財務諸表
CoverPage
提出書類、表紙 | 有価証券報告書 |
提出日、表紙 | 2024-06-25 |
英訳名、表紙 | Fuso Pharmaceutical Industries, Ltd. |
代表者の役職氏名、表紙 | 代表取締役社長 戸 田 幹 雄 |
本店の所在の場所、表紙 | 大阪市中央区道修町一丁目7番10号(上記は登記上の本店所在地であり、実際の業務は下記の場所で行っております。)本店事務取扱場所 大阪市城東区森之宮二丁目3番11号 |
電話番号、本店の所在の場所、表紙 | 06-6969-1131(代表) |
様式、DEI | 第三号様式 |
会計基準、DEI | Japan GAAP |
連結決算の有無、DEI | false |
当会計期間の種類、DEI | FY |
corp
沿革 | 2 【沿革】 1937年3月国産ブドウ糖の販売を主事業として大阪市南区(現・大阪市中央区)に株式会社大和商会の商号で設立1942年12月時局の進展にともないブドウ糖が一元的配給統制になったため、ブドウ糖を原料とする注射液の製造へ転換を企図、商号を扶桑産業株式会社に変更1943年6月大阪市東成区に今里工場を設置し、ブドウ糖注射液、リンゲル液、生理食塩液などの注射液の製造販売を開始1949年3月商号を扶桑薬品工業株式会社に変更1953年7月本社を大阪市東区(現・大阪市中央区)に移す1957年3月大阪市城東区に城東工場設置、今里工場は廃止1964年4月大阪市城東区に京橋工場設置、内用剤分野の拡張強化1964年8月我が国で最初の透析液として人工腎臓灌流原液を開発し供給開始1969年4月人工腎臓用透析液キンダリー液を開発発売1970年10月大阪証券取引所市場第二部に株式上場1970年10月経営多様化のため子会社扶桑興発株式会社を設立1973年2月大阪市城東区(京橋駅付近)に文化・スポーツセンター扶桑会館竣工、扶桑興発株式会社に賃貸し経営委託1973年11月小型ディスポーザブル血液透析器開発、医療用機器分野へ進出1979年12月大阪府大東市に大東工場設置、内用剤生産工場として操業開始、これに伴い京橋工場は閉鎖1981年3月城東工場(大阪市城東区)の隣接地に研究開発センター竣工1983年9月大阪証券取引所市場第一部に株式上場1985年5月岡山県浅口郡里庄町に岡山工場設置1989年12月東京証券取引所市場第一部に株式上場1994年4月本社所在地に扶桑道修町ビル竣工1995年5月茨城県北茨城市に茨城工場設置2001年1月東京都中央区に扶桑日本橋ビル完成2007年1月2013年3月扶桑興発株式会社のスポーツ事業(ボウリング等)を廃止扶桑興発株式会社を清算結了2016年4月茨城工場(茨城県北茨城市)に第2製剤棟設置2022年4月東京証券取引所の市場区分の見直しにより市場第一部からプライム市場へ移行2024年1月茨城工場(茨城県北茨城市)第2製剤棟の人工腎臓用粉末型透析剤製造設備新規ライン稼働 |
事業の内容 | 3 【事業の内容】 当社は、主な事業内容として医療用医薬品及び医療用機械器具の製造販売やその他にも製造受託、また、不動産の賃貸を営んでおります。 当社の事業内容は、次のとおりであります。なお、セグメント情報を記載していないため、事業別に記載しております。 医薬品事業輸液を中心とする注射剤や人工腎臓用透析剤等の医療用医薬品及び医療用機械器具の製造販売や医療用医薬品の製造受託等を行っております。不動産事業不動産の賃貸を行っております。 事業の系統図は次のとおりであります。 |
関係会社の状況 | 4 【関係会社の状況】 該当事項はありません。 |
従業員の状況 | 5 【従業員の状況】 (1) 提出会社の状況2024年3月31日現在従業員数(名)平均年齢(歳)平均勤続年数(年)平均年間給与(千円)1,30741.719.65,650 セグメント情報を記載していないため、事業別の従業員数を示すと次のとおりであります。事業の名称従業員数(名)医薬品事業1,247不動産事業1全社(共通)59合計1,307 (注) 1 従業員数は、就業人員であります。2 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。3 全社(共通)は、総務及び経理等の管理部門の従業員であります。 (2) 労働組合の状況当社には労働組合はありませんが、1958年1月に企業内自主組合として提出会社に扶桑薬品従業員組合が結成され、入社後3カ月以上の従業員1,274人をもって運営されております。 (3) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異当事業年度管理職に占める女性労働者の割合(%)(注1)男性労働者の育児休業取得率(%)(注2)労働者の男女の賃金の差異(%)(注1)全労働者正規雇用労働者パート・有期労働者5.637.069.669.060.2 (注) 1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。 |
経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 | 1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。(1) 経営方針・経営戦略等①会社の経営の基本方針当社は、医療用医薬品を主力とする医薬品メーカーであります。社会の高齢化が進むなか、医療技術の進歩と国民意識の健康福祉指向を背景に、医療ニーズの増大と多様化に対応する医薬品の開発とその安定供給に努めることにより生命関連産業の一員としての本分を尽くし、株主をはじめとした関係者の皆様の期待に応えていくことを経営の基本方針といたしております。 ②目標とする経営指標経営指標につきましては、特定の経営指標を定めておりませんが、当社は健全性、収益性、効率性、成長性などを総合的に勘案し、持続的かつ安定的な企業価値の向上を重視しております。 ③中長期的な会社の経営戦略当社の売上の主力は血液体液用薬であり、その主柱であります人工腎臓用透析剤の需要見通しが中期戦略のポイントとなります。人工透析を必要とされる患者さんに対する関連製品の迅速かつ安定的な供給を行うために基幹政策として建設した岡山・茨城両工場の生産性向上を図るとともに、現下の厳しい経営環境に対処すべく、新しい医療ニーズに応えた製品の開発・育成により透析関連製品と並ぶ新たな主力製品群を確立し、将来に向けて安定した成長を目指してまいります。 (2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当社は人工腎臓用透析剤や輸液製剤といった基礎的な医薬品を多く取り扱っており、安定供給への重大な責任を有しております。地震等の自然災害やパンデミックとなった新型コロナウイルス感染症等、突発的に発生する事象に備えて、安定供給に支障を来たしかねない事象が判明した際には、直ちに緊急対策会議を開催し、優先してその解消に努める等の対策を常日頃より行っております。