財務諸表
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提出書類、表紙 | 有価証券報告書 |
提出日、表紙 | 2024-06-27 |
英訳名、表紙 | JGC HOLDINGS CORPORATION |
代表者の役職氏名、表紙 | 代表取締役会長 CEO 佐藤 雅之 |
本店の所在の場所、表紙 | 神奈川県横浜市西区みなとみらい2丁目3番1号 |
電話番号、本店の所在の場所、表紙 | 横浜045(682)1111(大代表) |
様式、DEI | 第三号様式 |
会計基準、DEI | Japan GAAP |
連結決算の有無、DEI | true |
当会計期間の種類、DEI | FY |
corp
沿革 | 2 【沿革】 提出会社は「日本揮発油株式会社」として1928年10月25日資本金2,500千円をもって創立されました。(設立登記の日は1928年10月27日であります。)提出会社の変遷を示せば次のとおりであります。1928年10月本店を「東京市麹町区内幸町1丁目3番地」に設置1928年11月米国ユニバーサル・オイル・プロダクツ・カンパニー(現UOP社)と熱分解蒸留法装置の日本における特許の譲受け及び建設に関する協約を締結1933年1月本店を「大阪市東区高麗橋5丁目10番地」に移転1938年8月 UOP社とイソオクタン製造法の特許の実施及び建設に関する追加の暫定的諒解覚書を交換戦争によりUOP社との上記諸協約解消1942年10月地番変更により本店所在地を「大阪市東区高麗橋4丁目10番地」と変更1942年12月新潟県新津に触媒製造工場(現日揮触媒化成㈱新潟事業所)を設置1949年1月本店を「東京都中央区日本橋室町2丁目1番地」に移転1952年5月UOP社と石油精製及び石油化学に関する特許の実施及び建設に関する契約を締結1952年7月横浜工務部を「横浜市南区最戸町100番地」に設置1952年8月触媒製造工場を分離し日揮化学㈱を設立1952年12月建設業者登録番号東京都知事(ろ)第7044号として登録1958年4月「横浜工務部」を「横浜事業所」と改称1958年7月旭硝子㈱との共同出資により触媒化成工業㈱を設立1959年2月建設業者登録番号建設大臣(ニ)第5341号として登録1959年3月本店を「東京都千代田区大手町2丁目4番地」に移転1960年2月一級建築士事務所登録番号神奈川県知事登録第422号として登録1962年5月東京証券取引所市場第2部に株式上場1969年2月東京証券取引所市場第2部銘柄より第1部銘柄に指定される1970年1月地番変更により本店所在地を「東京都千代田区大手町2丁目2番1号」と変更1974年11月特定建設業者として建設大臣許可(特-49)第5552号を受ける1975年4月技術開発体制の充実強化のため「衣浦研究所」を愛知県半田市に設置1976年10月社名を「日本揮発油株式会社」から「日揮株式会社」(英文名JGC CORPORATION)に変更1984年7月 原子力の技術開発体制の充実強化のため「大洗原子力技術開発センター」を茨城県大洗町に設置1997年6月 横浜市西区に完成した新社屋に横浜事業所のプロジェクト遂行機能及び東京本社の一部機能を移管し「横浜本社」を設置1997年11月 横浜研究所と大洗原子力技術開発センターを統合し、新たに「技術研究所」を茨城県大洗町に設置1999年12月衣浦研究所を技術研究所(茨城県大洗町)に統合(衣浦研究所は廃止)2004年7月触媒化成工業㈱を100%子会社化2008年7月触媒化成工業㈱と日揮化学㈱が合併し、日揮触媒化成㈱と改称2017年6月本店を「神奈川県横浜市西区みなとみらい2丁目3番1号」に移転2019年4月持株会社体制への移行のため、新設承継会社として日揮グローバル㈱を設立2019年10月 持株会社体制に移行し、商号を「日揮ホールディングス株式会社」(英文名JGC HOLDINGS CORPORATION)に変更日揮プラントイノベーション㈱が商号を日揮㈱に変更海外EPC事業を日揮グローバル㈱に、国内EPC事業を日揮㈱にそれぞれ承継2022年4月東京証券取引所市場第1部から新市場区分プライム市場に移行2023年4月 当社グループ内のコーポレート機能業務を集約し、その効率化、高度専門化のため、日揮コーポレートソリューションズ㈱を設立 |
事業の内容 | 3 【事業の内容】 当社グループ(当社、当社の子会社59社及び関連会社36社)は、総合エンジニアリング事業及び機能材製造事業を主たる事業としており、これに加え、機器調達及びコンサルティング等の附帯事業を営んでおります。各事業における当社及び主要な関係会社の位置付け等は次のとおりであります。なお、次の区分はセグメント情報に記載された区分と同一であります。 総合エンジニアリング事業当セグメントは、石油、石油精製、石油化学、ガス、LNG、一般化学、原子力、金属製錬、バイオ、食品、医薬品、医療、物流、IT、環境保全、公害防止等に関する装置、設備及び施設の計画、設計、調達、建設及び試運転役務等のEPCビジネスを中心に構成されております。なお、当セグメントを構成する会社は以下のとおりであります。分野会社名設計・調達・建設日揮グローバル㈱、日揮㈱、JGC ASIA PACIFIC PTE. LTD.、JGC PHILIPPINES, INC.、PT. JGC INDONESIA、JGC Gulf International Co., Ltd.、JGC OCEANIA PTY LTD、JGC America, Inc.、JGC Gulf Engineering Co., Ltd.、JGC Construction International Pte. Ltd.、JGC ASIA PACIFIC (M) Sdn.Bhd.、JGC Vietnam Co., Ltd.、Japan NuScale Innovation, LLC、JGC INDIA EPC PRIVATE LIMITED、JGC Corporation Oceania Pty Ltd検査・保守青森日揮プランテック㈱プロセスライセンシング日揮ユニバーサル㈱その他Sunrise Healthcare Service Co., Ltd、Sunrise Property Co., Ltd 機能材製造事業当セグメントは、以下のような分野別製品群からなる事業で各関係会社にて製造・販売しております。分野製品会社名触媒分野重質油の水素化精製・流動接触分解、灯軽油の脱硫などの石油精製用触媒、化学品の水素化・異性化・酸化などの石油化学用触媒など日揮触媒化成㈱日揮ユニバーサル㈱ナノ粒子技術分野フラットパネルディスプレイ・半導体・化粧品・オプトなどに使用される機能性素材、化学的機械研磨材料など日揮触媒化成㈱クリーン・安全分野環境触媒、脱臭・消臭剤、オゾン分解触媒、酵素フィルタなど日揮触媒化成㈱日揮ユニバーサル㈱電子材料・高性能セラミックス分野薄膜集積回路、高品位アルミナ基板、半導体製造装置用窒化ケイ素部品、液晶製造装置用金属セラミックス複合材料部品、半導体製造装置用セラミックス部材など日本ファインセラミックス㈱JFCマテリアルズ㈱次世代エネルギー分野燃料電池用脱硫材、色素増感型太陽電池用材料など日揮触媒化成㈱ その他の事業その他の事業は総合エンジニアリング事業及び機能材製造事業以外の事業であり、以下のような分野及び会社で構成されております。分野会社名機器調達日揮商事㈱コンサルティング日本エヌ・ユー・エス㈱オフィスサポート日揮ビジネスサービス㈱原油・ガス生産販売事業等JGC (GULF COAST), LLC、JGC Exploration Eagle Ford LLC、JGC EXPLORATION CANADA LTD.水処理事業水ing㈱、水ingAM㈱、水ingエンジニアリング㈱発電・造水事業Al Asilah Desalination Company S.A.O.C.、A.R.C.H WLL、ASH SHARQIYAH OPERATION AND MAINTENANCE COMPANY LLCFPSO(浮体式石油・ガス生産貯蔵積出設備)保有・傭船事業Japan Sankofa Offshore Production Pte. Ltd.国産廃食用油を原料とするSAF、バイオナフサ、バイオディーゼルの製造事業(同)SAFFAIRE SKY ENERGY また、当社グループに対してコーポレート業務を提供する日揮コーポレートソリューションズ㈱があります。 以上に述べた事項の概略は次のとおりであります。 |
関係会社の状況 | 4 【関係会社の状況】 (1) 連結子会社会社名住所資本金(百万円)主要な事業の内容議決権の所有割合(%)関係内容日揮グローバル㈱神奈川県横浜市西区1,000総合エンジニアリング事業100管理業務等資金の貸付・借入設備の賃貸業務委託・業務受託役員の兼任…有日揮㈱神奈川県横浜市西区1,000総合エンジニアリング事業100管理業務等資金の借入設備の賃貸業務委託・業務受託役員の兼任…有青森日揮プランテック㈱青森県上北郡六ヶ所村50総合エンジニアリング事業100(100)資金の借入日揮触媒化成㈱神奈川県川崎市幸区1,800機能材製造事業100資金の借入役員の兼任…有日本ファインセラミックス㈱宮城県仙台市泉区300機能材製造事業100設備の賃貸資金の借入業務委託・業務受託JFCマテリアルズ㈱茨城県ひたちなか市10機能材製造事業100(100)資金の借入日揮ビジネスサービス㈱神奈川県横浜市西区1,455その他の事業100設備の賃貸業務委託資金の借入日本エヌ・ユー・エス㈱東京都新宿区50その他の事業88設備の賃貸業務委託・業務受託資金の貸付JGC ASIA PACIFIC PTE. LTD.シンガポール共和国2,100千シンガポールドル総合エンジニアリング事業100(100)業務受託JGC PHILIPPINES, INC.フィリピン共和国モンテンルパ市1,300,000千フィリピンペソ総合エンジニアリング事業100業務委託・業務受託JGC Gulf International Co., Ltd.サウジアラビア王国アルコバール市4,702千サウジアラビアリヤル総合エンジニアリング事業100(100)業務受託債務保証JGC OCEANIA PTY LTDオーストラリア連邦パース市913,800千オーストラリアドル総合エンジニアリング事業100 ―JGC America, Inc.アメリカ合衆国ヒューストン市41,051千米ドル総合エンジニアリング事業100―JGC Gulf Engineering Co.,Ltd.サウジアラビア王国アルコバール市500千サウジアラビアリヤル総合エンジニアリング事業75(75)―PT. JGC INDONESIAインドネシア共和国ジャカルタ市1,357,050千インドネシアルピア総合エンジニアリング事業49(14)業務委託・業務受託JGC (GULF COAST), LLCアメリカ合衆国ヒューストン市27,450千米ドルその他の事業100(100)―JGC Exploration Eagle Ford LLCアメリカ合衆国ヒューストン市117,100千米ドルその他の事業100(100)―JGC EXPLORATION CANADA LTD.カナダバンクーバー市0千カナダドルその他の事業100―JGC Construction International Pte. Ltd.シンガポール共和国1,043千米ドル総合エンジニアリング事業100(100)業務委託JGC ASIA PACIFIC(M)Sdn. Bhd.マレーシアクアラルンプール市2,500千マレーシアリンギット総合エンジニアリング事業100(100)― Al Asilah Desalination Company S.A.O.C.オマーン国マスカット市17,500千オマーンリヤルその他の事業75資金の貸付債務保証JGC Vietnam Co., Ltd.ベトナム社会主義共和国ハノイ市519,831,000千ベトナムドン総合エンジニアリング事業100(62)業務受託JGC INDIA EPC PRIVATE LIMITEDインド共和国チェンナイ市280,000 千インドルピー総合エンジニアリング事業100(100)―JGC Corporation Oceania Pty Ltdオーストラリア連邦パース市100千オーストラリアドル総合エンジニアリング事業100(100)―Sunrise Healthcare Service Co., Ltdカンボジア王国プノンペン130,000,000千カンボジアリエル総合エンジニアリング事業98(98)―Sunrise Property Co., Ltdカンボジア王国プノンペン8,000千カンボジアリエル総合エンジニアリング事業49(49)―その他4社 (2) 持分法適用関連会社会社名住所資本金(百万円)主要な事業の内容議決権の所有割合(%)関係内容日揮ユニバーサル㈱東京都品川区1,000総合エンジニアリング事業及び機能材製造事業50―水ing㈱東京都港区5,500その他の事業33―水ingAM㈱東京都港区100その他の事業―[100]―水ingエンジニアリング㈱東京都港区300その他の事業―[100]―(同)SAFFAIRE SKY ENERGY神奈川県横浜市西区100その他の事業49役員の兼任…有A.R.C.H WLLバーレーン王国マナマ市758千米ドルその他の事業30―Japan Sankofa Offshore Production Pte. Ltd.シンガポール共和国29,824千米ドルその他の事業26―ASH SHARQIYAH OPERATION AND MAINTENANCE COMPANY LLCサウジアラビア王国アルコバール市1,000千サウジアラビアリヤルその他の事業29債務保証Japan NuScale Innovation, LLCアメリカ合衆国ウィルミントン市173,008千米ドル総合エンジニアリング事業29(29)― (注)1.「主要な事業の内容」欄には、セグメント情報に記載されたセグメントの名称を記載しております。2.議決権の所有割合の( )内は、間接所有割合で内数であり、[ ]内は、緊密な者又は同意している者の所有割合で外数であります。3.連結子会社の日揮グローバル㈱、日揮㈱、JGC PHILIPPINES, INC.、JGC America, Inc.、JGC OCEANIA PTY LTD、JGC Exploraion Eagle Ford LLC、Al Asilah Desalination Company S.A.O.C.及びSunrise Healthcare Service Co., Ltdは特定子会社に該当しております。4. JGC Gulf International Co., Ltd.及びPT. JGC INDONESIAは債務超過の状況にある会社であり、債務超過の額はそれぞれ5,632百万円及び12,997百万円であります。5.日揮グローバル㈱及び日揮㈱については、売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く)の連結売上高に占める割合が10%を超えております。主要な損益情報等日揮グローバル㈱ (1)売上高 471,129 百万円(2)経常利益 12,116 百万円(3)当期純損失 24,276 百万円(4)純資産額 31,706 百万円(5)総資産額 244,964 百万円 日揮㈱ (1)売上高 182,188 百万円(2)経常利益 8,484 百万円(3)当期純利益 4,318 百万円(4)純資産額 43,071 百万円(5)総資産額 136,147 百万円 |
従業員の状況 | 5 【従業員の状況】 (1) 連結会社の状況2024年3月31日現在セグメントの名称従業員数(人)総合エンジニアリング事業6,904(2,254)機能材製造事業1,083(285)その他の事業444(65)全社(共通)434(116)合計8,865(2,720) (注)1.従業員数は、就業従業員数を記載しております。2.「従業員数」欄の( )内は、外数で平均臨時雇用者数(派遣受入者数等)を記載しております。3.全社(共通)として記載されている従業員数は、持株会社である当社及び当社グループより委託される人事、財務、情報技術、法務等に係る業務及び管理を行う日揮コーポレートソリューションズ株式会社の従業員数であります。 4.従業員数が当連結会計年度において989名増加した主な理由は、総合エンジニアリング事業において新 規連結子会社が増加したことなどによるものであります。 (2) 提出会社の状況2024年3月31日現在従業員数(人)平均年齢(歳)平均勤続年数(年)平均年間給与(円)249(46)44.814.410,834,442 (注)1.従業員数は、就業従業員数であり執行役員(副社長執行役員を除く)(11名)を含み、関係会社等への出向者(136名)を含んでおりません。2.従業員数が前事業年度に比べ64名減少したのは、2023年4月1日付で日揮コーポレートソリューションズ株式会社に当社のコーポレート機能を移管したことなどによるものであります。3.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。4.「従業員数」欄の( )内は、外数で平均臨時雇用者数(派遣受入者数等)を記載しております。5.提出会社の従業員は、全て全社(共通)に属しております。 (3) 労働組合の状況労働組合は結成されておりません。 (4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異当事業年度 管理職に占める女性労働者の割合(%)(注)2、3、4男性労働者の育児休業取得率(%)(注)5、6労働者の男女の賃金の差異(%)(注)2、7全労働者正規雇用労働者パート・有期労働者(注)8、9当社3.36357.860.534.6日揮グローバル㈱1.95063.664.432.1日揮㈱1.94863.365.248.1青森日揮プランテック㈱5.0―80.379.7―日揮触媒化成㈱2.65882.989.062.3日本ファインセラミックス㈱―10088.888.022.7JFCマテリアルズ㈱――74.372.2―日揮ビジネスサービス㈱38.9―50.561.435.2日本エヌ・ユー・エス㈱10.310072.978.041.3 (注)1.提出会社及び主要な国内連結子会社を対象としております。2.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。3.2024年3月31日時点の数値であります。4.一部の連結子会社については、管理職の女性労働者はおりません。5.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。6.一部の連結子会社については、育児休業等を取得した男性労働者はおりません。7.職群及び等級の男女構成比の差によるものであります。8.相対的に勤務時間が短い、業務範囲が限定的等の理由により平均賃金が低い嘱託及びパートタイム労働者に女性が多いことによります。9.一部の連結子会社については、該当する女性労働者がいないため、記載しておりません。 |
