山1981年10月 四日市に有機中間体CTF製造工場完成1983年12月 四日市に磁性酸化鉄製造工場完成1986年8月 シンガポールに子会社ISKシンガポール社を設立し、塩素法酸化チタン工場建設1989年8月 農薬の国内販売を子会社石原産業アグロ株式会社(現石原バイオサイエンス株式会社)に移管1990年11月 米国の農薬事業会社を買収(ISKバイオサイエンス社)1991年4月 米国の磁性酸化鉄事業を買収(現ISKマグネティックス社)1993年3月 新石原ビル完成。 同年4月に本店移転1994年12月 フランスにファインケミカル生産の合弁会社(SUD ISK-SNPE社)を設立(2005年7月に共同事業契約を終了)1996年7月 欧州地域の農薬販売を子会社のISKバイオサイエンスヨーロッパ社に移管1998年2月 ゼネカ社(現シンジェンタ社)に米国の農薬事業子会社を売却1999年2月 四日市で医薬品原薬の生産開始2001年3月 ビデオテープ用磁性酸化鉄事業から撤退2001年12月 四日市に遺伝子機能解析用HVJ-Eベクター製造設備完成(2022年3月に販売終了)2005年3月 富士チタン工業株式会社を完全子会社化2005年6月 フェロシルトの自主回収(2005年4月販売中止)を決定、その後各自治体から廃棄物処理法に基づく措置命令受領2005年11月 中国に農薬販売の合弁会社(浙江石原金牛化工有限公司)を設立2006年9月 インドの農薬最大手UPL社と業務提携2008年3月 コンプライアンス総点検実施(再発防止策と併せ2008年5月公表)2010年6月 環境商品本格販売開始2010年9月 自家発電事業会社四日市エネルギーサービス株式会社を完全子会社化(2018年10月に吸収合併)2013年8月 ISKシンガポール社の塩素法酸化チタン工場生産終了(2020年3月に清算結了)2015年4月 ISKバイオサイエンスインディア社を設立2015年12月 フェロシルト全量の最終処分完了2018年1月 ISKバイオサイエンスタイランド社を設立石原(上海)化学品有限公司を設立2018年9月 動物用医薬品の国内製造販売承認を取得2022年3月 ISK Biosciences Europe N.V.と三井物産株式会社の子会社Certis Europe B.V.との株式交換契約により、現Certis Belchim B.V.を設立2022年11月 動物用医薬品の米国条件付き承認を取得2023年9月 富士チタン工業株式会社を会社分割し、株式会社村田製作所との合弁会社MFマテリアル株式会社を設立 |
事業の内容 | 3 【事業の内容】 当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社、子会社34社及び関連会社5社により構成され、農薬を軸とする有機化学分野と、機能性材料と酸化チタンを軸とする無機化学分野における化学工業製品の製造・販売及びその他の事業の3部門に関する事業を行っております。 各事業における当社及び主な関係会社の位置付けは、次のとおりであります。 なお、次の3部門は「第5 経理の状況 1(1) 連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一であります。 有機化学事業:農薬(除草剤、殺虫剤、殺菌剤等)、動物用医薬品、医薬、有機中間体農薬は、当社が製造し、国内販売は石原バイオサイエンス(株)を通じて、海外販売は当社が直接・間接に販売しております。 主な海外子会社の位置付けは、次のとおりであります。 ISK BIOSCIENCES EUROPE N.V.は欧州・中東及びアフリカ地域において、ISK BIOSCIENCES CORP.は米州において当社農薬事業の統括及び農薬の製剤・販売を行っております。 動物用医薬品については、当社が研究・開発を行っており、国内は当社が製造し直接・間接に販売しております。 米国は、ISK ANIMAL HEALTH, LLCが製造・販売しております。 医薬については、当社保有技術を活かして医薬品原薬の製造・販売を行っております。 有機中間体は、当社が製造し直接販売を行っております。 無機化学事業:機能性材料、酸化チタン、その他化成品機能性材料は、当社、富士チタン工業(株)及びMFマテリアル(株)が製造し、直接・間接に販売しております。 酸化チタンは、当社及び富士チタン工業(株)で製造し、国内はもとより世界市場に向けて直接・間接に販売しております。 台湾石原産業(股)は、当社グループの機能性材料、酸化チタン製品等の輸入・販売業務を行っております。 その他の事業:商社業、建設業等商社業は、石原テクノ(株)が、当社の有機・無機化学製品の販売や原材料の調達などを行っているほか、一般化学工業品等の仕入・販売を行っております。 石原エンジニアリングパートナーズ(株)は、当社グループの生産設備等の建設・修繕や外部受託によるプラントなどの建設・修繕を行っております。 事業の系統図は、次のとおりであります。 |
関係会社の状況 | 4 【関係会社の状況】 名称住所資本金(百万円)主要な事業の内容議決権の所有又は被所有割合(%)関係内容(連結子会社) 石原バイオサイエンス(株)東京都千代田区312有機化学事業(農薬の販売)100.01 役員の兼任等:有り2 資金の援助 :無し3 営業上の取引:製品の販売石原テクノ(株)大阪市西区100その他の事業(商社業)100.0 1 役員の兼任等:有り2 資金の援助 :無し3 営業上の取引:製品の販売及び原材料の購入富士チタン工業(株)大阪市西区450無機化学事業(機能性材料、酸化チタン等の製造及び販売)100.01 役員の兼任等:有り2 資金の援助 :貸付金3 営業上の取引:製品の販売等MFマテリアル(株)宮崎県延岡市100無機化学事業(機能性材料の製造及び販売)65.0(55.0)1 役員の兼任等:有り2 資金の援助 :貸付金3 営業上の取引:製品の販売等石原エンジニアリングパートナーズ(株)三重県四日市市100その他の事業(建設業)100.01 役員の兼任等:有り2 資金の援助 :無し3 営業上の取引:設備の建設・修繕ISK AMERICAS INCORPORATEDCONCORDOHIOU.S.A.27,253千US$有機化学事業(米国所在子会社の統括管理)100.01 役員の兼任等:有り2 資金の援助 :無し3 営業上の取引:業務委託ISK BIOSCIENCES CORP.CONCORDOHIOU.S.A.786千US$有機化学事業(米州農薬事業統括及び農薬の製剤・販売)100.0(100.0)1 役員の兼任等:有り2 資金の援助 :無し3 営業上の取引:業務委託ISK BIOCIDES, INC.MEMPHISTENNESSEEU.S.A.5,880千US$有機化学事業(木材防腐剤の販売)100.0(100.0)1 役員の兼任等:有り2 資金の援助 :無し3 営業上の取引:無しIBC MANUFACTURING COMPANYMEMPHISTENNESSEEU.S.A. 2,767 千US$有機化学事業(木材防腐剤及び農薬の製造)100.0(100.0)1 役員の兼任等:有り2 資金の援助 :無し3 営業上の取引:無しISK MAGNETICS, INC.CONCORDOHIOU.S.A.6,050千US$無機化学事業(資産管理会社)100.0(100.0)1 役員の兼任等:無し2 資金の援助 :無し3 営業上の取引:無しISK ANIMAL HEALTH, LLCCONCORDOHIOU.S.A.200千US$有機化学事業 (動物用医薬品の製造・販売)100.0(100.0)1 役員の兼任等:無し2 資金の援助 :無し3 営業上の取引:業務委託ISHIHARA CORPORATION U.S.A.SAN FRANCISCOCALIFORNIAU.S.A.1,200千US$無機化学事業(主として無機製品の販売)100.0(80.0)1 役員の兼任等:有り2 資金の援助 :無し3 営業上の取引:製品の販売ISK BIOSCIENCES, S.A.DE C.V.MEXICO, D.F.MEXICO366千US$有機化学事業(農薬の登録・販売)100.0(100.0)1 役員の兼任等:有り2 資金の援助 :無し3 営業上の取引:製品の販売ISK BIOSCIENCES EUROPE N.V.(注2、4)DIEGEMBELGIUM7,436千EUR有機化学事業(欧州農薬事業統括及び農薬の製剤・販売)100.01 役員の兼任等:有り2 資金の援助 :無し3 営業上の取引:製品の販売台湾石原産業(股)台北市中華民国200,000千NT$無機化学事業(無機製品の販売)100.01 役員の兼任等:有り2 資金の援助 :無し3 営業上の取引:製品の販売その他4社 名称住所資本金(百万円)主要な事業の内容議決権の所有又は被所有割合(%)関係内容(持分法適用関連会社) ホクサン(株)(注5)北海道北広島市331有機化学事業(農薬の製造及び販売)19.81 役員の兼任等:無し2 資金の援助 :無し3 営業上の取引:製造委託及び製品の販売SUMMIT AGRO USA, LLCDURHAMNORTHCAROLINAU.S.A.5,000千US$有機化学事業(農業関連資材の販売及び農薬の製造)35.0(35.0)1 役員の兼任等:有り2 資金の援助 :無し3 営業上の取引:製品の販売CERTIS BELCHIM B.V.(注5)UTRECHTNETHERLANDS3,942千EUR有機化学事業(農業関連資材の販売)15.27(15.27)1 役員の兼任等:無し2 資金の援助 :無し3 営業上の取引:製品の販売 (注) 1 主要な事業の内容欄には、セグメント情報に記載された名称を記載しております。 2 特定子会社に該当します。 3 議決権の所有割合の( )内は、間接所有割合で内数であります。 4 ISK BIOSCIENCES EUROPE N.V.については、売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く)の連結売上高に占める割合が10%を超えております。 主要な損益情報等ISK BIOSCIENCES EUROPE N.V.(1) 売上高25,348百万円 (2) 経常利益612百万円(3) 当期純利益450百万円(4) 純資産額6,808百万円(5) 総資産額17,583百万円 5 持分は100分の20未満でありますが、実質的な影響力判定により関連会社としております。 |
