財務諸表
CoverPage
提出書類、表紙 | 有価証券報告書 |
提出日、表紙 | 2025-06-20 |
英訳名、表紙 | Cuorips Inc. |
代表者の役職氏名、表紙 | 代表取締役社長 草薙 尊之 |
本店の所在の場所、表紙 | 東京都中央区日本橋本町三丁目11番5号日本橋ライフサイエンスビルディング2、507 |
電話番号、本店の所在の場所、表紙 | 03-6231-0043 |
様式、DEI | 第三号様式 |
会計基準、DEI | Japan GAAP |
連結決算の有無、DEI | true |
当会計期間の種類、DEI | FY |
corp
沿革 | 2【沿革】 年月概要2017年3月国立大学法人大阪大学(以下「大阪大学」という。 )の発明(主に再生医療)を実用化・事業化する目的で設立された株式会社セルキューブが、ヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの事業化のために、神奈川県横浜市西区において株式会社Cuore(当社)を創業・設立2017年6月株式会社セルキューブより、ヒトiPS細胞由来心筋細胞シートに関する事業譲渡を受け、大阪大学との産学連携の共同研究講座「最先端再生医療学共同研究講座」を承継(共同研究講座は二度の延長により2025年9月まで継続)2017年6月商号を株式会社Cuoreからクオリプス株式会社に変更2017年9月ヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの製造販売承認の取得を目的として第一三共株式会社と共同研究開発契約を締結2018年2月大阪大学吹田キャンパス内に研究施設(共同研究講座)を開設(当社大阪ラボ)2018年3月大阪大学の研究チームがヒトiPS細胞由来心筋細胞シートを用いた虚血性心疾患に関する臨床研究の試験計画を大阪大学内で申請2018年6月東京都中央区に本店を移転2019年10月ヒトiPS細胞由来心筋細胞シートを用いた虚血性心疾患に関する医師主導治験の治験届を大阪大学が独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)に提出(当社は同医師主導治験を支援)2020年1月同医師主導治験(コホートA)の開始(1例目の移植)2020年8月大阪府箕面市において自社研究施設を兼ね備えた商業用細胞培養加工施設「CLiC-1」(Cuorips Labo-integrated Cell Processing Facility for Advanced Therapy 1st)の稼働を開始2020年11月同医師主導治験(コホートA)終了(3例目の移植完了)2021年9月CLiC-1が厚生労働省近畿厚生局より「再生医療等の安全性の確保等に関する法律(再生医療等安全性確保法)」第35条第1項に基づく「特定細胞加工物製造許可」(施設番号:FA5210001)を取得2022年4月朝日インテック株式会社と共同研究契約を締結2022年8月同医師主導治験(コホートB)が開始され、順天堂大学医学部附属順天堂医院において移植手術を実施(1例目の移植)2023年3月同医師主導治験(コホートB)終了(5例目の移植完了)2023年6月東京証券取引所グロース市場に株式を上場2023年10月国立大学法人新潟大学大学院医歯学総合研究科消化器内科学分野と、体内再生因子誘導剤を用いた非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)や肝硬変等の肝疾患の治療に係る共同研究契約締結2023年11月経済産業省が米国・シリコンバレーに開設したビジネス拠点「ジャパン・イノベーション・キャンパス」への入居決定2023年12月東京都中央区に連結子会社としてクオリプスヘルスケアサイエンス株式会社を設立2024年3月ヒトiPS細胞由来心筋細胞シートを用いた拡張型心疾患に関する医師主導治験を大阪大学が開始(当社は同医師主導治験を支援)2024年6月米国に連結子会社としてiReheart Inc.を設立2024年11月株式会社アデランスと毛髪促進に関する共同研究を開始2024年12月米国・スタンフォード大学心臓胸部外科と共同研究契約を締結2025年4月厚生労働省に対してヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの製造販売承認を申請2025年4月「2025年日本国際博覧会」(大阪・関西万博)において当社が開発・製造したiPS心臓及びヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの展示を開始 |
事業の内容 | 3【事業の内容】 当社は、ヒトiPS細胞由来の再生医療等製品の開発・商業化、並びに当社独自の設計コンセプトに基づくラボ一体型の商業用細胞培養加工施設「CLiC-1」を利用した製造開発受託(CDMO)事業(以下「CDMO事業」という。 )等を通じ、世界中のひとびとの健康と人生に貢献する新たな医療を創り出すことを経営理念として2017年3月に設立されました。 ヒトiPS細胞由来心筋細胞シートは、拡大培養したiPS細胞から心筋細胞への分化誘導(※1)を経て、シート化等の独自技術を用いて作製するもので、現在の内科的治療では治癒しない重症心不全の治療を目的とした再生医療等製品です。 また、当社の作製するヒトiPS細胞由来心筋細胞シートは、他の再生医療等製品(研究開発中の再生医療等製品を含む)と比べ、構成する細胞数が多いため、iPS細胞を心筋細胞へ大量にかつ同時に分化誘導する高い技術が要求されます。 当社は、iPS細胞を大量の心筋細胞に分化誘導する技術と、残存する未分化の細胞を検出限界以下のレベルまで高度に除去することにより心筋細胞を高純度に精製する技術を有しています。 これらの細胞培養技術を活用して、ベンチャー企業等へのCDMO事業を行っております。 なお、当社グループの行う事業は、再生医療等製品事業の単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。 (1) 事業モデル当社グループは、ヒトiPS細胞由来の再生医療等製品の開発・商業化、並びに当社独自の設計コンセプトに基づくラボ一体型の商業用細胞培養加工施設「CLiC-1」を利用したCDMO事業を主たる事業としております。 当社グループの主要な製品であるヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの事業モデルは、大学や大手製薬企業との共同研究開発を通じて得られた発明、ノウハウ等の成果物に対して、当社が実施権の許諾を受け製造販売を行うものです。 具体的には、大阪大学から取得した再実施許諾権付の独占的実施権、第一三共株式会社が保有する精製技術及び第一三共株式会社と当社の間で締結した共同研究開発契約から得た成果物等を組み合わせ、ヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの製造・販売を行う事業です。 CDMO事業は、当社が保有するヒトiPS細胞の培養技術やヒトiPS細胞由来心筋細胞の製造・精製技術等で培った知見と経験を活かし、顧客に対する製造プロセス開発の支援に加え、受託製造による細胞及び原材料としての各種細胞を提供するものです。 (2) 当社事業モデルの特徴 当社は、(ⅰ)大阪大学との共同研究開発により培った再生医療等製品の開発ノウハウ、(ⅱ)大手製薬企業や医療機器メーカー等との共同研究開発アライアンス、(ⅲ)高度な管理技術に基づく細胞製品の製造施設、(ⅳ)シーズから商用生産レベルまで一貫して開発された細胞製造、加工、評価に関する技術ノウハウ、という4点を強みとしております。 (ⅰ) 大阪大学との共同研究開発により培った再生医療等製品の開発ノウハウ 当社は2017年の設立以来、大阪大学に最先端再生医療学共同研究講座を設置し、ヒトiPS細胞を用いた重症心不全治療の実用化を目的とした共同研究開発を実施しております。 共同研究講座は、大学が企業等から資金や研究者を受け入れて研究組織を設置し、学内の常勤教員等と連携して共同研究を行う仕組みであり、より柔軟かつ迅速に研究を推進できることが特徴です。 大阪大学は日本有数の心臓移植手術実績を有しており、当社取締役 最高技術責任者であり同大学大学院医学系研究科において長年にわたり心臓血管外科領域で教授を務めた澤芳樹名誉教授は、これまでに心臓手術数1,000件超、心臓移植数100例超、人工心臓手術数400例超の実績を有します。 また基礎研究から臨床応用まで20年以上にわたる実績と幅広いノウハウを有しており、骨格筋芽細胞(※2)シートの発明や開発にも携わっていました。 したがって、大阪大学の豊富な経験と確かな技術を基盤とすることで、スムーズな応用研究及び臨床開発の推進が可能となります。 (ⅱ) 大手製薬企業や医療機器メーカー等との共同研究開発アライアンス 当社は、2017年9月に第一三共株式会社と共同研究開発契約を締結しております。 本共同研究開発の目的は、大阪大学大学院医学系研究科において開発されたヒトiPS細胞由来心筋細胞の製造及びシート化技術と、第一三共株式会社が有するヒトiPS細胞由来心筋細胞の精製技術を融合した再生医療等製品を製品化することであり、国内における虚血性心疾患(ICM)を対象としたヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの共同研究開発を行っています。 また、朝日インテック株式会社と次世代の治療モダリティ(※3)の共同開発を行っています。 さらに、四国計測工業株式会社、佐竹マルチミクス株式会社、株式会社ニチリョー、フクシマガリレイ株式会社等との自動大量培養・凍結装置等の共同開発、横河電機株式会社との製造実行・ラボ情報管理システムの共同開発、日産化学株式会社との分注凍結溶液の共同開発等を進めており、海外展開まで見据えた原料段階から商用生産に至るまでのアライアンス構築を積極的に実行しております。 (ⅲ) 高度な管理技術に基づく細胞製品の製造施設 当社は、大阪大学による医師主導治験(※4)用の細胞製造や将来的な商用生産、CDMO事業の拠点として、大阪府箕面市に研究施設を一体化した商業用細胞培養加工施設「CLiC-1」を設置し、2020年8月に稼働を開始しました。 本施設は、清浄度が同一グレードのクリーンブースを複数並列化する等の独自の設計コンセプトに基づく局所制御技術(※5)を活用することにより大幅なキャパシティ増加を実現した効率的かつ実効的な最先端の細胞培養加工施設です(日本(特許第7609440号)及び欧州(特許No.4079376)で特許取得済、米国で特許出願中)。 製造プロセス開発から商用生産まで一貫して対応可能なワンストップな施設であり、2021年9月に再生医療等安全性確保法に基づく「特定細胞加工物製造許可」(施設番号:FA5210001)を取得しました。 さらに、ヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの製造販売承認の取得を見据え、2024年8月に再生医療等製品の製造販売業許可、2025年4月に再生医療等製品の製造業許可を取得しており、製造販売承認後には商用生産を開始する予定であります。 本施設では、大阪大学が実施する重症心不全に対する医師主導治験のための治験用製品製造を行っており、CDMO事業においても同時利用可能な細胞培養加工施設です。 (ⅳ) シーズから商用生産レベルまで一貫して開発された細胞製造、加工、評価に関する技術ノウハウ当社は、大阪大学との共同研究開発を通じて、ヒトiPS細胞由来心筋細胞を用いた再生医療等製品の開発と商業化に不可欠な以下の技術を強みとして有しております。 これらの技術には、自社特許に加え、大阪大学より独占的実施権を受けた特許権(「未分化細胞が除去された分化誘導細胞集団、その利用及びその製造方法」(特許第6938154号、権利者:大阪大学、存続期間満了日:2035年11月6日))及びノウハウ、並びに当社と大阪大学が共有するノウハウが含まれています。 特許権及びノウハウの主な内容は以下のとおりです。 ・ヒトiPS細胞の安定的な未分化継代培養方法・ヒトiPS細胞の分化誘導及び分化細胞作製方法(主に心筋細胞)・ヒトiPS細胞及びiPS細胞由来細胞の大量製造方法・ヒトiPS細胞由来心筋細胞の高純度精製及び未分化細胞除去方法・ヒトiPS細胞由来細胞の高効率凍結融解方法・ヒトiPS由来細胞の加工技術・ヒトiPS細胞及び分化細胞の分析、特性評価解析法 これらの技術は、ヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの製造にとどまらず、他の組織を対象とした細胞製品の開発にも活用可能であり、当社の新たなパイプラインやCDMO事業においても利用されます。 (3) 当社技術の特徴① iPS細胞について iPS細胞は、英語では「induced pluripotent stem cells」と表記され、その頭文字をとって「iPS細胞」と呼ばれています。 世界で初めてiPS細胞の作製に成功しノーベル生理学・医学賞を受賞した京都大学の山中伸弥教授により名付けられ、日本語名では「人工多能性幹細胞」と称されます。 iPS細胞は、ヒトの体細胞に複数の多能性誘導因子を導入し培養することで作製でき(図1)、ほぼ無限に増殖する能力を持つとともに、様々な組織や臓器の細胞に分化する能力を有します。 図1 iPS細胞の作製の過程 (出所:京都大学物質-細胞統合システム拠点(iCeMS)iPS 細胞研究センター((現)iPS細胞研究所(CiRA))発行 「幹細胞ハンドブック ̶ からだの再生を担う細胞たち」より当社作成) ② 研究開発の経緯 大阪大学大学院医学系研究科の澤芳樹名誉教授(当社取締役 最高技術責任者)らの研究グループは、京都大学の山中伸弥教授と2008年から共同研究を開始し、ヒトiPS細胞を用いた重症心疾患患者の治療法について研究開発を進めてきました。 その間、ヒトiPS細胞由来心筋細胞を用いて、ブタの虚血性心疾患モデルの心機能を改善させることに成功し、ヒトiPS細胞由来心筋細胞のサイトカイン(※6)の解析や、レシピエント心筋(※7)との電気的・機能的結合による同期拍動等、心機能の改善に関するメカニズムの解析を行ってきました。 そして、京都大学iPS細胞研究所(CiRA)から提供される医療用ヒトiPS細胞ストックを用いて心筋細胞の製造方法を改良することにより、安全性の高い心筋細胞の大量作製及びそのシート化に成功しました。 現在は、虚血性心疾患の患者にヒトiPS細胞由来心筋細胞シートを移植する治験が完了し、製造販売承認を申請中です。 また、拡張型心疾患の患者を対象とした医師主導治験を大阪大学が実施中です。 治験の詳細及び進捗状況については、「(4)② a.PJ1 ヒトiPS細胞由来心筋細胞シート(対象疾患:虚血性心疾患(国内))、b.PJ2 ヒトiPS細胞由来心筋細胞シート(対象疾患:拡張型心疾患(国内))」をご参照ください。 ③ ヒトiPS細胞由来心筋細胞シートについて ヒトiPS細胞由来心筋細胞シートとは、ヒトiPS細胞から作製した心筋細胞を主成分とした他家細胞(※8)治療薬であり、シート状に加工された心筋細胞を心臓に移植します。 補助人工心臓装置(VAD)(※9)の装着又は心臓移植に至る前の患者を対象とし、心機能の改善や心不全状態からの回復といった治療効果が期待されます。 具体的には、京都大学iPS細胞研究所(CiRA)から提供されたヒトiPS細胞を心筋細胞に分化誘導した後、精製・加工を行い、未分化iPS細胞を除去した上で凍結保存します。 患者への移植スケジュールに合わせてヒトiPS細胞心筋細胞を解凍し、シート化したものを病院へ輸送し、患者の心臓に直接貼付します(図2)。 移植されたシートが患者の心臓の血管新生を促進し、機能が低下した心臓の部位の回復に寄与することが期待されます。 詳細な作用メカニズムは、「④ヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの作用メカニズム」をご参照ください。 現在、薬剤等による内科的治療では回復が見込めない心疾患患者への治療法は確立されていないため、時間の経過とともに症状が悪化し、最終的な治療手段として補助人工心臓装置の装着又は心臓移植に至ります。 しかしながら、補助人工心臓装置はその耐久性や合併症の課題から長期使用には適さず、心臓移植は日本において臓器提供者が慢性的に不足していることに加えて他人の臓器に対する免疫拒絶反応等の問題があることから、重症心不全患者に対する新しい治療技術の実用化が大いに期待されています。 ヒトiPS細胞由来心筋細胞シートは、従来の内科的治療では改善が見込めない患者に対して、補助人工心臓装置の装着又は心臓移植が必要な状態となるまでの病態の進行を抑制することを期待したものであり、従来の製品ではカバーできないアンメットメディカルニーズ(有効な治療方法がない疾患に対する医療ニーズ)に応えるものです(図3)。 図2 ヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの作製手順(出所:大阪大学提供資料をもとに当社作成) 図3 ヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの期待される効果(イメージ)(出所:当社作成資料) ④ ヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの作用メカニズム ヒトiPS細胞由来心筋細胞シートによる治療効果は、心筋梗塞モデル動物への移植後の心機能改善により確認されており、その作用メカニズムは、これまでに実施されたin vitro(試験管内)実験及び大小動物を用いたin vivo(生体内)実験に基づく数多くの基礎的研究から、以下のように推定されています。 ・移植されたヒトiPS細胞由来心筋細胞シートが、サイトカインと呼ばれる特有の因子を産生することにより、心筋梗塞部位の近傍からの血管新生を促進し、梗塞部位の修復に寄与する(「パラクライン効果」)。 ・心筋細胞を主構成体とする心筋細胞シートが、移植後に患者の心臓と機能的及び電気的に結合し、患者の心臓と同期して収縮弛緩することにより、患者の心臓の機能を力学的にサポートする。 これらの作用により、虚血等で休眠している患者の心筋細胞を刺激して活性化させ、心筋細胞の再生を目指すものです(図4)。 図4 ヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの作用メカニズム(出所:当社作成資料) 上記の期待される効果を得るためには、移植後一定期間(約3か月)、患者の免疫拒絶を回避し、移植したシート内の細胞を生存させるため、免疫抑制剤を投与し、一時的に拒絶反応を抑制する必要があります。 しかし、大阪大学では免疫抑制剤を漸減させながら治療効果を維持し、免疫抑制剤の投与を短期間で終了する方法を開発しました。 これにより、免疫抑制剤による腎臓障害等を最小限に抑え、移植後に残存する細胞に起因する腫瘍化リスクを低減できるとともに、患者が生涯にわたって免疫抑制剤を投与される必要がなくなります。 特に新型コロナウイルス感染症のような感染症流行時には、免疫抑制剤使用による免疫機能低下がもたらす感染及び重症化リスクを軽減できる点で大きな利点があります。 ⑤ ヒトiPS細胞由来心筋細胞シートが有するメリット・デメリットa.他家のヒトiPS細胞を用いることのメリット・デメリット (メリット)・自家移植の場合には患者から細胞を採取するための外科的侵襲(※10)を伴いますが、他家移植の場合には細胞を採取する必要がなく、患者の負担がより小さくなります。 ・自家移植は、患者自身の細胞を採取し、その細胞を細胞培養施設で培養して初めて移植することができるため 、採取から移植可能となるまでに時間を要します。 一方、他家移植であるヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの場合は、事前に健康なボランティアより血液の提供を受け、細胞培養施設において再生医療用のiPS細胞を作製しストックしています。 その後、心筋細胞への分化のし易さを確認し、対象疾患に対する有効性及び安全性の確認を厳重に済ませたiPS細胞だけを増やしてバンク化しておき、事前に細胞培養施設で心筋細胞を培養して保管しておくことで、急な移植スケジュールであっても、速やかにシートの製造を行い、医療機関や研究機関に迅速に製品を提供できます。 ・自家移植の場合、患者から細胞を採取するため、患者の年齢や容体によって細胞の状態が大きく異なり、必要な質で必要な数の細胞を得ることが困難な場合があります。 一方で、他家細胞であるiPS細胞を用いることで、一定の品質で大量の細胞を治療に用いることができます。 ・自家移植の場合、作製した細胞は患者本人にしか用いることができないため、その有効性や安全性の確立には多くの症例が必要で、多大な労力と時間を要します。 一方、他家移植では、作製した細胞を多くの患者に使用することが可能となり、自家細胞と比較して有効性と安全性の確立を進めやすいと言えます。 ・総じて、他家移植とすることで、自家移植に比べて、広く多くの患者を対象にすることができ、まとめて輸送出来るメリットを活かして国内だけでなく海外への展開も期待できます。 (デメリット)・他家移植の場合、自身の細胞に由来しない細胞を移植するため、患者の持つ免疫機能により拒絶反応が生じます。 これを抑えるため、移植後一定期間は免疫抑制剤の投与が必要となり、その間、患者の免疫が低下し、疾病に罹患するリスクが上昇します。 自家移植の場合は、患者自身の細胞由来であるため、このような問題は大幅に少なくなります。 b.当社技術の課題と対応ヒトiPS細胞由来心筋細胞シートによる再生医療・細胞治療の研究開発過程で、再生医療等製品特有の対処すべき課題がありました。 しかし、大阪大学及び第一三共株式会社との共同研究成果に基づき、以下のような対応策を講じています。 課題対応最終製品として生きた細胞を用いることから滅菌処理ができないため、製造工程における微生物等の不純物混入リスクに対する高度な品質管理方法の確立先進的な局所クリーン技術を活用した細胞培養加工施設における厳密な衛生管理により、微生物汚染リスクを徹底的に抑制した安定的な生産体制を構築している。 無限増殖能を有するiPS細胞を用いることにより生じる癌化リスク当社独自の未分化iPS細胞の除去精製技術により、未分化のiPS細胞が残存することによる癌化リスクの軽減化を図っている。 大阪大学で実施する医師主導治験において、本製品を移植した患者から本製品に由来する腫瘍が確認されたという報告はなされていない。 患者の自己細胞を用いる場合に生じる細胞採取に伴う侵襲の増加、品質の不安定化及び移植までの期間の長期化移植する細胞は他家のヒトiPS細胞由来であるため、患者から原料となる細胞を採取するという外科的処置が不要になると共に、患者の年齢や容体等による品質のばらつきが解消される。 また、生産工程の長期化については、他家のヒトiPS細胞を用いるため、分化誘導した心筋細胞を予め凍結保存しておくことが可能となる。 その凍結した心筋細胞をシート化するために要する生産期間は数日程度であり、移植スケジュールを早期にかつ柔軟に設定することが可能となる。 他人から得られたドナー細胞を用いる場合に生じる免疫拒絶他家のヒトiPS細胞を用いるため、本製品を移植した患者は免疫抑制剤の使用が不可避ではあるものの、短期間の投薬のみで効果が期待される治療技術が大阪大学で開発されている。 保存・輸送等の制約当社が独自に開発した温度管理技術等により、日本国内においては心筋細胞シートを生きたまま安定的に輸送及び保存するが可能となる。 c.当社技術の強み 当社技術の最大の強みは、患者に移植した細胞の癌化リスクの徹底的な軽減です。 これは、心筋細胞への分化誘導工程において残存する未分化のiPS細胞を、高度にかつ効率的に除去することができる当社独自の精製方法によるものです。 一般的にiPS細胞は癌化するリスクがあると言われますが、最大の原因はiPS細胞が獲得した無限増殖能であり、様々な細胞へ分化誘導するプロセスにおいて目的の細胞に分化せず、未分化の状態のまま数多く残存すると、それだけ癌化するリスクが高まります。 当社では、大阪大学と第一三共株式会社の技術を融合し、複数の工程で構成し最適化された独自の未分化細胞除去技術を用いており、2020年1月より開始された医師主導治験において、現段階において癌化した事象の報告を確認しておりません。 また、当社のヒトiPS細胞由来心筋細胞シートは、シート化したヒトiPS細胞由来心筋細胞を患者の心臓の表面に貼付するだけで、穿刺等の心臓に直接的なダメージを与え得る侵襲を伴わないことから、不整脈が発生するリスクを最小限化することを可能にしております。 さらに、手術自体もバイパス手術等とは異なり開胸手術ではなく、左肋間に7センチ程度の比較的小さな隙間を空け、その隙間からシートを挿入する手術です。 通常のバイパス手術が4時間程度要するのに対し、シートの移植手術は50分程度で完了することが可能で、患者への侵襲を限りなく小さくするとともに、執刀医の負担も大幅に軽減されることが期待されます。 最後に、当社技術の大きな特徴としては、シート形状で長距離輸送が可能である点です。 凍結細胞の冷凍輸送ではなく、凍結細胞を解凍・培養してシート化した状態のまま常温帯で輸送した場合でも、シート内の細胞が一定期間生存しており、例えば大阪府箕面市にある当社の商業用細胞培養加工施設「CLiC-1」から東京の医療機関まで、新幹線等で輸送することが可能です。 また、輸送する際にヒトiPS細胞由来心筋細胞シートを保護する役割を持つ輸送液にも独自技術を活用しており、常温帯で2日はシートの形状と細胞の生存を保ったまま輸送することができます。 さらに、シート形状のまま輸送可能であるということは、移植を行う医療機関側において、シートを軽く洗浄する程度で移植が可能となり、医療機関の負担も大幅に低減することが可能となることを意味します。 (4) 研究開発パイプライン① 心疾患について 当社が製品化を目指し、開発を進めているヒトiPS細胞由来心筋細胞シートは、心疾患治療に対するものです。 以下において、心疾患に関する説明をいたします。 心疾患は非常に広い概念です。 心臓は全身に血液を送り出す役割を担っておりますが、この重要な担い手が心臓の筋肉(心筋)です。 心筋は他の筋肉と同様、伸縮することで全身に血液を送り出しますが、心疾患は何らかの原因で心筋に障害が発生することで心筋の伸縮(心臓のポンプ機能)がうまく働かなくなった状態を指します。 当社は、心疾患の中で二つの重症の病態である「虚血性心疾患/虚血性心筋症(ICM)」及び「拡張型心疾患/拡張型心筋症(DCM)」に対する新規の治療法とするため、ヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの開発・実用化を進めております。 虚血性心疾患(ICM) 虚血性心疾患とは、心臓に栄養を与えている血管(冠動脈)が動脈硬化等によって狭くなり(冠動脈狭窄)、詰まること(閉塞)により、心筋に十分な酸素や栄養が行き渡らなくなることで起こる心筋梗塞や狭心症など心筋障害の程度が高度な心疾患です。 一時的にでも完全に血流が途絶えると、心筋の機能が低下した状態が続くことになり、この状態を「虚血性心疾患」と呼びます。 拡張型心疾患(DCM) 心筋の収縮が弱くなり、心臓が次第に拡張していく病気です。 十分な血液が全身に送れなくなると、それを補うために心臓はその容積を大きくして、1回の収縮で送り出す血液の量を増やそうとします。 しかし、この状態が長く続くと、心臓の中に血液が滞って心臓はさらに拡大し、心筋は引き伸ばされ薄くなっていきます。 これによって心臓にかかる負担はむしろ大きくなっていくという悪循環を招きます。 心臓の機能が低下して全身に十分な血液が行き渡らなくなると、脳から心臓に強く働くよう〝指令〟が出る一方、腎臓では尿として排泄される量が減り、その分、体内の水分(体液)の量が増え、心臓にかかる負担はさらに増加します。 ヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの対象患者は、内科的な治療では心疾患による心臓の悪化を防ぐことができず、心臓移植又は補助人工心臓の装着まで悪化していない患者で、NYHA(※11)心機能分類Ⅲ度の後期(Ⅲ度B)及びⅣ度の初期の患者です。 心不全患者のうち、NYHA心機能分類でⅠ度の患者の割合は35%、Ⅱ度は35%、Ⅲ度は25%(Ⅲ度Aは15%、Ⅲ度Bは10%)、Ⅳ度は5%存在すると推定されています(Miller LW. (2011). Left Ventricular Assist Devices Are Underutilized. Circulation, 123, 1552–1558.)。 公益財団法人日本心臓財団によると、日本での心不全患者数は、2030年には130万人に達すると推計されており、当社の対象患者に最も近いとされるNYHA心機能分類Ⅲ度Bの患者は心不全患者全体の10%であるため、日本での対象患者数は13万人程度存在すると推計されます。 同様の推定を米国及び全世界において行うと、米国での心不全患者数は600万人であるため、NYHA心機能分類Ⅲ度の患者数が150万人(うち、Ⅲ度Bの患者数は60万人)、Ⅳ度が30万人と推計されます。 また、全世界ベースでは心不全患者数が2,600万人であるため、NYHA心機能分類Ⅲ度の患者数650万人(うち、Ⅲ度Bの患者数は260万人)、Ⅳ度が130万人となり、相当数の患者数が存在すると推測されます。 (Savarese G, Lund L.H. (2017). Global Public Health Burden of Heart Failure. Card Fail Rev., 3(1), 7–11.) 日本におけるヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの年間ベースでの対象患者数を試算すると、まず、厚生労働省が発表した2023年(令和5年)の「患者調査」によると、虚血性心疾患患者は約6.3万人(うち入院患者数が約1.1万人)、さらに陳旧性(慢性的な)心筋梗塞患者が0.9万人おり、合計で約7.2万人程度が年間治療を受けています。 入院患者の約1.1万人は、NYHA心機能分類のⅢ度ないしはⅣ度と類推すると、上述のとおり、NYHA心機能分類でのⅢ度とⅣ度の比率は5:1であることから、Ⅲ度が約0.9万人、Ⅳ度が約0.2万人と推計されます。 また、Ⅲ度AとⅢ度Bの比率は1.5:1であることから、日本におけるヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの年間ベースでの対象患者数(Ⅲ度B)は年間で0.4万人と推測されます。 公益社団財団法人日本臓器移植ネットワークによりますと、2025年3月末時点で心臓移植希望登録者は813人となっており、これらを勘案すると当社製品の対象患者は相当数存在すると考えられます。 また、当社が効能追加を目指している拡張型心疾患の患者数については、公益財団法人難病医学研究財団が運営する難病情報センターが発表した「特定医療費(指定難病)受給者証所持者数」では、2023年度末現在で18,108人存在しているというデータがあります。 以上のデータに基づく日本、米国及び全世界の患者数の推計と当社研究開発領域は図5のとおりです。 図5 日本、米国、世界の患者数と当社研究開発領域 ② 研究開発パイプラインの状況当社の研究開発パイプラインとその進捗状況は以下のとおりです(図6)。 図6 研究開発パイプライン a.PJ1 ヒトiPS細胞由来心筋細胞シート(対象疾患:虚血性心疾患(国内)) 当社では、虚血性心疾患(ICM)を対象としたヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの開発が最も進んでおり、製造販売承認の取得に向けて注力しております。 本開発製品の製造販売の承認申請までの流れを以下に説明します。 本開発製品については、大阪大学による医師主導治験が完了しています。 前半(コホートA)3症例と後半(コホートB)5症例の計8症例について、本開発製品の移植実施後12か月間の経過観察結果を取りまとめ、2025年4月に厚生労働省に対し、製造販売承認申請を行いました。 今後は、厚生労働省及び医薬品医療機器総合機構(PMDA)が申請資料の内容を審査し、当社は審査に関する質問事項に応答します。 審査が終了し、承認が得られた場合には、速やかに製造販売を開始する予定です。 再生医療等製品については、承認制度として2014年に「条件及び期限付承認制度」が創設されました。 「条件及び期限付承認制度」とは、治験の対象患者の集積が難しいことや、対象製品の品質の不安定性等の理由により、臨床第Ⅲ相(PⅢ)試験といった検証的臨床試験の実施に長期間を要するような医薬品、医療機器及び再生医療等製品について、少数例の治験データに基づき、安全性が確認され、一定の有効性が見込まれる製品を一定条件と期限を付したうえで早期に承認し、販売後に有効性を評価する制度です(図7)。 当社のヒトiPS細胞由来心筋細胞シートもこれらの性質を有するため、本制度を活用して製造販売承認を取得することを想定しております。 なお、条件及び期限付承認を得られた場合、製造販売開始後の一定期間、使用成績調査や製造販売後臨床試験を実施し、製品の有効性及び安全性を追加で検証する必要があります。 そのため、調査・試験に関するデータ収集、及び管理に係る体制を構築していきます。 図7 再生医療等製品の承認制度と当社の承認申請の状況 次に、PJ1の現時点における進捗状況の詳細を以下に説明いたします。 ヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの臨床試験として、大阪大学により医師主導治験が実施されました。 本開発製品の臨床開発は、高度な医療手技を伴うため、豊富な経験と知見を有する医師が自ら治験を実施することにより、医学的・科学的判断を迅速に行い、治験の質を向上させることが期待されたためです。 他社で実施されている複数の再生医療等製品の臨床開発においても、医師主導治験が採用されています。 本医師主導治験の前半となるコホートA(ヒトiPS細胞由来心筋細胞シートが初めてヒトに移植されることから慎重に治験を進めるためのフェーズ)では、計3症例の被験者に対して移植が行われました。 2020年1月に第1例目への移植を実施し、2020年11月には第3例目の移植を実施しました。 大阪大学内に設置され、独立した評価を実施する効果安全性評価委員会が、コホートAの3症例での安全性や有効性の評価を行い、その結果、治験を継続することが認められました。 続いてのコホートB(コホートAでの安全性及び有効性評価に応じて用量の増加を可能とするフェーズ)は多施設共同試験として、2022年8月、同年12月に順天堂大学医学部附属順天堂医院にて、それぞれ1症例ずつ移植が実施され(※12)、2023年1月には九州大学病院及び大阪大学医学部附属病院、2023年3月には東京女子医科大学病院にて移植が行われ、計画していた計5症例の被験者への移植を完了しました。 治験で使用するヒトiPS細胞由来心筋細胞シートは、当社のCLiC-1で製造し、各治験実施施設へ輸送を行いました。 これら8症例の移植完了後、移植後26週までの有効性評価、52週までの安全性評価を実施し、試験データの統計解析等を行いました。 その結果をもとに、厚生労働省へ提出する承認申請資料の作成を行いました。 承認申請書類の作成過程では、重症度の高い心不全患者の病態を踏まえ、長期間データを組み込むなど治験結果の評価を最大限に反映する対応を行い、PMDAとの協議も重ねながら、2025年4月に厚生労働省へ承認申請資料の提出を行いました。 大阪大学の研究チームがコホートAの3症例を対象に解析結果をまとめた論文を公表しています(※13)。 本解析結果は、iPS細胞由来心筋細胞シートの移植後、免疫抑制剤を3か月間投与し、1年間の観察期間を経て、心機能の変化、心臓の血流、心不全の病状及び免疫反応等を調べたものです。 移植の対象は、(a)左心室駆出率が35%以下、(b)NYHA(ニューヨーク心臓協会)の心機能分類がⅢ度以上であり、既存の治療を受けている患者です。 調査結果の概要は、以下のとおりです。 ・副作用、病状の悪化等については観察されず、心機能の改善が観察された。 ・特に3症例中2症例は、左心室の伸縮性の改善及び心筋への血流改善が観察された。 ・免疫反応については、免疫抑制剤投与終了後は、3症例全てで移植細胞に対する抗体値が上昇しており、さらに、心機能の改善が弱かった1症例については、移植前からHLA-DQに対する抗体値(非自己細胞を認識し、免疫を活性化する抗体の一種)が上昇していた。 ・今回の研究の結論は、安全性に関しては、問題がなかった。 一方、治療効果及び免疫反応との関連性に関しては、引き続き症例数を増やすことが必要である。 3症例のプロフィールとNYHAによる心機能分類の改善 年齢性別身長(cm)体重(kg)心不全の症状(術前→1年後)Case151男性167.458.8NYHA class Ⅲ→ⅠCase276男性166.264.0NYHA class Ⅲ→ⅡCase365男性159.767.8NYHA class Ⅲ→Ⅰ ヒトiPS細胞由来心筋細胞シートについては、上記論文の発表の他に、2023年11月に大阪大学の研究グループがAHA(American Heart Association:米国心臓協会)のサイエンティフィックセッションにおいて、ヒトiPS細胞由来心筋細胞シートのヒトへの初の移植事例である医師主導治験の結果について発表を行いました。 AHAは、1924年に心臓病専門医によって設立された心臓分野における世界最大規模の医学系学会で、世界中の心血管疾患の権威ある医師によるプレゼンテーションや議論を通じて、最先端の研究や臨床技術に触れることができる循環器領域の世界最高峰の学会として、研究発表への採択が最も難しい学術集会と評されています。 このような権威ある当学会でオーラルセッション(口頭発表)に採択され、ヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの3症例の移植による安全性の確認と今後の可能性をテーマに発表を行いました。 なお、発表の概要は以下のとおりです。 ・タイトル:First in Human Clinical Trial of Human Induced Pluripotent Stem Cell-Derived Cardiac Patches for Ischemic Heart Failure Patients・セッション:Scientific Sessions・形式: オーラルセッション(口頭発表)・発表者: 河村拓史(大阪大学大学院 医学系研究科 心臓血管外科 助教)・発表内容:iPS 心筋細胞シート3症例の移植による安全性の確認と今後の可能性 [PJ1 事業系統図] b.PJ2 ヒトiPS細胞由来心筋細胞シート(対象疾患:拡張型心疾患(国内)) ヒトiPS細胞由来心筋細胞シートについては、PJ1 虚血性心疾患(ICM)の他に、拡張型心疾患(DCM)に対する研究開発を大阪大学が進めており、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の令和5年度「再生医療等実用化研究事業」として採択されています(公募課題「拡張型心筋症に対するヒト(同種)iPS細胞由来心筋細胞シートを用いた臨床試験」)。 