財務諸表
CoverPage
提出書類、表紙 | 有価証券報告書 |
提出日、表紙 | 2025-06-20 |
英訳名、表紙 | MS&AD Insurance Group Holdings, Inc. |
代表者の役職氏名、表紙 | 取締役社長 グループCEO 舩曵 真一郎 |
本店の所在の場所、表紙 | 東京都中央区新川二丁目27番2号 |
電話番号、本店の所在の場所、表紙 | 03-5117-0270(代表) |
様式、DEI | 第三号様式 |
会計基準、DEI | Japan GAAP |
連結決算の有無、DEI | true |
当会計期間の種類、DEI | FY |
corp
沿革 | 2【沿革】 2007年8月三井住友海上火災保険株式会社の取締役会において、単独株式移転により持株会社を設立して、グループ経営体制を強化することを決定2008年1月三井住友海上火災保険株式会社の臨時株主総会において、単独株式移転により当社を設立し、三井住友海上火災保険株式会社がその完全子会社になることについて決議2008年4月三井住友海上火災保険株式会社が単独株式移転により当社を設立当社の普通株式を東京証券取引所市場第一部、大阪証券取引所市場第一部(2013年7月に東京証券取引所市場第一部に統合)及び名古屋証券取引所市場第一部に上場2008年7月三井住友海上火災保険株式会社が保有する三井住友海上きらめき生命保険株式会社(現三井住友海上あいおい生命保険株式会社)、三井ダイレクト損害保険株式会社及び三井住友海上メットライフ生命保険株式会社(現三井住友海上プライマリー生命保険株式会社)の株式のすべてを、三井住友海上火災保険株式会社が当社に配当する方法により取得2010年4月株式交換により、新たにあいおい損害保険株式会社(現あいおいニッセイ同和損害保険株式会社)及びニッセイ同和損害保険株式会社(2010年10月にあいおい損害保険株式会社との合併により消滅)が主要な連結子会社となる当該株式交換に伴い、あいおい生命保険株式会社(2011年10月に三井住友海上きらめき生命保険株式会社との合併により消滅)及びAioi Motor and General Insurance Company of Europe Limited(現Aioi Nissay Dowa Insurance Company of Europe SE)が主要な連結子会社となる当該株式交換に際し、商号を三井住友海上グループホールディングス株式会社からMS&ADインシュアランスグループホールディングス株式会社に変更2011年4月三井住友海上プライマリー生命保険株式会社が主要な連結子会社となる2013年9月三井住友海上火災保険株式会社、あいおいニッセイ同和損害保険株式会社及び三井住友海上あいおい生命保険株式会社との間で、「機能別再編に関する合意書」を締結2016年2月Amlin plc(海外事業の組織再編に伴い、2020年10月に株式のすべてを売却)が主要な連結子会社となる2022年4月東京証券取引所及び名古屋証券取引所の市場区分の見直しにより、東京証券取引所市場第一部からプライム市場、名古屋証券取引所市場第一部からプレミア市場に移行 |
事業の内容 | 3【事業の内容】 当社及び当社の関係会社(子会社164社、関連会社35社(2025年3月31日現在))において営まれている主な事業の内容及び当該事業における主要な関係会社の位置付けは次のとおりであります。 なお、当社は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。 <事業の内容> (1) 国内損害保険事業日本国内において、以下の子会社3社などが損害保険事業を営んでおります。 ① 三井住友海上火災保険株式会社② あいおいニッセイ同和損害保険株式会社③ 三井ダイレクト損害保険株式会社 (2) 国内生命保険事業日本国内において、以下の子会社2社などが生命保険事業を営んでおります。 ① 三井住友海上あいおい生命保険株式会社② 三井住友海上プライマリー生命保険株式会社 (3) 海外事業日本国内においては国内損害保険子会社の海外部門が、諸外国においては海外現地法人及び国内損害保険子会社の海外支店が、海外事業を営んでおります。 (4) 金融サービス事業/デジタル・リスク関連サービス事業① 金融サービス事業 国内損害保険子会社、三井住友DSアセットマネジメント株式会社、三井住友海上キャピタル株式会社及びLeadenhall Capital Partners LLPなどが、アセットマネジメント事業、金融保証事業、確定拠出年金事業、ART(Alternative Risk Transfer)事業、個人融資関連事業及びベンチャー・キャピタル事業などを営んでおります。 ② デジタル・リスク関連サービス事業 MS&ADインターリスク総研株式会社などが、リスクマネジメント事業などを営んでおります。 <事業の概要図> (注) それぞれの事業における主要な連結子会社等を記載しております。 各記号の意味は次のとおりであります。 ★:連結子会社 ●:持分法適用の関連会社 |
関係会社の状況 | 4【関係会社の状況】 名称住所資本金主要な事業の内容議決権の所有割合関係内容(連結子会社) 三井住友海上火災保険株式会社東京都千代田区139,595百万円国内損害保険事業100.0%当社と経営管理契約を締結しております。 当社に建物の一部を賃貸しております。 役員の兼任等ありあいおいニッセイ同和損害保険株式会社東京都渋谷区100,005百万円国内損害保険事業100.0%当社と経営管理契約を締結しております。 当社に建物の一部を賃貸しております。 役員の兼任等あり三井ダイレクト損害保険株式会社東京都文京区39,106百万円国内損害保険事業100.0%当社と経営管理契約を締結しております。 役員の兼任等あり三井住友海上あいおい生命保険株式会社東京都中央区85,500百万円国内生命保険事業100.0%当社と経営管理契約を締結しております。 役員の兼任等あり三井住友海上プライマリー生命保険株式会社東京都中央区41,060百万円国内生命保険事業100.0%当社と経営管理契約を締結しております。 役員の兼任等ありMSプラスワン少額短期保険株式会社東京都千代田区299百万円国内損害保険事業100.0%(100.0%) リトルファミリー少額短期保険株式会社東京都品川区1,075百万円国内損害保険事業98.5%(98.5%) 三井住友海上キャピタル株式会社東京都中央区1,000百万円金融サービス事業100.0%(100.0%) MS&ADインターリスク総研株式会社東京都千代田区330百万円デジタル・リスク関連サービス事業100.0%当社と経営管理契約を締結しております。 役員の兼任等ありMSIG Holdings (U.S.A.), Inc.アメリカ合衆国ニューヨーク1,761百万米ドル海外事業100.0%(100.0%)役員の兼任等ありMitsui Sumitomo Insurance USA Inc.アメリカ合衆国ニューヨーク5,000千米ドル海外事業100.0%(100.0%)役員の兼任等ありMitsui Sumitomo Insurance Company of Americaアメリカ合衆国ニューヨーク5,000千米ドル海外事業100.0%(100.0%)役員の兼任等ありMSIG Specialty Insurance USA Inc.アメリカ合衆国ニューヨーク5,000千米ドル海外事業100.0%(100.0%)役員の兼任等ありMS Transverse Insurance Group, LLCアメリカ合衆国デラウェア107,694千米ドル海外事業100.0%(100.0%)役員の兼任等ありMS Transverse Specialty Insurance Companyアメリカ合衆国ダラス5,000千米ドル海外事業100.0%(100.0%)役員の兼任等ありMS Transverse Insurance Companyアメリカ合衆国ダラス4,200千米ドル海外事業100.0%(100.0%)役員の兼任等ありTRM Specialty Insurance Companyアメリカ合衆国ダラス4,200千米ドル海外事業100.0%(100.0%)役員の兼任等ありDTRIC Insurance Company, Limitedアメリカ合衆国ホノルル5,907千米ドル海外事業100.0%(100.0%) DTRIC Insurance Underwriters, Limitedアメリカ合衆国ホノルル2,500千米ドル海外事業100.0%(100.0%) Mitsui Sumitomo Seguros S.A.ブラジルサンパウロ619,756千ブラジルレアル海外事業100.0%(100.0%) Aioi Nissay Dowa Europe Limitedイギリスロンドン526,010千英ポンド海外事業100.0%(100.0%) Aioi Nissay Dowa Insurance UK Limitedイギリスロンドン200,100千英ポンド海外事業100.0%(100.0%) MS Amlin Corporate Member Limitedイギリスロンドン1,700千英ポンド海外事業100.0%(100.0%) MS Amlin Underwriting Limitedイギリスロンドン400千英ポンド海外事業100.0%(100.0%) MSI Corporate Capital Limitedイギリスロンドン5,200千英ポンド海外事業100.0%(100.0%) Mitsui Sumitomo Insurance Company (Europe), Limitedイギリスロンドン80,700千英ポンド海外事業100.0%(100.0%) Leadenhall Capital Partners LLPイギリスロンドン2,850千米ドル金融サービス事業80.0%(80.0%) 名称住所資本金主要な事業の内容議決権の所有割合関係内容MS Amlin AGスイスチューリッヒ10,000千スイスフラン海外事業100.0%(100.0%)役員の兼任等ありMSIG Insurance Europe AGドイツケルン184,000千ユーロ海外事業100.0%(100.0%) Aioi Nissay Dowa Life Insurance of Europe AGドイツイスマニング5,000千ユーロ海外事業100.0%(100.0%) MS Financial Reinsurance Limitedバミューダハミルトン46百万円金融サービス事業100.0%(100.0%) MS Amlin Insurance SEベルギーブリュッセル140,000千ユーロ海外事業100.0%(100.0%) Aioi Nissay Dowa Insurance Company of Europe SEルクセンブルクセナンゲルベル71,875千ユーロ海外事業100.0%(100.0%) MSIG Insurance (Singapore) Pte. Ltd.シンガポールシンガポール333,442千シンガポールドル海外事業100.0%(100.0%) MS First Capital Insurance Limitedシンガポールシンガポール26,500千シンガポールドル海外事業100.0%(100.0%) Aioi Nissay Dowa Insurance Company Australia Pty Ltdオーストラリアメルボルン87,800千オーストラリアドル海外事業100.0%(100.0%) MSIG Mingtai Insurance Co.,Ltd.台湾台北2,535百万新台湾ドル海外事業100.0%(100.0%)役員の兼任等ありMSIG Insurance (Hong Kong) Limited中華人民共和国香港1,625百万香港ドル海外事業100.0%(100.0%) Aioi Nissay Dowa Insurance (China) Company Limited中華人民共和国天津1,000百万中国元海外事業100.0%(100.0%)役員の兼任等ありMitsui Sumitomo Insurance (China) Company Limited中華人民共和国上海500,000千中国元海外事業100.0%(100.0%) MSIG Insurance (Vietnam) Company Limitedベトナムハノイ300,000百万ベトナムドン海外事業100.0%(100.0%) PT. MSIG Life Insurance Indonesia Tbkインドネシアジャカルタ210,000百万インドネシアルピア海外事業80.0%(80.0%) PT. Asuransi MSIG Indonesiaインドネシアジャカルタ100,000百万インドネシアルピア海外事業80.0%(80.0%) MSIG Insurance (Thailand) Public Company Limitedタイバンコク142,666千タイバーツ海外事業86.4%(86.4%) MSIG Insurance (Malaysia) Bhd.マレーシアクアラルンプール1,511百万マレーシアリンギ海外事業65.4%(65.4%)[1.4%] その他58社 (持分法適用の関連会社) au損害保険株式会社東京都港区3,150百万円国内損害保険事業49.0%(49.0%) 三井住友DSアセットマネジメント株式会社東京都港区2,000百万円金融サービス事業15.0%(15.0%) Challenger Limitedオーストラリアシドニー2,536百万オーストラリアドル海外事業15.2%役員の兼任等ありBOCOM MSIG Life Insurance Company Limited(交銀人寿保険有限公司)中華人民共和国上海5,100百万中国元海外事業37.5% Cholamandalam MS General Insurance Company Limitedインドチェンナイ2,988百万インドルピー海外事業40.0%(40.0%) Max Financial Services Limitedインドナワーンシェヘル690,065千インドルピー海外事業21.9%(21.9%) Axis Max Life Insurance Limitedインドチャンディーガル20,613百万インドルピー海外事業-(-)[81.0%] Ceylinco Holdings PLCスリランカコロンボ1,324百万スリランカルピー海外事業15.0%(15.0%) BPI/MS Insurance Corporationフィリピンマニラ350,000千フィリピンペソ海外事業48.5%(48.5%) Hong Leong Assurance Berhadマレーシアクアラルンプール200,000千マレーシアリンギ海外事業30.0%(30.0%) MSIG Sokxay Insurance Co., Ltd.ラオスビエンチャン54,352百万ラオスキープ海外事業35.0%(35.0%) その他2社 (注)1 主要な事業の内容欄には、セグメント情報に記載された事業領域の名称を記載しております。 2 三井住友海上火災保険株式会社、あいおいニッセイ同和損害保険株式会社、三井ダイレクト損害保険株式会社、三井住友海上あいおい生命保険株式会社、三井住友海上プライマリー生命保険株式会社、MSIG Holdings (U.S.A.), Inc.、MS Transverse Insurance Group, LLC、Mitsui Sumitomo Seguros S.A.、Aioi Nissay Dowa Europe Limited、Insure The Box Limited、Aioi Nissay Dowa Insurance UK Limited、Mitsui Sumitomo Insurance Company (Europe), Limited、MSIG Insurance Europe AG、MS Amlin Insurance SE、Aioi Nissay Dowa Insurance Company of Europe SE、MSIG Insurance (Singapore) Pte. Ltd.、MSIG Mingtai Insurance Co.,Ltd.、MSIG Insurance (Hong Kong) Limited、Aioi Nissay Dowa Insurance (China) Company Limited、Mitsui Sumitomo Insurance (China) Company Limited及びMSIG Insurance (Malaysia) Bhd.は、特定子会社に該当しております。 3 上記関係会社のうち、有価証券報告書を提出している会社は、三井住友海上火災保険株式会社及びあいおいニッセイ同和損害保険株式会社であります。 4 三井住友海上火災保険株式会社、あいおいニッセイ同和損害保険株式会社及び三井住友海上プライマリー生命保険株式会社については、経常収益(連結会社相互間の内部経常収益を除く)の連結経常収益に占める割合が10%を超えております。 三井住友海上火災保険株式会社及びあいおいニッセイ同和損害保険株式会社は有価証券報告書を提出しているため、主要な損益情報等の記載を省略しております。 三井住友海上プライマリー生命保険株式会社の主要な損益情報等につきましては、以下のとおりであります。 (三井住友海上プライマリー生命保険株式会社) 経常収益 1,649,413百万円 経常利益 43,907百万円 当期純利益 25,707百万円 純資産額 216,504百万円 総資産額 7,479,488百万円5 議決権の所有割合の( )内は、間接所有割合で内数、[ ]内は、緊密な者又は同意している者の所有割合で外数であります。 6 三井住友DSアセットマネジメント株式会社、Challenger Limited、Axis Max Life Insurance Limited及びCeylinco Holdings PLCに対する持分は100分の20未満でありますが、実質的な影響力を持っているため関連会社としたものであります。 |
従業員の状況 | 5【従業員の状況】 (1) 連結会社の状況 (2025年3月31日現在)セグメントの名称従業員数(人)(保険持株会社) MS&ADインシュアランスグループホールディングス株式会社453〔17〕(国内損害保険事業) 三井住友海上火災保険株式会社12,093〔2,996〕あいおいニッセイ同和損害保険株式会社11,977〔2,051〕三井ダイレクト損害保険株式会社523〔-〕(国内生命保険事業) 三井住友海上あいおい生命保険株式会社2,441〔15〕三井住友海上プライマリー生命保険株式会社407〔2〕(海外事業) 海外保険子会社9,859〔614〕その他494〔58〕合計38,247〔5,753〕(注)1 従業員数は就業人員数であり、執行役員を含んでおりません。 2 臨時従業員については年間の平均雇用人員数を〔 〕で外書きしております。 3 当社は保険持株会社であり、特定の事業セグメントに区分されておりません。 4 その他欄には、国内保険会社以外のグループ会社が営むリスク関連サービス事業等の従業員数を記載しております。 (2) 提出会社の状況 (2025年3月31日現在)従業員数(人)平均年齢(歳)平均勤続年数(年)平均年間給与(円)45347.922.911,435,904(注)1 当社の従業員は全て子会社からの出向者であります。 2 当社は保険持株会社であり、特定の事業セグメントに区分されておりません。 3 従業員数は就業人員数であり、執行役員、休職者及び臨時従業員を含んでおりません。 4 平均勤続年数は子会社における勤続年数を通算しております。 5 平均年齢及び平均勤続年数は小数点以下第2位を切り捨てて小数点以下第1位まで表示しております。 6 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。 (3) 労働組合の状況当社には労働組合はありません。 なお、労使関係について特に記載すべき事項はありません。 (4) 管理職に占める女性労働者の割合当社及び主要な連結子会社の管理職に占める女性労働者の割合(以下、「女性管理職比率」という。 )(2025年4月1日現在)会社名割合MS&ADインシュアランスグループホールディングス株式会社15.2%三井住友海上火災保険株式会社25.0%あいおいニッセイ同和損害保険株式会社23.4%三井ダイレクト損害保険株式会社19.1%三井住友海上あいおい生命保険株式会社25.3%三井住友海上プライマリー生命保険株式会社20.7%上記6社合計23.8%(注)1 管理職:課長職相当以上(執行役員を含んでおりません)。 2 社外への出向者を含まず、他社からの出向者を含んでおります。 3 連結子会社のうち主要な連結子会社以外のものについては、「第7 提出会社の参考情報 2 その他の参考情報 (2) 管理職に占める女性労働者の割合」に記載しております。 <補足説明>女性管理職に関するKPIを「女性管理職比率30%(2030年度末)」、「女性ライン長比率15%(2030年度末)」とし、グループ各社でタレントパイプライン整備に取り組んでおり、女性管理職の割合は着実に増加しております。 (主な取組事例)・当社が直接出資する関連事業会社の非常勤取締役への女性登用・副部長・副支店長ポストへの女性登用 [女性管理職比率の推移(上記6社合計)] (各年度4月1日時点)2023年度2024年度2025年度19.5%21.6%23.8% (5) 男性労働者の育児休業取得率当社及び主要な連結子会社の男性労働者の育児休業取得率(以下、「男性育児休業取得率」という。 )(2025年3月31日現在)会社名取得率MS&ADインシュアランスグループホールディングス株式会社60.0%三井住友海上火災保険株式会社84.8%あいおいニッセイ同和損害保険株式会社100.0%三井ダイレクト損害保険株式会社-三井住友海上あいおい生命保険株式会社105.0%三井住友海上プライマリー生命保険株式会社137.5%上記6社合計93.2%(注)1 対象期間:2024年4月1日~2025年3月31日2 当社以外の取得率は、当社への出向者を含まず算出しております。 3 男性育児休業取得率は、雇用する男性労働者のうち、「育児休業を取得した者の人数」÷「配偶者が出産した者の人数」により算出しております。 「-」は分母である「配偶者が出産した者の人数」がゼロとなる場合を示しています。 4 三井住友海上あいおい生命保険株式会社及び三井住友海上プライマリー生命保険株式会社の取得率は、前事業年度に配偶者が出産した男性労働者が当事業年度に育児休業を取得したことなどにより、100%を超えております。 5 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。 <補足説明>男性育児休業に関するKPI「取得率100%、取得日数4週間」を目指して、社員や職場メンバーの意識向上による取得促進に取り組んでおります。 (主な取組事例)・育児休業の意義と制度理解を深める研修など、全社員に対する周知取組・育児休業取得を促す案内を、上司に対する働きかけとして実施・育児休業中の職場メンバーへの一時金「育休職場応援手当(祝い金)」の給付・グループ各社の好取組事例の共有・展開 [男性育児休業取得率の推移](上記6社合計)2022年度2023年度2024年度92.5%89.9%93.2% (6) 労働者の男女の賃金の差異当社及び主要な連結子会社の労働者の男女の賃金の差異(男性の賃金に対する女性の賃金の割合(以下、「男女の賃金差異」という。 ) ① 当社全労働者うち正規雇用労働者うちパート・有期労働者66.0%63.7%90.3%(注)1 対象期間:2024年4月1日~2025年3月31日2 賃金には通勤手当を含んでおりません。 3 当社の従業員は全て子会社等からの出向者であります。 4 正規雇用労働者には執行役員を含んでおりません。 5 パート・有期労働者には派遣社員を含んでおりません。 <補足説明>・給与基準上は男女の賃金差異はありません。 同じ社員区分・役割区分での男女の賃金差異はなく、在籍年数などによる差異が若干生じております。 例えば、正規雇用労働者のうち、社員区分が総合社員(グローバル)の役割区分別の男女の賃金差異は91.4%~107.0%となっております。 [総合社員(グローバル)の役割区分別の男女の賃金差異]役割区分部長職課長職課長代理職主任職差異107.0%91.4%98.8%100.5% ・また、年代別では、20代の差異が小さくなっております。 [正規雇用労働者の年代別の男女の賃金差異]年代20代30代40代50代差異81.4%69.1%62.3%60.1% ・正規雇用労働者の男女の賃金に差異がある主な要因は、「管理職に占める女性の割合が低いこと」及び「転居転勤を前提に賃金水準を相対的に高く設定しているコース区分に占める男性の割合が高いこと」であります。 ・当社グループでは、意思決定層の多様化の一環として、女性管理職の登用に取り組んでおり(※)、取組みを進めることで、男女の賃金差異の縮小についても進めてまいります。 ※ グループの女性管理職比率に関するKPIを「女性管理職比率30%(2030年度末)」として取組みを進めており、女性管理職の割合は着実に増加しております。 [女性管理職比率の推移]当社及び主要な連結子会社の6社合計 (各年度4月1日時点)2023年度2024年度2025年度19.5%21.6%23.8%(注)6社:「(4) 管理職に占める女性労働者の割合」に記載のグループ各社であります。 ② 三井住友海上火災保険株式会社全労働者うち正規雇用労働者うちパート・有期労働者48.8%55.7%30.7%(注)1 対象期間:2024年4月1日~2025年3月31日2 賃金には通勤手当を含んでおりません。 3 社外への出向者を含まず、他社からの出向者を含んでおります(ただし、賃金の支払いがない場合は含んでおりません)。 4 正規雇用労働者には執行役員及び理事を含んでおりません。 5 パート・有期労働者には派遣社員を除き、ic(インシュアランスコンサルタント)、理事、特別社員(産業医、高度専門職など)を含んでおります。 <補足説明>・給与基準上は男女の賃金差異はありません。 同じ社員区分・役割区分での男女の賃金差異はなく、在籍年数などによる差異が若干生じております。 例えば、正規雇用労働者のうち、社員区分が総合社員(グローバル)の役割区分別の男女の賃金差異は94.1%~99.4%となっております。 [総合社員(グローバル)の役割区分別の男女の賃金差異]役割区分部長職課長職課長代理職主任職担当職差異97.9%98.5%94.1%99.4%98.7% ・また、年代別では、20代の差異が小さくなっております。 [正規雇用労働者の年代別の男女の賃金差異]年代20代30代40代50代差異83.2%58.4%50.4%48.8% ・正規雇用労働者の男女の賃金に差異がある主な要因は、「管理職に占める女性の割合が低いこと」及び「転居転勤を前提に賃金水準を相対的に高く設定しているコース区分に占める男性の割合が高いこと」であります。 ・パート・有期労働者の男女の賃金に差異がある主な要因は、理事、産業医、高度専門職など、相対的に賃金水準が高い有期労働者においては男性の割合が高い一方、パート・有期労働者の大半を占めるスタッフ社員(主に定型的な業務を担う社員)については女性が多いことであります。 ・差異の要因解消のため、女性管理職比率の引上げ、総合社員(ワイドエリア)の転居転勤加算給の引上げ、採用における転居転勤(コース区分)別の男女人数差の縮小等の対応を行っており、差異は縮小傾向にあります。 [女性管理職比率の推移] (各年度4月1日時点)2023年度2024年度2025年度21.4%23.7%25.0% ③ あいおいニッセイ同和損害保険株式会社全労働者うち正規雇用労働者うちパート・有期労働者58.6%62.0%64.7%(注)1 対象期間:2024年4月1日~2025年3月31日2 賃金には通勤手当を含んでおりません。 3 社外への出向者及び他社からの出向者を含んでおりません。 4 正規雇用労働者には執行役員を含まず、理事を含んでおります。 5 パート・有期労働者には派遣社員を含んでおりません。 <補足説明>・給与基準上は男女の賃金差異はありません。 同じ社員区分・役割区分での男女の賃金差異はなく、在籍年数などによる差異が若干生じております。 例えば、正規雇用労働者のうち、社員区分が基幹社員(転居可)の役職別の男女の賃金差異は93.5%~102.1%となっております。 [基幹社員(転居転勤可)の役職別の男女の賃金差異]役職部長職次長職課長職課長補佐職主任職担当職差異97.1%99.2%102.1%95.3%93.5%96.8% ・また、年代別では、20代の差異が小さくなっております。 [正規雇用労働者の年代別の男女の賃金差異]年代20代30代40代50代差異88.1%60.3%55.1%61.8% ・正規雇用労働者の男女の賃金に差異がある主な要因は、「管理職に占める女性の割合が低いこと」及び「転居転勤を前提に賃金水準を相対的に高く設定している社員区分に占める男性の割合が高いこと」であります。 ・パート・有期労働者の男女の賃金に差異がある主な要因は、相対的に賃金水準・専門性の高い有期労働者においては男性の割合が高い一方、短時間労働の契約社員・コミュニケーター職については女性が多いことであります。 ・差異の要因解消のため、女性管理職比率の引上げ(目標:2025年度末24%)に取り組み、また、2023年10月に従来の「全域型」「地域型」の社員区分を統合し、キャリアビジョンやライフイベント等に応じた転居転勤の可否選択の柔軟性を高める制度改定を実施し、2024年4月より運用を開始しており、差異は縮小傾向にあります。 [女性管理職比率の推移] (各年度4月1日時点)2023年度2024年度2025年度17.8%20.0%23.4% ④ 三井ダイレクト損害保険株式会社全労働者うち正規雇用労働者うちパート・有期労働者65.8%61.4%77.0%(注)1 対象期間:2024年4月1日~2025年3月31日2 賃金には通勤手当を含んでおりません。 3 社外への出向者及び他社からの出向者を含んでおりません。 4 正規雇用労働者には執行役員を含まず、理事を含んでおります。 5 パート・有期労働者には派遣社員を含んでおりません。 <補足説明>・給与基準上は男女の賃金差異はありません。 同じ職掌・職務区分での男女の賃金差異はなく、在籍年数などによる差異が若干生じております。 例えば、正規雇用労働者のうち、総合職掌(ゼネラル職種)の職務区分別の男女の賃金差異は96.5%~102.0%となっております。 [総合職掌(ゼネラル職種)の職務区分別の男女の賃金差異]職務区分マネージャー職サブマネージャー職アシスタントマネージャー職チーフスタッフ職差異100.9%101.1%102.0%96.5% ・また、年代別では、20代の差異が小さくなっております。 [正規雇用労働者の年代別の男女の賃金差異]年代20代30代40代50代差異88.4%61.4%63.1%65.5% ・正規雇用労働者の男女の賃金に差異がある主な要因は、「管理職に占める女性の割合が低いこと」及び「転居転勤を前提に賃金水準を相対的に高く設定している職種区分に占める男性の割合が高いこと」であります。 ・パート・有期労働者の男女の賃金に差異がある主な要因は、賃金水準が高い専門人財の有期労働者において男性の割合が高い一方、相対的に賃金水準が低い事務職における女性が多いことであります。 ・差異の要因解消のため、女性管理職比率の引上げに取り組み、勤務エリアを限定する職種の社員が、キャリアビジョンやライフイベント等に応じてゼネラル職種に転換できる機会を設けており、差異は縮小傾向にあります。 [女性管理職比率の推移] (各年度4月1日時点)2023年度2024年度2025年度17.9%19.3%19.1% ⑤ 三井住友海上あいおい生命保険株式会社全労働者うち正規雇用労働者うちパート・有期労働者63.4%63.5%43.4%(注)1 対象期間:2024年4月1日~2025年3月31日2 賃金には通勤手当を含んでおりません。 3 社外への出向者及び他社からの出向者を含んでおりません。 4 正規雇用労働者には執行役員、理事、上席部長を含まず、キャリアLC社員を含んでおります。 5 パート・有期労働者には派遣社員を含まず、理事、上席部長、LC社員を含んでおります。 <補足説明>・給与基準上は男女の賃金差異はありません。 同じ社員区分・役割区分での男女の賃金差異はなく、在籍年数などによる差異が若干生じております。 例えば、正規雇用労働者のうち、社員区分が転居転勤可を選択している総合社員の役割区分別の男女の賃金差異は80.7%~103.9%となっております。 [転居転勤可を選択している総合社員の役割区分別の男女の賃金差異]役割区分課長職(次長職を含む)課長代理職副長職担当職差異101.3%96.9%80.7%103.9% ・また、年代別では、20代の差異が小さくなっております。 [正規雇用労働者の年代別の男女の賃金差異]年代20代30代40代50代差異77.4%53.3%66.2%62.8% ・正規雇用労働者の男女の賃金に差異がある主な要因は、「管理職に占める女性の割合が低いこと」及び「転居転勤可を選択する場合の賃金水準を相対的に高く設定しており、転居転勤可を選択する割合は男性が高いこと」であります。 ・パート・有期労働者の男女の賃金に差異がある主な要因は、理事、上席部長など、相対的に賃金水準が高い有期労働者においては男性の割合が高い一方、主に定型的な業務を担う社員であるアソシエイト社員については女性が多いことであります。 ・差異の要因解消のため、女性管理職比率の引上げや、キャリアビジョンやライフイベント等に応じて転居転勤可否を柔軟に選択できる人事制度を導入しており、差異は縮小傾向にあります。 [女性管理職比率の推移] (各年度4月1日時点)2023年度2024年度2025年度21.4%23.2%25.3% ⑥ 三井住友海上プライマリー生命保険株式会社全労働者うち正規雇用労働者うちパート・有期労働者72.9%73.0%39.4%(注)1 対象期間:2024年4月1日~2025年3月31日2 賃金には通勤手当を含んでおりません。 3 社外への出向者及び他社からの出向者を含んでおりません(ただし、賃金の支払いがある他社からの出向者は含んでおります)。 4 正規雇用労働者には執行役員を含んでおりません。 5 パート・有期労働者には派遣社員を含まず、顧問を含んでおります。 <補足説明>・給与規程上は男女の賃金差異はありません。 同じ資格等級での男女の賃金差異はなく、在籍年数などによる差異が若干生じております。 例えば、正規雇用労働者のうち、資格等級別の男女の賃金差異は84.7%~110.6%となっております。 [資格等級別の男女の賃金差異]役割区分上席部長職部長職次長職課長職課長代理職主任職担当職差異110.6%97.8%95.0%98.4%89.2%84.7%95.0% ・また、年代別では、20代の差異が小さくなっております。 [正規雇用労働者の年代別の男女の賃金差異]年代20代30代40代50代差異82.8%75.3%75.9%74.8% ・労働者全体の男女の賃金に差異がある主な要因は、「管理職に占める女性の割合が低いこと」であります。 ・差異の要因解消のため、女性管理職比率の引上げ(目標:2030年度末30%以上)に取り組んでおり、差異は縮小傾向にあります。 [女性管理職比率の推移] (各年度4月1日時点)2023年度2024年度2025年度17.7%21.5%20.7% |
経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 | 1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 会社の経営の基本方針 当社グループは、グループの目指す姿として「経営理念(ミッション)」、「経営ビジョン」、「行動指針(バリュー)」を以下のとおり定めております。 <経営理念(ミッション)>グローバルな保険・金融サービス事業を通じて、安心と安全を提供し、活力ある社会の発展と地球の健やかな未来を支えます<経営ビジョン>持続的成長と企業価値向上を追い続ける世界トップ水準の保険・金融グループを創造します<行動指針(バリュー)>お客さま第一 :わたしたちは、常にお客さまの安心と満足のために、行動します誠実 :わたしたちは、あらゆる場面で、あらゆる人に、誠実、親切、公平・公正に接しますチームワーク :わたしたちは、お互いの個性と意見を尊重し、知識とアイデアを共有して、ともに成長します革新 :わたしたちは、ステークホルダーの声に耳を傾け、絶えず自分の仕事を見直しますプロフェッショナリズム:わたしたちは、自らを磨き続け、常に高い品質のサービスを提供します (2) 目標とする経営指標当社グループは2024年度よりスタートした中期経営計画(2022-2025)第2ステージにおいて、グループ全体の業績を示す経営指標として「グループ修正利益」(注1)、「グループ修正ROE」(注2)、「IFRS純利益」、「修正ROE」(注3)、「ESR(Economic Solvency Ratio)」(注4)を掲げており、目標値は次のとおりであります。 なお、当社グループは2025年度末決算からIFRS(国際財務報告基準)を適用する予定であります。 (2024年度実績)2025年度目標グループ修正利益(7,317億円)7,600億円グループ修正ROE(15.7%)16%IFRS純利益-4,500億円修正ROE-12%ESR(226%)180~250%(注)1 グループ修正利益 =連結当期利益+異常危険準備金等繰入・戻入額-その他特殊要因(のれん・その他無形固定資産償却額等)+非連結グループ会社持分利益2 グループ修正ROE=グループ修正利益÷グループ修正純資産(連結純資産+異常危険準備金等-のれん・その他無形固定資産)3 修正ROE =IFRS純利益÷(IFRS純資産-政策株式の含み損益)4 ESR =時価純資産÷統合リスク量(信頼水準99.5%) (3) 経営環境並びに事業上及び財務上の対処すべき課題今後のわが国を含む世界経済は、景気の緩やかな回復が持続することが期待される一方、米国の通商政策の動向、欧米における高金利の継続、中国における不動産市場の停滞の継続に加え、複数の地域で進行する地政学的な緊張の高まりによる影響など、海外景気の下振れがわが国の景気を下押しするリスクが懸念されます。 保険業界においては、保険料調整行為等の不適切事案の発生を受けて、金融庁において「損害保険業の構造的課題と競争のあり方に関する有識者会議」及び金融審議会「損害保険業等に関する制度等ワーキング・グループ」が開催され、保険市場に対する信頼の確保とその健全な発展に向けた方策について議論が重ねられました。 今後、これらの議論を踏まえた保険業法の改正等に業界として適切に対応し、お客さまと社会からの信頼回復に向けた取組みを推進するとともに、引き続き保険とその周辺サービスの提供を通じて社会のレジリエンスを高める社会インフラとしての役割を果たしていくことが求められております。 このような中、当社グループとしても、グループの「ミッション・ビジョン・バリュー」に立ち返って、全役職員及び代理店の行動を見直し、「ビジネススタイルの大変革」を進めるとともに、お客さまの信頼回復に全力で取り組んでまいります。 そのうえで、デジタル技術の進展や人手不足の進行などの事業環境の変化を踏まえ、中期経営計画(2022-2025)に掲げた基本戦略やその基盤取組みを進めてまいります。 [ビジネススタイルの大変革] 当社グループでは、「お客さま第一の業務運営」「ガバナンスの強化」「コンプライアンス」を基礎に据えて、「提供価値の変革」「事業構造の変革」「生産性・収益性の変革」を柱とするビジネススタイルの大変革を、引き続き進めてまいります。 提供価値の変革事業構造の変革生産性・収益性の変革○適正な競争環境の構築商品・サービスにおける競争優位性の強化○リスクソリューション提案力の強化「保険本来の機能」+「補償・保障前後のソリューション」の強化○引受管理の強化リスク関連情報・データを活用したアンダーライティング強化○新たな成長投資開拓余地・市場成長が見込める事業への新たな投資の拡充○デジタル・人財への投資生成AI等新たなソリューションへのDX投資、人的資本投資の拡大○1プラットフォーム戦略の完遂本社機能の一体運営の推進、グループへの拡大○オーバースペックな業務の見直しペーパーレス化・デジタル化推進○資産運用の強化市場環境の変化を踏まえた収益性の追求お客さま第一の業務運営ガバナンスの強化コンプライアンス○お客さま第一の業務運営の再徹底○お客さま・社会の要請・期待に応える自発的な行動○経営陣によるガバナンス態勢強化○3ラインディフェンスにおける第2線・第3線の機能強化○コンプライアンス知識・意識の向上○リスクの予見、予兆検知能力向上○モニタリング、知見の蓄積とグループ内共有 当社は、これらの取組みをグループ各社が確実に進め、三井住友海上火災保険株式会社及びあいおいニッセイ同和損害保険株式会社がそれぞれの業務改善計画を着実に実行していくよう、持株会社として、経営管理態勢の強化、ガバナンスの発揮、グループ全体におけるコンプライアンスの徹底に引き続き取り組んでまいります。 [中期経営計画の基本戦略・基盤] 中期経営計画(2022-2025)第2ステージ(2024~2025年度)では、ビジネススタイルの大変革を進めつつ、お客さまと真摯に向き合い、お客さまと社会の課題を解決していくことにより、CSVの実現と持続的な成長を引き続き追求することとしております。 レジリエントでサステナブルな社会を支える企業グループを実現するため、3つの基本戦略「Value(価値の創造)」「Transformation(事業の変革)」「Synergy(グループシナジーの発揮)」とこれらの基本戦略を支える4つの基盤「サステナビリティ」「品質」「人財」「ERM」それぞれについて着実に取組みを進めてまいります。 基本戦略Value(価値の創造)提供価値の変革の推進 ・デジタル技術・データを活用した補償・保障前後を含む新たな商品・サービスの開発・収益化を推進し、お客さま・社会の課題解決を実現します。 ・自然災害ロス等の増加、インフレの継続等の事業環境変化を踏まえ、自動車保険・火災保険の収益力強化、生産性の向上を図ります。 Transformation(事業の変革)事業構造の変革の推進 ・国内損害保険市場の中長期的な成長鈍化を踏まえ、海外事業・生保事業の拡大により、分散の効いた事業ポートフォリオを実現します。 また、事業管理の高度化(業績改善や不採算事業の見極め)による資本効率の向上を図ります。 ・生成AI等デジタル技術の急速な進化と利活用の加速を踏まえた最適なソリューションを追求することで、ビジネススタイルの変革を進め、事業の変革に取り組みます。 Synergy(グループシナジーの発揮)生産性・収益性の変革の推進 ・人手不足の進行等を踏まえ、1プラットフォーム戦略の推進によるグループ会社間のシナジーを発揮し、持続可能な事業運営体制の構築とさらなる効率化と品質向上に取り組みます。 ・加えて、グループ各社の顧客基盤を活かした生損及び生保2社間の提携販売の拡大や、本社と海外拠点間のコミュニケーションを強化し、国内外でノウハウの相互展開を推進します。 基盤サステナビリティ品質人財ERMステークホルダーと当社双方にとって重要度が高い社会課題の解決を目指し、3つの重点課題「地球環境との共生(Planetary Health)」「安心・安全な社会(Resilience)」「多様な人々の幸福(Well-being)」に統合的に取り組みます。 従来の品質取組みに加えて、業務運営ルールの明確化や第2線・第3線のリスク管理態勢の強化を行い、代理店も含めたお客さま第一の業務運営・コンプライアンスの再徹底を図ります。 人手不足の進行に対応するため、人的資本への投資を拡大し、社員のエンゲージメントの向上を図ります。 法務リスク・コンダクトリスク等の定量化が難しいリスクの定性的な評価とガバナンス態勢を強化します。 また、2030年3月末までに政策株式の保有ゼロを実現することにより、リスクの削減と資本効率の向上を図ります。 ROEの向上に向けて、各事業会社が利益創出力を強化するとともに資本収益性を高めていきます。 [事業領域別の取組み]主な事業領域別の取組方針は以下のとおりであります。 国内損害保険事業においては、事業のあり方を見直し、お客さま第一の業務運営を徹底して、お客さまに向き合った企業活動を実践してまいります。 また、自然災害の甚大化・頻発化、インフレの継続等、保険引受損益の悪化要因を踏まえつつ、自動車保険、火災保険及び新種保険の収益力強化を図ります。 国内生命保険事業においては、長期的な人口減少や高齢化社会の進展等の環境変化に対応した商品・サービスの開発や販売チャネルの強化、外貨建て保険等リスク性金融商品も含む販売管理態勢の強化を進めます。 また、三井住友海上あいおい生命保険株式会社と三井住友海上プライマリー生命保険株式会社それぞれの商品特性に応じた資産運用を基本としつつ、金利等の市場の変動を捉えて運用収益の拡大にも取り組んでまいります。 海外事業においては、MS Amlinのロイズ・再保険事業の安定的な拡大やトヨタリテール事業の収益改善に取り組むとともに、米国・アジア事業のさらなる拡大を図るため事業投資等を検討し、加えて、ガバナンス態勢の強化を図るなど、リスク分散を図りつつ資本効率の向上・企業価値向上を実現してまいります。 資産運用においては、金利上昇などの市場環境の変化に対応しつつ、時価純資産価値(注)を持続的に拡大するため、分散されたポートフォリオを構築してグループ全体のリスク対比リターンの向上を図るとともに、政策株式の削減に継続して取り組んでまいります。 また、グループ各社の運用方針・戦略・計画や投資情報の共有、人財育成や外国資産運用に係る共通プラットフォームの活用等を通じてグループ内の知見やリソースを有効に活用してまいります。 (注)時価純資産価値経済価値ベースで評価した時価資産から時価負債を控除した差額であり、実質的な自己資本のこと。 なお、当社は、三井住友海上火災保険株式会社とあいおいニッセイ同和損害保険株式会社を2027年4月を目途に合併させるため、今後、具体的な検討・対応準備を進めることを決定しました。 当社グループのビジョンである「世界トップ水準の保険・金融グループの創造」を実現し、レジリエントでサステナブルな経済・社会の発展を支えるため、より強固な国内損害保険事業体制を構築してまいります。 また、当社は、2025年6月23日開催予定の第17期定時株主総会での承認を条件として、監査等委員会設置会社へ移行します。 これにより、取締役会の監督機能を強化するとともに、重要な業務の執行に関する決定の一部を取締役に委任し、意思決定及び業務執行の迅速化を図ります。 加えて、取締役会の構成について社外取締役を過半数とし、取締役会における経営判断の客観性を高め、ガバナンス体制の一層の充実を図ります。 |
戦略 | (2) 戦略当社グループの中期経営計画(2022-2025)では、補償・保障前後における商品・サービスのシームレスな提供や、リスクコンサルティングによるソリューションの提供など、リスクソリューションのプラットフォーマーとして気候変動をはじめとした社会課題の解決に貢献し、社会と共に成長する「レジリエントでサステナブルな社会を支える企業グループ」をめざしております。 また、「地球環境との共生(Planetary Health)」、「安心・安全な社会(Resilience)」、「多様な人々の幸福(Well-being)」の3つをサステナビリティの重点課題として定めております。 社会で解決が求められている様々な課題は、当社グループの事業活動へのリスクとなる一方で、これらの課題解決につながる商品・サービスの提供は、社会との共通価値を創造する新たな事業機会になることから、社会との共通価値を創造するCSV取組を進めております。 ① 気候と自然との統合的な戦略将来の気候変動や生物多様性の損失に関するリスクの変動は、保険業界に多大な影響を与えます。 例えば、気候変動が進行すると、温暖化による熱波、干ばつ、森林火災などの災害が頻繁に発生し、その規模も増加する可能性があります。 更に、降水パターンにも影響を与えることで豪雨や洪水のリスクが高まるほか、氷河の融解や海水の熱膨張による海面上昇も起きると沿岸地域の浸水リスクが増加します。 日本国内においても、年平均気温の上昇や猛暑日・豪雨の増加などが予想されており、上述のリスクの顕在化や、サプライチェーンの分断による企業活動への影響が見込まれております。 気候変動の深刻化に伴い生物多様性の喪失が危惧されております。 生物多様性が失われると、自然が提供する土壌の安定といった生態系サービスが減少することにより、洪水・土砂災害リスクが増加したり、水質浄化の生態系サービスが減少したりすることで、水資源の枯渇や水質悪化が進行するといった、農業・工業をはじめ多くの企業活動への影響が見込まれます。 こうした自然災害の頻度と規模が増加することで、保険金の支払いが増加するなど、保険会社の収益性に影響する可能性があります。 このような状況に対応するため、当社グループでは、地球温暖化とそれに伴う自然災害の増加を受け、気候変動への適応と自然資本の保全・回復に統合的に取り組んでいくことが重要と考えております。 国際的な目標であるパリ協定や国連生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)の「昆明・モントリオール生物多様性枠組」では、2050年までのネットゼロ達成と2030年までに生物多様性の損失を食い止め、反転させ、自然を回復軌道に乗せる「ネイチャーポジティブ」の方向性が示されており、当社は自然資本の毀損がもたらすリスクを適切に評価し、開示するためのTNFD開示提言にも対応してまいります。 私たちのミッションである「安心と安全を提供し、活力ある社会の発展と地球の健やかな未来を支える」ため、ネットゼロとネイチャーポジティブの同時実現をめざし、社会やビジネスモデルの変革を推進してまいります。 a.気候・自然関連のリスクと機会(a)気候・自然関連のリスクイ.物理的リスク当社グループでは、台風や豪雨による風水災のほか、森林火災や雹災など、気候変動に関連する自然災害リスクの増大が既に保険引受において財務的影響を及ぼしております。 また、気候だけでなく水資源の枯渇など自然資本関連の様々なリスクによる影響が、社会や事業活動において中長期的に高まっていくと想定されます。 注 時間軸については、短期:2025年(中期経営計画期間末)、中期:2030年(中間目標のターゲットイヤー)、長期:2050年を想定しております。 ロ.移行リスク当社グループでは、ネットゼロやネイチャーポジティブな社会への移行にあたり、社会の様々な分野での急激な変化による企業活動のリスク(移行リスク)は保険引受や資産運用の収益低下につながる可能性があると考えております。 