財務諸表
CoverPage
提出書類、表紙 | 有価証券報告書 |
提出日、表紙 | 2025-06-23 |
英訳名、表紙 | MATSUI SECURITIES CO., LTD. |
代表者の役職氏名、表紙 | 代表取締役社長 和里田 聰 |
本店の所在の場所、表紙 | 東京都千代田区麹町一丁目4番地 |
電話番号、本店の所在の場所、表紙 | 03(5216)0606 (代表) |
様式、DEI | 第三号様式 |
会計基準、DEI | Japan GAAP |
連結決算の有無、DEI | false |
当会計期間の種類、DEI | FY |
corp
沿革 | 2 【沿革】 当社は1918年5月、東京・日本橋において創業された松井房吉商店に始まり、1931年3月に法人組織に改組し、株式会社松井商店として設立され、今日に至っております。 年月沿革1918年 5月松井房吉商店創業、東京株式取引所一般会員となる1931年 3月株式会社松井商店設立1947年12月松井證券株式会社に商号変更1948年 8月証券業登録1949年 4月東京証券取引所(再開)の正会員(現、総合取引参加者)加入1996年 4月株式保護預かり料の無料化を導入1997年 2月店頭登録株式の委託手数料の半額化を導入1998年 5月国内初の本格的インターネット取引「ネットストック」を開始国内初のインターネットによる信用取引を開始インターネットによる日経平均株価指数オプション取引「買建」の取扱開始1999年10月株式委託手数料完全自由化により、新しい委託手数料体系「ボックスレート」を導入2000年 6月松井証券株式会社に商号変更2001年 4月FX(外国為替証拠金取引)サービスを開始2001年 8月当社株式を東京証券取引所市場第一部に上場(証券コード:8628)2001年12月一橋大学大学院国際企業戦略研究科が主催する「第1回ポーター賞」を受賞2003年 7月無期限信用取引を開始2004年 6月本社を東京都千代田区麹町一丁目4番地に移転登記2006年 9月リアルタイム・トレーディングツール「ネットストック・ハイスピード」を導入2009年 3月スマートフォン向けリアルタイム投資情報アプリケーション「株touch」を導入2013年 1月信用取引の規制緩和にあわせて、デイトレード限定の信用取引「一日信用取引」を導入2014年 3月一日信用取引の「プレミアム空売りサービス」を開始2015年 2月デイトレード限定の先物取引「一日先物取引」を導入2016年11月投資信託の取扱開始及びポートフォリオ提案サービス「投信工房」の提供開始2019年12月投資信託の販売手数料を完全無料化株式取引の少額投資における手数料無料枠の拡大 2020年 4月投資信託の信託報酬の一部を現金還元する「投信毎月現金還元サービス」を開始2021年 1月「短期信用取引」を開始株主優待の権利取得などに活用可能な「クロス注文」のオンライン受付を開始2021年 3月投資情報メディア「マネーサテライト」を開設新たなスマートフォンアプリ「松井証券 株アプリ」を導入2021年 6月監査等委員会設置会社へ移行2022年 2月米国株式サービスの提供開始2022年 7月新たな投資情報ツール「マーケットラボ」を導入2022年12月コーポレートブランドをリニューアルし、コーポレートロゴを変更松井証券ウェブサイトの全面リニューアルを実施2023年 4月FX自動売買機能を提供開始2023年10月「MATSUI Bank」のサービス開始米国株式サービスにおける「信用取引」を提供開始 |
事業の内容 | 3 【事業の内容】 当社は、個人投資家を対象とした株式ブローキング事業を主たる事業とし、オンライン証券取引サービスを提供しております。 具体的には、株式及び先物・オプションの委託売買業務、引受け並びに募集及び売出しの取扱、投資信託の販売、FX(外国為替証拠金取引)等のサービスを提供しております。 なお、当社はオンライン証券取引サービスの単一セグメントであるため、セグメントごとの記載を省略しております。 |
関係会社の状況 | 4 【関係会社の状況】 該当事項はありません。 |
従業員の状況 | 5 【従業員の状況】 (1) 提出会社の状況(2025年3月31日現在)従業員数(名)平均年齢(歳)平均勤続年数(年)平均年間給与(千円)217(241)37.410.39,420 (注) 1 従業員数は、他社から当社への出向者を含む就業人員数であります。 なお、休職者1名を含んでおります。 2 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。 3 臨時雇用者数は、直近1年間の平均就労人数を( )内に外数で記しております。 4 当社はオンライン証券取引サービスの単一セグメントであるため、セグメントごとの記載を省略しております。 (2) 労働組合の状況当社には、従業員により構成されている松井証券株式会社従業員組合が組織されており、本社に同組合本部が置かれております。 2025年3月31日現在における組合員数は143人です。 なお、労使関係については良好であり、紛争等特記すべき事項はありません。 (3) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率当事業年度管理職に占める女性労働者の割合(%)(注)男性労働者の育児休業取得率(%)(注)14.9100.0 (注) 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。 |
経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 | 1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中の将来に関する事項は、特に断りがない限り、当事業年度末(2025年3月31日)現在において、当社が判断したものであります。 (1) 会社の経営の基本方針当社は、「お客様の豊かな人生をサポートする。 」ことを企業理念(MISSION)とし、「個人投資家にとって価値のある金融商品・サービスを提供する。 」ことを企業目標(VISION)としています。 企業理念、企業目標を実現するうえでは、優位性のある顧客体験価値を提供することが何より重要だと考えています。 そこで、強固な財務基盤や安定した取引システムの提供、お客様に寄り添ったサポート体制など、金融機関としてお客様からの信頼に応えること、堅実な企業活動を維持し、発展させていくことが、「投資そのもの、及び証券会社選びの安心感」につながると考え、当社の1つ目の提供価値であると定めています。 加えて、投資自体が楽しくより身近で魅力的なものに、そしてお客様の人生における発見と成長につながる知的好奇心がわくような体験にしたいという思いから、投資についての多様な「アイデアの提供」を2つ目の提供価値としています。 このような考えをコーポレートスローガン「投資をまじめに、おもしろく。 」において示しています。 そして、コーポレートスローガンを体現するため、お客様からの信頼に応える「安定した取引環境」の提供、投資を始めるハードルを下げ、より多くのお客様へ発見と成長の機会を届ける「様々な顧客ニーズを満たす豊富な商品」、「トライアルバリアの低い商品・サービス」、「シンプルでわかりやすいサービス」の提供、さらに一歩先を行くオンライン証券を目指して、お客様それぞれのニーズに沿ったきめ細やかな対応を実現する「パーソナライズされたサービス」の提供に努めてまいります。 なお、当社は、経営資源をオンラインベースの事業に集中することで、効率的なオペレーション体制を維持してきました。 オンライン中心のコミュニケーションの広がりを背景に、オンラインベースの事業の優位性は一層高まるものと考え、オンラインベースのビジネスモデルに集中する方針を堅持していきます。 (2) 経営環境日本国内における株式のオンライン取引サービスは、1998年に始まりました。 それ以降、個人の株式等委託売買代金に占めるオンライン証券会社顧客の比率は年々上昇を続け、現在では9割を超えています。 一方、個人の株式保有額に占めるオンライン証券会社顧客の割合は、未だ3割程度に留まっていますが、その比率は年々拡大しています。 対面型の証券会社からオンライン証券会社への株式資産の流入は継続しており、今後も、オンライン証券会社を通じた個人株式等委託売買代金の拡大余地があるものと考えます。 オンライン証券業界においては、個人の株式等委託売買代金は当社を含む大手オンライン証券会社5社(当社、SBI証券、楽天証券、三菱UFJeスマート証券、マネックス証券)によって占められている他、各社シェアの順位にも大きな変動はなく、一定の均衡状態が続いていました。 ところが、2023年にSBI証券、楽天証券の2社が株式売買委託手数料の無料化に踏みきったことにより、各社は、信用取引、FX(外国為替証拠金取引)、投資信託、ホールセール事業、資産運用業、暗号資産関連事業等への事業拡大に注力するなど、収益源の多様化を進めています。 そのような中で、当社以外のオンライン証券会社は、プラットフォーマーとの事業及び資本の関係を強化していることから、規模の拡大を目指していると推測されます。 これは、顧客一人ひとりの資産規模や取引規模は小さいながらも、数多くの顧客にアプローチすることで収益をあげるという、ロングテールのビジネスモデルを目指すものと思慮します。 一方で、これまでのオンライン証券会社のビジネスモデルは、口座数ベースでは幅広い顧客基盤を有しているように見えるものの、取引頻度が高い一部の顧客に利益の大半を依存している状況にあります。 このように、一部競合他社の手数料無料化を契機に、収益構造の見直しが業界共通のテーマとして顕在化し、その結果として、オンライン証券のビジネスモデル、及び重点的に取り組む分野の違いも鮮明化してきたものと考えます。 (3) 経営目標当社は、企業目標を達成するために以下の経営目標を定めております。 ① 付加価値の高いサービスを提供し、価値に見合う適正な対価を得る。 ② 経営資源を有効活用し、利益及び株主価値の向上を目指す。 ③ 株主資本コスト(現状8%)を上回るROEを達成する。 当事業年度のROEは13.8%となり、金融収支の増加やFX取引に起因するトレーディング損益の増加により、前事業年度の12.9%から上昇しました。 引き続き、上記の目標値を達成しており、今後も中長期的な資本効率の向上に努めます。 (4) 中長期的な会社の経営戦略当社は、経営目標を達成するための経営戦略として以下4点を定め、その実現に向けて取り組んでおります。 ① 大手オンライン証券会社として認知される「強いブランドの構築」② オンライン証券会社として備えるべき金融商品・サービスの「ラインアップの充実」、独自性を意識した「特色のあるサービスの提供」③ 優位性のある顧客体験価値を提供し続ける「サービスクオリティの向上」④ これらの事業・サービスの提供を支えるための基盤となる「多様性のある自律的な組織の実現」 (5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題以上に記載の経営の基本方針及び経営目標を踏まえて中長期的経営戦略を実行していくうえで、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は以下のとおりであります。 (a)強いブランドの構築当社は、「金融機関としての信頼性」と「知的エンターテインメント性」を両立した事業展開を推進することが、強いブランドの構築に資するものと考えています。 「金融機関としての信頼性」を向上する点については、お客様から安心して取引できる金融機関として認知されるため、強固な財務基盤や安定した取引システムの提供、金融機関としての信頼性の維持・向上に資するコンプライアンス体制の強化、お客様に寄り添ったサポート体制など、堅実な企業活動の維持・発展に努めております。 なお、金融機関の認知度は当該金融機関に対する信頼性の向上に資する面があり、長期的な顧客基盤の維持・拡大のために、継続的に認知度の強化に取り組んでまいります。 当事業年度においては、当社のイメージキャラクターに俳優の菜々緒さんを起用し、真面目でプロフェッショナルなイメージを感じさせる新しいテレビCMを配信したほか、人気ゲーム「フォートナイト」に投資要素を盛り込んだオリジナルゲーム「MONEY TRADE FIGHT by松井証券」を公開するなど、認知度向上に向けた取り組みを強化しました。 