財務諸表
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提出書類、表紙 | 有価証券報告書 |
提出日、表紙 | 2025-06-19 |
英訳名、表紙 | Denka Company Limited |
代表者の役職氏名、表紙 | 代表取締役社長 石田 郁雄 |
本店の所在の場所、表紙 | 東京都中央区日本橋室町二丁目1番1号 |
電話番号、本店の所在の場所、表紙 | 03(5290)5512 |
様式、DEI | 第三号様式 |
会計基準、DEI | Japan GAAP |
連結決算の有無、DEI | true |
当会計期間の種類、DEI | FY |
corp
沿革 | 2 【沿革】 1915年5月設立1916年9月東京株式取引所、大阪株式取引所で当社株式定期売買を開始1916年10月大牟田工場(福岡県)にてカーバイド、石灰窒素の製造開始1921年12月青海工場(新潟県)にてカーバイドの製造開始1942年1月大牟田工場にてアセチレンブラックの製造開始1949年5月東京・大阪・名古屋各証券取引所に株式上場(翌1950年1月福岡証券取引所に株式上場)1955年7月樹脂加工会社東洋化学㈱に資本参加(2003年4月当社に合併)1958年10月群馬化学㈱を設立(1973年10月当社に合併し、渋川工場とする)1962年5月東京都町田市に中央研究所(現・デンカイノベーションセンター)完成1962年6月青海工場田海地区にクロロプレン工場完成(国産クロロプレンゴムの製造に成功)1962年11月ポリスチレン等樹脂・化成品の製造会社デンカ石油化学工業㈱を設立(1974年4月当社に合併し、千葉工場とする)1963年5月高圧ガスの製造・販売会社西日本高圧瓦斯㈱に資本参加(2024年6月 資本解消)1965年8月肥料製造会社日之出化学工業㈱の経営権を取得(現・連結子会社)1966年10月機能・加工製品事業開始(デンカポリマー㈱現・連結子会社)1968年4月特殊混和材「デンカCSA」販売開始。 以降各種特殊混和材事業拡大1971年4月デンカエンジニアリング㈱を設立(現・連結子会社)1971年4月大牟田工場にて溶融シリカの製造開始1972年9月山富商事㈱(現YKアクロス㈱)に資本参加1975年9月渋川工場にて高性能接着剤「ハードロック」製造開始1976年6月モノクロル酢酸の製造・販売の合併会社デナック㈱を設立1979年7月東京芝浦電気㈱(現㈱東芝)より同社所有の東芝化学工業㈱の株式を譲受(1982年1月デンカ生研㈱と商号変更。 )1980年9月アセチレンブラック製造のためシンガポールにデンカシンガポールP.L.設立(現・連結子会社)1985年6月渋川工場にて電子基板「HITTプレート」製造開始1987年10月モノシランガス製造・販売の合弁会社デナールシラン㈱設立(現・連結子会社)1989年12月溶融シリカ製造のためシンガポールにデンカアドバンテックP.L.設立(現・連結子会社)1992年1月住友化学工業㈱(現住友化学㈱)との合弁会社千葉スチレンモノマー㈲設立(2014年3月清算)1996年1月塩化ビニール事業を東ソー㈱および三井東圧化学㈱(現三井化学㈱)と事業統合(合弁会社大洋塩ビ㈱)1998年8月東洋化学㈱が金属雨どい製造会社中川テクノ㈱(現・デンカアステック㈱)に資本参加1999年4月ポリスチレン事業を新日鐵化学㈱(現日鉄ケミカル&マテリアル㈱)およびダイセル化学工業㈱(現㈱ダイセル)と事業統合。 合弁会社である東洋スチレン㈱に移管1999年12月デンカ生研㈱が日本証券業協会の店頭登録銘柄に指定(2004年12月にジャスダック証券取引所に株式を上場、2008年3月に上場廃止)2001年7月コンクリート構造物の補修事業会社㈱デンカリノテックを設立2002年10月東洋化学㈱を株式交換により完全子会社化2003年3月大阪・名古屋・福岡各証券取引所の株式上場を廃止2003年4月東洋化学㈱を吸収合併2003年7月デンカアヅミン㈱を設立(現・連結子会社)2006年1月電化精細材料(蘇州)有限公司を設立(現・連結子会社)2007年10月連結子会社のデンカ化工㈱(現デンカテクノアドバンス㈱)運営の伊勢崎工場を当社直接運営体制に変更2008年4月デンカ生研㈱を株式交換により完全子会社化2009年4月アジア地域統括持株会社としてデンカケミカルズホールディングスアジアパシフィックP.L.を設立(2009年6月にデンカシンガポールP.L.およびデンカアドバンテックP.L.を同社の子会社化。 現・連結子会社)2013年12月塩化ビニル製粘着テープ「ビニテープ」製造のため、ベトナムにデンカアドバンストマテリアルズベトナムCO.,LTD.を設立(現・連結子会社)2014年12月アメリカに三井物産㈱との共同出資会社デンカパフォーマンスエラストマーLLCを設立(2015年10月に同社がDuPont社よりクロロプレンゴム事業を譲受、現・連結子会社)2015年8月ドイツのノマッド社より同社が保有するバイオ医薬品研究開発企業アイコンジェネティクスGmbHの全株式のうち、51%を譲受(現・連結子会社)2015年10月商号を「デンカ株式会社」に変更2017年8月アイコンジェネティクスGmbHを完全子会社化2019年6月「監査等委員会設置会社」へ移行2020年4月デンカ生研㈱を吸収合併2021年4月吸収分割により住設関連事業を中川テクノ㈱に承継させ、デンカアステック㈱(現・連結子会社)へ商号変更2023年3月吸収分割によりセメント販売事業をTDセメント販売㈱に承継2023年10月アセチレンブラック製造のためタイにSCG CHEMICALS PUBLIC CO.,LTD.との合弁会社デンカSCGCアドバンストマテリアルズCO.,LTD.を設立(現・連結子会社) |
事業の内容 | 3 【事業の内容】 当社グループ(当社および当社の関係会社)は、当社(デンカ株式会社)、子会社60社および関連会社20社より構成されており、「電子・先端プロダクツ」、「ライフイノベーション」、「エラストマー・インフラソリューション」、「ポリマーソリューション」の製造・販売を主たる業務としているほか、これらに附帯するサービス業務等を営んでおります。 当社グループの事業内容および当社と関係会社の当該事業における位置付けは、次のとおりであります。 なお、次の4部門は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に掲げるセグメントの区分と同一であります。 (1) 電子・先端プロダクツ主要な製品は、溶融シリカ、球状アルミナ、電子回路基板、ファインセラミックス、電子包装材料、アセチレンブラック、電設資材、接着剤、粘着テープ、半導体工程用材料等であります。 当社が製造・販売をおこなうほか、子会社のYKアクロス㈱が当社製品の販売をおこなっております。 国内では子会社のデナールシラン㈱がモノシランガス等の製造・販売をおこなっております。 海外では、シンガポールで子会社のデンカアドバンテックP.L.が溶融シリカおよび球状アルミナの製造・販売、デンカシンガポールP.L.がアセチレンブラックの製造・販売をおこなっております。 また、中国では電化精細材料(蘇州)有限公司が電子部品包装材料の製造・販売、電化電子材料(大連)有限公司がアルシンクの製造・販売をおこない、ベトナムではデンカアドバンストマテリアルズベトナムC.L.が電子部品包装材料およびビニテープの製造・販売をおこなっております。 (2) ライフイノベーション主要な製品は、ワクチン、抗原迅速診断キット、臨床試薬、 がん治療ウイルス製剤等であります。 国内では、当社が当部門主要製品の製造・販売をおこなっております。 海外では、子会社のIcon Genetics GmbH(ドイツ)がバイオ医薬品の研究開発、研究受託、サービスの提供をおこなっております。 またデンカライフイノベーションリサーチP.L.(シンガポール)にて熱帯感染症に対する遺伝子法による簡易診断システム等の研究開発をおこなっております。 (3) エラストマー・インフラソリューション主要な製品は、クロロプレンゴム、肥料、カーバイド、耐火物、特殊混和材、ポリエチレン製コルゲート管等であります。 当社が製造・販売をおこなうほか、子会社のYKアクロス㈱が当社製品の販売をおこなっております。 子会社の日之出化学工業㈱が熔成燐肥の製造を、デンカアヅミン㈱が腐植酸苦土肥料および腐植酸液肥の製造をおこなっております。 海外では、米国において子会社のデンカパフォーマンスエラストマーLLCがクロロプレンゴムの製造を、中国において子会社の電化無機材料(天津)有限公司が特殊混和材の製造・販売を行っているほか、東南アジアでは、デンカインフラストラクチャーマレーシアSdn.Bhd.(マレーシア)が特殊混和材および建設化学品の製造・販売を行っております。 (4) ポリマーソリューション主要な製品は、スチレンモノマー、ABS樹脂、SBC樹脂、N-フェニルマレイミド樹脂、透明樹脂、ポバール、ウィッグ・ヘアピース用合成繊維、食品包装用シート等であります。 当社が製造・販売をおこなうほか、子会社のYKアクロス㈱が当社製品の販売をおこなっております。 国内では子会社のデンカポリマー㈱が食品包装用容器等の製造・販売を、デンカアステック㈱が住設資材の製造・販売をおこなっております。 関連会社の東洋スチレン㈱がポリスチレン樹脂を、デナック㈱がモノクロル酢酸等の製造・販売をおこなっております。 海外ではシンガポールにおいて、子会社のデンカシンガポールP.L.がSBC樹脂、MS樹脂といったスチレン系樹脂と、N-フェニルマレイミド樹脂を、デンカアドバンテックP.L.がウィッグ・ヘアピース用合成繊維の製造・販売をおこなっております。 (5) その他プラントエンジニアリング事業、卸売業等を含んでおります。 子会社のデンカエンジニアリング㈱がプラントエンジニアリング事業を、YKアクロス㈱が当社製品等の卸売を、関連会社の黒部川電力㈱が電力供給事業をおこなっております。 [事業系統図]以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。 |
関係会社の状況 | 4 【関係会社の状況】 名称住所資本金(百万円)主要な事業の内容議決権の所有割合(%)関係内容セグメント事業内容役員の兼務等主な事業上の関係(連結子会社) デンカケミカルズホールディングスアジアパシフィックPte.Ltd. (注)2シンガポール6,870万US$電子・先端プロダクツライフイノベーションエラストマー・インフラソリューションポリマーソリューション東南・南アジアにおける地域統括持株会社100.0当社の役員と兼務1名当社の地域統括持株会社。 デンカシンガポールPte.Ltd. (注)2.3.8シンガポール6,941万S$電子・先端プロダクツポリマーソリューションアセチレンブラックおよび機能樹脂製品の製造・販売100.0(100.0)―当社は技術を供与している。 デンカアドバンテックPte.Ltd. (注)3シンガポール1,700万S$電子・先端プロダクツポリマーソリューション溶融シリカ、球状アルミナおよび合繊かつら用原糸の製造・販売100.0(100.0)―当社は技術を供与している。 デナールシラン㈱東京都中央区500電子・先端プロダクツモノシランガス等の製造・販売51.0当社の役員と兼務1名当社は完成品を購入し、販売している。 電化精細材料(蘇州)有限公司中国江蘇省蘇州市5,544万中国元電子・先端プロダクツ電子包装材料の製造・加工・販売100.0当社の役員と兼務1名当社の製品を原料として供給している。 電化電子材料(大連)有限公司中国遼寧省大連市1,000電子・先端プロダクツ電子材料の加工・販売100.0当社の役員と兼務1名当社の製品を原料として供給している。 デンカアドバンストマテリアルズベトナム CO.,LTD. (注)3ベトナムフンイエン省1,200万US$電子・先端プロダクツ電子包装材料および工業用テープの製造・販売100.0(100.0)―当社は技術を供与している。 デンカSCGCアドバンストマテリアルズCO.,LTD. (注)2.3タイラヨーン県7,219,191千THB電子・先端プロダクツアセチレンブラックの製造・販売60.0(35.0) ―当社は技術を供与している。 デンカパフォーマンスエラストマーLLC (注)2.3アメリカルイジアナ州12,100万US$エラストマー・インフラソリューション合成ゴムの製造・販売70.0(70.0)当社の役員と兼務1名当社は完成品を購入し、販売している。 日之出化学工業㈱京都府舞鶴市300エラストマー・インフラソリューション肥料および化学製品の製造・販売100.0―当社は完成品を購入し、販売している。 ㈱デンカリノテック (注)7東京都中央区50エラストマー・インフラソリューションコンクリート構造物の補修・設計・施工・管理100.0―当社の製品を販売している。 デンカアヅミン㈱岩手県花巻市300エラストマー・インフラソリューション肥料および農業資材の製造・販売100.0―当社は完成品を購入し、販売している。 電化無機材料(天津)有限公司中国天津市250エラストマー・インフラソリューション特殊混和材の製造・販売100.0当社の役員と兼務1名当社の製品を原料として供給している。 デンカインフラストラクチャーマレーシアSdn.Bhd. (注)3マレーシアセランゴール州8,649千MYRエラストマー・インフラソリューション建設化学品の製造・販売100.0(100.0)―当社は技術を供与している。 デンカコンストラクションソリューションズマレーシアSdn.Bhd. (注)3マレーシアセランゴール州1,500千MYRエラストマー・インフラソリューション建設化学品の製造・販売100.0(100.0)―当社は技術を供与している。 ピーティーヒッサントレーディングインドネシア (注)3インドネシアジャカルタ10,001,376千インドネシアルピアエラストマー・インフラソリューションインドネシアにおける特殊混和材等の販売100.0(100.0)―当社の製品を販売している。 名称住所資本金(百万円)主要な事業の内容議決権の所有割合(%)関係内容セグメント事業内容役員の兼務等主な事業上の関係デンカポリマー㈱東京都江東区2,080ポリマーソリューション各種包装材料およびプラスチック製容器の製造・販売100.0―当社の製品を原料として供給している。 デンカアステック㈱東京都港区50ポリマーソリューション雨どい製品の製造・加工・販売100.0―当社は製品の製造を受託している。 電化(上海)管理有限公司中国上海市200万US$その他各種製品の販売および中国内グループ会社の統括会社100.0当社の役員と兼務1名当社の地域事業統括会社。 デンカケミカルズG.m.b.Hドイツデュッセルドルフ256千ユーロその他化学品および電子製品の輸出入・販売100.0当社の役員と兼務1名当社の製品を販売している。 デンカエンジニアリング㈱千葉県市原市50その他各種産業設備および輸送設備等の設計・施工100.0―当社の建設工事に伴う設計・施工等をしている。 YKアクロス㈱ (注)2東京都港区1,200その他無機工業製品、有機工業製品、土木建築材料および内装材料等の販売77.4当社の役員と兼務1名当社の製品を販売している。 亜克洛斯商貿(上海)有限公司 (注)3中国上海市30万US$その他電子包装材料等の販売100.0(100.0)―当社の製品を販売している。 台湾超碩股份有限公司 (注)3台湾新竹市2,900万台湾$その他樹脂および半導体関連材料等の販売100.0(100.0)―当社の製品を販売している。 その他 15社 (持分法適用非連結子会社) 1社 (持分法適用関連会社) 東洋スチレン㈱東京都港区5,000ポリマーソリューションポリスチレン樹脂およびスチレン系特殊樹脂の製造・加工・販売50.0―当社の製品を原料として供給し、完成品の一部を購入している。 湘南積水工業㈱千葉県佐倉市100ポリマーソリューション発泡ポリスチロールペーパーの製造・販売30.0―当社(関係会社)の製品を原料として供給している。 デナック㈱東京都千代田区600ポリマーソリューションモノクロル酢酸の製造・販売50.0当社の役員と兼務1名当社の製品を原料として供給し、副生物の一部を購入している。 十全化学㈱富山県富山市65ライフイノベーション医薬品・工業薬品の製造・販売50.0当社の役員と兼務1名―黒部川電力㈱東京都千代田区3,000その他電力事業の運営および付帯関連事業50.0当社の役員と兼務1名当社は電力を購入している。 その他 3社 (注) 1.「主要な事業の内容」のセグメント欄には、セグメントの名称を記載しております。 2.特定子会社に該当しております。 3.議決権の所有割合の( )内は、他の連結子会社による間接保有割合であり、内数表示をしております。 4.西日本高圧瓦斯株式会社は、2024年6月28日付で同社の全株式を譲渡したため、当社の子会社ではなくなりました。 5.東日本高圧株式会社は、2024年6月28日付で同社の全株式を譲渡したため、当社の持分法適用関連会社ではなくなりました。 6.関東アセチレン工業株式会社は、2024年12月12日付で同社の全株式を譲渡したため、当社の持分法適用関連会社ではなくなりました。 7.株式会社デンカリノテックは、2025年4月1日付で同社の株式を一部譲渡しており、当社の出資比率は49.0%となりました。 8.デンカシンガポールP.L.については、売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く。 )の連結売上高に占める割合が10%を超えております。 主要な損益情報等(1)売上高47,625百万円 (2)経常利益6,195百万円 (3)当期純利益4,943百万円 (4)純資産額39,576百万円 (5)総資産額46,054百万円 |
