財務諸表
CoverPage
提出書類、表紙 | 有価証券報告書 |
提出日、表紙 | 2024-12-24 |
英訳名、表紙 | Green Earth Institute Co., Ltd. |
代表者の役職氏名、表紙 | 代表取締役CEO 伊原 智人 |
本店の所在の場所、表紙 | 東京都新宿区新宿三丁目5番6号 |
電話番号、本店の所在の場所、表紙 | 03-5315-0531 |
様式、DEI | 第三号様式 |
会計基準、DEI | Japan GAAP |
連結決算の有無、DEI | false |
当会計期間の種類、DEI | FY |
corp
沿革 | 2 【沿革】 当社は、公益財団法人地球環境産業技術研究機構(RITE)において、30年近く開発されてきた、バイオマスから化学品を製造するバイオものづくり技術(RITE Bioprocess®)の実用化を目指して、2011年9月に設立されました。 「公益財団発技術開発型ベンチャー」として、当初ラボスケールであった技術を商用スケールまで進展させ、2018年よりライセンシーにおいて本格的な商業生産、販売が始まったところであります。 また、設立以降の経緯は次のとおりであります。 年月概要2011年9月Green Earth Institute株式会社を設立。 (資本金:10,000千円)2012年2月公益財団法人地球環境産業技術研究機構との間でアミノ酸等の製造に必要なRITE Bioprocess®の特許の実施権契約を締結。 2012年8月米国工業微生物学会(SIMB)にて、国立再生可能エネルギー研究所 (The National Renewable Energy Laboratory(NREL))とのセルロース系バイオマス由来のエタノールの共同研究成果を発表。 2016年3月バイオマス由来のアラニン(アミノ酸の一種)の商用スケールでの量産に成功。 2018年4月中国企業とバリン(アミノ酸の一種)にかかるライセンス契約を締結。 2018年10月ライセンシーにおいてバリンの製造販売を開始。 2021年2月当社が製造した古着由来のバイオジェット燃料を搭載した日本航空株式会社の商用機が、日本初の純国産バイオジェット燃料によるフライトを実現。 2021年2月DIC株式会社とアスパラギン酸(樹脂原料)にかかるライセンス契約を締結。 2021年7月「サーキュラーバイオ®エタノールプロジェクト」第1弾として、シュレッターごみ由来のエタノール消毒液が完成。 2021年8月国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構よりバイオファウンドリ事業を受託(採択時において6年間、総額54億円(税込))。 2021年12月東京証券取引所マザーズに上場。 2022年3月DIC株式会社とβアラニン(アミノ酸の一種)にかかるライセンス契約を締結。 2022年4月東京証券取引所の市場区分の見直しにより、マザーズ市場からグロース市場へ移行。 2022年9月環境省より「脱炭素社会を支えるプラスチック等資源循環システム構築実証事業(廃棄物等バイオマスを用いた省CO2型ジェット燃料又はジェット燃料原料製造・社会実装化実証事業)」を受託(採択時において2年間、約2億円(税込))。 2022年10月電源開発株式会社とオイルパーム廃木を活用した複合事業にかかる調査契約を締結。 2023年1月日本製紙株式会社、住友商事株式会社と、木質バイオマスを原料とするバイオエタノール商用生産及びバイオ化学製品の展開にかかる基本合意書を締結。 2023年8月国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構よりグリーンイノベーション基金事業を受託。 2023年11月住友林業株式会社と木質バイオマスを原料としたバイオものづくり事業の推進にかかる資本業務提携契約を締結。 2024年2月国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構より第1回バイオものづくり革命推進事業の交付を受ける(採択時において8年間、総額約24億円(税抜))。 注1.RITE Bioprocess®は、公益財団法人地球環境産業技術研究機構の登録商標(登録第5796262号)であります。 (使用許諾済)2.「サーキュラーバイオ®エタノールプロジェクト」は、古紙は残渣等の廃棄物よりエタノール製品を生産し、循環型経済を推進する当社プロジェクトであります。 3.バイオファウンドリ事業は、日本における大学や企業等が保有する、バイオものづくり技術の商用化のための生産プロセスの開発、実証等を実施するプラットフォーム(バイオファウンドリ拠点)を構築、運用する事業であります。 4.グリーンイノベーション基金事業は、日本のカーボンニュートラル実現に向けて創設された総額2兆円の基金であり、研究開発・実証から社会実装までを見据え、企業等の取組みに対して10年間の継続的な支援を行うものであります。 5.バイオものづくり革命推進事業は、未利用資源の収集・原料化、微生物等の改変技術、生産・分離・精製・加工技術、社会実装に必要な制度や標準化等のバイオものづくりのバリューチェーン構築に必要となる技術開発及び実証の一貫した支援を行うものであります。 |
事業の内容 | 3 【事業の内容】 (1) 事業の特徴当社は、コリネ型細菌という微生物を活用した高効率な発酵技術(バイオプロセス)をコア技術として設立された技術開発型ベンチャーであります。 当社は、現在石油を原料として生産されている化学品を、農業残渣や食品残渣等のバイオマス由来のものに転換、又は従来バイオマスより生産されている製品につき、より効率的な生産方法に代替していくことによる、持続可能な社会の実現を経営理念として掲げており、当社の技術により、石油を使わず、バイオマスから化学品を作る「バイオエコノミー」と資源の循環により持続的な社会を作る「サーキュラーエコノミー」の両方を同時に実現してまいります。 そして、今後、増加してくるであろう世界中のバイオものづくりプラントにおいて当社の技術が使われ、「創造的な技術力、提案力でバイオものづくり分野を牽引し、常識を変革する企業になる」ことを目指しております。 当社は、自らは商用生産設備を保有せず、研究開発受託と、そこから展開されるライセンス、自社販売、テクノロジーパッケージという4つのビジネスモデルを軸としております。 新技術の商用化には、大別して4つの段階があり、技術開発の対象を選定するStage0、技術的及び市場的な可能性を実証するStage1、対象製品に対する需要を抱える企業等と最適な菌体及び生産プロセスを開発するStage2、そして研究開発の成果である技術のパイロットテストの実施、パートナー企業等にライセンス供与、当該技術や設備の導入又は当該技術を使用した自社販売(外部へ委託生産し、当社が販売)するStage3となります。 各Stageにおける具体的な実施事項は次のとおりであり、Stage2(開発段階)においては、主として研究開発収入、Stage3(商用化段階)においては、主としてライセンス一時金、ロイヤリティ収入又は製品販売収入を収益として計上しており、特許権等の活用による長期的かつ安定的な収益形態を目指しております。 ① Stage0~1「研究段階」・開発品候補の選定:市場の需要等より開発すべき化学品の候補を選定・PoC(Proof of Concept):開発候補品の技術的な開発可能性、特許権の抵触の有無、市場規模、競合製品及び市場優位性等の確認 ② Stage2「開発段階」・菌体の設計及び開発:意図する化学品を効率的に生産する菌体の設計、開発・生産プロセスの開発:意図する化学品を生産可能な菌体をラボレベルで増殖させるプロセスの開発・生産プロセスのスケールアップ:実機レベルで菌体を増殖可能とするためのシミュレーション等の実施 ③ Stage3「商用化段階」・パイロットテストの実施:ライセンス候補先又は当社における、Stage2で得られた菌体及び生産プロセスにかかる知見を基にしたパイロットスケールで化学品を生産実証・実機テストの実施:ライセンシーにおける商用化のための商用プラントでの試作とサンプル提供等(商用生産準備)・プラント導入:Stage2で得られた菌体及び生産プロセスにかかる知見を基にした生産プラントの導入・製造販売:ライセンシーにおける商用生産又は当社における委託生産の開始及び製品(化学品)販売の実施 当社においては、開発対象とする製品や提供するサービス等の区分とパートナー企業の組合せごとに、このような研究開発から商用化までの流れに沿って進められる案件をパイプラインと称しております。 主としてStage2が研究開発事業、Stage3がライセンス・製品販売・テクノロジーパッケージ事業の領域であり、研究開発事業がライセンス・製品販売・テクノロジーパッケージ事業へと成長することから、これらのビジネスモデルを総じて1つのバイオものづくり事業というセグメントとしております。 売上高にかかるパイプライン総数の推移は次のとおりであります。 2022年9月期2023年9月期2024年9月期売上高(億円)5.88.910.0パイプライン総数(件) (注)Stage2191420Stage31322合計321622 注.当該事業年度中に売上を計上したパイプラインの数 ※1 横軸は、当社の標準的な業務のステップであるが、実際の業務に要する時間を表しているものではない。 ※2 各収益は、当該業務ステップでの対価であるが、収益計上の時期・金額規模を表しているものではない。 ※3 各収益に対する過年度実績からの平均金額及びロイヤリティ収入に対するロイヤリティ率は、パートナー企業の研究開発及び事業の進捗に関連するため、非公開とさせていただく。 ※4 マイルストン型の収入であるが、マイルストンの数は、研究開発の契約形態により異なる。 ※5 パートナー企業が自社保有の発酵設備を用いてパイロットテストをする際の当社の技術的支援等に対する対価である。 ※6 当社がパイロットテスト及び実機テストを実施する際の対価である。 ※7 コマーシャルプラントに先立ち、パイロットテスト用のプラントを導入する場合に発生する対価であるセミコマーシャルプラントやデモプラントと呼ばれる準商用生産用のプラントを導入することもある。 ※8 コマーシャルプラント商用生産用のプラントを導入する場合に発生する対価である。 ※9 開発成功率・ライセンスまでの期間・上市までの期間は、パイプラインごとに研究開発の難易度・着手するステージ等にバラつきがあり、当社の標準的な数値を示すことが困難であるため、非公開とさせていただく。 (2) 技術の特徴当社が得意とするバイオものづくり技術は、次の9つの特徴を有します。 これらの特徴的な技術の組合せによって、遺伝子操作により高度に機能が設計された微生物を活用した、高効率なバイオものづくりを実現しております。 ① 独創的な人工代謝経路設計より高効率な生産を実現するために、微生物自体について、当社が保有する技術やノウハウや人工代謝経路設計を使い、複数の遺伝子を破壊、もしくは導入することにより、副生物の生成を抑えて原料の利用効率を高める等の代謝経路の最適化や、酵素特性の改変、特定物質への耐性の付与等の開発を行っております。 ② 増殖非依存型バイオプロセス従来の発酵法によるバイオマスからの化学品の生産は、微生物の生命活動(増殖)を利用し、その生命活動のための多段階の酵素反応(代謝)の過程で生成される物質を得るものであります。 よって微生物の分裂増殖に依存して生産を行います。 そのため、増殖のためのエネルギー、場所、時間を必要とし、石油等の非バイオマスからの化学反応による生産と比較して生産性が大幅に低く、経済的な障壁となっておりました。 しかし、増殖非依存型バイオプロセスは、微生物(コリネ型細菌)が、増殖できない酸素抑制条件において、増殖をしないものの代謝活性を高く維持するという特徴に着目し、増殖をさせずに代謝のみを行わせることにより、低コストで高い生産性を発揮する独創的な発酵法であります。 