財務諸表
CoverPage
提出書類、表紙 | 有価証券報告書 |
提出日、表紙 | 2025-06-23 |
英訳名、表紙 | TERUMO CORPORATION |
代表者の役職氏名、表紙 | 代表取締役社長CEO 鮫島 光 |
本店の所在の場所、表紙 | 東京都渋谷区幡ケ谷二丁目44番1号 |
電話番号、本店の所在の場所、表紙 | 03(3374)8111(代表) |
様式、DEI | 第三号様式 |
会計基準、DEI | IFRS |
連結決算の有無、DEI | true |
当会計期間の種類、DEI | FY |
corp
沿革 | 2 【沿革】 1921年9月東京都東京市下谷区に資本金500千円にて「赤線検温器株式会社」を設立1922年2月体温計を発売1963年1月プラスチック製注射筒を発売1964年1月静岡県富士宮市に富士宮工場開設1970年3月静岡県富士宮市に愛鷹工場開設1971年5月ベルギーにテルモヨーロッパNV設立1971年10月米国にキンブルテルモ社(現テルモアメリカスホールディング, Inc.)設立1974年10月「テルモ株式会社」と商号変更1983年4月山梨県中巨摩郡昭和町に甲府工場開設1985年5月当社株式東京証券取引所市場第一部へ指定1989年11月神奈川県足柄上郡中井町に研究開発センター開設1991年1月静岡県富士市に駿河工場開設1995年12月中国にテルモ医療産品杭州有限公司を設立1998年3月フィリピンにテルモフィリピンCorp.を設立1999年6月インドにテルモペンポールLtd.を設立1999年6月テルモメディカルCorp.(現テルモアメリカスホールディング, Inc.)が米国3M社から人工心肺事業を買収しテルモカーディオバスキュラーシステムズCorp.及びテルモカーディオバスキュラーシステムズヨーロッパGmbHを設立2002年6月研究開発センター敷地内に医療関係者向けトレーニング施設「テルモメディカルプラネックス」開設2002年11月英国バスクテック, Ltd.を買収2005年1月エドワーズライフサイエンス(株)より日本国内における人工心肺関連事業を譲受2005年2月米国ミッションメディカルInc.を買収2006年3月米国マイクロベンション, Inc.を買収2006年4月ベトナムにテルモベトナムCo., Ltd.を設立2007年1月チリにテルモチリLtda.を設立2007年3月ドイツ コーラー社より人工心臓弁事業を譲受2008年6月(株)クリニカル・サプライ(現テルモ・クリニカルサプライ(株))を買収2010年1月テルモアメリカスホールディング, Inc.を設立2011年4月米国カリディアンBCTホールディングCorp.(現テルモBCTホールディングCorp.)を買収2011年5月コスタリカにマイクロベンションコスタリカS.r.l.を設立2011年8月中国に泰尓茂中国投資有限公司を設立2011年11月シンガポールにテルモアジアホールディングスPte. Ltd.を設立2011年12月米国オンセットメディカルCorp.を買収2011年12月山口県山口市にテルモ山口(株)を設立2012年12月中国に威高テルモ威高医療産品有限公司を設立2013年1月ベトナムにテルモBCTベトナム Co., Ltd.を設立2013年2月ロシアにテルモロシアLLC.を設立2013年3月ポーランドでメドサービスSp. z.o.o.を買収2013年7月テルモインディアプライベートLtd.を設立2014年1月米国にテルモメディカルイノベーション, Inc.を設立2016年2月アラブ首長国連邦にテルモミドルイーストFZE.を設立2016年7月米国シークエントメディカル, Inc.を買収2016年10月プエルトリコにテルモプエルトリコLLCを設立2017年1月米国セント・ジュード・メディカル社と米国アボットラボラトリーズ社から止血デバイス事業等を買収2017年3月米国ボルトンメディカル, Inc.を買収2018年12月中国易生科技(北京)有限公司(エッセン・テクノロジー社)を買収2019年11月米国アオルティカCorp.を買収2020年1月コスタリカにテルモカーディオバスキュラーコスタリカLLC S.r.l.を設立2020年5月コスタリカにTFBマニュファクチャリングS.r.l.を設立2020年7月オランダ クイレム・メディカル B.V.を買収2021年2月米国ヘルスケアアウトカムズサイエンシズの全資産を買収2023年11月南アフリカ共和国にテルモ南アフリカ Pty. Ltd.を設立2024年8月コーポレートベンチャーキャピタル「Terumo Ventures」を設立 |
事業の内容 | 3 【事業の内容】 当社の企業集団は、連結財務諸表提出会社(以下、「当社」)と、連結子会社99社、持分法適用会社4社により構成されており、その事業区分を「心臓血管カンパニー」、「メディカルケアソリューションズカンパニー」、「血液・細胞テクノロジーカンパニー」の3事業に区分しております。 上記事業は「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 ⑥連結財務諸表注記 5.セグメント情報」に掲げるセグメントの区分と同一です。 当社グループを構成している各会社間の取引の概要と位置づけは以下の図のとおりです。 関係会社と事業区分の関係は「第1企業の概況 4関係会社の状況」に、事業区分ごとの主要な製品は「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 ⑥連結財務諸表注記 5.セグメント情報」に記載のとおりです。 |
関係会社の状況 | 4 【関係会社の状況】 名称住所資本金又は出資金主要事業の内容議決権の所有割合(%)関係内容備考役員の兼任等営業上の取引(連結子会社) テルモヨーロッパN.V.ベルギー千ユーロ295,600心臓血管カンパニーメディカルケアソリューションズカンパニー100.0あり当社への売上及び当社よりの仕入注1、3バスクテック, Ltd.イギリス千ポンド28,126心臓血管カンパニー100.0(100.0)あり当社への売上及び当社よりの仕入注1テルモアメリカスホールディング, Inc.アメリカ百万米ドル3,870その他100.0ありなし注1、3テルモメディカルCorp.アメリカ千米ドル272,016心臓血管カンパニーメディカルケアソリューションズカンパニー100.0(100.0)あり当社への売上及び当社よりの仕入注1テルモカーディオバスキュラーシステムズCorp.アメリカ千米ドル544,171心臓血管カンパニー100.0(100.0)あり当社への売上及び当社よりの仕入注1テルモラテンアメリカCorp.アメリカ千米ドル21,960心臓血管カンパニーメディカルケアソリューションズカンパニー100.0(100.0)あり当社よりの仕入 マイクロベンション, Inc.アメリカ千米ドル589,598心臓血管カンパニー100.0(100.0)あり当社への売上及び当社よりの仕入注1テルモプエルトリコLLCプエルトリコ千米ドル841,444心臓血管カンパニー100.0ありなし注1ボルトンメディカル, Inc.アメリカ千米ドル151,877心臓血管カンパニー100.0(100.0)あり当社への売上注1カリラメディカル, Inc.アメリカ千米ドル34,679心臓血管カンパニー100.0(100.0)ありなし注1テルモBCTホールディングCorp.アメリカ千米ドル1,352,360その他100.0(100.0)ありなし注1、3テルモBCT, Inc.アメリカ千米ドル951,863血液・細胞テクノロジーカンパニー100.0(100.0)あり当社よりの仕入注1テルモBCTヨーロッパN.V.ベルギー千ユーロ126,319血液・細胞テクノロジーカンパニー100.0(52.9)なし当社よりの仕入注1テルモBCTバイオテクノロジーLLCアメリカ千米ドル166,791血液・細胞テクノロジーカンパニー100.0(100.0)ありなし注1テルモBCTベトナムCo., Ltd.ベトナム千米ドル54,300血液・細胞テクノロジーカンパニー100.0(100.0)あり当社よりの仕入注1テルモフィリピンCorp.フィリピン千フィリピンペソ3,650,000メディカルケアソリューションズカンパニー100.0あり当社への売上及び当社よりの仕入注1 名称住所資本金又は出資金主要事業の内容議決権の所有割合(%)関係内容備考役員の兼任等営業上の取引テルモベトナム Co., Ltd.ベトナム千米ドル19,500心臓血管カンパニー100.0あり当社への売上及び当社よりの仕入注1テルモ中国投資有限会社中華人民共和国千人民元1,820,493その他100.0あり当社への売上注1テルモ医療産品杭州有限会社中華人民共和国千人民元389,569心臓血管カンパニーメディカルケアソリューションズカンパニー100.0(100.0)あり当社への売上及び当社よりの仕入注1エッセンテクノロジー北京有限会社中華人民共和国千人民元304,120心臓血管カンパニー100.0(100.0)あり当社よりの仕入注1テルモアジアホールディングスPte. Ltd.シンガポール千シンガポールドル30,127その他100.0あり当社への売上及び当社よりの仕入 テルモキャピタルマネジメントPte. Ltd.シンガポール千米ドル1,122,000その他100.0ありなし注1テルモ・クリニカルサプライ株式会社岐阜県各務原市百万円80心臓血管カンパニー100.0あり当社への売上及び当社よりの仕入 テルモ山口株式会社山口県山口市百万円195心臓血管カンパニーメディカルケアソリューションズカンパニー100.0あり当社への売上注1テルモグローバルリインシュアランス, Inc.アメリカ百万円35,043その他100.0ありなし注1その他74社 (持分法適用会社) その他4社 (注) 1.特定子会社に該当します。 2.議決権の所有割合の( )内は、間接所有割合で内数です。 3.テルモヨーロッパN.V.、テルモアメリカスホールディング, Inc.及びテルモBCTホールディングCorp.については、売上収益(連結会社相互間の内部売上収益を除く)の連結売上収益に占める割合が10%を超えております。 主要な損益情報等 (単位:百万円) テルモヨーロッパN.V.テルモアメリカスホールディング, Inc.テルモBCTホールディングCorp.売上収益 145,420389,430199,643税引前利益 6,07132,2559,530当期利益4,04826,6606,466資本合計 79,092739,081117,677資産合計 146,731914,260269,415 |
従業員の状況 | 5 【従業員の状況】 (1) 連結会社の状況2025年3月31日現在セグメントの名称従業員数(人)心臓血管カンパニー17,155メディカルケアソリューションズカンパニー6,069血液・細胞テクノロジーカンパニー6,488全社(管理)977合計30,689 (注) 従業員数は就業人員数であり、当社グループからグループ外への出向者及び派遣社員等は除いています。 (2) 提出会社の状況2025年3月31日現在従業員数(人)平均年齢(歳)平均勤続年数(年)平均年間給与(円)5,63340.315.77,784,646 セグメントの名称従業員数(人)心臓血管カンパニー2,057メディカルケアソリューションズカンパニー2,426血液・細胞テクノロジーカンパニー271全社(管理)879合計5,633 (注) 1.従業員数は就業人員数であり、当社から社外への出向者及び派遣社員等は除いています。 2.平均年齢、平均勤続年数及び平均年間給与の算出に際しては、当社正社員分のみで算出しております。 3.平均年間給与(税込)は、基準外賃金及び賞与を含んでおります。 (3) 労働組合の状況 当社の労働組合は、テルモ労働組合(2025年3月31日現在組合員数3,775名)が組織されております。 テルモ労働組合はUAゼンセンに加盟しております。 なお、労使関係は概ね良好であり、特記すべき事項はありません。 (4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異 ① 提出会社当事業年度管理職に占める女性労働者の割合(%)男性労働者の育児休業取得率(%)労働者の男女の賃金の差異(%)全労働者正規雇用労働者パート・有期労働者12.080.982.382.683.2 (注)1.管理職に占める女性労働者の割合及び労働者の男女の賃金の差異については、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出しております。 2.管理職に占める女性労働者の人数は122名です。 (2025年3月31日現在)3.男性労働者の育児休業取得率については、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出しております。 4.管理職に占める女性労働者の割合及び男性労働者の育児休業取得率については、出向者を出向先の労働者として集計しております。 (該当がある場合)5.労働者の男女の賃金の差異については、出向者を出向元の労働者として集計しております。 (該当がある場合。 海外出向者を除く)6.賃金の差異は管理職に占める女性の割合が低いことが影響していると考えられるため、女性管理職比率の更なる引き上げを目指し、女性リーダーシップ研修等の拡充や、ジョブ型人事制度導入による管理職任用条件の見直し等の取り組みを進めております。 ② 連結子会社当事業年度名称管理職に占める女性労働者の割合(%)男性労働者の育児休業取得率(%)労働者の男女の賃金の差異(%)全労働者正規雇用労働者パート・有期労働者テルモ山口(株)6.366.686.187.396.6テルモヒューマンクリエイト(株)54.542.880.3110.992.8テルモ・クリニカルサプライ(株)11.1―――― (注)1.管理職に占める女性労働者の割合および労働者の男女の賃金の差異については、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出しております。 2.男性労働者の育児休業取得率については、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出しております。 3.管理職に占める女性労働者の割合及び男性労働者の育児休業取得率については、出向者を出向先の労働者として集計しております。 (該当がある場合)4.労働者の男女の賃金の差異については、出向者を出向元の労働者として集計しております。 (該当がある場合。 海外出向者を除く) |