従業員の状況 | 5 【従業員の状況】 (1) 連結会社の状況2025年3月31日現在セグメントの名称従業員数(人)電子・先端プロダクツ1,787( 212)ライフイノベーション1,022( 198)エラストマー・インフラソリューション1,554( 284)ポリマーソリューション1,099( 193)その他667( 105)全社(共通)413( 79)合計6,542( 1,071) (注) 1.従業員数は就業人員(当社グループからグループ外への出向者を除き、グループ外から当社グループへの出向者を含みます。 )であり、臨時雇用者数(嘱託、日雇い、パートタイマー等を含みます。 )は( )内に年間の平均人員を外数で記載しております。 2.全社(共通)として記載されている従業員数は、特定のセグメントに区分できない管理部門に所属しているものであります。 (2) 提出会社の状況2025年3月31日現在従業員数(人)平均年齢(歳)平均勤続年数(年)平均年間給与(円)4,369(780)40.616.07,515,305 セグメントの名称従業員数(人)電子・先端プロダクツ1,289( 169)ライフイノベーション1,001( 198)エラストマー・インフラソリューション1,064( 244)ポリマーソリューション602( 90)全社(共通)413( 79)合計4,369( 780) (注) 1.従業員数は就業人員(当社から社外への出向者196人を除き、社外から当社への出向者3人を含みます。 )であります。 臨時雇用者数(嘱託、日雇い、パートタイマー等を含みます。 )は( )内に年間の平均人員を外数で記載しております。 2.平均年間給与は、時間外手当等の基準外賃金および賞与手当を含んでおります。 3.全社(共通)として記載されている従業員数は、管理部門に所属しているものであります。 (3) 労働組合の状況当社には、デンカ労働組合があります。 2025年3月末現在の総組合員数は3,738名です。 現在、会社と組合との間には、2025年3月締結の労働協約があり、円満な労使関係を維持しております。 なお、デンカ労働組合は、上部団体として化学総連に加盟しております。 また、当社を除く連結子会社のうち7社には合わせて7つの労働組合があり、2025年3月末現在の組合員数の合計は336名です。 労使関係について特に記載すべき事項はありません。 (4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異 ① 提出会社当事業年度管理職に占める女性労働者の割合(%)(注1)男性労働者の育児休業取得率(%)(注2)労働者の男女の賃金の差異(%)(注1)全労働者正規雇用労働者パート・有期労働者5.473.561.970.540.9 (注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。 2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。 ② 連結子会社当事業年度名称管理職に占める女性労働者の割合(%)(注1)男性労働者の育児休業取得率(%)(注2)労働者の男女の賃金の差異(%)(注1)全労働者正規雇用労働者パート・有期労働者 デンカポリマー㈱―50.070.074.080.0(注3)YKアクロス㈱0.983.357.755.953.3 (注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。 2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。 3.労働者の人員数について労働時間を基に換算し算出しております。 |
経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 | 1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 (経営方針、経営環境及び対処すべき課題)当社グループは、2023年度より「事業価値創造」「人財価値創造」「経営価値創造」の3つの成長戦略により企業価値を向上させる、経営計画「Mission 2030」を推進してまいりました。 しかしながら、世界情勢のうねりの中で、計画策定時と比べ当社を取り巻く事業環境が想定以上に変化したこともあり、業績が低迷しております。 2024年度は、この状況を打開すべく3つの施策に注力いたしました。 1つ目は、「事業価値創造」におけるポートフォリオ改革の着実な実行です。 最優先事項のクロロプレンゴム事業の抜本的対策については、米国クロロプレン製造子会社デンカパフォーマンスエラストマー社(以下DPEという)における関連固定資産の減損損失を計上するとともに、同社はクロロプレンゴム製造設備を暫定停止することとなりました。 DPEは、コストの上昇、生産数量の減少、要員面の問題や世界的な需要後退の影響により、当面の収益性の改善は困難な状況にあります。 コスト面については、2015年にDuPont社から当該製造設備を取得した時点では必要と想定されなかった、クロロプレンモノマーの排出削減設備の導入・運用に係る多額の費用が発生していることに加え、近年の米国内におけるインフレにより主要原材料費や修繕費の上昇が加速し、コストが増大状態にあります。 生産面では、排出削減対策に伴う操業上の制約やサプライチェーンの寸断、自然災害に伴う計画外停止等による生産数量の減少のほか、要員の維持・確保の困難化といった問題にも直面しております。 さらに、世界経済環境の変化によるクロロプレンゴムの需要後退の影響も相まって、当社グループの収益を大きく圧迫しております。 このような状況に鑑み、当社はDPEの関連固定資産の減損損失を計上するとともに、同社はクロロプレンゴム製造設備を暫定的に停止することとなりました。 今後、同社では、同事業について事業譲渡や資産の譲渡の可能性を含め、あらゆる選択肢を検討することとしており、クロロプレンゴム事業の抜本的対策を着実に進めてまいります。 なお、現時点で製造設備の恒久停止は決定しておりませんが、DPE生産品の需要家に対しては、現有在庫に加え当社の青海工場生産品の供給を開始いたしました。 また、大船工場の稼働停止を決定いたしました。 同工場の主力製品である合繊かつら用原糸「Toyokalon®」はシンガポール子会社に事業を集約し、構造改革によるコストの削減と新製品へのシフトで収益の向上を図り、高収益事業への転換を進めてまいります。 同じく大船工場で生産しております「カラリヤン®テープ」は、販売数量が減少しており、今後の事業の維持・成長が見込まれず、同テープの原料の一部である「カラリヤン® Y フィルム」も単独での事業継続は困難との結論に至り、事業撤退する予定です。 なお、工場用地については、グループ内での有効な活用方法がないことから、譲渡することで資本効率の改善を図ることといたしました。 事業の縮小や撤退等を推進する一方で、注力分野である「ICT & Energy」分野の新製品として、次世代高速通信において、電気信号の伝送損失を低減させるために素材に要求される電気特性を備えた低誘電有機絶縁樹脂「スネクトン®」を上市いたしました。 各種高速通信機器の銅張積層板向けでの販売を開始したほか、フレキシブル銅張積層板や各種層間絶縁材用途での採用検討が進んでおり、PC、スマートフォン、データセンター、携帯電話基地局、ウェアラブル端末、自動車など幅広い分野への展開が期待されており、新たな事業の柱に成長させていきます。 また、当社は、世界各国の最先端の技術を持つスタートアップ企業への出資や提携による新規事業創出を推進しております。 2024年度はウェアラブル電子聴診器に関するスタートアップ企業と高性能光学フィルムの技術を保有するスタートアップ企業へ出資しており、既存事業の改革のほか、新規事業の開発にも注力いたしました。 2つ目は、投資計画の見直しです。 経営計画「Mission2030」では、当初8カ年累計で戦略投資3,600億円を含む合計5,400億円の投資を計画しておりましたが、これを見直し投資支出1,000億円の削減を目指すことといたしました。 投資案件の優先順位明確化や投資計画の更なる厳選、不急案件のスケジュール見直し等、投資額の削減を図る一方で、当社の成長に不可欠な重要投資については、案件を厳選することで、経営資源を集中させております。 2024年度は、注力分野のうち「ICT & Energy」分野では、過年度に投資を決定している次世代高機能球状フィラーや窒化ケイ素の生産能力増強工事、タイの連結子会社でのアセチレンブラック生産プラント建設工事等に加え、新製品である低誘電有機絶縁材料「スネクトン®」の製造プラント建設工事を決定し設備投資を実施いたしました。 また、「Healthcare」分野では、抗原迅速診断キットおよび検査試薬の生産能力増強工事等の設備投資を実施しておりますが、これらの投資は、当社の成長に必要不可欠であり、拡大する市場をしっかりと捉えた事業展開を図ってまいります。 3つ目は、2024年4月からスタートした全社をあげたコストダウンプロジェクト/ベストプラクティスプロジェクトです。 これまで、コストダウンは社内の知見で実施してきましたが、このプロジェクトでは「コストベンチマーク」や「最適なコストダウン手法」など社外の知見を全面的に活用し、経営トップ直轄体制で徹底的なコストダウン活動を強力に推進いたしました。 2024年度は原価低減や販売経費低減、投資の適正化等により、当初目標の10億円に対して、約13億円のコストダウンを実現しております。 最終目標である2026年度の100億円のコストダウン達成へ向け、引き続き、やり抜く力を発揮して実績化につなげます。 以上の通り、2024年度は、経営計画策定時の前提条件が変動し業績が低迷していることへの打開策として、3つの施策に注力いたしましたが、DPEの固定資産の減損と製造設備の暫定停止や大船工場の稼働停止等、構造改革を推し進めた結果、特別損失を計上し大幅な赤字決算を余儀なくされました。 今後、前提条件の変動をふまえて経営計画の見直しを行うこととしておりますが、基本的な方針や長期的な戦略等に変更はありません。 諸施策を確実に成果につなげるべく、当社のコアバリューである「挑戦」を促進するための風土醸成や組織作りを進め、スピード感をもって取り組み業績を成長軌道に回帰させてまいります。 当社は、1915年にカーバイドおよび石灰窒素の製造販売を目的に設立され、本年5月に110周年を迎えました。 会社設立以降、先人たちが、モノづくりを通じて社会に貢献することをモットーに、果敢に新しい事業に挑戦し続け、現在では、電子材料から合成ゴム、合成樹脂、そしてワクチンや検査試薬といった医療分野まで幅広い事業を展開しております。 この様に、環境変化にしなやかに対応し、社会に有益なものを生み出して貢献することは110年続く当社グループの歴史そのものであり、DNAであると考えております。 そして110年後の現在、当社は、先人から受け継いだ「挑戦」「誠実」「共感」の3つのコアバリューを土台に、「化学の力で世界をよりよくするスペシャリストになる。 」ことを道しるべであるパーパスと位置付けました。 そして、「2030年までに、人財・経営価値を高めスペシャリティ・メガトレンド・サステナビリティの3要素をそなえた事業価値創造に集中する。 」というミッションを加え、ビジョンといたしました。 今一度、「安全」「品質」「環境」は企業活動を継続するための絶対条件であることを肝に銘じながら、「One Denka」で臨むことで、業績を早期に成長軌道に回帰させ、ビジョンの実現に挑戦してまいります。 ◇新たなビジョンと新経営計画「Mission 2030」 ~OUR NEW VISION & Mission 2030~ 2023年4月、デンカグループは新たな挑戦をはじめました。 これまで指針としてきた「The Denka Value」(企業理念)、Denkaの使命、Denkaの行動指針は、従業員の声をふまえ、より未来のデンカを見据えた新たな「ビジョン」へと進化。 同時に、2023~2030年度の8ヵ年を対象とする新経営計画「Mission 2030」が始動しました。 デンカの新たなビジョン新たなビジョンは、デンカのDNAであるコアバリューを土台とし、デンカを導く北極星となるパーパス、2030年に成し遂げたい務めとしてのミッションを重ねた構成とすることで、文字の域を超え、全従業員が自分ごと化できる新しいデンカの未来像を表しました。 コアバリュー「コアバリュー」とは、デンカのDNA。 さまざまな判断をする上での拠り所にもなります。 「挑戦」「誠実」「共感」は、デンカが脈々と受け継いできた姿勢を改めて言語化したものです。 これからも一層大切にしていくべき信条です。 パーパス「パーパス」とは、デンカを導く北極星。 デンカが存在する根本的理由です。 デンカは世界でどのような存在でありたいのか、デンカだからこそできることは何かを突き詰めて考え、「化学の力」「世界をよりよくする」「スペシャリスト」といった言葉一つひとつを選び出しました。 ミッション「ミッション」は、デンカの務め。 大胆で説得力のある野心的目標です。 「コアバリュー」や「パーパス」が普遍性を持つものであるのに対して「ミッション」は明確なゴールと期限があり、例えるならば“登るべき山”です。 2030年に、その頂上にたどり着くことを目指し、具体的な戦略を経営計画「Mission 2030」に落とし込んでいます。 コーポレートメッセージこのデンカのビジョンを社内外に分かりやすく伝達する言葉としてコーポレートメッセージ「世界に誇れる、化学を。 」を創りました。 世界に誇れる唯一無二の存在(=スペシャリスト)として、化学の力で世界をよりよくすることを目指すという想いを込めました。 (ご参考)経営計画「Mission 2030」新たなビジョンの実現に向けて、2030年をゴールに取り組む経営計画が「Mission 2030」です。 事業価値創造、人財価値創造、経営価値創造の3つを成長戦略として、企業価値向上に取り組みます。 事業価値創造では、デンカの全ての事業を、スペシャリティ・メガトレンド・サステナビリティの3要素をそなえた「3つ星事業」とすることを目指します。 2030年の主なKPI目標事業価値創造 人財価値創造 経営価値創造売上高6,000億円以上 平均研修金額(21年度比)2倍 プロセス革新投資23-30年度 500億円3つ星事業100% 営業利益1,000億円以上 人権リスク特定と対応プロセス確立 営業利益率15%以上 ROE15%以上 女性/外国籍/経験者採用者の管理職比率50% 労働災害度数率(21年度 1.1)0.2以下ROIC10%以上 投資決裁額23-30年度 5,400億円 高リスクサプライヤー数0件総還元性向50%水準 CO2排出量 (13年度比)60%削減 従業員エンゲージメント可視化と継続的な改善 重大品質事故発生件数0件再生可能エネルギー 発電最大出力 (21年度 133MW)150MW 重大コンプライアンス違反件数0件 3つの成長戦略 <事業価値創造>事業価値創造では、想定される未来世界とメガトレンドから導き出された「3つの注力分野」である、ICT & Energy(アイシーティー・アンド・エナジー)、Healthcare(ヘルスケア)、Sustainable Living(サステナブル・リビング)に重点を置きます。 そして、2030年までにスペシャリティ・メガトレンド・サステナビリティの3要素をそなえた「3つ星事業」を100%にしていきます。 また、「3つ星事業」への転換が困難な事業については、売却・撤退を含め、ポートフォリオ変革を進めていきます。 そのために、8年間合計で戦略投資3,600億円、研究開発費1,800億円をかけて、2030年に営業利益1,000億円以上を目指します。 並行して、地球への貢献と、企業のさらなる社会的価値向上を目指し、8年間合計で850億円の環境投資を行い、サステナビリティを追求します。 