拡張型心疾患は、虚血性心疾患と同様に、微小循環(※14)を含む心筋組織の虚血による心筋細胞の肥大化や線維化であり、これらが進行することで心機能が低下する状態となるため、ヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの治療メカニズムから見て効果があるのではないかと考えられ、拡張型心筋症(DCM)の効能追加の研究開発を推進しています。 当社は、DCMモデル動物を用いたヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの有効性を基に、大阪大学が進める医師主導治験のプロトコル設計を支援しました。 これまでに、2症例への移植が行われ、当社は治験に使用するヒトiPS細胞由来心筋細胞シートを作製し、大阪大学に提供いたしました。 c.PJ3 ヒトiPS細胞由来心筋細胞シート(対象疾患:虚血性心疾患(海外)) 虚血性心疾患(ICM)を対象としたヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの開発については、国内(PJ1)だけでなく海外での製造販売承認の取得を計画しております。 当連結会計年度において、米国における当社製品の研究開発、事業化及び将来のパートナー探索等の現地活動強化を目的に、経済産業省が米国カリフォルニア州パロアルトに設立したビジネス拠点「ジャパン・イノベーション・キャンパス」内に連結子会社としてiReheart Inc.を設立いたしました。 また、2024年12月には、スタンフォード大学心臓胸部外科と共同研究開発契約を締結いたしました。 米国では、既存の心筋細胞シートを米国向けに改良した製品及び新しいコンセプトのiPS細胞由来製品の開発を行う予定であり、心筋梗塞ブタの心臓に移植する動物実験からなる共同研究プログラムを実施いたします。 本大学病院は、2024年-2025年の「U.S. News & World Report」誌の Best Hospitals Honor Roll特集号において、循環器科、心臓・血管外科、肺・呼吸器外科で全米トップの病院の一つに選ばれています。 本共同研究を通じ、FDAへの治験薬申請に使用するデータを収集し、米国での治験の実施を目指してまいります。 さらに、翌事業年度の上半期にFDA相談の実施を目指し、外部専門家との協議を開始しております。 d.PJ4 カテーテル ヒトiPS細胞由来心筋細胞シートと比べ、軽度の心疾患に対応するパイプラインとして、カテーテルによる新たな血管内アプローチによりヒトiPS細胞由来細胞を心臓へ移植する治療技術の開発を、朝日インテック株式会社との共同開発(※15)により進めております。 同社が有するカテーテル製品開発技術と当社のヒトiPS細胞由来細胞の開発を組み合わせることにより、新しい治療技術を創出します。 本製品は、循環器内科医が急性心筋梗塞(AMI)(※16)・慢性完全閉塞性病変(CTO)(※17)等の経皮的冠動脈インターベンション(PCI)(※18)と併用することによって、開胸等の新たな侵襲を患者に加えることなく、心機能の回復を高める治療技術を目指しております。 日本におけるカテーテル治療の市場規模は年間30万件を超えており(出所:日本循環器学会)、循環器内科における心疾患の治療法として位置付けられています。 日本におけるカテーテル治療(単位:件) 2018年2019年2020年2021年2022年2023年2024年緊急PCI76,80778,42079,47276,07576,66577,94980,057待機的PCI201,478192,670187,960171,916172,789165,567165,095AMI患者へのPCI54,08556,71356,66655,99555,52556,85658,316補助LVAD260250342329315327399合計332,630328,053324,440304,315305,294300,699303,867(出所:日本循環器学会「循環器疾患診療実態調査 報告書」をもとに当社作成) 朝日インテック株式会社との共同研究開発では、カテーテル及び投与する細胞の研究開発が順調に進捗し大動物への実験を行っております。 また、今後も両社間でより緊密に研究開発を行うこと、日本及び米国における事業化の検討を推進すること、さらには心臓以外の他臓器治療への応用を議論すること等について、朝日インテック株式会社と合意に至っております。 e.PJ5 体内再生因子誘導剤 オキシム誘導体(YS-1301)を低用量使用することにより、組織の再生を促進する各種体内再生因子(肝細胞増殖因子(HGF)、血管内皮増殖因子(VEGF)、ストローマ由来因子(SDF-1)(※19)、骨髄細胞動員因子(HMGB1)等)が誘導される薬理作用に基づき、細胞保護、抗線維化、抗炎症作用による血管新生、組織再生が期待されます。 具体的には、肝硬変・非アルコール性脂肪肝炎(NASH)(※20)、閉塞性動脈硬化症(ASO)(※21)、慢性腎不全(CKD)(※22)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)(※23)等への治療薬としての開発を目指します。 オキシム誘導体をごく低用量使用する治療薬とすることから、安全性の担保がなされているのも特徴となります。 また、本案件は、開発済の化合物を活用するドラッグリポジショニング(※24)であり、効率的な開発、製品化を目指すものです。 大阪大学との探索研究を進めている他、2023年10月には国立大学法人新潟大学と共同研究契約を締結し、肝硬変・非アルコール性脂肪肝炎(NASH)等の肝疾患モデル動物を対象に体内再生因子誘導剤を投与し、炎症や線維化の抑制、肝機能改善等の効果を検証しております。 また、2024年11月には大阪大学と共同研究契約を締結し、炎症性腸疾患の病態改善効果を検証しております。 以上が、当社が有する研究開発パイプラインとなります。 当社は、日本で発明されたiPS細胞による世界初のヒトiPS細胞由来心筋細胞を用いた最先端の再生医療技術の研究開発及び実用化の実績と経験に裏付けされた高い技術力により、iPS細胞による次世代の再生医療技術はもとより、アカデミアによる有望なシーズの実用化支援、様々な周辺技術を開発する企業等との共同研究開発アライアンス、受託開発及び受託製造を通じて、国内外の再生医療分野の迅速かつ健全な普及発展に寄与するべく、当社のリソースを最大限に活用した積極的な事業展開を進めてまいります。 現在、ヒトiPS細胞由来心筋細胞シートによる重度の心疾患の治療から、カテーテルを活用した新しい治療技術による軽度の心疾患の治療に至るまで、特定の疾患領域に限定せず、心臓における幅広い領域の治療に対応すべく、当社が有する再生医療技術の実用化に向けた研究開発を進めているところです。 (5) CDMO事業 ヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの研究開発・事業化を通じて培った大量培養技術・ノウハウ及び独自の設計コンセプト(特許出願中)に基づき、効率的かつ実効的な最先端の商業用細胞培養加工施設「CLiC-1」を活用し、様々な細胞製品のCDMO事業にも取り組んでおります。 CLiC-1は、上記の独自設計コンセプトに加え、製造プロセス開発や非臨床細胞製造が可能なラボを併設しており、これらの施設や技術ノウハウを最大限に活用した製造プロセスの初期検討から非臨床、臨床試験、商用製造に至るまでのスケーラブルな開発をワンストップで進めることを可能としております。 これにより、各段階で多大な労力と時間及びコストが強いられる技術移管等を大幅に効率化することに成功し、再生医療技術の開発や安全で安定した治療用細胞の製造及び提供に寄与するため、再生医療等安全性確保法に基づく「特定細胞加工物製造許可」(施設番号:FA5210001)を2021年9月に取得し、活発な事業活動を展開しております。 大企業が有する大規模な細胞培養加工施設では対象としない、少量製造も対応するのが当社サービスの強みでもあります。 小回りの利いたきめの細かいサービスを提供することで、バイオベンチャーからの引き合いも増加しているところです。 また、2025年4月から開催されている「2025年日本国際博覧会」(大阪・関西万博)において、株式会社パソナグループが出展するパビリオン「PASONA NATUREVERSE」及び大阪府・大阪市が出展するパビリオン「大阪ヘルスケアパビリオン」向けに当社が開発・製造したiPS心臓や心筋細胞シートが展示されており、当該展示物に当社の技術が活用されています。 (6) その他ビジネス 2023年12月に連結子会社としてクオリプスヘルスケアサイエンス株式会社を設立し、メーカー等へ原材料供給を行うため、研究開発、動物実験等を通じて、同供給の企画推進を行っています。 (7) 今後の展開 当社グループにとって最初のプロジェクト製品となる「PJ1 ヒトiPS細胞由来心筋細胞シート(対象疾患:虚血性心疾患(国内))」の製造販売承認の取得と、製造販売に必要となる体制の整備を優先に取り組んでまいります。 具体的には、当社のヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの製造販売承認の取得後を見据え、製造販売後調査のための体制整備や販売及び流通のためのロジスティクスの構築等であります。 ヒトiPS細胞由来心筋細胞シートについては、当社自身での販売及びプロモーション活動を行い、販売先を確保する方針であり、営業・販売活動の人員を含む必要なリソースの確保を行うと共に、販売先の拡大とそれを支える製造販売体制の充実に努めます。 さらに、これまでに得られた高度な技術及び知見を蓄積した人材、並びに先進的な設備等のリソースを最大限活用した様々な事業展開が考えられます。 例えば、海外展開においては日本での治験等の結果をベースに欧米の製薬企業等へライセンスを供与する、又は米国での治験を行い、さらに付加価値を高めてからジョイントベンチャーを設立し、欧米企業との提携若しくは出資関係の構築又はライセンス供与を行うこと、心臓以外の他臓器への再生医療事業への展開、より低侵襲性の心不全への治療製品の開発等、様々な方策を検討しております。 開発が先行しているヒトiPS細胞由来心筋細胞シートは、文字どおり心筋に作用し、血管新生因子等を出すことで心疾患の治療に資するものとして開発を進めているところです。 心筋細胞シートにより産出される血管新生因子は周辺の細胞にも作用するパラクライン効果が推定されておりますが、これは心筋細胞だけではなく、その他の細胞にも同様の作用があるものと考えております。 将来的には、当社が有する心筋細胞シートの技術を心臓だけではなく、肝臓やその他の臓器にも応用することで、様々な部位の疾患に対する治療製品の開発を展開していきたいと考えております。 当社グループはバイオベンチャーとして、複数のパイプラインを抱えており、既に、探索研究、非臨床研究も推進しております。 こうしたパイプラインについても、今後、大手製薬企業との研究開発アライアンスにより、マイルストーン契約的な事業モデルを選択する可能性もあります。 当社グループが、ヒトiPS細胞由来の再生医療等製品の開発・商業化を進めていくためには、財政基盤を盤石にしていくことが不可欠です。 外部からの資金調達や資金提供だけでなく、CDMO事業やその他ビジネスを成長させることにより獲得する収益は、当社グループの財政基盤の強化にも資するものとなります。 当該事業の更なる強化のために、提供するサービスの品質向上に加え、営業・マーケティングの強化等、収益力の強化を図る取り組みを進めてまいります。 [全体事業系統図] 当社グループは、従来の研究開発を中心としたバイオベンチャー企業とは異なり、商業用細胞培養加工施設と技術を活用し、アカデミア、製薬企業、医療機器メーカー等をつなぎ合わせ、探索研究から商用生産までワンストップで提供すること、及び難治性疾患に対するものを含む次世代の治療モダリティや関連するソリューションを創造し提供することを目指しております。 また、再生医療等製品の開発・商業化だけではなく、研究開発ラボと商業用細胞培養加工施設を一体化したCLiC-1を活用し、アカデミアによる有望なシーズの実用化支援、様々な周辺技術を開発する企業等との共同研究開発アライアンスを推進し、CDMO事業等を通じて再生医療分野の迅速かつ健全な普及発展に寄与すると共に、他のパイプラインとは異なる市場へのアプローチを行い、リソースを最大限に活用した積極的な事業展開を進めてまいります。 (8) 用語解説等※1分化誘導幹細胞を異なる細胞種に変化させること。 ※2骨格筋芽細胞骨格筋内に存在する未分化性の細胞であり、発生期や再生期に増殖して筋細胞に分化する細胞。 ※3治療モダリティ治療技術や手段の意味。 モダリティは「様式」といった意味があるが、医療分野では、技術の方法や手段の分類を指す。 ※4医師主導治験製薬企業が主体的に行う企業治験に対して、医師が自ら治験を行うこと。 2003年の薬事法改正により、医師主導治験が可能となっている。 医師主導治験においても、企業が治験薬や資金等を提供するなどの支援は可能であるが、治験準備から試験の実施、試験結果の結論付けなどは治験責任医師が実施することであり、治験の根本に係るプロセスに企業は関与しないことが原則である。 したがって、治験を実施した医師等が報告・公表するまで、企業は試験の実施状況や結果などの情報を得ることは困難である。 ※5局所制御技術開口部に扉を設けないことで、開口部からブース外へ一方向の気流を形成させ、再生医療等製品の製造を行うエリアを高い清浄度に保つ技術。 ダイダン株式会社が開発したクリーンブースに当該技術が導入されている。 ※6サイトカインさまざまな細胞から分泌され、特定の細胞の働きに作用するタンパク質。 ※7レシピエント心筋レシピエントとは、臓器移植等における臓器の受容側を指す。 この場合、動物実験におけるヒトiPS細胞由来心筋細胞を受け入れた動物の心筋を指す。 ※8他家細胞患者以外の別の方の細胞。 他家細胞に対し、患者自身の細胞は自家細胞という。 ※9補助人工心臓装置(VAD)様々な原因により急性あるいは慢性の経過から重度の心不全状態(急性心原性ショックを含む)に陥ってしまった心臓の代わりとして、血液循環を補助するポンプ機能を補う医療機器。 VADは、Ventricular Assist deviceの略。 ※10侵襲医学的には、生体の恒常性を乱す事象のこと。 怪我、病気に加え、手術、投薬等の医療行為による影響を意味する。 ※11NYHAニューヨーク心臓協会(New York Heart Association)の略称。 NYHA心機能分類は、NYHAが心機能を重症度に応じて、以下の四つに分類したもの。 I度:心疾患を有するが、そのために身体活動が制限されることのない患者Ⅱ度:心疾患を有し、安静時には無症状であるが、通常の活動で疲労、動悸、呼吸困難、狭心症になる患者Ⅲ度:心疾患を有し、身体活動が高度に制限される患者であり、通常以下の活動で疲労、動悸、呼吸困難、狭心症になる患者Ⅳ度:非常に軽度な活動や安静時でも心不全や狭心症を起こす患者※12順天堂医院における移植事例2022年9月12日付の順天堂大学発表ニュースリリースhttps://www.juntendo.ac.jp/news/00616.html※13「コホートA」論文https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fcvm.2023.1182209/full※14微小循環心筋組織内の細い血管から成る血管網のこと。 心臓の筋肉に酸素や栄養を届け、老廃物を回収する役割を担う。 ※15朝日インテック株式会社との共同開発2022年4月12日付の同社発表ニュースリリースhttp://www.asahi-intecc.co.jp/r/2977/※16急性心筋梗塞(AMI)心臓の血管が詰まり血流が止まることで、心筋に酸素と栄養が十分に供給されないことで心筋が壊死した状態となる病気。 体内に酸素等が十分に供給されなくなることで、致死的な状態となる可能性がある。 AMIはAcute myocardial infarctionの略。 ※17慢性完全閉塞性病変(CTO)心臓の冠動脈が3か月以上にわたり完全に閉塞し、血流が止まっている状態。 CTOはChronic Total Occlusionの略。 ※18経皮的冠動脈インターベンション(PCI)虚血性心疾患に対して、冠動脈内腔の狭窄部分にカテーテルを使用して拡張する治療法。 PCIはPercutaneous Coronary Interventionの略。 ※19ストローマ由来因子(SDF-1)ストローマ(Stromal Cell)とは、臓器の結合組織の細胞であるストローマ細胞を指す。 ストローマ細胞から派生する因子の意。 SDFはStromal Cell-Derived Factorの略。 ※20肝硬変・非アルコール性脂肪肝炎 (NASH)非アルコール性脂肪性疾患の一部。 脂肪変性、炎症、肝細胞障害等を伴う。 病状が進行した場合、肝硬変や肝臓がんにもつながる。 NASHはNonalcoholic Steatohepatitisの略。 ※21閉塞性動脈硬化症(ASO)手足の血管動脈の硬化が進行し、狭窄や閉塞が発生することにより、血流が悪化する病気。 手足に酸素、栄養分の供給が不足することとなり、冷感、しびれ感、間歇性跛行(歩行中の足の痛み)、疼痛、潰瘍、壊疽等の症状が発生し、症状が進行した場合には、手足の切断に至る場合もある。 ASOはArterio-Sclerosis Obliteransの略。 ※22慢性腎不全(CKD)腎臓の機能が低下し、老廃物を十分に排泄できなくなった状態。 病状が進行した場合、定期的な透析や腎臓移植が必要となる。 CKDはChronic Kidney Diseaseの略。 ※23慢性閉塞性肺疾患(COPD)タバコ等の有害物質を長期吸引することで発症する病気。 以下のような症状を伴う。 ① 気管支に炎症がおき咳や痰が出る、気管支が細くなることによって空気の流れが低下する。 ② 気管支の奥にあるぶどうの房状の肺胞が破壊され、酸素の取り込みやCO2の排出する機能が低下する。 COPDはChronic Obstructive Pulmonary Diseaseの略。 ※24ドラッグリポジショニング既存薬再開発とも言う。 開発済の薬や化合物を、別の疾患治療用に開発を行うもの。 ゼロから開始する新薬開発に比べ、安全性や危険性が明らかになっていること、開発にかかる費用の削減や時間の短縮が可能となること等の利点があげられる開発手段。 |
関係会社の状況 | 4【関係会社の状況】 名称住所資本金主要な事業の内容議決権の所有割合又は被所有割合(%)関係内容(連結子会社)クオリプスヘルスケアサイエンス株式会社東京都中央区10,000千円原材料供給の研究開発、企画立案等 所有99.3・研究開発、製造及び管理業務の受託・役員の派遣(連結子会社)iReheart Inc.米国カリフォルニア州1,598米ドル米国における当社製品の研究開発、事業化等 所有100.0・役員の派遣 |
