財務諸表

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提出書類、表紙有価証券報告書
提出日、表紙2025-06-19
英訳名、表紙Yokogawa Electric Corporation
代表者の役職氏名、表紙取締役 代表執行役社長  重野 邦正
本店の所在の場所、表紙東京都武蔵野市中町二丁目9番32号
電話番号、本店の所在の場所、表紙(0422)52-6845
様式、DEI第三号様式
会計基準、DEIJapan GAAP
連結決算の有無、DEItrue
当会計期間の種類、DEIFY

corp

沿革 2【沿革】
1920年12月横河 一郎、青木 晋の両名により東京府渋谷町に設けられていた電気計器の研究所を母体として、資本金50万円で㈱横河電機製作所を設立し、電気計測器の研究と製造を開始。
1935年6月吉祥寺工場(現在の武蔵野本社内)完成。
1948年9月株式を一般に公開。
1955年6月The Foxboro Company(アメリカ)と工業計器に関する技術援助契約を締結。
1957年10月米国に Yokogawa Electric Works, Inc.(現連結子会社 Yokogawa Corporation of America)を設立。
1970年4月製品の保守・点検・修理を目的として横河鹿島サービス㈱、横河京浜サービス㈱、横河千葉サービス㈱(現連結子会社 横河ソリューションサービス㈱)を設立。
1974年3月シンガポールに Yokogawa Electric Singapore Pte. Ltd.(現連結子会社 Yokogawa ElectricAsia Pte. Ltd.)を設立。
1974年7月甲府工場(現連結子会社 横河マニュファクチャリング㈱ 甲府工場)竣工、操業開始。
1975年6月総合計装制御システム(CENTUM)を発表、発売。
1982年9月オランダで Electrofact B.V.(現連結子会社 Yokogawa Europe B.V.)を買収。
1983年4月㈱北辰電機製作所と合併し、商号を横河北辰電機㈱に変更。
1986年10月商号を横河電機㈱に変更。
生産拠点統合計画(分散している生産拠点を統合し、生産設備の強化と効率化を図る計画)を完了。
1989年4月三鷹工業㈱と合併。
1992年12月統合生産制御システム(CENTUM CS)を発表。
1994年4月小峰工場(現連結子会社 横河マニュファクチャリング㈱ 小峰工場)竣工、操業開始。
1996年10月汎用測定器の製造・販売を目的として、横河エムアンドシー㈱(現連結子会社 横河計測㈱)を設立。
2001年4月生産系の国内子会社5社を統合し、横河エレクトロニクス・マニファクチャリング㈱(現連結子会社 横河マニュファクチャリング㈱ )が発足。
2002年10月株式交換により安藤電気㈱の株式を100%取得。
中国に地域統括会社として100%独資の「横河電機(蘇州)有限公司」を設立。
2003年10月中国地域統括会社「横河電機(蘇州)有限公司」の本社・工場が竣工、生産開始。
2005年4月シンガポールに海外市場(除く極東)を統括するYokogawa Electric International Pte. Ltd.を設立。
2006年1月中国に、販売・マーケティング・エンジニアリング・サービスなどの機能を統括する100%独資の横河電機(中国)商貿有限公司を設立。
2006年1月ライフサイエンス事業部の戦略拠点として金沢事業所を開設。
2008年3月横河電機(西安)有限公司、上海横河石化自控有限公司、横河電機(中国)商貿有限公司の業務を統合し、中国における事業統括会社、横河電機(中国)有限公司を設立。
2010年4月横河電機㈱の測定器ビジネスを横河メータ&インスツルメンツ㈱(現連結子会社 横河計測㈱)に移管統合。
2013年4月国内制御事業の販売、エンジニアリング、サービス部門を事業分割し、子会社2社と統合し、横河ソリューションサービス㈱が発足。
2015年9月創立100周年。
2015年11月2016年4月 2021年5月2024年5月2024年6月「YOKOGAWAコーポレートガバナンス・ガイドライン」制定。
KBC Advanced Technologies plc(本社:英国 現連結子会社 KBC Advanced Technologies Limited)を買収。
中期経営計画「Accelerate Growth 2023 (AG2023)」を発表。
中期経営計画「Growth for Sustainability 2028 (GS2028)」を発表。
指名委員会等設置会社に移行。
事業の内容 3【事業の内容】
 当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、横河電機㈱(当社)、子会社125社及び関連会社3社により構成されています。
当社グループの事業内容及び当社と関係会社の当該事業における位置付けは次のとおりです。
(1)制御事業 提供するソリューション及び主要な製品は、プラントの現場から経営レベルまでライフサイクルにわたりお客様価値を最大化する総合的ソリューション、生産性向上のための各種ソフトウエア、生産制御システム、流量計、差圧・圧力伝送器、プロセス分析計、プログラマブルコントローラ、工業用記録計、共焦点スキャナ等です。
 横河マニュファクチャリング㈱、Yokogawa Electric Asia Pte.Ltd.、横河電機(蘇州)有限公司等が製造したものを、日本国内につきましては主に横河ソリューションサービス㈱が、海外につきましては、主にYokogawa Engineering Asia Pte. Ltd.等が東南アジア各地にて、Yokogawa Europe B.V.等が欧州各地にて、Yokogawa Corporation of America等が北米にて、Yokogawa Middle East & Africa B.S.C.(c)等が中東及びアフリカ各地にて、横河電機(中国)有限公司等が中国にて、それぞれ販売、エンジニアリングサービス及びアフターサービスを行っています。
共焦点スキャナ等については主に横河マニュファクチャリング㈱等が製造し、横河電機㈱が販売及びアフターサービスを行っています。
(2)測定器事業主要な製品は波形測定器、光通信関連測定器、信号発生器、電力・温度・圧力測定器等です。
 波形測定器、光通信関連測定器、信号発生器、電力・温度・圧力測定器については、横河マニュファクチャリング㈱等が製造したものを、日本国内につきましては主に横河計測㈱が、海外につきましては、主にYokogawa Engineering Asia Pte. Ltd.等が東南アジア各地にて、Yokogawa Europe B.V.等が欧州各地にて、Yokogawa Corporation of America等が北米にて、横河測量技術(上海)有限公司が中国にて、それぞれ販売及びアフターサービスを行っています。
(3)新事業他 主に、産業用IoT(IIoT)のハードウエア、ソフトウエア、クラウド環境を提供するソリューションビジネス等を行っています。
その他、横河パイオニックス㈱が不動産関連事業を行っています。
事業系統図以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりです。
 (注)上図の関係会社のうち、名称の表記されている会社は、すべて連結子会社です。
関係会社の状況 4【関係会社の状況】
(1)連結子会社 名称住所資本金又は出資金主要な事業の内容
(注)1議決権の所有割合(%)関係内容役員の兼任等営業上の取引その他 当社役員当社従業員 1.横河ソリューションサービス㈱東京都武蔵野市百万円3,000制御事業100.0-有当社製品の販売及びエンジニアリング
(注)2、4 2.横河商事㈱東京都品川区百万円90制御事業・測定器事業53.0-有- 3.横河マニュファクチャリング㈱東京都武蔵野市百万円100制御事業・測定器事業100.0-有当社製品の製造
(注)2 4.横河計測㈱東京都八王子市百万円90測定器事業100.0-有- 5.Yokogawa EngineeringAsia Pte. LtdSingaporeSingapore千米ドル23,076制御事業・測定器事業100.0(100.0)-有当社製品の販売及びエンジニアリング 6.Yokogawa Electric AsiaPte. Ltd.SingaporeSingapore千シンガポールドル31,020制御事業・新事業他100.0-有当社製品の製造
(注)27.Yokogawa(Thailand) Ltd.BangkokThailand千タイ   バーツ120,000制御事業100.0(100.0)-有当社製品の販売及びエンジニアリング 8.P.T. Yokogawa IndonesiaJakartaIndonesia千米ドル2,650制御事業100.0(100.0)-有- 9.Yokogawa AustraliaPty. Ltd.Macquarie ParkNSW Australia千オーストラリアドル5,000制御事業100.0-有当社製品の販売及びエンジニアリング 10.横河電機(中国)有限公司中国 上海千人民元119,000制御事業100.0-有当社製品の販売及びエンジニアリング 11.重慶横河川儀有限公司中国 重慶千人民元132,129制御事業60.0(26.7)-有当社製品の製造及び販売 12.韓国横河電機㈱韓国 ソウル百万ウォン4,032制御事業・測定器事業100.0-有当社製品の販売及びエンジニアリング 13.Yokogawa Middle East & Africa B.S.C.(c)Muharraq Bahrain千バーレーンディナール2,481制御事業100.0-有当社製品の販売及びエンジニアリング
(注)214.Yokogawa Saudi Arabia Company L.L.C.DhahranSaudi Arabia千サウジアラビアリヤル10,500制御事業100.0(41.2)-有当社製品の販売及びエンジニアリング 15.Yokogawa India LimitedBangalore India千インドルピー85,054制御事業100.0-有当社製品の販売及びエンジニアリング 16.Yokogawa Corporationof AmericaTexas USA千米ドル1制御事業・測定器事業100.0(100.0)-有当社製品の販売及びエンジニアリング 名称住所資本金又は出資金主要な事業の内容
(注)1議決権の所有割合(%)関係内容役員の兼任等営業上の取引その他 当社役員当社従業員17.Yokogawa America do Sul Ltda.Sao PauloBrazil千ブラジルレアル72,044制御事業100.0-有当社製品の販売及びエンジニアリング
(注)218.Yokogawa Europe B.V.AmersfoortThe Netherlands千ユーロ17,725制御事業・測定器事業100.0-有当社製品の販売及びエンジニアリング 19.KBC Advanced Technologies LimitedSurrey UK千ポンド2,145制御事業100.0-有当社製品に関するコンサルティング・サービス その他     105社 (2)持分法適用関連会社 名称住所資本金又は出資金主要な事業の内容議決権の所有割合(%)関係内容役員の兼任等営業上の取引その他 当社役員当社従業員 1.横河レンタ・リース㈱東京都新宿区百万円528 新事業他47.4-有当社製品のレンタル その他     2社  (注)1.主要な事業の内容欄には、セグメントの名称を記載しています。
2.特定子会社に該当します。
3.議決権の所有割合の( )内は間接所有割合で内数です。
4.横河ソリューションサービス㈱については、売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く。
)の連結売上高に占める割合が100分の10を超えています。
主要な損益情報等 (1)売上高 126,263百万円(2)経常利益 11,554百万円(3)当期純利益 7,991百万円(4)純資産額 21,314百万円(5)総資産額 88,360百万円5.上記(1)及び
(2)の他に持分法適用非連結子会社が1社ありますが、重要性が乏しいため記載を省略しています。
従業員の状況 5【従業員の状況】
(1) 連結会社の状況 2025年3月31日現在セグメントの名称従業員数(人)制御事業16,781(2,110)測定器事業694(143)新事業他195(24)合計17,670(2,277) (注)1.従業員数は、就業人員を記載しています。
    2.臨時従業員数は、当連結会計年度の平均人員を( )外書で記載しており、契約社員等を含み、派遣社員等を除いています。

(2) 提出会社の状況 2025年3月31日現在従業員数(人)平均年齢(歳)平均勤続年数(年)平均年間給与(円)2,24244.617.19,266,539 セグメントの名称従業員数(人)制御事業2,197測定器事業40新事業他5合計2,242 (注)1.従業員数は就業人員であり、出向受入者 88人を含み、他社への出向者 241人を含んでいません。
また、平均年齢,平均勤続年数についても、就業人員を対象として算定しています。
2.平均年間給与(税込)は、在籍者を対象として算定しており、基準外賃金及び賞与を含んでいます。
(3) 労働組合の状況 当社グループの労働組合には、JAM横河電機労働組合が組織されています。
提出会社等で形成されているJAM横河電機労働組合の2025年3月31日現在における組合員数は1,701人で、上部団体のJAMに加盟しています。
 なお、労使関係は安定しています。
(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異①提出会社当事業年度管理職に占める女性労働者の割合(%)   (注)1.男性労働者の育児休業取得率(%)   (注)2.労働者の男女の賃金の差異(%)(注)1.全労働者正規雇用労働者パート・有期労働者11.060.977.878.085.2(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。
   2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)」第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものです。
②連結子会社当事業年度名称管理職に占める女性労働者の割合(%) (注)1.男性労働者の育児休業取得率  (%) (注)2.労働者の男女の賃金の差異(%)(注)1.全労働者正規雇用労働者パート・有期労働者横河ソリューションサービス㈱5.493.070.373.265.1横河計測㈱3.650.066.062.466.5横河マニュファクチャリング㈱5.435.083.387.385.9横河商事㈱2.10.079.281.971.5(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。
   2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)」第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものです。