製造設備に関しても大規模な拠点を東西に分散設置し、製品保管庫を各地に設けており、想定外の需要が生じた場合にも対応可能な在庫数量を確保していることに加え、製品が全体的に重量物の占める割合が高いため、物流コストの上昇による影響は大きく、必然的に売上原価や販売費及び一般管理費は非常に高くなる傾向となっております。そのため、優先的に対処すべき課題として、既存の主力製品を中心に、市場へのさらなる浸透による販売強化に全力を挙げて取り組み、透析剤メーカーとしてトップシェアを堅持するため、新規透析剤の開発や、後発医薬品を含めた製品ラインアップの拡充に努める等、事業基盤の更なる強化を図っております。さらに、徹底した品質管理による大規模な製造設備の使用、これまで積み上げてきたブランド力や知識、経験等が当社の核となる技術であります。それらを活用しながら、他社製品の受託製造等、新たな収益の拡大につなげるとともに、より経営資源を効率的に活用し、製品原価率低減等の相乗効果を図るために、新規事業及び領域への推進を開始しております。 今後の見通しにつきましては、コロナ禍による制約が解消され、社会経済活動は緩やかな回復傾向が続くことが期待されます。一方で、エネルギー価格や原材料価格の高騰、ウクライナや中東情勢の長期化、各国の金融政策による為替の変動等の様々な要因により、社会経済情勢は不安定な状況が続くものと予想されます。このような環境のもと、安定供給の社会的使命を全うした上で、同時に経営基盤の強化を行い、全てのステークホルダーから信頼され続けるため、企業価値の向上に一層取り組んでまいります。 |
サステナビリティに関する考え方及び取組 | 2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】 当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。 当社は、社是の一つとして「社会寄与につながる経営方針」を、経営理念の一つとして「会社の存立も個人の生活も、社会の恩恵なしには維持できない。とくに人の健康と生命に密接に関与する医薬をつくる企業には、それにふさわしい倫理が求められ、これを踏みはずさないものだけが繁栄を持続し得るのである。」と掲げております。 日本に透析療法が導入された1950年代後半、当社はいち早く透析液の開発に着手し、1964年、日本初の透析液である「人工腎臓灌流原液“フソー”」を発売、透析治療に従事されている医療関係者の方々のご尽力により透析療法は驚異的な発展普及を遂げ、今や全国35万人もの患者さんが透析療法によって命と日常をつないでおられます。当社は、透析治療のパイオニアとして透析関連医薬品・医療機器をラインナップとして充実させ、透析治療を受ける患者さんに寄り添いながら歩んでまいりました。これら透析剤をはじめ、輸液や注射剤など、医療に欠かすことができない基礎的な医薬品を多く製造販売している当社は、その安定供給が社会的使命であり、岡山、大阪、茨城に量産工場、全国12拠点の配送センターを配することで全国における安定供給体制に万全を期しております。加えて、2000年に体外受精用組織培養液を上市し、生殖補助医療(ART)分野に進出、2017年にはブランドを「HiGROW」に統一し、不妊に悩むカップル、ひいては日本が直面している重要な問題である少子化対策への貢献を期待しております。当社は長らく、安定供給体制に主眼を置いた「いのち、支えて」を旗印にその事業を営んでまいりましたが、ART分野への本格的な進出を機に、新たに「いのち、育む」を加え、サステナブルな社会の実現に向けての取組みも鋭意進めております。また、環境面においては、1970年に大阪市清掃局森之宮工場と蒸気導入協定を結び、都市型工場である城東工場の無煙化を達成、近年では、茨城工場のボイラーの燃料転換を行い、茨城工場におけるCO2排出量を年間約30%削減させるとともに、再生可能エネルギーの活用やCO2フリー電力の導入を検討するなど、環境負荷低減のための取組みを推進しております。その他、毎年度実施している大阪府及び大阪市の社会福祉事業への寄附や大規模災害等に際してのマッチング形式での寄附、2023年11月にはNPO法人等への支援と健康経営の推進を目的としてチャリティウォークを実施するなどしております。このように当社は、その事業特性上、様々な形で早くから社会との共生を目指して取り組んでまいりましたが、昨今のサステナビリティを巡る議論を踏まえ、様々な課題に対して事業活動を通じて貢献すべく、その取組みをさらに加速させていくこととしております。 (1) ガバナンス当社は、このサステナビリティ推進体制をより強化していくため、取締役会の監督の下、任意の機関として、2023年4月にサステナビリティ委員会を設置しております。サステナビリティ委員会において、サステナビリティ基本方針・戦略・計画を策定、決定した上で、気候変動や生物多様性などの環境問題、人権や労働環境などの社会問題、ダイバーシティ推進を図るなど人的資本に関する事項など、特定した当社のマテリアリティに対応した専門部会を設置し、各種活動の進捗状況を管理し、推進してまいります。サステナビリティ委員会は年2回開催し、取締役会はサステナビリティ委員会から少なくとも年1回の報告を受け、サステナビリティ基本方針に沿ってサステナビリティ委員会が活動しているかどうか、及び戦略・計画の策定・進捗状況を監督し、計画の見直しや投資判断、リスクと機会の分析等についてそれぞれの専門の立場から助言を行うこととしております。 (2) 戦略当社は、取締役会や経営会議での議論を経て「気候変動」と「人的資本」が当社にとって重要なサステナビリティ項目であると認識しており、それぞれの項目における戦略は以下の通りです。 [気候変動関連]当社は、かねてより取り組んでいる気候変動に関するリスクや機会について、経営企画室主導のもと、各事業本部が出席する検討会を第100期に14回実施いたしました。その結果、今後起こりうる気候変動は当社事業に大きな影響を及ぼす可能性があると評価し、具体的な影響分析とその対策についての検討を行いました。第101期は、当社事業に中程度以上の影響を与えうるとして特定した6つのリスク・機会要因について、それぞれへの対策の検討と実施に向けた準備を進めました。①想定されるリスク・機会の抽出と評価各事業本部で各々の管掌下で想定しうるリスクと機会を洗い出し、集約した上でそのリスク・機会の発現頻度、影響額、回避・リスク移転可能性等の観点からその重要性を評価いたしました。なお、気候変動シナリオは、低炭素社会の実現に向けカーボンプライシングが導入されるなどの気候変動対策が積極的に採られ、気候変動によるリスク・機会は現状のまま推移すると想定した1.5℃シナリオ※1と、気候変動対策が進まず地球温暖化がさらに進むことを想定した4℃シナリオ※2を用いました。※1: 「Net Zero Emissions by 2050 Scenario(NZE)」(IEA)など※2: 「Stated Policies Scenario(STEPS)」(IEA) ②特定されたリスク・機会と対策1.5℃シナリオにおいては、カーボンプライシング導入に伴う原資材調達コスト及び課税負担の増加が見込まれており、サプライヤーとの協働や生産効率の向上・再生可能エネルギーの活用等によって中長期的にその影響を軽減させる取組みを推進いたします。