増殖非依存型バイオプロセスでは、大量に培養したコリネ型細菌を反応器に高密度に充填し、酸素抑制条件下で増殖を停止させてコリネ型細菌の活動を物質生産に集中させる手法により、従来の発酵法と比較して高い原料効率で小規模な設備で短時間に対象物質を多量に得ることができます。 また、増殖に依存しないため、非可食バイオマスを原料とする代謝の過程で生じるフェノール類やアルデヒド類、有機酸類等の副生物による、発酵阻害(増殖阻害)の影響をあまり受けずに生産することができます。 ③ 実験計画法による培養条件の最適化実験計画法(Design of Experiments)※1での統計解析により、それぞれのバイオプロセスにおける重要パラメータを抽出し、決定的スクリーニング表(Definitive Screening Design)※2で条件を最適化できます。 ※1 実験計画法(DOE/Design of Experiments):少ない実験回数の結果から、統計解析により効率よく実験結果を得るために実験を計画する手法※2 決定的スクリーニング計画(DSD/Definitive Screening Design):様々な培養条件について低・中・高の3条件を設定し、各条件で得られる結果から、複数の条件について同時に最適条件を導き出す計画手法※3 出典:「Aspartic Acid Market Size To Reach $168.0 Million By 2030」 https://www.grandviewresearch.com/press-release/global-aspartic-acid-market※4 当該図は、実験計画法のイメージ図であり、実際の重要パラメータ抽出と条件最適化を表現しているものではない※5 応答曲面法:実験データを基にして近似曲面を生成し、最適化を行う設計手法 ④ 発酵原料となる糖を抽出する前処理設備や発酵液からの精製設備の導入バイオファウンドリ研究所に、発酵原料となる糖質をバイオマスから取得する前処理設備として二軸同方向押出加熱器や発酵液からの精製設備として、樹脂塔、晶析、濃縮、膜分離等の多種類の装置を導入。 ⑤ CFD(Computational Fluid Dynamics:数値流体力学)による高度な数値解析モノづくりにおいて、ラボスケールで良いデータが得られても、商用スケールにした場合、同様の結果が得られるとは限りません。 特に、バイオものづくりでは、菌体という生きものを扱っていることから、設備の種類や大きさ、生産規模等の環境によって菌体のパフォーマンスが大きく異なることから、これまで商用スケールにおける生産予測が難しく、少しずつスケールアップするというのが常道でありました。 当社は、バイオ生産プロセスにおけるCFDに基づくコンピュータシミュレーションシステムを開発しており、本システムの活用により、精度良く商用生産時における生産環境を予測し、短期間、低コストでスケールアップすることが可能となります。 ※ 従来のコンピュータシミュレーションでは、気体・液体・固体が混在する培養槽内の環境を再現するのは困難であります。 ⑥ スケールダウンモデルによる大型槽の培養条件の再現スケールアップにあたって、CFDで予測した大型槽環境下で、微生物の生産性がどうなるかをスモールスケールで再現する手法(スケールダウンモデル※1)を使って、商用生産時の条件の最適化を図ることが可能となります。 ※1 スケールダウンモデル:開発当初から最終生産(大型培養槽)の影響を確認しながら検討を進める手法 ⑦ 生産プロセスの修正をしながらの生産実証生産プロセスのパイロットテストの経験を数多く有する当社が、パイロットテストやサンプル生産を実施することにより、開発へのフィードバックが円滑に実施され、商用化までの期間が短縮されることになります。 ⑧ 3,000L発酵槽によるスケールアップ検証バイオファウンドリ研究所で最大3,000L発酵槽によるスケールアップ検証が可能であり、サンプル作成も可能です 。 ※1 DO(Dissolved Oxygen/溶存酸素濃度):培養液中に溶解している酸素の濃度。 微生物が呼吸により消費するため、培養液中に空気を吹き込み、一定濃度を維持することが必要※2 排ガス濃度:微生物が呼吸によって排出したCO2(二酸化炭素)と吹き込んだ空気で利用できなかったO2(酸素)濃度を測定することで微生物の生育状態を把握している※3 濁度:培養液に光を透過させて、透過光の量を測定することで微生物の増殖によって生じる濁りを菌数の指標としている ⑨ エンジニアリング会社との協力によるテクノロジーパッケージ作成エンジニアリング会社と協力してソフト面(菌体、生産プロセス情報等)とハード面(設備設計書、プラント建設等)を兼ね備えたテクノロジーパッケージを製作し、バイオ化学品を生産したいパートナー企業に提供します。 (3) 事業系統図等当社の事業系統図は次のとおりであります。 ※1 OEM(Original Equipment Manufacturer):委託者のブランドで製品を生産すること、又は生産するメーカーのこと (4) 用語本書で使用する用語の解説は次のとおりであります。 用語解説アミノ酸酸性基であるカルボキシル基(-COOH)と塩基性基であるアミノ基(-NH2)から構成される有機化合物。 ペプチド結合(-CONH-)によりタンパク質を合成する。 種類により甘味、苦味、酸味やうま味を持つ栄養素でもあり、食品添加物や医薬品原料、化粧品原料に使用される。 アラニン生体のエネルギー生成に重要なアミノ酸である。 糖や酸の代謝、免疫力の向上や、筋肉組織、脳、中枢神経系へのエネルギーの供給に関わる。 カーボンニュートラル一連の人為的活動を行った際に、排出される二酸化炭素と吸収される二酸化炭素が同じ量であるという概念。 バイオマスは燃焼するとCO2を排出するが、そのCO2は植物等が成長する過程で、大気中から吸収したものであり、総量としてCO2の量は変化しないという考え方である。 グルコース単糖類の1つであるブドウ糖(C6H12O6)。 生物が活動するためのエネルギー源となる。 天然に存在する単糖類は炭素原子(C)を6個持つものが多く、グルコースと同じ分子式であり、構造が異なる糖として、ガラクトース、マンノースが存在する。 酵素生体で起こる化学反応に対して触媒として機能する分子コリネ型細菌(Corynebacterium glutamicum)グラム陽性(グラム染色法により紫色に染まる細胞壁の厚い菌)土壌細菌であり、グルタミン酸やリジンをはじめとする、食品用、飼料用、医薬用のアミノ酸の工業生産菌として使用される。 サーキュラーエコノミー従来の「大量生産・大量消費・大量廃棄」のリニアな経済(線形経済)に代わる、製品と資源の価値を可能な限り長く保全、維持し、廃棄物の発生を最小化した経済システム生分解性物質が微生物等の生物の作用により分解する性質。 一般的には樹脂(プラスチック)等の有機化合物が土壌や水中の微生物により分解される性質を指す。 用語解説セルロース植物細胞の細胞壁及び植物繊維の主成分で、天然の植物質の1/3を占める炭水化物(グルコースが結合した多糖類)である。 糖類本書では、糖(C6H12O6)の最小単位である単糖類、複数個の単糖類が脱水縮合して結合(グリコシド結合)した少糖類、及び多数の単糖類がグリコシド結合した多糖類を指す。 バイオ化学品化石資源ではなく再生可能資源であるバイオマスを原料として製造された化学製品。 一般的に、酵素、酵母、微生物などを利用するバイオプロセスを使う。 バイオファウンドリ合成生物学や未利用微生物の実用化も含めた微生物等の育種から生産に必要な大量培養に至るまでのバイオ生産システムバイオプロセス本書においては、バイオものづくり技術により目的物を生産するまでの工程及び当該工程の最適化を指す。 バイオマス生物資源(bio)の量(mass)を表す概念であり、再生可能な、生物由来の有機性資源で化石資源を除いたもの。 バイオものづくり遺伝子技術を活用して微生物や動植物等の細胞によって物質を生産することであり、化学素材、燃料、医薬品、動物繊維、食品等、様々な産業分野で利用される技術。 発酵細菌等の微生物が、有機物を分解、合成してエネルギーや別の有機物を生産する過程(代謝)であり、主にヒトにとって有益な物質を生産するものを指す。 バリン人の体内で合成されない必須アミノ酸である。 たんぱく質の合成、肝機能向上、血液中の窒素バランスの調整、中枢性疲労の軽減に関わる。 非可食バイオマスヒトが食用にしない植物材料ヘミセルロース植物細胞壁の主要な構成要素の一つであり、不溶性、非結晶性の多糖類の総称。 植物の細胞壁で、セルロースやリグニン各々を「結合させる機能」を担っている。 樹木・植物の約20~30%を占める。 ライセンサー知的財産権の実施許諾者ライセンシー知的財産権の実施権者リグニン植物細胞壁の主要な構成要素の一つであり、高分子化合物のポリマーである。 抗菌性や難燃性があると考えられており、植物に強度を与える化合物。 樹木・植物の約20~30%を占める。 CFD(Computational FluidDynamics)偏微分方程式の数値解法等を駆使して、流体に関する運動方程式をコンピュータで解く数値流体力学により、空気の流れや温度の分布状況の可視化を行う数値解析、シミュレーション手法Proof of Concept新しい概念や理論、原理等が実現可能であることを示すための試行 |
関係会社の状況 | 4 【関係会社の状況】 該当事項はありません。 |
従業員の状況 | 5 【従業員の状況】 (1) 提出会社の状況 2024年9月30日現在従業員数(人)平均年齢(歳)平均勤続年数(年)平均年間給与(千円)4748.14.36,811(11) 部門従業員数(人)研究開発部門33(11)営業部門8企画/管理部門6合計47(11) 注1.当社の従業員には他社への出向者はおりません。 2.従業員数の( )は派遣社員及び他社からの出向者の人員数であり、外書きであります。 3.平均年齢、平均勤続年数及び平均年間給与は、最近1年間の平均値であり、派遣社員及び他社からの出向者を対象外としております。 4.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。 5.当社はバイオものづくり事業の単一セグメントであるため、従業員数は部門別に記載しております。 (2) 労働組合の状況当社において労働組合は存在しませんが、労使関係については円滑な関係にあります。 |
