財務諸表
CoverPage
提出書類、表紙 | 有価証券報告書 |
提出日、表紙 | 2025-06-20 |
英訳名、表紙 | Japan Display Inc. |
代表者の役職氏名、表紙 | 代表執行役社長 CEO 明間 純 |
本店の所在の場所、表紙 | 東京都港区西新橋三丁目7番1号 |
電話番号、本店の所在の場所、表紙 | 03-6732-8100(大代表) |
様式、DEI | 第三号様式 |
会計基準、DEI | Japan GAAP |
連結決算の有無、DEI | true |
当会計期間の種類、DEI | FY |
corp
沿革 | 2 【沿革】 年月概要2002年10月東京都千代田区神田練塀町に中小型液晶ディスプレイ製造及び関連製品の開発、設計、製造及び販売を事業目的とする(株)日立ディスプレイズを設立。 (株)日立製作所より、日立顕示器件(蘇州)有限公司(2012年3月にSuzhou JDI Devices Inc.へ社名変更)、深圳日立賽格顕示器有限公司(2012年3月にShenzhen JDI Inc.へ社名変更)、及び高雄日立電子股份有限公司(2012年3月にKaohsiung Opto-Electronics Inc.へ社名変更)を取得し連結子会社化。 2003年7月(株)日立デバイスエンジニアリングを吸収合併し、(株)日立ディスプレイデバイシズと(株)日立ディスプレイテクノロジーズへ会社分割。 2008年3月 (株)日立製作所100%出資から、(株)日立製作所50.2%、キヤノン(株)24.9%、松下電器産業(株)(現パナソニック(株))24.9%出資に変更。 2010年6月(株)日立製作所がパナソニック(株)の保有する(株)日立ディスプレイズの全株式を譲受。 2010年7月千葉県茂原市に(株)日立ディスプレイプロダクツ(2012年4月に(株)ジャパンディスプレイイーストプロダクツへ社名変更)を設立。 2011年4月(株)日立ディスプレイデバイシズ及び(株)日立ディスプレイテクノロジーズを吸収合併。 2011年9月東京都千代田区丸の内に中小型ディスプレイデバイス及び関連製品の開発、設計、製造及び販売を事業目的とした(株)ジャパンディスプレイ統合準備会社が発足。 2011年11月(株)産業革新機構(現(株)INCJ)、(株)日立製作所、(株)東芝、ソニー(株)の4社が、(株)日立ディスプレイズ、東芝モバイルディスプレイ(株)、ソニーモバイルディスプレイ(株)の統合契約を締結。 2012年2月(株)ジャパンディスプレイ統合準備会社が、海外販売連結子会社4社(JDI Display America, Inc.、JDI Europe GmbH、JDI Taiwan Inc.、JDI Korea Inc.)を設立。 2012年3月(株)ジャパンディスプレイ統合準備会社が、海外販売連結子会社2社(JDI China Inc.、JDI Hong Kong Limited)を設立。 (株)ジャパンディスプレイ統合準備会社が、社名を(株)ジャパンディスプレイ(旧(株)ジャパンディスプレイ)に変更。 (株)日立製作所がキヤノン(株)の保有する(株)日立ディスプレイズの全株式を譲受。 旧(株)ジャパンディスプレイが、(株)日立ディスプレイズの全株式を取得。 旧(株)ジャパンディスプレイが、ソニー(株)、(株)東芝、(株)日立製作所よりそれぞれソニーモバイルディスプレイ(株)(2012年4月に(株)ジャパンディスプレイウェストへ社名変更)、東芝モバイルディスプレイ(株)(2012年4月に(株)ジャパンディスプレイセントラルへ社名変更)、(株)日立ディスプレイズ(2012年4月に(株)ジャパンディスプレイイーストへ社名変更)の全株式を取得。 2012年7月(株)ジャパンディスプレイイーストが素尼移動顕示器(蘇州)有限公司(2012年8月にSuzhou JDI Electronics Inc.に社名変更)の全株式を取得。 2013年1月(株)ジャパンディスプレイイーストを存続会社とし、同社の親会社である旧(株)ジャパンディスプレイ、旧(株)ジャパンディスプレイの子会社である(株)ジャパンディスプレイセントラル、(株)ジャパンディスプレイウェスト、及び(株)ジャパンディスプレイイーストの子会社である(株)ジャパンディスプレイイーストプロダクツを吸収合併する合併契約を締結。 2013年4月上記合併を実施し、(株)ジャパンディスプレイイーストは(株)ジャパンディスプレイへ社名変更。 本社を東京都港区へ移転。 2013年6月Nanox Philippines Inc.を連結子会社化。 茂原工場において第6世代LTPS液晶ラインでの量産開始。 2014年3月東京証券取引所市場第一部に株式を上場。 年月概要2017年9月JDI Taiwan Inc.の子会社が提出会社からKaohsiung Opto-Electronics Inc.の全株式を取得し、子会社化。 2018年3月Shenzhen JDI Inc.の全株式を譲渡。 2018年5月Suzhou JDI Devices Inc.の全株式を譲渡。 2018年6月能美工場を売却。 2020年3月いちごトラストとの資本提携契約に基づき、いちごトラストに対する第三者割当増資を実施。 いちごトラストが筆頭株主となる。 2020年10月白山工場を売却。 2021年12月JDI Taiwan Inc.が Kaohsiung Opto-Electronics Inc.の全株式を譲渡。 2022年4月東京証券取引所の市場区分の見直しにより市場第一部からプライム市場へ移行。 2022年12月Suzhou JDI Electronics Inc.の全株式を譲渡。 2023年1月いちごトラストが支配株主となる。 2023年3月旧東浦工場(現東浦エンジニアリングセンター)での生産を終了。 2025年3月鳥取工場での生産を終了。 (注) 1.2025年10月1日付で、車載用ディスプレイ関連事業を、会社分割により新設する子会社「株式会社AutoTech」に承継させる予定です。 2.2026年3月までに茂原工場での生産を終了し、石川工場に国内生産を集約する予定です。 以下は、2013年4月に合併するまでの当社の沿革図であります。 ※株式会社ジャパンディスプレイウェストは2010年4月にエプソンイメージンデバイス株式会社から、中小型TFT液晶ディスプレイ事業資産の一部を譲り受けました。 |
事業の内容 | 3 【事業の内容】 当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社、海外製造子会社1社、海外販売子会社7社及び国内子会社1社で構成されており、主な事業内容は、ディスプレイ及びその関連製品の開発、設計、製造及び販売事業です。 ディスプレイは、電子機器の出力装置として文字、写真、動画等の画像を表示する電子部品です。 当社グループが手掛けるディスプレイは、主として車載機器、スマートウォッチ、デジタルカメラに搭載されています。 なお、当社グループの事業は、ディスプレイ事業の単一セグメントであるため、事業別セグメント情報の記載を省略しています。 [事業系統図]以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。 (2025年3月31日時点) |
関係会社の状況 | 4 【関係会社の状況】 名称住所資本金主要な事業の内容議決権の所有(又は被所有)割合(%)関係内容(連結子会社) JDI Display America, Inc. (注)1、3米国 カリフォルニア州200千USDディスプレイの販売100.0当社グループが製造したディスプレイの販売を行っております。 役員の兼任1名JDI Europe GmbH (注)1、3ドイツ ミュンヘン市5,000千EURディスプレイの販売100.0当社グループが製造したディスプレイの販売を行っております。 役員の兼任1名JDI Korea Inc. (注)1韓国 ソウル市600百万KRWディスプレイの販売100.0当社グループが製造したディスプレイの販売を行っております。 役員の兼任1名JDI China Inc. (注)1中国 上海市2,500千USDディスプレイの販売100.0当社グループが製造したディスプレイの販売を行っております。 役員の兼任1名JDI Hong Kong Limited (注)1、3香港1,500千HKDディスプレイの販売100.0当社グループが製造したディスプレイの販売を行っております。 役員の兼任1名Nanox Philippines Inc. (注)1フィリピン954百万円TFT液晶モジュールの後工程製造100.0後工程の製造委託 役員の兼任1名JDI Taiwan Inc. (注)1台湾 台北市3,570百万NTDディスプレイの販売等100.0当社グループが製造したディスプレイの販売等を行っております。 役員の兼任1名その他2社 (その他の関係会社) いちごトラスト (注)4――――― (注) 1.特定子会社に該当しております。 2.有価証券届出書又は有価証券報告書を提出している会社はありません。 3.JDI Hong Kong Limited、JDI Europe GmbH及びJDI Display America, Inc.については、売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く。 )の連結売上高に占める割合が10%を超えております。 主要な損益情報等 JDI Hong Kong LimitedJDI Europe GmbHJDI Display America, Inc.(1) 売上高42,971百万円32,375百万円65,791百万円 (2) 経常利益176百万円522百万円1,346百万円(3) 当期純利益152百万円385百万円1,060百万円(4) 純資産額5,879百万円12,104百万円5,025百万円(5) 総資産額6,552百万円16,079百万円17,761百万円 4.いちごトラストの状況については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (関連当事者情報)」において記載しているため、記載を省略しております。 |
従業員の状況 | 5 【従業員の状況】 (1) 連結会社の状況 2025年3月31日現在部門区分従業員数(人)製造部門3,403(460)非製造部門738(36)合計4,141(496) (注) 1.従業員数は就業人員(当社グループからグループ外への出向者を除き、グループ外から当社グループへの出向者を含む。 )であり、臨時雇用者数(パートタイマー、人材会社からの派遣社員、季節工を含む。 )は、年間の平均人員を( )外数で記載しております。 2.当社グループはディスプレイ事業の単一セグメントであるため、セグメント別従業員数の記載を省略しております。 (2) 提出会社の状況 2025年3月31日現在従業員数(人)平均年齢(歳)平均勤続年数(年)平均年間給与(千円)2,639(249)49.322.47,586 (注) 1.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。 2.従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。 )であり、臨時雇用者数(パートタイマー、人材会社からの派遣社員、季節工を含む。 )は、年間の平均人員を( )外数で記載しております。 3.当社はディスプレイ事業の単一セグメントであるため、セグメント別従業員数の記載を省略しております。 (3) 労働組合の状況当社において労働組合(ジャパンディスプレイ労働組合)が結成されており、労使関係は円満に推移しております。 (4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児取得率及び労働者の男女の賃金の差異①提出会社当事業年度管理職に占める女性労働者の割合(%)(注1)男性労働者の育児休業取得率(%)(注2)労働者の男女の賃金の差異(%)(注1)全労働者正規雇用労働者パート・有期労働者2.99469.770.358.4 (注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。 2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものであります。 |
経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 | 1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 会社の経営の基本方針当社グループは、「今までにない発想と、限りない技術の追求をもって、人々が躍動する世界を創造し続ける。 」を企業理念に掲げています。 この理念のもと、「世界初、世界一」の独自技術を経営基盤とし、よりよい社会の実現に貢献する製品・サービスを世界のお客様に提供しています。 ディスプレイ事業で培った有形・無形のアセットを最大限に活用し、社会が求める新たな事業領域への参入や事業モデルの見直しを積極的に行い、競争力強化に取り組んでいます。 これにより、持続的な成長を実現し、製品・サービスを通じて社会と人の課題解決に貢献することで、企業価値を高めるとともに、全てのステークホルダーの皆様に対して持続的な価値を提供し続けることを目指してまいります。 (2) 中長期的な会社の経営戦略当社グループは、2024年11月、早急な黒字転換と持続的な成長に向けたBEYOND DISPLAY戦略を立上げ、高成長が見込まれる先端半導体パッケージング事業への参入とセンサー事業への経営資源のさらなる投入を決定いたしました。 ディスプレイ事業は、アセットライト化と高付加価値製品への集中により収益改善を図り、センサー及び先端半導体パッケージング事業は、ディスプレイ事業で培った技術を最大限に活用して事業拡大を図ります。 さらに、この戦略を加速させるため、2025年2月には、固定費負担が大きい茂原工場でのパネル生産を2026年3月までに終了することを決定しました。 国内の生産を固定費がより低い石川工場に集約し、高付加価値ディスプレイ、センサー、先端半導体パッケージの生産を行う「MULTI-FAB」工場として活用します。 これにより、多様な製品の同時生産が可能となり、柔軟性・生産性・コスト競争力に優れた、幅広い顧客ニーズに対応できる生産体制を構築してまいります。 以下は、BEYOND DISPLAY戦略において、当社が今後の事業の柱と位置付ける3つの事業分野の概要です。 ① ディスプレイ事業ディスプレイは、現代社会の基盤技術である一方、過当競争とコモディティ化が進む厳しい市場環境にあります。 当社は、茂原工場での生産停止によるディスプレイ生産における固定費の大幅な削減と、引き続きの徹底したコスト削減を実施するとともに、「世界初、世界一」の独自技術に基づく高付加価値製品を提供することにより、収益性の向上を図ります。 また、ファウンドリーパートナーとの協業により、アセットライトな生産体制を構築し、売上規模の早期拡大と生産性向上を目指します。 ② センサー事業センシング技術は、多様な分野で安全性と利便性の向上に寄与し、持続可能な社会の実現に不可欠な技術として注目されています。 当社のセンサー技術は、医療、産業、ヘルスケア等多岐にわたる分野で使用されています。 例えば、X線センサーは医療現場での正確な診断を支え、産業用途では精密な検査を可能にします。 また、当社独自のセンサー技術を応用した革新的なインターフェイス「ZINNSIA(ジンシア)」は、様々な素材表面をタッチパネル化することを可能にします。 さらに、指紋センサーは高精度指紋認証を必要とする機器等に搭載され、セキュリティや個人認証といった用途で重要な役割を果たしています。 ③ 先端半導体パッケージング先端半導体パッケージング技術は、社会の利便性向上やエネルギー効率の改善に寄与します。 高密度化・高集積化が進む半導体パッケージにより、IoT、5G、ADAS、AI等の情報技術の進化が予想されます。 当社は、ディスプレイ事業で培った高密度配線技術や薄膜・ガラス加工技術を活用し、パートナー企業との連携を通じて、より高性能な半導体パッケージの開発を推進いたします。 これらの戦略的な取組みにより、当社グループは収益改善と持続的な成長を実現し、企業価値の向上を目指します。 (3) 目標とする財務指標当社グループは、2022年5月の成長戦略「METAGROWTH 2026」策定時に、2027年3月期を最終年度とする5か年の財務目標(KPI)を設定しました。 しかしながら、その後の事業環境の大きな変化を受け、これらの目標については現在の経営戦略との整合性を踏まえた見直しが必要と判断し、慎重に検討を進めております。 特に、世界的なインフレに伴うエネルギー費・部材費・加工費の高騰や、ディスプレイ産業の構造的な不況の深刻化、地政学的リスクの増大等、外部環境の変化が続いています。 こうした状況を踏まえ、当社は「 (2) 中長期的な会社の経営戦略」に記載のとおり、2024年11月にBEYOND DISPLAY戦略を新たに策定し、事業モデルの抜本的な改革に取り組んでいます。 また、2026年3月までに茂原工場での生産を終了し、国内生産を石川工場へ集約するほか、車載事業を子会社化するなど、様々な経営施策を展開・検討しており、これらの実現時期や具体的内容、及びその成果により業績が大きく変動する可能性があります。 当社グループは、これら要素を総合的に精査した上で、新たな財務目標を適切なタイミングで設定する予定です。 (4) 経営環境及び対処すべき課題ディスプレイ産業においては、激しい競争環境やエネルギー費の高止まり、部材費・加工費の上昇によるコスト高が続いており、事業環境はますます厳しさを増しています。 さらに、米国の関税政策等により世界経済の不確実性も高まっています。 当社グループは、継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる状況にあり、こうした状況に対して、事業の継続に向けたさらなる対策が必要となっております。 また、上場維持に関しては、流通株式比率及び財務基盤に関する課題への対応が求められており、これらも重要な経営課題と認識しております。 これらの状況を踏まえ、当社グループは以下の施策に取り組んでまいります。 ① 財務状況の健全化と収益力の抜本的改善当社グループでは、長期にわたる赤字の継続と純資産額の減少が発生しており、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております。 この状況を解消するため、本有価証券報告書提出日現在、収益力の抜本的改善と財務状況の健全化に向けて以下の施策に取り組んでおります。 ・ディスプレイ事業に依存する事業モデルからの脱却、高成長分野であるセンサー事業の拡大、及び先端半導体パッケージング事業への参入(BEYOND DISPLAY戦略)・2026年3月までの茂原工場の生産終了及び石川MULTI-FABへの生産集約による固定費削減及び生産性向上・資産売却による借入金返済及び運転資金の確保・車載ディスプレイ事業の子会社化による競争力維持と事業拡大・Innolux(台湾)及びCarUX(シンガポール)とのeLEAP戦略提携に基づく協業・OLEDWorks(米国)との米国における協業・ファウンドリーパートナーによる次世代OLED「eLEAP」の生産に向けた協議の継続 ・人員削減並びに役員報酬・賞与及び従業員賞与の減額を含む人件費削減 ② 上場維持基準への適合2025年3月末現在、当社の流通株式比率は東京証券取引所プライム市場の上場維持基準(35%以上)に適合しておりません。 ただし、当社は、事業再生支援目的でいちごトラストとの資本提携契約を締結し出資を受けているため、2028年3月末まで特例適用が認められており、当社はその実現に向けた取組みを継続しております。 適合に向けては、2025年3月末時点で78.2%の当社普通株式を保有するいちごトラストの持株比率を低下させる必要があります。 さらに、いちごトラストが保有する当社の優先株式の普通株式への転換や新株予約権の行使がなされた場合、流通株式比率がさらに低下する可能性があります。 このため、当社は、いちごトラストとの間で保有比率の低下に向けて協議を継続するとともに、当社株式の新たな保有先となり得る候補投資家との接触、交渉も継続的に進めてまいります。 併せて、候補投資家獲得のためにも業績改善と財務健全化を図ってまいります。 また、当社は2026年3月期末までに債務超過となる可能性があり、上場維持基準に適合しない状態となるおそれがあります。 この場合、上場維持のためには、2027年3月期末までに債務超過を解消する必要があります。 この状況に対して当社は、資産売却による譲渡益の計上を主な回避策として取り組んでおります。 併せて、茂原工場の生産停止や人員削減、役員報酬・賞与及び従業員賞与の減額等、固定費の大幅な削減を実施しているほか、BEYOND DISPLAY戦略のもとでの収益力強化を通じて、財務体質の改善を進めております。 さらに、いちごトラストに対する新株予約権の行使要請についても、上場維持に向けた資本政策の一環として検討してまいります。 ③ サステナビリティに関連する課題への対応近年、気候変動に対する取組みや人権問題に対する顧客からの問い合わせや要望が増加しており、これらサステナビリティに関連する取組みは、事業運営における重要な課題となっております。 当社グループは、持続可能な社会の実現と自社グループの持続的な成長を両立させることを目指してサステナビリティ経営の推進に取り組んでおり、この取組みを通じて、顧客の要望にもお応えしてまいります。 具体的には、環境マネジメントシステム「ISO14001」の認証取得、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に基づくシナリオ分析、温室効果ガス排出量の第三者保証、紛争鉱物調査の実施、取引先によるサステナビリティ自己監査の実施、「JDIサプライチェーンサステナビリティ推進ガイドブック」の制定等により、サステナビリティに関連する課題への対応を推進しております。 また、技術や製品の開発においては、環境や社会への貢献を重要な判断基準とし、ESG意識の高い顧客への価値創造に貢献しています。 また、当社グループは、気候変動対策の国際的な目標(パリ協定等)と整合した温室効果ガス排出削減の長期的な目標設定を目指しております。 今後は多くの企業が参加・取得している「科学的根拠に基づく目標(SBT)」の認定取得に向け、より具体的かつ効果的な環境負荷低減策を開発・導入する等、持続可能な社会の実現に向けて積極的に取り組んでまいります。 |
サステナビリティに関する考え方及び取組 | 2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりです。 なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。 (1) サステナビリティに関する考え方当社グループの企業理念「今までにない発想と、限りない技術の追求をもって、人々が躍動する世界を創造し続ける。 」を実現するための前提となる、人、社会、地球の健全性確保に向けて「サステナビリティ基本方針」の3つの柱を掲げています。 ① 企業倫理の遵守当社は、人、社会、地球が健全であるために、企業倫理を遵守した経営を実施していくことを目的として、全ての役員及び従業員が遵守すべき具体的指針となる「JDI倫理規範(JDI Ethics)」を制定し、活動の基盤としています。 JDI倫理規範は、人権の尊重や職場環境整備、地球環境保全への取組み、地域社会との良好な関係維持や社会通念に反する不適切な行為を行わないこと、誠実に社会的良識に従い行動すること等を謳っています。 ② ステークホルダーとの共生と共創当社は、「社会」「お客様及び取引先」「競合会社」「株主・投資家の皆様」「従業員」等のステークホルダーとの関係を良好に保つとともに、社会的価値の共創に努めます。 ③ 持続可能な成長当社では、上記の施策を基に、豊かなグローバル社会の実現への貢献、サプライチェーン全体の環境負荷低減、地域社会をはじめとする社会への幅広い貢献等に取り組むとともに、ガバナンス経営による効率化と健全性を実現し、企業として持続可能な成長を目指してまいります。 (2) サステナビリティへの取組① ガバナンス当社は、環境マネジメントシステムやコンプライアンス委員会等、環境・社会・ガバナンス(ESG)に関する委員会やマネジメントシステムを設置し、サステナビリティ関連課題に取り組んでいます。 グループ全体のサステナビリティ活動は、これを推進する主管部署としてCFO管掌下に設置されたサステナビリティ推進部が、各委員会やマネジメントシステムのESG課題への取組みを俯瞰して推進しています。 さらに、サステナビリティ推進部は、各委員会・マネジメントシステムと連携し、基本計画の策定、教育・啓発の実施、リスクと機会の評価等を行い、その内容を取締役会へ報告しています。 取締役会は、サステナビリティ推進部や各委員会・マネジメントシステムの運営組織からの報告を受け、重要な課題や対応策について議論、監督し、重要な決定事項について承認を行います。 また、監査委員会及び内部監査部は、サステナビリティ推進部が行うリスクマネジメントの有効性・妥当性について監査を行い、非財務情報の開示における支援を提供し、改善の提案を行います。 この体制に加え、各事業部・機能部門では、事業活動を通じて社会課題を解決するための独自技術の開発や新規事業の創出に取り組んでいるほか、生産・品質本部内に設置された施設技術部では、各生産拠点の省エネルギー推進や再生可能エネルギーの利用拡大に向けた検討を行っています。 ガバナンスの詳細については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」を参照下さい。 ② 戦略 当社グループは、「企業の存在意義は社会貢献にある」との信念を基に、社会と人の課題解決を目指すサステナビリティ経営を経営戦略の中心に据えています。 事業活動を通じた取組みにより、持続的な成長と企業価値の向上を目指します。 また、当社グループが取り組むべきマテリアリティ(重要課題)を特定し、それぞれの課題に対する取組みを通じて、顧客価値と社会価値を創造し、社会の発展に貢献する企業としての地位を確立します。 当社グループのマテリアリティは、以下のとおりです。 分野マテリアリティ重点取組事項価値創造/事業を通じた社会課題の解決社会と人の課題を解決する独自技術の開発・提供・「世界初、世界一」の技術力を活かし顧客価値を創造します。 ・透明インターフェイス「Rælclear(レルクリア)」等、社会課題の解決に貢献する製品・技術を開発し、新規事業として展開します。 ・環境性能に優れた次世代OLED「eLEAP」、超低消費電力バックプレーン技術「HMO」、利用エネルギー削減に貢献する自由照明「LumiFree」等のGreenTechの市場拡大により環境負荷の低減を目指します。 GreenTechによる環境問題への貢献経営基盤の強化サステナブルなサプライチェーンの構築・品質、コスト、納期に加え、サプライヤー様による人権や環境等への取組みを評価し、協力的な関係を築きながら、より持続可能なサプライチェーンの実現を目指します。 コンプライアンスの徹底・法規制の遵守だけでなく、社会規範や企業倫理にも従って行動します。 リスクマネジメントの強化・事業活動における様々なリスクを適切に管理・評価し、優先度に応じた事前対策の実施を通して、重大な影響を及ぼすリスクが発現した場合の損失の最小化を図ります。 人的資本優秀な人財の確保と育成・「世界初、世界一」の技術開発に挑戦し続けるエンジニアを含む、当社グループの成長に貢献する優秀な人財を確保・育成します。 ・社員のエンゲージメントを高めるための施策を積極的に推進します。 多様性ある人財登用・社員一人ひとりの人権を尊重し、多様な人財がその能力を最大限に発揮できるような働き方を可能とする職場環境を整備し、新たな発想や価値創造を追求します。 環境気候変動への対応・TCFD提言に基づいたシナリオ分析結果により特定したリスクと機会への対応を適切に実践します。 詳細は「(3) 気候変動への対応」をご参照下さい。 ③ リスク管理当社グループでは、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載の「リスク管理規則」に基づき、全社的なリスク管理を行っています。 これには、気候変動を含むサステナビリティに関連するリスクも含まれ、重要リスクとして特定されています。 サステナビリティ推進部がこれらのリスクを管理し、マテリアリティとの関連性も考慮した対応策を実施しています。 サステナビリティに関連するリスクは、前述のガバナンス体制の下でモニタリングされ、その内容は取締役会へ報告されます。 ④ 指標及び目標当社グループでは、各マテリアリティに設定した取組方針、行動計画、指標及び目標を定期的にモニタリングし、取組みを進めています。 下表は、各マテリアリティに対する2024年度の実績・成果と今後の行動計画・目標です。 気候変動に関する指標及び目標は、「(3) 気候変動への対応」を参照下さい。 価値創造/事業を通じた社会課題の解決マテリアリティ2024年度実績・成果行動計画・目標社会と人の課題を解決する独自技術の開発・提供・Innolux/CarUXとGreenTech eLEAPの戦略提携契約を締結・セルフケア健康見守りサービスVirgoのサンプル販売開始、ドライバーの運転挙動と健康の相関性に関する共同研究継続・コミュニケーションストレスの低減に貢献するRælclearが「DIC AWARD 2024 国際ディスプレイ技術イノベーション大賞」を受賞・eLEAPの市場参入(ファウンドリーパートナーとの協業による製品供給)・スマートリングVirgoの100万人アクティブユーザー獲得(2029年度)・LumiFreeの光利用効率の改善(目標透過率 +10%)とLumiFree搭載の照明器具の普及(目標CAGR20%≦)(2027年度)GreenTechによる環境問題への貢献 経営基盤の強化マテリアリティ指標2024年度実績2025年度目標サステナブルなサプライチェーンの構築、サプライヤーサステナビリティ自己監査実施率100%95%以上サプライヤー自己監査 80点以上のサプライヤーの割合90%80%以上コンプライアンスの徹底倫理規範教育受講率100%100%人権・ハラスメント教育受講率99%100%リスクマネジメントの強化全リスク項目に対する低減策フォロー率100%100%リスク回避力強化の教育実施率100%(新規実施)(リスク回避力強化の推進) 人的資本マテリアリティ2024年度実績・成果行動計画・目標優秀な人財の確保と育成・新卒15名、中途6名を採用・社内公募制度の実施(実績16名)・昇格者研修の実施、英語教育の支援拡充、専門教育分科会による教育の実施・技術教育を含む専門分野別教育の他、各階層別・選抜・グローバル教育等の充実・管理職向けマネジメント研修の新規企画・実施多様性ある人財登用・管理職に対するダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン理解研修を実施・管理職に対するダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DEI)理解研修の実施・女性リーダークラスの育成・支援施策の実施・育児・介護休業法の改正に基づき関係制度を充実し、柔軟な働き方を支援 マテリアリティ指標2024年度実績目標多様性ある人財登用女性管理職比率2.9%3.8%(2026年度)採用した労働者(正社員)に占める女性の割合38.1%20%以上(2021~2025年度の平均)男性の育児休業取得率(配偶者出産休暇を含む)94%80%以上(2025年度) (注)実績及び目標は、国内生産拠点が対象です。 (3) 気候変動への対応当社は、気候変動への対応をマテリアリティの一つとして位置付けています。 2022年度からTCFD提言に基づいたシナリオ分析を開始し、気候変動に関する重要リスクと機会を特定し、それらが及ぼす財務的影響を評価しています。 現在はこの分析結果を踏まえ、気候変動対応策の経営戦略への反映に向けた検討を進めており、ステークホルダーに対する情報開示にも積極的に取り組んでまいります。 以下は、TCFD提言に沿った取組み事項です。 ① ガバナンス当社は、環境・社会・ガバナンスに関する委員会やマネジメントシステムを複数設置し、ESG課題に取り組む中で、気候変動問題についても対応しております。 気候変動問題に対する最高責任者はCEOです。 取締役会は、年に一度以上、気候変動問題を含むサステナビリティ関連報告及び適時適切なマネジメントシステムからの報告を受け、必要に応じた議論と課題についての監督、及び重要な決定事項についての承認を行っています。 ② 戦略当社グループは、温室効果ガス排出量削減に向け、脱炭素社会を実現するための省エネの推進、再生可能エネルギー活用の検討等を行っています。 気候変動による気温上昇が社会に及ぼす影響は甚大と認識し、2022年度から1.5℃、4℃シナリオを用いて、2050年までのシナリオ分析を実施しました。 このシナリオ分析に基づいて特定された重要なリスクと機会を踏まえて、戦略的な気候変動対策の策定を目指してまいります。 下表は当社のリスクと機会要因と事業へのインパクトに対する対応策の一例です。 当社のリスク・機会、事業インパクト及び対応策の一例分類リスクと機会対応策移行リスク新たな規制炭素税上昇に伴う原材料コスト増加・サプライチェーンサステナビリティ推進ガイドブックへの気候変動要素の追加(2025年1月改訂)・調達基本契約書の条項への気候変動項目の追加(2024年10月改訂)炭素税上昇に伴う製造委託費増加・委託先の排出量や削減活動に関する調査の実施・サステナビリティ推進ガイドブックに気候変動要素の追加(2025年1月改訂)炭素税による課税コスト増加・再生可能エネルギー導入の推進・SBT設定と当該目標達成に向けた取組み推進評判気候変動問題への取組み姿勢が不十分とされ、顧客のサプライチェーンから外れることによる売上減少・TCFDフレームワークに基づく活動の推進物理リスク急性リスク自然災害の頻発化・甚大化に起因するサプライチェーンの混乱による売上減少・主要サプライヤーへの製造/供給拠点のマルチ化要請・サプライチェーン推進ガイドブックへのBCP項目の追加(2025年1月改訂)・販社での製品在庫の一定量確保慢性リスク自然災害の頻発化・甚大化によるBCP対応コスト増加・危機管理委員会による継続的なBCP見直し・リスク評価と対応策実施による災害リスクの影響度軽減機会製品・サービス温室効果ガス削減等に貢献するeLEAP及び大幅な消費電力低減を実現するHMO技術のライセンス提供による収入増加・ライセンス提供による技術収入の拡大・新規顧客層へのライセンス拡大に向けた戦略立案・実行市場の変化低消費電力を実現するeLEAPの需要増加・ファウンドリーパートナーとの協業による製品供給・継続的な技術改良による市場優位性の確保・新規顧客層への販売拡大に向けた戦略立案車載部品の環境負荷低減(従来2枚のディスプレイで表示した映像を1枚で表示可能)ニーズに対応する高画質2VD製品の売上増加・新規顧客層への販売拡大に向けた戦略立案 (シナリオ分析の結果)2050年の1.5℃世界では、eLEAP、2VD、HMO等の低炭素社会への移行に有効な独自技術の活用により、大きな機会獲得が期待できることが分かり、これら独自技術で高成長分野へ参入する戦略の推進が、長期的な機会をもたらすことを確認いたしました。 また、対応策の実行によるリスク低減を図り、当社の強みである独自技術によって、2050年1.5℃世界の実現を目指してまいります。 ③ リスク管理サステナビリティ推進部が主管部署となり、気候変動を含む全社リスクの識別・評価、管理プロセスについて、リスク管理規則に基づき適切な管理を行っています。 各リスクの担当各部門では、事業活動に関連するリスク管理フローに従って、想定される新たな規制、製品・サービス、市場に関する気候関連リスクと機会の特定を行っています。 ④ 指標及び目標環境負荷の指標であるScope1、Scope2に加えて、Scope3排出量についても、該当カテゴリー全ての排出量を算定し開示しています。 これらの温室効果ガス排出量データについては、2024年度に第三者保証を取得しました。 温室効果ガス排出量削減に向けては、2025年度の再生可能エネルギー比率の目標達成に取り組むとともに、バリューチェーン全体の中長期的な削減目標の設定に向けても検討を進めています。 また、将来的なSBT認定取得を目指してまいります。 気候変動への対応指標2024年度実績目標エネルギー起源CO2排出削減量1,433t-CO22025年度:695t-CO2再生可能エネルギー比率0.03%2025年度:1.5% (注)実績及び目標は、国内生産拠点が対象です。 気候変動への対応の詳細については、2025年8月発行予定の当社「サステナビリティレポート 2025」をご参照ください。 |
