財務諸表
CoverPage
提出書類、表紙 | 有価証券報告書 |
提出日、表紙 | 2024-06-26 |
英訳名、表紙 | SORACOM, INC. |
代表者の役職氏名、表紙 | 代表取締役社長 玉川 憲 |
本店の所在の場所、表紙 | 東京都世田谷区玉川四丁目5番6号 尾嶋ビル3階(同所は登記上の本店所在地であり、実際の業務は下記「最寄りの連絡場所」で行っております。) |
電話番号、本店の所在の場所、表紙 | 該当事項はありません。 |
様式、DEI | 第三号様式 |
会計基準、DEI | Japan GAAP |
連結決算の有無、DEI | true |
当会計期間の種類、DEI | FY |
corp
沿革 | 2 【沿革】 年月概要2014年11月IoT向けのSIM及び無線通信回線サービスの提供を主たる事業目的として、東京都目黒区目黒において株式会社ヴイコネック設立2015年4月株式会社ソラコムに社名変更、本店を東京都世田谷区玉川に移転2015年9月IoTプラットフォーム「SORACOM」を提供開始2016年2月 リヒテンシュタイン公国にSORACOM LI, LTD.(連結子会社)を設立(2020年5月にSORACOM CORPORATION, LTD.(英国)(現連結子会社)に業務を引き継ぎ、2021年12月に清算結了)2016年5月 シンガポールにSORACOM INTERNATIONAL, PTE. LTD.(連結子会社)を設立(2020年5月にSORACOM CORPORATION, LTD.(英国)(現連結子会社)に業務を引き継ぎ、2022年7月に清算結了)省電力無線通信規格 LoRaWANへの対応を開始2016年6月 デンマークにSORACOM DK ApS(連結子会社)を設立(2020年5月にSORACOM CORPORATION, LTD.(英国)(現連結子会社)に業務を引き継ぎ、2022年3月に清算結了)2016年8月米国にSoracom Global, Inc.(現連結子会社)を設立2016年11月北米でのIoTプラットフォームサービス提供を開始2017年2月欧州でのIoTプラットフォームサービス提供を開始2017年7月省電力無線通信規格 Sigfoxへの対応を開始2017年8月KDDI株式会社への株式譲渡により、連結子会社としてKDDIグループに参画(連結子会社化)2017年10月機器への組み込みが可能なチップ型SIM(Embedded SIM, eSIM)を提供開始2018年5月国内向けセルラー通信でKDDI回線を提供開始2018年7月国内初のセルラー通信内蔵 SORACOM LTE-M Buttonシリーズを発売開始2018年7月セルラーLPWA LTE-Mへの対応を開始2019年3月IoTサブスクリプション・マーケットプレイス IoT SELECTION connected with SORACOM(注)を開設2019年7月エッジ処理AIカメラ S+ Camera Basicを開発2019年11月英国にSORACOM CORPORATION, LTD.(現連結子会社)を設立2020年2月海外旅行者向け eSIMデータ通信サービス SORACOM Mobileを提供開始2020年5月リヒテンシュタイン、シンガポール及びデンマーク拠点の機能を集約し、英国拠点での営業を開始2021年6月 当社プラットフォームの国内外における利用実績の拡大、サービス拡充を目的とし、セコム株式会社、ソースネクスト株式会社、ソニーグループ株式会社、日本瓦斯株式会社、株式会社日立製作所及びWorld Innovation Labの6社と資本業務提携を実現2022年5月クラウドカメラサービス ソラカメを提供開始2023年7月株式会社松尾研究所と「IoT x GenAI Lab」を設立2024年3月東京証券取引所グロース市場に株式を上場 (注) IoT SELECTION connected with SORACOMとは、導入事例として実績のあるIoTソリューションを、サブスクリプション(サービス利用料課金モデル)で提供するBtoB向けウェブサイトです。 |
事業の内容 | 3 【事業の内容】 当社グループは、当社、連結子会社である米国のSoracom Global, Inc.及び英国のSORACOM CORPORATION, LTD.の計3社で構成されており、IoTプラットフォーム事業(単一セグメント)を展開しております。 (1)ビジョン現在、あらゆるモノがインターネットにつながるIoT(Internet of Things)の活用が世界的に加速しております。IoTの導入によって労働力不足やサステナビリティといった様々な社会的な課題を解決することが望まれております。しかし、デバイスの多様化、データ通信の複雑化、テクノロジーの高度化は益々進んでおり、企業がIoTを導入するには、ハードウェア、ソフトウェア、通信、セキュリティ、生成AIと多くの技術要素が複雑に絡む様々な課題に対処する必要があります。 当社グループは「世界中のヒトとモノをつなげ、共鳴する社会へ」のビジョンのもと、IoT活用に必要な各種サービスをワンストップに提供する事業を展開しております。最も顧客至上主義な会社として、当社のプラットフォームサービスの利用によって、多くの企業が気軽にIoTを導入し、即時に大規模展開することが可能となる「テクノロジーの民主化」を実現し、社会をより良いものへ変革することを目指しております。 (2)事業・サービスの概要当社グループは、顧客企業がIoTを導入・運用する際に直面する共通課題を解決するIoTプラットフォーム「SORACOM」(以下「当社プラットフォーム」という。)を提供しております。具体的には、IoTデバイスやIoT SIM、IoTに必要な通信回線、IoTサービスに求められるデータ保存や可視化アプリケーション、ネットワークサービス等をプラットフォームサービスとして提供しております。顧客企業は、当社プラットフォームを利用することで、迅速かつ効率的にIoTサービスを立ち上げることが可能になります。さらに、エコシステムパートナー企業には、プラットフォームを補完する多様なサービスの提供をいただき、共にIoTのエコシステムを発展させております。 当社はKDDI株式会社や株式会社NTTドコモなどの移動体通信事業者(MNO:Mobile Network Operator)から通信回線を調達している仮想移動体通信事業者(MVNO:Mobile Virtual Network Operator)であるとともに、クラウド上にモバイル・コア(注)を独自に構築することによって、IoTに特化した通信サービスをコスト競争力のある価格で提供しております。当社プラットフォームのコスト競争力は、MNOが提供する従来型のモバイル・コアが、サーバー、交換機及びデータセンター等を主にハードウェアによって構築しているため、多額の設備投資や更新費用の負担が必要となる一方で、当社独自のモバイル・コアはサーバー、交換機、データセンター等の機能をソフトウェアによりクラウド上に構築しているため、設備投資や更新費用の負担が相対的に少なくなっていることに起因しております。また、当社プラットフォームは全てクラウド上に展開していることから、クラウド上の他社サービスとの親和性が高いだけでなく、当社独自のプラットフォームサービスとして、データの蓄積や可視化、クラウド連携やリモートアクセス、パケットキャプチャー、閉域ネットワークなど様々なIoT向けサービスを顧客のフィードバックを基に自社で開発し、柔軟に提供することが可能であり、継続的な機能更新や追加等を含めた拡張性を備えております。(注)モバイル・コアとは、モバイル通信の基幹システムで、端末の制御、加入者情報管理、通信経路設定等を行っております。 当社プラットフォームは、一定規模の回線契約を必要とせず1回線からIoT通信を手軽に利用することが可能であり、かつ、予め必要となる各種IoT向けサービス・機能が用意されていることから汎用的に利用可能であるため、スタートアップ企業から大企業までの様々な規模の顧客企業において、システム開発又はカスタマイズ等の初期投資を抑えつつIoTを導入することが可能となっております。今までは顧客がIoT通信を開始するためには、MNOと一定規模の回線数をまとめて契約しなければならず、初期投資も多額になる傾向だったものが、当社プラットフォームは、1回線から利用できる汎用的な通信サービスを提供しているため設備負担が少ない形でIoT通信を開始することが可能です。 また、一般的なMVNOから安価な通信サービスを利用した場合、当社プラットフォームのようなIoT向けサービスをワンストップで提供していないことが多いため、顧客はIoTの導入を一気通貫で進めることができないことがあります。一方で、当社プラットフォームにおいてはデータの蓄積や可視化、クラウド連携やリモートアクセス、パケットキャプチャー、閉域ネットワークなど様々なIoT向けサービスを利用できるため、顧客はIoTの導入を一気通貫で進めることができます。さらには、顧客がIoTを始める上で必要なシステムを新しく自社開発することなく、当社のプラットフォームサービスを利用するだけでIoTを導入することが可能です。加えて、当社プラットフォームを利用したIoT導入を支援するパートナープログラムを構築しており、顧客企業がIoT活用を進める上での課題を解決するエコシステムを形成しております。エコシステムのパートナー企業は当社プラットフォームを活用して、付加価値の高いソリューションやシステムインテグレーションをIoTを導入する顧客企業に提供することが可能となっております。これらエコシステムのパートナー企業数の増加が当社プラットフォームを補完するサービスの充実につながり、IoTのエコシステムを発展させております。日本では、2015年9月以降、パートナープログラムを洗練させており、その効果もあり2024年3月現在220社を超えるエコシステムパートナー企業(注)が登録されております。(注)エコシステムパートナー企業は、認定資格者数や販売実績などの一定の基準を満たし、当社プラットフォーム活用の実績を持つと認定されたパートナーをいいます。 上記の事業サービスを展開することにより、当社プラットフォームを活用して、スマートメータリング、シェアリングモビリティ、スマートファクトリー、クラウド通訳機、子供やシニアの見守り端末、遠隔医療、遠隔監視といった、顧客企業の業務効率化や省力化の推進や、社会課題を解決するための数多くのIoTサービスが創出されております。 当社プラットフォームは、顧客企業自らがインターネット検索、Web広告、オンラインイベントやディベロッパーコミュニティの口コミや評判を通じて当社プラットフォーム及びサービスに興味を持ち、Web上にて通信SIMの購入及びサービス利用契約を行い、サービス利用を開始することが可能なセルフサービスモデル型の事業展開を構築しております。また、当社プラットフォームの利用を小規模から開始した顧客に対しては、IoT分野に精通する当社営業人員やエコシステムのパートナー企業が顧客のIoT利用の拡大をサポートしており、顧客のIoT利用が大きく拡大すると、IoTの成功事例として他の顧客に波及(ネットワーク効果)し、新たな顧客による当社プラットフォームの利用につながるという好循環が生まれているものと認識しております。なお、顧客獲得戦略は後述「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に詳細を記載しております。このような顧客獲得戦略によって、2024年3月において国内外の課金アカウント数(注)は8,000個を超えて拡大しており、スタートアップ企業から大企業、米国/欧州企業まで多くの顧客が当社プラットフォームを利用するに至っております。 最近では、AI技術の社会実装に強みを持つ株式会社松尾研究所(所在地:東京都文京区、代表取締役 川上登福)とともに、ChatGPTに代表されるGenerative AI(生成AI、以下、GenAI)とLLM(大規模言語モデル)のIoT分野での活用を研究・推進するチーム「IoT x GenAI Lab」を設立しました。IoT分野におけるGenAI、LLMを用いた技術検証やプロトタイピング、新たなプロダクトの開発をおこなうとともに、ユーザー企業向けのプロジェクト支援を視野に入れ活動し、将来の事業・サービスの拡大を図っています。 (注)課金アカウント数は、1ヶ月の間にリカーリング収益が発生した口座数をいいます。同一の顧客企業等が部署や業務別に複数の口座を有する場合が含まれております。 当社グループが獲得する収益は、「リカーリング収益(プラットフォーム利用料)」、「商品販売」及び「その他」により構成されており、各サービス等の概要は以下のとおりであります。 [リカーリング収益 (プラットフォーム利用料)]① 通信サービス(コネクティビティ)IoT向けの通信接続を提供するサービスであり、「SORACOM Air」の名称にて以下の通信規格に対応したサービスを提供しております。当該サービスにおいては、通信サービスにかかる従量課金による継続収入を受領しており、リカーリング収益の主要な収益源となっております。 ・セルラー通信当社グループの主たる通信サービスであり、携帯電話向け周波数帯である2G/3G/LTE/5Gに対応したデータ通信SIM「IoT SIM」による通信サービスを提供しております。当該通信サービスは、国内向け回線及びグローバル回線に区分され、世界180の国と地域における利用をカバーしております。・LPWA通信省電力及び長距離伝送を特徴とし、IoT用途での利用に適したLPWA(Low Power Wide Area)通信を用いたサービスであり、Sigfox、LoRaWAN及びLTE-Mの各ネットワークを利用した通信サービスを提供しております。・その他通信上記の他に、Skylo Technologie, Inc. と協業し、衛星通信を提供しております。また、Wi-Fi、有線通信、衛星通信など通信経路に限らず、ネットワーク上のデータを暗号化して通信を行い当社グループのIoTプラットフォーム機能を利用できる「SORACOM Arc」も提供しております。 ② ネットワークサービスIoTシステム運用のためには、安全性の確保、通信方向の制御、取得したデータの利用等、通信サービス(コネクティビティ)の利用だけでは解決できない様々な課題が生じます。これらの課題を解決するために、VPN接続や物理専用線によりIoTデバイスから各種クラウドや顧客データセンターまでをセキュアに接続するサービス、当社通信サービスによりつながるIoTデバイスに必要時に遠隔から安全にアクセスできるサービス等を提供しており、ネットワークサービス上の顧客のデータ利用に応じた従量課金による継続収入を受領しております。 ③ アプリケーションサービスIoTデバイスから送信されるセンサーデータ等を時系列で保存する機能、データを可視化するダッシュボードの作成/共有サービス、各種クラウドやAI/機械学習などのサービスへのデータ転送サービス、IoT デバイスの管理等IoTデータ活用やIoTデバイス活用における課題を解決する機能を提供するサービスを提供しており、顧客のデータ利用に応じた従量課金による継続収入を受領しております。 ④ その他(KDDI向けプラットフォーム提供)主要株主であるKDDI株式会社との業務提携契約に基づく協業の一環として、同社が構築する「IoT世界基盤」(グローバルIoTアクセス)の基礎となる通信ネットワークについて、当社プラットフォームを提供しております。 [商品販売]通信サービス提供時の回線契約に伴い主に販売される通信用IoT SIMに加えて、通信モジュール、USBドングル、カメラ・GPS・ センサー等のIoTデバイス等の商品を仕入販売しております。また、特定大口顧客向けにはスマートメーター等の商品を販売しております。 [その他]① プロフェッショナルサービス当社グループのIoTプロフェッショナルコンサルタントが、顧客企業のIoT導入プロジェクトにかかる技術要素や課題の整理、実行計画立案の支援等、顧客プロジェクトに参画・サポートを行うコンサルティングサービスを提供しております。また、企業のIoTプロジェクトに関するシステム開発の考え方や、システム構成、具体的なサービス提供について実装するワークショップも提供しております。 ② 業務受託主要株主であるKDDI株式会社との業務提携契約に基づく協業の一環として、技術開発支援等の業務を受託しており、個々の受託案件毎に業務受託収入を受領しております。 「商品販売」や「その他」の売上については顧客がIoT事業を始めるときだけでなく、IoT事業の拡大に伴って継続的に増加する売上であるため、「商品販売」や「その他」の売上をインクリメンタル収益と呼称しており、インクリメンタル収益の増加に伴って、リカーリング収益も増加していく関係にあります。一般的なIoTプロジェクトは、顧客企業がSIMやデバイスを購入し、PoC(概念検証)を実施した後、商用サービスを開始するにつれ規模が拡大していきます。規模の拡大とともに、インクリメンタル収益は増加するとともに、リカーリング収益の割合が高まっていく傾向があります。 (3)事業の特徴[技術的な優位性]① パブリック・クラウド上に構築した独自のモバイル・コアについて従来型のモバイル・コアは交換器やサーバー等をハードウェアで構築していたため設備投資負担が大きいところ、当社グループはパブリック・クラウド上にソフトウェアベースで独自のモバイル・コアを構築しているため、コスト競争力と高い拡張性を実現しております。このモバイル・コアに関連する特許も70以上有しており、当社プラットフォームの技術的優位性の源泉となっております。 ② 継続的な機能更新及びサービス拡張について当社グループは創業以降、プロダクト開発を積極的に進めており、多くの顧客企業がIoTに取り組む際に直面する共通課題を解決できるサービスを通信(コネクティビティ)、デバイス、アプリケーションの多岐に渡り提供しております。必要な機能が、レゴのブロックのようにモジュールとして揃っているため、顧客企業は、必要な要素を活用することで、すぐに新しいサービスを創り出すことができます。また、顧客企業からのフィードバックに基づいた継続的な機能更新及びサービス拡張を実施しており、2024年3月時点で404の機能を顧客に提供しております。近年は平均2週間の開発サイクルにて継続的に新機能をリリースしており、当社プラットフォームのアップデートを通じて、顧客は先端技術の導入や利便性が向上されたサービスの利用が可能となっております。