経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 | 1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 (1) 経営方針当社グループは、医療を通じて社会に貢献する、という不変の「企業理念」に加え、この企業理念を実現するために、追求していく方向性を示す「Our Promise 私たちの約束」、アソシエイト(社員)が行動の基礎とする共通の価値観である「コアバリューズ」、アソシエイトが高い倫理観をもって正しく行動するために守るべき行動原則となる「テルモグループ行動規範」、この4つをグループ共通の理念として定めています。 全アソシエイトがこの企業理念体系に基づいた事業活動を行うことで、患者さんや医療従事者をはじめ、広く社会にとって価値ある企業を目指します。 Our Promise 私たちの約束:すべては、患者さんへの揺るぎない約束から始まります。 私たちは、患者さんの声に真摯に耳を傾け、その希望や願いを深く理解することで、世界中の患者さんの生活の質が向上するように、さらなるイノベーションを大胆かつ情熱を込めて追求し続けます。 コアバリューズ:「Respect(尊重)-他者の尊重」「Integrity(誠実)-企業理念を胸に」「Care(ケア)-患者さんへの想い」「Quality(品質)-優れた仕事へのこだわり」「Creativity(創造力)-イノベーションの追求」 (2) 経営環境、経営戦略及び優先的に対処すべき課題医療は大きな変化の途中にあります。 世界的な高齢化と生活水準向上の帰結として、慢性疾患の増加など「疾病構造」の変化が起きています。 このような慢性疾患の増加は、患者管理の長期化など、「医療の時間軸」に変化を与えています。 また、バイオ医薬や細胞・遺伝子治療及びデジタル・AI技術の発展は「医療を支える技術」に変化をもたらしています。 これらの変化はいずれも、テルモが真摯に取り組むべき課題であり、その課題解決に向けて、5カ年成長戦略「GS26」の達成を目指しています。 5カ年成長戦略「GS26」1)中長期を見据えたビジョンテルモは、2021年12月に次の10年超を見据えた5カ年成長戦略「GS26」を策定し、そのビジョンを「デバイスからソリューションへ」と掲げました。 具体的には、この中で3つの“D”に取り組みます。 1つ目はDeliveryです。 心臓血管カンパニーの成長ドライバーである「ラディアル・アプローチ(TRI)」を支えるカテーテルなど、強みである生体内へのアクセス・デリバリーという機能とそれを支える技術を指します。 今後の新しいソリューション開発においても、これらの技術は最大の武器です。 2つ目はDigitalです。 データを活用した効率改善や、診断・治療の最適化に活用するデジタル技術など、医療機器の分野においても不可欠なものになっています。 患者さんに提供するバイタル測定機器やアプリの開発など、「デジタルペーシェントジャーニー」のソリューションが具体的な例です。 3つ目はDeviceuticalsです。 これは、テルモが目指す、Device(機器)とPharmaceuticals(薬剤)の融合を表した造語です。 テルモの機器が、薬剤の利用や製造に、付加価値を提供することを目指します。 血液・細胞テクノロジーカンパニーが取り組んでいる原料血漿の分野もこの一例です。 2)カンパニー別成長戦略<心臓血管カンパニー>GS26のビジョンとして、「患者さんに寄り添い、変わりゆく治療の未来を共に創造する」ことを掲げます。 これを実現するための戦略として、以下の3つを実行します。 ①新製品ローンチを通じた治療事業の拡大脳血管・大動脈・下肢動脈の疾患や、がんの治療セグメントに向けた新製品を発売することでパイプラインを拡充し、大きな市場で高い成長を実現していきます。 同時に、デジタル技術を用いた個別化医療へのソリューション提供を進めます。 ②疾病横断でのラディアル手技の普及これまでは心臓血管を中心に実施されてきたラディアル手技(患者さんの負担がより少ない手首の血管からのカテーテル治療)を、下肢血管・腹部血管・脳血管など、全身の血管に拡げていきます。 並行して、蓄積した治療成績のビッグデータに基づき、ラディアル手技のメリットを明確にすることで、個々の患者さんにとって最適な治療方針をドクターに提案していきます。 ③成長を支えるオペレーションの進化心臓血管カンパニーの全事業にわたって、グローバルで最適地生産を進めていくことで、需要の拡大に備えた増産体制を構築すると同時に、コストダウンを図ります。 また、DXによる生産の効率化も進めていきます。 これらによって、高付加価値製品へのシフトにとどまらない収益性の改善を実現します。 <メディカルケアソリューションズカンパニー>GS26のビジョンとして、「独自の技術を融合した患者本位のソリューションを通して医療の質向上と変革に貢献する」ことを掲げます。 この実現に向けて、以下の4つの戦略を実行します。 ①ホスピタルケアソリューション院内における医療機器とデータの管理や、医療安全、さらには病院経営の効率化などの価値を提供します。 例えば、薬剤の投与情報を院内の部門システムとつなげることにより、記録やバイタルの管理、誤投与の防止に貢献します。 また、感染対策のソリューションについては、単なる製品の販売にとどまらず、現場での使用状況を解析し、さらなる改善に向けた提案をしていきます。 ②ライフケアソリューション慢性疾患の患者さんへの個別化医療を支えるデータや、モニタリングの仕組みを作ります。 糖尿病領域では、血糖測定やインスリン投与の情報を管理するシステムや、食事・運動・服薬などの情報と併せて解析し、医師による、個別の患者さんへの最適な指導や治療を支援する仕組みを作ります。 さらに、インスリンポンプと持続血糖測定器を投与アルゴリズムで連動させることで、グルコース濃度の細かな調整が期待できる、インスリン自動投与制御(AID)システムを提供していきます。 ③ファーマシューティカルソリューション製薬会社に対して、薬剤の価値を最大化させるユニークなデバイスやサービスを組み合わせたソリューションを提案します。 薬剤の安全・効率に資するソリューションから徐々にステップアップし、パッチポンプや皮内投与デバイスによって薬剤の効果を向上させることを目指します。 また、核酸医薬、遺伝子治療の効果にフォーカスしたデバイス開発により、中枢・循環器・がん領域への展開を目指します。 ④海外ビジネスソリューション東南アジアでは高機能の薬剤投与システム、北米ではBtoBを活用した静脈アクセス製品の販売を拡大します。 糖尿病領域では、欧州でのインスリンポンプ販売を徐々に拡大させるとともに、巨大市場となりつつある中国で事業展開の礎を築きます。 また、製薬会社とのビジネスでは、強みであるプラスチック製の薬剤充填用シリンジ「PLAJEX」のグローバル展開を図ります。 <血液・細胞テクノロジーカンパニー>GS26のビジョンとして、「血液と細胞の可能性を活かして、治療効果の向上とアンメットニーズに応えるイノベーションをグローバルに展開する」ことを掲げます。 この実現に向けて、以下の4つの戦略を実行します。 ①Blood and Beyond(血液からの発展)採血業務の効率化に寄与する原料血漿採取システムを米国からスタートさせ、さらにこれを米国以外の市場にも展開させることを目指します。 また、細胞処理の領域では、フォーカス領域を拡大し、細胞治療を受ける患者さんと、細胞治療のプロセス全体にアプローチします。 そして、血液治療の領域では、選択的血漿交換療法へ進出し、この療法が有効な患者さんの治療に貢献します。 ②Equipment and Beyond(機器からの発展)全血の製剤化プロセスの自動化や、サービス・ソフトウェアなどの強みを生かして、血液センターをはじめ、顧客の業務効率化を支援します。 また、原料血漿市場においても、技術と技術を補完するサービスを共に展開する、デジタルエコシステムを導入することを目指します。 ③地域展開中国、中南米、アフリカなどの成長著しい地域において製品ポートフォリオを拡充し、より複合的なソリューションを提供します。 ④オペレーショナル・エクセレンスフレキシブルなグローバル供給体制の構築、改良改善文化の浸透、そして、マーケティング活動のレベルアップを図り、より高いサービスの提供を目指します。 3)コーポレート戦略①イノベーションソリューション開発の3つの方向性について、目指すべき長期的なゴールを設定しています。 Deliveryでは、低侵襲治療の普及率が60%にとどまっていることに対して、高度な疾患治療における高付加価値な生体アクセス・デリバリーにより、低侵襲治療100%の世界を目指します。 Digitalについては、患者さんの長期的なQOL向上を妨げる要因として、慢性疾患の治療の継続が難しいことを課題と認識し、デジタルを駆使して治療の完遂率100%を目指します。 Deviceuticalsでは、薬剤治療効果が高められない原因として、医薬品とデバイスのコンビネーション製品が少ないことを課題と認識し、デリバリー技術のイノベーションで、コンビネーション製品の進化を加速させます。 これらの長期的な課題解決と、各カンパニーの提供する中期的なイノベーションとのシナジーを創出することで、将来の成長を牽引します。 ②デジタルトランスフォーメーション(DX)社内に有するDX機能を強化し、データ分析、遠隔モニタリング、ロボティクスなどの具体的なテーマに沿った検討を進めます。 同時に、M&Aや提携の機会を積極的に探索することで、他社に負けないスピードでこれを実現していきます。 ③人財中長期のビジョンを実現する上で重要なスキルを特定し、その獲得・強化を目指すことによって、グローバルでの適所適材を実現します。 また、変革を推進するためには、アソシエイト一人ひとりが、新しいことに挑戦することで成長できるというマインドを持つことが重要と考え、これを「Growth Mindset」と呼んで推進していきます。 ④全社収益改善生産、調達、ロジスティクス、定型管理機能の4つの機能領域に注力し、グローバルでの最適化を図ります。 グループ内のコラボレーションを通じて、将来の成長を支える強固な基盤を構築し、企業価値を高めます。 ⑤生産コスタリカ、日本、ベトナムの三極生産体制を強化し、グローバル生産の最適化に努めます。 また、コストの効率化にとどまらず、個別の工場で獲得した自動化、省力化、デジタル化のノウハウをグローバルに展開することで、生産イノベーションを推進します。 ⑥CSV/ESG財務目標だけでなく、サステナビリティ経営にもコミットします。 事業活動を通じて実現するCSV(社会への価値創造)と、それを支える基盤としてのESG(環境、社会、ガバナンス)という2つのカテゴリーを構成し、CSVでは、「医療技術・サービスの普及、医療アクセスの向上」、「一人ひとりの人生に寄り添う医療の提供」、「持続可能な医療システムの共創」という3つの重点領域において、各カンパニーの具体的なテーマを設定しました。 ESGについては、環境、社会、ガバナンスのそれぞれについて、重点テーマを抽出し、具体的な数値目標を設定しています。 (3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループでは、2021年12月に次の5カ年を対象とする成長戦略を策定し、成長性、収益性、効率性においてそれぞれ以下の目標を掲げ、達成に向けて取り組んでいます。 目標成長性売上収益:1桁後半の成長収益性営業利益率※:20%以上資本効率性ROIC※:10%以上ROE:10%以上を堅持 想定為替レート:USD=107円、EUR=128円※ 新規M&Aの影響を除く |