一方の「知的エンターテインメント性」を推進する点については、商品・サービスの開発、マーケティング活動、投資情報の提供、コールセンターにおけるサポートなどを通じて取り組んでまいります。 当事業年度においては、引き続き投資の「おもしろさ」を伝える動画コンテンツを多数公開しております。 2020年から開始した「資産運用!学べるラブリー」シリーズはシーズン15を公開しており、長期にわたる人気コンテンツとなっております。 また、芸能人のリアルな株式投資にアナリストがアドバイスを行う「予約の取れない株相談所」など、新たな人気コンテンツも生まれた結果、YouTube公式チャンネルの登録者数は44万人を突破し、総再生回数は1億回を超え、主要証券会社が運営するチャンネルでは最大級の規模となっております。 また、投資情報メディア「マネーサテライト」では、これから投資を始める初心者から上級者まで、資産運用をサポートする投資情報を継続的に提供しております。 ニュース性の高いトピックを有名アナリストが解説する動画や、アニメーションを用いて投資に関するマーケット情報を分かりやすく解説する動画等、新規コンテンツを拡充し、顧客にとって発見や成長につながる多様なアイデアの提供に努めました。 その他、個人投資家に人気のあるIPO銘柄においては、ベンチャーキャピタルとの連携を強化して引受件数の向上に努めた結果、引受参入率は67%となり、IPO銘柄の取り扱い数において、業界2位となりました。 (b)ラインアップの充実、特色のあるサービスの提供お客様に選ばれるオンライン証券会社になるためには、年齢・志向・資産状況などが異なる個人投資家の多様なニーズに応える金融商品・サービスを提供していくことが欠かせません。 当社の新規口座開設者の4割以上が30代以下の投資初心者層であることを考えると、金融商品・サービスの多様化によって投資への入り口をより広げるとともに、標準的な金融商品・サービスを取り揃え、お客様が証券会社を検討する際の「非選択理由」をなくす必要があります。 当事業年度においては、株式会社ジェーシービーとの協業による「クレジットカードによる投資信託積立サービス」の開始を公表しました。 2025年度中のサービス開始に向けて準備を進めております(注)。 また、証券取引を快適にする銀行サービス「MATSUI Bank」について、従来日本株のみであったスイープ入金機能を投資信託にも拡充し、よりシームレスな連携を実現しました。 普通預金金利も年0.41%に引き上げることで、待機資金を有効活用できるサービスの提供だけでなく、銀行サービスを利用するお客様との接点強化を実現しました。 FX事業では自動売買に適した「米ドル/カナダドル」・「ユーロ/スイスフラン」の取り扱いを開始することで合計22通貨ペアの取引が可能となり、取引の選択肢を拡充しました。 (c)サービスクオリティの向上オンライン証券各社が提供する金融商品には大きな差がないため、サービス水準を充実することや利便性の高い取引・情報ツールを継続的に提供していくことなど、優位性のある顧客体験価値を提供することによって、お客様にとって価値の高い証券会社と認識していただけるものと考えております。 また、オンライン証券という業態ではあるものの、お客様からの問い合わせや相談事について、ヒューマンタッチなコミュニケーションの機会を提供することも、顧客体験価値の向上につながると考えています。 当事業年度においては、取引ツール「日本株アプリ」について、当日の個別銘柄の売買代金・出来高の内訳が分かる東証売買内訳データ機能を追加し、より高度な分析を可能としたほか、PTS一括切り替え機能を追加し、PTS ナイトタイム・セッションにおける売買の利便性を向上しました。 「FXアプリ」では、大幅リニューアルを実施し、日次の損益が簡単に把握できる損益カレンダーなどの新機能を追加するなど、より快適な取引環境を実現しました。 顧客サポートにおいては、コールセンターのキャパシティ拡大を通じ、いつでも電話が繋がる受電体制を構築しました。 年間を通じたコールセンターの応答率は、90%以上を達成しています。 また、「株の取引相談窓口」では、お客様一人ひとりのご希望や投資スタイルに寄り添い、銘柄探しや取引タイミング等の意思決定をサポートし、快適にお取引いただけるサービスを提供しました。 その結果、第三者評価機関であるHDI-Japan (ヘルプデスク協会)が主催する「2024年度問合せ窓口格付け(証券業界)」において、最高評価の「三つ星」を 14年連続で獲得しています。 (d)セキュリティの強化セキュリティの確保は、オンライン証券会社の生命線です。 お客様が安心して取引することができるよう、口座への不正アクセスやサイバー攻撃といった想定されるリスクへの対策に努めます。 当事業年度においては、金融庁のサイバーセキュリティセルフアセスメントへの対応や、新たに同庁から示されたサイバーセキュリティガイドラインに準拠するための対応を進めることで、さらなる社内体制の強化を図る上での課題を認識し、改善に取り組みました。 また、様々なサイバーセキュリティ演習に参加し、結果を踏まえた社内管理体制やコンティンジェンシープランなどの見直しに取り組みました。 お客様向けのサービスでは、通知メールサービスの対象を拡充しました。 パスワードを連続して間違えたことによりログインロックがかかった場合にメールを送信し、不正アクセスを早期発見する機能を強化しました。 (注)2025年5月にサービスを開始しました。 |
サステナビリティに関する考え方及び取組 | 2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】 文中の将来に関する事項は、当事業年度末(2025年3月31日)現在において、当社が判断したものであります。 (1)サステナビリティ全般に関する取組当社は、「お客様の豊かな人生をサポートする。 」ことを企業理念(MISSION)とし、「個人投資家にとって価値のある金融商品・サービスを提供する。 」ことを企業目標(VISION)としています。 企業理念、企業目標を実現するには、株主をはじめとする全てのステークホルダーとの協働が必要不可欠であると認識しております。 また、当社は役職員の行動指針として(ⅰ)「お客様起点」、(ⅱ)「進化」、(ⅲ)「こだわり」、(ⅳ)「チームワーク」、(ⅴ)「事実に基づく判断」、(ⅵ)「社会への貢献」を定めており、ステークホルダーとの協働を実現するための基盤となっております。 これらを踏まえた当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は以下の通りです。 ① ガバナンス 当社は、サステナビリティに関する重要な事項について、取締役会が監督する体制としています。 取締役会は、中長期的な企業価値向上に実質的な影響を及ぼすマテリアリティ(優先的に取り組むべき重要課題)を踏まえて、個別の施策の状況を監督しておりますが、マテリアリティは事業環境等の変化に応じて見直しを行うこととしております。 また、経営企画担当部署が、サステナビリティを推進する事務局の役割を担っております。 ② リスク管理 当社においては、マテリアリティの特定を通じて、サステナビリティに関して当社が直面するリスクと機会の影響度合いを把握し、評価することとしております。 マテリアリティの特定は、経営企画担当部署が事務局となり策定した原案をもとに、取締役会において審議を行い、その結果を受けて内容を確定しております。 マテリアリティの特定プロセスは以下の通りです。 a. 課題候補項目のリストアップ サステナビリティ会計基準審議会(SASB)スタンダード、グローバル・レポーティング・イニシアティブ(GRI)スタンダード、及び持続可能な開発目標(SDGs)などの国際的な各種ガイドラインを参照し、当社の事業や企業文化に関連性の高い課題をリストアップします。 b. 重要な課題の抽出 お客様、株主、従業員といったステークホルダーとの対話を通じて、当社に対する期待を把握し、その上でリストアップした課題の中からより重要性の高い課題を抽出します。 c. 当社が取り組むべきマテリアリティの特定 抽出した課題について、社会の持続可能性への貢献度が高く、自社の中長期的な成長に大きく影響する項目と、経営戦略との関連性を評価し、取締役会での議論を経て、優先的に取り組むべき重要課題を特定します。 また、当事業年度末現在において、当社において特定したマテリアリティは以下の通りです。 ビジネス社会の健全な発展金融市場へのアクセサビリティ向上証券市場の公正性を高める取組投資・資産形成の支援様々な金融商品・サービスの提供分かりやすい情報提供経営基盤役職員のウェルビーイングとダイバーシティ多様な人材の採用・定着・育成多様なキャリアや専門性の高い人材の育成働きがいのある職場環境づくり事業成長を支える経営体制コーポレート・ガバナンスの充実コンプライアンスの徹底高度な情報セキュリティの維持 ③ 戦略 当社は、サステナビリティを推進するための戦略として、マテリアリティを踏まえた取組を進めております。 主な取組は以下の通りです。 a. 社会の健全な発展及び投資・資産形成の支援「金融市場へのアクセサビリティ向上」、「証券市場の公平性を高める取組」、「分かりやすい情報提供」の観点から、トライアルバリアの低い商品・サービスやシンプルでわかりやすいサービスの提供に努めてまいります。 また、顧客が金融商品へ投資する手助けとなる様々な情報の拡充、取引・情報ツールの利便性の向上、顧客サポート体制の強化を推進してまいります。 「様々な金融商品・サービスの提供」の観点から、商品・サービスのラインアップの拡充を図ってまいります。 当事業年度の具体的な取組は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」の「(a)強いブランドの構築」、「(b)ラインアップの充実、特色のあるサービスの提供」、「(c)サービスクオリティの向上」をご参照ください。 b. 役職員のウェルビーイングとダイバーシティ「 (2)人的資本に関する取組 ①戦略」をご参照ください。 c. 事業成長を支える経営体制「コーポレート・ガバナンスの充実」、「コンプライアンスの徹底」の観点から、健全なコーポレート・ガバナンス及び信頼性の高い社内体制の維持を図ってまいります。 当社のコーポレート・ガバナンスの状況については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」をご参照ください。 「高度な情報セキュリティの維持」の観点から、システムの強化と情報セキュリティ対策の拡充を図ってまいります。 当事業年度の具体的な取組は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」の「(d)セキュリティの強化」をご参照ください。 ④ 指標及び目標 マテリアリティの各項目とそれに対する施策の達成状況は、必ずしも定量的に測定できるものではありません。 当事業年度末現在、当社が設定している指標及び目標は、「役職員のウェルビーイングとダイバーシティ」に関するもので、その内容は、「 (2)人的資本に関する取組 ②指標及び目標」に記載しております。 (2)人的資本に関する取組①戦略a. 人材育成に関する方針当社は、性別・年代・職歴をはじめ、多様な人材で組織づくりを推進することを基本方針としています。 また、「社員一人一人が当事者意識を持ち、自律的に学習・成長する組織になる」という組織目標を掲げ、お互いの多様な考え方を認め合い、個人の成長と共に会社も成長していくことを目指しています。 そのための戦略を「採用」「配置」「定着」「人材育成」「評価」「報酬」の6項目に分解し、各々アクションプランを策定しています。 1) 採用組織における長期的な年齢構成の適正化を図るため、毎年継続的に新卒採用を実施するほか、組織に必要な人材を即戦力として採用するため、中途採用を適宜実施しています。 2) 配置少人数体制を生かし、社員一人ひとりの希望や適性と会社のニーズを見極めたフレキシブルな人材配置を行っています。 3) 定着新卒入社、中途入社の社員が組織になじみ、より早く成果を出せるためのオンボーディングサポートに取り組んでいます。 入社前には定期面談や先輩社員との座談会などを通じて当社ビジネスの理解促進と不安の解消に努めています。 入社後は、チームビルディングや金融業界に関する研修、各部署の紹介や交流など、社員間の交流の機会を設けています。 また、メンバーシップ型組織に基づき、多様なキャリアパスを経た人材を育成するため、新卒から10年程度の間に複数部署での業務を経験するジョブローテーション制度を設けています。 