ただ、保険引受では、一部商品を除き、移行リスクを直接補償している保険商品はほとんどないため、影響は限定的と考えております。 技術革新や法規制の導入は、保険提供の新たな機会にもなりますが、こうしたニーズに対応できない場合はリスクにもなる可能性があります。 ※1 会社役員賠償責任保険の略称。 会社役員が役員として行った行為(含む不作為)に起因して損害賠償請求がなされたことにより、会社役員が負う損害賠償金や争訟費用等を補償※2 賠償事故が発生した場合のブランドイメージの回復に必要な措置等にかかった費用を補償 ハ.シナリオ分析(イ)保険引受における物理的リスクの分析物理的リスクのシナリオ分析として、地球温暖化に伴う台風の変化が保険金支払に与える影響について分析しました。 当社は、国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)が立ち上げたプロジェクトにおいて、保険引受に与える影響が大きい台風やハリケーンの分析を行うグループに参画し、将来、地球温暖化が進展した際に、台風やハリケーンがもたらすリスク量等への影響について検討しました。 4℃シナリオ(RCP8.5)における2050年において、台風の保険金支払は、「勢力」の変化によって約+5%~約+50%、また、「発生頻度」の変化によって約▲30%~約+28%、各々変化する可能性があるという結果になりました。 台風による高潮の変化では、2℃シナリオ(RCP4.5)、4℃シナリオ(RCP8.5)における2030年及び2050年の分析結果は、いずれの場合でも、保険金支払は数%程度増加する可能性があるという結果となりました。 2021年度には、上記の分析とは別に、気候変動リスク等に係る金融当局ネットワーク(NGFS)で検討されているシナリオの前提等を参考として、日本銀行・金融庁と連携して、シナリオ分析のエクササイズを実施し、気候変動影響によって勢力が強まった自然災害による保険金支払について分析を行いました。 また、上記に加えて、当社グループでは、学術機関と連携した研究プロジェクト等により知見の向上に努めるとともに、気候変動による台風の勢力変化を反映した分析手法を構築するなど、シナリオ分析の精度向上に取り組んでおります。 (ロ)投融資における物理的リスクの分析当社グループでは気候変動による投融資先の重要拠点の水災被害増加は、運用収益悪化につながる可能性があると考えております。 そのため、主要な投資先の資産の物理的リスクの分析を行い、資産運用における気候変動リスクを確認しております。 また、投融資先の事業拠点と自然関連の要注意地域との関係性についても分析を行いました。 当社グループではお客さまとの取引を通じて気候変動リスクと強い関係性を有しており、投融資(株式・社債・企業融資)ポートフォリオを対象に、気候変動シナリオ下での物理的リスクを定量的に評価しました。 気候変動に起因して洪水、風災等の物理的リスクが増大すると、投融資先の売上や資産に影響を与える可能性があります。 そこで、当社グループ投融資ポートフォリオ上位500社を選定し、気候変動による洪水・風災リスクの影響について、株式・社債・企業融資ごとに、売上損害・資産損害の双方を分析しました。 分析の結果、最もリスクが増大する株式の4℃超シナリオにおいて、2050年時点で売上損害、資産損害の影響がそれぞれ5.2%程度(洪水、風災の合計)増大する可能性があることがわかりました。 ただし投融資先の売上対比では、投融資ポートフォリオ全体としての影響は限定的と考えられます。 (ハ)自社事業拠点における物理的リスクの分析(洪水)当社グループの自社事業拠点における気候変動シナリオ下での物理的リスクを定量的に評価しました。 当社グループが保有する国内の主要70拠点の不動産を対象に、気候変動シナリオ下での洪水被害を把握し、気候変動による洪水の浸水被害の増大を分析しました。 年1%の確率で発生する洪水について、SSP1-2.6シナリオでは2050年に浸水深が高くなる傾向がありますが、これは気候変動シナリオの分析における不確実性などが原因と考えられます。 新たに浸水する可能性がある拠点はありませんでした。 SSP5-8.5シナリオでは、2020年に浸水する可能性があった拠点で、2050年に浸水深が増加する傾向が多く見られます。 また、2080年時点では、新たに1拠点が浸水する可能性があることが確認されました。 0.1%の確率で発生する洪水について、SSP1-2.6シナリオでは、2080年に新たに浸水する可能性がある拠点が1つ増えると予測されております。 SSP5-8.5シナリオでは、2050年には既存の拠点で2m以上の浸水が見られる拠点が増加し、新たに浸水する拠点が1つ増えると予測されております。 更に、2080年には新たに浸水する拠点がもう1つ増加する可能性があります。 (ニ)投融資における移行リスクの分析(カーボンコスト)温室効果ガス排出量に応じた費用を負担する「カーボンプライシング」(炭素の価格付け)は、温室効果ガス排出量の削減を促す政策として世界で導入が検討されており、企業にとってはカーボンコストの負担が増加するリスクがあります。 当社では温室効果ガス排出量の削減を目的として、再生可能エネルギー契約や省エネルギー設備への投資を行っております。 これらの追加コストの支払い及び更新投資の意思決定を行う際に、内部炭素価格を活用して判断しております。 内部炭素価格の設定は、契約切替に伴う追加コストや炭素価格のベンチマークを勘案し、10,000円/t-CO2としております。 移行リスクのシナリオ分析として、将来のカーボンコストによる負担増加が当社グループの投資ポートフォリオに与える影響について分析しております。 分析にあたっては、炭素排出量をはじめとする環境データや気候変動のリスクを分析するツールを使用し、投資先企業が将来負担するカーボンコストに対して、現時点でどの程度支払う能力(カーボンアーニングアットリスク(EBIT at Risk)(※))があるのかを算出しました。 なお、EBIT at Riskが極端に大きくなった投資先のものは外れ値として集計から除外しています。 ※ 企業のカーボンコストの将来負担増加分(Unpriced Cost of Carbon:UCC)を企業の利益(Earnings Before Interest and Taxes:EBIT)で割ったもので、シナリオごとの投資ポートフォリオに与える財務的な影響を示しています。 また、TCFDが2℃以下を含む気温上昇シナリオに基づく分析を推奨していることを踏まえ、当社グループでは、次の3つのシナリオに基づいて分析しました。 高位シナリオ:2100年までに気温上昇を2℃未満に抑えるという国際目標(パリ協定)と整合する十分な政策手段が講じられるシナリオ中位シナリオ:気温上昇を2℃に抑えるための政策が長期的には講じられるものの、短期的には政策実施が遅れることを想定したシナリオ低位シナリオ:各国が自主的に定めた目標を実施するものの、気温上昇が3℃程度となるシナリオ なお、分析対象は、当社グループの2023年3月末の投資ポートフォリオのうち、上場企業の国内外株式(時価ベースで約99%をカバー)と国内外社債(簿価ベースで約95%をカバー)としております。 また、企業の利益については、財務パフォーマンスの変動を緩和するため直近3ヵ年平均値を用いており、温室効果ガス排出量については、投資先企業が直接排出したスコープ1と、電力などの使用によって間接排出したスコープ2を対象としております。 分析結果は下表のとおりであり、より大きい政策手段が講じられる高位シナリオや中位シナリオでは、カーボンコストの負担が大きくなり、移行リスクが大きくなります。 当社グループの2023年3月末の投資ポートフォリオでは、2050年にカーボンアーニングアットリスク(EBIT at Risk)が、株式では低位シナリオで約8%、中位・高位シナリオで約31%、社債では低位シナリオで約14%、中位・高位シナリオで約48%程度となる可能性があるとの分析結果となりました。 [MS&ADグループカーボンアーニングアットリスク(EBIT at Risk)]<株式(2023年3月末時点)> 低位シナリオ中位シナリオ高位シナリオ2030年4.5%13.2%18.2%2040年7.2%22.1%27.5%2050年8.4%31.1%31.1% <社債(2023年3月末時点)> 低位シナリオ中位シナリオ高位シナリオ2030年7.8%21.5%29.1%2040年12.0%34.9%42.9%2050年13.9%48.4%48.4% この分析は、投資先企業における現在の温室効果ガス排出量をもとに実施したものであります。 投資先企業が脱炭素の取組みを進めていけば、その投資先企業が負担するカーボンコストは低下し、将来のカーボンアーニングアットリスク(EBIT at Risk)も低減が見込まれます。 シナリオ分析に関する詳細の内容は、当社の「グリーンレジリエンスレポート2024」を参照ください。 https://www.ms-ad-hd.com/ja/csr/main/05/teaserItems1/01/link/greenresiliencereport2024.pdf ニ.リスク評価に対する不確実性の存在(イ)気候予測モデルの不確実性複数の気候予測モデルを比較・評価し、その結果を統合することで気候変動に関する科学的理解を深めることを目的とする国際的なプロジェクトのCMIP(Coupled Model Intercomparison Project)は、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の評価報告書においても、気候予測やシナリオ分析のためのデータ提供を行っておりますが、その気候予測モデルには以下のような不確実性を内包しております。 a.モデルの構造的不確実性各モデルは異なるパラメータを使用しているため、モデル間で結果が異なることがあります。 特に温暖化に伴う雲の温室効果や日傘効果がモデルごとに異なり、これが気候変動予測の不確実性の最大の要因(※)となっています。 b.外部強制力の不確実性太陽放射、火山活動、人為的な温室効果ガスの排出など、外部強制力の将来の変動に関する不確実性も存在します。 c.内部変動の不確実性気候システムには自然の内部変動(エルニーニョ現象等)が存在し、これがモデルの予測に影響を与えることがあります。 d.データの不確実性モデルの検証や初期条件の設定に使用される観測データの精度に不確実性が存在します。 日本の短時間強雨発生回数の変化に関する気象庁のレポートにおいても、極端な大雨の発生頻度が少ないことや、アメダスの観測時間が比較的短いことから、これらの長期変化傾向を確実に捉えるためには今後のデータの蓄積が必要であることが示唆されています。 e.スケールの不確実性モデルはグリッドベースで計算を行うため、空間解像度に限界があります。 これにより、地域的な気候変動の詳細な予測には限界が生じます。 ※ Zelinka et al., Causes of Higher Climate Sensitivity in CMIP6 Models, このように、IPCCの評価報告書に提供される気候モデルにおいても複数の不確実性が存在し、最も温暖化が進行するシナリオ(RCP8.5/SSP5-8.5)における分析結果においてもなお、その影響が上振れする可能性があることを認識しております。 (ロ)洪水対策後の被害額に関する不確実性当社グループが有するポートフォリオに対して、特に影響が大きい自然災害は洪水でありますが、適応策(洪水に対する防止対策)を実施した後においても、気候変動や社会経済の発展状況によっては洪水被害が現在の被害額よりも増加してしまうという「適応の限界」が生じる可能性があります。 これは洪水を防御するための構造物を建設する間に発生する洪水被害などが大きいためであり、できるだけ早期に適応策の実施を意思決定することと、そのための資金確保が重要なことが明らかになっております。 当社グループはこれらの点を考慮し、自然災害発生時の被害を回避するために要した費用を補償する「災害時車両緊急避難特約」などを開発しております。 (ハ)土砂災害における被害額に関する不確実性多様な生態系によって、私たちは洪水緩和や土壌・堆積物保持といった生態系サービスを享受しております。 しかし、将来的に生物多様性が失われることで、こうしたサービスが得られずに被害を受けるリスクがあります。 例えば、森林には降雨時における表層崩壊の発生を抑制するという土砂災害防止機能があります。 この機能は、森林の成熟あるいは劣化に伴って向上又は低減します。 また、成熟した森林は若い森林と比較して、より規模の大きい豪雨に対しても土砂災害防止機能を発揮できますが、一方で、土砂災害が発生した場合の流木量は成熟した森林の方が大きくなることがあります。 日本は国土の67%が森林であり、そのうちの約4割は成熟した状態にある人工林であることに加え、前述のように、気候変動による豪雨の増加が予想されることから、今後は土砂災害における損害額の増加が見込まれるものの、そのリスク量の大きさは想定できていない可能性があります。 当社グループはこれらの点を考慮した森林整備なども含めた流域治水が重要であると考えており、熊本県で土砂災害の防災・減災に貢献する球磨川流域における「緑の流域治水プロジェクト」や“熊本のウォーターポジティブ実現のための取組み”などの「グリーンレジリエンス(※)」の取組みを進めております。 ※ 当社グループは、自然の恵みを生かし、生物多様性を守りながら、脱炭素化を進め、自然災害の被害を和らげ、その魅力で地域も活性化する好循環を生み出す考え方を2015年から「グリーンレジリエンス」と称し、自然環境の保全・回復活動や、自治体・大学との共同活動に取り組んできました。 (b)気候・自然関連の機会当社グループは、特定した気候・自然関連の物理的リスク、移行リスクを踏まえ、リスクそのものの発生を抑制するとともに、リスクを引き起こす要因となる社会課題の解決に力を注いでおります。 (c)気候・自然関連のリスクと機会によるビジネスモデル、バリュー・チェーン(保険引受先・投融資先)への影響当社グループのビジネスモデルは、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 ①価値創造ストーリー」のとおり、保険・金融サービスにより「リスクを見つけ伝える」「リスクの発現を防ぐ・影響を小さくする」「経済的な負担を小さくする」という活動を通じて、社会課題へのソリューションを提供することであります。 気候変動による自然災害の頻発化・激甚化、生態系の喪失による気候変動への適応・緩和能力の低下は、支払保険金の増加につながり、当社グループの収益に大きな影響を与えます。 また、当社のバリュー・チェーンを形成する保険引受先と投融資先にも、上記(a)の「イ.物理的リスク」「ロ.移行リスク」のとおり、影響を与えます。 一方、気候変動への対応には、保険引受先・投融資先をはじめ社会全体において大幅な投資が見込まれております。 上記(b)のとおり、外部環境に応じた当社グループの機会が考えられます。 例えば、再生可能エネルギーへの移行や省エネルギー技術の採用による設備投資、防災・減災を目的としたグリーンインフラへの投資等が考えられ、このような成長マーケットへのリスクソリューション提供は当社グループの機会となっております。 b.気候・自然関連のリスクと機会を踏まえた取組み(a)リスクを見つけ伝えるイ.「リスクを見つけ伝える」取組み ~サステナビリティを考慮した事業活動~当社グループは、「サステナビリティの考え方」に基づき、サステナビリティを考慮した事業活動を実践し、ステークホルダーとともに社会課題の解決をめざしております。 保険引受・投融資においては、環境・社会に負の影響を与えるリスクを評価・分析し、取引先とともにリスク低減に取り組んでおります。 リスクの評価にあたっては、国際協力銀行(JBIC)の「環境社会配慮確認のための国際協力銀行ガイドライン」や国際金融公社(IFC)の「パフォーマンススタンダード」等を参考に、気候・自然関連の物理的リスク及び移行リスクに加え、脱炭素化に向け、急速に普及が進む再生可能エネルギー事業や未開拓の場所への大規模な開発を伴う新規の農林水産事業における自然や地域社会への影響、先住民の権利に関するリスク等を評価・分析しております。 発見されたリスクに対する予防・低減、課題の解決に貢献する商品やリスク・コンサルティングサービスの提供を通じ、ネットゼロ、ネイチャーポジティブを支援しております。 ロ.気候・自然関連リスク・機会の分析、評価と情報開示の支援MS&ADインターリスク総研株式会社では、気候・自然関連の物理的リスクと移行リスクを評価・分析し、情報開示を支援するサービスを提供しております。 特に気候変動の物理的リスクの定量的な評価は、先進的な知見をもつ社外の組織と連携し注力してまいりました。 2020年に米国のスタートアップと連携しAIを活用した気候変動影響評価をもとに、将来の多様な自然災害リスクを全世界対象に90m四方の精度で定量評価するサービスを開始しております。 また2018年に開始したプロジェクトでは、全世界の高精度な浸水深分布の推定を実現し、その成果をコンサルティングに活用しております。 また、2023年度から全世界の洪水リスク評価が可能なSaaS型プラットフォーム「洪水リスクファインダー」の提供を行っております。 自然関連のリスクについては、直接の事業活動だけでなく、原材料調達などを含むバリュー・チェーン全体を対象とする必要があります。 事業が接点を持つ各地域の自然・生態系の状態や、事業のあり方によって異なることから、分析・評価には、地域単位の科学的な評価・分析を行うことが重要であり、当社グループは、2022年に自然資本ビッグデータを有する企業と提携するなど、画期的な技術をもつ企業との実証を重ねながら、全般的な支援に加え、都市不動産向けや淡水資源にフォーカスしたTNFD開示支援など、自然との接点が特に強い業種に焦点を当てた支援を提供しております。 ハ.ネイチャーポジティブへの移行を後押しするコレクティブアクション地域の課題解決に向け、自然への依存の内容・度合いや、土地利用の変化による自然へのインパクトを踏まえ、ネイチャーポジティブに向けた明確な目標を共有することが重要であり、効果的な対策を立案し、様々なステークホルダーによる協働(コレクティブアクション)を進める必要があります。 MS&ADグリーンアースプロジェクトでは、全国3ヵ所での自然環境の保全・再生活動を通じて、研究機関と連携し、地域の事業者、NPOなどを巻き込み、ネイチャーポジティブに向けたコレクティブアクションを推進しております。 ネイチャーポジティブの実現と自然を活用した防災・減災、水資源の涵養などの課題解決を進め、安心・安全で活力ある地域モデルの構築をめざしております。 (b)リスクの発現を防ぐ・影響を小さくするイ.保険引受・投融資を通じた取組み<保険引受先・投融資先に係る温室効果ガス排出量削減目標と対話>当社グループは、保険引受先及び投融資先に係る温室効果ガス排出量の削減について、2030年までの中間目標を設定しております。 削減率目標とその進捗については「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (4) 指標・目標」を参照ください。 目標達成に向け、2023年度より、温室効果ガス排出量削減をはじめとするサステナビリティの課題に関する保険引受先との対話活動を開始しました。 従来も、CSV取組として、サステナビリティの重点課題の解決に向けた保険引受先への商品・サービスの提案活動を行っておりますが、2023年度からは、サステナビリティ課題に完全にフォーカスした対話活動を新たに開始しております。 対話を通じ、保険引受先のサステナビリティ課題を把握し、課題解決に向けたソリューション提案を進めております。 取組みの推進にあたり、代理店・ブローカーともサステナビリティ課題の解決に向けたソリューション提案に関する対話を開始しております。 ロ.投融資を通じた脱炭素社会の支援投融資先企業の温室効果ガス排出量削減に向けて、気候変動に対応した対話取組の推進、太陽光・風力・バイオマスといった再生エネルギーの発電所建設に係るプロジェクトファイナンスやファンドへの投融資を行っております。 また、三井住友海上火災保険株式会社、あいおいニッセイ同和損害保険株式会社、三井住友海上あいおい生命保険株式会社、三井住友海上プライマリー生命保険株式会社の4社が合同で気候変動を中心とするインパクトファンドへの投資の実行とともにノウハウ構築も進めております。 気候変動に対応した対話に関しては、投資先企業の気候変動対応の組織体制、温室効果ガス排出量削減目標に向けた取組み、技術革新計画や課題の把握等に取り組んでおります。 ハ.当社グループの温室効果ガス排出量削減取組当社グループは、2010年度に温室効果ガス排出量削減の中長期目標を設定し、事業活動に伴って排出される温室効果ガス排出量の削減に取り組んでまいりました。 2020年度には当初の温室効果ガス排出量削減目標(2009年度基準比30%削減)を達成し、2021年5月、パリ協定に沿った新たな目標を設定しました。 新たな目標では、温室効果ガス排出量を2050年度ネットゼロとし、2030年度の中間目標と再生可能エネルギー導入率目標も設定しました。 自社のオフィスビルへの最新鋭の省エネルギー設備の導入や太陽光発電設備の設置、社有車の低燃費車両への入替等により、エネルギー使用量の削減と再生可能エネルギーの導入を進めております。 また、リモートワークや在宅勤務、オンライン会議の積極的な活用など、ビジネススタイルの変革は、社員のWell-beingの実現とともに、社員の移動やオフィススペースを削減することで、ガソリンや電力の使用量の削減につながり、通勤や出張に係るエネルギーの削減、いわゆるスコープ3の温室効果ガス排出量削減につながります。 保険契約のお申込み、保険金のご請求手続、各種お知らせ等のWeb化といったビジネスプロセス改革も、紙の使用量の削減などの自然への負荷軽減と同時にスコープ3削減として取り組んでおります。 ニ.気候・自然関連のイニシアティブ・アライアンスへの参加ネットゼロ、ネイチャーポジティブに向けた取組みは、科学的知見に基づき、社会全体の移行を進めることが不可欠であり、研究の推進と、ビジネスにおける基準やルールづくり、推進体制の構築が鍵をにぎります。 当社グループは、学術機関との共同研究に積極的に参加するとともに、気候・自然関連のイニシアティブやアライアンスへの参加、また自らが連携の仕組みを主体的に構築するなど、様々なステークホルダーとともに社会の移行に積極的に取り組み、「レジリエントでサステナブルな社会」をめざしております。 こうした移行プロセスにおけるステークホルダーとの接点強化やペインポイントの発見を、新たなマーケットの開拓や保険・サービスの開発につなげ、あるべき社会の創造と当社の持続可能な成長のシナジー創出に取り組みます。 グループ会社がそれぞれに様々な研究機関と共同研究を行っておりますが、特に気候や自然に関連して次の研究プロジェクトに参画しております。 研究機関との主な共同研究LaRC-Flood®プロジェクト(東京大学、芝浦工業大学)2018年、IPCCにも成果が紹介されるなどの実績を持つ芝浦工業大学の平林教授、東京大学生産技術研究所の山崎准教授と気候変動による洪水リスクへの影響評価の研究及び研究成果の社会への還元をめざしたプロジェクトを始動し、「気候変動による洪水頻度変化予測マップ」を公開。 2021年度からNEDOとのマッチング助成事業の採択を受け、「将来洪水ハザードマップ」の開発、提供やSaaS型「洪水リスクファインダー」の開発に至っている。 地域気象データと先端学術による戦略的社会共創拠点 [ClimCOREプロジェクト](東京大学)過去から現在までの日本域の大気状態を高解像度で再現する「日本域気象 再解析データ」を整備し、大気状態の全体像を長期にわたり均質に4次元的に再現するとともに、こうした気象・気候ビッグデータの利活用とその体制構築も研究するプロジェクト。 当社グループは、本プロジェクトへの参画を通じ、台風のリスク評価に関する共同研究を行っている。 ※2020年(国研)科学技術振興機構(JST)による「共創の場形成支援プログラム」(COI-NEXT)の助成対象「流域治水を核とした復興を起点とする持続社会」地域共創拠点[緑の流域治水プロジェクト](熊本県立大学)球磨川流域を襲った令和2年7月豪雨を踏まえ、熊本県は、河川の整備だけでなく、自然環境との共生を図りながら、流域全体の総合力で安全・安心を実現していく「緑の流域治水」を提唱。 この考え方を核に、安全・安心に住み続けられ豊かな環境と若者が残り集う持続可能な地域の実現に向け、治水技術や環境再生、避難体制の強化につながる地域DX等の研究を進める。 2021年にJSTのCOI-NEXTの助成を受ける。 当社グループは、「MS&ADグリーンアースプロジェクト」として湿地の保全に参画するとともに、流域治水を促す保険・金融商品や防災に資するDX等の研究を進めている。 ※2021年(国研)JSTによるCOI-NEXTの助成対象ネイチャーポジティブ発展社会実現拠点(東北大学)自然の劣化を回復基調に転じる「ネイチャーポジティブ」の理念に基づき、アカデミア、金融・ビジネスセクター、自治体、市民等が連携し、①自然の価値を見える化し、持続的に高める、②ネイチャーポジティブに向けてお金が流れる仕組みを作る、③ネイチャーポジティブ発展社会を支える人を育てる取組みを進める。 