例えば2023年には、生成AIのテクノロジーを活用した機能として、IoTデータ保存のサービス「SORACOM Harvest Data」 に蓄積された時系列データを AI 分析を開始し、その異常値や傾向などを自然言語で受け取ることができる「SORACOM Harvest Data Intelligence」を提供開始しております。また、2023年に株式会社松尾研究所とIoT分野におけるLLM(大規模言語モデル)の 活用を研究・推進する「IoT x GenAI Lab」も設立し、IoT x 生成AIの最先端に取り組んでおります。 ② 多様な通信規格への対応及びクラウドとの高い親和性当社プラットフォームは通信サービスにおいて、セルラー回線(3G~5G)及びSigfox等のLPWA回線による通信規格に対応しているほか、仮想SIMを発行することによりWi-Fiや有線Ethernetのインターネット回線などで接続するデバイスを提供しております。また、多様な通信規格による接続を可能とし、それら通信によって収集されたデータを当社プラットフォーム上で、一元的かつ容易に管理可能な設計としております(「Connectivity Agnostic」と称しております)。また、当社プラットフォームはパブリック・クラウド上で構築されていることから、同じくパブリック・クラウド上に構築された顧客システムとの互換性が非常に高いことに加えて、データセンターなどのプライベート・クラウドも含め、他のクラウドサービスとの連携も容易に実行可能となっております(「Cloud Agnostic」と称しております)。当社グループは、上記の「Connectivity Agnostic」及び「Cloud Agnostic」を、当社プラットフォームの機能柔軟性における特徴として顧客に訴求しており、一定の評価を受けているものと認識しております。 [グローバル・カバレッジ]当社グループの現在の売上高においては、国内向けサービスが過半を占めておりますが、当社グループは、国内向けに加えて、海外地域向けサービスも展開しております。当社グループは、SIM内のソフトウェアを自社開発することで回線プロファイルの拡張を可能としており、顧客ニーズに合わせてカスタマイズできるSIM/eSIMを提供しております。海外における接続回線は、欧州、米国、アジアの複数のキャリアとの契約により当該キャリアがローミング接続する各地域の通信キャリア回線を含めた調達を実現しており、当社プラットフォームは2024年3月時点において180の国と地域で、392のキャリア(注)を使用することが可能な通信カバレッジ体制を構築しております。また、契約の切り替え無しに複数のキャリアを使用できることも特徴のひとつであり、例えば、米国においては、全土にIoTシステムを配置しようとした場合に一つのキャリアが提供する通信ではIoTシステムをカバーできないという顧客側の課題がありますが、当社プラットフォームにおいては複数のキャリアを使用可能とすることでこれを解消しており、同国における競争優位性を確立していると考えております。(注)キャリアは、当社プラットフォームが接続可能な移動体通信事業者をいいます。 [強固なセキュリティ]IoTプラットフォームを提供するにあたり、当社は2017年に情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の国際規格であるISO/IEC 27001:2013の認証を取得しているほか、AWS Foundational Technical Review等の外部機関によるシステム脆弱性診断を実施し指摘事項に対応することで、強固なセキュリティを構築しております。社内においてもISMS取得に際して情報セキュリティに関する各種規程を整備し運用したほか、四半期に一度システムに係る内部監査を実施することで、継続的にセキュリティを確認しております。このようにセキュリティの管理運営に関して充実を図ることで、当社グループのIoTプラットフォームサービスを顧客が安心かつ安全に利用することが可能になっているものと考えております。 [顧客ストックの蓄積と事業拡大]当社グループのサービスにおいては、IoT領域における特性として一度導入されたサービスが継続利用される傾向が強く、サービス開始以降、順調に顧客数は拡大しております。また、当社グループの事業においては、導入時におけるIoTデバイスの販売、各種セットアップ料等の初期費用にかかるインクリメンタル収益に加えて、データ通信量等のサービス利用に応じた継続課金にかかるリカーリング収益を獲得する構造であることから、比較的安定したビジネスモデルが構築されていると考えております。当該ビジネスモデルにおいては、データ通信を実現する契約回線数(注1)と課金アカウント数(注2)の増加が重要となりますが、当社グループと顧客企業との取引においては、サービス導入時は小規模で開始されるものの、顧客企業におけるサービス導入範囲の拡大や、顧客企業が提供するIoTビジネスの拡大等に伴い、契約回線数並びにデータ通信量が拡大するケースが多く、新規顧客獲得に加えて、既存顧客との取引拡大が事業成長に大きく貢献する構造となっていると認識しております。(注)1.契約回線数は、セルラー回線及びLPWA回線の数をいいます。2.課金アカウント数は、1ヶ月の間にリカーリング収益が発生したアカウント数をいいます。 当社グループの事業系統図は以下のとおりであります。 用語解説本項「3 事業の内容」において使用しております用語の定義について以下に記します。用語用語の定義IoTInternet of Things(モノのインターネット)の略称。様々なモノをインターネット接続して活用すること又はその技術を意味します。この仕組みにより、離れた場所にあるモノ同士のデータの授受、遠隔操作などが可能になります。IoTプラットフォームIoT向けのプラットフォーム。インターフェース2つの異なる機器やシステム、ソフトウェア間で情報のやり取りがなされる際、その間をつなぐ規格や機能であり、当社においては、外部からWebを介して当社プラットフォームとの接続を可能にし、アクセス権限管理やユーザーがソフトウェアを操作したり、アプリケーションを構築できるサービスなどを提供しております。モバイルコアネットワーク移動体通信事業者等が提供する、大規模なネットワークにおける拠点間、事業者間等を結ぶ大容量の通信回線網を意味します。 IoT通信IoT向けのデータ通信。パケットキャプチャー通信ネットワークや回線を流れるデータ(packet)を捕獲(capture)して、内容の表示や解析、集計などを行うことを意味します。これにより、通信の挙動の検証などを行うことができます。閉域ネットワーク不特定多数から直接アクセスを受けない、インターネットから物理的・論理的に分離されているネットワークを意味します。2G携帯電話等における通信規格「2nd Generation」の略称。デジタルな無線技術による通信を可能にした反面、通信速度が比較的遅い規格を意味します。3G携帯電話等における通信規格「3rd Generation」の略称。電波が広範囲に届くことにより様々な場所での通信が可能である反面、2Gに比べて通信速度が向上した規格を意味します。LTELong Term Evolutionの略称。3Gより後に開発された携帯電話等における通信規格であり、3Gに比べて通信速度が向上した規格を意味します。5G携帯電話等における通信規格「5th Generation」の略称。従来の無線通信システムである4G/LTEに比べ、高周波数帯を利用した超広帯域伝送などによる高速・大容量通信、低遅延、多数接続といった特長がある規格を意味します。SIMSubscriber Identity Moduleの略称。利用者を識別する固有の番号が記録されており、端末に装着することで、通信することが可能になります。LPWALow Power Wide Areaの略称。低消費電力で長距離の通信ができる無線通信技術を指します。Sigfox仏国Unabiz SAS社が提供する低消費電力・長距離伝送を特長とした、グローバルIoTネットワークを意味します。LoRaWANLoRa(Long Range)の変調方式を採用したLPWAの通信規格のひとつを意味します。LTE-MLTEの一部周波数帯域のみを利用する通信規格を意味します。VPNVirtual Private Networkの略称。暗号化等によりセキュリティを高めることを目的として、一般的なインターネット回線の中に作られた、仮想的なプライベートネットワークを意味します。AIArtificial Intelligenceの略称。人間が行う知的活動をプログラムとして実現することを意味します。Wi-Fi端末が互いに無線によって接続可能になる通信方式を意味します。Ethernet主に室内でコンピュータや電子機器をケーブルでつないで通信する通信規格を意味します。ISMSInformation Security Management System(情報セキュリティマネジメントシステム)の略称。国際標準化機構(ISO)と国際電気標準会議(IEC)が共同で策定する情報セキュリティ規格で、情報資産の保護、利害関係者からの信頼を獲得するための“情報セキュリティ体制の確保”を目的としたフレームワークを意味します。 用語用語の定義ISO/IEC 27001:2013ISMSを構築することを目的に、その構築に必要な要求事項や管理策などを記載した国際規格を意味します。AWS Foundational Technical ReviewAWS上で提供されているサービスに関して、セキュリティ・信頼性・運用上の優秀性等の観点でワークロードを評価・診断することにより、AWSのベストプラクティスに沿っているか認定する制度を意味します。回線プロファイルAPN(Access Point Name)設定プロファイル。回線へ接続するためのアクセスポイントを定義したファイルを意味します。このプロファイルを基に、回線へ接続することが可能になります。eSIMEmbedded Subscriber Identity Moduleの略称。組み込み型のSIMであり、デバイスに手動で挿入するSIMカードとは違い、デバイスの製造時に基盤に実装されます。ローミング接続通信事業者間の提携により、利用者が契約しているサービス事業者のサービスエリア外であっても、提携先の事業者のエリア内にあれば同様のサービスを利用できることをローミングといい、そのサービスを利用した接続を意味します。スマートメータリングガス・電気・水道等のメーターをインターネットに接続し、利用量や保安データの取得を可能にします。検針等にかかっていた業務コストの削減やデータの適時取得により、利用の予測と最適化、保安の高度化を実現します。スマートファクトリー工場内のシステムや生産設備等をインターネットに接続し、設備の稼働状況等のデータの取得を可能にします。得られたデータは、製造工程の可視化、生産性や品質の向上、在庫管理や物流の最適化に活用されます。LLM(大規模言語モデル)Large Language Modelsの略称。大量のデータをディープラーニング(深層学習)させることで、人が理解できる自然言語でのテキスト生成を実現します。IoT分野では、専門人材のようなデータ分析や予測などの分野で期待されています。 |
関係会社の状況 | 4 【関係会社の状況】 名称住所資本金主要な事業の内容議決権の所有(又は被所有)割合(%)関係内容(連結子会社) Soracom Global, Inc.(注)1米国ワシントン州ベルビュー市500千USDIoTプラットフォーム事業100.00ブランド構築の委託役員の兼任 3名(連結子会社) SORACOM CORPORATION, LTD.(注)1, 2英国ロンドン市700千GBPIoTプラットフォーム事業100.00ソフトウェアのライセンス契約役員の兼任 2名(その他の関係会社) KDDI株式会社(注)3東京都新宿区141,852百万円電気通信事業被所有(40.68)主要株主通信回線の仕入開発業務の受託役員の兼任 2名 (注)1.特定子会社であります。2.SORACOM CORPORATION, LTD.については、売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く。)の連結売上高に占める割合が10%を超えております。主要な損益情報等① 売上高2,311,520千円 ② 経常利益853,145千円 ③ 当期純利益640,447千円 ④ 純資産額1,773,716千円 ⑤ 総資産額2,363,778千円 3.東京証券取引所プライム市場上場企業であり、有価証券報告書の提出会社であります。 |
従業員の状況 | 5 【従業員の状況】 (1) 連結会社の状況 2024年3月31日現在セグメントの名称従業員数(名)IoTプラットフォーム事業150(12) (注) 1.従業員数は就業人員であります。なお、臨時雇用者数は年間の平均人員を( )内に外数で記載しております。2.当社グループは、「IoTプラットフォーム事業」の単一セグメントであります。 (2) 提出会社の状況 2024年3月31日現在従業員数(名)平均年齢(歳)平均勤続年数(年)平均年間給与(千円)101(8)41.053.6411,164 (注) 1.従業員数は就業人員であります。なお、臨時雇用者数は年間の平均人員を( )内に外数で記載しております。2.平均年間給与は、基準外賃金を含んでおります。 (3) 労働組合の状況当社グループにおいて労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満であり、特記すべき事項はありません。 (4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異当社グループは、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。 |
経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 | 1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。 (1)経営方針今後もIoTの導入は加速し、インターネットに接続されるデバイス数は飛躍的に増加すると予想されます。それに伴いIoTのテクノロジーはあらゆる会社にとって重要性が高まることが推察されます。そのような環境の中、当社グループはIoTの導入におけるハードルを下げ、多様な顧客が利用可能な汎用性の高いプラットフォームを提供することで、ミッションとして掲げる「テクノロジーの民主化」に向けて取組んでまいります。当社グループは、「世界中のヒトとモノをつなげ共鳴する社会へ」のビジョンを実現するために、プロダクトポートフォリオの拡充によってMVNO(仮想移動体通信事業者)としてグローバルでNo.1のIoT プラットフォームを目指します。 (2)経営戦略等当社グループは、上記の経営方針の下、さらなる成長の実現に向けて、顧客のフィードバックに基づきIoTプラットフォームに継続的機能強化を行い、リカーリング収益の持続的な成長を実現します。さらに、グローバル展開に向けた販売体制の強化、大規模案件の安定的な獲得、戦略的アライアンスの推進を基本的な戦略としております。 (a)リカーリング収益の持続的な成長当社グループは、IoTサービスを始める顧客企業に向けて包括的なサービスを提供しております。具体的には、IoTデバイスやIoT SIM、IoTに必要な通信回線、IoTサービスに求められるデータ保存や可視化アプリケーション、ネットワークサービス等をプラットフォームサービスとして提供しております。当社プラットフォームでは、Web上で提供するIoTストアから、IoT SIMやデバイスを1個単位で購入し、すぐにサービス利用を開始することができるため、顧客企業が自らサービス利用を開始することができるセルフサービスモデル型で事業を展開しております。Web広告やイベントを通じて当社プラットフォームの認知度を上げるとともに、IoTの導入ハードルを下げることで、幅広いセルフサービスアカウント(注1)の獲得を目指しており、セルフサービスアカウント数の増加がひとつの成長ドライバーとなります。上記のセルフサービスアカウント数の増加に加えて、メジャーアカウント(注2)への転換も当社グループの成長ドライバーになると考えております。当社グループにおいては、顧客によるIoTの導入規模や成長スピード等のポテンシャルを考慮の上でサービス導入や将来の取引拡大にかかるサポートを要すると判断した場合には、IoTに精通したアカウントマネージャーが対応することとしており、さらに、顧客ニーズに応じてスムーズなサービス導入及び立ち上げを促進するプロフェッショナルサービスを提供しております。当社プラットフォームを利用するセルフサービスアカウントが成長することで、契約回線数並びにデータ通信量が拡大するケースが多く、当社プラットフォームの利用料が増加し、メジャーアカウントへ成長する事例も増えております。結果として、2024年3月期におけるリカーリング収益のNRR(注3)は123%の伸びとなっております。また、これらのメジャーアカウントの成長による成功事例が、当社プラットフォームのサービスの評価や認知向上に繋がり拡散されることによるネットワーク効果から、更なるセルフサービスアカウントの獲得に結び付くという好循環を生み出しているものと認識しております。さらに、当該ネットワーク効果は、IoTに精通しているアカウントマネージャーが比較的大規模にIoT事業を始める顧客に直接アプローチすることで、新規のメジャーアカウントの獲得にも寄与しており、2024年3月末で課金アカウントは8,000個以上と継続的に増加しております。なお、IoT領域における特性に加え上記のアカウントマネージャーのフォローにより、2024年3月末の主要顧客の年間解約率は0.3%(注4)に留まっております。当社プラットフォームは、5G/6G、衛星通信、生成AI、などのテクノロジーの進化、異なる業種での顧客利用にあわせ、今後も継続して新規機能を追加していく予定であり、リカーリング収益の持続的な成長が見込まれます。(注1)セルフサービスアカウントとは、当社のアカウントマネージャーが担当していない比較的小規模なアカウントをいいます。