財務諸表
CoverPage
提出書類、表紙 | 有価証券報告書 |
提出日、表紙 | 2024-06-25 |
英訳名、表紙 | ASAHI KASEI CORPORATION |
代表者の役職氏名、表紙 | 代表取締役社長 工藤 幸四郎 |
本店の所在の場所、表紙 | 東京都千代田区有楽町一丁目1番2号 |
電話番号、本店の所在の場所、表紙 | 03(6699)3030 |
様式、DEI | 第三号様式 |
会計基準、DEI | Japan GAAP |
連結決算の有無、DEI | true |
当会計期間の種類、DEI | FY |
corp
沿革 | 2 【沿革】 年月事項1922.5旭絹織株式会社(ビスコース・レーヨン糸を製造・販売)設立1929.4日本ベンベルグ絹絲株式会社(キュプラ繊維「ベンベルグ®」を製造・販売)設立1931.5延岡アンモニア絹絲株式会社(アンモニア、硝酸等化成品を製造・販売)設立(当社(現、旭化成株式会社)の設立:1931年5月21日 資本金1,000万円)1933.7延岡アンモニア絹絲株式会社は、日本ベンベルグ絹絲株式会社及び旭絹織株式会社を合併し、社名を旭ベンベルグ絹絲株式会社と改称1935.9グルタミン酸ソーダを製造開始、食品事業へ進出1943.4旭ベンベルグ絹絲株式会社は、日本窒素火薬株式会社(ダイナマイト等を製造・販売)を合併し、社名を日窒化学工業株式会社と改称1946.4日窒化学工業株式会社は、社名を旭化成工業株式会社と改称1949.5東京、大阪及び名古屋の各証券取引所の市場第一部に株式を上場1952.7米国ダウ・ケミカル社と合弁で旭ダウ株式会社設立1957.2旭ダウ株式会社、ポリスチレンを製造開始、合成樹脂事業へ進出1959.5アクリル繊維「カシミロン™」の本格製造開始、合成繊維事業へ本格展開1960.9「サランラップ®」を販売開始、樹脂製品事業へ進出1962.6アクリロニトリルを製造開始1967.8軽量気泡コンクリート(ALC)「へーベル™」を製造開始、建材事業へ本格進出1968.7山陽石油化学株式会社設立、水島地区で石油化学事業へ本格進出1971.2旭シュエーベル株式会社設立、ガラス繊維織物事業へ進出1972.4水島で山陽エチレン株式会社による年産35万トンのエチレンセンターが完成1972.9「ヘーベルハウス™」を本格展開、住宅事業へ本格進出1972.11旭化成ホームズ株式会社設立1974.7旭メディカル株式会社(現、旭化成メディカル株式会社)設立、人工腎臓を生産開始、医療機器事業へ進出1976.4株式会社旭化成テキスタイル設立、テキスタイル事業の強化1976.9旭化成建材株式会社設立1980.7宮崎電子株式会社(現、旭化成電子株式会社)設立、ホール素子事業へ進出1982.10旭ダウ株式会社を合併、合成樹脂事業を強化1983.8旭マイクロシステム株式会社(現、旭化成マイクロシステム株式会社)設立、LSI事業へ本格展開1992.1東洋醸造株式会社と合併、医薬・医療事業を強化、酒類事業へ進出1994.10株式会社旭化成テキスタイルを合併、繊維事業を強化1999.7食品事業を日本たばこ産業株式会社へ譲渡2000.7新日鐵化学株式会社より欧米コンパウンド樹脂生産子会社を譲受2001.1旭化成工業株式会社から、旭化成株式会社へ社名変更2002.9焼酎及び低アルコール飲料事業をアサヒビール株式会社及びニッカウヰスキー株式会社へ譲渡2003.7清酒・合成酒関連事業をオエノンホールディングス株式会社へ譲渡2003.10持株会社制へ移行。持株会社(当社)と7事業会社(旭化成ケミカルズ株式会社、旭化成ホームズ株式会社、旭化成ファーマ株式会社、旭化成せんい株式会社、旭化成エレクトロニクス株式会社、旭化成建材株式会社、旭化成ライフ&リビング株式会社)からなるグループ経営体制へ移行2007.4旭化成ケミカルズ株式会社が旭化成ライフ&リビング株式会社を吸収合併2008.10旭化成ファーマ株式会社の子会社であった旭化成クラレメディカル株式会社及び旭化成メディカル株式会社を、当社が直接出資する事業会社に再編2009.4当社、旭化成ケミカルズ株式会社及び旭化成エレクトロニクス株式会社のエレクトロケミカル関連事業を、旭化成イーマテリアルズ株式会社に吸収分割により承継2012.4旭化成メディカル株式会社が旭化成クラレメディカル株式会社を吸収合併2012.4米国ZOLL Medical Corporationを買収及び連結子会社化し、クリティカルケア事業へ進出 年月事項2013.12名古屋・札幌・福岡証券取引所の市場第一部の株式上場廃止2014.10本店の所在地を大阪から東京に移転2015.8米国Polypore International, Inc.(現、Polypore International, LLC)を買収及び連結子会社化し、バッテリーセパレータ事業を拡大2016.2旭化成ケミカルズ株式会社水島製造所のエチレンセンターを停止2016.4当社、旭化成ケミカルズ株式会社、旭化成せんい株式会社及び旭化成イーマテリアルズ株式会社を吸収合併、事業持株会社に移行2017.10単元株式数を1,000株から100株に変更2018.9米国Sage Automotive Interiors, Inc.を買収及び連結子会社化し、自動車分野向け事業を拡大2020.3米国Veloxis Pharmaceuticals, Inc.を買収(1月)及び連結子会社化し、米国医薬品市場における事業基盤を獲得2022.4東京証券取引所の市場区分の見直しにより市場第一部からプライム市場へ移行2023.7簡易吸収分割により、フォトマスク用ペリクル事業を三井化学株式会社へ承継2023.10共同新設分割により、スパンボンド不織布事業を三井化学株式会社との新設会社へ承継2023.10旭化成パックス株式会社の容器事業をアァルピィ東プラ株式会社へ譲渡 (注) 2024年4月1日に旭化成パックス株式会社のフィルム事業を住友ベークライト株式会社へ譲渡しています。 |
事業の内容 | 3 【事業の内容】 当社グループは、連結財務諸表提出会社(以下、当社という)及び関係会社353社から構成されています。その主な事業内容はセグメントの区分のとおりであり、当社及び主な関係会社の当該事業に係る位置付けとセグメントとの関連は次のとおりです。セグメント主要な事業内容主要な製品・サービス主要な関係会社マテリアル(関係会社167社)環境ソリューション事業スチレンモノマー、アクリロニトリル、ポリエチレン、ポリスチレン、合成ゴム 等PSジャパン㈱Asahi Kasei Synthetic Rubber Singapore Pte. Ltd.Tongsuh Petrochemical Corporation※ 三菱ケミカル旭化成エチレン㈱※ PTT Asahi Chemical Co., Ltd.リチウムイオン電池用セパレータ(湿式・乾式)、鉛蓄電池用セパレータ、中空糸ろ過膜、イオン交換膜 等Polypore International, LLC (注) 4モビリティ&インダストリアル事業繊維(自動車関連) 等Sage Automotive Interiors, Inc.エンジニアリング樹脂、塗料原料 等旭化成精細化工(南通)有限公司Asahi Kasei Plastics Singapore Pte. Ltd.Asahi Kasei Plastics (America)Inc.旭化成塑料(上海)有限公司ライフイノベーション事業(デジタルソリューション、コンフォートライフ)電子材料、ミックスドシグナルLSI、ホール素子、深紫外線LED 等旭化成エレクトロニクス㈱繊維(衣料・産業資材他)、食品用ラップフィルム、各種フィルム・シート、医薬・食品用添加剤、火薬類、金属加工品 等旭化成アドバンス㈱旭化成ホームプロダクツ㈱マテリアル共通-Asahi Kasei Europe GmbH 住宅(関係会社95社)住宅事業建築請負(戸建・集合住宅)、不動産関連、リフォーム、その他住宅周辺事業、米国・豪州住宅事業 等旭化成ホームズ㈱旭化成不動産レジデンス㈱旭化成ホームズフィナンシャル㈱旭化成リフォーム㈱Focus Companies LLCNEX Building Group Pty Ltd (注) 5Erickson Framing Operations LLC※ ㈱森組建材事業軽量気泡コンクリート(ALC)、断熱材、基礎杭、構造資材 等旭化成建材㈱ ヘルスケア(関係会社66社)医薬事業医療用医薬品、診断薬 等旭化成ファーマ㈱Veloxis Pharmaceuticals, Inc.※ ㈱カイノス医療事業血液透析・アフェレシス(血液浄化療法)関連機器、ウイルス除去フィルター、CRO事業、CDMO事業 等旭化成メディカル㈱Bionova Scientific, LLC.Asahi Kasei Bioprocess Europe S.A./N.V.クリティカルケア事業心肺蘇生関連(AED、医療従事者向け除細動器)、着用型自動除細動器、睡眠時無呼吸症治療・診断機器 等ZOLL Medical Corporation セグメント主要な事業内容主要な製品・サービス主要な関係会社その他(関係会社25社)エンジニアリング事業各種リサーチ・情報提供事業人材派遣・紹介事業 等-旭化成(中国)投資有限公司Asahi Kasei America, Inc.※ 旭有機材㈱ (注) 1 当社はマテリアルセグメント内の複数の事業を行っています。 2 一部の関係会社の事業内容は、複数のセグメントに跨っています。 3 ※は持分法適用会社です。 4 Polypore International, LPは2023年12月31日に組織変更を行いPolypore International, LLCとなっています。 5 2023年10月30日付で、NXT Building Group Pty LtdはNEX Building Group Pty Ltdに商号を変更しています。 |
関係会社の状況 | 4 【関係会社の状況】 関係会社名住所資本金主要な事業の内容議決権に対する所有割合(%)関係内容(連結子会社) PSジャパン㈱東京都文京区5,000百万円マテリアル62.1当社は原材料及び用役を供給し、製品を購入しています。役員の兼任等…有Asahi Kasei Synthetic Rubber Singapore Pte. Ltd. (注) 5Singapore252百万米ドルマテリアル100.0当社は製品を購入しています。役員の兼任等…有Tongsuh Petrochemical Corporation (注) 5Ulsan, Korea237,642百万ウォンマテリアル100.0当社は原材料等を供給し、製品を購入しています。役員の兼任等…有PolyporeInternational, LLC (注) 3、8North Carolina,U.S.A.2,233百万米ドルマテリアル100.0(100.0)資金の貸付・借入…有役員の兼任等…有Sage Automotive Interiors, Inc. (注) 3South Carolina,U.S.A.981百万米ドルマテリアル100.0(100.0)当社は製品を販売しています。役員の兼任等…有旭化成精細化工(南通)有限公司中国江蘇省449百万元マテリアル100.0(100.0)当社は製品を購入しています。役員の兼任等…有Asahi Kasei Plastics Singapore Pte. Ltd.Singapore46百万米ドルマテリアル100.0当社は原材料を供給し、製品を購入しています。役員の兼任等…有Asahi Kasei Plastics (America) Inc. (注) 3Michigan, U.S.A.19百万米ドルマテリアル100.0当社は原材料を供給しています。役員の兼任等…有旭化成塑料(上海)有限公司中国上海市18百万元マテリアル100.0(100.0)当社は製品を販売しています。役員の兼任等…有旭化成エレクトロニクス㈱東京都千代田区3,171百万円マテリアル100.0当社は用役を供給しています。土地等の賃貸…有資金の貸付・借入…有役員の兼任等…有旭化成アドバンス㈱東京都港区500百万円マテリアル100.0当社は製品を購入及び販売しています。資金の貸付・借入…有役員の兼任等…有旭化成ホームプロダクツ㈱東京都千代田区250百万円マテリアル100.0当社は製品を販売しています。資金の貸付・借入…有役員の兼任等…有Asahi Kasei Europe GmbH (注) 3Düsseldorf, Germany31百万ユーロマテリアル100.0当社は製品を販売しています。また、当社は一部の業務を委託しています。役員の兼任等…有 関係会社名住所資本金主要な事業の内容議決権に対する所有割合(%)関係内容旭化成ホームズ㈱ (注) 6東京都千代田区3,250百万円住宅100.0当社は用役を供給しています。土地等の賃貸…有資金の貸付・借入…有役員の兼任等…有旭化成不動産レジデンス㈱東京都千代田区3,200百万円住宅100.0(100.0)資金の貸付・借入…有役員の兼任等…有旭化成ホームズフィナンシャル㈱東京都千代田区1,000百万円住宅100.0(100.0)資金の貸付・借入…有役員の兼任等…有旭化成リフォーム㈱東京都千代田区250百万円住宅100.0(100.0)資金の貸付・借入…有役員の兼任等…有Focus Companies LLC (注)5Nevada, U.S.A.255百万米ドル住宅100.0(100.0)-NEX Building Group Pty Ltd (注)9New South Wales,Australia87百万豪ドル住宅81.9(81.9)-Erickson Framing Operations LLCArizona, U.S.A.31百万米ドル住宅100.0(100.0)-旭化成建材㈱東京都千代田区3,000百万円住宅100.0当社は用役を供給しています。土地等の賃貸…有資金の貸付・借入…有役員の兼任等…有旭化成ファーマ㈱東京都千代田区3,000百万円ヘルスケア100.0当社は用役を供給しています。土地等の賃貸…有資金の貸付・借入…有 Veloxis Pharmaceuticals, Inc. (注) 3North Carolina,U.S.A.1,117百万米ドルヘルスケア100.0役員の兼任等…有旭化成メディカル㈱東京都千代田区3,000百万円ヘルスケア100.0当社は用役を供給し、原材料を提供しています。土地等の賃貸…有資金の貸付・借入…有 Bionova Scientific, LLC. (注) 3California, U.S.A.416百万米ドルヘルスケア100.0(100.0)-Asahi Kasei Bioprocess Europe S.A./N.V.Brussels,Belgium0.5百万ユーロヘルスケア100.0(100.0)-ZOLL Medical Corporation (注) 3,5Massachusetts,U.S.A.1,723百万米ドルヘルスケア100.0(100.0)役員の兼任等…有旭化成(中国)投資有限公司 (注) 5中国上海市2,214百万元マテリアルヘルスケアその他100.0当社は一部の業務を委託しています。役員の兼任等…有Asahi Kasei America, Inc.New York, U.S.A.0.05百万米ドルその他100.0当社は一部の業務を委託しています。役員の兼任等…有その他258社 関係会社名住所資本金主要な事業の内容議決権に対する所有割合(%)関係内容(持分法適用関連会社) 三菱ケミカル旭化成エチレン㈱東京都千代田区2,000百万円マテリアル50.0当社は製品を購入しています。土地等の賃貸…有資金の貸付・借入…有役員の兼任等…有PTT Asahi ChemicalCo., Ltd.Rayong, Thailand13,819百万バーツマテリアル50.0当社は原材料等を供給し、製品を購入しています。役員の兼任等…有㈱森組 (注) 7大阪府大阪市中央区1,640百万円住宅30.3(30.3)-㈱カイノス (注) 7東京都文京区831百万円ヘルスケア21.1(21.1)-旭有機材㈱ (注) 7宮崎県延岡市5,000百万円その他30.5当社は用役を供給しています。その他29社 (注) 1 主要な事業の内容の欄には、セグメント情報に記載された名称を記載しています。2 役員の兼任等については、役員の兼任(当社役員又は従業員で当該関係会社の役員を兼務している者)及び出向(当社従業員で当該関係会社の役員として出向している者)を表示しています。3 資本金及び資本準備金の合計を記載しています。4 議決権に対する所有割合の欄の( )内は、間接所有割合で内数です。5 特定子会社に該当します。6 旭化成ホームズ㈱については、売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く)の連結売上高に占める割合が10%を超えています。主要な損益情報等 (1) 売上高 400,952百万円 (2) 経常利益 83,962百万円 (3) 当期純利益 73,056百万円 (4) 純資産額 119,052百万円 (5) 総資産額 253,654百万円7 有価証券報告書を提出しています。8 Polypore International, LPは2023年12月31日に組織変更を行いPolypore International, LLCとなっています。9 2023年10月30日付で、NXT Building Group Pty LtdはNEX Building Group Pty Ltdに商号を変更しています。 |
従業員の状況 | 5 【従業員の状況】 (1) 連結会社の状況2024年3月31日現在セグメントの名称従業員数(人)マテリアル20,586住宅12,959ヘルスケア11,444その他1,318全社2,988合計49,295 (注) 従業員数は就業人員数であり、平均臨時雇用者数は重要性がないため記載していません。 (2) 提出会社の状況2024年3月31日現在従業員数(人)平均年齢(歳)平均勤続年数(年)平均年間給与(円)8,81041.514.37,528,168 セグメントの名称従業員数(人)マテリアル5,822全社2,988合計8,810 (注) 1 従業員数は就業人員数であり、平均臨時雇用者数は重要性がないため記載していません。2 平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含んでいます。 (3) 労働組合の状況当社及び一部の関係会社には、旭化成グループ労働組合連合会が組織されており、UAゼンセン製造産業部門に加盟しています。当連結会計年度中における労働組合との交渉事項は、賃金改定、労働協約改定等でありましたが、いずれも円満解決しました。 (4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異当事業年度補足説明名称管理職に占める女性労働者の割合(%) (注)1男性労働者の育児休業取得率(%) (注)2労働者の男女の賃金の差異(%) (注)1、4全労働者正規雇用労働者パート・有期労働者旭化成及び5事業会社 (注)35.584.370.376.266.9 旭化成6.887.776.884.470.2 旭化成メディカル9.886.587.791.558.8 旭化成ファーマ9.091.970.874.052.2 旭化成ホームズ2.562.057.560.068.5 旭化成建材0.595.569.579.148.7 旭化成エレクトロニクス2.8100.070.280.940.3 旭化成メディカルMT0.025.069.570.475.1 旭化成不動産レジデンス1.872.757.357.0105.3 旭化成住宅建設 (注)50.081.064.268.756.2 AJEX (注)50.0100.063.666.959.2 旭化成リフォーム0.075.063.763.470.2 旭化成アドバンス6.445.565.864.970.7 旭化成電子0.00.080.583.177.6 旭化成繊維延岡0.027.361.461.388.6 旭化成アミダス42.966.783.186.673.4除派遣スタッフ旭化成ファインケム0.070.075.877.568.7 (注) 1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」の規定に基づき算出したものです。2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものです。男性育児休業取得率は、前年産まれた子供に対する育休取得等の影響で100%を超える場合があります。3 旭化成及び5事業会社における男性の育児休業の平均取得日数は17.3日となっています。取得率100%、取得日数の長期化を目指し、管理職を含めた研修等の実施によるマインドセット及び風土改革、男性の育休取得促進に関する方針や関連制度等についての社内周知、男性育休取得者の事例収集・提供、情報発信に取り組んでいます。4 労働条件や賃金制度における性別の差異はありません。「正規労働者」の男女賃金差異は、上位等級への登用実績の男女差による影響です。上位等級への登用において男女差が生じていることに対して課題認識をしており、登用基準運用の見直しを行うとともに、KPIを定めて各部門での取組を進め、課題の解消に取り組んでいます。「全労働者」の男女賃金差異は、人員構成の影響を受けています。正規雇用労働者とパート・有期労働者の比率が男女で異なっており、女性の方がパート・有期労働者の水準の影響を受けやすい人員構成となっている結果です。5 2024年4月1日付で旭化成住宅建設㈱とAJEX㈱が合併し、旭化成ホームズコンストラクション㈱に社名を変更しています。 |