経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 | 1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 基本方針当社グループは、企業活動を行う上での軸・拠り所として企業理念「JGC's Purpose and Values」を制定しております。「JGC's Purpose and Values」は日揮グループのパーパス(存在意義)及びValues(価値観)の2つの要素から構成され、日揮グループのパーパス(存在意義)として、「Enhancing planetary health」を掲げ、当社グループ共通のValuesとして、4つのちから、即ち、「挑戦」、「創造」、「結集」、「完遂」を定め、さらに「尊重」、「誠実」を2つの誓いとして明らかにしております。当社グループは、企業理念「JGC's Purpose and Values」に基づき企業活動を進めていくことで、企業価値の一層の向上を図り、以て人と地球の健やかな未来づくりに貢献してまいります。 (2) 目標とする経営指標、経営環境、中長期的な経営戦略及び会社の対処すべき課題当社グループは、2021年度から2025年度の5ヶ年を長期経営ビジョン「2040年ビジョン」の1stフェーズ、挑戦の5年間と位置づけ、中期経営計画「Building a Sustainable Planetary Infrastructure 2025(BSP2025)」において、「EPC事業のさらなる深化」、「高機能材製造事業の拡大」、「将来の成長エンジンの確立」を重点戦略とし、戦略投資に積極的に取り組むことで収益の拡大、多様化を進めております。財務目標として、2025年度に売上高8,000億円、営業利益600億円、親会社株主に帰属する当期純利益450億円、自己資本利益率(ROE)10%を掲げております。 ご参考:BSP2025「3つの重点戦略」(1)EPC事業のさらなる深化① 大型EPCプロジェクトの競争力・収益力をさらに強化2025年度の海外の大型EPC(設計・調達・建設)プロジェクトの売上高目標を3,500億円に設定し、リスク管理・プロジェクト折衝力の強化を通じたプロジェクト粗利益率の向上と、JV組成戦略・デジタル技術・建設工法の最適化による受注競争力の向上を推し進め、大型EPCプロジェクトにおける当社グループの強みをさらに深化させていきます。② EPC事業の成長市場・分野への拡大大型EPCプロジェクトに加え、EPC事業を成長市場・成長分野に拡大し、ポートフォリオの多様化を推進していくことで、2025年度の成長市場・分野におけるEPC事業の売上高目標として3,000億円の達成を目指します。今後案件の増加するLNG受入基地、ガス火力発電、太陽光発電、バイオマス発電、医薬品、病院、ケミカル分野の強化による収益拡大と並行して、成長著しいアジア地域におけるリージョナル経営体制の強化並びに、国内市場への対応も見据えた人員増強を図ります。 (2)高機能材製造事業の拡大高機能材製造事業においては、事業規模を拡大し、2025年に売上高600億円の達成を目指します。その実現に向け、既存主力事業においてプロパーケミカル触媒、ハードディスク用研磨材、半導体製造装置関連素材等の製品ラインナップを増やし、収益の拡大に取り組みます。また、将来を見据えた戦略投資と次世代事業の開発にも取り組みます。戦略投資ではファインケミカル新製品開発や高熱伝導窒化ケイ素基板生産設備、次世代事業の開発ではカーボンリサイクル向け触媒、全固体電池用電解質、骨再生材料等が対象となります。 (3)将来の成長エンジンの確立「2040年ビジョン」で定めた5つのビジネス領域について、特に将来の成長エンジンとして期待する以下のビジネスの確立に取り組みます。2025年度は売上高500億円を計画し、10年後には売上高5,000億円規模のビジネスに育成していく方針です。 ・エネルギートランジション領域:カーボンマネジメント支援、洋上風力、スマートO&M、水素・燃料アンモニア、小型モジュール原子炉(SMR)・ヘルスケア・ライフサイエンス領域:スマートホスピタル、スマート工場、デジタルヘルスケア・高機能材領域:カーボンリサイクル・ケミカルリサイクル向け触媒、骨再生材料/OCP 等・資源循環領域:廃プラスチック、廃繊維リサイクル、SAF(Sustainable Aviation Fuel:持続可能な航空燃料)製造・産業・都市インフラ領域:水処理、鉄道 BSP2025の計画3年目となる2023年度において、「EPC事業のさらなる深化」では、海外プラント市場の中長期的な拡大を見据えたプロジェクト遂行キャパシティ拡大の一環として、インドに設立したオペレーションセンターの人員拡大を進めたほか、国内EPC事業の拡大に向けて、国内EPC事業会社である日揮株式会社は、株式会社高田工業所と国内EPC事業を対象とした協業基本合意書を締結しました。今後増加が見込まれる国内の低・脱炭素分野や資源循環分野の案件を共同で遂行し、より多くの案件に対応していく方針です。加えて、「将来の成長エンジンの確立」における産業・都市インフラ領域の拡大にも関連する取組みとして、海外EPC事業会社である日揮グローバル株式会社が、半導体や蓄電池などの先端技術産業分野のリーディングコントラクターであるExyte社傘下のExyte Singapore Pte. Ltd.と、インドネシア、フィリピン、ベトナム、タイの4カ国における同分野のEPCプロジェクトの受注・遂行に関する協業契約を締結しました。同分野での営業活動からEPCプロジェクト見積・受注・遂行を共同で実施し事業拡大を目指していく方針です。また、遂行中の複数の海外EPCプロジェクトにおいて、データ統合管理システムを適用し、EPC役務をシームレスに遂行するデジタル技術を活用したプロジェクト遂行(EPC DX)を本格化させました。また、当連結会計年度において当社グループは、日揮グローバル株式会社がタイで遂行中の化学プラント及びサウジアラビアで遂行中の原油・ガス関連プラント建設プロジェクトなどにおいて採算悪化を招くこととなりました。これらプロジェクトにおける採算悪化を重く受け止め、新規プロジェクトの受注に際して、採算性に加えて設計業務に関して適正配員を重視した対応や事業管理体制の見直しや強化などに全力で取り組んでいく所存です。「高機能材製造事業の拡大」では、触媒・ファインケミカル分野において、同分野の事業会社である日揮触媒化成株式会社は、合成燃料用やケミカルリサイクル用の触媒、及び高速通信材料や半導体用機能性研磨粒子など新規ファインケミカル製品の今後の需要拡大に向けて、現在所有する事業所の隣接地に新たな事業用地を取得しました。また、ファインセラミックス分野においては、同分野の事業会社である日本ファインセラミックス株式会社は、顧客ニーズに応えるために、電気自動車向けパワー半導体の高熱伝導窒化ケイ素基板の増産に向けて、宮城県富谷市で新工場の建設を開始しました。加えて同社は、東北大学とともに骨再生材料のリン酸八カルシウム(OCP)の量産に世界で初めて成功し、幅広い医薬品・医療機器製造会社との協業を目指してサンプル出荷を開始しました。「将来の成長エンジンの確立」では、エネルギートランジション領域の水素・燃料アンモニア分野において、日揮グローバル株式会社が、住友商事株式会社の豪州現地法人向け水素製造プラント建設プロジェクトを受注したほか、ENEOS株式会社などがマレーシアで計画するMCH製造プラントの基本設計役務や、当社及び旭化成株式会社などが共同で推進する、マレーシアにおけるアルカリ水電解システムの建設を含む水素製造プラントの基本設計役務などを受注しました。また当社は、株式会社クボタなどとともに、大規模な水素製造事業への参入を視野に、輸入したアンモニアを熱分解して水素を得る「大規模外部加熱式アンモニア分解水素製造技術の研究開発」を開始しました。さらに、当社が石油資源開発株式会社などとともに進める日本を起点とするCCSバリューチェーン構築を目指す共同検討に、JFEスチール株式会社のほか、中国電力株式会社及び日本ガスライン株式会社が参画し、JFEスチール株式会社及び中国電力グループが保有する日本国内の製鉄所や発電所で排出されるCO2の分離・回収、及びマレーシアまでの液化CO2の海上輸送(瀬戸内エリアでの内航輸送を含む)と受入れ、貯留までのCCSバリューチェーン構築について、必要な設備やコストなどを含めた検討を開始しました。廃食用油を原料とした国産SAF製造・供給事業において、当社は、外食チェーン大手、金融機関や給食事業などに携わる様々な企業と廃食用油の供給及び利用に関する基本合意書を締結し原料の確保に取り組みました。コスモ石油堺製油所における大規模生産実証設備についても、2024年度下期から2025年度初頭の生産開始を目指して建設工事を進めております。さらに、将来の市場拡大が見込まれるバイオものづくりに対し、当社は株式会社バッカス・バイオイノベーションと共同で、微生物の開発・改良から培養槽のスケールアップ、生産プロセスの開発までをワンストップで手掛ける「統合型バイオファウンドリ」事業の構築に取り組むなど、ビジネスモデルの多角化にも取り組みました。 総合エンジニアリング事業プラントマーケット全般として、天然ガス(LNGを含む)に加えて、低・脱炭素分野等においても、顧客の設備投資計画は引き続き豊富にあるものの、金利上昇や建設費用等の増加により顧客の初期投資費用が増加傾向にあるため、一部の顧客において投資決定時期を先送りする動きが出ております。また中東情勢などの地政学的リスクの高まりや、2024年の政治イベントとして米国大統領選挙などが予定されており、その結果次第では世界経済、ひいては当社グループのビジネスにも大きな影響を及ぼす可能性があることから、その状況を注視しております。エネルギーソリューションズ分野では、トランジションエネルギーとしての天然ガス(LNGを含む)の需要は、引き続きアジアやアフリカを中心に拡大していく見通しです。これを背景に中・長期的なエネルギーの安定確保と低・脱炭素社会の実現を見据えたLNGなどの設備投資計画が、引き続き進展していく見通しです。サステナブルソリューションズ分野では、世界的な低・脱炭素化の潮流を受け、水素・燃料アンモニアやSAF、CCS、合成メタン(e-methane)などの低・脱炭素分野のプラント建設計画が本格的に動きだしており、政府による導入目標などのイニシアチブや補助金によるサポートも受けながら顧客の設備投資計画が実現していくことを期待しております。ファシリティソリューションズ分野においては、世界的なデジタル産業の拡大や生産拠点の多様化などに伴って、需要が高まる半導体や蓄電池の周辺産業、及びデータセンターなどの設備投資計画が北米やアジアなどで引き続き進展していく見通しでおります。国内分野においては、水素・燃料アンモニア、SAF、廃プラスチックガス化などを中心とする低・脱炭素分野や資源循環分野において、顧客の設備投資計画が実現していくことを期待しております。一方で、政府による補助金交付の遅れや建設費用等の増加によって、顧客の初期投資費用が増加傾向にあることから、一部の顧客において投資決定時期を先送りする動きが出ており、その動向を注視しております。また、ライフサイエンス分野でも顧客の設備投資が引き続き継続していく見通しであるほか、既存製油所・化学プラントの保全工事においては、2024年度はメジャー年に当たり、定期修繕工事の需要が増加する見通しです。 機能材製造事業触媒分野においては、FCC触媒の国内シェア拡大及び海外展開に加え、水素化処理触媒の協業先企業との体制維持と収益性向上、ケミカル触媒の新規案件獲得、拡大するカーボンリサイクルやケミカルリサイクル分野に対応する新規ケミカル触媒の製品化、再生可能エネルギー発電向け環境保全触媒の材料開発などを目指します。ファインケミカル分野においては、主力であるエレクトロニクスや半導体市場の事業環境悪化の影響が懸念されるものの、シリカゾルの新規研磨材の立上げ、機能性塗料材の拡販及び多用途展開、化粧品材のプラスチックビーズ代替拡大とオプト材の拡販、多用途展開に注力してまいります。 ファインセラミックス分野においても、半導体製造装置市場の事業環境が引き続き停滞する影響が懸念されるものの、新規顧客獲得や新分野参入のほか、高熱伝導窒化ケイ素基板のさらなる受注拡大に取り組んでまいります。 |
サステナビリティに関する考え方及び取組 | 2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】 当社グループは、企業理念である「JGC's Purpose and Values」に基づき、サステナビリティに関する取組みを通じて企業価値の持続的な向上を図るために、「サステナビリティ基本方針」を定め、環境、社会、ガバナンス、品質、安全、健康の分野での活動において、サステナビリティを積極的に追求しております。「サステナビリティ基本方針」を実現するため、当社グループでは、GRIガイドライン、ISO26000、SDGsなどの国際ガイドラインの内容や世界のマクロトレンドの分析を踏まえ、社会的課題の抽出を行いました。そのうえで、社会・ステークホルダーにとっての重要度と当社にとっての重要度を総合的に評価し、当該社会的課題から優先的に取り組むべき6つの重要課題(以下、「マテリアリティ」という。)を以下のとおり特定いたしました。これらのマテリアリティに関して、当社グループでは下記(2)にて後述する項目が当社グループにとっての重要なサステナビリティ項目と考え、対応しております。なお、当社グループは、2024年1月9日に国連グローバル・コンパクトへ署名し、同イニシアチブが定める人権・労働・環境・腐敗防止4分野10原則を遵守・実践していくことを宣言しております。 (1)サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理当社グループでは、代表取締役会長を委員長とするサステナビリティ委員会を設け、気候変動や人的資本を含むサステナビリティ分野に関する方針や行動計画の策定、推進、評価並びに改善に係る審議を行うとともに、取締役会への年1回の定期報告に加え、内容に応じた適時の附議・報告を行うこととしております。また、当委員会策定の方針や行動計画の実施を推進するため、当社グループ各社社長の指名により、各社にサステナビリティ推進委員を置き、推進委員間の連絡・調整・意見交換を目的に、サステナビリティ推進連絡会議を設置しております。他方、リスク管理の観点では、代表取締役社長が委員長を務めるグループリスク管理委員会を別に設け、気候変動等のサステナビリティに関するリスクを含むグループのリスク全体の把握・整理、リスク管理システムの維持・構築、改善の提案・審議を行っております。これら委員会の詳細については、「第4 提出会社の状況 4.コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ② 企業統治体制の概要」に記載しております。 (2)重要なサステナビリティ項目当社グループでは、上記のガバナンス及びリスク管理体制の下、以下の4項目を当社グループにとっての重要なサステナビリティ項目として対応しております。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 ① 気候変動への対応持続可能な社会の実現に向けて、気候変動への対応は世界的な課題となっております。当社グループは、気候変動への対応はマテリアリティの1つである「環境調和型社会」への対応となるとともに、「エネルギーアクセス」及び「生活の質の向上」にも貢献するものと考えております。なお、当社は、CDP報告をはじめとして、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)のガイドラインを踏まえた開示を行っております。当社グループの気候変動対応の責任者は代表取締役会長であり、上記サステナビリティ委員会の主宰等を通じ、気候関連のリスクと機会を評価・管理するとともに、当社グループの経営戦略や経営目標に反映させる責任を負っております。特に、CO2の削減に関しては、サステナビリティ委員会のもとに「CDP回答」と「CO2削減計画策定」の2つの分科会を設け、当社グループのCO2排出の現状とともに、CO2削減策について報告を受けております。また、前述のリスク管理の枠組みのもと、気候変動を含む様々かつ具体的なリスクに対して低減と未然の防止に努めております。当社グループでは、国際エネルギー機関(IEA)のWorld Energy Outlook 2020年版のデータをベースとし、STEPS(物理シナリオ)及びSDS(移行シナリオ)に準拠する複数のシナリオ等を前提に2040年をターゲットとして行った分析を通じて、以下のとおり気候変動に関するリスク及び機会の影響を評価し、戦略に反映しております。 新たな規制リスクグローバルなカーボンプライシングの導入は資機材コストや燃料の高騰につながり、将来、事業コストに影響を及ぼす可能性がある。また、炭素税の導入、各国の炭素排出目標の強化などは、オイル&ガス分野におけるプラント需要の減少によって受注機会が減少するリスクになり得ると認識している。技術リスク電気・燃料電池自動車の普及によるガソリン需要の減少や脱炭素素材の普及、また、高性能蓄電池の普及によって再生可能エネルギーへのシフトが進むことは、オイル&ガス関連プラント需要の減少につながる可能性がある。法的リスクプラント建設プロジェクトの入札の資格要件として、将来気候変動対策に関する情報開示等の要求が高まることが想定され、対応できない場合、失注やレピュテーション低下のリスクがある。市場リスクオイル&ガス関連プラント需要の減少によって、受注機会が減少する可能性がある。また、金融・資本市場の化石燃料関連ビジネスに対する忌避がプロジェクトの成立に影響を及ぼすリスクもある。レピュテーションリスク低炭素化、再生可能エネルギー、水素関連など気候変動対策に貢献する技術力を有する企業としての評価の維持・向上を怠った場合には、受注機会、資金調達、人財確保などの諸側面で悪影響が生じるリスクがある。緊急性の物理的リスク豪雨や暴風雨、台風、洪水など、地球温暖化に起因するとされる極端な気象現象が増加することによって、資機材・当社グループの施設への物理的被害、従業員に対する人的な被害に加え、資機材調達の遅延も含め事業に影響を与えるリスクがある。慢性の物理的リスク上昇する平均気温により、温帯・熱帯地域での建設現場の労働生産性の低下による工期延長が一般化する可能性がある。