財務諸表
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提出書類、表紙 | 有価証券報告書 |
提出日、表紙 | 2024-06-25 |
英訳名、表紙 | WACOAL HOLDINGS CORP. |
代表者の役職氏名、表紙 | 代表取締役 社長執行役員 矢島 昌明 |
本店の所在の場所、表紙 | 京都市南区吉祥院中島町29番地 |
電話番号、本店の所在の場所、表紙 | 京都(075)682局1007番 |
様式、DEI | 第三号様式 |
会計基準、DEI | IFRS |
連結決算の有無、DEI | true |
当会計期間の種類、DEI | FY |
corp
沿革 | 2【沿革】 1946年6月創業者故塚本幸一が、個人で和江商事を創業1949年11月資本金1百万円をもって和江商事株式会社を設立(京都市中京区)1951年6月本社を京都市中京区室町通姉小路上ルに移転、工場開設、自家製造に着手1957年11月商号をワコール株式会社と改称1959年11月国内縫製子会社として東海ワコール縫製㈱を設立、以降、国内縫製子会社7社設立1964年6月商号を株式会社ワコールと改称1964年9月東京・大阪証券取引所市場第二部及び京都証券取引所に上場1970年8月韓国に合弁会社、㈱韓国ワコール設立1970年10月タイに合弁会社、THAI WACOAL CO., LTD.(現 THAI WACOAL PUBLIC CO., LTD.)設立1970年10月台湾に合弁会社、台湾華歌爾股份有限公司設立1971年1月東京・大阪証券取引所市場第一部に指定上場1978年4月シンガポール営業所(現 WACOAL SINGAPORE PRIVATE LTD.)開設1979年8月第三者割当増資により㈱トリーカの株式を子会社株式として取得1981年6月アメリカ合衆国に現地法人、WACOAL AMERICA, INC.(現 WACOAL INTERNATIONAL CORP.)設立1982年3月第三者割当増資により㈱七彩の株式を子会社株式として取得1983年2月香港に現地法人、WACOAL HONG KONG CO., LTD.設立1983年12月米国法人ティーンフォーム社グループ(現 WACOAL AMERICA, INC.)の全株式取得1986年1月中国に合弁会社、北京華歌爾服装有限公司(現 華歌爾(中国)時装有限公司)設立1989年4月フィリピンに合弁会社、PHILIPPINE WACOAL CORP.設立1990年1月フランスに現地法人、WACOAL FRANCE S.A.(現 WACOAL EUROPE SAS)設立1991年1月インドネシアに合弁会社、INDONESIA WACOAL CO., LTD.(現 PT.INDONESIA WACOAL)設立1993年4月㈱韓国ワコールの合弁契約を解消し、韓国の㈱新栄(現 ㈱新栄ワコール)に出資1995年1月中国に現地法人、廣東華歌爾時装有限公司設立1997年6月ベトナムに現地法人、VIETNAM WACOAL CORP.設立2000年12月北京華歌爾服装有限公司(現 華歌爾(中国)時装有限公司)の合弁契約を解消し、100%子会社へ改組2003年5月マレーシアに合弁会社、WACOAL MALAYSIA SDN BHD設立2003年8月中国に現地法人、大連華歌爾時装有限公司設立2005年10月持株会社体制への移行に伴い商号を株式会社ワコールホールディングスに改称 新設会社分割により株式会社ワコールを設立2008年1月㈱ピーチ・ジョンを株式交換により100%子会社化2009年8月㈱ルシアンを株式交換により100%子会社化2012年4月EVEDEN GROUP LIMITED(現 WACOAL EUROPE LTD.)の発行済株式の全株式を取得したことにより100%子会社化2016年1月タイに合弁会社、A TECH TEXTILE CO.,LTD.他1社設立2019年7月INTIMATES ONLINE, INC.の発行済株式の全株式を取得したことにより100%子会社化2022年4月東京証券取引所の市場区分の見直しにより、東京証券取引所の市場第一部からプライム市場に移行 |
事業の内容 | 3【事業の内容】 当社の企業集団は、持株会社(当社)1社、子会社49社及び関連会社8社で構成され、インナーウェア(主にファンデーション、ランジェリー及びナイトウェア)、アウターウェア、スポーツウェア、その他の繊維製品及び関連製品の製造、卸売販売及び製品の消費者への小売を主な事業としており、更にその他の事業として、飲食・文化・サービス及び内装工事等の事業を展開しております。 なお、当社は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。 当社グループの事業に関わる位置付け及びセグメントとの関連は、次のとおりであります。(1)ワコール事業(国内) ワコール事業(国内)に属する会社は、当社及び国内子会社8社であります。国内子会社のうち㈱ワコールは、上記製品の企画・デザインと原材料調達を行い、国内外の縫製会社及びその他の協力工場から仕入れた半製品の検査を経て製品化し、国内百貨店、量販店及びその他一般小売店、また直営店舗、Eコマース(EC)サイトや国内外の販売会社を通じて、それぞれ最終消費者へ供給しております。縫製会社は㈱ワコールマニュファクチャリングジャパン等2社あり、いずれも㈱ワコールから原材料の供給を受けてインナーウェア、スポーツウェアの縫製加工を行い、半製品を㈱ワコールへ納入しております。販売会社は㈱ウンナナクール、㈱ランジェノエルがあり、主としてインナーウェア、アウターウェアの製品の小売販売を行っております。(2)ワコール事業(海外) ワコール事業(海外)に属する会社は、海外子会社及び関連会社併せて36社であります。海外子会社は北中米地区に8社、欧州地区に6社、アジア・オセアニア地区に16社、計30社あります。海外関連会社はアジア地区に6社あります。北中米地区の子会社8社のうちWACOAL DOMINICANA CORP.はインナーウェアの縫製会社で、製品を米国の製造・販売会社であるWACOAL AMERICA,INC.に納入しており、WACOAL AMERICA,INC.はこれら製品を現地の百貨店、専門小売店及びECサイトを通じて最終消費者へ供給しております。また、販売会社であるEVEDEN INC.は主としてWACOAL LANKA(PRIVATE) LTD.、WACOAL EMEA LTD.から供給を受けたインナーウェア等の製品を販売しております。欧州地区の子会社6社のうちWACOAL EMEA LTD.は主としてWACOAL LANKA(PRIVATE) LTD.から供給を受けたインナーウェア等の製品を主に英国の百貨店、専門小売店等を通じて最終消費者へ販売しております。アジア・オセアニア地区の子会社2社と関連会社4社は、製造・販売会社で、製品をそれぞれ現地の百貨店、専門小売店等を通じて最終消費者へ供給するとともに、一部を㈱ワコール及びアジアの販売会社に供給しております。販売会社は、WACOAL SINGAPORE PRIVATE LTD.、EVEDEN ISRAEL LTD.等子会社6社と関連会社1社であり、主としてグループ内より供給を受けたインナーウェアの製品をそれぞれ現地の百貨店、専門小売店、直営店舗を通じて最終消費者へ供給しております。残り8社の子会社のうち、4社はインナーウェアの縫製会社で、2社は原材料製造会社、1社はアジア地区における子会社・関連会社向けの材料調達等、1社は投資会社で現地のインナーウェア等の製造・販売子会社及び関連会社への投資をしております。(3)ピーチ・ジョン事業 ピーチ・ジョン事業に属する会社は、国内子会社及び海外子会社併せて3社であります。国内子会社1社、海外子会社2社は、すべて販売会社であり、㈱ピーチ・ジョンは主にグループ外から独自に供給を受けた製品の小売販売を行っております。(4)その他 その他に属する会社は、国内子会社5社、海外子会社3社、国内関連会社1社及び海外関連会社1社併せて10社であります。国内子会社5社のうち、㈱七彩はマネキン人形等の製造販売・レンタル及び内装工事関係事業を行っており、㈱ルシアンは婦人インナー、レース、手芸用品等の製造、卸売販売を行っております。残り3社は販売会社、その他の繊維関連及び不動産賃貸業、その他の事業を行っております。海外子会社は、アジア地区に3社あります。アジア地区のうち2社は縫製会社であり、残り1社は、その他繊維関連事業を行っております。 以上の子会社及び関連会社の概要を図で示すと次頁のとおりであります。 無印:連結子会社 ※ :持分法適用会社 |
関係会社の状況 | 4【関係会社の状況】 名称住所資本金(百万円)主要な事業の内容議決権の所有又は被所有割合(%)関係内容役員の兼任等のうち当社役員(人)設備の賃貸借(連結子会社) ※1・※5㈱ワコール京都市南区5,000ワコール事業(国内)(インナーウェア等製品の研究開発・製品企画,販売)1002事業所用建物賃貸㈱ピーチ・ジョン東京都港区90ピーチ・ジョン事業(インナーウェア製品の製品企画,販売)1002-㈱ルシアン京都市南区90その他(インナーウェア等製品の製品企画,販売)1002事業所用・倉庫用建物賃貸㈱ワコールマニュファクチャリングジャパン長崎県雲仙市70ワコール事業(国内)(インナーウェア等製品の受託製造)100(100)1事業所用建物賃貸㈱トリーカ大阪府茨木市92同上60(60)1-㈱七彩京都市南区90その他(マネキンレンタル,店舗設計・施工)992事業所用建物賃貸※1WACOAL INTERNATIONAL CORP.米国ニューヨーク州20,000千US$ワコール事業(海外)(米国持株会社)100(100)2-WACOAL AMERICA, INC.米国ニューヨーク州2,062千US$ワコール事業(海外)(インナーウェア製品の製品企画,販売)100(100)--WACOAL DOMINICANA CORP.ドミニカ共和国サントドミンゴ市20千US$ワコール事業(海外)(インナーウェア製品の受託製造)100(100)--WACOAL EUROPE LTD.英国ノーサンプトンシャー州175千GBPワコール事業(海外)(持株会社)1002-WACOAL EMEA LTD.英国ノーサンプトンシャー州250千GBPワコール事業(海外)(インナーウェア製品の製品企画,販売)100(100)--WACOAL EUROPE SAS.フランスサンドニ市8千EURワコール事業(海外)(インナーウェア製品の販売)100(100)--WACOAL HONG KONG CO., LTD.香港3,000千HK$同上80(80)1-※1WACOAL INTERNATIONAL HONG KONGCO., LTD.香港373,690千HK$ワコール事業(海外)(インナーウェア製品及び原材料調達)100(100)2-VIETNAM WACOAL CORP.ベトナムビエンホア市54,604百万VNDワコール事業(海外)(インナーウェア製品の受託製造,販売)100(100)1-和江留投資股份有限公司台湾台北市59,000千NT$ワコール事業(海外)(台湾持株会社)100(100)2-廣東華歌爾時装有限公司中国広州市17,730千RMBワコール事業(海外)(インナーウェア製品の受託製造)100(100)1-※1華歌爾(中国)時装有限公司中国北京市189,364千RMBワコール事業(海外)(インナーウェア製品の製品企画,販売)100(100)1-※1A TECH TEXTILE CO., LTD.タイバンコク市1,000百万THBワコール事業(海外)(原材料の製造)54(54)1-その他30社 (持分法適用関連会社) THAI WACOAL PUBLIC CO., LTD.タイバンコク市120百万THBワコール事業(海外)(インナーウェア製品の製品企画,製造,販売)34(34)2-PT.INDONESIA WACOALインドネシアボゴール市2,500百万IDR同上42(42)1-㈱新栄ワコール韓国ソウル市4,500百万WON同上251-台湾華歌爾股份有限公司台湾桃園市800百万NT$同上50(50)2-※4㈱ハウス オブ ローゼ東京都港区934その他(化粧品・ヘアケア製品等の開発,販売)211-その他3社 (注)※1.㈱ワコール、WACOAL INTERNATIONAL CORP.、WACOAL INTERNATIONAL HONG KONG CO., LTD.、華歌爾(中国)時装有限公司及びA TECH TEXTILE CO., LTD.は特定子会社に該当しております。2.「議決権の所有又は被所有割合」欄の(内書)は間接所有であります。3.「主要な事業の内容」欄には、報告セグメントの名称を記載しております。※4.有価証券報告書の提出会社であります。※5.㈱ワコールについては、売上収益(連結会社相互間の内部売上収益を除く)の連結売上収益に占める割合が10%を超えております。主要な損益情報等<日本基準>① 売上高90,666百万円 ② 経常利益4,838 〃 ③ 当期純利益8,883 〃 ④ 純資産額107,367 〃 ⑤ 総資産額141,034 〃 |
従業員の状況 | 5【従業員の状況】 (1)連結会社の状況 2024年3月31日現在セグメントの名称従業員数(人)ワコール事業(国内)5,880[201]ワコール事業(海外)10,176[37]ピーチ・ジョン事業402[30]その他950[80]合計17,408[348](注)1.従業員数は就業人員(当社グループからグループ外への出向者を除き、グループ外から当社グループへの出向者を含みます。)であり、臨時従業員数は[ ]内に当連結会計年度の平均人員を外書で記載しております。2.臨時従業員にはアルバイト・パートタイマー等の3ヶ月程度の雇用者を含めております。 (2)提出会社の状況 2024年3月31日現在従業員数(人)平均年齢(歳)平均勤続年数(年)平均年間給与(円)9846.019.25,762,700(注)1.従業員数は、就業人員を記載しております。2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。3.当社の従業員は、全てワコール事業(国内)に属しております。(3)労働組合の状況 提出会社の従業員は、㈱ワコールからの出向者にて構成されております。㈱ワコールには、ワコール労働組合が組織されており、全国繊維化学食品流通サービス一般労働組合同盟に属しております。 また、一部の子会社においてはそれぞれ、労働組合が組織されております。 なお、労使関係は、極めて安定しており、特記すべき事項はありません。 (4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異①提出会社当事業年度管理職に占める女性労働者の割合(%) (注)1男性労働者の育児休業取得率(%) (注)2労働者の男女の賃金の差異(%)(注)1全労働者正規雇用労働者パート・有期労働者27.650.059.462.161.9(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。3.パート・有期労働者は、契約社員と定年後再雇用者であります。 ②連結子会社当事業年度補足説明名称管理職に占める女性労働者の割合 (%)(注)1男性労働者の育児休業取得率 (%)(注)2労働者の男女の賃金の差異(%)(注)1全労働者正規雇用労働者パート・有期労働者㈱ワコール32.266.749.250.060.2(注)3、4㈱ピーチ・ジョン68.1-24.453.7- ㈱ルシアン10.00.075.379.1- ㈱ワコールマニュファクチャリングジャパン0.02.376.974.997.9 ㈱トリーカ20.00.060.158.291.9 ㈱七彩12.00.069.465.8105.0 ワコール流通㈱0.0-47.381.488.7 ㈱ワコールキャリアサービス33.30.084.688.2- ㈱ワコールアートセンター57.1-54.154.8- ㈱Ai55.6-52.275.167.1 (注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。3.女性活躍推進法による公表数値に合わせるため、各指標について㈱ワコールに提出会社を含めた数値を開示しております。4.㈱ワコールの正規雇用労働者のうち「管理職」、「総合職」、「販売職」の「労働者の男女の賃金の差異」は以下のとおりであります。なお、「労働者の男女の賃金の差異」の詳細については、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3)人的資本」に記載しております。 全正規雇用労働者うち管理職うち総合職うち販売職㈱ワコール50.0%93.2%70.0%- |
経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 | 1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。これらの将来予測には、不確定な変動要素が含まれており、実際の成果や業績などは、記載の見通しとは異なる可能性があります。 (1) グループ経営理念 ワコールグループは、純粋持株会社である当社のもと、日本、米国、欧州、中国、東南アジアを中心に、インナーウェア事業などを展開し、従前より「人々の美しさに貢献することで、広く社会に寄与する」ことを目指して活動を続けてきました。そして、2022年には、「世界中のあらゆる人々の豊かな生活に貢献する」こと、「画一的な外見美ではなく、内面も含めた自分らしさの実現をお手伝いする」こと、「環境や人権などさまざまな社会課題の解決に努める」ことを目指し、現代社会において私たちが果たすべき社会的使命「ミッション」を定義しました。この「ミッション」ならびに、70年を超える歴史の中で受け継いできた「創業の精神」をよりどころとして、各事業会社が複雑化・多様化する社会課題への取り組みを将来の「成長機会」として捉え、事業を通じて「社会課題の解決」と「持続的成長」の両立を目指す「サステナビリティ経営」を推進することで、企業価値の向上に努めていきます。 また、私たちの事業活動は、一人ひとりのお客さまの声に耳を傾け、謙虚に自らを変革し、人と人とが互いに信頼し合う「相互信頼」を積み重ねることで成り立っております。企業経営の透明性を高めることに継続して取り組み、公正性、独立性を確保することを通じて、「株主」「顧客」「従業員」「取引先」「地域社会」などすべてのステークホルダーとの「相互信頼」の関係を構築することで、社会になくてはならない存在を目指していきます。 ミッション ひとりひとりが 自分らしく美しく いられるように世の中が 自信と思いやりに あふれるようにからだに こころにいちばん近いところで 寄り添い続けます からだのここちよさ、こころの美しさ。それはまるで引力のように、自分と社会とを結びつけてくれる。ありたい自分を知り、一歩ずつ近づくこと。そこで生まれた自信は、多様な人々を受け入れる優しさを育む。その優しさは、やがて社会や地球へも広がり、思いやりあふれる豊かな未来へとつながっていく。からだに こころに いちばん近いところで、一人ひとりの輝きに寄り添い続けてきたワコールだから。変化に挑み、成長を続けることで、世界を美しくする力になれる。私たちは、そう信じています。 グローバル・コーポレートメッセージComfortable inside. Confident outside. ※「グローバル・コーポレートメッセージ」は、ワコールグループ共通のコミュニケーションメッセージです。詳しくは、当社企業情報サイトの「ワコールグループについて」をご覧ください。https://www.wacoalholdings.jp/group/ 創業の精神 目標世の女性に美しくなって貰う事によって広く社会に寄与する事こそわが社の理想であり目標であります 社是わが社は 相互信頼を基調とした格調の高い社風を確立し一丸となって 世界のワコールを目指し不断の前進を続けよう 経営の基本方針1. 愛される商品を作ります2. 時代の要求する新製品を開発します3. 大いなる将来を考え正々堂々と営業します4. より良きワコールはより良き社員によって造られます5. 失敗を恐れず成功を自惚れません 役員・従業員の行動指針(アクション) 「誰かの幸せを想おう」顧客、取引先、ともに働く社員など、周囲の人の幸せを考えられているだろうか「好奇心を持って、五感を使い観察しよう」最近、新たな発見や気づきはあっただろうか「なぜ?何のために?を考えよう」真意や根本原因を理解できているだろうか「異なる意見を尊重しよう」謙虚に人の意見に耳を傾け、忖度抜きで、建設的に議論をしているだろうか「未来志向で判断しよう」目先の結果だけではなく、豊かな未来の実現のために行動しているだろうか「まずやってみよう」リスクを恐れて立ち止まっていないだろうか 挑戦する人を応援しているだろうか「仲間と力を合わせよう」大きな成果を生むために、仲間と切磋琢磨し、共創できているだろうか「誠実に、責任を持ち行動しよう」相手に感謝を伝えているだろうか 人のせいにしていないだろうか (2) 中長期経営戦略フレーム「VISION 2030」①策定背景 当社グループは、経営理念の実践に向けて、自社が抱える事業課題やお客さまの価値観、社会・環境の変化を見据えつつ、長期的なゴールからのバックキャスティングにより、2030年に向けたグループの将来ビジョンを示す「VISION 2030」を策定しました。「VISION 2030」では、「高い感性と品質で、ひとりひとりのからだとこころに、美しさと豊かさを提供し、『世界のワコールグループ』として進化・成長する」ことを中長期的に目指す姿として掲げ、「国内の収益性向上と事業領域拡大」「海外事業の拡大と高収益構造への変革」「グループ経営力の強化」「資本効率の高い経営への転換」に取り組むことで、持続的な成長と企業価値の向上を実現します。 ②全体像目指す姿:高い感性と品質で、ひとりひとりのからだとこころに、美しさと豊かさを提供し、『世界のワコールグループ』として進化・成長する 『世界のワコールグループ』の定義・グループの商品・サービスや社会的課題に係る取組みが、全てのステークホルダーから高い信頼を得ている・グループの人材、資産、ノウハウ、ネットワークを最大限活用し、世界的規模で競争優位性のある事業展開を行っている・革新的且つ高品質な商品・サービスで、新たな顧客体験を創造し続け、世界中のお客さまの生活を豊かに美しくし続けている・全世界の従業員がグループの目標、使命を理解し、その実現に向け、常識や過去にとらわれずに挑戦している 事業領域:「美」「快適」「健康」領域を、「高い感性と品質」で支えられた新たな商品・サービスで深耕・拡大していく実行方針:以下の重点戦略を実行し、事業の拡大や収益性の向上、経営基盤の強化などに取り組み、社会課題の解決と持続的成長の両立を目指すサステナビリティ経営を推進する 主要指標(2031年3月期):売上収益2,700億円(うち、海外事業売上比率40%)(参考)非連結合弁会社含むグループ売上高3,400億円営業利益(営業利益率)270億円(10%)ROE10% 重点戦略:重点戦略マテリアリティ(重要課題)サステナビリティ経営の推進国内の収益性向上と事業領域拡大国内における着実な成長と、健康領域での新規事業創出・CX戦略の推進を通じた国内市場シェアの回復・「美・快適・健康」分野における事業領域の拡大海外事業の拡大と高収益構造への変革既存進出エリアの拡大維持と、欧州やインド市場での成長・デジタルマーケティングの強化による新規顧客の獲得・CRM強化による既存顧客のロイヤル化・新規市場におけるブランド投資の強化グループ経営力の強化グループガバナンスの強化、多様性のある人材育成と活用国内外の技術・生産・R&D拠点の整備・品質基準の再定義、縫製工場のスマートファクトリー化、生産・輸送効率の追求資本効率の高い経営への転換資本コストを上回るROEの創出ステークホルダーへの価値配分の最適化・ROE10%、資本構成の最適化への取り組み (3) 中期経営計画(リバイズ)(2024年3月期~2026年3月期)①策定背景 当社グループは、2023年3月期の実績が大幅な計画未達となったことを受け、中期経営計画の見直し(以下、中計リバイズ)を行い、2023年11月に公表しました。