サステナビリティに関する考え方及び取組 | 2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】 (1) サステナビリティ全般ガバナンス・リスク管理テルモは、取締役会で決議した経営の基本方針に基づき業務執行に関する意思決定を行う経営会議の下部組織として、社長CEOを委員長とするサステナビリティ委員会を2023年4月に設置しました。 当委員会は関連部門や各グループ会社と連携してサステナビリティに関わる活動方針の立案、CSV・ESGに関する重点活動テーマやKPIの設定を行い、グループ全体の活動を促進する役割を担っています。 テーマ毎の活動状況やKPIの進捗は委員会でモニタリングし、経営会議および業務執行の監督機能を担う取締役会へ定期報告を行うとともに、経営会議や取締役会での指摘内容を関連部門やグループ会社にフィードバックし、活動の改善・拡充を図っています。 また、サステナビリティに関するリスク管理については、リスクと機会をタイムリーに把握して活動方針や計画に反映するため、サステナビリティ委員会が中心となって社外のサステナビリティに関する動向を調査し、当社グループとの関連性の識別や影響度の評価を行った上で、経営会議・取締役会に報告・提言を行っています。 サステナビリティ推進体制 戦略 テルモは、持続可能な社会の実現とテルモグループの持続的成長の両立に向けて長期的視点でサステナビリティ経営を推進するため、2021年12月に「テルモグループ サステナビリティ基本方針」を制定し、併せてサステナビリティ重点活動テーマを改定しました。 基本方針および重点活動テーマでは、テルモの企業理念に基づき、医療課題の解決を通じた「社会価値創造」(CSV)をサステナビリティ経営の最重要活動テーマと位置付けました。 さらに、社会価値創造を支える基盤としての活動をESGと定義し、活動テーマを設定してCSVとともに推進しています。 サステナビリティ重点活動テーマ 重点活動テーマの特定プロセス以下のプロセスを経て、テルモグループの重点活動テーマを特定しました。 ステップ1 課題の抽出GRI(Global Reporting Initiative)やSASB(Sustainability Accounting Standards Board)などが公表しているサステナビリティ関連のガイドラインや基準などを参照し、テルモグループに関連のあるサステナビリティ課題を網羅的に抽出。 ステップ2 優先順位づけ抽出した課題について、ステークホルダーにとっての重要度と、企業理念との関連性などテルモグループにとっての重要度を評価し、双方にとって重要度の高い課題を抽出。 ステップ3 重点活動テーマの特定抽出された重要度の高い課題の内容を基に、テルモグループにおける現状の取り組みも考慮しながら、重点活動テーマを特定。 特定されたテーマを経営会議、取締役会で審議し、妥当性を確認。 指標及び目標2022年度からの5カ年成長戦略「GS26」では、前述のサステナビリティ重点活動テーマを基に、CSV・ESGに関する取り組みテーマやモニタリング項目・KPIを設定し、役員で分担して推進しています。 さらにサステナビリティ経営の推進における役員の貢献度合いを評価・報酬に適切に反映するため、役員の業績評価指標として、2023年度より「将来企業価値目標」を導入しました。 GS26 CSVテーマサステナビリティ重点活動テーマである「医療課題の解決」(「医療技術・サービスの普及、医療アクセスの向上」「一人ひとりの人生に寄り添う医療の提供」「持続可能な医療システムの共創」)に貢献すべく、各カンパニーがGS26で取り組むCSVテーマを設定し、それぞれの強みを活かしたユニークなソリューションを提供することで、社会価値と経済価値の両立を実現していきます。 心臓血管カンパニーCSVテーマ①ラディアル手技の普及②トレーニング③個別化医療の推進モニタリング項目・KPI①ラディアル比率(2026年度):心臓(冠動脈)75%以上、下肢動脈 20%以上、腹部 15%以上、脳血管 15%以上 ②トレーニング参加医療従事者数(TIS)③ステントグラフト、放射線塞栓ビーズ、脳動脈瘤用袋状塞栓デバイス等の普及推進2024年度主な取り組み・実績①心臓(冠動脈)、腹部、脳血管において順調に進捗 心臓(冠動脈)79%、下肢動脈 8%、腹部 15%、脳血管 12%②前年度(2022年度)に1,000人超の大規模プログラムを実施したことなどにより、全受講者数は前年度比約1割強減少(約53千人)したが、実施件数は前年度比2割強増加、対面での受講者数も同約2割弱増加(約33千人)。 ※②は2023年度実績③事業間・地域間の連携プログラムにおいてデジタルの取り組みを推進 メディカルケアソリューションズカンパニーCSVテーマ①周術期ソリューション ②外来化学療法ソリューション③リーナル(腎臓)ケアソリューションモニタリング項目・KPI①グローバルで1,000施設導入②国内がん拠点病院の35%(※)に導入 ※2024年度の実績が30%に達したため、目標値を20%から35%へと見直し③グローバルで20,000人の患者さんが使用2024年度主な取り組み・実績①グローバルで836施設に導入(国内785施設、海外51施設、海外8か国へ展開)②国内がん拠点病院の30%に導入。 外来化学療法室向けソリューション「薬物療法業務支援システム」の本格導入準備③グローバルで約12,000人の患者さんが使用。 腹膜透析管理アプリケーション「テルモPDマイケア」の販売の本格化、中国における中性液の販売拡大 血液・細胞テクノロジーカンパニーCSVテーマ①イノベーションを拡大し、治療を受けられる患者数を増やす②これまで届けられなかった患者さんに命を救う技術を届ける③医療提供のインフラを効率化するモニタリング項目・KPI①主要製品プラットフォーム 保険償還獲得状況とディスポーザブル製品※販売数量: ディスポーザブル製品※販売数量 年率二桁成長 ※全血バッグとReveos、TACSI、Trima Accel、Spectra Optia、FINIA、Quantumのディスポーザブルセット②中国、アフリカ 売上額増加③血液自動製剤システム 累計導入台数増加2024年度主な取り組み・実績①4件の重要な保険償還を獲得(ケニア・英国・ブラジル・中国)。 主要製品プラットフォームによる治療患者数の指標となるディスポーザブル製品販売数量は前年度比4%増加②中国:成分採血システム「Trima Accel」や遠心型血液成分分離装置「Spectra Optia」の導入台数が過去最高を記録 アフリカ:中部アフリカの売上が前年度比20%増加。 赤血球交換を含む鎌状赤血球症治療のクリニカルパスが保険償還を取得(ケニア)③血液自動製剤システム:売上が前年度比15%増加 (注) GS26公表後に各カンパニーのCSVテーマ、モニタリング項目・KPIの内容を一部見直しております。 GS26 ESGテーマGS26のESGテーマでは、製品・サービスの品質と安全性、安定供給の確保や、多様な人財が活躍できる組織作りなど、CSVを支える基盤となる活動とともに、カーボンニュートラルの実現といった社会からの期待・要請に応える活動にも取り組んでいます。 これらの取り組みを通じて、テルモグループの持続的な成長を支える強固な事業基盤の構築と持続可能な社会の実現への貢献を目指します。 テーマKPI2024年度実績カーボンニュートラル実現CO2排出量(2018年度比、Scope 1+2)削減率50.4%(2030年度)削減率100%(2040年度)26.8%削減(注2)使用電力の再生可能エネルギー利用利用率50%(2030年度)37.5%(注2)資源の有効活用水使用量(売上収益当たり、2018年度比)削減率20%(2030年度)38.5%削減(注2)リサイクル率90%(2030年度)89.3%(注2)製品・サービスの品質と安全性、安定供給の確保規制当局からの重大な指摘事項の件数0件0件持続可能なサプライチェーンマネジメント重大な市場欠品0件1件サプライヤーガイドラインの趣旨に反する重大な逸脱のある取引0件0件労働環境の安全対策推進死亡・重大労災発生件数0件死亡 0件重大労災 0件アソシエイト・エクスペリエンス向上アソシエイトを対象としたエンゲージメントサーベイの結果-(注3)多様な人財を活かし価値創造につなげる組織へ経営役員、グローバル・キーポジション(GKP)の外国人比率-経営役員 33.3%(注4)GKP 59.3%(注4)女性管理職比率(テルモ株式会社)13%(2026年度)12.0%取締役会の実効性取締役会の実効性評価毎年実施実施コンプライアンスの推進会社の経営に重大な影響を与える法令違反0件0件 (注)1.GS26公表後に内容を一部見直しております。 2.2023年度の実績を記載しております。 3.サーベイの結果につきましては、当社ウェブサイトに掲載している統合報告書(テルモレポート2024)の63ページ「エンゲージメントサーベイ」をご覧ください。 4.2025年4月1日時点の比率を記載しております。 (2) 人的資本人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針戦略医療や社会全体が急速に変化する中で、テルモグループの成長戦略を実現するためには人財の強化が必要不可欠です。 そのためにアソシエイトが企業と共に成長し続ける人財戦略を展開しています。 具体的には、グローバルビジネスを支える多様なリーダーの育成に加え、今後の経営戦略を見据えた組織全体の新たなケイパビリティ(能力)を構築すべく、組織強化や戦略的要員計画にも注力しています。 また、アソシエイト一人ひとりが常に新しいことに挑戦し学び続ける“Growth Mindset”や、Diversity(多様性)、Equity(公平性)、Inclusion(包摂性)(以下、「DE&I」)の文化醸成により、アソシエイトが持てる能力をフルに発揮できる環境の構築を目指しています。 グローバルリーダーの育成に関しては、リーダー育成の各ステージをつなぐ継続的なパイプライン形成のため、グローバル共通の仕組みとして一貫した4つの要素(スキル・コンピテンシー定義、育成、育成状況・計画の議論、登用・活用)で施策を設計しています。 また、Growth Mindset推進のため、経営トップやビジネスリーダーが旗振り役となり、実践の鍵となる3つの習慣(実験する、進歩を評価する、他者から学ぶ)をアソシエイトが日々の業務に取り入れることのできる環境づくりに取り組んでいます。 DE&Iについては、性別、国籍、職務、役職等において多様性のあるアソシエイトで構成されるグローバルDE&Iカウンシルを2021年7月に発足させ、テルモグループ共通のDE&Iフィロソフィー・ガイディングプリンシプル・ガイドラインを策定しており、多様性の確保に向けた人財育成方針、社内環境整備方針を定めています。 また取り組み事例として、グループ横断選抜型の育成プログラムやグローバルタレントレビューの実施、育成計画、サクセッションプランを通したグループワイドな人財登用の整備を行っています。 さらに、2024年にはDE&Iを推進するための4つの重点分野を刷新し、グループ各社で活動を進化させています。 [DE&Iに関する4つの重点分野における主な取り組み]●目標設定・人事プロセス:経営役員によるDE&I目標/KPIの設定および管理 ●インクルーシブリーダーシップ:インクルーシブリーダーシップの実践促進●帰属意識・一体感:事業や地域を越えた横断的なARG(Associate Resource Group)同士のコラボレーション促進●コミュニケーション:社内外コミュニケーションの強化(例:テルモ DE&I Weekのグローバル実施) 人材の多様性の確保に関する指標及び目標<目標値を設定している指標> - テルモ株式会社5か年成長戦略(GS26)で掲げている目標:2026年度末までに女性管理職比率13%を目指す <指標の内容と実績> ・女性管理職 - テルモグループ 女性管理職比率:30.8%(2025年3月31日現在) - テルモ株式会社 女性管理職比率:12.0%(2025年3月31日現在) ・外国人管理職 - テルモグループ 経営役員外国人比率:33.3%(2025年4月1日現在) - テルモグループ グローバル・キーポジション外国人比率:59.3%(2025年4月1日現在) ・中途採用者管理職 - テルモグループ 経営役員中途採用比率:50.0%(2025年3月31日現在) - テルモ株式会社 管理職中途採用比率:23.2%(2025年3月31日現在) (注)1.