従業員の状況 | 5 【従業員の状況】 (1) 連結会社の状況2025年3月31日現在セグメントの名称従業員数(人)有機化学事業586無機化学事業989その他の事業127全社(共通)105合計1,807 (注) 従業員数は就業人員であり、全社(共通)には、特定のセグメントに区分できない本社の管理部門等に所属する従業員を記載しております。 (2) 提出会社の状況2025年3月31日現在従業員数(人)平均年齢(才)平均勤続年数(年)平均年間給与(千円)1,13943.518.07,162 セグメントの名称従業員数(人)有機化学事業384無機化学事業650全社(共通)105合計1,139 (注) 1 従業員数は就業人員であり、出向社員、執行役員及び嘱託等は含まれておりません。 2 平均年間給与は、基準外賃金及び賞与を含めております。 (3) 労働組合の状況当社グループには、当社のマネージャー以上を除く在籍従業員をもって構成する石原産業労働組合が組織されております。 また、国内の連結子会社については、富士チタン工業(株)では富士チタン工業労働組合が組織されており、石原テクノ(株)では石原テクノ労働組合が組織されております。 その他の連結子会社については石原産業労働組合協議会に加盟しております。 石原産業労働組合、石原産業労働組合協議会及び富士チタン工業労働組合は日本化学エネルギー産業労働組合連合会(JEC連合)に加盟しております。 なお、2025年3月31日現在の組合員数は、石原産業労働組合983名、石原産業労働組合協議会67名、富士チタン工業労働組合293名、石原テクノ労働組合21名であり、労使関係は極めて円滑に運営されております。 (4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異① 提出会社当事業年度管理職に占める女性労働者の割合(%)(注1)男性労働者の育児休業取得率(%)(注2)労働者の男女の賃金の差異(%)(注1、3、4)全労働者うち、正規雇用労働者うち、非正規雇用労働者9.7%66.6%74.6%78.7%49.6% (注) 1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。 2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。 3 賃金・評価体系等の人事諸制度やその運用において男女間の差異はありません。 主として、等級制度における人員構成や管理職比率等により、男女の賃金差異が生じております。 今後も多様な人材の育成・活躍支援の施策を通じ、女性の管理職登用推進や男女賃金差異縮小を図ってまいります。 4 以下の前提に基づき算出しております。 ・対象期間:2024年度(2024年4月から2025年3月まで) ・賃金:基準外賃金及び賞与を含んでおります。 ・正規雇用労働者:出向社員、執行役員及び嘱託等は含めておりません。 ・非正規雇用労働者:嘱託社員、契約社員、パートタイマーを含み、派遣社員を除いております。 ② 連結子会社当事業年度名称管理職に占める女性労働者の割合(%)(注1)男性労働者の育児休業取得率(%)(注2)労働者の男女の賃金の差異(%)(注1、3、4)全労働者うち、正規雇用労働者うち、非正規雇用労働者富士チタン工業㈱3.6%100.0%73.0%72.4%78.7%MFマテリアル㈱0.0%0.0%84.9%86.9%62.2%石原エンジニアリングパートナーズ㈱0.0%100.0%65.4%65.8%43.7% (注) 1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。 2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。 3 賃金・評価体系等の人事諸制度やその運用において男女間の差異はありません。 主として、等級制度における人員構成や管理職比率等により、男女の賃金差異が生じております。 今後も多様な人材の育成・活躍支援の施策を通じ、女性の管理職登用の推進や男女の賃金の差異縮小を図ってまいります。 4 以下の前提に基づき算出しております。 ・対象期間:2024年度(2024年4月から2025年3月まで) ・賃金:基準外賃金及び賞与を含んでおります。 ・正規雇用労働者:出向社員、執行役員及び嘱託等は含めておりません。 ・非正規雇用労働者:嘱託社員、契約社員、パートタイマーを含み、派遣社員を除いております。 |
経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 | 1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。 (1) 会社の経営の基本方針当社グループは、社会に存在する意義である「パーパス」を「化学技術でより良い生活環境の実現に貢献し続ける」こととし、この決意のもと企業活動において全構成員が共有すべき基本的・普遍的な価値観を表すものとして、基本理念と行動基準を定めております。 <基本理念>・「社会」、「生命」、「環境」に貢献する。 ・株主、顧客・取引先、地域社会、従業員を大切にする。 ・遵法精神を重んじ、透明な経営を行う。 <行動基準>・社会から信頼される事業活動を行うため、社会規範、法令、会社の諸規定を遵守し、高い倫理観と良識をもって行動する。 ・ものづくりに際しては、地球環境との調和を図り、常に安全確保に万全を期し、無事故・無災害に努める。 ・相互協力、相互理解により人権を尊重し、風通しのよい働きやすい職場をつくる。 ・企業活動の透明性を保つため、企業市民としてコミュニケーションを重視し、企業情報を適時、的確に開示する。 (2) 目標とする経営指標、中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題当社グループは、長期ビジョン「Vision 2030」とそれに基づく中期経営計画(2024~2026年度)「Vision 2030 Stage Ⅱ」に取り組んでおります。 1.長期ビジョン「Vision 2030」当社グループは、創立100周年を機に、10年先の2030年にありたい姿を描き、2030年に向けた長期ビジョン「Vision 2030」として「独創・加速・グローバル。 化学の力で暮らしを変える。 」を制定し、以下の経営目標や取組方針などの実現を目指します。 (1) 経営目標(2030年)・連結営業利益 240億円以上(想定連結売上 1,800億円以上) ROE 10%以上の安定確保・株主還元 安定的な株主還元の継続 (2) 基本的な取組方針・コアコンピタンスである「化学技術」を中心として「独自の技術開発力」「品質・環境対応力」「グローバルな協業力」 の“3つの強み”とそれらを支える「経営推進力」により「Vision 2030」の達成に取り組んでいきます。 ・サステナブルな社会の実現に向けて貢献するとともに、その事業活動を通じて企業価値の向上を両立します。 (3) 事業方針と重点施策1) 有機化学事業事業方針:「顧客の価値向上に直結する独自製品を世界中に供給し、人々の食、健康、生命を支えてサステナブルな社会の実現に貢献する。 」重点施策:・バリューチェーンを意識した開発・商業化の推進・自社技術の錬磨・進化による価値創造加速と成長路線復活・主力製品の世界一低コスト製造と顧客への安定供給2) 無機化学事業事業方針:「酸化チタンで培った技術をベースとした新たなる価値を創造し、環境並びに情報化社会を支えてサステナブルな社会の実現に貢献する。 」重点施策:・酸化チタンの光学的特性を多様化させて、新たな価値創造を実現・ICT普及や自動車EV化などの社会課題解決に機能性材料で貢献・生産構造改革により環境負荷低減と生産効率化とを両立 2. 中期経営計画(2024~2026年度) 「Vision 2030 Stage Ⅱ」(1) 基本方針長期ビジョン「Vision 2030」からバックキャストした2段階目の中期経営計画「Vision 2030 Stage Ⅱ」は、「Vision 2030 Stage Ⅰ」から継続し、サステナブルな企業価値創造を目指すことを基本方針とします。 そして、独創のための研究・技術開発力の強化と効率化、当社の技術力を海外市場で発揮するためのグローバル化の加速、ROIC経営の推進、並びに、安定した株主還元の継続、等の重点施策の実施により、事業基盤の強化と事業構造の改革を推進します。 (2) 経営目標・連結営業利益 190億円以上(想定売上高1,600億円以上)、ROE 10%以上・株主還元方針:安定的な株主還元の継続 -2026年度に向けて連結配当性向40%を目標とします。 -機動的な自社株買いを実施します。 2023年度実績(A)新中期経営計画「Vision 2030 StageⅡ」2024年度実績2026年度(B)(B)/(A)売上高1,384億円1,451億円1,607億円1.2倍営業利益 114億円 104億円 198億円1.7倍経常利益 148億円 113億円 193億円1.3倍親会社株主に帰属する当期純利益 79億円 84億円 136億円1.7倍営業利益率8.3%7.2%12.3%1.5倍ROE7.9%7.6%11.2%1.4倍 (3) 重点施策全社及び各事業レベルの取り組むべき重点施策は次の通りで、毎年事業計画を見直し、最終年度の業績目標の達成に向け取り組みます。 全社□ 独創のための研究・技術開発力の強化と効率化 □ グローバル化の加速□ ROIC経営の推進□ 安定した株主還元の継続□ 環境・社会への貢献□ DX推進□ 人的資本経営の推進□ コーポレートガバナンスの継続・高度化 有機化学事業□ 新規化学農薬及び動物用医薬品等の開発・商品化の促進□ 農薬の安定供給・製造コスト低減により当社世界市場占有率の拡大□ 世界各国での農薬登録の取得・維持□ 動物用医薬品PANOQUELL®の米国での拡販、世界主要国への展開□ 農薬の販社複数起用など戦略的・革新的な営業施策の実行□ 他社M&Aや提携推進、他社剤導入による事業規模拡大□ バイオロジカル分野の開発・商品化 無機化学事業□ 無機化学事業の構造改革 -組織改編による無機化学事業本部の設置 -汎用酸化チタンから機能性材料ドメインへの製品ポートフォリオの本格転換 -製造拠点と製品ラインナップの集約と合理化□ 電子部品材料の拡販と生産能力増強□ 新規開発品の市場投入・新規ビジネスの創出によるビジネス拡大□ 海外での技術営業力の向上□ 他社との協業による事業拡大□ 主要原燃料の有利調達の実現 |
サステナビリティに関する考え方及び取組 | 2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 2024年度から中期経営計画「Vision 2030 Stage Ⅱ」をスタートしました。 その中でパーパスのもと、2050年にありたい姿を「健康で心豊かな暮らしを実現し、人と社会から愛されるグローバルな会社」と定め、事業活動を通じて社会課題を解決することで、持続可能な地球環境・社会の実現に貢献し、新たな企業価値を創造し続けます。 (1)ガバナンス「Vision 2030 Stage Ⅱ」を推進するにあたり、取締役会のもとサステナビリティ推進委員会を設置し、統制を強化しました。 また、サステナビリティ推進室を新たに設け、サステナビリティ経営の施策の企画立案・推進を加速します。 それぞれ具体的な取り組みは、サステナビリティ推進室の傘下にある各チームにて遂行しております。 ・ 気候変動対策チーム・・・カーボンニュートラルに向けたCO2排出量の把握・削減やICP(インターナル カーボンプライシング)の導入、環境配慮型製品の認定制度の設計、生物多様性の 保全を推進・ 人権デューデリジェンス推進チーム・・・当社グループのみならず、サプライチェーンを含めた人権リスクに ついて、PDCAを推進・ 人的資本経営推進チーム・・・当社グループ全体の価値創造の源泉である人的資本の拡充や健康経営を推進・ 統合報告書制作チーム・・・財務、非財務に係る当社グループの取り組み状況の的確な開示を推進・ マテリアリティ見直し検討チーム・・・変化する社会環境と経営戦略を踏まえたマテリアリティ(重要課題) の再特定と持続的成長の推進各チームのメンバーは、取締役や執行役員をリーダー・サブリーダー等におき、当社関係部門、並びに関係会社も含めたメンバーで構成されております。 各チームの取り組みや施策については、1年に2回以上開催されるサステナビリティ推進委員会にて審議・報告され、承認事項は、取締役会に諮って決議されます。 また、全チームを含めたサステナビリティ推進室の活動進捗状況は、3カ月ごとに取締役会に報告され、取締役会において監督を行っております。 (2)戦略○気候変動当社グループにおける主な気候変動リスク・機会を外部情報に基づいて整理し、それぞれのリスク・機会に関する将来予想データを収集しました。 これに基づいて、脱炭素社会への移行に伴うリスク・機会と気候変動に起因する物理的リスク・機会について1.5~2℃/4℃シナリオのそれぞれで検討し、当社事業に2050年までに影響を与え得る重要なリスクと機会を分析しました。 その結果、1.5~2℃シナリオにおいて、CO2排出への炭素税賦課により操業コストが大きく上昇するリスクなどを特定しました。 この対応として、当社グループ全体でCO2排出量削減に取り組むことの重要性を認識しましたので、2050年のカーボンニュートラルに向け、各対応策を計画に沿って推進していきます。 なお、計画は各事業を取り巻く環境や社会の変化に応じて適宜見直します。 