財務諸表
CoverPage
提出書類、表紙 | 有価証券報告書 |
提出日、表紙 | 2025-06-19 |
英訳名、表紙 | JAPAN PURE CHEMICAL CO., LTD. |
代表者の役職氏名、表紙 | 代表取締役社長 小島 智敬 |
本店の所在の場所、表紙 | 東京都練馬区北町三丁目10番18号 |
電話番号、本店の所在の場所、表紙 | 03(3550)1048 |
様式、DEI | 第三号様式 |
会計基準、DEI | Japan GAAP |
連結決算の有無、DEI | false |
当会計期間の種類、DEI | FY |
corp
沿革 | 2【沿革】 年月概要1971年7月東京都豊島区東池袋一丁目39番1号において、貴金属めっき薬品の開発、製造及び販売を目的として日本高純度化学株式会社を設立(資本金1,000千円)1979年3月本店を東京都豊島区東池袋一丁目2番11号に移転1981年7月本店を東京都豊島区南池袋二丁目26番7号に移転1988年3月川口工場を新設1999年8月MBOを目的とした合併を前提として、ジェイピーシーホールディング株式会社(設立1991年6月13日、本店所在地 東京都千代田区三崎町三丁目3番23号)が日本高純度化学株式会社株式を取得し、持株会社となる。 1999年11月ジェイピーシーホールディング株式会社を存続会社として、日本高純度化学株式会社を消滅会社とする合併を行い、商号を日本高純度化学株式会社、本店所在地を東京都豊島区南池袋二丁目26番7号とする。 2001年2月本店を東京都練馬区北町三丁目10番18号に移転登記2001年5月移転登記後の所在地に設備を移設し業務開始2002年12月JASDAQ市場に株式公開2004年3月東京証券取引所市場第二部に上場2005年3月東京証券取引所市場第一部に上場、川口工場を閉鎖し本社工場に統合2005年4月ISO9001及びISO14001の認証取得2005年9月本社第二工場を新設2009年12月本社第二工場を閉鎖し本社工場に統合2019年2月一般財団法人JPC奨学財団を設立(2020年4月より「公益財団法人」)2022年4月東京証券取引所プライム市場に移行 <日本高純度化学の価値創造ストーリー> 日本高純度化学株式会社(JPC:Japan Pure Chemical)は1971年の創業以来、電子機器の接点・接合に使われる「貴金属めっき薬品」を専門とする化学会社です。 東証プライム上場企業でありながら、社員50名程度、さらにその8割ほどが理系出身という知識集約型・研究開発型の技術者集団です。 『化学の好奇心でエレクトロニクスに役立てる』の企業理念のもと、希少な貴金属資源の節減を実現する高品質な製品の提供を通じてサステナブルな地球環境を実現するとともに、ファインケミカルとエレクトロニクスの懸け橋として豊かな社会づくりの一翼を担っていると自負しています。 めっき技術は、時計や宝飾品等に用いる「装飾めっき」と、電子機器の接合等の「機能めっき」に大別できます。 機能めっきの中でも、半導体などの最重要部品は接点の数も圧倒的に多く緻密な回路になるため、信頼性(絶対に錆びない等)の観点から金・銀・パラジウムなどの「貴金属めっき」が用いられます。 装飾めっきは、「この素材の部品にはどんな金属でおよそどのくらいの厚みでめっき(金属薄膜)をつければ色・輝きが綺麗に保てるか」という経験と匠の技をもって実現可能ですが、機能めっきは電子機器、電子部品の接合用のため精密度が桁違いです。 規格が厳格に定められ、金属めっきの特性や信頼性が物理・化学の分野における原子や分子レベルの知見で裏付けされた技術でないと成立しません。 酸化還元反応など、化学反応のメカニズムを明らかにしないと電子機器メーカー等の顧客から要求される機能が発揮できない世界です。 (顧客側にはめっき技術の専門家はほとんどいないため、物理的・化学的にめっき反応を説明しないと理解が得られないということでもあります)。 当社が創業した当時のめっき薬品業界は、分野ごとに一定の特性が定められており「顧客はその特性に合わせてラインを調整しなければならない」という画一的なラインナップが一般的でした。 そこで当社は、希少かつ高価である貴金属めっきに事業を集中し、物理・化学の知見をもって貴金属めっき反応のメカニズムを徹底的に研究して、顧客に伴走しながら用途やライン毎に異なるニーズにきめ細かく対応する薬品を都度調合するモデルを立上げるとともに、定期的な分析により不足してきた成分を添加剤で補給することが可能な供給サイクルも確立しました。 加えて当社のめっき薬品には「貴金属消費量の節減につながる性能をもつ」という共通の特長があります。 貴金属は高価でありムダ使いできないため「限りなく薄く、ムラなく、かつ必ず皮膜が形成される」ことが重要ですが、単純に通電してめっき皮膜を作るだけでは、厚みがバラバラだったり、一部分に皮膜が作られず電子部品そのものがショートして破壊されてしまったりします。 当社のめっき薬品を用いるとそうした失敗がなくなり最小限の貴金属消費量でめっきができます。 当社が編み出した特定の配合により化学反応が生じ、狙った箇所に狙った厚みで皮膜形成が適えられるからです。 このように、ライン立上げ時の利便性や柔軟性、めっき薬品の性能や歩留まりの高さによる希少な資源の節減、ひいてはライン全体としての低コスト化が評価され、顧客と長期にわたる関係を築き、当社は貴金属めっき薬品市場でトップクラスの地位を占めるまでになりました。 現代社会は人口増加や高齢化に伴う介護問題、エネルギー供給問題、気候変動や環境破壊、食糧の持続可能性など、抱えきれないほどの課題に直面しており、これらを克服して次世代に豊かな社会を残すためにも、エレクトロニクスの進化はますます重要になっています。 例えば、AIやIoTを活用したスマートシティの発展によりエネルギーや交通の効率化が進み、より安全で便利な都市環境が整備されます。 高速通信技術の進歩によって自動運転技術が発展して人々の移動の自由度が高まり、次世代医療技術の進化が遠隔治療を可能にし、無医村地域などの健康寿命も延伸されます。 エンターテインメントや通信技術の発展も合わさって、人々の暮らしはより豊かで充実したものになるでしょう。 このような未来を支える基盤には半導体をはじめとした電子部品の高度化が不可欠です。 例えば、コンピュータの計算速度が速まると高熱が発生するようになります。 “ハンダ”では熱に耐えきれずに電子部品の接合が溶けてしまうので、より高い耐熱性能が求められるようになります。 逆に人工衛星には極低温耐性が、人命に直接的に影響する遠隔医療機器や自動運転インフラにおいては「高速伝送」や「長寿命かつ高信頼を支える耐腐食性」などが重要になってくることが想像できます。 これらの実現を性能面、環境面から支えるのが、当社が長年向き合ってきた貴金属めっき技術です。 高価で希少な貴金属の特性を活かし、用途に応じた高性能なめっき薬品に仕立てることによって強みを発揮しつづけるとともに、独自の省貴金属技術を通じて地球環境の持続可能性にも貢献することができます。 さらに当社は、将来を担う新しい事業領域として電池事業への挑戦を始めています。 めっきにより起こる化学反応は酸化還元反応ですが、これは電池の基本原理そのものです。 この反応を効率的に制御することが電池開発の本丸と言われており、当社の知見と技術を応用することで電池の大容量化や長寿命化、充放電の高効率化や高出力化が期待できます。 JPCの技術は無限の可能性を秘めています。 化学の好奇心のもとで事業をさらに深化・進化・新化させ、より環境にやさしく、持続可能で豊かな社会づくりに貢献してまいります。 |
事業の内容 | 3【事業の内容】 当社は、電子部品のプリント基板(注)1(パッケージ基板(注)2を含む)、コネクター及びリードフレーム(注)3等の接点・接続部位に使用される貴金属めっき薬品の開発、製造及び販売を主な事業内容としております。 特にプロセスアドバイス及びアフターフォロー等までも含めた総合的な提案・提供を行っており、ユーザーのニーズに密着した製品の開発、製造及び販売に努めております。 当社は、1971年7月の会社設立以来、常にエレクトロニクス分野を最大のターゲットとしており、エレクトロニクス業界の伸長に伴い、プリント基板、コネクター及びリードフレーム用の金めっき薬品、銀めっき薬品、パラジウムめっき薬品を市場に送り出してまいりました。 特に、製品開発においては海外からの技術導入に頼らない自社独自の開発技術体制で臨んでおり、長年にわたって技術の集積を行っております。 貴金属めっき技術は、表面処理技術の1つであり、貴金属を電気化学的に析出させる「電解めっき」と化学反応を利用して析出させる「無電解めっき」とに大別されます。 当社の貴金属めっき薬品を方法別・貴金属別に分類しますと、次のようになります。 めっき方法貴金属種類用途品目別区分(主な最終製品)電 解金軟質純金プリント基板・半導体搭載基板(注)4(スマートフォン、パソコン、電子機器等)硬質金コネクター・マイクロスイッチ(スマートフォン、パソコン、電子機器等)パラジウムパラジウム合金純パラジウムリードフレーム(スマートフォン、パソコン、電子機器等)銀純銀無電解金置換金プリント基板・半導体搭載基板(携帯電話、スマートフォン等)還元金プリント基板・半導体搭載基板(サーバー、パソコン等)パラジウム還元パラジウムプリント基板・半導体搭載基板(携帯電話、スマートフォン等) 貴金属めっきの必要性について エレクトロニクス機器は、多くの部品を組み合わせて作られますが、個々の部品を接続していく工程(実装工程)で、不可欠なものが貴金属めっきです。 高密度実装になるほど部品間の接続面積は小さくなり、接点のわずかな腐食、酸化が接続不良につながります。 貴金属(金、銀、パラジウム)は、金属の中でも最も腐食、酸化されにくい金属で、実装工程での接点部に貴金属めっきを施すことにより実装部品の信頼性を高めることができます。 (注)1 プリント基板 絶縁物の板に薄い銅箔を貼付けた基板を、回路図にしたがって不必要な銅箔を取り去り、電子回路を構成したものをいいます。 絶縁物にはベークライト、紙にフェノール樹脂をしみ込ませたもの、グラスファイバーに樹脂をしみこませたものなどが使われます。 最近では、より小型化するために板を何枚も重ねた多層基板が主流になっています。 パソコンのマザーボードなどがプリント基板に該当します。 2 パッケージ基板 BGA(注)5、CSP(注)6などに代表される小型の電子部品で、LSI(大規模集積回路)に内蔵され、シリコンチップとLSI外部とを電気的に接続するプリント基板であります。 3 リードフレーム 半導体パッケージの内部配線として使われる薄板の金属のことで、外部の配線との橋渡しの役目を果たしており、半導体パッケージの大部分に使われております。 4 半導体搭載基板 半導体チップ(IC、LSIチップ)とプリント基板を接続するために使用される基板のことをいいます。 後述するBGA、CSPなどが該当します。 5 BGA(Ball Grid Array ボール・グリッド・アレイ) IC(集積回路)パッケージのひとつで、パッケージの裏面に、入出力用のパッドを並べたタイプです。 ICチップとの接続はワイヤーボンディング方法が主体です。 多ピンのICを表面実装するためのパッケージとして広く使われています。 プリント基板との接続は、2次元格子状に配置された半田ボール用電極にて行っています。 ワイヤーボンディング及び半田ボール用電極は、いずれも金めっきが施されています。 金めっきはワイヤーボンディング部分と半田ボール接合部分に使われております。 6 CSP(Chip Size Package チップ サイズ パッケージ) ICのチップとほぼ同じ大きさの超小型ICパッケージのことであります。 CSPを使用することで、セットの基板実装面積を大幅に削減できます。 BGAと基本構造は同じになっております。 高精細な設計になっており、パッケージの大きさはICチップと同等まで小型化されております。 電極の大きさは数十ミクロン。 金めっきはワイヤーボンディング部分と半田ボール接合部分に使われております。 <価値創出の循環モデル> 当社は『化学の好奇心でエレクトロニクスに役立てる』の企業理念のもとに集まった技術者集団です。 経営上の重要課題(マテリアリティ)として、(1)環境にやさしい製品づくり、(2)人的資本経営の推進、(3)知的無形資産の質的向上、(4)経営基盤の強化、の4点を認識し、従業員のほか、お客様やお取引先様、株主や投資家の皆様、化学の将来を担う学生の皆様ほか、すべてのステークホルダーと社会全体に価値を提供しています。 さらには、事業活動によって生み出した価値を経営資源に再投入しながら、財務的・非財務的な価値を持続的・循環的に拡大していきます。 <企業理念:化学の好奇心でエレクトロニクスに役立てる> ■経営上の重要課題(マテリアリティ)(1)環境にやさしい製品づくり①環境負荷低減につながる製品開発及び事業活動の推進②めっき工程におけるエネルギー使用量削減③めっきで培ったコア技術の応用によるエネルギー分野への貢献(2)人的資本経営の推進①企業理念に共感し、ビジョンの実現に主体的に参画する組織風土の醸成②能動型自律人材の採用と育成③働きやすく、やりがいを感じる職場環境の整備(3)知的無形資産の質的向上①知財・無形資産の適切な管理・共有②知財・無形資産の効果的な活用(4)経営基盤の強化①社外役員による監督・指導と内部監査等によるコーポレート・ガバナンスの強化②コンプライアンス体制の強化③ステークホルダーへの適切な情報発信 1.人的資本:技術系を中心とした能動型自律人材 当社は知識集約型・研究開発型の企業であり、人的資本が事業活動の大切な源泉と考えています。 「能動型自律人材」を育成し、製品開発や営業活動をはじめとする事業活動を活性化するとともに、従業員が安心して働くことのできる健康的で安全な職場環境の整備によって会社と従業員のエンゲージメントが高まることが事業成長と企業価値向上につながる機会と考え、①企業理念に共感し、ビジョンの実現に主体的に参画する組織風土の醸成、②能動型自律人材の採用と育成、③働きやすく、やりがいを感じる職場環境の整備という3つのテーマ・方針に沿って「人的資本経営」を推進しています。 2.知的資本:蓄積された研究開発ノウハウと製品レシピ 社員の約8割を占める技術系出身者が営業・技術一体となって、当社固有技術であるProtecting Agent*等を用いた技術開発・提案を行い、お客様の課題解決に取り組むなかで、実験データを始めとする化学の知見やノウハウを蓄積し続けています。 また、当社にとって重要な製品レシピ等の知的財産を安全かつ効果的に活用するため、営業・技術情報の電子化・システム化などのDX基盤整備を進めています。 * 特定の金属に選択的に吸着し、電子を供与又は吸引することによってめっき反応や皮膜物性をコントロールする一連の有機化合物。 3.製造資本:フォーミュレーション型の製造設備と生産体制 当社はめっき薬品の製造において大型な設備は保有せず、工程をフォーミュレーション(調合)に絞ることによりファブレス(ファブライト)型経営を実現しています。 長年培ったオペレーションのノウハウがお客様ニーズに柔軟に対応する多品種少量生産を支えています。 4.自然資本:原料となる貴金属、化合物の有効活用 めっき薬品の製造に欠かせない貴金属や希少鉱物、化学物質の安定的な調達先を確保し、事業活動に活用します。 一方でサステナビリティの観点から、貴金属の使用量を節約する省貴金属や、環境に悪影響を及ぼす物質の使用を回避する環境配慮型の製品開発を推進しています。 5.社会・関係資本:ステークホルダーとのエンゲージメント 多品種少量・短納期生産への対応や、意思決定の速さや手厚いサポートによって、お客様との信頼関係を培ってきました。 めっき薬品のもととなる原材料の仕入先様とも長年にわたり良好な関係を維持しています。 加えて、プライム上場企業として情報開示の充実やIR活動、SR活動を通じて、多くの株主・投資家の皆さまとのエンゲージメントを築いております。 6.財務資本:強固な財務基盤 知識集約型企業としての効率的な経営と競争力の高い製品により強固な財務基盤を築いています。 純資産は高い水準を維持しており、一定水準の株主還元を行いながらも引き続き安定的に推移する見通しです。 中期経営計画では、政策保有株式の縮減により得られる資金を含めた手元資金を、事業拡大に向けた戦略投資に充てる計画です。 企業理念『化学の好奇心でエレクトロニクスに役立てる』のもと、エレクトロニクス業界を牽引するファインケミカル企業となるための中長期ビジョン「RDD2030」とともに、めっきで磨いてきた酸化還元の技術で新たな事業価値を創造することを目指しています。 1.強みとこだわり ~JPC’s Identity(1)金の卓越したノウハウ 当社は貴金属や希少鉱物を取り扱っています。 事業領域をエレクトロニクス分野の貴金属めっきに集中し、限りある資源を有効活用し使用量を節減する社会的使命を50年以上にわたって大切に引き継ぎながら、優れた省貴金属性能や環境配慮特性をもった製品を輩出しています。 当社のめっき薬品は半導体や電子回路基板などの接点に利用され、最終的にはスマートフォンやパソコン、自動車、家電などの身の回り品や、人工衛星や高速通信の基地局などの先進社会インフラに組み込まれることによって、安心・安全で豊かな社会と持続可能な地球の両立を支えています。 (2)スピード 当社は50名ほどの社員の大部分が物理・化学分野に精通した技術者で、営業部門は技術部門とのローテーション制です。 それは「化学の好奇心」を持つ技術者が直接お客様のもとに赴き、適時に課題や要望を吸収して即応する体制を築いていることを意味しています。 また技術部門が有する高度な分析設備を、商品の開発や改良だけでなくお客様の製造ラインの課題解決にも直接役立てています。 素早い意思決定にもとづく早期・柔軟・高品質な技術サポートに加え、長年にわたり蓄積した知見にもとづくめっきプロセス全般のアドバイスを行うトータルソリューションによって、お客様との信頼関係を築いています。 (3)フォーミュレーション 当社はめっき薬品を製造していますが、大型の製造設備(固定資産)は持っていません。 原材料を外部から調達し、製造工程をフォーミュレーション(調合)に絞ることで、“持たざる経営”を実現しています。 早くから投資の大部分を“人”に集中し、事業活動の中心を研究開発とすることによって生み出した無形の資産たる“レシピ”こそが、当社の付加価値の源泉なのです。 こうした強みを発揮することによって盤石の経営基盤を確立してきた当社ですが、技術者の「化学の好奇心」はとどまるところを知りません。 現在の強みはそのままに、新たな技術領域を取り入れたり、めっきにより育んできた酸化還元反応の技術と知見を他分野へと応用したりすることによってイノベーションを起こし、さらなる飛躍を目指してまいります。 2.事業活動■事業活動の系統図※レシピ:めっき薬品を調合するための、原材料の成分と手順を記したもの (1)仕入 当社は貴金属化成品メーカーより貴金属地金及び貴金属(金、銀、パラジウム)を含んだ薬品(以下「貴金属薬品」という)を仕入れております。 また、化学薬品メーカーより化学薬品を仕入れております。 (2)生産 当社は国内外のユーザー及び国内外の販売代理店から受注して生産を行っております。 顧客のニーズに合わせ、仕入れた原材料を調合することで、貴金属めっき薬品が完成します。 (3)外注 当社は仕入れた貴金属(金、銀、パラジウムの地金)を貴金属化成品メーカーに支給し、貴金属薬品への加工を依頼するケースがあります。 化学薬品も市販品がない場合には、特注品を化学薬品メーカーに合成を委託し、新製品に応用するケースがあります。 特注品の委託の際にはNDA(秘密保持契約)を交わして行います。 (4)販売 当社は貴金属めっき薬品を国内外のめっき専業メーカー、電子部品メーカー及び総合電機メーカーに販売しております。 直接上記メーカーに販売するケースと国内外の販売代理店を通して販売するケースの2通りがあります。 国外は韓国、台湾、中国、シンガポールに販売代理店を置いております。 -めっき薬品-・省貴金属性能・環境に配慮した製品・短納期生産・顧客に最適化した製品-サポートサービス-・早期の課題解決・高品質なサポート・めっきプロセス全般のトータルアドバイス 1.従業員仕事を通じて能動型自律人材へと成長し、ウェルビーイングを実現します。 2.学生「JPC奨学財団」により理工学を学ぶ学生の成長を支援します。 また新卒の学生を継続的に採用します。 3.顧客省貴金属性能や歩留まり率の向上により、生産工程におけるQCDの向上を実現するとともに、環境配慮型商品の開発・製造や、健康で安全な職場環境づくりに貢献します。 4.取引先公正な取引を続け、安定的な関係を構築します。 5.環境サプライチェーンにおける貴金属使用量を節減するとともに、有害物質の排出をなくします。 6.株主投資家企業価値を向上させ、安定した株主還元を続けます。 ■財務目標-2030年度目標 ・売上高 :300億円 ・営業利益 :30億円-経営効率目標 :ROE 10%-配当指標 :DOE 5%下限(2023年度期末配当より)■非財務目標-GHG 排出量の削減-エネルギー使用量の削減-健康経営優良法人認定の継続的取得 |
