財務諸表
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提出書類、表紙 | 有価証券報告書 |
提出日、表紙 | 2024-06-27 |
英訳名、表紙 | SBI Holdings, Inc. |
代表者の役職氏名、表紙 | 代表取締役 会長 兼 社長 北尾 吉孝 |
本店の所在の場所、表紙 | 東京都港区六本木一丁目6番1号 |
電話番号、本店の所在の場所、表紙 | (03)6229-0100(代表) |
様式、DEI | 第三号様式 |
会計基準、DEI | IFRS |
連結決算の有無、DEI | true |
当会計期間の種類、DEI | FY |
corp
沿革 | 2【沿革】 当社はベンチャー・キャピタル事業を行うために、ソフトバンク・ファイナンス株式会社(現ソフトバンク株式会社)の子会社として1999年7月に設立されました。その後、2005年3月に公募及び第三者割当増資の実施により、ソフトバンク株式会社の連結範囲から除かれ、また、2006年8月にソフトバンクグループとの資本関係が解消され、現在に至っております。当社設立後の当企業グループの変遷は、以下のとおりであります。年月事項1999年7月ベンチャー・キャピタル事業を行うことを目的として、ソフトバンク・インベストメント株式会社(当社)を東京都千代田区に設立1999年11月株式交換により、ソフトバンクベンチャーズ株式会社、ソフトトレンドキャピタル株式会社他を完全子会社化2000年12月大阪証券取引所ナスダック・ジャパン市場に上場2001年7月本店所在地を東京都港区に変更2002年2月東京証券取引所市場第一部に上場2002年11月大阪証券取引所のナスダック・ジャパン市場から市場第一部に上場2003年6月イー・トレード株式会社と合併し、イー・トレード証券株式会社、ソフトバンク・フロンティア証券株式会社他を子会社化2003年10月ワールド日栄証券株式会社の株式を取得し、子会社化2004年2月ワールド日栄証券株式会社とソフトバンク・フロンティア証券株式会社が合併し、ワールド日栄フロンティア証券株式会社に商号変更2004年2月ファイナンス・オール株式会社の株式を取得し、子会社化2004年7月モーニングスター株式会社の株式を取得し、子会社化2005年7月当社のファンド運営事業等を分割し、当社の連結子会社であるSBIベンチャーズ株式会社(旧ソフトバンクベンチャーズ株式会社)に承継し、同社の商号をソフトバンク・インベストメント株式会社(※)に変更するとともに、当社の商号を現在の「SBIホールディングス株式会社」に変更(※)2006年10月にSBIインベストメント株式会社に商号変更 ワールド日栄フロンティア証券株式会社は、SBI証券株式会社に商号変更2005年8月SBIパートナーズ株式会社の株式を追加取得し、子会社化2006年3月SBIパートナーズ株式会社及びファイナンス・オール株式会社を吸収合併 株式交換により、SBI証券株式会社を完全子会社化2006年5月SBI損保設立準備株式会社(現SBI損害保険株式会社)を設立2006年7月イー・トレード証券株式会社は、SBIイー・トレード証券株式会社に商号変更2007年9月住信SBIネット銀行株式会社が開業2007年10月SBIイー・トレード証券株式会社を存続会社として、同社とSBI証券株式会社が合併2008年7月SBIイー・トレード証券株式会社は、株式会社SBI証券に商号変更2008年8月株式交換により、株式会社SBI証券を完全子会社化2011年4月当社普通株式を原株とする香港預託証券(HDR)を香港証券取引所のメインボード市場に上場2012年12月SBI AXES株式会社(現SBI FinTech Solutions株式会社)が韓国取引所KOSDAQ市場に上場2013年3月 株式会社現代スイス貯蓄銀行(現株式会社SBI貯蓄銀行、本社:韓国)の株式を取得し、子会社化2014年6月香港証券取引所のメインボード市場に上場している当社香港預託証券(HDR)を上場廃止2015年2月ピーシーエー生命保険株式会社(現SBI生命保険株式会社)の株式を取得し、子会社化2018年9月SBIインシュアランスグループ株式会社が東京証券取引所マザーズに上場2021年12月株式会社新生銀行(現株式会社SBI新生銀行)の株式を取得し、子会社化2022年11月アルヒ株式会社(現SBIアルヒ株式会社)の株式を取得し、子会社化2023年3月住信SBIネット銀行株式会社が東京証券取引所スタンダード市場に上場 |
事業の内容 | 3【事業の内容】 当社、当社の子会社(2024年3月31日現在659社)及び持分法適用会社(同62社)から構成される当企業グループは、金融サービス事業や資産運用事業、投資事業に加え、今後も成長領域として期待される暗号資産事業、バイオ・ヘルスケア&メディカルインフォマティクス事業やWeb3関連の先進的な分野に取り組む事業等が含まれる次世代事業を中心に事業を行っております。事業系統図は次のとおりであります。[事業系統図]なお、当社は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。 |
関係会社の状況 | 4【関係会社の状況】 名称住所資本金又は出資金(百万円)主要な事業の内容議決権の所有割合又は出資比率(%)関係内容(連結子会社) SBIファイナンシャルサービシーズ㈱ (注)3東京都港区100金融サービス事業100.0役員の兼任…有資金の貸付㈱SBI証券(注)3、4、7東京都港区54,323金融サービス事業100.0(100.0)役員の兼任…有SBIリクイディティ・マーケット㈱東京都港区1,000金融サービス事業100.0(100.0)役員の兼任…有SBI FXトレード㈱東京都港区480金融サービス事業100.0(100.0)───SBIマネープラザ㈱東京都港区100金融サービス事業66.6(66.6)───SBIインシュアランスグループ㈱ (注)4東京都港区8,375金融サービス事業59.7役員の兼任…有SBI生命保険㈱東京都港区15,000金融サービス事業100.0(100.0)───SBI損害保険㈱東京都港区11,000金融サービス事業99.2(99.2)───SBI FinTech Solutions㈱(注)4東京都渋谷区1,453金融サービス事業77.5───SBIエステートファイナンス㈱東京都新宿区2,405金融サービス事業100.0(100.0)───㈱SBI新生銀行(注)3、4、8東京都中央区512,205金融サービス事業64.8(64.8)資金の借入昭和リース㈱(注)4東京都中央区29,360金融サービス事業100.0(100.0)───㈱アプラス(注)4大阪市浪速区100金融サービス事業100.0(100.0)───新生フィナンシャル㈱東京都千代田区100金融サービス事業100.0(100.0)───㈱SBI貯蓄銀行(注)3、9韓国15,615億韓国ウォン金融サービス事業100.0(100.0)役員の兼任…有SBI地銀ホールディングス㈱(注)3東京都港区58,750金融サービス事業100.0役員の兼任…有資金の貸付地方創生バンキングシステム1号匿名組合 (注)3東京都港区22,000金融サービス事業68.2(68.2)───SBIアセットマネジメントグループ㈱東京都港区100資産運用事業100.0役員の兼任…有資金の貸付SBIグローバルアセットマネジメント㈱ (注)4東京都港区3,364資産運用事業52.6(52.6)役員の兼任…有SBIアセットマネジメント㈱東京都港区400資産運用事業97.9(97.9)役員の兼任…有SBIキャピタルマネジメント㈱東京都港区100投資事業100.0役員の兼任…有資金の貸付SBIインベストメント㈱東京都港区50投資事業100.0(100.0)役員の兼任…有SBI Hong Kong Holdings Co., Limited (注)3香港9,880百万香港ドル投資事業100.0役員の兼任…有資金の貸付SBI VENTURES ASSET PTE. LTD.(注)3シンガポール259百万米国ドル投資事業100.0(100.0)資金の貸付SBI VENTURES SINGAPORE PTE. LTD. (注)3シンガポール629百万米国ドル投資事業100.0役員の兼任…有資金の借入SBIイノベーションファンド1号 (注)3東京都港区20,190投資事業100.0(3.3)───FinTechビジネスイノベーション投資事業有限責任組合(注)3、5東京都港区30,000投資事業21.3(21.3)───SBI AI&Blockchain投資事業有限責任組合 (注)3、5東京都港区60,000投資事業17.7(17.7)───SBI 4&5投資事業有限責任組合(注)3東京都港区71,400投資事業100.0(100.0)───SBI 4&5投資事業有限責任組合2号(注)3、5東京都港区28,600投資事業3.9(3.9)───SBI ALApharma Co., Limited(注)3香港6,125百万香港ドル投資事業100.0(100.0)資金の借入SBI VCトレード㈱東京都港区100暗号資産事業100.0(100.0)役員の兼任…有SBIファーマ㈱東京都港区100次世代事業100.0(100.0)役員の兼任…有資金の貸付SBIアラプロモ㈱東京都港区100次世代事業99.0───SBIバイオテック㈱東京都港区100次世代事業95.8(1.1)───SBIエナジー㈱(注)6東京都港区100次世代事業100.0資金の貸付その他623社 名称住所資本金又は出資金(百万円)主要な事業の内容議決権の所有割合又は出資比率(%)関係内容(持分法適用会社) 住信SBIネット銀行㈱(注)4東京都港区31,000金融サービス事業34.2───その他61社 (注)1.「主要な事業の内容」欄には、セグメントの名称を記載しております。2.「議決権の所有割合又は出資比率」には、関係会社が投資事業組合等の場合、出資比率を記載しております。また、同欄の( )内は、議決権の間接所有割合又は間接出資割合で内数であります。3.特定子会社に該当しております。4.有価証券届出書又は有価証券報告書を提出しております。5.議決権の所有割合又は出資比率は100分の50以下でありますが、支配しているため子会社としたものであります。6.債務超過会社であり、2024年3月31日現在の債務超過の額は11,341百万円であります。7.㈱SBI証券の収益(連結会社相互間の内部取引を除く。)は、連結財務諸表の収益の100分の10を超えております。 <主要な損益情報等(IFRS会計基準、個別)>(1) 収益182,155 百万円 (2) 税引前利益56,994 百万円(3) 当期利益45,516 百万円(4) 資本合計227,920 百万円(5) 総資産額6,750,232 百万円8.㈱SBI新生銀行の収益(連結会社相互間の内部取引を除く。)は、連結財務諸表の収益の100分の10を超えております。 <主要な損益情報等(日本基準、個別)>(1) 経常収益268,490 百万円 (2) 経常利益58,261 百万円(3) 当期純利益62,863 百万円(4) 純資産額888,768 百万円(5) 総資産額14,528,479 百万円9.㈱SBI貯蓄銀行の収益(連結会社相互間の内部取引を除く。)は、連結財務諸表の収益の100分の10を超えております。 <主要な損益情報等(IFRS会計基準、個別)>(1) 収益166,792 百万円 (2) 税引前利益12,498 百万円(3) 当期利益11,300 百万円(4) 資本合計300,357 百万円(5) 総資産額1,732,259 百万円 |
従業員の状況 | 5【従業員の状況】 (1)連結会社の状況 2024年3月31日現在セグメントの名称従業員数(人)金融サービス事業16,614資産運用事業357投資事業1,149暗号資産事業242次世代事業472報告セグメント計18,834全社(共通)263合計19,097(注) 1.従業員数は就業人員数であります。2.全社(共通)として記載されている従業員数は、提出会社の管理部門等に所属しているものであります。 (2)提出会社の状況 2024年3月31日現在従業員数(人)平均年齢(歳)平均勤続年数(年)平均年間給与(円)33039.85.58,979,260 2024年3月31日現在セグメントの名称従業員数(人)金融サービス事業43投資事業24報告セグメント計67全社(共通)263合計330(注) 1.従業員数は就業人員数であります。2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。3.全社(共通)として記載されている従業員数は、管理部門等に所属しているものであります。 (3)労働組合の状況 当社において労働組合は結成されておりません。また、子会社の一部に労働組合が結成されております。労使関係は良好であり、特記すべき事項はありません。(4)多様性に関する指標当期の多様性に関する指標は、 以下のとおりであります。 <女性活躍推進法、育児・介護休業法に基づく開示>提出会社当事業年度管理職に占める女性労働者の割合(%) (注)1.男性労働者の育児休業取得率(%) (注)2.労働者の男女の賃金の差異(%)(注)1.全労働者正規雇用労働者パート・有期労働者26.150.062.868.346.6 連結子会社当事業年度名称管理職に占める女性労働者の割合(%) (注)1.男性労働者の育児休業取得率 (%) (注)2.労働者の男女の賃金の差異(%)(注)1.全労働者正規雇用労働者パート・有期労働者㈱SBI証券18.930.865.669.653.5SBIマネープラザ㈱--62.162.558.9㈱SBI新生銀行21.6100.072.172.959.0新生フィナンシャル㈱18.3160.065.970.962.8㈱アプラス21.580.051.662.936.0昭和リース㈱10.2100.067.867.655.2新生インベストメント&ファイナンス㈱20.8100.078.173.386.5ファイナンシャル・ジャパン㈱18.30.061.539.290.5SBIアルヒ㈱27.4-62.260.871.6SBIビジネス・イノベーター㈱31.58.861.770.892.4SBI損害保険㈱--63.859.076.8レオス・キャピタルワークス㈱22.7----SBI岡三アセットマネジメント㈱22.2----東光鉄工㈱11.5----(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したも のであります。2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第2号における育児休業等及び育児休暇目的の取得割合を算出したものであります。3.正規雇用労働者は、正規雇用の従業員及び無期化した非正規雇用の従業員を含んでおります。4.パート・有期労働者には、有期雇用社員である従業員(契約社員、嘱託社員)を含んでおります。5.全労働者は、正規雇用労働者とパート・有期労働者を含んでおります。6.労働者の男女の賃金の差異については、男性の賃金に対する女性の賃金の割合を示しております。7.SBIホールディングス株式会社における労働者の男女の賃金の差異について、管理職・非管理職別では管理職72.3%、非管理職96.1%であります。役職別では部長以上106.6%、次長91.9%、マネジャー96.6%、アシスタントマネジャー97.0%であります。 |
経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 | 1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中の将来に関する事項は、当期末現在において当企業グループが判断したものであります。 (1)経営方針当企業グループは、Strategic Business Innovator(戦略的事業の革新者)として、創業時から常に時流を捉え、革新的な事業を創造することを目指しています。同時に、企業は社会に帰属しているからこそ存続できるという考えのもと、事業を通じて、社会の維持・発展に貢献することを志しています。また、当企業グループには、持続的に成長する企業グループであり続けるため、今後も継承すべきと考える企業文化のDNAが4つあります。それは、常にチャレンジし続けるために「起業家精神を持ち続けること」、「スピード重視」の意思決定と行動、過去の成功体験に捉われず「イノベーションを促進すること」、環境の変化を敏感に察知して「自己進化し続けること」です。そして、全ての役職員が共有する規範として、当企業グループでは5つの経営理念を掲げています。 当企業グループの5つの経営理念正しい倫理的価値観を持つ「法律に触れないか」、「儲かるか」ではなく、「それをすることが社会正義に照らして正しいかどうか」を判断基準として事業を行う。金融イノベーターたれ革新的技術を導入し、より顧客便益性を高める金融サービスを提供することで、従来の金融のあり方に変革を与える。新産業クリエーターを目指す21世紀の中核的産業の創造および育成を担うリーディング・カンパニーとなる。セルフエボリューションの継続「創意工夫」と「自己変革」により経済環境の変化に柔軟に適応すべく、自己進化し続ける。社会的責任を全うする当企業グループ各社は、社会の一構成要素としての社会性を認識し、さまざまなステークホルダー(利害関係者)の要請に応えつつ、社会の維持・発展に貢献していく。 当企業グループでは、企業価値は顧客価値の創出を土台に、株主価値及び人材価値を加えた3つの価値が相互に連関する好循環を生むことによって増大していくと認識しています。創業以来、掲げてきた価値観である「顧客中心主義」を徹底的に実践することで、お客様のために、投資家のために、より革新的なサービス、ビジネスの創出に努め、顧客価値、株主価値、人材価値の総和たる企業価値の極大化を追求します。 (2)経営環境及び対処すべき課題等当企業グループの組織構築の基本観当企業グループの事業構築は6つの基本観、即ち(1)「顧客中心主義」の徹底、(2)「企業生態系」の形成とシナジーの徹底追及、(3)革新的技術に対する徹底的な信奉(4)近未来を予見した戦略の策定と遂行(5)公益は私益に繋がる(6)金融を核に金融を超える、に基づき行われています。「顧客中心主義」の徹底とは、より安い手数料・より良い金利でのサービス、金融商品の一覧比較、魅力ある投資機会、安全性と信頼性の高いサービス、豊富かつ良質な金融コンテンツの提供といった、真に顧客の立場に立ったサービスを徹底的に追求するものです。「企業生態系」の形成とシナジーの徹底追及とは、「全体は部分の総和以上である」「全体には部分に見られない新しい性質がある」という「複雑系の科学」の二大命題をもとに、当企業グループを構成する企業間でシナジーを発揮することで、単一の企業では成し得ない相乗効果と相互進化による高い成長ポテンシャルを実現する「企業生態系」を構築し、当企業グループ全体で飛躍的な成長を実現させるものです。革新的技術に対する徹底的な信奉とは、テクノロジーこそが社会に新たな潮流を生み出すとの考えのもと、フィンテック、AIやブロックチェーンをはじめとした先端領域において、革新的技術を有する国内外の有望なベンチャー企業に「投資」し、投資先企業の技術等をグループ内の事業会社へ「導入」、そしてそれらの技術を業界横断的に「拡散」するという3つのプロセスを通じ、持続的な事業拡大を目指すものです。近未来を予見した戦略の策定と遂行とは、効率的なシナジーを生むとともに相互に一体感を高めるべく、社会問題や国家目標などに合致し、時代の変遷を踏まえて当企業グループを挙げて取り組む「全体戦略」を策定し、その全体戦略が効率的に各子会社に伝播され、各々に応じた具体的な「個別戦略」として遂行されることで、統一的な目標を達成する戦略です。公益は私益に繋がるとは、社会の一員としてどんなに事業が成功しても「公益」が達成されなければ意味がなく、「社会なくして企業なく、企業なくして社会なし」という考えのもと、「世のため人のため」となる「公益」に資する企業活動を続けることは、自ずと当企業グループの利益にも繋がることを意味しています。また金融を核に金融を超えるとは、金融業は情報産業そのものであり、財貨・サービスの動きと金融は表裏一体であることから、金融分野を超えて、金融業の強みを発揮できる他の事業分野にも積極的に進出し、様々な生活局面において必要となる財・サービス・情報を包括的に提供することを目指すものです。 これらの基本観の実践を通じ、当企業グループは時代の変化を逸早く察知し、その変化に対応する戦略を実行することで、事業領域や事業規模を加速度的に拡大してきました。例えば、証券・銀行・保険を中心とする金融サービス事業では、銀証連携を始めとしたシナジーの発揮を通じて、競合他社を大きく上回る口座数や預り資産などの顧客基盤を築き上げ、高いマーケットシェアを獲得し、外部の各種顧客満足度調査においても好評価をいただいています。