従業員の状況 | 5【従業員の状況】 (1)連結会社の状況 2025年3月31日現在セグメントの名称従業員数(人)再生医療等製品事業56(3)合計56(3)(注)1.従業員数は就業人員(契約社員含む。 )であり、臨時雇用者数(人材会社からの派遣社員を含む。 )は、年間の平均人員を( )外数で記載しております。 2.当社グループは、再生医療等製品事業の単一セグメントであるため、全社の従業員数を記載しております。 (2)提出会社の状況 2025年3月31日現在従業員数(人)平均年齢(歳)平均勤続年数(年)平均年間給与(円)55(3)42.12.96,103,923(注)1.従業員数は就業人員(契約社員を含む。 )であり、臨時雇用者数(人材会社からの派遣社員を含む。 )は、年間の平均人員を( )外数で記載しております。 2.平均年間給与は、基準外賃金を含んでおります。 (3)労働組合の状況 労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。 (4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異 提出会社及び連結子会社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。 |
経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 | 1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)経営方針 当社グループは、『こころ 動かそう いのち つなごう』を標語として、ひとびとが、命ある限り、健康で幸せな生活を送るために、技術とこころ、科学と人間をつなぎ、世界中のひとびとの健康と人生に貢献する新たな医療を作り出していくことを経営理念としております。 当社グループはヒトiPS細胞由来の細胞加工物の製造方法に関する研究開発を推進し、安定的かつ効率的で、安全で信頼性の高い細胞加工物を生み出す高レベルな生産技術を確立した上で再生医療等製品としての製造販売の承認を目指しております。 また、ヒトiPS細胞由来の再生医療等製品に限らず、新しい細胞製品の製造・実用化にも取り組み、その周辺技術とともに次世代の革新的な細胞治療モダリティを提供してまいります。 (2)経営環境 2025年3月期においては、日本経済は緩やかな回復基調を維持していたものの、依然続くロシアのウクライナ侵攻や中東地域における紛争、日本を含む各国の政治体制の変動、為替相場の円安継続並びに世界各国での物価上昇等、当社グループを取り巻く経営環境においては依然として不確定要因が多い状況でありました。 今後も当社グループを取り巻く経営環境においては不透明な状況が続くと予想されます。 一方で、再生医療等製品の将来市場規模については、一般社団法人再生医療イノベーションフォーラムが作成した資料によれば、世界全体で2020年時点では約7,000億円と推計されているのに対し、2030年時点には6.9兆円、2040年時点には12兆円まで拡大すると推計されており、今後の拡大が見込まれます。 ( https://www.kantei.go.jp/jp/singi/kenkouiryou/saisei_saibou_idensi/dai10/siryou1-5.pdf)再生医療について、国内外の数多くの企業や研究機関等により技術革新は急速に進んでおります。 日本では、2014年11月に施行された「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」(以下、「再生医療等安全性確保法」)及び「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(以下、「医薬品医療機器等法」)により、再生医療分野の産業化が加速しておりますが、本格的な普及段階までには至っておりません。 (3)経営戦略 当社グループの経営戦略は以下のとおりであります。 ① 大阪大学との共同研究開発を通じて、日本国内における、ヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの研究開発の推進、製造販売承認の取得、適用拡大を推進すると共に、本製品の製造及び販売体制を整備する。 ② 各病院にヒトiPS細胞由来心筋細胞シートを搬送するロジスティックス体制を構築する。 ③ 海外での事業展開を見据えて、海外のアカデミアや大手製薬企業等との共同研究開発、提携等を推進する。 ④ 当社製品の将来的な需要増及び海外での販売に備えて、細胞の大量製造及び省力化を目的とした共同研究をパートナー企業と推進する。 ⑤ ヒトiPS細胞由来心筋細胞を使用した製品の改良、より侵襲性の低い製品の新規開発等を通じ、マーケットの拡大を図る。 ⑥ 財務基盤の向上を図るため、CDMO事業を推進する。 ⑦ 経営基盤の安定化及び向上を図るために、心臓以外の臓器の治療薬開発を行い、製品パイプラインの充実を図る。 (4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 当社グループは研究開発費が先行するタイプの企業であり、また過年度より損失を計上していることから、ROEやROA等の財務指標は、当面、当社グループの経営指標として馴染まないものと考えております。 したがって、各パイプラインにおける研究開発の進捗状況を経営上の目標の達成状況を判断するための指標としております。 なお、当社グループは、従来の創薬系バイオベンチャーが直面する、安定的な売上が計上されないまま研究開発費が先行する企業とは異なる経営戦略を採用しております。 具体的には、製造拠点を自社で保有している強みを活かし、上市製品がなくてもCDMO事業で売上を安定的に獲得することや、共同研究パートナーから共同研究開発費を受領することにより、Cash burn rate(手元流動性が減る速度)を抑え、財務体質の強化を図ることで、投資家への収益還元を早期に実現することを目指しております。 (5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 当社グループはヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの早期実用化を目指し、引き続き、大阪大学による医師主導治験の支援を行うと共に、下記の課題に対して経営陣、社員一丸となって取り組んでまいります。 なお、現時点で当面の運転資金は確保していることから、優先的に対処すべき財務上の課題で特筆すべきものはありません。 [短期的な課題]① ヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの製造販売承認の取得への対応・ガバナンス体制の構築: 当社は、ヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの製造販売承認の取得を見据え、製造販売業許可を2024年8月に取得し、また製造業許可についても2024年12月に申請しておりますが、これらの許可の要件となっているGQP/GVP省令に基づく組織の整備等について、当社の事業規模に見合った適切かつ合理的なガバナンス体制を構築してまいります。 ・製造販売承認に向けた対応: ヒトiPS細胞由来心筋細胞シートについて、製造販売承認を取得した後に必要となる製造販売後調査のための体制の整備、及び当該製品の販売・流通のためのロジスティクスの構築等に引き続き取り組んでまいります。 ② 海外展開: 当社製品の海外展開の実現に向けて、共同研究先や将来のパートナーの探索、体制の構築を行い、海外での事業化を目的とした取り組みを推進してまいります。 ③ 新たなパイプラインへの対応: ヒトiPS細胞由来細胞をカテーテルによる新たなアプローチで心臓へ移植する治療技術や、体内再生因子誘導による治療薬のみならず、新規開発パイプラインの拡充を図るべく、ヒトiPS細胞由来心筋細胞シートに続くパイプラインの試作品の開発や治験準備等、製品化に向けた取り組みを推進してまいります。 ④ 細胞の大量培養システムの開発に向けた取り組み: 当社製品の将来的な需要増及び海外での販売を見据えて、細胞の大量製造及び省力化を目的とした共同研究をパートナー企業と推進してまいります。 ⑤ 社内管理体制等の強化: 制定した社内規程の定着化に向け社内研修・啓発に努めてまいります。 また、内部監査を継続的に実施し、内部監査室、監査役会及び会計監査人の三者間で緊密な連携を図ることにより社内管理体制及びコーポレート・ガバナンスの強化を図ってまいります。 [中期的な課題]① 販売流通及び情報提供等の体制の整備: 基幹業務システムの導入、並びにロジスティクス、適正使用に必要な情報提供及び製造販売後調査に係る体制の整備・構築に取り組んでまいります。 また、ヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの国内販売については、当社自身での販売及びプロモーション活動を行い、販売先を確保する方針であり、必要なリソースの確保を行っておりますが、しかるべきタイミングで医療機関との交渉を開始し、販売先の確保に取り組んでまいります。 ② 人材の確保及び獲得: 当社グループは、社歴が浅く小規模な組織であるため、今後の企業価値向上に向けては、研究開発活動のみならず全社的に人材の確保及び拡充が重要な課題であると認識しております。 当社グループは、次世代の治療技術の開発に従事できる点や、様々な研究開発パイプラインを有する点では、従業員に様々なキャリアプランを提供できると考えております。 この優位性を人材の育成及び採用に活かすことで、優秀な人材の確保及び拡充を図ってまいります。 ③ 知財戦略: 当社グループの研究開発活動(第三者との共同研究開発を含む)により獲得した知的財産についてそれらの権利を確保し、また第三者の知的財産権を侵害しないための体制整備を構築していることが将来の事業活動を推進していく中で重要な課題であると認識しています。 そのため、当社グループの知的財産権を維持及び確保し、また第三者の知的財産権を侵害しないよう、顧問弁理士と緊密な連携を図り知的財産管理を行ってまいります。 ④ Cash burn rate(手元流動性が減る速度)を抑える取り組み: 当社グループは、研究開発型の企業であり、研究開発にかかる先行投資として長期にわたり多額の資金を必要とするため、営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスとなる状況が継続しております。 当社グループは早期の営業活動によるキャッシュ・フローのプラスへの転換に向け、製造販売承認の取得に向け取り組んでいるものの、再生医療等製品の研究開発期間は長期に渡ることから、上市製品がなくてもCDMO事業での売上を安定的に獲得することや、共同研究パートナーからの共同研究開発費の受領及び支出の抑制を通じて、Cash burn rateを抑える取り組みを行ってまいります。 |
サステナビリティに関する考え方及び取組 | 2【サステナビリティに関する考え方及び取組】 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) サステナビリティに関する考え方当社グループは、『こころ 動かそう いのち つなごう』を標語とし、世界に誇る日本の先端的な医療を基盤とした確かで安全な技術を活用し、世界中の人々の健康と人生に貢献する新たな医療を作り出すことを目標としており、現在は、主に重症心不全の患者に対する治療のための再生医療等製品の研究開発に取り組んでおります。 当社グループの製品が患者のQOL(Quality of Life)を改善することは、患者及びその家族にとって有益となるだけでなく、患者自身の社会及び経済活動への復帰が可能となることで、持続可能な社会の継続に貢献すると考えております。 また、当社グループが新たな医療手段を提供するための事業基盤を構築する上で、優秀な人材を確保及び維持することが重要であり、人材の育成、社内労働環境の整備、産業医による各従業員の健康管理、ワークライフバランスの取れた働き方の実現等を通じた人的資本の充実に全社的に取り組む必要があると考えております。 当社グループは重症心不全及びその他の疾病の治療を通じて、持続可能な社会の継続に貢献すべく、長期的な視野に立って経営活動を推進いたします。 (2) 具体的な取り組み① ガバナンス当社グループは、当社グループが直面する、あるいは将来発生する可能性のあるリスクを識別し、識別したリスクに対して組織的かつ適切な予防策を講じ、またこれらのリスクに関して何らかの事象が実際に発生した場合に適切な対応を行うため、取締役会の諮問機関として、取締役副社長を委員長とし、常勤監査役及び顧問弁護士を構成員とする「リスク管理委員会」を開催し、その審議結果を必要に応じて代表取締役社長及び取締役会に報告しております。 また、人的資本の充実に係る取組については、社外の社会保険労務士が労務状況をモニタリングし、その運用状況の確認を行っております。 ② 戦略 当社グループは、商業用細胞培養加工施設と細胞培養加工技術を活用し、アカデミア、製薬企業、医療機器メーカー等をつなぎ合わせ、探索研究から商用生産までワンストップで提供すること、及び難治性疾患に対するものを含む次世代の治療モダリティや関連するソリューションを創造し、迅速に提供することを目指しており、従来の研究開発を中心としたバイオベンチャーとは異なった経営戦略を採用しております。 競争力の源泉は、先端的な研究開発を行う研究者及び研究開発成果を製品として実現する製造担当者にあり、人材の育成及び社内環境の整備は優先して取り組むべき事項であると考えております。 そのため、当社グループは、戦略的に社内環境の整備や教育等の人的資本に対する投資を積極的に行うことを計画しております。 当社グループでは、人材の育成及び社内環境整備及びワークライフバランス等を踏まえた人的資本の充実を図る取組を進めております。 ・男性の育児休業及び在宅勤務の促進。 ・有給休暇の取得促進。 (有給休暇取得日数 当連結会計年度:平均9.8日)。 ・小学3年生までの子の看護休暇について、無給休暇を年5日間(子が2人以上の場合は10日間)、有給休暇を年5日間付与。 また、看護しながら仕事ができる在宅勤務制度を導入。 ・要介護状態にある家族の介護休暇について、無給休暇を年5日間(介護対象者が2人以上の場合は10日間)、有給休暇を年5日間付与。 ・看護休暇及び介護休暇において、更なる利便性向上の為、半日・時間単位での取得も可能。 ・育児介護中の勤務者に対し短時間勤務制の適用や、インターバル制の適用等、各人に合った働き方の提供。 ・社外の専門資格の取得・維持の補助、学会等への参加の推奨。 ③ リスク管理 リスク管理委員会では、当社グループに影響を与えると思われるリスクの洗い出しと評価を行い、その影響度と発生の可能性から議題を選定しています。 定期及び必要に応じ臨時に会議を開催し、リスク事例の共有や、リスク対策課題の策定とその対応策について議論しています。 リスク分析の結果につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しております。 ④ 指標及び目標 当社グループは、「② 戦略」に記載のとおり、ワークライフバランスを踏まえた取り組みを行っております。 その指標目標として、以下のとおり、有給休暇の取得の促進を設定しております。 当連結会計年度目標実績有給休暇取得日数有給休暇取得日数 平均10.0日有給休暇取得日数 平均9.8日 当連結会計年度では前連結会計年度実績(平均8.6日)と比較して有給休暇取得日数が増加し、概ね目標を達成しております。 また、取得日数の更なる増加のため、制度の改正を検討しており、引き続き有給休暇の取得を促し、従業員のワークライフバランスの向上を目指してまいります。 当社グループでは、「② 戦略」に記載のとおり、人的資本の充実を図る取組に関して、今後も検討、策定を進めてまいります。 |
戦略 | ② 戦略 当社グループは、商業用細胞培養加工施設と細胞培養加工技術を活用し、アカデミア、製薬企業、医療機器メーカー等をつなぎ合わせ、探索研究から商用生産までワンストップで提供すること、及び難治性疾患に対するものを含む次世代の治療モダリティや関連するソリューションを創造し、迅速に提供することを目指しており、従来の研究開発を中心としたバイオベンチャーとは異なった経営戦略を採用しております。 競争力の源泉は、先端的な研究開発を行う研究者及び研究開発成果を製品として実現する製造担当者にあり、人材の育成及び社内環境の整備は優先して取り組むべき事項であると考えております。 そのため、当社グループは、戦略的に社内環境の整備や教育等の人的資本に対する投資を積極的に行うことを計画しております。 当社グループでは、人材の育成及び社内環境整備及びワークライフバランス等を踏まえた人的資本の充実を図る取組を進めております。 ・男性の育児休業及び在宅勤務の促進。 ・有給休暇の取得促進。 (有給休暇取得日数 当連結会計年度:平均9.8日)。 ・小学3年生までの子の看護休暇について、無給休暇を年5日間(子が2人以上の場合は10日間)、有給休暇を年5日間付与。 また、看護しながら仕事ができる在宅勤務制度を導入。 ・要介護状態にある家族の介護休暇について、無給休暇を年5日間(介護対象者が2人以上の場合は10日間)、有給休暇を年5日間付与。 ・看護休暇及び介護休暇において、更なる利便性向上の為、半日・時間単位での取得も可能。 ・育児介護中の勤務者に対し短時間勤務制の適用や、インターバル制の適用等、各人に合った働き方の提供。 ・社外の専門資格の取得・維持の補助、学会等への参加の推奨。 |
指標及び目標 | ④ 指標及び目標 当社グループは、「② 戦略」に記載のとおり、ワークライフバランスを踏まえた取り組みを行っております。 その指標目標として、以下のとおり、有給休暇の取得の促進を設定しております。 当連結会計年度目標実績有給休暇取得日数有給休暇取得日数 平均10.0日有給休暇取得日数 平均9.8日 当連結会計年度では前連結会計年度実績(平均8.6日)と比較して有給休暇取得日数が増加し、概ね目標を達成しております。 また、取得日数の更なる増加のため、制度の改正を検討しており、引き続き有給休暇の取得を促し、従業員のワークライフバランスの向上を目指してまいります。 当社グループでは、「② 戦略」に記載のとおり、人的資本の充実を図る取組に関して、今後も検討、策定を進めてまいります。 |
人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略 | 当社グループでは、人材の育成及び社内環境整備及びワークライフバランス等を踏まえた人的資本の充実を図る取組を進めております。 ・男性の育児休業及び在宅勤務の促進。 ・有給休暇の取得促進。 (有給休暇取得日数 当連結会計年度:平均9.8日)。 ・小学3年生までの子の看護休暇について、無給休暇を年5日間(子が2人以上の場合は10日間)、有給休暇を年5日間付与。 また、看護しながら仕事ができる在宅勤務制度を導入。 ・要介護状態にある家族の介護休暇について、無給休暇を年5日間(介護対象者が2人以上の場合は10日間)、有給休暇を年5日間付与。 ・看護休暇及び介護休暇において、更なる利便性向上の為、半日・時間単位での取得も可能。 ・育児介護中の勤務者に対し短時間勤務制の適用や、インターバル制の適用等、各人に合った働き方の提供。 ・社外の専門資格の取得・維持の補助、学会等への参加の推奨。 |
人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績、指標及び目標 | 当社グループは、「② 戦略」に記載のとおり、ワークライフバランスを踏まえた取り組みを行っております。 その指標目標として、以下のとおり、有給休暇の取得の促進を設定しております。 当連結会計年度目標実績有給休暇取得日数有給休暇取得日数 平均10.0日有給休暇取得日数 平均9.8日 当連結会計年度では前連結会計年度実績(平均8.6日)と比較して有給休暇取得日数が増加し、概ね目標を達成しております。 また、取得日数の更なる増加のため、制度の改正を検討しており、引き続き有給休暇の取得を促し、従業員のワークライフバランスの向上を目指してまいります。 当社グループでは、「② 戦略」に記載のとおり、人的資本の充実を図る取組に関して、今後も検討、策定を進めてまいります。 |
