財務諸表
CoverPage
提出書類、表紙 | 有価証券報告書 |
提出日、表紙 | 2025-03-25 |
英訳名、表紙 | SymBio Pharmaceuticals Limited |
代表者の役職氏名、表紙 | 代表取締役社長兼CEO 吉田 文紀 |
本店の所在の場所、表紙 | 東京都港区虎ノ門四丁目1番28号 |
電話番号、本店の所在の場所、表紙 | 03(5472)1125 |
様式、DEI | 第三号様式 |
会計基準、DEI | Japan GAAP |
連結決算の有無、DEI | true |
当会計期間の種類、DEI | FY |
corp
沿革 | 2 【沿革】 年月概要2005年3月東京都港区において当社設立。 2005年12月アステラス・ファーマ GmbH社(現 アステラス・ドイッチラント GmbH社)と抗がん剤 SyB L-0501の日本における独占的開発権及び独占的販売権の供与を受けるライセンス契約を締結。 2006年8月SyB L-0501の第Ⅰ相臨床試験(再発・難治性の低悪性度非ホジキンリンパ腫及びマントル細胞リンパ腫の患者を対象)を開始。 2007年3月アステラス・ドイッチラント GmbH社とSyB L-0501の中国、韓国、台湾及びシンガポールにおける独占的開発権及び独占的販売権の供与を受けるライセンス契約を締結。 2007年9月SyB L-0501の第Ⅰ相臨床試験(再発・難治性の低悪性度非ホジキンリンパ腫及びマントル細胞リンパ腫の患者を対象)を終了。 2007年12月SyB L-0501の第Ⅱ相臨床試験(再発・難治性の低悪性度非ホジキンリンパ腫及びマントル細胞リンパ腫の患者を対象)を開始。 2008年3月イノファーマックス社とSyB L-0501の台湾における独占的開発権及び独占的販売権を供与するライセンス契約を締結。 2008年8月エーザイ株式会社とSyB L-0501の日本における共同開発権及び独占的販売権を供与するライセンス契約を締結。 2008年10月SyB L-0501の第Ⅰ相臨床試験(再発・難治性の中高悪性度非ホジキンリンパ腫の患者を対象)を開始。 2009年3月セファロン社とSyB L-0501の中国における独占的開発権及び独占的販売権を供与するライセンス契約を締結。 2009年3月SyB L-0501の第Ⅱ相臨床試験(再発・難治性の低悪性度非ホジキンリンパ腫及びマントル細胞リンパ腫の患者を対象)を終了。 2009年5月エーザイ株式会社とSyB L-0501の韓国及びシンガポールにおける独占的開発権及び独占的販売権を供与するライセンス契約を締結。 2009年10月SyB L-0501を、再発・難治性の低悪性度非ホジキンリンパ腫及びマントル細胞リンパ腫を予定適応症として、優先審査対象品目として国内製造販売承認を申請。 2010年3月SyB L-0501の第Ⅱ相臨床試験(再発・難治性の中高悪性度非ホジキンリンパ腫の患者を対象)を開始。 2010年10月再発・難治性の低悪性度非ホジキンリンパ腫及びマントル細胞リンパ腫を適応症として、抗悪性腫瘍剤「トレアキシン®(開発コード:SyB L-0501 、一般名:ベンダムスチン塩酸塩)」の国内製造販売承認を取得。 2010年12月抗悪性腫瘍剤「トレアキシン®(開発コード:SyB L-0501 、一般名:ベンダムスチン塩酸塩)」を、再発・難治性の低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫及びマントル細胞リンパ腫を適応症として提携先のエーザイ株式会社を通じて国内販売を開始。 2011年7月オンコノバ・セラピューティクス社と抗がん剤 SyB L-1101(注射剤) / C-1101(経口剤)の日本及び韓国における独占的開発権及び独占的販売権の供与を受けるライセンス契約を締結。 2011年10月大阪証券取引所JASDAQ(グロース)(現 東京証券取引所(グロース))に株式を上場。 2011年11月SyB L-0501の第Ⅱ相臨床試験(未治療(初回治療)の低悪性度非ホジキンリンパ腫及びマントル細胞リンパ腫の患者を対象)を開始。 2011年12月SyB L-0501の第Ⅱ相臨床試験(再発・難治性の多発性骨髄腫の患者を対象)を開始。 2012年6月SyB L-1101の第Ⅰ相臨床試験(再発・難治性の骨髄異形成症候群(MDS)の患者を対象)を開始。 2013年3月SyB C-1101の第Ⅰ相臨床試験(初回治療の骨髄異形成症候群(MDS)の患者を対象)を開始。 2013年5月SyB L-0501の第Ⅱ相臨床試験(慢性リンパ性白血病の患者を対象)を開始。 2013年11月SyB L-0501の第Ⅱ相臨床試験(再発・難治性の多発性骨髄腫の患者を対象)を中止。 年月事項2015年1月スポンサー付きADR(米国預託証券)プログラムを設立。 2015年10月ザ・メディシンズ・カンパニー社と手術後の自己疼痛管理用医薬品 SyB P-1501の日本における独占的開発権及び独占的販売権の供与を受けるライセンス契約を締結。 2015年10月SyB L-1101の第Ⅲ相臨床試験(再発・難治性の骨髄異形成症候群(MDS)の患者を対象)に参加。 2016年5月米国カリフォルニア州メンローパークに子会社、シンバイオファーマUSA(非連結子会社)を設立。 2016年6月SyB P-1501の第Ⅲ相臨床試験(入院期間中の短期術後急性疼痛管理を対象)を開始。 2016年8月SyB L-0501の慢性リンパ性白血病に対する効能追加の承認を取得。 2016年12月SyB L-0501の未治療(初回治療)の低悪性度非ホジキンリンパ腫及びマントル細胞リンパ腫に対する効能追加の承認を取得。 2017年8月SyB L-0501の第Ⅲ相臨床試験(再発・難治性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の患者を対象)を開始。 2017年9月イーグル・ファーマシューティカルズ社との間でトレアキシン®液剤 SyB L-1701(RTD製剤) / L-1702(RI投与)の日本における独占的開発権及び独占的販売権の供与を受けるライセンス契約を締結。 2017年11月ザ・メディシンズ・カンパニー社とのSyB P-1501のライセンス契約を解除。 2018年1月SyB C-0501の第Ⅰ相臨床試験(進行性固形がんの患者を対象)を開始。 2018年2月SyB P-1501の開発を中止。 2018年5月SyB C-0501の前臨床試験(全身性エリテマトーデス(SLE)を対象)を開始。 2018年10月トレアキシン®の国内販売について自社による販売体制構築の準備を開始。 2018年11月SyB L-1702(RI投与)の臨床試験を開始。 2019年9月キメリックス社との間で抗ウイルス薬ブリンシドフォビル(brincidofovir:BCV)SyB V-1901の世界全域における開発・販売・製造を含めた独占的権利の供与を受けるライセンス契約を締結。 2020年9月SyB L-1701 トレアキシン®液剤「RTD製剤」の製造販売に係わる承認を取得。 2020年12月抗悪性腫瘍剤「トレアキシン®」について自社による国内販売を開始。 2021年3月再発又は難治性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫を対象としたトレアキシン®とリツキシマブとの併用療法に対する製造販売承認事項一部変更承認を取得。 2021年3月再発又は難治性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫を対象としたトレアキシン®、リツキシマブとポラツズマブ ベドチンとの併用療法に対する製造販売承認事項一部変更承認を取得。 2021年8月SyB V-1901 第Ⅱ相臨床試験(造血幹細胞移植後アデノウイルス感染症)における第1例目の投与を米国において開始。 2022年2月SyB L-1702 トレアキシン®液剤(RI投与)の製造販売承認事項一部変更承認を取得。 2022年4月東京証券取引所グロース市場へ移行。 2022年9月キメリックス社と締結したBCVに関するライセンス契約のすべての権利・義務がエマージェント・バイオソリューションズ社に移転。 2023年3月米国国立衛生研究所(NIH)に所属する国立神経疾患・脳卒中研究所(NINDS)と共同研究開発契約(CRADA)を締結。 2023年4月米国国立衛生研究所(NIH)に所属する国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)と共同研究開発契約(CRADA)を締結。 2023年5月造血幹細胞移植後アデノウイルス感染症を対象とした第Ⅱ相臨床試験において、注射剤ブリンシドフォビルがヒトPOCを確立2024年1月アデノウイルス感染および感染症に対するSyB V-1901による用途特許を日本において取得2024年5月SyB V-1901による第Ⅱ相臨床試験(ATHENA試験)における造血幹細胞移植後のサイトメガロウイルス感染症を対象とした臨床試験を開始2024年8月がん領域におけるFIH(First in Human)試験としてSyB V-1901による悪性リンパ腫患者を対象に国際共同第Ib相臨床試験を開始 |
事業の内容 | 3 【事業の内容】 1.当社グループの事業概要について(1) 当社グループの概要当社グループ(当社及び当社の子会社)は、当社とグローバルスペシャリティファーマの戦略拠点として設立された連結子会社1社(SymBio Pharma USA, Inc. )と非連結子会社1社(SymBio Pharma Ireland Limited)で構成されております。 SymBio Pharma USA, Inc.は本年度も引き続き経営体制の再構築・経営基盤の充実を行い、その戦略拠点としての役割がより従来に比べ重要性を増しております。 当社は、元米国アムジェン社(注1)本社副社長で、同社の日本法人であるアムジェン株式会社の創業期から約12年間社長を務めた吉田文紀が、2005年3月に設立した医薬品企業です。 経営理念は「共創・共生」(共に創り、共に生きる)で表され、患者さんを中心として医師、科学者、行政、資本提供者を「共創・共生」の経営理念で結び、アンメット・メディカル・ニーズ(Unmet Medical Needs)(注2)に応えていくことにより、社会的責任及び経営責任を果たすことを事業目的としています。 なお、当社の事業は、医薬品等の研究開発及び製造販売並びにこれらの付随業務の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しています。 (注1) バイオ医薬品業界最大手。 1980年、米国カリフォルニア州サウザンド・オークスにおいて、AMGen(Applied Molecular Genetics)として設立。 日本においては、1993年5月にアムジェン株式会社として業務を開始しました。 (注2) アンメット・メディカル・ニーズ(Unmet Medical Needs)とは、未だ満たされない医療上の必要性を意味し、患者さんや医師から強く望まれているにもかかわらず有効な既存薬や治療がない状態を指します。 (2) 当社グループの事業の特徴がん・血液及びウイルス感染症領域における希少疾病分野(注3)の研究開発の多くは、欧米を中心に、大手製薬企業よりもむしろ、多くの大学・研究所、バイオベンチャー企業により創薬研究・新薬開発が活発に行われ、海外では既に数々の有用な新薬が医療の現場に提供されています。 しかし、これらの分野は開発に高度の専門性が求められることから、開発の難度も高く、また大手の製薬企業が事業効率の面、採算面で着手しにくいため日本を初めとして、世界各国において手掛けられていない空白の治療領域となっています。 当社グループは、極めて医療上のニーズは高いものの、新薬の開発が遅れている空白の治療領域をビジネスチャンスと捉え、特に、高い専門性が求められ難度が高いために参入障壁の高いがん・血液及びウイルス感染症領域を中心とした日本初のスペシャリティ・ファーマ(注4)です。 当社グループは、大型新薬(いわゆる売上高が1,000億円を超える「ブロックバスター」)の追求ではなく、マーケットは相対的に小規模でも医療ニーズの高い希少疾病分野を中心とした新薬開発に取り組み、これらの医薬品及び新薬候補品を数多く保有することにより、強固なパイプライン・ポートフォリオを構築し、高付加価値で高収益を達成し、持続性のある事業展開を行います。 当社グループは、このような空白の治療領域を埋めるための新薬の開発・提供を行うことを企業使命として設立されました。 新薬が開発されないことで治療上の問題を抱えている患者さんに対して、短期間で開発をし、迅速に治療薬をお届けすることを最優先に考え、医療への貢献、そして医薬品業界の健全な発展に寄与することにより、持続的成長と安定への道を進んでまいります。 (注3) 希少疾病分野とは、患者数が少ない疾病分野のことで、この分野に対する医薬品は希少疾病用医薬品(Orphan Drug:オーファンドラッグ)と呼ばれます。 厚生労働省はオーファンドラッグ制度を設定し、我が国において患者数が5万人未満の重篤な疾病であること、医療上特にその必要性が高いこと等をその指定の基準としています。 当該指定を受けると、申請から承認までの期間が短縮され、再審査期間が最長10年になる等の優遇措置があります。 (注4) スペシャリティ・ファーマとは、得意分野において国際的にも一定の評価を得る研究開発力を有する新薬開発企業をいいます(2007年「新医薬品産業ビジョン」(厚生労働省)の定義による)。 (3) 当社グループの事業モデルについて創薬系事業の特徴として、新薬の開発は長期間にわたり膨大な先行投資を強いられるものの、その研究開発の成功確率は極めて低いことが知られています。 一般に、研究所において何らかの生物・生理活性(注5)が認められた化合物が新薬として承認にいたる確率は、2万分の1~2万5千分の1と言われています。 また、承認を取得した新薬のうち、上市・販売後において採算が取れるのはそのうちの15~20%以下と言われています。 当社グループは、このような創薬系事業の難しさを踏まえた事業モデルを構築しています。 当社グループでは、開発にかかる様々なリスクと費用を軽減するとともに、開発候補品の臨床試験を迅速・確実に進め、開始から承認取得までの期間を短縮するために、主として既にヒトでPOC(Proof Of Concept)(注6)が確立され、前臨床試験データと臨床試験データがある化合物を対象としております。 これらの化合物の探索は当社グループ独自の探索ネットワークと評価ノウハウを活用して、当社グループ内の経験を有した専門スタッフによる第1次スクリーニングにより絞り込みを最初に行います。 その後、科学的諮問委員会(Scientific Advisory Board:以下「SAB」といいます)(注7)において、第一線で関連分野における治療の研究に携わる経験豊かな社外専門家の厳密な評価を受けた上で、当社において最終的な導入候補品を決定いたします。 当社グループ内外の専門家による、こうした“目利き”のプロセスを経て、当社グループはがん・血液及びウイルス感染症領域を中心として、製薬企業、バイオベンチャー企業等から主にヒトでPOCが確立された開発品の日本並びにアジア諸国、さらには欧米を含むグローバルの開発・製造・販売権を継続的に確保することにより、持続性のある事業を展開しています。 そのような、開発の成功確率が高く、事業性のある、魅力的な開発候補品を導入するためには、この“目利き”の力に加え、がん・血液及びウイルス感染症という開発の難度が高い治療領域における当社グループの開発力について、開発候補品の提供者であるライセンサーから高い評価を得ることも導入の成否を決める重要なポイントとなります。 そのためには、①適切な治験計画の策定、②治療対象となる適切な治験患者の選定、③その領域における医学専門家と公正な関係を維持・構築できる、専門性の高い優秀な開発スタッフが必要となります。 これらの総和が開発力となり、開発を着実に、かつ迅速に実行することが可能となります。 がん・血液及びウイルス感染症分野で実績のある大手製薬企業の開発部門で経験を積んだ人材を中心に構築された当社グループの開発チームが導入から承認申請までを僅か4年間という短期間でなし得た、抗がん剤 SyB L-0501での実績は、ライセンサー、パートナー企業、導入候補先企業から高い評価を得ています。 なお、開発につきましては、基本的な開発戦略の中枢となる臨床試験のデザイン、海外の試験との連携、医学専門家との調整等は当社グループが主体となって手掛け、定型的な開発業務は、外部資源であるCRO(Contract Research Organization 受託臨床試験実施機関)(注8)へ業務委託し、製造についてはライセンス供給元あるいは信頼できる国内外の製薬企業へ業務委託を行います。 販売につきましては、2008年8月に締結した事業提携契約に基づき、エーザイ株式会社(以下「エーザイ」という)を通じて国内販売を行ってまいりました。 事業提携契約が2020年12月に満了となることから、2018年10月よりトレアキシン®の国内販売について自社による販売体制構築の準備を開始しました。 2020年12月からの自社販売体制への移行に向けて、がん・血液及びウイルス感染症領域に精通した自社MR(Medical Representative)(注9)を中核とした全国営業体制の構築と流通及び物流機能の整備を推進すると同時に営業戦略・企画の策定及び市場調査を行うマーケティング体制の強化に努めるとともに関係治療領域におけるKOL(Key Opinion Leader)(注10)との良好な関係構築、的確な医療ニーズの把握と市場調査を行い、各種データ、ノウハウの蓄積を図ってまいり、2020年12月の契約満了に伴い自社販売体制へ移行しました。 これらの事業モデルを図示すると以下のようになります。 (注5) 生理活性とは、化学物質が生体の特定の生理的調節機能に対して作用する性質のことです。 この生理活性の作用を持つ化学物質を疾病治療に応用したものが医薬品となります。 (注6) POC(Proof of Concept)とは、新薬候補物質の有効性や安全性を臨床で確認し、そのコンセプトの妥当性を検証することを意味します。 (注7) 科学的諮問委員会(SAB:Scientific Advisory Board)とは、世界中から集まる膨大な新薬候補を元に、医療ニーズの高さや収益性などリスクバランスのとれたポートフォリオを、それぞれの専門の立場から意見や提言を交え徹底的に議論した上で、パイプライン戦略を構築する、当社の重要な評価機関です。 当社では、SABを年2~3回開催し、世界中から優れた実績と経験をもつ臨床医・基礎科学者の方々に、当社の創薬研究及び新薬開発のアドバイザーとして参画いただいています。 (注8) CRO(Contract Research Organization)とは、製薬企業が、自社で実施する開発業務を遅滞なく進めるために、一部の業務について委託を行う機関です。 委託業務の内容としては、治験が実施計画書どおりに遂行されているかをモニタリングするモニター業務や、臨床データを管理するデータ管理業務などがあります。 (注9) MR(Medical Representative)とは、自社医薬品に関する情報の専門家として医療機関を訪問し、医療関係者と面談することにより、医薬品の品質・有効性・安全性等に関する情報の提供・収集・伝達を主な業務とする医療情報担当者をいいます。 (注10)KOL (Key Opinion Leader)とは、担当領域の治療において他の医師に影響力を持つ医師のことをいいます。 (4) 当社グループの事業戦略当社グループは、中長期的な経営計画を実現すべく、主に以下の5つの事業戦略を展開しています。 (a) ポストPOC戦略による開発リスクの軽減当社グループの導入候補品(注11)は、主として既にヒトでPOCが確認されていることを原則としています。 従って、臨床開発ステージが比較的後期段階にある候補品か、既に海外で上市されている製品が対象となります。 これらの導入候補品は既に海外で先行して開発が行われており、新薬としてヒトでの有効性・安全性が確認されていることから、開発リスクを軽減でき、また、先行している海外の治験データを活用することにより開発期間を短縮するとともに開発コストを低減し、成功確率を高めることが可能となります。 (注11)導入候補品とは、当社グループの開発候補品として他社より開発権等の権利取得を検討している化合物を指します。 (注12)ブリッジングスタディとは、外国での臨床データを活用するために国内で行われる試験のことをいいます。 この国内試験の結果を外国のデータと比較し、同様の傾向があることを確認します。 (b) 高度な探索及び評価能力による、優れたパイプラインの構築当社グループの新薬サーチエンジンは、国内外の製薬企業及びバイオベンチャー企業等との多様なネットワークによって構築され、膨大な化合物の中から、社内の専門家による厳正な評価を経て、有望な導入候補品が抽出されます。 これらの導入候補品はさらに、第一線で研究に携わる経験豊かな専門家により構成されるSABに諮られ、そのアドバイスと評価を受けた上で導入候補品を決定しています。 この開発品導入決定までの高度なスクリーニングプロセスは、既に海外において有効性・安全性が確認された開発品を導入するポストPOC戦略と相まって開発リスクの軽減と開発期間の短縮につながることになり、また、候補品が医療の現場において求められるものかどうかの医療ニーズの充足度に対する理解、及び上市後の収益予測の精度向上に貢献しています。 <当社グループの開発品導入プロセス>(注13)CDAとは、Confidential Disclosure Agreementの略で、秘密保持契約書のことを意味します。 (c) ラボレス・ファブレス戦略による固定費抑制当社グループは、一切の研究設備や生産設備を保有していません。 研究設備・生産設備はともに固定費発生源の代表格ですが、当社グループはこれらを一切保有せずに、開発候補品の探索及び導入後は、開発品の開発戦略策定と実行等の付加価値の高い業務に専念し、そのほかに必要とされる定型的な開発業務は外注しています。 