(注2)メジャーアカウントとは、規模や将来性等を踏まえ当社のアカウントマネージャーが担当しているアカウントをいいます。(注3)Net Retention Rate の略称。既存顧客のリカーリング収益の継続率を表し、以下の式で算出しております。NRR=(前期以前に獲得した顧客の当期リカーリング収益)÷(当該顧客の前期リカーリング収益)。(注4)2024年3月31日時点。年間解約率 = (12か月間リカーリング収益の発生していないアカウント数) ÷ (年間1,000千円以上のリカーリング収益が発生しており、かつ、12か月間以上リカーリング収益の発生していない期間が存在しないアカウント数) (b) グローバル展開に向けた販売体制の強化当社プラットフォームは、グローバルに提供できるBtoBプロダクトであり、日米欧の世界三拠点で販売カバレッジに対応した体制を構築しております。実際、世界標準の通信規格とメガクラウドに準拠する当社グループのサービスは、米国や欧州を含め海外で既にプロダクトマーケットフィットを確認しております。海外拠点においては、営業人員拡充による販売体制強化を継続しており、顧客獲得においては米国拠点、欧州拠点ごとにその地域の顧客や市場に最適化したアプローチをとっております。例えば、米国拠点においてはより中堅・中小企業やスタートアップ企業などを対象としてセルフサービスアカウントの獲得に注力するとともに、メジャーアカウントへ成長するサポートに注力しております。一方で、欧州拠点においては新規のメジャーアカウントとなりうる有望な見込み顧客への直接アプローチにより顧客開拓に注力しております。今後も、米国拠点と欧州拠点のそれぞれの販売体制構築に向けたリソース拡充に努めてまいります。 (c) 大規模案件の安定的な獲得当社プラットフォームは、主力サービスであるIoT通信の「SORACOM Air」をはじめとした多くのサービスを提供しております。様々な業種の顧客においてIoTの導入が進むにつれて、多様なニーズ、事業機会が生まれると想定されます。今後のさらなる成長に向けて、顧客のフィードバックに基づくサービス開発を通じてIoTプラットフォームサービスを継続的に拡充させるほか、各産業で必要とされるサービスを顧客の業務の流れやビジネス展開に沿った形で提供する取組みにより、また、クラウドカメラやIoTストア等のデバイス販売分野においても一時的な売上だけではなく、同様に顧客のニーズやビジネス展開に沿った提案をすることで、通信サービスの継続利用につなげ、事業の方向性を拡大し、収益機会を最大化してまいります。このように、当社グループは、IoTの導入を進める多くの業界へ水平に展開してきましたが、いくつかの業界においては、その業界に特化したIoTデバイスやIoT関連サービスの開発を共に行うことで、深い業界知識と様々なニーズに対応できる技術を蓄積しております。今後は、その業界特有のIoTに関する課題を解決するサービスを開発・提供するといった垂直的な展開を進めていくことによって、大規模案件の安定的な獲得につなげ、さらなる収益の向上に向けて取り組んでまいります。 (d) 戦略的アライアンスの強化当社グループは主要株主であるKDDI株式会社と戦略的アライアンスを組み、コネクテッドカー分野に取り組んでおります。グローバルなコネクテッドカーは、海外の地域キャリアと連携する必要があり、当社プラットフォームの海外通信キャリア連携の強みの活きる分野と考えております。また、2024年2月にスズキ株式会社ともモビリティサービス分野のIoT先端技術の活用に向けた合意書を締結しております。一方で、通信キャリアとの連携において、KDDI株式会社へのIoT通信管理プラットフォームの開発・導入支援等も既に開始しております。今後、当社グループのテクノロジーを海外の他通信会社へ提供し、売上成長、及びグローバルスタンダードの確立も期待できるものと考えております。このような戦略的アライアンスを推進していくことによって、さらなる成長の実現を目指します。 (3)経営環境 ①市場環境 当社グループが展開するIoTプラットフォーム事業は、IoTプラットフォーム市場やIoT関連のサービス市場のうち、コネクティビティ、サービス、ソフトウェア及びハードウェアを対象市場として想定しております。このIoT市場は、技術革新の波に乗り、今後も年間二桁成長率を維持することが予想されており、進化する生成AIや5Gなどのテクノロジーは、コネクテッドカーやスマートシティといった多岐にわたる業界においてIoTの展開を促進することが期待されています。また、IoTデータの蓄積が進むにつれて、その価値はさらに増大すると予測されており、2026年時点で全世界でそれぞれコネクティビティ市場は約787億ドル(2022年時点では約589億ドル)、サービス市場は約4,275億ドル、ソフトウェア市場は約2,168億ドル及びハードウェア市場は約3,714億ドルと、合計で約1兆946億ドルの市場規模を見込んでおります(注)。当社グループが注力するコネクティビティ市場はもちろんのこと、ソフトウェアやサービスを含む広範な領域で成長機会があります。(注)IoTプラットフォーム市場やIoT関連のサービス市場規模は、IoT市場のうち、IoT Platform、Cellular及びServicesの市場規模の合計(米国ドル)により推定しております。(出典:IDC“IDC’s Worldwide Internet of Things Spending Guide”(2023年5月)) ② 競争優位性について 当社グループは、IoTに必要な通信回線やデバイスを提供するとともに、インターフェースやアプリケーション、ネットワークサービス等、IoTを導入・運用する際に必要となる多種多様な機能をワンストップで利用可能なプラットフォームを提供しております。国内外の移動通信体事業者(MNO)より通信回線(携帯電話網)を調達し、サービスを提供するとともに、必要に応じて経営資源とノウハウを補完し合えるエコシステムパートナーとの協業を図り、常に変化する市場環境と多様化する顧客ニーズにスピード感をもって的確に対処することで、競合サービスとは異なる優位性を構築しております。 ③ 事業・サービスの概要について 当社の主要なサービスの内容につきましては、「第1 企業の概況 3 事業の内容(2)事業・サービスの概要」に記載しております。 (4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 当社プラットフォームは従量課金モデルで提供しており、リカーリング収益の拡大を経営上の目標としております。その達成状況を判断する上で、契約回線数や課金アカウント数を重要な指標としております。リカーリング収益は経常的に得られる利用料の合計額であり、経営上の目標の達成状況を把握するものです。リカーリング収益を拡大させるためには特に課金アカウント数(注1)とリカーリング収益のARPA(注2)の拡大が重要と考えております。(注1)課金アカウント数は、1ヶ月の間にリカーリング収益が発生した口座数をいいます。同一の顧客企業等が部署や業務別に複数の口座を有する場合が含まれております。(注2)Average Revenue Per Accountの略称。1アカウントあたりの平均売上金額を示す指標を意味します。 (5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の対処すべき課題IoTプラットフォーム市場やIoT関連のサービス市場は、事業環境の変化が早く、顧客企業のニーズが絶えず変化しております。当社グループは直面する課題に対処するだけではなく、今後さらなる成長を実現するために、以下の取組みを行ってまいります。 ① 優秀な人材の採用と育成当社グループの持続的な成長のためには、多岐にわたる経歴を持つ優秀な人材を採用し、営業体制や開発体制、管理体制等を整備していくことが重要であると捉えております。特に、イノベーションによりIoTの力で顧客の課題解決並びに事業成長を支援できるIoTプラットフォームを開発・提供していくことが重要と考えており、顧客ニーズを適切に把握できる営業や開発の人員の強化が求められております。当社グループのミッションや事業内容に共感し、高い意欲を持った優秀な人材を採用するために、積極的な採用活動を推進するとともに、高い意欲を持って働ける環境や仕組みの構築に取組んでまいります。 ② 技術力の強化と追加サービスの展開IoTプラットフォームに係る独創的な技術力は当社グループの競争力の源泉であり、事業の成長を支える基盤でもあることから、継続的な改善、強化が重要であると考えております。優秀な技術者の採用や先端技術の把握及び当社サービスへの反映を通じて、技術力の向上に取組んでまいります。またIoTプラットフォームとしての価値向上のために、自社サービスの追加開発や、当社プラットフォームにおいて他社のアプリケーションの連携を容易にする仕組みを継続的に開発し続けてまいります。さらに、成功事例として蓄積されたノウハウを横展開し、新規顧客の獲得を進めてまいります。 ③ 海外市場における事業成長当社グループは、2016年11月の北米におけるサービス開始、2017年2月の欧州におけるサービス開始を起点に、海外市場への展開を開始いたしました。世界的なIoT導入の加速、インターネットに接続されるデバイス数の飛躍的な増加を背景に、1回線から手軽にIoTを始めることを可能にする当社のビジネスモデルは海外市場においても事業機会を形成することができるものと考えており、当社グループは、投資規律を維持しつつ、今後も戦略的に海外市場での事業成長を図ってまいります。 一方で、当社グループの海外事業は人材の採用・育成やマーケティング活動に対する投資段階にあり、中期的には売上高拡大を重視した海外事業のさらなる拡大に向けて、以下2点の取組みを重点的に行ってまいります。 a. 営業体制の強化 当社グループの海外事業の成長を加速させる上で、海外拠点における営業体制の拡充は必要不可欠であると考えております。当社グループは、継続的な採用の強化に向けて、ミッションや事業内容に共感し、高い意欲を持った優秀な人材の確保や、教育研修制度の拡充を行うことで、より強固な営業体制の構築に努めてまいります。なお、米国及び欧州における従業員数の推移は以下のとおりであり、ここ数年で増加傾向にあります。2020年3月末2021年3月末2022年3月末2023年3月末2024年3月末16名18名42名51名49名 b. 顧客獲得・マーケティング強化にかかる対応サービス導入企業数が拡大しており、2022年1月にはガートナー社の「2022 Magic Quadrant for Managed IoT Connectivity Services」においてニッチ・プレイヤーとして選出され、2023年1月には同社の「2023 Magic Quadrant for Managed IoT Connectivity Services, Worldwide」においてビジョナリーの1社に位置付けられたことが発表されるなど、海外拠点においても当社グループの知名度は一定程度高まりつつあると考えているものの、海外顧客基盤の拡大のためには、さらなる知名度の向上が不可欠と考えております。当社グループは、今後もオンライン、オフライン双方でのイベント開催等を中心とした情報発信を通じて、知名度向上に努めてまいります。 ④ 戦略的アライアンスパートナーとの事業連携当社は、2021年6月にセコム株式会社、ソースネクスト株式会社、ソニーグループ株式会社、日本瓦斯株式会社(ニチガス)、株式会社日立製作所及びWorld Innovation Lab(WiL)の6社と資本提携を含むパートナーシップを締結しております。6社とのグローバルビジネス協業を通じて、当社プラットフォームの国内外における利用実績を拡大し、顧客フィードバックに基づいてサービスを拡充していくことを目的としております。また、今後は事業ポートフォリオの拡大及び既存事業とのシナジー創出等による事業成長を目的とし、IoTに関連するデバイスやアプリケーション領域にて事業展開する企業に対する当社グループからの出資を行う方針であります。その一環として、2022年5月には、ビジネス分野でのカメラ活用を推進するためIoTスマートホーム製品を開発・製造販売するアトムテック株式会社と資本業務提携を開始しております。また、2024年2月にスズキ株式会社とモビリティサービス分野におけるIoT先進技術の活用に向けた合意書を締結しております。当社グループは、必要に応じて経営資源とノウハウを補完し合えるアライアンスパートナーとの協業を図り、常に変化する市場環境と多様化する顧客ニーズにスピード感をもって的確に対処しながら、企業価値のさらなる向上に向けて事業展開を進めてまいります。 ⑤ 通信ネットワークの増強多様な顧客が手軽に利用できるIoTプラットフォームを構築するためには、通信ネットワークの運用効率化の推進が必要となります。当社グループは、特に海外における複数地域キャリア等からの回線調達の拡充を重点的に行うことで、今後も通信ネットワークの増強に努めてまいります。 ⑥ 自社デバイス製品の開発強化当社グループは、IoT領域における技術革新に迅速に対応し、事業競争力の向上を図るため、今後新たな人員確保、研究開発の拡充を通じて、セルラー対応のAIカメラ、IoTセンサーといった自社デバイス製品の開発を強化していく方針であります。 ⑦ 出資による資本提携の実施当社グループは、IoTに関連するデバイスやアプリケーション領域にて事業展開する企業等への出資による資本提携を通じて、ポートフォリオの拡大及び既存事業とのシナジー創出等による事業成長を検討してまいります。 ⑧ 財務上の課題当社グループの当連結会計年度末におけるリース債務を含む有利子負債の残高は25,173千円、現金及び預金の残高は7,697,244千円となっており、当社グループの事業を推進していくうえで十分な流動性を確保しており、現時点において優先的に対処すべき財務上の課題はございません。しかしながら、今後事業拡大のための優秀な人材の採用や広告宣伝・販売促進等のマーケティング投資、IoTプラットフォーム「SORACOM」の拡充のための開発投資を進めていった際に、意図した投資成果が得られない場合には、流動性が低下する可能性があります。当社グループは、事業規模の拡大状況から投資タイミングを見極め、投資成果を最大限に得られるようなリスク対策や施策を行いながら、投資を進めてまいります。 |
サステナビリティに関する考え方及び取組 | 2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。 (1) ガバナンス及びリスク管理 当社では、リスクマネジメント・コンプライアンス委員会が四半期ごとに会議を開催し、従業員からの広範なリスク提案を募り、それに対処するための取組みを実施しています。リスクに対するアプローチは、毎年一度、全従業員と共有され、透明性のある情報共有が行われています。 特に、電気通信サービスを安全に安定して提供していく企業として、顧客情報や会社の機密情報を厳密に取り扱うとともに、情報漏洩リスクなどに対して、常に適切な防御措置を講じることにより、顧客及び関係者の信頼を得るよう努めています。 当社グループでは、従業員からの提案や洞察を積極的に受け入れ、情報セキュリティや環境へのリスク・影響を最小限に抑えるためのイニシアチブを推進しています。私たちは持続可能な未来を築くために、社会的責任や環境保護に取組みながら、ビジネス活動を展開しています。 (2) 戦略 当社グループのサステナビリティ戦略は、リーダーシップ・ステートメントを基に醸成されるものであり、従業員一人ひとりがその重要性を理解し、行動に移しています。①情報セキュリティ ISMS(Information Security Management System)認証(ISO/IEC 27001:2013)を2017年に取得しており、定期的に更新審査を受けております。社内組織としては、情報セキュリティ委員会及び情報セキュリティ運用委員会を設置し、年間を通じて情報セキュリティの管理運用を行っています。 最近では、フィッシング対策の実施を強化する取組みを行うなど、常にリスクの変化に応じた対応を行うとともに、社内に向けた情報発信についても行っています。②環境 カーボンニュートラルの観点からは、クウォーターサイズSIMを海外に続き日本でも導入し、環境に配慮したサプライチェーンの構築に貢献する体制が整いました。 さらに最近では、iSIM(Integrated SIM)という、従来のセルラー通信において独立したコンポーネントとして存在していた通信モジュールとSIMやeSIMの機能を、1枚のチップ(SoC:System-on-Chip)に集約する技術規格に関する実証実験を行い、商用提供を開始しました。物理的なSIMやeSIMが不要になることで、基板スペースの削減や回路の簡素化によるモジュールの小型・軽量化、省電力化、処理能力向上、コスト削減、商流の簡素化などが見込まれ、従来のSIMやeSIMが抱えていた多くの課題が解決されると期待されています。 私たちは、これらの取組みをさらに拡大していくために、他の業界やパートナーとの連携を強化し、より多くの企業や消費者に持続可能なテクノロジーを提供していきます。また、環境負荷の低減やカーボンニュートラルの課題にも積極的に取組み、地球環境の保護と社会の持続的な発展に貢献していくことを目指しています。 (3)人的資本に関する戦略 社員がお互いを信頼し、最良のアイディアを出しあって、よりよい決定ができるチームを目指しています。入社年次や役職、年齢に関係なくフラットに議論し、居住国やワークスタイルの違いを意識せずにコラボレーションができるための仕組みとして、以下を整備しています。①リモートワーク 当社グループでは、リモートワークが主軸となり、従業員が最も生産性の高い場所で働くことができます。②フレックス制 ライフスタイルに合わせて、働く時間を柔軟に調整することができます。③人事評価 従業員の評価は、マネージャーからの評価だけでなく、本人の自己評価や協力的なチームメンバーからのフィードバックを総合的に行います。リーダーシップ・ステートメントを指針に、日々の行動を向上させ、さらなる成長の機会を創出しています。④福利厚生 当社では、産前産後休暇や育児休暇などの制度を整備し、介護休暇や子の看護休暇もサポートしています。従業員一人ひとりが働きやすく、スキル向上ができるような環境整備に力を入れています。さらに、ベビーシッター割引券の提供や資格取得補助、英語スクールの受講補助など、企業全体の競争力向上に貢献する制度も整備しています。最近では、従業員のAI活用を推進するため、全従業員に対してChatGPT Plusの利用料金を全額補助するChatGPT支援制度を導入したのに続き、他のGenerative AIの利用料金にも適用拡大するなど、積極的な取組みを行っています。 (4) 指標及び目標 当社はサステナビリティに対し、上記のようなガバナンス及びリスク管理、戦略をとっておりますが、現時点では長期的に評価・管理する指標及び目標の設定は行っておりません。今後、長期的な評価・管理について検討を進める中で、必要がある場合には設定を行ってまいります。 |
