財務諸表
CoverPage
提出書類、表紙 | 有価証券報告書 |
提出日、表紙 | 2025-06-25 |
英訳名、表紙 | Takeda Pharmaceutical Company Limited |
代表者の役職氏名、表紙 | 代表取締役社長CEO クリストフ ウェバー |
本店の所在の場所、表紙 | 大阪府大阪市中央区道修町四丁目1番1号(上記は登記上の本店所在地で実際の業務は「最寄りの連絡場所」で行っております。 ) |
電話番号、本店の所在の場所、表紙 | 該当なし |
様式、DEI | 第三号様式 |
会計基準、DEI | IFRS |
連結決算の有無、DEI | true |
当会計期間の種類、DEI | FY |
corp
沿革 | 2 【沿革】 天明元年(1781年)6月当社創業、薬種商を開業明治4年(1871年)5月洋薬の輸入買付を開始大正3年(1914年)8月武田研究部を設置大正4年(1915年)10月武田製薬所(現・大阪工場)を開設大正10年(1921年)8月大五製薬合資会社(1946年6月に日本製薬株式会社に社名を変更、2024年7月に売却)を設立大正11年(1922年)6月武田化学薬品株式会社(1947年10月に和光純薬工業株式会社に社名を変更、2017年4月に売却)を設立大正14年(1925年)1月株式会社武田長兵衛商店を設立昭和18年(1943年)8月武田薬品工業株式会社に社名変更昭和21年(1946年)5月光工場(山口県)を開設昭和24年(1949年)5月東京証券取引所および大阪証券取引所に株式を上場昭和37年(1962年)8月台湾に台湾武田 Ltd.(現・連結子会社)を設立昭和59年(1984年)4月大阪・東京両本社制を敷く昭和60年(1985年)5月米国にアボット・ラボラトリーズ社との合弁会社であるTAPファーマシューティカルズ株式会社(2008年4月に事業再編により100%子会社化し、同年6月に現・連結子会社の武田ファーマシューティカルズU.S.A., Inc.と合併)を設立昭和63年(1988年)1月筑波研究所(茨城県)を開設(2011年2月に湘南研究所(神奈川県)に統合)平成4年(1992年)1月本店を大阪市中央区道修町四丁目1番1号(現在地)に移転平成5年(1993年)3月米国にタケダ・アメリカ株式会社(2001年7月に武田アメリカ・ホールディングス株式会社他と合併し武田アメリカ・ホールディングス株式会社に社名変更、2016年3月に武田ファーマシューティカルズU.S.A., Inc.(現・連結子会社)と合併)を設立平成9年(1997年)10月米国に武田アメリカ研究開発センター株式会社(現・連結子会社、米州武田開発センター Inc.)を設立 平成9年(1997年)10月アイルランドに武田アイルランド Limited(現・連結子会社)を設立平成9年(1997年)12月米国に武田アメリカ・ホールディングス株式会社(2001年7月にタケダ・アメリカ株式会社と合併)を設立平成10年(1998年)5月米国に武田ファーマシューティカルズ・アメリカ株式会社(現・連結子会社、武田ファーマシューティカルズU.S.A., Inc.)を設立平成10年(1998年)9月英国に武田欧州研究開発センター株式会社(現・連結子会社、欧州武田開発センター Ltd.)を設立平成17年(2005年)3月米国のシリックス株式会社(武田カリフォルニア Inc.に社名変更後、2021年7月に米州武田開発センター Inc.(現・連結子会社)と合併)を買収平成17年(2005年)4月生活環境事業を営む日本エンバイロケミカルズ株式会社の株式を大阪ガス株式会社の子会社である大阪ガスケミカル株式会社に譲渡平成17年(2005年)6月動物用医薬品事業を営む武田シェリング・プラウ アニマルヘルス株式会社の株式をシェリング・プラウ株式会社に譲渡平成18年(2006年)1月ビタミン事業を営むBASF武田ビタミン株式会社の株式をBASFジャパン株式会社に譲渡平成18年(2006年)4月化学品事業を営む三井武田ケミカル株式会社の株式を三井化学株式会社に譲渡平成18年(2006年)8月英国に武田ファーマシューティカルズ・ヨーロッパ Limited(2018年7月に清算)を設立平成19年(2007年)4月食品事業を営む武田キリン食品株式会社の株式を麒麟麦酒株式会社に譲渡平成19年(2007年)10月飲料・食品事業を営むハウスウェルネスフーズ株式会社の株式をハウス食品株式会社に譲渡平成19年(2007年)10月農薬事業を営む住化武田農薬株式会社の株式を住友化学株式会社に譲渡平成20年(2008年)3月米国アムジェン社の日本における子会社のアムジェン株式会社(2014年4月に当社に全事業を譲渡し、同年9月に清算)を買収 平成20年(2008年)5月株式の公開買付けにより、米国のミレニアム・ファーマシューティカルズ Inc. (現・連結子会社)を買収平成20年(2008年)9月シンガポールに武田クリニカル・リサーチ・シンガポール株式会社(現・連結子会社、アジア武田開発センター Pte. Ltd.)を設立平成23年(2011年)2月湘南研究所(神奈川県)を開設平成23年(2011年)9月スイスのナイコメッド A/S(現・連結子会社、武田 A/S(清算予定))を買収平成24年(2012年)6月米国のURLファーマ Inc.を買収し、主要事業については、2012年10月に武田ファーマシューティカルズU.S.A., Inc.に統合し、その他の事業については、2013年2月に売却平成24年(2012年)10月米国のリゴサイト・ファーマシューティカルズ Inc. (現・連結子会社、武田ワクチン Inc.)を買収平成24年(2012年)11月米国のエンボイ・セラピューティクス Inc.を買収し、2013年12月に武田カリフォルニア Inc. (2021年7月に米州武田開発センター Inc.(現・連結子会社)と合併)と合併平成25年(2013年)5月米国のインビラージェン Inc.(2013年12月に武田ワクチン Inc.(現・連結子会社)と合併)を買収平成27年(2015年)4月化成品事業を営む水澤化学工業株式会社の株式を大阪ガスケミカル株式会社に譲渡平成28年(2016年)4月日本の長期収載品事業を、イスラエルのTeva Pharmaceutical Industries Ltd.の日本における連結子会社に会社分割により承継し、テバ製薬株式会社(2016年10月に武田テバファーマ株式会社に社名変更後、2025年3月に売却)の株式を取得平成29年(2017年)2月株式の公開買付けにより、米国のアリアド・ファーマシューティカルズ Inc.(2025年1月に武田ファーマシューティカルズU.S.A., Inc.(現・連結子会社)と合併)を買収平成29年(2017年)4月試薬事業、化成品事業および臨床検査薬事業を営む和光純薬工業株式会社の株式を富士フイルム株式会社に譲渡平成30年(2018年)4月湘南ヘルスイノベーションパーク(略称:湘南アイパーク)(神奈川県)を開設(湘南研究所から呼称変更、2023年4月に産業ファンド投資法人および三菱商事株式会社に運営事業を譲渡し、持分法適用関連会社化)平成30年(2018年)6月株式等の公開買付けにより、ベルギーのTiGenix NV(2020年3月に清算)を買収平成30年(2018年)7月武田グローバル本社(東京都中央区)を開設平成30年(2018年)12月ニューヨーク証券取引所に当社米国預託証券を上場平成31年(2019年)1月スキーム・オブ・アレンジメントにより、Shire plc.(Shire Limitedに社名変更後、2024年3月に清算)を買収令和3年(2021年)3月武田コンシューマーヘルスケア株式会社(現・アリナミン製薬株式会社)の株式をBlackstoneに譲渡令和4年(2022年)10月日本製薬株式会社(2024年7月に売却)の大阪工場を除く血漿分画製剤事業を当社が会社分割により承継令和5年(2023年)2月免疫介在性疾患領域における後期開発パイプラインを有するNimbus Lakshmi, Inc.の全株式を取得令和6年(2024年)7月日本製薬株式会社の株式をアリナミン製薬株式会社に譲渡令和7年(2025年)3月武田テバファーマ株式会社の株式をTeva Pharmaceutical Industries Ltd.に譲渡 |
事業の内容 | 3 【事業の内容】 当社グループは連結財務諸表提出会社(「当社」)と連結子会社(パートナーシップを含む)158社、持分法適用関連会社等15社を合わせた174社により構成されています。 当社グループは、幅広い医薬品のポートフォリオを有し、研究、開発、製造およびグローバルでの販売を行なっています。 主要ビジネスエリアは、消化器系疾患、希少疾患、血漿分画製剤、オンコロジー(がん)、ワクチン、およびニューロサイエンス(神経精神疾患)の6つに分けられています。 研究開発においては、消化器系・炎症性疾患、ニューロサイエンス、およびオンコロジーの3つの重点疾患領域に取り組むとともに、血漿分画製剤にも注力しています。 当社グループは、研究開発能力の強化ならびにパートナーシップを推し進め、強固かつ多様なモダリティ(創薬手法)のパイプラインを構築することにより、革新的な医薬品を開発し、人々の人生を豊かにする新たな治療選択肢をお届けします。 当社グループは、患者さんやコミュニティに高品質の医薬品をできる限り早くお届けするために、希少疾患および有病率がより高い疾患のいずれにおいても、未だ有効な治療法が確立されていない疾患に対する高い医療ニーズ(アンメット・メディカル・ニーズ)に集中して取り組んでいます。 また、当社グループは事業運営をより効果的かつ効率的に行うため、データ、デジタルおよびテクノロジーの活用を促進し、イノベーションの創出の増進およびステークホルダーへの価値提供に取り組んでいます。 当年度末における、当社グループを構成している主要な会社の当該事業に係る位置付けの概要は次のとおりです。 なお、当社グループは、「医薬品事業」の単一セグメントのため、セグメント情報の記載を省略しています。 日本においては、当社が研究開発、製造および販売を行っています。 日本を除くその他の地域においては、各国に展開している子会社・関連会社等が研究開発、製造および販売機能を担っています。 これらのうち米国における主要な子会社は武田ファーマシューティカルズ U.S.A., Inc.、バクスアルタUS Inc.、米州武田開発センター Inc.等であり、欧州およびカナダにおいては、武田ファーマシューティカルズ・インターナショナル AG、武田 GmbH等です。 またその他の地域における主要な子会社は武田(中国)国際貿易有限公司、武田 Distribuidora Ltda.等であります。 (注)関連会社等には、ジョイント・ベンチャー(共同支配企業)を含んでおります。 以上で述べた事項の概要図は次のとおりであります。 |
関係会社の状況 | 4 【関係会社の状況】 (連結子会社(パートナーシップを含む))2025年3月31日現在地域名称住所資本金又は出資金主要な事業の内容議決権の所有割合関係内容直接所有(%)間接所有(%)合計(%)役員の兼任資金援助営業上の取引その他米 国武田ファーマシューティカルズU.S.A., Inc.(※)米国マサチューセッツ州ケンブリッジ21米国ドル医薬品事業72.727.3100.0-有当社が医薬品を販売当社が資金を貸付当社が家賃等の支払を保証武田ワクチン Inc.米国マサチューセッツ州ケンブリッジ1米国ドル医薬品事業-100.0100.0----米州武田開発センター Inc.米国マサチューセッツ州ケンブリッジ1米国ドル医薬品事業-100.0100.0--当社が医薬品の開発・許可取得を委託-バクスアルタ Incorporated米国イリノイ州バンノックバーン10米国ドル医薬品事業-100.0100.0---当社が社債の償還を保証ダイアックス Corp.(※)米国マサチューセッツ州レキシントン215米国ドル医薬品事業-100.0100.0-有-当社が資金を貸付武田ベンチャー投資 Inc.米国マサチューセッツ州ケンブリッジ2米国ドル医薬品事業-100.0100.0有---バクスアルタUS Inc.(※)米国イリノイ州バンノックバーン1米国ドル医薬品事業-100.0100.0--当社が医薬品を仕入-シャイアー・ヒューマン・ジェネティック・セラピーズ Inc.(※)米国マサチューセッツ州レキシントン10米国ドル医薬品事業-100.0100.0----バイオライフ・プラズマ・サービシズ LP米国イリノイ州バンノックバーン0米国ドル医薬品事業-100.0100.0----武田マニュファクチャリングU.S.A., Inc.米国マサチューセッツ州ケンブリッジ9千米国ドル医薬品事業-100.0100.0----武田ファーマシューティカルズアメリカ Inc. (※)米国マサチューセッツ州ケンブリッジ0米国ドル医薬品事業-100.0100.0----欧州およびカナダ武田ファーマシューティカルズ・インターナショナル AG (※)スイスオプフィコン5百万ユーロ医薬品事業100.0-100.0--当社が医薬品の製造を委託当社が資金を借入武田 GmbHドイツコンスタンツ11百万ユーロ医薬品事業-100.0100.0----武田イタリア S.p.A.イタリアローマ11百万ユーロ医薬品事業-100.0100.0----武田オーストリア GmbHオーストリアリンツ15百万ユーロ医薬品事業-100.0100.0--当社が医薬品を販売-武田フランス S.A.S.フランスパリ3百万ユーロ医薬品事業-100.0100.0----英国武田 Limited英国ロンドン50百万英国ポンド医薬品事業-100.0100.0--- -武田アイルランドLimitedアイルランドキルダリー396百万ユーロ医薬品事業100.0-100.0--当社が医薬品の製造を委託-シャイアー・アクイジションズ・インベストメンツ・アイルランドDesignated Activity Companyアイルランドダブリン20米国ドル医薬品事業100.0-100.0---当社が社債の償還を保証シャイアー・アイルランド・ファイナンス・トレーディング Limited(※)アイルランドダブリン3,613百万米国ドル医薬品事業100.0-100.0---当社が資金を借入武田カナダ Inc.カナダトロント41百万カナダドル医薬品事業-100.0100.0----武田 Farmaceutica Espana S.A.スペインマドリード2百万ユーロ医薬品事業-100.0100.0----武田マニュファクチャリング・オーストリア AGオーストリアウィーン100千ユーロ医薬品事業-100.0100.0----バクスアルタ・マニュファクチャリング S.à r.l.スイスヌーシャテル3百万スイスフラン医薬品事業30.569.5100.0---- 地域名称住所資本金又は出資金主要な事業の内容議決権の所有割合関係内容直接所有(%)間接所有(%)合計(%)役員の兼任資金援助営業上の取引その他欧州およびカナダバクスアルタ・イノベーションズ GmbHオーストリアウィーン36百万ユーロ医薬品事業-100.0100.0---当社がリース料の支払を保証武田 Pharma ABスウェーデンストックホルム2百万スウェーデンクローナ医薬品事業-100.0100.0----武田 Pharma AGスイスオプフィコン550千スイス フラン医薬品事業-100.0100.0----武田オランダ B.V.オランダホーフトドルプ5百万ユーロ医薬品事業-100.0100.0----バクスアルタ・ベルギー・マニュファクチャリング S.A.ベルギーレシーヌ202百万ユーロ医薬品事業-100.0100.0----ロシア/CIS武田ファーマシューティカルズ LimitedLiability Companyロシアモスクワ126千ロシアルーブル医薬品事業-100.0100.0----中南米武田 DistribuidoraLtda. ブラジルサンパウロ140百万ブラジルレアル医薬品事業-100.0100.0----武田メキシコ S.A.de C.V.メキシコナウカルパン820百万メキシコペソ医薬品事業-100.0100.0----武田 Pharma Ltda.ブラジルジャグァリウーナ7百万ブラジルレアル医薬品事業-100.0100.0----武田アルゼンチン S.A.アルゼンチンブエノスアイレス853百万アルゼンチンペソ医薬品事業-100.0100.0----中国武田(中国)投資有限公司中国上海192百万米国ドル医薬品事業-100.0100.0---当社が資金を借入武田(中国)国際貿易有限公司中国上海22百万米国ドル医薬品事業-100.0100.0----天津武田薬品有限公司中国天津155百万米国ドル医薬品事業-100.0100.0----武田APACバイオファーマシューティカル リサーチアンドディベロップメント Co., Ltd.中国上海50百万中国元医薬品事業-100.0100.0----アジア武田ファーマシューティカルズ韓国 Co., Ltd.韓国ソウル2,100百万韓国ウォン医薬品事業-100.0100.0----アジア武田開発センター Pte. Ltd.シンガポール5百万シンガポールドル医薬品事業100.0-100.0 - ---武田マニュファクチャリング・シンガポール Pte. Ltd.シンガポール305百万米国ドル医薬品事業-100.0100.0----その他武田 İlaç Sağlık Sanayi Ticaret Limited Şirketiトルコイスタンブール 367百万トルコリラ医薬品事業-100.0100.0---- その他116社 (持分法適用関連会社等) 15社 (注) 1 資本金又は出資金欄には、百万単位以上の会社については百万単位未満を四捨五入した金額を、百万単位未満千単位以上の会社については千単位未満を四捨五入した金額を記載しております。 2 主要な事業の内容欄には、セグメントの名称を記載しております。 3 武田ファーマシューティカルズU.S.A., Inc.については、売上収益(連結会社相互間の内部売上収益を除く)の連結売上収益に占める割合が10%を超えております。 主要な損益情報等 武田ファーマシューティカルズU.S.A., Inc.(百万円) (1) 売上収益2,464,651 (2) 営業利益97,398 (3) 当期利益43,247 (4) 資本合計5,606,285 (5) 資産合計9,360,212 なお、武田ファーマシューティカルズU.S.A., Inc.の数値は、武田ファーマシューティカルズアメリカ Inc.を含む同社の子会社2社を含む連結数値であります。 4 役員の兼任に関する用語は次のとおりです。 兼任・・・当社グループの役員が該当会社の役員である場合5 (※)は特定子会社に該当します。 |
従業員の状況 | 5 【従業員の状況】 (1) 連結会社の状況2025年3月31日現在セグメントの名称従業員数(人)医薬品事業47,455合計47,455 (注) 1 従業員数は臨時従業員を除く正社員の就業人員数であります。 なお、当社は工数換算ベース(※)で従業員数を把握しております。 (※)正社員のうちパートタイム労働者がいる場合、フルタイム労働者に換算して人数を算出しております。 (2) 提出会社の状況2025年3月31日現在従業員数(人)平均年齢(歳)平均勤続年数(年)平均年間給与(千円)4,80843.414.411,038 セグメントの名称従業員数(人)医薬品事業4,808合計4,808 (注) 1 従業員数は臨時従業員を除く正社員の就業人員数であります。 なお、当社は工数換算ベース(※)で従業員数を把握しております。 (※)正社員のうちパートタイム労働者がいる場合、フルタイム労働者に換算して人数を算出しております。 2 平均年間給与は、賞与および基準外賃金を含んでおります。 (3) 労働組合の状況1948年に武田薬工労働組合連合会(1946年各事業場別に組織された単位組合の連合体)が組織されました。 1968年7月に連合会組織を単一化し、武田薬品労働組合と改組いたしました。 2025年3月31日現在総数3,572人の組合員で組織されております。 当社グループの労働組合組織としては、友誼団体として1948年に当社と資本関係・取引関係のある6組合で武田労働組合全国協議会が結成されました。 その後、1969年に武田関連労働組合全国協議会(武全協)に改称、2006年に連合団体として武田友好関係労働組合全国連合会(武全連)を結成、2009年の武全協と武全連の統合(存続組織は武全連)を経て、2025年3月31日現在は当社を含む14の企業内組合(連合会含む)が加盟しております。 上部団体としては、武全連を通じて、連合傘下のUAゼンセンに加盟しております。 なお、労使関係について特記事項はありません。 (4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異 ① 提出会社当年度管理職に占める女性労働者の割合(%)(注1)男性労働者の育児休業取得率(%)(注2)労働者の男女の賃金の差異男性の賃金に対する女性の賃金の割合(%)(注1)(注3)全労働者正規雇用労働者パート・有期労働者2181.577.680.363.3 (注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。 2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。 3.2024年4月1日から2025年3月31日を期間とした平均年間給与(基本給、各種手当、超過労働に対する報酬、賞与等を含み、退職手当と通勤手当を除く)および平均従業員数に基づき算出しております。 当社は同等の役割に対して公平に給与を支払うことを目指しており、一貫した等級構造、信頼できる調査会社による外部調査データ、および年次給与レビュープロセスを通じてこれを実行しております。 女性労働者の平均賃金が男性労働者より低い理由は、主として上級職における女性労働者数が少ないことによるものです。 当社では管理職やその他の上級職の女性の割合を増やすための取り組みと行動計画を策定しており、これにより長期的には賃金の差異が縮小することを見込んでおります。 ② 連結会社当年度管理職に占める女性労働者の割合(%)(注1)43 (注) 1.当社グループ従業員の直属の上司である従業員を管理職に含めております。 契約社員のみを管理する従業員は管理職に含めておりません。 上記指標の定義や計算方法は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)とは異なっております。 |