研究開発費のうち主なものは業務委託料であり、その金額的・質的重要性は高く、当社グループにおいてはその進捗状況等について厳密な管理を行っております。 (d) ブルーオーシャン戦略(注14)による高い事業効率の実現海外で標準治療薬として使用されている製品が日本では使用できない、あるいは海外で新薬として承認された製品が5年近くも遅れて日本で承認される、いわゆるドラッグ・ロス、ドラッグ・ラグの問題が深刻化しており、がん患者の難民という言葉も生まれています。 これらの問題は、当社グループの戦略的開発領域である難治性のがん・血液及びウイルス感染症領域で特に目立っています。 特に抗がん剤の市場自体は大きく、また高齢化に伴い現在も拡大傾向にあるものの、抗がん剤の対象疾患は多岐にわたり、がん腫により細分化されているため、各々のがん腫でみると対象患者数がそう多くはない治療領域が数多く存在します。 これらの領域での新薬の開発には、極めて高い専門性が求められ、開発の難度が高い半面、大手の製薬企業では採算性などの問題から開発に着手しにくいことがその理由のひとつといわれています。 しかし、ひとたび、そうした領域において新薬の承認を取得し上市できれば、競合が少ないため、これらの領域で適応拡大・新製品上市を着実に積み上げていくことで、高成長・高収益を実現できるものと考えています。 (注14)ブルーオーシャン戦略とは、競合との熾烈な競争により限られたパイを奪い合う市場(レッドオーシャン)を避け、市場を再定義し、競合のいない未開拓な市場(ブルーオーシャン)を創造することで、顧客に高付加価値を与えつつ利潤の最大化を目指す戦略です。 (e) アジアからグローバル展開へ当社グループはこれまで日本を中心としたアジア各国を対象に事業を展開してまいりました。 しかしながら、日本の医療を取り巻く環境が大きく変わっていく中、アジアに留まっていては大きな発展は望めません。 今後はグローバルな展開を視野に入れた開発候補品の探索及び評価を実施してまいります。 2019年9月にはキメリックス社(本社:米国ノースカロライナ州)との間で抗ウイルス薬ブリンシドフォビルに関しての独占的グローバルライセンス契約を締結し、当社グループは天然痘・サル痘を含むオルソポックスウイルスの疾患を除くすべての疾患を対象とした世界全域における開発・販売に加えて製造を含む独占的権利を取得しております。 抗ウイルス薬ブリンシドフォビルの事業展開については、dsDNAウイルスに対するその広範な活性を有することから、国内及び海外の専門領域の有力な研究施設と共同研究を進めており、研究成果である科学的知見を基にグローバルの臨床試験を検討、実施してまいります。 2.当社グループのパイプラインについて当社グループは現在開発中のパイプラインとして、SyB V-1901、SyB L-1701、SyB L-1702、SyB L-1101及びSyB C-1101、を有しています。 今後も開発候補品を継続的に導入することにより、パイプラインのより一層の拡充及びリスク・リターンのバランスのとれたパイプライン・ポートフォリオを構築してまいります。 <当社グループパイプラインの進捗状況> ① 抗ウイルス薬SyBV-1901(一般名:brincidofovir<ブリンシドフォビル>「BCV」)移植後感染症領域グローバル展開を見据えキメリックス・インク社(Chimerix Inc.、本社:米国ノースカロライナ州、以下「キメリックス社」)から導入した抗ウイルス薬BCVの注射剤及び経口剤(SyB V-1901、以下各々「IV BCV」及び「Oral BCV」)の事業展開については、二本鎖DNAウイルス(dsDNAウイルス)に対し広範な活性を有することから、国内及び海外の専門領域の有力な研究施設と共同研究を進めており、研究成果である科学的知見を基にグローバルの臨床試験を検討、実施してまいります。 IV BCVについては、造血幹細胞移植後や臓器移植後などの免疫不全状態にある患者のアデノウイルス(AdV)感染及び感染症の治療を対象に、IV BCVのグローバル開発を優先的に進めることを決定し、2021年3月に、主に小児対象(成人も含む)のアデノウイルス感染及び感染症を対象とする第IIa相臨床試験を開始するため、米国食品医薬品局(FDA)に治験許可申請(Investigational New Drug (IND) Application)を行いました。 本開発プログラムについては、2021年4月に、FDAからファストトラック指定を受けています。 2023年5月、本試験において、IV BCVの抗アデノウイルス活性を認め、ヒトPOC(Proof of Concept)を確立し、2024年上半期に第IIa相臨床試験は完了しました。 現在関係各国の規制当局との間で国際第III相臨床試験の開始に向けて協議中で、同時に、国際共同治験実施のための当社体制の構築を進めてまいります。 なお、本試験に関しては、当試験の有効性を示すポジティブ・データが欧米の各学会において口頭発表されました。 また、本試験の結果に基づき出願したアデノウイルス感染及び感染症の治療に関するBCVの用途特許が2024年1月に日本において成立し登録されました。 造血幹細胞移植後のサイトメガロウイルス感染症患者を対象とした米国における第IIa相臨床試験は、2024年5月に開始し、同年6月に第1例目の登録が行われ、現在試験が進行中です。 腎移植後のBKウイルス(BKV)感染症に対する開発は、現在プロトコルの修正の検討を行っております。 ポリオーマウイルス、特にJCウイルス(JCV)は、dsDNAウイルスの中でも、その感染によって脳に重篤な疾患を引き起こすことが知られており、既存の抗ウイルス薬ではほとんど効果が見られないため、有効な治療薬の開発が待ち望まれています。 2022年11月に米国ペンシルベニア州立大学医学部との間で試料提供契約(MTA:Material Transfer Agreement)を締結し、ポリオーマウイルス感染マウスモデルにおけるBCVの抗ウイルス活性を検証する非臨床試験を実施しています。 また、2024年7月には、その研究成果の第一報として、新たな知見がmBio誌に公表されました。 血液腫瘍領域BCVは高い抗ウイルス作用に加え、抗腫瘍効果も確認されており、シンガポール国立がんセンター(NCCS:National Cancer Centre Singapore)やカリフォルニア大学サンフランシスコ校脳神経外科脳腫瘍センターとの共同研究等を通じて、EBウイルス陽性リンパ腫、難治性脳腫瘍等、がん領域における新規適応症の探索も行っています。 また、2022年12月、米国ニューオーリンズで開催された第64回米国血液学会年次総会(The 64th American Society of Hematology (ASH) Annual Meeting)において現在有効な治療方法が確立していない進行の早いNK/T細胞リンパ腫に対するBCVの治療効果に関するNCCSとの共同研究成果について口頭発表されました。 さらに、2023年6月にはスイス・ルガーノで開催された第17回国際悪性リンパ腫会議(17th International Conference on Malignant Lymphoma: ICML)でBCVの抗腫瘍効果を予測するバイオマーカーに関する研究成果について発表、2024年4月には、米国サンディエゴで開催された米国がん学会(AACR Annual Meeting 2024)においてB細胞リンパ腫に対するBCVの抗腫瘍効果について発表、さらに2024年6月スペイン・マドリードで開催された欧州血液学会(EHA2024 Hybrid Congress)において、末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)に対するBCVの抗腫瘍効果について発表されました。 2024年8月には、がん領域におけるIV BCVのFIH(First in Human)試験として、悪性リンパ腫患者を対象とした国際共同第Ib相臨床試験を開始しました。 本試験はBCVのがん領域におけるヒトPOCを確立することを目的としています。 その他の領域EBウイルス(EBV)の関連疾患であることが近年証明された難病の多発性硬化症(MS:Multiple Sclerosis)について、2022年8月に、米国国立衛生研究所(NIH:National Institutes of Health)に所属する国立神経疾患・脳卒中研究所(NINDS:National Institute of Neurological Disorders and Stroke)との間で、共同研究試料提供契約(Collaboration Agreement for The Transfer of Human Materials)を締結しました。 2023年3月には、多発性硬化症の治療におけるBCVのEBウイルスに対する効果を検証し、今後の臨床試験の実施に向けて必要とされる情報を得ることを目的として共同研究開発契約(CRADA:Cooperative Research and Development Agreement)を締結し、2023年10月にはその研究成果が、イタリア・ミラノで開催された第9回 ECTRIMS-ACTRIMS 合同学会(The 9th Joint ECTRIMS-ACTRIMS Meeting)において発表されました。 現在、本共同研究ではマーモセット(非ヒト霊長類)を用いた試験を実施しております。 米国国立衛生研究所に所属する国立アレルギー・感染症研究所(NIAID :National Institute of Allergy and Infectious Diseases)との間で、EBウイルス関連リンパ増殖性疾患に対するBCVの有効性を評価する共同研究開発契約(CRADA)を2023年4月に締結しました。 dsDNAウイルスの中には単純ヘルペスウイルス1型(HSV1)をはじめ水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)など、脳神経組織への指向性を有するものがあり、アルツハイマー型認知症を含めた様々な脳神経領域の重篤性疾患に、それらが潜伏しているウイルスの再活性化が関与している可能性についての研究がこの数年進み、知見が増えています。 2022年12月に米国タフツ大学により確立されたヒト神経幹細胞を培養した脳組織を3次元に模倣したHSV感染・再活性化モデルを用いて、単純ヘルペスウイルス(HSV)感染に対するBCVの効果を検証するための委託研究契約(Sponsored Research Agreement)を締結し、共同研究を実施しています。 ② [抗がん剤SyBL-0501(FD製剤)/SyBL-1701(RTD製剤)/SyBL-1702(RI投与))(一般名:ベンダムスチン塩酸塩又はベンダムスチン塩酸塩水和物、製品名:トレアキシン®)]ベンダムスチン塩酸塩(一般名)は、ドイツにおいて非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫および慢性リンパ性白血病の治療薬(製品名「リボムスチン®」)として長年使用されている抗がん剤です。 この分野には優れた薬剤がなく、再発・難治性の低悪性度非ホジキンリンパ腫およびマントル細胞リンパ腫の患者さんにとって、この製品はまさしく当社グループの企業使命である、空白の治療領域を対象とした薬剤であるが導入の決め手となりました。 日本においては、低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫及びマントル細胞リンパ腫、慢性リンパ性白血病、再発・難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(r/r DLBCL)の承認を取得しております。 また、イーグル社との間でトレアキシン®液剤(RTD製剤及びRI投与)の日本における独占的ライセンス契約を締結しております。 トレアキシン®に関しては、東京大学や京都大学との共同研究等に積極的に取り組み、新たな開発の可能性を探索しております。 ③ [抗がん剤 SyB L-1101(注射剤) / SyB C-1101(経口剤)(一般名:リゴセルチブナトリウム)]リゴセルチブは、ユニークなマルチキナーゼ阻害作用を有する、骨髄異形成症候群(MDS)等を目標効能とする抗がん剤です。 オンコノバ社との間で、本剤の日本及び韓国における独占的開発権および独占的販売権を取得するライセンス契約を2011年7月に締結しました。 リゴセルチブ及びトレアキシン®に関しては、東京大学との共同研究等を通じて、両化合物あるいは他の既存薬との併用により新たな有用性を見出すとともに新規適応症の探索を行っています。 (参考) 医薬品研究開発の一般的な進行について医薬品研究開発のプロセスは以下のとおりであり、通常、(a)から(f)までに10年から17年程度かかるといわれています。 (医薬品研究開発のプロセス)(a) 基礎研究(b) 前臨床試験(非臨床試験)(c) 臨床試験(治験)(d) 申請及び承認(e) 薬価申請・収載(f) 上市販売(g) 製造販売後調査 (a) 基礎研究新薬のもとになる候補物質を探し出すプロセスです。 化学物質、微生物、遺伝子などの研究から、将来薬となる可能性がある新しい物質(成分)を発見したり、化学的に作り出したりするための研究であり、一般的には研究所などで実施されます。 (b) 前臨床試験(非臨床試験)(a)で特定された薬剤候補化合物を対象に、生物学的試験として、動物や培養細胞を用いて安全性や有効性について調べる、いわゆる動物に対して実施する試験です。 また、化学的試験として、製造方法、原薬及び製剤の規格・安定性を調べるなどの試験があります。 (c) 臨床試験(治験)前臨床試験の結果、有効性及び安全性の観点から有用な医薬品になり得る可能性が認められた場合、十分な検討の上で、実際にヒトを対象とした有効性及び安全性の検証を行う、臨床試験(治験)が行われます。 治験はさらに3段階にわかれ、それぞれ参加者の同意を得た上で行われますが、その内容は以下のとおりです。 1) 第Ⅰ相臨床試験第Ⅰ相は、治療効果を見ることを目的とせず、比較的少数の健康な志願者を対象に主に副作用と安全性を確認する試験です。 2) 第Ⅱ相臨床試験第Ⅱ相は、通常、患者さんにおける治療効果の探索を主な目的とする試験を開始する段階です。 少数の患者さんを対象に、有効性と安全な投薬量や投薬方法を確認する試験です。 3) 第Ⅲ相臨床試験第Ⅲ相は、第Ⅱ相よりも投与患者数をさらに増やし、治療効果の既存薬剤との比較データ、副作用のデータ等を収集することによって、有効性と安全性について検証し、新薬として承認されるための適切な根拠となるデータを得ることを目的とした試験です。 (d) 申請及び承認治験で有効性や安全性などが証明された治験薬について、新薬承認申請書類を作成し、厚生労働省に製造販売承認の申請を行います。 数段階の審査を受け、承認されて初めて「薬」として市場に出ることになります。 ちなみに基礎研究段階で新薬候補とされた物質(成分)の内、製造販売承認を得ることができるものはわずか2万分の1から2万5千分の1といわれております。 (e) 薬価申請・収載新薬の価格(以下「薬価」といいます)を厚生労働省へ申請し、開発コスト、類似薬や諸外国の価格を参考に価格の承認を受けます。 これを薬価収載といいます。 (f) 上市販売薬価収載が完了し、実際に薬を販売できる状況になることを上市といい、この段階から販売が可能になります。 (g) 製造販売後調査販売を開始した後に、病院などの医療機関でさらに多くの患者さんに投与された結果を元に、臨床開発段階では発見できなかった副作用や適正使用情報などの収集が行われ、厚生労働省に報告を行います。 |
関係会社の状況 | 4 【関係会社の状況】 名称住所資本金議決権の所有割合(%)主要な事業内容関係内容SymBio Pharma USA,Inc.米国ノースカロライナ州 1米ドル100.0医薬品の研究・開発役員の兼任有 |
従業員の状況 | 5 【従業員の状況】 (1) 連結会社の状況2024年12月31日現在セグメントの名称従業員数(人)医薬品等の研究開発及び製造販売並びにこれらの付随業務108 (15)合計108 (15) (注) 従業員数は就業員数(契約社員を含む)であり、臨時雇用者数(人材会社からの派遣社員)は、( )内に外数で記載しております。 (2) 提出会社の状況2024年12月31日現在従業員数(人)平均年齢(歳)平均勤続年数(年)平均年間給与(千円)101(15)56.05.313,215 (注) 1.従業員数は就業員数(契約社員を含む)であり、臨時雇用者数(人材会社からの派遣社員)は、( )内に外数で記載しております。 2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。 3.従業員数の減少は、臨時雇用者の契約終了および退職による自然減によるものです。 4. 当社の事業は、医薬品等の研究開発及び製造販売並びにこれらの付随業務のみの単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。 (3) 労働組合の状況労働組合は組成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。 (4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休暇取得率及び労働者の男女の賃金格差の差異① 提出会社 管理職に占める女性労働者の割合(%)(注1)男性労働者の育児休業(%)(注2)労働者の男女の賃金の差異(%)(注1及び3)全体正社員契約社員(非常勤)(注3)契約社員(フルタイム)(注3)33-8280-- (注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。 2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4番1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。 3. 契約社員において非常勤は男性のみ、フルタイムは女性のみとなっております。 ② 連結子会社 海外子会社1社については、正社員7名となっております。 |
経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 | 1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 (1)会社の経営の基本方針文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 当社グループは、元米国アムジェン社(注1)本社副社長で、同社の日本法人であるアムジェン株式会社の創業期から約12年間社長を務めた吉田文紀が、2005年3月に設立した医薬品企業です。 経営理念は「共創・共生」(共に創り、共に生きる)で表され、患者さんを中心として医師、科学者、行政、資本提供者を「共創・共生」の経営理念で結び、アンメット・メディカル・ニーズ(Unmet Medical Needs)(注2)に応えていくことにより、社会的責任及び経営責任を果たすことを事業目的としています。 当社グループは、極めて医療上のニーズは高いものの、新薬の開発が遅れている空白の治療領域をビジネスチャンスと捉え、特に、高い専門性が求められ難度が高いために参入障壁の高いがん・血液及びウイルス感染症領域を中心とした日本初のスペシャリティ・ファーマです。 当社グループは、大型新薬(いわゆる売上高が1,000億円を超える「ブロックバスター」)の追求ではなく、マーケットは相対的に小規模でも医療ニーズの高い希少疾病分野を中心とした新薬開発に取り組み、これらの医薬品及び新薬候補品を数多く保有することにより、強固なパイプライン・ポートフォリオを構築し、高付加価値で高収益を達成し、持続性のある事業展開を行います。 (注1) バイオ医薬品業界最大手。 1980年、米国カリフォルニア州サウザンド・オークスにおいて、AMGen(Applied Molecular Genetics)として設立。 日本においては、1993年5月にアムジェン株式会社として業務を開始しました。 (注2) アンメット・メディカル・ニーズ(Unmet Medical Needs)とは、未だ満たされない医療上の必要性を意味し、患者さんや医師から強く望まれているにもかかわらず有効な既存薬や治療がない状態を指します。 (2)目標とする経営指標当社グループは製薬企業として、自社販売体制の下で新薬を継続的に上市していくことが企業価値の更なる向上を図る上での重要な要素と考えており、営業組織及び流通・物流を含めた営業の一貫体制を構築しました。 同時に、継続的に開発候補品を導入し積極的に研究開発活動等に経営資源を投下する方針です。 当社グループは、SyB L-0501が2010年に国内で製造販売承認されて以来継続して製品販売による売上を主として収益を伸ばしています。 事業提携契約が有効な2020年12月まではエーザイとの協業によるトレアキシン®の更なる拡販を推し進め、2021年以降は自社による販売体制への切り替えによる更なる収益の拡大を目指してまいります。 また、引き続きリゴセルチブの注射剤及び経口剤の承認取得及び上市、抗ウイルス薬ブリンシドフォビルの国内及び海外における開発開始と商業化、新たなパイプラインの導入・開発推進・承認取得等を通じて、安定的に高収益を確保できる体制の早期実現に取り組んでおります。 引き続き積極的な研究開発投資を行っていくことから、ROEやROAなどの経営指標の目標は設定しておりません。 (3)中長期的な会社の経営戦略当社グループは、中長期的な経営計画を実現すべく、主に以下の5つの事業戦略を展開しています。 ① ポストPOC戦略による開発リスクの軽減当社グループの導入候補品は、主として既にヒトでPOCが確認されていることを原則としています。 従って、臨床開発ステージが比較的後期段階にある候補品か、既に海外で上市されている製品が対象となります。 