日本の国家戦略でもある地方創生の領域においては、全国各地の地域金融機関との提携を拡大し、それによって、地域金融機関に質的転換を促すことで、地域金融機関の収益力強化とそれに伴う地域経済の活性化に貢献する取り組みを進めています。また金融業と大きなシナジーを発揮できる分野として、次世代の金融商品にもつながるデジタルアセットに関連する事業を展開しているほか、新たに半導体に関連する事業にも進出しております。 目標とする経営指標当企業グループでは、資本効率を考慮しながら、「金融イノベーター」や「新産業クリエーター」として、事業の「選択と集中」で回収した資金を成長分野や革新的な事業展開を可能とする分野へ再投資することで、グループ全体としての持続的な成長を目指しています。このように、経営資源を国内外の注力分野に投下することで、さらなる利益成長につなげていきます。また、当企業グループは、株主への利益還元を充実させることを、株主価値を高めることにつながる重要な経営施策の1つとして捉え株主還元を決定しています。当社の株主還元は、配当金総額に自己株式取得額を加えた総還元額を、当面の間は金融サービス事業において子会社等株式売却益などの特殊要因を除いた税引前利益の30%程度とすることとしています。このほか、当企業グループが創業以来掲げる「顧客中心主義」の考え方に基づき、常に顧客の目線に立った商品ラインナップ拡充や、便益性の高い多様なサービスの提供を図ることで、業界最高水準のサービス提供を目指しています。そのため、当企業グループの金融サービス事業各社では、第三者評価機関が実施する顧客満足度調査において、継続して高評価を得ることを志向しています。 中長期的な経営戦略当企業グループは、1999年の創業以来、日本国内においてインターネットをメインチャネルとし、証券・銀行・保険をコア事業とする金融サービス事業において企業生態系の構築を進め、現在世界的に見ても極めてユニークな総合金融グループとなっています。また、創業時から、国内外において次世代の成長産業への注力投資やアジア地域を中心とした成長著しい国々への投資を積極的に行い、国内外のベンチャー企業等の育成にも取り組んできました。近年、金融業界だけでなく様々な業界において、AIやブロックチェーン・分散型台帳技術(DLT)を中心にそれらと親和性の高いビッグデータ、IoT、ロボティクス等の先進技術の導入が急速に進んでいます。そうした中、今後も引き続きこれらの先進技術における有望な企業への投資や提携を積極的に進めると共に、当企業グループの各金融サービスでこれらの先進技術を活用した新サービスの開発や新たな金融ビジネスの創造に向けた取り組みを強化し、企業生態系の組織優位性を最大限に発揮する事業展開によって、飛躍的な成長を図ることが重要であると考えています。 当企業グループが事業展開において特に注力する領域1. 株式会社SBI証券におけるゼロ革命がもたらすポジティブな効果を金融生態系全般に波及株式会社SBI証券においては、2023年9月30日注文受付分より、オンラインでの国内株式売買手数料等を無料にするゼロ革命を開始しました。ゼロ革命により、株式会社SBI証券は試算で約158億円の収益を逸失しましたが、4年超にわたる収益源の多様化に向けた諸施策が奏功し、前期比で増収増益を達成することが出来ました。特に、当連結会計年度末時点の信用取引建玉残高ならびに投資信託残高がそれぞれ過去最高を更新したことで、当連結会計年度通期の金融収益ならびにその他受入手数料に含まれる投資信託の信託報酬額が過去最高を達成したほか、FX収益や外債の販売が大きく寄与し、トレーディング収益も当連結会計年度通期で過去最高となったことが大きく貢献しています。さらに、外国株式や先物、個別株オプション等の商品の取引拡大を図るほか、引受・募集・売出しやM&A仲介等のホールセール向けビジネスの更なる強化に取り組むことで、収益源の更なる多様化を図っていきます。またゼロ革命の実施により、株式会社SBI証券の新規口座開設件数が2024年1-3月に約77万件を記録するなど口座獲得ペースは加速度的に増加しており、当企業グループの証券口座数は2024年3月末時点で国内最多の1,245万件となっています。株式会社SBI証券に口座を開設したお客さまは株式会社SBI証券内のその他の金融商品へ興味の幅が広がることが見込めるだけでなく、グループ企業が提供する商品・サービスを認知する入口としてグループ各社への送客につながるため、当連結会計年度末時点で5,000万件を超えている当企業グループ全体の顧客基盤の更なる拡大を図っていきます。 2. 日本の金利上昇局面を見据え、銀行事業へ経営資源を傾斜配分し、収益力の徹底強化を推進株式会社SBI新生銀行では、2022年10月の株式会社SBI証券との同時口座開設開始以降、預金口座数の伸びが加速し、2023年12月単月においてはリテール口座の純増数が初めて4万口座を突破しました。新規の口座開設のうち、7割超が株式会社SBI証券からの送客によるもので、株式会社SBI証券との銀証連携が株式会社SBI新生銀行の個人顧客基盤拡大に大きく寄与しています。また法人領域においても、営業活動の活性化や当企業グループ提携先との連携強化等により事業法人・金融法人へのネットワークが飛躍的に拡大しています。このような着実な成果もあり、株式会社SBI新生銀行を中核とする当企業グループの銀行事業は、連結業績に対する寄与度ですでに証券事業を上回っていますが、日銀がマイナス金利政策を解除し、中長期的に金利上昇が見込まれる中、金利上昇からポジティブな影響が期待できる銀行事業の収益力を更に強化するべく、株式会社SBI新生銀行のオーガニックな成長だけでなくM&Aによる資産規模の更なる拡大を目指すとともに、株式会社SBI新生銀行をコアとする広域地域プラットフォーマー化を目指して地域金融機関との連携を一層強化するなど、「第4のメガバンク構想」を徹底推進します。なお、株式会社SBI新生銀行による公的資金の返済は、当企業グループの大義であり今後の飛躍的成長の契機になると考えています。株式会社SBI新生銀行では、公的資金返済の実現に向け進めている収益力強化への取り組み等が短期間でかなりの成果を生み出しており、当連結会計年度の連結業績において、13年ぶりに実質業務純益が1,000億円を突破致しました。返済に向けた道を着実に歩んでいると考えています。 3. 高い経済成長が見込まれる国へ経営資源を投入し内外一体化を推進当企業グループでは、東南アジアを中心に証券・銀行といった金融サービスを提供しており、高い経済成長にも支えられ、各社は既に収益貢献する段階に至っています。また中東・アフリカ・インドなどのグローバルサウス地域においても、有力パートナーと提携しながら積極的な投資活動などを行っております。また海外事業の更なる収益力強化に向けて、新たに海外事業統括本部を設置し、半年程度の期間をかけてグループの海外事業を一元管理できる体制を整え、内外一体化の考え方の下でグループ中から集めた各事業領域におけるエキスパート人材を適材適所で投入することで、海外事業からの利益がグループ全体の連結税引前利益の20~30%とすることを当面の目標としています。 4. デジタルアセット領域の急成長を促進すべく、様々な新サービス・新プロダクトを積極展開SBI VCトレード株式会社や株式会社ビットポイントジャパンといった暗号資産取引業者では、頻繁な売買を行わずとも、暗号資産を預けておくだけで報酬を受け取ることができるステーキングサービスなど、様々な顧客ニーズに対応できるサービスを提供しています。また当企業グループでは、米ドル建てステーブルコインUSD Coin(USDC)を発行する米Circle社と提携し、日本国内でのUSDC流通に向けて事業を推進しています。ステーブルコインは、法定通貨の値動きに連動した暗号資産の一種で、多くの暗号資産に共通する課題である値動きの激しさを解消しており、現実世界と仮想空間の双方において決済などの領域で今後の利用拡大が見込まれています。大阪デジタルエクスチェンジ株式会社では、日本初となるセキュリティトークン(ST)の流通市場であるSTARTを2023年12月に開設いたしました。STとは、ブロックチェーン技術を用いた「デジタル化された証券」で小口化や取引が容易という特長を持っており、STARTでは、現在上場している不動産のSTに加えて社債のSTなども取り扱うべく検討を進めております。このように、ブロックチェーン技術を活用した暗号資産及びその派生商品は様々な応用可能性を持っており、当企業グループでは今後も革新的な商品の創出に尽力していきます。 5. 日本政府が国家産業と位置付けている半導体関連事業へ参入産業の米とも言われる半導体は、日本政府が国家産業と位置付けており、政府が目指すデジタル社会の実現にとっても不可欠なものです。しかしながら世界的な半導体需要の増加が見込まれる中、半導体分野での米中による覇権争いや半導体ファウンドリの台湾一極集中による地政学的リスクの増大など供給サイドを取り巻く情勢は不安定化しており、日本における半導体自給力の向上はますます重要な課題となっています。また日本は、半導体製造装置等において高い国際シェアを持つ半導体関連企業が多く存在するほか、自動車、バイオ、AI等半導体を大量に必要とする企業も多く、豊富な水、土地、物流、電力等のインフラが充実していることから半導体ファウンドリの立地として優れています。このような環境下で半導体製造のノウハウを保有する台湾の半導体ファウンドリ大手PSMCとのご縁があり、当企業グループが築き上げてきた金融・投資機能が半導体事業の展開において大きな強みとなり、半導体事業と金融各社は法人顧客開拓の面でも相互シナジーを期待できることから、半導体分野に参入する好機と判断し、日本国内で半導体ファウンドリを建設することを2023年7月に発表致しました。 2023年10月には半導体ファウンドリの建設予定地を宮城県大衡村に決定し、清水建設株式会社を設計・施工を担うゼネコンとして、2025年の着工および2027年のファウンドリ稼働開始に向けて、建設予定地におけるボーリング調査を2024年3月より開始するなど、半導体ファウンドリの建設に向けた準備を着実に進めております。 |
サステナビリティに関する考え方及び取組 | 2【サステナビリティに関する考え方及び取組】 当企業グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当期末現在において当企業グループが判断したものであります。 (1)サステナビリティ当企業グループは創業以来、「企業は社会の一構成要素であり、社会に帰属しているからこそ存続できる」という変わらぬ考えのもと、社会の維持・発展に貢献することを目指しています。常に時流を捉え、世のため人のためとなるような革新的な事業を創造することこそが、社会的責任の遂行と持続的な成長の要であると考えています。また、人に徳があるように企業にも「社徳」があり、企業としての社会的責任を果たすことで「社徳」が高まり、企業を取り巻く幅広いステークホルダーから信頼される「強くて尊敬される企業」となると考えています。こうした方針や考え方は、当企業グループの経営理念に適うものでもあり、常に社会に必要とされる企業グループであり続けるため、役職員は事業活動の推進においてこの企業哲学を反映させています。当企業グループは、社会的正義に照らして正しいことを実践するとともに、“Strategic Business Innovator(戦略的事業の革新者)”として、現状維持で良いのか常に自らに問いかけることで、今後も様々な事業活動を通じて社会課題の解決に貢献し、持続可能な社会の実現と継続的な社会価値の向上を目指していきます。 ①ガバナンス当社は、業務執行取締役で構成され代表取締役社長を委員長とする「サステナビリティ委員会」を当社取締役会の下に設置し、2021年12月21日付で「サステナビリティ基本方針」を策定しています。同委員会は、原則年2回以上開催し、当企業グループの経営戦略の一環として、「サステナビリティ基本方針」に基づきサステナビリティに関する戦略的な取り組みを議論し決定するだけでなく、取り組み状況の確認・審議を行っています。同委員会は、その内容を必要に応じて年に2回以上、適時・適切に取締役会に報告し、取締役会では報告を受けた内容について意見交換の上、適宜指示・提言・助言などを行い、サステナビリティへの取り組みを監督しています。また、同委員会での審議を経て決定されたサステナビリティ施策を、同委員会の事務局を担う「サステナビリティ推進室」を通じて、グループ各社に連携し当企業グループ全体に展開・推進しています。当社はこのように、社会課題解決に向けた取り組みを適切に管理する体制を整え、施策の更なる実効性を確保しています。なお、サステナビリティ委員会の事務局を担うサステナビリティ推進室では、社内外の情報を収集した上で、当企業グループの課題及び問題の把握に努め、討議しています。 <当社 サステナビリティ推進体制図> サステナビリティ委員会における主な審議・決定事項(2024年3月期)2023年3月期におけるGHG排出量(Scope1~3)と2050年ネットゼロと2030年中間目標に向けた削減量の進捗確認マテリアリティ(重要課題)の追加と達成したKPIの見直しについてサステナビリティに関わる情報拡充・各種施策について各種イニシアティブ等への賛同・加盟の検討について ②戦略当社では、実業(本業)の事業活動を通じて社会に貢献することを第一の目標とするのは当然として、より直接的にも社会に貢献するような戦略を構築し実践することで企業の社会性は持続的に高まると考えています。本業では、革新的技術に対する徹底的な信奉により、テクノロジーの力で世の中の様々な不条理な部分を、特に金融面で変え、新たな付加価値を創出していくことが当企業グループの大きな事業ミッションです。また、これまでベンチャー企業が成長資金を得られにくい状況下で、当企業グループのベンチャーキャピタルがリスクキャピタルを供給して、ベンチャー企業を育てていくことでも社会貢献をしています。もう一方で、児童福祉も同じく深刻な問題で、それを微力ながら改善することができれば、それは当企業グループの進めている大きな事業ミッションとも一致するのではないかと考え、公益財団法人SBI子ども希望財団を通じた児童福祉の向上に取り組み続けています。このように、当企業グループではこれまでも様々な事業活動を通じて社会課題の解決に貢献してきましたが、昨今、社会課題の解決による持続可能な社会の実現と、持続的な企業価値向上の両立を図ることの重要性がより一層増していることを踏まえ、2021年11月の「サステナビリティ委員会」ならびに「サステナビリティ推進室」の設置以降、当企業グループのサステナビリティの推進をより一層強化しています。そして、「課題解決に向けてどのような貢献が可能か」「課題解決に向けた取り組みが中長期的なグループ戦略とアラインするか」等の観点から優先的に取り組むべき課題を特定し、「SBIグループのマテリアリティ(持続的な企業価値向上のための重要課題)」として策定しています。 SBIグループのマテリアリティ具体的な取り組み例新たな社会潮流や顧客ニーズを捉えた付加価値の創出・一人ひとりのライフスタイルに沿った資産形成機会の提供・顧客便益性を一層高める金融サービスの提供・デジタルアセットを基盤とする企業生態系の構築新産業の育成と技術革新への貢献・21世紀の中核的産業の創造及び育成・革新的な金融サービスの提供・業界横断的な技術の拡散ステークホルダーと協働した社会課題の解決と経済の活性化・地方創生に寄与する事業の推進・パートナー企業とのアライアンスの拡大と深化・価値共創によるイノベーションの促進豊かで健康的なサステナブル社会の実現・サステナブルファイナンスの提供・グリーン・イノベーションやESGを意識したインパクト投資や、ライフサイエンス、ヘルスケア関連の有望なベンチャー企業への投資・超高齢社会への対応として、5-アミノレブリン酸(5-ALA)事業等を通じた健康支援・医療情報のデジタル化やビッグデータの活用による医療の高度化に貢献将来を担う世代への支援・公益財団法人SBI子ども希望財団を通じた児童福祉の充実及び向上への寄与・学校法人SBI大学を通じて次世代を担う人物の育成多様な価値観を尊重し受け入れる組織風土の醸成・ダイバーシティ&インクルージョンの推進・従業員の能力開発を通じた人材価値の継続的な向上・個性や人との違いを尊重できる柔軟な働き方の整備持続的成長を実現する企業体制の強化・充実・透明性、独立性が確保された意思決定プロセスの構築・事業機会とリスクを想定した経営戦略の立案やリスクマネジメントの実行・内部統制システムの整備と適正な運用 ③リスク管理当企業グループは、サステナビリティへの対応の不備等を、経営に多大な影響を及ぼす経営戦略上の重要なリスクであると認識し、サステナビリティに係るリスクと機会の特定を行っています。当社においては、リスク管理の定常的な枠組みとして企業活動を阻害する可能性のあるリスクを把握し、適切に評価・管理するため、リスク管理に関する責任者としてリスク管理担当役員を定めるとともに、リスク管理部門としてグループリスク管理統括部を設置し、統合的なリスク管理を実施しています。グループリスク管理統括部では、サステナビリティに起因するリスクを認識し、・信用リスク(投融資先の財務状況の悪化等により、投融資資産の価値が減少又は消失し損失を被るリスク)・市場リスク(金利・株価・為替・不動産価値等の変動により損失を被るリスク)・オペレーショナルリスク(内部プロセス・人・システムが不適切であること、もしくは機能しないこと、又は外生的事象が生起することから生じる損失に係るリスクならびにレピュテーションリスク)・流動性リスク(当企業グループの財務内容悪化等により必要な資金が確保できない場合や、通常より著しく高い金利での資金調達を余儀なくされることにより損失を被るリスク)等が齎す影響を総合リスク管理の枠組みに統合し、サステナビリティ推進室との連携、リスクの特定と対応の深化を実施しています。また、サステナビリティに係る新規リスクが想定される、もしくは顕在化した場合には、当該リスクの発生部門又は発生会社において対応・管理方法を構築し、リスク管理統括部門が適宜モニタリングを行い、サステナビリティ推進室と連携します。 サステナビリティ推進室では、リスク管理統括部門から連携を受けたリスクの対応課題や対応方針のみならず、中長期的な企業価値向上を目的とし、機会の観点からマテリアリティや関連する取り組みについて討議しています。また報告を受けたサステナビリティ委員会では、具体的な施策について議論を行い、経営に及ぼす影響を総合的に判断し、優先すべき対応事項などを議論しています。サステナビリティに係るリスクと機会は、当企業グループの課題やステークホルダーからの対応要請ニーズ、事業における影響評価などを総合して特定・管理し、マテリアリティやKPI設定に活用するなど、当企業グループ全体で取り組んでいます。 <総合リスク管理体制図> ④指標と目標「SBIグループのマテリアリティ」における一部の取り組みについては目標を設定しています。上記ガバナンスにおいて各進捗状況をモニタリングし、達成された目標については随時アップデートを行います。 SBIグループのマテリアリティ目標新たな社会潮流や顧客ニーズを捉えた付加価値の創出・お客様サービスにおいて顧客満足度評価など第三者による評価で高水準を維持する・SBI証券でのネオ証券化は、2024年3月期上半期中の具現化を目指す→2023年9月30日発注分から、「ゼロ革命」と題して、インターネットコースのお客様を対象として、オンラインの国内株式売買手数料の無料化を実施。