経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 | 1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 タケダの企業理念と「私たちの約束」当社の企業理念は、当社が誰であるか、何を行うか、どのように行うか、なぜそれが重要なのかというタケダのストーリーを伝えています。 私たちの存在意義は、世界中の人々の健康と輝かしい未来に貢献することにあります。 このため私たちは、「Patient」(すべての患者さんのために)、「People」(ともに働く仲間のために)、「Planet」(いのちを育む地球のために)の約束のもとに、データとテクノロジーの力を活用しながら、革新的な医薬品を創出し続けるという「私たちが目指す未来」(ビジョン)を追求しています。 当社は、「私たちの価値観」(バリュー)に従い、あらゆるステークホルダーのことを考慮した上で意思決定を行っており、患者さん、株主、社会に対する長期的な価値を創造し、従業員、関わる地域コミュニティ、私たちが暮らす地球に対して良い影響を提供し続けることができるよう努めています。 事業環境現在の地政学的な環境は、世界的な緊張の高まりと分極化が進む状態にあります。 このような状況を背景に、保護主義や貿易紛争が拡大し、世界貿易に圧力をかけるとともに、供給網に影響を及ぼし、世界経済の先行きに不確実性をもたらしています。 当社のバリューチェーンは米国、欧州、日本およびシンガポールを中心に構築されており、特に米中間の貿易摩擦の影響を抑える役割を果たしています。 また、当社は、患者さんに悪影響を与える懸念がある貿易障壁について、ヘルスケア製品を対象から除外するよう提言しています。 現在、バイオ医薬品業界が直面している最大の課題は、増大する需要に対して医療財源が不足していることにあります。 この課題は、欧州や日本において価格圧力を増大させるだけでなく、市場成長を抑制する要因ともなっています。 米国のインフレ抑制法の導入は、医療費の個人負担の予測可能性の向上など、メディケア受給者に利点をもたらした一方、政府によるかつてない薬価交渉制度の設立は、製薬企業による米国内における研究開発投資を減速させる可能性があります。 当社では、がん免疫療法や細胞療法、遺伝子治療などの医療技術の探求に加え、近年急速に普及しているテクノロジーや人工知能(AI)の活用を通じて、イノベーションのスピードをさらに加速させています。 また、これらのテクノロジーとAIは、将来的に当社の生産性を向上させるだけでなく、今後も続くと想定される価格圧力に対処する手段としても大きな役割を果たすと考えています。 このように困難で急速に変化する外部環境の中において、当社の患者さんへのコミットメントと、患者さんをサポートするための取り組みは、これまで以上に重要になっています。 Patient(すべての患者さんのために)当社の研究開発は、3つの重点疾患領域(消化器系・炎症性疾患、ニューロサイエンス、およびオンコロジー)における希少疾患とより有病率が高い疾患において、サイエンスにより、患者さんの人生を根本的に変え得るような非常に革新性が高い医薬品を創製することに注力しています。 研究開発プログラムの優先順位付けは、アンメット・メディカル・ニーズ、科学的なバリデーション、開発プロセスの迅速化、および市場機会に基づいて行っています。 また、パイプラインの開発加速から、製造工程における品質と効率性の向上、医療従事者や患者さんの対応に至るまで、データ、デジタルおよびテクノロジー(「DD&T」)とAIをバリューチェーンにわたって活用しています。 当社の2030年以降の持続的な成長は、後期開発段階のパイプラインに支えられる見込みです。 2026年3月期(2025年度)の開始時点で、6つの臨床第3相開発プログラムを有しています。 そのうちの最初のプログラムであるrusfertideは、2025年3月に良好な臨床第3相試験のデータを得ました。 また、oveporextonのナルコレプシータイプ1、zasocitinibの乾癬に対する臨床第3相試験のデータ読み出しも、2025年末までに予定しています。 これら3つのプログラムの承認申請は、2025年度から2026年度に実施できる見込みです。 また、2027年度から2029年度にかけて、後期開発プログラムに係る追加の5つの承認申請も見込まれています。 主要な研究開発活動の内容および進捗の詳細については、「6 研究開発活動」をご参照ください。 DD&Tは、医薬品開発のプロセスにおいて、ますます重要な役割を担っています。 例えば、現在では、匿名化された大規模な患者データベースに照合することで、臨床試験プロトコルを検証し、より効果的な被験者募集方法を評価することが可能となりました。 タケダの成長製品・新製品は、患者さんやコミュニティに価値を提供し続けています。 当社の売上高トップの製品であるENTYVIO(国内製品名:エンタイビオ)の成長は、米国における皮下注射製剤の上市が寄与しています。 ENTYVIO Penは中等症から重症の活動期潰瘍性大腸炎およびクローン病を対象としており、世界50カ国以上において患者さんに治療の柔軟性や選択肢を提供しています。 当社は患者さんを最優先に考え、医薬品の研究開発から製造、販売に至るまで、医療アクセスと公平性の観点を事業に取り入れており、価値に基づいた段階的な価格設定や患者さんのための支援プログラムを提供しています。 また、世界中の地域コミュニティや政府と協力し、地域の医療システムの強化にも取り組んでいます。 また、デング熱ワクチンQDENGAのグローバル展開にも注力しています。 QDENGAは、本ワクチンの需要が最も高い多くの流行国を含め、今や世界約30カ国で接種できるようになりました。 特に低所得国や中所得国でのアクセス向上を重視しており、これらの地域での普及促進に力を入れています。 当社は現在、生産拡大とともに、デング熱感染率の上昇に対抗するためQDENGAを必要とする世界中のコミュニティと連携することに取り組んでいます。 当社は、2030年までに年間1億回接種分のQDENGAの供給目標を達成するため、インドのBiological E社と提携契約を締結しました。 ドイツのジンゲンにある当社工場のワクチン製造能力を補完する本契約により、同社は、年間最大5,000万回接種分を製造する予定です。 People(ともに働く仲間のために)当社は、科学技術がどれほど進歩しても、知識を核とした「人」の力が会社を支えることを認識しています。 当社は、あらゆる種類の差別を排除し、多様性と包括性を推進する職場環境を整備しています。 また、従業員の生涯学習とキャリア成長を支援し、心身の健康維持(ウェルビーイング)を推進しています。 このようなアプローチが、人々の暮らしを豊かにする治療法を創出する能力の向上につながると考えています。 生涯学習とキャリア成長は従業員のやる気や専門性を高め、新しい発想につながり、結果的に患者さんへの価値創造につながります。 当社は、従業員のスキルアップやケイパビリティを開発し、持続的な成長に向けて、機動的で柔軟な組織を構築しています。 また、AIは、人材開発へのアプローチをも変革しています。 Career Navigatorのプラットフォームは、従業員が個々のキャリアパスを描くことを可能とし、AIを活用して社内の募集職種やメンターシップ、学習機会に関する情報を個別化することで、従業員が可能性を最大限に発揮できるよう支援しています。 さらに、AIによるコーチングやロールプレイを通じて、従業員がリスクのない環境下で新しいスキルを実践できるよう支援しています。 当社は、事業の将来性をより確かなものとするため、従業員のデジタル活用能力をさらに向上させる必要があると考えています。 2024年7月には、新たなデジタルデクステリティ(デジタル技術を迅速に習得し、効果的に活用する能力)の最初の重要なステップとして、当社の学習プラットフォームにおいてEveryday AI Learningを立ち上げました。 Everyday AI Learningは、AIおよび生成AIに必要なスキルを育成するためのプラットフォームです。 また、当社では、生涯学習への取り組みを全社的に推進しています。 例えば、製造部門および品質部門においては、従業員は毎月3時間をスキルの向上やスキルの再習得のために利用することができます。 この時間は、必須のトレーニングや業務に関連したトレーニングの時間とは別に提供されています。 当社は、グローバルなバイオ医薬品企業として、世界中の従業員と患者さんの多様性を認識し受け入れるとともに、この強みを活かしてイノベーションを推進し続けています。 当社は、従業員が目標に向かって前進、成長し、可能性を最大限に発揮できるようウェルビーイングの向上に取り組んでいます。 当社のグローバルなウェルビーイングプログラムは、精神的、身体的、社会的、経済的な側面を取り入れています。 当社の全従業員はThrive Globalプログラムにアクセスし、睡眠、栄養、運動といったウェルビーイングの要素を管理することができます。 また、この1年間において、ウェルビーイングの取り組みを強化するためにさらなる施策を講じました。 この一環として、従業員支援プログラムをより多くの国に拡大させ、全ての従業員が同じ福利厚生や支援を利用できるようになりました。 当社は、職場における安全確保に取り組んでおり、製造拠点においては重大な傷害や死亡事故防止に焦点を当てた安全文化を醸成しています。 リスク評価プロセスでは、事案につながる可能性のあった活動や体系的な安全プログラムの課題を特定しています。 また、四半期毎に製造ネットワーク全体で「Lessons Learned(教訓)」イベントを開催し、発生した可能性のあった事案を紹介し、再発防止策について議論しています。 Planet(いのちを育む地球のために)当社は、「私たちの存在意義」(パーパス)に基づき、地球環境を損なうことのないよう事業を展開しています。 公衆衛生は地球環境と密接に関連しており、気温の上昇に伴い、感染症は増加し、影響を受ける地域の患者さんの医療アクセスに係る困難な課題も増加する可能性があります。 当社は、環境課題に対する高い意識を持って積極的に取り組んでいます。 「私たちの存在意義」(パーパス)を実現するためには、人々の健康には健全な地球環境が必要であり、人々の健康に貢献するだけでは充分ではないと考えています。 当社では、環境負荷を低減するためにクリーンエネルギーを優先的に使用するだけでなく、ネットゼロの達成およびバリューチェーン全体で温室効果ガス排出を無くすべく、ネットゼロのロードマップを進めるための取り組みに注力するとともに、バリューチェーンを超えた自然の力を活かした炭素除去プロジェクトへの投資を継続しています。 当社は、2035年度までに当社の事業活動における温室効果ガス排出量を、2040年度までにバリューチェーン全体における温室効果ガス排出量をネットゼロにすることを目指しており、短期、長期を含めた目標について、SBTi(科学的根拠に基づく目標イニシアチブ)の認証を取得しました。 当社は、温室効果ガス排出量削減の目標に向けて、着実に進展を続けています。 例えば、最近、デング熱ワクチンを製造するドイツのジンゲンにある製造施設でバイオマス熱プラントの稼働を成功裏に開始したことを発表しました。 この新しいバイオマスボイラーは、現在使用されているガスの多くを廃木材に置き換えることを目指しており、CO2排出量を最大80%削減することが期待されています。 また、当社は製品の設計や開発にライフサイクルの視点を取り入れることで、バリューチェーン全体で環境負荷を最小限に抑えることを目指しています。 さらに、天然資源保全プログラムにおいては、気候変動以外の環境負荷の低減を目指す活動として水の保全、責任ある廃棄物処理、生物多様性保全などに取り組んでいます。 DD&Tは、当社の環境への取り組みを支える重要な要素でもあります。 大阪工場では、水使用の各箇所にセンサーやモニターを設置、データを解析して水の使用量を最適化する方法を検討、成功事例を標準化することで、年間45万リットルの蒸留水の使用量を削減し、年間200万リットル以上の水道水の使用量を削減しました。 同様のプロジェクトとして、電力消費量の削減や太陽光やその他のグリーンエネルギーの利用拡大にも取り組んでいます。 財務展望当社は、持続的な成長と長期的な価値創造を支える確固たる財務基盤を有しており、強固な枠組みのもと、戦略的な取り組みを柔軟に推進し、価値ある成果を生み出すことが可能となっています。 タケダの成長製品・新製品*は、中長期的に売上成長を牽引していく上で非常に重要であり、人々の暮らしを豊かにする治療法の発見や開発へのさらなる投資を支える役割を果たすものと期待しています。 これら製品の力強い持続的な売上成長は、差し迫る医療課題に対応し、世界中の患者さんに深い恩恵をもたらす革新的な治療法を推進させることを可能にします。 当社は、このようなビジョンを実現するため、組織の機動性を向上させるとともに、DD&TやAIを活用しながら全社的な効率化プログラムにも取り組んでいます。 中長期的には、当社はCore営業利益率を30%台前半から半ばまでに引き上げることを目指しており、潤沢なキャッシュ・フローを維持してまいります。 また、当社は、売上成長を実現し事業運営の卓越性をさらに強化するため取り組むとともに、人生を変え得る治療法の発見や開発に対する長期的なコミットメントを堅持しています。 研究開発投資は、価値創造を追求する上で重要な投資であり、6つの後期開発パイプラインはグローバルで、合計100億~200億米ドルのピーク時売上収益に達する可能性**を秘めています。 これら後期開発プログラムを2030年までに上市し成功を収めることは、持続的な成長と現金の創出に大きく貢献することにつながります。 当社は、重要なフェーズにある開発を着実に進め、これらのプログラムを市場に投入してまいりますが、投資資本に対する魅力的なリターンを実現することについても引き続き注力してまいります。 当社は、革新的な治療法の発見と開発に対する戦略的かつ規律ある投資を通じて、社会やすべてのステークホルダーに対して価値を創出していくことを目指しています。 後期開発パイプラインを成功裏に上市させることとあわせ、事業運営の卓越性を引き続き高めることで、株主資本利益率やその他の財務指標、さらには企業価値の向上につなげてまいります。 * タケダの成長製品・新製品(2025年度)消化器系疾患:ENTYVIO、EOHILIA希少疾患:タクザイロ、リブテンシティ、アジンマ血漿分画製剤:GAMMAGARD LIQUID/KIOVIG、ハイキュービア、キュービトルを含む免疫グロブリン製剤、 HUMAN ALBUMIN、FLEXBUMINを含むアルブミン製剤オンコロジー:アルンブリグ、FRUZAQLAワクチン:QDENGA ** ピーク時売上収益の範囲は、技術的及び規制上の成功確率を考慮して調整されていない推定値であり、予想または目標とみなされるべきではありません。 ピーク時売上収益の範囲は、将来起こりうるとは限らないさまざまな商業的シナリオについての当社の評価に基づきます。 [主要製品一覧]消化器系疾患領域における主要製品は以下の通りです。 ・ENTYVIO(ベドリズマブ):ENTYVIO(国内製品名:エンタイビオ)は、中等症から重症の潰瘍性大腸炎・クローン病に対する治療剤です。 ENTYVIOは、2014年に米国および欧州において発売以来、売上が伸長しており、2025年3月期の当社グループの売上トップ製品でした。 現在、ENTYVIOは世界70カ国以上で承認され、皮下注射製剤は米国、欧州および日本において承認されました。 当社は本剤の可能性を最大化するため、その他の国においても本剤の承認取得を進め、さらなる適応症の開発を行ってまいります。 2025年3月期におけるENTYVIOの売上収益は9,141億円となりました。 ・EOHILIA(ブデソニド経口懸濁液):EOHILIAは好酸球性食道炎(EoE)の治療薬で、コルチコステロイド薬です。 米国食品医薬品局(FDA)による承認を受けた初めてかつ唯一の11歳以上のEoE患者さんへの12週間の投与を適応とする 経口治療薬です。 2024年2月に米国FDAによる承認取得後上市しました。 2025年3月期におけるEOHILIAの売上収益は55億円となりました。 ・タケキャブ/VOCINTI(ボノプラザンフマル酸塩):酸関連疾患の治療剤タケキャブは、2015年に日本で発売され、逆流性食道炎や低用量アスピリン投与時における胃潰瘍・十二指腸潰瘍の再発抑制などの効能により飛躍的な成長を遂げました。 タケキャブ(中国の製品名:VOCINTI)は、2019年に胃食道逆流症の治療剤として中国で承認されました。 2025年3月期におけるタケキャブ/VOCINTIの売上収益は1,308億円となりました。 ・GATTEX/レベスティブ(テデュグルチド[DNA組換え型]):非経口(静脈栄養)サポートを必要とする短腸症候群(SBS)の治療薬です。 成人用および小児用の効能を有するGATTEX/レベスティブが米国、欧州、日本において承認されました。 2025年3月期におけるGATTEX/レベスティブの売上収益は1,463億円となりました。 希少疾患領域における主要製品は以下の通りです。 ・タクザイロ(ラナデルマブ):タクザイロは、遺伝性血管性浮腫(HAE)の発作予防に用いられます。 タクザイロは、HAEの患者さんにおいて慢性的に制御不能な酵素である血漿カリクレインに選択的に結合し、減少させる完全ヒト型モノクローナル抗体です。 タクザイロは(12歳以上の患者さんへの適応として)2018年に米国と欧州にて、2020年に中国にて、2022年に日本にて承認され、さらなる地理的拡大を目指しています。 2023年に、2歳以上の小児患者さんに対する治療薬として、FDAおよび欧州委員会の承認を取得しました。 また、2025年2月に、12歳以上の遺伝性血管性浮腫患者さんへの皮下投与用のタクザイロの追加の選択肢である2mLのプレフィルドペンが欧州医薬品庁(EMA)から承認されました。 2025年3月期におけるタクザイロの売上収益は2,232億円となりました。 ・リブテンシティ (maribavir):リブテンシティは、成人患者さんと小児患者さん(12歳以上で体重35 kg以上)に対する、ガンシクロビル、バルガンシクロビル、ホスカルネット、またはシドフォビルに対して遺伝子型抵抗性(無しも含みます)を示す難治性の移植後サイトメガロウイルス(CMV)感染/感染症治療薬であり、2021年12月に米国において発売され、2022年11月に欧州、2023年12月に中国において承認されました。 リブテンシティは、高いアンメット・メディカル・ニーズによる順調な市場浸透、急速なエリア拡大、迅速なマーケットアクセスにより、上市後も好調な業績となりました。 2025年3月期におけるリブテンシティの売上収益は330億円となりました。 ・アジンマ(遺伝子組換え ADAMTS13-krhn):アジンマは先天性血栓性血小板減少性紫斑病(cTTP)の成人および小児患者さんの予防的治療薬ならびに酵素補充療法であり、欠乏したADAMTS13酵素を補充することによりcTTP患者のアンメット・メディカル・ニーズに対応するFDAに承認された初めてかつ唯一の遺伝子組換えADAMTS13(rADAMTS13)です。 また、アジンマ(一般名: アパダムターゼ アルファ(遺伝子組換え)/シナキサダムターゼ アルファ(遺伝子組換え))が、日本においては12歳以上の患者さん、欧州(EMA市場)においてはすべての年齢層の患者さんを対象としたcTTP治療薬として承認されました。 2025年3月期におけるアジンマの売上収益は71億円となりました。 ・エラプレース(イデュルスルファーゼ):エラプレースは、ハンター症候群(ムコ多糖症II型またはMPS II)に対する酵素補充治療薬です。 2025年3月期におけるエラプレースの売上収益は972億円となりました。 ・リプレガル(アガルシダーゼ アルファ):リプレガルは、ファブリー病に対して米国以外の市場で販売され、2020年に中国でも承認された酵素補充療法治療薬です。 当社は、2022年2月に大日本住友製薬株式会社から「リプレガル」の日本における製造販売承認を承継し、同剤の販売の移管を受けました。 ファブリー病は、脂肪の分解に関与するリソソーム酵素α-ガラクトシダーゼAの活性の欠如に起因する遺伝子性の希少疾患です。 2025年3月期におけるリプレガルの売上収益は779億円となりました。 ・アドベイト(抗血友病因子(遺伝子組換え型)):アドベイトは、血友病A(血液凝固第Ⅷ因子欠乏)の治療薬であり、出血の制御と予防、周術期管理および出血の頻度を予防または軽減するために行う定期補充療法に使用されます。 2025年3月期におけるアドベイトの売上収益は1,118億円となりました。 ・アディノベイト/ADYNOVI(抗血友病因子(遺伝子組換え型) [PEG化]):アディノベイト/ADYNOVIは、血友病A治療薬であり、遺伝子組換え型半減期延長第Ⅷ因子製剤です。 アディノベイト/ADYNOVIは遺伝子組換え型半減期延長第Ⅷ因子製剤アドベイトと同じ製造工程で作られ、当社がネクター社より独占的にライセンス取得しているPEG化(体内での循環時間を延長し、投与頻度を減らすための化学修飾処理)技術を追加したものです。 2025年3月期におけるアディノベイト/ADYNOVIの売上収益は646億円となりました。 ・ビプリブ(ベラグルセラーゼアルファ点滴静注用):ビプリブはI型ゴーシェ病に対する長期酵素補充療法治療剤です。 2025年3月期におけるビプリブの売上収益は535億円となりました。 血漿分画製剤(PDT)領域における主要製品は以下の通りです。 ・GAMMAGARD LIQUID/KIOVIG(静注用人免疫グロブリン10%製剤):GAMMAGARD LIQUIDは、抗体補充療法用免疫グロブリン(以下、「IG」)の液体製剤です。 GAMMAGARD LIQUIDは、原発性免疫不全症(PID)の成人および2歳以上の小児患者さんに対して使用され、静注または皮下注のいずれかの方法で投与します。 また、GAMMAGARD LIQUIDは、成人の多巣性運動ニューロパチー(MMN)患者さんに対しても静注投与にて使用されます。 2024年1月に、米国において、GAMMAGARD LIQUIDが、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)の成人患者さんの治療薬として承認されました。 GAMMAGARD LIQUIDは、米国以外の多くの国で製品名KIOVIGとして販売されています。 