戦略 | ② 戦略 当社グループは、「企業の存在意義は社会貢献にある」との信念を基に、社会と人の課題解決を目指すサステナビリティ経営を経営戦略の中心に据えています。 事業活動を通じた取組みにより、持続的な成長と企業価値の向上を目指します。 また、当社グループが取り組むべきマテリアリティ(重要課題)を特定し、それぞれの課題に対する取組みを通じて、顧客価値と社会価値を創造し、社会の発展に貢献する企業としての地位を確立します。 当社グループのマテリアリティは、以下のとおりです。 分野マテリアリティ重点取組事項価値創造/事業を通じた社会課題の解決社会と人の課題を解決する独自技術の開発・提供・「世界初、世界一」の技術力を活かし顧客価値を創造します。 ・透明インターフェイス「Rælclear(レルクリア)」等、社会課題の解決に貢献する製品・技術を開発し、新規事業として展開します。 ・環境性能に優れた次世代OLED「eLEAP」、超低消費電力バックプレーン技術「HMO」、利用エネルギー削減に貢献する自由照明「LumiFree」等のGreenTechの市場拡大により環境負荷の低減を目指します。 GreenTechによる環境問題への貢献経営基盤の強化サステナブルなサプライチェーンの構築・品質、コスト、納期に加え、サプライヤー様による人権や環境等への取組みを評価し、協力的な関係を築きながら、より持続可能なサプライチェーンの実現を目指します。 コンプライアンスの徹底・法規制の遵守だけでなく、社会規範や企業倫理にも従って行動します。 リスクマネジメントの強化・事業活動における様々なリスクを適切に管理・評価し、優先度に応じた事前対策の実施を通して、重大な影響を及ぼすリスクが発現した場合の損失の最小化を図ります。 人的資本優秀な人財の確保と育成・「世界初、世界一」の技術開発に挑戦し続けるエンジニアを含む、当社グループの成長に貢献する優秀な人財を確保・育成します。 ・社員のエンゲージメントを高めるための施策を積極的に推進します。 多様性ある人財登用・社員一人ひとりの人権を尊重し、多様な人財がその能力を最大限に発揮できるような働き方を可能とする職場環境を整備し、新たな発想や価値創造を追求します。 環境気候変動への対応・TCFD提言に基づいたシナリオ分析結果により特定したリスクと機会への対応を適切に実践します。 詳細は「(3) 気候変動への対応」をご参照下さい。 |
指標及び目標 | ④ 指標及び目標当社グループでは、各マテリアリティに設定した取組方針、行動計画、指標及び目標を定期的にモニタリングし、取組みを進めています。 下表は、各マテリアリティに対する2024年度の実績・成果と今後の行動計画・目標です。 気候変動に関する指標及び目標は、「(3) 気候変動への対応」を参照下さい。 価値創造/事業を通じた社会課題の解決マテリアリティ2024年度実績・成果行動計画・目標社会と人の課題を解決する独自技術の開発・提供・Innolux/CarUXとGreenTech eLEAPの戦略提携契約を締結・セルフケア健康見守りサービスVirgoのサンプル販売開始、ドライバーの運転挙動と健康の相関性に関する共同研究継続・コミュニケーションストレスの低減に貢献するRælclearが「DIC AWARD 2024 国際ディスプレイ技術イノベーション大賞」を受賞・eLEAPの市場参入(ファウンドリーパートナーとの協業による製品供給)・スマートリングVirgoの100万人アクティブユーザー獲得(2029年度)・LumiFreeの光利用効率の改善(目標透過率 +10%)とLumiFree搭載の照明器具の普及(目標CAGR20%≦)(2027年度)GreenTechによる環境問題への貢献 経営基盤の強化マテリアリティ指標2024年度実績2025年度目標サステナブルなサプライチェーンの構築、サプライヤーサステナビリティ自己監査実施率100%95%以上サプライヤー自己監査 80点以上のサプライヤーの割合90%80%以上コンプライアンスの徹底倫理規範教育受講率100%100%人権・ハラスメント教育受講率99%100%リスクマネジメントの強化全リスク項目に対する低減策フォロー率100%100%リスク回避力強化の教育実施率100%(新規実施)(リスク回避力強化の推進) 人的資本マテリアリティ2024年度実績・成果行動計画・目標優秀な人財の確保と育成・新卒15名、中途6名を採用・社内公募制度の実施(実績16名)・昇格者研修の実施、英語教育の支援拡充、専門教育分科会による教育の実施・技術教育を含む専門分野別教育の他、各階層別・選抜・グローバル教育等の充実・管理職向けマネジメント研修の新規企画・実施多様性ある人財登用・管理職に対するダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン理解研修を実施・管理職に対するダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DEI)理解研修の実施・女性リーダークラスの育成・支援施策の実施・育児・介護休業法の改正に基づき関係制度を充実し、柔軟な働き方を支援 マテリアリティ指標2024年度実績目標多様性ある人財登用女性管理職比率2.9%3.8%(2026年度)採用した労働者(正社員)に占める女性の割合38.1%20%以上(2021~2025年度の平均)男性の育児休業取得率(配偶者出産休暇を含む)94%80%以上(2025年度) (注)実績及び目標は、国内生産拠点が対象です。 |
人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績、指標及び目標 | 人的資本マテリアリティ2024年度実績・成果行動計画・目標優秀な人財の確保と育成・新卒15名、中途6名を採用・社内公募制度の実施(実績16名)・昇格者研修の実施、英語教育の支援拡充、専門教育分科会による教育の実施・技術教育を含む専門分野別教育の他、各階層別・選抜・グローバル教育等の充実・管理職向けマネジメント研修の新規企画・実施多様性ある人財登用・管理職に対するダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン理解研修を実施・管理職に対するダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DEI)理解研修の実施・女性リーダークラスの育成・支援施策の実施・育児・介護休業法の改正に基づき関係制度を充実し、柔軟な働き方を支援 マテリアリティ指標2024年度実績目標多様性ある人財登用女性管理職比率2.9%3.8%(2026年度)採用した労働者(正社員)に占める女性の割合38.1%20%以上(2021~2025年度の平均)男性の育児休業取得率(配偶者出産休暇を含む)94%80%以上(2025年度) (注)実績及び目標は、国内生産拠点が対象です。 |
事業等のリスク | 3 【事業等のリスク】 当社グループでは、「内部統制システム構築の基本方針」に規定する「損失の危機の管理」に基づき、リスクの未然防止及び発生時の影響最小化を目指し、「リスク管理規則」等の必要な規則及び体制を整備しています。 リスク管理規則では「リスクを特定・分析し、対策を講じる」プロセスを毎年実行し、持続的かつ円滑な事業運営を図ることを目的としたリスク管理の運用ルールを定めています。 その運用は、サステナビリティ推進部が主管部門となって運用を行っています。 具体的には、リスク管理フローに基づき、担当各部門が想定されるリスクの発生可能性(頻度)とその影響度(売上・利益への影響等)を評価し、重要度の高いリスクに対しては優先的に回避策・軽減策・移転策を検討・立案・実行しています。 これらの対策について、担当各部門に対してサステナビリティ推進部がヒアリング等を通じて実施状況の確認及び有効性の評価を行っています。 年度毎のリスク評価結果は、マネジメントレビューを経て取締役会に報告され、全社員に展開されます。 また、事業計画や中期事業計画等の策定においては、策定プロセスでのリスク分析と対策を計画に織り込んでいます。 当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に重大な影響を与える可能性がある主要なリスクを以下に記載します。 ただし、これらのリスクは必ずしも全てのリスクを網羅したものではなく、想定していないリスクや重要性が低いと考えられる他のリスクからの影響を将来的に受ける可能性もあります。 なお、文中における将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。 (1) 戦略リスク① 市場動向・競争環境の変動発生可能性:高影響度:大リスク当社グループが製造・販売するディスプレイ製品は、それを搭載する製品市場の変動や競争環境の影響を受けます。 具体的には、景気の変動、消費者嗜好の変化、季節性等により市場が大幅に変動した場合、売上高の減少、過剰在庫に伴うコスト増加や評価損、さらには工場稼働率の低下による機会損失が発生する可能性があります。 さらに、競合他社との競争が激化した場合、売上高が減少し、販売価格が低下する可能性もあります。 対応策顧客の需要動向を注視し、適切な在庫管理や生産管理に努めるとともに、BEYOND DISPLAY戦略のもと、製品ポートフォリオの変革を通じた売上高の維持・拡大、及び販売価格の維持・適正化を目指しています。 ・ディスプレイ事業は、アセットライト化による費用の極小化と生産効率向上を目指すとともに、ファウンドリーパートナーへの生産委託を通じた事業の強化を推進します。 ・センサー及び先端半導体パッケージング事業では、当社グループがディスプレイ事業で培った独自技術を活用するとともに、外部企業との協業等を通じて競合他社との差別化を図り、競争優位性を確保します。 ・自社の競争環境をより正確に把握するため、競合分析と外部環境分析を継続します。 ② 技術・研究開発発生可能性:低影響度:大リスク当社グループは、高度な技術を必要とするディスプレイの製造・販売を行っており、その技術優位性の確保は、当社グループの競争力にとって極めて重要です。 次世代OLED「eLEAP」等の新たな「世界初、世界一」の独自技術を開発するなど、高い技術優位性の維持・向上のために弛まぬ研究開発活動を推進しています。 しかしながら、当社グループの技術が顧客に採用されない場合や、他社の技術開発により当社グループの技術優位性が相対的に低下した場合は、売上高の減少により当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 対応策・当社グループは独自技術を基盤とする「技術立社」として、社会と人々の課題解決に取り組んでいます。 技術の研究開発においては、競合他社の開発・製品化情報の把握や顧客のニーズを考慮した当社の技術戦略のもと、研究開発対象の厳選、開発段階での進捗レビュー及び継続是非の判断を行っています。 また、技術開発における優位性を継続的に確保するために必要な新たな技術知識の習得と開発・製造のリードタイム短縮のため、2021年から「高度専門教育」と「デジタル・AI教育」を中心としたリスキリング教育を開始しました。 教育実施後の効果として、既にデジタル技術を活用した効率的な開発と製造が開始されており、今後さらにその範囲を広げていく予定です。 ③ 他社との協業・提携発生可能性:中影響度:大リスク当社グループは、競争力強化や収益性向上、長期的な供給体制の維持、及び新技術・新製品の開発のため、部材サプライヤー、装置メーカー、顧客を含む外部企業との協業を行っています。 今後も競争力強化のため、新たな協業の推進、戦略的提携、出資・買収等を実施する可能性があります。 これらの企業戦略が、資金の制約、戦略上の目標変更、技術管理又は製品開発等における問題の発生、あるいは関係当局からの許認可等の規制、市場の変動等により、維持又は実施できなくなった場合、又は実施後に十分な成果が得られない場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 対応策・当社グループは、協業や出資等の企業連携に際して、対象となる市場や事業並びに相手先企業の経営状況等のリスク分析を行った上で判断をしています。 また、実行中は協業や提携の進捗をモニタリングし、必要に応じて戦略の軌道修正や組織再編を行い、事業ポートフォリオマネジメントの実行に取り組んでいます。 直近では、米国企業と資本業務提携契約を締結し、米国におけるディスプレイ工場設立に向けた協業を開始しています。 (2) 財務リスク① 資金調達発生可能性:高影響度:大リスク当社グループでは、運転資金の調達を目的としたいちごトラストからの借入を行っています。 今後の資金需要の発生時には、借入の実行、低効率資産の売却、営業債権等の流動化など、適切な資金調達策を講じてまいります。 また、いちごトラストに付与した新株予約権の行使要請についても、資金調達の一環として検討してまいります。 しかしながら、いちごトラストや金融機関等からの借入が困難となった場合、その他の資金調達手段が十分に機能しない場合、あるいは資産売却が計画通りに進まない場合には、必要な資金を確保できず、当社の事業遂行に支障をきたす可能性があります。 また、借入に伴う金利の増加による負担が当社の財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 加えて、新株予約権の行使がなされない、または一部のみの行使にとどまった場合には、資金不足に陥るリスクがあり、一方で、新株予約権が行使された場合には、株式の希薄化により既存株主の持分比率が低下し、株主価値に影響を及ぼす可能性があります。 対応策・2025年2月に発表した茂原工場での生産停止、並びに2025年5月に発表した人員削減等の施策を通じて、事業規模に見合った組織・人員体制の構築を進めております。 加えて、BEYOND DISPLAY戦略の推進による業績改善を図ることで、資金調達手段の多様化と選択肢の拡大を目指しております。 これらの施策によりキャッシュ・フローの改善を図るとともに、キャッシュマネジメントの強化を通じて、外部資金への依存度を段階的に引き下げ、財務の安定性向上に努めてまいります。 ② 為替変動発生可能性:高影響度:中リスク当社グループの顧客や取引先には、欧米や中国等の海外企業が多く含まれており、為替相場の変動は外貨建てで取引される製品・サービスの売価や費用に影響を与え、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 さらに、海外子会社の現地通貨建ての資産・負債は、連結財務諸表作成時に円換算されるため、当社グループの財政状態もまた為替相場の変動により影響を受けます。 対応策当社グループでは、主要通貨の短期的な為替変動の影響を最小限に抑えるため、ドル建ての支払いとドル建ての回収を組み合わせる為替マリーや、外貨建債権・債務の決済期間を短縮するネッティング等のオペレーショナルヘッジを活用し、為替変動リスクを低減しています。 現在、当社では長期的なヘッジ取引の設定に制約を受けていますが、当社の信用状況が改善した際には、改めて最適なヘッジ戦略の検討を行う予定です。 ③ 支配株主との関係発生可能性:高影響度:大リスクいちごトラストは、2025年3月31日現在、当社の議決権の78.2%を保有する支配株主であり、株主総会における決議に対して重大な影響力を有しています。 また、当社の取締役であるスコット キャロン氏は、いちごトラストとの間の投資一任契約に基づき、いちごから投資運用に関する権限を受託しているいちごアセットマネジメント・インターナショナル・ピーティーイー・リミテッドへの投資助言を行う、いちごアセットマネジメント株式会社の代表取締役社長です。 さらに、いちごトラストが当社株式を売却する場合、その方式や規模によっては、当社株式の需給関係や市場価格に影響を及ぼす可能性があります。 対応策当社は、2021年3月期に指名委員会等設置会社へ移行し、社外取締役が過半数を占める監査委員会、指名委員会、報酬委員会を設置することで、経営の独立性と透明性の確保を図っています。 また、取締役会全体でも独立取締役が過半数を占め、支配株主の影響を適切に監視・抑制する体制を整備しています。 さらに、いちごトラストおよびその関係会社との取引については、利益相反の懸念を回避するため、スコット キャロン氏は当該取引に関する取締役会の審議及び決議には参加していません。 加えて、東京証券取引所プライム市場の上場維持基準への適合を目指し、いちごトラストの持株比率の低下を図るなど、株主構成の健全化にも取り組んでいます。 ④ 上場維持基準への不適合発生可能性:高影響度:大リスク2025年3月31日現在、当社の「流通株式比率」は20.1%であり、東京証券取引所プライム市場の上場維持基準(35%以上)を満たしておりません。 当社は、いちごトラストとの資本提携により、2028年3月末までを適合に向けた計画期間とする特例の適用を受けていますが、この期間内に基準を満たせない場合は、上場廃止となります。 なお、いちごトラストの普通株式保有比率は79.2%であり、優先株式の転換や新株予約権の行使により、流通株式比率がさらに低下する可能性があります。 また、当社は2026年3月期末までに債務超過となる可能性があり、上場維持基準に適合しない状態となるおそれがあります。 この場合、上場維持のためには、2027年3月期末までに債務超過を解消する必要があります。 当社は、資産売却やその他の財務施策により、債務超過の回避・早期解消を目指しますが、これらの施策が想定どおりに進まない場合には、上場廃止となる可能性があります。 対応策流通株式比率に係る上場維持基準への適合には、いちごトラストの持株比率低下が不可欠であることから、当社は、当社株式の新たな保有先となり得る投資家との接触及び交渉を継続的に行ってまいります。 また、投資家による当社株式の保有を促すためには、業績の改善に加え、その取組み状況や進捗、将来の展望について、投資家及び市場関係者の皆様に対する理解を深めることが重要であると認識しております。 このため、当社は、積極的な情報開示に努めるとともに、国内外向けの説明会開催等を通じて、情報発信の強化を図ってまいります。 債務超過への対応としては、上記のとおり資産売却による譲渡益の計上を主な回避策として取り組んでおります。 併せて、茂原工場の生産停止や人員削減、役員報酬・賞与及び従業員賞与の減額等、固定費の大幅な削減を実施しているほか、BEYOND DISPLAY戦略のもとでの収益力強化を通じて、財務体質の改善を進めております。 さらに、いちごトラストに対する新株予約権の行使要請についても、上場維持に向けた資本政策の一環として検討してまいります。 これらの施策を総合的に講じることで、債務超過の回避及び流通株式比率の改善を図り、上場維持を確保してまいります。 ⑤ 継続企業の前提に関する重要事象等発生可能性:高影響度:大リスク当社グループは、当連結会計年度において8期連続で営業損失及び重要な減損損失を、11期連続で親会社株主に帰属する当期純損失を計上したことにより、純資産の額が減少し、株主資本合計がマイナスになっていることから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しています。 