その後、サービス内容を順次拡充新産業の育成と技術革新への貢献・最先端のサービス・テクノロジーへ投資を行う1,000億円規模の新ファンドを2023年度に設立する→最大1,000億円規模の新たな旗艦ファンド「SBIデジタルスペースファンド」を設立し、2023年11月から本格的に運用を開始・セキュリティ・トークン(ST)等の次世代金融商品の普及に向けて、ST流通市場を2023年内に創出→2023年12月25日より大阪デジタルエクスチェンジがセキュリティトークン取引に係る私設取引システムである「START(スタート)」において売買取引を開始・次世代金融商品であるセキュリティ・トークン(ST)の普及に向けて、大阪デジタルエクスチェンジは2026年3月までに取扱時価総額1,000億円を目指すステークホルダーと協働した社会課題の解決と経済の活性化・日本全国の事業承継支援のため、2025年までに累計で1,000億円規模のファンド設立を目指す・地域金融機関のシステムコストの削減及び平準化に向けて次世代バンキングシステムを開発し、2030年度までに地域金融機関10行での導入を目指す豊かで健康的なサステナブル社会の実現・2030年度末までに累計5兆円のサステナブルファイナンスを組成する・当企業グループは国家目標である2050年カーボンニュートラル実現に向けて、当企業グループの温室効果ガス(GHG)排出量(Scope1、2)を2050年度までにネットゼロとすることを目標とし、中間目標として2030年度までに2018年度比で33%削減する多様な価値観を尊重し受け入れる組織風土の醸成・SBIホールディングスの女性管理職比率は2025年まで継続して20%以上を維持する・当企業グループの外国籍社員比率は2025年までに40%以上を目指す持続的成長を実現する企業体制の強化・充実・グループ全体でのコンプライアンス体制構築のための会議や役職員向けのコンプライアンス研修を定期的に実施する・年に1回以上、取締役会の実効性に関する分析・評価を実施し、結果を公表する また、公益財団法人SBI子ども希望財団における活動としては、被虐待児童が生活する児童養護施設の小規模化への助成事業、児童福祉施設等への助成や児童養護施設の職員を対象とした研修、施設退所後の子どもたちの自立支援のほか、オレンジリボン運動の推進など児童虐待防止啓発活動も積極的に行っています。本財団による助成実施金額は、2006年3月期から2024年3月期までの累計で約12億1,260万円です。施設職員への研修は19回を終了し、卒業生は約1,900名となっています。また、SBI子ども希望財団は児童虐待防止の社会的啓発運動である「オレンジリボン・キャンペーン」を後援しており、毎年11月の虐待防止強化月間には当企業グループの役職員一同、オレンジリボンの着用や社内外への啓発活動に取り組んでいます。2024年3月期の当企業グループ社員による児童虐待防止啓発活動であるオレンジリボングッズの購入額は約140万円となりました。 <SBI子ども希望財団による助成実績(2006年3月期~2024年3月期)>施設(児童養護施設や乳児院等)への助成(累計)1,020百万円助成を実施した施設数(延べ)713施設自立支援のための助成(累計)171百万円福祉団体等活動助成事業(累計)21百万円 (2)気候変動への対応(TCFD提言への取り組み) ①ガバナンス気候変動に関するガバナンスは、サステナビリティの推進体制に組み込まれています。詳細については「(1)サステナビリティ①ガバナンス」を参照ください。 ②戦略当企業グループは、気候変動がもたらすリスクを特定するとともに、脱炭素社会の実現に向け、グループの各事業会社における多様なソリューション提供を通じて、環境・社会に関する課題解決に貢献することを新たな事業機会と捉えています。リスクと機会の特定とシナリオ分析においては、気候変動を社会が直面する重要な課題の一つとして捉え、地球の平均気温が産業革命以前に比べて4℃、1.5℃上昇することを想定した2つのシナリオを用いて、気候変動に係るリスクと機会の特定を行っています。当企業グループの主要事業である証券事業および投資事業(プライベート・エクイティ)については2030年度における財務インパクトを試算し、気候変動により被る損失は軽微であると認識しています。銀行事業に関してはSBI新生銀行が2050年までの財務インパクト(累積)を試算しています。 また、温暖化の国際枠組み「パリ協定」で掲げられた目標に沿って、産業革命前より世界全体の気温上昇を1.5℃以内に抑えることに貢献することが重要であると認識し、当企業グループにおける温室効果ガス(GHG)排出量の可視化にも取り組んでいます。 <気候変動に伴うリスク>移行リスク(気候変動対策を目的とする規制強化や顧客行動の変化による影響)と物理的リスク(異常気象の激甚化による資産の毀損や長期的な気候パターンの変化が齎す影響)として、以下に挙げるものを認識しています。 当社および各事業に共通するリスク リスク:区分種類想定されるリスク時間軸(※)影響度4℃1.5℃移行リスク法制・法規制炭素税をはじめとするカーボンプライシングの導入、再生可能エネルギーの使用や省エネに係る政策によるコストの増加短期~長期-低技術・市場以下の<主要事業に係るリスク>をご参照ください 評判環境配慮型ビジネスへの転換を行わない場合の当社のレピュテーションリスクの増加(例:資金調達への影響、顧客流出)短期~長期低高物理的リスク急性異常気象(台風、洪水、高潮等)による店舗及びオフィスへの物理的な損害およびシステム障害への対応コストの発生中期~長期高低慢性データセンターやオフィスの空調コストの増加中期~長期高低※時間軸における短期は0~3年、中期は4~10年、長期は11~20年を想定 移行リスク低減への対応として、当社では温室効果ガス(GHG)排出量を可視化し、省エネ対策の推進や再生可能エネルギーを活用するとともに、当企業グループのGHG排出量の削減目標の達成に向けた進捗を管理することで、炭素税などの負担回避によるコスト低減を図ってまいります。また、従来型の火力発電等に依拠した電力調達はGHG排出量が大きいだけではなく、国家政策や資源価格の影響を受けてコストが変動するリスクがあるため、電力調達コスト安定化の観点からも、再生可能エネルギーによる電力へ切り替えていくことが望ましいと考えております。そのため、これまでの省エネ対策の推進に加え、再生可能エネルギーの活用を推進しています。今後も当企業グループは、環境配慮型ビジネスへの転換を進め、レピュテーションリスクへの対応および調達コストの変動リスク低減に向けて取り組んでいきます。 物理的リスク低減への対応としては、当社およびグループ各社において、BCP(事業継続計画)等を策定し、災害時の早期復旧の体制構築に向けた対応を進めています。 <主要事業に係るリスク>当企業グループの主要事業である証券事業、投資事業(プライベート・エクイティ)、銀行事業(SBI新生銀行)においては、それぞれの事業の特性上、以下に挙げるリスクを認識しています。 証券事業におけるリスク・ 移行リスク(評判):ブランド価値の低下により顧客流出に繋がる可能性があります。・ 物理的リスク(急性):オンライン取引システムの停止等のシステム障害が発生する可能性があります。それによって、事業の一時的な操業停止や復旧対応による財務的影響のほか、セキュリティに支障が生じた場合には損害賠償責任等が発生する恐れがあります。 リスク低減への対応SBI証券では同社の定めるコンティンジェンシープランに則り、危機管理対策室を迅速に立ち上げ、業務への影響を極小化し、重要業務を中心に事業継続を図っていく運営をすべく、平時よりBCP/BCM(事業継続マネジメント)の取組みを行っています。 投資事業(プライベート・エクイティ)におけるリスク・ 移行リスク(技術・市場):気候変動に関する政策や規制に対する投資先企業の対応が不十分であった場合、当該企業が保有する技術の陳腐化や競争力低下によるバリューダウンが発生し、結果として、保有する営業投資有価証券の価値が毀損する可能性があります。・ 移行リスク(評判):投資検討や実行段階における、ESGに関する情報開示の拡充やESGの観点からの管理体制の構築・充実化が求められることが予想され、そのための対応コストが発生する可能性があります。 リスク低減への対応投資事業(プライベート・エクイティ)では、投資先企業においても脱炭素化に向けた取り組みが当該企業の成長に資する可能性が示唆されることから、投資先企業に対しESG対応を促すことを含めたフルハンズオンでのエンゲージメントを行うことを検討していきます。 銀行事業(SBI新生銀行)におけるリスク・ 移行リスク(法制・法規制/技術・市場):2℃以下達成に向けた規制強化や技術革新等に起因する、温室効果ガス高排出セクターや気候変動対応が不十分な投融資先の業況悪化に伴い、デフォルトリスクの上昇およびクレジットコストが発生する可能性があります。・ 移行リスク(評判):温室効果ガス高排出セクターや気候変動対応が不十分な企業への投融資によりブランド価値が低下し、顧客流出に繋がる可能性があります。・ 物理的リスク(急性):担保価値の毀損によるデフォルトリスクの上昇およびクレジットコストが発生する可能性があります。 リスク低減への対応SBI新生銀行では、気候変動の影響を受けると思われるセクターについて、その気候変動リスクを定性的に評価しています。また、定性評価の結果およびエクスポージャーの大きさに基づき、セクターおよびアセットタイプごとに優先順位を付けたうえで、定量的な分析などによるリスクの深掘りを実施しています。 <気候変動に伴う機会>脱炭素社会の実現に向けて、グループ会社が多様なソリューションを提供することで、環境・社会に関する課題解決に貢献することを新たな事業機会と捉えています。当企業グループの主要事業においては、社会全体で、再生可能エネルギーへの転換や循環型経済への移行等によって脱炭素に貢献する事業を展開する企業および異常気象の激甚化により防災・減災に貢献する事業を展開する企業の価値向上が見込まれ、当企業グループにとって新たな事業機会が広がると認識しています。 証券事業における機会 想定される機会時間軸(※)影響度4℃1.5℃・脱炭素に貢献する事業を展開する企業の価値向上に伴う、当該企業が発行する株式等の金融商品取扱量の増加・当該事業分野でのM&Aニーズの増加による関連事業の提供機会の増加・ESG投資選好の高まりに関連する事業機会の拡大(例:グリーンボンド等のサステナブルファイナンス商品の開発やプロジェクト創出)短期~長期低高・防災及び減災に貢献する事業を展開する企業の価値向上に伴う、当該企業が発行する株式等の金融商品取扱量の増加・当該事業分野でのM&Aニーズの増加による関連事業の提供機会の増加短期~長期高低 投資事業(プライベート・エクイティ)における機会 想定される機会時間軸(※)影響度4℃1.5℃・脱炭素に貢献する事業を展開する投資先企業の価値向上に伴う収益機会の増加・ベンチャーキャピタル(VC)ファンドへの投資ニーズの増加を通じたファンド出資者の獲得機会の増加短期~長期低高・防災及び減災に貢献する事業を展開する投資先企業の価値向上に伴う収益機会の増加・VCファンドへの投資ニーズの増加を通じたファンド出資者の獲得機会の増加短期~長期高低 銀行事業(SBI新生銀行)における機会 想定される機会時間軸(※)影響度4℃1.5℃・移行支援ファイナンスのニーズ拡大・脱炭素化に向けた投融資ニーズ拡大短期低高・投融資ポートフォリオは比較的体力のある大手が多いことから、修繕や防災設備強化のための資金需要の増加・気候変動リスクのヘッジや保険商品へのニーズの高まり短期~長期高低※時間軸における短期は0~3年、中期は4~10年、長期は11~20年を想定 2030年度における財務インパクト予測(2020年度比):気候変動が当企業グループの証券事業および投資事業を通じて齎す、当企業グループの操業に係る連結業績への財務的影響額は以下の通り軽微なものと認識しています。 4℃シナリオ:66百万円1.5℃(2℃) シナリオ:169百万円(参考)当社 2024年3月期 税引前利益 141,569百万円 ※ 証券事業および投資事業(プライベート・エクイティ)における、炭素税・排出権取引導入によるコスト増、電力価格のコスト増、ZEB対応コスト増、気温上昇による冷房コスト増、年平均の洪水被害額、年平均の高潮被害額、年平均の営業停止損害額による財務インパクト予測の総額を記載。 2050年度における財務インパクト予測(2050年度まで累計/銀行事業):SBI新生銀行では財務的影響額を以下の通り試算しています。 物理的リスク:累計で55億円~90億円程度の与信関連費用移行リスク:累計で65億円~280億円程度の与信関連費用 ※ 本試算上の物理的リスクの対象ビジネスは、国内不動産ノンリコースローン、国内プロジェクトファイナンス、住宅ローン、新生フィナンシャルの個人向け無担保ローン。※ 本試算上の移行リスクの対象ビジネスは、電力ユーティリティ、石油・ガス、海運。 当企業グループでは試算した財務インパクトを踏まえ、気候変動に伴うリスクの最小化と機会の最大化に対応するべく、グループの各事業会社における多様なソリューション提供等を通じて、脱炭素社会の実現等に向けた環境・社会に関する課題解決に努めています。グループ各社での具体的な取り組みの一例は以下の通りです。 ・グリーンボンドをはじめとしたSDGs債の発行支援(SBI証券及びSBI新生銀行)・サステナブルファイナンス/インパクトファイナンス(SBI新生銀行)・サステナビリティ預金(SBI新生銀行)・SDGsを踏まえた投資先の選定(SBIインベストメント)・営農型太陽光発電の開発事業(SBIスマートエナジー) 今後も気候変動が当企業グループの事業に及ぼすリスクと機会について継続的に分析を行い、事業活動を通じた持続可能な社会の実現と更なる社会価値の向上を目指します。 ③リスク管理気候変動に関する主なリスクは、総合リスク管理体制に組み込んで管理しています。詳細については「(1)サステナビリティ③リスク管理」を参照ください。また今後は、グループ横断的にシナリオ分析を深化させるとともに、気候変動リスクの定量化と、気候変動が齎す当企業グループ全体への影響について、統合的に評価・管理する体制の構築を進めていきます。 気候変動が齎す機会とそのリスク管理体制については以下の通りです。当企業グループでは、気候変動に係る機会として、脱炭素に貢献する事業や防災・減災に関連する事業領域における事業拡大、並びにESG投資選好の高まりに関連する事業機会の拡大等を認識しています。こうした案件の投融資に関連する審査の際には、ウォッシング等に該当することがないよう第一線の部署による審査に加えて、リスク管理部門によるチェックを行っています。また、投資事業(プライベート・エクイティ)においては、たばこやポルノ、石油・石炭等の化石燃料を事業とする企業や兵器の製造を行う企業等、気候変動を含む環境・社会への影響が懸念される企業への投資は行っていません。これらの除外事項は、国連グローバル・コンパクトや国際労働基準等の地域的・世界的な合意に基づいて決定しています。投資先企業の製品や業務がこれらの事項に該当することがないよう、第一線の担当者および投資審査を行う投資委員会がチェックを行った後に投資判断を行っています。SBI新生銀行グループにおいては、責任ある投融資を推進する体制の高度化を目的として、2021年7月に「責任ある投融資に向けた取組方針」を制定しました。環境問題および社会課題に適切な配慮をしない企業と取引することを経営リスクと捉えており、一部の特定事業に対する投融資については環境および社会に対する重大なリスクがあるという認識のもと、取引を禁止もしくは制限しています。気候変動の観点では、予防的アプローチに基づき、新設の石炭火力発電の建設を使途とする新規の投融資をせず、石炭火力発電所向け投融資額の圧縮を進めています。 脱炭素社会の実現に向け、当企業グループの各事業会社において環境・社会に関する課題解決に一層努めていく中で、更なる気候変動に係るリスクと機会の増加が想定されます。今後は再生可能エネルギー等関連事業を含めたセクター別の対応方針を協議しながら、気候変動が齎す機会に関わるリスク管理体制を一層深化させていきます。 ④指標と目標当企業グループは、気候変動が経営に及ぼすリスクと機会等の影響を測定・管理するための指標として温室効果ガス(GHG)排出量を選定しています。国家目標である2050年カーボンニュートラル実現に向けて、SBIグループのGHG排出量を2050年度までにネットゼロ(Scope1、Scope2)とすることを目標とし、中間目標として2030年度までに2018年度比で33%削減することを掲げています。また、当企業グループのScope3排出量の規模を把握するべく各カテゴリーの算定に着手しています。 GHG排出量の推移 (単位:t-CO2) 2018年度2019年度2020年度2021年度2022年度2023年度Scope1108107851,2991,4821,206Scope23,6214,1404,46318,19112,03010,367合計3,7294,2464,54819,49013,51211,573Scope3----1,2865,496※集計範囲:SBIホールディングスおよび主なグループ会社の国内拠点を対象に、GHGプロトコルで定義されるScope1(化石燃料等の使用に伴う直接排出)、Scope2(購入した電気・熱の使用に伴う間接排出)、Scope3(事業者の活動に関連する他者の排出)の各排出量を記載。2021年度からScope1及びScope2にSBI新生銀行グループを含む。※Scope3は出張(カテゴリー6)、通勤(カテゴリー7)が対象。2023年度からSBI新生銀行グループを含む。 <GHG排出量削減目標達成に向けて>GHG排出量が2021年度において増加しているのは、2021年12月に子会社化したSBI新生銀行グループを含むためです。なお、2023年度の当企業グループのGHG排出量(Scope1、Scope2合計)のうち、約9割をSBI新生銀行グループが占めていますが、SBI新生銀行グループでは2030年度までにネットゼロを目標としています。 当企業グループが入居する泉ガーデンタワーでは、省エネの推進や非化石証書(※1)等を用いた再生可能エネルギー由来の電力への契約切り替えを推奨しており、2022年4月から当企業グループが入居するオフィスの大部分において、グリーン電力(※2)への切り替えを行いました。SBI新生銀行グループにおいても、オフィスビルにおける省エネの推進や非化石証書(※1)等を用いた再生可能エネルギー由来の電力への契約切り替え、データセンターの統合やクラウド化等により消費電力の削減を図っています。 なお、SBI新生銀行グループでは、投融資先ポートフォリオからのGHG排出量(※3)を2050年度末までにネットゼロとする目標を設定しています。併せて、当該GHG排出量実績をPCAF(※4)の公開する国際的な基準に準拠して算定しています。また、2022年度には同行の事業法人および住宅ローンの一部に加えて、プロジェクトファイナンス、不動産ノンリコースローン(※5)を対象として、投融資先ポートフォリオGHG排出量を計測しました。今後も段階的な対象アセットの拡大および算定精度の向上に取り組む予定です。また、石炭火力発電向けプロジェクトファイナンス融資残高を2040年度末までにゼロとすることも脱炭素化社会への貢献目標として掲げています。 当企業グループでは引き続きGHG排出量削減に一層資する取り組みを検討していきます。 ※1 非化石燃料により創り出された電力の持つ環境価値を切り出して、証書化したもの。※2 主に太陽光、風力、水力等の「再生可能エネルギー」から作られる電力。※3 当該GHG排出量は、各投融資先のGHG排出量のうち、SBI新生銀行グループの寄与分を算出しています。※4 SBI新生銀行は、2022年10月に、PCAF(Partnership for Carbon Accounting Financials)に加盟し、PCAFが定める透明性のGHGプロトコル(集計手法)により、投融資先のGHG排出量評価の高度化に取り組んでいます。※5 PCAF基準における6アセットタイプのうち、事業法人は「上場株式および社債」ならびに「事業融資および非上場株式」、 住宅ローンは「居住用不動産」、プロジェクトファイナンスは「プロジェクトファイナンス」、不動産ノンリコースローンは「商業用不動産」の算定方法に基づき、投融資先ポートフォリオGHG排出量を計測しました。 (3)人的資本当企業グループは人こそが創造性の源泉であり、競争力の源泉となる差別化をもたらす主因であると考えています。そして、人的資源こそが最も価値ある戦略的資源と捉えており、当社では人事担当執行役員がダイバーシティ&インクルージョンを含めた人材価値向上の戦略策定と実行を担っています。既存の概念にとらわれず、イノベーションを実現する「総合企業グループ」として、開かれた雇用機会の提供、充実した人材育成体制の整備、公正で意欲に応える評価・処遇制度の実現などを通じて、独自の企業文化を育み継承する人材を育成し、健全な労働意欲の醸成を促進しています。 ①ガバナンス当企業グループの人材価値向上に関しては取締役会において方針の議論を行い、具体的な課題や各種施策(重要な組織の新設・改編、主要ポジションの任免や重要な人事施策の新設・改廃等)に関する検討、進捗状況の共有を行っています。グループ各社の人材ニーズ等については当社人事部門がグループ横断的に情報を収集し、必要な役職員の派遣や配属を行い組織力の強化を図っています。次世代の経営陣幹部の育成等に係る取締役会の機能や審議プロセスについては、取締役会の下に独立した諮問機関として設置され、委員の過半数を独立社外取締役で構成する経営諮問委員会が適切に関与しています。また、評価制度・教育体系・報酬制度等はグローバル共通の仕組みを導入し、グループ全体で推進しています。グループ各社の人事責任者による会議も定期的に開催し、当企業グループ全体の人材開発の方針等について共有・議論しています。 ②戦略人間性を重視した登用、社会の維持・発展に貢献する人材の育成こそがお客さまに役立つ財・サービスを提供するために必要不可欠であり、サステナブルな経営を推進していく上で重要な構成要素の一つであるとの考えのもと、人材育成、ダイバーシティ&インクルージョンならびに働きやすい職場づくりに係る各種施策を通じて「人材価値」向上に取り組んでいます。 <人材育成>施策1. 開かれた雇用機会の提供当企業グループでは採用において、プロフェッショナルとしての職歴だけではなく人間性を重要視した基準を設けています。従業員には、仕事ができ人間的にも優れた人物であることを求めますが、人種・国籍・性別や学歴等は一切問いません。2006年度から開始した新卒採用活動においてもこの基準に照らし、多様なバックグラウンドを持つ将来性の高い人材を多数採用してきました。また、今後は高度な専門性が必要な業務を担当する人材の確保がより一層重要になると考え、中途・新卒に関わらず、優秀な人材を積極的に登用しています。2018年には給与処遇および勤務形態について、既存の枠組みとは異なる対応が可能となる高度専門職制度を設けました。 施策2. 企業理念の浸透社員の9割超が中途採用であることを踏まえ、当企業グループの理念・企業文化を理解し実践できる人材の育成に取り組んでいます。自身が所属する部署のみを近視眼的に考えるのではなく、グループ全体の相乗効果も視野に入れた取り組みを行えるよう、継続的に研修を実施しています。更に、経営トップが自らの経営論・企業観について執筆した書籍を通じて、従業員の人間学や経営学の教育向上、社内における一体感の醸成、相互の意思疎通を図っています。 施策3. 公正で意欲に応える処遇従業員の処遇は成果のみならず、結果にいたるプロセスも重視しています。また、公正・公平な評価に努める観点から、上司だけでなく部下や同僚など多方面より評価を行う360度評価を実施しています。このような多面的な評価と半期ごとの目標達成度をもとに、経験、能力、業績への貢献度等に応じた総合的な判断で各従業員の処遇が決定される仕組みとなっており、「功ある者には禄を与え、良識・見識ある者には地位を与える」という方針を貫いています。 施策4.「有為な人材」を育成するための取り組み当企業グループは、日本の未来を担う「有為な人材」を一人でも多く輩出していきたいと考えています。私たちが育成を目指す「有為な人材」とは、一部門・一企業の利益に貢献するだけではなく、広く経済・社会に貢献しようとする高い志を有し、ビジネスにおける高い専門性を備え、国際的視野を持ち、確たる倫理的価値観と実行力を伴う胆識を備えた人物のことを言います。そうした観点から、2008年に当企業グループの全面支援によりSBI大学院大学が開校しました。SBI大学院大学では、高い意欲と志を有する受講生を社外から広く集め、知識を詰め込む「知育」ではなく、人間力を磨くことを主眼とした「徳育」を重視し、人間学を学ぶ機会を提供しています。また、教育プログラムに最先端の経営学の知見を取り入れ、実践的な学問=「実学」を学ぶ機会も提供しています。知識を吸収するだけではなく、様々な背景と個性を有する人々―教える者と学ぶ者、あるいは学ぶ者同士―との相互対話と切磋琢磨を行うことによって、「有為な人材」の育成を図ります。当企業グループにおける人材育成にあたっては、各種専門知識に関するOJTに加え、このSBI大学院大学を活用した研修を行っています。上級管理職を目指す社員に向けては「SBIグループ上級管理職研修」の修了を昇格要件と定めるほか、より広範にマネジメントを学びたい社員に向けてはSBI大学院大学への企業派遣制度を設けています。2024年3月末現在、この制度を通じて171名がMBAを取得しています。また新入社員に対しては、早期から当企業グループの経営幹部としての知見や経営観を習得させるべく、当社独自の課題研修を行っています。2週間に一度、新入社員に小論文の提出を課し、社長を含めた経営陣が評価しています。その他、従業員の自己啓発の促進のために、2016年10月に導入した資格取得支援制度の対象となる資格の見直しを行い、従来制度で対象としていた33資格から新たに19資格を追加し、受験料補助の対象を52の資格に拡大しています(2023年3月1日施行)。 社員一人当たりの年間研修時間は13時間45分(※)、当社単体での教育研修費は109百万円(一人当たり平均研修費用は330千円)となっています。(※)国内連結子会社(SBI新生銀行グループは除く)の従業員が対象 <当企業グループの人材育成プロセス> 施策5.優秀な人材の確保に向けて 当企業グループの持続的成長を図る上で優秀な人材の確保、従業員満足度や定着率の向上がより一層重要になると考えています。2022年4月からは、新卒初任給及び入社3年目までの給与テーブルの大幅な引き上げを行っており、2024年4月には、賢材の定着・確保を目的として、若手から中堅層に重点を置いた給与テーブルの引き上げを実施しました。また、当企業グループのさらなる企業価値の増大を目指し、当社の結束力をさらに高め、連結業績に対する意欲や士気をより高める上で、当企業グループの役職員が当社の株価や企業価値をより意識した事業運営を行うことも重要だと考えており、これらを実現することを目的として当社及び当社子会社の取締役及び従業員向けにインセンティブプログラムを導入しています。これらの取り組みに加えて、役職員全員にグループ連結業績を反映させた報酬制度を導入するなど、従業員の処遇の向上にも取り組んでいます。 <ダイバーシティ&インクルージョン>イノベーションを生み出す企業であり続けるため、役職員の多様性を尊重すると共に、あらゆる人材が活躍できる職場環境づくりに注力しています。 施策6. 多様な人材の活用当企業グループでは、持続的成長を実現しイノベーションを生み出す企業であり続けるには、人種、国籍、性別、性的指向、障がいの有無等にかかわらず、多様な人材が互いの価値観や個性を認め合い、それぞれの能力を最大限に発揮し、共に成長できる環境が必要であると考えています。こうした考え方のもと、当社では人事担当役員がダイバーシティ&インクルージョンの責任者を務めています。26ヵ国・地域へ展開する当企業グループにあって、海外拠点の従業員割合は20.3%となっています。また、2015年3月からは定年後の再雇用の上限年齢を撤廃しており、優秀な人材に対しては、その属性を問わず積極的に登用・昇進させる姿勢を徹底しています。 <働きやすい職場環境づくり>当企業グループでは、あらゆる人材が常に最大限のパフォーマンスを発揮することができる働きやすい職場環境を整えるべく、様々な施策を行っています。 施策7. 健康経営の推進2018年には「健康経営宣言」を制定し、従業員が健康保持・増進に取り組みやすい環境を積極的に整えています。産業医による「健康個別相談会」を毎月実施し、対面及び電話、文書等での役職員の希望する方法に応じた面談を実施するなど、従業員の健康に配慮しています。また、 医療分野を通じた直接的な社会貢献に積極的に取り組むべく 2007年に設立したSBIウェルネスバンクでは、同社が提携・支援する医療法人「東京国際クリニック」を通じて、当企業グループの役職員の健康維持を図っています。長時間労働はメンタルヘルス不調を誘引する可能性があることから、当社では2015年から全社的に削減に向けた取り組みを積極的に実施しています。例えば、残業時間や有給の取得状況については、対象者とその上長に対して定期的にアラート機能で通知するなど把握に努めています。2016年からは、従業員向けに実施が義務付けられたストレスチェックを行っており、今後はストレスチェックから収集した定量データを精緻に分析し、グループ各社の業務特性や職場環境の把握に努めるとともに、より従業員の健康維持に効果的な施策を検討していきます。 施策8. 自己実現の場の提供社員の自己実現の場を提供するとともに、人材の有効活用や適材適所を実現する意図から、「キャリアオープン制度」を導入しています。この制度は社員自らが希望するグループ内の事業会社等への異動願いを申告するもので、2023年度においては140名がこの制度を活用しキャリアチェンジを実現しています。 施策9. 働きやすい環境の整備男女問わず、介護・育児といった特定の理由に限定せずに正社員が短時間勤務を選択できる短時間正社員制度を導入しています。更に、時差出勤も制度化し柔軟な働き方を推進しています。また、産休・育休制度を通じた当社単体での女性の育児休暇取得率は100%、男性の育児休暇取得率は50%となっています。さらに、業務の効率化・生産性の向上に向けては、グループを挙げてRPA・AIの導入を推進し、各種ルーティン業務の自動化を行っています。2023年からはこれまで以上に従業員と会社の繋がりの強化を図るべく、当社においては定期的にエンゲージメントサーベイを実施しています。本調査の結果については各部門長へのフィードバックを行うとともに、従業員エンゲージメントの向上に活かし、働きやすい職場環境の一層の整備を目指します。本調査の結果から見えてきた社員の声から対応すべき取り組みを検証し、研修の拡充、資格取得支援制度における対象資格の拡大や報酬制度の拡充、就業環境の整備などを進めてきました。今後も、エンゲージメントサーベイでの結果を分析し、課題の把握に努め、新たな各種施策を検討し従業員エンゲージメントの向上に取り組んでいきます。 ③リスク管理当企業グループ全体を通じた課題として、急速に拡大した事業を支える優秀かつグローバルな人材の確保と社員の能力開発を通じて人的資源の継続的な向上を図ることがますます重要となっています。こうした取り組みが十分になされないことは、当企業グループの持続的な成長と発展において最大のリスクであると考えています。そのため、性別、国籍、人種等に関わらず当企業グループの経営理念に共感し即戦力となる優秀な人材の採用活動のさらなる強化と共に、独自の企業文化を育み継承する人的資源の確保として新卒採用を継続して実施しています。2006年4月から採用を進めてきた新卒採用者は、急速に拡大する当企業グループの未来を担う幹部候補生として、既に各々重要なポジションで活躍しています。今後もより優秀かつグローバルな人材の確保と、社員のキャリア開発を促進し、当企業グループの持続的な成長と発展を図っていきます。また、SBI大学院大学の活用による人材教育の拡充やM&A等を通じた優秀な即戦力人材の獲得も併せて促進しています。外部からのより優秀かつグローバルな人材の確保と、社員のキャリア開発を促進し、リスク低減に努めています。 ④指標と目標各指標については以下及び「第1 企業の概況 5 従業員の状況 (4)多様性に関する指標」を参照ください。 <人材育成>・従業員一人当たりの年間研修時間年度2021年度2022年度2023年度時間15.6313.3813.75※国内連結子会社(SBI新生銀行グループは除く)の従業員を対象に実施している新入社員向けの課題研修・上級管理職研修・SBI大学院大学への企業派遣制度(MBA)・各種e-ラーニングを含む <ダイバーシティ&インクルージョン>・当企業グループの外国籍社員比率年度2021年度2022年度2023年度%42.337.735.5※国内外連結子会社(SBI新生銀行グループは除く) ・管理職に占める女性従業員の割合年度2021年度2022年度2023年度%26.524.726.1※当社単体 ・女性採用者数年度2021年度2022年度2023年度人9331,3271,101※国内連結子会社 ・中途採用社員の管理職比率年度2021年度2022年度2023年度%81.183.186.4※当社単体 一部の指標については当企業グループのマテリアリティに組み入れ、目標を設定しています。「(1)サステナビリティ④指標と目標」を参照ください。なお、主要な事業会社については関連する指標のデータ収集が行えていますが、新たにグループ入りした企業グループなど、連結対象範囲の全てのグループ会社に対してデータの管理・収集が行えていないため、連結における記載が困難なものがあります。このため、一部の指標に関する目標及び実績については当社単体のもの及び収集可能な範囲での数値を記載しております。 |
戦略 | ②戦略当社では、実業(本業)の事業活動を通じて社会に貢献することを第一の目標とするのは当然として、より直接的にも社会に貢献するような戦略を構築し実践することで企業の社会性は持続的に高まると考えています。本業では、革新的技術に対する徹底的な信奉により、テクノロジーの力で世の中の様々な不条理な部分を、特に金融面で変え、新たな付加価値を創出していくことが当企業グループの大きな事業ミッションです。また、これまでベンチャー企業が成長資金を得られにくい状況下で、当企業グループのベンチャーキャピタルがリスクキャピタルを供給して、ベンチャー企業を育てていくことでも社会貢献をしています。もう一方で、児童福祉も同じく深刻な問題で、それを微力ながら改善することができれば、それは当企業グループの進めている大きな事業ミッションとも一致するのではないかと考え、公益財団法人SBI子ども希望財団を通じた児童福祉の向上に取り組み続けています。このように、当企業グループではこれまでも様々な事業活動を通じて社会課題の解決に貢献してきましたが、昨今、社会課題の解決による持続可能な社会の実現と、持続的な企業価値向上の両立を図ることの重要性がより一層増していることを踏まえ、2021年11月の「サステナビリティ委員会」ならびに「サステナビリティ推進室」の設置以降、当企業グループのサステナビリティの推進をより一層強化しています。そして、「課題解決に向けてどのような貢献が可能か」「課題解決に向けた取り組みが中長期的なグループ戦略とアラインするか」等の観点から優先的に取り組むべき課題を特定し、「SBIグループのマテリアリティ(持続的な企業価値向上のための重要課題)」として策定しています。 SBIグループのマテリアリティ具体的な取り組み例新たな社会潮流や顧客ニーズを捉えた付加価値の創出・一人ひとりのライフスタイルに沿った資産形成機会の提供・顧客便益性を一層高める金融サービスの提供・デジタルアセットを基盤とする企業生態系の構築新産業の育成と技術革新への貢献・21世紀の中核的産業の創造及び育成・革新的な金融サービスの提供・業界横断的な技術の拡散ステークホルダーと協働した社会課題の解決と経済の活性化・地方創生に寄与する事業の推進・パートナー企業とのアライアンスの拡大と深化・価値共創によるイノベーションの促進豊かで健康的なサステナブル社会の実現・サステナブルファイナンスの提供・グリーン・イノベーションやESGを意識したインパクト投資や、ライフサイエンス、ヘルスケア関連の有望なベンチャー企業への投資・超高齢社会への対応として、5-アミノレブリン酸(5-ALA)事業等を通じた健康支援・医療情報のデジタル化やビッグデータの活用による医療の高度化に貢献将来を担う世代への支援・公益財団法人SBI子ども希望財団を通じた児童福祉の充実及び向上への寄与・学校法人SBI大学を通じて次世代を担う人物の育成多様な価値観を尊重し受け入れる組織風土の醸成・ダイバーシティ&インクルージョンの推進・従業員の能力開発を通じた人材価値の継続的な向上・個性や人との違いを尊重できる柔軟な働き方の整備持続的成長を実現する企業体制の強化・充実・透明性、独立性が確保された意思決定プロセスの構築・事業機会とリスクを想定した経営戦略の立案やリスクマネジメントの実行・内部統制システムの整備と適正な運用 |
指標及び目標 | ④指標と目標「SBIグループのマテリアリティ」における一部の取り組みについては目標を設定しています。上記ガバナンスにおいて各進捗状況をモニタリングし、達成された目標については随時アップデートを行います。 SBIグループのマテリアリティ目標新たな社会潮流や顧客ニーズを捉えた付加価値の創出・お客様サービスにおいて顧客満足度評価など第三者による評価で高水準を維持する・SBI証券でのネオ証券化は、2024年3月期上半期中の具現化を目指す→2023年9月30日発注分から、「ゼロ革命」と題して、インターネットコースのお客様を対象として、オンラインの国内株式売買手数料の無料化を実施。その後、サービス内容を順次拡充新産業の育成と技術革新への貢献・最先端のサービス・テクノロジーへ投資を行う1,000億円規模の新ファンドを2023年度に設立する→最大1,000億円規模の新たな旗艦ファンド「SBIデジタルスペースファンド」を設立し、2023年11月から本格的に運用を開始・セキュリティ・トークン(ST)等の次世代金融商品の普及に向けて、ST流通市場を2023年内に創出→2023年12月25日より大阪デジタルエクスチェンジがセキュリティトークン取引に係る私設取引システムである「START(スタート)」において売買取引を開始・次世代金融商品であるセキュリティ・トークン(ST)の普及に向けて、大阪デジタルエクスチェンジは2026年3月までに取扱時価総額1,000億円を目指すステークホルダーと協働した社会課題の解決と経済の活性化・日本全国の事業承継支援のため、2025年までに累計で1,000億円規模のファンド設立を目指す・地域金融機関のシステムコストの削減及び平準化に向けて次世代バンキングシステムを開発し、2030年度までに地域金融機関10行での導入を目指す豊かで健康的なサステナブル社会の実現・2030年度末までに累計5兆円のサステナブルファイナンスを組成する・当企業グループは国家目標である2050年カーボンニュートラル実現に向けて、当企業グループの温室効果ガス(GHG)排出量(Scope1、2)を2050年度までにネットゼロとすることを目標とし、中間目標として2030年度までに2018年度比で33%削減する多様な価値観を尊重し受け入れる組織風土の醸成・SBIホールディングスの女性管理職比率は2025年まで継続して20%以上を維持する・当企業グループの外国籍社員比率は2025年までに40%以上を目指す持続的成長を実現する企業体制の強化・充実・グループ全体でのコンプライアンス体制構築のための会議や役職員向けのコンプライアンス研修を定期的に実施する・年に1回以上、取締役会の実効性に関する分析・評価を実施し、結果を公表する また、公益財団法人SBI子ども希望財団における活動としては、被虐待児童が生活する児童養護施設の小規模化への助成事業、児童福祉施設等への助成や児童養護施設の職員を対象とした研修、施設退所後の子どもたちの自立支援のほか、オレンジリボン運動の推進など児童虐待防止啓発活動も積極的に行っています。本財団による助成実施金額は、2006年3月期から2024年3月期までの累計で約12億1,260万円です。施設職員への研修は19回を終了し、卒業生は約1,900名となっています。また、SBI子ども希望財団は児童虐待防止の社会的啓発運動である「オレンジリボン・キャンペーン」を後援しており、毎年11月の虐待防止強化月間には当企業グループの役職員一同、オレンジリボンの着用や社内外への啓発活動に取り組んでいます。2024年3月期の当企業グループ社員による児童虐待防止啓発活動であるオレンジリボングッズの購入額は約140万円となりました。 <SBI子ども希望財団による助成実績(2006年3月期~2024年3月期)>施設(児童養護施設や乳児院等)への助成(累計)1,020百万円助成を実施した施設数(延べ)713施設自立支援のための助成(累計)171百万円福祉団体等活動助成事業(累計)21百万円 |