中計リバイズでは「収益力の改善に向けたビジネスモデル改革」「「VISION2030」達成に向けた成長戦略」「ROICマネジメントの導入」「アセットライト化の推進」を実行し、サプライチェーンマネジメントの再構築や管理基盤の強化を進め、収益力や資本効率の改善と戦略の実効性の向上を図っていきます。また、従業員の挑戦と成長を後押しすることで、お客さまの“自分らしさ”に貢献できる商品やサービスを継続的に提供できるワコールグループへの進化を目指します。 ②全体像基本方針:「VISION2030」の達成確度の向上に向けて、キャッシュを着実に創出できる体質への転換をおこなう重点戦略:収益力や資本効率の改善と向上に努め、持続的な企業価値の向上に向けて必要な成長投資とステークホルダーの皆さまへの還元を継続できる企業へと進化する ビジネスモデル改革ビジネスモデル改革(サプライチェーンマネジメント改革、コスト構造改革)を実行し、基礎収益力を回復 サプライチェーンマネジメント改革・顧客ニーズや市場環境の変化に迅速に対応できるように、㈱ワコールのサプライチェーンマネジメント(SCM)改革を実施・デジタルを活用して顧客起点で需要連動型のSCMを構築するとともに、選択と集中を徹底し、コスト構造を最適化コスト構造改革・㈱ワコールの基礎収益力の回復を図るため、抜本的なコスト構造改革を実行不採算事業の対処・それぞれの事業ごとに将来の在るべき姿を検証し、事業継続や売却・撤退などのアクションプランを決定成長戦略デジタルの力と自社の強みを活用したブランド戦略と顧客戦略を遂行し、次の成長へつなげる 国内事業:・顧客ニーズの多様化に合わせて、お客さま一人ひとりの「自分らしい美・快適・健康」に貢献顧客戦略蓄積されたデジタル資産の活用によりパーソナライズされた顧客体験を通じて、LTV向上を目指すブランド戦略顧客起点でのブランドマネジメントにより、提供価値の明確な魅力溢れるブランドを育成する注力セグメントインナー事業は市場セグメントに応じた戦略を強化する(ハイプレミアム市場・アフォーダブル市場を強化)強みを活かしてスポーツ・健康事業を強化し、市場機会を最大化する注力チャネル自社EC・他社EC・直営店に対して、チャネル強化施策を実行していく 海外事業:・不透明な事業環境下において、まずは経営基盤の整備に取り組み、次期中期経営計画に向けた成長戦略を実行ブランド戦略中国・アジア圏:市場分析をもとにした新製品の開発・販売による新規顧客との接点拡大欧米:顧客の多様な価値観に応えるためのブランド戦略を推進EC成長に向けた取り組み自社EC:会員プログラムなど独自コンテンツの充実、実店舗との連携強化他社EC:戦略的にECマーケットプレイスとの連携を強化新興エリアの開拓ドイツ、フランス、インドなど成長余地を有する地域における成長戦略を策定・推進 ROICマネジメント導入資本効率性を高め、筋肉質な企業体質を実現するためにROICマネジメントを導入・ポートフォリオマネジメントに加え 、成果を的確に測定するパフォーマンスマネジメントの手段としても活用し、現場の改善活動と投資家をはじめとするステークホルダーが期待する収益力・資本効率の改善を定量的に結び付けるアセットライト化の推進資産・資本効率の向上に向けて、企業価値向上に寄与しない資産については、売却することを基本方針とする・売却に際しては、事業成長に寄与する投資機会の探索を行うこととし、ROICの観点から投資すべき事業を判断棚卸資産(在庫)の圧縮ビジネスモデル改革(サプライチェーンマネジメント改革とコスト構造改革)を通じた在庫低減不採算ブランドの撤退・統合に伴って発生する在庫を適切な方法で処分政策保有株式の縮減売却合意できた先から順次売却保有不動産の整理企業価値向上に寄与しない不動産については、基本方針に沿って売却を検討 主要指標(2026年3月期): 中計リバイズではビジネスモデル改革と成長戦略の実行により、顧客変化への対応力と収益力の強化を図りつつ、資本効率の改善に努めることで、最終年度となる2026年3月においてROE7%水準ならびにPBR1倍超の達成を目指しております。 なお、資本効率性の改善を図り、筋肉質な企業体質を実現するために、当社グループではROICマネジメントの導入を決定しております。全社としての財務目標管理として活用するだけでなく、成果を的確に測定するパフォーマンスマネジメントの手段としても活用し、現場の改善活動と投資家をはじめとするステークホルダーが期待する収益力・資本効率の改善を定量的に結び付けてまいります。 売上収益2,030億円営業利益(営業利益率)130億円(6.4%)ROE7%ROIC6%~7%EPS200円以上 棚卸資産(在庫)・㈱ワコール:2026/3期の在庫回転率2.5回転政策保有株式・約300億円の政策保有株式を売却(2026/3期までに純資産の10%未満に縮減)保有不動産・企業価値向上に寄与しない不動産については、基本方針に沿って売却を検討 財務方針:1.ビジネスモデル改革と成長戦略を通じた収益力の改善を最優先課題として取り組むと同時に、棚卸資産(在庫)の圧縮や政策保有株式の縮減、保有不動産の整理を進めることで、資本効率を改善しROE向上を実現2.将来成長への投資を優先すると同時に、資本効率の改善に向けて積極的な株主還元を実施 配当方針: 当社は、株主の皆さまへの利益配分について、収益力向上のための積極的な投資による企業価値の向上を図りながら、1株当たり当期純利益(EPS)の増加を図るとともに、連結業績を考慮しつつ安定的な配当を実施させていただくことを基本方針としております。 キャッシュ・フロー・アロケーション(2024年3月期~2026年3月期): 中計リバイズ期間においては、構造改革による収益力の向上に努めるとともに、棚卸資産の圧縮や政策保有株式の縮減、保有不動産の整理を進めていきます。また、それにより創出したキャッシュについては、成長投資を優先しつつ、資本効率の向上に向けて、積極的な株主還元を実施する方針です。事業戦略と財務戦略の両面でROEやROIC目標の達成に向けて取り組んでまいります。 キャッシュイン純利益(減損損失除く)100億円減価償却費(リース負債除く)200億円アセットライト化・デットの活用800億円3カ年 創出キャッシュ 約1,100億円キャッシュアウト新規・既存事業への投資400億円配当還元150億円自己株式の取得550億円 ③「VISION2030」における中計リバイズの位置づけ 中計リバイズ期間は、「VISION2030」の達成に向けた改革期と位置付けており、計画に則った各施策を着実に実行することで、収益性と資本効率の改善を図る計画です。また、次期中期経営計画以降については、「萌芽期・成長期」と位置付けており、この中計リバイズで実施する改革の成果を刈り取るほか、次の成長に向けた投資を積極的に実施してまいります。中計リバイズの実施を通して、経営の実効性を高めることで、「VISION2030」目標への達成確度を向上させていきます。 ④資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応 当社グループは、2023年11月9日に公表した中計リバイズのもと、「企業価値向上に向けた取り組み」を推進してまいります。企業価値向上(PBR向上)に向けて、中計リバイズで掲げた諸施策の着実な実行により資本コスト(6%程度)を上回る「ROEの向上」と「継続的・将来的な成長期待によるPERの向上」を実現し、中期的にはROE10%以上を達成することを目標としております。 なお、東京証券取引所からの「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」の開示要請に即し、資本効率の向上に向けた取り組み、及び2026年3月期のROE、ROICをはじめとする目標値については、以下のとおり、当社ホームページに公表しております。https://www.wacoalholdings.jp/ir/management/mid_term_plan/https://www.wacoalholdings.jp/ir/library/strategy/files/wacoalpresentation20231109_2.pdf ⑤2025年3月期の方針 2025年3月期については、2023年11月に改訂した3カ年の中計リバイズに沿って、「キャッシュを着実に創出できる体質への転換」をテーマに「収益力の改善に向けたビジネスモデル改革」、「“VISION2030”達成に向けた成長戦略」、「ROICマネジメントの導入」、「アセットライト化の推進」の取り組みを進めております。 国内事業においては、基礎収益力の回復を優先課題として設定し、コスト構造改革を加速いたします。なお、継続的な円安の影響により原材料をはじめとするコスト高騰が今後も見込まれるため、価格改定や原価低減に関する追加対策を検討・実施することで、これらの影響の最小化に努めます。加えて、顧客ニーズや市場環境の変化に迅速に対応し、お客さまの“自分らしさ”に貢献できる商品やサービスを継続的に提供できる企業へ進化すべく、サプライチェーンの見直しや業績管理体制の強化の取り組みを進めてまいります。 海外事業については、地政学リスクや物価上昇の継続、それに伴う金融引き締め等による景気減速リスクから、不安定な事業環境が長期化するものと想定しております。そのため、主要各社ともに経営基盤の整備に取り組みつつ、EC成長の実現に向けてデジタルを活用した顧客接点の拡大への取り組みを継続する考えです。 なお、2024年5月15日に開示した「連結子会社の異動(株式譲渡)に関するお知らせ(※)」のとおり、㈱七彩は株式譲渡に伴い当社の連結範囲から除外されることとなります。本件株式譲渡による影響につきましては、2025年3月期通期連結業績予想に織り込み済みです。 以上の取り組みにより、2025年3月期の連結業績は、売上収益1,830億円、営業利益20億円、税引前当期利益38億円、親会社の所有者に帰属する当期利益32億円を見込んでおります。売上収益は、為替影響による押し上げ効果があるものの、ワコールにおける構造改革(品番集約や赤字店舗の撤退)の影響や七彩の株式譲渡により、減収を計画しております。営業利益は、成長戦略の実施に伴う増収効果に加え、前期のIntimates Online, Inc.(以下、IO社)の事業撤退・清算に伴うワコールインターナショナル(米国)に係るのれんの減損損失と、ワコールの構造改革費用の裏返しにより、20億円となる見込みです。 年間の主要な為替レートは、1米ドル=145.00円、1英ポンド=191.00円、1中国元=21.00円として計画を策定しております。 ※ 2024年5月15日付「連結子会社の異動(株式譲渡)に関するお知らせ」 https://www.wacoalholdings.jp/ir/topics/files/wacoalholdingsnews20240515_6.pdf 主要指標(2025年3月期):売上収益1,830億円営業利益(営業利益率)20億円(1.1%)ROE1~2.0%ROIC1~2.0%EPS60円 棚卸資産(在庫)・㈱ワコール:2025/3期の在庫回転率2.28回転政策保有株式・約200億円の政策保有株式を売却保有不動産・企業価値向上に寄与しない不動産については、基本方針に沿って売却を検討 (4) 会社の対処すべき課題当社グループの対処すべき課題は以下のとおりです。 ①国内:多様化する顧客ニーズや短期化するトレンドに対応できるビジネスモデルへの転換 多様化する顧客ニーズや短期化するトレンドに対応できるビジネスモデルへ変革し、漸減傾向が続くトップラインの回復・拡大と収益力の回復を図ります。これまでの画一的な商品構成や新商品の納品スタイルを見直し、売れ筋を確実に店頭に届ける仕組みへの変革を進め、売上機会ロスの低減に努めます。また従来の一括生産の方式から、店頭の需要状況に合わせた生産方式に変更することで、売れ筋商品の充足率の改善につなげてまいります。商品の企画・開発においては、既存パターンの活用や企画開発会議等の業務プロセスの見直しにより、開発から納品までのリードタイムを短縮し、顧客ニーズを捉えた商品の投入スピードを速めることで販売活動の改善につなげてまいります。 ②国内:デジタルの力と自社の強みを活用した“ブランド戦略”と“顧客戦略”の実行 お客さまの“自分らしさ”に貢献できる商品やサービスを継続的に提供できる企業へ進化すべく、徹底した「顧客起点」でのブランドマネジメントを実行し、提供価値の明確な魅力溢れるブランドを育成します。またお客さまとの深く広く長い関係性を構築し、最適な顧客体験を提供するために、顧客起点のDXを推進します。顧客起点のDXについては、購買データに加え、「顧客の声」や「販売員の接客知見」についてもデジタルを活用して分析し、それを顧客体験の提供に活かしてまいります。さらに販売員によるコンサルティングサービスに加え、3D計測サービスやアプリを活用し、リアルとオンラインで一貫した満足度の高い顧客体験の提供を行うほか、販売員がオンライン上で商品レビューを行うなど、お客さまの体験向上に向けた取り組みを様々な角度から進めてまいります。 ③海外:次期中期経営計画に向けた成長戦略の実行 欧米については、顧客の多様な価値観に応えるための商品戦略を推進するとともに、引き続きEC成長の実現に向けてデジタルを活用した顧客接点の拡大、販売エリア・チャネルの拡大への取り組みを推進してまいります。また、中国については感染症に対する行動規制は緩和されたものの、感染症の経験を通して変化した消費者ニーズや消費行動への対応が不十分であり、収益の回復が遅れております。事業の選択と集中に取り組むことで成長軌道への回帰を実現すると同時に、コスト構造改革を実施し、事業効率を高めてまいります。 ④ガバナンス:経営管理基盤の強化を通じた収益力と資本効率の改善 資本効率性の改善を図り、筋肉質な企業体質を実現するために、当社グループではROICマネジメントの導入を決定しております。ROICは、全社としての財務目標管理として活用するだけでなく、成果を的確に測定するパフォーマンスマネジメントの手段としても活用し、現場の改善活動と投資家をはじめとするステークホルダーが期待する収益力・資本効率の改善を定量的に結び付けてまいります。 ⑤その他の課題 気候変動などの環境問題や人権問題への深刻さは増大しており、適切な対応と予防が必要であると考えております。当社グループは引き続き、複雑化・多様化する社会課題への取り組みを将来の「成長機会」として捉え、事業を通じて「社会課題の解決」と「持続的成長」を両立する「サステナビリティ経営」を推進いたします。マテリアリティ(重要課題)の項目として定めた「顧客への提供価値の最大化」、「従業員ひとりひとりの成長と働きがいの高い組織の構築」、「次世代に向けた地球環境の保全」、「すべての人が自分らしく活躍できる社会の実現」、「持続的成長の実現に向けたガバナンスの強化」への取り組みを通じて、「社会課題の解決」と「持続的成長」の両立を果たすことで、企業価値の向上に努めてまいります。 |
戦略 | ②戦略 世界での人口増加、少子高齢化、デジタル革命の進行、グローバル化、気候変動や人権課題の深刻化など、将来の予測は難しくなっています。当社グループでは、中長期経営戦略フレーム「VISION 2030」の策定にあたり、マクロトレンドや多様なステークホルダーからの要請事項を考慮に入れつつ、2030年までに想定される事業課題と社会・環境課題を洞察し、「解決すべき社会・環境課題」と「事業成長」の両評価軸からマテリアリティ分析(重要度評価)を行ったうえで、以下のマテリアリティ(重要課題)を設定しています。 マテリアリティ(重要課題):対象目的マテリアリティ(重要課題)顧客顧客への提供価値の最大化・パーソナライゼーションの追求による顧客体験価値の向上・事業領域拡大への挑戦・商品品質の深化とサービス品質の構築従業員従業員ひとりひとりの成長と、働きがいの高い組織の構築・自らの可能性を広げ、自信と誇りを持ち活躍できる人材への成長・共創・協業による高い成果を発揮できる組織づくり・継続的な従業員の健康増進と健康意識の向上環境次世代に向けた地球環境の保全・環境負荷を低減する事業活動の推進社会すべての人が自分らしく活躍できる社会の実現・社会課題を解決する共創イノベーションの推進ガバナンス持続的成長の実現に向けたガバナンスの強化・透明性の高い経営の実践・リスクマネジメント体制の強化・収益性、資本効率の継続的改善 |
指標及び目標 | ④指標及び目標 当社グループは、「サステナビリティ経営」を推進し、事業を通じた「社会課題の解決」と「持続的成長」の両立を実現するため、11のマテリアリティ(重要課題)に対応する指標を設定しております。なお当社グループでは、2023年3月期の実績が大幅な計画未達となったことを受け、中期経営計画の見直しを行い、2023年11月に公表しました。これに伴ってマテリアリティ(重要課題)の目標数値についても再検討を行っています。目標数値については、2025年3月期中に開示する予定です。 顧客:顧客への提供価値の最大化 マテリアリティ(重要課題)具体的な取り組み2030年までの非財務目標1パーソナライゼーションの追求による顧客体験価値の向上お客さまの感動を生むために、お客さまとのつながりを増やし、お客さまから学ぶワコールグループとつながりを持つ顧客数の拡大顧客体験を向上させるワコールならではのサービスの体験人数の拡大期待を超える商品と愛される商品をつくる顧客データを活用した新製品やサービス開発の推進によるインナーウェア事業の再成長2事業領域拡大への挑戦お客さまをあらゆる角度でサポートするための、新領域への挑戦レディースインナー以外の事業成長と収益力の向上Well-being実現に向けた新規事業の創出社内リソースの新領域への展開世界のお客さまに感動を届けるための、グローバル成長の実現海外での事業拡大3商品品質の深化とサービス品質の構築時代の要求する品質管理体制及び、品質レベルの追求商品品質の継続的な監視と改善活動の実施店頭・デジタルサービス品質の維持・向上 従業員:従業員ひとりひとりの成長と、働きがいの高い組織の構築 マテリアリティ(重要課題)具体的な取り組み2030年までの非財務目標4自らの可能性を広げ、自信と誇りを持ち活躍できる人材への成長世代・役職関係なく、主体的に自己能力を高め、熱意をもってチャレンジする人材育成自発的なキャリアデザイン、スキルアップの取り組みの強化熱意を持ってチャレンジできる人材育成と環境の整備5共創・協業による高い成果を発揮できる組織づくり多様な立場の人が協力し、ミッションを達成できる組織風土の醸成多様な立場の人が協力できる労働環境の整備会社のあるべき姿や使命を明確にして行動できる従業員の増加6継続的な従業員の健康増進と健康意識の向上従業員のこころと身体の健康増進「生産性」「心身の健康」の向上健康への理解力(リテラシー)の向上 環境:次世代に向けた地球環境の保全 マテリアリティ(重要課題)具体的な取り組み2030年までの非財務目標7環境負荷を低減する事業活動の推進従業員・消費者双方における環境意識の醸成事業活動におけるエコ活動の可視化脱炭素社会の実現CO2排出量の削減廃棄物削減の推進製品廃棄率の低下資源循環型社会の実現環境配慮型素材の使用率向上※詳細については、「(2)気候変動への対応」をご覧ください。社会:すべての人が自分らしく活躍できる社会の実現 マテリアリティ(重要課題)具体的な取り組み2030年までの非財務目標8社会課題を解決する共創イノベーションの推進女性のQOL(Quality of Life)向上への貢献ブレストケア活動の推進女性のQOL向上に貢献するニーズ(商品・サービス)対応とシーズ開発ステークホルダーとの継続的な対話を通した女性のQOL向上への貢献ダイバーシティ&インクルージョンの推進ダイバーシティ課題(ジェンダーなど)の理解に向けた社内啓発活動の推進ダイバーシティ課題(ジェンダーなど)の解決に向けた外部ステークホルダーとの対話、共創活動の推進人権の尊重とCSR調達活動の推進人権デュー・ディリジェンスの構築・実施、人権教育の推進CSR調達活動の対象範囲拡大 ガバナンス:持続的成長の実現に向けたガバナンスの強化 マテリアリティ(重要課題)具体的な取り組み2030年までの非財務目標9透明性の高い経営の実践実効性の向上を実現する最適なコーポレート・ガバナンス体制の維持・構築コーポレートガバナンス・コードの実践取締役会の機能発揮と多様性確保企業価値を向上させる役員報酬制度の継続的改善公正かつモチベーション向上につながる評価・報酬制度の構築10リスクマネジメント体制の強化法令遵守の徹底と高い倫理観を持った組織体の構築企業活動における不適切な行動の防止、役員・従業員一人ひとりのコンプライアンス意識の向上事業リスクへの着実な対応による組織レジリエンスの強化重要リスクの選定方法や対応方針の見直し、DXや情報通信技術の運用に伴う情報セキュリティ対策の推進、事業継続体制(BCP)強化11収益性、資本効率の継続的改善経営戦略の実行と役割権限の明確化中長期戦略の実効性向上に向けた重要業績評価指標の管理強化と費用対効果の検証成長の実現に向けた事業ポートフォリオマネジメントの実行適時適切な意思決定を行う執行体制の構築 |