3つの注力分野ICT & Energy 2030年営業利益目標 450億円 メガトレンド再生可能エネルギーモビリティー大変革半導体やデバイス需要拡大製品次世代高速通信xEV・再生可能エネルギー 球状シリカ、球状アルミナ、キャリアテープ用シート・トップカバーテープ、放熱材料、エミッター、低誘電有機絶縁材料アセチレンブラック、窒化ケイ素、セラミックス基板、球状シリカ、球状アルミナ 方針最先端素材を供給し、よりよい社会を実現 Healthcare 2030年営業利益目標 400億円 メガトレンド医療ニーズ高度化革新的な医療技術製品予防診断治療 インフルエンザワクチン自動分析装置用試薬抗原検査キットがん治療用ウイルスG47Δ製剤 方針予防・診断・治療の領域で世界の人々のクオリティ・オブ・ライフ向上 Sustainable Living 2030年営業利益目標 150億円 メガトレンド食料・水資源枯渇インフラ需要増大製品食糧インフラ生活用品 バイオスティミュラント特殊混和材LEAF 高機能スチレン系樹脂サステナブルプラスチック「PLATIECO®」 方針安全・安心・快適な日々の暮らしの実現 サステナビリティの追求方針カーボンニュートラルの実現施策・低炭素アセチレンチェーンの確立を含むポートフォリオ変革実施・CO2分離・回収・利用技術の開発と実装化・水力発電増強、太陽光発電所新設によるグリーンエネルギー拡大サステナブルな都市と暮らしの充実・スチレン系包装材料のサーキュラーエコノミー推進・CO2コンクリート固定化技術の確立環境の保全・環境負荷の最小化・廃棄物ゼロエミッション継続・自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)に基づく生物多様性・水資源保全等の自然関連リスクへの対応 <人財価値創造>社員一人ひとりが自己実現と成長を実感できる企業を目指し、人財投資と制度改革を実現します。 方針戦略人財育成体制の強化将来の経営層育成と、全社一貫の教育体系の構築および自ら学ぶ文化の醸成ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンの推進多様な考え方を持った人間が活躍できる職場環境・制度・文化の醸成健康経営と働き方改革「明日も来たくなる職場」のための制度改革の推進 <経営価値創造>ESG経営の観点から、企業存続の前提となる経営基盤の強化に取り組みます。 方針戦略プロセス革新ビジネスモデル・組織の変革と生産性向上、社内デジタル人財の育成人権の尊重国連ビジネスと人権に関する指導原則および国連グローバルコンパクトに基づく、人権方針制定と人権尊重の徹底安全最優先グループ全体で本質安全化、ルールの整備と安全な職場環境づくりの推進サプライチェーン・ マネジメントサプライチェーン一体となった持続的な付加価値向上製品安全信頼される製品とサービスを提供し、社会と環境の持続的成長に貢献コーポレートガバナンス高度化 高い倫理観に基づく透明性・公平性を確保した、より高度で実効性のあるコーポレートガバナンス体制の構築 財務戦略 ROEとROICの改善下記施策を通じて、ROE(株主資本利益率)とROIC(投下資本利益率)を改善させ、企業価値向上を図ります。 18-22年度平均30年度目標施策ROE8.4%15%以上・3つの価値創造による収益性と効率性向上・ROIC評価による事業の選択と集中・最適資本構成の追求(財務レバレッジ活用)ROIC7.0%10%以上 キャッシュアロケーション~総還元性向50%水準を維持~営業キャッシュフローと負債を有効に活用して、8年間合計で7,400億円のキャッシュを生み出し、それを投資に5,700億円(注)、株主還元に1,700億円(総還元性向50%水準)配分します。 (億円) (億円)キャッシュイン累計(年平均) キャッシュアウト累計(年平均) Denka Value-Up5ヵ年 Mission 20308ヵ年 Denka Value-Up5ヵ年Mission 20308ヵ年営業CF1,717(343)6,500(813) 投資CF戦略 700 (140)3,600 (450)資産売却121100 一般1,093 (219)2,100 (263)借入554800 小計1,793 (359)5,700 (713)合計2,392(478)7,400 (925) 株主還元 (総還元性向50%水準)599 (120)1,700 (213) 合計2,392 (478)7,400 (925) (注)2024年5月10日に公表した「2024年3月期 決算説明会資料」に記載のとおり、投資案件の優先順位明確化や、投資計画の更なる厳選、不急案件のスケジュール見直しなどにより、1,000億円削減し、4,700億円とすることを目指します。 ※文中の将来に関する事項は、計画発表時において当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。 |
サステナビリティに関する考え方及び取組 | 2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) デンカグループESG基本方針と経営重要課題(マテリアリティ)当社は、すべての事業活動におけるESG(環境・社会・ガバナンス)課題に対する基本的な方針となる「デンカグループESG基本方針」を、取締役会の決議に基づき、2021年11月に制定しました。 当社は、サステナビリティ(中長期的な持続性)を巡る課題への対応が、企業存続を左右する重要な経営課題(マテリアリティ)であると認識し、本基本方針の遵守に努め、高い倫理観に基づく実効性のあるコーポレートガバナンスを構築することで、企業価値の向上を目指します。 (2) ガバナンス当社は、2023年度より開始した経営計画「Mission 2030」に基づき、サステナビリティ(中長期的な持続性)に向けた取り組みを推進し、活動内容に対する審議と提言を行う「サステナビリティ委員会(委員長:社長)」を設置しました。 「サステナビリティ委員会」は、執行部門内の組織として、経営計画「Mission 2030」のサステナビリティに係る活動と非財務目標・KPIの進捗及びリスク・収益機会への対応について、対象部門より定期的に報告を受け、審議・提言を行い、その結果を取締役会へ報告するとともに、経営計画の進捗状況として、ステークホルダーの皆様へご報告いたします。 (a)ESG経営推進体制 (b)主要なサステナビリティ推進主体の活動状況組織体開催頻度(2024年度)役割取締役会15回/年当社のビジョンにおけるミッション達成のための戦略立案や経営計画をふまえた、重要な業務執行の決定と執行役員の業務執行に対する監視・監督を行う。 サステナビリティ委員会5回/年非財務目標達成のためのサステナビリティ(中長期的な持続性)を巡る課題に対して、業務執行部門による取り組みを監督するために設置。 事業活動におけるリスク及び収益機会と、事業・人財・経営に係る価値創造戦略との整合性を考慮して、各部門活動を審議し、取締役会に報告する。 (3) 戦略当社は、企業としての社会的責任を果たし、長期にわたり事業を継続するためには、サステナビリティ関連のリスクと機会に適切に対処する取り組みが大前提であるという考えから、経営計画「Mission 2030」における「3つの成長戦略」において、サステナビリティを巡る重要経営課題(マテリアリティ)を考慮した基本的な方針を定め、施策を推進しています。 「事業価値創造」としては、デンカグループの「2050年までのカーボンニュートラルの実現」「サステナブルな都市と暮らしの充実」「環境の保全・環境負荷の最小化」を方針として、CO2を代表とする温室効果ガスの削減となる、低炭素アセチレンチェーンの確立を含むポートフォリオ変革の実施、再生可能エネルギーの拡大、SDGsに貢献する製品開発、循環型社会の実現となるスチレン系包装材料のサーキュラーエコノミー推進等の施策を進めます。 また、「人財価値創造」としては、社員一人ひとりが自己実現と成長を実感できる企業を目指し、「人財育成体制の強化」「ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンの推進」「健康経営と働き方改革」を方針として、将来の経営層育成と全社一貫の教育体系の構築および自ら学ぶ文化の醸成、多様な考え方を持った人間が活躍できる職場環境・制度・文化の醸成、「明日も来たくなる職場」のための制度改革を推進します。 そして「経営価値創造」では、ESG経営の観点から、企業存続の前提となる経営基盤の強化を図るため、プロセス革新、人権の尊重、安全最優先、サプライチェーンマネジメント、製品安全、コーポレートガバナンスの高度化を基本方針として掲げています。 (a)事業価値創造~サステナビリティの追求~ (b)人財価値創造 (4) リスク管理サステナビリティ委員会は、経営計画「Mission 2030」のサステナビリティに係る活動指標と目標を、担当する担当部門から報告を受けて審議と提言を行い、取締役会への報告を行います。 重要なテーマである気候変動問題と人権尊重の取り組みに関わるリスク管理および統合リスクマネジメントについては、以下の通り実施しており、さらにこれらの取り組みを推進いたします。 (a) 気候変動(TCFD)中長期の気候変動問題への対応は、取締役会による監督の下、サステナビリティー推進担当役員が統括しています。 目標や基本方針の策定、重要施策、指標の設定・評価などの非財務関連の重要事項は、サステナビリティ委員会(年5回開催)で議論され、取締役会が意思決定を行います。 また、環境対応方針の包括的な管理・運営のため、ワーキンググループを設置しています。 毎月行われる会議では、担当役員がリーダーとなり、実務面を含めた議論を行い、対応の促進を図るとともに、重要事項については取締役会への報告を行います。 気候変動に伴うシナリオ分析に基づく、デンカとしてのリスクと機会の抽出 シナリオリスク/機会TCFD分類リスクと機会の事象インパクト算出の考え方インパクトデンカ当該事業部主たる関連事業所対策中期(2030)長期(2050)1.5℃リスク法・規制炭素税の上昇に伴うコスト増加2022年度のGHG排出量を基準として、IEA WEOの予測炭素価格をもとに炭素税額を算出脱炭素化施策を講じない場合のコスト負担額の算出430億円770億円全部門青海工場・クリーンエネルギーの拡充や省エネ対応、新技術の導入脱炭素化施策を講じる場合のコスト負担額の算出(2013年度比で2030年までに60%、2050年までに100%のCO₂排出量(Scope1・2)を削減)210億円0円テクノロジー製造プロセスの低炭素化に伴うコスト増加経営計画「Mission 2030」にて2030年までの環境投資額を設定850億円-全部門青海工場・大牟田工場・「低炭素アセチレンチェーン」への製造プロセス変更(Methane to Acetylene)により年間30万トン強のCO₂を削減・複製される水素を利活用するための研究開発など、更なる利益の追求機会製品・ サービス脱炭素に貢献する製品(窒化ケイ素・アセチレンブラック・球状アルミナ)の需要拡大2022年度の売上実績を基準として、市場成長率から売上増分を算出190億円-電子・先端プロダクツ部門大牟田工場・需要拡大に即した製造設備増強食糧危機の解決に貢献する製品(バイオスティミュラント肥料)の需要拡大2022年度の売上実績を基準として、市場成長率から売上増分を算出1~10億円-エラストマー・インフラソリューション部門デンカアヅミン㈱・市場投入と拡販・更なる高機能製品の研究開発CO₂ を有効利用した製品(CO₂ 吸収・固定型コンクリート/LEAF)の需要拡大販売計画を元に売上増分を算出1~20億円-エラストマー・インフラソリューション部門青海工場・市場投入と拡販・更なる高機能製品の研究開発3~4℃リスクマーケットナフサ価格の上昇に伴う原燃料コスト増加2022年度の燃料購入額を基準として、価格上昇率からコスト増加額を算出(IEA WEO)-40~60億円-50~120億円ポリマーソリューション部門千葉工場・使用済みポリスチレンのケミカルリサイクルによる資源循環の推進や卵殻含有樹脂などのバイオ由来原料製品の開発販売天然ガス価格の上昇に伴う原燃料コスト増加2022年度の燃料購入額を基準として、価格上昇率からコスト増加額を算出(IEA WEO)-60~10億円-80~10億円全部門青海工場・千葉工場・プロセスの電化による使用量低減・生産フローの最適化による省エネ化物理リスク自然災害の激甚化に伴う生産設備への被害増加や操業停止海・河川隣接事業所での年間雨量の増加率・浸水被害発生リスクから算出10億円以下10億円以下全部門大牟田工場・設備保全対策の見直しと強化機会製品・サービス感染症の予防と診断に貢献する製品(検査試薬)の需要拡大2022年度の売上実績を基準として、市場成長率から算出170億円-ライフイノベーション部門五泉事業所・研究開発強化/新技術の導入・需要拡大に即した製造設備増強 (b) 人権尊重の取り組みデンカグループは、人権に関する国際規範の遵守を重視し、国際連合「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づいた行動に努めています。 2023年9月に取締役会で承認・制定された「デンカグループ人権方針」は、すべての企業活動において人権侵害を排除するための施策を具現化するためのものです。 経営計画「Mission 2030」においては、2030年目標に「グループ・サプライチェーンの人権リスク特定と対応プロセスの確立」を定め、人権尊重の取り組みを進めています。 「デンカグループ人権方針」を全グループ社員に周知・浸透させるとともに、人権デュー・ディリジェンスと人権救済メカニズムについて、知見を有する第三者とともに計画的に取り組みます。 <2024年度迄の取り組み>① 人権に関する社内説明会の実施デンカグループ全社員を対象とした説明会を実施し、「デンカグループ人権方針」と「今後の人権の取り組み」を取り上げました(2023年11月30日、2023年12月6日)。 ② 人権への影響評価(人権リスクアセスメント)2023年度下期に、重要人権リスク特定のためのヒアリング(対象:本社事業部門・管理部門、労働組合)を実施し、優先的に取り組むべきリスク項目(10個)を特定しました。 2024年度以降も対象範囲を広げてヒアリングを実施し、防止・軽減のための対応策を進め、人権デュー・ディリジェンスプロセスの確立を目指します。 <デンカグループ重要人権リスク>カテゴリーリスク項目労働安全衛生労働環境(安全・衛生)の人権パワハラ従業員間のパワハラ発生のリスクサプライヤー(協力会社を含む)従業員に対するパワハラ発生のリスク顧客から自社従業員へのパワハラ発生のリスク長時間労働長時間労働・過重労働のリスク居住移転の自由転勤・異動の強制等による居住移転の自由の侵害リスク先住民・地域住民の権利製品の製造、廃棄等に伴う周辺住民の生活への悪影響発生のリスク消費者の安全と知る権利製品に関する情報の誤りによる販売先や消費者の「知る権利」侵害発生のリスク労働安全衛生サプライヤー内の労働環境における安全・衛生の人権リスク強制労働・児童労働原料等の生産現場および、販売先(および工場)内における深刻な形態の強制労働、児童労働発生のリスク (c)統合リスクマネジメント当社は、気候変動(TCFD)に関連した社会のレジリエンスの要請の高度化、人権尊重の高度化を含む急速な社会変化、めまぐるしい事業環境の変化や本格化する事業ポートフォリオ変革など、事業をめぐる不確実性が増大する中でも、これらの不確実性を自社の成長の機会と捉え、サステナビリティへの取り組みと事業活動とを統合していきます。 これらの取り組みに際し、デンカグループを取り巻くさまざまなリスクを適切にコントロールし、資本コストを最小化していくため、当社は、社長を委員長とするデンカグループ・リスクマネジメント委員会を組織しております。 同委員会は、統合リスクマネジメント(ERM)の仕組みと年間を通じた諸活動を通じて、デンカグループのリスク管理体制の強化を図っています。 デンカグループ・統合リスクマネジメント体制図 デンカグループ・リスクマネジメント委員会は、具体的な、リスクの識別・評価、リスクの管理、サステナビリティ推進活動への統合を、以下の手順で実施しています。 ① リスクの識別・評価: 化学業界にある当社にとって脅威と考えられる56の主要なリスク項目を抽出し、それぞれのリスクを、❶発生頻度 ❷影響度 ❸対策度合い の評価軸を用いて5段階で評点化し、更にリスクオーナーとのディスカッションを経て最終的にデンカグループにとっての重大リスクを選定します。 2023年度に、下表の10大重要リスクを抽出しています。 ② リスクの管理: 重大リスクに対しては、課題の把握とリスク対策の進捗を継続的にモニタリングすることにより、リスク顕在時における業績への影響低減に努めています。 2024年度は、特定された優先リスクへの対応として、サイバー攻撃への初動対応強化、事業継続計画の見直しおよび事業所・工場の物理的セキュリティの調査を実施いたしました。 ③ 全体への統合: また、デンカグループ・リスクマネジメント委員会は、リスク低減への取り組み状況を、気候変動(TCFD)や人権尊重への取り組みと併せて、定期的に取締役会へ報告しており、それぞれがサステナビリティ推進における機軸として認識されています。 同委員会は、年間を通じてこれらのリスク低減活動を実施し、その結果を分析して翌年度のERM実施計画に反映しております。 これらの一連の活動により、デンカグループのリスク管理が統合される仕組み・プロセスとなっています。 統合リスクマネジメント(ERM)の全体図 (5) 指標及び目標サステナビリティ関連のリスク及び機会に関する連結会社の実績を長期的に評価し、管理し、及び監視するために用いる情報として、当社は、経営計画「Mission 2030」の事業価値創造、人財価値創造、経営価値創造という3つの成長戦略の中で、非財務KPIによる指標を設けるとともに、経営計画最終年度である2030年度目標を設定しています。 経営計画「Mission 2030」における主要なKPI目標は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。 非財務KPI2024年度実績2030年度目標温室効果ガス排出量175万t-CO2(前年度並み見込)2013年度比60%削減(100万t-CO2)再生可能エネルギー発電最大出力147MW150MW労働災害度数率(死傷者数÷延べ実労働時間×100万)0.730.2以下管理職における女性/外国籍/経験者採用の合計人数の比率 ※21%50% ※提出会社単体の状況を記載しています。 |