人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略 | ②戦略人間性を重視した登用、社会の維持・発展に貢献する人材の育成こそがお客さまに役立つ財・サービスを提供するために必要不可欠であり、サステナブルな経営を推進していく上で重要な構成要素の一つであるとの考えのもと、人材育成、ダイバーシティ&インクルージョンならびに働きやすい職場づくりに係る各種施策を通じて「人材価値」向上に取り組んでいます。 <人材育成>施策1. 開かれた雇用機会の提供当企業グループでは採用において、プロフェッショナルとしての職歴だけではなく人間性を重要視した基準を設けています。従業員には、仕事ができ人間的にも優れた人物であることを求めますが、人種・国籍・性別や学歴等は一切問いません。2006年度から開始した新卒採用活動においてもこの基準に照らし、多様なバックグラウンドを持つ将来性の高い人材を多数採用してきました。また、今後は高度な専門性が必要な業務を担当する人材の確保がより一層重要になると考え、中途・新卒に関わらず、優秀な人材を積極的に登用しています。2018年には給与処遇および勤務形態について、既存の枠組みとは異なる対応が可能となる高度専門職制度を設けました。 施策2. 企業理念の浸透社員の9割超が中途採用であることを踏まえ、当企業グループの理念・企業文化を理解し実践できる人材の育成に取り組んでいます。自身が所属する部署のみを近視眼的に考えるのではなく、グループ全体の相乗効果も視野に入れた取り組みを行えるよう、継続的に研修を実施しています。更に、経営トップが自らの経営論・企業観について執筆した書籍を通じて、従業員の人間学や経営学の教育向上、社内における一体感の醸成、相互の意思疎通を図っています。 施策3. 公正で意欲に応える処遇従業員の処遇は成果のみならず、結果にいたるプロセスも重視しています。また、公正・公平な評価に努める観点から、上司だけでなく部下や同僚など多方面より評価を行う360度評価を実施しています。このような多面的な評価と半期ごとの目標達成度をもとに、経験、能力、業績への貢献度等に応じた総合的な判断で各従業員の処遇が決定される仕組みとなっており、「功ある者には禄を与え、良識・見識ある者には地位を与える」という方針を貫いています。 施策4.「有為な人材」を育成するための取り組み当企業グループは、日本の未来を担う「有為な人材」を一人でも多く輩出していきたいと考えています。私たちが育成を目指す「有為な人材」とは、一部門・一企業の利益に貢献するだけではなく、広く経済・社会に貢献しようとする高い志を有し、ビジネスにおける高い専門性を備え、国際的視野を持ち、確たる倫理的価値観と実行力を伴う胆識を備えた人物のことを言います。そうした観点から、2008年に当企業グループの全面支援によりSBI大学院大学が開校しました。SBI大学院大学では、高い意欲と志を有する受講生を社外から広く集め、知識を詰め込む「知育」ではなく、人間力を磨くことを主眼とした「徳育」を重視し、人間学を学ぶ機会を提供しています。また、教育プログラムに最先端の経営学の知見を取り入れ、実践的な学問=「実学」を学ぶ機会も提供しています。知識を吸収するだけではなく、様々な背景と個性を有する人々―教える者と学ぶ者、あるいは学ぶ者同士―との相互対話と切磋琢磨を行うことによって、「有為な人材」の育成を図ります。当企業グループにおける人材育成にあたっては、各種専門知識に関するOJTに加え、このSBI大学院大学を活用した研修を行っています。上級管理職を目指す社員に向けては「SBIグループ上級管理職研修」の修了を昇格要件と定めるほか、より広範にマネジメントを学びたい社員に向けてはSBI大学院大学への企業派遣制度を設けています。2024年3月末現在、この制度を通じて171名がMBAを取得しています。また新入社員に対しては、早期から当企業グループの経営幹部としての知見や経営観を習得させるべく、当社独自の課題研修を行っています。2週間に一度、新入社員に小論文の提出を課し、社長を含めた経営陣が評価しています。その他、従業員の自己啓発の促進のために、2016年10月に導入した資格取得支援制度の対象となる資格の見直しを行い、従来制度で対象としていた33資格から新たに19資格を追加し、受験料補助の対象を52の資格に拡大しています(2023年3月1日施行)。 社員一人当たりの年間研修時間は13時間45分(※)、当社単体での教育研修費は109百万円(一人当たり平均研修費用は330千円)となっています。(※)国内連結子会社(SBI新生銀行グループは除く)の従業員が対象 <当企業グループの人材育成プロセス> 施策5.優秀な人材の確保に向けて 当企業グループの持続的成長を図る上で優秀な人材の確保、従業員満足度や定着率の向上がより一層重要になると考えています。2022年4月からは、新卒初任給及び入社3年目までの給与テーブルの大幅な引き上げを行っており、2024年4月には、賢材の定着・確保を目的として、若手から中堅層に重点を置いた給与テーブルの引き上げを実施しました。また、当企業グループのさらなる企業価値の増大を目指し、当社の結束力をさらに高め、連結業績に対する意欲や士気をより高める上で、当企業グループの役職員が当社の株価や企業価値をより意識した事業運営を行うことも重要だと考えており、これらを実現することを目的として当社及び当社子会社の取締役及び従業員向けにインセンティブプログラムを導入しています。これらの取り組みに加えて、役職員全員にグループ連結業績を反映させた報酬制度を導入するなど、従業員の処遇の向上にも取り組んでいます。 <ダイバーシティ&インクルージョン>イノベーションを生み出す企業であり続けるため、役職員の多様性を尊重すると共に、あらゆる人材が活躍できる職場環境づくりに注力しています。 施策6. 多様な人材の活用当企業グループでは、持続的成長を実現しイノベーションを生み出す企業であり続けるには、人種、国籍、性別、性的指向、障がいの有無等にかかわらず、多様な人材が互いの価値観や個性を認め合い、それぞれの能力を最大限に発揮し、共に成長できる環境が必要であると考えています。こうした考え方のもと、当社では人事担当役員がダイバーシティ&インクルージョンの責任者を務めています。26ヵ国・地域へ展開する当企業グループにあって、海外拠点の従業員割合は20.3%となっています。また、2015年3月からは定年後の再雇用の上限年齢を撤廃しており、優秀な人材に対しては、その属性を問わず積極的に登用・昇進させる姿勢を徹底しています。 <働きやすい職場環境づくり>当企業グループでは、あらゆる人材が常に最大限のパフォーマンスを発揮することができる働きやすい職場環境を整えるべく、様々な施策を行っています。 施策7. 健康経営の推進2018年には「健康経営宣言」を制定し、従業員が健康保持・増進に取り組みやすい環境を積極的に整えています。産業医による「健康個別相談会」を毎月実施し、対面及び電話、文書等での役職員の希望する方法に応じた面談を実施するなど、従業員の健康に配慮しています。また、 医療分野を通じた直接的な社会貢献に積極的に取り組むべく 2007年に設立したSBIウェルネスバンクでは、同社が提携・支援する医療法人「東京国際クリニック」を通じて、当企業グループの役職員の健康維持を図っています。長時間労働はメンタルヘルス不調を誘引する可能性があることから、当社では2015年から全社的に削減に向けた取り組みを積極的に実施しています。例えば、残業時間や有給の取得状況については、対象者とその上長に対して定期的にアラート機能で通知するなど把握に努めています。2016年からは、従業員向けに実施が義務付けられたストレスチェックを行っており、今後はストレスチェックから収集した定量データを精緻に分析し、グループ各社の業務特性や職場環境の把握に努めるとともに、より従業員の健康維持に効果的な施策を検討していきます。 施策8. 自己実現の場の提供社員の自己実現の場を提供するとともに、人材の有効活用や適材適所を実現する意図から、「キャリアオープン制度」を導入しています。この制度は社員自らが希望するグループ内の事業会社等への異動願いを申告するもので、2023年度においては140名がこの制度を活用しキャリアチェンジを実現しています。 施策9. 働きやすい環境の整備男女問わず、介護・育児といった特定の理由に限定せずに正社員が短時間勤務を選択できる短時間正社員制度を導入しています。更に、時差出勤も制度化し柔軟な働き方を推進しています。また、産休・育休制度を通じた当社単体での女性の育児休暇取得率は100%、男性の育児休暇取得率は50%となっています。さらに、業務の効率化・生産性の向上に向けては、グループを挙げてRPA・AIの導入を推進し、各種ルーティン業務の自動化を行っています。2023年からはこれまで以上に従業員と会社の繋がりの強化を図るべく、当社においては定期的にエンゲージメントサーベイを実施しています。本調査の結果については各部門長へのフィードバックを行うとともに、従業員エンゲージメントの向上に活かし、働きやすい職場環境の一層の整備を目指します。本調査の結果から見えてきた社員の声から対応すべき取り組みを検証し、研修の拡充、資格取得支援制度における対象資格の拡大や報酬制度の拡充、就業環境の整備などを進めてきました。今後も、エンゲージメントサーベイでの結果を分析し、課題の把握に努め、新たな各種施策を検討し従業員エンゲージメントの向上に取り組んでいきます。 |
人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績、指標及び目標 | ④指標と目標各指標については以下及び「第1 企業の概況 5 従業員の状況 (4)多様性に関する指標」を参照ください。 <人材育成>・従業員一人当たりの年間研修時間年度2021年度2022年度2023年度時間15.6313.3813.75※国内連結子会社(SBI新生銀行グループは除く)の従業員を対象に実施している新入社員向けの課題研修・上級管理職研修・SBI大学院大学への企業派遣制度(MBA)・各種e-ラーニングを含む <ダイバーシティ&インクルージョン>・当企業グループの外国籍社員比率年度2021年度2022年度2023年度%42.337.735.5※国内外連結子会社(SBI新生銀行グループは除く) ・管理職に占める女性従業員の割合年度2021年度2022年度2023年度%26.524.726.1※当社単体 ・女性採用者数年度2021年度2022年度2023年度人9331,3271,101※国内連結子会社 ・中途採用社員の管理職比率年度2021年度2022年度2023年度%81.183.186.4※当社単体 一部の指標については当企業グループのマテリアリティに組み入れ、目標を設定しています。「(1)サステナビリティ④指標と目標」を参照ください。なお、主要な事業会社については関連する指標のデータ収集が行えていますが、新たにグループ入りした企業グループなど、連結対象範囲の全てのグループ会社に対してデータの管理・収集が行えていないため、連結における記載が困難なものがあります。このため、一部の指標に関する目標及び実績については当社単体のもの及び収集可能な範囲での数値を記載しております。 |
経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 | 4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 (1)経営成績等の状況の概要当期における当企業グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 ① 財政状態及び経営成績の状況当期における我が国経済は、下半期こそ実質GDP成長率がマイナスとなったものの、通年ではプラス2%近くとなり回復基調が見られました。また2024年2月22日に日経平均株価が史上最高値となる3万8,915円を更新し、3月には4万円を突破するなど、株式市場は極めて好調でした。一方でゼロ金利政策の解除による長期的な金利上昇や、日米の金利格差などを要因とする円安の進行とそれに伴う輸入価格の上昇が引き起こすインフレなど、今後の動向を注視すべき状況にあります。このような状況下で、当社の当連結会計年度における連結業績は、収益が前期比26.5%増の1兆2,105億円となり過去最高を更新しました。金融サービス事業の収益が前期比22.0%増の1兆314億円となったことが大きく貢献しています。利益面については、金融サービス事業が堅調であったことに加え、前期において一部取引先破綻の影響もあり税引前損失約184億円を計上していた暗号資産事業が、税引前利益約84億円と大きく好転したことも寄与し、連結での税引前利益は前期比38.6%増の1,416億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は同146.1%増の872億円となりました。当企業グループにおいて、収益および利益の両面で最大かつ安定的な貢献をしている金融サービス事業につきましては、SBI証券は、2023年9月30日注文受付分からオンラインでの国内株式売買手数料を無料にするゼロ革命を開始したにもかかわらず、4年超をかけて準備してきた収益源の多様化等の諸施策が奏功し、当連結会計年度の業績は前期比で増収増益を達成しました。また、金利上昇局面を見据え経営資源を傾斜配分してきた銀行事業は、既に連結業績に対する寄与度の点で証券事業を上回る規模となっており、その中核となるSBI新生銀行は、銀証連携を中心とする当企業グループとの連携諸施策で既に一定の成果を挙げ、当連結会計年度の業績は、2011年3月期以来13年ぶりに実質業務純益が1,000億円を突破するなど、前期比で大幅な増収増益を達成しています。 当企業グループは、「金融サービス事業」や「資産運用事業」、「投資事業」に加え、今後も成長領域として期待される「暗号資産事業」、バイオ・ヘルスケア&メディカルインフォマティクス事業のほかWeb3関連の先進的な分野に取り組む事業等が含まれる「次世代事業」の5つの事業セグメントを報告セグメントとしております。なお、従来「非金融事業」としていたセグメントを「次世代事業」に名称変更しております。これは、当該セグメントに含まれているデジタルアセット領域の事業に関して、セキュリティトークンなどの形で金融の領域とも密接に関係していくことから、より実態を反映した名称に変更すべく実施しております。 報告セグメントごとの業績は次のとおりであります。 収益 税引前利益 前期 当期 前期 当期 百万円 百万円% 百万円 百万円%金融サービス事業845,166 1,031,43922.0 152,040 164,9818.5資産運用事業27,966 29,4495.3 10,123 4,843(52.2)投資事業36,684 88,353140.8 (16,661) (8,288)-暗号資産事業30,320 57,14288.5 (18,429) 8,428-次世代事業26,238 26,6371.5 (3,253) (4,952)-計966,374 1,233,02027.6 123,820 165,01233.3消去又は全社(9,397) (22,516)- (21,680) (23,443)-連結956,977 1,210,50426.5 102,140 141,56938.6(%表示は対前期増減率) (金融サービス事業)国内外における証券関連事業、銀行事業、保険事業を中核とした多様な金融関連事業を行っております。当期における収益は1,031,439百万円(前期比22.0%増加)、税引前利益は164,981百万円(同8.5%増加)となりました。これは主に、銀行事業における「償却原価で測定される金融資産から生じる受取利息」の増加等の要因によるものであります。 (資産運用事業)投資信託の設定、募集、運用などの投資運用や投資助言、金融商品の情報提供等を行っております。当期における収益は29,449百万円(同5.3%増加)、税引前利益は4,843百万円(同52.2%減少)となりました。これは主に、前期において、Morningstar, Inc.に「モーニングスター」ブランドを返還することによる収益を8,000百万円計上したこと等の要因によるものであります。 (投資事業)国内外のIT、フィンテック、ブロックチェーン、金融及びバイオ関連のベンチャー企業等への投資に関する事業等を行っております。当期における収益は88,353百万円(同140.8%増加)、税引前利益は8,288百万円の損失(前期は16,661百万円の損失)となりました。これは主に、企業への投資において認識される「FVTPLで測定する金融資産から生じる収益」の増加等の要因によるものであります。 (暗号資産事業)暗号資産の交換・取引サービスを提供する暗号資産交換業等を行っております。当期における収益は57,142百万円(同88.5%増加)、税引前利益は8,428百万円(前期は18,429百万円の損失)となりました。これは主に、暗号資産価格の上昇等の要因によるものであります。 (次世代事業)生体内に存在するアミノ酸の一種である5-アミノレブリン酸(5-ALA)を活用した医薬品・健康食品・化粧品の開発・販売や、がん及び免疫分野等における抗体医薬・核酸医薬の研究開発に関する事業、医療・健康情報のデジタル化や医療ビッグデータの活用を推進するソリューション・サービスの提供及び医療金融に関する事業等を行うバイオ・ヘルスケア&メディカルインフォマティクス事業のほか、Web3関連の先進的な分野に取り組む事業や再生可能エネルギー事業、アフリカをはじめとした海外新市場で展開する事業等を行っております。当期における収益は26,637百万円(同1.5%増加)、税引前利益は4,952百万円の損失(前期は3,253百万円の損失)となりました。 なお、当期末の総資産は27,139,391百万円となり、前期末の22,301,975百万円から4,837,416百万円の増加となりました。また、資本は前期末に比べ155,364百万円増加し、1,907,346百万円となりました。 ② キャッシュ・フロー当期末の現金及び現金同等物残高は4,580,335百万円となり、前期末の3,200,916百万円から1,379,419百万円の増加となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは、1,345,740百万円の収入(前期は960,743百万円の収入)となりました。これは主に、「営業債権及びその他の債権の増減」が936,261百万円の支出となった一方で、「顧客預金の増減」が1,397,222百万円の収入及び「社債及び借入金(銀行業)の増減」が678,701百万円の収入となったこと等の要因によるものであります。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは、65,116百万円の支出(前期は1,075,054百万円の支出)となりました。これは主に、「投資有価証券の売却及び償還による収入」が1,843,947百万円となった一方で、「投資有価証券の取得による支出」が1,834,145百万円となったこと等の要因によるものであります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは、29,172百万円の収入(前期は810,425百万円の収入)となりました。これは主に、「社債の償還による支出」が1,747,111百万円、「長期借入金の返済による支出」が157,131百万円及び「短期借入金の純増減額」が146,991百万円の支出となった一方で、「社債の発行による収入」が2,098,864百万円となったこと等の要因によるものであります。 ③ 生産、受注及び販売の実績生産及び受注の実績については、該当する情報がないため記載しておりません。また、販売の実績については、「① 財政状態及び経営成績の状況」に各セグメントの収益として記載しております。 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当企業グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当期末現在において判断したものであります。 ① 重要な会計方針及び見積もり当企業グループの連結財務諸表はIFRS会計基準に準拠して作成しております。IFRS会計基準に準拠した連結財務諸表の作成において、経営者は、他の情報源から直ちに明らかにならない資産及び負債の帳簿価額について、見積もり、判断及び仮定の設定を行う必要があります。見積もり及びそれに関する仮定は、関係が深いと思われる過去の経験及びその他の要素に基づいております。実績はこれらの見積もりと異なる場合があります。当企業グループの会計方針については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等」の「(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3 重要性がある会計方針」に記載のとおりであります。また、当該会計方針のうち、将来に関する仮定及び報告期間末における見積もりの不確実性の要因となる事項で、特に重要性があるものについては、「(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 2 作成の基礎 (4) 見積もり及び判断の利用」に記載しております。これらは、当期及び来期以降に資産や負債の帳簿価額に対して重大な調整をもたらすリスクを含んでおります。 ② 当期の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容当期における当企業グループを取り巻く事業環境は、我が国の実質GDP成長率が下半期こそマイナスとなったものの、通年ではプラス2%近くとなり回復基調が見られたほか、2024年2月22日に日経平均株価が史上最高値となる3万8,915円を更新し、3月には4万円を突破するなど、株式市場が好調でした。一方でゼロ金利政策の解除による長期的な金利上昇や、日米の金利格差などを要因とする円安の進行とそれに伴う輸入価格の上昇が引き起こすインフレなど、今後の動向を注視すべき状況にあります。 (金融サービス事業)金融サービス事業の収益は、前期比22.0%増加の1,031,439百万円、税引前利益は前期比8.5%増加の164,981百万円となりました。株式会社SBI証券は、2023年9月30日発注分から日本で初となる「ゼロ革命」(オンラインでの国内株式売買手数料の無料化)を開始したことで、約158億円もの逸失収益が有ったにもかかわらず、4年超にわたり進めてきた収益源の多様化が奏功し収益減少をオフセットしたことで、営業収益、営業利益のいずれも過去最高となりました。株式会社SBI新生銀行は、法人業務での貸出残高増加に伴う利鞘や手数料収益の増加、アプラスの割賦収益の増加等に伴い、前期比で大幅な増収増益となりました。持分法適用関連会社の住信SBIネット銀行株式会社は、住宅ローン事業が堅調に拡大したものの、2023年3月の同社株式の上場時に持分の一部を売却し所有比率が減少した影響で、当社におけるIFRS会計基準取り込みベースの持分法による投資利益は減益となりました。韓国の株式会社SBI貯蓄銀行は、基礎的収支は堅調に推移したものの、引き続き韓国国内の景況悪化に伴う信用悪化と延滞増加による貸出償却負担の増加などが影響し減益となりました。SBIインシュアランスグループ株式会社は、保有契約件数の堅調な増加により増収増益となりました。 (資産運用事業)資産運用事業の収益は、前期比5.3%増加の29,449百万円、税引前利益は前期比52.2%減少の4,843百万円となりました。2022年11月に当企業グループ入りしたSBI岡三アセットマネジメント株式会社の業績が通期で寄与したことにより、前期比で増収を達成し過去最高となった一方で、SBIグローバルアセットマネジメント株式会社が前期に「モーニングスター」ブランドを返還したことにより受け取った対価80億円分の利益が剥落したことが減益に影響しています。 (投資事業)投資事業の収益は、前期比140.8%増加の88,353百万円、税引前利益は8,288百万円の損失(前期は16,661百万円の損失)となりました。投資先企業の公正価値評価について、上場銘柄において評価益及び売却益を計上したものの、一部未上場銘柄において前期の反動から評価損を計上したことや、SBIリーシングサービス株式会社が運営する匿名組合における外貨建借入から生じる為替差損を計上したことが影響しています。 (暗号資産事業)暗号資産事業の収益は、前期比88.5%増加の57,142百万円、税引前利益は8,428百万円(前期は18,429百万円の損失)となりました。2024年1月にビットコイン(BTC)の現物ETFが承認された影響などで、BTC価格が史上最高値を更新する環境下で、取引所事業が好調だったことに加え、マーケットメーカーのB2C2 Limitedが海外における暗号資産取引の拡大をうまく取り込めたことが大きく貢献しました。 (次世代事業)次世代事業の収益は、前期比1.5%増加の26,637百万円、税引前利益は4,952百万円の損失(前期は3,253百万円の損失)となりました。バイオ・ヘルスケア&メディカルインフォマティクス事業で、5-ALA関連事業において健康食品事業用の原料在庫の評価替えに伴う特別損失を計上したことに加え、Web3・デジタルアセット等の先端技術領域において、グローバルでの事業拡大が進む中で先行投資が増加したことが影響しています。 ③ 経営成績に重要な影響を与える要因について経営成績に重要な影響を与える要因は、「第2 事業の状況 3.事業等のリスク」に記載しております。 ④ 戦略的事業展開について戦略的事業展開については、「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。 ⑤ 資本の財源及び資金の流動性についての分析(a) 資金需要及び資金の調達源当企業グループの事業活動における主な資金需要としては、証券関連事業における信用取引に係る顧客への貸付資金、銀行関連事業及び海外金融サービス事業における貸付資金、投資事業における投資資金等があります。これらの資金需要に対して、市場環境や長短のバランスを考慮し、銀行借入による間接金融、社債やエクイティファイナンス等の直接金融、証券会社や証券金融会社との取引、コールマネー、顧客預金の受入及び貸出金その他の資産の流動化等により資金を調達しております。 (b) キャッシュ・フローの状況の分析キャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フロー」に記載しております。 |
経営上の重要な契約等 | 5【経営上の重要な契約等】 当社及び当社の完全子会社であるSBI地銀ホールディングス株式会社(以下、公開買付者)は2022年5月12日付の各取締役会決議に基づき、公開買付者が、株式会社SBI新生銀行の普通株式(以下、対象株式)を金融商品取引法(昭和23年法律第25号。その後の改正を含む)による公開買付けにより取得することを決定しました。本公開買付けの買付け期間は2023年6月23日に終了し、2023年6月30日に公開買付者は対象株式7,547,389株を取得しております。 |
研究開発活動 | 6【研究開発活動】 当企業グループの当期における研究開発費は1,983百万円であり、これは主に次世代事業に含まれるバイオ・ヘルスケア&メディカルインフォマティクス事業における研究開発費であります。バイオ・ヘルスケア&メディカルインフォマティクス事業においては、生体内に存在するアミノ酸の一種である5-アミノレブリン酸(ALA)を活用した医薬品・健康食品・化粧品の開発・販売や、がん及び免疫分野等における抗体医薬・核酸医薬の研究開発に関する事業、医療・健康情報のデジタル化や医療ビッグデータの活用を推進するソリューション・サービスの提供及び医療金融に関する事業等を行っております。 |
設備投資等の概要 | 1【設備投資等の概要】 当期の設備投資額は、83,027百万円となりました。これは主に、金融サービス事業において、顧客数増加による注文件数の増加に円滑に対応するとともに、より幅広いサービスを顧客に提供するため、既存取引システムの増強及び新サービスを提供するためのソフトウェア開発を中心に、73,715百万円の設備投資を実施したことによるものであります。 |
主要な設備の状況 | 2【主要な設備の状況】 当企業グループにおける主要な設備は、次のとおりであります。(1)提出会社 2024年3月31日現在 事業所名(所在地)セグメントの名称設備の内容帳簿価額(百万円)従業員数(人)建物及び附属設備器具及び備品ソフトウェアその他合計本社(東京都港区)金融サービス事業ソフトウェア等-0301030143投資事業ソフトウェア等--228-22824全社(共通)事業所設備及びパソコン等2,4731631,46254,103263(注)金額には使用権資産を含んでおります。 (2)国内子会社 2024年3月31日現在 会社名事業所名(所在地)セグメントの名称設備の内容帳簿価額(百万円)従業員数(人)建物及び附属設備器具及び備品ソフトウェアその他合計㈱SBI証券本店(東京都港区)金融サービス事業ソフトウェア等3,0821,31633,9511338,362691㈱SBI新生銀行本店(東京都中央区)金融サービス事業店舗、事業所設備等13,5967801,20957716,1621,425(注)金額には使用権資産を含んでおります。 (3)在外子会社 2024年3月31日現在 会社名事業所名(所在地)セグメントの名称設備の内容帳簿価額(百万円)従業員数(人)建物及び附属設備器具及び備品ソフトウェアその他合計㈱SBI貯蓄銀行本社(韓国ソウル市)金融サービス事業事業所設備及びパソコン等3611,1375352,5794,612417(注)金額には使用権資産を含んでおります。 |
設備の新設、除却等の計画 | 3【設備の新設、除却等の計画】 (1)重要な設備の新設等当期末現在における重要な設備の新設等の計画は次のとおりであります。会社名事業所名所在地セグメントの名称設備の内容投資予定金額資金調達方法着工及び完成予定年月完成後の増加能力総額(百万円)既支払額(百万円)着手完了㈱SBI証券本店東京都港区金融サービス事業オンライン証券業務システム13,632-自己資金及びリース2024年4月2025年4月顧客利便性の向上 (2)重要な設備の除却等当期末現在において、重要な設備の除却等の計画はありません。 |
研究開発費、研究開発活動 | 1,983,000,000 |
設備投資額、設備投資等の概要 | 73,715,000,000 |
Employees
平均年齢(年)、提出会社の状況、従業員の状況 | 40 |
平均勤続年数(年)、提出会社の状況、従業員の状況 | 6 |
平均年間給与、提出会社の状況、従業員の状況 | 8,979,260 |
管理職に占める女性労働者の割合、提出会社の指標 | 0 |
全労働者、労働者の男女の賃金の差異、提出会社の指標 | 1 |
正規雇用労働者、労働者の男女の賃金の差異、提出会社の指標 | 1 |
非正規雇用労働者、労働者の男女の賃金の差異、提出会社の指標 | 0 |
Investment
株式の保有状況 | (5)【株式の保有状況】 ① 投資株式の区分の基準及び考え方当社は、株式売却による利益獲得又は株式に係る配当によって利益を受けることを目的として保有する場合に、純投資目的である投資株式としております。他方、当社グループの事業発展と当社の企業価値向上に貢献する事業提携や協業等を行うことを目的として保有する投資株式を、純投資目的以外の目的である投資株式(以下、「政策保有株式」という。)としております。 ② 保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式イ.保有方針及び保有の合理性を検証する方法並びに個別銘柄の保有の適否に関する取締役会等における検証の内容当社は、取締役会において、個別の上場政策保有株式について、その保有目的と合理性を毎年検証しております。具体的には、株式の保有が相手先との関係の維持・強化に寄与しているか等の定性面、及び配当金や相手先が関連する取引からの収益が、当社の資本コストに見合ったものか等の定量面から精査を行い、総合的に勘案して保有の合理性が認められない場合には、原則として保有株式の売却を進めることとしております。2024年3月末時点において、取締役会は、上場政策保有株式を保有していないことを確認いたしました。 ロ.銘柄数及び貸借対照表計上額 銘柄数(銘柄)貸借対照表計上額の合計額(百万円)非上場株式--非上場株式以外の株式-- (当事業年度において株式数が増加した銘柄) 銘柄数(銘柄)株式数の増加に係る取得価額の合計額(百万円)株式数の増加の理由非上場株式---非上場株式以外の株式--- (当事業年度において株式数が減少した銘柄) 銘柄数(銘柄)株式数の減少に係る売却価額の合計額(百万円)非上場株式--非上場株式以外の株式-- ハ.特定投資株式の銘柄ごとの株式数、貸借対照表計上額等に関する情報銘柄当事業年度前事業年度保有目的、業務提携等の概要、定量的な保有効果及び株式数が増加した理由当社の株式の保有の有無株式数(株)株式数(株)貸借対照表計上額(百万円)貸借対照表計上額(百万円)-------(注)「-」は、当該銘柄を保有していないことを示しております。 ③ 保有目的が純投資目的である投資株式該当事項はありません。 |
Shareholders
大株主の状況 | (6)【大株主の状況】 2024年3月31日現在 氏名又は名称住所所有株式数(株)発行済株式(自己株式を除く。)の総数に対する所有株式数の割合(%) 日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)東京都港区赤坂1丁目8番1号 赤坂インターシティAIR43,146,40014.29 株式会社三井住友フィナンシャルグループ東京都千代田区丸の内1丁目1番2号27,000,0008.94 株式会社日本カストディ銀行(信託口)東京都中央区晴海1丁目8-1218,396,1096.09 ザ バンク オブ ニューヨーク メロン 140042240 GREENWICH STREET, NEW YORK, NY 10286, U.S.A.6,768,2512.24 ザ バンク オブ ニューヨーク メロン 140051240 GREENWICH STREET, NEW YORK, NY 10286, U.S.A.6,286,5362.08 ステート ストリート バンク ウェスト クライアント トリーティー 5052341776 HERITAGE DRIVE, NORTH QUINCY, MA 02171, U.S.A.4,761,4171.58 ステート ストリート バンク アンド トラスト カンパニー 505223P.O. BOX 351 BOSTON MASSACHUSETTS 02101 U.S.A.4,634,5451.54 北尾 吉孝東京都千代田区4,327,9601.43 ステート ストリート バンク アンド トラスト カンパニー 505001P.O. BOX 351 BOSTON MASSACHUSETTS 02101 U.S.A.4,309,2191.43 JPモルガン証券株式会社東京都千代田区丸の内2丁目7-3 東京ビルディング4,222,9631.40計-123,853,40041.03(注)1.前事業年度末において主要株主であった 株式会社三井住友フィナンシャルグループは、当事業年度末現在では主要株主ではなくなりました。2.2023年8月22日付で公衆の縦覧に供されている変更報告書において、みずほ証券株式会社及びその共同保有者が2023年8月15日現在でそれぞれ以下の株式を所有している旨が記載されているものの、当社として2024年3月31日現在における実質所有株式数の確認ができませんので、上記大株主の状況には含めておりません。ん。 なお、その変更報告書の内容は次のとおりであります。 氏名又は名称住所保有株券等の数(株)株券等保有割合(%)みずほ証券株式会社東京都千代田区大手町1丁目5番1号6,815,3062.39アセットマネジメントOne株式会社東京都千代田区丸の内一丁目8番2号6,638,2002.33みずほインターナショナル30 Old Bailey, London, EC4M 7AU, United Kingdom00.00 3.2023年11月21日付で公衆の縦覧に供されている変更報告書において、ベイリー・ギフォード・アンド・カンパニー及びその共同保有者が2023年11月15日現在でそれぞれ以下の株式を所有している旨が記載されているものの、当社として2024年3月31日現在における実質所有株式数の確認ができませんので、上記大株主の状況には含めておりません。 なお、その大量保有報告書の内容は次のとおりであります。 氏名又は名称住所保有株券等の数(株)株券等保有割合(%)ベイリー・ギフォード・アンド・カンパニーカルトン・スクエア、1グリーンサイド・ロウ、エジンバラ EH1 3AN スコットランド9,494,5263.45ベイリー・ギフォード・オーバーシーズ・リミテッドカルトン・スクエア、1グリーンサイド・ロウ、エジンバラ EH1 3AN スコットランド15,860,3335.764.2024年4月5日付で公衆の縦覧に供されている変更報告書において、野村證券株式会社及びその共同保有者が2024年3月29日現在でそれぞれ以下の株式を所有している旨が記載されているものの、当社として2024年3月31日現在における実質所有株式数の確認ができませんので、上記大株主の状況には含めておりません。 なお、その変更報告書の内容は次のとおりであります。 氏名又は名称住所保有株券等の数(株)株券等保有割合(%)野村證券株式会社東京都中央区日本橋一丁目13番1号6,010,7392.17ノムラ インターナショナル ピーエルシー1 Angel Lane, London EC4R 3AB, United Kingdom-95,707-0.03野村アセットマネジメント株式会社東京都江東区豊洲二丁目2番1号12,787,9004.61 |
株主数-金融機関 | 37 |
株主数-金融商品取引業者 | 45 |
株主数-外国法人等-個人 | 480 |
株主数-外国法人等-個人以外 | 659 |
株主数-個人その他 | 170,245 |
株主数-その他の法人 | 1,295 |
株主数-計 | 172,761 |
氏名又は名称、大株主の状況 | JPモルガン証券株式会社 |
株主総利回り | 2 |
株主総会決議による取得の状況 | (1)【株主総会決議による取得の状況】 該当事項はありません。 |
株主総会決議又は取締役会決議に基づかないものの内容 | (3)【株主総会決議又は取締役会決議に基づかないものの内容】 区分株式数(株)価額の総額(円)当事業年度における取得自己株式3,77512,300,977当期間における取得自己株式5432,062,084(注)当期間における取得自己株式には、2024年6月1日からこの有価証券報告書提出日までの単元未満株式の買取りによる株式は含まれておりません。 |
Shareholders2
自己株式の取得 | -12,000,000 |
Audit
監査法人1、連結 | 有限責任監査法人トーマツ |
独立監査人の報告書、連結 | 独立監査人の監査報告書及び内部統制監査報告書 2024年6月25日SBIホールディングス株式会社 取 締 役 会 御中 有限責任監査法人トーマツ 東京事務所 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士淡 島 國 和 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士松 本 繁 彦 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士笹 川 敦 生 <連結財務諸表監査>監査意見 当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられているSBIホールディングス株式会社の2023年4月1日から2024年3月31日までの連結会計年度の連結財務諸表、すなわち、連結財政状態計算書、連結損益計算書、連結包括利益計算書、連結持分変動計算書、連結キャッシュ・フロー計算書及び連結財務諸表注記について監査を行った。 当監査法人は、上記の連結財務諸表が、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条により規定された国際会計基準に準拠して、SBIホールディングス株式会社及び連結子会社の2024年3月31日現在の財政状態並びに同日をもって終了する連結会計年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。 監査意見の根拠 当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準における当監査法人の責任は、「連結財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。 監査上の主要な検討事項 監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 市場価格のない営業投資有価証券の評価監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応 会社は主たる業務の一つとして、国内外のIT、フィンテック、ブロックチェーン、金融及びバイオ関連のベンチャー企業等への投資事業を行っている。ベンチャー企業等の業績は、急激な技術革新の進行や業界標準の変動等による競争環境の変化、優秀な人材の維持・確保、財務基盤の脆弱性等により変動する可能性があり、将来の見通しにおいては、これらの不確定要因を含んでいる。 連結財務諸表注記「3 重要性がある会計方針(3)金融商品」及び「12 営業投資有価証券及びその他の投資有価証券」に記載されている通り、会社は営業投資有価証券を公正価値で測定し、純損益において公正価値の変動を認識する。 連結財務諸表注記「12 営業投資有価証券及びその他の投資有価証券」に記載されている通り、純損益を通じて公正価値で測定する営業投資有価証券の金額は673,625百万円である。このうち大部分は、市場価格のない非上場株式である。会社は、営業投資有価証券について、投資先ごとに最も適合する評価技法及びインプットを使用するための評価基準を設定した上で、当該評価基準に従って金額を算定し、会社内の評価プロセスを経て公正価値を測定している。 このうち、インカムアプローチ、マーケットアプローチなどの評価技法については、会社は投資先ごとに資金調達の状況、収益性、財政状態及び経営資源の変動などを考慮して、当該投資先に最も適合するものを使用している。