財務諸表
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提出書類、表紙 | 有価証券報告書 |
提出日、表紙 | 2024-06-21 |
英訳名、表紙 | SoftBank Corp. |
代表者の役職氏名、表紙 | 代表取締役 社長執行役員 兼 CEO 宮川 潤一 |
本店の所在の場所、表紙 | 東京都港区海岸一丁目7番1号 |
電話番号、本店の所在の場所、表紙 | 03-6889-2000(代表) |
様式、DEI | 第三号様式 |
会計基準、DEI | IFRS |
連結決算の有無、DEI | true |
当会計期間の種類、DEI | FY |
corp
沿革 | 2 【沿革】 年月概要1986年12月日本国有鉄道の分割民営化に伴い、電話サービス・専用サービスの提供を目的として、鉄道通信㈱(現 当社)を資本金3,200百万円で設立1987年3月第一種電気通信事業許可を取得1987年4月日本国有鉄道から基幹通信網を承継し、電話サービス・専用サービスの営業開始1989年5月(旧)日本テレコム㈱を吸収合併、日本テレコム㈱ (注)1に商号変更1991年7月携帯・自動車電話事業への参入を目的として㈱東京デジタルホン(関連会社)を設立1994年9月東京証券取引所市場第二部、大阪証券取引所市場第二部に上場1996年9月東京証券取引所市場第一部、大阪証券取引所市場第一部銘柄に指定1997年10月日本国際通信㈱を吸収合併1999年10月㈱東京デジタルホン等デジタルホン3社、㈱デジタルツーカー四国等デジタルツーカー6社の計9社が、各商号を変更(J-フォン9社 (注)2)2001年10月ボーダフォン・グループPlcの間接保有の子会社であるボーダフォン・インターナショナル・ホールディングスB.V.およびフロッグホールB.V.(2001年12月にボーダフォン・インターナショナル・ホールディングスB.V.と合併)が実施した当社株式の公開買付の結果、同社は、当社株式の66.7%を保有し、当社の親会社となる2002年7月移動体通信事業におけるシステム・ソリューション事業の承継を目的として、会社分割により㈱ジャパン・システム・ソリューション(子会社)を設立2002年7月携帯端末の販売代理店事業の承継を目的として、会社分割により㈱テレコム・エクスプレス(子会社)を設立2002年8月持株会社体制に移行し、日本テレコムホールディングス㈱に商号変更するとともに、会社分割により日本テレコム㈱(子会社) (注)3を設立2003年6月委員会等設置会社に移行2003年12月ボーダフォンホールディングス㈱に商号変更2004年7月ボーダフォン・インターナショナル・ホールディングスB.V.(親会社)が実施した当社株式の公開買付の結果、同社が保有する当社株式の持株比率が96.1%となる2004年10月(旧)ボーダフォン㈱を吸収合併、ボーダフォン㈱ (注)4に商号変更2005年8月東京証券取引所市場第一部、大阪証券取引所市場第一部上場廃止2006年4月ソフトバンク㈱ (注)5の間接保有の子会社であるBBモバイル㈱が実施した当社株式の公開買付の結果、同社は、当社株式の97.6%を保有し、当社の親会社となる。また、BBモバイル㈱は、当社の株主であるメトロフォン・サービス㈱(2006年8月にBBモバイル㈱と合併)の全株式を取得した結果、同社が保有する当社株式の持株比率が99.5%となる2006年8月BBモバイル㈱(親会社)を完全親会社とする株式交換により、同社の100%子会社となる2006年10月ソフトバンクモバイル㈱に商号変更。ブランド名を「ソフトバンク」に変更2007年6月委員会設置会社から監査役会設置会社にガバナンス体制を変更2010年4月㈱ジャパン・システム・ソリューション(子会社)、他2社(子会社)を吸収合併2015年4月通信ネットワーク、販売チャンネル等の相互活用、サービスの連携強化により通信事業の競争力を強化することを目的として、ソフトバンクBB㈱、ソフトバンクテレコム㈱、ワイモバイル㈱を吸収合併2015年7月ソフトバンク㈱に商号変更2015年7月当社販売代理店管理業務再編を目的として、㈱テレコム・エクスプレス(子会社)を吸収合併2015年12月ソフトバンクグループ㈱がモバイルテック㈱と合併し、その後同日に、モバイルテック㈱の子会社であったBBモバイル㈱(親会社)と合併したことにより、同社の直接保有の子会社となる 年月概要2016年7月ソフトバンクグループ㈱(親会社)が、同社保有の当社の全株式を、ソフトバンクグループジャパン合同会社へ現物出資の方式で譲渡し、ソフトバンクグループジャパン合同会社の子会社となる2017年4月ソフトバンクグループジャパン合同会社(親会社)が、ソフトバンクグループ㈱の子会社であるソフトバンクグループインターナショナル合同会社に吸収合併され、ソフトバンクグループインターナショナル合同会社 (注)6の子会社となる2017年5月通信事業と流通事業の連携強化を図ることを目的として、IT関連製品の製造・流通・販売、IT関連サービスの提供を行っているソフトバンクコマース&サービス㈱ (注)7の親会社である、SB C&S ホールディングス合同会社 (注)8を子会社化2018年3月通信ネットワーク基盤の強化を図ることを目的として、Wireless City Planning㈱を子会社化2018年4月事業シナジーの追求および幅広い領域への事業展開を目的として、SBメディアホールディングス㈱、ソフトバンク・テクノロジー㈱ (注)9、SBプレイヤーズ㈱等を子会社化2018年4月通信事業のサービス拡充・事業拡大を目的として仮想移動体通信事業者であるLINEモバイル㈱を子会社化2018年5月クラウドコンピューティングサービスの強化を目的として、㈱IDCフロンティアを子会社化2018年12月東京証券取引所市場第一部に上場2019年6月FinTech (注)10を含む様々な事業分野での連携およびシナジー強化を目的として、ヤフー㈱ (注)11、13を子会社化2019年11月当社の子会社であるZホールディングス㈱ (注)13は、eコマース事業のさらなる成長のためにファッションECを強化することを目的として、㈱ZOZOを子会社化2021年3月当社の子会社であるZホールディングス㈱は、日本・アジアから世界をリードするAIテックカンパニーとなることを目指し、LINE㈱ (注)12、13を子会社化2021年6月インターネット広告事業での連携およびシナジー創出を目的として、㈱イーエムネットジャパンを子会社化2022年4月東京証券取引所の市場区分の見直しにより市場第一部からプライム市場へ移行2022年10月金融事業での連携強化およびシナジー強化を目的として、PayPay㈱を子会社化2023年11月第1回社債型種類株式を東京証券取引所プライム市場に上場2024年3月コネクテッドカーやSDCV (注)14、IoTモビリティ領域においてグローバル規模で主導していくことを目的として、Cubic Telecom Ltd.を子会社化 (注1) 鉄道通信㈱は同社を存続会社として、日本テレコム㈱を1989年5月1日付で吸収合併し、商号を「日本テレコム㈱」に変更しました。なお、合併前の「日本テレコム㈱」と合併後の「日本テレコム㈱」との区別を明確にするため、合併前の会社名は(旧)の文字を付しています。 (旧)日本テレコム㈱の沿革は次の通りです。1984年10月 (旧)日本テレコム㈱を設立1985年6月 第一種電気通信事業許可を取得 (注2) ジェイフォン東京㈱、ジェイフォン関西㈱、ジェイフォン東海㈱、ジェイフォン九州㈱、ジェイフォン中国㈱、ジェイフォン東北㈱、ジェイフォン北海道㈱、ジェイフォン北陸㈱、ジェイフォン四国㈱ (注3) 日本テレコム㈱(子会社)は、2006年10月1日付で商号を「ソフトバンクテレコム㈱」に変更しました。また、同社は、2007年2月1日付でソフトバンクテレコム販売㈱との合併により消滅し、ソフトバンクテレコム販売㈱は、商号を「ソフトバンクテレコム㈱」に変更しています。 (注4) ボーダフォンホールディングス㈱は同社を存続会社として、ボーダフォン㈱を2004年10月1日付で吸収合併し、商号を「ボーダフォン㈱」に変更しました。なお、合併前の「ボーダフォン㈱」と合併後の「ボーダフォン㈱」との区別を明確にするため、合併前の会社名は(旧)の文字を付しています。 (旧)ボーダフォン㈱の沿革は次の通りです。1998年11月㈱アイエムティ二千企画を設立2000年4月ジェイフォン㈱に商号変更2000年5月J-フォン9社の持株会社に移行2000年10月J-フォン9社を、ジェイフォン東日本㈱、ジェイフォン東海㈱、ジェイフォン西日本㈱に合併再編2001年11月ジェイフォン東日本㈱、ジェイフォン東海㈱、ジェイフォン西日本㈱と合併2003年10月(旧)ボーダフォン㈱に商号変更 (注5) ソフトバンク㈱は、2015年7月1日付で商号を「ソフトバンクグループ㈱」に変更しています。 (注6) ソフトバンクグループインターナショナル合同会社は、2018年6月15日付で株式会社に組織変更し、「ソフトバンクグループジャパン㈱」に商号変更しています。 (注7) ソフトバンクコマース&サービス㈱は、2019年1月1日付で商号を「SB C&S㈱」に変更しています。 (注8) SB C&S ホールディングス合同会社は、2018年3月23日付でSB C&S ホールディングス㈱に組織変更しています。また、同社は、同社を存続会社として、SB C&S㈱を2020年4月1日付で吸収合併し、商号を「SB C&S㈱」に変更しました。 (注9) ソフトバンク・テクノロジー㈱は、2019年10月1日付で商号を「SBテクノロジー㈱」に変更しています。 (注10) FinTechとは、金融(Finance)と技術(Technology)を組み合わせた造語で、金融サービスと情報通信技術を結び付けた様々な革新的なサービスのことを意味します。 (注11) ヤフー㈱は、2019年10月1日付で商号を「Zホールディングス㈱」に変更しており、同日付で紀尾井町分割準備㈱は商号を「ヤフー㈱」に変更しています。 (注12) LINE㈱は、旧LINE分割準備㈱であり、旧LINE㈱(現Aホールディングス㈱)の全事業(Zホールディングス㈱株式ならびにZホールディングス㈱および旧LINE㈱の対等な精神に基づく経営統合に関して旧LINE㈱が締結した契約に係る契約上の地位その他吸収分割契約において定める権利義務を除く。)を吸収分割により承継した法人です。 (注13) 2023年10月1日付でZホールディングス㈱を存続会社とし、同社ならびにLINE㈱およびヤフー㈱を中心としたグループ内再編が行われました。同日をもって、Zホールディングス㈱はLINEヤフー㈱に、LINE㈱はZ中間グローバル㈱に商号変更され、ヤフー㈱は消滅しました。 (注14) SDCV(Software-Defined Connected Vehicle)とは主にインターネットに接続されたソフトウエアを通じて機能を更新することができる車両のことを指します。 |