戦略 | (2) 戦略 当社グループのサステナビリティ戦略は、リーダーシップ・ステートメントを基に醸成されるものであり、従業員一人ひとりがその重要性を理解し、行動に移しています。①情報セキュリティ ISMS(Information Security Management System)認証(ISO/IEC 27001:2013)を2017年に取得しており、定期的に更新審査を受けております。社内組織としては、情報セキュリティ委員会及び情報セキュリティ運用委員会を設置し、年間を通じて情報セキュリティの管理運用を行っています。 最近では、フィッシング対策の実施を強化する取組みを行うなど、常にリスクの変化に応じた対応を行うとともに、社内に向けた情報発信についても行っています。②環境 カーボンニュートラルの観点からは、クウォーターサイズSIMを海外に続き日本でも導入し、環境に配慮したサプライチェーンの構築に貢献する体制が整いました。 さらに最近では、iSIM(Integrated SIM)という、従来のセルラー通信において独立したコンポーネントとして存在していた通信モジュールとSIMやeSIMの機能を、1枚のチップ(SoC:System-on-Chip)に集約する技術規格に関する実証実験を行い、商用提供を開始しました。物理的なSIMやeSIMが不要になることで、基板スペースの削減や回路の簡素化によるモジュールの小型・軽量化、省電力化、処理能力向上、コスト削減、商流の簡素化などが見込まれ、従来のSIMやeSIMが抱えていた多くの課題が解決されると期待されています。 私たちは、これらの取組みをさらに拡大していくために、他の業界やパートナーとの連携を強化し、より多くの企業や消費者に持続可能なテクノロジーを提供していきます。また、環境負荷の低減やカーボンニュートラルの課題にも積極的に取組み、地球環境の保護と社会の持続的な発展に貢献していくことを目指しています。 (3)人的資本に関する戦略 社員がお互いを信頼し、最良のアイディアを出しあって、よりよい決定ができるチームを目指しています。入社年次や役職、年齢に関係なくフラットに議論し、居住国やワークスタイルの違いを意識せずにコラボレーションができるための仕組みとして、以下を整備しています。①リモートワーク 当社グループでは、リモートワークが主軸となり、従業員が最も生産性の高い場所で働くことができます。②フレックス制 ライフスタイルに合わせて、働く時間を柔軟に調整することができます。③人事評価 従業員の評価は、マネージャーからの評価だけでなく、本人の自己評価や協力的なチームメンバーからのフィードバックを総合的に行います。リーダーシップ・ステートメントを指針に、日々の行動を向上させ、さらなる成長の機会を創出しています。④福利厚生 当社では、産前産後休暇や育児休暇などの制度を整備し、介護休暇や子の看護休暇もサポートしています。従業員一人ひとりが働きやすく、スキル向上ができるような環境整備に力を入れています。さらに、ベビーシッター割引券の提供や資格取得補助、英語スクールの受講補助など、企業全体の競争力向上に貢献する制度も整備しています。最近では、従業員のAI活用を推進するため、全従業員に対してChatGPT Plusの利用料金を全額補助するChatGPT支援制度を導入したのに続き、他のGenerative AIの利用料金にも適用拡大するなど、積極的な取組みを行っています。 |
指標及び目標 | (4) 指標及び目標 当社はサステナビリティに対し、上記のようなガバナンス及びリスク管理、戦略をとっておりますが、現時点では長期的に評価・管理する指標及び目標の設定は行っておりません。今後、長期的な評価・管理について検討を進める中で、必要がある場合には設定を行ってまいります。 |
人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略 | (3)人的資本に関する戦略 社員がお互いを信頼し、最良のアイディアを出しあって、よりよい決定ができるチームを目指しています。入社年次や役職、年齢に関係なくフラットに議論し、居住国やワークスタイルの違いを意識せずにコラボレーションができるための仕組みとして、以下を整備しています。①リモートワーク 当社グループでは、リモートワークが主軸となり、従業員が最も生産性の高い場所で働くことができます。②フレックス制 ライフスタイルに合わせて、働く時間を柔軟に調整することができます。③人事評価 従業員の評価は、マネージャーからの評価だけでなく、本人の自己評価や協力的なチームメンバーからのフィードバックを総合的に行います。リーダーシップ・ステートメントを指針に、日々の行動を向上させ、さらなる成長の機会を創出しています。④福利厚生 当社では、産前産後休暇や育児休暇などの制度を整備し、介護休暇や子の看護休暇もサポートしています。従業員一人ひとりが働きやすく、スキル向上ができるような環境整備に力を入れています。さらに、ベビーシッター割引券の提供や資格取得補助、英語スクールの受講補助など、企業全体の競争力向上に貢献する制度も整備しています。最近では、従業員のAI活用を推進するため、全従業員に対してChatGPT Plusの利用料金を全額補助するChatGPT支援制度を導入したのに続き、他のGenerative AIの利用料金にも適用拡大するなど、積極的な取組みを行っています。 |
事業等のリスク | 3 【事業等のリスク】 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。当社の事業運営及び展開等について、リスク要因として考えられる主な事項を以下に記載しております。中には当社として必ずしも重要なリスクとは考えていない事項も含まれておりますが、投資判断上、もしくは当社の事業活動を十分に理解する上で重要と考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点からリスク要因として挙げております。当社はこれらのリスクの発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の適切な対応に努める方針ですが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載も併せて、慎重に判断した上で行われる必要があると考えます。また、これらは投資判断のためのリスクを全て網羅したものではなく、さらにこれら以外にも様々なリスクを伴っていることにご留意頂く必要があると考えます。なお、文中の将来に関する記載は、本書提出日現在において判断したものであります。 (1)事業展開等について① 特定の取引先に対する売上比率について(顕在化の可能性:小、影響度:中、顕在化の時期:未定)2024年3月期における当社グループの連結売上高に占める日本瓦斯株式会社に対する売上高の割合は23.7%であります。同社に対しては通信サービス等に加えてデバイス販売にかかる売上高が計上されており、売上依存度は高い状況にあります。また、主要株主であるKDDI株式会社に対する売上高の割合は12.7%となりました。業務提携契約に基づく協業の一環として、技術開発支援等の業務を受託しており、2024年3月期において、新規事業開発に向けた取組みが加速し、業務受託(インクリメンタル収益)に関する売上が好調に推移したことによるものであります。当社グループにおいては、今後も当該上位取引先との良好な関係構築に努めるとともに、新規顧客獲得に注力することにより、その依存度低減を図る方針であります。しかしながら、当面は当該上位取引先の割合は高い状態が継続するものと考えられ、当該顧客企業における事業サービス動向に影響を受けるほか、事業戦略や取引方針等に変更が生じた場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ② IoTプラットフォームについて(顕在化の可能性:小、影響度:大、顕在化の時期:未定)(a)通信回線の調達について当社グループは、仮想移動体通信事業者(MVNO)であり、事業運営基盤となる通信回線(携帯電話網)は国内外の移動通信体事業者(MNO)より調達しており、その他複数の通信事業者と回線調達にかかる契約を締結しております。当社グループは、これら調達先と良好な関係を維持するとともに、事業拡大や効率的なネットワーク運営等を踏まえた調達先の拡大等、通信回線の安定調達を推進していく方針であります。しかしながら、一部は代替困難となる通信回線等もあり、何らかの要因により通信回線の調達に支障が生じた場合は当社グループの事業運営に影響を及ぼす可能性があるほか、将来において回線調達コストの上昇が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、各調達先における通信回線サービスの長期にわたる中断や停止、システムエラー、人為的な破壊行為、自然災害その他の想定外の事象発生に起因する大規模通信障害等が発生した場合には、当社グループにおけるサービス提供不全等が生じ、収益機会の逸失やサービスに対する信頼性低下等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、当社プラットフォームにかかる顧客利便性向上及び通信ネットワークの運用効率化を図るため、海外における複数地域キャリア等からの回線調達の拡充を行う計画を有しております。各社との取引契約にかかる条件により設備投資費用の一部負担や預託金等の供出を要請される可能性があり、複数社との契約を締結することにより当該支出が多額となる可能性があります。 (b)クラウドサービス上におけるサービス提供について当社グループは、外部クラウドサービス上に[IoTプラットフォーム用システム]を構築した上で各種サービスを提供しており、事業運営においてはクラウドサービスの安定稼働が重要な要素となります。当社グループは、Amazon Web Services社が提供するサービス(以下「AWS」という。)を活用しており、AWSは全世界に点在する複数の地理的リージョン(注1)及びアベイラビリティゾーン(注2)にて運用されており、FISC安全対策基準(注3)を満たす安全性を備えているものと認識しております。また、当社グループは、クラウドサービスの継続稼働にかかる常時監視、障害発生又は予兆検知時のアラート通知及び早期復旧体制の構築等の対応を実施しております。しかしながら、システムエラー、人為的な破壊行為、自然災害その他の想定外の事象発生によりクラウドサーバーの停止、コンピュータ・ウイルス、クラッカーの侵入又はその他不具合等によりシステム障害が生じた場合、又はAWSの継続利用に支障が生じた場合には、サービス提供に支障が生じることにより顧客からの損害賠償やその対応にかかる追加費用負担等が発生する可能性があるほか、当社グループのサービスやブランドに対する信頼性毀損等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。(注)1.地理的に独立したサーバーの設置エリアのことをいいます。各リージョン同士は完全に独立しているためひとつのリージョンで障害が発生しても他のリージョンには影響が出ない設計となっております。2.リージョンの中の個々の独立したデータセンターの名称のことをいいます。3.公益財団法人「金融情報システムセンター(FISC:The Center for Financial Industry Information Systems)」が提供するガイドライン「金融機関等コンピュータシステムの安全対策基準・解説書」 ③ SIM及びデバイス商品仕入について(顕在化の可能性:中、影響度:中、顕在化の時期:未定)当社グループは、一部の通信サービス用SIM及びIoTデバイス商品(当社独自仕様含む)について、外部の海外事業者より商品仕入を行っております。また、当社グループは、近年における電子部品不足等の状況を踏まえて、商品在庫の確保施策等に努めております。しかしながら、当該仕入については、製造元の供給能力や半導体その他の部材確保状況、その他のサプライチェーン動向等の要因から、継続かつ安定した商品仕入が困難となった場合、また、代替困難な商品について重大な欠陥が生じた場合等においては、当社グループの事業拡大の制約要因となる可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ④ 海外事業展開について(顕在化の可能性:小、影響度:小、顕在化の時期:未定)当社グループの事業展開は、現在、国内に加えて、連結子会社であるSoracom Global, Inc.(米国)及びSORACOM CORPORATION, LTD.(英国)において、米国及び欧州その他の海外地域における事業展開を推進しております。現時点においては、海外地域における当社グループの認知及び顧客獲得実績は限定的であり、海外事業の拡大を企図し、人員体制強化によるマーケティング及び顧客獲得強化等を推進しております。しかしながら、当該施策が当社グループの想定通り推移する保証はなく、海外事業の拡大に支障が生じた場合や事業推進のためにさらなる投資が必要となった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、海外で事業活動を行うにあたっては、地政学上のバランス、各国の政治・経済情勢、為替の変動、外資規制・知的財産権等に関するものを中心とした法規制の新設又は変更等のリスクが存在すると考えております。当社グループはこれらのリスクを事前又は適宜に把握する社内体制を構築しており今後も必要な対応を講じていく方針でありますが、これらのリスクが顕在化した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑤ 海外事業強化に伴う販管費率の増加について(顕在化の可能性:小、影響度:小、顕在化の時期:長期)当社グループの2022年3月期の連結業績については、主に国内における事業拡大等により、一定の利益を計上しておりました。一方で、2022年3月期中より海外事業拡大を企図した人員体制強化やマーケティング強化を先行的に実施したことから、2023年3月期においては黒字を確保しているものの、販管費率が増加いたしました。2024年3月期は、売上高が堅調に推移したことから、販管費率はやや低下いたしましたが、今後もかかる先行投資については計画的に実施していくとともに、海外における認知拡大や営業人員の早期戦力化等、当社グループの業績拡大及び収益性向上に向けた取組みを継続して実施していく方針であります。しかしながら、当該取組みが想定通りに進捗しない場合には投資回収に時間を要する等、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑥ 為替変動について(顕在化の可能性:大、影響度:小、顕在化の時期:未定)当社グループの事業においては、海外顧客向けの販売(国内顧客向けグローバル回線販売含む)及び海外通信回線の調達については外貨建て取引にて実施しております。また、SIM及びデバイス商品については海外商品があり、日本円建て取引を含めて為替変動の影響を受けております。当社グループは、現在、外貨建て取引の割合、外貨建て仕入及び販売による相殺効果等を考慮して特段の為替リスク対策は実施しておらず、急激な為替変動が生じた場合には当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (2) 事業環境について① IoT関連市場の動向について(顕在化の可能性:小、影響度:大、顕在化の時期:未定)当社グループのIoTプラットフォーム事業は、今後の国内及び海外のIoT関連市場の成長を事業展開の前提と考えており、当社グループの事業成長は当該市場動向に依存しているといえます。国内外のIoT関連市場は現在発展途上であり、また、今後も継続的な市場成長を想定しておりますが、当社グループの事業展開地域における景気の低迷や設備投資縮小、IoT領域にかかる新たな法的規制の導入や規制強化、技術革新の停滞などの要因により、IoT関連市場の成長が阻害される場合や当社グループの想定どおりの規模に成長しない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。そのため、持続的な成長に向け、継続収入であるリカーリング収益拡大に注力しております。そのため、持続的な成長に向け、継続収入であるリカーリング収益拡大に注力しているほか、事業展開地域における景気変動や経済情勢等を分析し、市場の変化を適切に経営戦略に反映させるとともに、海外展開により特定地域への依存を軽減し、顧客ニーズの変化に応じたサービスの提供によりリスクの低減を図っております。また法的規制の動向につき国内外の弁護士等の専門家と連携し、適時に把握し、必要な対応をとるよう努めております。更に、常に最新の技術動向を注視し、優秀な人材の確保や教育を通じた技術水準の向上を図るとともに、既存サービス・機能の向上や新規開発等を目的とした投資の必要性について判断を行っております。 ② 技術革新等への対応について(顕在化の可能性:小、影響度:中、顕在化の時期:未定)当社グループの事業展開においては、特にIoT領域におけるビジネス・サービス動向や顧客ニーズに対応したプラットフォームやサービス・機能の拡充・更新等を適時かつ継続的に行うことが重要であると考えております。また、IoT領域に関連する技術革新のスピードは非常に速く、先端技術に対応するサービスを提供し続けるためには、常に技術ノウハウを獲得し、開発プロセスに取り入れていく必要があります。