 本項に関連する事項は、第2 事業の状況  2 サステナビリティに関する考え方及び取組 3.人的資本および多様性 にも記載しています。
経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
 当社グループは、2021年度に社会共通の課題の解決によって持続的な成長を実現するために、長期経営構想の抜本的な見直しとともに中期経営計画「Accelerate Growth(アクセラレート グロウス)2023(AG2023)」を発表し、2030年のYOKOGAWAのありたい姿の実現に向けて、2023年度までの3年間、社会共通課題を軸とした事業構造を確立するための取り組みを進めてきました。
 現在の長期経営構想は、AG2023策定時に抜本的に見直したものであり、2030年を見据えた「YOKOGAWAのありたい姿」を端的に示したVision statement「YOKOGAWAは、自律と共生によって持続的な価値を創造し、社会課題の解決をリードしていきます。
」とその実現に向けての方向性を示しています。
AG2023が終了を迎えるにあたっては、この長期経営構想は大きな見直しなくそのまま引き継ぐこととし、2024年度からの中期経営計画「Growth for Sustainability(グロウス フォー サステナビリティ)2028(GS2028)」を新たに策定し、その取り組みを開始しました。
GS2028では、AG2023で確立した業種軸の事業構造を基盤に、環境・社会・ガバナンスの視点で事業活動に取り組み、社会価値と企業価値の向上を実現させるための変革を加速させます。
(1) 経営の基本方針当社グループは、YOKOGAWAのIdentityを以下のとおり整理しました。
創業の精神と、それを受け継いだ企業理念は、社会におけるYOKOGAWAの在り方を示すものです。
Vision statementは、2030年を見据えてYOKOGAWAが何をしていくかを示し、共有する価値観は行動をするうえでの指針を示しています。
Yokogawa’s Purposeは、それら全てを踏まえ、YOKOGAWAが存在する意義を、意思を込めたコミットメント(公約)として示しています。
[創業の精神]創業にあたり、横河民輔は、日本の計測業界の先駆者として歩み始めた横河一郎(後の初代社長)と青木晋(後の初代技師長)に、「君たちは、この仕事でもうけようなどと考える必要はない。
それよりもまず、技術を覚え、技術をみがくことだ。
横河電機の製品はさすがに良い、といわれるようにしてもらいたい」と語りました。
この言葉は創業の精神として今日まで受け継がれています。
[企業理念]創業の精神を受け継ぎ1988年に制定された企業理念は、社会に向けてのYOKOGAWAの使命とYOKOGAWA人の価値基準や行動指針を表した、YOKOGAWAの決意表明です。
[Yokogawa’s Purpose]お客様、市場、社会からの要望や期待に応えるYOKOGAWAのコミットメントであり、社会に存在することの意義を表したものです。
同時に組織としての求心力を高め、グループ全社員の変革への志を喚起します。
[共有する価値観]企業文化や風土を醸成し継承していくうえで、YOKOGAWA社員一人ひとりが「大切にすべき」行動の指針と意志をより具体的に示したものです。
共有する価値観に根差した行動は新たな価値の創造を実現し、他社との差別化力、競争力をもって社会に貢献し続けるための原動力となります。
[Vision statement]2030年を見据えた長期経営構想で描くYOKOGAWAのありたい姿、企業としての理想を端的に示したものです。

(2) 中長期的な経営戦略長期経営構想と中期経営計画の全体像 [長期経営構想]<Vision statement> YOKOGAWAは、自律と共生によって持続的な価値を創造し、 社会課題の解決をリードしていきます。
<お客様への提供価値> 世界は今、あらゆるものが複雑につながり合う時代となっています。
運用や管理に独立性のあるシステムが連携し、相乗効果と新しい価値をもたらしていく「System of Systems(SoS)」の流れが進む世界において、当社は、効果的な「つながり」を進め、統合化・自律化・デジタル化による「全体最適」の価値を生み出していきます。
当社は「IA2IA※1」と「Smart Manufacturing※2」によるアプローチでこれを実現し、社会全体が「SoS」となる世界をリードしていきます。
(※1) IA2IA(Industrial Automation to Industrial Autonomy) AI、デジタルツイン、ロボティックスなどのDX(デジタルトランスフォーメーション)技術を取り込み、Industrial Automation(自動)からIndustrial Autonomy(自律)へと進化させる活動です。
(※2) Smart Manufacturing DX(デジタルトランスフォーメーション)やIA2IAによって生産現場、エンタープライズ、及びサプライチェーンにおける自律を実現し、革新的な生産性向上を達成することです。
[中期経営計画 「Growth for Sustainability 2028(GS2028)」] GS2028は、「測る力とつなぐ力で、地球の未来に責任を果たす。
」というYokogawa’s Purposeを起点としており、Yokogawa’s Purposeのもと、中期経営計画の目標達成に向けた「価値創造プロセス」を以下のように定義しました。
 「永年培ってきた、OT(運用技術、Operational Technology)領域におけるお客様起点の課題解決をやり遂げる力と信頼を裏付けとし、人的資本やDXを実現する技術などの基盤を活性化することで、SoS型ビジネスなどにて、より多様かつ高い顧客価値を共創する。
その過程を通じて強化したお客様との信頼関係・ノウハウ・人的資本等の経営資本を活用して、事業施策を達成する。
」YOKOGAWAの価値創造プロセス  長期経営構想で定めた2030年を見据えた「YOKOGAWAのありたい姿」の実現と、上記価値創造プロセスを実現するために、2028年度までの5年間で取り組むべきこととして、4つの基本戦略を策定しました。
それぞれの基本戦略の概要は以下のとおりです。
「Growth for Sustainability 2028」の4つの基本戦略 1.System of Systemsの信頼されるパートナーとしての価値提供 SoSを通じた価値提供を行うため、YOKOGAWAはIA2IAとSmart Manufacturingという2つの側面からアプローチを行います。
数多くの製造現場で培ったノウハウ、経験、高度な技術力を活用し、戦略的なコンサルティングとシームレスなインテグレーションという価値を提供することで実現していきます。
2.業種対応力の強化と特定業種へ依存しないビジネスの拡大 さらなる生産の効率化と生産の安定化を追求しているお客様に対応するため、YOKOGAWAはIT/OTの融合を通して業種対応力の強化を図るとともに、品質管理や設備管理といった、業種に関わらない共通の課題を解決するビジネスの拡大にGS2028においても取り組んでいきます。
YOKOGAWAが強みをもつフィールド機器や制御システムのレベルから、MESやERPといった上位レイヤーのシステムまでをターゲットに、ソリューションの幅を広げ、お客様のDXをサポートしていきます。
 また、事業環境や市場ニーズの変化に対応するため事業内容を変更するお客様のサポートができるように、ソリューションを充実させていきます。
3.無形資本の活用・育成による価値創造 YOKOGAWAは、人的資本、知的資本、社会・関係資本の3つの活用に注力していきます。
これら無形資本には、「価値創造力」、「共感力」、「課題発見力」、「ステークホルダーをつなぐ力」というYOKOGAWAが長年培ってきた見えない強みがあり、これらを成長に生かします。
4.経営・事業基盤の強化 価値創造プロセスを支える経営・事業基盤の強化に取り組みます。
・全社収益性の向上:戦略的リソースの捻出と配分、オペレーションの最適化と、経営基盤の最適化を図ります。
・DX戦略:Internal DXではグローバルなIT基盤のもとで、お客様、パートナー、社員の視点に立って、それぞれの体験価値を向上させるDX施策を進めていきます。
External DXではOT分野で培ってきたノウハウを、Yokogawa Cloudのもとで、積極的にアプリケーション化、サービス化し、整備を進め、リカーリングのビジネスモデルへの変革を目指します。
・ガバナンスの強化:監査役会設置会社から、指名委員会等設置会社に移行します(2024年度に移行済み)。
監督と執行の役割分担を明確化し、意思決定プロセスの効率化、経営判断と事業計画の達成に対する責任の明確化、監査機能の強化、効率化を図ります。
<資本政策・財務戦略> 「Growth for Sustainability 2028」では、長期経営構想を念頭においた成長戦略の実現のために成長投資を強化していきながら、持続的な企業価値及び株主価値の向上を実現していきます。
[初年度からの3年間 2024年度~2026年度]成長投資枠M&A・アライアンス:1,000億円以上・成長戦略の実現に向けた投資を加速・拡大・エネルギー/資源の課題対応、DX/OT(Operational technology)データ活用への貢献、業種拡大の加速等を目的株主還元安定的・継続的な増配・配当性向30%以上の確保に努める・一時的要因での業績悪化時も株主資本配当率を考慮し、安定的な配当を維持・自己株取得についても、財務状況等を踏まえ柔軟に検討前提条件:格付けA格維持可能な株主資本水準を確保 中期経営計画「Growth for Sustainability 2028」についての詳細は、当社ウェブサイトhttps://www.yokogawa.co.jp/about/yokogawa/company-overview/corporate-strategy/をご参照ください。
(3) 経営環境当社グループは、1915年の創立以来、計測、制御、情報の技術を軸に、最先端の製品やソリューションを産業界に提供し、社会の発展に貢献し続けています。
また、社会課題・お客様のニーズを捉え、その主要製品・サービスの内容を変化させてきており、2024年度のセグメント別売上高比率は制御事業約94%、測定器事業約5%、新事業他約1%となっています。
主力事業の制御事業では、石油、ガス、化学、電力、鉄鋼、紙パルプ、医薬品、食品などの多様な業種展開により日本国内で高いシェアを有しています。
さらに、日本での多様な業種展開により得られた知見やノウハウのもと、アップストリーム、ダウンストリームを中心に、中東、中国、アセアン諸国などの資源国や新興国で高いシェアを有しています。
なお、2024年度の海外売上高比率は約74%となっています。
現地に根付いたグローバルな事業展開を始めてからの約60年で、競合他社に比べ偏りがない地域構成を実現してきており、世界中で4万件以上のプロジェクトを手掛けてきた豊富な納入実績があることも特徴です。
豊富な納入実績を活用することで、お客様の既設のプラント設備の生産性向上につながる運用や、保守の効率化に向けたソリューションの比重を高め、あらゆる外部環境の変化にも耐えられるレジリエンス(変化に柔軟に対応できる適応力・回復力)を高めてきています。
2030年を見据えた事業環境のメガトレンドは、Politics(政治)、Economy(経済)、Society(社会)、Technology(技術)の観点で、大きく変化していくと想定しています。
Politicsでは、自国主義や法規制の強まり、Economyでは、資源の枯渇や食料・水の不足、Societyでは、高齢化、都市化や気候変動、Technologyでは、AI、IoT、5G、バイオテクノロジーの進歩など、さまざまな変化が予想されます。
このような中で、当社グループのお客様は、プロセスの変革、持続可能な未来を意識したビジネスモデルへのシフトを進めており、かつ、安全安心、セキュリティなどの観点から人の介在を減らすことの重要性も認識されています。
主力事業の制御事業におけるProcess Automation業界では、既存製品の市場が成熟し、ハードウエアのコモディティ化が進んでいると同時に、MES(Manufacturing execution system)やセキュリティ関連のソフトウエア、センサの市場は成長し、サブスクリプションなど新しいビジネスモデルの普及が進んでいます。
また、当社グループの成長の糧であるオイル&ガスなどのハイドロカーボン系エネルギーの需要はその社会的役割・位置づけからも急激には失われないと考えられますが、エネルギー活用の多様化、環境規制対応などへの世界的な再生可能エネルギー活用、デジタルトランスフォーメーション(DX)への世界的な要求も高まってきています。
このように大きく変化する事業環境において、当社グループは、未来世代のために目指す持続可能な低炭素・循環型社会の姿として定めたサステナビリティ目標「Three Goals」の「脱炭素社会(Net-zero emission)」「循環社会(Circular economy)」「人の命と健康に対する要求の高まり(Well-being)」が事業機会になると捉えています。
長期経営構想でも示した通り、「System of Systems(SoS)」の流れが進む世界の中で、統合化・自律化・デジタル化により複雑につながり合う社会システム全体を効果的に結びつけ、当社グループが先駆者として「全体最適」の価値を生み出すことで、3つの事業機会をしっかりと捉え、私たち自身が変革しながら、社会共通の課題の解決と持続的な成長を実現していきます。
グローバルの競合のみならずIT企業との競合が激化するなど、事業環境は厳しさが増している中で、これまで蓄積・獲得してきた戦略的なコンサルティングとシームレスなシステムインテグレーション(SI)能力を、お客様への提供価値としてさらに昇華させ、社会全体がSoSとなる世界における信頼されるパートナーとなることを目指します。
(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等[中期経営計画「Growth for Sustainability 2028 (GS2028)」で目指す経営目標]当社グループは、前中期経営経計画「Accelerate Growth 2023 (AG2023)」が終了を迎えるにあたって、長期経営構想は大きな見直しなくそのまま引き継ぐこととし、当事業年度からの中期経営計画「Growth for Sustainability(グロウス フォー サステナビリティ)2028(GS2028)」を新たに策定し、その取り組みを開始しました。
GS2028では、AG2023で確立した業種軸の事業構造を基盤に、環境・社会・ガバナンスの視点で事業活動に取り組み、社会価値と企業価値の向上を実現させるための変革を加速させます。
GS2028で達成を目指す経営指標・目標値に対して、取り組みの初年度となった当事業年度実績と次期(2026年3月期)の業績予想を以下のとおり整理すると、事業成長目標およびセグメント別受注高成長目標に関しては、初年度の滑り出しとしては一定の評価ができる実績となりましたが、次期の業績予想を含めた2年間の成長率を見ると、為替の変動影響もあり、GS2028で達成を目指す目標にはまだ隔たりがある状況です。
