財務諸表
CoverPage
提出書類、表紙 | 有価証券報告書 |
提出日、表紙 | 2024-06-25 |
英訳名、表紙 | ReproCELL Incorporated |
代表者の役職氏名、表紙 | 代表取締役社長 横山 周史 |
本店の所在の場所、表紙 | 神奈川県横浜市港北区新横浜三丁目8番11号 |
電話番号、本店の所在の場所、表紙 | 045-475-3887(代表) |
様式、DEI | 第三号様式 |
会計基準、DEI | Japan GAAP |
連結決算の有無、DEI | true |
当会計期間の種類、DEI | FY |
corp
沿革 | 2【沿革】 当社は、細胞技術を中心とした次世代医療ビジネスの確立を目的として、京都大学再生医科学研究所・所長の中辻憲夫教授(当時)と東京大学医科学研究所幹細胞治療研究センターの中内啓光教授(当時)の技術シーズを基盤として2003年2月に設立されました。年月 事項2003年2月東京都港区西新橋において株式会社リプロセル(資本金10百万円)を設立2003年5月東京大学医科学研究所と共同研究契約を締結2003年6月京都大学と共同研究契約を締結2003年12月本店を東京都千代田区内幸町に移転2004年8月当社の第一号ビジネスとして、Nanog抗体の製造販売を開始(研究試薬)2005年4月ヒトES細胞用の培養液、剥離液、凍結保存液の製造販売を開始(研究試薬)2005年6月東京都港区白金台に研究所を設立2006年12月衛生検査所登録を行い、臨床検査事業を開始2007年6月本店を東京都港区白金台に移転2007年11月京都大学山中伸弥教授がヒトiPS細胞を発明当社の培養液がヒトiPS細胞の樹立及び培養に使用される2009年3月世界で初めてiPS細胞の樹立方法に関する知財の商業利用ライセンスをiPSアカデミアジャパン㈱から取得2009年4月世界で初めてヒトiPS細胞由来心筋細胞の製造販売を開始(細胞製品)2010年6月本店を横浜市港北区新横浜に移転2010年10月世界で初めてヒトiPS細胞由来神経細胞の製造販売を開始(細胞製品)2011年5月独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の研究開発プロジェクト「ヒト幹細胞産業応用促進基盤技術開発」に採択2012年6月世界で初めてヒトiPS細胞由来肝細胞の製造販売を開始(細胞製品)2012年6月世界で初めてヒトiPS細胞アルツハイマー病モデル細胞の製造販売を開始(細胞製品)2012年9月2012年度産学官連携功労者表彰・厚生労働大臣賞を受賞2012年12月ReproCELL USA Inc.がボストンに販売拠点を設立2013年6月大阪証券取引所JASDAQ(グロース)に上場2013年7月東京証券取引所と大阪証券取引所の統合に伴い、東京証券取引所JASDAQ(グロース)に上場2013年10月京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区として新横浜地区(㈱リプロセル)が採択2014年2月次世代の創薬・医療ビジネスの創造にフォーカスしたベンチャーキャピタルファンド「Cell Innovation Partners, L.P.」の無限責任組合員への出資等を行う子会社、RCパートナーズ株式会社を設立2014年6月NEDOプロジェクト「2013年度 イノベーション実用化ベンチャー支援事業」に係る助成事業への採択2014年7月3次元培養デバイスの開発・製造・販売を手掛けるReinnervate(英国)の株式取得(連結子会社化)2014年9月ヒト生体試料のバンキング及び提供を手掛けるBioServe(米国)を株式取得(連結子会社化)2014年10月iPS細胞向け研究試薬の製造・販売を手掛けるStemgent(米国)の iPS 細胞事業部門を米国子会社 ReproCELL USA により事業買収し、同子会社名を Stemgent に社名変更2015年1月造血幹細胞の増幅方法に関する国内特許成立2015年7月当社事業「創薬応用可能な高機能なヒト iPS 細胞由来肝細胞キットの試作品開発」が「2014年度補正ものづくり・商業・サービス革新補助金」に採択 年月 事項2015年8月当社事業「大量供給可能で高機能なヒト iPS 細胞由来心筋細胞の試作品開発」が「2015年度革新的ものづくり産業創出連携促進事業補助金」に採択2015年11月創薬支援サービス(CROサービス)を手掛けるBiopta Limited 社の株式取得(完全子会社化)2016年7月英国子会社Reinnervate Ltd.とBiopta Ltd.が合併し、REPROCELL Europe Ltd.へ社名変更2016年7月ヒトiPS細胞を用いた効率の良い膵前駆細胞及び膵β細胞の生産方法の研究に関して東京工業大学との共同研究契約を締結2016年9月米国子会社Bioserve Biotechnologies, Ltd.とStemgent Inc.及びBiopta Inc.が合併し、REPROCELL USA Inc.へ社名変更2016年11月Steminent Biotherapeutics Inc.(台湾)と同社開発にかかる細胞医薬品「Stemchymal®」の日本における共同開発及び販売に関する契約を締結2016年11月慶應義塾大学及び順天堂大学との共同事業「iPS細胞由来神経細胞を用いた創薬支援のためのアプリケーション開発」に対する「横浜市特区リーディング事業助成金」採択2016年12月iPS細胞を作製する次世代RNAリプログラミングキット「StemRNA™ -NM Reprogramming Kit」の販売開始2017年2月造血幹細胞の増幅方法に関する米国特許成立2017年4月REPROCELL EUROPE Ltd.の新施設Centre for Predictive Drug Discoveryの開設2017年7月AMED公募事業「平成29年度 再生医療の産業化に向けた評価基盤技術開発事業(再生医療技術を応用した創薬支援基盤技術の開発)」の分担研究企業に採択2018年4月米国Q Therapeutics Inc.との合弁会社「株式会社MAGiQセラピューティクス」を日本に設立。iPS細胞を活用した再生医療を開始2018年4月Bioserve Biotechnologies India Pvt. Ltd. を海外子会社としてインドに設立2018年10月当社の投資先であるGenAhead Bio社と共同で遺伝子改変技術を用いた疾患モデル細胞の作製サービスを開始2018年10月株式会社ファンケルと共同でヒトiPS細胞由来の感覚神経細胞の開発に成功し、受託製造サービスを開始2018年12月厚生労働省の薬事・食品衛生審議会再生医療等製品・生物由来技術部会において、当社が開発中の 再生医療製品Stemchymal®が、希少疾病用再生医療等製品として指定2019年5月殿町・リプロセル再生医療センター開設2020年2月再生医療製品ステムカイマル®の第 II 相臨床試験における第1例目の被験者への投与開始2020年3月再生医療向け臨床用iPS細胞の作製サービスの開始2020年6月新型コロナウイルスの研究用生体試料の提供を開始2021年3月新型コロナウイルスPCR検査サービスを開始2021年3月殿町・リプロセル再生医療センターが厚生労働省関東信越厚生局より「特定細胞加工物製造許可」を取得2021年5月再生医療製品ステムカイマル®の第II相臨床試験における全被験者への投与終了2021年6月米国メリーランド州に臨床用iPS細胞の製造施設「Seed iPSC Manufacture Suite (SiMS)」を開設2022年1月当社の新型コロナウイルスPCR検査キットを、地方自治体によるPCR等検査無料化事業へ提供開始2022年4月東京証券取引所の市場区分の見直しにより、東京証券取引所のJASDAQ(グロース)からグロース市場に移行2022年5月再生医療製品ステムカイマルの第II相臨床試験完了2022年10月カリフォルニア州再生医療機構(CIRM)と臨床用iPS細胞事業での協力に関する基本合意書締結2022年10月「ALSに対するヒトiPS細胞由来グリア前駆細胞の細胞移植による細胞治療の企業治験開始のための研究開発」が、AMED公募事業に採択2022年11月iPS細胞由来の再生医療等製品の受託製造事業の開始(Histocell社(スペイン)、BioBridge Global社(米国)との業務提携)2023年4月郵送検査サービス「ウェルミル」開始2023年5月間葉系幹細胞を用いた再生医療等製品製造のための製造受託サービス提供開始2023年6月子宮頸がんを対象とした腫瘍浸潤リンパ球輸注療法に関して慶應義塾大学医学部産婦人科学教室と共同研究契約を締結2024年2月腫瘍浸潤リンパ球輸注療法(TIL 療法)の新規パイプライン化決定 |
事業の内容 | 3【事業の内容】 当社グループは当社(株式会社リプロセル)、米国子会社のREPROCELL USA Inc.、英国子会社のREPROCELL Europe Ltd.、インド子会社Bioserve Biotechnologies India Pvt. Ltdなどの連結子会社5社及び関連会社2社により構成されております。 当社の中核事業領域であるiPS細胞は、山中伸弥教授によるヒトiPS細胞の発明以降、世界中で研究が盛んに行われております。 最近では、iPS細胞を活用した病態解明や再生医療への応用など、実用的な研究開発が多く行われるようになりました。2017年には、希少難病の患者から作製したiPS細胞を活用して病態を解明し、新薬候補の治験へつなげた事例が報告され、さらに、再生医療に関しても、iPS細胞を使った加齢黄斑変性、パーキンソン病、虚血性心筋症、脊髄損傷等の臨床研究及び治験が進められております。 当社では、前者のようにiPS細胞を病態解明や創薬研究に使用する事業を「研究支援事業」、後者の再生医療を「メディカル事業」と位置付け、二つのセグメントに分け、推進しております。 短中期的な収益の柱である「研究支援事業」と、中長期的な成長事業である「メディカル事業」の両方を組み合わせることで、短期→中期→長期と、持続的な成長を目指します。 事業内容内容研究支援事業 研究支援事業では、大学/公的研究機関を主要顧客とする(1)研究用製品の製造販売と、製薬企業等が中心の (2)研究受託サービス、及び(3)細胞測定機器の販売を実施しています。 (1) 研究用製品 研究用製品は研究試薬と細胞に分けられます。 研究試薬:培養液、抗体、リプログラミング試薬、成長因子など、iPS細胞の研究に使用する試薬を販売しております。当社の研究試薬はiPS細胞に特化している点が特徴です。当社の初期製品である「Primate ES Cell medium」は、京都大学の山中教授が世界で初めてヒトiPS細胞の作製に成功した際に使用されていた培養液であり、その後、日本の研究者の間でスタンダードとなりました。 細胞:REPROCELL USAでは、がん細胞、血液、血清など60万個のヒトの生体試料のバンクを保有しており、製薬企業を中心に研究用資材として提供しております。また、顧客ごとのカスタムコレクションも行っております。 (2) 研究受託サービス 研究受託サービスでは、iPS細胞関連の受託サービスと、ヒトの生体試料を用いた創薬試験受託を実施しています。 iPS細胞サービス:顧客ごとにカスタマイズし、付加価値の高いサービスを提供しております。iPS細胞患者由来疾患モデル、iPS細胞遺伝子編集、各種分化誘導など、技術難易度が高く付加価値の高いサービスを中心に実施しています。 創薬試験受託:手術等で得られた余剰のヒトの組織を使って新薬候補化合物の薬効薬理試験を行っております。REPROCELL EuropeはGLP(Good Laboratory Practice: 医薬品の非臨床試験の安全性に関する信頼性を確保するための基準)に準拠した施設を保有しており、信頼性の高いサービスを提供しております。 (3) 細胞測定機器 ナニオンテクノロジーズ社(ドイツ)の電気生理実験機器の日本国内での販売をしております。 事業内容内容メディカル事業 メディカル事業では、(1)再生医療の研究開発、 (2)iPS細胞再生医療等製品の受託製造、(3)臨床検査受託サービスを実施しております。 (1) 再生医療の研究開発 再生医療では、台湾のステミネント社から導入したステムカイマル、iPS細胞から作製するiPS神経グリア細胞、腫瘍浸潤性リンパ球輸注療法の3つの再生医療製品の開発を行っております。 ステムカイマル:ステムカイマルは脊髄小脳変性症を対象とした再生医療製品であり、症状の進行を抑制する効果が期待されています。ステムカイマルは、腕の血管から静脈注射(点滴)で投与するため、侵襲性が低い治療法になります。2022年5月、日本での第II相臨床試験が完了しており、現在、承認申請の準備を進めております。 iPS神経グリア細胞:筋萎縮性側索硬化症(ALS)及び横断性脊髄炎を対象とした研究開発を進めております。現在、前臨床試験を実施しており、製造施設として、再生医療用の細胞加工施設「殿町・リプロセル再生医療センター」を保有しております。 TIL療法:患者本人のがん組織に含まれる腫瘍浸潤リンパ球を採取して体外で大量に培養し、患者に戻す養子免疫療法の一種です。進行子宮頸がんを対象としたTIL療法の事業化を慶應義塾大学医学部産婦人科学教室と共同で進めています。 (2) iPS細胞再生医療等製品の受託製造 最先端の「RNAリプログラミング技術」を利用し、安全性が高く、臨床応用に最適な臨床用iPS細胞を作製します。さらに、iPS細胞のゲノム編集、マスターセルバンクの製造、分化細胞の製造まで、幅広く受託製造を行います。 日米欧の3極の規制全てに準拠していることが強みになります。 (3) 臨床検査受託サービス 日本では、2005年に衛生検査所として登録して以来、臓器移植に関連したHLAタイピング及び抗HLA抗体検査等の臨床検査受託サービスを実施しています。また、2023年4月から、「ストレス」、「更年期」、「男性ホルモン」などの郵送検査サービス(ウェルミル)を実施しています。 iPS細胞技術プラットフォームと事業セグメント (1) 研究支援事業 研究支援事業では、大学/公的研究機関及び製薬企業等の研究所を顧客として、研究試薬や細胞などの研究用製品及びiPS細胞作製受託などの研究サービスを提供しております。最先端技術を集約した製品・サービスを上記研究機関に提供することで、画期的な新薬や治療法の開発に貢献してまいります。現在、世界中の製薬企業では、動物愛護の観点や、ヒトと動物の種の違いによる試験結果の差といった問題点などから「動物実験からヒト細胞実験」への大きなシフトが進んでいます。今後、ヒト細胞実験が普及することで、これまで十数年かかっていた新薬開発のプロセスが大幅に短縮され、さらに、従来と比べて性能の高い新薬が開発できることが期待されています。中でもヒトiPS細胞はその中心的存在として注目を集めており、例えば、アルツハイマー病患者から作製したiPS細胞を研究で使うことで、アルツハイマー病の病態解明及び新薬開発が加速されると期待されています。 当社グループでは、RNAリプログラミング技術及び各種細胞への分化誘導技術など、ヒトiPS細胞に関する世界最先端の技術プラットフォームを保有しており、さらに、がん細胞やヒト組織を医療機関から調達する幅広いネットワークも保有しております。これら技術優位性の高い「ヒト細胞ビジネスプラットフォーム」を最大限活用することで、上記の「動物実験からヒト細胞実験」へのシフトを先取りした事業を進めております。具体的には、研究試薬製品、iPS細胞を用いた病態モデル細胞の作製サービス、ヒト生体試料のバンキングと提供、ヒト組織を用いた新薬の薬効薬理試験サービスなどがあります。 上記に加え、ナニオンテクノロジーズ社(ドイツ)の細胞測定機器などの研究機器の販売を行っております。これらの機器は、当社のiPS細胞及び疾患モデル細胞を創薬スクリーニングに応用するためのものであり、細胞と機器を一元化して販売することで、総合的なソリューションを顧客に提供しております。 また、研究支援事業では、自社開発品だけでなく他社製品の導入及び代理店販売にも積極的に取り組んでおります。2023年6月には、Vernal Biosciences社(米国)と日本における独占代理店契約を締結し、GMPグレードのmRNA及び脂質ナノ粒子の販売を開始することになりました。2023年12月には、Preci社(ウクライナ)と代理店契約を行い、初代ヒト肝細胞の日本国内での販売を開始しております。