事業の内容 | 3 【事業の内容】 (1) 事業内容の概要当企業集団は、2024年3月31日現在、当社と子会社239社(以下「当社グループ」)、関連会社57社および共同支配企業20社により構成されています。当社の親会社はソフトバンクグループ㈱です。以下、「ソフトバンクグループ㈱」はソフトバンクグループ㈱単体、「ソフトバンクグループ」はソフトバンクグループ㈱およびその子会社を含む企業集団、「LINEヤフーグループ」はLINEヤフー㈱およびその子会社を含む企業集団とします。ソフトバンクグループは、創業以来一貫して、情報革命を通じ人類と社会に貢献してきました。「情報革命で人々を幸せに」という経営理念の下、世界の人々が最も必要とするテクノロジーやサービスを提供する企業グループとなることを目指すとともに、企業価値の最大化を図ってきました。その中において、当社グループはソフトバンクグループの日本における中心的な事業会社として、ソフトウエアの卸販売、ブロードバンド、固定通信等の事業を受け継ぎつつ、最先端テクノロジーを用いて快適で利便性の高い通信サービスを競争力のある価格で提供し、日本における通信と社会の発展に貢献してきました。当社グループは、成長戦略「Beyond Carrier」を推進することにより、日本でも有数の通信ネットワークに加え、総合インターネットサービス「Yahoo! JAPAN」やコミュニケーションアプリ「LINE」、キャッシュレス決済サービス「PayPay」など日本最大級のユーザー基盤を有する通信・IT企業グループとなりました。今後も、成長戦略「Beyond Carrier」の下、コアビジネスである通信事業の持続的な成長を図りながら、通信キャリアの枠を超え、情報・テクノロジー領域のさまざまな分野で積極的にグループの事業を拡大することで、企業価値の最大化を目指します。また、通信事業とこれらのグループ事業との連携を強化することを通じて、通信事業の競争力を強化するとともに、グループ事業のサービス利用者数の拡大やユーザーエンゲージメントの向上などのシナジーの創出を推進します。なお、当社グループは2023年6月30日に終了した3カ月間より報告セグメントの名称を一部見直し、「コンシューマ」、「法人」、「流通」、「ヤフー・LINE」、「金融」から「コンシューマ」、「エンタープライズ」、「ディストリビューション」、「メディア・EC」、「ファイナンス」へ変更しています。この変更はセグメント名称のみを変更するものであり、セグメントの区分、範囲、測定方法への変更はありません。 a. コンシューマ事業主として、日本国内の個人のお客さまに対し、モバイルサービス、ブロードバンドサービスおよび「おうちでんき」などの電力サービスを提供しています。また、携帯端末メーカーから携帯端末を仕入れ、ソフトバンクショップ等を運営する代理店または個人のお客さまに対して販売しています。(a) モバイルサービスモバイルサービスでは、次の3つのブランドを展開しています。-「SoftBank」ブランド :最新のスマートフォンや携帯端末、大容量データプランを求めるスマートフォンユーザー向け高付加価値ブランド-「Y!mobile」ブランド :低価格かつ安心のサービスを特徴とするブランド/ライトユーザーや月々の通信料を抑えることを重視するお客さま向けのスマートフォン、Pocket Wi-Fi等を提供するブランド-「LINEMO」ブランド :メッセンジャーアプリ「LINE」がデータ容量を消費せずに使い放題となるプランを提供するほか、全ての手続きをオンライン上で完了できるオンライン専用ブランド 「SoftBank」および「Y!mobile」のスマートフォンユーザーに対しては、追加料金を支払うことなく、LINEヤフー㈱提供の「LYPプレミアム」(注1)をご利用いただけるサービスを提供しています。これに加え、「SoftBank」スマートフォンユーザーは、PayPayポイントがたくさんもらえる「ソフトバンクプレミアム」の特典として、PayPayポイントが戻ってくる「スーパーPayPayクーポン」の提供を受けられます。また、長く対象プランに加入頂いているお客さまに対する長期継続特典として、PayPayポイントの付与等を実施しています。 (b) ブロードバンドサービスブロードバンドサービスでは、主として、個人のお客さま向けの高速・大容量通信回線サービスである「SoftBank 光」(注2)、「フレッツ光」とセットで提供するISPサービス(注3)である「Yahoo! BB 光 with フレッツ」を展開しています。 また、2015年より、「SoftBank 光」等のブロードバンドサービスを移動通信サービスとセットで契約するお客さまに対し、移動通信サービスの通信料金を割り引くサービス「おうち割 光セット」を提供しています。 (c) 電力サービス電力サービスでは、主として、個人のお客さま向けに「おうちでんき」、「自然でんき」などの電力供給サービスを提供しています。 (主要な関係会社)当社、Wireless City Planning㈱、SBモバイルサービス㈱、SBパワー㈱ b. エンタープライズ事業法人のお客さまに対し、モバイル回線提供や携帯端末レンタルなどのモバイルサービス、固定電話やデータ通信などの固定通信サービス、データセンター、クラウド、セキュリティ、グローバル、AI(注4)、IoT(注5)、デジタルマーケティング等のソリューションサービスなど、多様な法人向けサービスを提供しています。 (主要な関係会社)当社、Wireless City Planning㈱、SBエンジニアリング㈱、㈱IDCフロンティア、㈱イーエムネットジャパン、Cubic Telecom Ltd.(注6) c. ディストリビューション事業ディストリビューション事業は、変化する市場環境を迅速にとらえた最先端のプロダクトやサービスを提供しています。法人のお客さま向けには、クラウドサービス、AIを含めた先進テクノロジーを活用し商材を提供しています。個人のお客さま向けには、メーカーあるいはディストリビューターとして、ソフトウエアやモバイルアクセサリー、IoTプロダクト等、多岐にわたる商品の企画・提供を行っています。 (主要な関係会社)SB C&S㈱ d. メディア・EC事業メディア・EC事業は、メディアおよびコマースを中心としたサービスを展開し、オンラインからオフラインまで一気通貫でサービスを提供しています。メディア領域においては、総合インターネットサービス「Yahoo! JAPAN」やコミュニケーションアプリ「LINE」での広告関連サービス、コマース領域においては「Yahoo!ショッピング」、「ZOZOTOWN」などのオンラインショッピングサービスや「Yahoo!オークション」などのリユースサービス、戦略領域においては、メディア・コマースに次ぐ新たな収益の柱となるよう取り組んでいるFinTech(注7)サービス等の提供を行っています。 (主要な関係会社)LINEヤフー㈱(注8)、アスクル㈱、㈱ZOZO、㈱一休、バリューコマース㈱(注9)、PayPay銀行㈱、LINE Pay㈱、LINE Financial Corporation(注10)、LINE Plus Corporation、LINE SOUTHEAST ASIA CORP.PTE.LTD. e. ファイナンス事業ファイナンス事業では、QRコード決済やクレジットカードなどのキャッシュレス決済サービス、加盟店のマーケティングソリューションの開発・提供、資産運用などの金融サービス、およびクレジットカード・電子マネー・QRコードなど多様化する決済を一括で提供する決済代行サービスなどを提供しています。 (主要な関係会社)PayPay㈱、PayPayカード㈱、SBペイメントサービス㈱、PayPay証券㈱ f. その他の事業その他の事業として、クラウドサービス、セキュリティ運用監視サービス、IoTソリューションの提供、IoT、Linux/OSS、認証・セキュリティサービスの提供、およびデジタルメディア・デジタルコンテンツの企画・制作などを行っています。当社グループでは最先端の技術革新をビジネスチャンスとして常に追求しており、FinTech、IoT、クラウドなどの分野に積極的に投資を行い、事業展開を図っています。 (主要な関係会社) (注11)当社、SBテクノロジー㈱、サイバートラスト㈱、アイティメディア㈱ (注1) 「LYPプレミアム」(月額会員費508円(税込)から)は、旧「Yahoo!プレミアム」で提供していた、「Yahoo!ショッピング」利用によるPayPayポイント(譲渡不可)の付与などに加え、「LINE」でLINEスタンプ プレミアムのベーシックコースが適用されるなど、様々なサービスで特典を受けられる会員サービスです。「SoftBank」ユーザーは「スマートログイン」設定により、また、「Y!mobile」ユーザーは初期登録により、追加料金の支払いなしに利用できます。(注2) 「SoftBank Air」を含みます。(注3) ISPサービスとは、ユーザーのコンピューターをインターネットに接続するための手段を提供するサービスを意味します。ISPはInternet Service Providerの略称です。(注4) AIとは、Artificial Intelligenceの略称で、人工知能のことです。(注5) IoTとは、Internet of Thingsの略称で、モノがインターネット経由で通信することです。(注6) 2024年3月6日付で、当社はCubic Telecom Ltd.の株式の54.3%(議決権所有割合)を取得しました。(注7) FinTechとは、金融(Finance)と技術(Technology)を組み合わせた造語で、金融サービスと情報通信技術を結び付けたさまざまな革新的なサービスのことです。(注8) 2023年10月1日付でZホールディングス㈱を存続会社とし、同社ならびにLINE㈱およびヤフー㈱を中心としたグループ内再編に関する手続きが完了しました。同日をもって、Zホールディングス㈱はLINEヤフー㈱に、LINE㈱はZ中間グローバル㈱に商号変更され、ヤフー㈱は消滅しました。また、LINEヤフーグループの国内金融事業領域の中間持株会社は、これまでLINE Financial㈱とZフィナンシャル㈱の2社体制でしたが、グループ内再編により、Zフィナンシャル㈱にその機能が集約されました。 