テルモでは、共に働き会社の成長を支える大切な存在として、アソシエイトを「人材」ではなく「人財」と表記しています。 2.上記指標のうち、テルモ株式会社の女性管理職比率以外の指標は各国や地域によって状況が異なるため、モニタリングのみを実施しており、目標値は設定しておりません。 3.人的資本に係るガバナンスとリスク管理につきましては、「(1)サステナビリティ全般」の「ガバナンス・リスク管理」をご参照ください。 (3) 気候変動への対応2022年3月、テルモは、金融安定理事会により設置された「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に賛同しました。 TCFDのフレームワークに基づき、気候変動に伴うテルモの事業活動への影響と取り組みを以下に開示します。 ガバナンス取締役会のメンバーであるEHS(環境・安全衛生)担当取締役が気候変動を含む環境に関わる監督責任者です。 EHS担当取締役が議長を務めるEHSマネジメント委員会が、気候変動に関する最高の意思決定機関であり、気候関連リスクと機会の特定、方針、戦略、目標の策定と見直し、目標の達成状況の監視を行い、経営会議に報告しています。 本委員会を年3回開催するほか、本委員会のもとにEHS専門部会としてエネルギー部会を設置し、エネルギーに関わる目標の進捗管理、EHSマネジメント委員会への定期的な報告を行っています。 EHS担当取締役がメンバーとなっているサステナビリティ委員会においても、GS26のESGに関するテーマ・KPIの一つとして、カーボンニュートラル実現のための取り組みと目標に対する進捗状況をモニタリングし、経営会議および取締役会に定期報告を行っています。 戦略「医療を通じて社会に貢献する」という企業理念のもと、人のいのちと健康を守るため医療機器・医薬品の提供を止めないことが最も重要であると認識しています。 さらに、新しい治療方法の提供を通して、医療の効率化と医療現場からの温室効果ガス(GHG)排出削減を実現することが可能と考えています。 気候シナリオとして、物理的リスクの増大を想定した産業革命前からの気温上昇が4℃のシナリオ(RCP(Representative Concentration Pathways)8.5)と、移行リスクの増大を想定した気温上昇を1.5℃以内に抑えるシナリオ(RCP1.9)の2つを念頭に置き、事業に影響を及ぼすリスクと機会を以下の表の通り整理しています。 リスク管理EHSマネジメント委員会が、気候関連リスクと機会を特定、事業への影響を評価し、関連部門に対してリスクの低減と機会の促進のための管理を指示し、進捗状況を管理しています。 テルモグループのリスクマネジメントにおけるリスク対象にも、EHSマネジメント委員会から挙げられた気候関連リスクが含められ、リスク管理委員会が制定する全社リスク管理体制のもと、リスク管理計画に基づくモニタリングが行われています。 指標•目標テルモではパリ協定が求める産業革命前と比較して気温上昇を「1.5℃」に抑える水準と整合したGHG排出量削減目標を設定しています。 この目標は国際的な団体である「Science Based Targets initiative」(SBTイニシアチブ)から、科学的根拠に基づくものとして認定されています。 テルモグループの温室効果ガス排出量削減目標Scope 1+2・2030年度までに、温室効果ガス排出量を2018年度比で50.4%削減※・2030年度までに、使用電力の再生可能エネルギー比率を50%※・2040年度までに、カーボンニュートラルを実現Scope 3・2030年度までに、売上収益当たりの温室効果ガス排出量を2018年度比で60%削減※ ※SBTイニシアチブから認定を取得した目標 2023年度 CO2排出量(Scope 1、Scope 2 内訳) Scope 1Scope 2合計国内(t-CO2)42,31350,32992,643海外(t-CO2)21,80991,579113,388合計(t-CO2)64,123*141,908*206,031* 対象:テルモグループ(国内事業所、海外生産事業所・開発拠点)*第三者検証における保証対象指標2023年度実績の第三者保証の詳細につきましては、当社ウェブサイトに掲載している統合報告書(テルモレポート2024)を参照ください。 (2024年度実績は、第三者保証後に当社統合報告書(テルモレポート)にて公開予定) 「Scope」については、GHG(Greenhouse Gas)プロトコルによる以下の区分で報告しています。 Scope 1:直接排出(燃料燃焼などの自社の排出) Scope 2:購入した電気などのエネルギー生産に伴う間接排出(電力事業者などの排出) Scope 3:Scope2以外の間接排出(原料生産、輸送、廃棄などの他社の排出) 事業に影響を及ぼすリスクリスクリスクの内容物理的リスク自然災害が発生した場合の建物・設備・在庫への被害、操業の一時停止により製品の供給に支障が生じた場合の機会損失慢性的な気温上昇や水不足によるエネルギーコストの増加、労働生産性の低下、操業に一時的な支障が生じた場合の機会損失社会インフラである医療体制が自然災害の影響を受けた場合の特定製品に対する需要の急増、医療体制の機能低下・停滞が長期化した場合の収益への影響移行リスク炭素税が導入・強化された場合のエネルギーコスト・原材料費の増加GHG排出規制などの環境規制強化に伴う設備変更とそれに伴う設備投資コストの増加顧客やビジネスパートナーからのGHG排出削減要請や環境配慮型製品の供給要請が高まった場合の対応コストの増加、対応が困難な場合の機会損失 事業に影響を及ぼす機会機会機会の内容物理的機会気候変動に伴う長期的な疾病構造の変化に対応した製品の提供、医療体制のレジリエンス強化に寄与する製品の提供(安定供給)移行機会生産やサプライチェーンのエネルギー効率向上によるコスト削減医療現場の効率性向上やGHG排出量削減に寄与する製品の提供 4℃シナリオ、1.5℃シナリオそれぞれにおいて、上記のリスク・機会がテルモの事業に与える影響度を分析した結果、以下のリスクが比較的影響度が大きいと推定されました。 <4℃シナリオ>自然災害が発生した場合の事業所の建物・設備・在庫への被害、操業の一時停止により製品の供給に支障が生じた場合の機会損失<1.5℃シナリオ>自然災害が発生した場合の事業所の建物・設備・在庫への被害、操業の一時停止により製品の供給に支障が生じた場合の機会損失 炭素税が導入・強化された場合のエネルギーコストや原材料費の増加 自然災害など事業継続に関わるリスクへの対応については、テルモグループ共通の基本的な考え方および体制・対応事項を「グループ事業継続マネジメント(BCM)規程」で定めています。 平時においては、各生産拠点、原材料調達や物流などに携わる本社機能部門、各カンパニー、海外子会社のリスク担当者が連携し、有事の際に事業を中断しないため、また万が一中断しても早期に復旧・再開させるために、BCP(事業継続計画)を策定しています。 事業継続に関わるリスクが発生した場合は、テルモ株式会社の社長CEOを対策本部長として「対策本部」を設置し、迅速に対応を行います。 テルモグループのサプライチェーンや業務が一定期間停止することが判明した場合には、早期の復旧を図ります。 エネルギーコストや原材料費の増加に対しては、エネルギー効率の高い生産設備の導入や、より少ない原材料やエネルギーで生産できる製品の開発などに継続的に取り組んでいきます。 |
戦略 | 戦略 テルモは、持続可能な社会の実現とテルモグループの持続的成長の両立に向けて長期的視点でサステナビリティ経営を推進するため、2021年12月に「テルモグループ サステナビリティ基本方針」を制定し、併せてサステナビリティ重点活動テーマを改定しました。 基本方針および重点活動テーマでは、テルモの企業理念に基づき、医療課題の解決を通じた「社会価値創造」(CSV)をサステナビリティ経営の最重要活動テーマと位置付けました。 さらに、社会価値創造を支える基盤としての活動をESGと定義し、活動テーマを設定してCSVとともに推進しています。 サステナビリティ重点活動テーマ 重点活動テーマの特定プロセス以下のプロセスを経て、テルモグループの重点活動テーマを特定しました。 ステップ1 課題の抽出GRI(Global Reporting Initiative)やSASB(Sustainability Accounting Standards Board)などが公表しているサステナビリティ関連のガイドラインや基準などを参照し、テルモグループに関連のあるサステナビリティ課題を網羅的に抽出。 ステップ2 優先順位づけ抽出した課題について、ステークホルダーにとっての重要度と、企業理念との関連性などテルモグループにとっての重要度を評価し、双方にとって重要度の高い課題を抽出。 ステップ3 重点活動テーマの特定抽出された重要度の高い課題の内容を基に、テルモグループにおける現状の取り組みも考慮しながら、重点活動テーマを特定。 特定されたテーマを経営会議、取締役会で審議し、妥当性を確認。 |
指標及び目標 | 指標及び目標2022年度からの5カ年成長戦略「GS26」では、前述のサステナビリティ重点活動テーマを基に、CSV・ESGに関する取り組みテーマやモニタリング項目・KPIを設定し、役員で分担して推進しています。 さらにサステナビリティ経営の推進における役員の貢献度合いを評価・報酬に適切に反映するため、役員の業績評価指標として、2023年度より「将来企業価値目標」を導入しました。 GS26 CSVテーマサステナビリティ重点活動テーマである「医療課題の解決」(「医療技術・サービスの普及、医療アクセスの向上」「一人ひとりの人生に寄り添う医療の提供」「持続可能な医療システムの共創」)に貢献すべく、各カンパニーがGS26で取り組むCSVテーマを設定し、それぞれの強みを活かしたユニークなソリューションを提供することで、社会価値と経済価値の両立を実現していきます。 心臓血管カンパニーCSVテーマ①ラディアル手技の普及②トレーニング③個別化医療の推進モニタリング項目・KPI①ラディアル比率(2026年度):心臓(冠動脈)75%以上、下肢動脈 20%以上、腹部 15%以上、脳血管 15%以上 ②トレーニング参加医療従事者数(TIS)③ステントグラフト、放射線塞栓ビーズ、脳動脈瘤用袋状塞栓デバイス等の普及推進2024年度主な取り組み・実績①心臓(冠動脈)、腹部、脳血管において順調に進捗 心臓(冠動脈)79%、下肢動脈 8%、腹部 15%、脳血管 12%②前年度(2022年度)に1,000人超の大規模プログラムを実施したことなどにより、全受講者数は前年度比約1割強減少(約53千人)したが、実施件数は前年度比2割強増加、対面での受講者数も同約2割弱増加(約33千人)。 ※②は2023年度実績③事業間・地域間の連携プログラムにおいてデジタルの取り組みを推進 メディカルケアソリューションズカンパニーCSVテーマ①周術期ソリューション ②外来化学療法ソリューション③リーナル(腎臓)ケアソリューションモニタリング項目・KPI①グローバルで1,000施設導入②国内がん拠点病院の35%(※)に導入 ※2024年度の実績が30%に達したため、目標値を20%から35%へと見直し③グローバルで20,000人の患者さんが使用2024年度主な取り組み・実績①グローバルで836施設に導入(国内785施設、海外51施設、海外8か国へ展開)②国内がん拠点病院の30%に導入。 外来化学療法室向けソリューション「薬物療法業務支援システム」の本格導入準備③グローバルで約12,000人の患者さんが使用。 腹膜透析管理アプリケーション「テルモPDマイケア」の販売の本格化、中国における中性液の販売拡大 血液・細胞テクノロジーカンパニーCSVテーマ①イノベーションを拡大し、治療を受けられる患者数を増やす②これまで届けられなかった患者さんに命を救う技術を届ける③医療提供のインフラを効率化するモニタリング項目・KPI①主要製品プラットフォーム 保険償還獲得状況とディスポーザブル製品※販売数量: ディスポーザブル製品※販売数量 年率二桁成長 ※全血バッグとReveos、TACSI、Trima Accel、Spectra Optia、FINIA、Quantumのディスポーザブルセット②中国、アフリカ 売上額増加③血液自動製剤システム 累計導入台数増加2024年度主な取り組み・実績①4件の重要な保険償還を獲得(ケニア・英国・ブラジル・中国)。 