GS2028は5年間の中期経営計画であり、その前半は高い成長目標の実現に向けて先行投資を含めた施策を実行していく期間と位置付けています。
あらためてこれらの施策を徹底的に実行し、成長目標の達成に向けて邁進していきます。
■AG2023で達成を目指した経営指標・目標値ROS:売上高営業利益率/EPS:1株当たり当期純利益/ROE:自己資本利益率 [資本政策・財務戦略]GS2028では、長期経営構想を念頭においた成長戦略の実現のために成長投資を強化していきながら、持続的な企業価値及び株主価値の向上を実現していきます。
● 資本性成長投資(戦略投資)枠を初年度からの3年間累計(2024年度~2026年度)で1,000億円とします。
リスク総量、自己資本増減、および負債調達を前提としたリスク投資実行に伴うリスク量の増加想定を織り込んだ上で最適資本構成(リスクが顕在化した場合においても格付A格を維持可能な株主資本水準を保持し、且つ、次の成長に向けた一定のリスク投資余力を確保できる水準)を維持します。
● 株主還元方針(利益処分に関する基本方針)については、中長期的な企業価値向上の最大化に向けた投資に優先的に配分していくものの、一定の財務基盤の確保を前提に、積極的な配当還元および自己株取得等による株主還元の向上を図ることを基本方針とします。
配当性向による期間利益の一定比率を還元する考え方に加え、株主資本配当率を踏まえた安定的な配当の維持の考え方を維持するとともに、自己株取得についても、財務状況や株価水準等を踏まえながら追加的な株主還元として柔軟に検討します。
GS2028期間の当初3年間のうち、初年度となる当事業年度は、営業キャッシュフローの創出においては順調な進捗となりましたが、M&A・アライアンス等の成長投資枠1,000億円以上については、中長期的な企業価値の向上に向けて、着実に成長投資を実施してきたものの、その額は約72億円と低調に推移しました。
早期にM&Aの効果を創出すること、シナジーを最大化していくこと、そして全社の事業ポートフォリオを見直し効率的なM&Aを実行していくことは、今後も取り組むべき課題です。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題   中期経営計画「Growth for Sustainability 2028 (GS2028)」の確実な実行世界は脱炭素社会の実現に向けたエネルギー・トランジション等、社会課題解決に向けたニーズの高まりや、デジタル技術の革新などにより劇的に変化しています。
また、足元の事業環境も中国経済の先行き懸念や米国による関税引上げ政策、為替相場の急激な変動などにより世界経済の不確実性が高まっているほか、中東情勢やロシア・ウクライナ情勢などの不安定な国際情勢、原材料価格や人件費の高騰も継続しており、日々刻々と変化しています。
当社グループは、2030年を見据えた「YOKOGAWAのありたい姿」を端的に示したVision statement「YOKOGAWAは、自律と共生によって持続的な価値を創造し、社会課題の解決をリードしていきます。
」とその実現に向けての方向性を示す長期経営構想に基づき、当連結会計年度(2025年3月期)が初年度となる中期経営計画“Growth for Sustainability 2028 (GS2028)”を策定し、このような事業環境の変化を機会ととらえ、事業を通じて社会や環境に貢献しながら持続的な企業価値向上を図る、CSV(Creating Shared Value)経営の実現に向けた取り組みを進めています。
長期経営構想及び中期経営計画Growth for Sustainability 2028 (GS2028)の目標達成に向けて中長期的に当社グループが持続的成長をするための変革を加速し、「測る力とつなぐ力で、地球の未来に責任を果たす。
」というYokogawa’s Purposeの実現に向け邁進していきます。
   長期経営構想及びGS2028で達成を目指す経営目標1.長期経営構想で目指すサステナビリティ目標(2030年度) 2.GS2028で目指す事業成長・財務目標(2024年度~2028年度) 長期経営構想及び中期経営計画についての詳細は、当社ウェブサイトhttps://www.yokogawa.co.jp/about/yokogawa/company-overview/corporate-strategy/をご参照ください。
サステナビリティに関する考え方及び取組 2【サステナビリティに関する考え方及び取組】
 文中の将来に関する事項は、当社グループが有価証券報告書提出日現在において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。
1.サステナビリティ全般当社グループがもつ測る力とつなぐ力を社会課題の解決に生かしたい、という意思を込めて「Yokogawa’s Purpose」を「測る力とつなぐ力で、地球の未来に責任を果たす」と定めています。
気候変動、プラスチックや廃棄物、生物多様性など、今世界で顕在化している深刻な課題は、単独の組織やシステムで解決できるものではないことから、状況を測り、さまざまな情報を共有し、組織やシステムを有機的につなぎながら解決への道を探っていく必要があると捉えています。
私たちの活動の大前提として、すべての人の人権を尊重し、差別のない世界をつくっていくことも重要です。
当社グループは世界中のステークホルダーとともに変革を続け、より豊かで持続可能な社会の実現に挑戦しています。
また、当社グループは、下記のとおり「サステナビリティ貢献宣言」を制定しており、長期的な視点で社会課題の解決への取り組みを実行していきます。
・YOKOGAWAは、未来世代のより豊かな人間社会のために、2050年に向けて、Net-zero emissions、Well-being、Circular economyの実現を目指します・目標実現に向け、変化に柔軟に対応できる適応力・回復力を強化し、循環型社会に適した価値を創造し、ステークホルダーとのCo-innovation を推進することにより、自らを変革します [ガバナンス]当社グループはサステナビリティを重要な経営課題の一つと捉え、ガバナンスの充実に継続的に取り組んでいます。
中期経営計画やリスク管理、内部統制システムなどの全社マネジメントサイクルの一環として、サステナビリティマネジメントを行っています。
社会・環境への貢献と企業価値向上の観点からサステナビリティの重点課題を特定し、それらに対応するための サステナビリティ指標を設定して下図に示すマネジメントサイクルを定義し、取締役会が監視・監督を行っています。
取締役会に対しては、重要案件や各マネジメントの実施報告の際に非財務項目も含めて報告しているほか、定期的にサステナビリティ活動の状況も報告しています。
取締役会は、社会情勢の変化、サステナビリティ指標の進捗状況、ESG評価機関などステークホルダーからのフィードバック、ESGリスク評価結果などに基づき、社外からの独立した視点も交えながら、サステナビリティの取り組みの監視・監督を行っています。
監督と執行の役割分担を明確化し、意思決定プロセスの効率化、経営判断と事業計画の達成に対する責任の明確化、監査機能の強化、効率化を図る中で、サステナビリティマネジメントも強化してまいります。
・2024年度の取締役会でのサステナビリティに関する主な議題-新中期経営計画に基づくサステナビリティ中長期目標の設定-サステナビリティ中長期目標の進捗-サステナビリティ委員会報告(貢献と成長の戦略、気候変動への対応、非財務情報開示等)-内部統制システムの基本方針と運用状況-YOKOGAWAグループ重点管理リスク-人権尊重への対応状況と英国現代奴隷法ステートメント・サステナビリティマネジメントサイクル・サステナビリティ委員会企業価値および社会価値の両面から重点課題を特定し、経営の中長期的な方向性およびサステナビリティ課題の解決に向けた戦略を策定することを目的として、2022年度からサステナビリティ委員会を設置しています。
サステナビリティ委員会は、代表執行役社長の諮問機関であり、社長が委員長、執行役を委員として、経営視点からサステナビリティに関するテーマについて集中的に議論する場と位置付けています(2024年度は年2回開催)。
また、サステナビリティ委員会の傘下には、テーマ別の分科会(事業分科会、製品分科会、マネジメント分科会、開示分科会)を設置しており、2024年度は、事業における「貢献と成長のストーリー」、Scope1,2,3削減戦略、非財務情報開示など、さまざまなテーマについて活発な議論を行いました。
特に、製品分科会においては、当社の製品事業全般(サプライチェーンおよびライフサイクル)において、環境および社会への負荷を一層低減していくことの重要性について議論を深めました。
その中で、当社がこれまでお客様に提供してきた製品の優れた特徴である「安全性」、「高品質」、「堅牢性」、「長寿命」、「メンテナンス性」、「拡張性」や、お客様のプラントライフサイクルにわたるサービス・サポートの提供価値を、サステナビリティの観点から再評価し、積極的に訴求していくことの重要性を認識しました。
あわせて、製品の環境フットプリントの削減と資源循環型エコシステムの構築、ならびに情報開示の充実に向けた取り組みを、今後一層加速していく方針を共有しました。
サステナビリティ委員会で議論した内容は取締役会に報告しています。
 なお、当社グループのコーポレートガバナンスの詳細については、第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 に記載の通りです。
[戦略]当社グループは、2050年に向けて目指す社会の姿をサステナビリティ目標「Three Goals」として定めています。
また、「Three Goals」の実現に向け、マテリアリティ分析等に基づき、2030年に向けた6つの貢献分野を設定しています。
GS2028では、6つの貢献分野およびサステナビリティ・トランジション(後述)に紐づく事業の注力領域について、向き合う社会課題と事業機会、YOKOGAWAのアプローチ、お客様への貢献、並びに社会・環境および事業成長へのインパクトを 「貢献と成長のストーリー」としてまとめています。
・マテリアリティ分析当社グループは、エネルギー&サステナビリティ、マテリアル、ライフなどの事業分野において、お客様の課題を解決することで、社会・環境へ大きくプラスのインパクトを与えています。
社会・環境への貢献を拡大することは、YOKOGAWAの企業価値向上と密接に関連しており、「社会・環境への影響」および「自社の価値創造や事業モデルへの影響」の両面における重要性をマテリアリティと定義しています。
2021年に策定したAG2023においては、各事業の関係者に対するサーベイに基づき、重要性が高くかつ自社が解決すべき課題(重点課題)と貢献のテーマ(貢献分野)を選定しました。
GS2028では、欧州サステナビリティ報告基準を参照してダブルマテリアリティ分析を行い、分析結果を踏まえてサステナビリティ指標を設定しています。
[リスク管理]当社グループは、各組織において企業価値に影響を与える不確実性をコントロールするためのリスク管理体制、業務の適正を確保するための内部統制システム、および経営に重大な影響を及ぼす事象が発生した場合、速やかに対応するための危機管理体制を整えています。
・リスク管理体制当社グループは、外部環境、戦略、品質、環境、安全衛生、危機管理、企業倫理などのグループの企業価値に影響を与える不確実性をリスクと定義し、「YOKOGAWAグループの企業価値を維持・増大していくために、事業に関連する内外のさまざまな不確実性を統合的に管理する」ことを基本とし、事業機会とコンプライアンス・危機事象の観点から分類・管理しています。
また、リスク管理に関わるテーマについて全社的な立場から審議し、グループ経営への影響を適切にコントロールするため、代表執行役社長の諮問機関であるリスク管理委員会を設置しています。
リスク管理委員会は、リスク評価に基づき、経営戦略や経営課題、外部のリスク環境なども踏まえ、グループとして重点的に管理すべきである重点管理リスクを審議のうえ決定し、取締役会に報告します。
重点管理リスクに対する対策内容や対策の進捗については四半期ごとに確認するとともに、リスク管理委員会でリスクの状況を年に2回評価し、その内容を取締役会に報告します。
また、対策の見直しや改善点の洗い出しを実施し、残余リスクを考慮したうえで、翌年の重点管理リスクの選定に反映させています。
なお、当社グループのリスク管理体制等の詳細については、第2 事業の状況 3 事業等のリスク に記載の通りです。
[指標と目標]当社グループは、6つの貢献分野に対して、社会への貢献の度合いを測る長期的な指標(社会インパクト指標)を定めています。
これらの指標のPDCAを通じて貢献と成長を加速させていきます。
・社会インパクト指標※2030年度の目標は、購入した商品とサービス(カテゴリー1)、および販売した製品の使用(カテゴリー11)を対象にしています。
・サステナビリティ・トランジション売上 GS2028では、サステナビリティに貢献しながら成長していく領域のグループ全体の売上を、サステナビリティ・トランジション売上として算出しています。
事業セグメントごとにサステナビリティ・トランジションに貢献する複数の注力領域を設定し、活動を開始しています。
事業全体を飛躍的に成長させる中で、2028年度にはサステナビリティ・トランジション売上の割合を現状の40%から50%にまで拡大させます。
2.気候変動当社グループは、2050年に向けて目指す社会の姿としてNet-zero emissionsを掲げ、GS2028で推進する6つの貢献分野の一つに「カーボンニュートラルの達成」をあげています。
GHG排出の抑制と、安価で信頼できる持続可能なエネルギーへの転換を重点課題と認識し、自社の操業により排出するGHGを削減するだけでなく、事業を通じて、再生可能エネルギーの普及やエネルギー利用の効率化に貢献しています。
なお、当社グループは、2019年2月に気候変動の課題に積極的に向き合い将来に備えていくという意思のもと、金融安定理事会(FSB)が気候変動に関する財務情報の開示を推進するために設立した「気候関連財務情報開示タスクフォースTCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」による提言の支持を表明し、YOKOGAWAレポート、YOKOGAWAサステナビリティレポートで開示しています。
[ガバナンス]気候変動に関するガバナンスは、サステナビリティ全般のガバナンスに組み込まれています。
詳細については「1.サステナビリティ全般」に記載の通りです。
[戦略]当社グループは、エネルギーや化学など、温室効果ガス(GHG)の排出量に大きな影響を与える製造業をお客様として事業を行っています。
気候変動に伴う将来の環境変化を見据え、お客様は、再生可能エネルギーを含む低炭素事業やバイオ等の低環境負荷素材を生み出す事業への転換を進めています。
当社グループは、GS2028において、再生可能エネルギー市場での価値提供拡大やクリーンエネルギー(低炭素水素/低炭素アンモニア)の活用支援を機会と捉え、事業の拡大に向け取り組んでいます。
・気候変動シナリオおよび気候変動シナリオに対する戦略のレジリエンス不確実性の高い気候変動については、地球全体に深刻で、広範、不可逆的な影響が生じる4℃シナリオ、2℃シナリオより厳しく温室効果ガスの排出削減などが必要となる1.5℃シナリオへの対応を含めて、2030年の社会を考察しています。