加えて、依然として厳しい競争環境が継続しており、米国の関税政策の影響、世界的なインフレによる原材料費・エネルギー費・輸送費等のコストの高止まり、及び顧客需要の低下に伴う売上減少等により早期の業績回復による黒字転換が遅延する懸念があります。 さらに、今後の資金調達策の結果によっては、当社グループ資金繰りに重大な影響を及ぼす可能性があることから、現時点において継続企業の前提に関する重要な不確実性が存在していると認識しております。 対応策当社は、これまでのディスプレイ専業メーカーから脱却し、センサー及び先端半導体パッケージングを新たな事業の柱に加えるBEYOND DISPLAY戦略を推進しております。 これにより、製品及び事業ポートフォリオの再編を通じて、早期の黒字体質への転換と事業成長を目指しております。 ディスプレイ事業においては、茂原工場での生産を2026年3月までに終了し、石川工場への生産集約を進めて、コストの極小化を図っております。 また、車載用ディスプレイ関連の事業については、BEYOND DISPLAY戦略の実現と競争力強化のため、2025年10月1日付で新設分割により新設予定の「株式会社AutoTech」に承継する計画です。 財務面では、資金需要に応じた機動的な借入の実施、事業規模に見合わない資産の売却や営業債権等の流動化、及びいちごトラストに対する新株予約権の行使要請等、適時適切な資金調達策を講じることで、財務基盤の安定化を図ってまいります。 (3) ハザードリスク① 大地震・自然災害・感染症等発生可能性:中影響度:大リスク・大地震や気候変動に伴う大型台風、洪水等の自然災害によって、従業員、設備、サプライチェーン等が被害を受けたことにより、市場への製品供給に大きな支障をきたした場合、当社グループの経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 また、火災、爆発事故等により従業員や周辺地域に大きな被害が発生した場合、経営成績に重大な影響を及ぼすとともに、社会の信用を失う可能性があります。 パンデミックが発生した場合、ロックダウンや当社グループの拠点やサプライチェーン上での集団感染の発生により、製品やサービス提供に支障が生じる可能性があります。 これらの災害による損害に備え、当社グループは適切と判断するレベルの補償範囲をカバーする各種保険に加入していますが、全ての損害額がカバーされるものではありません。 対応策・当社グループは、不測の事態による生産活動への影響を最小化し、早期復旧を図ることを目的としたBCP規則を定め、危機管理委員会を設置しています。 有事が発生した場合は、災害エスカレーションによる最新状況の共有と対策本部の設置を行い、関連部門と連携して正確で迅速な行動が取れる体制を構築しています。 また、安全衛生基本方針や安全関連規則等を制定し、安全衛生管理推進体制を構築することで、火災、爆発及び化学物質漏洩を防止し、安全で安定した操業を維持しています。 ・大規模自然災害や事故への対応として、全社員を対象とした防災訓練や安否確認システムの利用訓練等を定期的に実施しています。 また、製造拠点では火災の発生や使用する薬液・ガス体の漏洩等、様々なリスクに対する緊急事態想定訓練を定期的に実施しています。 ・パンデミックへの対応は、ガイドラインと行動計画を定めて運用しています。 状況に応じて出勤・出張・面会等を制限し感染リスクを低減するとともに、従業員の同居家族を含む陽性者が発生した場合の社内アクションや出社条件等を設定し、感染拡大を防止し事業活動への影響を最小化しています。 ② 情報セキュリティ発生可能性:中影響度:中リスク当社グループは、自社・顧客・サプライヤーの技術、研究開発、製造、販売及び営業活動に関する機密情報、並びにステークホルダーの個人情報を多様な形態で保有しています。 これらの情報を保護するために適切な管理を行っていますが、かかる管理が将来にわたって保証されるわけではありません。 サイバー攻撃等により当社グループが管理・保有する情報が流出し、第三者がこれを不正に取得又は利用する事態が生じた場合、損害賠償訴訟の提起等により、当社グループの事業、業績、財政状態、及び社会的評価に影響を及ぼす可能性があります。 対応策・当社グループは、不正行為等による機密情報の紛失、漏洩等の防止を目的に、情報セキュリティ方針や情報セキュリティ規則を定め、情報セキュリティ委員会を設置し、国際標準(ISO27001)に準拠したセキュリティマネジメントを実施しています。 ・セキュリティリスク対応としては、ネットワークの監視や定期的な侵入テストによる潜在的な脆弱性への対策、ワークスタイル変化へのセキュリティ強化、及び全社員を対象としたセキュリティ教育やサイバー攻撃対策訓練の定期的な実施等によりリスク低減を図っています。 ・情報セキュリティ事故発生時は、対応フローによるエスカレーションにて最新状況の共有を行い、関連部門と連携して正確で迅速な行動が取れる体制を構築しています。 ➂ 地政学的リスク発生可能性:低影響度:大リスク当社グループは、日本とフィリピンに製造拠点を有し、中国と台湾に後工程の製造委託をしています。 また、グローバルに販売拠点を有し、海外顧客への売上高が当社グループ全体の売上高の大きな割合を占めています。 海外事業の展開にあたっては、地政学的リスク要因として、外国における経済情勢や政治情勢の不安定化、現地従業員との関係悪化、外国為替管理の強化、予期しない法規制の新設又は変更、税制、法制度及び事業環境の差異及びその変更による不利益、課税等の行政上の措置、戦争及びテロ等の軍事的影響、反日感情による非買運動等があり、これらの要因が当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 対応策・地政学的リスクの高まっている国、地域に対しては、多方面から情報を収集して迅速に対応できる体制を構築し、サプライチェーン全体の複線化を検討・実行しています。 さらに、BCP(事業継続計画)の観点から、日本を含めた代替生産体制の実現等による生産体制の分散化を進めています。 また、サプライチェーンの混乱や半導体不足による顧客の生産調整、部材・エネルギー・輸送費高騰等の影響を最小化するよう事業活動を進めています。 (4) オペレーションリスク① 品質発生可能性:低影響度:大リスク当社グループは、国内外の製造拠点及び生産委託先において厳格な品質保証体制を構築し、顧客に対して高性能かつ信頼性の高い製品及びサービスを提供しています。 しかしながら、万が一、当社グループの製品又はサービスに欠陥が発生した場合、製造物責任その他の責任を負う可能性があります。 さらに、大規模な訴訟やリコールの発生が、顧客の信頼や社会的信用の低下を引き起こし、企業ブランドの価値と当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 対応策・当社グループは、品質方針に基づき、品質マネジメントシステムを構築し、企画・設計・製造・販売・サービスに携わる全ての部門がPDCAサイクルを運用し、サプライヤーの協力のもとで継続的な改善を実施しています。 ・ディスプレイ製品に関してはグループ全体で品質マネジメントシステムであるISO9001:2015の認証を取得しており、車載用のディスプレイの製造拠点では自動車の製造領域に特化した品質マネジメントシステムIATF16949:2016の認証も取得しています。 ・製品の品質・製造物責任に対する予防・対応プロセスとして、FMEA(故障モード影響解析)運用規則、製品安全規則等を制定し運用しています。 ・万が一、品質上の問題が発生した場合に備え、迅速かつ確実な是正措置及び顧客対応が行える体制を整備しています。 ② 原材料・部品調達発生可能性:高影響度:大リスク当社グループは、原材料・部品等を複数のサプライヤーから購入しています。 そのため、供給遅延、供給不足又は価格高騰等が生じた場合は、生産遅延、代替調達による費用増加、調達コストの上昇等が生じる可能性があります。 さらに、調達した原材料や部品に欠陥・瑕疵や、仕様の不備があった場合、顧客への製品供給の遅延や顧客からの返品、製品の評価減の発生、又はクレームや訴訟といった問題が発生する可能性があります。 当社グループは、仕入品の品質管理やサプライヤーの多様化によるこれらリスクの低減に努めておりますが、原材料・部品等の一部については、その特殊性からサプライヤーが限定されているものやサプライヤーの切替えが困難なものもあり、これら調達品に係るリスクが顕在化した場合は、当社グループの財政状態や業績に影響を及ぼす可能性があります。 対応策・当社グループは、原材料価格の上昇に対し、製品売価への転嫁要請や原価低減策を行い、影響の軽減を目指しています。 安定調達については、適正在庫の確保やサプライチェーンの複線化、仕入先のBCP体制の事前確認等を通じてリスクの軽減を図っています。 また、サプライヤーの生産地域等をデータベース化し、災害発生時に迅速にサプライヤーと連携できる体制を整えています。 ・持続可能かつ責任ある調達の推進に向けては、「JDIサプライチェーンサステナビリティ推進ガイドブック」を全ての1次サプライヤー及び商社経由の調達先である2次サプライヤーに配布し、遵守を要請しています。 さらに、「JDIサプライヤーサステナビリティ自己監査票」による定期的な自己監査を行い、サプライヤーの遵守状況を確認しています。 ③ 気候変動・環境規制発生可能性:中影響度:大リスク慢性的な気温上昇に伴う自然災害の頻発化・甚大化によるサプライチェーンの混乱や生産性の低下、BCP対応コストの増加に加え、今後の脱炭素化(カーボンニュートラル)への取組み強化に伴う費用負担の増加や、顧客要求水準未満の取組みによる取引の減少、将来的なカーボンプライシングの導入等が、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 また、国内外の様々な環境関連法規制の強化に伴う遵守対応費用の増加や、法規制の違反が発生した場合には、当社グループの業績や社会的評価に影響を与える可能性があります。 対応策・当社グループは、気候変動問題を経営重要課題の一つと認識し、環境最高責任者であるCEOの下で、環境活動を推進しています。 また、TCFDの枠組みに基づくシナリオ分析を実施し、気候変動に伴うリスクと機会を明確化しています。 ・気候変動による物理的影響への適応策として、サプライヤーの複線化や製品在庫の一定量確保を行い、BCP検証に基づく原材料・部品の適正在庫量を検討し、外部製造委託の拡大を計画的に進めていく方針です。 ・環境規制に対しては、環境マネジメントシステムを構築し、環境関連法の遵守徹底と規制変化へのタイムリーな対応を行っています。 また、環境パフォーマンスデータを開示し、温室効果ガス排出量データについては第三者保証を取得するなど透明性・信頼性の確保に努めています。 また、カーボンプライシング導入等への対応として、省エネ・再エネ活動をさらに推進していきます。 ④ 内部統制とコンプライアンス発生可能性:中影響度:大リスク当社グループは、2020年3月期に、過年度決算において不適切な会計処理が行われていたことが判明し、財務報告に係る内部統制に重要な不備がありました。 これにより損害を被ったとして、2020年7月に株主から当社及び元取締役10名に対し、約3,858百万円の損害賠償請求が提起されています。 この不備を是正するため、ガバナンス向上委員会を設置し、再発防止策を全社で実行いたしました。 その結果、2021年3月期末には重要な不備が解消され、これまで有効な内部統制報告が確保されています。 しかしながら、再発防止に取組みつつも、対応が有効に機能せず、又は新たな内部統制の不備が発生した場合には、財務報告の信頼性に影響が出る可能性があります。 また、当社グループは、国内外で商取引、独占禁止法、知的財産権、製造物責任、環境保全、人権、労働安全、輸出入規制等様々な公的規制を受けています。 これらの違反が発生した場合、課徴金納付命令、刑事罰、取引停止、社会的信用の失墜等、会社に甚大な損害を与えるリスクがあります。 対応策・不適切会計処理の再発防止に向けては、会計業務のシステム化等に継続して対応しています。 訴訟の提起については、原告の主張を踏まえて適切に対応してまいります。 ・「コンプライアンス基本規則」に基づき、コンプライアンス推進体制や諸制度の確立、浸透、定着を目的に、関連部門が集まり諸施策を審議・推進する場としてコンプライアンス委員会を設置しています。 また、コンプライアンス違反の是正を図り、社会的信頼を確保することを目的として「内部通報制度」を設けているほか、コンプライアンス遵守状況の把握、内部通報の掘り起しを目的として、従業員へのコンプライアンスアンケートを定期的に行っています。 ・独占禁止法及び各国競争法の遵守徹底のため、各国競争法の遵守、教育活動及び発生時対応の強化に努めています。 ⑤ 人財確保発生可能性:中影響度:大リスク当社グループは、優秀な人材の採用と育成を重要課題と認識しています。 しかし、人材確保の競争激化や育成計画の遅れ、又は専門性の高い人材が競合他社に移籍した場合、これらは当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 対応策・新卒採用、中途採用を計画的に行い、フレキシブルな働き方の推進や社内公募制度の活用を含む多様な人財が活躍できる環境を整備しています。 また、教育制度の拡充による社員の能力開発や、適性を重視した配置、ワークライフバランスを支援する制度の整備により、社員のモチベーションを高めていきます。 ⑥ 知的財産権発生可能性:中影響度:中リスク当社グループは、自社技術の保護のために適切な国・地域での知的財産権の取得を目指していますが、一部の国・地域では十分な保護が得られない可能性があります。 また、当社グループは、第三者からの知的財産権の実施許諾を受ける場合がありますが、今後、必要な実施許諾を得ることができなくなる、不利な条件での実施許諾しか受けられなくなる、競合他社が有利な条件で実施許諾を受けることにより、当社グループの競争力が相対的に低下する可能性があります。 対応策・新規の技術開発や設計にあたっては、先行技術調査を徹底し、各国の知的財産法、審査基準やプロセスを把握し、知的財産権獲得の精度向上に努めています。 自社製品を市場に提供する前にも、第三者の知的財産権調査を精度よく実施しています。 また、知的財産権を事業戦略や研究開発と連動させて最大限活用し、強みのある知的財産権を蓄積しています。 ・万が一、他社から知的財産権侵害の指摘を受けた場合や実施許諾条件の変更等を求められた場合に備え、専門人財を配置し、外部弁護士とも連携して適切に対応する体制を整えています。 ・なお、当社は、2025年5月15日付基本合意書に基づき、特許権等の知的財産権の一部をいちごトラストに譲渡することに合意しております。 但し、当社の事業規模に見合う知的財産権については引き続き当社が保有し、譲渡対象の知的財産権についても、当社が実施権を確保することでいちごトラストと合意する予定であり、本件譲渡が当社の今後の事業展開に支障をきたすことはないと考えております。 ⑦ 人権発生可能性:中影響度:大リスクサプライチェーン上における強制労働や児童労働等の人権侵害が発生した場合、原材料・部品調達が困難となることや、顧客や他のサプライヤーとの取引停止により、当社グループの業績、財務状況、社会的評価に影響を及ぼす可能性があります。 また、米国の「ウイグル強制労働防止法(UFLPA)」により、中国の新疆ウイグル自治区が関与する製品は、強制労働により生産されたとみなされ輸入が原則禁止されています。 これによるサプライヤーとの取引関係悪化や国レベルでの貿易制限が生じた場合、当社グループの業績、財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 対応策・当社グループは、国連「ビジネスと人権に関する指導原則(UNGP)」に沿った対策を推進しています。 サプライチェーン上の人権課題に対しては、「JDIサプライチェーンサステナビリティ推進ガイドブック」を配布し、遵守を要請しています。 また、自己監査を定期的に実施し、遵守状況を確認しています。 ・責任ある鉱物調達のため、紛争鉱物調査を実施し、武装勢力への資金供給がないことを確認しています。 ・人権、ハラスメント問題等の注意喚起のため従業員教育も定期的に行っています。 |