下図は、2024年3月31日現在における議決権所有割合を示しています。 (注9) バリューコマース㈱が実施した自己株式の公開買付けに当社子会社であるZホールディングス中間㈱が応募しました。その結果、2024年5月2日付でバリューコマース㈱は当社の子会社に該当しないこととなり、新たに当社の持分法適用関連会社となりました。(注10) 2023年10月1日付で、LINE Financial Plus CorporationはLINE Financial Corporationへ商号変更しています。(注11) 2023年10月1日付で、当社は完全子会社であるHAPSモバイル㈱を吸収合併しました。これに伴い、HAPSモバイル㈱は解散しました。 事業系統図は次の通りです。(2024年3月31日現在) (2) 事業に係る法的規制当社グループのうち、国内において電気通信サービスを提供する会社は電気通信事業に係る登録電気通信事業者および認定電気通信事業者であるため、電気通信事業を行うにあたり、電気通信事業法に基づく法的規制事項があります。また、無線局に係る電気通信設備の設置にあたっては、電波法に基づく免許等を受ける必要があります。事業に係る法的規制の概要は以下の通りです。 a. 電気通信事業法(a) 登録電気通信事業に係る規制ⅰ.電気通信事業の登録(第9条)電気通信事業を営もうとする者は、総務大臣の登録を受けなければならない。ⅱ.登録の拒否(第12条)総務大臣は、第10条第1項(電気通信事業の登録)の申請書を提出した者が次の各号のいずれかに該当するとき、または当該申請書もしくはその添付書類のうちに重要な事項について虚偽の記載があり、もしくは重要な事実の記載が欠けているときは、その登録を拒否しなければならない。(ⅰ) 電気通信事業法、有線電気通信法もしくは電波法またはこれらに相当する外国の法令の規定により罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、またはその執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者。 (ⅱ) 第14条第1項(登録の取消し)の規定により登録の取消しを受け、その取消しの日から2年を経過しない者または電気通信事業法に相当する外国の法令の規定により当該外国において受けている同種類の登録(当該登録に類する許可その他の行政処分を含む。)の取消しを受け、その取消しの日から2年を経過しない者。(ⅲ) 法人または団体であって、その役員のうちに前2号のいずれかに該当する者があるもの。(ⅳ) 外国法人等であって国内における代表者又は国内における代理人を定めていない者。(ⅴ) その電気通信事業が電気通信の健全な発達のために適切でないと認められる者。ⅲ.登録の更新(第12条の2)第9条(電気通信事業の登録)の登録は、第12条の2第1項各号に掲げる事由が生じた場合において、当該事由が生じた日から起算して3箇月以内にその更新を受けなかったときは、その効力を失う。ⅳ.変更登録等(第13条)第9条(電気通信事業の登録)の登録を受けた者は、業務区域または電気通信設備の概要の事項を変更しようとするときは、総務大臣の変更登録を受けなければならない。ただし、総務省令で定める軽微な変更については、この限りでない。ⅴ.登録の取消し(第14条)総務大臣は、第9条(電気通信事業の登録)の登録を受けた者が次の各号のいずれかに該当するときは、同条の登録を取り消すことができる。(ⅰ) 当該第9条の登録を受けた者が電気通信事業法または同法に基づく命令もしくは処分に違反した場合において、公共の利益を阻害すると認めるとき。(ⅱ) 不正の手段により第9条の登録、第12条の2第1項の登録の更新または第13条第1項の変更登録を受けたとき。(ⅲ) 第12条(登録の拒否)第1項第1号から第4号まで(第2号にあっては、電気通信事業法に相当する外国の法令の規定に係る部分に限る。)のいずれかに該当するに至ったとき。ⅵ.承継(第17条)電気通信事業の全部の譲渡しがあったとき、または電気通信事業者について合併、分割(電気通信事業の全部を承継させるものに限る。)があったときは、当該電気通信事業の全部を譲り受けた者または合併後存続する法人もしくは合併により設立した法人、分割により当該電気通信事業の全部を承継した法人は、電気通信事業者の地位を承継し、電気通信事業者の地位を承継した者は、遅滞なく、その旨を総務大臣に届け出なければならない。ⅶ.事業の休止および廃止ならびに法人の解散(第18条)(ⅰ) 電気通信事業者は、電気通信事業の全部または一部を休止し、または廃止したときは、遅滞なく、その旨を総務大臣に届け出なければならない。(ⅱ) 電気通信事業者は、電気通信事業の全部または一部を休止し、または廃止しようとするときは、総務省令で定めるところにより、当該休止または廃止しようとする電気通信事業の利用者に対し、その旨を周知させなければならない。ⅷ.基礎的電気通信役務の契約約款(第19条)基礎的電気通信役務を提供する電気通信事業者は、その提供する基礎的電気通信役務に関する料金その他の提供条件について契約約款を定め、総務省令で定めるところにより、その実施前に、総務大臣に届け出なければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。基礎的電気通信役務を提供する電気通信事業者は、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、契約約款で定める料金その他の提供条件については、届け出た契約約款によらなければ基礎的電気通信役務を提供してはならない。(ⅰ)災害時など総務省令で定める基準に従い、届出契約約款に定める当該基礎的電気通信役務の料金を減免する場合(ⅱ)当該基礎的電気通信役務(第二号基礎的電気通信役務に限る。)の提供の相手方と料金その他の提供条件について別段の合意がある場合 (注) 基礎的電気通信役務とは、国民生活に不可欠であるためあまねく日本全国における提供が確保されるべきサービスとして、電気通信事業法施行規則において指定されています。第一号基礎的電気通信役務としては「アナログ電話の加入者回線」や「公衆電話」等が該当し、第二号基礎的電気通信役務としては「FTTHアクセスサービス」等が指定されています。当社の主たるサービスで該当するものは、第一号基礎的電気通信役務としては「おとくライン」の基本料、第二号基礎的電気通信役務としては「SoftBank光」です。ⅸ.電気通信回線設備との接続(第32条)電気通信事業者は、他の電気通信事業者から当該他の電気通信事業者の電気通信設備をその設置する電気通信回線設備に接続すべき旨の請求を受けたときは、次に掲げる場合を除き、これに応じなければならない。(ⅰ) 電気通信役務の円滑な提供に支障が生ずるおそれがあるとき。(ⅱ) 当該接続が当該電気通信事業者の利益を不当に害するおそれがあるとき。(ⅲ) 前2号に掲げる場合のほか、総務省令で定める正当な理由があるとき。ⅹ.第一種指定電気通信設備との接続(第33条)第一種指定電気通信設備を設置する電気通信事業者は、当該第一種指定電気通信設備と他の電気通信事業者の電気通信設備との接続に関する接続料および接続条件について接続約款を定め、総務大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。(注1) 第一種指定電気通信設備とは、加入者回線およびこれと一体として設置される設備であって、他の電気通信事業者との接続が利用者の利便の向上および電気通信の総合的かつ合理的な発達に欠くことができない電気通信設備をいいます。現在、第一種指定電気通信設備には、東日本電信電話㈱(以下「NTT東日本」)と西日本電信電話㈱(以下「NTT西日本」)が設置するNGN、加入光ファイバー等が指定されています。(注2) 当社は、当連結会計年度末現在、第一種指定電気通信設備を設置する電気通信事業者に該当していません。 ⅺ.外国政府等との協定等の認可(第40条)電気通信事業者は、外国政府または外国人もしくは外国法人との間に、電気通信業務に関する協定または契約であって総務省令で定める重要な事項を内容とするものを締結し、変更し、または廃止しようとするときは、総務大臣の認可を受けなければならない。 (b) 認定電気通信事業に係る規制ⅰ.事業の認定(第117条)電気通信回線設備を設置して電気通信役務を提供する電気通信事業を営む電気通信事業者または当該電気通信事業を営もうとする者は、次節の規定(土地の使用)の適用を受けようとする場合には、申請により、その電気通信事業の全部または一部について、総務大臣の認定を受けることができる。ⅱ.欠格事由(第118条)次の各号のいずれかに該当する者は、前条の認定を受けることができない。(ⅰ) 電気通信事業法または有線電気通信法もしくは電波法またはこれらに相当する外国の法令の規定により罰金以上の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む。)に処せられ、その執行を終わり、またはその執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者。(ⅱ) 第125条(認定の失効)第2号に該当することにより認定がその効力を失い、その効力を失った日から2年を経過しない者または第126条(認定の取消し)第1項の規定により認定の取消しを受け、その取消しの日から2年を経過しない者。(ⅲ) 法人または団体であって、その役員のうちに前2号のいずれかに該当する者があるもの。(ⅳ) 外国法人等であって国内における代表者等又は国内における代理人を定めていない者。ⅲ.変更の認定等(第122条)(ⅰ) 認定電気通信事業者は、業務区域、電気通信設備の概要を変更しようとするときは、総務大臣の認定を受けなければならない。ただし、総務省令で定める軽微な変更については、この限りでない。(ⅱ) 認定電気通信事業者は、前項ただし書の総務省令で定める軽微な変更をしたときは、遅滞なく、その旨を総務大臣に届け出なければならない。ⅳ.承継(第123条)(ⅰ) 認定電気通信事業者たる法人が合併または分割(認定電気通信事業の全部を承継させるものに限る。)をしたときは、合併後存続する法人もしくは合併により設立された法人または分割により当該認定電気通信事業の全部を承継した法人は、総務大臣の認可を受けて認定電気通信事業者の地位を承継することができる。(ⅱ) 認定電気通信事業者が認定電気通信事業の全部の譲渡しをしたときは、当該認定電気通信事業の全部を譲り受けた者は、総務大臣の認可を受けて認定電気通信事業者の地位を承継することができる。ⅴ.