財務諸表
CoverPage
提出書類、表紙 | 有価証券報告書 |
提出日、表紙 | 2024-07-09 |
英訳名、表紙 | ENECHANGE Ltd. |
代表者の役職氏名、表紙 | 代表取締役CEO 城口 洋平 |
本店の所在の場所、表紙 | 東京都中央区京橋三丁目1番1号 |
電話番号、本店の所在の場所、表紙 | (03)6837-6322(代表) |
様式、DEI | 第三号様式 |
会計基準、DEI | Japan GAAP |
連結決算の有無、DEI | true |
当会計期間の種類、DEI | FY |
corp
沿革 | 2【沿革】 当社の前身であるCambridge Energy Data Lab Limitedは、日本の電力自由化を契機とした規制緩和後の市場における事業開発及びスマートメーターデータの研究開発を目的に、2013年6月英国ケンブリッジ市において設立されました。 Cambridge Energy Data Lab Limitedにて、2014年4月に日本の電力自由化を見据えた家庭向け電力・ガス特化型メディア「エネチェンジ」を開始した後、2015年4月に東京都墨田区にエネチェンジ株式会社が設立され、同年6月Cambridge Energy Data Lab Limitedから事業譲渡を受けた後に、現在の事業を本格的に開始しました。 年 月概 要2013年6月英国ケンブリッジ市においてCambridge Energy Data Lab Limited 設立2014年4月家庭向け電力・ガス特化型メディア「エネチェンジ」開始2015年1月家庭向け格安SIM・スマホ比較サイト「SIMチェンジ」開始2015年4月東京都墨田区においてエネチェンジ株式会社を設立2015年6月Cambridge Energy Data Lab Limitedからエネチェンジ株式会社への事業譲渡を実施2016年1月電力自由化に対応した電力切替プラットフォーム開始2016年1月電力会社向け電気料金シミュレーションASPサービスの提供開始2016年2月英国ケンブリッジ市においてSMAP ENERGY LIMITED設立2016年6月法人向け電力・ガス切替プラットフォーム「エネチェンジ Biz」開始2017年6月SMAP ENERGY LIMITED(現連結子会社)を子会社化2017年8月本社オフィスを東京都千代田区に移転2018年5月「ENECHANGE株式会社」へと商号変更2018年8月電力会社向け電気料金シミュレーションASPサービスに機能追加し、「EMAP」サービスとしてリニューアル2019年7月家庭向け格安SIM・スマホ比較診断サービス「SIMチェンジ」事業の譲渡を実施2019年12月電力データ解析技術を用いた再生可能エネルギー発電所の運営効率化・ファンド運営事務サービス「JEF」開始2020年12月東京証券取引所マザーズに株式を上場2021年9月海外特化型脱炭素テックファンド「Japan Energy Capital2号ファンド」設立2021年11月オーベラス・ジャパン株式会社の発行済株式を100%取得し子会社化(その後2022年5月に当社に吸収合併)2021年11月EV充電サービス「EV充電エネチェンジ」開始2021年12月公募による新株式発行及び株式売出しを実施2022年7月新電力コム株式会社の発行済株式を100%取得し子会社化(その後2022年12月に当社に吸収合併)2022年7月本社オフィスを東京都中央区に移転2022年10月ENECHANGE EVラボ株式会社設立2022年10月EV業界のメディア・アプリサービスであるEVsmart事業を事業譲受2023年2月e-Mobility Powerとの業務提携開始2023年2月EV充電インフラ1号合同会社設立2023年5月SMAP ENERGY LIMITED(連結子会社)をENECHANGE Innovation Limitedへ商号変更2024年1月EV充電インフラ2号合同会社設立2024年1月電力データを活用した「エネチェンジ・マイエネルギー」の家庭向けサービスに新機能「マイエネルギーナビ」をリリース2024年2月「エネチェンジクラウドEV」のプロダクトラインナップをワンストップ充電サービス構築可能な内容へ刷新2024年2月JICVGIオポチュニティファンド1号投資事業有限責任組合への第三者割当増資を実施 |
事業の内容 | 3【事業の内容】 当社グループは、「エネルギーの未来をつくる」というミッションを掲げ、世界的な課題である脱炭素社会(カーボンゼロ)の実現に向けて、グリーン・トランスフォーメーション(GX)を推進する企業です。 脱炭素社会の実現のためには、①電力網の脱炭素化、②交通の電化、③食の改善、④自然保護、⑤製造業の浄化、⑥二酸化炭素の除去といった手法が有効とされており(注1)、当社グループは、「エネルギーの未来をつくる」というミッションを掲げ、①電力網の脱炭素化及び②交通の電化に貢献する事業を展開し、エネルギーテック領域におけるカテゴリーリーダーとなることを目指しております。 当社グループは、(I)電気自動車(EV)の普及に伴い必要とされるEV充電インフラの導入・運用についてのサービスを提供する「EV充電事業」、(II)消費者向けに電力・ガス会社の最適な選択をサポートする「エネルギープラットフォーム事業」、(III)電力・ガス会社向けにクラウド型DXサービスを提供する「エネルギーデータ事業」、を展開しております。 「EV充電事業」においては、脱炭素社会の実現に向けた電気自動車(EV)の普及に必要となるEV充電インフラの整備に関わる事業を展開し、「EV充電エネチェンジ」のブランド名で、EVユーザーにとっての充電機会の拡大を図ることを目的とした充電インフラサービスを提供しております。 「エネルギープラットフォーム事業」においては、主に「エネチェンジ」(家庭向け電力・ガス切替プラットフォーム)及び「エネチェンジBiz」(法人向け電力・ガス切替プラットフォーム)の2サービスを展開しております。 「エネルギーデータ事業」においては、主に電力・ガス会社向けにクラウド型で提供するデジタルマーケティング支援SaaS「エネチェンジクラウドMarketing」及び家庭向けデマンドレスポンスサービス「エネチェンジクラウドDR」等を展開しております。 当社グループは、当該3事業による顧客基盤・ノウハウの相互活用を通じた事業展開を競争力の源泉とし、業界内におけるユニークなポジショニングを構築しているものと考えております。 当該3事業は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一です。 なお、当社グループは、当社に加え、連結子会社ENECHANGE EV ラボ株式会社、EV充電インフラ1号合同会社、ENECHANGE Innovation Limited(SMAP ENERGY LIMITEDより商号変更)、持分法適用関連会社Japan Energy Capital 1 L.P.、Japan Energy Capital 2 L.P.、持分法非適用関連会社Japan Energy Capital合同会社で構成されています。 「EV充電事業」におけるEV充電機器の仕入れや設置工事等はENECHANGE EVラボ株式会社が、EV充電設備所有はEV充電インフラ1号合同会社が、それ以外のサービスは当社が運営しております。 また、中東地域での再生可能エネルギー発電所への投資はJapan Energy Capital 1 L.P.が、海外のエネルギーベンチャー企業への投資は主にENECHANGE Innovation Limited及びJapan Energy Capital 2 L.P.が、ファンド運営業務等はJapan Energy Capital合同会社が運営しております。 現在当社グループが提供する「EV充電事業」、「エネルギープラットフォーム事業」、並びに「エネルギーデータ事業」の概要は以下のとおりです。 (Ⅰ)EV充電事業(EV及びEV充電を取り巻く環境の概況) 2023年2月10日に日本政府によって閣議決定された「GX実現に向けた基本方針」において、乗用車の新車販売における電気自動車(EV)をはじめとした電動車比率を2035年までに100%とする目標が掲げられ(注2)、EV充電設備等の整備に対する支援など、EVの普及及びEV充電インフラの需要が高まることが見込まれております。 日本においては、2009年以降、量産EVの販売が開始し、2023年の新車販売台数に占めるEV及びPHVの比率は3.38%(注3)となりました。 *1 一般社団法人 日本自動車販売協会連合会「燃料別販売台数(乗用車)」、一般社団法人 全国軽自動車協会連合会「軽四輪車通称名別新車販売確報」より当社作成 EVの普及に並行して、EV充電インフラの整備が始まっております。 EVの本格的普及とともにEV充電のインフラ整備の重要性も増しており、経済産業省が掲げる2030年の充電器の設置目標が15万口から30万口に倍増(普通充電器の設置目標は12万口から27万口に増加)(注4)、さらに、2024年1月には合計360億円を充電インフラ整備の予算に配分することが発表される(注5)など、EVの普及とそれに併せたEV充電インフラの需要がますます高まることが見込まれております。 当社としては、国内のガソリンスタンド売上高約9兆円(注6)に、目的地充電の利用率25%(注7)を乗じた約2.2兆円が、「EV充電事業」におけるTAM(注8)と捉えております。 (事業の概況) EV充電は、自宅やオフィスにおける「基礎充電」、移動途中における「経路充電」、滞在先駐車場における「目的地充電」の3パターンに類型されます。 「基礎充電」と「目的地充電」は、ガソリン車との対比で一般的にEVのメリットとして挙げられる駐車中に充電を行うものであり、充電設備としては多くは3kWまたは6kW出力の普通充電器でサービス提供されます。 一方「経路充電」は、移動中の電欠を防止するために行うものであり、充電設備としては高出力で短時間に充電を行う急速充電器が利用されます。 当社グループの「EV充電事業」は、自社グループ内でEV充電インフラを所有し、EV/PHEVドライバー向けにEV充電サービスを提供することで、継続的な充電収入を得ることを目的としています。 本事業を運営するうえでは、各グループ会社が特定の機能や業務に特化した役割を担っており、それぞれの目的を追求することでグループ全体の事業価値が最大化することを目指しています。 当社はEV充電設備所有者(当社グループ内の充電設備インフラ保有会社であるEV充電インフラ1号合同会社、あるいは、ホテルや駐車場といった施設)に対して既設のEV充電設備の運営に関する包括的業務を行うCharge Point Operator(以下「CPO」)業務を、「目的地充電」及び「基礎充電」を対象として行っており、具体的な業務としては、EV充電設備の価値向上や利便性向上に向けた、利用促進ツールの提供、課金代行、保守管理、カスタマーサポート等が含まれます。 当社子会社のENECHANGE EVラボ株式会社は、新規のEV充電設備の販売・設置業務を行っており、具体的な業務としては、新規EV充電設備設置のための施設向けマーケティング、EV充電設備の稼働が見込まれる適地の開拓・選定、地権者からの土地利用許諾の取得サポート、補助金の申請サポート、充電機器の調達・販売及び工事の実施、工事元請会社との工事契約締結アレンジ等が含まれます。 当社子会社であるEV充電インフラ1号合同会社は、EV充電設備の所有を目的に設立された特別目的会社(Special Purpose Company, 以下「SPC」)です。 当社グループとしては、新規の設置口数増加を目的とした当社子会社であるENECHANGE EVラボ株式会社が「EV充電設備の販売・設置業務」を、既設のEV充電設備の稼働時間向上を目的とした当社が「EV充電設備の運営に関する包括的業務」を行い、EV充電インフラ1号合同会社等が保有するEV充電設備を通じてEV充電サービスを提供します。 今後、インフラサービス事業者としてEV充電設備の設置口数を拡大することで、競争優位性の確立、スケールメリットによる利益率向上を目指します。 (サービスの特徴) 「EV充電エネチェンジ」は、「基礎充電」及び「目的地充電」に注目し、マンションなどの自宅や、レジャー施設や商業施設などの目的地を中心にEV充電設備を設置することで、EVユーザーにとっての充電機会の拡大を図ることを目的とした充電インフラサービスです。 2027年までにEV充電設備を国内で3万口設置することを目標に掲げ、日本全国に網羅的にサービスを拡大しており、「EV充電エネチェンジ」の目的地充電ステーションは2023年12月末時点で2,076口、シェアは62%となっております。 また「EV充電エネチェンジ」では、EVユーザー向けに当社グループの充電設備に限らず全国の充電設備情報を網羅して集めたEV充電情報アプリを提供し、当該アプリを通して「EV充電エネチェンジ」利用時の決済まで可能とすることで、充電スポットを探す、充電する、支払うというプロセスに対するサービスをワンストップで提供しています。 加えて、国内のEV充電インフラネットワークを構築している株式会社e-Mobility Power(eMP社)との事業提携(ローミング契約)により、自動車メーカー等が発行している充電カードをかざすだけで「EV充電エネチェンジ」での決済が可能となり、当社独自のアプリを通さなくても、多くのEVユーザーが当社グループのサービスを利用することができます。 (収益モデル) 当社グル―プの一般的な事業スキームは以下の例示の通りです。 当社グループにおいては、下記の3つの売上が発生します。 (1)充電収入:当社グループは、設置した充電設備の利用に応じてEVユーザーがEV充電設備所有者に対して支払う充電料金を従量型で収受、または、施設オーナーからの月額利用料を固定型で収受します。 本売上は、当社グループにおけるストック型の収益となります。 (2) ハードウェア売上:ENECHANGE EVラボ株式会社は、「EV充電設備の販売・設置業務」において、充電機器の販売や付随して発生する設置工事等の役務が完了した時点で販売収益を収受します。 本売上は、当社グループにおけるフロー型の収益となりますが、EV充電インフラ1号合同会社に販売する場合は、内部取引として連結上の相殺消去が行われます。 (3) サービス売上:当社は、「EV充電設備の運営に関する包括的業務」において、EV充電設備の所有者であるEV充電インフラ1号合同会社等に対して提供する運営サービスの対価として、設置した充電設備の利用に応じたEVユーザーがEV充電設備所有者に対して支払う従量型の充電料金の一部、または、施設からの固定型の月額利用料の一部を収受します。 本売上は、当社グループにおけるストック型の収益となりますが、当社子会社であるEV充電インフラ1号合同会社より収受する場合は、内部取引として連結上の相殺消去が行われます。 (EV充電事業スキーム図)*1 EV充電設備の運営業務の対価としてEVドライバーから受け取る充電収入の一部を収受。 *2 一般社団法人次世代自動車振興センター。 *3 NeVへの補助金申請者はEV充電インフラ1号合同会社の場合とリース会社の場合が存在。 EV充電インフラ1号合同会社が申請者の場合、ENECHANGE EVラボ株式会社からEV充電インフラ1号合同会社へ充電器・工事を販売した金額にて補助金を申請します。 リース会社が申請者の場合、ENECHANGE EV ラボ株式会社からリース会社へ充電器・工事を販売した金額にて補助金を申請した上で、当該EV充電設備は全てEV充電インフラ1号合同会社にリースバックしています。 *4 充電器・工事代金の支払いから補助金を受領するまでの期間におけるブリッジローン。 *5 特定のスポンサーに対してその出資金の一部を融資の形態で負担。 *6 最初の一定期間は、社債権者として、金利を受領し、3年経過後に当該社債が匿名組合持分に強制転換されることで、匿名組合出資者となります。 *7 スポンサーは、2026年10月31日(一部は7月31日)以降いつでも、保有するSPC持分の全部を、出資元本の簿価相当額でENECHANGE株式会社もしくはENECHANGE株式会社が指定する第三者に売り渡すことを請求することができます(プット・オプション)。 また、ENECHANGE株式会社は、一部の持分に関して、同様の条件で同持分を買い取ることを請求することができます(コール・オプション)。 *8 ENECHANGE株式会社が当社子会社のリース債務を保証する債務保証契約。 *9 一般社団法人EV充電インフラ。 *10 セール&リースバック。 (注)EV充電インフラ1号合同会社は、EV充電設備所有を目的とするSPCとして2023年2月に設立された合同会社(GK)です。 GKの代表社員及び業務執行社員、並びに社員としての出資者は一般社団法人EV充電インフラ(ISH)であり、GK並びにISHと当社との間に直接的な資本関係はありません。 GKは、スポンサーから社債や商法上の匿名組合(TK)出資(本件の場合は、当初社債による出資を行い、3年経過後にTK持分へ強制転換する)を募る他、金融機関からの融資やリース会社からのリース提供により、EV充電設備の取得及び運営に必要な資金を調達します。 EV充電インフラ1号合同会社はEVユーザーから収受するEV充電設備の充電利用料から得たキャッシュ・フローを、リース料の支払いやEV充電事業者(CPO)への業務委託料に充当し、余剰キャッシュを出資者に分配します。 なお、EV充電インフラ1号合同会社への出資者は、最初の3年間は、社債権者として、金利を受領し、3年経過後に当該社債が匿名組合持分に強制転換されることで、匿名組合出資者となり、匿名組合員として分配金を受領します。 当該出資者が出資する理由は、前述の社債金利および出資持分に対する損益の分配に加えて、当該出資を通じてEV充電設備の運用に関する事業のノウハウ取得などがあります。 なお、当社はEV充電インフラ1号合同会社への出資者との間で、事前合意の定めにより、出資後3年経過時点で保有する社債が匿名組合出資持分(TK持分)に転換された以降、当社が出資簿価にて出資者のTK持分を買いとる権利(コール・オプション)を有し、また、当該出資者がそのTK持分を当社もしくは当社が指定する第三者に出資簿価で売り渡す権利(プット・オプション)を有しています。 (Ⅱ)エネルギープラットフォーム事業(電力市場及び電力自由化の概況) 2023年は引き続き、日本におけるグリーン・トランスフォーメーション(GX)が進展した1年となりました。 日本政府により、2022年12月22日の第5回GX実行会議において「GX実現に向けた基本方針 ~今後10年を見据えたロードマップ~」が掲示され、今後150兆円のGX投資を官民で実現していくため、日本政府としても20兆円規模の先行投資支援を実行する旨の意見表明がなされ、また2023年2月10日には「GX実現に向けた基本方針」が閣議決定されました。 こうしたGXの動きの中心となる電力業界においては、2016年4月の電力の小売全面自由化以降、当社のベース市場である電力販売額は約18兆円(注9)となり、今後、オール電化やEVの普及に伴う都市ガス・LPガス市場並びにガソリン市場の取り込みにより、2050年に向けて一定程度増加すると見込まれております(注10)。 日本国内の電力自由化は2000年に法人向けの特別高圧区分、2004年に高圧区分で開始されました。 2016年4月に家庭向け(低圧電灯・低圧電力)の小売市場の自由化が開始されたことを機に、新規参入事業者の増加による競争環境の激化や、電力・ガス会社の切替に対する認知度の拡大により、家庭向け、法人向けともに新電力シェアが拡大しました。 2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻以降は、資源価格高騰の影響を受けた電力会社の財務状況の悪化し、電力会社のユーザー獲得活動が後退しておりましたが、電気料金の値上げや卸電力市場価格の落ち着きに伴い、一部電力会社においてユーザー獲得に前向きな動きが見られる状況です。 これに伴い、2023年9月時点において、新電力の販売電力量シェアは17.2%と反転しております。 (注11) 電力契約切替数の年間推移(注12)は次のとおりです。 新電力の年間の契約件数に関しては、2023年では約413万件となっております。 この内訳としては、昨年までは大手電力から新電力への切替が約214万件ありましたが、現在では電気・ガス料金の激変緩和措置とその期間延長によって、大手電力からの切り替えとスイッチングの全体件数が減少しました。 新電力からの切替需要は、主に一度新電力に切り替えたユーザーが、より良い料金プラン等を探す需要によるものと考えております。 一度切り替えたユーザーは、電力・ガス切替に対する心理的ハードルが低くなり、また切替に関するメリットも認識しているため、継続的により良い電力・ガス会社を探す傾向にあるものと考えられます。 特に初回切替に関しては、電力・ガス会社による直接的な営業活動により受動的に切替を実施しているユーザーが多いものと考えられ、そうしたユーザーが2回目以降に切り替える場合は、能動的に電力・ガス会社を比較して検討する、すなわち当社のような切替サービスを活用する需要が高まるものと考えております。 新電力の新規契約需要は、引越し等の機会に電力・ガス契約を新規契約する際に、大手電力ではなく新電力を選択するユーザーの需要があるためと当社では認識しており、ライフイベントに契機とした安定した契約需要が見込め、新電力によるより良い料金プランの提供により需要は増加していくものと考えております。 市場規模としては、2022年の電力販売額の総額約18兆円に、電力切替後の電気料金に対する継続報酬の売上料率相場である2%(注13)を乗じた約3,600億円が、「エネルギープラットフォーム事業」におけるTAMと捉えております。 (事業の概況) 当社グループの「エネルギープラットフォーム事業」は、家庭向けユーザーに対しては、電力・ガス切替プラットフォーム「エネチェンジ」、法人向けユーザーに対しては、電力・ガス切替プラットフォーム「エネチェンジBiz」の2サービスを展開しております。 「エネチェンジ」「エネチェンジBiz」はともに最適な電力・ガス会社等を選択するための比較・診断・切替申込機能を、インターネット上でワンストップにて提供する電力・ガス切替プラットフォームであり、当該サービスを電力の消費者である家庭や法人のユーザーに対して無償で提供することで、電力・ガス切替のデジタルトランスフォーメーションに取り組んでおります。 当社は、複数の電力・ガス会社と戦略的な業務提携を結んでおり、それら電力・ガス会社とのネットワークにより、価格面での訴求だけではなく、電気・ガスセットでの提供や、再生可能エネルギー100%の電力プランの取り扱いなど、幅広いユーザーのニーズに合わせたサービス展開を行っております。 集客面に関しては、自社メディアを経由したオンラインでの集客を基本とし、家庭から法人ユーザーまで幅広く集客を実施しております。 加えて、パートナーの拡大にも努めており、オンライン・オフラインでのパートナー経由の集客も行なっております。 これらにより、電力・ガス切替プラットフォームとして、ユーザーとの接点を拡大しております。 これらの取組みにより、ユーザー数(家庭向けユーザー数と、法人向けユーザー数の一般家庭換算値との合計値)は、2023年12月末時点において、約57万3千件となっております。 (各サービスの特徴) <エネチェンジ> 「エネチェンジ」は「電力会社を選ぶ」をサポートする家庭向け電力・ガス特化型メディア兼電力・ガス会社切替プラットフォームです。 当社は2016年1月より本格的にサービスを開始し、2023年1月から12月までの平均で月間訪問者数が約200万人を超える規模にまで成長しました。 ユーザーは、オンライン上で居住地域の郵便番号や世帯人数、在宅状況や電気の使用量といった情報を簡易的に入力することで、地域ごとの気象条件やロードカーブ(注14)を考慮したアルゴリズムの診断結果に基づいた最適な電力・ガス会社の比較情報を、様々なランキング形式で得ることができます。 また、診断と比較だけではなく、オンライン上で電力・ガス会社の切替(注15)手続きまでを一気通貫で実施できるサービス設計となっているため、ユーザーにとっては利便性の高いサービスとなっております。 なお、家庭向け都市ガスの小売全面自由化が開始された2017年4月に先駆けて、2017年1月より都市ガス料金の比較診断サービスも提供しております。 また、2019年11月より順次買取期間が終了する固定価格買取制度(FIT)(注16)にあわせた電気の買取や、環境価値調達を支援する「トラッキング付FIT非化石証書」の提供など、関連するサービスの展開も行っております。 <エネチェンジBiz> 「エネチェンジBiz」は、主に高圧と呼ばれる法人の電力・ガスユーザーを対象とした一括見積取得及び電力会社切替プラットフォームです。 大手新電力を中心とした電力・ガス会社と提携し、法人ユーザーに対して無料で一括見積と申込手続きを代行するサービスを全国規模で提供しております。 当社は2016年6月より本格的にサービスを開始し、2023年12月末時点において、月間問い合わせ件数が400件を超える規模にまで成長しました。 法人ユーザーは、無料診断登録を実施し、過去12か月分の電気使用量を記載した明細書を提出することで、複数の電力・ガス会社からの新しい電気料金単価での見積提案の取得から、電力会社の切替手続きまでのプロセスを、一括して当社に委託できます。 そのため、初期費用が不要であり、かつ書類上の手続きのみで固定費の削減が可能となります。 (収益モデル) ユーザーが、当社の展開する切替プラットフォームサービス上で提携する電力・ガス契約の切替を実施すると、当社は、電力・ガス会社より一定の報酬を受領します。 当該報酬は、当社の売上高として計上されます。 報酬には下記の2つの種類があります。 (1) ストック型の切替報酬:プラットフォームサービス上で切替を実施したユーザーが電力・ガス会社に対して支払う毎月の電力代・ガス代に、あらかじめ定められた料率を乗じた金額を、切替以降、原則として電力・ガス小売供給契約が継続する限り、毎月継続的に受領する報酬となります。 プラットフォームサービスを通じた申し込みが行われ、累積申込数が増大すると、契約数に比例して報酬が増大するストック型の報酬です。 (2) その他報酬:電力・ガス契約の切替時に、上記のストック型切替報酬に加えて、追加で電力・ガス会社から受領する切替の一時報酬や、メディアとしての「エネチェンジ」及び「エネチェンジBiz」における宣伝効果を期待する電力・ガス会社からの広告掲載依頼・配信活動に伴い受領する広告収入等があります。 これらは申込数や広告件数に応じて売上高が増減します。 (Ⅲ)エネルギーデータ事業(エネルギー業界のITシステム市場の概況) 日本国内においても、自由化の進展による電力・ガス会社間の競争激化、スマートメーターの設置・普及による電力データ量の増加、AI(注17)やRPA(注18)等の技術の進化、再生可能エネルギー発電所の大量導入を背景とした弾力性・柔軟性のある電力系統運用の必要性等により、電力・ガス会社におけるデータの解析ニーズがあるものと認識しております。 このように電力データ活用の関連分野は、デジタル化領域のみに限定されるものではなく、「エネルギーの4D」の分野で横断的に生じるものと考えております。 当社グループが「エネルギーデータ事業」において展開するサービスの対象であるエネルギー業界のIT投資の金額は、電力・ガスの小売全面自由化、発送電分離、スマートメーターの普及、再生可能エネルギーの増加等の業界構造の変革に伴い、「エネルギーの4D」に関連する新規システム投資需要が増加していることで、近年拡大傾向にあるものと見ております。 当社としては、2022年の電力販売額の総額約18兆円に、ITシステム予算比率である1%(注19)を乗じた約1,800億円が、「エネルギーデータ事業」におけるTAMと捉えております。 (事業の概況)当社グループの「エネルギーデータ事業」は、電力・ガス自由化、スマートメーターのデータ解析、EV充電情報サービス等、「エネルギーの4D」の進行に伴い必要となる新たなITシステムを、エネルギー事業者やEV充電サービス事業者向けにクラウド型で提供しています。 現在は、主に4サービス(エネチェンジクラウドMarketing、エネチェンジクラウドDR、エネチェンジクラウドEV、エネチェンジクラウドRE)を展開しております。 これらのサービスは、独自データを活用した電力・ガス業界特化型のシステムを汎用的に展開することに特徴があり、デジタル化を軸としながらも、「エネチェンジ」「エネチェンジBiz」によって蓄積される大量のユーザーデータを活用した「エネチェンジクラウドMarketing」、スマートメーターデータの解析を軸とした「エネチェンジクラウドDR」、EV充電サービス事業者向けのSaaS型クラウドサービス「エネチェンジクラウドEV」、再生可能エネルギー活用業務支援サービス「エネチェンジクラウドRE」とそれぞれ異なる特徴を有しております。 当社グループは、国内の電力・ガス会社との戦略的な業務提携をはじめとして、国内外の電力・ガス会社等に対してこれらのサービスを提供しております。 これらのサービスはいずれもクラウドベースで行われることにより、サービス提供を通じて様々なデータの蓄積が可能であり、またそれらのデータを解析・活用することで更なるサービス品質や機能の強化に繋がるため、当該サービス提供を通じ競争力を高めていくことが可能であるものと認識しております。 これらの取組みにより、サービス導入社数は2023年12月末時点で61社となっております。 (各サービスの特徴)<エネチェンジクラウドMarketing> 「エネチェンジクラウドMarketing」は、当社が提供するエネルギー事業者向けデジタルマーケティング支援SaaSのサービス名称です。 