経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 | 4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。 )の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。 なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものであります。 (1) 経営成績当連結会計年度(以下「当期」といいます。 )は、ディスプレイ市場における激しい競争状況が続く中で、エネルギー費の高止まりや部材費・加工費の上昇が継続し、事業環境は厳しさを増しました。 このような状況のもと、当社グループは引き続き業績改善と収益力向上に取り組みました。 固定費削減に向けては、2024年4月に旧東浦工場(現・東浦エンジニアリングセンター、愛知県知多郡)の建物譲渡を完了し、2025年3月には鳥取工場(鳥取県鳥取市)でのパネル生産を終了しました。 また、価格競争が厳しい液晶スマートフォン事業を戦略的に縮小し、そのエンジニアリングリソース等の経営資源を次世代製品にシフトしたほか、一部の車載用不採算製品からの撤退等を通じて製品ポートフォリオの改善に取り組みました。 2024年11月には、更なる改革のため、ディスプレイ専業メーカーから「BEYOND DISPLAY」への進化に向けた新たな戦略を公表し、高い成長が見込まれるセンサー事業の拡大と先端半導体パッケージング事業への参入を目指した取組みを開始しました。 この取組みを加速するため、2025年2月に固定費負担が大きい茂原工場(千葉県茂原市、パネル基板サイズG6)でのパネル生産を2026年3月を目途に終了することを決定いたしました。 国内の生産は、固定費がより低い石川工場(石川県能美郡、同G4.5)に集約し、高付加価値ディスプレイ、センサー、先端半導体パッケージの生産を行うMULTI-FAB工場として活用することといたしました。 当社が世界で初めてマスクレス蒸着及びフォトリソ方式による量産技術を確立した次世代OLED「eLEAP」については、中国の蕪湖経済技術開発区(中国安徽省蕪湖市)でのeLEAP事業の立ち上げに関する最終契約締結を2024年10月末までに完了することを目指しておりましたが、最終契約締結には至らず、同年10月に本プロジェクトに関する覚書の延長を行わないことを決定いたしました。 また、2024年度中に茂原工場でのeLEAPの量産開始を目指しておりましたが、同工場での生産終了決定に伴い自社生産を停止いたしました。 その一方で、eLEAPのファブレス事業展開とグローバルエコシステムの構築に向けて、委託生産先となるファウンドリーパートナーとの協議を進めました。 以上のような取組みを通じて、当社グループは厳しい事業環境に対応しつつ、業績の早期改善と持続可能な成長に向けた戦略を推進いたしました。 上記の結果、当期の売上高は、液晶スマートフォンからの戦略的撤退とスマートウォッチ・VR等の分野での需要減少により、前期比51,140百万円減少(21.4%減)の188,012百万円となりました。 売上高の減少に伴う利益の減少は、上述の固定費削減や製品ポートフォリオ改善効果によりほぼ相殺できましたが、売上規模の縮小に伴う固定費率の上昇や部材費・加工費の上昇により、営業損失は37,068百万円(前期は34,145百万円の損失)となり、赤字が続きました。 経常損失は、営業外収益として為替差益1,027百万円を計上した一方、営業外費用として支払利息4,409百万円を計上したこと等により、40,415百万円(前期は33,188百万円の損失)となりました。 親会社株主に帰属する当期純損失は78,220百万円(前期は44,313百万円の損失)となりました。 これは、旧東浦工場の売却を主とした固定資産売却益1,830百万円の特別利益を計上した一方で、茂原工場のeLEAP生産設備を主とした減損損失21,563百万円、茂原工場の生産終了決定に伴う事業構造改善費用13,418百万円、及び鳥取工場の生産終了に伴う事業構造改善費用3,275百万円の特別損失の計上等によるものです。 キャッシュ収益指標であるEBITDAは、マイナス33,048百万円(前期はマイナス28,221百万円)となりました。 なお、当期の対米ドルの平均為替レートは152.6円(前年同期は144.7円)となりました。 アプリケーション分野別の売上高の状況は次のとおりです。 分野別売上高 (単位:百万円) 前連結会計年度当連結会計年度前期比金額割合金額割合金額増減率車載133,21655.7%125,85766.9%△7,359△5.5%スマートウォッチ・VR等73,52230.7%53,56628.5%△19,956△27.1%液晶スマートフォン32,41413.6%8,5894.6%△23,824△73.5% (車載)当分野には、計器クラスターやヘッドアップディスプレイ等の自動車用ディスプレイが含まれています。 当期の売上高は前期比5.5%減少の125,857百万円となりました。 これは、収益改善を図るため低採算品からの撤退を進めた影響等によるものです。 全売上高に占める割合は、前期の55.7%から66.9%に上昇しました。 (スマートウォッチ・VR等)当分野には、スマートウォッチやデジタルカメラ、VR機器等の民生機器用ディスプレイ、医療用モニター等の産業用ディスプレイ、さらに特許収入等が含まれています。 当期の売上高は前期比27.1%減少の53,566百万円となりました。 これは、主にスマートウォッチ用OLEDディスプレイの需要が下期に軟化したことと、VR用液晶ディスプレイの需要減少が続いたことによるものです。 全売上高に占める割合は、前期の30.7%から28.5%に低下しました。 (液晶スマートフォン)当分野は、価格競争の厳しい液晶スマートフォン用ディスプレイで構成されており、ノンコア事業と位置付けています。 当期の売上高は前期比73.5%減少の8,589百万円となりました。 これは、エンジニアリングリソース等の経営資源をコア事業の次世代製品に集中させるため、戦略的にこの分野の縮小を進めた結果です。 全売上高に占める割合は、前期の13.6%から4.6%に低下しました。 生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。 ① 生産実績当社グループの生産品目は、広範囲かつ多種多様であり、その性能、構造、形式、販売条件等は一様ではないこと、受注生産形態をとらない製品も多いこと等から、販売価格による生産額の集計は行っておりません。 また、当社グループの生産体制は、主として国内の生産拠点で担っている前工程、海外の製造子会社による後工程に区分して管理されております。 そのため、前工程及び後工程の生産量の単純合計がそのまま連結ベースの生産量ともならないことから、生産実績を金額又は数量で示すことはしておりません。 ② 受注実績当社グループは顧客から提示された生産計画に基づく見込生産を行っているため、記載を省略しております。 ③ 販売実績当連結会計年度の販売実績を示すと、次のとおりであります。 なお、当社のグループは単一セグメントであるため、アプリケーション分野別に記載を行っております。 (単位:百万円)アプリケーション分野当連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)前年同期比(%)車載125,857△5.5スマートウォッチ・VR等53,566△27.1液晶スマートフォン8,589△73.5合計188,012△21.4 (注) 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。 (単位:百万円)相手先前連結会計年度(自 2023年4月1日至 2024年3月31日)当連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)金額割合(%)金額割合(%)株式会社デンソー25,44110.631,59916.8Apple Inc.グループ66,44327.830,58716.3日本精機株式会社26,64811.121,65111.5 (2) 財政状態当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末(2024年3月末)比75,957百万円減少し、148,031百万円となりました。 これは主に、eLEAP用生産設備の減損に伴う建設仮勘定19,787百万円の減少に加え、棚卸資産19,875百万円、未収入金10,546百万円、現金及び預金8,265百万円及び売掛金6,464百万円の減少、旧東浦工場の売却等による建物及び構築物6,391百万円の減少等によるものです。 負債合計は、前連結会計年度末比2,813百万円増加し、141,141百万円となりました。 これは主に、短期借入金26,000百万円の増加及び茂原工場の生産終了決定等に伴う事業構造改善引当金12,717百万円の増加、買掛金17,842百万円及び未払金10,973百万円の減少によるものです。 純資産合計は、前連結会計年度末比78,771百万円減少し、6,890百万円となりました。 これは主に、親会社株主に帰属する当期純損失の計上による利益剰余金78,220百万円の減少によるものです。 上記の結果、自己資本比率は4.5%となり、前連結会計年度末比で33.6ポイント低下いたしました。 (3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析① キャッシュ・フローの状況営業活動によるキャッシュ・フローは、減損損失や事業構造改善費用の計上や棚卸資産の減少による収入増加等の一方で、税金等調整前当期純損失77,062百万円の計上により、25,450百万円の支出(前期は17,576百万円の支出)となりました。 投資活動によるキャッシュ・フローは、旧東浦工場を含む固定資産の売却による5,946百万円の収入と、固定資産の取得による10,514百万円の支出、投資有価証券の取得による3,018百万円の支出等により8,161百万円の支出(前期は13,433百万円の支出)となりました。 この結果、フリー・キャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フローと固定資産の取得による支出の合計)は、35,965百万円の支出となりました。 財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の増加26,000百万円を主な要因とし、25,693百万円の収入(前期は32,901百万円の収入)となりました。 これらの結果及び為替の影響により、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は20,432百万円となり、前連結会計年度末に比べ8,292百万円減少いたしました。 ② 資金需要及び資金調達の状況当社グループの主な資金需要は、生産、販売活動に必要な運転資金、先端技術の開発や生産性及び品質の向上を目的とした研究開発費及び設備投資です。 他方、当社グループでは、過年度に実施した大規模な設備投資や事業環境の急速な変化等の結果、当期純損失の計上が継続していることから、これらの資金需要が自社グループのキャッシュ・フローで賄えておらず、当連結会計年度まで長期にわたりフリー・キャッシュ・フローの赤字が継続しております。 そのため、当社グループは、後述の財務戦略の基本的な考え方に沿って、適宜資金調達を検討してまいります。 ③ 財務戦略の基本的な考え方当社グループは、将来の成長のための設備投資等の資金需要に対応しつつ、流動性リスクを軽減し、経営の安定化を図るため一定の手許流動性を維持することが肝要だと考えており、手許流動性の水準を考慮するにあたっては、連結売上高1.0か月分を目安に、手許現預金及び追加ファイナンスによって賄う方針です。 また、事業活動を支える資金調達及び資金管理に関しては、安定的に資金確保し、CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)改善によるキャッシュ・フロー創出、グループ内CMS(キャッシュ・マネジメント・システム)等による資金効率化によって財務体質を強化することを目標として取り組んでいます。 また、世界的なインフレ高進やサプライチェーンにおけるリスクの継続に備えた手許資金確保の重要性に鑑み、今後も資金需要に応じた機動的な借入実施、低効率資産の売却及び営業債権等の流動化のほか、いちごトラストによる第13回新株予約権の行使要請も含め、引き続き適時適切な資金調達策を講じてまいります。 (4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。 この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。 |
研究開発活動 | 6 【研究開発活動】 当社は、先進の発想を具体化し、人々の生活と文化発展に貢献することを目標にし、商品開発から基礎的な要素技術開発まで幅広い研究開発活動を行っています。 顧客からの要求に即した商品開発及びそのための技術開発は事業部が担当しています。 生産プロセス及び生産技術開発は生産・品質本部、近い将来から次世代までの技術開発はR&D本部が担当しています。 また、大学、公的研究機関、関連メーカー、技術ベンチャーとの研究開発活動も積極的に行っています。 当連結会計年度の研究開発費は11,618百万円となりました。 当連結会計年度の主な研究開発の成果は、下記のとおりです。 ・Dual Touch機能を搭載した高画質 2 Vision Display(2VD) 製品を開発 見る方向により異なる2つの映像を表示する2VDの画質を大幅に向上させ、車載用途で求められる画質に対応する2VD製品を開発しました。 さらに、運転席/助手席からのタッチ操作を識別できるDual Touch機能も搭載し、1枚のディスプレイを2枚のタッチ機能付きディスプレイのように利用できます。 本開発品により、運転席には安全運転情報を表示し、助手席には大画面・高画質な映像を同時に提供することが、1枚のディスプレイで可能になりました。 自動車メーカーの皆さまと共に、これまでにないレベルの安全性と快適性を追求してまいります。 また、これらの技術は自動車業界だけでなく、空港等の交通機関での大型サイネージへの活用、視角制御によるセキュリティ強化、ゲームへの応用の可能性も考えられます。 ・液晶反射板でミリ波を反射させ、屋外ビル間に電波を届ける実証に成功 5G通信で利用するミリ波は、超高速・大容量・低遅延な通信サービスを提供可能である一方、電波の強い直進性により、ビルや樹木の影等に電波の届きにくい場所を発生させやすい特徴を有します。 特にビル間通路等電波が届きにくいエリアに対し、反射方向を切り替えてピンポイントに電波を届ける技術の開発が求められていました。 当社、KDDI株式会社、株式会社KDDI総合研究所は、電波の反射方向・範囲を変更できる可搬性のミリ波(28GHz帯)用液晶メタサーフェス反射板(液晶反射板)を開発し、ミリ波の電波が届きにくい屋外のビル間に電波を反射させて、目的地に電波を届ける実証に成功しました。 さらに、低消費電力を活用し、汎用品の太陽光パネルとバッテリーで、液晶反射板が駆動することも確認しました。 今回の成果により、ビルや建物の遮蔽で電波が届きにくい場所や、人が密集するイベントでも柔軟にミリ波を届け、高速で安定した大容量通信をお客さまに提供することが期待できます。 3社は今後、液晶反射板の実用化に取り組んでまいります。 |
設備投資等の概要 | 1 【設備投資等の概要】 当連結会計年度の設備投資については、生産設備の増強等を目的とした設備投資を継続的に実施しております。 当連結会計年度中において実施いたしました当社グループの設備投資の総額は2,128百万円(連結投資額)で、その主なものは石川工場における生産設備投資額879百万円、茂原工場における生産設備投資額773百万円であります。 また、当連結会計年度中において、以下のとおり固定資産を売却しております。 事業所名(所在地)セグメントの名称設備の内容売却時期前期末帳簿価額(百万円)旧東浦工場(愛知県知多郡東浦町)ディスプレイ事業遊休建物及び遊休付帯設備2024年4月1日4,764 |
主要な設備の状況 | 2 【主要な設備の状況】 当社グループにおける主要な設備は、次のとおりであります。 (1) 提出会社 2025年3月31日現在事業所名(所在地)セグメントの名称設備の内容帳簿価額従業員数(人)建物及び構築物(百万円)土地(百万円)(面積㎡)機械装置及び運搬具(百万円)その他(百万円)合計(百万円)茂原工場(千葉県茂原市)ディスプレイ事業液晶ディスプレイ研究開発・製造設備24,0825,242(373,464.56)73172030,7751,317(139)石川工場(石川県能美郡川北町)ディスプレイ事業液晶ディスプレイ研究開発・製造設備4,1371,275(97,175.86)6464676,525413(12)東浦エンジニアリングセンター(愛知県知多郡東浦町)ディスプレイ事業液晶ディスプレイ研究開発設備53―(―)33389105(10)鳥取工場(鳥取県鳥取市)ディスプレイ事業液晶ディスプレイ研究開発・遊休設備6200(113,038.06)20717844487(62) (注)1.帳簿価額のうち「その他」は、工具、器具及び備品及び無形固定資産の合計であります。 2.従業員数の( )は、臨時雇用者数を外書しております。 3.鳥取工場は2025年3月に液晶ディスプレイの生産を終了後、車載事業の拠点として設計や解析等の事業活動を継続しております。 (2) 在外子会社主要な設備に該当するものはありません。 |
設備の新設、除却等の計画 | 3 【設備の新設、除却等の計画】 (1) 重要な設備の新設等当社の設備投資計画については、投資効率、事業の将来予測、利益計画の進捗状況等を総合的に勘案して策定しておりますが、グローバルサプライチェーンリスク等、当社グループの事業活動及び経営成績に与える未確定要素が多く、随時投資計画の見直しを行っております。 そのため、当連結会計年度末現在における重要な設備の新設・改修等の計画は未定であります。 (2) 重要な設備の除却等 財務体質の強化を図るため、茂原工場及び鳥取工場の低効率資産の売却を予定しております。 |
研究開発費、研究開発活動 | 11,618,000,000 |
設備投資額、設備投資等の概要 | 2,128,000,000 |
Employees
平均年齢(年)、提出会社の状況、従業員の状況 | 49 |
平均勤続年数(年)、提出会社の状況、従業員の状況 | 22 |
平均年間給与、提出会社の状況、従業員の状況 | 7,586,000 |
管理職に占める女性労働者の割合、提出会社の指標 | 0 |
全労働者、労働者の男女の賃金の差異、提出会社の指標 | 1 |
正規雇用労働者、労働者の男女の賃金の差異、提出会社の指標 | 1 |
非正規雇用労働者、労働者の男女の賃金の差異、提出会社の指標 | 1 |
Investment
株式の保有状況 | (5) 【株式の保有状況】 ① 投資株式の区分の基準及び考え方当社は、投資株式について、もっぱら株式の価値の変動又は配当の受領によって利益を得ることを目的として保有する株式を純投資目的である投資株式、それ以外の株式を純投資目的以外の目的である投資株式(政策保有株式)に区分しております。 ② 保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式a.保有方針及び保有の合理性を検証する方法並びに個別銘柄の保有の適否に関する取締役会等における検証の内容当社は、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式について、当該株式が安定的な取引関係の構築や成長戦略に則った業務提携関係の維持・強化に繋がり、当社の中長期的な企業価値の向上に資すると判断した場合について、保有していく方針です。 この方針に則り、当社は所管の部門にて当該株式の重要性についての確認を継続的に行っており、保有の必要性が低くなった株式については、売却等の施策を採ることとしております。 当事業年度末に保有している株式については、安定的な取引関係の構築等に向けた保有の必要性が高いものと認識しております。 b.銘柄数及び貸借対照表計上額 銘柄数(銘柄)貸借対照表計上額の合計額(百万円)非上場株式4127非上場株式以外の株式-- (当事業年度において株式数が増加した銘柄)該当事項はありません。 (当事業年度において株式数が減少した銘柄)該当事項はありません。 c.特定投資株式及びみなし保有株式の銘柄ごとの株式数、貸借対照表計上額等に関する情報特定投資株式該当事項はありません。 |
銘柄数、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 4 |