4℃シナリオにおいては、当社が最も重要視する医薬品の安定供給に支障を及ぼす物理的な影響が想定されるため、事業継続計画(BCP)と歩調を合わせて対策を推進し、中期的な視点でリスクの軽減に取り組んでまいります。 [人的資本関連]当社は、様々な技術の革新が著しいこの製薬業界において、人的資本への投資は重要なテーマであると認識しており、人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針を以下の通り検討しております。①人材育成方針当社は、業務に必要なスキル習得の研修はもとより、自己研鑽のための研修にも力を入れており、また、入社4年目研修や次世代リーダー研修など、各部門・年次・職位・職能で求められる能力の習得を目的とした研修も実施しております。当社の競争優位の源泉である透析剤については5号シリーズまで開発が終了しておりますが、新たな価値を付加した透析剤の開発を見据え、また、透析関連製品のラインナップをより拡充するためにも、この分野におけるパイオニアとして、医学専門家を招いて技術指導をしていただくことで、より付加価値の高い製品の開発に向け尽力するなど、各領域の専門知識の習得にも力を入れております。今後はこれらの研修を従業員個々のキャリアプランに計画的・体系的に組み込み、リスキリングの機会提供も含め、従業員のキャリアビジョン実現と企業価値向上を両輪で回し、継続的に人材の育成に取り組んでまいります。 ②社内環境整備方針当社は、2023年4月より新人事制度を導入し、従業員が自身でキャリアプランを描けるようジョブローテーションも取り入れたキャリアパスを設定し、経営人材へのステップアップもイメージに入れることでモチベーションの維持・向上を図るとともに、明確な評価項目・評価基準を設定し、報酬との連動に透明性を持たせることで自己実現とやりがいにつなげ、当社の経営理念の達成に向けた方向性を一つにすることが、企業価値向上の礎になるものと考えております。また、多様な人材、優秀な人材を確保するため、近年は積極的にキャリア採用を行っております。そのうえで、従業員のエンゲージメントを高めるため、社内コミュニケーション活性化のための新たな社内報やアプリ、働きやすい職場づくりのための福利厚生の充実など検討しております。また、当社はサステナブルな社会の実現に向けて生殖補助医療(ART)分野にも注力していることから、子を望む社員や子を育てる社員への手厚いサポートは、当社が率先して行うべきことであると認識しております。加えて、健康経営への投資やダイバーシティマネジメントの推進なども検討しており、今後、サステナビリティ委員会の主導でこれらの取組みを強力に推進してくこととしております。 (3) リスク管理当社は、代表取締役社長が委員長であるリスク管理委員会や経営会議において、当社を取り巻く全社的なリスクについて特定・評価し、対応方針を策定しております。気候変動問題については当社もその重要性を認識し、それらからもたらされるリスクは当社事業に大きな支障をきたす可能性があると評価しております。気候変動に関するリスクや機会については、サステナビリティ委員会が管掌することとなり、重要性評価プロセスは従来の全社リスク管理の手法と同様に、外部環境や内部環境の把握、リスクや機会の洗い出し、発生頻度・影響額を勘案して重要性を評価いたします。 (4) 指標と目標[気候変動関連]当社では2013年度の温室効果ガス(GHG)排出量(Scope1・2)を基準として、中期的には2030年度までに25%削減、長期的には2050年度までにネットゼロを達成目標とし、また、それぞれの目標年度に向けたマイルストーンを設定することで目標達成に向け取組みを進めていくことといたします。Scope3については2025年度をめどにその把握に努め、目標を設定した上でその削減に取り組むことといたします。Scope1・Scope2排出量(t-CO2)Scope2013年度2021年度2022年度2023年度2030年度(中期)2050年度(長期)Scope114,14514,02111,83111,0852013年度比25%削減ネットゼロScope211,2159,7859,96310,258 Scope3排出量(t-CO2)2025年度をめどに排出量を把握し、削減目標を設定いたします。 [人的資本関連]当社では、上記の戦略において記載した内容について、以下の項目を指標としてその推進に取り組んでまいります。各指標の目標については、サステナビリティ委員会において検討し策定してまいります。 人的資本関連指標・ 管理職に占める女性労働者の割合 ※・ キャリア採用比率・ 従業員エンゲージメントスコア・ 男性労働者の育児休業取得率 ※ ※管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率についての実績は、「第1 企業の状況 5 従業員の状況 (3) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」に記載しております。 |
戦略 | (2) 戦略当社は、取締役会や経営会議での議論を経て「気候変動」と「人的資本」が当社にとって重要なサステナビリティ項目であると認識しており、それぞれの項目における戦略は以下の通りです。 [気候変動関連]当社は、かねてより取り組んでいる気候変動に関するリスクや機会について、経営企画室主導のもと、各事業本部が出席する検討会を第100期に14回実施いたしました。その結果、今後起こりうる気候変動は当社事業に大きな影響を及ぼす可能性があると評価し、具体的な影響分析とその対策についての検討を行いました。第101期は、当社事業に中程度以上の影響を与えうるとして特定した6つのリスク・機会要因について、それぞれへの対策の検討と実施に向けた準備を進めました。①想定されるリスク・機会の抽出と評価各事業本部で各々の管掌下で想定しうるリスクと機会を洗い出し、集約した上でそのリスク・機会の発現頻度、影響額、回避・リスク移転可能性等の観点からその重要性を評価いたしました。なお、気候変動シナリオは、低炭素社会の実現に向けカーボンプライシングが導入されるなどの気候変動対策が積極的に採られ、気候変動によるリスク・機会は現状のまま推移すると想定した1.5℃シナリオ※1と、気候変動対策が進まず地球温暖化がさらに進むことを想定した4℃シナリオ※2を用いました。※1: 「Net Zero Emissions by 2050 Scenario(NZE)」(IEA)など※2: 「Stated Policies Scenario(STEPS)」(IEA) ②特定されたリスク・機会と対策1.5℃シナリオにおいては、カーボンプライシング導入に伴う原資材調達コスト及び課税負担の増加が見込まれており、サプライヤーとの協働や生産効率の向上・再生可能エネルギーの活用等によって中長期的にその影響を軽減させる取組みを推進いたします。4℃シナリオにおいては、当社が最も重要視する医薬品の安定供給に支障を及ぼす物理的な影響が想定されるため、事業継続計画(BCP)と歩調を合わせて対策を推進し、中期的な視点でリスクの軽減に取り組んでまいります。 [人的資本関連]当社は、様々な技術の革新が著しいこの製薬業界において、人的資本への投資は重要なテーマであると認識しており、人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針を以下の通り検討しております。①人材育成方針当社は、業務に必要なスキル習得の研修はもとより、自己研鑽のための研修にも力を入れており、また、入社4年目研修や次世代リーダー研修など、各部門・年次・職位・職能で求められる能力の習得を目的とした研修も実施しております。当社の競争優位の源泉である透析剤については5号シリーズまで開発が終了しておりますが、新たな価値を付加した透析剤の開発を見据え、また、透析関連製品のラインナップをより拡充するためにも、この分野におけるパイオニアとして、医学専門家を招いて技術指導をしていただくことで、より付加価値の高い製品の開発に向け尽力するなど、各領域の専門知識の習得にも力を入れております。今後はこれらの研修を従業員個々のキャリアプランに計画的・体系的に組み込み、リスキリングの機会提供も含め、従業員のキャリアビジョン実現と企業価値向上を両輪で回し、継続的に人材の育成に取り組んでまいります。 ②社内環境整備方針当社は、2023年4月より新人事制度を導入し、従業員が自身でキャリアプランを描けるようジョブローテーションも取り入れたキャリアパスを設定し、経営人材へのステップアップもイメージに入れることでモチベーションの維持・向上を図るとともに、明確な評価項目・評価基準を設定し、報酬との連動に透明性を持たせることで自己実現とやりがいにつなげ、当社の経営理念の達成に向けた方向性を一つにすることが、企業価値向上の礎になるものと考えております。また、多様な人材、優秀な人材を確保するため、近年は積極的にキャリア採用を行っております。そのうえで、従業員のエンゲージメントを高めるため、社内コミュニケーション活性化のための新たな社内報やアプリ、働きやすい職場づくりのための福利厚生の充実など検討しております。また、当社はサステナブルな社会の実現に向けて生殖補助医療(ART)分野にも注力していることから、子を望む社員や子を育てる社員への手厚いサポートは、当社が率先して行うべきことであると認識しております。加えて、健康経営への投資やダイバーシティマネジメントの推進なども検討しており、今後、サステナビリティ委員会の主導でこれらの取組みを強力に推進してくこととしております。 |
指標及び目標 | (4) 指標と目標[気候変動関連]当社では2013年度の温室効果ガス(GHG)排出量(Scope1・2)を基準として、中期的には2030年度までに25%削減、長期的には2050年度までにネットゼロを達成目標とし、また、それぞれの目標年度に向けたマイルストーンを設定することで目標達成に向け取組みを進めていくことといたします。Scope3については2025年度をめどにその把握に努め、目標を設定した上でその削減に取り組むことといたします。Scope1・Scope2排出量(t-CO2)Scope2013年度2021年度2022年度2023年度2030年度(中期)2050年度(長期)Scope114,14514,02111,83111,0852013年度比25%削減ネットゼロScope211,2159,7859,96310,258 Scope3排出量(t-CO2)2025年度をめどに排出量を把握し、削減目標を設定いたします。 [人的資本関連]当社では、上記の戦略において記載した内容について、以下の項目を指標としてその推進に取り組んでまいります。各指標の目標については、サステナビリティ委員会において検討し策定してまいります。 人的資本関連指標・ 管理職に占める女性労働者の割合 ※・ キャリア採用比率・ 従業員エンゲージメントスコア・ 男性労働者の育児休業取得率 ※ ※管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率についての実績は、「第1 企業の状況 5 従業員の状況 (3) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」に記載しております。 |
人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略 | ①人材育成方針当社は、業務に必要なスキル習得の研修はもとより、自己研鑽のための研修にも力を入れており、また、入社4年目研修や次世代リーダー研修など、各部門・年次・職位・職能で求められる能力の習得を目的とした研修も実施しております。当社の競争優位の源泉である透析剤については5号シリーズまで開発が終了しておりますが、新たな価値を付加した透析剤の開発を見据え、また、透析関連製品のラインナップをより拡充するためにも、この分野におけるパイオニアとして、医学専門家を招いて技術指導をしていただくことで、より付加価値の高い製品の開発に向け尽力するなど、各領域の専門知識の習得にも力を入れております。今後はこれらの研修を従業員個々のキャリアプランに計画的・体系的に組み込み、リスキリングの機会提供も含め、従業員のキャリアビジョン実現と企業価値向上を両輪で回し、継続的に人材の育成に取り組んでまいります。 ②社内環境整備方針当社は、2023年4月より新人事制度を導入し、従業員が自身でキャリアプランを描けるようジョブローテーションも取り入れたキャリアパスを設定し、経営人材へのステップアップもイメージに入れることでモチベーションの維持・向上を図るとともに、明確な評価項目・評価基準を設定し、報酬との連動に透明性を持たせることで自己実現とやりがいにつなげ、当社の経営理念の達成に向けた方向性を一つにすることが、企業価値向上の礎になるものと考えております。また、多様な人材、優秀な人材を確保するため、近年は積極的にキャリア採用を行っております。そのうえで、従業員のエンゲージメントを高めるため、社内コミュニケーション活性化のための新たな社内報やアプリ、働きやすい職場づくりのための福利厚生の充実など検討しております。また、当社はサステナブルな社会の実現に向けて生殖補助医療(ART)分野にも注力していることから、子を望む社員や子を育てる社員への手厚いサポートは、当社が率先して行うべきことであると認識しております。加えて、健康経営への投資やダイバーシティマネジメントの推進なども検討しており、今後、サステナビリティ委員会の主導でこれらの取組みを強力に推進してくこととしております。 |
人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績、指標及び目標 | [人的資本関連]当社では、上記の戦略において記載した内容について、以下の項目を指標としてその推進に取り組んでまいります。各指標の目標については、サステナビリティ委員会において検討し策定してまいります。 人的資本関連指標・ 管理職に占める女性労働者の割合 ※・ キャリア採用比率・ 従業員エンゲージメントスコア・ 男性労働者の育児休業取得率 ※ ※管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率についての実績は、「第1 企業の状況 5 従業員の状況 (3) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」に記載しております。 |