経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 | 1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社の経営方針、経営戦略等は次のとおりであります。 また、次の文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。 (1) 経営理念及び経営方針当社は、「グリーンテクノロジーを育み、地球と共に歩む」を経営理念(ミッション)として掲げ、研究開発事業とライセンス・製品販売事業の2つのビジネスモデルを軸として、世界中のバイオものづくりプラントにおいて当社の技術が使われ、「創造的な技術力、提案力でバイオものづくり分野を牽引し、常識を変革する企業になる」ことを目指しております。 (2) 経営戦略等当社の成長は、次の事項により実現してまいります。 ① 3つの収益化手法での事業展開当社の強みは、バイオものづくりの事業について、菌体開発から商用生産まで全体を通した知見と経験を有していることであります。 したがって、バイオものづくりにかかる様々な課題に対して、その解決法を考え、提供していくことで、バイオ化学品の上市を実現していくことが弊社の事業のコアとなります。 当社がバイオ化学品の上市を実現するための収益化の形として、次の3つの手法が挙げられます。 ・ライセンス・自社販売・テクノロジーパッケージ いずれの手法についても、市場規模の大きい重厚型、かつ継続的な収入が得られる長大型の案件に集中し、事業を展開してまいります。 ② バイオものづくり分野におけるプラットフォームの構築世界の脱炭素の流れにおいて、欧米を中心に、化学品のバイオ化の要請が強まりつつありますが、まだ、日本においては、バイオものづくりという分野は未成熟であり、バイオものづくり事業という産業が確立されている状況ではありません。 そうした状況を危惧し、国内においても、政府が、従来の脱炭素の目標に加え、安全保障の観点からも、バイオ燃料やグリーン化学品の社会実装に力を入れはじめています。 そうしたなかで、当社は、バイオものづくり事業のプラットフォームを構築し、そのプラットフォームを使って、国等のプロジェクトも含む次のような事業に取組み、バイオものづくりの社会実装を推進してまいります。 <成長戦略を実現するための主要パイプライン>・バイオファウンドリ事業関連・木質バイオマス由来のエタノール関連・製紙産業素材由来のバイオ燃料・バイオ樹脂原料・パーム残渣由来のバイオ燃料・バイオ化学品・米由来の次世代タンパク質・CO2由来のバイオ化学品・セルロース・ヘミセルロース・リグニン由来のバイオ化学品関連 (3) 経営環境近年、米国や欧州等では、バイオテクノロジーと経済活動を一体化させた「バイオエコノミー」という概念に基づく総合的な戦略のもとに技術開発や政策が推進されております。 2022年9月に、米国で発表された「National Biotechnology and Biomanufacturing Initiative」のFACT SHEET(https://www.whitehouse.gov/briefing-room/statements-releases/2022/09/12/fact-sheet-president-biden-to-launch-a-national-biotechnology-and-biomanufacturing-initiative/)では、バイオものづくりが今後10年以内に製造業の世界生産の3分の1を置き換え、金額換算で約30兆ドル(約4,000兆円)に達するという分析がなされています。 また、欧州では、EUが規制戦略による循環型社会(サーキュラー・バイオエコノミー)の構築が進められ、英国では2023年2月に組織を新設するとともに、同年12月にEngineering Biologyに関するビジョン(「National Vision for Engineering Biology」)を公表しています。 このほか、中国、韓国、シンガポール等のアジア諸国でも、バイオものづくり産業に対する政策的な支援や市場創出の取組みが進められています。 日本においては、2024年6月に、内閣府(統合イノベーション戦略推進会議)が「バイオエコノミー戦略」を策定しました。 本戦略は、バイオエコノミー市場拡大に向けて、2019年に策定した「バイオ戦略」から、「バイオエコノミー戦略」に名称を改め、最新の国内外の動向等を踏まえ、2030年に向けた科学技術・イノベーション政策の取組みの方向を取りまとめたものです。 本戦略によると、バイオテクノロジーやバイオマスを活用するバイオエコノミーという産業の世界全体の市場規模は、2030年時点で約100兆円が見込まれており、うち当社が属するバイオものづくり・バイオ由来製品の領域は53.3兆円を占めています。 (4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題優先的に対処すべき財務上の課題として、設立時より研究開発のための設備や人件費等を先行投資しており、2024年9月期までにおいては継続的な営業損失を計上しております。 研究開発サービスを提供する、当社のような技術開発型ベンチャーにおいては、商用化可能な技術基盤の確立のための設備投資を含む研究開発費用が先行して計上されるに伴って、赤字計上となることに特徴があります。 今後も、技術基盤の強化のための研究開発活動への投資を継続するとともに、次の事業上の課題である「開発から商用化というビジネスモデルの確立」及び「成長を支える体制の確立」に取組むことで、更なる売上高の拡大を目指し、中長期的な利益及びキャッシュ・フローの最大化に努めてまいります。 また、優先的に対処すべき事業上の課題は次のとおりであります。 ① 開発から商用化というビジネスモデルの確立と実績作り当社は、バイオものづくりという新しい市場で生き残り、成長していくために、自社で開発、生産、販売するという単純なビジネスモデルではなく、様々なニーズや課題を抱える他社との研究開発を実施し、事業化可能な技術レベルまで発展させ、最適な商用化の形(ライセンス契約、自社販売又はテクノロジーパッケージ)を選択し、収益を確保してまいります。 また、いずれの選択についても、市場規模の大きい重厚型、かつ継続的な収入が得られる長大型の案件に集中し、事業を展開してまいります。 そのため、中期目標とし、今後3年間において、次の項目を実施してまいります。 a 国内外企業との研究開発の推進社会が求めるバイオ化学品を選び出して、その開発のために最適なパートナー企業を探し出し、研究開発を進めております。 特に最近では、地球環境問題等に対する関心が高まり、非石油由来のバイオ樹脂や生分解性のバイオ樹脂に対するニーズが強まっているものと考えております。 また、バイオマスを原料とする場合、原料調達費、人件費、物流コスト、供給安定性等から、低コスト化のためには、海外での商用化がカギを握っております。 さらに、近年、「サーキュラーエコノミー(循環経済)」ということが叫ばれ、廃棄物の有効利用が求められており、当社が有している非可食バイオマスの利用とバイオものづくりの知見を使ったソリューションを提供してまいります。 こうした状況を踏まえ、今後3年間において、バイオ燃料生産技術の確立、バイオ樹脂原料の研究開発、海外企業とのバイオ化学品の研究開発、食品残渣・農業残渣由来のバイオ化学品の事業化に向けた取組みを展開してまいります。 b 開発製品の商用化継続的かつ安定的な収益の確保のためには、研究開発による一時的な売上だけではなく、開発した技術及び製品の商用化(ライセンス契約、共同出資会社による生産及び販売、自社販売又はテクノロジーパッケージとしての技術開発)が重要であります。 製品の価格、用途、市場規模、パートナー企業の有無、技術の特性等の状況に応じて、どの形態が最適かを判断し、商用化を進めてまいります。 具体的には、今後3年間において、既に開発に着手している、バイオ燃料、新規アミノ酸、非可食バイオマス利用及び食品向け素材のパイプラインの商用化を計画しております。 c 商用化済製品の収益拡大当社は、既に5種類のアミノ酸のライセンス、並びに化粧品用エタノールの自社販売という形で商用化を実現しており、これらの商用化済製品からの収益の拡大にも取組む必要があります。 具体的には、今後3年間において、改良技術の提供等を通じたライセンシー企業の製品の売上高拡大によるロイヤリティ収益の拡大を図ります。 ② 成長を支える体制の確立当社が「バイオものづくりの社会実装を実現するプラットフォーマー」であり続けるためには、事業の拡大を支える体制を確立・維持し続ける必要があり、中期目標として今後3年間において、次の項目を推進してまいります。 a 内部統制システムの適時の改定及び運用の継続規程類の整備とその適正な運用、必要となる組織の新設及び変更並びに適切な人員の採用及び配置、予実管理及び決算体制の整備、会計システムのワークフローの確立及び人的作業からシステム制御への移行、内部監査の実施、リスク及びコンプライアンス管理の実施等を実行して、法令に準拠し、また当社の事業構造に適応した内部統制システムの適時の改定及び運用を継続してまいります。 b 人材の確保世界的な石油資源からバイオマスへの転換の波による、大企業におけるバイオプロセスの研究開発への投資や少子化による研究者の絶対数の減少等により、研究者は現在売り手市場であると考えております。 当社は技術開発型ベンチャーであり、独自の技術開発が事業の根幹となることから、優秀な研究者の確保が必要不可欠であります。 また、上述の内部統制システムの構築や、適時開示及びIR等、付加的業務への対応のため、企画、管理部門についても増員が必要であり、適時の採用活動を行っていきます。 c 研究施設及び設備の充実当社のビジネスモデルの特徴として、自ら大規模な製造設備を持たないことで、大きな設備投資を必要としないことにありますが、成長のためには、多くの製品の開発を行う必要があり、人員の拡大に伴う研究施設の拡張、発酵槽等の研究開発設備への追加投資が必要であります。 d 当社の認知度及び信用力の向上研究開発は、必ずしも目標値を達成し、成果を確約するものではなく、また新規技術は市場における実績も少ないことから、取引先の拡張にあたっては、当社の認知度及び信用力を向上させ、当社の技術に対しても信用を持たせることが重要であります。 当社は、商用化実績を着実に積み上げるとともに、上場企業としての知名度の上昇及び信頼の獲得を目指します。 ③ SDGsへの取組みSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)とは、2015年9月開催の国連サミットで加盟国により採択された、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指すための国際目標であり、17のゴール(目標)と169のターゲットから構成されます。 当社の事業は、17のゴールのうち次の6つの達成に寄与するものと考えており、当社の事業成長が持続可能な社会の実現に繋がることを志しております。 (5) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社は、バイオものづくり事業により、今まさに新たな市場を作りだしている過渡期であります。 市場成長の初期段階において先駆者として実績を積むことは、当該市場において高い優位性に繋がることから、第一に売上高と営業外収益(研究開発受託に関連する助成金のみ)を経営指標とし、パイプラインの拡大を基盤とする販売実績の増加を目指しております。 |
サステナビリティに関する考え方及び取組 | 2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】 当社は、「グリーンテクノロジーを育み、地球と共に歩む」を経営理念(ミッション)として掲げ、世界中のバイオものづくりプラントにおいて当社の技術が使われ、創造的な技術力、提案力でバイオものづくり分野を牽引し、常識を変革する企業になることを目指して事業を展開しております。 当社にとってのサステナビリティとは、事業活動を通じて社会課題の解決に取組むことであり、あらゆるステークホルダーとのエンゲージメントが重要であると認識しております。 具体的な当社のサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。 (1) ガバナンス取締役会を経営の基本方針や重要課題並びに法令で定められた重要事項を決定するための最高意思決定機関と位置づけ、原則として月1回定期的に開催するとともに、監査役会により業務執行に関する監視、コンプライアンスや社内規程の遵守状況、業務活動の適正性かつ有効性等を確認しております。 また独立した組織である内部監査室による、業務執行の有効性、適法性の確認及び評価を通して、組織の健全化に取組んでおります。 詳細は「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要」をご参照ください。 (2) 戦略① サステナビリティ関連のリスク及び機会に対処する取組み当社の実施するバイオものづくり事業は、資源の枯渇や人口増加といった地球環境問題より、世界的に脱石油化の流れが加速し、カーボンニュートラルが目標とされる昨今の経済状況に鑑みて、サステナビリティ、SDGsとの関連が非常に高いと考えております。 そのため、事業活動に真摯に取組み、顧客課題や社会課題の解決を通じて、当社の持続的な成長を実現してくことそのものが、社会の持続的な発展の貢献に直結するものと考えております。 当該取組みの詳細は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 ③ SDGsへの取組み」に記載しております。 ② 人的資本当社では、人的資本に関して、以下のとおり「人材育成方針」と「社内環境整備方針」を設定しております。 a 人材育成方針当社においては、事業活動の担い手となりうる多様なバックボーン、経験等をもった人材を積極的に採用し、業務に必要な知識習得に向けた研修の実施、自己研鑽を促進することで、継続的な人材育成に取り組んでおります。 b 社内環境整備方針リモートワーク勤務等により柔軟な働き方を可能とするとともに、ストック・オプションによる従業員インセンティブの充実、各種福利厚生制度の設定等、多様な人材が健康で、高いモチベーションを保ちつつ、また働きやすい環境の整備に取組んでおります。 (3) リスク管理 当社は、経営企画室長を委員長とするリスク・コンプライアンス委員会を設置し、原則として四半期に1回定期的に開催し、研究所における労働安全衛生体制や苦情又は内部通報等のリスク、及び法令順守体制や社内規程の整備等のコンプライアンスにかかる重要事項を審議、対応施策を決定しております。 (4) 指標及び目標当社では、 (2) 戦略において記載した人材育成及び社内環境整備にかかる指標について、具体的な取組みを行っているものの、本報告書提出日現在においては、当該指標についての具体的な目標を設定しておりません。 今後、関連する指標のデータの収集と分析を進め、目標を設定し、その進捗に合わせて開示を検討してまいります。 |
