財務諸表

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提出書類、表紙有価証券報告書
提出日、表紙2025-06-25
英訳名、表紙ANRITSU CORPORATION
代表者の役職氏名、表紙代表取締役社長  濱田 宏一
本店の所在の場所、表紙神奈川県厚木市恩名五丁目1番1号
電話番号、本店の所在の場所、表紙046(223)1111(大代表)
様式、DEI第三号様式
会計基準、DEIIFRS
連結決算の有無、DEItrue
当会計期間の種類、DEIFY

corp

沿革 2【沿革】
アンリツ株式会社(以下、「当社」という。
)は、1900年に設立された無線通信機製造の始祖である㈱安中電機製作所と、1895年創業の有線通信機製造の先駆である共立電機㈱が1931年に合併し逐次発展をとげましたが、1950年戦後処理による企業再建整備法に基づく第二会社として再発足しました。
1931年3月㈱安中電機製作所と共立電機㈱の合併により資本金50万円で安立電気株式会社設立1950年10月企業再建整備法に基づく第二会社設立1961年4月厚木事業所新設同年10月東京証券取引所市場第二部上場1968年8月東京証券取引所市場第一部上場1978年5月無線機器製造部門等を厚木事業所に移転し、製造部門の厚木事業所集結を完了1979年6月地下鉄広尾駅前の当社寮跡地に新本社ビルを新築、本社及び営業部門の移転完了1985年3月福島県郡山市に生産子会社東北アンリツ㈱を設立同年10月10月1日から社名をアンリツ株式会社に変更1990年2月Wiltron Company(米国、現 Anritsu Company)を買収2000年6月執行役員制度を導入2002年7月産業機械事業(現 PQA事業)を会社分割し、アンリツ産機システム㈱(現 アンリツインフィビス㈱)へ事業を承継2003年6月本店を神奈川県厚木市に移転同年10月デバイス事業を会社分割し、アンリツデバイス㈱を設立2005年8月NetTest A/S(デンマーク、現 Anritsu A/S)を買収2006年4月英国に欧州・中近東及びアフリカを商圏とする販売統轄会社 Anritsu EMEA Limited を設立同年7月情報通信事業を会社分割し、アンリツネットワークス㈱へ事業を承継2009年4月郡山事業所新設2013年5月郡山第二事業所新設2015年3月厚木本社地区内にグローバル本社棟新設2020年4月アンリツネットワークス㈱、アンリツエンジニアリング㈱及び㈱アンリツプロアソシエを吸収合併2021年4月アンリツインフィビス㈱のPQA事業の一部を吸収分割2022年1月㈱高砂製作所を買収同年4月東京証券取引所の市場区分の見直しにより、東京証券取引所の市場第一部からプライム市場に移行
事業の内容 3【事業の内容】
当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社、子会社43社、関連会社2社により構成されており、電子計測器、食品・医薬品の品質保証システム、環境計測機器、デバイスなどの開発、製造、販売を主な事業とし、これらに附帯する保守、サービス等を行っているほか、不動産賃貸業を営んでおります。
当社グループの事業内容及び当社と関係会社の当該事業に係る位置付けは次のとおりです。
なお、次の区分は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記」のセグメント情報の区分と同一です。
区分主要製品名主要な会社通信計測デジタル通信・IPネットワーク用測定器、光通信用測定器、移動通信用測定器、RF・マイクロ波・ミリ波帯汎用測定器、サービス・アシュアランス当社、東北アンリツ株式会社、アンリツカスタマーサポート株式会社、Anritsu U.S. Holding, Inc.(米国)、Anritsu Company(米国)、Anritsu Americas Sales Company(米国)、Anritsu Electronics Ltd.(カナダ)、Anritsu Eletrônica Ltda.(ブラジル)、Anritsu Company, S.A. de C.V.(メキシコ)、Anritsu EMEA GmbH(オーストリア)、Anritsu EMEA Limited(英国)、Anritsu GmbH(ドイツ)、Anritsu SA(フランス)、Anritsu S.R.L.(イタリア)、Anritsu AB(スウェーデン)、ANRITSU COMPANY LIMITED(香港)、Anritsu (China) Co., Ltd.(中国)、Anritsu Electronics (Shanghai) Co., Ltd.(中国)、Anritsu Corporation Limited(韓国)、ANRITSU PTE LTD(シンガポール)、ANRITSU COMPANY, INC.(台湾)、ANRITSU INDIA PRIVATE LIMITED(インド)、Anritsu Pty Ltd(オーストラリア)、ANRITSU COMPANY LIMITED (ベトナム)ANRITSU PHILIPPINES, INC.(フィリピン)、Anritsu A/S (デンマーク)、Anritsu Solutions S.R.L.(イタリア)、Anritsu Solutions S.R.L.(ルーマニア)、Anritsu Solutions SK, s.r.o.(スロバキア)PQA自動重量選別機、自動電子計量機、異物検出機、総合品質管理・制御システム当社、アンリツインフィビス株式会社、Anritsu Infivis Inc.(米国)、Anritsu Infivis B.V. (オランダ)、ANRITSU INDUSTRIAL SOLUTIONS (SHANGHAI) CO., LTD.(中国)、Anritsu Industrial Systems (Shanghai) Co., Ltd.(中国)、Anritsu Infivis (THAILAND) Co., Ltd.(タイ)環境計測EV/電池向け試験装置、ローカル5G向け支援サービス、モニタリングソリューション当社、東北アンリツ株式会社、株式会社高砂製作所その他センシング&デバイス、物流、厚生サービス、不動産賃貸、製造請負業務当社、アンリツデバイス株式会社、アンリツ興産株式会社、アンリツ不動産株式会社、アンリツテクマック株式会社、株式会社ハピスマ(注)PQA:プロダクツ・クオリティ・アシュアランス[事業系統図]以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりです。
関係会社の状況 4【関係会社の状況】
(2025年3月31日現在)名称住所資本金主要な事業の内容議決権の所有割合(%)関係内容役員の兼任等資金援助営業上の取引設備の賃貸借等当社役員(人)当社従業員等(人)(連結子会社)東北アンリツ株式会社 福島県郡山市 百万円250 通信計測 100 - 2 なし 当社製品の製造 ありアンリツカスタマーサポート株式会社神奈川県厚木市百万円100〃100-1〃当社製品の校正、修理等〃アンリツインフィビス株式会社神奈川県厚木市百万円100PQA100-1〃当社製品の製造〃株式会社高砂製作所神奈川県川崎市百万円120環境計測100-4ありなしなしアンリツデバイス株式会社神奈川県厚木市百万円90その他100-2なし当社製品の製造ありアンリツ興産株式会社神奈川県厚木市百万円20〃100-2〃物流サービスの提供他〃アンリツ不動産株式会社神奈川県厚木市百万円20〃100-4あり不動産の賃貸借〃株式会社ハピスマ神奈川県厚木市百万円30〃100-2〃サービスの提供なしアンリツテクマック株式会社神奈川県平塚市百万円10〃100-1〃当社製品の製造ありAnritsu U.S. Holding, Inc.アメリカ・カリフォルニア千米ドル9通信計測10023なしなしなしAnritsu Companyアメリカ・カリフォルニア千米ドル11,098〃※1 (100)10023〃当社再販製品の製造及び販売〃Anritsu Americas Sales Companyアメリカ・カリフォルニア米ドル1〃※1 (100)10013〃当社製品の販売及び保守〃Anritsu Electronics Ltd.カナダ・オンタリオ百加ドル1〃※2 (100)100-2〃〃〃Anritsu Eletrônica Ltda.ブラジル・リオ・デ・ジャネイロ千レアル5,706〃※2 (100)100-2〃〃〃Anritsu Company, S.A. de C.V.メキシコ・メキシコシティー万ペソ5〃※2 (100)1001-〃〃〃 名称住所資本金主要な事業の内容議決権の所有割合(%)関係内容役員の兼任等資金援助営業上の取引設備の賃貸借等当社役員(人)当社従業員等(人)Anritsu EMEA GmbHオーストリア・ウイーン千ユーロ35通信計測10023なし当社製品の販売及び保守なしAnritsu EMEA Limitedイギリス・ベッドフォードシャー千英ポンド1,502〃※3 (100)10012〃〃〃Anritsu GmbHドイツ・ミュンヘン千ユーロ2,837〃※3 (100)100--〃〃〃Anritsu SAフランス・レジュリセジュ千ユーロ500〃※3 (100)100-1〃〃〃Anritsu S.R.L.イタリア・ローマ千ユーロ115〃※3 (100)100-2〃〃〃Anritsu ABスウェーデン・ストックホルム千スウェーデン・クローナ800〃※3 (100)100--〃〃〃ANRITSU COMPANY LIMITED香港・カオルーン千香港ドル43,700〃10023〃〃〃Anritsu (China) Co., Ltd.中国・上海千米ドル6,000〃※4 (100)10023〃〃〃Anritsu Electronics (Shanghai) Co., Ltd.中国・上海千人民元8,480〃※4 (100)100-4〃当社製品の修理、保守〃Anritsu Corporation Limited韓国・ソウル百万ウォン1,450〃※4 (100)100-3〃当社製品の販売及び保守〃ANRITSU PTE LTDシンガポール千シンガポールドル600〃 100-2〃〃〃ANRITSU COMPANY, INC.台湾・台北百万ニュータイワンドル78〃※5 (100)100-3〃〃〃ANRITSU INDIA PRIVATE LIMITEDインド・バンガロール千インドルピー28,000〃※5 (100)100-3〃〃〃Anritsu Pty Ltdオーストラリア・ビクトリア千豪ドル820〃※5 (100)100-2〃〃〃ANRITSU COMPANY LIMITEDベトナム・ハノイ千米ドル1,800〃※5 (100)100-3〃〃〃ANRITSU PHILIPPINES, INC.フィリピン・メトロ・マニラ百万フィリピンペソ24〃※5 (100)100-4〃当社製品の開発〃 名称住所資本金主要な事業の内容議決権の所有割合(%)関係内容役員の兼任等資金援助営業上の取引設備の賃貸借等当社役員(人)当社従業員等(人)Anritsu A/Sデンマーク・コペンハーゲン千デンマーククローネ217,000通信計測 10021なしなしなしAnritsu Solutions S.R.L.イタリア・ローマ千ユーロ115〃※6 (100)100--〃〃〃Anritsu Solutions S.R.L.ルーマニア・ブカレスト千ルーマニアレイ100〃※6 (100)100--〃〃〃Anritsu Solutions SK, s.r.o.スロバキア・ブラチスラヴァ千ユーロ16〃※6 (100)100--〃〃〃Anritsu Infivis Inc.アメリカ・イリノイ千米ドル5PQA※1 (100)100-3〃当社製品の販売及び保守〃Anritsu Infivis B.V.オランダ・フェンロー千ユーロ1,000〃100-3〃〃〃ANRITSU INDUSTRIAL SOLUTIONS (SHANGHAI) CO., LTD.中国・上海千米ドル250〃※4 (100)100-4〃〃〃Anritsu Industrial Systems (Shanghai) Co., Ltd.中国・上海千人民元16,000〃※4 (100)100-5〃当社製品の製造〃Anritsu Infivis (THAILAND) Co., Ltd.タイ・チョンブリ千タイバーツ90,000〃100-4〃当社製品の製造及び販売〃その他3社 (持分法適用会社)AK Radio Design㈱ 神奈川県厚木市 百万円10 環境計測 50 - 2 あり なし ありSmartViser SASフランス・レンヌ千ユーロ170通信計測32--なし当社製品の開発提携なし(注1)「主要な事業の内容」欄には、セグメントの名称を記載しております。
(注2)上記子会社のうち東北アンリツ株式会社、アンリツデバイス株式会社、Anritsu Americas Sales Company、Anritsu U.S. Holding, Inc.、Anritsu A/Sは特定子会社に該当いたします。
(注3)子会社及び持分法適用会社の議決権に対する所有割合の( )書きは間接所有割合であり、下記が所有しております。
※1.Anritsu U.S. Holding, Inc.※2.Anritsu Americas Sales Company※3.Anritsu EMEA GmbH※4.ANRITSU COMPANY LIMITED (香港)※5.ANRITSU PTE LTD※6.Anritsu A/S(注4)上記子会社のうちには有価証券届出書又は有価証券報告書を提出している会社はありません。
(注5)Anritsu Americas Sales Companyについては、売上収益(連結会社相互間の内部売上高を除く。
)の連結売上収益に占める割合が100分の10を超えております。
主要な損益情報等Anritsu Americas Sales Company (IFRS)(1) 売上収益14,870百万円
(2) 税引前利益776百万円(3) 当期利益749百万円(4) 資本合計1,676百万円(5) 資産合計8,131百万円
従業員の状況 5【従業員の状況】
(1) 連結会社の状況 2025年3月31日現在セグメントの名称従業員数(人)通信計測2,553(241)PQA787(99)環境計測320(50)その他259(136)全社47(-)合計3,966(525)(注1)従業員数は就業人員(当社グループからグループ外への出向者を除き、グループ外から当社グループへの出向者を含む。
)であり、臨時雇用者数(パートタイマー、人材会社からの派遣社員、季節工を含む。
)は、年間の平均人員を( )外数で記載しております。
(注2)全社として記載されている従業員数は、各事業セグメントに帰属しない基礎研究に係る部門に所属している者及び一般管理部門のうち各事業セグメントに帰属しない本社管理部門に所属している者の人数です。