「エネチェンジクラウドMarketing」サービスの特徴は、当社が電力・ガス切替プラットフォーム「エネチェンジ」を運営する中で得た知見・情報・技術資産を基にした、電力・ガス小売の現場へのデジタル化・効率化サービスをSaaS型で提供している点です。 2016年1月より電力・ガス会社への提供を開始し、以降様々な改善・機能追加を施しながら運用実績を積み重ね、2023年12月末時点においては東京電力エナジーパートナー株式会社や、東京瓦斯株式会社、北陸電力株式会社をはじめとした電力・ガス会社にサービス提供をしております。 「エネチェンジクラウドMarketing」サービスの導入にあたり、標準的なパッケージが用意されているため、速やかにセットアップを行うことが可能な形でサービス提供を行っております。 また運用開始後も、システムの死活監視や、定期的な保守、燃料費調整額(注20)の定期更新といったメンテナンスまで、ワンストップで提供しております。 <エネチェンジクラウドDR> 「エネチェンジクラウドDR」は、当社グループが提供する電力小売事業者向けデマンドレスポンスサービス名称です。 デマンドレスポンスとは、電気の需要(消費)と供給(発電)のバランスをとるために、需要側の電力を制御する技術のことであり、再生可能エネルギーの普及による発電の変動に伴い、今後重要になる技術と考えております。 「エネチェンジクラウドDR」サービスの特徴としては、スマートメーターを経由して送られてくるユーザーの電力使用量(kWh:キロワットアワー)の30分値データを様々な観点で解析・予測するサービスをSaaS型で提供している点です。 「エネチェンジクラウドDR」ではデマンドレスポンスを実施するために必要となる、電力需要解析技術を活用した節電量の分析、ポイント還元によるユーザー向けインセンティブ付与、これらを一覧して管理するユーザー向けページなどを、一気通貫で提供しております。 <エネチェンジクラウドEV> 「エネチェンジクラウドEV」は、EV充電サービス事業者向けに、EV社会の未来を支えるSaaS型クラウドサービスとして「EVsmart Data API」、「EV Navi & Charge App」、「EV Charging Platform」の3つのサービスを展開しています。 自社運営する「EVsmart」に掲載されている充電スポットデータを活用したAPI連携、ホワイトラベルやOEM方式でのEV充電アプリの開発、さらには充電器管理から認証課金システムに至るまでのワンストップ充電サービス構築を行います。 <エネチェンジクラウドRE> 「エネチェンジクラウドRE」は、再生可能エネルギー活用業務支援サービスとして、環境価値の在庫管理や、環境証書(グリーン電力証書、非化石証書など)のオンライン発行、太陽光発電・需要予測など脱炭素に向けた様々な業務を支援するサービスを提供します。 再エネ業務のDX支援ツール「E-CLOUD RED」は、PPA事業者向けに太陽光発電予測と需要予測を行い、そこからOCCTOへ3つの計画値(発電販売計画値・需要調達計画値・部分供給通告値)を自動で毎日提出するシステムです。 また、電力会社向けの環境価値の在庫管理ツール「eValue-Platform」では、非化石証書、グリーン電力証書、生グリーン電力などの各種環境価値を在庫管理し、需要家への実績通知までを一気通貫して行うことで、環境価値に関するデータの一元管理や管理業務負荷の低減を実現します。 (収益モデル) 電力・ガス会社等を中心とするサービス提供先の企業から、サービス提供の対価として一定の報酬を受領します。 当該報酬は、当社グループの売上として計上されます。 エネルギー業界に特化したサービスのため、直接的なサービス対象顧客は電力・ガス会社が中心となりますが、利用者数に応じた従量課金体系を一部採用することで、電力・ガスを利用するエンドユーザーを間接的なサービス対象顧客としている点が特徴となります。 報酬には下記の2つの種類があります。 (1) ストック型のライセンス報酬:サービス提供に対して毎月継続的に受領する報酬であり、当社のプロダクトを電力・ガス会社に対してSaaS型のライセンス課金形式で提供するストック型の収益と、エンドユーザー(需要家、スマートメーター数等)に連動する従量報酬を基本としております。 「エネチェンジクラウドMarketing」「エネチェンジクラウドDR」「エネチェンジクラウドEV」「エネチェンジクラウドRE」の報酬は主にサービス提供数に連動しております。 (2) その他報酬:「エネチェンジクラウドMarketing」「エネチェンジクラウドDR」「エネチェンジクラウドEV」「エネチェンジクラウドRE」には初期導入時やカスタマイズ時の開発料、コンサルティング料等の一時報酬があります。 初期導入時やカスタマイズ時の開発料はその後のサービスの提供に応じて売上高が計上されます。 (注)1.ジョン・ドーア著「Speed & Scale」参照。 2.経済産業省「第6次エネルギー基本計画」(2021年10月22日)、電動車は電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、燃料電池車(FCV)、ハイブリッド車(HV)を含む。 3.一般社団法人 日本自動車販売協会連合会「燃料別販売台数(乗用車)」、一般社団法人 全国軽自動車協会連合会「軽四輪車通称名別新車販売確報」より当社試算。 4.経済産業省 「充電インフラ整備促進に向けた指針」(2023年10月18日)より記載。 5.クリーンエネルギー自動車の普及促進に向けた充電・充てんインフラ等国の導入促進補助金、2023年度補正予算及び2024年度予算。 6.帝国データバンク「ガソリンスタンド経営企業の総売上高」(2017年)より。 7.マッキンゼー・アンド・カンパニー「Building the electric-vehicle charging infrastructure America needs」(2022年4月18日) / 「What Norway's experience reveals about the EV charging market 」(2023年5月8日)に基づき当社想定を算定。 8.Total Addressable Marketの略称。 当社グループが現状想定する最大の市場規模を意味する用語であり、 事業に係る客観的な市場規模を示す目的で算出されたものではなく推定値も含む。 9.電力・ガス取引監視等委員会「電力取引報結果」より、2023年1月から2023年12月の電力販売額の合計。 10.資源エネルギー庁「第6次エネルギー基本計画」(2021年10月22日)より。 11.電力・ガス取引監視等委員会「電力取引報結果」より、家庭向けは低圧電灯、法人向けは高圧における契約口数を参照。 12.電力・ガス取引監視等委員会「電力取引報結果」を基に当社で作成。 13.電気料金に対する継続報酬売上料率、当社調べ。 14.ロードカーブとは、電力需要が時間とともにどのように変動するかを表す曲線を指し、別名「電力負荷曲線」とも言われています。 ロードカーブの最大値は一定期間の最大電力消費量を指します。 15.切替とは、電力広域的運営推進機関が運営する「スイッチング支援システム」を通じて、電力小売事業者から別の電力小売事業者へ契約を切り替えることを指します。 16.固定価格買取制度(FIT)とは、「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」(再エネ特措法、またはFIT法)に基づき、電気事業者(電気事業法上に定義された、小売電気事業、一般送配電事業、送電事業、特定送配電事業、発電事業を営む事業者の総称)が再生可能エネルギーで発電された電力を固定価格で買い取る制度を指します。 17.AIは、Artificial Intelligence(人工知能)の略称。 コンピュータープログラムを用いて、人間と同等、もしくはそれ以上の知的能力を実現させるための基礎技術及びシステムを指します。 18.RPAは、Robotic Process Automationの略称。 ルールエンジン、機械学習、人工知能等の認知技術を活用し、従来は人間のみが対応可能とされていたオフィス業務を代行・代替し、効率化や自動化を図る取組みを指します。 19.一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会「企業IT動向調査」のエネルギー業界(社会インフラ)の売上高に占めるIT予算比率。 20.燃料費調整額とは、燃料費調整制度の下で電気の使用料金に応じて算定された金額を指します。 燃料調整費制度は、電気料金のコストのうち、燃料費は経済情勢(為替レートや原油価格等)の影響を大きく受けることから、電力会社の経営効率化の成果を明確にするため、燃料費の変動を迅速に電気料金に反映させる制度です。 本章にて述べた事業の系統図は以下のとおりであります[事業系統図] |
関係会社の状況 | 4【関係会社の状況】 名称住所資本金又は出資金主要な事業の内容議決権の所有割合又は被所有割合(%)関係内容(連結子会社) ENECHANGE Innovation Limited(注)3英国ロンドン202.70(ポンド)エネルギーデータ事業(エネルギーデータを分析・活用するプロダクトの開発)100.00役員の兼任従業員の出向管理業務の提供業務の受託ENECHANGE EVラボ株式会社(注)3,4,5東京都中央区5,000千円EV充電事業(EV充電機器の仕入れ、販売や設置工事等)95.00[5.00]役員の兼任従業員の出向管理業務の提供オフィス賃貸資金の貸付EV充電インフラ1号合同会社(注)6,7東京都千代田区100千円EV充電事業(EV充電設備所有及び運営等)0.00[100.00]管理業務の提供代表取締役CEO城口洋平の社債権者への貸付(間接的な社債の引受)リース債務保証(持分法適用関連会社) Japan Energy Capital 1 L.P.英国領ケイマン諸島21,724(千米ドル)エネルギーデータ事業(再生可能エネルギー発電所への投資事業等)22.91出資の引受Japan Energy Capital 2 L.P.英国領ケイマン諸島14,530(千米ドル)エネルギーデータ事業(エネルギーベンチャー企業への投資事業)23.80出資の引受 (注)1.「主要な事業の内容」欄には、セグメントの名称を記載しております。 2.有価証券届出書又は有価証券報告書を提出している会社はありません。 3.特定子会社に該当しております。 4.議決権の所有割合の[ ]内は、緊密な者又は同意している者の所有割合で外数となっております。 5.債務超過会社であり、2023年12月末時点で債務超過額は825,480千円であります。 6.持分は0%ではありますが、実質的に支配していると認められるため、連結の範囲に含めております。 7.債務超過会社であり、2023年12月末時点で債務超過額は88,597千円であります。 8.Japan Energy Capital合同会社については、実質的な影響力を持っているため関連会社に該当しますが、持分法を適用していない関連会社であるため、記載を省略しております。 |
従業員の状況 | 5【従業員の状況】 (1)連結会社の状況 2023年12月31日現在セグメントの名称従業員数(人)EV充電事業132エネルギープラットフォーム事業70エネルギーデータ事業50報告セグメント計252全社(共通)33合計285 (注)1.従業員数は就業人員(当社グループからグループ外への出向者を除き、グループ外から当社グループへの出向者を含む。 )であり、委任型執行役員を含み、臨時雇用者数(パートタイマー、人材会社からの派遣社員、季節工を含む。 )は、年間の平均臨時雇用者数の総数が従業員数の100分の10未満であるため、記載を省略しております。 2.「EV充電事業」は、事業拡大により前期と比較して著しく増加しております。 3.全社(共通)として記載されている従業員数は、管理部門に所属しております。 (2)提出会社の状況 2023年12月31日現在従業員数(人)平均年齢(歳)平均勤続年数(年)平均年間給与(円)15634.71.45,350,258 セグメントの名称従業員数(人)EV充電事業8エネルギープラットフォーム事業70エネルギーデータ事業45報告セグメント計123全社(共通)33合計156 (注)1.従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。 )であり、委任型執行役員を含み、臨時雇用者数(パートタイマー、人材会社からの派遣社員、季節工を含む。 )は、年間の平均臨時雇用者数の総数が従業員数の100分の10未満であるため、記載を省略しております。 2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。 3.「EV充電事業」は、グループ会社への出向者の増加により従業員数が前期と比較して著しく減少しております。 4.全社(共通)として記載されている従業員数は、管理部門に所属しております。 (3)労働組合の状況当社グループにおいて労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。 (4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異①提出会社当事業年度管理職に占める女性労働者の割合(%)(注)1男性労働者の育児休業取得率(%)(注)2労働者の男女の賃金の差異(%)(注)1全労働者うち正規雇用労働者うち非正規雇用労働者24.050.068.189.7101.7(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。 労働者の男女の賃金については、給与・賞与等一人当たり総支給額を男女別に算出し、男性を100とした場合の女性賃金割合を表示しております。 管理職比率や人員分布により差異が生じておりますが、規程等の制度上や昇給・昇格等の運用上、性別による処遇差は一切ありません。 2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものです。 ②連結子会社 常時雇用する労働者が101人以上300人以下であるため、管理職に占める女性労働者の割合、男性の育児休業取得率、男女間賃金格差について、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(平成27年法律第64号)(女性活躍推進法)」及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成3年法律第76号)(育児・介護休業法)」の規定による公表項目とはしていないため、記載を省略しております。 |
経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 | 1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境、経営戦略並びに対処すべき課題等は以下のとおりです。 なお、文中の将来に関する事項は、別段の表記がない限り、本書提出日現在において当社グループが判断したものです。 (1)経営の基本方針 当社グループは、「エネルギーの未来をつくる」をミッションとして掲げ、エネルギー分野特化型の「エネルギーテック」企業グループとして、エネルギーに関するデータの活用促進を通じ、相互シナジーを活かした事業展開を行い、脱炭素化社会の実現に向け、GXを推進する企業というユニークなポジショニングで、エネルギーテック領域でカテゴリーリーダーとなることを目指しております。 脱炭素社会を実現するためには、①電力網の脱炭素化、②交通の電化、③食の改善、④自然保護、⑤製造業の浄化、⑥二酸化炭素の除去といった手法が有効とされており(注1)、当社グループでは①電力網の脱炭素化及び②交通の電化に貢献する事業を展開しております。 ①電力網の脱炭素化においては、電力の送配電や小売側の技術革新が必要と考えております。 当社グループは、エネルギーテック事業者として、変化する環境下において最適と判断するサービスを各種ステークホルダーに提供していく方針です。 また、エネルギー業界の構造転換に柔軟に対応しつつ、規制及び環境の変化によって生み出される潜在的なニーズに対してエネルギーデータ解析技術を軸として高い精度のオペレーションを継続することによってそのニーズを満たしていくことが必要であり、それを実現するための施策に継続的に取り組んでいく方針です。 ②交通の電化においては、EVの普及と同時にEV充電インフラを整備することが急務であると考えております。 EVドライバーにとっては、どこでも簡単に充電できる環境の整備が必要とされており、駐車場を持つ施設にとっては、駐車場を利用するEVドライバーのニーズに対応するため、EV充電設備の導入・運用を安定的に行うサービスが求められています。 当社グループとしては、これらのニーズを満たすため、EV充電サービス事業者として、EV充電設備の導入・運用にかかる手間を最小限に抑えたオールインワンのサービスを提供し、日本全国に積極的にEV充電設備を設置することで、快適なEV充電の利用環境の整備に継続的に取り組む方針です。 注)1.ジョン・ドーア著「Speed & Scale」参照。 (2)経営環境 当社グループが属するエネルギー業界を取り巻く環境におきましては、ロシア・ウクライナ情勢の悪化以降、資源価格高騰の影響を受けた電力会社の財務状況の悪化が見られましたが、電気料金の値上げや卸電力市場価格の落ち着きに伴い、一部電力会社においてユーザー獲得に前向きな動きが見られる状況です。 長期的な観点でのエネルギー業界を取り巻く環境におきましては、引き続きグリーントランスフォーメーション(GX)が進展しました。 日本政府による2022年12月22日の第5回GX実行会議において「GX実現に向けた基本方針~今後10年を見据えたロードマップ~」が掲示され、150兆円のGX投資を官民で実現していくため、日本政府としても20兆円規模の先行投資支援を実行する旨の意見表明がなされる中、こうしたGXの動きの中心となる電力業界においては、2016年4月の電力の小売全面自由化以降、当社のベース市場である電力販売額は約18兆円(注1)と拡大しております。 また、乗用車の新車販売におけるEVをはじめとした電動車比率を2035年までに100%とする目標が掲げられる(注2)など、EVの普及とそれに併せたEV充電インフラの需要が高まることが見込まれております。 さらに、経済産業省が掲げる2030年の充電器の設置目標が15万口から30万口に倍増(普通充電器の設置目標は12万口から27万口に増加)(注3)、さらに、2024年には合計360億円を充電インフラ整備の予算に配分することが発表される(注4)など、EVの普及とそれに併せたEV充電インフラの需要がますます高まることが見込まれています。 (注)1.電力・ガス取引監視等委員会「電力取引報」より、2022年12月時点の電力販売量から算出。 2.経済産業省「第6次エネルギー基本計画」(2021年10月22日)、電動車は電気自動車(EV)、プラグイ ンハイブリッド車(PHV)、燃料電池車(FCV)、ハイブリッド車(HV)を含む。 3.経済産業省 「充電インフラ整備促進に向けた指針」(2023年10月18日)より記載 4.クリーンエネルギー自動車の普及促進に向けた充電・充てんインフラ等国の導入促進補助金、2023年度補正予算及び2024年度予算 (3)経営戦略等 単一制度におけるエネルギー自由化市場としては世界最大規模の電力市場(注1)を有し、近年の電力・ガス自由化、スマートメーターの普及等により競争環境が整備されつつある日本市場において、当社グループの強みは、「エネルギーテック」企業グループとして、エネルギー分野に特化した技術開発力を基盤としたデータ分析力と、幅広い顧客基盤を有していることにあると認識しております。 当社グループのTAMについては、「第1 企業の概況 3.事業の内容」に記載のとおり、「EV充電事業」は2.2兆円(国内のガソリンスタンド売上高約9兆円に、目的地充電の利用率25%を乗じて試算)、「エネルギープラットフォーム事業」は約3,600億円(2022年の電力市場規模18兆円に、電力切替後の継続報酬料率相場である2%を乗じて試算)、「エネルギーデータ事業」は1,800億円(2022年の電力市場規模18兆円に、売上高IT予算比率約1.00%を乗じて試算)と推定しております。 *1 帝国データバンク「ガソリンスタンド経営企業の総売上高」(2017年)より*2 電力・ガス取引監視等委員会「電力取引報結果」より、2022年の電力販売額合計*3 電気料金に対する継続報酬売上料率、当社調べ*4 一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会「企業IT動向調査」のエネルギー業界(社会インフラ)の売上高に占めるIT予算比率*5 マッキンゼー・アンド・カンパニー「Building the electric-vehicle charging infrastructure America needs」(2022年4月18日) / 「What Norway's experience reveals about the EV charging market 」(2023年5月8日)を基に当社想定 なお、電力・ガス自由化以降の競争環境の整備、スマートメーター設置の普及等「エネルギーの4D」の浸透、さらには「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」において産業・運輸・家庭部門の電化によって現状より最大40%電力需要が増加すると想定されているとおり、電力市場の規模は今後も継続的に拡大するものと想定しております。 当社グループでは、以下の戦略を持って、シェア拡大に取り組んでおります。 「EV充電事業」においては、今後EVの普及とともにEV充電インフラの需要が高まるものと認識しております。 当社グループでは、営業体制及びパートナー連携の強化に取り組むと同時に、駐車場を持つ施設並びにEVドライバー双方にとって利便性の高いサービス開発に取り組んでまいります。 「エネルギープラットフォーム事業」においては、中立的な立場でサービス提供をすることが、提携する電力・ガス会社数や取得可能なデータ量の拡大に繋がっていると認識しております。 今後も当社グループでは、中立的な立場でのサービス提供を前提に、オンラインのみならず、不動産仲介業者や金融機関等とのパートナーシップを拡大することで、オフラインでの集客力を強化し、ユーザー数の拡大に努めてまいります。 また、電力切替に加えて、ガスセットでの切替、クリーンエネルギーの付加価値販売等のクロスセルを通じたARPU(注2)の向上により収益基盤の強化を目指してまいります。 「エネルギーデータ事業」においては、今後、電力・ガス会社間での競争がより激化すると見込んでおり、顧客開拓から電力調達に至るまでの電力・ガス会社にとってのバリューチェーン全体におけるデータ活用に対するニーズがより一層高まると考えております。 当社グループはそのようなニーズに対して、「エネルギーデータ事業」で展開しているデジタルマーケティング支援や、電力データ解析サービスによる業務効率化支援を行うことで、電力・ガス会社のデジタル化推進のサポートを通じた競争力強化により事業成長を目指してまいります。 (注)1.Central Intelligence Agency 「The World Factbook」(2022年3月時点)。 日本の電力需要は中国、アメリカ、インドに次ぐ4位。 アメリカは一部の州で自由化実施、その他の国は自由化未実施の状況です。 2.ARPUは、Average Revenue Per Userの略称であり、1ユーザー当たりの平均収益を意味しております。 (4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 当社グループは、長期においてはフリーキャッシュ・フローの最大化による企業価値の向上、そして中期においては売上高の成長を重視しております。 そのために、売上高を「顧客数」×「ARPU」と定義し、高い売上高成長率とともに安定した経営基盤を構築するために、積極的な成長投資を通じた「顧客数の最大化」と「継続的なサービスラインナップの拡充による顧客提供価値の増大によるARPUの向上」に取り組んでまいります。 「EV充電事業」においては、EVユーザーから充電設備利用に応じて受け取る充電収入と、施設から受け取るソフトウエアライセンス料がストック型収益の基盤となり、その収益の源泉となる充電設備の設置口数および各充電設備の稼働時間が重要な指標となります(当社グループが注力する目的地充電(6kW以上)の設置口数は2023年12月末時点で累計2,076口)。 今後、当社グループの充電設備の設置が進むことで、ストック型収益基盤は拡大する見込みであり、加えて、国内にEVが普及していくことで充電設備の利用回数および稼働時間が増加し、充電設備1口あたりのストック型収益のさらなる増加が見込まれるため、各種稼働率向上施策を実施することで知名度を向上させ、当社が注力する目的地充電の分野における更なるシェアの拡大を目指します。 「エネルギープラットフォーム事業」においては、家庭・法人ユーザーの電力契約切替以降、提携電力・ガス会社より継続的に収受するストック型の切替報酬並びにプラットフォームの基本利用料が、ストック型収益の基盤であり、そのため、ユーザーの電気・ガス代の従量制で継続的に発生するストック型の切替報酬の対象となる継続報酬対象ユーザー数が重要な指標となります(2023年12月期 573,139人)(注1)。 電気・ガスの利用自体は、長期にわたり予見性が高いインフラであることを考慮すると、今後もストック型収益基盤は拡大していく見込みです。 また、効果的なプロモーション活動やパートナーシップの拡大を継続していき、「エネチェンジ」ブランドの知名度を向上させる方針です。 「エネルギーデータ事業」においては、月額のソフトウエアライセンス料(保守運用費を含む)がストック型収益の基盤であるため、当社の提供サービスを導入している顧客数が重要な指標となります(2023年12月期 61社)。 また、エネルギー業界特化型のSaaS事業者としては、直接的な対象顧客は電力・ガス事業者であることから社数が限定的になるため、利用者数に応じた従量課金体系を採用することで、電力・ガスを利用するエンドユーザーを、サービスの間接的な顧客として収益基盤の継続的な拡大を目指しています。 そのためにも「エネチェンジクラウドMarketing」及び「エネチェンジクラウドDR」の継続的なプロダクト開発と営業活動を推進してまいります。 また、「EV充電エネチェンジ」アプリのノウハウを活用した、EV充電アプリの開発運用や全国のEV充電スポット情報のAPI提供などのEVサービス向けソリューション「エネチェンジクラウドEV」を展開することで、EV充電関連のサービス展開の強化も図っております。 (注)1.継続報酬対象ユーザー数は、一般家庭ユーザーの電力容量は平均的に4キロワットとみられているため、法人ユーザーの総獲得容量から割り戻した一般家庭ユーザー相当への換算値と一般家庭ユーザー数の合計値を用いております。 (5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題1.事業上及び財務上の課題 世界的な脱炭素社会への転換に向けた潮流のもと、エネルギー業界を取り巻く環境は、日本政府による「GX実現に向けた基本方針」が閣議決定(注1)されるなど、長期的な観点でグリーントランスフォーメーション(GX)の推進が重要視されております。 脱炭素社会を実現するためには、1電力網の脱炭素化、2交通の電化、3食の改善、4自然保護、5製造業の浄化、6二酸化炭素の除去といった手法が有効とされております(注2)。 そのような環境において、当社グループは、「エネルギーの未来をつくる」というミッションを掲げ、1電力網の脱炭素化及び2交通の電化に貢献する事業を展開しております。 これらの分野において、エネルギー分野特化型の「エネルギーテック」企業グループとして、エネルギーに関するデータの活用促進を通じ、相互シナジーを活かした事業展開を行い、GXを推進する企業というユニークなポジショニングで、エネルギーテック領域でカテゴリーリーダーとなることを目指しております。 また、当社グループは、長期においてはフリーキャッシュ・フローの最大化による企業価値の向上、そして中期においては売上高の成長を重視しております。 そのために、売上高を「顧客数」×「ARPU」と定義し、高い売上高成長率とともに安定した経営基盤を構築するために、積極的な成長投資を通じた「顧客数の最大化」と「継続的なサービスラインナップの拡充による顧客提供価値の増大によるARPUの向上」に取り組んでまいります。 <外部調査委員会による調査報告書で指摘を受けた課題> そのような中、当社は、2024年3月27日付け「外部調査委員会の設置及び2023年12月期有価証券報告書の提出期限延長申請の検討に関するお知らせ」にてお知らせしたとおり、2023年12月期より本格的に立ち上げた新規事業である「EV充電事業」において、当社グループが採用するSPCスキームにおけるSPCであるEV充電インフラ1号合同会社を、企業会計基準第22号「連結財務諸表に関する会計基準」で定められている支配力基準に基づく実質的な支配があるものとして、当社の連結範囲に含めることといたしました。 