財務諸表

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提出書類、表紙有価証券報告書
提出日、表紙2024-06-27
英訳名、表紙SHIKIBO LTD.
代表者の役職氏名、表紙代表取締役 社長執行役員  尻 家 正 博
本店の所在の場所、表紙大阪市中央区備後町三丁目2番6号
電話番号、本店の所在の場所、表紙大阪(06)6268-5421
様式、DEI第三号様式
会計基準、DEIJapan GAAP
連結決算の有無、DEItrue
当会計期間の種類、DEIFY

corp

沿革 2 【沿革】
1892年8月大阪市此花区伝法町に有限責任伝法紡績会社を設立(資本金10万円)1893年3月本社を大阪市福島区上福島に移転、福島紡績株式会社に改称1920年4月本社を大阪市北区玉江町2丁目3番地に移転1929年1月東京出張所を開設(現・東京支社)1941年6月明治紡績合資会社を合併1944年3月朝日紡績株式会社を合併、商号を敷島紡績株式会社に変更、本社を大阪市東区備後町4丁目34番地に移転1949年5月東京証券取引所、大阪証券取引所(現・東京証券取引所)、名古屋証券取引所に上場1953年2月当社八幡、草津両工場分離、敷島帆布株式会社を設立1959年10月敷島重布株式会社を設立1961年12月敷島帆布株式会社、敷島重布株式会社が合併、商号を敷島カンバス株式会社に変更1963年11月和歌山リネン株式会社に資本参加(現・シキボウリネン株式会社)(現・連結子会社)1965年11月本社を大阪市東区備後町3丁目35番地に移転1967年1月新内外綿株式会社の株式を取得し、資本参加(現・連結子会社)1969年3月株式会社マーメイド広海の株式を取得し、資本参加(現・連結子会社)1972年6月インドネシア国に株式会社マーメイドテキスタイルインダストリーインドネシア設立(現・連結子会社)1978年2月株式会社ナイガイテキスタイルを設立(現・連結子会社)1980年9月株式会社マーメイドスポーツを設立し、ゴルフ場経営に進出1989年2月合区により本社の住居表示変更(大阪市中央区備後町三丁目2番6号)   11月株式会社大和機械製作所を買収し、当社尾道事業所を開設1990年6月シキボウ総合サービス株式会社を設立(現・株式会社シキボウサービス)(現・連結子会社)   10月敷島カンバス株式会社、敷島興産株式会社、大機紡績株式会社及びシキボウ開発株式会社を吸収合併すると共に、販売会社として敷島カンバス株式会社を設立(現・連結子会社)   11月小田陶器株式会社を買収1991年2月シキボウ物流センター株式会社を設立(現・連結子会社)   10月産業機械等販売会社として株式会社大和機械製作所を設立1993年11月ジャスコ姫路リバーシティショッピングセンター(貸与設備)を開設   12月香港に敷紡(香港)有限公司を設立(現・連結子会社)1995年8月丸ホームテキスタイル株式会社を設立(現・連結子会社)1996年8月中国上海市に上海敷島家用紡織有限公司を設立(現・連結子会社)1998年4月シキボウ電子株式会社と小田陶器株式会社が合併し、前者が存続会社となり、新たに販売会社として小田陶器株式会社を設立   5月販売会社であった株式会社大和機械製作所に当社の産業機械等の製造部門を統合(現・連結子会社)1999年2月株式会社シキボウ物流システムを設立(現・連結子会社)   3月株式会社マーメイドアパレルを設立2000年4月株式会社イケダを株式会社シキボウ堺に商号変更(現・連結子会社)   12月イオンモール高知ショッピングセンター(貸与設備)を開設2002年4月商号をシキボウ株式会社に変更株式会社シキボウ江南を設立(現・連結子会社)2005年4月Jリネンサービス株式会社を設立(現・連結子会社)   9月中国江蘇省に敷島工業織物(無錫)有限公司を設立(現・連結子会社)2006年2月中国上海市に敷紡貿易(上海)有限公司を設立(現・連結子会社)2007年3月中国浙江省に湖州敷島福紡織品有限公司を設立(現・連結子会社)2008年2月シキボウ電子株式会社の陶磁器の製造部門を分割し、販売会社であった小田陶器株式会社に製造部門を統合2011年3月株式会社マーメイドソーイング秋田を設立(現・連結子会社)   10月東洋空気調和株式会社を買収(現・連結子会社)2014年1月連結子会社である新内外綿株式会社がジェイ.ピー.ボスコ株式会社を買収(現・連結子会社)2021年5月連結子会社である株式会社マーメイドアパレルを解散(2022年3月清算結了)2022年1月台湾新北市に台湾敷紡股份有限公司を設立(現・連結子会社)2022年4月東京証券取引所の市場区分の見直しにより市場第一部からプライム市場へ移行2022年12月連結子会社である株式会社マーメイドスポーツの全株式を売却2024年1月ベトナム国ホーチミン市にシキボウベトナム有限会社を設立(現・連結子会社)2024年3月連結子会社である小田陶器株式会社の全株式を売却
事業の内容 3 【事業の内容】
当社グループは、当社、子会社24社で構成され、繊維製品の製造販売、工業用品の製造販売、不動産の賃貸等を主な事業内容としております。 当社グループの事業に係る主な位置付けは次のとおりであり、当社グループが営んでいる事業内容と、報告セグメントにおける事業区分は同一であります。 繊維事業事業内容主要製品等会社名称繊維製品の製造販売糸、布、ニット、二次製品等当社、㈱シキボウ江南、丸ホームテキスタイル㈱、新内外綿㈱、㈱ナイガイテキスタイル、㈱マーメイドソーイング秋田、㈱マーメイドテキスタイルインダストリーインドネシア、ジェイ.ピー.ボスコ㈱、敷紡(香港)有限公司、上海敷島家用紡織有限公司、湖州敷島福紡織品有限公司、敷紡貿易(上海)有限公司、台湾敷紡股份有限公司、シキボウベトナム有限会社(会社総数14社) 産業材事業事業内容主要製品等会社名称工業用品の製造販売製紙用ドライヤーカンバス、フィルタークロス等当社、敷島カンバス㈱、東洋空気調和㈱、敷島工業織物(無錫)有限公司(会社総数4社)産業機械等の製造販売加工機械㈱大和機械製作所(会社総数1社)化成品等の製造販売食品添加物等当社、㈱シキボウ堺(会社総数2社) 不動産・サービス事業事業内容主要製品等会社名称不動産賃貸等―当社、㈱シキボウサービス、㈱マーメイド広海(会社総数3社)リネンサプライ業―シキボウリネン㈱、Jリネンサービス㈱(会社総数2社)繊維製品の配送・倉庫業務―㈱シキボウ物流システム、シキボウ物流センター㈱(会社総数2社) 事業の系統図の概略は次のとおりであります。
関係会社の状況 4 【関係会社の状況】
名称住所資本金又は出資金(百万円)主要な事業の内容議決権の所有割合(%)当社との関係内容役員の兼任等資金の貸付債務保証営業上の取引(連結子会社) ㈱シキボウ江南愛知県江南市100繊維事業各種繊維製品の製造100役員の兼任等8人有―各種繊維製品の加工を委託している。丸ホームテキスタイル㈱大阪市中央区60繊維事業各種織物、繊維資材、寝具類及び寝装品の販売100役員の兼任等4人――寝装品を販売している。新内外綿㈱大阪市中央区100繊維事業各種繊維製品の販売100役員の兼任等4人有―二次製品他を販売している他、紡績糸等を購入している。㈱ナイガイテキスタイル岐阜県海津市99繊維事業紡績糸製造100(100)役員の兼任等3人―――㈱マーメイドソーイング秋田秋田県大仙市10繊維事業繊維製品の縫製100役員の兼任等5人有―二次製品の縫製を委託している。㈱マーメイドテキスタイルインダストリーインドネシア※1インドネシア国モジョケルト県千米ドル40,560繊維事業各種繊維製品の製造及び販売98.0役員の兼任等7人有有布帛等生地を購入している。ジェイ.ピー.ボスコ㈱タイ国バンコク市百万バーツ28繊維事業繊維製品の販売100(97.5)役員の兼任等3人――紡績糸を購入している。敷紡(香港)有限公司中国香港千香港ドル2,400繊維事業繊維製品の販売100役員の兼任等3人―――上海敷島家用紡織有限公司中国上海市百万元12繊維事業寝装品の縫製100役員の兼任等6人――寝装品の縫製を委託している。湖州敷島福紡織品有限公司中国浙江省湖州市百万元12繊維事業繊維製品の加工100役員の兼任等4人―――敷紡貿易(上海)有限公司中国上海市百万元6繊維事業繊維製品の販売100役員の兼任等6人―――台湾敷紡股份有限公司台湾新北市百万台湾ドル7繊維事業繊維製品の販売100役員の兼任等4人――各種繊維製品を購入している。シキボウベトナム有限会社ベトナム国ホーチミン市百万ドン32,000繊維事業繊維製品の販売100役員の兼任等3人―――敷島カンバス㈱※1,※3大阪市中央区290産業材事業製紙用ドライヤーカンバス及びフィルタークロス等の販売100役員の兼任等7人――製紙用ドライヤーカンバス及びフィルタークロス等を販売している。東洋空気調和㈱東京都新宿区50産業材事業空気清浄装置等の製造販売100役員の兼任等4人―――敷島工業織物(無錫)有限公司中国江蘇省無錫市百万元61産業材事業製紙用ドライヤーカンバス等の製造販売100役員の兼任等8人――製紙用ドライヤーカンバス他を販売している。㈱シキボウ堺堺市西区100産業材事業化成品の製造100役員の兼任等6人――食品添加物等の製造を委託している。 名称住所資本金又は出資金(百万円)主要な事業の内容 議決の所有割合(%)当社との関係内容役員の兼任等資金の貸付債務保証営業上の取引㈱大和機械製作所広島県尾道市100産業材事業加工機械の製造販売100役員の兼任等4人―――㈱シキボウサービス大阪市中央区90不動産・サービス事業不動産管理及び情報システム業務等 100役員の兼任等5人――自社ビルの管理業務、情報システムの開発・運用・保守他を委託している。㈱マーメイド広海静岡県浜松市60不動産・サービス事業倉庫の賃貸100役員の兼任等4人―――㈱シキボウ物流システム千葉県柏市50不動産・サービス事業量販店向け配送業務100役員の兼任等4人―――シキボウ物流センター㈱岐阜県海津市20不動産・サービス事業倉庫業100役員の兼任等5人――保管・配送・構内業務を委託している。シキボウリネン㈱和歌山県西牟婁郡40不動産・サービス事業リネンサプライ及びホームクリーニング100役員の兼任等4人―――Jリネンサービス㈱大阪府泉佐野市30不動産・サービス事業リネンサプライ100(100)役員の兼任等4人―――
(注) ※1 特定子会社に該当します。 2 議決権の所有割合の( )内は、間接所有割合で内数であります。※3 連結売上高に占める売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く)の割合が10%を超えている会社は以下のとおりであります。    主な損益情報等敷島カンバス㈱ 売上高6,234百万円 経常利益126〃 当期純利益94〃 純資産額2,110〃 総資産額3,427〃 4 小田陶器株式会社は全株式を売却したことにより、当連結会計年度より連結の範囲から除外しております。 5 役員の兼任等には、当社役員と当社従業員を含んでおります。
従業員の状況 5 【従業員の状況】
(1) 連結会社の状況2024年3月31日現在セグメントの名称従業員数(人)繊維954(141)産業材646(80)不動産・サービス542(402)全社(共通)56(7)合計2,198(630)
(注) 1 従業員数は就業人員であります。2 ( )内は、当連結会計年度における臨時従業員の平均人数を外書きで記載しております。
(2) 提出会社の状況2024年3月31日現在従業員数(人)平均年齢(歳)平均勤続年数(年)平均年間給与(千円)55445.516.55,016(88) セグメントの名称従業員数(人)繊維121(15)産業材373(66)不動産・サービス4(―)全社(共通)56(7)合計554(88)
(注) 1 従業員数は就業人員であります。2 ( )内は、当事業年度における臨時従業員の平均人数を外書きで記載しております。3 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。 (3) 労働組合の状況当社労働組合は、シキボウ労働組合と称し、UAゼンセン製造産業部門繊維素材業種繊維素材部会に加盟しております。なお、労使関係については円滑な関係にあり、特記すべき事項はありません。 (4) 多様性に関する指標  当連結会計年度の多様性に関する指標は、以下のとおりであります。 管理職に占める女性従業員割合(%)男性の育児休業取得率(%)男女の賃金差異(%)全従業員正規  従業員非正規 従業員全従業員正規  従業員非正規 従業員当社4.250.050.0―55.259.654.0㈱シキボウ江南0.00.00.0―73.971.187.5シキボウリネン㈱8.3―――53.777.894.5㈱シキボウ物流システム0.0―――52.178.3119.8  