関係会社の状況 | 4【関係会社の状況】 該当事項はありません。 |
従業員の状況 | 5【従業員の状況】 (1)提出会社の状況 (2025年3月31日現在)従業員数(名)平均年齢(歳)平均勤続年数(年)平均年間給与(千円)52(7)39.312.58,086(注)1 従業員数は就業人員であります。 2 平均年間給与は、賞与及び基準外給与を含んでおります。 3 従業員数欄の( )は、臨時従業員の年間平均雇用人員であり、外数で記載しております。 4 当社は単一セグメントのためセグメント毎の記載はしておりません。 5 当社は常時雇用される従業員が100名以下の事業規模であり、女性活躍推進法等の規定による公表をしておりません。 そのため、女性管理職比率、男性育児休業取得率及び男女賃金差異等の記載を省略いたします。 なお、当社においては、同様な労働条件(学歴、年齢、勤続年数等)における男女間の賃金差異はないものの、開発型企業の特徴として、従業員の約8割が理系分野出身者で占めており、採用段階から女性の母集団が小さいことは否めません。 女性の活躍を促進していくために、女性従業員の積極採用、長く働ける職場環境づくりに取り組んでおります。 (2)労働組合の状況 労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。 |
経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 | 1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は以下のとおりであります。 文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。 なお、当社は単一セグメントです。 (1)経営方針 IT社会は多様な産業に支えられていますが、日本が最も活躍している産業は、電子デバイスに必要とされる機能性材料を供給しているファインケミカル分野です。 当社の主要製品である貴金属めっき薬品は、その機能性材料の一種であることから、当社はケミストリ(化学)を基礎に科学的に理論武装した独創的な製品により、社会課題と向き合い、多様な視点と独自の発想力を発揮し、エレクトロニクス業界を牽引するファインケミカル企業を目指します。 (2)経営戦略等 当社は少数精鋭・ファブレス型・開発型企業として、貴金属めっきに特化して事業を発展させてきました。 製造プラント等の生産設備は持っておらず、新規製品開発のためのマーケティング、それを実行するための技術開発及び営業活動に力を入れ、いち早く商品化を実現することで、市場のシェアを獲得してまいりました。 設立50年を過ぎた今、コロナ禍を追い風にDX化等により急拡大する電子部品業界において、既存市場以外においても当社の技術で解決できる社会課題があることが、より鮮明になってきました。 そこで当社は、自身の強みを堅持しつつ、新規事業領域や既存市場でのニーズをとらえて社会課題の解決につなげるべく、中長期ビジョン「RDD2030※」を策定し、2030年までの期間を3つのフェーズに分け、既存市場はもとより、新たな市場で評価される“日本高純度化学”へと進化していくことを目指しています。 ※RDD2030= Redox-innovation through Discovery & Development toward 2030 ■中期経営計画-ビジョン:RDD2030* :Team JPCでRedox技術を深化!進化!新化!*RDD2030:Redox-innovation through Discovery & Development toward 2030 -RDD2030で目指す姿:めっきで培ったRedox技術**により、ナノレベル***から豊かな未来を支える** Redox:レドックス、reduction/oxidationの混成語で酸化還元の意*** 1ナノメートル=10億分の1メートル -戦略の方向性:めっき工程のトータルプロセスカンパニーへの変革 -事業戦略の基調テーマ:投資による事業拡大 (3)経営環境 当社が主力基盤とする半導体・電子部品市場は、グローバル規模での発展を維持しており、当社の販売先であるメーカーの多くは、この広大な市場に適応するために、新技術を生み出す開発力を競い合っています。 当社を取り巻くリスクについては、次項3〔事業等のリスク〕に記載の通りですが、パンデミックや気候変動等の「環境的リスク」、貿易制限や紛争・戦争といった「地政学的リスク」、重要原材料・重要部品の不足等の「経済的リスク」、輸送インフラ不全等の「技術的リスク」といった様々なリスクが見られる不透明・不確実な足元の経営環境の中でも、新型ウイルスによるライフスタイルの変革、脱炭素/省資源に伴うエネルギーシフト、データ通信量・容量の急激な増加等の「変わらぬメガトレンド」が存在し、当社が貢献できる社会課題は多数あると認識するとともに、中長期的にも、AIやロボットとの調和、スマートシティ、宇宙開発、ヘルステックなど、人々が豊かで幸せな暮らしを送る未来社会に向けて、当社の独創性、知的財産を活かした事業機会はますます広がっていくと考えています。 (4)対処すべき課題と対策①営業力の強化 デジタルトランスフォーメーションやグリーントランスフォーメーションへの投資の拡大、自動車のEV化・電装化の進展に伴い、データセンターや高速大容量通信、生成AI・AI搭載機器、パワーデバイスなどを中心としたエレクトロニクス分野の需要が大きく拡大しております。 この流れの中で、半導体をはじめ、各種ハイエンド電子部品のニーズが高まっており、これらの製造に不可欠な高性能・高品質なめっき薬品が求められております。 当社では、こうした成長分野において国内外の主要顧客にタイムリーな製品提供を進めるとともに、省資源プロセスなど環境配慮型製品の提案、プロセス全体での性能向上提案など、積極的なマーケティング・技術提案を行うことが今後のビジネスを展開する上で重要と考えております。 そのために、自社製品の開発だけではなく、表面処理薬品メーカーや装置メーカーとの協業体制を構築してまいります。 また、国際的な学会発表や技術コンソーシアムへの参画、海外展示会への出展といった広報活動を通じて、新技術およびブランド認知度を向上させ、新規顧客の獲得と事業拡大を図ってまいります。 一方、米国の貿易政策や地政学リスクの高まりから、主要顧客である電子部品メーカーの生産拠点が中国から東南アジアなど他地域へと移管される動きが加速しており、当社においても製品の供給体制、テクニカルサポート体制を顧客動向に対応させる必要があります。 そのために、当社はグローバルなテクニカルサポート機能の拡充に取り組んでまいります。 この取り組みとして、(キャリア採用による)海外営業人員を拡充するとともに、顧客との連携強化を目的とした技術情報・生産状況共有のためのデータベース構築を進めており、国内外を問わず高度なソリューションを提案するサポート体制の構築を推進してまいります。 今後も、変化する市場環境に対して機動的に対応しながら、顧客との信頼関係をさらに深化させ、ビジネスの拡大を図ってまいります。 ②技術開発力の強化 当社の競争相手は、貴金属めっき薬品業界だけでなく卑金属めっき薬品業界も含みます。 また、グローバル化が進んだ昨今では海外のローカルメーカーも台頭しつつあり、技術開発競争は一層厳しさを増しております。 このような状況の中、貴金属めっき分野では顧客要望に対しタイムリーな改良に対応できるプロセス提案力及び車載向けや産業機械向け等の新用途開拓に向けた技術開発力の向上が不可欠となります。 なかでもニッケル不使用プロセスをはじめとする次世代最終表面処理プロセスの実現にあたっては、貴金属めっき薬品に限定せず、前・後処理、装置等のニッチトップ企業との協力を含むプロセス全体での性能向上を達成し、めっき工程のトータルプロセスカンパニーへと変革していく必要があります。 また貴金属/卑金属にこだわらず、業界として技術的に未完成なテーマを厳選して完成に向けた開発を推進していくことが重要と考えます。 さらに当社は、めっきで培った酸化還元(Redox)の技術を活かし、既存の事業領域だけでなく新しい事業領域の創出を目指しており、中長期ビジョンRDD2030*のもと、電池材料開発を推進中です。 従来のめっきだけに留まらない柔軟な思考力と技術開発力が必要となります。 サステナビリティを巡っては、当社は貴金属や希少鉱物を使用する製造業であり、多くの化学物質を取り扱う事業の性質上、地球環境への配慮が不可欠です。 環境負荷低減につながる製品開発、めっき工程におけるエネルギー使用量削減といった環境にやさしい製品づくりが重要な課題であると認識しています。 このような状況の中、当社の数倍の技術陣容を有する競合薬品メーカーに対抗するためには、ユニークな発想を持ち視野の広い技術陣の育成が必要となります。 能動型自律人材の採用と育成により、技術陣のレベルアップを実現し、開発力の強化を図ってまいります。 同時に、当社単独では困難な技術開発やトータルソリューション力の強化を効率的に実施していくため、最適な外部連携及び協業を図ってまいります。 *RDD2030 = Redox-innovation through Discovery & Development toward 2030 (5)目標の達成状況を判断するための経営指標 生成AI向けは好調でスマートフォン向けも緩やかに回復したため、車載向けが下期に減速、産業機械向けの市場低迷の影響を受けつつも、営業利益は502百万円と前期比148百万円増加いたしました。 さらに政策保有株式の売却を進めたため、当期純利益は1,579百万円と前期比1,031百万円増加し、2025年3月期のROEは11.3%と前期比7.4ポイント大幅に改善しております。 詳細につきましては、「第一部〔企業情報〕第1〔企業の概況〕〔主要な経営指標等の推移〕自己資本利益率」をご参照ください。 中長期のROE目標10%の達成に向けて、収益性の向上、資産の更なる効率化に取り組んでいく所存であります。 |
サステナビリティに関する考え方及び取組 | 2【サステナビリティに関する考え方及び取組】 当社のサステナビリティに関する考え方及び取組みは以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。 (1)サステナビリティ基本方針 「めっき」とは、電子部品の接続部位の錆び(酸化)を防ぎ、電子回路の電気信号の流れを円滑に保ち最高の性能を発揮させるのに欠かせない技術です。 当社は自社独自技術をもって、化学物質の“配合の妙”を貴金属めっき薬品のレシピに昇華することで付加価値を創出しています。 当社製品をめっき工程に用いれば、必要な箇所に最低限の厚みの貴金属めっき皮膜を形成することができ、稀少資源である貴金属の使用量を大きく節約し経済合理性を高めることができます。 当社の設立以来の事業そのものが、省貴金属性能でサステナブルな社会の達成を指向しています。 貴金属めっき技術は最先端の電子機器の内部で接点・接合に使用されており、当社は、貴金属に特化しためっき薬品の開発・製造・販売を行うファブレスで知識集約型・開発型の企業として、ファインケミカル分野とエレクトロニクス業界との橋渡しの役目を担ってきました。 パソコン・携帯電話・デジカメがスマートフォンへと集約したような技術革新とともに、小型化・高性能化・低消費電力化など電子部品の要求特性のハードルは上がり続けています。 また、低炭素社会への変革や社会インフラのデジタル化が加速すれば、自動車の電装化・電子化が急速に進化しEV化したように、電子部品の接点・接合点の数も爆発的に増大するため、省貴金属技術の出番が今後ますます拡大し、当社は更に広範な事業分野において地球環境への貢献を果たすことができます。 上記のような事業活動を通じて、当社は、エレクトロニクス業界への貢献を通じて、サステナブルな社会の実現のため、また社会的責任を果たすため、サステナビリティ基本方針を以下の通り定めております。 <サステナビリティ基本方針>・当社は貴金属や希少鉱物を使用する製造業であり、多くの化学物質を取り扱う事業の性質上、地球環境への配慮が不可欠です。 資源を有効活用し、持続可能な社会づくりに貢献することを前提として事業活動を行い、環境負荷を継続的に低減していきます。 ・当社は「化学の好奇心でエレクトロニクスに役立てる」の企業理念のもと、地球環境リスクやライフスタイルの変革、エネルギーシフト等の社会課題と向き合い、ステークホルダーとの連携を深め、多様な視点と独創性を発揮しながらファインケミカルとエレクトロニクスの架け橋となることを目指します。 ・当社は、サステナビリティを巡る重要課題(マテリアリティ)が、事業のリスクの減少のみならず収益機会にもつながる重要な経営課題として認識し、これらの課題に真摯に取り組みます。 当社は、当社事業を通じた社会の持続可能な発展への貢献と共に持続的な成長と企業価値向上を目指します。 ■経営上の重要課題(マテリアリティ)(1)環境にやさしい製品づくり①環境負荷低減につながる製品開発及び事業活動の推進②めっき工程におけるエネルギー使用量削減③めっきで培ったコア技術の応用によるエネルギー分野への貢献(2)人的資本経営の推進①企業理念に共感し、ビジョンの実現に主体的に参画する組織風土の醸成②能動型自律人材の採用と育成③働きやすく、やりがいを感じる職場環境の整備(3)知的無形資産の質的向上①知財・無形資産の適切な管理・共有②知財・無形資産の効果的な活用(4)経営基盤の強化①社外役員による監督・指導と内部監査等によるコーポレート・ガバナンスの強化②コンプライアンス体制の強化③ステークホルダーへの適切な情報発信 (2)サステナビリティに関するガバナンス・取締役会は、サステナビリティ委員会から経営会議を経て報告される経営上の重要課題(マテリアリティ)に関する取り組みに関して、自社の戦略・事業計画やリスクマネジメント方針等との整合性、計画目標の達成度合い、目標の修正の必要性等に留意しつつ、監督・承認を行っています。 気候関連事項のうちの移行計画及び関連する気候関連目標を2024年3月の取締役会にて承認しました。 ・サステナビリティ委員会は、定期的に(原則年4回)開催され、取締役会に承認された経営上の重要課題(マテリアリティ)に関する各目標の進捗度合いを、指標を軸にレビューします。 また、計画の進捗及び対応策など重要事項については、定期的に(原則年2回)経営会議に報告し、経営会議より取締役会に報告します。 ・代表取締役社長は、経営上の重要課題(マテリアリティ)に関する取り組みに経営責任を負っています。 この責任には、サステナビリティの取組に関するマネジメントが含まれています。 具体的には、代表取締役社長は経営会議並びにサステナビリティ委員会の主催者兼議長であり、参加メンバーから直接報告を受け、重要課題について討論する等の手法で、移行計画の効果的な実施を確保するための十分な権限と情報へのアクセス権を保持しています。 (3)経営上の重要課題(マテリアリティ) 当社はサステナビリティ基本方針に基づき中長期的に、経営上の重要課題(マテリアリティ)の中で、主に気候変動と人的資本に関する行動計画を下記の通り策定しています。 (3)-①マテリアリティのうち特に重点的に取り組む課題マテリアリティ方針目標KPI行動計画(概略)環境にやさしい製品づくり①環境負荷低減につながる製品開発及び事業活動の推進環境配慮型製品について、個別の開発テーマごとに設定した製品化計画の達成2030年度までの製品化計画に基づく進捗度サステナビリティ委員会や経営会議における開発テーマの進捗管理②めっき工程におけるエネルギー使用量削減1.GHG排出量削減:2030年スコープ1・2に関するカーボンニュートラルの達成2.エネルギー使用量:2030年度エネルギー使用量の2022年度比20%削減・GHG排出量・エネルギー使用量・建物の遮熱化や空調機器の更新 ・J-クレジット等の使用③めっきで培ったコア技術の応用によるエネルギー分野への貢献2030年度までの電池市場への参画2027年度までの電池材料・電解液メーカーとの共同開発合意展示会出展などを通じた提携先の選定と共同開発合意 人的資本経営の推進①企業理念に共感し、ビジョンの実現に主体的に参画する組織風土の醸成会社の目指す姿にエンゲージしている従業員の割合を一定水準以上とする(過半を目標)従業員エンゲージメントスコア①経営層と社員とのコミュニケーションの機会の充実②経営への主体的な関与を促進する制度・仕組みづくり②能動型自律人材の採用と育成能動型自律人材に必要な教育機会・カリキュラムの整備と従業員全員の受講従業員エンゲージメントスコア①人材投資の拡大1)優秀な人材獲得に向けた賃金体系の維持拡充2)教育カリキュラムの整備と受講の推奨3)社員の成長を支援する制度や福利厚生の充実②挑戦、遂行、共働を促す仕掛けづくり③採用活動を通じた多様な人材の獲得と活用③働きやすく、やりがいを感じる職場環境の整備1.