SPCスキームの遂行及び会計処理を行うに当たって、EV充電インフラ1号合同会社の連結要否の検討に必要な情報が当社取締役会等に適時かつ十分に報告又は共有がされていなかった等の内部統制上の問題点があるのではないかとの指摘を受け、当社は、EV充電インフラ1号合同会社を非連結とした従来の会計処理について、公正性を確保した調査により、前提となる事実関係を明らかにするとともに、当該会計処理の検討過程の検証、当該会計処理と類似する事案の存否、事実関係の調査及び評価、並びに内部統制上の課題を評価していただく必要性を認識し、2024年3月27日開催の取締役会において審議の上、外部調査委員会を設置することといたしました。 当社は、2024年6月21日付「外部調査委員会の調査報告書の受領に関するお知らせ」のとおり、同日、調査報告書を受領いたしました。 かかる調査により、本調査の結果認められた問題点として、内部統制の観点、上場企業の連結財務諸表の作成に責任を負うべき経営者として不適切な言動の観点、会計監査人とのコミュニケーションの観点についての指摘、および、その原因分析として下記の指摘を受けております。 ①EV充電事業の事業リスクに対応し得る態勢の不足 「EV充電事業」に内在する課題として、「EV充電事業」が、EVの販売動向に影響される一方で、EVの販売動向が、そのインフラである充電機器等の整備の程度に相互に影響されるため、事業の見通しに不確実性があり、その分、資金調達にも困難が伴い、SPCスキームのような新規性の高いスキームの組成を試みる、また、その際に出資者に対し何らかのリスク軽減措置をとるといった通例とは異なる対応が必要な事業であったことが挙げられる。 このような非通例の取り組みにおいて、それが各種の法令・会計基準等との関係で問題にならないよう、会計・法務コンプライアンス等の観点から十分な事前検討を行いつつ進めていく必要があるが、当社においては、それらの検討を十分に行えるだけの社内体制の整備が不十分であり、また、そのことにも起因して経営メンバーにおける本スキームの会計上のリスク認識は不十分であった。 ②当該会計処理に関わった経営メンバーにおいて、会計監査人との適切なコミュニケーションが不足しており、また、そのような状況について認識を共通化することができていなかった。 新規性の高いSPCスキームを採用するに当たっては、当然、会計上の判断の不確実性も高いものとなることが予想されることから、会計監査人との間では、緊密なコミュニケーションが必要であり、それによってこれらの点について会計監査人との間で理解に齟齬が生じることを避ける余地も相当程度あったと考えられるが、当該会計処理に関わった当社の経営メンバーにおいては、本スキームの会計上のリスク認識が不十分であり、その結果、会計監査人との間のそのような適切なコミュニケーションが不足していた。 ③株価の上昇を強く志向する一方でコンプライアンスを軽視した経営トップその他の経営幹部の姿勢 当社においては、役員(社外・執行役員を含む)における株価との連動性が高い報酬体系を背景に、プライム上場を目標として、売上確保のために本スキームを非連結で実施するインセンティブが強く生じている状況にあった。 当社の経営トップその他の経営幹部においては、株価の上昇を強く志向する一方でコンプライアンスを軽視する姿勢が見られ、これらが、SPCスキームの実施という結論優先で検討が進む方向に拍車をかけていた。 ④実効性のある内部統制及びガバナンスが構築されず、当該会計処理を採用するにあたって十分な牽制・監督機能を果たすことができていなかった。 当社においては、代表取締役CEOの城口氏に牽制を及ぼすことができる執行側の社内人材の不足により、城口氏を牽制できる役割をもった執行側の人材や部署が十分に機能していなかったため、重要なリスク要素について、未報告ないし説明不足となり、取締役会が十分な監督機能を果たす機会を得られていなかった。 また、SPCスキームを推進したい経営メンバーを牽制する立場から検討を行う社内の法務コンプライアンス部門の関与が望まれたが、社内の法務コンプライアンス態勢が脆弱であったため、そのような関与が行われていなかった。 当社は、外部調査委員会の再発防止策の提言に沿って、下記を含む再発防止策を策定・実行し、適正な内部統制の整備・運用を図ってまいります。 ①コンプライアンス意識の向上 経営トップを筆頭に当社の役職員においては、コンプライアンスに係る認識を改め、上場企業として求められるコンプライアンス意識を徹底いたします。 まずは、役職員全員に対して、コンプライアンス意識を浸透させ、正しい行動を促す企業風土を醸成するため、経営理念や行動規範等を見直し、すべての役職員が守るべきコンプライアンスの基本的な考え方や指針を明文化するとともに、浸透の徹底を図るべく取り組みを継続的に行う態勢づくりを進めます。 具体的には、コンプライアンス・リスク管理委員会が主導して実効性あるコンプライアンスプログラムの立案・計画、推進を図るとともに、モニタリングを通して継続的に取り組んでまいります。 また、役職員の意識変革を着実に推進するために、体系的な研修プログラムの計画と実施、社内のコンプライアンス意識の定着度や醸成を図るための定期的な意識調査を実施いたします。 併せて、役職員の人事評価制度の見直しや内部通報制度の実効性を高めるための取組みを行ってまいります。 ②権限分散による牽制機能の強化 経営トップに対して、適切な牽制や抑制を図ることができる態勢上の見直しを図ることで経営トップの権限行使を適切に牽制あるいは抑制できる態勢を構築いたします。 具体的には、業務執行取締役を複数名選任し牽制態勢の実効性を担保するとともに、現在、経営トップに集中している権限を適切に分有させることや、執行サイドの経営メンバーと社外役員との連携を強化いたします。 ③取締役会の監督機能の強化 取締役会の監督機能をより一層強化するため、社外役員に対して必要な社内の情報が適時適切に到達するよう、社内情報にアクセスできる機能を強化し、その機会も拡充いたします。 また、取締役会でのリスクマネジメントに関する議論の高度化のため、オペレーションリスクのほか、事業戦略に起因するリスク等について、取締役、執行役員及び監査役間での徹底した議論を行うことで、役員間でリスク認識を共有し、経営課題と一体的に取り組めるようにいたします。 特に、法務上及び会計・経理上の重要なリスク要因については、社外役員、経営メンバーがその具体的内容や検討状況を把握できるような環境を整備いたします。 ④法務コンプライアンス及び会計・経理に係る機能の強化、会計監査人との信頼関係の構築 法務コンプライアンス機能を強化するとともに、社内の重要なプロジェクトに前広に関与させ、かつその業務執行の独立性が尊重される態勢を併せて整備いたします。 会計・経理面に関しては、会計リスクの洗い出し、会計論点の専門的かつ慎重な検討の実施を事業部門から独立した立場からできる態勢を作った上で、会計判断が必要な事象については、事業部門だけで判断することがないよう、客観的な検証プロセスを確立いたします。 これらの態勢整備及びその他の再発防止措置を講じた上で、会計監査人との十分な信頼関係を構築し、コミュニケーションの充実を図ります。 さらに、上記に加えて、当社グループとして取り組むべき主な課題は以下の項目と認識しており、課題の解決に向けた取り組みを進めております。 <競争優位性の確保について>①ストック型収益基盤の強化 当社グループは「EV充電事業」「エネルギープラットフォーム事業」と「エネルギーデータ事業」を展開しておりますが、今後持続的な成長を維持するためには、ストック型収益基盤のより一層の強化が必要であると考えております。 「EV充電事業」においては、EV充電設備所有者から受け取る充電収入や、施設から受け取るソフトウエアライセンス収益がストック型収益の基盤となります。 今後、当社グループの充電設備の設置が進むことで、ストック型収益基盤は拡大する見込みです。 加えて、国内にEVが普及していくことで充電設備の利用回数が増加し、充電設備1口あたりのストック型収益のさらなる増加が見込まれるため、積極的なプロモーションを実施して知名度を向上させ、当社が注力する目的地充電の分野における更なるシェアの拡大を目指します。 「エネルギープラットフォーム事業」においては、家庭・法人ユーザーの電力契約切替以降、提携電力・ガス会社より継続的に収受するストック型の切替報酬並びにプラットフォームの基本利用料が、ストック型収益の基盤であり、そのため、ユーザーの電気・ガス代の従量制で継続的に発生するストック型の切替報酬の対象となる継続報酬対象ユーザー数が重要な指標となります。 電気・ガスの利用自体は、長期にわたり予見性が高いインフラであることを考慮すると、今後もストック型収益基盤は拡大していく見込みです。 また、効果的なプロモーション活動やパートナーシップの拡大を継続していき、「エネチェンジ」ブランドの知名度を向上させる方針です。 「エネルギーデータ事業」においては、月額のソフトウエアライセンス料(保守運用費を含む)がストック型収益の基盤であるため、当社の提供サービスを導入している顧客数が重要な指標となります。 また、エネルギー業界特化型のSaaS事業者としては、直接的な対象顧客は電力・ガス事業者であることから社数が限定的になるため、利用者数に応じた従量課金体系を採用することで、電力・ガスを利用するエンドユーザーを、サービスの間接的な顧客として収益基盤の継続的な拡大を目指しています。 そのためにも「エネチェンジクラウドMarketing」及び「エネチェンジクラウドDR」の継続的なプロダクト開発と営業活動を推進してまいります。 また、「EV充電エネチェンジ」アプリのノウハウを活用した、EV充電アプリの開発運用や全国のEV充電スポット情報のAPI提供などのEVサービス向けソリューション「エネチェンジクラウドEV」を展開することで、EV充電関連のサービス展開の強化も図っております。 ②EV充電事業の新規立ち上げおよび早期拡大 急速に変化し続けるエネルギー業界において、当社グループが企業価値を向上させ、高い成長を実現していくためには、既存事業の規模の拡大と収益源の多様化に加え、積極的な新規事業の発掘と育成が課題と認識しております。 このような考えのもと、当社グループにおいては、2021年11月からEV充電サービスを「EV充電エネチェンジ」のブランド名で提供を開始いたしました。 事業の立ち上げ以降、エンジニア・セールス人員を中心とした採用の拡大による組織体制の構築や、テレビCM等の積極的なマーケティングの実施等先行投資を進めた結果、「EV充電エネチェンジ」の目的地充電(6kW以上)分野における設置口数は2023年12月末時点で累計2,076口(注3)となりました。 今後の事業環境は、乗用車の新車販売における電気自動車(EV)・プラグインハイブリッド車(PHV)の比率が過去最高水準を維持する中、経済産業省が掲げる2030年の充電器の設置目標が15万口から30万口に倍増(普通充電器の設置目標は12万口から27万口に増加)(注4)、さらに、2024年には合計360億円を充電インフラ整備の予算に配分することが発表される(注5)など、EVの普及とそれに併せたEV充電インフラの需要がますます高まることが見込まれています。 そのような中、当社グループは、「EV充電エネチェンジ」の更なる充電収入拡大のため、EV充電設備の稼働が見込まれる適地の開拓・選定、および土地利用許諾の取得サポートや、EVユーザーに対するマーケティングなどの積極的な営業活動を通じた新設の充電設備の設置を進めてまいります。 併せて、既設のEV充電設備の稼働時間の向上のため、EVユーザーの更なる利便性の向上に資する取り組みも継続いたします。 ③エンジニア主体によるプロダクト開発の強化 エネルギー業界においては、今後のデジタル化の更なる進展に伴い、ビッグデータ解析やAIといった技術を活用したプロダクト開発の重要性がますます増してくるものと見込まれます。 そのような中、当社グループでは、高いエンジニア比率を有する組織構造を保つことでエンジニア主体によるプロダクト開発を強化しています。 コア技術を自社開発することを基本方針として、技術部門の陣容を強化しつつ、必要に応じてライセンス調達等を組み合わせながらプロダクトの開発強化を推進してまいります。 これらの実現には、高い採用力を維持・強化することが必要であり、今後も採用活動には人的・資金的投資を積極的に行い、当社グループのミッションへの共感を軸とした採用力強化に注力していきます。 (注)1. 2022年7月27日から岸田内閣総理大臣を議長とするGX実行会議が開催され、2022年12月に基本方針が取りまとめられ、その後、パブリックコメント等を経て、2023年2月10日に閣議決定 2. ジョン・ドーア著「Speed & Scale」参照 3. EVsmartの「EV充電器の統計情報」より6kW充電スポットのみを抽出して作成(基礎充電は含まず) 4. 経済産業省 「充電インフラ整備促進に向けた指針」より記載 5. クリーンエネルギー自動車の普及促進に向けた充電・充てんインフラ等国の導入促進補助金、2023年度補正予算及び2024年度予算 ④財務体質の強化 当社グループの連結貸借対照表の状況は、当連結会計年度末において1,479,226千円の債務超過、現金及び預金は2,179,715千円となっております。 これは主に2022年度より本格的な先行投資を開始した「EV充電事業」の影響で、2022年12月期並びに2023年12月期の2期連続で営業損失及びマイナスの営業キャッシュ・フローとなった結果によるものです。 他方、このような先行投資負担が発生することに鑑みて当社は、2024年2月9日の取締役会において、第三者割当増資について決議し、2024年2月26日に3,999,899千円の資金調達が完了しております。 しかしながら、今後も更なるストック型収益基盤の強化を図るにあたり、「EV充電事業」における積極的なプロモーション・営業活動やプロダクト開発等、及び「エネルギープラットフォーム事業」における効果的なプロモーション活用やパートナーシップの拡大並びにM&Aの推進、並びに「エネルギーデータ事業」における「エネチェンジクラウドMarketing」及び「エネチェンジクラウドDR」に関して、成長をより加速させるための資金需要が生じる可能性があり、資金需要が顕在化した際には、適時に資金調達を検討してまいります。 なお、当社は「EV充電事業」において、EV充電インフラ1号合同会社のリース債務を保証していることに加え、EV充電インフラ1号合同会社の社債権者との間で、事前の定めにより、出資後3年経過時点で保有する社債が匿名組合出資持分(TK)に転換された以降、当社が出資簿価にて出資者のTK出資持分を買いとる権利(コール・オプション)を有し、また、当該出資者がそのTK持分を当社もしくは当社が指定する第三者に出資簿価で売り渡す権利(プット・オプション)を有しています。 そのため、当社がコール・オプションを行使してEV充電インフラ1号合同会社のTK出資持分を取得する場合や、出資者がプット・オプションを行使して当社がEV充電インフラ1号合同会社のTK出資持分を取得する場合においては、EV充電インフラ1号合同会社のTK持分の買取に係る資金需要が発生する可能性があります。 かかる状況に備え当社グループにおいては、金融機関との協議を進める他、財務体質を強化する取組を進めています。 なお、EV充電インフラ1号合同会社のTK持分取得の判断は当該時点における当社の経営方針、資金状況、その他状況等を総合的に勘案の上で決定するため、現時点ではTK持分の取得に関して決定した事実はありません。 <管理体制の強化について>①情報管理体制の強化 当社グループが運営する事業においては、顧客情報や個人情報を多く取り扱っており、これらの情報管理体制の一層の強化が重要であると考えております。 当社はプライバシーマークを取得しており、関連する個人情報保護法令等に基づき、個人情報の適切な取り扱いに十分配慮しながら事業を遂行しております。 また、「個人情報保護方針」を含む社内規程の整備並びに運用の徹底、個人情報に関する内部監査や社内研修の実施を通じて、これらの情報については厳正に管理しております。 引き続き社内システムの一層のセキュリティ強化、社内研修の整備等を図り、情報管理体制を強化していく方針です。 ②システムの安定的な稼働 当社グループが提供する各種サービスはインターネットを利用したサービスであり、システムの安定的な稼働が不可欠です。 そのため、「システム管理規程」に基づき、不正アクセス対策、コンピュータウィルス対策、データの管理等の徹底を図っております。 データベースについては、原則としてクラウドサービス上で構築・運用をすることでセキュリティを担保しており、クラウドサービスでカバーされない範囲については、データベースの暗号化やセキュリティパッチの自動適用等、必要と考えられる対策を行っております。 今後はユーザー数の増加や取り扱いデータ容量の拡大に伴うシステム投資、適切な人員体制の拡充を計画的に行うとともに、データのバックアップ体制強化についても努めてまいります。 |
事業等のリスク | 3【事業等のリスク】 当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載します。 また、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する情報開示の観点から積極的に開示します。 当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ではありますが、当社株式に関する投資判断は、以下の記載事項及び本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。 なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。 (1)事業環境に関するリスクについて ①EVの普及について当社グループの「EV充電事業」は、EV車の普及率という外部環境に大きく左右される見込みであり、EV車の普及見通しに鑑みると収益性は徐々に拡大するものと予測されます。 現在、日本におけるEV及びPHVのストック台数は49万台(注1)と推定されますが、日本政府目標に基づく当社試算では2030年度には385万台(注2)まで成長することが見込まれており、日本政府によるEV購入に関する車両補助金もあります。 また、国内外の主要自動車メーカーもEVの本格的な展開を予定しており、消費者にとっても、より魅力的なEVの選択肢が今後増加してくると見込まれます。 しかしながら、国や自動車会社に大きな方針変更があった場合、EV車の普及が減少し、経営成績及び財政状態に影響する可能性があります。 ②EV充電インフラに関する政策動向について長期的な観点でのエネルギー業界を取り巻く環境におきましては、日本政府によるグリーントランスフォーメーション(GX)推進の方針のもと、EV及びEV充電インフラの普及に向けて政府による補助事業等が展開されております。 当社グループの「EV充電事業」は、EV及びEV充電インフラに対する政府の補助事業を前提として経営戦略立案及び営業活動を行っており、国や都道府県の補助金は単年度予算に基づいて設定されるものであるため、予算額が上限に達した場合等においては、当社グループが受注したEV充電設備の設置が翌年度にずれ込む可能性があります。 その他、国や都道府県の政策や規制に大きな方針変更があった場合、設置場所や補助金交付要件の変更等を通じて「EV充電事業」におけるEV充電設備の受注台数や設置可能台数が減少する可能性があります。 このような場合には当社グループが受領する充電収入が減少し、経営成績及び財政状態に影響する可能性があります。 ③電力小売市場について当社グループが事業展開をしている電力業界においては、2016年4月の小売全面自由化以降、家庭向け(低圧電灯)、法人向け(特高・高圧)ともに切替数が順調に増加しております。 また、社会全体でのデジタルトランスフォーメーション(DX)への要望が高まっており、「エネルギープラットフォーム事業」ではオンラインでの切替需要増加、「エネルギーデータ事業」では、電力ガス事業者からのDXサービスの導入需要増加等当社グループの業績にとっては好影響になる要素も多いと考えております。 しかしながら、今後エンドユーザーの切替意欲の減退による切替数の鈍化や、新電力の競争力低下に伴うシェアの伸び悩み等の要因により、切替が進行しなかった場合、或いは電力ガス事業者に対するDXサービスの導入が順調に進展しなかった場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ④電力制度改革について当社グループが事業展開するエネルギー分野においては、東日本大震災を契機に、再生可能エネルギー固定価格買取制度の創設、電力・ガス小売の全面自由化や送配電事業の法的分離の実施、ベースロード市場や容量市場の整備等大規模な改革が政府主導で行われてきました。 そうした電力制度改革を更に推進すべく、2020年に電気事業法及び再エネ特措法の改正案が第201回通常国会で可決され、電力データの活用促進や分散型電源の推進に向けたアグリゲーター事業者の法的位置付けの整理、計量法規制の合理化、再生可能エネルギーの買取価格の市場連動型(FIP制度)の導入等が制定されており、今後も様々な制度変更が行われる見込みです。 これらの制度変更は、市場の競争環境における公平性の担保を強化し、市場活性化を促す施策であり、当社グループにとっては追い風であると考えております。 しかしながら、これら事業環境に影響を及ぼす規制緩和や制度改革が計画のとおりに進行しなかった場合や、想定外の形での法規制の変更等があった場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑤その他関連市場について当社グループの展開するサービスは主にインターネットを通じて提供されているため、使用環境の改善や利用可能な端末の増加等を通じたインターネット関連市場の更なる発展が、当社グループの成長のためには重要であると考えています。 また、当社グループがサービス展開を行う上での基盤となるクラウド関連市場やビッグデータ関連市場については、今後拡大が見込まれており、当社グループとして積極的に関連サービスを多角的に展開する方針です。 しかしながら、これら当社グループが事業展開する上での基盤となる関連市場が、新たな規制やその他予期せぬ要因により急激な変化に見舞われ、使用環境への制限等を通して発展が阻害された場合は、当社グループの事業展開に支障が生じ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (注)1.一般社団法人 次世代自動車振興センター「EV等保有台数統計」、一般社団法人 日本自動車販売協会連合会「燃料別販売台数(乗用車)」、一般社団法人 全国軽自動車協会連合会「軽四輪車通称名別新車販売確報」より当社試算 2.経済産業省「GX実現に向けた基本方針」(2023年2月)記載の2035年の新車販売電動化比率100%目標をもとに、EV及びPHEVの比率を50%(残りの50%がハイブリッド車と想定)として当社試算 (2)事業内容及び提供サービスに関するリスクについて ①EV充電設備の設置オペレーション及びその後の設備運営について 当社グループの「EV充電事業」においては、第1[企業の概況]3[事業の内容](I)「EV充電事業」における記載のとおり、当社グループでは子会社のENECHANGE EVラボ株式会社がEV充電設備所有者である子会社のEV充電インフラ1号合同会社等への「EV充電設備の販売・設置業務」を行った後に、当社がCPOとしてその後の「EV充電設備の運営に関する包括的業務」を行っております。 ENECHANGE EVラボ株式会社ではEV充電設備の販売・設置過程において、主に海外からのEV充電機器サプライヤーより充電機器の供給を受けた後に、国内の工場で組み立てやソフトウエアのインストール等を行ったうえで保管し、設置工事実施時に他の工事部材と併せて搬送したうえで最終的にEV充電設備としてEV充電設備所有者に納品します。 この過程において、ENECHANGE EVラボ株式会社では、EV充電インフラ補助金の要項の公表時点から補助金交付を受けるための工事完了期限が短期間であること、EV充電機器の発注から納品までは数ヶ月以上の期間を有すること、他の関連部材も流通在庫が不足しがちであること等を勘案し、予め充分な手元在庫を抱える運用を行っております。 しかしながら、政府のEV充電インフラ補助金の要件変更や、入札制度下におけるEV充電インフラ補助金を巡る競争の激化による落札率の低下、EV充電設備の稼働が見込まれる適地の開拓・選定等が計画通りに進まない場合、EV充電設備の設置が低調となり、EV充電設備及びその部材の在庫リスクを抱える可能性があります。 また当社ではEV充電設備の設置後において、EV充電設備所有者からの業務委託を受け充電設備の運営に関するサービスを提供します。 具体的にはEV充電設備を効率的に使用するためのアプリケーションの提供や設備のメンテナンス、カスタマーサポート等が挙げられます。 加えて、今後はポスター掲示やEV優先車室用のコーン設置などの利用促進ツールの提供も予定しており、かかる取組により設置後のEV充電設備の稼働率向上を目指しています。 しかしながら、これらの取組にも拘らずEV充電設備の稼働時間が低水準に留まった場合は、当社グループが受領する充電収入が減少するリスクがあります。 係る影響により当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ②電力・ガス会社への依存について当社グループの「エネルギープラットフォーム事業」及び「エネルギーデータ事業」においては、取引先の電力・ガス会社からの収益が主な収益源となっています。 そのため、資源価格や日本卸電力取引所(以下「JEPX」)における電力取引価格の想定外の高騰、自然災害や突発的な事象等予期せぬ事態、などの影響により取引先電力・ガス会社の経営状態が悪化した場合、また電力・ガス会社における集客チャネルに関する戦略の変更等により、当社グループ以外のチャネルの重要度が高まった場合には、既存契約の条件見直しや解消、新規発注の停止等につながる可能性があります。 当社グループとしては、取引先電力・ガス会社の分散を通じてリスクの低減に努めていますが、特定の時期にかかる事象が集中発生した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ③大型案件について当社グループの「エネルギーデータ事業」においては、顧客の個別ニーズや予算規模により受注案件が大型化した場合、売上計上が可能となるサービスのリリースに至るまでに長期間を要する可能性があります。 一部大型案件の受注可否については、特定顧客の動向や判断に左右される部分が多いため、当該案件の受注が計画のとおりに進まなかった場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ④サービスのライフサイクルについて当社グループの「エネルギープラットフォーム事業」においては、当社サービスを経由して電力・ガス会社の契約切替を行ったユーザーの小売供給契約期間は基本的に1年間となっていますが、その後ユーザーの意思に従って契約の更新又は解約がなされます。 当社としてはユーザーにとっての最適な小売供給契約の締結をサポートするために、契約締結後もカスタマーサポートの提供や営業活動を通じた顧客ニーズの継続的な把握等に努めており、追加的な電力・ガス会社の切替ニーズが発生した場合は、そのサポートも実施することで継続的な切替報酬を収受しております。 しかしながら、当社提携外の電力・ガス会社からの営業活動等により、ユーザーが小売供給契約を当該電力・ガス会社に切替えた場合は手数料収入が減少するため、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑤競合他社の状況について当社グループの「EV充電事業」においては、普通充電や急速充電インフラの確立に向け、各地へEV充電設備の設置を進める事業者が複数存在しており、取引先や顧客の獲得及び補助金の申請において、徐々に競争が激化しているものと認識しております。 当社におきましては、当連結会計年度末時点で、ハードウエア面においては、「EV充電エネチェンジ」の目的地充電(6kW以上)分野における設置口数は2023年12月末時点で累計2,076口となり、またソフトウエア面においては、EVドライバーにとって利便性の高いプロダクトとして、EV充電情報を掲載したアプリに加え、出力の高い普通充電器、更には株式会社e-Mobility Powerと連携した決済システムを提供する等、ユニークなポジショニングでのサービス展開を実施しているため、競合に対する優位性は保てているものと認識しております。 今後EVが普及する局面において、これらの強みを強化しながら設置口数と稼働率の向上を実現し、更なる競争力の向上に努めてまいります。 「エネルギープラットフォーム事業」においては、家庭向け・法人向けユーザーに電力・ガス切替プラットフォームを展開する事業者は複数存在しており、また電力・ガス会社が自ら直接・間接的に顧客に対して営業行為を行っているため、一定程度の競争環境は存在するものと認識しております。 前者の競合に対しては、提携電力・ガス事業者数の拡大、サービス価値の向上及びSEO対策や積極的なマーケティング施策をベースにしたオンラインでの集客力強化、パートナーシップの拡大によるオフラインでの集客力強化を図ってまいりました。 後者の競合に対しては、複数の電力・ガス会社から最適な事業者を選択できるというサービスモデルを差別化要因として競争力の向上に努めてまいりました。 その結果として、本書提出日現在での競争環境は限定的なものと認識しております。 「エネルギーデータ事業」においては、一部顧客管理システムや需給管理システムを対象にした商材展開を行っている事業者が存在しております。 