財務諸表

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提出書類、表紙有価証券報告書
提出日、表紙2025-06-19
英訳名、表紙JAPAN POST HOLDINGS Co.,Ltd.
代表者の役職氏名、表紙取締役兼代表執行役社長  増 田 寬 也 (注)2025年6月25日開催予定の定時株主総会の議案(決議事項) として、「取締役13名選任の件」を提案しており、当該議案が 承認可決されますと、以下のとおりとなる予定です。
取締役兼代表執行役社長  根 岸 一 行
本店の所在の場所、表紙東京都千代田区大手町二丁目3番1号
電話番号、本店の所在の場所、表紙03-3477-0111(日本郵政グループ代表番号)
様式、DEI第三号様式
会計基準、DEIJapan GAAP
連結決算の有無、DEItrue
当会計期間の種類、DEIFY

corp

沿革 2 【沿革】
(1) 設立経緯1871年、前島密により、郵便制度が創設されました。
1875年に郵便為替事業、郵便貯金事業が創業され、1906年には郵便振替事業が創業されました。
1885年に逓信省が設立され、郵便事業、郵便為替事業及び郵便貯金事業が同省に移管され、1916年に簡易生命保険事業、1926年に郵便年金事業が創業されました。
1949年には、郵政事業は逓信省から郵政省に引き継がれました。
郵政事業はこのように国の直営事業として実施されてきましたが、1996年11月に発足した行政改革会議において、国の行政の役割を「官から民へ」、「国から地方へ」という基本的な視点から見直すこととされ、このような行政機能の減量、効率化の一環として、国の直営を改め「三事業一体として新たな公社」により実施することとされました。
これを受け、2001年1月、郵政省は自治省及び総務庁との統合により発足した総務省及び郵政事業の実施に関する機能を担う同省の外局として置かれた郵政事業庁に再編された後に、2002年7月31日に郵政公社化関連4法が公布され、2003年4月1日に日本郵政公社(以下「公社」といいます。
)が発足することとなりました。
2001年4月に小泉内閣が発足すると、財政改革、税制改革、規制改革、特殊法人改革、司法制度改革、地方分権推進等とともに、郵政事業の民営化が、「改革なくして成長なし」との基本理念のもとで進められた「聖域なき構造改革」における重要課題の一つとして位置づけられました。
2004年9月、公社の4機能(窓口サービス、郵便、郵便貯金及び簡易生命保険)をそれぞれ株式会社として独立させること、これらの株式会社を子会社とする純粋持株会社を設立すること等を主な内容とする「郵政民営化の基本方針」が閣議決定され、立案された郵政民営化関連6法案(郵政民営化法案、日本郵政株式会社法案、郵便事業株式会社法案、郵便局株式会社法案、独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法案及び郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案)が、閣議決定、第162回通常国会への提出、両院郵政民営化に関する特別委員会における審議、衆議院における一部修正、参議院本会議における否決、衆議院解散・総選挙、再提出等を経て、2005年10月、第163回特別国会において可決・成立しました。
日本郵政株式会社(以下「当社」といいます。
)は、2006年1月、郵政民営化法及び日本郵政株式会社法に基づき、郵便事業株式会社及び郵便局株式会社の発行済株式の総数を保有し、これらの経営管理及び業務の支援を行うことを目的とする株式会社として設立されました。
2006年9月には、当社の全額出資により、株式会社ゆうちょ(現 株式会社ゆうちょ銀行)及び株式会社かんぽ(現 株式会社かんぽ生命保険)が設立されました。
2007年10月、郵政民営化(郵政民営化関連6法の施行)に伴い公社が解散すると、その業務その他の機能並びに権利及び義務は、5つの承継会社(当社、郵便事業株式会社、郵便局株式会社、株式会社ゆうちょ銀行及び株式会社かんぽ生命保険)並びに郵便貯金及び簡易生命保険の適正かつ確実な管理等を行う独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構(現 独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構。
以下「郵政管理・支援機構」といいます。
)に引き継がれました。
これにより、当社を持株会社とし、郵便事業株式会社、郵便局株式会社、株式会社ゆうちょ銀行及び株式会社かんぽ生命保険を中心とした日本郵政グループが発足いたしました。

(2) 郵政民営化法等の一部を改正する等の法律の公布郵政民営化(2007年10月1日)後、約4年半が経過した2012年4月27日、第180回通常国会で郵政民営化法等の一部を改正する等の法律案が可決・成立し、2012年5月8日に公布されました。
これにより、郵便事業株式会社と郵便局株式会社は、郵便局株式会社を存続会社として合併し、社名を日本郵便株式会社に変更したことにより、日本郵政グループは5社体制から4社体制へと再編されました。
また、ユニバーサルサービス(郵便の役務、簡易な貯蓄、送金及び債権債務の決済の役務並びに簡易に利用できる生命保険の役務を利用者本位の簡便な方法により郵便局で一体的かつ将来にわたりあまねく全国において公平に利用できるようにすること。
)の範囲が拡充され、これまでの郵便サービスのみならず、貯金、保険の基本的なサービスを郵便局で一体的に利用できる仕組みが確保されるようになりました。
当社が保有する株式会社ゆうちょ銀行及び株式会社かんぽ生命保険(以下「金融2社」といいます。
)の株式は、その全部を処分することを目指し、金融2社の経営状況、ユニバーサルサービス確保の責務の履行への影響を勘案しつつ、できる限り早期に処分することとされております。
なお、政府が保有する当社の株式については、政府は、2011年11月30日、第179回臨時国会において可決・成立した東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法により、復興債の償還費用の財源を確保するため、当社の経営状況、収益の見通しその他の事情を勘案しつつ処分の在り方を検討し、その結果に基づいて、できる限り早期に処分することとされております。
(3) 当社及び金融2社の株式上場上記の法律上の要請に加え、金融2社株式についても、金融2社の経営の自由度確保のため早期の処分が必要であること、また、金融2社の株式価値を当社の株式価格に透明性を持って反映させることといった観点を総合的に勘案し、当社及び金融2社の上場はいずれも遅らせることなく、同時に行うことが最も望ましいと判断し、政府による当社の株式の売出し・上場に合わせ、金融2社株式につきましても、同時に売出し・上場を行うこととし、2015年11月4日、当社及び金融2社は東京証券取引所市場第一部に同時上場いたしました(東京証券取引所の市場区分の見直しにより、2022年4月4日以降はプライム市場へ移行)。
(4) 沿革年 月沿革2006年1月公社の全額出資により、郵政民営化に向けた準備を行う特殊会社として当社を設立2006年9月当社の全額出資により、郵政民営化に向けた準備を行う会社として、株式会社ゆうちょ(現 株式会社ゆうちょ銀行)及び株式会社かんぽ(現 株式会社かんぽ生命保険)を設立2007年10月郵政民営化に伴い、当社は、郵便事業株式会社、郵便局株式会社(現 日本郵便株式会社)、株式会社ゆうちょ銀行及び株式会社かんぽ生命保険の株式の総数を保有する持株会社に移行公社の全額出資により郵便事業株式会社、郵便局株式会社を設立し、両社株式を承継株式会社ゆうちょは商号を株式会社ゆうちょ銀行に、株式会社かんぽは商号を株式会社かんぽ生命保険に変更2007年12月株式会社ゆうちょ銀行が新規業務(シンジケートローン(参加型)、貸出債権の取得又は譲渡等、金利スワップ取引等)の認可取得株式会社かんぽ生命保険が新規業務(運用対象の自由化)の認可取得2008年4月株式会社ゆうちょ銀行が新規業務(クレジットカード業務、変額個人年金保険の募集業務、住宅ローン等の媒介業務)の認可取得2009年1月株式会社ゆうちょ銀行が全国銀行データ通信システムによる他の金融機関との内国為替取扱開始2012年10月郵便局株式会社が商号を日本郵便株式会社に変更し、郵便事業株式会社と合併2014年4月株式会社かんぽ生命保険が学資保険「はじめのかんぽ」の販売開始2014年7月株式会社かんぽ生命保険がAmerican Family Life Assurance Company of Columbus(注1)のがん保険の受託販売等の取扱開始2015年5月日本郵便株式会社が豪州物流企業Toll Holdings Limitedを子会社化2015年10月株式会社かんぽ生命保険が養老保険「新フリープラン(短期払込型)」の販売開始2015年11月当社、株式会社ゆうちょ銀行及び株式会社かんぽ生命保険が、それぞれ東京証券取引所市場第一部に株式を上場株式会社かんぽ生命保険が法人向け商品(総合福祉団体定期保険等)の受託販売開始2016年3月株式会社かんぽ生命保険が新規業務(再保険の引受け、付帯サービス)の認可取得株式会社かんぽ生命保険が第一生命保険株式会社(注2)と業務提携2017年6月株式会社ゆうちょ銀行が新規業務(口座貸越サービス、地域金融機関との連携に係る業務等、市場運用関係業務)の認可取得2017年10月株式会社かんぽ生命保険が特約「医療特約 その日からプラス」、終身保険(低解約返戻金型)「新ながいきくん 低解約返戻金プラン」、長寿支援保険(低解約返戻金型)「長寿のしあわせ」の販売開始2018年12月当社がAflac Incorporated及びアフラック生命保険株式会社と資本関係に基づく戦略提携に合意2019年4月株式会社かんぽ生命保険が引受基準緩和型商品「かんぽにおまかせ」、先進医療特約の販売開始株式会社かんぽ生命保険株式の第2次売出し2021年3月当社及び日本郵便株式会社が楽天株式会社(注3)と業務提携に合意、当社が楽天株式会社に出資 年 月沿革2021年4月株式会社ゆうちょ銀行が新規業務(口座貸越サービスに係る信用保証業務を行う子会社の保有、フラット35の直接取扱等、損害保険募集業務)の認可取得2021年6月当社の株式会社かんぽ生命保険に対する議決権保有割合は49.9%となり、当社は保険業法上の保険持株会社に該当しないこととなる2022年3月株式会社ゆうちょ銀行が新規業務(投資一任契約の締結の媒介業務)の認可取得2022年4月株式会社かんぽ生命保険が特約「医療特約 もっとその日からプラス」販売開始当社、株式会社ゆうちょ銀行及び株式会社かんぽ生命保険が、それぞれ東京証券取引所プライム市場へ移行2023年3月株式会社ゆうちょ銀行株式の第2次売出し2023年4月株式会社かんぽ生命保険が学資保険「はじめのかんぽ」を改定2024年5月株式会社ゆうちょ銀行がゆうちょキャピタルパートナーズ株式会社を設立2025年3月株式会社ゆうちょ銀行株式の第3次売出し2025年4月日本郵便株式会社がトナミホールディングス株式会社を株式取得により子会社化
(注) 1.米国法人の日本支店が日本法人化され、日本支店の事業については日本法人へ承継されたことにより、有価証券報告書提出日現在における契約先はアフラック生命保険株式会社となっております。
2.業務提携先グループ内部における業務移管により、有価証券報告書提出日現在における業務提携先は第一生命ホールディングス株式会社となっております。
3. 業務提携先の商号変更により、有価証券報告書提出日現在における業務提携先は楽天グループ株式会社となっております。
4.2025年6月以降、当社の株式会社ゆうちょ銀行に対する議決権保有割合は49.9%程度となり、当社は銀行法上の銀行持株会社に該当しないこととなる予定です。
(参考)郵政事業創業から2005年12月までの主な沿革年 月主な沿革1871年4月郵便事業創業1872年7月郵便制度を全国的に実施1873年4月郵便料金の全国均一制を実施1875年1月郵便為替事業創業、外国郵便の取扱いを開始1875年5月郵便貯金事業創業1885年12月逓信省発足1892年10月小包郵便の取扱いを開始1906年3月郵便振替事業創業1911年2月速達郵便の取扱いを開始1916年10月簡易生命保険事業創業1926年10月郵便年金事業創業1938年2月東京逓信病院が診療を開始1941年10月定額郵便貯金制度を創設1949年6月二省分離に伴い郵政省発足1949年12月お年玉付郵便葉書の発行を開始1962年4月簡易生命保険加入者福祉施設(現 かんぽの宿等)の設置及び運営等を行う特殊法人として簡易保険福祉事業団が設立1968年7月郵便番号制の実施1981年3月郵便貯金自動預払機(ATM)による取扱いを開始1986年3月逓信病院の一般開放を実施1991年4月新簡易保険制度の発足(郵便年金事業を簡易保険事業に統合)1999年1月ATM・CD提携サービス、デビットカードサービスを開始2001年1月省庁再編に伴い、郵政省と自治省、総務庁が統合した総務省と郵政事業庁に再編2001年4月郵便貯金資金の全額自主運用を開始(資金運用部への全額預託義務が廃止)2001年10月バイク自賠責保険の取扱いを開始2001年12月地方公共団体からの受託事務の取扱いを開始2003年4月公社発足(簡易保険福祉事業団を統合)2005年10月投資信託の販売の取扱いを開始
事業の内容 3 【事業の内容】
(1) 当社グループの事業の内容日本郵政グループ(以下「当社グループ」といいます。
)は、当社、日本郵便株式会社(以下「日本郵便」といいます。
)、株式会社ゆうちょ銀行(以下「ゆうちょ銀行」といいます。
)及び株式会社かんぽ生命保険(以下「かんぽ生命保険」といい、日本郵便及びゆうちょ銀行と併せて「事業子会社」と総称します。
)を中心に構成され、「郵便・物流事業」、「郵便局窓口事業」、「国際物流事業」、「不動産事業」、「銀行業」、「生命保険業」等の事業を営んでおります。
当該6事業の区分は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に掲げるセグメントの区分と同一であり、報告セグメントに含まれていない事業を「その他」に区分しております。
また、当連結会計年度より報告セグメントとして「不動産事業」を新設しております。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」のとおりであります。
各事業における事業の内容並びに当社及び関係会社の位置づけは次に記載のとおりであります。
なお、当社は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当し、これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。
セグメントの名称主な事業内容関係会社等郵便・物流事業郵便の業務並びに郵便物の作成及び差出しに関する業務その他の附帯する業務等の郵便事業並びに物流事業等○ 日本郵便○ 日本郵便輸送株式会社○ 日本郵便メンテナンス株式会社○ JPロジスティクスグループ株式会社○ JPビズメール株式会社○ 株式会社JPメディアダイレクト○ JP楽天ロジスティクス株式会社○ JPロジスティクス株式会社○ 東京米油株式会社△ JPライネックス南海パーセル株式会社郵便局窓口事業郵便・物流事業に係る窓口業務、銀行窓口業務、保険窓口業務、物販事業、提携金融サービス等○ 日本郵便○ 株式会社郵便局物販サービス○ JPコミュニケーションズ株式会社○ 日本郵便オフィスサポート株式会社○ JP損保サービス株式会社○ 日本郵政インフォメーションテクノロジー株式会社○ JPシステム開発株式会社○ 株式会社ゆうゆうギフト○ JP東京特選会株式会社△ セゾン投信株式会社△ 株式会社ジェイエイフーズおおいた△ リンベル株式会社国際物流事業豪州を中心としたグローバル市場におけるフォワーディング及びロジスティクス事業等○ Toll Holdings Pty Limited  及び同社傘下の連結子会社178社△ Toll Holdings Pty Limited傘下の関連会社3社不動産事業不動産事業等○ 日本郵便○ 日本郵政不動産株式会社○ JPプロパティーズ株式会社○ JPビルマネジメント株式会社銀行業銀行業等○ ゆうちょ銀行○ ゆうちょローンセンター株式会社○ JPインベストメント株式会社  及びその他連結子会社12社○ ゆうちょキャピタルパートナーズ株式会社(注3)  及びその他連結子会社1社 △ JP投信株式会社△ 日本ATMビジネスサービス株式会社生命保険業生命保険業等○ かんぽ生命保険○ かんぽシステムソリューションズ株式会社△ 大和アセットマネジメント株式会社 セグメントの名称主な事業内容関係会社等その他グループシェアード事業、病院事業、宿泊事業、投資事業当社○ 日本郵政コーポレートサービス株式会社○ ゆうせいチャレンジド株式会社○ 日本郵政キャピタル株式会社  及び同社傘下の連結子会社1社○ 株式会社JPデジタル○ JPツーウェイコンタクト株式会社○ 日本郵政建築株式会社(注4)△ 株式会社Good Technology Company△ Aflac Incorporated
(注) 1.○は連結子会社、△は持分法適用関連会社であります。
2.当社の子会社である日本郵便は、子会社であるJWT株式会社を通じ、2025年2月27日より、トナミホールディングス株式会社に対する公開買付け(以下「本公開買付け」という。
)を実施しました。
本公開買付けにより、本公開買付けの決済日である2025年4月17日付で、議決権の所有割合は87.24%となり、当社の連結子会社となりました。
同社は、5月30日に開催した臨時株主総会において株式併合の実施を決議しており、これによって効力が発生した場合には同社はJWT株式会社の完全子会社となり、JWT株式会社の商号は「JPトナミグループ株式会社」に変更される予定です。
3.2024年5月21日付で、投資運用業務を事業内容とするゆうちょキャピタルパートナーズ株式会社(議決権の所有割合はゆうちょ銀行100%)を設立しております。
4.2024年4月1日付で、建築物等の調査・企画、設計・工事監理、コンストラクションマネジメント、建築物等の管理及び運営維持に関する支援を事業内容とする日本郵政建築株式会社(議決権の所有割合は当社100%)を設立しております。
  なお、2024年7月1日付で、当社の不動産の管理等に関する業務を、日本郵政建築株式会社へ承継させる会社分割(簡易吸収分割)を行っております。
詳細は、「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」のとおりであります。
① 郵便・物流事業当事業では、郵便法(昭和22年法律第165号)の規定により行う郵便の業務並びに郵便物の作成及び差出しに関する業務その他の附帯する業務等の郵便事業並びに物流事業等を行っております。
(a) 郵便事業郵便サービスを全国一律の料金であまねく公平に提供し、国内郵便に加え、万国郵便条約などの条約・国際取り決めに基づく国際郵便(通常・小包・EMS※)を提供しております。
また、お客さまの郵便発送業務一括アウトソーシングのニーズにお応えするため、郵便物などの企画・作成(印刷)から封入・封かん、発送までをワンストップで請け負うトータルサービスを提供しております。
その他、国からの委託による印紙の売りさばき、お年玉付郵便葉書の発行等の業務を行っております。
※ EMS=国際スピード郵便(Express Mail Service) (b) 物流事業物流サービスとして、宅配便(ゆうパック等)及びメール便(ゆうメール等)の運送業務を行っており、eコマース市場の成長に伴う多様な顧客ニーズに的確に応えたサービスを提供いたします。
一方、多様化・高度化する物流ニーズに対しては、物流ソリューションセンターを中心として、お客さまに最適な物流戦略、物流システムの設計、提案、構築から運用までを行う3PL※サービスの提供を展開しております。
さらに、eコマースを中心とした小口荷物の国際宅配需要を獲得するため、2014年に資本・業務提携した海外物流パートナーである、仏GeoPost S.A.及び香港Lenton Group Limitedとの間で開発した国際宅配便サービスである「ゆうグローバルエクスプレス」により国際郵便で提供できない付加価値サービスに対応いたします。
※ 3PL(サードパーティーロジスティクス)=サード・パーティー(=3PL事業者)が、荷主の物流業務全体又は一部を荷主から包括的に受託するサービスの形態。
(c) その他(a)及び(b)の業務の他、カタログ等に掲載されている商品若しくは権利の販売又は役務の提供に係る申込みの受付け、商品代金の回収等の業務や、地方公共団体からの委託を受けて空き家調査業務等を行っております。
② 郵便局窓口事業当事業では、お客さまにサービスを提供するための営業拠点として全国に設置した直営の郵便局(2025年3月31日現在20,133局(うち、営業中は20,017局))及び業務を委託した個人又は法人が運営する簡易郵便局※(2025年3月31日現在4,052局(うち、営業中は3,449局)。
ただし、銀行代理業務等に係る委託契約を締結しているのは3,457局(うち、営業中は3,434局)、生命保険募集委託契約を締結しているのは337局(うち、営業中は335局))において郵便・物流事業に係る窓口業務、銀行窓口業務等、保険窓口業務等、物販事業を行っている他、提携金融サービスを行っております。
※ 簡易郵便局法(昭和24年法律第213号)第3条に規定する日本郵便が郵便窓口業務及び印紙の売りさばきに関する業務を委託する者が設ける施設であり、日本郵便と受託者との受委託契約により行う業務が異なります。
(a) 郵便・物流事業に係る窓口業務郵便物の引受・交付、郵便切手類の販売、ゆうパック等物流サービスの引受、印紙の売りさばき等を行っております。
(b) 銀行窓口業務等ゆうちょ銀行から委託を受け、通常貯金、定額貯金、定期貯金、送金・決済サービスの取扱い、公的年金などの支払い、国債や投資信託の窓口販売などを行っております。
(c) 保険窓口業務等かんぽ生命保険から委託を受け、生命保険の募集や保険金の支払いなどを行っております。
(d) 物販事業カタログ等を利用して行う商品又は権利の販売並びに商品の販売又は役務の提供に係る契約の取次ぎ及び当該契約に係る代金回収を行う業務等として、生産地特選品販売、年賀状印刷サービス、フレーム切手販売、文房具等の郵便等関連商品の陳列販売等を行っております。
また、社員による販売に加え、インターネット及びDMによる販売を行っております。
(e) 提携金融サービスかんぽ生命保険以外の生命保険会社や損害保険会社などから委託を受け、変額年金保険、がん保険、引受条件緩和型医療保険、自動車保険、傷害保険等の販売を行っております。
(f) その他の事業(a)~(e)の業務の他、以下の業務を行っております。
・地方公共団体からの委託を受けて行う戸籍謄本や住民票の写し等の公的証明書の交付事務、ごみ処理券等の販売、バス利用券等の交付事務・当せん金付証票(宝くじ)の発売等の事務に係る業務・日本放送協会からの委託を受けて行う放送受信契約の締結・変更に関する業務・郵便局等の店頭スペース等の活用、窓口ロビーへのパンフレット掲出等の広告業務・会員向け生活支援サービス業務(郵便局のみまもりサービス) 等 ③ 国際物流事業当事業では、Toll Holdings Pty Limited(以下「トール社」といいます。
)、同社傘下の子会社及び関連会社において、アジア太平洋地域に関わる輸出入を中心としたフルラインでの国際的貨物輸送、及び、アジア太平洋地域に関わる輸送・倉庫管理や資源・政府分野物流等のサービスを行っております。
トール社及び同社傘下の子会社は、下表の2部門で構成されており、不特定の顧客や小さな契約ベースの顧客を対象としたフォワーディング事業及び特定顧客のニーズを満たすために構築したロジスティクス事業を提供しております。
  区分部門名サービス概要フォワーディング事業グローバルフォワーディング(Global Forwarding)アジア太平洋地域に関わる輸出入を中心としたフルラインでの国際的貨物輸送ロジスティクス事業グローバルロジスティクス(Global Logistics)アジア太平洋地域における輸送・倉庫管理や資源・政府分野物流等のサービスを提供 ④ 不動産事業当事業では、オフィスビル・商業施設・住宅等の開発による賃貸事業及び分譲事業のほか、賃貸用建物の運営管理等を行っております。
グループ保有不動産の開発を中心に、用途やエリアごとのマーケットを見極めたグループ外の収益物件の取得も推進しております。
当連結会計年度より報告セグメントとして「不動産事業」を新設しております。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」のとおりであります。
⑤ 銀行業当事業では、ゆうちょ銀行が、銀行法に基づき、預入限度額内での預金(貯金)業務、有価証券投資業務、シンジケートローン等の貸出業務、為替業務、国債、投資信託及び保険商品の販売、住宅ローン媒介業務、クレジットカード業務などを営んでおります。
また、日本郵便の郵便局ネットワークをメインチャネルに、1.2億人規模のお客さまに生活・資産形成に貢献する金融サービスを提供し、お預かりした貯金を有価証券で運用することを主な事業としております。
また、ゆうちょ銀行及びその関係会社は、銀行業務のほか、金融商品取引業務などを行っております。
(a) 資金運用ゆうちょ銀行は、2025年3月末日現在、個人貯金が90%超を占める190.4兆円の貯金を、主として有価証券143.5兆円(内、国債40.3兆円、その他の証券(外国債券や主な投資対象が外国債券である投資信託等で構成)87.4兆円)で運用し、資金運用収益を中心に収益を確保しております。
具体的には、想定した市場環境の下、負債の状況等を踏まえて国債等の運用資産・運用期間を適切に管理するとともに、収益源泉の多様化・リスク分散の観点から、国際分散投資の推進、オルタナティブ資産への投資など運用の高度化・多様化を図っているほか、地域経済活性化にも貢献すべく、従来からの地方公共団体向け資金供給の強化に加え、地域金融機関と連携し、地域活性化ファンドへの出資等に取り組んでおります。
こうした金融資産及び金融負債は、市場リスク(金利、為替、株式など様々な市場のリスク・ファクターの変動により、資産・負債(オフ・バランスを含む。
)の価値が変動し損失を被るリスク、資産・負債から生み出される収益が変動し損失を被るリスク)や信用リスク(信用供与先の財務状況の悪化等により、資産(オフ・バランス資産を含む。
)の価値が減少ないし消失し、損失を被るリスク)を伴うものであるため、デリバティブ取引等で一定のリスクをヘッジしつつ、収益確保に努めております。
(b) 資金調達、資産・負債総合管理ゆうちょ銀行は、本支店その他の営業所、日本郵便が展開している郵便局ネットワークを通じて、お客さまから通常貯金、定額・定期貯金などの各種の貯金を預入限度額内でお預かりしております。
また、郵政管理・支援機構が、公社から承継した郵便貯金に相当する預り金を、特別貯金として受け入れております。
さらに、上記(a)の資金運用(資産)と市場取引も含めた資金調達(負債)について、信用・市場リスクや流動性リスク(運用・調達期間の差異や資金流出により、必要な資金調達や通常の金利での資金調達が困難となるリスク)をマネージするため、各商品のリスク特性に合わせた7つのポートフォリオに細分化して管理する枠組みのもとで、資産・負債を総合的に内部管理するALM(Asset Liability Management)を適切に展開し、中期的な収益の確保に努めております。
(c) 手数料ビジネスゆうちょ銀行は、本支店その他の営業所(直営店)・日本郵便の郵便局ネットワーク・各種デジタルチャネルを通じて、為替業務、国債・投資信託等の資産運用商品の販売、クレジットカード業務、住宅ローン媒介業務及び各金融機関と連携したATM提携サービスなどを提供し、手数料(役務取引等)収益を確保しております。
⑥ 生命保険業当事業では、かんぽ生命保険が、保険業法に基づく免許・認可を得て、生命保険の引受け及び有価証券投資、貸付等の資産運用業務を行っております。
また、日本郵便との間で生命保険募集・契約維持管理業務委託契約等を締結し、2025年3月31日現在、20,097局(うち、営業中は19,981局)の郵便局で生命保険募集等を行っております。
(a) 生命保険業かんぽ生命保険は、生命保険業免許に基づき、次の①~③の保険引受業務及び④~⑫の資産運用業務を行っております。
ただし、かんぽ生命保険には、他の生命保険会社にはない、業務を行うに当たっての郵政民営化法による制約があります。
詳細は下記「(3) 事業に係る主な法律関連事項 ③(i)~(l)」をご参照ください。
業務の種類内訳保険引受業務① 個人保険及び財形保険② 個人年金保険及び財形年金保険③ 再保険
(注)資産運用業務④ 有価証券の取得⑤ 不動産の取得⑥ 金銭債権の取得⑦ 金銭の貸付(コールローンを含む。
)⑧ 有価証券の貸付⑨ 預金又は貯金⑩ 金銭、金銭債権、有価証券又は不動産等の信託⑪ 有価証券関連デリバティブ取引、金融等デリバティブ取引又は先物外国為替取引⑫ その他郵政民営化法第138条に定められた方法等
(注) かんぽ生命保険と郵政管理・支援機構との間で再保険契約を締結し、郵政民営化法により公社から郵政管理・支援機構に承継された、簡易生命保険契約に基づく郵政管理・支援機構の保険責任のすべてをかんぽ生命保険が受再しております。
(b) 他の保険会社(外国保険業者を含む。
)その他金融業を行う者の業務の代理又は事務の代行かんぽ生命保険は、次の保険会社の商品の受託販売等を行っております。
・アフラック生命保険株式会社・エヌエヌ生命保険株式会社・住友生命保険相互会社・第一生命保険株式会社・東京海上日動あんしん生命保険株式会社・日本生命保険相互会社・ネオファースト生命保険株式会社・三井住友海上あいおい生命保険株式会社・明治安田生命保険相互会社・メットライフ生命保険株式会社 (c) 郵政管理・支援機構から委託された簡易生命保険管理業務かんぽ生命保険は、郵政民営化法により公社から郵政管理・支援機構に承継された、簡易生命保険契約の管理業務を、郵政管理・支援機構から受託しております。
⑦ その他上記の各事業のほか、集約により効率性が高まる間接業務をグループ各社から受託するグループシェアード事業、公社から承継した病院及び宿泊施設の運営、成長性の高い企業に出資を行う投資事業等を行っております。
(a) グループシェアード事業当社グループ各社が個別に実施するよりもグループ内で1か所に集約した方が効率的な実施が見込まれる間接業務(電気通信役務及び情報処理サービスの提供、人事及び経理に関する業務、福利厚生に関する業務、不動産の管理等に関する業務、人材派遣・紹介等の業務、コールセンターに関する業務、人材育成に関する業務及び健康管理業務など)を、事業子会社等から受託して実施することにより、業務を支援するとともに、経営効率の向上を図っております。
(b) 病院事業当社グループの企業立病院として、東京逓信病院を運営しております。

(注) 逓信病院設置数は2025年3月31日現在、東京逓信病院の1か所であります。
(c) 宿泊事業「ゆうぽうと世田谷レクセンター」の運営、管理を行っております。

(注) 宿泊事業における施設設置数は2025年3月31日現在、「ゆうぽうと世田谷レクセンター」の1か所であります。
(d) 投資事業成長性の高い企業に出資を行うことにより、出資先企業と当社グループとの連携及び中長期的なグループ収益の拡大を図っております。
上記のほか、当社は、事業子会社等の経営の基本方針の策定及び実施の確保並びに株主としての権利の行使を行うこととしております。