事業等のリスク | 3【事業等のリスク】 当社グループの事業運営及び展開等について、リスク要因として考えられる主な事項を以下に記載しております。 また、投資判断上、当社グループの事業活動を十分に理解する上で重要と考えられる事項についても、投資家や株主に対する積極的な情報開示の観点からリスク要因として挙げております。 ただし、これらは投資判断のためのリスクを全て網羅したものではありません。 当社グループはこれらのリスクの発生可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の適切な対応に努める方針ですが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えます。 当社グループは再生医療等製品及び医薬品、バイオ原料及びバイオ製品並びにその他の製品(以下本項目において、総称して「再生医療等製品等」という。 )の研究開発を行っておりますが、それらの研究開発には長い年月と多額の費用を要し、またすべての研究開発が成功するとは限りません。 特に研究開発段階のパイプラインを有する製造・開発型バイオベンチャー企業は、事業のステージや状況によっては、投資家の投資対象として相対的にリスクが高いと考えられており、当社株式への投資はこれに該当します。 なお、文中の将来に関する記載は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、不確実性を内包しているため、実際の結果とは異なる可能性があります。 (1) 再生医療等製品等の研究開発及び製造販売に関するリスク① 医薬品医療機器等法及び再生医療等安全性確保法等の法的規制について(発生可能性:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大) 当社グループは、ヒトiPS細胞由来心筋細胞シートを始めとする再生医療等製品等の開発、製造及び販売を行うため、「医薬品医療機器等法」、「再生医療等安全性確保法」、「製造物責任法」及び「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」等、多数の国内外の法的規制を受けております。 当社グループは、事業に関連する法規制について、業界団体等を通じた情報収集、社内チームでの検討や、専門家からの助言に基づき、関連法令等の遵守の徹底と管理体制の構築を図っておりますが、当社グループが法規制に抵触しているとして、法令等に基づく許可・登録の取り消し処分等を受けた場合、事業の停止や当社グループに対する社会的信用の失墜により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 また、当社グループに関連する法令等の改廃や新規の法的規制の制定により、事業の継続が困難になる場合や、多額の追加コストが発生する場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ② 薬価制度と医療費抑制政策について(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大) 当社グループは、ヒトiPS細胞由来心筋細胞シートについての日本国内での製造販売承認の取得を最優先に取り組んでいます。 日本においては、増嵩する医療費を抑制するため、定期的な薬価の引き下げや後発医薬品の使用促進等が進んでいます。 当社グループが開発するヒトiPS細胞由来心筋細胞シート等の再生医療等製品及び医薬品が国内での製造販売承認を取得した場合、当然ながら薬価政策の影響を受けることになりますが、将来的に薬価が大きく引き下げられる場合には、収益性の低下により当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ③ 製品の安全性について(発生可能性:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大) 再生医療等製品等の研究開発においては、新しい研究開発成果や安全性及び有効性に関する知見が日々発見されております。 現在、治験などの研究開発活動を通じてヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの安全性を慎重に確認している段階でありますが、重大な健康被害につながる顕在化したリスクとしては確認されたものはありません。 しかしながら、今後、治験実施時又は製造販売承認の取得後であっても、研究開発段階又は製造販売承認時には想定できなかった又は発見できなかった事由による健康被害が発生する可能性は否定できません。 また、多様な再生医療等製品においては、製品ごとに安全性に関する懸念事項は異なることもあり、現段階では再生医療等製品として安全性が一般的に確立された状況ではありません。 同様に、ヒトiPS細胞由来心筋細胞シート以外の研究開発中の再生医療等製品等についても、その安全性及び有効性を慎重に確認しておりますが、研究開発段階には想定できなかった又は発見できなかった事由による健康被害が発生する可能性は否定できません。 そのため、そのような健康被害が発生した場合には、販売停止による売上高の減少等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ④ 研究開発の不確実性について(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大) 当連結会計年度末現在、当社グループはヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの製造販売承認の取得に向けた開発を行っているほか、複数の製品の研究開発を行っている段階であり、売上高を獲得できる段階には至っておりません。 当社は引き続きヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの開発及びその他の製品の研究開発を進めてまいりますが、それらの研究開発には不確実性が伴うため、開発活動が想定どおり進まない、又は承認の取得に想定以上の時間を要することで、製品の上市時期に遅れが生じた場合には、売上高の獲得の開始時期が遅れ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼします。 また、ヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの安全性や有効性が認められず、製品の開発を中止する場合若しくは製造販売承認が取得できない場合、又は適応対象の限定など当初想定どおりの内容の承認を取得できない場合には、売上高の全部又は一部を獲得できず、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼします。 承認が下りた後においても、再審査の結果、承認が取り消される可能性や、追加調査に伴うコストが発生する可能性があります。 さらに、ヒトiPS細胞由来心筋細胞シートが当初想定どおりの製造販売承認の取得に至った場合であっても、複数のパイプラインによる収益の多角化を進め、特定のパイプラインによる収益の依存度を低減する必要があると考えておりますが、特定の製品に依存するビジネスモデル下において、当該製品の収益性を損なうような事象が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑤ 技術革新と競合について(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大) 国内外の数多くの企業や研究機関等により、再生医療領域に限らず、新たな再生医療等製品等に関する研究開発が行われており、技術革新は急速に進んでいる状況にあります。 したがって、当社グループがこれからも優位性をもって事業を継続できるとは限らず、競合相手の研究開発の成果、新たな製造方法の確立、競合製品の安全性・有効性によっては当社グループの優位性が損なわれ、売上高が減少することで、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑥ 製造販売体制について(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:2年以内、影響度:大) 当社グループは、再生医療等製品等に関する研究開発のみならず、その製品化並びに製造及び販売も事業の目的としております。 そのため、当社グループでは、自社で商業用細胞培養加工施設を保有するなど、製品の製造及び販売に向けた体制の確立に向けて注力しております。 しかしながら、製造及び販売に従事する人材の確保が計画どおりに進まない場合や、大量培養技術の確立や大量培養をするための体制構築が想定どおり進まない場合、また、原材料等及び製品に係るロジスティクスの構築が想定どおり進まない場合若しくは想定以上のコストを要する場合、天災地変により細胞培養加工施設の稼働維持が困難となった場合等には、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。 当社グループの再生医療等製品等の製造に当たっては、特定のサプライヤーのみ供給可能である特殊な原材料等があるため、それらの不足が生じないように一定量の事前確保等の対応を講じておりますが、当該原材料が不足した場合には、再生医療等製品等の安定的な供給に問題が生じる可能性があり、それによって当社グループの事業活動に支障が生じ、経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。 さらに、当社グループは、製造販売承認された再生医療等製品及び医薬品等については、販売先となる医療機関等との交渉を進め、またバイオ原料及びバイオ製品並びにその他の製品についても積極的に販売先を確保する方針ですが、競合製品の台頭等により当社グループの事業計画を達成するための販売先の確保ができない場合や各販売先への販売数量が当社グループの想定する需要を下回った場合、販売先及び販売数量の確保が計画どおりに進まず、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ⑦ 製造物責任について(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大) 当社グループが再生医療等製品及び医薬品の製造販売承認を取得した場合、製造物責任賠償のリスクが存在しております。 また、バイオ原料及びバイオ製品並びにその他の製品についても当社が製造を行うことから、同様に製造物責任賠償のリスクが存在しております。 当社グループは、必要に応じて製造物責任保険を付保する予定でおりますが、最終的に当社グループが負担すべき全額を補填できるとは限りません。 そのため、当社グループの再生医療等製品等が患者又は消費者への健康被害を引き起こし、当社グループが製造物責任を負う場合には、売上高の減少、賠償額の支払、販売製品の回収の他、当社グループの信用失墜を招くことになり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 ⑧ 知的財産権について(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大) 当社グループは、研究開発活動等により獲得した技術・ノウハウ等について、顧問弁理士等の助言に基づき、日本国内外での特許権等をはじめとした知的財産権を確保するよう努めております。 また、当社グループが第三者の知的財産権を侵害しないよう顧問弁理士等に調査を依頼しております。 しかしながら、第三者により当社グループの知的財産権が侵害された場合や当社グループが第三者の知的財産権を侵害したことにより差止命令・処分を受け又は損害賠償を支払う場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 また、当社グループは職務発明規程その他の社内規程を制定しており、役員及び従業員等の職務発明等の譲渡を受ける体制を整えておりますが、特許法等の定めにより、それらの譲渡を受けるに当たっては「相当の対価」を支払う必要があるとされています。 これまで発明者等との間で問題は生じておりませんが、将来において発明者等との間で対価についての紛争が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 さらに、当社グループが日本及びその他の国において出願した知的財産権が拒絶査定により登録されなかった場合、又は競業他社が先んじて出願し権利を取得した場合には、当社グループが当該知的財産権について法的保護を受けることができない状況、又は当該知的財産権を使用できない状況となり、当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。 また、製品の開発及び製造等の当社グループの事業活動において、他社の知的財産権を利用する必要がある場合には、当該他社との交渉等を行いますが、他社から知的財産権の利用の許諾を得られない場合、又は交渉の過程で想定を上回る利用料を提示された場合は、当社グループの事業活動に支障が生じ、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (2) 事業活動に関するリスク① 小規模組織及び少数の事業推進者への依存について(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大) 当社グループは、従業員56名(臨時雇用者除く)の小規模組織であり、現在の内部管理体制はこのような組織規模に応じたものとなっています。 今後、業容拡大に応じて内部管理体制の拡充を図る方針であります。 また、当社グループの事業活動は、経営者、各部門責任者及び特定の研究開発要員に強く依存するところがあります。 特に、当社グループが製造販売を目指しているヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの主たる開発者であり、当社の取締役 最高技術責任者でもある澤芳樹大阪大学大学院医学系研究科名誉教授は、その経験、見識及び人脈等を含め当社グループの事業活動において非常に重要な役割を果たしています。 そのため、常に優秀な人材の確保と育成、経験、見識及び人脈等の承継に努めてまいりますが、人材の確保や育成が順調に進まない場合、また人材の流出が発生した場合には、研究開発活動や製造活動等に遅延が生じるため、当社グループの事業活動に支障が生じる可能性があります。 ② 特定の取引先への依存について(発生可能性:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大) 当社は、2017年9月に第一三共株式会社と「共同研究開発契約」を締結し、心不全治療に用いるヒトiPS細胞由来心筋細胞製造法及びシート化技術の確立、製造販売承認申請に必要な非臨床及び臨床試験の実施、当該製品の製造販売承認の取得を目的とした共同研究開発を行ってまいりました。 これにより、当該共同研究開発に関して、当社は第一三共株式会社から研究開発費の受け入れを行うと共に、知的財産権等のライセンスの供与を受けております。 当社は、今後も第一三共株式会社とは良好な関係を維持し、共同研究開発等を継続していく方針でありますが、当社にとって不利な条件で契約が改定され又は契約が終了した場合には、研究開発活動の遅延、販売計画の未達等、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ③ 特定団体への依存について(発生可能性:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大) 当社は、国立大学法人大阪大学大学院医学系研究科 心臓血管外科の研究成果であるヒトiPS細胞由来心筋細胞シートを再生医療等製品として製造及び販売することを目的として設立した企業であります。 大阪大学とは、2016年9月に「共同研究講座設置契約書」を締結し、iPS細胞を用いた重症心不全治療の実用化に向け研究を進めてまいりました。 現在においても大阪大学は、当社グループの研究開発活動において重要なパートナーであります。 また、当社グループが使用しているiPS細胞に直接関連する特許は、iPS細胞と同様、国立大学法人京都大学のiPS細胞研究所において確立されたものであり、同大学より当該特許権の実施許諾事業を任されているiPSアカデミアジャパン株式会社との間で特許ライセンスに係る契約をそれぞれ締結しております。 当社グループは、今後も大阪大学及びiPSアカデミアジャパン株式会社等とは良好な関係を維持し、共同研究開発等を継続していく方針でありますが、当社グループにとって不利な条件での契約改定又は契約が更新されなかった若しくは解除に至った場合には、研究開発活動の遅延等、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ④ 風評被害の発生について(発生可能性:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中) 当社グループや当社グループが属する業界に対する否定的な風評が、マスコミ報道やインターネット上の書き込み等により発生・流布した場合、それが正確な事実に基づくか否かに関わらず、当社の社会的信用に影響を及ぼすため、売上高の減少や取引先との契約解消等、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑤ 情報管理について(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大) 当社グループの事業において、研究又は開発途上の知見、技術、ノウハウ等は非常に重要な秘密情報であります。 当社グループは、その流出リスクを軽減するため、役員及び従業員並びに取引先等への守秘義務の設定、並びにクラウドストレージサービスを利用しての細かいアクセス制限の設定や会社指定デバイス以外からの社内ネットワークへの接続の禁止等、秘密情報の管理体制の整備などに努めております。 しかしながら、不正アクセス等により、当社グループの知見、技術、ノウハウ等が流出した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 また、当社グループの事業運営においては、クラウドサービスなどを積極的に活用し、システムダウンリスクの低減に努めていますが、それらのクラウドサービスの障害、停止などにより、当社グループの業務が長時間にわたり中断した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑥ 電力不足による研究開発活動及び生産活動の停滞について(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大) 当社グループは、研究開発活動及び生産活動において、多数の電子機器や機械装置を使用しております。 当社グループは重要な原材料の分散保管や施設での緊急時の電力確保等、その対応に努めておりますが、電力不足による停電等が生じた場合には、当社グループの研究開発活動及び生産活動等、事業活動に支障が生じる可能性があります。 ⑦ 大規模な自然災害又は感染症の流行の発生について(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大) 当社グループの事業拠点の周辺地域において大規模な自然災害や感染症の流行等が発生した場合、当社グループは従業員及び関係者等の安全を最優先に考え事業運営を行います。 当社グループは重要な原材料の分散保管や施設での緊急時の電力確保等、その対応に努めておりますが、施設や設備機器の損壊、サプライチェーンの分断による長期間の原材料の供給不足や高騰、出荷の停滞、従業員の就労不能等が発生する場合には、当社グループの継続的な事業活動に支障が生じ、また代替品の調達や施設等の修補のために追加費用が生じるため、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑧ 海外原材料及び資材の不足及び入手困難について(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大) 当社グループは、研究開発活動及び生産活動に使用するヒトiPS細胞については当面必要となる量を既に確保しておりますが、原材料及び資材については、日本国外で製造されるもの又は日本国外の原材料を使用して製造されるものがあります。 そのため、戦争・紛争や経済情勢の変動等による製造の停止・遅延、取引の禁止・制限、物流の停滞、価格の高騰等が発生した場合には、当社グループの研究開発活動及び生産活動等の事業活動に支障が生じ、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (3) 業績・財政状態に関するリスク① 損失計上と資金繰りについて(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大) 当社グループは、現状、公募増資及び第三者割当増資による資金調達や、共同研究開発のパートナー企業からの共同研究開発費を受領しており、資金繰りを維持できております。 しかし、当社グループは、研究開発型の企業であり、研究開発にかかる先行投資として長期にわたり多額の資金を必要とするため、その費用負担により当期純損失を計上し、営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスとなる状況が継続しております。 また一方で、当社はCDMO事業を開始したものの、現状では黒字化を達成するほどの安定的な収益源を獲得するには至っておりません。 このため、当社グループは、製品が上市し、安定的な収益源を確保するまでの期間においては、必要に応じて適切な時期に増資等を含めた資金調達等を実施する可能性がありますが、必要なタイミングで資金を確保できなかった場合は、当社グループの事業の継続に重大な懸念が生じる可能性があります。 ② 固定資産の減損について(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中) 当社グループは、自社研究施設を兼ね備えた商業用細胞培養加工施設を設置したこと等による固定資産を多額に計上しております。 保有する固定資産については、固定資産の減損に係る会計基準等に従い、減損の兆候を識別した場合には、将来キャッシュ・フローを見積り、減損損失の認識の要否を検討しております。 現時点で固定資産の回収可能性に問題はないと判断しておりますが、経営環境の悪化等により、保有する固定資産から十分な将来キャッシュ・フローを生み出せないと判断した場合には、減損損失を認識することになり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ③ 株式価値の希薄化について(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小) 当社グループは、業績向上に対する意欲や士気を高めることを目的として、当社グループの役員及び従業員等に対し新株予約権を発行しております。 新株予約権が行使された場合には、発行済株式総数が増加し、株式価値が希薄化することとなります。 ただし、第1回新株予約権は、契約上ノックアウト条項が付されており、当社の株価が所定の株価を終値ベースで一日でも下回った場合には消滅します。 新株予約権の内容及び本書提出日の前月末現在における未行使残高は、「第4 提出会社の状況 1 株式等の状況 (2)新株予約権等の状況 ① ストックオプション制度の内容」をご参照ください。 さらに、当社グループは、研究開発型の成長企業であり、将来の研究開発活動の拡大に伴い、新株発行による増資を中心とした資金調達、及び人材確保のための新株予約権発行を機動的に実施していく可能性があります。 これらの新株発行及び新株予約権発行により、当社グループの1株当たり株式価値が希薄化する可能性があります。 ④ 配当政策について(発生可能性:大、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小) 当社は、設立以来、株主に対する配当実績はありません。 また、今後についても、当面は研究開発活動の継続的な実施に備えた資金の確保を優先する方針です。 しかしながら、株主への利益還元は当社の重要な経営課題であると認識しており、積極的な投資による企業価値の向上を通じて、将来において十分なキャッシュを獲得した時点で、経営成績、財政状態及び更なる投資による企業価値向上との比較結果等を勘案しつつ、配当による利益還元の実施を検討したいと考えております。 現時点において、配当実施の可能性及びその実施時期等については未定です。 |
経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 | 4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 (1)経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は以下のとおりであります。 ① 財政状態の状況(資産) 当連結会計年度末の流動資産の残高は、前連結会計年度末に比べ487,021千円減少し、5,125,116千円となりました。 これは主に、有価証券(外貨建てMMF)が177,738千円、CDMOサービスに関連する契約資産が153,792千円増加した一方で、研究開発費、事業運営費の支出や運転資本の増加等により現金及び預金が966,183千円減少したことによるものであります。 固定資産の残高は、前連結会計年度末に比べ43,892千円増加し、616,493千円となりました。 これは主に、投資その他の資産が30,141千円増加したことによるものであります。 この結果、総資産は、前連結会計年度末に比べ443,128千円減少し、5,741,609千円となりました。 (負債) 当連結会計年度末の流動負債の残高は、前連結会計年度末に比べ11,300千円増加し、177,315千円となりました。 固定負債の残高は、前連結会計年度末に比べ349千円減少し、34,595千円となりました。 この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べ10,950千円増加し、211,911千円となりました。 (純資産) 当連結会計年度末の純資産の残高は、前連結会計年度末に比べ454,079千円減少し、5,529,698千円となりました。 これは主に、新株予約権の行使等により資本金が72,403千円、資本剰余金が72,141千円増加した一方で、親会社株主に帰属する当期純損失を644,342千円計上したことによる減少であります。 ② 経営成績の状況 当連結会計年度における経済情勢は、我が国においては春闘による大幅な賃上げや日銀の金融政策正常化の動きがあり、国内景気は一部で足踏みするも緩やかに回復しました。 しかしながら、依然としてエネルギー価格の高騰や円安による物価上昇が継続しています。 米国においてはFRBが利下げを開始しましたが、トランプ政権の政策動向への不透明感やインフレ再燃への警戒感、地政学リスクの高まり等もあり、当社グループを取り巻く経営環境は不透明な状況が続いております。 このような状況下で、当社グループはヒトiPS細胞由来心筋細胞シートを中心として事業を推進してまいりました。 主なプロジェクトの研究開発状況は以下のとおりであります。 PJ1 ヒトiPS細胞由来心筋細胞シート(対象疾患:虚血性心疾患(国内)) 当社は、虚血性心疾患(ICM)による重症心不全を適応症とするヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの製造販売承認の取得に向け、国立大学法人大阪大学(以下、大阪大学)が実施する医師主導治験を支援しております。 本医師主導治験は、2020年1月に1症例目の被験者に移植が行われ、2023年3月には予定した8症例の被験者に対する移植が完了しております。 当連結会計年度においては、役員及び従業員が一丸となって承認申請業務に取り組み、2025年4月に厚生労働省に対し、再生医療等製品製造販売承認申請を行いました。 今後は、患者様に一日も早くヒトiPS細胞由来心筋細胞シートを提供できるよう、規制当局による審査等に迅速に対応し、承認取得を目指してまいります。 PJ2 ヒトiPS細胞由来心筋細胞シート(対象疾患:拡張型心疾患(国内)) 大阪大学はヒトiPS細胞由来心筋細胞シートに拡張型心疾患(DCM)を効能追加するための研究開発を進めています。 拡張型心疾患(DCM)の研究開発は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の令和5年度「再生医療等実用化研究事業」として採択されています(公募課題「拡張型心筋症に対するヒト(同種)iPS細胞由来心筋細胞シートを用いた臨床試験」)。 当社は分担機関として、その一部の研究開発の再委託を大阪大学から受けており、大阪大学が進める臨床試験を支援しております。 当連結会計年度においては、大阪大学で医師主導治験が開始され、2症例の被験者に移植が行われました。 当社は被験者に移植するヒトiPS細胞由来心筋細胞シートを作製し、大阪大学に提供いたしました。 PJ3 ヒトiPS細胞由来心筋細胞シート(対象疾患:虚血性心疾患(海外)) ヒトiPS細胞由来心筋細胞シートについては、日本だけでなく海外でも製造販売承認の取得を計画しております。 当連結会計年度において、米国における当社製品の研究開発、事業化及び将来のパートナー探索等の現地活動強化を目的に、経済産業省が米国カリフォルニア州パロアルトに設立したビジネス拠点「ジャパン・イノベーション・キャンパス」内に連結子会社としてiReheart Inc.を設立いたしました。 また、2024年12月には、スタンフォード大学心臓胸部外科と共同研究開発契約を締結いたしました。 米国では、既存の心筋細胞シートを米国向けに改良した製品及び新しいコンセプトのiPS細胞由来製品の開発を行う予定であり、心筋梗塞ブタの心臓に移植する動物実験からなる共同研究プログラムを実施いたします。 本大学病院は、2024 年-2025 年の「U.S. News & World Report 」誌の Best Hospitals Honor Roll 特集号において、循環器科、心臓・血管外科、肺・呼吸器外科で全米トップの病院の一つに選ばれています。 本共同研究を通じ、FDAへの治験薬申請に使用するデータを収集し、米国での治験の実施を目指してまいります。 さらに、来年度の上半期にFDA相談の実施を目指し、外部専門家との協議を開始いたしました。 PJ4 カテーテル ヒトiPS細胞由来心筋細胞シートと比べ、軽度の心疾患に対応するパイプラインとして、カテーテルによる新たな血管内アプローチによりヒトiPS細胞由来心筋細胞を心臓へ移植する治療技術の開発を、朝日インテック株式会社(本社:愛知県瀬戸市)との共同開発により進めております。 同社が有するカテーテル製品開発技術と当社のヒトiPS 細胞由来心筋細胞を組み合わせることにより、新しい治療技術を創出します。 本製品は、循環器内科医が急性心筋梗塞(AMI)、慢性完全閉塞性病変(CTO)等の経皮的冠動脈インターベンション(PCI)と併用することにより、開胸等の新たな侵襲を患者に加えることなく、心機能の回復を高める治療技術の開発を目指しております。 当連結会計年度において、朝日インテック株式会社との共同研究開発では、大動物実験を行いました。 PJ5 体内再生因子誘導剤 オキシム誘導体(YS-1301)の低用量使用により体内再生因子(HGF、VEGF、SDF-1、HMGB1等)が誘導される薬理作用に基づき、細胞保護、抗線維化、抗炎症作用による血管新生、組織再生が期待されます。 肝硬変・非アルコール性脂肪肝炎(NASH)(※4)、閉塞性動脈硬化症(ASO)(※5)、慢性腎不全(CKD)(※6)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)(※7)等への治療薬としての研究開発を行っております。 小野薬品工業株式会社及び株式会社カルディオより各種特許・ノウハウ等の承継を完了しており、対象疾患の薬効メカニズム検証・製剤開発を進めております。 当連結会計年度においては、大阪大学と肝硬変・肝切除等を対象とする共同研究を継続しております。 上記の他、大阪府大阪市北区にオープンした未来医療国際拠点Nakanoshima Qrossにて、次世代モダリティの開発を促進する細胞大量製造バリューチェーン開発コンソーシアムを発足いたしました。 本コンソーシアム発足の背景として、ヒトや動物の細胞を用いた技術は、再生医療等製品や医薬品にとどまらず、多方面でグローバルに進展していますが、これらに共通する課題は大量に細胞を製造する必要があること、さらに大量製造は多様かつ複雑な工程で構成されることから、製造装置及びシステム、利用されるデバイス、原材料等のアプリケーション開発において様々な企業が持つ技術や知見を結集する必要があります。 当社グループとしても、日本のみならずグローバルでの事業展開を見据えた場合、さらなる製造能力の拡大や生産・製造技術の高度化を推進する必要があります。 当社グループは、iPS細胞由来再生医療等製品の製造及び品質管理技術、並びに大量製造を実現する独自の細胞培養加工施設の設計技術をもって本コンソーシアムに参加し、参画する各企業と共同で細胞の大量製造を構成する「培養~回収~充填・分注~凍結~保存」の各工程を統合したプラットフォームシステムと、本システムで利用されるアプリケーションの開発を世界に先駆けて行います。 本コンソーシアムにおける活動の成果は、当社グループの事業への導入だけでなく、各社と協力して作り上げたパッケージシステムとして国内外で活用します。 また、各社の独自事業での利用を促進するオープンイノベーション拠点として本コンソーシアムを位置づけ、特定の企業による独占的な開発や、原則的に当社グループが成果を独占しないことを方針として、様々な技術・ノウハウを有する企業との開発を推進してまいります。 売上高については、主に製造開発受託サービス(CDMOサービス)に係る売上を計上いたしました。 この結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高175,205千円(前年同期比658.4%増)、営業損失590,262千円(前年同期は588,487千円の損失)、経常損失642,014千円(前年同期は627,930千円の損失)、親会社株主に帰属する当期純損失644,342千円(前年同期は632,183千円の損失)となりました。 当連結会計年度において発生した研究開発費(総額)は1,029,399千円(前年同期比30.5%増)でありましたが、共同研究開発パートナーから共同研究開発費(以下、共同研究開発費受入額)を受領しており、共同研究開発費受入額を控除した金額334,133千円(前年同期比59.3%増)を販売費及び一般管理費において研究開発費として計上しております。 なお、当社グループは、再生医療等製品事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。 ③ キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ788,445千円減少し、4,793,824千円となりました。 (営業活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、812,616千円の支出(前年同期は451,060千円の支出)となりました。 これは主に、税金等調整前当期純損失642,014千円の計上や、売上債権及び契約資産の増加額160,035千円によるものであります。 (投資活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、119,992千円の支出(前年同期は34,998千円の支出)となりました。 これは主に、有形固定資産の取得による支出80,196千円によるものであります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、145,113千円の収入(前年同期は3,125,418千円の収入)となりました。 これは主に、新株予約権の行使による株式の発行による収入141,000千円によるものであります。 ④ 生産、受注及び販売の実績a.生産実績 当社グループが提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。 b.受注実績 CDMO・コンサルティングサービスにおいては、一部受注生産を行っておりますが、ほとんどの場合において、生産に要する期間が短く、受注残高が僅少であることから記載を省略しております。 c.販売実績 当連結会計年度の販売実績は、以下のとおりであります。 なお、当社グループは再生医療等製品事業の単一セグメントであるため、サービス別に記載しております。 サービスの名称当連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)金額(千円)前年同期比(%)CDMO・コンサルティングサービス167,605625.5その他7,600-(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。 相手先前連結会計年度(自 2023年4月1日至 2024年3月31日)当連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)株式会社パソナグループ--120,90069.0株式会社乃村工藝社--18,91110.8 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 ① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。 また、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク (3)業績・財政状態に関するリスク」に記載のとおりであります。 ② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報 キャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。 当社グループは、研究開発を行う上で必要な資金は、共同研究開発パートナーとの共同研究開発契約を通じて確保しております。 また、設備投資や事業運営費等の資金は、第三者割当増資や公募増資により確保しております。 資金の流動性については、一時的な余資は主に流動性の高い金融資産で運用しており、投機的な取引は行わない方針であり、資産効率を考慮しながら、現金及び現金同等物によって確保を図っております。 ③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて作成されております。 資産・負債及び収益・費用の測定にあたり、金額を直接観察できない場合には、経営者は過去の実績やその他の様々な仮定を設定し、合理的に算定しておりますが、見積金額の測定には、固有の限界があるため、将来においてこれらの見積りとは異なる場合があります。 連結財務諸表等の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。 |