そのため、当社グループは、高度なスキルを有するエンジニアの採用及び育成、創造的な職場環境・開発環境の整備を進めるとともに、技術的な知見・ノウハウの取得に注力しております。しかしながら、かかる施策に拘わらず、当社グループにおける技術革新等への対応が困難となる場合はサービスの陳腐化や競争力低下が生じる可能性があります。さらに、新技術への対応のために追加的なシステム投資又は人材投資等の支出が増加する可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ③ 競争状況について(顕在化の可能性:中、影響度:中、顕在化の時期:未定)当社グループが事業を展開するIoT関連業界においては、大手通信事業者(MNO)や各種MVNO事業者まで多数の競合企業が参入しサービスを提供しており、その競争は激しい状況にあると認識しております。当社グループは、クラウド上にモバイルコアネットワークを独自に構築し、IoTを導入・運用する際に必要となる多様な機能をワンストップでかつ安価に利用できるIoTプラットフォームが競争力の源泉となっているものと認識しており、また、過年度における顧客導入実績等から国内IoT業界において一定の市場認知を獲得しているものと考えております。当社グループは、提供サービスについて、継続的な機能拡充、品質向上及び利便性追求等により競争力維持に努めていく方針でありますが、既存事業者との競争の激化や、新たな参入事業者が当社のシステムに類似する仕組みを構築する等により当社グループの優位性が損なわれる場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ④ 法的規制について(顕在化の可能性:小、影響度:中、顕在化の時期:未定)当社は、IoTに必要な通信回線を提供するため、電気通信事業者として総務省に登録を行っており、電気通信事業法の規制を受けております。電気通信事業としての登録に有効期間はありませんが、当社の業務運営に関し、通信の秘密の確保やその他業務運営が適切ではないと判断された場合は、総務大臣より業務方法の改善命令その他の措置が実施されることとなります。また、電気通信事業法第14条に定められた事項に該当した場合は、電気通信事業者の登録の取消しとなります。現在、電気通信事業者の登録の継続に支障をきたす要因は発生していませんが、登録が取り消された場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。加えて、当社事業においては、消費者保護法、電気用品安全法、個人情報保護法等の法規制を受けております。また、当社グループは、海外地域においても事業活動を行っており、その対象となる各国及び地域の電気通信関連の法規制が適用されており、必要な届出又は許認可取得を実施しております。その他、労働安全衛生、労使関係、外国投資規制、外資規制、国家安全保障、消費者保護、競争政策、税制及び環境保護等に関連する様々な法律及び規制の対象となっております。当社グループにおいては、各種法規制を踏まえた社内規程やマニュアル整備等による社内体制の構築、各地域の法律専門家の活用、行政当局への相談等により、法令を遵守した業務運営に努めております。しかしながら、当社グループが法令等に違反する行為を行った場合、その違反意図の有無にかかわらず、行政当局から処分又は指導を受けることにより事業運営に支障をきたす可能性があるほか、ブランドイメージ及び社会的信用に悪影響が生じる可能性があります。また、今後上記の法的規制やこれに関連する法解釈が変更されたり、新たな法的規制が導入された場合には、当社グループの事業運営が制約される可能性があります。これらの場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (3)事業体制について① 人材の採用・育成について(顕在化の可能性:小、影響度:中、顕在化の時期:未定)当社グループは、今後想定する事業成長や企業規模拡大に伴い、継続的に幅広く優秀な人材を採用し続けることが重要であると認識しております。サービスにかかる品質確保や安定稼働、競争力向上に際しては、開発部門を中心とした高度な技術力・企画力を有する人材が必要であり、また、国内外における新たな顧客獲得や顧客サポートを強化するため、営業及びマーケティング部門における組織体制強化も必要となり、継続的な人材採用とともに、既存人材の育成・強化が必要であると考えております。当社グループでは、国内外において、営業及びマーケティング部門、エンジニア部門および経営管理部門等の人員強化を図るとともに、部門別・職階別研修等による計画的な人材育成に努めております。しかしながら、エンジニアその他の優秀な人材確保にかかる競争は厳しく、当社グループが必要とする優秀な人材確保が計画通りに進展しない場合や人材確保にかかる費用上昇が生じた場合、また、既存人材の育成が図られない場合や社外流出が生じた場合、当社グループの事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ② 内部管理体制の整備状況にかかるリスクについて(顕在化の可能性:小、影響度:中、顕在化の時期:未定)当社グループは、企業価値を継続的かつ安定的に高めていくためには、コーポレート・ガバナンスが有効に機能するとともに、適切な内部管理体制の整備が必要不可欠であると認識しております。業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保のための内部統制システムの適切な整備・運用、さらに法令・定款・社内規程等の遵守を徹底しておりますが、事業の急速な拡大により、十分な内部管理体制の整備が追いつかない状況が生じる場合には、適切な業務運営が困難となり、当社グループの事業運営、経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。 ③ コンプライアンス体制について(顕在化の可能性:小、影響度:中、顕在化の時期:未定)当社グループでは、今後企業価値を高めていくためにはコンプライアンス体制が有効に機能することが重要であると考えております。そのため、コンプライアンスに関する社内規程を策定し、全役員及び全従業員を対象として社内研修を実施し、周知徹底を図っております。併せて、コンプライアンス体制の強化にも取組んでおります。しかしながら、これらの取組みにもかかわらずコンプライアンス上のリスクを完全に解消することは困難であり、今後の当社グループの事業運営に関して法令等に抵触する事態が発生した場合、当社グループの事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ④ 知的財産権の管理について(顕在化の可能性:小、影響度:小、顕在化の時期:未定)当社グループは、提供している商品・サービスに関する知的財産権の取得・維持・活用に努めております。しかしながら、先行する技術や商標の存在等により、当社が希望する態様で知的財産権を取得できず、当社グループの商品・サービスを模倣する商品・サービスに対して十分な対応ができない可能性があります。また、当社グループは、第三者の知的財産権の侵害を防ぐため、必要に応じて知財担当者又は外部への委託等により調査を行っております。しかしながら、万が一、当社グループが第三者の知的財産権を侵害した場合には、当該第三者に対して損害賠償の支払いや、侵害を構成する当社グループの商品・サービスの名前又は仕様の変更が必要となる可能性があります。これらの結果として、当社グループの事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑤ 情報管理体制について(顕在化の可能性:小、影響度:中、顕在化の時期:未定)当社グループは、電気通信事業者として通信の秘密の保護を遵守するとともに、取り扱う情報資産の保護、管理に関して、情報セキュリティ委員会を設置して内部からの情報漏洩防止、及び外部ネットワークからの不正侵入の防止に関わる全社的対応策の策定及びGDPR等グローバルな法制度への対応を実施しております。しかしながら、情報の漏洩等が発生した場合、当社グループのブランドイメージや信頼性の失墜、莫大な補償・課徴金を伴う可能性があります。また、将来的に通信の秘密及び顧客情報保護体制の整備のため、さらなるコストが増加する可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (4) KDDI株式会社との関係についてKDDI株式会社は、本書提出日現在における当社の発行済株式総数の40.68%を保有しており、同社は当社の主要株主であります。 ① KDDIグループとの資本関係(顕在化の可能性:小、影響度:小、顕在化の時期:未定)同社は、当社株式上場に伴う一部保有株式の株式売出し等により株式保有割合は40.68%となりましたが、今後も当社が同社持分法適用会社に該当する水準にて当社株式を継続保有する方針であります。KDDIグループの適切な運営を目的として、当社の経営において、同社の承認を要する事項は存在しておりませんが、同社において適時開示が必要となる事項に限り事前報告を行うことが定められており、同社は議決権の行使を通じて当社の経営判断に影響を及ぼし得る立場にあることから、同社利益が他の株主の利益と一致しない可能性があります。 ② KDDIグループとの人的関係について(顕在化の可能性:小、影響度:小、顕在化の時期:未定)本書提出日現在、当社取締役7名のうち、主要株主であるKDDI株式会社より1名を選任しております。豊富な経営知識から、当社事業に関する助言を得ることを目的として招聘したものであります。兼任している役員は以下のとおりであります。 当社における役職氏名兼務先における役職 取締役藤井 彰人執行役員 グループ戦略本部副本部長 ③ KDDIグループにおける当社の位置付けについて(顕在化の可能性:小、影響度:小、顕在化の時期:未定)当社は、KDDIグループにおいて、IoTやクラウド等を活用したビジネスDX(デジタルトランスフォーメンション)を担う会社として位置付けられております。主要株主であるKDDI株式会社においては、移動通信及び固定通信を中心とする通信事業をコア事業としているものの、これらに付随してIoTサービスを提供しており、広くIoTという領域でみれば、当社と一部事業領域が重複しております。主要株主であるKDDI株式会社は、通信基地局等を保有したMNO(移動体通信事業:Mobile Network Operator)事業者であり、IoT領域においては、主に大規模顧客等に対するIoTシステム構築及び個別開発を前提とした事業を展開しております。これに対し当社グループは、通信基地局等を持たないMVNO事業者(仮想移動体通信事業者:Mobile Virtual Network Operator)であり、IoTに必要となる機能・サービスをクラウド上に独自プラットフォームとして構築し、顧客に提供する形態により事業を展開しており、事業上の棲み分けがなされているため、事業展開に影響を及ぼす競合等は生じておりません。また、当社はKDDI株式会社との間で締結する業務提携契約に基づき、KDDI株式会社が構築する「IoT世界基盤」にかかる開発支援及びプラットフォームサービスの提供、その他技術開発支援等を受託しており、一部事業において協業しております。「IoT世界基盤」は当社のIoTプラットフォーム形成に関連する通信技術とau国際ローミングや閉域接続サービスを含むKDDI株式会社の世界規模の通信カバレッジを融合させたサービスであり、IoTによるシステム保守やメンテナンスのDX(デジタルトランスフォーメンション)やサブスクリプションモデルのグローバル展開など全産業の幅広い事業法人を対象に展開しております。なお、事業展開に影響を及ぼす競合等は生じておりません。なお、当社グループにおいては上記の関係を継続していく方針でありますが、将来においてKDDIグループにおける経営方針及び事業戦略等の変更が生じた場合には、競合が生じる可能性があります。 ④ 主要株主であるKDDI株式会社との業務提携契約について(顕在化の可能性:小、影響度:小、顕在化の時期:未定)当社グループは、協業による通信ネットワークに関する技術開発及び収益ビジネスの創出・拡大を目的とし、KDDI株式会社と業務提携契約を締結しております。業務提携の主な内容は、新たな通信サービスの共同での技術開発及び販売等、当社が保有するデータ通信に関連する技術及び知見を活用したKDDI株式会社の通信ネットワークの高度化、KDDIグループが保有する通信に関連する技術開発環境及び営業上の販路等のリソースを活用した当社の販路拡大及び競争力強化になります。また、当社グループは当該契約において指定される国内及び海外の移動体通信事業者等(指定事業者等)と指定される業務(指定業務)と競業する行為を行おうとするときは、KDDI株式会社との事前合意又は事前協議を経ることを義務付けられております。本書提出日現在、当該契約における指定業務は「KDDIグループが保有するネットワークの改善・高度化を図るための技術検証及び開発」並びに「IoT 世界基盤等の提供可能範囲・サービス内容拡充のための技術連携・サービス開発」に限定されており、当社の提供しているサービスについては、顧客が指定事業者等に該当しないか、指定業務と競業する行為に該当しないかのいずれかとなっているため、当社グループの事業及び業績に与える影響も限定的であります。しかしながら、今後の当社グループのビジネス展開がKDDI株式会社との競合に該当し同意が得られない場合や、当該契約の内容により当社グループの将来の事業活動が阻害される場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。なお、過去に、当社グループのビジネス展開がKDDI株式会社との競合に該当した事例はありません。 ⑤ KDDIグループとの取引関係について(顕在化の可能性:小、影響度:小、顕在化の時期:未定)当社グループは、移動通信体事業者(MNO)であるKDDI株式会社と「IoT世界基盤」に係るプラットフォームサービスの提供及びソフトウェア開発等の業務受託取引並びにその他の取引を行っております。これらの取引は、独立第三者間取引と同様に取引条件の妥当性について検討しております。また、当社グループは、KDDI株式会社を含むKDDIグループとの取引(関連当事者取引)を実施するにあたっては、関連当事者取引管理規程に基づき、年間取引金額が1百万円以上となる新たな取引については事業計画決議時又は取引開始前に取締役会において事業上の必要性、取引条件の妥当性を検討のうえ、承認を得ることとしております。さらに、事業年度をまたいで継続する取引についても、事業計画決議時の取締役会において事業上の必要性、取引条件の妥当性を報告することで、適切に牽制する体制を構築しております。当社グループと主要株主であるKDDI株式会社との取引については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 関連当事者情報」をご参照ください。 (5) その他のリスクについて① 配当政策について(顕在化の可能性:中、影響度:小、顕在化の時期:未定) 当社グループは、株主に対する利益還元と同時に、財務体質の強化及び競争力の確保を経営の重要課題として位置付けております。現時点では、当社グループは成長過程にあると考えており、内部留保の充実を図り、事業拡大と事業の効率化のための投資に充当していくことが株主に対する最大の利益還元につながると考えております。このことから、創業以来配当は実施しておらず、今後においても当面の間は内部留保の充実を図る方針であります。将来的には、各事業年度の経営成績を勘案しながら株主への利益還元を検討していく方針ですが、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期等については未定であります。 ② 税務上の繰越欠損金について(顕在化の可能性:大、影響度:小、顕在化の時期:中期)2024年3月期末は、当社グループに税務上の繰越欠損金が存在しております。当社の経営成績が順調に推移することにより、繰越欠損金が解消した場合や税制の変更等により繰越欠損金が十分に活用できない場合には、通常の税率に基づく法人税、住民税及び事業税が計上されることとなり、当期純損益及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。 ③ 訴訟等について(顕在化の可能性:小、影響度:小、顕在化の時期:未定)当社グループは、本書提出日現在において、業績に重大な影響を及ぼす訴訟を提起されている事実はありません。当社グループは、コンプライアンスに関する社内規程を策定し、全役員及び全従業員を対象として社内研修を実施する等、法令違反などの発生リスクの低減に努めておりますが、事業を展開する中で、当社グループが提供するサービスの不備、情報漏洩、役職員のトラブル等により、何かしらの問題が生じた場合等、これらに起因した損害賠償の請求、訴訟の提起がなされる可能性があります。その場合、当該訴訟に対する防御の為に費用と時間を要する可能性があるほか、当社グループの社会的信用が毀損され、また損害賠償の金額、訴訟内容及び結果によっては、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ④ 自然災害・事故等について(顕在化の可能性:中、影響度:中、顕在化の時期:未定)当社グループでは、自然災害・事故等に備え、サービスの定期的バックアップ、稼働状況の常時監視等によりトラブルの事前防止又は回避に努めておりますが、当社グループの所在地近辺において、大地震等の自然災害が発生した場合、当社グループが保有する設備の損壊や電力供給やインターネットアクセスの制限等の事業継続に支障をきたす事象が発生して、当社グループの事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑤ 株式の追加発行等による株式価値の希薄化について(顕在化の可能性:中、影響度:小、顕在化の時期:中期)当社グループは、当社グループの役員及び従業員に対するインセンティブを目的とし、新株予約権を付与しております。また、今後においても新株予約権又は譲渡制限付株式等を活用したインセンティブプランを活用していく方針であります。これらの新株予約権が権利行使された場合や譲渡制限付株式の発行に伴い、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。なお、当連結会計年度末時点でこれらの新株予約権による潜在株式数は4,887,630株であり、発行済株式総数43,220,809株の11.3%に相当しております。 ⑥ 調達資金の使途について(顕在化の可能性:小、影響度:中、顕在化の時期:未定)株式上場時における公募増資による調達資金の使途については、事業拡大のための人件費及び採用費、広告宣伝・販売促進等のマーケティング投資並びにIoTプラットフォーム「SORACOM」の拡充のための開発費に充当する予定であります。しかしながら、当初の計画に沿って資金を使用した場合においても、想定通りの投資効果を得られない可能性があります。また、市場環境の変化が激しく、計画の変更を迫られ調達資金を上記以外の目的で使用する可能性があり、その場合は速やかに資金使途の変更について開示を行う予定であります。 ⑦ 当社株式の流動性について(顕在化の可能性:小、影響度:中、顕在化の時期:未定)当社の株主構成は、KDDI株式会社、当社代表取締役社長CEO玉川憲、常務取締役CTO安川健太、顧問舩渡大地、及び資本業務提携を行っている事業会社・ベンチャーキャピタルファンドであり、株式会社東京証券取引所の定める流通株式比率の上場維持基準は25%であるところ、本書提出日現在において30.30%となっております。今後は、大株主からの売出し、当社の事業計画に沿った成長資金の公募増資による調達、新株予約権の行使による流通株式数の増加分を勘案し、これらの組み合わせにより、流動性の向上を図っていく方針ではありますが、何らかの事情により上場時よりも流動性が低下する場合には、当社株式の市場における売買が停滞する可能性があり、それにより当社株式の需給関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。 |