また、労働安全リスクの増加による対策費用及び災害補償費用の増加も懸念される。加えて、沿岸地域での海面上昇が発生した場合、港湾が使えなくなることによる輸送コストの上昇リスクがある。 製品・サービス太陽光発電、バイオマス発電などの再生可能エネルギー発電設備について、当社グループは多数の実績を有しており、脱炭素化に向かう国際社会の流れのなかで受注機会の増加が期待できる。また、需要の拡大が見込まれている洋上風力発電分野についても専門組織を設立し、受注の拡大を目指している。国内外で複数の実績を有するCCS(CO2の回収・貯留)、及び他社と共同で開発を進めているCCUS(CO2の回収・有効利用・貯留)の技術をオイル&ガス分野に応用することにより、受注機会の増加につながることが期待できる。脱炭素社会に向けてCO2を排出しない水素、アンモニア、小型モジュール原子炉(SMR)などの分野について、当社グループは技術開発含め、様々な取り組みを進めてきており、今後受注機会の増加が期待できる。当社グループが開発を進めている、廃プラスチックケミカルリサイクル、廃繊維リサイクル、持続可能な航空燃料(SAF)などの技術に関して、世界的な資源循環ニーズの高まりに伴う需要の拡大が期待できる。 前述のシナリオやリスク・機会の評価を踏まえ、長期経営ビジョン「2040年ビジョン」においては、エネルギートランジション、資源循環及び高機能材のうち下記の注力分野を「環境調和型社会」の実現に資するビジネス領域と位置付けております。 また、中期経営計画「BSP2025」において、下表のとおり、グループ企業の自社拠点での事業活動に伴う温暖化ガス(GHG)排出量(Scope1+2)について「2050年ネットゼロ」を宣言するとともに、2030年度までの売上高当たり排出量の2020年度比30%削減を目指すこととしております。実績については、前事業年度である2022年度(2022年4月~2023年3月)のScope1+2のGHG排出量は134,004トンCO2で、売上高当たりの原単位ベースで2021年度から28%の削減となりました。同じく2022年度のScope3排出量(カテゴリー11は除く)は975,775トンCO2でした。なお、 Scope1+2の排出量実績はいずれも、グループ内の主要な排出源と排出量を特定し、削減策を講じることを目的として算出したものであり、主要な排出主体である6社(当社、日揮グローバル株式会社、日揮株式会社、日揮触媒化成株式会社、日本ファインセラミックス株式会社及び日本エヌ・ユー・エス株式会社)による各社独自の算定に基づく排出量の合算です。これら排出量実績については、グループ統一の算定枠組みの整備や網羅性の改善など、その信頼性の向上に引き続き取り組んでまいります。また、本排出量実績算出の前提や内訳など詳細については国際的な気候変動関連の情報開示の枠組みであるCDPへの当社からの2023年7月の報告をご参照ください。 ② 人的資本への取組み「人権の尊重・働きがい」をマテリアリティと認識し、人的資本を重要な経営基盤と位置付ける当社グループにおいて、人的資本への取組みは経営戦略と連動する重要テーマです。本テーマに対し、取締役会の指名を受け戦略的な人事施策の策定と実装を牽引するCHRO (Chief Human Resource Officer) のイニシアチブのもと、2023年度においては、経営戦略や事業戦略実現のために必要な人財要件や人財数を特定するための人財ポートフォリオ策定と、人財ポートフォリオ実現のための新たな人事戦略である「人財グランドデザイン2030」を策定しました。「人財グランドデザイン2030」では、以下の図に示すとおり、2030年時点で目指す組織像を「統合力で未来を切り拓きやり遂げるプロ集団」として定め、その姿を実現するためには、M(Management System):「タレントマネジメントシステムの構築」、O(Onboarding):「多様な人財の採用と即戦力化」、D(Development):「自律成長を促す人財開発・職場環境整備」、E(Engagement):「会社と個人の共通目的発見と理解促進」、L(Life & Work):「社員の物心両面の充足」の5つ(MODEL)を達成することが必要と考え、そのための具体的な施策を策定し、推進しております。なお、当連結会計年度末時点では、本人事戦略は当社グループの中核となる当社、日揮グローバル株式会社、日揮株式会社及び日揮コーポレートソリューションズ株式会社を対象としておりますが、各社の状況を考慮しながら、順次、他の当社グループ会社にも拡大していく予定です。 人財育成は、「人財グランドデザイン2030」で定めた目指す組織像を実現するための重要な要素の1つであり、「自ら変化を起こし続ける人財」を継続的に輩出することを人財育成方針とし、国籍・人種・年齢・障がい・ジェンダー・宗教等の違いにかかわらず、すべての従業員に対して能力開発・キャリア開発の機会を公平に提供することとしております。かかる公平な機会提供の結果、人財の多様性は増すと考え、人財の多様性を測る指標の1つに管理職に占める女性労働者の割合を用いており、その実績は「第1 企業の概況 5 従業員の状況」に記載のとおりです。なお、当社グループでは従来から性別にかかわらず適任者を優先的に管理職に登用しておりますが、人財の多様性の観点から、女性管理職者数については当社、日揮グローバル株式会社、日揮株式会社及び日揮コーポレートソリューションズ株式会社の4社に所属する社員を対象に、2025年時点の女性管理職者数を2020年(30名)の2倍に増やすことを目標として掲げております。その実績は、当事業年度末時点で45名となっており、今後も積極的に女性の管理職への登用を図ってまいります。さらに当社グループでは、長期経営ビジョン「2040年ビジョン」のもと、事業環境の変化に合わせ、ビジネス領域、ビジネスモデル、組織のトランスフォーメーションを進めており、当社グループで働く従業員が、今後益々多様化していくことを想定しております。社内環境整備方針は、すなわち「Inclusion & Diversity基本方針」(https://www.jgc.com/jp/about/policies.html)であり、多様化する従業員一人一人が、能力と活力を最大限に発揮して自分らしく活き活きと働くことができるよう、「日揮グループに集うすべての人に敬意をもって接し、国籍・人種・年齢・障がい・ジェンダー・宗教などを問わず、異なる意見・経験を尊重」すること、「多様な人財一人一人の能力と活力を最大限に引き出す風土を大切にし、それを可能にする制度を拡充」すること等を掲げ、これらを推進しております。2023年度においては、国際女性デーに係るイベントを開催し、Inclusion & Diversityの理解促進・風土醸成を行ったほか、ライフステージを考慮した家族との生活充実支援等を目的に、総合エンジニアリング事業における海外出張・駐在時の魅力度・処遇向上策を実施しました。社内環境整備が進むことで多様な働き方が受容されるようになると考えており、その状況を測る指標の1つに男性労働者の育児休業取得率を用い、その実績は「第1 企業の概況 5 従業員の状況」に記載のとおりです。当社グループには、従来から従業員にとって意見・希望を言いやすく、多様性が受容される風土があり、今後も一人一人のライフステージと希望に合わせ、男性育休取得のサポートを継続します。 ③ 人権対応人権対応は、マテリアリティの1つである「人権の尊重・働きがい」と直接結び付く重要テーマです。当社グループは「国際人権章典」、国際労働機関(ILO)の「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」等の国際的に認められた人権原則に基づき、当社グループの事業活動において影響を受けるすべての人々の人権を尊重することが、ビジネスの基盤であると認識しております。当社グループでは、代表取締役会長が委員長を務めるサステナビリティ委員会のもと、グループ横断型の人権対応分科会を設け、当社ガバナンス統括オフィスコンプライアンスユニットが中心となって、下表のとおり人権を尊重する体制を推進しております。その上で、グループ各社の役職員に対し、「日揮グループ行動規範」及び「日揮グループ人権基本方針」を以って人権の尊重の徹底を図っております。 当社グループは、国連のビジネスと人権に関する指導原則などの国際スタンダードを踏まえて政府が定める「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」に基づき、2022年度から人権デューデリジェンスプロセスの構築に取り組んでおります。2023年度は、前年度に作成した人権リスクマップ(国内及び海外EPC事業を対象に生じうる人権課題の特定を行い、特定された各課題を深刻度及び発生可能性から分類したマップ)に基づき、特定された人権リスクに対する低減措置として、人権尊重の取組みに必要なルールを定める人権規程の作成のほか、海外ベンダー及びサブコントラクター向けCompliance Provisionにおける人権条項の見直し・修正及び国内向け発注契約条件へ人権条項の追加を行うための追加条項案の作成に取り組みました。 引き続き、人権に関するリスク低減措置の実施への取組みを進めるべく、人権関連質問状の作成やEPCプロジェクトでの実態調査に向けた項目の整理等を順次実施し、2024年度からは人権デューデリジェンスの範囲を当社グループの機能材製造事業会社へも展開する予定です。当社グループ社員をはじめ協力会社で働く労働者、サプライヤー、パートナー、顧客等、すべてのステークホルダーの人権侵害リスクの排除、その維持、侵害が発見された場合の早期の救済に努め、人権尊重に対する取組みをより一層充実させてまいります。④ 労働安全衛生労働安全衛生の追及は、マテリアリティである「人権の尊重・働きがい」、そして「ガバナンス、リスク対応」にも関連する重要なサステナビリティ項目と考えております。当社グループでは、Health(衛生)、Safety(安全)、Security(セキュリティ)、Environment(環境) (以下、「HSSE」という。)を常に追求すべき企業価値と捉え、当社グループのみならず協力会社も含め、国内外事業所や建設現場などで働くすべての人を対象に「すべての人が、健康で安心して働き、家族のもとへ無事帰る」というグループ共通のHSSE基本理念を制定し、当社グループを挙げてHSSEのパフォーマンス向上に取り組んでおります。本理念に基づき、従来よりグループ各社が安全衛生方針を掲げ、下表のとおり安全衛生委員会又はHSSE委員会を設置し労働安全衛生管理体制を構築・運用しており、HSSEに係る重要テーマに関して審議し、対処するとともに、安全衛生上のリスクを低減する活動を展開しております。建設現場においても、建設工事に従事する多数の作業員を動員する協力会社とともに、各建設現場独自の委員会を設置して、協力会社を交えて労働安全衛生のパフォーマンス向上に取り組んでおります。重大災害があった場合は各グループ会社の労働安全衛生管理部門が迅速に対処するとともに、当社関連部門に対して緊急連絡し、必要に応じて当社が支援する体制を取っております。 労働安全衛生のパフォーマンス向上については、安全衛生意識の向上と安全衛生知識・技術の向上という2つの側面から取り組んでおります。意識向上においては、代表取締役社長主催のグループ全体のHSSE大会など各種イベントの開催、建設現場における協力会社の作業員全員を対象とした安全文化の醸成など、知識・技術の向上においては、新入社員や初めて現場赴任する従業員への安全衛生環境教育、国内外の建設現場に対する労働安全衛生監査などを実施しております。海外のEPC事業を遂行する日揮グローバル株式会社及び国内のEPC事業を遂行する日揮株式会社では、それぞれのHSSE委員会が国内外の建設現場において、休業災害度数率、記録災害度数率をはじめ労働安全衛生に関するパフォーマンスを測定する複数の指標を定め、モニタリングすることで、継続的な労働安全衛生の管理の徹底と向上に努めております。この労働安全衛生関連の指標の集計や管理については、今後日揮グローバル株式会社傘下の海外グループ会社が主体となって遂行するプロジェクトにもモニタリングを拡大していく予定です。 <日揮グローバル株式会社及び日揮株式会社の建設工事における労働安全衛生に係る指標> 本データの集計期間は毎年1月から12月までの合計としております。 単位2020年2021年2022年2023年工事総労働時間数千時間40,86149,33446,40143.061死亡災害件数件1002*1休業災害度数率 0.0340.0320.0340.023*2記録災害度数率 0.340.200.230.43 工事総労働時間数の大部分は、建設工事を請け負い、直接工事に従事する協力会社となっております。*1休業災害度数率及び*2記録災害度数率は、米国労働安全衛生局(OSHA)の労働災害の発生状況を図る指標で、以下のとおりです。休業災害度数率 = 休業災害件数×200,000÷工事総労働時間数記録災害度数率 = (死亡災害件数+就労制限件数+専門治療件数)×200,000÷工事総労働時間数 2023年は、日揮グローバル株式会社の海外建設現場において、協力会社の作業員2名が死亡する事故が発生しました。また、休業災害は例年より減少したものの、海外建設現場において記録災害が増加しました。こうした状況に対して、日揮グローバル株式会社のHSSE委員会が、臨時の労働安全衛生監査を実施するなどして、建設現場のマネジメント及び協力会社と一体となって事故防止対策を策定し、改善に取り組んでおります。 |
人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略 | 「人権の尊重・働きがい」をマテリアリティと認識し、人的資本を重要な経営基盤と位置付ける当社グループにおいて、人的資本への取組みは経営戦略と連動する重要テーマです。本テーマに対し、取締役会の指名を受け戦略的な人事施策の策定と実装を牽引するCHRO (Chief Human Resource Officer) のイニシアチブのもと、2023年度においては、経営戦略や事業戦略実現のために必要な人財要件や人財数を特定するための人財ポートフォリオ策定と、人財ポートフォリオ実現のための新たな人事戦略である「人財グランドデザイン2030」を策定しました。「人財グランドデザイン2030」では、以下の図に示すとおり、2030年時点で目指す組織像を「統合力で未来を切り拓きやり遂げるプロ集団」として定め、その姿を実現するためには、M(Management System):「タレントマネジメントシステムの構築」、O(Onboarding):「多様な人財の採用と即戦力化」、D(Development):「自律成長を促す人財開発・職場環境整備」、E(Engagement):「会社と個人の共通目的発見と理解促進」、L(Life & Work):「社員の物心両面の充足」の5つ(MODEL)を達成することが必要と考え、そのための具体的な施策を策定し、推進しております。なお、当連結会計年度末時点では、本人事戦略は当社グループの中核となる当社、日揮グローバル株式会社、日揮株式会社及び日揮コーポレートソリューションズ株式会社を対象としておりますが、各社の状況を考慮しながら、順次、他の当社グループ会社にも拡大していく予定です。 |
事業等のリスク | 3 【事業等のリスク】 当社グループの事業その他に関する主要なリスクとして、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる事項には、以下のようなものがあります。ただし、以下に記載したリスクは当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではなく、記載された事項以外の予見しがたいリスクも存在します。これらのリスクは、予測不可能な不確実性を含んでおり、将来の当社グループの事業、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に重要な影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、これらのリスクに対処するため、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要 ⑦ リスク管理体制の整備の状況」に記載のとおり、グループリスク管理委員会を含む必要なリスク管理体制を整え、リスクの管理及び対応を行っておりますが、それらの対応が有効に機能しない等により、これらのリスクの顕在化及び当該リスクによる当社グループへの影響を完全には回避できない可能性があります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 ① プロジェクトの受注及び遂行に関するリスク総合エンジニアリング事業においては、オイルメジャーや国営石油会社が顧客となる国際的な大規模プロジェクトを遂行しております。このようなプロジェクトにおいて設計、調達及び建設する各種プラントは、数多くの異なる要素や機能で構成される複雑なシステム総合体であり、また、契約締結からプラント引渡しまで長期間にわたるプロジェクトも多いため、その間の政治・社会情勢の変化、政策の変更その他顧客を含む取引先の状況等の変化による受注後のプロジェクトの計画変更、中止、中断又は延期等のリスクを含む総合エンジニアリング事業におけるリスクの見積りには複雑性を伴い高度な技術力及び豊富な経験を要します。上記のリスクが顕在化した場合、代金回収及びプロジェクトの採算に大きな影響を与えることがあります。また、パートナー企業と責任を分担するジョイントベンチャー又はコンソーシアムを組成し、受注することがあります。この場合、パートナー企業のプロジェクト遂行能力の不足、分担業務の不履行やパートナー企業の財政状態の悪化等が生じた場合、当社がパートナー企業の債務を負担することとなり、大幅な追加費用の負担が発生し、当社グループの事業、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に影響を与える可能性があります。これらのリスクに対して、当社グループでは、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要 ⑦ リスク管理体制の整備の状況<プロジェクトリスク管理>」に記載のとおり、リスク管理体制を整備し、各プロジェクトの案件選別段階、見積・応札段階及び遂行段階においてリスク低減に努めております。 ② カントリーリスク仕向地や現地工事を行う国や地域で不安定な政情、戦争、革命、内乱、テロ、経済政策・情勢の急変、経済制裁等のいわゆるカントリーリスクが顕在化した場合、総合エンジニアリング事業においては、プロジェクトの中止、中断又は延期、工事従事者の動員及びプラント建設に要する資機材調達の遅れ等によりプロジェクトの採算が悪化するほか、機能材製造事業においては販売取引の減少及び売上債権を回収できないこと等により、当社グループの事業、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。これらのリスクに対して、当社グループでは、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要 ⑦ リスク管理体制の整備の状況」に記載のとおり、リスク管理体制を整備し、カントリーリスクの低減に努めております。また、日揮コーポレートソリューションズ株式会社におけるコーポレート部門によるサポートのもと、カントリーリスクに応じて、貿易保険の利用並びに顧客及びベンダーとの契約交渉に際しての適切な不可抗力条件の設定等の対策を実施しております。加えて、テロ、紛争等の地政学リスク・治安リスクに対する海外駐在員の安全対策については、当社危機管理統括部が中心となり、平時の情報収集・分析の強化、各種予防策の拡充等に取り組むとともに、有事においては当社グループ危機管理基本規程に基づく緊急対策本部による対応等、危機管理機能の更なる強化に努めております。 ③ 自然災害・疫病等に関するリスク当社グループが事業活動を展開する国や地域において、地震、豪雨、暴風雨等の想定を超える自然災害や感染症の世界的流行(パンデミック)に見舞われた場合、総合エンジニアリング事業において建設工事の中断又はやり直し等によりプロジェクトの採算が悪化するほか、機能材製造事業において事業所・工場の操業停止や生産能力低下等が発生し、当社グループの事業、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に影響を与える可能性があります。これらのリスクに対して、当社グループでは、特にグループ各社の本社、建設現場、事務所・工場等の拠点ごとに自然災害発生時の対応手順を規定化し、安否確認システムの導入及び防災訓練等を実施するほか、リスクに関する情報の収集及び不可抗力条件等の顧客との契約条件の設定等の対策を実施する等、リスク低減に努めております。 ④ 為替変動リスク当社グループは、海外売上高のほとんどが外貨建て契約となっているため、為替レートが急激に変動した場合、当社グループの受注、売上及び損益に影響を与える可能性があります。このリスクに対して、複数通貨建てによるプロジェクトの受注契約をはじめ、各事業会社において、日揮コーポレートソリューションズ株式会社におけるコーポレート部門によるサポートのもと、海外調達、外貨建ての発注及び為替予約等の対策を状況に応じて実施し、リスクの低減に努めております。 ⑤ 工事従事者の不足、賃金高騰リスク総合エンジニアリング事業においては、プラント建設地において工事従事者が不足した場合、工事従事者の賃金が高騰した場合には、建設工事の遅延及び建設工事費用の増加によりプロジェクトの採算が悪化し、当社グループの事業、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に影響を与える可能性があります。これらのリスクに対して、主要プラントマーケットにおける建設労働力動向をモニタリング・予測するとともに、モジュール工法を採用した現地工事の最小化や、現地建設工事に豊富な実績を有する企業との協業のほか、人件費高騰に対する契約面での対策等により、リスクの低減に努めております。 ⑥ 資機材・原燃材料費等の高騰リスク当社グループでは、プラント建設に要する資機材費等の見積後、発注までにタイムラグがあるため、この間に経済制裁措置や紛争によるエネルギーなどの需要圧迫や国際輸送の混乱、世界経済のインフレーションを含む社会情勢の急激な変化による部材供給不足等に起因して、当社グループの予想を超えて資機材・原燃材料費及び輸送コストが高騰する可能性があります。この場合、総合エンジニアリング事業におけるプロジェクトの採算が悪化するほか、機能材製造事業において利益率が低下する可能性があるうえ、資機材・原燃材料の調達及び供給スケジュールが遅延する恐れがあり、このような当社グループの予測を超えた資機材・原燃材料費及び輸送コストの高騰による影響が続いた場合、当社グループの事業、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に影響を与える可能性があります。これらのリスクに対して、当社グループは、経営環境の変化や価格動向のモニタリング・予測、予測精度向上に向けた取組み、早期発注、調達先の多様化、製品価格への転嫁、先物取引の活用、並びに契約面での対応等の対策を実施し、リスクの低減に努めております。 ⑦ 投資に伴うリスク当社グループは、既往のインフラ事業、ヘルスケア事業への投資に加え、中期経営計画「BSP2025」に基づく施策としてデジタルやM&A、生産設備、事業開発、商業実証、研究開発などの形態で成長戦略投資の取組みを行っております。これらの投資を実行する中で、投資先やパートナーの業績や財政状態を含む事業・投資環境に想定を超える事態が生じた場合、期待通りの収益が上げられないリスク、投資の一部又は全部が損失となる、又は追加資金拠出が必要となるリスクがあります。また、パートナーとの経営方針の相違、投資の流動性の低さ等により、当社グループが希望する時期や方法で撤退できないリスクがあります。これらのリスクが顕在化した場合、当社グループの事業、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に影響を与える可能性があります。これらのリスクに対して、新規投資の実行に当たっては、審査要領を設け投資の意義・目的を明確にしたうえで、取締役会やグループ投融資委員会による審議を経るとともに、既存投資のモニタリングを強化する等、リスクの低減に努めております。 ⑧ 法令及び規制に関するリスク当社グループは、事業活動において税法、建設業法等の事業関連法規、国内外の環境に関する各種法令、安全保障目的を含む輸出入貿易規制、汚職等の腐敗行為防止のための諸法令、人権保護に関する法令及び原則、事業及び投資に対する許認可等の制約を受けております。当社グループによる各種法令等違反が生じた場合や、関係する各種法令等の大幅な変更又は予期しない解釈の適用が行われた場合には、当社グループの事業活動に対する制約の発生、法令遵守対応に関する費用の発生、当社グループに対する過料・課徴金・罰金等の制裁、当社グループの社会的評価の毀損等により、当社グループの事業、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に影響を与える可能性があります。これらのリスクに対して、当社グループは、国内外の法令及び規制等を遵守するため、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要 ⑤ コンプライアンス」に記載のとおり、グループ会社間の垣根なくコンプライアンスの情報共有を行う場としてグループ横断型のコンプライアンス・コミッティーを設けたうえ、主要なグループ会社にコンプライアンス責任者を配置し、指揮下のコンプライアンス部門担当者とともに、各社の実情に合った施策を立案・実施するグループ・コンプライアンス体制を構築しております。当社グループでは、当社ガバナンス統括オフィスコンプライアンスユニットが、当社グループ全体を対象としたコンプライアンス推進のための総合的な施策策定や調整等の機能を担っており、コンプライアンス向上に向けた取組みとして、階層別及び目的別(腐敗防止も含む)の各種コンプライアンス研修の実施や、コンプライアンスに関する社内及び取引先などの相談・通報窓口として、専門の第三者機関が受付を担当する相談・通報窓口の整備・運用など、コンプライアンス上のリスクの未然防止や早期発見に資する取組みも実施しております。特に、贈賄防止においては、当社グループ贈賄防止関連諸規定の整備及びこれらに基づく贈賄防止プログラムを展開し、当社グループと取引を行うステークホルダーに対するコンプライアンス上の事前審査や契約書への贈賄防止文言の反映等の取組みを行っております。また、輸出入貿易規制に関しては、各種法令等違反による重大な悪影響が発生し得ることを踏まえ、当社の輸出関連法規遵守委員会が、当社グループにて調達活動を行う国や地域の輸出管理に関する法令遵守の徹底に係る指導監督を行っております。 ⑨ 情報セキュリティに関するリスク当社グループは、事業活動において重要な営業情報や技術情報、顧客から入手した個人情報等の機密情報を保有しております。これらの情報は、停電、災害、サーバー・ネットワーク機器の障害、情報端末の紛失・盗難、サイバー攻撃、マルウェアの感染等により、漏えい及び消失するリスクがあります。これらの事象が発生した場合、多額の費用負担が発生するほか、顧客の信頼を失うことで当社グループの事業、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に影響を与える可能性があります。これらのリスクに対して、当社グループは「日揮グループ情報セキュリティ方針」及び「日揮グループ情報セキュリティ指針」を策定して情報セキュリティマネジメントシステムを構築し、継続的な見直し、改善、向上を図ることで重要な情報システム、ネットワーク設備及びIT資産の保護に努めております。主要グループ会社それぞれにおいても、各社のトップマネジメントを中心に、情報セキュリティの推進・維持を行う情報セキュリティシステム推進体制を構築しており、法令・規則等に準拠した情報セキュリティ関連規定の策定、各社に配置した情報セキュリティ統括責任者及び情報セキュリティモニタリング責任者を通じた情報セキュリティマネジメントシステムの確立、導入、計画、運用、モニタリング、継続的改善に取り組むPDCAサイクルを実施しております。具体的な取組みとしては、ゼロトラストを前提とした不正アクセスの防止策、マルウェア対策及び暗号化技術の採用等の物理的なセキュリティ対策を講じるとともに、定期的なセキュリティ監査と脆弱性評価、緊急時対応計画の策定と実施、役員・従業員への教育研修及び訓練を通じた情報セキュリティの重要性の周知徹底等の適切な措置を通じたグループすべての従業員の情報セキュリティへの意識向上に取り組むことにより、情報セキュリティの強化を図り、リスクを低減しております。また、当社グループでは代表取締役社長が委員長を務めるグループリスク管理委員会において情報セキュリティに関わるリスク管理について審議しているほか、代表取締役社長を委員長とするグループ情報セキュリティ委員会を原則年2回開催し、当社グループ全体での情報セキュリティ対応状況を把握して組織横断的な調整を図りつつ、対応強化の立案と審議を行っております。しかしながら、これらの対策にもかかわらず、予期せぬサイバー攻撃やマルウェアの侵入等による機密情報の漏洩、設備の損壊・通信回線のトラブル等による情報システムの停止等のリスクを完全に回避することはできません。これらのリスクが顕在化した場合、当社グループの事業及び財政状態等に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ⑩ 品質に関するリスク当社グループは、調達品等の品質不良、不具合の発生防止を含め、納入品の品質確保に努めておりますが、納入品の性能、品質に起因して顧客、取引先又は製品使用者から国内外で請求を受け、また、訴訟等を提起された場合、大規模な納入品回収や損害賠償責任の発生等に加え、当社グループの社会的評価に影響を及ぼすことが考えられ、当社グループの事業、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に影響を与える可能性があります。これらのリスクに対して、当社グループは、ISO9001に準拠した品質マネジメントシステムを構築し、長年に亘って蓄積してきた知識や技術、教訓を結集し、システムと人財をグローバルに活用して、品質確保に係る活動を推進しております。各主要グループ会社においては、社長の下に品質保証委員会などの会議体が設置されており、品質マネジメント活動が社長のレビューにて総括される品質マネジメント体制が構築されております。また、これら各社では、上記品質マネジメントシステムに基づき、品質方針を策定しております。組織の各階層が方針に基づく品質目標を設定して組織の課題を明確化し、品質目標とアクションプランのPDCAサイクルを回すことにより、継続的なパフォーマンス改善を図っております。その上で、上記の品質保証委員会などの会議体が定期的に開催され、高品質のプロダクトやサービスを提供するため、品質上の問題の根本原因を究明、有効な再発防止策を含めた改善活動を推進し、その成果を評価して継続的な改善を実践しております。こうした品質マネジメントの活動は、各社において年に一度、社長によるマネジメントレビューを実施して総括し、品質保証に関わる枠組みの整備と改善を継続的に実施しております。また、当社グループでは、これらのリスク対策に加えて、製造物責任賠償保険(以下、「PL保険」という。)に加入する等の対策も講じておりますが、上記のリスクの発生を完全に回避できる保証はなく、また、PL保険には損害補償額等の制約に服するため損害の全てを回避できない可能性があります。 ⑪ マクロ経済環境、社会・国際情勢の変化に関するリスク当社グループは、グローバルに事業を展開しており、当社の業績も海外諸国の経済動向、社会・国際情勢の変化、地政学的情勢、経済制裁、保護貿易の状況等の影響を受けます。特に原油や天然ガス等のエネルギー価格は世界の景気動向に加えて、資源輸出国の生産動向、各国のエネルギー政策、さらにはロシア・ウクライナ情勢、イスラエル・パレスチナ情勢及び関連する経済・金融制裁の動向によって今後も上下する状況が続くとみられます。エネルギー資源の価格の変動が世界的な景気後退につながる場合には、当社グループの顧客企業の設備投資の低下を招き、開発案件数の減少による競合企業との競争の激化等により、当社グループの事業、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に影響を与える可能性があります。総合エンジニアリング事業においては、世界的な景気後退により、顧客企業、パートナー企業、資機材発注先、現地建設工事会社等の取引先の財政状態の悪化等が生じ、プロジェクトの計画変更、中止、中断又は延期等及び現地建設工事又は資機材調達の遅れによるプロジェクト遂行への悪影響、並びに取引先からの代金回収に影響を及ぼす可能性があります。また、機能材製造事業においては、米国による対中輸出規制強化による先端半導体産業の事業環境の悪化等及び機能材出荷先の所在国における規制強化に伴う製品排除により、売上や利益率に悪影響が生じる可能性があります。これらのリスクに対して、当社グループでは、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要 ⑦ リスク管理体制の整備の状況」に記載のとおりリスク管理体制を整備しており、グループリスク管理委員会及び経済安全保障・地政学リスク検討タスクフォース等によるグループ横断でのマクロ経済環境、社会・国際情勢の変化に関するリスクに係る情報収集、分析及び共有を行っております。加えて、各事業会社において、日揮コーポレートソリューションズ株式会社におけるコーポレート部門によるサポートのもと、各EPCプロジェクト及び機能材製造事業に影響するこれらのリスクの把握、分析及び低減を一次的に行うことで、早期にこれらのリスクを把握し、調達及び機能材に係る取引先の分散、並びにEPC及び製品価格への転嫁等を通じて、効果的に対処できるよう努めております。 ⑫ 気候変動に関するリスク気候変動に関するリスクとしては、建設現場及び製造現場などで自然災害リスクが高まる可能性があります。また、パリ協定の長期目標を踏まえた脱炭素化社会の実現に向けた動きが国際的に進む中、今後各国における気候変動政策の強化、環境関連法規等の変更・新規導入等が実施されるほか、企業を中心とした民間部門の自主的な取組みにより、想定を上回るスピードで化石燃料及び化石燃料由来の製品需要が減少した場合、顧客企業の化石燃料関連への投資抑制、顧客企業の事業内容自体の変更実施等、当社グループの顧客企業の事業活動に影響を及ぼす可能性があります。これにより、化石燃料に関連した開発案件数の減少及び限られた案件の受注を巡る競合企業との競争の激化等による価格低下が起こる可能性があります。当社グループがこうした事業環境の変化に対応できない場合には、当社グループの事業、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に影響を与える可能性があります。こうしたリスクに加えて、社会や産業全般の変化等当社グループを取り巻く事業環境が変化するリスクに対し、足元の事業環境の変化に対応しつつ、当社グループが持続的に成長していくための取組みを推進してまいります。なお、当社グループは、2021年5月に公表した長期経営ビジョン「2040年ビジョン」に基づき、地球環境と人類の健康に関わる課題解決への貢献を目的とし、ビジネス領域をエネルギートランジションやヘルスケア・ライフサイエンス等の幅広い領域へトランスフォーメーション(変革)させていくほか、ビジネスモデルのトランスフォーメーション、さらにそれらを支える基盤としてグループ内の組織のトランスフォーメーションに取り組んでおります。また、国内外で実績を上げ始めている非化石燃料、資源循環、再生可能エネルギーなどの分野のプロジェクトの受注、遂行に加え、これらトランスフォーメーションを通して当社グループは、脱炭素社会の実現に向けた取組みをこれまで以上に推進し、持続的な成長を図ってまいります。 ⑬ 知的財産に関するリスク当社グループでは、国内外を問わず広く事業を展開しており、複数国に設計、製造又は建設現場等の拠点があります。各国における知的財産制度の理解に努め、情報収集を行っております。一方で、国によっては十分な情報が得られず、第三者の権利状況を把握することが困難な場合があり、第三者の知的財産権を意図せずに侵害してしまう可能性があります。これらのリスクに対応するため、当社内にガバナンス統括オフィス知的資産ユニット、及び当社グループのコーポレート機能業務を集約した日揮コーポレートソリューションズ株式会社内に知的財産部を配置し、当社グループの知的財産に関するガバナンスを強化する体制を整備しました。第三者の知的財産権を尊重して適切な対応を図り、特許紛争などを未然に防止することに引き続き注力します。また、リスクのさらなる低減に向けて、当社グループ及び第三者の知的財産の重要性を認識するため、知的財産に関する社内教育の実施及び情報発信等の啓発活動を行うとともに、関連部門間による第三者の知的財産権のモニタリング及び知財リスクの特定・分析・対策に努めてまいります。 |