サステナビリティに関する考え方及び取組 | 2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】 (1) サステナビリティ共通当社グループでは、サステナビリティの追求を経営の柱として位置づけており、「サステナビリティ基本方針」として明確にしています。すなわち、当社グループはグループミッションである「世界の人びとの“いのち”と“くらし”に貢献」するため、「持続可能な社会への貢献」と「持続的な企業価値向上」の2つのサステナビリティの好循環を追求すること、その実現に最適なガバナンスを追求すること、そして、持続可能な社会への貢献による価値創造/責任ある事業活動/従業員の活躍の促進の3点を実践すること、を方針としています。 ① サステナビリティマネジメント及び旭化成グループのマテリアリティ■ ガバナンス当社は、「世界の人びとの“いのち”と“くらし”に貢献します。」というグループミッションのもと、社会への貢献による持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指しており、事業環境の変化に応じた、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うコーポレート・ガバナンスを追求しています。その中で、サステナビリティは、事業の機会とリスクの両面に関わる重要な事項として、複数の委員会を含むガバナンス体制としています。具体的には、社長を委員長とする「サステナビリティ推進委員会」「リスク・コンプライアンス委員会」「環境安全・品質保証委員会」「DE&I委員会」を設置し、事業部門責任者や関係するスタッフ部門を委員として、議論・方針確認などを行っています(重要な提案事項がある場合は、決裁権限基準に従い経営会議・取締役会に個別に提案され、審議・決定されます)。これらの委員会での議論内容を含む実施状況は取締役会に報告され、取締役会は監督と助言を行っています。サステナビリティ推進委員会には、より専門的な議論を行うための専門委員会である「地球環境対策推進委員会」「人権専門委員会」を設置しています。また、専任部署であるサステナビリティ推進部を設置し、当社グループのサステナビリティ全般を推進する機能としています。サステナビリティマネジメント体制■ 戦略当社グループは目指すべき「持続可能な社会」を、グループビジョンに示す「健康で快適な生活」「環境との共生」に照らして定めています。すなわち、「健康で快適な生活」の観点では、“Care for People”のキーワードによる、“「ニューノーマル」での生き生きとしたくらしの実現”、「環境との共生」の観点では、“Care for Earth”のキーワードによる、“カーボンニュートラルでサステナブルな社会の実現”の二つです。COVID-19をはじめとする社会の大きな変化は、人類が取り組むべき課題を一段と浮き彫りにしています。この認識のもと、当社は創業来100年で培ってきた多様な人財・技術・事業を活かしながら、また、事業活動の前提となる基盤的な活動に注力しながら、5つの価値提供分野「Environment & Energy」「Mobility」「Life Material」「Home & Living」「Health Care」において、世界共通の課題の解決に向けた貢献を加速させていきます。 ■ リスク管理サステナビリティを追求する上で、多様なリスクを的確に認識し、対応を積極的に図ることが重要です。そこで当社では、一段と激しくなる事業環境や経営環境の変化を踏まえ、リスク管理体制を強化しています。サステナビリティに関する事項を含む具体的なリスクに関する認識と管理体制は「3 事業等のリスク」をご参照ください。 ■ 指標と目標当社では、経営における重要課題(マテリアリティ)を以下のように定めています。いずれもサステナビリティを追求していく上で重要な要素であり、これらに重点を置いた経営活動を行い、定量的な管理が可能なものは、指標や目標を設定して管理しています。旭化成グループのマテリアリティ 「中期経営計画2024」では、以下を目標としています。また、事業の前提の一つである「安全」については、「休業災害件数」「休業度数率」等により管理し、徹底を図っています。 ② 気候変動関連■ ガバナンス当社では気候変動に関する取り組みを中心とするグリーントランスフォーメーション(GX)を重要な経営課題と捉え、経営戦略の中核テーマの一つと位置づけて取り組んでいます。気候変動に関する方針や重要事項は取締役会で、また、関連する具体的事項は経営執行の意思決定機関である経営会議で、審議・決定を行っています(具体的には、中期経営計画、GHG排出量の削減目標、設備投資計画などの決定と実績の進捗確認等)。なお、中期経営計画や年度経営計画の策定においては、各事業部門とコーポレートでGHG削減を含めGX等について議論を行い、グループとして取りまとめた上で、経営会議・取締役会に提案し、審議・決定をしています。当社では、取締役会・経営会議でのこれらの決定を事業レベルで推進するため、社長を委員長とする「サステナビリティ推進委員会」を設置し、事業の各執行責任者が気候変動を含むサステナビリティに関する課題の共有と議論を実施しています。委員会の結果は取締役会に報告し、全社での取り組みのあり方等についての議論につなげています。また、当社ではGHG削減目標達成に向けて、担当役員のもと、専任のプロジェクト体制(カーボンニュートラル推進プロジェクト)で、シナリオを検討しています。検討では、社長・経営企画担当役員ほかで方向性を定期的に議論しながら内容の深化を進めています。なお、マテリアル領域と住宅領域では、事業本部/事業会社にサステナビリティ担当部署を設置し、カーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーに向けた取り組みを事業部並びに全社サステナビリティ部門と連携しながら推進しています。詳細は旭化成レポートをご参照ください。https://www.asahi-kasei.com/jp/ir/library/asahikasei_report/pdf/23jp_57.pdf ■ 戦略[機会]当社はカーボンニュートラルな社会への転換をはじめとするメガトレンドを見据え、事業ポートフォリオ変革を推進しています。具体的には、中期経営計画において、重点的に資源投入する成長牽引事業「Growth Gears(GG) 10」を定め、これらに3年間で約6,000億円の投資の意思決定をする目標です。特に、水素関連、蓄電池用セパレータ、デジタルソリューション、クリティカルケアに、重点的に経営資源を投じていきます。併せて、脱炭素関連として、2024年度までの3年間で約600億円の投資を実行する構えとしています。また、気候変動対応を含む環境分野のスタートアップ企業を対象として、2023~2027年度の5年間に1億ドルの投資枠を設定しています。加えて、サプライチェーン全体の観点から社会のGHG削減量の削減等に貢献する製品・サービス(環境貢献製品)の売上高比率を高め、2030年度におけるGHG削減貢献量を2020年度比2倍以上にしていく目標を掲げています。当社の事業展開の方向性は、気候変動の緩和及び適応においてさまざまな製品・サービスを事業機会として提供しうると認識しています。 [リスク]「+1.5℃」シナリオでは、主としてカーボンニュートラル化に向けたカーボンプライシング等の政策による規制が強まるとともに、カーボンニュートラルに適した素材への需要シフトをリスクとして想定しています。さらに、循環型経済への移行加速やカーボンニュートラルな社会に向けた革新技術の登場による、市場構造変化もリスクとして想定しています。「+4℃」シナリオでは、主として酷暑・大雨・洪水などの物理的リスクを想定しています。特に、風水害の甚大化により、当社の製造拠点の被災とその損害額を国内外の主要拠点についてリスク認識しています。これらのリスクは濃淡がありながらも、今後の気候変動の中でいずれも発現しうるものと当社では捉えており、リスク低減の取り組みを進めていきます。 ■ リスク管理当社は気候変動リスクを「グループ重大リスク」の一つとして位置づけ、重点的な管理を行っています。第三者保証を伴うGHG排出量実績を年1回、把握するとともに、目標への進捗状況と併せ、カーボンニュートラル推進プロジェクトで共有し、今後の取り組みを議論・確認しています。また、中期経営計画の策定や毎年の見直しの中でも、GHG排出量削減への取り組み等を確認し、事業戦略や施策につなげています。さらに、四半期、月次でも、関連する事項の把握を行っています。設備投資においては、インターナルカーボンプライシングを考慮して採算性を評価し、実施を決定しています。なお、カーボンニュートラルに向けた行動を一段と推進するため、2023年7月にインターナルカーボンプライシングを10,000円/t-CO2から15,000円/t-CO2に引き上げました。 ■ 指標と目標当社は、以下の指標を気候変動のリスク・機会に関係するものとして位置付けています。 ③ 責任ある事業活動へ向けた取り組み■ 環境安全・品質保証活動当社グループは、提供する製品・サービスのすべてのライフサイクルにおいて環境・安全・健康・品質に配慮する「環境安全・品質保証活動」を実施しています。昨年度は重大な保安事故・労働災害や製品事故は有りませんでしたが、ここ数年では、当社のベンベルグ工場での火災など重大な事故が発生しています。従業員一同「安全は経営の最重要課題」であることを認識し、危機感を持って安全活動に取り組んでいます。また、全員参加の品質経営として品質担当役員が各事業所を訪問し、現場最前線で働くメンバーと双方向でコミュニケーションをするタウンホールミーティングや、グループ全員が品質リスクを理解し、日々の業務を行うための品質リスク教育を国内海外の各拠点で実施しています。環境安全・品質保証に関するリスクマネジメントの詳細は「3 事業等のリスク (4) 当社グループ全体に係るリスク」もご参照ください。 ■ コンプライアンス、人権の尊重当社グループは、事業・業務に関する法令・諸規則や社内ルールの遵守を徹底し、事業活動においては、グループミッションに基づくグループバリュー(共通の価値観)として「誠実な行動」を促進しています。その実効性を高めるため、2019年度以降、各部署で「グループ行動規範」の読み合わせ活動を継続実施しており、従業員一人ひとりのコンプライアンス意識の底上げを図っています。また、グループ全体のコンプライアンス体制の強化を図るために、リスク・コンプライアンス委員会を設置し、当社グループ全体のコンプライアンスに関する取り組み状況を確認し、取締役会に報告しています。「人権の尊重」については、当社グループは国際人権憲章(世界人権宣言並びに国際人権規約)を支持するとともに、国連グローバル・コンパクトの署名企業として、グローバル・コンパクトの人権に関する原則、及び国連「ビジネスと人権に関する指導原則」「子どもの権利とビジネスの原則」にも賛同しています。当社グループでは、従来、多様性の尊重を含む人権に関するグループの考え方を「グループ行動規範」にて明示し、従業員研修等を通じてグループ内浸透を図ってきていますが、人権尊重の重要性を踏まえ、2022年に「旭化成グループ人権方針」を取締役会で決定し、公開しました。さらに、人権尊重について議論・方向付けし、また、「旭化成グループ人権方針」に沿った行動を推進するための場として人権専門委員会を新設し、2023年度は第2回委員会を開催しました。第2回委員会では、世の中の人権動向の共有、当社グループにおける人権尊重取り組み事項の整理などを行っています。当社グループは「旭化成グループ人権方針」のグループ内での普及啓発の継続の他、人権に関するリスクの抽出、軽減・対応など、「人権デュー・ディリジェンス」に関する取り組みを進めていきます。 ■ ステークホルダーとの対話の強化当社グループでは、ステークホルダーの皆様に適切な情報開示を行うとともに、双方向のコミュニケーションを取ることが重要と考えています。当社は毎年1回、投資家やメディアの皆様向けに開催する「経営説明会」において、サステナビリティに関する当社グループの戦略や取り組みをご説明し、また、製造地区の地域の皆様や、サプライヤーの各社との対話も随時実施しています。 (2) 人的資本に関する開示■ 戦略、指標と目標前提となる人財戦略の概要については「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1) 経営方針・経営戦略等 ② 当社グループ全体の経営方針・経営戦略等 <経営方針・経営戦略> ⅴ 経営基盤の強化 ■ People (「人財」のトランスフォーメーション)」に記載のとおりであり、人財戦略の柱は、社員一人ひとりが挑戦・成長し続ける「終身成長」、当社の多様性を活かしコラボレーションを推進する「共創力」の2つを置いています。「終身成長」については、一人ひとりが自らのキャリアを描き、成長に向けた学び・挑戦を進めること、そして、個とチームの力を最大限引き出し成果に結びつけるマネジメント力の向上に、一層取り組んでいきます。「共創力」については、多様性を“拡げる”という視点と“つなげる”という視点から、様々な取り組みを実行しています。具体的には下記のような取り組みを進めています。 (人財育成方針) 高度専門職制度の拡充によるプロフェッショナル人財の育成強化 概要:高度専門職制度とは、新事業創出、事業強化へ積極的に関与し、貢献できると期待できる人財に対しふさわしい処遇を行い、社内外に通用する専門性の高い人財を増やしていく仕組みです。各事業の拡大に必要な専門領域を特定し、各専門領域で課長待遇のエキスパートから執行役員待遇のエグゼクティブフェローまで役割定義を定め、その定義に沿って任命を行っています。高度専門職を設置する専門領域は事業方針に合わせて毎年見直しを行い、事業戦略と人財育成方針をリンクさせているほか、就任者のミッションの一つに「自身の後進の育成」を明確に位置付けることで、技術レベルをサステナブルに維持向上させる仕組みとしています。 KPI:高度専門職の人数をKPIとして注視しており、現行制度にリニューアルした2016年度90名から順調に増え、前中計最終年度である2021年度時点で259名となっていました。2022年度からの新中計では2024年度300名を目標としていましたが、直近の増加ペースを踏まえて目標を引き上げ、2024年度までに360名まで増やすことを新たな目標としています。(2023年度実績347名) エンゲージメント向上 「KSA(活力と成長アセスメント)」 狙い:個人と組織の状態を可視化しマネジメントのPDCAを回すことで、活力や挑戦・成長行動を高めること。 概要:毎年1回全従業員を対象にサーベイを実施し、3指標「上司部下関係・職場環境」「活力」「成長につながる行動」の組織毎の結果をラインマネージャーにフィードバックしています。各組織が当事者意識を持ち課題や目指したい状態、今後の取り組みについて話し合う「職場対話」を推進し、職場づくりを学ぶ研修も展開しています。 KPI:モニタリング指標に定める「成長につながる行動」は2023年度3.72まで向上しました(2022年度3.71、2021年度3.69)。上司向け研修の拡大(延べ681名受講)により、2020年の導入時から推奨してきた「職場対話実施率」は2023年度73.9%まで向上し、対話実施者の51.9%が改善アクションに着手し順調に進展しています。今後は、職場対話の推進に加え、その内容や改善アクションの質にも重点を置き、要支援組織の抽出、サポート、当活動の効果検証に取り組みます。 DE&I、女性活躍推進 狙い:急速に変化する事業環境に対応し継続的に新たな価値を生み出していくためには、人財の多様性を活かし共にビジネスを創り出していく「共創力」を高めることが不可欠であると考え、当社ではDE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)を経営課題のひとつとして位置づけています。「共創力」を発揮していくためには、多様性を“拡げる”“つなげる”という2つの視点が重要であり、多様な技術・事業・人財を有機的につなげることで、当社ならではの価値が発揮できると考えています。 概要・KPI:女性の活躍推進については、2022年度からKPIとして、管理職の中でも真に指導的役割を果たすポジション(ラインポスト及び高度専門職)の女性比率を2030年度までに10%以上にするという目標を掲げました(2023年度実績4.4%)。またその比率を役員報酬にも連動させており、2024年度に5.0%以上を目標としています。上記を達成するとともに、女性リーダーを継続的に輩出できる仕組みとして候補者母集団を形成するための様々な取り組みを実施しています。2013年より継続的に実施しているメンタープログラムでは累計132名の新任女性管理職が参加し、直属の上司ではない斜めの関係の上位職が、各自のキャリア形成や課題解決に向けて主体的に考える機会を提供し成長を促すとともに、その後の自己成長に対する意欲を高めています。また、ラインポストに就いている女性管理職のさらなる成長意欲や視座向上に向けて、2023年度は女性の社外取締役(2名)と女性管理職とのラウンドテーブルを実施しました。2名の社外取締役から、自らのキャリアや経験談及び女性管理職への期待を語ってもらい、経営に必要な観点での視野拡大や、参加者の今後の挑戦や活躍に向けた意識と行動変革の後押しに繋げています。多様な働き方やキャリア形成を応援する施策としては、女性管理職や育児休業を取得し家事・育児にも携わる男性など、社内で活躍する多様な人財を紹介する「ロールパーツモデルチャンネル」を社内のイントラネットで展開しています。「自身の周囲にロールモデルが少ない」という社員の意見に対応して、様々なロールモデルとなる社員を紹介することで女性社員のキャリアアップへの挑戦意欲を高め、性別に捉われることなく仕事と家庭を両立させるなど中長期的なキャリア形成のイメージを持ってもらうことを狙いとしています。また、一人ひとりの多様性を活かし組織力を最大限発揮させるためには、各自に内在するアンコンシャスバイアスを知りコントロールする方法を習得することが重要であるとの考えから、2023年度に役員及び部長職全員に対してアンコンシャスバイアス研修を実施しました。2024年度には全課長層にも展開し、職場の心理的安全性を高め、すべての社員の活躍を支援できる管理職の育成を図っています。指導的立場に就く女性社員を増やしていくための上記の全社施策と並行して、各領域においてバイネームでの女性人事計画を立て、実際の登用に繋がる取り組みを実施しています。また、2023年度に社長を委員長とするDE&I委員会を設置し、グループ全体における進捗状況の確認や課題改善に向けて、定期的にモニタリング及び意見交換を行っています。これらの様々な取り組みにより、1994年に3名だった女性管理職は313名に増加しています(2024年3月31日現在)。