財務諸表

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提出書類、表紙有価証券報告書
提出日、表紙2025-06-19
英訳名、表紙DAIICHI KIGENSO KAGAKU KOGYO CO.,LTD.
代表者の役職氏名、表紙代表取締役社長執行役員 國部 洋
本店の所在の場所、表紙大阪市中央区北浜4丁目4番9号
電話番号、本店の所在の場所、表紙06(6206)3311(代表)
様式、DEI第三号様式
会計基準、DEIJapan GAAP
連結決算の有無、DEItrue
当会計期間の種類、DEIFY

corp

沿革 2 【沿革】
年月事項1956年5月大阪市東区高麗橋を本社として第一稀元素化学工業株式会社を設立 大阪市西淀川区御幣島に工場を開設し、ジルコニウム防水材の販売を開始1958年12月大阪市東淀川区三津屋北通に三津屋工場を開設し、生産部門をすべて移設1959年4月大阪市東淀川区三津屋北通に本店を移転(旧本社は大阪営業所に変更)1960年4月大阪市東淀川区小松南通に淀川第一工場開設1960年9月大阪市東淀川区小松南通に本店を移転し、生産部門をすべて移設1961年2月光学用ジルコニアの販売を開始1966年6月焼成専門工場として、淀川第一工場隣接地に淀川第二工場を開設1967年6月中間物専門工場として、兵庫県伊丹市森本に伊丹工場を開設1968年3月電子材料用ジルコニア及び樹脂用難燃剤の販売を開始1969年4月東京都北区田端に東京出張所を開設1969年11月耐火物用ジルコニアの本格販売を開始1972年6月ブレーキ用ジルコニアの販売を開始1976年5月光学レンズ用硝酸セシウムの販売を開始1976年8月酸素センサー用ジルコニアの販売を開始1979年5月大阪市住之江区平林南に本店を移転、大阪工場を開設し、既存の三工場を統合1980年7月鉄鋼連続鋳造用電融ジルコニアの本格販売を開始1981年5月ファインセラミックス用ジルコニアの販売を開始1983年2月東京営業所を東京都港区虎ノ門に移転1983年2月宝飾用キュービックジルコニアの販売を開始1984年4月 ニューテックス株式会社(役員及び従業員による共同出資)を設立し、ジルコニウム化合物(液物)及びレア・アース化合物の製造を移管1990年8月自動車排ガス浄化触媒用セリア・ジルコニア複合酸化物の販売を開始1992年7月日本曹達株式会社からカラージルコニアの特許譲受、販売権を取得1993年3月 高知市に株式会社アイ・ディ・ユー(現・持分法非適用関連会社)を設立し、電融ジルコニアの製造を移管1996年1月国際規格「ISO-9001」(JQA-1144)の認証を取得1996年7月 島根県江津市松川町に江津工場を新設し、自動車排ガス浄化触媒用セリア・ジルコニア複合酸化物の本格生産を開始1998年2月大阪、江津工場を含めた「ISO-9001」の拡大認証を取得2001年2月「ISO-14001」(JQA-EM1307)の認証を取得2002年6月ニューテックス株式会社の株式100%を取得し、子会社化2002年8月大阪営業所を大阪市中央区今橋に移転2002年9月ニューテックス株式会社を吸収合併2004年12月東京証券取引所市場第二部に株式を上場2006年10月福井市に福井工場を新設し、ファインセラミックス用ジルコニアの生産を開始2007年11月福井工場を含めた「ISO-9001」、「ISO-14001」の拡大認証を取得2012年3月 ベトナム社会主義共和国にVIETNAM RARE ELEMENTS CHEMICAL JOINT STOCK COMPANY(現・連結子会社)を設立2013年4月中期経営計画「DK-One Project」スタート2013年8月 中華人民共和国上海市に穂華(上海)貿易有限公司(現 迪凱凱(上海)材料貿易有限公司(現・連結子会社)を設立2014年7月 山東広垠廸凱凱新材料有限公司、山東広垠廸凱凱環保科技有限公司(現・持分法適用関連会社)を設立2017年9月DKKロジスティクス株式会社(現・連結子会社)を設立2018年3月タイに子会社DKK Thai Materials Trading Co., Ltd.(現・連結子会社)を設立2018年6月東京証券取引所市場第一部に指定2019年4月大阪市中央区北浜に本社を移転2019年6月米国にDKK America Materials,Inc.(現・連結子会社)を設立2021年2月東京営業所を東京都千代田区霞が関へ移転2022年4月東京証券取引所プライム市場へ移行2022年5月中期経営計画「DK-One Next」スタート2023年8月ベトナム子会社において工場を新設し、生産活動を開始 大阪市住之江区に研究開発センターを新設2024年4月大阪事業所を研究開発センターに名称変更
事業の内容 3 【事業の内容】
当社グループは、当社と子会社5社及び関連会社3社で構成されており、酸化ジルコニウムを中心としたジルコニウム化合物を製造・販売しております。
ジルコニウム化合物の精製には乾式製法(電融法など)と湿式製法の2種類があり、当社グループは両製法の設備を有し、目的に応じて製造方法を選択することができます。
また、湿式製法にて鉱石から最終製品までの一貫生産システムを有するメーカーでもあります。
当社グループは当社を中心に、高純度酸化ジルコニウム及びジルコニウム化合物を湿式製法にて製造し、関連会社から乾式製法(電融法)により精製した酸化ジルコニウムを購入することで、顧客からの多種多様な要望に対応できる販売体制を整えております。
また、その生産技術・複合化技術を生かして、希土類化合物やセシウム化合物等その他元素の化合物についても製造・販売を行っております。
ジルコニウム化合物は、この半世紀の間にその優れた物理化学特性が次々と解明され、現在では日常的に使用される多種多様な製品の原料として幅広く利用されております。
具体的には撥水性(防水剤)に始まり、高屈折率(光学材料)、高耐熱性(耐火物)、圧電性(着火素子・ブザー・アクチュエーター)、イオン伝導性(酸素センサー)、誘電性(セラミックコンデンサ・電波フィルター)、高強度・高靭性(ファインセラミックス)、強酸性・耐薬品性(工業用触媒)など、ジルコニウム化合物は数多くの特性を持っております。
当社グループの事業セグメントは、化学工業製品の製造販売事業の単一セグメントであり、事業部門に分類することが困難なため、特段の注記なき場合は当社グループ総計にて記載しております。
なお、当社では用途セグメントとして、「戦略分野-半導体・エレクトロニクス」「戦略分野-エネルギー」「戦略分野-ヘルスケア」「自動車排ガス浄化触媒分野」「基盤分野」の5区分により記載しております。
当社製品の主要な用途 用途セグメント 主な用途戦略分野半導体・エレクトロニクス電子部品電子基板・フェルール光学半導体・積層セラミックコンデンサ・スマートフォンの筐体・イヤフォン、スピーカーのハウジング・ディスプレイ用反射防止フィルム・カメラレンズの屈折率調整・半導体研磨エネルギーエネルギー触媒二次電池SOFC/SOEC水素関連・水素生成触媒・リチウムイオン電池の正極材の添加剤・燃料電池の電解質・水電解ヘルスケア生体材料(歯科含む)医療機器抗菌剤・環境・歯科材料・画像診断装置・抗菌剤、吸着剤自動車排ガス浄化触媒分野自動車触媒酸素センサー・三元触媒、GPF・酸素センサー・スパークプラグ基盤分野工業用触媒構造部材耐火物ブレーキ材ブレージング表面処理 ・化学合成触媒・時計、装飾品・連続鋳造用ノズル・ブレーキパッド・アルミ配管ろう付・塗料・製紙用水溶性高分子の架橋剤 当社グループの当該事業における位置付けは次のとおりであります。
関係会社の状況 4 【関係会社の状況】
名称住所資本金又は出資金主要な事業の内容議決権の所有割合(%)関係内容(連結子会社) VIETNAM RARE ELEMENTSCHEMICAL JOINT STOCKCOMPANY(※1)ベトナム社会主義共和国バリアブンタオ省808,618百万ベトナムドンオキシ塩化ジルコニウム(当社最終製品の前工程でのジルコニウム中間体)製造販売99.99営業上の取引:原料仕入等役員の兼任等:あり 迪凱凱(上海)材料貿易有限公司(※1)中華人民共和国上海市420万人民元ジルコニウム化合物等の販売100.00営業上の取引:製品販売等役員の兼任等:なしDKK Thai Materials Trading Co.,Ltd.タイ王国バンコク1,000万タイバーツジルコニウム化合物等の販売99.99営業上の取引:製品販売等役員の兼任等:なしDKK America Materials, Inc.(※1、2)アメリカ合衆国ミシガン州 100万米ドルジルコニウム化合物等の販売100.00営業上の取引:製品販売等役員の兼任等:なしDKKロジスティクス株式会社大阪市中央区5,000万円倉庫業、一般貨物自動車運送事業51.00営業上の取引:物流業務役員の兼任等:あり(持分法適用関連会社) 山東広垠廸凱凱新材料有限公司中華人民共和国山東省98,000千人民元 ファインセラミックス用材料の生産・販売34.00営業上の取引:製品販売等役員の兼任等:あり山東広垠廸凱凱環保科技有限公司中華人民共和国山東省27,860千人民元希少金属の回収生産・販売33.00営業上の取引:製品仕入等役員の兼任等:あり
(注) ※1.特定子会社に該当しております。
※2.DKK America Materials, Inc.については、売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く)の連結売上高に占める割合が10%を超えております。
主要な損益情報等   DKK America Materials, Inc.    (1)売上高   5,001百万円           (2)経常損失(△) △14百万円                   (3)当期純損失(△) △10百万円                   (4)純資産額 337百万円                  (5)総資産額 2,841百万円
従業員の状況 5 【従業員の状況】
(1) 連結会社の状況 2025年3月31日現在 従業員数(人)698(107)
(注) 1.従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数(嘱託、パートタイマー、人材会社からの派遣社員含む)は、年間の平均人員を( )内に外数で記載しております。
2.当社グループは単一セグメントのため、セグメント別の記載を省略しております。