表)リスク重要度評価及びシナリオ分析から特定した事業リスク・機会 (時間軸) 短:0-5年、中:5-10年、長:10年以上 (財務影響) 大:±10億円以上、小:±10億円未満重要なリスク・機会の項目対象事業リスク・機会の説明事業機会・対応説明時間軸財務影響移行リスク政策/規制炭素税の導入、CO2排出量規制の強化有機無機CO2排出への炭素税賦課によるコストの増加(1.5℃:約172億円(2050年)のコスト影響*)中~長大(▲)・石炭ボイラー等の燃料転換・生産体制の再構築・CO2回収及び再生可能エネルギーの利用技術消費者ニーズの低炭素型製品への変化有機無機低環境負荷製品の開発及び生産体制の強化(財務影響は半導体需要の増加を試算対象として評価)中大(+)・環境負荷低減につながる電子部品(半導体等)や資材(IPM製品)などの拡販・新技術・新製品の創出(有機:AIやIoT等のスマート農業を視野に入れたIPM製品の開発)・設備投資/製品の開発時における補助金や補助制度の活用市場原材料価格の上昇(チタン鉱石・コークスなど)無機調達コスト増や入手難による価格上昇中大(▲)・収率の向上と廃棄物の削減・サプライヤーや業界と連携した調達段階のCO2削減エネルギー価格の変化有機無機石油・重油・ガス・電気などの急激な価格変化短~中小(▲)・多様なエネルギーミックス・徹底した省エネ評判顧客企業の環境配慮の意識の高まり有機無機脱炭素対応が遅れることによる受注減少や投資家評価の低下中―・積極的な環境負荷低減への取り組み・情報開示の充実物理的リスク急性台風や洪水などの極端な異常気象の過酷さの増加有機無機被災による物損コスト及び逸失利益の発生短大(▲)・BCP対策の拡充と訓練の実施・調達先の複数化・生産バックアップ体制の検討有機無機拠点の被災リスクが高まることによる保険料の上昇短小(▲)・保険契約内容の見直し有機農家の洪水被害による農薬資材の売上減少短小(▲)・異常気象によって発生する新たな課題に対応する資材の開発(耐雨性の高い資材や熱ストレスに対するバイオスティミュラントなど)・不確実性の高い生態系の変化(病害虫・雑草の発生等)を予測した重点開発・販売国の設定慢性平均気温の上昇/気象パターンの極端な変動有機生態系の変化に応じた資材を販売することによる売上機会の増加中~長小(+) *1.5℃シナリオ:2030年の炭素価格130ドル/tCO2、2050年の炭素価格250ドル/tCO2と想定(IEA Net Zero By 2050 参照) 〇人的資本、多様性2030年までに国内外の社会で起こるとみられる、気候変動や食糧問題をはじめとする数々の変化を前提に、当社グループのパーパスのもと、サステナブルな社会の実現に向けて貢献するとともに、その事業活動を通じて企業価値の向上を両立させるためには、当社グループの価値創造のコアがドライビングフォースとして機能し続けることが必要です。 それら価値創造のコアとその拡充に必要と考えられる人事施策である人的資本項目を図のように特定・関連付けております。 「人財が競争力の源泉」であるとの考えのもと、人的資本を拡充し経営戦略の達成につなげるためには、これまでの延長線上にない将来動向を踏まえ、新たな挑戦による改革・変革を評価する文化と仕組みが必要であることから、図のように当社グループの人財マネジメント方針を策定しました。 これを常に人財に対する考え方の軸とすることで、会社のパーパスと個人のキャリアビジョンが重なりあい、会社とともに個人も成長できるようにすることを目指しております。 特に人財育成においては、目指す人財像を「ものごとの基本を理解し、実践した上で“変える”ために、“変わる”ことのできる人」と定めており、その具体化として以下の5つを掲げ、その実現のための研修教育体系を整えております。 1.プロフェッショナルとしての責任感を持ち、高い成果を生み出す人財2.変化に対し、敏感・柔軟で、難局を乗り越える力のある人財3.会社の進むべき道、取り組むべき課題を捉え、推進する人財4.常に一段上、一歩前を目指し、進化し続ける人財5.ステークホルダーと協働し、仕事を通じてともに成長できる人財今後も「Vision 2030」の達成に向け、当該人財を育成するための施策、また当該人財が定着するための環境整備を推進するとともに、事業及びその事業環境の変化に応じ、必要なタイミングで戦略・施策の見直しや追加を実施します。 (3)リスク管理当社グループは、16のマテリアリティ(重要課題)の中から、8つの最重要課題「気候変動・環境負荷低減」「技術開発力」「サプライチェーンマネジメント」「労働安全衛生・保安防災」「ダイバーシティ&インクルージョン」「BCP、リスクマネジメント」「コーポレート・ガバナンス」「DXの推進、業務効率化による働き方改革」を特定しております。 当社グループとして特に「気候変動対策の推進」、「人権リスクへの対応」や「人的資本経営の推進」は喫緊の重要課題であることを認識し、サステナビリティ推進室のもとに気候変動対策チーム、人権デューデリジェンス推進チーム並びに人的資本経営推進チームを設置しております。 各チームでは、気候変動、人権、並びに人的資本経営に係るリスクの検討を行い、その結果をサステナビリティ推進委員会で評価・管理し、必要に応じて企業リスク管理委員会への報告を行っております。 (4)指標及び目標○気候変動当社グループはCO2排出量(Scope1+Scope2)の削減目標を下記の通りに設定しております。 今後も引き続きカーボンニュートラルに向けた排出量削減に取り組むことにより、気候変動影響の緩和と適応を推進してまいります。 目標と2023年度までの進捗は、以下の通りです。 2030年:CO2排出量30%削減を目指す(2019年度比) 2050年:カーボンニュートラル(実質排出ゼロ)に挑戦する 表)当社グループの温室効果ガス(GHG)排出量[千t-CO2]GHG排出量(千t-CO2)2019年度(基準年)2020年度2021年度2022年度2023年度Scope1471408488476479Scope22019232224合計490427511498504 GHG排出量はGHGプロトコルに基づき算定なお、過年度を含めて、Scope1は温対法を考慮し、他社へのエネルギー供給に係る排出量を差し引いています。 表)Scope3のGHG排出量[千t-CO2]Scope3カテゴリ算出範囲算出基準2023年度カテゴリ1購入した製品・サービス単体原料調達費、外部委託費から算出483.62カテゴリ2資本財連結設備投資額と排出原単位から算出24.11カテゴリ3Scope1、2に含まれない燃料及びエネルギー関連活動連結Scope1+2エネルギー使用量より算出51.93カテゴリ4輸送・配送(上流)単体特定荷主定期報告書に基づき算出4.28カテゴリ5事業活動から出る廃棄物国内連結一般、産業廃棄物の処分量より算出1.94カテゴリ6出張連結従業員人数と排出原単位から算出0.24カテゴリ7雇用者の通勤単体従業員の通勤費支給額より算出0.49カテゴリ8リース資産(上流)リース物件は全てScope1+2の集計対象であるため、Scope3としては対象外―カテゴリ9輸送・流通or配送(下流)多岐にわたる製品利用により、把握困難なため対象外―カテゴリ10販売した商品の加工WBCSD 化学セクター向けガイダンスに基づき対象外―カテゴリ11販売した商品の使用WBCSD 化学セクター向けガイダンスに基づき対象外―カテゴリ12販売した製品の廃棄多岐にわたる製品利用により、把握困難なため対象外―カテゴリ13リース資産(下流)賃貸目的のリース資産の保有がないため対象外―カテゴリ14フランチャイズフランチャイズ事業に該当するビジネスがないため非該当―カテゴリ15投資営利目的の投資活動はないため非該当―Scope3排出量合計566.60 当社グループのGHG排出量(Scope1+Scope2)は、前年と同水準で推移しています。 また、サプライチェーン排出量であるScope3は、原料調達費、外部委託費や設備投資額などの増加に伴い増加しました。 CO2排出量の最も多い四日市工場では、省エネルギー活動の推進だけでなく、バイオマス由来の再生可能エネルギー電力の活用、エネルギー負荷の少ない設備の導入や熱効率向上技術の検証、蓄熱材料の量産開発などさまざまな面から取り組んでいます。 〇人的資本、多様性価値創造のコアに関連するものとして特定した項目について、その指標と目標を以下のように設定しております。 人的資本項目KPI目標数値目標年度2024年度実績外部ナレッジ活用採用者数に占める中途採用者比率安定的に50%以上継続44.6%開発力指数研究職人員比率20%以上2030年度21.0%エンゲージメント向上エンゲージメント指数※170以上2030年度65.0離職率(自己都合退職)※13%以下継続2.7%人材育成従業員一人あたり研修費※16万円/人以上2025年度5.4万円/人柔軟な働き方育児休業取得率男性70% 女性100%2026年度男性66.6% 女性100%有給休暇取得率※180%以上継続2030年度77.8%安全衛生労働災害度数率※20達成2025年度0.69女性活躍女性管理職比率10%以上2026年度9.7%採用者に占める女性比率※130%以上2030年度24.3%組織強化・推進力向上管理部門再編によるガバナンス強化(定性的事項)―2024年度実施 (注) 特に記載がない限り、単体の集計値を記載※1 出向者の取扱いについては、社外への出向者を含め、社外からの出向者を除くものとしております。 ※2 単体生産拠点のみで算出しております。 |
戦略 | (2)戦略○気候変動当社グループにおける主な気候変動リスク・機会を外部情報に基づいて整理し、それぞれのリスク・機会に関する将来予想データを収集しました。 これに基づいて、脱炭素社会への移行に伴うリスク・機会と気候変動に起因する物理的リスク・機会について1.5~2℃/4℃シナリオのそれぞれで検討し、当社事業に2050年までに影響を与え得る重要なリスクと機会を分析しました。 その結果、1.5~2℃シナリオにおいて、CO2排出への炭素税賦課により操業コストが大きく上昇するリスクなどを特定しました。 この対応として、当社グループ全体でCO2排出量削減に取り組むことの重要性を認識しましたので、2050年のカーボンニュートラルに向け、各対応策を計画に沿って推進していきます。 なお、計画は各事業を取り巻く環境や社会の変化に応じて適宜見直します。 表)リスク重要度評価及びシナリオ分析から特定した事業リスク・機会 (時間軸) 短:0-5年、中:5-10年、長:10年以上 (財務影響) 大:±10億円以上、小:±10億円未満重要なリスク・機会の項目対象事業リスク・機会の説明事業機会・対応説明時間軸財務影響移行リスク政策/規制炭素税の導入、CO2排出量規制の強化有機無機CO2排出への炭素税賦課によるコストの増加(1.5℃:約172億円(2050年)のコスト影響*)中~長大(▲)・石炭ボイラー等の燃料転換・生産体制の再構築・CO2回収及び再生可能エネルギーの利用技術消費者ニーズの低炭素型製品への変化有機無機低環境負荷製品の開発及び生産体制の強化(財務影響は半導体需要の増加を試算対象として評価)中大(+)・環境負荷低減につながる電子部品(半導体等)や資材(IPM製品)などの拡販・新技術・新製品の創出(有機:AIやIoT等のスマート農業を視野に入れたIPM製品の開発)・設備投資/製品の開発時における補助金や補助制度の活用市場原材料価格の上昇(チタン鉱石・コークスなど)無機調達コスト増や入手難による価格上昇中大(▲)・収率の向上と廃棄物の削減・サプライヤーや業界と連携した調達段階のCO2削減エネルギー価格の変化有機無機石油・重油・ガス・電気などの急激な価格変化短~中小(▲)・多様なエネルギーミックス・徹底した省エネ評判顧客企業の環境配慮の意識の高まり有機無機脱炭素対応が遅れることによる受注減少や投資家評価の低下中―・積極的な環境負荷低減への取り組み・情報開示の充実物理的リスク急性台風や洪水などの極端な異常気象の過酷さの増加有機無機被災による物損コスト及び逸失利益の発生短大(▲)・BCP対策の拡充と訓練の実施・調達先の複数化・生産バックアップ体制の検討有機無機拠点の被災リスクが高まることによる保険料の上昇短小(▲)・保険契約内容の見直し有機農家の洪水被害による農薬資材の売上減少短小(▲)・異常気象によって発生する新たな課題に対応する資材の開発(耐雨性の高い資材や熱ストレスに対するバイオスティミュラントなど)・不確実性の高い生態系の変化(病害虫・雑草の発生等)を予測した重点開発・販売国の設定慢性平均気温の上昇/気象パターンの極端な変動有機生態系の変化に応じた資材を販売することによる売上機会の増加中~長小(+) *1.5℃シナリオ:2030年の炭素価格130ドル/tCO2、2050年の炭素価格250ドル/tCO2と想定(IEA Net Zero By 2050 参照) 〇人的資本、多様性2030年までに国内外の社会で起こるとみられる、気候変動や食糧問題をはじめとする数々の変化を前提に、当社グループのパーパスのもと、サステナブルな社会の実現に向けて貢献するとともに、その事業活動を通じて企業価値の向上を両立させるためには、当社グループの価値創造のコアがドライビングフォースとして機能し続けることが必要です。 