また、専門的なスキルを備えた人材を確保するため、職位制度にプロフェッショナル職を導入しており、社員にとっても、自らのキャリアパスを自律的に考えるきっかけとなっています。 2024年度には就労の長期化と働き方の多様化を意識した新しい職位「推進役」をプロフェッショナル職領域に導入し、2025年度より登用を開始しています。 これにより能力ある社員をモチベートし、自律的な組織力の向上を図ります。 4) 人材育成変化の激しいビジネス環境でも長期にわたって活躍できる人材を育成するため、全社横断の研修・リスキリング制度を策定しています。 新入社員が年次ごとに取得すべきスキルを明確にし、中堅社員に対しても研修を体系化して推奨し、時間と費用面で会社が十分なサポートを行っています。 2024年度は「自律的に学習・成長する組織」を意識し、制度内容を見直しました。 サブスク型動画ツールを導入し、社員がいつでも受講できる体制を整えました。 また、社員自ら講師となり担当領域の知見を全社に展開する内製型の講座も複数組み入れ、ビジネスとの連動性を意識するプログラムを追加しました。 従来のテーマ別に受講が可能な外部研修や、社員自ら目指す組織について考え、意見を交換するワークショップ等を通して、人材育成を図るための環境整備に取り組んでいます。 このほか、社員同士がお互いを高め合うことを目的に360度フィードバック制度の導入、上司との1on1ミーティングの推奨を行い、気軽に相談できる風通しの良い組織づくりに取り組んでいます。 5) 評価社員一人ひとりの成長を支援し、公平な評価を実現するため、職位ごとのアカウンタビリティを定めています。 アカウンタビリティとは、社員が職位毎に期待される役割を「意識・意欲・姿勢」「業務遂行能力」「リーダーシップ・マネジメント」の3視点から定義づけたもので、当社の評価基準となっています。 6) 報酬「競争力のある報酬体系の維持と追求」を基本方針とし、定期昇給やベアありきではなく、社会経済の状況を踏まえた上で、個人の公平な評価に連動した適正な報酬を支払うことを重視しています。 b. 社内環境整備に関する方針社員同士の交流を支援し、会話が弾みアイデアが生まれる組織となるよう、社内に多目的のコミュニケーションスペースを設けており、ミーティングルームやカフェテリアとしての利用に加え、社内イベントの場としても活用しています。 また、リモートワーク制度、時差出勤や1時間ごとに有給休暇を取得できる時間休の活用、育児休業制度や短時間勤務制度の充実を図り、多様性のある働き方をサポートしています。 従業員の健康・労働環境については、全社員に対してストレスチェックテストを実施し、必要に応じて産業医による面接指導を行っています。 2024年度には少子高齢化の課題を踏まえ、本人や家族の通院や治療時に有給休暇を別途取得することができる「ファミリーサポート休暇」と育児休業や産前産後休業などをカバーする社員に対して手当を支給する「休業サポート手当」を導入しました。 本人、家族、共に働く仲間を意識した制度を拡充し、充実したワークライフバランスの実現に努めています。 育児休暇取得率は男女とも100%となっています。 その他、企業型確定拠出年金制度、従業員持ち株会奨励金制度、金融リテラシーを促進するための研修プログラムや資格奨励金制度などを整え、社員のフィナンシャル・ウェルネスを支援しています。 「社員一人一人が当事者意識を持ち、自律的に学習、成長する組織になる」という組織目標の達成には、社員一人ひとりのエンゲージメントが重要です。 当社ではエンゲージメントを「会社の理念、方針、目標に共感し、社員が自ら意欲的に仕事に取組み、仲間や会社に深い思い入れをもつこと」と定義し、毎年エンゲージメントサーベイを実施しています。 初めてのサーベイを行った2019年度以来、スコアは毎年上昇しています。 2024年度はインナーブランディング活動による全社員参加型ワークショップなどを通じて企業理念や企業目標、行動指針が社員に浸透し、エンゲージメントスコアが更に上昇する要因になりました。 社員のエンゲージメント向上が企業価値の向上に繋がると考え、今後も社員発のアクションプランを取り入れた、制度や施策の導入を進めていきます。 ②指標及び目標当社は、性別・年代・職歴等を問わず、個々の能力や適性を十分見極め、必要な人材を登用しております。 2024年度の人的資本に関する指標は以下のとおりです。 男女比率 男性女性全体66.7%33.3%管理職85.1%14.9% 新卒/中途比率 新卒入社中途入社全体59.3%40.7%管理職61.7%38.3% 年齢構成20代30代40代50代以上30.2%29.6%23.8%16.4% 有給休暇取得状況取得日数取得率17.7日80.7% 育児休業取得率女性男性100.0%100.0% リスキリング1人あたり時間1人あたり費用25.0時間12.6万円 また、当社は、女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画(計画期間:2022年4月1日~2027年3月31日)において「女性社員の割合を35%以上」「管理職に占める女性の割合を15%以上」を目標に掲げました。 2024年度の女性社員の割合及び管理職に占める女性の割合は上表の通りです。 |
戦略 | ③ 戦略 当社は、サステナビリティを推進するための戦略として、マテリアリティを踏まえた取組を進めております。 主な取組は以下の通りです。 a. 社会の健全な発展及び投資・資産形成の支援「金融市場へのアクセサビリティ向上」、「証券市場の公平性を高める取組」、「分かりやすい情報提供」の観点から、トライアルバリアの低い商品・サービスやシンプルでわかりやすいサービスの提供に努めてまいります。 また、顧客が金融商品へ投資する手助けとなる様々な情報の拡充、取引・情報ツールの利便性の向上、顧客サポート体制の強化を推進してまいります。 「様々な金融商品・サービスの提供」の観点から、商品・サービスのラインアップの拡充を図ってまいります。 当事業年度の具体的な取組は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」の「(a)強いブランドの構築」、「(b)ラインアップの充実、特色のあるサービスの提供」、「(c)サービスクオリティの向上」をご参照ください。 b. 役職員のウェルビーイングとダイバーシティ「 (2)人的資本に関する取組 ①戦略」をご参照ください。 c. 事業成長を支える経営体制「コーポレート・ガバナンスの充実」、「コンプライアンスの徹底」の観点から、健全なコーポレート・ガバナンス及び信頼性の高い社内体制の維持を図ってまいります。 当社のコーポレート・ガバナンスの状況については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」をご参照ください。 「高度な情報セキュリティの維持」の観点から、システムの強化と情報セキュリティ対策の拡充を図ってまいります。 当事業年度の具体的な取組は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」の「(d)セキュリティの強化」をご参照ください。 |
指標及び目標 | ④ 指標及び目標 マテリアリティの各項目とそれに対する施策の達成状況は、必ずしも定量的に測定できるものではありません。 当事業年度末現在、当社が設定している指標及び目標は、「役職員のウェルビーイングとダイバーシティ」に関するもので、その内容は、「 (2)人的資本に関する取組 ②指標及び目標」に記載しております。 |
人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略 | ①戦略a. 人材育成に関する方針当社は、性別・年代・職歴をはじめ、多様な人材で組織づくりを推進することを基本方針としています。 また、「社員一人一人が当事者意識を持ち、自律的に学習・成長する組織になる」という組織目標を掲げ、お互いの多様な考え方を認め合い、個人の成長と共に会社も成長していくことを目指しています。 そのための戦略を「採用」「配置」「定着」「人材育成」「評価」「報酬」の6項目に分解し、各々アクションプランを策定しています。 1) 採用組織における長期的な年齢構成の適正化を図るため、毎年継続的に新卒採用を実施するほか、組織に必要な人材を即戦力として採用するため、中途採用を適宜実施しています。 2) 配置少人数体制を生かし、社員一人ひとりの希望や適性と会社のニーズを見極めたフレキシブルな人材配置を行っています。 3) 定着新卒入社、中途入社の社員が組織になじみ、より早く成果を出せるためのオンボーディングサポートに取り組んでいます。 入社前には定期面談や先輩社員との座談会などを通じて当社ビジネスの理解促進と不安の解消に努めています。 入社後は、チームビルディングや金融業界に関する研修、各部署の紹介や交流など、社員間の交流の機会を設けています。 また、メンバーシップ型組織に基づき、多様なキャリアパスを経た人材を育成するため、新卒から10年程度の間に複数部署での業務を経験するジョブローテーション制度を設けています。 また、専門的なスキルを備えた人材を確保するため、職位制度にプロフェッショナル職を導入しており、社員にとっても、自らのキャリアパスを自律的に考えるきっかけとなっています。 2024年度には就労の長期化と働き方の多様化を意識した新しい職位「推進役」をプロフェッショナル職領域に導入し、2025年度より登用を開始しています。 これにより能力ある社員をモチベートし、自律的な組織力の向上を図ります。 4) 人材育成変化の激しいビジネス環境でも長期にわたって活躍できる人材を育成するため、全社横断の研修・リスキリング制度を策定しています。 新入社員が年次ごとに取得すべきスキルを明確にし、中堅社員に対しても研修を体系化して推奨し、時間と費用面で会社が十分なサポートを行っています。 2024年度は「自律的に学習・成長する組織」を意識し、制度内容を見直しました。 サブスク型動画ツールを導入し、社員がいつでも受講できる体制を整えました。 また、社員自ら講師となり担当領域の知見を全社に展開する内製型の講座も複数組み入れ、ビジネスとの連動性を意識するプログラムを追加しました。 従来のテーマ別に受講が可能な外部研修や、社員自ら目指す組織について考え、意見を交換するワークショップ等を通して、人材育成を図るための環境整備に取り組んでいます。 このほか、社員同士がお互いを高め合うことを目的に360度フィードバック制度の導入、上司との1on1ミーティングの推奨を行い、気軽に相談できる風通しの良い組織づくりに取り組んでいます。 5) 評価社員一人ひとりの成長を支援し、公平な評価を実現するため、職位ごとのアカウンタビリティを定めています。 アカウンタビリティとは、社員が職位毎に期待される役割を「意識・意欲・姿勢」「業務遂行能力」「リーダーシップ・マネジメント」の3視点から定義づけたもので、当社の評価基準となっています。 6) 報酬「競争力のある報酬体系の維持と追求」を基本方針とし、定期昇給やベアありきではなく、社会経済の状況を踏まえた上で、個人の公平な評価に連動した適正な報酬を支払うことを重視しています。 b. 社内環境整備に関する方針社員同士の交流を支援し、会話が弾みアイデアが生まれる組織となるよう、社内に多目的のコミュニケーションスペースを設けており、ミーティングルームやカフェテリアとしての利用に加え、社内イベントの場としても活用しています。 また、リモートワーク制度、時差出勤や1時間ごとに有給休暇を取得できる時間休の活用、育児休業制度や短時間勤務制度の充実を図り、多様性のある働き方をサポートしています。 従業員の健康・労働環境については、全社員に対してストレスチェックテストを実施し、必要に応じて産業医による面接指導を行っています。 2024年度には少子高齢化の課題を踏まえ、本人や家族の通院や治療時に有給休暇を別途取得することができる「ファミリーサポート休暇」と育児休業や産前産後休業などをカバーする社員に対して手当を支給する「休業サポート手当」を導入しました。 本人、家族、共に働く仲間を意識した制度を拡充し、充実したワークライフバランスの実現に努めています。 育児休暇取得率は男女とも100%となっています。 その他、企業型確定拠出年金制度、従業員持ち株会奨励金制度、金融リテラシーを促進するための研修プログラムや資格奨励金制度などを整え、社員のフィナンシャル・ウェルネスを支援しています。 「社員一人一人が当事者意識を持ち、自律的に学習、成長する組織になる」という組織目標の達成には、社員一人ひとりのエンゲージメントが重要です。 当社ではエンゲージメントを「会社の理念、方針、目標に共感し、社員が自ら意欲的に仕事に取組み、仲間や会社に深い思い入れをもつこと」と定義し、毎年エンゲージメントサーベイを実施しています。 初めてのサーベイを行った2019年度以来、スコアは毎年上昇しています。 2024年度はインナーブランディング活動による全社員参加型ワークショップなどを通じて企業理念や企業目標、行動指針が社員に浸透し、エンゲージメントスコアが更に上昇する要因になりました。 社員のエンゲージメント向上が企業価値の向上に繋がると考え、今後も社員発のアクションプランを取り入れた、制度や施策の導入を進めていきます。 |