人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略 | ②戦略 事業環境の不確実性がますます高まる中、ビジネスモデルの変革を早期に進めていくうえで、担い手となる人財に関する戦略の重要性は増すばかりです。とりわけ日本国内においては少子高齢化による労働力人口の減少が進み、これまで以上に人財獲得競争が激化することは確実であり、魅力ある企業であるための人財戦略を策定、実行していく必要があります。当社においては、果断な構造改革と成長戦略の策定・実行を並行して、またスピードを上げて進めていくためにも、従業員個人のさらなる成長に資する施策に加え、個の力を組織の力に結びつけるための環境や風土への変革を併せて進めてまいります。 ㈱ワコールにおいては、収益性の早期改善のための施策と並行して、人財の獲得、人財のリテンションの両面で、中長期的に選ばれ続ける会社であるために、①人財開発(キャリア自律の支援・成長機会の提供)、②組織開発(チーム力の最大化のためのマネジメント力強化)、③風土醸成(働きがいを支える制度・仕組み、DE&I、Well-beingの実現)の3つの軸で取り組みを進めています。また従業員の60%超を占めるビューティーアドバイザー職(販売職)については、個別の人事課題の解決のために、独自の取り組みも行っています。 なお、当社グループにおいては従業員の所属が各事業会社(本籍が当社の従業員は0)であり、人事戦略・施策は個社の事業戦略に連動して策定し、またそれぞれの労使関係において協議、協定の上実行、検証しているため、連結会社ベースでの開示を行うことは困難であり、現時点では中核事業会社である㈱ワコールの戦略、施策の実行状況を記載しています。連結ベースでは、グループの人的資本に関するガバナンスの強化、具体的には人権・DE&Iやコンプライアンスの観点が主たる課題と捉えており、その課題に関する取り組みが進んだ段階では、連結会社を含む開示を行うよう、引き続き検討してまいります。 人的資本戦略(対象:㈱ワコール)基本方針「企業価値向上に向けた人財育成、組織開発」を行い、「会社の成長」と「人的資本への投資・人財の成長」の好循環を実現する。とりわけ今中期経営計画(リバイズ)においては、個の成長に加え、個の力を組織の成果に結びつけるための取り組みにより注力し、好循環への道筋をつける。求める人物像“自律革新型人財”経営理念を尊重し、具現化できる人財既成概念や現状の枠組みを見直し、熱意をもって革新できる人財主体的に自己の能力を高め、新たな可能性にチャレンジできる人財良好なチームワークを構築し、組織目標に貢献できる人財健康的で健全な生活習慣を実践できる人財経営戦略に基づく人的資本の課題<方向性>少数精鋭の組織運営の実現=個の成長×組織力の向上×魅力ある風土の醸成早期に収益力を改善するための要員計画マネジメントと並行して、中長期的な成長のための人財育成・組織開発・風土改革を実行する。●収益力の改善:要員計画マネジメントの継続実施・希望退職実施後の要員状況を部門別に確認し必要に応じて再配置、採用を実施し適正化を図る。・内勤社員の要員の妥当性をモニタリングする指標を部門主導で設定、運用するサイクルを構築する。●成長軌道への回帰:個の力を組織の成果につなげる施策の強化・部門特有の専門性向上への支援を強化するプログラムを新設する。・ワークスタイル・ワークプレイス改革を通じて、組織の活性化に貢献する。(ワークプレイス改革は、アセットライト化のための不動産施策と連携)・個性豊かに能力発揮し組織成果に貢献するための環境を整備する。●経営基盤の強化:従業員が持てる力を最大限発揮し成果に貢献し、適正に報いられるための環境整備・風土醸成・職務価値に連動した人事体系の導入を検討、実施する(2026年3月期にかけて段階的に実施)。・エンゲージメント調査を継続実施し、他の組織診断指標との相関分析を行い、打ち手の精度向上に繋げる。・人事施策実施の前提となる人事関連IT基盤・データベースを整備する。人的資本の最大化に向けた取り組みⅠ.人財獲得Ⅱ.成長支援(育成・リスキリング・キャリア形成)Ⅲ.マネジメント力の強化Ⅳ.DE&Iの推進Ⅴ.Well-beingの実現 重点課題の一つである「要員計画マネジメント」に関する施策として、2024年3月期に希望退職を実施しました。その結果、募集人数150名に対し215名の応募となりました。施策実施後の総員は2023年3月末に対し187名の減少、2020年3月末に対しては1,325名の減少と、事業規模に応じた要員の適正化が進みました。労務構成については、管理職の人員が2024年3月対比で57名減少(222→165、部長以上△20、課長級△37)、平均年齢は△2.9歳(44.6歳→41.7歳)と、組織構造のスリム化・フラット化と共に、適切な世代交代が進みました。また管理職に占める女性の比率も2.9%増加(32.2%→35.1%)しました。 より少数精鋭の組織運営を実現すべく、意思決定のスピードを加速させ、より現場へ権限委譲する組織体制へ移行していくためにも、個の成長とマネジメント力の向上を並行して進めています。 人的資本の最大化に向けた取り組み Ⅰ.人財獲得 当社グループは、先人たちが前例にこだわることなく今日の企業グループを築いてきたように、今後も大胆に、また果敢にチャレンジする風土を大切にしながら、新風を吹き込み新しい価値を創造する多様性の尊重こそが競争の源泉になると考えています。また少子高齢化、労働力人口減少の環境下で、人財のリテンションにも力を入れる必要があります。 ㈱ワコールにおいては、新卒採用と同様に経験者採用(第2新卒採用、キャリア採用等)にも力を入れております。今後も引き続き、経営幹部候補人財、グローバルやEC、DX等不足する専門人財の補完など、総合職の採用人員の3~5割程度を経験者採用としていく予定です。 また、複数ある職種の中でも特に人財確保が困難なのはビューティーアドバイザー職(販売職)です。人財確保施策として、2020年8月から「配偶者帯同及び介護のための勤務地変更制度」を開始し、地域限定採用である販売職が自己都合で転居した場合でも、一定の条件を満たせば転居先への勤務地変更を可能にし、就業継続できるしくみを整えています(2024年4月末時点の制度利用者累計:43名)。また、2022年4月からは退職者のネットワーク「BANK(BA Alumni Network) )」の運用を開始し、各種の情報提供や復職支援、友人のご紹介等、退職後も関係を継続できるしくみを構築しています(2024年4月末時点の登録者:87名)。 ㈱ワコールの主たる職群の採用状況職群区分性別2020年3月期2021年3月期2022年3月期2023年3月期2024年3月期総合職経験者男性24141女性661615合計81021016新卒男性1013762女性1316161010合計2329231612経験者採用の比率26%26%8%38%57%販売職経験者男性00000女性2271168614合計2271168614新卒男性00000女性4853251614合計4853251614経験者採用の比率83%69%24%27%50%クリエイター職技術・研究職経験者男性00000女性03000合計03000新卒男性00000女性127000合計127000経験者採用比率0%30%0%0%0% Ⅱ.成長支援(育成・リスキリング・キャリア形成) 当社グループでは、従業員一人ひとりの個性や強みが発揮される企業への変革を目指し、学びの機会の提供やキャリアアップの支援など、一人ひとりの成長を支援する各種研修制度を整えています。 <人財育成> ㈱ワコールでは、「ワコールの発展は、ワコールの社員一人ひとりの資質の向上とその協力によって実現する」という考え方のもと、経営理念を実践できる人財の育成を目的に、従業員のキャリア形成と能力開発を支援する研修プログラムや従業員の主体的な学びをサポートする自己啓発支援制度を整備、アップデートし続けることで、従業員の成長を支援しています。 2019年4月より運用を開始した人財育成体系「WACOAL TERAKOYA」について、ブラッシュアップを行いました。新型コロナウイルス感染症を経て急速に変化したお客様の購買行動、ニーズに対応するためにも、教育・研修体系を見直し、これからのビジネス環境に適応した人財の育成につなげていきます。新たな育成体系では、階層別研修においても一律のメニューではなく個々の成長に合わせた選択を可能にしています。また、組織の専門性の強化を目的とした「部門別マスタリー研修」を導入し、個の成長、能力発揮が組織の成果として結実するための施策を強化します。さらには、異業種との学び、交流の場に手挙げ制で参加できる機会を増やすことで、主体性や多様性を醸成するとともに、社内では得られない知見、より幅広い視野を持った人財を育成し、革新性の向上につなげます。これらにより、経営理念を実践し、新たな価値を創造できる人財の育成を通じてワコールの持続的な成長を実現していきます。 販売職の育成においては、より多様化するお客さまのニーズに応え、ご満足いただくために、「顧客対応力(実学)」と「人間力(道学)」の両面の向上に取り組んでいます。具体的には、2022年4月より㈱グロービスの「GLOPLA LMS (Learning Management System)」という自律的な学びのプラットフォームを活用し、成長機会の提供、キャリアアップ意欲の醸成につなげています。また、主体的なキャリア形成の機会として、総合職への転換を目指すコースを新設し、2024年4月時点では69名の販売職がコース選択を行い、さらなる能力向上に取り組んでいます。 人財育成プログラムの例プログラム名実施目的一人当たりの研修時間年間参加人数2023年3月期2024年3月期階層別研修役割・資格の変化に伴う、期待役割の認識及びマインドセットを目的に実施します。同時に会社の方向性と自身のキャリアビジョンを考える機会とします。1~6日(研修による)684名530名ビジネススキルビジネスマンとして求められる必須スキルを、社内のみならず社外人財との交流を通して学ぶことで、社内外で通用する普遍的なビジネススキルを体得できます。7.5時間61名94名ワコールアカデミーワコールにおける社内ナレッジの共有、知識伝承、組織開発等を目的に社内外の講師による研修・セミナーを開催します。7時間~1,217名1,515名Global Talent Development事業のグローバル化が進む中、グローバルコミュニケーションスキル(業務遂行能力、語学力、異文化適応力等)を発揮できるグローバル人財を育成します。海外業務研修2年4名3名セルフラーニングEラーニングを活用した「いつでも、どこでも」学べるコンテンツ提供と主体的な能力開発・自己研鑽を支援する制度があります。自己啓発援助制度-160名244名通信教育・Eラーニング-2,138名935名 <リスキリング> ㈱ワコールでは、事業成長や新規事業に必要なスキルを持った人財を育成するため、リスキリング(学び直し)による人財育成に取り組んでいます。2024年3月期においては内勤業務の労働生産性向上を目指したITリテラシーの底上げ策の一環としてオンライン学習ツールの運用を開始しました。従業員が最新のビジネストレンドや技術を学べる環境を整備しています。また自己啓発コミュニティの運営を通して、従業員の自主的な学びを支援し、組織全体の競争力を高めています。 <キャリア形成> ㈱ワコールでは、従業員が自らのキャリアを主体的かつ前向きに切り拓いていくことを目的にした、キャリア形成に伴う多様な制度・仕組みを拡充し、キャリア自律を促進することによって働きがいの向上と組織の活性化を目指す「Meet My Careerプログラム」を導入しております。このプログラムでは、従来型の自己申告やキャリア面談、研修・自己啓発、異動に加えて、「社内公募制度」や、自ら異動先を希望できる「社内ジョブチャレンジ制度」、グループ外の企業や団体への出向によって社内では得られない経験を可能にする「社外キャリアチャレンジ制度」、所属部門に籍を置いたまま他部門の業務を体験できる「社内インターン制度」、長期休職制度、副業支援など、従業員が主体的にキャリア・可能性を切り拓くための選択肢を体系的に示すことで、従業員に対して多様な働き方の能動的な実践を促し、同時に今までと異なるスキルを身につけ、磨く機会を供し、個々人の多様なキャリアの実現を促進することを目指しています。「社内公募制度」についてはグループ会社も対象とする事によってキャリアの選択肢をより広げるとともに、従業員と組織の双方が積極的にキャリア開発や人財獲得に取り組めるしくみを取り入れています。 2024年3月期からは、総合職の新入社員に対して、初期配属だけでなく中長期のキャリアを見据えたキャリア研修を行うとともに、1on1面談を実施し、部門と新入社員をマッチングする「Meet My First Career」の取り組みを行なっています。これにより、若い世代のニーズに応えながら、中長期のキャリア支援や組織の活性化を図っています。 今後も、従業員が自発的にキャリアを広げる機会を提供し続け、多様な人財の育成に取り組んでまいります。 プログラム名実施目的人数(人)2023年3月期2024年3月期ジョブチャレンジ制度社内公募制度自律型人財形成の一環として「ジョブチャレンジ」自らの意思と意欲を前提に自己異動希望を示す者に、ジョブローテーションの機会を支援し、組織全体の活性化につなげる。「社内公募」組織自らが求める人財を得ることで部門の強化を図り、社内組織全体を活性化につなげる。1825社外キャリアチャレンジ変化の激しい時代において、社外での就業経験を通して多様な視点や価値観を取り入れ、知識のアップデート、リスキルを行うことで、適応力やレジリエンスを高めることにつなげる。3842副業制度1.社外での活動に携わる中で、自身のスキル・能力・専門性を高め、本業での発揮能力を高める。2.今後のキャリアを見据えたうえで、社外ネットワークの構築及び新たな知見、スキルを獲得する。3.自分の趣味や興味のあることに取り組み、更なる収入を得ることで多様なライフの充実を実現する。3830長期休暇制度「自己啓発・自己開発を目的とした場合」と「配偶者が転勤、または遠隔地に居住する者と婚姻した後」において、一定期間の休職を認めることにより、就業継続を支援する。510 Ⅲ.マネジメント力の強化 中核会社である㈱ワコールは、売上の低迷と固定費率の高いコスト構造を背景に収益力が低下しており、トップラインの成長回帰と収益力の改善に向けて、中期経営計画で掲げる事業戦略の見直しを進めています。経営の実効性を高めるために、的確かつスピーディーに意思決定を行い、組織の成果に貢献するためのマネジメント力の強化は極めて重要な課題であり、改めてサクセッションプランに基づくマネジメント人財の発掘、育成、任用に取り組みます。また、組織力の強化の観点からは、健全なフィードバック文化の醸成も必要であると認識しています。ビジョンの実現と戦略を実行でき、かつ個の力を組織の成果に結びつけるためにメンバーを動機づけることができるマネジメント人財の確保・育成の取り組みを推進していきます。 <マネジメント人財の育成> 2025年3月期においては、引き続きシニアマネジメント向けの経営理念浸透策の一環として実施するトレーニングと、全管理職を対象とした、イノベーションの源泉である多様性の推進と組織開発の基盤である心理的安全性、アンコンシャスバイアスの基礎知識の習得に取り組む計画です。 また、各本部と人財育成方針や支援方法等を随時共有し、各部門での人財育成がより図れるよう、定期に部長級との情報共有・対話の機会を設定し人的資本戦略の確度を上げていきます。 <評価制度の見直し> 人財の多様性を高めつつ、より生産性の高い少数精鋭の組織づくりを進めています。また、それらのベースとなる「公正な評価や処遇」に向けて随時検討を行っており、フィードバック文化の醸成ならびに評価結果への納得度を高めることで、組織力の強化を図っています。2025年3月期には評価のしくみ、制度を一新する予定です。 特に販売職に関しては、マネージャー1人当たりのマネジメント対象人数が100名を超えており、十分な対話の機会が提供できていないことが課題でした。2021年4月より「評価助言者制度」を本格稼働させ、リーダー層(スーパーバイザーや店長・副店長等)に評価や人財育成に関する責任と権限を委譲し、併せてリーダー層に対する360°評価を実施する等、相互にフィードバックし合う文化を醸成してきました。2024年4月には「エリアマネージャー」を新設し、より権限委譲を推し進め、現場レベルでの人財マネジメントが有効に機能する体制づくりを進めます。 <処遇体系の見直し> 組織のスリム化に伴う権限と責任範疇の拡大に対し、マネジメント層各ポジションの役割の大きさ(職務価値×ジョブサイズ)に連動した処遇体系を構築しました。これまで一律であった課長職の役割給を役割の大きさに応じて変動させることで、従業員の納得度ならびにエンゲージメントの向上、そして個人のキャリア形成の一助となることを狙いとしています。このほか、経営・事業戦略の方向性に連動し、主要ブランドを統括する「ブランドマネージャー」と、成長セグメントを主導する「成長戦略ディレクター」を新設、前述の「エリアマネージャー」も含め、担う役割の大きさに応じた処遇を実現しています。また、成果やパフォーマンスに応じたメリハリのある処遇を実現していくため、まずは属人的な手当や福利厚生の見直しに着手し、改廃によって捻出された原資を全従業員に再配分しています。 Ⅳ.DE&Iの推進 当社グループは、従業員一人ひとりの働きがいを高める仕組みを追求しつつ、人的資本の量的・質的な適正化を図ることによって、健全な企業風土と強固な経営体質の構築を進めております。多様な人財や価値観を受容し相互に信頼関係を深め、従業員一人ひとりが能力を最大限に発揮できる職場環境の実現を目指しております。引き続き、多様なキャリアパスや働き方の選択肢を拡充させるほか、新しい人事評価制度の導入を進めるなど、変化の激しい市場に対する組織の意思決定において、従業員の多様性を活かすことができる人財施策を実行してまいります。 <女性活躍> ㈱ワコールは、お客様そして従業員の多くが女性であること、より多様な価値観を経営の意思決定に反映する必要があることから、女性の活躍推進が重要な経営課題であると捉えています。そのため、女性特有のライフステージに応じた就労環境を整備し、より柔軟な働き方を促進するとともに、性別や年齢に拘らず能力や成果に応じて昇格・登用されるしくみを整備しています。なお、㈱ワコールは2021年2月に女性の活躍に関する取り組みの実施状況が優良であるとして、厚生労働省から「えるぼし認定」を取得いたしました。 <女性の管理職への登用> ㈱ワコールでは、女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画を策定しており、2025年3月期までに課長級以上の女性管理職比率を30%以上に高めることを目指しておりました。2024年3月1日時点の課長級以上の管理職に占める女性比率は32.2%、2024年5月1日時点では35.1%と目標を前倒しで達成したため、現在新しい一般事業主行動計画を策定中です。女性管理職比率としては30%を上回っていますが、より重要な意思決定に関わる部長以上に占める女性比率が依然として低いため、部長級以上での女性管理職比率を高めることに取り組んでまいります。 多様な人財の価値観を経営の意思決定に反映するため、性別を問わず、早い段階からリーダー適性の高い人財の発掘を行い、経営幹部候補への育成機会の提供をさらに進めてまいります。また社員の自律的な成長をサポートしつつ、様々な事業、職務の経験を促して、継続的にキャリア意識の醸成に取り組み、経営幹部を担う人財の育成を進めます。(詳しくは当社ホームページに掲載しておりますのでご参照ください) :女性活躍推進法に基づく行動計画https://www.wacoalholdings.jp/sustainability/resource/diversity/:ESGデータ集(ダイバーシティ&インクルージョンほか)https://www.wacoalholdings.jp/ir/library/esg_presentation/:(厚生労働省HP) 女性の活躍企業データベース・「株式会社ワコール」https://positive-ryouritsu.mhlw.go.jp/positivedb/detail?id=284 <男女間の賃金差異> 女性活躍の一つの指標である男女の賃金の差異は、当社・㈱ワコールで49.2%(正社員50.0%、パート・有期社員60.2%、総合職70.0%、管理職93.2%)となっています。当社では、同一の役割であれば男女で賃金の格差は設けていないため、この差は、当社・㈱ワコールで①管理職における男性比率が65%程度あること、②総合職採用、特に新卒採用における女性比率が年々高まっており、結果として管理職未満の層で入社10年以下の社員においては女性社員の比率が高いこと(10年以下134名、56.3%、10年超38名、35.2%)、③女性社員に占める割合が、相対的に賃金水準が高い総合職に対し販売職のほうが圧倒的に比率が高いことによるものです。 男女の賃金の差異の解消に向けて、総合職における新卒採用や経験者採用で女性比率を高めているほか、年齢や性別に関係なく能力による登用を行い、管理職や役員の女性比率を高めてまいります。 <外国人の管理職への登用> 当社グループは、世界の国や地域で事業を営む企業グループとして、米国や欧州をはじめとする海外各法人の代表(社長)及び重要な経営ポストに現地人財を登用しております。また、㈱ホンコンワコール及びフィリピンワコール㈱の代表(社長)は女性が務めております。今後も引き続き、海外各市場での顧客視点による事業拡大、競争優位性の強化のために、国籍を問わない多様な現地人財の採用と重要な管理職ポストへの登用を継続的に推進してまいります。 <ワークライフバランス> ㈱ワコールでは、従業員が豊かな人生を送り、仕事において持てる能力を最大限に発揮できる職場環境の整備に取り組んでいます。この取り組みの一つ、仕事と育児の両立支援では、当事者だけでなく周囲でサポートするメンバーの双方にとって働きやすく働きがいのある職場を目指し、制度や風土の整備に取り組んでいます。また、次世代育成支援対策推進法(次世代法)に基づいた行動計画を策定し、目標達成に向けて取り組みを行った結果、2018年には3回目の「くるみん」認定に加え、「プラチナくるみん」の認定を取得しました。従業員が仕事と家庭だけでなく社会とのつながりを積極的に持つことによって、従業員個人の中での経験やスキルの多様性を増し、仕事におけるイノベーション創出につなげられるよう、従業員が自身の時間の使い方を柔軟にできるような仕組みを引き続き作っていく予定です。 <障がい者雇用> 当社グループでは、全員がいきいきと働き続けるために必要な研修の実施や、一人ひとりの声を聴くための個別面談を通じて、環境改善、就労支援をしています。また、外部の支援機関と積極的に連携することで、専門家の知見を得て定着支援のためのサポートを実施しています。2018年2月には、障がい者の雇用促進と活躍機会の創出を目的にワコールアイネクスト㈱を設立し、2018年12月に障害者雇用促進法に定める特例子会社の認定を受けました。 ワコールアイネクスト㈱では、業務範囲を限定せず、一人が複数の業務を担当する「マルチタスク」や、業務を分業して複数で請け負う「ワークシェア」など、個々人の能力開発を促す柔軟な働き方を採用し、一人ひとりがやりがいを持ち、成長を実感できる職場の実現を目指しています。法定雇用率を守ることは企業として必要なことですが、数値としての目標ではなく、ワコールの掲げる相互信頼のもと、すべての人が活躍し、成長できる職場づくりにグループ全体で取り組むことで、多様性を活かす社会の実現に貢献していきます。 :障がい者雇用や再雇用制度等については、当社ホームページをご参照ください。https://www.wacoalholdings.jp/sustainability/resource/diversity/ <多様なお客さまへの対応方針に基づく対応> 2024年度より、多様なお客さまへの対応方針(インクルーシブな売場づくり)を明確にし、ワコールが人権尊重の取り組みに向き合っている姿勢を表現していきます。その為に、販売部門の管理職、役割任用者を対象に説明会を実施し、「ビジネスと人権」の社内啓発活動をスタートさせています。 Ⅴ.Well-beingの実現 中長期経営戦略フレーム「VISION 2030」で掲げる「高い感性と品質で、ひとりひとりのからだとこころに、美しさと豊かさを提供し、『世界のワコールグループ』として進化・成長する」ことを実現するには、重要なステークホルダーである従業員のやりがいを高め、組織全体の生産性を向上させることが不可欠です。 ㈱ワコールでは、従業員一人ひとりの働きがいや幸福度の向上こそ、高い生産性を実現する原動力と捉え、従業員とのエンゲージメント向上の一環として、Well-beingの実現のための施策を実行していきます。 <多様な働き方の推進> ㈱ワコールは、フレックスタイム制勤務の促進、スーパーフレックスタイム制の導入、勤務地限定制度の運用などを組み合わせ、いかに労働生産性を高めることができるかといった意識と行動変容を求めた取り組みを推進しています。実績・成果を重視する組織改革を進める一方で、多様な意見、価値観を認め合いビジネスパートナーとして個々を尊重する組織風土づくりに注力しています。新型コロナウイルスの感染予防対策として一気に普及したリモートワークですが、2024年4月からは、「成果・パフォーマンスを最大化するためのワークスタイル」として、コミュニケーションを充実させることを目的に、一定の出勤を求めながら継続しています。引き続き、労働生産性を高め、個人の時間の使い方の選択肢を柔軟にしていけるよう、働き方改革を進めていきます。 なお、現在京都地区の事業所を再編するREBORNプロジェクトを実施しています。共創と変革を生み出し、価値創造を加速させるワークプレイスを目指し、オフィスだけでなく、働き方も、新たなワコールのワークスタイルとして組織やフロアを超えてオープンなコミュニケーションを取れるよう、変革していきます。<健康経営> ㈱ワコールでは「社員の健康は、持続的成長のための重要な資産」と位置づけ、会社・健康保険組合・労働組合が三位一体となって、健康経営を戦略的に推進しています。「VISION 2030」では、「継続的な従業員の健康増進と健康意識の向上」をマテリアリティ(重要課題)の一つとして掲げています。健康経営の推進に向けて、新たに策定した「ワコールGENKI計画2025」では、従業員の心身の健康状態を高めるとともに、それらの成果を「生産性の向上」や「従業員エンゲージメントの向上」につなげていくことを目標としています。「生活習慣病対策」「がん対策」などこれまでの健康維持増進に向けた施策を継続しつつ、特に大きな課題となっている販売職のメンタルヘルス向上や女性の健康課題への取り組みを強化してまいります。なお、㈱ワコールホールディングスは2017年から8年連続で「健康経営優良法人(ホワイト500)」に選定されています。 :ワコールGENKI計画2025に関しては、下記ホームページをご覧ください。https://www.wacoalholdings.jp/sustainability/resource/wellbeing/ |