経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 | 4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 (1) 経営成績等の状況の概要① 当連結会計年度の概況当連結会計年度において、新型コロナウイルス感染症対策の緩和による各国の経済活動の正常化や資源価格の落ち着き、個人消費の増加などによって世界経済は引き続き回復傾向にありました。世界経済の先行きも、中東情勢などの地政学的リスクの高まりはあるものの、インフレーション率の鈍化や金融緩和の動きが見え始めたことによって、底堅さを示しはじめました。このような状況のなか、当社グループの総合エンジニアリング事業の海外マーケットにおいて、エネルギーソリューションズ分野(石油精製、石油化学・化学、ガス処理、LNG等)では、エネルギー安全保障と低・脱炭素化の両立の観点から、環境負荷が比較的少ない天然ガス(液化天然ガス(LNG)を含む)の需要は引き続き高く、産油・産ガス諸国において新設のみならず既設プラントの増設・改造などの設備投資計画が進展しました。サステナブルソリューションズ分野(水素・燃料アンモニア、小型モジュール原子炉(SMR)、スペシャリティケミカル、ケミカルリサイクル、グリーンケミカル等)では、低・脱炭素化に向けた各国の政策や支援が後押しし、水素・燃料アンモニア、SAF(Sustainable Aviation Fuel:持続可能な航空燃料)、CCS(Carbon dioxide Capture and Storage : CO2の回収・貯留)、合成メタン(e-methane)などの領域において、実現に向けた計画検討が前進するなどしました。ファシリティソリューションズ分野(半導体、蓄電池、データセンター、発電、受入基地、医薬、医療、水処理、鉄道等)では、デジタル社会の進展や米国の対中政策等に伴い需要が高まる半導体材料や、蓄電池部材、データセンターなど、デジタル産業を支えるインフラ施設や関連施設の設備投資計画が北米やアジアなどを中心に着実に進展しました。また、同事業の国内マーケットにおいて、ライフサイエンス分野の設備投資計画が堅調に進んだほか、グリーンイノベーション基金や長期脱炭素電源オークションなど日本政府の政策が追い風となり、SAFや水素、蓄電池といった低・脱炭素分野や資源循環分野における設備投資計画が進展しました。このように国内外で様々な設備投資計画が進展する一方で、金利上昇や建設費用等の増加により、顧客の初期投資費用が増加傾向にあったことなどから、一部の顧客において投資決定時期を2024年度以降に先送りする動きがありました。機能材製造事業においては、触媒・ファインケミカル分野では、触媒製品は世界経済の回復傾向を受けて顧客の製品需要は堅調に推移したものの、ファインケミカル製品は供給過剰に伴う顧客の在庫調整により、半導体やエレクトロニクス向け製品は厳しい事業環境となりました。ファインセラミックス分野では、半導体関連市場における景気停滞が続いたものの、電気自動車向けのパワー半導体関連製品は、自動車のEV化の加速により引き続き需要が拡大しました。また、総合エンジニアリング事業において、第3四半期連結会計期間に損失を計上したタイの化学プラント建設プロジェクトにおいて、設計及び調達業務の進捗状況から配管材料調達コスト及び遅延対応費用を追加で見込む必要が生じました。また、主要な海外プロジェクトの進捗状況に照らして今後の遂行計画及び実行予算について集中的な再検討を行い、最近の設計業務における配員状況や中東での資機材の需給逼迫による納期遅延といった当連結会計年度の採算悪化に影響を及ぼしている事業環境を考慮し、必要と判断されるリスク対応費用を追加的に見込むことといたしました。その結果、サウジアラビアにおける石油・ガス関連案件において損失引当を行ったほか、海外子会社において追加損失計上及び新たに1件の損失引当を行うこととなり、当社グループの当連結会計年度の業績等については、以下のとおりとなりました。経営成績 当連結会計年度(百万円)前年同期増減率(%)売上高832,59537.2営業損失(△)△18,995-経常利益358△99.3親会社株主に帰属する当期純損失(△)△7,830- 受注高地域当連結会計年度(百万円)割合(%)海外158,67944.7国内196,47155.3合計355,151100.0 当連結会計年度末の受注残高は、為替変動による修正及び契約金額の修正・変更等を加え、1兆2,534億円となりました。なお、当連結会計年度の連結財政状態の概況は以下のとおりであります。 (資産)当連結会計年度末における流動資産は6,035億63百万円となり、前連結会計年度末に比べ640億69百万円の増加となりました。これは主に受取手形・営業債権及び契約資産等が589億73百万円増加したことによるものです。固定資産は1,887億33百万円となり、前連結会計年度末に比べ151億円の増加となりました。これは主に有形固定資産が121億76百万円、無形固定資産が23億3百万円増加したことによるものです。この結果、総資産は7,922億96百万円となり、前連結会計年度末に比べ791億69百万円の増加となりました。 (負債)当連結会計年度末における流動負債は3,507億36百万円となり、前連結会計年度末に比べ785億30百万円の増加となりました。これは主に支払手形・工事未払金等が573億3百万円増加したことによるものです。固定負債は536億74百万円となり、前連結会計年度末に比べ107億34百万円の増加となりました。これは主に社債が100億円増加したことによるものです。この結果、負債合計は4,044億10百万円となり、前連結会計年度末に比べ892億65百万円の増加となりました。 (純資産)当連結会計年度末における純資産合計は3,878億85百万円となり、前連結会計年度末に比べ100億95百万円の減少となりました。これは主に配当などにより利益剰余金が91億42百万円減少したことによるものです。この結果、自己資本比率は48.7%(前連結会計年度末は55.7%)となりました。 ② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度の連結ベースの現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比較し82億48百万円減少し、3,245億7百万円となりました。また、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益28億9百万円に加え、売上債権及び契約資産や仕入債務など運転資本の増減などにより、結果として110億90百万円の増加(前連結会計年度は1,107億69百万円の増加)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出などにより202億1百万円の減少(前連結会計年度は114億71百万円の減少)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払などにより88億94百万円の減少(前連結会計年度は612億88百万円の減少)となりました。 ③ 生産、受注及び販売の実績ⅰ)生産実績セグメントの名称当連結会計年度(百万円)(自 2023年4月1日至 2024年3月31日)前年同期比(%)総合エンジニアリング事業--機能材製造事業46,928107.5報告セグメント計46,928107.5その他の事業--合計46,928107.5 (注)金額は販売価格によっております。 ⅱ)受注実績セグメントの名称当連結会計年度(百万円)(自 2023年4月1日至 2024年3月31日)前年同期比(%)総合エンジニアリング事業293,88735.7機能材製造事業53,589112.3報告セグメント計347,47739.9その他の事業7,674108.6合計355,15140.4 ⅲ)売上実績セグメントの名称当連結会計年度(百万円)(自 2023年4月1日至 2024年3月31日)前年同期比(%)総合エンジニアリング事業773,106140.2機能材製造事業52,012108.9報告セグメント計825,119137.7その他の事業7,47599.5合計832,595137.2 (注)売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の売上高及びその割合は、以下のとおりであります。相手先前連結会計年度(自 2022年4月1日至 2023年3月31日)当連結会計年度(自 2023年4月1日至 2024年3月31日)売上高(百万円)割合(%)売上高(百万円)割合(%)サウスリファイナリーズ社93,60315.4169,06620.3LNGカナダ社171,41928.2127,37415.3 (参考)受注高、売上高及び受注残高(単位:百万円)区分前連結会計年度末受注残高当連結会計年度受注高 当連結会計年度 売上高 当連結会計年度末受注残高総合エンジニアリング事業1,563,459293,887773,1061,243,957 国内 エネルギートランジション関係 石油・ガス関係8,66321,31324,2095,766 LNG関係01212- 化学関係24,13619,51030,12613,496 クリーンエネルギー関係134,28427,42664,14697,469 その他3,3262,0034,703472 計170,41070,265123,199117,204 ヘルスケア・ライフサイエンス関係67,62277,35759,34885,414 産業・都市インフラ関係1389,0391,7767,401 その他15461269024 国内計238,326157,273185,015210,045 海外 エネルギートランジション関係 石油・ガス関係739,09845,929298,133570,862 LNG関係376,01847,085203,615270,722 化学関係183,93624,09761,513170,243 クリーンエネルギー関係2,06811,1133,6759,517 その他6,4697274,7542,897 計1,307,590128,953571,6921,024,243 ヘルスケア・ライフサイエンス関係17,2242,86713,3927,570 産業・都市インフラ関係3184,0562,5131,855 その他-737492242 海外計1,325,132136,614588,0911,033,912機能材製造事業7,03653,58952,0128,660その他の事業5977,6747,475835合計1,571,093355,151832,5951,253,452 (注)1.総合エンジニアリング事業の「当連結会計年度末受注残高」は、当連結会計年度における為替換算による修正及び契約金額の修正・変更等による調整額159,716百万円を含んでおります。2.機能材製造事業の「当連結会計年度末受注残高」は、当連結会計年度における為替換算による修正及び契約金額の修正・変更等による調整額46百万円を含んでおります。3.その他の事業の「当連結会計年度末受注残高」は、当連結会計年度における為替換算による修正及び契約金額の修正・変更等による調整額38百万円を含んでおります。 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。 ① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容「(1)経営成績等の状況の概要 ① 当連結会計年度の概況」に記載のとおり、当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高8,325億95百万円(前期比37.2%増)、営業損失189億95百万円(前期は営業利益366億99百万円)、経常利益3億58百万円(前期比99.3%減)、親会社株主に帰属する当期純損失78億30百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純利益306億65百万円)となりました。売上高は、海外及び国内プロジェクトの順調な進捗によって前連結会計年度と比較して増収となったものの、営業利益は、総合エンジニアリング事業の国内外プロジェクトでの採算悪化により売上原価が増大したことで営業損失となりました。経常利益は、金利上昇の影響を受け、受取利息の増加があったものの、プロジェクト採算悪化による売上総利益減少の影響を吸収しきれず、前連結会計年度と比較して減益となりました。外国税額の増加に加え損益悪化した海外子会社の税負担増加により、当連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失を計上することとなりました。 当連結会計年度のセグメント別の経営成績等の状況に関する分析・検討内容は以下のとおりです。 総合エンジニアリング事業(百万円)前年同期増減率(%)機能材製造事業(百万円)前年同期増減率(%)その他の事業(百万円)前年同期増減率(%)売上高773,10640.252,0128.97,475△0.5営業利益又は営業損失(△)△22,094-7,2511.12,01012.6 総合エンジニアリング事業総合エンジニアリング事業においては、海外では中東での製油所近代化プロジェクトや北米での大型LNGプロジェクト、国内ではライフサイエンス関連プロジェクトやバイオマス発電プロジェクトの進捗が順調に伸びたこと、また期末に向けて円安が進行したことにより、売上高は前連結会計年度と比較して増収となりましたが、国内外のプロジェクトで追加費用やリスク対応費用を見込んだことなどにより採算が悪化しセグメント損失となりました。 機能材製造事業触媒分野においては、FCC触媒、水素化処理触媒を中心に原燃材料高騰の影響を一部販売価格へ転嫁できたこと、海外顧客への販売量の増加及び円安の影響により増収となりました。ファインケミカル分野においては、半導体やエレクトロニクス市場における在庫調整が継続しており減収となりました。ファインセラミックス分野においては、半導体関連市場の需要の低迷が継続する一方で、電気自動車やハイブリッド車向け高熱伝導窒化ケイ素基板の需要は引き続き旺盛で増収となりました。セグメント利益は変動費の削減や生産性向上を積極的に進めたものの、半導体関連需要低迷の継続、生産設備増強に伴う減価償却費負担の増加等により、前連結会計年度からほぼ横ばいとなりました。 ② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、金利上昇による受取利息の増加等により、営業活動によるキャッシュ・フローが110億90百万円の増加となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、主に土地やソフトウェア等の有形固定資産、無形固定資産の取得による支出により202億1百万円の減少となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払い等により88億94百万円の減少となりました。この結果、現金及び現金同等物の期末残高は前連結会計年度末から82億48百万円減少し3,245億7百万円となりました。 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、以下のとおりです。 (資金需要)総合エンジニアリング事業は、キャッシュ・フローや採算の変動が大きく、プロジェクトの安定的な遂行のために十分な運転資金を必要としております。機能材製造事業では、主として製造設備の拡張・更新のための設備投資を効率的かつ継続的に行っております。また、中期経営計画「BSP2025」において計画している戦略投資を進めてまいります。 (資金調達)当社グループは、資金需要に対して、営業活動によるキャッシュ・フローから得た資金及び手元資金に加え、状況に応じて有利子負債などによる調達資金を充当しております。有利子負債は、金融市場の環境等を鑑み、社債発行や金融機関からの借入など最適な手段によることとしております。当年度は、中期経営計画「BSP2025」における重点戦略である「高機能材製造事業の拡大」及び「将来の成長エンジンの確立」に係る新規の投資及びプロジェクトを推進するための資金調達手段として100億円のグリーンボンドを発行いたしました。なお、当社は株式会社日本格付研究所から信用格付を取得しており、報告書提出時点において長期発行体格付がA+、コマーシャルペーパー格付がJ-1となっております。 (財務戦略)当社グループは、顧客からの信頼獲得及び長期にわたる大型プロジェクトの円滑な遂行の観点から、短期的な市場動向に左右されない強固な財務基盤を維持するとともに、戦略投資に対する機動的な資金調達余力を確保するため、自己資本比率については50%以上を安定的に維持することを目標としております。また、市場混乱時にも事業を継続するために十分な流動性を常時確保する方針としており、手元資金に加え取引金融機関とのコミットメントライン契約未使用枠300億円を有しております。手元資金については、効率的な運用・配分を実現するため、グループ内のキャッシュ・マネジメントの最適化に取組んでおります。当社は、戦略投資に機動的に対応しつつ強固な財務基盤を維持するとともに株主還元を着実に実施し、企業価値・株主価値の向上に努めてまいります。 (株主還元)当社は、株主の皆様への利益還元を経営の重要課題として位置付けております。具体的な株主還元方針の内容については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載のとおりです。 ③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。 |
経営上の重要な契約等 | 5 【経営上の重要な契約等】 経営委任に関する覚書 当社は、日揮グローバル株式会社との間で2019年10月1日を効力発生日とする吸収分割契約において承継の対象とならなかった海外における各種プラント・施設のEPC(Engineering, Procurement and Construction:設計・調達・建設)事業の一部の経営を、日揮グローバル株式会社に対して委託し、日揮グローバル株式会社はこれを受託することについての経営委任に関する覚書を締結しております。 |
