財務諸表
CoverPage
提出書類、表紙 | 有価証券報告書 |
提出日、表紙 | 2025-06-25 |
英訳名、表紙 | Dynamic Map Platform Co., Ltd. |
代表者の役職氏名、表紙 | 代表取締役社長CEO 吉村 修一 |
本店の所在の場所、表紙 | 東京都渋谷区渋谷二丁目12番4号 ネクストサイト渋谷ビル |
電話番号、本店の所在の場所、表紙 | 03-6459-3445 |
様式、DEI | 第三号様式 |
会計基準、DEI | Japan GAAP |
連結決算の有無、DEI | true |
当会計期間の種類、DEI | FY |
corp
沿革 | 2 【沿革】 当社は、SIP自動走行システムを実現するための高精度3次元地図データ(以下、「HDマップ(High Definition Map)」)を開発する目的で2016年に設立された「ダイナミックマップ基盤企画株式会社」を前身としております。 SIPとは、内閣府に設置された総合科学技術・イノベーション会議が推進する「戦略的イノベーション創造プログラム」(Cross-ministerial Strategic Innovation Promotion Program)のことで、同会議が政府全体の予算の重点配分等をリードしていく仕組みに基づき府省・分野の枠を超えて予算配分されることから、わが国の科学技術・イノベーションの発展を推進する機能を持ちます。 ここでの研究成果としてHDマップの実用化に目途が立ったとともに、自動運転や先進運転支援システムへの活用ニーズの高まりと自動運転及び先進運転支援システム用途以外でのソリューション提供への展開期待を背景として、日系自動車メーカー10社(以下五十音順にて、いすゞ自動車株式会社、スズキ株式会社、株式会社SUBARU、ダイハツ工業株式会社、トヨタ自動車株式会社、日産自動車株式会社、日野自動車株式会社、本田技研工業株式会社、マツダ株式会社、三菱自動車工業株式会社)他を株主として2017年に「ダイナミックマップ基盤株式会社」として事業会社へ移行しました。 2019年には、当時General Motors Companyの投資先であった在米国HDマップ企業であるUshr Inc. (現・連結子会社 Dynamic Map Platform North America, Inc.)を完全買収しております。 それ以降、2023年に現在の「ダイナミックマッププラットフォーム株式会社」へ社名変更し、日本・北米・欧州・韓国・中東において自動運転や先進運転支援システム向けビジネスと、自動運転及び先進運転支援システム用途以外でのソリューション提供の両輪でグローバルに事業展開をしております。 年月概要2016年6月HDマップを研究開発する目的で、当社の前身であるダイナミックマップ基盤企画株式会社(資本金300百万円)を設立2017年1月HDマップのサンプルデータを出荷(国内高速道路及び自動車専用道路の上下線計500km)2017年6月HDマップの研究開発を行う実行組織として事業会社化。 ダイナミックマップ基盤株式会社に社名変更2017年9月General Motors Companyのハンズフリー運転支援システムである“Super Cruise™”にUshr Inc.(現・連結子会社Dynamic Map Platform North America, Inc.)のHDマップが初採用2017年10月公共測量計画機関(注1)の認定を国土交通省より取得2019年3月国内高速道路及び自動車専用道路(29,205Km)の整備を完了2019年4月北米を中心としてHDマップを開発・整備・販売するUshr Inc.(現・連結子会社 Dynamic Map Platform North America, Inc.)を子会社化2019年9月国内で初めてHDマップを搭載した自動車(日産自動車株式会社“ProPILOT 2.0”搭載『スカイライン』)の発売が開始され、当社のHDマップが採用2021年2月 海外事業資金調達を特別目的とする会社としてD2NA合同会社を設立(2023年1月に当社へ吸収合併)2021年3月世界初の自動運転レベル3(注2)の運転支援機能を搭載した自動車(本田技研工業株式会社”Honda SENSING Elite”搭載『レジェンド』) の発売が開始され、当社のHDマップが採用2021年12月欧州地域事業の統括を目的とするDMP Europe GmbH(現・連結子会社 Dynamic Map Platform Europe, GmbH)を設立2022年4月日産自動車株式会社“ProPILOT 2.0”搭載『アリア』に当社HDマップが採用2022年10月Dynamic Map Platform Korea, LLC、また株式会社三菱UFJ銀行との合弁会社として株式会社DMP Axyz(現・連結子会社 ダイナミックマッププラットフォームAxyz株式会社)を設立2023年2月ダイナミックマッププラットフォーム株式会社に社名変更、また本社を東京都渋谷区に移転2023年7月中東地域における自動走行用高精度3次元道路地図の開発を目的としてDynamic Map Platform Arabia Limitedを設立 2023年10月アラブ首長国連邦における自動走行用高精度3次元道路地図の開発を目的としてDYNAMIC MAP PLATFORM DATA-L.L.Cを設立2023年11月国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の2023年度「脱炭素化・エネルギー転換に資する我が国技術の国際実証事業(実証要件適合性等調査)」に採択2023年12月内閣府の「研究開発成果とSociety 5.0との橋渡しプログラム(BRIDGE)」の施策の一つである経済産業省による「標準活用加速化支援事業(高精度3次元地図データに関する国際標準化)」の事業を受託2024年1月内閣府の課題解決プログラム「BRIDGE」の研究開発事業を受託2024年7月国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)「産業DXのためのデジタルインフラ整備事業/デジタルライフラインの先行実装に資する基盤に関する研究開発」における「自動運転支援道」事業の実施予定先として採択2025年3月東京証券取引所グロース市場に株式を上場 (注1)公共測量計画機関公共測量は測量法第5条に規定される土地の測量を指し、測量計画機関とは第7条に規定される測量を計画する者を指しております。 (注2)自動運転レベル米国の自動車技術会 SAE:Society of Automotive Engineersが公表している自動運転のレベル別基準。 0~5までの6段階に分けて定義され、各レベルに応じて運転タスクの主体や走行領域が設定されております。 なお、各レベルの内容は、「3 事業の内容 <自動車向けHDマップの特徴>③自動運転高度レベル2以上に有用な機能」に掲載する図表のとおりです。 |
事業の内容 | 3 【事業の内容】 2 沿革に記載のとおり、当社は、官民一体となって知見や技術を結集し、自動運転実現に貢献するHDマップの研究開発を進めてまいりました。 HDマップとは、正式名称を「High Definition Map(高精度3次元地図データ)」と言い、自動運転機能を持つ自動車両の安全な走行に重要な役割を担うものです。 中長期的には、自動運転(注1)や先進運転支援システム(注2)をはじめとした自動走行向けだけではなく、インフラ維持管理システムや防災・減災システムにおいても活用することで、高精度位置情報の提供を通じて、あらゆる産業における共通基盤を目指すことを当社グループビジョンに掲げております。 当社グループは、自動運転や先進運転支援システムを開発・提供する自動車メーカー等に整備したHDマップをライセンス供与することで収益化しております。 また、車両に搭載されたHDマップは道路の経年変化に合わせてアップデートを行うことが必要であるため、その更新に関する対価も収受しております。 HDマップをご利用いただく自動車メーカー、搭載車種・搭載車両台数の増加に伴い、業容を拡大してまいりました。 また、自動運転や先進運転支援システム向け以外へのHDマップの用途拡大、HDマップに関する技術を活用したソリューション提供を行い、一層の業容拡大につなげるべく事業展開してまいりました。 当社グループは、当社、連結子会社6社(Dynamic Map Platform North America, Inc.、Dynamic Map Platform Europe, GmbH、Dynamic Map Platform Korea, LLC、ダイナミックマッププラットフォームAxyz株式会社、Dynamic Map Platform Arabia Limited、DYNAMIC MAP PLATFORM DATA-L.L.C)の計7社で構成されており、販売地域を基に「国内」と「海外」に分類しております。 なお、事業の区分は「第5経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメント情報の区分と同一であります。 <国内>国内の自動車専用道路、高速道路及び一般道の計測及び図化を行い、それらを統合して自動運転や先進運転支援システムに有用なHDマップを生成・販売しております(以下、オートモーティブビジネス)。 また、HDマップの生成の過程における計測業務を通じて収集される高精度3次元点群データ(注3)の活用による、自動運転及び先進運転支援システム用途以外でのソリューション提供(以下、3Dデータビジネス)も行っております。 (主要な会社)ダイナミックマッププラットフォーム株式会社、ダイナミックマッププラットフォームAxyz株式会社 <海外>北米、欧州、中東及び韓国における高速道路、一般道の計測及び図化を行っており、国内オートモーティブビジネスと同様、自動運転及び先進運転支援システム用HDマップを生成・販売しております。 また、国内と同様、3Dデータビジネスの顧客開拓に向けたマーケティング活動やアライアンス構築に取り組むことで、事業の立ち上げを進めております。 なお、2025年3月末時点において、当社グループは26か国(日本を含む)においてHDマップの整備等の事業を展開しております。 (主要な会社)Dynamic Map Platform North America, Inc.、Dynamic Map Platform Europe, GmbH、Dynamic Map Platform Korea, LLC、Dynamic Map Platform Arabia Limited、DYNAMIC MAP PLATFORM DATA-L.L.C これらの事業で取り扱っている製品・ソリューションの特徴は次のとおりです。 (1)オートモーティブビジネス自動運転や先進運転支援システム向けにHDマップを生成・販売するビジネスには、その取引の性質から、自動車メーカー等から指定される地図カバレッジ・仕様に基づくHDマップの整備・更新を受注し対価を収受するプロジェクト型売上、量産車へのHDマップ搭載に際して販売台数に応じて受領するライセンスフィー及びメンテナンスフィー、法人向けHDマップライセンス等(整備済み地図データ提供によるライセンスフィー、HDマップの利用対価として自動車メーカーより収受する開発利用料等)のライセンス型売上の2つの類型があります。 現時点では、プロジェクト型売上が、オートモーティブビジネスの売上の中心となっております。 売上カテゴリー別の収益モデルについては、後述の(売上カテゴリー別のビジネスの概要及び収益モデル)をご参照ください。 <自動車向けHDマップの特徴>① 高い技術力を要する生成過程当社グループのHDマップは、衛星測位、計測、図化(3Dモデル化)、統合等の高い技術力を用いて生成しています。 具体的には、衛星測位においては、Multi-GNSS(注4)を利用した位置補正技術が必要となります。 計測においては道路構造や交通状況に配慮した計測計画の立案、取得した点群データに対する衛星測位状況を考慮した歪除去(注5)やデータ間接合(注6)などの技術が必要となります。 図化(3Dモデル化)業務においては点群からの正確な地物(注7)情報の抽出、属性付与を効率的に実施するとともに整備データ全体にわたる高度な品質管理が必要となります。 当社グループの自動運転/先進運転支援システム開発や測量士等の多様な経験や資格を有する技術者陣がこれらの技術力を支えていると考えています。 最後に統合業務において各顧客に応じた最終調整を行いデータ提供しております。 国内のHDマップは、日系自動車メーカー10社(以下五十音順にて、いすゞ自動車株式会社、スズキ株式会社、株式会社SUBARU、ダイハツ工業株式会社、トヨタ自動車株式会社、日産自動車株式会社、日野自動車株式会社、本田技研工業株式会社、マツダ株式会社、三菱自動車工業株式会社)の要求に基づき共通の仕様を定義しております。 また、海外のHDマップについても生成プロセスは国内と同一のものとなっておりますが、マップ整備のための計測機材やソフトウェアツールは必要に応じて地域に最適と判断したものを活用しています。 なお、海外においては、Dynamic Map Platform North America, Inc.の事業開始当初より開発してきた汎用仕様をベースとして顧客ごとの要望に合わせた仕様を策定しております。 HDマップの生成プロセス 計測フェーズにおけるcm級の位置精度を有するデータの取得は、当社グループが有する測量技術によるものであり、データ収集に際しては、モービル・マッピング・システム(注8)(以降、MMSと記載)を用いております。 整備に利用されるMMSは、高精度かつ地物の高い再現性を確保するために、Multi-GNSS対応受信機、衛星不可視区間で比較的高精度を維持する高性能IMU(Inertial Measurement Unit) (注9)、道路情報を精緻に再現する高密度レーザスキャナ(LiDAR)(注10)、高解像度カメラを搭載しており、各機器が衛星時刻情報で同期されることにより計測時の状態を正確に再現可能となります。 MMS車両を走行させながら、LiDARで道路面及び周辺情報をスキャンして点群データを取得することで、実際の道路とほぼ同一形状、同一サイズのデジタル空間上の道路データを表現できます。 MMSにより取得した高精度3次元点群データを基に、自動運転や先進運転支援システムに必要な様々な情報、例えば区画線や道路標識、交差点領域等の地物を抽出して3Dモデル化することを図化と呼びます。 図化は予め地物毎に定められた取得基準に基づき行われ、自動・手動の組合せで実施されます。 手動で実施する作業は当社グループが保有するIT技術の採用により順次自動化していくことで品質を維持・向上させながら効率化を図っております。 なお、スマートフォンのアプリケーションやカーナビゲーションシステムに用いられる従来の一般的な地図データ(SDマップ)において車線数や交差点などの情報は具備されますが、各々の物理的な3次元位置情報は高精度には保有されていません。 ② 従来地図とは異なる情報・精度HDマップは機械が読み込み、制御に活用されることを目的としております。 このため、従来の一般的な地図データ(SDマップ)と比べ、立体性(道路の構造や起伏を表す高度情報や標識などの立体構造物情報など)・保有情報(道路の曲率や勾配、停止線と信号機の対応付けなど)・位置精度において、より精度の高い情報が求められます。 データの精度に関しては上述の計測プロセスにより、衛星測位システムの受信が良好な状況においては、絶対精度10cm以内、相対精度1㎝以内のデータ収集が可能であり、このデータを基にした図化業務を含め、全体プロセスとしてcm級の精度を実現しております。 従来の一般的な地図データ(SDマップ)との違い SDマップとHDマップとでは上記のような相違がある他、生成過程においても、HDマップでは高精度に位置情報を把握できるMMSを利用する等の相違があります。 ③ 自動運転高度レベル2以上に有用な機能国内外で共通認識となっている自動運転のレベルは、米国の自動車技術会(SAE:Society of Automotive Engineers)(注11)によって定義され、レベル0からレベル5の6段階に区分されます。 レベル1やレベル2では、HDマップによる機能強化はあり得るものの、車体制御は主にカメラ、ミリ波レーダー、LiDARを用いて行われております。 一方、高度レベル2(レベル2+とも言われていますが、レベル2に加えて、ハンズオフ走行、自動レーンチェンジなどが可能になるものを指します)ではより高度な車体制御を実現する観点からHDマップが広く採用されており、システム主体の車両制御となるレベル3・レベル4・レベル5では、機械の可読性、制御への利用容易性の観点で特に有用な技術とされています。 自動運転レベル自動運転レベル運転操作の主体(※1)概要・定義具体的内容・状況等レベル5自動運転システム完全自動運転システムが全ての動的運転タスク及び作動継続が困難な場合への応答を無制限に(すなわち、限定領域内ではない)実行場所、天候、速度等の状況に関わらず、いつでもどこでも運転者が介入することなく自律的に運転できる。 交通信号や標識、歩行者、他の車両など、周囲の状況を正確に認識し、適切に対応する。 レベル4特定条件(※2)下における完全自動運転システムが全ての動的運転タスク及び作動継続が困難な場合への応答を限定領域において実行高速道路や特定の都市部などの「限定領域」おいて、運転者が介入することなく自律的に運転できる。 「限定領域」外では、自動運転が出来ない。 レベル3自動運転システム(システムの作動が困難な場合は 運転者)条件付き(※3)自動運転システムが全ての動的運転タスクを限定領域において実行作動継続が困難な場合は、システムの介入要求等に運転者が適切に応答高速道路や特定の都市部などの「限定領域」おいて、システムの作動継続が困難な場合はシステムの介入要求等に運転者が適切に応答する条件付きで、自律的に運転できる。 システムの介入要求がある際には、運転者が適切に応答する必要があり、運転者が必要。 レベル2+運転者特定条件下での自動運転機能(高機能化)レベル2に車線変更や合流、分岐、遅いクルマの追い越しなど高度な運転支援機能を追加したもの車線変更や合流、分岐、遅いクルマの追い越しなどの複雑な運転操作をシステムが自動で行う。 一定の条件下でハンズフリー走行が可能。 運転者は常に運転状況を監視し、必要に応じて介入する準備が求められる。 レベル2特定条件下での自動運転機能(レベル1の組み合わせ)システムが縦方向及び横方向両方の車両運動制御のサブタスクを限定領域において実行レベル1の機能の組み合わせによる運転支援が可能。 具体的には、車線を維持しながら、前方車両との距離を保ち追随することが出来る。 レベル1運転支援システムが縦方向又は横方向のいずれかの車両運動制御のサブタスクを限定領域において実行システムが前後・左右のいずれかの車両制御を実施する。 例: 自動ブレーキ、自動前車追随機能、自動車線維持機能レベル0運転者が全ての動的運転タスクを実行 (※1)運転操作の主体:車両の操縦のために必要な、認知、予測、判断及び操作の行為を行う責任主体を指す。 (※2)特定条件:システムが自動運転を行うために必要な特定の環境や状況を指し、場所、天候、速度等が含まれます。 「特定条件」として、特定の地理的範囲や道路環境が設定される場合には、これを「限定領域」と呼びます。 例えば、高速道路のみ、特定の都市部内でのみ自動運転システムが作動する場合、これらの領域が「限定領域」となります。 (※3)条件付き:特定の条件下でシステムが全ての運転タスクを実行することを指し、システムの作動継続が困難な場合には、運転者が適切に対応する必要があるというものです。 出所:国土交通省資料等を基に当社作成 自動運転のレベル0からレベル2まではドライバーによる監視を必要とし、レベル3以上ではシステム主体の監視となり、一部もしくは全部をドライバーの操作を介さずに自動運転を行います。 HDマップは、主には自動運転高度レベル2以上に有用な機能であり、当社グループのHDマップは自動運転及び先進運転支援システム双方に適用可能な仕様となっております。 <HDマップの機能>車両に搭載されたカメラやLiDAR、ミリ波レーダーなどのセンサーが周辺の車両や歩行者、道路上の白線、標識などを認知することで、アクセルやブレーキ、ステアリング(ハンドル)の操作などの制御が可能となり自動運転及び先進運転支援システムが実現されます。 しかし、センサー情報のみでは認知性能に限界があるため、HDマップと組み合わせることで、センサーが取得した画像やGPS(注12)情報等を照合しながら正確かつ安全な走行を実現しています。 HDマップには、以下の3つの機能があります。 a 先読み情報 複雑な道路形状・急勾配のカーブ等でセンサーでは検知できない先読み情報を提供し、車両制御に活用 b センサー補完 経年変化による白線かすれや悪天候時での検知機能の低下等、センサー性能の限界を補完 c 高精度自己位置推定(地図照合)GPSのみでは実現できないレーン単位の位置情報を提供し、自動運転及び先進運転支援システムに有用な自車位置特定を実現 これらのHDマップの機能は、自動運転及び先進運転支援システムにおける、安定したカーブへの進入、信号機情報を把握した停車の判断、安全な交差点の右折、走行車線の選択、走行不可領域の認識、緊急時の安全な位置への自動停車などに有用であり、当社グループが提供するHDマップがより高度かつ安全な自動運転及び先進運転支援システムの実現に寄与できるものと考えております。 また、自動運転及び先進運転支援システム以外の自動車向けHDマップの活用領域としては、今後市場の拡大が見込まれるV2X(Vehicle-to-Everything=車両とあらゆるモノを通信技術で接続し連携させること)への展開や半導体メーカー等における自動運転システム開発への適用可能性があると考えております。 V2Xに関しては、2024年米国運輸省は道路上の安全性や効率性を高めるため、「V2X展開加速計画」(V2Xを促進するため、アリゾナ州、テキサス州、ユタ州の3州で、約6,000万ドルの助成金を交付。 