職場環境等、会社の風土・制度に満足している従業員の割合を一定水準以上とする(過半を目標)2.多様な人材により職場を活性化する・従業員エンゲージメントスコア・育児休暇取得率・女性管理職比率①社員のウェルビーイングを重視した新しい働き方や支援制度の導入②ライフイベントに対応した制度の拡充③安全で働きやすい職場環境の整備④キャリア採用による人材の多様化⑤効果的なローテーションの促進⑥女性のキャリア支援の充実 (3)-② マテリアリティに関する行動計画当社のマテリアリティに関する主な行動計画は、以下の通りです。 ■環境にやさしい製品づくり貴金属や希少鉱物を使用する当社において、環境にやさしい製品づくりは1971年の創業時からの重点課題であるため、マテリアリティのうちでも特に重点的に取り組む課題としています。 なお、当社は製造工程をフォーミュレーション(調合)業務のみとしているため大きな製造設備は保有・稼働しておりませんのでエネルギー使用やGHG排出の絶対量は微少ではありますが、製品によるエネルギー分野への貢献だけでなく、使用量の削減についても真摯に取り組んでまいります。 ①環境負荷低減につながる製品開発及び事業活動の推進・環境配慮型製品(穀物由来原料代替、ニッケル不使用、シアンフリー)について、個別の開発テーマごとに設定した製品化計画を達成(製品リリース)することを目標としています。 ②めっき工程におけるエネルギー使用量削減・「GHG排出量削減:2030年スコープ1・2に関するカーボンニュートラルを達成する」ことと、研究開発設備の遮熱化や空調機器の更新など様々な省エネルギーへの取り組みを行い「エネルギー使用量削減:2030年度エネルギー使用量を2022年度(167t-CO2)比で20%削減する」ことを目標としています。 ・上記のエネルギー消費量削減施策のみではカーボンニュートラルは達成できないため、J-クレジット等の使用によるカーボンニュートラル実現も計画しております。 ③めっきで培ったコア技術の応用によるエネルギー分野への貢献・展示会出展などを通じて提携先の選定を進め、2027年度までに電池材料・電解液メーカーとの共同開発に合意し、2030年度には生産・販売開始することを目指します。 ■人的資本経営の推進 当社は知識集約型・開発型の企業であり、人的資本が企業価値向上の源泉であるため、マテリアリティのうちでも特に重点的に取り組む課題としています。 社員が「能動型自律人材」(*1)へと成長し、ウェルビーイングのもとでその能力を会社の経営戦略と一致する方向で発揮することで、製品開発や営業活動をはじめとする事業活動が活性化され、当社事業が成長する機会になります。 一方でこれが損なわれると成長機会を失うリスクとなります。 また、従業員が安心して働くことのできる安全な職場環境の整備を行うことが従業員の働く意欲を高める基礎となるため、これを推進することが当社事業の成長につながる機会となります。 一方でこれを怠ると成長機会を失うリスクとなります。 よって、当社の企業理念に基づく中長期ビジョンを実現するためには「人的資本経営の推進」が欠かせません。 この人的資本経営の推進を実現させるために、①企業理念に共感し、ビジョンの実現に主体的に参画する組織風土の醸成 ②能動型自律人材の採用と育成 ③働きやすく、やりがいを感じる職場環境の整備 という3つのテーマに沿って人的資本方針を策定し、サステナビリティ委員会の管轄のもとで実行しております。 この方針のもとで、全従業員が主体的に経営に参画する企業風土を育み、人的資本経営の実現を目指します。 当中期経営計画期間(2025~2027年度)における進捗はエンゲージメントスコア等によりモニタリングしてまいります。 ① 企業理念に共感し、ビジョンの実現に主体的に参画する組織風土の醸成・経営層とコミュニケーションを取る機会の充実や、社長をはじめとした経営者からの情報発信を質量両面で拡充することにより経営への関心を高め、より主体的に経営に参画する企業風土を醸成します。 ② 能動型自律人材の採用と育成・人材投資を拡大することにより、能動型自律人材に相応しい賃金体系を維持・継続し続けることに加えて、成長に向けて必要な教育や自己啓発の機会を整備してまいります。 また、キャリア採用を通じた多様性に富んだ職場環境によって社員の成長意欲を引き出すとともに、能動型自律人材の要素である挑戦、遂行、共働を促す仕掛けや実践する機会を増やしてまいります。 ③ 働きやすく、やりがいを感じる職場環境の整備・社員のウェルビーイングにつながる諸制度・施策の充実、働き方の選択肢の拡大、1on1等によるキャリア支援の拡充等に継続的に取り組んでいきます。 ・育児休業については、現状、希望者は全員取得しております。 今後も当社の福利厚生制度の説明の機会等において育児休業制度の周知と一層の浸透を図っていきます。 「育児休業取得率」をモニタリングします。 ・女性管理職についてはキャリア採用と併せてキャリア支援プログラムによるサポートを検討・実行します。 「女性管理職比率」をモニタリングします。 <人的資本経営にかかる労働安全衛生、人権、健康等に関する方針や取組み>①「人材採用・育成方針」 一人ひとりが当事者意識をもった「能動型自律人材」(*1)の採用・育成に加え、スキル・経験・知識を備えた人材(性別・年齢・国籍を問わない)の登用等を通じた人材の多様性の確保を推進します。 (*1)当社は、「能動型自律人材」を以下の3つに定義づけております。 1)好奇心をもって挑戦する人材社会の変化を先取りし、好奇心と探求心をもって果敢に新しいことに挑戦します2)当事者意識をもってやり遂げる人材自ら考えて行動し、常に全体最適の視点で最後まで責任をもってやり遂げます3)多様性を尊重し周囲と協働できる人材人を思いやり、つながりや個性を大切にすることで組織の可能性を最大化します ②「労働・安全衛生方針」(社内環境整備方針)ア 労働慣行について当社は、従業員の人権を含む各種の国際規範を尊重し、従業員に対して尊厳をもって扱います。 イ 安全衛生について当社は、労働関連の負傷や疾病を最小限に抑えることに努め、安全で健康な職場環境により、製品・サービスの質の向上や従業員の定着とモラルの向上を目指します。 また、当社は、職場の衛生と安全問題を特定し解決するために、継続的な従業員への情報提供と教育を実施します。 ③人権の尊重に関する取り組み(「人権の尊重に関する基本方針」) 当社は「化学の好奇心でエレクトロニクスに役立てる」を企業理念とし、「社会課題と向き合い多様な視点と独自の発想力を発揮し、エレクトロニクス業界を牽引するファインケミカル企業となる」ことを目標としております。 そして、当社は事業活動を通じて様々なステークホルダーの人権に負の影響を引き起こし、または助長する可能性があることを認識しており、前述した目標の達成のためにもこうした人権侵害を回避し、全ての人々の人権が尊重されなければならないことを理解しております。 そこで、当社は「人権の尊重に関する基本方針」を以下の通り定め、当社の全ての役員と社員にて遵守してまい ります。 「人権の尊重に関する基本方針」ア 人権に対する基本的な考え方 当社は、人権尊重の取り組みを推進し、その責務を果たすため、すべての人々の基本的人権を規定した国連の「国際人権章典」及び「ビジネスと人権に関わる指導原則」、国際労働機関(ILO)の「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」などの人権に関する国際規範を支持・尊重し、それらを踏まえて実践に努めます。 また、事業活動を行う国や地域の法令を遵守し、国際的に認められた人権と各国や地域の法令との間で相反する要請がある場合は国際的に承認された人権の原則を追求します。 イ 人権尊重 当社は多様性を尊重し、出生、国籍、人種、民族、信条、性別、年齢、職業、雇用形態、学歴、性的指向、性自認、婚姻、妊娠、疾病、障害、社会的身分または門地などいかなる差別、ならびにパワーハラスメント、セクシャルハラスメント等のあらゆるハラスメント行為を行いません。 また、強制労働や児童労働は認めません。 ウ 適用範囲 本方針は、当社の全役員・全従業員(正社員・契約社員・派遣社員を含む)に対して適用されます。 また、当社のサプライヤーやビジネスパートナーに対して本方針を支持し、人権尊重に努めるよう働きかけ、協働して人権尊重を推進します。 エ 取り組み・デューディリジェンス 当社は、人権デューディリジェンスの仕組みを構築し、これを継続して実施することで人権への負の影響の特定・評価を行い、その影響を防止・軽減することに取り組みます。 ・救済 当社が人権への負の影響を引き起こした、あるいはこれを助長したことが判明した場合、適切な手続きを通じてその救済に取り組みます。 ・教育 当社は、本方針の実効性を担保するため、当社の役員・従業員に対して適切な教育を行います。 ・苦情処理メカニズム 当社は人権への負の影響を含む懸念を早期に発見し、対処するため通報制度を設けています。 通報においては、通報者の匿名性や通報内容の秘匿性を担保します。 また通報者に対し通報を理由とする不利益な取り扱いは行いません。 ・情報開示 人権尊重の取り組みの進捗状況及びその結果について、当社ウェブサイト等を通じて報告していきます。 ④人的資本方針に関する指標と目標・具体的な取り組み 当社は人的資本方針に関して以下の取り組みを行っています。 いずれの取り組みも、当中期経営計画期間においても指標と目標を設け達成度合いを測定する予定です。 能動型自律人材となりうる人材を豊富に獲得するため、2023年度採用より各部門長が部門最適な人材像を確立し主体的に採用活動を展開する採用方式を導入しております。 人材育成については、従業員全員が参集し経営方針の浸透と組織風土の醸成等を図る全社方針説明会の半期毎の開催をはじめ、各部門にて毎月1on1ミーティングを開催する等の活動により、当社に必要な人材像の理解の深化を図りました。 また、コンプライアンス等の人権関連課題についての当社取り組みについても全従業員への周知徹底を図っています。 労働安全衛生について安全衛生委員会を中心に各ガイドラインの順守と質的向上を図る一方で、働き方の選択肢の拡充にも取り組んでおります。 なお2024年度時点で育児休業取得希望者は100%取得の達成を継続しております。 人権方針に関する取り組みについては、以下の人権デューディリジェンスをご参照ください。 ⑤人権デューディリジェンス 当社は、当社の人権方針に則り、当社事業活動によって影響を受ける人々を対象とした人権デューディリジェンスを実施し、顕著な人権課題を特定しています。 人権デューディリジェンスの実施にあたっては、「国連指導原則 報告フレームワーク」及びUNDP*のアジアにおけるビジネスと人権「HRDD 研修進行ガイド」(2021 年)を参考にしています。 *UNDP(国連開発計画):貧困や格差、気候変動といった不公正をなくすための活動を行う国連の機関 具体的には、当社事業活動によって影響を受ける主要なライツホルダーを自社従業員・サプライヤー・顧客/エンドユーザー・地域住民の4つのカテゴリーに分け、当社にとってのリスクではなく、影響を受けるこれらのカテゴリーの人々へのリスクに着目し、潜在的な人権リスクの洗い出しを行いました。 その上で、リスクの深刻度とリスクの発生可能性という2つの観点から優先順位を判断し、下記のヒートマップに整理しました。 その際、発生可能性よりも深刻度に重きをおいた評価を行っております。 ア 顕著な人権課題の特定 上記ヒートマップにおいて優先度が高いと位置づけられた以下の人権課題を当社の事業活動における顕著な人権課題として特定しました。 a.紛争鉱物b.自社従業員に対する公平・公正な処遇 また、顕著な人権課題と比べると優先度は低くなるものの、以下の人権課題についても、そのリスクを認識し、取り組みを進めてまいります。 c.職場における安全衛生(自社従業員)d.健康被害(顧客/エンドユーザー・地域住民) 当社は、今後も定期的に人権デューディリジェンスを実施し、顕著な人権課題の見直しを行ってまいります。 イ 対応策 当社は、顕著な人権課題に対して、次のように取り組んでいます。 a.紛争鉱物・当社は、貴金属めっき薬品の製造において貴金属を使用します(金、パラジウム、白金等)。 ・紛争鉱物不調達の取り組みを進めるため、貴金属の調達にあたっては、事前にLBMA認定*を受けた企業であることを確認しています。 ・当社の調達方針・CSRガイドライン等において、サプライヤーへの遵法のお願い事項を定め、取引先に対して定期的に調査を行っています。 調査の結果、問題があると判断した場合には、改善要請を行うと共に、十分な改善が行われない場合は、取引を中止する等の措置を講じることとしています。 * LBMA(ロンドン地金市場協会)認定とは、金融市場における金や貴金属の取引に関連する重要な認証であり、金やその他の貴金属が紛争鉱物ではないということを証明することが可能となります。 LBMA認定は金や貴金属が紛争鉱物ではないことを証明するための重要なメカニズムとなっており、国際的な金融市場において、責任ある取引の基準を確立しています。 b.自社従業員に対する公平・公正な処遇・当社は、少人数体制の下、業務の属人性に伴う長時間労働が散見されている現状に対応し、従業員のワークライフバランスを改善するための取り組みに着手しています。 ①育児休業 希望者全員の取得 ②柔軟な働き方(勤務時間、勤務場所)の導入検討・当社の女性活用に関する取り組みは以下の通りです。 ①女性管理職の養成(キャリア採用とキャリア支援プログラムによるサポート)c.職場における安全衛生(自社従業員)・当社は少人数でありながら正社員・パートタイマー・派遣社員からなる製造部門を有しており、労働安全衛生法において定められている第一種衛生管理者が複数名在籍し各職場における安全衛生を管理監督するとともに、各職場の代表で構成する安全衛生委員会が委託産業医とともに定期的な職場巡視等を行い労働環境の維持改善に努めております。 ①第一種衛生管理者の資格取得奨励(2025年6月現在2名在籍) ②安全衛生委員会メンバーと産業医による職場巡視(年3回実施) d.健康被害(顧客/エンドユーザー・地域住民)・当社では様々な薬品を取り扱っており、中には劇物毒物に該当するものがあります。 劇毒物の取扱いに必要な資格・免許は当然取得済みであり、薬品の取扱いについて関連法規、ISO9001/14001などの国際規格、更に顧客要請等に準拠した厳格な手順を確立し、各ステークホルダーに及ぶ健康被害を決して出さないよう誠実に事業運営しております。 ①薬品取扱い等に関する関連法規の更新情報の定期確認(毎月実施) ②緊急事態訓練の励行(毎年実施) ■知的無形資産の質的向上 当社は知識集約型企業であり、製造業でありながら大きな製造設備を保持しておりません。 事業活動において最も大切なのは人的資本であり、研究開発活動を通じて人材が生み出す「レシピ」や、50年以上に渡って顧客課題に向き合い解決してきた「ノウハウ」や「顧客との信頼関係」です。 そういった無形の資産の可用性を高めるとともに機密の流出を防ぐ、攻めと守りの両面から取り組んでいくことが知的無形資産の価値の最大化につながるものと認識しています。 昨今の知識集約型経済においてはこれらの無形資産が競争力の源泉となることから、継続的な投資と戦略的な対応が必要不可欠です。 当社では主に情報システムの活用により知的無形資産の価値を高めることにより、持続的な成長と市場での優位性の確立を目指しています。 ■経営基盤の強化 当社は、持続的な成長と企業価値の向上を実現するため、経営基盤の強化を経営上の重要事項として位置づけています。 これは、中期経営計画の着実な実行を支えるモニタリングシステムの運営や、株主・投資家の皆様への情報開示の充実といった事業の拡大につながる施策のほか、製品の品質保証や安全管理の強化、情報セキュリティ事故の未然防止、調達リスクへの対応、職場の安全衛生の確保など、負の影響を排除し企業運営の根幹となる基礎的要素を含みます。 これらを強化することにより、環境変化への柔軟な対応力を高め、リスクへの耐性を向上させるとともに、事業の安定的かつ効率的な運営が可能となります。 特に昨今の経済・社会の不確実性が高まる中で持続可能な成長を遂げるためには、強固な経営基盤の構築が不可欠であると判断し、戦略的に取り組んでいます。 (4) 気候変動への取り組み 気候変動が加速していく中、世界各地において自然環境・人々の暮らし・企業活動に様々な影響や被害が現れ始めています。 気候変動への取り組みとしてパリ協定が採択され、各国がネットゼロに向けた対応を行っており、日本政府はNDCの目標(2030年度における温室効果ガス(GHG)削減目標)を26%から46%(2013年度比)に引き上げることを表明しています。 こうした中、企業による事業を通じた脱炭素社会への貢献が求められています。 当社は、事業を通じて気候変動の緩和と適応を行いながら持続的成長を目指します。 企業に対して気候関連課題に関する情報開示要請も高まっており、情報開示の重要性を認識し、開示に向けた取り組みを進めています。 気候変動は、当社にとってリスクであると同時に新たな収益機会につながる重要な経営課題であると認識しています。 気候変動の取り組みを積極的にまた能動的に行うことは、中長期的な当社の企業価値向上につながるものであると考え、ステークホルダーと適切に協働し、自社のみならず社会全体に利益をもたらすことを目指します。 また、こうした取り組みを通して、当社はSDGsやパリ協定で掲げられた目標達成への貢献を目指します。 当社は気候関連の財務情報開示の重要性を認識し、以下の移行計画を策定し、TCFD提言に則した情報開示を行っていきます。 ①戦略 当社は、2023年6月に環境への取り組みの一環として気候変動対応についてTCFD提言に即した情報開示を行い、その中で移行リスク・物理的リスク及び機会を特定し、関連する指標及び目標を策定しました。 具体的には、「GHG排出量削減:2030年スコープ1・2に関するカーボンニュートラルを達成する」ことと、建屋の遮熱化や空調機器の更新など様々な省エネルギーへの取り組みを行い「エネルギー使用量削減:2030年度エネルギー使用量を2022年度(161.54t-CO2)比で20%削減する」ことの2点を目標としています。 