財務諸表

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提出書類、表紙有価証券報告書
提出日、表紙2024-06-28
英訳名、表紙NISSAN MOTOR CO., LTD.
代表者の役職氏名、表紙代表執行役社長兼最高経営責任者  内田 誠
本店の所在の場所、表紙横浜市神奈川区宝町2番地
電話番号、本店の所在の場所、表紙045(523)5523(代)
様式、DEI第三号様式
会計基準、DEIJapan GAAP
連結決算の有無、DEItrue
当会計期間の種類、DEIFY

corp

沿革 2 【沿革】
年月沿   革1933年12月「日本産業㈱」と「戸畑鋳物㈱」の共同出資により、「自動車製造㈱」として資本金10百万円をもって、横浜市神奈川区宝町に設立1934年5月横浜工場完成1934年6月社名を「日産自動車㈱」と改称1935年4月横浜工場で一貫生産による第一号車オフライン1943年8月富士工場(旧:吉原工場)完成1944年9月社名を「日産重工業㈱」と改称、本社事務所を東京日本橋に移転1946年1月本社事務所を再び横浜市神奈川区宝町に移転1949年8月社名を「日産自動車㈱」に復帰1951年1月東京証券取引所上場1951年5月「新日国工業㈱」(現、「日産車体㈱」・連結子会社)に資本参加1958年5月乗用車の対米輸出開始1960年9月「米国日産自動車会社」設立1961年9月メキシコ、メキシコ市に「丸紅飯田㈱」(現、「丸紅㈱」)との合弁会社「メキシコ日産自動車会社」を設立(現、連結子会社)1962年3月追浜工場完成1965年3月「愛知機械工業㈱」に資本参加(現、連結子会社)1965年5月座間工場完成1966年8月「プリンス自動車工業㈱」と合併、これに伴い村山工場等が当社に帰属1967年7月本牧埠頭(輸出専用基地)完成1968年1月本社事務所、東京銀座の新社屋に移転1971年3月栃木工場完成1973年10月相模原部品センター完成1977年6月九州工場完成1980年1月スペイン「モトール・イベリカ会社」(現、「日産モトール・イベリカ会社」・連結子会社)に資本参加1980年7月「米国日産自動車製造会社」設立1981年11月テクニカルセンター完成1981年11月「米国日産販売金融会社」設立(現、連結子会社)1982年11月メキシコ日産自動車会社、アグアスカリエンテス工場完成1984年2月「英国日産自動車製造会社」設立(現、連結子会社)1984年11月追浜専用埠頭完成1989年4月「欧州日産会社」設立1990年1月(旧)「北米日産会社」設立 年月沿   革1991年5月苅田専用埠頭完成1994年1月いわき工場完成1994年4月北米事業組織を再編し、「北米日産会社」を新規設立(現、連結子会社)1994年10月中東地域における地域統括会社「中東日産会社」を設立(現、連結子会社)1995年3月座間工場車両生産中止1998年12月「北米日産会社」、「米国日産自動車会社」を合併1999年3月フランス「ルノー」と資本参加を含む自動車事業全般にわたる提携契約締結(現、持分法適用関連会社)1999年7月富士工場関係の営業を「トランステクノロジー㈱」へ譲渡。
同社は、同年に「ジャトコ㈱」と合併し、「ジヤトコ・トランステクノロジー㈱」(現、「ジヤトコ㈱」・連結子会社)と社名変更2000年4月「北米日産会社」、「米国日産自動車製造会社」を合併2001年3月村山工場車両生産中止2002年3月ルノーが当社株式保有比率を44.4%に引き上げ2002年3月日産ファイナンス㈱(現、連結子会社)を通じてルノーへ資本参加2002年3月ルノーとの共同運営会社「ルノー・日産会社」設立2002年8月欧州事業再編の為、欧州日産自動車会社を設立(現、連結子会社)2003年3月欧州日産会社を清算2003年5月北米日産会社、キャントン工場完成2003年7月東風汽車有限公司事業開始(現、持分法適用関連会社)2004年4月サイアムニッサンオートモービル社の第三者割当増資を引き受け子会社化(現、「タイ日産自動車会社」・連結子会社)2004年5月東風汽車有限公司、花都工場完成2005年1月カルソニックカンセイ(株)の第三者割当増資を引き受け、同社を子会社化2007年12月ルノー日産オートモーティブインディア社設立(現、連結子会社)2008年1月日産インターナショナル社、欧州地域の生産・販売等の統括業務開始(現、連結子会社)2009年8月本社事務所を横浜市のグローバル本社に移転2010年4月ルノー及びダイムラーAGと資本参加を含む戦略的協力に関する提携契約締結2011年7月アセアン地域における地域統括会社「アジア・パシフィック日産自動車会社」を設立(現、連結子会社)2011年8月九州工場を母体とした「日産自動車九州(株)」を設立(現、連結子会社)2013年11月メキシコ日産自動車会社、アグアスカリエンテス第2工場完成(現、連結子会社)2014年4月ブラジル日産自動車会社、レゼンデ工場完成(現、連結子会社)2014年5月インドネシア日産自動車会社、プルワカルタ第2工場完成(現、連結子会社)  年月沿   革2016年5月三菱自動車工業(株)と資本参加を含む戦略的協力に関する提携契約締結2016年10月三菱自動車工業(株)の第三者割当増資を引き受け、同社へ資本参加(現、持分法適用関連会社)2017年3月カルソニックカンセイ(株)の株式の公開買付が成立し、保有する全株式をCKホールディングス(株)に売却2017年6月三菱自動車工業(株)との合弁会社「Nissan-Mitsubishi B.V.」を設立(現、持分法適用関連会社)2018年7月アルゼンチン日産社、サンタ・イザベル工場完成(現、連結子会社)2019年6月指名委員会等設置会社に移行2021年10月欧州地域の販売の統括業務を日産インターナショナル社から欧州日産自動車会社に移管2022年4月東京証券取引所の市場区分の見直しにより、東京証券取引所の市場第一部からプライム市場に移行2023年7月ルノーと資本参加を含む自動車事業全般にわたる提携契約「新アライアンス契約」を締結2023年11月ルノーと資本参加を含む自動車事業全般にわたる提携契約「第1次改訂新アライアンス契約」を締結
事業の内容 3 【事業の内容】
当社グループは当社と当社の子会社、関連会社及び当社のその他の関係会社で構成され、自動車及び部品の製造と販売を主な事業内容とし、さらに上記事業における販売活動を支援するために販売金融事業を行っている。
当社グループは世界的な本社機能として「グローバル日産本社」を設置し、各事業への資源配分を決定するとともに、グループ全体の事業を管理している。
また、当社グループは4つの地域のマネジメント・コミッティによる地域管理と研究・開発、購買、生産といった機能軸による地域を越えた活動を有機的に統合した組織(グローバル日産グループ)により運営されている。
当社グループの構成図は以下のとおりである。
 * 連結子会社** 持分法適用会社 ・上記の他に*日産トレーデイング㈱、*日産ネットワークホールディングス㈱他の関係会社がある。
・また上記のうち、国内証券市場に上場している連結子会社は以下のとおりである。
 日産車体㈱…東京
関係会社の状況 4 【関係会社の状況】
(1) 連結子会社 会社名住所資本金(百万円)主要な事業の内容議決権の所有(又は被所有)割合関係内容役員の兼任等貸付金(百万円)営業上の取引設備の賃貸借所有割合(%)(間接所有)(%)転籍(名)兼任(名)出向(名)#☆日産車体㈱神奈川県平塚市7,905自動車及び部品製造・販売50.01―3――なし当社製品の製造委託土地建物を相互に賃貸借日産自動車九州㈱福岡県京都郡苅田町10自動車及び部品製造受託100.00―122なし当社製品の製造委託当社所有の土地建物、製造用設備等を賃借愛知機械工業㈱名古屋市熱田区8,518自動車部品製造・販売100.00―51―なし自動車用部品の購入なしジヤトコ㈱静岡県富士市29,935自動車部品製造・販売74.96―6――なし自動車用部品の購入当社所有の土地建物、製造用設備を賃借日産工機㈱神奈川県高座郡寒川町2,020自動車部品製造・販売97.73―4――なし自動車用部品の購入なし日産グループファイナンス㈱横浜市西区90グループ会社向け金融100.00(100.00)―5―なし当社の国内子会社への貸付当社所有の建物を賃借日産トレーデイング㈱横浜市戸塚区320自動車・部品その他の輸出入及び販売100.00―21―なし当社の部品輸入代行業なし♯㈱日産フィナンシャルサービス千葉市美浜区16,388小売金融及び卸売金融並びに自動車賃貸100.00―222なし当社製品の販売金融の為の貸付等当社に対して社用車を賃貸日産モータースポーツ&カスタマイズ㈱神奈川県茅ヶ崎市480特装を含む少量限定生産車の開発・製造・販売並びにモータースポーツ事業100.00―25―なし当社製品の販売先当社所有の土地建物を賃借日産ネットワークホールディングス㈱横浜市西区90国内販売ネットワークの事業管理並びに不動産の所有・賃貸借及び管理受託100.00(7.68)23―なし不動産の賃貸及び管理受託当社に対して厚生施設用土地建物を賃貸日産ファイナンス㈱横浜市西区2,491グループ会社向け金融100.00――5―運転資金の融資195,000当社の国内子会社への融資の為の貸付なし神奈川日産自動車㈱横浜市西区90自動車及び部品販売100.00(100.00)31―なし当社製品の販売先なし日産自動車販売㈱東京都港区480自動車及び部品販売100.00―311なし当社製品の販売先なし日産部品中央販売㈱東京都大田区545自動車補修部品の販売84.05(37.81)61―なし自動車補修部品の販売先なし㈱日産カーレンタルソリューション横浜市西区90レンタカー事業100.00(100.00)131なしレンタカー事業用の車両を販売なし    その他国内連結子会社 80社      国内連結子会社計 95社 会社名住所資本金主要な事業の内容議決権の所有(又は被所有)割合関係内容役員の兼任等貸付金(百万円)営業上の取引設備の賃貸借所有割合(%)(間接所有)(%)転籍(名)兼任(名)出向(名)☆欧州日産自動車会社フランスイヴリーヌ県モンティニー=ル=ブルトンヌー百万EURO.1,626欧州内子会社の持株会社及び欧州における業務支援・販売の統括100.00(48.00)―――なし当社製品の販売先なし☆ニッサンインターナショナルホールディングビーブイオランダアムステルダム市百万EURO.1,932子会社の持株会社100.00――1―運転資金の融資187,831なしなし英国日産自動車会社イギリスハートフォードシャー州リックマンズワース市百万£stg.136自動車及び部品販売100.00(100.00)―――なし当社製品の販売先なし☆日産英国持株会社イギリスタイン・アンド・ウィア州サンダーランド市百万EURO.871英国内子会社の持株会社100.00(100.00)―――なしなしなし英国日産自動車製造会社イギリスタイン・アンド・ウィア州サンダーランド市百万£stg.250自動車及び部品製造・販売並びに欧州における車両開発・技術調査・車両評価・認証業務及び製品保証管理100.00(100.00)―――なし当社製品の販売先なし◇日産インターナショナル社スイスヴォー州ロール県百万EURO.37欧州における業務支援100.00――――なし当社製品の販売先なし☆◎北米日産会社アメリカテネシー州フランクリン市百万US$0北米における子会社の統括並びに自動車及び部品製造・販売100.00――1―運転資金の融資408,807当社製品の販売先なし☆米国日産販売金融会社アメリカテネシー州フランクリン市百万US$0小売金融及び卸売金融並びに自動車賃貸100.00(100.00)―2―運転資金の融資40,000当社製品の販売金融の為の貸付等なしニッサングローバルリインシュランス社バミューダハミルトン市千US$120損害保険業100.00(100.00)―2―なし損害保険の提供なしカナダ日産自動車会社カナダオンタリオ州ミシソーガ市百万Can$81自動車及び部品販売並びに小売金融・卸売金融・自動車賃貸100.00(9.09)―――なし当社製品の販売先なし☆メキシコ日産自動車会社メキシコメキシコ市百万MX.Peso17,049自動車及び部品製造・販売100.00(100.00)―21なし当社製品の販売先なし☆ブラジル日産自動車会社ブラジルリオデジャネイロ州リオデジャネイロ市百万BRL.7,115自動車及び部品製造・販売100.00(99.00)――1なし当社製品の販売先なし 会社名住所資本金主要な事業の内容議決権の所有(又は被所有)割合関係内容役員の兼任等貸付金(百万円)営業上の取引設備の賃貸借所有割合(%)(間接所有)(%)転籍(名)兼任(名)出向(名)豪州日産自動車会社オーストラリアビクトリア州モルグレイブ百万A$290自動車及び部品販売100.00(100.00)―――なし当社製品の販売先なし日産エジプトモーターエジプトギザ県シックスオブオクトーバ市百万EGP.3,544自動車及び部品製造・販売100.00(0.00)―――なし当社製品の販売先なし◇日産サウスアフリカ会社南アフリカロスリン百万Rand3自動車及び部品製造・販売100.00(100.00)―――運転資金の融資37,600当社製品の販売先なし日産ニュージーランド社ニュージーランドオークランド市百万NZ$51自動車及び部品販売100.00――――なし当社製品の販売先なし中東日産会社アラブ首長国連邦ドバイ百万Dh.2中東地域における事業の統括、並びに自動車及び部品の販売100.00――1―なし当社製品の販売先なしインド日産自動車インドカーンチプラム県オラガダム百万INR18,900自動車及び部品販売100.00(100.00)1――なし当社製品の販売先なし☆ルノー日産オートモーティブインディア社インドカーンチプラム県オラガダム百万INR57,732自動車及び部品製造・販売51.00(26.00)―――なし当社製品の販売先なし◇インドネシア日産自動車会社インドネシアプルワカルタ県コタ・ブキット・インダ百万IDR2,592,390自動車販売75.00―――1運転資金の融資21,046当社製品の販売先なしタイ日産自動車会社タイサムットプラカーン県バンサソーン市百万THB1,944自動車及び部品製造・販売75.00(75.00)――3なし当社製品の販売先及び完成車両の購入先なし※裕隆日産汽車股份有限公司中華民国苗栗県三義郷百万TWD3,000自動車及び部品販売40.00――13なし当社製品の販売先なし☆日産(中国)投資有限公司中華人民共和国北京市百万中国元8,476中国事業の統括、自動車及び部品販売100.00――6―なし当社製品の販売先なしアジア・パシフィック日産自動車会社タイサムットプラカーン県バンサソーン市百万THB409業務支援並びに自動車及び部品・販売100.00――22なし当社製品の販売先なしチリ日産自動車会社チリ共和国サンティアゴ市百万CLP38,153自動車及び部品販売100.00――1―運転資金の融資6,052当社製品の販売先なしトルコ日産自動車会社トルコ共和国イスタンブール県百万TRY419自動車及び部品販売100.00(100.00)―――なし当社製品の販売先なし◇アルゼンチン日産社アルゼンチンブエノスアイレス市百万ARS26,594自動車及び部品製造・販売100.00(98.00)―――なし当社製品の販売先なし    その他在外連結子会社 111社      在外連結子会社計 138社       連結子会社合計 233社
(2) 持分法適用関連会社 会社名住所資本金主要な事業の内容議決権の所有(又は被所有)割合関係内容役員の兼任等貸付金(百万円)営業上の取引設備の賃貸借所有割合(%)(間接所有)(%)転籍(名)兼任(名)出向(名)♯日産東京販売ホールディングス㈱東京都品川区百万円13,752自動車及び部品販売34.04(34.04)11―なし当社製品の販売先なし♯注6ルノーフランスブローニュ=ビヤンクール百万EURO.1,127自動車及び部品製造・販売15.27(15.27)―2―なし車両・部品の相互供給・共同開発なし東風汽車有限公司中華人民共和国湖北省武漢市百万中国元16,700自動車及び部品製造・販売50.00(50.00)―4―なし当社製品の販売先なし♯三菱自動車工業㈱東京都港区百万円284,382自動車及び部品製造・販売34.01――3―なし車両・部品の相互供給・共同開発土地建物、製造用設備を相互に賃貸借    その他持分法適用関連会社 35社      持分法適用関連会社計 39社
(注) 1 上記のうち、会社名欄の☆印の会社は特定子会社である。
2 上記のうち、会社名欄の♯印の会社は有価証券届出書又は、有価証券報告書の提出会社である。
3 上記のうち、会社名欄の◎印の会社については、売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く。
)の連結売上高に占める割合が10%を超えているため、主要な損益情報等を下記に記載している。
なお、北米日産会社は同社の子会社、関連会社20社を連結した数値である。
また、提出日時点で単体の財務書類を作成していない当該会社の損益情報等については、当社の連結財務諸表作成のために入手している財務情報を基に算出している。
主要な損益情報等(1)売上高5,543,994百万円 (2)経常利益181,540百万円 (3)当期純利益89,988百万円 (4)純資産額1,263,523百万円 (5)総資産額7,286,804百万円 4 上記のうち、会社名欄の※印の会社に対する提出会社の議決権の所有割合(間接所有を含む)は100分の50以下であるが、実質的に支配しているため子会社としたものである。
5 上記のうち、会社名欄の◇印の会社は重要な債務超過会社である。
2024年3月末時点で債務超過の金額は、日産インターナショナル社24,014百万円、日産サウスアフリカ社14,401百万円、インドネシア日産自動車会社19,466百万円、アルゼンチン日産社が15,539百万円である。
なお、提出日時点で単体の財務書類を作成していない在外連結子会社の債務超過額については、当社の連結財務諸表作成のために入手している当該会社の財務情報を基に算出している。
6 2023年11月8日にルノーが保有する提出会社株式の一部がフランスの信託会社に信託され、提出会社とルノーとの間で締結した改訂新アライアンス契約の法的効力が発効したことにより、第2 [事業の内容]の5 [経営上の重要な契約等]に記載のとおり、当社グループは行使可能な総議決権数の15%を上限として自由にルノーに対する議決権の行使が可能となった(上記表中の比率は、議決権比率ではなく自己株式を除く発行済株式総数に占める所有比率である)。
また、現在ルノーの取締役のうち2名は提出会社の推薦を受けて選任された取締役である。
以上より、提出会社は引き続きルノーの財務及び経営又は事業の方針の決定に関する影響力を行使できることから関連会社とし、持分法を適用している。
ルノー及びルノーが受益者となる信託は、2024年3月31日時点において提出会社の発行済株式総数(自己株式を除く)のそれぞれ15.9%及び24.8%所有しており、また現在当社の取締役のうち2名はルノーの推薦を受けて選任された取締役であることから、その他の関係会社にも該当する。
従業員の状況 5 【従業員の状況】
(1) 連結会社の状況2024年3月31日現在所在地の名称従業員数(人)日本 60,468(15,248)北米 40,262(310) 内、米国16,849(―)欧州 9,999(693)アジア 16,958(48)その他 5,893(250)計133,580(16,549)
(注) 1 従業員数は就業人員であり、臨時従業員は( )内に年間の平均人員を外数で表示している。
2 上記のうち、販売金融事業の従業員数は4,811(193)人である。