(注) 1 全従業員は、正規従業員と非正規従業員を含んでおります。    2 非正規従業員は、有期雇用従業員及びパートタイマーを含み、派遣社員を含んでおりません。3 管理職に占める女性従業員割合は、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律に基づき算出しております。4 管理職に占める女性従業員の割合は、当社については、出向者を除外して集計しております。当社以外の3社については、当社からの出向者は当該会社の従業員として集計しております。5 男性の育児休業取得率は、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則第71条の4第1号に基づき算出しております。6 男性の育児休業取得率は、当社については、出向者は除外して集計しております。当社以外の3社については、当社からの出向者は当該会社の従業員として集計しております。7 「―」は男性の育児休業取得の対象となる従業員がないことを示しております。8 男女の賃金差異は、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律に基づき算出しております。9 男女の賃金差異は、男性の平均賃金を100%とした場合の女性の平均賃金の割合を示しております。当社については、出向者は当社の従業員として集計しております。当社以外の3社については、当社からの出向者は当該会社の数値から除外して集計しております。    10 男女の賃金差異は職責・役割の違いによるものであり、賃金制度において男女の差異はありません。
経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
 文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。(1) 経営方針   (経営理念)「わたしたちは、シキボウグループのものづくり技術・ものづくり文化で新しい価値を創造します。」-安心・安全・快適な暮らしと環境にやさしい社会の実現へ-という経営理念のもと、「繊維」「産業材」「不動産・サービス」の各事業分野において、他社には真似の出来ない独自の機能や技術力を活かした商品づくりを追求すると共に、顧客ニーズに沿った商品提案やサービスの向上に取り組んでおります。    (長期ビジョン)当社グループは、上記の経営理念のもと、これまで培ってきたものづくり技術・文化によって、環境や社会課題の解決に貢献してまいりました。現在の当社グループを取り巻く事業環境は、新型コロナウイルス感染症の影響で働き方・生活・価値観が大きく変わり、その中でデジタル化が一段と加速するなど変化の激しい時代となっております。また、ESG、サステナビリティ、環境問題が一気に進み、脱炭素社会の進展など不確実で先が読みにくい状況が続くものと考えられます。このような事業環境において、更なる成長を続けていくためには、当社グループの方向性、価値観、存在価値などを長期ビジョン(ありたい姿)に描き、そのありたい姿からバックキャスト思考で、その実現に向けた経営計画を策定することが不可欠であると考え、当社創立150年である2042年に向けた長期ビジョン「Mermaid 2042」を策定いたしました。    「Mermaid 2042」    あなたにもっと寄り添い、愛されるシキボウグループへ・従業員にもっと寄り添い、笑顔あふれる心豊かな人生の実現に貢献します    ・お客様にもっと寄り添い、まだ見ぬ世界を当たり前にする技術で貢献します    ・地球にもっと寄り添い、持続可能な社会に貢献します    (中期経営計画の概要)本中期経営計画においては、コロナ禍からの復活を目指すこと、長期ビジョンの実現に向けた成長のレベルをさらに加速させることとし、新たに創ること、新たに取り組むことに挑戦してまいります。新しい取組みや施策を従業員一人一人のアクション単位にまで分解し、全員参加で取り組んでまいります。それぞれが行動を起こし、成すべきことを成すことで計画達成につなげる意味を込めて、名称は「ACTION22-24」といたしました。 〈 全体イメージ 〉   〈 基本方針 〉①経営基盤の強化◆新中核事業と位置付ける化成品事業・複合材料事業のさらなる事業規模の拡大◆新たな市場展開に向けた設備投資(化成品事業(主として食品分野)、リネンサプライ事業)◆新規用途・新規市場開拓による顧客の増大◆国内・海外のグローバルネットワークの連携強化による海外市場の開拓◆資本効率を重視した既存事業の稼ぐ力の向上と事業ポートフォリオの見直し◆さらなる財務基盤の強化◆従業員の計画的育成による人的資本の充実◆生産性・業務効率向上のためのデジタル投資 ②次の革新的成長に向けた取組◆新中核事業に続く新たな成長の芽の育成と研究開発の推進◆グローバル展開、成長領域への展開を支えるための多様な人材の確保と育成 ③サステナビリティ経営への取組◆地球環境に配慮した製品や社会課題を解決する製品のさらなる開発と販売強化◆カーボンニュートラル社会実現に寄与する設備投資◆従業員のエンゲージメントの向上にむけた、やりがいや働きがいのある職場・制度づくり 本中期経営計画「ACTION22-24」では、新中核事業と位置付ける化成品事業を次のステージに成長させるため、主力の食品用増粘安定剤の販売拡大に向けた設備投資、新中核事業に続く新たな成長の芽の育成と研究開発を推進するなど企業価値向上に向けた積極的投資を実施いたします。加えて、事業管理指標ROICを導入し、資本効率を重視した既存事業の稼ぐ力の向上と事業ポートフォリオの見直しに注力し、経営基盤を強化いたします。また、多様な人材の確保と育成により人的資本の充実を図り、グローバル展開、成長領域への展開を進めてまいります。また、サステナビリティ経営への取組みについては、持続可能な社会の実現と持続的な企業価値の向上へ向け、長期ビジョン「Mermaid 2042」の策定にあたり、これを議論してまいりました。当社グループの事業領域は多岐にわたっており、サステナビリティ経営の根幹を成すESG課題も多様かつ広範なことから、次代を担う各事業部門の若手従業員も参画したESG分科会において、当社グループへの影響度とステークホルダーへの影響度を軸としたマテリアリティマップを作成し、当社グループが取り組むべきマテリアリティを特定いたしました。これを経営会議及び取締役会に答申し、さらに議論を進めた結果、優先的に取り組むべき6つのマテリアリティを特定いたしました。 〈 当社グループのマテリアリティ(重要課題)〉 今後、各マテリアリティと重点活動項目について具体的な対処方針と目標を定め、それらを事業戦略に組み込みます。加えてシキボウグループにおけるサステナビリティ経営に向けた取組みを統括し、定期的に取締役会に報告、提案を行うための取締役会直轄の機関を設置し、サステナビリティ経営への取組みを推進してまいります。本中期経営計画「ACTION22-24」の遂行により、最終年度2024年度の最終目標は、連結売上高420億円、営業利益25億円、経常利益22億円、親会社株主に帰属する当期純利益15億円を計画しております。
(2) 目標とする経営指標シキボウグループは、持続的成長と中長期的な企業価値の向上を目的として、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益を、財務の健全性の確保を目的として、D/Eレシオ、自己資本比率を、資本の効率性の向上を目的として、ROE、ROA及びROICを、それぞれ経営指標としております。 (経営指標) 2024年3月期 実績2025年3月期計画有利子負債243億円242億円D/Eレシオ0.72倍0.71倍自己資本比率40.9%40.6%ROA1.6%2.6%ROE2.4%4.5%ROIC1.6%2.7% (3) 経営環境及び対処すべき課題わが国経済の見通しについては、緩やかな回復が続く中、世界的な金融引き締めや中国経済の先行き懸念、国際情勢の不安定化により、原材料やエネルギー価格の高止まり、円安の継続や物価上昇等、不透明な状況は継続するものと思われます。このような経営環境の中、当社グループでは、コーポレートガバナンスの基本指針として、ステークホルダーへの社会的責任を果たすとともに、当社の持続的な成長と企業価値向上の実現を目的とし、中期経営計画「ACTION22-24」において3つの基本方針「経営基盤の強化」、「次の革新的成長に向けた取組」、「サステナビリティ経営への取組」を掲げ、取組みを進めております。「経営基盤の強化」としては、資本効率を重視した既存事業の稼ぐ力の向上と事業ポートフォリオの見直しを挙げており、資本コストを意識した経営の実現を取締役会が取り扱うべき本年度の重要な議題の一つと位置付け、事業管理指標ROICを導入し、資本効率を重視した事業評価の仕組みを整備する等、現状分析を進めております。新中核事業と位置付ける化成品事業のさらなる事業規模の拡大としては、新たな市場展開に向けた設備投資として、㈱シキボウ堺において新工場建設を進めております。また、リネンサプライ事業では、大阪・関西万博を見据えた設備投資が終わり、事業拡大に取り組んでおります。新規顧客・市場開拓に向けた取組みといたしましては、ファッションブランドである株式会社アンリアレイジ様への出資を含めた業務提携の強化を進め、2023年10月に、繊維セグメント内に「ブランド戦略プロジェクト」を立ち上げ、取組みを進めております。ユニチカトレーディング株式会社様との企業間連携は3年目を迎え、共同開発商品の販売及び生産拠点の相互活用が進んでおり、今後は独自商品の開発・販売、技術の相互活用等を進めてまいります。「次の革新的成長に向けた取組」としては、複合材料事業において、当社が有する設備や多様な製造技術を生かし、省エネルギーや軽量化が求められる航空機等の輸送機器関連をはじめとする様々な分野において、研究開発及び市場開拓に取り組んでおります。「サステナビリティ経営への取組」としては、持続可能な社会の実現と持続的な企業価値の向上を目指しており、サステナビリティ経営を推進しております。2023年1月に「サステナビリティ推進委員会」を設置し、同年3月には「サステナビリティ基本方針」を定め、サステナビリティ経営の推進体制を整備いたしました。また、当社グループへの影響度、ステークホルダーへの影響度を軸としたマテリアリティマップを作成し、取り組むべきマテリアリティを特定しております。マテリアリティの一つである「気候変動対策及びその緩和」については、温室効果ガス(GHG)排出量(Scope1、2)の削減目標を2030年度に46%以上の削減(2013年度基準)と定め、2050年のカーボンニュートラル実現に向け、排出量削減の取組みを強化しております。 「対処すべき課題」に対するセグメント別の取組みとしては次のとおりです。「繊維セグメント」は依然として製造コストの高騰により苦戦を強いられておりますが、市況の回復や価格改定等により、業績は回復傾向にあります。今後は、注力すべき市場、分野への経営資源の集中を図りつつ、国内・海外のグローバルネットワークの連携強化により、海外市場への販売拡大を目指してまいります。また、「健康快服」をコンセプトに当社オリジナルの環境に配慮したサステナブル商材の開発強化を進め、さらには、中長期を見据えて分野にとらわれない新たな事業開発も進めてまいります。原糸販売事業は、当社連結子会社である現地法人、シキボウベトナム有限会社との連携によりベトナムでの差別化糸生産拡大を進め、杢糸に強みのある当社連結子会社の新内外綿㈱との協業強化により、国内外の商圏拡大に努めてまいります。輸出衣料事業は、中東民族衣装用生地の市場活況が継続する中、当社連結子会社である㈱シキボウ江南での加工品の販売拡大に加え、民族衣装以外の衣料品の販売構築も進めます。また、引き続き欧米及びアセアン向け販売の市場開拓を進めてまいります。ユニフォーム事業は、引き続き生産の効率化と価格改定を継続し、既存製品に加えて長繊維素材及びニット素材の販売拡大に努めます。