当社の掲げている「2030年スコープ1・2に関するカーボンニュートラル達成」という目標は、パリ協定の目的やIPCCの報告書にある「今世紀後半のカーボンニュートラルを実現」するという目標と整合しており、また日本政府の2050年までにカーボンニュートラルを目指すという宣言とも整合しています。 当社のGHG排出量は極めて少なく当社の製造におけるコストへの影響は非常に限定的ですが、移行リスクが加速する1.5℃シナリオ(IEA WEO NZE 2050シナリオ)に則り、GHG排出量を削減するために省エネ対応及び再生可能エネルギーの導入を進めることは、当社ステークホルダーが要請する低炭素社会への移行に向けた取り組みとして重要な課題と認識しています。 また、低炭素社会への移行が進むことにより、当社の顧客からエネルギー使用量削減に寄与する製品が求められることや、当社の技術を活用した新たな製品開発の可能性があると考えています。 こうした考えの下、当社は以下の通り、ア GHG排出量削減、イ 環境配慮型めっき薬製品開発の促進、ウ めっきコア技術の応用 の3分野について行動計画を策定しました。 ア GHG排出量削減 2022年度2023年度2024年度2027年度2030年度GHG排出量(t-CO2)167171175187200削減後GHG排出量(t-CO2)167154173150134 上表のとおり、様々な省エネルギーの取り組みにより、2030年度に2022年度比△20%(中長期経営計画に即したBAU比では△33%)のエネルギー使用量削減を達成する計画を策定しました。 なお、こうしたエネルギー使用量削減施策だけではカーボンニュートラルは達成できないため、J-クレジット等の使用によるカーボンニュートラル実現を計画しております。 今後J-クレジット価格は高騰が予想されますが、当社のGHG排出量は極めて少ないため、クレジット購入による財務インパクトは殆ど発生しないものと考えられます。 ※BAU(Business as Usualの略称):日常的な業務やプロセス。 企業・組織が通常行っている業務や日常運営のこと イ 環境配慮型めっき薬製品開発の促進 当社が開発してきた薬品は、「環境負荷低減(穀物由来薬品の代替製品開発)」「めっき工程エネルギー節約(めっき浴の低温化、時間短縮等)」「省貴金属(限りある貴金属の節約)」といった、環境に配慮した優れた性能を有しています。 現在も多数の開発テーマがあり、それぞれを担当した技術者が、製品化計画に基づきフィージビリティ・ステージ(実現可能性の検討段階)とデベロップメント・ステージ(開発段階)の間で試行錯誤を繰り返しつつ開発を進めています。 各開発テーマとも、サステナビリティ委員会・経営会議にて進捗状況を管理しながら、2030年度末までに対象製品すべての上市(デベロップメント・ステージの完了)を目指しています。 ウ めっきコア技術の応用 当社は1971年の創業から50年を越えた今日まで、エレクトロニクス分野を事業フィールドの核と捉え、半導体パッケージやコネクター用途を中心に一貫して当社独自技術としての「Redox=(酸化還元反応)制御技術」に磨きをかけ、これを礎に多様な貴金属めっき薬品の開発・製造を行ってきました。 コロナ禍・DX化など社会の変容に相俟って、貴金属めっきという既存市場以外の場においても自社のRedox技術を応用することで解決できる社会課題があるものと考えております。 当社はそうした課題の一つとして、「二次電池(充電式電池)」に着目しました。 電池の充放電反応は即ちRedox反応です。 これに当社が培ってきた独自技術を応用し、従来よりも圧倒的に優れた性能の電池材料を実現できれば、低炭素経済への多大な貢献を果たすとともに当社の付加価値も飛躍的に高まるものと期待されます。 具体的には、展示会出展の機会等を通じて2027年度末までに提携先となる電池材料・電解液メーカーを選定の上共同開発を開始し、2030年度末から製品として生産・販売を開始することを目指します。 ・シナリオ分析 当社は、本移行計画の達成可能性を検証するにあたり、以下の2つのシナリオを選択し、TCFDの枠組みに沿って当社事業に対する気候関連のリスクと機会を特定し、「低炭素製品市場の進展」「脱炭素政策の進展」という2つの軸から、当社のレジリエンスを検証しました。 詳細は下表をご参照ください。 <気候変動政策が強化されているシナリオ:WEO NZE 2050シナリオ> 世界が低炭素経済に移行するという傾向が最も顕著であるシナリオとして、国際エネルギー機関(IEA)が策定したWEO NZE 2050シナリオを選択しました。 本シナリオは、2050年にネットゼロを達成するために各国が気候変動政策を積極的に導入・強化することを念頭においたシナリオです。 <気候変動政策が停滞しているシナリオ: IPCC RCP8.5シナリオ> 上記シナリオと対極にある世界の低炭素経済への移行が停滞しているシナリオとして、IPCC RCP8.5シナリオを選択しました。 本シナリオは、21世紀末の世界の平均気温が、産業革命前と比べて3.2℃∼5.4℃上昇すると予測するものであり、各国が気候変動政策を積極的に導入・強化することはなく、停滞していることを想定したシナリオです。 選択したシナリオ特定したリスク・機会ドライバー時間軸財務インパクト対応の内容種類概要影響度1.5℃シナリオ WEO NZE 2050移行リスク(政策・法規制)GHG排出規制や炭素税の強化GHG排出規制炭素税長期ほとんどない全社LED化、エアコンの買替などの環境投資策移行リスク(評判)ステークホルダーからのGHG排出量削減要請ステークホルダーからのGHG排出量削減要請長期やや高いサステナビリティ委員会にて、環境に貢献する製品の開発、環境投資策、シナリオ~リスク・機会分析等を推進し、サステナビリティ情報として開示機会(製品/サービス・市場)ニッケルを使用しないプロセスとする製品の開発ステークホルダーからのGHG排出量削減要請短期・中期・長期高顧客個別要求仕様に迅速に対応できる設備投資の実施、展示会出展 など機会(市場)電池市場への参画政府主導の投資促進策中期・長期高2030年に二次電池分野のビジネスモデルを立ち上げるべく、電池材料・電解液メーカーとの共同開発等を模索中4℃シナリオ IPCC RCP8.5物理的リスク(急性)台風や洪水による生産拠点の被災台風や洪水の頻度・程度長期ほとんどない受容できるリスクと捉え、対応策(投資)不要と考える(慢性)平均気温の上昇平均気温長期(5年~35年)物理的リスク(急性)サイクロンや洪水による当社顧客の工場が被災(国内外)サイクロンや台風の頻度・程度長期高当社BCPに当該リスク・地政学的リスク等を編入して再計画を構築機会(製品/サービス・市場)穀物由来原料の代替製品の開発異常気象中期・長期中~高新製品開発と既存製品改良の2アプローチで2030年に主要原材料の20%以上の入替を目指す選択したシナリオ ・国際エネルギー機関(IEA)が策定したWEO NZE 2050シナリオ ・気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が策定したRCP8.5シナリオ時間軸:短期=1年(単年度計画と同期間)、中期=3年(中期経営計画と同一期間)、 長期=2030年(日本のNDCにおける中期目標と同期間) ・シナリオ分析結果 WEO NZE 2050シナリオにおいては、2050年ネットゼロに向けて低炭素経済への移行が急速に加速しており、GHG排出量削減やエネルギー使用量削減に向けて各社が取り組みを進めていることが想定されます。 こうした状況下においては、当社が製品化を進めるめっき工程エネルギー節約技術のニーズが高まることが予想されます。 また、電化が進むことで蓄電池の需要が増加することが想定されるため、当社のめっきコア技術の応用へのニーズも高まることが考えられます。 IPCC RCP8.5シナリオにおいては、低炭素経済への移行が停滞しており、GHG排出量削減やエネルギー使用量削減に向けて各社の取り組みの進み具体合は鈍化していることが想定されます。 こうした状況下においては、当社が製品化を進めるめっき工程エネルギー節約技術のニーズはあるものの、横ばいであることが予想されます。 また、電化の進み具合も鈍化し、蓄電池の需要も大きな伸びは想定されないため、当社のめっきコア技術の応用へのニーズは現状維持か低調になることが考えられます。 ・目標の達成可能性 WEO NZE 2050シナリオを想定した場合、当社の各技術の活用・製品化への需要が高まることが考えられるため、そうした需要増を追い風として、計画よりも早い段階での技術開発製品化の可能性も見込めます。 一方でIPCC RCP8.5シナリオを想定した場合、当社の各技術の活用・製品化への需要の高まりは期待できませんが、 競合他社製品からの優位性を確保し、今後の環境問題の激甚化にも柔軟に対応し得る知見を獲得するため、当社のさらなる発展と地球環境への貢献を目指し、計画通り技術開発・製品開発を行う予定です。 当社のGHG排出量は極めて少ないため、いずれのシナリオを適用した場合であっても、当社のGHG排出量削減への対応に影響を及ぼすものではなく、目標は達成できる見込みです。 ②リスク管理・移行リスク及び機会 低炭素経済への移行により当社グループが直面するリスク及び機会を以下と特定しました。 ア 移行リスク(政策・法規制):GHG排出規制や炭素税の強化が想定される。 イ 移行リスク(評判):当社ステークホルダーからのGHG排出量削減要請の高まりが想定される。 ウ 機会(製品/サービス・市場):ニッケルを使用しないプロセスとする製品の開発エ 機会(市場):電池市場への参画 ・移行計画の課題と不確実性 当社のGHG排出量は極めて少ないため、GHG排出量削減に係る移行計画における課題や不確実性は想定されず、計画通り目標を達成できる見込みです。 「環境配慮型めっき薬製品開発の促進」及び「めっきコア技術の応用」に関しては、大規模な投資が必要です。 当社は、人的資源、設備、作業環境等に余力がある状況ではないため、これら2つの技術開発を計画通り進めるためには、まず十分な資金の確保、人材の配置等が前提となります。 ③指標と目標 本移行計画における当社の目標・測定基準は以下のとおりです。 目標1:GHG排出量削減目標:2030年スコープ1・2に関するカーボンニュートラル達成指標:GHG排出量 目標2:エネルギー使用量(省エネ等)目標:2030年度エネルギー使用量20%削減(2022年度比)指標:エネルギー使用量 当社は、財務面での影響、目標に対するパフォーマンス、組織のビジネスへの影響などに関する移行計画に係る目標とパフォーマンスを有価証券報告書や自社ウェブサイトのサステナビリティサイト等において外部のステークホルダーに報告します。 詳細は当社ウェブサイト(https://www.netjpc.com/)ご覧ください。 |
戦略 | (3)-② マテリアリティに関する行動計画当社のマテリアリティに関する主な行動計画は、以下の通りです。 ■環境にやさしい製品づくり貴金属や希少鉱物を使用する当社において、環境にやさしい製品づくりは1971年の創業時からの重点課題であるため、マテリアリティのうちでも特に重点的に取り組む課題としています。 なお、当社は製造工程をフォーミュレーション(調合)業務のみとしているため大きな製造設備は保有・稼働しておりませんのでエネルギー使用やGHG排出の絶対量は微少ではありますが、製品によるエネルギー分野への貢献だけでなく、使用量の削減についても真摯に取り組んでまいります。 ①環境負荷低減につながる製品開発及び事業活動の推進・環境配慮型製品(穀物由来原料代替、ニッケル不使用、シアンフリー)について、個別の開発テーマごとに設定した製品化計画を達成(製品リリース)することを目標としています。 ②めっき工程におけるエネルギー使用量削減・「GHG排出量削減:2030年スコープ1・2に関するカーボンニュートラルを達成する」ことと、研究開発設備の遮熱化や空調機器の更新など様々な省エネルギーへの取り組みを行い「エネルギー使用量削減:2030年度エネルギー使用量を2022年度(167t-CO2)比で20%削減する」ことを目標としています。 ・上記のエネルギー消費量削減施策のみではカーボンニュートラルは達成できないため、J-クレジット等の使用によるカーボンニュートラル実現も計画しております。 ③めっきで培ったコア技術の応用によるエネルギー分野への貢献・展示会出展などを通じて提携先の選定を進め、2027年度までに電池材料・電解液メーカーとの共同開発に合意し、2030年度には生産・販売開始することを目指します。 ■人的資本経営の推進 当社は知識集約型・開発型の企業であり、人的資本が企業価値向上の源泉であるため、マテリアリティのうちでも特に重点的に取り組む課題としています。 社員が「能動型自律人材」(*1)へと成長し、ウェルビーイングのもとでその能力を会社の経営戦略と一致する方向で発揮することで、製品開発や営業活動をはじめとする事業活動が活性化され、当社事業が成長する機会になります。 一方でこれが損なわれると成長機会を失うリスクとなります。 また、従業員が安心して働くことのできる安全な職場環境の整備を行うことが従業員の働く意欲を高める基礎となるため、これを推進することが当社事業の成長につながる機会となります。 一方でこれを怠ると成長機会を失うリスクとなります。 よって、当社の企業理念に基づく中長期ビジョンを実現するためには「人的資本経営の推進」が欠かせません。 この人的資本経営の推進を実現させるために、①企業理念に共感し、ビジョンの実現に主体的に参画する組織風土の醸成 ②能動型自律人材の採用と育成 ③働きやすく、やりがいを感じる職場環境の整備 という3つのテーマに沿って人的資本方針を策定し、サステナビリティ委員会の管轄のもとで実行しております。 この方針のもとで、全従業員が主体的に経営に参画する企業風土を育み、人的資本経営の実現を目指します。 当中期経営計画期間(2025~2027年度)における進捗はエンゲージメントスコア等によりモニタリングしてまいります。 ① 企業理念に共感し、ビジョンの実現に主体的に参画する組織風土の醸成・経営層とコミュニケーションを取る機会の充実や、社長をはじめとした経営者からの情報発信を質量両面で拡充することにより経営への関心を高め、より主体的に経営に参画する企業風土を醸成します。 ② 能動型自律人材の採用と育成・人材投資を拡大することにより、能動型自律人材に相応しい賃金体系を維持・継続し続けることに加えて、成長に向けて必要な教育や自己啓発の機会を整備してまいります。 また、キャリア採用を通じた多様性に富んだ職場環境によって社員の成長意欲を引き出すとともに、能動型自律人材の要素である挑戦、遂行、共働を促す仕掛けや実践する機会を増やしてまいります。 ③ 働きやすく、やりがいを感じる職場環境の整備・社員のウェルビーイングにつながる諸制度・施策の充実、働き方の選択肢の拡大、1on1等によるキャリア支援の拡充等に継続的に取り組んでいきます。 ・育児休業については、現状、希望者は全員取得しております。 今後も当社の福利厚生制度の説明の機会等において育児休業制度の周知と一層の浸透を図っていきます。 「育児休業取得率」をモニタリングします。 ・女性管理職についてはキャリア採用と併せてキャリア支援プログラムによるサポートを検討・実行します。 「女性管理職比率」をモニタリングします。 <人的資本経営にかかる労働安全衛生、人権、健康等に関する方針や取組み>①「人材採用・育成方針」 一人ひとりが当事者意識をもった「能動型自律人材」(*1)の採用・育成に加え、スキル・経験・知識を備えた人材(性別・年齢・国籍を問わない)の登用等を通じた人材の多様性の確保を推進します。 (*1)当社は、「能動型自律人材」を以下の3つに定義づけております。 1)好奇心をもって挑戦する人材社会の変化を先取りし、好奇心と探求心をもって果敢に新しいことに挑戦します2)当事者意識をもってやり遂げる人材自ら考えて行動し、常に全体最適の視点で最後まで責任をもってやり遂げます3)多様性を尊重し周囲と協働できる人材人を思いやり、つながりや個性を大切にすることで組織の可能性を最大化します ②「労働・安全衛生方針」(社内環境整備方針)ア 労働慣行について当社は、従業員の人権を含む各種の国際規範を尊重し、従業員に対して尊厳をもって扱います。 イ 安全衛生について当社は、労働関連の負傷や疾病を最小限に抑えることに努め、安全で健康な職場環境により、製品・サービスの質の向上や従業員の定着とモラルの向上を目指します。 また、当社は、職場の衛生と安全問題を特定し解決するために、継続的な従業員への情報提供と教育を実施します。 ③人権の尊重に関する取り組み(「人権の尊重に関する基本方針」) 当社は「化学の好奇心でエレクトロニクスに役立てる」を企業理念とし、「社会課題と向き合い多様な視点と独自の発想力を発揮し、エレクトロニクス業界を牽引するファインケミカル企業となる」ことを目標としております。 そして、当社は事業活動を通じて様々なステークホルダーの人権に負の影響を引き起こし、または助長する可能性があることを認識しており、前述した目標の達成のためにもこうした人権侵害を回避し、全ての人々の人権が尊重されなければならないことを理解しております。 そこで、当社は「人権の尊重に関する基本方針」を以下の通り定め、当社の全ての役員と社員にて遵守してまい ります。 「人権の尊重に関する基本方針」ア 人権に対する基本的な考え方 当社は、人権尊重の取り組みを推進し、その責務を果たすため、すべての人々の基本的人権を規定した国連の「国際人権章典」及び「ビジネスと人権に関わる指導原則」、国際労働機関(ILO)の「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」などの人権に関する国際規範を支持・尊重し、それらを踏まえて実践に努めます。 また、事業活動を行う国や地域の法令を遵守し、国際的に認められた人権と各国や地域の法令との間で相反する要請がある場合は国際的に承認された人権の原則を追求します。 イ 人権尊重 当社は多様性を尊重し、出生、国籍、人種、民族、信条、性別、年齢、職業、雇用形態、学歴、性的指向、性自認、婚姻、妊娠、疾病、障害、社会的身分または門地などいかなる差別、ならびにパワーハラスメント、セクシャルハラスメント等のあらゆるハラスメント行為を行いません。 また、強制労働や児童労働は認めません。 ウ 適用範囲 本方針は、当社の全役員・全従業員(正社員・契約社員・派遣社員を含む)に対して適用されます。 また、当社のサプライヤーやビジネスパートナーに対して本方針を支持し、人権尊重に努めるよう働きかけ、協働して人権尊重を推進します。 エ 取り組み・デューディリジェンス 当社は、人権デューディリジェンスの仕組みを構築し、これを継続して実施することで人権への負の影響の特定・評価を行い、その影響を防止・軽減することに取り組みます。 ・救済 当社が人権への負の影響を引き起こした、あるいはこれを助長したことが判明した場合、適切な手続きを通じてその救済に取り組みます。 ・教育 当社は、本方針の実効性を担保するため、当社の役員・従業員に対して適切な教育を行います。 ・苦情処理メカニズム 当社は人権への負の影響を含む懸念を早期に発見し、対処するため通報制度を設けています。 通報においては、通報者の匿名性や通報内容の秘匿性を担保します。 また通報者に対し通報を理由とする不利益な取り扱いは行いません。 ・情報開示 人権尊重の取り組みの進捗状況及びその結果について、当社ウェブサイト等を通じて報告していきます。 ④人的資本方針に関する指標と目標・具体的な取り組み 当社は人的資本方針に関して以下の取り組みを行っています。 いずれの取り組みも、当中期経営計画期間においても指標と目標を設け達成度合いを測定する予定です。 能動型自律人材となりうる人材を豊富に獲得するため、2023年度採用より各部門長が部門最適な人材像を確立し主体的に採用活動を展開する採用方式を導入しております。 人材育成については、従業員全員が参集し経営方針の浸透と組織風土の醸成等を図る全社方針説明会の半期毎の開催をはじめ、各部門にて毎月1on1ミーティングを開催する等の活動により、当社に必要な人材像の理解の深化を図りました。 また、コンプライアンス等の人権関連課題についての当社取り組みについても全従業員への周知徹底を図っています。 労働安全衛生について安全衛生委員会を中心に各ガイドラインの順守と質的向上を図る一方で、働き方の選択肢の拡充にも取り組んでおります。 なお2024年度時点で育児休業取得希望者は100%取得の達成を継続しております。 人権方針に関する取り組みについては、以下の人権デューディリジェンスをご参照ください。 ⑤人権デューディリジェンス 当社は、当社の人権方針に則り、当社事業活動によって影響を受ける人々を対象とした人権デューディリジェンスを実施し、顕著な人権課題を特定しています。 人権デューディリジェンスの実施にあたっては、「国連指導原則 報告フレームワーク」及びUNDP*のアジアにおけるビジネスと人権「HRDD 研修進行ガイド」(2021 年)を参考にしています。 *UNDP(国連開発計画):貧困や格差、気候変動といった不公正をなくすための活動を行う国連の機関 具体的には、当社事業活動によって影響を受ける主要なライツホルダーを自社従業員・サプライヤー・顧客/エンドユーザー・地域住民の4つのカテゴリーに分け、当社にとってのリスクではなく、影響を受けるこれらのカテゴリーの人々へのリスクに着目し、潜在的な人権リスクの洗い出しを行いました。 その上で、リスクの深刻度とリスクの発生可能性という2つの観点から優先順位を判断し、下記のヒートマップに整理しました。 その際、発生可能性よりも深刻度に重きをおいた評価を行っております。 ア 顕著な人権課題の特定 上記ヒートマップにおいて優先度が高いと位置づけられた以下の人権課題を当社の事業活動における顕著な人権課題として特定しました。 a.紛争鉱物b.自社従業員に対する公平・公正な処遇 また、顕著な人権課題と比べると優先度は低くなるものの、以下の人権課題についても、そのリスクを認識し、取り組みを進めてまいります。 c.職場における安全衛生(自社従業員)d.健康被害(顧客/エンドユーザー・地域住民) 当社は、今後も定期的に人権デューディリジェンスを実施し、顕著な人権課題の見直しを行ってまいります。 イ 対応策 当社は、顕著な人権課題に対して、次のように取り組んでいます。 a.紛争鉱物・当社は、貴金属めっき薬品の製造において貴金属を使用します(金、パラジウム、白金等)。 ・紛争鉱物不調達の取り組みを進めるため、貴金属の調達にあたっては、事前にLBMA認定*を受けた企業であることを確認しています。 ・当社の調達方針・CSRガイドライン等において、サプライヤーへの遵法のお願い事項を定め、取引先に対して定期的に調査を行っています。 調査の結果、問題があると判断した場合には、改善要請を行うと共に、十分な改善が行われない場合は、取引を中止する等の措置を講じることとしています。 * LBMA(ロンドン地金市場協会)認定とは、金融市場における金や貴金属の取引に関連する重要な認証であり、金やその他の貴金属が紛争鉱物ではないということを証明することが可能となります。 LBMA認定は金や貴金属が紛争鉱物ではないことを証明するための重要なメカニズムとなっており、国際的な金融市場において、責任ある取引の基準を確立しています。 b.自社従業員に対する公平・公正な処遇・当社は、少人数体制の下、業務の属人性に伴う長時間労働が散見されている現状に対応し、従業員のワークライフバランスを改善するための取り組みに着手しています。 ①育児休業 希望者全員の取得 ②柔軟な働き方(勤務時間、勤務場所)の導入検討・当社の女性活用に関する取り組みは以下の通りです。 ①女性管理職の養成(キャリア採用とキャリア支援プログラムによるサポート)c.職場における安全衛生(自社従業員)・当社は少人数でありながら正社員・パートタイマー・派遣社員からなる製造部門を有しており、労働安全衛生法において定められている第一種衛生管理者が複数名在籍し各職場における安全衛生を管理監督するとともに、各職場の代表で構成する安全衛生委員会が委託産業医とともに定期的な職場巡視等を行い労働環境の維持改善に努めております。 ①第一種衛生管理者の資格取得奨励(2025年6月現在2名在籍) ②安全衛生委員会メンバーと産業医による職場巡視(年3回実施) d.健康被害(顧客/エンドユーザー・地域住民)・当社では様々な薬品を取り扱っており、中には劇物毒物に該当するものがあります。 劇毒物の取扱いに必要な資格・免許は当然取得済みであり、薬品の取扱いについて関連法規、ISO9001/14001などの国際規格、更に顧客要請等に準拠した厳格な手順を確立し、各ステークホルダーに及ぶ健康被害を決して出さないよう誠実に事業運営しております。 ①薬品取扱い等に関する関連法規の更新情報の定期確認(毎月実施) ②緊急事態訓練の励行(毎年実施) ■知的無形資産の質的向上 当社は知識集約型企業であり、製造業でありながら大きな製造設備を保持しておりません。 事業活動において最も大切なのは人的資本であり、研究開発活動を通じて人材が生み出す「レシピ」や、50年以上に渡って顧客課題に向き合い解決してきた「ノウハウ」や「顧客との信頼関係」です。 そういった無形の資産の可用性を高めるとともに機密の流出を防ぐ、攻めと守りの両面から取り組んでいくことが知的無形資産の価値の最大化につながるものと認識しています。 昨今の知識集約型経済においてはこれらの無形資産が競争力の源泉となることから、継続的な投資と戦略的な対応が必要不可欠です。 当社では主に情報システムの活用により知的無形資産の価値を高めることにより、持続的な成長と市場での優位性の確立を目指しています。 ■経営基盤の強化 当社は、持続的な成長と企業価値の向上を実現するため、経営基盤の強化を経営上の重要事項として位置づけています。 これは、中期経営計画の着実な実行を支えるモニタリングシステムの運営や、株主・投資家の皆様への情報開示の充実といった事業の拡大につながる施策のほか、製品の品質保証や安全管理の強化、情報セキュリティ事故の未然防止、調達リスクへの対応、職場の安全衛生の確保など、負の影響を排除し企業運営の根幹となる基礎的要素を含みます。 これらを強化することにより、環境変化への柔軟な対応力を高め、リスクへの耐性を向上させるとともに、事業の安定的かつ効率的な運営が可能となります。 特に昨今の経済・社会の不確実性が高まる中で持続可能な成長を遂げるためには、強固な経営基盤の構築が不可欠であると判断し、戦略的に取り組んでいます。 |
指標及び目標 | (3)-② マテリアリティに関する行動計画当社のマテリアリティに関する主な行動計画は、以下の通りです。 ■環境にやさしい製品づくり貴金属や希少鉱物を使用する当社において、環境にやさしい製品づくりは1971年の創業時からの重点課題であるため、マテリアリティのうちでも特に重点的に取り組む課題としています。 なお、当社は製造工程をフォーミュレーション(調合)業務のみとしているため大きな製造設備は保有・稼働しておりませんのでエネルギー使用やGHG排出の絶対量は微少ではありますが、製品によるエネルギー分野への貢献だけでなく、使用量の削減についても真摯に取り組んでまいります。 ①環境負荷低減につながる製品開発及び事業活動の推進・環境配慮型製品(穀物由来原料代替、ニッケル不使用、シアンフリー)について、個別の開発テーマごとに設定した製品化計画を達成(製品リリース)することを目標としています。 ②めっき工程におけるエネルギー使用量削減・「GHG排出量削減:2030年スコープ1・2に関するカーボンニュートラルを達成する」ことと、研究開発設備の遮熱化や空調機器の更新など様々な省エネルギーへの取り組みを行い「エネルギー使用量削減:2030年度エネルギー使用量を2022年度(167t-CO2)比で20%削減する」ことを目標としています。 ・上記のエネルギー消費量削減施策のみではカーボンニュートラルは達成できないため、J-クレジット等の使用によるカーボンニュートラル実現も計画しております。 ③めっきで培ったコア技術の応用によるエネルギー分野への貢献・展示会出展などを通じて提携先の選定を進め、2027年度までに電池材料・電解液メーカーとの共同開発に合意し、2030年度には生産・販売開始することを目指します。 ■人的資本経営の推進 当社は知識集約型・開発型の企業であり、人的資本が企業価値向上の源泉であるため、マテリアリティのうちでも特に重点的に取り組む課題としています。 社員が「能動型自律人材」(*1)へと成長し、ウェルビーイングのもとでその能力を会社の経営戦略と一致する方向で発揮することで、製品開発や営業活動をはじめとする事業活動が活性化され、当社事業が成長する機会になります。 一方でこれが損なわれると成長機会を失うリスクとなります。 また、従業員が安心して働くことのできる安全な職場環境の整備を行うことが従業員の働く意欲を高める基礎となるため、これを推進することが当社事業の成長につながる機会となります。 一方でこれを怠ると成長機会を失うリスクとなります。 よって、当社の企業理念に基づく中長期ビジョンを実現するためには「人的資本経営の推進」が欠かせません。 この人的資本経営の推進を実現させるために、①企業理念に共感し、ビジョンの実現に主体的に参画する組織風土の醸成 ②能動型自律人材の採用と育成 ③働きやすく、やりがいを感じる職場環境の整備 という3つのテーマに沿って人的資本方針を策定し、サステナビリティ委員会の管轄のもとで実行しております。 この方針のもとで、全従業員が主体的に経営に参画する企業風土を育み、人的資本経営の実現を目指します。 当中期経営計画期間(2025~2027年度)における進捗はエンゲージメントスコア等によりモニタリングしてまいります。 ① 企業理念に共感し、ビジョンの実現に主体的に参画する組織風土の醸成・経営層とコミュニケーションを取る機会の充実や、社長をはじめとした経営者からの情報発信を質量両面で拡充することにより経営への関心を高め、より主体的に経営に参画する企業風土を醸成します。 ② 能動型自律人材の採用と育成・人材投資を拡大することにより、能動型自律人材に相応しい賃金体系を維持・継続し続けることに加えて、成長に向けて必要な教育や自己啓発の機会を整備してまいります。 また、キャリア採用を通じた多様性に富んだ職場環境によって社員の成長意欲を引き出すとともに、能動型自律人材の要素である挑戦、遂行、共働を促す仕掛けや実践する機会を増やしてまいります。 ③ 働きやすく、やりがいを感じる職場環境の整備・社員のウェルビーイングにつながる諸制度・施策の充実、働き方の選択肢の拡大、1on1等によるキャリア支援の拡充等に継続的に取り組んでいきます。 ・育児休業については、現状、希望者は全員取得しております。 今後も当社の福利厚生制度の説明の機会等において育児休業制度の周知と一層の浸透を図っていきます。 「育児休業取得率」をモニタリングします。 ・女性管理職についてはキャリア採用と併せてキャリア支援プログラムによるサポートを検討・実行します。 「女性管理職比率」をモニタリングします。 <人的資本経営にかかる労働安全衛生、人権、健康等に関する方針や取組み>①「人材採用・育成方針」 一人ひとりが当事者意識をもった「能動型自律人材」(*1)の採用・育成に加え、スキル・経験・知識を備えた人材(性別・年齢・国籍を問わない)の登用等を通じた人材の多様性の確保を推進します。 (*1)当社は、「能動型自律人材」を以下の3つに定義づけております。 1)好奇心をもって挑戦する人材社会の変化を先取りし、好奇心と探求心をもって果敢に新しいことに挑戦します2)当事者意識をもってやり遂げる人材自ら考えて行動し、常に全体最適の視点で最後まで責任をもってやり遂げます3)多様性を尊重し周囲と協働できる人材人を思いやり、つながりや個性を大切にすることで組織の可能性を最大化します ②「労働・安全衛生方針」(社内環境整備方針)ア 労働慣行について当社は、従業員の人権を含む各種の国際規範を尊重し、従業員に対して尊厳をもって扱います。 イ 安全衛生について当社は、労働関連の負傷や疾病を最小限に抑えることに努め、安全で健康な職場環境により、製品・サービスの質の向上や従業員の定着とモラルの向上を目指します。 また、当社は、職場の衛生と安全問題を特定し解決するために、継続的な従業員への情報提供と教育を実施します。 ③人権の尊重に関する取り組み(「人権の尊重に関する基本方針」) 当社は「化学の好奇心でエレクトロニクスに役立てる」を企業理念とし、「社会課題と向き合い多様な視点と独自の発想力を発揮し、エレクトロニクス業界を牽引するファインケミカル企業となる」ことを目標としております。 そして、当社は事業活動を通じて様々なステークホルダーの人権に負の影響を引き起こし、または助長する可能性があることを認識しており、前述した目標の達成のためにもこうした人権侵害を回避し、全ての人々の人権が尊重されなければならないことを理解しております。 そこで、当社は「人権の尊重に関する基本方針」を以下の通り定め、当社の全ての役員と社員にて遵守してまい ります。 「人権の尊重に関する基本方針」ア 人権に対する基本的な考え方 当社は、人権尊重の取り組みを推進し、その責務を果たすため、すべての人々の基本的人権を規定した国連の「国際人権章典」及び「ビジネスと人権に関わる指導原則」、国際労働機関(ILO)の「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」などの人権に関する国際規範を支持・尊重し、それらを踏まえて実践に努めます。 また、事業活動を行う国や地域の法令を遵守し、国際的に認められた人権と各国や地域の法令との間で相反する要請がある場合は国際的に承認された人権の原則を追求します。 イ 人権尊重 当社は多様性を尊重し、出生、国籍、人種、民族、信条、性別、年齢、職業、雇用形態、学歴、性的指向、性自認、婚姻、妊娠、疾病、障害、社会的身分または門地などいかなる差別、ならびにパワーハラスメント、セクシャルハラスメント等のあらゆるハラスメント行為を行いません。 また、強制労働や児童労働は認めません。 ウ 適用範囲 本方針は、当社の全役員・全従業員(正社員・契約社員・派遣社員を含む)に対して適用されます。 また、当社のサプライヤーやビジネスパートナーに対して本方針を支持し、人権尊重に努めるよう働きかけ、協働して人権尊重を推進します。 エ 取り組み・デューディリジェンス 当社は、人権デューディリジェンスの仕組みを構築し、これを継続して実施することで人権への負の影響の特定・評価を行い、その影響を防止・軽減することに取り組みます。 ・救済 当社が人権への負の影響を引き起こした、あるいはこれを助長したことが判明した場合、適切な手続きを通じてその救済に取り組みます。 ・教育 当社は、本方針の実効性を担保するため、当社の役員・従業員に対して適切な教育を行います。 ・苦情処理メカニズム 当社は人権への負の影響を含む懸念を早期に発見し、対処するため通報制度を設けています。 通報においては、通報者の匿名性や通報内容の秘匿性を担保します。 また通報者に対し通報を理由とする不利益な取り扱いは行いません。 ・情報開示 人権尊重の取り組みの進捗状況及びその結果について、当社ウェブサイト等を通じて報告していきます。 ④人的資本方針に関する指標と目標・具体的な取り組み 当社は人的資本方針に関して以下の取り組みを行っています。 いずれの取り組みも、当中期経営計画期間においても指標と目標を設け達成度合いを測定する予定です。 能動型自律人材となりうる人材を豊富に獲得するため、2023年度採用より各部門長が部門最適な人材像を確立し主体的に採用活動を展開する採用方式を導入しております。 人材育成については、従業員全員が参集し経営方針の浸透と組織風土の醸成等を図る全社方針説明会の半期毎の開催をはじめ、各部門にて毎月1on1ミーティングを開催する等の活動により、当社に必要な人材像の理解の深化を図りました。 また、コンプライアンス等の人権関連課題についての当社取り組みについても全従業員への周知徹底を図っています。 労働安全衛生について安全衛生委員会を中心に各ガイドラインの順守と質的向上を図る一方で、働き方の選択肢の拡充にも取り組んでおります。 なお2024年度時点で育児休業取得希望者は100%取得の達成を継続しております。 人権方針に関する取り組みについては、以下の人権デューディリジェンスをご参照ください。 ⑤人権デューディリジェンス 当社は、当社の人権方針に則り、当社事業活動によって影響を受ける人々を対象とした人権デューディリジェンスを実施し、顕著な人権課題を特定しています。 人権デューディリジェンスの実施にあたっては、「国連指導原則 報告フレームワーク」及びUNDP*のアジアにおけるビジネスと人権「HRDD 研修進行ガイド」(2021 年)を参考にしています。 *UNDP(国連開発計画):貧困や格差、気候変動といった不公正をなくすための活動を行う国連の機関 具体的には、当社事業活動によって影響を受ける主要なライツホルダーを自社従業員・サプライヤー・顧客/エンドユーザー・地域住民の4つのカテゴリーに分け、当社にとってのリスクではなく、影響を受けるこれらのカテゴリーの人々へのリスクに着目し、潜在的な人権リスクの洗い出しを行いました。 その上で、リスクの深刻度とリスクの発生可能性という2つの観点から優先順位を判断し、下記のヒートマップに整理しました。 その際、発生可能性よりも深刻度に重きをおいた評価を行っております。 ア 顕著な人権課題の特定 上記ヒートマップにおいて優先度が高いと位置づけられた以下の人権課題を当社の事業活動における顕著な人権課題として特定しました。 a.紛争鉱物b.