米国内の全高速道路にV2Xを適用し、2036年までに自動車メーカー6社の新車にV2X技術を搭載することを目指す計画)を発表し、関連して、米国の自動車技術会(SAE、Society of Automotive Engineers)は、「V2Xシステムのための高精度ポジショニング標準」を制定し、V2Xのアプリケーションでは、車線レベルまたはそれ以上の精度のマップが必要と定義されています。 2024年10月、当社は本計画の一部として、ユタ州運輸省よりHDマップ提供を受注しております。 さらに半導体メーカー等における自動運転システム開発では、各種センサー情報と共に高精度地図データを統合処理可能なソフトウェア環境を構築しており、HDマップは自己位置を特定する為の重要な要素として活用されています。 また自動運転システムのAI/機械学習においても、詳細な道路情報を有するHDマップの活用余地は大きいと考えており、自動運転システムによる自動車制御能力向上に繋がると考えております。 当社では、より安全な自動運転及び先進運転支援システムを実現する上で、その開発及び運用においても、正確な位置情報の特定に有用なHDマップの利用が重要になっていると考えております。 以上のように、当社グループが提供するHDマップは、量産車への搭載に加えて、海外大手地図メーカー、大手半導体メーカー、大手車載システムメーカー等の法人に対して固定価格でのHDマップの使用許諾を行うことによる利用拡大が見込め、これらの法人向けライセンスによるHDマップのライセンス売上のさらなる拡大に取り組んでおります。 当社グループのHDマップが採用されている販売車種及び販売予定が公表されている主な車種は、次のとおりです。 なお、下表の他に、顧客との守秘義務契約に基づき現時点で公表していない社名・車種が複数存在し、合計で36車種に当社グループのHDマップが搭載されております。 (2025年3月末時点)社名販売車種トヨタ自動車株式会社・レクサス LS 2021年・MIRAI 2021年日産自動車株式会社・スカイライン 2019/2020年・アリア 2022年・セレナ 2023年・Nissan Rogue 2025年・Nissan Armada 2025年・Infiniti QX80 2025年本田技研工業株式会社・レジェンド・ハイブリッドEX 2020年・Acura ZDX 2024年・アコード 2025年General Motors CompanyCadillac・CT6 AWD 2018年・Escalade 2021年・CT5 2021年・CT4 2021年・XT6 2022年・Lyriq 2023年・Optiq 2025年GMC・HUMMER EV 2022年・HUMMER EV SUV 2024年・Yukon Denali 2022年・Yukon Denali XL 2022年・Sierra Crew Cab 2022年・Sierra Crew Cab EV 2022年・Acadia 2024年Chevrolet・BOLT EUV 2022年・Tahoe 2022年・Suburban 2022年・Silverado Crew Cab 2022年・Silverado Crew Cab EV 2022年・Blazer EV 2024年・Traverse 2024年・Equinox EV 2024年Buick・Enclave 2025年 (2)3Dデータビジネス(高精度3次元データの多用途展開)高精度位置情報の提供を通じて、あらゆる産業における共通基盤を目指す中長期ビジョンの実現に向けて、高精度3次元データ(HDマップ及び高精度3次元点群データ)の活用による、自動運転及び先進運転支援システム用途以外でのソリューション提供を行っております。 高精度3次元点群データは、最先端かつ高度な「計測技術」を用いたMMSにより、日本・北米・欧州・韓国・中東で計測しており、その膨大な計測データを繋ぎ合わせた形でデータを提供しています。 また、新規延伸や道路状況の変更にも対応できるよう、データメンテナンスを行い鮮度の保持に取り組んでいます。 当社グループが提供する高精度3次元データは、道路交通上の課題解決をはじめ多彩な用途に使用でき、様々な側面で省人化や効率化の実現、安心・安全な環境づくりに貢献できると考えています。 具体的には、自動車、航空機、船舶、自律移動ロボット等の移動体の自己位置推定や周辺環境認識に有用であり、これらの制御への活用(自動走行・自動運行など)を通じて、今後進展が期待される産業のデジタル化・効率化に大きく貢献するものと考えております。 これらの産業のデジタル化・効率化に際しては、交通渋滞情報、事故情報、天候の変化、人流、荷物情報などの動的情報の統合と活用が重要であり、静的な位置情報である高精度3次元データは、これらの動的情報を紐づける為のデータ基盤となり得るものです。 これら静的な情報と動的な情報を統合したものは、ダイナミックマップと呼ばれ、今後、産業界のデジタル化・効率化を支える共通基盤(プラットフォーム)の役割を果たすことが出来ると考えております。 当社グループは高精度3次元データを生成・提供するなかで培った技術や知見、保有するデータアセットを活用して、自動運転及び先進運転支援システム用途以外でのソリューション提供にも取り組んでおり、具体的なデータライセンスのプロダクトとして、高精度3次元点群データを見える化するViewer機能、HDマップの生成技術を応用したGuidance機能について、それぞれ商品化し有償で提供しております。 また、高精度3次元データの更なる多用途展開に向けた取り組みとして、政府プロジェクトの受注を通じた社会課題解決に向けた研究開発に取り組んでいる他、自治体・企業等とのプロジェクト・実証実験に取り組んでおります。 これらの政府・自治体・企業等との取り組みは、受注業務を通じて当社グループが保有するデータ及び高精度3次元データ関連技術、各種知見を提供することにより、社会課題解決に向けた取り組みに貢献する他、当社グループにとっては自己投資を抑制しながら新たなライセンス商品の開発に取り組むことが出来る重要な研究開発・商品開発の機会となっています。 後述の除雪支援システムは、自治体と共同で取り組んだ実証実験を経て、商品開発・ライセンス商品化されたもので、政府・自治体・企業等との取り組みを通じて、当社グループが保有するデータ及び高精度3次元データ関連技術を活用する3Dデータビジネスの拡大に資するライセンス商品化を実現した事例です。 現時点では、政府・自治体・企業等からの受注業務に係るプロジェクト型売上が、3Dデータビジネスの売上の中心となっております。 売上カテゴリー別の収益モデルについては、後述の(売上カテゴリー別のビジネスの概要及び収益モデル)をご参照ください。 ① 3Dデータビジネス – Viewer当社グループが取得した高精度3次元点群データを確認・分析可能なWebサービス「3Dmapspocket®」を商品化、有償(契約ユーザー数及びデータ閲覧の実績に応じた従量課金)で提供しております。 高精度な3次元点群データをどこからでもWebブラウザで閲覧可能で、現地へ行かずに、cm級の計測、角度計算を行うことが出来ます。 このアプリケーションを活用した事業の1つとして事故調査が挙げられます。 「3Dmapspocket®」を損害保険会社に有償で提供することで、高精度3次元データを用いたデジタル道路空間上において、交通事故査定における事故発生現場の調査を行うことを可能にしております。 これにより、現地作業負荷の低減が可能となり、現地作業員の削減効果が期待されております。 また、事故調査の他、インフラ管理にも利用されており、自律移動モビリティ(注13)やMaaS(Mobility as a Service)(注14)シミュレーションへの利用に向けた事業開発に取り組んでおります。 ② 3Dデータビジネス – Guidance当社グループが有する高精度3次元データをタブレットに搭載し、測位端末と組み合わせることで、高精度なガイダンス機能を提供しています。 具体的なプロダクトとして、雪で覆われた障害物を3Dで可視化し除雪車両の運行をガイダンスすることで除雪作業を支援する「除雪支援システム」を降雪地域の自治体・民間企業に提供しております。 ガードレールやマンホールの位置など雪に覆われて見えない部分の地物の把握は、これまで熟練者の長年の経験に依存して作業がなされていましたが、当該支援システムにより経験の少ない作業員でも容易に道路構造を把握出来る為、効率的かつ安全に除雪作業を行うことが可能になります。 ガイダンス機能は、除雪支援のほか、空港・港湾における輸送車両の運航ガイダンスや、高精度3次元データが有する勾配情報を活かした燃費の良いルートの探索、トラックドライバーへの燃費の良い運転方法のガイダンス、といった実証実験に活用されています。 ③ 3Dデータビジネスの拡大に向けた取り組み高精度3次元データの更なる多用途展開を通じた3Dデータビジネスの拡大に向けた、国内の政府・各自治体・企業等との具体的な取り組みは以下のとおりです。 a 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)によるグリーンイノベーション基金事業総額2兆円の予算の元、20プロジェクトが推進されており、当社は産業構造転換分野に分類されるプロジェクトの一つである“スマートモビリティ社会の構築”に採択されました。 当該プロジェクトにおいて、地物の高さや道路のレーン情報、EV充電器の位置情報等を含む当社のHDマップを、物流・人流事業者の全体最適を達成するためのシミュレーションモデルの構築及びCO2排出量の評価基盤として使用し役立てることを想定して推進しております。 このプロジェクトへの参画により、シミュレーションデータを日本全国に配信するという当社グループの目標をさらに前進させることができると考えております。 b デジタルライフライン全国総合整備計画デジタルライフライン全国総合整備計画は、社会課題解決や産業発展のデジタルによる恩恵を全国津々浦々に行きわたらせるため、約10カ年の計画として日本国政府により策定されつつあるものです。 そこでは官民で集中的に大規模な投資を行い、自動運転やAIによるイノベーションを線・面で社会実装することで働き手の賃金の向上を実現するとともに、人手不足や災害激甚化といった社会課題の解決を図ることが意図されています。 そうした取り組みの中で、当社は3次元空間情報基盤に係わる開発、ダイナミックマップの基盤となるデータ連携システム(車両情報連携システム等)の開発を担当しております。 そうした役割・取り組みの一つとして空間IDがあります。 空間IDは、3次元空間を網のように並んだ格子状に分割し位置情報を付与することで3次元空間の位置を特定するもので、日本国土の空間に位置情報を持たせ、動的情報の検索を可能にすること等が期待されております。 3次元情報と現実世界の異なる情報をリンクさせる、一般ユーザーが使用可能なデジタルインフラとして日本政府が開発を推進する中、当社は、本空間ID、及び3次元空間情報基盤に関するアーキテクチャや同基盤の仕様を前提として、3次元空間情報及び実証用基盤システムの仕様検討や整備手法の開発等に関する調査を受託して進めております。 この空間IDはドローン(注15)の航路として用いられ、素性の異なるデータ同士を紐付けることでより安全な運行を可能にする等、将来における自律移動モビリティの社会実装に大きな役割を果たすことが期待されております。 また、当社は国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)公募「産業DXのためのデジタルインフラ整備事業/デジタルライフラインの先行実装に資する基盤に関する研究開発」における「自動運転支援道」事業の実施予定先として採択されております。 同事業において、当社は、自動運転運航に係るデータ連携システム(「自動運転支援道」の整備事業に関わる事業者全体と連携し、自動運転運行に必要な各種データの処理・接続ができるようにするためのデータ流通システム、既存の交通情報提供者や路側インフラ、車両等から提供される各種情報と当社もしくは当社グループが有する高精度3次元データを統合した情報を配信し、自動運転車両の安全走行を支援するシステム(車両情報連携システム))の開発に取り組んでいます。 c 公共エリア向けダイナミックマップの開発乗用車向けに開発・生産中のHDマップを、MaaS(Mobility as a Service)シャトル(注16)・ドローンなどあらゆる自律移動モビリティに展開し、高齢化社会における作業効率化や自動化の実現に必要となるデジタルインフラデータの整備に向けた取り組みを進めております。 具体的な取り組み例としては、「研究開発とSociety 5.0との橋渡しプログラム(Bridge)」における「公共エリア向けダイナミックマップの開発」事業を受託し、空港や港湾などをはじめとする公共エリアにおいて様々な自動運転車両が安全かつ効率的に運行する為に必要となる高精度3次元地図およびダイナミックマップの開発に取り組んでおります。 (売上カテゴリー別のビジネスの概要及び収益モデル)当社グループの売上高については、収益モデルの違いから、プロジェクト型とライセンス型に大別できます。 プロジェクト型売上には、主にHDマップデータ整備等による事業基盤の構築や官公庁向けプロジェクトを通した研究開発投資見合いの性質があり、オートモーティブビジネスにおけるHDマップ新規整備に係る開発プロジェクト及び固定価格で受注するHDマップ更新整備に係るメンテナンスフィー、3Dデータビジネスにおける官公庁からの開発プロジェクトが含まれます。 これらプロジェクト型売上は主に原価に一定のマージンを上乗せすることにより決まり、コストは受注業務履行に掛かる費用が主で売上規模に比例する変動費が中心です。 ライセンス型売上には、主に整備済みのデータやシステムをベースに、車載用や多用途向けに商品を提供するものが含まれます。 オートモーティブビジネスにおける量販車へのHDマップ搭載に際し、販売台数に応じて受領するライセンスフィー及びメンテナンスフィー、法人向けHDマップライセンス等(整備済み地図データ提供によるライセンスフィー、HDマップの利用対価として自動車メーカーより収受する開発利用料等)が含まれます。 また、3DデータビジネスにおけるViewerやGuidance商品を通じたライセンスフィー、法人向けデータライセンス(整備済み地図データ提供によるライセンスフィー等)が含まれます。 これらライセンス型売上は主に単価に販売量(距離、台数、アカウント数、データ閲覧数など)を掛けることにより決まり、コストは整備済みのデータ更新費用、システム運用費用が主で売上規模に比例しない固定費が中心です。 売上カテゴリービジネス・取引の内容顧客収益モデル(価格決定方法、およびコスト構造)現在の売上規模(主たる販売地域)成長フェーズ(現在→長期)ライセンス型 3Dデータビジネスデータライセンス Guidance商品(除雪支援システム等)提供Viewer商品(3Dmapspocket等)提供インフラ管理用途等へのHDマップ使用許諾自治体道路会社 損害保険会社システム開発会社等 単価×距離・台数単価×アカウント数・データ閲覧数小規模(国内)事業化段階 → 高収益・高成長データ更新費用システム運用費用オートモーティブビジネス量産ライセンス HDマップ搭載車両の販売に応じた売上(ライセンスフィー) HDマップ搭載車両の利用期間に応じた売上(メンテナンスフィー)自動車メーカー地図メーカー車載システム メーカー 単価×販売台数中規模(国内・ 海外)成長段階 →高収益・高成長 HDマップデータ更新 費用法人ライセンス 開発用にHDマップデータ使用許諾自動車メーカー地図メーカー半導体メーカー車載システム メーカー 単価×距離(交渉による)中規模(国内・ 海外)成長段階 →高収益・高成長HDマップデータ更新 費用プロジェクト型 3Dデータビジネス政府プロジェクト等政府研究開発プロジェクト政府・自治体・企業等のプロジェクト政府自治体企業 原価+マージン主たる売上(国内)安定収益確保 →事業基盤構築・整備の為、一定規模を継続的に取組業務履行に掛かる費用オートモーティブビジネスHDマップ整備 HDマップ整備・提供自動車メーカー原価+マージン(交渉による)主たる売上(海外)安定収益確保 →事業基盤構築・整備の為、一定規模を継続的に取組計測・図化費用 (注)1.成長フェーズに記載の長期の姿は、現時点での想定であり、その達成を保証するものではありません。 2.売上カテゴリー プロジェクト型 オートモーティブビジネス HDマップ整備で整備されるHDマップデータの所有権は当社グループに帰属します。 (事業系統図)当社グループの事業系統図は、次のとおりです。 主たるプロダクトとなるHDマップの整備については、国内においては外注先から受領した図化データに対して当社にて統合作業を行った上で顧客に提供しています。 Dynamic Map Platform North America, Inc. に委託するケースにおいては、図化、統合も含め最終的なHDマップとするまでの作業をDynamic Map Platform North America, Inc. で実施しています。 注:BPOベンダー(注17) 用語解説用語内容(注1)自動運転(AD、「Autonomous Driving」)自動化された運転システムが運転環境をモニタリングする、2.沿革(注2)自動運転レベルに記載した自動運転レベル3以上の自動運転を指しております。 (注2)先進運転支援システム(ADAS「Advanced driver-assistance system」)ドライバー自らが運転環境をモニタリングする、2.沿革(注2)自動運転レベルに記載した自動運転レベル1、2の自動運転を指しております。 (注3)3次元点群データ3次元測量によって得られた 3次元座標を持った点データの集合を指しております。 (注4)Multi-GNSSMulti-Global Navigation Satellite Systemの略で、複数衛星測位システムを指しております。 (注5)歪除去計測システム(モービル・マッピング・システム)で走行計測中に、衛星測位の状態が変化などにより取得した点群データの位置が不正確となる場合があり、これを補正する作業となります。 (注6)データ間接合複数箇所から計測した点群データの相対的な位置関係を決定する作業となります。 (注7)地物道路、境界線等、地図上に表示されるものを指しております。 (注8)モービル・マッピング・システムGPS、カメラ、レーザスキャナなどを搭載した車両を指し、高精度での計測が可能な特徴を有しております。 (注9)高性能IMUIMUとはInertial Measurement Unit(慣性計測装置)の略で、3次元の慣性運動(直行3軸方向の並進運動及び回転運動)を検出する装置です。 自動運転に必要とされるデータの計測には高性能なタイプが必要となります。 (注10)高密度レーザスキャナ(LiDAR)LiDARとはLight Detection And Rangingの略で、レーザ光を照射して、その反射光の情報をもとに対象物までの距離や対象物の形などを計測するセンサーとなります。 (注11)SAESociety of Automotive Engineersの略称で、モビリティ専門家を会員とする米国の非営利団体を指しております。 (注12)GPSGlobal Positioning Systemの略称で、全地球測位システムを指しております。 (注13)自律移動モビリティ周囲の環境を認識し、自律的に移動するロボットのことを指しております。 事前に設定された地図データやセンサーを使用して、自分の位置を把握しながら目的地まで移動します。 (注14)MaaSMobility as a Serviceの略称で、複数の公共交通やそれ以外の移動サービスを最適に組み合わせて検索・予約・決済等を一括で行うサービスを指しております。 (注15)ドローン無人で遠隔操作または自動操縦で飛行できる機体一般を指しております。 (注16)MaaSシャトル利用者の予約に応じて運行ルートやスケジュールを柔軟に調整することで効率的な移動を提供するオンデマンド型交通サービスを指しております。 (注17)BPOベンダーBPOとはBusiness Process Outsourcingの略称で業務プロセスの一部を外部の専門業者に委託することを指しております。 BPOベンダーとはその業務の委託先を指しております。 |
関係会社の状況 | 4 【関係会社の状況】 名称住所資本金主要な事業 の内容議決権の所有 (又は被所有) 割合(%)関係内容(連結子会社) Dynamic Map Platform North America, Inc. (注)1, 3米国ミシガン州リボニア1,850.68米ドル北米その他における自動走行用高精度3次元道路地図の開発、販売100.0役員の兼任1名ソフトウェアの開発、出典データの図化、債務の保証Dynamic Map Platform Europe, GmbHドイツフランクフルト25,000ユーロ当社グループ欧州事業の統括100.0役員の兼任1名Dynamic Map Platform Korea, LLC (注)4韓国ソウル5百万韓国ウォン韓国における自動走行用高精度3次元道路地図の開発100.0(100.0)Dynamic Map Platform North America, Inc.の100%子会社ダイナミックマッププラットフォームAxyz株式会社東京都渋谷区75,000千円位置情報を活用したデータ、アプリ、ファイナンス、決済のパッケージ商品の企画・販売95.1役員の兼任2名Dynamic Map Platform Arabia Limited (注)4サウジアラビアリヤド50,000サウジアラビア・リヤル中東地域における自動走行用高精度3次元道路地図の開発100.0(100.0)Dynamic Map Platform North America, Inc.の100%子会社DYNAMIC MAP PLATFORM DATA-L.L.C (注)4アラブ首長国連邦アブダビ150,000UAEディルハムアラブ首長国連邦における自動走行用高精度3次元道路地図の開発99.0(99.0)Dynamic Map Platform North America, Inc.の子会社 (注) 1.特定子会社であります。 2.有価証券届出書又は有価証券報告書を提出している会社はありません。 3.Dynamic Map Platform North America, Inc.については、売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く。 )の連結売上高に占める割合が10%を超えておりますが、当該連結子会社が属する海外セグメントの売上高に占める当該連結子会社の売上高(セグメント間の内部売上高又は振替高を含む)の割合が100分の90を超えているため、当該連結子会社の主要な損益情報等の記載を省略しています。 4.「議決権の所有(又は被所有)割合」欄の(内書)は間接所有です。 |