しかしながら、「エネチェンジクラウドMarketing」においては「エネルギープラットフォーム事業」で蓄積された独自データベースを活用しオンライン上での顧客獲得を推進させるという、ユニークなポジショニングでのサービス展開を実施しているため、本書提出日現在では競争環境は比較的軽微なものと認識しております。 今後新たな競合が参入した場合も、電力・ガス比較サイト「エネチェンジ」で培ったマーケティングの知見や蓄積されたデータベース、データ解析技術等を差別化要因として、競合に対する優位性は保てるものと認識しております。 「エネチェンジクラウドDR」においては、今後スマートメーターの普及とともに国内外の競合他社が増加し、競争環境が激化してくる可能性がありますが、国内外の顧客企業へのサービス提供を通じて蓄積された独自データベースを活用したプロダクトの開発やデータ活用に関する知見、導入実績の積み上げにより競争力の向上に努めてまいります。 「エネチェンジクラウドEV」においては、今後のEVの普及に伴い国内外の競合他社が増加し、競争環境が激化してくる可能性がありますが、「EV充電エネチェンジ」アプリのノウハウを活用した、EV充電アプリの開発運用や全国のEV充電スポット情報のAPI提供などは模倣が困難であり、競合優位性を保てるものと認識しております。 「エネチェンジクラウドRE」においては、非化石証書を始めとした多様化する再エネメニューや、自己託送の業務負荷を軽減する必要性の増加などを背景として今後ニーズの拡大が見込まれており、競合環境が激化してくる可能性がありますが、様々なエネルギー関連企業との取引を通じて蓄積されたノウハウを活用し、競争力の向上に努めてまいります。 しかしながら、今後他に優れた技術やビジネスモデルを持ち合わせた競合の参入により、当社グループの事業領域における競争激化の結果として当社グループユーザーの解約や電力・ガス会社との契約単価の下落が生じる他、設置口数や稼働率が伸び悩んだりした場合、若しくは当社グループサービスの導入が進まなかった場合は、当社グループの事業及び経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑥検索エンジンのロジック変化について当社グループの「エネルギープラットフォーム事業」においては、検索エンジン(Google及びYahoo!Japan等)から多くのユーザーを集めており、今後についても、検索エンジンからの集客を強化すべくSEO対策等の必要な対策を実施する方針です。 しかしながら、検索エンジンを提供する企業が、検索アルゴリズムのロジックを変更することで検索結果の表示順位が変更された場合、または新たな検索エンジンが主流になった場合、当社の提供サービスへの集客に影響が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑦技術革新等について当社グループが事業展開するエネルギー分野においては、電力ビッグデータのAI技術による解析の他、電気自動車、蓄電池といった分野における技術革新や、技術の普及に伴う価格競争力の強化によって、従来にはなかった様々なサービスの誕生が見込まれており、それに伴った顧客ニーズの変化も発生するものと予想されます。 当社グループは、これらの変化に対応するため、ENECHANGE Insight Venturesというアクセラレーションプログラムの運営を通じた海外の有望な電気自動車、蓄電池制御関連のエネルギーベンチャーとの連携を率先して行う等情報収集・連携に努めております。 また、それらの技術を実用化するために必要な技術者の確保や体制の整備に努めていますが、今後当社グループが技術革新や顧客ニーズの変化に適時に対応できない場合、または、変化への対応のためにシステム投資や人件費等多くの費用を要する場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑧海外展開について当社子会社のENECHANGE Innovation Limitedは英国に本拠を置き、主に海外におけるベンチャー投資のソーシング活動を実施しております。 また、関連会社であるJapan Energy Capital 1 L.P.は主に中東地域での再生可能エネルギー発電所への投資を行っており、関連会社であるJapan Energy Capital 2 L.P.は海外のエネルギーベンチャー企業への投資を行っております。 これらの取組みに関して、海外における当社グループの事業に係る法規制等の成立・改正等が実施された場合、政治情勢により事業運営に支障をきたす事態が生じた場合、予期せぬ自然災害、人為災害、テロ、戦争や感染症等が発生した場合等は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑨システム障害等について当社グループの事業は、電力やガス等のインフラ関連企業の継続的なサービス提供が前提となっています。 また当社グループのサービスは、主にインターネットを介して提供されており、そのサービス基盤はインターネットに接続するための通信インフラに依存しております。 従って、自然災害、人為災害、テロ、戦争等に伴いシステム障害が発生することでサービスの提供が困難となり、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、事業別コンティンジェンシープランを作成し、役職員に対して周知することでこれら不測の事態に対しての対応を定めていますが、かかる事態が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑩当社が出資するファンドの投資コミット金額について当社グループの「JEF」サービスにおいては、Japan Energy Capital合同会社より、主に海外の再生可能エネルギー発電所への投資を行うファンドであるJapan Energy Capital 1 L.P.及び海外の脱炭素化ベンチャー企業への投資を行うファンドであるJapan Energy Capital 2 L.P.のファンド運営業務等を独占的に受託しており、Japan Energy Capital 2 L.P.の運営業務等に係る報酬はJapan Energy Capital 2 L.P.の投資コミット金額に連動します。 なお、Japan Energy Capital 1 L.P.への出資は完了し、今後のJapan Energy Capital 1 L.P.の運営業務等に係る報酬はJapan Energy Capital 1 L.P.の投資残高に連動します。 (3)業績変動に関するリスクについて ①四半期毎の業績変動等について 「EV充電事業」における売上高は、既設のEV充電設備の稼働時間に加え、新規に設置したEV充電設備の稼働時間の稼働時間によって変動します。 新規に設置するEV充電設備の設置タイミングは、EV充電インフラに対する政府の補助金の影響を強く受けており、また国や都道府県の補助金は単年度予算に基づいて設定されるものであるため、例年6月以降から順次その年の新規設置が開始されます。 また新規に設置するEV充電設備は、設置後にEVユーザーから認知を得て、本格的に稼働するまでに概ね3か月前後の時間を要するため、これらの要因を勘案すると、その年の補助金によって新規に設置された充電設備の稼働による売上高は、概ね設置年の第4四半期以降本格的に計上されます。 「エネルギープラットフォーム事業」における売上高は、特定の電力・ガス会社の撤退等に伴う切替先の電力・ガス会社を探すユーザーの増加により切替報酬が一時的に増加するといった外部環境の要因や、引越の繁忙期における切替報酬増加、または暖冬・冷夏等の特定の気象状況下における切替報酬減少等、季節要因の影響により変動します。 「エネルギーデータ事業」における売上高は、新規受注や新規機能のサービスリリースに伴う一時的な売上が発生する等の要因で変動する傾向にあります。 また人材の確保を円滑に進めるための採用活動に伴う費用や、新規ユーザーを獲得するための各種プロモーション施策に係る費用が一部四半期に集中することもあります。 これらの要因により、収益が年間を通じて平準化されず、四半期決算の業績が変動する可能性があります。 ②事業領域の拡大について 当社グループが取り組む事業領域では、市場の規制撤廃や新たな技術革新やサービスモデルの誕生が見込まれております。 本書提出日時点において、当社グループの収益は、「EV充電事業」「エネルギープラットフォーム事業」及び「エネルギーデータ事業」による影響を大きく受けている状況であるため、当社グループは、「エネルギーの4D」に則した新たな収益源を常に模索し、事業の拡大と安定化に取り組んでおり、現在は「EV充電事業」を注力分野としています。 しかしながら、事業領域を拡大し、新たな分野に進出することで、人材採用、システム開発、営業体制構築等の投資を実施したにも関わらず、当該分野における収益化が進まない場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ③為替変動について 当社グループでは、海外子会社の現地通貨建ての財務諸表を日本円に換算した上で、連結財務諸表を作成しております。 また、一部外貨建ての出資や債権債務、外貨建てで収入若しくは支出が発生する取引が存在します。 従って、為替相場の変動が当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (4)コンプライアンス・法的規制等に関するリスクについて ①法的規制について 当社グループが事業展開する電力業界においては、電気事業及びその関連事業を行う者に対し電気事業法が課せられています。 当社は小売電気事業者と一般ユーザーとの間の小売供給契約締結の「媒介」(注)を行う事業者として取引に関与しており、電気事業法及び同法施行規則で定められた義務や、経済産業省が公表する「電力の小売営業に関する指針」上のガイドラインに基づいて事業を行っています。 また当社は、小売電気事業者として経済産業省へ登録(法人番号6010601047805)を行っております。 これら関連法規制やガイドラインへの対応については、外部弁護士の見解確認を踏まえて四半期毎のコンプライアンス・リスク管理委員会において慎重に判断を行っていますが、新たな法令等の制定や、当社グループが想定しない形での既存法令等の解釈変更等がなされた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (注) 「媒介」とは、「他人(小売電気事業者及び小売供給を受けようとする者)の間に立って、当該他人を当事者とする法律行為(小売り供給契約)の成立に尽力する事実行為」をいいます。 また「媒介」の他にも「取次ぎ」「代理」のパターンがあり、「取次ぎ」とは「自己の名をもって、他人(小売供給契約)の計算において、法律行為(小売供給契約)をすることを引き受ける行為」をいい、「代理」とは、「他人(小売電気事業者)の名をもって、当該他人のためにすることを示して行う意思表示」をいいます(「電力の小売営業に関する指針」)。 ②知的財産権について 当社グループが事業活動を行うにあたり、第三者が保有する商標権、著作権等の知的財産権を侵害しないよう細心の注意を払っており、損害賠償請求や特許権侵害の訴訟等は現在ありません。 しかしながら、万が一、第三者の知的財産権を侵害した場合、当該第三者より、損害賠償請求、使用差し止め請求、ロイヤリティの支払要求等が発生する可能性があり、その場合には、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ③情報管理について 当社グループでは、企業情報及び個人情報を取り扱っております。 当社においては、個人情報取扱事業者として適切な管理体制を構築するため、プライバシーマークを取得し、他の情報についても厳密なセキュリティルールを施して管理することに加え、情報管理に関する社員研修も毎年受講必須とする等、社員教育・運用面の徹底もしております。 また、情報管理に関しての適切な運用遵守状況を内部監査室が組織横断的に確認しております。 しかしながら、万が一不測の事態によりこれらの情報が流出・漏洩した場合には、当社グループへの損害賠償請求や社会的信用の失墜により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ④メディアコンテンツの品質維持について 当社グループでは、「エネルギープラットフォーム事業」で運営しているメディアのコンテンツとして、電気やガスをはじめとしたライフサポート領域に関する記事の制作の一部を、「EV充電事業」で運営しているメディアのコンテンツとして、EVや充電設備に関する記事の制作の一部を外部委託しております。 かかるコンテンツの内容については公開前に自社ガイドラインと照らし合わせた厳正なチェックを行っており、また、その運用状況を内部監査にて確認することで、著作権侵害やコンテンツの盗用等の事態を未然に防止するような体制を構築しております。 しかしながら、当社の意図せざる事態によってメディアの一部コンテンツが第三者の権利侵害等を発生させていると認定された場合、当該第三者より使用差し止め請求や損害賠償請求、ロイヤリティの支払い要求等が発生する可能性があり、かかる場合において当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑤広告掲載について 当社グループの「エネルギープラットフォーム事業」や「EV充電事業」において掲載される広告については、当社独自の広告掲載基準による確認を実施し、景品表示法等の関連法令に違反する広告や公序良俗に反する広告の排除に努めております。 しかしながら、人為的な過失等に起因して広告掲載内容に瑕疵が発生した場合や広告掲載が行われなくなった場合においては、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑥訴訟等について 当社グループでは、「エネルギープラットフォーム事業」並びに「EV充電事業」において、サービス利用規約を定めてサービス利用者からの同意を得ることで利用者との間での紛争防止に努めております。 また当社の社内規程として、「コンプライアンス規程」及び「リスク管理規程」を定め、役職員に対して当該規程を遵守させるとともに、コンプライアンス違反の恐れのある事象については経営執行会議やコンプライアンス・リスク管理委員会等に報告する仕組みを構築・運用することで、法令違反や損害賠償等の発生リスクの低減に努めております。 しかしながら、当社グループの提供するサービスに関連して顧客、取引先、及びその他第三者との間で予期せぬトラブルが生じた結果、訴訟に発展する可能性があります。 かかる訴訟の内容及び結果によっては、訴訟対応費用の発生や社会的信用の失墜等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 なお、当社グループでは、本書提出日現在、重大な訴訟を提起されている事実はありません。 (5)事業運営体制に関するリスクについて ①特定人物への依存について 当社の代表取締役CEO、当社子会社のENECHANGE Innovation Limited CEO、その他関連会社1社にて主要役職を兼職している城口洋平は、当社グループの事業に深く関与しており、また、エネルギー業界に関する深い造詣を有しており、経営戦略の構築やその実行に際して重要な役割を担っています。 他方、1[経営方針、経営環境及び対処すべき課題等](5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題、1.事業上及び財務上の課題における記載のとおり、外部調査委員会による調査報告書において、上場企業の連結財務諸表の作成に責任を負うべき経営者として不適切な言動の観点を始めとした指摘を受けております。 当社としては選任した執行役員等への権限移譲等を適切に実施し、各事業において自律的に運営できる体制を構築しつつあり、同氏への依存は大きく下がっている状況にありますが、当社は引き続き同氏のエネルギー業界に関する造詣も活用して事業運営を実施しております。 そのため当社としては、このような指摘を踏まえたうえで同氏とも協力し、信頼を回復すべく再発防止策に取り組むことで城口氏の知見を活用していく方針でおりますが、何らかの理由により同氏の当社グループにおける関与が困難となり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ②人材の確保・育成について 当社グループでは、事業の持続的な成長を支える優秀な人材を確保することが事業運営上重要であると考えております。 このため、テレワークの恒久化、オフィススペースの縮小、テレワーク手当の支給等、優秀な人材を惹きつけることができるような取組みを積極的に実施しております。 今後も優秀な人材の採用を積極的に推進し、当社グループの企業理念及び経営方針を理解した社員の確保・育成を行ってまいりますが、雇用情勢の変化等により、計画のとおりに人材が確保できない場合には、事業運営や開発計画に支障をきたし、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ③小規模組織であることについて 当社グループは小規模組織であり、ガバナンス体制や内部管理体制は当社グループの組織規模に応じたものとなっています。 これらの体制については組織規模に関わらず高い水準を構築・維持することが重要であるとの考えのもと、当社グループは、コーポレートガバナンス・コードを念頭に置いた内部管理体制の構築を図っています。 具体的には、各専門分野における豊富な経験を有した人材を採用するとともに、各種のコンプライアンス研修等社内教育による人材育成を進めることで、事業規模の拡大や多様化に合わせ、内部管理体制を充実・強化していく方針であります。 しかしながら、同氏の当社グループにおける業務執行が困難になった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ④海外子会社について 当社子会社のENECHANGE Innovation Limitedは英国を本拠として、主にJapan Energy Capital 2 L.P.を通じて行う海外のエネルギーベンチャー企業への投資を行う際の、投資対象先企業の発掘や調査業務等を実施しております。 今後、現地における競争環境の激化等の要因により、同社の経営成績が悪化した場合は、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 また、現地において内部統制上の問題を抱えたり、法令に違反したりする可能性があります。 かかる事態において問題の早期発見と是正措置の実施ができない場合、当社グループの信頼性や企業イメージの低下により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (6)その他のリスクについて ①減損会計の適用について 当社グループでは、継続的に行う開発投資に係る人件費等の一部をソフトウエア資産として計上しております。 今後、これらの資産を利用して提供するサービスの収益性が著しく低下した場合、当該資産について減損損失の計上が必要となる可能性があります。 また、過去に実施した株式取得や事業譲受によって生じたのれんは、当該株式取得や事業譲受による期待収益及び将来のシナジー効果が発揮された結果得られる将来の収益力を適切に反映したものと想定しております。 しかしながら、事業環境や競合状況の変化等により期待する成果が得られないと判断された場合等においては、減損損失が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ②EV充電事業における新規性について 当社グループの「EV充電事業」は、2022年第1四半期から独立したセグメントとしての開示を開始しております。 事業開始からの期間が短い「EV充電事業」に関して、補助金受領を含む新しい取引や事象が他セグメントと比較して多く発生する可能性が高いことが想定されます。 また、徐々に他のEV充電事業者が増加している状況を鑑み、取引先や顧客の獲得競争の激化、場合によっては顧客、取引先、及びその他第三者との間で予期せぬトラブルが生じ、訴訟等に発展する可能性も想定されます。 様々な前提条件を事前に検証したうえで事業を行っておりますが、当初の想定と異なる事象が発生した場合等、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ③Japan Energy Capital 1 L.P.への出資について 当社が出資するJapan Energy Capital 1 L.P.は、主として太陽光発電所に代表される再生可能エネルギー発電所への投資を海外にて行う、ケイマン籍のリミテッドパートナーシップ形態のファンドです。 当該ファンドはキャピタルコール方式をとっており、当社の2023年12月末時点における出資額は8.9百万米ドル、回収額は4.0百万米ドルです。 本ファンドにおいては、当社グループは電力データ解析技術を活用し、ファンドの投資先である発電所の運営効率化業務を積極的に果たしていくことが期待されており、当該業務を独占的に受託する業務委託先として、この種の枠組みでの事業を日本で運営する際に求められる必要な拠出額を出資コミットしております。 かかる出資は、一定期間以上稼働実績のある太陽光発電所を中心とした既設再生可能エネルギー発電所を主な投資対象とし、米国ドルでの決済とする等、為替リスクを限定的とするストラクチャーを採用したうえで、想定されるリスク・リターンを精緻に分析した上で行われていますが、当該ファンドの投資先における日射量の低下に伴う売電収入の減少、自然災害・テロ等の発生による投資対象資産の損傷、地政学的リスクの高まり等による対象国における再生可能エネルギー発電事業への影響等により、当初想定されたリターンが得られず、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ④Japan Energy Capital 2 L.P.への出資について 当社が出資するJapan Energy Capital 2 L.P.は、主として脱炭素社会の実現を目的とした海外のエネルギーベンチャー企業への投資を行う、ケイマン籍のリミテッドパートナーシップ形態のファンドです。 当該ファンドはキャピタルコール方式をとっており、当社の出資コミットは2023年12月末時点において最大5百万米ドル(既出資額は3.4百万米ドル)です。 本ファンドにおいては、当社グループは投資先に対して当社の知見や実績を活用し、制度改革に合わせた日本市場参入支援や、ローカライズのサポートも同時に行うことが期待されており、当該業務を独占的に受託する業務委託先として、この種の枠組みでの事業を日本で運営する際に求められる必要な拠出額を出資コミットしております。 そのため、その役割に応じて追加の出資コミットメントが要請される可能性があります。 当社としましては、当該要請に対しては、取締役会において慎重な議論を経て適切に判断してまいります。 また、かかる出資は、綿密なデューデリジェンスやシナジー検証を経た上で、想定されるリスク・リターンを精緻に分析した上で行われていますが、当該ファンドにおける投資実行の遅れや、投資先企業の将来的な不確定要素による業績悪化の影響等により、当初想定されたリターンが得られず、当社グループの経営成績、財政状態及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。 ⑤配当政策について 当社は、株主に対する利益還元を経営の重要課題の一つとして位置付けておりますが、現状では財務体質の強化に加えて事業拡大のための内部留保の充実等を図り、収益基盤の多様化や収益力強化のための投資に充当することが株主に対する最大の利益還元につながると考えています。 このことから、創業以来配当は実施しておらず、今後においても当面の間は内部留保の充実を図る方針です。 内部留保資金については、財務体質の強化と人員の拡充・育成をはじめとした収益基盤の多様化や収益力強化のための投資に活用する方針です。 将来的には、収益力の強化や事業基盤の整備を実施しつつ、内部留保の充実状況及び当社グループを取り巻く事業環境を勘案したうえで、株主に対して安定的かつ継続的な利益還元を実施する方針ですが、本書提出日現在において配当実施の可能性及びその実施時期等については未定です。 ⑥ストック・オプション行使による株式価値の希薄化について当社では、取締役、執行役員、従業員、子会社取締役、子会社従業員、外部協力者に対するインセンティブを目的としたストックオプション制度を採用しております。 本書提出日現在における新株予約権による潜在株式数は4,689,044株であり、発行済株式総数34,845,872株と潜在株式数4,689,044株の合計の11.9%に相当しておりますが、その多くは経営陣及び主要従業員の長期にわたるコミットメントを目的としたものであり、権利行使期間に一定の制限が設けられています。 具体的には、当社代表取締役CEOの城口洋平に対して付与された新株予約権は、2018年から段階的に権利行使可能となる条件のため、当社グループの長期にわたる価値向上に対してのコミットメントを担保するものです。 また、植野泰幸に対して付与された新株予約権は、いわゆる時価発行新株予約権信託®であり、2018年から5年間にわたり、当社取締役(代表取締役CEOの城口洋平を除く)、執行役員、従業員、子会社取締役、子会社従業員、外部協力者に段階的に付与し権利行使可能となる条件です。 時価発行新株予約権信託®の活用により、長期にわたるコミットメントの強化、並びに人材採用力の強化、現金での給与・賞与等の報酬水準を抑制する効果が見込まれるため、当社グループの業績においても重要な影響を持ちます。 更に、2024年1月に当社取締役、当社子会社取締役、当社執行役員、当社従業員に対して付与された新株予約権は、株主利益とアラインする業績拡大と企業価値向上を目的としており、資金コミットメント(条件達成時までのロックアップ)とキャリアコミットメント(条件達成時までのフルタイム勤務が条件)を条件として付し、目標達成に向けて資金面・キャリア面でのフルコミットメントを求める設計としております。 これらの新株予約権を除くと、本書提出日現在における新株予約権による潜在株式数は2,239,044株であり、発行済株式総数34,845,872株と潜在株式数2,239,044株の合計の6.0%に相当します。 本書提出日現在においては、更なる新株予約権の新規発行は予定しておりませんが、競争環境等の変化により今後付与される新株予約権の行使が行われた場合には、既存株主が保有する株式の1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。 また、国税庁は、2023年5月30日に「ストックオプションに対する課税(Q&A)」を公表し、「信託型ストックオプション」は、会社側が付与した権利を役職員等が行使して株式を取得した場合、その経済的利益が実質的な給与にみなされることから、 役職員が当該ストックオプションを行使して発行会社の株式を取得した場合、その経済的利益については給与所得として源泉所得税を徴収して、納付する必要があるとの見解を示しました。 当連結会計年度においては、源泉所得税の要納付額相当分としての金額306,983千円を、連結貸借対照表の「流動負債」の「未払金」に19,186千円、「固定負債」の「長期未払金」に287,796千円計上するとともに、これに対応する債権を「流動資産」の「未収入金」に145,881千円、「固定資産」の「長期未収入金」に105,250千円計上しております。 なお本債権については権利行使者ごとに一定の仮定のもとに返済可能額を算定し、権利行使者と当社間で返済することについて個別合意された金額の長期未収入金を除いたうえで回収不能見込額に対応する貸倒引当金を計上しておりますが、仮定とした取り扱いが異なる場合、実際に発生する金額と見積金額が相違する可能性があります。 この他、今後の国税庁並びに社内及び外部専門家との協議の結果による対応の影響により、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。 ⑦大規模な自然災害等について 当社グループは、有事に備えた危機管理体制の整備に努め対策を講じておりますが、台風、地震、津波等の自然災害が想定を大きく上回る規模で発生した場合、当社グループ又は当社グループの取引先の事業活動に影響を及ぼし、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 また、世界的に流行した新型コロナウイルス感染症については、当社グループでは新型コロナウイルス感染症の流行以降、迅速にリモートワークを推奨しており、柔軟に事業を継続できる体制の整備に努めており、当社グループのビジネスへの影響は軽微であると認識しております。 しかしながら、同様の感染症の流行等により、度重なる緊急事態宣言の発令や外出自粛等により法人ユーザーの電力使用量が極端に低下し、当社グループ顧客の業績への影響が想定を超えて拡大したりした場合には、当社グループ又は当社グループの取引先の事業活動に影響を及ぼし、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑧資金使途及び投資効果について2021年12月に実施した公募増資による調達資金の使途につきましては、「エネルギープラットフォーム事業」における、①プロモーション及びセールス・マーケティング体制強化の投資に係る資金、②当社グループの顧客基盤強化を企図した買収に係る資金、③自社サービス拡充に資する資金、「エネルギーデータ事業」における、④「脱炭素テックファンド」への出資や運営に係る資金、⑤「EV充電事業」及び「エネルギーデータ事業」の将来成長に資する資金、及び⑥「エネルギープラットフォーム事業」及び「エネルギーデータ事業」におけるエンジニア、セールス、サポート人員の採用費並びに人件費等に充当予定としておりましたが、2022年5月13日に①については充当時期を未定と変更いたしました。 