これらの導入候補品は既に海外で先行して開発が行われており、新薬としてヒトでの有効性・安全性が確認されていることから、開発リスクを軽減でき、また、先行している海外の治験データを活用することにより開発期間を短縮するとともに開発コストを低減し、成功確率を高めることが可能となります。 ② 高度な探索及び評価能力による、優れたパイプラインの構築当社グループの新薬サーチエンジンは、国内外の製薬企業及びバイオベンチャー企業等との多様なネットワークによって構築され、膨大な化合物の中から、社内の専門家による厳正な評価を経て、有望な導入候補品が抽出されます。 これらの導入候補品はさらに、第一線で研究に携わる経験豊かな専門家により構成されるSABに諮られ、そのアドバイスと評価を受けた上で導入候補品を決定しています。 この開発品導入決定までの高度なスクリーニングプロセスは、既に海外において有効性・安全性が確認された開発品を導入するポストPOC戦略と相まって開発リスクの軽減と開発期間の短縮につながることになり、また、候補品が医療の現場において求められるものかどうかの医療ニーズの充足度に対する理解、及び上市後の収益予測の精度向上に貢献しています。 ③ ラボレス・ファブレス戦略による固定費抑制当社グループは、一切の研究設備や生産設備を保有していません。 研究設備・生産設備はともに固定費発生源の代表格ですが、当社グループはこれらを一切保有せずに、開発候補品の探索及び導入後は、開発品の開発戦略策定と実行等の付加価値の高い業務に専念し、そのほかに必要とされる定型的な開発業務は外注しています。 研究開発費のうち主なものは業務委託料であり、その金額的・質的重要性は高く、当社グループにおいてはその進捗状況等について厳密な管理を行っております。 ④ ブルーオーシャン戦略(注3)による高い事業効率の実現海外で標準治療薬として使用されている製品が日本では使用できない、あるいは海外で新薬として承認された製品が5年近くも遅れて日本で承認される、いわゆるドラッグ・ロス、ドラッグ・ラグの問題が深刻化しており、がん患者の難民という言葉も生まれています。 これらの問題は、当社グループの戦略的開発領域である難治性のがん・血液及びウイルス感染症領域で特に目立っています。 特に抗がん剤の市場自体は大きく、また高齢化に伴い現在も拡大傾向にあるものの、抗がん剤の対象疾患は多岐にわたり、がん腫により細分化されているため、各々のがん腫でみると対象患者数がそう多くはない治療領域が数多く存在します。 これらの領域での新薬の開発には、極めて高い専門性が求められ、開発の難度が高い半面、大手の製薬企業では採算性などの問題から開発に着手しにくいことがその理由のひとつといわれています。 しかし、ひとたび、そうした領域において新薬の承認を取得し上市できれば、競合が少ないため、これらの領域で適応拡大・新製品上市を着実に積み上げていくことで、高成長・高収益を実現できるものと考えています。 (注3) ブルーオーシャン戦略とは、競合との熾烈な競争により限られたパイを奪い合う市場(レッドオーシャン)を避け、市場を再定義し、競合のいない未開拓な市場(ブルーオーシャン)を創造することで、顧客に高付加価値を与えつつ利潤の最大化を目指す戦略です。 ⑤ アジアからグローバル展開へ当社グループはこれまで日本を中心としたアジア各国を対象に事業を展開してまいりました。 しかしながら、日本の医療を取り巻く環境が大きく変わっていく中、アジアに留まっていては大きな発展は望めません。 今後はグローバルな展開を視野に入れた開発候補品の探索及び評価を実施してまいります。 2019年9月にはキメリックス社(本社:米国ノースカロライナ州)との間で抗ウイルス薬ブリンシドフォビルに関しての独占的グローバルライセンス契約を締結し、当社グループは天然痘・サル痘を含むオルソポックスウイルスの疾患を除くすべての疾患を対象とした世界全域における開発・販売に加えて製造を含む独占的権利を取得しております。 抗ウイルス薬ブリンシドフォビルの事業展開については、dsDNAウイルスに対するその広範な活性を有することから、国内及び海外の専門領域の有力な研究施設と共同研究を進めており、研究成果である科学的知見を基にグローバルの臨床試験を検討、実施してまいります。 (4)主要な経営課題当社グループは、以下の点を主要な経営課題と捉え、取り組んでまいります。 ① パイプラインの更なる充実について製薬ベンチャー企業として企業価値を高めるためには、開発候補品を継続的に導入し、パイプラインを充実させていく必要があります。 製薬ベンチャー企業として企業価値を高めるためには、開発候補品を継続的に導入し、パイプラインを充実させていく必要があります。 当社グループでは、抗ウイルス薬 SyB V-1901、抗がん剤SyB L-1701、SyB L-1702、SyB L-1101及びSyB C-1101において開発を実施または計画しています。 また、現在、新薬候補品の導入に関して複数の案件を相手先企業と協議しており、パイプラインの更なる拡充に向けて今後も新規の開発候補品の導入を積極的に進めてまいります。 ② 既存パイプラインのライフサイクル・マネジメントの追求企業価値を高めるためには、開発候補品の導入だけではなく、導入した新薬候補品の適応症を追加することにより、開発品目あたりの収益の最大化を図る、ライフサイクル・マネジメントを追求することが重要となります。 トレアキシン®は、再発・難治性の低悪性度非ホジキンリンパ腫及びマントル細胞リンパ腫、慢性リンパ性白血病、及び未治療(初回治療)の低悪性度非ホジキンリンパ腫及びマントル細胞リンパ腫を適応症として製造販売承認を取得しています。 加えて、再発・難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(r/r DLBCL)について2021年3月に製造販売承認を取得しました。 また、ライフサイクル・マネジメントを推進することにより、トレアキシン®の事業価値の最大化を図るべく、イーグル社より導入したトレアキシン®液剤(RTD製剤及びRI投与)につきましては、RTD製剤は2020年9月に製造販売承認を取得し、2021年1月より販売を開始しました。 RI投与は2021年5月に一変承認申請を完了し、2022年2月に一変承認を取得しました。 リゴセルチブについては、骨髄異形成症候群(MDS)を対象として第Ⅲ相臨床試験(INSPIRE試験)を実施しておりましたが、2020年8月に医師選択療法との比較において主要評価項目を達成しなかったことを発表しました。 当社グループは日本における臨床開発を担当しており、INSPIRE試験の追加解析から得られた知見を今後のリゴセルチブの開発に活用するための検討を進めております。 リゴセルチブ又はトレアキシン®に関して、東京大学及び京都大学等との共同研究を通じて、両化合物あるいは他の既存薬との併用により新たな有用性を見出すとともに新規適応症の探索を行い、事業価値の最大化に努めます。 抗ウイルス薬ブリンシドフォビルについては、アンメット・メディカル・ニーズの高い造血幹細胞移植後アデノウイルス感染症及び腎移植後BKウイルス感染症を対象にグローバル開発を先行して進めておりますが、新たに、ウイルスにより誘引されたがん等を対象とした開発も検討しております。 また、米国国立衛生研究所や米国タフツ大学等との共同試験のデータの蓄積により、脳神経変性疾患に対する効果の可能性を検討し、ライフサイクル・マネジメントの追求を通じて事業価値の最大化を図るとともに、グローバル市場を対象に事業展開をするスペシャリティ・ファーマへの転換を進めてまいります。 ③ 後発医薬品への対応2022年2月に当社製品トレアキシン®RTD製剤を先発医薬品とする後発医薬品の製造販売承認を4社が取得し、内2社が同年に後発医薬品の販売を開始しました。 ファイザー株式会社及び東和薬品株式会社が、当社製品であるトレアキシン®点滴静注液100mg/4mL(トレアキシン®)の後発医薬品につき、製造販売承認を得て販売を開始したことを受け、当社は、2022年12月に、トレアキシン®に係る特許権のライセンス元であるイーグル社と共同で、両社に対してそれぞれ特許権侵害に基づく後発医薬品の製造販売の差止請求及び損害賠償請求訴訟を提起しておりましたが、両社に対する裁判はいずれも終了しております。 なお、2025年1月時点において、3社が後発医薬品を販売しております。 ④ 更なる成長を求めてグローバル展開へ当社グループはこれまで日本のみならず、中国・韓国・台湾・シンガポールの4ヶ国を戦略地域として位置付け、アジア地域への展開を進めてまいりました。 しかしながら、日本においては高齢化とともに医療費が膨張し、それに伴う国家戦略として後発医薬品80%時代が始まり新薬メーカーにとって厳しい環境が続くことが予想されます。 また、アジア各国においても同様の政策が始まることも考えられます。 こうした中、当社グループは更なる発展のためにグローバル展開を進めてまいります。 これまでのアジア展開で培った経験を活かし、抗ウイルス薬ブリンシドフォビルに続く新規開発候補品について、米国、欧州等のグローバルの権利を取得するべく、候補品の探索・評価及び交渉を進めてまいります。 ⑤ 人材の確保について当社グループの経営資源の第一は人であると考えています。 優秀な人材なくして、新薬の探索、開発及び情報提供活動、そして今後のグローバル展開において優れた成果をあげることはできません。 当社グループは継続的に優秀な人材の採用を行っており、上場後、特に経営組織をより強固にすべく優れた人材を採用してまいりました。 また、OJTや研修等による人材育成を通じて、人材の更なる強化を図ってまいります。 ⑥ 財務上の課題について当社グループは、パイプラインの開発進展、グローバル事業展開、開発候補品の増加等に伴い、研究開発費を中心とする事業活動に合わせて資金を調達する必要があります。 従って、引き続き資金調達手法の多様化を進めるとともに、予算管理の徹底を通じてコスト抑制を図ることで、財務基盤の更なる強化に努めてまいります。 |
サステナビリティに関する考え方及び取組 | 2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】 当社グループは、「共創・共生(共に創り、共に生きる)」の理念に基づき、製薬企業として発展していくためには、経済的利益のみを追求するのではなく、コンプライアンス遵守のための活動を誠実かつ積極的に推進し、良き企業市民として高い社会的信頼を得ることが極めて重要であると考えております。 このような考えから、当社は、社会に貢献する製薬企業として、社会的責任と公共的使命を十分に果たすため、コンプライアンスの遵守に努めてまいります。 なお、文中における将来に関する事項は、本書発表日現在において当社グループが判断したものです。 (1)ガバナンス 当社グループは、患者さんを中心とし、科学者・医師・行政・株主が支えあう共創・共生の企業理念のもと、「空白の治療領域」に光を当て、一日でも早く、優れた医薬品を開発・供給することにより、世界の人々の健康と福祉に貢献し、医療の向上に寄与してまいります。 この企業理念を追求することこそが当社グループの企業価値を向上させるとの認識のもと、高い倫理観を持ちつつ、コーポレート・ガバナンスを強化し、内部統制システムの適正な構築・運用、さらにはコンプライアンス及びリスク管理の徹底、経営の効率化、経営の健全性確保に努めております。 なお、当社は2022年3月29日、監査等委員会設置会社へ移行し、コーポレート・ガバナンスのさらなる充実に取り組んでおります。 (2)戦略 当社グループは、性別・国籍・年齢等に関わらず専門性の高い多様な人材の採用と育成を推進しております。 今後のグローバルな事業展開を見据え、達成に向けて進捗を注視していくとともに、指標や目標の設定要否についても引き続き検討する予定です。 また、組織・体制・風土においては社内での取り組み姿勢などについてサーベイを行う他、安心して働ける職場環境を維持するため、ハラスメント防止トレーニングを行い、社員の意識向上に取り組んでおります。 (3)指標及び目標国連の定める持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)「目標5・ジェンダー平等を実現しよう」に取り組んでおり、すべての社員がその能力を十分に発揮して業績に貢献されるように働きやすい職場環境を整えるため「女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画」を下記指標に基づき実施しております。 現代社会の一員としてSDGs達成に向けた積極的な行動を推進してまいります。 ① 実施期間:2022年4月1日〜2027年3月31日の5年間② 実績及び目標: 全社員に占める女性社員 2024年12月時点31%(目標2027年3月に40%以上) 派遣社員に占める女性派遣社員 2024年12月時点73%(目標2027年3月に50%以上について達成)③ 取組内容:・仕事と育児の両立支援に関連する制度の周知と意識啓発の実施・女性社員の育児休業取得率100%の実現・有給休暇の取得促進・採用時において性別、国籍、年齢等に関わらず、専門性の高い多様な人材の採用を推進 (4)リスク管理当社グループは、リスク管理基本方針と関連規程に基づき、内部統制委員会がリスク管理を統括しております。 日常業務におけるリスクマネジメントは、内部統制委員会が各部門とリスク情報を共有し、対応を確認しており、また緊急時においては、代表取締役社長を対策本部長とした対策本部を設置して迅速な対応を図れる体制としております。 内部統制委員会は、経営上のリスクに関して、リスクマネジメントの状況を定期的に、または必要に応じて都度、取締役会に報告しております。 |
戦略 | (2)戦略 当社グループは、性別・国籍・年齢等に関わらず専門性の高い多様な人材の採用と育成を推進しております。 今後のグローバルな事業展開を見据え、達成に向けて進捗を注視していくとともに、指標や目標の設定要否についても引き続き検討する予定です。 また、組織・体制・風土においては社内での取り組み姿勢などについてサーベイを行う他、安心して働ける職場環境を維持するため、ハラスメント防止トレーニングを行い、社員の意識向上に取り組んでおります。 |
人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略 | 当社グループは、性別・国籍・年齢等に関わらず専門性の高い多様な人材の採用と育成を推進しております。 今後のグローバルな事業展開を見据え、達成に向けて進捗を注視していくとともに、指標や目標の設定要否についても引き続き検討する予定です。 また、組織・体制・風土においては社内での取り組み姿勢などについてサーベイを行う他、安心して働ける職場環境を維持するため、ハラスメント防止トレーニングを行い、社員の意識向上に取り組んでおります。 |
人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績、指標及び目標 | 国連の定める持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)「目標5・ジェンダー平等を実現しよう」に取り組んでおり、すべての社員がその能力を十分に発揮して業績に貢献されるように働きやすい職場環境を整えるため「女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画」を下記指標に基づき実施しております。 現代社会の一員としてSDGs達成に向けた積極的な行動を推進してまいります。 ① 実施期間:2022年4月1日〜2027年3月31日の5年間② 実績及び目標: 全社員に占める女性社員 2024年12月時点31%(目標2027年3月に40%以上) 派遣社員に占める女性派遣社員 2024年12月時点73%(目標2027年3月に50%以上について達成)③ 取組内容:・仕事と育児の両立支援に関連する制度の周知と意識啓発の実施・女性社員の育児休業取得率100%の実現・有給休暇の取得促進・採用時において性別、国籍、年齢等に関わらず、専門性の高い多様な人材の採用を推進 |
事業等のリスク | 3 【事業等のリスク】 当社グループの事業活動においてリスクとなる可能性があると考えられる主な事項について記載しています。 また、当社グループとして必ずしも重要なリスクとは考えていない事項についても、投資判断の上で、あるいは当社グループの事業活動を理解する上で重要と考えられる事項については、投資家及び株主に対する積極的な情報提供の観点から開示しています。 当社グループは、これらのリスクが発生する可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の適切な対応に努める方針ですが、当社株式に関する投資判断は、以下の記載事項及び本書中の本項以外の記載を慎重に検討した上で行なわれる必要があると考えます。 また、以下の記載は当社株式への投資に関連するリスクの全てを網羅するものではありません。 なお、文中における将来に関する事項は、本書発表日現在において当社グループが判断したものです。 (1)リスクマネジメントの推進体制①リスクマネジメントの推進にあたって、組織横断的リスク状況の監視及び全社的対応は、代表取締役社長の指揮・監督下において内部統制委員会(委員長CFO)が統括し、事業計画策定・実行の年次サイクルに合わせたリスクマネジメント体制の運営を行っています。 内部統制委員会の指示のもと、各部門においては部門の責任者が組織の目的・目標の達成に向け、個別リスクにかかわる分析・評価、対応計画の策定・遂行、組織内でのリスクマネジメントにかかわる情報提供など自律的にリスクマネジメントを推進しています。 ②影響度と発生可能性の評価に基づき、内部統制委員会が常に状況を把握し、代表取締役社長に報告するとともに、企業経営に重大な影響が想定されるリスクについては、経営執行会議及び取締役会において、リスクの内容、担当責任者、リスク対応策を立案し、関係組織と連携の上、リスク対応策を推進・実行しています。 リスク対応策の進捗状況については、原則年2回の取締役会で総括しています。 重大リスク顕在化の予兆が確認された場合は、速やかに内部統制委員会に情報が集約され、適切な対応を図る体制としています。 (2)重大リスクとして認識している事項① 医薬品の開発事業全般に関するリスク:新薬の開発は長期間にわたり膨大な先行投資を強いられるものの、その研究開発の成功確率は極めて低いことが知られています。 一般に、研究所において何らかの生物・生理活性が認められた化合物が新薬として承認にいたる確率は、2万分の1~2万5千分の1と言われています。 また、承認を取得した新薬のうち、上市・販売後において採算が取れるのはそのうちの15~20%以下と言われています。 当社グループは、このような創薬系事業の難しさを踏まえた事業モデルを構築しています。 ア. 医薬品開発の不確実性について・リスク:一般的に、製品上市に至る医薬品開発の過程は長期かつ多額の費用を要し、開発が成功する確率は決して高くなく、開発のいずれの段階においても中止や遅延の判断をすることは稀ではありません。 医薬品開発においては、様々な開発過程を段階的に進めていく必要があり、それぞれの段階において開発続行の可否が判断されます。 従って、その開発途上で中止の決定を行うことは稀なことではなく、開発が順調に進み製品化される確率は低いものとされています。 また、開発に成功し、上市された後も、定期的または臨時で当該時点における医学・薬学等の学問水準に照らして、有効性及び安全性を確認するために再評価が行われ、有用性が認められないとされた場合、あるいは重篤な副作用等により健康被害が拡大する恐れがある場合(詳細は「カ.副作用に関するリスクについて」を参照)には、有用性または副作用を原因として承認が取り消されるリスクがあります。 当社グループ のような小規模な製薬ベンチャー企業にとって、ひとつの開発候補品がパイプラインから脱落することの影響は大きく、その場合当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ・対応:開発にかかる様々なリスクと費用を軽減するとともに、開発候補品の臨床試験を迅速・確実に進め、開始から承認取得までの期間を短縮するために、主として既にヒトでPOC(注1)が確立され、前臨床試験データと臨床試験データがある化合物を対象としております。 これらの化合物の探索は当社グループ独自の探索ネットワークと評価ノウハウを活用して、社内の経験を有した専門スタッフによる第1次スクリーニングにより絞り込みを最初に行います。 その後、科学的諮問委員会(Scientific Advisory Board:以下「SAB」といいます)において、第一線で関連分野における治療の研究に携わる経験豊かな社外専門家の厳密な評価を受けた上で、当社グループにおいて最終的な導入候補品を決定いたします。 (注1) POC(Proof of Concept)とは、新薬候補物質の有効性や安全性を臨床で確認し、そのコンセプトの妥当性を検証することを意味します。 イ. 収益の不確実性について・リスク:開発を進めている製品から収益を得るためには、当社グループ単独あるいは第三者と共同で、これら新薬候補品の開発、規制当局からの承認、製造及び販売のすべての段階において成功を収める必要があります。 しかしながら当社グループは、これらの活動において必ずしも成功しない可能性もあり、また、成功したとしても当社グループの事業を継続するために必要な採算性を確保できない可能性もあります。 開発を推進し、製品上市に至ることにより収益を獲得するまでの過程で、開発品によっては開発・販売に関して他の製薬企業と提携契約を締結し、早期に収益化を図ることも想定しています。 しかしながら、これらのパイプラインが製品として上市するまでには相当の時間を要することが予想され、また、製品として上市される、あるいは他の製薬企業と提携契約を締結できる保証はありません。 ・対応:当社グループの導入候補品は、主として既にヒトでPOCが確認されていることを原則としています。 従って、臨床開発ステージが比較的後期段階にある候補品か、既に海外で上市されている製品が対象となります。 