主要製品プラットフォームによる治療患者数の指標となるディスポーザブル製品販売数量は前年度比4%増加②中国:成分採血システム「Trima Accel」や遠心型血液成分分離装置「Spectra Optia」の導入台数が過去最高を記録 アフリカ:中部アフリカの売上が前年度比20%増加。 赤血球交換を含む鎌状赤血球症治療のクリニカルパスが保険償還を取得(ケニア)③血液自動製剤システム:売上が前年度比15%増加 (注) GS26公表後に各カンパニーのCSVテーマ、モニタリング項目・KPIの内容を一部見直しております。 GS26 ESGテーマGS26のESGテーマでは、製品・サービスの品質と安全性、安定供給の確保や、多様な人財が活躍できる組織作りなど、CSVを支える基盤となる活動とともに、カーボンニュートラルの実現といった社会からの期待・要請に応える活動にも取り組んでいます。 これらの取り組みを通じて、テルモグループの持続的な成長を支える強固な事業基盤の構築と持続可能な社会の実現への貢献を目指します。 テーマKPI2024年度実績カーボンニュートラル実現CO2排出量(2018年度比、Scope 1+2)削減率50.4%(2030年度)削減率100%(2040年度)26.8%削減(注2)使用電力の再生可能エネルギー利用利用率50%(2030年度)37.5%(注2)資源の有効活用水使用量(売上収益当たり、2018年度比)削減率20%(2030年度)38.5%削減(注2)リサイクル率90%(2030年度)89.3%(注2)製品・サービスの品質と安全性、安定供給の確保規制当局からの重大な指摘事項の件数0件0件持続可能なサプライチェーンマネジメント重大な市場欠品0件1件サプライヤーガイドラインの趣旨に反する重大な逸脱のある取引0件0件労働環境の安全対策推進死亡・重大労災発生件数0件死亡 0件重大労災 0件アソシエイト・エクスペリエンス向上アソシエイトを対象としたエンゲージメントサーベイの結果-(注3)多様な人財を活かし価値創造につなげる組織へ経営役員、グローバル・キーポジション(GKP)の外国人比率-経営役員 33.3%(注4)GKP 59.3%(注4)女性管理職比率(テルモ株式会社)13%(2026年度)12.0%取締役会の実効性取締役会の実効性評価毎年実施実施コンプライアンスの推進会社の経営に重大な影響を与える法令違反0件0件 (注)1.GS26公表後に内容を一部見直しております。 2.2023年度の実績を記載しております。 3.サーベイの結果につきましては、当社ウェブサイトに掲載している統合報告書(テルモレポート2024)の63ページ「エンゲージメントサーベイ」をご覧ください。 4.2025年4月1日時点の比率を記載しております。 |
人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略 | 人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針戦略医療や社会全体が急速に変化する中で、テルモグループの成長戦略を実現するためには人財の強化が必要不可欠です。 そのためにアソシエイトが企業と共に成長し続ける人財戦略を展開しています。 具体的には、グローバルビジネスを支える多様なリーダーの育成に加え、今後の経営戦略を見据えた組織全体の新たなケイパビリティ(能力)を構築すべく、組織強化や戦略的要員計画にも注力しています。 また、アソシエイト一人ひとりが常に新しいことに挑戦し学び続ける“Growth Mindset”や、Diversity(多様性)、Equity(公平性)、Inclusion(包摂性)(以下、「DE&I」)の文化醸成により、アソシエイトが持てる能力をフルに発揮できる環境の構築を目指しています。 グローバルリーダーの育成に関しては、リーダー育成の各ステージをつなぐ継続的なパイプライン形成のため、グローバル共通の仕組みとして一貫した4つの要素(スキル・コンピテンシー定義、育成、育成状況・計画の議論、登用・活用)で施策を設計しています。 また、Growth Mindset推進のため、経営トップやビジネスリーダーが旗振り役となり、実践の鍵となる3つの習慣(実験する、進歩を評価する、他者から学ぶ)をアソシエイトが日々の業務に取り入れることのできる環境づくりに取り組んでいます。 DE&Iについては、性別、国籍、職務、役職等において多様性のあるアソシエイトで構成されるグローバルDE&Iカウンシルを2021年7月に発足させ、テルモグループ共通のDE&Iフィロソフィー・ガイディングプリンシプル・ガイドラインを策定しており、多様性の確保に向けた人財育成方針、社内環境整備方針を定めています。 また取り組み事例として、グループ横断選抜型の育成プログラムやグローバルタレントレビューの実施、育成計画、サクセッションプランを通したグループワイドな人財登用の整備を行っています。 さらに、2024年にはDE&Iを推進するための4つの重点分野を刷新し、グループ各社で活動を進化させています。 [DE&Iに関する4つの重点分野における主な取り組み]●目標設定・人事プロセス:経営役員によるDE&I目標/KPIの設定および管理 ●インクルーシブリーダーシップ:インクルーシブリーダーシップの実践促進●帰属意識・一体感:事業や地域を越えた横断的なARG(Associate Resource Group)同士のコラボレーション促進●コミュニケーション:社内外コミュニケーションの強化(例:テルモ DE&I Weekのグローバル実施) |
人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績、指標及び目標 | 人材の多様性の確保に関する指標及び目標<目標値を設定している指標> - テルモ株式会社5か年成長戦略(GS26)で掲げている目標:2026年度末までに女性管理職比率13%を目指す <指標の内容と実績> ・女性管理職 - テルモグループ 女性管理職比率:30.8%(2025年3月31日現在) - テルモ株式会社 女性管理職比率:12.0%(2025年3月31日現在) ・外国人管理職 - テルモグループ 経営役員外国人比率:33.3%(2025年4月1日現在) - テルモグループ グローバル・キーポジション外国人比率:59.3%(2025年4月1日現在) ・中途採用者管理職 - テルモグループ 経営役員中途採用比率:50.0%(2025年3月31日現在) - テルモ株式会社 管理職中途採用比率:23.2%(2025年3月31日現在) (注)1.テルモでは、共に働き会社の成長を支える大切な存在として、アソシエイトを「人材」ではなく「人財」と表記しています。 2.上記指標のうち、テルモ株式会社の女性管理職比率以外の指標は各国や地域によって状況が異なるため、モニタリングのみを実施しており、目標値は設定しておりません。 3.人的資本に係るガバナンスとリスク管理につきましては、「(1)サステナビリティ全般」の「ガバナンス・リスク管理」をご参照ください。 |
事業等のリスク | 3 【事業等のリスク】 当社は、内外で発生する種々のリスク事象に対応するため、「グループリスク管理規程」を制定し、組織体制の整備及び各事象への対応を行っています。 当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のある主要なリスクには、以下のようなものがあります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 |
経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 | 4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 [業績等の概要](1) 業績当社グループでは、2021年12月に次の5カ年を対象とする成長戦略を策定しました。 高齢化社会における慢性疾患との共生や患者さんのQOL向上、ゲノム医療とAIの進化による個別化医療の進展といった、医療のパラダイムシフトに対応するための中長期ビジョンとして「デバイスからソリューションへ」を掲げました。 製品軸から顧客軸へフォーカスを移し、医療のエコシステム全体とより積極的にかかわることで、顧客の課題に複合的なソリューションを提案できる企業を目指して経営を推進しています。 5カ年成長戦略の3年目となる当期の連結業績は以下のとおりです。 前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円)増減額(百万円)増減率(%)売上収益921,8631,036,171114,30812.4(海外)710,742818,964108,22215.2(日本)211,121217,2066,0852.9調整後営業利益156,785203,44546,66029.8営業利益140,096157,66817,57212.5税引前利益140,829154,57413,7459.8当期利益106,374116,97810,60410.0親会社の所有者に帰属する当期利益106,374116,97810,60410.0 セグメントの業績は以下のとおりです。 セグメントの名称 前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円)増減額(百万円)心臓血管カンパニー売上収益555,716624,35768,641調整後営業利益123,850154,68230,831メディカルケアソリューションズカンパニー売上収益197,569211,23513,665調整後営業利益19,78922,9933,203血液・細胞テクノロジーカンパニー売上収益168,328200,28031,951調整後営業利益16,39426,48210,088 (注) 調整後営業利益は、営業利益から買収に伴い取得した無形資産の償却費及び一時的な損益を調整した利益です。 2025年4月1日付で、心臓血管カンパニーの一部事業名称の変更ならびに血液・細胞テクノロジーカンパニーの開示セグメントの変更を行いました。 事業名称の変更は、各事業がグローバルで展開するビジネスブランドと事業名称の統一を目的としたものであり、各事業で取り扱う製品やサービスに変更はありません。 また、開示セグメントの変更は、2024年に実施した組織変更の反映に伴うものです。 <心臓血管カンパニー>海外は、インターベンショナルシステムズ事業(旧TIS事業)やニューロ事業(旧ニューロバスキュラー事業)を中心に全事業で伸長、為替も寄与し、前期比13.6%の増収となりました。 日本は、ニューロ事業やアオルティック事業(旧血管事業)の売上が好調に推移しましたが、公定価格下落の影響もありインターベンショナルシステムズ事業の売上が減少し、前期比0.6%の微増に留まりました。 その結果、心臓血管カンパニーの売上収益は前期比12.4%増の6,244億円となりました。 <メディカルケアソリューションズカンパニー>日本は、価格政策及び堅調な需要継続を背景に、ホスピタルケアソリューション事業が伸長し、前期比3.8%の増収となりました。 海外は、米州を中心に売上収益が増加し、前期比15.5%の増収となりました。 その結果、メディカルケアソリューションズカンパニーの売上収益は前期比6.9%増の2,112億円となりました。 <血液・細胞テクノロジーカンパニー>海外は、北米における血漿イノベーションビジネスの展開加速や、欧米での採血関連ビジネスの売上が増加するなど、グローバルブラッドソリューション(旧血液センター向けビジネス)が好調に推移し、前期比20.3%の増収となりました。 日本でも、採血関連製品の売上収益が増加し、前期比2.0%の増収となりました。 その結果、血液・細胞テクノロジーカンパニーの売上収益は前期比19.0%増の2,003億円となりました。 (2) キャッシュ・フロー≪キャッシュ・フロー計算書概要≫ 前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円)増減額(百万円)営業活動によるキャッシュ・フロー146,330210,80264,472投資活動によるキャッシュ・フロー△81,472△82,481△1,008財務活動によるキャッシュ・フロー△62,079△108,766△46,686現金及び現金同等物の期末残高204,883221,87216,989 (営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果得られた資金は、2,108億円となりました。 