人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績、指標及び目標 | ④指標と目標経営戦略に基づく人的資本の課題人的資本の最大化に向けた取り組み指標と目標(KPI)指標目標2024年3月期実績会社の成長を担う人財の獲得・育成・登用Ⅰ.人財獲得Ⅱ.成長支援(育成・リスキング・キャリア形成)経験者採用の状況(総合職)総合職採用数のうち、3~5割を経験者採用にする採用総数:28名内、経験者採用16名(57%)人財育成・研修への投下費用研修参加者数、学びへの時間投資(労働時間対比)未策定(2025年3月期中に策定)-社内公募、ジョブチャレンジによる人事異動者数、率未策定(2025年3月期中に策定)-主体的なキャリア形成の実現度エンゲージメント調査のキャリア実現に関するポジティブ回答が60%以上多様なキャリアの選択肢やチャレンジ機会が提供され、活用できる環境がある:44.2%個の力を組織の成果に結びつけるためのマネジメント力の向上Ⅲ.マネジメント力の強化持続的成長につながるマネジメントの貢献エンゲージメント調査の将来性、未来志向に関するポジティブ回答が60%以上・会社に将来性を感じている:29.4%・経営層の未来志向:43.9%・部課長層の未来志向:51.6%フィードバック文化の醸成エンゲージメント調査の承認・称賛、正当な評価に関するポジティブ回答が60%以上・私は、一週間以内に、上司又は職場の誰かから、良い仕事をしたと認められたり、褒められたりした:38.8%・この6カ月のうちに、職場の誰かが自分の進歩について話してくれた:46.4%・自分の能力や成果は正当に評価されている:50.6%エンゲージメント・心理的安全性の高い組織風土の醸成Ⅳ.DE&Iの推進Ⅴ.Well-beingの実現ワコールGENKI計画2025のKPI達成https://www.wacoalholdings.jp/news/files/news211203.pdf2023年度の結果集計中障がい者雇用2024年度法定雇用率2.5%2.59%(2024年3月時点) |
事業等のリスク | 3【事業等のリスク】 当社のリスク管理基本規程において「リスク」とは、「当社グループにおける事業目的の達成を阻害する要因すべて」と定義しております。また「リスク管理」とは、リスクの識別・評価を行い、リスクを低減する活動を行うとともに、その活動をモニタリングすることによって、継続的に改善を行う一連の措置(平常時のリスク管理)、及び経営に対する重大な障害・事故等の緊急事態への迅速な対応(緊急時のリスク管理)を指すと定めております。 この規程に基づいてリスクを適切に認識し、発生の可能性や影響度の評価を行い、優先度を定め、リスクへの対処を決定したうえで、リスク顕在化の可能性をできるだけ低減する活動を行っております。併せて、リスクが顕在化した場合には、発生する障害・事故へ迅速な対応を行い、人びとや社会をはじめとするステークホルダーへの影響を最小限に留めるべく、リスク管理を推進しております。(1)リスク管理体制 当社グループのリスク管理体制は、“リスク管理統括責任者(代表取締役社長執行役員)”、“企業倫理・リスク管理委員会の委員長(代表取締役副社長執行役員)”を基軸として、下図の通り、“企業倫理・リスク管理委員会(委員長が指名する委員による構成)”、また、企業倫理・リスク管理委員会の下部組織として、全社横断的な重要課題について活動方針策定やモニタリングを行う“リスク主管部署”、及び“リスク対応部会(企業倫理・リスク管理委員会が決定/設置)”、さらに、企業倫理・リスク管理委員会が定めるリスク管理(抽出、評価、対応、モニタリング)を行う“リスク管理組織”及び“リスク管理責任者”によって構成されております。 “企業倫理・リスク管理委員会”では、それぞれの“リスク管理組織”から抽出されたリスクについて、発生の可能性と影響度の観点から評価を実施し、当社グループの経営に重大な影響が想定されると評価したリスク項目を特定のうえ、毎年、“リスク管理統括責任者(代表取締役社長執行役員)”に提示し「グループ重要リスク」としての承認を踏まえております。その後、「グループ重要リスク」の項目ごとに、“リスク主管部署”、あるいは“リスク対応部会”を通してリスクを軽減化する対応策への取り組みを進め、併せて、“企業倫理・リスク管理委員会”を定期的(四半期ごと)、及び必要に応じて臨時に開催し「リスク管理体制」が有効に機能しているかどうかのモニタリングを行っております。 (2)事業等のリスク 当該有価証券報告書に記載している「第2 事業の状況」等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に、重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクとその対策は後述のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 また、前述のとおり、“企業倫理・リスク管理委員会”では当社グループの経営に重大な影響が想定されると評価・特定したリスク項目を、“リスク管理統括責任者(代表取締役社長執行役員)”へ提示し承認を受けることによって「グループ重要リスク」を定めております。なお、下図の項印、★印は「経営環境・事業戦略」に関するリスク、■印は「事業運営上」のリスクであります。 (2)-1 経営環境・事業戦略に関するリスク市場の構造変化□ 発生の可能性:高□ 影響度:大● リスクの内容百貨店・量販店をはじめとする大規模小売店や商業施設の減少は、百貨店・量販店の売上シェアが高い当社グループの業績に大きな影響を与える可能性があります。また、消費者接点(店舗)の減少はブランド認知率の低下、顧客の購入意欲の低下に波及するなど、この市場構造の変化は、既存業態の再編、営業政策の変更等をもたらし、グループ業績に影響を及ぼす可能性があります。● 対応策小売市場の構造変化(オンラインモールやフリマアプリの市場拡大)が進んでおり、旧来の百貨店、量販店及び専門店といった卸売店舗の売上シェアは漸減していくと予測しています。国内では基幹ブランドの育成、及びEC事業拡大を目的に、顧客起点での製販一気通貫ブランドマネジメント体制を構築し、8つの基幹ブランド(⑴Wacoal ⑵Wing ⑶AMPHI ⑷CW-X ⑸Salute ⑹Yue ⑺WACOAL MEN ⑻ワコールサイズオーダー)に経営資源の投下を集中する一方、流通チャネル業態を横断した顧客データの一元管理を実現することで、いろいろな流通チャネル業態を活用いただくことのベネフィットを実感してもらい、それぞれのお客さまの求めに応じたLTV(ライフタイムバリュー)としての顧客体験価値を高めるCX戦略を推進しています。今後も、実店舗でのパーソナルサービスの強化と、WEB販売でのストレスフリーなパーソナル情報の連携の強化に、バランスよく取り組んでいきます。また、海外では、オフラインとオンラインを融合した独自のサービス展開によって、引き続き、個々の国や地域でブランド認知度を向上させる取り組みに注力する一方、競合他社には真似できないフィッティングにおける顧客体験の向上を目指しています。各々の国・地域でDXを加速させ、お客さまのLTVの向上を実現し2030年度(2031年3月期)にはEC売上比率を50%超に導くよう進めています。 調達価格の上昇□ 発生の可能性:高□ 影響度:大● リスクの内容サプライチェーンの構造変化が進行し、原材料の値上がりや生産地の人件費高騰、輸送コストの上昇等により仕入価格が上昇した結果、業績に影響を及ぼす可能性があります。● 対応策材料の調達や製品の生産においては、適切に品質とコストの両面を照合しながら、ベトナムをはじめとするASEANの国々や地域での調達・生産の比重を増やしています。併せて、製品の企画・設計段階から、資材・カラー集約を前提に、可能な限り、材料品種を増やさない取り組みや、材料調達先を国内から海外に求める取り組み、廃棄に至る製品・材料の最少化への取り組み、省力化機器導入による生産効率化への取り組みなどを進めています。さらには、製品検査工程と材料品質基準のシンプル化・適正化、基幹ブランド再編による生産ロット拡大と作業能率向上などにも努めています。他方、2022年4月に1社に統合した国内縫製会社においては、引き続き、国内の高い縫製技術を継承しつつ、外部環境の変化に応じた柔軟な生産管理体制を構築することにより、競争優位性強化と事業効率向上の両立を目指します。同時に、新技術や新設備のグループ内工場における汎用的活用の実現や技術支援といった役割を果たし、短納期・高難度・小ロット生産に対応できる生産体制を広く整備し、事業効果の強化に取り組んでいます。 競争・競合環境の変化□ 発生の可能性:中□ 影響度:大● リスクの内容国内外の市場において、競合会社、低価格品、また、異業種からの新規参入者などにより、市場競争が激化する中、商品・サービス・宣伝販促・業態開発の適切な提案ができず、結果としてブランドの想起率・認知率が低下、販売シェアが奪われ、長期的に業績が低下する可能性があります。● 対応策競争激化は、価格の下落、広告宣伝費の増加、売上高及び市場シェアの減少等につながり、当社グループの事業、業績及び財政状態に重大な影響を及ぼします。㈱ワコールの収益力の改善と成長軌道への回帰を実現するためには、「顧客起点」を軸に、長年に亘り蓄積した顧客のデータベース、様々な体型にかかる研究・知見、心地よさを実現する製造技術、パーソナライズなニーズに寄り添いサービスを提供できる組織力といった「ワコールの強み」に、デジタル技術を用いて、顧客の「自分らしさ」を引き出しエンパワーメントする商品とサービスを提供し続けることが欠かせません。ハイプレミアム市場、アフォーダブル市場、スポーツ市場といった注力セグメントへの集中、ECや直営店チャネルへの注力強化とともに、愛されるブランドを育成し信頼感を高め、顧客と「深く・広く・長く」関わっていただける絆づくりに努めています。さらに、海外事業においては、中国・アジア圏の市場分析をもとにした新製品の開発・販売を推し進め、新規顧客との接点拡大に取り組むほか、欧米市場では、顧客の多様な価値観に応えるグループ独自の特徴あるブランド展開・商品戦略を推進することによって、他社との差別化を実現すべく事業への成長投資を継続しています。併せて、当社グループにとって成長余地が確認できる新興地域に向けては、積極的な成長投資を進めています。 消費者の価値観変化□ 発生の可能性:中□ 影響度:大● リスクの内容ブランド戦略、商品、サービスが消費者の価値観変化に合わずに、顧客を獲得できず、もしくは顧客を失って経営が悪化する可能性があります。また、ブランドマネジメント、マーケティングミックスの失敗により、若年層顧客の囲い込みが適わず、一方で既存顧客の離反が進み、ブランド価値を毀損する可能性があります。さらには、資源価格高騰、賃金の上昇、為替相場の変動を受けて原材料・製品の輸入価格が上昇する中、商品の価格に見合った顧客価値の提供が実現できないと、新規顧客の獲得の失敗や既存顧客の逸失を招く可能性があります。● 対応策顧客にとっての価値を創造する活動すべてを「マーケティング」と位置づけ、一連の顧客体験を通じてLTV(ライフタイムバリュー)を高め、顧客に選ばれるための必然を創造する取り組みを進めています。商品を購入いただくといった旧来型の志向から脱却し、オンラインとオフラインのすべての顧客との接点において、顧客情報が連携され、ブランドとのつながりが生まれる仕組みを築き、お客さまの一連の行動フローに対して価値を提供し、顧客の「自分らしさ」をエンパワーメントする商品とサービスを提供し続けることで、長い関係づくり、生涯顧客づくりに変えていく取り組みをスタートさせています。ブランドマネジメントの面では8つの基幹ブランドへの整理・集約、これと連動した、ブランドコミュニケーション、マーケティングコストの集中と選択を実施することで、お客さまに向けたメッセージの質と量、双方の拡充を進めています。併せて、サステナビリティ活動への取り組みを強化し、社会をはじめステークホルダーからのレピュテーション向上と確立にも力を入れています。 新しい市場・顧客の開拓□ 発生の可能性:中□ 影響度:大● リスクの内容顧客の下着やファッションに対する相対的な関心の低下、日本の人口減少や少子高齢化による国内市場の縮小を踏まえて、当社グループは、海外市場の開拓や新業態・新分野への進出等、新規市場の開拓に取り組んでいるものの、この先、一層多様化するであろう消費者の価値観に応えきれず、計画した成果が出せないとグループ業績に影響を与える可能性があります。● 対応策国内では、当社ブランドとの接点が少ない潜在顧客、とりわけ若年層やアフォーダブル価格志向層に対し、購入意欲を喚起できる商品・マーケティング施策が打ち出せず、新規の顧客獲得に苦慮しています。一連の顧客体験や購買行動(カスタマージャーニー)を見極め、顧客に選ばれる必然の創出について、改めて見直す取り組みを進めるとともに、顧客への提供価値の明確化、若年層・アフォーダブル価格志向層を対象とした顧客層の拡大を強く意識したブランドポートフォリオの再設計を進めています。他方、既存の愛用者に向けたリテンションマーケティング強化の取り組みは着実に成果に結びついており、ロイヤルカスタマーとして、これまで以上に太い絆を築くことができています。ロイヤルカスタマーに対するワードローブの品揃えを拡充するなど、当社グループの提供価値として実現できるLTVの最大化に向けて、より一層、優先的に力を注いでいきます。一方、米国では、Wacoalブランドに止まることなく、引き続き、Elomiほか、当社グループが展開するブランドポートフォリオの事業成長をねらいに、デジタルマーケティングへの投資を積極的に実施することで、EC事業主体の成長を目指しています。当事業年度は、物流インフラなど今後のEC成長を支える体制の整備と強化を進めました。また、CRMの強化を行い購買履歴に基づいたパーソナライズ対応の向上を図るなど、新規顧客の獲得と同時に既存顧客のエンゲージメントを高める施策を行っています。中国では、中間層が購買の中心であるEC市場において、オフラインとオンラインの連携やCRM戦略の強化に取り組みながら、新規顧客の獲得と既存顧客のロイヤルカスタマー化を進めていきます。これらのほか、消費者に中間所得者層が多いにも関わらず、当社グループの事業規模がまだ小さいドイツやインドなどへは、今後の拡大余地が大きい市場と捉えて戦略的な投資を進めています。 人材の確保□ 発生の可能性:高□ 影響度:中● リスクの内容特にものづくり(企画力・技術力・研究開発力)、IT・デジタル、販売員、海外経営において人材の確保、育成ができないと、今後の成長や競合会社に対する優位性を作り出せず、グループの業績が低迷する可能性があります。● 対応策当社グループではジョブ型採用をはじめ、新しい採用手段の導入による人材確保に併せて、集団型講義やオンラインでの専門知識研修の実施やOJT、海外研修制度、他社と合同で実施する異業種クロスラーニングの開催などといった、実地研修機会の充実によって人材の育成を行っています。また、キャリア採用の比重を拡大するほか、リファラル採用にも注力し多様な人材の確保による活性化も進めています。また、初任給の見直しや基本給ベースアップの実施をはじめ、職務・役割をベースとしたメリハリのある処遇(報酬体系)を実現すべく、目標達成時の還元給の支給、職務価値・成果に応じた処遇、役割給の見直しなどといった人的資本への投資姿勢を鮮明にした制度改革を推し進め、事業の中核を担う人材、将来価値を生む人材の確保を図っています。 (2)-2 事業運営上のリスク情報システム可用性障害の発生□ 発生の可能性:高□ 影響度:大● リスクの内容システム開発のミスや遅延、また、重要なシステムに障害が発生することで、事業継続が困難になってしまうと、得意先・顧客はじめ、すべてのステークホルダーからの信頼を失う可能性があります。外部からの悪意ある攻撃、あるいは天災被害等により、基幹システムやWEB販売サイト等の稼働が不可能となった場合、ファイルサーバや従業員のPCから機密情報が流出した場合、事業への悪影響が出る可能性があります。● 対応策当社では「情報セキュリティ基本方針」、「情報セキュリティ関連組織と責任に関する規程」等を定め、すべての従業員に対して情報保護の必要性と責任についての理解促進を図っています。“企業倫理・リスク管理委員会”の傘下に「情報セキュリティ部会」を設置し、現状の情報管理体制の把握と改善、また、顧客情報や重要情報にかかる不正なアクセスによるデータの破壊や漏えい、ウイルスやランサムウェアによる事業運営そのものの阻害を狙ったサイバー攻撃などについて、情報の収集を行い、情報セキュリティ上のリスクを特定すべく、現状の調査、分析等を実施しインシデントの発生を回避あるいは発生時の影響を軽減するなどの体制を整えています。同時に、当社グループの活動方針や具体的対策の立案、関連規程の制定・改廃、戦略的な投資案件の討議を行い、サプライチェーンにおける情報セキュリティリスクの低減に努めています。具体的には、不慮のシステム障害・誤作動に備えて、システムやデバイスをリアルタイムで監視するセキュリティツールの導入と運用を開始する一方、重要なシステムは適切なハードウェアやネットワーク構成、クラウド化の選択ができているか、また、IT資産の適切なメンテナンスが実施されているかなど、適宜モニタリングを行っています。さらに、定期的な標的型メール訓練の実施や、昨今報道されているような情報事故事例などを用いた注意喚起を行うなど、従業員の意識向上と仕組みの構築による両面からリスクの軽減を行っています。 情報管理の不備□ 発生の可能性:中□ 影響度:大● リスクの内容情報管理の不備により、機密情報や個人情報の漏えいや紛失が発生すると、事業活動上、不利益を被るばかりか、社会的信用の失墜、事業運営の停止といった重大な損失影響が出る可能性があります。● 対応策当社では「情報分類規程」、「秘密情報取扱規程」、「個人情報保護規程」等を定め、取り扱うすべての情報を、機密性、一貫性及び可用性の観点から適切に分類するとともに、保護・漏えい防止を図っています。また、重要情報の保護・管理の徹底をねらいに、当社グループの重要情報一覧表を整備し、経営、事業・販売戦略、製品開発、自社ノウハウ、個人情報、情報システム等の区分から、具体的なインサイダー情報の事例を挙げて重要情報の保護対策に取り組んでいます。とりわけ、当社グループは事業活動上、多数の顧客に関わる個人情報を有しています。将来を見据え、㈱ワコールでは「CX戦略」を成長の柱と位置付け、収集した個人情報を含めたデジタルデータを基盤としたビジネスモデルの再構築を進めています。また、海外では顧客の個人情報を直接取得するEC事業を強化し、成長の柱とする計画を進めています。国内における改正個人情報保護法の施行対応に止まることなく、個人情報保護は当社グループ事業活動上の重要性が増しています。“企業倫理・リスク管理委員会”の傘下に設置した「情報セキュリティ部会」では個人情報の保護・管理の強化、関連法規制への対応、従業員への教育等を含め、個人情報を外部の脅威から守るために、国内外の関係会社を対象に管理状況の調査と対策指導・助言等を進めています。 債券相場・金利の変動□ 発生の可能性:中□ 影響度:大● リスクの内容保有する上場株式や債券等の市場価値が下落し、減損が発生する可能性があります。他方、年金資産の評価減・積立不足は追加拠出や引当が必要となりグループ業績に影響を与える可能性があります。● 対応策当社及び当社の特定完全子会社の㈱ワコールが保有している株式の状況は、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (5)株式の保有状況」を参照ください。2023年11月に開示した中期経営計画(リバイズ)では、2026年3月期末までに保有する政策保有株式を300億円以上(前事業年度末(2023年3月末)時価ベース)縮減し、連結純資産額の10%未満とする方針を示しています。当事業年度は、取締役会にて、個別の銘柄ごとに保有によって実現している収益が当社資本コストを上回っているか、当社の企業価値向上につながっているかを検証した結果、保有意義が希薄化した10銘柄・約148億円(前事業年度末時価ベース)の処分・縮減を進めました。他方、退職給付費用及び債務は、年金資産の期待運用利回りや将来の退職給付債務算出に用いる年金数理上の仮定に基づき算出していますが、有価証券の相場並びに金利環境の変化等により、実際の結果が仮定と異なる場合、または仮定に変化があった場合には、退職給付費用及び債務が増加するリスクがあります。当社は国内社債の利回りに基づいて割引率を設定しています。割引率については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記22.従業員給付」を参照ください。企業年金のアセットオーナーとして期待される機能を発揮できるよう、財務・人事・経理等の部門長らで構成する年金委員会を設置し、四半期単位で資産運用方針や政策的資産構成割合等を検討すると同時に、外部の運用コンサルティング会社を起用し専門能力・知見を補完しています。 