これらの導入候補品は既に海外で先行して開発が行われており、新薬としてヒトでの有効性・安全性が確認されていることから、開発リスクを軽減でき、また、先行している海外の治験データを活用することにより開発期間を短縮するとともに開発コストを低減し、成功確率を高めることが可能となります。 ウ. 遵守すべき法的規制等及び医療保険制度等の不確実性について・リスク:医薬品業界は、研究、開発、製造及び販売のそれぞれの事業活動において、各国の薬事に関する法律及び薬事行政指導、その他関係法令等により様々な規制を受けており、当社グループは医薬品医療機器等法をはじめとする現行の法的規制及び医療保険制度、それらに基づく医薬品の価格設定動向等を前提として事業計画を策定しています。 しかしながら、当社グループが開発を進めている製品が現実に製品として上市されるまでの間、これらの規制や制度・価格設定動向等が変更される可能性もあります。 もしこれらに大きな変更が発生した場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。 ・対応:薬価制度改革並びに流通改善ガイドラインを踏まえた仕切価格・割戻改定を実施しております。 また、新薬創出加算品、重点品を中心に売上を拡大する方針です。 薬価の毎年改定を含めた薬価制度改革の他、海外を含めた行政動向を継続的に注視し、即時に対応策を検討します。 エ. 海外における開発・販売に関するリスクについて・リスク:当社グループは日本のみならず、欧米やアジア等グローバル地域を戦略事業地域として位置付けております。 抗ウイルス薬ブリンシドフォビルについて、欧米を含む世界全域における開発・販売・製造に関するグローバル事業展開を計画しております。 海外市場における医薬品の開発・販売事業の展開に際し、一般的に多額の資金と事業リスクを伴うため、当社グループでは開発品によっては海外の開発権、販売権を他の製薬企業等に導出し、投資資金及び事業リスクの低減を図る可能性があります。 導出先の経営状況や各国の規制、競争環境等の変動により、当初期待していた通りには開発、販売が進捗せず、計画通りのマイルストーン収入、ロイヤリティ収入等が得られないことにより、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。 同様に、他の製薬企業等との共同開発または共同販売、あるいは委受託契約等のパートナーシップの戦略的な活用も検討していますが、パートナーの経営状況や各国の規制、競争環境等の変動により、当初期待していた通りには開発、販売が進捗せず、計画通りの収益が得られないことにより、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。 ・対応:当社グループが保有する権利の導出にあたっては、慎重にデューディリジェンスを実施した上で企業選定を行い、かつ導出後も適宜モニタリングを実施しています。 海外導出先の経営状況に関するリスクを管理する担当者を任命しており、定期的に情報収集・情報交換を実施しております。 各地で問題が発生した場合には、担当者をハブとする海外導出先との連携により、迅速な課題解決を行っております。 オ. 医薬品業界の競合関係について・リスク:医薬品業界は、国際的な巨大企業を含む国内外の数多くの製薬企業や研究機関等により、激しい競争が繰り広げられており、その技術革新は急速に進歩している状態にあります。 これらの競合相手の中には、技術力、マーケティング力、財政状態等が当社グループと比較して優位にある企業が多数あり、当社グループ開発品と競合する医薬品について、有効性の高い製品を効率よく生産・販売する可能性があります。 また、競合品や後発品の参入リスクに加え、従来の医薬の範囲を超えた治療手段の進展などライフサイエンス分野での新たな技術・脅威が台頭しております。 このような状況におきまして、当社グループ医薬品や開発候補品が対象とする疾患などにおける治療に大きな変化をもたらす新たな技術や治療手段が登場するなど、当社グループ製品を取り巻く環境が想定を超えて大きく変化した場合、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に大きな影響を及ぼす可能性があり、実際に、2022年には、当社グループの製品に対して後発医薬品の承認及び発売がされたため、当社の売上が減少しており、さらにこの傾向が継続する可能性があります。 ・対応:当社グループは、極めて医療上のニーズは高いものの、新薬の開発が遅れている空白の治療領域をビジネスチャンスと捉え、特に、高い専門性が求められ難度が高いために参入障壁の高いがん・血液及びウイルス感染症領域を中心とした日本初のスペシャリティ・ファーマです。 大型新薬(いわゆる売上高が1,000億円を超える「ブロックバスター」)の追求ではなく、マーケットは相対的に小規模でも医療ニーズの高い希少疾病分野を中心とした新薬開発に取り組み、これらの医薬品及び新薬候補品を数多く保有することにより、強固なパイプライン・ポートフォリオを構築し、高付加価値で高収益を達成し、持続性のある事業展開を行います。 また、特許等に基づく当社グループ製品の保護及びさらなる差別化を行っていくことにより競争力の維持に努めてまいります。 カ. 副作用に関するリスクについて・リスク:医薬品は、臨床試験段階から市販後に至るまで、予期せぬ副作用が発現する可能性があります。 これらのうち重篤または予期せぬ副作用が発現した場合、賠償問題の発生や、状況次第では臨床試験の遅れ、開発中止に至るリスクを伴います。 更に、健康被害が拡大する恐れがある場合、承認取消・販売中止に至るリスクを伴います。 賠償問題に関しては、当社グループは必要な損害保険に加入することにより、このような事態が発生した場合の財政的負担を最小限に留めるべく対応していますが、賠償額が当該保険により補償される範囲を超える可能性は否定できません。 このような場合は、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ・対応:国内外の安全管理情報(副作用情報等)を収集し、客観的に評価・検討・分析した結果を医療現場へ情報提供することで医薬品の適正使用を推進しております。 従業員を対象とした安全管理情報についての研修等を実施、安全管理を徹底することで、患者さんの安全性リスクの最小化に努力しております。 キ. 製造物責任について・リスク:医薬品の開発及び製造には、製造物責任賠償のリスクが伴います。 当社グループは将来、開発したいずれかの医薬品が健康被害を引き起こした場合、または臨床試験、製造、営業若しくは販売において不適当な事項が発見された場合には、製造物責任を負い、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重大な影響を及ぼす可能性があります。 また、製造物責任賠償請求がなされることによるイメージ低下により、当社グループ及び当社グループの医薬品に対する信頼が損なわれ、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。 ・対応:ライセンス先からの製品輸入に際しては厳格な規格基準に基づく受入検査を実施し、販売時に製造物責任回避に努めております。 事業活動のモニタリングを適切に実施し、法令・諸基準違反など不適切な活動を早期に発見し、対応を実施する体制を取っております。 必要に応じて教育・研修等の再発防止の対応を講じる体制としております。 ク. 製造並びに安定供給に関するリスクについて・リスク:当社グループは、開発品の上市後、製品を安定供給することが必要となりますが、製造委託先の技術上もしくは法規制上の問題、又は火災その他の災害による操業停止等により、製品の供給が休止もしくは著しく停滞した場合、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ・対応:当社グループの事業継続計画(BCP)は、事業継続へ影響を及ぼす脅威(自然災害、設備事故、感染症、システム障害等)を対象とし、有事の際の速やかな業務復旧、並びに医療体制維持のための医薬品安定供給と品質確保を可能とする体制を整備しております。 医薬品の安定供給においては、生産・物流拠点の分散や主要原材料の複数購買の実施といったバックアップ体制を構築することに努めるとともに、主要システムの二重化等IT基盤の強化を行っております。 ② 当社グループの事業遂行上のリスクア. 当社グループのビジネスモデルについて・リスク:当社グループは自社で研究設備・製造設備は保有せず、がん・血液及びウイルス感染症領域を中心とした希少疾病分野(注2)を中心に、主にヒトでPOCが確立された開発候補品を製薬企業、バイオベンチャー企業等より導入し、これらを日本並びにアジア諸国、更にはグローバルで医薬品として開発・販売することにより収益化を図るビジネスモデルを採用してきました。 それに加えて今後は、抗ウイルス薬ブリンシドフォビル(BCV)に関しての独占的グローバルライセンス契約をキメリックス社と締結し、天然痘・サル痘を含むオルソポックスウイルスの疾患を除くすべての疾患を対象としたBCVの世界全域における開発・販売に加えて製造を含む独占的権利を取得したことにより、高品質の医薬品供給のための一貫体制を備えたグローバル市場を対象として事業展開をするグローバルスペシャリティファーマへの転換を進めてまいります。 パイプラインの開発・販売においては、製薬企業と提携することも計画していますが、これらの条件を満たす開発候補品を継続的に導入し、また、これらの提携先企業を確保できる保証はありません。 また、導入候補品(注3)については主に希少疾病分野を対象としていることから、当社グループが期待する売上高が確保できない可能性もあります。 更に、ライセンスの導入元の企業が経営破綻やライセンスを第三者に譲渡することにより開発・販売の継続が困難になる可能性があります。 これらのような場合、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。 上記に加えて、医薬品業界の競争環境や、当社グループの財政状態等の変化に伴い、今後、当社グループのビジネスモデルの変更を余儀なくされる可能性があります。 その場合、当社グループの事業に大きな影響を及ぼす可能性があります。 ・対応:がん・血液及びウイルス感染症領域における希少疾病分野の研究開発の多くは、海外では既に数々の有用な新薬が医療の現場に提供されています。 しかし、これらの分野は開発に高度の専門性が求められることから、開発の難度も高く、また大手の製薬企業が事業効率の面、採算面で着手しにくいため日本を初めとするアジア諸国においては手掛けられていない空白の治療領域となっています。 海外で標準治療薬として使用されている製品が日本では使用できない、または使用許可が遅れる、いわゆるドラッグ・ロス、ドラッグ・ラグの問題が深刻化しております。 これらの問題は、当社グループの戦略的開発領域である難治性のがん・血液及びウイルス感染症領域で特に目立っています。 抗がん剤の対象疾患は多岐にわたり、がん腫により細分化されているため、各々のがん腫でみると対象患者数がそう多くはない治療領域が数多く存在します。 これらの領域での新薬の開発には、大手の製薬企業では採算性などの問題から開発に着手しにくいことがその理由といわれています。 しかし、ひとたび、そうした領域において新薬の承認を取得し上市できれば、競合が少ないため、これらの領域で適応拡大・新製品上市を着実に積み上げていくことで、高成長・高収益を実現できるものと考えています。 また、ライセンス先や事業提携先との重要な契約に関しては、その締結検討段階から、ビジョンと戦略の策定、提携事業の損益管理、開発面及び営業面での投資判断、業績と主要マイルストーン管理、グローバルな上市準備等に十分な協議を行った上契約を締結します。 契約締結後は、契約当事者間で定期的に課題を共有・審議する会議体を設け、事業提携を推進します。 また、当局との継続的なコミュニケーションを通じた薬事リスクの管理・低減にも努力しております。 (注2) 希少疾病分野とは、患者数が少ない疾病分野のことで、この分野に対する医薬品は希少疾病用医薬品(Orphan Drug:オーファンドラッグ)と呼ばれます。 厚生労働省はオーファンドラッグ制度を設定し、我が国において患者数が5万人未満の重篤な疾病であること、医療上特にその必要性が高いことをその指定の基準としています。 当該指定を受けると、申請から承認までの期間が短縮され、再審査期間が10年になる等の優遇措置があります。 (注3) 導入候補品とは、当社グループの開発候補品として他社より開発権等の権利取得を検討している化合物または製品を指します。 イ. 特定の取引先への依存度について・リスク:当社グループは、抗ウイルス薬ブリンシドフォビルについて天然痘・サル痘を含むオルソポックスウイルスの疾患を除くすべての疾患を対象とした世界全域における製造の独占的権利を所有しているものの、現時点では生産設備を持たない製薬ベンチャー企業であるため、開発品の臨床試験並びに上市後の販売においては他社より製品の供給を受けることとなります。 この場合、製品供給元の財政状態、生産状況などによっては、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。 ・対応:技術的には、既に製品供給元より当社グループへの製造技術の移転を実施中であり、将来的に製品需要がクリティカル・マスを超えた場合には、自社生産を開始することも選択肢の一つです。 ウ. 開発・販売の進捗に伴う一時的収入の業績影響・リスク:一般に当社グループのような製薬ベンチャー企業の提携においては、製品上市前の収益として、「契約一時金」「開発協力金」「マイルストーン」を見込むものとなりますが、このうちマイルストーンは所定の成果達成に基づく収益であることから極めて不安定で予測の困難な収益であり、開発の進捗に遅延等が発生した場合には当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。 ・対応:当社グループの中長期計画では、契約条項に基づいて一時的収入を業績に織り込んでおり、アライアンス・マネジメントの一環として緊密にフォローしております。 エ. 知的財産権に関するリスクについて・リスク:当社グループは医薬品の開発活動において様々な知的所有権を使用していますが、これらは基本的に製薬企業、バイオベンチャー企業等より使用許諾を受けた権利です。 しかしながら、当社グループが導入する開発候補品について、導入元企業における出願中の特許が登録に至らない可能性があります。 また、当社グループが使用許諾を受けた知的所有権に優位する知的財産権が第三者によって生み出される可能性を完全に回避することは困難であり、こうした結果、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重大な影響を及ぼす可能性があります。 さらには、研究機関等との共同研究に取組んでおりますが、各研究機関の方針に従って、研究成果の帰属を協議することが必要となり、必ずしも当社グループ単独で知的財産権の確保ができない場合もあります。 当社グループは、今後も知的財産権に関する問題を未然に防止するため、開発候補品の導入にあたっては、弁護士との相談や特許事務所を通じた特許調査を適宜実施していきますが、第三者の知的所有権の侵害に基づく将来の係争を完全に回避することは困難であり、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重大な影響を及ぼす可能性があります。 なお、当社グループが導入する開発候補品は、必ずしも特許で保護されているとは限りません。 もっとも、当社グループの開発候補品が特許を有していない場合であっても、当該開発候補品が規制当局より製造販売承認の際に再審査の指定を受けた場合には、再審査期間は後発医薬品の参入が実質的に制限されるため、一定期間市場独占的な保護を受けることとなります。 ・対応:当社グループは医薬品の開発活動において様々な知的所有権を使用していますが、これらは基本的に製薬企業、バイオベンチャー企業等より使用許諾を受けた権利です。 当社グループが権利の使用許諾を受けるにあたっては、慎重にデューディリジェンスを実施した上で企業選定を行い、かつ導入後も適宜モニタリングを実施しています。 海外導入先の経営状況に関するリスクを管理する担当者を任命しており、定期的に情報収集・情報交換を実施しております。 各地で問題が発生した場合には、アライアンス・マネジャーをハブとする海外導入先との連携により、迅速な課題解決を行っております。 当社グループでは、また、知的財産係争が発生したときには、使用許諾者であるライセンス元と連携して、社内外の関係者と協力のうえ、事業への影響を最小限にとどめるよう対応しております。 オ. 情報管理について・リスク:当社グループパイプラインの開発並びにその他事業遂行等に関する重要な機密情報が流出するリスクを低減するために当社グループは、役職員、科学的諮問委員会(SAB)メンバー、研究機関、外注委託先、取引先等との間で、守秘義務等を定めた契約を締結するなど、厳重な情報管理に努めています。 しかしながら、役職員、SABメンバー、外注委託先、取引先等によりこれが遵守されなかった場合等には、重要な機密情報が漏洩する可能性があり、このような場合には当社グループの事業や財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。 ・対応:当社グループは、新たなデジタル技術、法規制やガイドラインを取り込んだ情報管理に関するポリシー・ルールの整備を進めております。 情報管理に関する規程等を整備して従業員に情報管理の重要性を周知徹底するとともに、セキュリティシステムの導入やセキュリティ教育等の対応策を実施していることに加え、クラウド系サービス利用への対応や情報セキュリティ基盤の強化、運用の改善を図っております。 カ. 重要な契約に関する事項・リスク:当社グループの事業展開上重要と考えられる契約につき、将来、期間満了、解除、その他何らかの理由により契約の終了が生じた場合、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ・対応:ライセンス先や事業提携先との重要な契約に関しては、その締結検討段階から、ビジョンと戦略の策定、提携事業の損益管理、開発面及び営業面での投資判断、業績と主要マイルストーン管理、グローバルな上市準備等に十分な協議を行った上契約を締結します。 契約締結後は、契約当事者でステアリング・コミティを組織し、更にその傘下で専門領域を担当する複数のサブ・コミティと連携して、事業提携を推進します。 また、当局との継続的なコミュニケーションを通じた薬事リスクの管理・低減にも努力しております。 ③ 組織に関するリスクア.社歴が浅いことについて・リスク:当社グループは、2005年3月に設立された、社歴の浅い企業です。 また当社グループは、創業時より開発候補品の導入活動を開始し、ゼロベースから医薬品開発事業を立ち上げ、2010年8月に、創業以来初となる製品売上による収益を計上しました。 今後、未だ経験していない事業上の課題が発生する可能性はありますが、当社グループの業績に影響を及ぼすような外部環境の変化を厳密に予想することは現状においては困難が伴います。 従って、今後当社グループが成長を続けられるか等を予測する客観的な判断材料として過年度の経営成績だけでは、不十分な面があると考えられます。 ・対応: 当社グループは、開発先行型の創薬ベンチャーであるため、多額の負の利益剰余金を計上していますが、当社グループの事業価値を評価する場合は過去の業績のみではなく、現有のパイプラインが将来創出するキャッシュ・フローに着目した経営を推進して参ります。 イ. 小規模組織であることについて・リスク:当社グループの研究開発活動については、業務受託企業(CRO(注4)等)を活用することにより、比較的少人数による開発体制を敷いていますが、今後のグローバル展開を含む既存パイプラインの開発推進及び新規開発候補品のパイプライン化に伴い、更なる研究開発人員の増加を必要とする可能性があります。 しかしながら、何らかの理由により業務受託企業との関係が解消された場合や、計画通りの人員の確保ができない場合、あるいは既存人員の流出が生じた場合には、当社グループの事業活動に支障が生じ、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。 ・対応:製薬業・非製薬業、日系・外資系を問わず、有能な人材を確保し、適材適所に人員を配置したことにより組織構築と人材確保には、目途が付いたと言えます。 なお、引き続きグローバル展開を支えるために、必要に応じて、複数の海外の専門家の助言を得ながら開発及び薬事戦略の構築および個別の開発活動の検討・推進を行っております。 (注4) CRO(Contract Research Organization)とは、製薬企業が、自社で実施する開発業務を遅滞なく進めるために、一部の業務について委託を行う機関です。 委託業務の内容としては、治験が実施計画書どおりに遂行されているかをモニタリングするモニター業務や、臨床データを管理するデータ管理業務などがあります。 ウ. 特定人物への依存度について・リスク:当社の代表取締役社長の吉田文紀は、当社グループ創業者として創業当時より経営全般にわたる事業の推進者として中心的な役割を担ってまいりました。 従って、何らかの理由により同氏の業務の遂行に制約が生じた場合には、当社グループの事業運営に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ・対応:会社が持続的な成長を遂げていくには、次世代の最高経営責任者の育成が重要であると認識し、今後育成プログラムを作成していきます。 最高経営責任者の後継者の候補者は、会社の本質的な存在意義を踏まえ信念をぶらすことなく、環境の変化に応じたビジョンを立てることができること、さらには、企業理念や経営ビジョンなどをコミットできることを大前提とします。 エ. 