長期経営構想およびAG2023の策定に際しては、1.5℃シナリオと4℃シナリオにおいて、リスクと機会の評価や対応策の立案を行いました。
GS2028でもシナリオの前提を微調整しましたが、基本戦略には変更はありません。
1.5℃シナリオにおいては、各国の脱炭素政策の強化等によるエネルギートランジションの加速に伴い、化石燃料ビジネスの縮小を見込むものの、再生可能エネルギーや省エネルギービジネス等のニーズの高まりを想定しています。
また、4℃シナリオにおいては、洪水などの自然災害増加に伴う事業所およびサプライチェーンへの被害、異常気象に伴う農作物の収穫量低下や疾病の増加といった物理リスクの増大に起因する、防災ソリューションや医薬品・食品生産関連ビジネスの拡大を想定しています。
これらの気候変動に関するリスク・機会を、事業セグメントとリスクの種類ごとに深掘りし、対応の方向性を策定・事業戦略に組み込んでいます。
-気候変動に関する主な機会 -気候変動に関する主なリスク・インターナル・カーボン・プライシング(ICP)GHG削減目標の達成に向けて、経済的合理性の高いGHG削減施策を推進するため、2022年度よりICPの運用を開始しました。
設備投資の検討時やクリーンエネルギー採用計画時に想定されるGHG排出量の増減を金額換算し、財務的な判断に加味することで、GHG排出量の影響を踏まえた意思決定をしていきます。
グループ全体を対象に、Scope2の削減に大きく寄与する再生可能エネルギー電力の調達をターゲットに炭素価格を設定しています(ICPのタイプ:Implicit price、価格:2,000円/t-CO2)。
ICPの方針や炭素価格はサステナビリティ委員会で審議し、経営会議で決定します。
今後は、Scope1やScope3、また、事業計画の立案などにも順次ICPを適用し、炭素価格を設定していきます。
[リスク管理]気候変動に関するリスク管理は、サステナビリティ全般のリスク管理に組み込まれています。
詳細については「1.サステナビリティ全般」に記載の通りです。
[指標と目標]当社グループは、2030年度に向けた貢献分野として、GHG排出の抑制と、安価で信頼できる持続可能なエネルギーへの転換による「カーボンニュートラルの達成」を設定しています。
お客様とともに取り組んでいくビジネスの目標として、お客様事業のCO2排出抑制量10億トン(2018年度〜2030年度)を設定しています。
お客様の再生可能エネルギー発電や低炭素発電の量を、平均的な化石燃料の使用によるCO2排出量と比較し、その差分を実績として計上しています。
さらに、再生可能エネルギー業種向けの事業伸長について指標と目標(2028年度)を設定して取り組んでいます。
また、事業所における指標として、GHGプロトコルの方法論に基づいてScope1、Scope2、Scope3の排出量を算出し、目標を設定しています。
Scope1,2では、2030年度にカーボンニュートラルの達成を目指します。
Scope3については、2030年度に2019年度比30%削減(カテゴリー1、11が対象)、2050年度にカーボンニュートラルの達成を目指します。
これらの目標は、パリ協定が目指す気温上昇を産業革命前より1.5℃に抑えるGHG排出水準を踏まえたものであり、当社はSBT(Science Based Targets)にコミットしています。
さらに、GHG削減の加速に加え、エネルギー効率改善への世界的な要請の高まりや自社の経営効率改善への貢献の観点から、エネルギー使用量(売上原単位)削減の目標を設定しています。
2023年度のお客様事業のCO2排出抑制量は主に風力発電への貢献が伸長し、2018年度からの累計で4.3億トンとなりました。
GHG排出量(Scope1,2)は、エネルギー使用削減施策の実施や生産工場での大規模太陽光発電システムのPPA契約締結、再生可能エネルギー由来電力への転換の促進等により、2019年度比で41.7%削減しました。
また、サプライチェーンGHG排出量(Scope3)は、「購入した商品とサービス(カテゴリー1)」と「販売した製品の使用(カテゴリー11)」の合計で2019年度比3.8%の削減となりました。
排出量の削減に向けてサプライヤーとの協調活動を推進しており、一部サプライヤーから入手した排出量の実績(一次データ)を当社グループのカテゴリー1の算定に活用することで、排出量の増加を抑制しました。
また、ハードウェア製品の販売台数の減少に伴い、カテゴリー11が減少しました。
2030年度の目標達成に向けて、サプライヤーとの協働、既存製品の低消費電力化、GHG排出量の少ない製品やソリューションの開発を加速していきます。
エネルギー使用量(売上原単位)は、連結売上高の拡大とエネルギー使用量の抑制に伴い、2023年度比で14.3%の削減となりました。
※2030年度の目標は、購入した商品とサービス(カテゴリー1)、および販売した製品の使用(カテゴリー11)を対象にしています。
3.人的資本および多様性当社グループは、最上位に位置するGMS(Group Management Standards)における人財マネジメント規程において、多様性の確保についての考え方、人財の育成方針、社内環境整備方針を掲げています。
<人財マネジメントシステムの基本方針>以下の3項目からなる理念を通じ、多様な人財資源を育成・活用しながら、新たな価値創造を促し、豊かな企業風土および組織文化の醸成を行い、YOKOGAWAグループ全体の企業競争力を強化する。
(1)ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンYOKOGAWAグループは多様性を重視した、インクルーシブで公平性のある企業文化を創出する。
個々の人財が持つさまざまな違いをお互いに認め合い、それを「個性」として受け入れ、誰もが安心して安全に自分らしく働ける環境のもと、その能力を最大限に発揮し、ビジネスに貢献できるサステナブルな組織の構築を目指す。
多様な経験、知識、感性、視点、文化、背景、価値観などを持つ人財を積極的に採用、育成、登用していく。
グループに関わるすべての人々に対し、人種、皮膚の色、年齢、性別、性自認および表現、性的指向、宗教、信条、政治的見解、国籍、民族、出身地、障がいの有無、家族関係、その他の状況に基づくあらゆる差別を禁止する。
相互尊重に基づくコミュニケーションと建設的なコラボレーションが、お客様、パートナー、サプライヤーとのイノベーションと新たな価値の共創を促進し、未来世代の豊かな人間社会の実現に貢献していく。

(2)チャレンジ社員が持つ挑戦を志すマインドを最大限引き出すとともに、挑戦を後押しし、前向きな失敗を許容し、次に生かす風土を大切にする。
(3)エンゲージメント社員が自らの意思で成長し、働きがいを高めることで、組織の成長を促し、組織の成長が社員の成長と働きがいをさらに高めるという好循環を作ることで、エンゲージメントの高い組織を築く。
[ガバナンス]取締役会は人的資本に対する課題へ適切な対応がなされていることを監視・監督しています。
また、事業戦略や計画を議論する際に人的資本に関する戦略や計画についても考慮しています。
 なお、当社グループのコーポレート・ガバナンスの詳細については、第4 提出会社の状況 4.コーポレート・ガバナンスの状況等 に記載のとおりです。
[人財戦略]当社グループは、「測る力とつなぐ力で、地球の未来に責任を果たす。
」というYokogawa’s Purposeをもとに、新中期経営計画「Growth for Sustainability 2028 (GS2028)」を掲げ、社会共通価値の提供による成長(2030年度売上高1兆円規模のグループ企業像)を目指しています。
その目指す未来を創るには、全ての社員一人ひとりが変革に挑むマインドで「お客様起点の価値共創プロモーター」になることが必要です。
社内・社外を問わず、利害の異なるあらゆるステークホルダーの中において、専門性に根差した行動とコラボレーションを通して、アライメントを促進し、合意形成をリードできる人財です。
 2021年度から「グローバルHRトランスフォーメーションプロジェクト」をスタートし、人事制度・プロセスのグローバル統一化と、それらを効率的に運用するための人事ITシステムの導入を進めています。
基盤が整いつつある現在、活用に重点を置き、以下の人財戦略を実行していきます。
・事業戦略を起点にしたあるべき人財ポートフォリオを定義し、現在とのギャップを分析する。
そのギャップを埋めるべく、各事業戦略に必要な人財を育成・機敏に獲得し、人財リソースのグローバル最適化を行うことで、事業戦略の実現に貢献する。
・価値共創のためにDE&Iな組織風土の醸成と、グローバルの組織間アライメントで組織連携を強化し、Yokogawaグローバルワンチームで企業価値の向上へとつなげていく。
・社員が自律的なキャリア形成のマインドを持ち、自ら学び、主体的に挑戦し、価値を共創していくための変革を推進する。
 ビジネスオーナー主導の施策だけでなく、会社が求める職務に挑戦する自律的な社員の充足が不可欠です。
そのため、会社の方向性と社員個人のキャリアをつなぐピープルマネージャーの育成を進め、スキル習得のための学習環境を整えます。
社員へのキャリア機会の提供と成長の支援を通じて、会社の成長と社員のウェルビーイングの向上を図ります。
 また、当社グループが持続的な価値を提供し社会課題の解決をリードしていくためには、社員の健康を経営的視点で捉え、戦略的に実践する「健康経営※」の推進が必要不可欠です。
社員の自律的な健康づくりを支援し、心身の健康増進、やりがい、幸福感を向上させることで、グループ全体でのエンゲージメントや生産性の向上につなげることを目的としています。
2016年9月に、社員の健康に関する各種の取り組みを健康経営の観点からさらに加速していくため、健康経営の基本方針として、以下の「健康宣言」を制定しました。
健康宣言「YOKOGAWAは、心身の健康の維持・増進に自ら努める社員を支援し、いきいきと活力のある職場を作り、より豊かな人間社会の実現に貢献できる会社を目指します。
」健康経営推進体制代表執行役社長が最高責任者となり、総括安全衛生管理者である労働安全衛生担当役員を中心とした経営陣の牽引の下、安全衛生委員会を核に人財総務本部の診療センター、総務部が担当部署として産業医や横河電機健康保険組合、労働組合と連携するなかで健康経営を推進しています。
健康施策これまでに、社員の健康維持・増進に関する施策として、場所や時間にとらわれない働き方や働きやすいオフィス環境の整備、労働時間管理、健康増進プログラムなどに取り組んできています。
運動・食事・睡眠・物事のとらえ方・コミュニケーションなどを含めた良い生活習慣が心身の疾病予防・改善のみならず、ストレスの軽減や仕事のパフォーマンス向上に最も重要との考え方から、「生活習慣の改善」に重点を置いた健康増進プログラムを設定し、全社員対象に実施しています。
このプログラムは個人の健康行動だけでなく、職場の行動の促進も意図しており、会社や職場の健康上の課題や、生産性への影響などを示す社員の健康関連データを公開し、職場が健康へ取組む意義を説明し健康行動を促しています。
これらの取り組みにより横河電機は2016年度から経済産業省の「健康経営優良法人」を継続して取得しており、また2016~2018、2020、2022~2024年度には「健康経営優良法人(ホワイト500)」にも認定されています。
※「健康経営」はNPO法人健康経営研究会の登録商標です。
[リスク管理]当社グループがグローバルに展開する事業活動において、多様な人財が集い、一人ひとりが持てる能力と個性を最大限発揮できるようにすることが非常に重要です。
人財の流動性が高まるなか、採用競争力が低下することで新卒採用や中間採用における人財獲得が計画・目標どおりに進まなくなること、社員の離職により組織の総合力が低下することが最大のリスクです。
社員に成長の機会を提供し、活躍しやすい環境を整備することでリスク低減に努めています。
なお、これらのリスク管理体制についてはグループ全体のリスク管理体制に組み込まれています。
詳細については、第2 事業の状況 3 事業等のリスク に記載のとおりです。
[指標と目標] 新中期経営計画「Growth for Sustainability 2028 (GS2028)」において、人的資本および多様性に関連する指標として「変革に向けた人財育成と能力開発」「社員のWell-beingとエンゲージメント」「ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンの推進」とし、指標と目標は以下のとおり設定して取り組んでいます。
※1 現状とあるべき人財とのギャップに対して、充足した割合 ※2 横河電機単体の実績 ※3 横河グループの目標 ※4 前年度(FY23)実績
戦略 [戦略]当社グループは、2050年に向けて目指す社会の姿をサステナビリティ目標「Three Goals」として定めています。
また、「Three Goals」の実現に向け、マテリアリティ分析等に基づき、2030年に向けた6つの貢献分野を設定しています。
GS2028では、6つの貢献分野およびサステナビリティ・トランジション(後述)に紐づく事業の注力領域について、向き合う社会課題と事業機会、YOKOGAWAのアプローチ、お客様への貢献、並びに社会・環境および事業成長へのインパクトを 「貢献と成長のストーリー」としてまとめています。
・マテリアリティ分析当社グループは、エネルギー&サステナビリティ、マテリアル、ライフなどの事業分野において、お客様の課題を解決することで、社会・環境へ大きくプラスのインパクトを与えています。
社会・環境への貢献を拡大することは、YOKOGAWAの企業価値向上と密接に関連しており、「社会・環境への影響」および「自社の価値創造や事業モデルへの影響」の両面における重要性をマテリアリティと定義しています。
2021年に策定したAG2023においては、各事業の関係者に対するサーベイに基づき、重要性が高くかつ自社が解決すべき課題(重点課題)と貢献のテーマ(貢献分野)を選定しました。
GS2028では、欧州サステナビリティ報告基準を参照してダブルマテリアリティ分析を行い、分析結果を踏まえてサステナビリティ指標を設定しています。
指標及び目標 [指標と目標]当社グループは、6つの貢献分野に対して、社会への貢献の度合いを測る長期的な指標(社会インパクト指標)を定めています。
これらの指標のPDCAを通じて貢献と成長を加速させていきます。
・社会インパクト指標※2030年度の目標は、購入した商品とサービス(カテゴリー1)、および販売した製品の使用(カテゴリー11)を対象にしています。
・サステナビリティ・トランジション売上 GS2028では、サステナビリティに貢献しながら成長していく領域のグループ全体の売上を、サステナビリティ・トランジション売上として算出しています。
事業セグメントごとにサステナビリティ・トランジションに貢献する複数の注力領域を設定し、活動を開始しています。
事業全体を飛躍的に成長させる中で、2028年度にはサステナビリティ・トランジション売上の割合を現状の40%から50%にまで拡大させます。
人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略 [人財戦略]当社グループは、「測る力とつなぐ力で、地球の未来に責任を果たす。