また、展示会の拡充等により、顧客提案を再強化いたします。ニット製品分野はシキボウベトナム有限会社との連携によりベトナムでの生産拡大を進めつつ、他のアセアン諸国に加え、バングラデシュ等での協力工場も開拓し、国内外の商圏拡大に努めてまいります。生活資材事業は、主要取引先との取組みを拡大しつつ、当社オリジナルの開発商品を活用し、新規市場を構築・拡大してまいります。メディカル分野は、臭気対策剤「デオマジック®」の海外市場販売と女性が抱える心と体の課題を解決するフェムテック素材を含む衛生商材の国内外への販売拡大を推し進めてまいります。「産業材セグメント」では、産業資材部門は、紙需要減少による国内製紙会社の生産設備停止に加え、官公需におけるクロス未使用型脱水機の普及や個別空調設備の普及等、厳しい環境が続くものと予想されます。しかし、引き続きシェアの拡大や生産性の向上に努め、段ボール製造用コルゲーターベルトや緻密クロス、空気清浄装置等の新規開発商品の販売拡大等、売上・利益拡大施策に取り組み、国内トップポジションを堅持してまいります。加えて、海外市場での商圏拡大を図ってまいります。機能材料部門は、中期経営計画「ACTION22-24」において、新中核事業に位置付けている化成品事業・複合材料事業について、さらなる事業の拡大に向けた取り組みを進めてまいります。化成品事業は、食品用増粘安定剤(食品添加物)を配合するブレンド製品(粉体の混合)の生産能力増強及び品質向上の実現を目的として、当社連結子会社である㈱シキボウ堺において、2025年1月操業開始に向け、新工場の建設を進めております。食品用増粘安定剤は、国内の人口減少が進む中でも「健康志向」や高齢者向けの機能性食品の用途において新たなニーズがあり、当社が取り扱う食品用増粘安定剤は、サステナブルな植物由来の原料を使用しております。年々高まる「健康志向」や、食の多様化における機能性・利便性等の「高付加価値」ニーズを取り込むべく、需要の拡大に努めてまいります。また、新工場ではクリーン度の高い室内環境と製造ラインへの洗浄装置の導入により、これまで以上に高度な品質要求に対応できることから、取扱いの難しいアレルゲンを含む原材料も含めた新商品の開発により、新規顧客の獲得を図ります。さらに、食品用増粘安定剤の滅菌や脱臭加工の分野においても新商品開発に取り組み、新たな市場の獲得、さらなる事業規模の拡大に努めます。複合材料事業は、航空機部品用途で需要が回復してきており、安定した生産体制を維持することに加えて、設備の自動化や多能工化に注力することで、生産技術力・コスト競争力を高め、新たな需要の取り込みを図ります。また省エネルギーや軽量化が求められるインフラ用途等の分野では、当社が有する設備の活用と多様な製造技術を駆使することにより、市場開拓に取り組みます。「不動産・サービスセグメント」では、引き続き安定的収益基盤の維持拡充を目指します。不動産賃貸事業、リネンサプライ事業、物流配送事業を安定的に運営するほか、リネンサプライ事業では、大阪・関西万博を見据えて更新し、増強した設備を効率的に運用し、事業拡大に取り組みます。
サステナビリティに関する考え方及び取組 2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当社連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) サステナビリティ全般 ① サステナビリティ基本方針当社グループは、サステナビリティ経営を推進するにあたって、サステナビリティを巡る取組みについての基本方針を次のとおり定めております。■サステナビリティ基本方針シキボウグループは、 経営理念として 「シキボウグループのものづくり技術・ものづくり文化で新しい価値を創造します。―安心・安全・快適な暮らしと環境にやさしい社会の実現へ―」 を掲げています。また、 2021年度には、創立150周年にあたる2042年をターゲットにした長期ビジョン「Mermaid 2042」を策定し、ありたい姿として「あなたにもっと寄り添い、愛されるシキボウグループへ ・従業員にもっと寄り添い、笑顔あふれる心豊かな人生の実現に貢献します ・お客様にもっと寄り添い、まだ見ぬ世界を当たり前にする技術で貢献します ・地球にもっと寄り添い、持続可能な社会に貢献します」を掲げています。シキボウグループは、 サステナビリティの姿勢を示した、 この経営理念及び長期ビジョンのもと、 あらゆるステークホルダーと連携し、 持続可能な社会の実現と持続的な企業価値の向上を目指します。シキボウグループの 「ものづくり技術・ものづくり文化」によって生み出した、 高品質で特長のある、 地球にやさしい製品・サービスを通して、 環境・社会課題の解決に取り組んでいきます。 ② 当社グループのマテリアリティ(重要課題)当社グループでは、当社グループへの影響度、ステークホルダーへの影響度を軸としたマテリアリティマップを作成し、当社グループが取り組むべきマテリアリティを次のとおり特定しております。各マテリアリティと重点活動項目について、具体的な対処方針と目標を定め、それらを事業戦略に組み込み、取組みを進めております。 ・気候変動対策及びその緩和 ・資源循環型社会実現への貢献 ・雇用(働きやすさ) ・お客様の安全衛生への貢献 ・サプライチェーンマネジメント ・コーポレートガバナンスの強化マテリアリティの詳細については、第2[事業の状況]1[経営方針、経営環境及び対処すべき課題等]をご参照下さい。 ③ ガバナンス当社グループにおける損失の危険の管理に関する体制とその運用については、取締役会が「リスクマネジメント基本規程」に定め、これに基づき、リスクマネジメントの最高責任者を代表取締役社長執行役員とし、リスクマネジメントの実効性を高めるために「リスクマネジメント委員会」を設置しております。当委員会は、コーポレート部門担当執行役員を委員長、経営会議メンバーを委員とし、ESG(環境・社会・ガバナンス)関連リスクなど当社グループ全体のリスクマネジメントを統括しております。また、2023年1月には、取締役会決議により「サステナビリティ推進委員会」を設置しました。当委員会は、当社グループ全体のサステナビリティ経営を推進する役割を担い、気候変動をはじめとした地球規模の環境問題への配慮、人権の尊重、従業員を含む全てのステークホルダーへの公正・適正な事業活動など、社会や企業のサステナビリティを巡る課題解決を事業機会と捉え、これに向けた取組みを推進しております。当委員会は、社長執行役員を委員長、各部門長を委員とし、取締役会長及び取締役監査等委員をオブザーバーとしております。リスクマネジメント委員会とサステナビリティ推進委員会は密接に連携を取っており、両委員会で審議した主要事項を、それぞれ年間に2回以上取締役会に答申・報告し、取締役会は委員会からの答申・報告事項について審議・決議のうえ、 指示・監督を行います。 ④ リスク管理・リスクの識別・評価プロセス当社グループでは、リスクマネジメント委員会が、気候関連リスクを含む当社グループ全体のリスクについて、経営・財務・事業などへの影響を考慮し、現状のリスクの再評価を行うとともに新規リスクの抽出・評価を行い、重要リスクの特定・見直しを行っております。また、重要リスクについてはリスク対策及びその対策実施のための管理項目・管理目標値を設定し、取締役会に報告、取締役会が管理・監督する体制を執っております。・リスクの軽減プロセス特定したリスクについてはそのリスクの軽減のために、リスクマネジメント委員会において対応方針を検討・決定の上、関係部署に周知し、その対応状況をモニタリングしております。
(2) 気候変動への対応(TCFD提言の枠組みに沿った情報開示)当社グループでは、気候変動が当社グループやステークホルダーにもたらす影響の大きさを認識し、「気候変動対策及びその緩和」をマテリアリティ(重要課題)の一つとして特定しており、重点活動項目として「温室効果ガス(GHG)の排出量削減」と「環境配慮型商品の開発と販売拡大」を挙げております。2023年3月には、TCFD提言への賛同を表明しました。本提言に基づいた気候変動に関する重要情報を以下に開示します。① ガバナンス気候変動に関するガバナンスは、「(1)サステナビリティ全般 ③ガバナンス」に記載のとおりです。 ② 戦略まず本年度は、売上構成比率の高い繊維事業を対象として、TCFD提言で示された各リスク・機会の項目を参考に、気候変動が及ぼすリスク・機会に関して、2℃未満シナリオ及び4℃シナリオにおいて分析を行いました。2℃未満シナリオにおいては、脱炭素社会への移行に伴い、炭素税の導入や再生可能エネルギーへの転換などの施策・規制が進むことによる事業への影響が考えられます。4℃シナリオにおいては、脱炭素社会への移行が進まず、異常気象の激甚化による洪水被害などの物理的な面での影響を想定しております。 2℃未満シナリオ4℃シナリオ社会像2100年までの平均気温上昇を2℃未満に抑えるため、脱炭素社会を実現する施策・規制が実施される世界2100年までの平均気温が約4℃上昇することにより、気候変動による異常気象の激甚化が進行し、物理的影響が生じやすい世界参照シナリオ・IPCC SSP1-1.9・IEA WEO 2023 Net Zero Emissions by 2050 Scenario・IPCC SSP5-8.5対象繊維事業 (A)主要なリスク及び機会と影響度気候変動シナリオをもとに当社グループの事業に与えるリスク・機会に関して、繊維事業を対象にして、以下の項目を抽出しました。抽出したリスク・機会の項目が事業に与える影響を定性・定量評価し、対応策を立案し、レジリエンスを高めております。当社グループとしては、気候変動リスクの時間軸を短期(~1年)、中期(1年~3年)、長期(3年~27年)とし、リスク・機会が当社グループに与える影響度合としては、財務的影響額(大:損益15億円以上、中:損益15億円未満5千万円以上、小:損益5千万円未満)に、人的被害、レピュテーションリスク等を加味して総合的に判断しております。 (B)特に重要と認識したリスク及び機会洗い出したリスク及び機会に関しては、それぞれにおいて影響度合いを評価しておりますが、主要項目についてはより掘り下げた分析を行い、その対応策を検討しリスクの最小化及び機会の最大化に努めています。 (a)移行リスク:炭素税等の導入・強化■リスク・機会の認識1.5℃目標(2050年排出量ゼロ)達成に向けたCO2排出規制強化により、自社Scope1、2に対しての炭素税等(カーボンプライシング)の負担増加が想定されます。財務影響額試算 (A)2023年と同水準の場合[財務影響額算定における前提条件]  2030年時点:約15億円 2030年、2050年のGHG排出量を(A)2023年度と同水準と 2050年時点:約28億円 した場合と(B)削減目標を達成した場合の2パターンで算定 (B)削減目標達成の場合 ■排出量 2023年:73.5千t-CO2e   2030年時点:約11億円      2030年目標:53.8千t-CO2e、2050年目標:0t-CO2e  2050年時点:0円 ■炭素税 2030年:$140/t-CO2e、2050年:$250/t-CO2e  為替レート:$1=150円 ※「IEA WEO 2023 Net Zero Emissions by 2050 Scenario」参照 ※炭素税等導入の財務影響額は、当社グループ全体を対象とした。 ■対応策将来の炭素税リスクに対応すべく、自家消費型太陽光発電の設置等による再生可能エネルギーの導入拡大、省エネルギー・生産効率向上施策の推進、原燃料の低炭素化等のGHG排出量削減の取組みを進めていきます。また、省エネルギーに貢献する製品・加工技術の開発や提供等、多様な視点から取組みを進めていきます。 (b)移行リスク:石化由来繊維の減少、製品製造時の低炭素化要求■リスク・機会の認識1.5℃シナリオにおいては、今後の社会変化の中で石化由来資源の使用量削減や代替品採用などの要求が高まり、従来のポリエステルをはじめとした石化由来繊維の需要減少が想定されます。また、製品製造時の低炭素化の要求が高まることが想定されます。■対応策石化由来繊維の需要減少への対応としては、リサイクルポリエステルやバイオマス原料の活用を進め製品化しており、販売に注力しております。また、循環型素材の開発とそのスキームの構築も進めており、引き続き脱炭素社会に貢献する製品群の開発を行っていきます。