また女性の執行役員は2名、取締役は2名、監査役は1名となっています(2024年6月25日現在)。 障がい者については特例子会社「旭化成アビリティ」での雇用をメインに、継続的に法定雇用率の達成を維持しています。2023年度の障がい者の法定雇用率2.3%のところ、グループ全体での年間雇用率は2.4%でした。直近の2024年3月末時点では2.58%(715名)となっており、2024年度法定雇用率2.5%への引き上げに対しても備えを進めています。キャリア採用に関しては、グループの強みである人財の多様性をさらに強化するために、多様な経験やバックグラウンド有する人財の中途採用を積極的に行っています。また、管理職への登用についても中核人財の多様性を確保しており、グループ国内正社員における管理職の16.4%をキャリア採用者が占めています(2024年3月31日現在)。当社グループにおける海外従業員比率は現在4割強を占めています。海外拠点の主要なポジションへの外国籍及び現地採用の人財登用を拡大し、優秀な人財は各事業に留めることなくグループ全体に貢献する人財として育成を行っています。その結果、グループ経営への参画も進み、現在6名の外国人の執行役員が在籍しています。女性・外国人・キャリア入社者の中核人材登用に関してはコーポレート・ガバナンスに関する報告書にも記載しているほか、障がい者雇用に関する取組みや各種データ類はサステナビリティレポートを参照ください。https://www.asahi-kasei.com/jp/sustainability/social/human_resources/ シニア活性化と定年延長 狙い:「終身成長」というコンセプトのもと、60歳を超えても専門性を磨き、環境に合わせて挑戦し変化し続ける人財を応援し、シニア人財の持てる力をより一層引き出すこと。 概要:2023年度から定年を65歳に引き上げました。60歳到達前に、改めて本人に自分のwill/can/mustを考えてもらい、それに沿った職務をマッチングする、という仕組みにしており、2023年度は600名超のマッチングを行いました。自身の意欲や能力に沿った業務に就いていただくことで、本人の働き甲斐は勿論、若手への伝承や刺激を与えていただくことも期待しています。 マネジメント力強化並びに次世代経営人財の育成 狙い:マネジメント層の成長、経営層候補の充実を旭化成グループ全体の成長につなげること。 概要:組織マネジメントで重要度の高い新任部長向けのプログラムを継続的に充実させています。新任部長の一人ひとりにコーチがつき、KSAを用いて組織課題を分析し、アクションプランの実行を支援しています。また本プログラムを受講した部長の上司に受講後の状況を確認し、行動変容の状況をモニタリングしています。また、次世代経営人財育成プログラムとして、各事業領域や事業会社のリーダー層からアセスメントや経営層との対話により選抜されたメンバーをグループ役員*1)候補として毎年プールし、育成のためエグゼクティブコーチングや異業種交流研修により個々の強みを強化しています。 KPI:2017年に次世代経営人財育成プログラムを開始し、2023年度の状況としてはグループ役員35ポジションに対して91名(事業部長39名・部長層52名)をプール人財として育成しており、「グループ役員の後継準備率」は260%に達しています。また、2018年度以降、当プール人財から継続的にグループ役員が任命されており、現在のグループ役員35名の過半数が本プログラムから選出されています。*1) 執行役員の中から旭化成グループ全体の企業価値向上に責任と権限を有する者として、旭化成の取締役会決議に基づきグループ役員を任命しており、具体的には旭化成株式会社の上席執行役員以上及びそれに相応する事業会社の執行役員がこれにあたります。 (社内環境整備方針)経営戦略と人財戦略を連動させる仕組み2021年度に社長をトップとした人財戦略プロジェクトを立ち上げ、2022年度からの中期経営計画に連動した人財戦略を策定しました。現在実行している人事施策はこれをベースにしています。人事部門トップが取締役会メンバーであるほか、社長と人事担当役員・人事部長によるミーティングを毎月1回実施し、経営戦略と人財戦略が常に連動する仕組みにしています。また各事業部門トップと人事担当役員・人事部長の定期ミーティングも実施し、ポートフォリオ転換を含めた事業課題を人事課題に落とし込み、施策に反映させています。さらには、人事施策が各事業現場にてうまく活用されていくためのキーとなる、各事業の企画部門トップとも毎月1回議論する場を設けて、人事施策の目的を共有し、企画段階から具体的な活用場面を想定した検討を行うようにしています。また、経営戦略と人財戦略の連動をさらに進めるため、現在人事処遇制度の見直しについても検討しています。従来以上に挑戦・成長を評価し、力のある人を早期に登用する、また多様な人財の活躍を促進する仕組みとすることで、「A-Spirits」の体現に繋げていく考えです。 みんなで学ぶ、学習プラットフォーム「CLAP」の推進 狙い:従業員一人一人の自律的なキャリア形成と成長の実現を通し、組織活性化や成果につなげること。 概要:CLAP(Co-Learning Adventure Place)では従業員がいつでも学べるよう、1万を超える社内外のコンテンツを整備し、旭化成及び5事業会社の全従業員約20,000人を対象に2022年12月に展開を開始しました。その上で、主体的に学び続けるための支援として、「みんなで学ぶ」環境を作るラーニングコミュニティの展開を強化しています。2023年度は新入社員向けに「新卒学部」という同期とともに学び合う9か月のコミュニティ活動を導入し、一人当たりのe-Learning学習時間は前年度新人の3.5倍に増える結果となりました。今後は、継続的に学び続ける従業員の増加に向けて、ラーニングコミュニティを取り入れた学び方の変革に継続的に着手していきます。 KPI:2022年12月の運用開始以降、2024年3月末までに17,573名(約88%)がCLAPにログイン完了し、14,999名(約75%)がCLAPで学び始めています。また、キャリアの可能性を広げる学びの幅を主に外部コンテンツで、専門性を高める学びの深さを社内知見を活用した社内カリキュラムで提供していますが、2024年3月末時点で約190の社内カリキュラムが職場や人事の育成担当により制作・公開されています。 人財の可視化、事業領域を超えた人事異動、公募人事制度 狙い:多様な人財を活かしきること。 概要:幅広い技術、多様な事業、多様な市場との接点といった当社グループの強みを活かすべく、以前より事業領域を越えた人事異動を積極的に行っています。一例としては、当社の住宅事業は近年海外に進出しましたが、この事業展開にあたっては、グループ全体の人財・ノウハウなどの経営基盤を活用することで、スピーディに展開することができました。海外事業の拡大によって業績も伸び、キャッシュ創出力も高めています。2022年度からはタレントマネジメントシステムも導入し、人財の可視化を進め、グループ全体での人財の活用力を一層高めていきます。また、公募人事制度については2003年度から運用しており、累計で約500名の人財が自らの意思で部署を異動し、新たな環境に挑戦しています。 人事部門の組織ケーパビリティの向上、キャリア開発室の設置 狙い:人的資本経営を実践するための実働部隊である人事部門の組織能力を強化すること。 概要:人事部門に今後必要となる能力について改めて定義づけを行い、その中でもデータ利活用スキルとキャリアコンサルティング能力については特に力を入れて向上に努めています。データ利活用スキルについては大阪大学開本教授監修のもと独自のプログラムを内製し、データの収集や分析に関するノウハウを人事メンバー全員が習得するように取り組んでいます(2024年3月31日時点で88名が受講済)。また、国家資格キャリアコンサルタントの資格取得も奨励しており、2024年4月時点で33名が資格を取得しています。2022年度には従業員のキャリア形成を支援するためにキャリア開発室を設置し、シニア層及び若手・中堅層に対してキャリア施策を充実させています。人財戦略及び具体策については、旭化成レポートにも記載がありますので、あわせて参照ください。また、人事関連の諸データに関しては当社サステナビリティレポートにも掲載しています。https://www.asahi-kasei.com/jp/sustainability/esg_data/ |
戦略 | ■ 戦略当社グループは目指すべき「持続可能な社会」を、グループビジョンに示す「健康で快適な生活」「環境との共生」に照らして定めています。すなわち、「健康で快適な生活」の観点では、“Care for People”のキーワードによる、“「ニューノーマル」での生き生きとしたくらしの実現”、「環境との共生」の観点では、“Care for Earth”のキーワードによる、“カーボンニュートラルでサステナブルな社会の実現”の二つです。COVID-19をはじめとする社会の大きな変化は、人類が取り組むべき課題を一段と浮き彫りにしています。この認識のもと、当社は創業来100年で培ってきた多様な人財・技術・事業を活かしながら、また、事業活動の前提となる基盤的な活動に注力しながら、5つの価値提供分野「Environment & Energy」「Mobility」「Life Material」「Home & Living」「Health Care」において、世界共通の課題の解決に向けた貢献を加速させていきます。 |
指標及び目標 | ■ 指標と目標当社では、経営における重要課題(マテリアリティ)を以下のように定めています。いずれもサステナビリティを追求していく上で重要な要素であり、これらに重点を置いた経営活動を行い、定量的な管理が可能なものは、指標や目標を設定して管理しています。旭化成グループのマテリアリティ 「中期経営計画2024」では、以下を目標としています。また、事業の前提の一つである「安全」については、「休業災害件数」「休業度数率」等により管理し、徹底を図っています。 |
人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略 | ■ 戦略、指標と目標前提となる人財戦略の概要については「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1) 経営方針・経営戦略等 ② 当社グループ全体の経営方針・経営戦略等 <経営方針・経営戦略> ⅴ 経営基盤の強化 ■ People (「人財」のトランスフォーメーション)」に記載のとおりであり、人財戦略の柱は、社員一人ひとりが挑戦・成長し続ける「終身成長」、当社の多様性を活かしコラボレーションを推進する「共創力」の2つを置いています。「終身成長」については、一人ひとりが自らのキャリアを描き、成長に向けた学び・挑戦を進めること、そして、個とチームの力を最大限引き出し成果に結びつけるマネジメント力の向上に、一層取り組んでいきます。「共創力」については、多様性を“拡げる”という視点と“つなげる”という視点から、様々な取り組みを実行しています。具体的には下記のような取り組みを進めています。 (人財育成方針) 高度専門職制度の拡充によるプロフェッショナル人財の育成強化 概要:高度専門職制度とは、新事業創出、事業強化へ積極的に関与し、貢献できると期待できる人財に対しふさわしい処遇を行い、社内外に通用する専門性の高い人財を増やしていく仕組みです。各事業の拡大に必要な専門領域を特定し、各専門領域で課長待遇のエキスパートから執行役員待遇のエグゼクティブフェローまで役割定義を定め、その定義に沿って任命を行っています。高度専門職を設置する専門領域は事業方針に合わせて毎年見直しを行い、事業戦略と人財育成方針をリンクさせているほか、就任者のミッションの一つに「自身の後進の育成」を明確に位置付けることで、技術レベルをサステナブルに維持向上させる仕組みとしています。 KPI:高度専門職の人数をKPIとして注視しており、現行制度にリニューアルした2016年度90名から順調に増え、前中計最終年度である2021年度時点で259名となっていました。2022年度からの新中計では2024年度300名を目標としていましたが、直近の増加ペースを踏まえて目標を引き上げ、2024年度までに360名まで増やすことを新たな目標としています。(2023年度実績347名) エンゲージメント向上 「KSA(活力と成長アセスメント)」 狙い:個人と組織の状態を可視化しマネジメントのPDCAを回すことで、活力や挑戦・成長行動を高めること。 概要:毎年1回全従業員を対象にサーベイを実施し、3指標「上司部下関係・職場環境」「活力」「成長につながる行動」の組織毎の結果をラインマネージャーにフィードバックしています。各組織が当事者意識を持ち課題や目指したい状態、今後の取り組みについて話し合う「職場対話」を推進し、職場づくりを学ぶ研修も展開しています。 KPI:モニタリング指標に定める「成長につながる行動」は2023年度3.72まで向上しました(2022年度3.71、2021年度3.69)。上司向け研修の拡大(延べ681名受講)により、2020年の導入時から推奨してきた「職場対話実施率」は2023年度73.9%まで向上し、対話実施者の51.9%が改善アクションに着手し順調に進展しています。今後は、職場対話の推進に加え、その内容や改善アクションの質にも重点を置き、要支援組織の抽出、サポート、当活動の効果検証に取り組みます。 DE&I、女性活躍推進 狙い:急速に変化する事業環境に対応し継続的に新たな価値を生み出していくためには、人財の多様性を活かし共にビジネスを創り出していく「共創力」を高めることが不可欠であると考え、当社ではDE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)を経営課題のひとつとして位置づけています。「共創力」を発揮していくためには、多様性を“拡げる”“つなげる”という2つの視点が重要であり、多様な技術・事業・人財を有機的につなげることで、当社ならではの価値が発揮できると考えています。 概要・KPI:女性の活躍推進については、2022年度からKPIとして、管理職の中でも真に指導的役割を果たすポジション(ラインポスト及び高度専門職)の女性比率を2030年度までに10%以上にするという目標を掲げました(2023年度実績4.4%)。またその比率を役員報酬にも連動させており、2024年度に5.0%以上を目標としています。上記を達成するとともに、女性リーダーを継続的に輩出できる仕組みとして候補者母集団を形成するための様々な取り組みを実施しています。2013年より継続的に実施しているメンタープログラムでは累計132名の新任女性管理職が参加し、直属の上司ではない斜めの関係の上位職が、各自のキャリア形成や課題解決に向けて主体的に考える機会を提供し成長を促すとともに、その後の自己成長に対する意欲を高めています。また、ラインポストに就いている女性管理職のさらなる成長意欲や視座向上に向けて、2023年度は女性の社外取締役(2名)と女性管理職とのラウンドテーブルを実施しました。2名の社外取締役から、自らのキャリアや経験談及び女性管理職への期待を語ってもらい、経営に必要な観点での視野拡大や、参加者の今後の挑戦や活躍に向けた意識と行動変革の後押しに繋げています。多様な働き方やキャリア形成を応援する施策としては、女性管理職や育児休業を取得し家事・育児にも携わる男性など、社内で活躍する多様な人財を紹介する「ロールパーツモデルチャンネル」を社内のイントラネットで展開しています。「自身の周囲にロールモデルが少ない」という社員の意見に対応して、様々なロールモデルとなる社員を紹介することで女性社員のキャリアアップへの挑戦意欲を高め、性別に捉われることなく仕事と家庭を両立させるなど中長期的なキャリア形成のイメージを持ってもらうことを狙いとしています。また、一人ひとりの多様性を活かし組織力を最大限発揮させるためには、各自に内在するアンコンシャスバイアスを知りコントロールする方法を習得することが重要であるとの考えから、2023年度に役員及び部長職全員に対してアンコンシャスバイアス研修を実施しました。2024年度には全課長層にも展開し、職場の心理的安全性を高め、すべての社員の活躍を支援できる管理職の育成を図っています。指導的立場に就く女性社員を増やしていくための上記の全社施策と並行して、各領域においてバイネームでの女性人事計画を立て、実際の登用に繋がる取り組みを実施しています。また、2023年度に社長を委員長とするDE&I委員会を設置し、グループ全体における進捗状況の確認や課題改善に向けて、定期的にモニタリング及び意見交換を行っています。これらの様々な取り組みにより、1994年に3名だった女性管理職は313名に増加しています(2024年3月31日現在)。また女性の執行役員は2名、取締役は2名、監査役は1名となっています(2024年6月25日現在)。 障がい者については特例子会社「旭化成アビリティ」での雇用をメインに、継続的に法定雇用率の達成を維持しています。2023年度の障がい者の法定雇用率2.3%のところ、グループ全体での年間雇用率は2.4%でした。直近の2024年3月末時点では2.58%(715名)となっており、2024年度法定雇用率2.5%への引き上げに対しても備えを進めています。キャリア採用に関しては、グループの強みである人財の多様性をさらに強化するために、多様な経験やバックグラウンド有する人財の中途採用を積極的に行っています。また、管理職への登用についても中核人財の多様性を確保しており、グループ国内正社員における管理職の16.4%をキャリア採用者が占めています(2024年3月31日現在)。当社グループにおける海外従業員比率は現在4割強を占めています。海外拠点の主要なポジションへの外国籍及び現地採用の人財登用を拡大し、優秀な人財は各事業に留めることなくグループ全体に貢献する人財として育成を行っています。その結果、グループ経営への参画も進み、現在6名の外国人の執行役員が在籍しています。女性・外国人・キャリア入社者の中核人材登用に関してはコーポレート・ガバナンスに関する報告書にも記載しているほか、障がい者雇用に関する取組みや各種データ類はサステナビリティレポートを参照ください。https://www.asahi-kasei.com/jp/sustainability/social/human_resources/ シニア活性化と定年延長 狙い:「終身成長」というコンセプトのもと、60歳を超えても専門性を磨き、環境に合わせて挑戦し変化し続ける人財を応援し、シニア人財の持てる力をより一層引き出すこと。 概要:2023年度から定年を65歳に引き上げました。60歳到達前に、改めて本人に自分のwill/can/mustを考えてもらい、それに沿った職務をマッチングする、という仕組みにしており、2023年度は600名超のマッチングを行いました。自身の意欲や能力に沿った業務に就いていただくことで、本人の働き甲斐は勿論、若手への伝承や刺激を与えていただくことも期待しています。 マネジメント力強化並びに次世代経営人財の育成 狙い:マネジメント層の成長、経営層候補の充実を旭化成グループ全体の成長につなげること。 概要:組織マネジメントで重要度の高い新任部長向けのプログラムを継続的に充実させています。新任部長の一人ひとりにコーチがつき、KSAを用いて組織課題を分析し、アクションプランの実行を支援しています。また本プログラムを受講した部長の上司に受講後の状況を確認し、行動変容の状況をモニタリングしています。また、次世代経営人財育成プログラムとして、各事業領域や事業会社のリーダー層からアセスメントや経営層との対話により選抜されたメンバーをグループ役員*1)候補として毎年プールし、育成のためエグゼクティブコーチングや異業種交流研修により個々の強みを強化しています。 KPI:2017年に次世代経営人財育成プログラムを開始し、2023年度の状況としてはグループ役員35ポジションに対して91名(事業部長39名・部長層52名)をプール人財として育成しており、「グループ役員の後継準備率」は260%に達しています。また、2018年度以降、当プール人財から継続的にグループ役員が任命されており、現在のグループ役員35名の過半数が本プログラムから選出されています。