また、単一の評価技法を使用することが困難である場合には、会社は複数の評価技法によって算定された金額を総合的に勘案して公正価値を測定している。 また、使用するインプットについては、会社は可能な限り観察可能なインプットを使用することとしているが、非上場株式の場合には観察可能でないインプットを使用することが多いため、会社は目的適合性、客観性及び合理性を考慮して、投資先に最も適合するインプットを使用することとしている。観察可能でないインプットには、割引率、株価収益率、EBITDA 倍率、非流動性ディスカウントなどが含まれる。 これらの評価技法や観察可能でないインプットの使用には、経営者の主観的な判断が要求される。その選択によって算定される金額が別の選択の場合と大きく異なる可能性があり、見積りの不確実性も高くなる。 以上より、当監査法人は、市場価格のない営業投資有価証券の評価を監査上の主要な検討事項に該当するものと判断した。 当監査法人は、関係する評価基準、評価プロセス及び関係する内部統制を理解し、市場価格のない営業投資有価証券の評価を検討した。主として実施した監査手続は以下のとおりである。・会社の評価基準について、関連資料の閲覧、及び経理責任者への質問を実施し、会計基準と整合していることを検証した。・適切な評価技法及びインプットを使用するための会社内の評価会議を含む評価プロセスの有効性を評価するために、会議出席者への質問を実施し、当該プロセスにおいて作成される資料及びその基礎となった資料の閲覧を実施した。・投資先ごとの評価技法の使用に関して、会社の評価基準の閲覧、及びその適用における考え方について経理責任者への質問を実施した。単一の評価技法を選択することが困難な場合などについて、必要に応じて、企業価値評価の内部専門家を利用し、会社の使用した評価技法の妥当性を検証した。また、複数の評価技法により算定された金額を会社が総合的に勘案して公正価値を測定した場合には、不確実性がより高まっていると考えられることから、企業価値評価の内部専門家を利用し、監査人独自の見積りを実施し、会社の測定した公正価値の妥当性を検証した。・投資先ごとに使用されている観察可能でないインプットについて、経理責任者への質問、及び事業計画を含む関連資料の閲覧を実施し、その合理性を検証した。また、特定の営業投資有価証券の評価について、企業価値評価の内部専門家を利用し、会社の使用したインプットの妥当性を検証した。 銀行業(国内)の営業債権及びその他債権に関する信用損失引当金の見積り監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応 会社は、連結財務諸表注記「8 金融リスク管理(4)信用リスク管理(c)信用リスク・エクスポージャー」に記載されている通り、銀行業(国内)において信用リスクに対する最大エクスポージャーとして営業債権及びその他の債権9,808,794百万円(資産合計の約36.1%)を保有している。これらは主に法人及び個人への貸出金に関するものである。関連する信用損失引当金は、連結財務諸表注記「8 金融リスク管理(4)信用リスク管理(b)予想信用損失から生じた金額に関する定量的情報及び定性的情報」に記載されている信用損失引当金197,495百万円に含まれている。 信用損失引当金は、連結財務諸表注記「3 重要性がある会計方針(3)金融商品」に記載されている通り、償却原価で測定される金融資産やその他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融資産等について、当初認識以降に信用リスクが著しく増大したと判定される場合には全期間の予想信用損失に等しい金額で測定され、当初認識以降の信用リスクが著しく増大していないと判定される場合には12ヶ月の予想信用損失に等しい金額で測定されている。 また、連結財務諸表注記「8 金融リスク管理(4)信用リスク管理」に記載されている通り、予想信用損失は、商品種類や信用格付け、担保価値など共通の信用リスク特性に基づいてグルーピングを行ったうえで、将来12ヶ月または全期間において債務不履行となる確率(PD)、債務不履行時の損失率(LGD)及び債務不履行時のエクスポージャー(EAD)をインプットとし、グルーピング単位毎に測定されている。将来の債務不履行確率を推計するにあたって、実質GDPや完全失業率などのマクロ経済指標との相関関係を利用したPDモデルと、複数の経済予測シナリオ(ベース、アップサイド、ダウンサイド)を使用しており、これらを確率加重することで予想信用損失に反映している。 特に複数の経済予測シナリオの設定と各シナリオの発生確率の見積りについては、直近の経済状況や将来の経済状況に係る会社の見解等の要素が考慮されることから、経営者の主観的判断を伴うものであり、見積りの不確実性も高くなる。 以上より、銀行業(国内)において保有する営業債権及びその他債権に関する信用損失引当金の見積りを監査上の主要な検討事項に該当するものと判断した。 当監査法人は、関係する会計方針、業務プロセス及び内部統制を理解し、銀行業(国内)の保有する営業債権及びその他債権に関する信用損失引当金の見積りの妥当性を検討した。主として実施した監査手続は以下のとおりである。・信用損失引当金の測定方法及び測定に用いるインプットについて、会計基準との関係を理解するため、会社の関連資料を閲覧し、その適用における考え方について経理責任者へ質問した。・信用損失引当金の測定において使用する将来予測的な情報について、期中における状況の変化を踏まえ、その信頼性を確保するための内部統制を含む、信用損失引当金の見積り額が適切であることを担保する内部統制について、経理責任者へ質問し関連資料を閲覧した。・信用損失引当金の測定に用いるインプットの算定に利用したデータについて、その正確性と網羅性を検証した。・以下の事項について、信用リスク評価に係る内部専門家を利用して検証した。 信用損失引当金の測定に用いるインプットについて、インプットの決定に係る文書を閲覧するとともに、再計算を行い、その合理性を検証した。 PDを推計するにあたって実質GDPや完全失業率などのマクロ経済指標との相関関係を利用したPDモデルについて、会社が実施した有効性検証結果を閲覧し、その合理性を検証した。 経済環境の変化も考慮した複数の経済予測シナリオの設定と、各シナリオの発生確率について、利用可能な企業外部の経済予測等との比較を行うことを含めてその合理性を検証した。 その他の記載内容 その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 当監査法人の連結財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。 連結財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と連結財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 連結財務諸表に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任 経営者の責任は、国際会計基準に準拠して連結財務諸表を作成し適正に表示することにある。これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない連結財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。 連結財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき連結財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、国際会計基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。 監査役及び監査役会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 連結財務諸表監査における監査人の責任 監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての連結財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から連結財務諸表に対する意見を表明することにある。虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、連結財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。 監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。 ・不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。 ・連結財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。 ・経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。 ・経営者が継続企業を前提として連結財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において連結財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する連結財務諸表の注記事項が適切でない場合は、連結財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。 ・連結財務諸表の表示及び注記事項が、国際会計基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた連結財務諸表の表示、構成及び内容、並びに連結財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。 ・連結財務諸表に対する意見を表明するために、会社及び連結子会社の財務情報に関する十分かつ適切な監査証拠を入手する。監査人は、連結財務諸表の監査に関する指示、監督及び実施に関して責任がある。監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。 監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。 監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。 監査人は、監査役及び監査役会と協議した事項のうち、当連結会計年度の連結財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。 <内部統制監査>監査意見 当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第2項の規定に基づく監査証明を行うため、SBIホールディングス株式会社の2024年3月31日現在の内部統制報告書について監査を行った。 当監査法人は、SBIホールディングス株式会社が2024年3月31日現在の財務報告に係る内部統制は有効であると表示した上記の内部統制報告書が、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して、財務報告に係る内部統制の評価結果について、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。 監査意見の根拠 当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に準拠して内部統制監査を行った。財務報告に係る内部統制の監査の基準における当監査法人の責任は、「内部統制監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。 内部統制報告書に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任 経営者の責任は、財務報告に係る内部統制を整備及び運用し、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して内部統制報告書を作成し適正に表示することにある。 監査役及び監査役会の責任は、財務報告に係る内部統制の整備及び運用状況を監視、検証することにある。 なお、財務報告に係る内部統制により財務報告の虚偽の記載を完全には防止又は発見することができない可能性がある。 内部統制監査における監査人の責任 監査人の責任は、監査人が実施した内部統制監査に基づいて、内部統制報告書に重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、内部統制監査報告書において独立の立場から内部統制報告書に対する意見を表明することにある。 監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。 ・内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果について監査証拠を入手するための監査手続を実施する。内部統制監査の監査手続は、監査人の判断により、財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性に基づいて選択及び適用される。 ・財務報告に係る内部統制の評価範囲、評価手続及び評価結果について経営者が行った記載を含め、全体としての内部統制報告書の表示を検討する。 ・内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果に関する十分かつ適切な監査証拠を入手する。監査人は、内部統制報告書の監査に関する指示、監督及び実施に関して責任がある。監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。 監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した内部統制監査の範囲とその実施時期、内部統制監査の実施結果、識別した内部統制の開示すべき重要な不備、その是正結果、及び内部統制の監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。 監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。 <報酬関連情報> 当監査法人及び当監査法人と同一のネットワークに属する者に対する、会社及び子会社の監査証明業務に基づく報酬及び非監査業務に基づく報酬の額は、「提出会社の状況」に含まれるコーポレート・ガバナンスの状況等(3)【監査の状況】 に記載されている。 利害関係 会社及び連結子会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。以 上(注)1.上記の監査報告書及び内部統制監査報告書の原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。2.XBRLデータは監査の対象には含まれていません。 |
監査上の主要な検討事項、連結 | 監査上の主要な検討事項 監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 市場価格のない営業投資有価証券の評価監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応 会社は主たる業務の一つとして、国内外のIT、フィンテック、ブロックチェーン、金融及びバイオ関連のベンチャー企業等への投資事業を行っている。ベンチャー企業等の業績は、急激な技術革新の進行や業界標準の変動等による競争環境の変化、優秀な人材の維持・確保、財務基盤の脆弱性等により変動する可能性があり、将来の見通しにおいては、これらの不確定要因を含んでいる。 連結財務諸表注記「3 重要性がある会計方針(3)金融商品」及び「12 営業投資有価証券及びその他の投資有価証券」に記載されている通り、会社は営業投資有価証券を公正価値で測定し、純損益において公正価値の変動を認識する。 連結財務諸表注記「12 営業投資有価証券及びその他の投資有価証券」に記載されている通り、純損益を通じて公正価値で測定する営業投資有価証券の金額は673,625百万円である。このうち大部分は、市場価格のない非上場株式である。会社は、営業投資有価証券について、投資先ごとに最も適合する評価技法及びインプットを使用するための評価基準を設定した上で、当該評価基準に従って金額を算定し、会社内の評価プロセスを経て公正価値を測定している。 このうち、インカムアプローチ、マーケットアプローチなどの評価技法については、会社は投資先ごとに資金調達の状況、収益性、財政状態及び経営資源の変動などを考慮して、当該投資先に最も適合するものを使用している。また、単一の評価技法を使用することが困難である場合には、会社は複数の評価技法によって算定された金額を総合的に勘案して公正価値を測定している。 また、使用するインプットについては、会社は可能な限り観察可能なインプットを使用することとしているが、非上場株式の場合には観察可能でないインプットを使用することが多いため、会社は目的適合性、客観性及び合理性を考慮して、投資先に最も適合するインプットを使用することとしている。観察可能でないインプットには、割引率、株価収益率、EBITDA 倍率、非流動性ディスカウントなどが含まれる。 これらの評価技法や観察可能でないインプットの使用には、経営者の主観的な判断が要求される。その選択によって算定される金額が別の選択の場合と大きく異なる可能性があり、見積りの不確実性も高くなる。 以上より、当監査法人は、市場価格のない営業投資有価証券の評価を監査上の主要な検討事項に該当するものと判断した。 当監査法人は、関係する評価基準、評価プロセス及び関係する内部統制を理解し、市場価格のない営業投資有価証券の評価を検討した。主として実施した監査手続は以下のとおりである。・会社の評価基準について、関連資料の閲覧、及び経理責任者への質問を実施し、会計基準と整合していることを検証した。・適切な評価技法及びインプットを使用するための会社内の評価会議を含む評価プロセスの有効性を評価するために、会議出席者への質問を実施し、当該プロセスにおいて作成される資料及びその基礎となった資料の閲覧を実施した。・投資先ごとの評価技法の使用に関して、会社の評価基準の閲覧、及びその適用における考え方について経理責任者への質問を実施した。単一の評価技法を選択することが困難な場合などについて、必要に応じて、企業価値評価の内部専門家を利用し、会社の使用した評価技法の妥当性を検証した。また、複数の評価技法により算定された金額を会社が総合的に勘案して公正価値を測定した場合には、不確実性がより高まっていると考えられることから、企業価値評価の内部専門家を利用し、監査人独自の見積りを実施し、会社の測定した公正価値の妥当性を検証した。・投資先ごとに使用されている観察可能でないインプットについて、経理責任者への質問、及び事業計画を含む関連資料の閲覧を実施し、その合理性を検証した。また、特定の営業投資有価証券の評価について、企業価値評価の内部専門家を利用し、会社の使用したインプットの妥当性を検証した。 銀行業(国内)の営業債権及びその他債権に関する信用損失引当金の見積り監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応 会社は、連結財務諸表注記「8 金融リスク管理(4)信用リスク管理(c)信用リスク・エクスポージャー」に記載されている通り、銀行業(国内)において信用リスクに対する最大エクスポージャーとして営業債権及びその他の債権9,808,794百万円(資産合計の約36.1%)を保有している。これらは主に法人及び個人への貸出金に関するものである。関連する信用損失引当金は、連結財務諸表注記「8 金融リスク管理(4)信用リスク管理(b)予想信用損失から生じた金額に関する定量的情報及び定性的情報」に記載されている信用損失引当金197,495百万円に含まれている。 信用損失引当金は、連結財務諸表注記「3 重要性がある会計方針(3)金融商品」に記載されている通り、償却原価で測定される金融資産やその他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融資産等について、当初認識以降に信用リスクが著しく増大したと判定される場合には全期間の予想信用損失に等しい金額で測定され、当初認識以降の信用リスクが著しく増大していないと判定される場合には12ヶ月の予想信用損失に等しい金額で測定されている。 また、連結財務諸表注記「8 金融リスク管理(4)信用リスク管理」に記載されている通り、予想信用損失は、商品種類や信用格付け、担保価値など共通の信用リスク特性に基づいてグルーピングを行ったうえで、将来12ヶ月または全期間において債務不履行となる確率(PD)、債務不履行時の損失率(LGD)及び債務不履行時のエクスポージャー(EAD)をインプットとし、グルーピング単位毎に測定されている。将来の債務不履行確率を推計するにあたって、実質GDPや完全失業率などのマクロ経済指標との相関関係を利用したPDモデルと、複数の経済予測シナリオ(ベース、アップサイド、ダウンサイド)を使用しており、これらを確率加重することで予想信用損失に反映している。 特に複数の経済予測シナリオの設定と各シナリオの発生確率の見積りについては、直近の経済状況や将来の経済状況に係る会社の見解等の要素が考慮されることから、経営者の主観的判断を伴うものであり、見積りの不確実性も高くなる。 以上より、銀行業(国内)において保有する営業債権及びその他債権に関する信用損失引当金の見積りを監査上の主要な検討事項に該当するものと判断した。 当監査法人は、関係する会計方針、業務プロセス及び内部統制を理解し、銀行業(国内)の保有する営業債権及びその他債権に関する信用損失引当金の見積りの妥当性を検討した。主として実施した監査手続は以下のとおりである。・信用損失引当金の測定方法及び測定に用いるインプットについて、会計基準との関係を理解するため、会社の関連資料を閲覧し、その適用における考え方について経理責任者へ質問した。・信用損失引当金の測定において使用する将来予測的な情報について、期中における状況の変化を踏まえ、その信頼性を確保するための内部統制を含む、信用損失引当金の見積り額が適切であることを担保する内部統制について、経理責任者へ質問し関連資料を閲覧した。・信用損失引当金の測定に用いるインプットの算定に利用したデータについて、その正確性と網羅性を検証した。・以下の事項について、信用リスク評価に係る内部専門家を利用して検証した。 信用損失引当金の測定に用いるインプットについて、インプットの決定に係る文書を閲覧するとともに、再計算を行い、その合理性を検証した。 PDを推計するにあたって実質GDPや完全失業率などのマクロ経済指標との相関関係を利用したPDモデルについて、会社が実施した有効性検証結果を閲覧し、その合理性を検証した。 経済環境の変化も考慮した複数の経済予測シナリオの設定と、各シナリオの発生確率について、利用可能な企業外部の経済予測等との比較を行うことを含めてその合理性を検証した。 |