科学的諮問委員会(SAB)について・リスク:当社グループは、新規開発候補品の導入評価に関する社長の諮問機関として、科学的諮問委員会(SAB)を組成し、優れた実績と経験を有すると判断される臨床医や基礎科学者を招聘しています。 SABは毎年2~3回開催され、世界中から集まる膨大な導入候補品について、医療ニーズの高さや収益性などの観点も踏まえ、リスクバランスのとれたポートフォリオを構築するために、それぞれの専門の立場から活発に意見交換や議論を行っています。 当社グループは、今後も優秀なSABメンバーの確保に努めてまいりますが、現在のメンバーとの間の契約が解除、期間満了、更新拒絶、その他の理由で終了するなど、何らかの理由によりメンバーの確保が困難となった場合や、メンバーの流出が生じた場合には、当社グループの開発候補品導入の推進に影響を及ぼす可能性があります。 ・対応:科学的諮問委員会(SAB)は第一線で関連分野における治療の研究に携わる経験豊かな社外専門家によって構成されています。 社内外の専門家による、こうした“目利き”のプロセスを経て、当社グループはがん・血液及びウイルス感染症領域を中心として、製薬企業、バイオベンチャー企業等から主にヒトでPOCが確立された開発品の開発・製造・販売権を継続的に確保することにより、持続性のある事業を展開しています。 この“目利き”の力に加え、がん・血液及びウイルス感染症という開発の難度が高い治療領域における当社グループの開発力について、開発候補品の提供者であるライセンサーから高い評価を得ることも導入の成否を決める重要なポイントとなります。 ①適切な治験計画の策定、②治療対象となる適切な治験患者の選定、③その領域における医学専門家と公正な関係を維持・構築できる、専門性の高い優秀な開発スタッフが必要となります。 当社グループに取って人材が最も重要であり、がん・血液及びウイルス感染症分野で実績のある大手製薬企業の開発部門で経験を積んだ人材の確保を最重要課題として対応しています。 ④ 経営成績の推移についてア.過年度における業績推移について当社グループの主要な経営指標等の推移は以下のとおりです。 回次第16期第17期第18期第19期第20期決算年月2020年12月2021年12月2022年12月2023年12月2024年12月売上高(千円)2,987,0518,256,92410,008,3385,589,7082,452,912営業利益又は営業損失(△)(千円)△4,506,2201,016,0011,963,625△811,668△3,876,971経常利益又は経常損失(△)(千円)△4,615,9031,001,1331,999,878△736,130△3,689,435 ※第18期より連結財務諸表を作成しており、それ以前については、個別財務諸表の数値を記載しております。 ・リスク:当社グループは、現在まで、第4期、第17期及び第18期を除き、研究開発費やその他一般管理費の合計が収益を上回り、営業損失、経常損失、当期純損失を計上しています。 このため、業績比較を行うあるいは今後の当社グループ業績を予測するための情報としては不十分な面があります。 ・対応:当社グループは、開発先行型の創薬ベンチャーであるため、多額の負の利益剰余金を計上していますが、当社グループの事業価値を評価する場合は過去の業績のみではなく、現有のパイプラインが将来創出する利益及びキャッシュ・フローにも着目すべきです。 イ.研究開発費の増加予測について当社グループの過去5期間の研究開発費の推移は以下のとおりです。 回次第16期第17期第18期第19期第20期決算年月2020年12月2021年12月2022年12月2023年12月2024年12月研究開発費(千円)2,266,5561,736,1262,554,7992,638,2343,379,471 ※第18期より連結財務諸表を作成しており、それ以前については、個別財務諸表の数値を記載しております。 ・リスク:当社グループは、今後更に研究開発活動を推進する計画であり、抗ウイルス薬ブリンシドフォビルまたはリゴセルチブの早期の承認取得に伴う製品販売収入の確保、並びに製薬企業等との提携に基づき発生する収入等により、研究開発投資の早期回収及び経営成績の継続的な改善を図ってまいりますが、当社グループの想定どおりに早期回収及び継続的な改善が実現する保証はありません。 ・対応:開発計画の策定においては、Probability of Technnical and Reguratory Success (PTRS)を考慮し、十分な検討を行った開発収支を算出しており、実現の蓋然性を高めることに努めております。 ウ.マイナスの繰越利益剰余金を計上していることについて・リスク:製薬ベンチャー企業においては、臨床段階にある開発品が上市し、製品販売収入並びにロイヤリティ収入等の安定した収益を継続して計上できる体制となるまでは、多額の研究開発費用が先行して計上されることとなります。 当社グループも、第4期、第17期及び第18期を除き創業以来第20期まで当期純損失を計上しており、第20期連結会計年度末には△ 32,685,784千円の利益剰余金を計上しています。 当社グループは、パイプラインの開発を計画通り、迅速、効率的かつ着実に推進することと自社販売体制への移行により、当期純利益の計上を達成しましたが、将来において計画通りに当期純利益を計上できない可能性もあります。 また、当社グループの事業が計画通りに進展せず、当期純利益を獲得できない場合には、マイナスの繰越利益剰余金がプラスとなる時期が遅れる可能性があります。 ・対応:2021年上期に治験を開始したブリンシドフォビル及び今後開発方向性を決定するリゴセルチブの収益化を達成するために開発資源を投入するとともに、並行して、新規開発候補品については、常時、複数品目の評価を継続しております。 当社グループの企業価値向上に資する候補品を見出し、しかるべきタイミングで導入交渉をしてまいります。 新規開発候補品の探索・評価及び交渉に当たっては今後、日本市場のみならずグローバルのライセンス権利を取得することも含めて検討を行います。 これらの施策を通して、負の繰越利益剰余金の早期解消に努めます。 エ. 継続企業の前提に関する重要事象等・リスク:当社グループは、グローバル市場で事業展開をするスペシャリティ・ファーマへの転換を目指す 製薬ベンチャー企業として、抗ウイルス薬ブリンシドフォビル(BCV)による造血幹細胞移植後のアデノウイルス及びサイトメガロウイルス感染症の臨床試験を実施しております。 BCVは多くのウイルスに活性を示すとともに、優れた抗腫瘍活性を持つことが判明しており、がん領域における悪性リンパ腫患者を対象とした臨床 試験を開始する等、研究開発に多額の投資を行っております。 当社製品トレアキシン®の販売は、後発品の浸食により売上高が著しく減少し、一方で先行投資としての研究開発費の増加により、継続的な営業キャッシュ・フローのマイナス、営業損失、経常損失又は当期純損失の計上などの継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象が存在することを認識しております。 ・対応:このような状況に対し、当連結会計年度末では現金及び預金残高3,963百万円を有しており、最大で 2,400百万円の転換社債型新株予約権付社債発行による資金調達を2024年12月25日に取締役会で決議し、このうち2025年1月1日から2月5日までに1,200百万円の払い込みが完了しております。 当該資金は先行投資としての研究開発に充当します。 さらに、新たな資金調達や、必要に応じたライセンス契約締結による導出一時金の獲得のため、積極的にパートナリングの交渉を継続しており、後発医薬品のさらなる浸食を想定した資金計画を策定しています。 これらの状況に応じて、実施可能な複数のコスト削減策も計画しております。 当該資金計画やコスト削減策により、当連結会計年度末から1年を超える期間についての資金繰りに重要な懸念はないと判断し、継続企業の前提に関する重要な不確実性はないと認識しております。 オ. 資金繰りについて・リスク:当社グループはグローバル市場を対象として事業展開をするスペシャリティ・ファーマへの転換を目指す製薬ベンチャー企業として研究開発費用をはじめとする多額の事業展開資金を必要とします。 事業計画が計画通りに進展しない等の理由から資金不足が生じた場合には、戦略提携内容の変更、新規提携契約の獲得、新株発行等の方法による資金確保に努めますが、必要なタイミングで資金を確保できなかった場合には、当社グループ事業の継続に重大な懸念が生じる可能性があります。 ・対応:現時点の現預金残高に加えて1,950百万円の銀行融資枠の設定により事業の継続性に問題はないと判断しています。 また今回、発行可能株式総数を6,500万株から1億1,500万株に拡大し、今後の機動的かつ柔軟な資本政策の実行を可能にいたしました。 今後の資金需要を想定し、資金調達と共にグローバル製薬会社との業務提携を検討いたします。 カ. 税務上の繰越欠損金について・リスク:当社には現在、税務上の繰越欠損金が存在しています。 そのため、現在は通常の税率に基づく法人税、住民税及び事業税が課せられておらず、今後も数年間はこの状態が続くものと想定しています。 しかしながら、現在の繰越欠損金の控除制度が改正されるなどの理由により、想定よりも早期に繰越欠損金が解消され、これによる課税所得の控除が受けられなくなった場合には、通常の税率に基づく法人税、住民税及び事業税が課せられることとなり、現在想定している当期純利益若しくは当期純損失及びキャッシュ・フローの計画に影響を及ぼす可能性があります。 ・対応:現在多額の税務上の繰越欠損金が存在しています。 今後、利益及びキャッシュ・フローの黒字化達成により、仮に税制改正により、現在の想定より税負担が増加した場合でも、事業の継続性に問題はないと判断しています。 ⑤ その他のリスクア.株主還元政策について・リスク:当社は創業以来配当を実施していません。 当社グループの現時点における事業ステージは、医薬品開発とグローバル展開を含む商業化及び自社販売体制の下での持続的成長に向けた先行投資の段階にあるため、今後も当面は資金を財務体質の強化及び研究開発活動の継続的な実施と新規開発候補品の導入に優先的に充当し、配当は行わない方針です。 ・対応:しかしながら、当社では株主への利益還元を経営の重要な課題と認識しており、今後の経営成績及び財政状態を勘案し、将来的には利益配当についても検討してまいります。 イ. 潜在株式の行使による当社株式価値の希薄化について・リスク:新規開発候補品の導入等による事業規模の拡大や予期せぬ外部環境の変化に伴う必要経費の増加または想定収益の変動により、次期見通し及び中長期事業計画の想定を大幅に超えた資金需要の増加が生じた場合、株式発行等による追加の資金調達を実施していく可能性があります。 当社は、当社取締役、従業員等の業績向上に対する意欲や士気を高め、また優秀な人材を確保する観点から、ストックオプション制度を導入しており、旧商法第280条ノ19、旧商法第280条ノ20及び旧商法第280条ノ21、並びに、会社法第236条、第238条、第239条及び第240条の規定に基づき、新株予約権を取締役、従業員に対して付与しています。 当社は今後も優秀な人材確保のために、同様のインセンティブプランを継続して実施する可能性があります。 さらに、当社は、複数回にわたり第三者割当による新株予約権の発行により資金調達を実施しております。 従って、今後付与する新株予約権の行使が行われた場合には、当社の1株当たりの株式価値は希薄化する可能性があります。 ・対応:当社取締役、従業員へのストックオプションの付与は業績向上のためのインセンティブプランの一つであり、発行予定数も限られており、株式価値の希薄化効果は限定的である上に、ストックオプションの付与が業績に貢献した場合、事業価値の向上による株価への好影響が期待できます。 ウ. ベンチャーキャピタルによる株式保有について・リスク:一般的に、ベンチャーキャピタル及び投資事業組合による株式の所有目的は、株式上場後に株式を売却してキャピタルゲインを得ることにあるため、当社株主であるこれらのベンチャーキャピタル及び投資事業組合が、所有する株式の全部または一部を売却した場合には、当社株式の市場価格に影響を及ぼす可能性があります。 ・対応:ベンチャーキャピタル及び投資事業組合による株式保有を抑制することが出来ない以上、機関投資家を含む安定株主を増加させる対応が必要と考えています。 エ.外国為替損失の発生に関するリスクについて・リスク:当社グループは現時点では生産設備を持たずに他社より製品の供給を受けており、またパイプライン拡充のために新規開発候補品を導入する際に支払われる一時金を想定し、予め相当の金額を外貨預金あるいは外国為替先物予約にて手当をしています。 これらの外貨建て資産は時価評価にて毎期財務諸表に表示していますが、将来の為替変動によってその評価損失が発生するリスクがあり、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。 ・対応:外貨建取引では、輸入品価格決定に為替レート連動条項を付すだけでなく、デリバティブ等により為替リスクヘッジを行い為替変動リスクの低減を図っております。 オ. 自然災害等に関するリスクについて・リスク:当社グループが事業展開している地域や拠点において、災害(地震、台風、火災等)・疫病等が発生し、当社グループ製品の製造、輸入、日本における検査及び出荷、流通業者への販売のサプライチェーンにおいて問題が生じ、業務停止及び遅延が生じた場合、社会的信用の失墜や、補償などによって、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。 ・対応:当社グループの事業継続計画(BCP)は、事業継続へ影響を及ぼす脅威(自然災害、設備事故、感染症、システム障害等)を対象とし、有事の際の速やかな業務復旧、並びに医療体制維持のための医薬品安定供給と品質確保を可能とする体制を整備しております。 医薬品の安定供給においては、生産・物流拠点の分散や主要原材料の複数購買の実施といったバックアップ体制を構築することに努めるとともに、主要システムの二重化等IT基盤の強化を行っております。 |
経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 | 4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 当連結会計年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。 )の状況の概要並びに経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析の検討内容は次のとおりであります。 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 (業績等の概要)(1)事業の進捗の状況① 当期の経営成績現在、トレアキシン®点滴静注液100mg/4mL[RTD (Ready-To-Dilute)製剤]に関する市場環境については、コロナやインフルエンザ等感染症の流行により、ベンダムスチン治療中または治療後に感染が持続・重症化する可能性が懸念されているためベンダムスチンの処方が控えられる傾向があり、ベンダムスチン全体の市場規模にマイナスの影響を与えており、特に期の後半に影響が大きくなりました。 加えて、後発品への切替が徐々に進んでいる状況です。 これらのことから、売上高は2,452,912千円(前年同期比56.1%減、2024年5月7日に開示した修正通期業績予想比6.5%減)となりました。 販売費及び一般管理費は、研究開発費が3,379,471千円(前年同期比28.1%増)と大きく増加しましたが、その他の販売費及び一般管理費を大きく削減し、販売費及び一般管理費合計では5,750,161千円と、前年同期比10.1%の増加に留まりました。 これらの結果、営業損失は3,876,971千円(前年同期は営業損失811,668千円)、外貨建資産の為替評価差益172,323千円もあり、経常損失は3,689,435千円(前年同期は経常損失736,130千円)、減損損失等として131,820千円を計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純損失は3,833,480千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失1,962,817千円)と赤字が増加しましたが、2024年5月7日に開示しました修正通期業績予想と大きな乖離はありませんでした。 2022年2月に当社製品トレアキシン®RTD製剤を先発医薬品とする後発医薬品の製造販売承認を4社が取得し、内2社が同年に後発医薬品の販売を開始しました。 ファイザー株式会社及び東和薬品株式会社が、当社製品であるトレアキシン®点滴静注液100mg/4mL(トレアキシン®)の後発医薬品につき、製造販売承認を得て販売を開始したことを受け、当社は、2022年12月に、トレアキシン®に係る特許権のライセンス元であるイーグル社と共同で、両社に対してそれぞれ特許権侵害に基づく後発医薬品の製造販売の差止請求及び損害賠償請求訴訟を提起しておりましたが、連結会計年度末時点で両社に対する裁判はいずれも終了しております。 なお、2025年1月時点において、3社が後発医薬品を販売しております。 なお、当社グループの事業は医薬品等の研究開発及び製造販売並びにこれらの付随業務の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しています。 ② 研究開発活動当連結会計年度においては、各開発パイプラインにおいて、以下のとおり研究開発を推進しました。 (ⅰ)抗ウイルス薬SyB V-1901(一般名:brincidofovir<ブリンシドフォビル>「BCV」) 移植後感染症領域グローバル展開を見据えキメリックス・インク社(Chimerix Inc.、本社:米国ノースカロライナ州、以下「キメリックス社」)から導入したBCVの注射剤(SyB V-1901、以下各々「IV BCV」)の事業展開については、二本鎖DNAウイルス(dsDNAウイルス)に対し広範な活性を有することから、国内及び海外の専門領域の有力な研究施設と共同研究を進めており、研究成果である科学的知見を基にグローバルの臨床試験を検討、実施してまいります。 IV BCVについては、造血幹細胞移植後や臓器移植後などの免疫不全状態にある患者のアデノウイルス(AdV)感染及び感染症の治療を対象に、IV BCVのグローバル開発を優先的に進めることを決定し、2021年3月に、主に小児対象(成人も含む)のアデノウイルス感染及び感染症を対象とする第Ⅱa相臨床試験を開始するため、米国食品医薬品局(FDA)に治験許可申請(Investigational New Drug(IND)Application)を行いました。 本開発プログラムについては、2021年4月に、FDAからファストトラック指定を受けています。 2023年5月、本試験において、IV BCVの抗アデノウイルス活性を認め、ヒトPOC(Proof of Concept)を確立し、2024年上半期に、第Ⅱa相臨床試験は完了しました。 現在関係各国の規制当局との間で国際第Ⅲ相臨床試験の開始に向けて協議中で、同時に、国際共同治験実施のための当社体制の構築を進めてまいります。 なお、本試験に関しては、当試験の有効性を示すポジティブ・データが欧米の各学会において口頭発表されました。 また、本試験の結果に基づき出願したアデノウイルス感染及び感染症の治療に関するBCVの用途特許が2024年1月に日本において成立し登録されました。 造血幹細胞移植後のサイトメガロウイルス感染症患者を対象とした米国における第Ⅱa相臨床試験は、2024年5月に開始し、同年6月に第1例目の登録が行われ、現在試験が進行中です。 腎移植後のBKウイルス(BKV)感染症に対する開発は、現在プロトコルの修正の検討を行っております。 ポリオーマウイルス、特にJCウイルス(JCV)は、dsDNAウイルスの中でも、その感染によって脳に重篤な疾患を引き起こすことが知られており、既存の抗ウイルス薬ではほとんど効果が見られないため、有効な治療薬の開発が待ち望まれています。 2022年11月に米国ペンシルベニア州立大学医学部との間で試料提供契約(MTA:Material Transfer Agreement)を締結し、ポリオーマウイルス感染マウスモデルにおけるBCVの抗ウイルス活性を検証する非臨床試験を実施しています。 また、2024年7月には、その研究成果の第一報として、新たな知見がmBio誌に公表されました。 血液腫瘍領域BCVは高い抗ウイルス作用に加え、抗腫瘍効果も確認されており、シンガポール国立がんセンター(NCCS: National Cancer Centre Singapore)やカリフォルニア大学サンフランシスコ校脳神経外科脳腫瘍センターとの共同研究等を通じて、EBウイルス陽性リンパ腫、難治性脳腫瘍等、がん領域における新規適応症の探索も行っています。 また、2022年12月、米国ニューオーリンズで開催された第64回米国血液学会年次総会(The 64th American Society of Hematology (ASH) Annual Meeting)において現在有効な治療方法が確立していない進行の早いNK/T細胞リンパ腫に対するBCVの治療効果に関するNCCSとの共同研究成果について口頭発表されました。 さらに、2023年6月にはスイス・ルガーノで開催された第17回国際悪性リンパ腫会議(17th International Conference on Malignant Lymphoma: ICML)でBCVの抗腫瘍効果を予測するバイオマーカーに関する研究成果について発表、2024年4月には、米国サンディエゴで開催された米国がん学会(AACR Annual Meeting 2024)においてB細胞リンパ腫に対するBCVの抗腫瘍効果について発表、さらに2024年6月スペイン・マドリードで開催された欧州血液学会(EHA2024 Hybrid Congress)において、末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)に対するBCVの抗腫瘍効果について発表されました。 