従業員の状況 | 5 【従業員の状況】 (1) 連結会社の状況 2025年3月31日現在セグメントの名称従業員数(名)国内74〔-〕海外150〔-〕合計224〔-〕 (注)1.従業員数は、当社グループから当社グループ外への出向者を除き、当社グループ外から当社グループへの出向者を含む就業人員数であります。 2.臨時雇用者数(アルバイト、パートタイマーを含む。 )は、その総数が従業員数の100分の10未満であるため、記載を省略しております。 3.最近日までの1年間において従業員数合計が34名減少しておりますが、主としてDyanmic Map Platform North America Inc. において北米自動車市場の事業環境変化への対応として人員体制の適正化を行ったことによるものであります。 (2) 提出会社の状況 2025年3月31日現在従業員数(名)平均年齢(歳)平均勤続年数(年)平均年間給与(千円)72〔-〕42.32.59,170 セグメントの名称従業員数(名)国内72〔-〕合計72〔-〕 (注)1.従業員数は、当社から他社への出向者を除き、他社から当社への出向者を含む就業人員数であります。 2.臨時雇用者数(アルバイト、パートタイマーを含む。 )は、その総数が従業員数の100分の10未満であるため、記載を省略しております。 3.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。 (3) 労働組合の状況 当社グループにおいて労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満であり、特記すべき事項はありません。 (4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の格差 当社及び当社グループ企業は、いずれも「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(1991年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。 |
経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 | 1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 経営方針当社グループは、「デジタル社会のインフラとして高精度位置情報基盤をグローバルに構築し、自動運転をはじめとする新しい未来を拓く」をパーパスとして掲げ、自動車関連及びスマートシティ(注)等、様々な用途に向けた高精度3次元データの構築・提供を行っております。 (注)都市の抱える諸課題に対して、ICT等の新技術を活用しつつ、マネジメント(計画、整備、管理・運営等)が行われ、全体最適化が図られる持続可能な都市または地区 (2) 経営環境国土交通省「令和6年版交通安全白書」によると、我が国においては、交通事故発生件数は2004年を境に減少しているものの、2023年における交通事故死亡者数は2,678人となっております。 また、世界全体では2021年における交通事故死亡者数が約119万人(World Health Organization「Global Status Report on Road Safety 2023」、2023年12月発行)になるなど、引き続き交通事故死亡者数の減少に向けた取り組みが必要な状況が続いております。 こうした中、交通事故の発生減少に大きく貢献する可能性のある手段として自動運転技術の開発が推進されてきました。 また、我が国の地域社会においては、人口減少を背景とした利用者減等により公共交通手段の維持に課題が生じており、地域社会における移動手段の再構築が喫緊の課題となっております。 当社グループでは、こうした環境において、HDマップの整備・提供を通じて、自動運転や先進運転支援システムへの搭載は勿論、地域社会課題解決のためのMaaS展開へと広がると想定しています。 さらには、防災・減災システム、インフラ維持管理システム等、自動走行以外での用途を拡大し、多様化するニーズに応えることによって安心・安全で快適な社会の実現に貢献する所存です。 <市場規模・市場動向>IHS Markitの予測によると、2030年には全世界で新規に販売される車両の約28%にレベル2+以上の自動運転及び先進運転支援システムが搭載される見通しです(「IHS Markit “Autonomous Vehicle Sales Forecast 2023”」を基に当社作成)。 また、Markets and Marketsの試算によると、2023年における自動車分野を除くデジタルマップ市場規模はグローバルで3.4兆円とされております(「Markets and Markets “Digital Map Market Global Forecast to 2029”」を基に当社作成)。 Markets and Marketsでは、デジタルマップを「衛星画像や航空写真、GIS(注1)、クラウドソーシングデータ(注2)等のさまざまなデータソースとテクノロジーを活用して、道路やランドマーク、地形、交通ネットワーク、PoI(注3)等の空間情報を提供するもの」としており、当社のHDマップをはじめとした高精度3次元データを活用した事業をカバーしております。 本資料では、当社の2つの事業領域(オートモーティブビジネスと3Dデータビジネス)についてマーケット情報を示しておりますが、図表の左側ではオートモーティブについて示しており、右側では3Dデータビジネスについてのみを示すことを目的としております。 このためTAM(Total Addressable Market:獲得出来る可能性のある最大の市場規模)は、オートモーティブ向けのデジタルマップ市場を除外しております。 一方、SAM(Serviceable Available Market:実際にアプローチ出来る市場規模)については、当社事業とより近接した事業領域にあるものを抽出するため、地域と用途を絞り込んでいます。 地域につきましては、現在の当社グループのデータカバレッジ地域と重なる北米・アジア・パシフィック市場としています。 用途につきましては、インフラ、輸送、政府・防衛の3つの分野に限定しています。 それぞれの代表的な内容としては、インフラ分野はインフラメンテナンス、輸送分野は各種情報に基づいたルート計画や交通計画・モデリング、政府・防衛分野は空間情報の提供による戦略的な計画や意思決定の支援が挙げられており、現在当社が3Dデータビジネスで取り組んでいる事業と重なるものです。 なお、これらの記述は、本書に引用されている外部の情報源から得られた統計その他の情報に基づいており、それらの情報については当社グループは独自の検証を行っておらず、その正確性または完全性を保証することはできません。 当社グループは、2025年3月末現在、日本・北米・欧州・韓国・中東26か国において150万Km超にもわたるHDマップのデータカバレッジを広範に拡張し、世界で初めてレベル2+以上の自動運転/先進運転支援システムが搭載されたGeneral Motors CompanyのCT6への搭載以降、現在は36車種(販売予定が公表されている車種数を含む) の量産車へのHDマップ搭載を実現している等、オートモーティブビジネス向けのHDマップ市場において高い競争優位性を確保していると考えております。 またオートモーティブ以外の3Dデータビジネスは、社会・産業のDX化のニーズの高まりを背景として、全世界で3.4兆円、現在の当社グループのデータカバレッジ地域と重なる北米・アジア・パシフィック市場において、当社が具体的に事業拡大を進めているインフラ、輸送、政府・防衛の3つの分野に限定しても1.6兆円と広大なマーケットが存在しています。 当社がオートモーティブビジネスを中心としてこれまでに蓄積してきた高精度3次元データに関する深い知見と豊富なデータカバレッジ、データ精度の高さといった強みを活かして、顧客・協業先との関係性をより一層強固にすることで、広大な市場の獲得を目指していきます。 今後、市場が拡大した後も当社グループの競争優位性を維持・強化すべく、顧客との関係の維持・強化、潜在顧客との取引の実現、高精度3次元データの用途拡大、技術的優位性の一層の強化の可能性の模索等、不断の努力を行ってまいります。 (注1)Geographic Information System(地理情報システム)の略で、地理的位置に基づいた情報を管理・解析し、視覚的に表示する技術。 地理的なデータを総合的に扱い、高度な分析や迅速な判断が可能になる(注2)一般のユーザーが提供する地理情報を基に作成・更新される地図データのことで、リアルタイムで最新の情報を反映することが可能。 具体的には、道路の変更、施設の情報(店舗の開店・閉店等)、渋滞・事故情報等が含まれる(注3)Point of Interestの略で、地図やナビゲーションシステムで特定の地点を示すために使用される情報。 具体的には、レストラン、ガソリンスタンド、観光名所、病院などユーザーが関心を持つ場所を指す (3) 目標とする客観的な指標等当社グループは、(1)経営方針に記載のとおり、「デジタル社会のインフラとして高精度位置情報基盤をグローバルに構築し、自動運転をはじめとする新しい未来を拓く」をパーパスとして掲げており、その実現のためには、中長期的な売上収益の成長、収益性の向上、また、事業活動を支えるキャッシュ・フローの創出が重要と考えております。 当社グループは、成長性、収益性及びキャッシュ・フローの状況を把握するために、売上高、ライセンス型売上高、調整後EBITDAを重要な経営指標と位置付けております。 ① 売上収益の中長期的な成長当社グループでは、将来の黒字化に向け、売上収益の中長期的な成長を重視しております。 2020年3月期から2025年3月期までの当社グループ全体での売上高年平均成長率は52%を実現しております。 当社グループは、今後中期的にも同様の高成長性を維持することを目指して取り組んでまいりますが、そのためには自動車メーカーを中心とした顧客からの継続的な受注が重要と考えております。 売上高(連結)の推移 (単位:百万円) 2024年3月期2025年3月期売上高5,5677,465 国内1,6542,693 海外3,9134,771 ② ライセンス型売上の成長当社グループでは、収益モデルの違いから、売上高をプロジェクト型とライセンス型に大別でき、将来の黒字化、一層の利益成長に向けて、整備済みのデータやシステム等を活用したライセンス型売上の成長が重要な課題と認識しております。 プロジェクト型売上には、主にHDマップデータ整備等による事業基盤の構築や官公庁向けプロジェクトを通した研究開発投資見合いの性質があり、オートモーティブビジネスにおけるHDマップ新規整備に係る開発プロジェクト及び固定価格でのHDマップ更新整備に係るメンテナンスフィー、3Dデータビジネスにおける官公庁からの開発プロジェクトが含まれます。 ライセンス型売上には、主に整備済みのデータやシステムをベースに、車載用や多用途向けに商品を提供するものが含まれます。 オートモーティブビジネスにおける量販車へのHDマップ搭載に際し、販売台数に応じて受領するライセンスフィー(HDマップ搭載車の販売時に売上計上)及びメンテナンスフィー(HDマップ搭載の期間に応じて売上計上)、法人向けHDマップライセンス等(整備済み地図データ提供によるライセンスフィー、HDマップの利用対価として自動車メーカーより収受する開発利用料等)が含まれます。 また、3DデータビジネスにおけるViewerやGuidance商品を通じたライセンスフィー、法人向けデータライセンス(整備済み地図データ提供によるライセンスフィー等)が含まれます。 ライセンス型売上に係る売上原価は固定的なものが中心であり、限界利益率が高い性質を有しているため、今後、より高い粗利率が期待できるライセンス型売上の比率を高め、当社グループ全体の粗利率の向上を目指します。 売上カテゴリー別のビジネスの概要及び収益モデルについては、「第1 企業の概況 3 事業の内容(売上カテゴリー別のビジネスの概要及び収益モデル)」をご参照下さい。 売上高(プロジェクト型、ライセンス型)の推移 (単位:百万円) 2024年3月期2025年3月期売上高5,5677,465 プロジェクト型4,5726,293 ライセンス型9941,171 ③ 調整後EBITDAの向上当社グループは、持続的な成長と高い収益性の実現を目指す観点から、また事業活動を支えるキャッシュ・フローの状況を把握するため、調整後EBITDA(注)を重要な経営指標と位置付けております。 調整後EBITDAの推移 (単位:百万円) 2024年3月期2025年3月期調整後EBITDA△2,203△609 (注)調整後EBITDAEBITDA(営業利益+減価償却費)に営業外収益に計上される政府補助金を加えたものです。 (4) 当社グループの強み① 厳しい精度要求に応え得る高水準の正確性を有する技術力自動運転や先進運転支援システムへ搭載されるHDマップにおいては、走行ルートから逸脱しないよう、自己位置推定機能において従来のナビゲーション地図(メートル級の精度)より厳しい精度水準が求められております。 当社グループは、高精度3次元データの測定技術にRTK(Real Time Kinematic)(注1)を採用するとともに、衛星測位、計測、図化、統合の各プロセスにおいて高い技術力を結集することにより、1桁のセンチメートル精度を実現しております。 高水準の精度で3次元点群データを取得する測位・計測技術により、自動運転及び先進運転支援システムに用いられるHDマップの提供を可能としており、また、多様な顧客要求に応じたデータ形式・仕様での提供を可能にする図化・統合技術により、大手自動車メーカー各社の優位性ある自動運転及び先進運転支援システムの提供に寄与しております。 また、高精度3次元データは社会DXサービスの提供に必要な高精度の位置情報データ基盤としてデジタル社会のインフラとしての役割を担います。 国内外の大手自動車メーカー各社による採用実績から、当社グループの有する技術は社会DXサービスを実現する様々な用途展開を可能にする汎用性を有していると考えております。 (注1) 「相対測位」と呼ばれる測定方法のひとつ。 固定局と移動局の2つの受信機で4つ以上の衛星から信号を受信する技術で、2つの受信機の間で情報をやりとりしてズレを補正することで、単独測位よりも精度の高い位置情報を得ることが可能 ② 国内外を網羅する広域なカバレッジ範囲当社グループは設立以来、自動運転の本格到来を前に必要となるデータを構築すべく、国内外においてHDマップのカバレッジ範囲を急速に拡大させてまいりました。 2025年3月末時点において、日本国内において高速道路・自動車専用道路:33,000km、北米において高速道路・幹線道路:1,200,000km、欧州において高速道路・幹線道路:255,000km、韓国において高速道路:20,000km、自動車メーカーの求めるカバレッジ範囲のHDマップの整備を完了させており、顧客ニーズを充足しています。 また2025年度中には、北米における更なるカバレッジの拡充・中東への展開を予定しております。 今後の新規データ整備によるカバレッジ範囲の拡大は、顧客と綿密なコミュニケーションを行い、顧客ニーズや事業性を考慮した上で取り組み、競合他社に対する先行優位性をより強固なものとする方針です。 オートモーティブビジネスに加えて、当社グループが各国で保有する広範な高精度3次元データを活用し、3Dデータビジネス(自動運転及び先進運転支援システム用途以外でのソリューション提供)の拡大にも取り組んでまいります。 (注)2025年3月末現在 ③ 今後のパイプラインを生み出す顧客基盤a 国内外の有力自動車メーカーとの緊密な関係性日本国内のHDマップの生成は、日系自動車メーカー10社の要求に基づき共通の仕様が定義されています。 こうした背景から、当社はHDマップ作成を一元化する目的で、上記日系自動車メーカー10社からの共同出資を受けた上で設立され、HDマップの整備に取り組んでまいりました。 また、連結子会社であるDynamic Map Platform North America, Inc.(旧 Ushr Inc.)も、当社買収前においてGM Venturesを通じて開発資金が提供され、技術者同士が協力するなど、General Motors Companyとの緊密なパートナーシップを構築してきました。 General Motors Companyは北米高速道路におけるハンズフリー運転を可能とすべく2014年に開発を開始した同社のSuper Cruise™において、2013年にDynamic Map Platform North America, Inc.をパートナーとして選定した結果、Dynamic Map Platform North America, Inc.のHDマップは、Super Cruise™の開発とその市場投入に際して、重要な役割を果たしております。 こうした背景から、当社グループは上記に挙げた国内外の有力自動車メーカーとの緊密な関係性を既に有しており、各社への販路を構築できております。 また、当該自動車メーカー以外においても、北米・欧州メーカーなど商談を開始している先が複数存在します。 上述のとおり既に販売中の量産車に当社グループのHDマップが複数搭載されていることに加えて、今後の利用を目的とした開発利用契約(注2)を複数社と締結している他、将来販売予定車種への搭載に向けて広範な商談が進んでいる取引先も複数存在し、当社グループのHDマップ搭載台数の一層の拡大を見込んでおります。 (注2) HDマップ開発に係る費用を当社グループ開発のHDマップの利用そのものへの対価として自動車メーカーより収受する契約 b 政府・自治体・企業等との緊密な連携当社は、内閣府が所管する戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)において、HDマップの開発・作成を一元化する目的で設立され、官民一体となりHDマップの整備に取り組んできた経緯があり、政府・自治体・企業等と緊密に連携し事業を行っております。 HDマップを活用した自動運転及び先進運転支援システム以外のソリューション提供、高精度3次元データの多用途展開を進める3Dデータビジネスでは、産業のデジタル化、脱炭素、高齢化社会・過疎化への対応等、各種社会課題解決に資する政府研究開発プロジェクトに継続的に参画している他、社会実装に向けた各種実証実験、商品開発に自治体や企業等と共同で取り組んでいます。 これら政府・自治体・企業等の緊密な連携・関係性を活かして、研究開発・商品開発を進め、社会課題の解決を通じて新たな市場を創造し、一層の事業拡大に取り組んでまいります。 以下は、当社グループで契約済の案件、見積り依頼を受領している案件、商談中の案件のパイプラインの状況を示したものです。 自動車メーカーは複数年にわたって新車開発を進める関係上、当社グループへの発注も新車販売タイミングより、相当の期間先んじて行われる傾向にあり、段階的な見積依頼(RFI: Request for Information(「情報提供依頼書」を指し、新しい製品・サービスを導入する前に、ベンダーから当該製品・サービスに関する基本的な情報を収集するための文書です)、RFQ: Request for Quotation(「見積依頼書」を指し、具体的な製品・サービスの購入を検討するに、ベンダーから正式な見積りを依頼するための文書です))及び発注書(PO: Purchase Order)の受領は、当社グループの将来収益の実現性を図る上で重要な要素となっております。 当社グループでは、自動車メーカーの業界慣行に照らし、顧客との緊密な交渉を経ている等の一定の案件については、必ずしも法的拘束力のある契約書の締結には至ってはいないとしても、オートモーティブビジネス売上高に係る目標を議論するに際して将来売上高として考慮しております。 3Dデータビジネスにおいては、政府プロジェクトの受注実績やViewerやGuidance商品の契約実績等の指標に着目し、契約書の締結に至ってない案件についても商談の状況を踏まえて、見込み案件毎に売上高を設定し、売上高に係わる目標を議論するに際して考慮しております。 ステータスがRFQ、RFI、商談中の案件パイプラインについては、当社グループが受注に至っていないものであり、当社グループが想定する時期及び取引条件通りに受注・契約に至る保証はありません。 (オートモーティブビジネス)プロジェクト型(注)1.これらのパイプラインはあくまで契約に基づいて想定される収益見込み金額であり、記載の図の通りに推移しない可能性がある。 2.為替レートはFY22は131.43円/ドル、FY23は140.56円/ドル、FY24は151.58円/ドル、FY25以降は140円/ドルで計算 ライセンス型 (注)1.これらのパイプラインはあくまで契約に基づいて想定される収益見込み金額であり、記載の図の通りに推移しない可能性がある。 2.為替レートはFY22は131.43円/ドル、FY23は140.56円/ドル、FY24は151.58円/ドル、FY25以降は140円/ドルで計算 (3Dデータビジネス)プロジェクト型(注)1.これらのパイプラインはあくまで契約に基づいて想定される収益見込み金額であり、記載の図の通りに推移しない可能性がある。 ライセンス型(注)1.これらのパイプラインはあくまで現状の想定であり、記載の図の通りに推移しない可能性がある。 (5) 中長期的な経営戦略① 搭載拡大に向けた幅広いステークホルダーとの連携自動運転・先進運転支援システム市場の立ち上がりに合わせて、近年、搭載車種が高級車種から、普及車種に広がり、その搭載台数が拡大しています。 