事業の休止および廃止(第124条)認定電気通信事業者は、認定電気通信事業の全部または一部を休止し、または廃止したときは、遅滞なく、その旨を総務大臣に届け出なければならない。ⅵ.認定の取消し(第126条)総務大臣は、認定電気通信事業者が次の各号のいずれかに該当するときは、その認定を取り消すことができる。(ⅰ) 第118条(欠格事由)第1号、第3号または第4号に該当するに至ったとき。(ⅱ) 第120条(事業の開始の義務)第1項の規定により指定した期間(同条第3項の規定による延長があったときは、延長後の期間)内に認定電気通信事業を開始しないとき。(ⅲ) 前2号に規定する場合のほか、認定電気通信事業者が電気通信事業法または同法に基づく命令もしくは処分に違反した場合において、公共の利益を阻害すると認めるとき。 (c) 電気通信事業者の禁止行為ⅰ.電気通信事業者の禁止行為(第27条の2)(ⅰ) 電気通信事業者は、次に掲げる行為をしてはならない。(1) 利用者に対し、第26条第1項各号に掲げる電気通信役務の提供に関する契約に関する事項であって、利用者の判断に影響を及ぼすこととなる重要なものにつき、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為(2) 第26条第1項各号に掲げる電気通信役務の提供に関する契約の締結の勧誘に先立って、その相手方(電気通信事業者である者を除く。)に対し、自己の氏名若しくは名称又は当該契約の締結の勧誘である旨を告げずに勧誘する行為(利用者の利益の保護のため支障を生ずるおそれがないものとして総務省令で定めるものを除く。)(3) 第26条第1項各号に掲げる電気通信役務の提供に関する契約の締結の勧誘を受けた者(電気通信事業者である者を除く。)が当該契約を締結しない旨の意思(当該勧誘を引き続き受けることを希望しない旨の意思を含む。)を表示したにもかかわらず、当該勧誘を継続する行為(利用者の利益の保護のため支障を生ずるおそれがないものとして総務省令で定めるものを除く。)(4) 前3号に掲げるもののほか、利用者の利益の保護のため支障を生ずるおそれがあるものとして総務省令で定める行為 (d) 移動電気通信役務を提供する電気通信事業者の禁止行為ⅰ.移動電気通信役務を提供する電気通信事業者の禁止行為(第27条の3)(ⅰ) 総務大臣は、総務省令で定めるところにより、電気通信役務の提供の状況その他の事情を勘案して電気通信事業者間の適正な競争関係を確保する必要があるものとして総務大臣が指定する移動電気通信役務を提供する電気通信事業者を(ⅱ)の規定の適用を受ける電気通信事業者として指定することができる。 (注) 当連結会計年度末現在、電気通信役務の提供の状況その他の事情を勘案して電気通信事業者間の適正な競争関係を確保する必要があるものとして総務大臣が指定する移動電気通信役務として、携帯電話端末サービスおよび無線インターネット専用サービス(一定の電気通信役務を除く。)が指定されています(2019年9月6日号外総務省告示第166号)。(ⅱ) 指定された電気通信事業者は、次に掲げる行為をしてはならない。 (1) その移動電気通信役務の提供を受けるために必要な移動端末設備となる電気通信設備の販売等(販売、賃貸その他これらに類する行為をいう。)に関する契約の締結に際し、当該契約に係る当該移動電気通信役務の利用者に対し、当該移動電気通信役務の料金を当該契約の締結をしない場合におけるものより有利なものとすることその他電気通信事業者間の適正な競争関係を阻害するおそれがある利益の提供として総務省令で定めるものを約し、または第三者に約させること。(2) その移動電気通信役務の提供に関する契約の締結に際し、当該移動電気通信役務の利用者に対し、当該契約の解除を行うことを不当に妨げることにより電気通信事業者間の適正な競争関係を阻害するおそれがあるものとして総務省令で定める当該移動電気通信役務に関する料金その他の提供条件を約し、または届出媒介等業務受託者に約させること。 (e) 第二種指定電気通信設備を設置する電気通信事業者に係る規制 当連結会計年度末現在、当社の有する電気通信設備が第二種指定電気通信設備に指定されており、当社は、第二種指定電気通信設備を設置する電気通信事業者として以下のような規制の適用を受けます。 (注) 第二種指定電気通信設備とは、電気通信事業法第34条第1項に基づき総務大臣が指定する電気通信設備をいいます。ⅰ.第二種指定電気通信設備との接続(第34条)(ⅰ) 第二種指定電気通信設備を設置する電気通信事業者は、当該第二種指定電気通信設備と他の電気通信事業者の電気通信設備との接続に関し、当該第二種指定電気通信設備を設置する電気通信事業者が取得すべき金額および接続条件について接続約款を定め、総務省令で定めるところにより、その実施前に、総務大臣に届け出なければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。(ⅱ) 総務大臣は、届け出た接続約款が次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、当該第二種指定電気通信設備を設置する電気通信事業者に対し、相当の期限を定め、当該接続約款を変更すべきことを命ずることができる。(1) 次に掲げる事項が適正かつ明確に定められていないとき。a.他の電気通信事業者の電気通信設備を接続することが技術的および経済的に可能な接続箇 所のうち標準的なものとして総務省令で定める箇所における技術的条件b.総務省令で定める機能ごとの第二種指定電気通信設備を設置する電気通信事業者が取得す べき金額c.第二種指定電気通信設備を設置する電気通信事業者およびこれとその電気通信設備を接続 する他の電気通信事業者の責任に関する事項d.電気通信役務に関する料金を定める電気通信事業者の別e.a.からd.までに掲げるもののほか、第二種指定電気通信設備との接続を円滑に行うために 必要なものとして総務省令で定める事項(2) 第二種指定電気通信設備を設置する電気通信事業者が取得すべき金額が能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものを算定するものとして総務省令で定める方法により算定された金額を超えるものであるとき。(3) 接続条件が、第二種指定電気通信設備を設置する電気通信事業者がその第二種指定電気通信設備に自己の電気通信設備を接続することとした場合の条件に比して不利なものであるとき。(4) 特定の電気通信事業者に対し不当な差別的な取扱いをするものであるとき。(ⅲ) 第二種指定電気通信設備を設置する電気通信事業者は、届け出た接続約款によらなければ、他の電気通信事業者との間において、第二種指定電気通信設備との接続に関する協定を締結し、または変更してはならない。(ⅳ) 第二種指定電気通信設備を設置する電気通信事業者は、総務省令で定めるところにより、届け出た接続約款を公表しなければならない。(ⅴ) 第二種指定電気通信設備を設置する電気通信事業者は、総務省令で定めるところにより、第二種指定電気通信設備との接続に関する会計を整理し、およびこれに基づき当該接続に関する収支の状況その他総務省令で定める事項を公表しなければならない。(ⅵ) 第二種指定電気通信設備を設置する電気通信事業者は、他の電気通信事業者がその電気通信設備と第二種指定電気通信設備との接続を円滑に行うために必要な情報の提供に努めなければならない。ⅱ.第二種指定電気通信設備を用いる卸電気通信役務の提供(第38条の2)(ⅰ) 第一種指定電気通信設備又は第二種指定電気通信設備を設置する電気通信事業者は、当該第一種指定電気通信設備又は第二種指定電気通信設備を用いる卸電気通信役務の提供の業務を開始したときは、総務省令で定めるところにより、遅滞なく、その旨、総務省令で定める区分ごとの卸電気通信役務の種類その他総務省令で定める事項を総務大臣に届け出なければならない。届け出た事項を変更し、又は当該業務を廃止したときも、同様とする。(ⅱ) 特定卸電気通信役務(第一種指定電気通信設備又は第二種指定電気通信設備を用いる卸電気通信役務のうち、電気通信事業者間の適正な競争関係に及ぼす影響が少ないものとして総務省令で定めるもの以外のものをいう。以下同じ。)を提供する電気通信事業者は、正当な理由がなければ、その業務区域における当該特定卸電気通信役務の提供を拒んではならない。(ⅲ) 特定卸電気通信役務を提供する電気通信事業者は、当該特定卸電気通信役務の提供に関する契約の締結の申入れを受けた場合において、当該特定卸電気通信役務に関し、当該申入れをした電気通信事業者の負担すべき金額その他の提供の条件について提示をする時までに、当該申入れをした電気通信事業者から、当該提示と併せて当該金額の算定方法その他特定卸電気通信役務の提供に関する契約の締結に関する協議の円滑化に資する事項として総務省令で定める事項を提示するよう求められたときは、正当な理由がなければ、これを拒んではならない。(ⅳ) 総務大臣は、特定卸電気通信役務を提供する電気通信事業者が前項の規定に違反したときは、当該電気通信事業者に対し、公共の利益を確保するために必要な限度において、業務の方法の改善その他の措置をとるべきことを命ずることができる。 b. 電波法ⅰ.無線局の開設(第4条)無線局を開設しようとする者は、総務大臣の免許を受けなければならない。ⅱ.欠格事由(第5条第3項)次の各号のいずれかに該当する者には、無線局の免許を与えないことができる。(ⅰ) 電波法または放送法に規定する罪を犯し罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、またはその執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者。(ⅱ) 無線局の免許の取消しを受け、その取消しの日から2年を経過しない者。(ⅲ) 特定基地局の開設計画に係る認定の取消しを受け、その取消しの日から2年を経過しない者。(ⅳ) 無線局の登録の取消しを受け、その取消しの日から2年を経過しない者。ⅲ.免許の申請(第6条)(ⅰ) 無線局の免許を受けようとする者は、申請書に、次に掲げる事項を記載した書類を添えて、総務大臣に提出しなければならない。(1) 目的(2) 開設を必要とする理由(3) 通信の相手方および通信事項(4) 無線設備の設置場所(5) 電波の型式ならびに希望する周波数の範囲および空中線電力(6) 希望する運用許容時間(7) 無線設備の工事設計および工事落成の予定期日(8) 運用開始の予定期日(9) 他の無線局の免許人等との間で混信その他の妨害を防止するために必要な措置に関する契約を締結しているときは、その契約の内容(ⅱ) 次に掲げる無線局であって総務大臣が公示する周波数を使用するものの免許の申請は、総務大臣が公示する期間内に行わなければならない。