(2) 提出会社の状況 2025年3月31日現在従業員数(人)平均年齢(歳)平均勤続年数(年)平均年間給与(千円)1,71345.821.07,304 セグメントの名称従業員数(人)通信計測983PQA500環境計測115その他68全社47合計1,713(注1)従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。
)です。
(注2)平均年間給与は税込額で、基準外賃金等諸手当及び賞与を含んでおります。
(注3)全社として記載されている従業員数は、各事業セグメントに帰属しない基礎研究に係る部門に所属している者及び一般管理部門のうち各事業セグメントに帰属しない本社管理部門に所属している者です。
(3) 労働組合の状況提出会社の労働組合は、アンリツ労働組合と称し上部団体の全日本電機・電子・情報関連産業労働組合連合会(電機連合)に加盟しております。
2025年3月31日現在の組合員数は1,491人(出向者を含む。
)であり、労使関係は安定しております。
(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異①提出会社当事業年度管理職に占める女性労働者の割合(%)(注1)男性労働者の育児休業取得率(%)(注2)※()内は対象者数労働者の男女の賃金の差異(%)(注3)全労働者(注4)正規雇用労働者(注5)パート・有期労働者(注6)6.495.2 (21人)79.779.973.8 ②連結子会社当事業年度名称管理職に占める女性労働者の割合(%)(注1)男性労働者の育児休業取得率(%)(注2)※()内は対象者数労働者の男女の賃金の差異(%)(注3)全労働者(注4)正規雇用労働者(注5)パート・有期労働者(注6)東北アンリツ㈱0.0- (0人)59.080.988.1(注1)「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。
出向者を出向先の従業員として集計しております。
(注2)「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものです。
出向者は出向元の従業員として集計しております。
(注3)「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。
出向者は、出向先の従業員として集計しております。
賃金は、基本給及び賞与等のインセンティブを含んでおります。
なお、同一労働の賃金に差はなく、職位や職能等級別の人数構成の差によるものです。
(注4)全労働者は、正規雇用労働者とパート・有期労働者を含んでおります。
(注5)正規雇用労働者は、正社員およびフルタイム勤務の雇用延長者(65歳未満)を含んでおります。
(注6)パート・有期労働者は、雇用延長者を除く嘱託社員、パートタイマー、契約社員を含み、派遣社員を除いております。
③連結会社当事業年度 管理職に占める女性労働者の割合(%)(注2)男性労働者の育児休業取得率(%)(注3)労働者の男女の賃金の差異(%)(注4)当社及び連結子会社(注1)12.0*74.7当社及び国内連結子会社6.288.972.0(注1)「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号)第2条第5号に規定されている連結会社を対象としております。
(注2)「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。
出向者を出向先の従業員として集計しております。
(注3)「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものです。
出向者は出向元の従業員として集計しております。
「*」は海外子会社の男性従業員育児休業取得率の集計を実施していないため、記載を省略していることを示しております。
(注4)正規雇用労働者とパート・有期労働者を含む、全労働者の男女の賃金格差を集計しています。
出向者は、出向先の従業員として集計しております。
賃金は、基本給及び賞与等のインセンティブを含んでおります。
なお、同一労働の賃金に差はなく、職位や職能等級別の人数構成の差によるものです。
国内連結子会社については「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出しています。
海外子会社の計算方法は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定と異なり、月平均による算出ではなく年度末平均による算出としています。
詳細については「第2 事業等の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (6)人的資本」を参照ください。
経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 会社の経営の基本方針当社は、様々なステークホルダーに対する責任と対話を重視し、以下のとおり経営理念・経営ビジョン・経営方針を策定しています。
これらには、グループ従業員等の一人ひとりが自ら挑戦し、新しい価値を社会に提供し続け、未来に向けて成長していく、という思いを込めています。
経営理念「誠と和と意欲」をもって、“オリジナル&ハイレベル”な商品とサービスを提供し、安全・安心で豊かなグローバル社会の発展に貢献する経営ビジョン「はかる」を超える。
限界を超える。
共に持続可能な未来へ。
経営方針1. 克己心を持ち、「誠実」な取り組みにより人も組織も“日々是進化”を遂げる2. 内外に敵を作らず協力関係を育み、「和」の精神で難題を解決する3. 進取の気性に富み、ブレークスルーを生み出す「意欲」を持つ4. ステークホルダーと共に人と地球にやさしい未来をつくり続ける「志」を持つ
(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社は、キャッシュ・フロー(CF)を常に意識した経営を展開しており、「ROE (Return On Equity)」と「自己資本比率」をKPIと捉え、自己資本の効率性向上による中長期的な企業価値最大化と財務の安定性維持に取り組みます。
なお、取締役(社外取締役及び監査等委員であるものを除く。
)、執行役員及び理事を対象とした現行の業績連動型株式報酬制度においては、その評価指標として、本制度の対象期間における各事業年度の期初に定める営業利益目標及び中期経営計画に掲げる営業利益を採用しています。
また、金銭の業績連動型報酬(年次役員賞与)においては、当該連結会計年度における連結ROEに加え、売上高、営業利益及びESG/SDGs目標の達成度等の指標を用いています。
(3) 中長期的な経営戦略、経営環境及び対処すべき課題等今後の見通しにつきましては、当社グループの主力である通信計測事業においては、生成AIの普及拡大によるデータセンター等でのネットワーク高速化に向けた測定需要が今後も拡大していくことが期待できます。
また、モバイル市場においては、世界的なスマートフォンの出荷台数が回復してきており、AIを搭載した高機能スマートフォンの普及加速などによる測定需要の獲得を目指していきます。
PQA事業においては、新製品の投入を進めることで、食品市場の品質保証プロセスの自動化、省人化を目的とした設備投資需要を確実に捉え、売上拡大を目指していきます。
また、医薬品市場に向けた新製品開発と、販売力の強化を推進していきます。
環境計測事業においては、堅調な推移が見込まれる国内のEV/電池向け試験需要を確実に捉えるとともに、海外市場への進出に取り組みます。
当社グループは、関係するあらゆるステークホルダーとともに持続可能で魅力的な未来を次世代に繋いでいくという思いを込め、経営理念・経営ビジョン・経営方針のもと、2030年度には安定した収益を上げる企業としての売上高2,000億円企業を目指してまいります。
① 中長期的な経営戦略及び中期経営計画当社グループは、主力の通信計測事業を軸に、情報通信サービスに関わるビジネスを展開しております。
現在の5Gシステムに代表される通信インフラの様々なイノベーションは、社会を劇的に変革するとともに、人類に「つながる」ことの豊かさを提供し、グローバル社会の進歩を生み出してきました。
「誠と和と意欲」、“オリジナル&ハイレベル”を経営理念とするアンリツは、コアコンピタンスである「はかる」技術をベースに、情報通信分野と食品・医薬品分野を中心に支えてまいりました。
当社のコンピテンシーである「はかる」を極めていくとともに、内外の異なる発想や技術を更に掛け合わせ、従来の「はかる」を超えた価値や新領域を開拓していくことで次の事業の柱を成長させ、攻めの姿勢で今までのアンリツの限界を超えてまいります。
当社グループは、中長期経営戦略のもと、2024年4月に、新たな3ヶ年の中期経営計画GLP2026をスタートいたしました。
GLP2026では、前中期経営計画GLP2023で育てた新しい芽を事業の柱へと成長させ、計画最終年度(2027年3月期)で、連結売上高1,400億円、営業利益200億円、営業利益率14%を目指します。
GLP2026の3年間は、5Gから6Gへの移行期であり、2030年度に売上高2,000億円企業となるための重要なマイルストーンと位置付けております。
GLP2026では6Gと3つの新領域ビジネスを重点的に拡大します。
3つの新領域ビジネスは“産業計測”と“EV/電池”そして“医薬品/医療”です。
M&Aとオーガニックで、新領域ビジネスの成長を加速し、更には来るべき6Gビジネスの需要を確実に獲得するための準備をいたします。
中期経営計画(GLP2026)基本方針1. 成長投資に400億円以上(M&A+設備投資)2. ROE≧10%を安定的に達成する事業ポートフォリオの構築3. 2026年度(2027年3月期)の営業利益の25%を通信計測事業以外で創出4. 新領域ビジネスの人材強化、全社で人材育成体制を構築5. 事業活動における資源循環(サーキュラーエコノミー)の実現6. 株主還元では配当性向50%以上を目指す 当連結会計年度の実績及びGLP2026に掲げる主な経営数値目標等は下表のとおりです。
当社グループは、引き続き、中長期的な経営戦略及び中期経営計画の実現を図り、資本コストを意識した成長投資(含むM&A)と資本効率の改善で、企業価値KPI(ROE)の向上を目指します。
2024年3月期(実績)2025年3月期(実績)2026年3月期(業績見通し)2027年3月期(GLP2026目標)売上収益(億円)1,0991,1291,2301,400営業利益(億円)89121150200当期利益(億円)7692110150通信計測事業売上収益(億円)710701770900営業利益(億円)7583120150PQA事業売上収益(億円)253282300300営業利益(億円)12283036環境計測事業売上収益(億円)7485100130営業利益(億円)59914ROE(%)6.37.4912※ 億円未満を切り捨てて表示しています。
なお、2026年3月期の業績見通しは、2025年4月25日に公表した「2025年3月期決算短信〔IFRS〕(連結)」に基づいています。
また、GLP2026では、当社グループのサステナビリティ目標を掲げ、その達成に向けた活動を推進しています。
サステナビリティ推進活動、ダイバーシティ推進等の当社グループのサステナビリティに関する事項は、後記2「サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。
当社グループは、ブランド・ステートメントに「Advancing beyond」を掲げ、皆様とともに進歩と進化へ向けて歩み続けていきたいという強い思いを込めて発信しています。
さらなる高みを目指すとともに、お客様のビジョン実現を通じ社会のサステナビリティに貢献したいという姿勢を示しています。
今後とも経営資源を最大限に活かして安全・安心で豊かなグローバル社会の発展に貢献し、企業価値の向上に努めてまいります。
② コーポレート・ガバナンスの充実当社は、経営環境の変化に柔軟かつスピーディに対応し、グローバル企業としての競争力を高め、継続的に企業価値を向上させていくことを経営の最重要課題としております。
その目標を実現するために、コーポレート・ガバナンスが有効に機能する仕組みを構築することに努めております。
執行役員制度導入による意思決定と業務執行の分離の促進、「監査等委員会設置会社」への移行、独立社外取締役が委員長を務める指名委員会・報酬委員会・独立委員会の設置、取締役会の実効性評価の実施などの従前からの取組に加え、社外取締役比率50%以上を確保することにより、取締役会の監視・監督機能を強化し、コーポレート・ガバナンス体制を一層充実させることで、グローバルな視点でより透明性の高い経営の実現を目指してまいります。
当社グループのコーポレート・ガバナンスに関する事項は、後記第4「提出会社の状況」の4「コーポレート・ガバナンスの状況等」をご参照ください。
サステナビリティに関する考え方及び取組 2【サステナビリティに関する考え方及び取組】
(1) サステナビリティに関する方針当社は2030年に向けて、2021年4月に経営ビジョンと経営方針を改定し、これに合わせてサステナビリティ方針を改定しました。
本方針は、誠実な企業活動を通じてグローバルな社会の要請に対応し、社会課題の解決に貢献してこそ企業価値の向上が実現されるという考え方に立つものであり、2015年に国連で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」で掲げられた5つのP、すなわち「People」、「Planet」、「Prosperity」、「Peace」、「Partnership」の要素を包含しています。
サステナビリティ方針私たちは「誠と和と意欲」をもってグローバル社会の持続可能な未来づくりに貢献することを通じて、企業価値の向上を目指します。
1. 長期ビジョンのもと事業活動を通じて、安全・安心で豊かなグローバル社会の発展に貢献します。
2. 気候変動などの環境問題へ積極的に取り組み、人と地球にやさしい未来づくりに貢献します。
3. すべての人の人権を尊重し、多様な人財とともに個々人が成長し、健康で働きがいのある職場づくりに努めます。
4. 高い倫理観と強い責任感をもって公正で誠実な活動を行い、経営の透明性を維持して社会の信頼と期待に応える企業となります。
5. ステークホルダーとのコミュニケーションを重視し、協力関係を育み、社会課題の解決に果敢に挑んでいきます。