*1) 執行役員の中から旭化成グループ全体の企業価値向上に責任と権限を有する者として、旭化成の取締役会決議に基づきグループ役員を任命しており、具体的には旭化成株式会社の上席執行役員以上及びそれに相応する事業会社の執行役員がこれにあたります。 (社内環境整備方針)経営戦略と人財戦略を連動させる仕組み2021年度に社長をトップとした人財戦略プロジェクトを立ち上げ、2022年度からの中期経営計画に連動した人財戦略を策定しました。現在実行している人事施策はこれをベースにしています。人事部門トップが取締役会メンバーであるほか、社長と人事担当役員・人事部長によるミーティングを毎月1回実施し、経営戦略と人財戦略が常に連動する仕組みにしています。また各事業部門トップと人事担当役員・人事部長の定期ミーティングも実施し、ポートフォリオ転換を含めた事業課題を人事課題に落とし込み、施策に反映させています。さらには、人事施策が各事業現場にてうまく活用されていくためのキーとなる、各事業の企画部門トップとも毎月1回議論する場を設けて、人事施策の目的を共有し、企画段階から具体的な活用場面を想定した検討を行うようにしています。また、経営戦略と人財戦略の連動をさらに進めるため、現在人事処遇制度の見直しについても検討しています。従来以上に挑戦・成長を評価し、力のある人を早期に登用する、また多様な人財の活躍を促進する仕組みとすることで、「A-Spirits」の体現に繋げていく考えです。 みんなで学ぶ、学習プラットフォーム「CLAP」の推進 狙い:従業員一人一人の自律的なキャリア形成と成長の実現を通し、組織活性化や成果につなげること。 概要:CLAP(Co-Learning Adventure Place)では従業員がいつでも学べるよう、1万を超える社内外のコンテンツを整備し、旭化成及び5事業会社の全従業員約20,000人を対象に2022年12月に展開を開始しました。その上で、主体的に学び続けるための支援として、「みんなで学ぶ」環境を作るラーニングコミュニティの展開を強化しています。2023年度は新入社員向けに「新卒学部」という同期とともに学び合う9か月のコミュニティ活動を導入し、一人当たりのe-Learning学習時間は前年度新人の3.5倍に増える結果となりました。今後は、継続的に学び続ける従業員の増加に向けて、ラーニングコミュニティを取り入れた学び方の変革に継続的に着手していきます。 KPI:2022年12月の運用開始以降、2024年3月末までに17,573名(約88%)がCLAPにログイン完了し、14,999名(約75%)がCLAPで学び始めています。また、キャリアの可能性を広げる学びの幅を主に外部コンテンツで、専門性を高める学びの深さを社内知見を活用した社内カリキュラムで提供していますが、2024年3月末時点で約190の社内カリキュラムが職場や人事の育成担当により制作・公開されています。 人財の可視化、事業領域を超えた人事異動、公募人事制度 狙い:多様な人財を活かしきること。 概要:幅広い技術、多様な事業、多様な市場との接点といった当社グループの強みを活かすべく、以前より事業領域を越えた人事異動を積極的に行っています。一例としては、当社の住宅事業は近年海外に進出しましたが、この事業展開にあたっては、グループ全体の人財・ノウハウなどの経営基盤を活用することで、スピーディに展開することができました。海外事業の拡大によって業績も伸び、キャッシュ創出力も高めています。2022年度からはタレントマネジメントシステムも導入し、人財の可視化を進め、グループ全体での人財の活用力を一層高めていきます。また、公募人事制度については2003年度から運用しており、累計で約500名の人財が自らの意思で部署を異動し、新たな環境に挑戦しています。 人事部門の組織ケーパビリティの向上、キャリア開発室の設置 狙い:人的資本経営を実践するための実働部隊である人事部門の組織能力を強化すること。 概要:人事部門に今後必要となる能力について改めて定義づけを行い、その中でもデータ利活用スキルとキャリアコンサルティング能力については特に力を入れて向上に努めています。データ利活用スキルについては大阪大学開本教授監修のもと独自のプログラムを内製し、データの収集や分析に関するノウハウを人事メンバー全員が習得するように取り組んでいます(2024年3月31日時点で88名が受講済)。また、国家資格キャリアコンサルタントの資格取得も奨励しており、2024年4月時点で33名が資格を取得しています。2022年度には従業員のキャリア形成を支援するためにキャリア開発室を設置し、シニア層及び若手・中堅層に対してキャリア施策を充実させています。人財戦略及び具体策については、旭化成レポートにも記載がありますので、あわせて参照ください。また、人事関連の諸データに関しては当社サステナビリティレポートにも掲載しています。https://www.asahi-kasei.com/jp/sustainability/esg_data/ |
人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績、指標及び目標 | (人財育成方針) 高度専門職制度の拡充によるプロフェッショナル人財の育成強化 概要:高度専門職制度とは、新事業創出、事業強化へ積極的に関与し、貢献できると期待できる人財に対しふさわしい処遇を行い、社内外に通用する専門性の高い人財を増やしていく仕組みです。各事業の拡大に必要な専門領域を特定し、各専門領域で課長待遇のエキスパートから執行役員待遇のエグゼクティブフェローまで役割定義を定め、その定義に沿って任命を行っています。高度専門職を設置する専門領域は事業方針に合わせて毎年見直しを行い、事業戦略と人財育成方針をリンクさせているほか、就任者のミッションの一つに「自身の後進の育成」を明確に位置付けることで、技術レベルをサステナブルに維持向上させる仕組みとしています。 KPI:高度専門職の人数をKPIとして注視しており、現行制度にリニューアルした2016年度90名から順調に増え、前中計最終年度である2021年度時点で259名となっていました。2022年度からの新中計では2024年度300名を目標としていましたが、直近の増加ペースを踏まえて目標を引き上げ、2024年度までに360名まで増やすことを新たな目標としています。(2023年度実績347名) エンゲージメント向上 「KSA(活力と成長アセスメント)」 狙い:個人と組織の状態を可視化しマネジメントのPDCAを回すことで、活力や挑戦・成長行動を高めること。 概要:毎年1回全従業員を対象にサーベイを実施し、3指標「上司部下関係・職場環境」「活力」「成長につながる行動」の組織毎の結果をラインマネージャーにフィードバックしています。各組織が当事者意識を持ち課題や目指したい状態、今後の取り組みについて話し合う「職場対話」を推進し、職場づくりを学ぶ研修も展開しています。 KPI:モニタリング指標に定める「成長につながる行動」は2023年度3.72まで向上しました(2022年度3.71、2021年度3.69)。上司向け研修の拡大(延べ681名受講)により、2020年の導入時から推奨してきた「職場対話実施率」は2023年度73.9%まで向上し、対話実施者の51.9%が改善アクションに着手し順調に進展しています。今後は、職場対話の推進に加え、その内容や改善アクションの質にも重点を置き、要支援組織の抽出、サポート、当活動の効果検証に取り組みます。 DE&I、女性活躍推進 狙い:急速に変化する事業環境に対応し継続的に新たな価値を生み出していくためには、人財の多様性を活かし共にビジネスを創り出していく「共創力」を高めることが不可欠であると考え、当社ではDE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)を経営課題のひとつとして位置づけています。「共創力」を発揮していくためには、多様性を“拡げる”“つなげる”という2つの視点が重要であり、多様な技術・事業・人財を有機的につなげることで、当社ならではの価値が発揮できると考えています。 概要・KPI:女性の活躍推進については、2022年度からKPIとして、管理職の中でも真に指導的役割を果たすポジション(ラインポスト及び高度専門職)の女性比率を2030年度までに10%以上にするという目標を掲げました(2023年度実績4.4%)。またその比率を役員報酬にも連動させており、2024年度に5.0%以上を目標としています。上記を達成するとともに、女性リーダーを継続的に輩出できる仕組みとして候補者母集団を形成するための様々な取り組みを実施しています。2013年より継続的に実施しているメンタープログラムでは累計132名の新任女性管理職が参加し、直属の上司ではない斜めの関係の上位職が、各自のキャリア形成や課題解決に向けて主体的に考える機会を提供し成長を促すとともに、その後の自己成長に対する意欲を高めています。また、ラインポストに就いている女性管理職のさらなる成長意欲や視座向上に向けて、2023年度は女性の社外取締役(2名)と女性管理職とのラウンドテーブルを実施しました。2名の社外取締役から、自らのキャリアや経験談及び女性管理職への期待を語ってもらい、経営に必要な観点での視野拡大や、参加者の今後の挑戦や活躍に向けた意識と行動変革の後押しに繋げています。多様な働き方やキャリア形成を応援する施策としては、女性管理職や育児休業を取得し家事・育児にも携わる男性など、社内で活躍する多様な人財を紹介する「ロールパーツモデルチャンネル」を社内のイントラネットで展開しています。「自身の周囲にロールモデルが少ない」という社員の意見に対応して、様々なロールモデルとなる社員を紹介することで女性社員のキャリアアップへの挑戦意欲を高め、性別に捉われることなく仕事と家庭を両立させるなど中長期的なキャリア形成のイメージを持ってもらうことを狙いとしています。また、一人ひとりの多様性を活かし組織力を最大限発揮させるためには、各自に内在するアンコンシャスバイアスを知りコントロールする方法を習得することが重要であるとの考えから、2023年度に役員及び部長職全員に対してアンコンシャスバイアス研修を実施しました。2024年度には全課長層にも展開し、職場の心理的安全性を高め、すべての社員の活躍を支援できる管理職の育成を図っています。指導的立場に就く女性社員を増やしていくための上記の全社施策と並行して、各領域においてバイネームでの女性人事計画を立て、実際の登用に繋がる取り組みを実施しています。また、2023年度に社長を委員長とするDE&I委員会を設置し、グループ全体における進捗状況の確認や課題改善に向けて、定期的にモニタリング及び意見交換を行っています。これらの様々な取り組みにより、1994年に3名だった女性管理職は313名に増加しています(2024年3月31日現在)。また女性の執行役員は2名、取締役は2名、監査役は1名となっています(2024年6月25日現在)。 障がい者については特例子会社「旭化成アビリティ」での雇用をメインに、継続的に法定雇用率の達成を維持しています。2023年度の障がい者の法定雇用率2.3%のところ、グループ全体での年間雇用率は2.4%でした。直近の2024年3月末時点では2.58%(715名)となっており、2024年度法定雇用率2.5%への引き上げに対しても備えを進めています。キャリア採用に関しては、グループの強みである人財の多様性をさらに強化するために、多様な経験やバックグラウンド有する人財の中途採用を積極的に行っています。また、管理職への登用についても中核人財の多様性を確保しており、グループ国内正社員における管理職の16.4%をキャリア採用者が占めています(2024年3月31日現在)。当社グループにおける海外従業員比率は現在4割強を占めています。海外拠点の主要なポジションへの外国籍及び現地採用の人財登用を拡大し、優秀な人財は各事業に留めることなくグループ全体に貢献する人財として育成を行っています。その結果、グループ経営への参画も進み、現在6名の外国人の執行役員が在籍しています。女性・外国人・キャリア入社者の中核人材登用に関してはコーポレート・ガバナンスに関する報告書にも記載しているほか、障がい者雇用に関する取組みや各種データ類はサステナビリティレポートを参照ください。https://www.asahi-kasei.com/jp/sustainability/social/human_resources/ シニア活性化と定年延長 狙い:「終身成長」というコンセプトのもと、60歳を超えても専門性を磨き、環境に合わせて挑戦し変化し続ける人財を応援し、シニア人財の持てる力をより一層引き出すこと。 概要:2023年度から定年を65歳に引き上げました。60歳到達前に、改めて本人に自分のwill/can/mustを考えてもらい、それに沿った職務をマッチングする、という仕組みにしており、2023年度は600名超のマッチングを行いました。自身の意欲や能力に沿った業務に就いていただくことで、本人の働き甲斐は勿論、若手への伝承や刺激を与えていただくことも期待しています。 マネジメント力強化並びに次世代経営人財の育成 狙い:マネジメント層の成長、経営層候補の充実を旭化成グループ全体の成長につなげること。 概要:組織マネジメントで重要度の高い新任部長向けのプログラムを継続的に充実させています。新任部長の一人ひとりにコーチがつき、KSAを用いて組織課題を分析し、アクションプランの実行を支援しています。また本プログラムを受講した部長の上司に受講後の状況を確認し、行動変容の状況をモニタリングしています。また、次世代経営人財育成プログラムとして、各事業領域や事業会社のリーダー層からアセスメントや経営層との対話により選抜されたメンバーをグループ役員*1)候補として毎年プールし、育成のためエグゼクティブコーチングや異業種交流研修により個々の強みを強化しています。 KPI:2017年に次世代経営人財育成プログラムを開始し、2023年度の状況としてはグループ役員35ポジションに対して91名(事業部長39名・部長層52名)をプール人財として育成しており、「グループ役員の後継準備率」は260%に達しています。また、2018年度以降、当プール人財から継続的にグループ役員が任命されており、現在のグループ役員35名の過半数が本プログラムから選出されています。*1) 執行役員の中から旭化成グループ全体の企業価値向上に責任と権限を有する者として、旭化成の取締役会決議に基づきグループ役員を任命しており、具体的には旭化成株式会社の上席執行役員以上及びそれに相応する事業会社の執行役員がこれにあたります。 (社内環境整備方針)経営戦略と人財戦略を連動させる仕組み2021年度に社長をトップとした人財戦略プロジェクトを立ち上げ、2022年度からの中期経営計画に連動した人財戦略を策定しました。現在実行している人事施策はこれをベースにしています。人事部門トップが取締役会メンバーであるほか、社長と人事担当役員・人事部長によるミーティングを毎月1回実施し、経営戦略と人財戦略が常に連動する仕組みにしています。また各事業部門トップと人事担当役員・人事部長の定期ミーティングも実施し、ポートフォリオ転換を含めた事業課題を人事課題に落とし込み、施策に反映させています。さらには、人事施策が各事業現場にてうまく活用されていくためのキーとなる、各事業の企画部門トップとも毎月1回議論する場を設けて、人事施策の目的を共有し、企画段階から具体的な活用場面を想定した検討を行うようにしています。また、経営戦略と人財戦略の連動をさらに進めるため、現在人事処遇制度の見直しについても検討しています。従来以上に挑戦・成長を評価し、力のある人を早期に登用する、また多様な人財の活躍を促進する仕組みとすることで、「A-Spirits」の体現に繋げていく考えです。 みんなで学ぶ、学習プラットフォーム「CLAP」の推進 狙い:従業員一人一人の自律的なキャリア形成と成長の実現を通し、組織活性化や成果につなげること。 概要:CLAP(Co-Learning Adventure Place)では従業員がいつでも学べるよう、1万を超える社内外のコンテンツを整備し、旭化成及び5事業会社の全従業員約20,000人を対象に2022年12月に展開を開始しました。その上で、主体的に学び続けるための支援として、「みんなで学ぶ」環境を作るラーニングコミュニティの展開を強化しています。2023年度は新入社員向けに「新卒学部」という同期とともに学び合う9か月のコミュニティ活動を導入し、一人当たりのe-Learning学習時間は前年度新人の3.5倍に増える結果となりました。今後は、継続的に学び続ける従業員の増加に向けて、ラーニングコミュニティを取り入れた学び方の変革に継続的に着手していきます。 KPI:2022年12月の運用開始以降、2024年3月末までに17,573名(約88%)がCLAPにログイン完了し、14,999名(約75%)がCLAPで学び始めています。また、キャリアの可能性を広げる学びの幅を主に外部コンテンツで、専門性を高める学びの深さを社内知見を活用した社内カリキュラムで提供していますが、2024年3月末時点で約190の社内カリキュラムが職場や人事の育成担当により制作・公開されています。 人財の可視化、事業領域を超えた人事異動、公募人事制度 狙い:多様な人財を活かしきること。 概要:幅広い技術、多様な事業、多様な市場との接点といった当社グループの強みを活かすべく、以前より事業領域を越えた人事異動を積極的に行っています。一例としては、当社の住宅事業は近年海外に進出しましたが、この事業展開にあたっては、グループ全体の人財・ノウハウなどの経営基盤を活用することで、スピーディに展開することができました。海外事業の拡大によって業績も伸び、キャッシュ創出力も高めています。2022年度からはタレントマネジメントシステムも導入し、人財の可視化を進め、グループ全体での人財の活用力を一層高めていきます。また、公募人事制度については2003年度から運用しており、累計で約500名の人財が自らの意思で部署を異動し、新たな環境に挑戦しています。 人事部門の組織ケーパビリティの向上、キャリア開発室の設置 狙い:人的資本経営を実践するための実働部隊である人事部門の組織能力を強化すること。 概要:人事部門に今後必要となる能力について改めて定義づけを行い、その中でもデータ利活用スキルとキャリアコンサルティング能力については特に力を入れて向上に努めています。データ利活用スキルについては大阪大学開本教授監修のもと独自のプログラムを内製し、データの収集や分析に関するノウハウを人事メンバー全員が習得するように取り組んでいます(2024年3月31日時点で88名が受講済)。また、国家資格キャリアコンサルタントの資格取得も奨励しており、2024年4月時点で33名が資格を取得しています。2022年度には従業員のキャリア形成を支援するためにキャリア開発室を設置し、シニア層及び若手・中堅層に対してキャリア施策を充実させています。人財戦略及び具体策については、旭化成レポートにも記載がありますので、あわせて参照ください。また、人事関連の諸データに関しては当社サステナビリティレポートにも掲載しています。https://www.asahi-kasei.com/jp/sustainability/esg_data/ |