戦略 | (2) 戦略① サステナビリティ関連のリスク及び機会に対処する取組み当社の実施するバイオものづくり事業は、資源の枯渇や人口増加といった地球環境問題より、世界的に脱石油化の流れが加速し、カーボンニュートラルが目標とされる昨今の経済状況に鑑みて、サステナビリティ、SDGsとの関連が非常に高いと考えております。 そのため、事業活動に真摯に取組み、顧客課題や社会課題の解決を通じて、当社の持続的な成長を実現してくことそのものが、社会の持続的な発展の貢献に直結するものと考えております。 当該取組みの詳細は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 ③ SDGsへの取組み」に記載しております。 ② 人的資本当社では、人的資本に関して、以下のとおり「人材育成方針」と「社内環境整備方針」を設定しております。 a 人材育成方針当社においては、事業活動の担い手となりうる多様なバックボーン、経験等をもった人材を積極的に採用し、業務に必要な知識習得に向けた研修の実施、自己研鑽を促進することで、継続的な人材育成に取り組んでおります。 b 社内環境整備方針リモートワーク勤務等により柔軟な働き方を可能とするとともに、ストック・オプションによる従業員インセンティブの充実、各種福利厚生制度の設定等、多様な人材が健康で、高いモチベーションを保ちつつ、また働きやすい環境の整備に取組んでおります。 |
指標及び目標 | (4) 指標及び目標当社では、 (2) 戦略において記載した人材育成及び社内環境整備にかかる指標について、具体的な取組みを行っているものの、本報告書提出日現在においては、当該指標についての具体的な目標を設定しておりません。 今後、関連する指標のデータの収集と分析を進め、目標を設定し、その進捗に合わせて開示を検討してまいります。 |
人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略 | ② 人的資本当社では、人的資本に関して、以下のとおり「人材育成方針」と「社内環境整備方針」を設定しております。 a 人材育成方針当社においては、事業活動の担い手となりうる多様なバックボーン、経験等をもった人材を積極的に採用し、業務に必要な知識習得に向けた研修の実施、自己研鑽を促進することで、継続的な人材育成に取り組んでおります。 b 社内環境整備方針リモートワーク勤務等により柔軟な働き方を可能とするとともに、ストック・オプションによる従業員インセンティブの充実、各種福利厚生制度の設定等、多様な人材が健康で、高いモチベーションを保ちつつ、また働きやすい環境の整備に取組んでおります。 |
事業等のリスク | 3 【事業等のリスク】 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項は次のとおりであります。 また、必ずしもリスク要因には該当しない事項についても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から記載しておりますが、当社に関するすべてのリスクを網羅するものではありません。 また、次の文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。 (1) 経済動向等の変動当社事業は、基本的には企業向けにアミノ酸や樹脂原料等の原材料に関する研究開発及びライセンスの付与を実施するものであることから、一般的な製造業や小売業と比較して、景気の変動の影響を受けにくい特徴を有しますが、景気の急速な悪化により、事業者の新規事業や研究開発活動への投資が減速した場合、当社の業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。 (2) ライセンシーにおける販売当社は、収益化手法の1つとしてライセンス契約に取組んでおります。 ライセンス契約においては、主として自社において技術を使用した製品の生産、販売を行わないことにより、設備投資及び販路確保や在庫の保有、広報等の販売活動にかかる費用やリスクを最小限にすることができます。 一方、ライセンス契約の事業構造上、製品の販売活動はライセンシー(ライセンス契約の締結先)に依拠し、当社において販売の計画、実行を行わないことから、特に短期的な業績予測と実績の乖離が生じる可能性があります。 当社としては、期待するロイヤリティ収入を保持できるよう、ライセンシーの販売計画を精査のうえ、ライセンス契約の条件を個々に設定しており、今後は既存のライセンス契約の条件やロイヤリティ収入の実績の知見をもって、さらに業績予測の精度を高める方針でありますが、ライセンシーの事業状況に変動が生じた場合には、当社の業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。 (3) カントリーリスク当社は、アジア地域において事業展開を行っており、当該地域における事業活動には次のようなリスクがあります。 ・予期し得ない法律、規制、不利な影響を及ぼす租税制度の変更・不利な政治的要因の発生及びそれに伴う為替の変動・常識、文化、社会的慣習の違いによる契約違反や技術流出等の発生 当社は、今後事業開拓活動により、研究開発の対象製品、提携先(取引先)の多様化を進め、研究開発に続くライセンス契約も、複数の地域、取引先に展開していく計画でありますが、上述のアジア地域に特有のリスクが発生した場合は、当社の業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。 (4) 商用化における特定の対象製品にかかるリスク当社の1つの大きなパイプラインにおける対象製品(当社がライセンスした技術によりライセンシーにおいて商用生産される製品)である飼料添加物用のアミノ酸については、畜産業界における病気の蔓延等により、その需給に大幅な変動が生じることがあります。 例えば、2018年から中国を中心に拡大した豚コレラの蔓延により、中国国内での養豚数が激減し、豚向けの主要な飼料添加物であるバリンの売上が想定値より大幅に減少するという事態が生じました。 当社は、複数のパイプラインに取組むことで、特定の1つのパイプラインのリスクが当社の経営全体に与える影響を最小限に抑えるような事業構造を構築してまいりますが、特定製品にかかる需給リスクが発生した場合は、当社の業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。 (5) パイプラインの進捗にかかるリスク各パイプラインはStageごとの複数の契約の締結、遂行により進捗していくものであり、研究開発の目標達成状況やパートナー企業の方針等により、契約が締結されない、あるいは進捗が遅延又は停滞する可能性があります。 計画数値の策定にあたっては、既に契約が締結されているもの、あるいはほぼそれと同様の確度で収益が見込まれるものを中心に売上高に計上することで予算未達のリスクを抑えることとしております。 それでも、ライセンス契約の締結時期の遅延や大型の研究開発契約の開発期間の長期化等のパイプラインの進捗に遅れが生じる事象が生じた場合には、当社の業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。 (6) 技術革新への対応に関するリスクバイオものづくり技術については、商用化可能な技術基盤の確立のために中長期的な研究開発期間及び先行投資が必要であり、IT技術のように革新が早く入れ替わりがあるような業界ではありませんが、対象製品について当社技術より優位性の高い技術が第三者により商用化された場合は、当社の業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。 そのため、当社においては、技術基盤の強化のための研究開発活動を継続するとともに、「(4) 商用化における特定の対象製品にかかるリスク」に記載のとおり、商用化の対象製品を複数とすることで、特定の1つのパイプラインのリスクが当社の経営に与える影響を最小限に抑えるような事業構造を構築してまいります。 (7) 大株主である公益財団法人地球環境産業技術研究機構との関係について当社は、公益財団法人地球環境産業技術研究機構で開発された技術を事業化したことから設立されており、同機構は当事業年度末において当社の株式900,000株を保有する大株主であります。 当社では、同機構の保有するRITE Bioprocess®に関連するものを始めとする特許権の実施許諾を受け事業展開を行ってきており、その使用にあたっては同機構(ライセンサー)に対しロイヤリティを支払うものであります。 また、当社の研究開発拠点であるGreen Earth研究所の建物は同機構より借り受けるものであります。 同機構は公益財団法人として、開発した技術を世の中に広め、もって地球環境の保全及び世界経済の発展に資することを理念としており、当社の事業成長を推進する立場にあることから、これまで同機構とは協力的な提携関係を維持しており、その継続性にかかるリスクは僅少でありますが、万が一これらの特許権及び建物賃貸にかかる契約の継続が困難となった場合には、現在時点において当社の業績及び財務状況等に重大な影響を及ぼす可能性があります。 なお、特許権については、大規模な設備投資や販売活動を必要としない事業形態を活かして研究開発へ注力し、当社の特許権の取得を進めつつ、できる限り多くの企業との協業を実現することにより、外部の特許権に依存しない事業展開を進める方針であり、現状、当該依存度は減少傾向にあります。 (8) 災害等当社の研究開発拠点は、Green Earth研究所とバイオファウンドリ研究所の2ヵ所であり、大規模災害等が発生し、当該研究所が損壊又は当該研究所の研究開発設備が破損、紛失した場合、研究開発が停止することとなります。 研究開発は当社の事業の核となる活動であることから、研究開発設備について、地震保険をかけ、損壊時における新規設備購入のための手元資金を確保しております。 また、事業継続上作成に期間がかかる菌株については、独立行政法人製品評価技術基盤機構が提供する、安全保管(生物遺伝資源の保管委託)サービスを利用して保管しておりますが、不測の災害等が発生した場合、当事業年度においては売上高の大きな割合を占める研究開発契約にかかる業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 なお、2023年4月にバイオファウンドリ研究所が稼働を始めたことで、災害等にかかるリスクの影響は分散、軽減されております。 (9) 知的財産権当社は事業展開において様々な特許権等の知的財産権を使用しており、これらは当社所有の権利であるか、又は他者より適法に実施許諾を受けた権利であると認識しております。 これらの知的財産権について、これまで第三者の知的財産権を侵害した、又は当社が侵害を受けた事実はなく、今後も侵害を防止するため、適切な管理を行っていく方針でありますが、当社の認識していない知的財産権が既に成立している可能性や新たに第三者の知的財産権が成立する可能性もあり、当該侵害のリスクを完全に排除することは困難であります。 今後、当社が第三者との間の知的財産権を巡る法的紛争等に巻き込まれた場合、顧問弁護士や弁理士と協議のうえ、当該知的財産権によってはライセンサーとも協力し、対応する方針でありますが、当該紛争に対応するために多くの人的及び資金的負担が発生するとともに、当社のライセンサーから特許権の実施の差止請求や、損害賠償等の請求を受けることがあり、当社の業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。 (10) 情報セキュリティ当社の提供する技術は、特殊な設備を要することなく導入できることが強みでありますが、一方で技術つまりはノウハウにかかる情報資産につき、サイバー攻撃、不正アクセス、コンピュータウイルスの侵入等による漏洩リスクが存在します。 これに対し、VPN(Virtual Private Network)及びUTM(Unified Threat Management)を導入し、プライベートネットワークによる拠点間接続を行い、セキュリティの高い環境を構築しております。 また、当社の情報資産はVPNで接続されたLAN(Local Area Network)上に保存し、適切なアクセス権限の設定を行うことにより、情報資産を一元管理し、情報漏洩リスクへの対策を講じておりますが、不法な侵入等を受けた場合は、企業が不正にその技術を利用して当社に競合する、又は当社へライセンスされた特許権にかかる情報資産の漏洩につき、当社のライセンサーから特許権の実施の差止請求や、損害賠償等の請求を受けることがあり、当社の業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。 (11) 先行投資に伴う財務影響技術開発ベンチャーである当社においては、商用化可能な技術基盤の確立のための、研究開発にかかる投資が重要と考えており、先行的に研究開発設備の導入及び研究開発用消耗品の購入、並びに研究員の増員のための人件費等の費用を先行的に投下しており、2024年9月期までにおいて継続的な営業損失を計上しており、当社の業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。 当社においては、今後も、技術基盤の強化のための研究開発活動への投資を継続するとともに、新たな研究開発契約やライセンス契約の締結及びそれに伴う収益の計上に努めてまいりますが、これらの先行投資が想定どおりの成果に繋がらなかった場合は、当社の業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。 (12) 社歴、業歴が浅いことによる業績の不確実性当社は、2011年9月の設立より、近年までは商用化のための研究開発を事業活動の中心とし、収益も行政機関等からの助成金を主体としておりましたが、2018年9月期より本格的な商用化に至っております。 技術自体は商用化段階に達しており、当該技術を使用して製造する製品も既存の市場が存在し、その規模、市場価格等の指標となるデータが入手できます。 そのため、業績予測については一定程度の蓋然性があるとの認識であり、今後は実績の積み重ねにより、さらに業績予測の精度を高める方針であります。 ただし、当事業年度までは赤字決算であり、過年度の業績のみでは期間比較を行う充分な材料とはならず、今後の業績については当社において合理的と考えられる方法により予測、算定したものでありますが、判断指標が不十分であり、当社の業績予測と実績に乖離が生じる可能性があります。 (13) 人材の獲得及び育成について技術基盤の継続的な強化のための研究開発活動、及び収益の最大化のための事業活動にあたっては、優秀な人材の確保が必要不可欠であります。 当社においては、事業規模に応じて採用活動を行ってきており、これまでのところ適時に必要な人材の採用に至っておりますが、今後、大企業の採用市場の動向や少子化による就活者の募集の減少等により、採用活動が円滑に進まない場合は、当社の業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。 (14) その他のリスク① 新株予約権の行使による株式価値の希薄化当社は、主として、取締役及び従業員に対し、経営目標や業績の達成の意識向上又は優秀な人材の採用を目的としたインセンティブとして、新株予約権の付与を行っております。 提出日現在におけるこれらの新株予約権にかかる潜在株式数は561,600株であり、当社の発行済株式総数及び潜在株式数の合計11,852,500株の4.74%にあたり、今後新株予約権が行使された際には、既存株主の株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。 |
経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 | 4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 (1) 経営成績等の状況当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。 ① 市場状況並びに経営成績の概要及び分析日本においては2023年に新型コロナウイルス感染症が5類に引き下げられ、社会・経済活動の正常化が進み、景気は緩やかな回復傾向にあります。 一方、長期化するロシア・ウクライナ情勢や米国の金利に関連した急激な円安の進行に加え、中東情勢緊迫化等の背景から、原材料価格やエネルギー価格の上昇により、依然として先行き不透明な状況が続くことが見込まれます。 このような状況下であるものの、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下「NEDO」という。 )より受託したバイオファウンドリ事業やグリーンイノベーション基金事業等、国内外のパートナー企業等との大型のパイプラインを含む研究開発を進捗させております。 以上の結果、当事業年度は売上高1,002,540千円(前年同期比11.7%増)、営業損失148,793千円(前期営業損失106,917千円)、経常損失138,087千円(前期経常損失108,156千円)となりました。 当期純損失については、133,881千円(前期当期純損失112,215千円)となりました。 なお、当社はバイオものづくり事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。 ② 財政状態の分析a 資産当事業年度末における流動資産は2,636,062千円となり、前事業年度末に比べ1,411千円減少いたしました。 これは主に売掛金が195,512千円増加した一方、現金及び預金が126,810千円、売上高に紐づく研究開発活動にかかる仕掛品が50,995千円、バイオファウンドリ事業における設備投資のうちNEDOの所有分による立替金が18,870千円減少したことによるものであります。 固定資産は100,228千円となり、前事業年度末に比べ65,603千円増加いたしました。 これは主に機械及び装置が50,500千円増加したことによるものであります。 この結果、総資産は2,736,290千円となり、前事業年度末に比べ64,192千円増加いたしました。 b 負債当事業年度末における流動負債は608,555千円となり、前事業年度末に比べ212,331千円増加いたしました。 これは主に未払金が40,215千円、バイオファウンドリ事業における設備投資等費用の概算額の入金による仮受金が221,768千円増加した一方、1年内返済予定の長期借入金が36,870千円減少したことによるものであります。 固定負債は152,613千円となり、前事業年度末に比べ12,771千円減少いたしました。 これは主にリース資産の賃貸借による長期リース債務が4,869千円、借入金の返済により長期借入金が7,940千円減少したことによるものであります。 この結果、負債合計は761,169千円となり、前事業年度末に比べ199,560千円増加いたしました。 c 純資産当事業年度末における純資産合計は1,975,121千円となり、前事業年度末に比べ135,367千円減少いたしました。 これは新株予約権行使により資本金が351千円、資本準備金が351千円増加した一方、利益剰余金が133,881千円減少したことによるものであります。 この結果、自己資本比率は72.2%(前事業年度末は78.9%)となりました。 ③ キャッシュ・フローの状況当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、本項目において「資金」という。 )については、前事業年度末より126,810千円減少し、2,274,249千円となりました。 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。 a 営業活動によるキャッシュ・フロー営業活動の結果、獲得した資金は3,378千円(前事業年度においては321,199千円の支出)となりました。 これは主にバイオファウンドリ事業における設備投資等費用の概算払いによる仮受金の増加額221,768千円、研究開発活動にかかる棚卸資産の減少額50,881千円、及び未払金の増加額41,149千円の増加要因があったものの、主に売掛金の発生に伴う売上債権の増加額195,512千円、税引前当期純損失131,626千円の減少要因によるものであります。 b 投資活動によるキャッシュ・フロー投資活動の結果、支出した資金は81,333千円(前事業年度においては13,410千円の支出)となりました。 これは主に有形固定資産の取得による支出80,004千円の減少要因によるものであります。 c 財務活動によるキャッシュ・フロー財務活動の結果、支出した資金は48,855千円(前事業年度においては5,299千円の支出)となりました。 これは主に新株予約権行使による株式の発行による収入702千円の増加要因があったものの、長期借入金の返済による支出44,810千円、及びリース債務の返済による支出4,715千円の減少要因によるものであります。 ④ 生産、受注及び販売の状況a 生産実績当社は生産活動を行っていないため、該当事項はありません。 b 受注実績当社が提供する役務の性格上、受注実績の記載に馴染まないため、当該記載を省略しております。 c 販売実績当事業年度における販売実績は次のとおりであります。 なお、当社はバイオものづくり事業の単一セグメントのため、セグメント別の記載は省略しております。 セグメントの名称販売高(千円)前年同期比(%)バイオものづくり事業1,002,54011.7 注1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。 相手先前事業年度(自 2022年10月1日 至 2023年9月30日)当事業年度(自 2023年10月1日 至 2024年9月30日)販売高(千円)割合(%)販売高(千円)割合(%)国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構607,11167.7553,62255.2 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析、検討内容は次のとおりであります。 