自然災害・事故等の発生□ 発生の可能性:中□ 影響度:大● リスクの内容地震などの自然災害や火災・爆発等が発生し事業所・生産拠点が被害を受ける、あるいは、従業員が被災する可能性があります。また、交通網の遮断や電力供給の停止、通信回線の不通等、大型小売店や直営店舗、通販サイトや物流網の被災により事業活動に支障が出る可能性があります。● 対応策首都直下型地震をはじめとする大規模事故の緊急事態に備え、“企業倫理・リスク管理委員会”の傘下に設置した「BCP・災害対策部会」では、主要な事業拠点が被災した際のBCP策定を順次整備するなど、予防・減災、応急・初動、復旧・復興の観点で事業継続マネジメントに取り組んでいます。具体的には建物の耐震化、データ関連サーバのクラウド化、災害発生時の従業員安否確認システム、モバイルワークなどといった環境整備に加え、社会的責任を踏まえて、緊急時においてもサービスや製品の安定供給ができるよう、販売事業所の業務バックアップ体制の確立や生産拠点の分散化配置によって、リスクの低減を図っています。 企業倫理・コンプライアンスの姿勢□ 発生の可能性:高□ 影響度:中● リスクの内容第三者から、サプライチェーンにおける人権、労働、環境問題等を指摘・公表され、事業活動に影響を与える、企業価値を毀損する可能性があります。また、企業倫理・コンプライアンスに反する行為が増加する、あるいは、ソーシャルメディアやブログ等のWEBサイト上を含めた広告表現や発言に問題が発生することによって、社会的な信頼を失い、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。● 対応策当社グループを取り巻く国内外の法令や規制等への違反、社会的要請に反する行為等があった場合は、処罰や社会的な信用の低下などにより、経済的・社会的な影響を受けるリスクがあります。「企業倫理・ワコールの行動指針」を定め、従業員に頒布し周知徹底を図るだけでなく、“企業倫理・リスク管理委員会”の下に設置した「コンプライアンス部会」の活動を通じて、従業員への啓発活動、内部通報制度、外部専門機関による法令ヘルスチェックなどの施策を拡充し、法令順守の強化に努めています。また、当事業年度においては、当社グループの経営理念の枠組みの見直しや事業を取り巻く環境変化を受けて「企業倫理・ワコールの行動指針」の改訂版をとりまとめ、2024年4月から、第7版としての運用を開始しました。また、当社グループの事業領域において特に注力すべき点として、サプライチェーンでの労務・人権問題が挙げられます。過去には人権NPOから連結子会社の発注先である海外縫製工場における労務・人権問題について指摘を受けたことや、国内において二次製造委託先の外国人技能実習生に対する超過勤務手当の未払いが発覚したことがありました。2018年4月に立ち上げた「CSR調達部会」を、現在は“サステナビリティ委員会”の傘下に移管し、人権の尊重、環境・社会との調和、法令の順守、労働慣行、事業慣行の観点などから、製造委託先等の工場ごとに自己評価と現地監査を行い、是正・改善計画の策定とモニタリングを行う取り組みを高めています。併せて、CSR調達活動の対象先を、製造委託先を超えて漸次拡大を図るとともに、仕入先一覧を当社ホームページで開示しています。 知的財産権の侵害・被侵害□ 発生の可能性:高□ 影響度:中● リスクの内容知的財産権を侵害されたり侵害したりすることで、訴訟や経済的損失が起きる可能性があります。また、近年、インターネット上で当社ブランドを詐称した「なりすまし広告・偽サイトへの誘導」が拡がっています。注意喚起や排除措置といった適切な対策を怠れば、消費者や市場からの信頼失墜を招きかねず、戦略的な知的財産権の保護や活用ができないでいると、事業に影響を及ぼす可能性があります。● 対応策当社グループは知的財産権があらゆる事業活動に関わり、競争優位性を確保する重要な資産であると認識しています。ブランドや、独自の技術、デザイン、サービス等を、自社の競争力の源泉として知的財産権で保護・活用できるよう、一方で他社の知的財産権を尊重し侵害しないよう、従業員に対しセミナーによる教育や業界知財動向の共有を行い、正しい理解を促しています。また、外部専門家との連携を強化するなど、知的財産担当部門の知見を高めDXやCX戦略、新規事業における知的財産権の保護、活用を進めています。また、国内外における模倣商品の出現や、他社による商標、特許等の無断使用といった知的財産権の侵害には、侵害者に対して権利主張を行い、厳格に対応を行うこととしています。最近ではEC事業のボーダーレス化に伴ったブランド価値の棄損、とりわけ、SNSを中心とした当社ブランドを騙る「なりすまし」の広告・販売の出現について、消費者への注意喚起の実施、販路の追跡と監視、排除措置の実施等に力を注ぐとともに、日本国内に留まらない消費者保護、ブランド保護対策に努めています。 デジタルマーケティングの加速による表現訴求、品質表示・取扱表示等の記載□ 発生の可能性:高□ 影響度:中● リスクの内容主流になりつつあるデジタルマーケティングにおいて、従業員参加型を含むSNS上の発信内容、サステナビリティを巡る国際基準に逆らう概念での訴求表現によって、ネガティブキャンペーンや発信者への誹謗中傷をはじめとする社会問題を招き、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。他方、品質表示等の法令違反や機能性表示における不適切な表現は社会的な信用を損なう可能性があります。また、商品の回収・表示変更のコスト発生、販売中止によって経済的な損失影響が出る可能性があります。● 対応策消費者が適正に商品を選択し使用するための品質表示については、商品そのものに付帯させる法定表示に始まり、店頭やメディアでの広告・宣伝、販促表現、知的財産保護表示など多岐にわたっており、リスクが顕在化しやすい事案だと認識しています。また、加熱するデジタルマーケティングを背景に、SNSでの当社の発信や参加者の言動が社会的な批判に晒される、あるいは、昨今においては、その内容の真偽に関わらず拡散されるリスクも認識しています。“企業倫理・リスク管理委員会”傘下の「品質保証審議会」、「品質管理委員会」の活動を通して、表示内容を決定する部門でのダブルチェックを前提にした表示確認体制の整備、表示決定のプロセスにおける可能な限りのシステム化、表示ミス発生時の迅速な対応、問題発生後の再発防止のための徹底的な原因究明と対策の実施といった、一連のサイクルをルール化し運用しています。また、品質表示に関わる社内啓発活動と担当者教育を定期的に実施しています。併せて、国内外の関係会社ごとの事業環境に照らしたSNS運用規程を定めて周知徹底を行うとともに、マーケティングやコミュニケーション部門の従業員を対象に、訴求表現内容の事前確認・適否判断を行うための教育を推進しています。加えて当社ブランドを騙る「なりすまし」の広告・販売に対して、消費者への注意喚起の実施だけでなく、販路の追跡と監視、排除措置の実施等に毅然として注力しています。このほか、独禁法、景表法、薬機法などと絡めたガイドライン各種の制定と改訂、e-ラーニングによる従業員を対象にした教育の実施などによってリスクの軽減を図っています。また、機能・効能表現においては、商品化計画部門と研究部門、品質保証部門間の連携フローと併せて表記ルールの再整備を行い、外部の機関を交えたエビデンスデータの確認体制を整えています。 設計・製造上の品質保証□ 発生の可能性:中□ 影響度:中● リスクの内容不良品を販売することや商品が人体へ危害を及ぼすこと等により、商品回収等のコストが発生する、当社が高品質の商品を提供するというレピュテーションが損なわれ社会的信用を失うといった、業績への悪影響を及ぼす可能性があります。● 対応策高品質な商品をグローバルに提供できることが、当社グループの強みの一つです。“企業倫理・リスク管理委員会”の下に「品質保証審議会」を設置し、安全性ガイドラインを整備すると同時に、製品企画・設計・開発時点での安全性確認ルールの順守、製造時の検査の徹底、問題発生時の原因追及と再発防止策の策定に取り組んでいます。併せて、こうした活動・情報内容については、グループの国内外関係会社へ水平展開・共有化を図ることによって、品質意識の高揚、全体での管理体制の底上げを行っています。また、「品質保証審議会」の傘下では、商品化計画を担う部門ごとのメンバー選出による「品質管理委員会」を運営し、個別課題への対策フォローアップ、品質管理全般に対する社内教育を実施しています。他方、生産拠点の現場では、定めた品質管理・検査の徹底のみならず、製品受入ロックシステム(材料基準達成製品のみの受け入れ)の運用による基準未達品の排除、検査人員の技量の標準化、品質優秀表彰制度による従業員のモチベーションアップに取り組んでいます。 新興国の社会情勢変動□ 発生の可能性:中□ 影響度:中● リスクの内容新興国に事業拠点を構える当社グループは、政治的不安定状態、法改正や制度変更、ストライキの発生、人材の確保難などによって材料調達や生産が滞る、自国産業保護政策(輸入関税、外資規制等)が継続し事業効率の改善が遅れる、あるいは新規の多額投資を必要とするなど、事業業績に影響を与える可能性があります。● 対応策各国・地域の法律・規制の動向には常に十分な注意を払い、現地情報の収集・分析に努めています。現地の“リスク管理責任者”と連携し、地域の実情を把握し、必要に応じ外部の弁護士、コンサルタントなど、専門機関の協力を得て対応を行うよう整備と運用を図っています。軍事政権による掌握が続くミャンマーでは法律・規制の動向に加え、人権課題への対応についても注視しています。また、地政学的なリスクも見据え、適切な生産拠点の分散を行いリスクの軽減化に努めています。このほか、高い輸入関税が適用されるインドでは、国内における商品企画・生産比率を高めることで競争優位性を強化するよう努めています。 税務の管理□ 発生の可能性:中□ 影響度:中● リスクの内容税制改正や移転価格の調査等による多額の課税がなされた場合には、風評被害の他、当社グループの財政状況及び業績に影響を及ぼす可能性があります。● 対応策繰延税金資産については、現行の会計基準に従い、将来の課税所得を合理的に見積もったうえで計上しています。将来の課税所得見積額の変更や税制改正に伴う税率の変更等により、繰延税金資産が減少し、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼすリスクがあります。これを踏まえて、当社では、適宜、経営環境の変化等に照らし、将来の課税所得の見積もりに関する見直しを行い、回収可能性を合理的に判断しています。事業を展開する国・地域の法令、国際税務関連法規を順守し、透明性の高い税務管理を行い、ステークホルダーからの信頼を得ることをねらいに「税務行動指針」を策定しています。この指針では、国内外の連結子会社を対象に、税務の最新情報入手や研修による啓発活動を含めたグループ税務体制の構築をはじめ、不確実な税務ポジションへの対応、優遇税制の適用、グループ会社間取引、租税回避行為の禁止、税務に関するディスクロージャー等のガイドラインを示しています。加えて、定期的に国内連結子会社を対象にした税務研修会を運営しています。当該研修会では、インボイス制度など、時事の税制改正に適切な対応を進める確認を行う一方、「税務行動指針」の周知・徹底を行っています。また、同指針に記載したガイドラインの運用状況については、IFRIC23の指針に基づいた対応状況と併せて、国内外の連結子会社から、事業年度末に報告書を受けることによってモニタリングを行っています。このほか、BEPSをはじめ国際税務に関する動向を把握し、適宜、海外連結子会社と最新情報を共有するなど、当社グループにおける税務体制の整備に努めています。 |
経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 | 4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要及び経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 (1)経営成績(単位:百万円) 2023年3月期実績2024年3月期実績前期比 増減額増減率売上収益188,592187,208△1,384△0.7% 売上原価82,18983,123+934+1.1% 売上総利益106,403104,085△2,318△2.2% 販売費及び一般管理費102,301100,575△1,726△1.7%事業利益4,1023,510△592△14.4% その他の収益5,2541,990△3,264△62.1% その他の費用12,84615,003+2,157+16.8%営業損失(△)△3,490△9,503△6,013- 金融収益1,5172,529+1,012+66.7% 金融費用795328△467△58.7% 持分法による投資損益2,069△988△3,057-税引前損失(△)△699△8,290△7,591-親会社の所有者に帰属する当期損失(△)△1,643△8,632△6,989- 当連結会計年度(2023年4月1日~2024年3月31日)における当社グループの経営環境は、主要国において主力商品であるインナーウェアの販売が低迷したことから厳しい結果となりました。国内は、高価格帯のブランドは堅調に推移しましたが、円安、エネルギー価格や原材料価格の高騰等を背景とした物価上昇の長期化と、それに伴う選別消費の高まりもあり、中価格帯商品の販売が苦戦しました。物価上昇が収束基調にある米国については、個人消費は安定的な成長がみられたものの、一部の取引先における仕入抑制が継続したことから低調な推移となりました。また継続的な物価上昇に伴い個人消費が減速傾向にある英国・欧州についても販売に力強さを欠く展開となりました。中国は、ゼロコロナ政策解除後の経済活動の回復が期待されていたものの、雇用危機等による景況感の悪化を受けた個人消費の伸び悩みの影響により、売上の回復は想定を下回りました。 このような環境の下、当社グループでは、2023年11月に改訂した3カ年の中期経営計画に沿って、「キャッシュを着実に創出できる体質への転換」をテーマに「収益力の改善に向けたビジネスモデル改革」、「“VISION2030”達成に向けた成長戦略」、「ROICマネジメントの導入」、「アセットライト化の推進」の取り組みを進めております。 国内事業においては、ビジネスモデル改革の一環としてコスト構造改革を進めるほか、顧客ニーズや市場環境の変化への迅速な対応に向けてサプライチェーンマネジメント改革に着手し、店頭商品構成の見直しや需要連動型の生産方式へのシフトによる在庫水準の抑制と最適化、企画開発のリードタイム短縮に取り組んでおります。また、海外事業については、EC成長の実現に向けてデジタルを活用した顧客接点の拡大の取り組みに加えて、欧州における販売エリア・チャネルの拡大などを進めております。 以上の結果、当連結会計年度の連結売上収益は、1,872億8百万円(前期比0.7%減)となりました。国内・海外ともに主力製品であるインナーウェアの販売が低迷したものの、為替相場が円安に推移したことが海外収益を嵩上げし、前期から微減収に留まりました。事業利益は減収影響に加え、原価率の上昇や、前期のワコールのフレックス定年制度の一部改定による一時的な利益の裏返しもあり、35億10百万円(前期比14.4%減)となりました。 営業損益は、Intimates Online, Inc.(以下、IO 社)の事業撤退及び会社清算に伴うワコールインターナショナル(米国)に係る減損損失などの計上(77億95百万円)やワコールにおける構造改革費用の計上(55億22百万円)により、95億3百万円の営業損失(前期は34億90百万円の営業損失)となりました。税引前損益は82億90百万円の損失(前期は6億99百万円の税引前損失)、親会社の所有者に帰属する当期損益は86億32百万円の損失(前期は16億43百万円の当期損失)となりました。 なお、当該期間の為替換算レートは、1米ドル=144.62円(前期135.47円)、1英ポンド=181.76円(同163.15円)、1中国元=20.14円(同19.75円)です。 報告セグメントの経営成績を示すと次のとおりであります。(単位:百万円) 2023年3月期2024年3月期前期比 実績構成比実績構成比増減額増減率売上収益合計188,592100.0%187,208100.0%△1,384△0.7% ワコール事業(国内)96,74651.3%94,19850.3%△2,548△2.6% ワコール事業(海外)66,73235.4%67,75736.2%+1,025+1.5% ピーチ・ジョン事業11,9186.3%10,7415.7%△1,177△9.9% その他13,1967.0%14,5127.8%+1,316+10.0% (単位:百万円) 2023年3月期2024年3月期前期比 実績売上比実績売上比増減額増減率営業利益(△損失)△3,490-△9,503-△6,013- ワコール事業(国内)2,8623.0%△4,193-△7,055- ワコール事業(海外)△7,397-△5,145-+2,252- ピーチ・ジョン事業9157.7%△239-△1,154- その他1301.0%740.5%△56△43.1% ① ワコール事業(国内) 当連結会計年度はブランドやチャネルごとに動向が異なり、強弱が入り交じる結果となりました。 ブランド別の動向としては、高価格帯ブランドの「Yue(ユエ)」、「Salute(サルート)」が堅調に推移したことに加え、メンズインナーウェアも「レースボクサー」を中心に消費者からの評価を受けて伸長しました。一方、主に中価格帯商品を展開する主力ブランド「Wacoal(ワコール)」、「Wing(ウイング)」については、物価上昇を背景とする消費者の選別消費の高まりもあり、低調に推移しました。 チャネル別の動向としては、自社ECが積極的な販促活動が奏功し増収となったほか、他社ECについてもECモール運営事業者との継続的な連携強化により伸長しました。直営店においては、若年層をターゲットとする「AMPHI(アンフィ)」は来店客数の伸び悩みに加え、セール売上が想定を下回ったことにより苦戦しましたが、「WACOAL The Store(ワコール・ザ・ストア)」や「Wacoal FACTORY STORE(ワコールファクトリーストア)」の堅調な販売が寄与し、前期並みの売上となりました。一方、百貨店、量販店は話題性のある商材の不足などの要因から当社店舗への来店客数が伸び悩んだことに加え、取引先の仕入抑制などの影響もあり、苦戦を強いられる結果となりました。特に量販店における販売不振を受け、返品高が増加したことも減収要因となりました。 これらの結果、当該セグメントの売上収益は941億98百万円(前期比2.6%減)となりました。営業損益は、前期のフレックス定年制度の特別運用を受けた人員の減少による人件費削減のほか、売上動向を踏まえて広告費の抑制に努めたものの、売上利益率の低下に加え、在庫圧縮や希望退職募集などワコールの収益改善を目的に実施する構造改革費用の計上(55億22百万円)、前期に計上した固定資産売却益(30億24百万円)の裏返しもあり、41億93百万円の営業損失(前期は28億62百万円の営業利益)となりました。 ② ワコール事業(海外) ワコールインターナショナル(米国)は、事業撤退が決定しているIO社の大幅な減収を主因に前期の売上を下回りました。「Wacoal」ブランドを展開する米国ワコールは、個人消費の底堅い成長を背景に実店舗チャネルが堅調に推移したほか、販促活動やデジタルマーケティングの強化により自社ECも好調に推移しました。一方、得意先の仕入抑制の継続もあり他社ECの売上が想定を下回ったことから、現地通貨ベースで減収となりました。IO社については、11月以降、割引プロモーションの実施により在庫の売り減らしに注力したものの、想定を下回りました。 ワコールヨーロッパの主要エリアである英国・欧州については、9月に発生したサイバーインシデントによる出荷停止や冷夏による水着の売上減少の影響があったものの、第4四半期連結会計期間において実店舗チャネルでの売上に改善が見られたことから、両エリアともに前期並みの売上水準となりました。一方、米国やその他エリアでの販売が低調に推移したことから、ワコールヨーロッパ全体の売上は現地通貨ベースで減収となりました。 中国ワコールは、ゼロコロナ政策解除後の経済活動の回復が期待されていたものの、長引く景気低迷の影響もあり実店舗への来店客数が想定を下回ったことに加え、ECでの競争激化や春節、婦人節の苦戦等により他社ECも苦戦し、現地通貨ベースで減収となりました。 これらの結果、主要子会社の売上は現地通貨ベースでは減収となったものの、主要通貨が円安に推移したことから、邦貨換算ベースでの当該セグメントの売上収益は677億57百万円(前期比1.5%増)となりました。営業損益は、IO社の事業撤退・清算に伴うワコールインターナショナル(米国)に係るのれんの減損損失などの計上(77億95百万円)が影響し、51億45百万円の営業損失(前期は73億97百万円の営業損失)となりました。 ③ ピーチ・ジョン事業 当連結会計年度の国内事業においては、他社ECは新たなECモール事業者との取引開始が寄与し好調に推移したものの、新規顧客の獲得に向けた有名タレントを起用した広告活動やコラボレーション企画が振るわず、直営店・自社ECともに苦戦が続きました。 これらの結果、当該セグメントの売上収益は107億41百万円(前期比9.9%減)となりました。営業損益は、減収の影響やECシステムの更新に伴う経費増加に加えて、中国子会社の清算に伴う損失が影響し、2億39百万円の営業損失(前期は9億15百万円の営業利益)となりました。 ④ その他 当連結会計年度については、Aiは、旅行関連需要の回復を受けて店舗、自社ECともに好調に推移したことから、前期を上回りました。七彩についても都市部の商業施設への来客数の増加を背景に、物販事業と内装工事事業が堅調に推移したことから増収となりました。一方、ルシアンは大手衣料品チェーン向けのプライベートブランド商品の販売が低調に推移した結果、減収となりました。 これらの結果、当該セグメントの売上収益は145億12百万円(前期比10.0%増)と増収したものの、七彩及びルシアンの収益性が悪化した結果、営業利益は74百万円(前期比43.1%減)に留まりました。 (参考)主要子会社の売上収益・営業利益(△損失)(単位:百万円)売上収益2023年3月期2024年3月期前期比実績構成比実績構成比増減額増減率 ワコール90,94848.2%88,70147.4%△2,247△2.5% ワコールインターナショナル(米国)28,01414.9%28,03815.0%+24+0.1% ワコールヨーロッパ19,18410.2%20,35310.9%+1,169+6.1% 中国ワコール10,3655.5%10,3965.6%+31+0.3% ピーチ・ジョン11,9186.3%10,7415.7%△1,177△9.9% ルシアン3,1891.7%2,5831.4%△606△19.0% 七彩6,1963.3%7,7234.1%+1,527+24.6%※外部売上収益のみを記載しております。