(2) 当社グループの事業系統図当社グループの事業系統図は、次のとおりであります。

(注) 1.持分法非適用の非連結子会社及び関連会社は、記載を省略しております。
2.当社の子会社である日本郵便は、子会社であるJWT株式会社を通じ、2025年2月27日より、トナミホールディングス株式会社に対する公開買付け(以下「本公開買付け」という。
)を実施しました。
本公開買付けにより、本公開買付けの決済日である2025年4月17日付で、議決権の所有割合は87.24%となり、当社の連結子会社となりました。
同社は、5月30日に開催した臨時株主総会において株式併合の実施を決議しており、これによって効力が発生した場合には同社はJWT株式会社の完全子会社となり、JWT株式会社の商号は「JPトナミグループ株式会社」に変更される予定です。
3.2024年5月21日付で、投資運用業務を事業内容とするゆうちょキャピタルパートナーズ株式会社(議決権の所有割合はゆうちょ銀行100%)を設立しております。
4.2024年4月1日付で、建築物等の調査・企画、設計・工事監理、コンストラクションマネジメント、建築物等の管理及び運営維持に関する支援を事業内容とする日本郵政建築株式会社(議決権の所有割合は当社100%)を設立しております。
  なお、2024年7月1日付で、当社の不動産の管理等に関する業務を、日本郵政建築株式会社へ承継させる会社分割(簡易吸収分割)を行っております。
詳細は、「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」のとおりであります。
(3) 事業に係る主な法律関連事項当社グループが行う事業に係る主な法律関連事項は、次のとおりであります。
① 日本郵政株式会社法(a) 趣旨当社の目的、業務の範囲等が定められております。
当社は、本法により政府の規制を受けるとともに、商号の使用制限等の特例措置が講じられております。
(b) 会社の目的当社は、日本郵便の発行済株式の総数を保有し、日本郵便の経営管理を行うこと及び日本郵便の業務の支援を行うことを目的とする株式会社とされております。
(法第1条) (c) 業務の範囲当社は、その目的を達成するため、次に掲げる業務を行うものとされております。
(法第4条第1項)イ. 日本郵便が発行する株式の引受け及び保有ロ. 日本郵便の経営の基本方針の策定及びその実施の確保ハ. 日本郵便の株主としての権利の行使等ニ. イ.からハ.に掲げる業務に附帯する業務 (d) 業務の制限次に掲げる事項について、総務大臣の認可が必要とされております。
イ. その目的を達成するために法第4条第1項に規定する業務のほかに行う必要な業務(法第4条第2項)ロ. 募集株式若しくは募集新株予約権を引き受ける者の募集、又は株式交換若しくは株式交付に際して行う株式若しくは新株予約権の交付(法第8条)ハ. 取締役の選任及び解任並びに監査役の選任及び解任の決議(法第9条)ニ. 毎事業年度の事業計画(法第10条)ホ. 定款の変更、剰余金の配当その他の剰余金の処分(損失の処理を除く。
)、合併、会社分割及び解散の決議(法第11条) (e) ユニバーサルサービスの提供当社は、その業務の運営に当たっては、郵便の役務、簡易な貯蓄、送金及び債権債務の決済の役務並びに簡易に利用できる生命保険の役務を利用者本位の簡便な方法により郵便局で一体的にかつあまねく全国において公平に利用できるようにする責務を有することとされております。
(法第5条) (f) 株式の保有当社は、常時、日本郵便の発行済株式の総数を保有していなければならないこととされております。
(法第6条) (g) 株式の処分政府は、保有義務のある3分の1超の株式を除き、その保有する当社の株式について、できる限り早期に処分するものとされております。
(法附則第3条)なお、政府は、当社の株式の売却収入を東日本大震災に係る復興債の償還費用の財源を確保するため、当社の経営の状況、収益の見通しその他の事情を勘案しつつ処分の在り方を検討し、その結果に基づいて、当社の株式をできる限り早期に処分するものとされております。
(東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法附則第14条) ② 日本郵便株式会社法(a) 趣旨日本郵便の目的、業務の範囲等が定められております。
同社は、本法により政府の規制を受けるとともに、商号の使用制限等の特例措置が講じられております。
(b) 会社の目的日本郵便は、郵便の業務、銀行窓口業務及び保険窓口業務並びに郵便局を活用して行う地域住民の利便の増進に資する業務を営むことを目的とする株式会社とされております。
(法第1条) (c) 業務の範囲イ. 日本郵便は、その目的を達成するため、次に掲げる業務を営むものとされております。
(法第4条)ⅰ 郵便法(昭和22年法律第165号)の規定により行う郵便の業務ⅱ 銀行窓口業務ⅲ ⅱに掲げる業務の健全、適切かつ安定的な運営を維持するために行う、銀行窓口業務契約の締結及び当該銀行窓口業務契約に基づいて行う関連銀行に対する権利の行使ⅳ 保険窓口業務ⅴ ⅳに掲げる業務の健全、適切かつ安定的な運営を維持するために行う、保険窓口業務契約の締結及び当該保険窓口業務契約に基づいて行う関連保険会社に対する権利の行使ⅵ 国の委託を受けて行う印紙の売りさばきⅶ ⅰからⅵに掲げる業務に附帯する業務ロ. 日本郵便は、イ.に規定する業務を営むほか、その目的を達成するため、次に掲げる業務を営むことができるものとされております。
ⅰ お年玉付郵便葉書等に関する法律(昭和24年法律第224号)第1条第1項に規定するお年玉付郵便葉書等及び同法第5条第1項に規定する寄附金付郵便葉書等の発行ⅱ 地方公共団体の特定の事務の郵便局における取扱いに関する法律(平成13年法律第120号)第3条第5項に規定する事務取扱郵便局において行う同条第1項第1号に規定する郵便局取扱事務に係る業務ⅲ ⅱに掲げるもののほか、郵便局を活用して行う地域住民の利便の増進に資する業務ⅳ ⅰからⅲに掲げる業務に附帯する業務ハ. 日本郵便は、イ.及びロ.に規定する業務のほか、イ.及びロ.に規定する業務の遂行に支障のない範囲内で、イ.及びロ.に規定する業務以外の業務を営むことができるものとされております。
ニ. 日本郵便は、ロ.ⅲに掲げる業務及びこれに附帯する業務並びにハ.に規定する業務を営もうとするときは、あらかじめ、総務省令で定める事項を総務大臣に届け出なければならないものとされております。
※ 金融2社は、現在、日本郵便が金融のユニバーサルサービス提供に係る責務を果たすために営む銀行代理業又は保険募集等に係る業務委託契約を日本郵便との間でそれぞれ締結しております。
これらの契約を締結している銀行又は生命保険会社を、それぞれ関連銀行、関連保険会社といいます。
(d) 業務の制限次に掲げる事項について、総務大臣の認可が必要とされております。
イ.新株若しくは募集新株予約権を引き受ける者の募集、又は株式交換若しくは株式交付に際して行う株式若しくは新株予約権の交付(法第9条)ロ. 毎事業年度の事業計画(法第10条)ハ. 総務省令で定める重要な財産を譲渡し、又は担保に供しようとするとき(法第11条)ニ. 定款の変更、合併、会社分割及び解散の決議(法第12条) (e) ユニバーサルサービスの提供日本郵便は、その業務の運営に当たっては、郵便の役務、簡易な貯蓄、送金及び債権債務の決済の役務並びに簡易に利用できる生命保険の役務を利用者本位の簡便な方法により郵便局で一体的にかつあまねく全国において公平に利用できるようにする責務を有することとされております。
(法第5条) ③ 郵政民営化法(a) 趣旨郵政民営化の基本理念、基本方針等を定めるとともに、公社の解散に伴い、公社の機能を引き継がせる新たな株式会社(以下、本③において「新会社」といいます。
)の設立、新会社の株式、新会社に関して講ずる措置、公社の業務等の承継等に関する事項その他郵政民営化の実施に必要となる事項が定められております。
2012年5月8日公布の郵政民営化法等の一部を改正する等の法律の施行に伴い、郵政民営化法が改正され、郵便サービスのみならず、貯金、保険の基本的なサービスを郵便局で一体的に利用できるようにするユニバーサルサービスの確保が義務づけられ、また、当社が保有するゆうちょ銀行及びかんぽ生命保険の株式については、その株式の全部を処分することを目指し、ゆうちょ銀行及びかんぽ生命保険の経営状況、郵政事業に係る基本的な役務の確保の責務の履行への影響等を勘案しつつ、できる限り早期に処分するものとされております。
(b) 株式の処分当社の発行済株式の総数は政府が保有し、日本郵便、ゆうちょ銀行及びかんぽ生命保険の発行済株式の総数は当社が保有するものとされており、政府が保有する当社の株式がその発行済株式の総数に占める割合は、できる限り早期に減ずるものとされておりますが、その割合は、常時、3分の1を超えているものとされております。
また、当社が保有するゆうちょ銀行及びかんぽ生命保険の株式について、その株式の全部を処分することを目指し、ゆうちょ銀行及びかんぽ生命保険の経営状況、郵政事業に係る基本的な役務の確保の責務の履行への影響等を勘案しつつ、できる限り早期に処分するものとされております。
(法第5条、第7条及び第62条) (c) ユニバーサルサービスの提供当社及び日本郵便は、郵便の役務、簡易な貯蓄、送金及び債権債務の決済の役務並びに簡易に利用できる生命保険の役務が利用者本位の簡便な方法により郵便局で一体的に利用できるようにするとともに将来にわたりあまねく全国において公平に利用できることが確保されるよう、郵便局ネットワークを維持するものとし、郵便局ネットワークの活用その他の郵政事業の実施に当たっては、その公益性及び地域性が十分に発揮されるようにするものとされております。
(法第7条の2) (d) 同種の業務を営む事業者との対等な競争条件の確保当社、日本郵便、ゆうちょ銀行及びかんぽ生命保険の業務については、同種の業務を営む事業者との対等な競争条件を確保するために必要な制限を加えるとともに、ゆうちょ銀行について銀行法等の特例を適用しないこととする日又はかんぽ生命保険について保険業法等の特例を適用しないこととする日のいずれか遅い日以後の最初の3月31日までの期間中に、郵政民営化に関する状況に応じ、これを緩和するものとされております。
また、日本郵便は、日本郵便株式会社法第4条第2項第3号に掲げる業務及びこれに附帯する業務並びに同条第3項に規定する業務(以下「届出業務」といいます。
)を営むに当たっては、届出業務と同種の業務を営む事業者の利益を不当に害することのないよう特に配慮しなければならないとされております。
(法第8条及び第92条) (e) ゆうちょ銀行における業務の制限ゆうちょ銀行は、郵政民営化法により、郵政民営化時に認められていなかった業務(いわゆる新規業務)を行うときは、内閣総理大臣及び総務大臣の認可を要するものとされております。
(法第110条)認可を要する業務の概要は、以下イ.からヘ.のとおりであります。
また、内閣総理大臣及び総務大臣は、新規業務の認可や下記(g)(h)の規制に係る認可の申請があった場合、下記(f)の規制に係る政令の制定又は改廃の立案をしようとする場合は、郵政民営化委員会の意見を聴かなければならないこととされております。
なお、2025年3月の当社によるゆうちょ銀行の株式の売出し及び今後の当社が保有するゆうちょ銀行の株式に係る株式処分信託に対する拠出により、当社のゆうちょ銀行に対する議決権比率は50%を下回る水準となる予定であり、当社はゆうちょ銀行の株式の2分の1以上を処分した旨を総務大臣へ届出予定です。
当社がゆうちょ銀行の株式の2分の1以上を処分した旨を総務大臣に届け出た日以後は、郵政民営化法第110条に係る認可は要しないものの、ゆうちょ銀行が各業務を行おうとするときは、その内容を定めて、内閣総理大臣及び総務大臣への届出を要するとともに、業務を行うに当たっては、他の金融機関等との間の適正な競争関係及び利用者への役務の適切な提供を阻害することのないよう特に配慮しなければならないものとされております。
(法第110条の2)イ.外貨預金の受入れ、譲渡性預金の受入れロ.資金の貸付け又は手形の割引(次のⅰからⅵに掲げる業務を除く)ⅰ 預金者等に対する当該預金者等の預金等を担保とする資金の貸付けⅱ 国債証券等を担保とする資金の貸付けⅲ 地方公共団体に対する資金の貸付けⅳ コール資金の貸付けⅴ 当社、日本郵便又はかんぽ生命保険に対する資金の貸付けⅵ 郵政管理・支援機構に対する資金の貸付けハ.銀行業に付随する業務等のうち、次のⅰからⅻに掲げる業務ⅰ 債務の保証又は手形の引受けⅱ 特定目的会社発行社債の引受け等ⅲ 有価証券の私募の取扱いⅳ 地方債又は社債その他の債券の募集又は管理の受託ⅴ 外国銀行の業務の代理又は媒介ⅵ デリバティブ取引の媒介、取次ぎ又は代理ⅶ 金融等デリバティブ取引の媒介、取次ぎ又は代理ⅷ 有価証券関連店頭デリバティブ取引ⅸ 有価証券関連店頭デリバティブ取引の媒介、取次ぎ又は代理ⅹ 投資助言業務ⅺ 信託に係る事務に関する業務ⅻ 地球温暖化防止の観点での算定割当量関連業務ニ.登録金融機関の業務(金融商品取引法第33条第2項の業務)(次のⅰからⅲに掲げる業務を除く)ⅰ 投資の目的又は信託契約に基づく有価証券の売買・有価証券関連デリバティブ取引及び書面取次ぎ行為ⅱ 国債等の募集の取扱い等ⅲ 証券投資信託の募集の取扱い等ホ.その他の法律の規定により銀行が営むことができる業務(次のⅰからⅷに掲げる業務を除く)ⅰ 休眠預金等代替金の支払等ⅱ 当せん金付証票の売りさばき等ⅲ 国民年金基金の加入申出受理業務ⅳ かんぽ生命保険の一部の生命保険の募集ⅴ 確定拠出年金(個人型)の加入申込受理業務ⅵ 拠出年金運営管理業(個人型)ⅶ 公的給付支給等口座の登録申請受付業務等ⅷ 個人番号の利用による口座管理業務ヘ.その他内閣府令・総務省令で定める業務 (f) ゆうちょ銀行における預入限度額ゆうちょ銀行は、郵政民営化法により、当座預金に相当する振替貯金を除き、原則として一の預金者から、受入れをすることができる預金等の額が制限されております。
(法第107条、郵政民営化法施行令第2条)2019年3月13日に公布された郵政民営化法施行令の一部を改正する政令に基づき、同政令の施行日である2019年4月1日からの預入限度額は下記のとおりであります。
また、預金保険制度による貯金の保護の範囲については変更ありません。
イ.通常貯金・・・1,300万円ロ.定期性貯金(定額貯金及び定期貯金等。
郵政民営化前に預入した郵便貯金(郵政管理・支援機構に引き継がれたもの)を含み、ハ.を除く。
)・・・1,300万円ハ.財形定額貯金、財形年金定額貯金、財形住宅定額貯金・・・あわせて550万円 (g) ゆうちょ銀行における子会社保有の制限ゆうちょ銀行は、子会社対象金融機関等を子会社(銀行法第2条第8項に規定する子会社)としようとするときは、内閣総理大臣及び総務大臣の認可を受けなければならないものとされております。
(法第111条第1項)また、銀行(銀行法第16条の2第1項第1号、第2号又は第7号に掲げる会社)を子会社としてはならないものとされております。
(法第111条第7項) (h) ゆうちょ銀行における合併、会社分割、事業の譲渡、譲受けの認可ゆうちょ銀行を当事者とする合併、会社分割、事業の譲渡、譲受けは、内閣総理大臣及び総務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じないとされております。
(法第113条第1項、第3項及び第5項)ただし、内閣総理大臣及び総務大臣は、金融機関(預金保険法第2条第1項各号に掲げる者)との合併その他一定の合併、会社分割、事業の譲渡、譲受けについては、上記認可をしてはならないものとされております。
(法第113条第2項、第4項及び第6項) (i) かんぽ生命保険における業務の制限かんぽ生命保険は、郵政民営化法により、政令で定めるもの以外の保険の種類の保険の引受けを行おうとするときは、その内容を定めて、内閣総理大臣及び総務大臣の認可を受けなければならないものとされております。
(法第138条第1項)また、保険業法第97条の規定により行う業務以外の業務を行おうとするときは、その内容を定めて、内閣総理大臣及び総務大臣の認可を受けなければならないとされております。
(法第138条第3項)なお、保険料として収受した金銭その他の資産を次に掲げる方法以外の方法により運用しようとするときは、内閣総理大臣及び総務大臣の認可を受けなければならないものとされております。
(法第138条第2項)イ.保険契約者に対する資金の貸付けロ.地方公共団体に対する資金の貸付けハ.コール資金の貸付けニ.当社又は日本郵便に対する資金の貸付けホ.郵政管理・支援機構に対する資金の貸付けヘ.その他内閣府令・総務省令で定める方法また、内閣総理大臣及び総務大臣は、新規業務の認可や下記(k)(l)の規制に係る認可の申請があった場合、下記(j)の規制に係る政令の制定又は改廃の立案をしようとする場合は、郵政民営化委員会の意見を聴かなければならないこととされております。
一方、当社がかんぽ生命保険の株式の2分の1以上を処分した旨を総務大臣に届け出た日以後は、郵政民営化法第138条に係る認可は要しないものの、かんぽ生命保険が各業務を行おうとするときは、その内容を定めて、内閣総理大臣及び総務大臣への届出を要するとともに、業務を行うに当たっては、他の生命保険会社との適正な競争関係及び利用者への役務の適切な提供を阻害することのないよう特に配慮しなければならないものとされております。
(法第138条の2)当社は2021年6月9日付でかんぽ生命保険の株式の2分の1以上を処分した旨の届出を行ったことから、郵政民営化法第138条の2の定めに基づき、新規業務、新商品の開発・販売、新たな方法による資産運用にかかる認可手続きは不要となり、届出制へと移行しております。
なお、郵政民営化委員会から2021年10月14日に公表された「株式会社かんぽ生命保険の新規業務に関する届出制の運用に係る郵政民営化委員会の方針(令和3年10月)」において、届出後に必要に応じて郵政民営化委員会による調査審議が実施される場合があり、その場合の調査審議に要する期間はこれまでの認可制に比べて短縮される旨の方針が示されております。
(j) かんぽ生命保険における加入限度額かんぽ生命保険の保険契約については、郵政民営化法及び関連法令により、被保険者1人について加入できる保険金額などの限度(加入限度額)が定められております。
(法第137条、郵政民営化法施行令第6条、第7条及び第8条)なお、被保険者が郵政民営化前の簡易生命保険契約に加入している場合には、加入限度額は、以下の金額から簡易生命保険契約の保険金額等を差し引いた額となります。
イ. 基本契約の保険金額の加入限度額ⅰ 被保険者が満15歳以下のとき 700万円ⅱ 被保険者が満16歳以上のとき 1,000万円(被保険者が満55歳以上の場合の特別養老保険の保険金額は、加入している普通定期保険及び普通定期保険(R04)とあわせて800万円)ただし、被保険者が満20歳以上55歳以下の場合は、一定の条件(加入後4年以上経過した保険契約がある場合など)のもとに、累計で2,000万円までとなっております。
なお、特定養老保険については、年齢にかかわらず、500万円までとなっております。
ロ. 年金額(介護割増年金額を除きます。
)の加入限度額年額90万円(初年度の基本年金額)(夫婦年金保険及び夫婦年金保険付夫婦保険の配偶者である被保険者に係る額を除きます。
)ハ. 特約保険金額の加入限度額ⅰ 疾病にかかったこと、傷害を受けたこと又は疾病にかかったことを原因とする人の状態、傷害を受けたことを直接の原因とする死亡及びこれらに類するものに対する保障・・・あわせて1,000万円ⅱ 上記に掲げるものに関し、治療を受けたことに対する保障・・・1,000万円
(注) 上記の法令で定める加入限度額以外にも、基本契約の保険種類等により付加できる特約の保険金額に一定の制限があります。
ニ. 払込保険料総額の加入限度額財形積立貯蓄保険及び財形住宅貯蓄保険・・・あわせて550万円(財形商品については、他に、関連法令による払込保険料総額等の制限があります。
) (k) かんぽ生命保険における子会社保有の制限かんぽ生命保険は、子会社対象会社を子会社(保険業法第2条第12項に規定する子会社)としようとするとき(同法第106条第1項第16号に掲げる会社にあっては、かんぽ生命保険又はその子会社が合算してその基準議決権数を超える議決権を取得し、又は保有しようとするとき)は、内閣総理大臣及び総務大臣の認可を受けなければならないものとされております。
(法第139条第1項)また、保険会社等(保険業法第106条第1項第1号から第2号の2まで又は第8号に掲げる会社)を子会社としてはならないものとされております。
(法第139条第7項) (l) かんぽ生命保険における保険契約の移転、合併、会社分割又は事業の譲渡若しくは譲受けの認可かんぽ生命保険がする保険契約の移転、かんぽ生命保険を当事者とする合併、会社分割、事業の譲渡、譲受けは、内閣総理大臣及び総務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じないものとされております。
(法第141条第1項、第3項、第5項及び第7項)また、内閣総理大臣及び総務大臣は、当社又はかんぽ生命保険の子会社を移転先会社とする保険契約の移転、保険会社(保険業法第2条第2項に規定する保険会社)との合併その他一定の合併、会社分割、事業の譲渡、譲受けについては、上記認可をしてはならないものとされております。
(法第141条第2項、第4項、第6項及び第8項)
(注) 当社がかんぽ生命保険の株式の全部を処分した日又は当社がかんぽ生命保険の株式の2分の1以上を処分した旨を総務大臣が内閣総理大臣に通知した日以後に、かんぽ生命保険と他の生命保険会社との間の適正な競争関係及び利用者への役務の適切な提供を阻害するおそれがないと認める決定があった日のいずれか早い日以後は、上記(i)に記載の同法第138条の2に基づく届出は不要となります。
加えて、この場合には、上記(i)から(l)までに記載の郵政民営化法上の制限等は適用されないこととされております。
(法第134条) ④ 独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構法 (a) 趣旨郵政管理・支援機構の名称、目的、業務の範囲等に関する事項を定めております。
(b) 概要郵政管理・支援機構の目的は、公社から承継し政府による支払保証が継続された郵便貯金(積立郵便貯金、定額郵便貯金、定期郵便貯金等)及び簡易生命保険を適正かつ確実に管理し、これらに係る債務を確実に履行することにより、郵政民営化に資するとともに、郵便局ネットワークの維持の支援のための交付金を交付することにより、郵政事業に係る基本的な役務の提供の確保を図り、もって利用者の利便の確保及び国民生活の安定に寄与することとされております。
(法第3条)郵政管理・支援機構は、郵便貯金管理業務(公社から承継した郵便貯金の管理に関する業務等)及び簡易生命保険管理業務(同簡易生命保険契約の管理に関する業務等)をその業務の範囲とし、郵便貯金管理業務の一部をゆうちょ銀行に、簡易生命保険管理業務の一部をかんぽ生命保険に、それぞれ委託しております。
(法第13条、第15条及び第18条)郵政管理・支援機構は、ゆうちょ銀行との間で郵便貯金資産(郵便貯金管理業務の経理を区分する郵便貯金勘定に属する資産)の運用のための預金に係る契約を、かんぽ生命保険との間で簡易生命保険契約の再保険の契約を、それぞれ締結しております。
(法第15条及び第16条)また、郵便局ネットワークの維持の支援に要する費用に充てるため、郵政管理・支援機構が関連銀行(ゆうちょ銀行)及び関連保険会社(かんぽ生命保険)から拠出金を徴収し、日本郵便に対し郵便局ネットワークの維持に要する費用の一部に充てるための交付金を交付することとされております。
(法第18条の2及び第18条の3) ⑤ 郵便法(a) 郵便の実施郵便の業務については、日本郵便が行うことが郵便法に定められております。
(法第2条)また、日本郵便以外の何人も、郵便の業務を業とし、また、日本郵便が行う郵便の業務に従事する場合を除いて、郵便の業務に従事してはならないとされております。
(法第4条) (b) ユニバーサルサービスの提供郵便法の目的が、郵便の役務をなるべく安い料金で、あまねく、公平に提供することによって、公共の福祉を増進することと規定されているとおり(法第1条)、日本郵便は郵便のユニバーサルサービスを提供することが義務付けられております。
(c) 業務の制限イ.郵便約款日本郵便は、郵便の役務に関する提供条件について郵便約款を定め、総務大臣の認可を受けなければならず、これを変更しようとするときも同様とされております。
(法第68条)ロ.郵便業務管理規程日本郵便は、業務開始の際、郵便の業務の管理に関する規程を定め、総務大臣の認可を受けなければならず、これを変更しようとするときも同様とされております。
(法第70条)ハ.業務の委託日本郵便は、郵便の業務の一部を委託しようとするときは、他の法律に別段の定めがある場合を除き、総務大臣の認可を受けなければならないとされております。
(法第72条)ニ.料金日本郵便は、郵便に関する料金を定め、あらかじめ総務大臣に届け出なければならず、これを変更するときも同様とされております。
また、第三種郵便物及び第四種郵便物については、日本郵便が料金を定め、総務大臣の認可を受けなければならず、これを変更しようとするときも同様とされております。
(法第67条)
関係会社の状況 4 【関係会社の状況】
名称住所資本金又は出資金(百万円)主要な事業の内容議決権の所有割合(%)関係内容役員の兼任等資金援助営業上の取引設備の賃貸借業務提携(連結子会社) 日本郵便株式会社東京都千代田区400,000郵便・物流事業、郵便局窓口事業、国際物流事業、不動産事業100.0有(20人)有有有―日本郵便輸送株式会社東京都港区18,250郵便・物流事業(貨物自動車運送事業)100.0(100.0)――有――日本郵便メンテナンス株式会社東京都江東区50郵便・物流事業(自動車整備事業、機械保守事業、商品販売事業、車両保守管理業務)100.0(100.0)――有――JPビズメール株式会社東京都足立区100郵便・物流事業(郵便物の作成及び差出)58.5(58.5)―――――株式会社JPメディアダイレクト東京都港区300郵便・物流事業(ダイレクトメールの企画、開発、販売事業、商品発送代行事業)51.0(51.0)――有――東京米油株式会社東京都江東区22郵便・物流事業(石油販売事業)82.3(82.3)―――――JP楽天ロジスティクス株式会社東京都千代田区100郵便・物流事業(ロジスティクス事業)50.1(50.1)―――――JPロジスティクスグループ株式会社東京都千代田区100郵便・物流事業(物流戦略の企画・立案等)100.0(100.0)有(1人)――――JPロジスティクス株式会社東京都千代田区10郵便・物流事業(コントラクト事業、フォワーディング事業、エクスプレス事業)100.0(100.0)有(1人)有―――株式会社郵便局物販サービス東京都江東区100郵便局窓口事業(物販事業、物販業務受託事業)100.0(100.0)――有有―JPコミュニケーションズ株式会社東京都千代田区350郵便局窓口事業(郵便局等における広告の掲出等に関する業務)100.0(100.0)――有――日本郵便オフィスサポート株式会社東京都港区100郵便局窓口事業(物品販売事業、施設管理事業及び受託業務)100.0(100.0)――有―― 名称住所資本金又は出資金(百万円)主要な事業の内容議決権の所有割合(%)関係内容役員の兼任等資金援助営業上の取引設備の賃貸借業務提携JP損保サービス株式会社東京都千代田区20郵便局窓口事業(各種損害保険及び自動車損害賠償責任保険の代理店事業)70.0(70.0)―――――株式会社ゆうゆうギフト神奈川県横浜市西区20郵便局窓口事業(カタログ販売業務、通信販売業務及び酒類の販売媒介)51.0(51.0)―――――JP東京特選会株式会社東京都台東区30郵便局窓口事業(カタログ販売業務、通信販売業務)51.0(51.0)―――――日本郵政インフォメーションテクノロジー株式会社東京都新宿区3,150郵便局窓口事業(通信ネットワークの維持・管理)100.0(67.0)有(1人)―有有―JPシステム開発株式会社東京都品川区99郵便局窓口事業(各種事業システム及び基盤技術のコンサルティング・企画・開発)100.0(100.0)―――――Toll Holdings Pty Limited豪州メルボルン4,978百万豪ドル国際物流事業(フォワーディング事業、ロジスティクス事業)100.0(100.0)有(1人)――――株式会社ゆうちょ銀行東京都千代田区3,500,000銀行業50.0有(3人)―有有―ゆうちょローンセンター株式会社東京都墨田区2,000銀行業(口座貸越サービスの信用保証業務及び事務代行業務)100.0(100.0)―――――JPインベストメント株式会社東京都千代田区750銀行業(有価証券等に関する投資運用業務及び投資助言業務)75.0(75.0)[25.0]―――有―ゆうちょキャピタルパートナーズ株式会社東京都千代田区1,000銀行業(投資運用業務)100.0(100.0)―――――株式会社かんぽ生命保険東京都千代田区500,000生命保険業49.8有(3人)―有――かんぽシステムソリューションズ株式会社東京都品川区500生命保険業(情報システムの設計、開発、保守及び運用業務の受託)100.0(100.0)――――― 名称住所資本金又は出資金(百万円)主要な事業の内容議決権の所有割合(%)関係内容役員の兼任等資金援助営業上の取引設備の賃貸借業務提携日本郵政コーポレートサービス株式会社東京都港区640その他(人材派遣業・請負業)100.0有(1人)有有有―JPビルマネジメント株式会社東京都千代田区150不動産事業(賃貸用建物の運営管理)100.0(100.0)――有――ゆうせいチャレンジド株式会社東京都世田谷区5その他(ビル清掃業)100.0有(1人)―有――日本郵政キャピタル株式会社東京都千代田区100その他(投資業務、経営及び財務に関するコンサルティング業務)100.0有(2人)有有有―日本郵政不動産株式会社東京都千代田区1,500不動産事業(不動産の所有、貸借及び管理、宅地・商業用地等の開発)100.0有(3人)有有有―株式会社JPデジタル東京都千代田区100その他(デジタル関連サービス業)100.0(10.0)有(2人)有有――JPツーウェイコンタクト株式会社大阪府大阪市西区182その他(テレマーケティングサービス)82.9(82.9)――有――JPプロパティーズ株式会社東京都 中央区450不動産事業(ビル・マンション・店舗の所有、賃貸及び不動産のマスターリース等)51.0(51.0)―――――日本郵政建築株式会社東京都千代田区100その他(建築物等の調査・企画、設計・工事監理及びコンストラクションマネジメント、建築物等の管理及び運営維持に関する支援)100.0有(1人)有有有―他 192社 (持分法適用関連会社) セゾン投信株式会社東京都豊島区1,000郵便局窓口事業(第二種金融商品取引業及び投信運用業等)40.0(40.0)―――――株式会社ジェイエイフーズおおいた大分県杵築市493郵便局窓口事業(果実・野菜農産物の加工及び販売等)20.0(20.0)―――――リンベル株式会社東京都中央区100郵便局窓口事業(カタログギフトの企画・制作・販売等)20.0(20.0)――――― 名称住所資本金又は出資金(百万円)主要な事業の内容議決権の所有割合(%)関係内容役員の兼任等資金援助営業上の取引設備の賃貸借業務提携JP投信株式会社東京都中央区500銀行業(投資運用業、第二種金融商品取引業)50.0(50.0)―――――日本ATMビジネスサービス株式会社東京都港区100銀行業(現金自動入出金機等の現金装填及び回収並びに管理業務)35.0(35.0)―――――大和アセットマネジメント株式会社東京都千代田区41,424生命保険業(投資運用業、投資助言・代理業、第二種金融商品取引業)20.0(20.0)―――――株式会社Good Technology Company東京都千代田区10その他(デジタル関連サービス等)40.0(40.0)有(1人)――――Aflac IncorporatedColumbus,GA , USA136百万米ドルグループ持株会社としてのグループ経営管理20.0(注6)――――有他 3社 (持分法適用の非連結子会社) JPライネックス南海パーセル株式会社東京都中央区145通関保税業務50.2(50.2)―――――
(注) 1.「主要な事業の内容」欄には、セグメントの名称のほか、( )内に該当する会社が営む事業の概要を記載しております。
2.上記関係会社のうち、特定子会社に該当するのは、日本郵便、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険、日本郵政インフォメーションテクノロジー株式会社及びトール社であります。
3.上記関係会社のうち、ゆうちょ銀行及びかんぽ生命保険は有価証券報告書を提出しております。
4.「議決権の所有割合(%)」欄の( )内は子会社による間接所有の割合(内書き)、[ ]内は「自己と出資、人事、資金、技術、取引等において緊密な関係があることにより自己の意思と同一の内容の議決権を行使すると認められる者」又は「自己の意思と同一の内容の議決権を行使することに同意している者」による所有割合(外書き)であります。
5.上記関係会社のうち、経常収益(連結会社相互間の内部経常収益を除く)の連結経常収益に占める割合が100分の10を超えている会社は、日本郵便、ゆうちょ銀行及びかんぽ生命保険であり、日本郵便の主要な損益情報等については、以下のとおりであります。
なお、ゆうちょ銀行及びかんぽ生命保険については、有価証券報告書提出会社であるため記載を省略しております。
名称主要な損益情報等(百万円)営業収益経常利益当期純損失(△)純資産額総資産額日本郵便2,772,884159△4,522647,8524,373,274 6.Aflac Incorporated(以下、「アフラック・インコーポレーテッド」といいます)の定款上、アフラック・インコーポレーテッド株式を4年間を超えて継続保有した場合、1株あたり10議決権が付与される旨の定めがあることから、当社は、信託を通じて2025年3月31日時点においてアフラック・インコーポレーテッドの20%超の議決権を保有しております(なお、同様の定めが適用される他株主の有無及び保有株式数により具体的な議決権保有割合は都度変動することとなります)。
もっとも、当社、アフラック・インコーポレーテッド、J&A Alliance Holdings Corporation(当社がアフラック・インコーポレーテッド株式の取得に必要な金銭を信託して設定した信託の受託者。
以下、本注6において「信託受託者」といいます。
)及び信託受託者の株主である一般社団法人J&Aアライアンスとの間で2019年2月28日付けで締結されたShareholders Agreementにおいて、信託が受益権を有するアフラック・インコーポレーテッドの普通株式に係る議決権のうち、総議決権の20%を超える議決権(但し、アフラック・インコーポレーテッドの支配権異動に関する事項(アフラック・インコーポレーテッドの取締役会の構成員の過半数が既存取締役の同意なく変更される場合を除く。
)については、議決権の全て)については、信託が保有していないアフラック・インコーポレーテッドの普通株式の議決数に按分比例して議決権行使を行うとの制限がされているため、当該Shareholders Agreementに基づき信託受託者が自らの裁量により行使できる最大の議決権所有割合を記載しております。
7.当社の子会社である日本郵便は、子会社であるJWT株式会社を通じ、2025年2月27日より、トナミホールディングス株式会社に対する公開買付け(以下「本公開買付け」という。
)を実施しました。
本公開買付けにより、本公開買付けの決済日である2025年4月17日付で、議決権の所有割合は87.24%となり、当社の連結子会社となりました。
同社は、5月30日に開催した臨時株主総会において株式併合の実施を決議しており、これによって効力が発生した場合には同社はJWT株式会社の完全子会社となり、JWT株式会社の商号は「JPトナミグループ株式会社」に変更される予定です。
8.2024年4月1日付で、建築物等の調査・企画、設計・工事監理、コンストラクションマネジメント、建築物等の管理及び運営維持に関する支援を事業内容とする日本郵政建築株式会社(議決権の所有割合は当社100%)を設立しております。
  なお、2024年7月1日付で、当社の不動産の管理等に関する業務を、日本郵政建築株式会社へ承継させる会社分割(簡易吸収分割)を行っております。
詳細は、「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」のとおりであります。
9.2024年5月21日付で、投資運用業務を事業内容とするゆうちょキャピタルパートナーズ株式会社(議決権の所有割合はゆうちょ銀行100%)を設立しております。
10. 当社は、2025年5月15日付の取締役会決議に基づき、日本郵便が行う株主割当増資を、同社による総務大臣認可取得後、同社から新株発行に係る会社法第203条第1項に基づく通知がなされることを条件に、引き受けることを決議いたしました。
その結果、日本郵便の資本金は、300,000百万円増加する予定です(議決権の所有割合の増減はありません。
)。
11. ゆうちょ銀行の株式については当社が2025年5月15日に公表した株式処分信託への拠出により、保有割合が49.9%程度となる予定です。
従業員の状況 5 【従業員の状況】
(1) 連結会社の状況2025年3月31日現在セグメントの名称従業員数(人)郵便・物流事業101,759[92,896]郵便局窓口事業75,043[30,445]国際物流事業9,363[2,664]不動産事業317[31]銀行業11,034[2,439]生命保険業18,656[2,534]その他2,546[2,911]合計218,718[133,920]
(注) 1.従業員数は就業人員であり、臨時従業員数(無期転換制度に基づく無期雇用転換者(アソシエイト社員等)を含み、派遣社員を除く。
)は報告対象期間の平均人員を[ ]内に外書きで記載しております。
2.当連結会計年度より報告セグメントとして「不動産事業」を新設したことに伴い、日本郵便株式会社の営む事業の区分を従来の「郵便・物流事業」「郵便局窓口事業」から、「郵便・物流事業」「郵便局窓口事業」「不動産事業」に変更するとともに、日本郵政不動産株式会社、JPビルマネジメント株式会社及びJPプロパティーズ株式会社の営む事業の区分を「その他」から「不動産事業」に変更しております。
3.国際物流事業の臨時従業員数は、前連結会計年度末から872名減少しておりますが、主に人材派遣業を行っているToll Personnel Pty Ltdの取引が、豪州経済の低迷により減少し、結果、業務量が減少したことによるものです。
4.「その他」の臨時従業員数は、前連結会計年度末から349名増加しておりますが、主に日本郵政コーポレートサービス株式会社にて、シェアード業務の拡大等により業務量が増加したことによるものです。