また、次の文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。 ① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社の財務諸表は、日本において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。 この財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項については、過去の実績や市場動向を勘案し、合理的に判断しておりますが、不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる可能性があります。 当社の財務諸表にかかる重要な会計方針の詳細については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。 特に次の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。 (固定資産の減損処理)当社は、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当社の将来の事業計画を基に、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。 将来の事業計画や市場環境の変化により、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損損失を計上する可能性があります。 (繰延税金資産)繰延税金資産については、当社の将来の課税所得見込みや想定実効税率等、現状入手可能な将来情報に基づき、合理的に将来の税金負担を軽減する効果を有し、回収可能性があると考えられる範囲内で計上することとしております。 繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、繰延税金資産の計上額に影響する可能性があります。 ② 経営成績の分析a 売上高当事業年度における売上高については、前事業年度より105,117千円増加し、1,002,540千円となりました。 これは主にバイオものづくり事業のインフラ整備を目的として受託しているバイオファウンドリ事業等の国のプロジェクト、並びに石油資源の枯渇、CO2削減又は使い捨てプラスチックにかかる法的及び業界の規制を見据えた企業の、石油由来の化学品からバイオマス由来の化学品への転換の需要の伸長による、研究開発契約の締結によるものであります。 b 売上原価当事業年度における売上原価については、前事業年度より82,614千円増加し、560,695千円となりました。 これは主に当事業年度において、バイオファウンドリ事業を始めとする研究開発契約に紐づき発生する外注費及び間接原価が前事業年度と比較して増加したことによるものであります。 c 販売費及び一般管理費及び営業損失当事業年度における販売費及び一般管理費については、事業規模の拡大に伴う増員及び増員に伴う各種経費の増加の結果、前事業年度より64,379千円増加し、590,638千円となりました。 以上の結果、営業損失は148,793千円となりました。 d 営業外収益、営業外費用及び経常損失当事業年度における営業外収益については、前事業年度より12,064千円増加し、12,749千円となりました。 これは主に補助金収入12,047千円の増加等によるものであります。 また、営業外費用については、前事業年度より117千円増加し、2,042千円となりました。 以上の結果、経常損失は138,087千円となりました。 e 特別利益、特別損失及び当期純損失当事業年度においては、特別利益については、6,788千円となりました。 これは新株予約権戻入益によるものであります。 また、固定資産除却損328千円を計上した結果、特別損失は328千円となりました。 また、法人税、住民税及び事業税2,310千円、及び法人税等調整額55千円を計上した結果、当期純損失は133,881千円となりました。 ③ キャッシュ・フローの分析キャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。 ④ 資本の財源及び資金の流動性の分析当社は、自らは製品の生産設備を保有せず、研究開発に必要な設備のみを有し、技術を提供する事業形態であることから、資金需要の主なものは、菌体及びバイオプロセスの基礎開発にかかる研究開発費その他人件費等の事業活動費でありますが、2022年9月期より、バイオファウンドリ事業において、インフラ整備のための新たな研究施設の建設、発酵槽や自動化機器等の研究開発設備への大規模な追加投資を行っております。 ただし、これらの固定資産は事業期間中においては、NEDOが所有するものとなり、事業終了後に簿価買取となります。 運転資金については、2020年9月期においては新型コロナウイルス感染症による経済の低下の可能性を鑑み、融資により60,000千円を調達しており、2021年9月期においても100,000千円の融資及び第三者割当増資による株式発行により550,000千円を調達しております。 さらに、2022年9月期においては上場に伴う株式発行の有償一般募集及び有償第三者割当により1,617,875千円を調達しております。 上述の大規模投資についてはバイオファウンドリ事業の事業予算及び上場に伴う株式発行による調達資金を充当いたします。 なお、それ以降は現時点において大規模な資金需要の計画はなく、基本的に流動性の高い銀行預金により賄う方針であります。 ⑤ 経営方針、経営戦略又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の分析当社は、新興市場であるバイオものづくり業界においては、当面、売上高の拡大が同業界における企業成長を示すものと考えており、目標とする経営指標として売上高を掲げております。 売上高実績については、国等のプロジェクトの契約の締結による受託収入、並びに研究開発契約の締結による研究開発収入及びライセンス契約の締結によるライセンス一時金等の計上により、前事業年度は897,422千円(前年同期比53.4%増)、当事業年度は1,002,540千円(前年同期比11.7%増)であります。 売上高は、現時点において上述の方針どおりの進捗となっており、堅調に推移しているものと認識しております。 ⑥ 経営成績に重要な影響を与える要因当社は、当社の経営成績に重要な影響を与える要因として、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、経済動向、世界市場を対象としたライセンス契約による製品の市場展開、特定の第三者の技術を基盤とする事業展開、技術の損失、漏洩及び知的財産権の侵害等によるリスクを認識しております。 これらのリスクに対応するため、当社は、製品の市場動向を見据え、ライセンシーとの密な提携により、予算や各種計画の精度を上げるとともに、研究開発活動への投資を拡大して、当社単独による特許権の取得や多様な製品を対象とした研究開発を推進し、併せて情報セキュリティの拡充を含む内部統制の向上により、情報資産の管理、保全に取組んでまいります。 |
経営上の重要な契約等 | 5 【経営上の重要な契約等】 当社の事業運営にかかる重要な契約は次のとおりであります。 (1) 事業提携契約 契約締結先契約締結日契約期間契約内容公益財団法人地球環境産業技術研究機構2011年9月1日期間の定めなし同機構が開発したバイオプロセスの事業化を目的とした共同研究及び特許権の実施許諾にかかる基本合意 (2) 公的助成 契約締結先契約締結日契約期間契約内容NEDO2021年8月12日自 2021年8月12日至 2023年3月31日注1スマートセル(高度に機能が設計、制御された生物細胞)を活用したバイオエコノミー社会の発展における、バイオ生産プロセスの商用化を促進させるためのバイオファウンドリ拠点の確立2023年3月24日自 2023年4月1日至 2025年3月31日注1NEDO2024年2月1日自 2024年2月1日至 2025年3月31日注2製紙産業素材を活用したバイオ燃料・樹脂原料等の商用生産に向けた研究開発・実証の実施 注1.2021年度~2026年度の6ヶ年計画にて申請し、採択されておりますが、2023年度以降は2年度(4月1日~3月31日)ごとそれぞれ契約締結されます。 2.2023年度~2030年度の8ヶ年計画にて申請し、採択されておりますが、2026年度以降は2年度(4月1日~3月31日)ごとそれぞれ契約締結されます。 (3) 建物賃貸借契約 契約締結先契約締結日契約期間契約内容公益財団法人地球環境産業技術研究機構2023年11月1日自 2023年11月1日至 2052年3月31日同機構が保有する研究施設の賃貸借及びこれにかかる賃料、使用目的、禁止事項、修繕等義務の条件の決定 |
研究開発活動 | 6 【研究開発活動】 (1) 研究開発活動の状況当社は、設備投資等の投資リスクを最小化し、既に需要の存在する製品を対象に着実な市場展開を進める方針であります。 そのため、研究開発活動については、研究開発契約にて受託した、又は研究開発を打診する案件にかかる、食品添加物又は飼料添加物用途のアミノ酸やバイオジェット燃料の原料となるエタノールやイソブタノール、樹脂原料や化粧品原料となるバイオ化学品の生産菌を対象としております。 また、体制としては、研究開発部門の研究員が中心となり、パートナー企業の要望を踏まえるため営業部門とも連携しつつ、菌体の対糖収率や生産性(反応時間、終濃度)の向上や、生産に最適な培養条件、酵素選択、精製方法等の検証、要件化並びにスケールアップ実証を行っております。 その成果として、先進的なバイオプロセスや改良菌体等について、特許の出願及び登録を成しております。 (2) 研究開発費の金額当事業年度における当社が支出した研究開発費の総額は258,811千円となりました。 研究開発費の主な内訳は、研究員等の人件費、基礎研究開発にかかる外注費、研究開発設備にかかる減価償却費及び研究開発に使用する各種消耗品費であります。 なお、当社はバイオものづくり事業の単一セグメントのため、セグメント別の記載は省略しております。 |
設備投資等の概要 | 1 【設備投資等の概要】 当事業年度において実施した設備投資の総額は80,004千円であり、主としてGreen Earth研究所における、研究開発活動の拡大に伴う培養装置やろ過装置等の購入によるものであります。 なお、バイオファウンドリ事業等NEDOの委託事業における設備投資の額については、事業期間中は本事業で取得した50万円以上(税込)の固定資産はNEDOの所有となるため、含めておりません。 また、当社はバイオものづくり事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。 |
主要な設備の状況 | 2 【主要な設備の状況】 当社における主要な事業所は本社及びGreen Earth研究所、バイオファウンドリ研究所であり、本社及びGreen Earth研究所、並びにバイオファウンドリ研究所の一部施設は賃貸借しているものであります。 なお、当社はバイオものづくり事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。 2024年9月30日現在事業所名(所在地)設備の内容年間賃料(千円)帳簿価額(千円)従業員数(人)建物建物附属設備機械及び装置工具、器具及び備品リース資産建設仮勘定ソフトウエア合計本社(東京都新宿区)本社機能6,000――――――――6(―)Green Earth研究所(千葉県木更津市)研究施設5,75701,29554,5235,4069,59016,143086,95831(10)バイオファウンドリ研究所(千葉県茂原市) 研究施設2,9916,4561913,4972,238――88513,26910(1) 注1.従業員数の( )は派遣社員の人員数であり、外書きであります。 |