(2) マテリアリティ(重要課題)当社は、『「はかる」を超える。
限界を超える。
共に持続可能な未来へ。
』という経営ビジョンのもと、「安全・安心なインフラを整備し、持続可能な社会の建設につながる産業の創造とイノベーションの促進に貢献する」を、社会課題解決におけるグループ全体の取組としています。
この実現に向けて、「事業を通じて解決する社会課題」と「社会の要請に応える課題(ESG)」への対応を両輪とするサステナビリティ経営を通じて「グローバル社会の持続可能な未来づくりに貢献すること」を目指し、事業分野別とESG分野別のマテリアリティを設定しています。
マテリアリティは、社会課題の重要度と当社の企業価値向上の2つの視点で適宜見直しています。
2021年4月の経営ビジョン、経営方針およびサステナビリティ方針の改定と組織体制の変更、さらに2022年1月に㈱高砂製作所をグループに加えたことから、2022年度にマテリアリティを見直しました。
2024年度から始まった3ヶ年の中期経営計画「GLP2026」においては、マテリアリティの更新が必要となるような社会や市場、顧客動向の変化は見られないと判断し、これまでのマテリアリティを継続することとしました。
<事業セグメント別マテリアリティ>通信計測事業、PQA事業、環境計測事業および「その他」セグメントに含まれるセンシング&デバイス事業において、事業を通じた社会課題解決への貢献に向けて、各事業の特長や強みを踏まえたマテリアリティを設定しています。
通信計測事業:DX技術革新への対応、強靭なITインフラ整備デジタル革新で新たな社会の変革を目指すお客さまをサポートし、安全・安心な通信インフラの構築に通信テストソリューションで貢献するPQA事業 :食品ロスの低減、品質保証ソリューションの提供安全で安心できる食品や医薬品の安定供給を目指すお客さまをサポートし、高信頼・高感度の検出機と品質管理制御システムで生産ラインの品質検査工程自動化や食品ロス低減に貢献する環境計測事業:自然災害に対する防災・減災、脱炭素社会へ貢献する製品の提供デジタル革新で新たな社会の変革を目指すお客さまをサポートし、情報通信ソリューションで新たなデジタル社会の変革、EV(電気自動車)や電池の評価ソリューションで脱炭素社会の実現に貢献するセンシング&デバイス事業:強靭なITインフラ整備、健康的な生活の確保デジタル革新で新たな社会の変革を目指すお客さまをサポートし、光デバイス事業、超高速電子デバイスで安全・安心で快適な社会の実現に貢献する <ESG分野別マテリアリティ>サステナビリティ方針に基づいて設定した社会の要請(ESG)に応えるマテリアリティは以下のとおりです。
環境(E):気候変動への対応世界的な気候変動は、洪水や干ばつなどの自然災害を引き起こし、人々の生活や経済活動に多大な影響を及ぼすことから、当社は気候変動への対応を最も重要なマテリアリティとしています。
当社の製造拠点である福島県郡山市の東北アンリツ㈱第一工場は、過去2回にわたり河川氾濫による浸水被害に遭いました。
取引先さまも被災し、当社の調達・製造・物流のバリューチェーン全体に影響をもたらしました。
気候変動に大きく影響する温室効果ガスの排出量削減のため、当社は再生可能エネルギー(以下、「再エネ」といいます。
)の自家発電・自家消費に優先的に取り組んでいきます。
社会(S):人権の尊重、多様性の推進(ダイバーシティ&インクルージョン)複雑で変化が多く予測困難な現代において企業が成長を続けていくためには、多様な価値観を持つ人材の力が必要となることから、当社は人権の尊重と多様性の推進をマテリアリティとしています。
また、個々人の能力向上が会社の成長に欠かせないことから人材の育成にも取り組んでいきます。
ガバナンス(G):経営の透明性維持当社は社会の信頼と期待に応える企業になるために、経営の透明性維持をマテリアリティとしています。
コーポレート・ガバナンス強化のために取締役会の実効性向上に取り組むほか、リスクマネジメント推進や社会的責務である情報セキュリティの強化を進めていきます。
アンリツのサステナビリティ経営 (3)サステナビリティ共通の開示文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、さまざまな要因により実際の結果と大きく異なる可能性があります。
①ガバナンス当社は、取締役会がサステナビリティ経営を監督し、サステナビリティ推進担当役員が推進活動とリスク管理の責任者を務めています。
主要な部門・グループ会社の代表者からなるサステナビリティ委員会が推進活動の主体となり、重点項目を明確にして情報を共有し、改善に向けた議論を行い、その内容を各代表者から各部門に展開・浸透させています。
2022年4月からは、気候変動をはじめとするさまざまな課題への対応の重要性を踏まえて、グループCEOが担当役員となっています。
サステナビリティ経営の進捗状況は、サステナビリティ推進担当役員が経営戦略会議および取締役会において報告し、議論しています。
2024年度の取締役会では、20件程度のサステナビリティ課題に関する議論を行いました。
※上図は2025年4月1日現在のものです。
②戦略アンリツグループは、サステナビリティ経営を通じてグローバル社会の持続可能な未来づくりに貢献することを目指しています。
事業においては、当社のコンピテンシーである「はかる」技術を事業における取組の核とし、4つのカンパニー(通信計測、インフィビス(PQA事業)、環境計測、センシング&デバイス)と先端技術研究所のコラボレーション、強固な財務体質を生かした積極的な成長投資により、既存事業の拡大と6Gおよび3つの新領域(産業計測、EV/電池、医薬品/医療)開拓を通じて持続可能な社会づくりにおける貢献領域を広げ、2030年度に連結売上高2,000億円を目指します。
ESG課題への対応は、環境や社会への悪影響を最小限に抑え、全ての人が生き生きと働き、暮らせる社会につながるものと捉え、中期経営計画(GLP)で目標を掲げて取り組みます。
また、製造会社である当社は、「強い“ものづくり”の会社」として調達能力向上・災害対策強化・生産の自動化を進め、労働生産性を高める働き方改革により社員の生活の充実を図ります。
これらにより『「はかる」を超える。
限界を超える。
共に持続可能な未来へ。
』の経営ビジョン、サステナビリティ方針を実現し、グローバル社会の持続可能な未来づくりに貢献いたします。
6Gと3つの新領域を重点的に開拓 ③リスク管理当社は各事業部門、コーポレート部門、グループ会社がGLPを策定し、その計画はリスクと機会を構成要素の一つとしています。
経営戦略会議において、計画策定時および毎年のレビュー時にリスクの低減と機会の実現・成長について審議し、取締役会に報告しています。
④ 指標と目標当社は社会課題の解決に向けて、GLPでサステナビリティ目標を掲げて取組を進めています。
GLP2026(2024年度から2026年度の3年間)の目標と2024年度の実績・進捗は、以下の通りです。
目標※1KPI2024年度実績・進捗環境(E)温室効果ガスの削減(Scope1+2)※22021年度比 23%以上削減(2030年度までに42%以上削減※3)31.1%削減温室効果ガスの削減(Scope3)※42019年度比 17.5%以上削減(2030年度までに27.5%以上削減※5)37.3%削減(参考値)※6自家発電比率(PGRE 30)※7の向上14%以上(2018年度電力消費量を基準)(2030年ごろまでに30%程度まで高める)12.5%資源循環(サーキュラーエコノミー)の実現資源循環に対応した製品をリリースする実現施策を検討中プラスチックごみを100%マテリアルリサイクルする※877%マテリアルリサイクル社会(S)ダイバーシティ経営の推進女性管理職比率15%以上12.0%(2025年3月末)障がい者雇用促進:職域開発による法定雇用率 2.7%達成2.9%働きがいのある労働環境の実現従業員満足度調査の働きがいポジティブ回答率:80%以上72%グローバルなCSR調達の推進(環境、労働環境、人権などにおける社会的責任)サプライチェーンデューデリジェンスの強化:10社以上10社実施CSR調達に係るサプライヤーへの情報発信:3回/年、教育2回以上/年情報発信:3回実施教育:2回実施ガバナンス(G)グローバルなガバナンス向上取締役の多様性の推進:女性取締役比率 20%10%取締役会における経営課題の集中討議:6回/年6回実施※1 環境分野における温室効果ガス、自家発電比率に関する目標のバウンダリーは、当社および国内子会社、海外の製造子会社(米国、英国、ルーマニア、中国、タイ)。
資源循環に対応した製品は、各事業セグメントにおける取組。
マテリアルリサイクルの対象は、厚木地区、東北地区においてサプライヤーから購入する部材で使用されるプラスチック包装材、厚木地区の従業員食堂で使用される食品用のプラスチック包装材。
社会分野における女性管理職比率は連結の目標値。
従業員満足度調査は当社および国内子会社の目標値。
障がい者雇用促進は当社および特例子会社である㈱ハピスマを合算した目標値。
サプライチェーンは当社の目標。
ガバナンスは当社の目標。
※2 Scope1は、事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)。
Scope2は、他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出。
※3 本目標は、SBTイニシアチブから1.5度目標の認定を取得済み。
SBTイニシアチブは、企業に対し「科学的根拠」に基づく「二酸化炭素排出量削減目標」を立てることを求めている国際的なイニシアチブ。
1.5度目標は、産業革命前と比較して気温上昇を1.5℃に抑える水準の目標。
※4 Scope3は、Scope1、Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)。
当社ではScope3のKPIにカテゴリ1(購入した製品・サービス)および11(販売した製品の使用)を採用。
※5 本目標は、SBTイニシアチブからWell-below2℃目標の認定を取得済み。
Well-below2℃目標は、産業革命前と比較して気温上昇が2℃を十分に下回る水準の目標。
※6 第三者検証前のため、参考値として記載。
検証後の数値については、サステナビリティWebサイトや統合報告書に記載。
※7 PGRE 30は、Anritsu Climate Change Action PGRE 30のこと。
2018年度に0.8%だったアンリツグループの太陽光発電比率を、同年度の電力消費量を基準に、2030年ごろまでに30%程度まで高める施策。
詳細は、(4)気候変動 に記載。
※8 マテリアルリサイクルは、廃棄物を同じ製品の原材料として再利用する方法。
なお、GLP2026における事業を通じて解決する社会課題のサステナビリティ目標は、通信計測セグメントでDX技術革新や強靭なITインフラ整備に貢献する「5G、Beyond 5G、5G利活用、400G/800G向け当社製品の提供増」、PQAセグメントで食品ロス低減や品質保証に貢献する「検査精度・感度・機能を向上した新製品の売上に占める割合増」として取り組んでいます。
(4) 気候変動当社は、2022年に、2050年までにScope1+2における温室効果ガス排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラルを目指す宣言を行い、国連気候変動枠組条約事務局(UNFCCC)のRace To Zeroに参加しています。
この実現に向けて、化石燃料の使用拡大につながる投資は行わず、再生可能エネルギー(以下、再エネ)の自家発電比率の向上と省エネルギー(以下、省エネ)活動の徹底、再エネ電力証書の購入などを組み合わせた取組を推進し、事業活動で使用するエネルギーを100%再エネ化することを目指します。
さらに、サプライヤーとの協働、顧客への省エネ製品の提供を通じてバリューチェーン全体で消費電力を低減していきます。
また、気候変動否定派や気候関連規制に反対するロビーグループへの資金提供を行いません。
ステークホルダーとの対話を深め、環境課題に関する教育・研修を実施します。
これらの取組を通じて、持続可能な未来の実現に向けた取組を強化し、環境保護に貢献します。
再エネ自家発電の取組が、Anritsu Climate Change Action PGRE 30(以下、PGRE 30)です。
当社は、事業遂行に必要な電力の一部を自社で発電し、消費することで温室効果ガスを削減していくことがSDGsの目指す姿に適うものと考え、2020年3月にPGRE 30を策定しました。
主要拠点である厚木地区(神奈川県厚木市)、東北地区(福島県郡山市)、Anritsu Company(米国カリフォルニア州モーガンヒル)の3地区に自社消費用の太陽光発電設備を導入・増設することで、SDGsの目標7のターゲット7.2に掲げられた「2030年までに、世界のエネルギーミックスにおける再エネの割合を大幅に拡大させる」という目標達成に貢献してまいります。
<TCFD提言に沿った情報開示>① ガバナンス当社は、取締役会が気候変動全般に関する課題や取組を監督しています。
各種活動の推進は、グループCEOおよびCFOが責任を負っています。
リスクと機会の管理は、グループ全体のリスクマネジメントシステムに組み込まれ、環境総括役員がリスク管理責任者としての責務を負っています。
環境総括役員は、グループ全体の環境戦略を担う環境・品質推進部を所管するとともに、国内グループの環境管理委員会の委員長、海外グループのグローバル環境管理会議の主宰者を務め、リスクと機会をグローバルに評価・管理しています。
取締役会は、経営戦略会議において審議されたSBTイニシアチブへの申請計画や、PGRE 30に基づいて実施する再エネ発電設備導入や省エネルギー設備導入などの投資案件を決議するとともに、温室効果ガス排出量削減目標やPGRE 30の進捗などを確認しています。
また、気候変動に関する情報開示内容は、GLPの策定もしくはレビューとして毎年度経営戦略会議で審議・承認し、取締役会に報告しています。
役員報酬における短期インセンティブの報酬の算定には、各人の貢献度をはかる指標として、売上高、営業利益およびサステナビリティ目標の達成度を用いており、目標には気候変動関連の目標(温室効果ガス排出量の削減、自家発電比率の向上)が含まれています。
② 戦略気温が1.5℃あるいは4℃上昇する場合のシナリオをベースに、短期(1年)・中期(3年)・長期(~30年)のリスクと機会を抽出し、気候変動に関する分析を実施しています。
シナリオ分析ではバリューチェーン全体を含めた事業戦略と財務計画への影響を考慮しています。
その結果、規制強化の影響や生産拠点の一部での物理的な影響を想定し、対応策を定めるとともに脱炭素社会に寄与するソリューション開発に取り組むこととしました。
タイプ要因シナリオ想定シナリオの詳細時間的視点想定される影響影響度※対応策移行リスク炭素税の課税1.5℃温室効果ガス排出量への課税長期・事業活動に伴うコストの増加やや大・1.5℃目標でSBT認証を取得したScope1+2の削減・インターナルカーボンプライシングの導入1.5℃物価上昇で景気が停滞中期・顧客の投資が縮小・遅延して売上が減少・調達難や部材コスト増により利益が減少中・ソフトウエアベースの仮想化試験環境とソフトウエア無線を組み合わせたソリューション開発を推進し、部材価格の変動影響が少ないビジネスモデルを構築物理リスク自然災害の頻発化・激甚化4℃各地で異常気象が頻発化・激甚化長期・生産工場の操業や部材の調達に影響大・東北アンリツ㈱第一工場の生産機種を第二工場に移管し、河川氾濫による操業への影響ゼロを実現・アンリツグループ内の生産拠点の連携強化・部材生産地をマップ化し、調達への影響を最小化・複数社購買可能な体制を構築・海外製造拠点の浸水対策を実施長期・気温上昇により、製造工程における品質保証が難しくなる大・2023年度に外気温の変動に左右されない空調管理システムを導入し、運用を開始機会エネルギーミックスの変化1.5℃再エネ発電比率が高まる長期・太陽光発電設備の導入コスト低下やや大・PGRE 30の推進で自家発電比率を高め、電力料金を低減 2024年度はこれまで設置した3,094㎾の太陽光発電設備が稼働。
東北アンリツ㈱第二工場では、メガソーラー級発電設備と蓄電池を組み合わせたシステムを運用省エネ技術の進展1.5℃投資により新技術が普及中期・新たな省エネ技術の採用で製品の環境付加価値向上やや大・環境配慮型製品の開発推進で製品を省エネ化・省エネ部品を積極採用市場の変化1.5℃高機能と環境性能を備えた製品の需要拡大中期・試作機不要の開発を望む顧客が増加し、仮想化等、シミュレーション試験環境の需要増大・ソフトウエアベースの仮想化試験環境ソリューションを提供中期・データセンターの省エネ化に必要な製品の需要増加やや大・次世代グリーンデータセンター向け光電融合デバイスの開発・製造向けソリューションを提供・低消費電力、高電力効率の光デバイス製品を提供長期・EV普及により高効率パワートレインや電池の開発用評価機器の需要増加・社会インフラにおける再エネや燃料電池を効率的に活用するエネルギーマネジメントシステムの需要拡大大・高品質なパワートレインや電池の開発を効率化するテストソリューションを強化・パートナー企業との協働によりエネルギーマネジメントシステムの事業機会を獲得自然災害の頻発化・激甚化4℃気象の激甚化による食糧生産、需給環境の悪化長期・食品廃棄ロスのさらなる削減のため、原材料段階での異物検出や不良品のピンポイント選別の需要が拡大やや大・原材料段階で色、成分、虫、細菌、成分などの品質不良を識別できるソリューションの実用化・DX、AI、ロボットを活用した異物検出精度向上や生産ラインのモニタリング、不良品選別ソリューションを提供各地で異常気象が頻発化・激甚化長期・防災投資が増加して河川や道路の監視ソリューションの需要増加中・パートナー企業と映像情報システム等、防災・減災ソリューションの対応力を強化長期・少子・高齢化に伴うオペレーション人員不足をカバーする遠隔監視ソリューションの需要増加中・ICTシステムを活用したより高度な防災・減災システムの実現に寄与するソリューションを提供※「影響度」は、売上・利益等の財務上の影響額とそのリスクと機会が顕在化する可能性を考慮して、「大、やや大、中、やや小、小」の5段階で当社独自の基準に基づいて判断したものです。
なお、影響度の低い「やや小」と「小」の掲載は省略しています。
③ リスク管理気候変動関連のリスクと機会は「3 事業等のリスク」に記載の環境リスクに含まれ、グループ全社で総合的に管理するリスクマネジメントシステムに組み込まれています。
リスクと機会については、各事業部門、コーポレート部門、グループ会社がGLPで抽出しています。
環境管理委員会は、それらの発生の可能性と影響度から重要な項目を抽出し、対応策や取組を特定しています。
その結果は、定期的に経営戦略会議で審議・承認され、取締役会へ報告されています。
④ 指標と目標当社は、2022年12月にSBTイニシアチブから認証を取得した温室効果ガス(CO2換算)排出量(Scope1+2およびScope3)削減目標、再エネ自家発電比率を指標としています。
Scope1+2では1.5度目標、Scope3ではCategory1、Category11でWell-below2℃目標の認証を取得しています。
KPI目標2024年度実績・進捗Scope1+2:温室効果ガス排出量の削減2030年度までに2021年度比で42%以上削減する31.1%削減Scope3:温室効果ガス排出量の削減2030年度までに2019年度比で27.5%以上削減する37.3%削減(参考値)※1太陽光自家発電比率の向上2018年度に0.8%だったアンリツグループの太陽光発電比率を、同年度の電力消費量※2を基準に、2030年ごろまでに30%程度まで高める(PGRE 30)12.5%※1 第三者検証前のため、参考値として記載。
検証後の数値については、サステナビリティWebサイトや統合報告書に記載。
※2 策定時に当社の100%子会社ではなかったATテクマック(株)(現アンリツテクマック(株))、㈱高砂製作所、㈱ハピスマの電力消費量は除く。
Scope1+2のCO2排出量の削減については、その大部分がエネルギー消費によるものであるため、太陽光の自家発電と工場やオフィスでの省エネ活動が主な取組となります。
アンリツグループは2010年代から太陽光発電設備を導入しています。
2019年度には、CO2排出量を削減する施策として、2018年度に0.8%だった太陽光自家発電比率を、2030年ごろまでに30%程度まで高める「Anritsu Climate Change Action PGRE 30」(以下 PGRE 30)を策定しました。
主要拠点である厚木地区、東北地区、Anritsu Companyに合計8,000MWh分の年間発電量に相当する太陽光発電設備を導入し、確実にCO2排出量削減につなげていきます。
東北地区では発電容量1,100kWの太陽光発電設備と定格容量2,400kWhの蓄電池を組み合わせた大規模太陽光発電システムを導入し、夜間に必要な電力の一部を蓄電した再エネで賄っています。
省エネ活動では、2023年3月に立ち上げた省エネ対策チームの下、適切な空調管理と実験室での節電を徹底するとともに社内イントラネットで本社と東北地区の電力使用量および電気料金、本社の建屋別の電力使用量を確認できるコンテンツを設け、従業員の省エネ意識を高めました。
この結果、Scope1+2のCO2排出量は2021年度比31.1%削減となりました。
Scope3では、Scope3総排出量の84.5%(2024年度参考値)を占める「購入した製品・サービス(Category1)」と「販売した製品の使用(Category11)」の削減に取り組んでいます。
取引先さまとの協働や環境配慮型製品の開発、顧客への紹介などに継続して取り組んでいます。
2024年度は2019年度比37.3%削減(参考値)となり、取組の成果が上がっています。
Category1では、産業平均データの使用だけではなく、サプライヤーから排出量データを収集する総排出量配分方式を採用し、サプライヤーの排出量削減努力を加味しています。
連結売上高の約60%の製品群を対象とし、調達額が上位にあるサプライヤーのCO2排出量を収集しています。
Category11の算定では製品の生涯稼働時間に加え、顧客の再生可能エネルギーの導入率も加味しています。
(5) 人権の尊重当社は、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」が企業に求める人権尊重に対する責任を果たすために、2022年12月にアンリツグループ人権方針を制定しました。
これに続き、当社の事業活動が人権に与え得る負の影響を特定・評価し、防止・軽減、対処していくために、人権デューデリジェンスの仕組みを構築し、継続運用しています。
人権デューデリジェンスにおいては、NPO法人経済人コー円卓会議(CRT)日本委員会の協力の下、最初のステップとなる人権リスクアセスメントを実施し、「職場における多様性の受容」「労働環境や働き方の変化への対応」「部品・機器調達先の労働環境調査の推進」の3点を今後優先的に取り組む人権課題として特定しました。
「職場における多様性の受容」では、性的マイノリティへの取組を強化し、LGBTQをテーマとした講演会の実施や従業員とその家族による関連イベントへの参加、トランスジェンダーをテーマとした映画の上映、「Business for Marriage Equality」への賛同、同性パートナーシップ制度の導入などを行いました。
これらの取組の結果、2024年11月14日に一般社団法人「work with Pride」が策定する「PRIDE 指標2024」において、最高位となるゴールド認定を取得しました。
「労働環境や働き方の変化への対応」では、出産・育児に関する制度の充実、利用促進に取り組んでいます。
法定を上回る休暇・休業・短時間勤務などの制度を設け、育児と仕事の両立が図れる環境を整備しています。
これらの成果として、2025年3月に「プラチナくるみん」認定を取得しました。
「プラチナくるみん」は「くるみん」認定企業の中でも、特に優れた取組を行う企業が認定対象となる制度です。
男性の育児参加も後押しし、「男性の育児休業取得率 100%」を目標として掲げています。
4 週間の育児休業を取得した男性社員の給与を実質 100%補填する出生時育児休業手当補助金制度を導入しました。
出産予定の申し出があった従業員には面談を行い、各種支援制度の説明や育児休業取得意向の確認を行っています。
その結果、2024年度の育児休業取得率は、前年度から 約5%増加して 95.2%になりました。
 「部品・機器調達先の労働環境調査の推進」では、CSR調達ガイドラインへの取り組み状況のアンケート調査と、その回答に基づいて選定したサプライヤーの現地調査を行っています。
2023年度からは人権リスクアセスメントで備えるべき人権リスクがあるとされた中国、タイの生産拠点の調達先を対象に加えました。
2024年度は、2023年度取引金額の上位9割のサプライヤーの中の生産資材に関連する339社を対象にアンケートを実施しました。
334社から回答を得て、回答率は98.5%でした。
現地調査では、日本・中国・タイのサプライヤー10社を対象にしました。
これらの調査を通じて、いずれのサプライヤーにも人権・労働、安全衛生について重大なリスクがないことを確認しました。
今後も国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に則った人権尊重の取組を充実させていきます。
(6) 人的資本経営環境がめまぐるしく変化している今日、既存事業の拡大と新規ビジネスの創出に資する源泉は“人”であり、多様性であると考えています。
下記の人材ビジョンのもと、会社と従業員がサステナブルな未来を共有し、社会課題の解決を目指す、“人”と“組織”づくりを推進しています。
人材ビジョン会社と多様な従業員がベクトルを合わせ、事業(社会)貢献意識を持ち、仕事と私生活のバランスを取りながら生き生きと働いている ① ガバナンス人材戦略を推進する人事総務総括役員に加え人的資本に関する課題に取り組む各委員会の担当役員の報告をもとに、経営戦略会議および取締役会において議論しています。
人事総務部門および各委員会が取り組む人的資本に関する課題は以下の通りです。
・人事総務部門     :成長事業・重点領域の人材確保と育成、若年/リーダー層の積極採用と育成、およびシニア層活躍強化、経営/人材ビジョン実現に向けた職場風土醸成・サステナビリティ委員会:人権およびダイバーシティの推進・企業倫理推進委員会  :各種ハラスメント防止や36協定違反等のモニタリングと改善・採用委員会      :採用計画の策定・実行・採用当否判定・レビューを通じた求められる人材の量的・質的確保の継続・管理職登用委員会   :管理職の登用審査、その当否判定を通じた事業の発展に資する管理職の輩出継続・研修・表彰委員会   :従業員のエンゲージメント向上および研修を通じた人材の育成 役員の指名および報酬については、社外取締役を委員長とする指名委員会および報酬委員会を設置し、役員の選任、解任と報酬の妥当性および透明性の確保をはかっています。
※ 上図は2025年4月1日現在のものです。
② 戦略2030年度連結売上高2,000億円企業を目指し、既存事業の拡大とともに、これまでの概念にとらわれず、“「はかる」を超える” 新規事業領域の開拓に取り組むという経営戦略のもと、GLP2026で人材戦略を策定し、人的資本を最大化するための取組を進めています。
GLP2026 人材戦略(2024年4月公表 中期経営計画 GLP2026資料より抜粋) <成長事業・重点領域の人材確保と育成>当社は、GLP2026において「新領域ビジネス(産業計測、EV/電池、医薬品/医療)の重点的な拡大」を掲げており、そのための人材確保と育成を人材戦略の最重要課題としています。
この実現に向けて、経営層、経営戦略部門、人事部門が一体となり、トップダウンで経営戦略からカンパニー横断の人員計画を策定する「人財戦略レビュー」を実施し、より戦略的な人材確保、配置、育成を実行しています。
また、新領域でのビジネス拡大に向けた人材育成強化を目的として、2024年4月に「Anritsu SKILLs training center(A-SKILLs)」を立ち上げました。
A-SKILLsは、EV/電池や汎用計測器に関する技術知識および販売スキルを向上するための教育の企画・実行を担い、3年間で新領域ビジネス人材を2倍に増強することを目指しています(図1)。
このほか、開発力強化を目的としてエンジニア育成を専門とする組織を2024年4月に立ち上げました。
AI活用等の新技術獲得に向けたAIリテラシー教育を実施しました。
今後はこの教育の全社展開やリスキリング施策導入などを担い、より戦略的にエンジニアを育成していきます。
(図1)Anritsu SKILLs training center(A-SKILLs)について(2024年4月公表 中期経営計画 GLP2026資料より抜粋) <若年/リーダー層の積極採用と育成、シニア層活用強化>当社は新卒採用数の変動が大きかったことにより、現在の人員構成は30代後半~40代前半が最も少なく、50代が最も多い状況となっています。
そのため2030年に向けて事業推進のコアとなるリーダー/管理職層の不足、60代以上のシニア層の増大が予測されており、「若年/リーダー層の積極採用と育成」によるコア人材の確保と「シニア層活用強化」による事業推進力の維持・向上を重要課題としています。
「若年/リーダー層の積極採用と育成」においては、リーダー層から管理職層をターゲットとしていた経験者採用を若年~中堅層にも広げ、積極的な採用活動を推進しています。
育成では、階層別研修により段階的育成を行う仕組みづくりを行っていることに加え、「若手ソフトウエアエンジニア育成プログラム」によりソフトウエアエンジニアを目指す新入社員に対し3年間の集中的な育成を行っています。
「シニア層活用強化」においては、50代の従業員を対象としたキャリア研修を導入し、60代以降のありたい姿や貢献領域を考えるプログラムを実施しています。
今後もリスキリング施策の導入や配置転換を進め、従業員が長く生き生きと活躍するための取組を推進します。
○階層別研修リーダー研修とサブリーダー研修は、ステップアップの動機づけと成長支援を目的としています。
当社グループ合同で実施しており、組織を超えた横のつながりを作り、お互いに触発しあう機会としています(図2)。
2024年度は次世代リーダーと部下育成にフォーカスした新たな管理職研修を導入し、管理職昇進後も段階的な成長を支援する育成プログラムを構築しました。
(図2)キャリアパスと教育プログラム全体像 ○若手ソフトウエアエンジニア育成プログラム変化する事業環境の中で、さまざまな製品開発に対応できる経験を積んだエンジニアが必要であり、「若手ソフトウエアエンジニア育成プログラム」を導入しています。
ソフトウエアエンジニアを目指す新入社員は、エンジニアリング本部(各カンパニーのソフトウエア開発、AI/クラウド/データ分析等の先端技術開発を担当するカンパニー横断のシェアード開発部門)に配属され、3年間さまざまな製品開発プロジェクトで経験を積み、ソフトウエアエンジニアとしての基礎知識とスキルを身に付けます。
カンパニー横断の開発業務に携わることで、各カンパニー内技術のサイロ化防止とイノベーション創出、将来的な人脈づくりにつなげていきます。
育成プログラムはOJTと集合教育で構成され、当社独自のスキル標準で成長目標を明確化し、一人ひとりの育成計画をデザインしています。
OJTは、原則1年ごとに担当をローテーションし、技術指導担当のトレーナーと会社生活全般の相談役となるメンターがサポートします。
集合教育は、実践に役立つ技術教育、先輩社員を交えたコミュニケーションやリーダーシップ等の研修のほか、有志の勉強会も開催されており、同世代エンジニアと学び・教えあう交流の場にもなっています。
育成プログラム修了後、各人の適性やキャリア志向に応じてカンパニー等への配属先を決定するため、働きやすさや働きがいの向上にもつながると考えています(図3)。
(図3)若手ソフトウエアエンジニア育成プログラム構成 <経営/人材ビジョン実現に向けた職場風土醸成>ⅰ 成長・挑戦の促進“自らの壁を取り払い、新たな領域に好奇心を持って取り組む人材、ステークホルダーや他社と共に社会課題の解決を目指す人材を育成する。
”を掲げる人材育成方針のもと、経営ビジョンおよび経営戦略の実現に向けて目標・期待役割共有の徹底による挑戦・成長意欲の向上をはかっています。
そのための取組として、2022年度に「役割共有面談」制度を導入し、部門方針・課題と各人の役割・期待を共有する面談を年2回実施しています。
また、階層別研修のリーダー研修およびサブリーダー研修に「経営方針・キャリアパス教育」を組み込み、各階層で会社方針と期待役割の理解促進を行っています。
従業員一人ひとりが自発的に自らの強みを一層磨き、壁を取り払い、レベルアップし、会社とともに成長していく風土・環境づくりを推進していきます。
ⅱ 多様性の受容促進“価値観や考え方も含め多様性を持つバラエティに富んだ人材が混ざり合い、多様な視点と強みを活かし新たな価値を創造する。
”を掲げる人材多様性推進方針のもと、女性活躍推進、経験者採用強化、障がい者雇用推進などを重点的に進めています。
これらの活動は一定の成果を上げていますが、引き続き「多様性の受容度の向上」を重要課題とし、経験者採用時のオンボーディングをはじめとした、多様な人材の受入体制強化を行います。
○女性活躍推進・経験者採用に関する取組女性活躍推進においては、新卒採用、経験者採用の強化に取り組むとともに、生活と仕事を両立しながら働き、事業の成長と企業価値向上に貢献できるキャリア形成支援に継続して注力しています。
自分のライフステージ、ライフスタイルに合わせて働くことができる管理職コースや、妊娠、出産、育児期間中の在宅勤務制度の導入により、ライフワークバランスをより重視したキャリア形成が可能となっています。
2023年度末の管理職に占める女性の割合は国内3.8%、連結11.2%でしたが、これらの取組により2024年度末は国内6.2%、連結12.0%となりました。
(表1)。
2025年4月1日付で新たに6名の女性が管理職に昇進し、女性管理職比率は国内7.0%、連結12.3%とさらに増加しています。
採用活動の更なる推進やリーダー育成を継続し、GLP2026で目標とする「女性管理職比率連結15%以上」の達成を目指します。
これまでの取組の成果として、女性活躍に関する取組状況が優良な企業であることを示す「えるぼし(3段階目)」の認定を2023年3月に取得しています。
経験者採用は、多様なバックグラウンドを持つ外部人材、新規事業領域に取り組む人材の獲得、ならびに、女性管理職および管理職候補の採用を目的として2020年度より活動を強化しています。
2024年度の当社の経験者採用における女性比率は、47.1%となりました。
2021年度から高い水準での採用が継続できており、国内グループにおける女性管理職比率向上につながっています。
(表2)。
(表1)管理職に占める女性の割合 (女性管理職数÷全管理職数)(単位:%) 2020年度2021年度2022年度2023年度2024年度日本2.32.83.13.86.2米州17.921.617.422.723.0EMEA *24.220.320.317.317.1アジア他24.023.722.321.619.6連結10.810.910.511.212.0*EMEA(Europe, Middle East and Africa):欧州・中近東・アフリカ地域 (表2)新規採用者に占める経験者の割合および女性の割合※1 (単位:%) 2020年度2021年度2022年度2023年度2024年度経験者採用比率 ※220.944.236.528.837.8女性経験者比率 ※311.132.430.470.647.1※1 当社を対象に集計。
※2 経験者採用比率は、経験者採用数÷新規採用数です。
※3 女性経験者比率は、経験者採用のうちの女性採用数÷経験者採用数です。
○LGBTQへの対応や取組 2024年度は同性パートナーシップ制度を始めとした各種制度整備、社内研修等による理解促進、LGBTQの方々に寄り添い、支援する従業員(ALLY)を増やす施策などを実施しました。
その結果、LGBTQなどの性的マイノリティが働きやすい職場づくりに関する評価指標である「PRIDE 指標2024」において、最高位であるゴールド認定を獲得しました。
ⅲ ライフワークバランス、就業環境整備「働き方改革」を経営戦略の一つとしており、“「生活と仕事のバランスを考えて、働きやすく人生を楽しめる会社」と「労働生産性が高く働きがいがある会社」の両立に向けた制度・環境を整備する”という環境整備方針のもと、多様な従業員が生活と仕事を両立しながら、生産性を高めることができる環境づくりを推進しています。
労使による「両立支援推進委員会」を適時開催し、在宅勤務制度の導入、育児・介護などによる在宅勤務の日数拡大、男性の育児休業利用推進、ライフイベントに応じて柔軟な勤務が可能な管理職コースの新設など、働き方やキャリアの多様化に向けた施策を行っています。
○育児に対する支援妊娠中・育児中の従業員に対し、法定を上回る休暇・休業・短時間勤務制度の提供や在宅勤務日数の拡大等を行っており、育児と仕事を両立できる環境を整備しています。
近年は男性の育児休業利用促進に注力しており、「産後パパ育休」の施行に合わせた全管理職に対しての研修や、男性育児休業取得推進の意識付けなどを行っています。
この結果、2022年度に45.2%だった男性の育児休業取得率は2023年度に90.3%、2024年度には95.2%となりました。
今後も男性も当たり前に育児休業を取得できる環境づくりに努めていきます。
当社は2015年、2018年、2020年、2025年に厚生労働大臣から「子育てサポート企業」と認定され、2015年、2018年、2020年に「くるみんマーク」、2025年には「プラチナくるみんマーク」を取得しました。
○エンゲージメント調査による状況把握当社および国内子会社では、全従業員に対するエンゲージメント調査を毎年実施し、「働きやすさ」と「働きがい」の現状把握、組織課題の抽出を行っています。
調査結果は社内イントラネットで全従業員に公開するとともに、各部門にフィードバックし改善に活用しています(表3)。
(表3) エンゲージメント調査の結果 (単位:%) 2020年度2021年度2022年度2023年度2024年度回答率9897989795働きやすさ満足度9090908988働きがい満足度7575727172 ○健康経営の推進「働き方改革」の基盤を従業員の健康と考え、「アンリツグループ健康経営方針」のもと健康経営を推進しています。
アンリツグループ健康経営方針アンリツグループは、社員一人ひとりが健康で活き活きと働いていることが、企業価値の源泉であると考えています。
全ての社員が健康について関心を持ち、自身の健康上の課題を認識し、健康保持・増進に向けて自律的な取組を進めている状態を目指し、アンリツグループ各社とアンリツ健康保険組合が一体となり、健康経営の実現に向けた活動を進めます。
具体的な取組として、年1回の定期健康診断における法定項目を超える検査の実施、集団歯科検診や女性特有疾患検診の実施など、各種検査の拡充を行っています。
また、定期健康診断結果のフォローアップを重視し、精密検査対象者の受診促進、高リスク者への個別面談等を実施しています。
これらの取組により疾患の早期発見に繋げ、予防に向けた施策を拡充することにより、従業員の健康リスク低減をはかっています。
当社は、2022年度、2023年度に続いて2024年度も経済産業省と日本健康会議が主催する健康経営優良法人認定制度の大規模法人部門における「健康経営優良法人2025(ホワイト500)」に認定されました。
本制度が開始された2016年度から通算7回目の認定となります。
③ リスク管理当社グループの力を最大限に発揮して既存事業の拡大と新領域開拓を目指す上で、人材不足や生産性の悪化による事業遂行力の低下が最大のリスクと考えています。
経営層、経営戦略部門、人事部門が一体となって行う「人財戦略レビュー」で、採用計画や後継者育成状況等をレビュー、ディスカッションし、経営戦略実現に向けた人材戦略を推進しています。
カンパニー制を採用している当社ではカンパニーごとに人事責任者を置き、密に連携することで人材状況の把握と問題への対策を行っています。
④ 指標と目標GLP2026では下記の目標を掲げています。
目標KPI※12024年度実績・進捗サステナビリティ目標 ダイバーシティ経営の推進女性管理職比率 15%以上(連結)12.0%障がい者雇用率 2.7%達成(当社および特例子会社である㈱ハピスマの合算)2.9%働きがいのある労働環境の実現エンゲージメント調査の働きがいポジティブ回答率 80%以上(当社および国内子会社計)※272%グローバルなガバナンス向上女性取締役比率 20%以上10%人材戦略に関する目標成長事業・重点領域の人材確保と育成新領域ビジネス人材数 2倍(連結)国内グループにおける対象者の45%が新領域ビジネス関連教育を受講若年/リーダー層の積極採用と育成、およびシニア層活用強化新規採用者数に占める経験者採用者割合 30%以上38%新卒採用者確保率 80%以上70%経営/人材ビジョン実現に向けた職場風土醸成エンゲージメント調査の成長・挑戦ポジティブ回答率 80%以上(当社および国内子会社計)※274%エンゲージメント調査の多様性受容ポジティブ回答率 90%以上(当社および国内子会社計)※292%エンゲージメント調査のライフワークバランスポジティブ回答率90%以上(当社および国内子会社計)※285%PRIDE指標「ゴールド」認定の取得認定取得(2024年11月)「健康経営優良法人(ホワイト500)」認定の継続健康経営優良法人2025(ホワイト500)認定取得(2025年3月)により認定継続プラチナくるみん認定の取得プラチナくるみん認定取得(2025年3月)※1 算出基準について特に記載がないものは提出会社のKPIとなります。
連結会社ベースの算出としていない項目については、各社・各地域の独自性あるいは法令に合わせた運用としているものです。
※2 エンゲージメント調査における「ポジティブ回答率」とは、該当設問で肯定的な回答をした従業員の割合です。
多様性に関する指標は、「第1 企業の概況 従業員の状況」にも記載しています。
その他、人的資本に関する目標は「(3)④指標と目標」にも記載しています。
戦略 ②戦略アンリツグループは、サステナビリティ経営を通じてグローバル社会の持続可能な未来づくりに貢献することを目指しています。
事業においては、当社のコンピテンシーである「はかる」技術を事業における取組の核とし、4つのカンパニー(通信計測、インフィビス(PQA事業)、環境計測、センシング&デバイス)と先端技術研究所のコラボレーション、強固な財務体質を生かした積極的な成長投資により、既存事業の拡大と6Gおよび3つの新領域(産業計測、EV/電池、医薬品/医療)開拓を通じて持続可能な社会づくりにおける貢献領域を広げ、2030年度に連結売上高2,000億円を目指します。
ESG課題への対応は、環境や社会への悪影響を最小限に抑え、全ての人が生き生きと働き、暮らせる社会につながるものと捉え、中期経営計画(GLP)で目標を掲げて取り組みます。
また、製造会社である当社は、「強い“ものづくり”の会社」として調達能力向上・災害対策強化・生産の自動化を進め、労働生産性を高める働き方改革により社員の生活の充実を図ります。
これらにより『「はかる」を超える。
限界を超える。
共に持続可能な未来へ。
』の経営ビジョン、サステナビリティ方針を実現し、グローバル社会の持続可能な未来づくりに貢献いたします。
6Gと3つの新領域を重点的に開拓
指標及び目標 ④ 指標と目標当社は社会課題の解決に向けて、GLPでサステナビリティ目標を掲げて取組を進めています。
GLP2026(2024年度から2026年度の3年間)の目標と2024年度の実績・進捗は、以下の通りです。
目標※1KPI2024年度実績・進捗環境(E)温室効果ガスの削減(Scope1+2)※22021年度比 23%以上削減(2030年度までに42%以上削減※3)31.1%削減温室効果ガスの削減(Scope3)※42019年度比 17.5%以上削減(2030年度までに27.5%以上削減※5)37.3%削減(参考値)※6自家発電比率(PGRE 30)※7の向上14%以上(2018年度電力消費量を基準)(2030年ごろまでに30%程度まで高める)12.5%資源循環(サーキュラーエコノミー)の実現資源循環に対応した製品をリリースする実現施策を検討中プラスチックごみを100%マテリアルリサイクルする※877%マテリアルリサイクル社会(S)ダイバーシティ経営の推進女性管理職比率15%以上12.0%(2025年3月末)障がい者雇用促進:職域開発による法定雇用率 2.7%達成2.9%働きがいのある労働環境の実現従業員満足度調査の働きがいポジティブ回答率:80%以上72%グローバルなCSR調達の推進(環境、労働環境、人権などにおける社会的責任)サプライチェーンデューデリジェンスの強化:10社以上10社実施CSR調達に係るサプライヤーへの情報発信:3回/年、教育2回以上/年情報発信:3回実施教育:2回実施ガバナンス(G)グローバルなガバナンス向上取締役の多様性の推進:女性取締役比率 20%10%取締役会における経営課題の集中討議:6回/年6回実施※1 環境分野における温室効果ガス、自家発電比率に関する目標のバウンダリーは、当社および国内子会社、海外の製造子会社(米国、英国、ルーマニア、中国、タイ)。
資源循環に対応した製品は、各事業セグメントにおける取組。
マテリアルリサイクルの対象は、厚木地区、東北地区においてサプライヤーから購入する部材で使用されるプラスチック包装材、厚木地区の従業員食堂で使用される食品用のプラスチック包装材。
社会分野における女性管理職比率は連結の目標値。
従業員満足度調査は当社および国内子会社の目標値。
障がい者雇用促進は当社および特例子会社である㈱ハピスマを合算した目標値。
サプライチェーンは当社の目標。
ガバナンスは当社の目標。
※2 Scope1は、事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)。
Scope2は、他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出。
※3 本目標は、SBTイニシアチブから1.5度目標の認定を取得済み。
SBTイニシアチブは、企業に対し「科学的根拠」に基づく「二酸化炭素排出量削減目標」を立てることを求めている国際的なイニシアチブ。
1.5度目標は、産業革命前と比較して気温上昇を1.5℃に抑える水準の目標。
※4 Scope3は、Scope1、Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)。
当社ではScope3のKPIにカテゴリ1(購入した製品・サービス)および11(販売した製品の使用)を採用。
※5 本目標は、SBTイニシアチブからWell-below2℃目標の認定を取得済み。
Well-below2℃目標は、産業革命前と比較して気温上昇が2℃を十分に下回る水準の目標。
※6 第三者検証前のため、参考値として記載。
検証後の数値については、サステナビリティWebサイトや統合報告書に記載。
※7 PGRE 30は、Anritsu Climate Change Action PGRE 30のこと。
2018年度に0.8%だったアンリツグループの太陽光発電比率を、同年度の電力消費量を基準に、2030年ごろまでに30%程度まで高める施策。
詳細は、(4)気候変動 に記載。
※8 マテリアルリサイクルは、廃棄物を同じ製品の原材料として再利用する方法。
なお、GLP2026における事業を通じて解決する社会課題のサステナビリティ目標は、通信計測セグメントでDX技術革新や強靭なITインフラ整備に貢献する「5G、Beyond 5G、5G利活用、400G/800G向け当社製品の提供増」、PQAセグメントで食品ロス低減や品質保証に貢献する「検査精度・感度・機能を向上した新製品の売上に占める割合増」として取り組んでいます。
事業等のリスク 3【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(方針及び体制)当社グループは、リスクを適切に管理することは、企業価値を継続的に高め、社会的責任を果たすために、極めて重要な経営課題であると認識しており、リスク管理体制を整備しています。
また、企業価値を維持、増大し、企業の社会的責任を果たし、当社グループの持続的発展を図るため、経営者はもとより、全社員がリスク感性を向上させ、全員参加により、リスクマネジメントを推進する取り組みに注力しています。
当社グループは、グループCEOのリスクマネジメント統括のもと、主要リスクを①経営の意思決定と業務の執行に係るビジネスリスク、②法令違反リスク、③環境リスク、④製品・サービスの品質リスク、⑤輸出入管理リスク、⑥情報セキュリティリスク、⑦感染症・災害リスクであると認識し、リスクごとにリスク管理責任者を明確にしています。
各リスク管理責任者は、当該リスクに関する関係部門の責任者及びグループ会社管理責任者で構成する委員会を主管し、当該リスクマネジメントに関わるグループ会社全体を統括します。
リスクマネジメントの対策、計画、実施状況及び年間を通したマネジメントサイクルの結果は、必要に応じ、経営戦略会議において審議され、取締役会に報告されております。
また、リスクマネジメント推進部門は、規則、ガイドラインの制定、教育研修などを主管し、事業の継続発展を確保するための、リスク管理レベルの向上に必要な体制を整備しています。
なお、各リスク管理責任者は、当該分野に関し、海外グループ会社の活動を支援しています。
また、コンプライアンスリスクに関しては、各地域の統括会社の責任者が年度計画を策定し、リスクアセスメントを実施しています。
(主要リスクの概要)(1) 当社グループの技術・マーケティング戦略に関するリスク(①ビジネスリスク)当社グループは高い技術力により開発された最先端の製品とサービスをいち早く提供することで顧客価値の向上に努めております。
しかしながら、当社グループの主要市場である情報通信市場は技術革新のスピードが速いため、当社グループが顧客価値を向上させるソリューションをタイムリーに提供できない事態や、顧客のニーズやウォンツを十分にサポートできない事態が生じた場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に大きな影響をもたらす可能性があります。