自社従業員に対する公平・公正な処遇 また、顕著な人権課題と比べると優先度は低くなるものの、以下の人権課題についても、そのリスクを認識し、取り組みを進めてまいります。 c.職場における安全衛生(自社従業員)d.健康被害(顧客/エンドユーザー・地域住民) 当社は、今後も定期的に人権デューディリジェンスを実施し、顕著な人権課題の見直しを行ってまいります。 イ 対応策 当社は、顕著な人権課題に対して、次のように取り組んでいます。 a.紛争鉱物・当社は、貴金属めっき薬品の製造において貴金属を使用します(金、パラジウム、白金等)。 ・紛争鉱物不調達の取り組みを進めるため、貴金属の調達にあたっては、事前にLBMA認定*を受けた企業であることを確認しています。 ・当社の調達方針・CSRガイドライン等において、サプライヤーへの遵法のお願い事項を定め、取引先に対して定期的に調査を行っています。 調査の結果、問題があると判断した場合には、改善要請を行うと共に、十分な改善が行われない場合は、取引を中止する等の措置を講じることとしています。 * LBMA(ロンドン地金市場協会)認定とは、金融市場における金や貴金属の取引に関連する重要な認証であり、金やその他の貴金属が紛争鉱物ではないということを証明することが可能となります。 LBMA認定は金や貴金属が紛争鉱物ではないことを証明するための重要なメカニズムとなっており、国際的な金融市場において、責任ある取引の基準を確立しています。 b.自社従業員に対する公平・公正な処遇・当社は、少人数体制の下、業務の属人性に伴う長時間労働が散見されている現状に対応し、従業員のワークライフバランスを改善するための取り組みに着手しています。 ①育児休業 希望者全員の取得 ②柔軟な働き方(勤務時間、勤務場所)の導入検討・当社の女性活用に関する取り組みは以下の通りです。 ①女性管理職の養成(キャリア採用とキャリア支援プログラムによるサポート)c.職場における安全衛生(自社従業員)・当社は少人数でありながら正社員・パートタイマー・派遣社員からなる製造部門を有しており、労働安全衛生法において定められている第一種衛生管理者が複数名在籍し各職場における安全衛生を管理監督するとともに、各職場の代表で構成する安全衛生委員会が委託産業医とともに定期的な職場巡視等を行い労働環境の維持改善に努めております。 ①第一種衛生管理者の資格取得奨励(2025年6月現在2名在籍) ②安全衛生委員会メンバーと産業医による職場巡視(年3回実施) d.健康被害(顧客/エンドユーザー・地域住民)・当社では様々な薬品を取り扱っており、中には劇物毒物に該当するものがあります。 劇毒物の取扱いに必要な資格・免許は当然取得済みであり、薬品の取扱いについて関連法規、ISO9001/14001などの国際規格、更に顧客要請等に準拠した厳格な手順を確立し、各ステークホルダーに及ぶ健康被害を決して出さないよう誠実に事業運営しております。 ①薬品取扱い等に関する関連法規の更新情報の定期確認(毎月実施) ②緊急事態訓練の励行(毎年実施) ■知的無形資産の質的向上 当社は知識集約型企業であり、製造業でありながら大きな製造設備を保持しておりません。 事業活動において最も大切なのは人的資本であり、研究開発活動を通じて人材が生み出す「レシピ」や、50年以上に渡って顧客課題に向き合い解決してきた「ノウハウ」や「顧客との信頼関係」です。 そういった無形の資産の可用性を高めるとともに機密の流出を防ぐ、攻めと守りの両面から取り組んでいくことが知的無形資産の価値の最大化につながるものと認識しています。 昨今の知識集約型経済においてはこれらの無形資産が競争力の源泉となることから、継続的な投資と戦略的な対応が必要不可欠です。 当社では主に情報システムの活用により知的無形資産の価値を高めることにより、持続的な成長と市場での優位性の確立を目指しています。 ■経営基盤の強化 当社は、持続的な成長と企業価値の向上を実現するため、経営基盤の強化を経営上の重要事項として位置づけています。 これは、中期経営計画の着実な実行を支えるモニタリングシステムの運営や、株主・投資家の皆様への情報開示の充実といった事業の拡大につながる施策のほか、製品の品質保証や安全管理の強化、情報セキュリティ事故の未然防止、調達リスクへの対応、職場の安全衛生の確保など、負の影響を排除し企業運営の根幹となる基礎的要素を含みます。 これらを強化することにより、環境変化への柔軟な対応力を高め、リスクへの耐性を向上させるとともに、事業の安定的かつ効率的な運営が可能となります。 特に昨今の経済・社会の不確実性が高まる中で持続可能な成長を遂げるためには、強固な経営基盤の構築が不可欠であると判断し、戦略的に取り組んでいます。 |
人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略 | ■人的資本経営の推進 当社は知識集約型・開発型の企業であり、人的資本が企業価値向上の源泉であるため、マテリアリティのうちでも特に重点的に取り組む課題としています。 社員が「能動型自律人材」(*1)へと成長し、ウェルビーイングのもとでその能力を会社の経営戦略と一致する方向で発揮することで、製品開発や営業活動をはじめとする事業活動が活性化され、当社事業が成長する機会になります。 一方でこれが損なわれると成長機会を失うリスクとなります。 また、従業員が安心して働くことのできる安全な職場環境の整備を行うことが従業員の働く意欲を高める基礎となるため、これを推進することが当社事業の成長につながる機会となります。 一方でこれを怠ると成長機会を失うリスクとなります。 よって、当社の企業理念に基づく中長期ビジョンを実現するためには「人的資本経営の推進」が欠かせません。 この人的資本経営の推進を実現させるために、①企業理念に共感し、ビジョンの実現に主体的に参画する組織風土の醸成 ②能動型自律人材の採用と育成 ③働きやすく、やりがいを感じる職場環境の整備 という3つのテーマに沿って人的資本方針を策定し、サステナビリティ委員会の管轄のもとで実行しております。 この方針のもとで、全従業員が主体的に経営に参画する企業風土を育み、人的資本経営の実現を目指します。 当中期経営計画期間(2025~2027年度)における進捗はエンゲージメントスコア等によりモニタリングしてまいります。 ① 企業理念に共感し、ビジョンの実現に主体的に参画する組織風土の醸成・経営層とコミュニケーションを取る機会の充実や、社長をはじめとした経営者からの情報発信を質量両面で拡充することにより経営への関心を高め、より主体的に経営に参画する企業風土を醸成します。 ② 能動型自律人材の採用と育成・人材投資を拡大することにより、能動型自律人材に相応しい賃金体系を維持・継続し続けることに加えて、成長に向けて必要な教育や自己啓発の機会を整備してまいります。 また、キャリア採用を通じた多様性に富んだ職場環境によって社員の成長意欲を引き出すとともに、能動型自律人材の要素である挑戦、遂行、共働を促す仕掛けや実践する機会を増やしてまいります。 ③ 働きやすく、やりがいを感じる職場環境の整備・社員のウェルビーイングにつながる諸制度・施策の充実、働き方の選択肢の拡大、1on1等によるキャリア支援の拡充等に継続的に取り組んでいきます。 ・育児休業については、現状、希望者は全員取得しております。 今後も当社の福利厚生制度の説明の機会等において育児休業制度の周知と一層の浸透を図っていきます。 「育児休業取得率」をモニタリングします。 ・女性管理職についてはキャリア採用と併せてキャリア支援プログラムによるサポートを検討・実行します。 「女性管理職比率」をモニタリングします。 <人的資本経営にかかる労働安全衛生、人権、健康等に関する方針や取組み>①「人材採用・育成方針」 一人ひとりが当事者意識をもった「能動型自律人材」(*1)の採用・育成に加え、スキル・経験・知識を備えた人材(性別・年齢・国籍を問わない)の登用等を通じた人材の多様性の確保を推進します。 (*1)当社は、「能動型自律人材」を以下の3つに定義づけております。 1)好奇心をもって挑戦する人材社会の変化を先取りし、好奇心と探求心をもって果敢に新しいことに挑戦します2)当事者意識をもってやり遂げる人材自ら考えて行動し、常に全体最適の視点で最後まで責任をもってやり遂げます3)多様性を尊重し周囲と協働できる人材人を思いやり、つながりや個性を大切にすることで組織の可能性を最大化します ②「労働・安全衛生方針」(社内環境整備方針)ア 労働慣行について当社は、従業員の人権を含む各種の国際規範を尊重し、従業員に対して尊厳をもって扱います。 イ 安全衛生について当社は、労働関連の負傷や疾病を最小限に抑えることに努め、安全で健康な職場環境により、製品・サービスの質の向上や従業員の定着とモラルの向上を目指します。 また、当社は、職場の衛生と安全問題を特定し解決するために、継続的な従業員への情報提供と教育を実施します。 ③人権の尊重に関する取り組み(「人権の尊重に関する基本方針」) 当社は「化学の好奇心でエレクトロニクスに役立てる」を企業理念とし、「社会課題と向き合い多様な視点と独自の発想力を発揮し、エレクトロニクス業界を牽引するファインケミカル企業となる」ことを目標としております。 そして、当社は事業活動を通じて様々なステークホルダーの人権に負の影響を引き起こし、または助長する可能性があることを認識しており、前述した目標の達成のためにもこうした人権侵害を回避し、全ての人々の人権が尊重されなければならないことを理解しております。 そこで、当社は「人権の尊重に関する基本方針」を以下の通り定め、当社の全ての役員と社員にて遵守してまい ります。 「人権の尊重に関する基本方針」ア 人権に対する基本的な考え方 当社は、人権尊重の取り組みを推進し、その責務を果たすため、すべての人々の基本的人権を規定した国連の「国際人権章典」及び「ビジネスと人権に関わる指導原則」、国際労働機関(ILO)の「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」などの人権に関する国際規範を支持・尊重し、それらを踏まえて実践に努めます。 また、事業活動を行う国や地域の法令を遵守し、国際的に認められた人権と各国や地域の法令との間で相反する要請がある場合は国際的に承認された人権の原則を追求します。 イ 人権尊重 当社は多様性を尊重し、出生、国籍、人種、民族、信条、性別、年齢、職業、雇用形態、学歴、性的指向、性自認、婚姻、妊娠、疾病、障害、社会的身分または門地などいかなる差別、ならびにパワーハラスメント、セクシャルハラスメント等のあらゆるハラスメント行為を行いません。 また、強制労働や児童労働は認めません。 ウ 適用範囲 本方針は、当社の全役員・全従業員(正社員・契約社員・派遣社員を含む)に対して適用されます。 また、当社のサプライヤーやビジネスパートナーに対して本方針を支持し、人権尊重に努めるよう働きかけ、協働して人権尊重を推進します。 エ 取り組み・デューディリジェンス 当社は、人権デューディリジェンスの仕組みを構築し、これを継続して実施することで人権への負の影響の特定・評価を行い、その影響を防止・軽減することに取り組みます。 ・救済 当社が人権への負の影響を引き起こした、あるいはこれを助長したことが判明した場合、適切な手続きを通じてその救済に取り組みます。 ・教育 当社は、本方針の実効性を担保するため、当社の役員・従業員に対して適切な教育を行います。 ・苦情処理メカニズム 当社は人権への負の影響を含む懸念を早期に発見し、対処するため通報制度を設けています。 通報においては、通報者の匿名性や通報内容の秘匿性を担保します。 また通報者に対し通報を理由とする不利益な取り扱いは行いません。 ・情報開示 人権尊重の取り組みの進捗状況及びその結果について、当社ウェブサイト等を通じて報告していきます。 ④人的資本方針に関する指標と目標・具体的な取り組み 当社は人的資本方針に関して以下の取り組みを行っています。 いずれの取り組みも、当中期経営計画期間においても指標と目標を設け達成度合いを測定する予定です。 能動型自律人材となりうる人材を豊富に獲得するため、2023年度採用より各部門長が部門最適な人材像を確立し主体的に採用活動を展開する採用方式を導入しております。 人材育成については、従業員全員が参集し経営方針の浸透と組織風土の醸成等を図る全社方針説明会の半期毎の開催をはじめ、各部門にて毎月1on1ミーティングを開催する等の活動により、当社に必要な人材像の理解の深化を図りました。 また、コンプライアンス等の人権関連課題についての当社取り組みについても全従業員への周知徹底を図っています。 労働安全衛生について安全衛生委員会を中心に各ガイドラインの順守と質的向上を図る一方で、働き方の選択肢の拡充にも取り組んでおります。 なお2024年度時点で育児休業取得希望者は100%取得の達成を継続しております。 人権方針に関する取り組みについては、以下の人権デューディリジェンスをご参照ください。 ⑤人権デューディリジェンス 当社は、当社の人権方針に則り、当社事業活動によって影響を受ける人々を対象とした人権デューディリジェンスを実施し、顕著な人権課題を特定しています。 人権デューディリジェンスの実施にあたっては、「国連指導原則 報告フレームワーク」及びUNDP*のアジアにおけるビジネスと人権「HRDD 研修進行ガイド」(2021 年)を参考にしています。 *UNDP(国連開発計画):貧困や格差、気候変動といった不公正をなくすための活動を行う国連の機関 具体的には、当社事業活動によって影響を受ける主要なライツホルダーを自社従業員・サプライヤー・顧客/エンドユーザー・地域住民の4つのカテゴリーに分け、当社にとってのリスクではなく、影響を受けるこれらのカテゴリーの人々へのリスクに着目し、潜在的な人権リスクの洗い出しを行いました。 その上で、リスクの深刻度とリスクの発生可能性という2つの観点から優先順位を判断し、下記のヒートマップに整理しました。 その際、発生可能性よりも深刻度に重きをおいた評価を行っております。 ア 顕著な人権課題の特定 上記ヒートマップにおいて優先度が高いと位置づけられた以下の人権課題を当社の事業活動における顕著な人権課題として特定しました。 a.紛争鉱物b.自社従業員に対する公平・公正な処遇 また、顕著な人権課題と比べると優先度は低くなるものの、以下の人権課題についても、そのリスクを認識し、取り組みを進めてまいります。 c.職場における安全衛生(自社従業員)d.健康被害(顧客/エンドユーザー・地域住民) 当社は、今後も定期的に人権デューディリジェンスを実施し、顕著な人権課題の見直しを行ってまいります。 イ 対応策 当社は、顕著な人権課題に対して、次のように取り組んでいます。 a.紛争鉱物・当社は、貴金属めっき薬品の製造において貴金属を使用します(金、パラジウム、白金等)。 ・紛争鉱物不調達の取り組みを進めるため、貴金属の調達にあたっては、事前にLBMA認定*を受けた企業であることを確認しています。 ・当社の調達方針・CSRガイドライン等において、サプライヤーへの遵法のお願い事項を定め、取引先に対して定期的に調査を行っています。 調査の結果、問題があると判断した場合には、改善要請を行うと共に、十分な改善が行われない場合は、取引を中止する等の措置を講じることとしています。 * LBMA(ロンドン地金市場協会)認定とは、金融市場における金や貴金属の取引に関連する重要な認証であり、金やその他の貴金属が紛争鉱物ではないということを証明することが可能となります。 LBMA認定は金や貴金属が紛争鉱物ではないことを証明するための重要なメカニズムとなっており、国際的な金融市場において、責任ある取引の基準を確立しています。 b.自社従業員に対する公平・公正な処遇・当社は、少人数体制の下、業務の属人性に伴う長時間労働が散見されている現状に対応し、従業員のワークライフバランスを改善するための取り組みに着手しています。 ①育児休業 希望者全員の取得 ②柔軟な働き方(勤務時間、勤務場所)の導入検討・当社の女性活用に関する取り組みは以下の通りです。 ①女性管理職の養成(キャリア採用とキャリア支援プログラムによるサポート)c.職場における安全衛生(自社従業員)・当社は少人数でありながら正社員・パートタイマー・派遣社員からなる製造部門を有しており、労働安全衛生法において定められている第一種衛生管理者が複数名在籍し各職場における安全衛生を管理監督するとともに、各職場の代表で構成する安全衛生委員会が委託産業医とともに定期的な職場巡視等を行い労働環境の維持改善に努めております。 ①第一種衛生管理者の資格取得奨励(2025年6月現在2名在籍) ②安全衛生委員会メンバーと産業医による職場巡視(年3回実施) d.健康被害(顧客/エンドユーザー・地域住民)・当社では様々な薬品を取り扱っており、中には劇物毒物に該当するものがあります。 劇毒物の取扱いに必要な資格・免許は当然取得済みであり、薬品の取扱いについて関連法規、ISO9001/14001などの国際規格、更に顧客要請等に準拠した厳格な手順を確立し、各ステークホルダーに及ぶ健康被害を決して出さないよう誠実に事業運営しております。 ①薬品取扱い等に関する関連法規の更新情報の定期確認(毎月実施) ②緊急事態訓練の励行(毎年実施) |
人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績、指標及び目標 | ④人的資本方針に関する指標と目標・具体的な取り組み 当社は人的資本方針に関して以下の取り組みを行っています。 いずれの取り組みも、当中期経営計画期間においても指標と目標を設け達成度合いを測定する予定です。 能動型自律人材となりうる人材を豊富に獲得するため、2023年度採用より各部門長が部門最適な人材像を確立し主体的に採用活動を展開する採用方式を導入しております。 人材育成については、従業員全員が参集し経営方針の浸透と組織風土の醸成等を図る全社方針説明会の半期毎の開催をはじめ、各部門にて毎月1on1ミーティングを開催する等の活動により、当社に必要な人材像の理解の深化を図りました。 また、コンプライアンス等の人権関連課題についての当社取り組みについても全従業員への周知徹底を図っています。 労働安全衛生について安全衛生委員会を中心に各ガイドラインの順守と質的向上を図る一方で、働き方の選択肢の拡充にも取り組んでおります。 なお2024年度時点で育児休業取得希望者は100%取得の達成を継続しております。 人権方針に関する取り組みについては、以下の人権デューディリジェンスをご参照ください。 |