(2) 提出会社の状況2024年3月31日現在従業員数(人)平均年齢(歳)平均勤続年数(年)平均年間給与(円)24,034(4,984)41.215.08,771,496
(注) 1 従業員数は就業人員であり、臨時従業員は( )内に年間の平均人員を外数で表示している。
2 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含む。
3 上記は全て、自動車事業の従業員である。
(3) 労働組合の状況当社従業員は日産自動車労働組合に加入し、同組合は全日産・一般業種労働組合連合会を上部団体とし、全日本自動車産業労働組合総連合会を通じ、日本労働組合総連合会に加盟している。
労使関係は安定しており、2024年3月末現在の組合員総数は日産自動車九州株式会社を含め26,531名である。
なお、国内のグループ各社においては大半の企業で会社別労働組合が存在し、全日産・一般業種労働組合連合会を上部団体としている。
また、海外のグループ各社では、各国の労働法・労働環境に即して、従業員の労働組合選択の権利を尊重している。
(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異① 提出会社当事業年度管理職に占める女性労働者の割合(%)(注1)男性労働者の育児休業取得率(%)(注2)労働者の男女の賃金の差異(%)(注3)全労働者うち正規雇用労働者うち非正規雇用労働者10.751.482.579.081.6
(注) 1 管理職に占める女性労働者の割合は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものである。
また、出向者は出向先の従業員として算出している。
2 男性の育児休業等取得率は、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を示したものである。
また、出向者は出向先の従業員として算出している。
3 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものである。
また、出向者は出向元会社の従業員として算出している。
男女の賃金の差異は、給与・手当・賞与を含めた総支給額を対象者の人数で除し平均を算出のうえ、男性の平均賃金を100としたときの女性の平均賃金の割合を示している。
管理職比率など男女間に構成の違いがあることで1名当たり賃金に差が出ているが、賃金制度・体系において性別による処遇差は一切ない。
② 主要な連結子会社(国内)当事業年度会社名管理職に占める女性労働者の割合(%)(注1)男性労働者の育児休業取得率(%)(注2)労働者の男女の賃金の差異(%)(注3)全労働者うち正規雇用労働者うち非正規雇用労働者日産車体㈱5.667.778.077.183.3日産自動車九州㈱―6.474.769.398.3愛知機械工業㈱1.266.776.669.199.9ジヤトコ㈱4.933.376.573.887.1日産工機㈱―50.063.671.733.9日産トレーデイング㈱15.680.066.067.744.9㈱日産フィナンシャルサービス9.133.375.569.481.5日産モータースポーツ&カスタマイズ㈱6.583.373.675.358.5神奈川日産自動車㈱2.6―73.672.368.2日産自動車販売㈱2.7100.077.674.055.0日産部品中央販売㈱――76.274.174.4㈱日産カーレンタルソリューション3.5100.0101.968.398.6
(注) 1 管理職に占める女性労働者の割合は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものである。
また、出向者は出向先の従業員として算出している。
2 男性の育児休業等取得率は、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を示したものである。
また、出向者は出向先の従業員として算出している。
3 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものである。
また、出向者は出向元会社の従業員として算出している。
男女の賃金の差異は、給与・手当・賞与を含めた総支給額を対象者の人数で除し平均を算出のうえ、男性の平均賃金を100としたときの女性の平均賃金の割合を示している。
管理職比率など男女間に構成の違いがあることで1名当たり賃金に差が出ているが、賃金制度・体系において性別による処遇差は一切ない。
4 連結子会社のうち主要な連結子会社以外のものについては、「第7[提出会社の参考情報]2[その他の参考情報]
(2) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」に記載している。
経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
(1) 経営方針及び経営戦略等当社グループは、「人々の生活を豊かに。
イノベーションをドライブし続ける。
」というコーポレートパーパスを定めた。
これは長年にわたり掲げてきた企業ビジョン「人々の生活を豊かに」を踏まえ、創業以来大切にしてきた“他がやらぬことをやる”という精神を引き継ぎながら、日産は何のために存在するか、どのように役割を果たすのか、企業としての存在意義を明確化したものである。
そして、サプライヤーや販売会社の皆様との関係をさらに強化し、共にビジネスモデルを発展させていく。
グローバルなあらゆる事業活動を通じて企業として成長し、経済的に貢献すると同時に、世界をリードする自動車メーカーとして、社会が直面する課題の解決に貢献することも私たちの使命である。
日産は、お客さま、株主、従業員、地域社会などすべてのステークホルダーを大切に思い、将来にわたって価値ある持続可能なモビリティの提供に努める。
さらに、持続可能な社会の発展に貢献し、「ゼロ・エミッション」「ゼロ・フェイタリティ」社会を目指し、2050年までに事業活動を含むクルマのライフサイクル全体におけるカーボンニュートラルを実現することを目標としている。
この目標に向け、2021年11月には、長期ビジョン「Nissan Ambition 2030」を発表し、2030年度に向けて、当社が進むべき道を示した。
さらに、2024年3月に、自社の価値と競争力を向上させる新たな経営計画「The Arc」を発表した。
当社は新型車の積極的な投入、電動化の推進、開発・生産方式の革新、新技術の採用や戦略的パートナーシップなどで構成される本計画により、販売台数の増加と収益性の向上を目指す。
本計画は、2020年度から2023年度にかけて実行した事業構造改革「Nissan NEXT」と長期ビジョン「Nissan Ambition 2030」の架け橋となるもので、2024年度から2026年度までの中期の取り組みと、2030年度までの中長期の取り組みから構成されている。
中期の取り組みとしては、地域毎に最適化した戦略を通じて販売台数を拡大し、電動車両とエンジンを主動力源とするICE車のバランスの取れたポートフォリオ、主要市場での販売増、財務規律の徹底によって、事業基盤を堅固なものとする。
続いて、中長期的には、電動化を加速させ、パートナーシップや新たな収益機会を活用しながら最終的な目標達成に向けて取り組む。
そして、2026年度末までに年間販売台数を100万台増加させ、営業利益率は2026年度までに6%以上、2030年度には8%を目指す。
<バランスの取れた商品ポートフォリオ>当社は今後3年間で30車種の新型車を投入するが、そのうち16車種を電動車両、14車種をICE車とし、バランスの取れたポートフォリオで多様なお客さまのニーズと市場毎に異なる電動化のペースに対応する。
2024年度から2030年度の間には、計34車種の電動車両を投入してすべてのセグメントをカバーし、グローバル全体における電動車両のモデルミックスは2026年度に40%、2030年度には60%になる見込みである。
<市場毎に最適化された戦略>主要市場において2026年度までに実行する主な取り組みは以下のとおりである。
アメリカズ- 地域全体の販売台数を2023年度比で33万台増加させ、米国では統合型カスタマーエクスペリエンスの向上のために2億米ドルを投資- 米国とカナダで、7車種の新型車を投入- 米国で乗用車モデルラインアップの78%を刷新し(日産ブランド)、e-POWERとプラグインハイブリッドを搭載したモデルを投入 中国- 日産ブランド車のラインナップの73%を刷新し、新エネルギー車8車種を投入(4車種の日産ブランド車を含む)- 販売台数を20万台増加し、2026年度に年間販売台数100万台を目指す- 2025年から輸出を開始し、第一段階として10万台レベルを目指す- 継続して合弁パートナーと生産能力を最適化 日本- 乗用車モデルラインアップの80%を刷新し、5車種の新型車を投入- 電動車のモデルミックスを70%へ向上(乗用車)- 販売台数を2023年度比で9万台増加させ、2026年度に年間60万台の販売を目指す アフリカ、中東、インド、欧州、オセアニア- 地域全体で販売台数を2023年度比で30万台増加- 欧州:6車種の新型車を投入。
EVの販売構成比を40%へ向上(乗用車)- 中東:5車種の新型SUVを投入- インド:3車種の新型車を投入し、10万台レベルの輸出を目指す- オセアニア:1トンピックアップとCセグメントクロスオーバーEVを投入- アフリカ:2車種の新型SUVを投入。
AセグメントのICE車を拡大<EVの競争力>これらの新型車を投入していくため、当社は新たなアプローチで、手頃な価格で収益性の高いEVの商品化を実現していく。
複数のEVのファミリー開発、パワートレインの一体化、次世代モジュラー生産、グループソーシング、バッテリーの革新などにより次世代EVのコストを30%削減(現行アリア比)し、2030年度までにEVでICE車と同等のコストとすることを目指す。
ファミリー開発では、メインモデルをベースに開発する後続モデルの開発費を50%、トリム部品のバリエーションを70%削減し、開発期間を4ヶ月間短縮する。
また、次世代モジュラー生産方式を採用することで、車両生産ラインを短縮し、台当たりの生産時間を20%短縮していく。
また、革新的な生産技術で次世代のクルマづくりを行うとともに、カーボンニュートラルの実現に貢献するニッサン インテリジェント ファクトリーを国内外の工場に拡大し、2026年度から2030年度にかけて、日本の追浜工場と日産九州、英国のサンダーランド工場、米国のキャントン工場とスマーナ工場で導入を開始する。
世界初の電気自動車生産ハブEV36Zeroについては、英国のサンダーランド工場から、米国のキャントン工場、デカード工場、スマーナ工場、日本の栃木工場、日産九州に2025年度から2028年度にかけて採用していく。
<新技術>「The Arc」の計画下では、知能化技術もさらに進化させ、高速道路から一般道、敷地内、最終目的地までドアツードアの自動運転技術を実現する次世代プロパイロットを投入する予定である。
また、当社はさまざまなお客さまのニーズに対応する多様なEVを提供するため、ニッケル、コバルト、マンガン(NCM)リチウムイオンバッテリーを進化させ、リン酸鉄リチウムイオン(LFP)バッテリーと全固体電池(ASSB)を投入し、多様なバッテリーをそのラインナップへ追加していく。
NCMリチウムイオンバッテリーでは、アリア比で急速充電時間を50%削減し、エネルギー密度は50%向上させる。
国内で開発、生産するLFPバッテリーはサクラ比でコストを30%削減する。
これらの進化したNCMリチウムイオンバッテリー、LFPバッテリー、全固体電池を搭載したEVは、2028年度に投入する予定である。
<戦略的パートナーシップ及び新たなビジネス機会>当社は競争力を維持し、グローバルな商品ポートフォリオや技術を提供するために、戦略的にパートナーシップを活用していく。
欧州、ラテンアメリカ、ASEAN、インドにおいては、ルノー及び三菱自動車工業株式会社とのアライアンスを引き続き活用する。
また、中国の現地資産をフルに活用し、中国とその他の国々のニーズを満たしていく。
日本と米国においては、新たなパートナーシップを模索していく。
それらのスマートパートナーシップの活用、EVの競争力向上、イノベーションによる差別化、新たな売上の機会などを通じて、EV移行と長期的な収益ある成長を目指す。
<財務規律の徹底:レジリエントで収益性の高い業績を実現>当社は財務規律を徹底しながら、研究開発費と設備投資額を総売上高の7%から8%の範囲に維持し、バッテリー設備へは4,000億円以上を投資することを計画している。
また、電動化への投資は段階的に増加し、2026年度までに全体の70%以上を占めるようになる。
これらの投資を適切に管理することで、すべてのステークホルダーに価値を提供していく。
「The Arc」は、当社の競争力を強化し、持続可能な収益性を実現するための包括的な計画である。
本計画を通じて、「Nissan Ambition 2030」を実現するために必要な確固たる基盤を構築していく。
<経営指標の改善に向けて>2024年3月末時点の当社株価は608円30銭、PBRは0.4倍程度と割安な水準であると認識している。
当社は、株主還元と資本効率の向上、財務フレキシビリティの維持、そして将来の成長に向けて、継続的に財務パフォーマンスを改善することに取り組んでいる。
前述のとおり、「The Arc」において、販売台数については2023年度比で100万台増加、営業利益率については2026年度までに6%以上、2030年度には8%を目指すことを発表した。
当社は、電動化への投資を行った後も、M&A実行前フリーキャッシュフローはポジティブを維持し、自己株式取得と配当金の増配により、株主総還元率を30%以上確保することを目指す。
また、ネットキャッシュは1兆円レベルと健全な水準を維持することを目指している。
2023年度では、ルノーグループからの5%の自己株式取得と年間配当金による株主総還元率は、約46.2%となる。
また、2024年4月1日の自己株式取得と2024年度の配当見通しでは、株主総還元率30%以上を見込んでいる。
「The Arc」は、当社の競争力を強化し、持続可能な収益性を実現する。
その結果、投資家やアナリストが私たちの基盤となるパフォーマンスと戦略の進展を評価し、株価とPBRの改善に寄与するものと考えている。
当社は90年にわたり、他がやらぬことに挑戦してきた。
人にワクワクを提供する、先進のモビリティを提供するグローバルカンパニーであり続けるために、人・地域・社会に寄り添いながら、事業を展開していく。
次世代プロパイロットに代表される運転支援技術に加え、アクティブセーフティとAI技術を融合させたシステムで、ゼロ・フェイタリティの目標へさらに近づくことを目指している。
革新的な技術で次世代のクルマづくりをサポートし、カーボンニュートラルの実現に貢献するニッサン・インテリジェント・ファクトリーやEV36Zero、そして、次世代モビリティサービスを通じて、より多くの人の自由な移動を実現し、エネルギーマネジメントサービスを通じて、エネルギーをより効率的に活用していくことを目指している。
社会に貢献するという強い意志と、その取り組みを支える企業文化のもと、当社はこれからも、目標に向かってイノベーションをドライブし続け、移動の可能性を広げ、次世代のために素晴らしい未来の実現を目指す。

(2) 2023年度の経営環境及び主要な経営指標2023年度は、新型コロナウイルスの鎮静化や半導体の供給不足の解消などにより、経済活動は正常化に向かった。
しかしながら、ロシア・ウクライナ問題の長期化や中東での紛争勃発などに伴い、地政学リスクはさらに高まり、急激な為替変動やインフレーションなどの影響もあいまって、事業環境は絶えず変化した。
当社は、引き続き地政学的リスクの高まり、急激な円安、物流費の高騰、インフレーションや電動化に伴う市場の分断化などの影響を受けた。
こうした環境下で、当社グループの当期の経営成績、業績目標とその達成度は下記のとおりとなった。
当社グループのグローバル小売台数は前年度比4.1%増の344万2千台となり、売上高は12兆6,857億円と前連結会計年度に比べ2兆890億円(19.7%)の増収となった。
営業利益は5,687億円と前連結会計年度に比べ1,916億円(50.8%)の増益となった。
2020年5月にスタートした「Nissan NEXT」は、当社固有の課題に対応すべく、それまでの事業規模拡大による成長戦略から転換し、収益性を重視しながらコストを最適化することで、持続的な成長と安定的な収益確保を目指すものであった。
当社は一歩一歩、着実に取り組みを進めた結果、全ての地域で販売の質を重視しながら、着実に成果を挙げることができた。
生産能力と商品ポートフォリオの最適化に取り組み、いずれも20%削減した。
また、新型車を積極的に投入し、12車種を発売し、アリアとサクラの投入によりEVのラインアップを充実させ、e-POWERをB、Cセグメントへと拡大した。
アライアンスにおいては、より高い価値を生み出すコラボレーションに焦点を当て、新たな章を開いた。
最終的に、新型コロナウイルスの感染拡大、供給制約、その他市場の変化により、販売台数の目標を達成することはできなかったが、「Nissan NEXT」の目標はほぼ達成することができ、最も重要なことは将来に向けた強固な基盤が確立されたことである。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題当連結会計年度における事業上及び財務上の対処すべき課題は、次のとおりである。
・元会長らの不正行為に関連した事項当社の元代表取締役が金融商品取引法違反(虚偽有価証券報告書提出罪)で起訴されるとともに、元代表取締役会長においては会社法違反(特別背任罪)でも起訴された。
併せて当社自身も金融商品取引法違反により起訴された。
当社はこの事態を重く受け止め、独立第三者及び独立社外取締役で構成されるガバナンス改善特別委員会を設置し、2019年3月27日に同委員会からガバナンスの改善策及び、将来にわたり事業活動を行っていくための基盤となる健全なガバナンス体制の在り方についての提言をまとめた報告書を受領した。
これを受け、当社は指名委員会等設置会社へ移行した。
当社は、2019年9月9日の取締役会において、監査委員会よりゴーン氏らの不正行為に関する社内調査の報告を受けた。
2019年9月9日付の「元会長らによる不正行為に関する社内調査報告について」と題する適時開示に記載したとおり、本報告では、ゴーン氏らによる不正行為を認定している。
そのうち、ゴーン氏の会社資産の私的流用等及び販売代理店に対する奨励金支払いに関する不適切な行為は、以下のとおりである。
2019年9月9日以降、当有価証券報告書提出日時点において、下記の内容に特段の変更は生じていない。
今後、下記の内容に重要な進展が生じた場合には、法令等に基づき開示する。
A) ゴーン氏の会社資産の私的流用等ゴーン氏は、以下を含む様々な方法で当社の資産を私的に流用した。
・将来性のある技術に投資するとの名目で子会社Zi-A Capital社を設立させ、同社の投資資金のうち約2,700万米ドルを、ブラジル(リオデジャネイロ)及びレバノン(ベイルート)所在のゴーン元会長個人のための住宅の購入に流用したほか、会社資金で秘密裏に購入又は賃借した住宅を私的に利用した。
・2003年から10年以上にわたり、実体のないコンサルティング契約に基づくコンサルタント報酬名目で実姉に合計75万米ドルを超える金銭を支払った。
・コーポレートジェットを自身及び家族の私的用途に使用した。
・会社の資金を家族の旅費支払いや、個人的な贈答品支払いなどに充てた。
・業務上の必要性がないにもかかわらず自身の出身国の大学への200万米ドルを超える寄付を会社資金で行わせた。
・2008年、ゴーン氏は個人的に締結した為替スワップ契約のもと約18億5,000万円の含み損を抱え、事実と異なる取引内容を取締役会に説明したうえ為替スワップ契約を当社に承継させて、かかる含み損を当社に承継させた(金融当局の指摘を受け、2009年、当該為替スワップ契約は秘密裏にゴーン氏の関連企業に再承継された)。
・2018年4月以降、三菱自動車工業株式会社との間で設立した合弁会社であるNissan-Mitsubishi B.V.(以下「NMBV」)から、給与・契約金名目での取締役会決議を欠く支払い合計780万ユーロを受領した。
B) 販売代理店に対する奨励金支払いに関する不適切な行為ゴーン氏は、国外の知人から私的な資金援助を得ていることを当社取締役会及び関係部署に秘したまま、当社子会社から当該知人の経営する企業に対し、自身とその直属の特定少数の部下が承認すれば金銭支出が可能となる予備費予算(CEOリザーブ)を使用して、特別ビジネスプロジェクト費用などの名目で合計1,470万米ドルの支払いを行わせた。
また、国外の販売代理店の関係者からゴーン氏自身又はその関係企業に対して数千万米ドルの支払いがなされていることを当社取締役会及び関係部署に秘したまま、当社子会社から当該販売代理店に対し、CEOリザーブを使用して、販売奨励金名目で合計3,200万米ドルの支払いを行わせた。
金融庁長官から、2019年12月13日付で審判手続開始決定通知書を受領した。
これにつき、当社は、課徴金に係る事実及び納付すべき課徴金の額を認める旨の答弁書を2019年12月23日に提出した。
その後、2020年2月27日付で金融庁長官から24億2,489万5,000円の課徴金納付命令の決定の送達を受けた。
2022年3月3日、当社は東京地方裁判所から金融商品取引法違反(虚偽有価証券報告書提出罪)により、罰金2億円に処するとの有罪判決を受けた。
当社は、当社に対する当該判決を厳粛に受け止め、判決の主文並びに理由として述べられた事項を慎重に検討した結果、当該判決に対する控訴を行わないことを決定した。
その後、当社及び検察官のいずれも刑事訴訟法が定める控訴期間内に控訴しなかったため、当該判決は確定した。
上記課徴金に関して、金融商品取引法第185条の8第6項の規定に基づき、当該刑事裁判の判決による罰金額である2億円を控除し、課徴金の総額を22億2,489万5,000円に変更する処分が2022年4月26日付で行われた。
当該課徴金については、すでに全額納付済である。
また、ゴーン氏がNMBV及び他の当社の子会社に対してアムステルダム地方裁判所に提起した不当解雇訴訟において、NMBVは、ゴーン氏がNMBVから不正に着服した資金の返還を求めゴーン氏に対し反対請求を提起した。
アムステルダム地方裁判所は、2021年5月20日に出された判決においてゴーン氏の請求を棄却し、ゴーン氏に対し約500万ユーロの返還を命じたが、ゴーン氏は2021年8月20日に控訴状をアムステルダム高等裁判所に提出した。
その後NMBVが提出した交差控訴及び防御の結果、2022年8月23日にアムステルダム高等裁判所による判決が出され、ゴーン氏の請求は大部分が棄却されるとともに、ゴーン氏に対し約420万ユーロの返還が命じられた。
上告期限の経過により判決は確定した。
ゴーン氏による会社資金の不正使用により購入された住居の一部については、売却が完了している。
当社は、既に英領バージン諸島においてゴーン氏及びその関係者を相手に、豪華ヨットに対する仮処分命令を申立て、同命令を得た上で、損害賠償等を求めて訴訟を提起し、また日本国内においても、2020年2月12日にゴーン氏に対し、2022年1月19日に当社元代表取締役ケリー氏に対し、損害賠償請求訴訟を提起しているが、本社内調査結果を踏まえ、今後も、ゴーン氏らの責任を明確にすべく、ゴーン氏らの法令違反や不正行為によって被った損害の回復のため法的措置を含めた必要な対応をとっていく方針である。
指名委員会の選出による経営層の新体制が2019年12月に発足、内部監査による監督機能を強化したこと、などに見られるように、種々の再発防止策に取り組んでいる。
当社は、2020年1月16日に東京証券取引所に提出した改善状況報告書に記載した改善措置の継続的実施を含め、これからも必要な改善を随時検討するなど、引き続きガバナンスの向上に努めるとともに、企業風土の改革、企業倫理の再構築、企業情報の適切な開示、コンプライアンスを遵守した経営に努めていく所存であることを表明している。
・公正取引委員会からの勧告に関連した事項2024年3月7日、当社は公正取引委員会から、下請代金支払遅延等防止法(以下、「下請法」という。
)の適用対象となる事業者との取引に関して、下請法に基づく勧告を受けた。
これは、当社が、下請法の適用対象となる事業者36社との取引において、当該事業者から割戻金を受け取った行為の一部が、下請法第4条第1項第3号(下請代金の減額の禁止)の違反と判断されたものである。
本勧告において下請代金の減額に該当すると判断された割戻金の総額は、2021年1月から2023年4月までの約30億円である。
当社は、既に、本勧告の対象下請事業者に対して、下請代金の減額に該当すると判断された金額を返金するとともに、割戻金の運用自体も廃止した。
当社は、本勧告を大変重く受け止めている。
サプライヤーの皆様との強固な信頼関係なくして双方の事業の発展は成し得ない。
法令の遵守状況についての定期的な点検、並びに役員や下請取引に関わる従業員への教育の徹底及び定期的な研修の実施などを通じて、法令遵守体制を強化するとともに、再発防止策の徹底に取り組み、今後の取引適正化を図っていく。
取引先との関係をさらに強化し、双方に価値を創造し、法令遵守の徹底のための更なる取り組みの一環として、法令違反の疑いなどがある場合に、取引先から匿名で意見を集約するホットラインを外部に設置する。
さらに、モノづくり部門、並びに、関連部署の担当者からなる社長直轄の「パートナーシップ改革推進室」を新設した。
このチームは、積極的に取引先のもとに足を運び、懸念事項を正しく理解し、頂いた声を速やかに社内にフィードバックして、必要な対応を迅速に講じることができるようにする。
各部署の通常窓口に加え、新たに2つのルートを設けることで、取引先の状況把握、法令遵守の徹底をより一層図っていきたいと考えている。
サステナビリティに関する考え方及び取組 2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】
(1) サステナビリティの考え方日産は長期ビジョン「Nissan Ambition 2030」で、よりクリーンで安全、インクルーシブな誰もが共生できる社会の実現と、真に持続可能な企業となることを目指している。
サステナビリティの取り組みがその長期ビジョンを具現化し、さらにはコーポレートパーパスの実現も可能にしていく。
日産は企業のあらゆる側面で、サステナビリティを推進する。
a. ガバナンスサステナビリティ戦略の目標設定や進捗確認など具体的な活動の社内横断的な管理については、チーフ サステナビリティ オフィサー(CSO:Chief Sustainability Officer)が議長を務めるグローバル・サステナビリティ・ステアリング・コミッティで議論し、PDCA(Plan-Do-Check-Act)サイクルを回すことで、サステナビリティパフォーマンスのさらなる向上を追求している。
一方、環境課題についてはチーフ サステナビリティ オフィサーと取締役 代表執行役社長兼最高経営責任者が共同議長を務めるグローバル環境委員会(G-EMC:Global Environmental Management Committee)にて決議する。
サステナビリティに関する取り組みは、戦略や重要案件に関する包括的な提案とともに、経営会議(Executive Committee)に報告される。
これらの課題は、その重要性に応じて取締役会に報告される。
また、2021年度より長期インセンティブ報酬の1つである業績連動型インセンティブ(金銭報酬)においてサステナビリティに関する評価指標を新たに追加し、経営によるコミットメントを明確にした。
b. 戦略サステナビリティは事業運営の中核をなすものであり、ステークホルダーからの信頼を得るために必要不可欠である。
日産は、ステークホルダーの皆さまの関心、環境と社会のグローバルアジェンダ並びに技術革新などの最新動向を踏まえながら、サステナビリティ戦略を策定し、活動を推進している。
サステナビリティ戦略強化に向けて、日産の優先課題をより明確にするため、リスクや機会分析を踏まえた会社全体として取り組むべきマテリアリティを特定した。
マトリックスという形で日産の取り組みの優先順位を定義し、2030年度に向けた会社の方向性をより詳細にステークホルダーにお伝えすることで、協働機会の拡大や信頼関係の向上を図り、さらなる取り組み推進につなげたいと考える。
マテリアリティ特定のプロセス STEP1. 社会・環境課題の明確化定期市場動向分析、ステークホルダー・投資家の皆さまとの対話より得られた社会からの期待値、グローバルスタンダード、国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)、SDGs、世界経済フォーラム(WEF)発行のリスクレポートなどからグローバルなアジェンダを明確化。
STEP2. 自動車セクター及び日産の重要課題特定コーポレート長期ビジョンにより実現する世界と、そこで果たすべき自動車セクターの役割という視点からリスクと機会を分析することで、日産にとっての課題を特定。
STEP3. マテリアリティの優先度整理日産が社会・環境へ与える価値・インパクトと、社会・環境から日産へのインパクトの2側面からリスクと機会で優先度の整理を実施し、日産のつくりだす価値と今後さらに強化して取り組むべき課題をマトリックス型により整理。
有識者レビューを行い、フィードバックを反映。
STEP4. 執行役員、取締役との合意特定したマテリアリティは、各項目の設定理由や背景を含め執行役員、取締役へ報告し、合意を得て決定。
日産のマテリアリティマトリックスマテリアリティ重要と考える理由ガバナンス、法規制、コンプライアンスコーポレートパーパスや行動規範に基づき、透明性のあるフレームワークを用いた効果的なガバナンスを通じて最大限の誠実性を持って事業運営を行う。
また法規制を遵守し人々と社会に対し敬意と誠実さを持ち行動する。
包括的なモビリティソリューション自動運転などの新しいモビリティ技術とサービスをより多くの人に提供し、誰もが安心で自由に移動できるインクルーシブな社会を実現する。
人権すべての従業員が個人の尊厳と人権を最大限に尊重する組織を醸成する。
また国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」を参照した社内倫理基準に基づき行動する。
クルマの電動化電動車ラインナップの拡充、バッテリーと車両の技術革新、クルマの多様な使い方を可能にするエコシステム構築により、カーボンニュートラル実現を目指す。
再生可能エネルギー国や自治体との協働や、さまざまな業界団体との連携を通して、CO2削減に向けた再生可能エネルギーや代替燃料の使用を推進する。
EVバッテリーの循環利用などの4R(*)の取り組みやV2Xの活用を通し、エネルギーマネジメントで社会課題の解決を継続する。
* 4R:バッテリーの再利用、再製品化、再販売、リサイクルクルマの安全性先進の運転支援技術をより多くのお客さまに提供することで、日産車のかかわる交通事故の死者数を実質ゼロにする「ゼロ・フェイタリティ」実現を目指す。
クリーンな排出ガス「大気並みにクリーンな排出ガス」を目指して、製品や拠点から排出されるのは、よりクリーンな排出ガス(Nox、PMなど含む)となるよう努める。
プライバシー&データ保護データ保護及びプライバシー権の保護に取り組み、適切なセキュリティ対策を講じてステークホルダーの個人情報を守り、新しい技術とセキュリティリスクを考慮したデータの安全な取り扱いに責任を持つ。
コミュニティの発展災害時の復旧支援や人道支援に加え、「ブルー・スイッチ」のような社会変革への取り組みを通じてコミュニティの発展に貢献する。
製品品質デザイン、性能、化学物質管理及び車室内空質向上などの製品品質向上により、より安心・快適で使いやすいモビリティを提供する。
サプライチェーンマネジメントサプライヤーCSRガイドラインに基づき人権・環境に配慮したサプライチェーンからの責任ある調達で、原材料の安定供給と地域共存を実現する。
サステナブル資源マネジメント資源価格変動や調達リスクを回避し、資源依存を最小化するため、リペア/リユース/リビルト/リサイクルなどのサーキュラーエコノミーの効果的な循環利用による、最適なクルマ作りの仕組みを構築する。
マテリアリティの詳細は当社企業サイトに掲載しているESGデータブックもしくはサステナビリティデータブック(2024年7月末公開予定)を参照いただきたい。
また、マテリアリティの一つである生態系サービスと生物多様性について、2010年に日産は、国連大学と共に自社の活動がバリューチェーン全体の生態系に与える影響と依存を評価し、その研究成果を報告書「Ecosystem Services and the Automotive」として発表した。
これは2001~2005年に国連が主導した「ミレニアム生態系評価」に基づく「企業のための生態系サービス評価」の手法を用いたものである。
この評価を通じて、自動車メーカーが優先対応すべき3つの重点領域「エネルギーの調達」「材料資源の調達」「水資源の利用」を特定した。
また2013年には水に関するインパクト評価を実施し、資源調達段階での水資源の利用が、日産の事業活動での水使用量の20倍以上に上ることが試算された。
これらの評価結果はマテリアリティの判断にも反映されており、「ニッサン・グリーンプログラム」の方針や戦略、具体的なアクションに落とし込まれている。
日産はTNFD(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures)の提言に賛同するとともにTNFDフォーラムに参画している。
今後は、推奨される枠組みに沿った開示についてさらに検討を進めていく予定である。
日産は2023年度に、マテリアリティで特定された重要課題をもとに、第5次中期環境行動計画「ニッサン・グリーンプログラム2030(NGP2030)」、及び社会性の2030年度までの取り組みを包括的に推進する「ニッサン・ソーシャルプログラム2030(NSP2030)」を策定した。
「NGP2030」は、技術やビジネスの進化によって環境負荷を低減し、社会と自然にポジティブな影響を与え、人々の生活が、持続可能で自然と調和できる社会創りを目指している。
「NSP2030」は社会性に特化した初のプログラムであり、日産が従業員、サプライヤー、パートナー、社会と共に成長し、「人」を中心とした企業になることを目指し、従業員をはじめとするさまざまな「人」へ価値を提供していく。
「NSP2030」の重点領域は、安全、品質、責任ある調達、知的財産、地域社会、従業員と定めており、領域毎に2030年度に向けたゴールを定義している。
「NGP2030」と「NSP2030」はともに経営計画「The Arc」の土台を成し、「Nissan Ambition 2030」の実現に向けて重要な役割を果たす。
c. リスク管理日産は「NGP2030」及び「NSP2030」の中で重要課題ごとに活動計画を策定し、先に述べたガバナンスを通じて進捗管理を行っている。
また、定期的に市場動向分析を行い、投資家をはじめとするステークホルダーとの対話により得られた社会からの期待値や、グローバルスタンダード、国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)、SDGs、世界経済フォーラム(WEF)発行のリスクレポートなどのトレンドも踏まえながら、グローバルなアジェンダを明確化している。
さらに、「Nissan Ambition 2030」により実現する世界と、そこで果たすべき自動車セクターの役割という視点からリスクと機会を分析することで、日産にとっての課題を特定している。
具体的な活動計画、指標や目標については、当社企業サイト及び2024年7月末公開予定の「サステナビリティデータブック2024」を参照いただきたい。
なお、特定した重要課題に対応する日産の取り組みの中で、特にステークホルダーからの関心度が高い「気候変動」と「人的資本」について、以下に具体的な活動内容を記載する。

