財務諸表
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提出書類、表紙 | 有価証券報告書 |
提出日、表紙 | 2024-06-25 |
英訳名、表紙 | TOYOTA MOTOR CORPORATION |
代表者の役職氏名、表紙 | 取締役社長 佐 藤 恒 治 |
本店の所在の場所、表紙 | 愛知県豊田市トヨタ町1番地 |
電話番号、本店の所在の場所、表紙 | 28-2121 |
様式、DEI | 第三号様式 |
会計基準、DEI | IFRS |
連結決算の有無、DEI | true |
当会計期間の種類、DEI | FY |
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沿革 | 2 【沿革】 年月概要1933年9月㈱豊田自動織機製作所(現在の㈱豊田自動織機)内で自動車の研究を開始1935年11月トラックを発売1936年9月乗用車を発売1937年8月㈱豊田自動織機製作所(現在の㈱豊田自動織機)より分離独立(会社創立)(社名 トヨタ自動車工業㈱、資本金 12,000千円)1940年3月豊田製鋼㈱(現在の愛知製鋼㈱)設立1941年5月豊田工機㈱(現在の㈱ジェイテクト)を設立し、精密工作機械の製造事業を移管1943年11月中央紡績㈱を吸収合併1945年8月トヨタ車体工業㈱(現在のトヨタ車体㈱)を設立し、自動車車体の製造事業を移管1946年4月関東電気自動車製造㈱(現在のトヨタ自動車東日本㈱)設立1948年7月日新通商㈱(現在の豊田通商㈱)設立1949年5月東京、名古屋、大阪の各証券取引所に株式を上場(現在は東京、名古屋、ニューヨーク、ロンドンの各証券取引所に株式を上場)6月愛知工業㈱(現在の㈱アイシン)設立 名古屋ゴム㈱(現在の豊田合成㈱)設立12月日本電装㈱(現在の㈱デンソー)を設立し、自動車用電装品の製造事業を移管1950年4月トヨタ自動車販売㈱を設立し、販売業務を移管5月民成紡績㈱(現在のトヨタ紡織㈱)を設立し、紡績事業を移管1953年8月東和不動産㈱(現在のトヨタ不動産㈱)設立1956年3月トヨタ自動車販売㈱が産業車両を発売1957年10月米国トヨタ自動車販売㈱設立1960年11月㈱豊田中央研究所設立1966年10月日野自動車工業㈱・日野自動車販売㈱(現在は合併し、日野自動車㈱)と業務提携1967年11月ダイハツ工業㈱と業務提携1975年12月店舗用住宅を発売1977年2月個人用住宅を発売1980年3月ティース トヨタ㈱(現在のトヨタ モーター コーポレーション オーストラリア㈱)を株式取得により子会社化1982年7月トヨタ自動車販売㈱と合併し、社名をトヨタ自動車㈱に変更10月トヨタ モーター クレジット㈱設立1984年2月当社とGM社(当時)との間で合弁会社ニュー ユナイテッド モーター マニュファクチャリング㈱を設立1986年1月トヨタ モーター マニュファクチャリング U.S.A.㈱(現在のトヨタ モーター マニュファクチャリング ケンタッキー㈱)およびトヨタ モーター マニュファクチャリング カナダ㈱を設立1989年12月トヨタ モーター マニュファクチャリング(UK)㈱設立1991年2月トヨタ自動車九州㈱設立1996年2月トヨタ モーター マニュファクチャリング インディアナ㈱設立9月北米における製造・販売会社の資本関係再編成に伴い、トヨタ モーター ノース アメリカ㈱(現在は同地域の子会社と合併)を設立10月北米における製造統括会社トヨタ モーター マニュファクチャリング ノース アメリカ㈱(現在のトヨタ モーター エンジニアリング アンド マニュファクチャリング ノース アメリカ㈱)を設立1998年9月ダイハツ工業㈱を株式取得により子会社化10月欧州における製造統括会社トヨタ モーター ヨーロッパ マニュファクチャリング㈱(現在は同地域の販売統括会社、持株会社と合併)を設立2000年7月金融統括会社トヨタファイナンシャルサービス㈱を設立2001年4月㈱豊田自動織機製作所(現在の㈱豊田自動織機)に産業車両および物流システム事業を譲渡8月日野自動車㈱を株式取得により子会社化2002年3月当社とプジョー シトロエン オートモービルズ SA(当時)との間で合弁会社トヨタ プジョー シトロエン オートモービル チェコ㈲を設立(現在は子会社化し、社名をトヨタ モーター マニュファクチャリング チェコ㈲に変更)4月欧州における持株会社トヨタ モーター ヨーロッパ㈱(現在は同地域の販売統括会社、製造統括会社と合併)を設立8月中国第一汽車集団有限公司と中国での自動車事業における協力関係構築に基本合意2004年9月当社と広州汽車集団股份有限公司との間で合弁会社広州トヨタ自動車㈲(現在の広汽トヨタ自動車㈲)を設立2005年10月欧州における販売統括会社トヨタ モーター マーケティング ヨーロッパ㈱は、同地域の製造統括会社、持株会社と合併(合併後社名 トヨタ モーター ヨーロッパ㈱)2006年3月富士重工業㈱(現在の㈱SUBARU)と業務提携2010年10月トヨタホーム㈱に住宅事業を承継2012年7月関東自動車工業㈱は、セントラル自動車㈱およびトヨタ自動車東北㈱と合併し、社名をトヨタ自動車東日本㈱に変更2015年12月ニュー ユナイテッド モーター マニュファクチャリング㈱の解散申請を、米国の管轄裁判所が認可2017年2月スズキ㈱と業務提携に向けた覚書を締結(2019年8月資本提携) 年月概要2017年8月マツダ㈱と業務資本提携2018年3月当社とマツダ㈱との間で合弁会社マツダトヨタマニュファクチャリングUSA,Inc.を設立2019年9月㈱SUBARUと業務資本提携拡大2020年1月当社とパナソニック㈱との間で、街づくり事業に関する合弁契約に基づき、プライム ライフ テクノロジーズ㈱を設立し、両社の住宅事業を統合4月当社とパナソニック㈱との間で、車載用角形電池事業に関する事業統合契約および合弁契約に基づき、プライムプラネットエナジー&ソリューションズ㈱を設立2021年3月いすゞ自動車㈱、日野自動車㈱と商用事業における協業に関する共同企画契約を締結 いすゞ自動車㈱と資本提携7月いすゞ自動車㈱、スズキ㈱、日野自動車㈱、ダイハツ工業㈱と商用事業における協業に関する共同企画契約を締結(当該契約に基づき、2021年3月に締結した、いすゞ自動車㈱、日野自動車㈱との共同企画契約を終了)2023年5月ダイムラートラック社、三菱ふそうトラック・バス㈱および日野自動車㈱とCASE技術開発・商用車事業の強化に向けて協業すると共に、三菱ふそうトラック・バス㈱と日野自動車㈱の統合に関する基本合意書を締結 |
事業の内容 | 3 【事業の内容】 連結財務諸表提出会社(以下、当社という。)は、IFRSに準拠して連結財務諸表を作成しており、関係会社の範囲についてもIFRSの定義に基づいています。「第2 事業の状況」および「第3 設備の状況」においても同様です。 当社および当社の関係会社(子会社577社、関連会社および共同支配企業165社(2024年3月31日現在)により構成)においては、自動車事業を中心に、金融事業およびその他の事業を行っています。なお、次の3つに区分された事業は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記5」に掲げるセグメント情報の区分と同様です。 自動車 当事業においては、セダン、ミニバン、コンパクト、SUV、トラック等の自動車とその関連部品・用品の設計、製造および販売を行っています。自動車は、当社、日野自動車㈱およびダイハツ工業㈱が主に製造していますが、一部については、トヨタ車体㈱等に生産委託しており、海外においては、トヨタ モーター マニュファクチャリング ケンタッキー㈱等が製造しています。自動車部品は、当社および㈱デンソー等が製造しています。これらの製品は、国内では、トヨタモビリティ東京㈱等の全国の販売店を通じて顧客に販売するとともに、一部大口顧客に対しては当社が直接販売を行っています。一方、海外においては、米国トヨタ自動車販売㈱等の販売会社を通じて販売しています。 自動車事業における主な製品は次のとおりです。 主な製品の種類LS、RX、クラウン、カローラ、RAV4、ヤリス、ハイラックス、カムリ、ハイランダー、タコマ、シエンタ、プリウス、ノア、ヴォクシー、ハイエース、ルーミー、ハリアー、アクア、プロフィア、タント ほか 金融 当事業においては、主として当社および当社の関係会社が製造する自動車および他の製品の販売を補完するための金融ならびに車両のリース事業を行っています。国内では、トヨタファイナンス㈱等が、海外では、トヨタ モーター クレジット㈱等が、これらの販売金融サービスを提供しています。 その他 その他の事業では、情報通信事業等を行っています。 (事業系統図)主な事業の状況の概要図および主要な会社名は次のとおりです。 上記以外の主要な会社としては、北米の製造・販売会社の統括および渉外・広報・調査活動を行うトヨタ モーター ノース アメリカ㈱、欧州の製造・販売会社の統括および渉外・広報・調査活動を行うトヨタ モーター ヨーロッパ㈱、金融会社を統括するトヨタファイナンシャルサービス㈱、ソフトウェアを中心とした様々なモビリティの開発を担うウーブン・バイ・トヨタ㈱があります。*1 トヨタ モーター アジア パシフィック㈱は、2024年6月4日付でトヨタ モーター アジア(シンガポール)㈱に社名変更しています。 |
関係会社の状況 | 4 【関係会社の状況】 名称住所資本金又は出資金主要な事業の内容議決権の所有割合(%)関係内容(連結子会社) トヨタモビリティ東京㈱東京都港区百万円18,100自動車100.00当社製品の販売先。なお、当社より資金援助を受けています。設備等の賃貸借…有日野自動車㈱ *1*2東京都日野市百万円72,717自動車50.19自動車および同部品の購入・販売先。なお、当社より資金援助を受けています。設備等の賃貸借…有ダイハツ工業㈱大阪府池田市百万円28,404自動車100.00自動車および同部品の購入・販売先。設備等の賃貸借…有トヨタモビリティパーツ㈱愛知県名古屋市百万円15,000自動車54.08( 3.08)自動車部品の購入・販売先。なお、当社より資金援助を受けています。設備等の賃貸借…有トヨタ車体㈱愛知県刈谷市百万円10,372自動車100.00自動車車体および同部品の購入先。なお、当社より資金援助を受けています。設備等の賃貸借…有 役員の兼任等…有トヨタ自動車九州㈱福岡県宮若市百万円7,750自動車100.00自動車車体および同部品の購入先。設備等の賃貸借…有 役員の兼任等…有トヨタ自動車東日本㈱宮城県黒川郡百万円6,851自動車100.00自動車車体および同部品の購入先。なお、当社より資金援助を受けています。設備等の賃貸借…有トヨタファイナンシャルサービス㈱ *1愛知県名古屋市百万円78,525金 融100.00設備等の賃貸借…有 役員の兼任等…有トヨタファイナンス㈱ *2愛知県名古屋市百万円16,500金 融100.00(100.00)当社製品にかかる販売金融。設備等の賃貸借…有トヨタ モーター ノースアメリカ㈱ *1*3Plano,Texas,U.S.A.千米ドル999,158自動車100.00( 0.10)自動車に関する調査・研究の委託先。役員の兼任等…有米国トヨタ自動車販売㈱ *1Plano,Texas,U.S.A.千米ドル365,000自動車100.00(100.00)当社製品の販売先。なお、当社より資金援助を受けています。トヨタ モーターエンジニアリング アンドマニュファクチャリングノース アメリカ㈱ *1Plano,Texas,U.S.A.千米ドル1,958,950自動車100.00(100.00)自動車技術の研究開発の委託先および米国製造会社製品の販売先。トヨタ モーターマニュファクチャリングケンタッキー㈱ *1Georgetown,Kentucky,U.S.A.千米ドル1,180,000自動車100.00(100.00)当社製品の販売先。トヨタ モーターマニュファクチャリングインディアナ㈱ *1Princeton,Indiana,U.S.A.千米ドル620,000自動車100.00(100.00)当社製品の販売先。トヨタ モーターマニュファクチャリングテキサス㈱ *1San Antonio,Texas,U.S.A.千米ドル510,000自動車100.00(100.00)当社製品の販売先。トヨタ モータークレジット㈱ *1*2Plano,Texas,U.S.A.千米ドル915,000金 融100.00(100.00)当社製品にかかる販売金融。役員の兼任等…有 名称住所資本金又は出資金主要な事業の内容議決権の所有割合(%)関係内容トヨタ ファイナンシャルセービング バンク㈱Henderson,Nevada,U.S.A.千米ドル1金 融100.00(100.00) カナダトヨタ㈱Toronto,Ontario,Canada千加ドル10,000自動車51.00当社製品の販売先。役員の兼任等…有トヨタ モーターマニュファクチャリングカナダ㈱ *1Cambridge,Ontario,Canada千加ドル680,000自動車100.00当社製品の販売先。トヨタ クレジット カナダ㈱Markham,Ontario,Canada千加ドル60,000金 融100.00(100.00)当社製品にかかる販売金融。トヨタ モーターマニュファクチャリングバハ カリフォルニア㈲Tijuana,Baja California,Mexico千メキシコ・ペソ3,834,821自動車100.00(100.00)当社製品の販売先。トヨタ モーターマニュファクチャリンググアナファト㈱Apaseo el Grande,Guanajuato,Mexico千メキシコ・ペソ3,395,529自動車100.00(100.00)当社製品の販売先。トヨタ モーターヨーロッパ㈱ *1Brussels,Belgium千ユーロ3,504,469自動車100.00当社製品の販売先、自動車技術の研究開発および渉外・広報活動の委託先。なお、当社より資金援助を受けています。設備等の賃貸借…有トヨタ モーターマニュファクチャリングチェコ㈲Kolín,Czech千チェコ・コルナ5,140,000自動車100.00(100.00)当社製品の販売先。トヨタフランス㈱Vaucresson,France千ユーロ2,123自動車100.00(100.00)当社製品の販売先。トヨタ モーターマニュファクチャリングフランス㈱Onnaing,France千ユーロ268,079自動車100.00(100.00)当社製品の販売先。イタリアトヨタ㈱Rome,Italy千ユーロ38,958自動車100.00(100.00)当社製品の販売先。トヨタ モーターファイナンス(ネザーランズ)㈱ *2Amsterdam,Netherlands千ユーロ908金 融100.00(100.00)当社関係会社への資金調達支援。トヨタセントラルヨーロッパ㈲Warsaw,Poland千ユーロ101自動車100.00(100.00)当社製品の販売先。トヨタ モーターマニュファクチャリングターキー㈱Arifiye,Sakarya,Turkey千トルコ・リラ150,165自動車90.00( 90.00)当社製品の販売先。英国トヨタ㈱Burgh Heath,Epsom,Surrey, U.K.千英ポンド2,600自動車100.00(100.00)当社製品の販売先。トヨタ モーターマニュファクチャリング(UK)㈱Burnaston,Derbyshire,U.K.千英ポンド300,000自動車100.00(100.00)当社製品の販売先。トヨタ ファイナンシャルサービス(UK)㈱Burgh Heath,Epsom,Surrey, U.K.千英ポンド253,950金 融100.00(100.00)当社製品にかかる販売金融。 名称住所資本金又は出資金主要な事業の内容議決権の所有割合(%)関係内容トヨタ自動車(中国)投資㈲北京市中国千米ドル118,740自動車100.00当社製品の販売先。役員の兼任等…有広汽トヨタエンジン㈲ *1広州市中国千米ドル670,940自動車70.00( 10.29)当社製品の販売先。トヨタ モーターファイナンスチャイナ㈲ *1北京市中国千中国元4,100,000金 融100.00(100.00)当社製品にかかる販売金融。トヨタキルロスカ自動車㈱Bangalore,India千インド・ルピー7,000,000自動車89.00当社製品の販売先。アストラ・ダイハツ・モーター㈱Jakarta,Indonesia千インドネシア・ルピア894,370,000自動車61.75( 61.75)ダイハツ工業㈱の自動車の購入・販売先。インドネシアトヨタ自動車㈱Jakarta,Indonesia千インドネシア・ルピア19,523,503自動車95.00当社製品の販売先。トヨタ モーター アジアパシフィック㈱Singapore千シンガポール・ドル6,000自動車100.00当社製品の販売先。なお、当社より資金援助を受けています。タイ国トヨタ自動車㈱Samutprakarn,Thailand千タイ・バーツ7,520,000自動車86.43当社製品の販売先。トヨタ ダイハツ エンジニアリング アンドマニュファクチャリング㈱Samutprakarn,Thailand千タイ・バーツ1,300,000自動車100.00( 0.00)自動車技術の研究開発の委託先。トヨタ リーシングタイランド㈱ *1Bangkok,Thailand千タイ・バーツ18,100,000金 融87.44( 87.44)当社製品にかかる販売金融。トヨタ モーターコーポレーションオーストラリア㈱Port Melbourne,Victoria,Australia千豪ドル481,100自動車100.00当社製品の販売先。トヨタ ファイナンスオーストラリア㈱ *2St Leonards,New South Wales,Australia千豪ドル120,000金 融100.00(100.00)当社製品にかかる販売金融。アルゼンチントヨタ㈱Buenos Aires,Argentina千アルゼンチン・ペソ260,000自動車100.00( 0.00)当社製品の販売先。なお、当社より資金援助を受けています。ブラジルトヨタ㈲ *1Sao Paulo,Brazil千ブラジル・レアル6,709,980自動車100.00当社製品の販売先。南アフリカトヨタ自動車㈱Johannesburg,South Africa千南アフリカ・ランド50自動車100.00(100.00)当社製品の販売先。なお、当社より資金援助を受けています。その他 529社 *1 名称住所資本金又は出資金主要な事業の内容議決権の所有割合(%)関係内容(持分法適用関連会社および 共同支配企業) ㈱デンソー *2愛知県刈谷市 百万円187,457自動車20.58( 0.00)自動車部品の購入先。設備等の賃貸借…有 役員の兼任等…有㈱SUBARU *2東京都渋谷区百万円153,795自動車他20.44業務資本提携。自動車の購入・販売先。自動車の共同開発。設備等の賃貸借…有㈱豊田自動織機 *2愛知県刈谷市百万円80,463自動車24.69( 0.00)自動車車体および同部品の購入先。設備等の賃貸借…有㈱アイシン *2愛知県刈谷市百万円45,049自動車24.85( 0.02)自動車部品の購入先。設備等の賃貸借…有㈱ジェイテクト *2愛知県刈谷市百万円45,591自動車22.57( 0.03)自動車部品および工作機械の購入先。豊田合成㈱ *2愛知県清須市百万円28,119自動車43.71( 0.01)自動車部品の購入先。設備等の賃貸借…有愛知製鋼㈱ *2愛知県東海市百万円25,017自動車23.92( 0.00)自動車部品の購入先。設備等の賃貸借…有 役員の兼任等…有トヨタ紡織㈱ *2愛知県刈谷市百万円8,400自動車32.46自動車部品の購入先。設備等の賃貸借…有豊田通商㈱ *2愛知県名古屋市百万円64,936自動車21.79( 0.05)原材料等の購入先。製品等の販売先。設備等の賃貸借…有トヨタ不動産㈱愛知県名古屋市百万円59,450その他24.46( 5.00)設備等の賃貸借…有 役員の兼任等…有一汽トヨタ自動車㈲天津市中国千米ドル3,293,105自動車50.00( 4.23)当社製品の販売先。役員の兼任等…有広汽トヨタ自動車㈲広州市中国千米ドル1,333,896自動車50.00( 19.50)当社製品の販売先。役員の兼任等…有広汽日野自動車㈲広州市中国千中国元2,220,000自動車50.00( 50.00)日野自動車㈱の自動車の販売先。その他 152社 *2 (注)1主要な事業の内容欄には、事業別セグメントの名称を記載しています。2*1:特定子会社に該当します。なお、(連結子会社)その他に含まれる会社のうち特定子会社に該当する会社は、トヨタファイナンシャルサービス インターナショナル㈱です。 3*2:有価証券報告書または有価証券届出書を提出しています。なお、(持分法適用関連会社および共同支配企業)その他に含まれる会社のうち有価証券報告書を提出している会社は、次のとおりです。 ㈱東海理化電機製作所、フタバ産業㈱、㈱小糸製作所、愛三工業㈱、中央発條㈱、大豊工業㈱、㈱ファインシンター、共和レザー㈱、ダイハツディーゼル㈱、トリニティ工業㈱、澤藤電機㈱、中央紙器工業㈱、㈱メタルアート、㈱ウェッズ4議決権の所有割合の( )内は、間接所有割合で内数です。5*3:トヨタ モーター ノース アメリカ㈱は、営業収益(連結会社相互間の内部営業収益を除く)の連結営業収益に占める割合が100分の10を超えています。当連結会計年度における主要な損益情報等は、営業収益 14,983,375百万円、税引前損失(△)△12,001百万円、トヨタ モーター ノース アメリカ㈱の親会社の所有者に帰属する当期損失(△)△88,487百万円、資本額 841,991百万円、総資産額 5,263,920百万円です。62024年3月31日現在、債務超過の金額が100億円以上である会社および債務超過の金額は、以下のとおりです。 トヨタ モーター マニュファクチャリング インディアナ㈱ 350,991百万円トヨタ モーター マニュファクチャリング ミシシッピー㈱ 350,276百万円トヨタ モーター マニュファクチャリング ケンタッキー㈱ 304,490百万円トヨタ モーター マニュファクチャリング ノーザンケンタッキー㈱ 197,304百万円トヨタ モーター マニュファクチャリング(UK)㈱ 131,906百万円トヨタ モーター マニュファクチャリング テキサス㈱ 102,067百万円日野モータース マニュファクチャリング U.S.A.㈱ 90,060百万円トヨタ モーター マニュファクチャリング グアナファト㈱ 69,180百万円ウーブン・バイ・トヨタ㈱ 25,832百万円7トヨタ モーター アジア パシフィック㈱は、2024年6月4日付でトヨタ モーター アジア(シンガポール)㈱に社名変更しています。トヨタ ダイハツ エンジニアリング アンド マニュファクチャリング㈱は、2024年6月4日付でトヨタ モーター アジア(タイランド)㈱に社名変更しています。 |