(2) 市場の変動に関するリスク(①ビジネスリスク)経済や市場状況の変化、技術革新などの外的な要因は、当社グループが展開する製品群の収益に影響を及ぼし、グループの財政状態及び経営成績に大きな変動をもたらす可能性があります。
通信計測事業は、情報通信市場向けの売上比率が高いため、サービス・プロバイダ、ネットワーク機器メーカー、スマートフォン・携帯電話メーカー、半導体・デバイスメーカーの設備投資動向に業績が左右される可能性があります。
サービス・プロバイダは、急増するデータ・トラフィックに対応しながら、IoTサービスやクラウドサービスなど様々なニーズを実現するネットワークの構築が求められており、コスト効率を意識した設備投資を進めています。
また、当社グループの収益の柱であるモバイル市場の業績は、携帯電話サービスの技術革新や普及率、加入者数及びスマートフォン等の買い替え率の変化に影響されます。
PQA事業は、食品産業向けの売上収益が8割以上を占めているため、食品メーカーの設備投資動向に業績が左右される可能性があります。
環境計測事業は、EV/電池向け試験装置の売上比率が高いため、自動車メーカー、自動車部品メーカー、バッテリメーカーの設備投資動向に業績が左右される可能性があります。
(3) 戦略投資に関するリスク(①ビジネスリスク)当社グループは、コンピテンシーである「はかる」を極めていくと共に、内外の異なる発想や技術をさらに掛け合わせ、従来の「はかる」を超えた価値や新領域を開拓していくことで次の事業の柱を成長させるため、外部との連携やM&Aを含めた戦略的成長投資を強化しています。
投資の実行にあたっては、事前に事業計画の検証やデューデリジェンスを実施したうえで、投資判断を行っています。
また、投資後もPMI(Post Merger Integration)計画を策定、実行し、投資後のビジネス立ち上げに万全の体制で取り組んでいます。
しかしながら、予期せぬ外部環境の変化や、市場環境や競合状況の変化等によっては当初期待した成果が得られないリスクがあります。
このような場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響をもたらす可能性があります。
(4) 海外事業展開に関するリスク(①ビジネスリスク、②法令違反リスク、⑤輸出入管理リスク)当社グループはグローバルに事業を展開しており、海外売上比率は当期実績で約70%を占めています。
顧客の多くもグローバル規模で事業を展開しているため、海外諸国の経済動向、国際情勢の変化、遵守すべき法令対応によって、当社グループの財政状態及び経営成績に大きな影響をもたらす可能性があります。
(5) 製品の供給に関するリスク(①ビジネスリスク、⑦感染症・災害リスク)当社グループは、電子部品等の安定調達を目指して、取引先との強固な関係構築に努めるとともに、部品調達リスクを速やかに把握する仕組み作りや、戦略的な部品在庫の確保などの対策を講じています。
あわせて、リスクの高い部品については代替品への変更などによりリスクの最小化を図っています。
しかしながら、災害等に起因するサプライチェーンの混乱や需要の急激な高まりによる部品供給の逼迫等が生じた場合は、電子部品等の調達や主要製品の製造が困難な状況になり、製品の供給に遅延や停止が発生するリスクがあります。
このような場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響をもたらす可能性があります。
(6) 感染症の蔓延に関するリスク(⑦感染症・災害リスク)当社グループは、大規模な感染症の流行が発生した場合、従業員の安全確保と社内外の感染抑止を最優先に取り組んでいきます。
また、事業への影響を最小限に抑えるべく、必要に応じて対策本部を設置し、情報収集と必要な対応を行います。
しかしながら、感染拡大の状況によっては、サプライチェーンの寸断や当社グループ、顧客及び取引先の工場の操業停止や事業拠点の休業などの事業活動の制限等による影響により、当社グループの財政状態及び経営成績に大きな影響をもたらす可能性があります。
(7) 災害等に関するリスク(⑦感染症・災害リスク)当社グループはグローバルに生産・販売活動を展開しているため、地震、台風、気候変動に伴う異常気象等の自然災害、火災、戦争、テロ及び暴動等が発生した場合には、当社グループや仕入先、顧客の主要設備への被害等により事業活動に支障が生じ、また、これらの災害等が政治不安又は経済不安を引き起こすことにより、当社グループの財政状態及び経営成績に大きな影響をもたらす可能性があります。
当社では、災害・緊急時の被害最小化と事業活動の早期回復を図り、円滑な事業活動を継続することを目的として、各部門がBCP(Business Continuity Plan)を作成しています。
当社グループの製造拠点である東北アンリツ(株)では、地震や大雨による河川の氾濫などの自然災害を重要なリスクとして位置づけ、災害発生後になすべきことを具体的にプロセスごとに明確化しています。
実際の大規模災害での教訓を受け、BCP緊急発動基準を見直し、より幅広いリスクに備えるとともに各リスク発生時の対応手順の精緻化を行っています。
(8) 外国為替変動に関するリスク(①ビジネスリスク)当社では売掛金の回収などで発生する外貨取引への為替先物予約等によりリスク・ヘッジに努めておりますが、急激な為替変動は当社グループの財政状態及び経営成績に影響をもたらす可能性があります。
(9) 在庫陳腐化のリスク(①ビジネスリスク)当社グループは顧客のニーズやウォンツをきめ細かく捉え、製品やサービスを市場に提供するよう努めております。
しかし、特に通信計測事業における製品群は技術革新が極めて速いため、製品及び部品の陳腐化が起こりやすく、在庫の長期化・不良化を招くことで当社グループの財政状態及び経営成績に影響をもたらす可能性があります。
(10) 人材確保に関するリスク(①ビジネスリスク)当社グループの持続的成長のためには、人材の獲得、確保、育成は非常に重要な要素となっています。
当社グループは、国籍や性別などにこだわらない多様な人材の採用活動を積極的に行うことにより、優秀な人材の獲得に努めるとともに、社員の自発的成長を支援する教育研修体系の整備を継続的に進めています。
また、ライフワークバランスを重視し、働き方や価値観の多様化に対応した労務環境の整備に取り組んでいます。
しかしながら、人材の確保及び育成が想定どおりに進まない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響をもたらす可能性があります。
(11) コンプライアンスに関するリスク(②法令違反リスク)当社グループは、事業を展開する各国において当該国の法的規制の適用を受けています。
これらの法令等に違反した場合、あるいは社会的要請に反した行動等があった場合には、法令による処罰、訴訟の提起、社会的制裁、ブランドの毀損等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響をもたらす可能性があります。
当社グループが社会的責任を遂行するにあたり、あるべき行動の指針とする「アンリツグループ行動規範」を定めるとともに、教育啓発活動を随時実施し、企業倫理の向上及び法令遵守の強化に努めています。
国内アンリツグループのコンプライアンスの推進は、経営戦略会議の議長であるグループCEOが率先垂範しています。
そして、経営戦略会議の下に、コンプライアンス担当執行役員を委員長とし、国内アンリツグループ各社の社員がメンバーとして参加する企業倫理推進委員会が、コンプライアンス推進活動を統括しています。
また、企業倫理推進委員会およびその事務局である法務部は、法令対応の関連委員会とともに、海外アンリツグループ各社に対し、各国・各地域の法令・文化・慣習などを踏まえた倫理法令遵守を促し、必要な支援を行っています。
さらに、海外アンリツグループ各社のコンプライアンス責任者と連携して、グローバルな推進体制を構築しています。
なお、コンプライアンス推進体制が適正に機能しているかを内部監査部門が監査し、必要に応じて、提言・改善要請を行っています。
(12) 環境問題に関するリスク(③環境リスク)当社グループは、気候変動、エネルギー、大気、水、有害物質、廃棄物、商品リサイクルなどさまざまな環境に関する法令及び規制等の適用を受けています。
当社グループでは、事業活動や製品に関わる環境コンプライアンスの徹底はもとより、気候変動対策、循環型社会の形成、環境汚染予防に取り組んでいます。
しかしながら、環境規制の更なる強化や過去の行為に起因する環境責任の発生、自然災害などに起因した環境汚染の発生等が考えられます。
これらの事象によって、法令遵守や環境対策のために必要なコストの増加等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響をもたらす可能性があります。
当社グループでは、ステークホルダーからの要請に応えるため、製品のライフサイクル全体にわたり環境とのかかわりを意識した製品を開発し、提供しています。
また、地球温暖化防止、生物多様性保全などの観点から、オフィス・ファクトリーの省エネルギー化によるCO2排出量の削減、3R(リデュース・リユース・リサイクル)推進による廃棄物の削減、環境汚染防止に関して法、条例の規制より厳しい自主管理基準の設定による環境汚染リスクの低減に努めています。
(13) 製品の品質に関するリスク(④製品・サービスの品質リスク)当社グループでは、品質マネジメントシステムの国際規格であるISO 9001の認証を1993年から取得し、製品の設計・開発から製造・サービス・保守に至るまでの一貫した品質管理をグローバルに展開しています。
しかしながら、予測し得ない品質上の重大な欠陥といった事象の発生や製造物責任につながる事態が発生した場合には、社会的信用の失墜、訴訟の提起、社会的制裁、ブランドの毀損等に加え、補償や対策に伴うコストが発生し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響をもたらす可能性があります。
当社グループでは、製品品質の維持・向上と保証を図り、品質マネジメントシステムを適切に運用するために、品質マネジメントシステム委員会や内部品質監査委員会等を設けています。
また、万一製品事故が発生した場合の体制の整備や製品事故予防のシステム及び再発防止に向けた取組について、検討を行っています。
(14) 訴訟に関するリスク(②法令違反リスク)当社グループは、事業に関わる各種法令を遵守するとともに、知的財産権の適正な使用、契約条件の明確化、相手方との協議の実施等により紛争の発生を未然に防ぐよう努めています。
当連結会計年度において、当社グループに重要な影響を及ぼす訴訟等は提起されていません。
しかしながら、重大な訴訟等が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響をもたらす可能性があります。
(15) 情報セキュリティに関するリスク(⑥情報セキュリティリスク)当社グループは事業活動を行ううえで、顧客及び取引先、株主、従業員などすべての関係者の情報を適切に保護することが社会的責務であり、また、情報資産が当社グループ及びすべての関係者にとって重要な財産であると認識しています。
これらの情報資産について、サイバー攻撃による情報セキュリティ事故が発生した場合、当社グループの社会的信用の失墜、訴訟の提起、社会的制裁、ブランドの毀損等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響をもたらす可能性があります。
当社グループでは、情報セキュリティ管理体制を構築し、徹底した管理とセキュリティの維持・向上への取組や情報セキュリティ教育の実施などを継続的に行っています。
グローバルに事業を展開する当社では、世界中のオフィスをネットワークで接続し、情報の共有化を進めてきました。
情報セキュリティにおいては一カ所でも脆弱な部分があると、全体のセキュリティレベルに影響を及ぼすことから、グローバルで強固かつ均一なセキュリティシステムを構築することに取り組んでいます。
(16) 繰延税金資産に関するリスク(①ビジネスリスク)当社グループは、税効果会計を適用し、繰延税金資産を計上しています。
繰延税金資産の計算は、将来の課税所得に関する見積りを含めた予測等に基づいており、実際の結果が予測と異なる可能性があります。
将来の課税所得の見積りに基づく税金負担の軽減効果が得られないと判断された場合、当該繰延税金資産は取り崩され、当社グループの財政状態及び経営成績に影響をもたらす可能性があります。
(17) 確定給付制度債務に関するリスク(①ビジネスリスク)当社及び一部の子会社の従業員を対象とした確定給付年金制度から生じる退職給付費用及び債務は、割引率等の数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されておりますが、確定給付制度債務の見込額を算出する基礎となる割引率等の数理計算上の仮定に変動が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響をもたらす可能性があります。
経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。
)の状況の概要は次のとおりです。
1) 財政状態及び経営成績の状況通信計測事業の主要市場である情報通信分野においては、世界的なスマートフォンの出荷台数が回復してきており、AIを搭載した高機能スマートフォンなど、新たな機能の搭載による市場の活性化が期待されます。
5G利活用の領域では、Automotive分野での5G活用に向けた研究開発が進展しており、ローカル5Gのようなプライベート領域での5Gネットワーク構築に向けた調査や実証実験が継続されています。
IoT(Internet of Things)分野では、米国のラストワンマイルで利用されるCPE(Customer Premises Equipment、顧客構内設備)の需要や、5G無線モジュールの開発に加えてWi-Fi 7(*1)の開発需要が増加してきています。
非地上系ネットワーク(NTN:Non-Terrestrial Network)としては、衛星を用いた通信サービスが相次いで始まっており、4GシステムのNB-IoT(Narrowband IoT)を用いる端末もリリースされています。
2024年6月に標準化が完了した「Release 18」(*2)では、IoT向けのeRedCap(enhanced Reduced Capability)や5G NR(New Radio)を用いるNTNなどで機能の向上が図られ、チップセットや端末への対応が進められています。
また、3GPPにおいて次世代の通信規格である6Gの仕様についての議論も始まり、研究開発も行われています。
5Gのネットワークでは、無線アクセスネットワークのオープン化に取り組むO-RANアライアンスが仕様を策定しており、これまでメーカー独自のインターフェースで構成されていた基地局装置に対してO-RANの標準仕様を適用することで、マルチベンダーでの無線アクセスネットワークの構築が容易になりました。
また、生成AIの普及拡大によるデータ・トラフィックの急増に対応するために、データセンターの新設及び大容量化が加速しています。
生成AI向けのデータセンターにおいては800GEネットワークへの更新が本格化してきており、光デバイスメーカーでの800GE向け光デバイスの生産増強が進展しています。
ネットワーク機器メーカーにおいてはPCIe(Gen5/6)(*3)などのハイスピードバスの開発が進展しており、1.6TE向けの光デバイスの開発が始まっています。
さらに、データセンターのグローバル接続として、新たな経路での光海底ケーブル敷設が、ハイパースケーラーによって進められています。
加えて、オール光化を目指すIOWN(*4)の活動も活発化してきています。
PQA事業の分野においては、人手不足の影響から食品生産ラインの自動化投資が進んでおり、X線を用いた異物混入検査や包装品質検査など品質保証プロセスの自動化、省人化に係る需要が米国を中心に好調に推移しています。
このような環境のなか、当社グループの経営成績は次のとおりとなりました。
当期は、受注高は112,585百万円(前年同期比4.9%増)、売上収益は112,979百万円(同2.8%増)、営業利益は12,124百万円(同35.0%増)、税引前利益は12,737百万円(同28.0%増)、当期利益は9,259百万円(同20.7%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は9,257百万円(同20.6%増)となりました。
当連結会計年度末の資産合計は、159,826百万円となり、前期末に比べ1,258百万円減少しました。
当連結会計年度末の負債合計は、35,558百万円となり、前期末に比べ1百万円減少しました。
当連結会計年度末の資本合計は、124,268百万円となり、前期末に比べ1,257百万円減少しました。
なお、当社グループの当連結会計年度の財政状態の状況は、「
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 2) 財政状態」に記載しています。
(*1)第7世代のWi-Fi規格、第6世代(Wi-Fi 6)の使用帯域幅160MHzを320MHzまで拡張し、高速化を実現(*2)3GPPで標準化される規格番号(*3)第5/第6世代のPCI Express規格(シリアル転送方式の拡張スロット用インターフェース規格)(*4)Innovative Optical and Wireless Networkの略で、IOWN Global Forumが検討を進めている、オール光ネットワークなど革新的技術を用いた新しい通信基盤 セグメントごとの経営成績は以下のとおりです。
各セグメント別の売上収益は外部顧客に対する売上収益を記載しています。
① 通信計測事業当事業は、サービス・プロバイダ、ネットワーク機器メーカー、保守工事業者などへ納入する、多機種にわたる通信用及び汎用計測器、測定システム、サービス・アシュアランスの開発、製造、販売を行っています。
当期は、生成AIの普及拡大によるデータセンター等でのネットワーク高速化に向けた測定需要が好調に推移しましたが、通信事業者の基地局建設・保守用計測器への投資が低調であり、前年同期比で減収となりました。
一方、プロダクト・ミックスの変化により収益性が改善しました。
この結果、売上収益は70,109百万円(前年同期比1.3%減)、営業利益は8,375百万円(同11.0%増)の減収増益となりました。
② PQA事業当事業は、高精度かつ高速の各種自動重量選別機、自動電子計量機、異物検出機などの食品・医薬品・化粧品産業向けの生産管理・品質保証システム等の開発、製造、販売を行っています。
当期は、食品市場の品質保証プロセスの自動化、省人化を目的とした設備投資需要が好調に推移しました。
米国において大手顧客のX線検査機需要を獲得したこと等により、前年同期比で増収増益となりました。
この結果、売上収益は28,241百万円(前年同期比11.3%増)、営業利益は2,836百万円(同119.0%増)となりました。
③ 環境計測事業当事業は、EV/電池向け試験装置、ローカル5G向け支援サービス、道路やダム・河川等の映像監視用モニタリングソリューションの開発、製造、販売を行っています。
当期は、国内においてEV/電池向け試験需要が好調に推移し、前年同期比で増収増益となりました。
この結果、売上収益は8,545百万円(前年同期比14.9%増)、営業利益は900百万円(同67.6%増)となりました。
④ その他の事業当事業は、センシング&デバイス事業、物流、厚生サービス、不動産賃貸等からなっております。
当期は、売上収益は6,081百万円(前年同期比0.9%減)、営業利益は1,456百万円(同79.7%増)となりました。
2) キャッシュ・フローの状況当期における現金及び現金同等物(以下「資金」という。
)の期末残高は、50,094百万円となり、前期末に比べ4,437百万円増加しました。
なお、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合わせたフリー・キャッシュ・フローは、17,154百万円のプラス(前期は12,929百万円のプラス)となりました。
当期における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
① 営業活動によるキャッシュ・フロー営業活動の結果獲得した資金は、純額で21,071百万円(前年同期は16,573百万円の獲得)となりました。
これは、税引前利益の計上及び棚卸資産の減少により資金が増加したことが主な要因です。
なお、減価償却費及び償却費は5,707百万円(前年同期比181百万円減)となりました。
② 投資活動によるキャッシュ・フロー投資活動の結果使用した資金は、純額で3,916百万円(前年同期は3,643百万円の使用)となりました。
これは、有形固定資産及び無形資産の取得による支出が主な要因です。
③ 財務活動によるキャッシュ・フロー財務活動の結果使用した資金は、純額で12,257百万円(前年同期は6,578百万円の使用)となりました。
これは、配当金の支払額5,270百万円(前年同期の配当金支払額は5,266百万円)及び自己株式の取得による支出が主な要因です。
3) 生産、受注及び販売の実績① 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称当連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)前年同期比(%)通信計測(百万円)68,496100.9PQA (百万円)28,676113.3環境計測 (百万円)8,694115.3報告セグメント計(百万円)105,867105.1その他(百万円)5,93496.4合計(百万円)111,801104.6(注)金額は販売価格によっております。
② 受注実績当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称受注高(百万円)前年同期比(%)受注残高(百万円)前年同期比(%)通信計測66,91997.119,68385.7PQA29,121116.17,440113.0環境計測10,033138.35,187138.3報告セグメント計106,074104.832,31197.0その他6,510107.91,380100.6合計112,585104.933,69197.2 ③ 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称当連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)前年同期比(%)通信計測(百万円)70,10998.7PQA (百万円)28,241111.3環境計測 (百万円)8,545114.9報告セグメント計(百万円)106,897103.0その他(百万円)6,08199.1合計(百万円)112,979102.8(注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上に該当する相手先がないため記載を省略しております。