戦略 | (3) 戦略当社は、企業としての社会的責任を果たし、長期にわたり事業を継続するためには、サステナビリティ関連のリスクと機会に適切に対処する取り組みが大前提であるという考えから、経営計画「Mission 2030」における「3つの成長戦略」において、サステナビリティを巡る重要経営課題(マテリアリティ)を考慮した基本的な方針を定め、施策を推進しています。 「事業価値創造」としては、デンカグループの「2050年までのカーボンニュートラルの実現」「サステナブルな都市と暮らしの充実」「環境の保全・環境負荷の最小化」を方針として、CO2を代表とする温室効果ガスの削減となる、低炭素アセチレンチェーンの確立を含むポートフォリオ変革の実施、再生可能エネルギーの拡大、SDGsに貢献する製品開発、循環型社会の実現となるスチレン系包装材料のサーキュラーエコノミー推進等の施策を進めます。 また、「人財価値創造」としては、社員一人ひとりが自己実現と成長を実感できる企業を目指し、「人財育成体制の強化」「ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンの推進」「健康経営と働き方改革」を方針として、将来の経営層育成と全社一貫の教育体系の構築および自ら学ぶ文化の醸成、多様な考え方を持った人間が活躍できる職場環境・制度・文化の醸成、「明日も来たくなる職場」のための制度改革を推進します。 そして「経営価値創造」では、ESG経営の観点から、企業存続の前提となる経営基盤の強化を図るため、プロセス革新、人権の尊重、安全最優先、サプライチェーンマネジメント、製品安全、コーポレートガバナンスの高度化を基本方針として掲げています。 (a)事業価値創造~サステナビリティの追求~ (b)人財価値創造 |
指標及び目標 | (5) 指標及び目標サステナビリティ関連のリスク及び機会に関する連結会社の実績を長期的に評価し、管理し、及び監視するために用いる情報として、当社は、経営計画「Mission 2030」の事業価値創造、人財価値創造、経営価値創造という3つの成長戦略の中で、非財務KPIによる指標を設けるとともに、経営計画最終年度である2030年度目標を設定しています。 経営計画「Mission 2030」における主要なKPI目標は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。 非財務KPI2024年度実績2030年度目標温室効果ガス排出量175万t-CO2(前年度並み見込)2013年度比60%削減(100万t-CO2)再生可能エネルギー発電最大出力147MW150MW労働災害度数率(死傷者数÷延べ実労働時間×100万)0.730.2以下管理職における女性/外国籍/経験者採用の合計人数の比率 ※21%50% ※提出会社単体の状況を記載しています。 |
人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略 | また、「人財価値創造」としては、社員一人ひとりが自己実現と成長を実感できる企業を目指し、「人財育成体制の強化」「ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンの推進」「健康経営と働き方改革」を方針として、将来の経営層育成と全社一貫の教育体系の構築および自ら学ぶ文化の醸成、多様な考え方を持った人間が活躍できる職場環境・制度・文化の醸成、「明日も来たくなる職場」のための制度改革を推進します。 |
人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績、指標及び目標 | 非財務KPI2024年度実績2030年度目標温室効果ガス排出量175万t-CO2(前年度並み見込)2013年度比60%削減(100万t-CO2)再生可能エネルギー発電最大出力147MW150MW労働災害度数率(死傷者数÷延べ実労働時間×100万)0.730.2以下管理職における女性/外国籍/経験者採用の合計人数の比率 ※21%50% |
事業等のリスク | 3 【事業等のリスク】 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。 ただし、ここに記載した事項は、当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではなく、現時点では予見出来ないまたは重要と見なされていないリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)外部事業環境等当社グループの経営成績は、自動車や電子部品などの需要動向により影響を受けるほか、原油や基礎石油化学製品などの原燃料市況ならびに為替相場の変動、関税の引き上げ等の影響を受ける可能性があります。 当社グループは、経営計画「Mission 2030」において、全ての事業をスペシャリティ・メガトレンド・サステナビリティの3要素をそなえた「3つ星事業」とすることを目指し、外部環境の変化に左右されにくい、企業体質の強化を進めてまいります。 (2)品質、製造物責任昨今の科学技術の急速な発展により、品質保証活動は複雑化しております。 当社グループの製品やサービスに品質問題が発生した場合は当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、社会および顧客の信頼を第一に考え、安心して使用できる製品の提供のため、本社コーポレート部門、各事業部門、各生産拠点に品質保証部門を配置する3層の品質保証体制を取っております。 当社および主要子会社の全事業所の対象製品における品質管理、および継続的な品質改善に努めることで、ステークホルダーからの当社への満足度向上にむけ推進しております。 (第三者認証等における不適切行為について)2023年5月29日に公表しました、当社および持分法適用関連会社である東洋スチレン株式会社が製造・販売する樹脂製品の一部における米国の第三者安全科学機関であるUnderwriters Laboratories Limited Liability Company等の認証に関する不適切行為およびその公表後設置した外部調査委員会によるリニエンシー全社アンケートにて認定された一連の不適切行為について、再発防止策を策定、公表し、是正を推進してまいりました。 その結果、是正処置の大部分が完了し、再発防止策についてもほぼ計画通り進捗しました。 なお、その内容は当社公式ホームページにて適宜公開し、透明性の確保にも努めております。 また、コンプライアンス最優先の経営姿勢をグループ全体に浸透させるべく、経営トップによるタウンホールミーティングを開催し、コミュニケーション基盤の強化を推進しました。 (3)事故・自然災害当社グループは、安全最優先をすべての生産に係る活動の基盤と位置付けております。 2023年の配管破裂事故を教訓に、その再発防止対策であるリスクアセスメントの質的向上、工事安全管理、安全保安教育、安全監査など、すべての現場で災害を起こさないための総合的な対策を進めております。 しかしながら、重大な産業事故や、地震、気候変動による集中豪雨および大型台風などの自然災害が発生した場合、従業員や第三者への人的、物的な損害、生産設備の損壊や生産停止等が生じるリスクがあり、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 (4)環境当社グループは、環境に関する各種法律、規制を遵守するとともに、パリ協定および日本政府が掲げる目標を念頭に、2050年のカーボンニュートラル達成に向けた温室効果ガスの排出量削減に関する中長期目標を定め、自家水力発電所建設などを通じたクリーンエネルギーの利用拡大、温室効果ガスを回収・固定化・有効利用する革新技術の開発、製品のライフサイクルを通じた地球温暖化ガスの排出削減、グループ各工場の環境負荷物質排出削減など、環境負荷の低減に取り組んでおります。 しかしながら、環境に関する規制の強化やカーボンプライシング(炭素税・排出権取引)が発動された場合、事業活動の制限や対応費用の負担等が発生し、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 (5)海外事業展開当社グループは、アジア、米国、欧州等の国および地域に進出し、現地生産や販売をおこなうなど、海外展開を推進しております。 海外での事業活動には予期できない法律や制度の変更、労使や人材確保の問題、テロや戦争などによる社会的混乱等のリスクが内在しており、これらのリスクが発生した場合、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 (6)財務当社グループは、将来の安定的な成長を持続するため、良好な財務バランスを維持することが重要と考えており、資金需要に見合った資金調達をおこなうことを基本的な方針としております。 資金の流動性については、適正な水準の現預金を保持した上で、不測の事態に対応するため、取引金融機関と貸出コミットメント契約を締結することで流動性を確保しております。 また、長期借入金の金利を固定化する等、金利変動リスクの低減を図っております。 しかしながら、金融環境が急激に悪化した場合、資金調達リスクや金利の上昇等が発生し、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 (7)固定資産の減損当社グループは、固定資産の減損に係る会計基準を適用しております。 当社グループが保有する固定資産について、事業環境の著しい悪化による収益性の低下等があった場合には、減損損失が発生し、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 (8)訴訟等当社グループは、倫理規定をはじめ各種社内規定に基づき、国内外の法令遵守はもちろんのこと、当社グループの社会における信頼を維持・確保することに努めておりますが、広範な事業活動を行う中で訴訟やその他の法律的手続きの対象となり、重要な訴訟等の提起を受けた場合には、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 なお、訴訟等については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (2) その他 ② 訴訟」をご参照下さい。 (9)新型コロナウイルス等の感染症当社グループは、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、顧客、従業員、関係先等の安全・安心を第一に考え、国内外の事業所において各国の状況にあわせた感染防止対策をおこなっております。 今後、新型コロナウイルスやその他の感染症の流行が発生した場合には、ロックダウンなどによる活動の制限、サプライチェーンの停滞、世界経済の悪化などにより、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (10)ロシア・ウクライナ情勢当社グループはESG基本方針に則り、人権の尊重やサステナビリティの観点から、ロシア・ウクライナ情勢に対する国際社会の動きや日本政府の方針を尊重するとともに、日本政府を含むステークホルダーと建設的な対話に努め、適切に対応してまいります。 現下の情勢は長期化しており、今後一部原料の調達難に伴う操業への影響、およびナフサ・天然ガス・石炭など原燃料価格の継続的な高騰などにより、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 その他、国内外の経済・政治情勢、技術革新、株式相場の変動、繰延税金資産の取崩し等が、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 |
経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 | 4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 (1)経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。 ① 財政状態及び経営成績の状況当期のわが国経済は、個人消費や設備投資が持ち直すなど、景気は緩やかに回復しました。 世界経済は、全体としては持ち直しの動きがみられましたが、中国経済の減速や欧米での物価高など、先行き不透明な状況が続きました。 さらに、足もとでは米国の関税政策の影響や為替の急激な変動など景気減速の懸念が高まっています。 このような状況下、当社グループは、2023年度にスタートした8カ年の経営計画「Mission2030」に掲げる「事業価値創造」、「人財価値創造」、「経営価値創造」の3つの成長戦略にもとづく施策を推進し、業容の拡大と収益の確保に注力いたしました。 この結果、当期の業績は、原燃料価格の上昇に応じた販売価格改定および円安による手取り増などにより、売上高は4,002億51百万円と前年同期に比べ109億87百万円(2.8%)の増収となりました。 収益面では、販売数量が減少したほか、海外子会社の為替換算影響などによる固定費の増加があったものの、円安による交易条件の改善があり、営業利益は144億13百万円(前年同期比10億36百万円増、7.7%増益)となり、経常利益は76億23百万円(前年同期比21億48百万円増、39.3%増益)となりました。 親会社株主に帰属する当期純損益は、特別損失として大船工場の稼働停止に伴う事業整理損や米国の子会社デンカパフォーマンスエラストマー社で固定資産減損損失を計上したことから、123億円の損失(前年同期は119億47百万円の利益)となりました。 <電子・先端プロダクツ部門>球状アルミナや球状シリカは、パソコンやスマートフォン用半導体向けの需要は緩やかな回復にとどまりましたが、生成AI用半導体向けの需要が拡大し、全体で増収となりました。 高機能フィルムも電子部品向けの需要が緩やかに回復し増収となりました。 また、アセチレンブラックの販売は、xEV向けは前年を下回りましたが、高圧ケーブル向けは前年を上回り、全体で増収となりました。 このほか、LED向けサイアロン蛍光体“アロンブライト”は販売数量が増加し増収となり、高信頼性放熱プレート“アルシンク”も、電鉄向けの需要回復や、再生可能エネルギーの直流送電用途での需要拡大により増収となりました。 一方、セラミックス回路基板は販売数量が前年を大幅に下回り減収となりました。 この結果、当部門の売上高は922億3百万円(前年同期比43億64百万円(5.0%)増収)となり、営業利益は91億68百万円と前年同期に比べ1億46百万円(1.6%)の増益となりました。 <ライフイノベーション部門>インフルエンザワクチンの出荷は前年並みとなりました。 一方、POCT検査試薬は、新型コロナとインフルエンザの同時診断キットは、検査需要は旺盛に推移しましたが生産能力増強工事に伴う設備の一時停止により十分な供給量が確保できなかったほか、年度末には流行が収束し、販売数量が前年を下回り減収となりました。 このほか、その他の検査試薬の販売は前年並みとなりました。 