全体概要、監査上の主要な検討事項、連結 | 監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 |
見出し、監査上の主要な検討事項、連結 | 銀行業(国内)の営業債権及びその他債権に関する信用損失引当金の見積り |
内容及び理由、監査上の主要な検討事項、連結 | 会社は、連結財務諸表注記「8 金融リスク管理(4)信用リスク管理(c)信用リスク・エクスポージャー」に記載されている通り、銀行業(国内)において信用リスクに対する最大エクスポージャーとして営業債権及びその他の債権9,808,794百万円(資産合計の約36.1%)を保有している。これらは主に法人及び個人への貸出金に関するものである。関連する信用損失引当金は、連結財務諸表注記「8 金融リスク管理(4)信用リスク管理(b)予想信用損失から生じた金額に関する定量的情報及び定性的情報」に記載されている信用損失引当金197,495百万円に含まれている。 信用損失引当金は、連結財務諸表注記「3 重要性がある会計方針(3)金融商品」に記載されている通り、償却原価で測定される金融資産やその他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融資産等について、当初認識以降に信用リスクが著しく増大したと判定される場合には全期間の予想信用損失に等しい金額で測定され、当初認識以降の信用リスクが著しく増大していないと判定される場合には12ヶ月の予想信用損失に等しい金額で測定されている。 また、連結財務諸表注記「8 金融リスク管理(4)信用リスク管理」に記載されている通り、予想信用損失は、商品種類や信用格付け、担保価値など共通の信用リスク特性に基づいてグルーピングを行ったうえで、将来12ヶ月または全期間において債務不履行となる確率(PD)、債務不履行時の損失率(LGD)及び債務不履行時のエクスポージャー(EAD)をインプットとし、グルーピング単位毎に測定されている。将来の債務不履行確率を推計するにあたって、実質GDPや完全失業率などのマクロ経済指標との相関関係を利用したPDモデルと、複数の経済予測シナリオ(ベース、アップサイド、ダウンサイド)を使用しており、これらを確率加重することで予想信用損失に反映している。 特に複数の経済予測シナリオの設定と各シナリオの発生確率の見積りについては、直近の経済状況や将来の経済状況に係る会社の見解等の要素が考慮されることから、経営者の主観的判断を伴うものであり、見積りの不確実性も高くなる。 以上より、銀行業(国内)において保有する営業債権及びその他債権に関する信用損失引当金の見積りを監査上の主要な検討事項に該当するものと判断した。 |
開示への参照、監査上の主要な検討事項、連結 | 連結財務諸表注記「8 金融リスク管理(4)信用リスク管理(c)信用リスク・エクスポージャー」 |
開示への参照2、監査上の主要な検討事項、連結 | 連結財務諸表注記「8 金融リスク管理(4)信用リスク管理(b)予想信用損失から生じた金額に関する定量的情報及び定性的情報」 |
監査上の対応、監査上の主要な検討事項、連結 | 当監査法人は、関係する会計方針、業務プロセス及び内部統制を理解し、銀行業(国内)の保有する営業債権及びその他債権に関する信用損失引当金の見積りの妥当性を検討した。主として実施した監査手続は以下のとおりである。・信用損失引当金の測定方法及び測定に用いるインプットについて、会計基準との関係を理解するため、会社の関連資料を閲覧し、その適用における考え方について経理責任者へ質問した。・信用損失引当金の測定において使用する将来予測的な情報について、期中における状況の変化を踏まえ、その信頼性を確保するための内部統制を含む、信用損失引当金の見積り額が適切であることを担保する内部統制について、経理責任者へ質問し関連資料を閲覧した。・信用損失引当金の測定に用いるインプットの算定に利用したデータについて、その正確性と網羅性を検証した。・以下の事項について、信用リスク評価に係る内部専門家を利用して検証した。 信用損失引当金の測定に用いるインプットについて、インプットの決定に係る文書を閲覧するとともに、再計算を行い、その合理性を検証した。 PDを推計するにあたって実質GDPや完全失業率などのマクロ経済指標との相関関係を利用したPDモデルについて、会社が実施した有効性検証結果を閲覧し、その合理性を検証した。 経済環境の変化も考慮した複数の経済予測シナリオの設定と、各シナリオの発生確率について、利用可能な企業外部の経済予測等との比較を行うことを含めてその合理性を検証した。 |
その他の記載内容、連結 | その他の記載内容 その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 当監査法人の連結財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。 連結財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と連結財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 |
報酬関連情報、連結 | <報酬関連情報> 当監査法人及び当監査法人と同一のネットワークに属する者に対する、会社及び子会社の監査証明業務に基づく報酬及び非監査業務に基づく報酬の額は、「提出会社の状況」に含まれるコーポレート・ガバナンスの状況等(3)【監査の状況】 に記載されている。 |
Audit1
監査法人1、個別 | 有限責任監査法人トーマツ |
独立監査人の報告書、個別 | 独立監査人の監査報告書 2024年6月25日SBIホールディングス株式会社 取 締 役 会 御中 有限責任監査法人トーマツ 東京事務所 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士淡 島 國 和 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士松 本 繁 彦 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士笹 川 敦 生 <財務諸表監査>監査意見 当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられているSBIホールディングス株式会社の2023年4月1日から2024年3月31日までの第26期事業年度の財務諸表、すなわち、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、重要な会計方針、その他の注記及び附属明細表について監査を行った。 当監査法人は、上記の財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、SBIホールディングス株式会社の2024年3月31日現在の財政状態及び同日をもって終了する事業年度の経営成績を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。 監査意見の根拠 当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準における当監査法人の責任は、「財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。 監査上の主要な検討事項 監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 市場価格のない子会社株式の評価監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応 会社は、持株会社として多額の子会社株式を保有しており、財務諸表の「注記事項(重要な会計上の見積り)市場価格のない子会社株式の評価に係る見積り」に記載されている通り、当事業年度末現在、市場価格のない子会社株式1,114,329百万円を貸借対照表に計上し、資産合計のうちの多くの割合(約58.2%)を占めている。また、その一部には超過収益力を反映して取得したものが含まれている。 子会社株式は、財務諸表の「注記事項(重要な会計方針)1.資産の評価基準及び評価方法(1) 子会社株式及び関連会社株式」に記載されている通り、移動平均法による原価法にて貸借対照表に計上されている。 市場価格のない子会社株式の減損処理の要否は、取得原価と実質価額とを比較することにより判定されており、実質価額が取得原価に比べ50%程度以上低下したときは実質価額まで減損処理する方針としている。 子会社株式は貸借対照表における金額的重要性が高く、また、当該実質価額の算定にあたっては、財務諸表の「注記事項(重要な会計上の見積り)市場価格のない子会社株式の評価に係る見積り」に記載されている通り、インカムアプローチによる評価が行われており、これに事業の超過収益力が加味される場合もあり、当該超過収益力の算定には見積りの不確実性や経営者の重要な判断を伴う。 以上より、当監査法人は、市場価格のない子会社株式の評価を監査上の主要な検討事項に該当するものと判断した。 当監査法人は、関係する会計方針、業務プロセス及び内部統制を理解し、市場価格のない子会社株式の評価を検討した。主として実施した監査手続は以下のとおりである。・経営者による実質価額の算定の妥当性を確保するための、社内における査閲と承認に係る内部統制の有効性を検証した。・実質価額に事業の超過収益力を含めている子会社について、事業実績及び利用可能な企業外部の情報等との比較により将来キャッシュ・フローの見積りの妥当性を検証するとともに、企業価値評価の内部専門家を利用し、主として、超過収益力に影響を与える経営者が使用した重要な仮定を検証した。・実質価額を各子会社の財務数値等に基づき再計算し、取得原価との比較に際して用いた実質価額の正確性、及び取得原価に対する実質価額の著しい下落が生じた子会社株式の有無について、経営者の判断の妥当性を検証した。 その他の記載内容 その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 当監査法人の財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。 財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 財務諸表に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任 経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して財務諸表を作成し適正に表示することにある。これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。 財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。 監査役及び監査役会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 財務諸表監査における監査人の責任 監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から財務諸表に対する意見を表明することにある。虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。 監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。 ・不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。 ・財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。 ・経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。 ・経営者が継続企業を前提として財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する財務諸表の注記事項が適切でない場合は、財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。 ・財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた財務諸表の表示、構成及び内容、並びに財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。 監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。 監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。 監査人は、監査役及び監査役会と協議した事項のうち、当事業年度の財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。 <報酬関連情報> 報酬関連情報は、連結財務諸表の監査報告書に記載されている。 利害関係 会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。以 上(注)1.上記の監査報告書の原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。2.XBRLデータは監査の対象には含まれていません。 |
監査上の主要な検討事項、個別 | 監査上の主要な検討事項 監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 市場価格のない子会社株式の評価監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応 会社は、持株会社として多額の子会社株式を保有しており、財務諸表の「注記事項(重要な会計上の見積り)市場価格のない子会社株式の評価に係る見積り」に記載されている通り、当事業年度末現在、市場価格のない子会社株式1,114,329百万円を貸借対照表に計上し、資産合計のうちの多くの割合(約58.2%)を占めている。また、その一部には超過収益力を反映して取得したものが含まれている。 子会社株式は、財務諸表の「注記事項(重要な会計方針)1.資産の評価基準及び評価方法(1) 子会社株式及び関連会社株式」に記載されている通り、移動平均法による原価法にて貸借対照表に計上されている。 市場価格のない子会社株式の減損処理の要否は、取得原価と実質価額とを比較することにより判定されており、実質価額が取得原価に比べ50%程度以上低下したときは実質価額まで減損処理する方針としている。 子会社株式は貸借対照表における金額的重要性が高く、また、当該実質価額の算定にあたっては、財務諸表の「注記事項(重要な会計上の見積り)市場価格のない子会社株式の評価に係る見積り」に記載されている通り、インカムアプローチによる評価が行われており、これに事業の超過収益力が加味される場合もあり、当該超過収益力の算定には見積りの不確実性や経営者の重要な判断を伴う。 以上より、当監査法人は、市場価格のない子会社株式の評価を監査上の主要な検討事項に該当するものと判断した。 当監査法人は、関係する会計方針、業務プロセス及び内部統制を理解し、市場価格のない子会社株式の評価を検討した。主として実施した監査手続は以下のとおりである。・経営者による実質価額の算定の妥当性を確保するための、社内における査閲と承認に係る内部統制の有効性を検証した。・実質価額に事業の超過収益力を含めている子会社について、事業実績及び利用可能な企業外部の情報等との比較により将来キャッシュ・フローの見積りの妥当性を検証するとともに、企業価値評価の内部専門家を利用し、主として、超過収益力に影響を与える経営者が使用した重要な仮定を検証した。・実質価額を各子会社の財務数値等に基づき再計算し、取得原価との比較に際して用いた実質価額の正確性、及び取得原価に対する実質価額の著しい下落が生じた子会社株式の有無について、経営者の判断の妥当性を検証した。 |
全体概要、監査上の主要な検討事項、個別 | 監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 |
見出し、監査上の主要な検討事項、個別 | 市場価格のない子会社株式の評価 |
その他の記載内容、個別 | その他の記載内容 その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 当監査法人の財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。 財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 |
報酬関連情報、個別 | <報酬関連情報> 報酬関連情報は、連結財務諸表の監査報告書に記載されている。 |
BS資産
有形固定資産 | 791,000,000 |
ソフトウエア | 1,997,000,000 |
無形固定資産 | 2,184,000,000 |
投資有価証券 | 6,191,000,000 |
投資その他の資産 | 1,271,070,000,000 |
BS負債、資本
短期借入金 | 169,061,000,000 |
1年内返済予定の長期借入金 | 80,080,000,000 |
未払金 | 8,332,000,000 |
未払法人税等 | 993,000,000 |
未払費用 | 3,401,000,000 |
賞与引当金 | 308,000,000 |
繰延税金負債 | 17,744,000,000 |
資本剰余金 | 322,529,000,000 |
利益剰余金 | 50,630,000,000 |
その他有価証券評価差額金 | 6,495,000,000 |
評価・換算差額等 | 6,495,000,000 |