当社グループは、生物多様性の評価手法や認証の開発に取り組み、ネイチャーポジティブに向けてお金が流れる仕組みづくりとその実装をめざす。 ※2024年(国研)JSTによるCOI-NEXTの助成対象 (c)経済的な負担を小さくするイ.気候変動の適応に貢献する商品・サービスの開発・提供住宅や事業所向けの火災保険に付帯される「水災補償」は、洪水などによる建物や家財、設備等の損害を補償します。 迅速な損害補償は、被災者の生活再建を支援する上で極めて重要であります。 「天候デリバティブ」は、異常気象や天候不順による売上の減少やコストの増加といった企業の損失を回避・軽減し、収益の安定化を図ります。 オーストラリアでは、オンラインでリアルタイムに保険見積りを実施できる「農家向け天候インデックス保険プラットフォーム」をインシュアテックの技術を活用して提供し、迅速かつ簡便に補償を得ることが可能になると考えております。 また、保険市場が十分に発達していない国々では一定規模の自然災害が発生した場合、復旧や復興は困難を極め、更なる貧困や政情不安につながる可能性があり、世界銀行等の国際機関と連携し、公的自然災害補償制度への参画を通じて、こうした国々へ復興資金の迅速な提供に貢献しております。 ロ.自然災害の補償・保障前後への取組拡大当社グループでは、頻発する自然災害に対して、「リアルタイム被害予測ウェブサイト・アプリcmap」や「防災減災システム『防災ダッシュボード』」等のサービスを通じて、地域の防災減災活動を支援しております。 国内初の降雹の予測情報を通知するアラートサービスは、降雹発生確率が高まっているエリアのサービス利用者に対し、プッシュ型のアラートを配信することで、雹災による被害の回避・軽減に貢献しております。 また、実証実験中の「内水氾濫予測システム」は、都市部で頻発する内水氾濫を予測し、住民の避難や浸水対策に役立て、被害の軽減をめざします。 さらに、被災された方々の生活再建を早期に支援すべく、補償後サービスとして、罹災証明書の迅速な発行や交付事務の効率化を支援しております。 こうした様々なサービスや地域の防災減災活動を実装するため、代理店等と連携した「防災パートナー」制度を運営しております。 当社グループが核となり、地域特性に応じた防災活動を行う代理店等と連携し、自治体や災害支援組織との協力体制を構築し、地域の防災力の向上とともに、お客さまとの接点強化による事業機会の創出につなげます。 ハ.保険商品を通じた、ネットゼロ、ネイチャーポジティブ移行への支援当社グループでは、再生可能エネルギー事業に伴うリスクの補償など、ネットゼロ、ネイチャーポジティブへの移行に向けた企業の事業を支援する保険を提供しております。 自然災害でJ-クレジットを創出する予定だった機器が被災した場合、その販売収益の減少を補償する保険を提供しております。 また、脱炭素を支援するため、追加費用を補償する特約も開発しております。 従来の保険は、元の状態に復旧する費用までしか保険金をお支払いできませんでしたが、「Build Back Better(※)」の考えを踏まえ、ネットゼロ社会への移行を後押ししております。 「カーボンニュートラルサポート特約」は、被災建物の復旧時にCO2排出量削減設備の導入費用を補償し、「電気自動車(EV)等買替費用特約」は、ガソリン車が事故により大きな損害を被り、EV等へ買い替える場合に発生する費用を補償します。 ネイチャーポジティブへの移行において、資源利用の削減は重要な要素であり、循環経済(サーキュラーエコノミー)の推進が不可欠と考えております。 「衣料品循環費用補償(燃やさない保険)」は、アパレル業界の大量廃棄の社会課題を受け、衣料品メーカーや販売店が損害を受けた際、リサイクルに係る費用を補償し、衣料品の循環利用を支援します。 また、自動車の修理においてはお客さまとともにリサイクル部品の活用に取り組んでおり、循環経済の実現に貢献しております。 自然資本や生物多様性の保全・回復に資する商品・サービスとして、「海洋汚染対応追加費用補償特約」では、従来、補償の対象外であった船舶運航者の社会的責任を補完するため、自然環境への損害に対する保全・回復活動等の費用を補償しており、「再造林等費用補償特約(フォレストキーパー)」では、罹災した森林の保全と再生に向けた再造林費用を補償しております。 また、熊本県阿蘇地方の草原維持に欠かせない「野焼き」による延焼リスクを補償する保険制度も提供しております。 一部では、延焼リスクの手当が得られず、中断を余儀なくされていましたが、当社グループの「野焼き保険」提供により、阿蘇の自然や歴史に密接に結びついた伝統は維持され、農畜産物を育み、豊富な水資源の保全などに貢献しております。 ※ 災害発生後の復興段階において、元の状態に戻すだけでなく、より強靱な対策を講じてまちづくりを実現するという、防災分野で提唱されている概念。 ② 重点課題「安心・安全な社会(Resilience)」a.リスクと機会当社グループは、イノベーションの進展や産業構造の変化などに伴う新しいリスクの発現、感染症の拡大、自然災害や大規模地震、地域産業の衰退などの社会課題を重点課題「安心・安全な社会(Resilience)」と位置づけております。 これらは取引先の事業活動におけるリスクにもなり、当社グループにおいても保険金支払の増加や保険料収入の減少につながります。 一方、増加するサイバーリスクや、新たに発現しているAI、宇宙開発、拡張・仮想現実などでのリスクへの対処は、当社グループ事業における機会でもあると考えております。 b.リスクと機会を踏まえた当社グループの取組み(a)社会の変革に伴い発現する新たなリスクへの対応・2024年7月、EVが公道で電池切れを起こした際の「電欠現場駆け付け充電サービス」のトライアルを開始しました。 将来的なEVのさらなる普及を見据え、ロードサービスの拡充を通じてEVユーザーの不安解消へつなげるとともに、脱炭素社会の実現に貢献してまいります。 ・2024年11月、CCS(※)事業の圧入・貯留事業者向けに、海底下へのCO2の圧入・貯留に係るリスクを包括して補償する「CCS事業者専用保険」の販売を開始しました。 本商品の提供を通じて、CCSの事業化を後押しし、カーボンニュートラル社会の実現に貢献してまいります。 ※ Carbon dioxide Capture and Storage の略。 工場や発電所から排出されるCO2を回収して貯留場所に輸送し、地下帯水層等の大気への影響のない場所に貯留することで、工業プロセスにおけるCO2の削減を実現する技術。 ・2025年4月、近年増加している太陽光発電所のケーブル盗難被害の軽減を実現するため、太陽光発電事業者向けに、侵入者を検知するセンサーの設置と警備会社への自動通報・現場駆け付けをパッケージ化したケーブル盗難防止サービスの提供を開始しました。 (b)データ分析やAIを活用した防災・減災・2024年6月、個人のお客さま向けに降雹の危険をお知らせする「雹(ひょう)災緊急アラート」の提供を開始しました。 個人向けの自動車保険や火災保険で登録されている契約者住所において降雹リスクが高まった際、事前アラートや防災につながるアドバイスをSMSで配信し、被害の回避行動を促します。 ・2024年8月、自然災害発生時に住宅修理や保険金の請求手続代行を勧誘し、不当に高額な手数料を請求する業者等からお客さまを保護するため、トラブル懸念業者の介入可能性が高い保険金請求事案を、AIを活用して早期に検知できるシステムを開発し、運用を開始しました。 ・2024年12月、佐川急便株式会社と共同で、物資拠点を有する自治体や企業向けの防災支援サービスを開発しました。 本サービスによって物資拠点のリスクを可視化・分析し、災害対応力の向上を支援することで、物資拠点の安全性と事業継続力の強化に貢献いたします。 ・2025年3月、事故に遭われたお客さまの負担軽減と迅速な事故解決を実現するため、専用ドライブレコーダーに、事故発生時の音響で事故を検知するAIを開発し機能を追加しました。 (c)レジリエントで包摂的な地域社会づくり(地方創生)・当社グループは、自治体や研究者、地域のNPOと協働し、自然環境を再生して保全する「MS&ADグリーンアースプロジェクト」に取り組んでおり、社員と家族が参加しております。 ・自治体と連携して水災時に罹災証明書の発行手続を支援する「被災者生活再建支援サポート」サービスを提供しております。 ③ 重点課題「多様な人々の幸福(Well-being)」a.リスクと機会当社グループは、高齢化・少子化の進展、人権侵害・多様性の排除、貧困・格差拡大といった社会課題を重点課題「多様な人々の幸福(Well-being)」と位置づけており、これらは、人口減少や少子高齢化の進展による国内保険市場の中長期的な成長鈍化や企業価値の毀損等、当社グループの事業活動にとってもリスクとなります。 一方、自治体や地域企業、金融機関等と連携した地方創生取組は当社事業における機会になると考えております。 また、人権デュー・ディリジェンスの推進・支援や、女性、高齢者、障がい者、LGBTQのお客さまの保険・金融アクセス向上など、課題解決に向けた取組みは、当社グループ事業の中期的な成長実現につながる機会と考えております。 b.リスクと機会を踏まえた当社グループの取組み(a)お客さまのWell-being・企業の健康経営の支援や健康増進、未病・重症化予防に資する商品・サービスや、人生100年時代における資産寿命の延伸を支援する商品・サービスを提供しております。 ・病気の予防・早期発見から健康に関するご相談、重症化・再発予防など、お客さまの健康をトータルでサポートすることを目指すヘルスケアサービス「MSAケア」を提供しております。 ・社員の知識、理解向上のために認知症サポーター養成講座の受講をグループ共同で推進しております。 (b)人権尊重の推進・当社グループは、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に依拠した、人権尊重のマネジメントシステムである人権デュー・ディリジェンスの仕組みを構築し、幅広いステークホルダーとの対話をとおして得られた意見を反映しております。 ・2024年12月に、グループ人権基本方針の下にカスタマーハラスメントに関する規定・マニュアルを整備し、当社グループの国内規定体系を統一しました。 これに基づき、社員の人権を守るため毅然とした姿勢で取り組んで行くことを公表するとともに、社員への理解浸透を促す研修を実施しております。 ・2024年度は、当社グループのバリュー・チェーンとステークホルダーから人権リスクの発生する接点を整理し直し、2021年度の評価の結果、特定した3つの重点課題の枠組みはそのままに、具体的かつ的確な対応ができるよう、「公平・公正なお客さま対応」、「代理店・委託先、保険引受先・投融資先における人権対応の考慮」、「社員の心身の健康への配慮と安心安全な職場環境の実現」に名称変更しました。 ・海外拠点では、国・地域によって抱える課題が異なるため、2022年6月に実施した海外拠点向けアンケート結果をもとに、各国の人権リスク対応状況を確認したうえで、予防・改善策やモニタリング方法を定めて人権尊重取組を推進しております。 ・従来から対策を進めている人権リスクに加えて、LGBTQのお客さまへの対応、テクノロジー・AIに関する人権侵害への対応、外部委託先・代理店の人権課題に対する認識度の引上げ・人権尊重取組推進の支援に取り組み、継続的に防止・軽減に努めております。 ・人権課題の救済については、自社社員を対象とした内部通報制度の継続整備に加え、2023年7月からは、外部委託先向けの第三者プラットフォームを活用した救済窓口を開設しました。 2024年11月からは利用対象を全保険代理店に拡大しております。 (c)社員のWell-beingグループの最大の財産は人財であり、グループ社員一人ひとりの能力・スキル・意欲が最大限発揮できるよう、基本戦略の実現に必要なスキルを明確化して、自律的なキャリア形成機会、柔軟で効率的・効果的な働き方、チャレンジ精神を後押しする企業文化といった職場環境の整備を進めております。 |
指標及び目標 | (4) 指標・目標当社グループは、3つの重点課題ごとにリスクと機会に関する指標・目標を次のとおり定めております。 ① 地球環境との共生(Planetary Health)当社グループは、当社グループやサプライチェーンを通じて排出する温室効果ガスの削減に向けて、次のa.及びb.を指標・目標として取り組んでおります。 a.温室効果ガス排出量削減率指標2030年度目標2050年度目標実績スコープ1・2(※1)基準年度(2019年)比▲50%ネットゼロ2023年度▲35.3%スコープ3(※2)カテゴリ1・3・5・6・7・13基準年度(2019年)比▲50%2023年度▲24.8%保険引受先・投融資先基準年度(2019年)比▲37%(国内主要取引先(※3))お客さまとともに温室効果ガス排出量削減に向けた取組みを進めるため、対話を深め、削減に向けた課題の把握と、課題解決に向けたソリューションの提案を実施2022年度▲18.3%※1 スコープ1は社有車のガソリン等、当社グループが直接排出するもの、スコープ2は電力などの使用により間接排出するもの。 ※2 当社グループの事業活動に伴って間接的に排出するもののうち、スコープ2以外のもの。 カテゴリ1は購入した製品・サービス(対象:紙・郵送)、カテゴリ3はスコープ1、2以外の燃料及びエネルギー活動、カテゴリ5は事業から出る廃棄物、カテゴリ6は従業員の出張、カテゴリ7は従業員の通勤、カテゴリ13はリース資産。 ※3 収入保険料を基に選定した国内主要取引先(約3,300社)。 (a)事業活動における温室効果ガス排出量項目対象範囲単位2023年度実績温室効果ガス総排出量スコープ1・2・3グループ連結t-CO2187,177温室効果ガス排出量(スコープ1)グループ国内+その他12,439グループ連結15,589温室効果ガス排出量(スコープ2)グループ国内+その他38,965グループ連結41,634温室効果ガス排出量(スコープ1+2計)グループ国内+その他51,404グループ連結57,222温室効果ガス排出量(スコープ3)(※1)グループ連結(※2)129,955※1 カテゴリ1・2・3・5・6・7・13※2 カテゴリ1・7については「グループ国内+その他」を対象範囲としました。 (b)スコープ3 カテゴリ別温室効果ガス排出量項目対象範囲単位2023年度実績カテゴリ1:購入した製品・サービス(※)グループ国内+その他t-CO239,607カテゴリ2:資本財グループ連結48,766カテゴリ3:スコープ1,2に含まれない燃料及びエネルギー関連活動グループ連結11,760カテゴリ5:事業活動において生じる廃棄物グループ連結1,498カテゴリ6:従業員の出張グループ連結15,232カテゴリ7:従業員の通勤グループ国内+その他7,733カテゴリ13:下流におけるリース資産グループ連結5,360カテゴリ15:投融資下記(d)を参照※ 対象:紙・郵送 (c)国内主要取引先の温室効果ガス排出量(※1)項目対象範囲単位2022年度実績保険引受三井住友海上、あいおいニッセイ同和損保の国内主要取引先(※2)千t-CO21,153投融資3,125※1 当社の保険引受(インシュアランスアソシエイテッドエミッション)及び投融資に係るもの(ファイナンスドエミッション)。 PCAFの金融機関向け温室効果ガス計測スタンダード(Part A及びPart C)に基づき算出(2023年3月末時点)。 保険引受の計測対象種目は、自動車保険、火災保険、新種保険(除く工事保険)、貨物保険、船舶保険、航空保険の法人契約とし、国内主要取引先の温室効果ガス(スコープ1+2)を算出。 投融資の計測対象資産は、国内上場の株式、社債、企業融資とし、国内主要取引先のうち投融資のある対象の温室効果ガス(スコープ1+2)を算出。 取引先の排出量は、情報ベンダーデータ及びPCAFデータベースから引用した収益額あたりの排出係数を利用。 ※2 収入保険料を基に選定した国内主要取引先(約3,300社)。 (d)投融資先の温室効果ガス排出量(ファイナンスドエミッション)項目対象範囲(※1)単位2022年度(※2)株式上場企業の国内外株式(時価ベースの約99%)千t-CO22,111社債国内外社債(簿価ベースの約97%)1,944企業融資国内外企業融資(簿価ベースの約95%)225※1 当社グループの2023年3月末の投融資ポートフォリオを対象としています。 ※2 2023年3月末日時点の保有残高を用いて2023年度に算出しています。 温室効果ガスの排出量(スコープ1、スコープ2、スコープ3)は、地球温暖化対策の推進に関する法律に基づき算定しております。 b.再生可能エネルギー導入率指標・目標進捗状況・2030年度:60%・2050年度:100%・2023年度:23.0% 当社グループは、脱炭素社会・環境汚染対策につながる循環型経済への移行に向けて、次のc.を指標・目標として、技術革新と社会実装を支える商品・サービスの提供を行っております。 c.社会の脱炭素化、循環型経済に資する商品指標・目標進捗状況・保険料増収率:平均18%・2023年度:24.5% ② 安心・安全な社会(Resilience)当社グループは、イノベーションの進展や産業構造の変化に伴う、サイバーリスクなど新たなリスクに対応するため、次のa.を指標・目標として、商品・サービスの提供を行っております。 a.社会のレジリエンス向上に資する商品指標・目標進捗状況・引受件数増加率:年平均20%・2024年度:25.0% 当社グループは、次のb.を指標・目標として、自治体や商工団体等、地域を取り巻くステークホルダーと連携した社会課題解決の推進や、持続可能なインフラへの移行、地域産業の活性化、多様なモビリティサービスの実現等による地方創生の推進に取り組んでおります。 b.地域企業の課題解決支援数指標・目標進捗状況・コンサルティングサービス、研修・セミナー等: 2025年度 年1万件・2024年度:11,091件 ③ 多様な人々の幸福(Well-being)当社グループは、次のa.及びb.を指標・目標として、企業の健康経営の支援、健康増進、未病・重症化予防に資する商品・サービスの提供、人生100年時代における資産寿命の延伸を支援する商品・サービスの提供を行っております。 a.健康関連の社会課題解決につながる商品指標・目標進捗状況・保有契約件数:260万件(2025年度末)・2024年度:225万件 b.長寿に備える資産形成型商品指標・目標進捗状況・保有契約件数:10万件(2025年度末)・2024年度:12万件 当社グループは、次のc.を指標・目標として、企業の人権関連対応の支援を行っております。 c.企業の人権関連対応の支援数指標・目標進捗状況・コンサルティングサービス、研修・セミナー等: 2025年度 年1,000件・2024年度:1,111件 当社グループは、次のd.を指標・目標として、グループ一体感の醸成と社員がいきいきと活躍できる企業文化をめざし、社員が参加できるグループ横断活動に取り組んでおります。 d.社員意識調査指標・目標進捗状況・CSVを実感している:前年同水準以上・2024年度:4.5 pt(2023年度:4.5 pt)・MVV(※)を意識している:前年同水準以上※ ミッション(経営理念)、ビジョン(経営ビジョン)、バリュー(行動指針)・2024年度:4.7 pt(2023年度:4.6 pt) |
人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略 | (5) 人財育成方針① 基本的な方針・当社グループには、国内外の連結会社に約4万人の社員がおり、グループの最大の財産は人財と考えております。 人財はグループの企業価値向上の原動力であり、人財育成に積極的に投資します。 ・当社グループがめざす人財像は、「自律的に行動し、変革にチャレンジし、新たな価値を創造する人財」であります。 このような人財を継続的に輩出するよう、人財育成に取り組みます。 ・当社グループの強みである多様性を活かして組織を牽引することができる、多様なリーダーの育成に取り組みます。 経営をリードする人財、女性リーダーなどの育成を、グループ共同で進めます。 ② 中期経営計画(2022-2025)を踏まえた方針・経営戦略を実現するのは人財であり、戦略実現のために必要なスキルを明確化し、リスキリングやアップスキルなどへの人財投資により社員の自律的な成長機会を拡充するとともに、外部人財を含めた専門人財の確保・活躍を推進し、最適な人財ポートフォリオを構築します。 ・特に、CSV×DXのグローバルな展開や、事業・リスクポートフォリオの変革などを担う「デジタル人財」「海外人財」については、KPIを設定し、人財育成の進捗を確認しながら、重点的に育成に注力します。 ・併せて、社員のコンプライアンス知識・意識の向上・徹底に取り組みます。 a.デジタル人財の育成すべての社員がベーシックなデジタルスキルを身につけることに加えて、大学等との連携育成プログラムなどを活用し、ビジネスサイド、データ分析サイドの両面からデジタル人財の育成を進めます。 (a)ビジネスサイド :DXを活用してビジネスを創造・拡大することのできる人財デジタルスキルに関するオンライン教育ツールの拡充や、グループ各社のデジタル人財認定制度、大学等(※)との連携講座などを活用して体系的に進めることで、多くの社員がスキルを身につけ、向上するよう取り組みます。 (b)データ分析サイド:高度なデータ分析等、ビジネスを実現するための高いスキル・専門性を有し発揮できる人財大学等(※)との連携講座や、データサイエンスに関する高度なスキルの認定制度を活用して育成に取り組みます。 また、ジョブ型の社員区分を設け、外部専門人財の確保・活躍に適した環境を整備・活用します。 〔KPI〕 2025年度7,000人 (上記(a)と(b)合計)デジタル人財の推移(グループ国内保険会社5社合計) (各年度4月1日時点)2023年度2024年度2025年度3,601人5,814人8,490人 (※)MS&ADデジタルアカデミー(INIAD:東洋大学情報連携学部)累計参加人数1,081人(2018年度~2024年度)MS&ADデジタルカレッジfrom京都(KUAS:京都先端科学大学)累計参加人数643人(2020年度~2024年度) b.海外人財の育成海外事業を担う人財を、ポストに対して質・人数ともに十分に確保することを必要としております。 現状、必要な人数は確保できており、世代交代を進めながら持続的に人財を育成・確保するためのプログラムに取り組んでおります。 〔KPI〕 2025年度1,200人海外人財の推移(※) (各年度4月1日時点)2023年度2024年度2025年度1,182人1,189人1,243人 (※)三井住友海上火災保険株式会社・あいおいニッセイ同和損害保険株式会社・三井住友海上あいおい生命保険株式会社・三井住友海上プライマリー生命保険株式会社の4社合計 具体的には、海外事業に必要な「経営人財」や「専門人財(経理・財務、IT、リスク管理等)」について、短期の海外拠点体験、原則1年以上の海外派遣研修、海外拠点経営を担う人材の育成研修などを多面的に実施しております。 <育成プログラム例>・海外拠点体験:1週間程度の海外雇用社員との協働プログラムを通じてグローバルビジネスを疑似体験することで、海外人財に求められるスキル・要素の習得をめざす取組み。 ・海外派遣研修:公募による海外派遣研修制度。 派遣期間は原則1年以上で、海外事業展開を支える人財を中長期的視点で育成する取組み。 ・海外拠点経営を担う人財の育成:経営人財(グローバルリーダー)や専門人財(グローバルエキスパート)を養成するための指名型研修。 (6) 社内環境整備方針① 基本的な方針・経営戦略を実行するのは、社員一人ひとりであります。 社員の能力・スキル・意欲を最大限発揮できる職場環境を整備することで、エンゲージメントを高め、経営戦略の実効性を高めます。 ・中期経営計画(2022-2025)の基本戦略「Transformation」にある「新たなビジネスの創造等、事業の構造を変革し、事業環境の変化に適応する」などの実現にあたっては、多様な人財の意見やアイデアを引き出し、活かすことが重要であります。 多様性の発揮に向けた取組みを推進し、意思決定層の多様性を確保し、当社グループの特長である多様性のメリットを最大化します。 ② 中期経営計画(2022-2025)を踏まえた方針・人財戦略の特に重要な要素にKPIを設定して取組みを進め、社員がいきいきと活躍し、グループの多様性を企業価値向上に結びつける環境を整えます。 a.魅力ある職場環境の整備社員のエンゲージメントを向上させるためには、自律的なキャリア形成機会、柔軟で効率的・効果的な働き方、チャレンジを後押しする企業文化といった職場環境の整備が重要であり、それぞれ次のような取組みを進めます。 (a)自律的なキャリア形成機会の提供自らが希望するポスト・部門に異動し、活躍のステージを広げるための公募制度(ポストチャレンジ)の活用を拡大し、グループ会社間での人事異動、人財育成、キャリア形成取組を活性化します。 また、社員が既存組織の枠を越えて会社施策に参画する仕組みなど、自律的なキャリア形成機会の提供を拡充します。 ポストチャレンジ応募実績:2024年度 970人(b)多様で柔軟な働き方の推進・在宅勤務と出社を効率的に組み合わせ、リモートワークを活用した業務運営を進めます。 また、ジョブ型雇用の活用や、副業・兼業の緩和により、スキル向上・活用の機会を拡大します。 ・キャリアビジョンやライフイベント等に応じた転居転勤の可否選択を柔軟に認めていきます。 (c)新たなチャレンジを後押しするマネジメントチャレンジを奨励し、社員の意欲を引き出し活かす意識改革・風土醸成につながるマネジメントを展開します。 これらの取組みとともに、心理的安全性が確保された職場環境の浸透、企業風土の醸成を進めていきます。 b.多様性の発揮に向けた取組み(a)意思決定層の多様化イ.女性の役員や管理職への登用に向けたパイプライン整備の取組みを強化しております。 また、2030年度末までのKPIとして、女性管理職比率を30%に設定するとともに、組織の長となる「女性ライン長」の比率をその半数に定め、意思決定者の多様化を促進します。 〔KPI〕 女性管理職比率 30% (2030年度末) 2025年4月時点23.8%女性ライン長比率15% (2030年度末) 2025年4月時点21.3% (当社及びグループ国内保険会社5社合計)グループ各社におけるパイプライン整備の取組例は次のとおりであります。 ・当社が直接出資する関連事業会社の非常勤取締役への女性登用2025年4月新任8人、2019年度以降累計40人・副部長・副支店長ポストへの女性の配置2025年4月時点32人 ロ.外部人財の登用について、管理職に占める外部人財の比率向上を進めるなど、多様な経験を意思決定に活かす取組みを進めます。 〔KPI〕 管理職に占める経験者採用比率:現行水準以上 2025年4月時点24.5%、2024年4月時点23.0% (グループ国内保険会社5社合計) (b)男性労働者育児休業男性労働者育児休業の取得促進は、企業の社会的責任・社会への貢献であるとともに、男性が育児や育児休業への理解を深める機会であります。 多様な価値観を受け容れる職場環境整備の一環として、KPIを設定して取組みを進めます。 〔KPI〕 2025年度男性労働者育児休業:取得率100%、取得日数4週間をめざす 2024年度 取得率93.2%、取得日数13.1日 (グループ国内保険会社5社合計) (c)意見やアイデアを積極的に引き出し活かすマネジメントノウハウの展開当社グループの特長である多様性を活かすためには、様々な人財の知識・経験・価値観を引き出し、組織の意思決定に活かすインクルーシブな組織運営が不可欠であります。 そのためのマネジメントノウハウである「インクルーシブ・リーダーシップ」の実践・浸透に取り組みます。 (d)グループ社員の交流・意見交換機会の提供多様な人財が集まり、知識・経験の共有や、新たな気づきや価値観を創出する契機とするため、グループ各社の社員がグループ横断で参加する交流・意見交換会などを実施し、多様性とインクルーシブな体験の機会を提供します。 c.社員のWell-being社員が自律的にいきいきと働き、その能力を最大限発揮するためには、社員の「心身の健康」「働きがい」「働きやすさ」の維持・向上が不可欠であります。 労働時間や休暇等の時間管理の徹底、メンタル不調への対策強化・復帰支援などにより、社員の心身の健康を保持・増進するとともに、働きがいや働きやすさの向上につながる各種施策に取り組み、社員のWell-beingを推進します。 〔KPI〕 ・年次有給休暇取得日数:前年同水準以上 2024年度16.9日、2023年度16.5日休暇取得を促進し、社員の心身の健康保持に取り組みます。 ・運動習慣者比率:現行水準以上 2024年度29.0%、2023年度27.8%「1回30分以上の軽く汗をかく運動を週2日以上、1年以上実施」の運動習慣のある社員の比率をKPIに設定し、健康保持・増進への意識を高めております。 (当社及びグループ国内保険会社5社合計) 上記のような環境整備を進め、以下の設問に対する回答スコアを社員のエンゲージメントを測る指標として、KPIを「前年同水準以上」と設定し、進捗を確認しております。 〔KPI〕 社員意識調査・設問「私は、今の仕事に誇りと働きがいを持っている」:スコア 2024年度4.4、2023年度4.4・設問「私の職場は、年齢・経験・国籍・性別・障がいの有無等で差別することなく、多様な人財の多様な価値観や意見が受け容れられ、人権を尊重し、いきいきと活躍できる環境にある」:スコア 2024年度4.7、2023年度4.7 (6段階スコア、当社及びグループ国内保険会社5社合計) |
人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績、指標及び目標 | (5) 人財育成方針① 基本的な方針・当社グループには、国内外の連結会社に約4万人の社員がおり、グループの最大の財産は人財と考えております。 人財はグループの企業価値向上の原動力であり、人財育成に積極的に投資します。 ・当社グループがめざす人財像は、「自律的に行動し、変革にチャレンジし、新たな価値を創造する人財」であります。 このような人財を継続的に輩出するよう、人財育成に取り組みます。 ・当社グループの強みである多様性を活かして組織を牽引することができる、多様なリーダーの育成に取り組みます。 経営をリードする人財、女性リーダーなどの育成を、グループ共同で進めます。 ② 中期経営計画(2022-2025)を踏まえた方針・経営戦略を実現するのは人財であり、戦略実現のために必要なスキルを明確化し、リスキリングやアップスキルなどへの人財投資により社員の自律的な成長機会を拡充するとともに、外部人財を含めた専門人財の確保・活躍を推進し、最適な人財ポートフォリオを構築します。 ・特に、CSV×DXのグローバルな展開や、事業・リスクポートフォリオの変革などを担う「デジタル人財」「海外人財」については、KPIを設定し、人財育成の進捗を確認しながら、重点的に育成に注力します。 ・併せて、社員のコンプライアンス知識・意識の向上・徹底に取り組みます。 a.デジタル人財の育成すべての社員がベーシックなデジタルスキルを身につけることに加えて、大学等との連携育成プログラムなどを活用し、ビジネスサイド、データ分析サイドの両面からデジタル人財の育成を進めます。 (a)ビジネスサイド :DXを活用してビジネスを創造・拡大することのできる人財デジタルスキルに関するオンライン教育ツールの拡充や、グループ各社のデジタル人財認定制度、大学等(※)との連携講座などを活用して体系的に進めることで、多くの社員がスキルを身につけ、向上するよう取り組みます。 (b)データ分析サイド:高度なデータ分析等、ビジネスを実現するための高いスキル・専門性を有し発揮できる人財大学等(※)との連携講座や、データサイエンスに関する高度なスキルの認定制度を活用して育成に取り組みます。 また、ジョブ型の社員区分を設け、外部専門人財の確保・活躍に適した環境を整備・活用します。 〔KPI〕 2025年度7,000人 (上記(a)と(b)合計)デジタル人財の推移(グループ国内保険会社5社合計) (各年度4月1日時点)2023年度2024年度2025年度3,601人5,814人8,490人 (※)MS&ADデジタルアカデミー(INIAD:東洋大学情報連携学部)累計参加人数1,081人(2018年度~2024年度)MS&ADデジタルカレッジfrom京都(KUAS:京都先端科学大学)累計参加人数643人(2020年度~2024年度) b.海外人財の育成海外事業を担う人財を、ポストに対して質・人数ともに十分に確保することを必要としております。 現状、必要な人数は確保できており、世代交代を進めながら持続的に人財を育成・確保するためのプログラムに取り組んでおります。 〔KPI〕 2025年度1,200人海外人財の推移(※) (各年度4月1日時点)2023年度2024年度2025年度1,182人1,189人1,243人 (※)三井住友海上火災保険株式会社・あいおいニッセイ同和損害保険株式会社・三井住友海上あいおい生命保険株式会社・三井住友海上プライマリー生命保険株式会社の4社合計 具体的には、海外事業に必要な「経営人財」や「専門人財(経理・財務、IT、リスク管理等)」について、短期の海外拠点体験、原則1年以上の海外派遣研修、海外拠点経営を担う人材の育成研修などを多面的に実施しております。 <育成プログラム例>・海外拠点体験:1週間程度の海外雇用社員との協働プログラムを通じてグローバルビジネスを疑似体験することで、海外人財に求められるスキル・要素の習得をめざす取組み。 ・海外派遣研修:公募による海外派遣研修制度。 派遣期間は原則1年以上で、海外事業展開を支える人財を中長期的視点で育成する取組み。 ・海外拠点経営を担う人財の育成:経営人財(グローバルリーダー)や専門人財(グローバルエキスパート)を養成するための指名型研修。 (6) 社内環境整備方針① 基本的な方針・経営戦略を実行するのは、社員一人ひとりであります。 社員の能力・スキル・意欲を最大限発揮できる職場環境を整備することで、エンゲージメントを高め、経営戦略の実効性を高めます。 ・中期経営計画(2022-2025)の基本戦略「Transformation」にある「新たなビジネスの創造等、事業の構造を変革し、事業環境の変化に適応する」などの実現にあたっては、多様な人財の意見やアイデアを引き出し、活かすことが重要であります。 多様性の発揮に向けた取組みを推進し、意思決定層の多様性を確保し、当社グループの特長である多様性のメリットを最大化します。 ② 中期経営計画(2022-2025)を踏まえた方針・人財戦略の特に重要な要素にKPIを設定して取組みを進め、社員がいきいきと活躍し、グループの多様性を企業価値向上に結びつける環境を整えます。 a.魅力ある職場環境の整備社員のエンゲージメントを向上させるためには、自律的なキャリア形成機会、柔軟で効率的・効果的な働き方、チャレンジを後押しする企業文化といった職場環境の整備が重要であり、それぞれ次のような取組みを進めます。 (a)自律的なキャリア形成機会の提供自らが希望するポスト・部門に異動し、活躍のステージを広げるための公募制度(ポストチャレンジ)の活用を拡大し、グループ会社間での人事異動、人財育成、キャリア形成取組を活性化します。 また、社員が既存組織の枠を越えて会社施策に参画する仕組みなど、自律的なキャリア形成機会の提供を拡充します。 ポストチャレンジ応募実績:2024年度 970人(b)多様で柔軟な働き方の推進・在宅勤務と出社を効率的に組み合わせ、リモートワークを活用した業務運営を進めます。 また、ジョブ型雇用の活用や、副業・兼業の緩和により、スキル向上・活用の機会を拡大します。 ・キャリアビジョンやライフイベント等に応じた転居転勤の可否選択を柔軟に認めていきます。 (c)新たなチャレンジを後押しするマネジメントチャレンジを奨励し、社員の意欲を引き出し活かす意識改革・風土醸成につながるマネジメントを展開します。 これらの取組みとともに、心理的安全性が確保された職場環境の浸透、企業風土の醸成を進めていきます。 b.多様性の発揮に向けた取組み(a)意思決定層の多様化イ.女性の役員や管理職への登用に向けたパイプライン整備の取組みを強化しております。 また、2030年度末までのKPIとして、女性管理職比率を30%に設定するとともに、組織の長となる「女性ライン長」の比率をその半数に定め、意思決定者の多様化を促進します。 〔KPI〕 女性管理職比率 30% (2030年度末) 2025年4月時点23.8%女性ライン長比率15% (2030年度末) 2025年4月時点21.3% (当社及びグループ国内保険会社5社合計)グループ各社におけるパイプライン整備の取組例は次のとおりであります。 ・当社が直接出資する関連事業会社の非常勤取締役への女性登用2025年4月新任8人、2019年度以降累計40人・副部長・副支店長ポストへの女性の配置2025年4月時点32人 ロ.外部人財の登用について、管理職に占める外部人財の比率向上を進めるなど、多様な経験を意思決定に活かす取組みを進めます。 〔KPI〕 管理職に占める経験者採用比率:現行水準以上 2025年4月時点24.5%、2024年4月時点23.0% (グループ国内保険会社5社合計) (b)男性労働者育児休業男性労働者育児休業の取得促進は、企業の社会的責任・社会への貢献であるとともに、男性が育児や育児休業への理解を深める機会であります。 多様な価値観を受け容れる職場環境整備の一環として、KPIを設定して取組みを進めます。 〔KPI〕 2025年度男性労働者育児休業:取得率100%、取得日数4週間をめざす 2024年度 取得率93.2%、取得日数13.1日 (グループ国内保険会社5社合計) (c)意見やアイデアを積極的に引き出し活かすマネジメントノウハウの展開当社グループの特長である多様性を活かすためには、様々な人財の知識・経験・価値観を引き出し、組織の意思決定に活かすインクルーシブな組織運営が不可欠であります。 そのためのマネジメントノウハウである「インクルーシブ・リーダーシップ」の実践・浸透に取り組みます。 (d)グループ社員の交流・意見交換機会の提供多様な人財が集まり、知識・経験の共有や、新たな気づきや価値観を創出する契機とするため、グループ各社の社員がグループ横断で参加する交流・意見交換会などを実施し、多様性とインクルーシブな体験の機会を提供します。 c.社員のWell-being社員が自律的にいきいきと働き、その能力を最大限発揮するためには、社員の「心身の健康」「働きがい」「働きやすさ」の維持・向上が不可欠であります。 労働時間や休暇等の時間管理の徹底、メンタル不調への対策強化・復帰支援などにより、社員の心身の健康を保持・増進するとともに、働きがいや働きやすさの向上につながる各種施策に取り組み、社員のWell-beingを推進します。 〔KPI〕 ・年次有給休暇取得日数:前年同水準以上 2024年度16.9日、2023年度16.5日休暇取得を促進し、社員の心身の健康保持に取り組みます。 ・運動習慣者比率:現行水準以上 2024年度29.0%、2023年度27.8%「1回30分以上の軽く汗をかく運動を週2日以上、1年以上実施」の運動習慣のある社員の比率をKPIに設定し、健康保持・増進への意識を高めております。 (当社及びグループ国内保険会社5社合計) 上記のような環境整備を進め、以下の設問に対する回答スコアを社員のエンゲージメントを測る指標として、KPIを「前年同水準以上」と設定し、進捗を確認しております。 〔KPI〕 社員意識調査・設問「私は、今の仕事に誇りと働きがいを持っている」:スコア 2024年度4.4、2023年度4.4・設問「私の職場は、年齢・経験・国籍・性別・障がいの有無等で差別することなく、多様な人財の多様な価値観や意見が受け容れられ、人権を尊重し、いきいきと活躍できる環境にある」:スコア 2024年度4.7、2023年度4.7 (6段階スコア、当社及びグループ国内保険会社5社合計) |
事業等のリスク | 3【事業等のリスク】 (1) 当社グループのリスク管理 ① リスク管理基本方針当社グループは、持続的成長と企業価値向上を追い続ける世界トップ水準の保険・金融グループを創造することを経営ビジョンに掲げており、その実現を阻害するあらゆる不確実性を「リスク」と捉え、リスク管理態勢を整備し、経営の最重要課題としてリスク管理に取り組んでおります。 当社グループでは、「MS&ADインシュアランス グループ リスク管理基本方針」を定め、グループ内で共有された基本的な考え方のもとでリスク管理を実行しております。 「MS&ADインシュアランス グループ リスク管理基本方針」には、リスク管理の基本プロセスと体制、保険グループとして認識すべきリスクの定義や管理の考え方等が定められております。 グループ国内保険会社では、この基本方針に沿って各社の実態に合わせた「リスク管理方針」を制定し、主体的にリスク管理を行っております。 ② リスク管理体制当社では、取締役会の課題別委員会の1つであるERM委員会にてリスク管理に係るモニタリング等を行い、重要事項についてはERM委員会の協議を踏まえて、グループ経営会議及び取締役会に報告を行う体制としております。 また、当社及びグループ国内保険会社の役員が出席するグループリスク対策会議を2024年度に設置し、当社グループに内在するリスク及び外部環境の変化に伴うリスクに関する論議を通じ、当社グループ全体のリスクの検知力と管理体制の強化を図っております。 グループ国内保険会社は、国内外の子会社も含め各社それぞれのリスク管理を実行します。 リスク管理部は、グループ全体のリスク及び各社のリスク管理の状況をモニタリングし、グループ全体の統合リスク管理を行い、ERM委員会へその結果を報告しております。 ③ ERMをベースにしたグループ経営ERM(Enterprise Risk Management)は、保険会社の経営において重要なリスク・収益(リターン)・資本という3つの経営指標をバランスよく管理していく機能を担っております。 当社グループでは、現中期経営計画の基本戦略を支える基盤の1つとして、ERMを位置づけ、リスク・リターン・資本のバランスを取った経営資源配分により、企業価値向上に取り組んでおります。 a.ERMの機能と役割ERMでは、資本の健全性(ESR※1)を維持しつつ、リスク対比の収益性(ROR※2やVA※3)が高い事業領域におけるリスクテイクを高めることで、目標とする資本効率性(グループ修正ROE※4)の達成を図ります。 これら3者の関係は下図のようになります。 ※1 ESR(Economic Solvency Ratio):経済価値ベースのソルベンシー・レシオ:後述b.(a)参照※2 ROR(Return on Risk):後述b.(b)参照※3 VA(Value Added):後述b.(c)参照※4 修正ROE(Return on Equity):後述b.(d)参照 b.ERMで注視する指標※5 統合リスク量:200年に一度の確率で当社グループ全体が被る損失の予想額(時価)※6 時価純資産:経営のバッファとしての純資産管理を徹底するために使用している指標(修正純資産+保険負債の含み損益+その他負債性資本等) (a) ESR(Economic Solvency Ratio)とはリスク量に対する資本の充実度を示す指標(=「時価純資産」÷「統合リスク量」)です。 リスク量は、事業や資産に係る損失や価値変動のリスクを統計的に数値化したものであり、統合リスク量は当社グループ全体のリスクの総額となります。 (b) ROR (Return on Risk)とはリスク量に対して利益(リターン)がどの程度確保されているか(リスク量対比の収益性)を示す指標です。 リスクを引き受けるためには、それに見合う資本の確保が必要になります。 したがって、RORが高い(すなわち、引き受けたリスクに対して得られる利益が大きい)事業は、必要な資本に対して、得られる利益がより大きい事業と言えます。 (c) VA (Value Added)とはリスクを引き受けることによって、どれだけの付加価値が得られるかを示す指標です。 資本コストは、資本資産価格モデル(CAPM)により推計しています。 (d)修正ROE(Return on Equity)とは資本に対する利益の割合で、資本の効率性を示す指標です。 ④ ERMとリスク管理当社グループでは、リスク選好方針に沿って経営計画を策定し、ERMサイクルをベースに、健全性の確保と、収益力と資本効率の向上を図っております。 ERMサイクルに沿って、リスクに見合った資本の配賦を行い、引き受けたリスクに対するリターン(ROR)のモニタリングを通じて、リスクコントロールやアンダーライティングの強化等を行っております。 a.ERMサイクルERMは、企画・執行・モニタリングのサイクルを通じて実践しております。 b.ROR向上に向けた取組み引き受けたリスクに対しどれだけの利益が得られるかを示すRORの推移は、当社グループのリスクポートフォリオの収益力の状況を表しております。 当社グループでは、ERMサイクルをベースにRORの向上に取り組んでおります。 c.ストレステストの実施当社グループは自然災害の発生、資産価値の下落など、様々な事象の発現による影響を分析して、資本の十分性、期間損益への影響、ポートフォリオの脆弱性の確認を行うためにストレステストを実施しております。 また、事象発現時の状況を分析し、資本を毀損する因子の洗い出しを行い、リスク耐性の向上に有効な対策の検討にも活用しております。 (2) 当社グループの主要なリスク当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりであります。 なお、本項に記載した将来に関する事項は有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。 ① グループ重要リスクグループ各社が洗い出した主要なリスク事象リストに基づき、下表のように発生可能性と影響度を目安として、総合的な判断により、経営が管理すべき重要なリスク事象を「グループ重要リスク」として選定し、グループ重要リスク管理取組計画を策定したうえで、リスク対策の実行や各リスクの状況を定期的にモニタリングしております。 ※7 発生可能性:当面(5年以内)の発生可能性。 統計的な発生頻度(確率)に加え、統計的手法で捉えきれない切迫度、予兆等を勘案し、総合的に判断。 ※8 影響度:「経済的損失」「ブランド力・信用力への影響」等を勘案し、総合的に判断。 2025年度も引き続き、コンダクトリスクや地政学的なリスク(インフレへの懸念を含みます)、気候変動、サイバーリスク、保険市場・人財市場の変化、生成AI活用に係るリスクを適切にコントロールし、当社グループの持続的な成長を図ることが必要であることから、グループ重要リスクは2024年度と同様のものとしております。 一方で、各リスクの状況は変化しているため、各リスクの「主な想定シナリオ」に以下a~dの環境変化を明示・反映し、管理・取組みを強化しております。 a.コンダクトリスクへの対応2024年度に新設したグループリスク対策会議で論議したコンダクトリスクの発生構造の理解や、2024年度のリスク発現状況を踏まえ、「主な想定シナリオ」等の内容を見直し、同リスクの管理・取組みの強化に繋げてまいります。 下表No.4「グループの企業価値の著しい毀損や社会的信用の失墜につながる行為の発生」に、経営理念等の不浸透、不適切な業界慣行や行動インセンティブによる社会的信用の失墜、商品・サービスにおけるお客さま視点の欠如、不正競争、受入出向者・社外出向者・代理店による情報漏えい、事業活動の過程で生じる権利侵害、財務報告に係る内部統制の重大な不備を明示しております。 b.業界慣行の見直し・ビジネススタイル等の変革の必要性金融庁や金融審議会の報告書、一般社団法人日本損害保険協会の取組等を踏まえて、下表No.8「保険市場の変化」には、業界慣行の見直しやビジネススタイルの変革の必要性に対して当社グループが適切に対応できないリスク(リスクソリューションの提案力の不足等による保険市場での競争力の低下)を明示し、同No.9「人財を取り巻く環境の変化」には、魅力ある職場環境(労働条件を含みます)が実現できない場合に採用力低下のリスクがあることを明示しております。 c.米国政権交代下表No.10「国家間・他国内等での対立激化や政治・経済・社会的な分断・分極化、安全保障の危機」に、金融市場全般の変動に関するリスクや課税強化に関するリスクを明示しております。 d.その他下表No.3「信用リスクの大幅な増加」では国内の「金利のある世界」や金融機関の与信基準の厳格化に関して明示し、同NO.8「保険市場の変化」では公共インフラの老朽化、同No.9「人財を取り巻く環境の変化」では海外人財強化の必要性、同No.10「国家間・他国内等での対立激化や政治・経済・社会的な分断・分極化、安全保障の危機」ではサイバーセキュリティに関する規制強化などの環境変化を明示しております。 2025年度グループ重要リスクは下表のとおりであります。 これらのリスクが発現することにより、多額の保険金・給付金の支払い、保有資産の価値の低下、競争環境や評判の変化等が生じ、当社グループの業績や財務状況に影響が生じるリスクがあります。 当社グループでは、これらのリスクに対して、グループ重要リスク管理取組計画を策定(取締役会で決議)したうえで、リスク対策の実行を通じて、リスクの軽減やコントロールを実施しております。 No.グループ重要リスク(点線枠内は「主な想定シナリオ」/「留意事項」は主な想定シナリオの策定において留意する事項)1 大規模自然災害の発生 (留意事項:気候変動) ・気候変動の影響も受けた国内及び海外の大規模な風水災・森林火災・雪雹災・干ばつや地震・噴火等の発生による保険金支払の増加・大規模自然災害の発生等に伴う出再保険料の高騰や再保険会社の引受キャパシティの減少等により、方針どおりのリスクコントロールが困難になる事態の発生・大規模自然災害の発生により当社グループが適切にビジネス・サービスを実行できない状態の発生2金融マーケットの大幅な変動 (留意事項:インフレーション) ・世界的な景気・経済活動の停滞懸念による株式等の保有資産価値の下落・物価動向等を踏まえた各国の金融政策の変更や財政規律の欠如に伴う各国の国債の格下げ等に伴う金利・為替の変動による資本余力の低下3信用リスクの大幅な増加 (留意事項:気候変動) ・実体経済の悪化や金利上昇、金融機関による与信の厳格化、脱炭素社会への移行に向けた規制の強化・対応の遅延等による投融資先企業の業績悪化やデフォルト・世界経済の減速懸念等に伴う投資家のリスク回避姿勢の強まり等による保有債券等の価値の下落4グループの企業価値の著しい毀損や社会的信用の失墜につながる行為の発生(留意事項:コンダクトリスク、デジタライゼーション、気候変動、人権)※企業価値の著しい毀損や社会的信用の失墜につながる行為とは、法令等に違反する行為、お客さま等のステークホルダーの視点が欠如した行為、社会規範等から逸脱した行為、当社グループの行動指針等に反する行為等(いずれも不作為によるものや業界等の慣行に基づくものを含む)をいう。 ・当社グループの経営理念等(ミッション・ビジョン・バリュー、お客さま第一の業務運営等)が当社グループの業務運営における役職員等の行動にまで浸透せず、お客さま本位や健全な競争環境等の実現ができないことによる当社グループの社会的信用の失墜・業界慣行や当社グループ内の行動目標(経営目標や営業・損害サービスに関する目標等)、社員等の評価制度(人事制度・代理店評価制度等)等に基づく行動がお客さま等の視点を欠くことによる当社グループの社会的信用の失墜・商品・サービス(事務・システムを含む)の設計がお客さま等の視点(ニーズ・適合性・利便性・わかりやすさ等)を欠くことによるお客さまの不利益の発生・グループ戦略遂行上の組織改編・業務変革・システム開発に伴う業務混乱やそれに起因する苦情の増加・国内関係法令等及び事業を営む海外現地の法令等への違反(不正競争や不当な取引制限、優越的地位の濫用を含む)、長時間労働・ハラスメント等の重大な労務問題等の発生・当社グループ(受入出向者を含む)又は外部委託先(代理店や社外出向者を含む)等における情報漏えい等の発生・生成AIの活用推進・規制変更・社会的な認識の変化等に伴う権利侵害・不適切な情報開示・関係当局等が策定するガイドライン等への抵触・評判の低下等の発生・当社グループにおける気候変動対応等のサステナビリティに関わる開示や課題への対応不備、事業活動の過程(取引先等を含む)で生じる人権等の権利侵害、それらに伴う訴訟等による評判の低下や財務的な負担・財務報告に係る内部統制の重大な不備、国際財務報告基準(IFRS)ベースの連結財務諸表の開示や経済価値ベースの資本規制の導入に向けた態勢整備の遅延・不備等による開示情報の重大な誤りの発生5サイバー攻撃による大規模・重大な業務の停滞・情報漏えい (留意事項:デジタライゼーション) ・デジタライゼーションの進展等に伴う世界的なサイバー攻撃被害の拡大、サイバー攻撃の巧妙化・多様化(技術進展が著しい生成AI等を利用したものを含む)、クラウドの活用やサプライチェーンの拡大に伴うサイバー攻撃による影響範囲の拡大等による当社グループ及び外部委託先等における業務の停滞・情報漏えいの発生 6システム障害の多発や重大なシステム障害の発生、大規模システム開発の進捗遅延・未達・予算超過・期待効果未実現 (留意事項:デジタライゼーション) ・デジタライゼーションの進展に伴うお客さま・代理店向けシステムにおける障害の複数同時発生、大規模自然災害の発生等に伴うシステム関連施設の罹災、資金決済インフラの停止、宇宙天気現象の影響も懸念される通信衛星・通信回線の不具合・事故等に伴う通信障害によるビジネス・サービスの停滞・休日や営業時間外に稼働するお客さま・代理店向けシステムの大規模な障害発生によるお客さま等への対応の遅れ・大規模システム開発の進捗遅延・未達・予算超過・期待効果未実現による経営計画の未達成7新型インフルエンザ等の感染症の大流行 (留意事項:気候変動) ・地球温暖化の影響も受けた新種の感染症の大流行・影響長期化等に伴い当社グループが適切にビジネス・サービスを実行できない状態の発生・世界的な感染拡大による保険金・給付金支払の増加や感染症の影響長期化に伴う経済活動の長期停滞等による収益の低下8保険市場の変化 (留意事項:デジタライゼーション、気候変動、少子高齢化、インフレーション) ・業界慣行の見直しや環境変化(お客さまの意識や社会的要請の変化を含む)に応じたビジネスモデル(販売チャネルを含む)・ビジネススタイルの変革が想定どおりに実行できないことによる保険市場での競争劣位・運転支援・自動運転技術の進展による自動車事故の減少等による収益構造への影響・補償・保障前後のサービス拡大に伴うアプリ・システム・IoT機器等の不具合、業務委託先・事業提携先の不正・事務ミスによる風評被害、機器等の供給制約等による販売戦略への影響・低炭素・脱炭素技術等の気候変動への対応に係る新たな保険引受、循環型社会の進展や化学物質等の健康被害・環境被害等による保険金支払の増加・少子高齢化の進展・人口減少等に伴う市場規模・構造の変化による事業ポートフォリオへの影響・外部環境変化(社会的要請の変化、企業等の建物・設備や公共インフラの老朽化、気候変動リスクやサイバーリスクといった国・地域をまたがるリスクの出現を含む)に伴うリスクの高まり・集積やインフレ(ソーシャル・インフレーションを含む)等による保険金・事業費の増加9人財を取り巻く環境の変化 (留意事項:少子高齢化、デジタライゼーション) ・人財市場・労働需給等の外的な変化やDX推進・海外事業等の戦略実行に必要なスキル・専門性の変化等による、経営戦略と人財ポートフォリオのギャップ及びその解消に向けた人財の確保・育成の不足・自律的なキャリア形成機会・柔軟で多様な働き方・人権や多様性の尊重等に対する社員の意識の変化を的確に捉えた環境整備(労働条件を含む)やハラスメント(カスタマーハラスメントを含む)に対する組織的対応の不足による社員のエンゲージメントの低下や人財の流出、採用力の低下10国家間・他国内等での対立激化や政治・経済・社会的な分断・分極化、安全保障の危機 ・国家間・他国内等での対立激化や政治・経済・社会的な分断・分極化(各国大統領等のグローバルリーダーの交替やグローバルサウスの台頭等に伴うものを含む)等に伴う金融市場の変動による保有資産価値の下落・各国の経済安全保障関連規制の強化等によるサプライチェーンの分断等に伴う実体経済の悪化等による投融資先企業の業績悪化やデフォルト・当社グループ又は外部委託先等における経済安全保障上の問題等による当社グループの評判の低下・大国間の対立激化等に伴う世界的なサイバー攻撃被害の拡大等による当社グループ及び外部委託先等における業務の停滞・情報漏えいや、サイバーセキュリティ関連法規制の強化による財務的な負担等の発生・大国間の対立激化や保護主義の台頭等に伴う規制変更や軍事的行動等による特定の国や地域での事業の制限・中断・撤退(人的被害を含む)、戦争危険等を担保する特約等の保険金支払の発生、課税強化による財務的な負担 ② グループエマージングリスク中長期的な視点から当社グループ経営に影響を与える可能性のある事象や、現時点では当社グループ経営への影響の大きさ、発生時期の把握が難しいものの、経営が認識すべき事象を次のとおり「グループエマージングリスク」として特定し、定期的にモニタリングしております。 No.グループエマージングリスク1経済・消費者行動・ビジネスモデルの大きな変化・変革を及ぼす新たな仕組みや革新的な技術の出現・台頭2自然資本の毀損(資源の枯渇、生態系の劣化・危機、環境に甚大な損害を与える人為的な汚染や事故)3当社グループに大きな影響を及ぼす可能性がある国内外の法令・制度・規制等の新設・改廃4社会資本(橋梁・トンネル・河川施設・港湾施設・上下水道等)の維持管理・更新の大幅な停滞・遅延、エネルギー等の大幅かつ恒常的な供給不足 ③ グループ重要リスクとグループエマージングリスクの管理グループ重要リスクとグループエマージングリスクの管理の概要は下図のとおりです。 |
研究開発活動 | 6【研究開発活動】 該当事項はありません。 |
設備投資等の概要 | 1【設備投資等の概要】 当連結会計年度の設備投資は、主として三井住友海上火災保険株式会社、あいおいニッセイ同和損害保険株式会社において、国内損害保険事業に係る営業店舗網の整備並びに業務効率化及び顧客サービスの充実を主眼に実施いたしました。 このうち主なものは、店舗等に係る建物等の取得(164億円)及びパソコンネットワーク関連機器をはじめとするコンピュータ関連機器の購入(19億円)であり、これらを含む当連結会計年度中の投資総額は253億円であります。 なお、当連結会計年度において重要な設備の除却、売却等はありません。 |
主要な設備の状況 | 2【主要な設備の状況】 当社グループ(当社及び連結子会社)における主要な設備は以下のとおりであります。 (1) 提出会社 該当事項はありません。 (2) 国内子会社(2025年3月31日現在) 会社名地域主な店名(所在地)セグメントの名称帳簿価額(百万円)従業員数(人)年間賃借料(百万円)土地(面積㎡)[面積㎡]建物動産三井住友海上火災保険株式会社北海道北海道支店(札幌市中央区)三井住友海上4,161(564)881298340[91]174東北仙台支店(仙台市青葉区)三井住友海上1,982(2,965)1,700454469[129]150 関東甲信越茨城支店(茨城県水戸市)三井住友海上536(2,963)1,455555745[228]461 千葉埼玉埼玉支店(さいたま市大宮区)三井住友海上725(3,285)1,306387581[163]240 東京東京東支店(東京都千代田区)三井住友海上5,074(5,730)15,3361451,187[200]225 神奈川静岡神奈川支店(横浜市西区)三井住友海上1,090(1,861)4,736368548[186]206 北陸金沢支店(石川県金沢市)三井住友海上1,478(2,012)2,652266196[46]74 中部愛知支店(名古屋市中区)三井住友海上7,405(2,934)[384]4,2895821,037[274]236 関西大阪北支店(大阪市中央区)三井住友海上11,250(5,341)8,5458061,644[471]354 中国広島支店(広島市中区)三井住友海上879(977)647429534[155]232 四国四国東支店(香川県高松市)三井住友海上473(3,108)2,765212257[81]55 九州福岡支店(福岡市中央区)三井住友海上2,989(1,984)2,594508851[254]399 本店(東京都千代田区)三井住友海上19,568(129,085)[1,332]32,7886,7033,704[718]775 会社名地域主な店名(所在地)セグメントの名称帳簿価額(百万円)従業員数(人)年間賃借料(百万円)土地(面積㎡)[面積㎡]建物動産あいおいニッセイ同和損害保険株式会社北海道札幌支店(札幌市北区)あいおいニッセイ同和損保851(1,721)1,156177326[33]45東北仙台支店(仙台市青葉区)あいおいニッセイ同和損保3,836(9,252)[685]2,510345655[72]156 北関東群馬支店(群馬県高崎市)あいおいニッセイ同和損保1,139(7,339)1,395239517[61]82 東京東京中央支店(東京都中央区)あいおいニッセイ同和損保8,291(7,075)10,3783851,971[344]206 千葉千葉支店(千葉市中央区)あいおいニッセイ同和損保1,130(5,643)1,983154422[48]38 埼玉埼玉支店(さいたま市中央区)あいおいニッセイ同和損保1,132(2,057)1,668423797[544]377 神奈川横浜支店(横浜市中区)あいおいニッセイ同和損保127(1,061)1,125161362[50]163 甲信越新潟支店(新潟市中央区)あいおいニッセイ同和損保1,260(2,956)1,696234398[52]135 静岡静岡支店(静岡市葵区)あいおいニッセイ同和損保765(1,734)[223]1,219120305[25]21 中部愛知支店(名古屋市中村区)あいおいニッセイ同和損保4,071(5,636)[766]2,4355291,016[112]700 近畿大阪支店(大阪市北区)あいおいニッセイ同和損保2,497(16,989)11,6748421,126[90]176 北陸金沢支店(石川県金沢市)あいおいニッセイ同和損保1,047(2,589)752101193[9]9 中国広島支店(広島市中区)あいおいニッセイ同和損保812(1,612)1,551253509[60]158 四国高松支店(香川県高松市)あいおいニッセイ同和損保676(2,330)687105218[18]0 九州福岡支店(福岡市博多区)あいおいニッセイ同和損保3,793(3,889)3,200356819[83]189本店(東京都渋谷区)あいおいニッセイ同和損保11,201(22,711)23,0124,5012,343[450]11 (3) 在外子会社(2025年3月31日現在) 会社名店名(所在地)セグメントの名称帳簿価額(百万円)従業員数(人)年間 賃借料(百万円)土地(面積㎡)[面積㎡]建物その他MSIG Holdings (U.S.A.), Inc.本店(アメリカ合衆国・ニューヨーク)海外保険子会社458(9,954)7493306411,231 (注)1 上記は全て営業用設備であります。 2 土地及び建物の一部を賃借しております。 賃借している土地の面積については[ ]で外書きしております。 3 臨時従業員数については、従業員数欄に[ ]で外書きしております。 4 在外子会社の「その他」は、動産及びリース資産であります。 5 上記のほか、主要な賃貸用設備として以下のものがあります。 会社名設備名帳簿価額(百万円)土地(面積㎡)建物三井住友海上火災保険株式会社千葉ニュータウンセンター(千葉県印西市)1,431(9,000)3,623 大阪淀屋橋ビル(大阪市中央区)2,661(719)1,434 三井住友海上テプコビル(東京都中央区)56(1,376)3,366あいおいニッセイ同和損害保険株式会社御堂筋ビル(大阪市中央区)4,336(1,640)2,437新宿ビル(東京都渋谷区)946(1,934)4,0996 上記のほか、主要な社宅用、厚生用設備として以下のものがあります。 会社名設備名帳簿価額(百万円)土地(面積㎡)建物あいおいニッセイ同和損害保険株式会社自動車研究所東富士センター(静岡県裾野市)958(9,014)1,648自動車研究所埼玉センター(さいたま市岩槻区)546(3,215)700経堂中央研修所(東京都世田谷区)27(13,114)8557 リース契約による設備について、重要なものはありません。 |
設備の新設、除却等の計画 | 3【設備の新設、除却等の計画】 2025年3月31日現在の重要な設備の新設、除却等の計画は以下のとおりであります。 (1) 新設 該当事項はありません。 (2) 改修会社名設備名所在地セグメントの名称内容投資予定金額資金調達方法着手及び完了予定総額(百万円)既支払額(百万円)着手完了あいおいニッセイ同和損害保険株式会社御堂筋ビル大阪市北区あいおいニッセイ同和損保改修工事2,301854自己資金2022年10月2027年4月三井住友海上あいおい生命保険株式会社基幹系システムサーバ東京都港区、大阪市北区三井住友海上あいおい生命改修工事3,399-自己資金2024年7月2026年1月三井住友海上あいおい生命保険株式会社基幹系システムホスト東京都港区、大阪市北区三井住友海上あいおい生命改修工事7,610-自己資金2024年11月2027年1月 (3) 売却 該当事項はありません。 |
設備投資額、設備投資等の概要 | 25,300,000,000 |
Employees
平均年齢(年)、提出会社の状況、従業員の状況 | 48 |
平均勤続年数(年)、提出会社の状況、従業員の状況 | 23 |
平均年間給与、提出会社の状況、従業員の状況 | 11,435,904 |
管理職に占める女性労働者の割合、提出会社の指標 | 0 |
全労働者、労働者の男女の賃金の差異、提出会社の指標 | 1 |
正規雇用労働者、労働者の男女の賃金の差異、提出会社の指標 | 1 |
非正規雇用労働者、労働者の男女の賃金の差異、提出会社の指標 | 1 |
Investment
銘柄数、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 2 |
貸借対照表計上額、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 1,016,000,000 |
銘柄数、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 1 |
貸借対照表計上額、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 160,477,000,000 |
株式数、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社 | 144,877,304 |
貸借対照表計上額、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社 | 160,477,000,000 |
銘柄、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社 | Phoenix Group Holdings plc |
保有目的、業務提携等の概要、定量的な保有効果及び株式数が増加した理由、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社 | 海外生保事業戦略上の提携関係の強化等を目的に保有 |
当該株式の発行者による提出会社の株式の保有の有無、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社 | 無 |
Shareholders
大株主の状況 | (6)【大株主の状況】 (2025年3月31日現在) 氏名又は名称住所所有株式数(千株)発行済株式(自己株式を除く。)の総数に対する所有株式数の割合(%) 日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)東京都港区赤坂1-8-1 赤坂インターシティAIR242,24215.99 日本生命保険相互会社東京都千代田区丸の内1-6-6 日本生命証券管理部内108,9757.19 トヨタ自動車株式会社愛知県豊田市トヨタ町1105,5516.97 株式会社日本カストディ銀行(信託口)東京都中央区晴海1-8-1281,6765.39 JP MORGAN CHASE BANK 380055(常任代理人 株式会社みずほ銀行決済営業部)270 PARK AVENUE, NEW YORK, NY 10017, UNITED STATES OF AMERICA(東京都港区港南2-15-1 品川インターシティA棟)35,9062.37 STATE STREET BANK AND TRUST COMPANY 505001(常任代理人 株式会社みずほ銀行決済営業部)ONE CONGRESS STREET, SUITE 1, BOSTON, MASSACHUSETTS(東京都港区港南2-15-1 品川インターシティA棟)29,8791.97 STATE STREET BANK WEST CLIENT - TREATY 505234(常任代理人 株式会社みずほ銀行決済営業部)1776 HERITAGE DRIVE, NORTH QUINCY, MA 02171, U.S.A.(東京都港区港南2-15-1 品川インターシティA棟)27,9031.84 JPモルガン証券株式会社東京都千代田区丸の内2-7-3 東京ビルディング19,4761.29 JP MORGAN CHASE BANK 385781(常任代理人 株式会社みずほ銀行決済営業部)25 BANK STREET, CANARY WHARF, LONDON, E14 5JP, UNITED KINGDOM(東京都港区港南2-15-1 品川インターシティA棟)18,4111.22 住友生命保険相互会社東京都中央区八重洲2-2-118,2311.20計 688,25545.43(注)1 当社は自己株式93,530千株を保有しておりますが、上記大株主から除いております。 2 2022年12月5日付で公衆の縦覧に供されている大量保有報告書(変更報告書)において、ブラックロック・ジャパン株式会社他6名が2022年11月30日現在で以下の株式を保有している旨が記載されているものの、当社として2025年3月31日時点における実質所有株式数の確認ができませんので、上記大株主の状況には含めておりません。 なお、その大量保有報告書(変更報告書)の内容は次のとおりであります。 当社は、2024年4月1日付で普通株式1株につき3株の割合で株式分割を行っておりますが、下記の所有株式数は当該株式分割前の株式数を記載しております。 氏名又は名称住所所有株式数(株)発行済株式総数に対する所有株式数の割合(%)ブラックロック・ジャパン株式会社東京都千代田区丸の内一丁目8番3号8,554,9001.60ブラックロック(ネザーランド)BV(BlackRock (Netherlands) BV)オランダ王国 アムステルダム HA1096 アムステルプレイン 11,990,4560.37ブラックロック・ファンド・マネジャーズ・リミテッド (BlackRock Fund Managers Limited)英国 ロンドン市 スログモートン・アベニュー 121,481,7460.28ブラックロック・アセット・マネジメント・アイルランド・リミテッド(BlackRock Asset Management Ireland Limited)アイルランド共和国 ダブリン ボールスブリッジ ボールスブリッジパーク 2 1階3,878,6490.72ブラックロック・ファンド・アドバイザーズ (BlackRock Fund Advisors)米国 カリフォルニア州 サンフランシスコ市 ハワード・ストリート 4009,085,0361.70ブラックロック・インスティテューショナル・トラスト・カンパニー、エヌ.エイ.(BlackRock Institutional Trust Company, N.A.)米国 カリフォルニア州 サンフランシスコ市 ハワード・ストリート 4006,852,5031.28ブラックロック・インベストメント・マネジメント(ユーケー)リミテッド (BlackRock Investment Management (UK) Limited)英国 ロンドン市 スログモートン・アベニュー 12730,2260.14計32,573,5166.08 3 2024年2月22日付で公衆の縦覧に供されている大量保有報告書(変更報告書)において、 日本生命保険相互会社他2名が2024年2月15日現在で以下の株式を保有している旨が記載されているものの、当社として2025年3月31日時点における実質所有株式数の確認ができませんので、上記大株主の状況には含めておりません。 なお、その大量保有報告書(変更報告書)の内容は次のとおりであります。 当社は、2024年4月1日付で普通株式1株につき3株の割合で株式分割を行っておりますが、下記の所有株式数は当該株式分割前の株式数を記載しております。 氏名又は名称住所所有株式数(株)発行済株式総数に対する所有株式数の割合(%) 日本生命保険相互会社大阪府大阪市中央区今橋三丁目5番12号36,376,8586.79ニッセイアセットマネジメント株式会社東京都千代田区丸の内一丁目6番6号594,6000.11大樹生命保険株式会社東京都千代田区大手町二丁目1番地1号1,027,4000.19計37,998,8587.09 |
株主数-金融機関 | 177 |
株主数-金融商品取引業者 | 62 |
株主数-外国法人等-個人 | 655 |
株主数-外国法人等-個人以外 | 991 |
株主数-個人その他 | 141,638 |
株主数-その他の法人 | 2,003 |
株主数-計 | 145,527 |
氏名又は名称、大株主の状況 | 住友生命保険相互会社 |
株主総利回り | 1 |
株主総会決議による取得の状況 | (1)【株主総会決議による取得の状況】 該当事項はありません。 |
株主総会決議又は取締役会決議に基づかないものの内容 | (3)【株主総会決議又は取締役会決議に基づかないものの内容】 区分株式数(株)価額の総額(円)当事業年度における取得自己株式20,71366,173,429円当期間における取得自己株式1,4114,432,057(注) 当期間における取得自己株式には、2025年6月1日から本有価証券報告書提出日までの単元未満株式の買取りによる株式は含まれておりません。 |
Shareholders2
自己株式の取得 | -250,065,000,000 |
自己株式の取得による支出、財務活動によるキャッシュ・フロー | -250,876,000,000 |
発行済株式及び自己株式に関する注記 | 1 発行済株式の種類及び総数並びに自己株式の種類及び株式数に関する事項 当連結会計年度期首株式数(千株)当連結会計年度増加株式数(千株)当連結会計年度減少株式数(千株)当連結会計年度末株式数(千株)発行済株式 普通株式536,0711,072,327-1,608,398合計536,0711,072,327-1,608,398自己株式 普通株式7,52191,0221,41197,131合計7,52191,0221,41197,131(注)1 当社は2024年4月1日付で普通株式1株につき3株の割合で株式分割を行っております。 2 普通株式の発行済株式総数の増加1,072,327千株は、株式分割による増加1,072,142千株、譲渡制限付株式の発行による増加184千株であります。 3 当連結会計年度期首及び当連結会計年度末の普通株式の自己株式の株式数には、株式報酬制度により設定された信託が保有する当社株式がそれぞれ1,552千株、3,601千株含まれております。 4 普通株式の自己株式の株式数の増加91,022千株は、市場買付による増加75,719千株、株式分割による増加15,042千株(うち株式報酬制度により設定された信託が保有する当社株式の増加3,104千株)、株式報酬制度により設定された信託の買付による増加240千株、単元未満株式の買取りによる増加20千株であります。 5 普通株式の自己株式の株式数の減少1,411千株は、株式報酬制度により設定された信託からの交付による減少1,188千株、新株予約権の権利行使による減少113千株、株式報酬制度により設定された信託からの売却による減少107千株、単元未満株式の売渡しによる減少2千株であります。 |