(2) 提出会社の状況 2025年3月31日現在従業員数(人)平均年齢(歳)平均勤続年数(年)平均年間給与(千円)461(103)39.114.16,829
(注) 1.従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除く)であり、臨時雇用者数は嘱託36名、パートタイマー17名、人材会社からの派遣社員50名で( )内に外数で記載しております。
2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
(3) 労働組合の状況労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。
(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異 ① 提出会社当事業年度管理職に占める女性労働者の割合(%)(注1)男性労働者の育児休業取得率(%)(注2)労働者の男女の賃金の差異(%)(注1,3~5)全労働者正規雇用労働者パート・有期労働者8.370.072.880.050.8
(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。
3.男女の賃金差異は、男性の賃金を100%とした場合の女性の賃金の割合を示しております。
4.役職・等級による男女賃金は同一であり、正規雇用労働者の割合については、役職・等級毎の人数構成の差によるものであります。
5.パート・有期労働者の割合の有期労働者には、定年後再雇用の嘱託社員を含んでおります。
経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針当社グループは、『世に価値あるものを供給し続けるには、価値ある人生を送るものの手によらねばならぬ。
価値ある人生を送るためには、その大半を過ごす職場を価値あるものに創り上げていかねばなるまい。
』という経営理念のもと、『稀な元素とともに、「100年企業」へ』をビジョンに掲げ、永続的に成長を続ける企業グループを目指します。
 「価値あるもの」とは、社会課題の解決に貢献する独創的で付加価値の高い製品のことです。
次に「価値ある人生」とは、自身の夢や理想の実現に向かって成長する公私ともに充実した生き方のことです。
そして「価値ある職場」とは、ジルコニウムのトップメーカーの一員であることに誇りを持ち、「キゲンソらしさ」を体現する仲間がいる職場のことです。
(2)中長期的な会社の経営戦略当社グループは、「世に価値あるものを供給し続ける」という経営理念のもと、ジルコニウム化合物の開発・供給を通じて社会課題の解決に取り組んでまいりました。
近年、自動車業界では電動化及び脱炭素化の潮流が加速しており、当社の主力製品である内燃機関車向け材料の市場は構造的な縮小局面を迎えております。
こうした事業環境の変化を踏まえ、当社グループは、持続的な成長の実現に向けて、事業ポートフォリオの転換を進めております。
その一環として、2023年3月期から2032年3月期までの10年間を対象とした中期経営計画「DK-One Next」を策定し、「新たな事業を創出し続け、今後10年に起こる大きな環境変化を乗り越える」ことを中期経営方針として掲げ、経営資源の重点配分を進めております。
また、2025年5月には、同計画の前期(2023年3月期~2026年3月期)の進捗状況を踏まえ、当初計画との差異を分析のうえ、中期(2027年3月期~2029年3月期)及び後期(2030年3月期~2032年3月期)の定量目標を見直し、経営戦略の実効性と柔軟性を高める方針を中期経営計画「DK-One Next」の進捗として公開いたしました。
本中期経営計画では、半導体・エレクトロニクス、エネルギー、ヘルスケアを戦略分野として位置付け、当社従来の自動車排ガス浄化触媒分野及び基盤分野で得られた利益を成長投資に振り向けることで、戦略分野及び新規事業の売上構成比を2029年3月期に30%、2032年3月期には50%以上とすることを目指しております。
「新規事業の創出」「収益構造の改革」「革新的なものづくりの実現」「成果を出し続ける組織づくりの実践」「キゲンソらしさの更なる醸成」「サステナビリティへの取り組み」の6つの柱を掲げ、それぞれの活動に対しKPIを設定し、ガバナンス体制のもとで継続的なモニタリングを行っております。
これらの取り組みを通じて、変化に対応できる強固な経営基盤を構築し、中長期的な企業価値の向上を図ってまいります。
(3)目標とする経営指標中期経営計画「DK-One Next」では、2029年3月期(第73期)及び2032年3月期(第76期)に向けた定量的な経営目標を以下のとおり設定しております。
2025年5月に策定した新たな目標値では、従来の売上・利益指標に加え、資本効率や株主還元の視点を重視し、ROE及びDOEを新たに明示しています。
経営目標(連結) 第73期2029年3月期第76期2032年3月期目標目標売上高410億円500億円以上営業利益30億円75億円以上EBITDA70億円105億円以上ROIC4%9%以上ROE5%11%以上DOE1.8%1.8%配当性向30%30% 当該計画においては、ROICスプレッド(ROIC-WACC)の最大化を重視し、収益性の向上と資本効率の最適化を両立する方針としております。
これに加え、2025年5月の目標見直しに際しては、株主還元との整合を意識し、経営指標としてROEを新たに設定するとともに、配当方針においてDOEを下限として明示することで、成長と株主還元の両立を図る体制を明確化いたしました。
また、キャッシュアロケーションに関しては、2026年3月期から2032年3月期までの期間において、累計355億円程度の営業キャッシュ・フローを見込んでおり、これを財源として、戦略分野増産投資75億円、研究開発投資80億円、基盤投資70億円、M&Aを含む成長投資65億円、株主還元65億円等に配分する計画です。
これにより、成長投資と財務健全性の両立、並びに持続的な株主還元の実現を目指しております。
なお、投資判断にあたっては、適切なハードルレートを設定し、個別案件ごとに採算性や戦略的意義を評価のうえ、意思決定を行う方針です。
基盤分野についても、収益性及び資本効率の観点から精査を行い、慎重かつ柔軟な投資運営に努めてまいります。
これらの目標及び方針は、現時点において入手可能な情報に基づくものであり、今後の経済環境、業界動向、原材料価格、為替変動その他の不確実な要素により、実際の業績とは乖離する可能性があることをご理解願います。
(4)優先的に対処すべき課題 当社グループは、内燃機関搭載車向け需要への依存リスクを低減すべく、新規事業や戦略分野を軸足とする事業ポートフォリオの再構築を進めております。
また、主原料であるジルコニウム化合物に関しては、2025年7月に本格稼働を予定しているベトナム新工場を、中国以外の供給拠点として位置づけており、早期安定稼働とコスト競争力の強化に注力しております。
これらの重点事項を含め、次の課題に取り組んでまいります。
①新規事業の創出・戦略分野の開発活動の強化当社グループでは、半導体・エレクトロニクス、エネルギー、ヘルスケアといった戦略分野への展開を重点施策として位置づけ、製品・技術開発並びに市場開拓に取り組んでおります。
2025年3月期には、半導体・ヘルスケア用途では堅調な成長を示しました。
一方、エネルギー分野においては目標未達が見込まれる状況を踏まえ、市場ニーズとのギャップ分析を実施し、製品開発及び営業戦略の再構築に着手しております。
今後は、用途別の価値提案力を高め、顧客との協業や共創を通じた提案型ビジネスを強化することで、販売拡大を目指します。
また、中期経営計画のローリングを通じて、戦略分野におけるKPIの進捗確認及び前提条件の妥当性を継続的に検証し、市場環境の変化に即応できる柔軟な戦略運営を行ってまいります。
当社グループは、これらの分野を将来の成長ドライバーと位置づけ、資源配分の最適化を図りながら、グローバル市場での競争優位性を確立してまいります。
②主原料調達のサプライチェーンの強化 ベトナム新工場においては、オキシ塩化ジルコニウム(以下、「ZOC」という。
)のフル生産体制の早期確立を最重要課題と位置づけ、現在、設備整備及び人材配置を順調に進めております。
生産初期段階における安定稼働を目的に、現地運営体制の強化、保全計画の構築、現場従業員に対する教育訓練を重点的に実施してまいります。
また、安定稼働と並行して、製造コストの最適化も重要な課題と捉え、エネルギー使用量や原材料コストの削減に向けた製造条件の見直し、資材調達の見直しといった取り組みにより、コスト構造の再構築を推進しています。
今後も、本工場を当社グループにおける原料調達の重要拠点として位置づけ、その競争力と供給安定性の強化に努めてまいります。
また、レアアースに関しましては、今後も複数国のサプライヤーとの関係強化に努め、安定的な調達を進めてまいります。
なお、酸化イットリウムのような特定国以外からの調達が厳しく、国家政策によって輸出が規制されるレアアースにつきましては、戦略的に在庫を積み増すとともに官民一体の取り組みで対応してまいります。
③キャッシュ創出力の強化と収益性の改善 当社グループは、中長期的に安定した経営基盤を確立・維持するため、収益性の向上と資産効率の改善に注力しております。
棚卸資産の削減に向けては、製品品種やロットサイズの見直しに加え、ITシステムの活用によるリードタイム短縮を進めております。
あわせて、原価低減を目的とした生産プロセスの革新及び業務プロセスの効率化に取り組み、継続的な改善を図っております。
今後もキャッシュ創出力の強化と収益性の改善の取り組みを継続してまいります。
④温室効果ガスの排出削減への対応 当社グループは、持続可能な社会の実現に貢献すべく、温室効果ガス(以下、「GHG」という。
)の排出削減を中長期的な経営課題と位置づけ、段階的な取り組みを推進しています。
高効率設備の導入や運転条件の最適化、廃熱回収の活用などによる省エネルギー活動を継続し、エネルギー使用量の削減に取り組んでいます。
また、再生可能エネルギーの導入についても検討を進めており、脱炭素に向けた中長期の排出削減ロードマップを策定・具体化しております。
更に、GHG排出量の把握・管理体制を整備し、Scope1・2に加え、サプライチェーン全体(Scope3)の見える化にも取り組んでいます。
今後は、TCFD等の国際基準への対応や排出量の対外開示を強化し、ステークホルダーとの信頼関係を一層深化させてまいります。
当社グループは、環境対応を成長の機会と捉え、事業活動を通じて脱炭素社会の実現に寄与してまいります。
⑤多様な人材が活躍できる基盤づくり 当社グループが新しい価値を創出しながら成長を続けるためには、多様(国籍、年齢、性別、社歴など)な人材の活躍が必要であることから、海外人材の採用と育成、若手人材の積極登用、女性管理職候補者の育成及びシニア人材が貢献できる制度の整備を進めております。
更に、多様な人材が活躍できる基盤づくりとして、キャリアプラン面談や心と体の健康相談を通し、多様な価値観を実現する場として、価値ある職場を創り上げる活動を実践してまいります。
⑥成長を続けるための組織力強化と人材育成 当社グループが「100年企業」として持続的に成長し続けるためには、組織力の強化とともに、人材の多様性と挑戦を尊重する企業風土(キゲンソらしさ)の醸成が不可欠であると認識しております。
特に、チャレンジした人が正当に評価される仕組みの構築や、組織の中核を担う経営管理職層の底上げ、それぞれの職場におけるプロフェッショナル人材の拡充の実現に向けて以下の取り組みを推進しております。
人事制度並びに給与制度の改定を2025年3月期より進めており、今後は社員の挑戦意欲と貢献意識を高めるための運用を実践してまいります。
組織力強化のためのマネジメントの仕組みの変革や能力向上に重きを置いたプロフェッショナル人材の育成を通じて、成果を出し続ける組織全体の強靭化と次世代リーダー育成のための活動を定着させます。
これらの取り組みを通じて、社員一人ひとりが成長を実感できる環境を整備し、企業としての持続的競争力の向上と、次なる成長ステージへの飛躍を目指してまいります。
サステナビリティに関する考え方及び取組 2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。
 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
当社グループは経営理念に基づき、以下の5つの実践を通じて、持続可能な社会を実現し企業価値を向上します。
・イノベーションにより、社会課題の解決に貢献する製品を創出します。
・環境に配慮した製品設計や資源の有効活用により、消費エネルギーを削減します。
・サプライチェーンも含めた人権尊重を推進します。
・多様な人材が活躍できる職場環境や働き方の制度を整えます。
・社会から信頼される企業であり続けるために、コーポレート・ガバナンスをさらに強化します。
(1) サステナビリティへの対応 a. ガバナンス当社グループは、サステナビリティ推進部が管掌役員のもと、計画を立案し、経営会議で協議後、取締役会で決定しています。
また、取締役会は、サステナビリティ推進部から定期的に進捗状況の報告を受け、達成状況を確認しています。
サステナビリティ推進部は各部門の進捗状況を把握し、課題や問題等について関係者と協議の上、活動を進めています。
 b. 戦略当社グループは、サステナビリティに関する全社的に重要な項目(課題)を経営における重要な課題の一つと位置づけています。
その中でも、特に重点的に取り組む領域を中期経営計画「DK-One Next」の6つの柱の「成果を出し続ける組織づくりの実践」「キゲンソらしさの更なる醸成」「サステナビリティへの取り組み」に設定しています。
 c. リスク管理サステナビリティ推進部は、グループ全体のリスク項目を網羅的に抽出、評価し重要リスク項目を選定しています。
重要リスク項目については対応状況を確認し、新たな対応が必要な場合は担当部門に対策の実行を指示しています。
サステナビリティ推進部における検討結果については経営会議に報告しています。
また社長執行役員の直轄組織としてリスク管理担当執行役員を責任者とするリスク管理委員会を設置し、事業年度ごとにグループ全体のリスク項目の再抽出及び評価を定期的に実施し、設定された重要なリスク項目の審査、事業上のリスクや対処すべき課題について取締役会に報告しています。
 d. 指標と目標当社グループは、サステナビリティに関する課題の解決に向け、中期経営計画「DK-One Next」にて取り組みを進めています。