既に北米においては普及車種にも広く搭載が進んでおり、他地域においても同様の進展が期待されます。 また、生成AIの利用が進むなかで当社データを活用することで自動運転技術の安全性・快適性が向上することが期待されます。 当社は、従来の自動車会社との連携に加えてTier1自動車部品メーカー(注3)・地図会社・半導体メーカー・AI企業等のステークホルダーとの連携を強化することで,自動運転及び先進運転支援システム全体を俯瞰した活動を通じて、自動車会社各社の自動運転社会の実現に向けた取り組みに貢献してまいります。 ② 顧客ニーズに基づいたグローバルなデータ提供国内は、自動車メーカーからの需要に応じて自動車専用道路につながる基幹道路や直轄国道等への展開を図り、当社データの利用機会を段階的に拡大します。 また、スマートシティプロジェクトなどへも積極的に参画し、単に整備路線の拡充を図ることに限らず、線と面の両方から整備範囲の拡張を行います。 また北米では,主要幹線や都市部の利用率の高い路線・地域から順に整備を開始し、顧客の高いニーズを充足すべくエリアを拡大いたします。 既に北米においては1,200,000kmの整備を完了させており現時点での顧客ニーズは充足していますが、自動運転社会の進展に伴った具体的な顧客ニーズを受けてデータ拡大を進めてまいります。 また、欧州、アジア市場においても既に自動車メーカーと当社のHDマップデータの利用に関する契約を締結しております。 今後は、当社グループの日本市場・北米市場における既存の取引関係を横展開することで、当社HDマップデータのより広範な搭載を訴求し、さらなる拡大を図ってまいります。 加えて、当社グループが高精度3次元データを保有する各国において、保有データを活用した3Dデータビジネスの事業化・拡大にも取り組んでまいります。 ③ デジタル社会における共通インフラの確立道路管理情報、工事情報等の産業データを収集し、自社の「点群データ」、「ベクトルデータ」等に紐づけして「データ連携基盤」を構築いたします。 当該「データ連携基盤」を道路台帳の整備・更新、除雪支援、電線/電柱の日常点検、維持管理等、様々な用途での活用を図ってまいります。 また、インフラ・物流・建設領域等におけるプラットフォーマーとのアライアンスも視野に防災・減災、社会インフラの維持管理、輸送システム、建設生産システム(i-Construction)(注5)など、幅広いデータ利用者へ展開・提供するとともに利用アプリケーションの開発にも取り組みます。 「過疎地域等移動,公共交通ICT(Information and Communication Technology = 情報・通信に関する技術)化等」、「郊外、観光地等での移動」、「駅、スーパー、病院等、拠点巡回」等、自治体向けモビリティサービスを地域整備(点)からはじめ、全国整備(面)へと拡大していきます。 ④ 新規事業の創出民間企業とのパートナリングにより,「データ連携基盤」を活用した新事業の創出を図ります。 データ活用技術の開発を他社とのパートナーシップも活用して推進します。 <業界横断的な社会へのインパクト> (注)1.上記は当社グループが未進出の分野を含む、ターゲット市場のイメージを示しております2.自動運転各レベルの内容は、「3 事業の内容 <自動車向けHDマップの特徴>③自動運転高度レベル2以上に有用な機能」に掲載する表のとおりです。 a あらゆる自動モビリティの制御データとしてのHDマップの提供センチメートル級の位置精度でデータ整備を行うノウハウを活用する一方で、乗用車の先進運転支援システム向けに構築したデータ仕様を発展させることで、自動走行シャトル(注5)やドローン、AGV(Automatic Guided Vehicle)(注6)等、完全自動走行モビリティの安全な運行を可能とする高精度3次元データの提供を国の法令改定に従いながらサービス事業として推進いたします。 また、静的情報だけでなく動的情報に対するニーズが益々高まる中、動的データを生成するための技術開発や既に存在する様々な情報との連携に取り組み、新たなデータ提供ビジネスの確立にも取り組んでまいります。 b 省人化・省力化に繋がるソリューションの提供高精度な位置情報を持つ地図データは、自動モビリティの制御に役立つのみならず、人による行動や作業の効率化にも役立ち、カーボンニュートラルや高齢化社会への対応といった社会課題の解決にも寄与いたします。 例えば、高さ情報や目的地の正確な座標情報を活用した無駄の少ない走行による電動車両の航続距離延伸(=CO2削減)や除雪機械の自車位置周辺の正確な地図データ配信による除雪作業の効率化、道路空間におけるインフラ管理の効率化、空港港湾等の制限区域内における位置情報の共有による安全性・効率性の向上などが用途として挙げられ、高精度位置情報を用いた様々なソリューションの提供に繋げてまいります。 c 自動車メーカー向け事業の盤石化自動車メーカーによる先進運転支援システム開発の効率化を背景に、当社グループではHDマップデータの全世界的共通または互換性のある仕様での提供が重要になると認識しており、北米市場において量産車への搭載実績を有することを活かしつつ、欧州や中東、アジアなど他地域でのHDマップデータ整備を進めてまいりました。 また、HDマップデータの整備範囲拡大・更新頻度向上に活用するために、インフラ会社等の他社が計測・提供するCrowd Sourcedデータ(注7)を当社のHDマップと連携させる研究開発を継続的に進め、事業基盤を盤石なものとしていきます。 HDマップのデータを更新するにあたっては、道路が変化したことを検知することが非常に重要となります。 日本においては、国道、県道など主要な道路については道路管理者を通じて新規開通や大規模工事情報を入手することができますが、標識などの設置物、道路ペイントなどの小さな変化や一般道路の変化情報については、現地を確認する必要があります。 また、国によっては大きな工事情報でさえも入手できないこともあります。 当社は、自動車メーカーや車載機器メーカー等から入手した車両のプローブ情報(注8)をもとにした変化点検知を取り入れており、当該情報を活用することで、速やかに再計測し、データ更新する仕組みを取り入れており、より低コストで高鮮度の地図更新プロセスを進化させてまいりますd V2Xにおけるデジタルインフラの提供自動運転・先進運転システムにおいてAI活用が進展することに伴い、車載センサーから得られた情報のみから判断する自律型から、より周辺情報を活用したV2X(注9)でのインフラ協調型での制御が求められます。 既に海外においてはV2Xの実現に向けたデジタルインフラの検討が開始され当社グループも一部の取り組みに参画しております。 当社グループは、中長期にわたりパートナーとの協力を通じて、車両・歩行者・天候・渋滞・交通規制といった動的情報を連携させる基盤を構築し自動運転社会の発展に貢献してまいります。 ⑤ アライアンス・M&Aを活用した事業拡大当社グループの持続的な成長のために、アライアンスやM&Aの活用による事業拡大は有効な手段であると考えております。 当社は2019年に、当時General Motors Companyの投資先であった在米国HDマップ企業であるUshr Inc. (現・連結子会社Dynamic Map Platform North America, Inc.)を完全買収し、北米における事業基盤を確保すると同時に、同社が有するHDマップ生成に係わる技術・ノウハウ、優秀な技術者、現地市場における人脈を獲得しました。 その後、同社を通じて、欧州・中東・韓国においても事業を展開しております。 今後も事業領域の拡大や当社保有データの利用を促進するためのアプリケーション開発、データ解析、AI活用等に係る技術・ノウハウ獲得を目的としたアライアンスやM&Aの機会を検討してまいります。 (注3) 自動車メーカーに直接部品を供給する部品メーカー(注4) 国土交通省が推進する「ICTの全面的な活用(ICT土工)」等の施策を建設現場に導入することによって、建設生産システム全体の生産性向上を図る取組み(注5) 自動運転でシャトル運行(イベントや空港・観光地など特定の目的地を利用する客を効率的に輸送するため短い間隔で運行)を行う輸送車(注6) 産業用途で多く使用される自動運転車の一種。 人間が運転操作を行わなくとも自動で走行できる搬送車(注7)不特定多数の情報源から情報を収集し、その情報に基づき生成された地図データや位置情報(注8)走行する車両を通じて収集される位置、時刻、路面状況等の情報(注9)Vehicle to Everythingの略称。 車両と様々な機器とを接続し、相互に連携する技術 (6) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題は以下のとおりであります。 ① 事業成長の実現及び収益性の向上当社グループの事業は依然赤字状態にあり、収益性の向上に努めて黒字化を早期に実現することが特に財務上求められ、その対応が事業の持続的成長にもつながると理解しております。 既存顧客との間では契約に基づく成果を生み今後も安定して継続する長期的な取引関係を築く他、車載向け事業に限らず広く潜在顧客との取引を実現し、事業・売上規模の大きな拡大を実現することを重要な課題として広範に対応を進めてまいります。 ② 優秀な人材の採用と育成当社グループの将来にわたる持続的成長に向けて、優秀な人材の採用と育成が欠かせないものと認識しております。 特に、技術革新の激しい当社グループの事業領域においては、当社グループの競争優位性を維持・拡大することにつながる技術向上を担うエンジニアの獲得あるいは育成が不可欠であると考えております。 当社グループでは、優秀な人材の獲得に向けて今後も積極的な採用活動を実施するとともに、人材の育成と維持のための社内トレーニング体制の強化や企業文化の醸成などの施策を推進してまいります。 ③ 内部統制の強化当社グループは、デジタル社会における共通インフラとしての役割を担う企業として、ユーザーや市場からの信頼が必要不可欠であると考えております。 情報管理、財務、IT、その他の社内制度などを含めた内部統制の継続的な策定、強化、改善を実施することで信頼を獲得し、企業価値のさらなる向上に取り組んでまいります。 ④ HDマップ整備・更新プロセスの改善地物の選定、品質基準等、既存のプロセスの見直しや、Dynamic Map Platform North America, Inc.とのより一層の技術統合を強力に推進することでプロダクト生成の低コスト化を追求し、合理的で競争力のあるプロセスを確立します。 特に、計測・図化の自動化、省人力化を徹底するほか、国や地方自治体と連携しオープンデータを活用することで整備費を圧縮し、競争力の強化を図ります。 また、データ更新のコストと鮮度の維持について課題ととらえており、上記(5)中長期的な経営戦略 ④新規事業の創出 c 自動車メーカー向け事業の盤石化において記載しましたように対策を実行しております。 ⑤ コスト低減に資する研究開発Dynamic Map Platform North America, Inc.も含め衛星画像利用等によるモービル・マッピング・システム(MMS)以外の計測手法の開発、自動図化等のプロダクトによる生産性と効率の向上など、今後の成長に必要な技術開発力を強化します。 また、更新コスト低減のキーとなる変化点抽出の効率化(自動化)については他社との提携なども含めて技術開発を進めます。 ⑥ 情報管理体制の強化当社グループでは、自社情報の他、提供するソリューションに関連して取得される、人物の顔と表札を個人情報に該当するものとして取り扱っております。 これらの個人情報を保護するため、当社では個人情報保護に係るルールの整備や施策を講じ、流出等の事態が生じないよう万全の注意を払っておりますが、今後も社内教育の充実、施策の強化・整備を実施してまいります。 |
サステナビリティに関する考え方及び取組 | 2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】 当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものです。 (1) サステナビリティに関する考え方当社は、「デジタル社会のインフラとして、高精度位置情報基盤をグローバルに構築し、自動運転をはじめとする新しい未来を拓く」をパーパスとして掲げており、高精度3次元データプラットフォーマーとして様々な情報を集約して提供することで、分析・制御・予測が可能な世界を実現し、社会課題解決に資するイノベーションの実現に貢献することを基本方針としております。 日本に限らずグローバルにおける様々な社会課題に対して、省人化や効率化の実現、安全性・快適性の向上といったソリューションを提供していくことは重要な課題と認識しています。 これら社会課題解決への取り組みを通じて持続可能な社会の実現に貢献していくと同時に、サステナビリティを重視した経営を実践しております。 (2) ガバナンス当社においては、サステナビリティに関する基本方針を定めておりませんが、 サステナビリティ関連のリスク及び機会を監視し、管理するためのガバナンスに関しては、コーポレート・ガバナンス体制と同様となります。 当社のコーポレート・ガバナンスの状況の詳細は、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等(1) コーポレート・ガバナンスの概要」に記載のとおりであります。 (3) 人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略当社は、社員が大切にすべきバリューとして「GIFT!」を掲げています。 これを全社員が共有し、体現していくことで、社会に貢献していくことを目指しております。 「GIFT!」とは、「Global Mindset」「Innovate」「Fast Move」「Trust and Respect」「!be youthful!」の頭文字を取ったものです。 当社グループにはさまざまな国籍の社員がおり、多様な国籍の企業と仕事をしている点で、「Global Mindset」の視点を持つことが欠かせません。 また、さまざまな異なるバックグラウンドをもって入社してきた社員が集まっているため、互いを尊重しあう風土「Trust and Respect」が非常に重要となります。 こうした視点を持った人材の育成を目指し、グループ企業を含めた全社での「GIFT!」の浸透と体現に向けて積極的に取り組んでまいります。 詳細は、弊社ウェブサイトの採用ページ(https://www.dynamic-maps.co.jp/recruit/)に掲載したトップメッセージをご参照ください。 また、当社では、社員一人ひとりの能力や個性を引き出し、最高のパフォーマンスを発揮できる制度の実現を目指しています。 OKRを用いた公正・透明な評価制度や、社員の挑戦をサポートするための社内アイデアソンの実施など、モチベーションの向上に努めています。 また、フレックスタイム制の実施や、フル在宅勤務制度の導入、ノー残業デーの設置など、ワークライフバランスを実現するための環境作りを推進しています。 (4) リスク管理当社は、サステナビリティに関する基本方針を定めておりません。 当社は、不測の事態または危機の発生に備え、「リスク・コンプライアンスに関する規則」を定め、リスクを網羅的に把握・管理する体制を構築しておりますが、サステナビリティに関連するリスクにつきましても、その他のリスクと同様に、当該規則に基づきリスク管理を行っております。 (5) 機会当社グループは、サステナビリティに係わる課題について、リスク低減のみならず、当社のパーパス実現に向けた取り組みとも直結する重要なものであり、収益機会にもつながるものと認識しております。 HDマップデータを活用した防災・減災や、燃費の良いルート探索・運転ガイダンスを典型としたサービス提供を、サステナビリティに関する当社グループにとっての事業機会と捉え、より広範に当社サービスが利用されるべく、また新たなサービスの開発・提供の可能性を視野に、事業を推進しております。 (6) 指標及び目標当社では、上記「人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略」に記載した方針について、人材の育成・強化に取り組み、成長の実現につなげてまいります。 具体的な指標及び目標については、現在、策定中であり記載を省略しております。 |
指標及び目標 | (6) 指標及び目標当社では、上記「人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略」に記載した方針について、人材の育成・強化に取り組み、成長の実現につなげてまいります。 具体的な指標及び目標については、現在、策定中であり記載を省略しております。 |
人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略 | (3) 人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略当社は、社員が大切にすべきバリューとして「GIFT!」を掲げています。 これを全社員が共有し、体現していくことで、社会に貢献していくことを目指しております。 「GIFT!」とは、「Global Mindset」「Innovate」「Fast Move」「Trust and Respect」「!be youthful!」の頭文字を取ったものです。 当社グループにはさまざまな国籍の社員がおり、多様な国籍の企業と仕事をしている点で、「Global Mindset」の視点を持つことが欠かせません。 また、さまざまな異なるバックグラウンドをもって入社してきた社員が集まっているため、互いを尊重しあう風土「Trust and Respect」が非常に重要となります。 こうした視点を持った人材の育成を目指し、グループ企業を含めた全社での「GIFT!」の浸透と体現に向けて積極的に取り組んでまいります。 詳細は、弊社ウェブサイトの採用ページ(https://www.dynamic-maps.co.jp/recruit/)に掲載したトップメッセージをご参照ください。 また、当社では、社員一人ひとりの能力や個性を引き出し、最高のパフォーマンスを発揮できる制度の実現を目指しています。 OKRを用いた公正・透明な評価制度や、社員の挑戦をサポートするための社内アイデアソンの実施など、モチベーションの向上に努めています。 また、フレックスタイム制の実施や、フル在宅勤務制度の導入、ノー残業デーの設置など、ワークライフバランスを実現するための環境作りを推進しています。 |
事業等のリスク | 3 【事業等のリスク】 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性のあるすべてのリスクを網羅したものではありません。 (1) 事業環境に関するリスク① 事業環境に関するリスクについて(顕在化の可能性:中/影響度:大/発生時期:特定時期なし)当社グループの売上の大部分は、自動車向けの自動運転及び先進運転支援システムへのHDマップ搭載に係る開発利用料やライセンス・メンテナンスフィーとなっております。 先進運転支援システムについては、1990年代から開発が進められてきたシステムであり、矢野経済研究所「2023年版 ADAS/自動運転用 キーデバイス・コンポーネント」(2024年2月発行)によれば、先進運転支援システムの装着率は2030年までに日米欧で100%近くに達し、中国でも80%を超え、ASEANやインド向け需要が2028年以降に本格的に立ち上がると予測されているなど、今後さらなる普及が見込まれております。 これらの記述は、本書に引用されている外部の情報源から得られた統計その他の情報に基づいており、それらの情報については当社グループは独自の検証を行っておらず、その正確性または完全性を保証することはできません。 当社グループでは、今後も先進運転支援システム装着車両の順調な拡大、自動運転市場の本格的な立ち上がりを見込んでおります。 一方、当社が設立された2016年時点には、自動運転レベル3以上でのHDマップの本格的な搭載開始が2022年前後となると想定されておりましたが、現時点においては自動運転レベル3が商用車として販売実績はあるものの量産車種での本格展開には至らないなど、自動運転市場の本格的な立ち上がりは、設立当時想定と比べ数年遅れている状況にあります。 そのため当社グループでは、2019年のDynamic Map Platform North America, Inc.買収時に計上したのれん・技術関連資産及び同社固定資産等につき、2022年3月期連結決算において、当初想定していた損益が買収時の計画のそれより著しく下方に乖離していると判断し、当該のれん等を全額減損処理しております。 また、当社では、2024年3月期連結決算において、事業計画に基づく割引前将来キャッシュ・フローと固定資産の帳簿価額を比較した結果、割引前将来キャッシュ・フローが帳簿価額を下回ったことから固定資産の減損処理をしております。 当該減損処理は自動運転市場の立ち上がりの遅れを背景とするものであり、当該市場の本質的な市場性あるいは当社事業の事業性によるものあるいはそれらに影響するものではなく、当社グループでは従来同様の成長性を見通しておりますが、仮に技術・安全性の観点から車種開発に遅れが生じる、部品供給の不足により販売時期が延期になる等、市場の立ち上がりが想定通りに進まなかった場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 また、直近での米国新政権による関税政策の動向が不透明であり、今後の先行きには不確実性が残っております。 当該関税影響による、先進運転支援システム装着車両の販売台数減少や自動車業界全体における自動運転市場への投資意欲減退が生じた場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ② 競合について(顕在化の可能性:中/影響度:大/発生時期:特定時期なし)自動運転機能の商流において、HDマップの生成プロセスはコストが膨大である一方、各自動車メーカー間でのカスタマイズを要しないものであることから、日本国内においては、共通の仕様が定義され、その実行組織として当社は設立されております。 