製品製造時の低炭素化としては、自家消費型太陽光発電等を通じての自社電源の再生可能エネルギーへの切替え、省エネルギー・生産効率向上施策の推進、原燃料の低炭素化を進めていきます。 (c)移行リスク:ステークホルダーからの気候変動対策と情報開示の要求■リスク・機会の認識1.5℃シナリオにおいては、企業が気候変動に伴うリスク・機会をいかに認識し、対応しているかが一層重視されるようになり、当社グループの企業価値評価に反映されることが想定されます。■対応策現在取り組んでいるTCFD提言に沿った情報開示の他、各種イニシアチブへの参加検討を進めております。その他気候変動に関する具体的な取組みの情報発信を積極的に進めていくことにより、中長期的な観点で、全てのステークホルダーへのサステナビリティ情報の開示拡大を進めていきます。また、GHG排出量削減目標達成に向け、再生可能エネルギーの導入拡大、省エネルギー・生産効率向上施策の推進、原燃料の低炭素化を着実に進めていきます。 (d)物理リスク:洪水による設備損壊、操業停止■リスク・機会の認識 4℃シナリオにおける環境下において異常気象による洪水発生確率が最大になることが想定され、今回、国内主要生産拠点について調査を実施したところ、㈱シキボウ江南で最大約1.8mの浸水リスクがあると判明しました。浸水により、工場の在庫及び償却資産への被害、工場の操業停止による売上機会損失が想定されます。財務影響額試算 約17億円・洪水発生時の想定浸水深検証は「浸水ナビ」(国土交通省)を使用・財務影響額は、在庫及び償却資産への被害額を算定 ■対応策 気候変動による物理リスクに対して、ハザードマップを活用した洪水リスクの調査や被害予想額の算定を実施し、リスク回避、軽減のために次のような対応策を実施しております。 ・防災・減災対策の情報収集強化 ・海外拠点や外注先も含めた生産拠点の分散化の検討 ・生産拠点における水害対策の強化検討 ・保険への加入 今後は、洪水発生時の被害軽減と迅速な事業復旧のために、BCP対策の更なる強化を進めていきます。 (e)機会:CO2排出量削減等に貢献する商材の販売機会の増加■リスク・機会の認識 今後の脱炭素へ向けての社会変化の中で、CO2排出量削減等に貢献する商材の需要が増大することが想定されます。■対応策 脱炭素社会に向けた取組みとして、燃焼時のCO2排出量を削減する環境配慮型ポリエステル「オフコナノ®」を開発し、販売しております。また、マイクロプラスチックによる海洋汚染を軽減する取組みとして、生分解性ポリエステル「ビオグランデ®」を開発し、販売しております。当該製品の生産体制の整備を引き続き行っていきます。 上記の商材を含む多様な環境配慮型商材の開発及び販売拡大を進めていきます。 ③ リスク管理 気候変動に関するリスク管理は、「(1)サステナビリティ全般 ④リスク管理」に記載のとおりです。 ④ 指標及び目標 当社グループでは、気候関連問題が経営に及ぼす影響を評価・管理するため、GHG排出量を指標と捉え、GHGプロトコルに基づき算定を実施しております。GHG排出量の削減目標については、当社グループ全体を対象とし、2030年度に2013年度の基準排出量(Scope1、2) 99.6千t-CO2eから46%以上の削減を目標として、その削減に取り組んでいきます。 また、2023年度より、国内全拠点を算定対象としたScope3の算定を実施しております。 今後は2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、「GHG排出量削減ロードマップ」に従い、排出量削減の取組みを強化していきます。  加えて、気候関連リスク・機会やそれらに対する取組みをモニタリングする上で、どのような指標を用いることが適切かを検討し、充実させていきます。 (A)気候関連のリスクと機会を評価するために用いる指標及び目標指標目標水準 GHG排出量Scope1、Scope22030年度:GHG排出量46%以上削減(2013年度基準) (B)GHG排出量の実績  排出量実績と2030年度の目標値データ年度2013年度2023年度2030年度 Scope142.534.4-GHG排出量Scope257.139.0-(千t-CO2e)Scope1+299.673.553.8(△46%) Scope3-150.4-    ※Scope2算定基準:国内拠点はマーケット基準、海外拠点はロケーション基準の排出係数を適用   ※Scope3算定対象:国内全拠点、Scope3算定カテゴリ:1,2,3,4,5,6,7,11,12,13 (C)GHG排出量削減ロードマップ (3) 人的資本当社グループでは、「雇用(働きやすさ)」をマテリアリティ(重要課題)の一つとして特定しており、重点活動項目として「ダイバーシティと機会均等」、「労働安全衛生活動の推進」、「人材育成と技術の伝承」、「人権の尊重」を挙げております。当社グループは、安心・安全・快適な暮らしと環境にやさしい社会を実現させるための新しい価値を創造する「シキボウグループのものづくり技術及びものづくり文化」の基盤が、人材にあることを確認するとともに、人材の活用及び職場環境の整備を通じて、ものづくり技術とものづくり文化の発展に取り組むために、人材育成及び社内環境整備のためのシキボウグループ人的資本方針を定めました。 ① 戦略 当社グループにおける人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下のとおりです。■シキボウグループ人的資本方針人材育成及び社内環境整備の体制責任者 コーポレート部門担当執行役員担当部署 コーポレート部門総務人事部目標の設定・計画の実施経営戦略との整合性を念頭に組織の強み及び解決すべき課題を定期に分析・検討し人材の活用及び職場環境の整備の目標を設定します。設定された目標を実現するための計画を策定し、これに取り組みます。評価・レビュー定期的な取締役会によるレビューを通じ、目標及び取組みの結果の見直しをします。・人材育成方針1.多様な人材の活用様々な価値観・背景をもつ人材がもたらす相乗効果によってシキボウグループのものづくり技術及び ものづくり文化がさらに発展していくという信念のもと、国籍、性別、年齢、障がいの有無、雇用・就労形態、性自認や性的指向等を問わず、意欲と能力のある人材の活躍推進を図るとともに、子育て、介護、病気等、様々な事情を抱えても十分に能力が発揮できるよう、職場風土の醸成や役員・従業員の意識改革に取り組みます。2.人材の育成労働力人口が減少していくなか、企業が競争力を高め、持続的成長を実現していくために、従業員がその個性や能力を活かし活躍できるように努めます。従業員の育成にあたっては、OJT、OFF-JT、多様な教育機関が提供する社外での学び直し等を効果的に組み合わせ、それらを通じて従業員が自律的なキャリア形成と能力開発・スキルアップに取り組みます。・職場環境の整備1.安全衛生従業員の安全衛生もまた経営理念として第一に考慮するべき経営課題であり、職場の安全衛生を維持・向上させるため安全衛生管理体制の充実に取り組みます。人はミスをするとの前提に立ち、ミスをしても安全が確保される環境及びミスをすることができない環境が整備されるよう取り組みます。各職場で得られた安全衛生に関する知見はシキボウグループの重要な資産として、グループ全体で共有し、安全衛生の向上に取り組みます。2.ハラスメントの防止、メンタルヘルスハラスメントのない職場にするため、ハラスメント防止研修を実施するとともに、万が一ハラスメントが起こった場合に備え従業員が利用しやすい対応体制を整備運用し、ハラスメントを許さない企業風土の醸成に取り組みます。3.労働関係法令の遵守シキボウグループの各職場において国や地域を問わず労働関係法令が遵守されるよう体制の整備運用に取り組みます。シキボウグループにおける労働法規の遵守に関する相談のための窓口を整備し、法令等の違反の早期発見及び是正をいたします。4.公正な人事・処遇制度多様な就労形態に対応するために、従業員の仕事内容や、成果、組織への貢献度、将来の役割への期待等を十分に考慮した、公正な人事・処遇制度の整備運用に取り組みます。5.働き方改革労働時間の削減と同時にアウトプットの最大化を目指し、従業員一人あたりの仕事の付加価値を高めることで労働生産性の向上とシキボウグループの成長につながるよう整備運用に取り組みます。また、仕事と子育て、介護、病気等の両立に向けて、より柔軟な働き方が可能となるような制度の整備・拡充等、誰もが働きやすく、働きがいのある職場環境の整備に取り組みます。6.健康経営シキボウグループで働くすべての人が、心身ともに健康であることが、職場の活性化、ひいては、企業価値の向上につながるとの信念のもと、従業員の健康の向上に向けての制度の整備運用に取り組みます。7.従業員との対話従業員がいきいきと充実して働くことができる職場環境は、会社と従業員との協働により実現ができるとの信念のもと、従業員との対話を通じて職場環境の改善に関する制度の整備運用に取り組みます。 この方針は、シキボウグループで働く全ての人に周知するとともに、一般にも公開します。この方針は、社内外の環境の変化及び取締役会のレビューの結果を踏まえ定期的に見直します。 ② 指標及び目標当社グループでは、上記「①戦略」において記載した人的資本方針にもとづいて、目標を設定して取組みを進めていきます。なお、連結グループ各社の事業内容などが多岐にわたり、グループ全体での同一の目標設定が難しいことから、現段階では単体のみの指標及び目標として、当社では女性活躍推進法における行動計画を策定し、次の目標に向けて取り組んでおります。 目標1 採用活動においては人物本位の選考とし、女性の積極的な採用を進める 当社では総合職採用における女性の割合は2020年23.1%、2021年50.0%、2022年38.1%、2023年26.0%となっております。今後も女性の積極的な採用を進めていきます。目標2 女性管理職の割合5%以上 当社では管理職に占める女性従業員の割合を2025年3月末までに5%とする目標を掲げ、2024年3月時点での実績は4.2%となっております。当社においては、女性活躍推進の一環として、女性従業員を対象にした研修を2019年から毎年実施しております。社内ネットワークの構築、自らのキャリア形成、職場課題について考え、行動することで、それぞれの成長を促すとともに、リーダー層の育成を図っております。これらの取組みをはじめ、すべての人材が活躍できる環境づくりをグループ全体に進めていきます。目標3 男性の育児休業(育児休職)取得率50%以上 当社では男性の育児休業取得率を2025年3月末までに50%とする目標を掲げ、2024年3月時点における実績は50.0%となっております。今後も男性の働き方の見直しや該当者の上司への通知などを進めていきます。
事業等のリスク 3 【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 当社グループのリスクマネジメント体制当社グループでは、当社グループにおける損失の危険の管理に関する体制とその運用を「リスクマネジメント基本規程」に定め、リスクマネジメントの最高責任者を代表取締役社長執行役員とし、リスクマネジメントの実効性を高めるために、当社コーポレート部門担当執行役員を委員長とする「リスクマネジメント委員会」を設置し、基本方針の決定、リスクアセスメントの実施、優先リスクの選定、リスク対策計画の承認及び対策結果の確認、レビューの実施などリスクに対して適切な管理を行い、リスク発生の未然防止、リスクが顕在化した場合は、被害の拡大防止などを図っております。また、グループ全体のリスクを識別し、重要リスクについてはリスク対策及びその対策実施のための管理項目・管理目標値を設定し、取締役会に報告、取締役会が管理・監督する体制を執っております。