(2) 気候変動への対応  当社グループは、気候変動への対応は企業の社会的な重要課題と認識し、温室効果ガス、特にCO2の排出量削減等に積極的に取り組んでいます。
  気候変動は、CO2等の排出規制に伴い炭素税の賦課等の導入、原材料の購入や製品の供給に係るコストの上昇、生産活動の中断といったリスクをもたらします。
その一方、社会に新しいニーズを生み、当社グループとして新たな価値を創出する機会でもあると認識しています。
そのため、当社グループは生産活動におけるエネルギー効率向上、環境負荷が少ない生産方式の検討、サプライチェーンを通じた排出量削減等に取り組むことでリスク軽減に努めながら、革新的な技術やソリューションを生み出し、新しい領域に事業を拡大する機会であると考えています。
  以下において、気候変動関連の財務情報開示に関するタスクフォース(TCFD)が推奨するフレームワークを活用し、気候変動がもたらすリスクと機会及びそれぞれに対する取り組みについて説明します。
 a. ガバナンス気候変動に関するガバナンスは、サステナビリティ全般に関するガバナンスに組み込まれています。
詳細については「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1) サステナビリティへの対応 a ガバナンス」を参照ください。
 b. 戦略シナリオ分析にあたっては、複数の気候変動に係る化学的シナリオ(国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)のSSP2-4.5 (AR6)やRCP4.5やRCP6.0/RCP8.5 (AR5)、国際エネルギー機関(IEA)のNZE(Net Zero Emission by 2050 Scenario)やSTEPS(Stated Policies Scenario)、日本の環境省/気象庁の21世紀末における日本の気候のRCP2.6)等から当社グループの事業を取り巻く将来像を想定し、リスクと機会の両面からインパクト分析を行い、対策を立案しました。
脱炭素化による社会変化が当社グループの事業に影響を及ぼしていく1.5℃シナリオにおいて、脱炭素経済への移行に伴い需要が高まる業界にてジルコニウムが必要とされ、ビジネスの機会が拡大すると考えています。
しかしながら、脱炭素の過程で内燃機関搭載車の生産台数減少に伴う自動車排ガス浄化触媒や酸素センサーの需要減少、各国政府・自治体等によるカーボンプライシングの導入・強化、原材料の需要増加に伴う輸出規制が強化される等、環境コンプライアンスが強化される可能性があります。
これらリスクに対し、対応策の検討を進めます。
また、気候変動による自然災害が激甚化し当社グループに影響を及ぼしていく4℃シナリオにおいても、独立した電気エネルギー需給体制が見直され、燃料電池や次世代二次電池の材料需要増加によって、ビジネスの機会が拡大すると考えています。
しかしながら、豪雨・高潮・強風による製造設備の冠水や破壊、水害によるサプライチェーン寸断等の発生による生産停止等の可能性があります。
これらリスクの対応策は、生産拠点毎のBCPの中で検討を進めます。
・1.5℃シナリオ項 目環境変化想定される状況主な対策移行リスク内燃機関搭載車の生産減少による自動車排ガス浄化触媒の需要減少・ジルコニウムの主な用途である内燃機関搭載車の生産台数減少に伴う自動車排ガス浄化触媒、酸素センサーの需要減少による売上減少につながる可能性がある。
・内燃機関搭載車に代わる電気自動車等に関連する電池材料、水素関連材料等の供給体制構築を検討する。
カーボンプライシング導入によるコスト増・各国政府、自治体等によるカーボンプライシングの導入、強化によりコスト増の可能性がある。
・CO2排出量(Scope1とScope2)を把握し、削減目標に向けた計画を立案する。
・各国の環境規制に関する情報を収集し、対策を検討する。
物理リスク豪雨、高潮、強風による製造設備の冠水・破壊、水害によるサプライチェーン寸断や生産停止、販売機会喪失拡大・豪雨、高潮、強風による製造設備の冠水・破壊、水害に伴うサプライチェーン寸断による生産停止の可能性がある。
・輸送船舶、外部倉庫、工場等の被災や従業員が出社出来なくなることによる生産停止により、顧客へ製品を納入出来ないことから生ずる販売機会喪失の可能性がある。
・気候変動を考慮したBCPの再策定並びに定期的な見直しを実施する。
事業機会電気自動車の需要増加や低炭素、脱炭素関連製品の需要増加・脱炭素経済への移行に伴い需要が高まる分野において、ジルコニウムが必要とされ、売上が増加する可能性がある。
・電気自動車、水素関連など脱炭素化技術への研究開発投資を検討する。
リソースの効率化・エネルギーの効率利用によるコスト削減の可能性がある。
・エネルギー消費を把握し、省エネへの計画を立案する。
・4℃シナリオ項 目環境変化想定される状況主な対策移行リスクカーボンプライシング導入によるコスト増・各国政府、自治体等によるカーボンプライシングの導入、強化によりコスト増の可能性がある。
・各国の環境規制に関する情報を収集し、対策を検討する。
物理リスク豪雨、高潮、強風による製造設備の冠水・破壊、水害によるサプライチェーン寸断や生産停止、販売機会喪失拡大・豪雨、高潮、強風による製造設備の冠水・破壊、水害に伴うサプライチェーン寸断による生産停止の可能性がある。
・輸送船舶、外部倉庫、工場等の被災や従業員が出社出来なくなることによる生産停止により、顧客へ製品を納入出来ないことから生ずる販売機会喪失の可能性がある。
・気候変動を考慮したBCPの再策定並びに定期的な見直しを実施する。
事業機会発電・蓄電需要の増加・異常気象による自然災害の増加や被害が甚大化する場合、独立した電気エネルギー需給体制が見直され、燃料電池材料や次世代二次電池材料の需要増加に伴い、売上高が増加する可能性がある。
・ジルコニウム化合物の市場ニーズを見極め、研究開発投資を検討する。
 c. リスク管理気候変動に関するリスク管理は、サステナビリティ全般に関するリスク管理に組み込まれています。
詳細については「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1) サステナビリティへの対応 c リスク管理」を参照ください。
 d. 指標と目標2050年までにCO2排出量を実質ゼロ(カーボンニュートラル)にする「脱炭素社会」を実現するため、2030年までにCO2排出量(Scope1+2)を2018年3月期比 で20%以上削減します。
削減策としては、継続的な現場の改善活動に加え、ものづくり革新によるエネルギー効率化、太陽光発電による創エネなど、当社グループの事業活動に伴う排出量の削減を推進します。
また必要に応じて、再生可能エネルギーやカーボンクレジットなどの調達も活用します。
(3) 人的資本の取り組み  当社グループは、経営理念の実現のために中期経営計画「DK-One Next」において、新たな事業を創出し続け、当社グループを取り巻く大きな事業環境の変化を乗り越えるための6つの柱を定めました。
その中で「成果を出し続ける組織づくりの実践」、「キゲンソらしさの更なる醸成」、「サステナビリティへの取り組み」を掲げ、人的資本に関する指針を定めています。
これらの指針を受け、次の方針に基づき人的資本の価値を高める取り組みを進めます。
  基本方針  ・後継人材を計画的に育成する。
とくに経営層の後任育成を体系的に進める。
  ・従業員の意欲を高め、成果につなげるため、役割・成果に応じた報酬制度を運用する。
  ・個人と組織の意識改革・行動変容をはかる(風土を改革する)。
  ・チャレンジ精神をグループ全体に浸透させる。
  ・多様な人材の活躍を推進する。
  ・多様な働き方や価値観を尊重した職場づくりを実践する。
  ・心身ともに健康で安全な職場づくりを実践する。
a. ガバナンス人的資本に関するガバナンスは、サステナビリティ全般に関するガバナンスに組み込まれています。
詳細については「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1) サステナビリティへの対応 a ガバナンス」を参照ください。
b. 戦略当社グループは100年企業への飛躍を遂げるために、果敢に挑戦して事業を拡大させる人材及び次世代を担う人材が最も重要と考え、これら人材の育成に積極的に投資します。
当社グループの社風として、フラットでフランクに話ができる関係が良い面としてあげられます。
その中で、従業員が主体的に行動し、チャレンジを促進する風土を作っていく必要があると考えます。
人事評価では、役割、成果が報酬・処遇に反映される制度、運用ルールの制定に取り組んでいます。
また人材の多様性については、女性活躍の推進、育児・介護などとの両立支援制度を充実させます。
加えて、今後60歳以上の従業員の比率が増加していく中で、どのように活躍してもらうかが会社、個人の両者にとって重要になってくるため、現行制度を改定し、多様な働き方が選択できる制度づくりに取り組みます。
さらに、心身ともに健康で安全な職場環境をつくることは、従業員にとっても大切なことであり、生産性の向上にもつながるものと考えます。
当社グループはすべての役職員の安全意識を高めて、労働災害予防に取り組みます。
またメンタルヘルス不調による休職は、本人や職場への負担が大きいため、当社グループはすべての役職員のメンタルヘルスに関する意識を高め、メンタルヘルス不調の予防に注力します。
これらの課題と向き合い、「100年企業」への飛躍を目指すため、当社グループは今後も重要なサステナビリティ戦略の一つとして人的資本に基づく経営に取り組みます。
c. リスク管理人的資本に関するリスク管理は、サステナビリティ全般に関するリスク管理に組み込まれています。
詳細については「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1) サステナビリティへの対応 c リスク管理」を参照ください。
d. 指標と目標社会から見て重要度の高いサステナビリティ課題取り組むべき柱(マテリアリティ)活動テーマ指標と目標(2032年3月期)経営戦略と整合した人的資本の開発成果を出し続ける組織づくりの実践・持続的な成長を支える組織構造・制度および文化の変革・付加価値労働生産性(2025年3月期比40%高める)キゲンソらしさの更なる醸成・チャレンジ精神をグループ全体へ浸透・挑戦やチャレンジに肯定的な従業員の比率安全衛生の強化および健康増進・心身ともに健康で安全な職場づくり・安全文化成熟度(2025年3月期の「反応型」から「相互啓発型」に到達する)サステナビリティ経営の推進サステナビリティへの取り組み・人権デューデリジェンスの実施 ・ダイバーシティの尊重および活用・サプライチェーン上の人権侵害件数(サプライチェーン上に児童労働及び強制労働がないことを確認する)・女性管理職比率(経営管理職の女性比率を2025年3月期比7ポイント高め、15%以上にする)
戦略  b. 戦略当社グループは、サステナビリティに関する全社的に重要な項目(課題)を経営における重要な課題の一つと位置づけています。
その中でも、特に重点的に取り組む領域を中期経営計画「DK-One Next」の6つの柱の「成果を出し続ける組織づくりの実践」「キゲンソらしさの更なる醸成」「サステナビリティへの取り組み」に設定しています。
指標及び目標  d. 指標と目標当社グループは、サステナビリティに関する課題の解決に向け、中期経営計画「DK-One Next」にて取り組みを進めています。
人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略 当社グループは100年企業への飛躍を遂げるために、果敢に挑戦して事業を拡大させる人材及び次世代を担う人材が最も重要と考え、これら人材の育成に積極的に投資します。
当社グループの社風として、フラットでフランクに話ができる関係が良い面としてあげられます。
その中で、従業員が主体的に行動し、チャレンジを促進する風土を作っていく必要があると考えます。
人事評価では、役割、成果が報酬・処遇に反映される制度、運用ルールの制定に取り組んでいます。
また人材の多様性については、女性活躍の推進、育児・介護などとの両立支援制度を充実させます。
加えて、今後60歳以上の従業員の比率が増加していく中で、どのように活躍してもらうかが会社、個人の両者にとって重要になってくるため、現行制度を改定し、多様な働き方が選択できる制度づくりに取り組みます。
さらに、心身ともに健康で安全な職場環境をつくることは、従業員にとっても大切なことであり、生産性の向上にもつながるものと考えます。
当社グループはすべての役職員の安全意識を高めて、労働災害予防に取り組みます。
またメンタルヘルス不調による休職は、本人や職場への負担が大きいため、当社グループはすべての役職員のメンタルヘルスに関する意識を高め、メンタルヘルス不調の予防に注力します。
これらの課題と向き合い、「100年企業」への飛躍を目指すため、当社グループは今後も重要なサステナビリティ戦略の一つとして人的資本に基づく経営に取り組みます。
人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績、指標及び目標 d. 指標と目標社会から見て重要度の高いサステナビリティ課題取り組むべき柱(マテリアリティ)活動テーマ指標と目標(2032年3月期)経営戦略と整合した人的資本の開発成果を出し続ける組織づくりの実践・持続的な成長を支える組織構造・制度および文化の変革・付加価値労働生産性(2025年3月期比40%高める)キゲンソらしさの更なる醸成・チャレンジ精神をグループ全体へ浸透・挑戦やチャレンジに肯定的な従業員の比率安全衛生の強化および健康増進・心身ともに健康で安全な職場づくり・安全文化成熟度(2025年3月期の「反応型」から「相互啓発型」に到達する)サステナビリティ経営の推進サステナビリティへの取り組み・人権デューデリジェンスの実施 ・ダイバーシティの尊重および活用・サプライチェーン上の人権侵害件数(サプライチェーン上に児童労働及び強制労働がないことを確認する)・女性管理職比率(経営管理職の女性比率を2025年3月期比7ポイント高め、15%以上にする)
事業等のリスク 3 【事業等のリスク】
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(ベトナム事業について)当社グループは、ジルコニウム化合物の安定的かつ持続可能な調達体制を確立し、中国依存リスクを軽減することを目的として、ベトナム現地法人であるVIETNAM RARE ELEMENTS CHEMICAL JOINT STOCK COMPANY(以下、「VREC」という。