(2) 気候変動a. ガバナンスグローバル環境マネジメントのフレームワークとガバナンス日産は多様化する環境課題に対応し、包括的な環境マネジメントを確実に推進する組織体制を構築している。
チーフ サステナビリティ オフィサーと取締役 代表執行役社長兼最高経営責任者が共同議長を務めるグローバル環境委員会(G-EMC:Global Environmental Management Committee)ではバリューチェーン全体に関わる各役員が出席し、全社的な方針や取締役会への報告内容の決議を行う。
また、経営層は企業としてのリスクと機会を明確にし、各部門での具体的な取り組みを決定するとともに、PDCAに基づく進捗状況の効率的な管理・運用を担っている。
また、年次のレポートを発行し、幅広いステークホルダーにその状況を発信している。
最新のサステナビリティデータブック等も参照いただきたい。
b. 戦略中期環境行動計画「ニッサン・グリーンプログラム(NGP)」日産は、環境理念である「人とクルマと自然の共生」を実現するため、中期環境行動計画「ニッサン・グリーンプログラム(NGP)」を2002年に発表し、環境への依存と影響を自然が吸収できる範囲に抑えるという究極のゴール達成に向けて取り組みを続けてきた。
2023年度には第五世代に当たる2030年度を見据えた「NGP2030」をスタートした。
将来に向けた技術の進化と社会連携の方向性を明確にし、サプライチェーン、パートナーと目標を共有し、ともに環境対応と社会的価値の創出を目指していく。
NGP2030の取り組むべき重要課題とチャレンジ日産は環境マテリアリティ評価に基づき、「気候変動」「資源への依存」「大気品質と水」を重要課題に設定した。
また、ステークホルダーエンゲージメントを通じてそのニーズを把握し、環境課題にかかわる「事業基盤の強化」と新たな価値創出に努めている。
取り組みの指標や進捗は、クルマづくりに携わる開発・生産部門のほか、セールス・サービス部門を含む企業全体での、ビジネス基盤強化と社会価値の創出に取り組んだ成果としてサステナビリティデータブック等を通じて毎年開示している。
また、後述の「d.指標と目標」においても気候変動に関連する主要項目について開示している。
CO2排出量の削減に向けた日産の取り組み日産は、CO2排出量の削減や電動化技術の実用化の実績に加え、2050年までに事業活動を含むクルマのライフサイクル全体(*)におけるカーボンニュートラルを実現する新たな目標を2021年1月に発表した。
企業活動では、自社及びクルマの原材料の調達、輸送にかかわるサプライヤーとともに省エネ活動やクリーンなエネルギーへの転換を進め、CO2削減に取り組む。
走行段階CO2削減に向けては、2030年代の早期には、主要市場に投入する新型車をすべて電動車とすることを目指し、電動化と生産技術のイノベーションを推進する。
経営計画「The Arc」では電動化を戦略の中核に据え、2030年度までに投入する電動車のモデル数を34車種に増加、グローバルでの電動車モデルミックスは60%以上見込む。
* クルマのライフサイクルには、原材料の採掘から、生産、クルマの使用、使用済み自動車のリサイクルや再利用までを含む カーボンニュートラルロードマップ(生産工場での事例)日産では生産工場においてもカーボンニュートラルを目標とした活動を推進している。
達成に向けた取り組みを着実に推進するため、2021年10月、生産工場において2050年までにカーボンニュートラルを実現するロードマップを発表した。
~2030年:まず工場のエネルギーを削減しながら革新的な生産技術導入や電化を推進し、さらに再生可能エネルギーの導入や代替エネルギーの適用拡大を進める。
2030~2050年:2050年に向けては、ガスや蒸気などさまざまな動力形態で運営されている工場設備の全面電化を実施。
同時に、使用電力については、再生可能エネルギーと代替燃料を用いた燃料電池で自家発電した電力を全面適用することで、生産工場におけるカーボンニュートラルを実現していく。
c. リスク管理気候変動シナリオ分析を用いた2050年社会への戦略強化NGPは中期目標の達成を通じて成果を収めてきたが、気候変動による異常気象の脅威は一段と高まっている。
そこで、国際エネルギー機関(IEA)の4℃と2℃シナリオ、及びIPCCの1.5℃特別報告書に基づき、2050年までの気候変動がもたらすさまざまな機会とリスクを検討した。
特に自動車セクターにおけるリスク要因を定義し、シナリオごとのリスク振れ幅を確認。
また、世界170以上に及ぶ市場を前提とした。
さらにお客さまや市場の受容性変化、自動車にかかわる規制の強化、クリーンエネルギーへの移行を因子として考慮し、日産の事業活動や商品、サービスについて、気候変動がもたらす機会とリスクに対する戦略のレジリエンス性を以下の4つのステップで検討した。
検討の4ステップ・過去のマテリアリティの評価や、文献調査などで気候変動によって自動車セクターに決定的な影響を与え得るリスク要因を調査し、人口・経済・地政学、気候変動政策、技術などの区分でメインドライバーを定義・メインドライバーは物理的リスクと移行リスクに分類され、それぞれがトレードオフの関係にあることを考慮し、地球の平均気温の上昇を1.5℃、2℃、4℃と3種類のシナリオで、そのリスク振れ幅を確認・自動車セクターへの影響度合いとその時間軸をもとに、メインドライバーから影響力の高い項目をスクリーニング・シナリオごとの変化、状態、影響を整理し、戦略強化に必要な要素を定性評価に基づいて導出 想定したシナリオと関連する機会とリスク想定シナリオ影響領域拡大する気候変動が事業活動に与える機会とリスク1.5℃政策と法規制さらなるクルマの燃費や排出ガス規制の強化へ対応し、電動パワートレイン技術の開発や生産コストへ影響を与える可能性炭素税の拡大によるエネルギーコストの負担増加と、対策としての省エネルギー設備への投資拡大技術変化車載電池などのEV関連技術や、自動運転技術の拡大など次世代自動車技術の採用によるコスト影響需要拡大により、車載電池材料である希少金属のサプライチェーン影響やその安定化のためのコスト増加市場変化消費者の意識変化による、公共交通機関や自転車の選択や、モビリティサービスへの移行による新車販売台数減少の可能性機会EVのエネルギー充放電力技術であるV2X(Vehicle to Everything)による電力マネジメント機会の提供拡大とEV価値の再認識(特にV2G(Vehicle to Grid)において)4℃異常気象大雨、渇水など異常気象によるサプライチェーンへの影響と生産拠点の操業への影響と、損害保険料や空調エネルギーの費用の増加機会防災・減災対策として、EVバッテリーを使用した緊急電源確保のニーズが増大 日産の電動化技術は、2℃以外のシナリオにおいても機会を創出するポテンシャルがあると考えられるが、取り組みのさらなる加速と、リスク対応のためのサプライチェーンとの連携が重要である。
とくにゼロ・エミッション車の拡大は、脱炭素社会への移行だけでなく、電力や減災・防災における社会のレジリエンス性に貢献する。
電気自動車の性能向上と、環境の持続可能性を確保するにはさらなる開発が伴うが、最終的には社会価値創造とビジネスの両立を可能にすると捉えている。
しかし、社会全体の気候変動対策が遅れた場合、さまざまな移行リスク、物理的リスク及び財務インパクトが生じる可能性がある。
炭素税の影響評価を試みたところ、2030年時点のGHG排出量削減により、Scope1&2で炭素税の影響を約100億円抑えることができると試算された。
財務インパクト評価のシナリオ選定背景二酸化炭素排出に対する価格付けが進み、炭素税を導入する国・地域が拡大している。
国・地域により、課税の水準や対象となる業種も異なるが、企業に対する影響が大きいため、この分析では炭素税による財務インパクトを対象とする。
算定式と試算額の評価、前提条件試算では、日産の炭素税予測の基礎としてIEAレポートなどを参照している。
2030年時点のGHG排出量の炭素税を、次の条件で算出した。
①2018年時点の企業活動が継続された場合②NGPによる環境課題への取り組みが促進され、単年度での炭素税の影響を抑えた場合対応戦略日産は、20年以上にわたり中期環境行動計画「ニッサン・グリーンプログラム」を実践している。
また、脱炭素の推進にあたっては、バリューチェーンへの影響を把握し、負の影響を極力抑えた公平な移行(just transition)を考慮した活動を意識している。
このような戦略や、2030年度でのありたい姿を具体化し、投資家をはじめとするステークホルダーの皆さまにより分かりやすく的確に伝えることが重要だと考え、日産はTCFD(*)の提言を支持し、その推奨枠組みに沿った情報開示に努めていく。
また、シナリオ分析手法の精度向上とリスク量の正確な把握についても継続して取り組む。
「ニッサン・グリーンプログラム2030(NGP2030)」の詳細や、気候変動以外の取り組みについては2024年7月末に当社企業サイトに掲載するサステナビリティデータブック2024で開示を予定している。
* TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures d. 指標と目標長期目標として掲げた、カーボンニュートラルの実現に向け、2030年度までの中期行動計画をまとめた「ニッサン・グリーンプログラム2030」では、各バリューチェーンでのKPIと目標を明確にし、その進捗を毎年報告している。
2030年度目標値2023年度実績起点ライフサイクル(t-CO2/台数)-30%(グローバル)-11%2018年度クルマ(g-CO2/km)-32.5%(グローバル)-50%(4地域(*))-12%(グローバル)-15%(4地域(*))生産(t-CO2/台数)-52%(グローバル)-1.4% * 日本、米国、欧州、中国 上記の値は2023年度の到達状況の速報値であり、2024年7月末に当社企業サイトに掲載するサステナビリティデータブック2024にて、確定値と共に分析を公表する予定。
自動車のバリューチェーン全体を捉えた時に、クルマの使用時に排出されるCO2量が占める割合は、企業活動に伴う排出量に比較して著しく多く、全体の80%以上を占める。
2023年度では、バリューチェーン全体(Scope 1、2、3の合計値)のCO2排出量118,525kton-CO2のうち、販売したクルマの使用時の排出量が99,276kton-CO2である一方で、企業活動に伴う排出量Scope 1、2はそれぞれ626kton-CO2、1,112kton-CO2(いずれも速報値)であった。
これらはGHGプロトコルに基づいた測定結果である。
財務情報と連動したカーボンフットプリント開示の重要性を認識し、当事業年度にScope 1、2の対象範囲を下記のように定義した。
それに伴い、過年度の排出量も再計算した。
・従来:日産自動車、連結子会社及び持分法適用関連会社の一部・新スコープ:日産自動車及び連結子会社(kton-CO2)Scope(*)2018(基準年)2020202120222023Scope 1725550588585626Scope 21,6891,1671,2071,2091,112Scope 3204,976136,422128,332119,677116,786合計207,390138,139130,127121,471118,525 * 各スコープは「GHGプロトコル事業者排出量算定基準」によって以下の様に定められている。
Scope 1 事業者自らによる温室効果ガスの直接排出Scope 2 他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出Scope 3 企業のバリューチェーンで発生するScope2以外の間接排出 上記の2023年度の値は速報値であり、2024年7月末に当社企業サイトに掲載するサステナビリティデータブック2024にて、確定値と共に排出量の推移、第三者保証の詳細などを公表する予定。
(3) 人的資本 「人材育成方針」、「人材の多様性の確保」、「社内環境整備方針」a. 戦略コーポレートパーパスや長期ビジョン「Nissan Ambition 2030」を実現すべく、コアビジネスを支えるエンジニアの採用強化を進めるとともに、「人材育成」、「人材の多様性の確保」、「社内環境整備」を包含した人財戦略として「HR Ambition 2030」を2022年に設定した。
この人財戦略は、「従業員体験(エンプロイーエクスペリエンス)の強化」、「スキル重視の人財マネジメント」、「リーダーシップの強化」、「企業文化の変革とイノベーションの促進」、「ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン(多様性、公平性、包括性)」の5つの柱で構成される。
<HR Ambition 2030>5つの柱1従業員体験(エンプロイーエクスペリエンス)の強化コアスキルを持つ多様な人財を惹きつけ、エンゲージメントを高めて組織への定着を図ることで、日産の持続的成長に貢献する。
会社が従業員に対して提供する価値である、エンプロイーバリュープロポジション、「OUR PROMISE」を策定し、「世の中に変化を生み出す」「充実した毎日で、人生を豊かに」、「ともに挑み、ともに成長する」、「互いを助け合うワンチーム」という4つのイニシアチブを提示した。
2スキル重視の人財マネジメント電動化、新たなモビリティーサービス、技術革新を支えるコア人財・コアスキルの獲得と育成に注力する。
「Nissan Ambition 2030」発表以降、先進技術領域において2023年度末までに約1,400名の採用を行った。
また、将来的に重要なスキルの充足に向けて、各部門において3B(*)施策を推進している。
* Buy(採用)/Build(育成)/Borrow (社外人財の活用)3リーダーシップの強化協働力と共感力のあるリーダーの養成を通じて、「Nissan Ambition 2030」が求める人財強化を促進する。
上記のあるべき姿の具体例を示した「日産リーダーシップウェイ」を策定し、リーダー層へのトレーニング・コミュニケーションを開始。
4企業文化の変革とイノベーションの促進エネーブルメント(*)とエンゲージメントを高めることでイノベーションを加速させ、日産のDNA「他のやらぬことを、やる」を体現する。
* 社員の意欲をサポートする環境、能力を発揮するための働きやすさ 企業文化改革については、「日産ウェイ」に加え、「日産リーダーシップウェイ」、「OUR PROMISE」の3つを中心とした企業文化改革キャンペーン「OUR NISSAN」を社内で推進。
また、イノベーションについては、社内で新サービスや新ビジネスのアイデアを募集する「New Business Contest」や、新製品・技術・プロセスのアイデアを募集する「New Value Co-Creation」を実施している。
5ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン(多様性、公平性、包括性)日産の強みであるダイバーシティに継続して取り組むとともに、職場におけるエクイティとインクルージョンの実現を加速する。
2022年度にDEIの長期戦略であるDEI Ambition 2030を策定し、「D&IからDEIへ」、「ERG(従業員リソースグループ)の推進」、「インクルーシブな職場環境の推進」、「関係会社等へのDEI施策展開の拡大」という4つを活動の柱として推進している。
これらをマネジメントする仕組みとして、エクゼクティブコミッティのメンバーである最高人事責任者(Chief Human Resources Officer:CHRO)が議長を務めるグローバル人事会議にて、年2回その進捗を確認し実行を着実なものとしている。
なお、リスク管理については、前述の(1) サステナビリティの考え方 「c. リスク管理」に記載している。
b. 指標と目標1.「Nissan Ambition 2030」では、研究開発部門における先進技術領域において3,000人以上の従業員を新規に採用する目標を掲げている。
「Nissan Ambition 2030」を発表した2021年度以降2023年度末までに、新卒・中途を合わせて約1,400名を採用し予定どおり進捗している。
今後も2026年度までに平均700名/年の採用を予定している。
2.女性管理職比率については、女性管理職比率と間接従業員に占める女性比率とのギャップを縮めていくことを目標とする。
2024年3月末時点において、346人の女性管理職がさまざまな分野で活躍しており、全管理職に占める割合は10.7%となっている。
将来的には、さらなる女性管理職比率の向上のため、女性社員の積極的な採用と育成を促進する。
3.さらに、「人材育成方針」、「人材の多様性の確保」、「社内環境整備方針」に関する総合的な指標として、グローバル従業員サーベイにおいて指標と目標を定めている。
具体的には、エンゲージメントに加え、エネーブルメント、企業倫理、リーダーシップ、企業文化、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンといった全社的に優先度の高い5つの重点領域に対して、中長期的目標としてグローバルベンチマーキングスコアを上回る水準を目指し、前年度からの改善に必要な目標値を毎年設定している。
2023年度の実績は目標値を上回った。
戦略 b. 戦略サステナビリティは事業運営の中核をなすものであり、ステークホルダーからの信頼を得るために必要不可欠である。
日産は、ステークホルダーの皆さまの関心、環境と社会のグローバルアジェンダ並びに技術革新などの最新動向を踏まえながら、サステナビリティ戦略を策定し、活動を推進している。
サステナビリティ戦略強化に向けて、日産の優先課題をより明確にするため、リスクや機会分析を踏まえた会社全体として取り組むべきマテリアリティを特定した。
マトリックスという形で日産の取り組みの優先順位を定義し、2030年度に向けた会社の方向性をより詳細にステークホルダーにお伝えすることで、協働機会の拡大や信頼関係の向上を図り、さらなる取り組み推進につなげたいと考える。
マテリアリティ特定のプロセス STEP1. 社会・環境課題の明確化定期市場動向分析、ステークホルダー・投資家の皆さまとの対話より得られた社会からの期待値、グローバルスタンダード、国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)、SDGs、世界経済フォーラム(WEF)発行のリスクレポートなどからグローバルなアジェンダを明確化。
STEP2. 自動車セクター及び日産の重要課題特定コーポレート長期ビジョンにより実現する世界と、そこで果たすべき自動車セクターの役割という視点からリスクと機会を分析することで、日産にとっての課題を特定。
STEP3. マテリアリティの優先度整理日産が社会・環境へ与える価値・インパクトと、社会・環境から日産へのインパクトの2側面からリスクと機会で優先度の整理を実施し、日産のつくりだす価値と今後さらに強化して取り組むべき課題をマトリックス型により整理。
有識者レビューを行い、フィードバックを反映。
STEP4. 執行役員、取締役との合意特定したマテリアリティは、各項目の設定理由や背景を含め執行役員、取締役へ報告し、合意を得て決定。
日産のマテリアリティマトリックスマテリアリティ重要と考える理由ガバナンス、法規制、コンプライアンスコーポレートパーパスや行動規範に基づき、透明性のあるフレームワークを用いた効果的なガバナンスを通じて最大限の誠実性を持って事業運営を行う。
また法規制を遵守し人々と社会に対し敬意と誠実さを持ち行動する。
包括的なモビリティソリューション自動運転などの新しいモビリティ技術とサービスをより多くの人に提供し、誰もが安心で自由に移動できるインクルーシブな社会を実現する。
人権すべての従業員が個人の尊厳と人権を最大限に尊重する組織を醸成する。
また国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」を参照した社内倫理基準に基づき行動する。
クルマの電動化電動車ラインナップの拡充、バッテリーと車両の技術革新、クルマの多様な使い方を可能にするエコシステム構築により、カーボンニュートラル実現を目指す。
再生可能エネルギー国や自治体との協働や、さまざまな業界団体との連携を通して、CO2削減に向けた再生可能エネルギーや代替燃料の使用を推進する。
EVバッテリーの循環利用などの4R(*)の取り組みやV2Xの活用を通し、エネルギーマネジメントで社会課題の解決を継続する。
* 4R:バッテリーの再利用、再製品化、再販売、リサイクルクルマの安全性先進の運転支援技術をより多くのお客さまに提供することで、日産車のかかわる交通事故の死者数を実質ゼロにする「ゼロ・フェイタリティ」実現を目指す。
クリーンな排出ガス「大気並みにクリーンな排出ガス」を目指して、製品や拠点から排出されるのは、よりクリーンな排出ガス(Nox、PMなど含む)となるよう努める。
プライバシー&データ保護データ保護及びプライバシー権の保護に取り組み、適切なセキュリティ対策を講じてステークホルダーの個人情報を守り、新しい技術とセキュリティリスクを考慮したデータの安全な取り扱いに責任を持つ。
コミュニティの発展災害時の復旧支援や人道支援に加え、「ブルー・スイッチ」のような社会変革への取り組みを通じてコミュニティの発展に貢献する。
製品品質デザイン、性能、化学物質管理及び車室内空質向上などの製品品質向上により、より安心・快適で使いやすいモビリティを提供する。
サプライチェーンマネジメントサプライヤーCSRガイドラインに基づき人権・環境に配慮したサプライチェーンからの責任ある調達で、原材料の安定供給と地域共存を実現する。
サステナブル資源マネジメント資源価格変動や調達リスクを回避し、資源依存を最小化するため、リペア/リユース/リビルト/リサイクルなどのサーキュラーエコノミーの効果的な循環利用による、最適なクルマ作りの仕組みを構築する。
マテリアリティの詳細は当社企業サイトに掲載しているESGデータブックもしくはサステナビリティデータブック(2024年7月末公開予定)を参照いただきたい。
また、マテリアリティの一つである生態系サービスと生物多様性について、2010年に日産は、国連大学と共に自社の活動がバリューチェーン全体の生態系に与える影響と依存を評価し、その研究成果を報告書「Ecosystem Services and the Automotive」として発表した。
これは2001~2005年に国連が主導した「ミレニアム生態系評価」に基づく「企業のための生態系サービス評価」の手法を用いたものである。
この評価を通じて、自動車メーカーが優先対応すべき3つの重点領域「エネルギーの調達」「材料資源の調達」「水資源の利用」を特定した。
また2013年には水に関するインパクト評価を実施し、資源調達段階での水資源の利用が、日産の事業活動での水使用量の20倍以上に上ることが試算された。
これらの評価結果はマテリアリティの判断にも反映されており、「ニッサン・グリーンプログラム」の方針や戦略、具体的なアクションに落とし込まれている。
日産はTNFD(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures)の提言に賛同するとともにTNFDフォーラムに参画している。
今後は、推奨される枠組みに沿った開示についてさらに検討を進めていく予定である。
日産は2023年度に、マテリアリティで特定された重要課題をもとに、第5次中期環境行動計画「ニッサン・グリーンプログラム2030(NGP2030)」、及び社会性の2030年度までの取り組みを包括的に推進する「ニッサン・ソーシャルプログラム2030(NSP2030)」を策定した。
「NGP2030」は、技術やビジネスの進化によって環境負荷を低減し、社会と自然にポジティブな影響を与え、人々の生活が、持続可能で自然と調和できる社会創りを目指している。
「NSP2030」は社会性に特化した初のプログラムであり、日産が従業員、サプライヤー、パートナー、社会と共に成長し、「人」を中心とした企業になることを目指し、従業員をはじめとするさまざまな「人」へ価値を提供していく。
「NSP2030」の重点領域は、安全、品質、責任ある調達、知的財産、地域社会、従業員と定めており、領域毎に2030年度に向けたゴールを定義している。
「NGP2030」と「NSP2030」はともに経営計画「The Arc」の土台を成し、「Nissan Ambition 2030」の実現に向けて重要な役割を果たす。
人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略 (3) 人的資本 「人材育成方針」、「人材の多様性の確保」、「社内環境整備方針」a. 戦略コーポレートパーパスや長期ビジョン「Nissan Ambition 2030」を実現すべく、コアビジネスを支えるエンジニアの採用強化を進めるとともに、「人材育成」、「人材の多様性の確保」、「社内環境整備」を包含した人財戦略として「HR Ambition 2030」を2022年に設定した。
この人財戦略は、「従業員体験(エンプロイーエクスペリエンス)の強化」、「スキル重視の人財マネジメント」、「リーダーシップの強化」、「企業文化の変革とイノベーションの促進」、「ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン(多様性、公平性、包括性)」の5つの柱で構成される。
<HR Ambition 2030>5つの柱1従業員体験(エンプロイーエクスペリエンス)の強化コアスキルを持つ多様な人財を惹きつけ、エンゲージメントを高めて組織への定着を図ることで、日産の持続的成長に貢献する。
会社が従業員に対して提供する価値である、エンプロイーバリュープロポジション、「OUR PROMISE」を策定し、「世の中に変化を生み出す」「充実した毎日で、人生を豊かに」、「ともに挑み、ともに成長する」、「互いを助け合うワンチーム」という4つのイニシアチブを提示した。
2スキル重視の人財マネジメント電動化、新たなモビリティーサービス、技術革新を支えるコア人財・コアスキルの獲得と育成に注力する。
「Nissan Ambition 2030」発表以降、先進技術領域において2023年度末までに約1,400名の採用を行った。
また、将来的に重要なスキルの充足に向けて、各部門において3B(*)施策を推進している。
* Buy(採用)/Build(育成)/Borrow (社外人財の活用)3リーダーシップの強化協働力と共感力のあるリーダーの養成を通じて、「Nissan Ambition 2030」が求める人財強化を促進する。
上記のあるべき姿の具体例を示した「日産リーダーシップウェイ」を策定し、リーダー層へのトレーニング・コミュニケーションを開始。
4企業文化の変革とイノベーションの促進エネーブルメント(*)とエンゲージメントを高めることでイノベーションを加速させ、日産のDNA「他のやらぬことを、やる」を体現する。
* 社員の意欲をサポートする環境、能力を発揮するための働きやすさ 企業文化改革については、「日産ウェイ」に加え、「日産リーダーシップウェイ」、「OUR PROMISE」の3つを中心とした企業文化改革キャンペーン「OUR NISSAN」を社内で推進。
また、イノベーションについては、社内で新サービスや新ビジネスのアイデアを募集する「New Business Contest」や、新製品・技術・プロセスのアイデアを募集する「New Value Co-Creation」を実施している。
5ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン(多様性、公平性、包括性)日産の強みであるダイバーシティに継続して取り組むとともに、職場におけるエクイティとインクルージョンの実現を加速する。
2022年度にDEIの長期戦略であるDEI Ambition 2030を策定し、「D&IからDEIへ」、「ERG(従業員リソースグループ)の推進」、「インクルーシブな職場環境の推進」、「関係会社等へのDEI施策展開の拡大」という4つを活動の柱として推進している。
これらをマネジメントする仕組みとして、エクゼクティブコミッティのメンバーである最高人事責任者(Chief Human Resources Officer:CHRO)が議長を務めるグローバル人事会議にて、年2回その進捗を確認し実行を着実なものとしている。
なお、リスク管理については、前述の(1) サステナビリティの考え方 「c. リスク管理」に記載している。
b. 指標と目標1.「Nissan Ambition 2030」では、研究開発部門における先進技術領域において3,000人以上の従業員を新規に採用する目標を掲げている。
「Nissan Ambition 2030」を発表した2021年度以降2023年度末までに、新卒・中途を合わせて約1,400名を採用し予定どおり進捗している。
今後も2026年度までに平均700名/年の採用を予定している。
2.女性管理職比率については、女性管理職比率と間接従業員に占める女性比率とのギャップを縮めていくことを目標とする。
2024年3月末時点において、346人の女性管理職がさまざまな分野で活躍しており、全管理職に占める割合は10.7%となっている。
将来的には、さらなる女性管理職比率の向上のため、女性社員の積極的な採用と育成を促進する。
3.さらに、「人材育成方針」、「人材の多様性の確保」、「社内環境整備方針」に関する総合的な指標として、グローバル従業員サーベイにおいて指標と目標を定めている。
具体的には、エンゲージメントに加え、エネーブルメント、企業倫理、リーダーシップ、企業文化、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンといった全社的に優先度の高い5つの重点領域に対して、中長期的目標としてグローバルベンチマーキングスコアを上回る水準を目指し、前年度からの改善に必要な目標値を毎年設定している。
2023年度の実績は目標値を上回った。
事業等のリスク 3 【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがある。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2024年6月28日)現在において当社グループが判断したものである。
1.世界経済や景気の急激な変動(1) 経済状況当社グループの製品・サービスの需要は、それらを提供している国又は地域の経済状況の影響を強く受けている。
従って、日本、中国、北米、ヨーロッパなど、当社グループの主要な市場における経済や景気、特に昨今のインフレーション・市況変動及びそれに伴う需要の変動については正確な予測に努め必要な対策を行っているが、世界同時不況やパンデミック、複雑化する地政学リスクなど予測を超えた急激な変動がある時は、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性がある。