(2) 提出会社の状況2025年3月31日現在従業員数(人)平均年齢(歳)平均勤続年数(年)平均年間給与(千円)1,23543.316.28,644[246]
(注) 1.従業員数は就業人員であり、臨時従業員数(派遣社員を除く。
)は報告対象期間の平均人員を[ ]内に外書きで記載しております。
2.当社の従業員はすべてその他に属しております。
3.前事業年度末から従業員数が298名、臨時従業員数が73名それぞれ減少しておりますが、主として、日本郵政建築株式会社への出向によるものです。
4.平均年齢、平均勤続年数及び平均年間給与は、臨時従業員を除いております。
5.平均勤続年数は、郵政省、郵政事業庁、公社等における勤続年数を含んでおります。
6.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
7.平均年齢と平均勤続年数は、主として、日本郵政建築株式会社への出向により、他社への出向者が増加し、相対的に他社からの出向者の影響が増大したことから、当事業年度より当社で勤務する者(他社への出向者を含まず、他社からの出向者を含む)の集計としております。
  なお、前事業年度と同様(他社への出向者を含み、他社からの出向者を含まず)の集計によった場合、平均年齢は44.2歳、平均勤続年数は17.3年となります。
(3) 労働組合の状況当社グループにおいては、日本郵政グループ労働組合等の労働組合が組織されております。
また、労使関係については概ね良好であり、特記すべき事項はありません。
(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(平成27年法律第64号)等に基づき、当社及び連結子会社が公表している指標は次のとおりであります。
なお、管理職に占める女性労働者の割合は2025年4月1日時点、その他の指標は当連結会計年度における実績を記載しております。
 ① 提出会社及び主たる子会社提出会社及び主たる子会社管理職に占める女性労働者の割合(%)男性労働者の育児休業取得率(%)労働者の男女の賃金の差異(%)(男性の賃金に対する女性の賃金の割合)全労働者うち正規(無期)労働者うち非正規(有期)労働者日本郵政(当社)17.310066.867.065.2日本郵便9.110060.160.461.7ゆうちょ銀行19.810066.865.082.5かんぽ生命保険9.910074.172.883.0上記4社全体の数値10.010061.762.062.0
(注) 1.管理職に占める女性労働者の割合は、各会社で本籍とする社員を対象としており、他社からの出向者を含めておらず、他社への出向者を含めております。
なお、かんぽ生命保険においては2022年4月からの新しいかんぽ営業体制への移行に伴う他社からの出向者を含める場合の割合は9.5%です。
2.男性労働者の育児休業取得率は、各会社を本籍とする社員を対象としており、他社からの出向者を含めておらず、他社への出向者を含めております(出向契約の締結内容に基づく個別取扱いを除く。
)。
加えて、臨時雇用(無期転換制度に基づく無期雇用転換者(アソシエイト社員)を含みます。
)を含めておりません。
また、当連結会計年度に配偶者が出産した社員のうち、育児休業等を開始した社員(開始予定の申出者を含む。
)の割合を記載しております。
なお、かんぽ生命保険においては2022年4月からの新しいかんぽ営業体制への移行に伴う他社からの出向者を含める場合の男性労働者の育児休業取得率は100%であります。
3.労働者の男女の賃金の差異は、各社の賃金台帳に記載がある社員を対象としており、出向契約の締結内容に基づき、各社において給与を支払っている他社からの出向者及び他社への出向者を含んでおります。
4. 労働者の男女の賃金の差異は、各社の賃金台帳を基に、その各社において雇用する男性労働者の賃金の平均(平均年間賃金=賃金総額÷人員数)に対するその雇用する女性労働者の賃金の平均の割合を記載しております。
総賃金から退職手当は除き、人員数から休職中の社員は除いております。
また、無期転換制度に基づく無期雇用転換者(アソシエイト社員)は正規(無期)雇用労働者に含めて記載しております。
5.労働者の男女の賃金の差異の補足(差異の要因等)は下記のとおりであります。
なお、給与体系は性別に関係なく同一であります。
(日本郵政)< 正規労働者 >・ 給与が高い管理職における女性割合が低い。
・ 給与が高くなる主要要素の1つである勤続年数について、男性の方が、2025年4月1日時点で平均勤続年数が約5年以上長い(無期転換制度に基づく無期雇用転換者(アソシエイト社員)は除く)。
< 非正規労働者 >・ 男性のうち約5割弱を占める専門職採用者の給与が高い。
(日本郵便)< 正規労働者 >・ 給与が高い管理職における女性割合が低い。
・ 給与が高くなる主要要素の1つである勤続年数について、男性の方が平均勤続年数が長い(無期転換制度に基づく無期雇用転換者(アソシエイト社員)は除く)。
・ 時給制の無期転換制度に基づく無期雇用転換者(アソシエイト社員)において、賃金単価の高い郵便・物流事業に男性社員が多い。
・ 時給制の無期転換制度に基づく無期雇用転換者(アソシエイト社員)の女性は、パートタイム(例:1日4時間)で働く社員が多く総労働時間が短い。
< 非正規労働者 >・ 賃金単価の高い郵便・物流事業に男性社員が多い。
・ 時給制契約社員において、パートタイム(例:1日4時間)で働く女性が多く総労働時間が短い。
(ゆうちょ銀行)< 正規労働者 >・ 年齢構成の男女比率に偏りがあり、相対的に賃金水準の高い高齢層・管理職層の女性比率が低い。
< 非正規労働者 >・ 期間雇用社員(有期)の無期雇用への転換により、賃金水準の高い高齢再雇用社員の割合が高まり、かつ男性社員が高齢再雇用社員の約8割を占めている状況から差異が生じている。
(かんぽ生命保険)< 正規労働者 >・ 年齢構成を踏まえた男女比率に偏りがあり、相対的に賃金水準の高い高齢層・管理職層の女性比率が低い。
< 非正規労働者 >・ 男性のうち約4割を占める専門職採用者の給与が高い。
 ② その他の連結子会社連結子会社管理職に占める女性労働者の割合(%)男性労働者の育児休業取得率(%)労働者の男女の賃金の差異(%)(男性の賃金に対する女性の賃金の割合)全労働者うち正規(無期)労働者うち非正規(有期)労働者日本郵便輸送株式会社―58.367.373.559.8日本郵便メンテナンス株式会社―10068.272.973.3JPビズメール株式会社―0.043.353.452.9株式会社JPメディアダイレクト14.1――――JPロジスティクス株式会社7.440.068.375.777.9株式会社郵便局物販サービス―10075.179.662.6日本郵便オフィスサポート株式会社7.5(対象なし)46.964.960.0日本郵政インフォメーションテクノロジー株式会社7.9――――かんぽシステムソリューションズ株式会社11.875.078.378.671.4日本郵政コーポレートサービス株式会社19.225.067.164.378.9JPツーウェイコンタクト株式会社23.166.767.257.390.4日本郵政建築株式会社0.010058.857.520.0
(注) 1.管理職に占める女性労働者の割合は、各会社を本籍とする社員を対象としており、他社からの出向者を含めておらず、他社への出向者を含めております。
2.男性労働者の育児休業取得率は、各会社を本籍とする社員を対象としており、他社からの出向者を含めておらず、他社への出向者を含めております。
加えて、臨時雇用(無期転換制度に基づく無期雇用転換者(アソシエイト社員)を含みます。
)を含めておりません。
また、当連結会計年度に配偶者が出産した社員のうち、育児休業等を開始した社員(開始予定の申出者を含む。
)の割合を記載しております。
3.労働者の男女の賃金の差異は、各社の賃金台帳に記載がある社員を対象としており、出向契約の締結内容に基づき、各社において給与を支払っている他社からの出向者及び他社への出向者を含んでおります。
4. 労働者の男女の賃金の差異は、各社の賃金台帳を基に、その各社において雇用する男性労働者の賃金の平均(平均年間賃金=賃金総額÷人員数)に対するその雇用する女性労働者の賃金の平均の割合を記載しております。
総賃金から退職手当は除き、人員数から休職中の社員は除いております。
また、無期転換制度に基づく無期雇用転換者(アソシエイト社員)は正規(無期)雇用労働者に含めて記載しております。
(参考1) 提出会社及び主たる子会社に関するその他の指標提出会社及び主たる子会社本社における管理職に占める女性労働者の割合(%)男性の育児休業の平均取得日数(日)年次有給休暇の平均取得日数(日)日本郵政(当社)13.232.916.6日本郵便16.438.419.8ゆうちょ銀行21.382.819.3かんぽ生命保険15.078.018.9上記4社全体の数値18.044.919.7
(注) 1.本社における管理職に占める女性労働者の割合は、2025年4月1日時点における、本社を勤務先とする労働者を母数として算出した、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律に基づく一般事業主行動計画等に関する省令(平成27年厚生労働省令第162号)第2条第1項第4号に定める管理的地位にある労働者のうち女性の占める割合であります。
2.日本郵政グループ中期経営計画「JPビジョン2025」のESG目標の1つとして、上記4社の本社における女性管理者比率を2030年度(2031年4月1日時点)までに30%とする目標を掲げております。
なお、本社女性管理者比率は、各社を本籍とする社員を対象としており、他社からの出向者は含めておらず、他社への出向者を含めております。
   3.男性の育児休業の平均取得日数は、当連結会計年度に配偶者が出産した社員のうち、育児休業等を取得した社員の平均取得日数(当連結会計年度に取得を開始した場合の、2025年度以降の見込日数も含む。
)を記載しております。
なお、各会社で本籍とする社員を対象としており、他社からの出向者を含めておらず、他社への出向者を含めております。
加えて、臨時雇用(無期転換制度に基づく無期雇用転換者(アソシエイト社員)を含みます。
)を含めておりません。
4.年次有給休暇の平均取得日数は、当連結会計年度に労働者1人当たりが取得した年次有給休暇の平均日数を記載しております。
なお、臨時雇用(無期転換制度に基づく無期雇用転換者(アソシエイト社員)を含みます。
)を含めておりません。
加えて、年次有給休暇の平均取得日数は、前々年度及び前年度からの繰越分日数を含んでおります。
(参考2) 多様性に関する主な社内制度及び施策育児に関する支援制度・育児休業3歳迄(法定1歳)・育児部分休業9歳迄(法定3歳)※子が障がい等の場合12歳迄男女とも育児休業取得率100%達成に取り組むとともに、2023年度から男性に関しては、3日間の育児休業(有給)の完全取得かつ、4週間以上の取得勧奨実施を義務化・子の看護等休暇 小学校3年終了まで5日(有給) (法定:小学校3年終了まで5日(無給))介護に関する支援制度・介護休業183日(法定93日)・介護部分休業5年(法定3年)病気に関する支援制度・正社員に対する不妊治療のための休暇(チャイルドプラン休暇、無給、1年度30日迄)・両立支援コーディネーターの養成、両立支援啓発研修、職場復帰支援プログラム策定性の多様性に関する支援制度・同性パートナーへの制度適用(社宅、扶養手当、住居手当、介護休業 等)その他人事措置・カムバック採用制度(原則、自己都合含むすべての退職者を再び社員として再採用する制度。
)・短時間勤務制度(「1日8時間・4週10日勤務」又は「1日4時間・4週20日勤務」という勤務形態である短時間勤務職への転換を可能とする制度。
ただし、55歳未満の社員である場合、介護等特別な事情があると会社が認めた場合に限る。
)・早期役職復帰制度(カムバック採用社員、短時間勤務職からフルタイム勤務へ復帰した社員及び育児・介護、がん治療、不妊治療を理由として自ら降職した社員について、一定の要件を満たした場合に、元の役割等級を限度として昇格させることができる制度。
)・配偶者同行休職制度(配偶者の転勤等に同行する社員について、国内外問わず、3年間の範囲内で休職を認める制度。
)各種支援セミナー・育児・介護との両立やキャリア形成に関する支援セミナー実施ダイバーシティ強化月間・2022年からダイバーシティ強化月間を設置。
男性育休の促進や不妊治療、介護、性の多様性などからテーマを複数設定し、勉強会や理解度テストを通して、職場の理解浸透を促進
経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
文中の将来に関する事項は、別段の記載がない限り、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 当社グループの経営理念及び経営方針① グループ経営理念 郵政ネットワークの安心、信頼を礎として、民間企業としての創造性、効率性を最大限発揮しつつ、お客さま本位のサービスを提供し、地域のお客さまの生活を支援し、お客さまと社員の幸せを目指します。
また、経営の透明性を自ら求め、規律を守り、社会と地域の発展に貢献します。
② グループ経営方針・ お客さまの生活を最優先し、創造性を発揮しお客さまの人生のあらゆるステージで必要とされる商品・サービスを全国ネットワークで提供します。
 ・ 企業としてのガバナンス、監査・内部統制を確立しコンプライアンスを徹底します。
 ・ 適切な情報開示、グループ内取引の適正な推進などグループとしての経営の透明性を実現します。
 ・ グループの持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指します。
・ 働く人、事業を支えるパートナー、社会と地域の人々、みんながお互い協力し、社員一人ひとりが成長できる機会を創出します。