それら価値創造のコアとその拡充に必要と考えられる人事施策である人的資本項目を図のように特定・関連付けております。 「人財が競争力の源泉」であるとの考えのもと、人的資本を拡充し経営戦略の達成につなげるためには、これまでの延長線上にない将来動向を踏まえ、新たな挑戦による改革・変革を評価する文化と仕組みが必要であることから、図のように当社グループの人財マネジメント方針を策定しました。 これを常に人財に対する考え方の軸とすることで、会社のパーパスと個人のキャリアビジョンが重なりあい、会社とともに個人も成長できるようにすることを目指しております。 特に人財育成においては、目指す人財像を「ものごとの基本を理解し、実践した上で“変える”ために、“変わる”ことのできる人」と定めており、その具体化として以下の5つを掲げ、その実現のための研修教育体系を整えております。 1.プロフェッショナルとしての責任感を持ち、高い成果を生み出す人財2.変化に対し、敏感・柔軟で、難局を乗り越える力のある人財3.会社の進むべき道、取り組むべき課題を捉え、推進する人財4.常に一段上、一歩前を目指し、進化し続ける人財5.ステークホルダーと協働し、仕事を通じてともに成長できる人財今後も「Vision 2030」の達成に向け、当該人財を育成するための施策、また当該人財が定着するための環境整備を推進するとともに、事業及びその事業環境の変化に応じ、必要なタイミングで戦略・施策の見直しや追加を実施します。 |
指標及び目標 | (4)指標及び目標○気候変動当社グループはCO2排出量(Scope1+Scope2)の削減目標を下記の通りに設定しております。 今後も引き続きカーボンニュートラルに向けた排出量削減に取り組むことにより、気候変動影響の緩和と適応を推進してまいります。 目標と2023年度までの進捗は、以下の通りです。 2030年:CO2排出量30%削減を目指す(2019年度比) 2050年:カーボンニュートラル(実質排出ゼロ)に挑戦する 表)当社グループの温室効果ガス(GHG)排出量[千t-CO2]GHG排出量(千t-CO2)2019年度(基準年)2020年度2021年度2022年度2023年度Scope1471408488476479Scope22019232224合計490427511498504 GHG排出量はGHGプロトコルに基づき算定なお、過年度を含めて、Scope1は温対法を考慮し、他社へのエネルギー供給に係る排出量を差し引いています。 表)Scope3のGHG排出量[千t-CO2]Scope3カテゴリ算出範囲算出基準2023年度カテゴリ1購入した製品・サービス単体原料調達費、外部委託費から算出483.62カテゴリ2資本財連結設備投資額と排出原単位から算出24.11カテゴリ3Scope1、2に含まれない燃料及びエネルギー関連活動連結Scope1+2エネルギー使用量より算出51.93カテゴリ4輸送・配送(上流)単体特定荷主定期報告書に基づき算出4.28カテゴリ5事業活動から出る廃棄物国内連結一般、産業廃棄物の処分量より算出1.94カテゴリ6出張連結従業員人数と排出原単位から算出0.24カテゴリ7雇用者の通勤単体従業員の通勤費支給額より算出0.49カテゴリ8リース資産(上流)リース物件は全てScope1+2の集計対象であるため、Scope3としては対象外―カテゴリ9輸送・流通or配送(下流)多岐にわたる製品利用により、把握困難なため対象外―カテゴリ10販売した商品の加工WBCSD 化学セクター向けガイダンスに基づき対象外―カテゴリ11販売した商品の使用WBCSD 化学セクター向けガイダンスに基づき対象外―カテゴリ12販売した製品の廃棄多岐にわたる製品利用により、把握困難なため対象外―カテゴリ13リース資産(下流)賃貸目的のリース資産の保有がないため対象外―カテゴリ14フランチャイズフランチャイズ事業に該当するビジネスがないため非該当―カテゴリ15投資営利目的の投資活動はないため非該当―Scope3排出量合計566.60 当社グループのGHG排出量(Scope1+Scope2)は、前年と同水準で推移しています。 また、サプライチェーン排出量であるScope3は、原料調達費、外部委託費や設備投資額などの増加に伴い増加しました。 CO2排出量の最も多い四日市工場では、省エネルギー活動の推進だけでなく、バイオマス由来の再生可能エネルギー電力の活用、エネルギー負荷の少ない設備の導入や熱効率向上技術の検証、蓄熱材料の量産開発などさまざまな面から取り組んでいます。 〇人的資本、多様性価値創造のコアに関連するものとして特定した項目について、その指標と目標を以下のように設定しております。 人的資本項目KPI目標数値目標年度2024年度実績外部ナレッジ活用採用者数に占める中途採用者比率安定的に50%以上継続44.6%開発力指数研究職人員比率20%以上2030年度21.0%エンゲージメント向上エンゲージメント指数※170以上2030年度65.0離職率(自己都合退職)※13%以下継続2.7%人材育成従業員一人あたり研修費※16万円/人以上2025年度5.4万円/人柔軟な働き方育児休業取得率男性70% 女性100%2026年度男性66.6% 女性100%有給休暇取得率※180%以上継続2030年度77.8%安全衛生労働災害度数率※20達成2025年度0.69女性活躍女性管理職比率10%以上2026年度9.7%採用者に占める女性比率※130%以上2030年度24.3%組織強化・推進力向上管理部門再編によるガバナンス強化(定性的事項)―2024年度実施 (注) 特に記載がない限り、単体の集計値を記載※1 出向者の取扱いについては、社外への出向者を含め、社外からの出向者を除くものとしております。 ※2 単体生産拠点のみで算出しております。 |
人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略 | 〇人的資本、多様性2030年までに国内外の社会で起こるとみられる、気候変動や食糧問題をはじめとする数々の変化を前提に、当社グループのパーパスのもと、サステナブルな社会の実現に向けて貢献するとともに、その事業活動を通じて企業価値の向上を両立させるためには、当社グループの価値創造のコアがドライビングフォースとして機能し続けることが必要です。 それら価値創造のコアとその拡充に必要と考えられる人事施策である人的資本項目を図のように特定・関連付けております。 「人財が競争力の源泉」であるとの考えのもと、人的資本を拡充し経営戦略の達成につなげるためには、これまでの延長線上にない将来動向を踏まえ、新たな挑戦による改革・変革を評価する文化と仕組みが必要であることから、図のように当社グループの人財マネジメント方針を策定しました。 これを常に人財に対する考え方の軸とすることで、会社のパーパスと個人のキャリアビジョンが重なりあい、会社とともに個人も成長できるようにすることを目指しております。 特に人財育成においては、目指す人財像を「ものごとの基本を理解し、実践した上で“変える”ために、“変わる”ことのできる人」と定めており、その具体化として以下の5つを掲げ、その実現のための研修教育体系を整えております。 1.プロフェッショナルとしての責任感を持ち、高い成果を生み出す人財2.変化に対し、敏感・柔軟で、難局を乗り越える力のある人財3.会社の進むべき道、取り組むべき課題を捉え、推進する人財4.常に一段上、一歩前を目指し、進化し続ける人財5.ステークホルダーと協働し、仕事を通じてともに成長できる人財今後も「Vision 2030」の達成に向け、当該人財を育成するための施策、また当該人財が定着するための環境整備を推進するとともに、事業及びその事業環境の変化に応じ、必要なタイミングで戦略・施策の見直しや追加を実施します。 |
人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績、指標及び目標 | 〇人的資本、多様性価値創造のコアに関連するものとして特定した項目について、その指標と目標を以下のように設定しております。 人的資本項目KPI目標数値目標年度2024年度実績外部ナレッジ活用採用者数に占める中途採用者比率安定的に50%以上継続44.6%開発力指数研究職人員比率20%以上2030年度21.0%エンゲージメント向上エンゲージメント指数※170以上2030年度65.0離職率(自己都合退職)※13%以下継続2.7%人材育成従業員一人あたり研修費※16万円/人以上2025年度5.4万円/人柔軟な働き方育児休業取得率男性70% 女性100%2026年度男性66.6% 女性100%有給休暇取得率※180%以上継続2030年度77.8%安全衛生労働災害度数率※20達成2025年度0.69女性活躍女性管理職比率10%以上2026年度9.7%採用者に占める女性比率※130%以上2030年度24.3%組織強化・推進力向上管理部門再編によるガバナンス強化(定性的事項)―2024年度実施 (注) 特に記載がない限り、単体の集計値を記載※1 出向者の取扱いについては、社外への出向者を含め、社外からの出向者を除くものとしております。 ※2 単体生産拠点のみで算出しております。 |
事業等のリスク | 3 【事業等のリスク】 (1)リスクマネジメント体制当社グループは、リスク管理の基本方針とその管理体制を「リスク管理規程」において定め、企業リスク管理委員会を組織し、事業を取り巻くさまざまなリスクに対して適切な管理とリスクの未然防止を図っております。 企業リスク管理委員会は、代表取締役社長を委員長とし、当社の各事業本部長から構成されております。 当社グループの企業リスク管理委員会は、年2回及び必要に応じて臨時に開催され、リスクアセスメントの取り纏めと対策を優先するリスク(対策優先リスク)等の選定、リスク対策計画の審議、リスク対策の実施状況の確認などを行い、その審議内容は取締役会へ報告されております。 なお、「重要課題(マテリアリティ)」「気候変動リスク」「人権に関わるリスク」等についてはサステナビリティ推進委員会が管轄し、企業リスク管理委員会と連携を取りながら対策の推進を図っております。 (2)リスクマネジメントのプロセス①リスクアセスメント当社グループでは、定期的に、各部門の事業構造の変化やグローバルな社会情勢等の当社を取り巻く外部環境の変化を考慮して、リスクの洗い出しと各リスクの影響度と発生可能性の評価を実施しております。 これらリスクアセスメントの結果は、企業リスク管理委員会での審議を経て、リスクマップに一覧化しております。 ②リスク対策計画の立案、推進及びモニタリングリスクアセスメントの結果に基づき、各リスクに対する責任者や対策部門が選定されます。 選定された責任者や部門は、リスクの回避・低減・移転及びその他必要な措置を検討し、対策計画を立案します。 この計画の進捗は、別に設定されたモニタリング責任者又は部署によりモニタリングされ、その結果に応じて対策計画の見直しや対策の改善が図られます。 (3)当社グループのリスク当社グループでは、各リスクの対策優先度に基づき、対策優先リスクや重要リスクなどにリスクを区分しております。 当社にとって、最も優先度が高いリスクについては、「対策優先リスク」として企業リスク管理委員会の審議を経てリスク対策計画が作成され、その進捗についても企業リスク管理委員会による管理を行っております。 ① リスクマップ (注) 1 当社グループの事業活動に影響を与える可能性のあるリスクを記載しておりますが、これらのリスクは必ずしもすべてのリスクを網羅したものではなく、想定していないリスクや重要性が低いと考えられるリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。 2 当社では、リスクを「当社に物理的、経済的もしくは信用上の損失又は不利益を生じさせるすべての可能性」と定義しております。 3 当社では、リスクの大きさ(影響度と発生可能性)については、リスクに対する評価者の認識を揃えるため、リスクシナリオを設定した上で損害額を評価しております。 ここでのリスクシナリオは、ワーストシナリオ(発生する可能性がある最大の脅威)を採用しております。 4 リスクの評価は当連結会計年度の期中を通じて行ったものです。 ② リスクと対策・対策優先リスク主なリスクリスクの説明主なリスク対策製品の承認・登録等の遅延・却下(農薬)世界的に農薬に関する法規制が強化されていく中、開発中の農薬の新製品が予定していた時期に上市できずに販売延期、もしくは上市を断念せざるを得なくなり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 ・適切な各国登録機関への対応・他社の農薬の登録評価や他社の登録対応状況の調査・専門性の高い分野に精通する人員の確保、登録ノウハウの着実な継承製品の承認・登録等の遅延・却下(動物薬)米国での完全承認や欧州での規制当局による承認が拒否された又は遅延した場合、販売が想定を大きく下回り、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 ・コンサルタントの活用も含めた、当局の規制・承認に係る動向の情報収集・製造委託先及び販売パートナーとの連携 地震・津波 酸化チタンの製造拠点である四日市工場が南海トラフ地震の被災想定地域に存在しているため、大規模な地震が発生し、津波・液状化等による重大被害を受けた場合、四日市工場の設備・製品等の損傷、工場の生産や事業活動の停止、人的被害等を引き起こし、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 ・当社四日市工場における老朽化施設の耐震化補強・四日市での複数諸点(高台等)での製品保管・事業継続計画の更新・地震事業継続費用保険(四日市工場)の付保・金融機関との震災対応型コミットメントラインの締結原料の調達困難、外注先の問題 当社は多くの原料を海外から調達しております。 産出地での操業事故・政情不安や環境規制の強化による生産停止等により、特定の原料を購買調達できなくなることにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 また海外における外注委託先についても、相手先国での法規制の強化や取引先での操業事故等により、調達に制約を受ける場合があります。 その結果、調達コストの上昇、生産の遅延等が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 ・複数の国の様々な調達先からの購買の実施・委託先や購買先との緊密な連携・迅速な計画調整と適正な在庫管理・使用可能な原料品種の拡大 グループ会社のガバナンス不全 当社は、関係会社管理規程や内部監査等により適正なグループ経営の確保に努めておりますが、海外のグループ会社等に対する統制が完全に行き届かないがために、不正会計や贈収賄、品質不正等が発覚した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 当社はグループガバナンス強化の取り組みを進めております。 ・3ラインモデル(事業部門、間接部門、 内部監査部門)の機能・役割の整理及び 明文化・グループ会社に関する規程・ルールの精 緻化と周知・内部監査の強化サイバー攻撃当社社員が受信した巧妙な標的型攻撃メールを開封したことによりマルウェアに感染し、社内ネットワークを通じて他端末やサーバーへ拡散した結果、ファイルが勝手に改ざん・送信されて顧客情報や契約書類などの機密データが外部へ漏洩した場合、当社は信用失墜と多額の損害を被る可能性があります。 ・サイバー攻撃による機密情報漏えい防止に関する施策の実施・サイバー攻撃からのシステム保護とセキュリティ対策強化の実施・サイバーリスク保険の補償内容の充実 ・重要リスク(抜粋)主なリスクリスクの説明主なリスク対策設備・機械の経年劣化・故障無機化学事業は装置産業であり、これを生産する当社四日市工場では、多額の設備投資や設備修繕費を必要としております。 四日市工場で、重要な設備・機械が経年劣化や腐食等により運転不能となり操業が停止することにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 ・定期修理時の確実な補修と予防保全の実施・適切な時期での設備更新・バックアップ体制の構築の推進 法令・規制等の改正・強化 農薬の登録要件などの見直しにより、当社グループの製品がその要件等を満たさなくなった場合、再登録が認められず失効し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 ・法令規制、登録要件に関する適切な情報収集原材料の高騰酸化チタンの主要原料であるチタン鉱石は、すべて海外からの調達に依存しております。 そのような中、サプライヤー側では大手メーカーによる市場の寡占化が進んでおります。 チタン鉱石やその他原材料価格の高騰や、調達コストの増加分を販売価格に転嫁し切れない場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 ・販売価格への転嫁・複数の国の様々な調達先からの購買の実施・安価で低品位なチタン鉱石の使用検討燃料価格の高騰供給不安や輸送費用の上昇による、石炭や天然ガス等の燃料価格高騰は、当社グループの製造コストの上昇につながります。 これらのコストを自助努力で吸収できず、また製品の販売価格にも十分転嫁できなかった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 ・省エネルギー活動・販売価格への転嫁 新規参入・競争激化農薬業界では、世界的な大型再編を通じて大手競合メーカーによる市場の寡占化が進んでおります。 また、世界的にジェネリック農薬の普及が進み、価格競争が激しくなる等、農薬市場の競争環境は激しさを増してきております。 一方で、酸化チタンでは、海外競合メーカーが再編による事業拡大を目指し、また、中国メーカーが生産能力を増強している中、販売環境は厳しさを増しております。 これら競争環境の激化が、当社のマーケットシェアの減少を通じて、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 ・製造費用の低減による競争力の強化・農薬分野での新規剤、混合剤開発による差別化・電子部品材料を主とした拡販有害物質の流出等の環境リスク 生産活動を行う上で発生する排ガス、排水、産業廃棄物等の処理に関して、不測の事態等により生産活動の制限や追加的な対策コストが発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 ・より厳格な管理基準値による運用(大気への排出、公共用水域への排水等)・産業廃棄物の適切な処理・管理及び処分場の確保 主なリスクリスクの説明主なリスク対策農薬薬害当社グループでは、製品の品質管理体制を整備しながら品質水準の確保に努めております。 一方で、農薬製品においては、予期せぬ事象により大きな品質問題が発生する可能性もあり、損害賠償額が生産物賠償責任保険金額を上回る場合があります。 その結果、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 ・圃場での栽培試験による安全性確認強化・農薬製品の適切な使用方法の普及・周知技術流出当社グループは、保有する技術・営業等の事業に係る機密情報等の外部流出を防ぐため、社内規程の整備とその運用の徹底を通じて万全を期しております。 しかしながら、不測の事態によりこれらの技術が漏洩した場合、当社の競争力低下が予測され、当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。 ・当社技術についての特許等の知的財産権の出願・権利化・当社機密情報及び権利の保護に関する契約の締結異常気象による農薬販売数量の低下近年、世界的に発生が増加傾向にある台風、豪雨や干ばつ等の異常気象によって、各地域の農薬の需要が減少した場合は、当社農薬の販売数量が減少し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 ・異常気象に係る情報収集と必要に応じ生産調整を行う体制の構築・適正在庫の維持・対象市場の複数化景気低迷無機化学事業の業績は、主たる製品用途である建築・自動車・電子部品材料などの需要動向に大きく左右されます。 世界経済の低迷に伴い、特に主要市場である日本やアジア地域での需要が縮小した場合、販売数量が減少し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 ・電子部品材料を主とした拡販・迅速な計画調整と適正な在庫管理 気候変動に関わる規制の強化当社四日市工場は石炭ボイラー等を用いた蒸気供給及び発電を行っております。 今後、炭素税の賦課や排出規制の強化が進んだ場合、当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。 ・エネルギー転換を伴うGHG排出量削減計画・ロードマップの実現によるカーボンニュートラルの推進製品・技術開発の遅延・中止新製品や新技術の開発期間中に市場変化や技術革新等が発生し、新製品の上市を延期、又は断念せざるを得なくなった場合、当社グループの将来の成長と収益に影響を及ぼす可能性があります。 ・開発の進捗状況のチェック・開発テーマの定期的な見直し火災・爆発当社四日市工場や主要グループ会社の生産設備等で、大規模な火災・爆発等が発生した場合、当該施設の操業が中断し生産・出荷等の製造活動が困難となることが予見され、当社グループの業績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。 ・設備保全計画策定と自主保安の推進・プラントの健全性の評価人材不足、技能非継承少子・高齢化や労働市場の需給バランスの変化、人材流動化の進展等により、必要とする人材の確保や熟練者から若手への技能継承が十分にできなかった場合、計画していた業務が予定通り進まず、見込んでいた収益を大きく下回り、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 ・新卒・キャリアとも多チャンネルによる採用活動の実施・ノウハウ等の取り纏め(見える化)・人材育成の推進、離職防止のための働きやすい職場環境・制度の検討関税の高騰米国により発動された高関税政策が進められた場合、米国市場での販売減少、代替供給元への切替による取引縮小、サプライチェーンの混乱等が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 米国の関税政策が今後どのように進められるかについては見通しが立っておらず、現時点では当社への影響も不透明な状況です。 今後の状況の変化に応じて、以下のリスク対策が考えられます。 ・高関税地域での製造を関税の影響が少ない国へ一部移管・関税の影響が軽微な地域における販売の強化・一部関税コストの価格への転嫁 |