」というYokogawa’s Purposeをもとに、新中期経営計画「Growth for Sustainability 2028 (GS2028)」を掲げ、社会共通価値の提供による成長(2030年度売上高1兆円規模のグループ企業像)を目指しています。
その目指す未来を創るには、全ての社員一人ひとりが変革に挑むマインドで「お客様起点の価値共創プロモーター」になることが必要です。
社内・社外を問わず、利害の異なるあらゆるステークホルダーの中において、専門性に根差した行動とコラボレーションを通して、アライメントを促進し、合意形成をリードできる人財です。
 2021年度から「グローバルHRトランスフォーメーションプロジェクト」をスタートし、人事制度・プロセスのグローバル統一化と、それらを効率的に運用するための人事ITシステムの導入を進めています。
基盤が整いつつある現在、活用に重点を置き、以下の人財戦略を実行していきます。
・事業戦略を起点にしたあるべき人財ポートフォリオを定義し、現在とのギャップを分析する。
そのギャップを埋めるべく、各事業戦略に必要な人財を育成・機敏に獲得し、人財リソースのグローバル最適化を行うことで、事業戦略の実現に貢献する。
・価値共創のためにDE&Iな組織風土の醸成と、グローバルの組織間アライメントで組織連携を強化し、Yokogawaグローバルワンチームで企業価値の向上へとつなげていく。
・社員が自律的なキャリア形成のマインドを持ち、自ら学び、主体的に挑戦し、価値を共創していくための変革を推進する。
 ビジネスオーナー主導の施策だけでなく、会社が求める職務に挑戦する自律的な社員の充足が不可欠です。
そのため、会社の方向性と社員個人のキャリアをつなぐピープルマネージャーの育成を進め、スキル習得のための学習環境を整えます。
社員へのキャリア機会の提供と成長の支援を通じて、会社の成長と社員のウェルビーイングの向上を図ります。
 また、当社グループが持続的な価値を提供し社会課題の解決をリードしていくためには、社員の健康を経営的視点で捉え、戦略的に実践する「健康経営※」の推進が必要不可欠です。
社員の自律的な健康づくりを支援し、心身の健康増進、やりがい、幸福感を向上させることで、グループ全体でのエンゲージメントや生産性の向上につなげることを目的としています。
2016年9月に、社員の健康に関する各種の取り組みを健康経営の観点からさらに加速していくため、健康経営の基本方針として、以下の「健康宣言」を制定しました。
健康宣言「YOKOGAWAは、心身の健康の維持・増進に自ら努める社員を支援し、いきいきと活力のある職場を作り、より豊かな人間社会の実現に貢献できる会社を目指します。
」健康経営推進体制代表執行役社長が最高責任者となり、総括安全衛生管理者である労働安全衛生担当役員を中心とした経営陣の牽引の下、安全衛生委員会を核に人財総務本部の診療センター、総務部が担当部署として産業医や横河電機健康保険組合、労働組合と連携するなかで健康経営を推進しています。
健康施策これまでに、社員の健康維持・増進に関する施策として、場所や時間にとらわれない働き方や働きやすいオフィス環境の整備、労働時間管理、健康増進プログラムなどに取り組んできています。
運動・食事・睡眠・物事のとらえ方・コミュニケーションなどを含めた良い生活習慣が心身の疾病予防・改善のみならず、ストレスの軽減や仕事のパフォーマンス向上に最も重要との考え方から、「生活習慣の改善」に重点を置いた健康増進プログラムを設定し、全社員対象に実施しています。
このプログラムは個人の健康行動だけでなく、職場の行動の促進も意図しており、会社や職場の健康上の課題や、生産性への影響などを示す社員の健康関連データを公開し、職場が健康へ取組む意義を説明し健康行動を促しています。
これらの取り組みにより横河電機は2016年度から経済産業省の「健康経営優良法人」を継続して取得しており、また2016~2018、2020、2022~2024年度には「健康経営優良法人(ホワイト500)」にも認定されています。
※「健康経営」はNPO法人健康経営研究会の登録商標です。
人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績、指標及び目標 [指標と目標] 新中期経営計画「Growth for Sustainability 2028 (GS2028)」において、人的資本および多様性に関連する指標として「変革に向けた人財育成と能力開発」「社員のWell-beingとエンゲージメント」「ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンの推進」とし、指標と目標は以下のとおり設定して取り組んでいます。
※1 現状とあるべき人財とのギャップに対して、充足した割合 ※2 横河電機単体の実績 ※3 横河グループの目標 ※4 前年度(FY23)実績
事業等のリスク 3【事業等のリスク】
 当社グループではリスクマネジメントの国際規格であるISO31000に沿った全社的リスク管理(ERM:Enterprise Risk Management)体制を構築しています。
業務執行におけるリスクとその管理を俯瞰的に審議する機関としてリスク管理委員会を設置し、年3回開催しています。
リスク管理委員会は代表執行役社長の諮問機関で、委員長を代表執行役社長が務め、全執行役により構成されています。
当社グループに重大な影響を与えるリスクの特定、リスク対策計画、リスク対策のレビュー等の審議を行い、リスク管理に関わる経営判断や意思決定を支えています。
 リスク管理委員会の審議・決定内容は、取締役会に報告され確認されます。
取締役会から、業務執行において注視すべきリスクや固有リスクに係わる対策等の助言をうけ、リスク対策の整備やリスク管理活動の改善等に活かされています。
 リスク管理の客観的な評価は、内部監査担当部署が実施しています。
内部監査担当部署は、体制やプロセスの有効性を評価し、重要な事項は監査委員会および取締役会に年1回報告されています。
 リスク管理の実施主体である関係会社等は自律的なリスク管理に努めています。
これらの実施主体に対して、重大な影響を与えうるリスクを中心に、本社/事業部門およびリスク管理の主管部門(ERM主管部門、リスク管理委員会事務局)が、様々な活動の推進・支援を行っています。
 なお、リスクが顕在化し経営に重大な影響をあたえる危機が生じた際は、代表執行役社長を委員長とする危機管理委員会にて初動対応および事業継続対応を行います。
 当社グループでは、毎年、事業を取り巻くリスクのアセスメント(リスクの洗い出し、分析・評価)を、グローバルベースで実施しています。
アセスメントの対象となるリスクは、当社グループの企業価値に影響をあたえる不確実性と定義しています。
リスクをマイナス面の影響に留まらず、プラス面の機会を含めた定義としています。
また、リスクを事業機会(経営上の戦略的意思決定に係る不確実性)とコンプライアンス・危機事象(適正かつ効率的な業務遂行に係る不確実性)で分類しています。
事業機会を外部環境と戦略に、コンプライアンス・危機事象をオペレーションと危機事象に細分化して57個の主要リスクに分類し網羅性確保に努めています。
 本社/事業部門、関係会社等は、これらの主要リスクをもとにリスクの洗い出しを行います。
洗い出されたリスクは、影響度と発生可能性の視点で分析しています。
影響度の分析では、財務的・人的側面のほか、社会・環境面といった外部のステークホルダーへの影響も考慮しています。
 次に、下図のリスクマップに分析結果をプロットします。
リスクの許容度をAAA~Dの6段階で評価のうえ、AAA~Aに評価されたリスクを許容できないリスクに特定します。
さらに、これらのリスクを対象に経営戦略や経営課題、外部環境の変化、リスク対策の充足度などを踏まえて、経営が重点的に管理すべきリスク(重点管理リスク)の候補を選定しています。
 重点管理リスクは、リスク管理委員会で決定し、年2回取締役会に報告されています。
また、重点管理リスクの主管部門(リスクオーナー)を定め、計画にもとづく対策の推進が図られています。
対策の進捗状況等のモニタリングについては、重点管理リスクの分類に応じた方法を定め四半期ごとに確認を行っています。
リスク管理委員会はモニタリングを踏まえてリスクの変化や対策のレビューを行い、その結果を取締役会に報告しています。
さらに、取締役会からの助言、リスク管理委員会での議論、代表執行役社長からの指示を翌年の重点対策リスクの選定に活かすとともに、リスク管理プロセスや対策の見直しを行い、より効果的なリスク管理の実現にむけてPDCAのマネジメントサイクルを機能させています。
 当社グループを取り巻くリスクのうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる事項を以下に記載しています。
当社グループは、リスク管理体制およびリスク管理プロセスを整備しリスクの軽減や回避に努めていますが、顕在化したリスクが当社グループの業績、財政状況に影響を与える可能性があります。
 以下に記載する事項は、当連結会計年度末現在時点において当社グループが判断したものであり実際の結果と異なる可能性があります。
(1) 外部環境に関するリスク(社会情勢等に係るもの) 当社グループの活動範囲は日本国内のみならず世界各地に及んでいます。
各々の地域における政治、経済、社会等の外部環境変化が顕在化した場合、お客様ニーズ、様々なコスト、駐在員や出張者の安全、サプライチェーン等に影響を与える可能性があります。
具体的には、以下に掲げるいくつかのリスクが内在しています。
  ・規制、税制、産業政策、通商政策等の政策的側面  ・景気、インフレ、失業率等の経済的側面  ・犯罪、誘拐、テロリズム、暴動、ストライキ等の社会的側面  ・戦争、地域紛争、主要国間対立、経済制裁措置等の地政学的側面  これらリスクへの対策として、本社/事業部門、関係会社等における日々の情報収集とともに外部専門機関を活用した情報収集を実施しています。
また、外部環境変化に伴うお客様ニーズの変化をタイムリーに把握し、迅速かつ的確なお客様サポートができるようソリューションを充実させています。
(金融市場の変動に係るもの) 当社グループは、グローバルに事業を展開しており、事業活動において多数の通貨を使用しています。
為替市場の急激又は大幅な変動により、製品の競争力の低下、調達コストの上昇等の影響が考えられます。
為替レートの変動に対応するため、為替予約契約の締結等を行っています。
 当社グループが保有する資産および負債にかかる金利の変動は、利息の増減や資産等の価値に影響を与える可能性があります。
また、保有株式等の価格が下落した場合、評価損の計上による業績への影響、資本効率の低下に伴う財政状況への影響が考えられます。
政策保有株式については、すべての政策保有株式を対象に、毎年取締役会において、中長期的な観点からその保有目的、経済合理性等について妥当性を判断しています。
必要最低限の保有という考え方に立ち、縮減を図っています。

(2) 戦略に関するリスク(市場・競合環境に係るもの) ① コスト競争力 積極的な事業展開を進める中で、新設や近代化などプロジェクト案件での競争は激化しており、コスト低減要求が益々強まると同時に、資源国・新興国において自国優先的な姿勢が強まり、製品生産や雇用および役務を含む調達の現地化要求が高まっています。
コスト競争力強化に取り組んでいますが、これら市場の要求する製品やサービスおよび販管費を含めたコスト低減要求に効果的に対応できない場合は、ビジネス機会を逸するリスクがあります。
 ② デジタル技術の利活用による競争優位性の確立 デジタル技術を活用したバリューチェーンおよびライフサイクル全般にわたるビジネスプロセスでの飛躍的な生産性向上の実現に対する要求が高まっています。
これにビジネスとして応え、競争優位性を確立していく必要があります。
当社グループはこれを事業成長の機会と捉え、自社はもちろんのことお客様を中心に幅広い領域でのデジタルトランスフォーメーションによる新たな価値創造の実現に取り組んでいます。
新技術に追随できない場合や、これら市場の要求に十分に対応できない場合は、ビジネス機会を失うリスクがあります。
 ③ 市場ニーズに合わせたビジネスモデル変革の実現 社会の変化、技術革新などにより、新たなビジネスモデルが数多く創造されている中で、当社グループのお客様においても、サブスクリプション型ビジネスなど、初期導入コストの低減や導入後の運用・保守の柔軟性に対する要求が大きくなっています。
当社グループとしても成果報酬型ビジネスやサービス提供型のリカーリングビジネスの実現に取組むなどビジネスモデル変革を進めています。
今後も多様な変化を見せる新たな市場ニーズに十分に応えられない場合や、当社グループの取り組みに遅れが出た場合は、ビジネス機会の逸失につながるリスクがあります。
 ④ 気候変動への取り組みによる市場環境の変化 気候変動の取り組みに対する社会の要求が高まり、当社グループのお客様の戦略に影響を与えています。
主要なお客様であるエネルギー関連企業では、長期的視点でのエネルギーシフト等環境変化に対する取り組みの検討を進めていると認識しています。
当社グループは、このような変化を事業機会と捉え、市場環境の変化への対応を進めていますが、そのようなお客様の変化に対応できない場合や、当社グループの取り組みに遅れが生じた場合は、ビジネス機会を逃すリスクがあります。
(戦略投資に係るもの) 当社グループは、主に新事業・新分野への進出のための戦略的成長投資を重点的に強化しています。
技術、販路、製品・サービス、お客様、人財・ノウハウなどを獲得するためのM&Aやアライアンスを行っていますが、予期せぬ環境変化や取得した資産や機会を十分に活用できずビジネスが迅速に立ち上がらない可能性があります。
また、被買収企業との経営、業務、意識等の統合に失敗した場合に、想定した成果をあげられないリスクがあります。
 このリスクへの対策として、被買収企業の発掘から投資後の取り組みを効果的に行うためのガイドラインを策定し関係者に周知しています。
案件の発掘から投資に至るプロセスの確実な実行と評価・検証精度の向上、投資後の迅速なビジネス立上げに向けて、プロジェクト推進体制の強化を図っています。
また、それを支える専門人財の確保・育成・活用にも取り組んでいます。
(研究開発に係るもの) 当社グループは、計測・制御・情報の基礎研究、先端技術およびIIoTやAI等のデジタル技術開発をもっとも重要な経営課題として位置づけ、将来を見据えた新技術開発を継続的に推進しています。
また国際規格や国際標準の変化に適応し、SDGsに代表される持続可能な社会の実現に向けた取り組みを強化しています。
しかし、研究・開発投資が将来市場のニーズや目標に予定通り適合せずビジネス機会を確保できないリスクがあります。
 また、競争力を維持するための製品技術やサービス革新の研究開発投資も継続的に行っていますが、成長可能性を持った製品やサービス分野の市場動向の把握ができなかった場合、研究開発投資が成功しないリスクがあります。
加えて、市場に合致しても研究開発投資が革新的な技術を生み出さない、又は想定した成果をあげられないリスク、および競合他社に技術開発を先行されてしまうリスクがあります。
(人財の確保・育成に係るもの) 当社グループの成長の源泉は、最先端の技術を支える人財や、高い品質を支える技能者等の有能な人財によって支えられています。