人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績、指標及び目標 | ②指標及び目標当社は、性別・年代・職歴等を問わず、個々の能力や適性を十分見極め、必要な人材を登用しております。 2024年度の人的資本に関する指標は以下のとおりです。 男女比率 男性女性全体66.7%33.3%管理職85.1%14.9% 新卒/中途比率 新卒入社中途入社全体59.3%40.7%管理職61.7%38.3% 年齢構成20代30代40代50代以上30.2%29.6%23.8%16.4% 有給休暇取得状況取得日数取得率17.7日80.7% 育児休業取得率女性男性100.0%100.0% リスキリング1人あたり時間1人あたり費用25.0時間12.6万円 また、当社は、女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画(計画期間:2022年4月1日~2027年3月31日)において「女性社員の割合を35%以上」「管理職に占める女性の割合を15%以上」を目標に掲げました。 2024年度の女性社員の割合及び管理職に占める女性の割合は上表の通りです。 |
事業等のリスク | 3 【事業等のリスク】 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、特に断りがない限り、当事業年度末(2025年3月31日)現在において当社が判断したものであります。 (1) 日本株ブローキング事業への依存度が高いことについて当社は、経営資源をオンラインベースの証券取引サービスに集中する戦略をとっており、個人投資家向けの日本株ブローキング事業が当事業年度の純営業収益全体の約8割を占めています。 日本株ブローキング事業における主要な収益源は、株式等委託手数料収入及び信用取引顧客への資金や有価証券の貸付け等から得られる金利及び貸株料収入等です。 今後、株式市況の低迷等により個人投資家の株式等委託売買代金や信用取引残高が減少する場合や、競争環境の変化によって、当社の株式等委託売買代金及び信用取引残高が減少する場合、あるいは、競争上、手数料や金利・貸株料水準を引き下げることになった場合には、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、当社は、日本株ブローキング事業を強化すると共に、FX事業・米国株事業・投資信託事業をはじめとするオンラインベースでの商品・サービスを強化し、収益の多様化を積極的に進める方針ですが、対象分野における市場動向や他社との競争環境の変化により、必ずしも見込み通りに業容の拡大が進む保証はありません。 (2) 他の金融機関との競争について当社は、個人投資家向けの日本株ブローキング事業を主たる事業としておりますが、同事業を行う競合他社には、当社に比べ、資金力、技術力、マーケティング力、サービス面、知名度、顧客基盤等において強みを持つ者が存在し、厳しい競争に晒されています。 中でも、顧客獲得のため、無料もしくは、より低価格の委託手数料を提示するオンライン証券会社が多数存在しております。 その他、近年は、フィンテックベンチャーの新規参入や対面型金融機関によるオンラインサービスの強化が相次ぎ、競争環境はこれまで以上に厳しくなることも想定されます。 今後、他の金融機関との競争がさらに激化した場合には、当社の既存顧客の他社への流出、新規顧客獲得数の減少、顧客獲得に要する広告宣伝費の増加により、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (3) 信用取引等に関するリスクについて①信用取引が自己資本規制比率に及ぼす影響について金融商品取引業者には、金融商品取引法、金融商品取引業等に関する内閣府令及び金融商品取引業者の市場リスク相当額、取引先リスク相当額及び基礎的リスク相当額の算出の基準等を定める金融庁告示(以下「金融庁告示」といいます。 )に基づき、一定の自己資本規制比率の維持が求められています。 自己資本規制比率とは、固定化されていない自己資本額の、保有する有価証券の価格の変動その他の理由により発生し得るリスク相当額に対する比率をいいます(金融商品取引法第46条の6)。 金融商品取引業者は自己資本規制比率が120%を下回ることのないようにしなければなりませんが(同法同条第2項)、当社の自己資本規制比率は、2025年3月末現在、十分な水準を維持しております。 金融庁告示により信用取引資産の2%が取引先リスク相当額とされており、信用取引残高の増大は、当社の取引先リスクを増大させることから、自己資本規制比率を引き下げる要因となります。 今後、当社の信用取引残高が増加し続けた場合、自己資本規制比率を維持するためには、自己資本等の調達が必要となります。 その際、当社が十分な自己資本等の調達が行えなかった場合、当社は顧客への信用供与を制限せざるを得なくなります。 その場合には、当社の株式等委託手数料収入・金利収入において機会損失が発生する可能性があります。 また、規制内容が改正され、取引先リスク等の算定方法が変更された場合、自己資本規制比率を引き下げる要因となり得ます。 ②顧客の信用リスクについて当社が収益の柱としている信用取引においては、顧客への信用供与が発生するため、市況の変動によっては顧客の信用リスクが顕在化する可能性があります。 すなわち、顧客が信用取引等で損失を被った場合、または担保となっている代用有価証券の価値が下落した場合、顧客が預託する担保価値が十分なものでなくなり、顧客の損失を十分に回収できない可能性があります。 その場合には、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 なお、株価指数先物取引、日経平均株価指数オプション取引(売建)及びFX(外国為替証拠金取引)においても、類似のリスクがあります。 ③資金調達に係るリスクについて当社は、信用取引貸付金の原資として、制度信用取引については、自己調達資金に加え証券金融会社からの借入を利用しておりますが、市況の変動により、証券金融会社に差入れた有価証券等の担保価値が低下した場合、追加の担保の差入れを求められることがあり、そのための借入等は当社が独自に行う必要があります。 また、一般信用取引については、通常制度信用取引に比して証券金融会社からの資金の借入に制約があるため、現在は主に金融機関からの借入等により賄っておりますが、金融市場の動向、当社の経営状況あるいは当社の格付けの低下等によっては、適切な資金調達が行えない可能性があります。 今後、調達費用の水準によっては当社の金融収支が悪化する可能性、あるいは必要資金の手当てができない場合、一般信用取引の利用を制限する可能性があります。 その場合には、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があるとともに、手数料収入・金利収入において機会損失が発生する可能性があります。 また、金融機関からの借入金の返済等に際して、金融市場の動向、当社の経営状況あるいは当社の格付けの低下等によっては、借り換えあるいは新規の借入や社債の発行等による資金調達が適切な条件で行えない可能性があります。 その場合には、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (4) システムリスク及び事務リスクについて顧客の取引に関する情報を、瞬時かつ大量に処理するオンライン証券取引業務にあっては、システムの安定稼動は重要な要素であり、システムに何らかの障害またはサイバー攻撃による被害が発生し、機能不全に陥った場合には、当社の事業に重大な影響を及ぼす可能性があります。 システム障害は、ハードウエア、ソフトウエアの不具合及び誤操作・誤処理等の人為的ミスによるものの他、アクセス数の突発的な増加、通信回線の障害、コンピュータウィルス、コンピュータ犯罪、災害等によっても生じ得るものであります。 当社が利用しているシステムは、アクセス数の増加を見込んだ上で設計されている他、システムの二重化等想定される様々なリスクへの対策を講じておりますが、想定を大幅に上回る注文が集中した場合や、その他の要因によりシステムに被害または停止等の影響が生じる場合には、顧客からの注文を適切に処理することができなくなる可能性があります。 その場合には、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社は、サイバー攻撃に対するシステムの防御に努めておりますが、それが十分または適切でなく、サイバー攻撃による被害が発生する場合には、システムの機能不全や顧客情報の漏洩等が発生する可能性があります。 その場合には、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、当社は、外部委託先を含む関係者のシステムへの接続について、それぞれの業務に応じて権限を付与するとともに、利用状況をモニタリングしておりますが、それが十分または適切でなく、システムの不正利用等を防げなかった場合には、顧客情報の漏洩等が発生する可能性があります。 なお、各種業務において事務処理が適切に行われないことにより、サービスの品質低下やその他の問題が発生する可能性がありますが、その場合においても、システムの機能不全が直接または間接的に影響する場合があります。 システム障害やサイバー攻撃、あるいはシステムの不正利用等が発生した場合や、不適切な事務処理が行われた場合には、当社が、監督官庁による処分を受ける可能性または損害賠償請求を含む何らかの責任を問われる可能性がある他、当社のシステム及びサポート体制に対する信頼が低下し、顧客離れが生じる可能性があります。 その場合には、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (5) 顧客口座に対する不正アクセス及び不正取引のリスクについて当社は、顧客口座に対する不正アクセスや不正取引の予防及び検知のためのセキュリティ対策の実施に努めておりますが、顧客口座へのログインや取引の実行に必要な認証情報の顧客からの不正取得等(いわゆるフィッシング詐欺やマルウェア被害を含みますが、必ずしもそれに限られません。 )により、悪意がある第三者が顧客口座に対する不正アクセス及び不正取引を行う場合、当社システムのセキュリティに対する信用が低下し、顧客離れが生じる可能性がある他、不正取引等に伴う顧客の損害に対する一定の補償を行う必要が生じる可能性があります。 その場合には、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります(注)。 (6) 引受業務について当社は、新規公開株式等の引受業務を行っておりますが、有価証券の引受けを行う際、当社に引受責任が生じるため、引受リスクが発生します。 当社は、公募・売出残株が生じないよう慎重に引受金額等の決定を行っておりますが、当社が引き受けた有価証券を販売することができない場合、公募・売出残株の株価動向によっては、当社は損失を被る可能性があります。 また、引受業務を行った企業に何らかの不祥事が発生した場合、当社に対する信頼が低下し、顧客離れが生じる可能性がある他、顧客より損害賠償請求等の責任を問われる可能性があります。 その場合には、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (7) 個人情報等の取扱いについて顧客の個人情報及び個人番号の不正取得や改変等の被害を防止することは、当社が事業を行う上で重要であります。 当社は個人情報等が不正に使用されないよう十分なセキュリティ対策や、社内の管理及び業務委託先に対する監督を行っておりますが、今後、個人情報等の漏洩等があった場合、損害賠償の請求や、監督官庁による処分を受ける可能性がある他、当社の信用が著しく低下する可能性があります。 