事業等のリスク | 3【事業等のリスク】 以下において、当社の事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる事項を記載しております。 当社として必ずしも事業上のリスクとは考えていない事項につきましても投資判断上、あるいは当社の事業活動を理解するうえで重要と考えられる事項については、投資家に対する情報開示の観点から記載しております。 記載された事項で、将来に関する事項は、提出日現在入手可能な情報から当社の経営判断や予測に基づくものです。 a.電子機器業界への依存度が高いことについて 当社製品は、主に電子部品の半導体搭載基板、プリント基板、コネクター、リードフレーム等に用いられており、その販売先は主に電子機器業界であります。 当社の業績は、これらの電子機器業界動向、とりわけスマートフォン市場、パソコン市場の影響を大きく受けます。 b.製品市況及び原材料市況等の影響について 当社の主要製品に使用されている原材料は、貴金属類と薬品類に大別され、金額ベースでは貴金属類が大半を占めております。 薬品類の価格は比較的安定しておりますが、貴金属(金、銀、パラジウム)は国際商品市況に大きく左右されます。 ウクライナ侵攻・台湾有事等の地政学的リスクの顕在化や鉱山の事故等を背景とした原材料の価格高騰、供給制限が生じた場合には、当社の事業活動に影響を及ぼす可能性があります。 なお、貴金属についての顧客との契約は基本的に仕入、販売とも当日の建値を基準に決定しており、受注と同時に貴金属の発注を行うため、利益額については貴金属価格の変動の影響をほとんど受けません。 ただし、回転在庫を確保しておくことによる価格変動リスクが発生するため、納期の短縮や、在庫量を最小限に抑えることで、影響を最小限にとどめるよう努めております。 c.為替変動による影響について 2024年3月期及び2025年3月期における当社の輸出比率は、それぞれ55.6%、48.8%であります。 海外との取引につきましては、円建での決済を基本としておりますが、最近ではドル建による取引が増加傾向にあります。 為替予約等によるリスクヘッジを行っておりますが、これによる当該リスクを完全に回避できる保証はなく、業績が為替変動の影響を受ける可能性があります。 d.研究開発について 電子機器業界における技術革新は著しく、より顧客ニーズに合った製品を提供し、シェアの維持と拡大を行うための研究開発は極めて重要であり、当社は新製品の開発及び既存製品の改良等の研究開発活動を全力で推進しております。 当社は今後とも、最先端デバイス向けめっき薬品をはじめ、ユーザーの更なる性能の向上及びコストダウンに貢献するめっき薬品や、環境に配慮しためっき薬品等の研究開発活動に取組んでいく方針ですが、かかる研究開発活動が当社の計画通りに順調に行われなかった場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。 e.知的所有権について 当社の主力製品である貴金属めっき薬品は、成分組成が複雑であるため、分析による成分組成の解析が困難で同等品としての参入は一般的に容易ではないことに加え、当社が申請した特許が不成立となった場合にはめっき薬品の組成情報が公開されてしまうことから、当社はこれまで貴金属めっき薬品の特許権取得を積極的に行っておりませんでした。 しかしながら、近年の有機分析技術の進展を受け、今後の新技術の研究開発については、組成情報による特許出願ではなく物理化学定数で規定するパラメーター特許出願により技術保全を重視していく方針です。 ただし、出願する特許がすべて登録されるとは限らず、また、当社の研究開発を超える優れた研究開発がなされた場合には、当社の事業戦略に影響を及ぼす可能性があります。 入念な事前調査を行っているにもかかわらず、当社が開発・販売する製品が第三者の知的所有権を侵害しているものと判断された場合や、当社製品に関連する新しい他社特許が認可された場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。 f.技術ノウハウの流出及び漏出について 当社の技術情報には、めっき薬品の開発経緯、めっき薬品の組成・成分、当社と顧客間との技術データ等があります。 これらの技術情報は所定の保管庫に収納し、日次管理を行っており、外部への持出、複写等を禁じております。 特にめっき組成・成分につきましては、当社特有の呼称に変換して記載するなど、漏出防止に努めております。 しかしながら、最近は社外とのコミュニケーションにメール、フラッシュメモリ、プロジェクター等を使用するケースが増加しており、万が一これらの情報が外部へ漏出した場合には、めっき薬品の成分分析結果と漏出情報との照合により類似品製造が可能になると考えられ、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。 さらに、WEB会議や在宅ワーク等といった働き方が浸透するに伴い、ITツールを利用する機会が多くなり厳密な社内管理ルールで運用しているにもかかわらず、セキュリティ事故等により一部の営業機密等が漏洩し、当社の事業に影響を及ぼす可能性があります。 なお、社員採用時に当社の方針、守秘義務、機密保持等の理解を徹底しておりますが、退職者が出た場合には、退職後相当期間も含む守秘義務契約にもかかわらず、一部の技術情報等が流出し、当社の事業に影響を及ぼす可能性は否定できません。 g.人材の確保、育成について 当社は、各社員が自らの役割を遂行することはもちろん、各々が常に全体観を持って業務を推進しております。 現状では、知名度の向上、採用活動の強化、教育・研修の拡充等の施策により優秀な人材を確保できる状況にありますが、今後、研究開発体制の更なる強化、更なる海外展開、新事業分野への進出等にともなう業容の拡大に際し、当社の求める人材を十分に確保、育成できない場合には、今後の事業推進に影響を及ぼす可能性があります。 h.法的規制について 当社は、めっき薬品の原材料として「毒物及び劇物取締法」の対象となる薬品を使用しているため、その販売、製造、輸入等に関して同法の規制を受けております。 当社は、劇物、毒物に関する販売業登録、製造業登録及び輸入業登録等を取得しており、徹底した社内管理体制を確立し、法令遵守に努めております。 しかしながら、万が一法令違反があった場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。 i.廃棄物等の管理について 当社の製造または実験過程において生じる廃液及び大気中への排出物については、環境に配慮した適切な処理が必要とされます。 当社は、廃液についてはその濃度に応じて、排水処理装置での処理、または外部委託処理を行っております。 排気管理については実験室及び製造工程における局所排気を通じ排気ガス処理装置で処理しております。 これらの取組みの結果、現在まで行政からの指導、地域住民等からの申入れ等を受けたことはありませんが、将来において当社の排出物の管理に何らかの問題が生じた場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。 j.被災時の対策について 当社はこれまで全部門が単一拠点に集中することで意思決定の迅速さ、生産効率と顧客満足の向上に努めてまいりました。 一方、東日本大震災後、BCP(事業継続計画)の重要性が注目され、当社主要顧客からBCP策定を要求される機会も増しております。 当社としましては、主要製品の在庫保有と主要顧客向け外部倉庫の運用をしております。 また、当社事務棟で主要製品の製造スペース及び設備導入などの準備が完了し、緊急時製造拠点として確保しました。 しかしながら、首都圏において大規模な震災等が発生した場合、一時的に製品製造や出荷等が滞り、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。 |
経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 | 4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 (1)業績等の概要 当期の世界経済は、緩やかな回復基調を見せましたが、各国の貿易・金融政策や地政学的リスクの高まりなどにより先行きが不透明な状況が継続しました。 資源・エネルギー価格の上昇や物流の遅延がインフレに影響を与え、各国の金融政策に影響を及ぼし、金利・為替・株式相場の変動を引き起こしています。 米国では堅調な雇用と所得環境に支えられた個人消費の増加により景気は堅調に推移しました。 しかし、政策金利の引き下げがあったものの依然として高水準を維持し、関税によりさらなるインフレが懸念され、予断を許さない状況です。 欧州では個人消費が堅調で緩やかな回復基調が続きましたが、製造業の不振が長期化し、成長は鈍化しました。 中国では景気刺激策や対中制裁関税実施前の駆け込み輸出の増加により回復しましたが、不動産投資や個人消費の低迷により低調な状況が続きました。 日本経済においては堅調な個人消費やインバウンド需要を背景に緩やかな回復基調にありますが、物価の上昇は続いており、製造業は力強さを欠いています。 電子部品業界におきましては、生成AI向けの旺盛な需要に牽引されAIサーバ/データセンター向けは好調に推移しましたが、スマートフォンやパソコンなどの民生向けは需要回復に足踏み感がみられ、FA機器などの産業機器向けは在庫調整の長期化により低迷しました。 車載用電子部品については、先進運転支援システムなどの電装化による継続的な需要増はあったものの、電気自動車の成長鈍化などによる在庫調整から停滞感が見られました。 当社におきましては、プリント基板・半導体搭載基板用めっき薬品の販売について、スマートフォンやパソコンなどの民生向けは下期に市場減速の影響を受けましたが緩やかに回復し、生成AI関連の半導体パッケージやモジュール向けは好調に推移しました。 コネクター用めっき薬品の販売については、当社製品の優位性(省金効果)からスマートフォン向けで堅調に推移しました。 車載向けは在庫調整の影響を受けて減速したうえ、産業機器向けで引き続き市場が低迷しました。 リードフレーム用めっき薬品の販売については、当社製品の品質安定性が評価され、スマートフォンやパソコン向けで底堅く推移しました。 また、特定投資株式に関する保有方針に沿って、保有する銘柄の一部を売却しました。 その結果、売上高は12,611百万円(前期比10.4%増)、営業利益は502百万円(前期比41.8%増)、経常利益は657百万円(前期比18.8%増)、当期純利益は1,579百万円(前期比188.1%増)となりました。 最終用途品目別の状況は次のとおりであります。 (プリント基板・半導体搭載基板用) プリント基板や半導体パッケージ基板に適用される貴金属めっき薬品において、スマートフォンやパソコンなどの民生向けは下期に市場減速の影響を受けましたが緩やかに回復し、生成AI関連の半導体パッケージやモジュール向けは好調に推移した結果、売上高は5,708百万円と前期比22.3%の増収となりました。 (コネクター・マイクロスイッチ用) コネクター用めっき薬品の販売において、当社製品の優位性(省金効果)からスマートフォン向けで堅調に推移しました。 車載向けは在庫調整の影響を受けて減速したうえ、産業機器向けで引き続き市場が低迷しました。 その結果、売上高は1,848百万円と前期比14.7%の減収となりました。 (リードフレーム用) リードフレーム用めっき薬品の販売においては、当社製品の品質安定性が評価され、スマートフォンやパソコン向けで底堅く推移し、売上高は4,740百万円と前期比9.6%の増収となりました。 (その他) 売上高は313百万円と前期比21.5%の増収となりました。 〔当期の経営成績〕(単位:百万円) 前年度当年度 増減額増減率補足売上高11,41912,6111,19110.4% 売上原価10,04510,9829379.3%売上原価率87.1%(前年度 88.0%)売上総利益1,3741,62825318.5%売上総利益率12.9%(前年度 12.0%)販売費及び一般管理費1,0201,12510510.4% 営業利益35450214841.8% 経常利益55365710418.8% 当期純利益5481,5791,031188.1% 自己資本利益率3.9%11.3% 7.4% ①売上高 当期の海外での売上高は総売上高の48.8%を占めます。 海外での売上高は62.5%が円建てで、37.5%が外貨建てです。 外貨建てにつきましては、基本的には為替ヘッジをし、為替レートの変動による影響を抑えております。 ②売上原価 売上原価は主として原材料費、工場の人件費から構成されています。 また原材料費は貴金属と一般薬品に分けられます。 このうち一般薬品につきましては、価格は比較的安定しておりますが、貴金属につきましては、その価格変動及び数量の増減は売上原価に大きな影響を与えます。 貴金属についての顧客との契約は基本的に仕入、販売とも当日の建値を基準に決定しており、受注と同時に貴金属の発注を行っております。 ③販売費及び一般管理費 販売費及び一般管理費は、主に人件費、研究開発費、減価償却費などであります。 当期は前期に比べ積極的な成長投資を実施したことにより、主に人件費及び減価償却費が増加しました。 ④自己資本利益率当期は純利益の増加に伴い、自己資本利益率は11.3%と前期比で7.4ポイント改善しております。 (2)財政状態の状況(単位:百万円) 2024年3月末2025年3月末 増減額主な増減理由 流動資産8,0039,5441,540現金及び預金+1,425、原材料及び貯蔵品+198 固定資産9,1366,312△2,824投資有価証券△2,821資産合計17,14015,856△1,284― 流動負債333784450未払法人税等+446 固定負債2,2691,477△792繰延税金負債△792負債合計2,6032,261△341―純資産合計14,53713,594△943その他有価証券評価差額金△1,862繰越利益剰余金+864負債純資産合計17,14015,856△1,284― ①資産 当期末の総資産は15,856百万円となり、前期比1,284百万円の減少となりました。 流動資産は、主に前期比で政策保有株式の売却が進んだ結果、現金及び預金が増加し、1,540百万円増の9,544百万円となりました。 固定資産は主に投資有価証券の減少により、2,824百万円減の6,312百万円となりました。 ②負債 当期末の負債総額は2,261百万円となり、前期末比341百万円の減少となりました。 流動負債は、収益増及び政策保有株式の売却により未払法人税等が446百万円増加し784百万円となりました。 固定負債は繰延税金負債の減少により792百万円減の1,477百万円となりました。 ③純資産 当期末の純資産は13,594百万円となり、前期末比943百万円の減少となりました。 これは利益剰余金が当期純利益による増加、剰余金の配当による減少を主に864百万円増加したものの、有価証券評価差額金が1,862百万円減少したことによるものです。 (3)資本の財源及び資金の流動性①キャッシュ・フローの状況の分析(単位:百万円) 前年度当年度 増減額主な増減理由 営業活動によるキャッシュ・フロー684579△104税引前当期純利益+1,444投資有価証券売却損益(△は益)△1,341棚卸資産の増加△313 投資活動によるキャッシュ・フロー1661,5221,355投資有価証券の売却による収入+1,414 財務活動によるキャッシュ・フロー△457△676△218配当金支払額の増加△254現金及び現金同等物の増減額(△は減少)3931,4251,032―現金及び現金同等物の期首残高5,4655,858393―現金及び現金同等物の期末残高5,8587,2841,425― 当期末の現金及び現金同等物の残高は、7,284百万円となり、前期比1,425百万円の増加となりました。 これは投資有価証券の売却が主な要因です。 なお、当期におけるキャッシュ・フローの状況の分析は以下のとおりであります。 (営業活動におけるキャッシュ・フロー) 営業活動によるキャッシュ・フローは579百万円の収入となり、前期比104百万円の減少となりました。 これは主に営業利益が改善したものの棚卸資産が前期に比べ増加したことによるものです。 (投資活動におけるキャッシュ・フロー) 投資活動によるキャッシュ・フローは1,522百万円の収入となり、前期比1,355百万円の収入増となりました。 これは投資有価証券の売却による収入が1,414百万円増加したことによるものです。 (財務活動におけるキャッシュ・フロー) 財務活動によるキャッシュ・フローは676百万円の支出となり、前期比218百万円の支出増となりました。 これは主に配当金の支払額が254百万円増加したことによるものです。 ②財務政策 当社の事業は前述の「第2[事業の状況] 3[事業等のリスク]」 に記載のとおり様々なリスクを伴っており、運転資金としては将来予測可能な資金需要に対して十分な流動性ある資産を確保していく方針です。 現在、運転資金及び経常的な設備投資資金については手許資金で賄っておりますが、中期経営計画で掲げる事業拡大のための戦略投資に向けては、政策保有株式の売却に伴う資金を積極的に活用する予定です。 当社の株主還元の基本方針は下記の3点であります。 (1) 長期的な成長を目指して資本効率と財務健全性のバランスを取る (2) プライム市場上場会社として、当面の業績に大きく左右されない一定レベルの株主還元に積極的に取り組む(3) 配当性向に加えDOE(自己資本配当率)5%を下限とした配当方針を採用する 配当については、後述の「第4[提出会社の状況] [配当政策]」をご参照ください。 また、自己株式の取得についても状況に応じて機動的に実施を検討いたします。 (4)生産、受注及び販売の実績 当社は単一セグメントのためセグメント毎の記載はしておりません。 ①生産実績用途品目別第54期(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)金額(千円)前年同期比(%)プリント基板・半導体搭載基板用5,700,898122.5コネクター・マイクロスイッチ用1,848,74485.3リードフレーム用4,744,990109.4その他311,388121.1合計12,606,021110.4(注) 上記の金額は、販売価格によっております。 ②受注実績用途品目別第54期(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)受注高受注残高金額(千円)前年同期比(%)金額(千円)前年同期比(%)プリント基板・半導体搭載基板用5,717,915114.1538,898101.7コネクター・マイクロスイッチ用1,850,11588.836,153105.8リードフレーム用4,669,610112.9130,30764.6その他344,234146.134,0291,129.6合計12,581,876109.8739,38996.2 ③販売実績用途品目別第54期(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)金額(千円)前年同期比(%)プリント基板・半導体搭載基板用5,708,974122.3コネクター・マイクロスイッチ用1,848,14285.3リードフレーム用4,740,883110.0その他313,217121.5合計12,611,218110.4 (注)1 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合相手先前事業年度当事業年度販売高(千円)割合(%)販売高(千円)割合(%)イビデン株式会社2,656,24323.33,412,02327.1兼松株式会社1,707,72215.01,943,72515.4株式会社コタベ1,407,50012.31,775,50414.1CHANG WAH TECHNOLOGY Co.Ltd1,304,81311.41,667,27513.2 (注)2 最近2事業年度の主要な輸出先及び輸出販売高及び割合は、次のとおりであります。 なお、( )内は、総販売実績に対する輸出高の割合であります。 輸出先第53期(自 2023年4月1日至 2024年3月31日)第54期(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)台湾2,021,40731.82,726,94944.3韓国661,30810.4517,3078.4シンガポール・マレーシア2,016,02531.71,353,48722.0中国562,6698.9577,0299.4その他の地域1,092,85317.2976,62715.9合計6,354,265(55.6%)100.06,151,401(48.8%)100.0 (5)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。 この財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。 詳細につきましては「第一部〔企業情報〕第5〔経理の状況〕1〔財務諸表等〕〔注記事項〕重要な会計方針」をご参照ください。 |