(2) 経営環境当連結会計年度の経済情勢を顧みますと、世界経済は、地域によりばらつきがみられました。
米国では、経済がプラス成長を維持するなか、インフレ率の低下に伴い、連邦準備制度理事会は2024年9月、11月及び12月に利下げを実施しました。
一方、ユーロ圏経済は、欧州中央銀行が2024年6月以降6回の利下げを行いましたが、大きな回復は見られず、低調に推移しました。
日本経済は、賃金が上昇し、内需の持ち直しもあり、底堅く推移しました。
円安トレンドが継続し、物価上昇が続くなか、日本銀行は2024年7月及び2025年1月に利上げを行いました。
金融資本市場では、米国の長期市場金利は、インフレ率低下の傾向を受け、低下基調で推移しておりました。
大統領選挙の結果などを受け、いったん上昇する局面もあったものの、米国の関税政策による景気悪化への懸念等から期末にかけて大きく低下しました。
また、日本の長期市場金利は、インフレ見通しもあり上昇基調で推移し、一時1.6%近傍まで上昇しました。
ドル円相場は、2024年4月初めの151円台後半から、期末時点で149円台と大きく水準は変わらなかったものの、同年7月上旬には161円台後半まで円安が進行し、その後の為替介入を契機に140円台まで円高進行するなど、当年度を通しては大きな変動が見られました。
日経平均株価は、日本企業の好調な決算発表から2024年7月には42,000円台まで上昇し、史上最高値を更新しましたが、米国株式と同様に、一時31,000円台まで急落しました。
その後は40,000円程度まで持ち直したものの、米国の関税政策等を巡る不透明感が強まるなか、軟調な米国株式とともに下落に転じました。
物流業界・郵便事業においては、デジタル化の進展等に伴う郵便物の減少や荷物分野における競合他社との激しい競争に加え、諸物価や人件費の上昇に伴うコストの増加等により、厳しい環境が続いています。
また、働き方改革関連法等によるドライバーの拘束時間の減少などから生じる、いわゆる物流の「2024年問題」への対策として、政府により公表された「物流革新に向けた政策パッケージ」に基づき業界・分野別に作成された自主行動計画に掲げられた取組みの実行が求められているほか、改正物流総合効率化法及び改正貨物自動車運送事業法の施行への対応が求められております。
郵便事業においては、ユニバーサルサービスである郵便サービスの安定的な提供を維持していくため、物価問題に関する関係閣僚会議の了承を経て、2024年6月に「郵便法施行規則の一部を改正する省令」が公布され、第一種郵便物のうち25グラム以下の定形郵便物の上限料金の額が「84円」から「110円」に改正されました。
銀行業界においては、当年度の全国銀行における預金は26年連続で増加し、貸出金も14年連続で増加しました。
金融システムは、2025年4月以降、内外の金融市場が大きく変動するなど、各国の通商政策をはじめとする経済政策運営や地政学的リスク、国際金融市場の動向を巡る不確実性が高まっているものの、全体として安定性を維持しています。
生命保険業界においては、超高齢社会の進展や人口減少等の大きな構造変化とともに、先端技術の進歩・普及や、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を契機としたライフスタイル多様化の急速な進展等がみられ、多様なお客さまニーズへの対応が求められております。
当社グループは、「郵便・物流」「貯金」「保険」の生活に必要な基礎的サービスや物販、提携金融サービス等を全国約2万4,000か所の郵便局ネットワークを通じて提供するほか、不動産事業など多数のサービスを展開しております。
郵便・物流事業においては1日に約3,000万か所への郵便配達箇所数、銀行業においては約1億2,000万口座の通常貯金口座数、生命保険業においては約1,692万人のお客さま数(契約者さま及び被保険者さまを合わせた人数(個人保険及び個人年金保険を含み、かんぽ生命保険が郵政管理・支援機構から受再している簡易生命保険契約を含みます。
))など、毎日の生活の中で多くのお客さまにご利用いただいており、お客さまとの接点の多さは当社グループの強みとなっております。
(3) 当社グループの経営戦略等① 中期経営計画等について当社グループは、2021年5月に策定した中期経営計画「JP ビジョン2025」について、当社グループを取り巻く環境の変化を踏まえて見直しを行い、「JP ビジョン2025+(プラス)」(2024年度~2025年度)を2024年5月に発表しました。
(a) JP ビジョン2025+の基本方針お客さまと地域を支える「共創プラットフォーム」を目指す姿とすることは変えず、グループ全体で直面する課題を克服し、成長ステージへの「転換」を実現するためのドライバーとして、「資源配分」、「郵便局」及び「人材・システム」という3点を変えていきます。
「資源配分」については、当社グループが成長分野と考える物流分野や不動産事業へ、資金や人材をより積極的に配分できるよう、仕組みを変えていきます。
「郵便局」については、より地域の実情に応じた個性ある郵便局へと進化することを目指し、郵便局ネットワークの価値・魅力を向上させるサービスの充実や、柔軟な営業体制の構築を行うとともに、お客さまの利便性を踏まえた店舗の最適配置、窓口営業時間の弾力化などにより、生産性の向上を図ります。
「人材・システム」については、当社グループの事業活動を行う上で最も重要な人的資本への投資を成長に向けた投資の1つと位置づけ、社員体験価値向上に取り組むとともに、DXの推進などにより、人口減少、ライフスタイルや働き方の変化、デジタル化の急速な進展といった環境変化に適応可能な、柔軟で強靭な組織へと変革します。
(b) 成長ステージへの転換に向けた取組の3本柱「JP ビジョン2025+」のもと、「収益力の強化」、「人材への投資によるEX※1の向上」、「DXの推進等によるUX※2の向上」という3本柱を掲げて取り組みます。
「収益力の強化」については、グループの収益を強化するため、物流分野と不動産事業を成長分野として捉え、経営資源を積極的に投入していくことで、成長の加速を図ります。
「人材への投資によるEXの向上」については、労働人口の減少に伴う人手不足や価値観・ライフスタイルの多様化など、外部環境の変化に対応して、優秀な人材を確保し育成していかなければならないことから、社員エンゲージメント、「誇りとやりがい」の向上や、柔軟で多様性のある組織への転換に取り組みます。
「DXの推進等によるUXの向上」については、デジタルへの移行が急速に進む中、お客さまサービスや社員の働き方を、DXにより利便性を高め、効率化していくことが必須となっています。
グループDXの推進により、お客さま、社員双方の視点から、UXの向上に取り組んでいきます。
※1 EXとは、社員が会社で働くことを通じて得られる体験価値のことです。
※2 UXとは、システムやサービスを利用するユーザー(お客さまや社員)が、その利用を通じて得られる体験価値のことです。
(c) 当社グループにおけるサステナビリティ経営の推進当社グループは、グループのサステナビリティの観点から重要と考えている「地域生活・地域経済」「高齢社会への対応」等のサステナビリティ重要課題に対して、「地域のハブとしての役割発揮」「サプライチェーン全体での対応」等のグループの強みを活かして取り組むことにより、各事業戦略の展開を通じたグループの成長と、Well-being※の向上及び低環境負荷社会への貢献といった価値創造を通じた、社会とグループの持続性ある成長を目指していきます。
※ 「肉体的にも、精神的にも、社会的にも、すべてが満たされた状態にあること」(WHO憲章前文) であり、当社グループでは、多様な個人やコミュニティのあり方を包括する概念として使用しております。
② 経営者の問題意識と今後の方針2025年度は中期経営計画「JP ビジョン2025+」(2024年度~2025年度)の最終年度であり、当社グループは、「JP ビジョン2025+」に掲げた主要目標の達成に向けて取り組み、お客さまと地域を支える「共創プラットフォーム」の実現・成長ステージへの転換を目指すとともに、今後のグループ経営戦略については、次期グループ中期経営計画の策定に向けて検討してまいります。
「JP ビジョン2025+」では、引き続き、お客さまと地域を支える「共創プラットフォーム」を目指し、コアビジネスの充実・強化に向けて、成長分野へのリソースシフトを強力に推進してまいります。
また、人口減少、ライフスタイルや働き方の変化、デジタル化の急速な進展等経済社会の大きな変化に対応するため、お客さま体験価値や社員の利便性向上につながるDXの取組みを強力に推進するとともに、当社グループの人材・組織を多様性あるものに変革する取組みに着手してまいります。
財務面では、ROE(株主資本ベース)について、早期に株主資本コストを上回るROEを達成し、中長期的にさらなる向上を目指します。
また、業務の適正を確保するため、コーポレートガバナンスのさらなる強化に向け、引き続き、グループ全体の内部統制の強化を推進し、コンプライアンス水準の向上を重点課題として、グループ各社に必要となる支援・指導を行います。
特に、かんぽ生命保険商品の募集品質に係る問題を受け、同様の問題を二度と繰り返さないために講じてきた業務改善計画の施策の浸透・定着に引き続き取り組みつつ、取組みの実施状況や課題等を把握し、グループ全体としてさらなる改善を推進してまいります。
さらに、非公開金融情報の不適切利用事案※1については、法令等の趣旨に立ち返ったルールの整備、当社グループの幅広い顧客接点でお客さまの非公開金融情報等の利用に係る同意をいただく取組みの促進と同意を得た非公開金融情報等を活用するシステム環境整備、お客さま本位の活動を実践する人材育成、リスク認識力の強化及びガバナンス強化を内容とする再発防止策を徹底してまいります。
加えて、認可取得前勧誘事案※2については、実態を把握するための調査を実施し、再発防止策を策定いたしました。
再発防止策として、法令等遵守の徹底及び業務品質の確保に向けた取組みを行うほか、それらの再発防止策の実効性確保のため、モニタリング・フォローアップの強化や2線による1線へのけん制機能の発揮など、リスク認識力の強化に向けた取組みやガバナンス強化に向けた取組みを行ってまいります。
今後、法令違反を再発させない態勢を構築してまいります。
点呼業務未実施事案※3については、国土交通省から、貨物自動車運送事業法(平成元年法律第83号)に基づく特別監査を受け、2025年6月5日、一般貨物自動車運送事業の許可取消処分の聴聞の通知を受領しました。
その後、同6月17日に行政処分を受け入れる旨国土交通省に報告しました。
有価証券報告書提出日時点において、行政処分執行後は、一般貨物自動車運送事業の許可が取り消されることにより、使用している1t以上の車両の使用ができなくなる見込みとなっております。
今後は、他の運送会社へ委託を行うことを基本に、確実な点呼の実施を大前提として、日本郵便が保有する軽四車両等を使用することにより、行政処分執行後においても、郵便物及び荷物(ゆうパックなど)のサービスについては、ご利用いただいているお客さまにご迷惑をおかけすることのないよう、引き続き確実かつ適切に対応してまいります。
また、今回の事態に至った責任を重く受け止め、責任の所在及び度合いを勘案して責任を明確化しました。
なお、軽貨物営業所となる郵便局に対する特別監査は、現時点においても継続しており、今後、監査結果を受けて、軽四輪自動車の使用停止処分が下される可能性があります。
かかる行政処分を受け入れる場合においても、再発防止策の実行、適正な点呼業務の徹底に取り組んでまいります。
また、協力会社との集配関係委託契約に関して、一部の郵便局で価格協議や違約金に係る不適切な交渉が認められたことを受け、集配関係委託契約における更なる価格転嫁・取引適正化に向けては、本社に設置した「パートナーシップ強化推進本部」の下で、価格交渉のプロセスの改善、協力会社の皆さまとのコミュニケーションの深化、違約金の仕組みの運用見直し等に取り組んでまいります。
あわせて、部内犯罪及び社員の不正の防止、個人情報保護並びにマネー・ローンダリング、テロ資金供与及び拡散金融対策等の取組みを継続・強化してまいります。
そして、郵便、貯金及び保険のユニバーサルサービスの確保については、交付金・拠出金制度も活用しつつ、その責務を果たし、地域社会に貢献するとともに、郵便局ネットワークの一層の活用・維持による安定的なサービスの提供等を図るため、グループ各社の経営の基本方針を策定し、その実施に努めてまいります。
ゆうちょ銀行及びかんぽ生命保険の株式については、2社の経営状況、ユニバーサルサービスの責務の履行への影響等を勘案しつつ、できる限り早期に処分するものとするという郵政民営化法の趣旨に沿って、所要の準備を行ってまいります。
なお、2025年5月15日に公表したとおり、当社は、株式処分信託設定により、保有するゆうちょ銀行株式のうち17,993,700株を処分することといたしました。
かかる株式処分により、当社のゆうちょ銀行に対する議決権保有割合は49.9%程度となる予定です(処分前50.40%)。
また、当社は、ゆうちょ銀行株式の2分の1以上を処分した旨を総務大臣に届出予定です。
これにより、郵政民営化法によりゆうちょ銀行に課せられている新規業務に係る規制が認可制から届出制へと緩和されることになる予定です。
サステナビリティ経営の推進に関する取組みとして、環境問題への取組みについては、2050年カーボンニュートラルの実現を目指し、輸送・集配車両や郵便局の電力使用からの排出量削減に重点を置き、取り組んでまいります。
当社グループにおける人的資本経営の実践に向けては、「異なる互いを認め合う」環境を基盤として整備すること、個々の社員の「能力を高める」こと、そして、個々の社員が「強みを発揮する」ことが必要と考え、その実現に努めてまいります。
加えて、サイバーテロリスクに備えたサイバーセキュリティの強化、自然災害の発生及び感染症の大流行等の危機へ備えた危機管理態勢の整備に取り組みます。
当社は、資本効率の向上、株主還元の強化を目的として、自己株式の取得を実施しており、2023年5月15日及び2023年8月14日付の取締役会決議に基づき、2023年8月15日から2024年3月22日の間、自己株式立会外買付取引(ToSTNeT‑3)及び立会市場における取引により当社普通株式254,809,200株を取得し、2024年3月27日付の取締役会決議に基づき、2024年4月12日付で保有自己株式のうち254,809,200株を消却いたしました。
また、2024年5月15日付の取締役会決議に基づき、2024年5月16日から2025年3月31日の間、自己株式立会外買付取引(ToSTNeT‑3)及び立会市場における取引により当社普通株式233,305,400株を取得し、2025年3月28日付の取締役会決議に基づき、2025年4月11日付で保有自己株式のうち233,305,400株を消却いたしました。
その結果、2025年4月11日時点における発行済株式総数は2,972,934,900株となりました。
さらに、2025年5月15日付の取締役会において、2025年8月1日から2026年3月31日までを取得期間とし、当社普通株式250,000,000株、取得価額の総額2,500億円をそれぞれ上限として、株式会社東京証券取引所の自己株式立会外買付取引(ToSTNeT‑3)及び立会市場における取引による当社自己株式の取得について決議いたしました。
なお、当該株式取得の取得開始は、2025年5月15日付の取締役会において決議した資本金3,500,000,000,000円のうち1,750,000,000,000円の減少が、2025年6月25日開催予定の第20回定時株主総会により承認可決され、その効力が発生することを条件としています。
※1 非公開金融情報の不適切利用事案とは、郵便局において、お客さまから事前に同意をいただかないまま非公開金融情報を保険募集や投資信託等の販売を目的とした来局のご案内に不適切に利用した事案のことです。
非公開金融情報とは、お客さま対応等の中で知った、お客さまの金融取引や資産に関する、通常、本人しか知りえない情報(口座残高や引落情報、保有ファンドの状況等)のことです。
※2 認可取得前勧誘事案とは、2024年1月に販売を開始した一時払終身保険に関して、販売に係る保険業法上の認可を取得する前にお客さまへ勧誘を行っていた事案のことです。
※3 点呼業務未実施事案とは、近畿支社管内の点呼業務未実施事案の発生を受け、全国の集配郵便局における点呼業務執行状況の調査を行った結果、全国の集配郵便局の約7割で、点呼未実施等の貨物自動車運送事業法に違反する不適切な実態が判明した事案のことです。
(4) 対処すべき課題① 非公開金融情報の適切な取り扱いの確保に向けた取組等について郵便局において、お客さまから事前に同意をいただかないまま、お客さまの貯金の非公開金融情報を、保険募集や投資信託等の販売を目的とした来局ご案内に利用した事例が2024年度に確認されたことを受け、発生原因を分析し再発防止策を策定するとともに、関係者の責任を明確化いたしました。
当社グループは、総力をあげて再発防止策の実効性を不断に検証しながら改革を継続し、お客さま本位のサービス提供が図られるよう、全力で取り組んでまいります。
また、同年度に受領したグループ主要4社に対する金融庁の報告徴求命令並びに当社及び日本郵便に対する総務省の報告徴求命令に基づき、再発防止策及びその実施状況等について定期的に報告を行ってまいります。
② 商品認可前の勧誘行為の再発防止について 2024年1月4日に販売を開始した一時払終身保険に関し、販売に係る保険業法上の認可を取得する前に日本郵便及びかんぽ生命の社員である生命保険募集人が勧誘行為を行った事案を受け、当社、日本郵便及びかんぽ生命は、実態を把握するための調査を実施し、調査結果等を踏まえた再発防止策を策定いたしました。
再発防止策に掲げた各種施策等について、進捗管理を着実に実施しながらPDCAを回し、法令違反を再発させない態勢構築とお客さま本位のサービス提供に向けて、当社グループの全役職員が一丸となって取り組んでまいります。
各事業セグメント別の対処すべき課題は、以下のとおりであります。
③ 郵便・物流事業日本郵便の郵便・物流事業において、郵便物の減少や荷物需要の増加に対応するため、以下の取組を行います。
(a) 荷物分野の営業収益の拡大、強靭な輸配送ネットワークの構築に向けた取組み差出・受取利便性の向上や商品・サービスの改善等に取り組むほか、営業体制・営業力の強化を図ってまいります。
同時に、2024年10月に実施した郵便料金の見直しで増加する収益も活用しながら、賃上げ等の取組みを継続しつつ、利用ニーズの喚起や利便性向上により、郵便物の利用促進に向けて取り組むとともに、強靭な輸配送ネットワークの構築に向けた拠点の整備・機械化等を推進し、業務効率化等を進めてまいります。
なお、過去5事業年度の郵便、ゆうメール、ゆうパック及びゆうパケットの取扱物数の推移は以下のとおりとなります。
(単位:百万通・百万個) 2021年3月期2022年3月期2023年3月期2024年3月期2025年3月期郵便15,24414,85814,44513,57812,566ゆうメール3,2993,3463,1132,8733,241ゆうパック594568554547558ゆうパケット497420426463537 (b) 「2024年問題」への対応いわゆる物流の「2024年問題」は、年々深刻化していく構造的な問題であり、日本郵便では、引き続き、「物流の適正化・生産性向上に向けた自主行動計画」で掲げた諸事項について、荷主・運送事業者双方の立場から確実に対応してまいります。
(c) 適正な点呼業務の徹底点呼業務未実施事案について、国土交通省から、貨物自動車運送事業法に基づく特別監査を受け、2025年6月5日、一般貨物自動車運送事業の許可取消処分の聴聞の通知を受領しました。
その後、同6月17日に行政処分を受け入れる旨国土交通省に報告しました。
有価証券報告書提出日時点において、行政処分執行後は、一般貨物自動車運送事業の許可が取り消されることにより、使用している1t以上の車両の使用ができなくなる見込みとなっております。
今後は、他の運送会社へ委託を行うことを基本に、確実な点呼の実施を大前提として、日本郵便が保有する軽四車両等を使用することにより、行政処分執行後においても、郵便物及び荷物(ゆうパックなど)のサービスについては、ご利用いただいているお客さまにご迷惑をおかけすることのないよう、引き続き確実かつ適切に対応してまいります。
また、今回の事態に至った責任を重く受け止め、責任の所在及び度合いを勘案して責任を明確化しました。
なお、軽貨物営業所となる郵便局に対する特別監査は、現時点においても継続しており、今後、監査結果を受けて、軽四輪自動車の使用停止処分が下される可能性があります。
かかる行政処分を受け入れる場合においても、再発防止策の実行、適正な点呼業務の徹底に取り組んでまいります。
 (d) 協力会社の皆さまとのパートナーシップ強化に向けた取組み集配関係委託契約における更なる価格転嫁・取引適正化に向けて、本社に設置した「パートナーシップ強化推進本部」の下で、価格交渉のプロセスの改善、協力会社の皆さまとのコミュニケーションの深化、違約金の仕組みの運用見直し等に取り組んでまいります。
④ 郵便局窓口事業日本郵便の郵便局窓口事業において、以下の取組を行います。
(a) お客さまに選んでいただける事業への成長に向けた取組み郵便局窓口事業については、「お客さまに選んでいただける事業への成長」のため、「収益力の向上」「郵便局の価値・魅力の向上」「サービス品質の向上」を郵便局窓口事業の目指す姿とし、「窓口社員の柔軟配置」「全社員の知識・スキル強化」「お客さまとの良好な信頼関係構築に向けた人材育成」により、窓口の業務運行体制を確保しつつ、人材育成を強化するほか、「価値・魅力向上施策の実施」に取り組み、地域やお客さまに寄り添った郵便局らしい温かみのある商品・サービスを展開し、郵便局の価値・魅力向上を図るとともに、「窓口オペレーション改革」を進めることで、対面サービスとデジタル技術を融合した高品質なサービス提供に取り組んでまいります。
(b) 非公開金融情報の不適切利用事案を再発させないための取組み 非公開金融情報の不適切利用事案については、法令等の趣旨に立ち返ったルールの整備、当社グループの幅広い顧客接点でお客さまの非公開金融情報等の利用に係る同意をいただく取組みの促進と同意を得た非公開金融情報等を活用するシステム環境整備、お客さま本位の活動を実践する人材育成、リスク認識力の強化及びガバナンス強化を内容とする再発防止策を徹底してまいります。
(c) 認可前の勧誘を再発させない態勢の構築 認可取得前勧誘事案に関して、実態を把握するための調査を実施しました。
再発防止策として、法令等遵守の徹底及び業務品質の確保に向けた取組みを行うほか、それらの再発防止策の実効性確保のため、モニタリング・フォローアップの強化や2線による1線へのけん制機能の発揮など、リスク認識力の強化に向けた取組みやガバナンス強化に向けた取組みを行ってまいります。
⑤ 国際物流事業トール社を通じて、倉庫面積の拡大等によるアジアを中心としたロジスティクス事業の成長、新規案件の獲得等を通じた取扱量の増加等によるフォワーディング事業の収益性の改善に取り組むとともに、調達コストやITコストの削減等による全社的なコスト削減にも、引き続き取り組んでまいります。
⑥ 不動産事業日本郵便及び日本郵政不動産株式会社において、不動産事業が収益の柱の一つとなるよう、引き続き、JPタワー等のオフィス、商業施設をはじめ、住宅、保育所及び高齢者施設の賃貸事業を、住宅については分譲事業も行ってまいります。
具体的には、グループ保有不動産の有効活用や新たな収益機会の拡大の観点から、建築費や収益物件価格が高騰している状況下、適切なタイミングで開発や取得の計画を策定・実行してまいります。
また、稼働中の物件については、収益及び資産価値の維持向上に向けて、共同事業者等との連携や外部委託を適切に活用しながら、良質かつ効率的な運営に取り組んでまいります。
※当連結会計年度より報告セグメントとして「不動産事業」を新設しております。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」のとおりであります。
⑦ 銀行業ゆうちょ銀行をとりまく経営環境は、各国中央銀行の金融政策転換、人口動態の変化、生成AIの浸透をはじめとする社会のデジタル化進展等、大きく変化しております。
特に、米新政権による関税政策等により、金融市場の混乱や世界的な景気後退リスクへの懸念が高まっています。
中期経営計画(2021年度~2025年度)の最終年度にあたる2025年度は、こうした環境変化に機動的に対応しつつ、「リテールビジネス」、「マーケットビジネス」及び「Σ(シグマ)ビジネス(投資を通じて社会と地域の未来を創る法人ビジネス)」というゆうちょ銀行独自の強みを活かした3つのビジネス戦略の推進及びそれらを支える経営基盤の強化を一層加速させ、企業価値向上を追求するとともに、次期中期経営計画に向けた道筋を描く年度といたします。
(a) リテールビジネスお客さま本位の営業活動の徹底を前提に、お客さま基盤の維持・深耕を最重要課題と捉え、リアルチャネルとデジタルチャネルの相互補完戦略の加速を通じ、お客さまとの繋がりを長く継続させるための各種取組みを推進します。
具体的には、「ゆうちょ通帳アプリ(以下、「通帳アプリ」)」を中核とした次期中期経営計画以降のデジタルサービス展開を見据え、郵便局ネットワークも活用しつつ、通帳アプリの更なる利用拡大を追求します。
更に、デジタル技術を活用した業務改革を進め、資産運用商品販売体制や各種事務手続きの一層の高度化を図ることで、利便性を向上しつつ、お客さまの資産形成サポートの推進や、業務量の削減による生産性向上に努めます。
(b) マーケットビジネス国内金利の上昇トレンドを捉え、預け金等から日本国債への投資シフトを引き続き推進します。
また、リスク性資産については、円金利資産の収益見通しやリスクアセットへの影響等に配意した投資を行い、リスク管理を深化しつつ、円金利資産とリスク性資産を組み合わせた最適な運用ポートフォリオを追求します。
(c) Σビジネスゆうちょ銀行の子会社のゆうちょキャピタルパートナーズ株式会社に加え、その他の共同事業者と立ち上げる投資ビークルを通じた投資業務に関し、より一層投資の質を重視した取組みを推進するほか、地域特性等を踏まえたソーシング手法の確立や、マーケティング支援業務の改善・見直し等に取り組みます。
地域企業の成長支援、地域社会の課題解決を通じて、より一層、地域経済の発展と地方創生の実現に貢献するとともに、将来的にサステナブルな収益基盤の構築を目指してまいります。
(d) 経営基盤の強化3つのビジネス戦略を推進するため、引き続き経営基盤の強化に努めてまいります。
競争力・価値創造の源泉である人財を最重要資本の1つと捉え、戦略的人財配置やエンゲージメント向上に資する施策等、「成長を促す」、「能力を引き出す」、「多様性を活かす」という3つの柱を軸とした人事戦略を遂行することで、変化を捉え自ら志高く学びながら金融革新に挑戦する人財を育成してまいります。
また、郵便局において発生した、お客さまの事前同意を取得しないまま貯金等における非公開金融情報を用いて保険募集や投資信託・国債の募集を目的とした来局誘致等を行った事案を受けて、ゆうちょ銀行の銀行業務委託先である日本郵便株式会社への管理・監督体制強化を含め、当社グループの総力をあげて、個人情報管理体制の強化を含む再発防止策に取り組むとともに、部内犯罪の防止等、内部管理態勢の更なる強化を図ってまいります。
加えて、お客さまや社員の声を新規サービスの検討や業務改善等に活かすスキームを通じて、お客さま本位の業務運営及び組織風土改革を推進してまいります。
⑧ 生命保険業かんぽ生命保険は、生命保険会社としての社会的使命に応えるために、以下の取組を実施してまいります。
(a) ライフステージ/世代を超えたつながりによるお客さまの維持・拡大お客さま本位の業務運営をさらに発展させるため、「保険のプロ」としての使命感のもと、お客さまへの商品提案からアフターフォロー、請求手続き等のあらゆる場面で、お客さまに安心をお届けし続ける活動を一体的に展開してまいります。
まず、お客さまとの長期安定的な関係を築きながら、様々な世代のお客さまの課題を把握し、解決策としての保障をご提案できるよう、教育体制を強化しながら営業社員のスキル向上に取り組むほか、あらゆる世代のお客さまの多様なニーズにお応えすべく、金利上昇等の外部環境の変化を捉えた既存商品の魅力向上と、お客さまのライフサイクル全体で安心を提供できるような商品領域の拡充に取り組んでまいります。
次に、お客さまのご自宅への訪問等による対面のサポートに加え、デジタル技術を活用した非対面のサポートを組み合わせながら、全てのお客さまとの信頼関係を一層構築してまいります。
特に、保障の見直しや継続の必要性が高いお客さまには優先的に対面でサポートすることで、お客さまにとって必要となる保障を継続いただきながら、確実に保険金をお支払いしてまいります。
さらに、各種手続きにおけるお客さまの負担軽減や利便性向上を果たすべく、デジタルを活かした手続きを一層拡充し、お客さまサービスのさらなる向上に取り組んでまいります。
これらの取組みに加え、かんぽ生命保険の各拠点の活動全般と成長度合いも定量的に見える化・評価することで、社員と組織双方の成長を一層促進し、お客さまに安心をお届けし続ける活動を一層推進してまいります。
(b) 持続的な「強い会社」へ引き続き、統合的リスク管理(ERM)※1の枠組みの下、ALM※2運用を基本として運用収益の向上を目指し、市場環境の変化を捉えた追加収益の獲得や、他社との連携等を通じた運用態勢や人材ポートフォリオの高度化に取り組んでまいります。
また、大和証券グループ、KKR & Co.Inc(以下「KKR」といいます。
)及びその子会社のGlobal Atlantic Financial Group(以下「Global Atlantic」といいます。
)との提携等、国内外の提携関係を発展させるとともに、中長期的な成長に資する新たな領域を広く探索することで、さらなる収益獲得に取り組んでまいります。
加えて、引き続きデジタル技術を活用することで、お客さまサービスを向上させるとともに、生産性向上を実現し、これにより生じた経営資源を強化領域にシフトすることで、ビジネスモデルの変革等のDXを推進していくほか、これまでの企画業務における生成AIの活用に加え、営業社員によるお客さまサポート業務においても活用する等、全社的なAIやデータ活用にも取り組んでまいります。
※1 ERMとは、Enterprise Risk Managementの略語で、会社が直面するリスクに関して、潜在的に重要なリスクを含めて総体的に捉え、会社全体の自己資本などと比較・対照することによって、事業全体として行うリスク管理のことです。
※2 ALMとは、Asset Liability Managementの略語で、資産負債の総合管理のことです。
(c) コーポレートガバナンスの強化自らの社会的使命を果たす事業活動を通じて社会課題の解決に貢献するサステナビリティ経営に取り組むことで、当社の持続的な成長とSDGsの実現を目指してまいります。
こうした目的を果たすためには、健全な経営基盤が欠かせないものと認識しております。
特に、コーポレートガバナンスの強化について、非公開金融情報の不適切利用事案及び認可取得前勧誘事案を踏まえ、法令遵守等の課題を克服すべく、再発防止策をグループ一体で徹底し、ガバナンス態勢の強化に取り組んでまいります。
(参考)過去の新契約、保有契約の件数の推移は下記のようになります。
(単位:万件)契約の種類2021年3月期2022年3月期2023年3月期2024年3月期2025年3月期新契約(個人保険)1217316279簡易生命保険894806726660602かんぽ生命保険1,5891,4741,3721,3091,278
(注) 2007年10月1日の民営化時の簡易生命保険契約は5,517万件でした。
サステナビリティに関する考え方及び取組 2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、別段の記載がない限り、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
A 全般(1) ガバナンス 当社グループは、「日本郵政グループサステナビリティ基本方針」において、当社グループの事業活動を通じてサステナビリティを巡る社会課題の解決に貢献することにより、グループの持続可能な成長と中長期的な企業価値の向上に努めることを掲げております。
 また、当社グループは「JP ビジョン2025+」において、「日本郵政グループの強みを活かして、各事業戦略を通じたグループとしての成長と、Well-beingの向上及び、GXを含む低環境負荷社会への貢献を通じた、社会とグループの持続可能性の向上を目指す」ことをサステナビリティ経営の目標として設定し、サステナビリティ経営を推進していくこととしております。
 なお、「日本郵政グループサステナビリティ基本方針」及び「JP ビジョン2025+」は、経営会議及び取締役会において決議しております。
 サステナビリティ経営の推進に関する方針の策定及び企画調整等は、サステナビリティ推進部において行っております。
 当社は、サステナビリティ経営を適切に推進するため「サステナビリティ推進規程」を制定し、サステナビリティ経営に係る機能と責任について定め、サステナビリティ経営推進の最高責任者を執行役社長としております。
※本推進規程は2025年4月1日付けで制定いたしました。
 執行機能においては、経営会議の諮問機関として設置しているサステナビリティ委員会(委員長はサステナビリティ推進部を担当する執行役)を年4回開催し、サステナビリティに関するリスク及び機会、対応方針、指標及び目標、取組に関する進捗状況等を審議し、その審議状況について、経営会議及び取締役会に報告しております。
 2024年度は、特別委員である代表執行役社長が第1回及び第4回委員会に出席し、同じく特別委員である代表執行役上席副社長が第4回委員会に出席いたしました。
 また、執行役に対する業績連動型金銭報酬(年次賞与)の算出においては、サステナビリティ指標(社員エンゲージメントスコア・本社女性管理者比率・温室効果ガス排出量の削減施策の実施状況・ESG評価機関の評価の改善状況)を採用しております。
 監督機能においては、取締役会が、サステナビリティ委員会の報告を受け、執行側の取組状況を把握し、具体的な助言と指示を行っております。
サステナビリティ委員会の各回での審議内容及び取締役会報告内容は次のとおりです。
サステナビリティ委員会開催時期主な協議事項・報告事項第1回2024年7月「JP ビジョン2025+」のESG目標(非財務目標)推進状況人的資本経営の推進SSBJ基準開示に向けた課題 等第2回2024年10月温室効果ガス排出量削減ポートフォリオ、ICPの検討状況サステナビリティ広報の強化サステナビリティ経営の自分ごと化 等第3回2024年12月サステナビリティ経営の推進態勢及びガバナンスの強化リスク・機会・インパクトに関する執行役ヒアリング結果TNFDへの対応状況 等第4回2025年3月サステナビリティ推進規程の制定人権デュー・ディリジェンス取組状況 等  当社グループの持続的な成長と、中長期的な企業価値の創出の実現に向け、適切な監督機能を果たすため、取締役会は、豊富な知識・経験と高い見識を有する多様な取締役にて構成することとしており、取締役に求めるスキルを定めているスキル・マトリックスにおいて、「サステナビリティ」を項目の一つに含めております。
 当社は、「サステナビリティ推進規程」において、各部室に「サステナビリティ推進リーダー」を設置し、サステナビリティ推進部と各部室の連携を強化することとしております。
 また、グループ一体となったサステナビリティ経営の推進のため、グループ各社のサステナビリティを担当する役員が参加する日本郵政グループサステナビリティ連絡会を当社サステナビリティ委員会に併せて開催しております。
(サステナビリティ推進体制)
(2) リスク管理 サステナビリティに関する各種リスクについては、サステナビリティ委員会が、同委員会及び日本郵政グループサステナビリティ連絡会における「サステナビリティに関する重要課題」の検討の中で、各課題が及ぼすリスクと機会の識別・評価及び管理方法を審議し、その結果を当社の経営会議及び取締役会に報告しております。
 また、これらのリスクに対する取組の進捗は、サステナビリティ委員会で管理しております。
 さらに、現在の経営環境を踏まえ、2024年度は、サステナビリティ課題に関するリスク・機会とインパクトについて執行役へのヒアリングを実施し、その結果を経営会議及び取締役会に報告いたしました。
 「サステナビリティ経営に係るリスク」は、グループ全体の重要なリスクの一つとして、クライシスマネジメント統括部が各担当部署と密に連携し管理を行っております。
 気候変動に関する温室効果ガス排出量の削減状況など、リスクに対応する取組状況のモニタリング結果については、日本郵政グループリスク・コンプライアンス委員会(グループCRO及び各社リスク管理担当役員で構成)で共有し、経営会議及び取締役会に報告しております。
(3) 戦略① 当社グループの強みを活かした環境・社会課題への対応 「JP ビジョン2025+」で打ち出した「サステナビリティ経営の推進」を具体化するため、当社グループは、環境・社会課題への対応に向けて、地域のハブとしての郵便局の役割発揮とサプライチェーン全体での対応を、これらを推進するためのイノベーションの社会実装とも連携させて進めます。
これらの取組により、モノ・ひと・エネルギー等の地産地消、温室効果ガス排出量削減、サーキュラーエコノミー※を推進し、Well-beingの向上と低環境負荷社会の実現を目指します。
 特に、これらの取組の推進においては、全国の郵便局が重要な役割を果たすものと認識しているところであり、関連主体との関係についてのイメージを示すと、以下のとおりです。
※ 資源(製品や部品等を含む)を循環利用し続けながら、新たな付加価値を生み出し続けようとする経済社会システム。
② サステナビリティに関する重要課題 当社グループの企業価値への影響並びにステークホルダーにとっての重要性及び期待への考察を踏まえ、サステナビリティに関する重要課題として、特に重要な課題及びそれに関連する課題を六つの領域にまとめ、取組の方向性を定めております。
<サステナビリティに関する重要課題の特定のプロセス>以下のプロセスにより、サステナビリティ委員会、経営会議及び取締役会での議論を経て決定しました。
ステップ1: 課題の抽出  SDGs、ISO26000、GRIスタンダード等を参考に課題を洗い出し、適宜グルーピングしたものを「サステナビリティ課題リスト」として抽出。
ステップ2: 社内外の視点による評価  ステップ1で抽出した課題について、当社の執行役、従業員、お客さま、取引先に対してアンケートを行うとともに、機関投資家等の意見、SASB基準において業種別重要トピックとされている事項との関連性、全国の市町村が郵便局に期待している事項、地域における有識者の声、サステナビリティに関する有識者との対話の結果等を参考として、「企業価値への影響」と「ステークホルダーにとっての重要性・期待」の2軸で評価し、特に重要な課題を特定。
ステップ3: 妥当性検証・統合整理  特に重要な課題と密接に関連する課題をグルーピングした上で、経営理念や中期経営計画との整合性の検証等を踏まえ、六つの領域に整理して、それぞれの取組の方向性を整理。
当社グループのサステナビリティに関する重要課題(六つの領域と取組の方向性)(a) [地域生活・地域経済]郵政ネットワークの活用により地域課題に応じたソリューションを提供(b) [高齢社会への対応] 高齢社会を支えるサービスの提供により人生100年時代の一生をサポート(c) [サービスアクセス] 様々な人々のニーズに対応した使いやすいサービスの提供により豊かな暮らしに貢献(d) [環境]       事業運営の環境負荷軽減と低環境負荷社会への貢献(e) [人材・人的資本]  「誇りとやりがい」をもって働ける職場(f) [経営基盤]     お客さまから信頼され、社会課題解決への貢献を支える経営基盤の確立 ③ 重要課題に対応した取組 サステナビリティに関する重要課題について、リスク及び機会に対処するための具体的な取組の確認と推進管理は、サステナビリティ委員会及び日本郵政グループサステナビリティ連絡会において行うこととしております。
 上記②で示した六つの領域の重要課題について、各事業においては以下のような取組を進めております。
 なお、取組の推進に当たっては、上記①で示した考え方も踏まえ、複数の重要課題に横断的に対応し、総合的な解決を図っていくことが重要であると考えております。
 (a) 地域生活・地域経済地域の多様な住民が、健康や経済面の不安なく、自分らしく生き、地域・社会に積極的に関わるとともに、地域における様々な活動が共鳴し、コミュニティとしての重層的な「地域のWell-being」の向上が図られ、「住みやすい地域」が形成されることを支援してまいります。
その中で、郵便局等の当社グループの拠点や社員が多様な問題解決に貢献し、住み良い・活力ある地域に欠かせない存在になることを目指してまいります。
各事業においては、以下のような取組を進めております。
・過疎地等を含む物流インフラの維持、地域住民の生活を支えるインフラ機能の維持(「おたがいマーケット」等)・地域に根ざした生活・経済を支える地産地消物流の推進・地域の各種活動の持続化の推進と地域住民等の交流の活性化・地方公共団体との連携による、地域課題の解決・スポーツを通じた社会課題解決(部活動の地域連携・地域展開への貢献等)・投資を通じて社会と地域の未来を創る法人ビジネス(Σビジネス)の推進・「Well-being向上」「地域と社会の発展」「環境保護への貢献」を重点取組テーマとした、サステナブル投資の推進(インパクト“K”プロジェクト※等)・かんぽ生命保険発祥のラジオ体操の普及推進を通じた地域への貢献・地域社会の発展・活性化に資する不動産事業の推進 なお、「おたがいマーケット」(郵便物等を配達している車両の余積や既存の配達網を活用し、日常的な買物が困難な方の買物を補完するサービス。
「共助型買物サービス」から名称を変更)は、「(d)環境」にも貢献する取組です。
「スポーツを通じた社会課題解決」は、「(b)高齢化社会への対応」にも貢献する取組です。
「サステナブル投資の推進」に向けた取組は、本項目に限らず様々な社会課題への貢献を企図しております。
※「インパクト“K”プロジェクト」とは、かんぽ生命保険において実施している、インパクト投資に関わる国内外の基準や考え方に加え、同社として重視する事項を包摂した社内認証制度です。
なお、インパクト投資とは、財務的リターンと並行して、ポジティブで測定可能な社会的及び環境的インパクトを同時に生み出すことを意図する投資行動を指します。
 (b) 高齢社会への対応人生100年時代において、高齢化の進展によっても本人や周囲が大きな「不安・不便」を感じることなく、生き生きと暮らせる、Quality of Lifeの高い社会を実現し、高齢期に向けたそれぞれのライフステージにおける健康、経済、キャリアなどの各側面におけるWell-beingの向上を目指してまいります。
各事業においては、以下のような取組を進めております。
・独居高齢者等に必要なモノの配送とモビリティ確保(ヒトの移動)の支援・豊かな老後を迎えるためのサービスの提供、健康・いきがい・社会参画等につながるサービスの提供・幅広い年齢層のお客さまを対象とした資産形成サポート・コンサルティング・リアルチャネルを活用したリモートサービスのご案内・ご高齢のお客さまにやさしいサービスの提供、高齢者専用コールセンターによる対応・バリアフリーな施設の整備、提供  (c) サービスアクセス全国の郵便局において、当社グループの各種サービスを障がい者等を含めた多様な人々が利用しやすいように提供することはもちろんのこと、あらゆる世代へ基礎的な保障・サービスの提供を進め、すべての人々のWell-beingの実現を目指してまいります。
さらに、技術の進歩や社会の変化が進む中においても、誰もが取り残されず、豊かな暮らしを実感できる、包摂性の高い社会の実現を目指してまいります。
各事業においては、以下のような取組を進めております。
・全国の郵便局における当社グループの各種サービスの提供、並びにあらゆる世代への基礎的な保障・サービスの提供・企業・個人の多様なニーズに対応するサービスの提供・障がい者等多様な人々のサービスアクセスや窓口等コミュニケーションの支援・デジタルとリアル(郵便局の店舗ネットワーク)の接点を活用した使いやすいサービスの提供・多様な事業者との連携によるサービスの提供・多様なユーザーに配慮し、周辺公共施設等とも連携した施設の整備・提供  (d) 環境持続可能な未来の基礎となる地球環境の保全のため、温室効果ガス排出量の削減をはじめ、気候変動の緩和、資源循環型社会の実現、生物多様性の維持・回復などに取り組むほか、これを共通の目的として社会のあらゆる主体が協働する社会の実現を目指し、当社グループの持つリソースを有効活用してまいります。
各事業においては、以下の取組を進めております。
・自らの事業における温室効果ガス排出量の削減(EV車両等の導入拡大、水素燃料車両の導入、郵便局等における照明器具等のLED化及び再生可能エネルギー由来の電力への積極的な切替、ペーパーレス化の推進、FSC®※1認証紙の使用拡大、環境配慮型郵便局の設置等)・サプライチェーンでの温室効果ガス排出量の削減(日本郵便の配送サービス提供に当たっての温室効果ガス排出量の見える化とその削減の推進、顧客のサプライチェーンにおける排出量の削減に資するソリューションの提案、消費者等の環境に関する意識と行動の変容を促すサービスの提供を含む)・2024年度より、日本郵便においてインターナルカーボンプライシング(ICP)を試行導入・社会・地域における温室効果ガス排出量の削減やサーキュラーエコノミーの推進・社会全体の温室効果ガス排出量削減の取組を後押しすること等を目的としたテーマ型投融資の拡大・サステナブル投資(ESG投資)、投融資ポートフォリオの脱炭素化の推進・先進的な環境性能を有する良質な建物仕様の実現 上記、自らの事業における温室効果ガス排出量の削減及び、サプライチェーンでの温室効果ガス排出量の削減に関して、日本郵便では、約90カ所の郵便局(2024年度末時点)で太陽光発電設備を導入しております。
2024年11月には、郵便局で初めてネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)認証※2を受けた那覇東郵便局が開局いたしました。
また、他社との協業により蓄電池を活用した電力の最適化を試行しており、これらを通じて地域での再生可能エネルギーの普及・促進を図ります。
また、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)提言に基づく気候変動、自然関連対応へのリスク、機会に対応した取組については、④において説明しております。
※1 FSC認証は、適切に管理された森林と、そこから生産された林産物、再生資源、そのほかの管理された供給源からの原材料で作られた製品を識別する、国際的な森林認証制度であります。
当社のライセンス番号は「FSC®N003846」であります。
※2 ネット・ゼロ・エネルギー・ビルとは、快適な室内環境を実現しながら、建物で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した建物のことです。
 (e) 人材・人的資本後述の「B 人的資本」をご参照ください。
 (f) 経営基盤コンプライアンス態勢について引き続き整備を図るとともに、内部通報制度の拡充、ミスコンダクト事象の把握、サイバーセキュリティ態勢の確保、情報漏えいリスクへの対応、データガバナンス態勢の整備、お客さまの声の分析と活用による、CX(カスタマーエクスペリエンス)デザイン等を通して、お客さまから信頼され、社会課題解決への貢献を支える経営基盤の確立を図ります。
④ 気候変動、自然関連対応に関する取組 当社グループは、「JP ビジョン2025+」において、カーボンニュートラルの実現に向けた温室効果ガス排出量の削減を主要目標の一つに掲げ、経営戦略の一環として気候変動への対応を推進しております。
当社グループにおける気候変動及び自然関連対応は、当社代表執行役社長を最高責任者とし、取締役会が適切に監督しております。
Scope1、2の温室効果ガス排出量の削減を進めるとともに、Scope3の排出量を算定し、その結果をWebページで開示しており、2024年度は、日本郵便とその主要な連結子会社におけるScope3のホットスポットとして、カテゴリ1、2及び4を特定し、排出量削減に向けた取組の検討を進めております。
また、当社グループは、気候変動関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に賛同表明をしており、これに基づいて、当社グループの主要事業(グループ連結収益に占める割合が比較的大きい事業)について、気候変動リスク及び機会を特定し、それらが事業ポートフォリオに及ぼす影響を把握するためのシナリオ分析を実施しております。
自然関連対応に関する取組では、TNFDにより提唱されているLEAPアプローチ※に沿った分析を試行し、対策の検討を進めております。
※ LEAPアプローチ:「LEAP」とは、Locate(発見)、Evaluate(診断)、Assess(評価)、Prepare(準備)の4つのフェーズの頭文字をとったもので、この4つの段階(LEAP)と16の細分化されたステップを踏み、企業の自然関連リスク・機会を特定するTNFD独自の手法のことを指します。
<主要事業に関する気候変動リスクと機会> 当社グループの主要事業について、気候変動リスク及び機会を特定し、それらが事業ポートフォリオに及ぼす影響を把握するためのシナリオ分析を実施しております。
当社グループの主要事業である郵便・物流事業及び郵便局窓口事業に関してシナリオ分析に基づき明らかに なったリスクと機会及びそれらの財務への影響評価と今後の対応方針の概要については、以下のとおりです。
郵便・物流事業及び郵便局窓口事業におけるリスクと機会 シナリオ分析区分発生時期見込み(注1)財務への影響(注2)内容物理的リスク急性短期小~大・河川の氾濫、高潮等の発生により郵便局舎が被災した場合における復旧・操業コスト等の増加・郵便局舎の被災や道路等の寸断により事業を継続できない場合におけるユニバーサルサービス提供への支障及び売上の低下慢性短期小~中・夏場の真夏日や猛暑日の増加に伴い、屋外業務に従事する社員の生産性低下移行リスク政策規制中長期小~中・化石燃料の使用量に応じた炭素税の賦課やエネルギーミックスの変化に伴う操業コストの増加評判短期~中期小~大・気候変動対応に消極的とみなされた場合における株主・投資家からのダイベストメントなど・環境への配慮が不十分と判断された場合における顧客離れ・売上の低下機会 ・環境に配慮した配送サービス・商品の開発・提供など顧客ニーズに応えることによる売上の増加・施設設備の改修やEVの導入・拡大等により、炭素税が導入された場合におけるコスト増加の抑制
(注) 1.発生時期見込み:短期(~1年程度)・中期(~3年程度)・長期(3年~)で区分しております。
2.財務への影響:現時点では、大(100億円以上)・中(10億円以上100億円未満)・小(10億円未満)を目安としております。
 今後の対応方針区分区分対応方針物理的リスク大雨・洪水リスクの可視化とレジリエンス強化・短期的取組・施設単位のリスクの可視化・被災リスクの高い施設のBCP対策、災害発生時の復旧時間短縮や代替機能の構築、社員の安全確保策等・中長期的取組・物流ネットワークの再構築、物流施設の集約、移転等・被災リスクを回避・低減するための拠点の移転・新設時におけるハザードマップの活用 等屋外作業の生産性維持・短期的取組・既存の事業形態を前提とした緩和策導入計画の策定・中長期的取組・サービス内容や業務の提供方法の見直しによる緩和策の検討移行リスク施設・車両の脱炭素化強化・省エネルギー技術や再生可能エネルギーの導入による温室効果ガス排出量の削減・郵便局舎等のZEB化・郵便・荷物の配達に使用する車両のEV化・郵便・荷物の配達に使用する車両のEV化・EV四輪車両の導入台数…2028年度末までの導入目標:15,000台(累計)・EV二輪車両の導入台数…2025年度末までの導入目標:30,800台(累計)(注)・更なるEV拡大計画の策定(Scope3を含む)・基幹輸送のカーボンニュートラル化・より低炭素な輸送モードの組み合わせによるカーボンニュートラル化の推進・技術・コスト等を踏まえながら、より低炭素な車両・燃料への切り替え・FCVの社会実装に向けた検証への参画機会脱炭素化社会を見据えた収益機会創出・環境品質に関する顧客ニーズについて、営業活動を通じて収集し、社内で共有する仕組みの構築・顧客ニーズを捉えた環境品質の高い商品サービスの開発・拡充・気候変動リスク等の問題点と当社の取組について、営業社員が理解し、荷主に説明できる仕組みの構築マネジメント脱炭素化経営マネジメント・商品サービス別の温室効果ガス排出量のモニタリング・インターナルカーボンプライシング(ICP)の導入  
(注) 2025年度、導入目標台数を、EV三輪車両を含む30,800台に見直しを行いました。
 銀行業及び生命保険業における気候変動に関する取組については、ゆうちょ銀行及びかんぽ生命保険の第19期通期有価証券報告書をご参照ください。
<主要事業に関するLEAPアプローチに沿った分析・評価> 自然への依存・影響の評価においては、当社グループの日本全国に広がる郵便局ネットワークを基盤とした事業の特性を考慮し、日本を重要なロケーションとして特定し、当社、日本郵便の主要事業である「郵便・物流事業」、「郵便局窓口事業」、「国際物流事業」、「不動産事業」における生態系サービスへの主な依存・影響について分析いたしました。
・依存 「林業の各種生態系サービス」、「製紙・集配車両の製造における水使用」、「建設資材製造の地下水・表流水」、 農業の「感染症予防」・「有害生物防除」・「土壌の質」・「花粉媒介」機能、漁業の「生息地の維持」・「流量質量の維持」機能、「気候調整」機能など・影響 「郵便局建設・集配車両、ユニフォーム製造における廃棄物・温室効果ガス排出・大気汚染」、「郵便局の廃棄物による水質・大気汚染」など 主なリスクと機会、対応策 生態系サービスへの依存・影響を踏まえ、当社及び日本郵便のリスクと機会として、下表のとおり整理しております。
また、SBTs for Nature※が定める「自然への影響が大きい原材料一覧」から、調達・廃棄の各数量データ等を基に、マテリアル(重要)な素材を「紙」、「プラスチック」及び「金属」に特定しました。
※ SBTs for Nature(Science Based Targets for Nature)とは、自然関連における、科学的根拠に基づいた目標設定に関するフレームワークを指します。
種別生態系サービスへの依存・影響をふまえたリスク・機会 定性的な事業インパクト評価主なリスク主な機会 影響発生時期見込み
(注)生物多様性切手・はがきの調達 大短期~長期森林資源への影響の観点から、紙を使った通信手段である郵便サービスの利用を控えることによる、収益の減少持続可能な森林経営を行っている森林からはがき等の原料となる紙が調達されていることを発信することによる、レピュテーション向上 郵便局での廃棄 大短期~長期郵便局の廃棄物が多いことによる、レピュテーション低下適切な廃棄、リサイクルの取組を強化することによるレピュテーション向上廃棄物削減によるコスト削減 郵便局建設 中中期~長期生態系影響を最小化するための開発の規制や基準強化による対応コストの増加自然資本・生態系への危機感の高まりや、これらに配慮した建築のニーズに早期に対応し、環境に配慮した建材の使用、エネルギー効率の良い郵便局を建設することによるレピュテーション向上 物販の取扱い 中短期~長期生態系の劣化による、農産物・水産物の収量低下等による良質な物販商品の不足物販戦略に生物多様性等を取り込み、環境等にやさしいエシカルな商品の取り扱いを充実させることによるレピュテーション向上・ビジネス機会の創出 トレードオフ再エネの調達 小長期再エネ調達先の土地利用での生態系への悪影響によるレピュテーション低下脱炭素と自然資本双方に配慮した再エネ調達によるレピュテーション向上
(注) 発生時期見込み:短期(~1年程度)・中期(~3年程度)・長期(3年~)で区分しております。
主な対応策として、以下の項目に関する具体的な検討及び取組を推進してまいります。
・紙・プラスチック・金属などの素材利用量の削減、廃棄物削減、リサイクルの推進・自然回復に資する物品販売・調達や環境に関する規程やマニュアルの整備 銀行業及び生命保険業における自然関連対応に関する取組については、ゆうちょ銀行及びかんぽ生命保険のWEBページにて開示しております。
(4) 指標及び目標① 「JP ビジョン2025+」で掲げる目標及びその進捗状況 「JP ビジョン2025+」においては、リスク及び機会に関する評価、管理及び監視のために特に重要であり、  グループ全体として取り組む必要性が高いと考える以下の4項目について、グループ目標値を設定しております。
この4項目の進捗状況については、サステナビリティ委員会及び日本郵政グループサステナビリティ連絡会において推進管理を行い、経営会議及び取締役会に報告しております。
 (a) 温室効果ガス排出量:2030年度までに、2019年度比46%削減※12050年 カーボンニュートラルの実現を目指す※2 (b) 女性管理者比率  :2030年度 本社における女性管理者比率 30%※3※4 (c) 社員エンゲージメント(誇りとやりがい)スコア※5:対前年評価点数以上 (d) 育児との両立支援 :男女ともに育休取得 100% 、男性育休平均日数 1か月以上 ※1 Scope1(自社が直接排出する排出量)及びScope2(他社から供給された電気等の使用に伴う排出量)を対象としております。
当社グループ温室効果ガス排出量削減目標の対象は、グループ総排出量の大宗を占める当社、日本郵便、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険、日本郵便輸送株式会社、トール社、JPロジスティクスグループ株式会社(JPロジスティクス株式会社を含む)及び日本郵政不動産株式会社であります。
Scope3については、中期経営計画での目標設定を行っておりませんが、削減に向けて主要事業に関する以下の取組を推進しております。
・郵便・物流事業サプライチェーンでの温室効果ガス排出量削減に向け、日本郵便連結による2025年度中のSBT(Science Based Targets)目標申請を目指し、温室効果ガス排出量削減目標の設定を行います。
・銀行業グリーンボンド/グリーンローン等への投融資や、投融資先とのエンゲージメントを通じて、投融資先の脱炭素化に寄与いたします。
・生命保険業投資先企業等から排出される温室効果ガス排出量の計測・分析を行い、分析結果を考慮した上で、投資先企業等に対するエンゲージメントを実施し対応を促すことで、投資ポートフォリオにおける温室効果ガス排出量の削減を目指します。
※2 目標達成のためには国内における再生可能エネルギーの普及などカーボンニュートラル化が相当程度進むことが必要になります。
当社グループも、国内外のカーボンニュートラル化を後押しします。
※3 グループ主要4社の本社における女性管理者比率です。
2030年度までの取組の結果である2031年4月1日における比率です。
※4 本社以外においても、女性管理者増加に向けて、管理者・役職者を目指す社員を増やすための環境整備・人材育成に取り組みます。
※5 社員エンゲージメントスコアとは、社員の「誇りとやりがい」に関するスコアであり、当社グループにおいては、グループES調査結果を活用しております。
 上記の目標に対してのこれまでの進捗は、以下のとおりであり、温室効果ガス排出量は、第三者保証を受けております。
(a) 温室効果ガス排出量実績  (単位:万t-CO2、%) 2019年度(基準年)2021年度(実績)2022年度(実績)2023年度(実績)総排出量125115109102累計削減量(対2019年度)―△10△15△23累計削減率(対2019年度)―△8.2△12.7△18.8
(注) 1.当社グループ温室効果ガス排出量削減目標の対象は、グループ総排出量の大宗を占める当社、日本郵便、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険、日本郵便輸送株式会社、トール社、JPロジスティクスグループ株式会社(JPロジスティクス株式会社を含む)及び日本郵政不動産株式会社であります。
2.2023年度の当社及び日本郵便の温室効果ガス排出量は、合理的保証を受けて開示しております。
3.事業を売却した宿泊事業及びトール社エクスプレス事業の温室効果ガス排出量は除外しております。
4.2024年度実績は、当社ウェブサイトにて公表する予定であります。
  https://www.japanpost.jp/sustainability/library/data/#emissions (b) 女性管理者比率(グループ主要4社の本社)の実績後述の「B 人的資本 (3) 指標及び目標 ② 「異なる互いを認め合う」」を参照ください。
(c) 社員エンゲージメント(誇りとやりがい)スコア後述の「B 人的資本 (3) 指標及び目標 ① 「誇りとやりがい」」を参照ください。
(d) 育児との両立支援後述の「B 人的資本 (3) 指標及び目標 ② 「異なる互いを認め合う」」を参照ください。
② 重要課題に関する具体的な指標と目標(①に掲げるものを除く) 上記「(3) 戦略 ② サステナビリティに関する重要課題」及び「(3) 戦略 ③ 重要課題に対応した取組」で掲げた重要課題領域における主な取組に関しては、以下のように適切な指標を設定するとともに、必要に応じて具体的な目標を設定しており、サステナビリティ委員会及びグループサステナビリティ連絡会において進捗の把握を行うこととしております。
なお、各種施策のうち、試行段階の施策で今後の展開方針が未定のもの、委託元や協業相手の要請・意向・状況に応じた対応が必要である等の理由で目標設定が困難なもの、望ましくない事象の抑制を目指す取組であって目標を設定することによって問題の顕在化を招くおそれのあるもの等については、定量的な目標設定は行わず、各施策を実施する会社及び部署において適宜の評価を行っております。
また、投融資先の温室効果ガス排出量の削減目標など当社の努力のみでは達成を確約することができない目標も含まれている点にご留意ください。
重要課題指標及び目標2024年度末実績(特に年度の記載のない場合数字は累計値)(a)地域生活・地域経済 各施策の取組数や投融資残高等を指標として進捗管理を行います。
特に具体的な目標を設定して取組を推進している例として、以下があります。
・共助型買物サービス「おたがいマーケット」…2024年度末までの実施目標:6地域 2025年度末までの実施目標:新たに4地域(この目標は「(b) 高齢社会への対応」にも関連) ・GP業務関連残高(投資確約額ベース)…2025年度末時点で4,000億円程度・ラジオ体操実施率…2025年度末までに25% (注1) ・サステナブル投資の推進…インパクト“K”プロジェクト認証ファンド(注2)…2025年度末までに累計15件、500億円(この目標は本項目に限らず様々な社会課題に関連) ・「おたがいマーケット」実施地域…3地域(奈良県奈良市、山形県山辺町、静岡県静岡市) (注3) ・GP業務関連残高 …1,191億円・ラジオ体操実施率…23.8%(2025年3月 一般消費者調査)・インパクト“K”プロジェクト認証ファンド…9件、279億円(b)高齢社会への対応「(a)地域生活・地域経済」に記載の関連する指標のほか、各サービスの利用者数等を指標として進捗管理を行います。
 特に具体的な目標を設定して取組を推進している例としては、以下があります。
・NISA口座数…2025年度末時点で94万口座 ・NISA口座数…82万口座(c)サービスアクセス  各サービスの利用可能状況等を指標として進捗管理を行います。
 特に具体的な目標を設定して取組を推進している例として、以下があります。
・郵便局アプリ登録数…2025年度末までに、500万ダウンロード・ゆうちょ銀行通帳アプリ登録口座数…2025年度末時点で1,600万口座 ・郵便局アプリ登録数…約540万ダウンロード・ゆうちょ銀行通帳アプリ 登録口座数 …1,359万口座 重要課題指標及び目標2024年度末実績(特に年度の記載のない場合数字は累計値)(d)環境 温室効果ガス排出量については、(4)①(a)のとおり削減目標を設定してその達成状況を把握するほか、(3)④で掲げた対応方針の進捗に関する指標を設定して進捗管理を行います。
また、各種環境負荷に係る資源の使用量等の中で重要なものについて指標を設定しております。
 さらに、低環境負荷社会の実現に向けた貢献については、「(a)地域生活・地域経済」に記載の関連する目標のほか、取組状況や投資額等を指標として進捗管理を行います。
 特に具体的な目標を設定して取組を推進している例として、以下があります。
・EV四輪車両の導入台数 …2028年度末までの導入目標:15,000台・EV二輪車両の導入台数 …2025年度末までの導入目標:30,800台(注4)・高効率空調への更改 …2024年度末までの実施目標:新たに70局  2025年度末までの実施目標 :新たに82局・郵便局でのLED電球使用 …2024年度末までの実施目標:新たに364局 …2025年度末までの実施目標:新たに430局・環境配慮型郵便局の設置に係る目標…2024年度「+エコ郵便局」新たに3局開局予定 2025年度「+エコ郵便局」新たに3局開局予定 ・「+エコ郵便局」の建設及び太陽光発電設備の設置等により、24年度の温室効果ガス排出量の削減を、23年度環境配慮型郵便局の設置による削減量に加え、更に0.01万t-CO2/年削減。
・郵便はがきのFSC®認証紙の使用 ・ESGテーマ型投融資残高(ゆうちょ銀行)…2025年度末時点で7兆円 ・EV四輪車両の導入台数…8,020台・EV二輪車両の導入台数…23,798台(注5)・高効率空調への更改…2024年度新たに77局更改 ・郵便局でのLED照明使用 …2024年度新たに377局 ・環境配慮型郵便局の設置数 …2024年度新たに「+エコ郵便局」3局開局(累計 17局開局) ・「+エコ郵便局」の建設及び太陽光発電設備の設置等による、温室効果ガス削減量 …0.021万t-CO2/年(2024年度) ・郵便はがきのFSC®認証紙の使用 …現在調達しているすべての郵便はがきでFSC®認証紙を使用・ESGテーマ型投融資残高 …6.0兆円(e)人材・人的資本後述の「B 人的資本」をご参照ください。
(f)経営基盤上記「(3) 戦略 ③ 重要課題に対応した取組 (f) 経営基盤」で掲げた各取組のうち、新たに導入した制度に係るものについては、その利用状況等を指標として進捗管理を行います。