(単位:百万円)営業利益(△損失)2023年3月期2024年3月期前期比実績売上比実績売上比増減額増減率 ワコール2,7533.0%△3,061-△5,814- ワコールインターナショナル(米国)△9,448-△6,884-+2,564- ワコールヨーロッパ1,6808.8%1,8168.9%+1368.1% 中国ワコール△698-△998-△300- ピーチ・ジョン9157.7%△239-△1,154- ルシアン1113.5%△167-△278- 七彩90.1%941.2%+85+944.4% (2)財政状態 当連結会計年度末における総資産は、現金及び現金同等物やその他の金融資産、退職給付に係る資産の増加などにより、前連結会計年度末に比して83億70百万円増加し、2,940億29百万円となりました。 負債は、借入金や未払法人所得税、繰延税金負債の増加などにより、前連結会計年度末に比して67億10百万円増加し、788億87百万円となりました。 親会社の所有者に帰属する持分は、その他の資本の構成要素の増加などにより、前連結会計年度末に比して16億32百万円増加し、2,118億29百万円となりました。 以上の結果により、当連結会計年度末における親会社所有者帰属持分比率は、前連結会計年度末に比して1.6ポイント減少し、72.0%となりました。 (3)キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比して67億66百万円増加し、335億47百万円となりました。(営業活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、当期損失87億43百万円に減価償却費及び償却費や減損損失などによる調整を加えた金額に対して、資産及び負債の増減などによる調整を行った結果、112億91百万円の収入(前期に比し39億57百万円の収入増)となりました。(投資活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、その他の金融資産の売却及び償還などにより、140億48百万円の収入(前期に比し101億46百万円の収入増)となりました。(財務活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得やリース負債の返済、配当金の支払などにより、202億11百万円の支出(前期に比し23億30百万円の支出減)となりました。 (4)生産、受注及び販売の実績①生産実績 当連結会計年度の生産実績を報告セグメントごとに示すと、次のとおりであります。なお、ピーチ・ジョン事業については、すべて販売会社のため該当事項はありません。また、その他のセグメントについては、生産実績を定義することが困難であるため「生産実績」は記載しておりません。報告セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)ワコール事業(国内)36,77191.3ワコール事業(海外)20,645117.9合計57,41699.4(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。2.生産実績の金額は製造原価によっております。 ②受注実績 その他のうち㈱七彩の店舗内装工事部門については受注生産形態をとっております。 当連結会計年度におけるその他の受注実績を示すと、次のとおりであります。報告セグメントの名称受注高(百万円)前期比(%)受注残高(百万円)前期比(%)その他4,627111.97439.4(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。 ③販売実績 当連結会計年度の販売実績を報告セグメントごとに示すと、次のとおりであります。報告セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)ワコール事業(国内)94,19897.4ワコール事業(海外)67,757101.5ピーチ・ジョン事業10,74190.1その他14,512110.0合計187,20899.3(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。2.総販売実績に対し10%以上に該当する販売先はありません。 (5)資本の財源及び資金の流動性 当社グループの資金の流動性は、主に営業活動による純現金収入によります。営業活動による純現金収入により、外部からの多額の借入や、その他の資金調達手段に頼らずに、大部分の運転資金の確保や設備投資、配当金の支払が可能となっております。ただし、金融機関に借入枠は設けており、2024年3月31日現在の借入枠の合計は504億33百万円、借入枠を設けている借入金の残高は88億55百万円となっており、主な残高の内訳としては当社が50億円、WACOAL INTERNATIONAL CORP.が31億80百万円、㈱トリーカが2億80百万円となっております。 これらの借入枠の期限は、ほとんどが自動的に更新されるものであり、現状更新を妨げるような事象は発生していないと考えております。仮にいずれかの子会社において借入が不可能になったとしても、グループの各社から資金を供給することが可能であると考えております。また、資金需要について大きな季節変動はありません。 また、子会社からの親会社への配当に係る規制は特に無いと考えております。 なお、感染症による影響の度合い、期間が不透明であったため、当社は2020年4月以降に金融機関に追加の借入枠を設け、手元流動資金を確保するため最大400億円の借入を行いましたが、2023年3月期までに350億円を返済しております。今後も目的や収益性を厳格に見積もることで、資金の流動性を確保していきます。①設備投資 「第3 設備の状況 1 設備投資等の概要」に記載しております。 ②キャッシュ・フロー「(3)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。 (6)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成されております。これらの連結財務諸表の作成にあたっては、当社グループは重要な見積りや仮定を行う必要があります。 なお、重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載しております。 |
経営上の重要な契約等 | 5【経営上の重要な契約等】 該当事項はありません。 |
研究開発活動 | 6【研究開発活動】 当社グループでは、人体と衣服の調和を実現し、よりよい製品づくりを支えるため、人間科学研究開発センターを中心として研究開発に取り組んでおります。 当社グループは、1964年以降日本人女性の体型を正確に把握するため、女性の体型調査を継続して実施してきました。シルエット分析システムの開発や三次元計測システムの導入、更により高度な人間の感覚計測にも取り組み、人間の形態・生理・心理の三側面からの研究開発を行っております。研究成果として、1995年~1998年に通産省(現経済産業省)プロジェクトへの参加を通じて、感覚生理研究を強化充実し、「加圧生理」、「温熱生理」、「皮膚生理」面での基礎研究をもとにして、着心地が良いだけでなく生理的にも効果のある新製品の開発を行ってきました。2005年には、日常歩行をエクササイズ歩行に変え、健康で美しいからだづくりをサポートする画期的なスタイルサイエンス商品を開発し、世の中に新しい市場を創出しました。また、2010年には同一人物の20代から50代に至る体型変化を分析し、加齢によるからだの変化(エイジング)の原則を発表し、エイジングに対応した新製品開発を強化するとともに、加齢による体型変化の小さい人の生活習慣をヒントにした新機能製品を開発。2020年には「重力によるバストの動きと皮膚研究」の研究報告をもとに「重力からバストを守る」ことの大切さの研究発表カンファレンスを実施し、同研究をもとにした「重力に負けないバストケアブラ」や「重力に負けないヒップケアガードル」等の新機能製品を開発しました。2021年には大学や他社との共創型「からだ文化研究プロジェクト」を発足させ、2022年3月には関係者を対象に「からだ文化シンポジウム」を東京青山スパイラルホールで開催しました。また、2019年5月には人間科学研究開発センターが監修開発したサイズ判定アルゴリズムを搭載した3Dボディスキャナーによるセルフ計測サービスの運用を開始しました。 当連結会計年度は、これまで蓄積してきた身体データ、および心理データをもとに「今の20代」に焦点を当てて研究を行い、「からだ白書」として研究結果をまとめ、商品開発に繋げるべく社内でコンベンションを実施しました。 これらの結果、当連結会計年度の研究開発費に370百万円計上しました。 なお、当社グループの研究開発活動は、主にレディスインナーウェア等の基礎研究から商品開発に及ぶさまざまな研究を行っており、特定のセグメントに関連付けることが困難であるため、セグメントごとに記載しておりません。 今後も、「ひとりひとりが自分らしく美しくいられるように」、“美”“快適”“健康”の3領域を基軸に、顧客満足及び企業価値の増大に貢献し得る研究開発の充実を図り、商品力の強化とお客様に納得と満足を感じていただける新製品や情報・サービスの開発に邁進する所存であります。 |
設備投資等の概要 | 1【設備投資等の概要】 当連結会計年度において実施した設備投資の総額は、3,381百万円であります。主な内容は、子会社における情報システム投資及び所有不動産の設備維持補修工事等に関するものであります。 ワコール事業(国内)については1,999百万円、ワコール事業(海外)については1,020百万円、ピーチ・ジョン事業については345百万円、その他については17百万円の設備投資を行っております。 |
主要な設備の状況 | 2【主要な設備の状況】 当社グループ(当社及び連結子会社)における主要な設備は、以下のとおりであります。(1)提出会社2024年3月31日現在 事業所名(所在地)セグメントの名称設備の内容帳簿価額(百万円)従業員数(人)建物及び構築物機械装置及び工具、器具備品土地(㎡)合計本社(京都市南区)他ワコール事業(国内)管理業務設備他18,2521,21116,412(268,587)35,87698[ -] (2)国内子会社2024年3月31日現在 会社名(所在地)セグメントの名称設備の内容帳簿価額(百万円)従業員数(人)建物及び構築物機械装置・車両運搬具及び工具、器具備品土地(㎡)合計㈱ワコール本社(京都市南区)他京都地区2事業所ワコール事業(国内)管理業務設備39125-1651,689[ 51]㈱ワコール東京店(東京都千代田区)他東京地区1事業所ワコール事業(国内)管理業務設備1916-351,218[ 30]㈱ワコールスパイラル営業部(東京都港区)ワコール事業(国内)営業設備9718-115-[ -]ワコール流通㈱守山流通センター(滋賀県守山市)ワコール事業(国内)商品管理設備23274-297305[ -]㈱ワコールマニュファクチャリングジャパン長崎工場(長崎県雲仙市)ワコール事業(国内)生産設備-66-66264[ -]㈱トリーカ(鳥取県西伯郡南部町)他3工場ワコール事業(国内)生産設備41752180(40,840)649123[ 45]㈱七彩大阪商品センター(大阪市淀川区)その他生産設備11615150(2,790)28119[ -] (3)海外子会社2024年3月31日現在 会社名(所在地)セグメントの名称設備の内容帳簿価額(百万円)従業員数(人)建物及び構築物機械装置・車両運搬具及び工具、器具備品土地(㎡)合計WACOAL AMERICA, INC.(米国 ニュージャージー州)ワコール事業(海外)管理業務設備商品管理設備962691365(32,300)2,018211[ -]WACOAL DOMINICANA CORP.(ドミニカ共和国サントドミンゴ市)ワコール事業(海外)生産設備1,466632255(34,356)2,3532,201[ -]WACOAL SINGAPOREPRIVATE LTD.(シンガポール)ワコール事業(海外)管理業務設備916277(235)30236[ 8]WACOAL HONG KONG CO., LTD.(香港)ワコール事業(海外)管理業務設備304--304114[ 23]華歌爾(中国)時装有限公司(中国 北京市)ワコール事業(海外)管理業務設備生産設備13016-(-)[11,871]146404[ -]廣東華歌爾時装有限公司(中国 広州市)ワコール事業(海外)生産設備91121-(-)[11,224]212399[ -]VIETNAM WACOAL CORP.(ベトナム ビエンホア市)ワコール事業(海外)管理業務設備生産設備30143-(-)[25,195]1741,706[ 1]大連華歌爾時装有限公司(中国 大連市)ワコール事業(海外)生産設備115259-(-)[27,543]374534[ 4]A TECH TEXTILE CO., LTD.(タイ ガビンブリ市)ワコール事業(海外)生産設備62195269(48,889)526234[ -] (注)1.賃借している土地の面積については、[ ]で外書きしております。2.現在休止中の主要な設備はありません。3.上記(2)の一部国内子会社の建物及び土地は、当社から賃借しております。建物及び土地の簿価は、下記のとおりであります。事業所名(所在地)セグメントの名称設備の内容帳簿価額(百万円)建物及び構築物土地(㎡)㈱ワコール本社(京都市南区)他京都地区2事業所ワコール事業(国内)管理業務設備9,1091,885(11,208)㈱ワコール東京店(東京都千代田区)他東京地区1事業所ワコール事業(国内)管理業務設備1,0041,945(1,471)㈱ワコールスパイラル営業部(東京都港区)ワコール事業(国内)営業設備7013,972(1,739)ワコール流通㈱守山流通センター(滋賀県守山市)ワコール事業(国内)商品管理設備5,0481,419(38,923)㈱ワコールマニュファクチャリングジャパン長崎工場(長崎県雲仙市)ワコール事業(国内)生産設備21152(19,369)4.従業員数は、[ ]内に年間の平均臨時従業員数を外書きで記載しております。 5.上記の他の連結会社以外からの主要な賃借設備の内容は、下記のとおりであります。(1)国内子会社事業所名(所在地)セグメントの名称設備の内容建物(㎡)土地(㎡)年間賃借料(百万円)㈱ピーチ・ジョン本社(東京都港区)ピーチ・ジョン事業管理業務設備968-70 (2)海外子会社会社名(所在地)セグメントの名称設備の内容建物(㎡)土地(㎡)年間賃借料(百万円)WACOAL AMERICA, INC.(米国 ニューヨーク州)ワコール事業(海外)管理業務設備4,772-426 |
設備の新設、除却等の計画 | 3【設備の新設、除却等の計画】 (1)重要な設備の新設等該当事項はありません。 (2)重要な設備の除却等該当事項はありません。 |
研究開発費、研究開発活動 | 370,000,000 |
設備投資額、設備投資等の概要 | 345,000,000 |
Employees
平均年齢(年)、提出会社の状況、従業員の状況 | 46 |
平均勤続年数(年)、提出会社の状況、従業員の状況 | 19 |
平均年間給与、提出会社の状況、従業員の状況 | 5,762,700 |
管理職に占める女性労働者の割合、提出会社の指標 | 0 |
全労働者、労働者の男女の賃金の差異、提出会社の指標 | 1 |
正規雇用労働者、労働者の男女の賃金の差異、提出会社の指標 | 1 |
非正規雇用労働者、労働者の男女の賃金の差異、提出会社の指標 | 1 |
Investment
株式の保有状況 | (5)【株式の保有状況】 ① 投資株式の区分の基準及び考え方 当社は、保有目的が純投資目的である投資株式と純投資目的以外の目的である投資株式の区分について、資産運用の一環として純投資目的での株式は保有しておらず、取引関係の維持・強化、事業展開における協力・取引関係の構築・維持・強化、安定的な金融取引の維持を目的として、純投資以外のグループ戦略上重要な目的を持つ政策保有株式を保有しております。 ② ㈱ワコールにおける株式の保有状況 当社及び連結子会社のうち、投資株式の貸借対照表計上額(投資株式計上額)が最も大きい会社(最大保有会社)である㈱ワコールについては以下のとおりであります。a.保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式イ 保有方針及び保有の合理性を検証する方法並びに個別銘柄の保有の適否に関する取締役会等における検証の内容 中長期的な観点から保有目的が適切か、保有に伴うリスクが資本コストに見合っているか、具体的には取引に伴う利益や受取配当金の利回り等を検証し、定期的に取締役会に報告しております。取締役会においては、検証結果を基に当社の中長期的な企業価値向上に資するかどうかを見極め、保有の継続、処分の判断を行っております。ロ 銘柄数及び貸借対照表計上額 銘柄数(銘柄)貸借対照表計上額の合計額(百万円)非上場株式251,369非上場株式以外の株式2346,094(当事業年度において株式数が増加した銘柄) 銘柄数(銘柄)株式数の増加に係る取得価額の合計額(百万円)株式数の増加の理由非上場株式---非上場株式以外の株式11得意先持株会により増加しました。(当事業年度において株式数が減少した銘柄) 銘柄数(銘柄)株式数の減少に係る売却価額の合計額(百万円)非上場株式10非上場株式以外の株式1217,090 ハ 特定投資株式及びみなし保有株式の銘柄ごとの株式数、貸借対照表計上額等に関する情報特定投資株式銘柄当事業年度前事業年度保有目的、業務提携等の概要、定量的な保有効果(注)2及び株式数が増加した理由当社の株式の保有の有無株式数(株)株式数(株)貸借対照表計上額(百万円)貸借対照表計上額(百万円)㈱SCREENホールディングス(注)4434,358217,179地元の企業として、情報の共有をはじめとして密接な関係にあり、事業戦略の観点から同社との良好な関係の維持・強化を図るため、継続して保有しております。有8,6712,530㈱京都フィナンシャルグループ(注)52,279,988569,997地元の主要金融機関として金融取引を行っており、企業価値向上の観点から同社との良好な関係の維持・強化を図るため、継続して保有しております。有6,2953,562 銘柄当事業年度前事業年度保有目的、業務提携等の概要、定量的な保有効果(注)2及び株式数が増加した理由当社の株式の保有の有無株式数(株)株式数(株)貸借対照表計上額(百万円)貸借対照表計上額(百万円)イオン㈱1,546,4731,545,985婦人肌着の取引を行っており、企業価値向上の観点から同社との良好な関係の維持・強化を図るため、継続して保有しております。また、持株会に加入しているため、株式数が増加しております。有5,5593,966㈱三菱UFJフィナンシャル・グループ2,885,8502,885,850主要金融機関として総合的な金融取引を行っており、企業価値向上の観点から同社との良好な関係の維持・強化を図るため、継続して保有しております。有(注)34,4932,446東京海上ホールディングス㈱822,000822,000各種損害保険商品を採用し、事業上のリスク低減を図っており、企業価値向上の観点から同社との良好な関係の維持・強化を図るため、継続して保有しております。有(注)33,8652,093㈱堀場製作所230,000230,000地元の企業として、情報の共有をはじめとして密接な関係にあり、事業戦略の観点から同社との良好な関係の維持・強化を図るため、継続して保有しております。有3,6861,819Saha Pathana Inter-Holding PLC7,606,6667,606,666タイ王国における事業展開で密接な協力関係にあり、同国における企業価値向上の観点から同社との良好な関係の維持・強化を図るため、継続して保有しております。無2,2382,044蝶理㈱548,890548,890繊維製品の主要仕入先として、今後も安定的な仕入を通じ、企業価値向上と同社との良好な関係の維持・強化を図るため、継続して保有しております。有1,8681,376京セラ㈱(注)6891,800445,900地元の企業として、情報の共有をはじめとして密接な関係にあり、事業戦略の観点から同社との良好な関係の維持・強化を図るため、継続して保有しております。有1,8033,071㈱滋賀銀行398,000398,000地元の主要金融機関として金融取引を行っており、企業価値向上の観点から同社との良好な関係の維持・強化を図るため、継続して保有しております。有1,6691,066宝ホールディングス㈱1,000,0001,000,000地元の企業として、情報の共有をはじめとして密接な関係にあり、事業戦略の観点から同社との良好な関係の維持・強化を図るため、継続して保有しております。有1,0701,022 銘柄当事業年度前事業年度保有目的、業務提携等の概要、定量的な保有効果(注)2及び株式数が増加した理由当社の株式の保有の有無株式数(株)株式数(株)貸借対照表計上額(百万円)貸借対照表計上額(百万円)㈱平和堂517,531517,531婦人肌着の取引を行っており、企業価値向上の観点から同社との良好な関係の維持・強化を図るため、継続して保有しております。有1,0521,053㈱セブン&アイ・ホールディングス(注)7464,907154,969婦人肌着の取引を行っており、企業価値向上の観点から同社との良好な関係の維持・強化を図るため、継続して保有しております。無1,025925イオンフィナンシャルサービス㈱687,300687,300婦人肌着の取引を行っているイオン㈱のグループ会社であり、事業戦略の観点から同社グループとの良好な関係の維持・強化を図るため、継続して保有しております。無965848I.C.C INTERNATIONAL PLC2,677,3002,677,300タイ王国における事業展開で密接な協力関係にあり、同国における企業価値向上の観点から同社との良好な関係の維持・強化を図るため、継続して保有しております。有517363久光製薬㈱90,00090,000事業展開における協力、取引関係の構築を目的に密接な関係にあり、同社との良好な関係の維持・強化を図るため、継続して保有しております。有357340㈱松屋205,000205,000婦人肌着を中心とした多岐にわたる商品で取引を行っており、企業価値向上の観点から同社との良好な関係の維持・強化を図るため、継続して保有しております。有232226㈱近鉄百貨店74,700100,000婦人肌着を中心とした多岐にわたる商品で取引を行っており、企業価値向上の観点から同社との良好な関係の維持・強化を図るため、継続して保有しております。有177244㈱イズミ45,64845,648婦人肌着の取引を行っており、企業価値向上の観点から同社との良好な関係の維持・強化を図るため、継続して保有しております。無160143㈱キング168,000168,000アパレル企業間の情報を交換する等密接関係にあり、事業戦略の観点から同社との良好な関係の維持・強化を図るため、継続して保有しております。有12084㈱フジ62,60062,600婦人肌着の取引を行っており、企業価値向上の観点から同社との良好な関係の維持・強化を図るため、継続して保有しております。有116108 銘柄当事業年度前事業年度保有目的、業務提携等の概要、定量的な保有効果(注)2及び株式数が増加した理由当社の株式の保有の有無株式数(株)株式数(株)貸借対照表計上額(百万円)貸借対照表計上額(百万円)東レ㈱100,000100,000繊維製品の主要仕入先として、今後も安定的な仕入を通じ、企業価値向上と同社との良好な関係の維持・強化を図るため、継続して保有しております。