貸借対照表計上額、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 127,000,000 |
Shareholders
大株主の状況 | (6) 【大株主の状況】 2025年3月31日現在 氏名又は名称住所所有株式数(株)発行済株式(自己株式を除く。)の総数に対する所有株式数の割合(%) いちごトラスト(常任代理人 香港上海銀行東京支店)ELGIN COURT, ELGIN AVENUE, P.O. BOX 448 GRAND CAYMAN, KY1-1106, CAYMAN ISLANDS(東京都中央区日本橋3丁目11番1号)3,034,222,22278.19 日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)東京都港区赤坂1丁目8番1号赤坂インターシティAIR75,920,9001.96 日亜化学工業株式会社徳島県阿南市上中町岡491番地10034,965,0000.90 野村證券株式会社東京都中央区日本橋1丁目13番1号19,987,8110.52 JP JPMSE LUX RE BARCLAYS CAPITAL SEC LTD EQ CO(常任代理人 株式会社三菱UFJ銀行)1 CHUCHILL PLACE LONDON - NORTH OF THE THAMES UNITED KINGDOM E14 5HP(東京都千代田区丸の内1丁目4番5号)13,054,4200.34 羽田タートルサービス株式会社東京都大田区羽田5丁目3番1号スカイプラザオフィス12階9,627,0000.25 内海 章雄東京都大田区9,432,7000.24 JP JPMSE LUX RE NOMURA INT PLC 1 EQ CO1 ANGEL LANE LONDON – NORTH OF THE THAMES UNITED KINGDOM EC4R 3AB8,148,7000.21 ジャパンディスプレイ持株会東京都港区西新橋3丁目7番1号ランディック第2新橋ビル7,861,4260.20 内海晴和企画株式会社東京都大田区羽田5丁目3番1号スカイプラザオフィス10階5,392,0000.14 計―3,218,612,17982.95 (注)上記の所有株式数のうち、信託業務に係る株式数は、次のとおりであります。日本マスタートラスト信託銀行株式会社75,920,900株 なお、所有株式に係る議決権の個数の多い順上位10名は、以下のとおりです。 氏名又は名称住所所有議決権数(個)総株主の議決権に対する所有議決権数の割合 (%) いちごトラスト(常任代理人 香港上海銀行東京支店)ELGIN COURT, ELGIN AVENUE, P.O. BOX 448 GRAND CAYMAN, KY1-1106, CAYMAN ISLANDS(東京都中央区日本橋3丁目11番1号)30,342,22278.20 日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)東京都港区赤坂1丁目8番1号赤坂インターシティAIR759,2091.96 日亜化学工業株式会社徳島県阿南市上中町岡491番地100349,6500.90 野村證券株式会社東京都中央区日本橋1丁目13番1号199,8780.52 JP JPMSE LUX RE BARCLAYS CAPITAL SEC LTD EQ CO(常任代理人 株式会社三菱UFJ銀行)1 CHUCHILL PLACE LONDON - NORTH OF THE THAMES UNITED KINGDOM E14 5HP(東京都千代田区丸の内1丁目4番5号)130,5440.34 羽田タートルサービス株式会社東京都大田区羽田5丁目3番1号スカイプラザオフィス12階96,2700.25 内海 章雄東京都大田区94,3270.24 JP JPMSE LUX RE NOMURA INT PLC 1 EQ CO1 ANGEL LANE LONDON – NORTH OF THE THAMES UNITED KINGDOM EC4R 3AB81,4870.21 ジャパンディスプレイ持株会東京都港区西新橋3丁目7番1号ランディック第2新橋ビル78,6140.20 内海晴和企画株式会社東京都大田区羽田5丁目3番1号スカイプラザオフィス10階53,9200.14 計―32,186,12182.96 |
株主数-金融機関 | 7 |
株主数-金融商品取引業者 | 29 |
株主数-外国法人等-個人 | 619 |
株主数-外国法人等-個人以外 | 1 |
株主数-個人その他 | 77,157 |
株主数-その他の法人 | 473 |
株主数-計 | 1 |
氏名又は名称、大株主の状況 | 内海晴和企画株式会社 |
株主総利回り | 0 |
株主総会決議による取得の状況 | (1) 【株主総会決議による取得の状況】 該当事項はありません。 |
株主総会決議又は取締役会決議に基づかないものの内容 | (3) 【株主総会決議又は取締役会決議に基づかないものの内容】 該当事項はありません。 |
Shareholders2
発行済株式及び自己株式に関する注記 | 1.発行済株式の種類及び総数並びに自己株式の種類及び株式数に関する事項 当連結会計年度期首株式数(株)当連結会計年度増加株式数(株)当連結会計年度減少株式数(株)当連結会計年度末株式数(株)発行済株式 普通株式3,880,388,022--3,880,388,022E種優先株式5,540--5,540合計3,880,393,562--3,880,393,562自己株式 普通株式67--67合計67--67 |
Audit
監査法人1、連結 | 有限責任 あずさ監査法人 |
独立監査人の報告書、連結 | 独立監査人の監査報告書及び内部統制監査報告書 2025年6月20日株式会社ジャパンディスプレイ取締役会 御中 有限責任 あずさ監査法人 東京事務所 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士 塚 原 克 哲 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士 松 本 尚 己 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士 切 替 丈 晴 <連結財務諸表監査>監査意見当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられている株式会社ジャパンディスプレイの2024年4月1日から2025年3月31日までの連結会計年度の連結財務諸表、すなわち、連結貸借対照表、連結損益計算書、連結包括利益計算書、連結株主資本等変動計算書、連結キャッシュ・フロー計算書、連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項、その他の注記及び連結附属明細表について監査を行った。 当監査法人は、上記の連結財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、株式会社ジャパンディスプレイ及び連結子会社の2025年3月31日現在の財政状態並びに同日をもって終了する連結会計年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。 監査意見の根拠当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。 監査の基準における当監査法人の責任は、「連結財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。 当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。 当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。 継続企業の前提に関する重要な不確実性継続企業の前提に関する事項に記載されているとおり、会社は、当連結会計年度において8期連続で営業損失及び重要な減損損失を、11期連続で親会社株主に帰属する当期純損失を計上したことにより、純資産の額が減少し、株主資本がマイナスとなっている。 以上により、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しており、現時点では継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる。 なお、当該状況に対する対応策及び重要な不確実性が認められる理由については当該注記に記載されている。 連結財務諸表は継続企業を前提として作成されており、このような重要な不確実性の影響は連結財務諸表に反映されていない。 当該事項は、当監査法人の意見に影響を及ぼすものではない。 強調事項重要な後発事象に関する注記に記載されているとおり、会社は、2025年5月15日開催の取締役会において、国内外全拠点を対象とした希望退職者の募集等を行うことを決議した。 当該事項は、当監査法人の意見に影響を及ぼすものではない。 監査上の主要な検討事項監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。 監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 当監査法人は、「継続企業の前提に関する重要な不確実性」に記載されている事項のほか、以下に記載した事項を監査報告書において監査上の主要な検討事項として報告すべき事項と判断している。 茂原工場の生産終了に関連した固定資産の評価及び事業構造改善引当金の見積りの妥当性 監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応株式会社ジャパンディスプレイ(以下「会社」という。 )は、注記事項「(継続企業の前提に関する事項)」 に記載のとおり、2025年2月12日開催の取締役会において、稼働率が低下している茂原工場での生産を、2026年3月を目途に終了することを決議した。 注記事項「(重要な会計上の見積り)2.固定資産の減損」 に記載のとおり、会社の当連結会計年度の連結貸借対照表に計上されている固定資産44,175百万円には、茂原工場資産グループに関する固定資産34,308百万円(当第3四半期連結累計期間までに連結損益計算書に計上した減損損失20,760百万円控除後)が含まれており、連結総資産の23%を占めている。 また、注記事項「(重要な会計上の見積り)3.事業構造改善引当金」 に記載のとおり、当連結会計年度末時点で茂原工場の生産終了に伴い発生することが見込まれる損失に関連して、10,637百万円を事業構造改善引当金として計上している。 (1)減損損失の測定に用いる正味売却価額注記事項「(損益計算書関係)※6減損損失」 に記載のとおり、会社は、当連結会計年度末における茂原工場資産グループに係る減損損失の測定において、回収可能価額として正味売却価額を用いている。 当連結会計年度末においては、茂原工場資産グループに関する正味売却価額が減損対象資産の帳簿価額を上回っていることから、減損損失は計上されていない。 正味売却価額は、会社が評価を委託した外部の評価会社から入手した不動産鑑定評価書及び動産鑑定評価書を利用し算出した評価額から処分費用見込額を控除した価額に基づいて評価している。 専門家による鑑定評価の前提条件や対象資産の範囲、処分費用見込額の見積りが正味売却価額に適切に反映されない場合には、回収可能価額が変動し、会社の減損損失の測定結果に重要な影響を及ぼす。 (2)事業構造改善引当金の計上注記事項「(重要な会計上の見積り)3.事業構造改善引当金」に記載のとおり、会社は、当連結会計年度末において、茂原工場の生産終了に伴い将来発生すると見込まれる生産・開発設備等の撤去及び廃棄(以下「設備撤去等」という)に要する費用並びに工場のインフラ設備に関する供給契約等の解除に伴い生じる追加費用の見込額について事業構造改善引当金として計上している。 これらは過去の類似案件における実績や外注先から入手した見積書等を勘案して算定されている。 当該見積りは、経営者による仮定や判断が伴い不確実性があり、かつ、金額も多額となる性質を有している。 以上から、当監査法人は、茂原工場の生産終了に関連した固定資産の評価及び事業構造改善引当金の見積りの妥当性が、当連結会計年度の連結財務諸表監査において特に重要であり、監査上の主要な検討事項の一つに該当すると判断した。 当監査法人は、茂原工場の生産終了に関連した固定資産の評価及び事業構造改善引当金の見積りの妥当性を検討するため、主に以下の監査手続を実施した。 (1) 内部統制の評価生産終了の意思決定及びそれに伴う損失の計上に関連する内部統制の整備及び運用状況の有効性を評価した。 (2) 減損損失の測定に用いる正味売却価額正味売却価額の前提となる不動産鑑定評価書及び動産鑑定評価書について、当監査法人が属する国内ネットワークファームの評価の専門家を利用して、会社が評価を委託した外部の評価会社に対し評価の根拠に関して質問したほか、主に以下の手続を実施した。 ● 評価の手法及び前提条件の適切性を、会計基準の要求事項に照らして検討した。 ● 鑑定評価の前提となる評価基準日から減損損失の測定時点までの時点修正の方法について、その合理性を評価した。 ● 鑑定評価の前提となる対象資産と固定資産台帳との整合性を確認した。 また、正味売却価額の前提となる処分費用見込額について、工場担当者へ質問するとともに、経営者が外部業者から取得した報告書等と比較し金額の妥当性を検証した。 (3) 事業構造改善引当金の計上事業構造改善引当金の計上に係る見積りの合理性を検証するため、主に以下の手続を実施した。 ● 取締役会議事録の閲覧や工場責任者への質問により、設備撤去等に関するスケジュールを理解し、引当金の見積り前提や発生費目との整合性を検討した。 ● 設備撤去等に要する社内の活動費及び外注費用の妥当性を検証するため、設備撤去等の完了までに見込まれる期間や算定基礎数値について、外部業者から入手した見積書等の関連証憑との整合性を検証した。 ● 工場のインフラ設備に関する供給契約を含む茂原工場に関連する契約一覧を閲覧し、契約解除に伴い生じる追加費用の網羅性について検証した。 ● 契約解除に伴い生じる追加費用に関する会社の計算シートの正確性を検証するため、関連する契約書等との整合性を検証した。 棚卸資産の評価の妥当性 監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応会社の当連結会計年度の連結貸借対照表に計上されている棚卸資産(商品及び製品、仕掛品並びに原材料及び貯蔵品の合計)44,076百万円には、会社の個別貸借対照表に計上されている棚卸資産32,489百万円が含まれており、連結総資産の22%を占めている。 注記事項「(重要な会計上の見積り)1.棚卸資産の評価損」に記載のとおり、棚卸資産の貸借対照表価額は、収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定している。 棚卸資産の収益性の低下を帳簿価額に反映するため、機械的な評価損の計算が一次的に行われる。 機械的な評価損の計算には、一定の回転期間を超える場合に規則的に帳簿価額を引き下げる方法(以下「過剰評価損計算」という。 )が含まれている。 また、生産販売計画の前提となる需要見込に変動が生じた品目等については、個別に収益性の低下を適切に反映する価額を見積もったうえで、個別的な評価損の計算が二次的に行われる。 機械的な評価損の計算においては、評価の前提となる基礎情報を正確に反映する必要があり、手作業が介在する余地を限定することが重要である。 会社は、過剰評価損計算に用いる基礎情報を棚卸資産の機械的な評価損の計算に反映するために、基幹業務システムと財務報告に係るシステムとの連携体制を構築している。 当該システム連携を含め、評価の前提となる基礎情報が正確に評価損の計算に反映されない場合には、機械的な評価損の計算が適切に行われず、棚卸資産の評価に重要な影響を及ぼす。 また、個別的な評価損の計算において、将来の生産販売計画の前提となる需要見込には経営者の判断が含まれ、その見積りには不確実性を伴う。 以上から、当監査法人は、棚卸資産の評価の妥当性が、当連結会計年度の連結財務諸表監査において特に重要であり、監査上の主要な検討事項の一つに該当すると判断した。 当監査法人は、棚卸資産の評価の妥当性を検証するため、主に以下の手続を実施した。 (1) 内部統制の評価棚卸資産の評価に関連する内部統制の整備及び運用の状況の有効性を評価した。 評価に当たっては、以下に掲げる統制に特に焦点を当てた。 ● 棚卸資産の評価に用いた基礎情報と評価損額を照合のうえ承認する統制● 財務報告に係るシステムのIT全般統制及び棚卸資産の機械的な評価損の計算に関連するIT業務処理統制 (2) 棚卸資産の機械的な評価の妥当性棚卸資産の機械的な評価損の計算の正確性を検証するため、主に以下の手続を実施した。 ● 会社の財務報告に係るシステムを操作し、評価の前提となる基礎情報を直接入手した。 ● 棚卸資産の機械的な評価損の計算を再現し、会社の作成した評価損の計算シートと計算結果とが一致することを確認した。 ● 過年度における見積りとその後の生産販売実績とを比較し、その差異原因を検討することで、経営者による見積りの妥当性を評価した。 (3) 棚卸資産の個別的な評価の妥当性棚卸資産の個別的な評価の妥当性を検証するため、主に以下の手続を実施した。 ● 取締役会議事録の閲覧や事業部責任者への質問により、生産販売計画の前提となる需要見込に重要な影響を及ぼす事象の有無を検討した。 ● 個別的な評価損の計算対象棚卸資産の生産販売計画の前提となる需要見込に関する見積りの合理性を、過去の実績及び会社が入手している顧客からの情報に基づいて検討した。 ● 過年度における見積りとその後の生産販売実績とを比較し、その差異原因を検討することで、経営者による見積りの妥当性を評価した。 その他の記載内容その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。 経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。 また、監査委員会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における執行役及び取締役の職務の執行を監視することにある。 当監査法人の連結財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。 