その場合には、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、他の証券会社や電子商取引を行う企業のセキュリティや情報管理に対する信頼の低下が、インターネット、さらには、当社のシステムの信頼性の低下につながる可能性もあります。 その場合には、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (8) 外部事業者との契約について当社は、様々な業務に関して、多くの外部事業者と契約を結んだ上で業務を委託しております。 特に、当社の株式取引システムの開発・運用を委託しているSCSK株式会社は、当社の重要な業務委託先であります。 また、顧客に提供している自動更新型のトレーディングツール、顧客取引用ウェブサイト、FX(外国為替証拠金取引)・投資信託・米国株の取引システムについて、それぞれの開発・運用を複数の外部事業者に委託しております。 当社が顧客へ提供する企業情報・市況情報は、外部事業者から提供を受けております。 また、札幌センターにおける顧客問合せ対応業務についても、外部事業者から労働者派遣を受けて運営しております。 なお、外部事業者への業務委託等は以上に限らず多岐に渡っております。 これらの外部事業者が、何らかの理由で当社へのサービスの提供を中断または停止する事態が生じ、当社が速やかに代替策を講じることができない場合、当社の業務に悪影響を及ぼす可能性があります。 特に、SCSK株式会社との契約関係が維持できなくなった場合、または、同社のソフトウエア開発能力の低下等により、当社のシステムに問題が生じまたはそれが陳腐化し、顧客の信用を維持することができなくなった場合、当社あるいは第三者が新たに代替システムを構築する必要性が生じます。 その際、速やかに適切な代替手段を講じることができない場合、当社は顧客へのサービスの提供を停止する可能性があり、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、外部事業者との契約の改定等により、外部事業者に支払う費用の増額を求められる可能性があり、その場合には同様に、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、外部事業者において法令・規則等に対する違反等があった場合、委託元である当社が監督官庁による処分を受ける可能性がある他、当社の信用が著しく低下する可能性があります。 その場合には、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (9) FX(外国為替証拠金取引)及び米国株取引について当社は、顧客に対するFX(外国為替証拠金取引)サービスの提供とそれに伴う利益獲得を目的として、顧客との間で外国為替証拠金取引を行う一方、その為替変動リスクを制御するために、カウンターパーティーと外国為替証拠金取引を行っております。 顧客との取引で発生したポジションにつき、カバー取引を行わない範囲については、ポジションを保有するリスクが発生するため、為替変動リスクに晒されておりますが、原則として、各営業日の取引終了時点における顧客のポジションについては、すべてカバーすることとしています。 当社は、外国為替証拠金取引に係るトレーディングに関して、リスク限度額を社内規程で定めるほか、社内規程等に基づき、原則として事前に設定されたアルゴリズムに基づくカバー取引・マリー取引を行うことで為替変動リスクの制御に努めております。 しかしながら、こうした当社の方針にも関わらず、予期せぬ為替相場の変動により、アルゴリズムにおける想定を超える為替損失が発生した場合、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 なお、カバー先に差し入れている保証金は当社の自己資金で充当しているため、当社はカバー先の信用リスクを負っております(顧客の証拠金は、自己の資金とは完全に区分して、信託銀行に預託しています)。 今後の経済情勢等の変化により、カバー先の信用リスクが顕在化した場合には当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、米国株取引においても取次先に保証金を差し入れており、その保証金は当社の自己資金で充当しているため、当社は取次先の信用リスクを負っております(顧客からの預り金等は、自己の資金と完全に区分して、信託銀行に預託しています)。 このため、上記の外国為替証拠金取引に関してカバー先へ差し入れている保証金と同様のリスクがあります。 なお、米国株取引においても信用取引を提供しております。 信用取引のリスクは、「(3) 信用取引等に関するリスクについて」における信用取引及び一般信用取引のリスクの記載をご参照ください。 (10) 法令・規則等の改定による新たな規制の導入について金融商品取引法、金融サービスの提供及び利用環境の整備等に関する法律、犯罪による収益の移転防止に関する法律、不当景品類及び不当表示防止法、個人情報の保護に関する法律、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律、銀行法、その他の法令・規則等の改定等により、当社が行っている業務に対し、新たな規制が導入された場合には、関係業務の収益性が低下する可能性があります。 その場合には、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (11) 法令・規則等の遵守について当社は、金融商品取引法、金融サービスの提供及び利用環境の整備等に関する法律、銀行法、その他の法令・規則等に服しており、コンプライアンス体制の強化に努めておりますが、今後、法令・規則等に対する違反等があった場合、監督官庁による処分を受ける可能性がある他、当社の信用が著しく低下する可能性があります。 その場合には、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、当社は、法令・規則等を遵守するよう、役職員等に対するコンプライアンスの徹底を図っておりますが、その対策が有効に機能せず、役職員等による不正や内部者取引等の金融商品取引法その他の法令・規則等に対する違反等があった場合、当社の信用の低下につながる可能性があります。 その場合には、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (12) 自然災害等について当社は、自然災害、火災、感染症の流行等によって通常の事業運営が困難となった場合に備え、事業継続計画を策定し、関連マニュアルの整備、定期的な訓練等を実施しておりますが、地震等の自然災害、火災、長期間の停電、感染症の流行、国際紛争、テロ攻撃等が発生した場合、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 特に、当社は本社オフィス等の主要な事業所や設備を首都圏に置いていることから、首都圏において自然災害等が発生した場合には、サービスの提供を停止する等の影響が生じる可能性があります。 その場合には、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (13) その他当事業年度末現在において、重要な訴訟等は発生しておりません。 (注)なお、(5)に関しては、主として2025年3月以降、本有価証券報告書提出日までの期間に、当社を含む証券各社において、フィッシング詐欺やマルウェア被害によるものとみられる顧客口座に対する不正アクセスや不正取引が発生しており、当社を含む大手証券10社は、各社の約款等の定めに関わらず顧客に一定の被害補償(対象は2025年1月以降に発生したもの)を行うとの方針を2025年5月に公表しております。 本有価証券報告書提出日現在において、当社は、補償の実施に向けて検討を進めております。 |
経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 | 4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 また、当社はオンライン証券取引サービスの単一セグメントであるため、セグメントごとの記載を省略しております。 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末(2025年3月31日)現在において、当社が判断したものであります。 (1) 経営成績の状況及び分析当事業年度の国内株式市場は、期首に40,600円台で取引を開始した日経平均株価が、日米の長期金利上昇や半導体需要の不透明さなどから、4月中旬に一時37,000円台まで落ち込んだものの、日銀の緩和的な金融政策の継続、円安による輸出関連株への買いなどから株価は反転、7月11日に史上最高値となる42,224円を記録しました。 しかし、8月に入り、日銀の利上げによる円高進行や米国リセッション懸念を背景に株価は急落、5日には過去最大の下げ幅を記録し、31,458円まで下落しました。 その後は、日銀の利上げへの慎重姿勢や米国景気後退懸念から株価は徐々に戻り、9月末には37,919円まで回復、10月以降は石破政権の動向や米大統領選を巡る思惑、トランプ氏への期待感と警戒感により株価は39,000円を挟んで一進一退を繰り返しました。 2月後半からは、米関税政策の不透明感や景気後退懸念などから株価は下落基調になり、3月中旬には36,000円を下回りました。 その後、38,000円台まで回復するも、米政府による自動車への追加関税や、4月以降の相互関税への懸念から株価は急落、3月末の日経平均株価は35,617円で取引を終えました。 このような市場環境の中で、二市場(東京、名古屋の各証券取引所)合計の株式等売買代金は、前事業年度と比較して13%増加しました。 当社の主たる顧客層である個人投資家については、堅調な株価推移を背景に日本株に対する期待感が盛り上がった局面と、大きく株価が動いた局面で取引が拡大し、二市場全体における個人の株式等委託売買代金は同16%増加となりました。 なお、二市場における個人の株式等委託売買代金の割合は前事業年度と同様の24%となりました。 当社の株式等委託売買代金については同6%の増加となりました。 以上を背景に、営業収益は39,204百万円(同6.5%増)、純営業収益は37,135百万円(同5.4%増)となりました。 また、営業利益は15,636百万円(同3.1%増)、経常利益は15,292百万円(同1.6%増)、当期純利益は10,501百万円(同7.3%増)となりました。 収益・費用の主な項目については以下の通りです。 (受入手数料)受入手数料は19,969百万円(同2.1%減)となりました。 そのうち、委託手数料は18,892百万円(同2.5%減)となりました。 これは主として、株式等委託売買代金に占める一日信用取引(手数料が原則として無料)の割合の増加に伴う手数料率の低下によるものです。 (トレーディング損益)トレーディング損益は、主としてFX取引のトレーディング益により、3,752百万円(同36.2%増)の利益となりました。 (金融収支)主として信用取引買残高の増加に伴い信用取引収益は増加しましたが、金利水準の上昇等を背景に支払利息も増加しました。 そうした中で、同じく金利水準の上昇等を背景に預託金の収益分配金が増加したことを主な要因として、金融収益から金融費用を差し引いた金融収支は13,414百万円(同10.9%増)となりました。 (販売費・一般管理費)販売費・一般管理費は、同7.1%増の21,499百万円となりました。 これは主として、サービス基盤及び業務基盤の拡大に伴い、減価償却費、事務費、人件費が増加したことによるものです。 (注)当事業年度に表示方法の変更を行ったことに伴い、営業収益、金融収支及びトレーディング損益の増減率は、当該変更を反映した組替後の数値を記載しております。 詳細は「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (表示方法の変更)」をご参照ください。 以上を背景に、当事業年度のROE(自己資本当期純利益率)は13.8%となりました。 当社は、株主資本コスト(8%)を上回るROEを中長期的に達成することを経営目標としております。 