Audit
監査法人1、連結 | 有限責任 あずさ監査法人 |
独立監査人の報告書、連結 | 独立監査人の監査報告書及び内部統制監査報告書 2025年6月20日MS&ADインシュアランスグループホールディングス株式会社 取締役会 御中 有限責任 あずさ監査法人 東京事務所 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士菅 野 雅 子 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士蓑 輪 康 喜 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士石 井 顕 一 <連結財務諸表監査>監査意見 当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられているMS&ADインシュアランスグループホールディングス株式会社の2024年4月1日から2025年3月31日までの連結会計年度の連結財務諸表、すなわち、連結貸借対照表、連結損益計算書、連結包括利益計算書、連結株主資本等変動計算書、連結キャッシュ・フロー計算書、連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項、その他の注記及び連結附属明細表について監査を行った。 当監査法人は、上記の連結財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、MS&ADインシュアランスグループホールディングス株式会社及び連結子会社の2025年3月31日現在の財政状態並びに同日をもって終了する連結会計年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。 監査意見の根拠 当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。 監査の基準における当監査法人の責任は、「連結財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。 当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。 当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。 監査上の主要な検討事項 監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。 監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 損害保険契約に係る支払備金の見積りの合理性監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応 MS&ADインシュアランスグループホールディングス株式会社の当連結会計年度の連結貸借対照表に支払備金3,301,154百万円が計上されており、このうち、特に金額的重要性が高いものは、連結子会社である、三井住友海上火災保険株式会社(以下「三井住友海上」という。 )及びあいおいニッセイ同和損害保険株式会社(以下「あいおいニッセイ同和損保」という。 )が営む国内損害保険事業、MS Amlin Underwriting Limited(以下「AUL」という。 )が営むロイズ事業並びにMS Amlin AG(以下「AAG」という。 )が営む再保険事業における損害保険契約に係る支払備金である。 連結財務諸表の注記事項(重要な会計上の見積り)2支払備金に記載されているとおり、支払備金は、保険契約に基づいて支払義務が発生した、又は発生したと認められる保険金等のうち、まだ支払っていない金額を見積もり、積み立てるものである。 会社は、既に保険会社に支払事由の発生の報告があった保険契約に対する保険金の支払見込額に加え、決算日時点で既に支払事由が発生していると認められるものの、保険会社に報告されていない損害に対する保険金の支払見込額を、最終損害見積額等に基づき計上している。 最終損害見積額の算定においては、統計的な見積手法の選択や見積りに使用するデータの補整が算定結果に影響を及ぼす。 見積手法の選択にあたっては、保険事故の発生頻度や保険事故発生から解決までの期間の長短等の保険契約のリスク特性を考慮する必要があり、また見積りに使用する過年度の実績値のデータには、将来の保険金支払額に影響を与える環境の変化や通常の想定を超える規模の損害等に対して適切な補整を加える必要がある。 特に、近年の国内外での自然災害の甚大化及び頻発化、インフレーションなどの状況も考慮する必要がある。 これら見積手法の選択、見積りに使用するデータの補整の要否及び補整手法の選択は経営者の高度かつ専門的な判断を伴う。 最終損害見積額の算定にはこれらの性質があることから、支払備金の見積りは高い不確実性を有している。 以上から、当監査法人は、損害保険契約に係る支払備金の見積りの合理性が、当連結会計年度の連結財務諸表監査において特に重要であり、監査上の主要な検討事項の一つに該当すると判断した。 当監査法人は、損害保険契約に係る支払備金の見積りの合理性を評価するため、主に以下の監査手続を実施した。 なお、AUL及びAAGの支払備金については、それらの監査人を関与させ、同監査人への指揮、監督及びその作業の査閲を実施した。 (1)内部統制の評価 当監査法人は、三井住友海上、あいおいニッセイ同和損保、AUL及びAAGの支払備金の計上に関連する内部統制の整備及び運用状況の有効性を評価した。 評価にあたっては、特に、見積手法の選択及び見積りに使用するデータの補整の合理性を確認する統制に焦点を当てた。 (2)最終損害見積額の合理性の評価 当監査法人は、最終損害見積額の合理性を評価するため、当監査法人及び当監査法人が属するネットワークファームの保険数理専門家を関与させながら、主に以下の手続を実施した。 ● 経営者が選択した統計的な見積手法について、その根拠に係る関連資料の閲覧、保険契約のリスク特性との整合性の検討、保険数理の一般的な実務慣行との比較、過年度の見積りとその実績値との比較及び実績値の趨勢分析によって、見積手法の選択の適切性を評価した。 ● 見積りに使用するデータの補整の事由について、経営者に対して質問するとともに、外部情報を含む利用可能な情報との整合性を確認し、当該事由による補整の要否に係る判断及び選択した補整手法の合理性を評価した。 ● 三井住友海上、あいおいニッセイ同和損保、AUL及びAAGにおいて、重要な保険種目等に係る最終損害見積額について、保険事故の特性及び状況を踏まえた代替的な仮定に基づく監査人の見積額を設定し、経営者による見積額との差異の程度を検討することで、その合理性を評価した。 ● 三井住友海上、あいおいニッセイ同和損保、AUL及びAAGにおいて、特に、各社が引き受ける自然災害に起因する最終損害見積額については、災害の性質及び規模、見積り実施時点までの実績値の推移、過年度の類似の自然災害における実績値の推移を考慮して、その合理性を評価した。 のれんの減損の兆候の有無及び認識要否の判定に関する経営者の判断の妥当性監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応 MS&ADインシュアランスグループホールディングス株式会社の当連結会計年度の連結貸借対照表にのれん133,142百万円が計上されており、また、有価証券には、持分法適用会社に関するのれん29,754百万円が含まれている。 連結財務諸表の注記事項(重要な会計上の見積り)1のれんの減損に記載されているとおり、のれんを含む資産グループに減損の兆候があると認められる場合には、当該資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額と帳簿価額を比較することによって減損損失の認識の要否を判定する必要がある。 減損損失の認識が必要と判定された資産グループについては、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額が減損損失として計上される。 当連結会計年度において、損害保険事業を営む在外連結子会社であるMS First Capital Insurance Limitedについて、事業環境に大きな変化が生じたことから減損の兆候が認められたため、会社は、同社ののれんを含む資産グループ(うち、有形固定資産3,868百万円、のれん76,487百万円、のれんを除く無形固定資産48,859百万円)について、減損損失の認識要否を判定した。 その結果、割引前将来キャッシュ・フローの総額が当該資産グループの帳簿価額を上回ったことから、減損損失は認識されていない。 会社は、のれんを含む資産グループを使用している事業について、2期連続赤字の有無、経営環境の著しい悪化の有無等を総合的に勘案し、減損の兆候の有無を判定している。 特に、事業の業績が赤字である場合や取得時の評価の前提とした事業計画と比較して低調である場合に、そのような業績の悪化又は事業計画との乖離が、経営環境の著しい悪化に該当するか否かについて、経営者の重要な判断を伴う。 会社は、減損損失の認識要否の判定に用いる割引前将来キャッシュ・フローの総額の見積りにおいて、関連する事業の事業計画を基礎として、一定の必要資本を維持するために必要な内部留保等も考慮している。 この見積りに使用される仮定は、過去の実績及び直近の事業環境に基づく経営方針を踏まえた将来の見通しに関する経営者の評価が反映されたものであるが、特に、MS First Capital Insurance Limitedについて、事業計画の前提条件となる損害率に関する仮定及び内部留保必要額に関する仮定は見積りの不確実性が高く、経営者による判断が割引前将来キャッシュ・フローの見積りに重要な影響を及ぼす。 以上から、当監査法人は、のれんの減損の兆候の有無及び認識要否の判定に関する経営者の判断の妥当性が、当連結会計年度の連結財務諸表監査において特に重要であり、監査上の主要な検討事項の一つに該当すると判断した。 当監査法人は、のれんの減損の兆候の有無及び認識要否の判定に関する経営者の判断の妥当性を評価するため、主に以下の監査手続を実施した。 (1)内部統制の評価 当監査法人は、のれんの減損の兆候の有無及び認識の要否を判定するプロセスの妥当性を評価するため、その判定に関連する内部統制の整備及び運用状況の有効性を評価した。 評価にあたっては、特に、合理的な根拠に基づかない減損の兆候の有無の判定が行われるリスクに対応する内部統制や、割引前将来キャッシュ・フローの見積りの基礎となる事業計画の策定及び必要な内部留保等の考慮において適切でない仮定が採用されるリスクに対応する内部統制に焦点を当てた。 (2)減損の兆候の有無及び認識要否の判定に関する判断の妥当性の評価 当監査法人は、のれんの減損の兆候の有無の判定に関する経営者の判断の妥当性を評価するため、特に、のれんを認識している事業の経営環境が著しく悪化しているかどうかの経営者の判断に関して、主に以下の手続を実施した。 ● 経営会議体資料の閲覧及び経営者への質問を通じて各事業の経営環境を理解し、業績が悪化又は事業計画と乖離している事業の有無についての経営者の判断の妥当性を評価した。 ● のれんを含む資産グループの金額的重要性が高い事業について、業績が取得時の評価の前提とした事業計画と比較して低調である場合にはその要因を分析し、当該計画との乖離が、経営環境の著しい悪化に該当するか否かについての経営者の判断の妥当性を評価した。 また、当監査法人は、MS First Capital Insurance Limitedにかかる減損の認識要否の判定に関する経営者の判断の妥当性を評価するため、特に、割引前将来キャッシュ・フローの見積りの基礎となる事業計画の策定及び必要な内部留保等の考慮にあたって経営者が採用した主要な仮定の適切性を評価するため、主に以下の手続を実施した。 ● 利用可能な外部情報や規制当局への提出資料との比較、経営者への質問及び会議体資料の閲覧により、割引前将来キャッシュ・フローの見積りにあたって、過去の実績、直近の事業環境の変化及び会社の経営方針が適切に反映されていることを確認した。 ● 将来キャッシュ・フローの変動リスクを考慮した感応度分析を実施し、仮定の変動が減損損失の認識要否の結果に与える影響を評価した。 感応度分析の結果と、仮定の不確実性の程度を踏まえ、特に、損害率及び内部留保必要額の仮定について、監査人の理解する事業環境の変化との整合性に関して経営者と討議を行うことにより、その合理性を評価した。 ● 直近の事業環境の変化及び会社の経営方針を踏まえた将来の見通しに監査人独自のストレスを織り込んだ場合の割引前将来キャッシュ・フローを見積もり、減損の認識要否の判定に与える影響について検討した。 その他の記載内容 その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。 経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。 また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 当監査法人の連結財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。 連結財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と連結財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 連結財務諸表に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任 経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して連結財務諸表を作成し適正に表示することにある。 これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない連結財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。 連結財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき連結財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。 監査役及び監査役会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 連結財務諸表監査における監査人の責任 監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての連結財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から連結財務諸表に対する意見を表明することにある。 虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、連結財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。 監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。 ・不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。 また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。 監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。 さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。 ・連結財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。 ・経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。 ・経営者が継続企業を前提として連結財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。 継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において連結財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する連結財務諸表の注記事項が適切でない場合は、連結財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。 監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。 ・連結財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた連結財務諸表の表示、構成及び内容、並びに連結財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。 ・連結財務諸表に対する意見表明の基礎となる、会社及び連結子会社の財務情報に関する十分かつ適切な監査証拠を入手するために、連結財務諸表の監査を計画し実施する。 監査人は、連結財務諸表の監査に関する指揮、監督及び査閲に関して責任がある。 監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。 監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。 監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。 監査人は、監査役及び監査役会と協議した事項のうち、当連結会計年度の連結財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。 ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。 <内部統制監査>監査意見 当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第2項の規定に基づく監査証明を行うため、MS&ADインシュアランスグループホールディングス株式会社の2025年3月31日現在の内部統制報告書について監査を行った。 当監査法人は、MS&ADインシュアランスグループホールディングス株式会社が2025年3月31日現在の財務報告に係る内部統制は有効であると表示した上記の内部統制報告書が、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して、財務報告に係る内部統制の評価結果について、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。 監査意見の根拠 当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に準拠して内部統制監査を行った。 財務報告に係る内部統制の監査の基準における当監査法人の責任は、「内部統制監査における監査人の責任」に記載されている。 当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。 当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。 内部統制報告書に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任 経営者の責任は、財務報告に係る内部統制を整備及び運用し、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して内部統制報告書を作成し適正に表示することにある。 監査役及び監査役会の責任は、財務報告に係る内部統制の整備及び運用状況を監視、検証することにある。 なお、財務報告に係る内部統制により財務報告の虚偽の記載を完全には防止又は発見することができない可能性がある。 内部統制監査における監査人の責任 監査人の責任は、監査人が実施した内部統制監査に基づいて、内部統制報告書に重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、内部統制監査報告書において独立の立場から内部統制報告書に対する意見を表明することにある。 監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。 ・内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果について監査証拠を入手するための監査手続を実施する。 内部統制監査の監査手続は、監査人の判断により、財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性に基づいて選択及び適用される。 ・財務報告に係る内部統制の評価範囲、評価手続及び評価結果について経営者が行った記載を含め、全体としての内部統制報告書の表示を検討する。 ・内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果に関する十分かつ適切な監査証拠を入手するために、内部統制の監査を計画し実施する。 監査人は、内部統制報告書の監査に関する指揮、監督及び査閲に関して責任がある。 監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。 監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した内部統制監査の範囲とその実施時期、内部統制監査の実施結果、識別した内部統制の開示すべき重要な不備、その是正結果、及び内部統制の監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。 監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。 <報酬関連情報> 当監査法人及び当監査法人と同一のネットワークに属する者に対する、会社及び子会社の監査証明業務に基づく報酬及び非監査業務に基づく報酬の額は、「提出会社の状況」に含まれるコーポレート・ガバナンスの状況等 (3)【監査の状況】 に記載されている。 利害関係 会社及び連結子会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。 以 上 (注)1 上記の監査報告書の原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。 2 XBRLデータは監査の対象には含まれておりません。 |