(注) 1.ラジオ体操実施率は、かんぽ生命保険が定期的に実施しているオンライン調査(対象は20歳~69歳の男女2,400名)において、ラジオ体操を知っていると回答した方のうち、1年に1回以上ラジオ体操を実施すると回答した方の割合です。
2.インパクト“K”プロジェクト認証ファンドの目標及び実績は、2022年度の認証開始からの累計案件数及びかんぽ生命保険による投資額(ファンドの形態により投資額もしくはコミットメント額を計上)です(この実績は本項目に限らず様々な社会課題に関連した実績です)。
3.静岡県静岡市は2025年4月末で終了いたしました。
4.2025年度、導入目標台数を、EV三輪車両を含む30,800台に見直しを行いました。
5.EV三輪車両500台を含みます。
B 人的資本(1) グループ人事方針の位置づけと策定プロセス当社グループは経営戦略と人事戦略を実現するための基本的な方向性を位置づけるものとして「グループ人事方針」を策定しています。
本方針を通じて、お客さま、地域及び社会への貢献の拡大と、企業価値の向上につなげてまいります。
策定に当たっては、フロントライン社員の存在を特に意識し、当社グループの注力すべき項目として、目指す姿としての「誇りとやりがい」、その達成のための3つの軸、「異なる互いを認め合う」、「能力を高める」、「強みを発揮する」という4要素を抽出し、それぞれの要素に関する具体的な指標及び目標の整理を行いました。
<策定に当たって、特に意識した事項>・フロントライン社員の「誇りとやりがい」の向上を最重要課題とし、その実現に必要な施策を体系化すること・挑戦をより高く評価する人事評価制度見直しなど、社員の意識・変化をもたらす人事制度見直しを意識すること・フロントライン社員に伝わりやすい内容であること なお、ガバナンスとリスク管理は上記「A 全般」をご参照ください。