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであり、実際の結果は、将来に関する事項の記述とは異なる可能性があります。
その主な要因については、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しておりますが、それらに限定されるものではありません。
1) 経営成績当社グループは、通信計測事業、PQA事業および環境計測事業の3つを報告セグメントとしています。
① 通信計測事業当社グループの売上収益の62%を占める通信計測事業は、「モバイル市場」「ネットワークインフラ市場」「エレクトロニクス市場」向けの3つのサブセグメントに区分しております。
a. モバイル市場モバイル市場には、携帯電話サービスを行うサービス・プロバイダの端末受入検査用途向け計測器や、スマートフォン等の携帯電話端末、ICチップセット、その他関連電子部品メーカーの設計、生産、機能・性能検証、保守用途向け計測器等を含めております。
当市場の需要は、携帯電話サービスの技術革新や普及率、加入者数の推移のほか、端末/チップセットメーカーの新規参入又は撤退、端末やチップセットのモデルチェンジや出荷数等に影響される傾向があります。
通信計測事業の主要市場である情報通信分野においては、世界的にスマートフォンの出荷台数が回復してきており、AIを搭載した高機能スマートフォンなど、今後の市場の活性化が期待されます。
5G利活用の領域においては、Automotive分野における研究開発が進展しており、ローカル5Gのようなプライベート領域での5Gネットワーク構築に向けた調査や実証実験が継続されています。
IoT(Internet of Things)分野では、米国等ではラストワンマイルで利用されるCPE (Customer Premises Equipment, 顧客構内設備)の需要や、5G無線モジュールの開発に加えてWi-Fi 7(*1)の開発需要が増加しています。
加えて、衛星を用いた通信サービスの非地上系ネットワーク(Non-Terrestrial Network)としては4GシステムのNB-IoT(Narrowband IoT)を用いる端末もリリースされ、関連した開発の需要が見込まれます。
また、2024年6月に標準化が完了した「Release 18」(*2)では、IoT向けのeRedCap(enhanced Reduced Capability)や5G NR(New Radio)を用いるNTNなどで機能の向上が図られ、チップセットや端末への対応が進められています。
また、3GPPにおいて次世代の通信規格である6Gの仕様についての議論も始まり、研究開発も行われています。
当社は、引き続き競争力のある最先端計測ソリューションを提供するとともに、開発ポートフォリオ・マネジメントを的確に遂行することで、収益基盤の強化に努めてまいります。
(*1)第7世代のWi-Fi規格、第6世代(Wi-Fi 6)の使用帯域幅160MHzを320MHzまで拡張し、高速化を実現(*2)3GPPで標準化される規格番号 b. ネットワークインフラ市場ネットワークインフラ市場には、有線・無線通信事業者のネットワーク建設、保守、監視及びサービス品質保証用途向けのソリューションや、ネットワーク機器メーカーの設計、生産、試験及び調整用途向けソリューション等を含めております。
当市場においては、クラウドサービスの高度化や生成AIの普及拡大によるデータ・トラフィックの急増に対応するために、データセンターの新設及び大容量化が加速しています。
データセンターにおいては800GEネットワークへの更新が本格化してきており、光デバイスメーカーでの800GE向け光デバイスの生産増強が進展しています。
また、ネットワーク機器メーカーでは、PCIe(Gen5/6)などのハイスピードバスの開発が進展しており、1.6TE向けの光デバイスの開発が始まっています。
さらに、ハイパースケーラーによる新たな光海底ケーブル敷設が進められているほか、ネットワークのオール光化を目指すIOWNの活動も活発化してきています。
これに伴い、関連する計測ソリューションの需要も堅調に推移しています。
当社は、通信機器の研究開発向けソリューションに加え、通信インフラの構築・監視からサービス品質保証までの総合ソリューションを提供することで、事業の拡大に取り組んでまいります。
c. エレクトロニクス市場エレクトロニクス市場には、通信ネットワークに関連する通信機器やその他の電子機器に使用される電子デバイスの設計、生産、評価をはじめ、エレクトロニクス分野で幅広く利用されている計測器等を含めております。
当市場の需要は、通信機器や情報家電、自動車等に使用される電子部品及び電子機器の生産規模に影響を受ける傾向があります。
IoTサービスの拡大により、多岐にわたる用途の無線モジュールの開発・製造用計測ソリューション需要が増加しております。
また、6Gに向けた研究開発の始まりに伴い関連する計測器の需要が顕在化しています。
当社は、エレクトロニクス市場に対するソリューションを拡充し、更なる事業の拡大に努めてまいります。
② PQA事業PQA事業は、当社グループの売上収益の25%を占めています。
当事業は、食品産業向けの売上収益が8割以上を占めているため、食の安全安心に関する意識の高まりや食品メーカーの業績に影響を及ぼす消費支出水準の変化に大きな影響を受けます。
主力製品には、食品製造ラインにおいて高速搬送しながら高精度に計量する重量選別機や食品中に混入する金属や石等の異物を高感度に検出し製造ラインから排除する異物検査機器(X線検査機等)等があります。
日本市場においては、原料高の影響等から期初には受注の遅れがあったものの、その後のインバウンド需要や自動化需要の獲得により、底堅く推移しました。
また、海外市場では、米国における大手顧客のX線検査機需要の獲得をはじめ、欧米・アジアの各地域で自動化・省人化を目的とした設備投資需要が好調に推移しました。
なお、当事業の海外売上比率は約6割となっています。
食品メーカーの品質検査への関心は高く、この需要に応えるために、新製品及び品質保証ソリューションの開発に努めるとともに、海外現地生産を含むサプライチェーンの最適化とグローバルオペレーションの効率化を推進し、事業拡大と収益性の向上に取り組んでまいります。
③ 環境計測事業環境計測事業は、パワーエレクトロニクスとネットワークの2つの領域で社会課題の解決に貢献する事業を展開しており、当社グループの売上収益の8%を占めています。
当事業は、EV/電池向け試験装置、ローカル5G向け支援サービス、道路やダム・河川等の遠隔監視用装置の開発、製造、販売を行っています。
EV/電池向け試験装置の売上収益が大きな比重を占めており、当市場の需要は各国のEVシフトに向けた政策や税制優遇による顧客投資の環境変化に大きな影響を受けます。
パワーエレクトロニクスの分野においては、世界的な脱炭素化の流れにより、自動車メーカーの電動化シフトが進展しており、バッテリ、インバータ、モータ等の開発投資が拡大しています。
子会社である㈱高砂製作所は、高度なエネルギー制御技術を活かした電源システムに強みを持ち、自動車メーカーや自動車部品メーカー、バッテリメーカー等に、EVの駆動系やバッテリの試験装置を提供しており、国内においてEV/電池向け試験需要が好調に推移しました。
当社はこの分野に向けて積極的な開発投資を進め、新製品およびソリューションを拡充し、事業のグローバル展開に向けた取り組みを加速させていきます。
ネットワークの分野においては、道路やダム・河川等の遠隔監視用装置の需要は底堅く推移しました。
2) 財政状態① 資産資産合計は、159,826百万円となり、前期末に比べ1,258百万円減少しました。
主な減少要因は、棚卸資産の減少5,434百万円です。
一方で、現金及び現金同等物が4,437百万円増加しました。
② 負債負債合計は、35,558百万円となり、前期末に比べ1百万円減少しました。
主な減少要因はその他の流動負債の減少697百万円、その他の金融負債の減少612百万円、社債及び借入金の減少526百万円です。
一方で、未払法人所得税が1,951百万円増加しました。
③ 資本資本合計は、124,268百万円となり、前期末に比べ1,257百万円減少しました。
これは、主に自己株式の取得による資本の減少3,819百万円です。
一方で、利益剰余金が3,210百万円増加しました。
この結果、親会社所有者帰属持分比率は77.8%(前期末は77.9%)となりました。
有利子負債残高は6,072百万円(前期末は7,193百万円)、デット・エクイティ・レシオは0.05(前期末は0.06)となりました。
(注)デット・エクイティ・レシオ:有利子負債/親会社の所有者に帰属する持分 3) キャッシュ・フロー当社グループは、当連結会計年度末において50,094百万円の資金を保有していることから、将来の予測可能な資金需要に対して不足が生じる事態に直面する懸念は少ないと認識しています。
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は、「(1) 経営成績等の状況の概要 2) キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
当連結会計年度の設備投資額は、3,371百万円(前年同期比19.1%減)となりました。
主に主力の通信計測事業を中心に技術革新と販売競争に対処するための新製品開発と原価低減に向けた投資を継続しました。
研究開発投資については、9,879百万円(前年同期比0.6%減)となりました。
主に新製品開発とソリューションの競争力強化に向けた投資を実施しました。
これらの設備投資額及び研究開発投資は、主に自己資金によって賄われました。
翌連結会計年度においては、約5,500百万円の設備投資と約11,000百万円の研究開発投資を予定しています。
設備投資額は、開発環境基盤強化を目的とした投資等を見込んでおります。
研究開発投資については、更なる事業拡大にむけて、主力の通信計測事業においては、競争力の強化、PQA事業については、グローバルビジネス展開を目的とした投資を行っていく他、環境計測事業においては、製品競争力の強化に向けた投資を行います。
これらの設備投資額及び研究開発費投資を、主に自己資金によって賄う予定です。
4) 資本の財源及び資金の流動性当社グループの資金需要は、製品の製造販売に関わる部材購入費や営業費用などの運転資金、設備投資資金及び研究開発費が主なものであり、主に営業活動によって獲得した内部資金のほか、直接調達・間接調達により十分な資金枠を確保しています。
また、2023年3月に設定した借入枠75億円のコミットメントライン(2026年3月まで有効)により財務の安定性を確保しています。
今後とも、大きく変動する市場環境のなかで、国内外の不測の金融情勢に備えるとともに、運転資金、長期借入債務の償還資金及び事業成長のための資金需要に迅速、柔軟に対応してまいります。
当期末の有利子負債残高は、6,072百万円(前期末の有利子負債残高は7,193百万円)となりました。
また、デット・エクイティ・レシオは0.05(前期末は0.06)となりました。
今後ともROEの向上、CCC(注)向上によるキャッシュ・フロー創出及びグループ内キャッシュ・マネジメント・システム等による資金効率化に取り組み、強固な財務体質の維持に努めてまいります。
当社の格付(R&I:㈱格付投資情報センター)は、発行体格付が「A」、短期格付が「a-1」となっています。
当社は、更なる格付向上に向けて、新たな経営ビジョンのもと、安定した収益を上げる企業としての売上高2,000億円企業を目指してまいります。
株主還元については、連結当期利益の上昇に応じて、親会社所有者帰属持分配当率(DOE:Dividend On Equity)を上げることを基本に、連結配当性向50%以上の配当を行うとともに、総還元性向も勘案した株主還元施策も機動的に行っていくことを基本方針としています。
また、剰余金については、5G市場における競争力強化、IoTを活用した産業分野への事業拡大、クラウドサービス市場等への事業展開、新成長分野の開拓及び6Gをはじめとした次世代技術の獲得等に向けた戦略的投資(含むM&A)のための資金需要等に備える計画です。
このような新規事業への投資も含めて、企業価値の向上に取り組みます。
(注)CCC:キャッシュ・コンバージョン・サイクル 5) 経営戦略と今後の方針について経営戦略と今後の方針は、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。
6) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、国際会計基準(IFRS)に基づき作成されております。
この連結財務諸表の作成にあたっては、予想される将来のキャッシュ・フローや、経営者の定めた会計方針に従って財務諸表に報告される数値に影響を与える項目について、経営者が見積りを行うことが要求されます。
これらの見積りは過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、結果として、これらの見積りと実際の結果が異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4. 重要な会計上の見積り及び判断」に記載のとおりです。
研究開発活動 6【研究開発活動】
当連結会計年度の研究開発投資(無形資産に計上された開発費を含む)の内訳は、次のとおりです。
セグメントの名称当連結会計年度 売上収益比率(%)通信計測事業7,276百万円 10.4PQA事業1,663百万円 5.9環境計測事業512百万円 6.0その他の事業142百万円 2.3基礎研究開発284百万円 -合 計9,879百万円 8.7 また、セグメント別の主な研究開発成果は次のとおりです。
(1) 通信計測事業1) ME7873NR/ME7834NR RF/プロトコル コンフォーマンス試験・通信事業者受入試験システムの規格追従による機能強化コンフォーマンス試験は、モバイル通信サービスの品質を保つための世界的な評価基準で、世界中の通信事業者に広く受け入れられています。
また、多くの先進的な通信事業者は、このコンフォーマンス試験に加え、独自の端末品質評価体系を整備し、運用しています。
ME7873NR及びME7834NRは、RFとプロトコルそれぞれのコンフォーマンス試験及び通信事業者受入試験に対応した自動試験システムです。
すでに数多くの試験機能が認証団体(GCFやPTCRB) (*1)や大手通信事業者に認証され、実際の5G端末コンフォーマンス認証試験や端末受け入れ試験に使用されています。
当社はテストシステムの機能強化により、導入が進んでいるIoT機器向けの通信規格RedCapや衛星を使用した通信網NTN(Non-Terrestrial Network)の認証に対応しました。
また、LTEおよび5Gを使用した欧州の次世代車載緊急通報システムであるNG-eCallのGCF認証も取得し、スマートフォン以外を対象とした認証へと対応を広げました。
加えて、大型化の一途をたどるテストシステムの利便性を向上する簡易構成モデルや、多様化する被試験体へ試験環境を提供するためのOTA試験にも対応することで、より多くの通信端末の認証試験への使用を可能としました。
引き続き、日本及び米国の主要通信事業者7社の端末受入試験を提供する唯一のメーカーとして、5G端末の品質向上に貢献します。
2) Virtual Signaling Testerの開発モバイル通信は、IoT市場向けのRedCapやモバイル通信のカバレッジ拡張、災害等の非常時におけるネットワークとして期待されるNTN技術が進む中、Beyond5G/6Gへの検討が進められています。
通信用チップセットの開発においてはシフトレフト化が進んでおり、半導体設計の初期段階で行われる検証プロセスが重視されてきています。
当社は、このような状況を踏まえ、仮想環境での5Gネットワークシミュレータ Virtual Signaling Testerを開発し、販売を開始しています。
引き続き、Beyond5G/6Gの社会実装に貢献すべく、先端技術への対応を継続しています。
3) MT8000A/MD8475B 車両緊急通報システムeCallテスタ機能強化eCall (Emergency Call)は、交通事故発生時にモバイルネットワークを介してIVS(車載システム)からPSAP(Public Safety Answering Point)と呼ばれる緊急連絡センターへ自動通報を行う緊急通報システムです。
欧州連合(EU)では、新型車両へのeCallシステムの搭載が義務化され、その後各国への導入が拡大しています。
また、自動車安全テストを実施しレーティングを公表する団体、例えばEuro NCAPにおいても消費者視点の安全性指標として採用されており、安全・安心なモビリティ社会の実現に向けたコネクテッドサービスの一つとして、その重要性が高まっています。
近年、モバイルネットワークの世代交代・共存からeCallも従来の2G/3Gから4G化(NG-eCall)の規格が策定され、欧州では2026年1月1日から義務化が予定されています。
幅広いお客様にご使用いただいている当社eCallテスタを、本製品の特徴である実ネットワークを想定した各世代間の相互運用試験としてご使用いただけるよう4G/5G対応させることで2G~5G全世代に対応できるようになりました。
また本製品は、EU規格にて規定された適合性試験にも対応し、認定機関から試験機器として認定されています。
当社は本ソリューションを通じて、実ネットワーク運用で必要な機能評価のほか、規格準拠した適合性試験に対応することで、車載機器の品質向上に貢献します。
4) MT8862A IEEE802.11be(Wi-Fi 7) MIMO機能追加スマートフォン・タブレット端末等を用いた4K/8Kなどの動画の再生、ウェアラブルデバイスでのAR(拡張現実)/VR(仮想現実)技術を活用したサービスの拡充、工場・医療機器における制御・遠隔監視アプリケーションなどWLAN(Wireless LAN)搭載機器のユースケースは広がり続けています。
IEEE(米国電気電子学会)は増加するデータトラフィック需要に対応するため、最新WLAN規格IEEE 802.11be(Wi-Fi 7)で320 MHzチャネルへの広帯域化、変調方式の4096QAMへの多値化によるWLAN搭載機器の最大通信速度の高速化が進み、複数アンテナを使用するMIMO技術の評価に関する重要性が高まっています。
当社は、ワイヤレスコネクティビティテストセット MT8862Aの機能を拡張し、Wi-Fi 7の2x2 MIMOに対応させました。
本製品は、デバイスを実動作状態で評価できるネットワークモードの使用により、特別な制御設定が不要で、Wi-Fi 7 2x2 MIMO搭載機器の受信感度や送信パワー測定の測定系を簡易に構築できる特徴を持っています。
これにより、WLAN搭載機器の通信品質向上に加えて、通信技術の進化に大きく貢献いたします。
5) MP1900A USB4 v2対応ソリューションの開発4K/8K HD動画の大容量データ転送や、AIを活用したIoT機器間の高速通信の需要増加により、データ転送速度の高速化が求められ、スマートフォンやタブレットPCと周辺機器との通信をサポートするUSB通信の高速化が必要になってきています。
最新のUSB通信規格USB4 v2は、従来のUSB4 v1と比べ、データ転送速度が2倍に高速化されています。
そのため、USB Type-Cケーブルを介した、動画データのディスプレイやストレージドライブへの高速転送を、よりスムーズに行うことが可能です。
一方で、Baud(*2)レートの高速化とPAM3(*3)変調の採用により、USB4 v2通信時に生じるノイズや信号の揺らぎ(ジッタ)が、通信速度の低下や通信品質劣化を引き起こすことが考えられます。
そのため、USB4 v2のレシーバ評価では、USBデバイスのデータ送信規格より高品質な信号を用いる必要があります。
加えて、高品質な信号にノイズやジッタを擬似的に付加して通信品質の悪い状態を模擬して評価を行えるパターン発生器(PPG)が求められています。
当社はシグナルクオリティアナライザMP1900A用にUSB4 v2に対応したソフトウェアを開発しました。
MP1900Aは同ソフトウェアを搭載することで低ジッタ・高品質波形性能により、確かなレシーバテストをサポートします。
さらに、USB接続時に安定した通信状態を確立するための最新のUSB4 v2コンプライアンステスト仕様もサポートしています。
本ソリューションの提供を通じて、USB4 v2搭載機器の接続性改善、通信品質向上に貢献します。
6) MT1040AおよびMS9740Bを用いた光伝送路品質測定技術の開発従来のネットワークインフラの限界を超えた高速大容量通信や膨大な計算リソースを提供可能なネットワーク・情報処理基盤の実現のため、IOWN構想がNTTによって主導されています。
そのIOWN構想における主要技術分野の一つとして、ネットワークに対する社会的要請である光伝送の低消費電力化、高品質・大容量化、低遅延化を実現するAPN(オールフォトニクス・ネットワーク)が掲げられ、その活用に向けた研究開発がNTT各研究所を中心として進められています。
APNにおいては、DCO(デジタルコヒーレントオプティクス)を活用した多様な光送受信装置の接続が想定されており、光伝送路の異常に早期に対応する品質管理技術が求められます。
当社はNTT NIC(ネットワークイノベーションセンタ)と共同して、光伝送路の品質評価指標であるGSNR(Generalized Signal-to-Noise Ratio)を推定する技術を開発しました。
本技術では、当社製品であるネットワークマスタプロMT1040Aと光スペクトラムアナライザMS9740Bを使用し、評価対象の光伝送路を通過したDCO信号を測定・解析を行うことで、高確度でのGSNR推定に成功しました。
本成果はNTT NICと当社の連名にて特許出願され、また、電子情報通信学会ネットワークシステム研究会での発表論文として掲載されました。
7) 標準化活動通信計測事業における研究開発活動の重要な取り組みのひとつとして、国内外の標準化活動へ積極的に参画しています。
情報通信産業における最先端の知識・技術を常に製品へ反映し、競争力に優れたソリューションをタイムリーに提供するために、主要な標準団体として現在3GPP、ITU-T、IEEE、PCI Express、IOWN等へ参加し、4G/5G、データセンター、IoT/M2M、コネクテッドカーといった有線・無線通信事業の戦略立案や情報収集に役立てています。
特に移動通信システムの規格を策定する3GPPにおいては、 基地局と携帯端末の通信手順試験用コンフォーマンステスト(端末認証試験)の仕様策定に際し4G/5Gの規格策定段階から参画しています。
国内外の通信オペレータ、チップセットベンダ、端末ベンダとも協業し、今年度はNTN, AI/Machine Learningなどのリリース18、19規格策定および、既存規格保守に取り組みました。
中でもNTNにおいては低軌道衛星(LEO-600等)が地球上空を周回する際の衛星軌道、信号伝送遅延、周波数ドップラーシフトの計算法の検討に貢献しました。
これら試験規格を端末の認証試験用プログラムとして四半期毎に製品に取り込んでおり、認証団体(GCFやPTCRB)を介して無線通信端末の市場投入をサポートしています。
また、PCI Express(*4)の規格を主導するPCI-SIGに参画し、次世代規格PCIe6.0/7.0に対応した測定器の開発と検証を通じて標準化の早期確立に貢献しています。
またPCI-SIGの定期会合や年に数回行われる認証テストイベントに参加し、対応製品の認証プロセスに寄与しています。
この取り組みにより、信頼性の高い測定ソリューションを提供し、技術革新を推進しています。
また複数ベンダによる光伝送ネットワークの相互接続・運用の実現を推進するOpen ROADM(*5) MSAにおいては、アンリツは2023年からデモメンバとして参画し、2024年にMSAメンバへ加盟しました。
相互接続性を検証するテキサス大学ダラス校のOpen Labと協業し、展示会などではオーケストレーションシステムを連携させ、ネットワークの効率的な検証やエンドツーエンドの通信品質モニタの実証実験に取り組み、相互接続の検証提案やサポートに貢献しております。
(*1)GCF/PTCRBGCF: Global Certification ForumPTCRB: PCS Type Certification Review Boardそれぞれヨーロッパ発祥、アメリカ発祥の認証機関であり、携帯端末が3GPPの規格に準拠していることの認証を行うとともに、コンフォーマンステストシステムの認証の役割も担っている。
(*2)Baud単位時間あたりの変調回数を表す単位。
(*3)PAM3Pulse Amplitude Modulation 3の略。
3値の電圧レベルで表現する信号方式の一つ。
(*4)PCI ExpressPCI ExpressはPCI-SIGによって策定されたコンピュータの拡張バスの標準仕様で、CPUやメモリなどと通信する為のI/Oシリアルインターフェース。
5.0は32GT/s、6.0は64GT/sのデータ転送速度。
(*5)Open ROADMROADM技術をオープン化し、複数ベンダ間の相互運用性を確保するための取り組みを行う光通信ネットワークに関する標準規格。