KIOVIGは、欧州において、CIDPを含む、複数の適応症への使用が承認されています。 ・ハイキュービア(ヒト免疫グロブリン注射製剤10%):ハイキュービアは、ヒト免疫グロブリン(IG)および遺伝子組換え型ヒトヒアルロニダーゼ(Halozyme社よりライセンス取得)からなる製剤です。 ハイキュービアは、PID患者さんに対して最長で1ヶ月に1回の投与で、1回あたりの注射部位一ヶ所でIGの全治療用量の投与が可能な唯一のIG皮下注用治療薬です。 ハイキュービアは、米国では成人PID患者さんへの使用、欧州においてはPID症候群および骨髄腫患者さんまたは重度の続発性低ガンマグロブリン血症および回帰感染を伴う慢性リンパ性白血病患者さんへの使用、また日本においてはPID患者さんまたは無又は低ガンマグロブリン血症を伴う続発性免疫不全症の患者さんへの使用が承認されております。 2024年1月に、ハイキュービアは、米国において、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)の成人患者さんの再発予防の維持療法として、また、欧州においては、すべての年齢のCIDPの患者さんの維持療法として承認されました。 • キュービトル(ヒト免疫グロブリン皮下注用20%製剤):キュービトルは、原発性体液性免疫不全症の成人および2歳以上の小児患者さんに対する補充療法に用いられます。 キュービトルは、欧州では特定の続発性免疫不全の治療薬としても承認されています。 キュービトルは、プロリン不含で、投与部位1ヶ所あたりの耐用量内で最大60 mL(12g)および1時間あたり60 mLまで投与可能な唯一の20%皮下IG治療薬であり、従来の皮下IG治療薬と比較してより少ない投与部位および短い投与時間での使用が可能です。 2025年3月期におけるGAMMAGARD LIQUID/KIOVIG、ハイキュービア、キュービトルを含む免疫グロブリン製剤の売上収益は7,578億円となりました。 ・FLEXBUMIN(ヒトアルブミンバッグ製剤)およびヒトアルブミン(ガラス瓶製剤):FLEXBUMINおよびヒトアルブミンは、濃度5%および25%の液体製剤として販売されています。 両製品とも、血液量減少症、一般的な原因および火傷による低アルブミン血症、ならびに心肺バイパス手術時のポンプのプライミングに使用されます。 また、FLEXBUMIN 25%製剤は、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)およびネフローゼに関連する低アルブミン血症、ならびに新生児溶血性疾患(HDN)にも適応されます。 2025年3月期におけるFLEXBUMINおよびヒトアルブミン(ガラス瓶製剤入り)を含むアルブミン製剤の売上収益は1,414億円となりました。 オンコロジー領域における主要製品は以下の通りです。 ・アルンブリグ(ブリグチニブ):アルンブリグは、非小細胞肺がん(NSCLC)治療に使用される経口投与の低分子未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)阻害剤であり、クリゾチニブ投与中に進行した、またはクリゾチニブに不耐性を示す患者さんに対する治療薬として、2017年に米国で迅速承認され、2018年にEUにおいて、クリゾチニブの治療歴を有する患者さん向けの販売承認を取得しました。 2020年に米国とEUの両方において、新たにALK陽性転移性NSCLCと診断された患者さんに対する効能が追加されました。 2021年1月に、日本において、ファーストラインおよびセカンドラインの治療薬として承認されました。 また2022年3月に、アルンブリグは中国において承認されました。 2025年3月期におけるアルンブリグの売上収益は364億円となりました。 ・FRUZAQLA(フルキンチニブ):フルオロピリミジン、オキサリプラチン、およびイリノテカンを含む化学療法、抗VEGF療法、および抗EGFR療法(RAS野生型で医学的に適切な場合)の治療歴があるmCRC成人患者に対する治療薬です。 FRUZAQLAは、3種類のVEGF受容体キナーゼすべてに対して選択性を有する内服阻害薬として、米国、欧州、日本のほか、世界中の幾つもの国々で承認されております。 当社は中国本土、香港、マカオ外でのフルキンチニブのグローバル開発、商業化および製造をさらに進めるための独占的ライセンスを有しています。 フルキンチニブは中国ではHUTCHMED社により開発および販売されています。 2025年3月期におけるFRUZAQLAの売上収益は480億円となりました。 ・リュープリン/ENANTONE(リュープロレリン):リュープリン/ENANTONEは、前立腺がんや乳がん、小児の中枢性思春期早発症、子宮内膜症や不妊治療、子宮筋腫による貧血の症状改善に用いられる治療薬です。 リュープロレリンの特許期間は満了していますが、製造の観点から後発品の市場参入は限定的です。 2025年3月期におけるリュープリン/ENANTONEの売上収益は1,193億円となりました。 ・ニンラーロ(イキサゾミブ):ニンラーロは、多発性骨髄腫(MM)治療に対する初めての経口プロテアソーム阻害剤です。 ニンラーロは、再発又は難治性の多発性骨髄腫の効能で、2015年に米国で承認されて以来、2016年に欧州、2017年に日本、2018年に中国で承認されております。 日本においては、多発性骨髄腫の維持療法の治療薬としても承認を受けております。 2025年3月期におけるニンラーロの売上収益は912億円となりました。 ・アドセトリス(ブレンツキシマブ ベドチン):アドセトリスは、ホジキンリンパ腫(HL)および全身性未分化大細胞リンパ腫(sALCL)の治療に使用される抗癌剤で、2020年5月には中国で承認され世界70カ国以上で販売承認を受けております。 当社は、現在Pfizer Inc.の完全子会社であるSeagen, Inc.とアドセトリスを共同開発し、米国およびカナダ以外の国での販売権を保有しています。 2025年3月期におけるアドセトリスの売上収益は1,290億円となりました。 ・アイクルシグ(ポナチニブ塩酸塩):BCR-ABLに作用するチロシンキナーゼ阻害薬であり、慢性骨髄性白血病(CML)とフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病(Ph+ ALL)の治療に適応となります。 2016年に米国において全面的な承認を取得した後、2020年と2024年に米国において適用拡大の承認を取得しました。 当社は米国とオーストラリアにおいて販売権を取得しております。 米国とオーストラリア以外の地域では、認可を受けたパートナー5社により60を超える市場において販売されており、当社はこれらのパートナーから、供給、ロイヤリティおよびマイルストンの支払を受領しており、その水準はパートナーによって異なります。 2025年3月期におけるアイクルシグの売上収益は707億円となりました。 ニューロサイエンス領域における主要製品は以下の通りです。 ・VYVANSE/ELVANSE(リスデキサンフェタミンメシル酸塩):VYVANSE/ELVANSE(国内製品名:ビバンセ)は、6歳以上の注意欠陥・多動性障害(ADHD)患者さんおよび成人の中程度から重度の過食性障害患者さんの治療に用いられる中枢神経刺激剤です。 2023年以降、米国において後発品が市場に参入したことにより、売上は減少しました。 2025年3月期におけるVYVANSE/ELVANSEの売上収益は3,506億円となりました。 ・トリンテリックス(ボルチオキセチン臭化水素酸塩):トリンテリックスは、成人大うつ病性障害の治療に適応される抗うつ薬です。 トリンテリックスはH. Lundbeck A/S社と共同開発し、当社は米国および日本での販売権を保有しており、米国では2014年、また日本では2019年より販売しています。 2025年3月期におけるトリンテリックスの売上収益は1,257億円となりました。 ワクチン領域における主要製品は以下の通りです。 ・QDENGA(4価デング熱ワクチン):QDENGAは4種のワクチンウイルス型すべての遺伝子型の“バックボーン”として弱毒化された生の2型デングウイルスをベースに構築されています。 QDENGAはテング熱流行国および渡航市場を含む29カ国において販売されています。 2025年3月期における QDENGAの売上収益は356億円となりました。 売上収益の地域別内訳は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4 事業セグメントおよび売上収益」をご参照下さい。 |
サステナビリティに関する考え方及び取組 | 2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】 ガバナンス当社の取締役会は、ビジネスリスクおよび財務開示に関連するものを含め、当社の業務運営を監督する責任を有しています。 取締役会は、当社グループの事業戦略、内部統制およびその他の重要事項により集中するため、一定の意思決定権を当社の取締役に委譲しています。 取締役に意思決定権が委譲された事項は、ビジネス&サステナビリティ・コミッティー(「BSC」)およびリスク・エシックス&コンプライアンス・コミッティー(「RECC」)を含む適切な経営幹部レベルの委員会が議論し、意思決定を行います。 BSCは、サステナビリティを含む当社の事業戦略および関連する目標、コミットメントを監督する責任を有しています。 RECCは、重要なリスクに対する緩和策を含む当社のエンタープライズ・リスク・マネジメント(ERM)プログラムおよびグローバル・モニタリング・プログラムに関連する監視および決定事項にかかる責任を有しています。 取締役会は、社長CEO、その他のタケダ・エグゼクティブ・チーム(「TET」)メンバーおよび各経営会議体から定期的に最新情報を入手しています。 チーフ グローバル コーポレート アフェアーズ&サステナビリティ オフィサー(「CGCASO」)は、「Patient すべての患者さんのために」、「People ともに働く仲間のために」および「Planet いのちを育む地球のために」というサステナビリティに係る3つの「私たちの約束」に対して責任を有するTETメンバーと適切に連携し、サステナビリティの取組みを統括しています。 当社では、サステナビリティ/ESG 外部開示コミッティーを設置しており、グローバル サステナビリティ ヘッドが議長を務め、各分野における社内の専門家で構成されています。 同コミッティーは、当社のサステナビリティおよび環境、社会、ガバナンス(ESG)などの情報の適時かつ正確な開示を担保する責任を負っており、サステナビリティに関する義務的開示および主要な任意開示の正確性、一貫性、網羅性を精査、確認しています。 コーポレート・ガバナンス体制の変遷当社のガバナンス体制のさらなる詳細については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要 3. 業務執行に係る事項」をご参照ください。 事業戦略当社のサステナビリティは、経営の在り方そのものです。 当社は、バイオ医薬品企業としての強みと能力を活かして、患者さん、株主の皆様、および社会のための長期的な価値を創造すると同時に、環境への悪影響を最低限に抑えることで、当社の存在意義を果たしていきます。 当社の企業理念はサステナビリティに対する当社のアプローチを示しており、「存在意義(パーパス)」を「目指す未来(ビジョン)」および「価値観(バリュー)」と融合させています。 当社は、パーパスとビジョンを達成するためにどこに注力をするべきか(事業戦略)を「私たちの約束」および「優先事項」で定めています。 私たちの約束は、「Patient すべての患者さんのために」、「People ともに働く仲間のために」、および「Planet いのちを育む地球のために」の大きく3つの柱に分けられており、データやデジタル、テクノロジーを活用しながら実行されています。 これには、当社およびステークホルダーにとって戦略的重要性が高い非財務関連課題の評価(マテリアリティ・アセスメント)の結果が反映されています。 Patient すべての患者さんのために当社は、科学的根拠に基づき、治療の選択肢が限られている、または選択肢のない患者さんをはじめ、すべての人々の人生を根本的に変え得るような医薬品およびワクチンの創出に取り組んでいます。 これは、当社の存在意義(パーパス)の根幹となるものです。 当社の研究開発(R&D)は、主要な疾患領域に焦点を当て、高度に差別化されています。 私たちは、研究所の専門的な研究開発能力、社外とのパートナーシップ、患者団体との連携、健康の公平性への取り組み、およびデータ、デジタル、テクノロジーの活用などを通じて、当社製品を患者さんにお届けしています。 私たちは、患者さんに高品質な医薬品を途絶えることなく供給する責任があることを理解しています。 この責任を果たすために、堅ろうなグローバルサプライチェーンシステムを構築しています。 例えば、戦略上、重要な製品および原薬については、地政学的リスクや自然災害など外的要因によるリスクを軽減し、供給継続性を担保できる調達戦略を有しています。 当社は製品の品質と患者さんの安全を守るために、製品のライフサイクル全体にわたり厳格な品質基準を適用しています。 当社は、外部規制やガイドライン、社内要件およびGxP基準を遵守するとともに、臨床試験から製造、販売に至るまでの各段階で、製品の品質、安全性、有効性を担保しています。 また、市販後調査の実施や規制当局から求められる要件に準拠することで製品の安全性と有効性を担保するとともに、追加的な調査やモニタリングを実施することでさらなる臨床データの収集を行っています。 患者さん、社会および株主の皆様のために価値を創造するためには、治療を必要とする患者さんに、当社の革新的な医薬品およびワクチンを持続可能な形でお届けする必要があります。 そのため、当社では次のことに注力しております。 ・アンメット・メディカル・ニーズ:人生を根本的に変え得るような非常に革新性が高い新製品を患者さんにお届けできるように、グローバルに「タケダの成長製品・新製品」を創出、開発および上市しています。 特に、希少疾患領域では、当社の製品が初めてで且つ唯一の治療薬である場合が多くあります。 ・医薬品のアクセスに関するスピード、対象範囲、価値および持続可能性のバランス:医薬品のアクセスおよび価格戦略において、スピード、対象範囲および持続可能性の最適なバランスの実現を目指しています。 当社は、保険者、医療システムおよび社会に与える価値を反映した価格設定を行っています。 価格に起因するアクセスの障壁を軽減するために、国の経済レベルや医療制度の成熟度などに応じて、国ごとに異なる価格帯を設定しています(ティアード・プライシング)。 また、保険者と連携して価値に基づく契約を締結することで、新薬上市時における臨床成績や財務的影響に関する不確実性に保険者が対処できるようにしています。 また、患者支援プログラムを提供し、患者さんの個々の状況に応じて経済的な支援を行うことで、革新的な医薬品へのアクセスを可能にしています。 ・医療システムの強化および支援を目的としたステークホルダーとの連携:公的セクターや市民社会と連携し、医療システムに内在する当社の医薬品や関連する治療へのアクセスの障壁を特定し、対処しています。 これら取組みにおいては、持続可能な方法で、各国それぞれの優先課題に沿い、地域社会と連携しながら医療システムの強化に努めています。 また、パートナーと連携して患者さんの治療成績を高めるとともに、患者さんや社会により多くのベネフィットをお届けすることができる価値に基づく医療モデルへの転換を支援し、医療システムの変革を促進しています。 当社では、このように医薬品のアクセスを事業戦略に組み込むとともに、研究開発から販売にいたる当社の事業運営において取り組みを進めています。 また、地域主導のアプローチを採用することで、当社の医薬品をお届けするにあたって、各地域における患者さんのニーズに応えるとともに、医療システムにおける特有のアクセス障壁に対処しています。 当社の患者さんに対する取り組みの詳細は、2025年6月30日に当社ウェブサイトに掲載を予定している2025年統合報告書「すべての患者さんのために」をご参照ください。 People ともに働く仲間のために当社は、科学技術がどれほど進歩しても、知識を核とした「人」の力が会社を支えることを認識しています。 私たちの従業員はイノベーションの源泉であり、患者さん、株主、社会のために長期的な価値を創造することを可能にしています。 当社は、人生を根本的に変え得るような医薬品およびワクチンを患者さんや地域社会にお届けするため、人材開発・育成ならびに生涯学習への投資、あらゆる種類の差別を排除し従業員の潜在能力を最大限に引き出す包括性を推進する職場環境の整備、職場において従業員が能力を最大限に発揮できる帰属意識の高い企業文化の醸成に注力しています。 企業文化の醸成と人材の育成当社の企業文化は、価値観によって形作られています。 当社は、法律や規制を順守するだけでなく、常に目的意識と高い倫理的、道徳的基準に基づいて意思決定を行い、それを行動で示すことを重視しています。 グローバル行動基準や新任の上級管理職がタケダの伝統や価値観を学ぶ場であるグローバル・インダクション・フォーラム、そしてロールモデルとなり従業員への価値観の浸透を担うバリュー・アンバサダー制度など様々な仕組みや学習プログラムを通じて、価値観に基づく企業文化の醸成に努めています。 また、当社は、従業員自らが自身の学習およびキャリア成長に責任をもって取り組む生涯学習の文化を重視しています。 生涯学習およびキャリア成長への取り組みは、従業員の職務経験、モチベーションおよび専門性を高め、新しい発想につながり、結果的に患者さんへの価値創造につながります。 当社では、従業員に対して、様々なオンライン学習や対面での学習機会を提供し、必要な知識や学びたい知識を、必要な時に最適な形で習得できるよう、学びをカスタマイズできるようにしています。 従業員の学びとキャリア成長をサポートする取組みの一つは、2024年1月に導入したAIを活用したタレントマーケットプレイス(人材と業務のマッチング)のプラットフォームであるCareer Navigatorの活用です。 Career Navigatorを活用することで、従業員は自身のキャリア形成過程で身につけたいスキルや得たい経験に沿ったキャリア機会を追求することができます。 2025年には、Career Navigatorに短期のプロジェクト機会に関する情報を追加しました。 これにより、当社の事業に貢献しながら、自身のスキルの向上や経験の蓄積を実現することが可能になりました。 また、リスクのない環境下で新しいスキルを実践できる、AIによるコーチングやロールプレイの機会も提供することで、従業員の学びや能力開発をサポートしています。 2025年は、ライブ講義、自己学習、メンター制度、グループ・プロジェクトやディスカッションを組み込んだ一貫した学習体験を、何千人もの従業員に同時に提供できる新しいオンライン・プラットフォームに投資しています。 当社では、生涯学習への取組みを全社的に推進しています。 例えば、製造部門および品質部門においては、従業員は月3時間をスキルの向上やスキルの再習得のために利用することができます。 この時間は、必須のトレーニングや業務に関連したトレーニングの時間とは別に提供されています。 当社では、従業員が自らのキャリア成長を明確化し、その意欲を高める上で極めて重要な役割を担うリーダーの育成を最優先課題として取り組んでいます。 2024年度には、包括的な育成プログラムおよび革新的なチェンジマネジメントツールキットを導入しました。 育成プログラムには、新たに採用した上級管理職や上級管理職に昇進した社員を効果的に受け入れるためのシニアリーダー・インダクション・プログラムと、将来の戦略的役割を担うシニアリーダーの育成を支援する16ヶ月間のタケダ・アスパイア・プログラムが含まれます。 当社では、テクノロジーを業務に組み込み、未来のヘルスケアに対応できる組織にするため、従業員のデジタルスキルやデジタル活用意識の強化に投資しており、自動化プログラムの構築や、個人の生産性向上、生成AIの活用など従業員がデジタル活用能力を向上することができるよう、事業部門や機能全体でスキル向上の機会を提供しています。 2024年7月には、新たなデジタルデクステリティ(デジタル技術を高度に活用する能力・意欲)の最初の重要なステップとして、当社の学習プラットフォームにおいてEveryday AIを立ち上げました。 Everyday AIは、AIおよび生成AIの必要なスキルを育成するためのプラットフォームです。 当社は、革新的な医薬品を創出し患者さんにお届けするという価値観に基づき、デジタルスキルを含め、生涯学習およびキャリア開発を促進する企業文化を醸成することに取り組んでいます。 当社は、グローバルなバイオ医薬品企業として、異なる考え方や経験を尊重するとともに、あらゆる種類の差別を排除し、包括性を推進する職場環境を整備することで、 優秀な人材をグローバルに惹きつけ、育成し、定着を図っています。 当社では、価値観によって形作られた企業文化を醸成することで、従業員一人ひとりが自身の価値を認められ、所属に関係なく、自身の潜在能力を最大限に発揮できるような機会やリソースにアクセスすることができます。 グローバル全体における管理職に占める女性の割合(2025年3月31日時点)TETメンバーに占める女性の割合(2025年6月25日時点)43%56%当社のTETメンバー18名のうち、女性が10名 社内環境整備方針「世界中の人々の健康と、輝かしい未来に貢献する」という当社の存在意義(パーパス)は従業員が心身ともに健康であることを前提に実現されるものです。 当社のウェルビーイングプログラムは、精神面、身体面、社会面、経済面の4つの分野から従業員の心身の健康に焦点を当てています。 当社の全従業員はThrive Globalプログラムにアクセスし、睡眠、栄養、運動といったウェルビーイングの要素を管理することができます。 Thrive Globalプログラムは、ストレスを軽減し生産性を向上させるツールやリソースを提供することで行動変化を促し、ウェルビーイングを改善していくことを目的としたプラットフォームです。 また、この1年間において、ウェルビーイングの取組みを強化するためにさらなる施策を実施しました。 この一環として、従業員支援プログラムをより多くの国に拡大させました。 