こうした経緯から、当社は日本国内におけるHDマップを広域で生成・提供しており、自動車メーカーをはじめとした取引先各社から相応の評価を得ております。 海外事業においては、既に複数自動車メーカーの自動運転及び先進運転支援システムに採用され、量産車に搭載されており、さらにGeneral Motors Companyにより搭載モデル数が拡大することが公表されております。 広範な道路整備範囲とcm級の精緻な位置精度をはじめとした高い技術力を背景に導入車種拡大に向けた戦略的な施策を講じることで、当社グループは競争優位性の維持・向上に努めております。 しかしながら、当社グループのHDマップとの比較では少なくともその精度の面で上回る競争優位性を有するとは見られないものの、一定の競合事業者(Here、TomTom、Googleなど)の参入も見られており、当社グループを上回る技術力(例として地図データ更新サイクルの短縮を可能とするための変化点検知技術の確立、モービル・マッピング・システム(MMS)に代わる低コストかつ高速な計測手法の確立など)、営業力、価格競争力、または代替技術・ソリューションを有する競合他社の参入や競合の激化が生じた場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ③ 技術革新について(顕在化の可能性:低/影響度:大/発生時期:特定時期なし)当社グループの主な事業は自動運転に関連する業界に属しており、技術革新は早いスピードで進むと予想されます。 今後市場の拡大が見込まれるV2Xへの展開や半導体メーカー等における自動運転システム開発への適用など、自動車向けHDマップの活用領域は拡大していくものと考えておりますが、今後、HDマップに係る代替技術・ソリューション(例として、自動運転・先進運転支援システムにおける「地図」データの利用に関する、制御に必要な位置情報を把握するための技術的アプローチが挙げられます。 「HDマップ」を利用するアプローチと、「SDマップ(ナビ地図)に走行車両から得られる走行車線のレーン情報などを付加した地図」を利用するアプローチがあり、いずれも、これらの地図データと各種車載センサーから得られる情報を組み合わせて制御を行います。 両者はそれぞれ特性と用途が異なり、前者は高度な自己位置推定や悪天候時等にセンサーを補完し、限定されたエリアでの高度な自動運転、先進運転支援を可能にするものであり、後者は走行エリアを限定しない先進運転支援(車線維持支援、衝突回避、アダプティブ・クルーズ・コントロール(前車追従機能)等)に用いられています。 現時点では、大手自動車メーカーや米国及び中国における主要な自動運転タクシーサービス提供企業が採用する「HDマップ」のアプローチが主流でありますが、テスラ等一部のプレイヤーは後者のアプローチを採用しています。 )の拡大など、当社グループが現在展開する事業が適合しない新たな技術革新や市場動向が生じる可能性があります。 当社グループはこうした技術進展を踏まえた機能開発・ソリューションの提供など、仮にそうした代替技術・ソリューションが一般化する場合には、当該状況に適合し、当社グループとして当該技術・ソリューションにおいても優位性を確保していくよう事業運営に取り組んでまいります。 また他社と共同で代替技術の研究開発も行っております。 現時点で、代替技術・ソリューションが実用面で現実的なものとなる可能性は乏しいと見ておりますが、仮に現実的になった場合で、上記技術やソリューションを当社グループが提供できなかった場合、市場からの需要を喪失し、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ④ HDマップの整備・更新に係る投資が先行し、赤字を計上するリスクについて(顕在化の可能性:高/影響度:大/発生時期:1年以内)当社グループの事業は、HDマップの整備道路範囲の拡大が当該マップ搭載の前提となるため、先行的にHDマップの整備範囲の拡大を進めており、当社グループは、設立以来赤字を継続しております。 現時点での顧客ニーズに対応するためのHDマップの整備状況としましては、日本国内においては高速道路・自動車専用道路の整備を完了しており、北米においては対象を一般道に拡大し整備を進めております。 その他の地域としては、欧州及び韓国において、高速道路の整備を完了しており、中東においては、高速道路相当より整備を進めている段階です。 日本・海外ともに顧客ニーズに対応するための大きな費用を要する整備が先行する状況が継続する場合、当面赤字計上が続く可能性があります。 今後は、自動運転及び先進運転支援システム市場の立ち上がりを捉えた売上の拡大と、機能開発による整備コストの低減により、収益性の向上に努めていく方針です。 一方で、当社グループを取り巻く経営環境の急激な変化や「事業等のリスク」に記載されたリスクが顕在化することにより、上記収益性の向上が想定通りに進まなかった場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑤ 多用途展開の推進について(顕在化の可能性:中/影響度:大/発生時期:数年以内)当社グループでは、スマートシティ、MaaSにおける自動走行をはじめ、道路や設備などの各種インフラ維持管理、国や地方自治体による防災・減災対策、各研究機関に向け、高精度3次元データを提供するなど、多用途展開の推進に取り組んでおります。 当社グループでは、今後も多用途展開について積極的に取り組んでいく方針ですが高精度3次元データを活用できる技術が確立されない、安定的なライセンス料収入につながるビジネスモデルの構築・商品化が出来ない、などの外部要因により当初の想定通りに事業が進捗しなかった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 ⑥ 海外事業展開について(顕在化の可能性:中/影響度:大/発生時期:特定時期なし)当社グループでは、Dynamic Map Platform North America, Inc.をはじめ、北米、欧州、中東及び韓国に拠点を有し、グローバルベースで事業を展開しております。 当該海外事業の展開にあたっては、各国の経済・政治情勢の悪化、法律・規則、税制、外資規制等の差異及び変更、商慣習や文化の相違等が発生する可能性があります。 これらの要因により特定の国での事業の遂行及び推進が困難になる場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは次のようなリスクシナリオを想定し、それぞれの防止体制を整備しております。 a 当該地域・国における経済情勢が想定外に極端に悪化し、事業採算が大きく悪化する現地において日常の事業を通じ経済動向を継続的に把握し、また予算・事業計画の策定と予実管理の徹底により、事業面で取るべき行動を早期に察知し、撤退を含めた必要な行動を取れるような体制としております。 b 当該地域・国において外資規制等、当社グループ事業のそれまでの想定を許容しない制約につながる法律・規制の変化が生じる、あるいは法律・規制の複雑さ・不明瞭さが増し、事業展開における柔軟性が阻害される 法律・規制の動向につき、現地の日常的な事業を通じての情報収集の他、現地の法律・規制動向に通じる外部の法律事務所等を起用し、当該リスクの発生につながり得る動向を早期に把握できるようにしております。 c 当該地域・国の政情に不安が生じる経済動向の把握と同様、現地における事業や現地勤務社員の日常生活を通じて政情の変化があればそれを早期に察知し、撤退を含めた必要な行動を取れるような体制としております。 d 当該地域・国において大きな自然災害が生じる自然災害の影響の防止は手段が限定されますが、日本における対策と同様にBCPの体制を適用することで事業への影響を限定的にすべく想定しております。 e 当該地域・国において知的財産の侵害が起きる日本における対策と同様、知的財産の保護のための必要な調査や手配を行っております。 f 当該地域・国における税制・関税に不利益な変化が生じる経済情勢の動向把握の一環として税制についての状況も把握すべく努めており、仮に不利益な変化が生じる場合には当該地域・国における事業性を改めて精査すべく想定しております。 関税については、事業を基本的には現地において完結できる体制とすることで影響を抑制すべく努めております。 また、各地域における財務諸表は日本円以外の通貨建てで作成されるため、連結財務諸表作成にあたっては円建てに換算することが必要となります。 したがって、連結財務諸表数値は為替相場の変動による影響を受ける可能性があります。 当社では、為替リスク管理方針を策定しており、今後必要に応じたヘッジ取引を行うことを検討してまいります。 ⑦ 固定資産の減損リスクについて(顕在化の可能性:中/影響度:中/発生時期:特定時期なし)当社グループは、HDマップやモービル・マッピング・システム(MMS)をはじめとした固定資産について、今後減損損失の認識をすべきであると判定され、減損損失を計上した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 固定資産の計上対象につき厳選し、業績への影響を抑制すべく努めております。 ⑧ 自動車出荷台数の低下リスクについて(顕在化の可能性:中/影響度:中/発生時期:特定時期なし)当社グループの主要な販売先は自動車メーカーであり、当該販売先への売上高はHDマップ搭載車のメーカー出荷台数に依存しております。 そのため、景気動向などのマクロ環境の変化や、原材料価格の高騰や部材調達難に伴う供給能力の減少などに伴う自動車への需給変化が当社想定を上回って推移する場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 台数情報につきより最新の見通しを把握し、業績予想に常に最新情報が織り込まれるようにすることで、業績影響を抑制すべく努めております。 ⑨ 業績の季節変動リスクについて(顕在化の可能性:中/影響度:中/発生時期:特定時期なし)当社グループの事業は、3月を年度末として納入・売上計上がその年度末前後となる多くの企業や自治体を取引先としており、年度末に売上が集中する傾向があります。 また、一定の期間にわたって履行義務が充足される開発プロジェクト契約では、履行義務の充足に係わる進捗度に基づき収益を認識しておりますが、一部業務を外注している場合、当該外注業務の検収をもって履行義務が充足し、収益を認識することとなります。 これらの外注業務の納入のタイミングは年度末近くに集中する傾向があるため、その結果として履行義務の充足、売上計上のタイミングが年度末に集中する傾向にあります。 当社グループでは、取引先や売上計上の観点でのビジネスモデルの多様化の一層の推進により売上計上時期が平準化されるよう努めております。 一方で、季節変動による下振れ幅が想定よりも顕著な場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 ⑩ プロジェクト進捗の遅延による業績見通しへの影響について(顕在化の可能性:中/影響度:大/発生時期:特定時期なし)当社グループは開発プロジェクトに係わる案件においては、履行義務の充足に係る進捗度に基づき収益を認識しております。 当該進捗度の見積にあたっては、対象期日までに発生した工事原価が、予想される工事原価の合計に占める割合に基づいて行っております。 当社グループは、案件ごとに継続的に進捗状況に応じて見積総原価や予定案件期間の見直しを実施するなど適切な原価管理に取り組んでおりますが、その見積総原価や案件の進捗率は見通しに基づき計上しているため、修正される可能性があり、それらの見直しが必要になった場合は、売上計上時期の変更等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑪ 収益の不確実性について(顕在化可能性:中/影響度:大/発生時期:特定時期無し)本書提出日現在、当社グループにおいて継続的に商談を行っているオートモーティブビジネス領域のパイプライン(上記「第2 事業の状況 3経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)当社グループの強み ③今後のパイプラインを生み出す顧客基盤」に記載されたものを含みます。 )は、段階別に「契約済み」、「RFQ:Request for Quotation」、「RFI:Request for Information」、「商談中」に分類されます。 「契約済み」のパイプラインは法的拘束力のある契約を締結している状況を指し、顧客への役務提供時期や販売価格を含む諸取引条件が顧客との間で明確化されております。 ただし、法的拘束力のある契約であっても、一般に、当社グループによる契約違反、不可抗力的な外部要因等を理由として、顧客側より解除される可能性があります。 契約が解除された場合、当社グループは、当該契約から得られるはずであった潜在的な収益の全てまたは一部を失う可能性があります。 また、「契約済み」パイプラインのうち、プロジェクト型に区分されるものについてはその契約金額が契約書上明記されておりますが、収益計上金額及び収益計上時期は実際の当社グループによる役務提供の成果により変動する可能性があります。 また、「契約済み」パイプラインのうち、ライセンス型に区分されるものについては、1台あたりのライセンス単価は契約上明記されているものの、ライセンス台数については実際の自動車販売台数により変動し、結果として、収益計上金額及び収益計上時期が変動する可能性があります。 「RFQ:Request for Quotation」の段階にあるパイプラインは顧客からの見積依頼書(RFQ:Request for Quotation)を受領し、その回答を行っている状況を指し、当該見積依頼書や回答自体には法的拘束力はなく当該見積依頼書や回答に基づく契約が将来締結される保証はありません。 一般に、自動車業界においては数年先のサービス提供開始を見据えて開発契約や生産計画が検討されることが多く、見積依頼書(RFQ:Request for Quotation)を受ける時点においては当該パイプラインの具体性が高まっている状況にあると考えられるものの、見積依頼書に対して回答を行った取引内容や販売条件等がその後変更または失注となり、当社グループが想定する収益につながらない可能性があります。 「RFI:Request for Information」の段階にあるパイプラインは顧客から情報提供依頼書(RFI:Request for Information)を受領し、その回答を行っている状況を指し、当該情報提供依頼書や回答自体には法的拘束力はなく当該情報提供依頼書や回答に基づく契約が将来締結される保証はありません。 すなわち、「RFI:Request for Information」の段階は、見積依頼書(RFQ:Request for Quotation)受領に至る前段階であり、当該情報提供依頼書への回答で行われた取引内容や販売条件等は「RFQ:Request for Quotation」及び「契約済み」に進捗する段階においてその後変更または失注となり、当社グループが想定する収益につながらない可能性があります。 「商談中」の段階にあるパイプラインは、現時点で具体的な条件面でのやり取りに至っておらず、初期的な商談が開始された状況を指し、具体的な収益計上金額及び収益計上時期について現時点で明確となっている事項はありません。 本書提出日現在、当社グループにおいて継続的に商談を行っている3Dデータビジネス領域のパイプライン(上記「第2 事業の状況 3経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)当社グループの強み ③今後のパイプラインを生み出す顧客基盤」に記載されたものを含みます。 )は、段階別に「契約済み」、「商談中」に分類されます。 「契約済み」のパイプラインは法的拘束力のある契約を締結している状況を指し、顧客への役務提供時期や販売価格を含む諸取引条件が顧客との間で明確化されております。 ただし、法的拘束力のある契約は、一般に、当社グループによる契約違反、不可抗力的な外部要因等を理由として、顧客側より解除される可能性があります。 契約が解除された場合、当社グループは、当該契約から得られるはずであった潜在的な収益の全てまたは一部を失う可能性があります。 また、「契約済み」パイプラインのうち、プロジェクト型に区分されるものについてはその契約金額が契約書上明記されておりますが、収益計上金額及び収益計上時期は実際の当社グループによる役務提供の成果により変動する可能性があります。 「商談中」の段階にあるパイプラインは、「契約済み」に至るまでの様々な段階で交渉が継続している状況を指します。 パイプラインによっては具体的な諸取引条件について明確になりつつあるものも含まれますが、いずれも法的拘束力のある契約の締結には至っておらず、今後の契約締結及び収益計上について何ら保証されるものではありません。 以上より、各段階にあるパイプラインが当社グループの想定するタイミングや取引条件で契約締結に至らない場合、契約締結に至った場合でも顧客により当該契約が解除された場合及び当社グループの想定するタイミングや条件・数量での取引が実施できない場合、実際の収益計上金額や収益計上時期が現時点で当社が想定しているものと異なる場合、為替が大幅に変動した場合等には、当社グループが現時点で想定する収益計上金額及び収益金額を実現することが難しくなり、当社グループの事業、業績及び財政状態に 深刻な影響を及ぼす可能性があります。 ⑫ 特定の販売先への依存について(顕在化の可能性:低/影響度:大/発生時期:特定時期なし)当社グループ、特に当社子会社であるDynamic Map Platform North America, Inc.は、販売先においては北米を中心にハンズフリー運転を可能にする先進運転支援システム「Super Cruise™」の搭載を拡大しているGeneral Motors CompanyにHDマップを提供していることから、同社向けの売上が過半を占めております。 当社グループは、他の取引先への販売金額を拡大し、特定の販売先に依存しないよう営業活動を展開しており、それにより当該販売先への依存は低減方向にありますが、当該販売先との関係悪化、及び当該販売先の業績悪化等による事業活動に大きな変化が生じた場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑬ 特定の外注先への依存について(顕在化の可能性:低/影響度:中/発生時期:特定時期なし)当社グループは、HDマップ作成にあたって求められる技術水準を有する外注先を選定しており、特定の外注先への発注比率は低下傾向にはあるものの、図化業務及び計測業務においては特定の外注先への発注比率が比較的高くなっております。 当社グループでは、外注候補先の拡充や内製プロセスの一層の活用を通じ、特定の外注先に過度に依存しない体制を構築してまいりますが、当該外注先の業績悪化等による倒産や事業活動に大きな変化が生じた場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑭ 国内自動車メーカー向け販売活動について(顕在化の可能性:低/影響度:中/発生時期:特定時期なし)日本国内における当社の国内自動車メーカー向けの販売活動は、地図会社又はシステムメーカー等の一次代理店を中心に推進しております。 現時点において、各一次代理店とは良好な関係にあり、直接販売チャネルについても構築を進めておりますが、当該一次代理店と関係悪化や当該代理店の業績悪化等による倒産や事業活動に大きな変化が生じた場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑮ 品質管理について(顕在化の可能性:低/影響度:大/発生時期:特定時期なし)当社グループは、品質管理専門部署を設置し、専任担当を置く等、一定の品質管理体制を整備し、安全性を確保できるように努めております。 一方で、HDマップ搭載車における自動車事故などが生じ、当該事故原因がHDマップの不具合(経時的な変化によらないHDマップと現況との不一致など)にある場合、当社グループは製造物責任法等に基づき、損害賠償請求の対象となる可能性があります。 しかしながら、一般的に自動車メーカーは自動運転・先進運転支援システムの中で、自動車に搭載される各種センサーの情報をHDマップと組み合わせて冗長性にも優れたシステムを構築しており、事故原因がHDマップのみに帰する可能性は高いとは言い難いと考えております。 当社グループでは、販売先との契約において、賠償等を含む損害について当該取引において受領した対価を上限とする等の対応をしておりますが、契約上、当該上限の設定がない販売先もあり、損害賠償請求の対象となった場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑯ 事業に関連する法的規制について(顕在化の可能性:低/影響度:大/発生時期:特定時期なし)当社グループは、独占禁止法等、日本及び諸外国において、様々な法律及び規制に服しております。 当社グループは、コンプライアンス体制の充実が重要であると考えており、コンプライアンスに関する社内規則の策定や各種研修の実施により社内での周知徹底を図るとともに、法務担当部門による情報収集を行い、また日本及び米国において顧問弁護士を雇い、日本及び米国を含む諸外国の法規制に関する情報提供を受け、これら法規制について適宜相談できる体制を構築しております。 しかしながら、将来において独占禁止法等の法律・規制に抵触した場合、あるいは予期せぬ法規制の変更、行政の運営方法の変更などが生じた場合、新たな対応コストが生じ、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑰ 株主間契約について(顕在化の可能性:低/影響度:中/発生時期:特定時期なし)当社は、2019年に当社の事業運営等にも関わる 主要な株主7社との間で、当社事業を効果的に立ち上げ運営すべく定められた株主間契約を締結しました。 