特に、ソリューション提案能力を持つ人財、プロジェクトマネジメント能力とエンジニアリング能力を持つ人財、また、AI、デジタル技術、当社が進めている新規事業に関する技術と知見を有する人財の重要性が高まっていますが、将来において必要人財の確保や育成が計画通り達成できないリスクがあります。
このような場合は、当社グループの効果的な事業運営や戦略の遂行に影響を及ぼします。
 このようなリスクへの対策として、社員に成長の機会を提供し、活躍しやすい環境を整備することでリスク低減に努めています。
また、人事制度・プロセスのグローバル統一化と、それらを効率的に運用するための人事ITシステムの活用を進めています。
事業戦略に沿った人財ポートフォリオを定義し、各事業戦略に必要な人財の育成と獲得により人財リソースのグローバルな最適化を図っています。
(人権に係るもの) 当社グループにおいて、ハラスメント、差別、劣悪な労働環境等の人権問題が発生した場合、被害者の心身の不調、訴訟の提起、取引の停止、企業イメージの低下等の影響が考えられます。
 当社グループでは「YOKOGAWAグループ人権方針」を定めています。
国連グローバル・コンパクトへの支持を表明しており、ここで謳われている人権の方針と国際的な人権規範を尊重しながら取り組みを進めています。
サプライチェーンにおける人権への取り組みについても、強制労働・非人道的な扱い・児童労働・差別の禁止、適切な賃金、労働時間の法令順守や従業員の団結権についての指針を示しています。
事業活動、サプライチェーン等で人権に負の影響を与える可能性を特定、防止、軽減し、どのように対処するかについて説明責任を果たすための人権デューデリジェンスを進めています。
また、人権侵害を未然に防ぐ手段として、当社グループで働く人全てを対象とする「相談・通報窓口」を設け、人権に関わる通報に対して解決を図る体制を構築しています。
(保有資産の価値低下に係るもの) 当社グループが保有している事業資産について、時価下落および収益性低下等に伴い資産価値が低下するリスクがあります。
このような場合は、減損損失が発生するなど、当社グループの業績、財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
(3) オペレーションに関するリスク(コンプライアンスに係わるもの) 当社グループは、様々な法令および社会規範を遵守した事業活動を行う必要がありますが、法令違反や社会を騒がせるような不正行為が発覚した場合、行政罰、訴訟、企業イメージの低下をまねく可能性があります。
 当社グループでは、コンプライアンスの基本原則を「YOKOGAWAグループ行動規範」として定めています。
また、日常業務のなかで遭遇する問題について遵守すべき事項は、「YOKOGAWAグループコンプライアンスガイドライン」および「贈収賄防止規程」に定めています。
また、コンプライアンスに係わる内部通報・相談窓口が設置・運用されています。
社員への教育を推進するとともに、代表執行役社長がコンプライアンスファーストを宣言してコンプライアンス経営を強力に推進しています。
(製品の品質に係るもの) 当社グループは、長年にわたる技術およびノウハウの蓄積と厳格な品質管理体制の展開により、お客様に対して高い信頼性を備えた製品およびサービスを提供していますが、当社グループの製品あるいはサービスに欠陥が内在する、また、その欠陥に起因してお客様に損害を与えるリスクがあります。
このような場合には、当社グループの事業活動全般に影響が広がり、企業イメージの低下とともに重要なお客様との取引を失う可能性があります。
 当社グループでは、「品質第一」を基本精神とし顧客満足を最優先に考えた取り組みを行っています。
国際規格に準拠した品質マネジメントシステムを運用し、開発・設計から製造・販売・サービスに至るまでの全プロセスで品質管理を徹底しています。
また、社員が「品質第一」の心をもち、グループ共通のルールや考え方のもとで継続的な品質改善を目指した取り組みを行っています。
(調達および供給に係るもの) 大規模な自然災害、戦争や地域紛争、鉱物資源の調達不能、重要なサプライヤーの事業中断等に起因するサプライチェーンの混乱により、電子部品等の調達や重要製品の製造が困難な状況となった場合、製品の供給に遅延や停止が発生するリスクがあり、お客様との契約違反や取引の停止に陥る可能性があります。
 部品等の調達に係わるリスクに対しては、主要な電子部品等の市況動向を日頃から情報収集して安定調達に努めるとともに、調達先の品質・納期等の管理を徹底し、特定の調達先への過度の集中・依存をさけるべく調達先の分散化等を進めています。
(プロジェクトマネジメントに係るもの) 当社グループの事業において、特に製品・エンジニアリング・ソリューション・サービス・他社製品を一括してお客様に提供する形態であるプロジェクト型のビジネスでは、プロジェクトマネジメントの確実な実行が求められます。
受注に至る過程での採算見積りや納期までの採算管理の精度の向上、生産・品質管理の徹底など、不採算案件の発生を防止する取り組みを行っていますが、想定した見積りからの乖離や、採算・生産・品質等の管理において問題が発生した場合、サプライチェーンの混乱により製品の調達や供給が困難となった場合、予期せぬ原価の発生や納期遅延等に伴う賠償責任を課されるリスクがあります。
(知的財産権に係るもの) 当社グループは、自社製品及びサービスの開発の中で知的財産権の保護と他社の権利の侵害防止に万全な管理体制を展開していますが、当社グループの知的財産権が第三者から侵害を受け期待した収益が得られないリスクがあります。
また、見解の相違等により他社の知的財産権を侵害しているとされた場合は、重要な技術が使用できない不利益に加え賠償責任を課されるリスクがあります。
 当社グループでは、知的財産ポートフォリオに基づいた管理を行っています。
発明の創出・権利化、M&A・出資における知的財産デューデリジェンス等、効果的かつ効率的なリスク評価と知的財産の獲得を進めています。
ポートフォリオに基づく知的財産活動の強化のために、知的財産管理システムを導入し国内外の外部リソース(特許事務所等)との連携を図っています。
また、社員の特許リスク感度の強化を促し他者特許侵害の未然防止を目的とした教育を実施しています。
(情報セキュリティに係るもの) 当社グループは、事業活動を通して、お客様や取引先の個人情報および機密情報を入手することがあります。
当社グループへのサイバー攻撃、社員の不正行為等によりこれらの情報が流出する、また、それが悪用されるリスクがあります。
そのようなリスクの影響として、賠償責任の負担、取引の停止、企業イメージの悪化等が考えられます。
 当社グループは、情報セキュリティ推進体制を確立し、情報セキュリティ対策に取り組んでいます。
ISO27001の考え方をベースに情報セキュリティ活動を展開し、施策・運用の実施状況を評価して必要な改善を行っています。
また、情報セキュリティ担当役員を委員長とし製品を含めた各分野のサイバーセキュリティ担当者で構成される情報セキュリティ委員会を設置しています。
グループ内での情報共有や最新動向の把握に努めサイバー攻撃への対応力を高めています。
(自然災害に係わるもの) 気候変動により勢力を強めた風水災、大規模地震、大規模な噴火等の自然災害が発生し、当社グループの物的・人的リソースに甚大な被害が生じた場合の事業中断リスクが考えられます。
当社グループの重要な機能・業務が停止し復旧が遅れた場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
 当社では、経営に重大な影響をあたえる危機が発生した場合、代表執行役社長を委員長とする危機管理委員会にて対応を行います。
自然災害発災直後の初動対応をガイドラインとして整備し、社員や組織に求められる行動を明確にしています。
また、事業継続計画(BCP)の整備を進めており、重要な業務・機能の復旧策や代替策の策定を推進しています。
策定したBCPの有効性・実効性を高めるためのBCP訓練を定期的に実施して課題を抽出し、BCPの継続的改善を図っています。
(自然や生物多様性に係わるもの) 当社グループの事業活動は、自然からの恵みに依存するとともに自然に少なからず負荷を与えます。
当社グループのバリューチェーン全体においては、調達プロセスにおける資源採掘による土地改変、使用プロセスにおける温室効果ガス排出に伴う温暖化や干ばつ等の気候変動、廃棄プロセスにおける水質汚染等により自然や生態系にインパクトを与える可能性があります。
 当社グループは、グループ環境方針で生物多様性の課題に取り組むことを定め、自治体やNPO等と連携して保全活動を行っています。
また、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)提言に賛同し、TNFD提言に基づく情報開示を行う意向を表明しました。
TNFDが開発したアプローチに沿って自社操業における依存と影響ならびにリスクと機会について分析を行い、自然に対する悪影響やリスクを軽減するための対策を検討しています。
事業等のリスクやサステナビリティ全般に関するリスク管理に関連するもののうち、特に重要な「気候変動への取り組み」、「TCFDへの賛同」、「人権尊重」についての考え方や取り組みは、サステナビリティレポート及びYOKOGAWAレポートにその詳細を掲載しています。
サステナビリティレポート: https://www.yokogawa.co.jp/about/yokogawa/sustainability/report/YOKOGAWAレポート    : https://www.yokogawa.co.jp/about/ir/shiryo/annual-ja/
経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
[1]業績等の概要(1) 業績 世界は脱炭素社会の実現に向けたエネルギートランジション等、社会課題解決に向けたニーズの高まりや、デジタル技術の革新などにより劇的に変化しており、当社を取り巻く事業環境も大きく変わっています。
 このような事業環境の中で、当社グループは、当連結会計年度(2025年3月期)が初年度となる中期経営計画“Growth for Sustainability 2028 (GS2028)”に基づき、事業を通じて社会や環境に貢献しながら持続的な企業価値向上を図る、CSV(Creating Shared Value)経営の実現に向け、取り組んでいます。
 この結果、当連結会計年度における当社グループの業績及びセグメント別の業績は以下のとおりとなりました。
 なお、業績に関する分析については、『[3] 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 (1) 当連結会計年度の財務状況及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容』に記載のとおりです。
<連結>売上高 5,624億04百万円 (前期比 4.1% 222億52百万円増)営業利益 835億23百万円 (前期比 6.0% 47億22百万円増)経常利益 853億51百万円 (前期比 1.5% 12億53百万円増)親会社株主に帰属する当期純利益 521億23百万円 (前期比 △15.5% △95億62百万円減) <制御事業>売上高 5,283億02百万円 (前期比 4.9% 244億53百万円増)営業利益 775億82百万円 (前期比 8.3% 59億15百万円増) <測定器事業>売上高 299億46百万円 (前期比 △5.9% △18億70百万円減)営業利益 62億23百万円 (前期比 △23.5% △19億15百万円減) <新事業他>売上高 41億55百万円 (前期比 △7.4% △3億30百万円減)営業利益 △2億82百万円 (前期比 - 7億22百万円損失減)
(2) キャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益、減価償却費の計上等により、990億25百万円の収入(前期比 351億92百万円の収入増)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産、無形固定資産、連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得等により、286億39百万円の支出(前期は26億53百万円の収入)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払や自己株式の取得等により、262億37百万円の支出(前期比 312億58百万円の支出減)となりました。
 以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は前連結会計年度末に比べ448億28百万円増加し、1,792億57百万円となりました。
なお、当連結会計年度においては、大型案件受注に係る前受金の受領等による運転資本効率の高まりが、営業活動によるキャッシュ・フローの収入増に寄与しています。
[2]生産、受注及び販売の状況(1) 生産実績 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称金額 (百万円)前期比(%)制御事業528,291104.9 測定器事業29,94694.1 新事業他3,13890.3 合計561,376104.1  (注)金額は販売価格によっています。

(2) 受注状況 当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称受注高(百万円)前期比(%)受注残高(百万円)前期比(%)制御事業564,268110.1 423,579107.6 測定器事業30,299116.9 4,393105.6 新事業他4,023111.8 18986.5 合計598,591110.4 428,163107.5 (3) 販売実績 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称金額  (百万円)前期比(%)制御事業528,302104.9 測定器事業29,94694.1 新事業他4,15592.6 合計562,404104.1  (注)総販売実績に対する販売割合が10%以上の相手先はありません。
[3]経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
 なお、本項の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 当連結会計年度の財務状況及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 ①当社グループの当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 なお、当項目内において「FY22」「FY23」「FY24」は、それぞれ「2022年度(2023年3月期)」「2023年度(2024年3月期)」「2024年度(2025年3月期)」の略称です。
<連結> 当連結会計年度における当社グループの業績は、受注高、売上高、営業利益ともに前期比で増加しました。