設備の新設、除却等の計画 | 3 【設備の新設、除却等の計画】 (1) 重要な設備の新設等バイオものづくり事業のインフラ整備及び災害発生時のリスク分散等を目的として、バイオファウンドリ事業において、資金提供を受け、バイオファウンドリ研究所を新設いたしました。 当社の設備投資については、本事業の実施にかかる増員のための採用費及び人件費等の運転資金、並びに事業終了時の設備の簿価買取の設備投資資金等を総合的に勘案して決定しております。 なお、当社はバイオものづくり事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。 2024年9月30日現在事業所名(所在地)設備の内容投資予定額(千円)資金調達方法着手年月完了予定年月完成後の増加能力総額既支払額Green Earth 研究所(千葉県木更津市)研究開発設備(2025年9月期導入)125,770―自己資金、増資資金及び借入金2024年10月2025年9月注1バイオファウンドリ研究所(千葉県茂原市)研究開発設備(2025年9月期導入)5,000―2024年10月2025年9月注2研究開発設備(2027年9月期買取)411,100―2027年4月2027年9月注3 注1.2025年9月期以降に設備投資を計画する、各種培養や精製装置等であります。 これらは、主としてバイオものづくり革命推進事業を進展させるために取得するものです。 生産性の増加能力の計数的把握は困難ですが、当社としては、研究開発の効率性を30%以上増加させることを目標としております。 2.これらは、主として連続培養装置の購入及び現在所有する機器の故障に対応し、代替機器の購入や補修を行うものであり、生産性を増加するものでないため記載を省略しております。 3.バイオファウンドリ事業終了後、本事業で購入した設備をNEDOより簿価買取するものであります。 バイオファウンドリ拠点はプロセス開発を中心とした研究開発拠点であり、生産性の増加能力の計数的把握は困難ですが、当社としては、研究開発の効率性を30%以上増加させることを目標としております。 (2) 重要な設備の除却等重要な設備の除却等の計画はありません。 |
研究開発費、研究開発活動 | 258,811,000 |
設備投資額、設備投資等の概要 | 80,004,000 |
Employees
平均年齢(年)、提出会社の状況、従業員の状況 | 48 |
平均勤続年数(年)、提出会社の状況、従業員の状況 | 4 |
平均年間給与、提出会社の状況、従業員の状況 | 6,811,000 |
Investment
株式の保有状況 | (5) 【株式の保有状況】 当社は、政策保有株式について、営業政策上の必要性や株式保有の合理性等を総合的に勘案し、中長期的な企業価値の向上に資すると判断した場合を除き、保有しないことを基本方針としております。 また、純投資目的の株式は保有しない方針であります。 なお、提出日現在において、政策保有株式、純投資目的の株式その他純投資目的以外の株式のいずれも保有しておりません。 |
Shareholders
大株主の状況 | (6) 【大株主の状況】 2024年9月30日現在 氏名又は名称住所所有株式数(株)発行済株式(自己株式を除く。)の総数に対する所有株式数の割合(%) 株式会社SBI証券東京都港区六本木一丁目6番1号1,162,30010.29 株式会社日本カストディ銀行(信託口)東京都中央区晴海一丁目8-121,138,10010.07 住友林業株式会社東京都千代田区大手町一丁目3-2900,0007.97 公益財団法人地球環境産業技術研究機構京都府木津川市木津川台九丁目2900,0007.97 大田 誠東京都港区521,4004.61 伊原 智人東京都中野区450,0003.98 DIC株式会社東京都板橋区坂下3丁目35-58417,0003.69 野村信託銀行株式会社(投信口)東京都千代田区大手町2丁目2-2316,2002.80 エア・ウォーター株式会社大阪府大阪市中央区南船場2丁目12-8号300,0002.65 小池 克昌東京都中央区284,2002.51 計―6,389,20056.59 注1.株式会社日本カストディ銀行(信託口)の所有株式数のうち、信託業務にかかる株式数は1,130,200株であります。2.野村信託銀行株式会社(投信口)の所有株式数のうち、信託業務にかかる株式数は316,200株であります。3.前事業年度末現在主要株主であった 公益財団法人地球環境産業技術研究機構は、当事業年度末では主要株主ではなくなり、 株式会社SBI証券が新たに主要株主となりました。4.2024年6月25日で公衆の縦覧に供されている大量保有報告書及び変更報告書において、大和アセットマネジメント株式会社が2024年6月19日現在で次の株式を所有している旨が記載されているものの、当社として当事業年度末現在における実質所有株式数の確認ができておりませんので、上記大株主の状況には含めておりません。なお、当該大量保有報告書の内容は次のとおりであります。 氏名又は名称住所保有株券等の数(株)株券等保有割合(%)大和アセットマネジメント株式会社東京都千代田区丸の内一丁目9番1号1,159,30010.28 |
株主数-金融機関 | 4 |
株主数-金融商品取引業者 | 18 |
株主数-外国法人等-個人 | 12 |
株主数-外国法人等-個人以外 | 20 |
株主数-個人その他 | 4,236 |
株主数-その他の法人 | 35 |
株主数-計 | 4,325 |
氏名又は名称、大株主の状況 | 小池 克昌 |
株主総利回り | 1 |
株主総会決議による取得の状況 | (1) 【株主総会決議による取得の状況】 該当事項はありません。 |
株主総会決議又は取締役会決議に基づかないものの内容 | (3) 【株主総会決議又は取締役会決議に基づかないものの内容】 該当事項はありません。 |
Shareholders2
発行済株式及び自己株式に関する注記 | 1.発行済株式に関する事項 株式の種類当事業年度期首増加減少当事業年度末普通株式(株)11,277,70013,200―11,290,900 注 変動の事由の概要新株予約権の行使 13,200株 2.自己株式に関する事項 株式の種類当事業年度期首増加減少当事業年度末普通株式(株)36――36 |
Audit1
監査法人1、個別 | Mooreみらい監査法人 |
独立監査人の報告書、個別 | 独立監査人の監査報告書2024年12月24日Green Earth Institute株式会社取締役会 御中 Mooreみらい監査法人 東京都千代田区指定社員業務執行社員公認会計士吉 原 浩指定社員業務執行社員公認会計士佐 藤 豊 毅 <財務諸表監査>監査意見当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられているGreen Earth Institute株式会社の2023年10月1日から2024年9月30日までの第14期事業年度の財務諸表、すなわち、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、キャッシュ・フロー計算書、重要な会計方針、その他の注記及び附属明細表について監査を行った。 当監査法人は、上記の財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、Green Earth Institute株式会社の2024年9月30日現在の財政状態並びに同日をもって終了する事業年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。 監査意見の根拠当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。 監査の基準における当監査法人の責任は、「財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。 当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。 当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。 監査上の主要な検討事項監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。 監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 固定資産の減損損失の認識の要否に関する判断の妥当性 監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応会社は、2024年9月30日に終了する事業年度の貸借対照表において、有形固定資産99,343千円及び無形固定資産885千円を計上している。 これらの固定資産は規則的に減価償却されるが、注記事項「(重要な会計上の見積り)固定資産の減損」 に記載されているとおり、減損の兆候があると認められる場合には、当該資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額と帳簿価額を比較することによって、減損損失の認識の要否を判定する必要がある。 その結果、減損損失の認識が必要と判定された場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、帳簿価額の減少額は減損損失として認識される。 なお、会社は、バイオものづくり事業のみを行っていることから、独立したキャッシュ・フローを生成する最小単位として、全ての固定資産を単一の資産グループとしている。 会社は、バイオものづくり事業におけるプラットフォーマーとなるために必要な研究開発基盤を構築している段階にあり、安定的な収益計上には至っておらず、継続的に営業損益がマイナスとなっていることから、減損の兆候が認められる。 このため、当事業年度において減損損失の認識の要否の判定が行われているが、見積られた割引前将来キャッシュ・フローの総額が固定資産の帳簿価額を上回ったことから、減損損失の認識は不要と判断されている。 当該判定に用いられた割引前将来キャッシュ・フローの見積りは、取締役会によって承認された事業計画を基礎としている。 割引前将来キャッシュ・フローの見積りに使用した重要な仮定は、経済環境・政策動向等の外部要因や各パイプラインの進捗状況、過去の実績等から仮定した予測情報である。 これらの仮定は高い不確実性を伴うため、経営者による判断が割引前将来キャッシュ・フローの見積りに重要な影響を及ぼす。 以上から、当監査法人は、固定資産の減損損失の認識の要否に関する判断の妥当性が、当事業年度の財務諸表監査において特に重要であり、「監査上の主要な検討事項」に該当すると判断した。 当監査法人は、固定資産の減損損失の認識の要否に関する判断の妥当性を評価するため、主に以下の監査手続を実施した。 (1)内部統制の評価 固定資産の減損損失の認識の要否の判定に関連する内部統制の整備及び運用状況の有効性を評価した。 (2)割引前将来キャッシュ・フローの見積りの適切性の評価 割引前将来キャッシュ・フローの見積りの基礎となる事業計画の作成に当たって使用された主要な仮定の適切性を評価するため、その根拠について経営者及び財務管理の責任者に対して質問するとともに、主に以下の手続を実施した。 ・国策案件に係る事業計画について、業務委託契約書及び実施計画等を入手するとともに過年度において策定された事業計画と実績との乖離を踏まえ、その精度を評価した。 ・民間案件に係る事業計画について、各パイプラインの計画の進捗状況、契約の有無及び締結可能性、契約金額の交渉の見通しなどを把握した上で、予測情報に係る適切性を確かめた。 ・上記手続の実施結果を踏まえて、評価した事業計画に一定の不確実性を織り込んだ場合の割引前将来キャッシュ・フローを独自に見積り、減損損失の認識に与える影響について検討した。 その他の記載内容その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、財務諸表及びその監査報告書以外の情報である。 経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。 また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 当監査法人の財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。 財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 財務諸表に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して財務諸表を作成し適正に表示することにある。 これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。 財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。 監査役及び監査役会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 財務諸表監査における監査人の責任監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から財務諸表に対する意見を表明することにある。 虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。 監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。 ・ 不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。 また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。 監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。 さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。 ・ 財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。 ・ 経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。 ・ 経営者が継続企業を前提として財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。 継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する財務諸表の注記事項が適切でない場合は、財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。 監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。 ・ 財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた財務諸表の表示、構成及び内容、並びに財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。 監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。 監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。 監査人は、監査役及び監査役会と協議した事項のうち、当事業年度の財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。 ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。 <報酬関連情報>当監査法人及び当監査法人と同一のネットワークに属する者に対する、会社の監査証明業務に基づく報酬及び非監査業務に基づく報酬の額は、「提出会社の状況」に含まれるコーポレート・ガバナンスの状況等(3)【監査の状況】 に記載されている。 利害関係会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。 以 上 注1.上記の監査報告書の原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。 2.XBRLデータは監査の対象には含まれていません。 |
監査上の主要な検討事項、個別 | 監査上の主要な検討事項監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。 監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 固定資産の減損損失の認識の要否に関する判断の妥当性 監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応会社は、2024年9月30日に終了する事業年度の貸借対照表において、有形固定資産99,343千円及び無形固定資産885千円を計上している。 これらの固定資産は規則的に減価償却されるが、注記事項「(重要な会計上の見積り)固定資産の減損」 に記載されているとおり、減損の兆候があると認められる場合には、当該資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額と帳簿価額を比較することによって、減損損失の認識の要否を判定する必要がある。 その結果、減損損失の認識が必要と判定された場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、帳簿価額の減少額は減損損失として認識される。 なお、会社は、バイオものづくり事業のみを行っていることから、独立したキャッシュ・フローを生成する最小単位として、全ての固定資産を単一の資産グループとしている。 会社は、バイオものづくり事業におけるプラットフォーマーとなるために必要な研究開発基盤を構築している段階にあり、安定的な収益計上には至っておらず、継続的に営業損益がマイナスとなっていることから、減損の兆候が認められる。 このため、当事業年度において減損損失の認識の要否の判定が行われているが、見積られた割引前将来キャッシュ・フローの総額が固定資産の帳簿価額を上回ったことから、減損損失の認識は不要と判断されている。 当該判定に用いられた割引前将来キャッシュ・フローの見積りは、取締役会によって承認された事業計画を基礎としている。 割引前将来キャッシュ・フローの見積りに使用した重要な仮定は、経済環境・政策動向等の外部要因や各パイプラインの進捗状況、過去の実績等から仮定した予測情報である。 これらの仮定は高い不確実性を伴うため、経営者による判断が割引前将来キャッシュ・フローの見積りに重要な影響を及ぼす。 以上から、当監査法人は、固定資産の減損損失の認識の要否に関する判断の妥当性が、当事業年度の財務諸表監査において特に重要であり、「監査上の主要な検討事項」に該当すると判断した。 当監査法人は、固定資産の減損損失の認識の要否に関する判断の妥当性を評価するため、主に以下の監査手続を実施した。 (1)内部統制の評価 固定資産の減損損失の認識の要否の判定に関連する内部統制の整備及び運用状況の有効性を評価した。 (2)割引前将来キャッシュ・フローの見積りの適切性の評価 割引前将来キャッシュ・フローの見積りの基礎となる事業計画の作成に当たって使用された主要な仮定の適切性を評価するため、その根拠について経営者及び財務管理の責任者に対して質問するとともに、主に以下の手続を実施した。 ・国策案件に係る事業計画について、業務委託契約書及び実施計画等を入手するとともに過年度において策定された事業計画と実績との乖離を踏まえ、その精度を評価した。 ・民間案件に係る事業計画について、各パイプラインの計画の進捗状況、契約の有無及び締結可能性、契約金額の交渉の見通しなどを把握した上で、予測情報に係る適切性を確かめた。 ・上記手続の実施結果を踏まえて、評価した事業計画に一定の不確実性を織り込んだ場合の割引前将来キャッシュ・フローを独自に見積り、減損損失の認識に与える影響について検討した。 |
全体概要、監査上の主要な検討事項、個別 | 監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。 監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 |
見出し、監査上の主要な検討事項、個別 | 固定資産の減損損失の認識の要否に関する判断の妥当性 |
その他の記載内容、個別 | その他の記載内容その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、財務諸表及びその監査報告書以外の情報である。 経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。 また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 当監査法人の財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。 財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 |
報酬関連情報、個別 | <報酬関連情報>当監査法人及び当監査法人と同一のネットワークに属する者に対する、会社の監査証明業務に基づく報酬及び非監査業務に基づく報酬の額は、「提出会社の状況」に含まれるコーポレート・ガバナンスの状況等(3)【監査の状況】 に記載されている。 |
BS資産
仕掛品 | 147,815,000 |
工具、器具及び備品(純額) | 7,644,000 |
リース資産(純額)、有形固定資産 | 9,590,000 |
建設仮勘定 | 16,143,000 |
有形固定資産 | 99,343,000 |
ソフトウエア | 885,000 |
無形固定資産 | 885,000 |
BS負債、資本
1年内返済予定の長期借入金 | 7,940,000 |
未払金 | 109,752,000 |
未払法人税等 | 11,423,000 |
リース債務、流動負債 | 4,869,000 |
繰延税金負債 | 1,977,000 |
資本剰余金 | 1,590,529,000 |
利益剰余金 | -1,216,089,000 |
株主資本 | 1,974,941,000 |
負債純資産 | 2,736,290,000 |
PL
売上原価 | 560,695,000 |
販売費及び一般管理費 | 590,638,000 |
営業利益又は営業損失 | -148,793,000 |
受取利息、営業外収益 | 228,000 |
為替差益、営業外収益 | 20,000 |
営業外収益 | 12,749,000 |
支払利息、営業外費用 | 2,010,000 |
営業外費用 | 2,042,000 |
特別利益 | 6,788,000 |
固定資産除却損、特別損失 | 328,000 |
特別損失 | 328,000 |
法人税、住民税及び事業税 | 2,310,000 |
法人税等調整額 | -55,000 |
法人税等 | 2,254,000 |
PL2
株主資本以外の項目の当期変動額(純額) | -2,188,000 |
当期変動額合計 | -2,188,000 |