(2) 個別リスク① 市況変動に関するリスク当社グループは、繊維事業・産業材事業・不動産・サービス事業を行っており、様々な市場に向けて、製品及びサービスを提供しております。当社グループにおいて、市場の変化に的確に対応し、競争力の維持拡大に努めてまいりますが、急激な世界経済情勢の変化等により景気が悪化、市況が変動した場合、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。 ② 原材料・燃料価格の変動・調達に関するリスク当社グループは、製品の主・副原料として合成繊維及び燃料として重油等の石油化学製品を用いているため、原油価格に急激な変動や自然災害等により調達が困難になる場合、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。 ③ 為替相場の変動に関するリスク当社グループは、原材料及び製品を海外から輸入しております。為替相場の変動によるリスクをヘッジする目的で為替予約を行っておりますが、リスクヘッジにより為替相場変動の影響を緩和することは可能であっても、影響を完全に排除することは不可能であります。また、在外子会社等の財務諸表項目の円換算において、為替相場変動の影響があります。為替相場の大幅な変動があった場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。 ④ 金利変動に関するリスク当社グループは、有利子負債による資金調達を実施しております。有利子負債の圧縮に努め、また、金融機関からの借入については、金利スワップ取引により、金利変動リスクの圧縮に努めております。しかしながら、金利市場に急激な変化が生じた場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。 ⑤ 固定資産の減損に関するリスク当社グループは、土地をはじめとする生産設備などの有形固定資産や無形固定資産を保有しております。それぞれの資産の時価の下落、事業環境の著しい変化、収益性の低下などにより、固定資産の減損損失の計上を余儀なくされた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ⑥ 規制、コンプライアンスに関するリスク当社グループは、国内外において様々な法規制の適用を受けております。法令遵守と企業倫理遂行の立場を明確にするため、行動規範、行動指針及び行動基準を定め、全グループ役員・従業員への浸透を図っております。また、コンプライアンス活動を統括する組織として、代表取締役社長執行役員を委員長とし当社の取締役・執行役員・幹部社員及び当社グループ子会社各社の代表者を委員とする「コンプライアンス委員会」を設置しております。定期的な活動としては、「コンプライアンス本委員会」及び子会社各社の実務担当者を対象とした「コンプライアンス小委員会」を開催し、グループ全体のコンプライアンス体制の整備・運用の状況をチェックするとともに、法令・社内規程を周知徹底するための教育訓練等を行っております。しかしながら、法規制等の変更により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ⑦ 情報セキュリティに関するリスク当社グループは、事業上の機密情報、顧客情報、個人情報等を保有しております。これらの情報の取扱に関するルール等を整備し、情報セキュリティの強化・確保を図っておりますが、高度化する社外からの脅威によってウイルス感染、サイバー攻撃等で事業運営に影響が出た場合、社会的信用の失墜などのより当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ⑧ 気候変動に関するリスク気候変動の影響については自然災害の増加等を引き起こすことはもちろん、CO2をはじめとする温室効果ガス(GHG)排出に対する政策、法規制及び炭素税導入により、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。一方、気候変動に関する政策等の強化により、省エネ・温室効果ガス排出削減に貢献する技術や製品・サービスの需要が拡大することが予想され、当社グループのビジネス機会が増加する可能性があります。気候変動のサステナビリティに関する取組みについては、第2[事業の状況]2[サステナビリティに関する考え方及び取組]
(2)気候変動への対応(TCFD提言の枠組みに沿った情報開示)に記載しております。 ⑨ 自然災害(感染症を含む)、事故、労働災害発生に関するリスク当社グループは、国内外に事業所・工場などの施設を有しております。重要な事業活動の継続のため、BCP(Business Continuity Plan)を策定しておりますが、地震、水害等の大規模な自然災害、未知の感染症によるパンデミックの発生は、当社グループの従業員及び施設に直接的な被害を及ぼし、生産活動の停止だけでなく、原材料等の調達、流通の混乱等による間接的な被害をもたらし、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループでは、従業員の安全管理については、日々安全管理を徹底するとともに、事故・労働災害を未然に防ぐため様々な対策を実施しておりますが、事業活動に伴う事故災害により、人的損害あるいは重大な物的損害が発生した場合は、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。  ⑩ 人材の確保に関するリスク当社グループが持続的成長していくには、優秀な人材の確保が重要な経営資源の1つであると認識しております。少子化などにより人材採用の競争は激化しており、グローバルに活躍できる人材、高度な専門性を有した人材などを採用・育成できない場合は、将来の当社グループの事業運営に影響を及ぼす可能性があります。 ⑪ 政治、地政学変動に関するリスク当社グループは、インドネシア、中国、台湾、ベトナム等においても生産を行っております。そのため、社会情勢等の変化、各国における各種法令・規制の変更等により、事業運営にも大きく影響いたします。加えてロシアによるウクライナ侵攻をめぐる国際情勢の変化により、原材料及びエネルギー価格の高騰、物流の混乱が生じる事態は、事業運営に大きく影響いたします。そのような状況が生じた場合は、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。 なお、上記以外にも様々なリスクが考えられ、ここに記載したものがすべてのリスクではありません。
経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当連結会計年度の当社グループに関する財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 経営成績当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響による行動制限の解除により社会経済活動の正常化が一段と進む中、消費活動やインバウンド需要の伸長により、緩やかな回復を見せました。一方、世界的な金融引き締めや中国経済の先行き懸念、国際情勢の不安定化により、原材料やエネルギー価格の高止まり及び円安基調の長期化等、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。このような経営環境のもと、当社グループは、中期経営計画「ACTION22-24」において、コロナ禍からの復活を目指すこと、長期ビジョンの実現に向けた成長のレベルをさらに加速させることとし、2年目となる本年度においても新たに創ること、新たに取り組むことに挑戦いたしました。「経営基盤の強化」としては、新中核事業と位置付ける化成品事業において主力の食品用増粘安定剤の販売拡大に向けた設備投資を実施しております。資本効率を重視した既存事業の稼ぐ力の向上と事業ポートフォリオの見直しについては、当社の連結子会社である㈱シキボウサービスが営む保険代理店事業の譲渡を実施し、当社の連結子会社であった小田陶器株式会社の株式譲渡を実施いたしました。国内、海外のグローバルネットワークの連携強化による海外市場の開拓については、欧米及びアセアン地域等の海外市場向け販売を目的として、ベトナムに現地法人を設立いたしました。以上の結果、売上高は386億81百万円(前連結会計年度比2.1%増)、営業利益は14億28百万円(同17.3%増)、経常利益は13億22百万円(同17.5%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、㈱シキボウサービスの保険代理店事業の譲渡益を特別利益として計上し、また、連結子会社であった小田陶器株式会社の株式譲渡損失を特別損失に計上したことにより、8億円(同49.0%減)となりました。 セグメントの業績を示すと、次のとおりです。    (繊維セグメント)繊維セグメントにおいては、円安の進行、製造コスト上昇の継続はありましたが、価格改定の効果が徐々に現れたことにより、前期比で赤字幅は大幅に縮小いたしました。原糸販売事業は、国内産地の需要低迷と中国・欧米市場の市況落ち込みにより、苦戦いたしました。輸出衣料事業は、中東市場の好況に円安も重なり、中東民族衣装用生地販売は引き続き好調に推移いたしました。ユニフォーム事業は、生地販売では市況の回復により増収となり、価格改定も進みましたが、原材料等の価格高騰及び円安の影響により、引き続き苦戦を強いられました。ニット製品事業は、市況の回復基調が続いたことに加え、価格改定が進み、好調に推移いたしました。生活資材事業は、リビング分野においては顧客の在庫調整により市況が振るわず、低調に推移いたしましたが、リネン資材分野は、病院・介護施設向けリネンの受注が進み、堅調に推移いたしました。また、メディカル分野では、「フルテクト®マスク」の需要が大幅に減少し、悪臭を良い香りに変える臭気対策剤「デオマジック®」については低調に推移いたしました。以上の結果、当連結会計年度の売上高は198億99百万円(前連結会計年度比0.2%減)、営業損失は2億77百万円(前連結会計年度は6億9百万円の営業損失)となりました。    (産業材セグメント)産業資材部門では、ドライヤーカンバス事業は、国内向けカンバスの販売数量は減少しましたが、製造コスト上昇分の価格改定や設備改造用カンバスの需要、堅調なコルゲーターベルト販売により、売上高は前期並みとなりました。フィルタークロス事業は、顧客からの受注・納品サイクルの端境期等により、減収となりました。また、空気清浄機分野においては、機器販売・保守点検ともに順調に推移いたしましたが、本年度は大口の単発受注がなく、減収となりました。機能材料部門では、化成品事業は、中国向けの化学品需要は顧客の在庫調整の影響により、低調に推移いたしましたが、食品用増粘安定剤は好調に推移いたしました。その結果、全体では大幅な増収となりましたが、原材料価格の高騰等による製造コストの上昇が利益を押し下げました。複合材料事業は、航空宇宙向け部材の需要がコロナ禍以前に近い水準まで回復したことにより、増収となりました。以上の結果、当連結会計年度の売上高は135億円(前連結会計年度比6.9%増)、営業利益は5億55百万円(同6.8%増)となりました。    (不動産・サービスセグメント)不動産賃貸事業は堅調に推移いたしました。リネンサプライ事業は、エネルギー価格及び人件費高騰の影響を受けましたが、インバウンド需要によりホテルの稼働率が向上し、増収となりました。以上の結果、当連結会計年度の売上高は58億96百万円(前連結会計年度比0.8%減)、営業利益は19億78百万円(同1.3%減)となりました。