従業員の状況 | 5 【従業員の状況】 (1)連結会社の状況2024年3月31日現在事業別セグメントの名称従業員数(人)自動車事業336,291[ 84,449]金融事業14,658[ 1,553]その他の事業23,325[ 9,164]全社(共通)6,519[ 1,316]合計380,793[ 96,482] (注)1従業員数は就業人員数(当社および連結子会社(以下、トヨタという。)からトヨタ外への出向者を除き、トヨタ外からトヨタへの出向者を含む)であり、臨時従業員数は[ ]内に年間の平均人員を外数で記載しています。2臨時従業員には、期間従業員、パートタイマーおよび派遣社員が含まれています。 (2)提出会社の状況2024年3月31日現在従業員数(人)平均年齢(歳)平均勤続年数(年)平均年間給与(円)70,224 [ 13,182]40.616.08,998,575 事業別セグメントの名称従業員数(人)自動車事業63,600[ 11,820]その他の事業148[ 59]全社(共通)6,476[ 1,303]合計70,224[ 13,182] (注)1従業員数は就業人員数(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む)であり、臨時従業員数は[ ]内に年間の平均人員を外数で記載しています。2臨時従業員には、期間従業員、パートタイマーおよび派遣社員が含まれています。3平均年間給与は、賞与および基準外賃金を含んでいます。 (3)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異 ① 提出会社当事業年度管理職に占める女性労働者の割合(%)(注2)男性労働者の育児休業取得率(%)(注3)(注4)労働者の男女の賃金の差異(%)(注2)(注5)(注6)(注7)全労働者正社員パート・有期契約社員等3.761.067.066.959.5 (注)1「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出した指標については小数点以下第2位を四捨五入して、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき算出した指標については小数点以下第1位を切り捨てて、それぞれ小数点以下第1位まで表示しています。2「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出しています。3「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出しています。4男性労働者の育児休業取得率は、過年度に配偶者が出産した男性労働者が、当事業年度に育児休業を取得することがあるため、取得率が100%を超えることがあります。5男女の賃金差異は、女性労働者の平均年間賃金÷男性労働者の平均年間賃金×100%として算出しています。また、平均年間賃金は、総賃金(賞与および基準外賃金を含む)÷人員数として算出しています。6パート・有期契約社員等は、期間従業員、準社員、パートタイマー、定年後再雇用者、嘱託社員を対象に算出しています。なお、パートタイマーの人員数については、労働時間を基に換算し算出していません。7当社の賃金制度では男女による差を設けていません。正社員の男女の賃金差異は、「平均年齢」と「職種別の在籍人員」に起因しています。同一年齢かつ同職種であれば男女の賃金差異は縮小します。 年齢:30歳の正社員を対象に、男女の賃金差異を職種別に抽出した結果は以下のとおりです。事技職:94.0%、業務職:データなし(男性0名のため)、技能職:74.9%、医務職:88.6% パート・有期契約社員等の男女の賃金差異は、「就業形態の違い」に起因しています。特に、定年後再雇用者は、職務内容や定年前の資格等を踏まえて処遇を決定しており、差異が出る要因となっています。 ② 主要な連結子会社当事業年度名称管理職に占める女性労働者の割合(%)(注3)男性労働者の育児休業取得率(%)(注6)労働者の男女の賃金の差異(%)(注3)(注7)雇用管理区分 全労働者正社員パート・有期契約社員等 トヨタモビリティ東京㈱4.7全労働者50.0(注4)71.072.041.3(注8)日野自動車㈱2.6全労働者64.0(注4)77.777.777.8 ダイハツ工業㈱3.2全労働者70.0(注4)78.877.586.8 トヨタモビリティパーツ㈱5.7全労働者32.0(注4)57.069.997.6(注8)トヨタ車体㈱2.4全労働者58.0(注4)74.873.298.7 トヨタ自動車九州㈱2.9全労働者39.0(注4)68.765.973.9(注8)トヨタ自動車東日本㈱2.3全労働者40.0(注4)72.770.496.5(注8)トヨタファイナンシャルサービス㈱16.3専門職71.4(注3)――― トヨタファイナンス㈱6.2全労働者100.0(注5)51.653.855.0(注8) (注)1「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出した指標については小数点以下第2位を四捨五入して、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき算出した指標については小数点以下第1位を切り捨てて、それぞれ小数点以下第1位まで表示しています。2「―」は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)において、公表義務がない場合、選択公表をしていない場合、「労働者の男女の賃金の差異」について男女いずれかの該当者がいない場合、または「男性労働者の育児休業取得率」について分母がゼロとなる場合を示しています。3「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出しています。4「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出しています。5「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出しています。6男性労働者の育児休業取得率は、過年度に配偶者が出産した男性労働者が、当事業年度に育児休業を取得することがあるため、取得率が100%を超えることがあります。7男女の賃金差異は、女性労働者の平均年間賃金÷男性労働者の平均年間賃金×100%として算出しています。8労働者の人員数について労働時間を基に換算し算出しています。9連結子会社のうち主要な連結子会社以外のものについては、「第7 提出会社の参考情報 2 その他の参考情報(2)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」に記載しています。 |
経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 | 1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 本項においては、将来に関する事項が含まれていますが、当該事項は2024年3月31日現在において判断したものです。 (1)会社の経営の基本方針 トヨタは経営の基本方針を「トヨタ基本理念」として掲げており、その実現に向けた努力が、企業価値の増大につながるものと考えています。その内容は次のとおりです。1. 内外の法およびその精神を遵守し、オープンでフェアな企業活動を通じて、国際社会から信頼される企業市民をめざす2. 各国、各地域の文化、慣習を尊重し、地域に根ざした企業活動を通じて、経済・社会の発展に貢献する3. クリーンで安全な商品の提供を使命とし、あらゆる企業活動を通じて、住みよい地球と豊かな社会づくりに取り組む4. 様々な分野での最先端技術の研究と開発に努め、世界中のお客様のご要望にお応えする魅力あふれる商品・サービスを提供する5. 労使相互信頼・責任を基本に、個人の創造力とチームワークの強みを最大限に高める企業風土をつくる6. グローバルで革新的な経営により、社会との調和ある成長をめざす7. 開かれた取引関係を基本に、互いに研究と創造に努め、長期安定的な成長と共存共栄を実現する (2)トヨタフィロソフィートヨタはモビリティカンパニーへの変革を進めるために、改めて歩んできた道を振り返り、未来への道標となる「トヨタフィロソフィー」をまとめました。トヨタはモビリティカンパニーとして移動にまつわる課題に取り組むことで、人や企業、コミュニティの可能性を広げ、「幸せを量産」することを使命としています。そのために、モノづくりへの徹底したこだわりに加えて、人と社会に対するイマジネーションを大切にし、様々なパートナーと共に、唯一無二の価値を生み出してまいります。 「トヨタフィロソフィー」 MISSIONわたしたちは、幸せを量産する。技術でつかみとった未来の便利と幸福を手の届く形であらゆる人に還元する。VISION可動性(モビリティ)を社会の可能性に変える。人、企業、自治体、コミュニティができることをふやし、人類と地球の持続可能な共生を実現する。VALUEトヨタウェイソフト、ハード、パートナーの3つの強みを融合し、唯一無二の価値を生み出す。 (3)会社の対処すべき課題 モビリティカンパニーへの変革の「実践」トヨタは「幸せの量産」を使命に、モビリティカンパニーへの変革にチャレンジしています。長年にわたって築いてきた商品や事業、財務における強固な経営基盤の上で、現在は「ビジョンを具体に落とす」ために実践的な取り組みを加速しています。「モビリティカンパニーへの変革」を通じてトヨタが目指していることは、クルマの進化に取り組むことで、笑顔があふれる「モビリティ社会」の実現に貢献していくことです。新しい産業構造をつくっていくことを視野に入れて、多くの仲間とともに挑戦していきたいと考えています。そのカギは、エネルギーとデータの可動性を高め、モビリティの価値を高めていくことであると考えています。「電気」と「水素」が支える未来を見据えて、クルマが媒体となってエネルギーを運び、再生可能エネルギーを軸とする社会づくりに貢献していくことに加え、データが生み出すモビリティの価値で、お客様の暮らしをもっと豊かにしていくことを目指しています。その取り組みのひとつとして、マルチパスウェイ戦略の具体化に取り組んできました。カーボンニュートラル社会を実現するためには、お客様の期待やインフラ整備などの状況を踏まえた多面的なアプローチ、プラクティカルなトランジションが重要であると考えています。その考えのもと、足元ではハイブリッド車を基軸に、各地で選択肢の拡充を進めています。その上で、ミッシングピースとなっていたバッテリーEV(BEV)と水素モビリティの具体化に、力を入れて取り組んできました。BEVにおいては、小型軽量ユニットの開発も含めて、クルマの新しいアーキテクチャをつくる挑戦が進んでいます。そして、当社が目指すBEVは、パワートレーンを電動化するだけではなく、お客様の多様な移動価値を実現するトヨタらしい「ソフトウェア・ディファインド・ビークル(SDV)」であることも定まってきました。内燃機関についても、さらなる活用を視野に入れて開発に取り組んでいます。こうした選択肢の全体像を踏まえて、今年を「真のマルチパスウェイ元年」と位置付けて、その具体化を着実に進めていきます。そして、車載OSのArene(アリーン)の開発を軸に、SDVの基盤づくりにも注力してきました。今後は、生成AIによってデータが生み出す価値が高まっていきます。安全・安心の実現を目指す自動運転や、SDVを中心に、生成AIを活用したモビリティの進化に取り組んでいきたいと考えています。そして、エネルギーやデータを軸に、社会システムと一体となったモビリティの価値を生み出すためには、インフラ整備をはじめ、多くの仲間との連携が必要であると考えています。Areneを基盤に、生活に寄り添ったアプリやサービスが、クルマともっと融合していくことも必要になっていきます。志を同じくするパートナーの皆様とともにモビリティの価値を具体化する取り組みを進めていきます。そして、こうした新たな価値づくりを強化するためにも、研究開発の先行シフトを加速して、中長期目線での「未来への種まき」を強化していきます。 「10年先を見据えた仕事」の構築 [グループビジョンと足場固め]2024年1月、トヨタグループ*1の目指すべき方向、トヨタグループ全員が立ち戻ることができるビジョンを発表しました。 「次の道を発明しよう」。 グループの創始者・豊田佐吉は「苦労する母親を少しでも楽にしたい」という想いで、「豊田式木製人力織機」を発明しました。そして、豊田喜一郎は「日本人の頭と腕で自動車工業を興さねばならない」との想いで「国産乗用車」を発明しました。誰かを想い、学び、技を磨き、ものをつくり、人を笑顔にする。発明への情熱と姿勢こそ、トヨタグループの原点です。正解のない時代に、互いに「ありがとう」と言い合える風土を築き、多様な人財が活躍し、未来に必要とされるトヨタグループを目指してまいります。*1 ㈱豊田自動織機、トヨタ自動車㈱、愛知製鋼㈱、㈱ジェイテクト、トヨタ車体㈱、豊田通商㈱、㈱アイシン、㈱デンソー、トヨタ紡織㈱、トヨタ不動産㈱、㈱豊田中央研究所、トヨタ自動車東日本㈱、豊田合成㈱、日野自動車㈱、ダイハツ工業㈱、トヨタホーム㈱、トヨタ自動車九州㈱、ウーブン・バイ・トヨタ㈱の18社(2024年3月31日時点) 足元では、2022年3月日野自動車㈱、2023年4月ダイハツ工業㈱など、トヨタグループおよび子会社において不正問題が発覚し、当社においても「余力不足」に起因する様々な課題に直面しています。これらの課題に向き合い「足場固め」に取り組んでいくことが、持続的成長を実現するための重要事項です。 正しい仕事を徹底するためには、モノづくりの品質管理と同様に「未然防止」と「流出防止」という2つの考え方が大切だと考えています。「未然防止」は「トヨタらしさ」を土台に、価値観とルールに基づいて、全員が正しく仕事をする風土をつくる取り組みです。時間をかけて、人の意識を変えていく取り組みであり、トップマネジメントがビジョンや価値観を繰り返し示し、自ら動いて現場に伝え続けることが大切だと考えています。「流出防止」では、開発機能への牽制機能を高められる認証組織への見直しや認証業務の「TPS自主研」*2など、不測の事態があった際にはすぐに止まる仕組みと体制をつくっていきます。風土・仕組み・体制での総合的な施策を通じて、実効性のある「トヨタらしいガバナンス」を追求していきます。*2 自発的にTPS(トヨタ生産方式)を学ぶ自主研究活動 [認証不正問題に対する当社の認識と関与]取り組みを進めるにあたり、当社ではダイハツ工業㈱、日野自動車㈱、㈱豊田自動織機による認証不正問題を次のとおり受け止めています。3社の不正に共通する真因は「経営と現場の乖離」です。現場に過度なプレッシャーがかかり、余裕がなくなり、風通しが悪くなった結果、遵法意識が薄れ、不正が日常化してしまいました。経営陣は、そうした現場の実態を把握できておらず、不正を引き起こした環境を変えることができませんでした。この責任は、経営陣にあります。3社とも当時の経営陣は、賞与返納や報酬減額に加えて、不正の調査や再発防止策のとりまとめで役割を果たし、次の道筋をつける形で責任を明確化しました。新体制のもと、当社も入り込んでサポートしながら、再発防止を徹底し、未来への責任を果たしてまいります。ダイハツ工業㈱については、これまで当社メンバー50名以上が、各国の法規や図面の見直し、再試験の対応などを一緒に進めてきました。2023年12月の第三者委員会の調査報告以降は、ほぼ毎日、両社の経営メンバーが会議を行い、再発防止策や事業構造の見直しを考えてきました。そのひとつとして、小型車事業は「当社からの委託」に変えることで、今後はリソーセス管理も含めて、開発から認証まで、当社が責任を持つ体制に変更していきます。法規に沿った認証業務をはじめ、正しい仕事が現場に根付くよう、一緒に取り組んでいきます。日野自動車㈱については、不正発覚以降、事業のあり方を中心に、再発防止と会社の再建について話し合ってまいりました。現在は、2023年5月に基本合意を発表したとおり、三菱ふそうトラック・バス㈱との経営統合、ダイムラートラック社との連携を通じて、再建を進めています。親会社として、引き続きサポートしていきます。㈱豊田自動織機については、子会社であるダイハツ工業㈱・日野自動車㈱とは資本関係は異なりますが、トヨタグループの一員として、再発防止に必要なサポートを行っていきます。その一環として、自動車用エンジンの開発・認証を当社に移管します。また、トップ同士の風通しの良い関係をつくり、日常のコミュニケーションの量を増やしています。 [「風土」「体制」「仕組み」]当社および当社グループのガバナンス施策については、社外役員も参画し、次のとおりまとめました。 (風土:グループビジョン)風土づくりの基盤は、トヨタグループのビジョンと心構えです。「豊田章男塾」などの場を通じて、現場のメンバーと対話を重ねて、ビジョンや価値観の浸透を図っています。先日は、ダイハツ販売店の代表者の皆様が集まる場に会長の豊田が参加し、守るべき価値観やダイハツ再生に向けた想いを伝えました。風土を変えていくために、トップ自ら、こうした対話を繰り返し行っていきます。また、風土づくりの一環として、トヨタグループの社長会、副社長会などの場を通じて、経営メンバー間でのコミュニケーションの量を増やしています。常日頃からトップ同士がオープンにコミュニケーションできる関係を築くことが、ガバナンスの基盤であると考えています。 (体制:余力づくり)今、当社で重点的に取り組んでいることは、「余力」づくりです。例えば、生産においては、足元で日当たり生産台数の上限を当初計画の1万4,500台から1万4,000台に下げました。開発では、プライオリティの見直しによりプロジェクトの数を適正化し、現場の余力をつくり出しました。それにより、職場のコミュニケーション改善や、安全・品質を徹底した仕事、ジョブディスクリプションを踏まえた個々人のスキルアップ、人材育成にしっかり時間を使っていきます。「10年先の働き方を今つくる」という想いをもって、取り組みを進めています。 (体制・仕組み:子会社の内部統制の強化・リスクマネジメント)また、各社トップへの働きかけにより、子会社の内部統制の強化を進めています。例えば、ダイハツ工業㈱のGRC*3推進部とGRC委員会は、ダイハツ工業㈱と当社が一緒に再発防止策を検討する中で新設したものであり、実効性ある運用に向けて、連携して取り組んでいきます。加えて、特に今回課題となった法規認証体制の拡充に向けて、「TPS自主研」の活動を通じて、ダイハツ工業㈱・日野自動車㈱・㈱豊田自動織機の現場メンバーが集まって、業務プロセスの明確化に取り組んでいます。*3 Governance Risk Management and Complianceの略 (仕組み:スピークアップ)内部通報では、トヨタ内およびトヨタ外(子会社、トヨタグループ等)のスピークアップの運用を一元化し、今まで以上にタイムリーに対応できるよう仕組みを拡充しています。 (仕組み:監査拡充)また、当社による子会社への監査も拡充していきます。リスク評価に基づき、対象とする会社の数を拡大し、企業風土、職場環境、法規遵守など、多面的な観点で監査を実施しています。監査以外でも、ガバナンス点検シートやコンプライアンスサーベイをすべての子会社に展開して、トップが入り込んだ自主点検を促しています。 これらの総合的な施策を通じて、連結ガバナンスを向上させていきます。「トヨタらしさ」を土台に、全員が正しい仕事を徹底する環境をつくり、「10年先を見据えた競争力につなげていく」という想いをもって、粘り強く取り組んでいきたいと考えています。 当社は2024年1月26日の国土交通省からの指示に基づき、型式指定申請に関する調査を進めてまいりました。まだ調査の途中ではありますが、2014年以降、すでに生産を終了している車種を含め、7車種において国が定めた基準と異なる方法で試験を実施していたことが判明し、5月31日に国土交通省に報告しました。対象は生産中の3車種(カローラ フィールダー/アクシオ、ヤリス クロス)における歩行者・乗員保護試験でのデータ不備と、生産終了した4車種(クラウン、アイシス、シエンタ、RX)における衝突試験等の試験方法の誤りです。日野自動車㈱、ダイハツ工業㈱、㈱豊田自動織機に引き続き、当社においても認証に関する問題が判明したことは重大なことと受け止めています。今後、調査を継続するとともに、国土交通省の指導のもと、速やかに立会試験などの適切な対応を進めてまいります。 トヨタは、地域のお客様に寄り添って、商品を軸に経営する会社です。この原点をぶらすことなく、お客様が笑顔になるいいクルマをつくるために、みんなで汗をかいていきたいと考えています。そして、「クルマの未来を変えていこう」を合言葉に、多くの仲間とともに、モビリティ社会の実現に向けた挑戦を加速していきます。 |
サステナビリティに関する考え方及び取組 | 2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】 当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。 (1)ガバナンス当社は、創業以来、「豊田綱領」の精神を受け継ぎ、「トヨタ基本理念」に基づいて事業活動を通じた豊かな社会づくりを目指してまいりました。2020年には、その思いを礎に「トヨタフィロソフィー」を取り纏め、「幸せの量産」をミッションに掲げて、地域の皆様から愛され頼りにされる、その町いちばんの会社を目指しています。そのトヨタフィロソフィーのもと、サステナビリティ推進に努めています。当社では、外部環境変化・社会からの要請などを把握し、より重要性・緊急性が高い課題に優先的に取り組むために、取締役会の監督・意思決定のもと、次のような推進体制にて関係部署と密に連携しながら、環境・社会・ガバナンスなどのサステナビリティ活動を継続的に推進・改善しています。経営に関わる横断的なサステナビリティの重要課題を審議するため、社長が議長を務め、主に環境、社会課題に関するテーマを扱うサステナビリティ会議と、Chief Risk Officer兼Chief Compliance Officerが議長を務め、ガバナンスに関するテーマを扱う「ガバナンス・リスク・コンプライアンス会議」を設置しています。その他、より実務に近い個別の課題・テーマは機能軸で分科会を設け、審議する体制を構築しています。また、サステナビリティ活動に関して外部ステークホルダーとのエンゲージメントや情報発信をリードする責任者としてChief Sustainability Officerを任命しています。 <サステナビリティ推進体制> サステナビリティ会議ガバナンス・リスク・コンプライアンス会議サステナビリティ分科会CN戦略分科会ガバナンス・リスク分科会議長または推進者社長CRO兼CCO総務・人事本部副本部長CN開発センター長総務・人事本部副本部長DCRO兼DCCOメンバー副社長2名、社外取締役4名、社外監査役1名、CPO、CSO、CHRO、他5名副社長2名、社外取締役1名、社外監査役1名、CPO、CHRO、常勤監査役1名、他3名社外取締役1名、CRO兼CCO、CSO、CISO、CHRO、他7名 副社長2名、CRO兼CCO、CPO、CSO、CISO、常勤監査役1名、他11名副社長2名、社外取締役1名、社外監査役1名、CRO兼CCO、CSO、CISO、CHRO、常勤監査役1名、他5名2023年度開催実績4回-(2024年6月新設)3回3回6回取締役会への報告頻度重要な事案が生じたとき重要な事案が生じたとき重要な事案が生じたとき重要な事案が生じたとき重要な事案が生じたとき内容サステナビリティに関連する重要案件について、審議・決定・活動を推進することで企業価値向上に貢献ガバナンス・リスク・コンプライアンスに関する業務執行における重要事項の報告・審議内外の変化を総覧しつつ、環境、社会、ガバナンス、およびSDGsに関わる中長期的な競争力強化とリスク対応に関する経営の重要事項について報告・審議カーボンニュートラルおよび環境課題に係る、グローバルの重要動向への共通認識を醸成上記に関する目標・KPI などの経営上の重要施策を報告・審議ガバナンス・内部統制、企業倫理、コンプライアンスおよびインシデントならびに事業・商品戦略におけるリスクマネジメント全般に関する重要課題および対応について審議・決定・活動を推進 CPO:Chief Production Officer CHRO:Chief Human Resources Officer CCO:Chief Compliance Officer DCRO:Deputy Chief Risk Officer CSO:Chief Sustainability Officer CRO :Chief Risk Officer CISO:Chief Information & Security Officer DCCO:Deputy Chief Compliance Officer (2)リスク管理当社は、カーボンニュートラル、CASE※など自動車産業を取り巻く状況や価値観の大変革時代において、常に新たな挑戦が求められるなか、不確実性への対応としてリスクマネジメントをより一層強化してまいります。各地域、機能、カンパニーが相互に連携・サポートし、グローバル視点で事業活動において発生するリスクを予防・緩和・軽減し、適切に管理するために、リスクマネジメントの責任者としてChief Risk Officer(CRO)、Deputy CRO(DCRO)および、各地域にリスクマネジメント統括を配し、以下の推進体制を構築しています。また、全社横断的な観点でリスクを特定し、対応・モニタリングを行うためにCROのもと「ガバナンス・リスク分科会」を設置しています。重要案件については「ガバナンス・リスク・コンプライアンス会議」にて審議し、取締役会へ適切に付議し、事業の推進を図っています。なお、リスクマネジメントシステムの仕組みとして、ISOやCOSO(Committee for Sponsoring Organizations of the Treadway Commission)を基盤とする全社的リスク管理フレームワーク、Toyota Global Risk Management Standard(TGRS)に基づき、定期的なリスクの識別・評価および対策の推進を実施しています。 ※ CASEとは、Connected(コネクティッド)、Autonomous/Automated(自動化)、Shared(シェアリング)、Electric(電動化)の頭文字をとった略称 (3)人的資本に関する考え方及び取り組み当社グループにおいては、「モノづくりは人づくり」との理念の下で、創業当初より人材育成に注力してまいりました。自動車産業が、100年に1度の大変革期のなか、当社グループでは、「継承と進化」をテーマに掲げ、「もっといいクルマをつくろう」、「世界一ではなく、町いちばんへ」、「自分以外の誰かのために」といったトヨタらしさを引き継ぐとともに、未来にむけて、「モビリティカンパニーへの変革」を実現するために、全力で取り組みを進めつつあります。こうした正解のない時代のなかで、豊田綱領に象徴される創業期の理念・トヨタらしさを守り、トヨタフィロソフィーを道標にクルマの未来を切り開いていくためには、トヨタで働く一人ひとり、まさにグローバル38万人の仲間が、同じ思いを共有し、「チームで、同時に、有機的に動いていくこと」、そして、そのための人づくりが求められていきます。グローバル全体としては、全地域へのフィロソフィーの浸透に加え、グローバル幹部候補向けの研修をはじめとする様々な機会を通して、本社と地域事業体が一体となり、トヨタの「思想・技・所作(トヨタフィロソフィー・トヨタ生産方式(TPS)等)」を軸とした人材育成の共通基盤づくりを強化しています。また、地域事業体においても、地域特性や多様なお客様ニーズに応じ、地域に根差した人材戦略の策定と実行を、機動力よく推進するための体制整備を促進しています。当社においては、育成を含む人への投資について、労使の間でも継続的な対話を続けてきています。「会社は従業員の幸せを願い、従業員は会社の発展を願う」という労使共通の価値観の下、これまでの労使による話し合いにおいて、当社の最大の財産は「人」であるという共通認識に立ち、未来に向けた諸施策について、労使間での議論を実施するとともに、スピーディな変革に繋がるよう、具体的な取り組みまで確認し、労使ともになって取り組みを推進してまいりました。 2023年3月の労使の話し合いにおいては、「誰もが、いつでも、何度でも、失敗を恐れず挑戦できる」会社であるため、「多様性」「成長」「貢献」を3つの柱とした諸施策の実現、および、その柱を支えるための土台の強化へ取り組むことを確認し、それらの取り組みを推進しました。 <2023年の主な取り組み>①多様性 ●性別を問わず仕事と生活、育児、介護を両立できる環境の整備 ・両立支援制度の拡充 ・パートナー育休の取得促進に向けた取り組み展開 ●本人のキャリア希望を尊重する施策の実施 ・自律的キャリア形成に資する施策・取り組みの実施 ②成長 ●挑戦・失敗を価値とみるプロセスや評価 ・考課者訓練等、マネジメント向けの施策展開 ●「脱機能・脱個社」で現場感・相場観習得 ・現地現物を重視したOJT/Off-JT ・自ら学べる機会の拡充 (選択型研修の拡充) ●職種を超えるチャレンジのサポート ・職種変更制度の導入 ③貢献 ●グループ・仕入先との人材交流・マッチングの活性化 ・グループ・仕入先各社の人材ニーズに応える施策の展開 ●働く人を支えるアセットのグループ活用促進 ・アセット共同活用/グループ横断取り組みの展開 ④3つの柱の土台 ●多様性/チャレンジの余力のためのリソーセス増強 ・新卒/キャリア採用の強化 ●個に向き合うマネジメントのサポート ・余力創出/部下のキャリア支援に向けた施策実施 上記のような取り組みを推進することを通じ、当社の中で顕在化していた課題を中心に解消が進み、一定の基盤構築はできてきているものと考えています。引き続き3つの柱を踏まえた取り組みを推進していく一方で、当社としては環境変化のスピードが速く、先の見えない時代において、未来に向けた変革を実現するために、「10年先の働き方を今つくる」という、“将来”を見据えた中での対応を図っていくことも必要不可欠と考えており、具体的には、以下の取り組みを推進していくことを2024年3月の労使間での議論を通じて整理しています。 <将来を見据えて取り組むべき事項の方向> 一人ひとりが、会社で働くことのやりがいを見つけ、自ら成長する機会を求める・見つける・取りに行く そのような行動を会社としても応援する環境を整備することを目指し、総合的な「人への投資」を実施 1.より働きやすいモノづくり環境の整備 2.自らやりがいや成長をつかみ取る仕組みづくり <2024年の主な取り組み>1.より働きやすいモノづくり環境の整備 ●多様な人材が安心して働ける職場環境の整備 ・工場の環境整備の推進/寮のリニューアルの検討・着手 ●創造性を育むリソーセス確保 ・女性活躍や高齢者活用を推進する基盤の整備 2.自らやりがいや成長をつかみ取る仕組みづくり ●強みを活かす働き方 ・全職種を対象とした職種変更制度の検討・実施 ・自律的な働き方を促進する基盤の整備 ●マネジメントの強化 ・マネジメントの役割定義、育成・評価の見直し検討・実施 ●自ら学べる機会 ・自律型人材の輩出に向けた支援策の整備・展開 (選択型研修の強化等) ●自社製品の知識/愛着 ・研修等を通じた試乗体験機会の提供 上記取り組みを推進していくことに加え、自動車産業の未来に向けて、仕入先・販売店が取り組む「人への投資」においても、当社として可能な支援を継続的に行っていきます。 (4)気候変動対応(TCFDに基づく気候関連財務情報開示)トヨタは気候変動対応において、2050年カーボンニュートラル実現に向け、地球規模でチャレンジすることを宣言しています。グローバルでチャレンジするために、地域によって異なるエネルギー事情を考慮し、世界各国・地域の状況に対応した多様な選択肢を提供することで、需要動向にすばやく対応していきます。またトヨタは、金融安定理事会「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に2019年4月に賛同・署名しており、気候変動のリスク・機会とその分析について、適切な情報開示を進めています。 ①ガバナンスa.気候関連のリスクと機会についての、取締役会による監視体制トヨタは、取締役会において気候関連課題を扱うことにより、社会動向に応じた戦略の立案・実行が、効果的に行われると考えています。取締役会は、戦略/主要な行動計画/事業計画の審議と監督を行う場であり、気候関連の重要な事案が生じた時に、議題として上程されます。取締役会では、気候関連課題に対応するための定性的あるいは定量的な目標の進捗モニタリングも行います。モニタリングは、気候関連課題になりうる、例えば、燃費・排出ガス規制など製品関連のリスクや機会、低炭素技術開発に関するリスクや機会、それらによる財務的影響などを考慮して行われます。また、このガバナンスメカニズムを「トヨタ環境チャレンジ2050」を含む長期戦略の策定、中長期目標およびアクションプランの立案・見直しに活かしています。2023年における取締役会での意思決定の事例として、以下があげられます。カーボンニュートラル社会の実現に向け、電動車については2030年を見据えた電池の必要量を確保していくための投資の承認を得ました。また、マルチパスウェイとしてのパワートレーン(燃焼技術の進化)への研究開発の承認を得ました。 b.気候関連のリスクと機会を評価・管理する上での経営の役割気候関連課題に対応する最終的な意思決定・監督機関は取締役会となります。また、主に以下の会議体が、気候関連のリスクと機会について評価し、管理を行っています。 ②戦略トヨタの戦略(マルチパスウェイ戦略の基本的な考え方)「マルチパスウェイ戦略」の根幹にある考え方は、「エネルギーの未来」と地域・お客様の期待に寄り添った多様なモビリティを提供することです。大前提として、地球環境やサステナビリティの観点から、化石燃料から脱却していく必要があります。そのうえで、中長期的には、再生可能エネルギーの普及が進み、「電気」と「水素」が社会を支える有力なエネルギーになっていくと考えられます。一方で、短期的には、世界各地の現実に向き合い、エネルギーセキュリティを担保しながら、プラクティカルに変化を進めていくことが重要です。だからこそ私たちは、電気と水素の未来を見据えながら、再生可能エネルギー由来の電力、その電力を基にした水素や合成燃料、バイオ燃料など、多様なエネルギーに対応するモビリティの選択肢でカーボンニュートラルに貢献していきます。現実的にCO2を減らしていくには、既存のインフラやアセットを活用しながら確実に減らしていくことが重要です。また、自動車産業におけるカーボンニュートラルの実現には、再生可能エネルギーや充電インフラなどのエネルギー政策と、購入補助金、サプライヤー支援、電池リサイクルシステムの整備などの産業政策が不可欠であり、各国のエネルギー政策や産業政策、お客様の選択など、不確実性への対応が必要です。多様なモビリティの選択肢を提供するマルチパスウェイ戦略は、不確実性に対し、どのような社会が実現してもいずれかの選択肢で対応することができる戦略です。様々な産業が関わっているため、パートナーづくりに積極的に取り組み、電気と水素が地球環境を守っていく環境づくりを少しでも早く実現できるよう取り組んでいきます。 トヨタは、シナリオ分析によりマルチパスウェイ戦略のレジリエンスを検証しています。 シナリオ分析の概要トヨタは2019年4月、TCFD提言に賛同・署名し、国内企業や金融機関などが一体となって取り組みを推進するTCFDコンソーシアムに加盟しました。気候変動に関するリスクと機会を重要な経営課題と認識し、TCFD提言を踏まえ、リスクと機会を特定し、シナリオ分析による戦略のレジリエンスを検証しています。2022年には、関連組織により構成されるプロジェクトを立ち上げ、TCFDフレームワークを参考に、1.5℃と4℃の2つの温度帯を用いたシナリオ分析を実施し、気候変動リスク・機会の評価・特定、財務影響の評価、トヨタの対応の確認などを実施しました。 設定シナリオは以下のとおりです。・1.5℃シナリオ(IEA※1 NZE※2、APS※3シナリオなど)・4℃シナリオ(SSP5-8.5)※1 International Energy Agency:国際エネルギー機関※2 Net Zero Emissions by 2050 Scenario:国際エネルギー機関(IEA)が発表した脱炭素シナリオ※3 Announced Pledges Scenario:IEAが公表しているシナリオのひとつ 分析対象事業は、トヨタ自動車および連結会社における自動車事業およびサプライチェーン、日本および海外のトヨタグループの生産拠点です。 リスクが発現する期間は、以下のように設定しました。 各戦略の説明・HEV、PHEVトヨタは、累計2,350万台の電動車を販売し、1.76億トンのCO2排出削減を実現しています(2023年3月時点)。 お客様の多様なニーズにお応えしていくため、新興国を中心にHEVの販売拡充を進めながら、PHEVはEV航続距離を200km以上に延ばすことでプラクティカルなBEVと再定義し、選択肢を増やすための開発を強化しています。また、燃焼技術を進化させ、CO2排出量を抑制できるエンジン開発を推進しています。 ・BEV戦略2023年5月に、次世代BEV開発のため、すべての機能と権限を持つ専任組織(BEVファクトリー)を設置しました。また、2030年までにBEV(電池を含む)に約5兆円の投資を行うことも公表しました。BEVの販売台数は2026年までに年間150万台、2030年にはグローバルで年間350万台を基準台数としてペースを定めています(次世代BEVは2030年時点で170万台)。新モジュール構造、自走生産、デジタルツインなどにより、工程・工場投資・生産準備リードタイムを1/2に短縮します。小型軽量ユニットの開発や空力・熱マネジメントなどの技術を進化させることで、クルマの新しいアーキテクチャに挑戦し、今後はPHEVなどの開発にも応用していきます。多様な次世代電池技術の開発にも取り組んでいます。(液系リチウムイオン電池の開発)(全固体電池の開発)全固体電池は、高出力化、長い航続距離、充電時間の短縮など、液体電池以上の性能が期待され、2027~2028年の実用化を目指しています。2023年10月には、出光興産株式会社との量産実現に向けた協業を発表しました。 ・水素事業戦略2023年7月に、燃料電池・水素関連商品で商品開発と生産を加速するため、専任組織 (水素ファクトリー) を設置し、三つの軸で事業化の基盤づくりを推進しています。①マーケットのある国 (欧州・中国) での開発・生産 (量産化・現地化)②有力パートナーとの連携強化 (標準規格化)③次世代FC技術の革新的進化商用領域での水素モビリティの開発・実装に加え、電車・船舶・発電機など多様なアプリケーションに対し、次世代FCシステムを提供します。水素の価格低減・需要拡大のため、水素を「つくる」「ためる」領域に取り組み、大型商用タンクの規格化 (原単位づくり) にも挑戦しています。今後は、水素消費量の大きい欧州、中国、北米を中心に、鉄鋼業界・電力業界のパートナーと連携し、インフラも含めて水素モビリティの社会実装を加速していきます。 ・カーボンニュートラル燃料の取り組み電気と水素がエネルギーの中心となる未来においても、e-fuelやバイオ燃料など、液体燃料の活用を視野に入れた次世代エンジンの開発を進め、業界の垣根を超えたパートナーとの取り組みを進めていきます。水素が高価な地域では、水素が安い地域で製造したe-fuelを輸送し、活用します。また、バイオ燃料の活用が拡大する新興国では、バイオ燃料対応車両を投入しています。2022年7月には、民間7社で「次世代グリーンCO2燃料技術研究組合」を設立し、第2世代バイオ燃料の製造技術向上を目指しています。 ・今後の取り組み多様なエネルギー事情やお客様ニーズに寄り添い、既存インフラの有効活用、カーボンニュートラル燃料、既販車への取り組みなど、プラクティカルなトランジションを軸に、あらゆる手段でカーボンニュートラルの実現を目指します。 a.組織が特定した短期・中期・長期の気候関連のリスクと機会トヨタは環境問題から生じる様々なリスクと機会の把握に努めており、「トヨタ環境チャレンジ2050」などの戦略が妥当かどうかを常に確認しながら取り組みを進め、競争力の強化を図っています。トヨタの事業領域に影響を及ぼす可能性のある気候変動に伴う変化への対策が必要です。そのような認識の下、リスク管理フレームワーク、Toyota Global Risk Management Standard(TGRS)に沿って特定したものから、影響度やステークホルダーからの関心も踏まえ、特に重要度の高い気候変動リスクを抽出しました。気候変動の進行は、事業上のリスクになりますが、適切に対応できれば競争力の強化や新たな事業機会の獲得にもつながると認識しています。 b.ビジネス、戦略および財務計画に対する1.5℃シナリオ、4℃シナリオなどの様々なシナリオ下の影響<STEP1>気候変動影響を踏まえた社会像の設定1.5℃シナリオにおける移行リスクと機会について、2030年の外部環境を、IEAのNZE、APSなど複数シナリオを用いて想定し、TGRSにて抽出した気候変動リスクの中で影響が大きいと懸念されるものに対し、詳細な影響度評価を実施しました。4℃シナリオにおける物理リスクについて、IPCC※4シナリオ(SSP5-8.5)を用い、2050年・2090年の将来予測をもとにリスク分析を実施しました。また、気候変動に伴う気象災害の増加がトヨタグループの事業に与える影響を把握するため、国内外の事業拠点(国内137拠点、海外73拠点)について、気候変動による影響を簡易評価し、優先的に調査すべき拠点のスクリーニングを実施しました。 ※4 Intergovernmental Panel on Climate Change:気候変動に関する政府間パネル <STEP2>Step1で描いた社会像におけるトヨタへの影響1.5℃シナリオにおいては、グローバル全体で再生可能エネルギー(電気・カーボンニュートラル燃料※5)の導入が進み、電動車(特にZEV)の役割も増大します。一方で、国・地域により再生可能エネルギーの導入速度や、導入するエネルギー種(太陽光・風力・バイオなど)は異なります。新車販売に占めるZEV比率が大幅に増加する国・地域がある一方で、カーボンニュートラル燃料利用を進める国・地域もあるため、それぞれの市場に適合した商品(車両)を提供する必要があります。カーボンニュートラル燃料の導入は、既販車から排出されるCO2削減にも有効で、新車だけに頼らずCO2を削減していくことが可能です。生産や調達への影響としては、炭素税などの導入や税率引き上げによるコスト上昇の懸念により、省エネルギー技術、再生可能エネルギーや水素などの利用拡大がリスク低減につながります。4℃シナリオにおいては、内水氾濫と高潮について将来変化が認められた拠点が存在します。社会全体の気候変動対策が十分ではない場合、洪水などの自然災害の頻発や激甚化による生産停止やサプライチェーン寸断による減産や生産停止の可能性が高まる懸念があります。 ※5 バイオ燃料、合成燃料など <STEP3>トヨタの戦略シナリオ分析を用いることで、トヨタはマルチパスウェイ戦略によって、中長期的にレジリエンスを高めるべく事業運営に取り組んでいることが確認できました。移行リスクにおいては、IEA NZEを含む複数のシナリオとの比較を通じて、カーボンニュートラル燃料の組み合わせも含めたトヨタの戦略は、パリ協定で掲げられている1.5 ℃目標を満たす可能性があることを確認しました。トヨタは、各地域のエネルギー事情を考慮した上で、BEV、PHEV、HEV、水素エンジンなど、お客様へ様々な選択肢を用意し、かつ、電気や水素のほか、既存インフラの有効活用も可能な新しい燃料(カーボンニュートラル燃料)による既販車のCO2削減への取組みなど、あらゆる手段で2050年カーボンニュートラルを目指します。一般社団法人日本自動車工業会(JAMA)のCNFシナリオの報告によると、自動車燃料の低炭素化も重要であり、BEV化を急速に進めるシナリオだけでなく、HEV・PHEVとカーボンニュートラル燃料を有効活用するシナリオでも、IPCCの2050年1.5℃シナリオに整合的になり得ます。物理リスクにおいては気象災害ハザードスクリーニングの結果、気候変動による将来変化が見られ、リスクに留意すべき(グレードB 以上)と評価された国内外の拠点について、リスク評価の実施を検討し、その結果に応じて水災対策や事業継続計画(BCP)の見直しを進めます。今後もシナリオ分析を継続的に行い、気候変動の影響が大きいリスクと機会の特定・整理、インパクト評価を進めていきます。 c.気候関連のリスクと機会が組織のビジネス、戦略および財務計画に及ぼす影響前述したリスクと機会へ対応するために、トヨタでは移行計画として温室効果ガス(GHG)削減目標を設定しています。移行計画の妥当性確認には、複数のシナリオを参照しています。マルチパスウェイ戦略のもと、プロジェクト関連の財務計画に落とし込み、移行計画を具体化していきます。なお、一定額以上のプロジェクト投資にあたっては、取締役会で承認します。 ③リスク管理a.組織が気候関連のリスクを特定および評価するプロセスグローバルな事業活動に関わるすべてのリスクを対象とした全社横断的リスク管理の仕組みであるTGRSに基づき、気候変動を含むすべてのリスクを抽出し、評価、対応を実施しています。リスクは、「影響度」と「脆弱性」の2つの観点で評価し、想定される発生時期を記載することで、事業に対する実質的な財務・戦略的影響を明確化しています。「影響度」は、「財務」「評判」「法規制違反」「事業継続」の各要素について5段階で評価しています。「財務」は売上高に対する割合を指標化しています。「脆弱性」は、「対策の現状」と「発生可能性」の2つの指標で評価しています。 b.組織が気候関連のリスクを管理するプロセス各部署にて抽出され、影響度や脆弱性の観点から評価された地域別、機能別 (生産・販売など) 、製品別のリスクに対し、各地域や各部門が相互に連携・サポートしながら迅速に対応しています。各部門の本部長や社内カンパニープレジデントがカンパニーの活動を統括し、その下位では部長が部署の活動を統括して、対応策の実行およびモニタリングを実施します。さらに気候関連のリスクおよび機会については、「CN戦略分科会」「サステナビリティ分科会」においても特定、評価され、担当部署や関係役員による審議を行います。「CN戦略分科会」では燃費規制や調達、工場・物流・その他非生産拠点のCO2排出規制や水リスクなどの直接操業について、「サステナビリティ分科会」ではサステナビリティ推進に関する課題や社外ステークホルダーを考慮した取り組みの妥当性などについて、対応状況のモニタリングや見直しを実施しています。上記会議体は、年4回程度の頻度で開催され、技術・環境・財務・調達・営業といった関連部署の役員・部長級が参加します。これらの会議体での検討により、リスク評価を年に複数回実施しています。なお、迅速な対応が必要となる重要なリスクおよび機会については、逐次取締役会へ報告され、対応を決定します。 c.組織が気候関連のリスクを特定・評価および管理するプロセスが、組織の総合的なリスク管理にどのように統合されているか前述のように、TGRSを用いたプロセスは、気候変動をはじめ、グローバルな事業活動に関わるすべてのリスクおよび機会を対象とした全社横断的なリスク管理の仕組みです。また、関係部署が集まる「CN戦略分科会」「サステナビリティ分科会」では、気候関連のリスクおよび機会について特定・評価を実施し、対応策を検討しています。 ④指標と目標a.組織が自らの戦略とリスク管理プロセスに即して、気候関連のリスクと機会を評価するために用いる指標トヨタでは、複数の指標を設定し、複合的に気候関連のリスクと機会を管理することが、気候変動への適応とその緩和に向けた対策として重要であると認識しています。このため指標には、GHG排出量のほか、気候変動と深く関係する、エネルギー、水、資源循環、生物多様性なども含まれています。これらの指標を考慮して以下の目標を定め、「6つのチャレンジ」という6分野の取組みにより体系的に推進しています。・長期(2050年目標):「トヨタ環境チャレンジ2050」・中期(2030年目標):「2030マイルストーン」、SBTi認定・承認・短期(2025年目標):「第7次トヨタ環境取組プラン」「6つのチャレンジ」のうち、以下の取り組みを推進することで、2050年のScope1,2,3カーボンニュートラルをめざします。 社内では一定の炭素価格を指標として設備投資などの検討に活用しています。 b.気候関連のリスクと機会を管理するために用いる目標、および目標に対する実績環境戦略の体系 トヨタは常に世の中の動きやお客様の声を把握し、何に注力すべきかを考え、将来の課題をいち早く察知し、新たな発想と技術で課題解決を推進してきました。しかし、気候変動、水不足、資源枯渇、生物多様性低下などの地球環境問題は日々拡大、深刻化しています。 これらの問題に私たち一人ひとりが向き合い、20年、30年先の世界を見据えて挑戦を続けていくため、2015年に「トヨタ環境チャレンジ2050」を、2018年に「2030マイルストーン」を策定しました。そして、上記目標を実現するための5カ年計画である「環境取組プラン」の最新目標として、「2025年目標」を2020年に設定しました。 2022年9月には、SBTiからScope1,2とScope3カテゴリー11の削減目標について認定・承認を取得し、これに準じて中期目標を更新しました。 また2023年4月には、全世界で販売する新車の走行における平均GHG排出量を、2019年比で、2030年に33%、2035年に50%以上の削減を目指すことを公表しました。 |