事業等のリスク | 3 【事業等のリスク】 当社グループは、広範にわたる事業により安定的な事業運営を実現していますが、個々の事業では事業の性格により異なる市場リスク・投資リスクをはじめ様々なリスクを内在しています。これらのリスクは予測不可能な不確実性を含んでおり、当社グループの財政状態や業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。これらのリスクの回避及び発生した場合の対応に必要なリスク管理体制及び管理手法を整備し、リスクの監視及び管理等の対策を講じますが、これらすべてのリスクを完全に回避するものではありません。しかしながら、以下のような取り組みを通じて当社グループはリスク低減とリスク感度の向上に努めています。将来の事項に関する記述につきましては、有価証券報告書提出日現在において入手可能な情報に基づき、当社グループが合理的であると判断したものです。 (1) リスクマネジメントの強化当社グループが「マテリアル」「住宅」「ヘルスケア」の3つのセグメントにおける多様な事業でグローバル展開を加速する一方で、米中デカップリング、ロシア・ウクライナ情勢、中東情勢等の国際関係の緊張の高まりなどにより、当社グループを取り巻く事業環境は激しく変化しています。新たなリスクや複雑化するリスクが当社グループに及ぼす影響は従来以上に大きくなっており、グループ全体のリスクを可視化して対応策を強化することが必要であり、具体的な対策を推進しています。 (2) リスクマネジメント体制と関係者の役割取締役会の監督のもと、リスクマネジメント全体についての責任者である社長を、リスク・コンプライアンス担当役員が補佐します。同役員は、社長の指示のもとリスクマネジメント全体を把握して、個別のリスク対策について各部門長(スタッフ部門担当役員・事業部門長等)に指示・支援を行います。また、リスク・コンプライアンス担当役員のもとにリスクマネジメントチームを設置し、同チームは社内各部門の活動モニタリング、具体的なリスク対策支援、スタッフ部門と事業部門の組織間連携強化を推進します。そして、社長が委員長となるリスク・コンプライアンス委員会で、リスクマネジメントに関する経営レベルの決定事項や指示事項を各部門長に周知徹底しています。 (3) リスクマネジメントのPDCAサイクルの強化各組織における自律的なリスク管理を基本とし、その中でもリスクの対応状況について取締役会が定期的に監督する特に重要なリスクを「グループ重大リスク」、各事業部門における年度経営計画のアサインメントの達成を阻害する可能性があるリスクで当該年度に重点的に取り組むものを「事業重要リスク」と定め、PDCA管理を強化しています。リスクマネジメントのPDCAサイクル(グループ重大リスクと事業重要リスク) (4) 当社グループ全体に係るリスクグループ重大リスクとして設定したリスクについて① 国内外の生産拠点における事故発生リスク(環境事故、保安事故、労災)国内外に広く生産拠点を展開している当社グループにとって、事故発生による事業への影響は大きく、事業継続に支障をきたす可能性があります。当社グループでは、安全な操業を継続することは、社会からの信頼、従業員や地域社会の安全、環境配慮等における価値を守るための最重要事項と認識しています。そのため重篤な労災や保安事故の防止に向け、発生した事故の教訓を生かし、不安全行動による重篤災害撲滅を目指したLSA(ライフセービングアクション)活動の推進や、工場等の機械のリスクアセスメント実施における専門技術者の育成及び工場設備等の点検強化、各生産拠点におけるプロセス安全技術の維持を目的とした保安防災伝承活動の展開、防消火技術の向上等を進めています。また、現場の監査における専門家等第三者の視点の導入、人材育成を含む安全文化の醸成強化に努めています。今後はこれらの活動の全社レベルでの更なる活動定着を進めていきます。 ② 国内外の品質不正リスク製品の設計・検査の不備、不適切な顧客対応や報告が行われた場合や、法規制・規格等の遵守不備があった場合、リコールや当社ブランドに対する社会的信頼の喪失や製品の生産・流通の停止等により、当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。当社グループでは、「マテリアル」「住宅」「ヘルスケア」の3つのセグメントにわたり、様々な製品を提供していますが、それぞれの製品の品質を確保することは、お客様をはじめ、全てのステークホルダーの方々の信頼をいただくために最重要と認識しています。品質不正の発生を防ぐため、各拠点の品質保証活動の健全性を確認する点検や、現場従業員の品質意識向上を目的として品質担当役員が現場を訪問し双方向でコミュニケーションをするタウンホールミーティングや、グループ全員が品質リスクを理解し日々の業務を行うための品質リスク教育を国内海外の各拠点で実施しています。 ③ 国内外の環境安全・品質保証に関わる法規制要求事項の未遵守リスク環境安全・品質保証に関わる法規制等の未遵守の状態が発生した場合、リコールや当社ブランドに対する社会的信頼の喪失や製品の生産・流通の停止等により当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。環境安全・品質保証に関わる法規制等の遵守を徹底するために、関連法規等の内容を定期的に更新するとともに専門家等の第三者による確認も経たうえで社内へ周知し、チェックシート等を活用し現場従業員がその遵守状況を確認できる仕組みを構築しています。また、上記取組の継続とともに、当社グループにおいて様々な製品に使用している化学品の法規制等の管理を徹底するためのシステムの運用も実施しています。 ④ 経済安全保障・グローバルサプライチェーンにおけるリスク当社グループは、「マテリアル」「住宅」「ヘルスケア」の3つのセグメントからなる多様な事業を運営しており、事業ごとに原材料や部品、施工業者、物流経路、倉庫、販売先に至るまで、国内外で多様なサプライチェーンを構成しています。そのため、経済安全保障に関する世界各国の政策動向が事業運営やサプライチェーンに影響を及ぼす可能性があり、また、世界中で発生する自然災害、保安事故、人権問題、地政学問題、経営破綻等による、取引先との取引回避や取引先の機能不全に起因してサプライチェーンが途絶する可能性があり、主なリスクとして以下のものを認識しています。 ・ 経済制裁・輸出管理規制の強化等の経済安全保障リスクや地政学による企業活動に関するリスク当社グループは、製品の輸出や海外における現地生産等、幅広く海外で事業展開をしており、安定的な国際通商のメリットを享受しています。そのため、何らかの理由により二国間あるいは多国間の通商環境や地政学情勢が変化することにより、海外の会社との取引や出資、その他事業活動に影響を受けるリスクがあります。特に、米中デカップリング、ロシア・ウクライナ情勢の長期化、中東情勢の不安定化等、近年国際関係の緊張が高まっており、これに伴って日本や諸外国において、経済安全保障の観点から経済制裁、輸出管理規制、外国直接投資規制を強化する動きが続いています。これらの規制に対応することにより、取引先との取引の停滞・中断、資金の移動の遅延・停止、事業遂行の遅延・不能等により、業績に影響を及ぼすなどのリスクがあります。地政学や法規制の動向には常に注意を払っており、経営層や事業部門・スタッフ部門の管理者層への情報共有を通じてグループ全体の感度向上を図るとともに、対応部署の明確化を通じて社内体制強化の検討も進めています。また、適時に規制内容を理解することや関係当局に事前に相談することに加えて、経済制裁については外部の顧客スクリーニングシステム等を利用して慎重な取引審査を行うなどにより、適切な対応に努めています。 ・ サプライチェーン上の人権課題に関するリスクサプライチェーン上の人権課題に適切な対応がとられていない場合は、取引先との取引停止、法令による罰則の適用、当社グループに対する社会的信頼の喪失等により、事業継続に支障をきたす可能性があります。当社グループでは2022年に「旭化成グループ人権方針」を制定し、自らの活動及び事業のバリューチェーン全体におけるステークホルダーの全ての皆さまの人権の尊重を、基本的な考え方に据えています。人権尊重について議論・方向付けし、また、「旭化成グループ人権方針」に沿った行動を推進するための場として2022年度に新設した人権専門委員会については、2023年度に第2回委員会を開催し、世の中の人権動向の共有、当社グループにおける人権尊重取り組み事項の整理などを行いました。従来、取り組んでいる社内報、eラーニング等を活用した人権に関する啓発活動を継続するとともに、サプライチェーンにおける人権デュー・ディリジェンスの実施の具体化を進めていくことを今後の課題として認識しています。 ・ 原料・資材の調達リスクサプライチェーンが各国・地域の法規制の動向や突発事象などにより影響を受ける場合に、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループではサプライヤーの選定におけるリスク評価や監査の実施、サプライヤー及び販売先のモニタリングなどを通じて、リスクを低減させることに加えて、主要製品・事業における原材料の調達ルートの多様化や適正な水準の在庫の確保を通じて、安定操業に向けて取り組んでいます。また、強靭で持続可能なサプライチェーンを維持するための、体系的かつ継続的なサプライチェーンリスクマネジメント(SCRM)の実施へ向けて、2022年度からグループを横断して、リスクの洗い出し・評価・対策の設定を開始しました。サプライチェーンに関連する各部門(製造、経営企画、営業、技術開発などの各部署)との連携や、実効性のあるリスク対策の実施に取り組んでおり、進捗状況を定期的にモニタリングしてSCRMを推進しています。 ⑤ サイバーセキュリティ、通信インフラに関するリスク昨今のサイバー攻撃の急増・巧妙化が進む一方で、サイバーセキュリティ対策が不十分であった場合は、システム停止により事業継続が困難になる可能性があります。安心・安全・安定したIT基盤の運用は経営の大前提であり、当社グループは情報セキュリティ対策を重大な経営課題と認識し、サイバー攻撃の検知・対応ツールの強化、インシデント発生時の迅速で漏れの無い情報フローの構築を推進するほか、eラーニングやメール訓練等による従業員のセキュリティ意識の向上施策を実施しています。今後は、経営陣とのサイバーセキュリティ対策に関するディスカッションを強化しつつ、グローバル全体でのサイバーセキュリティ対策や従業員のセキュリティ意識向上施策を継続展開していきます。 ⑥ 大規模災害やパンデミック、海外有事(テロ、紛争)に関するリスク近年頻繁に発生している自然災害やテロ・個別紛争等のリスクは年々高まっており、リスク顕在時には従業員安全の確保や事業継続に支障を来す可能性があります。国内外に幅広く拠点を展開している当社グループでは、まずは国内の事業所、製造拠点を想定した、緊急事態発生時の情報伝達フローの明確化等を目的とした関係規程の改定、パンデミックの再発に備えたマニュアル整備等を含めて、各種緊急事態対応マニュアルの再整備を進めています。また、国内の各製造拠点においては自然災害について、拠点ごとのリスク想定、減災計画、緊急時対応計画を策定し、訓練を含めた対応を進めています。今後は、国内における規程・マニュアルの周知及び事務所地区を中心とした自然災害訓練等の実施、海外拠点・工場、国内に独立して存在する工場における減災対応・マニュアル整備を進めていきます。 ⑦ M&Aに関するリスク当社グループは、事業ポートフォリオの進化にあたっては、「成長の為の挑戦的な投資」と「構造転換や既存事業強化からのフリー・キャッシュ・フロー創出」の両輪を回すことが重要と考え、事業投資、新規事業の創出や事業ポートフォリオの転換の手段として、国内外におけるM&Aを通じた事業展開を行っています。ZOLL Medical Corporation(2012年度)、Polypore International Inc.(2015年度、以下、Polypore社という)、Sage Automotive Interiors, Inc.(2018年度)、Veloxis Pharmaceuticals A/S(2019年度)などの大型買収や近年の「住宅」セグメントや「ヘルスケア」セグメントを中心とした買収などにより、のれん及び無形固定資産残高は増加傾向にあります。M&Aの結果取得した無形固定資産の企業結合日時点における時価については、コスト・アプローチ、マーケット・アプローチ、インカム・アプローチなどによって合理的に算定された価額を基礎として算定しており、事業計画等の不確実性を伴う仮定が反映されています。そのため、事業計画等において初期に期待した投資効果が発現しなかった場合や関係会社の経営が悪化した場合、被買収企業との事業統合が遅延した場合など、のれんや無形固定資産の減損等により当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。当社グループでは、買収検討の対象企業のデューデリジェンス(詳細調査)を慎重に行い、買収後の事業統合の計画を入念に検証することで、リスクの低減に努めています。しかし、過去の大型買収が海外での新規市場や成長市場に関する案件であり、想定外の事業環境の変化への対応を誤ると、投資額の回収が困難となるリスクを抱えています。業界動向を見通すことが難しい事業については、より一層の精査をすることやリスクをより慎重に見積もることで対処していきます。 ⑧ 気候変動に関するリスク当社グループは、気候変動に関して生じる変化を重要なリスク要因として認識しています。当社グループではTCFD提言に賛同するとともに、TCFD提言の枠組みに基づき、気候変動が事業に及ぼす影響の分析、対応策の検討を行っています。詳細は「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1) サステナビリティ共通 ②気候変動関連」の記載をご参照ください。 上記以外のリスクについて上記に記載したリスク以外にも、当社グループの事業運営全体にかかわるリスクに対して日々の事業活動の中でリスク低減に努めており、主なリスク項目は以下のとおりです。 ① 通商に関するリスク当社グループは、原材料の購入や製品の輸出、海外における現地生産等、幅広く海外で事業を展開し、国際貿易や資金決済に関する二国間あるいは多国間の協定や枠組みのメリットを享受しています。これらの協定や各種枠組み等の変更や新規規制の導入などにより、関税の増加、通関の遅延・不能、資金決済の遅延・不能が生じ、代金回収や事業遂行の遅延・不能、業績悪化等が発生するリスクを負っています。当社グループでは、適時に規制内容を理解することや、関係当局に事前に相談し、対策を講じることによって、これらのリスクの低減に努めています。また、グループ会社間の国際的な取引価格については、当社グループ税務方針に基づき、日本国政府及び相手国政府の移転価格税制を遵守していますが、税務当局から取引価格が不適切であるとの指摘を受ける可能性や、協議が不調となった場合に二重課税や追徴課税を受ける可能性があります。そのため、重要性の高いグループ会社間取引については、事前確認制度の活用、あるいは、外部専門家の意見も参考にしながら、各国の移転価格税制を踏まえた独立企業間価格を設定しています。 ② 事業競争力に関するリスク当社グループは、「マテリアル」「住宅」「ヘルスケア」の3つのセグメントにおいて、付加価値の高い製品・サービスを提供していますが、類似の製品や技術による競合企業のキャッチアップ、新たな競合企業の参入等によって競争環境が激化することや、デジタル技術や脱炭素化に貢献する技術等急速な技術革新による産業構造の変化、急激な需要構造・市場構造の変化などにより、当社グループの各事業の競争力を損なう可能性があります。当社グループでは、競合製品の競争力や産業構造の変化をタイムリーかつ的確に見通すことに努めるとともに、製品やサービスの絶え間ない差別化や模倣困難なビジネスモデルの構築、知的財産等による高い参入障壁を設けることにより、これらのリスクの低減に努めています。 ③ 市況変動によるリスク・ 原油・ナフサ価格変動リスク当社グループは、原油やナフサを原料とした石油化学製品の製造・販売事業を展開しています。また、各原料市況並びに需給バランスから固有の市況を形成しており、その変動は当該事業や誘導品からなる当社グループの各事業に影響を及ぼします。特に、事業規模が大きいアクリロニトリル事業は市況の変動の影響が大きいため、販売価格のフォーミュラの見直し等、収益の安定化に努めています。 ・ 為替変動リスク当社グループは、輸出入及び外国間等の貿易取引において、外貨建ての決済を行うことに伴い、円に対する外国通貨レートの変動による影響を受けます。そのため、取引においては、先物為替予約等によるヘッジ策やCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)の活用による、安定的かつ効率的な資金活用を目指しています。当社グループは、収益の多くが外貨建てであることに加え、当社の報告通貨が円であることから、外国通貨に対して円高が進むと、当社グループの業績にマイナスのインパクトを与えます。当社の試算では、米ドル・円レートが1円変動すると連結営業利益に年間11億円の変動をもたらします。 (5) 各セグメントに係るリスク「マテリアル」、「住宅」、「ヘルスケア」の各セグメントでは、事業上の課題やリスクへの対策検討を実施する中で事業重要リスクのPDCA管理も実施しています。各事業の課題やリスクに関する詳細は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」をご参照ください。 |
経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 | 4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 本項の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの分析は、将来のリスク、不確実性及び仮定を伴う予測情報を含んでいます。これらの記述は、現時点で当社が入手している情報を踏まえた一定の前提条件や見解に基づくものであり、「3 事業等のリスク」等に記載された事項及びその他の要因により、当社グループの実際の業績はこれらの予測された内容とは大幅に異なる可能性があります。なお、2022年10月31日(米国東部時間)に行われたFocus Plumbing LLC、Focus Framing, Door & Trim LLC、Focus Electric LLC、Focus Concrete, LLC及びFocus Fire Protection LLCとの企業結合について前連結会計年度において暫定的な会計処理を行っていましたが、当連結会計年度に確定したため、前連結会計年度との比較・分析にあたっては、暫定的な会計処理の確定による見直し後の金額を用いています。 (1) 経営成績等の状況の概要及び経営者の視点による分析・検討内容① 経営成績Ⅰ 当社グループ全体当社グループの当連結会計年度(2023年4月1日~2024年3月31日、以下、「当期」)における世界経済は、欧州においては金融引締めによる消費者マインド悪化により景気が弱含みを見せ、また、中国ではCOVID-19収束により経済活動の正常化が進みつつも、不動産市場の引き続きの低迷を受けて生産・消費の回復は緩やかとなる一方で、米国においては実質賃金上昇を受けた消費増加によって景気回復が続きました。このような環境の中で、当社グループの当期における連結業績は、「マテリアル」セグメントで中国を中心とした想定以上の需要減速や市況下落の影響を受けましたが交易条件が改善し、「住宅」及び「ヘルスケア」セグメントは堅調に推移したことから、売上高は2兆7,849億円で前連結会計年度(以下、「前期」)比584億円の増収となり、営業利益は1,407億円で前期比130億円の増益となりました。一方、持分法による投資損失381億円を計上したことなどにより経常利益は901億円で前期比308億円の減益となりました。汎用石化・樹脂資産グループに関連する設備等の減損損失を計上しましたが、前期比では減損損失が減少したこと、Asahi Kasei Energy Storage Materials, Inc.株式譲渡に伴う税金費用の減少等があったことから、親会社株主に帰属する当期純利益は438億円と黒字に転換しました。その結果、EPS(1株当たり当期純利益)は31.60円と前期比97.90円の増加となりました。資本効率について、当期のROICは5.9%で前期比2.0%の改善、ROEは2.5%で前期比8.0%の改善となりました。米国連結子会社間の株式譲渡による法人税等の益がある一方、「マテリアル」セグメントでの業績低迷や基盤マテリアル事業等の一部事業で減損損失を計上したことなどから低水準となりました。財務健全性については、有利子負債の減少と純資産の増加を受けて、D/Eレシオは0.51となりました。 