(2) 戦略 グループ人事方針日本郵政グループは、社員全員が「誇りとやりがい」をもって働ける会社を目指します。
そのために、「異なる互いを認め合う」、「能力を高める」、「強みを発揮する」を軸に、社員の成長と挑戦を支援する人材育成と環境整備に取り組みます。
こうした人的資本経営の実践を通して、持続的な企業価値の向上を図り、お客さまの幸せと地域の発展に貢献します。
社員の仕事への前向きな姿勢・行動が、お客さま、地域・社会への貢献を拡大し、広い意味での企業価値を向上させます。
そこで、当社グループは、日々、お客さまのために「縁の下の力持ち」※ として尽力している社員全員が、誇りとやりがいを感じ、仕事に前向きに取り組める職場を提供します。
※ 郵便事業の創業者、前島密の信条:縁の下の力持ちになることを厭うな。
人のためによかれと願う心を常に持てよ。
社員が誇りとやりがいを感じつつ仕事に取り組めるよう、社員が互いの違いを認め合う職場という基盤(=「異なる互いを認め合う」)及び能力や意欲を高める自発的取組を支援する環境(=「能力を高める」・「強みを発揮する」)を会社は提供します。
・「異なる互いを認め合う」については、心身の健康増進と、ハラスメントがなく、性別・年齢などに関係なく多様な生き方や個々の社員の事情を尊重しあう、相互承認、安心感の得られる職場を提供します。
・「能力を高める」については、事業環境変化に伴うサービスの内容・提供方法の変化に対応できるよう、また、働き方を自律的に選択できるよう、能力・知識・技術獲得の機会を提供します。
・「強みを発揮する」については、挑戦の機会を提供し、また挑戦を評価する仕組みを強化し、自身の強みや創造性を発揮してお客さまのため新たな取組に挑戦する組織や風土を構築します。
・こうした取組で「異なる互いを認め合うこと、能力を高めること、強みを発揮すること」ができる人材の育成を進めます。
社員の能力発揮・意欲向上が事業の発展をもたらすとの認識の上で、人事施策を企画・実施し、社員と共に事業の発展を推進してまいります。
(3) 指標及び目標グループ人事方針は、社員の「誇りとやりがい」の向上を追求することとし、そのための3つの軸、「異なる互いを認め合う」、「能力を高め合う」、「強みを発揮する」を設定しております。
以下で、各要素の目指す姿、関連人事施策並びに指標及び目標を示します。
人事施策並びに指標及び目標については、毎年評価・反省を実施し、必要な見直しを行います。
① 「誇りとやりがい」<目指す姿と人事施策>社員の誇りとやりがい(エンゲージメント)を高めることで、社員の幸せと生産性向上を実現します。
誇りとやりがいを高めるには、「異なる互いを認め合う」環境を基盤として整備すること、個々の社員の「能力を高める」こと、そして、個々の社員が「強みを発揮する」ことが必要と考え、下記のとおり、各要素についての具体的な施策、指標及び目標を設定し、その実現に努めます。
並行して、社員が誇りとやりがいをどの程度感じているかを定期的に把握し、結果の分析や社員との共有を図り、課題の抽出・対策につなげます。
<指標・目標>対象組織施策、指標及び目標実績当社及び事業子会社・社員エンゲージメント(誇りとやりがい)スコア※ 対前年度評価点以上・社員と調査結果の共有及び継続的な改善策の実行3.39pt (2024年度) ※ 2023年度からグループES調査結果を活用 ② 「異なる互いを認め合う」<目指す姿と人事施策> 社員が健康のうえ、個々の違いや能力、多様な働き方を認め合い、尊重することで、安心感やイノベーションの創出を促し、社員の誇りとやりがいを高めます。
そのために、次のような施策を実施します。
・「真の多様性」の実現への意識啓発・行動改革・女性活躍・高齢者の就業・障がい者雇用・性の多様性への対応の推進・健康経営の推進、柔軟で多様な勤務・休暇制度の整備・定着及びライフイベントと仕事との両立支援の推進・パワーハラスメント・セクシャルハラスメント等の根絶など、適切な労務管理 <指標・目標>対象組織指標及び目標実績当社及び事業子会社・健康経営KPI 達成 (2024年度)要医療1・2の社員割合 1%以内特定保健指導脱出率 23%以上・男女ともに育休取得 100%・男性育休平均日数 1か月以上・ハラスメント認定件数  対前年度以下・障がい者雇用率  3.0% (2025年度)・要医療1・2の社員割合 1.19% 特定保健指導脱出率 21.0% (2024年度)・女性99.9% 男性100%(2024年度)・平均44.9日(2024年度)・147件(2024年度)・2.71%(2024年6月)当社及び事業子会社の本社・本社女性管理者比率 30% (2030年度)・18.0%(2024年度) 要医療1・2…医療上の措置を緊急又は早急に必要とする者 ③ 「能力を高める」<目指す姿と人事施策>挑戦や成長意欲を重視し、自律的なキャリア形成やDX推進等に必要なスキル習得などで、努力が報われる実感を伴いながら、社員の誇りとやりがいを高めます。
そのために、次のような施策を実施します。
・挑戦と能力向上を促す自律的なキャリア形成支援・「職務が評価された」、「努力が報われた」と実感できる人事諸制度の実現・DX推進等による業務効率化や新たな業務へのスキル習得支援・コンサルティングやマネジメント、経営課題解決に必要な能力等、専門性強化 <指標・目標>対象組織指標及び目標実績当社及び事業子会社・キャリア形成の支援策実施 (シニア層向け等のリスキリング施策実施)・グループ内社内公募人数 対前年度以上 ・キャリア研修の実施 ・90名当社及び事業子会社の本社・本社、支社等対象者数 DX研修受講率100%(2025年度)・受講率100%(受講者数13,000名(2024年度末時点)) グループ内社内公募…2022年度から本社組織間では実施中。
2024年度からフロント組織も含めて全社的に実施するもの。
④ 「強みを発揮する」<目指す姿と人事施策> 適所適材の実感を持って働くことや風通しのよい組織への変革により、自身の強みや創造性の発揮を促し、社員の誇りとやりがいを高めます。
そのため、次のような施策を実施します。
・お客さま本位の姿勢で、強みや創造性を発揮できる人材の採用・育成・配置及び職場環境の整備・新たなチャレンジや組織風土の変革に取り組む社員を高く評価する仕組みの導入・柔軟な要員配置・働き方によるグループ内の人材流動化・グループ内外の人事交流の促進及び外部専門人材等※の積極的な採用や副業の受入れ※ 専門人材のほか、多様な人材確保の視点から、特定技能(今後、国において創設予定の「育成就労制度」を通して外国人の人材確保・育成を図り、「特定技能1号」に転換していくことで、長期間事業を支える人材の確保を行うもの。
)の導入検討を含む採用手法・採用対象の多様化により必要な人材を確保していきます。
<指標・目標>対象組織指標及び目標実績当社及び事業子会社・適所適材スコア※ 対前年度評価点数以上・年休取得平均日数 18日以上・グループ内外の人事交流人数 2021年度水準の維持(グループ4社間の交流人数 約1,500人)・2.51pt (2024年度)・平均19.7日 (2024年度)・2024年度達成当社及び事業子会社の本社・戦略的副業の取組人数 対前年度以上・経験者採用の推進・47人 (2024年度)・59人 (2024年度) ※ 2023年度からグループES調査結果を活用
戦略 (3) 戦略① 当社グループの強みを活かした環境・社会課題への対応 「JP ビジョン2025+」で打ち出した「サステナビリティ経営の推進」を具体化するため、当社グループは、環境・社会課題への対応に向けて、地域のハブとしての郵便局の役割発揮とサプライチェーン全体での対応を、これらを推進するためのイノベーションの社会実装とも連携させて進めます。
これらの取組により、モノ・ひと・エネルギー等の地産地消、温室効果ガス排出量削減、サーキュラーエコノミー※を推進し、Well-beingの向上と低環境負荷社会の実現を目指します。
 特に、これらの取組の推進においては、全国の郵便局が重要な役割を果たすものと認識しているところであり、関連主体との関係についてのイメージを示すと、以下のとおりです。
※ 資源(製品や部品等を含む)を循環利用し続けながら、新たな付加価値を生み出し続けようとする経済社会システム。
② サステナビリティに関する重要課題 当社グループの企業価値への影響並びにステークホルダーにとっての重要性及び期待への考察を踏まえ、サステナビリティに関する重要課題として、特に重要な課題及びそれに関連する課題を六つの領域にまとめ、取組の方向性を定めております。
<サステナビリティに関する重要課題の特定のプロセス>以下のプロセスにより、サステナビリティ委員会、経営会議及び取締役会での議論を経て決定しました。
ステップ1: 課題の抽出  SDGs、ISO26000、GRIスタンダード等を参考に課題を洗い出し、適宜グルーピングしたものを「サステナビリティ課題リスト」として抽出。
ステップ2: 社内外の視点による評価  ステップ1で抽出した課題について、当社の執行役、従業員、お客さま、取引先に対してアンケートを行うとともに、機関投資家等の意見、SASB基準において業種別重要トピックとされている事項との関連性、全国の市町村が郵便局に期待している事項、地域における有識者の声、サステナビリティに関する有識者との対話の結果等を参考として、「企業価値への影響」と「ステークホルダーにとっての重要性・期待」の2軸で評価し、特に重要な課題を特定。
ステップ3: 妥当性検証・統合整理  特に重要な課題と密接に関連する課題をグルーピングした上で、経営理念や中期経営計画との整合性の検証等を踏まえ、六つの領域に整理して、それぞれの取組の方向性を整理。
当社グループのサステナビリティに関する重要課題(六つの領域と取組の方向性)(a) [地域生活・地域経済]郵政ネットワークの活用により地域課題に応じたソリューションを提供(b) [高齢社会への対応] 高齢社会を支えるサービスの提供により人生100年時代の一生をサポート(c) [サービスアクセス] 様々な人々のニーズに対応した使いやすいサービスの提供により豊かな暮らしに貢献(d) [環境]       事業運営の環境負荷軽減と低環境負荷社会への貢献(e) [人材・人的資本]  「誇りとやりがい」をもって働ける職場(f) [経営基盤]     お客さまから信頼され、社会課題解決への貢献を支える経営基盤の確立 ③ 重要課題に対応した取組 サステナビリティに関する重要課題について、リスク及び機会に対処するための具体的な取組の確認と推進管理は、サステナビリティ委員会及び日本郵政グループサステナビリティ連絡会において行うこととしております。
 上記②で示した六つの領域の重要課題について、各事業においては以下のような取組を進めております。
 なお、取組の推進に当たっては、上記①で示した考え方も踏まえ、複数の重要課題に横断的に対応し、総合的な解決を図っていくことが重要であると考えております。
 (a) 地域生活・地域経済地域の多様な住民が、健康や経済面の不安なく、自分らしく生き、地域・社会に積極的に関わるとともに、地域における様々な活動が共鳴し、コミュニティとしての重層的な「地域のWell-being」の向上が図られ、「住みやすい地域」が形成されることを支援してまいります。
その中で、郵便局等の当社グループの拠点や社員が多様な問題解決に貢献し、住み良い・活力ある地域に欠かせない存在になることを目指してまいります。
各事業においては、以下のような取組を進めております。
・過疎地等を含む物流インフラの維持、地域住民の生活を支えるインフラ機能の維持(「おたがいマーケット」等)・地域に根ざした生活・経済を支える地産地消物流の推進・地域の各種活動の持続化の推進と地域住民等の交流の活性化・地方公共団体との連携による、地域課題の解決・スポーツを通じた社会課題解決(部活動の地域連携・地域展開への貢献等)・投資を通じて社会と地域の未来を創る法人ビジネス(Σビジネス)の推進・「Well-being向上」「地域と社会の発展」「環境保護への貢献」を重点取組テーマとした、サステナブル投資の推進(インパクト“K”プロジェクト※等)・かんぽ生命保険発祥のラジオ体操の普及推進を通じた地域への貢献・地域社会の発展・活性化に資する不動産事業の推進 なお、「おたがいマーケット」(郵便物等を配達している車両の余積や既存の配達網を活用し、日常的な買物が困難な方の買物を補完するサービス。
「共助型買物サービス」から名称を変更)は、「(d)環境」にも貢献する取組です。
「スポーツを通じた社会課題解決」は、「(b)高齢化社会への対応」にも貢献する取組です。
「サステナブル投資の推進」に向けた取組は、本項目に限らず様々な社会課題への貢献を企図しております。
※「インパクト“K”プロジェクト」とは、かんぽ生命保険において実施している、インパクト投資に関わる国内外の基準や考え方に加え、同社として重視する事項を包摂した社内認証制度です。
なお、インパクト投資とは、財務的リターンと並行して、ポジティブで測定可能な社会的及び環境的インパクトを同時に生み出すことを意図する投資行動を指します。
 (b) 高齢社会への対応人生100年時代において、高齢化の進展によっても本人や周囲が大きな「不安・不便」を感じることなく、生き生きと暮らせる、Quality of Lifeの高い社会を実現し、高齢期に向けたそれぞれのライフステージにおける健康、経済、キャリアなどの各側面におけるWell-beingの向上を目指してまいります。
各事業においては、以下のような取組を進めております。
・独居高齢者等に必要なモノの配送とモビリティ確保(ヒトの移動)の支援・豊かな老後を迎えるためのサービスの提供、健康・いきがい・社会参画等につながるサービスの提供・幅広い年齢層のお客さまを対象とした資産形成サポート・コンサルティング・リアルチャネルを活用したリモートサービスのご案内・ご高齢のお客さまにやさしいサービスの提供、高齢者専用コールセンターによる対応・バリアフリーな施設の整備、提供  (c) サービスアクセス全国の郵便局において、当社グループの各種サービスを障がい者等を含めた多様な人々が利用しやすいように提供することはもちろんのこと、あらゆる世代へ基礎的な保障・サービスの提供を進め、すべての人々のWell-beingの実現を目指してまいります。
さらに、技術の進歩や社会の変化が進む中においても、誰もが取り残されず、豊かな暮らしを実感できる、包摂性の高い社会の実現を目指してまいります。
各事業においては、以下のような取組を進めております。
・全国の郵便局における当社グループの各種サービスの提供、並びにあらゆる世代への基礎的な保障・サービスの提供・企業・個人の多様なニーズに対応するサービスの提供・障がい者等多様な人々のサービスアクセスや窓口等コミュニケーションの支援・デジタルとリアル(郵便局の店舗ネットワーク)の接点を活用した使いやすいサービスの提供・多様な事業者との連携によるサービスの提供・多様なユーザーに配慮し、周辺公共施設等とも連携した施設の整備・提供  (d) 環境持続可能な未来の基礎となる地球環境の保全のため、温室効果ガス排出量の削減をはじめ、気候変動の緩和、資源循環型社会の実現、生物多様性の維持・回復などに取り組むほか、これを共通の目的として社会のあらゆる主体が協働する社会の実現を目指し、当社グループの持つリソースを有効活用してまいります。
各事業においては、以下の取組を進めております。
・自らの事業における温室効果ガス排出量の削減(EV車両等の導入拡大、水素燃料車両の導入、郵便局等における照明器具等のLED化及び再生可能エネルギー由来の電力への積極的な切替、ペーパーレス化の推進、FSC®※1認証紙の使用拡大、環境配慮型郵便局の設置等)・サプライチェーンでの温室効果ガス排出量の削減(日本郵便の配送サービス提供に当たっての温室効果ガス排出量の見える化とその削減の推進、顧客のサプライチェーンにおける排出量の削減に資するソリューションの提案、消費者等の環境に関する意識と行動の変容を促すサービスの提供を含む)・2024年度より、日本郵便においてインターナルカーボンプライシング(ICP)を試行導入・社会・地域における温室効果ガス排出量の削減やサーキュラーエコノミーの推進・社会全体の温室効果ガス排出量削減の取組を後押しすること等を目的としたテーマ型投融資の拡大・サステナブル投資(ESG投資)、投融資ポートフォリオの脱炭素化の推進・先進的な環境性能を有する良質な建物仕様の実現 上記、自らの事業における温室効果ガス排出量の削減及び、サプライチェーンでの温室効果ガス排出量の削減に関して、日本郵便では、約90カ所の郵便局(2024年度末時点)で太陽光発電設備を導入しております。
2024年11月には、郵便局で初めてネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)認証※2を受けた那覇東郵便局が開局いたしました。
また、他社との協業により蓄電池を活用した電力の最適化を試行しており、これらを通じて地域での再生可能エネルギーの普及・促進を図ります。
また、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)提言に基づく気候変動、自然関連対応へのリスク、機会に対応した取組については、④において説明しております。
※1 FSC認証は、適切に管理された森林と、そこから生産された林産物、再生資源、そのほかの管理された供給源からの原材料で作られた製品を識別する、国際的な森林認証制度であります。
当社のライセンス番号は「FSC®N003846」であります。
※2 ネット・ゼロ・エネルギー・ビルとは、快適な室内環境を実現しながら、建物で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した建物のことです。
 (e) 人材・人的資本後述の「B 人的資本」をご参照ください。
 (f) 経営基盤コンプライアンス態勢について引き続き整備を図るとともに、内部通報制度の拡充、ミスコンダクト事象の把握、サイバーセキュリティ態勢の確保、情報漏えいリスクへの対応、データガバナンス態勢の整備、お客さまの声の分析と活用による、CX(カスタマーエクスペリエンス)デザイン等を通して、お客さまから信頼され、社会課題解決への貢献を支える経営基盤の確立を図ります。
④ 気候変動、自然関連対応に関する取組 当社グループは、「JP ビジョン2025+」において、カーボンニュートラルの実現に向けた温室効果ガス排出量の削減を主要目標の一つに掲げ、経営戦略の一環として気候変動への対応を推進しております。
当社グループにおける気候変動及び自然関連対応は、当社代表執行役社長を最高責任者とし、取締役会が適切に監督しております。
Scope1、2の温室効果ガス排出量の削減を進めるとともに、Scope3の排出量を算定し、その結果をWebページで開示しており、2024年度は、日本郵便とその主要な連結子会社におけるScope3のホットスポットとして、カテゴリ1、2及び4を特定し、排出量削減に向けた取組の検討を進めております。
また、当社グループは、気候変動関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に賛同表明をしており、これに基づいて、当社グループの主要事業(グループ連結収益に占める割合が比較的大きい事業)について、気候変動リスク及び機会を特定し、それらが事業ポートフォリオに及ぼす影響を把握するためのシナリオ分析を実施しております。
自然関連対応に関する取組では、TNFDにより提唱されているLEAPアプローチ※に沿った分析を試行し、対策の検討を進めております。
※ LEAPアプローチ:「LEAP」とは、Locate(発見)、Evaluate(診断)、Assess(評価)、Prepare(準備)の4つのフェーズの頭文字をとったもので、この4つの段階(LEAP)と16の細分化されたステップを踏み、企業の自然関連リスク・機会を特定するTNFD独自の手法のことを指します。
<主要事業に関する気候変動リスクと機会> 当社グループの主要事業について、気候変動リスク及び機会を特定し、それらが事業ポートフォリオに及ぼす影響を把握するためのシナリオ分析を実施しております。
当社グループの主要事業である郵便・物流事業及び郵便局窓口事業に関してシナリオ分析に基づき明らかに なったリスクと機会及びそれらの財務への影響評価と今後の対応方針の概要については、以下のとおりです。
郵便・物流事業及び郵便局窓口事業におけるリスクと機会 シナリオ分析区分発生時期見込み(注1)財務への影響(注2)内容物理的リスク急性短期小~大・河川の氾濫、高潮等の発生により郵便局舎が被災した場合における復旧・操業コスト等の増加・郵便局舎の被災や道路等の寸断により事業を継続できない場合におけるユニバーサルサービス提供への支障及び売上の低下慢性短期小~中・夏場の真夏日や猛暑日の増加に伴い、屋外業務に従事する社員の生産性低下移行リスク政策規制中長期小~中・化石燃料の使用量に応じた炭素税の賦課やエネルギーミックスの変化に伴う操業コストの増加評判短期~中期小~大・気候変動対応に消極的とみなされた場合における株主・投資家からのダイベストメントなど・環境への配慮が不十分と判断された場合における顧客離れ・売上の低下機会 ・環境に配慮した配送サービス・商品の開発・提供など顧客ニーズに応えることによる売上の増加・施設設備の改修やEVの導入・拡大等により、炭素税が導入された場合におけるコスト増加の抑制
(注) 1.発生時期見込み:短期(~1年程度)・中期(~3年程度)・長期(3年~)で区分しております。
2.財務への影響:現時点では、大(100億円以上)・中(10億円以上100億円未満)・小(10億円未満)を目安としております。
 今後の対応方針区分区分対応方針物理的リスク大雨・洪水リスクの可視化とレジリエンス強化・短期的取組・施設単位のリスクの可視化・被災リスクの高い施設のBCP対策、災害発生時の復旧時間短縮や代替機能の構築、社員の安全確保策等・中長期的取組・物流ネットワークの再構築、物流施設の集約、移転等・被災リスクを回避・低減するための拠点の移転・新設時におけるハザードマップの活用 等屋外作業の生産性維持・短期的取組・既存の事業形態を前提とした緩和策導入計画の策定・中長期的取組・サービス内容や業務の提供方法の見直しによる緩和策の検討移行リスク施設・車両の脱炭素化強化・省エネルギー技術や再生可能エネルギーの導入による温室効果ガス排出量の削減・郵便局舎等のZEB化・郵便・荷物の配達に使用する車両のEV化・郵便・荷物の配達に使用する車両のEV化・EV四輪車両の導入台数…2028年度末までの導入目標:15,000台(累計)・EV二輪車両の導入台数…2025年度末までの導入目標:30,800台(累計)(注)・更なるEV拡大計画の策定(Scope3を含む)・基幹輸送のカーボンニュートラル化・より低炭素な輸送モードの組み合わせによるカーボンニュートラル化の推進・技術・コスト等を踏まえながら、より低炭素な車両・燃料への切り替え・FCVの社会実装に向けた検証への参画機会脱炭素化社会を見据えた収益機会創出・環境品質に関する顧客ニーズについて、営業活動を通じて収集し、社内で共有する仕組みの構築・顧客ニーズを捉えた環境品質の高い商品サービスの開発・拡充・気候変動リスク等の問題点と当社の取組について、営業社員が理解し、荷主に説明できる仕組みの構築マネジメント脱炭素化経営マネジメント・商品サービス別の温室効果ガス排出量のモニタリング・インターナルカーボンプライシング(ICP)の導入  
(注) 2025年度、導入目標台数を、EV三輪車両を含む30,800台に見直しを行いました。
 銀行業及び生命保険業における気候変動に関する取組については、ゆうちょ銀行及びかんぽ生命保険の第19期通期有価証券報告書をご参照ください。
<主要事業に関するLEAPアプローチに沿った分析・評価> 自然への依存・影響の評価においては、当社グループの日本全国に広がる郵便局ネットワークを基盤とした事業の特性を考慮し、日本を重要なロケーションとして特定し、当社、日本郵便の主要事業である「郵便・物流事業」、「郵便局窓口事業」、「国際物流事業」、「不動産事業」における生態系サービスへの主な依存・影響について分析いたしました。
・依存 「林業の各種生態系サービス」、「製紙・集配車両の製造における水使用」、「建設資材製造の地下水・表流水」、 農業の「感染症予防」・「有害生物防除」・「土壌の質」・「花粉媒介」機能、漁業の「生息地の維持」・「流量質量の維持」機能、「気候調整」機能など・影響 「郵便局建設・集配車両、ユニフォーム製造における廃棄物・温室効果ガス排出・大気汚染」、「郵便局の廃棄物による水質・大気汚染」など 主なリスクと機会、対応策 生態系サービスへの依存・影響を踏まえ、当社及び日本郵便のリスクと機会として、下表のとおり整理しております。
また、SBTs for Nature※が定める「自然への影響が大きい原材料一覧」から、調達・廃棄の各数量データ等を基に、マテリアル(重要)な素材を「紙」、「プラスチック」及び「金属」に特定しました。
※ SBTs for Nature(Science Based Targets for Nature)とは、自然関連における、科学的根拠に基づいた目標設定に関するフレームワークを指します。
種別生態系サービスへの依存・影響をふまえたリスク・機会 定性的な事業インパクト評価主なリスク主な機会 影響発生時期見込み
(注)生物多様性切手・はがきの調達 大短期~長期森林資源への影響の観点から、紙を使った通信手段である郵便サービスの利用を控えることによる、収益の減少持続可能な森林経営を行っている森林からはがき等の原料となる紙が調達されていることを発信することによる、レピュテーション向上 郵便局での廃棄 大短期~長期郵便局の廃棄物が多いことによる、レピュテーション低下適切な廃棄、リサイクルの取組を強化することによるレピュテーション向上廃棄物削減によるコスト削減 郵便局建設 中中期~長期生態系影響を最小化するための開発の規制や基準強化による対応コストの増加自然資本・生態系への危機感の高まりや、これらに配慮した建築のニーズに早期に対応し、環境に配慮した建材の使用、エネルギー効率の良い郵便局を建設することによるレピュテーション向上 物販の取扱い 中短期~長期生態系の劣化による、農産物・水産物の収量低下等による良質な物販商品の不足物販戦略に生物多様性等を取り込み、環境等にやさしいエシカルな商品の取り扱いを充実させることによるレピュテーション向上・ビジネス機会の創出 トレードオフ再エネの調達 小長期再エネ調達先の土地利用での生態系への悪影響によるレピュテーション低下脱炭素と自然資本双方に配慮した再エネ調達によるレピュテーション向上
(注) 発生時期見込み:短期(~1年程度)・中期(~3年程度)・長期(3年~)で区分しております。
主な対応策として、以下の項目に関する具体的な検討及び取組を推進してまいります。
・紙・プラスチック・金属などの素材利用量の削減、廃棄物削減、リサイクルの推進・自然回復に資する物品販売・調達や環境に関する規程やマニュアルの整備 銀行業及び生命保険業における自然関連対応に関する取組については、ゆうちょ銀行及びかんぽ生命保険のWEBページにて開示しております。
指標及び目標 (4) 指標及び目標① 「JP ビジョン2025+」で掲げる目標及びその進捗状況 「JP ビジョン2025+」においては、リスク及び機会に関する評価、管理及び監視のために特に重要であり、  グループ全体として取り組む必要性が高いと考える以下の4項目について、グループ目標値を設定しております。
この4項目の進捗状況については、サステナビリティ委員会及び日本郵政グループサステナビリティ連絡会において推進管理を行い、経営会議及び取締役会に報告しております。
 (a) 温室効果ガス排出量:2030年度までに、2019年度比46%削減※12050年 カーボンニュートラルの実現を目指す※2 (b) 女性管理者比率  :2030年度 本社における女性管理者比率 30%※3※4 (c) 社員エンゲージメント(誇りとやりがい)スコア※5:対前年評価点数以上 (d) 育児との両立支援 :男女ともに育休取得 100% 、男性育休平均日数 1か月以上 ※1 Scope1(自社が直接排出する排出量)及びScope2(他社から供給された電気等の使用に伴う排出量)を対象としております。
当社グループ温室効果ガス排出量削減目標の対象は、グループ総排出量の大宗を占める当社、日本郵便、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険、日本郵便輸送株式会社、トール社、JPロジスティクスグループ株式会社(JPロジスティクス株式会社を含む)及び日本郵政不動産株式会社であります。
Scope3については、中期経営計画での目標設定を行っておりませんが、削減に向けて主要事業に関する以下の取組を推進しております。
・郵便・物流事業サプライチェーンでの温室効果ガス排出量削減に向け、日本郵便連結による2025年度中のSBT(Science Based Targets)目標申請を目指し、温室効果ガス排出量削減目標の設定を行います。
・銀行業グリーンボンド/グリーンローン等への投融資や、投融資先とのエンゲージメントを通じて、投融資先の脱炭素化に寄与いたします。
・生命保険業投資先企業等から排出される温室効果ガス排出量の計測・分析を行い、分析結果を考慮した上で、投資先企業等に対するエンゲージメントを実施し対応を促すことで、投資ポートフォリオにおける温室効果ガス排出量の削減を目指します。
※2 目標達成のためには国内における再生可能エネルギーの普及などカーボンニュートラル化が相当程度進むことが必要になります。
当社グループも、国内外のカーボンニュートラル化を後押しします。
※3 グループ主要4社の本社における女性管理者比率です。
2030年度までの取組の結果である2031年4月1日における比率です。
※4 本社以外においても、女性管理者増加に向けて、管理者・役職者を目指す社員を増やすための環境整備・人材育成に取り組みます。
※5 社員エンゲージメントスコアとは、社員の「誇りとやりがい」に関するスコアであり、当社グループにおいては、グループES調査結果を活用しております。
 上記の目標に対してのこれまでの進捗は、以下のとおりであり、温室効果ガス排出量は、第三者保証を受けております。
(a) 温室効果ガス排出量実績  (単位:万t-CO2、%) 2019年度(基準年)2021年度(実績)2022年度(実績)2023年度(実績)総排出量125115109102累計削減量(対2019年度)―△10△15△23累計削減率(対2019年度)―△8.2△12.7△18.8
(注) 1.当社グループ温室効果ガス排出量削減目標の対象は、グループ総排出量の大宗を占める当社、日本郵便、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険、日本郵便輸送株式会社、トール社、JPロジスティクスグループ株式会社(JPロジスティクス株式会社を含む)及び日本郵政不動産株式会社であります。
2.2023年度の当社及び日本郵便の温室効果ガス排出量は、合理的保証を受けて開示しております。
3.事業を売却した宿泊事業及びトール社エクスプレス事業の温室効果ガス排出量は除外しております。
4.2024年度実績は、当社ウェブサイトにて公表する予定であります。
  https://www.japanpost.jp/sustainability/library/data/#emissions (b) 女性管理者比率(グループ主要4社の本社)の実績後述の「B 人的資本 (3) 指標及び目標 ② 「異なる互いを認め合う」」を参照ください。
(c) 社員エンゲージメント(誇りとやりがい)スコア後述の「B 人的資本 (3) 指標及び目標 ① 「誇りとやりがい」」を参照ください。
(d) 育児との両立支援後述の「B 人的資本 (3) 指標及び目標 ② 「異なる互いを認め合う」」を参照ください。
② 重要課題に関する具体的な指標と目標(①に掲げるものを除く) 上記「(3) 戦略 ② サステナビリティに関する重要課題」及び「(3) 戦略 ③ 重要課題に対応した取組」で掲げた重要課題領域における主な取組に関しては、以下のように適切な指標を設定するとともに、必要に応じて具体的な目標を設定しており、サステナビリティ委員会及びグループサステナビリティ連絡会において進捗の把握を行うこととしております。
なお、各種施策のうち、試行段階の施策で今後の展開方針が未定のもの、委託元や協業相手の要請・意向・状況に応じた対応が必要である等の理由で目標設定が困難なもの、望ましくない事象の抑制を目指す取組であって目標を設定することによって問題の顕在化を招くおそれのあるもの等については、定量的な目標設定は行わず、各施策を実施する会社及び部署において適宜の評価を行っております。
また、投融資先の温室効果ガス排出量の削減目標など当社の努力のみでは達成を確約することができない目標も含まれている点にご留意ください。
重要課題指標及び目標2024年度末実績(特に年度の記載のない場合数字は累計値)(a)地域生活・地域経済 各施策の取組数や投融資残高等を指標として進捗管理を行います。
特に具体的な目標を設定して取組を推進している例として、以下があります。
・共助型買物サービス「おたがいマーケット」…2024年度末までの実施目標:6地域 2025年度末までの実施目標:新たに4地域(この目標は「(b) 高齢社会への対応」にも関連) ・GP業務関連残高(投資確約額ベース)…2025年度末時点で4,000億円程度・ラジオ体操実施率…2025年度末までに25% (注1) ・サステナブル投資の推進…インパクト“K”プロジェクト認証ファンド(注2)…2025年度末までに累計15件、500億円(この目標は本項目に限らず様々な社会課題に関連) ・「おたがいマーケット」実施地域…3地域(奈良県奈良市、山形県山辺町、静岡県静岡市) (注3) ・GP業務関連残高 …1,191億円・ラジオ体操実施率…23.8%(2025年3月 一般消費者調査)・インパクト“K”プロジェクト認証ファンド…9件、279億円(b)高齢社会への対応「(a)地域生活・地域経済」に記載の関連する指標のほか、各サービスの利用者数等を指標として進捗管理を行います。
 特に具体的な目標を設定して取組を推進している例としては、以下があります。
・NISA口座数…2025年度末時点で94万口座 ・NISA口座数…82万口座(c)サービスアクセス  各サービスの利用可能状況等を指標として進捗管理を行います。
 特に具体的な目標を設定して取組を推進している例として、以下があります。
・郵便局アプリ登録数…2025年度末までに、500万ダウンロード・ゆうちょ銀行通帳アプリ登録口座数…2025年度末時点で1,600万口座 ・郵便局アプリ登録数…約540万ダウンロード・ゆうちょ銀行通帳アプリ 登録口座数 …1,359万口座 重要課題指標及び目標2024年度末実績(特に年度の記載のない場合数字は累計値)(d)環境 温室効果ガス排出量については、(4)①(a)のとおり削減目標を設定してその達成状況を把握するほか、(3)④で掲げた対応方針の進捗に関する指標を設定して進捗管理を行います。
また、各種環境負荷に係る資源の使用量等の中で重要なものについて指標を設定しております。
 さらに、低環境負荷社会の実現に向けた貢献については、「(a)地域生活・地域経済」に記載の関連する目標のほか、取組状況や投資額等を指標として進捗管理を行います。
 特に具体的な目標を設定して取組を推進している例として、以下があります。
・EV四輪車両の導入台数 …2028年度末までの導入目標:15,000台・EV二輪車両の導入台数 …2025年度末までの導入目標:30,800台(注4)・高効率空調への更改 …2024年度末までの実施目標:新たに70局  2025年度末までの実施目標 :新たに82局・郵便局でのLED電球使用 …2024年度末までの実施目標:新たに364局 …2025年度末までの実施目標:新たに430局・環境配慮型郵便局の設置に係る目標…2024年度「+エコ郵便局」新たに3局開局予定 2025年度「+エコ郵便局」新たに3局開局予定 ・「+エコ郵便局」の建設及び太陽光発電設備の設置等により、24年度の温室効果ガス排出量の削減を、23年度環境配慮型郵便局の設置による削減量に加え、更に0.01万t-CO2/年削減。
・郵便はがきのFSC®認証紙の使用 ・ESGテーマ型投融資残高(ゆうちょ銀行)…2025年度末時点で7兆円 ・EV四輪車両の導入台数…8,020台・EV二輪車両の導入台数…23,798台(注5)・高効率空調への更改…2024年度新たに77局更改 ・郵便局でのLED照明使用 …2024年度新たに377局 ・環境配慮型郵便局の設置数 …2024年度新たに「+エコ郵便局」3局開局(累計 17局開局) ・「+エコ郵便局」の建設及び太陽光発電設備の設置等による、温室効果ガス削減量 …0.021万t-CO2/年(2024年度) ・郵便はがきのFSC®認証紙の使用 …現在調達しているすべての郵便はがきでFSC®認証紙を使用・ESGテーマ型投融資残高 …6.0兆円(e)人材・人的資本後述の「B 人的資本」をご参照ください。
(f)経営基盤上記「(3) 戦略 ③ 重要課題に対応した取組 (f) 経営基盤」で掲げた各取組のうち、新たに導入した制度に係るものについては、その利用状況等を指標として進捗管理を行います。