2024年8月には、がん領域におけるIV BCVのFIH(First in Human)試験として、悪性リンパ腫患者を対象とした国際共同第Ⅰb相臨床試験を開始しました。 本試験はBCVのがん領域におけるヒトPOCを確立することを目的としています。 その他の領域EBウイルス(EBV)の関連疾患であることが近年証明された難病の多発性硬化症(MS:Multiple Sclerosis)について、2022年8月に、米国国立衛生研究所(NIH:National Institutes of Health)に所属する国立神経疾患・脳卒中研究所(NINDS:National Institute of Neurological Disorders and Stroke)との間で、共同研究試料提供契約(Collaboration Agreement for The Transfer of Human Materials)を締結しました。 2023年3月には、多発性硬化症の治療におけるBCVのEBウイルスに対する効果を検証し、今後の臨床試験の実施に向けて必要とされる情報を得ることを目的として共同研究開発契約(CRADA:Cooperative Research and Development Agreement)を締結し、2023年10月にはその研究成果が、イタリア・ミラノで開催された第9回 ECTRIMS-ACTRIMS 合同学会(The 9th Joint ECTRIMS-ACTRIMS Meeting)において発表されました。 現在、本共同研究ではマーモセット(非ヒト霊長類)を用いた試験を実施しております。 米国国立衛生研究所に所属する国立アレルギー・感染症研究所(NIAID:National Institute of Allergy and Infectious Diseases)との間で、EBウイルス関連リンパ増殖性疾患に対するBCVの有効性を評価する共同研究開発契約(CRADA)を2023年4月に締結しました。 dsDNAウイルスの中には単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)をはじめ水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)など、脳神経組織への指向性を有するものがあり、アルツハイマー型認知症を含めた様々な脳神経領域の重篤性疾患に、それらが潜伏しているウイルスの再活性化が関与している可能性についての研究がこの数年進み、知見が増えています。 2022年12月に米国タフツ大学により確立されたヒト神経幹細胞を培養した脳組織を3次元に模倣したHSV感染・再活性化モデルを用いて、単純ヘルペスウイルス(HSV)感染に対するBCVの効果を検証するための委託研究契約(Sponsored Research Agreement)を締結し、共同研究を実施しています。 2022年9月、キメリックス社はエマージェント・バイオソリューションズ社(本社:米国メリーランド州)へのBCVに関する権利の譲渡手続きの完了を発表しましたが、当社の取得したBCVに関する、天然痘・エムポックスを含むオルソポックスウイルスの疾患を除いたすべての適応症を対象とした、全世界での独占的開発・製造・販売権に対する影響はありません。 2024年3月には、当社の子会社であるシンバイオ ファーマ アイルランド(SymBio Pharma Ireland Limited、アイルランド ダブリン)の設立に伴い、エマージェント・バイオソリューションズ社から、EU(欧州連合)における免疫不全患者におけるアデノウイルス感染症とサイトメガロウイルス感染症予防に対するオーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)指定が移管されました。 (ⅱ) 抗がん剤 SyB L-1701(RTD製剤)/ SyB L-1702(RI投与)(一般名:ベンダムスチン塩酸塩水和物、製品名:トレアキシン®)東京大学や京都大学との共同研究等に積極的に取り組み、新たな開発の可能性を探索しております。 (ⅲ)抗がん剤SyB L-1101(注射剤) / SyB C-1101(経口剤)(一般名:リゴセルチブナトリウム)オンコノバ・セラピューティクス社(Onconova Therapeutics, Inc.、本社:米国ペンシルベニア州、以下「オンコノバ社」)から導入したリゴセルチブ注射剤については、リゴセルチブとトレアキシン®に関して、東京大学との共同研究及び社会連携講座の設置などを通じて、両化合物あるいは他の既存薬との併用により新たな有用性を見出すとともに新規適応症の探索を行っております。 なお、2024年4月オンコノバ社はトラウスファーマ社(Traws Pharma Inc.、本社:米国ペンシルベニア州)に社名を変更いたしました。 ③ 海外事業引き続き、シンバイオファーマUSAをIV BCVのグローバル事業の戦略的拠点とし、欧米日英においての開発を加速し、商業化を実現するために活動を発展させてまいります。 2025年1月1日付で、シンバイオファーマUSAの取締役CEO兼社長として、当社執行役員兼社長補佐である田口賢を選任し、2030年に向けた当社のBCV事業の牽引を目指します。 ④ 新規開発候補品の導入当社グループは2019年に導入したBCVのグローバル開発を推進するとともに、従来からの取り組みである複数のライセンス案件の検討を進め、新規開発候補品の探索評価の実施を通じて、収益性と成長性を兼ね備えたバイオ製薬企業として中長期的な事業価値の創造を目指してまいります。 ⑤ 設備投資等の状況当連結会計年度中に実施いたしました当社グループの設備投資等の総額は、46,878千円で、その主なものは、事務所設備・什器、ネットワーク機器及び業務用ソフトウエアの購入等であります。 ⑥ 財政状態の状況当連結会計年度末における総資産は4,968,333千円となりました。 流動資産は4,924,231千円となり、主な内訳は、現金及び預金が3,963,580千円、売掛金が423,153千円、商品及び製品が115,188千円であります。 固定資産は減損した結果、敷金及び保証金44,102千円となりました。 負債の部については、総額770,772千円となりました。 流動負債は766,169千円となり、主な内訳は、未払金が635,852千円であります。 固定負債は4,603千円となり、内訳は、退職給付に係る負債4,603千円であります。 純資産の部については、総額4,197,560千円となりました。 主な内訳は、資本金が18,336,841千円、資本剰余金が18,311,713千円、新株予約権が316,758千円であります。 この結果、自己資本比率は78.1%となりました。 ⑦ キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。 )は、3,963,580千円となりました。 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりです。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)税金等調整前当期純損失3,806,957千円の計上、減損損失131,820千円の発生、売上債権489,940千円の減少、棚卸資産54,663千円の減少等により営業活動資金が増加、未払又は未収消費税等65,693千円の減少等により、全体では3,416,518千円の減少となりました。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)有形固定資産の取得による支出19,816千円、無形固定資産の取得による支出27,061千円等により、全体では3,955千円の減少となりました。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)新株の発行による収入728,850千円等により、全体では708,472千円の増加となりました。 第18期 2022年12月期第19期2023年12月期第20期2024年12月期自己資本比率(%)77.684.978.1時価ベースの自己資本比率(%)243.6127.55183.60債務償還年数(年)―――インタレスト・カバレッジ・レシオ――― 自己資本比率:自己資本/総資産時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産債務償還年数:有利子負債/営業キャッシュ・フローインタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い (注) 1. 当社グループは、第18期より連結財務諸表を作成しているため、第17期以前の各数値は記載しておりません。 2.株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しています。 3. 第18期以降は利払いがないため、債務償還年数及びインタレスト・カバレッジ・レシオは記載していません。 ⑧ 生産、受注及び販売の状況(生産実績)当社グループは生産を行っていないため、該当事項はありません。 (仕入実績)当連結会計年度の仕入実績は次のとおりであります。 当連結会計年度(自 2024年1月1日至 2024年12月31日)仕入高(千円)前年同期比(%)仕入525,06055.8合計525,06055.8 (注) 当社グループの事業は、医薬品等の研究開発及び製造販売並びにこれらの付随業務の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。 (受注実績)当社は受注生産を行っていないため、該当事項はありません。 (販売実績)当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。 当連結会計年度(自 2024年1月1日至 2024年12月31日)販売高(千円)前年同期比(%)商品及び製品販売2,452,91243.9マイルストーン収入- 合計2,452,91243.9 (注) 1.当社グループの事業は、医薬品等の研究開発及び製造販売並びにこれらの付随業務の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。 2.当連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。 相手先前連結会計年度(自 2023年1月1日至 2023年12月31日)当連結会計年度(自 2024年1月1日至 2024年12月31日)金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)株式会社スズケン3,316,84159.31,438,68458.7東邦薬品株式会社2,272,86740.71,014,22841.3 ⑨ 資本の財源及び資金の流動性について当社グループは、新規開発品の導入と、その研究開発に対して積極的に資金を投下して参りました。 また、安定的に運転資金を確保することを目的として銀行から融資枠の設定を受けております。 当面の資金需要に関しては、事業から生じるキャッシュ・フロー及び自己資金により賄うことを基本方針としております。 一方、今後の資金需要を想定し、内部資金を充当することに加え、資金調達と共にグローバル製薬会社との業務提携を中長期的に検討いたします。 ⑩ 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。 この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要となる事項については、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。 詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。 |
経営上の重要な契約等 | 5 【経営上の重要な契約等】 当社グループの経営上の重要な契約は以下のとおりであります。 (1) 技術導入等① SyB L-1701(RTD製剤) / SyB L-1702(RI製剤) 契約書名PRODUCT COLLABORATION AND LICENSE AGREEMENT契約書相手方名イーグル・ファーマシューティカルズ社(米国)契約締結日2017年9月19日契約期間製品の特許期間または市場独占期間のいずれか長い方。 主な契約内容① 当社は、日本におけるSyB L-1701/L-1702の独占的開発権及び独占的販売権の許諾を受ける。 ② 上記①の対価として、当社は契約一時金、マイルストーン及び一定料率のロイヤリティを支払う。 ② SyB L-1101 / C-1101 契約書名LICENSE AGREEMENT契約書相手方名オンコノバ・セラピューティクス社(米国)契約締結日2011年7月7日契約期間各国、最初の製品の販売から10年(韓国は7年)または、市場独占期間または、特許権の有効期間のいずれか長い方。 主な契約内容① 当社は、日本及び韓国におけるSyB L-1101/C-1101の独占的開発権及び独占的販売権の許諾を受ける。 ② 上記①の対価として、当社は契約一時金、マイルストーン及び一定料率のロイヤリティを支払う。 ③ SyB V-1901 契約書名LICENSE AGREEMENT契約書相手方名エマージェント・バイオソリューションズ社(米国)契約締結日2019年9月30日契約期間製品の適応症例ごとに、また、国ごとに、販売開始から10年間、特許期間または市場独占期間のいずれか長い方が各ロイヤリティ期間であり、その最終の期限が到来する時点が契約期限となる。 主な契約内容① 当社は、抗ウイルス薬ブリンシドフォビルに関して、開発・販売・製造を含めた独占的権利について世界全域を対象として許諾を受ける。 (但し、天然痘疾患に関する適応は除く)② 上記①に対し、当社は契約一時金及びロイヤリティのほか、承認取得時のマイルストーン及び販売額達成に応じたマイルストーンを支払う。 (2) 国際治験SyB V-1901 契約書名MASTER CLINICAL SERVICE AGREEMENT契約書相手方名サイネオス・ヘルス社(米国)契約締結日2020年12月21日契約期間契約締結から5年または治験終了のいずれか長い方。 主な契約内容① 当社は、日本/アメリカ/ヨーロッパを中心としたSyB V-1901のグローバル開発における治験を委託する。 ② 上記①の対価として、当社は業務委託料を支払う。 契約書名MASTER SERVICES AGREEMENT契約書相手方名IQVIA RDS Inc. (USA), IQVIA Ltd. (UK), IQVIA RDS East Asia Pte. Ltd. (Singapore)契約締結日2024年6月3日契約期間契約締結から10年。 主な契約内容① 当社は、日本/アメリカ/ヨーロッパを中心としたSyB V-1901のグローバル開発における治験を委託する。 ② 上記①の対価として、当社は業務委託料を支払う。 (3) その他 契約書名取引基本契約書契約書相手方名株式会社スズケン(日本)契約締結日2019年11月1日契約期間契約締結から1年、但し、契約の変更・解約がない限り1年ごと延長。 主な契約内容医療用医薬品の売買。 契約書名取引基本契約書契約書相手方名東邦薬品株式会社(日本)契約締結日2019年11月1日契約期間契約締結から1年、但し、契約の変更・解約がない限り1年ごと延長。 主な契約内容医療用医薬品の売買。 契約書名Securities Purchase Agreement契約書相手方名CVI Investment(Grand Cayman)契約締結日2022年5月16日契約期間期限の定めなし。 主な契約内容① シンバイオ製薬株式の第三者割当購入及び新株予約権の第三者割当購入。 ② 新株予約権の発効条件の定め。 契約書名新株予約権付社債発行プログラム設定契約証書契約書相手方名Cantor Fitzgerald Europe契約締結日2024年12月25日契約期間契約締結から4回目の社債の満期償還日である2027年4月11日まで。 主な契約内容Cantor Fitzgerald Europeを割当人とする4回に分けた無担保転換社債型新株予約権付社債の発行プログラム。 |
研究開発活動 | 6 【研究開発活動】 当社グループは、医療上のニーズは極めて高いものの、開発の難度が高く、また大手製薬企業が事業効率面、採算面から手を出しにくいために開発が遅れている、空白の治療領域に焦点を当て、中でも高い専門性が求められ難易度が高いために参入障壁の高いがん・血液及びウイルス感染症領域に特化し、医薬品の研究開発活動を行っています。 当社グループは、新薬が開発されないことで治療上の問題を抱えている患者さんに対して、短期間で開発を行い、迅速に治療薬をお届けすることを最優先に考え、空白の治療領域を埋めるために新薬の開発・提供を行うという企業使命を果たしてまいります。 当社グループの事業は、医薬品等の研究開発及び製造販売並びにこれらの付随業務の単一セグメントであり、当連結会計年度における研究開発費の総額は3,379,471千円であります。 (研究開発体制)当社グループは研究設備を保有せず、開発候補品を他の製薬企業、バイオベンチャー企業等から導入することにより、新薬開発を行っています。 開発候補化合物については、主にヒトでPOCが確立され、前臨床試験データ、臨床試験データがある化合物を対象とすることにより、開発にかかる様々なリスクと費用を軽減するとともに、開発開始から承認取得までの期間を短縮することが可能となります。 これらの開発候補化合物の探索は、当社グループ独自の探索ネットワークと評価ノウハウを活用し、当社グループ内の経験を有した専門スタッフによる絞り込みを最初に行い、その後、SABにおいて、第一線でこの分野における治療の研究に携わる経験豊富な社外専門家の厳密な評価を受けた上で、当社において最終的な導入候補品を決定いたします。 当社グループはSABを年2~3回開催し、研究開発全般に関する議論・情報交換を活発に行っています。 開発候補品の導入後は、当社グループ内の経験を有した開発スタッフが、短期間で製造販売承認を取得するための開発戦略策定とその実行等の付加価値の高い業務に専念し、その他の定型的な開発業務はCRO等のアウトソーシング先に委託しています。 なお、当社の研究開発人員数は44名となっております。 今後、パイプラインの開発の進捗に伴い、必要に応じて開発人員の拡充を図ってまいります。 |
設備投資等の概要 | 1 【設備投資等の概要】 当連結会計年度中に実施いたしました設備投資等の総額は、事務所設備・什器、ネットワーク機器及び業務用ソフトウエアの購入による46,878千円となっております。 その他、長期前払費用等を含む減損損失131,820千円を計上しております。 なお、当社グループの事業は医薬品等の研究開発及び製造販売並びにこれらの付随業務の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。 |
主要な設備の状況 | 2 【主要な設備の状況】 当社グループにおける主要な設備は、当連結会計年度において減損損失131,820千円を計上しているため、以下のとおりであります。 なお、当社グループの事業は医薬品等の研究開発及び製造販売並びにこれらの付随業務の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しています。 2024年12月31日現在事業所名(所在地)設備の内容帳簿価額(千円)従業員数(人)建物工具、器具及び備品ソフトウエア合計本社(東京都港区)事務所----108(15) (注) 1.現在休止中の資産はございません。 2.従業員数は就業員数(契約社員を含む)であり、臨時雇用者数(人材会社からの派遣社員)は、( )内に外数で記載しております。 3.上記の他、他の物から賃貸している設備の内容は下記の通りであります。 事業所名(所在地)設備の内容年間賃貸料(千円)本社(東京都港区)本社事務所132,297 |
設備の新設、除却等の計画 | 3 【設備の新設、除却等の計画】 (1) 重要な設備の新設等(2024年12月31日現在)該当事項はありません。 (2) 重要な設備の除却等(2024年12月31日現在)該当事項はありません。 |
研究開発費、研究開発活動 | 3,379,471,000 |
設備投資額、設備投資等の概要 | 46,878,000 |
Employees
平均年齢(年)、提出会社の状況、従業員の状況 | 56 |
平均勤続年数(年)、提出会社の状況、従業員の状況 | 5 |
平均年間給与、提出会社の状況、従業員の状況 | 13,215,000 |
管理職に占める女性労働者の割合、提出会社の指標 | 0 |
全労働者、労働者の男女の賃金の差異、提出会社の指標 | 1 |
正規雇用労働者、労働者の男女の賃金の差異、提出会社の指標 | 1 |
Investment
株式の保有状況 | (5) 【株式の保有状況】 該当事項はありません。 |
Shareholders
大株主の状況 | (6) 【大株主の状況】 2024年12月31日現在 氏名又は名称住所所有株式数(株)発行済株式(自己株式を除く。)の総数に対する所有株式数の割合(%) 吉田 文紀東京都港区1,684,2003.67 JPモルガン証券株式会社東京都千代田区丸の内2丁目7-3551,9001.20 BNY GCM CLIENT ACCOUNT JPRD AC ISG(FE-AC)(常任代理人 株式会社三菱UFJ銀行)PETERBOROUGH COURT 133 FLEET STREET LONDON EC4A 2BB UNITED KINGDOM(東京都千代田区丸の内1丁目4番5号)434,3960.95 伊藤 輔則千葉県船橋市430,0000.94 モルガン・スタンレーMUFG証券株式会社東京都千代田区大手町1丁目9番7号397,4000.87 松井証券株式会社東京都千代田区麹町1丁目4番地309,1000.67 野村證券株式会社東京都中央区日本橋1丁目13番1号272,2360.59 柏原 俊高大阪府和泉市228,0250.50 木下 みどり千葉県千葉市美浜区170,0000.37 山岸 浩一神奈川県横浜市都筑区164,4000.36計 4,641,65710.12 |