)において、オキシ塩化ジルコニウム(以下、「ZOC」という。
)の内製化を進めております。
2025年7月からの本格稼働を予定し、各種設備の導入や現地体制の強化を進めております。
現在、製造コストの最適化に向けた取り組みも継続しており、生産初期段階においては、安定稼働の実現や製造条件の見直しが必要とされる場面が想定されます。
また、エネルギーコストや資材価格の変動といった外部要因により、想定を上回るコストが発生した場合には、当社グループの収益性に影響を及ぼす可能性があります。
これらのリスクに対し、当社グループは、VRECにおける製造工程の安定化とコスト構造の最適化を目的とした専任プロジェクト体制を敷き、課題の早期把握と対応を図っています。
進捗状況は週次で管理しており、安定稼働に向けた各種施策を着実に実行しています。
また、資材調達の見直しや、現地従業員への教育訓練の強化など、多角的な対応を進めております。
万が一、稼働の遅延やコスト改善の進捗が想定を下回る場合には、短期的な収益圧迫や追加的な対応コストが発生する可能性もあるため、事業採算性のモニタリングと柔軟な対応を継続してまいります。
(戦略分野の進展について)当社グループは、自動車排ガス浄化触媒向け製品への依存リスクを低減し、バランスの取れた収益構造への転換を図るべく、半導体、エネルギー、ヘルスケアの3分野を戦略分野として重点的に取り組んでおります。
2025年3月期においては、半導体及びヘルスケア分野において堅調な需要を背景に販売を伸ばし、計画を概ね達成しました。
一方で、エネルギー分野においては、主要顧客の在庫調整や電動車市場の減速の影響を受け、販売が伸び悩み、業績計画を下回る結果となりました。
当社グループでは、戦略分野の売上構成比を更に高め、持続的な成長を実現するため、顧客の用途ごとのニーズを的確に捉え、それに対応した提案型の価値提供力を強化していきます。
あわせて、開発・製造・営業に加え、新事業創出チームを含む関係部門が一体となり、製品の企画段階から市場導入・拡販に至るまでのプロセスを有機的に連携させ、変化の激しい市場環境にも柔軟かつ迅速に対応できる体制を構築していく方針です。
これらの取り組みが計画通りに進展しない場合、中長期的な収益構造の改善が遅れ、当社グループの財務状況及び企業価値に影響を及ぼすおそれがあります。
こうしたリスクに備え、今後も戦略の進捗を継続的に点検・見直し、機動的な対応を徹底してまいります。
(為替変動について)当社グループは、外貨建での収益・債権・債務を多数保有しており、特にベトナム現地法人との親子ローン取引は、為替差損益に大きな影響を与える構造となっております。
為替相場の急激な変動が発生した場合、経常利益が大きく変動する可能性があります。
こうしたリスクに対し、当社では為替予約やデリバティブ取引の活用などを通じて、為替変動による損益の振れ幅を抑える対応を進めています。
為替ヘッジの実施状況や市場動向によっては、なお一定の収益変動が発生する可能性は残ります。
今後も為替市場の動向を継続的に注視し、ヘッジ方針や運用体制の見直しを適宜行いながら、為替変動による経営成績への影響を抑制していきます。
(投資設備の減損について)ZOCの内製化をはじめ、当社グループは国内外において積極的な設備投資を行っておりますが、想定通りの需要が得られなかった場合には減損損失が発生し、業績に影響を与えるおそれがあります。
特に、戦略分野での拡販が進展しない場合や製造コストの回収が遅れた場合には、回収可能価額の見直しが必要となり、損益への影響が避けられません。
今後も、需要動向を注視しつつ、柔軟かつ適時な投資判断を行ってまいります。
(情報セキュリティについて)当社グループでは、システム導入や社員教育を通じた情報セキュリティ対策を講じておりますが、サイバー攻撃や内部不正による情報漏洩等が発生した場合、社会的信頼の毀損や損害賠償リスクが生じる可能性があります。
近年は、攻撃手法の高度化や退職者による情報の持ち出しなど、脅威が多様化・複雑化しており、リスクの特定と対応の難易度も高まっています。
こうした状況を踏まえ、当社ではマニュアルの整備や定期的な訓練、技術的対策の強化を継続的に実施し、情報資産の保護とセキュリティレベルの維持・向上に努めてまいります。
(気候変動及び環境規制について)気候変動への対応として、温室効果ガス削減、省エネ設備導入、排出権取引の活用などに取り組んでおりますが、各国での環境規制の強化によりコスト増加や追加投資が必要となる可能性があります。
将来的には、脱炭素技術への対応や環境報告義務の厳格化が企業経営に与える影響が大きくなることが想定されるため、当社としてもこうした動向を注視しながら、必要に応じて対応に向けた行動を進めてまいります。
(原料の仕入れについて)当社グループが取り扱う主要原料であるジルコニウム、希土類、セシウムは、すべて海外からの輸入に依存しており、特定国への過度な依存が構造的なリスクとなっております。
現在、ZOCについては、中国及びベトナム現地法人VRECの2拠点から調達する体制を整え、供給リスクの分散を図っています。
一方で、イットリウムや中重希土類、セシウムといった一部原料については、依然として供給元が限定されており、地政学的リスクや輸出規制等の影響を受けやすい状況にあります。
調達の遅延や価格高騰が生じた場合には、当社の安定供給体制や採算性に影響を及ぼす可能性があります。
こうしたリスクに対し、当社グループでは、原料在庫の積み増しによる備蓄強化に加え、官民一体となった安定調達体制の構築にも取り組んでおります。
引き続き、複数調達先の確保やリスクの早期把握・対応を通じて、持続可能な供給網の整備を推進してまいります。
(海外事業活動におけるカントリーリスクの影響について)アジアや北米などでの事業展開において、政情不安や貿易摩擦、規制変更などの影響を受ける可能性があります。
とくに米中対立の長期化は、調達・販売に影響を及ぼすリスクが高まっており、継続的な情報収集と社内共有を通じて対応を図っています。
今後は、カントリーリスクの変動に応じて、サプライチェーンの見直しや再構築を進めるとともに、グローバルな規制への対応力を高め、外部環境の変化に柔軟かつ確実に対処できる体制を整えていきます。
(自然災害・事故災害による影響について)当社グループは、海外を含め、生産及び物流の拠点を分散配置することで、リスクの低減を図っております。
しかしながら、地震・台風等の自然災害によって生産拠点が被災した場合や物流網の遮断等が発生した場合においては、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
これに対して、当社グループでは、可能かつ妥当な範囲で保険を付すとともに、事業継続計画(以下、「BCP」という。
)の策定・整備を進めております。
経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。
)に関する概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況※2024年11月1日公表の連結業績予想 当連結会計年度の売上高は33,641百万円(前期比4.5%減、業績予想34,000百万円に対して達成率98.9%)、販売数量は前期比で3.4%減となりました。
営業利益は、販売子会社の原料市況等による高額在庫の解消があり、原価低減活動や経費の抑制に取り組んだものの、ベトナム子会社のフル生産体制の構築に伴う費用増加により、2,282百万円(前期比5.8%減、業績予想2,200百万円に対して達成率103.8%)となりました。
経常利益は、営業利益の減少に加え、当期末に円高基調で推移したこと及びベトナム子会社の決算が3カ月の差異があり、その間の為替変動による影響を受けたことで為替差損を計上し、632百万円(前期比78.5%減、業績予想1,400百万円に対して達成率45.2%)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、当第3四半期及び第4四半期連結会計期間に計上した補助金収入(特別利益)1,247百万円等により、792百万円(前期比30.5%減、業績予想1,100百万円に対して達成率72.0%)となりました。
分野別の販売状況は次のとおりです。
※2024年11月1日公表の連結業績予想 戦略分野(半導体・エレクトロニクス) エレクトロニクス用途では、海外向け消耗材料用途の販売が減少しましたが、コンデンサ需要の回復を受け販売が増加したことで前年同期並みとなりました。
半導体用途では、電動車需要の鈍化影響を大きく受けましたが、上半期の好況がそれを上回り前年同期比で増収となりました。
 これらの結果、半導体・エレクトロニクス分野における当連結会計年度の売上高は、1,761百万円(前年同期比3.9%増、業績予想1,700百万円に対する達成率103.6%)となりました。
戦略分野(エネルギー) 二次電池用途では、電動車の販売鈍化及び中国自動車メーカーのシェア拡大の影響が当社の想定を大きく上回り、前年同期比で減収となりました。
SOFC(固体酸化物燃料電池)及びSOEC(固体酸化物電解装置)用途は、AIデータセンターが好況であったものの、主要顧客の在庫調整により需要を取り込めず前年同期比で減収となりました。
 これらの結果、エネルギー分野の当連結会計年度の売上高は、1,396百万円(前年同期比36.3%減、業績予想1,800百万円に対する達成率77.6%)となりました。
戦略分野(ヘルスケア) 生体材料用途では、下半期の販売に減速感が見られたものの、マーケットの拡大や欧州、東アジア地域での需要増を受け、前年同期比で増収となりました。
医療機器用途では、廉価品の参入や製品リサイクルの流れが減収方向に影響したものの、原料価格の高騰による販売価格の上昇により、前年同期比で増収となりました。
 これらの結果、ヘルスケア分野における当連結会計年度の売上高は、1,983百万円(前年同期比12.6%増、業績予想2,100百万円に対する達成率94.4%)となりました。
自動車排ガス浄化触媒分野 当連結会計年度における内燃機関搭載車の販売台数は、前年同期並みだったものの、日系自動車メーカーの生産調整や中国自動車メーカーのシェア拡大の影響を受け、当社製品の販売が減少し前年同期比で減収となりました。
 これらの結果、自動車排ガス浄化触媒分野における当連結会計年度の売上高は、20,816百万円(前年同期比7.8%減、業績予想20,600百万円に対する達成率101.0%)となりました。
基盤分野 工業用触媒用途では、北米向けの販売において、消耗部材の交換時期が重なり前年同期比で増収となりました。
構造部材用途では、日本及び北米向けの販売において、機械部品関連の需要が堅調に推移し前年同期比で増収となりました。
 これらの結果、基盤分野における当連結会計年度の売上高は、7,682百万円(前年同期比9.8%増、業績予想7,800百万円に対する達成率98.5%)となりました。
当連結会計年度の財政状態の概要及びその分析等は次のとおりであります。
 当連結会計年度末における総資産は64,754百万円で、前連結会計年度末に比べ850百万円減少しました。
これは主に、現金及び預金の増加(631百万円)、受取手形及び売掛金の減少(581百万円)、仕掛品の減少(829百万円)によるものです。
 当連結会計年度末における負債は26,271百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,017百万円減少しました。
これは主に、短期借入金の減少(500百万円)、未払法人税等の減少(356百万円)、長期借入金の減少(2,219百万円)によるものです。
 当連結会計年度末における純資産は38,483百万円で、前連結会計年度末に比べ2,166百万円増加しました。
これは主に、為替換算調整勘定の増加(2,333百万円)、利益剰余金の増加(160百万円)、その他有価証券評価差額金の減少(142百万円)によるものです。
 この結果、当連結会計年度末における自己資本比率は前連結会計年度末54.5%から58.6%となりました。
 ② キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
 (営業活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度において営業活動の結果、得られた資金は3,498百万円(前期比1,811百万円減)となりました。
これは主に、減価償却費3,572百万円、税金等調整前当期純利益1,709百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度において投資活動の結果、使用した資金は551百万円(前期比2,896百万円減)となりました。
これは主に、補助金の受取額1,247百万円、有形固定資産の取得による支出1,218百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度において財務活動の結果、使用した資金は3,525百万円(前期比1,080百万円増)となりました。
これは主に、長期借入金の返済による支出5,233百万円、長期借入れによる収入3,000百万円によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の状況 a. 生産実績生産実績を単一セグメント内の区分に示すと、次のとおりであります。
区分当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)前期比(%)化学品事業(百万円)20,21286.5 合計(百万円)20,21286.5
(注) 1.生産金額は実際原価に基づいて算出しております。
2.同一品目であっても複数の用途に用いられることがありますので、生産実績については用途別に示すことが困難なため、表示しておりません。
b. 受注の状況当社グループは主に見込生産を行っているため、記載を省略しています。
c. 販売実績販売実績を単一セグメント内の区分に示すと、次のとおりであります。
区分当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)前期比(%)化学品事業(百万円)33,64195.5 合計(百万円)33,64195.5 当社グループは単一セグメントであるため、用途別に表示しております。