研究開発活動 | 6 【研究開発活動】 当連結会計年度は、長期経営ビジョン「2040年ビジョン」の1stフェーズ「挑戦の5年間」と位置付ける中期経営計画「BSP2025」の3年目として、引き続き3つの重点戦略①EPC事業のさらなる深化、②高機能材製造事業の拡大、③将来の成長エンジンの確立に注力してきました。プロジェクト遂行力の高度化を図るEPC DXの実装、高機能材製品の用途拡大・設備投資、及び将来ビジネスの核となるクリーンエネルギー・資源循環等の各種技術の新事業を推進しております。「2040年ビジョン」に掲げているビジネスモデルのトランスフォーメーションでは、技術ライセンス等の非EPCビジネス領域への参入を達成するため、各種技術の開発・実証、産学連携等を進めております。例えば、バイオものづくりでは、微生物の改良による糖やCO2を原料としたバイオプラスチック、化成品等の生産の社会実装に向けて、パートナー企業との連携を深めております。また、当社グループでは、持続的成長の経営基盤となる知的財産を重視しております。上記重点戦略に知財戦略を一体化し、コア事業と成長・将来事業の両ビジネスを拡大していくため、当社内にガバナンス統括オフィス知的資産ユニット、及びコーポレート機能業務を集約した日揮コーポレートソリューションズ株式会社内に知的財産部を配置する体制に移行しました。当社グループ内の様々なアイデアを多角的に捉えた「知の創造」及びグループ外の優れた技術を見出してパートナーと協創する「知の融合」の活動に知的財産部が積極的に関与し、イノベーションを創出するための環境整備に取り組んでおります。既存ビジネスの拡大や非EPCモデルの確立、新市場への参入等を見据えた知財戦略の立案と遂行を行い、知的財産の戦略的活用の視点から技術開発成果の保護及びグループ会社の事業支援を進めてまいります。なお、研究開発費については、当社で行っている各セグメントに配分できない研究開発費用3,511百万円が含まれており、当連結会計年度の研究開発費の総額は、10,454百万円です。 ① 総合エンジニアリング事業設計・調達・建設(EPC)ビジネス分野現地セキュリティが厳しい地域や自然環境が過酷な地域、労働者の確保が困難な地域等、建設工事の遂行が困難な地域においてEPCプロジェクトが増加する傾向にある中で、当社グループは大型モジュール工法の採用や、EPCプロジェクト遂行の効率性向上のためにAWP(Advanced Work Packaging)による工事管理の採用などを実践しております。さらに、当社グループのIT戦略「ITグランドプラン2030」による新しい設計手法(AI設計やデジタルツイン)や現場省人化につながるような新しい工法(ロボティクスによる自動化、3Dプリンター導入、中・小型モジュール工法、リモート化など)、要素技術の導入(新素材、設計へのAIやBIM導入など)、EPC全領域でのAWP採用拡大などを図り実装することによって、熟練労働者不足や不安定な現場生産性、スケジュール遅延などのEPCプロジェクトリスクを低減することを目指しております。同時にこうした取組みが当社グループの競争力強化にもつながると考え、EPCを担う事業会社を中心に全社的な活動を展開しております。 IT/DX関連1. EPC効率向上を目指して行っているもの(1) プロットプラン自動化Auto Plot PATHFINDER®プラント全体の配置図であるプロットプランの設計は、プラントの運転・メンテナンスのし易さ、安全性の確保、環境保全はもちろんのこと、建設コストを決定付ける最も重要なものとして位置付けられております。したがって、複雑な制約条件のもとで様々な要求を最適化するという大変難しい技術が必要であり、従来、経験豊富なシニア技術者の感覚に頼る部分が大きい領域でしたが、当社グループのIT戦略「ITグランドプラン2030」においてAI設計イノベーションを掲げ、プロットプラン設計を自動化するAuto Plot PATHFINDER®を開発しました。Auto Plot PATHFINDER®による設計は、形式知化・コード化されたシニア技術とAIによるユニット分割をもとにしたユニット単位・機器単位の自動配置、位置確定などのエンジニアによる指示取込み、最適配置のステップで行われます。Auto Plot PATHFINDER®により、多数のプロットプラン案を超短時間で作成することが可能になり、人間が思いつかないものを含む多くの提案が瞬時にできることから、新しい提案型設計 (Generative Design)へ変革し、基本設計の段階から顧客の検討に貢献できると考えております。2023年度はFS(フィージビリティスタディ)やFEED(基本設計)業務でプロットプランの提案に適用しました。今後は、さらに適用プロジェクトを増やし、顧客により良い価値を提供してまいります。 (2) Data Centric EPC遂行、AWP Data Centric EPC遂行は、従来の人の手を介した図書ベースの情報交換に代え、ICT技術を最大活用したデータ中心の効率の良い情報交換とタイムリーな意思決定を図ることを目指した新たなEPCプロジェクト遂行手法であり、EPCプロジェクト遂行におけるリスクを低減し品質・コスト・納期それぞれの要素を向上させることが期待されております。当社グループにおけるData Centric EPC開発においては、設計・調達・建設の作業対象となるタグを一元管理し、そのタグのデータをデータソースとなるシステムから集約し、またそのデータを活用するシステムへ連携する仕組みを構築しております。AWPは、Data Centric EPC遂行の仕組みを活用した一例であり、対象作業の開始を制限する可能性がある先行作業の特定とモニタリングが可能となります。現在進行中の複数プロジェクトにおいて、建設工事に実装したほか、設計・調達業務との連携と効果波及を目指してAWP管理の拡大を進めております。また、当社グループでは、Data Centric EPC遂行とAWPの統合を主軸に置き、EPC全体におけるデジタルトランスフォーメーション (Digital Project Delivery) へも取り組んでおります。 (3) 3D プリンタ導入3Dプリンタは、省力化施工による生産性向上やリードタイム低減による工期短縮など、建設産業においても大きな革新をもたらすポテンシャルを持つ技術として注目を集めており、当社グループのIT戦略「ITグランドプラン2030」においても「3Dプリンタ導入や建設自動化による建設工法最適化」を掲げ取組みを進めております。具体的には、セメント系材料を扱うデンマークのCOBOD International A/S社の3Dプリンタを導入し、国内EPCプロジェクトでの基礎型枠としての適用などを経て、海外EPCプロジェクトにおいても適用を進めております。また、金属系材料を扱うオランダのMX3D社との共同研究を通して、炭素鋼を用い形状最適化を取り入れて、配管部材の重量削減や強度向上への本技術の寄与を確認いたしました。当社グループの競争力強化へと繋げるべく、検証活動及びEPCプロジェクトへの導入を継続してまいります。 2. 顧客によるオペレーション&メンテナンス(O&M)業務の面からの要求に応えるもの(1) アセットインフォメーションマネジメント(IM)アセットインフォメーションは、顧客が安定したプラント操業を維持するために重要な情報です。近年は本分野の顧客要求の高まりもあり、複数のEPCプロジェクトでアセットインフォメーションマネジメントを実現するシステムの実装が進み、当社グループにおける技術の蓄積が進んでおります。EPCの各フェーズの中で、プラントを構成する膨大な量の各種のアセットのインフォメーションが生成されます。これらを一貫性をもって管理・統合するため、当社グループではデジタルツイン技術への取組みを進めております。社内標準化を進めることでインフォメーションの精度を飛躍的に向上させるとともに、データハンドオーバーの国際業界標準規格である「CFIHOS」に準拠したインフォメーションマネジメント遂行を実現しております。これにより遂行したプラントの完成・引渡し後においては、顧客がスムーズに運転・保全に移行でき、アセットやプラントのオペレーション&メンテナンス(O&M)コストの低減という付加価値を提供し、顧客の事業価値向上に貢献しております。 (2) スマート保全ビジネスプラントの高経年化や人材確保が難しくなる中で、正常運転のために一層重要性が増している保全業務に対して、当社グループは、プラントの設備診断業務を強力に支援する設備管理システム(A-MIS®)の販売・運用を行ってきました。また、このシステムも包含するIoTやビッグデータを活用した統合型スマート保全サービス(INTEGNANCE®)の事業化を進めております。INTEGNANCE®では、検査結果や運転情報などをもとに検査ポイントの推奨を行うAI予兆保全と定期修理計画の立案を保全戦略支援サービスとして提供するほか、モバイル端末タブレットやスマートフォンを活用した作業状況の電子化とタイムリーな情報共有による工事進捗管理を行っております。また、当社グループでは、3Dビューア「INTEGNANCE® VR」を開発し、デジタルツインの構築・運用を行うため、事業会社である「ブラウンリバース株式会社」を設立し、2022年9月より有償提供を開始しました。本ビューアでは、既存プラント全体を撮影した360°パノラマ写真上にアノテーション(関連データをタグ登録)することで、各機器や部材の関係を可視化する、いわば“プラントのストリートビュー※”を実現、プラント内のあらゆる情報に視覚的に迅速にアクセスすることで実務者の運用・保守業務の大幅な効率化を可能にし、多くのプラント保全の現場で活用頂いております。さらに、当社グループは、英国の原子力業界をはじめ、高度かつ確実な安全管理が求められる分野で幅広く利用されている事故想定シナリオ管理手法「フォルトスケジュール」をベースに開発したスマート保安の最適化を支援するリスクマネジメントソフトウェア(CoreSafety®)を提供しております。※ストリートビューは、Google LLCの登録商標です。 天然ガス分野昨今、温室効果ガスの1つである二酸化炭素(CO2)の排出量削減が求められておりますが、当社グループでは、CO2の排出抑制、分離回収、有効利用・貯留、資源再生というカーボンマネジメント・サイクルの各要素で技術・知見を継続して積み上げております。CO2-EOR(原油増進回収)においては、原油とともに随伴されるCO2を有効に活用するために、当社グループは、特殊なゼオライト膜で効率的にCO2を分離回収することを可能とする技術を開発し、米国テキサス州での実証試験を継続して実施中です。本技術とともにカーボンマネジメント・サイクルの知見と合わせて、産油ガス国、企業向けにCO2に関する課題解決に向けたトータルソリューションを提供していく方針です。さらに、「マレーシア・サラワク州CCS事業」に取り組み、日本から排出されるCO2を回収、輸送し、大規模貯留適地でのCCSを実現、日本の脱炭素の推進に寄与するとともに、マレーシアLNGプラントから排出されるCO2も貯留することにより、LNGの低炭素化実現も目指していきます。本プロジェクトが実現すれば、アジア地域における国境を越えたCCS事業のモデルになるものと期待しております。また、温室効果ガスの中でもメタンの排出量は、既往の計算では精度高く求めることが困難とされており、欧州や米国などではセンサーによる実測が求められつつありますが、実際に計測をしている企業は多くありません。精度の高いメタン排出量の計測がなされていないために、排出源が特定されておらず、正しいメタン削減ソリューションに繋げられていない現状があります。当社は石油・天然ガス設備からのメタン排出を想定した「メタン排出計測技術評価設備」を技術研究所に建設し、国内外の計測器メーカーなどと幅広い協働を通じて計測技術を向上させることにより、一層効果的なメタン排出対策を実現していきます。今後、メタン排出量削減が温室効果ガス削減に向けて重要であることを引き続きアピールし、優れた温室効果ガス測定技術とエンジニアリング技術を駆使し、温室効果ガス排出の少ない設備の実現を目指していきます。さらに、既設LNGプラント関連のAI・IoTビジネスとして、運転ビッグデータ解析及び気象解析を通じて得られた知見を基に操業改善によるLNG増産サービスを海外顧客向けに展開しております。例えば、空冷式LNGプラントの場合、生産量減退の要因となるHot Air Recirculationに対しFoggingを適用しLNG増産に繋げた試みのほか、アジアの国営石油会社向けにHot Air Recirculationの予測モデルを開発し、本モデルを操業と連携させ増産するシステムを構築、運用中です。増産量を正確に把握するため、機械学習やシミュレータを利用したデジタルツインの開発も行っております。加えて、デジタルツインを活用したLNGプラントのスタートアップを含む全自動運転の制御システム構築にも取り組んでおります。 オフショア分野世界には未開発の中小規模海洋ガス田や、発生する随伴ガスを再圧入・フレアリングしている既存石油生産設備が多数存在し、それらのガス資源の効率的な開発手段が期待されております。その最有力候補は、当社グループが世界有数の建造実績を持つ洋上LNGプラント(以下、「FLNG」という。)です。FLNGは、現地ガス消費市場規模に限界のある、またセキュリティ・環境問題を抱えるような地域での陸上パイプラインガス、並びに操業中の洋上石油生産設備で大量に生産される随伴ガスなどの現金化ソリューションでもあります。また、当連結会計年度では、海洋石油・ガス開発分野において、低炭素化・脱炭素化に代表されるSDGs達成に向けたソリューションへのニーズのさらなる高まりを受け、当社グループは、社会と顧客の課題に応えるべく、昨年から浮体式海洋石油生産・貯蔵・出荷設備上で効率的に高濃度CO2を分離し、海底への再注入を目指す、CO2を分離回収するゼオライト膜の適用技術開発を継続して取り組んでおります。 低炭素・脱炭素化分野温室効果ガス排出量削減に向けた取組みとして、当社ではCO2フリー燃料の導入促進やカーボンリサイクル及びEMS(エネルギーマネジメントシステム)の観点で研究開発を行っております。CO2フリー燃料としてCO2フリーアンモニアが国内で着目されており、2020年代半ばの日本でのCO2フリーアンモニアの商業実装に向けた検討が進められております。当社グループは、2014~2018年度に実施した内閣府による戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)のエネルギーキャリアプロジェクトの成果を活用し、再生可能エネルギーや化石資源からのCO2フリーアンモニアの製造・供給の社会実装を目指して、様々な案件のフィージビリティスタディに参画するとともに、CO2フリーアンモニアのより効率的な製造方法やコストダウンに向けた研究開発を行っております。特に、変動する再生可能エネルギー由来のCO2フリーアンモニア製造について、従来にはないダイナミックな変動型アンモニア合成を目指したシステムを開発しております。再生可能エネルギー由来の水素を利用したグリーンケミカルの普及に際しては、天候・時刻・季節によって変動する再生可能エネルギーを利用し、いかにして安定的・効率的にケミカルを製造するかが課題になります。その課題解決のためには、統合制御システムの開発が必須となります。当社グループは、福島県浪江町の福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)で製造される水素利用を想定したアンモニア製造プラントの基本設計や、統合制御システムの要件定義を行ってきました。この統合制御システムを組み込んだ再生可能エネルギー由来のグリーンアンモニア製造技術の実証プラントを福島県浪江町に建設しており、技術実証に向けて大きく進展しました。当社グループは、本実証プロジェクトを通じて、再生可能エネルギー由来の水素を原料とするグリーンアンモニア製造技術の確立を引き続き目指していきます。また、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、「NEDO」という。)の支援を受けて輸入したアンモニアを熱分解し、水素を製造する技術の開発を行っております。現在、アンモニアを分解して水素を製造する技術は、要素技術の多くが商業レベルに達する一方で、実際は小型の装置でしか商業利用されておらず、大規模には行われていません。中でもアンモニア分解管と、アンモニア分解ガスから窒素ガスとアンモニアを分離精製する一段ガス製造装置(PSA方式)については、さらなる要素試験による検証・開発が必要であり、本開発による進展が期待されております。今後、国内外で水素の利用拡大が見込まれる2030年の社会実装を視野に入れ、カーボンニュートラル社会に欠かせない大規模な水素製造の技術開発を行ってまいります。 資源循環分野当社グループでは、中期経営計画「BSP2025」において、ケミカルリサイクルを注力分野の1つと位置づけており、ガス化(EUPガス化ケミカルリサイクル)、油化、モノマー化(廃繊維リサイクル)を含め、幅広いプロセス技術を通じてケミカルリサイクルを推進し、循環型社会の構築に貢献していくことを目指しております。廃プラスチックのケミカルリサイクルは、リサイクルが困難な異種素材や不純物を含むプラスチックを分解し、様々な化学物質に再生することが可能であり、リサイクル率の大幅な向上をもたらす技術として期待されております。当社グループは、荏原環境プラント株式会社とUBE株式会社からEUP(Ebara Ube Process)に関する技術供与、また株式会社レゾナック・ホールディングスから量産化技術の供与と運転支援を受け、廃プラスチックのリサイクル推進に向けて、①廃プラスチックのガス化設備並びにガス化設備から製造される合成ガスを用いた化学品製造設備の提案、②廃プラスチックを原料とする水素製造装置の提案、及び③廃プラスチックリサイクルを実現するためのバリューチェーン構築を行っております。このEUPは、2003年より稼働を続けているガス化設備で、世界で唯一の長期商業運転実績を有する極めて信頼性が高いプロセスです。さらにEUPでは混合プラスチックや不純物を含むプラスチックの活用が可能となります。2022年度から岩谷産業株式会社、豊田通商株式会社と共同で、NEDOの委託事業にて、都市部における廃プラスチックガス化リサイクルによる地域低炭素水素モデル構築に向けた調査を実施し、その調査結果として、3社は、廃プラスチックガス化設備を活用した低炭素水素製造に関して、愛知県名古屋港近郊での協業を検討する基本合意書を締結いたしました。また、廃プラスチックガス化設備を活用した低炭素水素製造事業の実現に向け、14の市町村など会員自治体と、12の政府・自治体・団体・大学のオブザーバーとともに、廃プラスチックのケミカルリサイクルによる水素製造検討会を発足いたしました。