(2) PQA事業1)異物検査の精度と安定性を高めたX線検査機(XR76シリーズ)の開発食品への異物の混入は、消費者の安全や企業ブランドの信用失墜に直結する重大な問題です。
また、近年はエネルギーや原材料価格の高騰および生産現場の人手不足が食品製造業の収益を圧迫しており、食品メーカー各社はさらなる品質向上と生産性向上の両立を目指し、生産ラインの自動化・省人化を推し進めています。
このような中、品質検査機にはさらなる異物検出感度の向上に加え、誤検出に伴う対象物の再検査や廃棄ロスを最小限に抑えることができる安定した検査性能が求められています。
XR76シリーズX線検査機は、従来モデルが持つ長寿命技術を継承しつつ、高感度・高精細化した新型X線センサーと画像処理アルゴリズム技術の高度化により、検査精度が最高約40%向上(*1)し、微細な異物も検出可能になりました。
また、判定リミットの設定に余裕が生まれたことで誤検出率を85%低減(*2)することに成功しました。
高精度で安定した異物検査を実現したこの新製品は、再検査作業の省力化やフードロスの抑制といった課題解決を支援し、多くのお客様の生産性と品質向上に貢献します。
(*1)検査精度の向上検出可能なステンレス球の最小サイズが、従来モデルの直径0.5mmから0.3mmに向上していることを検証実験で確認しています。
(*2)誤検出率の低減凹凸が激しく誤検出しやすい検査対象物を使用し、5000回以上の検証実験を行った結果から算出しています。
(3) 環境計測事業1) 実車試験を模擬したパワートレイン/バッテリ評価ソリューションの開発脱炭素社会の実現に向け、自動車市場では内燃機関からEVやFCVへのシフト(電動化)の動きが急速に進んでいます。
EV開発は、更なる高性能化と車種の拡大に伴い、より複雑化・多様化しつつあります。
また、新規参入企業の増加により、EV開発競争はグローバルで激しさを増しており、開発期間の更なる短縮が大きな課題となっています。
当社子会社である高砂製作所のRZ-X2シリーズ ハイブリッド電源は、多くの自動車・自動車部品メーカーにEV開発におけるパワートレインおよびバッテリ評価用設備として広く採用され、ハイブリッド車を含むEVの普及・性能向上に貢献してきました。
当社は、さらなるEV開発の効率化をめざし、モデルベース開発ツールベンダとの協業で、電源装置とモデルシミュレーションを連携させた、より実車試験に近いパワートレイン/バッテリ評価ソリューションの開発を行いました。
この新しい評価環境を導入することにより、設計評価における手戻りの発生が抑制され、EV開発の期間とコストが大幅に削減できると期待されています。
今後の本ソリューションの開発を継続し、EVの普及を通じて脱炭素社会の実現に貢献してまいります。
2) 広域センサネットワークシステムの開発近年、自然災害の頻発化と激甚化が進む中、災害時に広域かつ迅速に情報を収集する手段の確保が重要性を増しています。
国土交通省は、公共インフラ分野における技術開発や技術導入の方向性を示す「電気通信技術ビジョン4」の取り組みとして「センサネットワークによる広域的な情報の収集」を掲げ、情報収集基盤整備の技術開発を推進しています。
一方、広域的かつ迅速な情報収集の実現には、広域通信インフラの構築、高信頼性、セキュリティ対策、機器導入・維持管理コストの低減、など多くの課題があります。
当社は、災害発生時における広域かつリアルタイムな情報収集システム構築を目指し、国土交通省ビジョン4のプロジェクトに参画、共創パートナーと共同技術研究を開始しました。
当社のネットワーク通信技術、制御技術を有効活用し、広域災害情報を迅速に収集できる広域センサネットワークシステム開発を進め、防災・減災の情報インフラ構築に貢献してまいります。
設備投資等の概要 1【設備投資等の概要】
当社グループは、将来の収益向上と競争力強化を目的とし、長期的な成長が見込まれる製品分野に重点を置いた新製品開発や、省力化及び合理化のためのシステム関連投資など、戦略的な投資を行っております。
当連結会計年度の設備投資(有形固定資産及び無形資産受入れベース数値。
無形資産に計上した開発費は除く。
)の内訳は、次のとおりです。
セグメントの名称当連結会計年度 前年同期比通信計測2,176百万円 72.0%PQA617百万円 113.5%環境計測233百万円 106.3%計3,027百万円 80.0%その他344百万円 90.2%合計3,371百万円 80.9% 通信計測事業では、急速な技術革新や販売競争に対処するための新製品開発と原価低減に向けた投資を実施しました。
PQA事業では、主として生産性向上および製品の販売促進を目的とした投資を実施しました。
環境計測事業では、主として環境計測事業の新規市場参入と新製品開発および生産性向上を目的とした投資を実施しました。
また事業継続を目的とした建物の改修工事も実施しております。
その他の事業では、主としてデバイス事業において、生産能力維持・増強を目的とした投資を実施しました。
主要な設備の状況 2【主要な設備の状況】
当社グループにおける主要な設備は、次のとおりです。
(1) 提出会社 2025年3月31日現在 事業所名(所在地)セグメントの名称設備の内容帳簿価額従業員数(人)建物及び構築物(百万円)機械装置及び車両運搬具(百万円)工具器具備品(百万円)土地(百万円)(面積㎡)無形資産(百万円)投資不動産(百万円)(面積㎡)合計(百万円)本社(神奈川県厚木市)通信計測・PQA・環境計測・その他開発・生産設備、一般管理業務・販売業務設備9,6683551,25444(97,610)808-12,1311,692郡山事業所(福島県郡山市)通信計測・その他生産設備2,6345681741,780(122,745)10-5,16921その他(神奈川県厚木市等)通信計測・PQA・その他福利厚生施設等680160200202(13,401)1121(9,970)1,368-(注)帳簿価額には建設仮勘定を含めておりません。