有7475三共生興㈱94,38094,380アパレル企業間の情報を交換する等密接関係にあり、事業戦略の観点から同社との良好な関係の維持・強化を図るため、継続して保有しております。有7051KDDI㈱-1,520,500通信機器や通信インフラの取引を行っており、企業価値向上の観点から同社との良好な関係の維持・強化を図るため、継続して保有しておりました。無-6,223㈱島津製作所-453,300地元の企業として、情報の共有をはじめとして密接な関係にあり、事業戦略の観点から同社との良好な関係の維持・強化を図るため、継続して保有しておりました。有-1,876コクヨ㈱-754,700オフィス家具や文具の主要なサプライヤーとして密接な関係にあり、企業価値向上の観点から同社との良好な関係の維持・強化を図るため、継続して保有しておりました。無-1,417TOPPANホールディングス㈱-426,000カタログを中心とした広告販促物作成において密接な関係にあり、企業価値向上の観点から同社との良好な関係の維持・強化を図るため、継続して保有しておりました。無-1,135大正製薬ホールディングス㈱-132,000事業展開における協力を進める等密接な関係にあり、企業価値向上の観点から同社との良好な関係の維持・強化を図るため、継続して保有しておりました。有-728福山通運㈱-187,500物流取引において密接な関係にあり、企業価値向上の観点から同社との良好な関係の維持・強化を図るため、継続して保有しておりました。有-673旭化成㈱-598,195繊維製品の主要仕入先として、今後も安定的な仕入を通じ、企業価値向上と同社との良好な関係の維持・強化を図るため、継続して保有しておりました。無-554㈱丸井グループ-151,487婦人肌着を中心とした多岐にわたる商品で取引を行っており、企業価値向上の観点から同社との良好な関係の維持・強化を図るため、継続して保有しておりました。無-306 銘柄当事業年度前事業年度保有目的、業務提携等の概要、定量的な保有効果(注)2及び株式数が増加した理由当社の株式の保有の有無株式数(株)株式数(株)貸借対照表計上額(百万円)貸借対照表計上額(百万円)㈱中央倉庫-190,700物流取引において密接な関係にあり、企業価値向上の観点から同社との良好な関係の維持・強化を図るため、継続して保有しておりました。無-206小田急電鉄㈱-58,200子会社である㈱小田急百貨店と婦人肌着を中心とした多岐にわたる商品で取引を行っており、企業価値向上の観点から同社との良好な関係の維持・強化を図るため、継続して保有しておりました。無-100(注)1.「-」は、当該銘柄を保有していないことを示しております。2.定量的な保有効果につきましては、個別の取引に関わることであるため記載が困難であります。3.保有先企業は当社の株式を保有しておりませんが、同社子会社が当社の株式を保有しております。4.㈱SCREENホールディングスは、2023年10月1日付で、普通株式1株を2株とする株式分割を行っております。5.㈱京都フィナンシャルグループは、2023年10月2日付で㈱京都銀行の単独株式移転により、㈱京都銀行の持株会社(完全親会社)として設立しており、2024年1月1日付で、普通株式1株を4株とする株式分割を行っております。6.京セラ㈱は、2024年1月1日付で、普通株式1株を4株とする株式分割を行っております。7.㈱セブン&アイ・ホールディングスは、2024年3月1日付で、普通株式1株を3株とする株式分割を行っております。8.凸版印刷㈱は、2023年10月1日付でTOPPANホールディングス㈱へ商号変更しております。 みなし保有株式銘柄当事業年度前事業年度保有目的、業務提携等の概要、定量的な保有効果(注)2及び株式数が増加した理由当社の株式の保有の有無株式数(株)株式数(株)貸借対照表計上額(百万円)貸借対照表計上額(百万円)KDDI㈱2,544,0002,544,000通信機器や通信インフラの取引を行っており、企業価値向上の観点から同社との良好な関係の維持・強化を図るため、継続して保有しております。現在は退職給付信託に拠出しており、議決権行使については指図権を留保しております。無11,40210,412㈱三菱UFJフィナンシャル・グループ3,385,0003,365,000主要金融機関として総合的な金融取引を行っており、企業価値向上の観点から同社との良好な関係の維持・強化を図るため、継続して保有しております。現在は退職給付信託に拠出しており、議決権行使については指図権を留保しております。有(注)35,2392,853(注)1.貸借対照表計上額の上位銘柄を選定する段階で、特定投資株式とみなし保有株式を合算しておりません。2.定量的な保有効果につきましては、個別の取引に関わることであるため記載が困難であります。3.保有先企業は当社の株式を保有しておりませんが、同社子会社が当社の株式を保有しております。 ニ 保有目的が純投資目的である投資株式 該当事項はありません。ホ 当事業年度中に投資株式の保有目的を純投資目的から純投資目的以外の目的に変更したもの 該当事項はありません。へ 当事業年度中に投資株式の保有目的を純投資目的以外の目的から純投資目的に変更したもの 該当事項はありません。 ③ 提出会社における株式の保有状況a.保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式イ 保有方針及び保有の合理性を検証する方法並びに個別銘柄の保有の適否に関する取締役会等における検証の内容 中長期的な観点から保有目的が適切か、保有に伴うリスクが資本コストに見合っているか、具体的には取引に伴う利益や受取配当金の利回り等を検証し、定期的に取締役会に報告しております。取締役会においては、検証結果を基に当社の中長期的な企業価値向上に資するかどうかを見極め、保有の継続、処分の判断を行っております。 なお、定量的な保有効果につきましては、個別の取引に関わることであり、開示を省略いたします。ロ 銘柄数及び貸借対照表計上額 銘柄数(銘柄)貸借対照表計上額の合計額(百万円)非上場株式276非上場株式以外の株式-- (当事業年度において株式数が増加した銘柄) 銘柄数(銘柄)株式数の増加に係る取得価額の合計額(百万円)株式数の増加の理由非上場株式175新事業創出への取り組みを推進するため非上場株式以外の株式--- (当事業年度において株式数が減少した銘柄) 銘柄数(銘柄)株式数の減少に係る売却価額の合計額(百万円)非上場株式--非上場株式以外の株式-- ハ 特定投資株式及びみなし保有株式の銘柄ごとの株式数、貸借対照表計上額等に関する情報 該当事項はありません。ニ 保有目的が純投資目的である投資株式 該当事項はありません。ホ 当事業年度中に投資株式の保有目的を純投資目的から純投資目的以外の目的に変更したもの 該当事項はありません。へ 当事業年度中に投資株式の保有目的を純投資目的以外の目的から純投資目的に変更したもの 該当事項はありません。 |
株式数が増加した銘柄数、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 1 |
銘柄数、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 2 |
貸借対照表計上額、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 76,000,000 |
株式数の増加に係る取得価額の合計額、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 75,000,000 |
株式数が増加した理由、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 新事業創出への取り組みを推進するため |
Shareholders
大株主の状況 | (6)【大株主の状況】 2024年3月31日現在 氏名又は名称住所所有株式数(千株)発行済株式(自己株式を除く。)の総数に対する所有株式数の割合(%) 日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)東京都港区赤坂1丁目8-1赤坂インターシティAIR5,3869.78 明治安田生命保険相互会社東京都千代田区丸の内2丁目1-13,0505.54 株式会社三菱UFJ銀行東京都千代田区丸の内2丁目7-12,7044.91 株式会社京都銀行京都市下京区烏丸通松原上る薬師前町7002,3524.27 株式会社日本カストディ銀行(信託口)東京都中央区晴海1丁目8-122,3334.24 日本生命保険相互会社東京都千代田区丸の内1丁目6-6日本生命証券管理部内1,5692.85 株式会社滋賀銀行滋賀県大津市浜町1-381,5692.85 三菱UFJ信託銀行株式会社東京都千代田区丸の内1丁目4-51,5252.77 ML INTL EQUITY DERIVATIVES(常任代理人 BofA証券株式会社)MERRILL LYNCH FINANCIAL CENTRE 2 KING EDWARD STREET LONDON UNITED KINGDOM(東京都中央区日本橋1丁目4-1 日本橋一丁目三井ビルディング)1,5142.75 JPモルガン証券株式会社東京都千代田区丸の内2丁目7-3東京ビルディング1,2202.22計──────23,22542.17 (注)1.上記のほか、自己株式が5,931千株あります。2. 日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)及び 株式会社日本カストディ銀行(信託口)の所有株式数は、すべて各行の信託業務に係るものであります。3.2022年11月7日付で公衆の縦覧に供されている大量保有報告書(変更報告書)において、野村證券株式会社及びその共同保有者が2022年10月31日現在で以下の株式を所有している旨が記載されているものの、当社として2024年3月31日現在における実質所有株式数の確認ができませんので、上記大株主の状況では考慮しておりません。 なお、その大量保有報告書(変更報告書)の内容は次のとおりであります。 氏名又は名称住所保有株券等の数(千株)株券等保有割合(%)野村證券株式会社東京都中央区日本橋1丁目13-1330.05ノムラ インターナショナル ピーエルシー(NOMURA INTERNATIONAL PLC)1 Angel Lane, London EC4R 3AB, United Kingdom1110.17野村アセットマネジメント株式会社東京都江東区豊洲2丁目2-12,5884.01計2,7324.24 |
株主数-金融機関 | 29 |
株主数-金融商品取引業者 | 24 |
株主数-外国法人等-個人 | 14 |
株主数-外国法人等-個人以外 | 168 |
株主数-個人その他 | 13,650 |
株主数-その他の法人 | 153 |
株主数-計 | 14,039 |
氏名又は名称、大株主の状況 | JPモルガン証券株式会社 |
株主総利回り | 1 |
株主総会決議による取得の状況 | (1)【株主総会決議による取得の状況】 該当事項はありません。 |
株主総会決議又は取締役会決議に基づかないものの内容 | (3)【株主総会決議又は取締役会決議に基づかないものの内容】 会社法第155条第7号の規定に基づく取得区分株式数(株)価額の総額(円)当事業年度における取得自己株式4341,345,887当期間における取得自己株式52178,412 (注) 当期間における取得自己株式には、2024年6月1日からこの有価証券報告書提出までの単元未満株式の買取りによる株式は含まれておりません。 会社法第155条第13号の規定に基づく取得区分株式数(株)価額の総額(円)当事業年度における取得自己株式2,450-当期間における取得自己株式-- (注)1.譲渡制限付株式の無償取得によるものであります。2.当期間における取得自己株式には、2024年6月1日からこの有価証券報告書提出までの譲渡制限付株式の無償取得による株式は含まれておりません。 |
Shareholders2
自己株式の取得 | -10,001,000,000 |
Audit
監査法人1、連結 | 有限責任監査法人トーマツ |
独立監査人の報告書、連結 | 独立監査人の監査報告書及び内部統制監査報告書 2024年6月25日株式会社ワコールホールディングス 取締役会 御中 有限責任監査法人トーマツ 京 都 事 務 所 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士佃 弘一郎 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士辻 知美 <連結財務諸表監査>監査意見 当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられている株式会社ワコールホールディングスの2023年4月1日から2024年3月31日までの連結会計年度の連結財務諸表、すなわち、連結財政状態計算書、連結損益計算書、連結包括利益計算書、連結持分変動計算書、連結キャッシュ・フロー計算書、連結財務諸表注記について監査を行った。 当監査法人は、上記の連結財務諸表が、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条により規定された国際会計基準に準拠して、株式会社ワコールホールディングス及び連結子会社の2024年3月31日現在の財政状態並びに同日をもって終了する連結会計年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。監査意見の根拠 当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準における当監査法人の責任は、「連結財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。監査上の主要な検討事項 監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 WACOAL EUROPE LTD.に係るのれんの評価(連結財務諸表注記14)監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応 2024年3月31日現在、連結財政状態計算書に計上されているのれん(残高11,805百万円、総資産の4.0%)は、WACOAL EUROPE LTD.に関連する。 会社は、国際会計基準を適用し、連結財務諸表注記3.重要な会計方針(7)のれん及び無形資産、及び(16)非金融資産の減損に記載の通り、のれんを含む資金生成単位については、毎期及び減損の兆候が存在する場合にはその都度、減損テストを実施している。減損テストの結果、資金生成単位の帳簿価額が回収可能価額を超過する場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、帳簿価額の減少額を減損損失として認識している。 会社は、減損テストを実施するにあたり、回収可能価額を、使用価値と処分コスト控除後の公正価値のいずれか高い方で算定している。 回収可能価額を算出するために利用される将来キャッシュ・フローは、経営者によって承認された5年間の事業計画を基礎として、その後は、市場の長期平均成長率をもとに算定されている。 英国・欧州は継続的な物価上昇に伴い個人消費が減速傾向にある。また、物価上昇が収束基調にある米国については、個人消費は安定的な成長がみられたものの、一部の取引先における仕入抑制が継続した。 事業計画には、顧客の多様な価値観に応えるための商品戦略やヨーロッパ大陸における営業強化、EC成長に向けた取り組みによる販売数量拡大施策の達成可能性や展開地域(主に英国・欧州・北米)での市場成長率などの重要な仮定が含まれている。 これらの重要な仮定は過去の実績、経営者により承認された事業計画等に基づく最善の見積りと判断により決定されているが、市場環境の変化等により影響を受ける可能性があるため、不確実性を伴うものであり、経営者による見積りと判断が回収可能価額の見積りに重要な影響を及ぼす。また、回収可能価額の算定に用いる割引率は、計算手法及び重要な仮定であるインプットデータの選択に当たり評価に関する高度な専門知識を必要とする。 以上より、当監査法人は、当該事項を監査上の主要な検討事項に該当するものと判断した。 当監査法人は、回収可能価額の見積りの合理性について、以下の手続を実施した。(1)内部統制の評価回収可能価額の算定に関連する内部統制の整備及び運用状況の有効性について、特に将来キャッシュ・フローの見積額の合理性を検証する統制に焦点を当てて評価した。 (2)回収可能価額の見積りの合理性の評価経営者が作成したのれんの減損テストに関連する報告書を閲覧し、経営者によって承認された事業計画の重要な仮定との整合性を確かめた。また、回収可能価額の見積りについて経営者に質問し、重要な仮定を理解するとともに、以下の手続を実施し、その合理性を評価した。・販売数量拡大施策の達成可能性については、経営者への質問を通じて各種施策を理解した上で過去における商品戦略やヨーロッパ大陸における営業活動、EC成長に向けた取り組み及び実績を比較し、見積りの精度を評価した。・展開地域(主に英国・欧州・北米)での市場成長率については、企業価値評価領域の内部専門家を利用し、外部機関が公表している小売業界のデータに基づいた監査人の予測との比較を行った。・割引率については、感応度分析を実施し、これらが回収可能価額に与える影響を評価した。また、企業価値評価領域の内部専門家を利用し、割引率の計算方法の合理性を評価するとともに、同専門家が市場データ及び仮定を用いて独自に算定した値との比較を実施した。 その他の記載内容 その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 当監査法人の連結財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。 連結財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と連結財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 連結財務諸表に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任 経営者の責任は、国際会計基準に準拠して連結財務諸表を作成し適正に表示することにある。これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない連結財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。 連結財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき連結財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、国際会計基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。 監査役及び監査役会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。連結財務諸表監査における監査人の責任 監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての連結財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から連結財務諸表に対する意見を表明することにある。虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、連結財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。 監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。・ 不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。・ 連結財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。・ 経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。・ 経営者が継続企業を前提として連結財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において連結財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する連結財務諸表の注記事項が適切でない場合は、連結財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。・ 連結財務諸表の表示及び注記事項が、国際会計基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた連結財務諸表の表示、構成及び内容、並びに連結財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。・ 連結財務諸表に対する意見を表明するために、会社及び連結子会社の財務情報に関する十分かつ適切な監査証拠を入手する。監査人は、連結財務諸表の監査に関する指示、監督及び実施に関して責任がある。監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。 監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。 監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。 監査人は、監査役及び監査役会と協議した事項のうち、当連結会計年度の連結財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。 <内部統制監査>監査意見 当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第2項の規定に基づく監査証明を行うため、株式会社ワコールホールディングスの2024年3月31日現在の内部統制報告書について監査を行った。 当監査法人は、株式会社ワコールホールディングスが2024年3月31日現在の財務報告に係る内部統制は有効であると表示した上記の内部統制報告書が、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して、財務報告に係る内部統制の評価結果について、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。監査意見の根拠 当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に準拠して内部統制監査を行った。財務報告に係る内部統制の監査の基準における当監査法人の責任は、「内部統制監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。内部統制報告書に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任 経営者の責任は、財務報告に係る内部統制を整備及び運用し、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して内部統制報告書を作成し適正に表示することにある。 監査役及び監査役会の責任は、財務報告に係る内部統制の整備及び運用状況を監視、検証することにある。 なお、財務報告に係る内部統制により財務報告の虚偽の記載を完全には防止又は発見することができない可能性がある。内部統制監査における監査人の責任 監査人の責任は、監査人が実施した内部統制監査に基づいて、内部統制報告書に重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、内部統制監査報告書において独立の立場から内部統制報告書に対する意見を表明することにある。 監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。・ 内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果について監査証拠を入手するための監査手続を実施する。内部統制監査の監査手続は、監査人の判断により、財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性に基づいて選択及び適用される。・ 財務報告に係る内部統制の評価範囲、評価手続及び評価結果について経営者が行った記載を含め、全体としての内部統制報告書の表示を検討する。・ 内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果に関する十分かつ適切な監査証拠を入手する。監査人は、内部統制報告書の監査に関する指示、監督及び実施に関して責任がある。監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。 監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した内部統制監査の範囲とその実施時期、内部統制監査の実施結果、識別した内部統制の開示すべき重要な不備、その是正結果、及び内部統制の監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。 監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。 <報酬関連情報> 当監査法人及び当監査法人と同一のネットワークに属する者に対する、会社及び子会社の監査証明業務に基づく報酬及び非監査業務に基づく報酬の額は、「提出会社の状況」に含まれるコーポレート・ガバナンスの状況等(3)【監査の状況】 に記載されている。 利害関係 会社及び連結子会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。 以 上 ※1.上記の監査報告書の原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。2.XBRLデータは監査の対象には含まれていません。 |