(第6条第8項)(1) 電気通信業務を行うことを目的として陸上に開設する移動する無線局(1または2以上の都道府県の区域の全部を含む区域をその移動範囲とするものに限る。)。(2) 電気通信業務を行うことを目的として陸上に開設する移動しない無線局であって、前号に掲げる無線局を通信の相手方とするもの。(3) 電気通信業務を行うことを目的として開設する人工衛星局。ⅳ.免許の有効期間(第13条)免許の有効期間は、免許の日から起算して5年を超えない範囲内において総務省令で定める。ただし、再免許を妨げない。ⅴ.変更等の許可(第17条)免許人は、無線局の目的、通信の相手方、通信事項、無線設備の設置場所を変更し、または無線設備の変更の工事をしようとするときは、あらかじめ総務大臣の許可を受けなければならない。ⅵ.免許の承継(第20条)(ⅰ) 免許人たる法人が合併または分割(無線局をその用に供する事業の全部を承継させるものに限る。)をしたときは、合併後存続する法人もしくは合併により設立された法人または分割により当該事業の全部を承継した法人は、総務大臣の許可を受けて免許人の地位を承継することができる。(ⅱ) 免許人が無線局をその用に供する事業の全部の譲渡しをしたときは、譲受人は、総務大臣の許可を受けて免許人の地位を承継することができる。ⅶ.無線局の廃止(第22条)免許人は、その無線局を廃止するときは、その旨を総務大臣に届け出なければならない。ⅷ.検査等事業者の登録(第24条の2)無線設備等の検査または点検の事業を行う者は、総務大臣の登録を受けることができる。ⅸ.登録の取消し等(第24条の10)総務大臣は、登録検査等事業者が次の各号のいずれかに該当するときは、その登録を取り消し、または期間を定めてその登録に係る検査または点検の業務の全部もしくは一部の停止を命ずることができる。(ⅰ) 電波法に規定する罪を犯し、罰金以上の刑に処せられることに至ったとき(第24条の2第5項各号(第2号を除く。))。(ⅱ) 登録検査等事業者の氏名、住所等の変更(第24条の5第1項)または登録検査等事業者の地位継承の届出(第24条の6第2項)の規定に違反したとき。(ⅲ) 総務大臣による適合命令(第24条の7第1項または第2項)に違反したとき。(ⅳ) 工事落成後の検査(第10条第1項)、無線局の変更検査(第18条第1項)もしくは定期検査(第73条第1項)を受けた者に対し、その登録に係る点検の結果を偽って通知したことまたは第73条第3項に規定する証明書に虚偽の記載をしたことが判明したとき。(ⅴ) その登録に係る業務の実施の方法によらないでその登録に係る検査または点検の業務を行ったとき。(ⅵ) 不正な手段により第24条の2第1項の登録(検査等事業者の登録)またはその更新を受けたとき。ⅹ.特定基地局の開設指針(第27条の12)(ⅰ) 総務大臣は、既に開設されている電気通信業務用基地局(以下「既設電気通信業務用基地局」という。)が現に使用している周波数を使用する電気通信業務用基地局については、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定めるものに限り、特定基地局とすることができる。(1) 電波法第26条の3第4項の規定により有効利用評価の結果の報告を受けた場合において、既設電気通信業務用基地局(電波法第27条の15第3項に規定する認定計画に従って開設されているものであって、当該認定計画に係る認定の有効期間が満了していないものを除く。)が現に使用している周波数に係る当該結果が総務省令で定める基準を満たしていないと認めるとき(2) 申出に係る開設指針を定める必要がある旨を決定したとき(3) 電波に関する技術の発達、需要の動向その他の事情を勘案して、既設電気通信業務用基地局が現に使用している周波数の再編を行い、当該周波数の再編により新たに区分された周波数を使用する電気通信業務用基地局の開設を図ることが電波の公平かつ能率的な利用を確保するために必要であると認めるときⅺ.開設指針の制定の申出(第27条の13)既設電気通信業務用基地局が現に使用している周波数を使用する電気通信業務用基地局を特定基地局として開設することを希望する者(当該既設電気通信業務用基地局の免許人を除く。)は、総務省令で定めるところにより、当該特定基地局の開設指針について、制定すべきことを総務大臣に申し出ることができる。ⅻ.開設計画の認定(第27条の14)特定基地局を開設しようとする者は、通信系(通信の相手方を同じくする同一の者によって開設される特定基地局の総体をいう。)ごとに、特定基地局の開設に関する計画(以下「開設計画」)を作成し、これを総務大臣に提出して、その開設計画が適当である旨の認定を受けることができる。xⅲ.認定の取消し等(第27条の16)(ⅰ) 総務大臣は、認定開設者が次の各号のいずれかに該当するときは、その認定を取り消さなければならない。(1) 電気通信業務を行うことを目的とする特定基地局に係る認定開設者が電気通信事業法第14条第1項の規定により同法第9条の登録を取り消されたとき。(ⅱ) 総務大臣は、認定開設者が次に該当するときは、その認定を取り消すことができる。 (1) 正当な理由がないのに、認定計画に係る特定基地局を当該認定計画にしたがって開設せず、または認定計画に係る既に開設されている特定基地局であって、その無線設備に電波の有効利用に資すると認められる機能を付与した基地局を当該認定計画に従って運用していないと認めるとき。(2) 正当な理由がないのに、認定計画に係る開設指針に定める納付の期限までに第27条の13の規定による認定を受けた者が納付すべき金銭を納付していないとき。(3) 不正な手段により開設計画の認定を受け、または周波数指定の変更を行わせたとき。(4) 認定開設者が電波法に規定する罪を犯し、罰金以上の刑に処せられることに至ったとき。(5) 電気通信業務を行うことを目的とする特定基地局に係る認定開設者が次のいずれかに該当するとき。a.電気通信事業法第12条第1項の規定により同法第9条の登録を拒否されたときb.電気通信事業法第12条の2第1項の規定により同法第9条の登録がその効力を失ったときc.電気通信事業法第13条第4項において準用する同法第12条第1項の規定により同法第13条第1項の変更登録を拒否されたとき(当該変更登録が認定計画に係る特定基地局に関する事項の変更に係るものである場合に限る。)xⅳ.無線局の免許の取消し等(第75条)(ⅰ) 総務大臣は、免許人等が電波法、放送法もしくはこれらの法律に基づく命令またはこれらに基づく処分に違反したときは、3箇月以内の期間を定めて無線局の運用の停止を命じ、または期間を定めて運用許容時間、周波数もしくは空中線電力を制限することができる。(ⅱ) 総務大臣は、包括免許人または包括登録人が電波法、放送法もしくはこれらの法律に基づく命令またはこれらに基づく処分に違反したときは、3箇月以内の期間を定めて、包括免許または第27条の29第1項の規定による登録に係る無線局の新たな開設を禁止することができる。(ⅲ) 総務大臣は、(ⅰ)および(ⅱ)の規定によるほか、登録人が電波法第3章に定める技術基準に適合しない無線設備を使用することにより他の登録局の運用に悪影響を及ぼすおそれがあるとき、その他登録局の運用が適正を欠くため電波の能率的な利用を阻害するおそれが著しいときは、3箇月以内の期間を定めて、その登録に係る無線局の運用の停止を命じ、運用許容時間、周波数もしくは空中線電力を制限し、または新たな開設を禁止することができる。(ⅳ) 総務大臣は、免許人(包括免許人を除く。)が次の各号のいずれかに該当するときは、その免許を取り消すことができる。(1) 正当な理由がないのに、無線局の運用を引き続き6箇月以上休止したとき。(2) 不正な手段により無線局の免許もしくは変更の許可(第17条)を受け、または周波数の指定の変更(第19条)を行わせたとき。(3) 第76条第1項の規定による命令または制限に従わないとき。(4) 免許人が電波法に規定する罪を犯し、罰金以上の刑に処されるに至ったとき。(ⅴ) 総務大臣は、包括免許人が次の各号のいずれかに該当するときは、その包括免許を取り消すことができる。(1) 第27条の5第1項第4号の期限(第27条の6第1項の規定による期限の延長があったときは、その期限)までに特定無線局の運用を全く開始しないとき。(2) 正当な理由がないのに、その包括免許に係るすべての特定無線局の運用を引き続き6箇月以上休止したとき。(3) 不正な手段により包括免許もしくは第27条の8第1項の許可を受け、または第27条の9の規定による指定の変更を行わせたとき。(4) (ⅰ)の規定による命令もしくは制限または(ⅱ)の規定による禁止に従わないとき。(5) 免許人が電波法に規定する罪を犯し、罰金以上の刑に処されるに至ったとき。(ⅵ) 総務大臣は、(ⅳ)および(ⅴ)の規定によるほか、電気通信業務を行うことを目的とする無線局の免許人等が次の各号のいずれかに該当するときは、その免許等を取り消すことができる。(1) 電気通信事業法第12条第1項の規定により同法第9条の登録を拒否されたとき。(2) 電気通信事業法第13条第4項において準用する同法第12条第1項の規定により同法第13条第1項の変更登録を拒否されたとき(当該変更登録が無線局に関する事項の変更に係るものである場合に限る。)。(3) 電気通信事業法第15条の規定により同法第9条の登録を抹消されたとき。(ⅶ) 総務大臣は、(ⅳ)((4)を除く。)および(ⅴ)((5)を除く。)の規定により免許の取消しをしたときは、当該免許人等であった者が受けている他の無線局の免許等または第27条の14第1項の開設計画の認定を取り消すことができる。 (3) その他ⅰ.NTT東日本およびNTT西日本と、当社をはじめとする他の電気通信事業者との接続条件等の改善については、公正競争条件を整備し利用者の利便性向上に資する観点から、電気通信事業法(1997年法律第97号、1997年11月17日改正施行)により、NTT東日本およびNTT西日本は指定電気通信設備を設置する第一種指定電気通信事業者として接続料金および接続条件を定めた接続約款の認可を受けることが必要とされています。また、㈱NTTドコモ、KDDI㈱、沖縄セルラー電話㈱、Wireless City Planning㈱、UQコミュニケーションズ㈱および当社は、接続約款を届け出る義務等を負う第二種指定電気通信設備を設置する電気通信事業者に指定されています。ⅱ.NTT東日本とNTT西日本の第一種指定電気通信設備と接続する際の接続料は、電気通信事業法第33条に基づく「接続料規則」に拠って算定されています。 |