(注) 1.ラジオ体操実施率は、かんぽ生命保険が定期的に実施しているオンライン調査(対象は20歳~69歳の男女2,400名)において、ラジオ体操を知っていると回答した方のうち、1年に1回以上ラジオ体操を実施すると回答した方の割合です。
2.インパクト“K”プロジェクト認証ファンドの目標及び実績は、2022年度の認証開始からの累計案件数及びかんぽ生命保険による投資額(ファンドの形態により投資額もしくはコミットメント額を計上)です(この実績は本項目に限らず様々な社会課題に関連した実績です)。
3.静岡県静岡市は2025年4月末で終了いたしました。
4.2025年度、導入目標台数を、EV三輪車両を含む30,800台に見直しを行いました。
5.EV三輪車両500台を含みます。
人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略
(2) 戦略 グループ人事方針日本郵政グループは、社員全員が「誇りとやりがい」をもって働ける会社を目指します。
そのために、「異なる互いを認め合う」、「能力を高める」、「強みを発揮する」を軸に、社員の成長と挑戦を支援する人材育成と環境整備に取り組みます。
こうした人的資本経営の実践を通して、持続的な企業価値の向上を図り、お客さまの幸せと地域の発展に貢献します。
社員の仕事への前向きな姿勢・行動が、お客さま、地域・社会への貢献を拡大し、広い意味での企業価値を向上させます。
そこで、当社グループは、日々、お客さまのために「縁の下の力持ち」※ として尽力している社員全員が、誇りとやりがいを感じ、仕事に前向きに取り組める職場を提供します。
※ 郵便事業の創業者、前島密の信条:縁の下の力持ちになることを厭うな。
人のためによかれと願う心を常に持てよ。
社員が誇りとやりがいを感じつつ仕事に取り組めるよう、社員が互いの違いを認め合う職場という基盤(=「異なる互いを認め合う」)及び能力や意欲を高める自発的取組を支援する環境(=「能力を高める」・「強みを発揮する」)を会社は提供します。
・「異なる互いを認め合う」については、心身の健康増進と、ハラスメントがなく、性別・年齢などに関係なく多様な生き方や個々の社員の事情を尊重しあう、相互承認、安心感の得られる職場を提供します。
・「能力を高める」については、事業環境変化に伴うサービスの内容・提供方法の変化に対応できるよう、また、働き方を自律的に選択できるよう、能力・知識・技術獲得の機会を提供します。
・「強みを発揮する」については、挑戦の機会を提供し、また挑戦を評価する仕組みを強化し、自身の強みや創造性を発揮してお客さまのため新たな取組に挑戦する組織や風土を構築します。
・こうした取組で「異なる互いを認め合うこと、能力を高めること、強みを発揮すること」ができる人材の育成を進めます。
社員の能力発揮・意欲向上が事業の発展をもたらすとの認識の上で、人事施策を企画・実施し、社員と共に事業の発展を推進してまいります。
人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績、指標及び目標 (3) 指標及び目標グループ人事方針は、社員の「誇りとやりがい」の向上を追求することとし、そのための3つの軸、「異なる互いを認め合う」、「能力を高め合う」、「強みを発揮する」を設定しております。
以下で、各要素の目指す姿、関連人事施策並びに指標及び目標を示します。
人事施策並びに指標及び目標については、毎年評価・反省を実施し、必要な見直しを行います。
① 「誇りとやりがい」<目指す姿と人事施策>社員の誇りとやりがい(エンゲージメント)を高めることで、社員の幸せと生産性向上を実現します。
誇りとやりがいを高めるには、「異なる互いを認め合う」環境を基盤として整備すること、個々の社員の「能力を高める」こと、そして、個々の社員が「強みを発揮する」ことが必要と考え、下記のとおり、各要素についての具体的な施策、指標及び目標を設定し、その実現に努めます。
並行して、社員が誇りとやりがいをどの程度感じているかを定期的に把握し、結果の分析や社員との共有を図り、課題の抽出・対策につなげます。
<指標・目標>対象組織施策、指標及び目標実績当社及び事業子会社・社員エンゲージメント(誇りとやりがい)スコア※ 対前年度評価点以上・社員と調査結果の共有及び継続的な改善策の実行3.39pt (2024年度) ※ 2023年度からグループES調査結果を活用 ② 「異なる互いを認め合う」<目指す姿と人事施策> 社員が健康のうえ、個々の違いや能力、多様な働き方を認め合い、尊重することで、安心感やイノベーションの創出を促し、社員の誇りとやりがいを高めます。
そのために、次のような施策を実施します。
・「真の多様性」の実現への意識啓発・行動改革・女性活躍・高齢者の就業・障がい者雇用・性の多様性への対応の推進・健康経営の推進、柔軟で多様な勤務・休暇制度の整備・定着及びライフイベントと仕事との両立支援の推進・パワーハラスメント・セクシャルハラスメント等の根絶など、適切な労務管理 <指標・目標>対象組織指標及び目標実績当社及び事業子会社・健康経営KPI 達成 (2024年度)要医療1・2の社員割合 1%以内特定保健指導脱出率 23%以上・男女ともに育休取得 100%・男性育休平均日数 1か月以上・ハラスメント認定件数  対前年度以下・障がい者雇用率  3.0% (2025年度)・要医療1・2の社員割合 1.19% 特定保健指導脱出率 21.0% (2024年度)・女性99.9% 男性100%(2024年度)・平均44.9日(2024年度)・147件(2024年度)・2.71%(2024年6月)当社及び事業子会社の本社・本社女性管理者比率 30% (2030年度)・18.0%(2024年度) 要医療1・2…医療上の措置を緊急又は早急に必要とする者 ③ 「能力を高める」<目指す姿と人事施策>挑戦や成長意欲を重視し、自律的なキャリア形成やDX推進等に必要なスキル習得などで、努力が報われる実感を伴いながら、社員の誇りとやりがいを高めます。
そのために、次のような施策を実施します。
・挑戦と能力向上を促す自律的なキャリア形成支援・「職務が評価された」、「努力が報われた」と実感できる人事諸制度の実現・DX推進等による業務効率化や新たな業務へのスキル習得支援・コンサルティングやマネジメント、経営課題解決に必要な能力等、専門性強化 <指標・目標>対象組織指標及び目標実績当社及び事業子会社・キャリア形成の支援策実施 (シニア層向け等のリスキリング施策実施)・グループ内社内公募人数 対前年度以上 ・キャリア研修の実施 ・90名当社及び事業子会社の本社・本社、支社等対象者数 DX研修受講率100%(2025年度)・受講率100%(受講者数13,000名(2024年度末時点)) グループ内社内公募…2022年度から本社組織間では実施中。
2024年度からフロント組織も含めて全社的に実施するもの。
④ 「強みを発揮する」<目指す姿と人事施策> 適所適材の実感を持って働くことや風通しのよい組織への変革により、自身の強みや創造性の発揮を促し、社員の誇りとやりがいを高めます。
そのため、次のような施策を実施します。
・お客さま本位の姿勢で、強みや創造性を発揮できる人材の採用・育成・配置及び職場環境の整備・新たなチャレンジや組織風土の変革に取り組む社員を高く評価する仕組みの導入・柔軟な要員配置・働き方によるグループ内の人材流動化・グループ内外の人事交流の促進及び外部専門人材等※の積極的な採用や副業の受入れ※ 専門人材のほか、多様な人材確保の視点から、特定技能(今後、国において創設予定の「育成就労制度」を通して外国人の人材確保・育成を図り、「特定技能1号」に転換していくことで、長期間事業を支える人材の確保を行うもの。
)の導入検討を含む採用手法・採用対象の多様化により必要な人材を確保していきます。
<指標・目標>対象組織指標及び目標実績当社及び事業子会社・適所適材スコア※ 対前年度評価点数以上・年休取得平均日数 18日以上・グループ内外の人事交流人数 2021年度水準の維持(グループ4社間の交流人数 約1,500人)・2.51pt (2024年度)・平均19.7日 (2024年度)・2024年度達成当社及び事業子会社の本社・戦略的副業の取組人数 対前年度以上・経験者採用の推進・47人 (2024年度)・59人 (2024年度) ※ 2023年度からグループES調査結果を活用
研究開発活動 6 【研究開発活動】
該当事項はありません。
設備投資等の概要 1 【設備投資等の概要】
当社グループでは、当連結会計年度において、不動産開発等、業務基盤系システムの更改等、お客さまサービスと業務効率化に資する経営基盤強化のための投資を行いました。
当連結会計年度における設備投資の内訳は、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)摘要郵便・物流事業85,222郵便局施設・設備の改修(16,014百万円)等郵便局窓口事業34,316オープン出納機の更改(19,022百万円)等国際物流事業62,551 不動産事業34,424 銀行業52,196ゆうちょ総合情報システム(35,876百万円)等生命保険業57,986 その他9,035 計335,732 消去又は全社△263 合計335,469
(注) 1.所要資金については、自己資金及び外部調達資金で充当しております。
2.設備投資には、無形固定資産の取得に係る投資を含んでおります。
3.当連結会計年度より報告セグメントとして「不動産事業」を新設しております。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」のとおりであります。
主要な設備の状況 2 【主要な設備の状況】
(1) 提出会社の状況2025年3月31日現在事業所名(所在地)セグメントの名称設備の内容帳簿価額(百万円)従業員数(人)建物及び構築物機械装置及び運搬具土地(面積千㎡)リース資産その他合計東京逓信病院(東京都)その他診療施設4,2221310,779(21)―1,08916,104662[190]本社等その他の施設(東京都ほか)その他その他29,0668274,272(271)―5,305108,727573[56]
(注) 1.帳簿価額のうち「その他」は、工具、器具及び備品と建設仮勘定であります。
2.従業員数は就業人員であり、臨時従業員数(無期転換制度に基づく無期雇用転換者(アソシエイト社員)を含み、派遣社員を除く。
)は年間の平均人員を[ ]内に外書きで記載しております。
3.上記のほか、当社の連結会社以外の者との間で賃貸借している主要な設備はありません。

(2) 主要な連結子会社の状況2025年3月31日現在会社名事業所名セグメントの名称設備の内容帳簿価額(百万円)従業員数(人)建物及び構築物機械装置及び運搬具土地(面積千㎡)リース資産その他合計日本郵便本社・支社(14か所)郵便局(20,017局)その他(22か所)郵便・物流事業荷扱所等366,24337,496629,864(4,844)11,34023,4371,068,38295,726[90,443]郵便局窓口事業店舗、郵便局施設等203,378796271,651(3,596)132,767508,59474,207[29,114]不動産事業オフィスビル、商業施設等264,775869371,564(149)―4,973642,18328[2]合計834,39639,1621,273,080(8,590)11,34261,1782,219,160169,961[119,559]ゆうちょ銀行本社及びエリア本部(14か所)支店及び出張所(235か所)その他(67か所)銀行業店舗、事務センター等67,19948263,720(202)―60,276191,67810,952[2,437]かんぽ生命保険本社及びエリア本部(14か所)支店(82か所)生命保険業店舗、本社等42,9215276,632(72)4,36316,296140,26617,952[2,475]
(注) 1.帳簿価額のうち「その他」は、工具、器具及び備品と建設仮勘定であります。
2.日本郵便における本社・支社、郵便局及びその他の設備の数は重複しておりません。
また、帳簿価額はそれぞれのセグメントの区分に応じて分けて記載しております。
3.日本郵便における郵便局数には閉鎖中の郵便局は含まれませんが、帳簿価額には含まれております。
4.上記のほか、当社の連結会社以外の者から賃借している設備があります。
日本郵便(年間賃借料72,253百万円)、ゆうちょ銀行(年間賃借料2,459百万円)、かんぽ生命保険(年間賃借料5,985百万円)であり、主要なものは日本郵便における郵便局施設となります。
5.上記には、日本郵便が賃貸しているJPタワー等の設備(622,015百万円)が含まれております。
6.従業員数は就業人員(各社から他社への出向者を除き、他社から各社への出向者を含む。
)であり、臨時従業員数(アソシエイト社員、期間雇用社員及び高齢者再雇用社員を含み、派遣社員を除く。
)は年間の平均人員を[ ]内に外書きで記載しております。
7.当連結会計年度より報告セグメントとして「不動産事業」を新設したことに伴い、日本郵便株式会社の営む事業の区分を従来の「郵便・物流事業」「郵便局窓口事業」から、「郵便・物流事業」「郵便局窓口事業」「不動産事業」に変更しております。
(3) 主要な在外子会社の状況2025年3月31日現在会社名所在地セグメントの名称設備の内容帳簿価額(百万円)従業員数(人)建物及び構築物機械装置及び運搬具土地(面積千㎡)その他合計トール社及び同社傘下の子会社LOYANG,SINGAPORE国際物流事業ロジスティクス施設32,412215―9,86742,49571[―]TUAS,SINGAPORE国際物流事業ロジスティクス施設 14,3561,034―1,10916,501231[―]Changi,SINGAPORE国際物流事業ロジスティクス施設6,634――8427,476―[―]
(注) 1.トール社及び同社傘下の子会社の所有する設備のうち、主要なものを記載しております。
2.帳簿価額のうち「その他」には、IFRS第16号適用による使用権資産を含んでおります。
3.上記には、当社の連結子会社以外の者から賃借している土地・建物等が含まれております。
4.従業員数は就業人員であり、臨時従業員数は3月末の人員数を[ ]内に外書きで記載しております。
設備の新設、除却等の計画 3 【設備の新設、除却等の計画】
(1) 重要な設備等の新設等2025年3月31日現在セグメントの名称設備の内容投資予定額(百万円)資金調達方法着手及び完了予定年月着手完了郵便・物流事業郵便局施設・設備の改修(注2)25,761自己資金2014年4月2026年度次期基幹システムの更改3,639自己資金2020年4月2025年度電動車の購入18,002自己資金2020年4月2025年度郵便局窓口事業郵便局施設・設備の改修(注2)5,612自己資金2014年4月2026年度郵便局の照明改修(LED化)工事1,351自己資金2021年4月2025年度国際物流事業自動倉庫への投資(注3)142百万豪ドル自己資金リース2022年10月2025年度不動産事業名古屋栄計画(オフィス、商業施設、ホテル、シネコン他)3,998自己資金2022年7月2025年度銀行業ATM(2024~2028年度)26,366自己資金2025年1月2028年度ゆうちょ総合情報システム(2025年度)9,743自己資金2022年6月2025年度ゆうちょ総合情報システム(2028年度)19,654自己資金2024年11月2028年度生命保険業次世代システムの構築 20,775自己資金2021年4月2025年度
(注) 1.投資予定額については、当連結会計年度末に計画されている投資予定額の総額から既支払額を差し引いた金額を記載しております。
2.郵便局施設・設備の改修については、計画の見直し等により、投資予定額の総額を変更しております。
   3.自動倉庫への投資については、使用権資産115百万豪ドルを含みます。
4.上記のほか、中期経営計画に記載している投資計画については、各案件の投資額等を更に検討した上で、順次具体化してまいります。

(2) 重要な設備の除売却等 経常的な設備の更新のための除売却を除き、重要な設備の除売却等の計画はありません。
設備投資額、設備投資等の概要335,469,000,000

Employees

平均年齢(年)、提出会社の状況、従業員の状況43
平均勤続年数(年)、提出会社の状況、従業員の状況16
平均年間給与、提出会社の状況、従業員の状況8,644,000
管理職に占める女性労働者の割合、提出会社の指標0
全労働者、労働者の男女の賃金の差異、提出会社の指標1
正規雇用労働者、労働者の男女の賃金の差異、提出会社の指標1
非正規雇用労働者、労働者の男女の賃金の差異、提出会社の指標1

Investment

株式の保有状況 (5) 【株式の保有状況】
① 提出会社における投資株式の区分の基準及び考え方純投資目的である投資株式は、主に株式の価値の変動又は株式に係る配当によって利益を受けることを目的とするものであり、純投資目的以外の目的である投資株式は、業務提携の強化等を目的とするものであります。
② 提出会社における株式の保有状況当社の株式の保有状況については以下のとおりであります。
(a) 保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式イ. 保有方針及び保有の合理性を検証する方法並びに個別銘柄の保有の適否に関する取締役会等における検証の内容当社は、業務提携の強化等純投資以外の観点から、当社グループの中長期的な企業価値の向上に資すると判断される上場企業の株式等(以下、本「(5) 株式の保有状況 ② 提出会社における株式の保有状況 (a) 保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式 イ. 保有方針及び保有の合理性を検証する方法並びに個別銘柄の保有の適否に関する取締役会等における検証の内容」において「政策保有株式」といいます。
)を取得し保有することができることとしております。
当社が保有する政策保有株式について、中長期的な経済合理性や将来の見通し等を勘案の上、その保有の狙い・合理性について取締役会において毎年度検証するとともに、検証の内容を開示します。
2025年4月の取締役会において、上記主旨に則り検証を行った結果、当社の保有する政策保有株式2銘柄について、継続保有が適当であることを確認いたしました。
ロ. 銘柄数及び貸借対照表計上額 銘柄数(銘柄)貸借対照表計上額の合計額(百万円)非上場株式13非上場株式以外の株式2141,337 ハ. 特定投資株式及びみなし保有株式の銘柄ごとの株式数、貸借対照表計上額等に関する情報特定投資株式銘柄当事業年度前事業年度保有目的、業務提携等の概要、定量的な保有効果及び株式数が増加した理由当社の株式の保有の有無株式数(株)株式数(株)貸借対照表計上額(百万円)貸借対照表計上額(百万円)株式会社大和証券グループ本社30,000,00030,000,000当社は株式会社大和証券グループ本社との資本関係を構築するとともに、当社グループと大和証券グループとの間で資産形成分野における新たな協業の検討を進めることについて合意しており、お客さま一人ひとりのライフスタイル・ニーズに応じた新たなコンサルティングサービスの開発における協力体制の構築を進めております。
具体的には、2022年5月から株式会社ゆうちょ銀行において、大和証券株式会社が提供するゆうちょファンドラップを取り扱っており、従来当社グループの顧客でなかった新たな顧客層の獲得による顧客ベースの拡大による収益拡大効果が見込まれ、当社グループの企業価値の向上、利益への貢献が期待されます。
定量的な保有効果について現時点で示すことは困難でありますが、中長期的な経済合理性や将来の見通し等を勘案し、保有の合理性があると判断したものであります。
無29,81434,530楽天グループ株式会社131,004,000131,004,000当社は楽天株式会社(2021年4月1日に楽天グループ株式会社に社名変更)の株式の取得により資本関係を構築し、両社グループは物流、モバイル、DXなど様々な領域での連携を強化しております。
定量的な保有効果について現時点で示すことは困難でありますが、中長期的な経済合理性や将来の見通し等を勘案し、保有の合理性があると判断したものであります。
無111,523111,327 みなし保有株式 前事業年度及び当事業年度において、該当事項はありません。
(b) 保有目的が純投資目的である投資株式前事業年度及び当事業年度において、該当事項はありません。
(c) 当事業年度に投資株式の保有目的を純投資目的から純投資目的以外の目的に変更したもの該当事項はありません。
(d) 当事業年度の前4事業年度及び当事業年度に投資株式の保有目的を純投資目的以外の目的から純投資目的に変更したもの該当事項はありません。
③ かんぽ生命保険における株式の保有状況当社及び連結子会社のうち、投資株式の貸借対照表計上額(投資株式計上額)が最も大きい会社(最大保有会社)であるかんぽ生命保険については以下のとおりであります。
(a) 保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式イ. 保有方針及び保有の合理性を検証する方法並びに個別銘柄の保有の適否に関する取締役会等における検証の内容かんぽ生命保険は、業務提携の強化等純投資以外の観点から、かんぽ生命保険の中長期的な企業価値向上に資すると判断される上場企業の株式等(以下、本「(5) 株式の保有状況 ③ かんぽ生命保険における株式の保有状況 (a) 保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式 イ. 保有方針及び保有の合理性を検証する方法並びに個別銘柄の保有の適否に関する取締役会等における検証の内容」において「政策保有株式」といいます。
)を取得し保有することができるものとしております。
かんぽ生命保険が保有することができる政策保有株式については、取締役会においてその保有目的の適切性及び保有することの合理性等について精査し、保有の適否を毎年度検証するとともに、検証の内容を開示することとしております。
なお、かんぽ生命保険は、現在政策保有株式を保有しておりません。
ロ. 銘柄数及び貸借対照表計上額 銘柄数(銘柄)貸借対照表計上額の合計額(百万円)非上場株式24,259非上場株式以外の株式-- ハ. 特定投資株式及びみなし保有株式の銘柄ごとの株式数、貸借対照表計上額等に関する情報前事業年度及び当事業年度において、該当事項はありません。
(b) 保有目的が純投資目的である投資株式区分当事業年度前事業年度銘柄数(銘柄)貸借対照表計上額の合計額(百万円)銘柄数(銘柄)貸借対照表計上額の合計額(百万円)非上場株式----非上場株式以外の株式130529,602123546,030 区分当事業年度受取配当金の合計額(百万円)売却損益の合計額(百万円)評価損益の合計額(百万円) 含み損益の合計額減損処理の合計額非上場株式----非上場株式以外の株式14,33720,898148,522- (c) 当事業年度に投資株式の保有目的を純投資目的から純投資目的以外の目的に変更したもの 該当事項はありません。
(d) 当事業年度の前4事業年度及び当事業年度に投資株式の保有目的を純投資目的以外の目的から純投資目的に変更したもの該当事項はありません。
銘柄数、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社1
貸借対照表計上額、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社3,000,000
銘柄数、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社2
貸借対照表計上額、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社141,337,000,000
株式数、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社131,004,000
貸借対照表計上額、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社111,523,000,000
銘柄、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社楽天グループ株式会社
保有目的、業務提携等の概要、定量的な保有効果及び株式数が増加した理由、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社当社は楽天株式会社(2021年4月1日に楽天グループ株式会社に社名変更)の株式の取得により資本関係を構築し、両社グループは物流、モバイル、DXなど様々な領域での連携を強化しております。
定量的な保有効果について現時点で示すことは困難でありますが、中長期的な経済合理性や将来の見通し等を勘案し、保有の合理性があると判断したものであります。
当該株式の発行者による提出会社の株式の保有の有無、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社

Shareholders

大株主の状況 (6) 【大株主の状況】
2025年3月31日現在
氏名又は名称住所所有株式数(千株)発行済株式(自己株式を除く。)の総数に対する所有株式数の割合(%)
財務大臣東京都千代田区霞が関3丁目1-11,153,68338.80
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)東京都港区赤坂1丁目8-1赤坂インターシティAIR315,15810.60
株式会社日本カストディ銀行(信託口)東京都中央区晴海1丁目8-12100,8353.39
日本郵政社員持株会東京都千代田区大手町2丁目3-193,9373.15
STATE STREET BANK WEST CLIENT - TREATY 505234(常任代理人 株式会社みずほ銀行決済営業部)1776 HERITAGE DRIVE, NORTH QUINCY, MA 02171, U.S.A.(東京都港区港南2丁目15-1品川インターシティA棟)40,5731.36
STATE STREET BANK AND TRUST COMPANY 505001(常任代理人 株式会社みずほ銀行決済営業部)ONE CONGRESS STREET, SUITE 1, BOSTON, MASSACHUSETTS(東京都港区港南2丁目15-1品川インターシティA棟)35,0741.17
JP MORGAN CHASE BANK 385781(常任代理人 株式会社みずほ銀行決済営業部)25 BANK STREET, CANARY WHARF, LONDON, E14 5JP,UNITED KINGDOM(東京都港区港南2丁目15-1品川インターシティA棟)26,6300.89
SMBC日興証券株式会社東京都千代田区丸の内3丁目3-125,9150.87
STATE STREET BANK AND TRUST COMPANY 505103(常任代理人 株式会社みずほ銀行決済営業部)ONE CONGRESS STREET, SUITE 1, BOSTON, MASSACHUSETTS(東京都港区港南2丁目15-1品川インターシティA棟)25,8370.86
JPモルガン証券株式会社東京都千代田区丸の内2丁目7-3東京ビルディング18,1820.61計-1,835,82961.75
(注) 1.発行済株式(自己株式を除く。)の総数に対する所有株式数の割合につきましては、自己株式(233,405千株)を控除して計算しております。なお、自己株式には株式給付信託が保有する当社株式(1,038千株)を含めておりません。 2.当社は、2025年3月28日付の取締役会決議に基づき、2025年4月11日付で233,305千株の自己株式の消却を実施し、発行済株式総数は2,972,934千株となっておりますが、発行済株式(自己株式を除く。)の総数に対する所有株式数の割合は、消却前である2025年3月31日時点の発行済株式総数を分母として計算しております。
株主数-金融機関114
株主数-金融商品取引業者44
株主数-外国法人等-個人1,512
株主数-外国法人等-個人以外809
株主数-個人その他590,019
株主数-その他の法人4,642
株主数-計597,142
氏名又は名称、大株主の状況JPモルガン証券株式会社
株主総利回り2
株主総会決議による取得の状況 (1) 【株主総会決議による取得の状況】
該当事項はありません。
株主総会決議又は取締役会決議に基づかないものの内容 (3) 【株主総会決議又は取締役会決議に基づかないものの内容】
区分株式数(株)価額の総額(百万円)当事業年度における取得自己株式2450当期間における取得自己株式――
(注) 当期間における取得自己株式には、2025年6月1日から有価証券報告書提出日までの単元未満株式の買取りによる株式数は含めておりません。

Shareholders2

自己株式の取得-350,000,000,000
自己株式の取得による支出、財務活動によるキャッシュ・フロー-350,000,000,000
発行済株式及び自己株式に関する注記 1.発行済株式の種類及び総数に関する事項 (単位:千株) 当連結会計年度期首株式数当連結会計年度増加株式数当連結会計年度減少株式数当連結会計年度末株式数摘要発行済株式 普通株式3,461,049―254,8093,206,240(注)
(注) 発行済株式(普通株式)の減少254,809千株は、自己株式の消却によるものであります。
2.自己株式の種類及び株式数に関する事項 (単位:千株) 当連結会計年度期首株式数当連結会計年度増加株式数当連結会計年度減少株式数当連結会計年度末株式数摘要自己株式 普通株式255,967233,305254,829234,444(注)1、2、3
(注) 1.当連結会計年度期首の自己株式(普通株式)には、株式給付信託が保有する当社株式1,058千株が含まれております。
当連結会計年度末の自己株式(普通株式)には、株式給付信託が保有する当社株式1,038千株が含まれております。
2.自己株式(普通株式)の株式数の増加233,305千株は、2024年5月15日開催の当社取締役会決議に基づき2024年5月16日~2025年3月24日までの期間において取得した233,305千株及び単元未満株式の買取0千株によるものであり、減少254,829千株は、2024年3月27日開催の当社取締役会決議に基づく自己株式の消却254,809千株、株式給付信託による給付19千株及び単元未満株式の買増請求に応じた売却0千株によるものであります。
3.当社は、2025年3月28日開催の取締役会において、会社法第178条の規定に基づき、自己株式を消却することを決議いたしましたが、当連結会計年度末において以下の自己株式について消却手続を完了しておりません。
帳簿価額 349,967百万円株式の種類 普通株式株式数  233,305千株なお、上記自己株式について、2025年4月11日付で消却手続を完了いたしました。