経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 | 4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 (1) 経営成績等の状況の概要当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。① 財政状態の状況(資産)当連結会計年度末における流動資産合計は10,094,150千円となり、前連結会計年度末に比べ5,019,561千円増加いたしました。これは主に新規上場に伴う公募増資等により現金及び預金が4,164,741千円増加したこと、デバイスや業務受託案件の納品があったことによる売掛金の増加848,317千円によります。固定資産合計は、802,654千円となり、前連結会計年度末に比べ213,959千円増加いたしました。これは主にソフトウェアなどの無形固定資産の増加95,631千円、繰延税金資産を新たに計上したことによる投資その他の資産の増加116,280千円によるものであります。この結果、当連結会計年度末における資産合計は10,917,376千円となり、前連結会計年度末に比べ5,254,091千円増加いたしました。(負債)当連結会計年度末における流動負債合計は2,461,748千円となり、前連結会計年度末に比べ812,498千円増加いたしました。これは主にデバイス仕入により買掛金が382,831千円増加するとともに、将来の一部デバイスの交換に伴う作業費用に備えるため製品保証引当金を320,149千円計上した一方、リカーリング収益の前受額を売上認識したことにより契約負債が162,796千円減少したことによるものであります。固定負債合計は、51,185千円となり、前連結会計年度末に比べ759千円減少いたしました。この結果、当連結会計年度末における負債合計は、2,512,934千円となり、前連結会計年度末に比べ811,739千円増加いたしました。(純資産)当連結会計年度末における純資産合計は8,404,441千円となり、前連結会計年度末に比べ4,442,351千円増加いたしました。これは上場に伴う公募増資等による資本金の増加1,904,762千円及び資本剰余金の増加1,904,762千円、親会社株主に帰属する当期純利益485,565千円の計上による利益剰余金の増加によるものであります。この結果、自己資本比率は75.5%(前連結会計年度末は67.5%)となりました。 ② 経営成績の状況当連結会計年度におけるわが国経済は、企業の業績が回復傾向にありながらも、消費者物価の上昇がみられ内需は横ばいの状況にありました。一方、米国においては、雇用情勢が回復し、個人所得についても堅調に伸びました。欧州においては、企業景況感に改善がみられるものの賃金上昇率が高いなど不確実性を内在しています。このような状況の下、ITサービス分野において、IoT技術は、日本の少子高齢化や人口減少に伴う社会課題の解決に貢献することが期待されています。さらに、政府や民間によるICT (情報通信技術) の推進が加速する中、今後もIoTはますます重要な役割を担っていくと予測され、当社が果たすべき役割はますます高まるものと認識しております。また、生成AIを活用する動きが各処でみられ、当社グループにおいても生成AIを活用したサービスの機能強化や研究を継続しております。当連結会計年度の業績については、課金アカウント数(注1)やARPA(注2)が伸びたことにより、リカーリング収益(プラットフォーム利用料)による継続収入が5,382,778千円と、前期と比べ1,057,116千円(24.4%)の増加と好調に推移し、サービス開始から8年で課金アカウント数は8,000を上回り、ARPAは前期比16.9%増加の688千円となりました。また、商品販売とその他の売上からなるインクリメンタル収益についても、業務受託案件の増加もあり2,545,999千円と前年と比べ572,259千円(29.0%)増加いたしました。当社グループは日本発のグローバルプラットフォーマーを目指しており、海外売上高の比率は、前期比2.2ポイント増加の36.4%となりました。また、販売費及び一般管理費については、人員採用を継続的に行ったほか、当社が主催するIoTカンファレンスの開催をオフラインで実施したことや上場関連の広告宣伝費等の計上、外形標準課税の適用による租税公課の増加があったものの、売上が堅調に推移したことから販管費率は50.3%から47.5%となりました。さらに営業外費用として、円安の影響による為替差損58,645千円、上場関連費用23,949千円を計上いたしましたが、売上の伸びがこれら一時的費用を吸収する形となりました。この結果、当連結会計年度における売上高は7,928,778千円と前期と比べ1,629,375千円(25.9%)の増収、営業利益は727,336千円と前期と比べ625,959千円(617.5%)の増益、経常利益は638,408千円と前期と比べ525,608千円(466.0%)の増益、親会社株主に帰属する当期純利益は485,565千円と前期と比べ414,691千円(585.1%)の増益となっております。なお、当社はIoTプラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント情報は記載しておりません。(注1)課金アカウント数は、1ヶ月の間にリカーリング収益が発生した口座数をいいます。同一の顧客企業等が部署や業務別に複数の口座を有する場合が含まれております。(注2)Average Revenue Per Accountの略称。1アカウントあたりの平均売上金額を示す指標を意味します。 ③ キャッシュ・フローの状況当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)については、前連結会計年度末より4,164,741千円増加し、7,697,244千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フロー状況とそれらの要因は次のとおりであります。(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果、増加した資金は456,241千円(前連結会計年度は222,685千円の支出)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益を638,408千円計上したほか、デバイス仕入に伴う仕入債務の増加額370,193千円及び将来の一部デバイスの交換に伴う作業費用に備えるための製品保証引当金の増加額320,149千円があった一方で、デバイスや業務受託案件の納品があったことに伴う売上債権の増加814,662千円及びリカーリング収益の前受額を売上認識したことによる契約負債の減少229,850千円があったことによるものです。(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果、支出した資金は170,572千円(前連結会計年度は2,007,150千円の収入)となりました。これは主にソフトウェアの開発に伴う無形固定資産の取得による支出154,725千円によるものであります。なお、前期はKDDIグループが運営するキャッシュ・マネジメント・システムによる資金の貸付を解消したことによる貸付金の回収による収入2,140,659千円によるものであります。(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果、増加した資金は3,791,479千円(前連結会計年度は29,883千円の収入)となりました。これは主に新規上場に伴う公募増資等に伴う新株の発行による収入3,803,692千円によるものであります。 ④ 生産、受注及び販売の実績当社グループは受注生産形態をとる事業を行っていないため、生産規模及び受注規模を金額及び数量で示す記載をしておりません。a. 生産実績当社グループが提供するサービスの性格上、生産実績の記載に馴染まないため、当該記載を省略しております。 b. 受注実績当社グループが提供するサービスの性格上、受注実績の記載に馴染まないため、当該記載を省略しております。 c. 販売実績当社グループは、IoTプラットフォーム事業を単一セグメントとして展開しておりますが、第11期連結会計年度における品目別販売実績を示すと、次のとおりであります。品目販売高(千円)前期比(%)リカーリング収益(プラットフォーム利用料)5,382,778124.4インクリメンタル収益商品販売1,664,75695.3その他881,242389.3小計2,545,999129.0IoTプラットフォーム事業合計7,928,778125.9 (注) 1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。相手先第10期連結会計年度(自 2022年4月1日至 2023年3月31日)第11期連結会計年度(自 2023年4月1日至 2024年3月31日)金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)日本瓦斯株式会社1,640,94426.01,878,13023.7KDDI株式会社444,5747.11,008,77212.7 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。 ① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。また、連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、当社の実態等を勘案して合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。(繰延税金資産)当社グループは、将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金に係る繰延税金資産の回収可能性を判断した上で、回収可能性がないと見積られる金額を評価性引当額として控除しております。繰延税金資産の回収可能性を判断する際には、将来の課税所得に基づき、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しております。将来の課税所得の発生額は、取締役会によって承認された来年度予算を基礎としており、顧客との交渉状況を踏まえた新規受注の獲得見込み等を主要な仮定として見積っております。ただし、当該見積りには不確実性を伴い、これに関する経営者による判断が繰延税金資産の計上額に影響を及ぼす可能性があります。(製品保証引当金)当社グループは、顧客に販売した一部デバイスについて、将来発生する交換に伴う作業費用に備えるため、その発生見込み額を製品保証引当金として計上しております。将来発生するデバイスの交換に伴う作業費用は、対象となるデバイスの数量、デバイス1個当たりの交換対応費用等の予測に基づき合理的に見込まれる金額を算定しております。この見積りには不確実性が含まれており、前提条件の変化等により、実際の発生額と異なる場合があり、引当金の追加計上もしくは戻入が必要となる可能性があります。 ② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 当社グループの第11期における売上高は、リカーリング収益とインクリメンタル収益とが共に堅調に推移した結果、前期比25.9%の増収となりました。特に、KDDI株式会社の新規事業開発に向けた取組みが加速し、業務受託(インクリメンタル収益)に関する売上が好調に推移しました。販管費については、IoTカンファレンスのオフライン開催や上場関連の広告宣伝費、外形標準課税の適用による租税公課の計上により、596,408千円増加しましたが、増収が寄与し、営業利益は625,959千円の増益となりました。 営業外収益としては、第11期においては、急激に円安が進み、為替差損を58,645千円計上しております。 また、第10期においては、子会社の清算に伴い関係会社清算益を52,831千円計上しておりますが、当社グループの再編が完了し、第11期においては、このような特別損益は計上しておりません。 財政状態においては、当社の第11期末におけるリース債務を含む有利子負債の残高は25,173千円、現金及び預金の残高は、2024年3月26日付で東京証券取引所グロース市場に株式上場し、公募増資を行ったことにより増加し、7,697,244千円となっております。当社の事業を推進していくうえで十分な流動性を確保しており、今後は、これら資本を原資に、収益力とのバランスをみながら、マーケティング活動や優秀な人材の確保に投資を行い、国内売上の安定的な成長と海外売上の拡大を図ってまいります。 ③ 資本の財源及び資金の流動性当社は、事業を推進していくうえで十分な流動性を確保しております。当社の運転資金需要のうち主なものは、従業員の給料手当のほか、販売費及び一般管理費の広告宣伝費であります。当社は、事業運営上必要な資金を安定的に確保するために、必要な資金については自己資金により賄いますが、短期的な運転資金が必要となる場合には、金融機関からの借入及びエクイティファイナンス等でバランスよく調達していく方針です。なお、これらの資金調達方法の優先順位については、調達時期における資金需要の額、用途、市場環境、調達コスト等を勘案し、最適な方法を選択する方針であります。 ④ 経営成績に重要な要因を与える要因について経営成績に重要な影響を与える要因については、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。また、今後の経営成績に影響を与える課題については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。 ⑤ 経営者の問題意識と今後の方針について経営者の問題意識と今後の方針については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。 ⑥ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループは、経営成績を評価するために売上高、売上高総利益率及び営業利益率に加えて、リカーリング収益、課金アカウント数及びリカーリング収益のARPAを重要な経営指標と考えております。売上高の伸びは事業全体が安定的に成長している指標となっており、コストとのバランスが異常でないことを売上高総利益率及び営業利益率をモニタリングすることで測っております。売上高については、前期比25.9%の伸びであり、営業利益率については、前連結会計年度において人材投資により一時的に低下しましたが、投資成果により売上高が伸長し、当連結会計年度においては、上場に係る一時的な費用や外形標準課税の適用による租税公課を計上したものの、営業利益率は9.2%(前期は1.6%)と改善しております。また、売上高の内訳としては、インクリメンタル収益だけではなく、プラットフォーム利用の拡大を示すリカーリング収益の増加を経営上の目標としております。リカーリング収益は、前期比24.4%と安定的に成長し、規模拡大に伴うコストメリットも貢献して、売上高総利益率も当連結会計年度においては56.7%と良好な水準となっております。さらに、ARPAの上昇は、既存顧客がプラットフォームの利用範囲を拡大していることを示すため、課金アカウント数の増加と併せて重要な指標として管理しております。課金アカウント数及びリカーリング収益のARPAは、それぞれ前期比6.2%及び16.9%とともに増加し、顧客数の増加のみならず既存顧客の事業へのIoTの浸透が進んでいるものと評価しております。加えて、グローバル回線の利用が増加した結果、海外子会社の国又は地域における売上高である海外売上高は2023年3月期は2,153,764千円(海外売上高比率34.2%)、2024年3月期は2,887,912千円(海外売上高比率36.4%)と増加しております。なお、海外売上高には、国内顧客向けグローバル回線にかかる売上高が含まれております。売上高及び売上総利益の伸長の背景については「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」をご参照ください。(単位:千円) 2023年3月期2024年3月期 前期比売上高6,299,4037,928,778125.9%売上高総利益率51.9%56.7%-営業利益率1.6%9.2%- (収益モデル別)リカーリング収益リカーリング収益4,325,6625,382,778124.4%売上高割合68.7%67.9%-インクリメンタル収益※インクリメンタル収益1,973,7402,545,999129.0%売上高割合31.3%32.1%-課金アカウント数(千個)7.68.1106.6%リカーリング収益のARPA589688116.9%※ 商品販売とその他の売上高を合計した金額 |