用途別当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)前期比(%)戦略分野 半導体・エレクトロニクス(百万円)1,7613.9 エネルギー(百万円)1,396△36.3 ヘルスケア(百万円)1,98312.6自動車排ガス浄化触媒(百万円)20,816△7.8基盤分野(百万円)7,6829.8合計(百万円)33,641△4.5
(注) 1.戦略分野にはその他の金額0百万円がありますが、金額が少額であることから、上記表では表示しておりません。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売割合で10%以上の相手先はありません。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
 ①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容当連結会計年度(2024年4月1日~2025年3月31日)における世界経済は、地政学リスクへの警戒感は依然として高く中国経済の先行き不安も継続しております。
また、米国大統領選挙後の新政権による通商政策の行方に注目が集まり、国際的なサプライチェーンや金融市場に対する先行きの不透明感が一段と増しております。
日本経済では、日本銀行による政策金利の引き上げや為替相場における急激な変動が企業の収益環境や輸出競争力に影響を与えました。
一方で、労働市場の堅調さや賃上げの広がりが家計所得の改善につながり、個人消費を下支えする要因となり全体としては緩やかな回復基調を維持しております。
当社グループにおきましては、戦略分野は、半導体用途での研磨材需要の増加やヘルスケア用途での市場拡大による増収はあったものの、エネルギー用途における電動車需要鈍化による影響を吸収しきれず、戦略分野全体では減収となりました。
自動車排ガス浄化触媒分野においては、中国メーカーのPHEVシェア拡大、日系メーカーの生産調整、原料価格の下落による販売価格の下押し等により減収となりました。
当社グループは、中長期的な企業価値の向上を目指し、2023年3月期から2032年3月期までを対象とする中期経営計画「DK-One Next」を推進しております。
2025年5月には、前期の進捗状況及び外部環境の変化を踏まえ、2029年3月期(第73期)及び2032年3月期(第76期)に向けた目標を見直し、より実効性の高い経営戦略へと進化させました。
本計画では、従来の売上・利益指標に加え、ROEを新たな経営指標として導入し、資本効率の向上を重視した体制へ移行するとともに、株主還元方針にはDOEを下限として追加し、成長と還元の両立を一層明確化しております。
キャッシュアロケーションにおいては、2026年3月期から2032年3月期までの期間において、累計355億円程度の営業キャッシュ・フローを見込んでおり、これを原資として、戦略分野増産投資75億円、研究開発投資80億円、基盤投資70億円、M&Aを含む成長投資65億円、株主還元65億円へ配分する方針です。
適切なハードルレートを設定し、個別案件ごとに採算性や戦略的意義を精査のうえ投資判断を行うことで、資本効率と財務健全性の両立を図ってまいります。
また、当社は「新規事業の創出」「収益構造の改革」「革新的なものづくりの実現」「成果を出し続ける組織づくりの実践」「キゲンソらしさの更なる醸成」「サステナビリティへの取り組み」の6つの柱を掲げ、それぞれの活動に対してKPIを設定し、ガバナンス体制のもとで継続的なモニタリングを行っております。
これらの取り組みを通じて、変化に対応できる強固な経営基盤を構築し、中長期的な企業価値の向上を図ってまいります。
経営成績及び財政状態の状況並びに用途別の販売概要に関する認識及び分析・検討内容は、「(1)経営成績等の状況の概要①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に関する情報当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は「(1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資金の主な源泉は、営業活動によるキャッシュ・フロー及び金融機関からの借入によるものであります。
一方、主な資金需要は、販売製品の原材料費にかかわる運転資金、及び工場設備、研究開発拠点の整備並びにIT関連投資に係る投資資金であります。
短期運転資金は、自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資及び長期運転資金は、自己資金及び金融機関からの長期借入を基本として、それぞれ資金を調達しております。
当連結会計年度末においては、補助金収入の計上及び在庫圧縮に伴う原材料仕入高の減少等により、現金及び預金の残高が増加しました。
また、販売減少に伴い、売掛債権、棚卸資産の残高も減少しました。
当社グループは、製販及び資金の一元管理を通じて資産効率の向上を図っております。
更に、収益力の向上を目的として、戦略分野や研究開発への投資等を総合的に勘案しながら推進するとともに、安定配当、成長に応じた株主還元の実現を目指して、DOE(株主資本配当率)1.8%以上、配当性向30%を目安として持続的な利益還元を行ってまいります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
この連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
連結財務諸表の作成に際し、当連結会計年度末日における資産・負債の報告数値及び当連結会計年度における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りは、過去の実績や当社グループを取り巻く環境等に応じて合理的と考えられる方法により計上しておりますが、見積り特有の不確実性があるために実際の結果は異なる場合があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
研究開発活動 6 【研究開発活動】
 研究開発活動の方針等 当社はこれまでジルコニウム化合物の精製、酸化ジルコニウムの凝集制御をコア技術とし、これらに他元素との複合化技術を併用することで、ジルコニウム化合物の新機能開発と用途拡大に取り組んできました。
 今後は、半導体・エレクトロニクス分野、エネルギー分野、ヘルスケア分野を戦略分野と位置付け、多様化・高度化する顧客ニーズに応える製品を開発することによりジルコニウムの更なる用途拡大に向け、継続的に行動していくことを基本方針としています。
 また開発された新規材料は独創的で付加価値の高いものであるため、原則として知的財産権を取得し、当社グループの事業領域において活用していきます。
 研究開発センターの機能と役割は、以下のとおりです。
 (1)戦略分野の研究開発力を強化  従来の分析・評価設備に加え、当社製品及び開発品の新規特性や機能性を評価するための設備を新規導入し、中期経営計画「DK-One Next」で戦略分野と位置付ける半導体・エレクトロニクス、エネルギー、ヘルスケアの分野において、新製品開発と新用途開拓を加速させます。
 (2)イノベーション拠点への進化  オープンな実験スペースとワーキングスペースを確保し、研究開発に携わる役職員の部門や専門分野を超えたコミュニケーションの機会を増やすことにより、新たな価値の創造と次世代への技術継承を促進します。
 (3)スピーディな量産化と環境に配慮した工程設計  研究開発センターに同時にリニューアルしたパイロットプラントを併設することで、量産化にかかる期間の短縮に加え、資源循環やカーボンニュートラル関連の技術開発を促し、環境負荷の少ない量産工程の早期実装を目指します。
分野別の研究開発方針は、以下のとおりです。
(1)戦略分野①半導体・エレクトロニクス分野・圧電素子、コンデンサなど電子部品の小型化、高性能化及び半導体の高集積化、微細化に対応する、高純度かつ高機能なジルコニウム系材料を開発します。
②エネルギー分野・正極材NMC系のリチウムイオン電池の耐久性向上に加え、酸化物系全固体電池の早期実用化に貢献する、高純度かつ高機能な二次電池材料を開発します。
・固体酸化物燃料電池(SOFC)や固体酸化物電解セル(SOEC)の実用化段階を早めるために技術課題の解決につながる電解質・電極材料を開発し、提案します。
・カーボンニュートラルに向けたCO2の利用と排出量削減に関連した研究開発並びに実用化技術の開発を加速します。
③ヘルスケア分野・強度・靭性、審美性に加え、新たな機能を付加した歯科材用などのジルコニアセラミックス材料を開発します。
(2)自動車排ガス浄化触媒分野  自動車の電動化は進むものの、自動車メーカーが新エンジンを開発する動きを見せるなど、当面は従来の内燃機関の活用が主流であると考えています。
とりわけ、インド・東南アジアなどのグローバルサウス市場においてはハイブリッド車を含む内燃機関搭載車が引き続き主流となるため、強化される自動車排ガス法規制に対応し、助触媒機能としてより高機能な触媒材料を開発していきます。
また当社の助触媒開発は、触媒である貴金属の使用量削減に繋がり、資源保護並びに環境負荷の低減に大きく寄与します。
(3)基盤分野①熱遮蔽コーティング用途・発電用ガスタービンや航空機等のエネルギー効率を向上させるなど、耐熱性を有するジルコニウム系材料を開発します。
②アルミニウム接合用途・自動車用熱交換器や家庭用エアコンなどのアルミろう付け用途において、顧客の生産過程における省エネルギー化や生産性向上に貢献するセシウムフラックス及びフラックス内包ろう材を開発します。
③工業用触媒用途・火力発電所や工場等から排出される有害物質の浄化や化学製品の高効率な合成を目的とした触媒機能を有する材料を開発します。
研究開発体制 当社の研究開発活動は、中長期的な視野でのジルコニウム化合物の新機能の発掘及び新規用途開拓、並びに新規材料の調査・研究を研究開発室が担当し、既存用途での材料開発及び既存材料での用途開発は技術部が担当しています。
旧生産技術部(現プロセス開発部)は、量産プロセス設計に加え、資源循環やカーボンニュートラル関連の技術開発及び設備設計を担当しています。
一方、知的財産権に関する業務については知財管理室が担当します。
2025年3月期実績としては、国内特許出願9件(海外出願を含めると42件)を実施いたしました。
現在保有している国内特許は111件(海外特許を含めると227件)で、その事業分野ごとの内訳は、戦略分野が34件、その他新規分野が21件、自動車排ガス触媒分野が38件、基盤分野が18件となっております。
今後も部門機能ごとに専門性を高め連携しながら、研究開発活動を実施します。
また大学・研究機関を対象に、ジルコニウム及びハフニウム並びにセシウム化合物を利用した独創的な研究、創意、工夫に対して使途の自由度が高い研究助成金制度を実施しています。
ジルコニウム及びハフニウム並びにセシウム化合物の素材を利用した研究活動への支援を通して、当社で対象としていない領域も含むこれら材料の新たな可能性が拡大されることを期待しております。
2025年3月期は、35件の応募があり、20件を採択して助成しました。
なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は1,221百万円であります。
研究開発テーマ内容成果ジルコニウム化合物の基礎研究大学や公的研究機関との共同研究ドライリフォーミング触媒、硝酸イオン吸着剤、Zr系ナノシート材料に関する学会発表及び展示会への出展半導体材料の開発研磨特性の向上新規用途への展開知的財産権の取得顧客との共同開発の継続二次電池材料の開発電池性能・耐久性・加工性の向上正極材コート材料DKZ-366プレスリリース顧客との共同開発の継続カーボンニュートラル関連材料の開発反応性、選択性及び耐久性の向上顧客との共同開発の継続機能性構造材料の開発低温焼結技術の応用審美性、セラミックス強度、靭性の向上知的財産権の取得大学による学会発表各種展示会への出展自動車排ガス浄化触媒材料の開発浄化性能・加工性の向上知的財産権の取得次期触媒材料として採用及び内定触媒工業協会技術賞受賞アルミ溶接材料の開発加工性の向上家電の冷却配管への採用
設備投資等の概要 1 【設備投資等の概要】
当社グループでは、急速な技術革新や販売競争の激化に対処し、また、多岐にわたる顧客のニーズに対応するため、総額1,880百万円の設備投資を実施いたしました。
なお、有形固定資産のほか、無形固定資産への投資を含めて記載しております。
主な投資は次のとおりであります。
・新規事業関連投資            234百万円・IT投資                 408百万円
主要な設備の状況 2 【主要な設備の状況】
当社グループにおける主要な設備は以下のとおりであります。
なお、当社グループは単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
(1) 提出会社 2025年3月31日現在 事業所名(所在地)設備の内容帳簿価額(百万円)従業員数(人)建物及び構築物機械装置及び運搬具土地(面積㎡)その他合計本社(大阪市中央区)統括業務販売設備36――4278101(28)研究開発センター(大阪市住之江区)研究開発設備生産設備3,023401456(8,597)3854,266127(42)江津事業所(島根県江津市)生産設備2,9981,829908(64,366)1685,904105(6)福井事業所(福井県福井市)生産設備1,662719853(67,811)1023,338124(25)東京営業所(東京都千代田区)販売設備―――――4(2)その他その他設備―――1818―
(注) 1.帳簿価額のうち「その他」は工具、器具及び備品であり、建設仮勘定を含んでおりません。
2.提出会社の江津事業所、福井事業所には、貸与中の建物及び構築物681百万円、その他22百万円を含んでおり、子会社であるDKKロジスティクス(株)に貸与しております。
3.提出会社の研究開発センター、江津事業所には、貸与中の機械装置及び運搬具0百万円、その他0百万円を含んでおり、製造委託先10社に貸与しております。
4.従業員数の( )は、臨時雇用者数を外書しております。
5. 現在休止中の主要な設備はありません。
6. 本社の建物を賃借しております。
地代家賃は114百万円であります。
7. 研究開発センターは、建物及び土地を賃借しております。
地代家賃は52百万円であります。
8. 東京営業所は、賃借しております。
地代家賃は10百万円であります。