また、ニッピ社とは、全世界での代理店契約を締結し、MatriMix(511)を販売しております。今後とも、研究支援事業のポートフォリオを積極的に拡大することで、成長を目指します。 研究支援事業の事業系統図 (2) メディカル事業 再生医療分野においては、ヒト体性幹細胞やヒトiPS細胞の臨床応用を目指した研究が世界中で盛んに行われており、将来、再生医療製品がグローバルで巨大産業に成長することが見込まれています。 特にiPS細胞は、体の様々な細胞に分化させる事が可能であることから、有効な治療法のない難病に対する臨床応用に大きな期待が寄せられています。iPS細胞の臨床応用に関する技術課題は安全性の確保ですが、当社では高品質で臨床応用に最適なiPS細胞を作製するRNAリプログラミング技術を開発・保有しております。この技術優位性を活かし、iPS細胞の早期の臨床応用を実現してまいります。 メディカル事業では以下の事業を推進しております。 (a) 体性幹細胞製品ステムカイマル ステムカイマルは台湾のSteminent Biotherapeutics Inc.(以下、ステミネント社)が開発した脂肪由来の間葉系幹細胞製品であり、当社は脊髄小脳変性症を対象とした日本における独占的商業ライセンス契約を締結しております。また、当該製品に関する特許が2024年1月に日本でも成立しております。 脊髄小脳変性症は、小脳や脳幹、脊髄の神経細胞が変性してしまうことにより、徐々に歩行障害や嚥下障害などの運動失調が現れ、日常の生活が不自由となってしまう原因不明の希少疾患です。ステムカイマルの投与により、症状の進行を抑制する効果が期待されています。ステムカイマルは、腕の血管から静脈注射(点滴)で投与するため、侵襲性が低い治療法になります。 日本国内で、第II相臨床試験を実施し、安全性及び有効性の評価を行いました。2020年2月に、第1例目の被験者への投与を開始し、2022年5月に全被験者の観察期間も含め全て完了しております。本臨床試験の結果を、2023年5月に開示いたしましたが、以下に要旨を記載します。 安全性に関して、全被験者において重篤な有害事象は認められず、安全性が確認されております。 有効性評価を、主要評価項目であるSARAスコア*で実施したところ、実薬群のSARAスコアの上昇が自然歴と比較して抑制されていることが確認できました。さらに、ベースライン(Visit2、投与前)から52週目(Visit8)までの変化量の統計解析を実施した結果、ベースライン11以上の部分集団で、実薬群がプラセボ群と比べて統計的に有意に改善する結果となりました(P値0.042)。 また、ステミネント社が実施した台湾における第II相臨床試験においても、安全性の問題はなく、また、実薬群のSARAスコアの上昇が自然歴と比較して抑制されていること、さらに、ベースラインの高い部分集団においてSARAスコアの変化量に関する解析で、プラセボ群に対して実薬群で改善効果が認められております。これらの結果は日本の結果と類似しており、日本のデータを裏付けるものとなりました。 日本では、2018年12月に希少疾病用再生医療等製品として指定されております。これにより、開発に係る経費の助成金(最大50%)、優遇税制措置、及び優先審査等の支援措置を受けることができます。 当社では、病気と闘っている患者様へ少しでも早く新しい治療法が届けられるよう、承認申請の準備を進めております。*SARAスコア:脊髄小脳変性症の症状の評価に広く用いられている指標であり、歩行、立位、会話、指先の運動などを総合的に数値化します。0~40点の範囲で、症状が悪化するほど、スコアは増加します。 (b) iPS神経グリア細胞製品 iPS細胞から神経グリア細胞を作製し、各種神経変性疾患に対するiPS細胞再生医療製品として研究開発を行っております。現在、iPS神経グリア細胞を用いた前臨床試験(動物実験)を実施しております。また、iPS神経グリア細胞の製造のため「殿町・リプロセル再生医療センター」(神奈川県ライフイノベーションセンター内)の整備を進め、2021年3月に厚生労働省関東信越厚生局より再生医療等の安全性の確保等に関する法律に基づき「特定細胞加工物製造許可」(施設番号:FA3200006)を取得しております。 2022年10月には、AMED 公募事業「再生医療・遺伝子治療の産業化に向けた基盤技術開発事業」に採択されました。本事業の支援により、研究開発を加速させ一日も早い臨床試験の開始を目指しております。 (c) 腫瘍浸潤性リンパ球輸注療法 2023年6月、慶應義塾大学医学部産婦人科学教室と「先進医療B(進行子宮頸がんに対する骨髄非破壊的前処置及び低用量IL-2を用いた短期培養抗腫瘍リンパ球輸注療法の第II相臨床試験)における、腫瘍浸潤リンパ球(TIL, Tumor Infiltrating Lymphocyte)の製造法の技術移転」に関する共同研究契約を締結しました。 腫瘍浸潤リンパ球輸注療法(TIL療法)とは、患者本人のがん組織に含まれる腫瘍浸潤リンパ球と呼ばれる免疫細胞を採取して体外で大量に培養し、患者に戻す養子免疫療法の一種です。TIL療法は米国を中心に、1980年代より主に進行悪性黒色腫に対して実施され、治療効果が報告されてきました。悪性黒色腫に対するTIL療法の成績は、腫瘍が縮小した患者(奏効率)が約7割で、病変が完全に消失する割合(完全奏効)は約2割とされ、さらに、完全奏効の患者では少数の例外を除き再発しないことが知られています。そして、2024年2月には、Iovance Biotherapeutics社(米国)の転移性メラノーマを対象としたTIL療法が米国FDAで承認されました。固形がんを対象とした初の細胞療法の承認事例となります。薬価は515,000ドルとなっております。 TIL療法は、高度なTILの培養技術が必要なため、実施可能な施設は世界でも約10施設程度に留まります。当社は、本共同研究の中で技術移転を受け、慶應義塾大学が実施している「子宮頸がんを対象とした腫瘍浸潤リンパ球輸注療法(TIL療法)」に関する臨床試験の細胞加工を実施する予定です。さらに、その後は、細胞加工だけでなく、当社の再生医療等製品の第3のパイプラインとしてTILの事業化を進めてまいります。本事業を起点として、がん免疫療法の分野で事業を展開してまいります。 (d) iPS細胞再生医療等製品の受託製造 iPS細胞による再生医療の研究開発は世界中で精力的に行われており、日本でも、加齢黄斑変性、パーキンソン病、虚血性心筋症、脊髄損傷等の臨床研究及び治験が進められています。再生医療に用いるiPS細胞には高い安全性と品質、さらに各国の医療ガイドラインに準じることが必要とされます。 安全性の高いiPS細胞を作製するためには、iPS細胞を作るプロセスである「リプログラミング」が重要になります。リプログラミング技術は様々報告されていますが、当社では遺伝子変異リスクを最小化し、外来遺伝子やウイルス残存リスクの最も低い最先端のRNAリプログラミング技術を開発・保有しております。本技術を利用することで、臨床応用に最適なiPS細胞を作製することができます。 製薬企業向けとして、「GMP-iPS細胞マスターセルバンク」、個人向けとして「パーソナルiPS」の二つを提供しております。 「GMP-iPS細胞マスターセルバンク」では、医薬品製造の規制であるGMP(Good Manufacturing Practice)に準拠してiPS細胞を大量製造し、再生医療製品の出発材料として製薬企業等に提供します。当社のiPS細胞は、日米欧の3極の規制に準拠しているため、日米欧で幅広く使用できることが強みになります。 2022年10月には、世界最大規模の再生医療支援機構であるカリフォルニア州再生医療機構とIndustry Alliance Programに関する基本合意書を締結いたしました。同機構が推進している多数の再生医療プロジェクトにおいて当社の臨床用iPS細胞を提供しております。 2023年10月、Gameto社(米国)と、臨床用iPS細胞の提供及びライセンス契約を行いました。 さらに、BioBridge社(米国)及びHistocell社(スペイン)と提携を行い、iPS細胞の作製だけでなく、その後工程である各種目的細胞への分化誘導及び再生医療等製品の製造までを行える体制を構築しました。ドナー細胞の確保→iPS細胞の作製→分化細胞の製造までの全工程を日米欧の規制に準拠して受託製造する高付加価値なサービスとして提供しております。 さらに、iPS細胞に加えて、間葉系幹細胞を用いた再生医療等製品及びそのセクレトーム・エクソソームの受託製造に関しても、Histocell社と共同で実施することになりました。間葉系幹細胞を用いた臨床試験は、現在、世界中で数多く行われており、当社で開発しているステムカイマルも間葉系幹細胞になります。 メディカル事業のパイプライン (参考情報)※1:筋萎縮性側索硬化症(ALS)体を動かすための神経系(運動神経)が変性してしまい、筋力の低下による運動障害や嚥下障害等の症状があらわれる病気です。運動神経のみが変性するため、意識や五感は正常であり、知能の低下もありません。病状の進行が極めて速い一方で、有効な治療法は確立されていません。日本では指定難病とされており、国内患者数は約1万人とされています。※2:横断性脊髄炎脊髄の一部分が横方向にわたって炎症を起こすことによって発生する神経障害です。通常、腰部の痛み、筋肉衰弱、つま先や脚の異常な感覚などの症状が突然発症することで始まり、その後急速に、麻痺や閉尿や排便制御の喪失などの深刻な症状がみられます。原因は特定されておらず、有効な治療法は確立されていません。国内患者数は約1.5万人とされています。 |
関係会社の状況 | 4【関係会社の状況】 名称住所資本金又は出資金(千円)主要な事業の内容議決権の所有割合又は被所有割合(%)関係内容(連結子会社) REPROCELL USA Inc.(注)2、3、4米国メリーランド州千米ドル26,833研究支援事業100.0(0.1)役員の兼任あり。REPROCELL Europe Ltd.(注)2,5英国グラスゴー千ポンド9,260研究支援事業100.0役員の兼任あり。RCパートナーズ㈱神奈川県横浜市港北区10,000全社100.0役員の兼任あり。株式会社MAGiQセラピューティクス(注)6神奈川県横浜市港北区28,010メディカル事業50.0役員の兼任あり。Bioserve Biotechonologies India Pvt. Ltd.(注)3インドテランガーナ州千ルピー443,878研究支援事業100.0(0.9)役員の兼任あり。(持分法適用関連会社) Cell Innovation Partners Ltd.(注)3英国領ケイマン諸島9,000研究支援事業50.0(50.0)-Cell Innovation Partners, L.P.英国領ケイマン諸島909,000研究支援事業38.5-(注)1.「主要な事業の内容」欄には、セグメントの名称を記載しております。2.特定子会社に該当しております。3.議決権の所有割合の( )内は、間接所有割合で内数であります。4.REPROCELL USA Inc.については、売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く。)の連結売上高に占める割合が10%を超えております。主要な損益情報等 (1)売上高 994,815千円(2)経常利益 151,081千円(3)当期純利益 141,860千円(4)純資産額 342,735千円(5)総資産額 539,957千円5.REPROCELL Europe Ltd.については、売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く。)の連結売上高に占める割合が10%を超えております。主要な損益情報等 (1)売上高 643,088千円(2)経常損失(△) △9,999千円(3)当期純損失(△) △9,999千円(4)純資産額 153,985千円(5)総資産額 341,557千円6.持分は100分の50以下であるが、実質的に支配しているため子会社としたものであります。 |
従業員の状況 | 5【従業員の状況】 (1)連結会社の状況 2024年3月31日現在セグメントの名称従業員数(人)研究支援事業67(8)メディカル事業6(5)報告セグメント計73(13)全社(共通)23(3)合計96(16)(注)1.従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数(パートタイマー、人材会社からの派遣社員)は、年間の平均人員を( )外数で記載しております。2.全社(共通)として記載されている従業員数は、管理部門に所属しているものであります。 (2) 提出会社の状況 2024年3月31日現在従業員数(人)平均年齢(歳)平均勤続年数(年)平均年間給与(円)26(14)33.84年10か月5,451,144 セグメントの名称従業員数(人)研究支援事業13(7)メディカル事業6(5)報告セグメント計19(12)全社(共通)7(2)合計26(14)(注)1.従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数(パートタイマー、人材会社からの派遣社員)は、年間の平均人員を( )外数で記載しております。2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。3.全社(共通)として記載されている従業員数は、管理部門に所属しているものであります。 (3) 労働組合の状況労働組合は組成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。 (4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異 提出会社及び連結子会社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。 |
経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 | 1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下の通りであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)経営方針 当社はiPS細胞及び体細胞に関する世界最先端の研究成果を広く一般的に利用できる形で事業化することで、研究開発をより促進し、さらに、再生医療など次世代医療を通じて人々の健康福祉に貢献することを目指しています。 短中期的な事業の柱としてiPS細胞に関連した研究試薬や創薬支援サービスを提供する「研究支援事業」を推進し、中長期的な成長戦略として巨大市場が見込める「メディカル事業」へ積極的に投資することにより、当分野のマーケットリーダーを目指します。 また、真のグローバル企業として成長していくことも当社の大きな基本方針としています。病気や医療ニーズに国境はなく、再生医療を含む次世代医療は全世界中の人々から求められています。現時点で、市場の大きい米国、欧州、日本、また将来大きな成長が見込めるインドにそれぞれ拠点を有しており、事業展開を進めております。 さらに、再生医療分野において持続的な成長を可能にするために顧客、社員、事業パートナー、株主といった重要なステークホルダーのバランスの取れた関係を重視し、これらのステークホルダーと長期的にWin-Winの関係となれる体制を構築してまいります。また、我々は社会の一員であるという自覚を持ち、社会全体への貢献についても重視してまいります。 (2)経営戦略等 当社の中核事業領域であるiPS細胞は、山中伸弥教授によるヒトiPS細胞の発明以降、世界中で研究が盛んに行われております。 最近では、iPS細胞を活用した病態解明や再生医療への応用など、実用的な研究開発が多く行われるようになりました。2017年には、希少難病の患者から作製したiPS細胞を活用して病態を解明し、新薬候補の治験へつなげた事例が報告され、さらに、再生医療に関しても、加齢黄斑変性、パーキンソン病に続き、重症心筋症及び角膜疾患でも臨床研究/試験が開始されました。 当社では、前者のようにiPS細胞を病態解明や創薬研究に使用する事業を「研究支援事業」、後者の再生医療を「メディカル事業」と位置づけ、2つのセグメントに分け、推進しております。 現時点では、研究支援事業の売上が約86%となっております。今後とも、短中期的な主力事業としてグローバルに推進してまいります。