当事業年度のROEは、金融収支の増加やFX取引に起因するトレーディング損益の増加により、前事業年度の12.9%から上昇しました。 今後も中長期的な資本効率の向上に努めてまいります。 (2) 経営成績に重要な影響を与える要因について当社の主たる事業は、個人投資家向けの株式等委託売買業務であり、収入項目としては受入手数料、とりわけ株式等売買に関する委託手数料が当社の業績に重要な影響を及ぼします。 また、主として信用取引に起因する金融収益についても当社の業績に重要な影響を及ぼす要因となります。 しかしながら、その水準はともに株式市場の相場環境に大きく左右されます。 (3) 財政状態の状況及び分析当社の主な資産は、顧客からの預り金や受入保証金等を信託銀行に預託した顧客分別金信託(預託金に含まれます)と、信用取引貸付金を中心とする信用取引資産です。 一方、信用取引貸付金に充当することを目的として、短期借入金等による調達を行っております。 当社の主な負債は、預り金、受入保証金及び短期借入金です。 当事業年度末の資産合計は、対前事業年度末比4.3%減の1,121,828百万円となりました。 これは主として、預り金の減少等に伴い預託金が同11.3%減の621,312百万円となったことによるものです。 負債合計は、同4.7%減の1,045,228百万円となりました。 これは主として、預り金が同14.6%減の363,849百万円となった一方、短期借入金及び信用取引借入金の合計額が同11.4%増の313,933百万円となったことによるものです。 純資産合計は、ほぼ横ばいの76,600百万円となりました。 当事業年度においては、2024年3月期期末配当金及び2025年3月期中間配当金計10,809百万円を計上する一方、当期純利益10,501百万円を計上しております。 (4) キャッシュ・フローの状況及び分析当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは、43,362百万円のマイナス(前事業年度は5,916百万円のマイナス)となりました。 これは主として、信用取引資産及び信用取引負債の増減によるものです。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは、4,373百万円のマイナス(前事業年度は8,883百万円のマイナス)となりました。 これは、無形固定資産の取得による支出や投資有価証券の取得による支出が主な要因です。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは、53,202百万円のプラス(前事業年度は8,621百万円のプラス)となりました。 これは、配当金の支払があった一方、短期借入金が純増加となったことが主な要因です。 以上の結果、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は、81,716百万円(前事業年度末は76,249百万円)となりました。 (5) 資本の財源及び資金の流動性についての分析当社は、「ラインアップの充実」、「特色のあるサービスの提供」、「サービスクオリティの向上」を経営戦略として位置付けております。 このため、各事業年度において、オンライン証券取引サービスを継続的に提供するとともに、各種新サービスの追加や取引システムの能力強化あるいは改良等に必要なシステム投資を中心とする設備投資を継続的に行っております。 一方で、日々の業務運営に手元資金を必要とする他、主たる業務である信用取引貸付金の原資を必要としております。 手元資金は、株式等委託売買や株券貸借取引等に伴う決済の他、顧客への出金等に対応するために十分な水準を確保しておりますが、日々の決済等の状況により、必ずしもその水準は一定しません。 当社が行う資金調達は、主として信用取引貸付金の原資に対応するものです。 経常的な信用取引貸付金の増減については、銀行等金融機関からの短期借入金の増減を中心に対応しております。 信用取引貸付金の水準が大きく増加する場合に備えて、社債による資金調達を機動的に行えるよう発行登録も行っておりますが、当事業年度末現在においては、信用取引貸付金と内部留保の水準を踏まえ、資金調達の大部分はコールマネーを含む短期借入金によっております。 なお、複数の金融機関と当座貸越契約やコミットメントライン契約を締結することで、資金調達の安全性を確保しております。 当社は、中長期的に株主資本コストを上回るROEを達成することを経営目標としており、株主還元は、株主資本コスト相当額以上を配当として実施する方針です。 当事業年度末現在の株主資本コストは、資本資産評価モデルを参考に8%と想定していることから、経営目標として中長期的に8%を上回るROEを達成するとともに、配当政策として各期8%以上の純資産配当率(DOE)を実現することとしております。 併せて、各期の配当性向については60%以上とすることとしております。 株主還元の結果内部留保が増加する場合においては、信用取引貸付金の原資や設備投資資金等として有効に活用いたします。 (6) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。 この財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。 財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。 |
研究開発活動 | 6 【研究開発活動】 該当事項はありません。 |
設備投資等の概要 | 1 【設備投資等の概要】 当社は、各事業年度において、オンライン証券取引サービスを継続的に提供するために必要なシステム投資を行っております。 当事業年度におきましては、各種新サービスの追加や取引システムの能力強化あるいは改良等に必要なシステム投資を中心に3,530百万円の設備投資を行いました。 なお、当社はオンライン証券取引サービスの単一セグメントであるため、セグメントごとの記載を省略しております。 「2 主要な設備の状況」、「3 設備の新設、除却等の計画」についても同様です。 |
主要な設備の状況 | 2 【主要な設備の状況】 2025年3月31日現在における当社の主要な設備及び従業員の配置状況は次のとおりであります。 事業所名所在地設備の内容帳簿価額(百万円)従業員数(名)建物器具 備品ソフトウエア合計本店東京都千代田区オンライン証券システム等3371,1458,83810,319203(37)札幌センター北海道札幌市中央区コールセンター設備27167―19413(201) (注) 1 本店及び札幌センターは他社より賃借しております。 2 本店で管理しているデータセンター設備等も本店に含めて記載しております。 3 従業員数の( )は、臨時雇用者の平均就労人数であります。 |
設備の新設、除却等の計画 | 3 【設備の新設、除却等の計画】 当社は、オンライン証券取引システムの能力を安定的に維持しつつ、各種新サービスの追加、能力強化あるいは改良等を行うため、毎期継続的にシステム投資を行っております。 2025年3月31日現在、2026年3月期については45億円のシステム投資を計画しております。 なお、重要な設備の新設、除却等の計画はありません。 |
設備投資額、設備投資等の概要 | 3,530,000,000 |
Employees
平均年齢(年)、提出会社の状況、従業員の状況 | 37 |
平均勤続年数(年)、提出会社の状況、従業員の状況 | 10 |
平均年間給与、提出会社の状況、従業員の状況 | 9,420,000 |
管理職に占める女性労働者の割合、提出会社の指標 | 0 |
Investment
株式の保有状況 | (5) 【株式の保有状況】 ① 投資株式の区分の基準及び考え方当社は、政策保有目的ではなく投資利回り等の観点から保有している投資株式を純投資目的である投資株式に区分し、業務提携その他経営上の合理的な目的に基づき、その直接的な投資利回り等に関わらず政策保有目的で保有している投資株式を純投資目的以外の目的である株式に区分しております。 当社は政策保有目的で上場株式を保有しないことを原則としておりますが、業務提携その他経営上の合理的な目的に基づき保有する場合があります。 当社の当事業年度末現在における政策保有株式は、上場株式としては、当社のシステムの外部委託先である会社への投資、非上場株式としては、証券取引所株式等、証券業務に関連して保有することになった株式や、フィンテック関連の企業等への投資からなります。 ② 保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式a.保有方針及び保有の合理性を検証する方法並びに個別銘柄の保有の適否に関する取締役会等における検証の内容当社は政策保有目的で上場株式を保有しないことを原則としておりますが、業務提携その他経営上の合理的な目的に基づき保有する場合があります。 その場合は、新規または追加の株式の取得を実行する際に、規模に応じて取締役会または経営会議で、期待される経営上の効果を確認するほか、環境変化に応じて、適宜、期待される効果に照らして保有の継続の適否を検討します。 当事業年度においては、政策保有目的で新規に上場株式1銘柄の取得を行いましたが、経営会議で期待される経営上の効果を確認し、目的に照らして適切であると判断いたしました。 なお、その旨取締役会にも報告されております。 b.銘柄数及び貸借対照表計上額 銘柄数(銘柄)貸借対照表計上額の合計額(百万円)非上場株式5149非上場株式以外の株式1236 (当事業年度において株式数が増加した銘柄) 銘柄数(銘柄)株式数の増加に係る取得価額の合計額(百万円)株式数の増加の理由非上場株式以外の株式1213外部委託先であるシステム会社の株式を新規に取得したことによるものです。 (当事業年度において株式数が減少した銘柄) 該当事項はありません。 c.特定投資株式及びみなし保有株式の銘柄ごとの株式数、貸借対照表計上額等に関する情報(特定投資株式)銘柄当事業年度前事業年度保有目的、業務提携の概要、定量的な保有効果及び株式数が増加した理由当社の株式の保有の有無株式数(株)株式数(株)貸借対照表計上額(百万円)貸借対照表計上額(百万円)株式会社トレードワークス180,000― 取引システム等の開発及び運用の外部委託先である同社の財務基盤の強化及び関係強化によるシステムの安定性向上を目的として保有しております。 定量的な保有効果については算出が困難であり、記載は困難であります。 保有の合理性については、新規の株式の取得に際して、経営会議において、保有目的に照らしてその効果を検討し、上記の目的に資すると判断いたしました。 以上により当事業年度に新規に株式を取得したため株式数が増加しております。 無236― (みなし保有株式) 該当事項はありません。 ③ 保有目的が純投資目的である投資株式 該当事項はありません。 ④ 当事業年度に投資株式の保有目的を純投資目的から純投資目的以外の目的に変更したもの 該当事項はありません。 ⑤ 当事業年度の前4事業年度及び当事業年度に投資株式の保有目的を純投資目的以外の目的から純投資目的に変更したもの 該当事項はありません。 |
株式数が増加した銘柄数、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 1 |
銘柄数、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 5 |
貸借対照表計上額、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 149,000,000 |
銘柄数、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 1 |
貸借対照表計上額、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 236,000,000 |
株式数の増加に係る取得価額の合計額、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 213,000,000 |
株式数、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社 | 180,000 |
貸借対照表計上額、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社 | 236,000,000 |