この背景であったエネルギー業界における卸電力価格の高騰等をきっかけにしたユーザー獲得活動の停滞が概ね正常化に向かっていると判断し、①については2023年8月10日に調達資金の使用を再開したことを公表しております。 また、2024年2月に実施した第三者割当増資による調達資金の使途につきましては、今後の成長に向けた投資資金として、①「EV充電事業」のプロモーション強化及び事業運営体制強化のための投資に係る資金、②EV充電インフラのネットワーク構築のための充電機器購入に係る運転資金、③「EV充電事業」の将来成長に資する投資資金へ充当する予定です。 なお、これら投資については厳密な費用対効果分析を経た上で実施する方針でおりますが、想定どおりの投資効果を上げられない可能性があります。 将来において、調達時点では予定していなかった更なる事業ポートフォリオの拡大により、調達資金を上記以外の目的で使用する可能性があります。 なお、調達資金を上記以外の目的で使用する場合には、速やかに資金使途の変更について開示を行う予定であります。 ⑨継続企業の前提に関わる重要事象等 当社グループでは、当連結会計年度まで2期連続で営業損失、3期連続で経常損失及び5期連続で親会社株主に帰属する当期純損失を計上し、当連結会計年度において重要な営業損失2,125,017千円、経常損失2,404,967千円及び親会社株主に帰属する当期純損失4,985,167千円を計上しております。 この結果、2023年12月31日現在において、連結貸借対照表上1,479,226千円の債務超過となりました。 また、一部の取引金融機関からの借入については、現時点では期限の利益喪失に関わる条項を適用する旨の通知を受けていないものの財務制限条項に抵触しております。 さらに、2024年6月27日付「外部調査委員会の調査報告書の公表に関するお知らせ」のとおり、本調査の結果認められた問題点として、「EV充電事業」の事業リスクに対応し得る態勢の不足、会計監査人との適切なコミュニケーションの不足、コンプライアンスを軽視した経営トップらの姿勢、実効性のある内部統制及びガバナンスが構築されず十分な牽制・監督機能を果たすことができていなかったことの指摘を受けております。 かかる調査報告書の公表の結果として、利害関係者との関係性の悪化や会社のブランド力の毀損が生じる可能性があります。 これらの事象又は状況は、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に該当しております。 当該事象又は状況を解消すべく、事業面では、「EV充電事業」において競争環境が厳しくなっている中、過去2年間のノウハウ蓄積等により広告宣伝活動の効率的な運用を進め、収益力の強化を目指します。 加えて、「エネルギープラットフォーム事業」や「エネルギーデータ事業」における安定的なセグメント営業利益を継続的に増加させていくための取り組みを進めております。 また、前連結会計年度末日及び当連結会計年度末日において、一部の借入金は財務制限条項に抵触しておりますが、取引金融機関と資金計画等の協議を行い、引き続き取引金融機関と緊密な関係を維持し、継続的な支援をいただけるよう努めております。 なお、当社は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおり、2024年2月26日にJICVGIオポチュニティファンド1号投資事業有限責任組合を割当先とする新株式を発行し、総額3,999,899千円の資金を調達しており、「EV充電事業」における投資に当面必要な資金を確保しております。 さらに、当社は、外部調査委員会の調査報告書の再発防止策の提言に沿って再発防止策を策定し、コンプライアンス意識の向上を図ることにより、信頼回復を図ってまいります。 以上の施策をもって、必要な資金の確保及び維持を図っておりますが、「EV充電事業」において競争環境が厳しくなっている中で収益力を強化することや取引金融機関からの継続的な支援を得る可能性は未だ不透明であること、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおり、取引金融機関の理解を得たうえで一部の取引金融機関からの早期返済の要求に応じたこと、調査報告書の公表の結果を受けて各種利害関係者との関係性や当社グループのブランド力が毀損する可能性があること、及び当社の代表取締役城口洋平の当社グループにおける関与が困難となる場合は事業運営に支障が生じる可能性があることを踏まえ、現時点では継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められます。 ⑩内部統制について 当社グループは、当社グループが「EV充電事業」において採用するSPCスキームにおけるSPCを当社の連結範囲に含めるべきかの協議を進める中、あずさ監査法人から、SPCスキームの遂行及び会計処理を行うに当たって、SPCの連結要否の検討に必要な情報が当社取締役会等に適時かつ十分に報告又は共有がされていなかった等の内部統制上の問題点があるのではないかとの指摘を受けたことを踏まえ、公平性を確保した調査により前提となる事実関係を明らかにするとともに、SPCを非連結とした従来の会計処理の検討過程の検証、当該会計処理と類似する事案の存否、事実関係の調査及び評価、並びに内部統制上の課題を評価していただく必要性を認識し、2024年3月27日外部調査委員会を設置して調査を依頼し、2024年6月21日に同委員会から調査報告書を受領いたしました。 今後は、特別調査委員会からの提言も踏まえ、再発防止策の策定と着実な実行、及び内部管理体制等の強化に努めてまいります。 ただし、これらの再発防止策の策定と着実な実行及び内部管理体制等の強化が適切になされない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態、レピュテーション並びに金融機関、大株主、取引先、監督省庁等との関係等に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、その他内部統制の整備上の欠陥や運用上の認識不足等の不備により財務報告等に重大な誤りが生じた場合にも、当社の信用が失墜すると共に、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。 |
経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 | 4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 (1)経営成績等の状況の概要当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。 ① 財政状態の状況(資産) 当連結会計年度末における流動資産は3,637,621千円となり、前連結会計年度末に比べ889,455千円減少いたしました。 これは主に売掛金及び契約資産が146,324千円、未収入金が438,591千円増加した一方、現金及び預金が887,343千円、商品及び製品が117,000千円、前渡金が417,637千円減少したことによるものです。 また、当連結会計年度末における固定資産は1,927,186千円となり、前連結会計年度末から304,560千円減少いたしました。 これは主にソフトウエアが129,538千円増加した一方、投資有価証券が107,884千円、のれんが344,139千円減少したことによるものです。 この結果、総資産は、5,564,807千円となり、前連結会計年度末に比べ1,194,015千円減少いたしました。 (負債) 当連結会計年度末における流動負債は3,565,911千円となり、前連結会計年度末に比べ1,482,705千円増加いたしました。 これは主に、未払金が548,835千円、短期借入金が102,255千円、契約負債が120,763千円、決算訂正関連費用引当金が919,850千円増加した一方、販売促進引当金が337,440千円減少したことによるものです。 また当連結会計年度末における固定負債は3,478,123千円となり、前連結会計年度末に比べ2,304,968千円増加いたしました。 これは主に、長期借入金が397,004千円、社債が1,000,000千円、リース債務が219,380千円、長期前受収益が405,250千円、長期未払金が287,796千円増加したことによるものです。 この結果、負債合計は、7,044,034千円となり、前連結会計年度末に比べ3,787,673千円増加いたしました。 (純資産) 当連結会計年度末における純資産合計は△1,479,226千円となり、前連結会計年度末に比べ4,981,689千円減少いたしました。 これは主に親会社株主に帰属する当期純損失4,985,167千円が計上されたことによる減少であります。 ② 経営成績の状況 当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあり、個人消費や企業収益に持ち直しの動きがみられました。 景気の先行きについては、円安による物価の上昇や、金融資本市場の変動等により、依然として不透明な状況となっております。 当社グループが属するエネルギー業界を取り巻く環境におきましては、ロシア・ウクライナ情勢の悪化以降、資源価格高騰の影響を受けた電力会社の財務状況の悪化が見られましたが、電気料金の値上げや卸電力市場価格の落ち着きに伴い、一部電力会社においてユーザー獲得に前向きな動きが見られる状況です。 長期的な観点でのエネルギー業界を取り巻く環境におきましては、引き続きグリーントランスフォーメーション(GX)が進展しました。 日本政府による2022年12月22日の第5回GX実行会議において「GX実現に向けた基本方針~今後10年を見据えたロードマップ~」が掲示され、150兆円のGX投資を官民で実現していくため、日本政府としても20兆円規模の先行投資支援を実行する旨の意見表明がなされる中、こうしたGXの動きの中心となる電力業界においては、2016年4月の電力の小売全面自由化以降、当社のベース市場である電力販売額は約18兆円(注1)と拡大しております。 また、乗用車の新車販売における電気自動車(EV)をはじめとした電動車比率を2035年までに100%とする目標が掲げられる(注2)など、EVの普及とそれに併せたEV充電インフラの需要が高まることが見込まれております。 このような環境のもと、当社グループでは、「EV充電事業」においては、引き続きEV充電分野における当社のシェア向上に向けた積極的な営業活動や投資に加え、EVユーザーの更なる利便性の向上に資する取り組みを継続しました。 「エネルギープラットフォーム事業」においては、「エネチェンジ」(家庭向け電力・ガス切替プラットフォーム)及び「エネチェンジBiz」(法人向け電力・ガス切替プラットフォーム)の2サービスについて、電力会社との連携を強化しつつ、スマートメーター由来の電力データが一定のルール下で開放される中、当該データを活用したサービスとして「エネチェンジ・マイエネルギー」の提供を開始しました。 本サービスを通じ、多様化・複雑化する電気料金プランに対し最適な電力プランを提案することで、継続的な新規顧客獲得及び既存顧客のサポートを強化する方針です。 「エネルギーデータ事業」においては、主に電力ガス事業者向けにクラウド型で提供する、デジタルマーケティング支援SaaS「エネチェンジクラウドMarketing」及び家庭向けデマンドレスポンスサービス「エネチェンジクラウドDR」等のサービスにつき、継続的な新規機能開発と営業強化に努めてまいりました。 また、「EV充電エネチェンジ」アプリのノウハウを活用した、EV充電アプリの開発運用や全国のEV充電スポット情報のAPI提供などのEVサービス向けソリューション「エネチェンジクラウドEV」を展開し、ENEOS株式会社が提供する「ENEOS ChargePlusEV充電アプリ」の開発を受託するなど、サービス展開を強化しております。 以上の結果、当連結会計年度の当社グループの経営成績は、売上高4,379,001千円(前期比17.3%増)、営業損失2,125,017千円(前期は営業損失1,121,703千円)、経常損失2,404,967千円(前期は経常損失1,156,664千円)となりました。 また、特別損失としてEV充電事業等に係る減損損失1,606,489千円、2023年12月期の決算訂正に関連する特別費用として919,850千円を計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純損失は4,985,167千円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失1,315,060千円)となっております。 なお、営業外収益で補助金受贈益120,487千円、また、営業外費用で固定資産圧縮損114,067千円を計上しております。 これらはEV充電事業における充電インフラ整備に係るものであります。 セグメントの経営成績は、次のとおりです。 (I)EV充電事業 「EV充電事業」においては、事業の立ち上げと推進のために、エンジニア・セールス人員を中心とした採用の拡大による組織体制の構築や、テレビCM等の積極的なマーケティングの実施等先行投資を進めた結果、当社が注力する目的地充電の設置口数は累計で2,076台(注3)となりました。 また、パートナー連携を拡大するなど、更なる事業拡大を見据えた施策に取り組んでまいりました。 以上の結果、セグメント売上高は139,807千円(前期比26.2%減)、セグメント損失は2,081,636千円(前期はセグメント損失784,491千円)となりました。 (II)エネルギープラットフォーム事業 「エネルギープラットフォーム事業」においては、家庭向け・法人向け共に切替件数が堅調に推移した結果、継続報酬対象ユーザー数は前連結会計年度比24.2%増の573,139件となりました。 また、電力価格の高騰や電力各社の業績回復により、当連結会計年度のARPU(注4)(ストック収益)は616円で前連結会計年度比で23%増となり、当連結会計年度のARPU(フロー収益)は14,239円で前連結会計年度比で71%増となりました。 以上の結果、セグメント売上高は3,241,980千円(前期比25.9%増)、セグメント利益は359,435千円(前期比58.6%増)となりました。 (III)エネルギーデータ事業 「エネルギーデータ事業」においては、デジタルマーケティング支援SaaS「エネチェンジクラウドMarketing」、家庭向けデマンドレスポンスサービス「エネチェンジクラウドDR」等の既存顧客への継続的なサービス提供や新規顧客への導入を進めた結果、顧客数は前連結会計年度比5.2%増の61社となりました。 また、既存顧客へのクロスセルにより、当連結会計年度のARPU(ストック収益)は前連結会計年度比17.5%増の3,246千円、当連結会計年度のARPU(フロー収益)は前連結会計年度比1.2%増の1,033千円となりました。 以上の結果、セグメント売上高は997,212千円(前期比2.9%増)、セグメント利益は158,420千円(前期比3.3%減)となりました。 (注)1.電力・ガス取引監視等委員会「電力取引報結果」の電力販売額より算出。 2.経済産業省「第6次エネルギー基本計画」(2021年10月22日)、電動車は電気自動車(EV)、プラグイ ンハイブリッド車(PHV)、燃料電池車(FCV)、ハイブリッド車(HV)を含む。 3.EVsmartの「EV充電器の統計情報」より6kW充電スポットのみを抽出して作成(基礎充電は含まず)4.Average Revenue Per Userの略称であり、1ユーザー当たりの平均収益を意味する。 ③ キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。 )は2,179,715千円(前連結会計年度末3,067,058千円)となりました。 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度における営業活動の結果使用した資金は1,621,096千円(前期は1,910,932千円の支出)となりました。 主な増加要因は、減価償却費83,348千円、のれん償却額109,052千円、決算訂正関連費用引当金の増減額919,850千円、固定資産圧縮損114,067千円、未払金の増加277,419千円、補助金の受取額120,487千円等であり、主な減少要因は、税金等調整前当期純損失4,959,249千円、補助金受贈益120,487千円、販売促進引当金の減少333,862千円等であります。 (投資活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度における投資活動の結果使用した資金は931,244千円(前期は1,546,692千円の支出)となりました。 支出の主な要因は、有形固定資産の取得による支出648,510千円、無形固定資産の取得による支出166,920千円、投資有価証券の取得による支出124,563千円等であります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度における財務活動の結果得られた資金は1,654,211千円(前期は958,454千円の収入)となりました。 主な増加要因は、社債の発行による収入1,000,000千円、セール・アンド・リースバックによる収入155,849千円、短期借入れによる収入102,255千円、長期借入れによる収入570,000千円、主な減少要因は、長期借入金の返済による支出137,996千円等であります。 ④ 生産、受注及び販売の実績a.生産実績 当社グループは生産活動を行っていないため、該当事項はありません。 b.商品仕入実績 当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。 セグメントの名称当連結会計年度(自 2023年1月1日至 2023年12月31日)金額(千円)前年同期比(%)EV充電事業412,706198.5エネルギープラットフォーム事業--エネルギーデータ事業--合計412,706198.5 c.受注実績 当社グループは受注生産を行っていないため、該当事項はありません。 d.販売実績 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。 セグメントの名称当連結会計年度(自 2023年1月1日至 2023年12月31日)金額(千円)前年同期比(%)EV充電事業139,80773.8エネルギープラットフォーム事業3,241,980125.9エネルギーデータ事業997,212102.9合計4,379,001117.3 (注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。 相手先前連結会計年度(自 2022年1月1日至 2022年12月31日)当連結会計年度(自 2023年1月1日至 2023年12月31日)金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)株式会社NEXT ONE27,6060.7843,48119.3 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものです。 ① 重要な会計方針及び見積り 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されておりま。 この連結財務諸表の作成にあたり、重要となる会計方針については「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。 この連結財務諸表の作成にあたっては、必要な見積りを行っており、それらは資産・負債及び収益・費用の計上金額に影響を与えています。 これらの見積りについては、過去の実績やその時点で入手可能な情報に基づき合理的と考えられる要因を考慮したうえで行っていますが、結果としてこのような見積りと実績が異なる場合があります。 ② 財政状態及び経営成績等に関する認識及び分析・検討内容 a.財政状態の分析 「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態の状況」に記載のとおりであります。 b.経営成績の分析(売上高) 当連結会計年度において、売上高は4,379,001千円(前連結会計年度は3,734,068千円)となりました。 主な要因は、「EV充電事業」においては、「EV充電エネチェンジ」の販売促進に取り組んだ結果、累計2,076台の目的地充電における充電設備の設置が進んだことによります。 「エネルギープラットフォーム事業」においては、家庭・法人共に切替件数が堅調に推移し、ユーザー数が前連結会計年度比24%増の573,139件となったことに加え、ARPUが好調に推移したことによります。 「エネルギーデータ事業」においては、既存顧客への継続的なサービス提供や新規顧客への導入を進め、顧客数は前連結会計年度比5%増の61社となり、既存顧客へのクロスセル等によりARPUが安定した推移となったことによります。 「EV充電事業」における設置台数の推移、「エネルギープラットフォーム事業」におけるユーザー数、「エネルギーデータ事業」における顧客数については、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」をご参照ください。 (売上原価、売上総利益) 当連結会計年度において、売上原価は1,027,404千円(前連結会計年度は798,344千円)となりました。 主にEV充電事業拡大に伴う仕入れの増加によるものです。 この結果、売上総利益は3,351,596千円(前連結会計年度は2,935,723千円)となりました。 当連結会計年度においては、「EV充電事業」の進捗に伴い、「EV充電事業」の売上原価が大きく増加したため、前連結会計年度より売上総利益率が悪化しております。 (販売費及び一般管理費、営業損失) 当連結会計年度において、販売費及び一般管理費は5,476,614千円(前連結会計年度は4,057,427千円)となりました。 主な要因は、事業拡大に伴う人件費、業務委託費等の増加、「EV充電事業」の普及のための広告宣伝費の増加等によるものです。 この結果、営業損失は2,125,017千円(前連結会計年度は営業損失1,121,703千円)となりました。 (経常損失) 当連結会計年度において、営業外収益が131,277千円(前連結会計年度は220,485千円)、営業外費用が411,227千円(前連結会計年度は255,445千円)となりました。 営業外収益減少の主な要因は、補助金受贈益が74,105千円減少したことによるものです。 営業外費用増加の主な要因は、支払利息が56,007千円、持分法による投資損失が90,573千円、租税公課が38,217千円増加したことによるものです。 この結果、経常損失は2,404,967千円(前連結会計年度は経常損失1,156,664千円)となりました。 (税金等調整前当期純損失) 当連結会計年度において、特別損失が2,554,281千円(前連結会計年度は76,219千円)となりました。 特別損失増加の主な要因は、減損損失1,606,489千円、決算訂正関連費用引当金繰入額919,850千円によるものです。 この結果、税金等調整前当期純損失4,959,249千円(前連結会計年度は税金等調整前当期純損失1,229,182千円)となりました。 (親会社株主に帰属する当期純損失) 当連結会計年度において、法人税、住民税及び事業税が25,360千円(前連結会計年度は76,891千円)となりました。 この結果、親会社株主に帰属する当期純損失が4,985,167千円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失1,315,060千円)となりました。 c.キャッシュ・フローの分析 「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。 ③ 経営成績に重要な影響を与える要因 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3業等のリスク」に記載のとおりであり、当該リスクが顕在化した場合、経営成績に重要な影響を与える可能性があります。 そのため、当社グループは、市場動向等を注視し、組織体制の整備、リスク管理体制の強化、成長事業領域への継続投資等を行い、当社グループの経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減する対応を適切に行ってまいります。 ④ 資本の財源及び資金の流動性 当社グループの運転資金需要のうち主なものには、「EV充電事業」における人件費及び広告宣伝費、並びにEV充電器設備の取得から、当該EV充電設備に対応する補助金の受領までの間におけるEV充電機器・工事費用「エネルギープラットフォーム事業」における人件費及び広告宣伝費、「エネルギーデータ事業」におけるソフトウエア制作に係る人件費及び外注費のほか、管理部門における人件費等があります。 当社グループでの資金需要は、自己資金、金融機関からの借入及びエクイティファイナンス等でバランスよく調達していくことを基本方針としており、資金需要の金額や資金使途に応じて柔軟に検討を行う予定です。 当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は2,179,715千円となっています。 また、当社は2024年2月26日にJICVGIオポチュニティファンド1号投資事業有限責任組合を割当先とする新株式を発行し、総額3,999,899千円を調達しております。 当社グループは当連結会計年度末において複数の取引金融機関との当座貸越契約を締結しており、資金調達手段を確保することにより、変動する資金需要に対応し、流動性リスクをコントロールしております。 ⑤ 経営者の問題認識及び今後の方針について 当社グループが認識する課題等について、経営者は「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の課題に対処していく必要があると認識しております。 これらの課題に対し、経営者は市場ニーズや事業環境の変化に関する情報の入手、分析を行い、現在及び将来の事業環境を認識したうえで、当社グループの経営資源を適切に配分し、対応策を実施していく方針です。 ⑥ 経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等の進捗について 「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりであります。 |
経営上の重要な契約等 | 5【経営上の重要な契約等】 (第三者割当による新株式の発行)当社は、2024年2月9日開催の取締役会において、JICVGIオポチュニティファンド1号投資事業有限責任組合を割当予定先とする第三者割当による新株式を発行することを決議し、株式引受契約書および総数引受契約書を締結しました。 その概要は次のとおりであります。 (1)発行する株式の種類及び数 :3,784,200株(2)発行価格 :1株につき1,057円(3)発行価格の総額 :3,999,899千円(4)資本組入額 :1株につき528.5円(5)資本組入額の総額 :1,999,949千円(6)募集又は割当方法 :第三者割当増資(7)割当先 :JICVGIオポチュニティファンド1号投資事業有限責任組合(8)資金の使途 :今後の成長に向けた投資資金として ① 「EV充電事業」のプロモーション強化及び事業運営体制強化のための投資に係る資金 ② EV充電インフラのネットワーク構築のための充電機器購入に係る運転資金 ③ 「EV充電事業」の将来成長に資する投資資金 なお、当社は、2024年3月27日付開示の「外部調査委員会の設置及び2023年12月期有価証券報告書の提出期限延長申請の検討に関するお知らせ」のとおり、EV充電インフラ1号合同会社を当社グループの連結範囲に含めるための対応を行うことといたしました。 具体的には、企業会計基準第22号「連結財務諸表に関する会計基準」で定められている支配力基準に基づく実質的な支配があるものと評価して、当社の連結範囲に含めることといたしました。 上記株式引受契約書においては、当社の連結財務諸表の正確性等に関する表明保証条項が規定されており、上記のとおりEV充電インフラ1号合同会社を当社グループの連結範囲に含めることに関してJICVGIオポチュニティファンド1号投資事業有限責任組合から表明保証条項に抵触するとして損害賠償請求を受けるリスクが理論上ありますが、当社は、JICVGIオポチュニティファンド1号投資事業有限責任組合との間で、現時点では表明保証条項を理由とする損害賠償請求の予定はない旨を確認しております。 (EV充電インフラ1号合同会社におけるコミットメントライン契約の締結)当社子会社のEV充電インフラ1号合同会社は、設備投資その他の必要資金調達のため、2023年11月30日付で株式会社三井住友銀行をアレンジャーとする取引銀行等4社と以下内容の総額1,150,000千円のコミットメント型シンジケートローン契約を締結しております。 (1)借入先 :三井住友銀行他3行(2)コミットメント金額 :1,150,000千円(3)借入金利 :基準金利+スプレッド(4)コミットメント期間 :2023年12月から2024年6月(5)担保・保証の有無 :有(預金担保) なお、本契約につきましては、以下の財務制限条項が付されております。 ①コミット期間開始日(同日を含む。 )以降、リザーブ口座の預金残高を最低留保残高以上の金額に維持すること。 ②借入人と各本件社債権者が締結する社債引受契約(同契約に添付される社債要項その他関連する合意書等を含む。 以下「本件社債契約」)に基づく社債の元本額の合計(但し、本件社債契約に基づいて社債の全部又は一部が匿名組合出資持分に転換された場合には、当該匿名組合出資持分に係る出資金額の合計も含む。 )を10億円以上に維持すること。 (EV充電インフラ1号合同会社における匿名組合持分に係る合意書の締結) 当社は、EV充電インフラ1号合同会社の社債権者(3者)との間で、事前合意の定めにより、出資後3年経過時点で保有する社債が匿名組合出資持分(TK持分)に転換された以降、当社が出資簿価にて出資者のTK持分を買いとる権利(コール・オプション)を有し、また、当該出資者がそのTK持分を当社もしくは当社が指定する第三者に出資簿価で売り渡す権利(プット・オプション)を有することを定めた匿名組合持分に係る合意書を締結しております。 A種匿名組合出資持分(1)プット・オプションの行使期間 :2026年7月31日以降(2)想定買取価額 :出資元本の簿価相当額(100,000千円) B種匿名組合出資持分(1)コール・オプションの行使期間 :2026年7月31日以降(2)プット・オプションの行使期間 :2026年7月31日以降(3)想定買取価額 :出資元本の簿価相当額(200,000千円) (1)コール・オプションの行使期間 :2026年10月31日以降(2)プット・オプションの行使期間 :2026年10月31日以降(3)想定買取価額 :出資元本の簿価相当額(700,000千円) |