株主数-金融機関 | 2 |
株主数-金融商品取引業者 | 36 |
株主数-外国法人等-個人 | 271 |
株主数-外国法人等-個人以外 | 25 |
株主数-個人その他 | 31,080 |
株主数-その他の法人 | 139 |
株主数-計 | 31,553 |
氏名又は名称、大株主の状況 | 山岸 浩一 |
株主総利回り | 0 |
株主総会決議による取得の状況 | (1) 【株主総会決議による取得の状況】 該当事項はありません。 |
株主総会決議又は取締役会決議に基づかないものの内容 | (3) 【株主総会決議又は取締役会決議に基づかないものの内容】 区分株式数(株)価額の総額(千円)当事業年度における取得自己株式3,119768当期間における取得自己株式254 (注) 当期間における取得自己株式には、2025年3月1日から有価証券報告書提出日までの単元未満株式の買取りによる株式数は含めておりません。 |
Shareholders2
自己株式の取得 | -768,000 |
自己株式の取得による支出、財務活動によるキャッシュ・フロー | -768,000 |
発行済株式及び自己株式に関する注記 | 1.発行済株式の種類及び総数並びに自己株式の種類及び株式数に関する事項 当連結会計年度期首株式数(株)当連結会計年度増加株式数(株)当連結会計年度減少株式数(株)当連結会計年度末株式数(株)発行済株式 普通株式42,278,0813,650,775-45,928,856合計42,278,0813,650,775-45,928,856自己株式 普通株式87,7203,1195090,789合計87,7203,1195090,789 (注)1.普通株式の発行済株式の増加3,650,775株のうち、3,600,000株は第三者割当増資による新株式発行増資 によるもの、50,775株は新株予約権の権利行使によるものです。 2.普通株式の自己株式の増加3,119株は、単元未満株式の買取りによるものです。 3.普通株式の自己株式の減少50株は、単元未満株主への売渡しによるものです。 |
Audit
監査法人1、連結 | EY新日本有限責任監査法人 |
独立監査人の報告書、連結 | 独立監査人の監査報告書及び内部統制監査報告書 2025年3月25日シンバイオ製薬株式会社取締役会 御中 EY新日本有限責任監査法人東京事務所 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士冨 田 哲 也 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士松 尾 絹 代 <連結財務諸表監査>監査意見 当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられているシンバイオ製薬株式会社の2024年1月1日から2024年12月31日までの連結会計年度の連結財務諸表、すなわち、連結貸借対照表、連結損益計算書、連結包括利益計算書、連結株主資本等変動計算書、連結キャッシュ・フロー計算書、連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項、その他の注記及び連結附属明細表について監査を行った。 当監査法人は、上記の連結財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、シンバイオ製薬株式会社及び連結子会社の2024年12月31日現在の財政状態並びに同日をもって終了する連結会計年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。 監査意見の根拠 当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。 監査の基準における当監査法人の責任は、「連結財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。 当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。 当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。 監査上の主要な検討事項監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。 監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 継続企業の前提に関する経営者による対応策の評価監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応会社は製薬ベンチャー企業として、抗ウイルス薬ブリンシドフォビル(BCV)による造血幹細胞移植後のアデノウイルス及びサイトメガロウイルス感染症の臨床試験を実施している。 トレアキシン®の販売は、後発品の浸食により売上高が著しく減少し、一方で先行投資としての研究開発費の増加により、会社は継続的な営業キャッシュ・フローのマイナス、営業損失、経常損失及び当期純損失を計上している。 そのため、当連結会計年度末において、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在している。 このような状況において、経営者は、当該事象又は状況を解消又は改善するため、転換社債型新株予約権付社債の発行による資金調達を実行し、新たな資金調達や、ライセンス契約締結による導出一時金の獲得のため、積極的にパートナリングの交渉を継続しており、後発医薬品のさらなる浸食を想定した資金計画を策定している。 これらの状況に応じて、実施可能な複数のコスト削減策も計画している。 経営者は、当該資金計画やコスト削減策により、当連結会計年度末から1年を超える期間についての資金繰りに重要な懸念はないと判断し、連結財務諸表において継続企業の前提に関する重要な不確実性の注記を行っていない。 資金計画やコスト削減策は、経営者による仮定が含まれ、また不確実性を伴うことから、経営者の判断によって影響を受ける。 以上から、当監査法人は、継続企業の前提に関する経営者の対応策の評価の検討が監査上の主要な検討事項に該当すると判断した。 当監査法人は、継続企業の前提に関する経営者による対応策を評価するため、主に以下の監査手続を実施した。 ・継続企業の前提に関する評価及び資金計画の策定に関する内部統制を理解した。 ・資金計画及びコスト削減策について、取締役会にて承認されていることを確認した。 ・転換社債型新株予約権付社債の発行による資金調達額について、契約書を閲覧し、監査報告書日までに調達済みの金額については、入金の証憑と突合した。 ・後発医薬品の当連結会計年度末の浸食について、後発品販売会社3社の販売数量を、会社が利用した外部機関が発行したレポートと照合し、当連結会計年度末以降の浸食について、厚生労働省が公表した資料と比較し、批判的に検討した。 ・資金計画の売上高による収入について、経営会議資料を閲覧し、販売単価の見積りについて理解し、厚生労働省が公表した薬価と突合した。 ・資金計画の主な支出について、過去の計画と実績との比較分析を行った。 ・資金計画について、当連結会計年度末以降の現金及び預金残高の、計画と実績の月次比較分析を行った。 ・複数のコスト削減策について、担当部署へ質問を実施し、主な項目について、見積書及び契約書と突合し、コスト削減に関する取引先との協議記録を閲覧した。 ・上記手続の結果を踏まえて、経営者が作成した資金計画を、一定の不確実性を織り込んで検討した。 ・当連結会計年度末から1年を超える期間について発生する可能性がある継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関する情報を、経営者に質問した。 グローバル開発における治験に関する研究開発費の特定の契約に係る業務委託料の期間帰属及び計上金額監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応会社は、抗ウイルス薬brincidofovirのグローバル開発体制を構築して、海外で臨床試験を進めている。 連結損益計算書関係注記に記載の通り、会社は2024年12月期において、3,379,471千円の研究開発費を計上している。 また、会社は、ラボレス・ファブレス戦略により、定型的な開発業務を委託しているため、研究開発費のうち主なものは業務委託料である。 業務委託料のうちグローバル開発における特定の契約に係る治験に関する費用は金額が大きく、かつ、単一の業務委託契約に支払条件や費用の発生パターンの異なる活動が多く含まれる。 当該グローバル開発における治験に関する研究開発費の業務委託料の会計処理に当たっては、契約に基づき委託した研究開発活動ごとに検収を通じて作業報告による役務の提供を受けたことを確認したうえで費用として処理されるため、会計処理の誤りが生じる可能性がある。 また、研究開発活動は会社のビジネスの重要な事業活動であり、その進捗に対する投資家の関心も高く、連結財務諸表全体における影響も大きい。 上記の理由から、当該グローバル開発における治験に関する研究開発費の業務委託料の期間帰属及び計上金額の妥当性を監査上の主要な検討事項に該当すると判断した。 当監査法人は、当該特定のグローバル開発における治験に関する研究開発費の業務委託料の期間帰属及び計上金額を検討するにあたり、主として以下の監査手続を実施した。 ・当該グローバル開発における治験に関する研究開発費の業務委託料の期間帰属及び計上金額の妥当性に係る内部統制の整備及び運用状況の有効性を評価するため、関連文書の閲覧、関係する担当者への質問及び内部統制の実施記録の検証を、サンプルを抽出して実施した。 ・研究開発活動の進捗状況を理解するため、経営者への質問を実施するとともに、取締役会議事録及び関連資料を閲覧した。 ・受託臨床試験実施機関との業務委託契約を閲覧し、同契約に記載された複数の活動の支払条件や費用の発生パターンを理解した。 ・期中及び当連結会計年度末日後に入手した受託臨床試験実施機関からの請求書及び作業進捗報告資料を閲覧し、当該グローバル開発における治験に関する研究開発費の業務委託料の計上時期及び計上金額の妥当性を検討した。 ・受託臨床試験実施機関に対する当連結会計年度末前渡金残高について、残高確認手続を実施した。 その他の記載内容 その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。 経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。 また、監査等委員会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 当監査法人の連結財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。 連結財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と連結財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 連結財務諸表に対する経営者及び監査等委員会の責任 経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して連結財務諸表を作成し適正に表示することにある。 これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない連結財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。 連結財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき連結財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。 監査等委員会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 連結財務諸表監査における監査人の責任 監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての連結財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から連結財務諸表に対する意見を表明することにある。 虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、連結財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。 監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。 ・ 不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。 また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。 監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。 さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。 ・ 連結財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。 ・ 経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。 ・ 経営者が継続企業を前提として連結財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。 継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において連結財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する連結財務諸表の注記事項が適切でない場合は、連結財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。 監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。 ・ 連結財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた連結財務諸表の表示、構成及び内容、並びに連結財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。 ・ 連結財務諸表に対する意見表明の基礎となる、会社及び連結子会社の財務情報に関する十分かつ適切な監査証拠を入手するために、連結財務諸表の監査を計画し実施する。 監査人は、連結財務諸表の監査に関する指揮、監督及び査閲に関して責任がある。 監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。 監査人は、監査等委員会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。 監査人は、監査等委員会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。 監査人は、監査等委員会と協議した事項のうち、当連結会計年度の連結財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。 ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。 <内部統制監査>監査意見 当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第2項の規定に基づく監査証明を行うため、シンバイオ製薬株式会社の2024年12月31日現在の内部統制報告書について監査を行った。 当監査法人は、シンバイオ製薬株式会社が2024年12月31日現在の財務報告に係る内部統制は有効であると表示した上記の内部統制報告書が、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して、財務報告に係る内部統制の評価結果について、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。 監査意見の根拠 当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に準拠して内部統制監査を行った。 財務報告に係る内部統制の監査の基準における当監査法人の責任は、「内部統制監査における監査人の責任」に記載されている。 当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。 当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。 内部統制報告書に対する経営者並びに監査等委員会の責任 経営者の責任は、財務報告に係る内部統制を整備及び運用し、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して内部統制報告書を作成し適正に表示することにある。 監査等委員会の責任は、財務報告に係る内部統制の整備及び運用状況を監視、検証することにある。 なお、財務報告に係る内部統制により財務報告の虚偽の記載を完全には防止又は発見することができない可能性がある。 内部統制監査における監査人の責任 監査人の責任は、監査人が実施した内部統制監査に基づいて、内部統制報告書に重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、内部統制監査報告書において独立の立場から内部統制報告書に対する意見を表明することにある。 監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。 ・ 内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果について監査証拠を入手するための監査手続を実施する。 内部統制監査の監査手続は、監査人の判断により、財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性に基づいて選択及び適用される。 ・ 財務報告に係る内部統制の評価範囲、評価手続及び評価結果について経営者が行った記載を含め、全体としての内部統制報告書の表示を検討する。 ・ 内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果に関する十分かつ適切な監査証拠を入手するために、内部統制の監査を計画し実施する。 監査人は、内部統制報告書の監査に関する指揮、監督及び査閲に関して責任がある。 監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。 監査人は、監査等委員会に対して、計画した内部統制監査の範囲とその実施時期、内部統制監査の実施結果、識別した内部統制の開示すべき重要な不備、その是正結果、及び内部統制の監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。 監査人は、監査等委員会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。 <報酬関連情報>当監査法人及び当監査法人と同一のネットワークに属する者に対する、会社及び子会社の監査証明業務に基づく報酬及び非監査業務に基づく報酬の額は、「提出会社の状況」に含まれるコーポレート・ガバナンスの状況等(3)【監査の状況】 に記載されている。 利害関係会社及び連結子会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。 以 上 (注) 1 上記の監査報告書の原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。 2 XBRLデータは監査の対象には含まれていません。 |