この結果、当部門の売上高は432億62百万円(前年同期比38億16百万円(8.1%)減収)となり、営業利益は96億2百万円と前年同期に比べ21億31百万円(18.2%)の減益となりました。 <エラストマー・インフラソリューション部門>クロロプレンゴムの需要は低調に推移しており、販売数量は前年並みとなりました。 また、コスト面では、米国の子会社デンカパフォーマンスエラストマー社で物価上昇による固定費の増加や原材料価格の上昇があり、収支を圧迫しました。 このほか、農業・土木用途向けのコルゲート管やセメントの販売も前年並みとなりましたが、特殊混和材の販売は工事遅れなどの影響により前年を下回りました。 この結果、当部門の売上高は1,116億73百万円(前年同期比3億18百万円(0.3%)増収)となり、79億62百万円の営業損失(前年同期は営業損失92億95百万円)となりました。 <ポリマーソリューション部門>当部門は各製品で原燃料価格の上昇に応じた販売価格の改定を進めました。 数量面では、デンカシンガポール社のMS樹脂は前年並みとなり、AS・ABS樹脂や透明樹脂は前年を上回りました。 このほか、食品包材用シートおよびその加工品や合繊かつら用原糸“トヨカロン”は、需要低迷が続いており前年並みとなりました。 この結果、当部門の売上高は1,353億65百万円(前年同期比111億25百万円(9.0%)増収)となり、営業利益は11億54百万円(前年同期は営業損失1億2百万円)となりました。 <その他部門>YKアクロス株式会社等の商社は、取扱高が概ね前年並みとなりました。 この結果、当部門の売上高は177億46百万円(前年同期比10億4百万円(5.4%)減収)となり、営業利益は23億95百万円と前年同期に比べ4億98百万円(26.3%)の増益となりました。 当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ392億79百万円増加の6,555億24百万円となりました。 流動資産は、棚卸資産の増加などにより前連結会計年度末に比べ50億7百万円増加の2,704億55百万円となりました。 固定資産は有形固定資産の増加などにより、前連結会計年度末に比べ342億72百万円増加の3,850億69百万円となりました。 負債は、有利子負債の増加などにより、前連結会計年度末に比べ478億98百万円増加の3,472億28百万円となりました。 非支配株主持分を含めた純資産は前連結会計年度末に比べ86億19百万円減少の3,082億96百万円となりました。 以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末の49.9%から45.2%となり、1株当たり純資産は3,568円69銭から3,436円95銭となりました。 ② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、370億2百万円となり、前連結会計年度末と比べ16億16百万円の増加となりました。 なお、当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。 営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益が減少したことなどにより、186億20百万円の収入となりました。 投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資の支払いなどにより、595億86百万円の支出となりました。 財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の増加などにより、401億18百万円の収入となりました。 なお、キャッシュ・フロー指標のトレンドは以下のとおりです。 2021年3月期2022年3月期2023年3月期2024年3月期2025年3月期自己資本比率(%)50.851.750.149.945.2時価ベースの自己資本比率(%)72.552.639.832.828.1債務償還年数(年)3.43.219.04.811.7インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)49.845.48.121.78.9 自己資本比率………………………………自己資本/総資産時価ベースの自己資本比率………………株式時価総額/総資産債務償還年数………………………………有利子負債/営業キャッシュ・フローインタレスト・カバレッジ・レシオ……営業キャッシュ・フロー/利息支払額 (注) 1.いずれの指標も連結ベースの財務数値により算出しております。 2.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。 3.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。 ③ 生産、受注及び販売の実績当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品がほとんどであるため、セグメントごとに生産規模および受注規模を金額あるいは数量で示すことは行っておりません。 このため「生産、受注及び販売の実績」については、「①財政状態及び経営成績の状況」におけるセグメントの経営成績に関連付けて記載しております。 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 ① 財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容2024年度のわが国経済は、個人消費や設備投資が持ち直すなど、景気は緩やかに回復しました。 世界経済は、全体としては持ち直しの動きがみられましたが、中国経済の減速や欧米での物価高など、先行き不透明な状況が続きました。 さらに、足もとでは米国の関税政策の影響や為替の急激な変動など景気減速の懸念が高まっています。 このような状況下、当社グループは、2023年度にスタートした8カ年の経営計画「Mission2030」に掲げる「事業価値創造」、「人財価値創造」、「経営価値創造」の3つの成長戦略にもとづく施策を推進し、業容の拡大と収益の確保に注力いたしました。 この結果、当期の業績は、原燃料価格の上昇に応じた販売価格改定および円安による手取り増などにより、売上高は増収となりました。 収益面では、販売数量が減少したほか、海外子会社の為替換算影響などによる固定費の増加があったものの、円安による交易条件の改善があり、営業利益、経常利益は増益となりました。 親会社株主に帰属する当期純損益は、特別損失として大船工場の稼働停止に伴う事業整理損や米国の子会社デンカパフォーマンスエラストマー社(以下、DPE)で固定資産減損損失を計上したことから、当期純損失と大きく減益となりました。 2024年度は、経営計画「Mission 2030」の策定時の前提条件が変動し、業績が低迷していることを打開すべく、成長軌道回帰への基盤づくりに注力いたしました。 その中の最優先事項が、「事業価値創造」のポートフォリオ改革における、クロロプレンゴム事業の抜本的対策です。 DPEは、コストの上昇、生産数量の減少、要員面の問題や世界的なクロロプレンゴムの需要後退の影響により、当社グループの収益を大きく圧迫しております。 こうした状況に鑑み、当社はDPE関連固定資産の減損損失を計上するとともに、同社はクロロプレンゴム製造設備を暫定停止することといたしました。 また、大船工場の稼働停止を決定しました。 同工場の主力製品である合繊かつら用原糸「Toyokalon®」については、需要の構造変化や減少、さらに原料価格高騰や固定費の増加をふまえ、シンガポール子会社への事業集約等により高収益事業への転換を図ることといたしました。 このほか、投資の厳選や、外部の知見を活用し徹底したコストダウンプロジェクトを展開しましたが、2024年度はDPEや大船工場に関する構造改革を推し進めた結果、特別損失を計上し、大幅な赤字決算を余儀なくされました。 今後、成長軌道へ回帰するための基盤をさらに強固なものとするべく、クロロプレンゴム事業については、DPEの事業譲渡や資産の譲渡の可能性を含め、あらゆる選択肢を検討し、抜本的対策を着実に進めるとともに、投資の厳選とコストダウンプロジェクトの実績化に引き続き注力いたします。 ② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報当社グループの当連結会計年度におけるキャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローは186億20百万円の収入となりましたが、経営計画「Mission2030」にもとづく積極的な投資による支出をおこない、株主還元方針にもとづく配当を実施した結果、当連結会計年度末のネット有利子負債残高は前連結会計年度末比で416億95百万円増加し、1,806億77百万円となりました。 なお、自己資本比率は45.2%、ネットD/Eレシオは0.61倍となり、引き続き良好な財政状態を維持しているものと判断しております。 資本の財源及び資金の流動性については、当社グループでは将来の安定的な成長を持続するため、良好な財務バランスを維持することが重要と考えており、資金需要に見合った資金調達を行うことを基本的な方針としております。 当社グループの資金需要のうち主なものは、運転資金、設備投資資金等であり、必要資金の調達については、自己資金を主とし、運転資金の一部を短期借入金やコマーシャル・ペーパーによって、設備資金等の長期資金の一部を長期借入金や社債によって外部調達しております。 資金の流動性については、適正な水準の現預金を保持した上で、不測の事態に対応するため、取引金融機関と貸出コミットメント契約を締結することで流動性を確保しております。 ③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に準拠して作成されております。 連結財務諸表の作成にあたっては、重要な会計方針と合理的と考えられる見積りに基づき、収益、費用、資産、負債の計上について判断しております。 当社グループの連結財務諸表の作成においては、例えば一般債権に対する貸倒引当金の引当については主として過去の貸倒実績率を、繰延税金資産の計上については将来の税務計画を、退職給付債務については、昇給率、割引率などを使用して見積っておりますが、見積りにつきましては不確実性があるため、実際の結果と異なる場合があります。 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、主なものは以下のとおりであります。 (a) 固定資産当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産または資産グループについて、当該資産または資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローを見積り、その総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減損損失として計上しております。 また、年次の減損テストが必要な場合、資産グループの公正価値を算定し、その帳簿価額が公正価値を超過する場合には、公正価値まで減額を行います。 将来キャッシュ・フローの見積りにあたっては、事業計画をもとに最新の事業環境に関する情報等を反映しているほか、必要に応じて外部専門家による評価を活用しております。 減損損失の認識及び測定に当たっては、慎重に検討をおこなっておりますが、将来の予測不能な事業環境の著しい悪化等により見直しが必要となった場合、減損損失が発生する可能性があります。 (b) 繰延税金資産の回収可能性繰延税金資産の回収可能性は、収益力もしくはタックス・プランニングに基づく将来の課税所得の十分性により判断しており、課税所得の算定にあたっては、各納税主体の事業計画をもとに最新の事業環境に関する情報等を反映し見積っております。 当該見積り及び当該仮定について、将来の予測不能な経営環境の著しい悪化等により見直しが必要となった場合、評価性引当額が変動し損益に影響を及ぼす可能性があります。 (c) 退職給付債務の算定当社グループでは、簡便法を採用している連結子会社を除き、確定給付制度の退職給付債務および関連する勤務費用について、数理計算上の仮定を用いて算定しております。 数理計算上の仮定には、割引率、昇給率、期待運用収益率等の計算基礎があり、これらの計算基礎については、例えば期待運用収益率であれば前提となる企業年金の運用方針などを、定期的かつ合理的な見直しをおこなっております。 当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、退職給付債務および関連する勤務費用が変動する可能性があります。 |
研究開発活動 | 6 【研究開発活動】 当社グループは、「一番上手にできる技術」の幅を広げ、持続可能な社会に貢献できるデンカならではの製品開発を推進し、新たな価値を生み出す魅力的な新規事業・製品の創出を加速していきます。 そのために、複数の異種技術を融合し、組織の境界、領域を超えたデンカグループ全体のシナジー効果を発揮すべく、グループの総合力を活かす研究開発を推進しております。 デンカイノベーションセンターを中核拠点として、多くの国内外産学官とのオープンイノベーションを推進しております。 物質材料研究機構(NIMS)とのNIMS-Denka次世代材料研究センター、山形大学および新潟大学との包括共同研究を展開する等、引き続き積極的な外部連携強化を推進致します。 これらの研究開発、製品化をさらに加速するため、新事業開発部門、コーポレート研究部門・デンカイノベーションセンターを再編するとともに既存事業部門との連携をこれまで以上に強化して、新事業創出の強化と既存事業の更なる発展、研究の責任・運営体制を明確化して、市場の動向を直視し、次世代の市場ニーズに確実かつ迅速に対応することで、早期の実需化につなげたいと考えております。 また、ESG(環境・社会・統治)の視点を常に意識し、国連が提唱する持続可能な開発目標(SDGs)を羅針盤として研究開発に注力致します。 当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は14,887百万円、研究要員は867名であり、当連結会計年度に国内で出願公開された特許は181件、国際出願で公開された特許は203件、国内で登録された特許(実用新案を含む)は428件となりました。 当連結会計年度における各事業部門別の研究の目的、主要課題、研究成果および研究開発費は次のとおりであります。 (1)電子・先端プロダクツ電子部材分野では、市場が拡大するパワーモジュール、車両電動化向けなど電子回路基板や放熱材料の多様なニーズに対応したソリューションを提案すべく、当社固有のセラミックスの開発技術や有機・無機材料の複合化技術の進化による高機能材料や新規部材の研究開発を、産学官との連携も行いながら推進しております。 高機能粘接着分野では、ハードロックSGA(高機能構造用接着剤)の新グレード、新規用途開発を推進するとともに、ハードロックOP/UVでは紫外線硬化技術を応用した特殊高機能接着剤の新製品開発の他、電子デバイス製造プロセス用仮固定剤の開発(TBM)などの新規市場開拓にも取り組んでおります。 高機能フィルム分野では、当社保有の樹脂素材技術、有機・無機複合材料設計技術に加え、シートやフィルムの先端加工技術を活かし、ダイアタッチメントフィルム(DAF)用ダイシングテープをはじめとした、電子部品半導体搬送テープ、半導体ウェハやパッケージの保護・仮固定用粘着テープや5Gの伝送損失低減フィルムなど、最先端ニーズを先取りした新規製品を供給すべく開発を進めております。 先端機能材料分野では、半導体封止材向け球状シリカ、放熱材料向け球状アルミナ等、フィラーの高性能化を進めるとともに、5Gに対応する低誘電正接材料(シリカ等)など、先進的な各種機能材料の開発を積極的に推進しております。 新規開発品として、回路基板などに用いられる低誘電有機絶縁材料(LDM、商品名スネクトン)の量産設備の投資を行っており、さらに拡販予定です。 機能性セラミックス分野では液晶ディスプレイ・照明に用いるLED向けサイアロン蛍光体や放熱材料として用いられる各種窒化物等の特性向上、さらに低誘電特性を持つフィラーの開発にも取り組んでおります。 特殊導電材料分野では、車両電動化に必要不可欠なリチウムイオン二次電池市場での事業を更に拡大すべく超高純度かつ高機能なカーボンブラックの新製品開発と事業化に取り組んでおります。 当セグメントに係わる研究開発費は5,296百万円でした。 (2)ライフイノベーションヘルスケア分野では、デンカイノベーションセンター(東京都町田市)、五泉事業所(新潟県五泉市)、Denka Life Innovation Research (シンガポール)、Icon Genetics(ドイツ)の4拠点体制で、(ポテンシャル)ニーズ優先の研究開発に取り組んでおります。 