研究開発活動 | 6【研究開発活動】 該当事項はありません。 |
設備投資等の概要 | 1【設備投資等の概要】 当連結会計年度において実施した設備投資の総額は815,431千円(無形固定資産含む)であり、主に「EV充電事業」における充電インフラ整備、及び「エネルギーデータ事業」におけるソフトウェア開発(電力・ガス会社向けクラウドサービスやEVサービス向けソリューション提供)にかかる設備投資であります。 また、当連結会計年度において重要な設備の除却、売却等はありません。 |
主要な設備の状況 | 2【主要な設備の状況】 当社グループにおける主要な設備は、次のとおりであります。 (1)提出会社2023年12月31日現在 事業所名(所在地)設備の内容帳簿価額従業員数(人)建物附属設備(千円)工具、器具及び備品(千円)リース資産(千円)建設仮勘定(千円)ソフトウエア(千円)その他(千円)合計(千円)本社オフィス(東京都中央区)本社設備他-14,479--202,23966115,141156 (注)1. 帳簿価額のうち「その他」はソフトウエア仮勘定であります。 2. 現在休止中の主要な設備はありません。 3. 従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。 )であり、臨時雇用者数については、その総数が従業員数の100分の10未満であるため、記載を省略しております。 4.事業セグメントに資産を配分していないため、セグメントの名称を記載しておりません。 (2)国内子会社 該当事項はありません。 (3)在外子会社 該当事項はありません。 |
設備の新設、除却等の計画 | 3【設備の新設、除却等の計画】 当社グループの設備投資については、事業の拡大に伴うインフラ設備拡充や、サービスレベルの維持・向上のため等、総合的に勘案して策定しております。 なお、当連結会計年度末現在における重要な設備の新設、改修計画及び除却等は次のとおりであります。 (1)重要な設備の新設会社名事業所名(所在地)設備の内容投資予定金額資金調達方法着手及び完了予定年月完成後の増加能力総額(千円)既支払額(千円)着手完了提出会社東京オフィス(東京都中央区)ソフトウエア開発(注1)265,275661自己資金2023年12月2025年5月(注2) (注)1.電力・ガス会社向けクラウドサービス「エネチェンジクラウドMarketing」における新規機能を付加する目的のソフトウエアの開発や、各種新規サービス開発に伴うソフトウエア開発です。 2.完成後の増加能力については、計数的把握が困難であるため、記載を省略しております。 3.事業セグメントに資産を配分していないため、セグメントの名称を記載しておりません。 (2)重要な改修該当事項はありません。 (3)重要な設備の除却等該当事項はありません。 |
設備投資額、設備投資等の概要 | 815,431,000 |
Employees
平均年齢(年)、提出会社の状況、従業員の状況 | 35 |
平均勤続年数(年)、提出会社の状況、従業員の状況 | 1 |
平均年間給与、提出会社の状況、従業員の状況 | 5,350,258 |
Investment
株式の保有状況 | (5)【株式の保有状況】 ① 投資株式の区分の基準及び考え方 当社は、保有目的が純投資目的である投資株式と純投資目的以外の目的である投資株式の区分について、株式価値の変動又は配当金の受け取りによって利益確保を目的としている投資を純投資目的、それ以外を純投資目的以外と区分いたします。 ② 保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式イ 保有方針及び保有の合理性を検証する方法並びに個別銘柄の保有の適否に関する取締役会等における検証の内容 当社は資本業務提携により中長期的な視点で当社の企業価値の向上をさせる株式を保有する方針としており、取締役会及び経営執行会議において、資本業務提携の必要性や保有リスク等を検証し、保有の適否を検討しております。 ロ 銘柄数及び貸借対照表計上額 銘柄数(銘柄)貸借対照表計上額の合計額(千円)非上場株式以外の株式267,731 (当事業年度において株式数が増加した銘柄) 該当事項はありません。 (当事業年度において株式数が減少した銘柄) 該当事項はありません。 ハ 特定投資株式及びみなし保有株式の銘柄ごとの株式数、貸借対照表計上額等に関する情報特定投資株式銘柄当事業年度前事業年度保有目的、業務提携等の概要、定量的な保有効果及び株式数が増加した理由当社の株式の保有の有無株式数(株)株式数(株)貸借対照表計上額(千円)貸借対照表計上額(千円)株式会社スマサポ47,00047,000資本業務提携による当社の事業規模拡大を目的とした出資無66,881129,250 ③ 保有目的が純投資目的である投資株式該当事項はありません。 |
銘柄数、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 2 |
貸借対照表計上額、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 67,731,000 |
株式数、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社 | 47,000 |
貸借対照表計上額、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社 | 66,881,000 |
銘柄、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社 | 株式会社スマサポ |
当該株式の発行者による提出会社の株式の保有の有無、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社 | 無 |
Shareholders
大株主の状況 | (6)【大株主の状況】 2023年12月31日現在 氏名又は名称住所所有株式数(千株)発行済株式(自己株式を除く。)の総数に対する所有株式数の割合(%) 城口 洋平東京都港区5,77218.66 株式会社日本カストディ銀行(信託口)東京都中央区晴海一丁目8番12号2,8849.32 Energy Station Company Limited(常任代理人 みずほ証券株式会社)FLATE, 29F, ALASSIO, 100 CAINE ROAD, HONG KONG(東京都千代田区大手町1丁目5-1)2,3997.76 有田 一平神奈川県小田原市1,9076.17 山口 貴弘東京都港区1,4564.71 日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)東京都港区浜松町二丁目11番3号1,3104.24 THE BANK OF NEW YORK 133652(常任代理人 株式会社みずほ銀行)BOULEVARD ANSPACH 1, 1000 BRUSSELS, BELGIUM(東京都港区港南2丁目15-1)1,2794.14 株式会社エプコ東京都墨田区太平四丁目1番3号4801.55 早川 武志愛知県名古屋市3931.27 THE BANK OF NEW YORK MELLON 140051(常任代理人 株式会社みずほ銀行)240 GREENWICH STREET, NEW YORK, NY 10286, U.S.A(東京都港区港南2丁目15-1)3741.21計-18,25859.02(注)1.上記大株主の状況は、2023年12月31日現在における株主名簿に基づいて記載しております。2.株式会社カストディ銀行(信託口)の所有株式数のうち、信託業務に係る株式数は2,881千株であり、それらの内訳は、投資信託設定分2,834千株、年金信託設定分47千株となっております。3. 日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)の所有株式数のうち、信託業務に係る株式数は1,139千株であり、それらの内訳は、投資信託設定分1,019千株、年金信託設定分119千株となっております。 |
株主数-金融機関 | 11 |
株主数-金融商品取引業者 | 18 |
株主数-外国法人等-個人 | 64 |
株主数-外国法人等-個人以外 | 42 |
株主数-個人その他 | 12,011 |
株主数-その他の法人 | 102 |
株主数-計 | 12,248 |
氏名又は名称、大株主の状況 | THE BANK OF NEW YORK MELLON 140051(常任代理人 株式会社みずほ銀行) |
株主総利回り | 1 |
株主総会決議による取得の状況 | (1)【株主総会決議による取得の状況】 該当事項はありません。 |
株主総会決議又は取締役会決議に基づかないものの内容 | (3)【株主総会決議又は取締役会決議に基づかないものの内容】 区分株式数(株)価額の総額(円)当事業年度における取得自己株式131134,339当期間における取得自己株式151144,792 |
Shareholders2
自己株式の取得 | -134,000 |
自己株式の取得による支出、財務活動によるキャッシュ・フロー | -134,000 |
発行済株式及び自己株式に関する注記 | 1.発行済株式の種類及び総数並びに自己株式の種類及び株式数に関する事項 当連結会計年度期首株式数(株)当連結会計年度増加株式数(株)当連結会計年度減少株式数(株)当連結会計年度末株式数(株)発行済株式 普通株式(注)130,076,640859,044-30,935,684合計30,076,640859,044-30,935,684自己株式 普通株式(注)2128131-259合計128131-259(注)1.普通株式の増加の内訳は、次のとおりであります。 新株予約権の権利行使に伴う新株式の発行による増加 859,044株2.普通株式の自己株式の増加の内訳は、次のとおりであります。 単元未満株式の買取りによる増加 131株 |
Audit
監査法人1、連結 | 有限責任 あずさ監査法人 |
独立監査人の報告書、連結 | 独立監査人の監査報告書及び内部統制監査報告書 2024年7月9日ENECHANGE株式会社 取締役会 御中 有限責任 あずさ監査法人 東京事務所 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士杉 山 正 樹 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士寺 出 俊 也<連結財務諸表監査>監査意見当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられているENECHANGE株式会社の2023年1月1日から2023年12月31日までの連結会計年度の連結財務諸表、すなわち、連結貸借対照表、連結損益計算書、連結包括利益計算書、連結株主資本等変動計算書、連結キャッシュ・フロー計算書、連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項、その他の注記及び連結附属明細表について監査を行った。 当監査法人は、上記の連結財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、ENECHANGE株式会社及び連結子会社の2023年12月31日現在の財政状態並びに同日をもって終了する連結会計年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。 監査意見の根拠 当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。 監査の基準における当監査法人の責任は、「連結財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。 当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。 当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。 継続企業の前提に関する重要な不確実性 注記事項(継続企業の前提に関する事項)に記載されているとおり、会社は、当連結会計年度まで2期連続で営業損失、3期連続で経常損失及び5期連続で親会社株主に帰属する当期純損失を計上し、当連結会計年度において重要な営業損失2,125,017千円、経常損失2,404,967千円及び親会社株主に帰属する当期純損失4,985,167千円を計上している。 この結果、2023年12月31日現在において、連結貸借対照表上1,479,226千円の債務超過となっている。 また、一部の取引金融機関からの借入については、現時点では期限の利益喪失に関わる条項を適用する旨の通知を受けていないものの、財務制限条項に抵触している。 加えて、外部調査委員会の調査報告書が公表された結果、利害関係者との関係性の悪化や会社のブランド力の毀損が生じる可能性がある。 これらの事象又は状況は、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に該当し、現時点では継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる。 なお、当該状況に対する対応策及び重要な不確実性が認められる理由については当該注記に記載されている。 連結財務諸表は継続企業を前提として作成されており、このような重要な不確実性の影響は連結財務諸表に反映されていない。 当該事項は、当監査法人の意見に影響を及ぼすものではない。 強調事項1.注記事項(重要な後発事象)(第三者割当増資による新株式の発行)に記載されているとおり、会社は、2024年2月9日開催の取締役会において、第三者割当による新株式の発行を決議し、2024年2月26日に払込が完了している。 2.注記事項(重要な後発事象)(一部借入金の任意早期弁済)に記載されているとおり、会社は、2024年7月8日に一部の取引金融機関からの借入金の任意早期弁済を行っている。 当該事項は、当監査法人の意見に影響を及ぼすものではない。 監査上の主要な検討事項 監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。 監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 当監査法人は、「継続企業の前提に関する重要な不確実性」に記載されている事項のほか、以下に記載した事項を監査報告書において監査上の主要な検討事項として報告すべき事項と判断している。 経営者による内部統制の無効化リスクへの対応監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応ENECHANGE株式会社(以下「ENECHANGE」という。 )及び連結子会社(以下「ENECHANGEグループ」という。 )は、2022年12月期よりEV充電事業を本格稼働した。 ENECHANGEが2023年12月期の決算短信を発表した後、当監査法人は、2024年2月16日にEV充電事業における特別目的会社であるEV充電インフラ1号合同会社(以下「SPC」という。 )を用いたスキーム(以下「SPCスキーム」という。 )に係る会計処理に疑義がある旨の外部通報を受けた。 このため当監査法人は、ENECHANGEによる連結の範囲の判定及びSPCスキームに係る会計処理に関し、不正による重要な虚偽表示の兆候を示す状況を識別した。 当該状況を踏まえ、ENECHANGEは、2024年3月27日に外部の公認会計士及び弁護士により構成される外部調査委員会を設置した。 外部調査委員会は、2024年6月21日にENECHANGEに調査報告書を提出している。 当該調査報告書において、2024年2月から3月にかけて常勤監査役が主導して実施したデジタルフォレンジック調査及び外部調査委員会による調査の実施前に、経営者が2023年12月末におけるSPCの社債(1,000百万円)の最大額の引受者(以下「筆頭社債権者」という。 )に対する個人貸付に関連する電子メール等を削除していたことや、執行役員がENECHANGEと社債権者が締結していたオプション契約に含まれるプット・オプションの行使条件について、社債権者と当監査法人に対する説明を意図的に乖離させていたことが報告されている。 同報告書において、これらの行動は上場企業の連結財務諸表の作成に責任を負うべき経営者として不適切な言動であり、社内及び監査人に対する適切なコミュニケーションが不足していたと評価されている。 また、上記の状況を踏まえ、ENECHANGEは以下の対応を実施した。 (1) SPCに係る連結範囲の判定の見直し ENECHANGEは連結の範囲にSPCを含めないとの判定を見直し、その結果、当第3四半期連結会計期間までのSPCに係る連結範囲の判定結果及び関連する会計処理を訂正した。 SPCを連結の範囲に含めたことにより、ENECHANGEの連結子会社からSPCに対するEV充電器の販売取引が、連結会社相互間における取引として相殺消去された。 その結果、2023年12月期の連結売上高は21.8億円減少した。 (2) EV充電器の販売取引の経済合理性に関する判断 ENECHANGEグループは、ENECHANGEの株主である特定の取引先に対して、2022年12月に151百万円のEV充電器を販売しており、前連結会計年度の連結損益計算書に同額の売上高として計上している。 これらの取引については、調査報告書に記載の通り、ENECHANGEの経営者から当該取引先の経営者に対して、販売したEV充電器の在庫リスクを当該取引先が実質的に回避することを可能とするスキームを講じる旨が伝達されていたが、当該スキームは実行されておらず、当該取引に関する売上高の修正等は行われていない。 当監査法人は、経営者の誠実性に関する評価を踏まえると、監査の前提条件が充足されていない可能性があることから、当連結会計年度の連結財務諸表(期首剰余金に影響を与える過年度の連結財務諸表を含む)には、不正による重要な虚偽表示の疑義が存在すると判断した。 そのため、経営者が意図的に内部統制を無効化し、不適切な会計処理を行うリスクについて、より慎重な検討が必要となる。 以上から、当監査法人は、経営者による内部統制の無効化リスクへの対応が、当連結会計年度の連結財務諸表監査において特に重要であり、監査上の主要な検討事項の一つに該当すると判断した。 当監査法人は、2024年2月16日にENECHANGEのSPCを用いた不適切な会計処理を示唆する外部通報を受けたため、SPCスキームに関する経営者の不正による重要な虚偽表示の兆候を示す状況を識別し、監査役会に対してデジタルフォレンジック調査の実施を要請した。 当該要請があった事実を受け、経営者から当監査法人に対し、通報を受ける前に当監査法人が実施していたSPCに対する売上取引及び連結範囲の判定等の監査手続の実施過程においては示されていなかった、経営者による筆頭社債権者に対する個人貸付の事実について、追加的な説明が行われた。 また、当監査法人は、不正による重要な虚偽表示の疑義の可能性を識別し、外部調査委員会による調査を依頼した。 経営者が連結財務諸表に重要な影響を与え得る事実を隠蔽している可能性が合理的に存在するか否かを評価するために、不正調査の専門家を関与させた上で、当監査法人が外部調査委員会に要請したデジタルフォレンジック調査の実施状況を含む調査報告書の内容を評価した。 評価の結果、当監査法人は虚偽表示リスクの再評価を含む監査計画の見直しを行った。 見直しにあたっては、新たに把握された以下の事実を重視した。 ● 経営者から筆頭社債権者に対する個人貸付について、経営者が取締役会及び当監査法人に対して説明を行わなかったこと● オプション契約の定めにかかわらず、ENECHANGEがSPCの社債(転換後の匿名組合出資持分)を買い取ることが合意事項である旨をENECHANGEの執行役員が取締役会等の機関決定を経ずに筆頭社債権者に対して伝達していたこと 調査報告書においては、上記の新たに把握された事実について、隠蔽の意図はなかったとする経営者及び執行役員の供述は信用できるとして、これらの事実(当監査法人に説明を行わなかった事実等)は意図的なものではなく、経営者による不正は認められないと結論づけている。 しかし、当監査法人は、このような調査報告書の内容を踏まえてもなお、経営者及び執行役員のslackの内容や電子メールを削除した事実など、存在する多くの証拠に照らして経営者及び執行役員の供述は信憑性を欠くものと判断し、以下の事実のとおり、重要な虚偽表示の原因となる不正が存在したとの認定に至った。 なお、この認定に当たり、当監査法人は外部の複数の法律専門家の意見を聴取した。 ● 経営者が、筆頭社債権者に対する個人貸付が連結の範囲の判定に影響を与える可能性があることを認識した上で、本貸付の発覚によりSPCの連結が必要となることから当該貸付の存在を隠蔽し、当監査法人がデジタルフォレンジックの実施を通告するまで、取締役会への報告も当監査法人への説明も行わなかったと認められること● 執行役員が、プット・オプションの行使条件の有無やその行使可能性の程度がSPCの連結の範囲の判定に重要な影響を与えうることを認識した上で、社債権者に対する説明と同様の内容を当監査法人に説明することで、SPCの連結が必要との指摘を受ける可能性が生じることから、社債権者に説明した内容を隠蔽し、当監査法人に対して意図的に異なる内容の説明を行ったと認められること このため、財務諸表全体レベルの重要な虚偽表示リスクがあるものと判断して、以下の実施すべき監査手続を決定した。 (1) 財務諸表全体レベルの不正による重要な虚偽表示リスクの再評価及び対応 財務諸表全体レベルの不正による重要な虚偽表示リスクを識別したことから、2018年12月期から2023年12月期までの期間を対象として、新たな不正を示唆する状況の有無を確かめるため、経営者及び執行役員の電子メール等を対象としたデジタルフォレンジック調査を監査人独自に実施した上で、(2)から(5)の手続を実施した。 手続を実施する上で、不正調査の専門家やITの専門家に加え、豊富な経験を有する監査チームメンバーを配置した。 (2) SPCに係る連結の範囲の判定 SPCに係る連結の範囲の妥当性を検討するため、監査上の主要な検討事項「EV充電インフラ1号合同会社に係る連結の範囲の妥当性の検討」の監査上の対応に記載の手続を実施した。 (3) 売上取引の経済合理性及び実在性の評価 内部統制の無効化により経済合理性及び実在性に疑義が存在するEV充電器販売に係る売上高、また、売上の過大計上を目的とした実態のないバーター取引や循環取引等が行われている可能性があるエネルギープラットフォーム事業に係る一部の売上高等について、実在性及び経済合理性を検討するため、主に以下の手続を実施した。 ● 売上取引の実態及び返品等の条件を確認するために、契約書類等の外部と取り交わした証憑の閲覧及び取引データとの照合、並びに必要に応じた現場視察等を実施した。 ● 特定取引先との取引内容を網羅的に把握し、特定取引先に対して契約金額に加え、取引条件等を書面にて確認した。 ● 取引先の実在性を確認するため、登記簿謄本及び第三者機関による信用情報を閲覧した。 ● 当監査法人のIT専門家を関与させ、取引データの分析を実施した。 (4) 重要な会計上の見積りに関連する経営者の重要な偏向の有無の検討固定資産の減損、のれん及び投融資の評価を含む重要な会計上の見積りについて、経営者による主要な仮定の適切性を評価し、会計上の見積りの重要な偏向の有無を検討した。 (5) 仕訳入力及びその他の修正への対応ENECHANGE及び連結子会社ENECHANGE EVラボ株式会社の全ての会計仕訳及び連結会計仕訳を対象として、ENECHANGEグループにおいて想定されるリスクシナリオに合致した会計仕訳を抽出し、その裏付けとなる証拠書類等を検証し、不正な仕訳入力の有無を検討した。 また、上記の手続の結果に関して以下のコミュニケーションを実施するとともに、2024年6月25日に、取締役会及び監査役会に対して、調査報告書の内容を踏まえてもなお、当監査法人としては経営者の関与による重要な虚偽表示の原因となる不正が存在したと判断する旨の「見解書」を提出した。 (1)監査役会及び社外取締役とのコミュニケーション ● 監査役会と以下のコミュニケーションを実施した。 ・ 2024年3月に、経営者の不正による財務諸表の重要な虚偽表示の疑義の可能性について報告した。 ・ 2024年5月に、連結範囲の見直しを踏まえた2023年12月期の監査計画の重要な修正について説明した。 ・ 2024年6月21日付けの調査報告書の内容を踏まえてもなお、当監査法人としては経営者の関与による重要な虚偽表示の原因となる不正があると判断したことを「見解書」を提示して報告した。 また、監査役会が経営者に対して問題点の是正等の適切な措置を求めているか否か及び是正措置等の評価とその実施状況について質問した。 ● 社外取締役と以下のコミュニケーションを実施した。 ・ 2024年3月に、経営者の不正による財務諸表の重要な虚偽表示の疑義の可能性について報告した。 ・ 2024年6月21日付けの調査報告書の内容を踏まえてもなお、経営者の関与による重要な虚偽表示の原因となる不正があると判断したことを「見解書」を提示して報告し、問題点の是正措置等の実施状況について質問した。 (2) 経営者確認書の入手ENECHANGEの経営者の誠実性に疑義があると評価したため、以下の手続を実施した上で、経営者確認書を入手した。 ● 経営者が財務諸表の作成責任及び監査人に提供した情報の網羅性に対する責任を果たしたと判断していることについての監査証拠を得るため、経営者確認書の適切な要請先を検討した。 ● 経営者が、経営者確認書において虚偽の陳述をするリスクに対応するため、各監査役による適切な是正措置が講じられていることを各監査役からの宣誓書の入手により確認した。 ● 経営者確認書の信頼性に疑義はない旨の宣誓書を取締役会及び各監査役から入手した。 EV充電インフラ1号合同会社に係る連結の範囲の妥当性の検討監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応ENECHANGE株式会社(以下「ENECHANGE」という。 )及び連結子会社(以下「ENECHANGEグループ」という。 )は、EV充電事業を営んでいる。 EV充電事業においては、EV充電器の所有及び運営等を目的とした特別目的会社であるEV充電インフラ1号合同会社(以下「SPC」という。 )を設立し取引を行っている。 SPCを連結の範囲に含めるか否かの判定においては、下記のとおり、(1)SPCの資金調達、 (2)損益帰属、(3)業務執行権限に関する複雑な仕組みを考慮する必要があり、連結財務諸表に与える金額的重要性も高いことから、慎重な対応が求められる。 ENECHANGEは、当第3四半期連結会計期間までSPCを連結の範囲に含めていなかった。 監査上の主要な検討事項「経営者による内部統制の無効化リスクへの対応」に記載のとおり、当監査法人は外部通報を契機として、ENECHANGEの経営者からSPCの社債権者への個人貸付等(下記(1)参照)を把握した。 また、ENECHANGEは当監査法人の要請に基づきデジタルフォレンジック調査を実施し、その後外部調査委員会による調査を実施した。 これらの調査の結果検出された事項を踏まえ、ENECHANGEは直接的にはSPCに出資していないものの、注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載のとおり、SPCを連結の範囲に含めることを決定し、SPCに係る連結の範囲の判定及びこれに関連する会計処理を訂正した。 SPCに係る連結の範囲の判定に影響を与える事項(1) SPCの資金調達の状況2023年12月末におけるSPCの社債(1,000百万円)の最大額の引受者(以下「筆頭社債権者」という。 )が、当該調達資金のうち700百万円を提供している。 ENECHANGEの緊密な者に該当するENECHANGEの経営者が、筆頭社債権者に対して以下の条件で個人貸付350百万円を行っていることから、実質的にENECHANGEの経営者によるSPCに対する融資に該当するとENECHANGEは判断した。 ● 資金の使途は、SPCに対する出資に限定される● 資金の返済額は、筆頭社債権者がSPCから受け取る金額に限定される加えて、ENECHANGEと社債権者は、SPCの社債(転換後の匿名組合出資持分)を売り渡すことができるプット・オプションを含むオプション契約を締結している。 当該プット・オプションが行使された場合、ENECHANGEは実質的にSPCに対する投資額の回収を保証することになる。 また、以下の事実が判明した。 ● 契約上の文言にかかわらず、社債引受後3年目にENECHANGEが社債引受額で筆頭社債権者からSPCの社債(転換後の匿名組合出資持分)を買い取ることが、実質的な合意事項として、ENECHANGEの執行役員から筆頭社債権者に対して電子メールで伝達されていた更には、SPCがENECHANGEの子会社となる場合、ENECHANGEはSPCのリース債務について連帯責任を負う旨の債務保証契約をSPCのリース債権者と締結している。 これらの事実を踏まえ、ENECHANGEは、SPCの資金調達額の全額がオプション契約及び債務保証契約を通じて実質的にENECHANGEにより保証されていると判断した。 (2) SPCの損益の帰属状況についてSPCの損益は社債権者に社債利息として支払われた後、唯一の社員である一般社団法人EV充電インフラに帰属することになる。 しかし、契約関係として以下の事実が存在していることから、ENECHANGEは、実質的にENECHANGEがSPCの事業から生ずる損失の概ね全額を負担することになると判断した。 ● プット・オプションの実行に伴いENECHANGEがSPCの社債(転換後の匿名組合出資持分)を取得するに際し、ENECHANGEがSPCで生じた損失を負担すること(3) SPCの業務執行の権限について SPCの業務執行は、形式上は唯一の社員である一般社団法人EV充電インフラが担っている。 しかし、以下の事実が存在していることから、ENECHANGEは、実質的にSPCの業務執行者はENECHANGEであると判断した。 ● 同一般社団法人は会計事務所により設立され、その職務執行は当該会計事務所が担っていることから、SPC自体による職務執行の実態に乏しいこと● SPCの事業であるEV充電器の売買及び設置などの運営に関する意思決定は、SPCの運営に関する基本契約書に基づき、実質的にENECHANGEグループが行っていることENECHANGEは、上記(1)~(3)の事実又は判断を総合的に勘案した結果、SPCを連結の範囲に含める必要があると判定した。 当該判定には、上記(1)~(3)を含む複雑な状況を踏まえた高度な判断が必要となる。 また、SPCを連結の範囲に含めるか否かは、連結財務諸表に重要な影響を及ぼす。 以上から、当監査法人は、EV充電インフラ1号合同会社に係る連結の範囲の妥当性の検討が当連結会計年度の連結財務諸表監査において特に重要であり、監査上の主要な検討事項の一つに該当すると判断した。 当監査法人は、SPCに係る連結の範囲の妥当性を検討するため、主に以下の監査手続を実施した。 (1) 連結の範囲の検討に影響を与え得る事項の把握 SPCに係る連結の範囲の検討に影響を与え得る事項を把握するため、監査上の主要な検討事項「経営者による内部統制の無効化リスクへの対応」に記載のENECHANGEが実施したデジタルフォレンジック調査の結果及び外部調査委員会による調査結果を通読した。 その上で、ENECHANGE及び外部調査委員会がそれぞれ実施したデジタルフォレンジック調査により抽出された関係者の電子メール及び外部調査委員会による関係者のヒアリングの議事録を閲覧した。 (2) SPCの資金調達状況の検討SPCの資金調達状況を検討するため、SPCの試算表を閲覧し、SPC設立以降の資金調達状況を把握した上で、以下の手続を実施した。 ● ENECHANGEの経営者によるSPCの筆頭社債権者に対する個人貸付の内容を検討するため、この個人貸付に係る金銭消費貸借契約書及び社債引受契約証書を閲覧した。 ● ENECHANGEの経営者の筆頭社債権者に対する個人貸付金の当連結会計年度末残高や資金使途が限定されていることなどの条件を確かめるため、筆頭社債権者に対して、金銭消費貸借契約書を提示の上、直接確認を行った。 ● ENECHANGEと筆頭社債権者が締結したオプション契約の内容を検討するため、匿名組合出資持分への転換に係る合意書及びオプション契約に係る関係者の電子メールを閲覧した。 ● ENECHANGEとリース債権者が締結した連帯保証契約の内容を検討するため、債務保証契約書を閲覧した。 (3) SPCの損益帰属状況の検討 SPCの損益帰属状況を検討するため、SPCの試算表を閲覧し、SPC設立以降の損益の発生状況並びに配当及び社債利息の支払状況を把握した上で、以下の手続を実施した。 ● SPCにおける主な損益の発生状況を確かめるため、以下の書類を閲覧した。 ・ 業務委託費についてはSPCとENECHANGEとの間で締結された運営に関する基本契約書・ リース料についてはリース契約書・ 社債利息については社債引受契約証書● SPCの社債利息が筆頭社債権者を通じてENECHANGEの経営者に支払われる約定となっていることを確かめるため、金銭消費貸借契約書を閲覧した。 ● ENECHANGEの経営者から筆頭社債権者に対する貸付金の当連結会計年度末の残高が関連当事者取引の注記に適切に開示されていることを検討するため、金銭消費貸借契約書、筆頭社債権者に対する確認状の回答及びENECHANGEの経営者から入手した関連当事者取引に係る調査票を閲覧した。 (4) SPCの業務執行権限の検討 SPCの業務執行の権限者を特定するため、SPCの定款を閲覧した上で、以下の手続を実施した。 ● 業務執行社員決定書及び運営に関する基本契約書を閲覧した。 ● SPCの重要な意思決定及び業務執行のプロセス及びその実態を、質問及びデジタルフォレンジック調査の結果の閲覧を通して確認した。 その他の記載内容 その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。 経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。 また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 当監査法人の連結財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。 連結財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と連結財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 連結財務諸表に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して連結財務諸表を作成し適正に表示することにある。 これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない連結財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。 連結財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき連結財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。 監査役及び監査役会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 連結財務諸表監査における監査人の責任監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての連結財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から連結財務諸表に対する意見を表明することにある。 虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、連結財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。 監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。 ・ 不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。 また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。 監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。 さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。 ・ 連結財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。 ・ 経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。 ・ 経営者が継続企業を前提として連結財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。 継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において連結財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する連結財務諸表の注記事項が適切でない場合は、連結財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。 監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。 ・ 連結財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた連結財務諸表の表示、構成及び内容、並びに連結財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。 ・ 連結財務諸表に対する意見を表明するために、会社及び連結子会社の財務情報に関する十分かつ適切な監査証拠を入手する。 監査人は、連結財務諸表の監査に関する指示、監督及び実施に関して責任がある。 監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。 監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。 監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。 監査人は、監査役及び監査役会と協議した事項のうち、当連結会計年度の連結財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。 ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。 <内部統制監査>監査意見当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第2項の規定に基づく監査証明を行うため、ENECHANGE株式会社の2023年12月31日現在の内部統制報告書について監査を行った。 当監査法人は、ENECHANGE株式会社が2023年12月31日現在の財務報告に係る内部統制は開示すべき重要な不備があるため有効でないと表示した上記の内部統制報告書が、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して、財務報告に係る内部統制の評価結果について、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。 監査意見の根拠 当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に準拠して内部統制監査を行った。 財務報告に係る内部統制の監査の基準における当監査法人の責任は、「内部統制監査における監査人の責任」に記載されている。 当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。 当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。 強調事項内部統制報告書に記載されているとおり、会社の全社的な内部統制及び全社的な観点で評価する決算・財務報告プロセスには開示すべき重要な不備が存在しているが、会社は開示すべき重要な不備に起因する必要な修正は全て財務諸表及び連結財務諸表に反映している。 これによる財務諸表監査に及ぼす影響はない。 内部統制報告書に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任経営者の責任は、財務報告に係る内部統制を整備及び運用し、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して内部統制報告書を作成し適正に表示することにある。 監査役及び監査役会の責任は、財務報告に係る内部統制の整備及び運用状況を監視、検証することにある。 なお、財務報告に係る内部統制により財務報告の虚偽の記載を完全には防止又は発見することができない可能性がある。 内部統制監査における監査人の責任監査人の責任は、監査人が実施した内部統制監査に基づいて、内部統制報告書に重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、内部統制監査報告書において独立の立場から内部統制報告書に対する意見を表明することにある。 監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。 ・ 内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果について監査証拠を入手するための監査手続を実施する。 内部統制監査の監査手続は、監査人の判断により、財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性に基づいて選択及び適用される。 ・ 財務報告に係る内部統制の評価範囲、評価手続及び評価結果について経営者が行った記載を含め、全体としての内部統制報告書の表示を検討する。 ・ 内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果に関する十分かつ適切な監査証拠を入手する。 監査人は、内部統制報告書の監査に関する指示、監督及び実施に関して責任がある。 監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。 監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した内部統制監査の範囲とその実施時期、内部統制監査の実施結果、識別した内部統制の開示すべき重要な不備、その是正結果、及び内部統制の監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。 監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。 <報酬関連情報>当監査法人及び当監査法人と同一のネットワークに属する者に対する、会社及び子会社の監査証明業務に基づく報酬及び非監査業務に基づく報酬の額は、「提出会社の状況」に含まれるコーポレート・ガバナンスの状況等 (3)[監査の状況]に記載されている。 利害関係会社及び連結子会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。 以 上 (注)1.上記の監査報告書の原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。 2.XBRLデータは監査の対象には含まれていません。 |
監査上の主要な検討事項、連結 | 監査上の主要な検討事項 監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。 監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 当監査法人は、「継続企業の前提に関する重要な不確実性」に記載されている事項のほか、以下に記載した事項を監査報告書において監査上の主要な検討事項として報告すべき事項と判断している。 経営者による内部統制の無効化リスクへの対応監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応ENECHANGE株式会社(以下「ENECHANGE」という。 )及び連結子会社(以下「ENECHANGEグループ」という。 )は、2022年12月期よりEV充電事業を本格稼働した。 ENECHANGEが2023年12月期の決算短信を発表した後、当監査法人は、2024年2月16日にEV充電事業における特別目的会社であるEV充電インフラ1号合同会社(以下「SPC」という。 )を用いたスキーム(以下「SPCスキーム」という。 )に係る会計処理に疑義がある旨の外部通報を受けた。 このため当監査法人は、ENECHANGEによる連結の範囲の判定及びSPCスキームに係る会計処理に関し、不正による重要な虚偽表示の兆候を示す状況を識別した。 当該状況を踏まえ、ENECHANGEは、2024年3月27日に外部の公認会計士及び弁護士により構成される外部調査委員会を設置した。 外部調査委員会は、2024年6月21日にENECHANGEに調査報告書を提出している。 当該調査報告書において、2024年2月から3月にかけて常勤監査役が主導して実施したデジタルフォレンジック調査及び外部調査委員会による調査の実施前に、経営者が2023年12月末におけるSPCの社債(1,000百万円)の最大額の引受者(以下「筆頭社債権者」という。 )に対する個人貸付に関連する電子メール等を削除していたことや、執行役員がENECHANGEと社債権者が締結していたオプション契約に含まれるプット・オプションの行使条件について、社債権者と当監査法人に対する説明を意図的に乖離させていたことが報告されている。 同報告書において、これらの行動は上場企業の連結財務諸表の作成に責任を負うべき経営者として不適切な言動であり、社内及び監査人に対する適切なコミュニケーションが不足していたと評価されている。 また、上記の状況を踏まえ、ENECHANGEは以下の対応を実施した。 (1) SPCに係る連結範囲の判定の見直し ENECHANGEは連結の範囲にSPCを含めないとの判定を見直し、その結果、当第3四半期連結会計期間までのSPCに係る連結範囲の判定結果及び関連する会計処理を訂正した。 SPCを連結の範囲に含めたことにより、ENECHANGEの連結子会社からSPCに対するEV充電器の販売取引が、連結会社相互間における取引として相殺消去された。 その結果、2023年12月期の連結売上高は21.8億円減少した。 (2) EV充電器の販売取引の経済合理性に関する判断 ENECHANGEグループは、ENECHANGEの株主である特定の取引先に対して、2022年12月に151百万円のEV充電器を販売しており、前連結会計年度の連結損益計算書に同額の売上高として計上している。 これらの取引については、調査報告書に記載の通り、ENECHANGEの経営者から当該取引先の経営者に対して、販売したEV充電器の在庫リスクを当該取引先が実質的に回避することを可能とするスキームを講じる旨が伝達されていたが、当該スキームは実行されておらず、当該取引に関する売上高の修正等は行われていない。 当監査法人は、経営者の誠実性に関する評価を踏まえると、監査の前提条件が充足されていない可能性があることから、当連結会計年度の連結財務諸表(期首剰余金に影響を与える過年度の連結財務諸表を含む)には、不正による重要な虚偽表示の疑義が存在すると判断した。 そのため、経営者が意図的に内部統制を無効化し、不適切な会計処理を行うリスクについて、より慎重な検討が必要となる。 以上から、当監査法人は、経営者による内部統制の無効化リスクへの対応が、当連結会計年度の連結財務諸表監査において特に重要であり、監査上の主要な検討事項の一つに該当すると判断した。 当監査法人は、2024年2月16日にENECHANGEのSPCを用いた不適切な会計処理を示唆する外部通報を受けたため、SPCスキームに関する経営者の不正による重要な虚偽表示の兆候を示す状況を識別し、監査役会に対してデジタルフォレンジック調査の実施を要請した。 当該要請があった事実を受け、経営者から当監査法人に対し、通報を受ける前に当監査法人が実施していたSPCに対する売上取引及び連結範囲の判定等の監査手続の実施過程においては示されていなかった、経営者による筆頭社債権者に対する個人貸付の事実について、追加的な説明が行われた。 また、当監査法人は、不正による重要な虚偽表示の疑義の可能性を識別し、外部調査委員会による調査を依頼した。 経営者が連結財務諸表に重要な影響を与え得る事実を隠蔽している可能性が合理的に存在するか否かを評価するために、不正調査の専門家を関与させた上で、当監査法人が外部調査委員会に要請したデジタルフォレンジック調査の実施状況を含む調査報告書の内容を評価した。 評価の結果、当監査法人は虚偽表示リスクの再評価を含む監査計画の見直しを行った。 見直しにあたっては、新たに把握された以下の事実を重視した。 ● 経営者から筆頭社債権者に対する個人貸付について、経営者が取締役会及び当監査法人に対して説明を行わなかったこと● オプション契約の定めにかかわらず、ENECHANGEがSPCの社債(転換後の匿名組合出資持分)を買い取ることが合意事項である旨をENECHANGEの執行役員が取締役会等の機関決定を経ずに筆頭社債権者に対して伝達していたこと 調査報告書においては、上記の新たに把握された事実について、隠蔽の意図はなかったとする経営者及び執行役員の供述は信用できるとして、これらの事実(当監査法人に説明を行わなかった事実等)は意図的なものではなく、経営者による不正は認められないと結論づけている。 しかし、当監査法人は、このような調査報告書の内容を踏まえてもなお、経営者及び執行役員のslackの内容や電子メールを削除した事実など、存在する多くの証拠に照らして経営者及び執行役員の供述は信憑性を欠くものと判断し、以下の事実のとおり、重要な虚偽表示の原因となる不正が存在したとの認定に至った。 なお、この認定に当たり、当監査法人は外部の複数の法律専門家の意見を聴取した。 ● 経営者が、筆頭社債権者に対する個人貸付が連結の範囲の判定に影響を与える可能性があることを認識した上で、本貸付の発覚によりSPCの連結が必要となることから当該貸付の存在を隠蔽し、当監査法人がデジタルフォレンジックの実施を通告するまで、取締役会への報告も当監査法人への説明も行わなかったと認められること● 執行役員が、プット・オプションの行使条件の有無やその行使可能性の程度がSPCの連結の範囲の判定に重要な影響を与えうることを認識した上で、社債権者に対する説明と同様の内容を当監査法人に説明することで、SPCの連結が必要との指摘を受ける可能性が生じることから、社債権者に説明した内容を隠蔽し、当監査法人に対して意図的に異なる内容の説明を行ったと認められること このため、財務諸表全体レベルの重要な虚偽表示リスクがあるものと判断して、以下の実施すべき監査手続を決定した。 (1) 財務諸表全体レベルの不正による重要な虚偽表示リスクの再評価及び対応 財務諸表全体レベルの不正による重要な虚偽表示リスクを識別したことから、2018年12月期から2023年12月期までの期間を対象として、新たな不正を示唆する状況の有無を確かめるため、経営者及び執行役員の電子メール等を対象としたデジタルフォレンジック調査を監査人独自に実施した上で、(2)から(5)の手続を実施した。 手続を実施する上で、不正調査の専門家やITの専門家に加え、豊富な経験を有する監査チームメンバーを配置した。 (2) SPCに係る連結の範囲の判定 SPCに係る連結の範囲の妥当性を検討するため、監査上の主要な検討事項「EV充電インフラ1号合同会社に係る連結の範囲の妥当性の検討」の監査上の対応に記載の手続を実施した。 (3) 売上取引の経済合理性及び実在性の評価 内部統制の無効化により経済合理性及び実在性に疑義が存在するEV充電器販売に係る売上高、また、売上の過大計上を目的とした実態のないバーター取引や循環取引等が行われている可能性があるエネルギープラットフォーム事業に係る一部の売上高等について、実在性及び経済合理性を検討するため、主に以下の手続を実施した。 ● 売上取引の実態及び返品等の条件を確認するために、契約書類等の外部と取り交わした証憑の閲覧及び取引データとの照合、並びに必要に応じた現場視察等を実施した。 ● 特定取引先との取引内容を網羅的に把握し、特定取引先に対して契約金額に加え、取引条件等を書面にて確認した。 ● 取引先の実在性を確認するため、登記簿謄本及び第三者機関による信用情報を閲覧した。 ● 当監査法人のIT専門家を関与させ、取引データの分析を実施した。 (4) 重要な会計上の見積りに関連する経営者の重要な偏向の有無の検討固定資産の減損、のれん及び投融資の評価を含む重要な会計上の見積りについて、経営者による主要な仮定の適切性を評価し、会計上の見積りの重要な偏向の有無を検討した。 (5) 仕訳入力及びその他の修正への対応ENECHANGE及び連結子会社ENECHANGE EVラボ株式会社の全ての会計仕訳及び連結会計仕訳を対象として、ENECHANGEグループにおいて想定されるリスクシナリオに合致した会計仕訳を抽出し、その裏付けとなる証拠書類等を検証し、不正な仕訳入力の有無を検討した。 また、上記の手続の結果に関して以下のコミュニケーションを実施するとともに、2024年6月25日に、取締役会及び監査役会に対して、調査報告書の内容を踏まえてもなお、当監査法人としては経営者の関与による重要な虚偽表示の原因となる不正が存在したと判断する旨の「見解書」を提出した。 (1)監査役会及び社外取締役とのコミュニケーション ● 監査役会と以下のコミュニケーションを実施した。 ・ 2024年3月に、経営者の不正による財務諸表の重要な虚偽表示の疑義の可能性について報告した。 ・ 2024年5月に、連結範囲の見直しを踏まえた2023年12月期の監査計画の重要な修正について説明した。 ・ 2024年6月21日付けの調査報告書の内容を踏まえてもなお、当監査法人としては経営者の関与による重要な虚偽表示の原因となる不正があると判断したことを「見解書」を提示して報告した。 また、監査役会が経営者に対して問題点の是正等の適切な措置を求めているか否か及び是正措置等の評価とその実施状況について質問した。 ● 社外取締役と以下のコミュニケーションを実施した。 ・ 2024年3月に、経営者の不正による財務諸表の重要な虚偽表示の疑義の可能性について報告した。 ・ 2024年6月21日付けの調査報告書の内容を踏まえてもなお、経営者の関与による重要な虚偽表示の原因となる不正があると判断したことを「見解書」を提示して報告し、問題点の是正措置等の実施状況について質問した。 (2) 経営者確認書の入手ENECHANGEの経営者の誠実性に疑義があると評価したため、以下の手続を実施した上で、経営者確認書を入手した。 ● 経営者が財務諸表の作成責任及び監査人に提供した情報の網羅性に対する責任を果たしたと判断していることについての監査証拠を得るため、経営者確認書の適切な要請先を検討した。 ● 経営者が、経営者確認書において虚偽の陳述をするリスクに対応するため、各監査役による適切な是正措置が講じられていることを各監査役からの宣誓書の入手により確認した。 ● 経営者確認書の信頼性に疑義はない旨の宣誓書を取締役会及び各監査役から入手した。 EV充電インフラ1号合同会社に係る連結の範囲の妥当性の検討監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応ENECHANGE株式会社(以下「ENECHANGE」という。 )及び連結子会社(以下「ENECHANGEグループ」という。 )は、EV充電事業を営んでいる。 EV充電事業においては、EV充電器の所有及び運営等を目的とした特別目的会社であるEV充電インフラ1号合同会社(以下「SPC」という。 )を設立し取引を行っている。 SPCを連結の範囲に含めるか否かの判定においては、下記のとおり、(1)SPCの資金調達、 (2)損益帰属、(3)業務執行権限に関する複雑な仕組みを考慮する必要があり、連結財務諸表に与える金額的重要性も高いことから、慎重な対応が求められる。 ENECHANGEは、当第3四半期連結会計期間までSPCを連結の範囲に含めていなかった。 監査上の主要な検討事項「経営者による内部統制の無効化リスクへの対応」に記載のとおり、当監査法人は外部通報を契機として、ENECHANGEの経営者からSPCの社債権者への個人貸付等(下記(1)参照)を把握した。 また、ENECHANGEは当監査法人の要請に基づきデジタルフォレンジック調査を実施し、その後外部調査委員会による調査を実施した。 