 売上のベースとなる受注高については、堅調なエネルギー需要を背景に、特に中東・アフリカ地域のお客様の投資が活発であったことや為替の変動影響などにより、前期比で566億30百万円増(+10.4%)の5,985億91百万円となり、為替の変動影響を除くと前期比で約435億円増(+8.0%)となりました。
売上高は、為替の変動影響や前期までに受注した大型案件の売上寄与等に伴い、前期比で222億52百万円増(+4.1%)の5,624億4百万円となり、為替の変動影響を除くと前期比で約103億円増(+1.9%)となりました。
営業利益は、先行投資費用や人件費などの販管費増が押下げ要因となったものの、為替の変動影響や売上高の増加に伴う粗利増などにより、前期比で47億22百万円増(+6.0%)の835億23百万円となりましたが、為替の変動影響を除くと前期比で約17億円減(△2.2%)となりました。
また、経常利益は前期比で12億53百万円増(+1.5%)の853億51百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は、主に前期に投資有価証券売却益を特別利益に計上した反動などにより、前期比で95億62百万円減(△15.5%)の521億23百万円となりました。
*SME(Subject Matter Expert)・コンサルタント等の人的投資含む  また、セグメント別の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容については、次のとおりです。
<制御事業> 制御事業の受注高は、堅調なエネルギー需要を背景に、特に中東・アフリカ地域のお客様の投資が活発であったことや為替の変動影響などにより、前期比で518億32百万円増の5,642億68百万円(為替の変動影響を除いて約397億円増)となり、売上高は、主に為替の変動影響や前期までに受注した大型案件の売上寄与等に伴い、前期比で244億53百万円増の5,283億2百万円(為替の変動影響を除いて約134億円増)となりました。
営業利益は、前期比で59億15百万円増の775億82百万円(為替の変動影響を除いて約3億円増)となりました。
 制御事業の地域別の受注高は、特に、中東・アフリカ、欧州・CISが前期と比べ好調に推移しましたが、中国は厳しい状況が継続しました。
 制御事業の業種別の受注高・売上高は、エネルギー&サステナビリティ、マテリアル、ライフのサブセグメントで示しています。
 エネルギー&サステナビリティ事業については、受注高は前期比で505億34百万円増(+18.9%)、為替の変動影響を除いて約16.2%増となりました。
主にアップストリーム、ダウンストリームが伸長しました。
売上高は、前期比で220億98百万円増(+8.6%)、為替の変動影響を除いて約6.2%増となりました。
 マテリアル事業については、受注高は前期比で2億15百万円増(+0.1%)、為替の変動影響を除いて約2.0%減となりました。
売上高は前期比で30億56百万円減(△1.5%)、為替の変動影響を除いて約3.5%減となりました。
 ライフ事業については、受注高は前期比で10億83百万円増(+2.4%)、為替の変動影響を除いて約0.8%増となりました。
売上高は前期比で54億11百万円増(+13.0%)、為替の変動影響を除いて約11.2%増となりました。
<測定器事業> 測定器事業については、受注高は前期比で43億74百万円増(+16.9%)の302億99百万円、為替の変動影響を除いて約13.6%増となりました。
主に中国を中心にデータセンターや脱炭素領域の蓄電関連の大型案件が寄与しました。
売上高は、前年の受注残消化による一時的な伸長の反動により、前期比で18億70百万円減(△5.9%)の299億46百万円、為替の変動影響を除いて約8.5%減となりました。
営業利益は前期比で19億15百万円減(△23.5%)の62億23百万円、為替の変動影響を除いて約33.6%減となりました。
<新事業他> 新事業他については、受注高は前期比で4億24百万円増(+11.8%)の40億23百万円となり、売上高は、前期比で3億30百万円減(△7.4%)の41億55百万円、営業損失は前期比で7億22百万円損失が減少し2億82百万円の損失となりました。
 セグメント別(制御事業・測定器事業・新事業他)の受注高・売上高・営業利益(前期比)は以下のとおりです。
 ②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報 <当社グループの資本の財源及び資金の流動性> a. 資金調達、流動性管理  当社グループは、成長性戦略投資の実行と安定的な事業運営を行うため、資本効率を高めつつ、事業運営に必要な流動性と多様な調達手段を確保することとしています。
事業を行う上で必要となる運転資金や成長のための戦略投資資金を、営業キャッシュ・フローを主とした内部資金だけでなく、金融機関からの借入などの外部資金を有効に活用しています。
資金調達にあたっては、安全性、資金効率化及び調達コストの抑制を図ることを基本方針としながら複数の金融機関とコミットメントライン契約を締結しており、十分な流動性を確保していると考えています。
 b. 資産、負債、純資産  当連結会計年度末の総資産は、受取手形、売掛金及び建物及び構築物が減少した一方で、現金及び預金が増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ454億18百万円増加し7,182億85百万円となりました。
また、負債合計は、電子記録債務や賞与引当金が減少した一方で、契約負債が増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ144億61百万円増加し2,425億64百万円となりました。
純資産は、為替換算調整勘定の減少や自己株式の取得により減少した一方で、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により、前連結会計年度末に比べ309億58百万円増加し4,757億21百万円となりました。
この結果、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ0.2ポイント増加し、65.1%となりました。
※本資料では企業連結に係る暫定的な会計処理の確定に伴う過年度遡及修正を反映していません。
<キャッシュ・フロー>  当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益、減価償却費の計上等により、990億25百万円の収入(前期比 351億92百万円の収入増)となりました。
  当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産、無形固定資産、連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得等により、286億39百万円の支出(前年同期は26億53百万円の収入)となりました。
  当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払や自己株式の取得等により、262億37百万円の支出(前期比 312億58百万円の支出減)となりました。
  以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は前連結会計年度末に比べ448億28百万円増加し、1,792億57百万円となりました。
なお、当連結会計年度においては、大型案件受注に係る前受金の受領等による運転資本効率の高まりが、営業活動によるキャッシュ・フローの収入増に寄与しています。
 ③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されています。
この連結財務諸表の作成にあたって、経営者は会計方針の選択・適用、また、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としています。
これらの見積りについては過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
 なお、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、『第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)』に記載のとおりです。
研究開発活動 6【研究開発活動】
(1) 研究開発の目的 当社グループは、「YOKOGAWAは計測と制御と情報により持続可能な社会の実現に貢献する YOKOGAWA人は良き市民であり勇気を持った開拓者であれ」という企業理念に基づき、絶え間なく研究開発活動を行い、最先端技術を創出してまいります。

(2) 研究開発の体制 当社グループの研究開発には、お客様の動向と現状認識を踏まえて、業種別セグメントで迅速に解決する製品開発・先行開発活動と、お客様やパートナーとの共創を通じて、未来を見据えた新しい価値をいち早く提供することに挑戦するイノベーション活動があり、前者を主に事業部が、後者を主にイノベーションセンターが担当しています。
 イノベーションセンターは以下の2つのミッションに基づき活動しています。
 1. お客様を含めた社内外と複数の組織をお互いに絡めあい(共創して)お客様の価値創造に貢献します。
 2. イノベーションシナリオを策定し、それらを研究開発活動へ反映することで将来のビジネスを育成するとともに事業インキュベーションを行います。
 当連結会計年度における研究開発費の総額(基礎研究である先端技術開発向け研究開発費を含んでいます)は320億61百万円となっています。
なお、当連結会計年度におけるセグメント別の研究開発の状況及び研究開発費の金額は次のとおりです。
セグメントの名称 当連結会計年度(百万円)制御事業28,835測定器事業2,753新事業他472合計32,061 (3) 制御事業 プラント、工場などの生産設備の制御・運転監視を行う分散形生産制御システム、生産現場に配置される流量計、差圧・圧力伝送器、プロセス分析計などのフィールド機器、共焦点スキャナ、創薬支援装置、各種ソフトウエアなど、総合的なソリューションに関する研究開発を行っています。
 制御事業における当連結会計年度の主な成果は以下のとおりです。
・統合生産制御システム 「CENTUM VP」を機能強化・軽量かつ低消費電力な電池電極WEB厚さ計 「OpreX Battery Web Gauge ES-5」を開発・発売・バッチプラント向けの製造管理パッケージ「OpreX Batch MES」を発売・洋上風力発電における海底電力ケーブル損傷の予兆を検知し、状態基準保全を可能にする「OpreX Subsea Power Cable Monitoring」を開発・発売・医薬品・食品製造における品質保証プロセスのDXを加速させる「OpreX Quality Management System」を発売・「OpreX Collaborative Information Server(統合情報サーバ)」のIT/OT連携機能を強化・「OpreX Intelligent Manufacturing Hub」を開発・発売 (4) 測定器事業 波形測定器、光通信関連測定器、信号発生器、電力・温度・圧力測定器等、先端産業に不可欠なマザーツールとして、お客様の新製品の開発・生産をサポートする電子計測器を研究開発しています。
 測定器事業における当連結会計年度の主な成果は以下のとおりです。
・AC/DCスプリットコア電流センサー「CT1000S」を開発・発売・コンパクト型高分解能オシロスコープ「DLM3000HD」シリーズを開発・発売・高精度パワーアナライザ「WT1800Rシリーズ」を開発・発売・高電圧・広帯域差動プローブ「PBDH0400シリーズ」を開発・発売・中波赤外光を高速・高精度に測定する光スペクトラムアナライザ「AQ6377E」を発売・生産試験向け光スペクトラムアナライザ「 AQ6361 」を発売・優れた操作性で作業効率を向上する光通信ネットワーク測定向け「AQ7290シリーズ」OTDR(光パルス試験器)を開発・発売・新世代「AQ2300シリーズ」の光パワーメータを発売
設備投資等の概要 1【設備投資等の概要】
 当社グループは、生産設備の省力化、合理化及び製品の信頼性向上のための設備投資等を継続的に実施しています。
当連結会計年度の設備投資の内訳は次のとおりです。
なお、設備投資の金額には、有形固定資産のほか無形固定資産(のれん等を除く)を含めています。
セグメントの名称当連結会計年度前期比 (百万円)(%)制御事業32,138122.1測定器事業79482.1新事業他187257.4合計33,120121.1  なお、当連結会計年度において重要な設備の除却、売却等はありません。
主要な設備の状況 2【主要な設備の状況】
 当社グループにおける主要な設備は、以下のとおりです。
(1)提出会社(2025年3月31日現在) 事業所名(所在地)セグメントの名称設備の内容帳簿価額(百万円)従業員数(人)建物及び構築物機械装置及び運搬具土地(面積㎡)その他合計本社(東京都武蔵野市)
(注)2制御事業測定器事業 制御、計測機器等の研究開発・製造・販売設備他10,671232905(17,484)[37,353]2,38314,1912,103金沢事業所(石川県金沢市)
(注)3制御事業ライフサイエンスビジネスの研究開発・製造・サービス設備1,1544825(42,657)5542,53770 (2)国内子会社(2025年3月31日現在) 会社名事業所名(所在地)セグメントの名称設備の内容帳簿価額(百万円)従業員数(人)建物及び構築物機械装置及び運搬具土地(面積㎡)その他合計横河マニュファクチャリング㈱甲府事業所(山梨県 甲府市)(注)4制御事業測定器事業制御、計測機器製造設備4,5042,676718(118,893)[3,189]9848,882810小峰事業所(東京都 あきる野市)
(注)5制御事業制御機器製造設備2,185671,176(40,065)1093,537181 (3)在外子会社(2025年3月31日現在) 会社名所在地セグメントの名称設備の内容帳簿価額(百万円)従業員数(人)建物及び構築物機械装置及び運搬具土地(面積㎡)使用権資産その他合計YokogawaEurope B.V.オランダ制御事業測定器事業制御、計測機器販売・エンジニアリング設備3,544-1,328(30,445)128585,060188YokogawaCorporationof America米国制御事業測定器事業制御機器製造・販売・エンジニアリング設備1,774189420(203,342)376693,090567横河電機(蘇州)有限公司中国制御事業制御機器製造設備1,2452,222--4363,903581YokogawaEngineeringAsia Pte.Ltd.シンガポール制御事業測定器事業制御、計測機器販売・エンジニアリング設備1,710--75751,862437YokogawaElectricAsia Pte.Ltd.シンガポール制御事業新事業他制御、計測機器、新事業他製造設備1,872172-432772,365191韓国横河電機(株)韓国制御事業測定器事業制御、計測機器販売・エンジニアリング設備8405645(5,954)53881,633326Yokogawa Saudi Arabia Company L.L.C.サウジアラビア制御事業制御機器販売・エンジニアリング設備1,54243-3002392,125223RotaYokogawaGmbH & Co.KGドイツ制御事業制御機器製造設備6836402(18,797)-4511,778236Yokogawa Australia Pty. Ltd.オーストラリア制御事業制御機器販売・エンジニアリング設備1343-73978956261重慶横河川儀有限公司中国制御事業制御機器販売・エンジニアリング設備931,071-2154271,808481Yokogawa India Limitedインド制御事業制御機器販売・エンジニアリング設備90544925(22,986)2,3584014,1401,950 (注)1.帳簿価額のうち「その他」は、工具、器具及び備品並びに建設仮勘定の合計です。