一方、メディカル事業では、現在、脊髄小脳変性症を対象とした再生医療製品ステムカイマル及び、筋萎縮性側索硬化症(ALS)等の神経系疾患を対象としたiPS神経グリア細胞の研究開発を進めております。これら再生医療製品は中長期的な成長事業として、積極的な投資を行い、早期の製造販売承認の取得を目指します。 当社の基本事業戦略を下記にまとめます。 ① 積極的なグローバル化の推進 当社では、日本に加え、米国、欧州、インドにも拠点を保有しております。いずれの拠点も、販売、製造、研究開発の機能を有しており、各拠点が有機的に連携しながらグループシナジーを追求しています。 営業では、各拠点がそれぞれの地域の顧客をカバーしており、時差や言語の壁なく営業活動を推進しております。日本市場に加え、バイオ業界における最大の市場である米国、それに続く欧州、さらに世界人口第2位を誇るインドの4拠点をカバーすることで、ターゲット顧客である世界中の多くの大学/公的研究機関及び製薬企業等にアクセスが可能になっております。各地域で製造している製品やサービスを別の地域で販売することで、売上を拡大してまいります。 ② 研究支援事業とメディカル事業による連続的成長モデル 研究支援事業では、医薬品のような製造販売承認は必要とされず、新しい技術を比較的短期間で事業化し収益を上げることができます。当社では、iPS細胞を中心とした幅広い「ヒト細胞ビジネスプラットフォーム」を有しており、競争優位性の高い製品やサービスを世界中で展開し短中期の収益の柱として推進しております。 メディカル事業では、再生医療および臨床検査を実施しております。再生医療に関しては、上市までに臨床試験を行い製造販売承認を取得する必要があるため、研究支援事業より事業化に時間が必要とされますが、日本では2014年の法改正により、世界で最も再生医療の産業化に適した環境が整っていると考えられます。「医薬品、医療機器等の品質、有効性および安全性の確保等に関する法律(通称 薬機法)」では、治験において安全性が確認され、有効性が推定された再生医療等製品に対して早期承認(条件・期限付き承認)を与えることが可能になりました。これにより、患者様に対して新たな治療機会を早期に提供すると共に、治験期間の短縮や治験費用の削減が期待できます。 経済産業省の報告書(「平成29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備 「根本治療の実現」に向けた適切な支援のあり方の調査」)によると、再生医療産業のグローバルでの市場規模は2030年で約5~10兆円となっており、今後、巨大市場に成長することが見込まれています。 このように、再生医療を中長期的な成長事業と位置づけ、早期の製造販売承認の取得を目指します。 短中期的な収益の柱である「研究支援事業」と、中長期的な成長事業である「メディカル事業」の両方を組み合わせることで、短期→中期→長期と、持続的な成長を実現します。 ③ 最先端技術による持続的な技術優位性の確保 iPS細胞は世界中で研究開発競争が繰り広げられており、飛躍的に技術が進歩してきました。当社は、引き続き技術開発を積極的に推進することで競争力の強化を図ってまいります。また、リプロセルグループ内の各要素技術を組み合わせ、シナジーを追求することで競争優位性の高い新規ビジネスの開発を行ってまいります。引き続き、世界中のトップ大学および企業等とのコラボレーションを通じて、世界最先端の技術を積極的に開発・導入してまいります。 (3)経営環境 2020年に感染拡大が始まった新型コロナウイルスへの対応状況が、最近大きく変わってきました。今後とも、感染拡大は定期的に起こる可能性はあるものの、ワクチン接種率が高まってきたこともあり、今後、従来のような行動制限措置が行われる可能性は低くなりました。事業環境もパンデミック以前の状態に戻ってきております。 (4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 当社が持続的に成長して企業価値を高めるとともに、我々のビジョンやミッションを達成するために優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題を以下のように考えております。 ① 全社的課題技術革新への対応 iPS細胞は世界中で研究競争が行われており、短期間で技術革新が進んでいます。革新的な技術が開発された場合、既存技術は陳腐化し競争力を失います。このため、当社グループとしては、今後とも積極的に技術開発を推進し当分野のマーケットリーダーとなることを目指します。 技術開発については自社開発だけでなく、これまでと同様、大学、公的研究機関、民間企業との連携及び共同開発を中心に進めてまいります。 ② セグメント別課題(1) 研究支援事業(a) 多様化する顧客ニーズへの対応 iPS細胞の研究は、大学・公的研究機関及び製薬企業で幅広く行われています。創薬研究は多種多様であるため、幅広いニーズに対応した製品・サービスが求められます。 当社グループでは、研究試薬や細胞などの研究用製品、iPS細胞作製・遺伝子編集・分化誘導などの受託サービス、及び細胞測定機器を幅広く提供することにより、顧客ニーズに対応しております。 (2) メディカル事業(a) 再生医療製品ステムカイマルの早期承認 脊髄小脳変性症を対象としたステムカイマル第II相臨床試験(日本国内)は、2022年5月に観察期間も含め完了いたしました。今後の承認申請には、臨床試験の結果だけでなく、社内体制の整備、及び各種申請資料の準備が必要になります。今後、承認申請に向け、外部専門家の活用も含め、準備を加速してまいります。 (b) iPS細胞を用いた再生医療の早期実現と海外展開 筋萎縮性側索硬化症(ALS)及び横断性脊髄炎を対象とするiPS神経グリア細胞の研究開発に取り組んでおります。 一般的にiPS細胞の再生医療では、がん化のリスクなど安全性の課題が指摘されています。当社グループでは、最先端技術であるRNAリプログラミング法により作製した臨床用iPS細胞を使用することで、安全性の課題を克服します。 また、臨床応用の規制は各国で異なっており、海外展開の一つの課題となっています。当社グループでは、日米欧の規制に対応した臨床用iPS細胞を自社で作製することで、各国の規制に対応していきます。 (c) 腫瘍浸潤性リンパ球輸注療法の早期の事業化 進行子宮頸がんを対象とした腫瘍浸潤性リンパ球輸注療法の事業化を慶應義塾大学医学部産婦人科学教室と共同で進めております。2024年2月に、Iovance Biotherapeutics社(米国)による転移性メラノーマを対象としたTIL療法が、固形がんを対象とした初の細胞療法として米国FDAで承認されており、今後、市場が拡大すると同時に、競争が激化することが想定されます。 慶應義塾大学における先進医療を早期に進めるのと同時に、TILの最先端技術の研究開発にも積極的に取り組んでまいります。 (5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標は、売上高と経常利益となります。 |
サステナビリティに関する考え方及び取組 | 2【サステナビリティに関する考え方及び取組】 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)ガバナンス 当社グループではサステナビリティ関連のリスク及び機会を、その他の経営上のリスク及び機会と一体的に監視及び管理しております。詳細は、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要 ② 企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由 イ) 会社の機関の基本説明 a.取締役会」をご参照ください。 (2)戦略 当社グループの成長戦略を実現するためには、高度な専門的知識、技能及び経験を有する、多様な人材の確保及び育成が不可欠だと考えております。これを維持・向上するために基本的な人事施策の確実な実施を行っております。具体的には、フレックスタイム制度等、社員がワークライフバランスを実現しやすい制度、各社の取締役及び本部長クラスの優秀な人材を対象としたインセンティブ制度等、人材確保のための各種制度の整備並びに社内外の機会を捉えた社員教育を行っております。 上記の点以外に現状重要性の高いサステナビリティ関連リスク及び機会を認識していないため、その他の戦略については記載を省略しております。 (3)リスク管理 当社グループではサステナビリティ関連のリスク及び機会を、その他経営上のリスク及び機会と一体的に監視及び管理しております。詳細は、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要 ② 企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由 イ) 会社の機関の基本説明 a.取締役会」及び「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要 ③ 企業統治に関するその他の事項 ロ) リスク管理体制の整備の状況」をご参照ください。 (4)指標及び目標 上記(2)戦略で記載した、多様な人材の確保及び育成について、現時点では定量的な指標や目標は設定しておりませんが、達成に向けて進捗を注視していくとともに、指標や目標の設定要否についても引き続き検討する予定です。 上記の点以外に現状重要性の高いサステナビリティ関連リスク及び機会を認識していないため、その他の指標及び目標については記載を省略しております。 |
戦略 | (2)戦略 当社グループの成長戦略を実現するためには、高度な専門的知識、技能及び経験を有する、多様な人材の確保及び育成が不可欠だと考えております。これを維持・向上するために基本的な人事施策の確実な実施を行っております。具体的には、フレックスタイム制度等、社員がワークライフバランスを実現しやすい制度、各社の取締役及び本部長クラスの優秀な人材を対象としたインセンティブ制度等、人材確保のための各種制度の整備並びに社内外の機会を捉えた社員教育を行っております。 上記の点以外に現状重要性の高いサステナビリティ関連リスク及び機会を認識していないため、その他の戦略については記載を省略しております。 |
指標及び目標 | (4)指標及び目標 上記(2)戦略で記載した、多様な人材の確保及び育成について、現時点では定量的な指標や目標は設定しておりませんが、達成に向けて進捗を注視していくとともに、指標や目標の設定要否についても引き続き検討する予定です。 上記の点以外に現状重要性の高いサステナビリティ関連リスク及び機会を認識していないため、その他の指標及び目標については記載を省略しております。 |
人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略 | 当社グループの成長戦略を実現するためには、高度な専門的知識、技能及び経験を有する、多様な人材の確保及び育成が不可欠だと考えております。これを維持・向上するために基本的な人事施策の確実な実施を行っております。具体的には、フレックスタイム制度等、社員がワークライフバランスを実現しやすい制度、各社の取締役及び本部長クラスの優秀な人材を対象としたインセンティブ制度等、人材確保のための各種制度の整備並びに社内外の機会を捉えた社員教育を行っております。 |
人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績、指標及び目標 | 上記(2)戦略で記載した、多様な人材の確保及び育成について、現時点では定量的な指標や目標は設定しておりませんが、達成に向けて進捗を注視していくとともに、指標や目標の設定要否についても引き続き検討する予定です。 |
事業等のリスク | 3【事業等のリスク】 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。あわせて、必ずしもそのようなリスクに該当しない事項についても、投資者の判断にとって重要であると当社が考える事項については、積極的な情報開示の観点から記載しております。また、本項の記載内容は当社株式の投資に関する全てのリスクを網羅しているものではありません。 当社グループは、これらのリスクの発生可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の迅速な対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載内容もあわせて慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。 なお、本項記載の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。 (1) 競合リスク iPS細胞の分野は、熾烈な研究競争が行われており、技術革新が速く、新規参入の動きが活発となっているため、従来の技術が陳腐化するリスクがあります。このため、当社グループは、世界的な大学や公的研究機関と連携し、常に世界最先端の技術開発に先行して取り組んでおります。 新規参入は大手企業を含めて増加しており、研究開発を進めながら参入を検討している潜在的競合相手も少なくないと考えられます。さらに、後発参入製品は先発製品に比べ機能面やコスト面で少なからず優位性を有している可能性もあり、競争が激化することが想定されます。これら競合相手の中には、生産性や販売力、資金力で当社グループを上回る企業が含まれる可能性もあります。当社グループは今後とも、積極的に研究開発及び営業活動を行っていきますが、競合相手との競争状況によっては、計画どおりの収益を上げることができない可能性もあります。 (2) 研究開発活動に由来するリスク 当分野の競争が激化する中、当社では公的資金の有効活用や産学連携により、日本、米国、欧州、インドの4拠点でこれまで研究開発に重点を置いた活動をしてまいりました。しかしながら、研究開発活動が常に計画どおりに進む保証はなく、当初の予定どおりに進まない場合、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (3) 再生医療ビジネスに関するリスク 現在当社グループでは、①体性幹細胞由来の再生医療製品ステムカイマル、②再生医療向けiPS神経グリア細胞及び③腫瘍浸潤性リンパ球輸注療法(TIL療法)の3つのパイプラインがあります。 再生医療製品の開発については、2014年11月25日に施行された「薬事法等の一部を改正する法律」に準拠し進めておりますが、臨床試験において、想定外の有害事象の発生及び有効性が証明できないなどの理由で、治験の中止または承認が得られないリスクがあります。また、承認申請及び審査の過程で遅延が起こるリスクがあります。 (4) 知的財産権に関するリスク① 特許にかかる事項 知的財産権に関して、当社グループの特許権が他社により侵害されるリスクがあります。このため、当社グループでは研究開発で得られた成果に関して、必要に応じて迅速に特許出願等を行っております。逆に、当社グループが他社の特許権を侵害するリスクも否定できないため、必要に応じて各種データベースや特許事務所を活用して情報収集を行い、可能な限り特許侵害リスクを軽減すべく対応しております。しかしながら、当社グループの調査範囲の及ばない抵触特許が存在した場合及び秘密裏に当社グループの特許が侵害された場合、当社グループの技術の優位性が損なわれ、多額の損害賠償を請求されるなど、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。② 職務発明にかかる事項 当社グループにおける職務発明の取扱いに関しては、職務発明規程を作成し、運用しております。しかしながら、将来、発明者の認定及び職務発明の対価の相当性についての係争が発生した場合、当社グループの事業に影響を与える可能性があります。 (5) 経営上の重要な契約等に関するリスク 当社の経営上重要と思われる契約は、当社が実施許諾を受けているiPS細胞事業に関する特許ライセンス契約であります。当該契約が期間満了、解除、その他の理由に基づき終了した場合、もしくは当社にとって不利な改定が行なわれた場合、または契約の相手方の経営状態が悪化したり、経営方針が変更されたりした場合には、当社の事業戦略及び業績に影響を与える可能性があります。 (6) 人材の確保に関するリスク 当社グループの成長戦略を実現するためには、高度な専門的知識、技能及び経験を有する、多様な人材の確保及び育成が不可欠といえます。