(2) 資源エネルギー情勢原油、天然ガス、再生エネルギー等の価格高騰など資源やエネルギー情勢の急激な変化により当社グループの製品・サービスに対する需要も大きく変動する。
ガソリン価格が上昇すれば燃費の良い製品に需要がシフトすることが予測され、更に上昇すれば全体の需要は低下することも予測される。
鉄、アルミ、樹脂といった従来の自動車の原材料に加えて、リチウム、コバルト、ニッケル、ロジウム、パラジウムといった希少金属の価格に予測を超えた急激な変動がある時は、業績の悪化や機会損失の発生等、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性がある。
2.自動車市場における急激な変動自動車業界は世界規模で非常に厳しく、不確実な競争にさらされている。
当社グループもその競争に打ち勝つべく、お客様のニーズにあった製品・サービスを素早く提供できるように技術開発・商品開発や販売戦略において努力している。
しかしながら、お客様ニーズに合う製品・サービスをタイムリーに提供できなかった場合や、環境や市場の変化への対応が不十分な場合には、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性がある。
例えば、成熟市場では人口の減少や少子高齢化の進行により需要が減退したり変化したりする一方で、新興市場では大きく需要が増える可能性もある。
これらはビジネスチャンスとして当社グループに有利な結果をもたらす可能性もある一方、特定商品や特定地域への過度な依存が発生し、次なる変化への対応が十分に行われない場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性がある。
また、車両の電動化が進み、各国での温室ガス排出に対する規制が強化されており、カーボンニュートラルに向けたライフサイクルでの取り組みが必須となってきている。
これらの社会・環境要請に対応する取り組みが遅れた場合には、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性がある。
さらに、近年、先進運転支援システムが製品に搭載され販売されてきているが、これらは運転支援技術のさらなる進化に伴い、次世代に向けた大きな成長・発展の機会となる。
そのためには、公道走行における新たなルール作りが不可欠であり、各国規制当局との連携、自動車メーカー並びに関連技術を有する会社同士での協調が極めて重要である。
その一方で、新技術の開発という点では、各国、メーカー共に激しい競争状態にあり、開発費負担の増大、車両コストの増加等により、当社グループの業績や財務状況に大きな影響を及ぼす可能性がある。
今後、カーシェアリング、ライドシェアリング、ロボットタクシーといった業態の普及に伴い、「自動車メーカーがハードウエアとしてのクルマを製造・販売し、お客様はそのクルマを購入・所有・使用する」という従来のビジネスモデルが大きく変革していくことが想定される。
また、付加価値の中心がハードウエアとしてのクルマの性能から、クルマに関連したサービスも含め、お客様にどのような体験を提供できるのかといったソフトウエアの方に移っていくことも想定される。
その結果、ソフトウエアの部分での魅力が他社との差異化のポイントとなり、予てより当社の強みであったクルマというハードウエアを開発・量産するというノウハウや専門性がそれ程の付加価値を生まないものとなっていく可能性もある。
これら想定される変革を見据えて、ニューモビリティ等も含めた、従来の自動車業界以外からの参入の動きもある。
こういった動きに対して当社グループでは2021年11月には2030年のありたい姿を示す長期ビジョン「Nissan Ambition 2030」を発表した。
これは、当社のコーポレートパーパスを具現化するために、この先目指す方向性をステークホルダーの方々にビジョンとして示したものであり、「ともに切り拓く、モビリティとその先へ」をスローガンに、よりクリーンで、安全で、インクルーシブな、誰もが共生できる世界の実現を目指し、パートナーの皆様とともに、人々の移動の可能性と社会の可能性を広げていく、という当社の想いと決意を込めたものである。
この長期ビジョンの実現に向け、2024年3月には自社の価値と競争力を向上させる新たな経営計画「The Arc」を発表した。
本計画は2020年度から2023年度に実行された事業構造改革「Nissan NEXT」と長期ビジョン「Nissan Ambition 2030」の架け橋となるもので、2024年度から2026年度までの中期の取り組みと、2030年度までの中長期の取り組みから構成されている。
中期の取り組みとしては、地域毎に最適化した戦略を通じて販売台数を拡大し、電動車両とICE車のバランスの取れたポートフォリオ、主要市場での販売増、財務規律によって、事業基盤を堅固なものにする。
続いて、中長期的には、電動化を加速させ、パートナーシップや、新たな収益機会を活用しながら最終的な目標達成に向けて取り組む。
しかしながら、我々の想定を超えた速度や範囲で変革が起き、そのような変化に対して十分に対応できない場合には、我々は新たな競争相手に対して優位性を保つことができず、競争力を失う可能性もある。
3.金融市場に係るリスク(1) 為替レートの変動当社グループは世界13の市場で完成車の生産を行い、およそ160の市場で販売をしている。
原材料や部品、サービスの調達も多くの国で行っている。
当社の連結財務諸表は日本円で表示するため、一般的に他の通貨に対する円高は当社グループの業績に悪影響を及ぼし、反対に円安は好影響をもたらすことになる。
また、当社グループが生産を行う地域の通貨価値が上昇した場合、それらの地域の生産コストを押し上げ、当社グループの競争力の低下をもたらす可能性がある。
当社グループでは、為替変動リスクを軽減するための根本的な対策として、生産の現地化や、原材料及び部品の外貨建てによる購入等の対応を行っている。
しかしながら、為替リスクを完全に取り除くことは不可能であるため、想定を超えた変動が生じた場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性がある。