同プログラムには、電話や現地語による短期カウンセリング、法的・経済的サポートが含まれ、全ての従業員が同じ福利厚生や支援を利用できるようになりました。 ライフ・ワーク・アライメントは従業員が新しいよりフレキシブルな勤務形態に適応する上で最も考慮すべき点であり、顔を合わせて行う協働と在宅勤務を両方取り入れるなど、従業員の能力を最大限に引き出すために多様な働き方を尊重しています。 具体的な勤務形態はチームによって異なりますが、イノベーションを促進するためにオフィスの空間デザインにも工夫を凝らし、従業員のウェルビーイング(心身の健康)とパフォーマンスを向上させ、柔軟性があり、対面でのコミュニケーションの価値を実感できるような環境づくりを行うなど、働き方改革を加速させています。 また、レジリエンス(回復力)のスキルを強化するための学習プログラムを活用し、メンタルヘルスについて話すためのツールをマネージャーに提供しています。 当社は、国連グローバル・コンパクトの署名企業として、バリューチェーンやタケダが貢献する地域社会を含む当社事業のあらゆる場面において、国際的に認められた人権の尊重と推進に力を入れて取り組んでいます。 当社の人材、人材育成と企業文化の醸成、および社内環境整備にかかる方針のさらなる詳細は、2025年6月30日に当社ウェブサイトに掲載を予定している2025年統合報告書「ともに働く仲間のために」をご参照ください。 Planet いのちを育む地球のために当社は、気候変動や環境悪化が患者さんや人々の健康に影響を及ぼすことを理解し、環境の分野において積極的に取り組んでいます。 当社は、事業活動およびバリューチェーン全体における温室効果ガス排出量の最小化、天然資源の保全、ならびに持続可能性に配慮した製品設計および生産に重点を置いて、環境サステナビリティ活動に取り組んでいます。 「Planet」に係る取り組みは、現在、環境サステナビリティの様々な側面に専念した3つのプログラムで構成されています。 •気候変動対策プログラム2035年度までに自社の事業活動に起因する温室効果ガス排出量(スコープ1および2)を、2040年度までにバリューチェーン全体における温室効果ガス排出量(スコープ1、2および3)をネットゼロにすることを目標に掲げています。 これらの目標は、2024年にSBTi(科学的根拠に基づく目標イニシアチブ)の認証を取得しました。 •環境配慮設計プログラム製品の設計や開発に、環境ライフサイクルの視点を取り入れることで、バリューチェーン全体で環境負荷を最小限に抑えることを目指します。 ・天然資源保全プログラム水の保全、責任ある廃棄物管理、生物多様性保全活動などを通じて、気候変動以外の事業による環境負荷の低減を目指します。 当社は、気候変動に関連したリスクに対するレジリエンスの強化および機会の特定に積極的に取り組んでいます。 気候変動による物理的リスクおよび移行リスクの評価と管理は、コーポレートEHS(環境、健康・衛生、安全)のチームが主導し、組織全体のリスク管理フレームワークに組み込んでいます。 事業所に固有の気候変動による業務運営リスクは、事業所や施設レベルのリスク評価からボトムアップのアプローチにより特定しています。 また、サプライチェーンにおけるリスクは、第三者リスク管理プログラム(TPRM)を利用したサプライヤーのスクリーニングを通じて特定しています。 当社は、気候変動によるリスクを軽減し、自社の事業活動に起因する温室効果ガス排出量をネットゼロにするため、製造拠点、バイオライフ(血漿収集施設)、オフィスにまたがる拠点において、事業所固有のロードマップを策定し、温室効果ガス排出量を削減するための様々な脱炭素施策を展開しています。 これらの施策には、低炭素技術への投資(ハイブリッド自動車や電気自動車など)および可能な場合は100%再生可能電力への移行が含まれます。 また、サプライヤーと協力して排出量削減目標を設定し、製品開発に係る排出量を最小化し、航空輸送の代替として海上輸送を増やすことにより、バリューチェーン排出量の削減を目指すとともに、削減が困難な排出に対処するために、新たな外部連携にも戦略的な投資を行っています。 当社は、気候変動に係る目標を達成するために、短期および長期の排出量削減戦略を進化・強化しています。 当社は、2024年に、気候変動のリスクと機会についてシナリオ分析を刷新し、特定のサプライチェーンリスクを含め、移行リスクおよび物理的リスクに焦点を当てて評価を実施しました。 移行リスク評価では、2050年までの時間軸について、気候変動に対する世界の対応レベルの違いによって異なる3つの気候変動シナリオ(「迅速な気候変動対策」、「気候変動対策の遅延」、「中道的な気候変動対策」)を設定し、当社の規制、技術、市場および評判(レピュテーション)に関するリスクを評価しました。 当該評価では、当社が現在計画しているネットゼロ達成のための施策を考慮した場合と、それらの施策がない場合に、移行リスクにどの程度晒されるかも考慮しました。 物理的リスク評価では、当社の事業運営および第三者である主要な医薬品製造受託機関(CMO)およびサプライヤーについて、気温、水、風および土地に関連する危険性を、国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によって設定された2つの共通社会経済経路シナリオ(SSP2-4.5とSSP5-8.5)に基づいて評価しました。 物理的リスクは、グロスベースで評価しており、当社の事業運営またはCMOの事業運営に対して、現在実施中の緩和策あるいは現在計画中の緩和策の更新が及ぼす影響は考慮されていません。 このプロセスを通じて、当社に潜在的に該当するいくつかの気候関連リスクと機会を特定することができました。 移行リスクに関しては、潜在的な国レベルおよび地域レベルの炭素税導入に伴って、サプライヤーからのコストが増加する可能性や、化石燃料由来のエネルギー源の価格上昇に起因する事業運営費の増加に晒される可能性があるものの、前述の脱炭素施策を引き続き実施すれば、そのようなコストは大幅に減少することが示唆されました。 さらに、低炭素製品に関する市場トレンドの定性的な分析では、当社は製品プロファイルが差別化できており、比較可能な代替品がないことから、低炭素製品における競争リスクが比較的低いことが示されました。 物理的リスクに関して、モデル化されたシナリオでは、当社の直接的な事業運営あるいはCMOの事業運営に対する以下の潜在的な気候関連リスクと影響を特定しました。 リスクの種類リスクの内容SSP2-4.5(1)およびSSP5-8.5 (2)シナリオにおける潜在的影響主な影響地域 物理的リスク(急性)熱帯低気圧特定の事業所およびCMOの事業所において、重大な物的損害と事業活動中断による損失のリスクがシナリオ期間を通じて存在し、経時的な変化は限定的である日本洪水特定の事業所において影響度と頻度の増加が予測され、事業所の1つでは2050年までに生産中断が13日発生する日本、欧州地滑り特定の事業所およびCMOの事業所で、2050年までに地滑りのリスクが高まり、複数の事業所でリスクレベルが非常に高くなる米国、欧州竜巻特定の事業所およびCMOの事業所において、重大な物的損害と事業活動中断による損失のリスクがシナリオ期間を通じて存在し、経時的な変化は限定的である米国物理的リスク(慢性)熱ストレスシナリオ期間を通じて、特定の事業所およびCMOの事業所において、年間10日を超える日数にわたり、作業者の健康にとって危険なレベルの高温となる事業所が大幅に増加し、複数の拠点で高温による生産停止が発生する日本、欧州、米国水不足特定の事業所およびCMOの事業所において、2050年までに水不足により6日を超える日数にわたり事業中断となる事業所が大幅に増加し、一部の事業所では生産停止が10日を超えるリスクがある日本、欧州、米国 (1) SSP2-4.5シナリオ: 温室効果ガス排出量が2050年まで現在のレベルで続き、その後減少するが、2100年までに地球の気温が2.1~3.5℃上昇すると推定される中程度の排出経路を示しています。 (2) SSP5-8.5シナリオ: 現在のCO2排出量が2050年までに約2倍、2075年までに約3倍に増加し、2100年までに地球の気温が3.3~5.7℃上昇すると推定される、非常に高い温室効果ガス排出経路を示しています。 出典:気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第6次評価報告書(AR6)政策決定者のための要約 上記の事業運営に対する物理的リスクの中で、水不足によるリスクは最も増加することが予測されており、熱ストレスによるリスクは分析されたリスクの中で最も影響度が大きいと予測されています。 いずれも当社の事業全体に加え、現在提携しているCMOおよびサプライヤーに及ぶものです。 2つのシナリオのいずれにおいても、影響の深刻度(Impact Severity)はほぼ同等であったものの、特に干ばつと熱ストレスによるリスクについては、SSP5-8.5シナリオにおける影響がやや大きくなっています。 さらに、当社の日本の事業運営では、熱帯低気圧と地震のリスクがある一方、ヨーロッパに拠点を置くCMOは地滑りのリスクに晒されていますが、シナリオ評価においては、気候変動によるこれらの危険性の増加は予測されていません。 当社は、これらのリスク評価および得られた知見をリスク管理プロセスに統合し、物理的リスク評価を考慮して各施設の気候変動適応戦略を精査しています。 さらに、2024年度には、生物多様性への影響や取水、水使用および廃棄物の潜在的な影響など、環境への影響に関する初期評価を実施し、環境への取組みや目標の検討に活用しました。 当該評価を行うために、エネルギー使用、土地使用、水の消費、廃棄物発生など事業運営に関わる主要な指標を、確立された第三者の科学的データと比較してリスクスコアを算出し、潜在的なリスクエリアおよび対策を優先的に実施すべき事業所を特定しました。 この分析から、当社が環境に与える影響の中で、最も影響度が大きなものはエネルギー使用であることが特定されました。 主に製造活動に関連する水および廃棄物関連の影響は、主要な自然関連の直接的な影響として特定されましたが、これらの影響に関連するリスクの財務的な重要性の評価は実施しませんでした。 また、バリューチェーンの上流および下流における環境への潜在的な影響も評価しましたが、利用可能なデータが不足していることから、特に原材料調達に関して、分析は限定的なものとなりました。 このような制約があったものの、トウモロコシ(細胞培養、エタノール)、パルプ由来の材料(二次紙パッケージ)、木材(パレット、オフィス用品)、ウシ由来血清(バイオ医薬品製造)、サトウキビ(エタノール、賦形剤)については、バリューチェーンの上流において依存していることが特定されましたが、これらの依存関係に関連するリスクの財務的な重要性の評価は実施しませんでした。 当社は、将来的に、環境への影響および依存関係に関連する財務リスクのさらなる分析を行う予定です。 リスク管理リスク管理は、当社で働く人材、資産、社会的評価・評判(レピュテーション)を守り、当社の成長と成功に向けた長期的な戦略を支える柱となります。 これまでに特定されたサステナビリティに関連するリスクは、既存のグローバルおよび事業場レベルのリスク管理プロセスを通じて対処されています。 全社的なリスク管理プロセスは、取締役会の監督のもとチーフ・エシックス&コンプライアンス・オフィサーが統括しています。 また、主要な全社的リスクおよびそれらのリスクの発生防止・低減措置の実効性は、RECCおよび取締役会によって毎年承認されています。 リスク管理は全社的な事業体制に組み込まれており、全社的リスク評価プロセスによって、サステナビリティに関連するリスクを含めたリスクを識別、評価し、またそのリスク低減施策を実施しています。 このプロセスは、リスクの全体像を把握し、リスクに基づいた意思決定を行う企業風土を醸成するようデザインされています。 関連する各部門は、担当領域ごとに主要なリスクとその対応への責任を担っています。 当社のリスク管理プロセスのさらなる詳細については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要 3. 業務執行に係る事項 <内部統制システムに関する基本的な考え方とその整備状況> ③損失の危険の管理に関する規程その他の体制」をご参照ください。 指標および目標当社は、企業理念に基づく行動を通して、長期的な価値の創造を目指しています。 関連する部門で働く従業員が意見を出し合って「企業理念に基づく私たちの指標(corporate philosophy metrics)」を策定しました。 従業員は、各評価指標の進捗状況を社内ポータルサイトでいつでも確認できるようになっています。 透明性の高い情報共有は、従業員一人ひとりがタケダの持続的な成長に責任を持ち、社外ステークホルダーとの信頼関係の構築を促します。 Patient すべての患者さんのために指標2023年度2024年度ハイライト:医薬品候補マイルストーンの達成医薬品候補マイルストーンの達成薬事承認件数およびピボタル臨床試験開始件数2929 ピボタル臨床試験は、薬事承認申請において規制当局が治療薬およびワクチンを承認するか判断する根拠となるデータを取得するための試験です。 したがって、ピボタル臨床試験開始件数と薬事承認件数は、新薬をお届けするまでの進捗を示す重要な指標です。 2024年度には、後期開発段階の6つのプログラムのうち3つでピボタル臨床試験を開始し、患者さんに新たな治療法をお届けするための大きな前進を遂げることができました。 また、地域ごとに新しい適応症での承認を取得し、より多くの患者さんに新たな治療法を提供できるようになりました。 特筆すべき例として、クローン病の維持療法を目的とするENTYVIO SC(国内製品名:エンタイビオ皮下注)(一般名:ベドリズマブ)が米国食品医薬品局(FDA)によって承認されたことが挙げられます。 臨床試験結果の公開公開されている登録サイトに結果概要が適切なタイミングで公開された臨床試験の割合 100%100%医薬品の持続的な安定供給指定納期に基づき発注数量通りに出荷した注文書の割合 99.1%99.5%健全な製造工程の維持重要な指摘事項のなかった規制当局による査察の割合 100%100%成長製品・新製品のアクセス向上償還を通じて患者さんが製品にアクセスできる主要市場の数 TAKHZYRO9LIVTENCITY9ALOFISEL4ADZYNMA3LIVTENCITY6FRUZAQLA4低・中所得国および医療制度が発展途上にある国における医薬品アクセスプログラムの強化資力ベースの患者支援プログラムに新規に登録した患者さんの数 1,6821,975 (注)2023年度および2024年度の上表の各種指標については、KPMGあずさサステナビリティ株式会社より、国際監査・保証基準審議会(IAASB)によって発行されたISAE(国際保証業務基準)3000及びISAE3410に準拠した限定的保証業務を受けています。 その結果、同社より、2023年度の指標については2024年6月25日付で、2024年度の指標については2025年6月24日付で、すべての重要な点において、会社の定める規準(2023年度については当社のウェブサイトに掲載されており、2024年度については2025年6月30日に当社のウェブサイトに掲載予定)に従って算定され、表示されていないと認められる事項は発見されなかったとの結論を受領しております。 People ともに働く仲間のために指標2023年度2024年度ハイライト:従業員エンゲージメントと心身の健康(ウェルビーイング)の向上従業員エンゲージメントの向上従業員体験アンケートにおける、エンゲージメントに関する質問への回答の平均スコア(尺度1~100)7776 ウェルビーイングが満たされ、働く意欲が高い従業員は、個人の目的と会社の存在意義が一致し、潜在能力を存分に発揮できるようになる、私たちはそのように考えています。 理想的な働き方のための取り組みは、従業員体験アンケートの実施を通じて従業員からの意見を積極的に求めることから始まります。 ウェルビーイング指標の上昇には、「ワークライフバランス」と「仕事との線引き」のスコアの増加が貢献しました。 従業員エンゲージメントについては、「スピークアップの文化」と「機動性」の分野に改善の余地があることが確認できました。 従業員の心身の健康(ウェルビーイング)の向上従業員体験アンケートにおける、ウェルビーイングに関する質問への回答の平均スコア(尺度1~100)6768多様性の推進タケダ全体のジェンダーの内訳52%(女性)48%(男性)0.1%(その他/ノンバイナリー)53%(女性)46%(男性)0.14%(その他/ノンバイナリー) (注)2023年度および2024年度の上表の各種指標については、KPMGあずさサステナビリティ株式会社より、国際監査・保証基準審議会(IAASB)によって発行されたISAE(国際保証業務基準)3000及びISAE3410に準拠した限定的保証業務を受けています。 その結果、同社より、2023年度の指標については2024年6月25日付で、2024年度の指標については2025年6月24日付で、すべての重要な点において、会社の定める規準(2023年度については当社のウェブサイトに掲載されており、2024年度については2025年6月30日に当社のウェブサイトに掲載予定)に従って算定され、表示されていないと認められる事項は発見されなかったとの結論を受領しております。 Planet いのちを育む地球のために当社は、スコープ1および2の温室効果ガス排出量を、2025年度までに2016年度基準から40%削減する目標を2020年に設定しました。 また、排出量の67%を占めるサプライヤーが2024年度までに科学的根拠に基づく目標を設定する目標も設定しました。 これらの目標はSBTi(科学的根拠に基づく目標イニシアチブ)の認証を取得しました。 2022年には、2035年度までに当社の事業活動に起因する温室効果ガス排出量(スコープ1および2)を、2040年度までに当社のバリューチェーン全体における温室効果ガス排出量(スコープ3の温室効果ガス排出量の見積もり(注1)を含む)をネットゼロ(注2)にする新しい目標を公表しました。 これらのコミットメントは、必要とされる短期的な排出削減目標とともに、2024年にSBTiの認証を取得しました。 当社は、2022年度まで、カーボンニュートラルを維持してきましたが、2024年度からは、気候変動対策の目標としてのカーボンニュートラルからの転換を行いました。 当社は、ネットゼロに焦点を当てる一環として、自主的炭素市場(Voluntary Carbon Market:VCM)を引き続き支援し、人々の健康に役立ち、SBTiの企業ネットゼロ基準に適合するカーボン除去のソリューションやプロジェクトに優先的に投資していきます。 (注1)実際のスコープ3の排出量は測定が困難であり不透明性が残ることからも、これらは取り組みを進めていく上で今後克服すべき重要な課題です。 (注2)当社は、SBTiの企業ネットゼロ基準に従ってネットゼロ排出量を定義しています。 スコープ目標2024年度実績(1,000MTCO2e)*スコープ12035年度までに当社の事業活動における温室効果ガス排出量(スコープ1および2)のネットゼロを達成273スコープ2(マーケットベース)28スコープ32040年度までに温室効果ガス排出量のネットゼロを達成2,795 * 当社の温室効果ガス排出量を計算するための方法の詳細については、2025年6月30日に当社ウェブサイトに掲載を予定している「ESGデータブック」をご参照ください。 指標2023年度2024年度ハイライト:スコープ1、2、3の温室効果ガス排出量削減スコープ1および2の温室効果ガス排出量の削減排出量の削減率(2016年比) 53%55% 私たちは、2025年度までにスコープ1および2の温室効果ガス(GHG)排出量を40%削減するという目標を予定より早く達成しました。 この成果に留まることなく、新たな科学的根拠に基づく目標イニシアチブ(SBTi)を設定し、2030年度までに65%、2035年度までに90%の削減を目指します(基準年は同じく2016年度)。 スコープ3については、2024年度の目標を全面的に達成することはできませんでしたが、2023年度比で6パーセンテージポイントの進捗を遂げることができました。 2025年度からは、SBTiに整合した新たな目標として、スコープ3の温室効果ガス排出量を2030年度までに25%削減することを目指します。 タケダは、環境の持続可能性に関する取り組みが当社の事業の持続性を強化し、ステークホルダーとの意味のある協業の機会を拡大すると信じています。 スコープ3の温室効果ガス排出量削減に向けた取引先との協働科学的根拠に基づく目標イニシアチブに整合した目標を設定している取引先による排出量の割合 56%62%埋め立て廃棄物の削減埋め立て以外で処理された廃棄物の割合78%75%淡水資源の保全淡水取水量の削減率(2019年比)4.9%8.6%森林認証素材またはリサイクル素材による環境に配慮した包装の実現タケダの二次および三次包装用の紙・板紙における、リサイクル素材または持続可能な森林認証を持つ素材の割合 53%62% (注)2023年度および2024年度の上表の各種指標については、KPMGあずさサステナビリティ株式会社より、国際監査・保証基準審議会(IAASB)によって発行されたISAE(国際保証業務基準)3000及びISAE3410に準拠した限定的保証業務を受けています。 その結果、同社より、2023年度の指標については2024年6月25日付で、2024年度の指標については2025年6月24日付で、すべての重要な点において、会社の定める規準(2023年度については当社のウェブサイトに掲載されており、2024年度については2025年6月30日に当社のウェブサイトに掲載予定)に従って算定され、表示されていないと認められる事項は発見されなかったとの結論を受領しております。 データ・デジタル&テクノロジー指標2023年度2024年度ハイライト:医療従事者へのパーソナライズされたデジタル体験医療従事者へのパーソナライズされたデジタル体験の強化(Takeda ID)Takeda IDに登録している医療従事者の数-51,412 Takeda IDは、当社のデジタルエコシステムで使用する統一された認証システムです。 このIDは、医療従事者の個別のニーズに対応したデジタルサービスを安全に提供する上で、重要な役割を果たします。 例えばTakeda Medical Site(注2)へのアクセス記録情報を活用し、個別の診療に役立つ情報を最適な形で医療従事者にお届けするよう努めています 。 Takeda IDの利用者の増加は、私たちのデジタルエコシステムが医療従事者が求める情報を適切に提供できている結果だと考えています。 従業員によるAIとオートメーションの活用2025年3月31日時点で生成AIツールを積極的に使用している従業員の割合-46.6%先進的なテクノロジーに精通した人材のスキルアップ2020年度第1四半期以降に先進的なデータとデジタルに関するトレーニングに1回以上参加した従業員の割合49%55.1% (注1)2023年度および2024年度の上表の各種指標については、KPMGあずさサステナビリティ株式会社より、国際監査・保証基準審議会(IAASB)によって発行されたISAE(国際保証業務基準)3000及びISAE3410に準拠した限定的保証業務を受けています。 その結果、同社より、2023年度の指標については2024年6月25日付で、2024年度の指標については2025年6月24日付で、すべての重要な点において、会社の定める規準(2023年度については当社のウェブサイトに掲載されており、2024年度については2025年6月30日に当社のウェブサイトに掲載予定)に従って算定され、表示されていないと認められる事項は発見されなかったとの結論を受領しております。 (注2)医療用医薬品の適正使用に関する情報やWeb講演会を提供する日本の医療従事者向け会員サイト。 事業の成長指標2023年度2024年度ビジネスの成長成長製品・新製品のCore 売上収益成長目標額の達成率 79.5%87.9% (注)2023年度および2024年度の上表の各種指標については、KPMGあずさサステナビリティ株式会社より、国際監査・保証基準審議会(IAASB)によって発行されたISAE(国際保証業務基準)3000及びISAE3410に準拠した限定的保証業務を受けています。 その結果、同社より、2023年度の指標については2024年6月25日付で、2024年度の指標については2025年6月24日付で、すべての重要な点において、会社の定める規準(2023年度については当社のウェブサイトに掲載されており、2024年度については2025年6月30日に当社のウェブサイトに掲載予定)に従って算定され、表示されていないと認められる事項は発見されなかったとの結論を受領しております。 当社のサステナビリティへの取り組みのさらなる詳細は、2025年6月30日に当社ウェブサイトに掲載を予定している2025年統合報告書をご参照ください。 |