人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略 | (3)人的資本に関する考え方及び取り組み当社グループにおいては、「モノづくりは人づくり」との理念の下で、創業当初より人材育成に注力してまいりました。自動車産業が、100年に1度の大変革期のなか、当社グループでは、「継承と進化」をテーマに掲げ、「もっといいクルマをつくろう」、「世界一ではなく、町いちばんへ」、「自分以外の誰かのために」といったトヨタらしさを引き継ぐとともに、未来にむけて、「モビリティカンパニーへの変革」を実現するために、全力で取り組みを進めつつあります。こうした正解のない時代のなかで、豊田綱領に象徴される創業期の理念・トヨタらしさを守り、トヨタフィロソフィーを道標にクルマの未来を切り開いていくためには、トヨタで働く一人ひとり、まさにグローバル38万人の仲間が、同じ思いを共有し、「チームで、同時に、有機的に動いていくこと」、そして、そのための人づくりが求められていきます。グローバル全体としては、全地域へのフィロソフィーの浸透に加え、グローバル幹部候補向けの研修をはじめとする様々な機会を通して、本社と地域事業体が一体となり、トヨタの「思想・技・所作(トヨタフィロソフィー・トヨタ生産方式(TPS)等)」を軸とした人材育成の共通基盤づくりを強化しています。また、地域事業体においても、地域特性や多様なお客様ニーズに応じ、地域に根差した人材戦略の策定と実行を、機動力よく推進するための体制整備を促進しています。当社においては、育成を含む人への投資について、労使の間でも継続的な対話を続けてきています。「会社は従業員の幸せを願い、従業員は会社の発展を願う」という労使共通の価値観の下、これまでの労使による話し合いにおいて、当社の最大の財産は「人」であるという共通認識に立ち、未来に向けた諸施策について、労使間での議論を実施するとともに、スピーディな変革に繋がるよう、具体的な取り組みまで確認し、労使ともになって取り組みを推進してまいりました。 2023年3月の労使の話し合いにおいては、「誰もが、いつでも、何度でも、失敗を恐れず挑戦できる」会社であるため、「多様性」「成長」「貢献」を3つの柱とした諸施策の実現、および、その柱を支えるための土台の強化へ取り組むことを確認し、それらの取り組みを推進しました。 <2023年の主な取り組み>①多様性 ●性別を問わず仕事と生活、育児、介護を両立できる環境の整備 ・両立支援制度の拡充 ・パートナー育休の取得促進に向けた取り組み展開 ●本人のキャリア希望を尊重する施策の実施 ・自律的キャリア形成に資する施策・取り組みの実施 ②成長 ●挑戦・失敗を価値とみるプロセスや評価 ・考課者訓練等、マネジメント向けの施策展開 ●「脱機能・脱個社」で現場感・相場観習得 ・現地現物を重視したOJT/Off-JT ・自ら学べる機会の拡充 (選択型研修の拡充) ●職種を超えるチャレンジのサポート ・職種変更制度の導入 ③貢献 ●グループ・仕入先との人材交流・マッチングの活性化 ・グループ・仕入先各社の人材ニーズに応える施策の展開 ●働く人を支えるアセットのグループ活用促進 ・アセット共同活用/グループ横断取り組みの展開 ④3つの柱の土台 ●多様性/チャレンジの余力のためのリソーセス増強 ・新卒/キャリア採用の強化 ●個に向き合うマネジメントのサポート ・余力創出/部下のキャリア支援に向けた施策実施 上記のような取り組みを推進することを通じ、当社の中で顕在化していた課題を中心に解消が進み、一定の基盤構築はできてきているものと考えています。引き続き3つの柱を踏まえた取り組みを推進していく一方で、当社としては環境変化のスピードが速く、先の見えない時代において、未来に向けた変革を実現するために、「10年先の働き方を今つくる」という、“将来”を見据えた中での対応を図っていくことも必要不可欠と考えており、具体的には、以下の取り組みを推進していくことを2024年3月の労使間での議論を通じて整理しています。 <将来を見据えて取り組むべき事項の方向> 一人ひとりが、会社で働くことのやりがいを見つけ、自ら成長する機会を求める・見つける・取りに行く そのような行動を会社としても応援する環境を整備することを目指し、総合的な「人への投資」を実施 1.より働きやすいモノづくり環境の整備 2.自らやりがいや成長をつかみ取る仕組みづくり <2024年の主な取り組み>1.より働きやすいモノづくり環境の整備 ●多様な人材が安心して働ける職場環境の整備 ・工場の環境整備の推進/寮のリニューアルの検討・着手 ●創造性を育むリソーセス確保 ・女性活躍や高齢者活用を推進する基盤の整備 2.自らやりがいや成長をつかみ取る仕組みづくり ●強みを活かす働き方 ・全職種を対象とした職種変更制度の検討・実施 ・自律的な働き方を促進する基盤の整備 ●マネジメントの強化 ・マネジメントの役割定義、育成・評価の見直し検討・実施 ●自ら学べる機会 ・自律型人材の輩出に向けた支援策の整備・展開 (選択型研修の強化等) ●自社製品の知識/愛着 ・研修等を通じた試乗体験機会の提供 上記取り組みを推進していくことに加え、自動車産業の未来に向けて、仕入先・販売店が取り組む「人への投資」においても、当社として可能な支援を継続的に行っていきます。 |
人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績、指標及び目標 | (3)人的資本に関する考え方及び取り組み当社グループにおいては、「モノづくりは人づくり」との理念の下で、創業当初より人材育成に注力してまいりました。自動車産業が、100年に1度の大変革期のなか、当社グループでは、「継承と進化」をテーマに掲げ、「もっといいクルマをつくろう」、「世界一ではなく、町いちばんへ」、「自分以外の誰かのために」といったトヨタらしさを引き継ぐとともに、未来にむけて、「モビリティカンパニーへの変革」を実現するために、全力で取り組みを進めつつあります。こうした正解のない時代のなかで、豊田綱領に象徴される創業期の理念・トヨタらしさを守り、トヨタフィロソフィーを道標にクルマの未来を切り開いていくためには、トヨタで働く一人ひとり、まさにグローバル38万人の仲間が、同じ思いを共有し、「チームで、同時に、有機的に動いていくこと」、そして、そのための人づくりが求められていきます。グローバル全体としては、全地域へのフィロソフィーの浸透に加え、グローバル幹部候補向けの研修をはじめとする様々な機会を通して、本社と地域事業体が一体となり、トヨタの「思想・技・所作(トヨタフィロソフィー・トヨタ生産方式(TPS)等)」を軸とした人材育成の共通基盤づくりを強化しています。また、地域事業体においても、地域特性や多様なお客様ニーズに応じ、地域に根差した人材戦略の策定と実行を、機動力よく推進するための体制整備を促進しています。当社においては、育成を含む人への投資について、労使の間でも継続的な対話を続けてきています。「会社は従業員の幸せを願い、従業員は会社の発展を願う」という労使共通の価値観の下、これまでの労使による話し合いにおいて、当社の最大の財産は「人」であるという共通認識に立ち、未来に向けた諸施策について、労使間での議論を実施するとともに、スピーディな変革に繋がるよう、具体的な取り組みまで確認し、労使ともになって取り組みを推進してまいりました。 2023年3月の労使の話し合いにおいては、「誰もが、いつでも、何度でも、失敗を恐れず挑戦できる」会社であるため、「多様性」「成長」「貢献」を3つの柱とした諸施策の実現、および、その柱を支えるための土台の強化へ取り組むことを確認し、それらの取り組みを推進しました。 <2023年の主な取り組み>①多様性 ●性別を問わず仕事と生活、育児、介護を両立できる環境の整備 ・両立支援制度の拡充 ・パートナー育休の取得促進に向けた取り組み展開 ●本人のキャリア希望を尊重する施策の実施 ・自律的キャリア形成に資する施策・取り組みの実施 ②成長 ●挑戦・失敗を価値とみるプロセスや評価 ・考課者訓練等、マネジメント向けの施策展開 ●「脱機能・脱個社」で現場感・相場観習得 ・現地現物を重視したOJT/Off-JT ・自ら学べる機会の拡充 (選択型研修の拡充) ●職種を超えるチャレンジのサポート ・職種変更制度の導入 ③貢献 ●グループ・仕入先との人材交流・マッチングの活性化 ・グループ・仕入先各社の人材ニーズに応える施策の展開 ●働く人を支えるアセットのグループ活用促進 ・アセット共同活用/グループ横断取り組みの展開 ④3つの柱の土台 ●多様性/チャレンジの余力のためのリソーセス増強 ・新卒/キャリア採用の強化 ●個に向き合うマネジメントのサポート ・余力創出/部下のキャリア支援に向けた施策実施 上記のような取り組みを推進することを通じ、当社の中で顕在化していた課題を中心に解消が進み、一定の基盤構築はできてきているものと考えています。引き続き3つの柱を踏まえた取り組みを推進していく一方で、当社としては環境変化のスピードが速く、先の見えない時代において、未来に向けた変革を実現するために、「10年先の働き方を今つくる」という、“将来”を見据えた中での対応を図っていくことも必要不可欠と考えており、具体的には、以下の取り組みを推進していくことを2024年3月の労使間での議論を通じて整理しています。 <将来を見据えて取り組むべき事項の方向> 一人ひとりが、会社で働くことのやりがいを見つけ、自ら成長する機会を求める・見つける・取りに行く そのような行動を会社としても応援する環境を整備することを目指し、総合的な「人への投資」を実施 1.より働きやすいモノづくり環境の整備 2.自らやりがいや成長をつかみ取る仕組みづくり <2024年の主な取り組み>1.より働きやすいモノづくり環境の整備 ●多様な人材が安心して働ける職場環境の整備 ・工場の環境整備の推進/寮のリニューアルの検討・着手 ●創造性を育むリソーセス確保 ・女性活躍や高齢者活用を推進する基盤の整備 2.自らやりがいや成長をつかみ取る仕組みづくり ●強みを活かす働き方 ・全職種を対象とした職種変更制度の検討・実施 ・自律的な働き方を促進する基盤の整備 ●マネジメントの強化 ・マネジメントの役割定義、育成・評価の見直し検討・実施 ●自ら学べる機会 ・自律型人材の輩出に向けた支援策の整備・展開 (選択型研修の強化等) ●自社製品の知識/愛着 ・研修等を通じた試乗体験機会の提供 上記取り組みを推進していくことに加え、自動車産業の未来に向けて、仕入先・販売店が取り組む「人への投資」においても、当社として可能な支援を継続的に行っていきます。 |
事業等のリスク | 3 【事業等のリスク】 以下において、トヨタの事業その他のリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を記載しています。ただし、以下はトヨタに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、記載されたリスク以外のリスクも存在します。かかるリスク要因のいずれによっても、投資家の判断に影響を及ぼす可能性があります。本項においては、将来に関する事項が含まれていますが、当該事項は有価証券報告書提出日(2024年6月25日)現在において判断したものです。 (1)市場および事業に関するリスク①自動車市場の競争激化世界の自動車市場では激しい競争が繰り広げられています。トヨタは、ビジネスを展開している各々の地域で、自動車メーカーとの競争に直面しています。近年、自動車市場における競争はさらに激化しており、厳しい状況が続いています。また、世界の自動車産業におけるCASEなどの技術革新が進むことによって、競争は今後より一層激化する可能性があり、業界再編につながる可能性もあります。競争に影響を与える要因としては、製品の品質・機能、安全性、信頼性、燃費、革新性、開発に要する期間、価格、カスタマー・サービス、自動車金融の利用条件、各国の税制優遇措置等の点が挙げられます。競争力を維持することは、トヨタの既存および新規市場における今後の成功、販売シェアにおいて最も重要です。トヨタは、エンジン車から電動車へのお客様のニーズの変化など、昨今の自動車市場の急激な変化に的確に対応し、今後も競争力の維持強化に向けた様々な取り組みを進めていきますが、将来優位に競争することができないリスクがあります。競争が激化した場合、自動車の販売台数の減少や販売価格の低下などが起きる可能性があり、それによりトヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローが悪影響を受けるリスクがあります。 ②自動車市場の需要変動トヨタが参入している各市場では、今までも需要が変動してきました。各市場の状況によって、自動車の販売は左右されます。トヨタの販売は、世界各国の市場に依存しており、各市場の景気動向はトヨタにとって特に重要です。当連結会計年度の世界経済は、インフレや金利の上昇、中国における不動産市場の停滞の影響が見られたものの、雇用が堅調な米国を中心に、底堅く推移しました。自動車市場においては、半導体の供給制約が改善され、ペントアップ需要が市場を押し上げたことで、前年から大幅に拡大しました。このような需要の変化は現在でも続いており、この状況が今後どのように推移するかは不透明です。今後トヨタの想定を超えて需要の変化が継続または悪化した場合、トヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローが悪影響を受ける可能性があります。また、需要は、販売・金融インセンティブ、原材料・部品等の価格、燃料価格、政府の規制(関税、輸入規制、その他の租税を含む)など、自動車の価格および自動車の購入・維持費用に直接関わる要因により、影響を受ける場合があります。需要が変動した場合、自動車の販売台数の減少や販売価格の低下などが起きる可能性があり、それによりトヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローが悪影響を受けるリスクがあります。 ③お客様のニーズに速やかに対応した、革新的で価格競争力のある新商品を投入する能力製品の開発期間を短縮し、魅力あふれる新型車でお客様にご満足いただくことは、自動車メーカーにとっては成功のカギとなります。特に、品質、安全性、信頼性、サステナビリティにおいて、お客様にご満足いただくことは非常に重要です。世界経済の変化や技術革新に伴い、自動車市場の構造が急激に変化している現在、お客様の価値観とニーズの急速な変化に対応した新型車および新機能を適時・適切にかつ魅力ある価格で投入することは、トヨタの成功にとってこれまで以上に重要であり、技術・商品開発から生産にいたる、トヨタの事業の様々なプロセスにおいて、そのための取り組みを進めています。しかし、トヨタが、品質、安全性、信頼性、スタイル、サステナビリティ、その他の性能に関するお客様の価値観とニーズを適時・適切にかつ十分にとらえることができない可能性があります。また、トヨタがお客様の価値観とニーズをとらえることができたとしても、その有する技術、知的財産、原材料や部品の調達、原価低減能力を含む製造能力またはその他生産性に関する状況により、価格競争力のある新製品を適時・適切に開発・製造できない可能性があります。また、トヨタが計画どおりに新製品の投入や設備投資を実施し、製造能力を維持・向上できない可能性もあります。お客様のニーズに対応する製品を開発・提供できない場合、販売シェアの縮小ならびに営業収益と利益率の低下を引き起こすリスクがあります。 ④効果的な販売・流通を実施する能力トヨタの自動車販売の成功は、お客様のご要望を満たす流通網と販売手法に基づき効果的な販売・流通を実施する能力に依存します。トヨタはその参入している各主要市場につきお客様の価値観または地政学的な緊張関係や規制環境において、変化に効果的に対応した流通網と販売手法を展開できない場合は、営業収益および販売シェアが減少するリスクがあります。 ⑤ブランド・イメージの維持・発展競争の激しい自動車業界において、ブランド・イメージを維持し発展させることは非常に重要です。ブランド・イメージを維持し発展させるためには、トヨタグループおよび仕入先が法令遵守を徹底し、お客様の価値観やニーズに対応した安全で高品質の製品を提供すること、また、ステークホルダーの皆様への迅速かつ適切な情報発信を通じ、ステークホルダーの皆様の信頼をさらに高めていくことが重要です。また、企業としてサステナビリティに貢献することの重要性も高まっています。しかし、トヨタグループや仕入先があらゆる場面において、それを徹底できるとは限りません。例えば、連結子会社においては、2022年3月に日野自動車㈱、2023年4月にダイハツ工業㈱において、認証に関する不正行為が発覚し、公表しました。また、当社においても、2024年1月26日の国土交通省からの指示に基づき、型式指定申請に関する調査を進める中、2014年以降、すでに生産を終了している車種を含め、7車種において国が定めた基準と異なる方法で試験を実施していたことが判明し、5月31日に国土交通省に報告しました。詳細については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(3)会社の対処すべき課題」を参照ください。さらに、トヨタまたは仕入先がサステナビリティに貢献しない、または気候変動やサプライチェーンにおける人権保護など、特定のサステナビリティに関する目標または目的を達成できない場合、トヨタのブランド・イメージが低下する可能性があります。トヨタのブランド・イメージを効果的に維持し発展させることができなかった場合、営業収益と利益率の低下を引き起こすリスクがあります。 ⑥仕入先への部品・原材料供給の依存トヨタは、部品や原材料などの調達部品を世界中の複数の競合する仕入先から調達する方針を取っていますが、調達部品によっては他の仕入先への代替が難しいものもあり、特定の仕入先に依存しているものがあります。また、かかる特定の仕入先からの調達ができない場合、当該部品等の調達がより困難となり、生産面への影響を受ける可能性があります。さらに、トヨタが直接の取引先である一次仕入先を分散していたとしても、一次仕入先が部品調達を二次以降の特定の仕入先に依存していた場合、同様に部品の供給を受けられないリスクもあります。仕入先の数に関わらず、トヨタが調達部品を継続的にタイムリーかつ低コストで調達できるかどうかは、多くの要因の影響を受けますが、それら要因にはトヨタがコントロールできないものも含まれています。それらの要因の中には、仕入先が継続的に調達部品を調達し供給できるか、またトヨタが、仕入先から調達部品を競争力のある価格で供給を受けられるか等が含まれます。このような能力に悪影響を与える可能性のある状況には、地政学的な緊張や、経済制裁などの政府の行動が含まれます。特定の仕入先を失う、またはそれら仕入先から調達部品をタイムリーもしくは低コストで調達できない場合、トヨタの生産に遅延や休止またはコストの増加を引き起こす可能性があり、トヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに悪影響が及ぶ可能性があります。 ⑦金融サービスにおける競争の激化世界の金融サービス業界では激しい競争が繰り広げられています。自動車金融の競争激化は、利益率の減少を引き起こす可能性があります。この他トヨタの金融事業に影響を与える要因には、トヨタ車の販売台数の減少、中古車の価格低下による残存価値リスクの増加、貸倒率の増加および資金調達費用の増加が挙げられます。 ⑧デジタル情報技術および情報セキュリティへの依存トヨタは、機密データを含む電子情報を処理・送信・蓄積するため、または製造・研究開発・サプライチェーン管理・販売・会計を含む様々なビジネスプロセスや活動を管理・サポートするために、第三者によって管理されているものも含め、様々な情報技術ネットワークやシステムを利用しています。さらに、トヨタの製品にも情報サービス機能や運転支援機能など様々なデジタル情報技術が利用されています。これらのデジタル情報技術ネットワークやシステムは、安全対策が施されているものの、ハッカーによる不正アクセスやコンピュータウィルスによる攻撃、トヨタが利用するネットワークおよびシステムにアクセスできる者による不正使用・誤用、開発ベンダー・クラウド業者など関係取引先からのサービスの停止、電力供給不足を含むインフラの障害、天災などによって被害や妨害を受ける、または停止する可能性があります。特にサイバー攻撃や他の不正行為は苛烈さ、巧妙さ、頻度において脅威を増しており、そのような攻撃の標的であり続ける恐れがあります。このような事態が起きた場合、重要な業務の中断や、機密データの漏洩、トヨタ製品の情報サービス機能・運転支援機能などへの悪影響のほか、法的請求、訴訟、賠償責任、罰金の支払い義務などが発生する可能性もあります。その結果、トヨタのブランド・イメージや、トヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、トヨタの取引先やビジネスパートナーに対する同様の攻撃は、トヨタにも同様の悪影響を与える可能性があります。 ⑨気候変動および低炭素経済への移行気候変動リスクは、日本および世界で、社会面、規制を含む政治面での関心が高まっています。これらのリスクには、気候変動による物理的リスクや低炭素経済への移行リスクが含まれます。気候変動の物理的リスクには、台風、洪水、竜巻など突発的な気象変化に起因する影響と、気温上昇、海面上昇、干ばつ、山火事の増加など、長期的な気象変化による影響の両方が含まれます。トヨタはBusiness Continuity Plan(BCP)を策定していますが、異常気象による大規模災害に加え、熱波等が増加・激甚化することで熱中症のリスクが増加し、また、干ばつや渇水による水不足も予想されます。これらは、トヨタならびに仕入先および取引先の従業員、施設およびその他の資産に損害を与える可能性があり、トヨタの生産、販売またはその他の事業運営に悪影響を及ぼす可能性があります。大規模な災害等はまた、お客様の財政状態に悪影響を及ぼし、トヨタの製品およびサービスの需要に悪影響を与える可能性があります。低炭素経済への移行リスクとは、気候関連のリスクを軽減するための規制、技術、および市場の変化やその対応に伴うリスクです。例えば、トヨタは、気候変動に関する法律、規制、政策の変更、気候変動に対処するための技術革新、市場構造の変化をとらえた自動車産業への新規参入者などの要因により、自動車に対するお客様のニーズが変化するリスクにさらされています。お客様のニーズの変化は、トヨタが部品や原材料などの調達部品を継続的かつ競争力のある価格で調達するために、新たな供給網の確立や既存の供給網の強化が必要になるなど、付随的なリスクや課題をもたらす可能性があります。トヨタは、そのようなリスクの顕在化の結果として、またはリスク軽減やリスク対応の努力の結果として、多額の費用および支出を負担する可能性があります。また、お客様のニーズに対応する製品を開発・提供できない場合、販売シェアの縮小ならびに営業収益と利益率の低下を引き起こすリスクがあります。 トヨタは、トヨタの事業やビジネスパートナーに関する気候変動関連事項の開示を公表しています。この開示には、トヨタの予想に基づき、将来の見通しに関する記述が含まれており、結果的にこれらが実現できない可能性があります。また、気候変動に関する取り組みは意図した結果をもたらさない可能性があり、目標の達成時期やコスト、達成能力に関する予測は、リスクと不確実性を伴います。その結果、気候変動関連の目標が達成できない恐れがあります。特に、中長期にわたるトヨタの気候変動関連の目標の達成には、多大なリソーセスと投資、ならびにコンプライアンス、リスク管理システム、内部統制およびその他の内部手続のさらなる改善が必要です。また、トヨタがコントロールできない環境・エネルギー規制、政策の変更、技術革新、顧客や競合他社の行動等にも影響を受けます。気候変動関連の目標を達成できない、または達成できないとみなされた場合、トヨタのブランド・イメージ、財務状況、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。詳細については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組(4)気候変動対応(TCFD)に基づく気候関連財務情報開示)」を参照ください。 ⑩優秀で多様な人材の確保と育成事業環境の急激な変化やモビリティカンパニーへの変革に向けた取り組みを進めるにあたり、優秀で多様な人材を確保し、育成し続けることが重要です。しかしながら、そのような人材の獲得競争は激しく、トヨタが高い専門性や豊富な経験を持つ多様な人材を計画とおりに採用、定着化できない場合、または成長に必要な機会、教育、リソースを提供できない場合、競争力低下につながり、トヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに悪影響を与える可能性があります。 (2)金融・経済のリスク①為替および金利変動の影響トヨタの収益は、外国為替相場の変動に影響を受け、主として日本円、米ドル、ユーロ、ならびに豪ドル、加ドルおよび英国ポンドの価格変動によって影響を受けます。トヨタの連結財務諸表は、日本円で表示されているため、換算リスクという形で為替変動の影響を受けます。また、為替相場の変動は、外国通貨で販売する製品および調達する材料に、取引リスクという形で影響を与える可能性があります。