監査上の主要な検討事項、連結 | 監査上の主要な検討事項監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。 監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 継続企業の前提に関する経営者による対応策の評価監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応会社は製薬ベンチャー企業として、抗ウイルス薬ブリンシドフォビル(BCV)による造血幹細胞移植後のアデノウイルス及びサイトメガロウイルス感染症の臨床試験を実施している。 トレアキシン®の販売は、後発品の浸食により売上高が著しく減少し、一方で先行投資としての研究開発費の増加により、会社は継続的な営業キャッシュ・フローのマイナス、営業損失、経常損失及び当期純損失を計上している。 そのため、当連結会計年度末において、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在している。 このような状況において、経営者は、当該事象又は状況を解消又は改善するため、転換社債型新株予約権付社債の発行による資金調達を実行し、新たな資金調達や、ライセンス契約締結による導出一時金の獲得のため、積極的にパートナリングの交渉を継続しており、後発医薬品のさらなる浸食を想定した資金計画を策定している。 これらの状況に応じて、実施可能な複数のコスト削減策も計画している。 経営者は、当該資金計画やコスト削減策により、当連結会計年度末から1年を超える期間についての資金繰りに重要な懸念はないと判断し、連結財務諸表において継続企業の前提に関する重要な不確実性の注記を行っていない。 資金計画やコスト削減策は、経営者による仮定が含まれ、また不確実性を伴うことから、経営者の判断によって影響を受ける。 以上から、当監査法人は、継続企業の前提に関する経営者の対応策の評価の検討が監査上の主要な検討事項に該当すると判断した。 当監査法人は、継続企業の前提に関する経営者による対応策を評価するため、主に以下の監査手続を実施した。 ・継続企業の前提に関する評価及び資金計画の策定に関する内部統制を理解した。 ・資金計画及びコスト削減策について、取締役会にて承認されていることを確認した。 ・転換社債型新株予約権付社債の発行による資金調達額について、契約書を閲覧し、監査報告書日までに調達済みの金額については、入金の証憑と突合した。 ・後発医薬品の当連結会計年度末の浸食について、後発品販売会社3社の販売数量を、会社が利用した外部機関が発行したレポートと照合し、当連結会計年度末以降の浸食について、厚生労働省が公表した資料と比較し、批判的に検討した。 ・資金計画の売上高による収入について、経営会議資料を閲覧し、販売単価の見積りについて理解し、厚生労働省が公表した薬価と突合した。 ・資金計画の主な支出について、過去の計画と実績との比較分析を行った。 ・資金計画について、当連結会計年度末以降の現金及び預金残高の、計画と実績の月次比較分析を行った。 ・複数のコスト削減策について、担当部署へ質問を実施し、主な項目について、見積書及び契約書と突合し、コスト削減に関する取引先との協議記録を閲覧した。 ・上記手続の結果を踏まえて、経営者が作成した資金計画を、一定の不確実性を織り込んで検討した。 ・当連結会計年度末から1年を超える期間について発生する可能性がある継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関する情報を、経営者に質問した。 グローバル開発における治験に関する研究開発費の特定の契約に係る業務委託料の期間帰属及び計上金額監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応会社は、抗ウイルス薬brincidofovirのグローバル開発体制を構築して、海外で臨床試験を進めている。 連結損益計算書関係注記に記載の通り、会社は2024年12月期において、3,379,471千円の研究開発費を計上している。 また、会社は、ラボレス・ファブレス戦略により、定型的な開発業務を委託しているため、研究開発費のうち主なものは業務委託料である。 業務委託料のうちグローバル開発における特定の契約に係る治験に関する費用は金額が大きく、かつ、単一の業務委託契約に支払条件や費用の発生パターンの異なる活動が多く含まれる。 当該グローバル開発における治験に関する研究開発費の業務委託料の会計処理に当たっては、契約に基づき委託した研究開発活動ごとに検収を通じて作業報告による役務の提供を受けたことを確認したうえで費用として処理されるため、会計処理の誤りが生じる可能性がある。 また、研究開発活動は会社のビジネスの重要な事業活動であり、その進捗に対する投資家の関心も高く、連結財務諸表全体における影響も大きい。 上記の理由から、当該グローバル開発における治験に関する研究開発費の業務委託料の期間帰属及び計上金額の妥当性を監査上の主要な検討事項に該当すると判断した。 当監査法人は、当該特定のグローバル開発における治験に関する研究開発費の業務委託料の期間帰属及び計上金額を検討するにあたり、主として以下の監査手続を実施した。 ・当該グローバル開発における治験に関する研究開発費の業務委託料の期間帰属及び計上金額の妥当性に係る内部統制の整備及び運用状況の有効性を評価するため、関連文書の閲覧、関係する担当者への質問及び内部統制の実施記録の検証を、サンプルを抽出して実施した。 ・研究開発活動の進捗状況を理解するため、経営者への質問を実施するとともに、取締役会議事録及び関連資料を閲覧した。 ・受託臨床試験実施機関との業務委託契約を閲覧し、同契約に記載された複数の活動の支払条件や費用の発生パターンを理解した。 ・期中及び当連結会計年度末日後に入手した受託臨床試験実施機関からの請求書及び作業進捗報告資料を閲覧し、当該グローバル開発における治験に関する研究開発費の業務委託料の計上時期及び計上金額の妥当性を検討した。 ・受託臨床試験実施機関に対する当連結会計年度末前渡金残高について、残高確認手続を実施した。 |
全体概要、監査上の主要な検討事項、連結 | 監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。 監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 |
見出し、監査上の主要な検討事項、連結 | グローバル開発における治験に関する研究開発費の特定の契約に係る業務委託料の期間帰属及び計上金額 |
内容及び理由、監査上の主要な検討事項、連結 | 会社は、抗ウイルス薬brincidofovirのグローバル開発体制を構築して、海外で臨床試験を進めている。 連結損益計算書関係注記に記載の通り、会社は2024年12月期において、3,379,471千円の研究開発費を計上している。 また、会社は、ラボレス・ファブレス戦略により、定型的な開発業務を委託しているため、研究開発費のうち主なものは業務委託料である。 業務委託料のうちグローバル開発における特定の契約に係る治験に関する費用は金額が大きく、かつ、単一の業務委託契約に支払条件や費用の発生パターンの異なる活動が多く含まれる。 当該グローバル開発における治験に関する研究開発費の業務委託料の会計処理に当たっては、契約に基づき委託した研究開発活動ごとに検収を通じて作業報告による役務の提供を受けたことを確認したうえで費用として処理されるため、会計処理の誤りが生じる可能性がある。 また、研究開発活動は会社のビジネスの重要な事業活動であり、その進捗に対する投資家の関心も高く、連結財務諸表全体における影響も大きい。 上記の理由から、当該グローバル開発における治験に関する研究開発費の業務委託料の期間帰属及び計上金額の妥当性を監査上の主要な検討事項に該当すると判断した。 |
監査上の対応、監査上の主要な検討事項、連結 | 当監査法人は、当該特定のグローバル開発における治験に関する研究開発費の業務委託料の期間帰属及び計上金額を検討するにあたり、主として以下の監査手続を実施した。 ・当該グローバル開発における治験に関する研究開発費の業務委託料の期間帰属及び計上金額の妥当性に係る内部統制の整備及び運用状況の有効性を評価するため、関連文書の閲覧、関係する担当者への質問及び内部統制の実施記録の検証を、サンプルを抽出して実施した。 ・研究開発活動の進捗状況を理解するため、経営者への質問を実施するとともに、取締役会議事録及び関連資料を閲覧した。 ・受託臨床試験実施機関との業務委託契約を閲覧し、同契約に記載された複数の活動の支払条件や費用の発生パターンを理解した。 ・期中及び当連結会計年度末日後に入手した受託臨床試験実施機関からの請求書及び作業進捗報告資料を閲覧し、当該グローバル開発における治験に関する研究開発費の業務委託料の計上時期及び計上金額の妥当性を検討した。 ・受託臨床試験実施機関に対する当連結会計年度末前渡金残高について、残高確認手続を実施した。 |
その他の記載内容、連結 | その他の記載内容 その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。 経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。 また、監査等委員会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 当監査法人の連結財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。 連結財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と連結財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 |
報酬関連情報、連結 | <報酬関連情報>当監査法人及び当監査法人と同一のネットワークに属する者に対する、会社及び子会社の監査証明業務に基づく報酬及び非監査業務に基づく報酬の額は、「提出会社の状況」に含まれるコーポレート・ガバナンスの状況等(3)【監査の状況】 に記載されている。 |
Audit1
監査法人1、個別 | EY新日本有限責任監査法人 |
独立監査人の報告書、個別 | 独立監査人の監査報告書 2025年3月25日シンバイオ製薬株式会社取締役会 御中 EY新日本有限責任監査法人東京事務所 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士冨 田 哲 也 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士松 尾 絹 代 <財務諸表監査>監査意見 当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられているシンバイオ製薬株式会社の2024年1月1日から2024年12月31日までの第20期事業年度の財務諸表、すなわち、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、重要な会計方針、その他の注記及び附属明細表について監査を行った。 当監査法人は、上記の財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、シンバイオ製薬株式会社の2024年12月31日現在の財政状態及び同日をもって終了する事業年度の経営成績を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。 監査意見の根拠 当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。 監査の基準における当監査法人の責任は、「財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。 当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。 当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。 監査上の主要な検討事項監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。 監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 継続企業の前提に関する経営者による対応策の評価連結財務諸表の監査報告書に記載されている監査上の主要な検討事項(継続企業の前提に関する経営者による対応策の評価)と同一内容であるため、記載を省略している。 グローバル開発における治験に関する研究開発費の特定の契約に係る業務委託料の期間帰属及び計上金額監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応会社は、抗ウイルス薬brincidofovirのグローバル開発体制を構築して、海外で臨床試験を進めている。 損益計算書関係注記に記載の通り、会社は2024年12月期において、3,482,414千円の研究開発費を計上している。 また、会社は、ラボレス・ファブレス戦略により、定型的な開発業務を委託しているため、研究開発費のうち主なものは業務委託料である。 業務委託料のうちグローバル開発における特定の契約に係る治験に関する費用は金額が大きく、かつ、単一の業務委託契約に支払条件や費用の発生パターンの異なる活動が多く含まれる。 当該グローバル開発における治験に関する研究開発費の業務委託料の会計処理に当たっては、契約に基づき委託した研究開発活動ごとに検収を通じて作業報告による役務の提供を受けたことを確認したうえで費用として処理されるため、会計処理の誤りが生じる可能性がある。 また、研究開発活動は会社のビジネスの重要な事業活動であり、その進捗に対する投資家の関心も高く、財務諸表全体における影響も大きい。 上記の理由から、当該グローバル開発における治験に関する研究開発費の業務委託料の期間帰属及び計上金額の妥当性を監査上の主要な検討事項に該当すると判断した。 連結財務諸表の監査報告書において、「グローバル開発における治験に関する研究開発費の特定の契約に係る業務委託料の期間帰属及び計上金額」が監査上の主要な検討事項に該当すると判断し、監査上の対応について記載している。 当該記載内容は、財務諸表監査における監査上の対応と実質的に同一の内容であることから、監査上の対応については記載を省略している。 その他の記載内容 その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。 経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。 また、監査等委員会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 当監査法人の財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。 財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 財務諸表に対する経営者及び監査等委員会の責任経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して財務諸表を作成し適正に表示することにある。 これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。 財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。 監査等委員会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 財務諸表監査における監査人の責任 監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から財務諸表に対する意見を表明することにある。 虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。 監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。 ・ 不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。 また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。 監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。 さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。 ・ 財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。 ・ 経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。 ・ 経営者が継続企業を前提として財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。 継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する財務諸表の注記事項が適切でない場合は、財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。 監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。 ・ 財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた財務諸表の表示、構成及び内容、並びに財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。 監査人は、監査等委員会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。 監査人は、監査等委員会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。 監査人は、監査等委員会と協議した事項のうち、当事業年度の財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。 ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。 <報酬関連情報>報酬関連情報は、連結財務諸表の監査報告書に記載されている。 利害関係会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。 以 上 (注) 1 上記の監査報告書の原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。 2 XBRLデータは監査の対象には含まれていません。 |
監査上の主要な検討事項、個別 | 監査上の主要な検討事項監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。 監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 継続企業の前提に関する経営者による対応策の評価連結財務諸表の監査報告書に記載されている監査上の主要な検討事項(継続企業の前提に関する経営者による対応策の評価)と同一内容であるため、記載を省略している。 グローバル開発における治験に関する研究開発費の特定の契約に係る業務委託料の期間帰属及び計上金額監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応会社は、抗ウイルス薬brincidofovirのグローバル開発体制を構築して、海外で臨床試験を進めている。 損益計算書関係注記に記載の通り、会社は2024年12月期において、3,482,414千円の研究開発費を計上している。 また、会社は、ラボレス・ファブレス戦略により、定型的な開発業務を委託しているため、研究開発費のうち主なものは業務委託料である。 業務委託料のうちグローバル開発における特定の契約に係る治験に関する費用は金額が大きく、かつ、単一の業務委託契約に支払条件や費用の発生パターンの異なる活動が多く含まれる。 当該グローバル開発における治験に関する研究開発費の業務委託料の会計処理に当たっては、契約に基づき委託した研究開発活動ごとに検収を通じて作業報告による役務の提供を受けたことを確認したうえで費用として処理されるため、会計処理の誤りが生じる可能性がある。 また、研究開発活動は会社のビジネスの重要な事業活動であり、その進捗に対する投資家の関心も高く、財務諸表全体における影響も大きい。 上記の理由から、当該グローバル開発における治験に関する研究開発費の業務委託料の期間帰属及び計上金額の妥当性を監査上の主要な検討事項に該当すると判断した。 連結財務諸表の監査報告書において、「グローバル開発における治験に関する研究開発費の特定の契約に係る業務委託料の期間帰属及び計上金額」が監査上の主要な検討事項に該当すると判断し、監査上の対応について記載している。 当該記載内容は、財務諸表監査における監査上の対応と実質的に同一の内容であることから、監査上の対応については記載を省略している。 |
全体概要、監査上の主要な検討事項、個別 | 監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。 監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 |
見出し、監査上の主要な検討事項、個別 | グローバル開発における治験に関する研究開発費の特定の契約に係る業務委託料の期間帰属及び計上金額 |
連結と同一内容である旨、監査上の主要な検討事項、個別 | 連結財務諸表の監査報告書に記載されている監査上の主要な検討事項(継続企業の前提に関する経営者による対応策の評価)と同一内容であるため、記載を省略している。 |
その他の記載内容、個別 | その他の記載内容 その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。 経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。 また、監査等委員会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 当監査法人の財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。 財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 |
報酬関連情報、個別 | <報酬関連情報>報酬関連情報は、連結財務諸表の監査報告書に記載されている。 |
BS資産
商品及び製品 | 115,188,000 |
その他、流動資産 | 36,849,000 |
投資その他の資産 | 44,102,000 |
BS負債、資本
未払金 | 503,669,000 |
未払法人税等 | 102,006,000 |
退職給付に係る負債 | 4,603,000 |
資本剰余金 | 18,311,713,000 |
利益剰余金 | -32,794,671,000 |