戦略 | 事業戦略当社のサステナビリティは、経営の在り方そのものです。 当社は、バイオ医薬品企業としての強みと能力を活かして、患者さん、株主の皆様、および社会のための長期的な価値を創造すると同時に、環境への悪影響を最低限に抑えることで、当社の存在意義を果たしていきます。 当社の企業理念はサステナビリティに対する当社のアプローチを示しており、「存在意義(パーパス)」を「目指す未来(ビジョン)」および「価値観(バリュー)」と融合させています。 当社は、パーパスとビジョンを達成するためにどこに注力をするべきか(事業戦略)を「私たちの約束」および「優先事項」で定めています。 私たちの約束は、「Patient すべての患者さんのために」、「People ともに働く仲間のために」、および「Planet いのちを育む地球のために」の大きく3つの柱に分けられており、データやデジタル、テクノロジーを活用しながら実行されています。 これには、当社およびステークホルダーにとって戦略的重要性が高い非財務関連課題の評価(マテリアリティ・アセスメント)の結果が反映されています。 Patient すべての患者さんのために当社は、科学的根拠に基づき、治療の選択肢が限られている、または選択肢のない患者さんをはじめ、すべての人々の人生を根本的に変え得るような医薬品およびワクチンの創出に取り組んでいます。 これは、当社の存在意義(パーパス)の根幹となるものです。 当社の研究開発(R&D)は、主要な疾患領域に焦点を当て、高度に差別化されています。 私たちは、研究所の専門的な研究開発能力、社外とのパートナーシップ、患者団体との連携、健康の公平性への取り組み、およびデータ、デジタル、テクノロジーの活用などを通じて、当社製品を患者さんにお届けしています。 私たちは、患者さんに高品質な医薬品を途絶えることなく供給する責任があることを理解しています。 この責任を果たすために、堅ろうなグローバルサプライチェーンシステムを構築しています。 例えば、戦略上、重要な製品および原薬については、地政学的リスクや自然災害など外的要因によるリスクを軽減し、供給継続性を担保できる調達戦略を有しています。 当社は製品の品質と患者さんの安全を守るために、製品のライフサイクル全体にわたり厳格な品質基準を適用しています。 当社は、外部規制やガイドライン、社内要件およびGxP基準を遵守するとともに、臨床試験から製造、販売に至るまでの各段階で、製品の品質、安全性、有効性を担保しています。 また、市販後調査の実施や規制当局から求められる要件に準拠することで製品の安全性と有効性を担保するとともに、追加的な調査やモニタリングを実施することでさらなる臨床データの収集を行っています。 患者さん、社会および株主の皆様のために価値を創造するためには、治療を必要とする患者さんに、当社の革新的な医薬品およびワクチンを持続可能な形でお届けする必要があります。 そのため、当社では次のことに注力しております。 ・アンメット・メディカル・ニーズ:人生を根本的に変え得るような非常に革新性が高い新製品を患者さんにお届けできるように、グローバルに「タケダの成長製品・新製品」を創出、開発および上市しています。 特に、希少疾患領域では、当社の製品が初めてで且つ唯一の治療薬である場合が多くあります。 ・医薬品のアクセスに関するスピード、対象範囲、価値および持続可能性のバランス:医薬品のアクセスおよび価格戦略において、スピード、対象範囲および持続可能性の最適なバランスの実現を目指しています。 当社は、保険者、医療システムおよび社会に与える価値を反映した価格設定を行っています。 価格に起因するアクセスの障壁を軽減するために、国の経済レベルや医療制度の成熟度などに応じて、国ごとに異なる価格帯を設定しています(ティアード・プライシング)。 また、保険者と連携して価値に基づく契約を締結することで、新薬上市時における臨床成績や財務的影響に関する不確実性に保険者が対処できるようにしています。 また、患者支援プログラムを提供し、患者さんの個々の状況に応じて経済的な支援を行うことで、革新的な医薬品へのアクセスを可能にしています。 ・医療システムの強化および支援を目的としたステークホルダーとの連携:公的セクターや市民社会と連携し、医療システムに内在する当社の医薬品や関連する治療へのアクセスの障壁を特定し、対処しています。 これら取組みにおいては、持続可能な方法で、各国それぞれの優先課題に沿い、地域社会と連携しながら医療システムの強化に努めています。 また、パートナーと連携して患者さんの治療成績を高めるとともに、患者さんや社会により多くのベネフィットをお届けすることができる価値に基づく医療モデルへの転換を支援し、医療システムの変革を促進しています。 当社では、このように医薬品のアクセスを事業戦略に組み込むとともに、研究開発から販売にいたる当社の事業運営において取り組みを進めています。 また、地域主導のアプローチを採用することで、当社の医薬品をお届けするにあたって、各地域における患者さんのニーズに応えるとともに、医療システムにおける特有のアクセス障壁に対処しています。 当社の患者さんに対する取り組みの詳細は、2025年6月30日に当社ウェブサイトに掲載を予定している2025年統合報告書「すべての患者さんのために」をご参照ください。 People ともに働く仲間のために当社は、科学技術がどれほど進歩しても、知識を核とした「人」の力が会社を支えることを認識しています。 私たちの従業員はイノベーションの源泉であり、患者さん、株主、社会のために長期的な価値を創造することを可能にしています。 当社は、人生を根本的に変え得るような医薬品およびワクチンを患者さんや地域社会にお届けするため、人材開発・育成ならびに生涯学習への投資、あらゆる種類の差別を排除し従業員の潜在能力を最大限に引き出す包括性を推進する職場環境の整備、職場において従業員が能力を最大限に発揮できる帰属意識の高い企業文化の醸成に注力しています。 企業文化の醸成と人材の育成当社の企業文化は、価値観によって形作られています。 当社は、法律や規制を順守するだけでなく、常に目的意識と高い倫理的、道徳的基準に基づいて意思決定を行い、それを行動で示すことを重視しています。 グローバル行動基準や新任の上級管理職がタケダの伝統や価値観を学ぶ場であるグローバル・インダクション・フォーラム、そしてロールモデルとなり従業員への価値観の浸透を担うバリュー・アンバサダー制度など様々な仕組みや学習プログラムを通じて、価値観に基づく企業文化の醸成に努めています。 また、当社は、従業員自らが自身の学習およびキャリア成長に責任をもって取り組む生涯学習の文化を重視しています。 生涯学習およびキャリア成長への取り組みは、従業員の職務経験、モチベーションおよび専門性を高め、新しい発想につながり、結果的に患者さんへの価値創造につながります。 当社では、従業員に対して、様々なオンライン学習や対面での学習機会を提供し、必要な知識や学びたい知識を、必要な時に最適な形で習得できるよう、学びをカスタマイズできるようにしています。 従業員の学びとキャリア成長をサポートする取組みの一つは、2024年1月に導入したAIを活用したタレントマーケットプレイス(人材と業務のマッチング)のプラットフォームであるCareer Navigatorの活用です。 Career Navigatorを活用することで、従業員は自身のキャリア形成過程で身につけたいスキルや得たい経験に沿ったキャリア機会を追求することができます。 2025年には、Career Navigatorに短期のプロジェクト機会に関する情報を追加しました。 これにより、当社の事業に貢献しながら、自身のスキルの向上や経験の蓄積を実現することが可能になりました。 また、リスクのない環境下で新しいスキルを実践できる、AIによるコーチングやロールプレイの機会も提供することで、従業員の学びや能力開発をサポートしています。 2025年は、ライブ講義、自己学習、メンター制度、グループ・プロジェクトやディスカッションを組み込んだ一貫した学習体験を、何千人もの従業員に同時に提供できる新しいオンライン・プラットフォームに投資しています。 当社では、生涯学習への取組みを全社的に推進しています。 例えば、製造部門および品質部門においては、従業員は月3時間をスキルの向上やスキルの再習得のために利用することができます。 この時間は、必須のトレーニングや業務に関連したトレーニングの時間とは別に提供されています。 当社では、従業員が自らのキャリア成長を明確化し、その意欲を高める上で極めて重要な役割を担うリーダーの育成を最優先課題として取り組んでいます。 2024年度には、包括的な育成プログラムおよび革新的なチェンジマネジメントツールキットを導入しました。 育成プログラムには、新たに採用した上級管理職や上級管理職に昇進した社員を効果的に受け入れるためのシニアリーダー・インダクション・プログラムと、将来の戦略的役割を担うシニアリーダーの育成を支援する16ヶ月間のタケダ・アスパイア・プログラムが含まれます。 当社では、テクノロジーを業務に組み込み、未来のヘルスケアに対応できる組織にするため、従業員のデジタルスキルやデジタル活用意識の強化に投資しており、自動化プログラムの構築や、個人の生産性向上、生成AIの活用など従業員がデジタル活用能力を向上することができるよう、事業部門や機能全体でスキル向上の機会を提供しています。 2024年7月には、新たなデジタルデクステリティ(デジタル技術を高度に活用する能力・意欲)の最初の重要なステップとして、当社の学習プラットフォームにおいてEveryday AIを立ち上げました。 Everyday AIは、AIおよび生成AIの必要なスキルを育成するためのプラットフォームです。 当社は、革新的な医薬品を創出し患者さんにお届けするという価値観に基づき、デジタルスキルを含め、生涯学習およびキャリア開発を促進する企業文化を醸成することに取り組んでいます。 当社は、グローバルなバイオ医薬品企業として、異なる考え方や経験を尊重するとともに、あらゆる種類の差別を排除し、包括性を推進する職場環境を整備することで、 優秀な人材をグローバルに惹きつけ、育成し、定着を図っています。 当社では、価値観によって形作られた企業文化を醸成することで、従業員一人ひとりが自身の価値を認められ、所属に関係なく、自身の潜在能力を最大限に発揮できるような機会やリソースにアクセスすることができます。 グローバル全体における管理職に占める女性の割合(2025年3月31日時点)TETメンバーに占める女性の割合(2025年6月25日時点)43%56%当社のTETメンバー18名のうち、女性が10名 社内環境整備方針「世界中の人々の健康と、輝かしい未来に貢献する」という当社の存在意義(パーパス)は従業員が心身ともに健康であることを前提に実現されるものです。 当社のウェルビーイングプログラムは、精神面、身体面、社会面、経済面の4つの分野から従業員の心身の健康に焦点を当てています。 当社の全従業員はThrive Globalプログラムにアクセスし、睡眠、栄養、運動といったウェルビーイングの要素を管理することができます。 Thrive Globalプログラムは、ストレスを軽減し生産性を向上させるツールやリソースを提供することで行動変化を促し、ウェルビーイングを改善していくことを目的としたプラットフォームです。 また、この1年間において、ウェルビーイングの取組みを強化するためにさらなる施策を実施しました。 この一環として、従業員支援プログラムをより多くの国に拡大させました。 同プログラムには、電話や現地語による短期カウンセリング、法的・経済的サポートが含まれ、全ての従業員が同じ福利厚生や支援を利用できるようになりました。 ライフ・ワーク・アライメントは従業員が新しいよりフレキシブルな勤務形態に適応する上で最も考慮すべき点であり、顔を合わせて行う協働と在宅勤務を両方取り入れるなど、従業員の能力を最大限に引き出すために多様な働き方を尊重しています。 具体的な勤務形態はチームによって異なりますが、イノベーションを促進するためにオフィスの空間デザインにも工夫を凝らし、従業員のウェルビーイング(心身の健康)とパフォーマンスを向上させ、柔軟性があり、対面でのコミュニケーションの価値を実感できるような環境づくりを行うなど、働き方改革を加速させています。 また、レジリエンス(回復力)のスキルを強化するための学習プログラムを活用し、メンタルヘルスについて話すためのツールをマネージャーに提供しています。 当社は、国連グローバル・コンパクトの署名企業として、バリューチェーンやタケダが貢献する地域社会を含む当社事業のあらゆる場面において、国際的に認められた人権の尊重と推進に力を入れて取り組んでいます。 当社の人材、人材育成と企業文化の醸成、および社内環境整備にかかる方針のさらなる詳細は、2025年6月30日に当社ウェブサイトに掲載を予定している2025年統合報告書「ともに働く仲間のために」をご参照ください。 Planet いのちを育む地球のために当社は、気候変動や環境悪化が患者さんや人々の健康に影響を及ぼすことを理解し、環境の分野において積極的に取り組んでいます。 当社は、事業活動およびバリューチェーン全体における温室効果ガス排出量の最小化、天然資源の保全、ならびに持続可能性に配慮した製品設計および生産に重点を置いて、環境サステナビリティ活動に取り組んでいます。 「Planet」に係る取り組みは、現在、環境サステナビリティの様々な側面に専念した3つのプログラムで構成されています。 •気候変動対策プログラム2035年度までに自社の事業活動に起因する温室効果ガス排出量(スコープ1および2)を、2040年度までにバリューチェーン全体における温室効果ガス排出量(スコープ1、2および3)をネットゼロにすることを目標に掲げています。 これらの目標は、2024年にSBTi(科学的根拠に基づく目標イニシアチブ)の認証を取得しました。 •環境配慮設計プログラム製品の設計や開発に、環境ライフサイクルの視点を取り入れることで、バリューチェーン全体で環境負荷を最小限に抑えることを目指します。 ・天然資源保全プログラム水の保全、責任ある廃棄物管理、生物多様性保全活動などを通じて、気候変動以外の事業による環境負荷の低減を目指します。 当社は、気候変動に関連したリスクに対するレジリエンスの強化および機会の特定に積極的に取り組んでいます。 気候変動による物理的リスクおよび移行リスクの評価と管理は、コーポレートEHS(環境、健康・衛生、安全)のチームが主導し、組織全体のリスク管理フレームワークに組み込んでいます。 事業所に固有の気候変動による業務運営リスクは、事業所や施設レベルのリスク評価からボトムアップのアプローチにより特定しています。 また、サプライチェーンにおけるリスクは、第三者リスク管理プログラム(TPRM)を利用したサプライヤーのスクリーニングを通じて特定しています。 当社は、気候変動によるリスクを軽減し、自社の事業活動に起因する温室効果ガス排出量をネットゼロにするため、製造拠点、バイオライフ(血漿収集施設)、オフィスにまたがる拠点において、事業所固有のロードマップを策定し、温室効果ガス排出量を削減するための様々な脱炭素施策を展開しています。 これらの施策には、低炭素技術への投資(ハイブリッド自動車や電気自動車など)および可能な場合は100%再生可能電力への移行が含まれます。 また、サプライヤーと協力して排出量削減目標を設定し、製品開発に係る排出量を最小化し、航空輸送の代替として海上輸送を増やすことにより、バリューチェーン排出量の削減を目指すとともに、削減が困難な排出に対処するために、新たな外部連携にも戦略的な投資を行っています。 当社は、気候変動に係る目標を達成するために、短期および長期の排出量削減戦略を進化・強化しています。 当社は、2024年に、気候変動のリスクと機会についてシナリオ分析を刷新し、特定のサプライチェーンリスクを含め、移行リスクおよび物理的リスクに焦点を当てて評価を実施しました。 移行リスク評価では、2050年までの時間軸について、気候変動に対する世界の対応レベルの違いによって異なる3つの気候変動シナリオ(「迅速な気候変動対策」、「気候変動対策の遅延」、「中道的な気候変動対策」)を設定し、当社の規制、技術、市場および評判(レピュテーション)に関するリスクを評価しました。 当該評価では、当社が現在計画しているネットゼロ達成のための施策を考慮した場合と、それらの施策がない場合に、移行リスクにどの程度晒されるかも考慮しました。 物理的リスク評価では、当社の事業運営および第三者である主要な医薬品製造受託機関(CMO)およびサプライヤーについて、気温、水、風および土地に関連する危険性を、国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によって設定された2つの共通社会経済経路シナリオ(SSP2-4.5とSSP5-8.5)に基づいて評価しました。 物理的リスクは、グロスベースで評価しており、当社の事業運営またはCMOの事業運営に対して、現在実施中の緩和策あるいは現在計画中の緩和策の更新が及ぼす影響は考慮されていません。 このプロセスを通じて、当社に潜在的に該当するいくつかの気候関連リスクと機会を特定することができました。 移行リスクに関しては、潜在的な国レベルおよび地域レベルの炭素税導入に伴って、サプライヤーからのコストが増加する可能性や、化石燃料由来のエネルギー源の価格上昇に起因する事業運営費の増加に晒される可能性があるものの、前述の脱炭素施策を引き続き実施すれば、そのようなコストは大幅に減少することが示唆されました。 さらに、低炭素製品に関する市場トレンドの定性的な分析では、当社は製品プロファイルが差別化できており、比較可能な代替品がないことから、低炭素製品における競争リスクが比較的低いことが示されました。 物理的リスクに関して、モデル化されたシナリオでは、当社の直接的な事業運営あるいはCMOの事業運営に対する以下の潜在的な気候関連リスクと影響を特定しました。 リスクの種類リスクの内容SSP2-4.5(1)およびSSP5-8.5 (2)シナリオにおける潜在的影響主な影響地域 物理的リスク(急性)熱帯低気圧特定の事業所およびCMOの事業所において、重大な物的損害と事業活動中断による損失のリスクがシナリオ期間を通じて存在し、経時的な変化は限定的である日本洪水特定の事業所において影響度と頻度の増加が予測され、事業所の1つでは2050年までに生産中断が13日発生する日本、欧州地滑り特定の事業所およびCMOの事業所で、2050年までに地滑りのリスクが高まり、複数の事業所でリスクレベルが非常に高くなる米国、欧州竜巻特定の事業所およびCMOの事業所において、重大な物的損害と事業活動中断による損失のリスクがシナリオ期間を通じて存在し、経時的な変化は限定的である米国物理的リスク(慢性)熱ストレスシナリオ期間を通じて、特定の事業所およびCMOの事業所において、年間10日を超える日数にわたり、作業者の健康にとって危険なレベルの高温となる事業所が大幅に増加し、複数の拠点で高温による生産停止が発生する日本、欧州、米国水不足特定の事業所およびCMOの事業所において、2050年までに水不足により6日を超える日数にわたり事業中断となる事業所が大幅に増加し、一部の事業所では生産停止が10日を超えるリスクがある日本、欧州、米国 (1) SSP2-4.5シナリオ: 温室効果ガス排出量が2050年まで現在のレベルで続き、その後減少するが、2100年までに地球の気温が2.1~3.5℃上昇すると推定される中程度の排出経路を示しています。 (2) SSP5-8.5シナリオ: 現在のCO2排出量が2050年までに約2倍、2075年までに約3倍に増加し、2100年までに地球の気温が3.3~5.7℃上昇すると推定される、非常に高い温室効果ガス排出経路を示しています。 出典:気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第6次評価報告書(AR6)政策決定者のための要約 上記の事業運営に対する物理的リスクの中で、水不足によるリスクは最も増加することが予測されており、熱ストレスによるリスクは分析されたリスクの中で最も影響度が大きいと予測されています。 いずれも当社の事業全体に加え、現在提携しているCMOおよびサプライヤーに及ぶものです。 2つのシナリオのいずれにおいても、影響の深刻度(Impact Severity)はほぼ同等であったものの、特に干ばつと熱ストレスによるリスクについては、SSP5-8.5シナリオにおける影響がやや大きくなっています。 さらに、当社の日本の事業運営では、熱帯低気圧と地震のリスクがある一方、ヨーロッパに拠点を置くCMOは地滑りのリスクに晒されていますが、シナリオ評価においては、気候変動によるこれらの危険性の増加は予測されていません。 当社は、これらのリスク評価および得られた知見をリスク管理プロセスに統合し、物理的リスク評価を考慮して各施設の気候変動適応戦略を精査しています。 さらに、2024年度には、生物多様性への影響や取水、水使用および廃棄物の潜在的な影響など、環境への影響に関する初期評価を実施し、環境への取組みや目標の検討に活用しました。 当該評価を行うために、エネルギー使用、土地使用、水の消費、廃棄物発生など事業運営に関わる主要な指標を、確立された第三者の科学的データと比較してリスクスコアを算出し、潜在的なリスクエリアおよび対策を優先的に実施すべき事業所を特定しました。 この分析から、当社が環境に与える影響の中で、最も影響度が大きなものはエネルギー使用であることが特定されました。 主に製造活動に関連する水および廃棄物関連の影響は、主要な自然関連の直接的な影響として特定されましたが、これらの影響に関連するリスクの財務的な重要性の評価は実施しませんでした。 また、バリューチェーンの上流および下流における環境への潜在的な影響も評価しましたが、利用可能なデータが不足していることから、特に原材料調達に関して、分析は限定的なものとなりました。 このような制約があったものの、トウモロコシ(細胞培養、エタノール)、パルプ由来の材料(二次紙パッケージ)、木材(パレット、オフィス用品)、ウシ由来血清(バイオ医薬品製造)、サトウキビ(エタノール、賦形剤)については、バリューチェーンの上流において依存していることが特定されましたが、これらの依存関係に関連するリスクの財務的な重要性の評価は実施しませんでした。 当社は、将来的に、環境への影響および依存関係に関連する財務リスクのさらなる分析を行う予定です。 |