事業等のリスク | 3 【事業等のリスク】 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。(1) 医療費抑制策・法的規制等に関するリスク医薬品事業は、薬事行政のもと様々な規制を受けています。医療費抑制策の一環として、医療用医薬品の薬価引き下げや後発医薬品の使用促進等の政策がとられており、このような医療政策が当社の経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。また、医薬品事業は所管官庁等の許認可等を受けて活動しています。当社は、定期的な研修や内部通報制度の整備等により関連法令等の遵守に努めておりますが、法令違反等により許認可等が取り消された場合等には、製品の回収、販売中止等により当社の経営成績は重要な影響を受ける可能性があります。 (2) 医薬品の開発及び発売に係るリスク医薬品の開発には、多大な経営資源の投入と長い時間を要しますが、有効性や安全性が審査当局による承認に必要な水準に達しないことが判明した場合又は想定される場合には、開発の継続を断念する事や、追加の試験を実施することがあります。その場合には投下資本の回収が困難になる可能性や、製品の上市が遅延する可能性があります。当社では、開発を多角的な視点から評価するプロセスを採り入れるなど、選択と集中を図ることにより効率化に努めておりますが、これら内在する研究開発に関するリスクを完全に排除しうるものではありません。 (3) 特定の製品への依存に関わるリスク医薬品事業の主力製品である人工腎臓用透析剤は厳しい市場競争下にあり、透析剤メーカーとしてトップシェアを占める当社では、その市場競争力を高めるべく、新規透析剤の開発や製造原価の低減に努めるとともに、新たな医療ニーズに応える新領域や新規事業の展開を推進しておりますが、革新的な製品や治療技術の登場などにより市場環境が想定を超える変化をした場合、業績に重大な影響を与える可能性があります。 (4) 医薬品の副作用・安全性に係るリスク医薬品には、発売後予期せぬ副作用が確認される可能性があります。当社は人工腎臓用透析剤や輸液製剤といった基礎的な医薬品を多く取り扱っているため、リスクが顕在化する可能性は比較的低いと思われますが、医薬品を販売している限りリスクが顕在化する可能性はあります。当社では、製造物責任などの賠償責任に関する保険に加入していますが、製品に重大な副作用やその他の安全性の問題が発生した全ての場合に、保険金が支払われる保証はなく、製品の回収、販売中止等により売上の減少や回収費用の負担、ブランド・イメージの著しい悪化の可能性があります。 (5) 自然災害・パンデミックなどによるリスク当社は、人工腎臓用透析剤や輸液製剤といった基礎的な医薬品を多く取り扱っているため、安定供給への重大な責任を有しております。そのため、突発的に発生する地震等の自然災害やパンデミック、事故等による工場の操業停止に備えて、これらの製品の製造拠点を東西に分散し、製品保管庫を各地区に設けております。また、社内に安定供給マニュアルに基づく委員会を設置し、常日頃から情報収集に努めるとともに、原材料の調達や製造ラインの異常など安定供給に支障を来たしかねない事象が判明した際には、直ちに緊急対策会議を開催し、優先してその解消にあたるなど、当社医薬品を必要としている患者さんにその供給を途絶えさせない取り組みを実施しております。しかし、広域・長期に影響を及ぼすような自然災害やパンデミック、事故等により製品の供給が困難となった場合、当社の事業に重要な支障を来たす可能性があります。なお、パンデミックとなった新型コロナウイルス感染症に関しては、リスク管理委員会において対策を実施し、事業継続に最低限必要な社員を除き在宅勤務や時差出勤を行うことで接触機会を低減させる等の感染対策に取り組んでまいりました。今後も医薬品の安定供給の社会的使命を全うするため、引き続き事業活動の継続に向けた取り組みを行ってまいります。 (6) 訴訟リスク知的財産権の侵害、製造物責任法違反、環境汚染、労務問題、公正取引等に関する訴訟を提起される可能性があります。訴訟を提起され敗訴した場合、巨額の損害賠償金の発生や、経営成績及び社会的信頼に重要な影響を及ぼす可能性があります。なお、係属中の重要な訴訟の詳細については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (貸借対照表関係) 6 偶発債務」に記載しております。 (7) 情報セキュリティに関するリスク当社は、研修等を通じて従業員に対し情報管理の徹底を促すとともに、情報システムのセキュリティ対策を進めておりますが、情報の不適切な取扱いやシステム不備、サイバー攻撃等により、個人情報や当社の機密情報が流出した場合や業務が阻害された場合、ブランド・イメージが悪化し、社会的信頼が失墜する可能性があります。 (8) 売掛債権の回収に関するリスク当社は、販売管理規程及び経理規程等に従い、営業本部及び総務本部が主要な取引先の状況を定期的にモニタリングし、取引相手ごとに期日及び残高を管理するとともに、財務状況等の悪化等による回収懸念の早期把握や、前受金を受領することにより、回収に関するリスクの軽減を図っております。ただし、取引先の予期せぬ財務状況の悪化等により、債権回収が滞る場合には、当社の経営成績及び財務状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (9) 棚卸資産の評価損に関するリスク当社は、基礎的な医薬品を多く取り扱っており、安定供給への重大な責任を有しているため、想定外の需要が生じた場合にも対応可能な在庫数量を確保しております。そのため、滞留により破棄する数量を最小限に抑えるよう、需要予測に基づいた生産計画等を行い、適切な在庫管理に努めておりますが、販売数量に関する趨勢が変動した場合には、棚卸資産の評価損や廃棄損が発生する可能性があります。 (10) 固定資産の減損に関するリスク一部の投資の意思決定に際し、回収可能価額を使用価値により測定しております。使用価値は見積将来キャッシュ・フローの割引現在価値により測定を行い、重要な仮定は、販売単価、市場規模、市場シェア及び割引率等であります。ただし、重要な仮定の変動により、減損損失が発生する可能性があります。 (11) 有価証券などの価格変動リスク当社は、有価証券などの価格変動リスクのあるものを保有しており、これらの価格が下落した場合、投資有価証券評価損が発生する可能性があります。 |