経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 | 4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 (経営成績等の状況の概要) (1) 経営成績の状況当期(2024年4月1日から2025年3月31日)は、国内景気が緩やかな回復を示す一方、個人消費や設備投資の伸びは限定的で、回復力に地域や業種によってばらつきが見られました。 国際的には、トランプ氏の米大統領再選に伴う通商政策の先行き不透明感に加え、地政学リスクや継続するインフレ圧力、為替市場の変動などが重なり、世界経済は不安定な推移を続けました。 当社グループの主力事業を取り巻く環境においては、有機化学事業では、主力製品である農薬が欧州での販売が好調により堅調に推移しました。 無機化学事業では、機能性材料は国内販売が低調だったものの、海外販売が好調に推移しました。 一方、酸化チタンは国内需要の落ち込みが影響しました。 このような状況下、当社グループは、長期ビジョンとして「Vision 2030 独創・加速・グローバル。 化学の力で暮らしを変える。 」を掲げ、2024年度から2026年度の3か年の中期経営計画「Vision 2030 StageⅡ」に取り組み、サステナビリティを基盤に据えた事業活動の推進を強化し、企業価値向上を目指しております。 この結果、当期の連結業績は、売上高1,451億円(前期比67億円増)、営業利益104億円(前期比10億円減)、経常利益113億円(前期比34億円減)、親会社株主に帰属する当期純利益84億円(前期比4億円増)となりました。 事業の種類別セグメントの状況は次のとおりであります。 (有機化学事業)農薬では、海外販売について、欧州では湿潤な気候の影響により殺菌剤の販売が好調に推移しました。 また、殺虫剤等安定した供給を維持できたこともあり堅調に推移しました。 米州では、殺菌剤において流通在庫の問題は解消しつつあるものの、中国製ジェネリック品との価格競争が激化しており、回復は緩やかにとどまりました。 一方、除草剤は流通在庫の過多により販売が低迷しました。 農薬以外では、動物用医薬品や医薬品原末などのヘルスケア事業の売上高が前期を下回りました。 この結果、有機化学事業の売上高は、677億円(前期比6億円増)、営業利益は124億円(前期比11億円増)となりました。 (無機化学事業)機能性材料では、電子部品用材料の国内販売が低迷した一方、海外販売は好調に推移しました。 導電性材料も海外向けを中心に堅調な販売が継続し、売上高は151億円(前期比3億円増)となりました。 酸化チタンでは、建築用途向けを中心に国内需要が低迷し、国内販売は低調に推移しましたが、在庫の適正化を目的にアジア向けの拡販に注力した結果、販売は増加し売上高は581億円(前期比48億円増)となりました。 損益面では、EU等でのアンチダンピング規制により安価な中国製酸化チタンがアジア市場に流入し、市況が悪化したことで収益性が低下したことや、在庫適正化のため生産調整を行ったことにより固定費負担が増加したことなどから、減益となりました。 この結果、無機化学事業の売上高は732億円(前期比52億円増)、営業利益は15億円(前期比16億円減)となりました。 (その他の事業)売上高は41億円(前期比9億円増)、営業利益は7億円(前期比4億円増)となりました。 (2) 財政状態の状況当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末比7億円増加の2,250億円となりました。 これは、現金及び預金が49億円、有形固定資産が50億円、投資有価証券が18億円それぞれ増加しましたが、売掛金が22億円、棚卸資産が85億円減少したことなどによるものです。 負債は、前連結会計年度末比75億円減少の1,106億円となりました。 これは、長短借入金・社債が14億円、未払費用が8億円それぞれ増加しましたが、支払手形及び買掛金が61億円、電子記録債務が6億円、未払法人税等が5億円減少したことなどによるものです。 純資産は、利益剰余金が57億円、為替換算調整勘定が15億円それぞれ増加し、前連結会計年度末比83億円増加の1,144億円となりました。 (3) キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ49億円増加し、249億円となりました。 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは、183億円の収入(前期は28億円の支出)となりました。 これは、税金等調整前当期純利益108億円、減価償却費及びその他の償却費57億円、売上債権の減少21億円、棚卸資産の減少99億円などの資金増加要因がありましたが、仕入債務の減少72億円などの資金減少要因があったことなどによるものです。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは、114億円の支出(前期は70億円の支出)となりました。 これは、固定資産の取得などによるものです。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは、23億円の支出(前期は115億円の収入)となりました。 これは、長短借入金・社債の純増14億円、リース債務及び割賦債務の返済10億円、配当金の支払26億円などがあったことによるものです。 当社グループは、事業の収益力を高めることで経営環境の変化に耐え得る強固な財務基盤の構築を目指しております。 具体的には、安定した期間利益を計上し、着実に自己資本比率を高めるとともに、高いキャッシュ・フローの創出力を通じた有利子負債の削減を進めております。 当社グループの資金需要の主なものは、原料費、労務費、委託費など製品の製造にかかわる製造費用の他、販売費や農薬を中心とした研究開発費を含む一般管理費など事業活動に必要な運転資金に加えて、四日市工場操業設備の新設や維持更新及び有機研究開発施設の新設などの設備資金であります。 原料鉱石価格の高止まりや設備投資、研究開発による高い資金需要が引き続き想定されることから、今後の資金調達については、手元資金や営業活動によるキャッシュ・フローから創出するとともに、金融機関からより安定的で低コストの借入を実施していきます。 さらに突発的な資金需要に備え、主要金融機関との間で180億円のコミットメントライン契約を締結し、手元流動性を確保しております。 当社の企業集団のキャッシュ・フロー指標を示すと、次のとおりであります。 2021年3月期2022年3月期2023年3月期2024年3月期2025年3月期自己資本比率(%)44.249.548.347.350.8時価ベースの自己資本比率(%)20.223.221.130.130.3債務償還年数(年)12.73.1--3.9インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)8.330.8--23.8 (注)1 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値より算出しております。 2 有利子負債にはリース債務等を含んでおります。 3 各指標は以下の算式により計算しております。 ※自己資本比率:自己資本/総資産※時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産 (株式時価総額は期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。 )※債務償還年数:有利子負債/営業活動によるキャッシュ・フロー※インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業活動によるキャッシュ・フロー/利払い4 2023年3月期及び2024年3月期は、営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスであるため、債務償還年数及びインタレスト・カバレッジ・レシオの記載を省略しております。 (4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。 この連結財務諸表の作成にあたって、重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。 なお、連結決算日における資産及び負債の連結貸借対照表上の金額及び連結会計年度における収益及び費用の連結損益計算書の金額の算定には、将来に関する判断、見積りを行う必要があり、当社グループは過去の実績や状況等を勘案し、合理的に判断しておりますが、今後の環境、条件等の変動により、当社グループの連結財務諸表に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループとしては、以下に記載する会計上の見積りは当社グループにとって重要であると判断しております。 ① 投資の減損当社グループは、取引関係維持のために販売先や金融機関の株式を保有しております。 これらの株式には、価格変動性の高い公開会社の株式と株価の決定が困難な非公開会社の株式が含まれております。 公開会社の株式への投資の場合、期末における時価が取得原価に比べ50%以上下落した場合には減損処理を行い、30~50%程度下落した場合には、回復可能性を考慮して必要と認められた額について減損処理を行っております。 また、非公開会社の株式への投資の場合、それらの会社の純資産額が取得原価に比べ50%以上下落した場合には減損処理を行い、30~50%程度下落した場合には、回復可能性を考慮して必要と認められた額について減損処理を行っております。 ② 繰延税金資産当社グループは、回収可能性がないと判断される繰延税金資産に対して評価性引当額を設定し、適切な繰延税金資産を計上しております。 評価性引当額の算定においては、将来の課税所得と実現性の高いタックスプランニングに基づいて検討を行っております。 ③ 固定資産の評価当社グループは、資産又は資産グループに減損の兆候を示す事象がある場合には、当該資産又は資産グループについて、減損損失を認識するか否かの判定を行っております。 減損の兆候を示す事象とは、資産又は資産グループが使用されている営業活動から生ずる損益又はキャッシュ・フローが、継続してマイナスとなっているか、又は、継続してマイナスとなる見込みである場合や、経営環境の著しい悪化を把握した場合等であります。 (生産、受注及び販売の状況) (1) 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 セグメントの名称生産高(百万円)前年比(%)有機化学事業48,255△1.8無機化学事業62,902△16.8合計111,157△10.9 (注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。 2 金額は、販売価格によっております。 (2) 受注状況当社グループは、主として見込み生産を行っております。 (3) 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 セグメントの名称販売高(百万円)前年比(%)有機化学事業67,7710.9無機化学事業73,2497.7その他の事業4,17528.8合計145,1964.9 (注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。 2 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。 なお、前連結会計年度において、三井物産株式会社及び長瀬産業株式会社に対する販売割合は、10%未満であるため、記載を省略しております。 相手先前連結会計年度当連結会計年度販売高(百万円)割合(%)販売高(百万円)割合(%)三井物産株式会社― ― 15,57310.7長瀬産業株式会社――15,19510.5 |