2020年代での水素製造開始を目標として取組みを継続しており、廃プラスチックの活用及び地産地消水素の製造により水素社会の実現にも貢献してまいります。プラスチックのケミカルリサイクル技術の1つに油化技術があり、当社グループは、10年間の運転実績を有する国内大型商用装置をベースに、廃プラスチックの油化ケミカルリサイクルに関する自社ライセンス(Pyro-Blue®)の開発・提供を推進しております。当社グループの油化技術は、他の油化プロセスでは事前除去する必要があるPVC(塩化ビニル)やPET(ポリエステル)を含む混入プラスチックの処理が可能です。顧客が処理したい廃プラスチックを試験的に処理し、サンプル油を製造できるベンチ装置も完成し、実際にサンプルを希望している顧客向けに提供を始めました。今後、処理できるプラスチックの種類拡大、装置の大型化による経済性向上、効率化等を進め、プラスチックの資源循環社会の実現に貢献していきます。繊維産業においては、製造工程における大量のCO2排出や衣類の大量廃棄が課題となっております。使用済繊維製品の利用は、現状、熱利用を目的とする「サーマルリカバリー」や別の製品原料とする「マテリアルリサイクル」が一般的ですが、「ケミカルリサイクル」は繊維製品を再び繊維の原料へ化学分解することにより、繊維 to 繊維のリサイクルができる画期的な方法です。PET(ポリエステル)は、繊維製品だけではなく、ボトルをはじめ、フィルムや食品トレーなど多くの製品に使用されております。当社グループが提供するケミカルリサイクル技術は、着色されたポリエステルから染料や不純物を除去できるため、添加物、付着物等の影響によりメカニカルリサイクルできないポリエステル製品の受け皿としても機能し、製品を限定せず素材としてのポリエステル全体の資源循環を目指すことが可能な技術です。当社グループは、本技術のライセンスを提供する目的において「株式会社RePEaT(リピート)」を設立し、既に中国の浙江建信佳人新材料有限公司とライセンス契約を締結いたしました。2050年のカーボンニュートラルに向けて、航空分野における脱炭素化として、「空のカーボンニュートラル」の機運が高まっております。中・大型機に対しては、機体の軽量化、効率化もほぼ限界と言われております。そして、空のカーボンニュートラル達成のためには、実質的にはSAF(Sustainable Aviation Fuel、持続可能な航空燃料)が切り札とも言われており、その利用拡大は急務となっております。当社グループは、使用済食用油を原料としたSAF製造体制の確立とバリューチェーンを構築していくことを目指しております。具体的には、国内初の国産SAF大規模生産に向けて「合同会社SAFFAIRE SKY ENERGY」を設立し、2025年に年間3万キロリットルのSAFの国内供給を目指しております。個人や自治体、企業がSAFの原料となる使用済食用油の提供を通じて、国内における資源循環の促進に直接参加ができる場として「Fry to Fly Project」を開始し、既に多くの企業、自治体、学校などの方々に参加していただいております。今後とも、国内において脱炭素化に向けた資源循環の促進に積極的に参加できる機会の創出、これらの活動を通じて、市民・自治体、企業の行動変容に繋げていくことを目指しております。 バイオ分野CO2削減やサステナビリティなどの観点から、バイオマスを原料とする化学品や燃料の社会的需要が高まっております。当社グループでは、CO2の削減効果が高く、かつ食料と競合しない非可食バイオマス原料を効率的にバイオエタノールやバイオプラスチック等の原料に転換するための技術開発を進めております。今後も自動車・交通需要の増加に伴い、タイヤ需要の増加が見込まれております。将来、資源の枯渇やCO2排出量の増加による気候変動などの問題に直面する可能性が指摘されている中、今後もより持続可能な形でタイヤを提供し続ける必要があります。当社グループは、バイオマス由来の原料(エタノール)を使用してタイヤの原料となるブタジエンを製造するプロセス開発に取組み中です。競合技術より「タイヤ原料のブタジエン選択率が高い」独自の触媒を保有しており、今後、関係する企業と生産プロセスを確立し、持続可能な社会実現への貢献を目指します。日本は、国土の約7割を森林が占めております。その森林の未利用バイオマスを化石燃料の代替原料として活用する「グリーンリファイナリー」の機運が高まっております。森林の未利用バイオマスは、化石燃料と同じ炭素と水素を持っているため、森林の未利用バイオマスを化石燃料の代替として利用できれば、製品の炭素を固定することになり、再生可能な取組みとなります。「バイオリファイナリー」実現のために、具体的なプロセス選定(急速熱分解)のみならず、川上(森林)から川下(製造)までのプレーヤーインテグレーション&バリューチェーン構築が進みつつあります。当社グループは、今まで培ってきたプロセスエンジニアリング力を活かして、「森林×化学」で化石燃料に頼らない暮らし、つまり、脱化石燃料社会の実現を引き続き目指していきます。バイオものづくり分野における取組では、昨年度採択されたグリーンイノベーション基金事業「バイオものづくり技術によるCO2を直接原料としたカーボンリサイクルの推進/CO2からの微生物による直接ポリマー合成技術開発」について共同提案者の株式会社カネカ、株式会社バッカス・バイオイノベーション、株式会社島津製作所とともに社会実装に向けた開発を推進しております。また、神戸市ポートアイランド地区にCO2からのバイオものづくりのための研究開発基盤を整備するため、用地を購入し、研究棟建設の準備を進めております。 ライフサイエンス・ヘルスケア分野医薬品業界では、これまでの低分子合成医薬品に加え中分子合成医薬品、バイオ医薬品を主体とする高分子医薬品、再生医療等製品の開発が増加傾向であり、これらの複合製剤など従来にない複雑な医薬品や活性の強い医薬品など、付加価値の高い医薬品が開発されております。当社グループは、高薬理活性物質の製造に適応するために確立した高度な封じ込め技術とそれを正しく評価する測定手法について医薬品業界内への浸透を進めております。合成医薬品製造については、近年注目度が高まっている連続生産について、知財戦略に基づき製造技術を開発し実機への導入を進め、中分子医薬品に関しては独自製造設備をコアに新規案件に展開しております。バイオ医薬品製造に関しては、マイクロバブル発生技術に高性能撹拌技術を付加したバイオリアクター、大量培養に向けたスケールアップ技術など、培養を強化する技術の他、合成医薬品製造と同様に連続生産に向けた技術などの開発を進め、自社開発した製造DXシステムの浸透を進めております。再生医療等製品に関しては、再生医療関連施設の多くの建設実績を踏まえ、効率的な細胞・組織培養環境基準の構築、及び関連要素技術の高度化を進めております。固形製剤、無菌製剤製造工場ではロボット活用による無人(塵)化の実現、スマート工場化の開発を進めております。このような研究開発活動の成果として、当社グループが建設するプラント・施設への導入事例も増えており、当社グループの技術差別化に繋がっております。医療分野においては、医療法人社団鵬友会と協働で地域住民向けデジタルヘルスケアの新サービスを提供します。ゆめが丘総合病院と健診プラザを地域医療の中核として、ICTによって健康診断のデータを活用することで体調を「見える化」し、医療と「つながり」を持ち、健康を「守る」、新しい健康Webサービスに取り組みます。2024年4月のゆめが丘総合病院の開院に合わせ、健診プラザでの健康診断受診者を対象に「クラウド健診データ管理システム」を利用した日々の健康管理と健康相談のサービスを開始し、将来的には、ゆめが丘地区及び周辺地域住民の健康を管理できる仕組みを構築し、「健康になれるまちづくり」、その先にある「ヘルスケアシティ」の実現を目指します。また、カンボジア王国で当社が出資するSunrise Japan Hospitalにおいては、高度な医療サービスを提供することを通じてカンボジア王国での医療水準の向上に貢献しております。加えて、病院経営に参画することで得た医療、経営、運営の知見と、医療施設の設計との融合を図り、高い機能性とホスピタリティを持つ病院づくりを進めております。 原子力分野当社グループは、原子力発電所及び再処理工場の廃止措置に係わるプロジェクトマネジメントのサービス提供と廃棄物処理関連技術の開発を進めております。このうち、原子力発電所の廃止措置について、発電所内に貯蔵されている放射線量の高い使用済イオン交換樹脂を安全、かつ安定的に貯蔵するための分解技術の実用化に目処が得られつつあります。また、分解されたイオン交換樹脂を含む、多種・多様な放射性廃棄物への適用を目指し、閉じ込め性能の高い固型化技術の開発を進めております。さらに、再処理工場を含む様々な原子力施設の廃止措置を対象に、長期間にわたる廃止措置プロジェクトを安全かつ効率的に実施するためのマネジメント支援システムを開発中です。国内外で注目されている小型モジュール炉(以下、「SMR」という。)をはじめとする次世代原子炉技術については、水素や再生可能エネルギーと並んで脱炭素社会の実現への貢献が期待され多くの炉型が提案されておりますが、なかでも米国NuScale Power, LLC(以下、「ニュースケール社」という。)が開発を進めるSMRが米国で初となる設計認証を取得しており、商業化に最も近いSMR技術であると言われております。この様な状況を踏まえ、当社グループは2021年3月に米国の特別目的会社を通じてニュースケール社に出資いたしました。また、2022年4月には株式会社国際協力銀行(JBIC)が、2023年9月には中部電力がそれぞれニュースケール社に出資しております。米国初のニュースケール社SMR実証プラントとして計画されていたプロジェクトは建設に至ることなく終了しましたが、新たな建設プロジェクトに向けた検討が進められており、当社グループも新規案件に向けてEPC準備業務を実施中です。当社グループは、SMRの将来的な市場拡大に伴って、中長期的には海外市場を中心にSMRのEPCプロジェクトを受注・遂行していくことを視野に入れ活動していくほか、SMRと再生可能エネルギー設備、水素製造設備とのインテグレーションも検討していく予定です。 洋上風力発電分野国内の洋上風力発電は、現在進行中の港湾区域に続いて一般海域の促進区域におけるプロジェクトの動きがより活発になってきております。洋上風力発電事業の公募について、ラウンド1及びラウンド2の事業者グループが決まり、ラウンド3の公募入札も進行中です。加えて、国内の洋上風力発電は2030年までの継続的な開発と運転開始が現実的になってきており、当社グループは洋上風力分野の主力EPCコントラクターを目指し、事業性検討や基本設計など早い段階から計画に関与し、昨年公表した電力ケーブルの最適設計技術を活用するなど、プロジェクトの受注を目指しております。今後特に成長が期待されている浮体式洋上風力分野に関しても、NEDOのグリーンイノベーション基金における浮体式洋上風力実証の公募結果が本年夏までには発表され、対象海域と事業者が決まる見込みとなっております。当社もこれまで取り組んできた撤去実証事業やフィージビリティスタディ、浮体の要素技術の検討などに加えて、継続的に技術力・競争力の強化を図りながら、プロジェクト全体の最適化とマネジメント力を武器に受注拡大を目指して取り組んでまいります。 なお、当事業での研究開発費は3,944百万円です。 ② 機能材製造事業石油精製分野石油精製企業は、従来の安定的な化石燃料供給に加え、カーボンニュートラルに向けたエネルギーシフトに対応する製油所の事業変革が求められております。石油精製分野はこれら顧客のニーズ変化に対応する触媒及び触媒素材開発に取り組んでおります。FCC触媒に関しては、各製油所ニーズを取り込んだ改良型触媒での国内外製油所への展開を図るとともに、高液収と高オクタン価が両立する新規マトリックス素材を使用したFCC触媒を開発しており、顧客評価が行われております。水素化処理触媒に関しては、高活性、長寿命触媒を開発し、国内製油所に採用が決まりました。また、海外の石油会社と共同開発した水素化分解触媒は、既に採用されている製油所での継続採用に加え、他製油所への展開に取り組みました。当社グループの触媒調製技術を活用して開発されたゼオライトや非晶質シリカアルミナなどの触媒素材は、水素化分解触媒素材として既に触媒メーカーにも採用されておりますが、石油精製分野だけでなくケミカル分野にも素材販売拡大に向けて、固体酸や細孔径制御に訴求性を有する素材の開発を行い、製品種の拡大や新規用途開拓に取り組みました。 石油化学分野国内ケミカルメーカーは汎用石化市場の低迷により、事業再編と高付加価値ケミカル製品への転換を図っております。また、カーボンニュートラル、循環型社会実現に向けたCO2・ケミカルリサイクルやバイオマス由来原料、生分解性プラスチックへの原料転換の検討が加速しております。当社グループでは、高付加価値ケミカル製品に用いられる高活性、高選択性水添触媒を数種類開発し、顧客からの良好な評価を得ました。現在、量産化検討を行っており、実証化段階に進む見込みです。また、CO2・ケミカルリサイクルに用いられる触媒や吸着剤は数多くの引き合いがありますが、ケミカルリサイクルの前処理に用いられる塩素、硫黄などの各種吸着剤は現ケミカルプロセスでも使用されており、実証化テストを兼ねたプロモーション展開を図っております。また、新たなニーズに対応する触媒や吸着剤の拡充を図っていきます。 環境保全分野・クリーンエネルギー分野環境保全・クリーンエネルギー分野では、カーボンニュートラルへの取組みとして、バイオマス専焼用の新規脱硝触媒を顧客実機プラントで検証を進め、早期の実商化及び拡販を目指しております。また、当社グループの特殊ゼオライトを活用した、CO2吸着剤の開発を、新たな評価設備を導入することで加速させております。さらに、クリーンエネルギーとして期待されているアンモニアを燃料として混焼させた時に排出される窒素酸化物(NO/N2Oなど)を、効率的に除去するための新規触媒の開発にも着手いたしました。 生活関連・化粧品分野薄肉化(高屈折率化)が進むプラスチック眼鏡レンズ用ハードコート向け材料として、既存の高屈折率チタニアナノ粒子に加え、レンズの耐候性をさらに高めたチタニアナノ粒子の顧客評価が進んでおります。またブルーライトカット機能を有する高屈折率粒子の検討も進めており、多様な機能を持つチタニアナノ粒子により市場拡大に取り組んでおります。地球環境汚染問題から脱マイクロプラスチックビーズが進む化粧品市場において、プラスチックビーズの感触に近いシリカマイクロビースを開発し代替展開を図っております。また、ボタニカルマイクロビーズ開発も着手しており、第一弾として米澱粉(でんぷん)を原料とする化粧品材を、2023年5月の展示会で発表、商品化に向けた顧客評価が行われております。さらに、もみ殻由来の化粧品材開発も進んでおり、環境と人にやさしい化粧品材料開発に取り組んでおります。 電子材料分野世界的な半導体、ハードディスク市場の需要減少により市場は低迷しておりますが、記憶容量や処理速度がアップした製品での半導体市場やテレビ以外では需要が拡大すると見込まれております。またディスプレイ市場も同様に低迷しておりますが、テレビ市場の回復に加え車載ディスプレイやデジタルサイネージュへの拡大が見込まれております。現在、シリカゾル砥粒はハードディスクやシリコンウェハー分野を中心に展開を図っておりますが、今後の販売拡大に向け、シリカゾル新プラントの建設を進めております。また、新たに、半導体CMP向け研磨材参入を目指し、研磨速度と表面粗さの両立を狙った研磨砥粒の顧客による採用評価が進んでおります。さらに、高速通信用低誘電率シリカバルーン封止材が顧客中量テスト段階に進捗し、2026年の量産化検討も並行して進めております。高品位テレビ用機能性光学材料は、有機ELテレビ、QLEDテレビなどに展開しておりますが、デジタルサイネージュ、車載ディスプレイ、光学デバイスなど多用途展開に向けた更なる機能向上に向けた開発を進めております。 ファインセラミックス分野ハイブリッド車、電気自動車、太陽光発電、LEDなどの高出力化や省エネルギーを達成するために、パワー半導体の高性能化が進んでおりますが、同時に絶縁放熱基板への要求が厳しくなってきております。その要求に応えるため、当社グループでは、ファインセラミックス分野における開発加速のためのオープンイノベーション及びアライアンスを強化し、推進しております。新規市場への参入を見据えた知財戦略に関しては、日本ファインセラミックス株式会社が当社ガバナンス統括オフィス知的資産ユニットと連携して立案し、実施しております。当社グループでは、国立研究開発法人産業技術総合研究所と共同開発した独自の製造方法により世界最高レベルの放熱性・信頼性を持つ「高熱伝導窒化ケイ素基板」の開発及び事業化を推進してきました。既に新量産工場を立ち上げ、製品の品質及び生産性向上を実現しながら、更なる高性能品開発にも取り組んでおります。通信分野においては、自動運転やIoTの普及に欠かせない5Gが本格導入され、今後、更なるデータ量の増大に向けたBeyond5Gなどの無線通信や光通信回線の大容量化・高速化が必須になります。当社グループは、最先端の無線通信技術、光通信技術に対応できる薄膜回路基板、単板コンデンサなどの性能・信頼性向上などの開発・製造・販売を行っております。今後成長が期待される再生医療分野においては、最先端の骨再生材料について国立大学法人東北大学などとの共同研究を継続しております。その他、当社グループ独自のセラミックス材料技術と高精度加工技術により、補助人工心臓用部品や「はやぶさ2」などの宇宙衛星用部品、次世代Liイオン2次電池や燃料電池用部材など、先端分野で使用される製品の開発や新材料の開発に大学や各研究機関などと連携して取り組んでおります。 なお、当事業での研究開発費は2,970百万円です。 また、総合エンジニアリング事業及び機能材製造事業に加え、その他の事業において27百万円の研究開発費を計上しております。 |
設備投資等の概要 | 1 【設備投資等の概要】 当社グループでは経営資源の有効利用に重点をおいて省力化・効率化投資を実施する一方、ビジネス基盤の強化や新たな事業展開に貢献することが見込まれる分野への投資もあわせて行っております。当連結会計年度の設備投資額は18,172百万円であります。総合エンジニアリング事業においては、ソフトウェアなどの設備投資を実施し、総額は2,647百万円であります。機能材製造事業においては、触媒製造設備の増強などの設備投資を実施し、総額は7,597百万円であります。また、総合エンジニアリング事業及び機能材製造事業に加え、その他の事業において総額50百万円、全社資産として総額7,877百万円の設備投資を実施しております。なお、上記投資金額には、有形固定資産のほか、無形固定資産の金額が含まれております。また、当連結会計年度においては、経常的な設備更新のための除却・売却を除き重要な設備の除却・売却はありません。 |