特に、米ドルに対する円高の進行は、トヨタの経営成績に悪影響を与える可能性があります。為替相場および金利の変動リスクを軽減するために、現地生産を行い、先物為替予約取引や金利スワップ取引を含むデリバティブ金融商品を利用していますが、依然として為替相場と金利の変動は、トヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに悪影響を与える可能性があります。為替変動の影響およびデリバティブ金融商品の利用に関しては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ①概観 d.為替の変動」および連結財務諸表注記19ならびに20を参照ください。 ②原材料価格の上昇鉄鋼、貴金属、非鉄金属(アルミ等)、樹脂関連部品など、トヨタおよびトヨタの仕入先が製造に使用する原材料価格の上昇は、部品代や製造コストの上昇につながり、これらのコストを製品の販売価格に十分に転嫁できない場合、トヨタの将来の収益性に悪影響を与える可能性があります。 ③金融市場の低迷世界経済が急激に悪化した場合、多くの金融機関や投資家は、自らの財務体力に見合った水準で金融市場に資金を供給することが難しい状況に陥る可能性があります。その結果、企業がその信用力に見合った条件で資金調達をすることが困難になる可能性があります。必要に応じて資金を適切な条件で調達できない場合、トヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローが悪影響を受ける可能性があります。 (3)政治・規制・法的手続・災害等に関するイベント性のリスク①自動車産業に適用される政府の規制世界の自動車産業は、自動車の安全性や排ガス、燃費、騒音、公害をはじめとする環境問題などに関する様々な法律と政府の規制の適用を受けています。特に、安全面では、法律や政府の規制に適合しない、またはその恐れのある自動車は、リコール等の市場処置の実施が求められます。さらに、トヨタはお客様の安心感の観点から、法律や政府の規制への適合性に関わらず、自主的に販売停止やリコール等の市場処置を実施する可能性もあります。トヨタが市場に投入した車両にリコール等の市場処置が必要となった場合(リコール等に関係する部品はトヨタが第三者から調達したものも含む)、製品のリコール等にかかる費用を含めた様々な費用が発生する可能性があります。また、多くの政府は、価格管理規制や為替管理規制を制定しています。さらに、規制を遵守できなかった場合、法的手続、リコール、改善措置の交渉、罰金、是正命令、政府承認の取り消しやその他の政府制裁の賦課、製品提供の制限、補償金の支払い等の不利益をもたらす可能性があります。トヨタは、国際貿易の動向や政策の変化に関する費用を含むこれらの規制に適合するために費用を負担し、今後も法令遵守のために費用が発生する可能性があります。また、新しい法律または現行法の改正により、トヨタの今後の費用負担が増えるリスクがあります。このように、市場処置を講じたり法律や政府の規制へ適合するために多額の費用が発生した場合、トヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに悪影響を与える可能性があります。 ②法的手続トヨタは、製造物責任、知的所有権の侵害等、様々な法的手続の当事者となる可能性があります。また、株主との間で法的手続の当事者となったり、行政手続または当局の調査の対象となる可能性もあります。現在トヨタは、行政手続および当局の調査を含む、複数の係属中の法的手続の当事者となっています。トヨタが当事者となる法的手続で不利な判断がなされた場合、トヨタの評判、ブランド・イメージ、財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに悪影響が及ぶリスクがあります。政府の規制等の法的手続の状況については連結財務諸表注記30を参照ください。 ③自然災害、感染症、政治動乱、経済の不安定な局面、燃料供給の不足、インフラの障害、戦争、テロまたはストライキの発生トヨタは、全世界で事業を展開することに関連して、様々なイベントリスクにさらされています。これらのリスクとは、自然災害、感染症の発生・蔓延、政治・経済の不安定な局面、燃料供給の不足、天災などによる電力・交通機能・ガス・水道・通信等のインフラの障害、戦争、テロ、ストライキ、操業の中断などが挙げられます。トヨタが製品を製造するための材料・部品・資材などを調達し、またはトヨタの製品が製造・流通・販売される主な市場において、これらの事態が生じた場合、トヨタの事業運営に障害または遅延をきたす可能性があります。トヨタの事業運営において、重大または長期間の障害ならびに遅延が発生した場合、トヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに悪影響が及ぶリスクがあります。 |
経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 | 4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 (1)経営成績等の状況の概要①経営成績の状況当連結会計年度の世界経済は、インフレ・金利高や、中国における不動産市場停滞の影響が見られたものの、雇用の堅調が続く米国を中心に底堅く推移しました。このような経営環境の中、トヨタは、長年にわたり「商品と地域を軸にした経営」に取り組んできました。お客様の笑顔のため、商品の魅力の原点であるクルマそのものの素性を磨きながら、より多くの価値を付け加えていく「もっといいクルマづくり」に取り組み、事業を行う地域の皆様から応援される「町いちばんの会社」を目指した結果、フルラインアップの商品とグローバルな事業基盤を活かした持続的成長のための土台ができました。そして、多くのお客様が当社のクルマを選んでくださった結果、2023年9月にグローバル生産累計3億台を達成しました。当連結会計年度における日本、海外を合わせた自動車の連結販売台数は、944万3千台と、前連結会計年度に比べて62万1千台(7.0%)の増加となりました。日本での販売台数については、199万3千台と、前連結会計年度に比べて7万6千台(3.7%)減少しました。一方、海外においては、745万台と、前連結会計年度に比べて69万7千台(10.3%)の増加となりました。当連結会計年度の業績については、次のとおりです。 営業収益45兆953億円(前期比増減7兆9,410億円(21.4%))営業利益5兆3,529億円(前期比増減2兆6,279億円(96.4%))税引前利益6兆9,650億円(前期比増減3兆2,963億円(89.8%))親会社の所有者に帰属する当期利益4兆9,449億円(前期比増減2兆4,936億円(101.7%)) なお、営業利益の主な増減要因は、次のとおりです。 営業面の努力2兆円為替変動の影響6,850億円原価改善の努力1,200億円諸経費の増減・低減努力△3,800億円その他2,029億円 事業別セグメントの業績は、次のとおりです。a.自動車事業営業収益は41兆2,662億円と、前連結会計年度に比べて7兆4,462億円(22.0%)の増収となり、営業利益は4兆6,214億円と、前連結会計年度に比べて2兆4,408億円(111.9%)の増益となりました。営業利益の増益は、営業面の努力などによるものです。 b.金融事業営業収益は3兆4,841億円と、前連結会計年度に比べて6,745億円(24.0%)の増収となり、営業利益は5,700億円と、前連結会計年度に比べて1,325億円(30.3%)の増益となりました。営業利益の増益は、米国の販売金融子会社において、金利スワップ取引などの時価評価による評価損が減少したことなどによるものです。 c.その他の事業営業収益は1兆3,681億円と、前連結会計年度に比べて1,432億円(11.7%)の増収となり、営業利益は1,752億円と、前連結会計年度に比べて717億円(69.4%)の増益となりました。 所在地別の業績は、次のとおりです。a.日本営業収益は21兆207億円と、前連結会計年度に比べて3兆4,375億円(19.6%)の増収となり、営業利益は3兆4,842億円と、前連結会計年度に比べて1兆5,828億円(83.2%)の増益となりました。営業利益の増益は、営業面の努力および為替変動の影響などによるものです。 b.北米営業収益は17兆9,430億円と、前連結会計年度に比べて4兆991億円(29.6%)の増収となり、営業利益は5,063億円と、前連結会計年度に比べて5,810億円の増益となりました。営業利益の増益は、営業面の努力および原価改善の努力などによるものです。 c.欧州営業収益は5兆6,817億円と、前連結会計年度に比べて1兆4,080億円(32.9%)の増収となり、営業利益は3,880億円と、前連結会計年度に比べて3,306億円(575.4%)の増益となりました。営業利益の増益は、営業面の努力および前連結会計年度にロシアでの生産事業終了による損失を計上した影響995億円、うち欧州における影響898億円などによるものです。 d.アジア営業収益は8兆7,307億円と、前連結会計年度に比べて6,858億円(8.5%)の増収となり、営業利益は8,655億円と、前連結会計年度に比べて1,511億円(21.2%)の増益となりました。営業利益の増益は、営業面の努力および原価改善の努力などによるものです。 e.その他の地域 (中南米、オセアニア、アフリカ、中東) 営業収益は4兆3,897億円と、前連結会計年度に比べて9,175億円(26.4%)の増収となりましたが、営業利益は1,983億円と、前連結会計年度に比べて330億円(14.3%)の減益となりました。営業利益の減益は、アルゼンチンにおける高インフレ影響などによるものです。 ②財政状態の状況 当連結会計年度末における財政状態については、次のとおりです。 資産合計は90兆1,142億円と、前連結会計年度末に比べて15兆8,111億円 (21.3%)の増加となりました。負債合計は54兆8,749億円と、前連結会計年度末に比べて9兆8,359億円 (21.8%)の増加となりました。資本合計は35兆2,393億円と、前連結会計年度末に比べて5兆9,751億円 (20.4%)の増加となりました。 ③キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は9兆4,120億円と、前連結会計年度末に比べて1兆8,950億円(25.2%)の増加となりました。 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況と、前連結会計年度に対するキャッシュ・フローの増減は、次のとおりです。 営業活動によるキャッシュ・フロー当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、4兆2,063億円の資金の増加となり、前連結会計年度が2兆9,550億円の増加であったことに比べて、1兆2,512億円の増加となりました。 投資活動によるキャッシュ・フロー当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、4兆9,987億円の資金の減少となり、前連結会計年度が1兆5,988億円の減少であったことに比べて、3兆3,998億円の減少となりました。 財務活動によるキャッシュ・フロー当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、2兆4,975億円の資金の増加となり、前連結会計年度が561億円の減少であったことに比べて、2兆5,537億円の増加となりました。 ④生産、受注及び販売の実績a.生産実績当連結会計年度における生産実績を事業別セグメントごとに示すと、次のとおりです。 事業別セグメントの名称当連結会計年度(2024年3月31日に終了した1年間)前期比(%)自動車事業日本4,042,176台+6.7北米1,976,232 +11.8欧州845,680 +9.6アジア1,875,998 +0.9その他522,949 +3.1計9,263,035 +6.5 (注)1「自動車事業」における生産実績は、車両(新車)生産台数を示しています。 2「自動車事業」における「その他」は、中南米、アフリカからなります。 b.受注実績当社および連結製造子会社は、国内販売店、海外販売店等からの受注状況、最近の販売実績および販売見込等の情報を基礎として、見込生産を行っています。 c.販売実績当連結会計年度における販売実績を事業別セグメントごとに示すと、次のとおりです。 事業別セグメントの名称当連結会計年度(2024年3月31日に終了した1年間)前期比(%)数量金額(百万円)数量金額自動車事業車両9,442,770台35,249,865+7.0+24.1生産用部品- 1,596,111-△6.7部品- 3,166,586-+10.5その他- 1,068,169-+32.5計― 41,080,731―+21.6金融事業―――――――- 3,447,195-+23.7その他の事業―――――――- 567,399-△4.0合計― 45,095,325―+21.4 (注)1主要な相手先別の販売実績については、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満であるため、主要な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合の記載を省略しています。 2「自動車事業」における「車両」の数量は、車両(新車)販売台数を示しています。 3金額は外部顧客への営業収益を示しています。 前述の当連結会計年度における「自動車事業」の販売数量を、仕向先別に示すと、次のとおりです。 事業別セグメントの名称当連結会計年度(2024年3月31日に終了した1年間)前期比(%)自動車事業日本1,993,132台△3.7北米2,816,226 +17.0欧州1,191,503 +15.7アジア1,803,904 +3.0その他1,638,005 +4.6計9,442,770 +7.0 (注)1上記仕向先別販売数量は、車両(新車)販売台数を示しています。 2「自動車事業」における「その他」は、中南米、オセアニア、アフリカ、中東ほかからなります。 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容本項においては、将来に関する事項が含まれていますが、当該事項は有価証券報告書提出日(2024年6月25日)現在において判断したものです。 ①概観トヨタの事業セグメントは、自動車事業、金融事業およびその他の事業で構成されています。自動車事業は最も重要な事業セグメントで、当連結会計年度においてトヨタの営業収益合計(セグメント間の営業収益控除前)の89%を占めています。当連結会計年度における車両販売台数ベースによるトヨタの主要な市場は、日本(21.1%)、北米(29.8%)、欧州(12.6%)およびアジア(19.1%)となっています。 a.自動車市場環境世界の自動車市場は、非常に競争が激しく、また予測が困難な状況にあります。さらに、自動車業界の需要は、社会、政治および経済の状況、新車および新技術の導入ならびにお客様が自動車を購入または利用される際に負担いただく費用といった様々な要素の影響を受けます。これらの要素により、各市場および各タイプの自動車に対するお客様の需要は、大きく変化します。当連結会計年度の世界経済は、インフレ・金利高や、中国の不動産市場の停滞における景気減速に伴う需要減が見られたものの、雇用の堅調が続く米国を中心に底堅く推移しました。 次の表は、過去2連結会計年度における各仕向地域別の連結販売台数を示しています。 千台 3月31日に終了した1年間 2023年 2024年日本2,069 1,993 北米2,407 2,816 欧州1,030 1,192 アジア1,751 1,804 その他1,565 1,638 海外計6,753 7,450 合計8,822 9,443 (注)「その他」は、中南米、オセアニア、アフリカ、中東ほかからなります。 トヨタの日本における当連結会計年度の連結販売台数は、市場が前連結会計年度を上回るものの、減少しました。トヨタの海外における連結販売台数は、堅調な需要により、北米、欧州を中心に販売台数が大きく増加しました。 各市場における全車両販売台数に占めるトヨタのシェアは、製品の品質、安全性、信頼性、価格、デザイン、性能、経済性および実用性についての他社との比較により左右されます。また、時機を得た新車の導入やモデルチェンジの実施も、お客様のニーズを満たす重要な要因です。変化し続けるお客様の嗜好を満たす能力も、売上および利益に大きな影響をもたらします。 自動車事業の収益性は様々な要因により左右されます。これらには次のような要因が含まれます。 車両販売台数 販売された車両モデルとオプションの組み合わせ 部品・サービス売上 価格割引およびその他のインセンティブのレベルならびにマーケティング費用 顧客からの製品保証に関する請求およびその他の顧客満足のための修理等にかかる費用 研究開発費等の固定費 原材料価格 コストの管理能力 生産資源の効率的な利用 特定の仕入先への部品供給の依存による生産への影響 気候変動による物理的リスクや低炭素経済への移行リスクを含む、気候変動リスク 自然災害および感染症の発生・蔓延や社会インフラの障害による市場・販売・生産への影響 日本円およびトヨタが事業を行っている地域におけるその他通貨の為替相場の変動 法律、規制、政策の変更およびその他の政府による措置も自動車事業の収益性に著しい影響を及ぼすことがあります。これらの法律、規制および政策には、車両の製造コストを大幅に増加させる環境問題、車両の安全性、燃費および排ガスに影響を及ぼすものが含まれます。 多くの国の政府が、現地調達率を規定し、関税およびその他の貿易障壁を課し、あるいは自動車メーカーの事業を制限したり本国への利益の移転を困難にするような価格管理あるいは為替管理を行っています。このような法律、規制、政策その他の行政措置における変更は、製品の生産、ライセンス、流通もしくは販売、原価、あるいは適用される税率に影響を及ぼすことがあります。トヨタは、トヨタ車の安全性について潜在的問題がある場合に適宜リコール等の市場処置(セーフティ・キャンペーンを含む)を発表しています。前述のリコール等の市場処置をめぐり、トヨタに対する申し立ておよび訴訟が提起されています。これらの申し立ておよび訴訟に関しては、連結財務諸表注記24ならびに30を参照ください。 世界の自動車産業は、グローバルな競争の時期にあり、この傾向は予見可能な将来まで続く可能性があります。また、トヨタが事業を展開する競争的な環境は、さらに激化する様相を呈しています。トヨタは一独立企業として自動車産業で効率的に競争するための資源、戦略および技術を予見可能な将来において有していると考えています。 b.金融事業自動車金融の市場は、大変競争が激しくなっています。自動車金融の競争激化は、利益率の減少を引き起こす可能性があり、また、顧客がトヨタ車を購入する際にトヨタ以外の金融サービスを利用するようになる場合、マーケット・シェアが低下することも考えられます。 トヨタの金融サービス事業は、主として、顧客および販売店に対する融資プログラムおよびリース・プログラムの提供を行っています。トヨタは、顧客に対して資金を提供する能力は、顧客に対しての重要な付加価値サービスであると考え、金融子会社のネットワークを各国へ展開しています。 小売融資およびリースにおけるトヨタの主な競争相手には、商業銀行、消費者信用組合、その他のファイナンス会社が含まれます。一方、卸売融資における主な競争相手には、商業銀行および自動車メーカー系のファイナンス会社が含まれます。 トヨタの金融事業に係る債権は、主に小売債権などの増加により、当連結会計年度において増加しました。また、賃貸用車両及び器具は、主に為替変動の影響により、当連結会計年度において増加しました。 金融事業に係る債権および賃貸用車両及び器具の詳細については、連結財務諸表注記8および12を参照ください。 トヨタの金融債権は、回収可能性リスクを負っています。これは顧客もしくは販売店の支払不能や、担保価値(売却費用控除後)が債権の帳簿価額を下回った場合に発生する可能性があります。詳細については、連結財務諸表注記4および19を参照ください。 トヨタは、車両リースを継続的に提供してきました。当該リース事業によりトヨタは残存価額のリスクを負っています。これは車両リース契約の借手が、リース終了時に車両を購入するオプションを行使しない場合に発生する可能性があります。詳細については、連結財務諸表注記3(8)を参照ください。 トヨタは、主に固定金利借入債務を機能通貨建ての変動金利借入債務へ転換するために、金利スワップおよび金利通貨スワップ契約を結んでいます。特定のデリバティブ金融商品は、経済的企業行動の見地からは金利リスクをヘッジするために契約されていますが、トヨタの連結財政状態計算書における特定の資産および負債をヘッジするものとしては指定されていないため、それらの指定されなかったデリバティブから生じる未実現評価損益は、その期間の損益として計上されます。詳細については、連結財務諸表注記20および21を参照ください。 資金調達コストの変動は、金融事業の収益性に影響を及ぼす可能性があります。資金調達コストは、数多くの要因の影響を受けますが、その中にはトヨタがコントロールできないものもあります。これには、全般的な景気、金利およびトヨタの財務力などが含まれます。当連結会計年度の資金調達コストは主に市場金利の上昇により増加しました。 トヨタは、2001年4月に日本でクレジットカード事業を立上げました。カード会員数は、2024年3月31日現在16.2百万人と、2023年3月31日から0.04百万人の増加となりました。カード債権は、2024年3月31日現在5,587億円と、2023年3月31日から40億円の増加となりました。 c.その他の事業トヨタのその他の事業には、情報通信事業等が含まれます。 トヨタは、その他の事業は連結業績に大きな影響を及ぼすものではないと考えています。 d.為替の変動トヨタは、為替変動による影響を受けやすいといえます。トヨタは日本円の他に主に米ドルおよびユーロの価格変動の影響を受けており、また、米ドルやユーロに加え、豪ドル、加ドルおよび英国ポンドなどについても影響を受けることがあります。日本円で表示されたトヨタの連結財務諸表は、換算リスクおよび取引リスクによる為替変動の影響を受けています。 換算リスクとは、特定期間もしくは特定日の財務諸表が、事業を展開する国々の通貨の日本円に対する為替の変動による影響を受けるリスクです。たとえ日本円に対する通貨の変動が大きく、前連結会計年度との比較において、また地域ごとの比較においてかなりの影響を及ぼすとしても、換算リスクは報告上の考慮事項に過ぎず、その基礎となる業績を左右するものではありません。トヨタは換算リスクに対してヘッジを行っていません。 取引リスクとは、収益と費用および資産と負債の通貨が異なることによるリスクです。取引リスクは主にトヨタの日本製車両の海外売上に関係しています。 トヨタは、生産施設が世界中に所在しているため、取引リスクは大幅に軽減されていると考えています。グローバル化戦略の一環として、車両販売を行う主要市場において生産施設を建設することにより、生産を現地化してきました。前連結会計年度および当連結会計年度において、トヨタの海外における車両販売台数のそれぞれ77.3%および75.9%が海外で生産されています。北米では前連結会計年度および当連結会計年度の車両販売台数のそれぞれ76.8%および75.9%が現地で生産されています。欧州では前連結会計年度および当連結会計年度の車両販売台数のそれぞれ73.9%および73.1%が現地で生産されています。アジアでは前連結会計年度および当連結会計年度の車両販売台数のそれぞれ98.3%および97.4%が現地で生産されています。生産の現地化により、トヨタは生産過程に使用される供給品および原材料の多くを現地調達することができ、現地での収益と費用の通貨のマッチングをはかることが可能です。 トヨタは、取引リスクの一部に対処するために為替の取引およびヘッジを行っています。これにより為替変動による影響は軽減されますが、すべて排除されるまでには至っておらず、年によってその影響が大きい場合もあり得ます。為替変動リスクをヘッジするためにトヨタで利用されるデリバティブ金融商品に関する追加的な情報については、連結財務諸表注記20および21を参照ください。 