指標及び目標 | 指標および目標当社は、企業理念に基づく行動を通して、長期的な価値の創造を目指しています。 関連する部門で働く従業員が意見を出し合って「企業理念に基づく私たちの指標(corporate philosophy metrics)」を策定しました。 従業員は、各評価指標の進捗状況を社内ポータルサイトでいつでも確認できるようになっています。 透明性の高い情報共有は、従業員一人ひとりがタケダの持続的な成長に責任を持ち、社外ステークホルダーとの信頼関係の構築を促します。 Patient すべての患者さんのために指標2023年度2024年度ハイライト:医薬品候補マイルストーンの達成医薬品候補マイルストーンの達成薬事承認件数およびピボタル臨床試験開始件数2929 ピボタル臨床試験は、薬事承認申請において規制当局が治療薬およびワクチンを承認するか判断する根拠となるデータを取得するための試験です。 したがって、ピボタル臨床試験開始件数と薬事承認件数は、新薬をお届けするまでの進捗を示す重要な指標です。 2024年度には、後期開発段階の6つのプログラムのうち3つでピボタル臨床試験を開始し、患者さんに新たな治療法をお届けするための大きな前進を遂げることができました。 また、地域ごとに新しい適応症での承認を取得し、より多くの患者さんに新たな治療法を提供できるようになりました。 特筆すべき例として、クローン病の維持療法を目的とするENTYVIO SC(国内製品名:エンタイビオ皮下注)(一般名:ベドリズマブ)が米国食品医薬品局(FDA)によって承認されたことが挙げられます。 臨床試験結果の公開公開されている登録サイトに結果概要が適切なタイミングで公開された臨床試験の割合 100%100%医薬品の持続的な安定供給指定納期に基づき発注数量通りに出荷した注文書の割合 99.1%99.5%健全な製造工程の維持重要な指摘事項のなかった規制当局による査察の割合 100%100%成長製品・新製品のアクセス向上償還を通じて患者さんが製品にアクセスできる主要市場の数 TAKHZYRO9LIVTENCITY9ALOFISEL4ADZYNMA3LIVTENCITY6FRUZAQLA4低・中所得国および医療制度が発展途上にある国における医薬品アクセスプログラムの強化資力ベースの患者支援プログラムに新規に登録した患者さんの数 1,6821,975 (注)2023年度および2024年度の上表の各種指標については、KPMGあずさサステナビリティ株式会社より、国際監査・保証基準審議会(IAASB)によって発行されたISAE(国際保証業務基準)3000及びISAE3410に準拠した限定的保証業務を受けています。 その結果、同社より、2023年度の指標については2024年6月25日付で、2024年度の指標については2025年6月24日付で、すべての重要な点において、会社の定める規準(2023年度については当社のウェブサイトに掲載されており、2024年度については2025年6月30日に当社のウェブサイトに掲載予定)に従って算定され、表示されていないと認められる事項は発見されなかったとの結論を受領しております。 People ともに働く仲間のために指標2023年度2024年度ハイライト:従業員エンゲージメントと心身の健康(ウェルビーイング)の向上従業員エンゲージメントの向上従業員体験アンケートにおける、エンゲージメントに関する質問への回答の平均スコア(尺度1~100)7776 ウェルビーイングが満たされ、働く意欲が高い従業員は、個人の目的と会社の存在意義が一致し、潜在能力を存分に発揮できるようになる、私たちはそのように考えています。 理想的な働き方のための取り組みは、従業員体験アンケートの実施を通じて従業員からの意見を積極的に求めることから始まります。 ウェルビーイング指標の上昇には、「ワークライフバランス」と「仕事との線引き」のスコアの増加が貢献しました。 従業員エンゲージメントについては、「スピークアップの文化」と「機動性」の分野に改善の余地があることが確認できました。 従業員の心身の健康(ウェルビーイング)の向上従業員体験アンケートにおける、ウェルビーイングに関する質問への回答の平均スコア(尺度1~100)6768多様性の推進タケダ全体のジェンダーの内訳52%(女性)48%(男性)0.1%(その他/ノンバイナリー)53%(女性)46%(男性)0.14%(その他/ノンバイナリー) (注)2023年度および2024年度の上表の各種指標については、KPMGあずさサステナビリティ株式会社より、国際監査・保証基準審議会(IAASB)によって発行されたISAE(国際保証業務基準)3000及びISAE3410に準拠した限定的保証業務を受けています。 その結果、同社より、2023年度の指標については2024年6月25日付で、2024年度の指標については2025年6月24日付で、すべての重要な点において、会社の定める規準(2023年度については当社のウェブサイトに掲載されており、2024年度については2025年6月30日に当社のウェブサイトに掲載予定)に従って算定され、表示されていないと認められる事項は発見されなかったとの結論を受領しております。 Planet いのちを育む地球のために当社は、スコープ1および2の温室効果ガス排出量を、2025年度までに2016年度基準から40%削減する目標を2020年に設定しました。 また、排出量の67%を占めるサプライヤーが2024年度までに科学的根拠に基づく目標を設定する目標も設定しました。 これらの目標はSBTi(科学的根拠に基づく目標イニシアチブ)の認証を取得しました。 2022年には、2035年度までに当社の事業活動に起因する温室効果ガス排出量(スコープ1および2)を、2040年度までに当社のバリューチェーン全体における温室効果ガス排出量(スコープ3の温室効果ガス排出量の見積もり(注1)を含む)をネットゼロ(注2)にする新しい目標を公表しました。 これらのコミットメントは、必要とされる短期的な排出削減目標とともに、2024年にSBTiの認証を取得しました。 当社は、2022年度まで、カーボンニュートラルを維持してきましたが、2024年度からは、気候変動対策の目標としてのカーボンニュートラルからの転換を行いました。 当社は、ネットゼロに焦点を当てる一環として、自主的炭素市場(Voluntary Carbon Market:VCM)を引き続き支援し、人々の健康に役立ち、SBTiの企業ネットゼロ基準に適合するカーボン除去のソリューションやプロジェクトに優先的に投資していきます。 (注1)実際のスコープ3の排出量は測定が困難であり不透明性が残ることからも、これらは取り組みを進めていく上で今後克服すべき重要な課題です。 (注2)当社は、SBTiの企業ネットゼロ基準に従ってネットゼロ排出量を定義しています。 スコープ目標2024年度実績(1,000MTCO2e)*スコープ12035年度までに当社の事業活動における温室効果ガス排出量(スコープ1および2)のネットゼロを達成273スコープ2(マーケットベース)28スコープ32040年度までに温室効果ガス排出量のネットゼロを達成2,795 * 当社の温室効果ガス排出量を計算するための方法の詳細については、2025年6月30日に当社ウェブサイトに掲載を予定している「ESGデータブック」をご参照ください。 指標2023年度2024年度ハイライト:スコープ1、2、3の温室効果ガス排出量削減スコープ1および2の温室効果ガス排出量の削減排出量の削減率(2016年比) 53%55% 私たちは、2025年度までにスコープ1および2の温室効果ガス(GHG)排出量を40%削減するという目標を予定より早く達成しました。 この成果に留まることなく、新たな科学的根拠に基づく目標イニシアチブ(SBTi)を設定し、2030年度までに65%、2035年度までに90%の削減を目指します(基準年は同じく2016年度)。 スコープ3については、2024年度の目標を全面的に達成することはできませんでしたが、2023年度比で6パーセンテージポイントの進捗を遂げることができました。 2025年度からは、SBTiに整合した新たな目標として、スコープ3の温室効果ガス排出量を2030年度までに25%削減することを目指します。 タケダは、環境の持続可能性に関する取り組みが当社の事業の持続性を強化し、ステークホルダーとの意味のある協業の機会を拡大すると信じています。 スコープ3の温室効果ガス排出量削減に向けた取引先との協働科学的根拠に基づく目標イニシアチブに整合した目標を設定している取引先による排出量の割合 56%62%埋め立て廃棄物の削減埋め立て以外で処理された廃棄物の割合78%75%淡水資源の保全淡水取水量の削減率(2019年比)4.9%8.6%森林認証素材またはリサイクル素材による環境に配慮した包装の実現タケダの二次および三次包装用の紙・板紙における、リサイクル素材または持続可能な森林認証を持つ素材の割合 53%62% (注)2023年度および2024年度の上表の各種指標については、KPMGあずさサステナビリティ株式会社より、国際監査・保証基準審議会(IAASB)によって発行されたISAE(国際保証業務基準)3000及びISAE3410に準拠した限定的保証業務を受けています。 その結果、同社より、2023年度の指標については2024年6月25日付で、2024年度の指標については2025年6月24日付で、すべての重要な点において、会社の定める規準(2023年度については当社のウェブサイトに掲載されており、2024年度については2025年6月30日に当社のウェブサイトに掲載予定)に従って算定され、表示されていないと認められる事項は発見されなかったとの結論を受領しております。 データ・デジタル&テクノロジー指標2023年度2024年度ハイライト:医療従事者へのパーソナライズされたデジタル体験医療従事者へのパーソナライズされたデジタル体験の強化(Takeda ID)Takeda IDに登録している医療従事者の数-51,412 Takeda IDは、当社のデジタルエコシステムで使用する統一された認証システムです。 このIDは、医療従事者の個別のニーズに対応したデジタルサービスを安全に提供する上で、重要な役割を果たします。 例えばTakeda Medical Site(注2)へのアクセス記録情報を活用し、個別の診療に役立つ情報を最適な形で医療従事者にお届けするよう努めています 。 Takeda IDの利用者の増加は、私たちのデジタルエコシステムが医療従事者が求める情報を適切に提供できている結果だと考えています。 従業員によるAIとオートメーションの活用2025年3月31日時点で生成AIツールを積極的に使用している従業員の割合-46.6%先進的なテクノロジーに精通した人材のスキルアップ2020年度第1四半期以降に先進的なデータとデジタルに関するトレーニングに1回以上参加した従業員の割合49%55.1% (注1)2023年度および2024年度の上表の各種指標については、KPMGあずさサステナビリティ株式会社より、国際監査・保証基準審議会(IAASB)によって発行されたISAE(国際保証業務基準)3000及びISAE3410に準拠した限定的保証業務を受けています。 その結果、同社より、2023年度の指標については2024年6月25日付で、2024年度の指標については2025年6月24日付で、すべての重要な点において、会社の定める規準(2023年度については当社のウェブサイトに掲載されており、2024年度については2025年6月30日に当社のウェブサイトに掲載予定)に従って算定され、表示されていないと認められる事項は発見されなかったとの結論を受領しております。 (注2)医療用医薬品の適正使用に関する情報やWeb講演会を提供する日本の医療従事者向け会員サイト。 事業の成長指標2023年度2024年度ビジネスの成長成長製品・新製品のCore 売上収益成長目標額の達成率 79.5%87.9% (注)2023年度および2024年度の上表の各種指標については、KPMGあずさサステナビリティ株式会社より、国際監査・保証基準審議会(IAASB)によって発行されたISAE(国際保証業務基準)3000及びISAE3410に準拠した限定的保証業務を受けています。 その結果、同社より、2023年度の指標については2024年6月25日付で、2024年度の指標については2025年6月24日付で、すべての重要な点において、会社の定める規準(2023年度については当社のウェブサイトに掲載されており、2024年度については2025年6月30日に当社のウェブサイトに掲載予定)に従って算定され、表示されていないと認められる事項は発見されなかったとの結論を受領しております。 当社のサステナビリティへの取り組みのさらなる詳細は、2025年6月30日に当社ウェブサイトに掲載を予定している2025年統合報告書をご参照ください。 |
人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略 | People ともに働く仲間のために当社は、科学技術がどれほど進歩しても、知識を核とした「人」の力が会社を支えることを認識しています。 私たちの従業員はイノベーションの源泉であり、患者さん、株主、社会のために長期的な価値を創造することを可能にしています。 当社は、人生を根本的に変え得るような医薬品およびワクチンを患者さんや地域社会にお届けするため、人材開発・育成ならびに生涯学習への投資、あらゆる種類の差別を排除し従業員の潜在能力を最大限に引き出す包括性を推進する職場環境の整備、職場において従業員が能力を最大限に発揮できる帰属意識の高い企業文化の醸成に注力しています。 企業文化の醸成と人材の育成当社の企業文化は、価値観によって形作られています。 当社は、法律や規制を順守するだけでなく、常に目的意識と高い倫理的、道徳的基準に基づいて意思決定を行い、それを行動で示すことを重視しています。 グローバル行動基準や新任の上級管理職がタケダの伝統や価値観を学ぶ場であるグローバル・インダクション・フォーラム、そしてロールモデルとなり従業員への価値観の浸透を担うバリュー・アンバサダー制度など様々な仕組みや学習プログラムを通じて、価値観に基づく企業文化の醸成に努めています。 また、当社は、従業員自らが自身の学習およびキャリア成長に責任をもって取り組む生涯学習の文化を重視しています。 生涯学習およびキャリア成長への取り組みは、従業員の職務経験、モチベーションおよび専門性を高め、新しい発想につながり、結果的に患者さんへの価値創造につながります。 当社では、従業員に対して、様々なオンライン学習や対面での学習機会を提供し、必要な知識や学びたい知識を、必要な時に最適な形で習得できるよう、学びをカスタマイズできるようにしています。 従業員の学びとキャリア成長をサポートする取組みの一つは、2024年1月に導入したAIを活用したタレントマーケットプレイス(人材と業務のマッチング)のプラットフォームであるCareer Navigatorの活用です。 Career Navigatorを活用することで、従業員は自身のキャリア形成過程で身につけたいスキルや得たい経験に沿ったキャリア機会を追求することができます。 2025年には、Career Navigatorに短期のプロジェクト機会に関する情報を追加しました。 これにより、当社の事業に貢献しながら、自身のスキルの向上や経験の蓄積を実現することが可能になりました。 また、リスクのない環境下で新しいスキルを実践できる、AIによるコーチングやロールプレイの機会も提供することで、従業員の学びや能力開発をサポートしています。 2025年は、ライブ講義、自己学習、メンター制度、グループ・プロジェクトやディスカッションを組み込んだ一貫した学習体験を、何千人もの従業員に同時に提供できる新しいオンライン・プラットフォームに投資しています。 当社では、生涯学習への取組みを全社的に推進しています。 例えば、製造部門および品質部門においては、従業員は月3時間をスキルの向上やスキルの再習得のために利用することができます。 この時間は、必須のトレーニングや業務に関連したトレーニングの時間とは別に提供されています。 当社では、従業員が自らのキャリア成長を明確化し、その意欲を高める上で極めて重要な役割を担うリーダーの育成を最優先課題として取り組んでいます。 2024年度には、包括的な育成プログラムおよび革新的なチェンジマネジメントツールキットを導入しました。 育成プログラムには、新たに採用した上級管理職や上級管理職に昇進した社員を効果的に受け入れるためのシニアリーダー・インダクション・プログラムと、将来の戦略的役割を担うシニアリーダーの育成を支援する16ヶ月間のタケダ・アスパイア・プログラムが含まれます。 当社では、テクノロジーを業務に組み込み、未来のヘルスケアに対応できる組織にするため、従業員のデジタルスキルやデジタル活用意識の強化に投資しており、自動化プログラムの構築や、個人の生産性向上、生成AIの活用など従業員がデジタル活用能力を向上することができるよう、事業部門や機能全体でスキル向上の機会を提供しています。 2024年7月には、新たなデジタルデクステリティ(デジタル技術を高度に活用する能力・意欲)の最初の重要なステップとして、当社の学習プラットフォームにおいてEveryday AIを立ち上げました。 Everyday AIは、AIおよび生成AIの必要なスキルを育成するためのプラットフォームです。 当社は、革新的な医薬品を創出し患者さんにお届けするという価値観に基づき、デジタルスキルを含め、生涯学習およびキャリア開発を促進する企業文化を醸成することに取り組んでいます。 当社は、グローバルなバイオ医薬品企業として、異なる考え方や経験を尊重するとともに、あらゆる種類の差別を排除し、包括性を推進する職場環境を整備することで、 優秀な人材をグローバルに惹きつけ、育成し、定着を図っています。 当社では、価値観によって形作られた企業文化を醸成することで、従業員一人ひとりが自身の価値を認められ、所属に関係なく、自身の潜在能力を最大限に発揮できるような機会やリソースにアクセスすることができます。 グローバル全体における管理職に占める女性の割合(2025年3月31日時点)TETメンバーに占める女性の割合(2025年6月25日時点)43%56%当社のTETメンバー18名のうち、女性が10名 社内環境整備方針「世界中の人々の健康と、輝かしい未来に貢献する」という当社の存在意義(パーパス)は従業員が心身ともに健康であることを前提に実現されるものです。 当社のウェルビーイングプログラムは、精神面、身体面、社会面、経済面の4つの分野から従業員の心身の健康に焦点を当てています。 当社の全従業員はThrive Globalプログラムにアクセスし、睡眠、栄養、運動といったウェルビーイングの要素を管理することができます。 Thrive Globalプログラムは、ストレスを軽減し生産性を向上させるツールやリソースを提供することで行動変化を促し、ウェルビーイングを改善していくことを目的としたプラットフォームです。 また、この1年間において、ウェルビーイングの取組みを強化するためにさらなる施策を実施しました。 この一環として、従業員支援プログラムをより多くの国に拡大させました。 同プログラムには、電話や現地語による短期カウンセリング、法的・経済的サポートが含まれ、全ての従業員が同じ福利厚生や支援を利用できるようになりました。 ライフ・ワーク・アライメントは従業員が新しいよりフレキシブルな勤務形態に適応する上で最も考慮すべき点であり、顔を合わせて行う協働と在宅勤務を両方取り入れるなど、従業員の能力を最大限に引き出すために多様な働き方を尊重しています。 具体的な勤務形態はチームによって異なりますが、イノベーションを促進するためにオフィスの空間デザインにも工夫を凝らし、従業員のウェルビーイング(心身の健康)とパフォーマンスを向上させ、柔軟性があり、対面でのコミュニケーションの価値を実感できるような環境づくりを行うなど、働き方改革を加速させています。 また、レジリエンス(回復力)のスキルを強化するための学習プログラムを活用し、メンタルヘルスについて話すためのツールをマネージャーに提供しています。 当社は、国連グローバル・コンパクトの署名企業として、バリューチェーンやタケダが貢献する地域社会を含む当社事業のあらゆる場面において、国際的に認められた人権の尊重と推進に力を入れて取り組んでいます。 当社の人材、人材育成と企業文化の醸成、および社内環境整備にかかる方針のさらなる詳細は、2025年6月30日に当社ウェブサイトに掲載を予定している2025年統合報告書「ともに働く仲間のために」をご参照ください。 |