〈当社グループの業績〉 経営指標2021年度2022年度2023年度前期との差異収益性売上高(億円)24,61327,26527,849+584営業利益(億円)2,0261,2771,407+130売上高営業利益率(%)8.24.75.1+0.4EBITDA(億円)3,5083,0503,229+179売上高EBITDA率(%)14.311.211.6+0.4親会社株主に帰属する当期純利益又は当期純損失(△)(億円)1,619△919438+1,358EPS(円)116.68△66.3031.60+97.90資本効率ROIC(%)6.64.05.9+2.0ROE(%)10.3△5.52.5+8.0財務健全性D/Eレシオ 0.450.570.51△0.06 Ⅱ セグメント別ⅰ 「マテリアル」セグメント売上高は1兆2,617億円で前期比549億円の減収となり、営業利益は426億円で前期比15億円の増益となりました。需要減速による数量因やその他因(在庫影響、操業度など)によるマイナスの影響を受けましたが、市況下落による売値因のマイナスを原燃料因や円安による為替因で大きくカバーしたことで交易条件が改善し、減収増益となりました。 ・ 環境ソリューション事業基盤マテリアル事業は、中国を中心とする石化関連全般の需要低迷による販売量の減少や、在庫受払差、定修影響などにより、減益となりました。主力事業であるアクリロニトリル事業についても、販売価格の原材料連動フォーミュラ化を進め安定的な収益を創出できるよう努めているものの、販売数量の減少や市況の下落により交易条件が悪化したことにより、減益となりました。セパレータ事業は、前期の操業度悪化による在庫影響や価格改定があった一方で、前期のPolypore減損に伴う広義ののれん(無形固定資産・のれん)の償却費減少により、増益となりました。なお、リチウムイオン電池用セパレータは、電気自動車等の環境対応車やスマートフォン等の民生機器、また蓄電システム(ESS)等の需要動向に影響を受けますが、販売数量は車載・民生用途ともに前期比で概ね横ばいとなりました。 ・ モビリティ&インダストリアル事業本事業は、自動車内装材やエンジニアリング樹脂等、自動車用途の製品の割合が大きいため、その業績は、グローバルでの自動車生産台数増減の影響を強く受けます。自動車内装材については、自動車減産影響の改善や能力増強を受けて販売量が増加したことに加え、交易条件が改善し、増益となりました。エンジニアリング樹脂については、自動車用途や太陽電池用途の販売量が増加したことに加え、交易条件が改善し、増益となりました。 ・ ライフイノベーション事業電子部品や電子材料を中心とするデジタルソリューション事業は、AIサーバーやハイエンドスマートフォン向け製品が堅調に推移した一方で、在庫受払差の影響等により減益となりました。その他の事業(繊維事業や消費財事業等)は、生活関連製品が堅調な国内需要に支えられたことに加え、原料高に伴う価格改定が進捗したこと、ベンベルグが生産復旧により堅調に推移していることにより、増益となりました。 ⅱ 「住宅」セグメント売上高は9,544億円で前期比554億円の増収となり、営業利益は830億円で前期比76億円の増益となりました。・ 住宅事業建築請負部門は、物件の大型化・高付加価値化による平均販売単価の上昇や固定費の削減が進んだものの、資材価格の高騰や工事数量の減少により、減益となりました。不動産部門は、賃貸管理事業の堅調な推移に加え、分譲マンション事業も都心部の高額物件の販売が多かったことから、増益となりました。海外事業部門は、北米事業は木材市況下落に対し高い売値を維持できた前年度に対して収益率が悪化し減益となった一方、豪州事業が資材費・労務費高騰の影響を大きく受けた前年同期に対して、当期は価格転嫁が進捗し、増益となりました。 ・ 建材事業原燃料価格高騰の影響を受けた前期に対して、当期は価格転嫁が進捗し、増益となりました。 ⅲ 「ヘルスケア」セグメント売上高は5,538億円で前期比569億円の増収となり、営業利益は485億円で前期比66億円の増益となりました。 ・ 医薬・医療事業医薬事業においては、免疫抑制剤「Envarsus XR」など主力製剤の販売が順調に推移しましたが、前期に計上されたライセンス一時金収入の減少や、Veloxisの販管費増加により、減益となりました。医療事業においては、次世代抗体医薬品CDMO事業を手掛けるBionova Scientific, LLCの新規連結による減益影響に加え、ウイルス除去フィルター「プラノバ」の顧客の在庫調整に伴う販売量減少により減益となりました。 ・ クリティカルケア事業「LifeVest®」の保険償還状況の改善や、除細動器の価格転嫁の進捗、部材調達難の改善に伴うAED(自動体外式除細動器)の販売量の増加により、増益となりました。 Ⅲ 生産、受注及び販売の状況ⅰ 生産実績当社グループの生産品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではないため、セグメントごとに生産規模を金額あるいは数量で示すことはしていません。このため、生産の状況については、「Ⅱ セグメント別」における各セグメントの業績に関連付けて示しています。 ⅱ 受注状況当社グループは注文住宅に関して受注生産を行っており、その受注状況は次のとおりです。その他の製品については主として見込生産を行っているため、特記すべき受注生産はありません。セグメントの名称受注高(百万円)前期比(%)受注残高(百万円)前期比(%)住宅393,947110.8520,357103.4 ⅲ 販売実績当期における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。セグメントの名称販売実績(百万円)前期比(%)マテリアル1,261,72995.8住宅954,405106.2ヘルスケア553,786111.5その他14,958106.7合計2,784,878102.1 (注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しています。2 前期及び当期において、主要な販売先として記載すべきものはありません。 ② 財政状態当期末の総資産は、為替の円安や期末日の休日要因などにより、現金及び預金や、受取手形、売掛金及び契約資産が増加したことなどから、前期比2,088億円増加し、3兆6,627億円となりました。流動資産は、現金及び預金が869億円、受取手形、売掛金及び契約資産が432億円、棚卸資産が363億円増加したことなどから、前期比1,618億円増加し、1兆6,500億円となりました。固定資産は、投資有価証券が243億円、有形固定資産が184億円減少したものの、繰延税金資産が386億円、無形固定資産が186億円、退職給付に係る資産が160億円増加したことなどから、前期比470億円増加し、2兆127億円となりました。流動負債は、コマーシャル・ペーパーが410億円減少したものの、支払手形及び買掛金が327億円、前受金が155億円増加したことなどから、前期比24億円増加し、9,146億円となりました。固定負債は、繰延税金負債が76億円減少したものの、社債が300億円、長期借入金が165億円、退職給付に係る負債が47億円増加したことなどから、前期比532億円増加し、8,995億円となりました。有利子負債は、前期比224億円減少し、9,170億円となりました。純資産は、配当金の支払500億円があったものの、為替換算調整勘定が1,524億円増加したことや親会社株主に帰属する当期純利益を438億円計上したことなどから、前期末の1兆6,954億円から1,532億円増加し、1兆8,486億円になりました。その結果、1株当たり純資産は前期比110.36円増加し1,308.20円となり、自己資本比率は前期末の48.1%から49.5%となりました。D/E レシオは前期末から0.06ポイント改善し0.51となりました。 ③ キャッシュ・フローの状況Ⅰ キャッシュ・フローの状況当期における営業活動によるキャッシュ・フローは2,953億円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローは1,426億円の支出となり、フリー・キャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計)は1,527億円の収入となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは943億円の支出となり、これらに加え、現金及び現金同等物に係る換算差額による増加297億円、会社分割に伴う現金及び現金同等物の減少24億円がありました。以上の結果、現金及び現金同等物の当期末残高は、前連結会計年度末に比べ856億円増加し、3,335億円となりました。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)当期における営業活動によるキャッシュ・フローは、法人税等の支払348億円、投資有価証券売却益271億円、売上債権及び契約資産の増加191億円などの支出があったものの、減価償却費1,526億円、減損損失928億円、持分法による投資損失381億円、のれん償却額296億円、税金等調整前当期純利益288億円、仕入債務の増加186億円などの収入があったことから、2,953億円の収入(前期比2,045億円の収入の増加)となりました。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)当期における投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却による収入376億円、貸付金の回収による収入81億円、事業譲渡による収入73億円などの収入があったものの、有形固定資産の取得による支出1,477億円、無形固定資産の取得による支出242億円、貸付けによる支出139億円などの支出があったことから、1,426億円の支出(前期比710億円の支出の減少)となりました。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)当期における財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入655億円、社債の発行による収入600億円などの収入があったものの、長期借入金の返済による支出545億円、配当金の支払500億円、コマーシャル・ペーパーの減少410億円、社債の償還による支出400億円、短期借入金の減少237億円、リース債務の返済による支出93億円などの支出があったことから、943億円の支出(前期比2,061億円の支出の増加)となりました。 当社グループの連結キャッシュ・フローの推移(単位:億円) 2021年度2022年度2023年度営業活動によるキャッシュ・フロー①1,8339082,953投資活動によるキャッシュ・フロー②△2,210△2,136△1,426フリー・キャッシュ・フロー③(①+②)△377△1,2281,527財務活動によるキャッシュ・フロー④4231,118△943現金及び現金同等物に係る換算差額⑤210157297現金及び現金同等物の増減額⑥(③+④+⑤)25647880現金及び現金同等物の期首残高⑦2,1622,4292,479連結の範囲の変更に伴う増減額⑧112-会社分割に伴う減少額⑨--△24現金及び現金同等物の期末残高(⑥+⑦+⑧+⑨)2,4292,4793,335 Ⅱ 流動性と資金調達の源泉(資本の財源及び資金の流動性について)2025年3月31日に終了する連結会計年度においては、各セグメントが安定的なキャッシュ・フローを創出することを見込んでいます。加えて、財務規律の強化や事業ポートフォリオ転換などを通じた収益体質の強化にも取り組み、更なるキャッシュの創出に継続的に努めています。また、当社グループでは、D/Eレシオ0.7を目安に健全な財務体質を維持しつつ、これを背景に金融情勢に機動的に対応し、金融機関借入、社債やコマーシャル・ペーパーの発行など多様な調達手段により、安定的かつ低コストの資金調達を図ります。同時に資金の年度別返済の集中を避けることで借り換えリスクの低減も図っています。これらの資金を、経営基盤の強化・変革、持続可能な社会の実現と企業価値の継続的な向上のための戦略的な投資、及び株主の皆様への還元に活用していきます。なお、当社グループでは、CMS(キャッシュ・マネジメント・システム)とグローバル・ノーショナル・キャッシュ・プーリングを導入しており、国内外の金融子会社、海外現地法人などにおいて集中的な資金調達を行い、子会社へ資金供給するというグループファイナンスの考え方を基本としています。グローバル拡大への対応とグループ経営の深化の視点から、今後も連結ベースでの資金管理体制の更なる充実と資金効率化を図ります。 (2) 重要な判断を要する会計方針及び見積り当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりです。当社グループは、退職給付会計、税効果会計、貸倒引当金、棚卸資産の評価、投資その他の資産の評価、訴訟等の偶発事象などに関して、過去の実績や当該取引の状況に照らして、合理的と考えられる見積り及び判断を行い、その結果を資産・負債の帳簿価額及び収益・費用の金額に反映して連結財務諸表を作成していますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループの財政状態又は経営成績に対して重大な影響を与え得る会計上の見積り及び判断が必要となる項目は以下のとおりです。なお、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しています。 ① 棚卸資産の評価当社グループで保有する棚卸資産は取得原価をもって貸借対照表価額とし、収益性の低下により期末における回収可能価額が取得原価よりも下落している場合には、回収可能価額まで棚卸資産の評価を切り下げています。回収可能価額は、商品及び製品については正味売却価額に基づき、原材料等については再調達原価に基づいています。経営者は、棚卸資産の評価に用いられた方法及び前提条件は適切であると判断しています。ただし、当社グループは、主に「マテリアル」セグメントを中心として市場価格の変動リスクに晒されており、将来、経営環境の悪化等により市場価格が下落した場合には棚卸資産の簿価を切り下げることになります。 ② 企業結合取引の結果取得した無形固定資産の企業結合日時点における時価当社グループは、企業結合取引の結果取得した無形固定資産の企業結合日時点における時価について、コスト・アプローチ、マーケット・アプローチ、インカム・アプローチなどの合理的に算定された価額を基礎として算定しています。経営者は、無形固定資産の時価の見積りに用いられた、事業計画に含まれる将来の販売数量の見込みや割引率等についての主要な仮定について合理的であると判断しています。 ③ 有形固定資産及び無形固定資産(のれんを含む)の減損当社グループは、有形固定資産及び無形固定資産(のれんを含む)について、帳簿価額が回収できない可能性を示す事象や状況の変化が生じた場合に、減損の兆候があるものとして、減損損失の認識の判定を行っています。減損の存在が相当程度に確実と判断した場合、減損損失の測定を行い、当該資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しています。回収可能価額は、使用価値と正味売却価額のうち、いずれか高い金額としています。使用価値は、将来の市場の成長度合い、収益と費用の予想、資産の予想使用期間、割引率等の前提条件に基づき将来キャッシュ・フローを見積もることにより算出しています。経営者は、減損の兆候及び減損損失の認識に関する判断、及び回収可能価額の見積りに関する評価は合理的であると判断しています。ただし、予測不能な市場環境の悪化等により有形固定資産及び無形固定資産(のれんを含む)の評価に関する見積りの前提に重要な変化が生じた場合には、減損損失を計上する可能性があります。 ④ 繰延税金資産の評価当社グループは、繰延税金資産のうち、回収可能性に不確実性があり、将来において回収が見込まれない金額を評価性引当額として設定しています。繰延税金資産の回収可能性については、課税所得及びタックスプランニングの見積りにより計上していますが、特に課税所得の見積りには将来に関する予測や情報が含まれています。将来の予測や情報に基づき、繰延税金資産の一部又は全部が回収できない可能性が高いと判断した場合には、将来回収が可能と判断される額までを繰延税金資産に計上しています。経営者は、繰延税金資産の回収可能性の判断及び前提となる課税所得やタックスプランニングの見積りは適切であると判断しています。ただし、将来、経営環境の悪化等により、想定していた課税所得が見込まれなくなった場合は、評価性引当額を設定することにより繰延税金資産が取崩される可能性があります。 ⑤ 退職給付債務及び費用当社グループは主として従業員の確定給付制度に基づく退職給付債務及び費用について、割引率、昇給率、退職率、死亡率、年金資産の長期期待運用収益率等の前提条件を用いた数理計算により算出しています。割引率は測定日時点における、従業員の給付が実行されるまでの予想平均期間に応じた長期国債利回りに基づき決定し、各前提条件については定期的に見直しを行っています。長期期待運用収益率については、過去の年金資産の運用実績及び将来見通しを基礎として決定しています。経営者は、年金数理計算上用いられた方法及び前提条件は適切であると判断しています。ただし、前提条件を変更した場合、あるいは前提条件と実際の数値に差異が生じた場合には、数理計算上の差異が発生し、当社グループの退職給付債務及び費用に影響を与える可能性があります。 |
経営上の重要な契約等 | 5 【経営上の重要な契約等】 合弁会社株主間契約契約会社名契約締結先内容合弁会社名契約締結日契約期間旭化成㈱(当社)PTT Public Company Limited合弁会社株主間契約 等PTT Asahi Chemical Co., Ltd.2008年3月24日締結日から合弁会社の存続する期間 |