研究開発活動 | 6 【研究開発活動】 当社グループは「「社会」、「生命」、「環境」に貢献する。 」という基本理念に基づき、有機化学、無機化学の各分野における新製品の開発や生産技術の向上に取り組むとともに、世界的な関心が高まる環境、エネルギー、バイオ、IT、食料等の各領域において、有機、無機の垣根にこだわることなく、新規事業の探索にも取り組んでおります。 当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、10,736百万円となりました。 セグメントごとの研究開発は、次のとおりであります。 (有機化学事業)農薬については、自社開発原体を中心に新規製剤や新規混合剤の開発の他、農薬登録国や適用作物の拡大などに向けた研究開発に注力して取り組んでおります。 成長戦略剤のひとつである殺虫剤シクラニリプロール(チョウ目・カメムシ目を始め広いスペクトラムを持つ)は、米国、カナダ、ブラジル、メキシコ等の米州諸国、インド、オーストラリア、韓国や日本で販売しております。 2025年にはフィリピン、ベトナム、マレーシア、イスラエルなどでの販売開始を目指しております。 人畜・作物安全性に優れるトウモロコシ用除草剤トルピラレートは、2017年に米国で単剤の販売を開始して以降、販売地域をアルゼンチン、メキシコ、チリ、フィリピン、カナダ、韓国、米国、ブラジル及び日本に拡大しました。 ウクライナでは2024年から混合剤の販売を開始しました。 引き続き、中南米、アジア、大洋州で開発を進めており、順次販売を開始します。 当初はトウモロコシ専用除草剤として開発してきましたが、2019年より麦類での商業化を進め、麦類を対象とした製品向けのトルピラレート原体販売をカナダでは2023年に、米国では2024年から開始しました。 当社の農薬事業は、自社創生・開発の新農薬をベースとしておりますが、環境変化の激しい昨今、他社開発剤の導入や他社との共同開発にも積極的に取り組んでおります。 なかでも、非選択性除草剤チアフェナシルは韓国FarmHannong社と世界的に共同開発を行っております。 当社は成長戦略剤のひとつに位置づけ開発、販売に注力しております。 国内の食の安全・安心志向の高まりや抵抗性発達あるいは耐性菌発生を防ぐために有効な既存化学農薬が不足しているなどの市場ニーズに対応するため、微生物殺菌剤、接触型忌避剤、天敵昆虫及びバイオスティミュラントなどのバイオロジカル製品群も開発、販売しております。 2023年よりイネの高温ストレス耐性を促すバイオスティミュラント製品「ライスフル」の販売も開始しました。 当社は、近未来の植物防疫の姿を見据え、これら一連の安全性が高く環境負荷に配慮した当社創製化学農薬群とバイオロジカル製品とを組み合わせて、独自のIPMやICMプログラムを確立していきます。 また、従来の化学農薬のコンセプトである農薬用途以外に、生活環境での防疫や環境保全においても当社製品を含む有機化学技術の普及拡大を目指しております。 農薬以外では、ヘルスケア事業(動物用医薬品、人体用医薬品・医療機器関連)についても、特色ある商品開発を進めております。 動物用医薬品では、フザプラジブナトリウム(一水和物)がイヌ膵炎急性期用抗炎症剤として、日本国内では『パノクエル』及び『ブレンダ』、米国では『PANOQUELL』のブランド名で販売されております。 適応疾患の拡大や他の炎症性疾患向け、さらにフザプラジブナトリウム(一水和物)以外の治療薬など、後続するパイプラインの整備を推進中であります。 人体用医薬品・医療機器分野では、口腔乾燥症状改善薬であるセビメリン塩酸塩の原薬を1999年より製造し、国内外の製薬会社へ販売しております。 その他に、当社の要素技術や独自開発した物質を応用することで生まれた、効能・効果の高い人体用医薬品や医療機器の商品開発を進めております。 当事業における研究開発費は、9,802百万円となりました。 (無機化学事業)長年に亘る酸化チタン事業で蓄積されてきた技術をベースに、既存製品の収益拡大、新規製品・新規事業の開発に力を入れて取り組んでおります。 機能性色材事業に関し、収益拡大の取り組みとして、化粧品用酸化チタンは水中油滴型日焼け止めに使用し易い微粒子酸化チタンの設計が完了し、省エネに寄与する遮熱顔料は市場要望に応じた品質改良に取り組み、どちらも量産化の準備段階に進みました。 新規製品の取り組みとして、LUSHDE BLACKブランドで展開している硫化ビスマス黒色顔料は特異な反射特性(可視光吸収、赤外線反射)と漆黒度が高いことから引き合いが多く、顧客との遣り取りを行いながら、工業化も含めて商品化検討を進めております。 また、SILKIAブランドとして展開している“シルクのような質感”と“光輝感”を両立した色彩顔料は、技術難度が高く世界唯一の色彩顔料であり、引き続き、安定製造方法の確立と表面改質に取り組んでおります。 電子材料事業に関し、収益拡大の取り組みとしては、電気自動車、第5世代通信(5G)、及びデータセンターなどで需要拡大が期待される次世代の積層セラミックコンデンサー(MLCC)用の高純度酸化チタンの開発に注力しております。 微粒子で分散性に優れた開発品を含め種々の粒子径サイズ品をラインナップすることで、顧客の汎用から最先端用途までの要求に応えるべく改良を進めており、工業化検討の段階に進んでいます。 新規製品の開発に関しては、有機/無機の材料合成技術を活用し“酸化チタンの特徴である高屈折率”と“微粒子化による透明性”を両立した酸化チタンの溶剤分散体を開発し、AR(拡張現実)やVR(仮想現実)用デバイスセンサーなどの次世代光学材料用途向けに顧客が要望する改良に取り組んでおります。 また、既存品より低温で成膜することを特徴とする銅ナノ粒子は需要家への紹介を進めるとともに市場投入に向けて工業化などの検討を進めております。 ファインケミカル事業に関し、収益拡大の取り組みとしては、既存の主力製品である「高耐候性酸化チタン」について、さらなる成長に向けた改良に取り組んでおります。 また、新規事業の創出を目的として、蓄熱材料(ハスクレイ)の市場投入に向け、用途開拓とともに生産体制の確立を進めております。 当事業における研究開発費は、787百万円となりました。 なお、当連結会計年度におけるセグメントに帰属しない全社共通の研究開発費の金額は147百万円となりました。 |
設備投資等の概要 | 1 【設備投資等の概要】 当社グループ(当社及び連結子会社)は、長期的に成長が期待できる製品分野及び研究開発分野に重点を置き、設備の増強、更新、合わせて省力・合理化並びに製品の信頼性向上のための投資を行っております。 当連結会計年度は、製造工場の生産効率化、安全・環境対策などを主体に、10,169百万円の設備投資を実施しました。 なお、セグメントごとの主な内訳は、有機化学事業4,318百万円、無機化学事業5,621百万円、その他の事業37百万円、全社共通192百万円であります。 |
主要な設備の状況 | 2 【主要な設備の状況】 当社グループ(当社及び連結子会社)における主要な設備は、次のとおりであります。 (1) 提出会社2025年3月31日現在事業所名(所在地)セグメントの名称設備の内容帳簿価額(百万円)従業員数(人)建物及び構築物機械装置及び運搬具土地リース資産その他合計(面積千㎡)金額四日市工場(三重県四日市市)(注2,3)有機化学事業及び無機化学事業生産設備及び研究開発設備 7,424[0](94)9,805 (1)708[13](0)584[29]226(5)4,732 (100)22,773[29]704中央研究所(滋賀県草津市)(注2)有機化学事業研究開発設備1,133(27)191 381,274319 (2)103 (30)3,022 199大阪本社(大阪市西区)(注2)有機化学事業、無機化学事業及び全社共通その他設備(289)50 ---299(3)95 (292)445 196東京支店(東京都千代田区)(注2)有機化学事業及び無機化学事業その他設備(55)510 (1)0 01,7881(3)9 (61)2,309 34 (2) 国内子会社2025年3月31日現在会社名事業所名(主な所在地)セグメントの名称設備の内容帳簿価額(百万円)従業員数(人)建物及び構築物機械装置及び運搬具土地リース資産その他合計(面積千㎡)金額石原バイオサイエンス(株)本社及び東京支店(東京都千代田区)他国内4営業拠点(注2)有機化学事業その他設備(16)- ---20(16)2 77石原テクノ(株)本社(大阪市西区)他東京支店を含め2営業拠点(注2)有機化学事業、無機化学事業及びその他の事業その他設備(0)51 -021900(0)271 32富士チタン工業(株)本社及び神戸工場(神戸市北区)他国内1工場(注2,3)無機化学事業生産設備、研究開発設備及びその他設備(38)303[0]1,542(26)134[0](59)416[0]34242(98)2,539[1]161 会社名事業所名(主な所在地)セグメントの名称設備の内容帳簿価額(百万円)従業員数(人)建物及び構築物機械装置及び運搬具土地リース資産その他合計(面積千㎡)金額MFマテリアル(株)本社及び延岡工場(宮崎県延岡市)他国内1工場(注2)無機化学事業生産設備、研究開発設備及びその他設備(3)2,183 467(40)38 (16)456 -(0)4,506 (19)7,614 166石原エンジニアリングパートナーズ(株)本社(三重県四日市市)(注2,3)その他の事業その他設備(3)386[79]32(6)- (6)- - 22[7](9)441[87]95 (3) 在外子会社2025年3月31日現在会社名事業所名(主な所在地)セグメントの名称設備の内容帳簿価額(百万円)従業員数(人)建物及び構築物機械装置及び運搬具土地リース資産その他合計(面積千㎡)金額ISK AMERICAS INCORPORATED本社(OHIO U.S.A.)他米国子会社11社(注2)有機化学事業及び無機化学事業その他設備(60)510 (40)385 199341(14)87 (115)1,335 89ISK BIOSCIENCES EUROPE N.V.本社(DIEGEM BELGIUM)(注2)有機化学事業その他設備(15)- (21)- --134(1)28 (39)162 42台湾石原産業(股)本社(中華民国 台北市) 無機化学事業その他設備69-092-21646 (注) 1 帳簿価額のうち「その他」は、工具器具・備品及び建設仮勘定の合計額であります。 2 ( )書数字は、連結会社以外の者より借用のもので面積又は当連結会計年度に係る賃借料を外数表示しております。 3 [ ]書数字は、連結会社以外の者へ貸与中のもので面積又は貸与部分に係る帳簿価額を内数表示しております。 |
設備の新設、除却等の計画 | 3 【設備の新設、除却等の計画】 (1)重要な設備の新設等会社名事業所名(所在地)セグメントの名称設備の内容投資予定額資金調達方法着手年月完了予定年月 完成後の増加能力総額(百万円)既支払額(百万円)石原産業(株)ひょうご小野研究センター(兵庫県小野市)有機化学事業研究開発設備7,2813,060自己資金及び借入金2024年5月2025年11月-MFマテリアル(株)延岡第2工場(宮崎県延岡市)無機化学事業機能性材料(チタン酸バリウム)製造工場建設9,5534,458自己資金及び借入金2023年10月2027年7月生産能力増強 (2)重要な設備の除却等該当事項はありません。 |
研究開発費、研究開発活動 | 147,000,000 |
設備投資額、設備投資等の概要 | 192,000,000 |
Employees
平均年齢(年)、提出会社の状況、従業員の状況 | 44 |
平均勤続年数(年)、提出会社の状況、従業員の状況 | 18 |
平均年間給与、提出会社の状況、従業員の状況 | 7,162,000 |
管理職に占める女性労働者の割合、提出会社の指標 | 0 |
全労働者、労働者の男女の賃金の差異、提出会社の指標 | 1 |