経営上の重要な契約等 | 5 【経営上の重要な契約等】 契約会社名相手先名契約の名称契約内容契約期間株式会社ソラコム(当社)(注)1株式会社NTTドコモ卸携帯電話サービス契約約款卸携帯電話サービスに関する契約合意による解除又は卸携帯電話サービスが廃止されるまで (注)1.本契約は、当社が提供するMVNO(仮想移動体通信事業者)サービスにおいて、移動体通信事業者から携帯電話網を借り受けるための契約であり、当社のIoTプラットフォーム事業に必要不可欠な契約であります。 |
研究開発活動 | 6 【研究開発活動】 当連結会計年度において、Generative AI(生成AI)とLLM(大規模言語モデル)のIoT分野での活用について研究を開始し、36,250千円の研究開発投資を行いました。 |
設備投資等の概要 | 1 【設備投資等の概要】 当社グループは、IoTプラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載を行っておりません。 当連結会計年度の設備投資の総額は172,382千円であり、主な内容はソフトウェアの開発等によるものであります。当連結会計年度において、重要な設備の除却、売却等はありません。 |
主要な設備の状況 | 2 【主要な設備の状況】 (1) 提出会社 2024年3月31日現在事業所名(所在地)設備の内容帳簿価額(千円)従業員数(名)建物工具、器具及び備品ソフトウェアソフトウェア仮勘定その他合計本店(東京都世田谷区)業務設備00---05本社(東京都港区)業務設備及びソフトウェア39,20022,337154,94759,62167,423343,52896 (注) 1.当社はIoTプラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載はしておりません。2.現在休止中の主要な設備はありません。3.本社及び事業所は建物の一部を賃借しており、年間賃借料は56,968千円であります。 (2) 在外子会社記載すべき重要な設備はありません。 |
設備の新設、除却等の計画 | 3 【設備の新設、除却等の計画】 (1) 重要な設備の新設等該当事項はありません。 (2) 重要な設備の除却等該当事項はありません。 |
設備投資額、設備投資等の概要 | 172,382,000 |
Employees
平均年齢(年)、提出会社の状況、従業員の状況 | 41 |
平均勤続年数(年)、提出会社の状況、従業員の状況 | 4 |
平均年間給与、提出会社の状況、従業員の状況 | 11,164,000 |
Investment
株式の保有状況 | (5) 【株式の保有状況】 ① 投資株式の区分の基準及び考え方 当社は、保有目的が純投資目的の株式投資及び純投資目的以外の目的の株式投資の区分について、株式の価値の変動又は株式に係る配当によって利益を受けることを目的とする純投資目的の株式を投資株式とし、それ以外の株式を純投資目的以外の投資株式と区分しております。なお、子会社株式を除きます。 ② 保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式a. 銘柄数及び貸借対照表計上額 銘柄数(銘柄)貸借対照表計上額の合計額(千円)非上場株式1198,302 (当事業年度において株式数が増加した銘柄) 該当事項はありません。 (当事業年度において株式数が減少した銘柄) 該当事項はありません。 ③ 保有目的が純投資目的である投資株式該当事項はありません。 ④ 当事業年度中に投資株式の保有目的を純投資目的から純投資目的以外の目的に変更したもの該当事項はありません。 ⑤ 当事業年度中に投資株式の保有目的を純投資目的以外の目的から純投資目的に変更したもの該当事項はありません。 |
銘柄数、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 1 |
貸借対照表計上額、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 198,302,000 |
Shareholders
大株主の状況 | (6) 【大株主の状況】 2024年3月31日現在 氏名又は名称住所所有株式数(株)発行済株式(自己株式を除く。)の総数に対する所有株式数の割合(%) KDDI株式会社東京都新宿区西新宿2丁目3番2号17,580,40940.68 WiL Ventures III, L.P.(常任代理人 みずほ証券株式会社)636 Waverley St, Suite 100, Palo Alto, CA , U.S.A(東京都千代田区大手町1丁目5-1)3,261,2007.55 玉川 憲東京都世田谷区2,880,0006.66 舩渡 大地(常任代理人 みずほ証券株式会社)London, U.K.(東京都千代田区大手町1丁目5-1)2,880,0006.66 株式会社日本カストディ銀行(信託口)東京都中央区晴海1丁目8-122,741,7006.34 安川 健太(常任代理人 みずほ証券株式会社)Florida U.S.A(東京都千代田区大手町1丁目5-1)1,680,0003.89 セコム株式会社東京都渋谷区神宮前1丁目5番1号962,4002.23 ソニーグループ株式会社東京都港区港南1丁目7-1 962,4002.23 日本瓦斯株式会社東京都渋谷区代々木4丁目31-8962,4002.23 株式会社日立製作所東京都千代田区丸の内1丁目6番6号962,4002.23 ソースネクスト株式会社東京都港区東新橋1丁目5-2962,4002.23計-35,835,30982.91 |
株主数-金融機関 | 6 |
株主数-金融商品取引業者 | 36 |
株主数-外国法人等-個人 | 30 |
連結株主資本等変動計算書 | ③ 【連結株主資本等変動計算書】 前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) (単位:千円) 株主資本資本金資本剰余金利益剰余金株主資本合計当期首残高100,0003,627,554△54,0993,673,454当期変動額 新株の発行 -親会社株主に帰属する当期純利益 70,87470,874新株予約権の発行 -株主資本以外の項目の当期変動額(純額) 当期変動額合計--70,87470,874当期末残高100,0003,627,55416,7753,744,329 その他の包括利益累計額新株予約権純資産合計為替換算調整勘定その他の包括利益累計額合計当期首残高69,69169,69197,8893,841,035当期変動額 新株の発行 -親会社株主に帰属する当期純利益 70,874新株予約権の発行 40,83040,830株主資本以外の項目の当期変動額(純額)9,3489,348-9,348当期変動額合計9,3489,34840,830121,053当期末残高79,03979,039138,7193,962,089 当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) (単位:千円) 株主資本資本金資本剰余金利益剰余金株主資本合計当期首残高100,0003,627,55416,7753,744,329当期変動額 新株の発行1,904,7621,904,762 3,809,525親会社株主に帰属する当期純利益 485,565485,565株主資本以外の項目の当期変動額(純額) 当期変動額合計1,904,7621,904,762485,5654,295,091当期末残高2,004,7625,532,316502,3418,039,420 その他の包括利益累計額新株予約権純資産合計為替換算調整勘定その他の包括利益累計額合計当期首残高79,03979,039138,7193,962,089当期変動額 新株の発行 3,809,525親会社株主に帰属する当期純利益 485,565株主資本以外の項目の当期変動額(純額)126,460126,46020,800147,260当期変動額合計126,460126,46020,8004,442,351当期末残高205,500205,500159,5198,404,441 |
株主数-外国法人等-個人以外 | 47 |
株主数-個人その他 | 5,920 |
株主数-その他の法人 | 106 |
株主数-計 | 6,145 |
氏名又は名称、大株主の状況 | ソースネクスト株式会社 |
株主総会決議による取得の状況 | (1) 【株主総会決議による取得の状況】 該当事項はありません。 |
株主総会決議又は取締役会決議に基づかないものの内容 | (3) 【株主総会決議又は取締役会決議に基づかないものの内容】 該当事項はありません。 |
Shareholders2
発行済株式及び自己株式に関する注記 | 1 発行済株式に関する事項株式の種類当連結会計年度期首増加減少当連結会計年度末普通株式(株)38,487,0094,733,800-43,220,809 (変動事由の概要)2024年3月26日付で東京証券取引所グロース市場に株式上場し、公募増資による新株の発行を行ったことによる増加 4,733,800株 |
Audit
監査法人1、連結 | 有限責任 あずさ監査法人 |
独立監査人の報告書、連結 | 独立監査人の監査報告書 2024年6月26日株式会社ソラコム取締役会 御中 有限責任 あずさ監査法人 東京事務所 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士佐藤 太基 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士坂井 知倫 <連結財務諸表監査>監査意見当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられている株式会社ソラコムの2023年4月1日から2024年3月31日までの連結会計年度の連結財務諸表、すなわち、連結貸借対照表、連結損益計算書、連結包括利益計算書、連結株主資本等変動計算書、連結キャッシュ・フロー計算書、連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項、その他の注記及び連結附属明細表について監査を行った。当監査法人は、上記の連結財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、株式会社ソラコム及び連結子会社の2024年3月31日現在の財政状態並びに同日をもって終了する連結会計年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。 監査意見の根拠当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準における当監査法人の責任は、「連結財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。 強調事項注記事項(重要な後発事象)に記載されているとおり、2024年2月20日、2024年3月6日及び2024年3月14日開催の取締役会において決議したオーバーアロットメントによる株式の売出しに関する第三者割当による新株式の発行について、2024年4月24日に払込が完了している。当該事項は、当監査法人の意見に影響を及ぼすものではない。 監査上の主要な検討事項監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 株式会社ソラコムにおける繰延税金資産の回収可能性に関する判断の妥当性監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応当連結会計年度の連結貸借対照表において、繰延税金資産94,176千円が計上されている。連結財務諸表注記(税効果会計関係)に記載のとおり、繰延税金負債との相殺前金額100,525千円は、将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金に係る繰延税金資産の総額512,719千円から評価性引当額412,193千円を控除したものである。このうち、株式会社ソラコムにおける繰延税金資産の総額及び評価性引当額は、それぞれ508,334千円及び412,193千円である。連結財務諸表注記(重要な会計上の見積り)に記載のとおり、繰延税金資産は、将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金のうち、回収可能性があると判断された範囲内で認識する。当該繰延税金資産の回収可能性の判断に用いられる会社の将来の課税所得の発生額の見積りは、取締役会によって承認された来年度予算を基礎として行われる。当該見積りに当たっては、顧客との交渉状況を踏まえた新規受注の獲得見込み等、経営者による重要な判断を伴う主要な仮定が含まれており、不確実性が高い。以上から、当監査法人は、株式会社ソラコムにおける繰延税金資産の回収可能性に関する判断の妥当性が、当連結会計年度の連結財務諸表監査において特に重要であり、監査上の主要な検討事項に該当すると判断した。当監査法人は、株式会社ソラコムにおける繰延税金資産の回収可能性に関する判断の妥当性を評価するため、主に以下の手続を実施した。(1) 内部統制の評価 繰延税金資産の回収可能性の判断に関する内部統制の整備状況及び運用状況の有効性を評価した。評価に当たっては、将来の課税所得の見積りの基礎となる来年度予算の策定に関連する内部統制に特に焦点を当てた。 (2) 将来の課税所得の発生見込が適切かどうかについての評価 繰延税金資産の回収可能性の判断において重要となる、将来の課税所得の発生見込の算定に当たって採用された主要な仮定が適切かどうかについて評価するため、その根拠について、経営者に対して質問したほか、主に以下の手続を実施した。 ● 繰延税金資産の回収可能性の判断に用いられた将来の課税所得の発生額の見積りについて、課税所得計画の基礎資料である来年度予算の内容との整合性を確かめた。● 来年度予算に含まれる新規受注の獲得見込みについて、主要な顧客との交渉状況が分かる資料を閲覧するとともに、営業責任者に対して質問した。また、売上高成長率について、実績と比較するとともに、外部調査機関が公表する市場予測レポートが示す市場成長率を参考にし、その合理性を評価した。● 将来減算一時差異等の解消予定時期のスケジューリングや将来の課税所得の計算に含まれる申告調整項目について、過年度及び当連結会計年度の課税所得計算における申告調整内容との整合性を確認した。 その他の記載内容その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査等委員会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。当監査法人の連結財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。連結財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と連結財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 連結財務諸表に対する経営者及び監査等委員会の責任経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して連結財務諸表を作成し適正に表示することにある。これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない連結財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。連結財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき連結財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。監査等委員会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 連結財務諸表監査における監査人の責任監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての連結財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から連結財務諸表に対する意見を表明することにある。虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、連結財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。・ 不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。・ 連結財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。・ 経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。・ 経営者が継続企業を前提として連結財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において連結財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する連結財務諸表の注記事項が適切でない場合は、連結財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。・ 連結財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた連結財務諸表の表示、構成及び内容、並びに連結財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。 ・ 連結財務諸表に対する意見を表明するために、会社及び連結子会社の財務情報に関する十分かつ適切な監査証拠を入手する。監査人は、連結財務諸表の監査に関する指示、監督及び実施に関して責任がある。監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。監査人は、監査等委員会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。監査人は、監査等委員会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。監査人は、監査等委員会と協議した事項のうち、当連結会計年度の連結財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。 <報酬関連情報>当監査法人及び当監査法人と同一のネットワークに属する者に対する、会社及び子会社の監査証明業務に基づく報酬の額は、「提出会社の状況」に含まれるコーポレート・ガバナンスの状況等 (3)【監査の状況】 に記載されている。 利害関係会社及び連結子会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。以 上 (注) 1 上記の監査報告書の原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。2 XBRLデータは監査の対象には含まれていません。 |