(2) 在外子会社    2025年3月31日現在会社名事業所名(所在地)設備の内容帳簿価額(百万円)従業員数(人)建物及び構築物機械装置及び運搬具土地(面積㎡)その他合計VIETNAM RARE ELEMENTSCHEMICAL JOINT STOCK COMPANY本社工場(ベトナム社会主義共和国バリアブンタオ省)生産設備5,8266,613― [59,092]39012,829198(―)
(注) 1.帳簿価額のうち「その他」は工具、器具及び備品であり、建設仮勘定を含んでおりません。
2.帳簿価額は減損損失計上後の金額で記載しております。
3.従業員数の( )は、臨時雇用者数を外書しております。
4. 土地の面積について、そのうちの借地の面積を[ ]で示しております。
設備の新設、除却等の計画 3 【設備の新設、除却等の計画】
(1) 重要な設備の新設該当事項はありません。

(2) 重要な設備の改修該当事項はありません。
(3) 重要な設備の除却 該当事項はありません。
 
研究開発費、研究開発活動1,221,000,000
設備投資額、設備投資等の概要1,880,000,000

Employees

平均年齢(年)、提出会社の状況、従業員の状況39
平均勤続年数(年)、提出会社の状況、従業員の状況14
平均年間給与、提出会社の状況、従業員の状況6,829,000
管理職に占める女性労働者の割合、提出会社の指標0
全労働者、労働者の男女の賃金の差異、提出会社の指標1
正規雇用労働者、労働者の男女の賃金の差異、提出会社の指標1
非正規雇用労働者、労働者の男女の賃金の差異、提出会社の指標1