関係会社の状況 | 4 【関係会社の状況】 名称住所資本金又は出資金主要な事業の内容議決権の所有又は被所有割合(%)関係内容(親会社) ソフトバンクグループ㈱(注4)、(注5)東京都港区238,772百万円持株会社 被所有 40.7(40.7)役員の兼任 3名ソフトバンクグループジャパン㈱(注5)東京都港区188,798百万円持株会社 被所有40.5役員の兼任 2名(子会社) Wireless City Planning㈱(注6)東京都港区110百万円コンシューマ事業エンタープライズ事業31.8役員の兼任 1名当社はAXGP卸サービス(パケット通信による電気通信サービス)の提供を受けている。SBパワー㈱東京都港区3,000百万円コンシューマ事業100.0役員の兼任 1名SBモバイルサービス㈱東京都港区10百万円コンシューマ事業100.0―Cubic Telecom Ltd.アイルランド共和国ダブリン市240千ユーロエンタープライズ事業54.3―㈱イーエムネットジャパン(注4)(注6)東京都新宿区328百万円エンタープライズ事業41.2―SBエンジニアリング㈱東京都江東区100百万円エンタープライズ事業100.0役員の兼任 1名当社から借入を行っている。㈱IDCフロンティア東京都千代田区100百万円エンタープライズ事業100.0当社から借入を行っている。SB C&S㈱東京都港区500百万円ディストリビューション事業100.0役員の兼任 1名当社から借入を行っている。Aホールディングス㈱(注3)(注6)東京都港区100百万円メディア・EC事業50.0役員の兼任 3名LINEヤフー㈱(注3)(注4)(注7)東京都千代田区248,144百万円メディア・EC事業64.4(64.4)―アスクル㈱(注4)(注6)東京都江東区21,234百万円メディア・EC事業45.0(45.0)―バリューコマース㈱(注4)(注8)東京都千代田区1,728百万円メディア・EC事業51.9(51.9)―㈱ZOZO(注4)千葉市稲毛区1,360百万円メディア・EC事業51.5(51.5)―㈱一休東京都千代田区400百万円メディア・EC事業100.0(100.0)―PayPay銀行㈱(注3)(注6)東京都新宿区72,217百万円メディア・EC事業46.6(46.6)―Z中間グローバル㈱(注3)(注7)東京都新宿区1百万円メディア・EC事業100.0(100.0)―LINE SOUTHEAST ASIA CORP.PTE.LTD.(注3)シンガポール220,500千米ドルメディア・EC事業100.0(100.0)―LINE Financial Corporation(注3)(注9)大韓民国京畿道城南市244,638百万ウォンメディア・EC事業100.0(100.0)―LINE Pay㈱(注3)東京都品川区21,535百万円メディア・EC事業100.0(100.0)―LINE Plus Corporation大韓民国京畿道城南市25,032百万ウォンメディア・EC事業100.0(100.0)―PayPay㈱(注3)東京都港区94,180百万円ファイナンス事業69.8(63.9)役員の兼任 2名 名称住所資本金又は出資金主要な事業の内容議決権の所有又は被所有割合(%)関係内容PayPay証券㈱東京都千代田区100百万円ファイナンス事業66.0(35.4)―PayPayカード㈱東京都千代田区100百万円ファイナンス事業100.0(100.0)―SBペイメントサービス㈱東京都港区6,075百万円ファイナンス事業100.0役員の兼任 1名当社へ貸付を行っている。アイティメディア㈱(注4)東京都千代田区1,883百万円IT総合情報サイト「ITmedia」の運営53.4(53.4)―SBテクノロジー㈱(注4)東京都新宿区1,270百万円クラウドサービス、セキュリティ運用監視サービス、IoTソリューションの提供54.0―サイバートラスト㈱(注4)東京都港区820百万円IoT事業、認証・セキュリティ事業、Linux/OSS事業57.6(57.6)―その他212社 (関連会社および共同支配企業) C Channel㈱(注4)東京都港区10百万円メディア事業、eコマース事業、海外事業29.0役員の兼任 1名㈱ジーニー(注4)東京都新宿区1,553百万円マーケティングテクノロジー事業31.3―㈱出前館(注4)東京都渋谷区100百万円インターネットサイト「出前館」の運営、およびそれに関わる事業36.8(36.8)―LINE Bank Taiwan Limited台湾台北市15,000百万台湾ドル台湾の銀行サービス運営49.9(49.9)―Webtoon Entertainment Inc.米国カリフォルニア州32千米ドルモバイルコンテンツサービスの運営28.7(28.7)―DiDiモビリティジャパン㈱東京都港区100百万円「DiDi」の日本市場での提供およびそれに付帯する事業50.0―WeWork Japan合同会社東京都港区6百万円コワーキングスペースの提供25.0役員の兼任 1名MONET Technologies㈱東京都千代田区2,500百万円オンデマンドモビリティサービス、データ解析サービス、Autono-MaaS事業37.3役員の兼任 1名その他69社 (注1) 「主要な事業の内容」欄には、報告セグメントに属している子会社についてはセグメント情報に記載された名称を記載しています。また、親会社、その他の事業に属している子会社、関連会社および共同支配企業については事業の内容を記載しています。(注2) 「議決権の所有又は被所有割合」欄の(内書)は間接所有割合又は間接被所有割合です。また、合同会社については、「議決権の所有又は被所有割合」欄に当社の出資割合を記載しています。(注3) 特定子会社に該当します。(注4) 発行者情報または有価証券報告書の提出会社です。(注5) ソフトバンクグループ㈱はソフトバンクグループジャパン㈱の議決権を100%所有しています。(注6) 議決権の所有割合は100分の50以下ですが、当社が支配していると判断し、子会社としました。(注7) 2023年10月1日にZホールディングス㈱ならびにLINE㈱およびヤフー㈱を中心としたグループ内再編を実施し、Zホールディングス㈱からLINEヤフー㈱に、LINE㈱からZ中間グローバル㈱に商号変更しています。(注8) バリューコマース㈱は、2024年3月11日開催の同社取締役会において自己株式の公開買付け(以下、本公開買付け)を行うことを決議しています。2024年5月2日に本公開買付けの決済が完了したことに伴い、同社を子会社から関連会社に変更しています。詳細は「注記13.売却目的保有に分類された処分グループ」をご参照ください。(注9) LINE Financial Corporationは、2023年10月1日にLINE Financial Plus Corporationから商号変更しています。 |
従業員の状況 | 5 【従業員の状況】 (1) 連結会社の状況2024年3月31日現在セグメントの名称従業員数(名)コンシューマ7,359(6,725)エンタープライズ7,277(2,100)ディストリビューション2,364(479)メディア・EC24,613(11,896)ファイナンス4,053(599)その他3,005(1,494)全社(共通)6,729(648)合計55,400(23,941) (注1) 従業員数は、当社グループから当社グループ外への出向者を除き、当社グループ外から当社グループへの出向者を含む就業人員数です。(注2) 従業員数欄の(外書)は、臨時従業員の年間平均雇用人員です。(注3) 全社(共通)は、当社の技術部門および管理部門の従業員です。 (2) 提出会社の状況2024年3月31日現在従業員数(名)平均年齢(歳)平均勤続年数(年)平均年間給与(千円)18,88941.314.18,105(4,695) セグメントの名称従業員数(名)コンシューマ6,237(2,854)エンタープライズ5,923(1,193)全社(共通)6,729(648)合計18,889(4,695) (注1) 従業員数は、当社から他社への出向者を除き、他社から当社への出向者を含む就業人員数です。(注2) 従業員数欄の(外書)は、臨時従業員の年間平均雇用人員です。(注3) 平均年間給与は、賞与および基準外賃金を含んでいます。また、休職者・休業者は含みません。(注4) 全社(共通)は、当社の技術部門および管理部門の従業員です。 (3) 労働組合の状況当社の労働組合には、ソフトバンク労働組合および国鉄労働組合があります。また、連結子会社の一部に労働組合が結成されています。労使関係は良好であり、特記する事項はありません。 (4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異の状況当事業年度の多様性に関する指標は、以下のとおりです。 提出会社管理職に占める女性労働者の割合(%)(注1)、(注2)男性労働者の 育児休業取得率(%)労働者の男女の賃金の差異(%) (注1)、(注3)全労働者うち正規うちパート・有期ソフトバンク㈱9.2総合職:71.2(注1)76.176.883.1一般職:76.1契約社員等:0.0アルバイト等:19.5 (注1) 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出した実績を記載しています。(注2) 2024年4月1日時点の実績です。(注3) 男女で同一の給与体系を適用していますが、現状等級構成などに起因して報酬総額に男女差が発生しています。これらの状況も踏まえ、女性の活躍推進の各種取り組みを進めています。 連結子会社管理職に占める女性労働者の割合(%)(注1)男性労働者の 育児休業取得率(%)労働者の男女の賃金の差異(%) (注1)全労働者うち正規うちパート・有期SBモバイルサービス㈱25.0 正社員:50.0 (注1)61.1 82.2 78.7 非正規社員:75.0 テレニシ㈱(注5)16.7 --83.3 83.9 42.0 ㈱イーエムネットジャパン(注6)39.1 0.0 (注2)84.6 84.0 *(注4)SBエンジニアリング㈱(注5)9.6 --70.5 |