特に、海外では日本に比べ一般的に人材流動性が高く、優秀な人材ほど外部に流出するリスクが高くなります。海外子会社を含め、各社の取締役及び本部長クラスの優秀な人材を対象にインセンティブ制度を導入するなどして長期確保に努めており、さらに優秀な新規人材の採用も積極的に行っております。しかしながら、優秀な人材の確保及び採用が計画通りに進まない場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (7) 為替変動リスク 当社グループの海外売上比率は約6割であり、為替変動が業績及び財政状態に与える影響は少なくありません。主要取引通貨である米ドルと英ポンドに対して当初の見込みより円高に推移した場合、売上が減少し、さらに海外通貨預金及び子会社への貸付金に関わる為替差損の発生による損失の拡大が起こるリスクがあります。一方、円安に推移した場合は、売上の増大及び損失の縮小が見込まれます。 (8) 資金繰り及び資金調達等に関するリスク 当社グループでは、研究開発活動の進捗に伴い多額の研究開発費が先行して計上され、継続的な営業損失が生じております。今後も事業の進捗に伴って運転資金、研究開発投資及び設備投資等の資金需要の増加が予想されます。今後、株式市場からの資金調達や、国の公的補助金等の活用など、資金調達手段の多様化により継続的に財務基盤の強化を図ってまいりますが、収益確保または資金調達の状況によっては、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 (9) 税務上の繰越欠損金 当社には現在のところ税務上の繰越欠損金が存在しております。そのため、事業計画の進展から順調に当社業績が推移するなどして繰越欠損金による課税所得の控除が受けられなくなった場合には、通常の税率に基づく法人税、住民税及び事業税が計上されることとなり、親会社株主に帰属する当期純利益または親会社株主に帰属する当期純損失及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。 (10) レピュテーションに関するリスク 当社グループは、製品の品質・安全性の確保、法令遵守、知的財産権管理、個人情報管理等に努めております。しかしながら、当社グループ及び当社グループを取り巻く環境や競合他社及び競業他社を取り巻く環境において何らかのレピュテーション上の問題が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (11) 自然災害、事故、テロ、戦争等に関するリスク 当社グループが事業活動を行っている地域では、地震、台風等の自然災害の影響を受ける可能性があります。同様に火災等の事故災害、テロ、戦争等が発生した場合、当社グループの拠点の設備等に大きな被害を受け、その全部又は一部の操業が中断し、生産及び出荷が遅延する可能性があります。また、損害を被った設備等の修復のために多額の費用が発生し、結果として、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (12) 継続企業の前提に関する重要事象等 iPS細胞及び再生医療製品等の研究開発及び治験費用が収益に先行して発生する等の理由から、継続的に営業損失が発生しており、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象または状況が存在しております。 しかしながら、当社グループの当連結会計年度末の現金及び預金残高は2,939百万円、短期的な資金運用を行っている有価証券が3,627百万円あり、財務基盤については安定しております。今後、主力事業の営業強化、新規事業の立ち上げ、再生医療製品の早期の製造販売承認を通じて、早期の黒字化を目指してまいります。 |
経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 | 4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 経営成績等の状況の概要文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。 (1)経営成績 当社の中核事業領域であるiPS細胞は、山中伸弥教授によるヒトiPS細胞の発明以降、世界中で研究が盛んに行われております。 最近では、iPS細胞を活用した病態解明や再生医療への応用など、実用的な研究開発が多く行われるようになりました。希少難病の患者から作製したiPS細胞を活用して病態を解明し、新薬候補の治験へつなげた事例が報告され、さらに、再生医療に関しても、iPS細胞を使った加齢黄斑変性、パーキンソン病、虚血性心筋症、脊髄損傷等の臨床研究及び治験が進められております。 当社では、前者のようにiPS細胞を病態解明や創薬研究に使用する事業を「研究支援事業」、後者の再生医療を「メディカル事業」と位置付け、二つのセグメントに分け、推進しております。 研究支援事業では、大学/公的研究機関及び製薬企業等を顧客として、研究試薬や細胞などの研究用製品、iPS細胞作製受託などの研究サービス、及び細胞測定機器を提供しております。研究用途であるため、医薬品のような製造販売承認は必要とされず、新しい技術を比較的短期間で事業化し収益を上げることができる特長があります。当社では、iPS細胞を中心とした幅広い「ヒト細胞ビジネスプラットフォーム」を保有しており、競争優位性の高い製品やサービスを世界中で展開し、短中期の収益の柱として推進しております。 一方、メディカル事業では、再生医療等製品の研究開発、再生医療等製品の受託製造事業、臨床検査受託サービスを実施しております。 再生医療に関しては、上市までに臨床試験を行った上で製造販売承認を取得する必要があるため、研究支援事業より事業化に時間が必要とされますが、日本では2014年の法改正により、世界で最も再生医療の産業化に適した環境が整っていると考えられます。「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(通称 薬機法)」では、治験において安全性が確認され、有効性が推定された再生医療等製品に対して早期承認(条件・期限付き承認)を与えることが可能になりました。さらに、2024年3月には、厚生労働省より、「再生医療等製品に係る条件及び期限付承認並びにその後の有効性評価計画策定に関するガイダンス」が発表されました。これらにより、患者様に対して新たな治療機会を早期に提供するとともに、治験期間の短縮や治験費用の削減が期待できます。 また、経済産業省の報告書(「再生医療の実用化・産業化に関する研究会の最終報告」)によると、再生医療産業のグローバルでの市場規模は2030年で約17兆円となっており、今後、巨大市場に成長することが見込まれています。 短中期的な収益の柱である「研究支援事業」と、中長期的な成長事業である「メディカル事業」の両方を組み合わせることで、短期→中期→長期と、持続的な成長を目指します。 2020年に感染拡大が始まった新型コロナウイルスへの対応状況は、大きく変わっており、今後、従来のような行動制限措置が行われる可能性は低くなりました。事業環境もパンデミック以前の状態に戻ってきております。 この結果、当連結会計年度の売上高は2,426百万円(前期比17.8%減)、営業損失は409百万円(前期356百万円の損失)、経常利益は40百万円(前期119百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純損失は31百万円(前期305百万円の損失)となりました。 セグメント別の経営成績を示すと、次のとおりであります。a.研究支援事業 研究支援事業では、大学/公的研究機関及び製薬企業等の研究所を顧客として、研究試薬や細胞などの研究用製品及びiPS細胞作製受託などの研究サービスを提供しております。最先端技術を集約した製品・サービスを上記研究機関に提供することで、画期的な新薬や治療法の開発に貢献してまいります。現在、世界中の製薬企業では、動物愛護の観点や、ヒトと動物の種の違いによる試験結果の差といった問題点などから「動物実験からヒト細胞実験」への大きなシフトが進んでいます。今後、ヒト細胞実験が普及することで、これまで十数年かかっていた新薬開発のプロセスが大幅に短縮され、さらに、従来と比べて性能の高い新薬が開発できることが期待されています。中でもヒトiPS細胞はその中心的存在として注目を集めており、例えば、アルツハイマー病患者から作製したiPS細胞を研究で使うことで、アルツハイマー病の病態解明及び新薬開発が加速されると期待されています。 当社グループでは、RNAリプログラミング技術及び各種細胞への分化誘導技術など、ヒトiPS細胞に関する世界最先端の技術プラットフォームを保有しており、さらに、がん細胞やヒト組織を医療機関から調達する幅広いネットワークも保有しております。これら技術優位性の高い「ヒト細胞ビジネスプラットフォーム」を最大限活用することで、上記の「動物実験からヒト細胞実験」へのシフトを先取りした事業を進めております。具体的には、研究試薬製品、iPS細胞を用いた病態モデル細胞の作製サービス、ヒト生体試料のバンキングと提供、ヒト組織を用いた新薬の薬効薬理試験サービスなどがあります。 上記に加え、ナニオンテクノロジーズ社(ドイツ)の細胞測定機器などの研究機器の販売を行っております。これらの機器は、当社のiPS細胞及び疾患モデル細胞を創薬スクリーニングに応用するためのものであり、細胞と機器を一元化して販売することで、総合的なソリューションを顧客に提供しております。 また、研究支援事業では、自社開発品だけでなく他社製品の導入及び代理店販売にも積極的に取り組んでおります。2023年6月には、Vernal Biosciences社(米国)と日本における独占代理店契約を締結し、GMPグレードのmRNA及び脂質ナノ粒子の販売を開始することになりました。2023年12月には、Preci社(ウクライナ)と代理店契約を行い、初代ヒト肝細胞の日本国内での販売を開始しております。また、ニッピ社とは、全世界での代理店契約を締結し、MatriMix(511)を販売しております。今後とも、研究支援事業のポートフォリオを積極的に拡大することで、成長を目指します。 この結果、売上高は2,079百万円(前期比3.1%増)、セグメント利益は445百万円(前期比21.5%増)となりました。 b.メディカル事業 再生医療分野においては、ヒト体性幹細胞やヒトiPS細胞の臨床応用を目指した研究が世界中で盛んに行われており、将来、再生医療製品がグローバルで巨大産業に成長することが見込まれています。 特にiPS細胞は、体の様々な細胞に分化させる事が可能であることから、有効な治療法のない難病に対する臨床応用に大きな期待が寄せられています。iPS細胞の臨床応用に関する技術課題は安全性の確保ですが、当社では高品質で臨床応用に最適なiPS細胞を作製するRNAリプログラミング技術を開発・保有しております。この技術優位性を活かし、iPS細胞の早期の臨床応用を実現してまいります。 メディカル事業では以下の事業を推進しております。 (a) 体性幹細胞製品ステムカイマル ステムカイマルは台湾のSteminent Biotherapeutics Inc.(以下、ステミネント社)が開発した脂肪由来の間葉系幹細胞製品であり、当社は脊髄小脳変性症を対象とした日本における独占的商業ライセンス契約を締結しております。また、当該製品に関する特許が2024年1月に日本でも成立しております。 脊髄小脳変性症は、小脳や脳幹、脊髄の神経細胞が変性してしまうことにより、徐々に歩行障害や嚥下障害などの運動失調が現れ、日常の生活が不自由となってしまう原因不明の希少疾患です。ステムカイマルの投与により、症状の進行を抑制する効果が期待されています。ステムカイマルは、腕の血管から静脈注射(点滴)で投与するため、侵襲性が低い治療法になります。 日本国内で、第II相臨床試験を実施し、安全性及び有効性の評価を行いました。2020年2月に、第1例目の被験者への投与を開始し、2022年5月に全被験者の観察期間も含め全て完了しております。本臨床試験の結果を、2023年5月に開示いたしましたが、以下に要旨を記載します。 安全性に関して、全被験者において重篤な有害事象は認められず、安全性が確認されております。 有効性評価を、主要評価項目であるSARAスコア*で実施したところ、実薬群のSARAスコアの上昇が自然歴と比較して抑制されていることが確認できました。さらに、ベースライン(Visit2、投与前)から52週目(Visit8)までの変化量の統計解析を実施した結果、ベースライン11以上の部分集団で、実薬群がプラセボ群と比べて統計的に有意に改善する結果となりました(P値0.042)。 また、ステミネント社が実施した台湾における第II相臨床試験においても、安全性の問題はなく、また、実薬群のSARAスコアの上昇が自然歴と比較して抑制されていること、さらに、ベースラインの高い部分集団においてSARAスコアの変化量に関する解析で、プラセボ群に対して実薬群で改善効果が認められております。これらの結果は日本の結果と類似しており、日本のデータを裏付けるものとなりました。 日本では、2018年12月に希少疾病用再生医療等製品として指定されております。これにより、開発に係る経費の助成金(最大50%)、優遇税制措置、及び優先審査等の支援措置を受けることができます。 当社では、病気と闘っている患者様へ少しでも早く新しい治療法が届けられるよう、承認申請の準備を進めております。 *SARAスコア:脊髄小脳変性症の症状の評価に広く用いられている指標であり、歩行、立位、会話、指先の運動などを総合的に数値化します。0~40点の範囲で、症状が悪化するほど、スコアは増加します。 (b) iPS神経グリア細胞製品 iPS細胞から神経グリア細胞を作製し、各種神経変性疾患に対するiPS細胞再生医療製品として研究開発を行っております。現在、iPS神経グリア細胞を用いた前臨床試験(動物実験)を実施しております。また、iPS神経グリア細胞の製造のため「殿町・リプロセル再生医療センター」(神奈川県ライフイノベーションセンター内)の整備を進め、2021年3月に厚生労働省関東信越厚生局より再生医療等の安全性の確保等に関する法律に基づき「特定細胞加工物製造許可」(施設番号:FA3200006)を取得しております。 2022年10月には、AMED 公募事業「再生医療・遺伝子治療の産業化に向けた基盤技術開発事業」に採択されました。本事業の支援により、研究開発を加速させ一日も早い臨床試験の開始を目指しております。 (c) 腫瘍浸潤性リンパ球輸注療法 2023年6月、慶應義塾大学医学部産婦人科学教室と「先進医療B(進行子宮頸がんに対する骨髄非破壊的前処置および低用量IL-2を用いた短期培養抗腫瘍リンパ球輸注療法の第II相臨床試験)における、腫瘍浸潤リンパ球(TIL, Tumor Infiltrating Lymphocyte)の製造法の技術移転」に関する共同研究契約を締結しました。 腫瘍浸潤リンパ球輸注療法(TIL療法)とは、患者本人のがん組織に含まれる腫瘍浸潤リンパ球と呼ばれる免疫細胞を採取して体外で大量に培養し、患者に戻す養子免疫療法の一種です。TIL療法は米国を中心に、1980年代より主に進行悪性黒色腫に対して実施され、治療効果が報告されてきました。悪性黒色腫に対するTIL療法の成績は、腫瘍が縮小した患者(奏効率)が約7割で、病変が完全に消失する割合(完全奏効)は約2割とされ、さらに、完全奏効の患者では少数の例外を除き再発しないことが知られています。そして、2024年2月には、Iovance Biotherapeutics社(米国)の転移性メラノーマを対象としたTIL療法が米国FDAで承認されました。固形がんを対象とした初の細胞療法の承認事例となります。薬価は515,000ドルとなっております。 TIL療法は、高度なTILの培養技術が必要なため、実施可能な施設は世界でも約10施設程度に留まります。当社は、本共同研究の中で技術移転を受け、慶應義塾大学が実施している「子宮頸がんを対象とした腫瘍浸潤リンパ球輸注療法(TIL療法)」に関する臨床試験の細胞加工を実施する予定です。さらに、その後は、細胞加工だけでなく、当社の再生医療等製品の第3のパイプラインとしてTILの事業化を進めてまいります。本事業を起点として、がん免疫療法の分野で事業を展開してまいります。 (d) iPS細胞再生医療等製品の受託製造事業 iPS細胞による再生医療の研究開発は世界中で精力的に行われており、日本でも、加齢黄斑変性、パーキンソン病、虚血性心筋症、脊髄損傷等の臨床研究及び治験が進められています。再生医療に用いるiPS細胞には高い安全性と品質、さらに各国の医療ガイドラインに準じることが必要とされます。 安全性の高いiPS細胞を作製するためには、iPS細胞を作るプロセスである「リプログラミング」が重要になります。リプログラミング技術は様々報告されていますが、当社では遺伝子変異リスクを最小化し、外来遺伝子やウイルス残存リスクの最も低い最先端のRNAリプログラミング技術を開発・保有しております。本技術を利用することで、臨床応用に最適なiPS細胞を作製することができます。 製薬企業向けとして、「GMP-iPS細胞マスターセルバンク」、個人向けとして「パーソナルiPS」の二つを提供しております。 「GMP-iPS細胞マスターセルバンク」では、医薬品製造の規制であるGMP(Good Manufacturing Practice)に準拠してiPS細胞を大量製造し、再生医療製品の出発材料として製薬企業等に提供します。当社のiPS細胞は、日米欧の3極の規制に準拠しているため、日米欧で幅広く使用できることが強みになります。 2022年10月には、世界最大規模の再生医療支援機構であるカリフォルニア州再生医療機構とIndustry Alliance Programに関する基本合意書を締結いたしました。同機構が推進している多数の再生医療プロジェクトにおいて当社の臨床用iPS細胞を提供しております。 2023年10月、Gameto社(米国)と、臨床用iPS細胞の提供及びライセンス契約を行いました。 さらに、BioBridge社(米国)及びHistocell社(スペイン)と提携を行い、iPS細胞の作製だけでなく、その後工程である各種目的細胞への分化誘導及び再生医療等製品の製造までを行える体制を構築しました。ドナー細胞の確保→iPS細胞の作製→分化細胞の製造までの全工程を日米欧の規制に準拠して受託製造する高付加価値なサービスとして提供しております。 さらに、iPS細胞に加えて、間葉系幹細胞を用いた再生医療等製品及びそのセクレトーム・エクソソームの受託製造に関しても、Histocell社と共同で実施することになりました。間葉系幹細胞を用いた臨床試験は、現在、世界中で数多く行われており、当社で開発しているステムカイマルも間葉系幹細胞になります。 また、2024年1月、ヒトiPS細胞由来間葉系幹細胞(以下「iPSC-MSC」)に関する事業を新たに開始いたしました。iPSC-MSCは、iPS細胞の状態で大量に拡大培養し、その後に間葉系幹細胞に分化させて製造するため、単一ドナーのiPS細胞から半永久的に大量の間葉系幹細胞を製造することが可能となります。このため、ドナー間差及び培養スケールの課題を克服することが可能となります。現行の脂肪及び骨髄由来の間葉系幹細胞の第2世代の再生医療等製品と位置づけ、今後、事業展開をしてまいります。 2024年1月には、セルコラブス社(スウェーデン)と日本における独占代理店契約を締結し、GMPグレードの間葉系幹細胞及びエクソソームの販売を開始することになりました。 「パーソナルiPS」は、将来の疾患に備え、個人のiPS細胞を作製し保管するサービスです。個人のiPS細胞をあらかじめ作製することで、治療までの期間を短縮でき、さらに免疫拒絶のリスクを最小化した移植治療を実現します。販路拡大のため、関西電力株式会社が運営するECモールサイト「かんでん暮らしモール」に出店し、また、株式会社JTBと、国内及び訪日外国人を対象とした販売展開に関する業務提携を行っております。 (e) 臨床検査受託サービス 2005年に衛生検査所として登録して以来、臓器移植にかかわるHLAタイピング及び抗HLA抗体検査等の臨床検査を実施しており、これまで全国300以上の医療機関との取引実績があります。 2021年3月に、新型コロナウイルスPCR検査を開始し、行政、医療機関、法人、個人を中心に、累計33万件の検査を実施いたしました。 また、PCR検査の郵送検査のノウハウを活かし、2023年4月から、新たな郵送検査「ウェルミル」を開始いたしました。ウェルミルは「ストレス」、「更年期」、「男性ホルモン」、「女性ホルモン」等の指標を自宅で簡単に測定できる郵送検査です。さらに、2024年3月には、唾液を用いた新たな検査項目を追加しております。定期的に測定することで、日々のセルフケアにお役立ていただくことができます。今後とも積極的に新しい臨床検査サービスを追加し、事業を拡大してまいります。 上記のような通常の臨床検査に加え、製薬企業の臨床試験における検査受託サービスも実施しております。REPROCELL USAでは、米国ランタンファーマ社の開発する抗がん剤の第II相臨床試験における患者検体の処理及び検査に関する業務委託契約を2023年5月に締結いたしました。当社グループは、日本、アメリカ、イギリス、インドの4拠点に全て研究施設を有しており、今後とも、製薬企業のグローバルな臨床試験に対応できるサービスを提供してまいります。 また、メディカル事業では、個別化医療にも取り組んでおります。REPROCELL EUでは、IBM Research社及び英国 STFC Hartree Centreと共同で、個別化医療に関する機械学習プラットフォーム(Pharmacology-AI)の開発に成功いたしました。今後、Pharmacology-AIを用いて、個別化医療にかかわるデータ解析や、医薬品開発に関するビッグデータの分析等の新規ビジネスを立ち上げていきます。 この結果、売上高は347百万円(前期比62.9%減)、セグメント利益は220百万円(前期比293.4%増)となりました。 なお、管理部門にかかる費用など各事業セグメントに配分していない全社費用が626百万円(前期542百万円)あります。 (2)キャッシュ・フロー 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前連結会計年度末に比べて1,024百万円増加し、2,939百万円となりました。 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。(営業活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度において営業活動の結果使用した資金は11百万円(前期は140百万円の使用)となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失28百万円、仕入債務の減少額55百万円、未払金の減少額82百万円が発生した一方で、株式報酬費用52百万円、減損損失50百万円、売上債権の減少額61百万円が発生したことによるものであります。(投資活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度において投資活動の結果獲得した資金は404百万円(前期は1,087百万円の使用)となりました。これは主に、有価証券及び投資有価証券の売却及び償還による収入4,602百万円が発生した一方で、有価証券及び投資有価証券の取得による支出4,008百万円、有形固定資産の取得による支出171百万円が発生したことによるものであります。(財務活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度において財務活動の結果獲得した資金は544百万円(前期は482百万円の獲得)となりました。これは主に新株予約権の行使による株式の発行による収入538百万円が発生したことによるものであります。 生産、受注及び販売の実績(1) 生産実績 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称当連結会計年度(自 2023年4月1日至 2024年3月31日)金額(千円)前年同期比(%)研究支援事業(千円)1,030,51965.9メディカル事業(千円)112,451-合計(千円)1,142,97173.1(注)金額は製造原価によっております。 (2) 受注実績 当社は、主として需要予測に基づく見込生産を行っているため、該当事項はありません。 (3) 販売実績 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称当連結会計年度(自 2023年4月1日至 2024年3月31日)金額(千円)前年同期比(%)研究支援事業(千円)2,079,659103.1メディカル事業(千円)347,15737.1合計(千円)2,426,81782.2 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの分析は、以下のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。 (1) 財政状態の分析(資産の部) 当連結会計年度末における流動資産は前連結会計年度末に比べて216百万円増加し、7,399百万円となりました。主な内訳は、現金及び預金の増加1,024百万円、流動資産のその他の増加40百万円、有価証券の減少837百万円であります。固定資産は前連結会計年度末に比べて479百万円増加し、1,653百万円となりました。主な内訳は、有形固定資産の増加98百万円、無形固定資産の増加9百万円、投資有価証券の増加376百万円であります。 (負債の部) 当連結会計年度末における流動負債は前連結会計年度末に比べて71百万円減少し、678百万円となりました。主な内訳は、買掛金の減少36百万円、未払金の減少80百万円、前受金の減少31百万円、流動負債のその他の増加77百万円であります。固定負債は前連結会計年度末に比べて31百万円増加し、62百万円となりました。主な内訳は、繰延税金負債の増加30百万円であります。 (純資産の部) 当連結会計年度末における純資産は前連結会計年度末に比べて736百万円増加し、8,311百万円となりました。主な内訳は、資本金の増加298百万円、資本剰余金の増加298百万円、その他有価証券評価差額金の増加116百万円であります。 (2) 経営成績の分析「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 経営成績等の状況の概要」をご参照ください。 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、継続的な研究開発費の支出があげられます。研究支援事業については、研究試薬製品、細胞製品ともに、積極的な研究開発を行っており、2024年3月期における研究開発費の総額は384百万円と、販売費及び一般管理費の約25%を占めており、今後も研究開発活動を積極的に推進する予定であります。 (3) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 経営成績等の状況の概要」をご参照ください。 当社グループの資本の財源及び資金の流動性について、当社グループの資金需要のうち主なものは、研究支援事業における製品・サービスの研究開発やグローバル展開の推進及びメディカル事業における再生医療製品の導入や開発等によるものの他、製造費、販売費及び一般管理費などの営業費用であります。 当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。しかしながら、事業収益がこれらの資金需要を賄うには十分ではないことから、公的助成金、第三者割当増資による調達資金を利用しています。なお、当社グループの当連結会計年度末の現金及び預金残高は2,939百万円、短期的な資金運用を行っている有価証券が3,627百万円あり、十分な流動性を確保しています。 (4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。 (5) 経営戦略の現状と見通し 2025年3月期の業績につきましては、売上高2,661百万円(当期比9.7%増)、営業損失325百万円(当期は409百万円の損失)、経常損失174百万円(当期は40百万円の利益)、親会社株主に帰属する当期純損失174百万円(当期は31百万円の損失)を見込んでおります。 連結経常損失、連結当期純損失の予想額は、為替を一定の水準として推移することとして策定しており、為替損益を業績予想に織り込んでおりません。本業績見通しにおける外国為替レートは、1米ドル=135円、1英ポンド=170円、1印ルピー=1.65円を前提としております。 2020年に始まった新型コロナウイルスについては、各国とも行動制限措置の緩和が進み、パンデミック以前の状況に戻ってきております。 (6) 経営者の問題意識と今後の方針について 「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。 また、経営者の視点による経営成績等の状況についての認識及び分析・検討内容については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 経営成績等の状況の概要」をご参照ください。なお、当社グループにおいては、事業計画に基づく事業の成長と早期の黒字化を重要指標として売上高、各段階損益について分析を行っております。 |
経営上の重要な契約等 | 5【経営上の重要な契約等】 当社の経営上の重要な契約は次のとおりであります。当社が実施許諾を受けている特許ライセンス契約契約相手契約書名契約締結日契約期間契約内容iPSアカデミアジャパン㈱第2次実施権許諾契約2016年10月1日2016年10月1日から本特許の全ての特許権の満了までヒトiPS細胞由来分化細胞の製造・販売、並びに各種受託サービスを実施するための非独占的通常実施権の許諾に関する契約。Steminent Biotherapeutics Inc.Collaboration and Commerciallization Agreement2016年11月11日2016年11月11日から2026年11月10日まで再生医療製品「Stemchymal®」を日本において独占的に開発・販売するための権利の許諾に関する契約。MAGiQ Therapeutics Inc.CROSS-LICENSEAGREEMENT2018年4月6日2018年4月6日から本特許の全ての特許権の満了までiPS細胞由来神経グリア細胞(iGRP)の臨床開発・商業化ライセンス及びiGRPの独占的な製造に関する契約(注)上記についてはロイヤリティとして売上高の一定率を支払っております。 |
研究開発活動 | 6【研究開発活動】 研究支援事業及びメディカル事業において積極的な研究開発を行っており、当連結会計年度の研究開発費の総額は384百万円と、販売費及び一般管理費全体の約25%と大きな割合を占めています。当社の技術開発については自社開発に固執することなく、むしろ外部との連携及び共同開発を中心に進めています。これまでも、大学や公的研究機関の世界最先端の研究成果を活用することで、世界最先端の製品の開発に成功してきた実績があり、今後ともその方針を継続する予定です。また、今後とも補助金等の公的資金を有効活用することで、研究開発活動を加速しています。当連結会計年度末の当社グループの研究開発従事人員数は17名です。 (1) 研究支援事業 iPS細胞の研究は世界中で精力的に進められており、短期間で飛躍的な技術革新が進んでいます。当社グループとしても、研究開発活動を最重点領域と位置付け、引き続き注力してまいります。研究開発は当社グループにとって重要なアクティビティと位置付け、グループ会社間の技術シナジーの追求を図りながら、研究開発を継続的に実施してまいります。技術開発については自社開発に加え、東京大学・京都大学をはじめとした日本の大学の他、米国のハーバード大学、マサチューセッツ工科大学、英国のダーラム大学等の欧米の技術導入を積極的に推進していきます。 研究支援事業に係る研究開発費は232百万円であります。 (2) メディカル事業 台湾のステミネント社より体性幹細胞由来の再生医療製品ステムカイマルを脊髄小脳変性症の治療薬として導入し、日本で治験を実施しています。日本では、2014年に再生医療等製品に関する法整備が行われており、治験において早期に承認を得ることができる制度が整っています。さらに、ステムカイマルは、既に台湾において第Ⅱ相の試験が終了しており、その治験データを日本での治験に応用することができます。 当社では、これらのメリットを最大限に活用し、ステムカイマルの早期承認を目指します。 また、米国Q Therapeutics Inc.(Qセラ社)と共同で、再生医療向けiPS細胞由来神経グリア細胞(iGRP)の研究開発を行っております。iGRPは様々な中枢神経系疾患への効果が期待されますが、当社では筋萎縮性側索硬化症(ALS)及び横断性脊髄炎(TM)を対象疾患とした再生医療製品として開発を行ってまいります。 メディカル事業にかかる研究開発費は152百万円であります。 |