正規雇用労働者、労働者の男女の賃金の差異、提出会社の指標 | 1 |
非正規雇用労働者、労働者の男女の賃金の差異、提出会社の指標 | 0 |
Investment
株式の保有状況 | (5) 【株式の保有状況】 ① 投資株式の区分の基準及び考え方当社は、専ら株式の価値の変動又は株式に係る配当によって利益を得ることを目的として保有する株式を純投資目的である投資株式としており、事業戦略上、取引先と円滑かつ安定的・継続的な取引関係の構築により、当社の企業価値向上に資すると判断される投資株式を政策保有株式として純投資目的以外の投資株式に区分しております。 なお、当社が保有する株式はすべて純投資目的以外の投資株式であります。 ② 保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式a.保有方針及び保有の合理性を検証する方法並びに個別銘柄の保有の適否に関する取締役会等における検証の内容当社は、事業戦略上、取引先と円滑かつ安定的・継続的な取引関係の構築により当社の企業価値向上に資すると判断される場合に政策的に株式を保有しております。 現在保有する個々の政策保有株式の保有の合理性は、保有目的が適切か、資本コストを意識した中で、保有に伴う便益やリスクに見合っているか等に基づき、定量的・定性的に評価することにより、総合的な観点から取締役会で定期的に検証し、その検証結果に基づき継続保有又は売却の判断を行っております。 b.銘柄数及び貸借対照表計上額 銘柄数(銘柄)貸借対照表計上額の合計額(百万円)非上場株式16968非上場株式以外の株式101,237 (当事業年度において株式数が増加した銘柄) 銘柄数(銘柄)株式数の増加に係る取得価額の合計額(百万円)株式数の増加の理由非上場株式――非上場株式以外の株式20株式分割による増加及び取引先持株会を通じての株式取得 (当事業年度において株式数が減少した銘柄) 銘柄数(銘柄)株式数の減少に係る売却価額の合計額(百万円)非上場株式――非上場株式以外の株式182 c.特定投資株式及びみなし保有株式の銘柄ごとの株式数、貸借対照表計上額等に関する情報特定投資株式銘柄当事業年度前事業年度保有目的、業務提携等の概要、定量的な保有効果及び株式数が増加した理由当社の株式の保有の有無(注1)株式数(株)株式数(株)貸借対照表計上額(百万円)貸借対照表計上額(百万円)大日精化工業株式会社154,600154,600(保有目的)樹脂着色・インキ業界における当社無機事業の主要顧客であり、今後の企業間取引の維持のため(定量的な保有効果)当社の主要な顧客であり営業上の取引関係の維持・強化を目的として保有している。 定量的な保有効果の算出・記載は困難であるが、保有目的が適切か保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合うか等を精査し株式保有の合理性を総合的に判断している。 有464461株式会社三井住友フィナンシャルグループ128,18742,729(保有目的)金融機関として、資金調達等の円滑化を図るため(定量的な保有効果)当社事業戦略に応じた資金の競争力のある安定的な供給元であり、金融取引の維持・強化を目的として保有している。 定量的な保有効果の算出・記載は困難であるが、保有目的が適切か、保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合うか等を精査し株式保有の合理性を総合的に判断している。 (増加理由)2024年10月1日付で、1株につき3株の割合で株式分割が行われたため。 無(注2)486380イサム塗料株式会社―24,000塗料業界における当社無機事業の主要顧客であり、企業間取引の維持を目的として保有していたが、取引への影響がないと判断されたことから、当事業年度において全株式を売却した。 有―83三井住友トラストグループ株式会社26,08626,086(保有目的)金融機関として、資金調達等の円滑化を図るため(定量的な保有効果)当社事業戦略に応じた資金の競争力のある安定的な供給元であり、金融取引の維持・強化を目的として保有している。 定量的な保有効果の算出・記載は困難であるが、保有目的が適切か、保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合うか等を精査し株式保有の合理性を総合的に判断している。 無(注2)9786カネコ種苗株式会社27,22227,222(保有目的)当社有機事業の農薬製品主要顧客であり、今後の企業間取引の維持のため(定量的な保有効果)当社の事業戦略上、主要な顧客であり営業上の取引関係の維持・強化を目的として保有している。 定量的な保有効果の算出・記載は困難であるが、保有目的が適切か、保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合うか等を精査し株式保有の合理性を総合的に判断している。 有3839株式会社三十三フィナンシャルグループ17,01817,018(保有目的)金融機関として、資金調達等の円滑化を図るため(定量的な保有効果)当社事業戦略に応じた資金の競争力のある安定的な供給元であり、金融取引の維持・強化を目的として保有している。 定量的な保有効果の算出・記載は困難であるが、保有目的が適切か、保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合うか等を精査し株式保有の合理性を総合的に判断している。 無(注2)4035 銘柄当事業年度前事業年度保有目的、業務提携等の概要、定量的な保有効果及び株式数が増加した理由当社の株式の保有の有無(注1)株式数(株)株式数(株)貸借対照表計上額(百万円)貸借対照表計上額(百万円)日本農薬株式会社63,18463,184(保有目的)同社とは国内における既存剤の維持拡大、販売ポートフォリオ拡充や販路拡大において協力関係にあり、今後の協業関係維持のため(定量的な保有効果)当社の事業戦略上、主要な関係先であり営業上の取引関係の維持・強化を目的として保有している。 定量的な保有効果の算出・記載は困難であるが、保有目的が適切か、保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合うか等を精査し株式保有の合理性を総合的に判断している。 有4652菊水化学工業株式会社60,00060,000(保有目的)当社無機事業における主要顧客であり、今後の企業間取引の維持のため(定量的な保有効果)当社の主要な顧客であり営業上の取引関係の維持・強化を目的として保有している。 定量的な保有効果の算出・記載は困難であるが、保有目的が適切か、保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合うか等を精査し株式保有の合理性を総合的に判断している。 有2224日本トランスシティ株式会社33,66233,662(保有目的)製品保管・出荷とう物流業務の主要委託先であり、今後の企業関係維持のため(定量的な保有効果)安定的な物流網の確保・運営の観点から、円滑な取引関係の維持・強化を目的として保有している。 定量的な保有効果の算出・記載は困難であるが、保有目的が適切か、保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合うか等を精査し株式保有の合理性を総合的に判断している。 無2922高圧ガス工業株式会社5,8005,800(保有目的)当社無機事業の主要顧客であり、今後の企業間取引の維持のため(定量的な保有効果)当社の主要な顧客であり営業上の取引関係の維持・強化を目的として保有している。 定量的な保有効果の算出・記載は困難であるが、保有目的が適切か、保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合うか等を精査し株式保有の合理性を総合的に判断している。 無(注2)55太陽誘電株式会社2,6752,408(保有目的)当社無機事業における機能性材料の主要顧客であり、今後の企業間取引の維持のため(定量的な保有効果)当社の主要な顧客であり営業上の取引関係の維持・強化を目的として取引先持株会を通じて取得・保有している。 定量的な保有効果の算出・記載は困難であるが、保有目的が適切か、保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合うか等を精査し株式保有の合理性を総合的に判断している。 (増加理由)取引先持株会を通じた株式の取得。 機能性材料事業における主要需要家であり、取引関係の維持、拡大のため無68 (注) 1 当社の株主名簿等により確認できる範囲で記載しております。 2 保有先企業は当社の株式を保有していませんが、同社子会社が当社の株式を保有しております。 ③ 保有目的が純投資目的である投資株式該当事項はありません。 |
株式数が増加した銘柄数、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 2 |
株式数が減少した銘柄数、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 1 |
銘柄数、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 16 |
貸借対照表計上額、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 968,000,000 |
銘柄数、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 10 |
貸借対照表計上額、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 1,237,000,000 |
株式数の増加に係る取得価額の合計額、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 0 |
株式数の減少に係る売却価額の合計額、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 82,000,000 |
株式数、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社 | 2,675 |
貸借対照表計上額、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社 | 6,000,000 |
株式数が増加した理由、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 株式分割による増加及び取引先持株会を通じての株式取得 |
銘柄、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社 | 太陽誘電株式会社 |
保有目的、業務提携等の概要、定量的な保有効果及び株式数が増加した理由、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社 | (保有目的)当社無機事業における機能性材料の主要顧客であり、今後の企業間取引の維持のため(定量的な保有効果)当社の主要な顧客であり営業上の取引関係の維持・強化を目的として取引先持株会を通じて取得・保有している。 定量的な保有効果の算出・記載は困難であるが、保有目的が適切か、保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合うか等を精査し株式保有の合理性を総合的に判断している。 (増加理由)取引先持株会を通じた株式の取得。 機能性材料事業における主要需要家であり、取引関係の維持、拡大のため |
当該株式の発行者による提出会社の株式の保有の有無、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社 | 無(注2) |