(2) 国内子会社 2025年3月31日現在 会社名事業所名(所在地)セグメントの名称設備の内容帳簿価額従業員数(人)建物及び構築物(百万円)機械装置及び車両運搬具(百万円)工具器具備品(百万円)土地(百万円)(面積㎡)無形資産(百万円)投資不動産(百万円)(面積㎡)合計(百万円)アンリツ不動産㈱天現寺等(東京都港区等)その他不動産賃貸設備569-1767(8,537)-114(2,625)1,453-㈱高砂製作所本社等(神奈川県川崎市等)環境計測開発・生産設備、一般管理業務・販売業務設備286183181,158(17,573)26-1,673188(注)帳簿価額には建設仮勘定を含めておりません。
(3) 在外子会社 2025年3月31日現在 会社名事業所名(所在地)セグメントの名称設備の内容帳簿価額従業員数(人)建物及び構築物(百万円)機械装置及び車両運搬具(百万円)工具器具備品(百万円)土地(百万円)(面積㎡)無形資産(百万円)投資不動産(百万円)(面積㎡)合計(百万円)AnritsuCompany、他米州地区6社米国工場等(カリフォルニア州等)通信計測・PQA開発・生産・販売設備等1,477497961,184(80,383)1,627-4,884505(注)帳簿価額には建設仮勘定を含めておりません。
設備の新設、除却等の計画 3【設備の新設、除却等の計画】
当社グループは、技術革新及び需要の動向に対処するため、新製品・新技術の開発、生産体制の整備、製品の品質・精度の向上、原価低減に必要な設備の新設を計画しております。
設備計画は原則的に連結会社各社が個別に策定しておりますが、グループ全体で重複投資とならないよう、提出会社を中心に調整をはかっております。
なお、当連結会計年度末現在における重要な設備の新設、除却等の計画はありません。
研究開発費、研究開発活動9,879,000,000
設備投資額、設備投資等の概要3,371,000,000

Employees

平均年齢(年)、提出会社の状況、従業員の状況46
平均勤続年数(年)、提出会社の状況、従業員の状況21
平均年間給与、提出会社の状況、従業員の状況7,304,000
管理職に占める女性労働者の割合、提出会社の指標0
全労働者、労働者の男女の賃金の差異、提出会社の指標1
正規雇用労働者、労働者の男女の賃金の差異、提出会社の指標1
非正規雇用労働者、労働者の男女の賃金の差異、提出会社の指標1

Investment

株式の保有状況 (5)【株式の保有状況】
① 投資株式の区分の基準及び考え方当社は、保有する当社以外の他の法人等の株式につき、専ら株式の価値の変動及び剰余金の配当に着眼し、これらから得られる利益の最大化のみを追求することを目的に株式を取得した事情がある場合、保有の意義の検証を通じて現に当該目的のみに拠って保有を継続している銘柄の株式であるか否かをもって、純投資目的である投資株式への該当性の有無を判断し、純投資目的以外の目的である投資株式との区分としております。
なお、当事業年度末日及び本報告書提出日現在、当社は、保有目的が純投資目的である投資株式を有しておりません。
② 保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式a.保有方針及び保有の合理性を検証する方法並びに個別銘柄の保有の適否に関する取締役会等における検証の内容当社は、中長期的な企業価値向上に資する目的で、事業戦略、営業政策等を総合的に勘案し、主に取引先を中心に政策的に上場株式を保有する場合があります。
この場合において、政策的に保有している上場株式については、保有先の経営状況をモニタリングするとともに、毎年保有継続の意義及び合理性を検証し、保有の必要性が希薄となるなど、継続して保有する意義が認められない場合、株価や市場動向等を勘案し、適宜売却等の処分の検討を行うこととします。
保有の適否の検証の内容、並びに売却等の処分を実施した場合における当該処分の内容その他の政策保有株式に関する事項については、毎年及び随時取締役会に報告を行います。
なお、当社は、ESGの観点及び経済合理性に則った取引を推進し、いかなる顧客、取引先等に対しても、当社株式の保有を当社グループとの取引の条件とすることはありません。
また、現に当社株式を保有している取引先に対しては、当社株式を保有し続けることを取引継続の条件とすることはありません。
当社では、上場株式の政策保有について、重要な事業戦略を遂行する上で必要なものに限り保有することとし、その縮減に努めています。
当社の方針に則って、政策保有に係る個別銘柄について、保有継続の意義、並びに一定期間における時価変動及び受取配当金の累計を考慮した収益と当社の目標とする資本コストとの見合い等を通じた合理性を検証した結果、保有する銘柄については、保有先との関係の維持・強化に資することが確認されております。
議決権行使にあたっては、当社の保有目的、保有先の業績、経営方針、ガバナンスなどを勘案したうえで、中長期的な視点での企業価値向上に資するか否か、Total Shareholders Return(TSR)等をふまえ、総合的に賛否を判断します。
b.銘柄数及び貸借対照表計上額 銘柄数(銘柄)貸借対照表計上額の合計額(百万円)非上場株式12134非上場株式以外の株式2123 (当事業年度において株式数が増加した銘柄)該当事項はありません。
(当事業年度において株式数が減少した銘柄)該当事項はありません。
c.特定投資株式及びみなし保有株式の銘柄ごとの株式数、貸借対照表計上額等に関する情報 特定投資株式銘柄当事業年度前事業年度保有目的、業務提携等の概要、定量的な保有効果及び株式数が増加した理由当社の株式の保有の有無株式数(株)株式数(株)貸借対照表計上額(百万円)貸借対照表計上額(百万円)㈱三井住友フィナンシャルグループ32,34010,780当社の重要な取引金融機関として資金調達等の取引があり、金融取引の維持・発展のために保有しております。
株式分割により、株数が増加しております。
(注)無12296三井住友トラスト・ホールディングス㈱126126当社の重要な取引金融機関として資金調達等の取引があり、金融取引の維持・発展のために保有しております。
無00(注) (株)三井住友フィナンシャルグループは、2024年10月1日付で普通株式1株につき3株の割合で株式分割を行ったため、株数が増加しております。
みなし保有株式銘柄当事業年度前事業年度保有目的、業務提携等の概要、定量的な保有効果及び株式数が増加した理由当社の株式の保有の有無株式数(株)株式数(株)貸借対照表計上額(百万円)貸借対照表計上額(百万円)三井住友トラスト・ホールディングス㈱240,000240,000銘柄に記載の会社の株式を退職給付信託に拠出しており、信託財産として保有する当該会社の株式に係る議決権行使の指図者としての権限を有しております。
無892793㈱三井住友フィナンシャルグループ120,00040,000銘柄に記載の会社の株式を退職給付信託に拠出しており、信託財産として保有する当該会社の株式に係る議決権行使の指図者としての権限を有しております。
無455356(注1) 特定投資株式とみなし保有株式を合算していません。
(注2) (株)三井住友フィナンシャルグループは、2024年10月1日付で普通株式1株につき3株の割合で株式分割を行ったため、株数が増加しております。
③ 保有目的が純投資目的である投資株式該当事項はありません。
④ 株式の政策保有及び政策保有株式に係る議決権行使に関する基本方針当社は、当社の中長期的な企業価値向上に資する目的で、事業戦略、営業政策等を総合的に勘案し、主に取引先を中心に政策的に上場株式を保有する場合があります。
この場合において、政策的に保有している上場株式については、保有継続の意義及び合理性を検証し、定期的に取締役会に報告を行います。
政策保有株式に係る議決権行使にあたっては、政策保有株式の保有先の経営方針やガバナンスなどを勘案したうえで、中長期的な視点での企業価値向上もふまえ、総合的に賛否を判断します。
銘柄数、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社12
貸借対照表計上額、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社134,000,000
銘柄数、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社2
貸借対照表計上額、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社123,000,000
株式数、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社126
貸借対照表計上額、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社0
株式数、保有目的が純投資目的以外の目的であるみなし保有株式の明細、提出会社120,000
貸借対照表計上額、保有目的が純投資目的以外の目的であるみなし保有株式の明細、提出会社455,000,000
銘柄、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社三井住友トラスト・ホールディングス㈱
保有目的、業務提携等の概要、定量的な保有効果及び株式数が増加した理由、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社当社の重要な取引金融機関として資金調達等の取引があり、金融取引の維持・発展のために保有しております。
当該株式の発行者による提出会社の株式の保有の有無、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社
銘柄、保有目的が純投資目的以外の目的であるみなし保有株式の明細、提出会社㈱三井住友フィナンシャルグループ
保有目的、業務提携等の概要、定量的な保有効果及び株式数が増加した理由、保有目的が純投資目的以外の目的であるみなし保有株式の明細、提出会社銘柄に記載の会社の株式を退職給付信託に拠出しており、信託財産として保有する当該会社の株式に係る議決権行使の指図者としての権限を有しております。
当該株式の発行者による提出会社の株式の保有の有無、保有目的が純投資目的以外の目的であるみなし保有株式の明細、提出会社
脚注(保有目的が純投資目的以外の目的であるみなし保有株式)、提出会社 (注2) (株)三井住友フィナンシャルグループは、2024年10月1日付で普通株式1株につき3株の割合で株式分割を行ったため、株数が増加しております。

Shareholders

大株主の状況 (6) 【大株主の状況】
2025年3月31日現在
氏名又は名称住所所有株式数(千株)発行済株式(自己株式を除く。)の総数に対する所有株式数の割合(%)
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)東京都港区赤坂一丁目8番1号 赤坂インターシティAIR22,20117.17
株式会社日本カストディ銀行(信託口)東京都中央区晴海一丁目8番12号14,56511.26
STATE STREET BANK AND TRUST COMPANY 505001 (常任代理人 株式会社みずほ銀行 決済営業部)ONE CONGRESS STREET, SUITE 1, BOSTON, MASSACHUSETTS (東京都港区港南二丁目15番1号 品川インターシティA棟)2,8392.20
JUNIPER (常任代理人 株式会社三菱UFJ銀行 決済事業部)P. O. BOX 2992 RIYADH 11169 KINGDOM OF SAUDI ARABIA (東京都千代田区丸の内一丁目4番5号)2,3771.84
住友生命保険相互会社東京都中央区八重洲二丁目2番1号2,3141.79
株式会社日本カストディ銀行・三井住友信託退給口東京都中央区晴海一丁目8番12号2,0001.55
NORTHERN TRUST CO.(AVFC) RE UKUC UCITS CLIENTS NON LENDING 10PCT TREATY ACCOUNT (常任代理人 香港上海銀行東京支店 カストディ業務部)50 BANK STREET CANARY WHARF LONDON E14 5NT, UK (東京都中央区日本橋三丁目11番1号)1,9941.54
JP MORGAN CHASE BANK 385781 (常任代理人 株式会社みずほJ銀行 決済営業部)25 BANK STREET, CANARY WHARF, LONDON, E14 5JP,UNITED KINGDOM (東京都港区港南二丁目15番1号 品川インターシティA棟)1,8901.46
JPモルガン証券株式会社東京都千代田区丸の内二丁目7番3号 東京ビルディング1,7321.34
GOLDMAN, SACHS & CO. REG (常任代理人 ゴールドマン・サックス証券株式会社)200 WEST STREET NEW YORK, NY, USA (東京都港区虎ノ門二丁目6番1号 虎ノ門ヒルズステーションタワー)1,7011.32計-53,61441.46(注1)大株主の状況については、信託財産等を合算(名寄せ)することなく、2025年3月31日末現在の株主名簿の記載どおりに表示しております。なお、当該株主名簿において、当社が自己名義で所有している株式(自己株式)の数は6,546,422株ですが、当社につきましては、上記の大株主より除外しています。(注2)上記の株主の所有株式数には、信託業務に係る株式数が含まれている場合があります。なお、上記のほか、株式会社日本カストディ銀行における信託業務に係る株式数898千株があります。(注3)株式会社日本カストディ銀行の所有株式のうち次に掲げるものは、三井住友信託株式会社が保有する当社株式を退職給付信託に拠出したものです。
氏名又は名称拠出会社名株式数(千株)三井住友信託退給口三井住友信託銀行株式会社2,000(注4)公衆の縦覧に供されている大量保有報告書又は大量保有報告書の変更報告書において、次の法人及び共同保有者である法人がそれぞれ次のとおり株式を所有している旨が記載されているものの、当社として2025年3月31日現在における実質所有株式数の確認ができませんので、上記大株主の状況には含めておりません。
氏名又は名称住所報告義務発生日保有株券等の数(千株)株券等保有割合(%)野村證券株式会社東京都中央区日本橋一丁目13番1号2025年1月15日6,9625.12
株主数-金融機関51
株主数-金融商品取引業者40
株主数-外国法人等-個人148
株主数-外国法人等-個人以外258
株主数-個人その他45,868
株主数-その他の法人461
株主数-計46,826
氏名又は名称、大株主の状況GOLDMAN, SACHS & CO. REG (常任代理人 ゴールドマン・サックス証券株式会社)
株主総利回り1
株主総会決議による取得の状況 (1) 【株主総会決議による取得の状況】
該当事項はありません。
株主総会決議又は取締役会決議に基づかないものの内容 (3) 【株主総会決議又は取締役会決議に基づかないものの内容】
区分株式数(株)価額の総額(円)当事業年度における取得自己株式1,025290,873当期間における取得自己株式227281,654(注)当期間における取得自己株式には、2025年6月1日から有価証券報告書提出日までの単元未満株式の買取りによる株式は含まれておりません。