監査上の主要な検討事項、連結 | 監査上の主要な検討事項 監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。 監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 損害保険契約に係る支払備金の見積りの合理性監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応 MS&ADインシュアランスグループホールディングス株式会社の当連結会計年度の連結貸借対照表に支払備金3,301,154百万円が計上されており、このうち、特に金額的重要性が高いものは、連結子会社である、三井住友海上火災保険株式会社(以下「三井住友海上」という。 )及びあいおいニッセイ同和損害保険株式会社(以下「あいおいニッセイ同和損保」という。 )が営む国内損害保険事業、MS Amlin Underwriting Limited(以下「AUL」という。 )が営むロイズ事業並びにMS Amlin AG(以下「AAG」という。 )が営む再保険事業における損害保険契約に係る支払備金である。 連結財務諸表の注記事項(重要な会計上の見積り)2支払備金に記載されているとおり、支払備金は、保険契約に基づいて支払義務が発生した、又は発生したと認められる保険金等のうち、まだ支払っていない金額を見積もり、積み立てるものである。 会社は、既に保険会社に支払事由の発生の報告があった保険契約に対する保険金の支払見込額に加え、決算日時点で既に支払事由が発生していると認められるものの、保険会社に報告されていない損害に対する保険金の支払見込額を、最終損害見積額等に基づき計上している。 最終損害見積額の算定においては、統計的な見積手法の選択や見積りに使用するデータの補整が算定結果に影響を及ぼす。 見積手法の選択にあたっては、保険事故の発生頻度や保険事故発生から解決までの期間の長短等の保険契約のリスク特性を考慮する必要があり、また見積りに使用する過年度の実績値のデータには、将来の保険金支払額に影響を与える環境の変化や通常の想定を超える規模の損害等に対して適切な補整を加える必要がある。 特に、近年の国内外での自然災害の甚大化及び頻発化、インフレーションなどの状況も考慮する必要がある。 これら見積手法の選択、見積りに使用するデータの補整の要否及び補整手法の選択は経営者の高度かつ専門的な判断を伴う。 最終損害見積額の算定にはこれらの性質があることから、支払備金の見積りは高い不確実性を有している。 以上から、当監査法人は、損害保険契約に係る支払備金の見積りの合理性が、当連結会計年度の連結財務諸表監査において特に重要であり、監査上の主要な検討事項の一つに該当すると判断した。 当監査法人は、損害保険契約に係る支払備金の見積りの合理性を評価するため、主に以下の監査手続を実施した。 なお、AUL及びAAGの支払備金については、それらの監査人を関与させ、同監査人への指揮、監督及びその作業の査閲を実施した。 (1)内部統制の評価 当監査法人は、三井住友海上、あいおいニッセイ同和損保、AUL及びAAGの支払備金の計上に関連する内部統制の整備及び運用状況の有効性を評価した。 評価にあたっては、特に、見積手法の選択及び見積りに使用するデータの補整の合理性を確認する統制に焦点を当てた。 (2)最終損害見積額の合理性の評価 当監査法人は、最終損害見積額の合理性を評価するため、当監査法人及び当監査法人が属するネットワークファームの保険数理専門家を関与させながら、主に以下の手続を実施した。 ● 経営者が選択した統計的な見積手法について、その根拠に係る関連資料の閲覧、保険契約のリスク特性との整合性の検討、保険数理の一般的な実務慣行との比較、過年度の見積りとその実績値との比較及び実績値の趨勢分析によって、見積手法の選択の適切性を評価した。 ● 見積りに使用するデータの補整の事由について、経営者に対して質問するとともに、外部情報を含む利用可能な情報との整合性を確認し、当該事由による補整の要否に係る判断及び選択した補整手法の合理性を評価した。 ● 三井住友海上、あいおいニッセイ同和損保、AUL及びAAGにおいて、重要な保険種目等に係る最終損害見積額について、保険事故の特性及び状況を踏まえた代替的な仮定に基づく監査人の見積額を設定し、経営者による見積額との差異の程度を検討することで、その合理性を評価した。 ● 三井住友海上、あいおいニッセイ同和損保、AUL及びAAGにおいて、特に、各社が引き受ける自然災害に起因する最終損害見積額については、災害の性質及び規模、見積り実施時点までの実績値の推移、過年度の類似の自然災害における実績値の推移を考慮して、その合理性を評価した。 のれんの減損の兆候の有無及び認識要否の判定に関する経営者の判断の妥当性監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応 MS&ADインシュアランスグループホールディングス株式会社の当連結会計年度の連結貸借対照表にのれん133,142百万円が計上されており、また、有価証券には、持分法適用会社に関するのれん29,754百万円が含まれている。 連結財務諸表の注記事項(重要な会計上の見積り)1のれんの減損に記載されているとおり、のれんを含む資産グループに減損の兆候があると認められる場合には、当該資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額と帳簿価額を比較することによって減損損失の認識の要否を判定する必要がある。 減損損失の認識が必要と判定された資産グループについては、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額が減損損失として計上される。 当連結会計年度において、損害保険事業を営む在外連結子会社であるMS First Capital Insurance Limitedについて、事業環境に大きな変化が生じたことから減損の兆候が認められたため、会社は、同社ののれんを含む資産グループ(うち、有形固定資産3,868百万円、のれん76,487百万円、のれんを除く無形固定資産48,859百万円)について、減損損失の認識要否を判定した。 その結果、割引前将来キャッシュ・フローの総額が当該資産グループの帳簿価額を上回ったことから、減損損失は認識されていない。 会社は、のれんを含む資産グループを使用している事業について、2期連続赤字の有無、経営環境の著しい悪化の有無等を総合的に勘案し、減損の兆候の有無を判定している。 特に、事業の業績が赤字である場合や取得時の評価の前提とした事業計画と比較して低調である場合に、そのような業績の悪化又は事業計画との乖離が、経営環境の著しい悪化に該当するか否かについて、経営者の重要な判断を伴う。 会社は、減損損失の認識要否の判定に用いる割引前将来キャッシュ・フローの総額の見積りにおいて、関連する事業の事業計画を基礎として、一定の必要資本を維持するために必要な内部留保等も考慮している。 この見積りに使用される仮定は、過去の実績及び直近の事業環境に基づく経営方針を踏まえた将来の見通しに関する経営者の評価が反映されたものであるが、特に、MS First Capital Insurance Limitedについて、事業計画の前提条件となる損害率に関する仮定及び内部留保必要額に関する仮定は見積りの不確実性が高く、経営者による判断が割引前将来キャッシュ・フローの見積りに重要な影響を及ぼす。 以上から、当監査法人は、のれんの減損の兆候の有無及び認識要否の判定に関する経営者の判断の妥当性が、当連結会計年度の連結財務諸表監査において特に重要であり、監査上の主要な検討事項の一つに該当すると判断した。 当監査法人は、のれんの減損の兆候の有無及び認識要否の判定に関する経営者の判断の妥当性を評価するため、主に以下の監査手続を実施した。 (1)内部統制の評価 当監査法人は、のれんの減損の兆候の有無及び認識の要否を判定するプロセスの妥当性を評価するため、その判定に関連する内部統制の整備及び運用状況の有効性を評価した。 評価にあたっては、特に、合理的な根拠に基づかない減損の兆候の有無の判定が行われるリスクに対応する内部統制や、割引前将来キャッシュ・フローの見積りの基礎となる事業計画の策定及び必要な内部留保等の考慮において適切でない仮定が採用されるリスクに対応する内部統制に焦点を当てた。 (2)減損の兆候の有無及び認識要否の判定に関する判断の妥当性の評価 当監査法人は、のれんの減損の兆候の有無の判定に関する経営者の判断の妥当性を評価するため、特に、のれんを認識している事業の経営環境が著しく悪化しているかどうかの経営者の判断に関して、主に以下の手続を実施した。 ● 経営会議体資料の閲覧及び経営者への質問を通じて各事業の経営環境を理解し、業績が悪化又は事業計画と乖離している事業の有無についての経営者の判断の妥当性を評価した。 ● のれんを含む資産グループの金額的重要性が高い事業について、業績が取得時の評価の前提とした事業計画と比較して低調である場合にはその要因を分析し、当該計画との乖離が、経営環境の著しい悪化に該当するか否かについての経営者の判断の妥当性を評価した。 また、当監査法人は、MS First Capital Insurance Limitedにかかる減損の認識要否の判定に関する経営者の判断の妥当性を評価するため、特に、割引前将来キャッシュ・フローの見積りの基礎となる事業計画の策定及び必要な内部留保等の考慮にあたって経営者が採用した主要な仮定の適切性を評価するため、主に以下の手続を実施した。 ● 利用可能な外部情報や規制当局への提出資料との比較、経営者への質問及び会議体資料の閲覧により、割引前将来キャッシュ・フローの見積りにあたって、過去の実績、直近の事業環境の変化及び会社の経営方針が適切に反映されていることを確認した。 ● 将来キャッシュ・フローの変動リスクを考慮した感応度分析を実施し、仮定の変動が減損損失の認識要否の結果に与える影響を評価した。 感応度分析の結果と、仮定の不確実性の程度を踏まえ、特に、損害率及び内部留保必要額の仮定について、監査人の理解する事業環境の変化との整合性に関して経営者と討議を行うことにより、その合理性を評価した。 ● 直近の事業環境の変化及び会社の経営方針を踏まえた将来の見通しに監査人独自のストレスを織り込んだ場合の割引前将来キャッシュ・フローを見積もり、減損の認識要否の判定に与える影響について検討した。 |
全体概要、監査上の主要な検討事項、連結 | 監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。 監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 |
見出し、監査上の主要な検討事項、連結 | のれんの減損の兆候の有無及び認識要否の判定に関する経営者の判断の妥当性 |
内容及び理由、監査上の主要な検討事項、連結 | MS&ADインシュアランスグループホールディングス株式会社の当連結会計年度の連結貸借対照表にのれん133,142百万円が計上されており、また、有価証券には、持分法適用会社に関するのれん29,754百万円が含まれている。 連結財務諸表の注記事項(重要な会計上の見積り)1のれんの減損に記載されているとおり、のれんを含む資産グループに減損の兆候があると認められる場合には、当該資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額と帳簿価額を比較することによって減損損失の認識の要否を判定する必要がある。 減損損失の認識が必要と判定された資産グループについては、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額が減損損失として計上される。 当連結会計年度において、損害保険事業を営む在外連結子会社であるMS First Capital Insurance Limitedについて、事業環境に大きな変化が生じたことから減損の兆候が認められたため、会社は、同社ののれんを含む資産グループ(うち、有形固定資産3,868百万円、のれん76,487百万円、のれんを除く無形固定資産48,859百万円)について、減損損失の認識要否を判定した。 その結果、割引前将来キャッシュ・フローの総額が当該資産グループの帳簿価額を上回ったことから、減損損失は認識されていない。 会社は、のれんを含む資産グループを使用している事業について、2期連続赤字の有無、経営環境の著しい悪化の有無等を総合的に勘案し、減損の兆候の有無を判定している。 特に、事業の業績が赤字である場合や取得時の評価の前提とした事業計画と比較して低調である場合に、そのような業績の悪化又は事業計画との乖離が、経営環境の著しい悪化に該当するか否かについて、経営者の重要な判断を伴う。 会社は、減損損失の認識要否の判定に用いる割引前将来キャッシュ・フローの総額の見積りにおいて、関連する事業の事業計画を基礎として、一定の必要資本を維持するために必要な内部留保等も考慮している。 この見積りに使用される仮定は、過去の実績及び直近の事業環境に基づく経営方針を踏まえた将来の見通しに関する経営者の評価が反映されたものであるが、特に、MS First Capital Insurance Limitedについて、事業計画の前提条件となる損害率に関する仮定及び内部留保必要額に関する仮定は見積りの不確実性が高く、経営者による判断が割引前将来キャッシュ・フローの見積りに重要な影響を及ぼす。 以上から、当監査法人は、のれんの減損の兆候の有無及び認識要否の判定に関する経営者の判断の妥当性が、当連結会計年度の連結財務諸表監査において特に重要であり、監査上の主要な検討事項の一つに該当すると判断した。 |
開示への参照、監査上の主要な検討事項、連結 | 連結財務諸表の注記事項(重要な会計上の見積り)1のれんの減損 |
監査上の対応、監査上の主要な検討事項、連結 | 当監査法人は、のれんの減損の兆候の有無及び認識要否の判定に関する経営者の判断の妥当性を評価するため、主に以下の監査手続を実施した。 (1)内部統制の評価 当監査法人は、のれんの減損の兆候の有無及び認識の要否を判定するプロセスの妥当性を評価するため、その判定に関連する内部統制の整備及び運用状況の有効性を評価した。 評価にあたっては、特に、合理的な根拠に基づかない減損の兆候の有無の判定が行われるリスクに対応する内部統制や、割引前将来キャッシュ・フローの見積りの基礎となる事業計画の策定及び必要な内部留保等の考慮において適切でない仮定が採用されるリスクに対応する内部統制に焦点を当てた。 (2)減損の兆候の有無及び認識要否の判定に関する判断の妥当性の評価 当監査法人は、のれんの減損の兆候の有無の判定に関する経営者の判断の妥当性を評価するため、特に、のれんを認識している事業の経営環境が著しく悪化しているかどうかの経営者の判断に関して、主に以下の手続を実施した。 ● 経営会議体資料の閲覧及び経営者への質問を通じて各事業の経営環境を理解し、業績が悪化又は事業計画と乖離している事業の有無についての経営者の判断の妥当性を評価した。 ● のれんを含む資産グループの金額的重要性が高い事業について、業績が取得時の評価の前提とした事業計画と比較して低調である場合にはその要因を分析し、当該計画との乖離が、経営環境の著しい悪化に該当するか否かについての経営者の判断の妥当性を評価した。 また、当監査法人は、MS First Capital Insurance Limitedにかかる減損の認識要否の判定に関する経営者の判断の妥当性を評価するため、特に、割引前将来キャッシュ・フローの見積りの基礎となる事業計画の策定及び必要な内部留保等の考慮にあたって経営者が採用した主要な仮定の適切性を評価するため、主に以下の手続を実施した。 ● 利用可能な外部情報や規制当局への提出資料との比較、経営者への質問及び会議体資料の閲覧により、割引前将来キャッシュ・フローの見積りにあたって、過去の実績、直近の事業環境の変化及び会社の経営方針が適切に反映されていることを確認した。 ● 将来キャッシュ・フローの変動リスクを考慮した感応度分析を実施し、仮定の変動が減損損失の認識要否の結果に与える影響を評価した。 感応度分析の結果と、仮定の不確実性の程度を踏まえ、特に、損害率及び内部留保必要額の仮定について、監査人の理解する事業環境の変化との整合性に関して経営者と討議を行うことにより、その合理性を評価した。 ● 直近の事業環境の変化及び会社の経営方針を踏まえた将来の見通しに監査人独自のストレスを織り込んだ場合の割引前将来キャッシュ・フローを見積もり、減損の認識要否の判定に与える影響について検討した。 |
その他の記載内容、連結 | その他の記載内容 その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。 経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。 また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 当監査法人の連結財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。 連結財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と連結財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 |
報酬関連情報、連結 | <報酬関連情報> 当監査法人及び当監査法人と同一のネットワークに属する者に対する、会社及び子会社の監査証明業務に基づく報酬及び非監査業務に基づく報酬の額は、「提出会社の状況」に含まれるコーポレート・ガバナンスの状況等 (3)【監査の状況】 に記載されている。 |
Audit1
監査法人1、個別 | 有限責任 あずさ監査法人 |
独立監査人の報告書、個別 | 独立監査人の監査報告書 2025年6月20日MS&ADインシュアランスグループホールディングス株式会社 取締役会 御中 有限責任 あずさ監査法人 東京事務所 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士菅 野 雅 子 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士蓑 輪 康 喜 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士石 井 顕 一 <財務諸表監査>監査意見 当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられているMS&ADインシュアランスグループホールディングス株式会社の2024年4月1日から2025年3月31日までの第17期事業年度の財務諸表、すなわち、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、重要な会計方針、その他の注記及び附属明細表について監査を行った。 当監査法人は、上記の財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、MS&ADインシュアランスグループホールディングス株式会社の2025年3月31日現在の財政状態及び同日をもって終了する事業年度の経営成績を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。 監査意見の根拠 当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。 監査の基準における当監査法人の責任は、「財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。 当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。 当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。 監査上の主要な検討事項 監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。 監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 当監査法人は、監査報告書において報告すべき監査上の主要な検討事項はないと判断している。 その他の記載内容 その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。 経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。 また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 当監査法人の財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。 財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 財務諸表に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任 経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して財務諸表を作成し適正に表示することにある。 これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。 財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。 監査役及び監査役会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 財務諸表監査における監査人の責任 監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から財務諸表に対する意見を表明することにある。 虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。 監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。 ・不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。 また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。 監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。 さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。 ・財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。 ・経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。 ・経営者が継続企業を前提として財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。 継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する財務諸表の注記事項が適切でない場合は、財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。 監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。 ・財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた財務諸表の表示、構成及び内容、並びに財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。 監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。 監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。 監査人は、監査役及び監査役会と協議した事項のうち、当事業年度の財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。 ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。 <報酬関連情報> 報酬関連情報は、連結財務諸表の監査報告書に記載されている。 利害関係 会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。 以 上 (注)1 上記の監査報告書の原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。 2 XBRLデータは監査の対象には含まれておりません。 |
監査上の主要な検討事項、個別 | 監査上の主要な検討事項 監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。 監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 当監査法人は、監査報告書において報告すべき監査上の主要な検討事項はないと判断している。 |
全体概要、監査上の主要な検討事項、個別 | 監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。 監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 当監査法人は、監査報告書において報告すべき監査上の主要な検討事項はないと判断している。 |
その他の記載内容、個別 | その他の記載内容 その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。 経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。 また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 当監査法人の財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。 財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 |
報酬関連情報、個別 | <報酬関連情報> 報酬関連情報は、連結財務諸表の監査報告書に記載されている。 |
BS資産
その他、流動資産 | 856,000,000 |
工具、器具及び備品(純額) | 31,000,000 |
土地 | 212,362,000,000 |
リース資産(純額)、有形固定資産 | 27,868,000,000 |
建設仮勘定 | 2,768,000,000 |
有形固定資産 | 184,000,000 |
ソフトウエア | 431,000,000 |
無形固定資産 | 478,027,000,000 |