グローバルな視点で最先端の技術を積極的に導入しつつ、スペシャリティー事業の成長加速化を進めるため、予防・早期診断の取り組みに加え、がん領域・遺伝子領域など新規事業展開のための研究開発を推進しております。 がん治療用ウイルスG47Δについては、製剤の供給が当初の計画よりも低い水準で推移しています。 現在、使用をご希望される医療機関と患者の皆様にお届けすることを目指し、製造プロセスの見直しを進めています。 G47Δを用いたがんウイルス療法は、従来のがん治療法とは全く異なる新規治療法であり、がん治療の体系を根本から変革する可能性のあるものです。 当社は、G47Δ製剤の製造を通じ、この治療法の普及に取り組んで行きます。 遺伝子領域においては、戦略的パートナーであるPlexBio社(台湾)の保有する迅速かつ簡便に同時多項目の細菌同定を可能とする測定技術IntelliPlex™を活用し、感染症領域での遺伝子検査システムの開発を推進しており、敗血症の検査薬は早期上市を目標に取り組んでおります。 また、新たな取り組みとして、国立大学法人東北大学との共同研究成果をもとに国内外の内視鏡治療技術発展への貢献を目指した「Medical Rising STAR」プロジェクトを始動しております。 プロジェクト第1弾として内視鏡的止血術のシミュレータモデルの試験販売を23年8月に開始し、続いて、プロジェクトの第2弾として胆膵内視鏡シミュレータモデルの開発を行い、24年夏に試験販売を始めました。 さらに、製品ラインナップを強化すべく新製品の開発を進めております。 既存事業領域であるワクチン・臨床試薬についても、当社グループの開発リソースを集結させ、次世代mRNAインフルワクチンの開発研究、ならびに各種感染症用迅速検査試薬や健康管理に欠かせない臨床生化学検査試薬や免疫検査試薬の新製品研究開発を、産学連携も活用して推進しており、Mission2030に向けた製品開発活動を活発化させています。 当セグメントに係わる研究開発費は4,370百万円でした。 (3) エラストマー・インフラソリューションクロロプレンゴム、ERゴムなどのエラストマー分野においては、海外市場を含めた事業拡大のために、スペシャリティー製品の開発および生産技術の強化を進めております。 クロロプレンゴムは世界トップシェア維持を確実なものとすべく、独自の技術で差別化した新規グレードを開発し事業の拡大を推進しています。 ERゴムは配合技術や新グレードの開発を通じて高付加価値化を図り、事業強化を推進しています。 また、エラストマー加工技術を保有するデンカエラストリューション社との連携も強化しております。 特殊混和材分野では、従来からの鉄道や道路などのトンネル建設向けコンクリート混和材に加え、コンクリート製品の製造時に二酸化炭素を吸収・固定化・排出削減できる環境対応技術、3Dプリンティングやコンクリート二次製品の生産性向上、工事現場施工時の仕上げ時間短縮といった省力化に繋がる技術、老朽箇所の修繕・補強、構造物の長寿命化に貢献する技術といった、次世代型技術・製品の開発と事業化に注力しております。 無機製品分野では、無機材料設計の基盤技術を応用し、結晶質アルミナ短繊維と多孔質セラミック材料を複合した耐火炉用高断熱ボードを開発し、事業化を進めております。 アグリプロダクツ分野では国内のみならず海外市場に向けた次世代農業資材として、従来の肥料開発で蓄積した製品技術と遺伝子発現解析技術を基盤とした高機能性バイオスティミュラント製品の開発を推進しております。 当セグメントに係わる研究開発費は2,564百万円でした。 (4)ポリマーソリューション透明樹脂、耐熱樹脂、シュリンクラベル用樹脂など、特長あるスチレン系機能性樹脂の分野では、市場トレンドにマッチした新規用途展開並びに新規の高機能性樹脂の開発、そして更なる品質向上や生産技術の深耕をシンガポール子会社と一体となり推進しております。 さらに、新しい重合技術やポリマーアロイ技術を駆使した新規高分子材料の開発にチャレンジし、新規機能性樹脂の開発に取り組んでおります。 また、スチレン系製品に関しては、持分法適用関連会社である東洋スチレン社と取り組んでいるスチレンケミカルリサイクルによる使用済みポリスチレンを原料とした再資源化・再製品化や、バイオマス素材の活用(マスバランス方式を含む)など、スチレン系材料の環境対応に関わる各種開発活動にも取り組んでおります。 機能樹脂分野においては、ABS樹脂の耐熱性付与剤であるデンカIP®に関して、当社が長年にわたって高分子樹脂設計で培ってきたスチレン系の精密・重合技術をより深化させ、塗装性等の特性に優れるグレード デンカIPXシリーズの市場開発を進めております。 光学用途では、液晶テレビの高輝度化・高精細化に対応した導光板用透明樹脂の市場展開を推進中です。 更に今後の市場トレンドにマッチした開発、および環境対応にフォーカスした各種開発も進めております。 化成品分野においては、PVA樹脂の水溶性、生分解性などの特長を活かした開発を推進しております。 樹脂加工製品分野においては、市場のトレンドにマッチしたウィッグ・ヘアピース用合成繊維、食品包装用の耐熱耐油性透明シート、電子レンジ対応容器等に用いる耐熱性透明シートなどの製品群の開発を引き続き推進しております。 食品包装材料分野においては、バイオマス材料の活用等による各種環境対応新規製品、フードロス低減に対応した製品を開発し市場展開を進めております。 ウィッグ・ヘアピース用合成繊維 Toyokalon®に関しては、市場ニーズにマッチした製品開発や市場展開および環境負荷低減ニーズに対応した製品開発を進めております。 なお本製品の研究活動は、2026年3月末の大船工場稼働停止に伴いシンガポール子会社へ移管予定です。 当セグメントに係わる研究開発費は2,197百万円でした。 (5) その他事業産業設備の設計・施工等を行なっているデンカエンジニアリング㈱では効率的な粉体の空気輸送設備の技術開発や廃水設備等の研究開発をおこなっている他、各事業所に設置している生産技術部を中心に、デジタル技術を活用した生産性向上について検討する等、研究段階から事業化を見据えたプロセス設計、開発の充実を図っております。 その他事業に係わる研究開発費は458百万円でした。 |
設備投資等の概要 | 1 【設備投資等の概要】 当社グループは、2023年度より経営計画「Mission2030」をスタートし、「事業価値創造」、「人財価値創造」、「経営価値創造」の3つを成長戦略として、企業価値の向上に取り組んでおります。 設備投資については、8カ年累計で戦略投資3,600億円を含む合計5,400億円の投資を計画しましたが、経営計画の前提条件が変動していることに対応し、1,000億円の削減を目標として厳選した投資案件に経営資源を集中しております。 当期は過年度に決定した設備投資を含め、全体で69,173百万円の設備投資を実施いたしました。 電子・先端プロダクツ部門では、「ICT & Energy」の半導体、xEV、再生可能エネルギーなどのメガトレンドに対応する投資として、当社大牟田工場での次世代高機能球状フィラーや窒化ケイ素の生産能力増強工事、当社千葉工場での低誘電有機絶縁材料「スネクトン」の製造プラント建設工事、タイの連結子会社デンカSCGCアドバンストマテリアルズ社でのアセチレンブラック生産プラント建設工事など、40,860百万円の設備投資を実施いたしました。 ライフイノベーション部門では、「Healthcare」分野の投資として、当社五泉事業所での抗原迅速診断キットおよび検査試薬の生産能力増強工事など、10,613百万円の設備投資を実施いたしました。 エラストマー・インフラソリューション部門では、当社青海工場などで、11,681百万円の設備投資を実施いたしました。 ポリマーソリューション部門では、当社千葉工場などで、6,004百万円の設備投資を実施いたしました。 当連結会計年度中に完成した主要な設備工事といたしましては、電子・先端プロダクツ部門で、当社渋川工場での放熱シートの新規生産設備の導入工事や、シンガポールの連結子会社デンカアドバンテック社での球状シリカの生産能力増強工事があります。 |
主要な設備の状況 | 2 【主要な設備の状況】 (1) 提出会社2025年3月31日現在事業所名(所在地)セグメントの名称設備の内容建物及び構築物(百万円)機械装置及び運搬具(百万円)土地 注4その他帳簿価額(百万円)帳簿価額合計(百万円)従業員数(人)面積(千㎡)簿価(百万円)青海工場(新潟県糸魚川市、長野県北安曇郡小谷村)エラストマー・インフラソリューションポリマーソリューション無機・有機化学製品生産設備28,52826,1436,742(1,793)注36,7714,74566,189941大牟田工場(福岡県大牟田市)電子・先端プロダクツエラストマー・インフラソリューション無機・有機化学製品・電子機能材料生産設備13,50317,8556918,0309,49848,888599千葉工場(千葉県市原市)電子・先端プロダクツエラストマー・インフラソリューションポリマーソリューション有機化学製品・樹脂加工製品生産設備6,98912,80570321,9465,44247,183488渋川工場(群馬県渋川市)電子・先端プロダクツ電子機能材料製品生産設備2,4703,4771884,77483211,555201大船工場(神奈川県鎌倉市)電子・先端プロダクツポリマーソリューション樹脂加工製品生産設備1361463,148333,256105伊勢崎工場(群馬県伊勢崎市、群馬県太田市)電子・先端プロダクツポリマーソリューション電子機能材料・樹脂加工製品生産設備・研究開発設備2,0433,051913,0712328,399253五泉事業所(新潟県五泉市)ライフイノベーション医薬品生産設備15,01115,2971021,4202,77334,504793イノベーションセンター(東京都町田市)全社(共通)研究開発設備2,355228334,4998057,889192本社(東京都中央区他)電子・先端プロダクツライフイノベーションエラストマー・インフラソリューションポリマーソリューション全社(共通)管理・販売業務用設備および福利厚生施設3490――2,0022,352664支店・その他(大阪府大阪市北区、愛知県名古屋市中村区他)電子・先端プロダクツライフイノベーションエラストマー・インフラソリューションポリマーソリューション管理・販売業務用設備および福利厚生施設360753128(8) 3,2442324,590133 (注) 1.「その他帳簿価額」は、工具、器具及び備品、建設仮勘定およびリース資産の合計であります。 2.上記中の( )内は、賃借中のものであります。 3.年間賃借料は190百万円であります。 4.土地の再評価に関する法律(1998年3月31日公布法律第34号)に基づき、事業用の土地の再評価をおこなっております。 なお、土地の再評価の概要等については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結貸借対照表関係)」に記載のとおりであります。 (2) 国内子会社2025年3月31日現在会社名事業所名(所在地)セグメントの名称設備の内容建物及び構築物(百万円)機械装置及び運搬具(百万円)土地その他帳簿価額(百万円)帳簿価額合計(百万円)従業員数(人)面積(千㎡)簿価(百万円)デナールシラン㈱工場(新潟県糸魚川市)電子・先端プロダクツ電子機能材料生産設備5021,541(13)-182,0430デンカポリマー㈱佐倉工場(千葉県佐倉市)ポリマーソリューション樹脂加工製品生産設備15749911673221,35162五井工場(千葉県市原市)ポリマーソリューション樹脂加工製品生産設備20568475271191,535178香取工場(千葉県香取郡多古町)ポリマーソリューション樹脂加工製品生産設備18861362(55)241821,00788 (注) 1.「その他帳簿価額」は、工具、器具及び備品および建設仮勘定の合計であります。 2.上記中の( )内は、提出会社より賃借中のものであります。 (3) 在外子会社2025年3月31日現在会社名事業所名(所在地)セグメントの名称設備の内容建物及び構築物(百万円)機械装置及び運搬具(百万円)土地その他帳簿価額(百万円)帳簿価額合計(百万円)従業員数(人)面積(千㎡)簿価(百万円)デンカシンガポールP.L機能樹脂工場(シンガポール)ポリマーソリューション有機化学製品生産設備2,1508,934(95)注3―49911,58488アセチレンブラック工場(シンガポール)電子・先端プロダクツ電子機能材料生産設備1,4412,672(21)注4―3604,47445デンカパフォーマンスエラストマーLLCクロロプレン工場(アメリカ ルイジアナ州)エラストマー・インフラソリューション有機化学製品生産設備――(151)注5―――249デンカアドバンテックP.L溶融シリカ工場(シンガポール)電子・先端プロダクツ電子機能材料生産設備4,6463,305(24)注6―5,49713,44988トヨカロン工場(シンガポール)ポリマーソリューション樹脂加工製品生産設備1,791335(21)注7―4482,57541デンカアドバンストマテリアルズベトナムC.L工業用テープ工場、機能性テープ工場(ベトナム)電子・先端プロダクツ電子機能材料生産設備樹脂加工製品生産設備1,04981(31)注8―61,137175 (注) 1.「その他帳簿価額」は、工具、器具及び備品、建設仮勘定およびリース資産の合計であります。 2.上記中の( )内は、賃借中のものであります。 3.年間賃借料は144百万円であります。 4.年間賃借料は59百万円であります。 5.年間賃借料は1百万円であります。 6.年間賃借料は42百万円であります。 7.年間賃借料は27百万円であります。 8.年間賃借料は10百万円であります。 |
設備の新設、除却等の計画 | 3 【設備の新設、除却等の計画】 当社グループの設備投資については、経営資源の重点的かつ効率的な投入を念頭に策定しております。 設備計画は原則的に連結会社が個別に策定しておりますが、重要な計画に関しては当社を中心に調整を図っております。 なお、当社グループは、多種多様な事業を国内外でおこなっており、内容が多岐に渡るため、セグメントごとの数値を開示する方法によっております。 当連結会計年度後1年間の設備投資計画(新設・拡充)は600億円であり、セグメントごとの内訳は次のとおりです。 セグメントの名称2025年3月末計画金額(百万円)設備等の主な内容・目的資金調達方法電子・先端プロダクツ40,000電子材料製品製造設備拡充工事主に自己資金ライフイノベーション3,000医薬品製造設備拡充工事主に自己資金エラストマー・インフラソリューション11,000有機・無機製品生産性向上工事主に自己資金ポリマーソリューション6,000樹脂関連製品製造設備拡充工事主に自己資金合計60,000 (注) 経常的な設備の更新のための売却・除却を除き、重要な設備の売却・除却の計画はありません。 |
研究開発費、研究開発活動 | 458,000,000 |
設備投資額、設備投資等の概要 | 6,004,000,000 |
Employees
平均年齢(年)、提出会社の状況、従業員の状況 | 41 |
平均勤続年数(年)、提出会社の状況、従業員の状況 | 16 |
平均年間給与、提出会社の状況、従業員の状況 | 7,515,305 |
管理職に占める女性労働者の割合、提出会社の指標 | 0 |
全労働者、労働者の男女の賃金の差異、提出会社の指標 | 1 |
正規雇用労働者、労働者の男女の賃金の差異、提出会社の指標 | 1 |
非正規雇用労働者、労働者の男女の賃金の差異、提出会社の指標 | 0 |
Investment