経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 | 1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものです。 (1) 経営理念当社グループは、「情報革命で人々を幸せに」という経営理念のもと、創業以来一貫して情報革命を通じた人類と社会への貢献を推進してきました。情報・テクノロジー領域においてさまざまな事業に取り組み、「世界の人々から最も必要とされる企業グループ」を目指し、企業価値の最大化に取り組んでいます。 (2) マテリアリティ(重要課題)上記の経営理念に基づき、社会インフラを提供する当社グループは、本業を通じて、さまざまな社会課題の解決に貢献すべく、「すべてのモノ・情報・心がつながる世の中」の実現を通じて、持続可能な社会の維持に貢献し、中長期的な企業価値向上を達成すべく、当社グループが優先的に取り組むべき課題として、6つのマテリアリティ(重要課題)を特定しています。各マテリアリティ(重要課題)の概要については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2) サステナビリティ全般 c.戦略及び指標と目標 ⅱ.マテリアリティ(重要課題)」をご参照ください。 (3) 経営方針a. 経営環境2023年度の経営環境は、地政学リスクの高まりやインフレによる先行き不透明感が継続した一方でコロナ禍からの経済活動正常化やインバウンド需要の回復などにより緩やかな回復傾向にありました。一方、テレワークやオンラインショッピング、非接触型決済の利用拡大など、コロナ禍をきっかけとした人々の生活様式の変化や深刻化する人手不足に対応するため、企業や行政のデジタル化は必要不可欠となりました。デジタル化は、生産性向上やイノベーションの創発を促すことで今後の日本の社会を変革していく原動力となっています。加えて、文章・画像・プログラムコードなどさまざまなコンテンツを生成することができる生成AIにより、この変革のスピードは加速すると考えています。 b. 中期経営計画(2023年度〜2025年度)当社は長期的に「デジタル化社会の発展に不可欠な次世代社会インフラを提供する企業」を目指します。これは、AIの加速度的な進化により急増すると予見されるデータ処理や電力の需要に対応できる構造を持ったインフラを構築し、未来の多様なデジタルサービスを支える不可欠な存在となることを意図しています。当社は、この実現のために必要となるテクノロジーを特定し、これまで様々な準備を行ってきました。2023年度から2025年度における中期経営計画では、この実現に向けた事業基盤の再構築を目指します。 c. 事業戦略当社グループの掲げる成長戦略「Beyond Carrier」は、コアビジネスである通信事業の持続的な成長を図りながら、通信キャリアの枠を超え、情報・テクノロジー領域のさまざまな分野で積極的にグループの事業を拡大することで、企業価値の最大化を目指すものです。また、通信事業とそれらのグループ事業との連携を強化することで、通信事業の競争力を強化するとともに、グループ事業のサービス利用者数の拡大やユーザーエンゲージメントの向上といったシナジーを創出することを推進しています。 (a) 通信事業のさらなる成長当社グループのビジネスの基盤となる通信事業では、5Gの展開やスマートフォン・ブロードバンドの契約数の拡大、モバイルサービスにおけるARPU(1契約当たりの月間平均収入)の向上を図ることで、さらなる成長を目指します。 ⅰ.スマートフォン契約数・ブロードバンド契約数の拡大当社グループは特長の異なる3つのモバイルブランドを展開することで、大容量ユーザーから節約志向まで、幅広いユーザーのニーズに応えています。引き続き、総合インターネットサービス「Yahoo! JAPAN」の各種サービスやコミュニケーションアプリ「LINE」、キャッシュレス決済サービス「PayPay」といった、当社グループが提供するさまざまなサービスとの連携を強化することで、スマートフォン契約数の着実な拡大を図ります。また、「SoftBank 光」を中心とする家庭向け高速インターネットサービスについても、販売の拡大に注力します。 ⅱ.モバイルサービスにおけるARPUの向上当社グループはモバイルサービスにおいて、セキュリティや端末保証、エンターテインメント、店舗でのサポートなどの領域で、ユーザーにとって魅力的な付加価値サービスを拡充することにより、ARPUの向上を図ります。 ⅲ.5Gの展開当社グループが2020年3月に商用サービスの提供を開始した5Gは、人口カバー率95%を超え、その後もエリアを拡大しています。これまでは主に、ノンスタンドアローン方式と呼ばれる5Gサービスで、超高速・大容量の通信を実現していました。これに引き続き、スタンドアローン方式と呼ばれる5Gサービスの高度化を順次進めることにより、超高速・大容量、超低遅延、多数同時接続の通信を実現し、これらの特長を生かした5Gサービスの提供を目指しています。一方、設備投資については、既存の基地局サイトを最大限に活用するほか、他社との協業、通信設備の効率化などのさまざまな工夫を行うことで、コスト効率化を図ります。 (b) エンタープライズ事業におけるDX/ソリューションビジネスの拡大当社グループは、法人顧客向けに通信サービスを提供することに加えて、急速に拡大する企業のデジタル化ニーズに応えたDX/ソリューション商材の販売に注力し、新規顧客の獲得および顧客1社当たりの取引額拡大を目指します。また、従業員のリスキルや採用活動を通じてデジタル人材を確保し、企業の抱える課題を解決する高付加価値なソリューションの提案を行います。さらに最先端テクノロジーの知見を駆使し、社会課題の解決に繋がる新事業の創出を目指します。また、M&Aを通じた事業領域の拡大にも取り組んでいます。2024年3月に子会社化したCubic Telecom Ltd.のIoTソリューションを主要な自動車メーカー等に拡販し、急成長するコネクテッドカーおよびSDCV(Software Defined Connected Vehicle)に関連するグローバルビジネスをリードしていきます。 (c) メディア・EC事業の成長当社グループはメディア・EC事業において、総合インターネットサービス「Yahoo! JAPAN」やコミュニケーションアプリ「LINE」など、日本最大級のユーザー基盤を有するインターネットサービスを提供しています。同事業では、検索やニュース、オンラインショッピングなど、多様なサービスを展開しています。 ⅰ.メディア領域の拡大インターネット広告などを扱うメディア領域では、グループの技術やアセットを活用した配信精度の向上などにより広告単価を高めることで、既存広告の売上の最大化を図ります。加えて、データの連携によるマーケティング分析の強化やコミュニケーションアプリを通じたリピート購入の促進により、新規顧客の獲得から継続的な利用の促進まで一貫したマーケティング支援を行うことで、さらなる売上成長を目指します。 ⅱ.コマース領域の成長オンラインショッピングなどを扱うコマース領域では、ユーザーのニーズが多様化する中、「Yahoo!ショッピング」や「ZOZOTOWN」など、特長の異なる複数のコマースサービスを展開することで幅広いユーザーの取り込みを図っています。今後は、「LINE」「Yahoo! JAPAN」「PayPay」という国内最大級のユーザー基盤を持つグループサービスの相互利用をさらに促進し、グループ経済圏を拡大することで、収益の持続的な成長を目指します。 ⅲ.セキュリティガバナンスの改善メディア・EC事業の中心的な企業であるLINEヤフー㈱は、2023年11月に公表した不正アクセスによる情報漏洩に関して、2024年3月および4月に総務省から行政指導を、同年3月に個人情報保護委員会から勧告および報告等の求めを受けました。同社では、今回の行政指導および勧告・指導を真摯に受け止め、安全管理措置および委託先管理の抜本的な見直しや対策の強化、セキュリティガバナンスの本質的な見直しや強化を進めるとともに、再発防止策を順次実施していきます。当社は、同社の親会社として、実効的なセキュリティガバナンス確保の方策を検討していきます。 (d) ファイナンス事業の成長2022年度第3四半期より新設したファイナンス事業には、PayPay㈱とPayPayカード㈱に加えて、決済代行サービスを提供するSBペイメントサービス㈱やスマートフォン専業の証券サービスを提供するPayPay証券㈱などが含まれます。 ⅰ.「PayPay」のさらなる成長と周辺金融サービスの成長促進グループシナジーで「PayPay」のさらなる成長を図るとともに、「PayPay」の決済プラットフォームとしての強みを生かし周辺金融サービスの成長を促進することにより、当社グループのファイナンス事業の拡大を目指します。 ⅱ.決済代行サービスの決済取扱高の最大化SBペイメントサービス㈱が提供する決済代行サービスにおいては、当社の通信料金などの決済以外の領域(非通信領域)における決済機会を積極的に取り込み、決済取扱高の最大化を図ります。 (e) 新規事業の創出・拡大当社グループが有する通信、eコマース、決済、SNSといった異なる複数の分野における数千万人規模のユーザー基盤を強みに、AI、FinTech、モビリティ、ヘルスケア、再生可能エネルギーなどの領域で、最先端テクノロジーを活用した革新的な新規事業の創出・拡大を目指します。 当社では特に、日本語に特化した大規模言語モデル(LLM)の研究開発と周辺サービスの開発に注力し、新規事業の創出・拡大を目指しています。 (f) コスト効率化当社グループは、事業投資を機動的に実施する一方で、コストの効率化に継続的に取り組みます。例えば、コールセンター業務やネットワーク運用・監視業務等を、AIを活用して自動化することに取り組み、さらなる効率化を図ります。また、PHS・3GサービスやADSLサービスの終了などに合わせ、通信設備の最適化を実施します。加えて、グループ企業との共同購買や、グループ企業を活用した業務の内製化などを推進し、グループ全体のコスト効率化を図ります。 d. 財務戦略当社グループは、調整後フリー・キャッシュ・フロー (注)を重要な経営指標と考えています。高い株主還元を維持しながら、成長への投資を実施していくため、今後も安定的な調整後フリー・キャッシュ・フローの創出を図ります。また、健全な財務体質を維持しつつ、適切な財務レバレッジを伴った資本効率の高い経営を行っていきます。 (注) 調整後フリー・キャッシュ・フローの算定方法は、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (4) <財務指標に関する説明>IFRSに基づかない指標」をご参照ください。 |