一般的に、円安は営業収益、営業利益および親会社の所有者に帰属する当期利益に好影響を及ぼし、円高は悪影響を及ぼします。日本円の米ドルに対する期中平均および決算日の為替相場は、前連結会計年度に比べて円安に推移しました。また、日本円のユーロに対する期中平均および決算日の為替相場は、前連結会計年度に比べて円安に推移しました。詳細については、連結財務諸表注記19を参照ください。 e.セグメンテーショントヨタの最も重要な事業セグメントは、自動車事業セグメントです。トヨタは、世界の自動車市場においてグローバル・コンペティターとして自動車事業を展開しています。マネジメントは世界全体の自動車事業を一つの事業セグメントとして資源の配分やその実績の評価を行っており、自動車事業セグメント内で資源を配分するために、販売台数、生産台数、マーケット・シェア、車両モデルの計画および工場のコストといった財務およびそれ以外に関するデータの評価を行っています。トヨタは国内・海外または部品等のような自動車事業の一分野を個別のセグメントとして管理していません。 ②地域別内訳次の表は、過去2連結会計年度のトヨタの地域別外部顧客向け営業収益を示しており、当社または連結子会社の所在国の位置を基礎として集計しています。 金額:百万円 3月31日に終了した1年間 2023年 2024年日本9,122,282 10,193,556 北米13,509,027 17,624,268 欧州4,097,537 5,503,738 アジア7,076,922 7,604,269 その他3,348,530 4,169,494 (注)「その他」 は、中南米、オセアニア、アフリカ、中東からなります。 ③業績―当連結会計年度と前連結会計年度の比較 金額:百万円 3月31日に終了した1年間 増減および増減率 2023年 2024年 増減 増減率営業収益 日本 17,583,196 21,020,721 3,437,525 19.6% 北米 13,843,901 17,943,072 4,099,172 29.6% 欧州 4,273,735 5,681,764 1,408,028 32.9% アジア 8,044,906 8,730,749 685,843 8.5% その他 3,472,193 4,389,785 917,592 26.4% 消去又は全社 △10,063,633 △12,670,767 △2,607,133 - 計 37,154,298 45,095,325 7,941,027 21.4%営業利益 日本 1,901,463 3,484,270 1,582,808 83.2% 北米 △74,736 506,319 581,056 - 欧州 57,460 388,096 330,636 575.4% アジア 714,451 865,591 151,140 21.2% その他 231,362 198,345 △33,017 △14.3% 消去又は全社 △104,974 △89,687 15,286 - 計 2,725,025 5,352,934 2,627,909 96.4%営業利益率 7.3% 11.9% 4.6% 税引前利益 3,668,733 6,965,085 3,296,352 89.8%税引前利益率 9.9% 15.4% 5.5% 親会社の所有者に帰属する当期利益 2,451,318 4,944,933 2,493,615 101.7%親会社の所有者に帰属する当期利益率 6.6% 11.0% 4.4% (注)「その他」は、中南米、オセアニア、アフリカ、中東からなります。 a.営業収益当連結会計年度の営業収益は45兆953億円と、前連結会計年度に比べて7兆9,410億円(21.4%)の増収となりました。この増収は、主に車両販売台数および販売構成の変化による影響5兆1,300億円や、為替変動の影響1兆3,200億円によるものです。 トヨタの事業別外部顧客向け営業収益の商品別内訳は次のとおりです。 金額:百万円 3月31日に終了した1年間 増減および増減率 2023年 2024年 増減 増減率車両 28,394,256 35,249,865 6,855,609 24.1%生産用部品 1,710,422 1,596,111 △114,311 △6.7%部品 2,866,196 3,166,586 300,390 10.5%その他 805,995 1,068,169 262,174 32.5% 自動車事業合計 33,776,870 41,080,731 7,303,861 21.6%その他の事業 590,749 567,399 △23,350 △4.0%商品・製品売上収益合計 34,367,619 41,648,130 7,280,511 21.2%金融事業に係る金融収益 2,786,679 3,447,195 660,516 23.7% 営業収益合計 37,154,298 45,095,325 7,941,027 21.4% 営業収益は自動車事業およびその他の事業の合計である商品・製品売上収益ならびに金融事業に係る金融収益で構成されており、当連結会計年度の商品・製品売上収益は41兆6,481億円と、前連結会計年度に比べて21.2%の増収となり、金融事業に係る金融収益は3兆4,471億円と、前連結会計年度に比べて23.7%の増収となりました。商品・製品売上収益の増収は、主にトヨタの販売台数が621千台増加したことや、為替変動の影響によるものです。前連結会計年度末および当連結会計年度末の各地域における融資件数(残高)の状況は次のとおりです。 ・金融事業における融資件数残高 千件 3月31日 増減および増減率 2023年 2024年 増減 増減率日本 2,767 2,781 14 0.5%北米 5,500 5,589 89 1.6%欧州 1,647 1,784 137 8.3%アジア 2,034 2,133 99 4.9%その他 938 981 43 4.6% 合計 12,886 13,268 382 3.0% (注)「その他」は、中南米、オセアニア、アフリカからなります。 当連結会計年度の営業収益(セグメント間の営業収益控除前)は前連結会計年度に比べて、日本では19.6%、北米では29.6%、欧州では32.9%、アジアでは8.5%、その他の地域では26.4%の増収となりました。為替変動の影響1兆3,200億円を除いた場合、当連結会計年度の営業収益は前連結会計年度に比べて、日本では18.0%、北米では21.2%、欧州では19.5%、アジアでは3.1%、その他の地域では55.3%の増収であったと考えられます。各地域における営業収益(セグメント間の営業収益控除前)の状況は次のとおりです。 ・日本 千台 3月31日に終了した1年間 増減および増減率 2023年 2024年 増減 増減率連結販売台数 3,703 4,014 311 8.4%(日本は輸出台数を含む) 金額:百万円 3月31日に終了した1年間 増減および増減率 2023年 2024年 増減 増減率営業収益 商品・製品売上収益 17,271,451 20,679,979 3,408,528 19.7% 金融事業に係る金融収益 311,744 340,742 28,998 9.3% 営業収益計 17,583,196 21,020,721 3,437,525 19.6% 日本においては、ダイハツ工業㈱や㈱豊田自動織機の出荷停止の影響があったものの、主に輸出台数を含むトヨタの販売台数が前連結会計年度に比べて311千台増加したことや、輸出取引に係る為替変動の影響や価格改定などにより、増収となりました。前連結会計年度および当連結会計年度における輸出台数はそれぞれ1,634千台および2,021千台となりました。 ・北米 千台 3月31日に終了した1年間 増減および増減率 2023年 2024年 増減 増減率連結販売台数 2,407 2,816 409 17.0% 金額:百万円 3月31日に終了した1年間 増減および増減率 2023年 2024年 増減 増減率営業収益 商品・製品売上収益 11,965,050 15,705,804 3,740,754 31.3% 金融事業に係る金融収益 1,878,850 2,237,268 358,418 19.1% 営業収益計 13,843,901 17,943,072 4,099,171 29.6% 北米においては、市場が堅調に推移したことに伴い、「RAV4」や「カローラ」等の販売が好調であったため、トヨタの販売台数が前連結会計年度に比べて409千台増加したことや、為替変動の影響や価格改定により、増収となりました。 ・欧州 千台 3月31日に終了した1年間 増減および増減率 2023年 2024年 増減 増減率連結販売台数 1,030 1,192 162 15.7% 金額:百万円 3月31日に終了した1年間 増減および増減率 2023年 2024年 増減 増減率営業収益 商品・製品売上収益 4,003,043 5,255,395 1,252,352 31.3% 金融事業に係る金融収益 270,693 426,369 155,676 57.5% 営業収益計 4,273,735 5,681,764 1,408,028 32.9% 欧州においては、市場が堅調に推移したことに伴い、「カローラ」等の販売が好調であったため、トヨタの販売台数が前連結会計年度に比べて162千台増加したことや、為替変動の影響や価格改定により、増収となりました。 ・アジア 千台 3月31日に終了した1年間 増減および増減率 2023年 2024年 増減 増減率連結販売台数 1,751 1,804 53 3.0% 金額:百万円 3月31日に終了した1年間 増減および増減率 2023年 2024年 増減 増減率営業収益 商品・製品売上収益 7,832,020 8,485,219 653,199 8.3% 金融事業に係る金融収益 212,886 245,529 32,643 15.3% 営業収益計 8,044,906 8,730,749 685,843 8.5% アジアにおいては、主にインドでの販売が好調だったため、トヨタの販売台数が前連結会計年度に比べて53千台増加したことや、為替変動の影響や価格改定により、増収となりました。 ・その他の地域 千台 3月31日に終了した1年間 増減および増減率 2023年 2024年 増減 増減率連結販売台数 1,565 1,638 73 4.6% 金額:百万円 3月31日に終了した1年間 増減および増減率 2023年 2024年 増減 増減率営業収益 商品・製品売上収益 3,225,962 4,037,260 811,298 25.1% 金融事業に係る金融収益 246,232 352,525 106,293 43.2% 営業収益計 3,472,193 4,389,785 917,592 26.4% その他の地域においては、主にオセアニアでの販売が好調だったため、トヨタの販売台数が前連結会計年度に比べて73千台増加したことや、アルゼンチンにおけるインフレーションの影響により増収となりました。 b.営業費用 金額:百万円 3月31日に終了した1年間 増減および増減率 2023年 2024年 増減 増減率営業費用 売上原価 29,128,561 33,600,612 4,472,051 15.4% 金融事業に係る金融費用 1,712,721 2,126,395 413,674 24.2% 販売費及び一般管理費 3,587,990 4,015,383 427,393 11.9% 営業費用合計 34,429,273 39,742,390 5,313,117 15.4% 金額:百万円 営業費用の対前期比増減車両販売台数および販売構成の変化による影響3,880,000為替変動の影響635,000金融事業に係る金融費用の増加270,000原価改善の努力△120,000諸経費の増減・低減努力380,000その他268,117 合計5,313,117 当連結会計年度における営業費用は39兆7,423億円と、前連結会計年度に比べて5兆3,131億円(15.4%)の増加となりました。 ・原価改善の努力当連結会計年度は、1,200億円の営業費用の減少となりました。この減少は、仕入先と一体となった原価改善活動に引き続き精力的に取り組んだ結果、VE(Value Engineering)活動を中心とした設計面での原価改善など2,650億円および工場・物流部門などにおける原価改善1,200億円によるものですが、資材高騰の影響2,650億円により一部相殺されています。 原価改善の努力は、継続的に実施されているVE・VA(Value Analysis)活動、部品の種類の絞込みにつながる部品共通化、ならびに車両生産コストの低減を目的としたその他の製造活動に関連しています。なお、資材高騰の影響には、鉄鋼、貴金属、非鉄金属(アルミ等)、樹脂関連部品などの資材・部品価格の変動による影響が含まれています。 ・売上原価当連結会計年度における売上原価は33兆6,006億円と、前連結会計年度に比べて4兆4,720億円(15.4%)の増加となりました。この増加は、主に車両販売台数および販売構成の変化による影響3兆8,800億円ならびに為替変動の影響4,200億円によるものです。 ・金融事業に係る金融費用当連結会計年度における金融事業に係る金融費用は2兆1,263億円と、前連結会計年度に比べて4,136億円(24.2%)の増加となりました。この増加は、主に市場金利の上昇等による資金調達コストの増加および貸倒関連費用の増加によるものです。 ・販売費及び一般管理費当連結会計年度の販売費及び一般管理費は4兆153億円と、前連結会計年度に比べて4,273億円(11.9%)の増加となりました。この増加は、主に労務費2,250億円および販売諸費用1,800億円の増加によるものです。 c.営業利益 金額:百万円 営業利益の対前期比増減営業面の努力2,000,000原価改善の努力120,000為替変動の影響685,000諸経費の増減・低減努力△380,000その他202,909 合計2,627,909 当連結会計年度における営業利益は5兆3,529億円と、前連結会計年度に比べて2兆6,279億円(96.4%)の増益となりました。この増益は、営業面の努力2兆円、為替変動の影響6,850億円および原価改善の努力1,200億円などによるものですが、諸経費の増減・低減努力3,800億円により一部相殺されています。 上記の営業面の努力は、車両販売台数および販売構成の変化9,800億円ならびに価格改定を中心としたその他営業面の影響9,200億円などを含んでいます。その他は、金利スワップおよび金利通貨スワップの評価益1,405億円などを含んでいます。 また、為替変動の影響の増益要因は、主に輸出入等の外貨取引による影響5,900億円によるものです。 当連結会計年度における営業利益(セグメント間の利益控除前)は前連結会計年度に比べて、日本では1兆5,828億円(83.2%)、北米では5,810億円、欧州では3,306億円(575.4%)、アジアでは1,511億円(21.2%)の増益、その他の地域では330億円(14.3%)の減益となりました。各地域における営業利益の状況は次のとおりです。 ・日本 金額:百万円 営業利益の対前期比増減営業面の努力1,130,000原価改善の努力△110,000為替変動の影響625,000諸経費の増減・低減努力△140,000その他77,808 合計1,582,808 ・北米 金額:百万円 営業利益の対前期比増減営業面の努力455,000原価改善の努力125,000為替変動の影響60,000諸経費の増減・低減努力△190,000その他131,056 合計581,056 ・欧州 金額:百万円 営業利益の対前期比増減営業面の努力180,000原価改善の努力75,000為替変動の影響△5,000諸経費の増減・低減努力10,000その他70,636 合計330,636 ・アジア 金額:百万円 営業利益の対前期比増減営業面の努力115,000原価改善の努力35,000為替変動の影響△35,000諸経費の増減・低減努力5,000その他31,140 合計151,140 ・その他 金額:百万円 営業利益の対前期比増減営業面の努力125,000原価改善の努力△5,000為替変動の影響40,000諸経費の増減・低減努力△80,000その他△113,017 合計△33,017 d.その他の収益・費用当連結会計年度における持分法による投資損益は7,631億円と、前連結会計年度に比べて1,200億円(18.7%)の増益となりました。この増益は、主に持分法適用会社の親会社の所有者に帰属する当期利益の増益によるものです。 当連結会計年度におけるその他の金融収益は7,472億円と、前連結会計年度に比べて3,678億円(97.0%)の増加となりました。この増加は、主に受取利息および有価証券売却益の増加によるものです。 当連結会計年度におけるその他の金融費用は1,037億円と、前連結会計年度に比べて214億円(17.1%)の減少となりました。この減少は、主に有価証券評価損の減少によるものです。 当連結会計年度における為替差損益<純額>は1,875億円と、前連結会計年度に比べて630億円の増益となりました。為替差損益は、外国通貨建て取引によって生じた外貨建ての資産および負債を、取引時の為替相場で換算した価額と、先物為替契約を利用して行う決済を含め、同会計年度における決済金額または決算時の為替相場で換算した価額との差額を示すものです。為替差損益<純額>の増益630億円は、主に当連結会計年度の外貨預金および貸付金において、預入時または貸付時の為替相場に比べて満期時の為替相場が円安に推移したことにより、為替差益を計上したことによるものです。 当連結会計年度におけるその他<純額>は179億円と、前連結会計年度に比べて960億円の増益となりました。 e.法人所得税費用当連結会計年度における法人所得税費用は1兆8,936億円と、前連結会計年度に比べて7,178億円(61.1%)の増加となりました。これは、主に税引前利益の増加などの影響によるもので、当連結会計年度における平均実際負担税率は27.2%となりました。 f.非支配持分に帰属する当期利益当連結会計年度における非支配持分に帰属する当期利益は1,264億円と、前連結会計年度に比べて848億円(203.7%)の増益となりました。この増益は、主に連結子会社の当期利益の増益によるものです。 g.親会社の所有者に帰属する当期利益当連結会計年度の親会社の所有者に帰属する当期利益は4兆9,449億円と、前連結会計年度に比べて2兆4,936億円(101.7%)の増益となりました。 h.その他の包括利益(税効果考慮後)当連結会計年度におけるその他の包括利益(税効果考慮後)は2兆1,171億円と、前連結会計年度に比べて1兆2,893億円利益が増加しました。これは、主に株価が変動したことにより、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産の公正価値変動が前連結会計年度の165億円の損失に対し、当連結会計年度は5,697億円の利益となったこと、および主に米ドルやユーロに対する為替レートが円安に進んだことにより、在外営業活動体の為替換算差額が前連結会計年度の6,760億円の利益に対し、当連結会計年度は1兆1,788億円の利益となったことによるものです。 i.事業別セグメントの状況以下は、トヨタの事業別セグメントの状況に関する説明です。記載された数値は、セグメント間の営業収益控除前です。 金額:百万円 3月31日に終了した1年間 増減および増減率 2023年 2024年 増減 増減率自動車 営業収益 33,820,000 41,266,204 7,446,204 22.0%営業利益 2,180,637 4,621,475 2,440,838 111.9%金融 営業収益 2,809,647 3,484,198 674,551 24.0%営業利益 437,516 570,023 132,507 30.3%その他 営業収益 1,224,943 1,368,164 143,221 11.7%営業利益 103,451 175,241 71,789 69.4%消去又は全社 営業収益 △700,293 △1,023,242 △322,949 -営業利益 3,420 △13,805 △17,226 -合計 営業収益 37,154,298 45,095,325 7,941,027 21.4% 営業利益 2,725,025 5,352,934 2,627,909 96.4% ・自動車事業セグメント自動車事業の営業収益は、トヨタの営業収益のうち最も高い割合を占めます。当連結会計年度における自動車事業セグメントの営業収益は41兆2,662億円と、前連結会計年度に比べて7兆4,462億円(22.0%)の増収となりました。この増収は、主に車両販売台数および販売構成の変化による影響5兆1,300億円や、為替変動の影響8,800億円によるものです。 当連結会計年度における自動車事業セグメントの営業利益は4兆6,214億円と、前連結会計年度に比べて2兆4,408億円(111.9%)の増益となりました。この営業利益の増益は、主に営業面の努力2兆300億円および為替変動の影響6,600億円などによるものです。 ・金融事業セグメント当連結会計年度における金融事業セグメントの営業収益は3兆4,841億円と、前連結会計年度に比べて6,745億円(24.0%)の増収となりました。この増収は、主に融資残高の増加および為替変動の影響によるものです。当連結会計年度における金融事業セグメントの営業利益は5,700億円と、前連結会計年度に比べて1,325億円(30.3%)の増益となりました。この営業利益の増益は、主に米国の販売金融子会社において、金利スワップ取引などの時価評価による評価損が減少したことなどによるものです。 ・その他の事業セグメント当連結会計年度におけるその他の事業セグメントの営業収益は1兆3,681億円と、前連結会計年度に比べて1,432億円(11.7%)の増収となりました。当連結会計年度におけるその他の事業セグメントの営業利益は1,752億円と、前連結会計年度に比べて717億円(69.4%)の増益となりました。 ④流動性と資金の源泉トヨタは従来、設備投資および研究開発活動のための資金を、主に営業活動から得た現金により調達してきました。 2025年3月31日に終了する連結会計年度については、トヨタは設備投資および研究開発活動のための十分な資金を、主に手元の現金及び現金同等物、営業活動から得た現金、および社債・借入金等の資金調達で充当する予定です。トヨタはこれらの資金を、従来の設備の維持更新・新製品導入へ効率的に投資しつつ、モビリティ・カンパニーへの変革に向け、競争力強化・将来の成長に資する分野に重点を置いて投資する予定です。2023年4月1日から2024年3月31日までに行われた重要な設備投資および処分に関する情報ならびに現在進行中の重要な設備投資および処分に関する情報は、「第3 設備の状況」を参照ください。 顧客や販売店に対する融資プログラムおよびリース・プログラムで必要となる資金について、トヨタは販売金融子会社の営業活動から得た現金と社債・借入金等の資金調達によりまかなっています。トヨタは金融子会社のネットワークを通じて、世界中の現地市場で資金を調達する能力を向上させるよう努めています。 当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度の2兆9,550億円の資金の増加に対し、4兆2,063億円の資金の増加となり、1兆2,512億円増加しました。この増加は、当連結会計年度(2024年3月31日に終了した12ヶ月間)における当期利益が増加した結果、資金が2兆5,784億円増加したことなどによるものです。 当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度の1兆5,988億円の資金の減少に対し、4兆9,987億円の資金の減少となり、3兆3,998億円減少しました。この減少は、主に定期預金の増加により、資金が1兆7,036億円減少したことによる影響です。 当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度の561億円の資金の減少に対し、2兆4,975億円の資金の増加となり、2兆5,537億円増加しました。この増加は、主に長期有利子負債による資金調達が2兆7,804億円増加したことによるものです。 当連結会計年度における資本的支出(賃貸資産を含む)は、前連結会計年度の3兆4,962億円から4兆8,480億円となり、1兆3,518億円増加しました。この増加は、主に金融事業におけるリース資産購入による資本的支出が9,547億円増加したことによるものです。 2025年3月31日に終了する連結会計年度において、賃貸および賃借資産を除く設備投資額は約2兆1,500億円となる予定です。 