経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 | 4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 (1) 経営成績等の状況の概要当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。① 財政状態及び経営成績の状況当事業年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の5類感染症への移行に伴う行動制限の緩和等により社会経済活動の正常化が進み、緩やかな回復基調で推移しました。一方、ウクライナ情勢や中東情勢の長期化、資源・原材料価格の高騰や物価の上昇、円安の進行に加え令和6年能登半島地震の影響等、依然として先行き不透明な状況が続いております。医薬品業界では、薬価制度改革をはじめとして後発医薬品の使用促進策の強化等、医療費適正化諸施策が引き続き推進されており、経営のさらなる強化が求められるなか、研究開発費の増加、開発リスクの増大等、収益環境の厳しさが増しております。このような状況のもと、当社は、主力製品の人工腎臓用透析剤キンダリー等、人工透析関連製商品及び輸液等のより強固な浸透を図るとともに、後発医薬品の販売促進にも注力してまいりました。その結果、当事業年度の業績につきましては、売上高は後発医薬品の販売増等により554億7百万円と前期と比べ43億91百万円(8.6%)の増加となりました。利益面につきましては、原資材価格の高騰により売上原価率が上昇したことが影響し、営業利益は19億64百万円と前期と比べ2億42百万円(11.0%)の減少、経常利益は18億68百万円と前期と比べ3億47百万円(15.7%)の減少、また、当期純利益は13億77百万円と前期と比べ2億28百万円(14.2%)の減少となりました。 当事業年度の総資産は、現金及び預金の減少等があったものの、売掛金や商品及び製品の増加、また、2024年1月に稼働を開始した茨城工場第2製剤棟の人工腎臓用粉末型透析剤製造設備への新規ライン増設による建物(純額)や機械及び装置(純額)の増加等により前事業年度末から33億35百万円(4.6%)増加し、758億2百万円となりました。負債は、未払法人税等や設備関係支払手形の減少等があったものの、電子記録債務や買掛金、長期借入金の増加等により前事業年度末から23億23百万円(6.3%)増加し、391億40百万円となりました。純資産は、2023年9月に自己株式立会外買付取引(ToSTNeT-3)による減少があったものの、2024年3月に従業員持株会向け譲渡制限付株式インセンティブとしての自己株式の処分や繰越利益剰余金及びその他有価証券評価差額金の増加により前事業年度末から10億12百万円(2.8%)増加し、366億61百万円となり、自己資本比率は48.4%となりました。 ② キャッシュ・フローの状況当事業年度末の現金及び現金同等物の残高は、前事業年度末に比べ28億94百万円減少し、51億20百万円となりました。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは、売上債権の増加等があったものの、税引前当期純利益や減価償却費の計上等により6億27百万円の収入となりました。(前事業年度は28億53百万円の収入) (投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却による収入があったものの、有形固定資産の取得による支出等により35億36百万円の支出となりました。(前事業年度は13億73百万円の支出) (財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得による支出等があったものの、長期借入金の増加により14百万円の収入となりました。(前事業年度は8億13百万円の支出) ③ 生産、受注及び販売の実績a.生産実績当事業年度における生産実績は次のとおりであります。事業の名称生産高(百万円)前年同期比(%)医薬品事業27,0517.4 (注) 金額は、卸売価格によっております。 b.受注実績当社は、主に見込生産を行っているため、記載を省略しております。 c.販売実績当事業年度における販売実績は次のとおりであります。事業の名称販売高(百万円)前年同期比(%)医薬品事業55,2458.7不動産事業161△7.7合計55,4078.6 (注) 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合 相手先前事業年度当事業年度販売高(百万円)割合(%)販売高(百万円)割合(%)㈱スズケン9,90419.410,88919.7アルフレッサ㈱9,01217.79,71917.5㈱メディセオ6,82913.47,81614.1東邦薬品㈱6,17912.16,67812.1 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。 ① 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容当社の当事業年度の経営成績等は、売上高は554億7百万円と前年同期と比べ43億91百万円(8.6%)の増加となりました。利益面では、売上総利益は138億38百万円と前年同期と比べ98百万円(0.7%)の増加、営業利益は19億64百万円と前年同期と比べ2億42百万円(11.0%)の減少、経常利益は18億68百万円と前年同期と比べ3億47百万円(15.7%)の減少、また、当期純利益は13億77百万円と前年同期と比べ2億28百万円(14.2%)の減少となりました。主な事業内容である医薬品事業においては、後発医薬品の販売増等により、売上高は552億45百万円と前年同期と比べ44億5百万円(8.7%)の増加となりました。利益面につきましては、売上高の増加により売上総利益は137億99百万円と前年同期と比べ1億46百万円(1.1%)の増加となりましたが、販売費及び一般管理費の増加により、営業利益は19億25百万円と前年同期と比べ1億93百万円(9.2%)の減少となりました。当社は人工腎臓用透析剤や輸液製剤といった基礎的な医薬品を多く取り扱い、安定供給への重大な責任を有していることから、地震等の自然災害やパンデミックとなった新型コロナウイルス感染症等、突発的に発生する事象に備えて、安定供給に支障を来たしかねない事象が判明した際には、直ちに緊急対策会議を開催し、優先してその解消に努める等の対策を常日頃より行っております。製造設備に関しても大規模な拠点を東西に分散設置し、製品保管庫を各地に設けており、想定外の需要が生じた場合にも対応可能な在庫数量を確保していることに加え、製品が全体的に重量物の占める割合が高いため、物流コストの上昇による影響は大きく、必然的に売上原価や販売費及び一般管理費は非常に高くなり、営業利益率は低くなる傾向となっております。その上で、製造原価の低減等のコスト削減に努めておりますが、当事業年度に関しましては、売上総利益は増益となったものの、営業利益以下各利益で減益の結果となりました。医薬品の安定供給の社会的使命を全うし、同時に経営基盤の強化を行っていくことが今後も必須であると考えております。なお、文中に記載した内容を以下の表に示しております。(割合(%)には、売上高に対する比率を記載しております。) 