税引前利益1,546億円、減価償却費及び償却費854億円、減損損失225億円、法人所得税の支払額513億円が主な要因です。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果使用した資金は、825億円となりました。 生産設備等への投資に伴う有形固定資産の取得による支出686億円、新ITシステムへの投資等に伴う無形資産の取得による支出137億円が主な要因です。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果使用した資金は、1,088億円となりました。 長期借入れによる収入300億円、社債の発行による収入698億円、デリバティブの決済による収入254億円、長期借入金の返済による支出1,603億円、配当金の支払額356億円、自己株式の取得による支出301億円が主な要因です。 また、上記に加えて、現金及び現金同等物に係る換算差額により26億円減少した結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末より170億円増加して2,219億円となりました。 [生産、受注及び販売の状況](1) 生産実績当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりです。 報告セグメント金額(百万円)前連結会計年度比(%)心臓血管カンパニー620,8977.7メディカルケアソリューションズカンパニー197,0762.2血液・細胞テクノロジーカンパニー205,67318.8合計1,023,6488.6 (注) 1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。 2.報告セグメントに含まれる製品は、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 ⑥連結財務諸表注記 5.セグメント情報 (1) 報告セグメントに関する基礎」をご覧ください。 3.当連結会計年度の仕入製品の仕入実績は、当連結会計年度平均販売価格算出で、35,217百万円です。 (2) 受注実績当社グループは主として見込み生産を行っているため、受注実績の記載をしておりません。 (3) 販売実績当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりです。 報告セグメントサブセグメント金額(百万円)前連結会計年度比(%)心臓血管カンパニーインターベンショナルシステムズ406,28111.5ニューロ97,19716.9カーディオバスキュラー67,3478.4アオルティック53,53016.4メディカルケアソリューションズカンパニーホスピタルケアソリューション145,2658.0ライフケアソリューション21,360△6.8ファーマシューティカルソリューション44,60911.3血液・細胞テクノロジーカンパニー―200,28019.0調整額29819.8合計1,036,17112.4 (注) 1.調整額298百万円は、報告セグメントに帰属しない外部向け人材派遣による収入等です。 2.報告セグメントに含まれる製品は、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 ⑥連結財務諸表注記 5.セグメント情報 (1) 報告セグメントに関する基礎」をご覧ください。 [財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析]文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2025年6月23日)現在において判断したものです。 将来に関する事項は不確実性を内包しておりますので将来生じる実際の結果と差異が生じる可能性があります。 (1) 経営成績<連結業績について> 前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円)増減額(百万円)増減率(%)売上収益921,8631,036,171114,30812.4売上総利益479,174560,67081,49517.0調整後営業利益156,785203,44546,66029.8営業利益140,096157,66817,57212.5税引前利益140,829154,57413,7459.8当期利益106,374116,97810,60410.0親会社の所有者に帰属する当期利益106,374116,97810,60410.0 ① 売上収益売上収益は、前期比12.4%増の1兆362億円となりました。 グローバルで医療需要の拡大が継続し、米州を中心に海外で主要ビジネスが成長、為替も寄与し、当社グループの販売は好調に推移しました。 海外は、アクセス製品を中心としたインターベンショナルシステムズ事業や、血漿イノベーションビジネスの展開加速を受けてグローバルブラッドソリューションが拡大、為替も寄与し、前期比15.2%の増収となりました。 日本は、ホスピタルケアソリューション事業の売上が好調に推移し、前期比2.9%の増収となりました。 なお、地域別の売上収益及びその前期比は、下図のとおりです。 ② 利益売上総利益は、売上収益の増加を中心に、前期比17.0%増の5,607億円となりました。 調整後営業利益は、売上総利益の増加等により、前期比29.8%増の2,034億円となりました。 営業利益、税引前利益、親会社の所有者に帰属する当期利益は、売上総利益の増加により、いずれも増益となりました。 なお、当社グループは、当社グループが適用する会計基準であるIFRSにおいて定義されていない、調整後営業利益という業績管理指標を追加的に開示しております。 調整後営業利益は、営業利益から買収に伴い取得した無形資産の償却費及び一時的な損益を調整した利益であり、セグメント利益と一致しています。 調整後営業利益は、当社グループが中長期的に持続的な成長を目指す上で、各事業運営の業績を把握するために経営管理に利用している指標であり、財務諸表の利用者が当社グループの業績を評価する上でも、有用な情報であると考えております。 セグメントごとの業績の概況については、「業績等の概要 (1) 業績」に記載しております。 (2) 財政状態の分析<主要財務指標> 前連結会計年度当連結会計年度親会社所有者帰属持分当期利益率8.7%8.7%資産合計当期利益率6.2%6.4%親会社所有者帰属持分比率72.5%74.8%1株当たり親会社所有者帰属持分893.80円927.85円フリー・キャッシュ・フロー64,857百万円128,321百万円 (注) 当社は、2024年4月1日付で普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行っており、前連結会計年度の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、「1株当たり親会社所有者帰属持分」を算定しております。 ① 資産当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ30億円減の1兆8,284億円となりました。 これは主に、為替相場が円高方向に推移した影響及び減損損失等によりのれん及び無形資産が430億円減少した一方、事業規模の拡大等により現金及び現金同等物、棚卸資産がそれぞれ170億円、78億円増加、生産設備への投資等により有形固定資産が152億円増加したことによるものです。 ② 負債当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ445億円減の4,599億円となりました。 これは主に、長期借入金の返済等により社債及び借入金が570億円減少したことによるものです。 ③ 資本当連結会計年度末における資本合計は、前連結会計年度末に比べ414億円増の1兆3,685億円となりました。 これは主に、当期利益の計上により1,170億円増加した一方で、為替相場が円高方向に推移した影響等に伴うその他の包括利益の計上により102億円減少、自己株式の取得により300億円減少、剰余金の配当により356億円減少したことによるものです。 なお、キャッシュ・フローの状況については、「業績等の概要 (2) キャッシュ・フロー」に記載しております。 (3) 資本の財源及び資金の流動性① キャッシュ・フロー当連結会計年度の「業績等の概要 (2) キャッシュ・フロー」に記載のとおりです。 ② 財務政策当社グループは、資本政策の基本方針として「事業オペレーション改善などを通じた資産効率の向上と、財務健全性も考慮した適正な資本構成の構築を図りつつ、売上成長・利益率改善に加えて、投下資本利益率(ROIC)及び株主資本利益率(ROE)の改善を目指します」を掲げております。 運転資金需要の主なものは、製品製造のための原材料、部品購入のほか、製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものです。 研究開発費は営業費用の一部として計上されます。 また、持続的な成長のため、設備投資をはじめ、企業買収による投資などへの投資資金需要が発生します。 当連結会計年度における重要な資本的支出の予定とその主な財源は「第3設備の状況 3設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりです。 当社グループは、事業活動に必要な資金を安定的に確保するため、資本政策の基本方針に沿って、内部資金、借入、社債等により調達しております。 具体的には、年度事業計画にもとづく資金調達計画を策定・更新するとともに、定期的に手元流動性及び有利子負債の状況等を把握・集約しております。 また、欧米・アジア・中国の拠点とキャッシュマネジメントシステムを運用し、グループ内余剰資金を活用するなど資金効率の向上に努めています。 さらに、金融機関には十分な借入枠を有しており、内部資金、資金調達と併せ、当社グループの成長を維持するために将来必要な運転資金及び設備等投資資金を調達することは可能であると考えています。 中長期的な成長投資は継続しつつ、さらにM&Aに関しても持続的かつ収益性のある成長に資する案件は、今後も継続し追求します。 一方、不急とみなすことのできる経費や投資案件は見直していきます。 また、利益配分につきましては、「安定した増配に加えて、自己株式取得による還元も活用し、総還元性向として50%水準を目標」を基本方針としております。 2025年6月24日開催予定の定時株主総会における期末配当の議案により、当期の年間配当金は1株につき26円(うち中間配当金13円)となり、当社は2024年4月1日を効力発生日として普通株式1株を2株に分割しておりますため、実質4円増配を予定しております。 次期の年間配当金につきましては、1株につき30円(うち中間配当金15円)を予定しております。 なお、当連結会計年度の有利子負債の残高については、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 ⑥連結財務諸表注記 15.社債及び借入金」に記載のとおりです。 (4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 ⑥連結財務諸表注記 2.作成の基礎 (5) 見積り及び判断の利用」に記載のとおりです。 (5) 次期の見通し2025年度においても、医療需要の増加傾向が継続し、欧米を中心に売上収益の拡大が見込まれます。 マクロ環境は、サプライチェーン混乱のリスクが緩和する一方で、原材料価格の高止まりは継続するものと考えます。 また、米国における関税政策の動向が流動的であり、先行きは不透明な状況になっています。 このような環境下において、業績予想については、売上収益、調整後営業利益において増収増益を見込んでいます。 製造現場における生産性の向上、コスト削減策等、市場環境に応じた適切な対策については、今後も継続していきます。 高成長が見込まれる分野では、引き続き生産能力の拡大を中心とする設備投資を進める予定です。 また、5カ年成長戦略「GS26」の達成に向けて、医療従事者の不足や院内業務効率化の推進等、医療現場の課題に向き合い、新たな価値・ソリューションを提供する事業の拡大・創出に取り組んでいきます。 なお、米国における関税政策の影響については、一定の想定に基づき影響額を推定しているものの、現時点では流動的であることから本業績見通しには織り込んでおりません。 |