連結財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と連結財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 連結財務諸表に対する経営者及び監査委員会の責任経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して連結財務諸表を作成し適正に表示することにある。 これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない連結財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。 連結財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき連結財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。 監査委員会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における執行役及び取締役の職務の執行を監視することにある。 連結財務諸表監査における監査人の責任監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての連結財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から連結財務諸表に対する意見を表明することにある。 虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、連結財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。 監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。 ・不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。 また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。 監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。 さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。 ・連結財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。 ・経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。 ・経営者が継続企業を前提として連結財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。 継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において連結財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する連結財務諸表の注記事項が適切でない場合は、連結財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。 監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。 ・連結財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた連結財務諸表の表示、構成及び内容、並びに連結財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。 ・連結財務諸表に対する意見表明の基礎となる、会社及び連結子会社の財務情報に関する十分かつ適切な監査証拠を入手するために、連結財務諸表の監査を計画し実施する。 監査人は、連結財務諸表の監査に関する指揮、監督及び査閲に関して責任がある。 監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。 監査人は、監査委員会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。 監査人は、監査委員会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。 監査人は、監査委員会と協議した事項のうち、当連結会計年度の連結財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。 ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。 <内部統制監査>監査意見当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第2項の規定に基づく監査証明を行うため、株式会社ジャパンディスプレイの2025年3月31日現在の内部統制報告書について監査を行った。 当監査法人は、株式会社ジャパンディスプレイが2025年3月31日現在の財務報告に係る内部統制は有効であると表示した上記の内部統制報告書が、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して、財務報告に係る内部統制の評価結果について、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。 監査意見の根拠当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に準拠して内部統制監査を行った。 財務報告に係る内部統制の監査の基準における当監査法人の責任は、「内部統制監査における監査人の責任」に記載されている。 当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。 当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。 内部統制報告書に対する経営者及び監査委員会の責任経営者の責任は、財務報告に係る内部統制を整備及び運用し、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して内部統制報告書を作成し適正に表示することにある。 監査委員会の責任は、財務報告に係る内部統制の整備及び運用状況を監視、検証することにある。 なお、財務報告に係る内部統制により財務報告の虚偽の記載を完全には防止又は発見することができない可能性がある。 内部統制監査における監査人の責任監査人の責任は、監査人が実施した内部統制監査に基づいて、内部統制報告書に重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、内部統制監査報告書において独立の立場から内部統制報告書に対する意見を表明することにある。 監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。 ・ 内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果について監査証拠を入手するための監査手続を実施する。 内部統制監査の監査手続は、監査人の判断により、財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性に基づいて選択及び適用される。 ・ 財務報告に係る内部統制の評価範囲、評価手続及び評価結果について経営者が行った記載を含め、全体としての内部統制報告書の表示を検討する。 ・ 内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果に関する十分かつ適切な監査証拠を入手するために、内部統制の監査を計画し実施する。 監査人は、内部統制報告書の監査に関する指揮、監督及び査閲に関して責任がある。 監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。 監査人は、監査委員会に対して、計画した内部統制監査の範囲とその実施時期、内部統制監査の実施結果、識別した内部統制の開示すべき重要な不備、その是正結果、及び内部統制の監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。 監査人は、監査委員会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。 <報酬関連情報>当監査法人及び当監査法人と同一のネットワークに属する者に対する、会社及び子会社の監査証明業務に基づく報酬及び非監査業務に基づく報酬の額は、「提出会社の状況」に含まれるコーポレート・ガバナンスの状況等 (3) 【監査の状況】 に記載されている。 利害関係会社及び連結子会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。 以 上 (注) 1.上記の監査報告書の原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。 2.XBRLデータは監査の対象には含まれておりません。 |
監査上の主要な検討事項、連結 | 監査上の主要な検討事項監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。 監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 当監査法人は、「継続企業の前提に関する重要な不確実性」に記載されている事項のほか、以下に記載した事項を監査報告書において監査上の主要な検討事項として報告すべき事項と判断している。 茂原工場の生産終了に関連した固定資産の評価及び事業構造改善引当金の見積りの妥当性 監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応株式会社ジャパンディスプレイ(以下「会社」という。 )は、注記事項「(継続企業の前提に関する事項)」 に記載のとおり、2025年2月12日開催の取締役会において、稼働率が低下している茂原工場での生産を、2026年3月を目途に終了することを決議した。 注記事項「(重要な会計上の見積り)2.固定資産の減損」 に記載のとおり、会社の当連結会計年度の連結貸借対照表に計上されている固定資産44,175百万円には、茂原工場資産グループに関する固定資産34,308百万円(当第3四半期連結累計期間までに連結損益計算書に計上した減損損失20,760百万円控除後)が含まれており、連結総資産の23%を占めている。 また、注記事項「(重要な会計上の見積り)3.事業構造改善引当金」 に記載のとおり、当連結会計年度末時点で茂原工場の生産終了に伴い発生することが見込まれる損失に関連して、10,637百万円を事業構造改善引当金として計上している。 (1)減損損失の測定に用いる正味売却価額注記事項「(損益計算書関係)※6減損損失」 に記載のとおり、会社は、当連結会計年度末における茂原工場資産グループに係る減損損失の測定において、回収可能価額として正味売却価額を用いている。 当連結会計年度末においては、茂原工場資産グループに関する正味売却価額が減損対象資産の帳簿価額を上回っていることから、減損損失は計上されていない。 正味売却価額は、会社が評価を委託した外部の評価会社から入手した不動産鑑定評価書及び動産鑑定評価書を利用し算出した評価額から処分費用見込額を控除した価額に基づいて評価している。 専門家による鑑定評価の前提条件や対象資産の範囲、処分費用見込額の見積りが正味売却価額に適切に反映されない場合には、回収可能価額が変動し、会社の減損損失の測定結果に重要な影響を及ぼす。 (2)事業構造改善引当金の計上注記事項「(重要な会計上の見積り)3.事業構造改善引当金」に記載のとおり、会社は、当連結会計年度末において、茂原工場の生産終了に伴い将来発生すると見込まれる生産・開発設備等の撤去及び廃棄(以下「設備撤去等」という)に要する費用並びに工場のインフラ設備に関する供給契約等の解除に伴い生じる追加費用の見込額について事業構造改善引当金として計上している。 これらは過去の類似案件における実績や外注先から入手した見積書等を勘案して算定されている。 当該見積りは、経営者による仮定や判断が伴い不確実性があり、かつ、金額も多額となる性質を有している。 以上から、当監査法人は、茂原工場の生産終了に関連した固定資産の評価及び事業構造改善引当金の見積りの妥当性が、当連結会計年度の連結財務諸表監査において特に重要であり、監査上の主要な検討事項の一つに該当すると判断した。 当監査法人は、茂原工場の生産終了に関連した固定資産の評価及び事業構造改善引当金の見積りの妥当性を検討するため、主に以下の監査手続を実施した。 (1) 内部統制の評価生産終了の意思決定及びそれに伴う損失の計上に関連する内部統制の整備及び運用状況の有効性を評価した。 (2) 減損損失の測定に用いる正味売却価額正味売却価額の前提となる不動産鑑定評価書及び動産鑑定評価書について、当監査法人が属する国内ネットワークファームの評価の専門家を利用して、会社が評価を委託した外部の評価会社に対し評価の根拠に関して質問したほか、主に以下の手続を実施した。 ● 評価の手法及び前提条件の適切性を、会計基準の要求事項に照らして検討した。 ● 鑑定評価の前提となる評価基準日から減損損失の測定時点までの時点修正の方法について、その合理性を評価した。 ● 鑑定評価の前提となる対象資産と固定資産台帳との整合性を確認した。 また、正味売却価額の前提となる処分費用見込額について、工場担当者へ質問するとともに、経営者が外部業者から取得した報告書等と比較し金額の妥当性を検証した。 (3) 事業構造改善引当金の計上事業構造改善引当金の計上に係る見積りの合理性を検証するため、主に以下の手続を実施した。 ● 取締役会議事録の閲覧や工場責任者への質問により、設備撤去等に関するスケジュールを理解し、引当金の見積り前提や発生費目との整合性を検討した。 ● 設備撤去等に要する社内の活動費及び外注費用の妥当性を検証するため、設備撤去等の完了までに見込まれる期間や算定基礎数値について、外部業者から入手した見積書等の関連証憑との整合性を検証した。 ● 工場のインフラ設備に関する供給契約を含む茂原工場に関連する契約一覧を閲覧し、契約解除に伴い生じる追加費用の網羅性について検証した。 ● 契約解除に伴い生じる追加費用に関する会社の計算シートの正確性を検証するため、関連する契約書等との整合性を検証した。 棚卸資産の評価の妥当性 監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応会社の当連結会計年度の連結貸借対照表に計上されている棚卸資産(商品及び製品、仕掛品並びに原材料及び貯蔵品の合計)44,076百万円には、会社の個別貸借対照表に計上されている棚卸資産32,489百万円が含まれており、連結総資産の22%を占めている。 注記事項「(重要な会計上の見積り)1.棚卸資産の評価損」に記載のとおり、棚卸資産の貸借対照表価額は、収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定している。 棚卸資産の収益性の低下を帳簿価額に反映するため、機械的な評価損の計算が一次的に行われる。 機械的な評価損の計算には、一定の回転期間を超える場合に規則的に帳簿価額を引き下げる方法(以下「過剰評価損計算」という。 )が含まれている。 また、生産販売計画の前提となる需要見込に変動が生じた品目等については、個別に収益性の低下を適切に反映する価額を見積もったうえで、個別的な評価損の計算が二次的に行われる。 機械的な評価損の計算においては、評価の前提となる基礎情報を正確に反映する必要があり、手作業が介在する余地を限定することが重要である。 会社は、過剰評価損計算に用いる基礎情報を棚卸資産の機械的な評価損の計算に反映するために、基幹業務システムと財務報告に係るシステムとの連携体制を構築している。 当該システム連携を含め、評価の前提となる基礎情報が正確に評価損の計算に反映されない場合には、機械的な評価損の計算が適切に行われず、棚卸資産の評価に重要な影響を及ぼす。 また、個別的な評価損の計算において、将来の生産販売計画の前提となる需要見込には経営者の判断が含まれ、その見積りには不確実性を伴う。 以上から、当監査法人は、棚卸資産の評価の妥当性が、当連結会計年度の連結財務諸表監査において特に重要であり、監査上の主要な検討事項の一つに該当すると判断した。 当監査法人は、棚卸資産の評価の妥当性を検証するため、主に以下の手続を実施した。 (1) 内部統制の評価棚卸資産の評価に関連する内部統制の整備及び運用の状況の有効性を評価した。 評価に当たっては、以下に掲げる統制に特に焦点を当てた。 ● 棚卸資産の評価に用いた基礎情報と評価損額を照合のうえ承認する統制● 財務報告に係るシステムのIT全般統制及び棚卸資産の機械的な評価損の計算に関連するIT業務処理統制 (2) 棚卸資産の機械的な評価の妥当性棚卸資産の機械的な評価損の計算の正確性を検証するため、主に以下の手続を実施した。 ● 会社の財務報告に係るシステムを操作し、評価の前提となる基礎情報を直接入手した。 ● 棚卸資産の機械的な評価損の計算を再現し、会社の作成した評価損の計算シートと計算結果とが一致することを確認した。 ● 過年度における見積りとその後の生産販売実績とを比較し、その差異原因を検討することで、経営者による見積りの妥当性を評価した。 (3) 棚卸資産の個別的な評価の妥当性棚卸資産の個別的な評価の妥当性を検証するため、主に以下の手続を実施した。 ● 取締役会議事録の閲覧や事業部責任者への質問により、生産販売計画の前提となる需要見込に重要な影響を及ぼす事象の有無を検討した。 ● 個別的な評価損の計算対象棚卸資産の生産販売計画の前提となる需要見込に関する見積りの合理性を、過去の実績及び会社が入手している顧客からの情報に基づいて検討した。 ● 過年度における見積りとその後の生産販売実績とを比較し、その差異原因を検討することで、経営者による見積りの妥当性を評価した。 |
全体概要、監査上の主要な検討事項、連結 | 監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。 監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 当監査法人は、「継続企業の前提に関する重要な不確実性」に記載されている事項のほか、以下に記載した事項を監査報告書において監査上の主要な検討事項として報告すべき事項と判断している。 |