Investment

株式の保有状況 (5) 【株式の保有状況】
① 投資株式の区分の基準及び考え方当社の保有する投資株式は全て、当社の企業価値の向上を目的とし、取引関係の強化・開拓や事業の円滑な推進を図れるかどうかを観点に長期的な政策で保有している政策保有株式であり、配当収益や売買目的の純投資目的である投資株式は保有しておりません。
② 保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式a.保有方針及び保有の合理性を検証する方法並びに個別銘柄の保有の適否に関する取締役会等における検証の内容当社は、取引関係の維持発展及び共同研究開発、更には当社の円滑な事業運営、中長期的な企業価値向上等の進展を主な目的として、関係会社以外の株式を「一般投資株式」として取得・保有する場合があり、いわゆる政策保有株式はこの「一般投資株式」に含まれます。
「一般投資株式」を取得する際には、社内規程に基づき、取得意義や経済合理性の観点を踏まえ取得是非を判断するとともに、取得後は、当該株式保有の継続可否につき毎年、その効果、意義、合理性や当社の財務に与える影響等を個別に取締役会で審議し判断しております。
その結果、保有する意義や合理性が希薄したと考えられる場合、市場への影響を含め経営・財務戦略等各種考慮すべき事情に配慮した上で、売却することがあります。
なお、2025年3月度開催の取締役会において、資本効率の向上や経営資源の最適配分、コーポレート・ガバナンスの強化といった観点から、「一般投資株式」の一部銘柄の売却を進める方針を決議いたしました。
今後は、売却時期等の詳細を決定のうえ、売却を進めてまいります。
b.銘柄数及び貸借対照表計上額 銘柄数(銘柄)貸借対照表計上額の合計額(百万円)非上場株式147非上場株式以外の株式5826 (当事業年度において株式数が増加した銘柄) 銘柄数(銘柄)株式数の増加に係る取得価額の合計額(百万円)株式数の増加の理由非上場株式―――非上場株式以外の株式29取引先持株会を通じた株式の取得 (当事業年度において株式数が減少した銘柄) 銘柄数(銘柄)株式数の減少に係る売却価額の合計額(百万円)非上場株式――非上場株式以外の株式―― c.特定投資株式及びみなし保有株式の銘柄ごとの株式数、貸借対照表計上額等に関する情報 特定投資株式 銘柄当事業年度前事業年度保有目的、定量的な保有効果及び株式数が増加した理由当社の株式の保有の有無株式数(株)株式数(株)貸借対照表計上額(百万円)貸借対照表計上額(百万円)岩谷産業(株)(注1)241,60060,400(保有目的)戦略分野における共同研究開発、取引先として良好な関係を維持及び強化 (定量的な保有効果)(注2)有361515日本化学産業(株)116,000116,000(保有目的)戦略分野における共同研究開発、新規事業創出の観点で技術協力(定量的な保有効果)(注2)有179168(株)村田製作所76,60076,600(保有目的)戦略分野における共同研究開発、取引先として良好な関係を維持及び強化(定量的な保有効果)(注2)(株式数が増加した理由)取引先持株会を通じた株式の取得無176216日本特殊陶業(株)22,48820,541(保有目的)戦略分野における共同研究開発、取引先として良好な関係を維持及び強化(定量的な保有効果)(注2)(株式数が増加した理由)取引先持株会を通じた株式の取得無101104太陽誘電(株)2,9572,724(保有目的)戦略分野における共同研究開発、取引先として良好な関係を維持及び強化(定量的な保有効果)(注2)(株式数が増加した理由)取引先持株会を通じた株式の取得無79 (注)1.岩谷産業(株)は、2024年10月1日付で普通株式1株につき4株の割合にて分割しています。
2.定量的な保有効果については記載が困難ですが、毎年、取締役会において、銘柄毎に保有目的、保有に伴う便益額、資本コストとの関係等を評価軸として、保有継続の合理性及び株式数の見直し等を確認しております。
③ 保有目的が純投資目的である投資株式  該当事項はありません。
④ 当事業年度に投資株式の保有目的を純投資目的から純投資目的以外の目的に変更したもの 該当事項はありません。
⑤ 当事業年度の前4事業年度及び当事業年度に投資株式の保有目的を純投資目的以外の目的から純投資目的に変更したもの 該当事項はありません。
株式数が増加した銘柄数、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社2
銘柄数、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社1
貸借対照表計上額、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社47,000,000
銘柄数、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社5
貸借対照表計上額、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社826,000,000
株式数の増加に係る取得価額の合計額、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社9,000,000
株式数、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社2,957
貸借対照表計上額、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社7,000,000
株式数が増加した理由、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社取引先持株会を通じた株式の取得
銘柄、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社太陽誘電(株)
保有目的、業務提携等の概要、定量的な保有効果及び株式数が増加した理由、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社(保有目的)戦略分野における共同研究開発、取引先として良好な関係を維持及び強化(定量的な保有効果)(注2)(株式数が増加した理由)取引先持株会を通じた株式の取得
当該株式の発行者による提出会社の株式の保有の有無、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社

Shareholders

大株主の状況 (6) 【大株主の状況】
 2025年3月31日現在
氏名又は名称住所所有株式数 (株)発行済株式(自己株式を除く。)の総数に対する所有株式数の割合(%)
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)東京都港区赤坂1丁目8番1号2,737,70011.30
第一稀元素化学工業従業員持株会 大阪市中央区北浜4丁目4番9号1,271,2005.25
國部 克彦大阪府吹田市1,210,0005.00
株式会社日本カストディ銀行(信託口)東京都中央区晴海1丁目8番12号1,097,5004.53
岩谷産業株式会社大阪市中央区本町3丁目6番4号861,0003.55
井上 剛大阪府高槻市810,3053.35
井上 純子大阪府高槻市810,0003.34
國部 智之大阪府吹田市687,7002.84
寺田 忠史大阪府茨木市388,0851.60
中村 晃治奈良県大和郡山市340,0001.40
計―10,213,49042.16
(注) 上記の所有株式のうち、信託業務に係る株式数は、次のとおりであります。
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)2,737,700株
株式会社日本カストディ銀行(信託口)1,097,500株
株主数-金融機関13
株主数-金融商品取引業者30
株主数-外国法人等-個人19
株主数-外国法人等-個人以外51
株主数-個人その他12,894
株主数-その他の法人89
株主数-計13,096
氏名又は名称、大株主の状況中村 晃治
株主総利回り1
株主総会決議による取得の状況 (1) 【株主総会決議による取得の状況】
該当事項はありません。
株主総会決議又は取締役会決議に基づかないものの内容 (3) 【株主総会決議又は取締役会決議に基づかないものの内容】
区分株式数(株)価額の総額(百万円)当事業年度における取得自己株式5042,650当期間における取得自己株式―― (注)当期間における取得自己株式には、2025年6月1日から有価証券報告書提出日までの単元未満株式の買取りによる株式数は含めておりません。

Shareholders2

自己株式の取得-113,000,000
自己株式の取得による支出、財務活動によるキャッシュ・フロー-113,000,000
発行済株式及び自己株式に関する注記 1.発行済株式の種類及び総数並びに自己株式の種類及び株式数に関する事項 当連結会計年度期首株式数(株)当連結会計年度増加株式数(株)当連結会計年度減少株式数(株)当連結会計年度末株式数(株)発行済株式 普通株式24,400,000--24,400,000合計24,400,000--24,400,000自己株式 普通株式
(注)1,251,887150,05021,867180,070合計51,887150,05021,867180,070
(注) 1.普通株式の自己株式の株式数の増加150,050株の内訳は、次のとおりであります。
2024年8月8日の取締役会決議による自己株式の取得 150,000株単元未満株式の買取りによる増加 50株 2.普通株式の自己株式の株式数の減少21,867株は、譲渡制限付株式報酬としての自己株式の処分であります。