研究開発活動 | 6 【研究開発活動】 当連結会計年度の研究開発費は742億円(売上収益比率7.2%)となりました。 心臓血管カンパニーインターベンショナルシステムズ事業では、薬剤溶出型冠動脈ステント「Ultimaster Nagomi」及び「Ultimaster Tansei」について、適応範囲拡大に関するMDR承認を取得しました。 この承認は、心臓カテーテル治療(PCI)患者の約45%を占める出血性合併症リスクの高い患者さんへの適応を拡大するもので、1カ月という短期間の二剤抗血小板療法(DAPT)適応対象者を含みます。 今回の適応拡大は、主要な臨床課題に対応する重要なマイルストーンとなり、出血性合併症リスクの高い患者さんの1カ月DAPTにおいてUltimasterが長期間の薬剤療法よりも安全なものであることを示唆しています。 アオルティック事業では、グループ会社のバスクテック社が「英国王賞(企業部門)」(The King's Awards for Enterprise)を受賞しました。 同賞は、「イノベーション」、「国際貿易」、「持続可能な開発」などのカテゴリーにおいて卓越した成果をあげた英国企業に贈られる賞であり、バスクテック社はイノベーションカテゴリーで受賞しました。 既製の製品では対応が困難な複雑な病変の場合、欧州など法令で許可されている一部の国や地域では、医療従事者の指示のもとで製品のサイズや形状などを調整したカスタムメイド製品も提供しています。 今回、カスタムメイド製品の提供に関するサービスが高く評価され、受賞となりました。 このサービスでは、クラウド上に登録された患者さんの症例情報やCT画像などのデータをもとにカスタムメイド製品を製造するほか、患者さんの大動脈の立体モデルを3Dプリンターで作成することも可能です。 これにより、医療従事者が立体モデルを使ってカスタムメイド製品が患部に適合するかを確認したり、手術前にトレーニングを行ったりすることで、複雑な病変への対処を入念に準備することができるようになりました。 当事業に係る研究開発費は509億円となりました。 メディカルケアソリューションズカンパニーホスピタルケアソリューション事業では、医療用ポータブル体成分分析装置「ラチェッタ」を販売開始しました。 このデバイスは、術前・術中・術後(周術期)の患者さんの管理における重要なパラメーターを測定できる体成分分析装置(体組成計)です。 周術期の患者さんの筋肉量や水分量を知ることは、栄養状態を把握し、経腸からの栄養剤の投与や静脈からの点滴など、個々の患者さんに適した栄養介入を行うことに役立ちます。 また、筋肉量や筋肉機能が低下した状態であるサルコペニアは、術後の合併症発生率の増大や化学療法の継続率低下といったリスクにつながります。 医療現場では体組成を簡単かつ正確に測定して患者さんの栄養状態を適切に評価し、治療に役立てるニーズが高まっています。 「ラチェッタ」は小型・軽量のため医療従事者が容易に持ち運ぶことができ、様々な患者さんや場面への対応が可能です。 また、付属のデータ管理用PCソフトをダウンロードして使用することによって、PC上でのデータの保存等を容易に行うことができ、患者さんへの外来栄養指導などで活かすことが期待されます。 ファーマシューティカルソリューション事業では、丸石製薬株式会社と共同開発したプレフィルドシリンジ製剤「スガマデクス静注液200mgシリンジ『マルイシ』」が同社から発売されました。 本製品は、麻酔による筋弛緩状態からの回復のために投与する医薬品(筋弛緩回復剤)であり、全身麻酔を伴う手術などの際に使用します。 プレフィルドシリンジ製剤は、薬液があらかじめシリンジに充填された状態で出荷され、医療現場において迅速な投与ができることに加え、薬剤の取り違えリスクの低減にもつながります。 テルモでは、プレフィルドシリンジの開発で培った独自の技術を生かし、薬剤に適した素材技術を組み合わせたデバイスの開発や、医薬品と医療機器のコンビネーションプロダクトの設計・製造を製薬企業と共同で行う事業を展開しています。 当事業に係る研究開発費は103億円となりました。 血液・細胞テクノロジーカンパニー鎌状赤血球症(SCD)患者における急性胸部症候群(ACS)治療について、ARCAD試験という新たな臨床試験への支援を発表しました。 この試験は、自動赤血球交換を用いたACSの早期治療が、手動交換と比較して、ACSの早期回復及び極めて脆弱な患者さんの入院中における有害事象の減少につながることの確認を目的としています。 ACS治療の迅速化は、成人SCD患者の罹患率と死亡率の減少、入院費用の削減などに貢献し、自動赤血球交換が重症ACSの標準治療の一部になる可能性をもたらします。 SCDは、形の悪い赤血球が血管に詰まり、血管閉塞による激しい痛みやその他の重篤な合併症を引き起こす遺伝子疾患です。 急速に進行する可能性があり、迅速な治療が必要です。 赤血球交換は、損傷した細胞を健康な細胞と交換するもので、手動交換と自動交換がありますが、手動の赤血球交換には時間がかかります。 自動赤血球交換は、より迅速かつ定量的に治療を行うことを可能にします。 また、FUJIFILM Irvine Scientific社と共同で、テルモBCTの細胞増殖システム「Quantum Flex」と同社のシステムを連携させることにより、T細胞培養の加速を目的とした提携を発表しました。 この提携は、連携するシステムを使用することで、T細胞培養における障壁を軽減することを目指しています。 細胞治療開発では、製造プロセスの拡張に大きな課題を抱えることが多く、T細胞増殖のための独自の方法を開発するのに大規模な投資が必要となります。 テルモBCTのプロトコールは、同社が市販している化学的に定義されたGMP準拠の培地を用いて試験されており、T細胞増殖に関連する時間、コスト、自社プロセス構築の複雑さなどの課題を軽減するのに役立ちます。 今回の提携により、プロセスの標準化が進み、実証済みの統合ソリューションを通じて治療開発におけるリスクが軽減され、T細胞増殖の規模拡大に向けて実現性のある可能性を提供するものとなります。 当事業に係る研究開発費は122億円となりました。 その他経営戦略と連携した研究開発を行うために、グル―プR&D全体像を可視化し、最適なポートフォリオと成長パイプラインを構築しています。 中長期的な研究開発を担うコーポレートR&Dでは、新領域の創出を加速する体制への変更や、規模の大きな研究テーマへのアロケーションシフトを実施しました。 また、米国カリフォルニア州に新たなR&D拠点「Discovery and TEchnology Center of Terumo (D-TECT)」を開設しました。 この拠点では、米国という大市場の中で活動し、現地の医療機関との連携を深め、アカデミアやスタートアップの動向を把握しながら探索活動を行うことができます。 これにより、コーポレートR&D活動のグローバル展開を一層加速させることを目指しています。 さらに、医療機器スタートアップとの連携強化を通じてイノベーション創出を加速させることを目的として、米国にコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)部門であるテルモベンチャーズを設立しました。 今後5年間で75百万米ドルの投資枠を設け、循環器疾患治療や慢性疾患治療、デジタル技術などの領域の企業に投資を始めました。 デジタルトランスフォーメーション(DX)は、イノベーションの一翼としての位置づけを明確化し、R&Dと同様に規模の大きなテーマへのアロケーションシフトや活動のグローバル展開を図っています。 米国拠点を設けて、活動の重点を最先端市場である米国に移し、デジタルヘルスのスタートアップを探索するとともに、現地事業部のデジタルソリューション開発を支援するほか、戦略的商品向けの内製AI開発を行っています。 本社内でも分散していたデジタル人財を統合し、生成AIを含むAI、クラウド、セキュリティ、及びコネクティビティの能力強化にも取り組んでいます。 なお、当連結会計年度の研究開発費総額には、各事業分野に配分できない基礎研究費用9億円が含まれております。 |
設備投資等の概要 | 1 【設備投資等の概要】 当社グループは、主に生産部門における生産能力の増強、効率化、品質改善等を目的とした設備投資のほか、研究開発部門の充実、強化を図るための投資を継続的に実施しております。 当連結会計年度は825億円の設備投資等を実施しました。 報告セグメント毎に示すと以下のとおりです。 心臓血管カンパニーの設備投資額は436億円となりました。 主に愛鷹工場、バスクテック,Ltd.、マイクロベンション,Inc.、テルモプエルトリコLLCにおいて生産能力の増強等を実施しました。 メディカルケアソリューションズカンパニーの設備投資額は185億円となりました。 医療機器と医薬品を組み合わせたコンビネーション製品の開発製造受託(Contract Development and Manufacturing Organization。 以下、「CDMO」)等の生産体制強化のため甲府工場内の新棟工場建設に向けた投資に加え、富士宮工場、テルモヨーロッパN.V.において、生産能力の増強、設備更新等を実施しました。 血液・細胞テクノロジーカンパニーの設備投資額は178億円となりました。 テルモBCT, Inc.を中心に、生産能力の増強等に加え、引き続き原料血漿採取関連の生産設備等の投資を実施しました。 全社共通(管理部門)の設備投資額は26億円となりました。 業務システムの機能向上を目的とした投資等を実施しました。 なお、当連結会計年度において、重要な設備の除却・売却などはありません。 |
主要な設備の状況 | 2 【主要な設備の状況】 当社グループにおける主要な設備は、以下のとおりです。 (1) 提出会社 2025年3月31日現在事業所名(所在地)セグメントの名称設備の内容帳簿価額従業員数(人)土地(百万円)(面積㎡)建物及び構築物(百万円)機械装置及び運搬具(百万円)その他(百万円)合計(百万円)富士宮工場(静岡県富士宮市)メディカルケアソリューションズカンパニー医薬品生産設備1,299(102,758)7,8394,24111,25724,637743血液・細胞テクノロジーカンパニー愛鷹工場(静岡県富士宮市)心臓血管カンパニー医療機器生産設備968(78,449)10,1936,5466,53724,2451,259メディカルケアソリューションズカンパニー甲府工場(山梨県中巨摩郡昭和町)メディカルケアソリューションズカンパニー医療機器生産設備3,600(217,794)2,8485,3345,39051,208962血液・細胞テクノロジーカンパニーメディカルケアソリューションズカンパニー医薬品生産設備4,1732,86126,998本社(東京都渋谷区幡ヶ谷)心臓血管カンパニー統括業務施設-3670237054メディカルケアソリューションズカンパニー血液・細胞テクノロジーカンパニー東京オフィス (東京都新宿区西新宿東京オペラシティタワー)心臓血管カンパニー統括業務施設-791861,1921,457993メディカルケアソリューションズカンパニー血液・細胞テクノロジーカンパニー湘南センター(神奈川県足柄上郡中井町)心臓血管カンパニー研究開発施設等4,445(184,646)5,8563712,28312,956714メディカルケアソリューションズカンパニー血液・細胞テクノロジーカンパニー (2) 国内子会社 2025年3月31日現在会社名事業所名(所在地)セグメントの名称設備の内容帳簿価額従業員数(人)土地(百万円)(面積㎡)建物及び構築物(百万円)機械装置及び運搬具(百万円)その他(百万円)合計(百万円)テルモ山口株式会社山口工場(山口県山口市)心臓血管カンパニー医療機器生産設備675(133,419)22,64016,5735,53645,4261,034メディカルケアソリューションズカンパニー医薬品生産設備 (3) 在外子会社 2025年3月31日現在会社名事業所名(所在地)セグメントの名称設備の内容帳簿価額従業員数(人)土地(百万円)(面積㎡)建物及び構築物(百万円)機械装置及び運搬具(百万円)その他(百万円)合計(百万円)テルモメディカルCorp.メリーランド工場(アメリカ)心臓血管カンパニー医療機器生産設備287(274,865)3,7607,3766,01917,444926テルモBCT, Inc.レイクウッド工場他(アメリカ)血液・細胞テクノロジーカンパニー医療機器生産設備449(135,745)9,41731,1528,24349,2631,258マイクロベンション, Inc.カリフォルニア工場他(アメリカ)心臓血管カンパニー医療機器生産設備1,560(53,194)12,0142,4551,73317,7632,775 (注) 1.IFRSに基づく金額を記載しております。 2.帳簿価額のうち「その他」は、工具、器具及び備品、建設仮勘定の合計です。 なお、使用権資産は各項目に含まれております。 |