前事業年度当事業年度金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)売上高51,015100.055,407100.0売上原価37,27573.141,56875.0販売費及び一般管理費11,53322.611,87421.4 うち、運送費及び保管費等2,7145.32,8095.1営業利益2,2064.31,9643.5 ② 経営成績に重要な影響を与える要因当社の経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。 ③ 資本の財源及び資金の流動性に関する状況当社の資本の財源及び資金の流動性について、主要な資金需要は、製品製造に使用される原材料の調達、商品の仕入、販売費及び一般管理費並びに生産設備の新設、更新や、透析医療のさらなる活性化や新領域への研究開発に係るものであります。これらの資金需要につきましては、営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資金のほか、生産設備投資・研究開発の計画に照らして、金融機関からの借入による資金調達にて対応していく方針であります。 当事業年度におきましては、2024年1月に稼働を開始した茨城工場第2製剤棟の人工腎臓用粉末型透析剤製造設備への新規ライン増設に関する投資や、研究開発活動を当該方針のもと資金調達を行いました。翌事業年度におきましては、資本的支出として、主に各工場の医薬品製造装置への投資や、透析医療のさらなる活性化と新領域への研究開発活動を推進していく予定であり、その資金調達につきましても、必要に応じ、当該方針の通り対応いたします。なお、2024年5月13日付で、今後の当社の事業拡大に伴い運転資金の増加が見込まれることから、より強固な財務基盤を構築するとともに金融費用の圧縮を行うことを目的として、株式会社三井住友銀行をアレンジャーとするシンジケートローン契約を締結いたしました。 ④ 目標とする経営指標について経営指標につきましては、特定の経営指標を定めておりませんが、当社は、医療用医薬品を主力とする医薬品メーカーであり、社会の高齢化が進むなか、医療技術の進歩と国民意識の健康福祉指向を背景に、医療ニーズの増大、多様化に対応する医薬品の開発とその安定供給に努め、「より良き医薬」のスローガンのもと、生命関連産業の一員としての本分を尽くしております。その上で、株主をはじめとした関係者の皆様の期待に応えていくことを経営の基本方針としながら、健全性、収益性、効率性、成長性などを総合的に勘案し、持続的かつ安定的な企業価値の向上を重視し、経営を行ってまいります。 (3) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。 ① 棚卸資産の評価当社の棚卸資産の評価は、各在庫品目について滞留により破棄することが見込まれる数量を算出し、該当数量分の正味売却価額を零として評価損の金額を算出した上で、収益性の低下に基づき簿価を切り下げております。その際、当事業年度の販売数量に関する趨勢を踏まえた各在庫品目の将来の販売予測数量を重要な仮定として用いております。当該仮定として用いた販売数量に関する趨勢が変動した場合には、翌事業年度以降の医薬品部門売上原価に追加の評価損を計上する可能性があります。 ② 固定資産の減損当社は、一部の製造設備において減損テストを実施するにあたり、回収可能価額を使用価値により測定しております。使用価値は見積将来キャッシュ・フローの割引現在価値により測定を行い、重要な仮定は、販売単価、市場規模、市場シェア及び割引率等であります。使用価値の算定結果は、一定のリスクを反映させた上で不確実性を評価しておりますが、重要な仮定の変動により、翌事業年度以降の財務諸表において、減損損失が発生する可能性があります。 |
経営上の重要な契約等 | 5 【経営上の重要な契約等】 該当事項はありません。 |
研究開発活動 | 6 【研究開発活動】 当社における研究開発活動は、研究開発センターを中心に行っており、企業価値の源泉を向上するべく鋭意研究開発をすすめております。輸液及び人工腎臓用透析剤関連を中心に透析医療のさらなる活性化を図るとともに、新たな医療ニーズに応える新領域の開発を推進しております。なお、当事業年度の研究開発費は、総額1,469百万円と前年同期と比べ8.5%の増加となっております。 |
設備投資等の概要 | 1 【設備投資等の概要】 当事業年度の設備投資については、主に医薬品事業において城東、大東、岡山、茨城の四工場及び研究開発センター、営業施設等において設備投資を実施しております。また、茨城工場第2製剤棟の人工腎臓用粉末型透析剤製造設備に新規ラインを増設する工事を行っておりましたが、この度、増設工事が完了し、2024年1月22日より稼働を開始いたしました。この新ラインの稼働により、当社の主力製品である粉末型透析剤の安定供給体制がさらに拡充され、医療上必要不可欠な医薬品を安定的に患者さんのもとに届けるという当社の使命の達成に寄与するものと考えております。これらの結果、当事業年度の設備投資の総額は3,125百万円であります。 |
主要な設備の状況 | 2 【主要な設備の状況】 2024年3月31日現在事業所名(所在地)事業の名称設備の内容帳簿価額(百万円)従業員数(名)建物及び構築物機械装置及び運搬具工具、器具及び備品土地(面積㎡)建設仮勘定その他合計城東工場(大阪市城東区) (注)2医薬品事業輸液等製造設備7831,082601,841(7,041)56―3,824128大東工場(大阪府大東市)〃内用剤製造設備303253451,233(10,308)1―1,83756岡山工場(岡山県浅口郡里庄町)〃輸液等製造設備8744291581,535(49,567)118―3,116307茨城工場(茨城県北茨城市)〃〃6,9122,560213855(69,427)68―10,610249研究開発センター(大阪市城東区)〃研究開発施設設備等34518211855(3,499)1―1,431120森之宮東ビル(大阪市城東区)医薬品事業全社共通その他設備等91―4744(2,159)――84011本社事務所(大阪市城東区)〃その他設備等74037286(1,194)01541583大阪支店他(大阪市中央区等) (注)2医薬品事業不動産事業販売設備賃貸設備8710131,467(2,026)――2,352353 (注) 1 賃貸中の土地964百万円(1,884㎡)、建物及び構築物633百万円が含まれております。2 上記以外に建物等を賃借しております。年間賃借料は600百万円であります。 |
設備の新設、除却等の計画 | 3 【設備の新設、除却等の計画】 (1) 重要な設備の新設等該当事項はありません。 (2) 重要な設備の除却等該当事項はありません。 |
研究開発費、研究開発活動 | 1,469,000,000 |
設備投資額、設備投資等の概要 | 3,125,000,000 |
Employees
平均年齢(年)、提出会社の状況、従業員の状況 | 42 |
平均勤続年数(年)、提出会社の状況、従業員の状況 | 20 |
平均年間給与、提出会社の状況、従業員の状況 | 5,650,000 |
管理職に占める女性労働者の割合、提出会社の指標 | 0 |
全労働者、労働者の男女の賃金の差異、提出会社の指標 | 1 |
正規雇用労働者、労働者の男女の賃金の差異、提出会社の指標 | 1 |