事業等のリスク | 3 【事業等のリスク】 当社の業績は、現在および将来において様々なリスクにさらされており、リスクの顕在化により予期せぬ業績の変動を被る可能性があります。 以下では、当社が事業を展開していくうえで直面しうる主なリスクを記載しています。 なお、以下に記載したリスクは当社の全てのリスクを網羅したものではなく、記載以外の潜在的かつ不確実なリスクも存在し、投資家の判断に影響を及ぼす可能性があります。 当社のグローバルリスク管理ポリシーについては、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 3.業務執行に係る事項 <内部統制システムに関する基本的な考え方およびその整備状況> ③ 損失の危険の管理に関する規程その他の体制」をご参照ください。 なお、本項目に含まれる将来に関する事項およびリスクは、当年度末現在において判断したものです。 (1)研究開発に関するリスク当社は、持続的成長を実現するために、最先端の科学で革新的な医薬品を創出することを目指しています。 当社は、研究開発機能の向上および社外パートナーとの提携等により研究開発パイプラインを強化すると共に、世界各国の市場への一日も早い新製品の上市を目指し、質の高い革新的な研究開発パイプラインを構築することで研究開発の成功確率を高める等により効率的な研究開発活動に努めています。 しかしながら、医薬品は、自社創製候補物質、導入候補物質にかかわらず、所轄官庁の定めた有効性と安全性に関する厳格な審査により承認されてはじめて上市可能となります。 研究開発の途上において、当該候補物質の有効性・安全性が、承認に必要とされる水準を充たさないことが判明した場合またはその懸念があると審査当局が判断した場合、その時点で当該候補物質の研究開発を途中で断念、または追加の臨床試験・非臨床試験を実施せざるを得ず、それまでにかかったコストを回収できないリスクや製品の上市が遅延するリスク、および研究開発戦略の軌道修正を余儀なくされる可能性があります。 (2)知的財産権に関するリスク当社の製品は、物質・製法・製剤・用途特許等の複数の特許によって、一定期間保護されています。 当社では特許権を含む知的財産権を厳しく管理し、当社が事業を行う市場における知的財産権や第三者からの侵害状況を継続的にモニタリング、評価および分析し、知的財産権に関するリスクの回避と、受けうる影響の低減を図っていますが、当社の保有する知的財産権が第三者から侵害を受けた場合には、期待される収益が大幅に失われる可能性があります。 また、当社の自社製品等が第三者の知的財産権を侵害した場合には製造販売の差止めおよび損害賠償等を請求される可能性があります。 (3)特許権満了等による売上低下リスク当社は、効能追加や剤型変更等により製品のライフサイクルを延長する努力をしていますが、多くの製品について、特許または規制上の独占権の喪失・満了による後発品の市場参入は避けられず、米国や欧州では後発品が参入すれば通常、短期間で先発品から後発品へ切り替わり、先発品の収益が大きく減少します。 国内では、当局が後発品の使用促進を積極的に進め、また、長期収載品のさらなる価格引下げが行われています。 これに加え、競合品の特許権満了によるその後発品、および競合品のスイッチOTC薬の出現などによって、国内外の競争環境は格段に厳しいものになってきており、その影響如何で当社製品の大幅な売上低下を招く可能性があります。 なお、特許権満了時期等の詳細については「第2 事業の状況 6 研究開発活動 知的財産」をご参照ください。 (4)副作用に関するリスク医薬品は、世界各国の所轄官庁の厳しい審査を経て発売されます。 当社は発売後の医薬品について安全性情報を収集し有効性とリスクのバランスを評価することを含め、安全性監視活動とリスク最小化活動を実施し、ファーマコビジランス活動を推進し、副作用に関するリスクの回避と受けうる影響の低減に努力していますが、市販後の使用成績が蓄積された結果、発売時には予期していなかった副作用が確認されることがあります。 新たな副作用が確認された場合には、添付文書の「使用上の注意」への記載を行う、使用する対象患者を制限する、使用方法を制限するなどの処置が必要となるほか、重篤なケースが認められた場合には、販売中止・回収等を余儀なくされることもあり得ます。 また、このような場合において、当社は製造物責任を負うとともに、金銭的、法的および社会的信頼に関する損害を負う可能性があります。 (5)薬剤費抑制策による価格引き下げのリスク医薬品市場では、多くの国々において医療予算の削減が推進され、医療技術評価および国際価格を参照する政策により医薬品価格が低下しています。 最大市場である米国では、医薬品価格を下げるための医療計画や仲介機関による取り組みに加え、継続的な法令および規制の制定により先発品への価格引き下げ圧力が一層高まっています。 2022年には、米国議会において、インフレ抑制法(Inflation Reduction Act:IRA)が可決され、薬価上昇率がインフレ率を上回った製薬会社に対するペナルティの賦課、メディケア受給者の自己負担額の上限設定、2026年よりメディケアの対象となる特定の医薬品に関する連邦政府への価格設定権限の付与等、メディケア・プログラムに基づく医薬品の補償条件が大幅に変更されました。 また、2025年5月には、米国の処方薬価格を、選定された「同等に発展した国々」での最も低い価格に連動させる価格設定メカニズムである「最恵国待遇(MFN)」価格の導入に関する大統領令が発出されました。 日本においては、政府による一層の後発品の使用促進に加え、医療保険制度における多くの製品の公定薬価が、毎年引き下げられています。 欧州においても、薬剤費を抑制し、価格透明性を高め、国際価格を参照する政策により、医薬品価格が低下していますが、さらに欧州委員会が、知的財産権に関するインセンティブ、規制当局によるデータ保護、希少疾患用医薬品の市場独占期間の短縮または修正を含むEUの薬事法制の改正案を提案していることから、今後価格引き下げ圧力が高まることが予想されます。 また、当社は、中国を含む新興国等のその他の国・地域においても同様の価格圧力を受けています。 当社がこれらの国・地域に事業を拡大するに伴い、今後も引き続き価格圧力を受けると予想されます。 当社は、各国の薬剤費抑制策の詳細な分析やモニタリングを行い、医薬品の価格状況を管理する組織体制を構築することでリスクの回避と影響低減の努力を行うと共に、各国政府や医療サービス供給者・保険者等と協力して、革新的な医薬品に対する適切な報酬制度を確立するために、価値に基づく新しい価格設定モデル(バリューベースド・プライシング)等の解決策を追求していますが、これら各国の薬剤費抑制策による価格引き下げにより、当社製品の価格が影響を受け、当社の業績および財務状況に悪影響が生じる可能性があります。 (6)企業買収に関するリスク当社は、持続的な成長を加速させるため、必要に応じて企業買収を実施しています。 世界各国における事業活動は、法令や規則の変更、政情不安、経済動向の不確実性、商慣習の相違その他のリスクに直面する可能性があり、その結果当初想定した買収効果や利益が実現されない可能性があります。 取得した資産の価値が下落し、評価損等が発生した場合や、買収した事業の統合から得ることが期待されている利益が実現されない場合には、のれんおよび無形資産等の減損損失の計上等により、当社の業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 また、過去の企業買収に関連する金融機関からの多額の借入れを含め、当社は多額の債務を負っています。 当社は、利益の創出および選択的な非中核資産の売却等を通じてレバレッジの速やかな低下を進めていますが、将来の当社の財務状況が悪化した場合には、信用格付けが引き下げられ、その結果、既存の債務の借り換えや新規借入れ、その他資金調達の条件にも影響を及ぼす可能性があります。 さらに、当社のコミットメントラインは必要に応じて随時資金の引き出しが可能なものであり、これに関連して、一定の財務制限条項が付されています。 かかる条項に抵触した場合には、当該コミットメントラインの利用が制限され、また、同コミットメントラインを使用した全ての債務残高等について即時返済が求められる可能性があり、その結果、当社の財務状況に影響を及ぼすおそれがあります。 (7)安定供給に関するリスク当社は、販売網のグローバル化に確実に対応するとともに、当社製品への需要に対し適切な供給量を確保していくため、供給ネットワークと品質保証体制を強化しており、具体的には、製造設備への適切な投資、必要に応じて複数のサプライヤーと適切な在庫水準を確保するための製造供給戦略の策定、代替サプライヤーの選定、当社内の製造ネットワークに係る危機管理規則の制定、事業継続管理システムの導入および定期的な内部監査等を行っています。 しかしながら、当社または委託先の製造施設・物流施設等において、技術上もしくは法規制上の問題、原材料の不足、想定を超える需要、または自然災害の発生や新興感染症の流行、進出国における紛争あるいは各国・地域間における地政学的緊張の高まり等により、製商品の安定的供給に支障が発生する可能性があります。 その動向によっては、当社の業績、財務状況および社会的信頼に影響を及ぼす可能性があります。 (8)IT セキュリティ、情報管理およびデジタル技術に関するリスク当社は、顧客ニーズに合致したデジタルビジネスモデルへ移行するためデジタル変革を加速しています。 とりわけデジタル技術活用の強化は、当社の持続的成長に不可欠であり、今後の成長戦略の基盤として位置付けています。 一方で、事業の特性上、センシティブな個人情報を含む大量の機密情報を取り扱っていることから、データ保護ならびにセキュリティ対策の重要性がいっそう高まっています。 データ活用やデジタルプラットフォームへの依存度が高まる中、大規模かつ複雑なIS/IT システム(アウトソーシング企業のシステムを含む)の利用に伴い、従業員またはアウトソーシング企業の不注意または故意の行為に加え、AIを利用した高度化するサイバーアタックなど、悪意をもった第三者による攻撃により、システムの停止やセキュリティ上の問題が発生するリスクは増大し、影響範囲も拡大しています。 さらに、世界的なプライバシー規制の強化、法的要求事項の複雑化、急速に進歩する新たなデジタル技術やソーシャルメディアの普及により、データとテクノロジーの倫理的かつ適切な活用に関するガバナンスや意識向上が不可欠となっています。 当社は、業務効率と収益性の向上を目的としたデジタル変革を推進し、ネットワーク基盤の改修とクラウド移行をはじめとした効果的なテクノロジー投資を行うとともに、重点領域のリスク低減に係る専門チームの配置を含むグローバルレベルでのサイバーセキュリティ戦略の策定等によりセキュリティの継続的な強化に努めています。 また、包括的なポリシーや手続きを整備するとともに、事業リスク評価および監査や第三者によるリスク低減テストを実施し、モニタリングを含めデータ管理に関する組織的な意識向上を図るなど、リスクを低減するための戦略的な取組みを進めています。 しかしながら、当社がデジタル変革により期待される効果や利益を創出できない場合、当社の市場競争力が低下する可能性があります。 また、システムの停止やセキュリティ上の問題が発生した場合、あるいはデジタル技術が適切に活用されない場合、当社の事業活動への悪影響、業績および財務状況の悪化、ならびに当社に対する社会的信用が失墜する可能性があります。 (9)コンプライアンスに関するリスク当社は事業の遂行にあたって、薬事規制や製造物責任、独占禁止法、個人情報保護法等の様々な法的規制やGMP (Good Manufacturing Practice)、GQP(Good Quality Practice)、GCP (Good Clinical Practice)、GLP (Good Laboratory Practice)等のガイドラインの適用を受けています。 また、当社は多数のエージェント、サプライヤーや卸売業者等の第三者と協力関係にありますが、顧客に対するエンゲージメント戦略の進化に伴うデジタル・オムニチャンネルの利用拡大、希少疾患およびワクチン領域への製品ポートフォリオの拡大およびデータ・デジタル技術の進化に伴う外部ステークホルダーとのパートナーシップの増加など、当社の事業活動の進化に伴い、これらの第三者による業務遂行の影響は増加しています。 さらに、当社ではソーシャルメディア・プラットフォームを含むデジタルプラットフォームの使用が増加していますが、これらが法令および社内規定に遵守しない方法により使用される可能性があります。 当社は、グローバルエシックス&コンプライアンス部門を設置し、グローバルでコンプライアンスを推進する体制を整備し、当社および当社が関係する第三者の事業活動が法令および社内規定を遵守して実施されていることをモニタリングしています。 また、第三者との取引あるいは対話にかかる社内ポリシーを新たに制定あるいは更新し、リスクの低減にも努めています。 第三者リスク管理(サードパーティリスク管理)の一環として、デューデリジェンスを強化するとともに、潜在的なリスクを特定できるよう取引業者および取引内容の継続的なスクリーニングについても更なる強化を図っています。 しかしながら、当社の従業員や、当社が関係する第三者がこれらの法令等に違反した場合や社会的要請に反した行動をとった場合、法令による処罰や制裁、規制当局による処分、訴訟の提起を受ける可能性があり、社会的な信頼を失うとともに金銭的損害を負う可能性があります。 (10)進出国および地域におけるカントリーリスク当社は、グローバルな事業展開に伴い、進出国や地域における政治不安、経済情勢の悪化、関税その他の貿易制限措置、新興感染症の流行、社会混乱、進出国における紛争、各国・地域間における地政学的緊張の高まり等に伴う投資、データの越境規制など様々なリスクにさらされています。 また、各国においてビジネスと人権に関する法規制の整備が進んでおり、バリューチェーン全体での人権侵害リスクへの対応の必要性が高まっています。 当社は、各部門の連携のもと、これらのリスクが当社の事業に与える影響の分析や各地域における社会情勢のモニタリング、人権デューデリジェンスの実施等を通じてリスクに対応する体制を構築しており、患者さんの医薬品へのアクセスを保護することを優先事項として、リスクの抑止策や発生時の対処法を検討する等のリスク管理に努めています。 しかしながら、当社または当社と協力関係にある第三者が事業を行っている地域において、不測の事態が生じた場合には、当社の業績、財務状況及び社会的信頼に影響を及ぼす可能性があります。 (11)為替変動、金利変動およびインフレーションに関するリスク当社の当年度における海外売上収益は4兆1,631億円であり、連結売上収益全体の90.9%を占めており、そのうち米国での売上収益は2兆3,797億円にのぼり、連結売上収益全体の51.9%を占めています。 従って、売上収益については円安は増加要因である一方、研究開発費をはじめとする海外費用が円安により増加するため、利益に対する影響は双方向にあります。 また、機能通貨以外で実行される事業上の取引、金融取引および投資に関して為替変動リスクにさらされています。 さらに、金利変動による資金調達コストの上昇や、世界的なインフレーションの進行が当社の利益を圧迫する可能性があります。 当社は為替および金利リスクを集約的に管理し、これらの財務リスクをヘッジするためにデリバティブ取引を行うとともに、取引先との契約条件の見直し等により潜在的な影響の緩和を図っていますが、経済環境や金融市況が当社の想定を超えて変動した場合には、当社の業績および財務状況に影響が生じる可能性があります。 (12)訴訟等に関するリスク当社の事業活動に関連して、現在関与している訴訟のほか、将来、医薬品の副作用、製造物責任、労務問題、公正取引等に関連し、訴訟を提起される可能性があり、その動向によっては、当社の業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 なお、係属中の重要な訴訟の詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 32 コミットメントおよび偶発負債」をご参照ください。 (13)環境に関するリスク環境はウェルビーイング(心身の健康)の基礎であり、私たちは事業活動に欠かせない自然資源を環境から得ています。 環境保全に対する責務の遂行は、当社の事業の発展に不可欠であり、当社の価値観(バリュー)に沿うものです。 これは、単に正しい行いをするというだけではなく、人生を変えうるような医薬品やワクチンを責任をもって患者さんにお届けできるようにするものです。 そのために、当社は、ステークホルダーからの期待に沿いつつ法規制にも遵守した厳格な環境マネジメントシステムおよび社内プログラムを整備するとともに、これらが有効に運用され、期待する結果を実現していることを確認するための内部監査手続を定めています。 しかしながら、万が一、予期せぬ汚染や法規制への不適合、不十分な環境保全活動が顕在化した場合には、社会的信頼を損なうとともに、行政措置の対象となり、保険の適用範囲外または補償金額を超える支払義務を伴う改善措置の実施や法的責任を負うことにより、当社の事業活動に悪影響が生じる可能性があります。 また、環境法規制の改正や社会の期待の変化により、より厳しい要請への対応が課せられ、当社の研究、開発、製造その他の事業活動に影響が及ぶ可能性もあります。 かかる要件の遵守や課題への対応が行われない場合には、法規制上の責任を負い、当社の社会的信頼に影響を及ぼすとともに、当社の業務遂行能力に悪影響が生じ、ステークホルダーに対する魅力が低下する可能性があります。 これまでのところ、気候変動に起因するコンプライアンスまたは訴訟等の重大な影響はありませんが、当社は、気候変動を、人々の健康に大きな影響を及ぼす深刻なグローバル課題であるとともに、当社の事業に財務的なリスクをもたらす可能性のある課題であると認識しています。 当社は、2024年に気候関連リスクと機会に関するシナリオ分析を更新し、移行リスクおよび物理的リスクに焦点を当てた評価を実施しました。 当該評価には、特定のサプライチェーンリスクも含まれています。 移行リスク評価では、規制、技術、市場、および評判に関するリスクを対象とし、気候変動に対するグローバルな対応レベルによる異なる3つの気候変動シナリオ(すなわち、「迅速な気候変動対策(Rapid Climate Action)」、「気候変動対策の遅延(Delayed Transition)」、「中道的な気候変動対策(Middle of the Road)」)に基づき、2050年までの時間軸における当社への影響を評価しました。 物理的リスク評価では、当社の事業運営および第三者である主要な医薬品製造受託機関(CMO)およびサプライヤーについて、気温、水、風および土地に関連する危険性を、国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によって設定された2つの共通社会経済経路シナリオ(SSP2-4.5(1)とSSP5-8.5 (2))に基づいて評価しました。 本プロセスを通じて、当社に潜在的に該当する気候関連リスク・カテゴリーを特定することができました。 これには、各国および地域レベルでの炭素税導入に伴うサプライヤーからのコスト転嫁の増加の可能性、および高温ストレス、水資源の不足、洪水による当社の事業運営および医薬品製造受託機関(CMO)への物理的リスクが含まれており、これらが顕在化した場合には、当社の事業、業績および財務状況に影響が生じる可能性があります。 また、当社では、気候変動関連リスクを全社的リスク管理体制に組み込んでおり、今後新たに顕在化しうるリスクの傾向を適切にモニタリングできる体制を取っています。 当社では、潜在的な影響を緩和するため、低炭素型事業への移行を進めています。 当社は、2022年度まで、カーボンニュートラルを維持してきましたが、2024年度からは気候変動対策の目標としてのカーボンニュートラルからの転換を行い、ネットゼロのロードマップを進めるための取り組みにリソースを集中させる一方で、バリューチェーンを超えた自然を活用したカーボン除去プロジェクトへの投資を継続しています。 当社の重要なステークホルダーは当社に対して優れた環境保全活動を遂行することを期待していると認識しており、当社は自社の製品および事業活動から生じる環境への影響を緩和するための方策を継続的に模索しています。 当社は、事業活動およびバリューチェーン全体における温室効果ガス排出量の最小化、天然資源の保全、ならびに持続可能性に配慮した製品設計および生産に重点を置いて、環境サステナビリティ活動に取り組んでいます。 また、これら取り組みを補完する分野にも引き続き注力しており、水資源の保全を支援するための自然資源保護への取り組み、責任ある廃棄物処理、生物多様性の保全をはじめとし、製品ライフサイクル全体を通じて環境への影響を最小限に抑えるため、製品開発のすべての段階においてサステナビリティの原則を取り入れています。 これらの取り組みにより成果が得られた場合には、地球の生態系と人々の健康を守りながら、当社に対する社会的評価の向上と当社事業の強化に繋がることとなり、患者さんに貢献するという当社の揺るぎない使命を果たし続けられることになります。 一方で、当社が掲げているサステナビリティの高い目標に向けた行動を実施できない場合や、ステークホルダーの期待に沿う結果が得られない場合には、当社に対する社会的信頼が損なわれ、その結果、従業員の採用・維持や顧客や投資家との関係の構築において問題が生じ、当社の業績および財務状況に影響が及ぶ可能性があります。 (1) SSP2-4.5シナリオ:温室効果ガス排出量が2050年まで現在のレベルで続き、その後減少するが、2100年までに地球の気温が2.1~3.5℃上昇すると推定される中程度の排出経路を示しています。 (2) SSP5-8.5シナリオ:現在のCO2排出量が2050年までに約2倍、2075年までに約3倍に増加し、2100年までに地球の気温が3.3~5.7℃上昇すると推定される、非常に高い温室効果ガス排出経路を示しています。 (14)人材の採用および配置に関するリスク当社の長期的に持続可能な成長には、人材の獲得競争の激しい市場や地域において、事業を支える適切な人材の採用と配置が重要であると認識しています。 当社は、組織の有効性、文化、価値観を維持しながら、働き方の柔軟性をより高め、職場環境をより良くする施策を実施するとともに、継続的なキャリア開発機会の提供やエンゲージメントの推進を図り、従業員に対して魅力的な価値を提案することで、人材採用における競争力の強化と人材の定着を促進しています。 しかしながら、計画通りに採用や定着が進まない場合は、人材の喪失や不足を通じて、当社の競争力が低下し、その結果、当社の業績および財務状況に影響が及ぶ可能性があります。 |