研究開発活動 | 6【研究開発活動】 当連結会計年度は、虚血性心疾患による重症心不全を適応症とするヒトiPS細胞由来心筋細胞シートに関連した研究開発に取り組むと共に、その他のパイプラインの研究開発に取り組みました。 当社グループの研究開発は、当社取締役最高技術責任者であり、大阪大学大学院医学系研究科において長年にわたり心臓血管外科領域で教授を務めた澤芳樹名誉教授を中心に、研究部、開発部、生産本部等で推進しております。 研究開発に従事する従業員数は、49名(臨時雇用者を含む)であり、これは総従業員数(臨時雇用者を含む)の約78%に相当します。 また、当社グループは大阪大学に共同研究講座を設置し、医薬品・医療機器メーカーや大学等の研究機関と共同研究開発契約を締結することで、研究開発体制を強化しております。 当連結会計年度における当社グループの研究開発費の総額は1,029,399千円でありましたが、共同研究開発パートナーから共同研究開発費受入額として695,265千円を受領しており、連結損益計算書上、研究開発費総額から共同研究開発費受入額を控除した334,133千円を研究開発費として計上しております。 なお、当社グループは再生医療等製品事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。 具体的な研究の目的、主要課題、研究成果等は、「第1 企業の概況 3 事業の内容」をご参照ください。 |
設備投資等の概要 | 1【設備投資等の概要】 当連結会計年度に実施した設備投資の総額は76,990千円となりました。 これは、研究用機器及び製造設備の取得によるものであります。 なお、当社グループは再生医療等製品事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。 当連結会計年度において重要な設備の除却、売却等はありません。 |
主要な設備の状況 | 2【主要な設備の状況】 (1)提出会社 当社は、国内にのみ設備を有しており、主要な設備は以下のとおりであります。 2025年3月31日現在 事業所名(所在地)設備の内容帳簿価額従業員数(人)建物(千円)機械及び装置(千円)工具、器具及び備品(千円)合計(千円)本社(東京都中央区)本社設備--2002007大阪ラボ(大阪府吹田市)研究施設01,31716,77518,09215(1)CLiC-1(大阪府箕面市)細胞培養加工施設356,960123,40915,999496,36933(2) (注)1.現在休止中の設備はありません。 2.従業員数は就業人員(契約社員を含む。 )であり、臨時雇用者数(人材会社からの派遣社員を含む。 )は、年間の平均人員を( )外数で記載しております。 3.本社の建物は賃借しており、年間賃借料は2,674千円であります。 4.CLiC-1の建物は賃借しており、年間賃借料は48,503千円であります。 (2)国内子会社 該当事項はありません。 |
設備の新設、除却等の計画 | 3【設備の新設、除却等の計画】 (1)重要な設備の新設等事業所名(所在地)設備の内容投資予定金額資金調達方法着手予定年月完了予定年月完成後の増加能力総額(百万円)既支払額(百万円)未定細胞培養加工施設500-増資資金2025年8月2026年1月(注)(注)完成後の増加能力については、計数的把握が困難であるため記載を省略しております。 (2)重要な設備の除却等 該当事項はありません。 |
研究開発費、研究開発活動 | 1,029,399,000 |
設備投資額、設備投資等の概要 | 76,990,000 |
Employees
平均年齢(年)、提出会社の状況、従業員の状況 | 42 |
平均勤続年数(年)、提出会社の状況、従業員の状況 | 3 |
平均年間給与、提出会社の状況、従業員の状況 | 6,103,923 |
Investment
株式の保有状況 | (5)【株式の保有状況】 該当事項はありません。 |
Shareholders
大株主の状況 | (6)【大株主の状況】 2025年3月31日現在 氏名又は名称住所所有株式数(株)発行済株式(自己株式を除く。)の総数に対する所有株式数の割合(%) 第一三共株式会社東京都中央区日本橋本町三丁目5番1号1,000,00012.36 テルモ株式会社東京都渋谷区幡ヶ谷二丁目44番1号530,0006.55 澤 芳樹兵庫県西宮市205,2002.54 松井証券株式会社東京都千代田区麹町一丁目4番地127,3001.57 DEFTA LIMITED(常任代理人 株式会社デフタ・キャピタル)24F BANK OF AMERICA TOWER 12 HARCOURT ROAD CENTRAL HONG KONG(神奈川県横浜市西区高島一丁目1番2号)111,0001.37 朝日インテック株式会社愛知県瀬戸市暁町3番地100100,0001.24 ダイダン株式会社大阪府大阪市西区江戸堀一丁目9番25号100,0001.24 富士フイルム株式会社東京都港区西麻布二丁目26番30号100,0001.24 イノベーション京都2016投資事業有限責任組合京都府京都市左京区吉田本町36番地188,4001.09 井上 学東京都千代田区82,0501.01計-2,443,95030.20 |
株主数-金融機関 | 2 |
株主数-金融商品取引業者 | 34 |
株主数-外国法人等-個人 | 33 |
株主数-外国法人等-個人以外 | 35 |
株主数-個人その他 | 10,963 |
株主数-その他の法人 | 81 |
株主数-計 | 11,148 |
氏名又は名称、大株主の状況 | 井上 学 |
株主総利回り | 2 |
株主総会決議による取得の状況 | (1)【株主総会決議による取得の状況】 該当事項はありません。 |
株主総会決議又は取締役会決議に基づかないものの内容 | (3)【株主総会決議又は取締役会決議に基づかないものの内容】 区分株式数(株)価格の総額(円)当事業年度における取得自己株式100572,533当期間における取得自己株式--(注)当期間における取得自己株式には、2025年6月1日からこの有価証券報告書提出日までの単元未満株式の買取りによる株式は含まれておりません。 |
Shareholders2
自己株式の取得 | -572,000 |
自己株式の取得による支出、財務活動によるキャッシュ・フロー | -572,000 |
発行済株式及び自己株式に関する注記 | 1.発行済株式の種類及び総数並びに自己株式の種類及び株式数に関する事項 当連結会計年度期首株式数(株)当連結会計年度増加株式数(株)当連結会計年度減少株式数(株)当連結会計年度末株式数(株)発行済株式 普通株式(注)1.7,968,116141,000-8,109,116合計7,968,116141,000-8,109,116自己株式 普通株式(注)2.15,756100-15,856合計15,756100-15,856(注)1.普通株式の発行済株式総数の増加141,000株は、新株予約権の権利行使によるものであります。 2.普通株式の自己株式の株式数の増加100株は、単元未満株式の買取りによるものであります。 |
Audit
監査法人1、連結 | 有限責任 あずさ監査法人 |
独立監査人の報告書、連結 | 独立監査人の監査報告書 2025年6月20日クオリプス株式会社 取締役会 御中 有限責任 あずさ監査法人 東京事務所 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士松本 佑介 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士谷 尋史 <連結財務諸表監査>監査意見 当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられているクオリプス株式会社の2024年4月1日から2025年3月31日までの連結会計年度の連結財務諸表、すなわち、連結貸借対照表、連結損益計算書、連結包括利益計算書、連結株主資本等変動計算書、連結キャッシュ・フロー計算書、連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項、その他の注記及び連結附属明細表について監査を行った。 当監査法人は、上記の連結財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、クオリプス株式会社及び連結子会社の2025年3月31日現在の財政状態並びに同日をもって終了する連結会計年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。 監査意見の根拠 当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。 監査の基準における当監査法人の責任は、「連結財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。 当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。 当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。 監査上の主要な検討事項 監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。 監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 クオリプス株式会社が保有する固定資産の減損損失の認識の要否に関する判断の妥当性監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおり、クオリプス株式会社の2025年3月31日に終了する連結会計年度の連結貸借対照表において、同社が保有する有形固定資産514,663千円及び無形固定資産30,271千円が計上されている。 これらの固定資産は規則的に減価償却されるが、減損の兆候があると認められる場合には、資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額と帳簿価額を比較することによって、減損損失の認識の要否を判定する必要がある。 判定の結果、減損損失の認識が必要と判定された場合、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、帳簿価額の減少額は減損損失として認識される。 クオリプス株式会社は、ヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの製造販売承認に向けた研究開発を進めている段階であり、営業損益が継続してマイナスとなっていることから、固定資産に減損の兆候が認められる。 このため、当連結会計年度において減損損失の認識の要否の判定が行われているが、割引前将来キャッシュ・フローの総額が資産の帳簿価額を上回ったことから、減損損失の認識は不要と判断されている。 当該判定に用いられる割引前将来キャッシュ・フローは、経営者が作成した中期経営計画を基礎としている。 当該中期経営計画はヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの国内における販売計画に大きな影響を受けるが、ヒトiPS細胞由来心筋細胞シートは新たな製品であるため、対象となる患者数、薬価の見積りについて、高い不確実性があり、これらに係る経営者による判断が割引前将来キャッシュ・フローの見積りに重要な影響を及ぼす。 以上から、当監査法人は、クオリプス株式会社が保有する固定資産の減損損失の認識の要否に関する判断の妥当性が、当連結会計年度の連結財務諸表監査において特に重要であり、監査上の主要な検討事項に該当すると判断した。 当監査法人は、クオリプス株式会社が保有する固定資産の減損損失の認識の要否に関する判断の妥当性を評価するため、主に以下の手続を実施した。 (1) 内部統制の評価減損損失の認識の要否の判定に関連する内部統制の整備状況及び運用状況の有効性を評価した。 評価に当たっては、患者数及び薬価の見積りについて不適切な仮定が採用されることを防止又は発見するための統制に特に焦点を当てた。 (2) 中期経営計画の合理性の評価 割引前将来キャッシュ・フローの見積りの基礎となる中期経営計画に含まれる主要な仮定の適切性を検討するため、その根拠について、経営者に対して質問するとともに、主に以下の手続を実施した。 ・ヒトiPS細胞由来心筋細胞シートによる治療の対象となる国内の患者数に関して、外部機関が公表している心疾患の患者数、補助人工心臓装置の装着手術数及び心臓移植実施数、並びに、大量培養をするための体制構築に関する社内資料との整合性を検討した。 ・ヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの国内における薬価に関して、既存の類似製品の薬価との整合性を検討した。 その他の記載内容 その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。 経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。 また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 当監査法人の連結財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。 連結財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と連結財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 連結財務諸表に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任 経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して連結財務諸表を作成し適正に表示することにある。 これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない連結財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。 連結財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき連結財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。 監査役及び監査役会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 連結財務諸表監査における監査人の責任 監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての連結財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から連結財務諸表に対する意見を表明することにある。 虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、連結財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。 監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。 ・不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。 また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。 監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。 さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。 ・連結財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。 ・経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。 ・経営者が継続企業を前提として連結財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。 継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において連結財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する連結財務諸表の注記事項が適切でない場合は、連結財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。 監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。 ・連結財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた連結財務諸表の表示、構成及び内容、並びに連結財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。 ・連結財務諸表に対する意見表明の基礎となる、会社及び連結子会社の財務情報に関する十分かつ適切な監査証拠を入手するために、連結財務諸表の監査を計画し実施する。 監査人は、連結財務諸表の監査に関する指揮、監督及び査閲に関して責任がある。 監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。 監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。 監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。 監査人は、監査役及び監査役会と協議した事項のうち、当連結会計年度の連結財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。 ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。 <報酬関連情報> 当監査法人及び当監査法人と同一のネットワークに属する者に対する、会社及び子会社の監査証明業務に基づく報酬及び非監査業務に基づく報酬の額は、「提出会社の状況」に含まれるコーポレート・ガバナンスの状況等 (3)【監査の状況】 に記載されている。 利害関係 会社及び連結子会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。 以 上 (注)1.上記の監査報告書の原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。 2.XBRLデータは監査の対象には含まれていません。 |