(2) 財政状態  (資産)流動資産の当連結会計年度末の合計は245億91百万円となり、前連結会計年度末に比べ1億46百万円の減少となりました。これは主に、棚卸資産の減少によるものであります。 固定資産の当連結会計年度末の合計は587億8百万円となり、前連結会計年度末に比べ14億2百万円の増加となりました。これは主に、有形固定資産に含まれる建設仮勘定の増加によるものであります。 その結果、当連結会計年度末の総資産は、832億99百万円となり、前連結会計年度末に比べ12億56百万円の増加となりました。    (負債) 流動負債の当連結会計年度末の合計は189億1百万円となり、前連結会計年度末に比べ17億92百万円の増加となりました。これは主に、有利子負債、未払消費税等の増加によるものであります。 固定負債の当連結会計年度末の合計は303億17百万円となり、前連結会計年度末に比べ12億59百万円の減少となりました。これは主に、社債、長期借入金の減少によるものであります。 その結果、当連結会計年度末の負債は、492億19百万円となり、前連結会計年度末に比べ5億33百万円の増加となりました。    (純資産) 当連結会計年度末の純資産は、340億80百万円となり、前連結会計年度末に比べ7億23百万円の増加となりました。これは主に、その他有価証券評価差額金、為替変動に伴う為替換算調整勘定の増加によるものであります。 その結果、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ0.3ポイント増加し、40.9%となりました。 (3) キャッシュ・フロー   (営業活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度において営業活動による資金は、35億49百万円の増加(前連結会計年度は11億12百万円の増加)となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益12億85百万円、減価償却費18億42百万円によるものであります。    (投資活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度において投資活動による資金は、27億3百万円の減少(前連結会計年度は6億82百万円の減少)となりました。主な要因は、有形固定資産の取得27億94百万円による減少であります。    (財務活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度において財務活動による資金は、5億9百万円の減少(前連結会計年度は5億79百万円の減少)となりました。主な要因は、外部借入調達及び社債発行59億7百万円による増加、外部借入返済及び社債償還56億40百万円による減少、配当金の支払い5億8百万円による減少であります。 その結果、資金は3億81百万円の増加(前連結会計年度は85百万円の減少)となり、期末残高は53億3百万円(前連結会計年度は49億22百万円)となりました。 (キャッシュ・フローの指標)当社グループのキャッシュ・フロー指標トレンドの推移は以下のとおりであります。 2022年3月期2023年3月期2024年3月期自己資本比率(%)39.040.640.9時価ベースの自己資本比率(%)12.614.216.1キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)8.422.47.2インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)13.35.216.3
(注) 自己資本比率:自己資本/総資産時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フローインタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い※各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。株式時価総額は、自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。キャッシュ・フローは、営業キャッシュフローを利用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を払っている全ての負債を対象としております。 (4) 生産、受注及び販売 ① 生産実績 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称生産高(百万円)前連結会計年度比(%)繊維18,679△7.1産業材11,0008.4不動産・サービス--合計29,680△1.9
(注) 1 金額は外注加工(材料費部分を含む)を含んでおります。2 金額は製造原価により算出しております。 ② 受注状況  該当事項はありません。 ③ 販売実績    当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称販売高(百万円)前連結会計年度比(%)繊維19,892△0.2産業材13,5006.9不動産・サービス5,288△0.9合計38,6812.1
(注) 上記金額は、セグメント間取引の相殺消去後の金額であります。 (5) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容  ① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは、第5[経理の状況]1[連結財務諸表等](1)[連結財務諸表]「注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。 ② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 経営成績の分析(売上高、営業利益)当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ7億88百万円増加の386億81百万円、また、営業利益は前連結会計年度に比べ2億11百万円増加の14億28百万円となりました。なお、セグメント別の詳細につきましては、「(1)経営成績」に記載のとおりであります。(単位:百万円) 売上高営業利益2024年3月期業績予想2024年3月期実績増減2024年3月期業績予想2024年3月期実績増減繊維20,70019,899△800△150△277△127産業材13,10013,500400650555△94不動産・サービス5,8005,896961,9001,97878調整△600△615△15△800△827△27連結合計39,00038,681△3181,6001,428△171 当社グループは、2024年3月期の業績予想を売上高390億円、営業利益16億円と予想して活動してまいりましたが、原材料やエネルギー価格の高止まり及び円安等の外部要因の影響により、営業利益については苦戦いたしました。また、中期経営計画比では次のとおりになりました。  2024年3月期 セグメント別 売上高・営業利益の中期経営計画・実績対比                                          (単位:億円) 売上高営業利益中期経営計画実 績増 減 額中期経営計画実 績増 減 額(A)(B)(B)-(A)(A)(B)(B)-(A)繊 維218198△ 192△ 2△ 4産業材1281357650不動産・サービス6058△ 118191調 整△ 6△ 60△ 7△ 8△ 1連結合計400386△ 131914△ 4 売上高の中期経営計画値との乖離については、アフターコロナにより市況は回復しつつあるものの、生活資材事業のリビング分野における顧客の在庫調整により、低調に推移したことが主な要因となりました。営業利益の中期経営計画値との乖離要因については、次のとおりです。 [営業利益の増減要因] (経常利益)当連結会計年度の営業外収益は、為替差益が19百万円減少したこと等により、前連結会計年度に比べ32百万円減少の2億24百万円となりました。また、営業外費用は、新型コロナウイルス感染症による損失が20百万円減少したこと等により、前連結会計年度に比べ17百万円減少の3億31百万円となりました。この結果、当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度に比べ1億97百万円増加の13億22百万円となりました。 (親会社株主に帰属する当期純利益)当連結会計年度の特別利益は、㈱シキボウサービスの保険代理店事業の譲渡益を3億円計上したこと等により4億54百万円となりました。特別損失は、減損損失を1億36百万円、貸倒引当金を1億11百万円計上したこと等により4億92百万円となりました。また、法人税等合計は、前連結会計年度に比べ11億75百万円増加の4億84百万円、非支配株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ14百万円減少の0百万円となりました。以上のとおり、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ7億67百万円減少の8億円となりました。  2024年3月期(累計)連結 中期経営計画・実績対比                                    (単位:億円) 売上高営業利益経常利益親会社株主に 帰属する 当期純利益 中期経営計画(A)400191510 実 績(B)38614138 増 減 額(B-A)△ 13△ 4△ 1△ 1 増 減 率(%)△ 3.3△ 24.8△ 11.8△ 20.0 (ご参考)前期実績 (2023年3月期)378121115   財政状態の分析当連結会計年度の財政状態の分析につきましては、「
(2)財政状態」に記載のとおりであります。 キャッシュ・フローの分析当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(3)キャッシュ・フロー」に記載のとおりであります。 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、第2[事業の状況]3[事業等のリスク]に記載のとおりであります。 当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、以下のとおりであります。当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入のほか、製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また、投資を目的とした資金需要は、設備投資によるものであります。当社グループは、財務の健全性や資本効率の向上を追求しながら、株主への適正な利益還元を実施するとともに、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金につきましては自己資金及び金融機関からの短期借入金での調達によるものであり、設備投資や長期運転資金の調達につきましては金融機関からの長期借入金及び私募債での調達によるものであります。なお、当連結会計年度末における借入金、社債及びリース債務の有利子負債の残高は254億34百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は53億3百万円となっております。
経営上の重要な契約等 5 【経営上の重要な契約等】
  連結子会社の保険代理店業務の事業譲渡契約  (1) 事業譲渡契約の概要当社は、2023年9月28日開催の取締役会において、当社の連結子会社である㈱シキボウサービスの保険代理店事業を譲渡することを決議し、2024年1月1日に事業譲渡を完了いたしました。   
(2) 子会社の名称、事業内容及び当該子会社が含まれていたセグメントの名称子会社の名称株式会社シキボウサービス事業内容保険代理店業務セグメントの名称不動産・サービス   連結子会社の株式譲渡契約  (1) 株式譲渡契約の概要当社は、2024年2月29日開催の取締役会において、当社の連結子会社である小田陶器株式会社の全株式を、株式会社山加商店に譲渡することを決議し、2024年3月29日に株式譲渡が完了いたしました。   
(2) 子会社の名称、事業内容及び当該子会社が含まれていたセグメントの名称子会社の名称小田陶器株式会社事業内容陶磁器の製造販売セグメントの名称産業材 なお、詳細につきましては、第5[経理の状況]1[連結財務諸表等](1)[連結財務諸表]「注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりであります。
研究開発活動 6 【研究開発活動】