設備の新設、除却等の計画 | 3 【設備の新設、除却等の計画】 当社グループの設備投資については、需要予測、投資効率等を総合的に勘案して策定しております。 設備計画は原則的に連結会社各社が個別に策定し、提出会社の取締役会で承認を得ております。 当連結会計年度末現在における重要な設備の新設、改修の計画は以下のとおりです。 (1) 重要な設備の新設等 会社名所在地セグメントの名称設備の主な内容・目的投資予定金額資金調達方法着手及び完了予定年月総額(百万円)既支払額(百万円)着手完了当社甲府工場山梨県中巨摩郡昭和町メディカルケアソリューションズカンパニーCDMO等生産体制強化のための新棟建設他58,000 25,065自己資金2023年2月2027年3月バスクテックLtd.イギリスグラスゴー心臓血管カンパニー生産設備拡充10,5937,211自己資金2018年4月2026年3月テルモBCT, Inc.アメリカレイクウッド血液・細胞テクノロジーカンパニー原料血漿採取関連の生産設備他 77,22775,120自己資金2018年11月2026年3月 (2) 重要な設備の除却等経常的な設備の更新のための除却等を除き、重要な設備の除却等の計画はありません。 |
研究開発費、研究開発活動 | 12,200,000,000 |
設備投資額、設備投資等の概要 | 2,600,000,000 |
Employees
平均年齢(年)、提出会社の状況、従業員の状況 | 40 |
平均勤続年数(年)、提出会社の状況、従業員の状況 | 16 |
平均年間給与、提出会社の状況、従業員の状況 | 7,784,646 |
管理職に占める女性労働者の割合、提出会社の指標 | 0 |
全労働者、労働者の男女の賃金の差異、提出会社の指標 | 1 |
正規雇用労働者、労働者の男女の賃金の差異、提出会社の指標 | 1 |
非正規雇用労働者、労働者の男女の賃金の差異、提出会社の指標 | 1 |
Investment
株式の保有状況 | (5) 【株式の保有状況】 1) 投資株式の区分の基準及び考え方保有目的が純投資目的である投資株式と純投資目的以外の目的である投資株式の区分について、当社では専ら株式の価値の変動又は株式に係る配当によって利益を受けることを目的とする場合を「純投資目的」としています。 2) 保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式a.保有方針及び保有の合理性を検証する方法並びに個別銘柄の保有の適否に関する取締役会等における検証の内容当社は事業機会創出や企業価値向上を目的とし、他社企業の株式を保有する場合があります。 保有株式については、中長期的な観点から経済合理性・目的を毎年取締役会等で検証を行っております。 b.投資株式のうち保有目的が純投資目的以外の目的であるものの銘柄数及び貸借対照表計上額の合計額 銘柄数(銘柄)貸借対照表計上額の合計額(百万円)非上場株式174,945非上場株式以外の株式105,804 (当事業年度において株式数が増加した銘柄) 銘柄数(銘柄)株式数の増加に係る取得価額の合計額(百万円)株式数の増加の理由非上場株式4985主に事業機会探索を目的とした投資非上場株式以外の株式--- (当事業年度において株式数が減少した銘柄) 銘柄数(銘柄)株式数の減少に係る売却価額の合計額(百万円)非上場株式110非上場株式以外の株式74,280 c.特定投資株式及びみなし保有株式の銘柄ごとの株式数、貸借対照表計上額等に関する情報特定投資株式銘柄当事業年度前事業年度保有目的、業務提携等の概要、定量的な保有効果及び株式数が増加した理由当社の株式の保有の有無株式数(株)株式数(株)貸借対照表計上額(百万円)貸借対照表計上額(百万円)クオリプス(株)530,000530,000主に心臓血管カンパニーにおける事業機会探索のため保有しております。 なお、定量的な保有効果については記載が困難です。 保有の合理性は、取引規模等から経済合理性・目的を毎年取締役会等で検証を行っております。 無4,4041,958東邦ホールディングス(株)122,080122,080主にメディカルケアソリューションズカンパニーにおける代理店取引関係維持・強化のため保有しております。 なお、定量的な保有効果については上記の記載内容と同様です。 有544445第一生命ホールディングス(株)279,200 (注)269,800全事業における保険・年金取引関係維持・強化のため保有しております。 なお、定量的な保有効果については上記の記載内容と同様です。 無 (注)1316268アルフレッサ ホールディングス(株)84,69284,692主にメディカルケアソリューションズカンパニーにおける代理店取引関係維持・強化のため保有しております。 なお、定量的な保有効果については上記の記載内容と同様です。 無 (注)1178188(株)ほくやく・竹山ホールディングス140,368140,368主にメディカルケアソリューションズカンパニーにおける代理店取引関係維持・強化のため保有しております。 なお、定量的な保有効果については上記の記載内容と同様です。 無 (注)1124122(株)メディパルホールディングス43,30343,303主にメディカルケアソリューションズカンパニーにおける代理店取引関係維持・強化のため保有しております。 なお、定量的な保有効果については上記の記載内容と同様です。 有101100メディアスホールディングス(株)72,00072,000主にメディカルケアソリューションズカンパニーにおける代理店取引関係維持・強化のため保有しております。 なお、定量的な保有効果については上記の記載内容と同様です。 有6856ウイン・パートナーズ(株)50,00050,000主に心臓血管カンパニーにおける代理店取引関係維持・強化のため保有しております。 なお、定量的な保有効果については上記の記載内容と同様です。 無 (注)16661大木ヘルスケアホールディングス(株)1,0501,050主にメディカルケアソリューションズカンパニーにおける代理店取引関係維持・強化のため保有しております。 なお、定量的な保有効果については上記の記載内容と同様です。 無01(株)みずほフィナンシャルグループ3838全事業における金融取引関係維持・強化のため保有しております。 なお、定量的な保有効果については上記の記載内容と同様です。 無 (注)100 銘柄当事業年度前事業年度保有目的、業務提携等の概要、定量的な保有効果及び株式数が増加した理由当社の株式の保有の有無株式数(株)株式数(株)貸借対照表計上額(百万円)貸借対照表計上額(百万円)(株)三菱UFJフィナンシャル・グループ―1,938,270全事業における金融取引関係維持・強化のため保有しておりましたが、当事業年度において売却いたしました。 無―3,017TOWA(株)―110,880主にメディカルケアソリューションズカンパニーにおける仕入取引関係維持・強化のため保有しておりましたが、当事業年度において売却いたしました。 無 ―1,183(株)スズケン―30,624主にメディカルケアソリューションズカンパニーにおける代理店取引関係維持・強化のため保有しておりましたが、当事業年度において売却いたしました。 有―142(株)バイタルケーエスケー・ホールディングス―37,485主にメディカルケアソリューションズカンパニーにおける代理店取引関係維持・強化のため保有しておりましたが、当事業年度において売却いたしました。 無 (注)1―47大日本印刷(株)―5,512主にメディカルケアソリューションズカンパニーにおける仕入取引関係維持・強化のため保有しておりましたが、当事業年度において売却いたしました。 無 ―25TOPPANホールディングス(株)―5,948主にメディカルケアソリューションズカンパニーにおける仕入取引関係維持・強化のため保有しておりましたが、当事業年度において売却いたしました。 無―23東京海上ホールディングス(株)―330全事業における保険取引関係維持・強化のため保有しておりましたが、当事業年度において売却いたしました。 無―1 (注) 1.発行者の一部子会社は当社の株式を保有しております。 2.株式の分割により株式数が増加しております。 みなし保有株式銘柄当事業年度前事業年度保有目的、業務提携等の概要、定量的な保有効果及び株式数が増加した理由当社の株式の保有の有無株式数(株)株式数(株)貸借対照表計上額(百万円)貸借対照表計上額(百万円)第一生命ホールディングス(株)8,000,000 (注)22,000,000退職給付信託契約による議決権行使の指図権限を有しております。 なお、定量的な保有効果については記載が困難です。 保有の合理性は、取引規模等から経済合理性・目的を毎年取締役会等で検証を行っております。 無 (注)19,0647,706(株)みずほフィナンシャルグループ411,424411,424退職給付信託契約による議決権行使の指図権限を有しております。 なお、定量的な保有効果については上記の記載内容と同様です。 無 (注)11,6661,253東京海上ホールディングス(株)―1,228,500退職給付信託契約による議決権行使の指図権限を有しておりましたが、当事業年度において売却いたしました。 無―5,777大日本印刷(株)―868,500退職給付信託契約による議決権行使の指図権限を有しておりましたが、当事業年度において売却いたしました。 無―4,056 (注) 1.発行者の一部子会社は当社の株式を保有しております。 2.株式の分割により株式数が増加しております。 3.貸借対照表計上額の上位銘柄を選定する段階で、特定投資株式とみなし保有株式を合算しておりません。 |
株式数が増加した銘柄数、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 4 |
株式数が減少した銘柄数、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 7 |
銘柄数、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 17 |
貸借対照表計上額、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 4,945,000,000 |
銘柄数、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 10 |
貸借対照表計上額、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 5,804,000,000 |
株式数の増加に係る取得価額の合計額、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 985,000,000 |
株式数の減少に係る売却価額の合計額、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 4,280,000,000 |
株式数、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社 | 38 |
貸借対照表計上額、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社 | 0 |
株式数、保有目的が純投資目的以外の目的であるみなし保有株式の明細、提出会社 | 411,424 |
貸借対照表計上額、保有目的が純投資目的以外の目的であるみなし保有株式の明細、提出会社 | 1,666,000,000 |
株式数が増加した理由、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 主に事業機会探索を目的とした投資 |
銘柄、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社 | 東京海上ホールディングス(株) |
保有目的、業務提携等の概要、定量的な保有効果及び株式数が増加した理由、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社 | 主にメディカルケアソリューションズカンパニーにおける代理店取引関係維持・強化のため保有しております。 なお、定量的な保有効果については上記の記載内容と同様です。 |