Shareholders2

自己株式の取得-3,857,000,000

Audit

監査法人1、連結有限責任 あずさ監査法人
独立監査人の報告書、連結 独立監査人の監査報告書及び内部統制監査報告書 2025年6月25日 アンリツ株式会社  取締役会 御中 有限責任 あずさ監査法人 横浜事務所 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士櫻 井  清 幸 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士戸 塚  俊一郎 <連結財務諸表監査>監査意見当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられているアンリツ株式会社の2024年4月1日から2025年3月31日までの連結会計年度の連結財務諸表、すなわち、連結財政状態計算書、連結包括利益計算書、連結持分変動計算書、連結キャッシュ・フロー計算書及び連結財務諸表注記について監査を行った。
当監査法人は、上記の連結財務諸表が、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第312条により規定された国際会計基準に準拠して、アンリツ株式会社及び連結子会社の2025年3月31日現在の財政状態並びに同日をもって終了する連結会計年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。
監査意見の根拠当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。
監査の基準における当監査法人の責任は、「連結財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。
当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。
当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。
監査上の主要な検討事項監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。
監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。
通信計測事業における棚卸資産の評価監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応アンリツ株式会社(以下「アンリツ」という。
)の連結財政状態計算書に計上されている棚卸資産22,425百万円は総資産の14.0%を占めており、主に通信計測事業に属する製品、原材料及び仕掛品が含まれている。
連結財務諸表注記の「3. 重要性がある会計方針」及び「4. 重要な会計上の見積り及び判断」に記載のとおり、棚卸資産は取得原価と正味実現可能価額のうちいずれか低い方の金額で評価される。
アンリツの通信計測事業が属する産業では、技術革新により製品及び原材料の陳腐化が生じるリスクがあることから、アンリツは、保有期間が長期にわたる製品及び原材料について、その一部は販売もしくは使用されないと仮定し、これらの正味実現可能価額を算定している。
通信計測事業における製品及び修理やサポートサービス等の需要は変動する可能性があるため、正味実現可能価額の見積りには不確実性を伴う。
以上から、当監査法人は、通信計測事業における棚卸資産の評価が、当連結会計年度の連結財務諸表監査において特に重要であり、監査上の主要な検討事項の一つに該当すると判断した。
当監査法人は、通信計測事業における棚卸資産の評価の合理性を検討するため、主に以下の手続を実施した。
また、当監査法人は重要な連結子会社の監査人に監査の実施を指示し、監査手続の実施結果について報告を受け、十分かつ適切な監査証拠が入手されているか否かを評価した。
(1) 内部統制の評価棚卸資産の評価に関連する内部統制の整備及び運用状況の有効性を評価した。
評価に当たっては、対象とする棚卸資産を網羅的に把握し、保有期間の計算を正確に行い、さらに、経営者の仮定に従い正味実現可能価額の算定を正確に行うための、関連するITシステムの全般統制及び業務処理統制の整備及び運用状況の有効性の評価に焦点を当てた。

(2) 棚卸資産の評価の合理性の検討アンリツ及び重要な子会社について、正味実現可能価額の見積りに含まれる経営者が採用した仮定の適切性を評価するため、その根拠について経営者に対して質問したほか、主に以下の手続を実施した。
・通信計測事業における5G関連製品の市場拡大見通しについて、外部機関が公表している予測データとの整合性を確認した。
・過去の製品の販売見込みとその後の販売実績を比較し、製品の販売見込みに関する仮定の適切性を検討した。
・過去の原材料の使用見込みとその後の使用実績を比較し、原材料の使用見込みに関する仮定の適切性を検討した。
・そのうえで、当連結会計年度末における棚卸資産の評価の資料を入手し、販売見込み及び使用見込みの仮定に不確実性が考慮され、正味実現可能価額が正しく算定されていることを再計算により確認した。
環境計測セグメントに属する株式会社高砂製作所に係るのれんを含む資金生成単位の評価監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応アンリツ株式会社(以下「アンリツ」という。
)の当連結会計年度の連結財政状態計算書において、のれん及び無形資産8,161百万円並びに有形固定資産27,251百万円が計上されている。
連結財務諸表注記「13.のれん及び無形資産」に記載のとおり、このうちのれん2,871百万円は、株式会社高砂製作所(以下「高砂製作所」という。
)の買収により生じたのれんである。
高砂製作所の有形固定資産及び無形資産1,673百万円と合わせてのれんを含む資金生成単位を構成しており、総資産159,826百万円の2.8%を占めている。
のれんを含む資金生成単位については、減損の兆候があるときに加え毎期減損テストが実施され、回収可能価額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額が回収可能価額まで減額され、帳簿価額の減少額は減損損失として認識される。
なお、回収可能価額は使用価値と処分コスト控除後の公正価値のいずれか高い方として算定される。
アンリツは、当連結会計年度に実施された年次の減損テストの結果、高砂製作所の買収により生じたのれんを含む資金生成単位の回収可能価額が帳簿価額を上回っているため、減損損失は認識していない。
当連結会計年度においてアンリツは、高砂製作所の買収により生じたのれんを含む資金生成単位の回収可能価額として使用価値を用いている。
この使用価値の測定に用いる将来キャッシュ・フローは、経営者が作成した高砂製作所の中期事業計画を基礎として見積もられるが、事業計画に含まれる売上成長率の予測(拡販施策等による収益の拡大計画)及び当該事業計画期間後の成長率の見積りには不確実性を伴うため、これらの経営者による判断が将来キャッシュ・フローの見積りに重要な影響を及ぼす。
また、使用価値の測定に用いる割引率の見積りにおいては、計算手法及びインプットデータの選択に当たり、評価に関する高度な専門知識を必要とする。
以上から、当監査法人は、環境計測セグメントに属する高砂製作所に係るのれんを含む資金生成単位の評価が、当連結会計年度の連結財務諸表監査において特に重要であり、監査上の主要な検討事項の一つに該当すると判断した。
当監査法人は、環境計測セグメントに属する高砂製作所に係るのれんを含む資金生成単位の評価の妥当性を検証するため、主に以下の手続を実施した。
(1) 内部統制の評価のれんを含む資金生成単位の減損テストにおける使用価値の測定に関連する内部統制の整備状況及び運用状況の有効性を評価した。
評価に当たっては、将来キャッシュ・フローの見積りの基礎となる事業計画の承認に関する統制に特に焦点を当てて評価を実施した。

(2) 使用価値の見積りの合理性の評価使用価値の見積りの合理性を評価するため、その根拠について高砂製作所の経営者に対して質問するとともに、主に以下の手続を実施した。
・事業計画に含まれる売上成長率の予測について、過去の売上高の推移と比較を行った上で、外部の調査機関が予測した関連する市場の成長率等との整合性を検討することにより、その適切性を検討した。
・拡販施策による収益の拡大計画の合理性を評価するため、販売戦略及び進捗状況に関する資料を閲覧し、事業計画との整合性を検討した。
・事業計画期間後の成長率について、外部機関が公表している物価上昇率と比較し、その適切性を検討した。
また、主要な仮定が適切かどうかについての評価結果や、過去の事業計画の達成状況及び差異の原因についての検討結果を踏まえて、事業計画に一定の不確実性を織り込んだ場合の将来キャッシュ・フローを独自に見積もり、経営者による見積額と比較した。
加えて、割引率について、当監査法人が属する国内ネットワークファームの評価の専門家を利用して、主に以下について検討した。
・割引率の計算手法について、対象とする評価項目、会計基準の定めを踏まえて、その適切性を評価した。
・割引率の計算に用いられたインプットデータと評価の専門家が独自に入手した外部機関が公表しているデータとを照合し、インプットデータが適切かどうかについて評価した。
また、割引率の計算に用いられるインプットデータを変動させた場合の、減損損失の認識の要否の判断に与える影響について検討した。
その他の記載内容その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。
経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。
また、監査等委員会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。
当監査法人の連結財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。
連結財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と連結財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。
当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。
その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。
連結財務諸表に対する経営者及び監査等委員会の責任経営者の責任は、国際会計基準に準拠して連結財務諸表を作成し適正に表示することにある。
これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない連結財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。
連結財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき連結財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、国際会計基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。
監査等委員会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。
連結財務諸表監査における監査人の責任監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての連結財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から連結財務諸表に対する意見を表明することにある。
虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、連結財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。
監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。
・不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。
また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。
監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。
さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。
・連結財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。
・経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。
・経営者が継続企業を前提として連結財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。
継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において連結財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する連結財務諸表の注記事項が適切でない場合は、連結財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。
監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。
・連結財務諸表の表示及び注記事項が、国際会計基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた連結財務諸表の表示、構成及び内容、並びに連結財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。
・連結財務諸表に対する意見表明の基礎となる、会社及び連結子会社の財務情報に関する十分かつ適切な監査証拠を入手するために、連結財務諸表の監査を計画し実施する。
監査人は、連結財務諸表の監査に関する指揮、監督及び査閲に関して責任がある。
監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。
監査人は、監査等委員会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。
監査人は、監査等委員会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。
監査人は、監査等委員会と協議した事項のうち、当連結会計年度の連結財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。
ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。
<内部統制監査>監査意見当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第2項の規定に基づく監査証明を行うため、アンリツ株式会社の2025年3月31日現在の内部統制報告書について監査を行った。
当監査法人は、アンリツ株式会社が2025年3月31日現在の財務報告に係る内部統制は有効であると表示した上記の内部統制報告書が、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して、財務報告に係る内部統制の評価結果について、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。
監査意見の根拠当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に準拠して内部統制監査を行った。
財務報告に係る内部統制の監査の基準における当監査法人の責任は、「内部統制監査における監査人の責任」に記載されている。
当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。
当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。
内部統制報告書に対する経営者及び監査等委員会の責任経営者の責任は、財務報告に係る内部統制を整備及び運用し、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して内部統制報告書を作成し適正に表示することにある。
監査等委員会の責任は、財務報告に係る内部統制の整備及び運用状況を監視、検証することにある。
なお、財務報告に係る内部統制により財務報告の虚偽の記載を完全には防止又は発見することができない可能性がある。
内部統制監査における監査人の責任監査人の責任は、監査人が実施した内部統制監査に基づいて、内部統制報告書に重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、内部統制監査報告書において独立の立場から内部統制報告書に対する意見を表明することにある。
監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。
・内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果について監査証拠を入手するための監査手続を実施する。
内部統制監査の監査手続は、監査人の判断により、財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性に基づいて選択及び適用される。
・財務報告に係る内部統制の評価範囲、評価手続及び評価結果について経営者が行った記載を含め、全体としての内部統制報告書の表示を検討する。
・内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果に関する十分かつ適切な監査証拠を入手するために、内部統制の監査を計画し実施する。
監査人は、内部統制報告書の監査に関する指揮、監督及び査閲に関して責任がある。
監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。
監査人は、監査等委員会に対して、計画した内部統制監査の範囲とその実施時期、内部統制監査の実施結果、識別した内部統制の開示すべき重要な不備、その是正結果、及び内部統制の監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。
監査人は、監査等委員会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。
<報酬関連情報> 当監査法人及び当監査法人と同一のネットワークに属する者に対する、会社及び子会社の監査証明業務に基づく報酬及び非監査業務に基づく報酬の額は、「提出会社の状況」に含まれるコーポレート・ガバナンスの状況等 (3)【監査の状況】
に記載されている。
利害関係会社及び連結子会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。
以  上※1. 上記の監査報告書及び内部統制監査報告書の原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。
2. XBRLデータは監査の対象には含まれていません。
監査上の主要な検討事項、連結 監査上の主要な検討事項監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。
監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。
通信計測事業における棚卸資産の評価監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応アンリツ株式会社(以下「アンリツ」という。
)の連結財政状態計算書に計上されている棚卸資産22,425百万円は総資産の14.0%を占めており、主に通信計測事業に属する製品、原材料及び仕掛品が含まれている。
連結財務諸表注記の「3. 重要性がある会計方針」及び「4. 重要な会計上の見積り及び判断」に記載のとおり、棚卸資産は取得原価と正味実現可能価額のうちいずれか低い方の金額で評価される。
アンリツの通信計測事業が属する産業では、技術革新により製品及び原材料の陳腐化が生じるリスクがあることから、アンリツは、保有期間が長期にわたる製品及び原材料について、その一部は販売もしくは使用されないと仮定し、これらの正味実現可能価額を算定している。
通信計測事業における製品及び修理やサポートサービス等の需要は変動する可能性があるため、正味実現可能価額の見積りには不確実性を伴う。
以上から、当監査法人は、通信計測事業における棚卸資産の評価が、当連結会計年度の連結財務諸表監査において特に重要であり、監査上の主要な検討事項の一つに該当すると判断した。
当監査法人は、通信計測事業における棚卸資産の評価の合理性を検討するため、主に以下の手続を実施した。
また、当監査法人は重要な連結子会社の監査人に監査の実施を指示し、監査手続の実施結果について報告を受け、十分かつ適切な監査証拠が入手されているか否かを評価した。
(1) 内部統制の評価棚卸資産の評価に関連する内部統制の整備及び運用状況の有効性を評価した。
評価に当たっては、対象とする棚卸資産を網羅的に把握し、保有期間の計算を正確に行い、さらに、経営者の仮定に従い正味実現可能価額の算定を正確に行うための、関連するITシステムの全般統制及び業務処理統制の整備及び運用状況の有効性の評価に焦点を当てた。

(2) 棚卸資産の評価の合理性の検討アンリツ及び重要な子会社について、正味実現可能価額の見積りに含まれる経営者が採用した仮定の適切性を評価するため、その根拠について経営者に対して質問したほか、主に以下の手続を実施した。
・通信計測事業における5G関連製品の市場拡大見通しについて、外部機関が公表している予測データとの整合性を確認した。
・過去の製品の販売見込みとその後の販売実績を比較し、製品の販売見込みに関する仮定の適切性を検討した。
・過去の原材料の使用見込みとその後の使用実績を比較し、原材料の使用見込みに関する仮定の適切性を検討した。
・そのうえで、当連結会計年度末における棚卸資産の評価の資料を入手し、販売見込み及び使用見込みの仮定に不確実性が考慮され、正味実現可能価額が正しく算定されていることを再計算により確認した。
環境計測セグメントに属する株式会社高砂製作所に係るのれんを含む資金生成単位の評価監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応アンリツ株式会社(以下「アンリツ」という。
)の当連結会計年度の連結財政状態計算書において、のれん及び無形資産8,161百万円並びに有形固定資産27,251百万円が計上されている。
連結財務諸表注記「13.のれん及び無形資産」に記載のとおり、このうちのれん2,871百万円は、株式会社高砂製作所(以下「高砂製作所」という。
)の買収により生じたのれんである。
高砂製作所の有形固定資産及び無形資産1,673百万円と合わせてのれんを含む資金生成単位を構成しており、総資産159,826百万円の2.8%を占めている。
のれんを含む資金生成単位については、減損の兆候があるときに加え毎期減損テストが実施され、回収可能価額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額が回収可能価額まで減額され、帳簿価額の減少額は減損損失として認識される。
なお、回収可能価額は使用価値と処分コスト控除後の公正価値のいずれか高い方として算定される。
アンリツは、当連結会計年度に実施された年次の減損テストの結果、高砂製作所の買収により生じたのれんを含む資金生成単位の回収可能価額が帳簿価額を上回っているため、減損損失は認識していない。
当連結会計年度においてアンリツは、高砂製作所の買収により生じたのれんを含む資金生成単位の回収可能価額として使用価値を用いている。
この使用価値の測定に用いる将来キャッシュ・フローは、経営者が作成した高砂製作所の中期事業計画を基礎として見積もられるが、事業計画に含まれる売上成長率の予測(拡販施策等による収益の拡大計画)及び当該事業計画期間後の成長率の見積りには不確実性を伴うため、これらの経営者による判断が将来キャッシュ・フローの見積りに重要な影響を及ぼす。
また、使用価値の測定に用いる割引率の見積りにおいては、計算手法及びインプットデータの選択に当たり、評価に関する高度な専門知識を必要とする。
以上から、当監査法人は、環境計測セグメントに属する高砂製作所に係るのれんを含む資金生成単位の評価が、当連結会計年度の連結財務諸表監査において特に重要であり、監査上の主要な検討事項の一つに該当すると判断した。
当監査法人は、環境計測セグメントに属する高砂製作所に係るのれんを含む資金生成単位の評価の妥当性を検証するため、主に以下の手続を実施した。
(1) 内部統制の評価のれんを含む資金生成単位の減損テストにおける使用価値の測定に関連する内部統制の整備状況及び運用状況の有効性を評価した。
評価に当たっては、将来キャッシュ・フローの見積りの基礎となる事業計画の承認に関する統制に特に焦点を当てて評価を実施した。

(2) 使用価値の見積りの合理性の評価使用価値の見積りの合理性を評価するため、その根拠について高砂製作所の経営者に対して質問するとともに、主に以下の手続を実施した。
・事業計画に含まれる売上成長率の予測について、過去の売上高の推移と比較を行った上で、外部の調査機関が予測した関連する市場の成長率等との整合性を検討することにより、その適切性を検討した。
・拡販施策による収益の拡大計画の合理性を評価するため、販売戦略及び進捗状況に関する資料を閲覧し、事業計画との整合性を検討した。
・事業計画期間後の成長率について、外部機関が公表している物価上昇率と比較し、その適切性を検討した。
また、主要な仮定が適切かどうかについての評価結果や、過去の事業計画の達成状況及び差異の原因についての検討結果を踏まえて、事業計画に一定の不確実性を織り込んだ場合の将来キャッシュ・フローを独自に見積もり、経営者による見積額と比較した。
加えて、割引率について、当監査法人が属する国内ネットワークファームの評価の専門家を利用して、主に以下について検討した。
・割引率の計算手法について、対象とする評価項目、会計基準の定めを踏まえて、その適切性を評価した。
・割引率の計算に用いられたインプットデータと評価の専門家が独自に入手した外部機関が公表しているデータとを照合し、インプットデータが適切かどうかについて評価した。
また、割引率の計算に用いられるインプットデータを変動させた場合の、減損損失の認識の要否の判断に与える影響について検討した。
全体概要、監査上の主要な検討事項、連結 監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。
監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。
見出し、監査上の主要な検討事項、連結環境計測セグメントに属する株式会社高砂製作所に係るのれんを含む資金生成単位の評価
内容及び理由、監査上の主要な検討事項、連結 アンリツ株式会社(以下「アンリツ」という。
)の当連結会計年度の連結財政状態計算書において、のれん及び無形資産8,161百万円並びに有形固定資産27,251百万円が計上されている。
連結財務諸表注記「13.のれん及び無形資産」に記載のとおり、このうちのれん2,871百万円は、株式会社高砂製作所(以下「高砂製作所」という。
)の買収により生じたのれんである。
高砂製作所の有形固定資産及び無形資産1,673百万円と合わせてのれんを含む資金生成単位を構成しており、総資産159,826百万円の2.8%を占めている。
のれんを含む資金生成単位については、減損の兆候があるときに加え毎期減損テストが実施され、回収可能価額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額が回収可能価額まで減額され、帳簿価額の減少額は減損損失として認識される。
なお、回収可能価額は使用価値と処分コスト控除後の公正価値のいずれか高い方として算定される。
アンリツは、当連結会計年度に実施された年次の減損テストの結果、高砂製作所の買収により生じたのれんを含む資金生成単位の回収可能価額が帳簿価額を上回っているため、減損損失は認識していない。
当連結会計年度においてアンリツは、高砂製作所の買収により生じたのれんを含む資金生成単位の回収可能価額として使用価値を用いている。
この使用価値の測定に用いる将来キャッシュ・フローは、経営者が作成した高砂製作所の中期事業計画を基礎として見積もられるが、事業計画に含まれる売上成長率の予測(拡販施策等による収益の拡大計画)及び当該事業計画期間後の成長率の見積りには不確実性を伴うため、これらの経営者による判断が将来キャッシュ・フローの見積りに重要な影響を及ぼす。
また、使用価値の測定に用いる割引率の見積りにおいては、計算手法及びインプットデータの選択に当たり、評価に関する高度な専門知識を必要とする。
以上から、当監査法人は、環境計測セグメントに属する高砂製作所に係るのれんを含む資金生成単位の評価が、当連結会計年度の連結財務諸表監査において特に重要であり、監査上の主要な検討事項の一つに該当すると判断した。