当社グループでは、中期経営計画「ACTION22-24」の基本方針の中で、「新中核事業に続く新たな成長の芽の育成と研究開発の推進」、「地球環境に配慮した製品や社会課題を解決する製品のさらなる開発と販売強化」を掲げており、既存事業の発展と新規事業の育成を推進すべく、研究開発活動に積極的に取り組んでおります。 当社グループの研究開発活動は、繊維セグメントでは、紡績糸の開発は富山工場で行い、織・編・加工並びに各種繊維製品の研究・開発は㈱シキボウ江南内にある当社開発技術部で行っております。産業材セグメントでは、産業資材部門の研究開発は敷島カンバス㈱の研究開発部で行い、機能材料部門の化成品事業については㈱シキボウ堺において、複合材料事業は東近江市にある当社中央研究所を拠点に開発を行っております。 (繊維セグメント)抗ウイルス加工「フルテクト®」については、様々な用途の繊維製品に対応した加工開発を進めております。また、連結子会社である㈱シキボウ江南は、「独立行政法人製品評価技術基盤機構」〔NITE(ナイト)〕から抗ウイルス性試験を行う試験事業所として認定され、公的なJNLA標章を付した試験証明書を発行しております。皆さまの更なる安心に繋げていただければと思っております。消臭剤「デオマジック®」については、大手製紙工場、畜産現場や産業廃棄物処理場等で採用され好評です。特に広大な産業廃棄物処理場やバイオマス発電所での臭気対策として採用が増加しております。産業臭対策用途や介護用途への販促に力を入れ、環境展などの展示会にも出展し、拡販を進めております。また大手製薬会社から販売されている「デオマジック®」を使用したコラボ商品である消臭スプレー・熱蒸散タイプ消臭剤・ポータブルトイレ用消臭剤が介護向けに好評です。また中国で排水処理施設や産業廃棄物処理場向けに「デオマジック®」の販売を開始し、2024年4月に中国上海にて開催された「第25回中国環境博覧会 IE expo 2024」に出展し、好評を得ております。またベトナムでも産業臭対策用途や集合住宅のゴミ集積場の臭気対策として「デオマジック®」の販売を進めております。新型コロナが収束し、マスクを外す機会が増えることにより、身の回りのニオイに敏感になることが増えていると言われています。皆さまの生活環境中での気になるニオイ対策としてお役に立てればと思っております。また、女性従業員で構成するフェムテックプロジェクトチームと連携し、女性の快適性を追求して開発した経血対応の防臭加工「フェミュー®」、経血対応の防汚加工「ノアード®」も好評を得ております。更なる快適性を追求し開発を進めてまいります。環境配慮型素材としては燃焼時のCO2排出量を削減するポリエステル「オフコナノ®」、微生物が存在する環境下で分解されマイクロプラスチックによる海洋環境汚染の軽減を目指す生分解性ポリエステル「ビオグランデ®」が好評を得ております。ユニフォーム、シャツ、スポーツウエア、寝装品など繊維全般に向けて提案を進めてまいります。今回新たに循環経済の実現に向けた取り組みとして、環境への負荷を軽減しながら新たな付加価値を創出するために開発した「コットレジン®」は、廃棄されるコットンの繊維製品や端材を微粉末化し、リサイクルセルロースマイクロファイバーとしてプラスチックに混練することにより、従来のプラスチックよりも強度が向上したバイオマスプラスチックです。2024年5月に東京ビッグサイトにて開催された「環境展」にも出展し、自動車部品、建材、電化製品、日用品などの用途向けにバイオマスプラスチックとして幅広い用途が想定されています。プラスチック成型メーカーなど異業種との取り組みにより製品開発や販促を進めてまいります。 繊維セグメントの当連結会計年度の研究開発費は、198百万円であります。 (産業材セグメント)産業資材部門では、製造業各社からのニーズに応えるべく、既存製品の改良・新製品の開発に努めるとともに、エコマークが取得できるリサイクル製品の開発など、地球環境へ配慮した製品開発を強化してまいります。ドライヤーカンバス事業では、製品の軽量化により石油由来原料の使用量削減と使用済み製品の廃棄物削減が見込まれる新製品を開発、実機テストへと進めてまいります。コルゲーターベルト分野では、乾燥効率のアップ、使用期間の延長や騒音の低減が期待できるニードルベルト「N-Dry」が国内広幅新マシンで採用され、今後は受注量の増加が見込まれるため、更なる生産効率向上に繋がる開発に取り組んでまいります。フィルタークロス事業では、広幅対応水平ベルト用緻密クロスの商品化、当社工程内で発生した端材を再資源化したエコ商品の開発を強化してまいります。空気清浄機事業では、顧客ニーズ対応として防虫仕様の自動巻取型粗塵フィルター装置等の開発に取り組んでまいります。今後は、繊維セグメントが有する繊維加工技術の産業材への応用も検討していく予定で、特にサステナビリティに繋がる機能の強化と製品開発に取り組んでまいります。機能材料部門では、化成品事業は、食品用増粘安定剤の用途拡大に向けた研究開発を進めております。これまで増粘多糖類のローカストビーンガムやグァーガムなどで、豆由来の臭気を低減した商品を開発し、冷菓や飲料用途向けに採用頂いていることから、違う種類の豆類においても臭気物質を分離する研究を行い、商品開発に取り組んでおります。また食物繊維素材として利用されるサイリウムシードガムは、主に整腸機能などの健康食品として利用されており、アレルゲン物質を含まないゲル化剤として、嚥下剤やとろみ調整剤等の用途でも使用できるように開発を進めております。複合材料事業では、中央研究所において、航空・宇宙分野やエネルギーインフラ分野等に向けて繊維強化複合材料の研究開発を行っております。航空・宇宙分野では、航空機エンジンの熱効率向上や軽量化を目的に、セラミック繊維を用いた複合材料(CМC基材)の開発に取り組むとともに、軽量化が求められる構造物では特殊繊維を用いた部材の開発などを進めております。また、エネルギーインフラなどの分野では、耐熱性を有する樹脂や加工方法の開発を進めております。当事業では、国内の企業に限らず、海外のユーザー企業、大学や研究機関との連携も強化しながら、各用途に最適な材料の開発に取り組んでまいります。   産業材セグメントの当連結会計年度の研究開発費は191百万円であります。 以上の結果、当連結会計年度の研究開発費は389百万円であります。
設備投資等の概要 1 【設備投資等の概要】
当連結会計年度の有形固定資産及び無形固定資産に関する設備投資額は、3,945百万円であります。セグメントの設備投資について示すと、次のとおりであります。  (繊維セグメント)当セグメントにおいては、引き続き㈱マーメイドテキスタイルインダストリーインドネシアにおける火災からの復旧及び競争力強化のための設備更新等を行い、308百万円の投資を実施しました。 なお、当連結会計年度において、重要な設備の除却、売却等はありません。  (産業材セグメント)当セグメントにおいては、産業資材部門では生産能力の向上のため設備の更新等を行い、機能材料部門では化成品事業における新たな需要に対応するため、新工場建設の開始等を行い、2,338百万円の投資を実施しました。 小田陶器株式会社の株式譲渡により、当連結会計年度において連結の範囲から除外したため、同社の設備を主要な設備から除外しております。  (不動産・サービスセグメント)当セグメントにおいては、リネンサプライ事業における新工場増設に伴う設備の追加及び更新等を行い、1,098百万円の投資を実施しました。なお、当連結会計年度において、重要な設備の除却、売却等はありません。  (全社)全社共通の資産として、会計システム更新等に200百万円の投資を実施しました。なお、当連結会計年度において、重要な設備の除却、売却等はありません。
主要な設備の状況 2 【主要な設備の状況】
当社及び連結子会社における主要な設備は、以下のとおりであります。(1) 提出会社 事業所名(所在地)セグメントの名称設備の内容帳簿価額(百万円)従業員数(人)建物及び構築物機械装置及び運搬具土地(面積千㎡)リース資産その他合計富山工場(富山県富山市)繊維紡績設備14421,087(87)―01,23429〔9〕八幡工場(滋賀県近江八幡市)産業材カンバス織機等18828787(27)―21,00633〔18〕八日市工場(滋賀県東近江市)産業材フィルタークロス織機等FRP成型設備312108531(50)31897376〔16〕鈴鹿工場(三重県鈴鹿市)産業材カンバス織機等1,0215311,435(37)―543,04285〔18〕長野事業所(長野県上伊那郡)ほか1事業所産業材航空機部品製造設備509122955(28)151191,75862〔10〕姫路(兵庫県姫路市)不動産・サービス賃貸用店舗2,182―14,314(101)―ー16,497―〔―〕高知(高知県高知市)不動産・サービス賃貸用店舗3,885―8,691(74)――12,577―〔―〕富山工場(富山県富山市)不動産・サービス太陽光発電設備―14669(50)390―1,075―〔―〕本社(大阪市中央区)繊維産業材不動産・サービス本社ビル等355―1,565(1)3061,957129〔14〕
(注) 1 帳簿価額のうち「その他」は、工具器具及び備品並びに建設仮勘定の合計であります。2 従業員数の〔  〕は、臨時従業員数を外書しております。
(2) 国内子会社 会社名事業所名(所在地)セグメントの名称設備の内容帳簿価額(百万円)従業員数(人)建物及び構築物機械装置及び運搬具土地(面積千㎡)リース資産その他合計㈱シキボウ江南本社工場(愛知県江南市)繊維織機・染色加工機289482,961(73)9143,324115〔36〕新内外綿㈱駒野事業所(岐阜県海津市)繊維倉庫設備144―1,006(65)―11,152―〔―〕㈱ナイガイテキスタイル本社及び工場(岐阜県海津市)繊維紡績設備―38――114940〔53〕㈱シキボウ堺本社及び工場(堺市西区)産業材化成品製造設備2221301,168(18)1151,7763,41352〔3〕シキボウリネン㈱本社第一事業所(和歌山県西牟婁郡)ほか4事業所不動産・サービスリネンサプライ及びホームクリーニング関連設備567297166(9)251171,29973〔276〕
(注) 1 帳簿価額のうち「その他」は、工具器具及び備品並びに建設仮勘定の合計であります。2 従業員数の〔  〕は、臨時従業員数を外書しております。3 駒野事業所は㈱ナイガイテキスタイルに貸与しております。 (3) 在外子会社 会社名事業所名(所在地)セグメントの名称設備の内容帳簿価額(百万円)従業員数(人)建物及び構築物機械装置及び運搬具土地(面積千㎡)リース資産その他合計㈱マーメイドテキスタイルインダストリーインドネシア本社工場(インドネシア国モジョケルト県)繊維紡績設備・織機・染色加工機102798――13915441〔26〕敷島工業織物(無錫)有限公司本社工場(中国江蘇省)産業材カンバス織機等158131――1130178〔―〕
(注) 1 帳簿価額のうち「土地」は、賃借であります。2 帳簿価額のうち「その他」は、工具器具及び備品並びに建設仮勘定の合計であります。3 従業員数の〔  〕は、臨時従業員数を外書しております。
設備の新設、除却等の計画 3 【設備の新設、除却等の計画】
(1) 重要な設備の新設等当連結会計年度末における、重要な設備の新設の計画は次のとおりであります。会社名事業所名(所在地)セグメントの名称設備投資の主な内容投資予定額着手及び完成予定年月総額(百万円)既支払額(百万円)着手完成㈱シキボウ堺本社及び工場(堺市西区)産業材化成品事業における食品用増粘安定剤の販売拡大に向けた設備投資3,7001,7762023年6月2025年1月
(2) 重要な設備の除却等該当事項はありません。
研究開発費、研究開発活動389,000,000
設備投資額、設備投資等の概要200,000,000

Employees

平均年齢(年)、提出会社の状況、従業員の状況46
平均勤続年数(年)、提出会社の状況、従業員の状況17
平均年間給与、提出会社の状況、従業員の状況5,016,000
管理職に占める女性労働者の割合、提出会社の指標0
全労働者、労働者の男女の賃金の差異、提出会社の指標1
正規雇用労働者、労働者の男女の賃金の差異、提出会社の指標1
非正規雇用労働者、労働者の男女の賃金の差異、提出会社の指標1

Investment

株式の保有状況 (5) 【株式の保有状況】