2.連結会社以外から土地の一部を賃借しています。
年間賃借料は419百万円です。
賃借している土地の面積については[ ]で外書きをしています。
また、連結会社以外から、工具、器具及び備品の一部を賃借しています。
年間賃借料は、376百万円です。
3.連結子会社である横河マニュファクチャリング㈱から賃借している機械装置及び運搬具0百万円、その他11百万円及び横河マニュファクチャリング㈱から出向している従業員数を含んでいます。
4.提出会社から賃借している建物及び構築物4,387百万円、機械装置及び運搬具6百万円、土地698百万円(116,874㎡)、その他232百万円を含んでいます。
また、連結会社以外から土地の一部を賃借しています。
年間賃借料は6百万円です。
賃借している土地の面積については[ ]で外書きをしています。
5.提出会社から賃借している建物及び構築物2,160百万円、機械装置及び運搬具0百万円、土地1,176百万円(40,065㎡)、その他11百万円を含んでいます。
設備の新設、除却等の計画 3【設備の新設、除却等の計画】
 当社グループの設備投資につきましては、今後の生産計画、需給予測、利益に対する投資割合等を総合的に勘案して計画しています。
設備投資計画は、原則的に当グループ各社が個別に策定していますが、グループ全体で重複投資にならないよう当社経営支援・責任部署が調整を図っています。
(1) 重要な設備の新設等   重要な設備の新設等の計画はありません。

(2) 重要な設備の除却等   経常的な設備の更新のための除却を除き、重要な設備の除却等の計画はありません。
研究開発費、研究開発活動32,061,000,000
設備投資額、設備投資等の概要33,120,000,000

Employees

平均年齢(年)、提出会社の状況、従業員の状況45
平均勤続年数(年)、提出会社の状況、従業員の状況17
平均年間給与、提出会社の状況、従業員の状況9,266,539
管理職に占める女性労働者の割合、提出会社の指標0
全労働者、労働者の男女の賃金の差異、提出会社の指標1
正規雇用労働者、労働者の男女の賃金の差異、提出会社の指標1
非正規雇用労働者、労働者の男女の賃金の差異、提出会社の指標1

Investment

株式の保有状況 (5)【株式の保有状況】
① 投資株式の区分の基準及び考え方 当社グループは、企業価値の維持・向上に資すると判断した場合に限り、株式の価値の変動又は配当の受領によって利益を得る目的と、業務提携や協業、相互取引等による関係強化等、グループ戦略上重要な目的の両目的を併せ持つ株式を保有します。
このような目的において保有する株式を「保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式」(政策保有株式)とし、株式の価値の変動又は配当の受領によって利益を得ることのみを目的とする「保有目的が純投資目的である投資株式」(純投資目的保有株式)と区分しています。
② 保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式(i) 保有方針及び保有の合理性を検証する方法並びに個別銘柄の保有の適否に関する取締役会等における検証の内容  当社グループは、企業価値の維持・向上に資すると判断した場合に限り、政策的に株式を保有します。
その保有は必要最低限とするという考え方に立ち、すべての政策保有株式については、毎年取締役会において、中長期的な観点からその保有目的、経済合理性等について個別銘柄毎に検証を行い、妥当性を判断します。
検証の結果、保有の妥当性が認められなくなったと判断した政策保有株式については売却を行い、縮減を図っています。
  検証にあたっては、保有株式を以下の3つに区分し、「取引状況」「株価・配当」「資本コスト」等をKPIとして、保有の妥当性の判断を行っています。
a. 事業取引先(事業取引・提携関係の維持・強化を目的とする) b. 金融機関(円滑な金融取引を図ることを目的とする) c. その他(上記区分に該当しないもの)   具体的には、保有銘柄ごとに、以下のa~dのプロセスを通じて保有の妥当性を評価し判断しています。
a. 株価(時価、取得原価、減損後簿価)の定量評価による検証 b. a.で評価した株価に対し、時価及び取得原価それぞれを元に計算した「投下資本利益率(ROIC)」での定量  評価による検証(ROICの計算には、税引き後の売上粗利と受取配当金を使用) c. 保有銘柄ごとの保有目的、取引実績、将来の取引見込み等の定性評価による検証 d. a~c の検証による評価を中長期的な経済的価値、事業拡大・関係強化等の観点で総合的に勘案する   当事業年度においては、2025年4月8日に開催した取締役会にて上記検証に基づく個別銘柄毎の保有の妥当性についての判断を行いました。
検証した結果判断された個別銘柄毎の保有の妥当性及び定量的な保有効果については、市場における相手先の株価への影響や相手先と当社との提携・協業関係及び事業上その他の取引関係における営業秘密にあたること等を考慮し、記載していません。
(ⅱ) 銘柄数及び貸借対照表計上額 銘柄数(銘柄)貸借対照表計上額の合計額(百万円)非上場株式344,354非上場株式以外の株式2435,022 (当事業年度において株式数が増加した銘柄) 銘柄数(銘柄)株式数の増加に係る取得価額の合計額(百万円)株式数の増加の理由非上場株式2576戦略的パートナーシップの締結・強化非上場株式以外の株式--- (当事業年度において株式数が減少した銘柄) 銘柄数(銘柄)株式数の減少に係る売却価額の合計額(百万円)非上場株式22非上場株式以外の株式4149 (ⅲ) 保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式の個別銘柄特定投資株式銘柄当事業年度前事業年度保有目的、業務提携等の概要、定量的な保有効果及び株式数が増加した理由相手方による当社株式の保有の有無株式数(株)株式数(株)貸借対照表計上額(百万円)貸借対照表計上額(百万円)重慶川儀自動化股份有限公司27,320,48821,015,760事業上の協業及び取引関係の維持・強化を目的に保有。
主に中国の制御事業における製造強化等の効果。
無12,04312,309㈱横河ブリッジホールディングス1,676,2911,676,291当社創業家による設立会社であり、関係維持を目的に保有。
主に保険関係の安定的、継続的な取引及び協力関係の維持。
有4,2074,943㈱みずほフィナンシャルグループ1,012,8581,012,858金融取引の円滑な実施を目的に保有。
資金調達など、財務面での安全性を高める効果。
有4,1033,085芙蓉総合リース㈱341,000341,000事業上の取引関係の維持・強化を目的に保有。
主に事業における協業等の効果。
有3,9474,692西川計測㈱442,400442,400事業上の取引関係の維持・強化を目的に保有。
国内制御事業における販売代理店として、販売強化等の効果。
有3,6893,065東京海上ホールディングス㈱389,400389,400金融取引の円滑な実施を目的に保有。
損害保険など、グローバルリスクマネジメント体制強化への貢献等の効果。
有2,2331,831㈱ADEKA307,000307,000事業上の取引関係の維持・強化を目的に保有。
主に制御事業における取引等の効果。
有825989㈱明電舎175,400175,400事業上の取引関係の維持・強化を目的に保有。
主に制御事業における取引等の効果。
有756515東ソー㈱269,000269,000事業上の取引関係の維持・強化を目的に保有。
主に制御事業における取引等の効果。
有552554協立電機㈱96,00096,000事業上の取引関係の維持・強化を目的に保有。
国内制御事業における販売代理店として、販売強化等の効果。
有422345日揮ホールディングス㈱285,000285,000事業上の取引関係の維持・強化を目的に保有。
主に制御事業における取引等の効果。
有335424日本ゼオン㈱206,000206,000事業上の取引関係の維持・強化を目的に保有。
主に制御事業における取引等の効果。
有307272㈱三井住友フィナンシャルグループ
(注)269,84846,616金融取引の円滑な実施を目的に保有。
資金調達など、財務面での安全性を高める効果。
有265415 銘柄当事業年度前事業年度保有目的、業務提携等の概要、定量的な保有効果及び株式数が増加した理由相手方による当社株式の保有の有無株式数(株)株式数(株)貸借対照表計上額(百万円)貸借対照表計上額(百万円)リョーサン菱洋ホールディングス㈱
(注)388,176-事業上の取引関係の安定化を目的に保有。
主に液晶、電源半導体等の調達先として、安定した取引の継続等の効果。
有215-㈱オーバル512,640512,640事業上の取引関係の維持・強化を目的に保有。
流量計ビジネスにおける協業等の効果。
有211286中外炉工業㈱41,77441,774事業上の取引関係の維持・強化を目的に保有。
主に制御事業における取引等の効果。
有154130明治電機工業㈱100,000100,000事業上の取引関係の維持・強化を目的に保有。
国内制御事業における販売代理店として、販売強化等の効果。
有150157㈱カナデン96,32096,320事業上の取引関係の維持・強化を目的に保有。
国内制御事業における販売代理店として、販売強化等の効果。
有141145大阪瓦斯㈱33,07533,075事業上の取引関係の維持・強化を目的に保有。
主に制御事業における取引等の効果。
無111112川崎重工業㈱10,00010,000事業上の取引関係の維持・強化を目的に保有。
主に制御事業における取引等の効果。
無8950㈱サンリツ94,56094,560事業上の取引関係の維持・強化を目的に保有。
国内物流施策における安定的な貢献等の効果。
有7686SOMPOホールディングス㈱ 
(注)414,4754,825金融取引の円滑な実施を目的に保有。
損害保険など、グローバルリスクマネジメント体制強化への貢献等の効果。
有6546ナカバヤシ㈱113,646113,646事業上の取引関係の維持・強化を目的に保有。
主にチャートレコーダの補用品等の調達先として、安定した取引等の効果。
無5860㈱トクヤマ20,04020,040事業上の取引関係の維持・強化を目的に保有。
主に制御事業における取引等の効果。
無5554山九㈱-63,400事業上の取引関係の維持・強化を目的に保有。
物流施策における安定的な貢献等の効果。
当事業年度中に全株式を売却。
無-331㈱リョーサン
(注)3-66,800事業上の取引関係の安定化を目的に保有。
主に液晶、電源半導体等の調達先として、安定した取引の継続等の効果。
有-328 銘柄当事業年度前事業年度保有目的、業務提携等の概要、定量的な保有効果及び株式数が増加した理由相手方による当社株式の保有の有無株式数(株)株式数(株)貸借対照表計上額(百万円)貸借対照表計上額(百万円)㈱紀文食品-90,000事業上の取引関係の維持・強化を目的に保有。
主に制御事業における取引等の効果。
当事業年度中に全株式を売却。
無-112JSR㈱-12,127事業上の取引関係の維持・強化を目的に保有。
主に制御事業における取引等の効果。
上場廃止に伴い当事業年度中に全株式を売却。
無-52TECO 2030 ASA -1,276,187事業上の取引関係の維持・強化を目的に保有。
水素燃料電池ビジネスにおける協業等の効果。
当事業年度中に上場廃止となり、特定投資株式に非該当。
無 -37 (注)1.定量的な保有効果については秘密保持の観点から記載が困難ですが、毎年取締役会において、中長期的な観点からその保有目的、経済合理性等について個別銘柄毎に検証を行い、妥当性を判断の上、保有しています。
    2.㈱三井住友フィナンシャルグループは、2024年10月1日付で1株につき3株の割合をもって株式分割されています。
    3.㈱リョーサンは、2024年4月1日付で株式移転により設立されたリョーサン菱洋ホールディングス㈱の完全子会社へと移行しています。
この株式移転により、㈱リョーサンの普通株式1株につき1.32株の割合で、リョーサン菱洋ホールディングス㈱の普通株式の割当交付を受けています。
    4.SOMPOホールディングス㈱は、2024年4月1日付で1株につき3株の割合をもって株式分割されています。
みなし保有株式 該当事項はありません。
③ 保有目的が純投資目的である投資株式 該当事項はありません。
株式数が増加した銘柄数、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社2
株式数が減少した銘柄数、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社4
銘柄数、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社34
貸借対照表計上額、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社4,354,000,000
銘柄数、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社24
貸借対照表計上額、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社35,022,000,000
株式数の増加に係る取得価額の合計額、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社576,000,000
株式数の減少に係る売却価額の合計額、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社149,000,000
株式数、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社20,040
貸借対照表計上額、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社55,000,000
株式数が増加した理由、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社戦略的パートナーシップの締結・強化
銘柄、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社重慶川儀自動化股份有限公司