設備投資等の概要 | 1【設備投資等の概要】 当連結会計年度に実施した設備投資等の総額は192,102千円であり、セグメントごとの設備投資について示すと、次のとおりであります。なお、有形固定資産の他、無形固定資産への投資を含めて記載しております。 (1) 研究支援事業 当事業年度は、主として研究機器の購入を行い、その総額は83,142千円となりました。 なお、重要な設備の除却又は売却はありません。 (2) メディカル事業 当事業年度は、主として研究機器の購入を行い、その総額は107,338千円となりました。 なお、重要な設備の除却又は売却はありません。 (3) 全社 当事業年度に行われた重要な設備投資はありません。 なお、重要な設備の除却又は売却はありません。 |
主要な設備の状況 | 2【主要な設備の状況】 当社グループにおける主要な設備は、次のとおりであります。(1)提出会社2024年3月31日現在 事業所名(所在地)セグメントの名称設備の内容帳簿価額従業員数(人)建物(千円)工具、器具及び備品(千円)ソフトウエア(千円)合計(千円)本社(神奈川県横浜市港北区)-事務所2,9848526444,4817 (2)研究室(神奈川県横浜市港北区)研究支援事業研究・製造施設-1,321-1,32111(6)研究室(神奈川県横浜市港北区)メディカル事業研究施設1,7137,44711,15720,3186(5)研究室(神奈川県川崎市川崎区)メディカル事業研究施設20,93311,779-32,7122(3)(注)1.本社の建物を賃借しております。年間の地代家賃は、44,609千円であります。2.本社の事務用機器の一部を賃借しております。年間の賃借料は316千円であります。3.建物は、賃借中の建物に設置した建物附属設備であります。4.従業員数の( )は、臨時雇用者数を外書しております。 (2)国内子会社該当事項はありません。 (3)在外子会社2024年3月31日現在 事業所名(所在地)セグメントの名称設備の内容帳簿価額従業員数(人)建物(千円)機械装置及び運搬具(千円)工具、器具及び備品(千円)ソフトウエア(千円)合計(千円)REPROCELL USA Inc.(米国メリーランド州)研究支援事業研究・製造施設及び事務所4,10767,776712-72,59523REPROCELL USA Inc.(米国メリーランド州)メディカル事業研究・製造施設-67,342--67,3420REPROCELL Europe Ltd.(英国グラスゴー)研究支援事業研究・製造施設及び事務所--11,339-11,33921Bioserve Biotechnologies India Pvt. Ltd.(インド テランガーナ州)研究支援事業研究・製造施設及び事務所-----26(注)Bioserve Biotechnologies India Pvt. Ltd.については、減損損失計上後の帳簿価額を記載しております。なお、減損損失の内容につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結損益計算書関係)※4 減損損失」に記載のとおりであります。 |
設備の新設、除却等の計画 | 3【設備の新設、除却等の計画】 (1) 重要な設備の新設重要な設備の新設の計画はありません。 (2) 重要な設備の除却等重要な設備の除却等の計画はありません。 |
研究開発費、研究開発活動 | 152,000,000 |
設備投資額、設備投資等の概要 | 107,338,000 |
Employees
平均年齢(年)、提出会社の状況、従業員の状況 | 34 |
平均勤続年数(年)、提出会社の状況、従業員の状況 | 4 |
平均年間給与、提出会社の状況、従業員の状況 | 5,451,144 |
Investment
株式の保有状況 | (5)【株式の保有状況】 ① 投資株式の区分の基準及び考え方 当社は、iPS細胞を事業の中核とし、iPS細胞を病態解明や創薬研究に使用する事業を「研究支援事業」、ヒト体性幹細胞やヒトiPS細胞に臨床応用を目指した再生医療を「メディカル事業」と位置づけ、2つのセグメントに分け、iPS細胞事業として推進しております。 これらiPS細胞事業では、最先端の様々な要素技術を組み合わせることで付加価値の高い製品/サービスを提供しております。大学/企業との共同研究、事業提携、資本提携を積極的に進めることで技術領域を広げ強固な「iPS細胞技術プラットフォーム」を構築しております。また、再生医療では、基礎研究、前臨床試験、臨床試験と長い研究開発期間が必要とされるため、事業提携や資本提携により、ライセンス導入を進め、早期に開発パイプラインの拡充を行っております。 当社の保有する全ての投資株式は、当社の企業価値の向上を目的とし、資本提携により今後の研究開発の拡充を観点に長期的な政策で保有している政策保有株式であり、配当収益や売買目的の純投資目的である投資株式は有しておりません。② 保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式a.保有方針及び保有の合理性を検証する方法並びに個別銘柄の適否に関する取締役会等における検証の内容 保有の合理性につきましては、新規に株式取得に際して上記①に記載した基準を踏まえて、企業価値向上の観点から判断し、社内規程に則り取締役会決議または代表取締役の決裁を受けております。また、個別銘柄の保有の適否につきましては、取得先の株主総会や取締役会に当社代表取締役社長等が出席することにより、ビジネスの進捗や財務諸表等の経営情報を取得し判断しております。b.銘柄数及び貸借対照表計上額 銘柄数(銘柄)貸借対照表計上額の合計額(千円)非上場株式3342,552非上場株式以外の株式152,700(当事業年度において株式数が増加した銘柄) 銘柄数(銘柄)株式数の増加に係る取得価額の合計額(千円)株式数の増加の理由非上場株式18,480提携関係の維持・強化のため非上場株式以外の株式---(当事業年度において株式数が減少した銘柄) 銘柄数(銘柄)株式数の減少に係る売却価額の合計額(千円)非上場株式--非上場株式以外の株式-- c.特定投資株式及びみなし保有株式の銘柄ごとの株式数、貸借対照表計上額等に関する情報特定投資株式銘柄当事業年度前事業年度保有目的、業務提携等の概要、定量的な保有効果及び株式数が増加した理由当社の株式の保有の有無株式数(株)株式数(株)貸借対照表計上額(千円)貸借対照表計上額(千円)クリングルファーマ(株)100,000100,000 株式の保有目的としては、研究支援事業における事業機会の創出や協業関係の強化のためであります。 定量的な保有効果については記載が困難でありますが、保有の合理性については、保有目的の適切性、保有に伴う便益・リスク等を総合的に勘案の上、当該株式の保有継続が当社の企業価値向上に資するかどうかにより検証しております。無52,70097,500 ③ 保有目的が純投資目的である投資株式 該当事項はありません。 |
株式数が増加した銘柄数、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 1 |
銘柄数、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 3 |
貸借対照表計上額、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 342,552,000 |
銘柄数、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 1 |
貸借対照表計上額、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 52,700,000 |
株式数の増加に係る取得価額の合計額、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 8,480,000 |
株式数、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社 | 100,000 |
貸借対照表計上額、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社 | 52,700,000 |
株式数が増加した理由、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 提携関係の維持・強化のため |
銘柄、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社 | クリングルファーマ(株) |
保有目的、業務提携等の概要、定量的な保有効果及び株式数が増加した理由、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社 | 株式の保有目的としては、研究支援事業における事業機会の創出や協業関係の強化のためであります。 定量的な保有効果については記載が困難でありますが、保有の合理性については、保有目的の適切性、保有に伴う便益・リスク等を総合的に勘案の上、当該株式の保有継続が当社の企業価値向上に資するかどうかにより検証しております。 |
当該株式の発行者による提出会社の株式の保有の有無、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社 | 無 |
Shareholders
大株主の状況 | (6)【大株主の状況】 2024年3月31日現在 氏名又は名称住所所有株式数(株)発行済株式(自己株式を除く。)の総数に対する所有株式数の割合(%) 横山 周史神奈川県座間市1,024,9501.15 楽天証券株式会社東京都港区南青山2丁目6番21号1,015,1001.14 上田八木短資株式会社大阪府大阪市中央区高麗橋2丁目4-21,000,0001.12 五十畑 輝夫栃木県栃木市823,6000.92 中野 暁東京都港区680,0000.76 中辻 憲夫京都府京都市500,0000.56 椎橋 正則東京都文京区470,8000.52 株式会社日本生物材料センター東京都文京区465,0000.52 荒井 憲一千葉県我孫子市453,9000.51 大和証券株式会社東京都千代田区丸の内1丁目9番1号442,9000.49計-6,876,2507.73 |
株主数-金融機関 | 3 |
株主数-金融商品取引業者 | 32 |
株主数-外国法人等-個人 | 74 |
連結株主資本等変動計算書 | ③【連結株主資本等変動計算書】 前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) (単位:千円) 株主資本 資本金資本剰余金利益剰余金自己株式株主資本合計当期首残高1,715,3186,313,474△750,421△9167,277,455当期変動額 新株の発行308,452308,452 616,905欠損填補 △540,274540,274 -親会社株主に帰属する当期純損失(△) △305,313 △305,313自己株式の取得 △0△0株主資本以外の項目の当期変動額(純額) 当期変動額合計308,452△231,821234,960△0311,591当期末残高2,023,7706,081,653△515,460△9167,589,047 その他の包括利益累計額新株予約権純資産合計 その他有価証券評価差額金為替換算調整勘定その他の包括利益累計額合計当期首残高18,490△50,273△31,7825,1167,250,789当期変動額 新株の発行 616,905欠損填補 -親会社株主に帰属する当期純損失(△) △305,313自己株式の取得 △0株主資本以外の項目の当期変動額(純額)82817,12917,958△5,11612,841当期変動額合計82817,12917,958△5,116324,433当期末残高19,318△33,143△13,824-7,575,222 当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) (単位:千円) 株主資本 資本金資本剰余金利益剰余金自己株式株主資本合計当期首残高2,023,7706,081,653△515,460△9167,589,047当期変動額 新株の発行298,427298,427 596,855親会社株主に帰属する当期純損失(△) △31,415 △31,415自己株式の取得 △0△0株主資本以外の項目の当期変動額(純額) 当期変動額合計298,427298,427△31,415△0565,440当期末残高2,322,1986,380,081△546,875△9168,154,487 その他の包括利益累計額新株予約権純資産合計 その他有価証券評価差額金為替換算調整勘定その他の包括利益累計額合計当期首残高19,318△33,143△13,824-7,575,222当期変動額 新株の発行 596,855親会社株主に帰属する当期純損失(△) △31,415自己株式の取得 △0株主資本以外の項目の当期変動額(純額)116,33251,178167,5103,419170,930当期変動額合計116,33251,178167,5103,419736,371当期末残高135,65118,034153,6863,4198,311,593 |
株主数-外国法人等-個人以外 | 33 |
株主数-個人その他 | 36,414 |
株主数-その他の法人 | 212 |
株主数-計 | 36,768 |
氏名又は名称、大株主の状況 | 大和証券株式会社 |
株主総利回り | 1 |
株主総会決議による取得の状況 | (1)【株主総会決議による取得の状況】 該当事項はありません。 |
株主総会決議又は取締役会決議に基づかないものの内容 | (3)【株主総会決議又は取締役会決議に基づかないものの内容】 区分株式数(株)価額の総額(円)当事業年度における取得自己株式38,501231当期間における取得自己株式--(注)当期間における取得自己株式には、2024年6月1日から有価証券報告書提出日までの単元未満株式の買取り及び譲渡制限付株式の取得による株式数は含まれておりません。 |
Shareholders2
自己株式の取得 | 0 |
自己株式の取得による支出、財務活動によるキャッシュ・フロー | 0 |
発行済株式及び自己株式に関する注記 | 1.発行済株式の種類及び総数並びに自己株式の種類及び株式数に関する事項 当連結会計年度期首株式数(株)当連結会計年度増加株式数(株)当連結会計年度減少株式数(株)当連結会計年度末株式数(株)発行済株式 普通株式 (注)185,141,1913,872,400-89,013,591合計85,141,1913,872,400-89,013,591自己株式 普通株式 (注)233,75538,501-72,256合計33,75538,501-72,256(注)1.普通株式の発行済株式総数の増加理由は下記のとおりです。新株予約権の行使による新株発行による増加 3,547,400株譲渡制限付株式報酬としての新株発行による増加 325,000株 2.普通株式の自己株式の増加理由は下記のとおりです。単元未満株式の買取りによる増加 1株譲渡制限付株式の無償取得による増加 38,500株 |
Audit
監査法人1、連結 | 太陽有限責任監査法人 |