研究開発活動 | 6【研究開発活動】 (1)研究開発活動の基本方針 当社の研究開発部門のミッションは、「化学の好奇心でエレクトロニクスに役立てる」の企業理念の下、独創的な製品をエレクトロニクス業界に提供することです。 エレクトロニクス業界は急速にグローバル化が進んでおり、これに対応するには、当社の研究開発業務を、ソフト技術、材料技術の両面より推進する必要があります。 ソフト技術を駆使してグローバル化に対応しながら、一方では次世代の材料技術を長期的な視野で育成していくのが当社の研究開発の基本方針です。 ソフト技術とは、顧客の製品、要求性能、設備に合わせて最適なトータルプロセスを提案する技術です。 対象となる電子デバイスは多様であり、顧客の設備も多様であるため、当社の既存のめっき薬品使用条件だけでなく前工程、後工程のニッチトップ企業との協力を含む組み合わせで、顧客に最適なトータルプロセスを提案することが要求されます。 一方、材料技術とは、既存の薬品では対応できないような課題を解決するための新しい薬品を開発する業務です。 新規化合物を発見しないと問題が解決されないような製品には、新規化合物の環境試験も行わねばならず、開発から製品化までには数年の検討期間が必要になることもあり、長期間にわたる計画が必要です。 なお、当社は単一セグメントのためセグメント毎の記載はしておりません。 (2)研究開発活動の主要課題 当社は、会社設立以来、エレクトロニクス業界を最大のターゲットとして貴金属めっき薬品を提供してまいりました。 近年、めっき液の低金濃度化やめっき皮膜の薄膜化による金使用量を削減(省金化)した仕様が浸透しつつあり、めっき皮膜物性を維持しつつ、このような仕様に対応することが主要課題となっております。 そのような状況の中でも業界に先駆けてFC-BGA(Flip-Chip Ball Grid Array)パッケージ用無電解金めっき薬品のシアンフリー化を達成しており、技術課題の解決と環境配慮志向の両面で新たな価値を提供しています。 さらに、省金化に伴う貴金属めっき薬品の販売量低下を補うべく、これまでに集積した貴金属めっき技術を、エレクトロニクス業界以外へ展開すること、貴金属以外のめっき技術へ応用することも課題として取り組んでおります。 その一つが電池材料への展開です。 電気自動車や再生可能エネルギーの導入拡大に伴い、従来よりも安価で軽量かつ長寿命な電池が求められています。 電池の充放電反応は、めっきと同じ酸化還元反応(Redox反応)を利用しています。 当社はめっき薬品開発で培ったRedox制御技術で電池材料の課題解決にも貢献すべく、新たな技術開発に着手しています。 このような新たな技術開発を推進するためには、従来のめっきだけに留まらない柔軟な思考力と技術開発力が必要となるため、当社の数倍の技術陣容を有する競合めっき薬品メーカーにも対抗できるユニークな発想を持つ技術陣の育成が必要となります。 引き続き、新分野に積極的にチャレンジする人材、資質の高い人材の採用と育成により、技術陣のレベルアップを実現し、開発力の強化を図ってまいります。 同時に、当社単独では困難な技術開発を効率的に実施していくため、最適な外部連携を図ってまいります。 具体的には以下の課題に取り組んでまいります。 ①環境問題対応・有害物質(シアン、鉛)不使用のめっき技術・穀物由来原料の削減・めっき廃液の削減②新規要求に対するデバイス対応・5G対応のめっき技術・高密度実装技術対応のめっき技術・自動車電装化対応めっき技術③新しい事業領域の創出・電解液・電極など電池材料向けの技術開発④効率化・実験データの利活用・メカニズムの可視化 (3)研究開発の成果 当期の研究開発の成果は次のとおりであります。 ①5G対応ニッケル不使用めっき技術(DIG、EPIG) 一般的に厚付けで施されるNiめっき皮膜を使用せず、電子回路の細線化に貢献できる最終表面処理プロセスとして期待されております。 今期は複数顧客で評価が進展し、プロセス全体の最適化と製品化に向けた準備を進めております。 2025年エレクトロニクス実装学会春季講演大会にて、高周波向け用途での伝送損失の優位性に関する展示を行いました。 ②高密度パッケージ用無電解金めっき技術 最先端高密度半導体パッケージ基板用の環境配慮型のシアンフリータイプ無電解金めっき液は、顧客で量産稼働中です。 今期は性能を向上した次世代品を開発し、顧客の最終評価段階に到達しました。 ③半導体配線用金めっき技術 最先端半導体用のシアンフリー電解金めっき液について、顧客評価が進行中です。 ④電池材料 2025年2月に開催された第18回国際二次電池展において、地方独立行政法人 大阪産業技術研究所(ORIST)様のブース内でポスター出展を実施しました。 当社開発品のPRを実施し、サンプルワークを開始しました。 ⑤めっき廃液の削減 廃液量の削減に貢献できる技術として、スタンプ式電解金めっき薬品を開発しました。 この技術は、対象物に必要な部分だけにめっき液を適用することで、従来の浸漬式めっき処理に比べて廃液量の削減が期待できます。 現在、この技術を活用したサンプルワークの準備を進めております。 (4)研究開発費 第54期(2025年3月期)における研究開発費の総額は401,627千円であります。 |
設備投資等の概要 | 1【設備投資等の概要】 当事業年度において実施いたしました設備投資の総額は106,273千円で、その主なものは生産情報システム更新に係わる投資及び研究開発に係る測定分析機器の取得であります。 なお、当事業年度において重要な設備の除去、売却等はありません。 |
主要な設備の状況 | 2【主要な設備の状況】 当社は、本社工場を有しております。 主要な設備は次のとおりであります。 (2025年3月31日現在) 事業所名(所在地)セグメントの名称設備の内容建物、構築物(千円)機械及び装置(千円)車両運搬具(千円)工具、器具及び備品(千円)ソフトウエア(千円)従業員数(名)本社及び本社工場(東京都練馬区)貴金属めっき薬品製造事業統括事業設備製造設備研究開発設備生産情報システム等34,9305,53827073,59761,28852(7)(注)1 本社及び本社工場の建屋を賃借しております。 2 従業員数欄の( )は、臨時雇用者数を外書しております。 |
設備の新設、除却等の計画 | 3【設備の新設、除却等の計画】 2025年3月31日現在における重要な設備の新設、除却等の計画は次のとおりであります。 (1)重要な設備の新設等会社名事業所名 所在地設備の内容投資予定金額資金調達方法着手及び完了予定完成後の増加能力総額(百万円)既支払額(百万円)着手完了提出会社東京都練馬区めっき液分析支援システム6858自己資金2024.112025.4―提出会社東京都練馬区ICP分析装置15-自己資金2025.102025.10― (2)重要な設備の除却等 重要な設備の除却等の計画はありません。 |
研究開発費、研究開発活動 | 401,627,000 |
設備投資額、設備投資等の概要 | 106,273,000 |
Employees
平均年齢(年)、提出会社の状況、従業員の状況 | 39 |
平均勤続年数(年)、提出会社の状況、従業員の状況 | 13 |
平均年間給与、提出会社の状況、従業員の状況 | 8,086,000 |
Investment
株式の保有状況 | (5)【株式の保有状況】 ①投資株式の区分の基準及び考え方 当社は、保有目的が純投資目的である投資株式と純投資目的以外の目的である投資株式の区分について、事業戦略、取引先との事業上の関係において、当社の営業活動、事業活動又は財務活動の取引関係強化に資するかどうかを基準としています。 ②保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式a.保有方針及び保有の合理性を検証する方法並びに個別銘柄の保有の適否に関する取締役会等における検証の内容・特定投資株式に関する方針・考え方 当社の中長期的な企業価値向上のために、研究開発・生産・販売等のそれぞれの事業プロセスにおいて、様々な企業との協力関係が必要と考えております。 特定投資株式については、事業戦略及び取引先との事業上の関係において、当社の製品開発や問題解決に協力、フィードバックが期待できる企業についてのみ保有する方針としております。 なお、特定投資株式は、2028年3月までに純資産割合20%未満までの縮減を図る予定です。 ・特定投資株式の保有の適否の検証 特定投資株式の保有合理性について、上記の方針に則り毎年取締役会において検証を行っております。 当事業年度につきましては、5銘柄の株式について売却を実施しております。 b.投資株式のうち保有目的が純投資目的以外の目的であるものの銘柄数及び貸借対照表計上額の合計額 銘柄数(銘柄)貸借対照表計上額の合計額(千円)非上場株式154非上場株式以外の株式165,974,547 (当事業年度において株式数が増加した銘柄) 銘柄数(銘柄)株式数の増加に係る取得価額の合計額(千円)株式数の増加の理由非上場株式---非上場株式以外の株式215,5211社は持株会に加入し毎月購入があるため。 1社は株式分割のため。 (当事業年度において株式数が減少した銘柄) 銘柄数(銘柄)株式数の減少に係る売却価額の合計額(千円)非上場株式--非上場株式以外の株式51,722,768 c.特定投資株式の銘柄ごとの株式数、貸借対照表計上額等に関する情報特定投資株式銘柄当事業年度前事業年度保有目的、業務提携等の概要、定量的な保有効果及び株式数が増加した理由当社株式の保有有無株式数(株)株式数(株)貸借対照表計上額(千円)貸借対照表計上額(千円)㈱JCU600,000880,000同業のめっき薬品メーカーとして当社の製品開発や問題解決に協力、フィードバックが期待できるため、継続して保有しています。 無1,938,0003,476,000シチズン時計㈱671,000671,000めっき材料の取引があり、同社との良好な関係の維持、強化を図るため、継続して保有しています。 有598,532664,961イビデン㈱109,841106,743当社めっき薬品の取引があり、PKG基板のリーディングカンパニーで最先端技術を保有しており、取引拡大が期待されるため継続して保有しています。 (持株会加入による株式数の増加あり)有438,158709,736NOK㈱176,300176,300NOK(株)グループの日本メクトロン(株)と当社めっき薬品の取引があり、フレキシブル基板でのさらなる取引拡大、同社との良好な関係の維持、強化を図るため、継続して保有しています。 有386,008368,995㈱フジクラ66,00066,000当社めっき薬品の取引があり、フレキシブルPKG基板分野でさらなる取引拡大、同社との良好な関係の維持、強化を図るため、継続して保有しています。 無356,268150,348山一電機㈱170,000170,000当社めっき薬品の取引があり、半導体分野のテスターのリーディングカンパニーで最先端技術を保有しており、さらなる取引拡大、同社との良好な関係の維持、強化を図るため、継続して保有しています。 無351,730423,300太陽ホールディングス㈱65,20065,200技術交流をきっかけとした協力関係構築や当社の製品開発、問題解決に協力、フィードバックが期待できるため、継続して保有しています。 有314,264221,028石原ケミカル㈱147,200147,200技術的な協力関係があり、当社の製品開発や問題解決に協力、フィードバックが期待できるため、継続して保有しています。 有310,739273,203兼松㈱117,200117,200当社めっき薬品の取引があり、海外向け販売の要としてさらなる取引拡大、同社との良好な関係を維持し、さらなる取引拡大を図るため継続して保有しています。 有295,109303,782四国化成工業㈱155,000155,000表面処理分野の同業として連携が期待でき当社の製品開発や問題解決に協力、フィードバックが期待できるため、継続して保有しています。 有284,735273,730メック㈱85,00085,000表面処理分野の同業として連携が期待でき当社の製品開発や問題解決に協力、フィードバックが期待できるため、継続して保有しています。 有195,245347,225㈱三井ハイテック269,50053,900当社めっき薬品の取引があり、リードフレーム分野でさらなる取引拡大、同社との良好な関係の維持、強化を図るため、継続して保有しています。 株式分割により、株式数が増加しています。 無186,494470,169フォスター電機㈱81,70081,700車載用部品用途の取引拡大、同社との良好な関係の維持、強化を図るため、継続して保有しています。 有105,719103,350イリソ電子工業㈱36,40036,400当社めっき薬品の取引があり、車載用コネクター分野でさらなる取引拡大、同社との良好な関係の維持、強化を図るため、継続して保有しています。 無94,494110,292 銘柄当事業年度前事業年度保有目的、業務提携等の概要、定量的な保有効果及び株式数が増加した理由当社株式の保有有無株式数(株)株式数(株)貸借対照表計上額(千円)貸借対照表計上額(千円)チップボンドテクノロジーコーポレーション250,000250,000当社めっき薬品の取引があり、ウェハー分野でさらなる取引拡大、同社との良好な関係の維持、強化を図るため、継続して保有しています。 無72,96293,417㈱山王51,90051,900当社めっき薬品の取引があり、コネクター分野でさらなる取引拡大、同社との良好な関係の維持、強化を図るため、継続して保有しています。 無46,08749,772アルコニックス㈱-400,000当事業年度中に全株売却しました。 無-585,200新光電気工業㈱-21,000当事業年度中に全株売却しました。 無-117,957I-PEX㈱-18,400当事業年度中に全株売却しました。 無-32,936大日本印刷㈱-4,410当事業年度中に全株売却しました。 無-20,599(注)1.定量的な保有効果については記載が困難であります。 2.「-」は当該株式を保有していないことを示しております。 ③保有目的が純投資目的である投資株式 該当事項はありません。 |
株式数が増加した銘柄数、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 2 |
株式数が減少した銘柄数、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 5 |
銘柄数、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 1 |
貸借対照表計上額、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 54,000 |
銘柄数、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 16 |
貸借対照表計上額、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 5,974,547,000 |
株式数の増加に係る取得価額の合計額、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 15,521,000 |
株式数の減少に係る売却価額の合計額、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 1,722,768,000 |
株式数、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社 | 51,900 |
貸借対照表計上額、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社 | 46,087,000 |
株式数が増加した理由、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 1社は持株会に加入し毎月購入があるため。 1社は株式分割のため。 |
銘柄、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社 | 大日本印刷㈱ |
保有目的、業務提携等の概要、定量的な保有効果及び株式数が増加した理由、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社 | 技術交流をきっかけとした協力関係構築や当社の製品開発、問題解決に協力、フィードバックが期待できるため、継続して保有しています。 |