現金及び現金同等物は、2024年3月31日現在で9兆4,120億円でした。現金及び現金同等物の大部分は円建てまたは米ドル建てです。 トヨタは、現金及び現金同等物、定期預金、公社債および信託ファンドへの投資を総資金量と定義しており、当連結会計年度において総資金量は、4兆3,939億円(29.9%)増加し、19兆1,090億円となりました。 当連結会計年度における営業債権及びその他の債権は、2,032億円(5.7%)増加し、3兆7,894億円となりました。これは主に、為替変動の影響によるものです。 当連結会計年度における棚卸資産は、3,497億円(8.2%)増加し、4兆6,053億円となりました。これは主に、為替変動の影響によるものです。 当連結会計年度における金融事業に係る債権合計は、6兆9,235億円(28.0%)増加し、31兆6,943億円となりました。これは主に、顧客や販売店に対する融資残高の増加によるものです。2024年3月31日現在における金融債権の地域別内訳は、北米57.1%、アジア11.3%、欧州14.5%、日本6.2%、その他の地域10.9%でした。 当連結会計年度におけるその他の金融資産合計は、3兆8,206億円(31.1%)増加しました。これは主に、公社債の増加によるものです。 当連結会計年度における有形固定資産は、1兆6,238億円(12.9%)増加しました。これは主に、設備投資によるものです。 当連結会計年度における営業債務及びその他の債務は、2,650億円(5.3%)増加しました。これは主に、為替変動の影響によるものです。 当連結会計年度における未払法人所得税は、8,199億円(202.7%)増加しました。これは主に、税引前利益の増加に伴う法人所得税費用の増加などによるものです。 当連結会計年度における有利子負債合計は、7兆1,815億円(24.4%)増加しました。トヨタの短期借入債務は、加重平均利率2.27%の借入金と、加重平均利率4.53%のコマーシャル・ペーパーにより構成されています。当連結会計年度における短期借入債務は、前連結会計年度に比べて8,977億円(19.6%)増加し、5兆4,879億円となりました。トヨタの長期借入債務は、加重平均利率が1.92%から7.86%、返済期限が2024年から2048年の無担保の借入金、担保付きの借入金、ミディアム・ターム・ノート、無担保普通社債、担保付普通社債などにより構成されています。当連結会計年度の1年以内に返済予定の長期借入債務は2兆1,962億円(28.7%)増加し、9兆8,448億円となり、返済期限が1年超の長期借入債務は4兆809億円(24.5%)増加し、20兆7,663億円となりました。借入債務合計の増加は、主に金融子会社における融資残高の伸びに伴う資金需要の高まりによるものです。2024年3月31日現在で、長期借入債務の約53%は米ドル建て、約10%は円建て、約13%はユーロ建て、約5%は豪ドル建て、約4%は加ドル建て、約15%はその他の通貨によるものです。トヨタは、金利スワップを利用することにより固定金利のエクスポージャーをヘッジしています。トヨタの借入必要額に重要な季節的変動はありません。 2023年3月31日現在におけるトヨタの親会社の所有者に帰属する持分合計に対する有利子負債比率は、103.7%でしたが、2024年3月31日現在では106.8%となりました。 トヨタの短期および長期借入債務は、2024年5月31日現在、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)、ムーディーズ(Moody's)および格付投資情報センター(R&I)により、次のとおり格付けされています。なお、信用格付けは株式の購入、売却もしくは保有を推奨するものではなく、何時においても撤回もしくは修正され得ます。各格付けはその他の格付けとは個別に評価されるべきです。 S&P Moody's R&I短期借入債務 A-1+ P-1 ―長期借入債務 A+ A1 AAA 当連結会計年度における確定給付負債(資産)の純額は、国内および海外で、それぞれ380億円および3,660億円と、前連結会計年度に比べて、国内は859億円(69.3%)減少し、海外は522億円(16.6%)の増加となりました。確定給付負債(資産)の純額は、トヨタによる将来の現金拠出または対象従業員に対するそれぞれの退職日における支払いにより解消されます。国内においては、主に割引率の上昇に伴う確定給付制度債務の減少により、確定給付負債(資産)の純額は減少しました。詳細については、連結財務諸表注記23を参照ください。 トヨタの財務方針は、すべてのエクスポージャーの管理体制を維持し、相手先に対する厳格な信用基準を厳守し、市場のエクスポージャーを積極的にモニターすることです。トヨタは、トヨタファイナンシャルサービス㈱に金融ビジネスを集中させ、同社を通じて金融ビジネスのグローバルな効率化を目指しています。 財務戦略の主な要素は、短期的な収益の変動に左右されず効率的に研究開発活動、設備投資および金融事業に投資できるような、安定した財務基盤を維持することです。トヨタは、現在必要とされる資金水準を十分満たす流動性を保持していると考えており、また、高い信用格付けを維持することにより、引き続き多額の資金を比較的安いコストで外部から調達することができると考えています。高い格付けを維持するためには、数多くの条件が求められ、その中にはトヨタがコントロールできないものも含まれています。これらの条件には、日本およびトヨタが事業を行うその他の主要な市場の全体的な景気ならびにトヨタの事業戦略を成功させることができるかなどが含まれています。 トヨタは金融事業のための資金調達の一つの方法として特別目的事業体を通じた証券化プログラムを利用しています。これらの証券化取引は、トヨタが第一受益者であるものとして連結しており、当連結会計年度におけるオフバランス化される取引に重要なものはありません。 トヨタの非デリバティブ金融負債およびデリバティブ金融負債の残存契約満期期間ごとの金額に関しては、連結財務諸表注記19を参照ください。また、トヨタはその通常業務の一環として、一定の原材料、部品およびサービスの購入に関して、仕入先と長期契約を結ぶ場合があります。これらの契約は、一定数量または最低数量の購入を規定している場合があります。トヨタはかかる原材料またはサービスの安定供給を確保するためにこれらの契約を締結しています。 次の表は、2024年3月31日現在のトヨタの契約上の債務および商業上の契約債務を要約したものです。 金額:百万円 返済期限 合計 1年未満 1年以上3年未満 3年以上5年未満 5年以上契約上の債務: 短期借入債務5,487,959 5,487,959 - - - 長期借入債務31,073,820 9,918,326 12,033,292 6,449,064 2,673,138有形固定資産およびその他の資産ならびにサービスの購入に係る契約上のコミットメント(注記30)4,712,085 474,929 476,834 986,110 2,774,212合計41,273,864 15,881,214 12,510,126 7,435,174 5,447,350 商業上の契約債務: 通常の事業から生じる最大見込保証債務(注記30):3,310,989 881,967 1,470,118 834,481 124,423合計3,310,989 881,967 1,470,118 834,481 124,423 * 長期借入債務の金額は、将来の支払元本を表しています。 また、トヨタは2025年3月31日に終了する連結会計年度において、退職後給付制度に対し、国内および海外で、それぞれ45,860百万円および16,493百万円を拠出する予定です。 ⑤貸出コミットメントa.クレジットカード会員に対する貸出コミットメントトヨタは金融事業の一環としてクレジットカードを発行しています。トヨタは、クレジットカード事業の慣習に従い、カード会員に対する貸付の制度を有しています。貸出はお客様ごとに信用状態の調査を実施した結果設定した限度額の範囲内で、お客様の要求により実行されます。カード会員に対する貸付金には保証は付されませんが、貸倒損失の発生を最小にするため、また適切な貸出限度額を設定するために、トヨタは、提携関係にある金融機関からの財務情報の分析を含むリスク管理方針により与信管理を実施するとともに、定期的に貸出限度額の見直しを行っています。2024年3月31日現在のカード会員に対する貸出未実行残高は1,646億円です。 b.販売店に対する貸出コミットメントトヨタは金融事業の一環として販売店に対する融資の制度を有しています。貸付は買収、設備の改装、不動産の購入、運転資金の確保のために行われます。これらの貸付金については、通常担保権が設定されており、販売店の不動産、車両在庫、その他販売店の資産等、場合に応じて適切と考えられる物件に対して設定しています。さらに慎重な対応が必要な場合には販売店が指名した個人による保証または販売店グループが指名した法人による保証を付しています。貸付金は通常担保または保証が付されていますが、担保または保証の価値がトヨタのエクスポージャーを十分に補うことができていない可能性があります。トヨタは融資制度契約を締結することによって生じるリスクに従って融資制度を評価しています。トヨタの金融事業は、販売店グループと呼ばれる複数のフランチャイズ系列に対しても融資を行っており、しばしば貸出組合に参加することでも融資を行っています。こうした融資は、融資先の卸売車両の購入、買収、設備の改装、不動産の購入、運転資金の確保等を目的とするものです。2024年3月31日現在の販売店に対する貸出未実行残高は3兆7,940億円です。 ⑥保証詳細については、連結財務諸表注記30を参照ください。 ⑦関連当事者との取引詳細については、連結財務諸表注記32を参照ください。 ⑧会計基準の選択に関する基本的な考え方当社は、資本市場における財務情報の国際的な比較可能性の向上等を目的として、2021年3月期第1四半期よりIFRSを任意適用しています。 ⑨重要な会計上の見積りIFRSに準拠した連結財務諸表を作成するにあたり、会計方針の適用、資産・負債およびトヨタの連結財務諸表に重要な影響を与える可能性のある会計上の見積りおよび仮定に関する情報は、次のとおりです。 ・品質保証に係る負債 ・金融事業に係る金融損失引当金 ・非金融資産の減損 ・退職給付に係る負債 ・公正価値測定 ・繰延税金資産の回収可能性 詳細については、連結財務諸表注記4を参照ください。 |
経営上の重要な契約等 | 5 【経営上の重要な契約等】 2002年8月中国第一汽車集団有限公司と、中国における自動車の共同事業に関する基本合意書を締結2004年6月中国において乗用車を生産・販売するため、広州汽車集団股份有限公司との間で合弁契約を締結(当該契約に基づき、2004年9月広汽トヨタ自動車㈲を設立) 2006年3月富士重工業㈱(現在の㈱SUBARU)と業務提携2017年2月スズキ㈱と業務提携に向けた覚書を締結(2019年8月資本提携)2017年8月マツダ㈱と業務資本提携2017年11月米国において乗用車を共同生産するため、マツダ㈱との間で合弁契約を締結(当該契約に基づき、2018年3月マツダトヨタマニュファクチャリングUSA,Inc.を設立) 2019年1月パナソニック㈱と、車載用角形電池事業に関する事業統合契約および合弁契約を締結(当該契約に基づき、2020年4月プライムプラネットエナジー&ソリューションズ㈱を設立)2019年5月パナソニック㈱と、街づくり事業に関する合弁契約を締結(当該契約に基づき、2020年1月プライム ライフ テクノロジーズ㈱を設立)2019年9月㈱SUBARUと業務資本提携拡大2021年3月いすゞ自動車㈱、日野自動車㈱と商用事業における協業に関する共同企画契約を締結いすゞ自動車㈱と資本提携2021年7月いすゞ自動車㈱、スズキ㈱、日野自動車㈱、ダイハツ工業㈱と商用事業における協業に関する共同企画契約を締結(当該契約に基づき、2021年3月に締結した、いすゞ自動車㈱、日野自動車㈱との共同企画契約を終了)2023年5月ダイムラートラック社、三菱ふそうトラック・バス㈱および日野自動車㈱とCASE技術開発・商用車事業の強化に向けて協業すると共に、三菱ふそうトラック・バス㈱と日野自動車㈱の統合に関する基本合意書を締結 |
研究開発活動 | 6 【研究開発活動】 トヨタは、「クリーンで安全な商品の提供を使命とし、あらゆる企業活動を通じて、住みよい地球と豊かな社会づくりに取り組む」、「様々な分野での最先端技術の研究と開発に努め、世界中のお客様のご要望にお応えする魅力あふれる商品・サービスを提供する」の基本理念のもと、多様化・高度化する市場ニーズを的確にとらえた、高品質・低コストのより魅力ある商品を提供するため、積極的な研究開発活動を行っています。トヨタの研究開発は、日本においては、当社を中心に、ダイハツ工業㈱、日野自動車㈱、トヨタ車体㈱、トヨタ自動車東日本㈱、㈱豊田中央研究所、ウーブン・バイ・トヨタ㈱などの関係各社との密接な連携のもとで推進されています。さらに、海外各地域のお客様のニーズに的確にお応えしたクルマづくりのために、グローバルな開発体制を構築しています。主な拠点として、北米地域にトヨタ モーター エンジニアリング アンド マニュファクチャリング ノース アメリカ㈱のテクニカルセンター、キャルティ デザイン リサーチ㈱、トヨタ リサーチ インスティテュート㈱、欧州地域にトヨタ モーター ヨーロッパ㈱のテクニカルセンター、トヨタ ヨーロッパ デザイン ディベロップメント㈲、アジア地域にトヨタ ダイハツ エンジニアリング アンド マニュファクチャリング㈱(※)のテクニカルセンター、トヨタ自動車研究開発センター(中国)㈲、一汽トヨタ技術開発㈲、広汽トヨタ自動車㈲研究開発センター、BYD TOYOTA EV TECHNOLOGYカンパニー㈲があります。当連結会計年度に発生したトヨタの研究開発支出は1,202,373百万円です。なお、トヨタでは研究開発支出の一部について、無形資産に計上しています。連結損益計算書に計上している研究開発費の詳細については、連結財務諸表注記27を参照ください。当連結会計年度における事業別セグメントごとの活動状況および研究開発支出は次のとおりです。※ トヨタ ダイハツ エンジニアリング アンド マニュファクチャリング㈱は、2024年6月4日付でトヨタ モーター アジア(タイランド)㈱に社名変更しています。 (1)自動車事業トヨタは、走りの楽しさや快適性などクルマがもたらす様々な恩恵による人々の心の豊かさの向上と、環境負荷や交通事故等のクルマのネガティブな面の最小化を、同時に高いレベルで実現していくことを商品・技術開発のビジョンとして掲げています。当連結会計年度には、乗る人全てが相手を思いやり感謝し合える空間を実現するため、「快適な移動の幸せ」を極める事をコンセプトとして「アルファード/ヴェルファイア」を発売しました。また、日本の美、静けさ、おもてなしの心をしっかりと継承しつつ、「人中心」で後席空間のゆとり、乗降所作の美しさなどを飛躍的に進化させた次世代ショーファーカー「センチュリー」を開発しました。「ハイラックス チャンプ(IMV ゼロ)」はタイで「国民車」としてお客様の暮らしを支えてきたピックアップトラックを、お客様のニーズに寄り添うという原点に立ち返り開発しました。「LBX」は、高級車の概念を変える新しい「コンパクトラグジュアリー」、いつまでも運転していたくなるクルマ本来の楽しさを追求しました。カーボンニュートラルへの対応については、マルチパスウェイ戦略の具体化に取り組んできました。カーボンニュートラル社会を実現するためには、お客様の期待やインフラ整備などの状況を踏まえた多面的なアプローチ、プラクティカルなトランジションが重要であると考えています。その考えのもと、足元ではハイブリッド車を基軸に、各地で選択肢の拡充を進めています。その上で、ミッシングピースとなっていたバッテリーEV(BEV)と水素モビリティの具体化に、力を入れて取り組んできました。BEVにおいては、小型軽量ユニットの開発も含めて、クルマの新しいアーキテクチャをつくる挑戦が進んでいます。そして、当社が目指すBEVは、パワートレーンを電動化するだけではなく、お客様の多様な移動価値を実現するトヨタらしい「ソフトウェア・ディファインド・ビークル(SDV)」であることも定まってきました。内燃機関についても、さらなる活用を視野に入れて開発に取り組んでいます。こうした選択肢の全体像を踏まえて、今年を「真のマルチパスウェイ元年」と位置付けて、その具体化を着実に進めていきます。そして、車載OSのArene(アリーン)の開発を軸に、SDVの基盤づくりにも注力してきました。今後は、生成AIによってデータが生み出す価値が高まっていきます。安全・安心の実現を目指す自動運転や、SDVを中心に、生成AIを活用したモビリティの進化に取り組んでいきたいと考えています。そして、エネルギーやデータを軸に、社会システムと一体となったモビリティの価値を生み出すためには、インフラ整備をはじめ、多くの仲間との連携が必要であると考えています。Areneを基盤に、生活に寄り添ったアプリやサービスが、クルマともっと融合していくことも必要になっていきます。志を同じくするパートナーの皆様とともにモビリティの価値を具体化する取り組みを進めていきます。そして、こうした新たな価値づくりを強化するためにも、研究開発の先行シフトを加速して、中長期目線での「未来への種まき」を強化していきます。当事業に係る研究開発支出は1,173,895百万円です。 (2)その他の事業基礎研究分野においては、㈱豊田中央研究所を中心として、エネルギー・環境、機械、情報・通信、材料などの幅広い分野における研究活動に取り組んでいます。その他の事業に係る研究開発支出は28,478百万円です。 |
設備投資等の概要 | 1 【設備投資等の概要】 トヨタでは、投資効率の向上をはかりつつ、環境問題などの社会的要請に対応する新技術・新製品への設備投資や設備更新などの生産関連設備投資および販売関連ほかへの設備投資を実施しています。当連結会計年度の設備投資(使用権資産は含みません。)の内訳は、次のとおりです。 当連結会計年度 前期比 自動車事業 1,858,037百万円 20.6% 金融事業 49,595 85.0 その他の事業 103,242 166.4 合計 2,010,874 25.2 リース用資産(外数) 2,867,660 50.3 自動車事業では、当社において547,501百万円の設備投資を実施しました。また、連結子会社においては、国内では、主に新技術・新製品への設備投資を実施し、主な子会社としてプライムプラネットエナジー&ソリューションズ㈱において44,472百万円、日野自動車㈱において29,864百万円、プライムアースEVエナジー㈱において28,984百万円等の設備投資を実施しました。海外では、主に新製品の投入のための設備投資を実施し、主な子会社として、トヨタ バッテリー マニュファクチュアリング㈱において205,400百万円、トヨタ モーター マニュファクチャリング グアナファト㈱において137,630百万円、トヨタ モーター マニュファクチャリング インディアナ㈱において89,551百万円等の設備投資を実施しました。金融事業では、トヨタ モーター クレジット㈱など国内外の金融子会社において49,595百万円の設備投資を実施しました。その他の事業では、当社および国内外の子会社において103,242百万円の設備投資を実施しました。リース用資産については、トヨタ モーター クレジット㈱においてオペレーティング・リースの対象となる車両の取得により2,041,945百万円の設備投資を実施しました。 |
主要な設備の状況 | 2 【主要な設備の状況】 トヨタは、類似の事業を営む事業所が国内外で多数設立されているため、その設備の状況を事業別セグメントごとに示すとともに主たる設備の状況を開示する方法によっています。当連結会計年度末(2024年3月31日現在)における状況は、次のとおりです。(1)事業別セグメント内訳 事業別セグメントの名称帳簿価額(百万円)土地建物機械装置賃貸用車両及び器具合計自動車事業1,345,1171,997,4123,638,092344,8087,325,430金融事業1501,60014,7015,560,0825,576,532その他の事業89,559131,95296,62412318,147合計1,434,8262,130,9633,749,4185,904,90213,220,109 (注)1上記帳簿価額には、建設仮勘定1,037,678百万円を含みません。2事業別セグメントごとの従業員数は、「第1 企業の概況 5 従業員の状況」と開示内容が重複するため、記載を省略しています。 (2)提出会社の状況 主な事業所名(所在地)事業別セグメントの名称主な設備の内容帳簿価額(百万円)従業員数(人)土地(面積千㎡)建物機械装置、賃貸用車両及び器具合計本社(愛知県豊田市)自動車およびその他研究用設備14,891128,89372,892216,67722,393( 2,733)(※ 32)トヨタテクニカルセンター下山(愛知県豊田市)自動車研究用設備76,78689,5516,007172,3441,648( 5,573)(※ 469)田原工場 (愛知県田原市)自動車自動車生産設備65,60635,33061,455162,3916,419( 4,032)(※ 25)本社工場(愛知県豊田市)自動車自動車部品生産設備9147,63631,36479,0921,810( 623)元町工場(愛知県豊田市)自動車自動車生産設備5,03424,05335,23064,3187,908( 1,575)(※ 6)衣浦工場(愛知県碧南市)自動車自動車部品生産設備9,77814,05325,83049,6612,709( 808)(※ 122)東富士研究所(静岡県裾野市)自動車研究用設備9,60621,29315,56746,4652,407( 2,719)(※ 21)堤工場(愛知県豊田市)自動車自動車生産設備1,81312,24126,99941,0534,776( 1,004)(※ 130)上郷工場(愛知県豊田市)自動車自動車部品生産設備1,12013,31326,26340,6963,383( 895)(※ 58)高岡工場(愛知県豊田市)自動車自動車生産設備4,05914,10813,83732,0044,173( 1,315)(※ 72) (注)1上記帳簿価額には、建設仮勘定を含みません。2上表の(※ )は賃借中の土地(単位:千㎡)であり、外数です。 (3)国内子会社の状況 主な子会社および事業所名(主な所在地)事業別セグメントの名称主な設備の内容帳簿価額(百万円)従業員数(人)土地(面積千㎡)建物機械装置、賃貸用車両及び器具合計トヨタモビリティ東京㈱本社ほか(東京都港区)自動車自動車販売設備およびリース用車両109,338( 398)(※ 99)61,32449,304219,9666,577ダイハツ工業㈱本社(池田)工場ほか(大阪府池田市)自動車自動車生産設備43,938( 7,739)(※ 59)68,36152,023164,32310,842日野自動車㈱日野工場ほか(東京都日野市)自動車自動車生産設備30,600( 5,952)(※ 38)80,01449,612160,22612,175トヨタ車体㈱富士松工場ほか(愛知県刈谷市)自動車自動車生産設備31,740( 2,141)(※ 250)44,90579,189155,83511,581プライムプラネットエナジー&ソリューションズ㈱本社ほか(東京都中央区)自動車自動車生産設備5,258( 192) (※ 0)51,82279,232136,3123,733 (注)1上記帳簿価額には、建設仮勘定を含みません。2上記の子会社には、上表のほか、リース取引に係る使用権資産が53,675百万円あります。上表の(※ )は使用権資産に含まれる土地(単位:千㎡)であり、外数です。3上表には、車両運搬具を中心にオペレーティング・リース取引に係る賃貸資産が39,919百万円含まれています。また、賃貸中の土地が含まれており、面積は133千㎡です。 (4)在外子会社の状況 主な子会社および事業所名(主な所在地)事業別セグメントの名称主な設備の内容帳簿価額(百万円)従業員数(人)土地(面積千㎡)建物機械装置、賃貸用車両及び器具合計トヨタ モーター マニュファクチャリング インディアナ㈱(Princeton,Indiana, U.S.A.)自動車自動車生産設備3,034( 4,359)26,319254,575283,9276,392トヨタ モーター マニュファクチャリング グアナファト㈱(Apaseo el Grande, Guanajuato, Mexico)自動車自動車生産設備6,214( 6,091)37,669199,410243,2932,810トヨタ モーター マニュファクチャリング カナダ㈱(Cambridge,Ontario, Canada)自動車自動車生産設備3,298( 4,752)29,357186,405219,0598,025トヨタ モーター マニュファクチャリング ケンタッキー㈱(Georgetown,Kentucky, U.S.A.)自動車自動車生産設備5,919( 5,161)34,150177,989218,0589,750トヨタ モーターマニュファクチャリング テキサス㈱(San Antonio,Texas, U.S.A.)自動車自動車生産設備1,181( 8,094)18,777165,898185,8562,937 (注)1上記帳簿価額には、建設仮勘定を含みません。2上記の子会社には、上表のほか、リース取引に係る使用権資産が76,720百万円あります。上表の(※ )は使用権資産に含まれる土地(単位:千㎡)であり、外数です。3上表には、賃貸中の土地が含まれており、面積は529千㎡です。 |