(2) 通貨、金利並びにコモディティ価格のリスクヘッジ市場金利の上昇及びコモディティ価格の上昇は当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性がある。
また、当社グループは外貨建債権債務の為替変動のリスク回避、変動金利で調達した有利子負債の金利変動リスク回避及び、コモディティの価格変動リスク回避を目的として、デリバティブ取引を行うことがある。
こうしたデリバティブ取引によりリスクを回避することができる一方で、為替変動、金利変動、コモディティ価格の変動によってもたらされる利益を享受できないという可能性もある。
(3) 有価証券の価格変動当社グループは、戦略的な理由や取引関係維持、キャッシュマネジメント等の理由により市場性のある有価証券を保有する場合があり、それらの有価証券の価格変動リスクを負っている。
このため株価や債券価格の変動は、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性がある。
(4) 資金の流動性金融市場では通常の想定を超える環境変化が発生する場合がある。
また、リクイディティ・リスクは国内外の格付機関による格付の引き下げによっても増加する。
そのような事態に対処するため、当社グループでは十分な資金の流動性を確保できるよう社内規定を整備し、内部資金の蓄積や金融機関とのコミットメントライン、調達手段や調達地域の多様化等、あらゆる資金捻出・調達ソースの確保に取り組んでいる。
また、当社グループは自動車事業において未使用のコミットメントラインや十分な手元資金を維持することにより、これらのリスクを低減させている。
しかしながら市場環境に予期せぬ大規模な変化が発生した場合には、当初計画どおりの資金調達に支障をきたす可能性があり、当社グループの業績及び財務状況に負の影響を及ぼす可能性がある。
(5) 販売金融事業のリスク販売金融事業は消費者、法人顧客及び販売店に金融ソリューションを提供することにより、これら顧客による日産車の購入又は販売活動に資するものであり、当社グループにとって重要なビジネスのひとつである。
販売金融事業は、徹底したリスク管理により適正な収益水準と健全な財務状態を維持しながら自動車販売をサポートしている。
しかし、顧客に金融ソリューションを提供するため、販売金融事業は、金利リスク、信用リスク、残存価格変動リスク等のリスクにさらされている。
これらのリスク要因が適切に管理されていないと当社グループの業績と財務状況に負の影響を及ぼす可能性がある。
これらのリスクを軽減するため、販売金融事業は健全なポリシーとリスクマネジメントフレームワークを導入している。
金利リスクの場合、当社グループは徹底した資産負債管理により期間と資産負債利率の不一致(固定金利対変動金利)の最小化、及び市場金利の変動に対するエクスポージャーの最小化に努めている。
しかしながら、販売金融事業は国内外の格付機関による格付の引き下げ及びマクロ経済状況等の外部要因による金利コスト上昇の影響を受ける。
信用リスクは、審査から回収までのサイクル全体に対して管理されている。
審査において販売金融事業は、厳格な与信審査ポリシーに従い、顧客の支払能力、支払履歴、資産状況、適切な担保価値及び融資条件を勘案したうえで与信判断を行っている。
与信期間中又は支払延滞があった場合、潜在的な損失を最小限に抑えるために綿密な回収戦略が実施される。
残存価格変動リスクについては、当社グループは独立第三者による評価金額と過去の中古車価格の統計分析結果を基準に、部門横断的なチームにより適切な残存価値設定を行っている。
また、新車販売のための販売インセンティブの適切なレベルおよび施策を管理、適切なフリート販売台数の維持管理および認定中古車の販売促進によるブランド価値構築を通じて日産車の将来的市場価値を高める戦略により、残存価格変動リスクの軽減に努めている。
(6) 取引先の信用等のリスク当社グループは販売会社、金融機関、サプライヤーなど様々な地域の数多くの取引先と取引を行っており、取引先の債務不履行などが発生するリスクにさらされている。
当社グループは、これらの取引先の財務情報をもとに継続的な評価を行うことで、かかるリスクを削減するよう努めている。
しかしながら、世界的な経済危機をきっかけにした、販売会社、金融機関及びサプライヤーの経営破たんのような予期せぬ事態が発生した場合には、当社グループの業績と財務状況に負の影響を及ぼす可能性がある。
また、当社グループの主要サプライヤーであるマレリホールディングス株式会社は、2022年6月24日に民事再生法に基づく民事再生手続開始を申し立て、2022年7月19日の債権者集会において再生計画案が可決され、2022年8月9日をもって東京地方裁判所による認可決定が確定した。
以後、再建へ向けた取り組みを進めているが、引き続きかかるサプライヤーの債務不履行など信用リスクが顕在化するなどにより、かかるサプライヤーからの供給の停止、遅延又は不足による当社グループの操業の停止、生産の遅延又は減少、もしくは財務的負担の増加やコストの上昇が生じる可能性があり、当社グループの業績と財務状況に大きな負の影響を及ぼす可能性がある。
(7) 退職給付費用及び債務当社グループの従業員の退職給付に備えるための退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の長期期待運用収益率に基づいて算出されている。
実際の結果が前提条件と異なる場合又は前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、一般的には将来期間において認識される費用及び債務に影響を与える可能性がある。
4.事業戦略や競争力維持に係るリスク(1) 国際的活動及び海外進出に関するリスク当社グループは世界13の市場で完成車の生産を行い、およそ160の市場で販売を行っている。
海外市場への事業進出の際には以下に掲げるようなリスクの検討も十分行っているが、アメリカ・中国及び中東をはじめとする不透明な世界情勢など進出した先で予期しないリスクあるいは想定を超えるリスクが顕在化した場合には計画どおりの操業度や収益性を実現できず、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性がある。
・ 政治的又は経済的要因・ 法律又は規制の変更・ 法人税、関税その他税制の変更及び移転価格税制等の国際税務問題による影響・ ストライキ等の労働争議・ 優秀な人材の採用と定着の難しさ・ テロ、戦争、クーデター、デモ、暴動、大規模自然災害、伝染病、その他の要因による社会的混乱
(2) 研究開発活動当社グループが開発する技術は、世の中のニーズに即し、有用かつ現実的で使い易いものでなくてはならない。
この目的のため当社グループは、将来のニーズを予測し、優先順位をつけ、電動化、自動運転化、コネクティビティ機能の強化、安全面の強化、モビリティサービス等にかかわる新技術の開発に投資している。
しかし、予測を超えた環境の変化や世の中のニーズの変化、相対的な開発競争力の低下により、最終的にお客様にその新技術が受け入れられない可能性もあり、その結果当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性がある。
(3) 他企業との提携等当社グループは、「Nissan Ambition 2030」及び「The Arc」の達成に向け、より高い競争力を短期間で獲得するために優れた技術・サービスを有する他の企業と戦略的に提携することがある。
将来に想定されるビジネスモデルの変革も見据え、従来の自動車業界の企業との提携のみならず、業界の枠を超えた、異業種企業との戦略的な提携等の可能性も含まれる。
しかしながら、当該分野の市場環境や技術動向の変化、提携先との活動の進捗状況によっては予定した成果を享受できない可能性もあり、その結果当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性がある。
(4) 製品・サービスの品質当社グループは、優れた品質の製品・サービスを提供するため、開発・製造から販売・サービスまできめ細かい管理体制を敷き最善の努力を傾けている。
しかしながら、より高い付加価値を提案するための新技術の採用は、それが十分に吟味されたものであっても、後に製造物責任や製品リコールなど予期せぬ品質に係る問題を惹起することがある。
また、今後自動運転技術が発展し、かつ広く普及していった場合は、運転者の関与の希薄化に伴い、より製造者側の責任が問われるようになることも想定される。
製造物責任については賠償原資を確保するため一定の限度額までは保険に加入しているが、必ずしもすべての損害が保険でカバーされるとは限らない。
またお客様の安全のため実施したリコールが大規模なものになった場合には多額のコストが発生するだけでなく、ブランドイメージが低下する等、当社グループの業績と財務状況に大きな影響を及ぼす可能性がある。
(5) 気候変動によるリスク気候変動に影響を与えると言われている温室効果ガスは、2015年に採択されたパリ協定にてできるだけ早い時期にピークアウトすること、また、2018年のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)1.5℃特別報告書では、遅くとも2050年までにはネットゼロとすることが必要とされ、国の政策や企業の取り組みが増加している。
当社グループは、事業活動やクルマによって生じる環境への依存と負荷を自然が吸収可能なレベルに抑え、豊かな自然資産を次世代に引き継ぐことを究極のゴールとしている。
この実現に向け、クルマの原材料の調達から輸送、走行時などバリューチェーン各段階での排出量削減をサプライヤーと共に取り組んでおり、中期環境行動計画「ニッサン・グリーンプログラム」でグローバルKPIと目標値を設定し、年次成果を公表している。
特に自動車のバリューチェーン全体に占めるクルマの使用時に排出されるCO2量は、企業活動に伴う排出量に比較して著しく多く、全体の80%以上を占めている。
よって、企業活動のみならずクルマの使用時についても、継続した削減が重要となる。
2021年1月には、2050年までに事業活動を含むクルマのライフサイクル全体におけるカーボンニュートラルの実現と、2030年代早期より主要市場に投入する新型車をすべて電動車とすることを目指すと発表した。
環境対応と社会的価値の創出に向けて、活動を具体化させていく所存である。
また、気候変動のような不確実な将来事象に起因するリスクと機会に対して、複数のシナリオでの変化を評価し、レジリエントな戦略とすることが重要と認識している。
このシナリオ分析の実施によって明確になったインパクトを鑑みた戦略構築を行っている。
2024年3月には、リスクと機会への対策と、カーボンニュートラル実現に向けた一層の取り組み拡大をまとめた「ニッサン・グリーンプログラム2030」を発表。
最も排出量の多いクルマの使用時については 、2030年までに新車1台当たりのCO2排出量を2018年比で50%削減することを目標にしている。
(日本、米国、欧州、中国の新車を対象)。
シナリオ分析と合わせ、詳細は2024年7月末に当社企業サイトに掲載するサステナビリティデータブック2024や、第2[事業の状況]の2[サステナビリティに関する考え方及び取組]にて紹介している。
しかしながら社会全体の気候変動対策が遅れた場合、カーボンプライシングの導入や国境炭素税などの脱炭素社会への更なる政策や法規制、研究開発業務の増加、市場需要や企業評判の変化による移行リスクや、異常気象災害の増加や海面の上昇などの物理的リスクにより、それぞれのリスクに対応するコスト増とクルマの販売成績の低下によって財務状況に大きな影響を及ぼす可能性がある。
(6) 環境や安全に関する規制、企業の社会的責任自動車業界は、(5)にて記載している気候変動以外にも、排出ガス基準、CO2/燃費基準、騒音、化学物質管理、リサイクル、水資源等、環境や安全に係る様々な規制の影響を受けており、これらの規制はより一層厳格になってきている。
多様化する環境課題に対応しながら、グローバル企業として包括的な環境マネジメントを推進するため、当社では各地域、機能部署、さまざまなステークホルダーと対話・連携する組織体制を構築。
チーフサステナビリティーオフィサーと取締役 代表執行役社長兼最高経営責任者が共同議長を務めるグローバル環境委員会(G-EMC)にはバリューチェーン全体から関係する各役員が出席し、年2回の開催で全社的な方針や取締役会への報告内容の決議を行う。
グローバル環境委員会の詳細については、第2[事業の状況]の2[サステナビリティに関する考え方及び取組]にて紹介している。
また、気候変動を含む環境リスクは、内部統制委員会でも定期的に報告され、ガバナンスが効果的に機能している状態であると認識している。
法規制を遵守することは当然であるが、企業の社会的責任として、また競合他社に対する優位性を保つために「ニッサン・グリーンプログラム2030」を掲げ、環境に対する継続的な取り組みを社内外にコミットしているが、開発や投資の負担は増加しており、これらコストの増加は当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性がある。
また、上記取り組みを行ったとしても、株主やお客様等のステークホルダーから、他社との比較において優位性を持たないと評価された場合には株価や販売に負の影響を及ぼし、その結果当社グループの業績と財務状況に大きな影響を及ぼす可能性がある。
(7) 重要な訴訟等当社グループが事業活動を進めていく中で、様々な訴訟が起きることがある。
それら訴訟については、当社グループ側の主張又は予測と異なる結果となるリスクは避けられず、場合によっては当社グループの業績と財務状況に大きな影響を及ぼす可能性がある。
(8) 知的財産保護当社グループは、他社製品と差別化できる技術とノウハウを保持している。
これらの知的財産は今後の当社グループの発展に不可欠なものであり、当社グループは専門の部署を設け知的財産を保護しているが、第三者が当社グループの知的財産を侵害した製品を製造・販売することを、すべて防止できない可能性がある。
(9) 優秀な人財の確保当社グループでは人財はモノづくりをはじめとする競争力の源泉であり、最も重要な資産と考えている。
「Nissan Ambition 2030」で掲げた目標およびそれを実現するための人材戦略については、第2[事業の状況]の2[サステナビリティに関する考え方及び取組]にて述べたとおり、人財育成の投資や評価報酬制度の充実にも力を入れている。
しかしながら優秀な人財確保のための競争は厳しく、計画どおりに採用や定着化が進まなかった場合は、長期的に当社グループの競争力が低下する可能性がある。
(10) コンプライアンス、レピュテーション2017年に発生した、当社国内車両製造工場における完成検査に係る不適切取扱いの案件を受けて、当社は再発防止に向けた取り組みを進めてきた。
特に、完成検査トレーサビリティシステムの導入、経営会議メンバーの工場訪問などによる風通しの良い職場づくり、コンプライアンス意識向上のためのコンプライアンスイベントの開催やコンプライアンス教育など、完成検査問題の風化を防止するための取り組みを継続して実施している。
一方、2018年から2019年にかけて、当社の元代表取締役による不正行為を受けて、独立第三者及び独立社外取締役で構成されるガバナンス改善特別委員会を設置し、2019年6月、東京証券取引所に一連の問題の経緯とその改善措置を記載した「改善報告書」を提出し、2020年1月には改善措置の実施状況及び運用状況を「改善状況報告書」として同取引所に提出した。
2023年11月に規制当局の承認を受け、新たなアライアンス契約が発効した。
これに伴い、独占禁止法等の遵守と抵触防止の活動にも、継続して取り組んでいく。
また、2024年3月に当社は公正取引委員会から、下請代金支払遅延等防止法(以下、下請法)の適用対象となる事業者との取引に関して、下請法に基づく勧告を受けた。
これは、当社が、下請法の適用対象となる事業者36社との取引において、受け取った割戻金の一部が、下請法第4条第1項第3号(下請代金の減額の禁止)の規定に抵触すると判断されたものである。
当社は、既に、下請事業者に対して、下請代金の減額に該当すると判断された金額を返金するとともに、割戻金の運用も廃止した。
当社は、本勧告を重く受けとめ、法の遵守状況についての定期的な点検体制の強化、役員や下請取引に関わる従業員への教育の徹底及び定期的な研修の実施など、法令遵守体制の強化を行うとともに、再発防止策の徹底ならびに今後の取引適正化に全社的に取り組んでいく。
当社は引き続き、ガバナンスの改善、企業風土の改革、企業倫理の再構築、企業情報の適切な開示、コンプライアンスを遵守した経営に努めている。
しかしながらコンプライアンスの問題は全ての従業員、全ての執行役員、全ての執行役及び取締役のあらゆる行動にかかわっており、会社全体でコンプライアンスの重要性を明確に認識するとともにその実効性を担保するための環境を整備し、従業員、執行役員、執行役、取締役の一人一人がコンプライアンスの重要性を本当の意味で理解し、常に意識して行動することが定着しない限りは案件の発生を完全に防止することは困難である。
もし求められるガバナンスを十分に実現できなかったり、再び重大なコンプライアンス違反の発生を許したりした場合には、当社グループの社会的信用及びブランドや製品に対する信頼は失われ、当社グループの業績に極めて大きな影響を与える可能性がある。
2020年より、国連の「国際腐敗防止デー」が設けられた12月に「日産エシックス・デー」を開催し、全地域の従業員を対象として業務に関する行動を振り返り、日産の価値観をいかに日々の業務において実践できるかについて全社的な振り返りを行っている。
さらに守るべき法令やルールは年々増加している一方で企業の社会的責任に対する社会の期待や要求も増大している。
仮に、企業の社会的責任に照らして不適切な行為を行ったのが2次3次以降のサプライヤーや販売者であったり、あるいは当社グループが想定した販売ルート以外で流通した製品に関連するものであっても、当社グループ自身が社会的責任を追及され、対応の内容や迅速性が不十分な場合には当社グループの社会的信用や評判に悪い影響を及ぼし、売上高の減少等、当社グループの業績に影響を与える可能性がある。
5.事業の継続(1) 大規模災害日本を本拠とする当社グループとして、地理的リスクについては地震(津波)・水害(台風・洪水)リスクを重点管理すべきリスクと位置付けている。
地震リスクについて当社グループでは、地震リスクマネジメントに関する基本方針を設定するとともに、主要な経営会議メンバーで構成されるグローバルベースの災害対策組織を設置している。
また、工場などの建屋や設備などの耐震補強も積極的に推進している。
なお、火山の噴火についても地震対策の中で対策を講じるべく検討を推進している。
しかし、想定を超えた大規模な地震により大きな損害が発生し、操業を中断せざるを得ないような場合は、当社グループの業績と財務状況に大きな影響を及ぼす可能性がある。
さらに、地震(津波)、昨今急増している水害(台風・洪水)並びにパンデミックについても、事前の予防対策及び発生時の緊急対応体制の整備、停電時に電気自動車の電池を非常用電源として活用する仕組みの構築等を行っているが、想定を超えた規模で発生した場合などは当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性がある。
東日本大震災や熊本地震、西日本豪雨や2019年の台風15号・19号等の災害を契機として、下記のような従来想定していなかった様々なリスクも顕在化した。
・ 計画停電の実施や長期にわたる電力不足により、工場の操業が大きく制限されるリスク・ 原子力発電所からの放射能汚染による立入制限や避難指示により、対象地域内の工場やサプライヤーが復旧又は操業できないリスク・ 放射能汚染を理由とする、部品・製品の受け入れ制限や遅延のリスク、及び風評による売れ行き低下のリスク・ 「南海トラフ巨大地震」等で想定される、従来の高さと範囲を大きく超える津波のリスク・ 日本国内各地に数多く存在する活断層型の地震によりサプライヤーが被災し、工場の操業が大きく制限されるリスク・ 台風・豪雨(突風)により大きな被害となる土砂崩れや広範囲での停電当社グループではこれら顕在化した問題に対しても一つ一つ対策を検討・実行し、問題解決の努力を続けているが、当社グループだけでは対応できない問題も多く、また、対応のためのコストも発生するため、業績や財務状況に対する影響は避けられない可能性がある。

(2) 原材料及び部品の購入当社グループは事業の構造上、多数の取引先から原材料や部品及びサービスを購入している。
また、新技術の導入に伴い、産出量が少ないだけでなく産出が特定の国や地域に限られる希少金属の使用も増えている。
その結果、需給バランスの急激な変動などによる原材料の価格高騰や供給ひっ迫、災害、パンデミック、又は人権侵害などの発覚、産出国における政情の変化等のリスクにさらされている。
当社グループでは、これらのリスクを最小化するため、サプライヤーと連携した事業継続計画(BCP)レベル向上の活動や、代替サプライヤーの検討、サプライチェーン全体での在庫の確保など、購入品の安定的な供給体制強化に継続的に取り組んでいる。
しかし予期せぬ市況状況の変化が起こった場合は、必要な原材料・部品等を継続的・安定的に確保できなくなる可能性もあり、当社グループの業績と財務状況に大きな影響を及ぼす可能性がある。
(3) 特定サプライヤーへの依存より高い品質や技術をより競争力ある価格で調達しようとすると、発注が特定のサプライヤーに集中せざるを得ないことがある。
また、特別な技術や生産工程を要するものについてはそもそも提供できるサプライヤーが限定されることもある。
例えば、世界的な半導体供給のひっ迫は当社グループの生産計画に対して大きな影響を与えうる。
当社グループでは、リスクを最小化するため、2次3次以降のサプライヤーを含めた代替サプライヤーの検討、サプライチェーン全体での在庫の確保、半導体サプライヤーとの長期供給契約など、サプライチェーンの見直しと強化に継続的に取り組んでいるが、予期せぬ事由によりサプライヤーからの供給が停止したり、遅延や不足が生じた時は、当社グループの操業も停止し、当社グループの業績と財務状況に大きな影響を及ぼす可能性がある。
また、当社グループの主要サプライヤーであるマレリホールディングス株式会社は、2022年6月24日に民事再生法に基づく民事再生手続開始を申し立て、2022年7月19日の債権者集会において再生計画案が可決され、2022年8月9日をもって東京地方裁判所による認可決定が確定した。
以後、再建へ向けた取り組みを進めているが、引き続き、かかるサプライヤーからの供給の停止、遅延又は不足による当社グループの操業の停止、生産の遅延又は減少、もしくは財務的負担の増加やコストの上昇が生じる可能性があり、当社グループの業績と財務状況に大きな負の影響を及ぼす可能性がある。
(4) 情報システムに係るリスク当社グループのほとんど全ての業務は情報システムに依存しており、システムやネットワークも年々複雑化高度化している。
今や、これらシステムネットワークのサービス無くしては業務の遂行は到底不可能である。
この状況に対して大規模な自然災害、火災、停電等の事故は引き続き当該システムに対して脅威であり、更にコンピュータウイルスへの感染やより巧妙化しているサイバー攻撃など人為的な脅威も急激に高まっている。
当社グループではそれらのリスクに備え事業継続計画(BCP)の策定、システム及びインフラの老朽化更新、サイバーセキュリティ対策の向上等、ハード面・ソフト面両方にわたる様々な対策を実施している。
しかしながら、想定を超える災害の発生、サイバー攻撃の発生やウイルス等への感染が発生した場合には、システムダウンによる業務の停止、重要なデータの消失、機密情報や個人情報の盗取や漏えい等のインシデントを引き起こす可能性がある。
その結果、当社グループの業績や信頼性に対する評判、財務状況に大きな影響を及ぼす可能性がある。
経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。
)の状況の概況は次のとおりである。
① 財政状態及び経営成績の状況当連結会計年度のグローバル全体需要は前連結会計年度に比べ8.6%増の8,454万台となった。
当社グループのグローバル小売台数は前連結会計年度に比べ4.1%増の344万2千台となった。
売上高は12兆6,857億円となり、前連結会計年度に比べ2兆890億円(19.7%)の増収となった。
営業利益は5,687億円となり、前連結会計年度に比べ1,916億円(50.8%)の増益となった。
営業外損益は1,334億円の利益となり、前連結会計年度に比べ49億円の減益となった。
経常利益は7,022億円となり、前連結会計年度に比べ1,867億円(36.2%)の増益となった。
特別損益は1,029億円の損失となり、前連結会計年度に比べ101億円の改善となった。
税金等調整前当期純利益は5,992億円となり、前連結会計年度に比べ1,968億円(48.9%)の増益となった。
親会社株主に帰属する当期純利益は4,266億円となり、前連結会計年度に比べ2,047億円(92.3%)の増益となった。
 ② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度のキャッシュ・フローは、営業活動により9,609億円増加、投資活動により8,127億円減少、財務活動により1,316億円減少した。
また、現金及び現金同等物に係る換算差額により951億円増加した結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末残高に対し1,118億円(5.6%)増加の2兆1,262億円となった。
③ 生産、受注及び販売の状況a.生産実績会社所在地生産台数(台)増減前年同期比前連結会計年度当連結会計年度(台)(%) 日  本596,694724,838128,14421.5% 米  国555,924605,65249,7288.9% メキシコ412,098607,089194,99147.3% 英  国260,532325,45864,92624.9% タ  イ79,99793,60513,60817.0% インド218,482124,627△93,855△43.0% 南アフリカ26,89125,136△1,755△6.5% ブラジル53,17158,7615,59010.5% アルゼンチン26,81629,6462,83010.6% エジプト18,11212,084△6,028△33.3%合計2,248,7172,606,896358,17915.9%
(注) 台数集約期間は2023年4月から2024年3月までである。
b.受注状況当社グループの受注生産は僅少なので受注状況の記載を省略する。
c.販売実績(小売り)仕向地販売台数(小売台数:台)増減前年同期比前連結会計年度当連結会計年度(台)(%) 日本 454,449484,19529,7466.5% 北米 1,023,4981,262,110238,61223.3% 内、米国764,086915,712151,62619.8% 欧州 308,449361,37252,92317.2% アジア1,170,992910,055△260,937△22.3% 内、中国1,045,197793,768△251,429△24.1% その他 347,816424,52576,70922.1%合計 3,305,2043,442,257137,0534.1%
(注) 1 台数集約期間は、アジアに含まれる中国、台湾は2023年1月から2023年12月まで、日本、北米、欧州、その他、並びに中国、台湾を除くアジアは2023年4月から2024年3月までである。
2 中国には合弁会社である東風汽車有限公司の販売台数が含まれる。
d.販売実績(連結売上)仕向地販売台数(連結売上台数:台)増減前年同期比前連結会計年度当連結会計年度(台)(%) 日  本 456,415473,51717,1023.7% 北  米 1,063,9331,340,587276,65426.0% 内、米国802,266977,028174,76221.8% 欧  州 310,683363,92653,24317.1% アジア207,190153,669△53,521△25.8% 内、中国498217721,575.5% その他 412,544453,91541,37110.0%合計 2,450,7652,785,614334,84913.7%
(注) 台数集約期間は、アジアに含まれる中国、台湾は2023年1月から2023年12月まで、日本、北米、欧州、その他、並びに中国、台湾を除くアジアは2023年4月から2024年3月までである。