株式数が増加した理由、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 外部委託先であるシステム会社の株式を新規に取得したことによるものです。 |
銘柄、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社 | 株式会社トレードワークス |
保有目的、業務提携等の概要、定量的な保有効果及び株式数が増加した理由、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社 | 取引システム等の開発及び運用の外部委託先である同社の財務基盤の強化及び関係強化によるシステムの安定性向上を目的として保有しております。 定量的な保有効果については算出が困難であり、記載は困難であります。 保有の合理性については、新規の株式の取得に際して、経営会議において、保有目的に照らしてその効果を検討し、上記の目的に資すると判断いたしました。 以上により当事業年度に新規に株式を取得したため株式数が増加しております。 |
当該株式の発行者による提出会社の株式の保有の有無、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社 | 無 |
Shareholders
大株主の状況 | (6) 【大株主の状況】 (2025年3月31日現在) 氏名又は名称住所所有株式数(千株)発行済株式(自己株式を除く。)の総数に対する所有株式数の割合(%) 有限会社丸六東京都文京区西片2丁目4番2号96,70637.56 有限会社松興社東京都文京区西片2丁目4番2号35,72213.88 日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)東京都港区赤坂1丁目8番1号 赤坂インターシティAIR21,2088.24 株式会社MamFive東京都文京区西片2丁目4番2号5,8622.28 株式会社MamOne東京都渋谷区神宮前3丁目37番1号9125,8622.28 株式会社MamThree東京都渋谷区神宮前3丁目37番1号9125,8622.28 株式会社日本カストディ銀行(信託口)東京都中央区晴海1丁目8番12号3,8251.49 STATE STREET BANK WEST CLIENT - TREATY 505234(常任代理人 株式会社みずほ銀行決済営業部)1776 HERITAGE DRIVE, NORTH QUINCY, MA 02171, U.S.A.(東京都港区港南2丁目15番1号 品川インターシティA棟)1,6190.63 JP MORGAN CHASE BANK 385781(常任代理人 株式会社みずほ銀行決済営業部)25 BANK STREET, CANARY WHARF, LONDON, E14 5JP, UNITED KINGDOM(東京都港区港南2丁目15番1号 品川インターシティA棟)1,4120.55 JPモルガン証券株式会社東京都千代田区丸の内2丁目7番3号 東京ビルディング1,2280.48 計―179,30669.65 (注)1 上記のほか当社所有の自己株式1,819千株があります。2 信託銀行等の信託業務に係る株式数については、当社として網羅的に把握することができないため、株主名簿上の名義での所有株式数を記載しております。 |
株主数-金融機関 | 13 |
株主数-金融商品取引業者 | 30 |
株主数-外国法人等-個人 | 255 |
株主数-外国法人等-個人以外 | 190 |
株主数-個人その他 | 64,434 |
株主数-その他の法人 | 247 |
株主数-計 | 65,169 |
氏名又は名称、大株主の状況 | JPモルガン証券株式会社 |
株主総利回り | 1 |
株主総会決議による取得の状況 | (1) 【株主総会決議による取得の状況】 該当事項はありません。 |
株主総会決議又は取締役会決議に基づかないものの内容 | (3) 【株主総会決議又は取締役会決議に基づかないものの内容】 区分株式数(株)価額の総額(百万円)当事業年度における取得自己株式――当期間における取得自己株式―― (注) 当期間における取得自己株式には、2025年6月1日からこの有価証券報告書提出日までの単元未満株式の買取による株式数は含まれておりません。 |
Shareholders2
発行済株式及び自己株式に関する注記 | 1 発行済株式及び自己株式に関する事項 当事業年度期首増加減少当事業年度末発行済株式 普通株式(株)259,264,702--259,264,702自己株式 普通株式(株)1,970,709-151,6001,819,109 (注) 1 自己株式の普通株式の減少は、新株予約権の行使による減少であります。 |
Audit1
監査法人1、個別 | PwC Japan有限責任監査法人 |
独立監査人の報告書、個別 | 独立監査人の監査報告書及び内部統制監査報告書 2025年6月23日松井証券株式会社取締役会 御中PwC Japan有限責任監査法人 東京事務所 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士辻 村 和 之 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士芦 澤 智 之 <財務諸表監査>監査意見当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられている松井証券株式会社の2024年4月1日から2025年3月31日までの第109期事業年度の財務諸表、すなわち、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、キャッシュ・フロー計算書、重要な会計方針、その他の注記及び附属明細表について監査を行った。 当監査法人は、上記の財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、松井証券株式会社の2025年3月31日現在の財政状態並びに同日をもって終了する事業年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。 監査意見の根拠当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。 監査の基準における当監査法人の責任は、「財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。 当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。 当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。 監査上の主要な検討事項監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。 監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 会社はオンライン専業の証券取引サービスを提供しており、事業環境及びシステムを含む内部統制の理解等を踏まえ、当事業年度の監査において「財務報告に影響を与える証券取引に係る基幹システム統制」が監査において引き続き重要であるため、当該事項を監査上の主要な検討事項とした。 財務報告に影響を与える証券取引に係る基幹システム統制監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応会社は個人投資家向けのオンラインベースの株式ブローキング業務を主たる事業としている。 当事業年度において株式を中心とする委託手数料は18,892百万円、信用取引を中心とする金融収益は15,483百万円であり、損益計算書における営業収益の87.7%を占めている。 当該事業は、大量の取引処理を証券取引に係る基幹システム(以下、「証券取引システム」)を経由して行っている。 具体的には、証券取引システムを通して、顧客からの注文を日々大量に受け付け、当該注文に係る取引処理、残高及び収益計算の処理を行い、これらの処理結果を集約して会計システムに計上している。 このように証券取引システムの影響は広範囲に及んでおり、仮に当該システムの全般的な内部統制に不備が存在する場合、またはシステムによる自動処理が想定通りに行われなかった場合には財務報告に重要な影響を及ぼす可能性がある。 そのため、当監査法人は、財務報告に影響を与える証券取引システム統制を、監査上の主要な検討事項であると判断した。 当監査法人は、ITの領域において専門知識を有する者が加わって、財務報告に関連する証券取引システムについて、安定的な稼働に必要な管理体制、システム環境、システム利用等に重要な影響を及ぼす事象又は変更を把握した上で、全般的な内部統制、及び当該システム上で行われる自動化された内部統制の整備状況を評価した。 加えて、特に重要な内部統制の運用状況の有効性を検証するため、サンプルベースで以下の手続を実施した。 ・証券取引システム内のプログラムやデータに対する意図しない変更や改ざんを防ぐための、事前のアクセス承認手続やアクセスログの事後チェックなどの統制に対し、その運用状況を示す証跡を検証した。 ・証券取引システムの開発、保守及び運用業務の外部委託先の管理に関する統制に対し、その運用状況を示す証跡を検証した。 ・証券取引システム内の注文による取引データについて、証券取引所の約定結果との自動照合処理の有効性を評価するため、取引データを抽出し約定結果との突合を実施した。 また、顧客からの注文による取引残高及び収益の自動計算処理の有効性を評価するため、取引データを抽出し再計算を実施した。 ・上記処理によって証券取引システムに蓄積されたデータから作成される、財務数値の基礎情報となる各種帳票の出力処理の有効性を評価するため、各種帳票とシステム上のデータを突合し、データと帳票の内容が一致していることを確かめた。 その他の記載内容その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、財務諸表及びその監査報告書以外の情報である。 経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。 また、監査等委員会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 当監査法人の財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。 財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 財務諸表に対する経営者及び監査等委員会の責任経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して財務諸表を作成し適正に表示することにある。 これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。 財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。 監査等委員会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 財務諸表監査における監査人の責任監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から財務諸表に対する意見を表明することにある。 虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。 監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。 ・ 不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。 また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。 監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。 さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。 ・ 財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。 ・ 経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。 ・ 経営者が継続企業を前提として財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。 継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する財務諸表の注記事項が適切でない場合は、財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。 監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。 ・ 財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた財務諸表の表示、構成及び内容、並びに財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。 監査人は、監査等委員会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。 監査人は、監査等委員会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。 監査人は、監査等委員会と協議した事項のうち、当事業年度の財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。 ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。 <内部統制監査>監査意見当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第2項の規定に基づく監査証明を行うため、松井証券株式会社の2025年3月31日現在の内部統制報告書について監査を行った。 当監査法人は、松井証券株式会社が2025年3月31日現在の財務報告に係る内部統制は有効であると表示した上記の内部統制報告書が、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して、財務報告に係る内部統制の評価結果について、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。 監査意見の根拠当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に準拠して内部統制監査を行った。 財務報告に係る内部統制の監査の基準における当監査法人の責任は、「内部統制監査における監査人の責任」に記載されている。 当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。 当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。 内部統制報告書に対する経営者及び監査等委員会の責任経営者の責任は、財務報告に係る内部統制を整備及び運用し、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して内部統制報告書を作成し適正に表示することにある。 監査等委員会の責任は、財務報告に係る内部統制の整備及び運用状況を監視、検証することにある。 なお、財務報告に係る内部統制により財務報告の虚偽の記載を完全には防止又は発見することができない可能性がある。 内部統制監査における監査人の責任監査人の責任は、監査人が実施した内部統制監査に基づいて、内部統制報告書に重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、内部統制監査報告書において独立の立場から内部統制報告書に対する意見を表明することにある。 監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。 ・ 内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果について監査証拠を入手するための監査手続を実施する。 内部統制監査の監査手続は、監査人の判断により、財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性に基づいて選択及び適用される。 ・ 財務報告に係る内部統制の評価範囲、評価手続及び評価結果について経営者が行った記載を含め、全体としての内部統制報告書の表示を検討する。 ・ 内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果に関する十分かつ適切な監査証拠を入手する。 監査人は、内部統制報告書の監査に関する指示、監督及び実施に関して責任がある。 監査人は、監査等委員会に対して、計画した内部統制監査の範囲とその実施時期、内部統制監査の実施結果、識別した内部統制の開示すべき重要な不備、その是正結果、及び内部統制の監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。 監査人は、監査等委員会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。 <報酬関連情報>当監査法人及び当監査法人と同一のネットワークに属する者に対する、会社の監査証明業務に基づく報酬及び非監査業務に基づく報酬の額は、「提出会社の状況」に含まれるコーポレート・ガバナンスの状況等 (3)【監査の状況】 に記載されている。 利害関係会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。 以 上 (注)1.上記の監査報告書の原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。 2.XBRLデータは監査の対象には含まれていません。 |
監査上の主要な検討事項、個別 | 監査上の主要な検討事項監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。 監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 会社はオンライン専業の証券取引サービスを提供しており、事業環境及びシステムを含む内部統制の理解等を踏まえ、当事業年度の監査において「財務報告に影響を与える証券取引に係る基幹システム統制」が監査において引き続き重要であるため、当該事項を監査上の主要な検討事項とした。 財務報告に影響を与える証券取引に係る基幹システム統制監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応会社は個人投資家向けのオンラインベースの株式ブローキング業務を主たる事業としている。 当事業年度において株式を中心とする委託手数料は18,892百万円、信用取引を中心とする金融収益は15,483百万円であり、損益計算書における営業収益の87.7%を占めている。 当該事業は、大量の取引処理を証券取引に係る基幹システム(以下、「証券取引システム」)を経由して行っている。 具体的には、証券取引システムを通して、顧客からの注文を日々大量に受け付け、当該注文に係る取引処理、残高及び収益計算の処理を行い、これらの処理結果を集約して会計システムに計上している。 このように証券取引システムの影響は広範囲に及んでおり、仮に当該システムの全般的な内部統制に不備が存在する場合、またはシステムによる自動処理が想定通りに行われなかった場合には財務報告に重要な影響を及ぼす可能性がある。 そのため、当監査法人は、財務報告に影響を与える証券取引システム統制を、監査上の主要な検討事項であると判断した。 当監査法人は、ITの領域において専門知識を有する者が加わって、財務報告に関連する証券取引システムについて、安定的な稼働に必要な管理体制、システム環境、システム利用等に重要な影響を及ぼす事象又は変更を把握した上で、全般的な内部統制、及び当該システム上で行われる自動化された内部統制の整備状況を評価した。 加えて、特に重要な内部統制の運用状況の有効性を検証するため、サンプルベースで以下の手続を実施した。 ・証券取引システム内のプログラムやデータに対する意図しない変更や改ざんを防ぐための、事前のアクセス承認手続やアクセスログの事後チェックなどの統制に対し、その運用状況を示す証跡を検証した。 ・証券取引システムの開発、保守及び運用業務の外部委託先の管理に関する統制に対し、その運用状況を示す証跡を検証した。 ・証券取引システム内の注文による取引データについて、証券取引所の約定結果との自動照合処理の有効性を評価するため、取引データを抽出し約定結果との突合を実施した。 また、顧客からの注文による取引残高及び収益の自動計算処理の有効性を評価するため、取引データを抽出し再計算を実施した。 ・上記処理によって証券取引システムに蓄積されたデータから作成される、財務数値の基礎情報となる各種帳票の出力処理の有効性を評価するため、各種帳票とシステム上のデータを突合し、データと帳票の内容が一致していることを確かめた。 |
全体概要、監査上の主要な検討事項、個別 | 監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。 監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 会社はオンライン専業の証券取引サービスを提供しており、事業環境及びシステムを含む内部統制の理解等を踏まえ、当事業年度の監査において「財務報告に影響を与える証券取引に係る基幹システム統制」が監査において引き続き重要であるため、当該事項を監査上の主要な検討事項とした。 |
見出し、監査上の主要な検討事項、個別 | 財務報告に影響を与える証券取引に係る基幹システム統制 |
その他の記載内容、個別 | その他の記載内容その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、財務諸表及びその監査報告書以外の情報である。 経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。 また、監査等委員会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 当監査法人の財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。 財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 |
報酬関連情報、個別 | <報酬関連情報>当監査法人及び当監査法人と同一のネットワークに属する者に対する、会社の監査証明業務に基づく報酬及び非監査業務に基づく報酬の額は、「提出会社の状況」に含まれるコーポレート・ガバナンスの状況等 (3)【監査の状況】 に記載されている。 |
BS資産
未収入金 | 287,000,000 |
その他、流動資産 | 0 |
有形固定資産 | 1,675,000,000 |
ソフトウエア | 8,838,000,000 |
無形固定資産 | 8,838,000,000 |
投資有価証券 | 7,698,000,000 |
長期前払費用 | 188,000,000 |
繰延税金資産 | 1,742,000,000 |
投資その他の資産 | 10,844,000,000 |
BS負債、資本
短期借入金 | 302,950,000,000 |
未払金 | 554,000,000 |
未払法人税等 | 2,407,000,000 |
未払費用 | 4,002,000,000 |
賞与引当金 | 370,000,000 |
資本剰余金 | 9,804,000,000 |
利益剰余金 | 55,095,000,000 |
株主資本 | 75,469,000,000 |
その他有価証券評価差額金 | 860,000,000 |
評価・換算差額等 | 860,000,000 |
負債純資産 | 1,121,828,000,000 |
PL
販売費及び一般管理費 | 21,499,000,000 |
営業利益又は営業損失 | 15,636,000,000 |
受取配当金、営業外収益 | 8,000,000 |
営業外収益 | 112,000,000 |
営業外費用 | 456,000,000 |
特別損失 | 295,000,000 |
法人税、住民税及び事業税 | 4,639,000,000 |