Audit

監査法人1、連結有限責任 あずさ監査法人
独立監査人の報告書、連結 独立監査人の監査報告書及び内部統制監査報告書  2025年6月19日日本郵政株式会社取締役会 御中 有限責任 あずさ監査法人  東京事務所   指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士前  野  充  次  指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士村  松  啓  輔  指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士河  野     祐 <連結財務諸表監査>監査意見当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられている日本郵政株式会社の2024年4月1日から2025年3月31日までの連結会計年度の連結財務諸表、すなわち、連結貸借対照表、連結損益計算書、連結包括利益計算書、連結株主資本等変動計算書、連結キャッシュ・フロー計算書、連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項、その他の注記及び連結附属明細表について監査を行った。
当監査法人は、上記の連結財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、日本郵政株式会社及び連結子会社の2025年3月31日現在の財政状態並びに同日をもって終了する連結会計年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。
監査意見の根拠当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。
監査の基準における当監査法人の責任は、「連結財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。
当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。
当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。
強調事項重要な後発事象に記載されているとおり、会社の連結子会社である日本郵便株式会社は、2025年6月5日に点呼業務未実施事案に関する国土交通省による聴聞の通知を受けており、一般貨物自動車運送事業の許可の取消処分を受ける見込みである。
当該事項は、当監査法人の意見に影響を及ぼすものではない。
監査上の主要な検討事項監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。
監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。
日本郵便株式会社の郵便・物流事業に係る固定資産の減損の兆候に関する判断の合理性監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応日本郵政株式会社の当連結会計年度の連結貸借対照表において、日本郵便株式会社(以下、日本郵便という)の郵便・物流事業に係る有形固定資産及び無形固定資産1,131,520百万円が計上されており、多額である。
注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおり、日本郵政株式会社は、連結子会社である日本郵便の郵便・物流事業に使用している固定資産の減損の兆候を判断するにあたり、同事業に使用している固定資産全体を一つの資産グループとして減損の兆候の判定を行っている。
減損の兆候があると認められる場合には、資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額と帳簿価額を比較することによって、減損損失の認識の要否を判定する。
判定の結果、減損損失の認識が必要とされた場合、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、帳簿価額の減少額を減損損失として認識する。
日本郵便における郵便・物流事業は、前連結会計年度及び当連結会計年度は営業損失を計上したが、翌連結会計年度は当連結会計年度に実施した郵便料金の改定による効果や、EC事業者との協業等による荷物の引受個数の増加によって営業利益の計上を見込んでいる。
そのため、日本郵政株式会社は当連結会計年度末において固定資産の減損の兆候は無いものと判断している。
減損の兆候の判定にあたっては、売上高に影響する郵便引受通数、荷物引受個数、運賃単価、また売上原価に影響する人件費や集配委託費等の仮定に基づいた経営計画等の社内の情報が用いられる。
なかでも、郵便引受通数及び荷物引受個数には、経済情勢の変化や競争環境の激化により重要な影響を受ける可能性があり、高い不確実性を伴う。
そのため、翌連結会計年度以降の連結財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクがある。
以上から、当監査法人は、日本郵便の郵便・物流事業に係る固定資産の減損の兆候に関する判断の合理性が、当連結会計年度の連結財務諸表監査において特に重要であり、監査上の主要な検討事項の一つに該当すると判断した。
当監査法人は、日本郵便の郵便・物流事業に係る固定資産の減損の兆候に関する判断の合理性を検討するため、日本郵便の監査人を関与させ、同監査人への指揮、監督及びその作業の査閲を含め、主に以下の監査手続を実施した。
(1)内部統制の評価日本郵便の郵便・物流事業に係る固定資産の減損の兆候に関する判断に関連する内部統制の整備状況及び運用状況の有効性を評価した。
評価にあたっては、特に以下に焦点を当てた。
・減損の兆候に関する判断が、日本郵便の取締役会によって承認された日本郵便の経営計画に基づいて行われていること・主要な仮定である郵便引受通数及び荷物引受個数の予測の不確実性及び適切性を検討していること
(2)減損の兆候に関する判断の合理性の検討・減損の兆候に関する判断に用いられた日本郵便の経営計画が、日本郵便の取締役会の承認を得たものであることを確かめた。
・日本郵便の経営計画の実現可能性に関する判断の根拠について、日本郵便の経営者及び関連部署に質問した。
・主要な仮定である郵便引受通数について、日本郵便の関連部署における予測値との整合性を確かめるとともに、過去実績に基づく趨勢分析を行った。
・主要な仮定である荷物引受個数について、日本郵便の関連部署における予測値との整合性を確かめるとともに、一部の予測値について取引先との契約書または営業記録の閲覧を行った。
・不確実性を踏まえた複数のシナリオに基づいて郵便引受通数及び荷物引受個数の予測を変更した場合に減損の兆候の判定に与える影響を分析した。
株式会社ゆうちょ銀行におけるレベル2及びレベル3に区分されているその他有価証券の評価の合理性監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応日本郵政株式会社の当連結会計年度の連結貸借対照表において、有価証券190,938,367百万円が計上されており、資産の部合計の約64%を占めている。
連結子会社である株式会社ゆうちょ銀行(以下、銀行子会社という)は、貯金で集めた資金を主として国債、社債、外国債券、投資信託といった有価証券で運用している。
時価で同社連結貸借対照表に計上しているその他有価証券には、レベル2に区分されている社債及びその他に含まれる外国債券(以下、社債及びその他に含まれる外国債券を合わせて「社債等」という)9,614,158百万円及びレベル3に区分されている社債等95,315百万円が含まれている。
銀行子会社は、これらの有価証券について、主として情報ベンダーやブローカー等の第三者から入手した価格を時価として利用している。
注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおり、第三者から入手した価格における主要な仮定として類似銘柄の価格から推計されるスプレッド等の市場で直接又は間接的に観察可能なインプットや、重要な見積りを含む市場で観察できないインプットが使用されている。
これらの主要な仮定は、市場環境の急激な変化や金融市場の混乱が生じ、買気配と売気配の幅が著しく拡大することや流動性リスク・プレミアムが著しく拡大すること等により影響を受け、特にレベル2及びレベル3に区分されている一部の流動性が低い社債等(私募債や証券化商品等)の時価の算定において、見積りの不確実性が高まる可能性がある。
このため、これらについて、第三者から入手した価格を時価として利用するにあたっては、経営者の判断を伴い、適切でない仮定に基づいた価格を利用した場合には、それによる連結財務諸表に対する影響は重要となる可能性がある。
以上から、当監査法人は、銀行子会社におけるレベル2及びレベル3に区分されている一部の流動性が低い社債等の評価の合理性が、当連結会計年度の連結財務諸表監査において特に重要であり、監査上の主要な検討事項の一つに該当すると判断した。
当監査法人は、銀行子会社におけるレベル2及びレベル3に区分されている一部の流動性が低い社債等の評価の合理性を検討するため、銀行子会社の監査人を関与させ、同監査人への指揮、監督及びその作業の査閲を含め、主に以下の監査手続を実施した。
(1)内部統制の評価銀行子会社におけるレベル2及びレベル3に区分されている社債等の評価に関連する内部統制の整備状況及び運用状況の有効性を評価した。
評価にあたっては、特に以下に焦点を当てた。
・複数の第三者から入手した価格を比較し、時価として利用する価格の合理性を検討していること・価格から推計したスプレッドの検証等による、時価として利用する価格の合理性を検討していること
(2)時価の合理性の検討レベル2及びレベル3に区分されている社債等のうち、銀行子会社が複数の第三者から入手した価格間の乖離が大きい銘柄や証券化商品等、銀行子会社の監査人が個別に検討を要すると判断した銘柄に対して、主に以下の手続を実施した。
これらの手続の実施にあたっては、当監査法人が属するネットワークファームの金融商品の評価の専門家を関与させた。
・銀行子会社が時価として利用する価格と監査人が他の第三者より直接入手した価格を比較し、時価として利用する価格が合理的な範囲であるか否かを検討した。
・銀行子会社が時価として利用する価格と監査人が独自の見積りで算定した価格を比較し、時価として利用する価格が合理的な範囲であるか否かを検討した。
責任準備金の計算の正確性及び積立額の十分性監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応日本郵政株式会社の当連結会計年度の連結貸借対照表において、責任準備金48,765,531百万円が計上されており、負債の部合計の約17%を占めている。
注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)の「4.会計方針に関する事項(19)①責任準備金の積立方法」に記載のとおり、保険業法等に基づき、保険契約に基づく将来における債務の履行に備えるため、責任準備金を積み立てている。
責任準備金は、保険業法等に基づき、金融庁に認可を受けた算出方法書により毎決算期に積み立てが要求されている。
また、保険業法等により、責任準備金に積立不足が生じていないかの検証が求められ、責任準備金の積み増しを行うことが必要となる場合がある。
責任準備金は、将来の長期間にわたり発生するキャッシュ・フローについて計算前提(予定死亡率・予定利率・予定事業費率等)をおいて計算される。
金融庁に認可を受けた算出方法書に基づく責任準備金の計算式は複雑であり、保険数理に関する高度な専門性が必要となる。
また、責任準備金に積立不足が生じていないかを検証するために、保険業法等により、保険計理人による将来収支分析が求められているが、当該分析においては今後の保険商品の販売水準、保険金等支払額、資産運用収益、事業費などの将来キャッシュ・フロー等の見積りに重要な判断が必要となるとともに、保険数理に関する高度な専門性が必要となる。
以上から、当監査法人は、責任準備金の計算の正確性及び積立額の十分性が、当連結会計年度の連結財務諸表監査において特に重要であり、監査上の主要な検討事項の一つに該当すると判断した。
当監査法人は、責任準備金の計算の正確性及び積立額の十分性を検討するため、連結子会社である株式会社かんぽ生命保険(以下、保険子会社という)の監査人を関与させ、同監査人への指揮、監督及びその作業の査閲を含め、主に以下の監査手続を実施した。
なお、保険子会社の監査人は、当監査法人内の保険数理の専門家及びITシステムの専門家を関与させた。
(1)内部統制の評価保険子会社における責任準備金の計算の正確性及び積立額の十分性に関連するプロセスについて、内部統制の整備状況及び運用状況の有効性を評価した。
評価にあたっては、特に以下に焦点を当てた。
・責任準備金計算システムにより、責任準備金を正確に計算するシステム統制が有効に機能していること・保険数理関連部門において、全ての保険契約に対して責任準備金が網羅的に計上されていることを確認していること・保険数理関連部門において、責任準備金の計算の正確性について、サンプル抽出による再計算による検証及び決算用の責任準備金計算システム以外のシステムにより計算された責任準備金計上額との整合性の検証を実施していること・保険子会社の経営者が、責任準備金の積立額の十分性を確認するために、保険計理人の意見書についての報告を受けていること
(2)責任準備金の計算の正確性に関する検討・当連結会計年度に責任準備金計算の基礎となる係数が改定された既存の保険商品に係る責任準備金について、金融庁に認可を受けた算出方法書に従い正確に計算されていることを再計算により確認した。
・過年度からの責任準備金の増減と当連結会計年度の保険料、保険金、事業費等との整合性を確認した。
(3)責任準備金の積立額の十分性に関する検討・責任準備金の積立額の十分性を検討するために、将来収支分析が、関連する法令及び「生命保険会社の保険計理人の実務基準」(公益社団法人 日本アクチュアリー会)に基づいて適切に行われていることを確認し、過年度の計算結果と比較した。
・保険計理人の意見書及び附属報告書等について保険計理人の意見を踏まえて内容を検討し、保険計理人に対し質問した。
責任準備金及び価格変動準備金に係る繰延税金資産の回収可能性に関する判断の合理性監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応日本郵政株式会社の当連結会計年度の連結貸借対照表において、繰延税金資産1,181,903百万円が計上されており、注記事項(税効果会計関係)に記載のとおり、繰延税金負債との相殺前の金額は2,180,271百万円である。
このうち、責任準備金に係る繰延税金資産及び価格変動準備金に係る繰延税金資産の金額がそれぞれ1,025,316百万円、225,014百万円であり、多額である。
繰延税金資産は、将来減算一時差異のうち将来にわたり税金負担額を軽減することが認められる範囲内で認識する。
繰延税金資産の計上額は、「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」(企業会計基準委員会 企業会計基準適用指針第26号)に基づく企業の分類の妥当性や将来の課税所得の見積りに依存する。
注記事項(税効果会計関係)に記載のとおり、日本郵政株式会社は、責任準備金及び価格変動準備金に係る繰延税金資産について、将来の長期にわたり発生する課税所得により税金負担額を軽減する効果を有するものとして回収可能性があると判断している。
保険子会社の経営者による将来の長期にわたり発生する課税所得の見積りは、今後の保険商品の新契約水準、保険金等支払額、資産運用収益や事業費見込みといった主要な仮定に対する重要な判断を伴う。
当連結会計年度における保険子会社の新契約実績は、一時払終身保険の販売が増加したことに伴い想定していた水準を達成したものの、当連結会計年度に作成した経営計画を基礎とした新契約水準は将来の経営環境や当該計画における営業施策の効果の影響を受けるため、見積りの不確実性が高い。
以上から、当監査法人は、責任準備金及び価格変動準備金に係る繰延税金資産の回収可能性に関する判断の合理性が、当連結会計年度の連結財務諸表監査において特に重要であり、監査上の主要な検討事項の一つに該当すると判断した。
当監査法人は、責任準備金及び価格変動準備金に係る繰延税金資産の回収可能性に関する判断の合理性を検討するため、保険子会社の監査人を関与させ、同監査人への指揮、監督及びその作業の査閲を含め、主に以下の監査手続を実施した。
(1)内部統制の評価保険子会社における、経営計画の策定を含む、将来の課税所得の見積りに係る内部統制の整備状況及び運用状況の有効性を評価した。

(2)企業の分類についての検討「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」に基づく企業の分類の妥当性、特に、近い将来に保険子会社の経営環境に著しい変化が見込まれるかどうかを検討した。
(3)将来の課税所得の見積りの適切性及び実現可能性についての検討・保険子会社の経営者及び関連部署に対し質問し、将来の課税所得の見積りの基礎となる保険子会社の経営計画の前提を理解した。
・過年度における将来の課税所得の見積りと実績の主な差異原因について、保険子会社の関連部署への質問により理解し、将来の課税所得の見積りに与える影響を確認した。
・将来の課税所得の見積りと保険子会社の経営計画の整合性を確認した。
・保険子会社の経営者による将来の課税所得見積りのストレスシナリオに使用した代替的な仮定について関連部署に質問し、その結果を理解するとともに、経営者による見積りの不確実性に対する評価の適切性を検討した。
その他の記載内容その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。
経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。
また、監査委員会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における執行役及び取締役の職務の執行を監視することにある。
当監査法人の連結財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。
連結財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と連結財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。
当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。
その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。
連結財務諸表に対する経営者及び監査委員会の責任経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して連結財務諸表を作成し適正に表示することにある。
これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない連結財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。
連結財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき連結財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。
監査委員会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における執行役及び取締役の職務の執行を監視することにある。
連結財務諸表監査における監査人の責任監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての連結財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から連結財務諸表に対する意見を表明することにある。
虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、連結財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。
監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。
・不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。
また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。
監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。
さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。
・連結財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。
・経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。
・経営者が継続企業を前提として連結財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。
継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において連結財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する連結財務諸表の注記事項が適切でない場合は、連結財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。
監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。
・連結財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた連結財務諸表の表示、構成及び内容、並びに連結財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。
・連結財務諸表に対する意見表明の基礎となる、会社及び連結子会社の財務情報に関する十分かつ適切な監査証拠を入手するために、連結財務諸表の監査を計画し実施する。
監査人は、連結財務諸表の監査に関する指揮、監督及び査閲に関して責任がある。
監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。
監査人は、監査委員会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。
監査人は、監査委員会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。
監査人は、監査委員会と協議した事項のうち、当連結会計年度の連結財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。
ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。
<内部統制監査>監査意見 当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第2項の規定に基づく監査証明を行うため、日本郵政株式会社の2025年3月31日現在の内部統制報告書について監査を行った。
 当監査法人は、日本郵政株式会社が2025年3月31日現在の財務報告に係る内部統制は有効であると表示した上記の内部統制報告書が、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して、財務報告に係る内部統制の評価結果について、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。
監査意見の根拠 当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に準拠して内部統制監査を行った。
財務報告に係る内部統制の監査の基準における当監査法人の責任は、「内部統制監査における監査人の責任」に記載されている。
当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。
当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。
内部統制報告書に対する経営者及び監査委員会の責任 経営者の責任は、財務報告に係る内部統制を整備及び運用し、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して内部統制報告書を作成し適正に表示することにある。
監査委員会の責任は、財務報告に係る内部統制の整備及び運用状況を監視、検証することにある。
なお、財務報告に係る内部統制により財務報告の虚偽の記載を完全には防止又は発見することができない可能性がある。
内部統制監査における監査人の責任 監査人の責任は、監査人が実施した内部統制監査に基づいて、内部統制報告書に重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、内部統制監査報告書において独立の立場から内部統制報告書に対する意見を表明することにある。
 監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。
・内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果について監査証拠を入手するための監査手続を実施する。
内部統制監査の監査手続は、監査人の判断により、財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性に基づいて選択及び適用される。
・財務報告に係る内部統制の評価範囲、評価手続及び評価結果について経営者が行った記載を含め、全体としての内部統制報告書の表示を検討する。
・内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果に関する十分かつ適切な監査証拠を入手するために、内部統制の監査を計画し実施する。
監査人は、内部統制報告書の監査に関する指揮、監督及び査閲に関して責任がある。
監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。
監査人は、監査委員会に対して、計画した内部統制監査の範囲とその実施時期、内部統制監査の実施結果、識別した内部統制の開示すべき重要な不備、その是正結果、及び内部統制の監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。
監査人は、監査委員会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。
<報酬関連情報>当監査法人及び当監査法人と同一のネットワークに属する者に対する、会社及び子会社の監査証明業務に基づく報酬及び非監査業務に基づく報酬の額は、「提出会社の状況」に含まれるコーポレート・ガバナンスの状況等 (3)【監査の状況】
に記載されている。
利害関係会社及び連結子会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。
以 上
(注) 1 上記の監査報告書の原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。
2 XBRLデータは監査の対象には含まれていません。
監査上の主要な検討事項、連結 監査上の主要な検討事項監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。
監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。
日本郵便株式会社の郵便・物流事業に係る固定資産の減損の兆候に関する判断の合理性監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応日本郵政株式会社の当連結会計年度の連結貸借対照表において、日本郵便株式会社(以下、日本郵便という)の郵便・物流事業に係る有形固定資産及び無形固定資産1,131,520百万円が計上されており、多額である。
注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおり、日本郵政株式会社は、連結子会社である日本郵便の郵便・物流事業に使用している固定資産の減損の兆候を判断するにあたり、同事業に使用している固定資産全体を一つの資産グループとして減損の兆候の判定を行っている。
減損の兆候があると認められる場合には、資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額と帳簿価額を比較することによって、減損損失の認識の要否を判定する。
判定の結果、減損損失の認識が必要とされた場合、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、帳簿価額の減少額を減損損失として認識する。
日本郵便における郵便・物流事業は、前連結会計年度及び当連結会計年度は営業損失を計上したが、翌連結会計年度は当連結会計年度に実施した郵便料金の改定による効果や、EC事業者との協業等による荷物の引受個数の増加によって営業利益の計上を見込んでいる。
そのため、日本郵政株式会社は当連結会計年度末において固定資産の減損の兆候は無いものと判断している。
減損の兆候の判定にあたっては、売上高に影響する郵便引受通数、荷物引受個数、運賃単価、また売上原価に影響する人件費や集配委託費等の仮定に基づいた経営計画等の社内の情報が用いられる。
なかでも、郵便引受通数及び荷物引受個数には、経済情勢の変化や競争環境の激化により重要な影響を受ける可能性があり、高い不確実性を伴う。
そのため、翌連結会計年度以降の連結財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクがある。
以上から、当監査法人は、日本郵便の郵便・物流事業に係る固定資産の減損の兆候に関する判断の合理性が、当連結会計年度の連結財務諸表監査において特に重要であり、監査上の主要な検討事項の一つに該当すると判断した。
当監査法人は、日本郵便の郵便・物流事業に係る固定資産の減損の兆候に関する判断の合理性を検討するため、日本郵便の監査人を関与させ、同監査人への指揮、監督及びその作業の査閲を含め、主に以下の監査手続を実施した。
(1)内部統制の評価日本郵便の郵便・物流事業に係る固定資産の減損の兆候に関する判断に関連する内部統制の整備状況及び運用状況の有効性を評価した。
評価にあたっては、特に以下に焦点を当てた。
・減損の兆候に関する判断が、日本郵便の取締役会によって承認された日本郵便の経営計画に基づいて行われていること・主要な仮定である郵便引受通数及び荷物引受個数の予測の不確実性及び適切性を検討していること
(2)減損の兆候に関する判断の合理性の検討・減損の兆候に関する判断に用いられた日本郵便の経営計画が、日本郵便の取締役会の承認を得たものであることを確かめた。
・日本郵便の経営計画の実現可能性に関する判断の根拠について、日本郵便の経営者及び関連部署に質問した。
・主要な仮定である郵便引受通数について、日本郵便の関連部署における予測値との整合性を確かめるとともに、過去実績に基づく趨勢分析を行った。
・主要な仮定である荷物引受個数について、日本郵便の関連部署における予測値との整合性を確かめるとともに、一部の予測値について取引先との契約書または営業記録の閲覧を行った。
・不確実性を踏まえた複数のシナリオに基づいて郵便引受通数及び荷物引受個数の予測を変更した場合に減損の兆候の判定に与える影響を分析した。
株式会社ゆうちょ銀行におけるレベル2及びレベル3に区分されているその他有価証券の評価の合理性監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応日本郵政株式会社の当連結会計年度の連結貸借対照表において、有価証券190,938,367百万円が計上されており、資産の部合計の約64%を占めている。
連結子会社である株式会社ゆうちょ銀行(以下、銀行子会社という)は、貯金で集めた資金を主として国債、社債、外国債券、投資信託といった有価証券で運用している。
時価で同社連結貸借対照表に計上しているその他有価証券には、レベル2に区分されている社債及びその他に含まれる外国債券(以下、社債及びその他に含まれる外国債券を合わせて「社債等」という)9,614,158百万円及びレベル3に区分されている社債等95,315百万円が含まれている。
銀行子会社は、これらの有価証券について、主として情報ベンダーやブローカー等の第三者から入手した価格を時価として利用している。
注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおり、第三者から入手した価格における主要な仮定として類似銘柄の価格から推計されるスプレッド等の市場で直接又は間接的に観察可能なインプットや、重要な見積りを含む市場で観察できないインプットが使用されている。
これらの主要な仮定は、市場環境の急激な変化や金融市場の混乱が生じ、買気配と売気配の幅が著しく拡大することや流動性リスク・プレミアムが著しく拡大すること等により影響を受け、特にレベル2及びレベル3に区分されている一部の流動性が低い社債等(私募債や証券化商品等)の時価の算定において、見積りの不確実性が高まる可能性がある。
このため、これらについて、第三者から入手した価格を時価として利用するにあたっては、経営者の判断を伴い、適切でない仮定に基づいた価格を利用した場合には、それによる連結財務諸表に対する影響は重要となる可能性がある。
以上から、当監査法人は、銀行子会社におけるレベル2及びレベル3に区分されている一部の流動性が低い社債等の評価の合理性が、当連結会計年度の連結財務諸表監査において特に重要であり、監査上の主要な検討事項の一つに該当すると判断した。
当監査法人は、銀行子会社におけるレベル2及びレベル3に区分されている一部の流動性が低い社債等の評価の合理性を検討するため、銀行子会社の監査人を関与させ、同監査人への指揮、監督及びその作業の査閲を含め、主に以下の監査手続を実施した。
(1)内部統制の評価銀行子会社におけるレベル2及びレベル3に区分されている社債等の評価に関連する内部統制の整備状況及び運用状況の有効性を評価した。
評価にあたっては、特に以下に焦点を当てた。
・複数の第三者から入手した価格を比較し、時価として利用する価格の合理性を検討していること・価格から推計したスプレッドの検証等による、時価として利用する価格の合理性を検討していること
(2)時価の合理性の検討レベル2及びレベル3に区分されている社債等のうち、銀行子会社が複数の第三者から入手した価格間の乖離が大きい銘柄や証券化商品等、銀行子会社の監査人が個別に検討を要すると判断した銘柄に対して、主に以下の手続を実施した。
これらの手続の実施にあたっては、当監査法人が属するネットワークファームの金融商品の評価の専門家を関与させた。
・銀行子会社が時価として利用する価格と監査人が他の第三者より直接入手した価格を比較し、時価として利用する価格が合理的な範囲であるか否かを検討した。
・銀行子会社が時価として利用する価格と監査人が独自の見積りで算定した価格を比較し、時価として利用する価格が合理的な範囲であるか否かを検討した。
責任準備金の計算の正確性及び積立額の十分性監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応日本郵政株式会社の当連結会計年度の連結貸借対照表において、責任準備金48,765,531百万円が計上されており、負債の部合計の約17%を占めている。
注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)の「4.会計方針に関する事項(19)①責任準備金の積立方法」に記載のとおり、保険業法等に基づき、保険契約に基づく将来における債務の履行に備えるため、責任準備金を積み立てている。
責任準備金は、保険業法等に基づき、金融庁に認可を受けた算出方法書により毎決算期に積み立てが要求されている。
また、保険業法等により、責任準備金に積立不足が生じていないかの検証が求められ、責任準備金の積み増しを行うことが必要となる場合がある。
責任準備金は、将来の長期間にわたり発生するキャッシュ・フローについて計算前提(予定死亡率・予定利率・予定事業費率等)をおいて計算される。
金融庁に認可を受けた算出方法書に基づく責任準備金の計算式は複雑であり、保険数理に関する高度な専門性が必要となる。
また、責任準備金に積立不足が生じていないかを検証するために、保険業法等により、保険計理人による将来収支分析が求められているが、当該分析においては今後の保険商品の販売水準、保険金等支払額、資産運用収益、事業費などの将来キャッシュ・フロー等の見積りに重要な判断が必要となるとともに、保険数理に関する高度な専門性が必要となる。
以上から、当監査法人は、責任準備金の計算の正確性及び積立額の十分性が、当連結会計年度の連結財務諸表監査において特に重要であり、監査上の主要な検討事項の一つに該当すると判断した。
当監査法人は、責任準備金の計算の正確性及び積立額の十分性を検討するため、連結子会社である株式会社かんぽ生命保険(以下、保険子会社という)の監査人を関与させ、同監査人への指揮、監督及びその作業の査閲を含め、主に以下の監査手続を実施した。
なお、保険子会社の監査人は、当監査法人内の保険数理の専門家及びITシステムの専門家を関与させた。
(1)内部統制の評価保険子会社における責任準備金の計算の正確性及び積立額の十分性に関連するプロセスについて、内部統制の整備状況及び運用状況の有効性を評価した。
評価にあたっては、特に以下に焦点を当てた。
・責任準備金計算システムにより、責任準備金を正確に計算するシステム統制が有効に機能していること・保険数理関連部門において、全ての保険契約に対して責任準備金が網羅的に計上されていることを確認していること・保険数理関連部門において、責任準備金の計算の正確性について、サンプル抽出による再計算による検証及び決算用の責任準備金計算システム以外のシステムにより計算された責任準備金計上額との整合性の検証を実施していること・保険子会社の経営者が、責任準備金の積立額の十分性を確認するために、保険計理人の意見書についての報告を受けていること
(2)責任準備金の計算の正確性に関する検討・当連結会計年度に責任準備金計算の基礎となる係数が改定された既存の保険商品に係る責任準備金について、金融庁に認可を受けた算出方法書に従い正確に計算されていることを再計算により確認した。
・過年度からの責任準備金の増減と当連結会計年度の保険料、保険金、事業費等との整合性を確認した。
(3)責任準備金の積立額の十分性に関する検討・責任準備金の積立額の十分性を検討するために、将来収支分析が、関連する法令及び「生命保険会社の保険計理人の実務基準」(公益社団法人 日本アクチュアリー会)に基づいて適切に行われていることを確認し、過年度の計算結果と比較した。
・保険計理人の意見書及び附属報告書等について保険計理人の意見を踏まえて内容を検討し、保険計理人に対し質問した。
責任準備金及び価格変動準備金に係る繰延税金資産の回収可能性に関する判断の合理性監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応日本郵政株式会社の当連結会計年度の連結貸借対照表において、繰延税金資産1,181,903百万円が計上されており、注記事項(税効果会計関係)に記載のとおり、繰延税金負債との相殺前の金額は2,180,271百万円である。
このうち、責任準備金に係る繰延税金資産及び価格変動準備金に係る繰延税金資産の金額がそれぞれ1,025,316百万円、225,014百万円であり、多額である。
繰延税金資産は、将来減算一時差異のうち将来にわたり税金負担額を軽減することが認められる範囲内で認識する。
繰延税金資産の計上額は、「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」(企業会計基準委員会 企業会計基準適用指針第26号)に基づく企業の分類の妥当性や将来の課税所得の見積りに依存する。
注記事項(税効果会計関係)に記載のとおり、日本郵政株式会社は、責任準備金及び価格変動準備金に係る繰延税金資産について、将来の長期にわたり発生する課税所得により税金負担額を軽減する効果を有するものとして回収可能性があると判断している。
保険子会社の経営者による将来の長期にわたり発生する課税所得の見積りは、今後の保険商品の新契約水準、保険金等支払額、資産運用収益や事業費見込みといった主要な仮定に対する重要な判断を伴う。
当連結会計年度における保険子会社の新契約実績は、一時払終身保険の販売が増加したことに伴い想定していた水準を達成したものの、当連結会計年度に作成した経営計画を基礎とした新契約水準は将来の経営環境や当該計画における営業施策の効果の影響を受けるため、見積りの不確実性が高い。
以上から、当監査法人は、責任準備金及び価格変動準備金に係る繰延税金資産の回収可能性に関する判断の合理性が、当連結会計年度の連結財務諸表監査において特に重要であり、監査上の主要な検討事項の一つに該当すると判断した。
当監査法人は、責任準備金及び価格変動準備金に係る繰延税金資産の回収可能性に関する判断の合理性を検討するため、保険子会社の監査人を関与させ、同監査人への指揮、監督及びその作業の査閲を含め、主に以下の監査手続を実施した。
(1)内部統制の評価保険子会社における、経営計画の策定を含む、将来の課税所得の見積りに係る内部統制の整備状況及び運用状況の有効性を評価した。

(2)企業の分類についての検討「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」に基づく企業の分類の妥当性、特に、近い将来に保険子会社の経営環境に著しい変化が見込まれるかどうかを検討した。
(3)将来の課税所得の見積りの適切性及び実現可能性についての検討・保険子会社の経営者及び関連部署に対し質問し、将来の課税所得の見積りの基礎となる保険子会社の経営計画の前提を理解した。
・過年度における将来の課税所得の見積りと実績の主な差異原因について、保険子会社の関連部署への質問により理解し、将来の課税所得の見積りに与える影響を確認した。
・将来の課税所得の見積りと保険子会社の経営計画の整合性を確認した。
・保険子会社の経営者による将来の課税所得見積りのストレスシナリオに使用した代替的な仮定について関連部署に質問し、その結果を理解するとともに、経営者による見積りの不確実性に対する評価の適切性を検討した。
全体概要、監査上の主要な検討事項、連結 監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。
監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。
見出し、監査上の主要な検討事項、連結責任準備金及び価格変動準備金に係る繰延税金資産の回収可能性に関する判断の合理性
内容及び理由、監査上の主要な検討事項、連結 日本郵政株式会社の当連結会計年度の連結貸借対照表において、繰延税金資産1,181,903百万円が計上されており、注記事項(税効果会計関係)に記載のとおり、繰延税金負債との相殺前の金額は2,180,271百万円である。
このうち、責任準備金に係る繰延税金資産及び価格変動準備金に係る繰延税金資産の金額がそれぞれ1,025,316百万円、225,014百万円であり、多額である。
繰延税金資産は、将来減算一時差異のうち将来にわたり税金負担額を軽減することが認められる範囲内で認識する。
繰延税金資産の計上額は、「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」(企業会計基準委員会 企業会計基準適用指針第26号)に基づく企業の分類の妥当性や将来の課税所得の見積りに依存する。
注記事項(税効果会計関係)に記載のとおり、日本郵政株式会社は、責任準備金及び価格変動準備金に係る繰延税金資産について、将来の長期にわたり発生する課税所得により税金負担額を軽減する効果を有するものとして回収可能性があると判断している。
保険子会社の経営者による将来の長期にわたり発生する課税所得の見積りは、今後の保険商品の新契約水準、保険金等支払額、資産運用収益や事業費見込みといった主要な仮定に対する重要な判断を伴う。
当連結会計年度における保険子会社の新契約実績は、一時払終身保険の販売が増加したことに伴い想定していた水準を達成したものの、当連結会計年度に作成した経営計画を基礎とした新契約水準は将来の経営環境や当該計画における営業施策の効果の影響を受けるため、見積りの不確実性が高い。
以上から、当監査法人は、責任準備金及び価格変動準備金に係る繰延税金資産の回収可能性に関する判断の合理性が、当連結会計年度の連結財務諸表監査において特に重要であり、監査上の主要な検討事項の一つに該当すると判断した。
開示への参照、監査上の主要な検討事項、連結注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)の「4.会計方針に関する事項(19)①責任準備金の積立方法」