監査上の主要な検討事項、連結 | 監査上の主要な検討事項 監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 WACOAL EUROPE LTD.に係るのれんの評価(連結財務諸表注記14)監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応 2024年3月31日現在、連結財政状態計算書に計上されているのれん(残高11,805百万円、総資産の4.0%)は、WACOAL EUROPE LTD.に関連する。 会社は、国際会計基準を適用し、連結財務諸表注記3.重要な会計方針(7)のれん及び無形資産、及び(16)非金融資産の減損に記載の通り、のれんを含む資金生成単位については、毎期及び減損の兆候が存在する場合にはその都度、減損テストを実施している。減損テストの結果、資金生成単位の帳簿価額が回収可能価額を超過する場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、帳簿価額の減少額を減損損失として認識している。 会社は、減損テストを実施するにあたり、回収可能価額を、使用価値と処分コスト控除後の公正価値のいずれか高い方で算定している。 回収可能価額を算出するために利用される将来キャッシュ・フローは、経営者によって承認された5年間の事業計画を基礎として、その後は、市場の長期平均成長率をもとに算定されている。 英国・欧州は継続的な物価上昇に伴い個人消費が減速傾向にある。また、物価上昇が収束基調にある米国については、個人消費は安定的な成長がみられたものの、一部の取引先における仕入抑制が継続した。 事業計画には、顧客の多様な価値観に応えるための商品戦略やヨーロッパ大陸における営業強化、EC成長に向けた取り組みによる販売数量拡大施策の達成可能性や展開地域(主に英国・欧州・北米)での市場成長率などの重要な仮定が含まれている。 これらの重要な仮定は過去の実績、経営者により承認された事業計画等に基づく最善の見積りと判断により決定されているが、市場環境の変化等により影響を受ける可能性があるため、不確実性を伴うものであり、経営者による見積りと判断が回収可能価額の見積りに重要な影響を及ぼす。また、回収可能価額の算定に用いる割引率は、計算手法及び重要な仮定であるインプットデータの選択に当たり評価に関する高度な専門知識を必要とする。 以上より、当監査法人は、当該事項を監査上の主要な検討事項に該当するものと判断した。 当監査法人は、回収可能価額の見積りの合理性について、以下の手続を実施した。(1)内部統制の評価回収可能価額の算定に関連する内部統制の整備及び運用状況の有効性について、特に将来キャッシュ・フローの見積額の合理性を検証する統制に焦点を当てて評価した。 (2)回収可能価額の見積りの合理性の評価経営者が作成したのれんの減損テストに関連する報告書を閲覧し、経営者によって承認された事業計画の重要な仮定との整合性を確かめた。また、回収可能価額の見積りについて経営者に質問し、重要な仮定を理解するとともに、以下の手続を実施し、その合理性を評価した。・販売数量拡大施策の達成可能性については、経営者への質問を通じて各種施策を理解した上で過去における商品戦略やヨーロッパ大陸における営業活動、EC成長に向けた取り組み及び実績を比較し、見積りの精度を評価した。・展開地域(主に英国・欧州・北米)での市場成長率については、企業価値評価領域の内部専門家を利用し、外部機関が公表している小売業界のデータに基づいた監査人の予測との比較を行った。・割引率については、感応度分析を実施し、これらが回収可能価額に与える影響を評価した。また、企業価値評価領域の内部専門家を利用し、割引率の計算方法の合理性を評価するとともに、同専門家が市場データ及び仮定を用いて独自に算定した値との比較を実施した。 |
全体概要、監査上の主要な検討事項、連結 | 監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 |
見出し、監査上の主要な検討事項、連結 | WACOAL EUROPE LTD.に係るのれんの評価 |
内容及び理由、監査上の主要な検討事項、連結 | 2024年3月31日現在、連結財政状態計算書に計上されているのれん(残高11,805百万円、総資産の4.0%)は、WACOAL EUROPE LTD.に関連する。 会社は、国際会計基準を適用し、連結財務諸表注記3.重要な会計方針(7)のれん及び無形資産、及び(16)非金融資産の減損に記載の通り、のれんを含む資金生成単位については、毎期及び減損の兆候が存在する場合にはその都度、減損テストを実施している。減損テストの結果、資金生成単位の帳簿価額が回収可能価額を超過する場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、帳簿価額の減少額を減損損失として認識している。 会社は、減損テストを実施するにあたり、回収可能価額を、使用価値と処分コスト控除後の公正価値のいずれか高い方で算定している。 回収可能価額を算出するために利用される将来キャッシュ・フローは、経営者によって承認された5年間の事業計画を基礎として、その後は、市場の長期平均成長率をもとに算定されている。 英国・欧州は継続的な物価上昇に伴い個人消費が減速傾向にある。また、物価上昇が収束基調にある米国については、個人消費は安定的な成長がみられたものの、一部の取引先における仕入抑制が継続した。 事業計画には、顧客の多様な価値観に応えるための商品戦略やヨーロッパ大陸における営業強化、EC成長に向けた取り組みによる販売数量拡大施策の達成可能性や展開地域(主に英国・欧州・北米)での市場成長率などの重要な仮定が含まれている。 これらの重要な仮定は過去の実績、経営者により承認された事業計画等に基づく最善の見積りと判断により決定されているが、市場環境の変化等により影響を受ける可能性があるため、不確実性を伴うものであり、経営者による見積りと判断が回収可能価額の見積りに重要な影響を及ぼす。また、回収可能価額の算定に用いる割引率は、計算手法及び重要な仮定であるインプットデータの選択に当たり評価に関する高度な専門知識を必要とする。 以上より、当監査法人は、当該事項を監査上の主要な検討事項に該当するものと判断した。 |
開示への参照、監査上の主要な検討事項、連結 | 連結財務諸表注記14 |
開示への参照2、監査上の主要な検討事項、連結 | 連結財務諸表注記3.重要な会計方針(7)のれん及び無形資産、及び(16)非金融資産の減損 |
監査上の対応、監査上の主要な検討事項、連結 | 当監査法人は、回収可能価額の見積りの合理性について、以下の手続を実施した。(1)内部統制の評価回収可能価額の算定に関連する内部統制の整備及び運用状況の有効性について、特に将来キャッシュ・フローの見積額の合理性を検証する統制に焦点を当てて評価した。 (2)回収可能価額の見積りの合理性の評価経営者が作成したのれんの減損テストに関連する報告書を閲覧し、経営者によって承認された事業計画の重要な仮定との整合性を確かめた。また、回収可能価額の見積りについて経営者に質問し、重要な仮定を理解するとともに、以下の手続を実施し、その合理性を評価した。・販売数量拡大施策の達成可能性については、経営者への質問を通じて各種施策を理解した上で過去における商品戦略やヨーロッパ大陸における営業活動、EC成長に向けた取り組み及び実績を比較し、見積りの精度を評価した。・展開地域(主に英国・欧州・北米)での市場成長率については、企業価値評価領域の内部専門家を利用し、外部機関が公表している小売業界のデータに基づいた監査人の予測との比較を行った。・割引率については、感応度分析を実施し、これらが回収可能価額に与える影響を評価した。また、企業価値評価領域の内部専門家を利用し、割引率の計算方法の合理性を評価するとともに、同専門家が市場データ及び仮定を用いて独自に算定した値との比較を実施した。 |
その他の記載内容、連結 | その他の記載内容 その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 当監査法人の連結財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。 連結財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と連結財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 |
報酬関連情報、連結 | <報酬関連情報> 当監査法人及び当監査法人と同一のネットワークに属する者に対する、会社及び子会社の監査証明業務に基づく報酬及び非監査業務に基づく報酬の額は、「提出会社の状況」に含まれるコーポレート・ガバナンスの状況等(3)【監査の状況】 に記載されている。 |
Audit1
監査法人1、個別 | 有限責任監査法人トーマツ |
独立監査人の報告書、個別 | 独立監査人の監査報告書 2024年6月25日株式会社ワコールホールディングス 取締役会 御中 有限責任監査法人トーマツ 京 都 事 務 所 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士佃 弘一郎 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士辻 知美 <財務諸表監査>監査意見 当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられている株式会社ワコールホールディングスの2023年4月1日から2024年3月31日までの第76期事業年度の財務諸表、すなわち、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、重要な会計方針、その他の注記及び附属明細表について監査を行った。 当監査法人は、上記の財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、株式会社ワコールホールディングスの2024年3月31日現在の財政状態及び同日をもって終了する事業年度の経営成績を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。 監査意見の根拠 当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準における当監査法人の責任は、「財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。 監査上の主要な検討事項 監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 WACOAL EUROPE LTD.に係る関係会社株式の評価(【注記事項】 有価証券関係)監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応 2024年3月31日現在、貸借対照表に計上されている関係会社株式(残高101,846百万円)には、2012年4月に取得したWACOAL EUROPE LTD.に係る関係会社株式が17,405百万円(総資産の11.3%)含まれている。 市場価格のない株式は取得原価をもって貸借対照表価額とするが、当該株式の発行会社の財政状態の悪化により実質価額が著しく低下したときは、相当の減額を行い、当期の損失として処理しなければならない。会社は、WACOAL EUROPE LTD.に係る関係会社株式の評価にあたり、超過収益力を反映した価額で実質価額を算定している。 連結財務諸表上、WACOAL EUROPE LTD.の取得に伴って発生したのれんについて実施した減損テストと同様、実質価額の算定には、販売数量拡大施策の達成可能性や展開地域での市場成長率などの重要な仮定が含まれている。これらの重要な仮定は過去の実績、経営者により承認された事業計画等に基づく最善の見積りと判断により決定されているが、市場環境の変化等により影響を受ける可能性があるため、不確実性を伴うものであり、経営者による見積りと判断が回収可能価額の見積りに重要な影響を及ぼす。また、回収可能価額の算定に用いる割引率は、計算手法及び重要な仮定であるインプットデータの選択に当たり評価に関する高度な専門知識を必要とする。 以上より、当監査法人は、当該事項を監査上の主要な検討事項に該当するものと判断した。 当監査法人は、WACOAL EUROPE LTD.に係る関係会社株式の評価について、実質価額の著しい低下の有無を検討した。 また、実質価額の算定に重要な影響を与える事業計画に含まれる経営者が用いた重要な仮定について、連結財務諸表に関する監査上の主要な検討事項に記載の監査上の対応を実施した。 その他の記載内容 その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 当監査法人の財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。 財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 財務諸表に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任 経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して財務諸表を作成し適正に表示することにある。これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。 財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。 監査役及び監査役会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 財務諸表監査における監査人の責任 監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から財務諸表に対する意見を表明することにある。虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。 監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。・ 不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。・ 財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。・ 経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。・ 経営者が継続企業を前提として財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する財務諸表の注記事項が適切でない場合は、財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。・ 財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた財務諸表の表示、構成及び内容、並びに財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。 監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。 監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。 監査人は、監査役及び監査役会と協議した事項のうち、当事業年度の財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。 <報酬関連情報> 報酬関連情報は、連結財務諸表の監査報告書に記載されている。 利害関係 会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。 以 上 ※1.上記の監査報告書の原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。2.XBRLデータは監査の対象には含まれていません。 |
監査上の主要な検討事項、個別 | 監査上の主要な検討事項 監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 WACOAL EUROPE LTD.に係る関係会社株式の評価(【注記事項】 有価証券関係)監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応 2024年3月31日現在、貸借対照表に計上されている関係会社株式(残高101,846百万円)には、2012年4月に取得したWACOAL EUROPE LTD.に係る関係会社株式が17,405百万円(総資産の11.3%)含まれている。 市場価格のない株式は取得原価をもって貸借対照表価額とするが、当該株式の発行会社の財政状態の悪化により実質価額が著しく低下したときは、相当の減額を行い、当期の損失として処理しなければならない。会社は、WACOAL EUROPE LTD.に係る関係会社株式の評価にあたり、超過収益力を反映した価額で実質価額を算定している。 連結財務諸表上、WACOAL EUROPE LTD.の取得に伴って発生したのれんについて実施した減損テストと同様、実質価額の算定には、販売数量拡大施策の達成可能性や展開地域での市場成長率などの重要な仮定が含まれている。これらの重要な仮定は過去の実績、経営者により承認された事業計画等に基づく最善の見積りと判断により決定されているが、市場環境の変化等により影響を受ける可能性があるため、不確実性を伴うものであり、経営者による見積りと判断が回収可能価額の見積りに重要な影響を及ぼす。また、回収可能価額の算定に用いる割引率は、計算手法及び重要な仮定であるインプットデータの選択に当たり評価に関する高度な専門知識を必要とする。 以上より、当監査法人は、当該事項を監査上の主要な検討事項に該当するものと判断した。 当監査法人は、WACOAL EUROPE LTD.に係る関係会社株式の評価について、実質価額の著しい低下の有無を検討した。 また、実質価額の算定に重要な影響を与える事業計画に含まれる経営者が用いた重要な仮定について、連結財務諸表に関する監査上の主要な検討事項に記載の監査上の対応を実施した。 |
全体概要、監査上の主要な検討事項、個別 | 監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 |
見出し、監査上の主要な検討事項、個別 | WACOAL EUROPE LTD.に係る関係会社株式の評価 |
その他の記載内容、個別 | その他の記載内容 その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 当監査法人の財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。 財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 |
報酬関連情報、個別 | <報酬関連情報> 報酬関連情報は、連結財務諸表の監査報告書に記載されている。 |
BS資産
工具、器具及び備品(純額) | 1,197,000,000 |
土地 | 16,412,000,000 |
建設仮勘定 | 162,000,000 |
有形固定資産 | 36,038,000,000 |
無形固定資産 | 588,000,000 |
投資有価証券 | 76,000,000 |
投資その他の資産 | 102,289,000,000 |
BS負債、資本
短期借入金 | 5,000,000,000 |
未払金 | 457,000,000 |
未払法人税等 | 18,000,000 |
未払費用 | 12,000,000 |
賞与引当金 | 62,000,000 |
繰延税金負債 | 1,099,000,000 |
資本剰余金 | 20,728,000,000 |