株式の保有状況 | (5) 【株式の保有状況】 ① 投資株式の区分の基準及び考え方 保有目的が「純投資目的である投資株式」と「純投資目的以外の目的である投資株式」の区分について、当社は、売買や株式の価値の変動によって利益を受けることを目的とするものを「純投資目的である投資株式」と考え、安定的な取引関係の構築や成長戦略に則った業務提携関係の維持・強化に繋がり、当社の中長期的な企業価値の向上に資することを目的とするものを「純投資目的以外の目的である投資株式」と考えております。 なお、「純投資目的である投資株式」は現在保有しておりません。 ② 保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式a.保有方針及び保有の合理性を検証する方法並びに個別銘柄の保有の適否に関する取締役会等における検証の内容 (政策保有株式に関する方針)当社は、資本効率の向上を踏まえ、政策保有株式を原則保有しません。 但し、当該株式が安定的な取引関係の構築や成長戦略に則った業務提携関係の維持・強化に繋がり、当社の中長期的な企業価値の向上に資すると判断した場合には保有いたします。 (政策保有株式に関する取締役会での検証)当社は、この保有方針に則り、取締役会にて、当該株式の発行体の財務状況や当社との取引高とその経済合理性、当社の資本コストとの比較等様々な観点から、当該株式の総合的な検証を毎年継続して実施しております。 この継続的な検証の結果、2025年3月末の政策保有株式の銘柄数は前年度末と比べ、9銘柄減の45銘柄となり、連結純資産に占める割合は前年度末と比べ、0.79ポイント減の6.42%となりました。 <政策保有株式推移> 2018年度(第160期)2019年度(第161期)2020年度(第162期)2021年度(第163期)2022年度(第164期)2023年度(第165期)2024年度(第166期)銘柄数 102979390705445貸借対照表計上額の合計額(百万円)A32,66526,46833,24334,03429,95622,84819,786純資産合計(百万円)B250,481254,014270,036292,094300,351316,915308,296 A/B13.04%10.42%12.31%11.65%9.97%7.21%6.42% (政策保有株式に対する議決権行使基準)また、当該株式に関する議決権の行使については、原則的には発行会社の経営方針や戦略を尊重した上で、その株式を管理する各担当部門が発行会社の経営状況等を勘案し、最終的には株主価値の向上に資するものかどうかの観点から個別に議案を精査して賛否の判断を行います。 特に以下の場合には、必要に応じて発行会社との対話を行い、議案に賛成するかどうか、慎重に判断いたします。 (1) 著しい業績の悪化が一定期間継続している場合 (2) 重大な不祥事が発生した場合(3) その他株主価値を毀損するおそれがある議案の場合 b.銘柄数及び貸借対照表計上額 銘柄数(銘柄)貸借対照表計上額の合計額(百万円)非上場株式433,338非上場株式以外の株式216,448 (当事業年度において株式数が増加した銘柄)該当事項はありません。 (当事業年度において株式数が減少した銘柄) 銘柄数(銘柄)株式数の減少に係る売却価額の合計額(百万円)非上場株式9362非上場株式以外の株式―― c.特定投資株式及びみなし保有株式の銘柄ごとの株式数、貸借対照表計上額等に関する情報特定投資株式銘柄当事業年度株式数(株)前事業年度株式数(株)保有目的、業務提携等の概要、定量的な保有効果及び株式数が増加した理由当社の株式の保有の有無貸借対照表計上額(百万円)貸借対照表計上額(百万円)三井物産㈱3,868,850(注)1,934,425エラストマー・インフラソリューション部門などの継続的な重要取引先かつ重要な事業提携先であり、中長期的な観点において、経営戦略上有効であるため保有しております。 保有の合理性については、保有効果が資本コストに見合っていることを定量的に検証しているほか、定性的な便益等を有していることを検証しております。 有10,83113,746高圧ガス工業㈱6,325,4986,325,498エラストマー・インフラソリューション部門の継続的な重要取引先かつ重要な事業提携先であり、中長期的な観点において、経営戦略上有効であるため保有しております。 保有の合理性については、保有効果が資本コストに見合っていることを定量的に検証しているほか、定性的な便益等を有していることを検証しております。 有5,6175,642 (注)1.三井物産㈱は、2024年7月1日付で普通株式1株につき2株の割合で株式分割を実施しております。 みなし保有株式該当事項はありません。 ③ 保有目的が純投資目的である投資株式該当事項はありません。 |
銘柄数、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 43 |
貸借対照表計上額、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 3,338,000,000 |
銘柄数、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 2 |
貸借対照表計上額、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 16,448,000,000 |
株式数、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社 | 6,325,498 |
貸借対照表計上額、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社 | 5,617,000,000 |
銘柄、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社 | 高圧ガス工業㈱ |
保有目的、業務提携等の概要、定量的な保有効果及び株式数が増加した理由、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社 | エラストマー・インフラソリューション部門の継続的な重要取引先かつ重要な事業提携先であり、中長期的な観点において、経営戦略上有効であるため保有しております。 保有の合理性については、保有効果が資本コストに見合っていることを定量的に検証しているほか、定性的な便益等を有していることを検証しております。 |
当該株式の発行者による提出会社の株式の保有の有無、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社 | 有 |
Shareholders
大株主の状況 | (6) 【大株主の状況】 2025年3月31日現在 氏名又は名称住所所有株式数(百株)発行済株式(自己株式を除く。)の総数に対する所有株式数の割合(%) 日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)東京都港区赤坂1丁目8番1号 赤坂インターシティAIR154,46517.90 株式会社日本カストディ銀行(信託口)東京都中央区晴海1丁目8-1297,70711.33 みずほ信託銀行株式会社 退職給付信託 みずほ銀行口 再信託受託者 株式会社日本カストディ銀行東京都中央区晴海1丁目8番12号32,1583.73 STATE STREET BANK AND TRUST COMPANY 505001 (常任代理人 株式会社みずほ銀行)ONE CONGRESS STREET, SUITE 1,BOSTON MASSACHUSETTS (東京都港区2丁目15-1品川インターシティA棟)28,9963.36 大樹生命保険株式会社(常任代理人 株式会社日本カストディ銀行)東京都千代田区大手町2丁目1-1(東京都中央区晴海1丁目8-12)23,8162.76 デンカ従業員持株会東京都中央区日本橋室町2丁目1-1 日本橋三井タワー10階15,3961.78 野村信託銀行株式会社(投信口)東京都千代田区大手町2丁目2-214,4551.68 株式会社日本カストディ銀行(信託口4)東京都中央区晴海1丁目8-1211,1081.29 三井住友海上火災保険株式会社東京都千代田区神田駿河台3丁目9番地11,0661.28 三井物産株式会社 (常任代理人 株式会社日本カストディ銀行)東京都千代田区大手町1丁目2番1号 (東京都中央区晴海1丁目8番12号)10,8741.26 計―400,04146.37 (注)1.上記のほか、自己株式が22,851百株あります。 2.2025年2月20日(報告義務発生日:2025年2月14日)に、三井住友トラスト・アセットマネジメント株式会社から、以下のとおり2社を共同保有者とする大量保有に関する変更報告書が関東財務局長に提出されておりますが、当社として当事業年度末現在の実質所有状況を確認することができませんので、上記「大株主の状況」には含めておりません。氏名または名称保有株式数(株)保有割合(%)三井住友トラスト・アセットマネジメント株式会社2,182,7002.46日興アセットマネジメント株式会社4,605,6005.20計6,788,3007.67 |
株主数-金融機関 | 61 |
株主数-金融商品取引業者 | 38 |
株主数-外国法人等-個人 | 164 |
株主数-外国法人等-個人以外 | 248 |
株主数-個人その他 | 48,332 |
株主数-その他の法人 | 475 |
株主数-計 | 49,318 |
氏名又は名称、大株主の状況 | 三井物産株式会社 (常任代理人 株式会社日本カストディ銀行) |
株主総利回り | 1 |
株主総会決議による取得の状況 | (1) 【株主総会決議による取得の状況】 該当事項はありません。 |
株主総会決議又は取締役会決議に基づかないものの内容 | (3) 【株主総会決議又は取締役会決議に基づかないものの内容】 会社法第155条第7号に該当する普通株式の取得区分株式数(株)価額の総額(円)当事業年度における取得自己株式2,3725,195,024当期間における取得自己株式146293,087 (注) 当期間における取得自己株式には、2025年5月1日からこの有価証券報告書提出日までの単元未満株式の買取りによる株式は含まれておりません。 |
Shareholders2
自己株式の取得 | -5,000,000 |
自己株式の取得による支出、財務活動によるキャッシュ・フロー | -5,000,000 |
発行済株式及び自己株式に関する注記 | 1.発行済株式の種類及び総数並びに自己株式の種類及び株式数に関する事項 当連結会計年度期首株式数(千株)当連結会計年度増加株式数(千株)当連結会計年度減少株式数(千株)当連結会計年度末株式数(千株)発行済株式 普通株式 88,555――88,555合計88,555――88,555自己株式 普通株式 (注)1、22,379212,380合計2,379212,380 (注)1 普通株式の自己株式数の増加2千株は、単元未満株式の買い取りによるものです。 2 普通株式の自己株式数の減少1千株は、単元未満株式の売り渡しによる減少0千株、株式給付信託による株式の交付1千株によるものです。 |
Audit
監査法人1、連結 | EY新日本有限責任監査法人 |
独立監査人の報告書、連結 | 独立監査人の監査報告書及び内部統制監査報告書 2025年6月19日デンカ株式会社取締役会 御中 EY新日本有限責任監査法人 東京事務所 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士丸山 高雄 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士北村 康行 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士中野 裕基 <連結財務諸表監査>監査意見当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられているデンカ株式会社の2024年4月1日から2025年3月31日までの連結会計年度の連結財務諸表、すなわち、連結貸借対照表、連結損益計算書、連結包括利益計算書、連結株主資本等変動計算書、連結キャッシュ・フロー計算書、連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項、その他の注記及び連結附属明細表について監査を行った。 当監査法人は、上記の連結財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、デンカ株式会社及び連結子会社の2025年3月31日現在の財政状態並びに同日をもって終了する連結会計年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。 監査意見の根拠当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。 監査の基準における当監査法人の責任は、「連結財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。 当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。 当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。 監査上の主要な検討事項監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。 監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 デンカパフォーマンスエラストマーLLCの製造設備等に係る減損損失の計上監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応デンカ株式会社(以下「会社」)は、当連結会計年度の連結損益計算書において特別損失として「減損損失」を16,111百万円計上しており、注記事項(連結損益計算書関係)に記載のとおり、その内訳は、連結子会社であるデンカパフォーマンスエラストマーLLC(以下「DPE」)のクロロプレンゴム製造設備等に係る減損損失16,111百万円である。 会社は、2014年に共同出資会社DPEを米国に設立し、 E.I.DuPont de Nemours and Company(以下「Dupont」)が保有するクロロプレンゴムの製造・販売に関する事業を譲り受けた。 注記事項(連結損益計算書関係)に記載のとおり、当連結会計年度において、DPEのクロロプレンゴム製造設備において、コストの上昇及び生産面やその他の課題に直面してきた。 コストの上昇については、DPEがDuPontから当該製造設備を取得した時点では必要と想定されなかったクロロプレンモノマーの排出削減設備の設計・導入及び運用に係るもの、当該排出削減設備の運転やその他の排出削減対策の実施に必要となるエネルギーコストの上昇や必要要員の確保面での困難さ、米国内のインフレによる主要原材料費や修繕費上昇の加速、並びに全般的に要員の確保・維持が難しくなっていること等を含む、様々な要因に起因している。 また、DPEは、これらのコスト上昇や要員面の問題に加え、排出削減対策の実施に伴う操業上の制約、並びにサプライチェーンの寸断及び自然災害に伴う計画外停止等により、生産数量の減少にも直面している。 さらに、世界経済環境の変化によるクロロプレンゴムの需要後退の影響も相まって、会社グループの収益は圧迫されている。 このようなDPEの状況を鑑みて、会社はDPEの製造設備等の固定資産に減損の兆候があると判断し、当連結会計年度において減損損失の認識の要否を検討した。 この検討の結果、DPEの製造設備等の資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が当該資産グループの帳簿価額を下回ることから公正価値まで減額をしている。 DPEの製造設備等に係る減損損失の計上額に金額的重要性があることから、当監査法人は当該事項を監査上の主要な検討事項と判断した。 当監査法人は、DPEの製造設備等に係る減損損失の計上について、構成単位の監査人を関与させ、主に以下の手続を実施した。 ・ DPEの経営環境及び経営戦略を適時に理解するため、会社の取締役会資料等の閲覧及び経営者等へ質問を実施した。 ・ DPEの製造設備等に係る減損損失の計上額について、正確かつ網羅的に集計されていることを検証するために、構成単位の監査人を関与させて再計算を実施した。 ・ 構成単位の監査人が実施した監査手続及び結論についての理解及び評価を実施した。 その他の記載内容その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。 経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。 また、監査等委員会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 当監査法人の連結財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。 連結財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と連結財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 連結財務諸表に対する経営者及び監査等委員会の責任 経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して連結財務諸表を作成し適正に表示することにある。 これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない連結財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。 連結財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき連結財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。 監査等委員会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 連結財務諸表監査における監査人の責任監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての連結財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から連結財務諸表に対する意見を表明することにある。 虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、連結財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。 監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。 ・ 不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。 また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。 監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。 さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。 ・ 連結財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。 ・ 経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。 ・ 経営者が継続企業を前提として連結財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。 継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において連結財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する連結財務諸表の注記事項が適切でない場合は、連結財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。 監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。 ・ 連結財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた連結財務諸表の表示、構成及び内容、並びに連結財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。 ・ 連結財務諸表に対する意見表明の基礎となる、会社及び連結子会社の財務情報に関する十分かつ適切な監査証拠を入手するために、連結財務諸表の監査を計画し実施する。 監査人は、連結財務諸表の監査に関する指揮、監督及び査閲に関して責任がある。 監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。 監査人は、監査等委員会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。 監査人は、監査等委員会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。 監査人は、監査等委員会と協議した事項のうち、当連結会計年度の連結財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。 ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。 <内部統制監査>監査意見当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第2項の規定に基づく監査証明を行うため、デンカ株式会社の2025年3月31日現在の内部統制報告書について監査を行った。 当監査法人は、デンカ株式会社が2025年3月31日現在の財務報告に係る内部統制は有効であると表示した上記の内部統制報告書が、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して、財務報告に係る内部統制の評価結果について、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。 監査意見の根拠当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に準拠して内部統制監査を行った。 財務報告に係る内部統制の監査の基準における当監査法人の責任は、「内部統制監査における監査人の責任」に記載されている。 当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。 当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。 内部統制報告書に対する経営者及び監査等委員会の責任経営者の責任は、財務報告に係る内部統制を整備及び運用し、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して内部統制報告書を作成し適正に表示することにある。 監査等委員会の責任は、財務報告に係る内部統制の整備及び運用状況を監視、検証することにある。 なお、財務報告に係る内部統制により財務報告の虚偽の記載を完全には防止又は発見することができない可能性がある。 内部統制監査における監査人の責任監査人の責任は、監査人が実施した内部統制監査に基づいて、内部統制報告書に重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、内部統制監査報告書において独立の立場から内部統制報告書に対する意見を表明することにある。 監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。 ・ 内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果について監査証拠を入手するための監査手続を実施する。 内部統制監査の監査手続は、監査人の判断により、財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性に基づいて選択及び適用される。 ・ 財務報告に係る内部統制の評価範囲、評価手続及び評価結果について経営者が行った記載を含め、全体としての内部統制報告書の表示を検討する。 ・ 内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果に関する十分かつ適切な監査証拠を入手するために、内部統制の監査を計画し実施する。 監査人は、内部統制報告書の監査に関する指揮、監督及び査閲に関して責任がある。 監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。 監査人は、監査等委員会に対して、計画した内部統制監査の範囲とその実施時期、内部統制監査の実施結果、識別した内部統制の開示すべき重要な不備、その是正結果、及び内部統制の監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。 監査人は、監査等委員会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。 <報酬関連情報>当監査法人及び当監査法人と同一のネットワークに属する者に対する、会社及び子会社の監査証明業務に基づく報酬及び非監査業務に基づく報酬の額は、「提出会社の状況」に含まれるコーポレート・ガバナンスの状況等(3)【監査の状況】 に記載されている。 利害関係会社及び連結子会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。 以 上 (注) 1.上記の監査報告書の原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。 2.XBRLデータは監査の対象には含まれておりません。 |
監査上の主要な検討事項、連結 | 監査上の主要な検討事項監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。 監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 デンカパフォーマンスエラストマーLLCの製造設備等に係る減損損失の計上監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応デンカ株式会社(以下「会社」)は、当連結会計年度の連結損益計算書において特別損失として「減損損失」を16,111百万円計上しており、注記事項(連結損益計算書関係)に記載のとおり、その内訳は、連結子会社であるデンカパフォーマンスエラストマーLLC(以下「DPE」)のクロロプレンゴム製造設備等に係る減損損失16,111百万円である。 会社は、2014年に共同出資会社DPEを米国に設立し、 E.I.DuPont de Nemours and Company(以下「Dupont」)が保有するクロロプレンゴムの製造・販売に関する事業を譲り受けた。 注記事項(連結損益計算書関係)に記載のとおり、当連結会計年度において、DPEのクロロプレンゴム製造設備において、コストの上昇及び生産面やその他の課題に直面してきた。 コストの上昇については、DPEがDuPontから当該製造設備を取得した時点では必要と想定されなかったクロロプレンモノマーの排出削減設備の設計・導入及び運用に係るもの、当該排出削減設備の運転やその他の排出削減対策の実施に必要となるエネルギーコストの上昇や必要要員の確保面での困難さ、米国内のインフレによる主要原材料費や修繕費上昇の加速、並びに全般的に要員の確保・維持が難しくなっていること等を含む、様々な要因に起因している。 また、DPEは、これらのコスト上昇や要員面の問題に加え、排出削減対策の実施に伴う操業上の制約、並びにサプライチェーンの寸断及び自然災害に伴う計画外停止等により、生産数量の減少にも直面している。 さらに、世界経済環境の変化によるクロロプレンゴムの需要後退の影響も相まって、会社グループの収益は圧迫されている。 このようなDPEの状況を鑑みて、会社はDPEの製造設備等の固定資産に減損の兆候があると判断し、当連結会計年度において減損損失の認識の要否を検討した。 この検討の結果、DPEの製造設備等の資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が当該資産グループの帳簿価額を下回ることから公正価値まで減額をしている。 DPEの製造設備等に係る減損損失の計上額に金額的重要性があることから、当監査法人は当該事項を監査上の主要な検討事項と判断した。 当監査法人は、DPEの製造設備等に係る減損損失の計上について、構成単位の監査人を関与させ、主に以下の手続を実施した。 ・ DPEの経営環境及び経営戦略を適時に理解するため、会社の取締役会資料等の閲覧及び経営者等へ質問を実施した。 ・ DPEの製造設備等に係る減損損失の計上額について、正確かつ網羅的に集計されていることを検証するために、構成単位の監査人を関与させて再計算を実施した。 ・ 構成単位の監査人が実施した監査手続及び結論についての理解及び評価を実施した。 |
全体概要、監査上の主要な検討事項、連結 | 監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。 監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 |
見出し、監査上の主要な検討事項、連結 | デンカパフォーマンスエラストマーLLCの製造設備等に係る減損損失の計上 |
内容及び理由、監査上の主要な検討事項、連結 | デンカ株式会社(以下「会社」)は、当連結会計年度の連結損益計算書において特別損失として「減損損失」を16,111百万円計上しており、注記事項(連結損益計算書関係)に記載のとおり、その内訳は、連結子会社であるデンカパフォーマンスエラストマーLLC(以下「DPE」)のクロロプレンゴム製造設備等に係る減損損失16,111百万円である。 会社は、2014年に共同出資会社DPEを米国に設立し、 E.I.DuPont de Nemours and Company(以下「Dupont」)が保有するクロロプレンゴムの製造・販売に関する事業を譲り受けた。 注記事項(連結損益計算書関係)に記載のとおり、当連結会計年度において、DPEのクロロプレンゴム製造設備において、コストの上昇及び生産面やその他の課題に直面してきた。 コストの上昇については、DPEがDuPontから当該製造設備を取得した時点では必要と想定されなかったクロロプレンモノマーの排出削減設備の設計・導入及び運用に係るもの、当該排出削減設備の運転やその他の排出削減対策の実施に必要となるエネルギーコストの上昇や必要要員の確保面での困難さ、米国内のインフレによる主要原材料費や修繕費上昇の加速、並びに全般的に要員の確保・維持が難しくなっていること等を含む、様々な要因に起因している。 また、DPEは、これらのコスト上昇や要員面の問題に加え、排出削減対策の実施に伴う操業上の制約、並びにサプライチェーンの寸断及び自然災害に伴う計画外停止等により、生産数量の減少にも直面している。 さらに、世界経済環境の変化によるクロロプレンゴムの需要後退の影響も相まって、会社グループの収益は圧迫されている。 このようなDPEの状況を鑑みて、会社はDPEの製造設備等の固定資産に減損の兆候があると判断し、当連結会計年度において減損損失の認識の要否を検討した。 この検討の結果、DPEの製造設備等の資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が当該資産グループの帳簿価額を下回ることから公正価値まで減額をしている。 DPEの製造設備等に係る減損損失の計上額に金額的重要性があることから、当監査法人は当該事項を監査上の主要な検討事項と判断した。 |
開示への参照、監査上の主要な検討事項、連結 | 注記事項(連結損益計算書関係) |
開示への参照2、監査上の主要な検討事項、連結 | 注記事項(連結損益計算書関係) |
監査上の対応、監査上の主要な検討事項、連結 | 当監査法人は、DPEの製造設備等に係る減損損失の計上について、構成単位の監査人を関与させ、主に以下の手続を実施した。 ・ DPEの経営環境及び経営戦略を適時に理解するため、会社の取締役会資料等の閲覧及び経営者等へ質問を実施した。 ・ DPEの製造設備等に係る減損損失の計上額について、正確かつ網羅的に集計されていることを検証するために、構成単位の監査人を関与させて再計算を実施した。 ・ 構成単位の監査人が実施した監査手続及び結論についての理解及び評価を実施した。 |
その他の記載内容、連結 | その他の記載内容その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。 経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。 また、監査等委員会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 当監査法人の連結財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。 連結財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と連結財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 |
報酬関連情報、連結 | <報酬関連情報>当監査法人及び当監査法人と同一のネットワークに属する者に対する、会社及び子会社の監査証明業務に基づく報酬及び非監査業務に基づく報酬の額は、「提出会社の状況」に含まれるコーポレート・ガバナンスの状況等(3)【監査の状況】 に記載されている。 |
Audit1
監査法人1、個別 | EY新日本有限責任監査法人 |