当該契約においては、株主による当社への事業支援、競業避止義務や事業機会の優先権付与等が定められており、当社は当該契約の存在によりそれら便益を享受しております。 当社が株式の上場申請を行って以降、当社の役員体制や株主への報告事項、株主による質問検査権、事業運営における協力や競業避止等の主要条項につき効力停止となり、それら条項の効力は、すべての契約当事者との間で当社の株式上場により完全に終了しました。 株式上場により当社の経営の独立性を一層確保する観点から、従前よりそれら便益の享受を得ることがなくなることへの備えを進めてきておりますが、想定とは異なる影響がある場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 なお、主要な株主7社のうちジオテクノロジー株式会社は、当社株式の上場に際して行われた売出しにより保有する全株式を売却しており、同社は当社の株式を所有しないこととなり、同社との関係における株主間契約は終了しております。 ⑱ 資金繰りについて(顕在化の可能性:中/影響度:大/発生時期:特定時期なし)当社グループは、④ HDマップの整備・更新に係る投資が先行し、赤字を計上するリスクについてに記載のとおり、設立以来赤字を継続しており、営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスの状況にあります。 今後も、HDマップの整備の拡大、更新等を中心とした投資需要が継続する想定です。 これは当社北米子会社のDynamic Map Platform North America, Inc.においても同様であり、当社からの追加出資により事業運営が行われております。 上記状況の中、当社は設立以来、株式発行及び銀行からの負債による資金調達を継続的に行ってまいりました。 負債による資金調達においては、調達先、調達スキーム、契約内容、契約期間等を分散させることに留意しながら調達を行ってまいりました。 また、直接の借入だけではなくコミットメントライン契約も締結することで、資金量が減少する局面において、短期間で追加的に資金を確保する体制も整えております。 今後も事業運営に必要な資金を見通し、市場環境を見極めた上で、継続的に資金調達を行ってまいります。 今後は、グループ全体で収益性の向上を図ることで営業キャッシュ・フローを改善し、また、引き続き必要に応じ適切なタイミングで資金調達を行うことで、財務基盤の強化を図る方針ですが、当社グループを取り巻く経営環境の急激な変化や本「事業等のリスク」に記載されたリスクが顕在化することにより、収益性の向上が想定通りに進まなかった場合、キャッシュ・フローが改善せず、当社資金繰りに影響を及ぼす可能性があります。 (2) 経営管理体制に関するリスク① 社歴が浅いことについて(顕在化の可能性:中/影響度:中/発生時期:特定時期なし)当社は2016年6月に設立されており、現在第9期と社歴の浅い会社であります。 当社グループは今後も経営状況を継続的に開示してまいりますが、事業の初期段階・成長段階にあることから当社グループの過年度の経営成績は年度毎の変動も少なくなく、また比較対象とできる期間業績が限定的であることから期間業績比較を行うための十分な材料とはならず、過年度の実績のみでは今後の業績を判断する情報としては不十分な可能性があります。 ② 内部管理体制について(顕在化の可能性:中/影響度:中/発生時期:特定時期なし)当社グループは、企業価値の持続的な向上にむけて、コーポレート・ガバナンスが有効に機能するとともに、内部管理体制について一層の充実を図る必要があると認識しております。 また、当社グループはDynamic Map Platform North America, Inc.など海外子会社を通じて、北米、欧州、中東、韓国の各国で事業を展開しておりますが、子会社管理の責任者であるコーポレート統括執行役員及び子会社管理を担当する関連各部署の担当者が海外子会社の責任者との情報共有を密にし、現地の経済・社会情勢に関する情報を収集して事業展開への影響を把握しております。 今後も業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保、各社内規則及び法令遵守を徹底してまいりますが、事業の急速な拡大により、十分な内部管理体制の整備が追い付かない場合には、適正な事業運営が困難となり、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ③ 優秀な人材の獲得・育成について(顕在化の可能性:中/影響度:中/発生時期:特定時期なし)当社グループは、当社グループの将来にわたる持続的成長に向けて、優秀な人材の採用と育成が欠かせないものと認識しております。 また、当社は設立当初より株主からの出向者も受け入れておりますが、独立した事業体として社員のプロパー化を推進してまいりました。 斯かる状況から、今後も積極的な採用活動を行っていく予定でありますが、当社グループの求める人材が十分に確保されなかった場合や人材の流出が進んだ場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ④ 知的財産管理について(顕在化の可能性:低/影響度:大/発生時期:特定時期なし)当社グループは、第三者の知的財産権を侵害することなく事業運営を行う体制を整備しておりますが、当社グループが知的財産権の侵害を理由に第三者から訴訟の提起等を受け、これを斥けられなかった場合、これらに対する対価の支払いやこれらに伴う当社グループの提供データの販売若しくは使用の中止、第三者からの不利な条件でのライセンスの取得等が必要となる可能性があります。 これらの対応により、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑤ 安全保障に係る管理について(顕在化の可能性:低/影響度:大/発生時期:特定時期なし)HDマップに関しては、国によって規制の在り方が異なっております。 当社グループがHDマップを供給する国については、各国の弁護士等の専門家と密に連携を取り、各国の規制について事前に調査・確認を行い、当該規制に従ってHDマップの供給を行うこととしております。 現時点で当社グループがHDマップを供給している一部地域において、当社グループのHDマップの整備や提供にあたり、安全保障上当局等からの許可が必要とされ、既に当局の許認可を取得しております。 今後も、国によっては、HDマップの整備や国外への持ち出し等について当局からの許可を必要とするなどの規制が存在する場合があり、将来において、これらの規制が存在する国でHDマップを整備・供給する場合、または現在規制のない国において、これらの既存の規制が変更され、あるいは新たな規制が制定されるなどし、当該規制に対応する必要性が生じた場合、これらの対応を実施するための対応コストが発生し、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑥ 個人情報に係る管理について(顕在化の可能性:低/影響度:中/発生時期:特定時期なし)当社グループは顧客情報や従業員情報の他、HDマップ作成時に取得される人物の顔等の個人情報を管理しております。 当社グループでは、個人情報管理規則を定めた上で、入退室管理等の物理的安全管理措置、アクセス制御や外部からの不正アクセス等の防止等の技術的安全管理措置により、個人情報を厳格に管理しております。 一方で、万が一、これらの個人情報が外部からの不正アクセスや業務上の過失等により、当社グループまたは業務委託先から外部に流出し、不適切な利用や改ざん等が発生した場合には、当社グループへの損害賠償請求や当該流出への対応に多額の費用が必要となる他、社会的信用が毀損されるなどにより、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (3) その他のリスク① 自然災害、事故等に関するリスク(顕在化の可能性:低/影響度:大/発生時期:特定時期なし)当社グループでは、大規模な自然災害や事故等が発生した場合に備え、HDマップに係るデータはクラウド上に保管する、あるいは定期バックアップを行うなど、BCP対策を講じており、事業継続に対する影響を最小限に留めるよう努めておりますが、当該災害、事故等の発生によりデータに毀損が生じた場合には、HDマップデータの再整備が必要になる可能性がある等、事業の継続に支障が生じ、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ② 公募増資による調達資金使途について(顕在化の可能性:中/影響度:大/発生時期:特定時期なし)新規株式上場時に実施した公募増資による調達資金の使途については、オートモーティブビジネス及び3Dデータビジネス向け高精度3次元位置情報の整備更新、海外事業拡大のための子会社宛投融資、研究開発に充当する予定であります。 しかしながら、経営環境の急激な変化等により、上記の資金投入から想定通りの効果を得られない可能性があります。 また、市場環境の急激な変化により、調達資金を上記以外の目的で使用する可能性があり、その場合は速やかに資金使途の変更について開示する予定です。 ③ 配当政策について(顕在化の可能性:中/影響度:中/発生時期:特定時期なし)当社は創業以来配当を実施しておらず、当面も事業拡大のため、内部留保による財務体質の強化及びHDマップの整備範囲の拡大、HDマップの整備コスト削減に向けた研究開発といった投資を優先する方針です。 株主への利益還元についても重要な経営課題として捉え、財政状態及び経営成績を勘案しつつ配当の実施を検討してまいりますが、利益計画が当社グループの想定通りに進捗せず、今後安定的に利益を計上できない状態が続いた場合には、配当による株主還元が困難となる可能性があります。 ④ 税務上の繰越欠損金について(顕在化の可能性:中/影響度:中/発生時期:特定時期なし)当社グループは、2025年3月末時点において25,938百万円の税務上の繰越欠損金が存在しております。 当社グループの業績が順調に推移することにより繰越欠損金が解消した場合には、通常の税率に基づく法人税、住民税及び事業税が計上されることとなり、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑤ 財務制限条項について(顕在化の可能性:中/影響度:大/発生時期:数年以内)当社グループの主要な借入金に係る金融機関との契約には、財務制限条項が付されています。 これらに抵触した場合には期限の利益を喪失する等、当社グループの財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。 財務制限条項の詳細につきましては「第5 経理の状況」に記載しております。 ⑥ ベンチャーキャピタル等投資事業者の株式所有割合に伴うリスクについて(顕在化の可能性:高/影響度:大/発生時期:数年以内)当社の発行済株式総数に対するベンチャーキャピタル等の投資事業者の所有割合(ベンチャーキャピタル、ベンチャーキャピタルが組成した投資事業有限責任組合、政府系投資ファンド等を含む)は2025年3月末時点において55.6%であります。 当社の株式公開後において、投資事業者が所有する株式の全部又は一部を売却する可能性があります。 特に投資事業者が所有する株式の過半を所有する株式会社INCJは、旧産業競争力強化法と同趣旨の枠組みのもと2025年3月末までを活動期間としており、活動期間終了までに投資資産(当社株式を含む)の処分を実施することを目標に設定していましたが、投資資産の処分は経済事情及び投資先の事業の状況等も考慮した上で検討されるため、必ずしも2025年3月末までに全ての投資資産の処分が実施されたわけではありません。 株式会社INCJは、2025年3月末以降も含め、株式市場で当社株式の売却を行う場合には、株価下落圧力とならないような譲渡または売却方法を可能な限り模索するとのことですが、当社株式の全部又は一部が短期間で売却される場合、株式市場における当社株式の需給バランスが短期的には損なわれ、当社株価に影響を及ぼす可能性が有ります。 ⑦ 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について(顕在化の可能性:中/影響度:中/発生時期:数年以内)当社グループでは、当社グループの役員及び従業員に対するインセンティブを目的とし、新株予約権を付与しており、今後も優秀な人材の獲得に向けてさらなる新株予約権の付与も検討しております。 これらの新株予約権が行使された場合には、既存株主が保有する株式価値が希薄化する可能性があります。 本書提出日現在における新株予約権による潜在株式数は2,807,800株であり、発行済株式総数23,624,850株の11.88%に相当しております。 ⑧ 当社株式の流動性について(顕在化の可能性:中/影響度:中/発生時期:1年以内)当社は、東京証券取引所グロース市場への上場に際しての公募増資及び売出しによって当社株式の一定の流動性を確保しておりますが、株式会社東京証券取引所の定める流通株式比率は25%以上であるところ、2025年3月末時点における流通株式比率は32.0%にとどまっております。 今後は、大株主への一部売出しの要請、ストック・オプションの行使による流通株式数の増加等を勘案し、これらの組み合わせにより、流動性の向上を図っていく方針ではありますが、何らかの事情により上場時よりも流動性が低下する場合には、当社株式の市場における売買が停滞する可能性があり、それにより当社株式の需給関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑨ 訴訟等について(顕在化の可能性:低/影響度:大/発生時期:特定時期なし)当社グループは、本書提出日現在において、訴訟を提起されている事実はございません。 一方で、事業運営の中で当社グループが提供するソフトウェア・データの不備等により、何らかの問題が生じた場合等、これらに起因した損害賠償請求や訴訟の提起がなされる可能性があります。 その場合、当社グループの社会的信用が毀損され、また損害賠償の金額、訴訟内容及び結果によっては、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 |
経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 | 4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 (1) 経営成績等の状況の概要当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。 ) の状況の概要は次のとおりであります。 ① 経営成績等の状況当期における経済情勢は、日本での企業収益及び雇用・所得環境の改善、設備投資の持ち直し、米国での堅調な個人消費等を背景に緩やかな回復傾向で推移しました。 一方で、各国におけるインフレや金融引き締めの影響、中国経済の先行き懸念、資源価格の高止まりや地政学的リスクもあり、総じて先行き不透明な状況で推移しました。 自動車業界においては、一時期のEV関連投資への集中の反動から、一部の自動車メーカーにおいてリストラや開発投資減速の動きが見られました。 そのような環境下、自動運転及び先進運転支援システムに対するニーズは引き続き拡大しており、それに応じて量産車における当社グループが提供するHDマップの搭載台数が増加しました。 当社グループは各国でHDマップの整備を進めており、世界における整備距離数の合計は150万km超に達しています。 また、国内では高齢化・人口減少問題が顕在化し、持続可能な社会の実現が求められる中で、社会・産業のデジタル化を進める取り組みが加速しており、自動車向け以外の分野においても、高精度3次元データを見える化するViewerプロダクト、HDマップの生成技術を応用したGuidanceプロダクトの取り扱いが拡大しました。 また、複数の国家プロジェクトを受託し、当社が保有する高精度3次元データ及び関連技術、各種知見を提供することにより社会課題解決に向けた取り組みに貢献しております。 当社グループでは、「デジタル社会のインフラとして高精度位置情報基盤をグローバルに構築し、自動運転をはじめとする新しい未来を拓く」をパーパスとして掲げ、自動車関連及びスマートシティ等、様々な用途に向けた高精度3次元データの構築・提供を行っております。 また、現実の世界をデジタル空間に複製する高精度3次元データのプラットフォーマーとして、様々な産業分野におけるイノベーションを支えることをミッションとして掲げ、多方面のお客様に価値あるサービスを提供できる組織体制を整え、パーパスの実現に向けた各施策を実行してまいりました。 以上の結果、当期の当社グループの経営成績は、売上高は7,465百万円(前期比34.1%増加)、調整後EBITDA(損失)は609百万円(前期 調整後EBITDA(損失)2,203百万円)、営業損失は1,219百万円(前期 営業損失2,554百万円)、経常損失は1,414百万円(前期 経常損失2,490百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は1,544百万円(前期 親会社株主に帰属する当期純損失4,049百万円)となりました。 セグメント別の経営成績は次のとおりであります。 a 国内3Dデータビジネスにおいて、「産業DXのためのデジタルインフラ整備事業/デジタルライフラインの先行実装に資する基盤に関する研究開発」における「自動運転支援道」事業に採択されるなど、複数の国家プロジェクトの受注によるプロジェクト型売上の拡大により、売上高は前期を上回りました。 以上の結果、売上高2,693百万円(前期比62.8%増加)、営業損失956百万円(前期 営業損失1,430百万円)となりました。 b 海外海外事業では、オートモーティブビジネスにおいて、北米での新規道路整備をはじめとするプロジェクト型売上の拡大及び量産車へのHDマップ搭載台数の増加によるライセンス売上の拡大により、売上高は前期を上回りました。 以上の結果、売上高4,771百万円(前期比21.9%増加)、営業損失266百万円(前期 営業損失1,085百万円)となりました。 ② 財政状態の状況(資産)当期末における資産合計は、前期末比1,734百万円増加の15,975百万円となりました。 これは主に、北米等での地図データ整備に伴う無形固定資産の増加によるものです。 (負債)当期末における負債合計は、前期末比2,369百万円減少の7,016百万円となりました。 これは主に、長期借入金の返済により、有利子負債が減少したことによるものです。 (純資産)当期末における純資産合計は、前期末比4,104百万円増加の8,958百万円となりました。 これは主に、上場時の払込による資本金及び資本剰余金の増加によるものです。 ③ キャッシュ・フローの状況当期末における「現金及び現金同等物」(以下「資金」)は、前期末に比べ、1,790百万円減少し、8,383百万円となりました。 当期における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー) 営業活動による資金収支は、2,269百万円の支出(前期は3,166百万円の支出)となりました。 これは主に、税金等調整前当期純損失1,414百万円、売上債権及び契約資産の増加額1,741百万円等によるものであります。 (投資活動によるキャッシュ・フロー) 投資活動による資金収支は、2,472百万円の支出(前期は842百万円の支出)となりました。 これは主として、無形固定資産の取得による支出2,375百万円等によるものであります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動による資金収支は、2,829百万円の収入(前期は159百万円の収入)となりました。 これは主として、株式の発行による収入5,310百万円および長期借入金の返済による支出2,359百万円によるものであります。 セグメントの名称販売高(百万円)前期比(%)国内2,693162.8海外4,771121.9合計7,465134.1 (注) 1.セグメント間取引については相殺消去しております。 2.当連結会計年度において、販売実績に著しい変動がありました。 これは、国内セグメントでの、複数の国家プロジェクト受注によるプロジェクト型売上の拡大、及び海外セグメントでの北米におけるプロジェクト型売上の量産車へのHDマップ搭載台数の増加によるライセンス売上の拡大したことによります。 3.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合 取引先前連結会計年度当連結会計年度販売高(百万円)割合(%)販売高(百万円)割合(%)General Motors Company3,18257.23,21143.0国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構69312.51,79424.0 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。 ① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般的に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。 この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りが必要とされます。 経営者は、当社グループの過去からの実績や将来における発生可能性を勘案して合理的に判断しておりますが、見積り時の不確実性のため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。 当社の連結財務諸表を作成するにあたって採用している会計上の見積及び仮定のうち、重要なものは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。 ② 経営成績の分析経営成績の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 経営成績等の状況」に記載のとおりであります。 ③ 財政状態の分析財政状態の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載のとおりであります。 ④ キャッシュ・フローの分析キャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。 ⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について当社グループの経営成績に重要な影響を与える主な要因は、以下のとおりであります。 当社グループは自動運転や先進運転支援システムに有用な自動車向けHDマップを生成・販売しております。 当社グループでは、今後も先進運転支援システム装着車両の販売が順調に拡大することを見込んでおりますが、想定通りに先進運転支援システムが普及せず市場が拡大しない場合には、当社グループの売上高等の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、自動車向けHDマップの活用領域は、自動運転や先進運転支援システムの機能を装備した車両への搭載のみならず、今後市場の拡大が見込まれるV2Xへの展開や半導体メーカー等における自動運転システム開発への適用などに拡大していくものと当社グループでは考えておりますが、HDマップに係る代替技術・ソリューションの拡大など、当社グループが現在展開する事業が適合しない新たな技術革新や市場動向が生じる可能性があります。 そのような代替技術・ソリューションが主流となった場合には、当社グループが提供するHDマップへの需要が低減し、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 その他、経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。 ⑥ 資本の財源及び資金の流動性についての分析当社グループにおける主な資金需要は、HDマップの整備・更新のための設備投資及び外注費です。 これらの資金需要に対しては、自己資金、金融機関からの借入等により充当することとしております。 なお、当社グループの資金の流動性につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。 また、重要な資本的支出の予定につきましては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりであります。 ⑦ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)目標とする客観的な指標等」に記載のとおり、当社グループは、成長性、収益性及びキャッシュ・フローの状況を把握するために、売上高、ライセンス型売上高、調整後EBITDAを重要な経営指標と位置付けております。 各指標の推移については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)目標とする客観的な指標等」に記載のとおりです。 ⑧ 経営者の問題認識と今後の方針について経営者の問題認識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。 |
研究開発活動 | 6 【研究開発活動】 当社グループは、当社グループが保有するアセットの品質向上や利用拡大に向けた付加価値向上を目的として研究開発を進めています。 主要な課題として、HDマップ整備・更新費用の低減や多用途展開に向けた機能開発が挙げられ、当連結会計年度は、HDマップの更新技術開発を目的に走行軌跡等の位置情報プローブデータを活用した道路変化点検出実証、空港内の静的・動的な様々な情報を集約する空間情報システム(VIPS)の開発等を行ってまいりました。 また、Dynamic Map Platform North America, Inc.も含め、ドローンや衛星画像等MMS以外の計測手法、自動図化等プロダクトの生産性と効率の向上や今後の成長に必要な技術開発力の強化を進めます。 また、更新コスト低減のキーとなる変化点抽出の効率化(自動化)については他社との提携なども含めて技術開発を進めます。 研究体制として、HDマップ整備の効率化については主にDynamic Map Platform North America, Inc.及びデータ制作部が担当し、多用途展開に向けた開発は主にライセンスビジネス部が担当しております。 こうした研究開発の実施により、今後当社グループのコア技術開発を進めるとともに、HDマップがより広範に搭載・採用されるべく努めてまいります。 第9期連結会計年度当連結会計年度の研究開発費の総額は259百万円となりました。 セグメント別では、国内で259百万円となりました。 具体的な研究開発の成果は以下のとおりです。 (国内)研究開発項目研究成果位置情報プローブデータを活用した道路変化点検出実証日米の位置情報プローブデータを分析し、位置情報プローブデータを用いて、車線や工事など地図更新に必要な道路変化情報の収集が技術的に可能であることを実証。 空港内の静的・動的な様々な情報を集約する空間情報システム(VIPS)の開発空間情報システム(VIPS)プロトタイプの開発を通じて、空間IDとHDマップ及び動的データとの統合を実現。 空間IDを活用した空港内情報の一元管理が技術的に可能であることを実証。 |
設備投資等の概要 | 1 【設備投資等の概要】 当連結会計年度の設備投資の総額は2,442百万円であり、セグメント毎の内訳は以下のとおりです。 セグメントの名称(百万円) 国内263 海外2,204 小計2,468 消去△26 合計2,442 国内セグメント及び海外セグメントにおける設備投資は主に地図データ整備等によるソフトウエアの整備費用であります。 設備投資の総額には有形固定資産のほか、無形固定資産への投資を含めて記載しております。 当連結会計年度において重要な設備の除却、売却などはありません。 |
主要な設備の状況 | 2 【主要な設備の状況】 当社グループにおける主要な設備は、次のとおりであります。 (1) 提出会社2025年3月31日現在 事業所名(所在地)セグメントの名称設備の内容帳簿価額従業員数(人)建物附属設備(百万円)工具、器具及び備品(百万円)リース資産(百万円)ソフトウエア(百万円)合計(百万円)本社(東京都渋谷区)国内ソフトウエア事務所設備測量機器0386310120372 (注)1.現在休止中の主要な設備はありません。 2.上記事務所は賃借しているものであり、年間の賃借料は80百万円であります。 (2) 国内子会社重要性が乏しいため、記載を省略しております。 (3) 在外子会社2025年3月31日現在 会社名事業所名(所在地)セグメントの名称設備の内容帳簿価額従業員数(人)機械装置及び運搬具(百万円)工具、器具及び備品(百万円)リース資産(百万円)ソフトウエア(百万円)合計(百万円)Dynamic Map Platform North America, Inc.本社(米国ミシガン州リボニア)他1ヶ所海外ソフトウエア事務所設備測量機器4351672,3632,930147 (注)1.現在休止中の主要な設備はありません。 2.上記事務所は賃借しているものであり、年間の賃借料は93百万円であります。 |
設備の新設、除却等の計画 | 3 【設備の新設、除却等の計画】 (1) 重要な設備の新設等会社名事業所名(所在地)セグメントの名称設備の内容投資予定額資金調達方法着手年月完了予定年月完成後の増加能力総額(百万円)既支払額(百万円)提出会社本社(東京都渋谷区)国内ソフトウェア(日本国内おける次世代HDマップ用地図データ整備)1,3631,107自己資金及び増資資金2022年4月2027年9月(注)Dynamic Map Platform North America, Inc. 本社(米国ミシガン州リボニア)海外ソフトウェア(北米地域おける新規道路地図データ整備)6,2872,397自己資金及び増資資金2023年8月 2028年12月(注) (注) 完成後の増加能力については、計数的把握が困難であるため、記載を省略しております。 (2) 重要な設備の除却等重要な設備の除却等の計画はありません。 |
研究開発費、研究開発活動 | 259,000,000 |
設備投資額、設備投資等の概要 | -26,000,000 |
Employees
平均年齢(年)、提出会社の状況、従業員の状況 | 42 |
平均勤続年数(年)、提出会社の状況、従業員の状況 | 3 |
平均年間給与、提出会社の状況、従業員の状況 | 9,170,000 |
Investment
株式の保有状況 | (5) 【株式の保有状況】 該当事項はありません。 |
Shareholders
大株主の状況 | (6) 【大株主の状況】 2025年3月31日現在 氏名又は名称住所所有株式数(株)発行済株式(自己株式を除く。)の総数に対する所有株式数の割合(%) 株式会社INCJ東京都港区虎ノ門1丁目3-16,575,50027.83 株式会社海外交通・都市開発事業支援機構東京都千代田区丸の内2丁目2-33,478,35014.72 三菱電機株式会社東京都千代田区丸の内2丁目7-31,560,0006.60 株式会社日本カストディ銀行(信託口)東京都中央区晴海1丁目8-121,206,4005.10 三菱HCキャピタル株式会社東京都千代田区丸の内1丁目5番1号1,000,0004.23 株式会社SBI証券東京都港区六本木1丁目6番1号916,0003.87 三井物産株式会社東京都千代田区大手町1丁目2-1710,5003.00 MSIP CLIENT SECURITIES(常任代理人 モルガン・スタンレーMUFG証券株式会社)25 Cabot Square, Canary Wharf, London E14 4QA, U.K.(東京都千代田区大手町1丁目9-7)593,4992.51 SBI4&5投資事業有限責任組合東京都港区六本木1丁目6-1508,4002.15 株式会社ゼンリン福岡県北九州市小倉北区室町1丁目1-1480,0002.03 株式会社パスコ東京都目黒区下目黒1丁目7-1480,0002.03計-17,508,64974.11 (注)上記所有株式数のうち、信託業務に係る株式数は、次のとおりであります。 株式会社日本カストディ銀行(信託口) 1,206,400株 |
株主数-金融機関 | 6 |
株主数-金融商品取引業者 | 16 |
株主数-外国法人等-個人 | 18 |
株主数-外国法人等-個人以外 | 27 |
株主数-個人その他 | 5,175 |
株主数-その他の法人 | 120 |
株主数-計 | 5,362 |
氏名又は名称、大株主の状況 | 株式会社パスコ |
株主総会決議による取得の状況 | (1) 【株主総会決議による取得の状況】 該当事項はありません。 |
株主総会決議又は取締役会決議に基づかないものの内容 | (3) 【株主総会決議又は取締役会決議に基づかないものの内容】 該当事項はありません。 |
Shareholders2
発行済株式及び自己株式に関する注記 | 1.発行済株式に関する事項株式の種類当連結会計年度期首増加減少当連結会計年度末普通株式(株)(注)18,814,8504,810,000-23,624,850 (注)普通株式の発行済株式総数の増加4,810,000株は、新規上場に伴う新株の発行によるものであります。 2.自己株式に関する事項該当事項はありません。 |
Audit
監査法人1、連結 | PwC Japan有限責任監査法人 |
独立監査人の報告書、連結 | 独立監査人の監査報告書 2025年6月25日ダイナミックマッププラットフォーム株式会社取締役会 御中 PwC Japan有限責任監査法人 東京事務所 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士市原 順二 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士千葉 達哉 <連結財務諸表監査>監査意見当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられているダイナミックマッププラットフォーム株式会社の2024年4月1日から2025年3月31日までの連結会計年度の連結財務諸表、すなわち、連結貸借対照表、連結損益計算書、連結包括利益計算書、連結株主資本等変動計算書、連結キャッシュ・フロー計算書、連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項、その他の注記及び連結附属明細表について監査を行った。 当監査法人は、上記の連結財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、ダイナミックマッププラットフォーム株式会社及び連結子会社の2025年3月31日現在の財政状態並びに同日をもって終了する連結会計年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。 監査意見の根拠当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。 監査の基準における当監査法人の責任は、「連結財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。 当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。 当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。 監査上の主要な検討事項監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。 監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 ダイナミックマッププラットフォーム株式会社における有形固定資産及び無形固定資産の減損損失の認識の判定・【連結財務諸表注記】 (重要な会計上の見積り)固定資産の評価 監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応会社グループは、日本・北米・欧州・韓国・中東において自動運転や先進運転支援システム向けビジネス(オートモーティブビジネス)と、自動運転及び先進運転支援システム用途以外でのソリューション提供(3Dデータビジネス)の両輪でグローバルに事業展開しており、ダイナミックマッププラットフォーム株式会社(以下「会社」という。 )は日本国内において、オートモーティブビジネスと3Dデータビジネスを行っている。 2025年3月31日現在、連結貸借対照表に会社の有形固定資産が83百万円(総資産の0.5%)、無形固定資産が280百万円(総資産の1.8%)計上されている。 このうち、無形固定資産に含まれているソフトウエアは、主として高精度3次元データの生成に係る費用を資産計上したものであり、自社利用のソフトウエアである。 会社は、有形固定資産及び無形固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上している。 当連結会計年度において、会社は営業活動から生ずる損益が継続してマイナスとなっているため減損の兆候があると判定しているが、会社の資産グループの帳簿価額と資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額を比較し、割引前将来キャッシュ・フローが帳簿価額を上回っていることから減損損失を認識していない。 会社による割引前将来キャッシュ・フローの見積りは、会社の直近の事業計画の達成状況、会社を取り巻く経営環境及び市場の動向などに基づいて策定され、会社の経営者により承認された事業計画を基礎として算出されている。 主要な仮定は、事業計画の基礎となる売上高、売上原価、販売費及び一般管理費、並びに補助金収入である。 会社の事業計画の見積りに係る売上高、売上原価、販売費及び一般管理費、並びに補助金収入などの主要な仮定は、経営者による主観的な判断を含み、見積りの不確実性の程度が高いため、当監査法人は会社における有形固定資産及び無形固定資産の減損損失の認識の判定を監査上の主要な検討事項に該当するものと判断した。 当監査法人は、会社における有形固定資産及び無形固定資産の減損損失の認識の判定を検討するにあたり、主として以下の監査手続を実施した。 •営業活動から生ずる損益の見積りの基礎となる将来の売上高、売上原価、販売費及び一般管理費、並びに補助金収入の仮定の設定を含む、固定資産の減損の兆候・減損損失の認識の判定に関連する内部統制を理解した。 •会社の割引前将来キャッシュ・フローの見積りについて、取締役会によって承認された事業計画との整合性を検証した。 •事業計画について、以下の手続を実施した。 -過年度の事業計画について、実績との比較を実施し差異の理由を特定することにより、会社の見積り手法の適切性及び会社の見積りの選択において、経営者の偏向が存在する兆候を示していないかの検討を行った。 -会社が作成した案件別の売上高の見込み額の明細を閲覧し販売戦略や受注活動の状況について会社に質問し、オートモーティブビジネス及び3Dデータビジネスに係る売上高の実現可能性を検討するとともに、売上高及び補助金収入の見積り額との整合性を検討した。 -売上原価、販売費及び一般管理費について、販売戦略や売上高との整合性を検討した。 •事業計画に不確実性を加味した場合の割引前将来キャッシュ・フローの監査人の見積額を独自に計算し、会社の実施した有形固定資産及び無形固定資産の減損損失の認識の判定に与える影響を検討した。 その他の記載内容その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。 経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。 また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 当監査法人の連結財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。 連結財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と連結財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 連結財務諸表に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任 経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して連結財務諸表を作成し適正に表示することにある。 これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない連結財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。 連結財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき連結財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。 監査役及び監査役会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 連結財務諸表監査における監査人の責任監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての連結財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から連結財務諸表に対する意見を表明することにある。 虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、連結財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。 監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。 ・ 不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。 また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。 監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。 さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。 ・ 連結財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。 ・ 経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。 ・ 経営者が継続企業を前提として連結財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。 継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において連結財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する連結財務諸表の注記事項が適切でない場合は、連結財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。 監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。 ・ 連結財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた連結財務諸表の表示、構成及び内容、並びに連結財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。 ・ 連結財務諸表に対する意見表明の基礎となる、会社及び連結子会社の財務情報に関する十分かつ適切な監査証拠を入手するために、連結財務諸表の監査を計画し実施する。 監査人は、連結財務諸表の監査に関する指揮、監督及び査閲に関して責任がある。 監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。 監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。 監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。 監査人は、監査役及び監査役会と協議した事項のうち、当連結会計年度の連結財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。 ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。 <報酬関連情報>当監査法人及び当監査法人と同一のネットワークに属する者に対する、会社及び子会社の監査証明業務に基づく報酬及び非監査業務に基づく報酬の額は、「提出会社の状況」に含まれるコーポレート・ガバナンスの状況等 (3)【監査の状況】 に記載されている。 利害関係会社及び連結子会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。 以 上 (注) 1 上記の監査報告書の原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。 2 XBRLデータは監査の対象には含まれていません。 |