監査上の主要な検討事項、連結 | 監査上の主要な検討事項 監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。 監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 クオリプス株式会社が保有する固定資産の減損損失の認識の要否に関する判断の妥当性監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおり、クオリプス株式会社の2025年3月31日に終了する連結会計年度の連結貸借対照表において、同社が保有する有形固定資産514,663千円及び無形固定資産30,271千円が計上されている。 これらの固定資産は規則的に減価償却されるが、減損の兆候があると認められる場合には、資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額と帳簿価額を比較することによって、減損損失の認識の要否を判定する必要がある。 判定の結果、減損損失の認識が必要と判定された場合、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、帳簿価額の減少額は減損損失として認識される。 クオリプス株式会社は、ヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの製造販売承認に向けた研究開発を進めている段階であり、営業損益が継続してマイナスとなっていることから、固定資産に減損の兆候が認められる。 このため、当連結会計年度において減損損失の認識の要否の判定が行われているが、割引前将来キャッシュ・フローの総額が資産の帳簿価額を上回ったことから、減損損失の認識は不要と判断されている。 当該判定に用いられる割引前将来キャッシュ・フローは、経営者が作成した中期経営計画を基礎としている。 当該中期経営計画はヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの国内における販売計画に大きな影響を受けるが、ヒトiPS細胞由来心筋細胞シートは新たな製品であるため、対象となる患者数、薬価の見積りについて、高い不確実性があり、これらに係る経営者による判断が割引前将来キャッシュ・フローの見積りに重要な影響を及ぼす。 以上から、当監査法人は、クオリプス株式会社が保有する固定資産の減損損失の認識の要否に関する判断の妥当性が、当連結会計年度の連結財務諸表監査において特に重要であり、監査上の主要な検討事項に該当すると判断した。 当監査法人は、クオリプス株式会社が保有する固定資産の減損損失の認識の要否に関する判断の妥当性を評価するため、主に以下の手続を実施した。 (1) 内部統制の評価減損損失の認識の要否の判定に関連する内部統制の整備状況及び運用状況の有効性を評価した。 評価に当たっては、患者数及び薬価の見積りについて不適切な仮定が採用されることを防止又は発見するための統制に特に焦点を当てた。 (2) 中期経営計画の合理性の評価 割引前将来キャッシュ・フローの見積りの基礎となる中期経営計画に含まれる主要な仮定の適切性を検討するため、その根拠について、経営者に対して質問するとともに、主に以下の手続を実施した。 ・ヒトiPS細胞由来心筋細胞シートによる治療の対象となる国内の患者数に関して、外部機関が公表している心疾患の患者数、補助人工心臓装置の装着手術数及び心臓移植実施数、並びに、大量培養をするための体制構築に関する社内資料との整合性を検討した。 ・ヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの国内における薬価に関して、既存の類似製品の薬価との整合性を検討した。 |
全体概要、監査上の主要な検討事項、連結 | 監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。 監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 |
見出し、監査上の主要な検討事項、連結 | クオリプス株式会社が保有する固定資産の減損損失の認識の要否に関する判断の妥当性 |
内容及び理由、監査上の主要な検討事項、連結 | 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおり、クオリプス株式会社の2025年3月31日に終了する連結会計年度の連結貸借対照表において、同社が保有する有形固定資産514,663千円及び無形固定資産30,271千円が計上されている。 これらの固定資産は規則的に減価償却されるが、減損の兆候があると認められる場合には、資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額と帳簿価額を比較することによって、減損損失の認識の要否を判定する必要がある。 判定の結果、減損損失の認識が必要と判定された場合、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、帳簿価額の減少額は減損損失として認識される。 クオリプス株式会社は、ヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの製造販売承認に向けた研究開発を進めている段階であり、営業損益が継続してマイナスとなっていることから、固定資産に減損の兆候が認められる。 このため、当連結会計年度において減損損失の認識の要否の判定が行われているが、割引前将来キャッシュ・フローの総額が資産の帳簿価額を上回ったことから、減損損失の認識は不要と判断されている。 当該判定に用いられる割引前将来キャッシュ・フローは、経営者が作成した中期経営計画を基礎としている。 当該中期経営計画はヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの国内における販売計画に大きな影響を受けるが、ヒトiPS細胞由来心筋細胞シートは新たな製品であるため、対象となる患者数、薬価の見積りについて、高い不確実性があり、これらに係る経営者による判断が割引前将来キャッシュ・フローの見積りに重要な影響を及ぼす。 以上から、当監査法人は、クオリプス株式会社が保有する固定資産の減損損失の認識の要否に関する判断の妥当性が、当連結会計年度の連結財務諸表監査において特に重要であり、監査上の主要な検討事項に該当すると判断した。 |
開示への参照、監査上の主要な検討事項、連結 | 注記事項(重要な会計上の見積り) |
監査上の対応、監査上の主要な検討事項、連結 | 当監査法人は、クオリプス株式会社が保有する固定資産の減損損失の認識の要否に関する判断の妥当性を評価するため、主に以下の手続を実施した。 (1) 内部統制の評価減損損失の認識の要否の判定に関連する内部統制の整備状況及び運用状況の有効性を評価した。 評価に当たっては、患者数及び薬価の見積りについて不適切な仮定が採用されることを防止又は発見するための統制に特に焦点を当てた。 (2) 中期経営計画の合理性の評価 割引前将来キャッシュ・フローの見積りの基礎となる中期経営計画に含まれる主要な仮定の適切性を検討するため、その根拠について、経営者に対して質問するとともに、主に以下の手続を実施した。 ・ヒトiPS細胞由来心筋細胞シートによる治療の対象となる国内の患者数に関して、外部機関が公表している心疾患の患者数、補助人工心臓装置の装着手術数及び心臓移植実施数、並びに、大量培養をするための体制構築に関する社内資料との整合性を検討した。 ・ヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの国内における薬価に関して、既存の類似製品の薬価との整合性を検討した。 |
その他の記載内容、連結 | その他の記載内容 その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。 経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。 また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 当監査法人の連結財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。 連結財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と連結財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 |
報酬関連情報、連結 | <報酬関連情報> 当監査法人及び当監査法人と同一のネットワークに属する者に対する、会社及び子会社の監査証明業務に基づく報酬及び非監査業務に基づく報酬の額は、「提出会社の状況」に含まれるコーポレート・ガバナンスの状況等 (3)【監査の状況】 に記載されている。 |
Audit1
監査法人1、個別 | 有限責任 あずさ監査法人 |
独立監査人の報告書、個別 | 独立監査人の監査報告書 2025年6月20日クオリプス株式会社 取締役会 御中 有限責任 あずさ監査法人 東京事務所 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士松本 佑介 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士谷 尋史 <財務諸表監査>監査意見 当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられているクオリプス株式会社の2024年4月1日から2025年3月31日までの第9期事業年度の財務諸表、すなわち、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、重要な会計方針、その他の注記及び附属明細表について監査を行った。 当監査法人は、上記の財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、クオリプス株式会社の2025年3月31日現在の財政状態及び同日をもって終了する事業年度の経営成績を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。 監査意見の根拠 当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。 監査の基準における当監査法人の責任は、「財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。 当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。 当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。 監査上の主要な検討事項 監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。 監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 (固定資産の減損損失の認識の要否に関する判断の妥当性) 個別財務諸表の監査報告書で記載すべき監査上の主要な検討事項「固定資産の減損損失の認識の要否に関する判断の妥当性」は、連結財務諸表の監査報告書に記載されている監査上の主要な検討事項「クオリプス株式会社が保有する固定資産の減損損失の認識の要否に関する判断の妥当性」と実質的に同一の内容である。 このため、個別財務諸表の監査報告書では、これに関する記載を省略している。 その他の記載内容 その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。 経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。 また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 当監査法人の財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。 財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 財務諸表に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任 経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して財務諸表を作成し適正に表示することにある。 これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。 財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。 監査役及び監査役会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 財務諸表監査における監査人の責任 監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から財務諸表に対する意見を表明することにある。 虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。 監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。 ・不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。 また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。 監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。 さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。 ・財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。 ・経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。 ・経営者が継続企業を前提として財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。 継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する財務諸表の注記事項が適切でない場合は、財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。 監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。 ・財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた財務諸表の表示、構成及び内容、並びに財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。 監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。 監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。 監査人は、監査役及び監査役会と協議した事項のうち、当事業年度の財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。 ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。 <報酬関連情報> 報酬関連情報は、連結財務諸表の監査報告書に記載されている。 利害関係 会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。 以 上 (注)1.上記の監査報告書の原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。 2.XBRLデータは監査の対象には含まれていません。 |
監査上の主要な検討事項、個別 | 監査上の主要な検討事項 監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。 監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 (固定資産の減損損失の認識の要否に関する判断の妥当性) 個別財務諸表の監査報告書で記載すべき監査上の主要な検討事項「固定資産の減損損失の認識の要否に関する判断の妥当性」は、連結財務諸表の監査報告書に記載されている監査上の主要な検討事項「クオリプス株式会社が保有する固定資産の減損損失の認識の要否に関する判断の妥当性」と実質的に同一の内容である。 このため、個別財務諸表の監査報告書では、これに関する記載を省略している。 |
全体概要、監査上の主要な検討事項、個別 | 監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。 監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 |
見出し、監査上の主要な検討事項、個別 | (固定資産の減損損失の認識の要否に関する判断の妥当性) |
連結と同一内容である旨、監査上の主要な検討事項、個別 | 個別財務諸表の監査報告書で記載すべき監査上の主要な検討事項「固定資産の減損損失の認識の要否に関する判断の妥当性」は、連結財務諸表の監査報告書に記載されている監査上の主要な検討事項「クオリプス株式会社が保有する固定資産の減損損失の認識の要否に関する判断の妥当性」と実質的に同一の内容である。 このため、個別財務諸表の監査報告書では、これに関する記載を省略している。 |
その他の記載内容、個別 | その他の記載内容 その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。 経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。 また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 当監査法人の財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。 財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 |
報酬関連情報、個別 | <報酬関連情報> 報酬関連情報は、連結財務諸表の監査報告書に記載されている。 |
BS資産
商品及び製品 | 3,820,000 |
仕掛品 | 29,742,000 |
原材料及び貯蔵品 | 11,905,000 |
その他、流動資産 | 94,009,000 |
建物及び構築物(純額) | 356,961,000 |
機械装置及び運搬具(純額) | 124,726,000 |
工具、器具及び備品(純額) | 32,975,000 |
有形固定資産 | 514,663,000 |
ソフトウエア | 4,187,000 |
無形固定資産 | 30,271,000 |
投資その他の資産 | 969,965,000 |
BS負債、資本
未払金 | 129,706,000 |
未払法人税等 | 24,036,000 |