(2) 経営者の視点による経営成績の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであり、原則として連結財務諸表に基づいて分析したものである。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2024年6月28日)現在において当社グループが判断したものである。
① 重要な会計方針及び見積り当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成している。
この連結財務諸表の作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とする。
経営者は、これらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しているが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合がある。
連結財務諸表を作成するにあたって、重要な見積りは以下のとおりである。
なお、「会計上の見積りの開示に関する会計基準」の適用に伴い、翌連結会計年度に重要な影響を及ぼす可能性のある一部の項目については、第5[経理の状況]の1[連結財務諸表等]の(重要な会計上の見積り)に記載している。
a.製品保証引当金当社グループは、製品のアフターサービスに対する費用の支出に備えるため、保証書の約款に従い、類似の費用特性を有する製品グループごとに保証経過期間における発生費用総額に対して、過去実績に基づく保証期間内の費用発生パターンを見積もり、引当金を算定している。
当社グループは、製品の安全を最優先課題として、研究開発・製造から販売サービスまで最善の努力を傾けているが、実際の製品の不具合等により発生した保証費用の発生パターンの実績が見積りと乖離した場合、引当金の追加計上が必要となる可能性がある。
b.退職給付費用当社グループの従業員の退職給付に備えるための退職給付費用及び債務は、割引率、退職率及び死亡率などの年金数理計算上の基礎率及び年金資産の長期期待運用収益率に基づき算出されている。
ただし、国際財務報告基準(IFRS)を適用している在外子会社においては、年金資産の期待運用収益率ではなく、利息純額として年金数理計算上の割引率と同じ指標が用いられている。
実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、一般的には将来期間において認識される費用及び債務に影響を与える可能性がある。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容当社グループの当連結会計年度における経営成績及び財政状態の状況に関する認識及び分析・検討結果は、次のとおりである。
(業績)a.売上高連結売上高は前連結会計年度に対し2兆890億円(19.7%)増加し、12兆6,857億円となった。
これは主に、販売台数の増加、台当たり正味売上高の改善及び為替変動によるものである。
b.営業利益連結営業利益は5,687億円となり、売上高営業利益率は4.5%となった。
前連結会計年度の3,771億円の利益に対し1,916億円(50.8%)の増益となった。
これは主に、販売台数の増加、台当たり正味売上高の改善及び固定費の徹底管理によるものである。
c.営業外損益連結営業外損益は1,334億円の利益となり、前連結会計年度の1,383億円の利益に対し、49億円の減益となった。
これは主に、持分法による投資利益の減少によるものである。
d.特別損益連結特別損益は1,029億円の損失となり、前連結会計年度の1,130億円の損失に対し、101億円の改善となった。
これは主に、当連結会計年度に一過性の訴訟関連損失及び減損損失を計上したものの、前連結会計年度においてはロシア市場からの撤退に関連する損失等を計上したことによるものである。
e.法人税等法人税等は1,497億円となり、116億円(7.2%)の減少となった。
これは主に、当社において繰延税金資産の回収可能性を判断する際の企業分類の見直しを行ったことによるものである。
f.親会社株主に帰属する当期純利益親会社株主に帰属する当期純利益は4,266億円となり、前連結会計年度に比べ2,047億円(92.3%)の増益となった。
(事業セグメント)a.自動車事業当社グループのグローバル小売台数は344万2千台となり、前連結会計年度に比べ13万7千台(4.1%)の増加となった。
日本、北米、欧州等中国以外の地域は前連結会計年度に比べ17.2%増加したものの、中国市場では減少した。
日本国内では前連結会計年度に比べ6.5%増の48万4千台、メキシコとカナダを含む北米では前連結会計年度に比べ23.3%増の126万2千台、欧州では前連結会計年度に比べ17.2%増の36万1千台、中国では前連結会計年度に比べ24.1%減の79万4千台、その他地域は前連結会計年度に比べ14.2%増の54万1千台となった。
自動車事業の売上高(セグメント間の内部売上高を含む)は11兆7,825億円となり、前連結会計年度に比べ2兆957億円(21.6%)の増収となった。
営業利益は2,216億円となり、前連結会計年度に比べ1,786億円(415.9%)の増益となった。
これは主に、販売台数の増加に加え、台当たり正味売上高の改善及び固定費の徹底管理によるものである。
なお、当連結会計年度におけるセグメント間の取引消去額を含む自動車事業の営業利益は2,600億円となった。
b.販売金融事業販売金融事業の売上高(セグメント間の内部売上高を含む)は1兆1,618億円となり、前連結会計年度に比べ1,380億円(13.5%)の増収となった。
営業利益は3,087億円となり、前連結会計年度に比べ32億円(1.0%)の減益となった。
これは主に、ポートフォリオの拡大や為替変動による増益影響はあったものの、金利上昇に伴う調達コストの増加及び市場の徐々な正常化に伴う貸倒引当金の繰入額の増加によるものである。
(地域セグメント)a.日本日本国内市場の全体需要は前連結会計年度に比べ3.2%増加し453万台となった。
当社グループの小売台数は前連結会計年度に比べ6.5%増の48万4千台となり、市場占有率は前連結会計年度に比べ0.3ポイント増の10.7%となった。
この結果、日本地域におけるセグメント間の内部売上高を含む売上高は4兆9,479億円と、前連結会計年度に比べ1兆96億円(25.6%)の増収となった。
営業利益は1,081億円となり、前連結会計年度に比べ2,584億円の改善となった。
これは主に、インフレーションはあったものの、国内販売については新型「セレナ」等の新車投入による台数の増加及び台当たり正味売上高の改善、輸出については台数の増加及び為替変動の影響によるものである。
b.北米メキシコとカナダを含む北米市場の全体需要は前連結会計年度に比べ13.1%増加し1,880万台となり、当社グループの小売台数は前連結会計年度に比べ23.3%増の126万2千台となった。
この結果、北米地域におけるセグメント間の内部売上高を含む売上高は7兆2,793億円と、前連結会計年度に比べ1兆3,302億円(22.4%)の増収となった。
営業利益は3,345億円となり、前連結会計年度に比べ215億円(6.0%)の減益となった。
これは主に、販売台数の増加、原材料価格の減少及び為替変動の影響はあったものの、販売奨励金の増加及びインフレーションによるものである。
米国市場の全体需要は前連結会計年度に比べ12.4%増加し1,568万台となった。
当社グループの小売台数は前連結会計年度に比べ19.8%増の91万6千台となり、市場占有率は前連結会計年度に比べ0.3ポイント増の5.8%となった。
c.欧州ロシアを含む欧州市場の全体需要は前連結会計年度に比べ12.3%増加し1,635万台となった。
当社グループの小売台数は前連結会計年度に比べ17.2%増の36万1千台となり、市場占有率は前連結会計年度に比べ0.1ポイント増の2.2%となった。
この結果、欧州地域におけるセグメント間の内部売上高を含む売上高は1兆8,705億円と、前連結会計年度に比べ4,738億円(33.9%)の増収となった。
営業損失は173億円となり、前連結会計年度に比べ127億円の悪化となった。
これは主に、「日産ジューク」、「キャシュカイ」、新型「エクストレイル」等の販売台数の増加、原材料価格の減少はあったものの、販売費用の増加及びインフレーションによるものである。
d.アジア中国を除くアジア市場の小売台数は前連結会計年度に比べ7.6%減の11万6千台となった。
アジア地域におけるセグメント間の内部売上高を含む売上高は1兆6,078億円と、前連結会計年度に比べ1,689億円(11.7%)の増収となった。
営業利益は1,092億円となり、前連結会計年度に比べ233億円(27.1%)の増益となった。
これは主に、輸出台数の増加及び原材料価格の減少によるものである。
中国市場の全体需要は、前連結会計年度に比べ6.0%増加し2,475万台となった。
当社グループの小売台数は前連結会計年度に比べ24.1%減の79万4千台となり、市場占有率は前連結会計年度に比べ1.3ポイント減の3.2%となった。
これは主に、小型商用車事業の売却、価格競争の激化、及びICE車から新エネルギー車へのシフトが加速したことによるものである。
なお、合弁会社である東風汽車有限公司の業績は、持分法による投資損益として営業外損益に計上している。
e.その他大洋州、中近東、南アフリカ、メキシコを除く中南米等における当社グループの小売台数は、前連結会計年度に比べ22.1%増の42万5千台となった。
中南米市場の小売台数は前連結会計年度に比べ23.9%増の16万7千台、中東市場の小売台数は前連結会計年度に比べ26.8%増の15万2千台、南アフリカ等のアフリカ市場の小売台数は前連結会計年度に比べ13.1%減の5万5千台となった。
大洋州、中近東、南アフリカ、メキシコを除く中南米等におけるセグメント間の内部売上高を含む売上高は1兆5,146億円と、前連結会計年度に比べ3,487億円(29.9%)の増収となった。
営業利益は273億円となり、前連結会計年度に比べ572億円(67.7%)の減益となった。
これは主に、販売費用の増加及びインフレーションによるものである。
(資本の財源及び資金の流動性についての分析)当社グループは、グローバルに展開するグループ会社の資金状況を当社にて一括管理し、グループの資金効率を高めている。
当社グループの資金需要としては、自動車事業における研究開発費及び設備投資と、販売金融事業における金融資産の取得原資などがある。
これらの必要資金を安定的に確保するため、運転資金効率の改善を含めた自動車事業の営業キャッシュ・フローの向上やグループ内の余剰資金の活用により、内部資金を最大限に利用している。
また、外部調達としては、銀行借入やコマーシャルペーパー及び社債の発行のほか、販売金融事業では保有金融債権の流動化も行い、各地域での金融市場の特性や状況に応じて調達手法を最適に組み合わせることで、低コストでの資金調達を実現している。
なお、研究開発費及び設備投資については、電動化、モビリティ革新、グローバルなエコシステムの構築といった重点分野に集中して投入している。
また、販売金融事業における自動車ローンや自動車リースを中心とした金融資産の取得については、常に資産の質を重視して管理している。
株主への配当については、収益及びキャッシュ・フロー等の状況を総合的に勘案し決定している。
流動性について、当社グループは、地政学的リスクや金融市場の想定外の変化にも対応できるよう、常に十分な流動性の確保を図っている。
当社グループは従来から世界の主要銀行とコミットメントライン契約を締結しており、自動車事業と販売金融事業を合わせたグループ全体での未使用のコミットメントラインとして2024年3月末時点で2兆1,823億円を保有している。
また、2024年3月末時点での自動車事業における手元資金は2兆143億円である。
これらにより当社グループの流動性は十分に高い水準にあると考えている。
当社グループによる無担保資金調達に係わるコスト及びその発行の可否は、一般に当社グループに関する信用格付によっている。
ムーディーズ(Moody's)、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)、フィッチ・レーティングス(Fitch Ratings)及び格付投資情報センター(R&I)による2024年5月末時点での当社の長期信用格付は以下のとおりである。
なお、これらの格付は当社グループの債券の売買・保有を推奨するものではない。
また、当社グループの金融債務やコミットメントラインについて、格付の見直しにより強制的に返済の必要が生じたり新たな借入が制限される条件が付されているものはない。
Moody'sS&PFitch RatingsR&I長期格付Baa3BB+BBB-A なお、当社グループは、事業の中核と位置付けているサステナビリティの推進に必要となる資金を調達するため、2022年7月にサステナブル・ファイナンス・フレームワークを策定し、フレームワークに基づき2022年度に資金調達を行った。
本フレームワークを通じて調達した資金は、バッテリーを含む電動車の開発や生産、EVエコシステム・スマートシティの実現に向けた技術開発やインフラ整備、より安全で持続可能なモビリティの開発など、幅広い取り組みに使用されている。
なお、当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況と、前連結会計年度に対するキャッシュ・フローの増減は以下のとおりである。
営業活動営業活動による収入は9,609億円となり、前連結会計年度の1兆2,211億円の収入に比べて2,602億円減少した。
これは主として、自動車事業の収益の改善があった一方で、事業拡大に伴う当連結会計年度の販売金融債権の増加によるものである。
投資活動投資活動による支出は8,127億円となり、前連結会計年度の4,470億円の支出に比べて3,656億円支出が増加した。
これは主として、設備投資の増加と、販売金融事業のリース車両の取得が増加したことによるものである。
財務活動財務活動による支出は1,316億円となり、前連結会計年度の6,706億円の支出に比べて5,391億円の支出が減少した。
これは主として、販売金融事業の資金調達が増加したことによるものである。
なお、当連結会計年度における自動車事業のフリーキャッシュフローは前連結会計年度に比べ1,363億円改善し、3,230億円のプラスとなった。
また、当連結会計年度末における自動車事業のネットキャッシュは1兆5,460億円となり、前連結会計年度末から3,328億円増加した。
セグメント別の内訳は以下のとおりである。
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)(百万円) 自動車事業及び消去販売金融事業連結計営業活動によるキャッシュ・フロー492,095728,9561,221,051投資活動によるキャッシュ・フロー△305,347△141,694△447,041小計:フリーキャッシュフロー186,748587,262774,010財務活動によるキャッシュ・フロー△104,199△566,408△670,607 当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)(百万円) 自動車事業及び消去販売金融事業連結計営業活動によるキャッシュ・フロー698,060262,839960,899投資活動によるキャッシュ・フロー△375,028△437,636△812,664小計:フリーキャッシュフロー323,032△174,797148,235財務活動によるキャッシュ・フロー△298,193166,642△131,551 対前年度増減(百万円) 自動車事業及び消去販売金融事業連結計営業活動によるキャッシュ・フロー205,965△466,117△260,152投資活動によるキャッシュ・フロー△69,681△295,942△365,623小計:フリーキャッシュフロー136,284△762,059△625,775財務活動によるキャッシュ・フロー△193,994733,050539,056
経営上の重要な契約等 5 【経営上の重要な契約等】
契約会社名相手先国名契約の内容契約年月日日産自動車株式会社(提出会社)ルノーフランス資本参加を含む自動車事業全般にわたる提携契約2023年7月26日日産自動車株式会社(提出会社)ダイムラーAGドイツ資本参加を含む戦略的協力に関する提携契約2010年4月7日ルノーフランス日産自動車株式会社(提出会社)三菱自動車工業株式会社日本資本参加を含む自動車事業全般にわたる提携契約2016年5月25日日産自動車株式会社(提出会社)ダイムラーAGドイツ資本参加を含む戦略的協力に関する提携契約2018年10月3日ルノーフランスルノー・日産会社オランダ三菱自動車工業株式会社日本 当社は、1999年3月27日にルノーとの間で締結された「アライアンス及び資本参加契約」(Alliance and Equity Participation Agreement。
以下、「AEPA」という。
)並びにこれを改訂した2002年3月28日付「改訂アライアンス基本契約」(Restated Alliance Master Agreement。
以下、「RAMA」という。
)及びその改訂に代わる新たなアライアンス契約として、2023年7月26日にルノーとの間で「新アライアンス契約」(New Alliance Agreement)を締結した。
その後、新アライアンス契約は、2023年11月7日に締結された「第1次改訂新アライアンス契約」(First Amended and Restated New Alliance Agreement。
以下、「改訂新アライアンス契約」という。
)により改訂され、前提条件の充足を受けて、2023年11月8日に改訂新アライアンス契約の法的効力が発効した。
これにより、同日をもってAEPA及びRAMAは失効した。
改訂新アライアンス契約については、ガバナンス向上及び透明性の向上の観点から、契約上の守秘義務に抵触しない範囲で、以下のとおり内容の一部を開示する。
(株式譲渡制限及び株式取得制限)ルノーと当社グループは、株式譲渡制限及び株式取得制限を伴う約15%の株式を相互に保有する。
(取締役候補者の推薦)ルノーは当社の取締役会において2名の取締役を推薦する権利を有し、当社はルノーの取締役会において2名の取締役を推薦する権利を有する(ルノーによる当社株式の信託及び売却)ルノーは、2023年11月8日時点で同社が保有していた当社株式43.4%のうち、約28.4%をフランスの信託会社に信託し、当該株式が売却されるまでの間、当該株式のすべてに付随する経済面での権利(配当金と株式売却収入)を有する。
ルノーは、同社にとって商慣習上合理的な場合、信託会社に信託した当社株式の売却を指示するが、特定の期間内に売却する義務は負わない。
ルノーは、当社と協調的で秩序あるプロセスにおいて自由に信託内の当社株式を売却できるが、当社は筆頭の売却候補として、直接又は第三者を通じてその優先的な地位を享受する。
(議決権行使)ルノーにより信託会社に信託された当社株式に付随する議決権は、以下の場合を除き、中立的に行使される。
・ルノーが推薦する当社取締役の選任又は解任(信託会社はルノーの指示に従って議決権を行使する)・ルノーが推薦する当社取締役以外の当社指名委員会が推薦する当社取締役の選任又は解任(信託会社は当社指名委員会の決定及び提案に賛成する)・当社の取締役会が支持しない株主提案(信託会社は棄権する)ルノー及び当社グループ双方による議決権行使は、行使可能な総議決権数の15%が上限とされ、両社は当該上限内で自由に相手方に対する議決権の行使が可能である。
(アライアンス オペレーティング ボード)当社、ルノー及び三菱自動車工業株式会社との間で設立されたアライアンス オペレーティング ボードは、当社、ルノー及び三菱自動車工業株式会社の調整の場として存続する。
なお、改訂新アライアンス契約の当初有効期間は、発効日から15年となる。
研究開発活動 6 【研究開発活動】
当社グループは、将来にわたって持続性のあるモビリティ社会の実現に向けて、環境や安全など様々な分野での研究開発活動を積極的に行っている。
当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は6,099億円であった。
当社グループの研究開発体制及び活動成果は次のとおりである。
(1) 研究開発体制当社グループの日本における研究開発は、日産テクニカルセンター(神奈川県厚木市)を中心に、車両開発を株式会社日産オートモーティブテクノロジー、日産車体株式会社、ユニット開発をジヤトコ株式会社などの関係各社が担当し、当社と密接な連携のもとで推進している。
米欧地域においては、米国の北米日産会社、メキシコのメキシコ日産自動車会社、英国の英国日産自動車製造会社、スペインの日産モトール・イベリカ会社において、一部車種の設計開発業務を行っている。
また、米国の日産先進技術開発センター・シリコンバレーにおいて、自動運転車の研究、最先端のICT(Information and Communication Technology)技術開発を行っている。
アジア地域では、中国の日産(中国)投資有限公司、東風汽車集団股份有限公司との合弁会社である東風汽車有限公司、台湾の裕隆汽車製造股份有限公司との合弁会社である裕隆日産汽車股份有限公司、タイのアジア・パシフィック日産自動車会社及びインドのルノー日産テクノロジー&ビジネスセンターインディア社において一部車種のデザイン及び設計開発業務を行っている。
また、ルノーとの合弁会社アライアンス研究開発(上海)有限公司を2019年に設立し、自動運転車、電気自動車(EV)、コネクテッドカーに重点を置いた研究開発を行っている。
また、南米地域のブラジル日産自動車会社、南アフリカの日産サウスアフリカ会社においても現地生産車の一部開発業務を行っている。

(2) 新商品の開発状況国内にて、「フェアレディZ NISMO」、「スカイライン NISMO」、「アトラス」、「日産クリッパー EV」を発売した。
海外では、中国において「キャッシュカイ」、「パラディン」、「パスファインダー」および、新エネルギー車(NEV)のヴェヌーシア「V-Online DD-i」、「VX6」を発売した。
(3) 新技術の開発状況日産は2021年11月に「共に切り拓く モビリティとその先へ」をスローガンとして、新しい長期ビジョン「Nissan Ambition 2030」を発表した。
日産は今後10年間で、数多くのワクワクする電動車とイノベーションを提供し、グローバルに事業を拡大していく。
この長期ビジョンは、2050年度までに製品のライフサイクル全体でカーボンニュートラルを実現するという当社の目標を支えるものである。
そして、バランスの取れたポートフォリオで多様なお客さまのニーズと市場毎に異なる電動化のペースに対応するため、2024年度から2030年度の間で計34車種の電動車を投入してすべてのセグメントをカバーする。
その結果、グローバルな電動車のモデルミックスは2026年度に約40%、2030年度には約60%になる見込みである。
また、電動化の鍵となるバッテリーについては従来のNCMリチウムイオンバッテリーの性能を向上していくとともに、コストに優れるLFPバッテリーおよびバッテリーの革新となる全固体電池の開発を進めていく。
これらの進化したNCMリチウムイオンバッテリー、LFPバッテリー、全個体電池を搭載したEVは、2028年度に投入する予定である。
さらに、EVと「e-POWER」でモーター・インバーターなど主要部品の共用化・モジュール化することによりコストの大幅低減を実現する次世代電動パワートレイン「X-in-1」技術開発を通じ、電動車の競争力をさらに向上させる。
EVでは、「日産リーフ」、SUVの「日産アリア」、軽自動車の「日産サクラ」に続き、ビジネスユースもサポートする軽商用EVバンの「日産クリッパー EV」を発売した。
「日産クリッパー EV」は、軽商用バンとして必要な荷室性能と積載量を確保しながらも、モーター駆動のEVならではの力強い走りで、重い荷物も軽快に運ぶことが可能である。
また、走行時や起動・停車時の静粛性も高く、早朝や深夜をはじめ、住宅街での使用にも適する。
さらに、次世代のEVに向けては競争力を確保するため、プラットフォームを共有するファミリー開発などの効率化を行い、EVのコストをガソリン車(ICE車)と同等にしていくことを目指す。
車両の電動化では、ガソリンエンジンで発電した電力を利用し、モーターの力で走行する「e-POWER」を2016年より採用している。
2023年には、新開発の「e-POWER」専用設計エンジンを搭載した「セレナ」において、燃焼効率の向上やスムースで力強い加速、優れた静粛性などが評価され2023-2024「日本カー・オブ・ザ・イヤー」において「テクノロジー・カー・オブ・ザ・イヤー」、2024年次「RJCカー・オブ・ザ・イヤー」において「RJCカーオブザイヤー」と「RJCテクノロジーオブザイヤー」を受賞した。
さらに、グローバル市場における採用拡大のため、2023年には中国で「エクストレイル」へ「e-POWER」搭載モデルを設定した。
今後も「e-POWER」は環境性能と走行性能を高い次元でバランスさせながら、幅広い車種に搭載可能な技術として進化を続けていく。
EV同様、コストのさらなる低減に向け、発電専用エンジンの開発及び定点運転に特化するシステムの簡素化に取り組む。
さらに次世代の「e-POWER」向け発電専用エンジンでは、世界最高レベルの熱効率50%を実現する技術を開発し、一層のCO2排出量の削減(燃費向上)を目指す。
車両の軽量化も燃費向上に向けた重要な取り組みのひとつであり、材料、構造合理化、工法の3つの手法により推進している。
材料では、高強度と高成形性を両立できる超ハイテン材の採用拡大をいち早く進めており、軽自動車からインフィニティに至るまで、幅広い車種の車体骨格部材に採用している。
2020年「ローグ」、「キャシュカイ」、「ノート」、2022年「日産アリア」、2023年「セレナ」など採用車種の拡大を進めている。
また、構造合理化においては、新設計したモーター、インバーターを適用した「e-POWER」システムを2020年発売の「ノート」に採用した。
6%の出力向上を図りながら、モーターでは15%、インバーターでは30%の軽量化を実現している。
2023年「セレナ」にも同様の技術を採用している。
当社グループは「EVを作って売る」のみならず、環境の整備をはじめEVのある生活・社会をより豊かなものにするための様々なソリューション「ニッサンエナジー」を提供しており、それらを合わせた「EVエコシステム」を構築してきた。
「ニッサンエナジー」は次の3つの領域で構成される。
・充電ソリューションの拡充:安心・便利なEVライフのための各種充電ソリューションを提供・EVを活用したエネルギーマネジメントサービス:EVのバッテリーに貯めた電力を、住宅と「シェア」することで、新たな価値を提供。
さらにビル、地域社会へ拡大する取り組みを推進。
日本では法人や地方自治体のお客様向けに、「ニッサンエナジー・シェア」としてエネルギーマネージメントのサービスを提供・リチウムイオンバッテリー二次利用事業「4R」の推進:EVがさらに普及する将来を見据え、クルマで使用された後でも高い性能を有する日産のEVのバッテリーを二次利用するための取り組みを推進加えて、EVを活用し日本が抱える地球温暖化、災害対策、再生可能エネルギーの推進、地方での観光の活性化や交通課題といった課題を解決するための活動、日本電動化アクション『ブルー・スイッチ』に取り組んでいる。
再生可能エネルギーの利活用に有効な手段であるEVは、地球規模の課題である脱炭素社会の実現に大きく貢献するものであり、2024年3月末時点で自治体・企業との連携によるブルー・スイッチ活動は254件となった。
安全面において、日産は事故による犠牲者を減らすため、事故そのものを減らすことに取り組み、安全性能に係わる技術の進化と採用拡大を推進する。
日本では、自動車アセスメント(JNCAP)にて、「セレナ」、「エクストレイル」が最高評価となるファイブスター賞を獲得した。
米国では、米国新車アセスメントプログラム(US-NCAP)にて「日産リーフ」、「日産リーフプラス」、「ムラーノ」、「アルティマ」、「マキシマ」、「セントラ」、「ヴァーサ」、「ローグ」、「日産アリア FWD」、「パスファインダー AWD」、インフィニティ「QX50」、「QX60 AWD」が最高評価となる5つ星を獲得した。
また、米国道路安全保険協会(IIHS)にて、「パスファインダー」がトップセーフティピック+(TSP+)を獲得、「日産アリア」、インフィニティ「QX60」がトップセーフティピック(TSP)を獲得した。
中国では、中国新車アセスメントプログラム(C-NCAP)にて「日産アリア」が5つ星を獲得した。
また、当社グループは交通事故低減に大きな効果が期待できる運転支援技術の採用を推進している。
さらに、ドライバーの負担を軽減する技術として、2016年より「プロパイロット」、2019年より高速道路で同一車線内ハンズオフが可能なナビ連動ルート走行を実現した「プロパイロット2.0」を販売しており、2023年には「セレナ」へミニバン世界初として採用した。
引き続き、プロパイロット技術を軽自動車に至るまで幅広い車種で採用を推進していく。
また、2027年度には、ドアツードアの自動運転技術を搭載した次世代プロパイロットを投入する予定である。
さらに、2030年度にはアクティブセーフティとAI技術を融合させたシステムを実用化し、さらなる交通事故の低減を目指していく。
当社グループは、「Nissan Ambition 2030」に基づき、今後も競争力のある商品、将来に向けた先端技術等のための研究開発活動に積極的に取り組んでいく。
設備投資等の概要 1 【設備投資等の概要】
当社グループ(当社及び連結子会社)では、新商品、電動化・自動化や新たなモビリティーサービス、安全・環境対応に向けた新技術の研究開発及び効率的な生産体制の確立などのために、当連結会計年度において全体で4,861億円の設備投資を実施した。
主要な設備の状況 2 【主要な設備の状況】
当社グループにおける主要な設備は、以下のとおりである。

(注) 1 帳簿価額のうち「その他」は、工具器具備品及び建設仮勘定である。
2 従業員数は就業人員であり、臨時従業員は( )内に年間の平均人員を外数で表示している。
 (1) 提出会社2024年3月31日現在事業所名所在地設備の内容帳簿価額従業員数(人)土地建物及び構築物(百万円)機械装置及び運搬具(百万円)その他(百万円)合計(百万円)面積(㎡)金額(百万円)横浜工場神奈川県横浜市神奈川区及び鶴見区自動車部品製造設備505,43437026,22633,8005,67866,0742,233(958)追浜工場(総合研究所含む)神奈川県横須賀市自動車製造設備1,844,57729,15036,91424,6868,55499,3042,915(891)栃木工場栃木県上三川町自動車製造設備2,910,6464,28733,99077,65613,057128,9903,935(1,603)日産自動車九州㈱ (注1)福岡県苅田町自動車製造設備2,355,19629,84930,89636,3427,014104,10177(11)いわき工場福島県いわき市自動車部品製造設備205,4893,5456,34316,6262,13628,650585(260)本社部門他神奈川県厚木市及び伊勢原市開発研究設備1,356,09425,41663,19921,71419,267129,5969,881(670)神奈川県横浜市西区本社事務所10,0006,45516,9485352,96326,9012,392(138)
(注) 1 全ての設備を当社製品の製造委託先である日産自動車九州株式会社に貸与している。
2 主な所在地を記載している。
3 各工場には隣接する福利厚生施設、製品保管設備、実験設備並びに当該従業員が含まれている。