① 投資株式の区分の基準及び考え方当社は、投資株式について、もっぱら株式の価値の変動又は配当の受領によって利益を得ることを目的として保有する株式を純投資目的である投資株式、それ以外の株式を純投資目的以外の目的である投資株式(政策保有株式)に区分しております。 ② 保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式(A)保有方針及び保有の合理性を検証する方法並びに個別銘柄の保有の適否に関する取締役会等における検証の内容当社は、取引上の関係強化、情報収集を目的として純投資以外の株式を保有しています。当社は、それぞれの純投資目的以外の株式について、保有目的が適切か中長期的な経済合理性や将来の見通し等を検証の上、その保有の合理性について取締役会で毎年度確認いたします。なお、継続して保有することが適切でないと判断した株式は、売却を進めるなど縮減に努めます。 (B)銘柄数及び貸借対照表計上額 銘柄数(銘柄)貸借対照表計上額の合計額(百万円)非上場株式10非上場株式以外の株式4317 (当事業年度において株式数が増加した銘柄) 銘柄数(銘柄) 株式数の増加に係る取得 価額の合計額(百万円)株式数の増加の理由非上場株式以外の株式278取引先持ち株会を通じた株式の取得、及び企業間取引の強化を目的とした株式の取得 (当事業年度において株式数が減少した銘柄)     該当事項はありません。 (C)特定投資株式及びみなし保有株式の銘柄ごとの株式数、貸借対照表計上額等に関する情報特定投資株式銘柄当事業年度前事業年度保有目的、業務提携等の概要、定量的な保有効果及び株式数が増加した理由
(注)当社の株式の保有の有無株式数(株)株式数(株)貸借対照表計上額(百万円)貸借対照表計上額(百万円)㈱アシックス24,61023,881(保有目的)世界有数のスポーツ用品メーカーで繊維セグメントの重要販売先として、企業間取引の強化のため保有(株式数が増加した理由)取引先持ち株会を通じた株式の取得無17989ヤマトインターナショナル㈱250,000- (保有目的)カジュアルウエアを中心としたアパレルメーカーで繊維セグメントの重要販売先として、企業間取引の強化のため保有(株式数が増加した理由) 企業間取引の強化を目的とした株式の取得 無78-新日本理化㈱202,000202,000(保有目的)化学素材メーカーで繊維セグメントの機能加工用薬剤の購入先及び機能加工に関する特許の共同出願先として、企業間取引の強化のため保有有3842㈱自重堂1,6381,638(保有目的)ワーキングウェア大手で繊維セグメントの重要販売先として、企業間取引の強化のため保有有2111 (注)当社は、特定投資株式における定量的な保有効果の記載が困難であるため、保有の合理性を検証した方法について記載いたします。当社は、毎期、個別の政策保有株式について政策保有の意義を検証しており、現状保有する政策保有株式はいずれも保有方針に沿った目的で保有していることを確認しております。 ③ 保有目的が純投資目的である投資株式区分当事業年度前事業年度銘柄数(銘柄)貸借対照表計上額の合計額(百万円)銘柄数(銘柄)貸借対照表計上額の合計額(百万円)非上場株式1913020130非上場株式以外の株式11901127 区分当事業年度受取配当金の合計額(百万円)売却損益の合計額(百万円)評価損益の合計額(百万円)非上場株式5――非上場株式以外の株式4―101 (注)非上場株式については、市場価格がなく、時価を把握することが極めて困難と認められることから「評価損益の合計額」は記載しておりません。 ④ 当事業年度中に投資株式の保有目的を純投資目的から純投資目的以外の目的に変更したもの   該当事項はありません。 ⑤ 当事業年度中に投資株式の保有目的を純投資目的以外の目的から純投資目的に変更したもの 該当事項はありません。
銘柄数、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的である投資株式、提出会社1
株式数が増加した銘柄数、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社2
銘柄数、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社1
貸借対照表計上額、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社0
銘柄数、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社4
貸借対照表計上額、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社317,000,000
株式数の増加に係る取得価額の合計額、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社78,000,000
株式数、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社1,638
貸借対照表計上額、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社21,000,000
貸借対照表計上額の合計額、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的である投資株式、提出会社190,000,000
受取配当金の合計額、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的である投資株式、提出会社4,000,000
評価損益の合計額、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的である投資株式、提出会社101,000,000
株式数が増加した理由、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社取引先持ち株会を通じた株式の取得、及び企業間取引の強化を目的とした株式の取得
銘柄、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社㈱自重堂
保有目的、業務提携等の概要、定量的な保有効果及び株式数が増加した理由、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社(保有目的)ワーキングウェア大手で繊維セグメントの重要販売先として、企業間取引の強化のため保有
当該株式の発行者による提出会社の株式の保有の有無、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社

Shareholders

大株主の状況 (6) 【大株主の状況】
2024年3月31日現在
氏名又は名称住所所有株式数(千株)発行済株式(自己株式を除く。)の総数に対する所有株式数の割合(%)
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)東京都港区赤坂1丁目8番1号8947.65
シキボウ従業員持株会大阪市中央区備後町3丁目2-65544.74
野村證券株式会社東京都中央区日本橋1丁目13番1号3723.19
シキボウ取引先持株会大阪市中央区備後町3丁目2-63663.13
株式会社日本カストディ銀行(信託口)東京都中央区晴海1丁目8-122301.97
BNP PARIBAS FINANCIAL MARKETS(常任代理人 BNPパリバ証券株式会社)20 BOULEVARD DES ITALIENS,75009 PARIS FRANCE(東京都千代田区丸の内1丁目9-1)1361.17
東京海上日動火災保険株式会社東京都千代田区大手町2丁目6番4号1100.94
シキボウ労働組合大阪市中央区備後町3丁目2-61000.86
三井住友信託銀行株式会社(常任代理人 株式会社日本カストディ銀行)東京都千代田区丸の内1丁目4-1(東京都中央区晴海1丁目8-12)1000.85
上田八木短資株式会社大阪市中央区高麗橋2丁目4-2960.82計-2,96125.32 (注) 1 
株式会社日本カストディ銀行(信託口)の所有する株式のうち、106,238株は当社が導入した役員向け株式給付信託が所有する当社株式であります。なお、当該株式は自己株式として計上しております。2 上記のほか、自己株式が113,731株あります。 
株主数-金融機関14
株主数-金融商品取引業者23
株主数-外国法人等-個人40
連結株主資本等変動計算書 ③【連結株主資本等変動計算書】
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) (単位:百万円) 株主資本その他の包括利益累計額資本金資本剰余金利益剰余金自己株式株主資本合計その他有価証券評価差額金繰延ヘッジ損益当期首残高11,3368967,957△26619,9231415当期変動額 剰余金の配当 △465 △465 土地再評価差額金の取崩 112 112 親会社株主に帰属する当期純利益 1,568 1,568 自己株式の取得 △44△44 自己株式の処分 △177052 株主資本以外の項目の当期変動額(純額) 38△21当期変動額合計--1,197251,22238△21当期末残高11,3368969,155△24121,146180△15 その他の包括利益累計額新株予約権非支配株主持分純資産合計土地再評価差額金為替換算調整勘定退職給付に係る調整累計額その他の包括利益累計額合計当期首残高13,381△1,224△42011,883-131,808当期変動額 剰余金の配当 △465土地再評価差額金の取崩 112親会社株主に帰属する当期純利益 1,568自己株式の取得 △44自己株式の処分 52株主資本以外の項目の当期変動額(純額)△143183249307-18325当期変動額合計△143183249307-181,548当期末残高13,238△1,040△17112,191-1933,357 当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) (単位:百万円) 株主資本その他の包括利益累計額資本金資本剰余金利益剰余金自己株式株主資本合計その他有価証券評価差額金繰延ヘッジ損益当期首残高11,3368969,155△24121,146180△15当期変動額 剰余金の配当 △584 △584 土地再評価差額金の取崩 △116 △116 親会社株主に帰属する当期純利益 800 800 自己株式の取得 △1△1 自己株式の処分 - 株主資本以外の項目の当期変動額(純額) 28746当期変動額合計--99△19728746当期末残高11,3368969,254△24221,24446830 その他の包括利益累計額新株予約権非支配株主持分純資産合計土地再評価差額金為替換算調整勘定退職給付に係る調整累計額その他の包括利益累計額合計当期首残高13,238△1,040△17112,191-1933,357当期変動額 剰余金の配当 △584土地再評価差額金の取崩 △116親会社株主に帰属する当期純利益 800自己株式の取得 △1自己株式の処分 -株主資本以外の項目の当期変動額(純額)147175△4261464625当期変動額合計147175△4261464723当期末残高13,385△864△21312,80662334,080
株主数-外国法人等-個人以外66
株主数-個人その他13,416
株主数-その他の法人126
株主数-計13,685
氏名又は名称、大株主の状況上田八木短資株式会社
株主総利回り1
株主総会決議による取得の状況 (1) 【株主総会決議による取得の状況】
該当事項はありません。
株主総会決議又は取締役会決議に基づかないものの内容 (3) 【株主総会決議又は取締役会決議に基づかないものの内容】
会社法第155条第7号による取得区分株式数(株)価額の総額(千円)当事業年度における取得自己株式1,0611,172当期間における取得自己株式217239
(注) 当期間における取得自己株式には、2024年6月1日からこの有価証券報告書提出日までの単元未満株式の買取りによる株式数は含まれておりません。

Shareholders2

自己株式の取得-1,000,000
自己株式の取得による支出、財務活動によるキャッシュ・フロー-1,000,000
発行済株式及び自己株式に関する注記 1 発行済株式に関する事項株式の種類当連結会計年度期首(千株)増加(千株)減少(千株)当連結会計年度末(千株)普通株式11,810--11,810 2 自己株式に関する事項株式の種類当連結会計年度期首(千株)増加(千株)減少(千株)当連結会計年度末(千株)普通株式
(注)1、22181-219
(注) 1 普通株式の自己株式数には、信託が保有する自社の株式が、当連結会計年度期首に106千株、当連結会計年度末に106千株含まれております。2 普通株式の自己株式数の増加1千株は、単元未満株式の買取請求による増加1千株であります。