研究開発活動 | 6 【研究開発活動】 当社グループにおける研究開発活動は、長期視点で次世代の事業を創出するためにグループ横断的に中長期的なテーマを開拓するコーポレートの研究開発機能と、事業競争力の強化に必要なテーマを深掘りする各事業の研究・技術開発機能の体制で推進しています。当社及び連結子会社の研究費、主たる研究開発活動の概要及び成果は以下のとおりです。 当連結会計年度 マテリアル43,834百万円 住宅3,565百万円 ヘルスケア47,783百万円 その他137百万円 計95,319百万円 全社11,278百万円 合計106,597百万円 1 コーポレートの研究開発における基本方針(1) ミッションとあるべき姿コーポレートの研究開発のミッションを以下のとおり定め、研究開発におけるコア技術の育成・獲得・深耕及びイノベーションによる新事業創出を当社グループの成長戦略の両輪として、様々な社会課題を成長のエンジンへ転換し、持続的な成長を実現する原動力とすることを、あるべき姿として目指していきます。(コーポレートの研究開発のミッション)コア技術の育成・獲得・深耕差別性・優位性の高い製品・サービス開発のためのコア技術の深化及び外部技術獲得・育成イノベーションによる新事業創出自社の研究開発のマネジメントの強化に加え、CVCやオープンイノベーション等、社外との連携も加速技術基盤機能の深化と進化当社グループを支える技術基盤機能の深化と進化 (2) 重点戦略分野等重点戦略分野として、「脱炭素・水素(カーボンニュートラル)」「膜・セパレーション技術」「化合物半導体」の3分野を設定して研究開発テーマに資源配分を進めています。また、これらを含めた研究開発を進めるにあたっては、オープンイノベーションを通じて共創による開発を進めるとともに社会実装を加速し、さらに、DXや知的財産権のフル活用により無形資産の価値の最大化を図り、新事業創出による持続可能な社会への貢献を目指していきます。無形資産の価値の最大化については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1) 経営方針・経営戦略等 ② 当社グループ全体の経営方針・経営戦略等 <経営方針・経営戦略> v 経営基盤の強化 ■ 無形資産の最大活用」もご参照ください。 2 新事業創出に向けた研究開発の加速のための取り組み(1) CVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)の活動当社グループは、2008年に日本国内でCVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)を設立し、2011年から米国を拠点として、スタートアップ企業への投資を通して最先端技術・ビジネスを獲得し、新事業の創出を行ってきました。現在は、米国、ドイツ、中国の拠点でグローバルな活動の幅を広げ、3年間で7,500万ドルの投資枠を設けて、1社当たり500万ドルまでの投資に関しては本社での決裁を不要とするなど、スピーディな意思決定、手続きができるような仕組みを運用しています。2023年4月には、「Care for Earth」投資枠を設定し、水素、蓄エネルギー、カーボンマネジメント、バイオケミカルなどの環境分野の課題解決に取り組むアーリーステージのスタートアップ企業を対象に、2027年度までの5年間にグローバルで1億ドルの出資を実施していく予定です。この投資枠を使い、同年12月にはアニオン交換型の水電解装置用の膜を開発するIonomr Innovations Inc.(本社:カナダ・バンクーバー市、以下「Ionomr社」)への出資参画を決定しました。詳細は「3 主な研究開発活動 (1) 当社グループ全体 ② 膜・セパレーション技術の開発」をご参照ください。 (2) オープンイノベーションによるミッシングパーツの取り込み研究テーマの探索/研究開発/事業開発のそれぞれの段階で、アセットライト、高付加価値化、スピードアップの実現へ向けて産官学のパートナーと連携を進めています。外部のオープンイノベーションプラットフォームも積極的に活用し、例えば、サステナブルな価値の提供を目指すオープンイノベーションプログラム「Asahi Kasei Value Co-Creation Table 2023」を昨年度に引き続き進めており、従来の商流にとらわれない新たなパートナーとの共創を加速しています。 (3) 社内基盤の強化(事業開発視点を重視した独自のアジャイル型ステージゲート管理や、オープンイノベーション文化の醸成)研究開発テーマのポートフォリオ管理や適切な資源配分を目的として、アジャイル型ステージゲート制度を導入しています。探索、研究、開発、事業開発、事業化準備の各ステージの要件や、各研究開発テーマのステージ上の位置付けを明確にし、研究開発テーマを次のステージに移行させる判断にあたっては、技術視点のみならず、顧客価値視点を重視し、ビジネスモデル、事業戦略、特許戦略、品質保証、製造、環境安全対応等、ステージごとに必要な審査を強化しています。さらに、審査プロセスを通じて、研究開発部門の内外のメンバーから多面的な助言を得ることや、各事業との連携を深め、既存事業との関係性の整理・明確化、パートナー連携の活用強化や出口戦略の多様化に取り組んでいます。また、研究開発に関わる高度専門人材があふれ出る仕組みの構築と風土の醸成へ向けて、働き方やDE&I、キャリア支援、組織の支援や個の支援の各場面において、挑戦・成長を促して多様性を拡げるためのキャリア施策とマネジメント施策を進め、社内での対話を通じた共創・イノベーションを目指しています。 3 主な研究開発活動(1) 当社グループ全体(「全社」)① 炭素・水素循環型社会実現への貢献 i バイオエタノールからのバイオ化学品製造の実証バイオエタノールからバイオ基礎化学品を製造するプロセス開発・設計を進めており、4~5万トン規模のプラントについて2027年稼働を目標に検討を進めています。GHG排出量を削減し、自社基礎化学品や誘導品のCFP低減を推進するとともに、ISCC認証やバイオマスバランスアプローチを適用したバイオ化学品サプライ事業を目指し、実証実験を通じたデータ取得や技術のパッケージングを実施していきます。 ii アルカリ水電解システムの開発カーボンニュートラルを実現するための取り組みとして、再生エネルギーを活用したアルカリ水電解システムの開発を実施しています。国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)の「グリーンイノベーション基金事業/再エネ等由来の電力を活用した水電解による水素製造」に対し、2021~2030年度を事業期間と想定した「大規模アルカリ水電解水素製造システムの開発及びグリーンケミカルプラントの実証」と題したプロジェクトとして、福島県浪江町での10MW級アルカリ水電解システム及び中規模グリーンケミカルプラントの検証や、マレーシアでの60MW級アルカリ水電解システム及びグリーンケミカルプラントの実証を、日揮ホールディング株式会社と進め、水素を用いたエネルギー貯蔵・利用の実用化に向けた技術開発事業の拡充・強化を行っています。マレーシアのプロジェクトは「(2) 「マテリアル」セグメント 環境ソリューション事業」もご参照ください。また、同基金の助成を受けて、多様な実証実験が可能な水素製造用のアルカリ水電解パイロット試験設備が2024年5月に当社川崎製造所にて本格稼働しました。同設備に組み込む電解セルは商業機と同じサイズの設備であり、部材の性能や長期耐久性といった開発品の評価試験から、水電解システム全体の信頼性を確認することができるため、当社の水電解技術の開発と事業化を大きく加速させていきます。 iii CO2ケミストリー技術、CO2分離回収システムの開発当社グループでは、CO2を原料に使用するポリカーボネート(PC)樹脂製造プロセスを世界で初めて確立し、有毒な化合物(ホスゲン)を使用しない、CO2を原料に代替することによる地球環境負荷の低い製法で、社会へ新たな価値を提供してきました。また、2018年に実証が完了したCO2を原料とするジフェニルカーボネート製造プロセスや、現在開発中であるCO2誘導体利用技術のイソシアネート製法など、更なる展開を進めていきます。加えて、ゼオライトを吸着材として用いたCO2分離回収システムの開発も進めており、2022年9月には当社と岡山県倉敷市とでバイオガス精製システムの性能評価、実証を行う契約を締結し、ゼオライト系CO2分離回収システムの実証開始へ向けて取り組んでいます。 ② 膜・セパレーション技術の開発当社グループのコア技術である相分離技術をベースに膜・セパレーション技術の研究開発を進めることにより、既存事業の強化に加えて、新たな事業展開を加速しています。 i バイオプロセスFO(正浸透)膜医薬品製造プロセスで使用されるバイオプロセスFO(正浸透)膜においては、FOシステムとMDシステムのハイブリッドにより、非加熱・非加圧で濃縮できるため医薬品の変性を防ぐとともに、凍結時間の短縮やエネルギー負荷の低減の実現を通じて医薬品製造プロセスを革新するものであり、既に複数の顧客候補と実証実験に取り組んでいます。 ii アニオン交換型の水電解装置用の膜水電解にはアルカリ水電解型を含めていくつかの方式がありますが、性能・コストの両面で大幅な改善が期待される次世代膜として、アニオン交換型の水電解装置用の膜(Anion-Exchange Membranes、AEM)への展開にも取り組んでいます。2023年12月にCVCの「Care for Earth」投資枠で出資参画したカナダのIonomr社が手掛けるアニオン交換型の水電解は、再生可能エネルギーを利用する際に特に求められる負荷変動対応で優れる他、希少金属を使わないことからコスト面でのポテンシャルも期待されています。今後、研究開発面での同社とのコラボレーションを進め、AEMに関する知見を蓄えるとともに、当社が保有する知見・技術を活用し、同社の膜の性能向上も支援していきます。 ③ 化合物半導体の開発(深紫外LED/深紫外レーザーや窒化アルミニウム(AlN)系材料の開発) i 深紫外LED/深紫外レーザー現在、殺菌、ウイルス不活性化に最も効果の高い、波長265nmを高出力で実現できる深紫外LEDの展開を実施していますが、更なる高出力化に向けた研究や、基板の大口径化や高品質化にも継続して取り組んでいます。また、名古屋大学との協力により、深紫外レーザーの開発を行っており、2019年にはUV-C帯の世界で最も短波長のレーザー発振に成功しました。また、その技術をさらに進化させ、2022年11月には深紫外半導体レーザーの室温連続発振に世界で初めて(※)成功し、電池駆動も可能なレーザー発振の成功により、実用化に向けて飛躍的に前進しています。今後は、ガス分析等センシングへの応用、局所殺菌、DNAや微粒子などの計測・解析といった、ヘルスケア・医療分野への応用の検討を進めていきます。 ii 窒化アルミニウム(AlN)系材料窒化アルミニウム(AlN)系材料は、炭化ケイ素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)よりも電力損失が小さく、耐圧が高いポテンシャルを有することから、エネルギー効率に優れ、次世代のパワーデバイスへの適用やRF(高周波)アプリケーションへの展開が期待されています。2023年8月には当社グループのCrystal IS, Inc.が4インチ(直径100mm)のAlN単結晶基板の製造に世界で初めて(※)成功しました。各種デバイス生産能力・効率の大幅な向上への貢献を目指してさらなる改善を行っていきます。また、名古屋大学との協力により、同年12月には電流-電圧特性、電圧-容量特性、電流注入による発光特性において非常に良好な特性を示す、理想的なAlN系の「pn接合」の実現に世界で初めて(※)成功しました。pn接合は半導体デバイスの根幹をなす基本構造であり、本成果はAlN系デバイスの今後の発展の礎となるものであり、産学連携をさらに強化していきます。※これまでの学会発表や論文などから当社グループ調べによるもの ④ セルロースナノファイバー系材料の開発バイオ由来のセルロースナノファイバーと、樹脂又は繊維をナノコンポジット化することで、素材の高機能化と環境技術を両立し、サステナビリティに貢献する製品の実現を目指しています。当社グループでは、セルロースナノファイバーからセルロースナノファイバーコンポジットまでの一貫製造プロセスを保有していることの特長を活かし、低コスト、低環境負荷、高機能を満たす製品開発及びマーケティング活動を通じた事業化の検討を進めています。2023年6月には、プラスチックの合成繊維にセルロースナノファイバーを10質量%混ぜて成形した材料で、一般的なフェルトの防音材と比べて厚さが40分の1の0.5mmという薄さながら同等の防音性能を実現しました。開発品は幅広い周波数領域で吸音かつ遮音性能を併せ持ち、薄膜でも立体的に成形できる特徴があります。モーターやコンプレッサーなどの形状に合わせたケースに成形し、騒音源を囲うような使い方を想定し、今後、自動車向けの防音材としての製品化を目指していきます。 (2) 「マテリアル」セグメント・ 環境ソリューション事業セパレータ事業では、高分子設計・合成や、製膜加工や塗工などのコア技術を活かして、「省資源・省エネルギー・コストダウン」「環境負荷軽減」「再生可能エネルギーの普及」に向けた開発を推進しています。電気自動車等の環境対応車、電子機器、電動ツールや蓄電システム用途に展開するリチウムイオン電池用高機能セパレータ等の環境・エネルギー関連素材の展開に注力していきます。イオン交換膜事業では製造型リカーリングを推進しており、「メンテナンス最適化」、「トラブルレス」、「運転条件最適化・簡易化」の顧客課題をソリューション開発により解決するため、顧客とのデータ基盤の構築やシステムの構築に向けた取り組みを行い、ソリューション提案を推進しています。技術ライセンス事業では、脱炭素社会の実現に向けてCO2を原料としたポリマー製造技術を確立し、ライセンス事業を推進しています。CO2を原料とした化学品には、エンジニアリング樹脂に使用されるポリカーボネート、リチウムイオン電池用電解液としてエチレンカーボネート、ジメチルカーボネートがあります。脱炭素原料の世界的な需要の高まりからグローバルに多くの引き合いを受けており、事業の拡大に向けて体制の強化を進めています。水素事業基盤の構築へ向けて、NEDOのグリーンイノベーション基金(GI基金)事業として、マレーシアにて、日揮ホールディングス株式会社やPetronasグループのGentari社とともに、60MW級アルカリ水電解システムにより年間8,000トン程度の水素をケミカルプラントへ供給する実証に取り組みます。変動運転のためのマルチモジュール制御技術の開発や、運転最適化のための統合制御システムの開発を進め、早期事業化を図ります。 ・ モビリティ&インダストリアル事業 機能材料事業では、自動車構造部材を重点マーケット領域と定め、自動車の更なる軽量化を実現するため、ポリアミド66とガラス繊維織物による連続繊維強化複合材料「レンセン®」の開発が進捗しています。また、3Dプリンタ―用フィラメントとして変性PPE「ザイロン®」を原料とするフィラメントを開発し、北米にて試験販売を開始しました。当社独自の樹脂CAE(Computer Aided Engineering)技術を駆使して、部品設計まで手掛けたソリューションを提供し、新規用途開拓と海外展開を加速していきます。環境負荷低減に貢献する取り組みでは、自動車内装材事業における人工皮革「Dinamica®」のサステナビリティ強化や米国スタートアップNFWとの非石化由来レザーの共同開発など、バイオマス由来原料、リサイクル原材料の積極的な活用を検討しています。 ・ ライフイノベーション事業電子材料事業では、微細化、高集積化、高速化を支える最先端半導体・実装プロセス革新に向け、感光性ポリイミド「パイメル™」や感光性ドライフィルム「サンフォート™」など先進・独自の技術による高付加価値製品の展開を進めています。特にDXの加速によって、知財データの活用や、マテリアルズインフォマティクス(MI)などによる、開発競争の強化を図っています。自律成長に加え、技術導入等による価値創出を模索し、電子部品事業との融合も図り、デジタル社会で求められるニーズに対し特徴ある部品、部材、ソリューションを展開していきます。電子部品事業では、デジタル社会の進展に対応し、「音」「磁気」「ガス」のセンシング技術を主軸に、省エネ・健康・快適に繋がるソリューションを提供できる技術及び製品の開発を推進しています。豊富な技術資産と柔軟なエンジニア組織運営により、センサ技術、アナログ信号処理技術、アルゴリズム技術等を融合し、独自のソフトウェアを活かした高機能電子部品の開発のみならず、モジュール型ビジネスへの展開にも積極的に取り組んでいきます。特に電気自動車(EV)化に伴うパワー系のセンシングソリューション、またサウンドマネジメントソリューションのトレンドを的確に掴んだ、特徴のあるソリューション提案を進めています。また、生活者の視点と健康で快適な暮らしへの貢献を意識し、新事業領域として、新規セルロース素材の事業化や、高機能テキスタイルの開発などにも取り組んでいます。繊維事業では、アパレルと衛生材料を重点マーケット領域と定め、キュプラ繊維「ベンベルグ®」やポリウレタン弾性繊維「ロイカ®」を軸に、独自性を活かし、かつ、サステナビリティに対応した付加価値の高い製品創出や生産プロセス革新のための研究開発を進めています。 (3) 「住宅」セグメント住宅事業では、「ロングライフの実現」を支えるコア技術について、重点的な研究開発を続けています。シェルター技術については、安全性(耐震・制震技術、火災時の安全性向上技術)、耐久性(耐久性向上・評価技術、維持管理技術、リフォーム技術)に加えて、居住性(温熱・空気環境技術、遮音技術)、環境対応性(省エネルギー技術、低炭素化技術)の開発を行っています。また、住ソフト技術については、都市部における二世帯同居やシニア等の住まい方についての研究を推進するとともに、住宅における生活エネルギー消費量削減と人の生理・心理から捉えた快適性を研究し、健康・快適性と省エネルギーを両立させる、環境共生型住まいを実現する技術開発に注力しています。建材事業では、「良質空間を追求し、グッド・マテリアルを通じて、未来を見据え新たな価値を創造する」を事業ビジョンとし、軽量気泡コンクリート(ALC)、フェノールフォーム断熱材、杭基礎、鉄骨造構造資材の4つの事業分野において基盤技術の強化を推進しています。 (4) 「ヘルスケア」セグメント医薬事業では、自社オリジナル製品の研究開発で培った経験をもとに、免疫領域(SLE、移植等)、整形外科領域(骨、疼痛等)及び救急領域を中心に、有効な治療方法がない医療ニーズを解決することによって、「健康でいたい」と願う世界中の人びとのQOL(Quality of Life)向上を図ることを目指して、積極的な研究開発を行っています。創薬技術や創薬シーズ、創薬テーマについては、世界中の企業や大学とのコラボレーションを積極的に推進することによって、絶えざる革新を日々進めています。医療事業では、治療の可能性を広げ、医療水準を向上させる製品、技術、サービスを提供するために、グループ総力を挙げた研究開発に取り組んでいます。グループのコア技術である膜、フィルター、吸着材等による濾過・分離技術を、化学、機械工学、医薬分野での幅広い知見や保有技術と高度に融合させることで、人工腎臓、血液浄化治療、輸血製剤の白血球除去、製剤のウイルス安全性確保やプロセスエンジニアリングをはじめとしたバイオプロセス分野における技術をさらに発展させていきます。クリティカルケア事業では、突然の心停止からの生存率を向上する心肺蘇生領域における技術開発を原点とし、重篤な心肺関連疾患の診断・治療・管理領域にも研究開発を広げています。予後が悪く医療ニーズの高い、心不全・急性心筋梗塞・呼吸機能障害等におけるアンメットメディカルニーズに対する新規治療法や技術の発展と提供を通じ、患者様と臨床医に役立つことを使命としています。 (5) 「その他」エンジニアリング分野等に関する研究開発を行っています。 |
設備投資等の概要 | 1 【設備投資等の概要】 当社グループ(当社及び連結子会社)は、長期的に成長が期待できる製品分野における新規投資、能力拡大投資に重点を置くとともに、製品の信頼性向上やコストダウンを目的とした合理化、情報化、維持投資を行っています。当連結会計年度のセグメントごとの設備投資額(有形、無形固定資産(のれん除く)検収ベース数値)は次のとおりです。 当連結会計年度 前連結会計年度比マテリアル111,464百万円 104.7%住宅25,786百万円 100.4%ヘルスケア32,186百万円 128.2%その他1,113百万円 172.7%計170,550百万円 108.0%全社及びセグメント間取引消去13,162百万円 77.7%合計183,712百万円 105.1% 当連結会計年度は、「マテリアル」セグメントを中心に、競争優位事業の拡大投資及び改良・合理化投資等1,837億円の投資を行いました。セグメントごとの主な投資内容は以下のとおりです。セグメントの名称設備投資の主な内容・目的マテリアル・Environment & Energy:リチウムイオン電池用セパレータ「ハイポア™」の生産能力増強、塗工能力増強・共通:水力発電所改修、合理化、情報化、維持更新 等住宅Home & Living:合理化、情報化、維持更新 等ヘルスケア Health Care:ウイルス除去フィルター「プラノバ™」組立工場建設、 バイオ医薬品CDMOのBionova社の能力増強、合理化、情報化、維持更新 等その他合理化、情報化、維持更新 等全社基幹システム構築、合理化、情報化、維持更新 等 |