非正規雇用労働者、労働者の男女の賃金の差異、提出会社の指標 | 1 |
Investment
株式の保有状況 | (5) 【株式の保有状況】 ① 投資株式の区分の基準及び考え方当社は、保有目的が純投資目的である投資株式と純投資目的以外の目的である投資株式の区分について、・専ら株式の価値の変動又は株式に係る配当によって利益を受けることを目的とした場合を、純投資目的である投資株式としております。・中長期的な観点で、当社の事業運営に資する取引先等について、取引の性質及び規模等から必要と判断した場合を、純投資目的以外の目的である投資株式としております。 ② 保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式 a.保有方針及び保有の合理性を検証する方法並びに個別銘柄の保有の適否に関する取締役会等における検証の内容当社は、中長期的な観点で持続的な成長及び企業価値の向上を目指しており、事業運営に資する取引先等について、取引の性質及び規模等から株式保有の必要性を判断しております。必要性の判断基準といたしましては、以下の保有方針の通りであります。・製商品の販売を行う取引先企業との業務のより円滑な推進に資する場合・商品及び原材料の仕入、業務委受託や共同研究開発等を行う取引先企業等との、安定的な調達や新領域の製品開発の推進となる経営戦略の一環に資する場合・金融取引等を行う取引先企業とのより良好な関係の構築に資する場合上記方針に則り、取締役会において保有株式の妥当性や株価、配当の状況を勘案し、合理性並びに個別銘柄の保有の適否の検証を行い、保有効果が希薄となった場合は、処分し縮減することとしております。当事業年度におきましては、2024年4月30日開催の取締役会において2023年12月末時点の状況について検証を行った結果、全銘柄を継続保有することとしております。 b.銘柄数及び貸借対照表計上額 銘柄数(銘柄)貸借対照表計上額の合計額(百万円)非上場株式6492非上場株式以外の株式153,432 (当事業年度において株式数が増加した銘柄)該当事項はありません。 (当事業年度において株式数が減少した銘柄) 銘柄数(銘柄)株式数の減少に係る売却価額の合計額(百万円)非上場株式以外の株式184 c.特定投資株式及びみなし保有株式の銘柄ごとの株式数、貸借対照表計上額等に関する情報 特定投資株式 銘柄当事業年度前事業年度 保有目的、業務提携等の概要、定量的な保有効果及び株式数が増加した理由 当社の株式の保有の有無株式数(株)株式数(株)貸借対照表計上額(百万円)貸借対照表計上額(百万円)㈱三菱UFJフィナンシャル・グループ434,200434,200・金融取引等を行う取引先企業とのより良 好な関係の構築・株価の評価益及び受取配当金の発生有676368㈱三井住友フィナンシャルグループ72,00072,000・金融取引等を行う取引先企業とのより良 好な関係の構築・株価の評価益及び受取配当金の発生有641381三井住友トラスト・ホールディングス㈱ (注)2162,57281,286・金融取引等を行う取引先企業とのより良 好な関係の構築・株価の評価益及び受取配当金の発生有537369日本精化㈱172,700172,700・商品及び原材料の仕入、業務委受託等を 行う取引先企業等との経営戦略の一環・株価の評価益及び受取配当金の発生有442451東邦ホールディングス㈱94,00094,000・製商品の販売を行う取引先企業との業務 のより円滑な推進・株価の評価益及び受取配当金の発生有343220アルフレッサホールディングス㈱143,208143,208・製商品の販売を行う取引先企業との業務 のより円滑な推進・株価の評価益及び受取配当金の発生有318242㈱スズケン30,03030,030・製商品の販売を行う取引先企業との業務 のより円滑な推進・株価の評価益及び受取配当金の発生有139100㈱スリー・ディー・マトリックス640,000640,000・商品及び原材料の仕入、業務委受託等を 行う取引先企業等との経営戦略の一環無80130㈱ほくほくフィナンシャルグループ35,40035,400・金融取引等を行う取引先企業とのより良 好な関係の構築・株価の評価益及び受取配当金の発生有6832ダイト㈱ (注)324,20022,000・商品及び原材料の仕入、業務委受託等を 行う取引先企業等との経営戦略の一環・株価の評価益及び受取配当金の発生有5654㈱りそなホールディングス53,80053,800・金融取引等を行う取引先企業とのより良 好な関係の構築・株価の評価益及び受取配当金の発生有5134㈱ほくやく・竹山ホールディングス58,00058,000・製商品の販売を行う取引先企業との業務 のより円滑な推進・株価の評価益及び受取配当金の発生有5036アステナホールディングス㈱23,72023,720・製商品の販売を行う取引先企業との業務 のより円滑な推進・株価の評価益及び受取配当金の発生有1110㈱メディパルホールディングス5,0005,000・製商品の販売を行う取引先企業との業務 のより円滑な推進・株価の評価益及び受取配当金の発生有119㈱JMS5,5005,500・商品及び原材料の仕入、業務委受託等を 行う取引先企業との経営戦略の一環・受取配当金の発生無22 (注) 1 定量的な保有効果につきましては、上記以外は記載が困難でありますが、取締役会において保有株式の妥当性や株価、配当の状況を勘案し、合理性並びに個別銘柄の保有の適否を検証しております。2 三井住友トラスト・ホールディングス㈱は、2024年1月1日付で普通株式1株を2株とする株式分割を行っております。3 ダイト㈱は、2023年9月1日付で普通株式1株を1.1株とする株式分割を行っております。 |
銘柄数、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 6 |
貸借対照表計上額、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 492,000,000 |
銘柄数、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 15 |
貸借対照表計上額、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 3,432,000,000 |
株式数、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社 | 5,500 |
貸借対照表計上額、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社 | 2,000,000 |
銘柄、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社 | ㈱JMS |
保有目的、業務提携等の概要、定量的な保有効果及び株式数が増加した理由、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社 | ・製商品の販売を行う取引先企業との業務 のより円滑な推進・株価の評価益及び受取配当金の発生 |