見出し、監査上の主要な検討事項、連結 | 棚卸資産の評価の妥当性 |
内容及び理由、監査上の主要な検討事項、連結 | 会社の当連結会計年度の連結貸借対照表に計上されている棚卸資産(商品及び製品、仕掛品並びに原材料及び貯蔵品の合計)44,076百万円には、会社の個別貸借対照表に計上されている棚卸資産32,489百万円が含まれており、連結総資産の22%を占めている。 注記事項「(重要な会計上の見積り)1.棚卸資産の評価損」に記載のとおり、棚卸資産の貸借対照表価額は、収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定している。 棚卸資産の収益性の低下を帳簿価額に反映するため、機械的な評価損の計算が一次的に行われる。 機械的な評価損の計算には、一定の回転期間を超える場合に規則的に帳簿価額を引き下げる方法(以下「過剰評価損計算」という。 )が含まれている。 また、生産販売計画の前提となる需要見込に変動が生じた品目等については、個別に収益性の低下を適切に反映する価額を見積もったうえで、個別的な評価損の計算が二次的に行われる。 機械的な評価損の計算においては、評価の前提となる基礎情報を正確に反映する必要があり、手作業が介在する余地を限定することが重要である。 会社は、過剰評価損計算に用いる基礎情報を棚卸資産の機械的な評価損の計算に反映するために、基幹業務システムと財務報告に係るシステムとの連携体制を構築している。 当該システム連携を含め、評価の前提となる基礎情報が正確に評価損の計算に反映されない場合には、機械的な評価損の計算が適切に行われず、棚卸資産の評価に重要な影響を及ぼす。 また、個別的な評価損の計算において、将来の生産販売計画の前提となる需要見込には経営者の判断が含まれ、その見積りには不確実性を伴う。 以上から、当監査法人は、棚卸資産の評価の妥当性が、当連結会計年度の連結財務諸表監査において特に重要であり、監査上の主要な検討事項の一つに該当すると判断した。 |
開示への参照、監査上の主要な検討事項、連結 | 注記事項「(重要な会計上の見積り)1.棚卸資産の評価損」 |
開示への参照2、監査上の主要な検討事項、連結 | 注記事項「(重要な会計上の見積り)2.固定資産の減損」 |
監査上の対応、監査上の主要な検討事項、連結 | 当監査法人は、棚卸資産の評価の妥当性を検証するため、主に以下の手続を実施した。 (1) 内部統制の評価棚卸資産の評価に関連する内部統制の整備及び運用の状況の有効性を評価した。 評価に当たっては、以下に掲げる統制に特に焦点を当てた。 ● 棚卸資産の評価に用いた基礎情報と評価損額を照合のうえ承認する統制● 財務報告に係るシステムのIT全般統制及び棚卸資産の機械的な評価損の計算に関連するIT業務処理統制 (2) 棚卸資産の機械的な評価の妥当性棚卸資産の機械的な評価損の計算の正確性を検証するため、主に以下の手続を実施した。 ● 会社の財務報告に係るシステムを操作し、評価の前提となる基礎情報を直接入手した。 ● 棚卸資産の機械的な評価損の計算を再現し、会社の作成した評価損の計算シートと計算結果とが一致することを確認した。 ● 過年度における見積りとその後の生産販売実績とを比較し、その差異原因を検討することで、経営者による見積りの妥当性を評価した。 (3) 棚卸資産の個別的な評価の妥当性棚卸資産の個別的な評価の妥当性を検証するため、主に以下の手続を実施した。 ● 取締役会議事録の閲覧や事業部責任者への質問により、生産販売計画の前提となる需要見込に重要な影響を及ぼす事象の有無を検討した。 ● 個別的な評価損の計算対象棚卸資産の生産販売計画の前提となる需要見込に関する見積りの合理性を、過去の実績及び会社が入手している顧客からの情報に基づいて検討した。 ● 過年度における見積りとその後の生産販売実績とを比較し、その差異原因を検討することで、経営者による見積りの妥当性を評価した。 |
その他の記載内容、連結 | その他の記載内容その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。 経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。 また、監査委員会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における執行役及び取締役の職務の執行を監視することにある。 当監査法人の連結財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。 連結財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と連結財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 |
報酬関連情報、連結 | <報酬関連情報>当監査法人及び当監査法人と同一のネットワークに属する者に対する、会社及び子会社の監査証明業務に基づく報酬及び非監査業務に基づく報酬の額は、「提出会社の状況」に含まれるコーポレート・ガバナンスの状況等 (3) 【監査の状況】 に記載されている。 |
Audit1
監査法人1、個別 | 有限責任 あずさ監査法人 |
独立監査人の報告書、個別 | 独立監査人の監査報告書 2025年6月20日株式会社ジャパンディスプレイ取締役会 御中 有限責任 あずさ監査法人 東京事務所 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士 塚 原 克 哲 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士 松 本 尚 己 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士 切 替 丈 晴 <財務諸表監査>監査意見当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられている株式会社ジャパンディスプレイの2024年4月1日から2025年3月31日までの第23期事業年度の財務諸表、すなわち、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、重要な会計方針、その他の注記及び附属明細表について監査を行った。 当監査法人は、上記の財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、株式会社ジャパンディスプレイの2025年3月31日現在の財政状態及び同日をもって終了する事業年度の経営成績を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。 監査意見の根拠当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。 監査の基準における当監査法人の責任は、「財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。 当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。 当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。 継続企業の前提に関する重要な不確実性継続企業の前提に関する事項に記載されているとおり、会社は、当事業年度において8期連続で営業損失及び重要な減損損失を、11期連続で当期純損失を計上しており、当事業年度末において債務超過の状況にあることから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しており、現時点では継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる。 なお、当該状況に対する対応策及び重要な不確実性が認められる理由については当該注記に記載されている。 財務諸表は継続企業を前提として作成されており、このような重要な不確実性の影響は財務諸表に反映されていない。 当該事項は、当監査法人の意見に影響を及ぼすものではない。 強調事項1. 重要な後発事象に記載されているとおり、会社は、2025年5月15日開催の取締役会において、会社の車載関連の事業に関する権利義務を、新設分割により新設する株式会社Auto Techに承継させる旨について、同年6月21日開催予定の第23回定時株主総会及び普通株主による種類株主総会に付議することを決議した。 2. 重要な後発事象に記載されているとおり、会社は、2025年5月15日開催の取締役会において、国内外全拠点を対象とした希望退職者の募集等を行うことを決議した。 当該事項は、当監査法人の意見に影響を及ぼすものではない。 監査上の主要な検討事項監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。 監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 当監査法人は、「継続企業の前提に関する重要な不確実性」に記載されている事項のほか、以下に記載した事項を監査報告書において監査上の主要な検討事項として報告すべき事項と判断している。 (茂原工場の生産終了に関連した固定資産の評価及び事業構造改善引当金の見積りの妥当性) 財務諸表の監査報告書で記載すべき監査上の主要な検討事項「茂原工場の生産終了に関連した固定資産の評価及び事業構造改善引当金の見積りの妥当性」は、連結財務諸表の監査報告書に記載されている監査上の主要な検討事項「茂原工場の生産終了に関連した固定資産の評価及び事業構造改善引当金の見積りの妥当性」と実質的に同一の内容である。 このため、財務諸表の監査報告書では、これに関する記載を省略する。 (棚卸資産の評価の妥当性) 財務諸表の監査報告書で記載すべき監査上の主要な検討事項「棚卸資産の評価の妥当性」は、連結財務諸表の監査報告書に記載されている監査上の主要な検討事項「棚卸資産の評価の妥当性」と実質的に同一の内容である。 このため、財務諸表の監査報告書では、これに関する記載を省略する。 その他の記載内容その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。 経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。 また、監査委員会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における執行役及び取締役の職務の執行を監視することにある。 当監査法人の財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。 財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 財務諸表に対する経営者及び監査委員会の責任経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して財務諸表を作成し適正に表示することにある。 これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。 財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。 監査委員会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における執行役及び取締役の職務の執行を監視することにある。 財務諸表監査における監査人の責任監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から財務諸表に対する意見を表明することにある。 虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。 監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。 ・ 不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。 また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。 監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。 さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。 ・ 財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。 ・ 経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。 ・ 経営者が継続企業を前提として財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。 継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する財務諸表の注記事項が適切でない場合は、財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。 監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。 ・ 財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた財務諸表の表示、構成及び内容、並びに財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。 監査人は、監査委員会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。 監査人は、監査委員会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。 監査人は、監査委員会と協議した事項のうち、当事業年度の財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。 ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。 <報酬関連情報>報酬関連情報は、連結財務諸表の監査報告書に記載されている。 利害関係会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。 以 上 (注) 1.上記の監査報告書の原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。 2.XBRLデータは監査の対象には含まれておりません。 |
監査上の主要な検討事項、個別 | 監査上の主要な検討事項監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。 監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 当監査法人は、「継続企業の前提に関する重要な不確実性」に記載されている事項のほか、以下に記載した事項を監査報告書において監査上の主要な検討事項として報告すべき事項と判断している。 (茂原工場の生産終了に関連した固定資産の評価及び事業構造改善引当金の見積りの妥当性) 財務諸表の監査報告書で記載すべき監査上の主要な検討事項「茂原工場の生産終了に関連した固定資産の評価及び事業構造改善引当金の見積りの妥当性」は、連結財務諸表の監査報告書に記載されている監査上の主要な検討事項「茂原工場の生産終了に関連した固定資産の評価及び事業構造改善引当金の見積りの妥当性」と実質的に同一の内容である。 このため、財務諸表の監査報告書では、これに関する記載を省略する。 (棚卸資産の評価の妥当性) 財務諸表の監査報告書で記載すべき監査上の主要な検討事項「棚卸資産の評価の妥当性」は、連結財務諸表の監査報告書に記載されている監査上の主要な検討事項「棚卸資産の評価の妥当性」と実質的に同一の内容である。 このため、財務諸表の監査報告書では、これに関する記載を省略する。 |
全体概要、監査上の主要な検討事項、個別 | 監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。 監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 当監査法人は、「継続企業の前提に関する重要な不確実性」に記載されている事項のほか、以下に記載した事項を監査報告書において監査上の主要な検討事項として報告すべき事項と判断している。 |
見出し、監査上の主要な検討事項、個別 | (棚卸資産の評価の妥当性) |
連結と同一内容である旨、監査上の主要な検討事項、個別 | 財務諸表の監査報告書で記載すべき監査上の主要な検討事項「棚卸資産の評価の妥当性」は、連結財務諸表の監査報告書に記載されている監査上の主要な検討事項「棚卸資産の評価の妥当性」と実質的に同一の内容である。 このため、財務諸表の監査報告書では、これに関する記載を省略する。 |
その他の記載内容、個別 | その他の記載内容その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。 経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。 また、監査委員会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における執行役及び取締役の職務の執行を監視することにある。 当監査法人の財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。 財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 |
報酬関連情報、個別 | <報酬関連情報>報酬関連情報は、連結財務諸表の監査報告書に記載されている。 |
BS資産
商品及び製品 | 14,025,000,000 |
仕掛品 | 11,578,000,000 |
原材料及び貯蔵品 | 18,276,000,000 |
未収入金 | 7,694,000,000 |
その他、流動資産 | 1,240,000,000 |
建物及び構築物(純額) | 30,491,000,000 |
機械装置及び運搬具(純額) | 1,845,000,000 |
工具、器具及び備品(純額) | 886,000,000 |
土地 | 3,064,000,000 |