Audit

監査法人1、連結有限責任監査法人トーマツ
独立監査人の報告書、連結 独立監査人の監査報告書及び内部統制監査報告書 2025年6月18日第一稀元素化学工業株式会社 取締役会 御中  有限責任監査法人トーマツ 大阪事務所 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士奥  村  孝  司  指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士福  井  さ わ 子 <連結財務諸表監査>監査意見当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられている第一稀元素化学工業株式会社の2024年4月1日から2025年3月31日までの連結会計年度の連結財務諸表、すなわち、連結貸借対照表、連結損益計算書、連結包括利益計算書、連結株主資本等変動計算書、連結キャッシュ・フロー計算書、連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項、その他の注記及び連結附属明細表について監査を行った。
当監査法人は、上記の連結財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、第一稀元素化学工業株式会社及び連結子会社の2025年3月31日現在の財政状態並びに同日をもって終了する連結会計年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。
監査意見の根拠当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。
監査の基準における当監査法人の責任は、「連結財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。
当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。
当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。
監査上の主要な検討事項監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。
監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。
長期未収入金の評価監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応会社は、Solid Success International Limited(以下、SSI)への出資手続きに関連した支出額3,289百万円を当連結会計年度の連結貸借対照表に「長期未収入金」として計上している。
また、2022年3月期末の連結会計年度において会社は、当該支出額全額について貸倒引当金を設定している。
注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおり、当該長期未収入金は、連結子会社であるVIETNAM RARE ELEMENTS CHEMICAL JOINT STOCK COMPANY (以下、VREC)が主原料とするジルコニウム鉱物の長期安定調達を目的に、ベトナム国の鉱物事業会社であるDuong Lam Joint Stock Company(以下、DL)の企業買収による組織再編を企図していたSSIに対する出資手続のために、SSI株主との間で締結した株式譲渡契約に従って2019年1月までに支出したものである。
DLへの出資の成立は、契約当事者による株式譲渡契約に定められた義務の履行が条件となるが、SSIの関係会社等とDL株主との間で発生した株式譲渡等に関する訴訟が長期化し、和解を含めた収束の見込みが立たないこと、また、訴訟の影響を受けVRECとDLの間で締結している売買契約に基づくジルコニウム鉱物の納入が停滞していることから、SSI株主との間で締結した株式譲渡契約に規定した義務の履行及びDLが事業活動を再開してVRECとDL間で締結している売買契約の履行が早期に実行できる見通しが立たないこと等を総合的に判断して、会社は、2022年4月に当該株式譲渡契約の解約を通知することで当該株式譲渡契約の解除を行った。
また、契約解除に伴い、前々連結会計年度末において、長期未収入金の回収可能性を評価した結果、長期未収入金全額に対して貸倒引当金を設定している。
長期未収入金の回収可能性の評価は、SSI株主に対する返還請求権に基づき、SSI株主に対して支払ったSSIの株式取得資金に対して担保を設定したDL株式の価値に基づいている。
会社は、DLの株式価値をDLの事業計画に基づく将来キャッシュ・フローに基づいて見積もることとしているが、当連結会計年度においては、DLの操業再開に向けた動きの確認を継続しているものの、依然としてDLの事業活動の再開に関する情報が得られていないことから、前連結会計年度に引き続き、担保権を設定したDLの株式価値による回収可能性はないと評価している。
貸倒引当金控除前の長期未収入金の残高には金額的な重要性があり、回収可能性を見直した結果、会社の損益に重要な影響が生じる可能性がある。
また、SSI株主に対するSSIの株式取得資金の返還交渉やDLの操業再開に向けた動きの確認は当連結会計年度においても継続していることを踏まえ、状況の進展に応じた回収可能性の見直しが適切に行われない場合には、金額的に重要な誤謬が発生する可能性がある。
長期未収入金の回収可能性の判断に当たっては、国内及び現地の担当者による正確な実態把握と正確な情報に基づき、経営者による慎重な判断を必要とすることから、当監査法人は当該事項を監査上の主要な検討事項に該当するものと判断した。
当監査法人は、長期未収入金の評価を検討するに当たり、主として以下の監査手続を実施した。
(1)内部統制の評価 長期未収入金の評価や回収に関する会社の内部統制の整備及び運用状況の有効性を評価した。
評価に当たっては、法律の専門家を含む十分な経験と知識を持つ国内及び現地の担当者によって検討及び実態の把握がなされ、適切な承認を行うことで、誤った事実認識や会計処理を防止し、または発見するための統制に焦点を当てた。

(2)会計処理の妥当性の検討 長期未収入金に対する貸倒引当金の計上額の妥当性を検討するため、主として以下の手続を実施した。
・会社の利用する専門家である弁護士に対し、株式譲渡契約解除後の担保の有効性、SSIの株主からの返金等を含む長期未収入金の回収手段に関する見解を質問した。
・DLの財政状況に関する会社の評価について、経営者と議論するとともに、利用可能な情報と照らし合わせ検討した。
・DLの株式価値の将来の回復可能性に関する会社の評価について、株式譲渡契約の解除による今後のDLの事業活動の再建への影響について、経営者と議論し検討した。
その他の記載内容その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。
経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。
また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。
当監査法人の連結財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。
連結財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と連結財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。
当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。
その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。
連結財務諸表に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して連結財務諸表を作成し適正に表示することにある。
これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない連結財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。
連結財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき連結財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。
監査役及び監査役会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。
連結財務諸表監査における監査人の責任監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての連結財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から連結財務諸表に対する意見を表明することにある。
虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、連結財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。
監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。
・ 不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。
また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。
監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。
さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。
・ 連結財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。
・ 経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。
・ 経営者が継続企業を前提として連結財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。
継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において連結財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する連結財務諸表の注記事項が適切でない場合は、連結財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。
監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。
・ 連結財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた連結財務諸表の表示、構成及び内容、並びに連結財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。
・ 連結財務諸表に対する意見表明の基礎となる、会社及び連結子会社の財務情報に関する十分かつ適切な監査証拠を入手するために、連結財務諸表の監査を計画し実施する。
監査人は、連結財務諸表の監査に関する指揮、監督及び査閲に関して責任がある。
監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。
監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。
監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。
監査人は、監査役及び監査役会と協議した事項のうち、当連結会計年度の連結財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。
ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。
<内部統制監査>監査意見当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第2項の規定に基づく監査証明を行うため、第一稀元素化学工業株式会社の2025年3月31日現在の内部統制報告書について監査を行った。
当監査法人は、第一稀元素化学工業株式会社が2025年3月31日現在の財務報告に係る内部統制は有効であると表示した上記の内部統制報告書が、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して、財務報告に係る内部統制の評価結果について、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。
監査意見の根拠当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に準拠して内部統制監査を行った。
財務報告に係る内部統制の監査の基準における当監査法人の責任は、「内部統制監査における監査人の責任」に記載されている。
当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。
当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。
内部統制報告書に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任経営者の責任は、財務報告に係る内部統制を整備及び運用し、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して内部統制報告書を作成し適正に表示することにある。
監査役及び監査役会の責任は、財務報告に係る内部統制の整備及び運用状況を監視、検証することにある。
なお、財務報告に係る内部統制により財務報告の虚偽の記載を完全には防止又は発見することができない可能性がある。
内部統制監査における監査人の責任監査人の責任は、監査人が実施した内部統制監査に基づいて、内部統制報告書に重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、内部統制監査報告書において独立の立場から内部統制報告書に対する意見を表明することにある。
監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。
・ 内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果について監査証拠を入手するための監査手続を実施する。
内部統制監査の監査手続は、監査人の判断により、財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性に基づいて選択及び適用される。
・ 財務報告に係る内部統制の評価範囲、評価手続及び評価結果について経営者が行った記載を含め、全体としての内部統制報告書の表示を検討する。
・ 内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果に関する十分かつ適切な監査証拠を入手するために、内部統制の監査を計画し実施する。
監査人は、内部統制報告書の監査に関する指揮、監督及び査閲に関して責任がある。
監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。
  監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した内部統制監査の範囲とその実施時期、内部統制監査の実施結果、識別した内部統制の開示すべき重要な不備、その是正結果、及び内部統制の監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。
 監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。
<報酬関連情報>当監査法人及び当監査法人と同一のネットワークに属する者に対する、会社及び子会社の監査証明業務に基づく報酬及び非監査業務に基づく報酬の額は、「提出会社の状況」に含まれるコーポレート・ガバナンスの状況等(3)【監査の状況】
に記載されている。
利害関係会社及び連結子会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。
以 上
(注) 1.上記の監査報告書の原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。
2.XBRLデータは監査の対象には含まれていません。
監査上の主要な検討事項、連結 監査上の主要な検討事項監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。
監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。
長期未収入金の評価監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応会社は、Solid Success International Limited(以下、SSI)への出資手続きに関連した支出額3,289百万円を当連結会計年度の連結貸借対照表に「長期未収入金」として計上している。
また、2022年3月期末の連結会計年度において会社は、当該支出額全額について貸倒引当金を設定している。
注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおり、当該長期未収入金は、連結子会社であるVIETNAM RARE ELEMENTS CHEMICAL JOINT STOCK COMPANY (以下、VREC)が主原料とするジルコニウム鉱物の長期安定調達を目的に、ベトナム国の鉱物事業会社であるDuong Lam Joint Stock Company(以下、DL)の企業買収による組織再編を企図していたSSIに対する出資手続のために、SSI株主との間で締結した株式譲渡契約に従って2019年1月までに支出したものである。
DLへの出資の成立は、契約当事者による株式譲渡契約に定められた義務の履行が条件となるが、SSIの関係会社等とDL株主との間で発生した株式譲渡等に関する訴訟が長期化し、和解を含めた収束の見込みが立たないこと、また、訴訟の影響を受けVRECとDLの間で締結している売買契約に基づくジルコニウム鉱物の納入が停滞していることから、SSI株主との間で締結した株式譲渡契約に規定した義務の履行及びDLが事業活動を再開してVRECとDL間で締結している売買契約の履行が早期に実行できる見通しが立たないこと等を総合的に判断して、会社は、2022年4月に当該株式譲渡契約の解約を通知することで当該株式譲渡契約の解除を行った。
また、契約解除に伴い、前々連結会計年度末において、長期未収入金の回収可能性を評価した結果、長期未収入金全額に対して貸倒引当金を設定している。
長期未収入金の回収可能性の評価は、SSI株主に対する返還請求権に基づき、SSI株主に対して支払ったSSIの株式取得資金に対して担保を設定したDL株式の価値に基づいている。
会社は、DLの株式価値をDLの事業計画に基づく将来キャッシュ・フローに基づいて見積もることとしているが、当連結会計年度においては、DLの操業再開に向けた動きの確認を継続しているものの、依然としてDLの事業活動の再開に関する情報が得られていないことから、前連結会計年度に引き続き、担保権を設定したDLの株式価値による回収可能性はないと評価している。
貸倒引当金控除前の長期未収入金の残高には金額的な重要性があり、回収可能性を見直した結果、会社の損益に重要な影響が生じる可能性がある。
また、SSI株主に対するSSIの株式取得資金の返還交渉やDLの操業再開に向けた動きの確認は当連結会計年度においても継続していることを踏まえ、状況の進展に応じた回収可能性の見直しが適切に行われない場合には、金額的に重要な誤謬が発生する可能性がある。
長期未収入金の回収可能性の判断に当たっては、国内及び現地の担当者による正確な実態把握と正確な情報に基づき、経営者による慎重な判断を必要とすることから、当監査法人は当該事項を監査上の主要な検討事項に該当するものと判断した。
当監査法人は、長期未収入金の評価を検討するに当たり、主として以下の監査手続を実施した。
(1)内部統制の評価 長期未収入金の評価や回収に関する会社の内部統制の整備及び運用状況の有効性を評価した。
評価に当たっては、法律の専門家を含む十分な経験と知識を持つ国内及び現地の担当者によって検討及び実態の把握がなされ、適切な承認を行うことで、誤った事実認識や会計処理を防止し、または発見するための統制に焦点を当てた。

(2)会計処理の妥当性の検討 長期未収入金に対する貸倒引当金の計上額の妥当性を検討するため、主として以下の手続を実施した。
・会社の利用する専門家である弁護士に対し、株式譲渡契約解除後の担保の有効性、SSIの株主からの返金等を含む長期未収入金の回収手段に関する見解を質問した。
・DLの財政状況に関する会社の評価について、経営者と議論するとともに、利用可能な情報と照らし合わせ検討した。
・DLの株式価値の将来の回復可能性に関する会社の評価について、株式譲渡契約の解除による今後のDLの事業活動の再建への影響について、経営者と議論し検討した。