設備の新設、除却等の計画 | 3 【設備の新設、除却等の計画】 トヨタの設備投資については、さらなる投資効率の向上をはかりつつ、今後の生産計画、需要予測等を総合的に勘案して計画しています。翌連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)におけるトヨタの設備の新設等に係る投資予定金額(総額)は2,150,000百万円です。なお、この金額はリース用資産に係る投資を含みません。重要な設備の新設、除却等の計画は、次のとおりです。 (1)新設等 会社名所在地事業別セグメントの名称設備の内容投資予定金額(百万円)(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)資金調達方法トヨタ自動車㈱愛知県豊田市自動車およびその他生産設備等630,000自己資金トヨタ バッテリーマニュファクチャリング㈱Liberty, NorthCarolina,U.S.A.自動車生産設備等467,500自己資金トヨタ自動車技術センター(中国)㈲天津市中国その他生産設備等87,800自己資金プライムプラネットエナジー&ソリューションズ㈱東京都中央区自動車生産設備等87,600増資資金トヨタ モーターヨーロッパ㈱Brussels,Belgium自動車生産設備等86,400自己資金トヨタ モーターマニュファクチャリングケンタッキー㈱Georgetown,Kentucky,U.S.A.自動車生産設備等82,300自己資金 (2)除却および売却経常的な設備の更新のための除却および売却を除き、重要な設備の除却および売却の計画はありません。 |
研究開発費、研究開発活動 | 28,478,000,000 |
設備投資額、設備投資等の概要 | 2,010,874,000,000 |
Employees
平均年齢(年)、提出会社の状況、従業員の状況 | 41 |
平均勤続年数(年)、提出会社の状況、従業員の状況 | 16 |
平均年間給与、提出会社の状況、従業員の状況 | 8,998,575 |
管理職に占める女性労働者の割合、提出会社の指標 | 0 |
全労働者、労働者の男女の賃金の差異、提出会社の指標 | 1 |
正規雇用労働者、労働者の男女の賃金の差異、提出会社の指標 | 1 |
非正規雇用労働者、労働者の男女の賃金の差異、提出会社の指標 | 1 |
Investment
株式の保有状況 | (5)【株式の保有状況】 ① 投資株式の区分の基準及び考え方当社は、純投資目的以外の目的である投資株式(政策保有株式)のみ保有しています。専ら株式の価値の変動または株式に係る配当によって利益を受けることを目的とする純投資目的である投資株式は、保有していません。 ② 保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式(政策保有株式)a.保有方針及び保有の合理性を検証する方法並びに個別銘柄の保有の適否に関する取締役会等における検証の内容1) 政策保有に関する方針当社は、政策保有株式について、その保有の意義が認められる場合を除き、保有しないことを基本方針としています。保有の意義が認められる場合とは、開発・調達・生産・物流・販売のすべての過程において様々な協力関係が不可欠な自動車事業において、事業戦略、取引先との事業上の関係の構築・維持・強化、地域や社会発展への貢献・協力などを総合的に勘案し、中長期的な観点から企業価値の向上に資すると判断される場合をいいます。 2) 政策保有の適否の検証当社は、必要に応じて、企業価値向上や持続的成長を促す観点から建設的な対話を保有先企業と行い、経営上の課題の共有や改善に繋げています。また、個別の政策保有株式について、経営環境の変化を踏まえた保有意義の再確認や、保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合っているか等の具体的な精査を行い、保有の適否を取締役会にて毎年検証しています。なお、事業環境の変化などにより保有の意義が認められない場合や保有の意義が希薄化した場合には、保有先企業と対話を行い、理解を得た上で、売却を進めます。その結果、政策保有株式の銘柄数は、2020年3月末時点の174銘柄(うち上場会社65銘柄)から2024年3月末時点の124銘柄(うち上場会社40銘柄)へ縮減しています。 政策保有株式の推移 '20/3末'21/3末'22/3末'23/3末'24/3末銘柄数(銘柄)上場6554534940非上場109103959284みなし保有5441312417合計228198179165141残高(億円)上場17,81024,72830,32430,94935,087非上場2,9492,9989021,1511,240みなし保有2,0642,3441,9551,2701,450合計22,82330,07133,18033,37037,777連結純資産(資産合計)に対する政策保有株式残高の割合10.7%12.4%12.2%11.4%10.7% 政策保有株式のうち、上場株式の動向 当社で政策保有株式として保有する、上場株式40銘柄、貸借対照表計上額合計3,508,688百万円のうち、主要な保有先の貸借対照表計上額、事業戦略上の保有理由は、以下のとおりであり、当該貸借対照表計上額の合計は、2,358,073百万円となります。 銘柄貸借対照表計上額(百万円)出資比率(%)(注)1事業戦略上の保有理由KDDI㈱1,134,37010.99当社は、1980年代の電気通信分野の自由化の流れの中で、自動車事業をより強靭にする相乗効果を狙い情報通信事業分野へ参入し、1984年に日本高速通信株式会社(TWJ) 、1987年に日本移動通信株式会社(IDO) へ出資を行いました。その後、1998年にTWJはKDD株式会社(KDD) と合併し、2000年10月に第二電電株式会社(DDI) 、KDD、IDOの三社合併により、当社はKDDI株式会社の株主となりました。同社とは、クルマのインターネットへの「つながる化」が進む中、2002年以降、当社のテレマティクス事業であるG-BOOK サービス等で協業し、2016年からは、車載通信機とクラウド間の通信において、グローバル通信プラットフォームの共同構築を推進するなど、クルマと通信の融合によって安全や快適さを提供する取り組みを実施してきました。これらに加え、人々の生活を豊かにするサービスの開発や、ビッグデータの活用などによる社会課題解決に取り組みを加速させるため、当社は2021年に同社の株式を追加取得しました。2023年には、同社との長年の業務資本提携を通じて構築した信頼関係を踏まえて、同社との最適な資本関係を検討した結果、保有株式の一部を売却しました。MS&ADインシュアランスグループホールディングス㈱427,8859.81当社は、保険商品の開発等において連携するために、1959年に千代田火災海上保険株式会社へ出資を行いました。その後、大東京火災海上保険株式会社、三井住友海上火災保険株式会社などとの再編を経て、現在に至っています。当社では、クルマのコネクティッド技術を活用した保険サービスの共同開発など、「安全・安心なクルマ社会の実現」に向けた金融を中心とするモビリティサービス分野における事業関係の維持・発展のために同社株式を保有しています。日本電信電話㈱363,0852.23同社とは、都市や地域の機能やサービスを効率化・高度化し、各種課題の解決を図り、新たな価値を創出するスマートシティ事業のビジネス化における、長期的かつ継続的な協業関係の構築を目指しています。当社は、スマートシティ実現のコア基盤となる「スマートシティプラットフォーム」を共同で構築し、様々なまちに連鎖的に展開することが必要と考えるに至り、2020年に同社の株式を取得しています。㈱三菱UFJフィナンシャル・グループ232,4031.21当社では、同社持株会社傘下の各金融機関と、様々な金融サービスの分野で、当社の自動車事業・販売金融事業の展開を推進する事業関係を構築しています。中長期にわたる安定した金融サービスの提供は、当社事業の持続的かつ更なる発展のために不可欠であり、当社は、事業関係の維持・発展のために同社株式を保有しています。ルネサス エレクトロニクス㈱200,3304.01当社では、電動化・知能化領域での競争力ある車載用システム実現に向け、ソフトから半導体、車両までの一体開発が重要と考えています。同社は、半導体の設計・生産での十分な強みがあり、中長期にわたる競争力ある半導体の提供は、当社事業の持続的かつ更なる発展のために不可欠であり、協業関係の強化と安定調達を目的として、同社株式を保有しています。 (注)1 出資比率は、2024年3月31日時点の各銘柄の発行済株式総数に対する保有株式数の割合になります。 3)政策保有株式にかかる議決権行使基準原則として、すべての議案に対して議決権を行使します。当社は、議決権の行使は、定型的・短期的な基準で画一的に賛否を判断するのではなく、当該保有先企業の経営方針・戦略等を十分検討した上で、中長期的な観点で企業価値の向上や株主利益の向上につながるかどうか等の観点に立って議案ごとに判断します。株主利益に大きな影響を及ぼしうる議案(授権資本の拡大・買収防衛策・事業再編等)については、当該保有先企業との対話を通じ賛否を判断します。 b.銘柄数および貸借対照表計上額 銘柄数(銘柄)貸借対照表計上額の合計額(百万円)非上場株式84124,022非上場株式以外の株式403,508,688 (当事業年度において株式数が増加した銘柄) 銘柄数(銘柄)株式数の増加にかかる取得価額の合計額(百万円)株式数の増加の理由非上場株式――中長期的な観点より、企業価値の向上に資すると判断したため非上場株式以外の株式12,763 (当事業年度において株式数が減少した銘柄) 銘柄数(銘柄)株式数の減少にかかる売却価額の合計額(百万円)非上場株式82,617非上場株式以外の株式15325,919 c.特定投資株式及びみなし保有株式の銘柄ごとの株式数、貸借対照表計上額等に関する情報 特定投資株式 銘柄当事業年度前事業年度保有目的、業務提携等の概要、定量的な保有効果(注)1及び株式数が増加した理由当社の株式の保有の有無株式数(株)株式数(株)貸借対照表計上額(百万円)貸借対照表計上額(百万円)KDDI㈱253,094,600316,794,400自動車関連(情報)取引の維持・発展有1,134,3701,296,639MS&ADインシュアランスグループホールディングス㈱52,610,93352,610,933自動車関連(金融)取引の維持・発展有427,885216,020日本電信電話㈱2,019,385,00080,775,400自動車関連(情報)取引の維持・発展[株式数が増加した理由]株式分割のため有363,085320,032㈱三菱UFJフィナンシャル・グループ149,263,153149,263,153金融取引の維持・発展有232,403126,560ルネサス エレクトロニクス㈱75,015,90075,015,900自動車関連(調達)取引の維持・発展無200,330143,543スズキ㈱24,000,00024,000,000業務提携(商品補完、共同開発、生産領域での協業等)の維持・発展有166,896115,296HO TAIMOTOR CO.,LTD. 45,294,23444,406,112自動車関連(業務提携)の維持・発展[株式数が増加した理由]株式配当により取得有138,049124,868GRABHOLDINGS LIMITED 222,906,079222,906,079自動車関連(MaaS)取引の維持・発展無105,97689,592PT ASTRAINTERNATIONAL Tbk1,920,000,0001,920,000,000自動車関連(業務提携)の維持・発展有94,925102,528いすゞ自動車㈱39,000,00039,000,000商用事業でのCASE普及に向けた業務提携の維持・発展有80,14561,581UBERTECHNOLOGIES,INC.5,125,8685,125,868自動車関連(MaaS)取引の維持・発展無59,75321,697Joby Aviation, Inc.72,871,83172,871,831自動車関連(MaaS)取引の維持・発展無59,14042,231マツダ㈱31,928,50031,928,500業務提携(米国での合弁会社(完成車生産)の設立・運営、共同開発、技術連携、商品補完)の維持・発展有56,05039,112ヤマハ発動機㈱37,500,00012,500,000自動車関連(調達)取引の維持・発展[株式数が増加した理由]株式分割のため有53,38143,250住友金属鉱山㈱11,058,00011,058,000自動車関連(調達)取引の維持・発展有50,72355,832㈱三井住友フィナンシャルグループ5,375,3125,375,312金融取引の維持・発展有47,88928,478浜松ホトニクス㈱8,400,0008,400,000自動車関連(調達)取引の維持・発展無44,96559,724東京海上ホールディングス㈱9,414,1659,414,165自動車関連(金融)取引の維持・発展有44,27523,978 銘柄当事業年度前事業年度保有目的、業務提携等の概要、定量的な保有効果(注)1及び株式数が増加した理由当社の株式の保有の有無株式数(株)株式数(株)貸借対照表計上額(百万円)貸借対照表計上額(百万円)パナソニック ホールディングス㈱20,700,00020,700,000自動車関連(調達)取引および、合弁会社(車載用角形電池、街づくり)を通じた協業の維持・発展有29,92224,467Aurora Innovation, Inc.47,348,17847,348,178自動車関連(MaaS)取引の維持・発展無20,2178,788ヤマトホールディングス㈱5,748,1335,748,133自動車関連(販売)取引の維持・発展無12,40413,043東海旅客鉄道㈱3,000,0001,300,000地域経済との関係維持・発展[株式数が変動した理由]一部売却、株式分割のため有11,17820,553INCHCAPE PLC6,666,3276,666,327自動車関連(販売)取引の維持・発展無9,2298,548㈱三井ハイテック935,500935,500自動車関連(調達)取引の維持・発展有8,1607,821大同特殊鋼㈱4,345,000869,000自動車関連(調達)取引の維持・発展[株式数が増加した理由]株式分割のため有7,8934,519カヤバ㈱(注)21,469,4171,965,417自動車関連(調達)取引の維持・発展有7,5977,901㈱ジーエス・ユアサコーポレーション2,236,0802,236,080自動車関連(調達)取引の維持・発展有7,0355,326TOYO TIRE㈱2,387,4754,774,875自動車関連(調達)取引の維持・発展有6,7527,377住友電気工業㈱2,420,0002,420,000自動車関連(調達)取引の維持・発展有5,6814,107信越化学工業㈱744,000148,800自動車関連(調達)取引の維持・発展[株式数が増加した理由]株式分割のため有4,8983,181セイノーホールディングス㈱2,210,7162,210,716自動車関連(販売)取引の維持・発展有4,6763,228㈱PKSHATechnology766,600766,600自動車関連(技術)取引の維持・発展無4,1861,384㈱ゼンリン4,272,0004,272,000自動車関連(情報)取引の維持・発展有3,6273,563曙ブレーキ工業㈱15,495,17515,495,175自動車関連(調達)取引の維持・発展有2,2622,247福山通運㈱309,100618,295自動車関連(販売)取引の維持・発展有1,1202,220第一交通産業㈱1,078,0001,078,000自動車関連(MaaS)取引の維持・発展無911866中央可鍛工業㈱792,000792,000自動車関連(調達)取引の維持・発展有392323㈱御園座80,00080,000地域経済との関係維持・発展無149142中日本興業㈱12,00015,000地域経済との関係維持・発展無128148Getaround,Inc702,127702,127自動車関連(MaaS)取引の維持・発展無3327㈱ハーモニック・ドライブ・システムズ(注)3―4,379,400―無―19,247 銘柄当事業年度前事業年度保有目的、業務提携等の概要、定量的な保有効果(注)1及び株式数が増加した理由当社の株式の保有の有無株式数(株)株式数(株)貸借対照表計上額(百万円)貸借対照表計上額(百万円)NOK㈱(注)3―6,809,500―有―9,962日本精工㈱(注)3―10,000,000―無―7,560ANAホールディングス㈱(注)3―1,933,800―無―5,562東日本旅客鉄道㈱(注)3―491,000―無―3,601ニチアス㈱(注)3―1,237,851―有―3,294日本航空㈱(注)3―921,000―無―2,378東邦瓦斯㈱(注)3―526,200―有―1,296太平洋工業㈱(注)3―1,097,397―有―1,266 (注)1 各銘柄の定量的な保有効果の記載は困難ですが、当社では、2023年12月31日を基準として、保有意義の再確認や保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合っているか等の具体的な精査を行うことにより、保有の適否を検証し、必要な対応を実施しています。2 KYB㈱は、2023年10月1日付けで、カヤバ㈱に社名変更しています。3 「―」は、当該銘柄を保有していないことを示しています。4 当事業年度については、特定投資株式の住友電気工業㈱以下の銘柄は、貸借対照表計上額が資本金額の100分の1以下でありますが、特定投資株式とみなし保有株式を合わせて60銘柄に満たないため、全銘柄を記載しています。 みなし保有株式 銘柄(注)1当事業年度前事業年度保有目的、業務提携等の概要、定量的な保有効果(注)2及び株式数が増加した理由当社の株式の保有の有無株式数(株)株式数(株)貸借対照表計上額(百万円)貸借対照表計上額(百万円)三井物産㈱ 6,000,6406,000,640退職給付信託に拠出、議決権行使の指図権は留保有42,64124,699㈱ブリヂストン3,988,6743,988,674退職給付信託に拠出、議決権行使の指図権は留保有26,54921,407パナソニック ホールディングス㈱11,901,23011,901,230退職給付信託に拠出、議決権行使の指図権は留保有17,20314,067㈱三井住友フィナンシャルグループ1,486,4001,486,400退職給付信託に拠出、議決権行使の指図権は留保有13,2427,875住友商事㈱3,352,1753,352,175退職給付信託に拠出、議決権行使の指図権は留保有12,2427,847㈱三菱UFJフィナンシャル・グループ4,608,5404,608,540退職給付信託に拠出、議決権行使の指図権は留保有7,1753,908AGC㈱1,000,0001,000,000退職給付信託に拠出、議決権行使の指図権は留保有5,5284,925住友ゴム工業㈱2,757,5002,757,500退職給付信託に拠出、議決権行使の指図権は留保有5,1793,298日本発条㈱2,650,9572,650,957退職給付信託に拠出、議決権行使の指図権は留保有3,9682,510㈱百五銀行3,986,5953,986,595退職給付信託に拠出、議決権行使の指図権は留保有2,5871,479東海東京フィナンシャル・ホールディングス㈱3,461,0003,461,000退職給付信託に拠出、議決権行使の指図権は留保有2,1081,267㈱名古屋銀行310,900584,400退職給付信託に拠出、議決権行使の指図権は留保有2,0711,844岡谷鋼機㈱98,00098,000退職給付信託に拠出、議決権行使の指図権は留保有1,6571,016㈱十六フィナンシャルグループ261,636392,436退職給付信託に拠出、議決権行使の指図権は留保有1,2531,108㈱大垣共立銀行547,250547,250退職給付信託に拠出、議決権行使の指図権は留保有1,195977㈱神戸製鋼所206,000206,000退職給付信託に拠出、議決権行使の指図権は留保有424217大豊工業㈱12,27912,279当社の関連会社に該当退職給付信託に拠出、議決権行使の指図権は留保有128㈱御園座5,0005,000退職給付信託に拠出、議決権行使の指図権は留保無99 銘柄(注)1当事業年度前事業年度保有目的、業務提携等の概要、定量的な保有効果(注)2及び株式数が増加した理由当社の株式の保有の有無株式数(株)株式数(株)貸借対照表計上額(百万円)貸借対照表計上額(百万円)三井住友トラスト・ホールディングス㈱(注)3―2,019,872―有―9,172日本精工㈱(注)3―10,709,600―無―8,096住友不動産㈱(注)3―1,731,500―有―5,163横浜ゴム㈱(注)3―1,467,506―有―4,105 (注)1 貸借対照表計上額の上位銘柄を選定する段階で、特定投資株式とみなし保有株式を合算していません。2 各銘柄の定量的な保有効果の記載は困難ですが、当社では、保有の合理性について、特定の期日を基準とすることなく、中長期的な観点でみなし保有株式の見直しを行い、必要な対応を実施しています。3 「―」は、当該銘柄を保有していないことを示しています。 ③ 保有目的が純投資目的である投資株式 該当事項はありません。 ④ 当事業年度中に投資株式の保有目的を純投資目的から純投資目的以外の目的に変更したもの 該当事項はありません。 |
株式数が増加した銘柄数、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 1 |
株式数が減少した銘柄数、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 15 |
銘柄数、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 84 |
貸借対照表計上額、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 124,022,000,000 |
銘柄数、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 40 |
貸借対照表計上額、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 3,508,688,000,000 |
株式数の増加に係る取得価額の合計額、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 2,763,000,000 |
株式数の減少に係る売却価額の合計額、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 325,919,000,000 |
株式数、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社 | 702,127 |
貸借対照表計上額、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社 | 59,140,000,000 |