(2) 国内子会社2024年3月31日現在会社名事業所名所在地設備の内容帳簿価額従業員数(人)土地建物及び構築物(百万円)機械装置及び運搬具(百万円)その他(百万円)合計(百万円)面積(㎡)金額(百万円)ジヤトコ㈱富士事業所他静岡県富士市他自動車部品製造設備1,018,96715,75821,30938,93717,19593,1994,057(834)日産車体㈱湘南工場他神奈川県平塚市他自動車製造設備613,49111,04811,70813,65540,32976,7401,690(247)愛知機械工業㈱熱田工場他愛知県名古屋市熱田区他自動車部品製造設備395,42126,45611,12733,4416,47577,4991,076(357)日産ネットワークホールディングス㈱本社他神奈川県横浜市他自動車販売施設他3,066,164335,16786,909253,889425,99046(8) (3) 在外子会社2024年3月31日現在会社名事業所名所在地設備の内容帳簿価額従業員数(人)土地建物及び構築物(百万円)機械装置及び運搬具(百万円)その他(百万円)合計(百万円)面積(㎡)金額(百万円)北米日産会社自動車及び部品製造工場他アメリカテネシー州スマーナ市、ミシシッピ州キャントン市他自動車及び部品の製造設備他26,019,14416,86793,99776,934142,265330,06315,636(1)メキシコ日産自動車会社自動車及び部品製造工場他メキシコモレーロス州、メキシコ州、アグアス・カリエンテス州自動車及び部品の製造設備他6,588,41811,01441,55080,79582,507215,86617,088(25)英国日産自動車製造会社自動車及び部品製造工場イギリスタイン・アンド・ウェア州サンダーランド市自動車及び部品の製造設備3,227,5612,42629,14022,70555,003109,2746,104(614)タイ日産自動車会社自動車及び部品製造工場タイサムットプラカーン県バンサソーン市自動車及び部品の製造設備998,1803,2456,9344,42114,74429,3443,239(16)ブラジル日産自動車会社自動車及び部品製造工場他ブラジルリオデジャネイロ州レゼンデ自動車及び部品の製造設備他2,738,1673,50017,1815,9969,41036,0872,508(75)
(注) 在外子会社の帳簿価額には使用権資産を含んでいる。
上記の他、主要な借用設備として以下のものがある。
 借用中の主な設備の内容会社名事業所名(摘要)所在地借用先科目面積(㎡)賃借料又はリース料(千円/月)日産自動車㈱情報システムセンター神奈川県厚木市みずほ信託銀行㈱建物24,62478,658
(注) 借用中の設備に属する主な従業員は上記「主要な設備の状況」に含めて記載している。
 報告セグメント内訳報告セグメント帳簿価額従業員数(人)土地建物及び構築物(百万円)機械装置及び運搬具(百万円)その他(百万円)合計(百万円)面積(㎡)金額(百万円)販売金融事業7,839524,5802,289,2324,2502,298,1144,811(193)
(注) 現在休止中の主要な設備はない。
設備の新設、除却等の計画 3 【設備の新設、除却等の計画】
(1) 新設、改修2024年度(2024年4月~2025年3月)においては、当社グループで6,200億円の設備投資を計画しており、この設備投資に関わる所要資金は自己資金で充当する予定である。

(2) 除却、売却経常的な設備の更新のための除却及び売却を除き、現時点で重要な設備の除却及び売却の計画はない。
研究開発費、研究開発活動609,900,000,000
設備投資額、設備投資等の概要486,100,000,000

Employees

平均年齢(年)、提出会社の状況、従業員の状況41
平均勤続年数(年)、提出会社の状況、従業員の状況15
平均年間給与、提出会社の状況、従業員の状況8,771,496
管理職に占める女性労働者の割合、提出会社の指標0
全労働者、労働者の男女の賃金の差異、提出会社の指標1
正規雇用労働者、労働者の男女の賃金の差異、提出会社の指標1
非正規雇用労働者、労働者の男女の賃金の差異、提出会社の指標1

Investment

株式の保有状況 (5) 【株式の保有状況】
① 投資株式の区分の基準及び考え方保有目的が純投資目的である投資株式と純投資目的以外の目的である投資株式の区分について、株式の価値の変動又は配当の受領によって利益を得ることを主な目的とした投資株式を純投資目的と区分しているが、当社は、保有目的が純投資目的である投資株式を保有していない。
② 保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式a.保有方針及び保有の合理性を検証する方法並びに個別銘柄の保有の適否に関する取締役会等における検証の内容(i) 政策保有に関する方針株式の政策保有については、当社の事業上のメリットの実現を目的とし、連携・協力関係を構築・維持するために合理的に必要とされる範囲に限定することを基本方針としている。
(ii) 保有の合理性の検証方法と取締役会等における検証の内容当社は個別銘柄ごとの保有目的、取引の性質、将来の事業上の意義やリスク等の精査を行っている。
これら戦略的視点での検証に加え、さらに保有に伴う便益と資本コストの比較・保有の適否の判断を執行側で行い、その結果を取締役会において検証をしている。
保有の継続が適当でないと判断された場合には、売却を含めた検討を行うこととしている。
その結果、政策保有株式の銘柄数は、2024年3月末時点で3銘柄となっている。
b.銘柄数及び貸借対照表計上額 銘柄数(銘柄)貸借対照表計上額の合計額(百万円)非上場株式3446,443非上場株式以外の株式31,204 (当事業年度において株式数が増加した銘柄) 銘柄数(銘柄)株式数の増加に係る取得価額の合計額(百万円)株式数の増加の理由非上場株式218,335第三者割当増資の引受等。
非上場株式以外の株式――― (当事業年度において株式数が減少した銘柄)該当事項なし。
c.特定投資株式及びみなし保有株式の銘柄ごとの株式数、貸借対照表計上額等に関する情報 特定投資株式 銘柄当事業年度前事業年度保有目的、定量的な保有効果及び株式数が増加した理由当社の株式の保有の有無株式数(株)株式数(株)貸借対照表計上額(百万円)貸借対照表計上額(百万円)タンチョン・モーターホールディングス㈱37,333,32437,333,324アジア諸国における生産、輸入及び販売の協業のために保有しており、当社のアジア諸国における事業推進に妥当な投資であると判断している。
無 1,0281,295㈱スターフライヤー60,00060,000国内主力工場が位置する九州地区において、地場企業との連携関係を維持し、地域貢献を行うために保有しており、妥当な投資であると判断している。
無174151㈱ミツバ729729退職給付信託に拠出した時点で単元未満株であったものであり、保有目的はみなし保有株式に記載のとおりである。
無10
(注) 当該特定投資株式の銘柄数は、貸借対照表計上額が資本金の100分の1以下の銘柄を含め3社である。
各個別銘柄の定量的な保有効果の記載は困難であるが、当社では保有に伴う便益と資本コスト等の比較など定量面に加え、保有の目的、将来の事業上の意義等の定性面からの検証も行い、保有の適否を判断している。
保有の合理性の検証方法は「②保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式 a.保有方針及び保有の合理性を検証する方法ならびに個別銘柄の保有の適否に関する取締役会等における検証の内容」に記載している。
みなし保有株式 銘柄当事業年度前事業年度保有目的、定量的な保有効果及び株式数が増加した理由当社の株式の保有の有無株式数(株)株式数(株)貸借対照表計上額(百万円)貸借対照表計上額(百万円)㈱ミツバ1,742,0001,742,000退職給付信託に拠出しており、議決権行使の指図権は留保している。
退職給付年金の拠出資金の必要性に応じて使用する予定である。
無2,844909
(注) みなし保有株式についても、特定投資株式と同様の検証を実施している。
各個別銘柄の定量的な保有効果の記載は困難であるが、当社では保有に伴う便益と資本コスト等の比較など定量面に加え、保有の目的、将来の事業上の意義等の定性面からの検証も行い、保有の適否を判断している。
保有の合理性の検証方法は「②保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式 a.保有方針及び保有の合理性を検証する方法ならびに個別銘柄の保有の適否に関する取締役会等における検証の内容」に記載している。
③ 保有目的が純投資目的である投資株式該当事項なし。
株式数が増加した銘柄数、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社2
銘柄数、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社34
貸借対照表計上額、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社46,443,000,000
銘柄数、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社3
貸借対照表計上額、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社1,204,000,000
株式数の増加に係る取得価額の合計額、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社18,335,000,000
株式数、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社729
貸借対照表計上額、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社1,000,000
株式数、保有目的が純投資目的以外の目的であるみなし保有株式の明細、提出会社1,742,000
貸借対照表計上額、保有目的が純投資目的以外の目的であるみなし保有株式の明細、提出会社2,844,000,000
株式数が増加した理由、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社第三者割当増資の引受等。
銘柄、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社㈱ミツバ
保有目的、業務提携等の概要、定量的な保有効果及び株式数が増加した理由、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社退職給付信託に拠出した時点で単元未満株であったものであり、保有目的はみなし保有株式に記載のとおりである。
当該株式の発行者による提出会社の株式の保有の有無、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社
銘柄、保有目的が純投資目的以外の目的であるみなし保有株式の明細、提出会社㈱ミツバ
保有目的、業務提携等の概要、定量的な保有効果及び株式数が増加した理由、保有目的が純投資目的以外の目的であるみなし保有株式の明細、提出会社退職給付信託に拠出しており、議決権行使の指図権は留保している。
退職給付年金の拠出資金の必要性に応じて使用する予定である。
当該株式の発行者による提出会社の株式の保有の有無、保有目的が純投資目的以外の目的であるみなし保有株式の明細、提出会社
脚注(保有目的が純投資目的以外の目的であるみなし保有株式)、提出会社
(注) みなし保有株式についても、特定投資株式と同様の検証を実施している。
各個別銘柄の定量的な保有効果の記載は困難であるが、当社では保有に伴う便益と資本コスト等の比較など定量面に加え、保有の目的、将来の事業上の意義等の定性面からの検証も行い、保有の適否を判断している。
保有の合理性の検証方法は「②保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式 a.保有方針及び保有の合理性を検証する方法ならびに個別銘柄の保有の適否に関する取締役会等における検証の内容」に記載している。

Shareholders

大株主の状況 (6) 【大株主の状況】
2024年3月31日現在
氏名又は名称住所所有株式数(千株)発行済株式(自己株式を除く。)の総数に対する所有株式数の割合(%)
ナティクシス エスエイ アズ トラスティー フォー フィデューシー ニュートン 701910(常任代理人 株式会社みずほ銀行決済営業部)       (注1)7 PROMENADE GERMAINE SABLON 75013PARIS FRANCE(東京都港区港南2丁目15番1号 品川インターシティA棟) 987,73024.8
ルノー エスエイ(常任代理人 株式会社みずほ銀行決済営業部) 122-122 BIS AVENUE DU GENERALLECLERC 92100 BOULOGNE-BILLANCOURTFRANCE(東京都港区港南2丁目15番1号 品川インターシティA棟) 633,10715.9
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) 東京都港区赤坂1丁目8番1号赤坂インターシティAIR375,4199.4
ジェーピー モルガン チェース バンク 380856(常任代理人 株式会社みずほ銀行決済営業部)       (注2)25 BANK STREET, CANARY WHARF, LONDON, E14 5JP, UNITED KINGDOM(東京都港区港南2丁目15番1号 品川インターシティA棟)126,3133.2
株式会社日本カストディ銀行(信託口) 東京都中央区晴海1丁目8番12号113,1392.8
ステート ストリート バンク ウェスト クライアント トリーティー 505234(常任代理人 株式会社みずほ銀行決済営業部) 1776 HERITAGE DRIVE, NORTH QUINCY, MA 02171, U.S.A.(東京都港区港南2丁目15番1号 品川インターシティA棟) 46,4621.2
日本生命保険相互会社(常任代理人 日本マスタートラスト信託銀行株式会社) 東京都千代田区丸の内1丁目6番6号日本生命証券管理部内(東京都港区赤坂1丁目8番1号 赤坂インターシティAIR) 37,8200.9
モックスレイ・アンド・カンパニー・エルエルシー(常任代理人 株式会社みずほ銀行決済営業部) 270 PARK AVENUE., NEW YORK,NY 10017, U.S.A.(東京都港区港南2丁目15番1号 品川インターシティA棟)33,1090.8
ビ-エヌワイエムエスエ-エヌブイ ノン トリ-テイ- アカウント(常任代理人 株式会社三菱UFJ銀行)VERTIGO BUILDING-POLARIS 2-4 RUE EUGENE RUPPERT L-2453 LUXEMBOURGGRAND DUCHY OF LUXEMBOURG(東京都千代田区丸の内2丁目7番1号 決済事業部) 25,8690.6
ザ バンク オブ ニューヨーク メロン 140044(常任代理人 株式会社みずほ銀行決済営業部) 240 GREENWICH STREET, NEW YORK, NY 10286, U.S.A.(東京都港区港南2丁目15番1号 品川インターシティA棟) 24,5200.6
計―2,403,48860.2
(注)1 株主名簿上は、ナティクシス エスエイ アズ トラスティー フォー フィデューシー ニュートン 701910名義となっているが、これはすべてルノー エスエイが実質的に保有しており、ルノー エスエイ名義を加えた合計は、1,620,837千株である。2 株主名簿上は、ジェーピー モルガン チェース バンク 380856名義となっているが、このうちダイムスペインS.L.が100,505千株、ダイムスペインDAG, S.L.が25,808千株をそれぞれ実質的に所有しており、その合計は126,313千株である。なお、ザ チェース マンハッタン バンク エヌエイ ロンドン スペシャル アカウント ナンバ ー ワン名義でダイムスペインDT, S.L.が13,829千株を実質的に所有しており、これを加えた合計は、140,142千株である。
株主数-金融機関60
株主数-金融商品取引業者66
株主数-外国法人等-個人2,322
連結株主資本等変動計算書 ③【連結株主資本等変動計算書】
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) (単位:百万円) 株主資本その他の包括利益累計額資本金資本剰余金利益剰余金自己株式株主資本合計その他有価証券評価差額金繰延ヘッジ損益当期首残高605,814816,4723,843,479△138,0615,127,7043,42817,230超インフレによる影響額 超インフレによる影響額を反映した当期首残高605,814816,4723,843,479△138,0615,127,7043,42817,230当期変動額 剰余金の配当 △19,573 △19,573 親会社株主に帰属する当期純利益 221,900 221,900 自己株式の取得 △344△344 自己株式の処分 △9902,2331,243 連結範囲の変動 △5,806 △5,806 持分法の適用範囲の変動 8,860 8,860 連結子会社株式の取得による持分の増減 △3 △3 連結子会社の増資による持分の増減 △5,247 △5,247 関連会社の子会社に対する持分変動 △13 △13 株主資本以外の項目の当期変動額(純額) △535△20,576当期変動額合計 △5,263204,3911,889201,017△535△20,576当期末残高605,814811,2094,047,870△136,1725,328,7212,893△3,346 その他の包括利益累計額新株予約権非支配株主持分純資産合計連結子会社の貨幣価値変動会計に基づく再評価積立金為替換算調整勘定退職給付に係る調整累計額その他の包括利益累計額合計当期首残高△38,109△512,770△16,882△547,103―448,9835,029,584超インフレによる影響額△13,09013,222 132 132超インフレによる影響額を反映した当期首残高△51,199△499,548△16,882△546,971―448,9835,029,716当期変動額 剰余金の配当 △19,573親会社株主に帰属する当期純利益 221,900自己株式の取得 △344自己株式の処分 1,243連結範囲の変動 △5,806持分法の適用範囲の変動 8,860連結子会社株式の取得による持分の増減 △3連結子会社の増資による持分の増減 △5,247関連会社の子会社に対する持分変動 △13株主資本以外の項目の当期変動額(純額)120387,854△13,964352,89927331,235384,407当期変動額合計120387,854△13,964352,89927331,235585,424当期末残高△51,079△111,694△30,846△194,072273480,2185,615,140 当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) (単位:百万円) 株主資本その他の包括利益累計額資本金資本剰余金利益剰余金自己株式株主資本合計その他有価証券評価差額金繰延ヘッジ損益当期首残高605,814811,2094,047,870△136,1725,328,7212,893△3,346当期変動額 剰余金の配当 △58,760 △58,760 親会社株主に帰属する当期純利益 426,649 426,649 自己株式の取得 △121,294△121,294 自己株式の処分 △8△1,50517,34315,830 自己株式の消却 △128,746128,746 連結子会社株式の売却による持分の増減 10,790 10,790 関連会社の子会社に対する持分変動 4,160 4,160 株主資本以外の項目の当期変動額(純額) 60716,505当期変動額合計 14,942237,63824,795277,37560716,505当期末残高605,814826,1514,285,508△111,3775,606,0963,50013,159 その他の包括利益累計額新株予約権非支配株主持分純資産合計連結子会社の貨幣価値変動会計に基づく再評価積立金為替換算調整勘定退職給付に係る調整累計額その他の包括利益累計額合計当期首残高△51,079△111,694△30,846△194,072273480,2185,615,140当期変動額 剰余金の配当 △58,760親会社株主に帰属する当期純利益 426,649自己株式の取得 △121,294自己株式の処分 15,830自己株式の消却 ―連結子会社株式の売却による持分の増減 10,790関連会社の子会社に対する持分変動 4,160株主資本以外の項目の当期変動額(純額)△52,056534,57769,990569,623318,374578,028当期変動額合計△52,056534,57769,990569,623318,374855,403当期末残高△103,135422,88339,144375,551304488,5926,470,543
株主数-外国法人等-個人以外804
株主数-個人その他521,283
株主数-その他の法人2,333
株主数-計526,869
氏名又は名称、大株主の状況ザ バンク オブ ニューヨーク メロン 140044(常任代理人 株式会社みずほ銀行決済営業部)
株主総利回り1
株主総会決議による取得の状況 (1) 【株主総会決議による取得の状況】
該当事項なし。
株主総会決議又は取締役会決議に基づかないものの内容 (3) 【株主総会決議又は取締役会決議に基づかないものの内容】
区分株式数(千株)価額の総額(百万円)当事業年度における取得自己株式42当期間における取得自己株式10 (注)当期間における取得自己株式には、2024年6月1日から有価証券報告書提出日までの単元未満株式の買取りによる株式数は含まれていない。
 

Shareholders2

自己株式の取得-119,955,000,000
自己株式の取得による支出、財務活動によるキャッシュ・フロー-119,968,000,000
発行済株式及び自己株式に関する注記 1 発行済株式の種類及び総数並びに自己株式の種類及び株式数に関する事項 当連結会計年度期首株式数(千株)当連結会計年度増加株式数(千株)当連結会計年度減少株式数(千株)当連結会計年度末株式数(千株)発行済株式 普通株式(注1)4,220,715―△211,0004,009,715自己株式 普通株式(注2)303,359212,583△246,430269,512
(注) 1 普通株式の発行済株式の株式数の減少211,000千株は、自己株式の消却による減少211,000千株である。
2 普通株式の自己株式の株式数の増加212,583千株は、自己株式の取得による増加211,000千株、持分法適用関連会社保有分の増加1,579千株、単元未満株式の買取りによる増加4千株である。
普通株式の自己株式の株式数の減少246,430千株は、自己株式の消却による減少211,000千株、譲渡制限付株式ユニット(RSU)制度に基づく自己株式処分による減少3,166千株、持分法適用関連会社保有分の減少32,264千株である。