監査上の主要な検討事項、連結 | 監査上の主要な検討事項監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。 監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 ダイナミックマッププラットフォーム株式会社における有形固定資産及び無形固定資産の減損損失の認識の判定・【連結財務諸表注記】 (重要な会計上の見積り)固定資産の評価 監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応会社グループは、日本・北米・欧州・韓国・中東において自動運転や先進運転支援システム向けビジネス(オートモーティブビジネス)と、自動運転及び先進運転支援システム用途以外でのソリューション提供(3Dデータビジネス)の両輪でグローバルに事業展開しており、ダイナミックマッププラットフォーム株式会社(以下「会社」という。 )は日本国内において、オートモーティブビジネスと3Dデータビジネスを行っている。 2025年3月31日現在、連結貸借対照表に会社の有形固定資産が83百万円(総資産の0.5%)、無形固定資産が280百万円(総資産の1.8%)計上されている。 このうち、無形固定資産に含まれているソフトウエアは、主として高精度3次元データの生成に係る費用を資産計上したものであり、自社利用のソフトウエアである。 会社は、有形固定資産及び無形固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上している。 当連結会計年度において、会社は営業活動から生ずる損益が継続してマイナスとなっているため減損の兆候があると判定しているが、会社の資産グループの帳簿価額と資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額を比較し、割引前将来キャッシュ・フローが帳簿価額を上回っていることから減損損失を認識していない。 会社による割引前将来キャッシュ・フローの見積りは、会社の直近の事業計画の達成状況、会社を取り巻く経営環境及び市場の動向などに基づいて策定され、会社の経営者により承認された事業計画を基礎として算出されている。 主要な仮定は、事業計画の基礎となる売上高、売上原価、販売費及び一般管理費、並びに補助金収入である。 会社の事業計画の見積りに係る売上高、売上原価、販売費及び一般管理費、並びに補助金収入などの主要な仮定は、経営者による主観的な判断を含み、見積りの不確実性の程度が高いため、当監査法人は会社における有形固定資産及び無形固定資産の減損損失の認識の判定を監査上の主要な検討事項に該当するものと判断した。 当監査法人は、会社における有形固定資産及び無形固定資産の減損損失の認識の判定を検討するにあたり、主として以下の監査手続を実施した。 •営業活動から生ずる損益の見積りの基礎となる将来の売上高、売上原価、販売費及び一般管理費、並びに補助金収入の仮定の設定を含む、固定資産の減損の兆候・減損損失の認識の判定に関連する内部統制を理解した。 •会社の割引前将来キャッシュ・フローの見積りについて、取締役会によって承認された事業計画との整合性を検証した。 •事業計画について、以下の手続を実施した。 -過年度の事業計画について、実績との比較を実施し差異の理由を特定することにより、会社の見積り手法の適切性及び会社の見積りの選択において、経営者の偏向が存在する兆候を示していないかの検討を行った。 -会社が作成した案件別の売上高の見込み額の明細を閲覧し販売戦略や受注活動の状況について会社に質問し、オートモーティブビジネス及び3Dデータビジネスに係る売上高の実現可能性を検討するとともに、売上高及び補助金収入の見積り額との整合性を検討した。 -売上原価、販売費及び一般管理費について、販売戦略や売上高との整合性を検討した。 •事業計画に不確実性を加味した場合の割引前将来キャッシュ・フローの監査人の見積額を独自に計算し、会社の実施した有形固定資産及び無形固定資産の減損損失の認識の判定に与える影響を検討した。 |
全体概要、監査上の主要な検討事項、連結 | 監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。 監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 |
見出し、監査上の主要な検討事項、連結 | ダイナミックマッププラットフォーム株式会社における有形固定資産及び無形固定資産の減損損失の認識の判定・【連結財務諸表注記】 (重要な会計上の見積り)固定資産の評価 |
内容及び理由、監査上の主要な検討事項、連結 | 会社グループは、日本・北米・欧州・韓国・中東において自動運転や先進運転支援システム向けビジネス(オートモーティブビジネス)と、自動運転及び先進運転支援システム用途以外でのソリューション提供(3Dデータビジネス)の両輪でグローバルに事業展開しており、ダイナミックマッププラットフォーム株式会社(以下「会社」という。 )は日本国内において、オートモーティブビジネスと3Dデータビジネスを行っている。 2025年3月31日現在、連結貸借対照表に会社の有形固定資産が83百万円(総資産の0.5%)、無形固定資産が280百万円(総資産の1.8%)計上されている。 このうち、無形固定資産に含まれているソフトウエアは、主として高精度3次元データの生成に係る費用を資産計上したものであり、自社利用のソフトウエアである。 会社は、有形固定資産及び無形固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上している。 当連結会計年度において、会社は営業活動から生ずる損益が継続してマイナスとなっているため減損の兆候があると判定しているが、会社の資産グループの帳簿価額と資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額を比較し、割引前将来キャッシュ・フローが帳簿価額を上回っていることから減損損失を認識していない。 会社による割引前将来キャッシュ・フローの見積りは、会社の直近の事業計画の達成状況、会社を取り巻く経営環境及び市場の動向などに基づいて策定され、会社の経営者により承認された事業計画を基礎として算出されている。 主要な仮定は、事業計画の基礎となる売上高、売上原価、販売費及び一般管理費、並びに補助金収入である。 会社の事業計画の見積りに係る売上高、売上原価、販売費及び一般管理費、並びに補助金収入などの主要な仮定は、経営者による主観的な判断を含み、見積りの不確実性の程度が高いため、当監査法人は会社における有形固定資産及び無形固定資産の減損損失の認識の判定を監査上の主要な検討事項に該当するものと判断した。 |
監査上の対応、監査上の主要な検討事項、連結 | 当監査法人は、会社における有形固定資産及び無形固定資産の減損損失の認識の判定を検討するにあたり、主として以下の監査手続を実施した。 •営業活動から生ずる損益の見積りの基礎となる将来の売上高、売上原価、販売費及び一般管理費、並びに補助金収入の仮定の設定を含む、固定資産の減損の兆候・減損損失の認識の判定に関連する内部統制を理解した。 •会社の割引前将来キャッシュ・フローの見積りについて、取締役会によって承認された事業計画との整合性を検証した。 •事業計画について、以下の手続を実施した。 -過年度の事業計画について、実績との比較を実施し差異の理由を特定することにより、会社の見積り手法の適切性及び会社の見積りの選択において、経営者の偏向が存在する兆候を示していないかの検討を行った。 -会社が作成した案件別の売上高の見込み額の明細を閲覧し販売戦略や受注活動の状況について会社に質問し、オートモーティブビジネス及び3Dデータビジネスに係る売上高の実現可能性を検討するとともに、売上高及び補助金収入の見積り額との整合性を検討した。 -売上原価、販売費及び一般管理費について、販売戦略や売上高との整合性を検討した。 •事業計画に不確実性を加味した場合の割引前将来キャッシュ・フローの監査人の見積額を独自に計算し、会社の実施した有形固定資産及び無形固定資産の減損損失の認識の判定に与える影響を検討した。 |
その他の記載内容、連結 | その他の記載内容その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。 経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。 また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 当監査法人の連結財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。 連結財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と連結財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 |
報酬関連情報、連結 | <報酬関連情報>当監査法人及び当監査法人と同一のネットワークに属する者に対する、会社及び子会社の監査証明業務に基づく報酬及び非監査業務に基づく報酬の額は、「提出会社の状況」に含まれるコーポレート・ガバナンスの状況等 (3)【監査の状況】 に記載されている。 |
Audit1
監査法人1、個別 | PwC Japan有限責任監査法人 |
独立監査人の報告書、個別 | 独立監査人の監査報告書 2025年6月25日ダイナミックマッププラットフォーム株式会社取締役会 御中 PwC Japan有限責任監査法人 東京事務所 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士市原 順二 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士千葉 達哉 <財務諸表監査>監査意見当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられているダイナミックマッププラットフォーム株式会社の2024年4月1日から2025年3月31日までの第9期事業年度の財務諸表、すなわち、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、重要な会計方針、その他の注記及び附属明細表について監査を行った。 当監査法人は、上記の財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、ダイナミックマッププラットフォーム株式会社の2025年3月31日現在の財政状態及び同日をもって終了する事業年度の経営成績を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。 監査意見の根拠当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。 監査の基準における当監査法人の責任は、「財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。 当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。 当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。 監査上の主要な検討事項監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。 監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 有形固定資産及び無形固定資産の減損損失の認識の判定(【財務諸表注記】 (重要な会計上の見積り)2.固定資産の評価) 会社は、2025年3月31日現在、貸借対照表に有形固定資産を102百万円(総資産の0.6%)、無形固定資産を313百万円(総資産の1.9%)計上している。 監査上の主要な検討事項と決定した理由及び監査上の対応については、連結財務諸表の監査報告書に記載されている監査上の主要な検討事項(ダイナミックマッププラットフォーム株式会社の有形固定資産及び無形固定資産における減損損失の認識の判定)と同一内容であるため、記載を省略している。 その他の記載内容その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。 経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。 また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 当監査法人の財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。 財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 財務諸表に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して財務諸表を作成し適正に表示することにある。 これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。 財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。 監査役及び監査役会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 財務諸表監査における監査人の責任監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から財務諸表に対する意見を表明することにある。 虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。 監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。 ・ 不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。 また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。 監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。 さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。 ・ 財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。 ・ 経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。 ・ 経営者が継続企業を前提として財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。 継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する財務諸表の注記事項が適切でない場合は、財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。 監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。 ・ 財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた財務諸表の表示、構成及び内容、並びに財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。 監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。 監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。 監査人は、監査役及び監査役会と協議した事項のうち、当事業年度の財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。 ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。 <報酬関連情報>報酬関連情報は、連結財務諸表の監査報告書に記載されている。 利害関係会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。 以 上 (注) 1 上記の監査報告書の原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。 2 XBRLデータは監査の対象には含まれていません。 |
監査上の主要な検討事項、個別 | 監査上の主要な検討事項監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。 監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 有形固定資産及び無形固定資産の減損損失の認識の判定(【財務諸表注記】 (重要な会計上の見積り)2.固定資産の評価) 会社は、2025年3月31日現在、貸借対照表に有形固定資産を102百万円(総資産の0.6%)、無形固定資産を313百万円(総資産の1.9%)計上している。 監査上の主要な検討事項と決定した理由及び監査上の対応については、連結財務諸表の監査報告書に記載されている監査上の主要な検討事項(ダイナミックマッププラットフォーム株式会社の有形固定資産及び無形固定資産における減損損失の認識の判定)と同一内容であるため、記載を省略している。 |
全体概要、監査上の主要な検討事項、個別 | 監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。 監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 |
見出し、監査上の主要な検討事項、個別 | 有形固定資産及び無形固定資産の減損損失の認識の判定(【財務諸表注記】 (重要な会計上の見積り)2.固定資産の評価) |
連結と同一内容である旨、監査上の主要な検討事項、個別 | 会社は、2025年3月31日現在、貸借対照表に有形固定資産を102百万円(総資産の0.6%)、無形固定資産を313百万円(総資産の1.9%)計上している。 監査上の主要な検討事項と決定した理由及び監査上の対応については、連結財務諸表の監査報告書に記載されている監査上の主要な検討事項(ダイナミックマッププラットフォーム株式会社の有形固定資産及び無形固定資産における減損損失の認識の判定)と同一内容であるため、記載を省略している。 |
その他の記載内容、個別 | その他の記載内容その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。 経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。 また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 当監査法人の財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。 財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 |
報酬関連情報、個別 | <報酬関連情報>報酬関連情報は、連結財務諸表の監査報告書に記載されている。 |
BS資産
未収入金 | 30,000,000 |
その他、流動資産 | 38,000,000 |
機械装置及び運搬具(純額) | 43,000,000 |
工具、器具及び備品(純額) | 555,000,000 |
リース資産(純額)、有形固定資産 | 52,000,000 |
有形固定資産 | 102,000,000 |
ソフトウエア | 101,000,000 |
無形固定資産 | 313,000,000 |
投資その他の資産 | 7,241,000,000 |
BS負債、資本
1年内返済予定の長期借入金 | 3,467,000,000 |
未払金 | 418,000,000 |
未払法人税等 | 4,000,000 |
未払費用 | 30,000,000 |
リース債務、流動負債 | 45,000,000 |
賞与引当金 | 87,000,000 |