主要な設備の状況 | 2 【主要な設備の状況】 当社グループにおける主要な設備は以下のとおりであります。(1) 提出会社2024年3月31日現在事業所名(所在地)セグメントの名称設備の内容帳簿価額(百万円)従業員数(人)建物及び構築物機械、運搬具及び工具器具備品土地(面積㎡) リース 資産合計本社 (注)3(横浜市西区)全社(共通)事務所11,82925510,076(7,051)1022,171213技術研究所(茨城県東茨城郡大洗町)全社(共通)研究開発施設49668730(41,861)11,29731中里ヒルズ(横浜市南区)全社(共通)社員寮90532,743(21,602)-3,651- (注)1.帳簿価額には、建設仮勘定の金額を含んでおりません。2.帳簿価額のは、連結会社以外への賃貸設備(百万円)で内数であります。3.連結会社以外から建物7,800.77㎡を賃借しており、その内4,289.75㎡を転貸しております。 (2) 国内子会社2024年3月31日現在会社名事業所名(所在地)セグメントの名称設備の内容帳簿価額(百万円)従業員数(人)建物及び構築物機械、運搬具及び工具器具備品土地(面積㎡) リース 資産合計日揮触媒化成㈱北九州事業所(北九州市若松区)機能材製造事業触媒・化成品製造・研究開発設備3,1463,7442,338(138,306)-9,230346日揮触媒化成㈱新潟事業所(新潟市秋葉区)機能材製造事業触媒製造設備747900624(101,927)-2,272113日本ファインセラミックス㈱富谷事業所(宮城県富谷市)機能材製造事業ファインセラミックス製造設備1,5481,584490(14,017)723,695106 (注)帳簿価額には、建設仮勘定の金額を含んでおりません。 (3) 在外子会社2024年3月31日現在会社名事業所名(所在地)セグメントの名称設備の内容帳簿価額(百万円)従業員数(人)建物及び構築物機械、運搬具及び工具器具備品土地(面積㎡) リース 資産合計Al Asilah Desalination Company S.A.O.C.オマーン国その他の事業海水淡水化施設等11,9688,889-(-)10920,9676Sunrise Healthcare Service Co., Ltd及びSunrise Property CO.,Ltdカンボジア王国総合エンジニアリング事業病院1,508408 804(7,327)-2,721291 (注)帳簿価額には、建設仮勘定の金額を含んでおりません。 |
設備の新設、除却等の計画 | 3 【設備の新設、除却等の計画】 重要な設備の新設、除却等の計画は、以下のとおりであります。(1)新設等 2024年3月31日現在会社名 事業所名 (所在地)セグメントの名称設備の内容投資予定金額資金の調達方法着手及び完了予定完成後の増加能力 総額(百万円)既支払額(百万円) 着手完了日揮ホールディングス㈱未定(宮城県富谷市) (注)1全社(共通)土地2,5312,036自己資金-2025年3月 (注)2日本ファインセラミックス㈱富谷事業所(宮城県富谷市)機能材製造事業ファインセラミックス製造設備6,8000自己資金及び社債発行資金2024年12月2025年8月 (注)2日揮触媒化成㈱北九州事務所(北九州市若松区)機能材製造事業触媒・化成品製造・研究開発設備1,9201,017自己資金2022年10月2025年度老朽化設備の更新 (注) 1.当該設備は、連結子会社である日本ファインセラミックス㈱に賃貸する予定であります。 2.完成後の増加能力は、合理的な算定が困難であるため記載しておりません。 (2)売却・除却該当事項はありません。 |
研究開発費、研究開発活動 | 27,000,000 |
設備投資額、設備投資等の概要 | 7,877,000,000 |
Employees
平均年齢(年)、提出会社の状況、従業員の状況 | 45 |
平均勤続年数(年)、提出会社の状況、従業員の状況 | 14 |
平均年間給与、提出会社の状況、従業員の状況 | 10,834,442 |
管理職に占める女性労働者の割合、提出会社の指標 | 0 |
全労働者、労働者の男女の賃金の差異、提出会社の指標 | 1 |
正規雇用労働者、労働者の男女の賃金の差異、提出会社の指標 | 1 |
非正規雇用労働者、労働者の男女の賃金の差異、提出会社の指標 | 0 |
Investment
株式の保有状況 | (5) 【株式の保有状況】 当社及び連結子会社のうち、投資株式の貸借対照表計上額(投資株式計上額)が最も大きい会社(最大保有会社)である当社について、その株式の保有状況は以下のとおりであります。なお、当事業年度において、最大保有会社である当社の投資株式計上額が連結貸借対照表計上額の3分の2を超えているため、次に投資株式計上額が大きい会社の開示は行っておりません。 ① 投資株式の区分の基準及び考え方保有目的が純投資目的である投資株式と純投資目的以外の目的である投資株式の区分については以下のとおりであります。純投資目的である投資株式は、投資先企業が得た利益を配当として受け取ることを目的とする株式であります。純投資目的以外の目的である投資株式は、取引先や業務提携先との関係を維持・強化することで、当社グループの中長期的な企業価値の向上に資すると考えられる株式であります。 ② 保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式ⅰ) 保有方針及び保有の合理性を検証する方法並びに個別銘柄の保有の適否に関する取締役会等における検証の内容当社は、取引先や業務提携先との関係を維持・強化することで、当社グループの中長期的な企業価値の向上に資すると考えられる場合を除き、当該企業の株式を保有いたしません。また、当社は毎年、取締役会において個別の政策保有株式の保有意義について検証しております。具体的には、各銘柄のTSR(株主総利回り)のチェック並びに当該銘柄のROE(株主資本利益率)及び数値化困難な事業上の便益等が当社の株主資本コストに見合っているかという観点も含め、定性・定量両面から検証し、保有意義の薄れた株式については、市場環境・株価動向等を勘案の上、売却について検討を行うこととしております。なお、当社は政策保有株式(非上場株式以外の株式)について、2023年度には1,711百万円(6銘柄分)を売却し、その結果、コーポレートガバナンス・コードが施行された2015年度から2023年度までの売却累計6,471百万円(延べ45銘柄分)となり、2015年4月1日時点で保有していた上場株式に対し、取得価格ベースで約51%縮減いたしました。(上記売却額はいずれも取得価格ベース) ⅱ) 銘柄数及び貸借対照表計上額の合計額 銘柄数(銘柄)貸借対照表計上額の合計額(百万円)非上場株式212,159非上場株式以外の株式2815,339 (注)上表の「非上場株式以外の株式」には、出資証券2銘柄を含んでおります。 (当事業年度において株式数が増加した銘柄) 銘柄数(銘柄)株式数の増加に係る取得価額の合計額(百万円)株式数の増加の理由非上場株式---非上場株式以外の株式--- (当事業年度において株式数が減少した銘柄) 銘柄数(銘柄)株式数の減少に係る売却価額の合計額(百万円)非上場株式--非上場株式以外の株式64,095 ⅲ) 保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式の保有区分、銘柄、株式数、貸借対照表計上額、保有目的、定量的な保有効果、当社株式の保有の有無特定投資株式銘柄当事業年度(2024年3月31日)前事業年度(2023年3月31日)保有目的及び定量的な保有効果及び株式数が増加した理由(※)当社の株式の保有の有無株式数(株)株式数(株)貸借対照表計上額(百万円)貸借対照表計上額(百万円)住友金属鉱山株式会社644,000644,000総合エンジニアリング事業(非鉄金属製錬プラント建設プロジェクト等)における顧客であり、同社との良好な関係の維持・強化及び当社グループの事業基盤の強化を図るため、継続して保有しております。有2,9543,251株式会社INPEX640,8001,281,600総合エンジニアリング事業(LNGプラント建設プロジェクト等)における顧客であり、同社との良好な関係の維持・強化及び当社グループの事業基盤の強化を図るため、継続して保有しております。有1,4991,790山九株式会社350,500350,500総合エンジニアリング事業における物資輸送等に係る取引を行っており、同社との良好な関係の維持・強化及び当社グループの事業基盤の強化を図るため継続して保有しております。有1,8301,719ENEOSホールディングス株式会社2,651,7602,651,760同社グループ会社は、主として総合エンジニアリング事業(各種プラント建設プロジェクト等)における顧客であり、また、当社サステナビリティ協創ユニットが取り組むケミカルリサイクル技術の共同研究パートナーとしての観点も含め、同社グループとの良好な関係の維持・強化及び当社グループの事業基盤の強化を図るため、継続して保有しております。無1,9391,233株式会社三井住友フィナンシャルグループ123,740203,700同社グループ会社の株式会社三井住友銀行は取引金融機関であり、当社グループの事業基盤の強化につながる安定的な資金調達や金融取引等を実現するべく同社との良好な関係の維持・強化を図るため、継続して保有しております。有1,1021,079横河電機株式会社295,000295,000総合エンジニアリング事業における各種プラントの制御システム等の取引先として、同社との良好な関係の維持・強化及び当社グループの事業基盤の強化を図るため、継続して保有しております。有1,030634日機装株式会社612,000612,000総合エンジニアリング事業における各種プラントのポンプ等の取引先として、同社との良好な関係の維持・強化及び当社グループの事業基盤の強化を図るため、継続して保有しております。有788575株式会社IHI129,200129,200総合エンジニアリング事業(各種プラント、施設にかかるプロジェクト)における取引先又はパートナーであり、また、小型モジュール原子炉建設プロジェクトのパートナーとしての観点も含め、同社との良好な関係の維持・強化及び当社グループの事業基盤の強化を図るため、継続して保有しております。有529428三菱瓦斯化学株式会社173,347173,347総合エンジニアリング事業(各種化学プラント建設プロジェクト等)における顧客であり、また、DME製造プラントに適用されるプロセス技術のライセンスを行うパートナーとしての観点も含め、同社との良好な関係の維持・強化を図るため、継続して保有しております。無448340住友化学株式会社712,427712,427総合エンジニアリング事業(石油化学プラント建設プロジェクト等)における顧客であり、同社との良好な関係の維持・強化及び当社グループの事業基盤の強化を図るため、継続して保有しております。無241317 銘柄当事業年度(2024年3月31日)前事業年度(2023年3月31日)保有目的及び定量的な保有効果及び株式数が増加した理由(※)当社の株式の保有の有無株式数(株)株式数(株)貸借対照表計上額(百万円)貸借対照表計上額(百万円)株式会社みずほフィナンシャルグループ162,790162,790同社グループ会社の株式会社みずほ銀行は取引金融機関であり、当社グループの事業基盤の強化につながる安定的な資金調達や金融取引等を実現するべく同社との良好な関係の維持・強化を図るため、継続して保有しております。有495305株式会社レゾナック・ホールディングス116,500116,500総合エンジニアリング事業(各種化学プラントプロジェクト等)における顧客であり、また、当社サステナビリティ協創ユニットが行う廃プラスチックケミカルリサイクル分野での協業パートナーとしての観点も含め、同社との良好な関係の維持・強化及び当社グループの事業基盤の強化を図るため、継続して保有しております。無422253小野薬品工業株式会社84,70084,700総合エンジニアリング事業(ヘルスケア・ライフサイエンス分野)における顧客であり、同社との良好な関係の維持・強化を図るため、継続して保有しております。無207234月島ホールディングス株式会社210,000210,000総合エンジニアリング事業(環境関連)における取引先であり、また中国において省エネ・環境保護関連企業へ資本性資金を提供する日中省エネ環境ファンドの投資パートナーとしての観点も含め、同社との良好な関係の維持・強化を図るため、継続して保有しております。有301228コスモエネルギーホールディングス株式会社50,00050,000総合エンジニアリング事業(各種プラントプロジェクト等)における顧客であり、また、当社サステナビリティ協創ユニットが取組む持続可能な航空燃料(SAF)の共同事業者との観点も含め、同社との良好な関係の維持・強化及び当社グループの事業基盤の強化を図るため、継続して保有しております。無383214KHネオケム株式会社72,40072,400総合エンジニアリング事業(石油化学・化学プラントプロジェクト等)における取引を行う顧客であり、同社との良好な関係の維持・強化を図るため、継続して保有しております。無170173出光興産株式会社284,00056,800総合エンジニアリング事業(石油精製・石油化学プラント建設プロジェクト等)における取引を行う顧客であり、また、当社サステナビリティ協創ユニットが取り組むCO2の固定化及び利用に関する技術開発のパートナーとしての観点も含め、同社との良好な関係の維持・強化及び当社グループの事業基盤の強化を図るため、継続して保有しております。また、株式分割により株式数が増加しております。無295164デンカ株式会社48,40048,400総合エンジニアリング事業(ライフサイエンス領域の各種設備・装置にかかる工事)における顧客であり、同社との良好な関係の維持・強化を図るため、継続して保有しております。無113132三菱地所株式会社71,25971,259本社ビル(一部)の貸主である等、みなとみらい21地区における主要な関係先であり、当社の事業活動の円滑化及び中長期的な事業基盤の強化を図るため、継続して保有しております。無198112SOMPOホールディングス株式会社20,10020,100損害保険の引受先であり、同社との良好な関係の維持・強化及び当社グループの事業基盤の強化を図るため、継続して保有しております。有192105極東貿易株式会社42,00042,000当社の事業パートナーであり、同社との良好な関係の維持・強化を図るため、継続して保有しております。(株式数の増加は株式分割によるもの)有8663 銘柄当事業年度(2024年3月31日)前事業年度(2023年3月31日)保有目的及び定量的な保有効果及び株式数が増加した理由(※)当社の株式の保有の有無株式数(株)株式数(株)貸借対照表計上額(百万円)貸借対照表計上額(百万円)東京海上ホールディングス株式会社15,60015,600損害保険の引受先であり、同社との良好な関係の維持・強化及び当社グループの事業基盤の強化を図るため、継続して保有しております。(株式数の増加は株式分割によるもの)有7339三井住友トラスト・ホールディングス株式会社3,0001,500同社グループ会社の三井住友信託銀行株式会社は取引金融機関であり、同社との良好な関係の維持・強化及び当社グループの事業基盤の強化を図るため、継続して保有しております。また、株式分割により株式数が増加しております。有96株式会社コンコルディア・フィナンシャルグループ3,6003,600同社グループ会社の株式会社横浜銀行は取引金融機関であり、同社との良好な関係の維持・強化及び当社グループの事業基盤の強化を図るため、継続して保有しております。有21千代田化工建設株式会社1,0001,000株主総会への出席等、業界及び同業他社の情報収集のため、保有しております。有--東洋エンジニアリング株式会社200200株主総会への出席等、業界及び同業他社の情報収集のため、保有しております。有--ヤマトホールディングス株式会社-555,000-無-1,259株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ-362,850-無-307東ソー株式会社-115,000-無-206大成建設株式会社-5,000-無-20 (※)定量的な保有効果については、記載が困難であります。保有の合理性の検証方法については、上記「ⅰ) 保有方針及び保有の合理性を検証する方法並びに個別銘柄の保有の適否に関する取締役会等における検証の内容」に記載のとおりであります。 ③ 保有目的が純投資目的である投資株式区分当事業年度前事業年度銘柄数(銘柄)貸借対照表計上額の合計額(百万円)銘柄数(銘柄)貸借対照表計上額の合計額(百万円)非上場株式51,62551,229 区分当事業年度受取配当金の合計額(百万円)売却損益の合計額(百万円)評価損益の合計額(百万円)非上場株式244- (注) (注)非上場株式については、市場価格がない株式等であるため、「評価損益の合計額」は記載しておりません。 |
株式数が減少した銘柄数、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 6 |
銘柄数、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 21 |
貸借対照表計上額、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 2,159,000,000 |
銘柄数、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 28 |
貸借対照表計上額、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 15,339,000,000 |
株式数の減少に係る売却価額の合計額、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 4,095,000,000 |
株式数、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社 | 200 |
貸借対照表計上額、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社 | 2,000,000 |
銘柄、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社 | 山九株式会社 |