Audit

監査法人1、連結EY新日本有限責任監査法人
独立監査人の報告書、連結 独立監査人の監査報告書及び内部統制監査報告書 2024年6月27日日産自動車株式会社取締役会 御中 EY新日本有限責任監査法人 東 京 事 務 所 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士宮  川  朋  弘  指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士中  村  昌  之  指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士榎  本  征  範  指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士安  藤  隆  之 <連結財務諸表監査>監査意見当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられている日産自動車株式会社の2023年4月1日から2024年3月31日までの連結会計年度の連結財務諸表、すなわち、連結貸借対照表、連結損益計算書、連結包括利益計算書、連結株主資本等変動計算書、連結キャッシュ・フロー計算書、連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項、その他の注記及び連結附属明細表について監査を行った。
当監査法人は、上記の連結財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、日産自動車株式会社及び連結子会社の2024年3月31日現在の財政状態並びに同日をもって終了する連結会計年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。
監査意見の根拠当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。
監査の基準における当監査法人の責任は、「連結財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。
当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。
当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。
監査上の主要な検討事項監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。
監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。
自動車事業における固定資産の減損損失の認識の判定及び測定に関する判断の妥当性監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応会社は、2024年3月31日現在、連結貸借対照表上、有形固定資産を4,763,510百万円、無形固定資産を186,469百万円計上している。
これらは自動車事業及び販売金融事業の残高から構成されており、当連結会計年度末の自動車事業の事業用資産の金額は2,669,425百万円であり、総資産の13.4%を占める。
「(重要な会計上の見積り)1 固定資産の減損損失」に記載のとおり、会社は、事業セグメント(自動車及び販売金融)及び相互補完性を考慮した地域区分に基づいて資産のグルーピングを行い、減損の兆候を判定している。
会社の自動車事業は、半導体の供給不足の解消などによる経済活動の正常化の動きはあったものの、地政学的リスクの高まり、急激な円安、物流費の高騰、インフレーションや電動化に伴う市場の分断化などの影響を受けている。
このような環境のもと会社は、当連結会計年度末において、自動車事業の一部の資産グループについて、継続して営業損失を計上し、減損の兆候があると判断した。
このうち、インドの事業用資産について、会社は減損損失の計上が必要と判断し、その帳簿価額を回収可能価額まで減額するとともに、当該減少額を減損損失(53,644百万円)として特別損失に計上した。
当該回収可能価額は使用価値に基づいて決定されており、会社は、将来キャッシュ・フローを、加重平均資本コストを基礎にカントリーリスク等を考慮して見積った割引率で割り引くことで使用価値を算定している。
減損損失の認識の判定及び測定で使用される将来キャッシュ・フローの見積りは、経営会議において承認された事業計画を基礎としている。
マーケットシェア、利益率及び市場成長率の変動が将来キャッシュ・フローの見積りに重要な影響を及ぼすことから、これらを会計上の見積りにおける重要な仮定であると判断する。
将来キャッシュ・フローの見積りにおける上記の重要な仮定は、不確実性を伴い経営者の重要な判断を必要とすることから、その評価にあたっては監査上の高度な判断が要求される。
また、新たに固定資産の減損損失を認識する必要がある場合には、会社の連結財務諸表に重要な影響を及ぼす可能性がある。
以上から、当監査法人は、自動車事業における固定資産の減損損失の認識の判定及び測定に関する判断の妥当性を監査上の主要な検討事項と判断した。
当監査法人は、主として以下の手続を実施した。
・将来キャッシュ・フローの見積期間について、主要な資産の経済的残存使用年数と比較した。
・将来キャッシュ・フローについて、その基礎となる経営会議によって承認された事業計画との整合性を検討した。
・会社の事業計画策定プロセスが将来キャッシュ・フローの見積りに及ぼすリスクを評価するため、過年度の事業計画とその後の実績を比較した。
・将来キャッシュ・フローの見積りに使用された重要な仮定であるマーケットシェア、利益率、市場成長率について、経営者と協議してその適用された仮定の内容を理解するとともに、下記の手続を実施した。
- マーケットシェアについて、実績との比較分析を実施したほか、事業計画における今後の新車投入計画を反映した販売台数予測との比較を行った。
- 利益率について、実績との比較分析を実施したほか、為替相場等の変動が利益率に及ぼす影響を分析した。
また、固定費について、過年度の事業計画と実績を比較したほか、利益率への影響を分析した。
前提となった為替相場については、将来の為替相場に関する予測を含む利用可能な外部データとの比較を行った。
- 市場成長率について、自動車市場における地域別販売台数の実績との比較分析を実施したほか、自動車市場の全体需要に関する予測を含む利用可能な外部データとの比較を行った。
- インドの事業用資産の将来キャッシュ・フローの見積りにおいて、前提となった新型車の投入計画について、取引先との合意内容と比較した。
・インドの事業用資産に係る使用価値の算定について、当監査法人のネットワーク・ファームの評価の専門家を関与させ、下記の手続を実施した。
- 使用価値の算定方法及び割引率の算定方法について、会計基準の要求事項に準拠しているかどうか検討した。
- 割引率について、割引率の算定に利用されたインプットデータと外部データの整合性を検討した。
・将来キャッシュ・フローの見積り及び割引率について感応度分析を実施し、固定資産の減損の認識の判定及び測定における影響を検討した。
・会社の見積計算モデルを使用して見積りの再計算を行った。
日産自動車株式会社の繰延税金資産の回収可能性の評価監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応会社は、2024年3月31日現在、連結貸借対照表上、繰延税金資産(繰延税金負債との相殺後の残高)を188,411百万円計上している。
「(重要な会計上の見積り)2 繰延税金資産」に記載のとおり、会社は、将来減算一時差異等及び税務上の繰越欠損金に対して、将来加算一時差異の解消及び実現可能なタックスプランニングを考慮し、将来の課税所得を合理的に見積ったうえで、繰延税金資産の回収可能性を評価している。
連結貸借対照表に計上されている繰延税金資産(188,411百万円)のうち、296,962百万円は日産自動車株式会社の財務諸表に計上されている残高である。
なお、「2【財務諸表等】
(税効果会計関係)」に記載のとおり、日産自動車株式会社の繰延税金負債との相殺前の繰延税金資産残高は、334,360百万円である。
経営会議において承認された事業計画を構成する数値を基礎として日産自動車株式会社の将来の課税所得の見積りは行われている。
この見積りには、国内販売だけでなく海外関係会社への売上も含まれており、輸出を含む販売台数、利益率及び市場成長率の変動が将来の課税所得の見積りに重要な影響を及ぼすことから、これらを会計上の見積りにおける重要な仮定であると判断する。
また、将来の課税所得の見積りには、将来発生が見込まれる永久差異及び一時差異の金額が影響する。
将来の課税所得の見積りにおける上記の重要な仮定は、不確実性を伴い経営者の重要な判断を必要とする。
また、繰延税金資産の回収可能性に係る会社分類が会計基準上の要求事項を満たしているかどうか、及び、上記の重要な仮定の評価にあたっては、会社に影響を与える複雑な税制を考慮した上で監査上の高度な判断が要求される。
以上から、当監査法人は、日産自動車株式会社の繰延税金資産の回収可能性を監査上の主要な検討事項と判断した。
当監査法人は、主として以下の手続を実施した。
・「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」に基づき、会社の外国子会社合算税制の影響を含む課税所得の実績推移等を勘案し、将来課税所得の見積りを検討することにより、会社分類を評価した。
・一時差異等及び税務上の繰越欠損金の残高について、税務の専門家を関与させ検討するとともに、その解消スケジュールを検討した。
・会社の事業計画策定プロセスが将来の課税所得の見積りに及ぼすリスクを評価するため、過年度の事業計画とその後の実績を比較した。
・将来の課税所得の見積りの基礎となった事業計画に含まれる重要な仮定である輸出を含む販売台数、利益率、市場成長率について、経営者と協議してその適用された仮定の内容を理解するとともに、下記の手続を実施した。
- 輸出を含む販売台数について、実績との比較分析を実施したほか、事業計画における今後の新車投入計画を反映した販売台数予測との比較を行った。
- 利益率について、実績との比較分析を実施したほか、為替相場等の変動が利益率に及ぼす影響を分析した。
また、販売台数が利益率に及ぼす影響を分析した。
前提となった為替相場については、将来の為替相場に関する予測を含む利用可能な外部データとの比較を行った。
- 市場成長率について、自動車市場における地域別販売台数の実績との比較分析を実施したほか、自動車市場の全体需要に関する予測を含む利用可能な外部データとの比較を行った。
・将来の課税所得の見積りに関して考慮された将来発生が見込まれる永久差異及び一時差異等の内容について経営者と協議するとともに、根拠資料との整合性の検討、及び、過去実績との比較を行った。
このうち、子会社から提供された情報に基づく調整については、構成単位の監査人を関与させて根拠資料の正確性を検討した。
また、会社の財務諸表に重要な影響を与える複雑な税制への対応にあたっては、税務の専門家を関与させて検討した。
・将来の課税所得の見積りに係る感応度分析を実施し、繰延税金資産の回収可能性における影響を検討した。
・会社の見積計算モデルを使用して見積りの再計算を行った。
リコール等の市場措置費用の見積り監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応会社は、「(重要な会計上の見積り)5 リコール等の市場措置費用」に記載のとおり、当連結会計年度の連結損益計算書にサービス保証料を69,052百万円計上している。
自動車メーカーは、設計及び製造の過程に問題があったために安全及び環境基準に適合しない又は適合しなくなるおそれがある自動車について、監督官庁へのリコール等の届出を行った上で回収及び修理を行うことが求められる。
会社及び連結子会社は、届出等に基づく市場措置が必要と認められた場合には、製品保証費用の見積りとは別に、その見積額を未払費用として計上している。
大規模なリコール等が発生した場合には多額のコストが発生する等、会社の連結財務諸表に重要な影響を及ぼす可能性がある。
市場措置費用の見積りには、対象となるモデルの市場流通台数、市場措置の予想実施率、台当たりの市場措置金額が含まれる。
そのうち市場措置の予想実施率は、その見積りに重要な影響を及ぼすことから、これを会計上の見積りにおける重要な仮定と判断する。
よって、市場措置費用の見積りにおける当該重要な仮定は、不確実性を伴うことから、その評価にあたっては監査上の高度な判断が要求される。
また、連結会計年度末以降に決定された市場措置に係る費用を網羅的に連結財務諸表に反映するためには、費用計上の対象とすべき案件の有無を適時に把握し、連結財務諸表に与える影響を評価する必要がある。
以上から、当監査法人は、リコール等の市場措置費用の見積りを監査上の主要な検討事項と判断した。
当監査法人は、主として以下の監査手続を実施した。
・リコール等の市場措置費用の計上プロセスのリスクを評価するため、見積計算で使用した仮定の前期の予測値と実績値の結果を比較した。
・担当部署の責任者への質問及び関連する会議議事録を閲覧することにより、市場措置案件の網羅性を検討し、その費用の見積りに含まれる重要な仮定を理解した。
・市場措置の対象となる製品の社内の販売実績データ及び国土交通省等への届出、プレスリリース等の利用可能なデータを入手し、市場措置案件の網羅性を検討するとともに、費用の見積りに使用されているリコール対象台数との整合性を検討した。
・市場措置費用の見積りに含まれる台当たり市場措置金額及び重要な仮定である市場措置の予想実施率については、根拠資料との整合性の検討、類似の案件との比較、過去実績との比較を実施した。
・会社の見積計算モデルを使用して見積りの再計算を行った。
・連結会計年度末以降、連結財務諸表の提出日までに決定された市場措置の内容を踏まえ、市場措置費用の網羅性と正確性について検討した。
・主要な連結子会社の監査人にリコール等の市場措置費用の見積りに関する監査手続の実施を指示し、監査手続の実施結果についての報告を受け、十分かつ適切な監査証拠が入手されているかについて評価した。
その他の記載内容その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。
経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。
また、監査委員会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における執行役及び取締役の職務の執行を監視することにある。
当監査法人の連結財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。
連結財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と連結財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。
当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。
その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。
連結財務諸表に対する経営者及び監査委員会の責任経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して連結財務諸表を作成し適正に表示することにある。
これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない連結財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。
連結財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき連結財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。
監査委員会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における執行役及び取締役の職務の執行を監視することにある。
連結財務諸表監査における監査人の責任監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての連結財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から連結財務諸表に対する意見を表明することにある。
虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、連結財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。
監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。
・ 不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。
また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。
監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。
さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。
・ 連結財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。
・ 経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。
・ 経営者が継続企業を前提として連結財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。
継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において連結財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する連結財務諸表の注記事項が適切でない場合は、連結財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。
監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。
・ 連結財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた連結財務諸表の表示、構成及び内容、並びに連結財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。
・ 連結財務諸表に対する意見を表明するために、会社及び連結子会社の財務情報に関する十分かつ適切な監査証拠を入手する。
監査人は、連結財務諸表の監査に関する指示、監督及び実施に関して責任がある。
監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。
監査人は、監査委員会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。
監査人は、監査委員会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。
監査人は、監査委員会と協議した事項のうち、当連結会計年度の連結財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。
ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。
<内部統制監査>監査意見当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第2項の規定に基づく監査証明を行うため、日産自動車株式会社の2024年3月31日現在の内部統制報告書について監査を行った。
当監査法人は、日産自動車株式会社が2024年3月31日現在の財務報告に係る内部統制は有効であると表示した上記の内部統制報告書が、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して、財務報告に係る内部統制の評価結果について、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。
監査意見の根拠当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に準拠して内部統制監査を行った。
財務報告に係る内部統制の監査の基準における当監査法人の責任は、「内部統制監査における監査人の責任」に記載されている。
当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。
当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。
内部統制報告書に対する経営者及び監査委員会の責任経営者の責任は、財務報告に係る内部統制を整備及び運用し、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して内部統制報告書を作成し適正に表示することにある。
監査委員会の責任は、財務報告に係る内部統制の整備及び運用状況を監視、検証することにある。
なお、財務報告に係る内部統制により財務報告の虚偽の記載を完全には防止又は発見することができない可能性がある。
内部統制監査における監査人の責任監査人の責任は、監査人が実施した内部統制監査に基づいて、内部統制報告書に重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、内部統制監査報告書において独立の立場から内部統制報告書に対する意見を表明することにある。
監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。
・ 内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果について監査証拠を入手するための監査手続を実施する。
内部統制監査の監査手続は、監査人の判断により、財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性に基づいて選択及び適用される。
・ 財務報告に係る内部統制の評価範囲、評価手続及び評価結果について経営者が行った記載を含め、全体としての内部統制報告書の表示を検討する。
・ 内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果に関する十分かつ適切な監査証拠を入手する。
監査人は、内部統制報告書の監査に関する指示、監督及び実施に関して責任がある。
監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。
監査人は、監査委員会に対して、計画した内部統制監査の範囲とその実施時期、内部統制監査の実施結果、識別した内部統制の開示すべき重要な不備、その是正結果、及び内部統制の監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。
監査人は、監査委員会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。
<報酬関連情報>当監査法人及び当監査法人と同一のネットワークに属する者に対する、会社及び子会社の監査証明業務に基づく報酬及び非監査業務に基づく報酬の額は、「提出会社の状況」に含まれるコーポレート・ガバナンスの状況等(3)【監査の状況】
に記載されている。
利害関係会社及び連結子会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。
以 上 ※1 上記の監査報告書の原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管している。
 2 XBRLデータは監査の対象には含まれていない。
監査上の主要な検討事項、連結 監査上の主要な検討事項監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。
監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。
自動車事業における固定資産の減損損失の認識の判定及び測定に関する判断の妥当性監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応会社は、2024年3月31日現在、連結貸借対照表上、有形固定資産を4,763,510百万円、無形固定資産を186,469百万円計上している。
これらは自動車事業及び販売金融事業の残高から構成されており、当連結会計年度末の自動車事業の事業用資産の金額は2,669,425百万円であり、総資産の13.4%を占める。
「(重要な会計上の見積り)1 固定資産の減損損失」に記載のとおり、会社は、事業セグメント(自動車及び販売金融)及び相互補完性を考慮した地域区分に基づいて資産のグルーピングを行い、減損の兆候を判定している。
会社の自動車事業は、半導体の供給不足の解消などによる経済活動の正常化の動きはあったものの、地政学的リスクの高まり、急激な円安、物流費の高騰、インフレーションや電動化に伴う市場の分断化などの影響を受けている。
このような環境のもと会社は、当連結会計年度末において、自動車事業の一部の資産グループについて、継続して営業損失を計上し、減損の兆候があると判断した。
このうち、インドの事業用資産について、会社は減損損失の計上が必要と判断し、その帳簿価額を回収可能価額まで減額するとともに、当該減少額を減損損失(53,644百万円)として特別損失に計上した。
当該回収可能価額は使用価値に基づいて決定されており、会社は、将来キャッシュ・フローを、加重平均資本コストを基礎にカントリーリスク等を考慮して見積った割引率で割り引くことで使用価値を算定している。
減損損失の認識の判定及び測定で使用される将来キャッシュ・フローの見積りは、経営会議において承認された事業計画を基礎としている。
マーケットシェア、利益率及び市場成長率の変動が将来キャッシュ・フローの見積りに重要な影響を及ぼすことから、これらを会計上の見積りにおける重要な仮定であると判断する。
将来キャッシュ・フローの見積りにおける上記の重要な仮定は、不確実性を伴い経営者の重要な判断を必要とすることから、その評価にあたっては監査上の高度な判断が要求される。
また、新たに固定資産の減損損失を認識する必要がある場合には、会社の連結財務諸表に重要な影響を及ぼす可能性がある。
以上から、当監査法人は、自動車事業における固定資産の減損損失の認識の判定及び測定に関する判断の妥当性を監査上の主要な検討事項と判断した。
当監査法人は、主として以下の手続を実施した。
・将来キャッシュ・フローの見積期間について、主要な資産の経済的残存使用年数と比較した。
・将来キャッシュ・フローについて、その基礎となる経営会議によって承認された事業計画との整合性を検討した。
・会社の事業計画策定プロセスが将来キャッシュ・フローの見積りに及ぼすリスクを評価するため、過年度の事業計画とその後の実績を比較した。
・将来キャッシュ・フローの見積りに使用された重要な仮定であるマーケットシェア、利益率、市場成長率について、経営者と協議してその適用された仮定の内容を理解するとともに、下記の手続を実施した。
- マーケットシェアについて、実績との比較分析を実施したほか、事業計画における今後の新車投入計画を反映した販売台数予測との比較を行った。
- 利益率について、実績との比較分析を実施したほか、為替相場等の変動が利益率に及ぼす影響を分析した。
また、固定費について、過年度の事業計画と実績を比較したほか、利益率への影響を分析した。
前提となった為替相場については、将来の為替相場に関する予測を含む利用可能な外部データとの比較を行った。
- 市場成長率について、自動車市場における地域別販売台数の実績との比較分析を実施したほか、自動車市場の全体需要に関する予測を含む利用可能な外部データとの比較を行った。
- インドの事業用資産の将来キャッシュ・フローの見積りにおいて、前提となった新型車の投入計画について、取引先との合意内容と比較した。
・インドの事業用資産に係る使用価値の算定について、当監査法人のネットワーク・ファームの評価の専門家を関与させ、下記の手続を実施した。
- 使用価値の算定方法及び割引率の算定方法について、会計基準の要求事項に準拠しているかどうか検討した。
- 割引率について、割引率の算定に利用されたインプットデータと外部データの整合性を検討した。
・将来キャッシュ・フローの見積り及び割引率について感応度分析を実施し、固定資産の減損の認識の判定及び測定における影響を検討した。
・会社の見積計算モデルを使用して見積りの再計算を行った。
日産自動車株式会社の繰延税金資産の回収可能性の評価監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応会社は、2024年3月31日現在、連結貸借対照表上、繰延税金資産(繰延税金負債との相殺後の残高)を188,411百万円計上している。
「(重要な会計上の見積り)2 繰延税金資産」に記載のとおり、会社は、将来減算一時差異等及び税務上の繰越欠損金に対して、将来加算一時差異の解消及び実現可能なタックスプランニングを考慮し、将来の課税所得を合理的に見積ったうえで、繰延税金資産の回収可能性を評価している。
連結貸借対照表に計上されている繰延税金資産(188,411百万円)のうち、296,962百万円は日産自動車株式会社の財務諸表に計上されている残高である。
なお、「2【財務諸表等】
(税効果会計関係)」に記載のとおり、日産自動車株式会社の繰延税金負債との相殺前の繰延税金資産残高は、334,360百万円である。
経営会議において承認された事業計画を構成する数値を基礎として日産自動車株式会社の将来の課税所得の見積りは行われている。
この見積りには、国内販売だけでなく海外関係会社への売上も含まれており、輸出を含む販売台数、利益率及び市場成長率の変動が将来の課税所得の見積りに重要な影響を及ぼすことから、これらを会計上の見積りにおける重要な仮定であると判断する。
また、将来の課税所得の見積りには、将来発生が見込まれる永久差異及び一時差異の金額が影響する。
将来の課税所得の見積りにおける上記の重要な仮定は、不確実性を伴い経営者の重要な判断を必要とする。
また、繰延税金資産の回収可能性に係る会社分類が会計基準上の要求事項を満たしているかどうか、及び、上記の重要な仮定の評価にあたっては、会社に影響を与える複雑な税制を考慮した上で監査上の高度な判断が要求される。
以上から、当監査法人は、日産自動車株式会社の繰延税金資産の回収可能性を監査上の主要な検討事項と判断した。
当監査法人は、主として以下の手続を実施した。
・「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」に基づき、会社の外国子会社合算税制の影響を含む課税所得の実績推移等を勘案し、将来課税所得の見積りを検討することにより、会社分類を評価した。
・一時差異等及び税務上の繰越欠損金の残高について、税務の専門家を関与させ検討するとともに、その解消スケジュールを検討した。
・会社の事業計画策定プロセスが将来の課税所得の見積りに及ぼすリスクを評価するため、過年度の事業計画とその後の実績を比較した。
・将来の課税所得の見積りの基礎となった事業計画に含まれる重要な仮定である輸出を含む販売台数、利益率、市場成長率について、経営者と協議してその適用された仮定の内容を理解するとともに、下記の手続を実施した。
- 輸出を含む販売台数について、実績との比較分析を実施したほか、事業計画における今後の新車投入計画を反映した販売台数予測との比較を行った。
- 利益率について、実績との比較分析を実施したほか、為替相場等の変動が利益率に及ぼす影響を分析した。
また、販売台数が利益率に及ぼす影響を分析した。
前提となった為替相場については、将来の為替相場に関する予測を含む利用可能な外部データとの比較を行った。
- 市場成長率について、自動車市場における地域別販売台数の実績との比較分析を実施したほか、自動車市場の全体需要に関する予測を含む利用可能な外部データとの比較を行った。
・将来の課税所得の見積りに関して考慮された将来発生が見込まれる永久差異及び一時差異等の内容について経営者と協議するとともに、根拠資料との整合性の検討、及び、過去実績との比較を行った。
このうち、子会社から提供された情報に基づく調整については、構成単位の監査人を関与させて根拠資料の正確性を検討した。
また、会社の財務諸表に重要な影響を与える複雑な税制への対応にあたっては、税務の専門家を関与させて検討した。
・将来の課税所得の見積りに係る感応度分析を実施し、繰延税金資産の回収可能性における影響を検討した。
・会社の見積計算モデルを使用して見積りの再計算を行った。
リコール等の市場措置費用の見積り監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応会社は、「(重要な会計上の見積り)5 リコール等の市場措置費用」に記載のとおり、当連結会計年度の連結損益計算書にサービス保証料を69,052百万円計上している。
自動車メーカーは、設計及び製造の過程に問題があったために安全及び環境基準に適合しない又は適合しなくなるおそれがある自動車について、監督官庁へのリコール等の届出を行った上で回収及び修理を行うことが求められる。
会社及び連結子会社は、届出等に基づく市場措置が必要と認められた場合には、製品保証費用の見積りとは別に、その見積額を未払費用として計上している。
大規模なリコール等が発生した場合には多額のコストが発生する等、会社の連結財務諸表に重要な影響を及ぼす可能性がある。
市場措置費用の見積りには、対象となるモデルの市場流通台数、市場措置の予想実施率、台当たりの市場措置金額が含まれる。
そのうち市場措置の予想実施率は、その見積りに重要な影響を及ぼすことから、これを会計上の見積りにおける重要な仮定と判断する。
よって、市場措置費用の見積りにおける当該重要な仮定は、不確実性を伴うことから、その評価にあたっては監査上の高度な判断が要求される。
また、連結会計年度末以降に決定された市場措置に係る費用を網羅的に連結財務諸表に反映するためには、費用計上の対象とすべき案件の有無を適時に把握し、連結財務諸表に与える影響を評価する必要がある。
以上から、当監査法人は、リコール等の市場措置費用の見積りを監査上の主要な検討事項と判断した。
当監査法人は、主として以下の監査手続を実施した。
・リコール等の市場措置費用の計上プロセスのリスクを評価するため、見積計算で使用した仮定の前期の予測値と実績値の結果を比較した。
・担当部署の責任者への質問及び関連する会議議事録を閲覧することにより、市場措置案件の網羅性を検討し、その費用の見積りに含まれる重要な仮定を理解した。
・市場措置の対象となる製品の社内の販売実績データ及び国土交通省等への届出、プレスリリース等の利用可能なデータを入手し、市場措置案件の網羅性を検討するとともに、費用の見積りに使用されているリコール対象台数との整合性を検討した。
・市場措置費用の見積りに含まれる台当たり市場措置金額及び重要な仮定である市場措置の予想実施率については、根拠資料との整合性の検討、類似の案件との比較、過去実績との比較を実施した。
・会社の見積計算モデルを使用して見積りの再計算を行った。
・連結会計年度末以降、連結財務諸表の提出日までに決定された市場措置の内容を踏まえ、市場措置費用の網羅性と正確性について検討した。
・主要な連結子会社の監査人にリコール等の市場措置費用の見積りに関する監査手続の実施を指示し、監査手続の実施結果についての報告を受け、十分かつ適切な監査証拠が入手されているかについて評価した。
全体概要、監査上の主要な検討事項、連結 監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。
監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。
見出し、監査上の主要な検討事項、連結リコール等の市場措置費用の見積り