設備投資等の概要 | 1 【設備投資等の概要】 当社グループ(当社および連結子会社)は、競争力の維持向上のため、生産設備の増強・合理化および研究開発体制の充実・強化また販売力の強化や管理業務の効率化などの設備投資を継続して行っております。 当年度におけるグループ全体の設備投資(有形固定資産取得ベース)総額は2,252億円となりました。 |
主要な設備の状況 | 2 【主要な設備の状況】 当社グループ(当社および連結子会社)における、バイオ医薬品、血漿分画製剤およびワクチンの生産設備を含む主要な設備は、次のとおりであります。 (1) 提出会社2025年3月31日現在事業所名等《所在地》設備の内容帳簿価額(百万円)従業員数(人)建物及び構築物機械装置及び運搬具土地リース資産その他合計面積(㎡)金額グローバル本社《東京都中央区ほか》管理販売設備24,95198(513)16,05228,5317673,78058,1281,032本社《大阪府大阪市中央区ほか》管理販売設備2,90631(1,006)362,30599026044,533424大阪工場《大阪府大阪市淀川区》生産・研究設備17,1552,037(6,250)163,6941,046118,57838,816471光工場《山口県光市》生産・研究設備30,11114,730(3,763)1,011,0613,6186645,56154,6851,068成田工場 《千葉県成田市》生産・研究設備8861,55027,64458432,1585,180197湘南研究所《神奈川県藤沢市》研究設備2,77125721,009274―7,89311,195596営業拠点《東京都中央区ほか》管理販売設備72――――25971,020 (注) 1 帳簿価額は、日本基準に基づく個別財務諸表の帳簿価額を記載しております。 2 当社の設備が帰属するセグメントは、医薬品事業であります。 3 帳簿価額のうち、「その他」は、工具、器具及び備品、および建設仮勘定の合計であります。 4 連結会社以外の者への賃貸中の土地1百万円(237㎡)および建物298百万円を含んでおります。 5 土地および建物の一部を連結会社以外の者から賃借しております。 賃借料は4,383百万円であります。 賃借している土地の面積については、( )で外書きしております。 6 グローバル本社および本社については、その建物・付属設備および土地の他、グローバル本社および本社が管理を行う寮・社宅、その他土地および設備により構成されております。 (2) 連結子会社2025年3月31日現在子会社事業所名《主な所在地》セグメントの名称設備の内容帳簿価額(百万円)従業員数(人)建物及び構築物機械装置及び運搬具土地使用権資産その他合計面積(㎡)金額バクスアルタUS Inc.《米国 ジョージア州コビントン》医薬品事業生産設備等212,635102,401(6,217)823,2275,65165,58076,789463,0562,851武田ファーマシューティカルズU.S.A., Inc.《米国 マサチューセッツ州ケンブリッジ》医薬品事業管理販売設備等21,920244(18,857)――177,04621,532220,7423,981バイオライフ・プラズマ・サービシズ LP《米国 イリノイ州バンノックバーン》医薬品事業生産設備等61,52922,863(81,869)453,6914,32993,8027,137189,6608,938シャイアー・ヒューマン・ジェネティック・セラピーズ Inc.《米国 マサチューセッツ州レキシントン》医薬品事業生産設備等46,07916,999(5,411)393,79926,81154,63021,573166,092839武田マニュファクチャリング・オーストリア AG《オーストリア ウィーン》医薬品事業生産設備等52,45130,814128,8017,1932,99914,964108,4213,048バクスアルタ・ベルギー・マニュファクチャリング S.A.《ベルギー レシーヌ》医薬品事業生産設備等14,80228,193150,5994751,13743,05587,6611,081バクスアルタ・マニュファクチャリング S.à r.l.《スイス ヌーシャテル》医薬品事業生産設備等15,07223,72987,0402,675―37,67379,149643武田マニュファクチャリング・イタリア S.p.A.《イタリア ローマ》医薬品事業生産設備等12,50319,207111,1501,436―20,25753,402822米州武田開発センター Inc.《米国 マサチューセッツ州ケンブリッジ》医薬品事業研究設備等17,29411,76773,3829,17534,37042,6093,627武田 GmbH《ドイツ コンスタンツ》医薬品事業生産設備等220,144――46920,53941,1531,761武田アイルランド Limited《アイルランド キルダリー》医薬品事業生産設備等19,62910,448202,6793,426―6,72840,232435武田マニュファクチャリング・シンガポール Pte. Ltd.《シンガポール》医薬品事業生産設備等8,50021,565(7,096)――1853,76034,010378武田Singen Real Estate GmbH & Co. KG《ドイツ ジンゲン》医薬品事業生産設備等17,343―141908―14,66532,916― (注) 1 帳簿価額は、IFRSに基づく金額を記載しております。 2 帳簿価額のうち、「その他」は、工具、器具及び備品、および建設仮勘定の合計であります。 3 上表において、連結会社以外の者への賃貸中の土地1,488百万円(3,369㎡)および建物及び構築物1,499百万円を含んでおります。 4 上表において、建物、機械装置及び運搬具および土地の一部を連結会社以外の者から賃借しております。 賃借料は30,142百万円であります。 賃借している土地の面積については、( )で外書きしております。 5 子会社の所在地は、主な所在地を記載しており、別の所在地に生産設備を有していることがあります。 |
設備の新設、除却等の計画 | 3 【設備の新設、除却等の計画】 ① 重要な設備の新設、除却等重要な設備の新設、除却等の計画は以下のとおりであります。 区分会社名《主な所在地》セグメントの名称設備の内容投資予定金額資金調達方法着手及び完了予定総額(百万円)既支払額(百万円)着手完了新設武田薬品工業株式会社《日本 大阪府大阪市淀川区》医薬品事業製造設備(注1)153,000(注2)5,582自己資金2025年度(注2)2029年度(注2)新設バクスアルタUS Inc.《米国 カリフォルニア州ロサンゼルス》医薬品事業製造設備(注3)34,00914,987自己資金2024年1月2027年6月新設武田ファーマシューティカルズU.S.A., Inc.《米国 マサチューセッツ州ケンブリッジ》医薬品事業研究開発施設およびオフィス284,322(注4)2,557自己資金及びリース2023年1月2028年 12月新設バクスアルタ・ベルギー・マニュファクチャリング S.A.《ベルギー レシーヌ》医薬品事業製造設備および倉庫(注5)41,26234,125自己資金2022年2月2027年6月 (注) 1 血漿分画製剤の製造設備投資となります。 2 当社は、血漿分画製剤の新製造設備を大阪工場に建設するため、総額95,000百万円の長期投資を計画していましたが、円安による為替影響を含む建設資材の価格高騰や建設事業者における人員不足の現況を踏まえ、当年度において、投資予定総額の増額を決定するとともに、着手及び完了予定時期を見直しました。 3 血漿分画製剤の生産能力拡大のための投資となります。 4 投資予定額には、2026年開始予定のリース契約に基づくリース料支払義務を含んでおります。 5 血漿分画製剤の製造設備投資となります。 |
研究開発費、研究開発活動 | 730,200,000,000 |
設備投資額、設備投資等の概要 | 2,252,000,000 |
Employees
平均年齢(年)、提出会社の状況、従業員の状況 | 43 |
平均勤続年数(年)、提出会社の状況、従業員の状況 | 14 |
平均年間給与、提出会社の状況、従業員の状況 | 11,038,000 |
管理職に占める女性労働者の割合、提出会社の指標 | 0 |
全労働者、労働者の男女の賃金の差異、提出会社の指標 | 1 |
正規雇用労働者、労働者の男女の賃金の差異、提出会社の指標 | 1 |
非正規雇用労働者、労働者の男女の賃金の差異、提出会社の指標 | 1 |
Investment
株式の保有状況 | (5) 【株式の保有状況】 ① 投資株式の区分の基準および考え方当社は、保有目的が純投資目的である投資株式と純投資目的以外の目的である投資株式の区分について、純投資目的株式には、専ら株式価値の変動または配当金を目的として保有する株式を、純投資目的以外の株式には、中長期的な企業価値の向上に資すると判断し保有する株式を区分しています。 ② 保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式a.保有方針および保有の合理性を検証する方法ならびに個別銘柄の保有の適否に関する取締役会等における検証の内容当社は、事業の基盤となる取引先・提携先企業の株式のみ保有することとしており、その保有については縮減に取り組んでいます。 保有に当たっては、個別銘柄ごとに中長期的な事業戦略上の保有意義を勘案し、保有に伴う便益(配当金のほか、商取引や戦略的提携により期待されるリターン)につき資本コストとの関係を検証の上、当社グループの企業価値向上に資するかを総合的に判断しています。 その結果、保有意義が乏しいと判断される銘柄については縮減対象とし、資金需要や市場環境等を考慮しつつ売却します。 当事業年度は、検証の結果、4銘柄の保有を継続するという方針を決定しています。 議決権の行使にあたっては、議案内容が株主および相手先企業の価値向上に資するかどうかを総合的に検証した上で判断します。 株主価値を毀損する議案や当該企業のコーポレート・ガバナンスの低下につながると当社が判断した議案については反対します。 b.銘柄数および貸借対照表計上額 銘柄数(銘柄)貸借対照表計上額の合計額(百万円)非上場株式469,511非上場株式以外の株式49,354 (当事業年度において株式数が増加した銘柄) 銘柄数(銘柄)株式数の増加に係る取得価額の合計額(百万円)株式数の増加の理由非上場株式31,182新規投資、転換社債権利行使、および持分法適用関連会社からの区分変更非上場株式以外の株式1-上場に伴う区分変更 (当事業年度において株式数が減少した銘柄) 銘柄数(銘柄)株式数の減少に係る売却価額の合計額(百万円)非上場株式2170非上場株式以外の株式323,022 c.特定投資株式およびみなし保有株式の銘柄ごとの株式数、貸借対照表計上額等に関する情報 特定投資株式 銘柄当事業年度前事業年度保有目的、業務提携等の概要、定量的な保有効果および株式数が増加した理由当社の株式の保有の有無株式数(株)株式数(株)貸借対照表計上額(百万円)貸借対照表計上額(百万円)あすか製薬ホールディングス株式会社2,204,8402,204,840(保有目的)当社事業における取引関係および提携関係の維持のための投資(業務提携等の概要)医薬品の流通および製品導出に関する業務提携(定量的な保有効果)(注2)有(注3)5,0804,893Chordia Therapeutics 株式会社10,760,500-(保有目的)当社事業における提携関係の維持のための投資(業務提携等の概要)癌領域における治療薬に関する提携定量的な保有効果)(注2)(株式数が増加した理由)当事業年度中に同社が新規上場したことによるもの 無2,884-ノイルイミューン・バイオテック株式会社8,119,8008,119,800(保有目的)当社事業における提携関係の維持のための投資(業務提携等の概要)CAR-T細胞療法に関する技術導入(定量的な保有効果)(注2)無1,3071,527Ovid Therapeutics, Inc.1,781,9961,781,996(保有目的)当社事業における提携関係の維持のための投資(業務提携等の概要)発達性およびてんかん性脳症治療薬に関する提携 (定量的な保有効果)(注2)無83823Denali Therapeutics, Inc.-4,214,559(保有目的)当社事業における提携関係の維持のための投資(業務提携等の概要)神経変性疾患治療薬の開発および販売に関する業務提携 (定量的な保有効果)(注2)無-13,100Phathom Pharmaceuticals, Inc.-3,153,217(保有目的)当社事業における提携関係の維持のための投資(業務提携等の概要)消化器疾患領域における治療薬の開発および販売に関する業務提携 (定量的な保有効果)(注2)無-5,072Wave LifeSciences, Ltd.-1,096,892(保有目的)当社事業における提携関係の維持のための投資(業務提携等の概要)神経疾患治療薬の開発および販売に関する業務提携(定量的な保有効果)(注2)無-1,025 (注1)「-」は、当該銘柄を保有していないことを示しております。 (注2)当社は、特定投資株式における定量的な保有効果の記載が困難であるため、保有の合理性を検証した方法について記載いたします。 当社は保有株式について資本コストを踏まえ、配当・取引額に加え、 戦略上の重要性や事業上の関係等を総合的に判断しており、検証の結果、十分な定量的な効果があるまたは中長期的な企業価値向上に資すると判断し保有しています。 (注3)当社株式の保有会社は同銘柄の子会社であるあすか製薬株式会社です。 みなし保有株式該当事項はありません。 ③ 保有目的が純投資目的である投資株式 区分当事業年度前事業年度銘柄数(銘柄)貸借対照表計上額の合計額(百万円)銘柄数(銘柄)貸借対照表計上額の合計額(百万円)非上場株式----非上場株式以外の株式--2241 区分当事業年度受取配当金の合計額(百万円)売却損益の合計額(百万円)評価損益の合計額(百万円)非上場株式---非上場株式以外の株式55- |
株式数が増加した銘柄数、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 3 |
株式数が増加した銘柄数、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 1 |
株式数が減少した銘柄数、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 3 |
銘柄数、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 46 |
貸借対照表計上額、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 9,511,000,000 |
銘柄数、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 4 |
貸借対照表計上額、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 9,354,000,000 |
株式数の増加に係る取得価額の合計額、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 1,182,000,000 |
株式数の減少に係る売却価額の合計額、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 23,022,000,000 |
株式数、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社 | 1,781,996 |
貸借対照表計上額、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社 | 83,000,000 |
受取配当金の合計額、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的である投資株式、提出会社 | 5,000,000 |
売却損益の合計額、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的である投資株式、提出会社 | 5,000,000 |
株式数が増加した理由、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 新規投資、転換社債権利行使、および持分法適用関連会社からの区分変更 |
株式数が増加した理由、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 上場に伴う区分変更 |
銘柄、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社 | Wave LifeSciences, Ltd. |
保有目的、業務提携等の概要、定量的な保有効果及び株式数が増加した理由、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社 | (保有目的)当社事業における提携関係の維持のための投資(業務提携等の概要)神経疾患治療薬の開発および販売に関する業務提携(定量的な保有効果)(注2) |
当該株式の発行者による提出会社の株式の保有の有無、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社 | 無 |
Shareholders
大株主の状況 | (6) 【大株主の状況】 2025年3月31日現在 氏名又は名称住所所有株式数(千株)発行済株式(自己株式を除く。)の総数に対する所有株式数の割合(%) 日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)東京都港区赤坂1丁目8番1号278,20417.62 株式会社日本カストディ銀行(信託口)東京都中央区晴海1丁目8-1293,1175.90 THE BANK OF NEW YORK MELLON AS DEPOSITARY BANK FOR DEPOSITARY RECEIPT HOLDERS(常任代理人 株式会社三井住友銀行)240 GREENWICH STREET, 8TH FLOOR WEST, NEW YORK, NY 10286 U.S.A.(東京都千代田区丸の内1丁目1番2号)61,7453.91 STATE STREET BANK WEST CLIENT-TREATY 505234(常任代理人 株式会社みずほ銀行決済営業部)1776 HERITAGE DRIVE, NORTH QUINCY, MA 02171, U.S.A.(東京都港区港南2丁目15―1)33,9232.15 SMBC日興証券株式会社東京都千代田区丸の内3丁目3番1号30,4241.93 JP MORGAN CHASE BANK 385632(常任代理人 株式会社みずほ銀行決済営業部)25 BANK STREET, CANARY WHARF, LONDON, E14 5JP, UNITED KINGDOM(東京都港区港南2丁目15-1 )30,1171.91 STATE STREET BANK AND TRUST COMPANY 505001(常任代理人 株式会社みずほ銀行決済営業部)ONE CONGRESS STREET, SUITE 1, BOSTON, MA 02111, U.S.A.(東京都港区港南2丁目15―1)26,6671.69 日本生命保険相互会社(常任代理人 日本マスタートラスト信託銀行株式会社)東京都千代田区丸の内1丁目6番6号(東京都港区赤坂1丁目8番1号)24,7521.57 JPモルガン証券株式会社東京都千代田区丸の内2丁目7-323,0821.46 JP MORGAN CHASE BANK 385781(常任代理人 株式会社みずほ銀行決済営業部)25 BANK STREET, CANARY WHARF, LONDON, E14 5JP, UNITED KINGDOM(東京都港区港南2丁目15-1 )22,1721.40計-624,20439.53 |
株主数-金融機関 | 254 |
株主数-金融商品取引業者 | 54 |
株主数-外国法人等-個人 | 950 |
株主数-外国法人等-個人以外 | 1,086 |
株主数-個人その他 | 562,917 |
株主数-その他の法人 | 3,459 |
株主数-計 | 568,721 |
氏名又は名称、大株主の状況 | JP MORGAN CHASE BANK 385781(常任代理人 株式会社みずほ銀行決済営業部) |
株主総利回り | 2 |
株主総会決議による取得の状況 | (1) 【株主総会決議による取得の状況】 該当事項はありません。 |
株主総会決議又は取締役会決議に基づかないものの内容 | (3) 【株主総会決議又は取締役会決議に基づかないものの内容】 区分株式数(株)価額の総額(円)当事業年度における取得自己株式4,16117,508,023当期間における取得自己株式184793,499 (注)1 当期間における取得自己株式には、2025年6月1日から有価証券報告書提出日までの単元未満株式の買取による株式数は含めておりません。 2 上記の取得自己株式には、株式付与ESOP信託にかかる信託口が取得した当社株式および役員報酬BIP信託にかかる信託口が取得した当社株式を含めておりません。 |
Shareholders2
自己株式の取得 | -51,905,000,000 |
Audit
監査法人1、連結 | 有限責任 あずさ監査法人 |