主要な設備の状況 | 2 【主要な設備の状況】 (1) 提出会社2024年3月31日現在事業所名(所在地)セグメントの名称設備の内容帳簿価額(百万円)従業員数(人)建物及び構築物機械装置及び運搬具土地(面積千㎡)リース資産その他合計延岡(宮崎県延岡市 他) マテリアル全社生産設備 他52,25141,37511,327(4,730)426,559131,5171,964守山(滋賀県守山市)マテリアル全社生産設備 他27,84330,5183,955(356)-20,99983,315844水島(岡山県倉敷市)マテリアル全社生産設備 他16,76511,73711,108(1,444)-1,23440,844898富士(静岡県富士市)マテリアル全社研究・生産設備 他22,4679,2671,035(643)-5,75638,5251,044鈴鹿(三重県鈴鹿市)マテリアル全社生産設備 他15,82810,1662,451(377)-1,86130,305576川崎(神奈川県川崎市川崎区)マテリアル全社生産設備 他7,4496,7602,301(286)-1,84918,359916千葉(千葉県袖ヶ浦市)マテリアル全社生産設備 他1,7421,1153,975(416)-3197,150198大分(大分県大分市)マテリアル全社生産設備 他1,8928861,639(1,349)-4504,867172本社(東京都千代田区)他マテリアル全社研究・生産設備 他9,8694,03011,021(3,128)-19,94544,8662,198 (2) 国内子会社2024年3月31日現在会社名事業所名(所在地)セグメントの名称設備の内容帳簿価額(百万円)従業員数(人)建物及び構築物機械装置及び運搬具土地(面積千㎡)リース資産その他合計旭化成ホームズ㈱富士(静岡県富士市) 他住宅開発・営業設備他16,8147,4281,550(11)1367,32033,2494,707旭化成建材㈱境(茨城県猿島郡境町)他住宅開発・製造・営業設備 他6,8336,015--1,11713,964842旭化成ファーマ㈱大仁(静岡県伊豆の国市)他ヘルスケア開発・製造・営業設備 他12,6942,972--1,82317,4891,574旭化成メディカル㈱大分(大分県大分市) 他ヘルスケア開発・製造・営業設備 他17,4109,014861(52)-11,03338,319428 (3) 在外子会社2024年3月31日現在会社名事業所名(所在地)セグメントの名称設備の内容帳簿価額(百万円)従業員数(人)建物及び構築物機械装置及び運搬具土地(面積千㎡)リース資産その他合計Asahi Kasei Synthetic Rubber Singapore Pte. Ltd.Singapore(Singapore)マテリアル生産設備他2,7724,908--2,57210,252122Tongsuh Petrochemical CorporationUlsan(Korea) 他マテリアル生産設備他3,1747,5842,199(260)-3,51416,471221PolyporeInternational,LLC他22社Charlotte(North Carolina,U.S.A.) 他マテリアル開発・製造・営業設備 他14,83036,0521,837(802)-14,89367,6111,860Sage Automotive Interiors, Inc.他28社Greenville (South Carolina, U.S.A.) 他マテリアル開発・製造・営業設備 他6,51612,4932,166(1,617)-11,07632,2514,519NEX Building Group Pty Ltd 他20社New South Wales(Australia)住宅営業設備他6,1641,424-1,7764,16113,5241,013BionovaScientific, LLC他1社Fremont(California,U.S.A.) 他ヘルスケア開発・製造設備他-1,668-3,7044,75810,130100ZOLL Medical Corporation他44社Chelmsford(Massachusetts, U.S.A.)他ヘルスケア開発・製造・営業設備 他11,06514,2963,594(286)1,09125,02455,0706,692 (注) 1 帳簿価額については、連結消去前の金額で表示しています。2 帳簿価額「その他」は、工具、器具及び備品、使用権資産、建設仮勘定の合計です。 なお、表中の「リース資産」には有形固定資産のみ記載しています。3 従業員数は就業人員数であり、平均臨時雇用者数は重要性がないため記載していません。 |
設備の新設、除却等の計画 | 3 【設備の新設、除却等の計画】 (1) 重要な設備の新設等2024年3月31日現在において、当社グループが実施又は計画している2024年度の設備の新設、重要な拡充、改修等の状況は次のとおりです。セグメントの名称計画金額(百万円)設備計画の主な内容・目的マテリアル214,000・Environment & Energy:リチウムイオン電池用セパレータ「ハイポア™」の塗工能力増強・共通:水力発電所改修、合理化、情報化、維持更新 等住宅23,000Home & Living:合理化、情報化、維持更新 等ヘルスケア48,000 Health Care:ウイルス除去フィルター「プラノバ™」組立工場建設、 バイオ医薬品CDMOのBionova社の能力増強、合理化、情報化、維持更新 等その他1,000合理化、情報化、維持更新 等全社19,000合理化、情報化、維持更新 等合計305,000 (注) 上記計画の所要資金は、グループ内資金により賄う予定です。 (2) 重要な設備の除却等該当事項はありません。 |
研究開発費、研究開発活動 | 106,597,000,000 |
設備投資額、設備投資等の概要 | 183,712,000,000 |
Employees
平均年齢(年)、提出会社の状況、従業員の状況 | 42 |
平均勤続年数(年)、提出会社の状況、従業員の状況 | 14 |
平均年間給与、提出会社の状況、従業員の状況 | 7,528,168 |
管理職に占める女性労働者の割合、提出会社の指標 | 0 |
全労働者、労働者の男女の賃金の差異、提出会社の指標 | 1 |
正規雇用労働者、労働者の男女の賃金の差異、提出会社の指標 | 1 |
非正規雇用労働者、労働者の男女の賃金の差異、提出会社の指標 | 1 |
Investment
株式の保有状況 | (5) 【株式の保有状況】 ① 投資株式の区分の基準及び考え方当社は、純投資目的である投資株式と純投資目的以外の目的である投資株式に区分しています。「純投資目的」とは専ら株式の価値の変動又は株式に係る配当によって利益を受けることを目的とする場合としていますが、当事業年度末時点での保有残高はありません。 ② 保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式Ⅰ 保有方針及び保有の合理性を検証する方法並びに個別銘柄の保有の適否に関する取締役会等における検証の内容当社は、純粋な投資目的以外の目的で保有する株式(政策保有株式)の保有とその議決権行使に関して、以下を方針とします。ⅰ 当社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指すため、事業・業務提携、資金調達、サプライチェーンの確保・拡充、取引関係の維持・強化等、事業戦略・経営戦略の一環として必要と判断する企業の株式を保有します。ただし、政策保有株式全体についての株価変動リスクや保有に伴うコスト、資本効率等を考慮し、保有量の縮減を継続的に進めます。ⅱ 個別の政策保有株式については、当社の持続的な成長と中長期的な企業価値向上の観点から、保有の意義、効果、経済合理性等について定性・定量両面での評価を毎年定期的に実施し、取締役会で検証します。定性的な評価においては、株式保有を通じて当該企業との取引や提携関係による便益・シナジー等のビジネスメリットが中長期的に得られているか、保有しない場合にどのようなデメリットがあるかといった視点で検証します。定量的な評価においては、株式保有によって得られる取引収益等、事業戦略・経営戦略上の利益をできるだけ定量化するとともに、配当収益も参考にしながら、資本コストを上回る経済効果が得られているかを中期的視点で総合的に検証します。なお、これらの検証の結果、保有の目的に合致しなくなったと判断される株式又は保有効果がコスト・リスクに見合わないと判断される株式については、当該企業の状況を勘案したうえで、売却等による縮減を進めます。(非上場株式以外の株式については、当事業年度は13銘柄、30,995百万円、前事業年度は18銘柄、38,113百万円の売却を実行しました。)ⅲ 政策保有株式の議決権の行使については、議案毎に当社及び投資先企業の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資するものであるか等を総合的に検討・判断し、行使します。 Ⅱ 銘柄数及び貸借対照表計上額 銘柄数(銘柄)貸借対照表計上額の合計額(百万円)非上場株式12011,851非上場株式以外の株式2580,704 (当事業年度において株式数が増加した銘柄) 銘柄数(銘柄)株式数の増加に係る取得価額の合計額(百万円)株式数の増加の理由非上場株式101,991事業・業務提携等の戦略遂行のため(CVC活動によるベンチャー企業への出資等)非上場株式以外の株式--- (当事業年度において株式数が減少した銘柄) 銘柄数(銘柄)株式数の減少に係る売却価額の合計額(百万円)非上場株式20非上場株式以外の株式1330,995 Ⅲ 特定投資株式の銘柄ごとの株式数、貸借対照表計上額等に関する情報 特定投資株式銘柄当事業年度前事業年度保有目的、業務提携等の概要、定量的な保有効果及び株式数が増加した理由 (注) 1当社の株式の保有の有無株式数(株)株式数(株)貸借対照表計上額(百万円)貸借対照表計上額(百万円)積水化学工業株式会社9,744,34911,149,149「マテリアル」セグメントにおいてアクリロニトリル、ポリエチレンの製品販売等、「ヘルスケア」セグメントにおいて診断薬の製品販売等、「住宅」セグメントにおいて原材料購入等を行っており、事業活動の円滑化、取引関係の維持、強化及び今後の事業提携など長期的経営戦略遂行のため保有しています。有21,73020,916センコーグループホールディングス株式会社11,676,72611,676,726当社グループと原材料、製品の運輸関連取引等を行っており、事業活動の円滑化、取引関係の維持、強化及び今後の事業提携など長期的経営戦略遂行のため保有しています。有13,39311,035株式会社三井住友フィナンシャルグループ1,331,7001,536,500当社グループと資金調達、決済など資金取引等を行っており、事業活動の円滑化、取引関係の維持、強化及び今後の事業提携など長期的経営戦略遂行のため保有しています。無 (注) 211,8648,140セーレン株式会社2,436,0002,436,000「マテリアル」セグメントにおいて不織布、キュプラ繊維の製品販売等、及び原材料購入等を行っており、事業活動の円滑化、取引関係の維持、強化及び今後の事業提携など長期的経営戦略遂行のため保有しています。有6,7185,681日本ゼオン株式会社5,043,1005,579,600「マテリアル」セグメントにおいてアクリロニトリル、基礎原料の製品販売等、原材料購入等、及び関係会社への共同出資を行っており、事業活動の円滑化、取引関係の維持、強化及び今後の事業提携など長期的経営戦略遂行のため保有しています。有6,6627,806株式会社大阪ソーダ586,600586,600「マテリアル」セグメントにおいてアクリロニトリル、イオン交換膜の製品販売等、及び原材料購入等を行っており、事業活動の円滑化、取引関係の維持、強化及び今後の事業提携など長期的経営戦略遂行のため保有しています。有5,6672,555 銘柄当事業年度前事業年度保有目的、業務提携等の概要、定量的な保有効果及び株式数が増加した理由 (注) 1当社の株式の保有の有無株式数(株)株式数(株)貸借対照表計上額(百万円)貸借対照表計上額(百万円)株式会社みずほフィナンシャルグループ1,055,0001,428,900当社グループと資金調達、決済など資金取引等を行っており、事業活動の円滑化、取引関係の維持、強化及び今後の事業提携など長期的経営戦略遂行のため保有しています。無 (注) 23,2142,683株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ1,680,9603,361,560当社グループと資金調達、決済など資金取引等を行っており、事業活動の円滑化、取引関係の維持、強化及び今後の事業提携など長期的経営戦略遂行のため保有しています。無 (注) 22,6172,850三井住友トラスト・ホールディングス株式会社 (注) 3 776,962388,481当社グループと資金調達、決済など資金取引等を行っており、事業活動の円滑化、取引関係の維持、強化及び今後の事業提携など長期的経営戦略遂行のため保有しています。無 (注) 22,5701,764東京海上ホールディングス株式会社264,000264,000当社グループと保険取引を行っており、事業活動の円滑化、取引関係の維持、強化及び今後の事業提携など長期的経営戦略遂行のため保有しています。無 (注) 21,242672野村マイクロ・サイエンス株式会社50,00050,000「マテリアル」セグメントにおいて中空糸ろ過膜の製品販売等を行っており、事業活動の円滑化、取引関係の維持、強化及び今後の事業提携など長期的経営戦略遂行のため保有しています。無1,188208スタンレー電気株式会社353,000353,000「マテリアル」セグメントにおいてアクリル樹脂の製品販売等を行っており、事業活動の円滑化、取引関係の維持、強化及び今後の事業提携など長期的経営戦略遂行のため保有しています。無9941,035株式会社宮崎銀行175,294175,294当社グループと資金調達、決済など資金取引等を行っており、事業活動の円滑化、取引関係の維持、強化及び今後の事業提携など長期的経営戦略遂行のため保有しています。有502410株式会社フジ・メディア・ホールディングス200,000200,000当社グループと広告宣伝関連取引等を行っており、事業活動の円滑化、取引関係の維持、強化及び今後の事業提携など長期的経営戦略遂行のため保有しています。有397239 銘柄当事業年度前事業年度保有目的、業務提携等の概要、定量的な保有効果及び株式数が増加した理由 (注) 1当社の株式の保有の有無株式数(株)株式数(株)貸借対照表計上額(百万円)貸借対照表計上額(百万円)イオン九州株式会社120,000120,000当社グループと不動産関連取引等を行っており、事業活動の円滑化、取引関係の維持、強化及び今後の事業提携など長期的経営戦略遂行のため保有しています。無372279旭精機工業株式会社148,900148,900「マテリアル」セグメントにおいて化薬の製品販売等を行っており、事業活動の円滑化、取引関係の維持、強化及び今後の事業提携など長期的経営戦略遂行のため保有しています。有325358北越コーポレーション株式会社130,000130,000「マテリアル」セグメントにおいて接着剤の製品販売等を行っており、事業活動の円滑化、取引関係の維持、強化及び今後の事業提携など長期的経営戦略遂行のため保有しています。無250115株式会社ニッチツ100,000100,000事業活動の円滑化、取引関係の維持、強化及び今後の事業提携など長期的経営戦略遂行のため保有しています。無204126アツギ株式会社345,100345,100「マテリアル」セグメントにおいてポリウレタン繊維の製品販売等を行っており、事業活動の円滑化、取引関係の維持、強化及び今後の事業提携など長期的経営戦略遂行のため保有しています。有196138三共生興株式会社225,000225,000「マテリアル」セグメントにおいてキュプラ繊維の製品販売等を行っており、事業活動の円滑化、取引関係の維持、強化及び今後の事業提携など長期的経営戦略遂行のため保有しています。有169122Xeris Biopharma Holdings, Inc.447,686447,686CVCの活動として、最先端技術・ビジネスを獲得し、新事業を創出するため保有しています。無15097ヤマシンフィルタ株式会社300,000300,000「マテリアル」セグメントにおいて不織布の製品販売等、及び原材料購入等を行っており、事業活動の円滑化、取引関係の維持、強化及び今後の事業提携など長期的経営戦略遂行のため保有しています。無143102 銘柄当事業年度前事業年度保有目的、業務提携等の概要、定量的な保有効果及び株式数が増加した理由 (注) 1当社の株式の保有の有無株式数(株)株式数(株)貸借対照表計上額(百万円)貸借対照表計上額(百万円)株式会社東京ソワール80,00080,000「マテリアル」セグメントにおいてキュプラ繊維の製品販売等を行っており、事業活動の円滑化、取引関係の維持、強化及び今後の事業提携など長期的経営戦略遂行のため保有しています。有7067株式会社サンエー化研75,00075,000「マテリアル」セグメントにおいてポリエチレンの製品販売等を行っており、事業活動の円滑化、取引関係の維持、強化及び今後の事業提携など長期的経営戦略遂行のため保有しています。無4035昭和パックス株式会社15,00015,000「マテリアル」セグメントにおいてポリエチレンの製品販売等、及び原材料購入等を行っており、事業活動の円滑化、取引関係の維持、強化及び今後の事業提携など長期的経営戦略遂行のため保有しています。無2824アサヒグループホールディングス株式会社-1,485,300当事業年度末日において、同社株式は保有していません。無-7,314ダイキン工業株式会社-257,000当事業年度末日において、同社株式は保有していません。無-6,079株式会社ワコールホールディングス-1,241,207当事業年度末日において、同社株式は保有していません。無-3,087三井不動産株式会社-739,379当事業年度末日において、同社株式は保有していません。有-1,837エア・ウォーター株式会社-947,381当事業年度末日において、同社株式は保有していません。無-1,573 銘柄当事業年度前事業年度保有目的、業務提携等の概要、定量的な保有効果及び株式数が増加した理由 (注) 1当社の株式の保有の有無株式数(株)株式数(株)貸借対照表計上額(百万円)貸借対照表計上額(百万円)株式会社小糸製作所-232,000当事業年度末日において、同社株式は保有していません。無-580ロックペイント株式会社-240,000当事業年度末日において、同社株式は保有していません。有-167市光工業株式会社-36,000当事業年度末日において、同社株式は保有していません。無-17 (注) 1 保有株式の定量的な保有効果については、秘密保持等の観点から記載が困難です。保有の合理性については、Ⅰⅰⅱに記載のとおり当社取締役会で検証しています。2 保有先企業は当社の株式を保有していませんが、同社子会社が当社の株式を保有しています。3 株式の分割により株数が変動しています。 |
株式数が増加した銘柄数、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 10 |
株式数が減少した銘柄数、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 13 |
銘柄数、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 120 |
貸借対照表計上額、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 11,851,000,000 |
銘柄数、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 25 |
貸借対照表計上額、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 80,704,000,000 |
株式数の増加に係る取得価額の合計額、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 1,991,000,000 |
株式数の減少に係る売却価額の合計額、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 30,995,000,000 |
株式数、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社 | 15,000 |
貸借対照表計上額、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社 | 150,000,000 |