独立監査人の報告書、連結 | 独立監査人の監査報告書及び内部統制監査報告書 2024年6月25日株式会社リプロセル 取締役会 御中 太陽有限責任監査法人 東京事務所 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士石原 鉄也 ㊞ 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士秋元 宏樹 ㊞ <連結財務諸表監査>監査意見当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられている株式会社リプロセルの2023年4月1日から2024年3月31日までの連結会計年度の連結財務諸表、すなわち、連結貸借対照表、連結損益計算書、連結包括利益計算書、連結株主資本等変動計算書、連結キャッシュ・フロー計算書、連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項、その他の注記及び連結附属明細表について監査を行った。当監査法人は、上記の連結財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、株式会社リプロセル及び連結子会社の2024年3月31日現在の財政状態並びに同日をもって終了する連結会計年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。 監査意見の根拠当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準における当監査法人の責任は、「連結財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。 監査上の主要な検討事項 監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 有形固定資産及び無形固定資産の減損監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応会社は、日本、米国、欧州、インドに拠点を有しており、2024年3月31日現在、連結貸借対照表に有形固定資産199百万円、のれんを含む無形固定資産24百万円を計上している。また、連結財務諸表注記(重要な会計上の見積り)に記載されているとおり、減損損失を50百万円計上している。会社は、iPS細胞を中核事業領域としており、iPS細胞を病態解明や創薬研究に使用する研究支援事業とiPS細胞を再生医療へ応用したメディカル事業を行っているが、事業が計画どおりに進まない場合には固定資産の減損の兆候が生じ、有形固定資産及び無形固定資産に対して減損損失を計上する可能性がある。会社は、事業ごとに資産のグルーピングを行っており、iPS細胞及び再生医療製品等の研究開発費用及び治験費用が収益に先行して発生する等の理由で、一部の資産グループについて営業活動から生ずる損益が継続してマイナスとなっていることから減損の兆候があるが、将来の事業計画を基礎とした割引前将来キャッシュ・フローの総額が有形固定資産及び無形固定資産の帳簿価額を超過するため減損損失が認識されない事業がある。減損損失の認識の判定に利用した将来の事業計画は、受注状況や再生医療製品の将来における製造販売承認の取得可能性などの重要な仮定を用いて算定されている。これらの重要な仮定は経営者の判断に依存するものであり、不確実性を伴うため、当監査法人は当該事項を監査上の主要な検討事項に該当するものと判断した。当監査法人は、有形固定資産及び無形固定資産の減損を検討するに当たり、主として以下の監査手続を実施した。・ 固定資産の減損に関する内部統制の整備及び運用状況を評価した。・ 減損損失の認識の判定に利用した将来の事業計画について、取締役会によって承認された事業計画から必要な調整がなされたものを使用していることを確かめた。また、調整理由と算定根拠を含む調整内容が漏れなく文書化されていること、及び合理性を確かめた。・ 将来の事業計画の策定方法や見積りに用いられた重要な仮定について、経営者への質問、治験結果を含む関連資料の閲覧及び観察可能な外部情報との比較分析を行い、受注及び引合の状況や、開発中の再生医療製品の臨床試験計画に対する進捗状況を踏まえ、当該事業計画の合理性と実行可能性を確かめた。・ 前連結会計年度に策定された事業計画について、計画と実績を比較し、趨勢分析を行うなどして事業計画の見積りの不確実性を評価した。・ 将来の事業計画と割引前将来キャッシュ・フローとの整合性を確かめた。・ 会社が減損損失を認識しないと判断した資産グループについては、上述の監査手続によって合理性と実行可能性を確かめた割引前将来キャッシュ・フローの総額が有形固定資産及び無形固定資産の帳簿価額を超過していることを再計算により確かめた。・ 会社が減損損失を計上した資産グループについては、上述の監査手続によって合理性と実行可能性を確かめた割引前将来キャッシュ・フローの総額が有形固定資産及び無形固定資産の帳簿価額を下回っていること及び減損損失の計上金額が帳簿価額と回収可能価額との差額をもって正確に算定されていることをそれぞれ再計算により確かめた。 その他の記載内容その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。当監査法人の連結財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。連結財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と連結財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 連結財務諸表に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して連結財務諸表を作成し適正に表示することにある。これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない連結財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。連結財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき連結財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。監査役及び監査役会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 連結財務諸表監査における監査人の責任監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての連結財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から連結財務諸表に対する意見を表明することにある。虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、連結財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。・ 不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。・ 連結財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。・ 経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。・ 経営者が継続企業を前提として連結財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において連結財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する連結財務諸表の注記事項が適切でない場合は、連結財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。・ 連結財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた連結財務諸表の表示、構成及び内容、並びに連結財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。・ 連結財務諸表に対する意見を表明するために、会社及び連結子会社の財務情報に関する十分かつ適切な監査証拠を入手する。監査人は、連結財務諸表の監査に関する指示、監督及び実施に関して責任がある。監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。 監査人は、監査役及び監査役会と協議した事項のうち、当連結会計年度の連結財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。 <内部統制監査>監査意見当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第2項の規定に基づく監査証明を行うため、株式会社リプロセルの2024年3月31日現在の内部統制報告書について監査を行った。当監査法人は、株式会社リプロセルが2024年3月31日現在の財務報告に係る内部統制は有効であると表示した上記の内部統制報告書が、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して、財務報告に係る内部統制の評価結果について、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。 監査意見の根拠当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に準拠して内部統制監査を行った。財務報告に係る内部統制の監査の基準における当監査法人の責任は、「内部統制監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。 内部統制報告書に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任 経営者の責任は、財務報告に係る内部統制を整備及び運用し、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して内部統制報告書を作成し適正に表示することにある。監査役及び監査役会の責任は、財務報告に係る内部統制の整備及び運用状況を監視、検証することにある。なお、財務報告に係る内部統制により財務報告の虚偽の記載を完全には防止又は発見することができない可能性がある。 内部統制監査における監査人の責任監査人の責任は、監査人が実施した内部統制監査に基づいて、内部統制報告書に重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、内部統制監査報告書において独立の立場から内部統制報告書に対する意見を表明することにある。監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。・ 内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果について監査証拠を入手するための監査手続を実施する。内部統制監査の監査手続は、監査人の判断により、財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性に基づいて選択及び適用される。・ 財務報告に係る内部統制の評価範囲、評価手続及び評価結果について経営者が行った記載を含め、全体としての内部統制報告書の表示を検討する。・ 内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果に関する十分かつ適切な監査証拠を入手する。監査人は、内部統制報告書の監査に関する指示、監督及び実施に関して責任がある。監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。 監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した内部統制監査の範囲とその実施時期、内部統制監査の実施結果、識別した内部統制の開示すべき重要な不備、その是正結果、及び内部統制の監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。 <報酬関連情報> 当監査法人及び当監査法人と同一のネットワークに属する者に対する、会社及び子会社の監査証明業務に基づく報酬及び非監査業務に基づく報酬の額は、「提出会社の状況」に含まれるコーポレート・ガバナンスの状況等(3)【監査の状況】 に記載されている。 利害関係会社及び連結子会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。 以 上(注)1.上記は、監査報告書の原本に記載された事項を電子化したものであり、その原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。2.XBRLデータは監査の対象には含まれていません。 |
監査上の主要な検討事項、連結 | 監査上の主要な検討事項 監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 有形固定資産及び無形固定資産の減損監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応会社は、日本、米国、欧州、インドに拠点を有しており、2024年3月31日現在、連結貸借対照表に有形固定資産199百万円、のれんを含む無形固定資産24百万円を計上している。また、連結財務諸表注記(重要な会計上の見積り)に記載されているとおり、減損損失を50百万円計上している。会社は、iPS細胞を中核事業領域としており、iPS細胞を病態解明や創薬研究に使用する研究支援事業とiPS細胞を再生医療へ応用したメディカル事業を行っているが、事業が計画どおりに進まない場合には固定資産の減損の兆候が生じ、有形固定資産及び無形固定資産に対して減損損失を計上する可能性がある。会社は、事業ごとに資産のグルーピングを行っており、iPS細胞及び再生医療製品等の研究開発費用及び治験費用が収益に先行して発生する等の理由で、一部の資産グループについて営業活動から生ずる損益が継続してマイナスとなっていることから減損の兆候があるが、将来の事業計画を基礎とした割引前将来キャッシュ・フローの総額が有形固定資産及び無形固定資産の帳簿価額を超過するため減損損失が認識されない事業がある。減損損失の認識の判定に利用した将来の事業計画は、受注状況や再生医療製品の将来における製造販売承認の取得可能性などの重要な仮定を用いて算定されている。これらの重要な仮定は経営者の判断に依存するものであり、不確実性を伴うため、当監査法人は当該事項を監査上の主要な検討事項に該当するものと判断した。当監査法人は、有形固定資産及び無形固定資産の減損を検討するに当たり、主として以下の監査手続を実施した。・ 固定資産の減損に関する内部統制の整備及び運用状況を評価した。・ 減損損失の認識の判定に利用した将来の事業計画について、取締役会によって承認された事業計画から必要な調整がなされたものを使用していることを確かめた。また、調整理由と算定根拠を含む調整内容が漏れなく文書化されていること、及び合理性を確かめた。・ 将来の事業計画の策定方法や見積りに用いられた重要な仮定について、経営者への質問、治験結果を含む関連資料の閲覧及び観察可能な外部情報との比較分析を行い、受注及び引合の状況や、開発中の再生医療製品の臨床試験計画に対する進捗状況を踏まえ、当該事業計画の合理性と実行可能性を確かめた。・ 前連結会計年度に策定された事業計画について、計画と実績を比較し、趨勢分析を行うなどして事業計画の見積りの不確実性を評価した。・ 将来の事業計画と割引前将来キャッシュ・フローとの整合性を確かめた。・ 会社が減損損失を認識しないと判断した資産グループについては、上述の監査手続によって合理性と実行可能性を確かめた割引前将来キャッシュ・フローの総額が有形固定資産及び無形固定資産の帳簿価額を超過していることを再計算により確かめた。・ 会社が減損損失を計上した資産グループについては、上述の監査手続によって合理性と実行可能性を確かめた割引前将来キャッシュ・フローの総額が有形固定資産及び無形固定資産の帳簿価額を下回っていること及び減損損失の計上金額が帳簿価額と回収可能価額との差額をもって正確に算定されていることをそれぞれ再計算により確かめた。 |
全体概要、監査上の主要な検討事項、連結 | 監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 |
見出し、監査上の主要な検討事項、連結 | 有形固定資産及び無形固定資産の減損 |