監査上の主要な検討事項、連結 | 監査上の主要な検討事項監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 株式会社ソラコムにおける繰延税金資産の回収可能性に関する判断の妥当性監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応当連結会計年度の連結貸借対照表において、繰延税金資産94,176千円が計上されている。連結財務諸表注記(税効果会計関係)に記載のとおり、繰延税金負債との相殺前金額100,525千円は、将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金に係る繰延税金資産の総額512,719千円から評価性引当額412,193千円を控除したものである。このうち、株式会社ソラコムにおける繰延税金資産の総額及び評価性引当額は、それぞれ508,334千円及び412,193千円である。連結財務諸表注記(重要な会計上の見積り)に記載のとおり、繰延税金資産は、将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金のうち、回収可能性があると判断された範囲内で認識する。当該繰延税金資産の回収可能性の判断に用いられる会社の将来の課税所得の発生額の見積りは、取締役会によって承認された来年度予算を基礎として行われる。当該見積りに当たっては、顧客との交渉状況を踏まえた新規受注の獲得見込み等、経営者による重要な判断を伴う主要な仮定が含まれており、不確実性が高い。以上から、当監査法人は、株式会社ソラコムにおける繰延税金資産の回収可能性に関する判断の妥当性が、当連結会計年度の連結財務諸表監査において特に重要であり、監査上の主要な検討事項に該当すると判断した。当監査法人は、株式会社ソラコムにおける繰延税金資産の回収可能性に関する判断の妥当性を評価するため、主に以下の手続を実施した。(1) 内部統制の評価 繰延税金資産の回収可能性の判断に関する内部統制の整備状況及び運用状況の有効性を評価した。評価に当たっては、将来の課税所得の見積りの基礎となる来年度予算の策定に関連する内部統制に特に焦点を当てた。 (2) 将来の課税所得の発生見込が適切かどうかについての評価 繰延税金資産の回収可能性の判断において重要となる、将来の課税所得の発生見込の算定に当たって採用された主要な仮定が適切かどうかについて評価するため、その根拠について、経営者に対して質問したほか、主に以下の手続を実施した。 ● 繰延税金資産の回収可能性の判断に用いられた将来の課税所得の発生額の見積りについて、課税所得計画の基礎資料である来年度予算の内容との整合性を確かめた。● 来年度予算に含まれる新規受注の獲得見込みについて、主要な顧客との交渉状況が分かる資料を閲覧するとともに、営業責任者に対して質問した。また、売上高成長率について、実績と比較するとともに、外部調査機関が公表する市場予測レポートが示す市場成長率を参考にし、その合理性を評価した。● 将来減算一時差異等の解消予定時期のスケジューリングや将来の課税所得の計算に含まれる申告調整項目について、過年度及び当連結会計年度の課税所得計算における申告調整内容との整合性を確認した。 |
全体概要、監査上の主要な検討事項、連結 | 監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 |
見出し、監査上の主要な検討事項、連結 | 株式会社ソラコムにおける繰延税金資産の回収可能性に関する判断の妥当性 |
内容及び理由、監査上の主要な検討事項、連結 | 当連結会計年度の連結貸借対照表において、繰延税金資産94,176千円が計上されている。連結財務諸表注記(税効果会計関係)に記載のとおり、繰延税金負債との相殺前金額100,525千円は、将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金に係る繰延税金資産の総額512,719千円から評価性引当額412,193千円を控除したものである。このうち、株式会社ソラコムにおける繰延税金資産の総額及び評価性引当額は、それぞれ508,334千円及び412,193千円である。連結財務諸表注記(重要な会計上の見積り)に記載のとおり、繰延税金資産は、将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金のうち、回収可能性があると判断された範囲内で認識する。当該繰延税金資産の回収可能性の判断に用いられる会社の将来の課税所得の発生額の見積りは、取締役会によって承認された来年度予算を基礎として行われる。当該見積りに当たっては、顧客との交渉状況を踏まえた新規受注の獲得見込み等、経営者による重要な判断を伴う主要な仮定が含まれており、不確実性が高い。以上から、当監査法人は、株式会社ソラコムにおける繰延税金資産の回収可能性に関する判断の妥当性が、当連結会計年度の連結財務諸表監査において特に重要であり、監査上の主要な検討事項に該当すると判断した。 |
開示への参照、監査上の主要な検討事項、連結 | 連結財務諸表注記(税効果会計関係) |
開示への参照2、監査上の主要な検討事項、連結 | 連結財務諸表注記(重要な会計上の見積り) |
監査上の対応、監査上の主要な検討事項、連結 | 当監査法人は、株式会社ソラコムにおける繰延税金資産の回収可能性に関する判断の妥当性を評価するため、主に以下の手続を実施した。(1) 内部統制の評価 繰延税金資産の回収可能性の判断に関する内部統制の整備状況及び運用状況の有効性を評価した。評価に当たっては、将来の課税所得の見積りの基礎となる来年度予算の策定に関連する内部統制に特に焦点を当てた。 (2) 将来の課税所得の発生見込が適切かどうかについての評価 繰延税金資産の回収可能性の判断において重要となる、将来の課税所得の発生見込の算定に当たって採用された主要な仮定が適切かどうかについて評価するため、その根拠について、経営者に対して質問したほか、主に以下の手続を実施した。 ● 繰延税金資産の回収可能性の判断に用いられた将来の課税所得の発生額の見積りについて、課税所得計画の基礎資料である来年度予算の内容との整合性を確かめた。● 来年度予算に含まれる新規受注の獲得見込みについて、主要な顧客との交渉状況が分かる資料を閲覧するとともに、営業責任者に対して質問した。また、売上高成長率について、実績と比較するとともに、外部調査機関が公表する市場予測レポートが示す市場成長率を参考にし、その合理性を評価した。● 将来減算一時差異等の解消予定時期のスケジューリングや将来の課税所得の計算に含まれる申告調整項目について、過年度及び当連結会計年度の課税所得計算における申告調整内容との整合性を確認した。 |
その他の記載内容、連結 | その他の記載内容その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査等委員会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。当監査法人の連結財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。連結財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と連結財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 |
報酬関連情報、連結 | <報酬関連情報>当監査法人及び当監査法人と同一のネットワークに属する者に対する、会社及び子会社の監査証明業務に基づく報酬の額は、「提出会社の状況」に含まれるコーポレート・ガバナンスの状況等 (3)【監査の状況】 に記載されている。 |
Audit1
監査法人1、個別 | 有限責任 あずさ監査法人 |
独立監査人の報告書、個別 | 独立監査人の監査報告書 2024年6月26日株式会社ソラコム取締役会 御中 有限責任 あずさ監査法人 東京事務所 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士佐藤 太基 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士坂井 知倫 <財務諸表監査>監査意見当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられている株式会社ソラコムの2023年4月1日から2024年3月31日までの第11期事業年度の財務諸表、すなわち、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、重要な会計方針、その他の注記及び附属明細表について監査を行った。当監査法人は、上記の財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、株式会社ソラコムの2024年3月31日現在の財政状態及び同日をもって終了する事業年度の経営成績を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。 監査意見の根拠当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準における当監査法人の責任は、「財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。 強調事項注記事項(重要な後発事象)に記載されているとおり、2024年2月20日、2024年3月6日及び2024年3月14日開催の取締役会において決議したオーバーアロットメントによる株式の売出しに関する第三者割当による新株式の発行について、2024年4月24日に払込が完了している。当該事項は、当監査法人の意見に影響を及ぼすものではない。 監査上の主要な検討事項監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。(繰延税金資産の回収可能性に関する判断の妥当性) 財務諸表の監査報告書で記載すべき監査上の主要な検討事項「繰延税金資産の回収可能性に関する判断の妥当性」は、連結財務諸表の監査報告書に記載されている監査上の主要な検討事項「株式会社ソラコムにおける繰延税金資産の回収可能性に関する判断の妥当性」と実質的に同一の内容である。このため、財務諸表の監査報告書では、これに関する記載を省略している。 その他の記載内容その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査等委員会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。当監査法人の財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 財務諸表に対する経営者及び監査等委員会の責任経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して財務諸表を作成し適正に表示することにある。これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。監査等委員会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 財務諸表監査における監査人の責任監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から財務諸表に対する意見を表明することにある。虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。・ 不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。・ 財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。・ 経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。・ 経営者が継続企業を前提として財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する財務諸表の注記事項が適切でない場合は、財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。・ 財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた財務諸表の表示、構成及び内容、並びに財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。監査人は、監査等委員会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。監査人は、監査等委員会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。監査人は、監査等委員会と協議した事項のうち、当事業年度の財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。 <報酬関連情報>報酬関連情報は、連結財務諸表の監査報告書に記載されている。 利害関係会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。以 上 (注) 1 上記の監査報告書の原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。2 XBRLデータは監査の対象には含まれていません。 |
監査上の主要な検討事項、個別 | 監査上の主要な検討事項監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。(繰延税金資産の回収可能性に関する判断の妥当性) 財務諸表の監査報告書で記載すべき監査上の主要な検討事項「繰延税金資産の回収可能性に関する判断の妥当性」は、連結財務諸表の監査報告書に記載されている監査上の主要な検討事項「株式会社ソラコムにおける繰延税金資産の回収可能性に関する判断の妥当性」と実質的に同一の内容である。このため、財務諸表の監査報告書では、これに関する記載を省略している。 |
全体概要、監査上の主要な検討事項、個別 | 監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 |
見出し、監査上の主要な検討事項、個別 | (繰延税金資産の回収可能性に関する判断の妥当性) |
連結と同一内容である旨、監査上の主要な検討事項、個別 | 財務諸表の監査報告書で記載すべき監査上の主要な検討事項「繰延税金資産の回収可能性に関する判断の妥当性」は、連結財務諸表の監査報告書に記載されている監査上の主要な検討事項「株式会社ソラコムにおける繰延税金資産の回収可能性に関する判断の妥当性」と実質的に同一の内容である。このため、財務諸表の監査報告書では、これに関する記載を省略している。 |
その他の記載内容、個別 | その他の記載内容その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査等委員会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。当監査法人の財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 |
報酬関連情報、個別 | <報酬関連情報>報酬関連情報は、連結財務諸表の監査報告書に記載されている。 |
BS資産
工具、器具及び備品(純額) | 22,337,000 |
有形固定資産 | 61,537,000 |
ソフトウエア | 154,947,000 |
無形固定資産 | 281,991,000 |
投資有価証券 | 198,302,000 |
繰延税金資産 | 92,196,000 |
投資その他の資産 | 552,810,000 |
BS負債、資本
未払金 | 1,068,303,000 |
未払法人税等 | 72,121,000 |
未払費用 | 23,232,000 |
賞与引当金 | 40,121,000 |
リース債務、流動負債 | 12,547,000 |
資本剰余金 | 5,532,316,000 |
利益剰余金 | -618,892,000 |
為替換算調整勘定 | 205,500,000 |
評価・換算差額等 | 205,500,000 |