これらの調査の結果検出された事項を踏まえ、ENECHANGEは直接的にはSPCに出資していないものの、注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載のとおり、SPCを連結の範囲に含めることを決定し、SPCに係る連結の範囲の判定及びこれに関連する会計処理を訂正した。 SPCに係る連結の範囲の判定に影響を与える事項(1) SPCの資金調達の状況2023年12月末におけるSPCの社債(1,000百万円)の最大額の引受者(以下「筆頭社債権者」という。 )が、当該調達資金のうち700百万円を提供している。 ENECHANGEの緊密な者に該当するENECHANGEの経営者が、筆頭社債権者に対して以下の条件で個人貸付350百万円を行っていることから、実質的にENECHANGEの経営者によるSPCに対する融資に該当するとENECHANGEは判断した。 ● 資金の使途は、SPCに対する出資に限定される● 資金の返済額は、筆頭社債権者がSPCから受け取る金額に限定される加えて、ENECHANGEと社債権者は、SPCの社債(転換後の匿名組合出資持分)を売り渡すことができるプット・オプションを含むオプション契約を締結している。 当該プット・オプションが行使された場合、ENECHANGEは実質的にSPCに対する投資額の回収を保証することになる。 また、以下の事実が判明した。 ● 契約上の文言にかかわらず、社債引受後3年目にENECHANGEが社債引受額で筆頭社債権者からSPCの社債(転換後の匿名組合出資持分)を買い取ることが、実質的な合意事項として、ENECHANGEの執行役員から筆頭社債権者に対して電子メールで伝達されていた更には、SPCがENECHANGEの子会社となる場合、ENECHANGEはSPCのリース債務について連帯責任を負う旨の債務保証契約をSPCのリース債権者と締結している。 これらの事実を踏まえ、ENECHANGEは、SPCの資金調達額の全額がオプション契約及び債務保証契約を通じて実質的にENECHANGEにより保証されていると判断した。 (2) SPCの損益の帰属状況についてSPCの損益は社債権者に社債利息として支払われた後、唯一の社員である一般社団法人EV充電インフラに帰属することになる。 しかし、契約関係として以下の事実が存在していることから、ENECHANGEは、実質的にENECHANGEがSPCの事業から生ずる損失の概ね全額を負担することになると判断した。 ● プット・オプションの実行に伴いENECHANGEがSPCの社債(転換後の匿名組合出資持分)を取得するに際し、ENECHANGEがSPCで生じた損失を負担すること(3) SPCの業務執行の権限について SPCの業務執行は、形式上は唯一の社員である一般社団法人EV充電インフラが担っている。 しかし、以下の事実が存在していることから、ENECHANGEは、実質的にSPCの業務執行者はENECHANGEであると判断した。 ● 同一般社団法人は会計事務所により設立され、その職務執行は当該会計事務所が担っていることから、SPC自体による職務執行の実態に乏しいこと● SPCの事業であるEV充電器の売買及び設置などの運営に関する意思決定は、SPCの運営に関する基本契約書に基づき、実質的にENECHANGEグループが行っていることENECHANGEは、上記(1)~(3)の事実又は判断を総合的に勘案した結果、SPCを連結の範囲に含める必要があると判定した。 当該判定には、上記(1)~(3)を含む複雑な状況を踏まえた高度な判断が必要となる。 また、SPCを連結の範囲に含めるか否かは、連結財務諸表に重要な影響を及ぼす。 以上から、当監査法人は、EV充電インフラ1号合同会社に係る連結の範囲の妥当性の検討が当連結会計年度の連結財務諸表監査において特に重要であり、監査上の主要な検討事項の一つに該当すると判断した。 当監査法人は、SPCに係る連結の範囲の妥当性を検討するため、主に以下の監査手続を実施した。 (1) 連結の範囲の検討に影響を与え得る事項の把握 SPCに係る連結の範囲の検討に影響を与え得る事項を把握するため、監査上の主要な検討事項「経営者による内部統制の無効化リスクへの対応」に記載のENECHANGEが実施したデジタルフォレンジック調査の結果及び外部調査委員会による調査結果を通読した。 その上で、ENECHANGE及び外部調査委員会がそれぞれ実施したデジタルフォレンジック調査により抽出された関係者の電子メール及び外部調査委員会による関係者のヒアリングの議事録を閲覧した。 (2) SPCの資金調達状況の検討SPCの資金調達状況を検討するため、SPCの試算表を閲覧し、SPC設立以降の資金調達状況を把握した上で、以下の手続を実施した。 ● ENECHANGEの経営者によるSPCの筆頭社債権者に対する個人貸付の内容を検討するため、この個人貸付に係る金銭消費貸借契約書及び社債引受契約証書を閲覧した。 ● ENECHANGEの経営者の筆頭社債権者に対する個人貸付金の当連結会計年度末残高や資金使途が限定されていることなどの条件を確かめるため、筆頭社債権者に対して、金銭消費貸借契約書を提示の上、直接確認を行った。 ● ENECHANGEと筆頭社債権者が締結したオプション契約の内容を検討するため、匿名組合出資持分への転換に係る合意書及びオプション契約に係る関係者の電子メールを閲覧した。 ● ENECHANGEとリース債権者が締結した連帯保証契約の内容を検討するため、債務保証契約書を閲覧した。 (3) SPCの損益帰属状況の検討 SPCの損益帰属状況を検討するため、SPCの試算表を閲覧し、SPC設立以降の損益の発生状況並びに配当及び社債利息の支払状況を把握した上で、以下の手続を実施した。 ● SPCにおける主な損益の発生状況を確かめるため、以下の書類を閲覧した。 ・ 業務委託費についてはSPCとENECHANGEとの間で締結された運営に関する基本契約書・ リース料についてはリース契約書・ 社債利息については社債引受契約証書● SPCの社債利息が筆頭社債権者を通じてENECHANGEの経営者に支払われる約定となっていることを確かめるため、金銭消費貸借契約書を閲覧した。 ● ENECHANGEの経営者から筆頭社債権者に対する貸付金の当連結会計年度末の残高が関連当事者取引の注記に適切に開示されていることを検討するため、金銭消費貸借契約書、筆頭社債権者に対する確認状の回答及びENECHANGEの経営者から入手した関連当事者取引に係る調査票を閲覧した。 (4) SPCの業務執行権限の検討 SPCの業務執行の権限者を特定するため、SPCの定款を閲覧した上で、以下の手続を実施した。 ● 業務執行社員決定書及び運営に関する基本契約書を閲覧した。 ● SPCの重要な意思決定及び業務執行のプロセス及びその実態を、質問及びデジタルフォレンジック調査の結果の閲覧を通して確認した。 |
全体概要、監査上の主要な検討事項、連結 | 監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。 監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 当監査法人は、「継続企業の前提に関する重要な不確実性」に記載されている事項のほか、以下に記載した事項を監査報告書において監査上の主要な検討事項として報告すべき事項と判断している。 |
見出し、監査上の主要な検討事項、連結 | EV充電インフラ1号合同会社に係る連結の範囲の妥当性の検討 |
内容及び理由、監査上の主要な検討事項、連結 | ENECHANGE株式会社(以下「ENECHANGE」という。 )及び連結子会社(以下「ENECHANGEグループ」という。 )は、EV充電事業を営んでいる。 EV充電事業においては、EV充電器の所有及び運営等を目的とした特別目的会社であるEV充電インフラ1号合同会社(以下「SPC」という。 )を設立し取引を行っている。 SPCを連結の範囲に含めるか否かの判定においては、下記のとおり、(1)SPCの資金調達、 (2)損益帰属、(3)業務執行権限に関する複雑な仕組みを考慮する必要があり、連結財務諸表に与える金額的重要性も高いことから、慎重な対応が求められる。 ENECHANGEは、当第3四半期連結会計期間までSPCを連結の範囲に含めていなかった。 監査上の主要な検討事項「経営者による内部統制の無効化リスクへの対応」に記載のとおり、当監査法人は外部通報を契機として、ENECHANGEの経営者からSPCの社債権者への個人貸付等(下記(1)参照)を把握した。 また、ENECHANGEは当監査法人の要請に基づきデジタルフォレンジック調査を実施し、その後外部調査委員会による調査を実施した。 これらの調査の結果検出された事項を踏まえ、ENECHANGEは直接的にはSPCに出資していないものの、注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載のとおり、SPCを連結の範囲に含めることを決定し、SPCに係る連結の範囲の判定及びこれに関連する会計処理を訂正した。 SPCに係る連結の範囲の判定に影響を与える事項(1) SPCの資金調達の状況2023年12月末におけるSPCの社債(1,000百万円)の最大額の引受者(以下「筆頭社債権者」という。 )が、当該調達資金のうち700百万円を提供している。 ENECHANGEの緊密な者に該当するENECHANGEの経営者が、筆頭社債権者に対して以下の条件で個人貸付350百万円を行っていることから、実質的にENECHANGEの経営者によるSPCに対する融資に該当するとENECHANGEは判断した。 ● 資金の使途は、SPCに対する出資に限定される● 資金の返済額は、筆頭社債権者がSPCから受け取る金額に限定される加えて、ENECHANGEと社債権者は、SPCの社債(転換後の匿名組合出資持分)を売り渡すことができるプット・オプションを含むオプション契約を締結している。 当該プット・オプションが行使された場合、ENECHANGEは実質的にSPCに対する投資額の回収を保証することになる。 また、以下の事実が判明した。 ● 契約上の文言にかかわらず、社債引受後3年目にENECHANGEが社債引受額で筆頭社債権者からSPCの社債(転換後の匿名組合出資持分)を買い取ることが、実質的な合意事項として、ENECHANGEの執行役員から筆頭社債権者に対して電子メールで伝達されていた更には、SPCがENECHANGEの子会社となる場合、ENECHANGEはSPCのリース債務について連帯責任を負う旨の債務保証契約をSPCのリース債権者と締結している。 これらの事実を踏まえ、ENECHANGEは、SPCの資金調達額の全額がオプション契約及び債務保証契約を通じて実質的にENECHANGEにより保証されていると判断した。 (2) SPCの損益の帰属状況についてSPCの損益は社債権者に社債利息として支払われた後、唯一の社員である一般社団法人EV充電インフラに帰属することになる。 しかし、契約関係として以下の事実が存在していることから、ENECHANGEは、実質的にENECHANGEがSPCの事業から生ずる損失の概ね全額を負担することになると判断した。 ● プット・オプションの実行に伴いENECHANGEがSPCの社債(転換後の匿名組合出資持分)を取得するに際し、ENECHANGEがSPCで生じた損失を負担すること(3) SPCの業務執行の権限について SPCの業務執行は、形式上は唯一の社員である一般社団法人EV充電インフラが担っている。 しかし、以下の事実が存在していることから、ENECHANGEは、実質的にSPCの業務執行者はENECHANGEであると判断した。 ● 同一般社団法人は会計事務所により設立され、その職務執行は当該会計事務所が担っていることから、SPC自体による職務執行の実態に乏しいこと● SPCの事業であるEV充電器の売買及び設置などの運営に関する意思決定は、SPCの運営に関する基本契約書に基づき、実質的にENECHANGEグループが行っていることENECHANGEは、上記(1)~(3)の事実又は判断を総合的に勘案した結果、SPCを連結の範囲に含める必要があると判定した。 当該判定には、上記(1)~(3)を含む複雑な状況を踏まえた高度な判断が必要となる。 また、SPCを連結の範囲に含めるか否かは、連結財務諸表に重要な影響を及ぼす。 以上から、当監査法人は、EV充電インフラ1号合同会社に係る連結の範囲の妥当性の検討が当連結会計年度の連結財務諸表監査において特に重要であり、監査上の主要な検討事項の一つに該当すると判断した。 |
開示への参照、監査上の主要な検討事項、連結 | 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) |
監査上の対応、監査上の主要な検討事項、連結 | 当監査法人は、SPCに係る連結の範囲の妥当性を検討するため、主に以下の監査手続を実施した。 (1) 連結の範囲の検討に影響を与え得る事項の把握 SPCに係る連結の範囲の検討に影響を与え得る事項を把握するため、監査上の主要な検討事項「経営者による内部統制の無効化リスクへの対応」に記載のENECHANGEが実施したデジタルフォレンジック調査の結果及び外部調査委員会による調査結果を通読した。 その上で、ENECHANGE及び外部調査委員会がそれぞれ実施したデジタルフォレンジック調査により抽出された関係者の電子メール及び外部調査委員会による関係者のヒアリングの議事録を閲覧した。 (2) SPCの資金調達状況の検討SPCの資金調達状況を検討するため、SPCの試算表を閲覧し、SPC設立以降の資金調達状況を把握した上で、以下の手続を実施した。 ● ENECHANGEの経営者によるSPCの筆頭社債権者に対する個人貸付の内容を検討するため、この個人貸付に係る金銭消費貸借契約書及び社債引受契約証書を閲覧した。 ● ENECHANGEの経営者の筆頭社債権者に対する個人貸付金の当連結会計年度末残高や資金使途が限定されていることなどの条件を確かめるため、筆頭社債権者に対して、金銭消費貸借契約書を提示の上、直接確認を行った。 ● ENECHANGEと筆頭社債権者が締結したオプション契約の内容を検討するため、匿名組合出資持分への転換に係る合意書及びオプション契約に係る関係者の電子メールを閲覧した。 ● ENECHANGEとリース債権者が締結した連帯保証契約の内容を検討するため、債務保証契約書を閲覧した。 (3) SPCの損益帰属状況の検討 SPCの損益帰属状況を検討するため、SPCの試算表を閲覧し、SPC設立以降の損益の発生状況並びに配当及び社債利息の支払状況を把握した上で、以下の手続を実施した。 ● SPCにおける主な損益の発生状況を確かめるため、以下の書類を閲覧した。 ・ 業務委託費についてはSPCとENECHANGEとの間で締結された運営に関する基本契約書・ リース料についてはリース契約書・ 社債利息については社債引受契約証書● SPCの社債利息が筆頭社債権者を通じてENECHANGEの経営者に支払われる約定となっていることを確かめるため、金銭消費貸借契約書を閲覧した。 ● ENECHANGEの経営者から筆頭社債権者に対する貸付金の当連結会計年度末の残高が関連当事者取引の注記に適切に開示されていることを検討するため、金銭消費貸借契約書、筆頭社債権者に対する確認状の回答及びENECHANGEの経営者から入手した関連当事者取引に係る調査票を閲覧した。 (4) SPCの業務執行権限の検討 SPCの業務執行の権限者を特定するため、SPCの定款を閲覧した上で、以下の手続を実施した。 ● 業務執行社員決定書及び運営に関する基本契約書を閲覧した。 ● SPCの重要な意思決定及び業務執行のプロセス及びその実態を、質問及びデジタルフォレンジック調査の結果の閲覧を通して確認した。 |
その他の記載内容、連結 | その他の記載内容 その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。 経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。 また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 当監査法人の連結財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。 連結財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と連結財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 |
Audit1
監査法人1、個別 | 有限責任 あずさ監査法人 |
独立監査人の報告書、個別 | 独立監査人の監査報告書 2024年7月9日ENECHANGE株式会社 取締役会 御中 有限責任 あずさ監査法人 東京事務所 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士杉 山 正 樹 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士寺 出 俊 也<財務諸表監査>監査意見当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられているENECHANGE株式会社の2023年1月1日から2023年12月31日までの第9期事業年度の財務諸表、すなわち、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、重要な会計方針、その他の注記及び附属明細表について監査を行った。 当監査法人は、上記の財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、ENECHANGE株式会社の2023年12月31日現在の財政状態及び同日をもって終了する事業年度の経営成績を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。 監査意見の根拠 当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。 監査の基準における当監査法人の責任は、「財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。 当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。 当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。 継続企業の前提に関する重要な不確実性 注記事項(継続企業の前提に関する事項)に記載されているとおり、会社は、当事業年度まで2期連続で営業損失、3期連続で経常損失及び5期連続で当期純損失を計上し、当事業年度において重要な営業損失792,237千円、経常損失650,012千円及び当期純損失3,106,575千円を計上している。 また、一部の取引金融機関からの借入については、現時点では期限の利益喪失に関わる条項を適用する旨の通知を受けていないものの、財務制限条項に抵触している。 加えて、外部調査委員会の調査報告書が公表された結果、利害関係者との関係性の悪化や会社のブランド力の毀損が生じる可能性がある。 これらの事象又は状況は、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に該当し、現時点では継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる。 なお、当該状況に対する対応策及び重要な不確実性が認められる理由については当該注記に記載されている。 財務諸表は継続企業を前提として作成されており、このような重要な不確実性の影響は財務諸表に反映されていない。 当該事項は、当監査法人の意見に影響を及ぼすものではない。 強調事項1.注記事項(重要な後発事象)(第三者割当増資による新株式の発行)に記載されているとおり、会社は、2024年2月9日開催の取締役会において、第三者割当による新株式の発行を決議し、2024年2月26日に払込が完了している。 2.注記事項(重要な後発事象)(一部借入金の任意早期弁済)に記載されているとおり、会社は、2024年7月8日に一部の取引金融機関からの借入金の任意早期弁済を行っている。 当該事項は、当監査法人の意見に影響を及ぼすものではない。 監査上の主要な検討事項 監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。 監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 当監査法人は、「継続企業の前提に関する重要な不確実性」に記載されている事項のほか、以下に記載した事項を監査報告書において監査上の主要な検討事項として報告すべき事項と判断している。 経営者による内部統制の無効化リスクへの対応 個別財務諸表の監査報告書で記載すべき監査上の主要な検討事項「経営者による内部統制の無効化リスクへの対応」は、連結財務諸表の監査報告書に記載されている監査上の主要な検討事項「経営者による内部統制の無効化リスクへの対応」の「監査上の対応」に記載している連結財務諸表監査に特有の対応(SPCに係る連結の範囲の判定、売上取引の経済合理性及び実在性の評価のうちEV充電器販売に係る売上高についての検討、及び重要な会計上の見積りのうち連結上ののれんの評価)を除き、実質的に同一の内容である。 このため、財務諸表の監査報告書ではこれに関する記載を省略している。 その他の記載内容 その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。 経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。 また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 当監査法人の財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。 財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 財務諸表に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して財務諸表を作成し適正に表示することにある。 これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。 財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。 監査役及び監査役会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 財務諸表監査における監査人の責任監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から財務諸表に対する意見を表明することにある。 虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。 監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。 ・ 不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。 また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。 監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。 さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。 ・ 財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。 ・ 経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。 ・ 経営者が継続企業を前提として財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。 継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する財務諸表の注記事項が適切でない場合は、財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。 監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。 ・ 財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた財務諸表の表示、構成及び内容、並びに財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。 監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。 監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。 監査人は、監査役及び監査役会と協議した事項のうち、当事業年度の財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。 ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。 <報酬関連情報>報酬関連情報は、連結財務諸表の監査報告書に記載されている。 利害関係会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。 以 上 (注)1.上記の監査報告書の原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。 2.XBRLデータは監査の対象には含まれていません。 |
監査上の主要な検討事項、個別 | 監査上の主要な検討事項 監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。 監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 当監査法人は、「継続企業の前提に関する重要な不確実性」に記載されている事項のほか、以下に記載した事項を監査報告書において監査上の主要な検討事項として報告すべき事項と判断している。 経営者による内部統制の無効化リスクへの対応 個別財務諸表の監査報告書で記載すべき監査上の主要な検討事項「経営者による内部統制の無効化リスクへの対応」は、連結財務諸表の監査報告書に記載されている監査上の主要な検討事項「経営者による内部統制の無効化リスクへの対応」の「監査上の対応」に記載している連結財務諸表監査に特有の対応(SPCに係る連結の範囲の判定、売上取引の経済合理性及び実在性の評価のうちEV充電器販売に係る売上高についての検討、及び重要な会計上の見積りのうち連結上ののれんの評価)を除き、実質的に同一の内容である。 このため、財務諸表の監査報告書ではこれに関する記載を省略している。 |
全体概要、監査上の主要な検討事項、個別 | 監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。 監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 当監査法人は、「継続企業の前提に関する重要な不確実性」に記載されている事項のほか、以下に記載した事項を監査報告書において監査上の主要な検討事項として報告すべき事項と判断している。 |
見出し、監査上の主要な検討事項、個別 | 経営者による内部統制の無効化リスクへの対応 |
連結と同一内容である旨、監査上の主要な検討事項、個別 | 個別財務諸表の監査報告書で記載すべき監査上の主要な検討事項「経営者による内部統制の無効化リスクへの対応」は、連結財務諸表の監査報告書に記載されている監査上の主要な検討事項「経営者による内部統制の無効化リスクへの対応」の「監査上の対応」に記載している連結財務諸表監査に特有の対応(SPCに係る連結の範囲の判定、売上取引の経済合理性及び実在性の評価のうちEV充電器販売に係る売上高についての検討、及び重要な会計上の見積りのうち連結上ののれんの評価)を除き、実質的に同一の内容である。 このため、財務諸表の監査報告書ではこれに関する記載を省略している。 |
その他の記載内容、個別 | その他の記載内容 その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。 経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。 また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 当監査法人の財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。 財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 |
BS資産
商品及び製品 | 5,908,000 |
未収入金 | 192,380,000 |
その他、流動資産 | 1,992,000 |
工具、器具及び備品(純額) | 14,479,000 |
有形固定資産 | 14,479,000 |
ソフトウエア | 202,239,000 |
無形固定資産 | 560,801,000 |
投資有価証券 | 182,130,000 |
投資その他の資産 | 2,958,487,000 |
BS負債、資本
短期借入金 | 777,155,000 |