内容及び理由、監査上の主要な検討事項、連結 | 会社は、日本、米国、欧州、インドに拠点を有しており、2024年3月31日現在、連結貸借対照表に有形固定資産199百万円、のれんを含む無形固定資産24百万円を計上している。また、連結財務諸表注記(重要な会計上の見積り)に記載されているとおり、減損損失を50百万円計上している。会社は、iPS細胞を中核事業領域としており、iPS細胞を病態解明や創薬研究に使用する研究支援事業とiPS細胞を再生医療へ応用したメディカル事業を行っているが、事業が計画どおりに進まない場合には固定資産の減損の兆候が生じ、有形固定資産及び無形固定資産に対して減損損失を計上する可能性がある。会社は、事業ごとに資産のグルーピングを行っており、iPS細胞及び再生医療製品等の研究開発費用及び治験費用が収益に先行して発生する等の理由で、一部の資産グループについて営業活動から生ずる損益が継続してマイナスとなっていることから減損の兆候があるが、将来の事業計画を基礎とした割引前将来キャッシュ・フローの総額が有形固定資産及び無形固定資産の帳簿価額を超過するため減損損失が認識されない事業がある。減損損失の認識の判定に利用した将来の事業計画は、受注状況や再生医療製品の将来における製造販売承認の取得可能性などの重要な仮定を用いて算定されている。これらの重要な仮定は経営者の判断に依存するものであり、不確実性を伴うため、当監査法人は当該事項を監査上の主要な検討事項に該当するものと判断した。 |
開示への参照、監査上の主要な検討事項、連結 | 連結財務諸表注記(重要な会計上の見積り) |
監査上の対応、監査上の主要な検討事項、連結 | 当監査法人は、有形固定資産及び無形固定資産の減損を検討するに当たり、主として以下の監査手続を実施した。・ 固定資産の減損に関する内部統制の整備及び運用状況を評価した。・ 減損損失の認識の判定に利用した将来の事業計画について、取締役会によって承認された事業計画から必要な調整がなされたものを使用していることを確かめた。また、調整理由と算定根拠を含む調整内容が漏れなく文書化されていること、及び合理性を確かめた。・ 将来の事業計画の策定方法や見積りに用いられた重要な仮定について、経営者への質問、治験結果を含む関連資料の閲覧及び観察可能な外部情報との比較分析を行い、受注及び引合の状況や、開発中の再生医療製品の臨床試験計画に対する進捗状況を踏まえ、当該事業計画の合理性と実行可能性を確かめた。・ 前連結会計年度に策定された事業計画について、計画と実績を比較し、趨勢分析を行うなどして事業計画の見積りの不確実性を評価した。・ 将来の事業計画と割引前将来キャッシュ・フローとの整合性を確かめた。・ 会社が減損損失を認識しないと判断した資産グループについては、上述の監査手続によって合理性と実行可能性を確かめた割引前将来キャッシュ・フローの総額が有形固定資産及び無形固定資産の帳簿価額を超過していることを再計算により確かめた。・ 会社が減損損失を計上した資産グループについては、上述の監査手続によって合理性と実行可能性を確かめた割引前将来キャッシュ・フローの総額が有形固定資産及び無形固定資産の帳簿価額を下回っていること及び減損損失の計上金額が帳簿価額と回収可能価額との差額をもって正確に算定されていることをそれぞれ再計算により確かめた。 |
その他の記載内容、連結 | その他の記載内容その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。当監査法人の連結財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。連結財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と連結財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 |
報酬関連情報、連結 | <報酬関連情報> 当監査法人及び当監査法人と同一のネットワークに属する者に対する、会社及び子会社の監査証明業務に基づく報酬及び非監査業務に基づく報酬の額は、「提出会社の状況」に含まれるコーポレート・ガバナンスの状況等(3)【監査の状況】 に記載されている。 |
Audit1
監査法人1、個別 | 太陽有限責任監査法人 |
独立監査人の報告書、個別 | 独立監査人の監査報告書 2024年6月25日株式会社リプロセル 取締役会 御中 太陽有限責任監査法人 東京事務所 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士石原 鉄也 ㊞ 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士秋元 宏樹 ㊞ <財務諸表監査>監査意見当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられている株式会社リプロセルの2023年4月1日から2024年3月31日までの第22期事業年度の財務諸表、すなわち、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、重要な会計方針、その他の注記及び附属明細表について監査を行った。当監査法人は、上記の財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、株式会社リプロセルの2024年3月31日現在の財政状態及び同日をもって終了する事業年度の経営成績を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。 監査意見の根拠当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準における当監査法人の責任は、「財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。 監査上の主要な検討事項 監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 関係会社株式の評価監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応会社は、子会社5社及び関連会社1社(うち、在外関係会社は4社)の株式を保有しており、2024年3月31日現在、貸借対照表に関係会社株式560百万円を計上している。また、財務諸表注記(重要な会計上の見積り)に記載されているとおり、関係会社株式評価損を105百万円計上している。これらの関係会社株式は市場価格のない株式等であり、取得原価をもって貸借対照表価額としている。関係会社の財政状態の悪化により実質価額が著しく低下している場合には減損処理を行う必要がある。会社は、一部の関係会社株式については、財政状態の悪化により実質価額が著しく低下しているものの、実質価額の回復可能性が十分な証拠によって裏付けられることから相当の減額をしていない。 重要な関係会社の実質価額の回復可能性は、将来の事業計画を基礎として見積られており、将来の事業計画は、受注状況や売上の伸長率などの重要な仮定を用いて算定されている。これらの重要な仮定は経営者の判断に依存するものであり、不確実性を伴うため、当監査法人は当該事項を監査上の主要な検討事項に該当するものと判断した。当監査法人は、関係会社株式の評価の検討に当たり、主として以下の監査手続を実施した。・ 重要な関係会社株式の評価に関連する内部統制のう ち、特に会社が実施する関係会社の事業計画の合理性と 実行可能性の検討に係る内部統制に着目し、その整備状 況及び運用状況を評価した。・ 関係会社株式の評価に利用した将来の事業計画と取締 役会によって承認された事業計画との整合性を確かめ た。両者に差異がある場合には、差異の内容、理由、算 定根拠について質問や関連資料の閲覧を実施し、その合 理性を確かめた。・ 将来の事業計画の策定方法や見積りに用いられた重要 な仮定について、経営者への質問、関連資料の閲覧及び 観察可能な外部情報との比較分析を行い、期末日時点の 顧客からの受注及び引合の状況、過去実績並びに開発中 の再生医療製品の臨床試験計画に対する進捗状況を踏ま え、将来の受注の実現可能性及び売上の伸長率の評価な どを含め、当該事業計画の合理性と実行可能性を確かめ た。・ 前事業年度に策定された事業計画について、計画と実 績を比較し、趨勢分析を行うなどして事業計画の見積り の不確実性を評価した。・ 会社が減損処理不要と判断した関係会社株式について は、上述の監査手続によって合理性と実行可能性を確か めた将来の事業計画を基礎として、実質価額がおおむね 5年以内に帳簿価額まで回復することを再計算により確かめた。・ 会社が関係会社株式評価損を計上した関係会社株式に ついては、上述の手続によって合理性と実行可能性を確 かめた将来の事業計画を基礎として、実質価額がおおむ ね5年以内に帳簿価額まで回復することが困難であるこ と及び関係会社株式評価損の計上金額が帳簿価額と実質 価額との差額をもって正確に算定されていることをそれ ぞれ再計算により確かめた。 その他の記載内容その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。当監査法人の財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 財務諸表に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して財務諸表を作成し適正に表示することにある。これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。監査役及び監査役会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 財務諸表監査における監査人の責任監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から財務諸表に対する意見を表明することにある。虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。・ 不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。・ 財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実 施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。・ 経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び 関連する注記事項の妥当性を評価する。・ 経営者が継続企業を前提として財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、 継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付け る。継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において財務諸表の注記事項に注意を喚 起すること、又は重要な不確実性に関する財務諸表の注記事項が適切でない場合は、財務諸表に対して除外事項付意見 を表明することが求められている。監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の 事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。・ 財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどう かとともに、関連する注記事項を含めた財務諸表の表示、構成及び内容、並びに財務諸表が基礎となる取引や会計事象 を適正に表示しているかどうかを評価する。監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。監査人は、監査役及び監査役会と協議した事項のうち、当事業年度の財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。 <報酬関連情報> 報酬関連情報は、連結財務諸表の監査報告書に記載されている。 利害関係会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。 以 上(注)1.上記は、監査報告書の原本に記載された事項を電子化したものであり、その原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。2.XBRLデータは監査の対象には含まれていません。 |
監査上の主要な検討事項、個別 | 監査上の主要な検討事項 監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 関係会社株式の評価監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応会社は、子会社5社及び関連会社1社(うち、在外関係会社は4社)の株式を保有しており、2024年3月31日現在、貸借対照表に関係会社株式560百万円を計上している。また、財務諸表注記(重要な会計上の見積り)に記載されているとおり、関係会社株式評価損を105百万円計上している。これらの関係会社株式は市場価格のない株式等であり、取得原価をもって貸借対照表価額としている。関係会社の財政状態の悪化により実質価額が著しく低下している場合には減損処理を行う必要がある。会社は、一部の関係会社株式については、財政状態の悪化により実質価額が著しく低下しているものの、実質価額の回復可能性が十分な証拠によって裏付けられることから相当の減額をしていない。 重要な関係会社の実質価額の回復可能性は、将来の事業計画を基礎として見積られており、将来の事業計画は、受注状況や売上の伸長率などの重要な仮定を用いて算定されている。これらの重要な仮定は経営者の判断に依存するものであり、不確実性を伴うため、当監査法人は当該事項を監査上の主要な検討事項に該当するものと判断した。当監査法人は、関係会社株式の評価の検討に当たり、主として以下の監査手続を実施した。・ 重要な関係会社株式の評価に関連する内部統制のう ち、特に会社が実施する関係会社の事業計画の合理性と 実行可能性の検討に係る内部統制に着目し、その整備状 況及び運用状況を評価した。・ 関係会社株式の評価に利用した将来の事業計画と取締 役会によって承認された事業計画との整合性を確かめ た。両者に差異がある場合には、差異の内容、理由、算 定根拠について質問や関連資料の閲覧を実施し、その合 理性を確かめた。・ 将来の事業計画の策定方法や見積りに用いられた重要 な仮定について、経営者への質問、関連資料の閲覧及び 観察可能な外部情報との比較分析を行い、期末日時点の 顧客からの受注及び引合の状況、過去実績並びに開発中 の再生医療製品の臨床試験計画に対する進捗状況を踏ま え、将来の受注の実現可能性及び売上の伸長率の評価な どを含め、当該事業計画の合理性と実行可能性を確かめ た。・ 前事業年度に策定された事業計画について、計画と実 績を比較し、趨勢分析を行うなどして事業計画の見積り の不確実性を評価した。・ 会社が減損処理不要と判断した関係会社株式について は、上述の監査手続によって合理性と実行可能性を確か めた将来の事業計画を基礎として、実質価額がおおむね 5年以内に帳簿価額まで回復することを再計算により確かめた。・ 会社が関係会社株式評価損を計上した関係会社株式に ついては、上述の手続によって合理性と実行可能性を確 かめた将来の事業計画を基礎として、実質価額がおおむ ね5年以内に帳簿価額まで回復することが困難であるこ と及び関係会社株式評価損の計上金額が帳簿価額と実質 価額との差額をもって正確に算定されていることをそれ ぞれ再計算により確かめた。 |
全体概要、監査上の主要な検討事項、個別 | 監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 |
見出し、監査上の主要な検討事項、個別 | 関係会社株式の評価 |
その他の記載内容、個別 | その他の記載内容その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。当監査法人の財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 |
報酬関連情報、個別 | <報酬関連情報> 報酬関連情報は、連結財務諸表の監査報告書に記載されている。 |
BS資産
商品及び製品 | 36,079,000 |
仕掛品 | 24,723,000 |