サステナビリティに関する考え方及び取組 | 2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】 (1) 当社の考えるサステナビリティ経営理念の「情報革命で人々を幸せに」を具現化するとともに、「世界に最も必要とされる会社」の当社ビジョン実現に向けて、持続可能な社会づくりへの貢献と当社の持続的な成長の両立を目指していくことであると考えています。現在だけでなく、中長期的な外部環境や事業環境の変化を踏まえ、当社の事業活動および企業活動を通じて、経済・社会・環境の価値を向上させることにより、さまざまなステークホルダーと新たな価値共創の実践を図り、持続可能な社会への貢献と当社の持続可能な成長を通じた企業価値の向上を目指します。 ・サステナビリティに関するスタンスお客さま、株主、取引先、従業員をはじめとするステークホルダーの皆さまからの信頼とご支持を、持続的な成長への礎とするため、サステナビリティを支える指針として「サステナビリティ基本方針」を定めています。 サステナビリティ基本方針当社は、すべてのモノ・情報・心がつながる持続可能な社会の実現に向け、企業活動や事業を通じて、さまざまな社会課題の解決に取り組んでいきます。 ・お客さま本位の企業活動を通じて「驚き」と「安心」と「うれしい」を提供します。・株主の期待に沿えるよう、成長への挑戦を忘れず、透明で公正な情報開示をします。・従業員のやりがいと誇り、個性がいかされ、平等で多様性に富んだ環境を大切にします。・取引先との相互の信頼と公正な取引関係(腐敗・汚職の防止等)を築きます。・情報化社会の推進、次世代育成、多様な社会への対応、環境・資源・生物多様性保護への対応、災害対策・復興支援など、幸せな未来の社会づくりに貢献します。 (2) サステナビリティ全般a.ガバナンス-サステナビリティ推進体制当社は、サステナビリティ基本方針を制定するとともに、成長戦略とサステナビリティを統合して推進するためにガバナンス体制を構築しています。取締役会では、気候変動や人的資本を含むサステナビリティに関する重要事項を審議・決議し、最高意思決定機関として、サステナビリティ推進状況を監督する体制を整えています。さらに、取締役会の諮問機関としてESG推進委員会(委員長:宮川潤一)を設置しています。ESG推進委員会では、社内のサステナビリティに関連する情報・活動についてESGを中心に当社が取り組むべき社会課題の調査や、活動計画の策定などを年4回以上行っています。また、取締役会に対して活動内容を報告し、当社の経営にサステナビリティの視点・意識を反映しています。 -サステナビリティ執行体制代表取締役 社長執行役員 兼 CEOの宮川潤一がESG推進の最高責任者として、当社グループ全体のサステナビリティ対応の責任を担います。ESG推進室は、当社グループのサステナビリティ活動の中心となってリードするために設置されました。専務執行役員 兼 CHRO(最高人事責任者)の青野史寛がESG推進の担当役員として指揮を執っています。また、当社の各部門および子会社にはそれぞれESG推進の責任者を設け、事業内容に合わせたさまざまな活動を行っている他、ESG推進室と連携しグループ一体となることで、効果を高められるよう取り組んでいます。さらに、以下の各委員会とも連携することで、サステナビリティ課題に迅速に対応します。 リスク管理委員会リスク管理委員会では、リスクの重要度や対応する責任者(リスクオーナー)を定め、対策指示等を行い、状況を取締役会に報告します。 情報セキュリティ委員会最高情報セキュリティ責任者(CISO)を委員長として、各部門の情報セキュリティ管理担当者などで構成する情報セキュリティ委員会(ISC)を設け、全社横断的な組織として情報セキュリティ施策の推進・管理に努めています。 人権委員会当社の人権推進活動は、取締役会の承認を受けた「ソフトバンク人権ポリシー」の考え方の下、委員長に代表取締役 社長執行役員 兼 CEO、委員にコンシューマ事業、エンタープライズ事業、テクノロジーユニット、財務、コーポレートを統括する役員、および人事本部、総務本部、法務・リスク管理本部、CSR本部の本部長をメンバーとする「人権委員会」を中心に行われています。当委員会では人権デュー・ディリジェンスの管理、人権侵害の恐れのある事項の調査・対処および人権に関する研修の企画・実施による人権意識の社内浸透などの日々の活動を通じ、当社の人権活動を推進しています。 環境委員会国際規格ISO14001に準拠した環境マネジメント体制構築のため、ESG推進の担当役員の監督のもと、環境に関する事柄全般を検討する横断的な組織として環境委員会を設置し、全社的な環境保全活動を推進しています。 女性活躍推進委員会女性管理職比率を2035年度までに20%とする目標を掲げ、2021年7月1日より代表取締役 社長執行役員 兼 CEOと役員などで構成する「女性活躍推進委員会」を設置し、女性活躍の推進・強化に向けた方針や新たな施策に関する議論、各施策の進捗の確認等を実施しています。 IT管理委員会最高情報責任者(CIO)が委員長を務め、各部門の本部長がIT管理責任者として参画しています。全社的な枠組みの下、情報システムの開発・運用に関連する施策の計画および推進、状況把握と改善を行い、標準化や最適化に向けて推進しています。 AI倫理委員会AI倫理委員会は国内外でAI倫理に関する様々なリスクが課題になっている事に対し「ソフトバンクAI倫理ポリシー」の考え方の下、責任あるAIの実践に向け様々な専門領域の社外有識者の方々を交えながら社内委員と共に適正なAIの開発、運用に取り組んでいけるよう推進いたします。 b.リスク管理当社は、特定したマテリアリティを考慮したサステナビリティに関するリスク(気候変動、人材の育成・確保など)を含め、全社的なリスクを統合的に管理しています。半期毎に、代表取締役 社長執行役員 兼 CEO、代表取締役 副社長執行役員 兼 COO、取締役 専務執行役員 兼 CFO等を委員とし監査役や関係部門長などが参加するリスク管理委員会を開催し、リスクの評価とモニタリング、およびリスクの見直しを行っています。具体的なリスクの内容、管理体制は「3 事業等のリスク」をご参照ください。 c.戦略及び指標と目標ⅰ.サステナビリティ戦略当社は、「すべてのモノ・情報・心がつながる世の中を」を掲げるとともに、そのコンセプトを実現していくためのテーマとして、6つのマテリアリティ(重要課題)を特定しています。これらは持続可能な社会への貢献とともに、当社の持続可能な成長をしていくためのキードライバーとして捉え、将来のあるべき姿の実現に向けたビジョナリーなマテリアリティとなっています。 ⅱ.マテリアリティ(重要課題)6つの「マテリアリティ(重要課題)」は、事業活動で社会課題の解決を図っていく「DXによる社会・産業の構築」「人・情報をつなぎ新しい感動を創出」「オープンイノベーションによる新規ビジネスの創出」に加え、企業活動を通じて社会課題の解決を図る「テクノロジーのチカラで地球環境へ貢献」「質の高い社会インフラの構築」(注)「レジリエントな経営基盤の発展」により構成しています。また、この6つマテリアリティは、経営理念の「情報革命で人々を幸せに」を具現化するとともに、成長戦略「Beyond Carrier」とをつなぐ重要な羅針盤であると考えています。 (注)マテリアリティ5「質の高い社会ネットワークの構築」は2024年度より「質の高い社会インフラの構築」に名称変更をしています。 a.デジタルトランスフォーメーション(DX)による社会・産業の構築5GやAIなどの最新のテクノロジーを活用し、新しい産業を創出するとともに、世の中のさまざまなビジネスを変革していくためのソリューションを提供します。 b.人・情報をつなぎ新しい感動を創出スマートデバイスの普及を促進し、これらを活用した新しい体験の提供を通じてお客さまの豊かなライフスタイルを実現すると同時に、人・情報をつなぐ魅力的なプラットフォームを提供し、お客さまとパートナー双方に価値を生み出します。 c.オープンイノベーションによる新規ビジネスの創出新規ビジネスの創出および最新のテクノロジーやビジネスモデルを日本で展開するとともに、新たなビジネスの拡大や普及を支えていく高度な人材の育成と組織の構築を推進します。 d.テクノロジーのチカラで地球環境へ貢献持続可能性のある地球を次の世代につなぐため、最新のテクノロジーを活用し、気候変動への対応や循環型社会の推進、自然エネルギーの普及に貢献します。 e.質の高い社会インフラの構築どんなときでも安定的につながる通信ネットワークの維持に全力を尽くすとともに、お客さまの大切なデータを保護します。また、AIの加速度的な進化により急増すると予見されるデータ処理や電力の需要に対応できる構造を持った「次世代社会インフラ」の構築を推進します。 f.レジリエント(強靭)な経営基盤の発展コーポレート・ガバナンス体制の高度化を図るとともに、ステークホルダーの皆さまとの継続的な対話を通じて、社会に信用される誠実な企業統治を行います。また、最新のテクノロジーを活用しながら、多様な人材が活躍できる先進的職場環境を整備するとともに、従業員とその家族の健康維持・増進に取り組む健康経営を推進し、イノベーションの創発と従業員の幸福度向上を図ります。 ⅲ.マテリアリティ(重要課題) 特定プロセス国際ガイドラインや国際会議などでの議論、有識者や投資家の見解など外部(ステークホルダー)の重要度、および各統括・部門・子会社での議論を踏まえた自社の重要度から課題を抽出するとともに、双方の観点に基づく評価により設定しています。また、ダブルマテリアリティの考え方に基づき、社会や環境に対する当社への影響だけではなく、当社が及ぼす社会や環境を含めた各ステークホルダーへの影響についても考慮しています。これらの影響や重要度はマテリアリティおよび創出価値に反映し、取締役会の承認のもと特定しています。各マテリアリティは、複数の創出価値(事業や取り組みを通じて創出する価値)を構成し、ビジネスや事業機会の創出につなげています。 ⅳ.マテリアリティ(重要課題)指標と目標2023年度における目標KPIと実績は以下の通りです。マテリアリティ機会創出価値目標KPI実績 DXによる社会・産業の構築・「情報革命で人々を幸せに」という経営理念の実現、顧客や投資家からの当社の企業活動に対する支持・デジタル化を社会実装する各種ソリューションビジネスの拡大・高齢化社会対策や地方創生のためのソリューション提供機会の拡大(1) 最先端テクノロジーによる産業基盤拡充と効率化ソリューション等売上:CAGR(注1) 10%16%増(2) DXによる新しい産業の創出(3) 地域社会の活性化(地方創生) 人・情報をつなぎ新しい感動を創出・スマートフォン契約者数拡大と大容量データ使用ユーザーの増加・スーパーアプリ提供による非通信領域へのビジネス拡大・データドリブンマーケティング深化による収益機会拡大(1) スマートデバイス普及を通じた魅力的な顧客価値の実現①スマホ累計契約数:3,000万件(2023年度)②PayPay登録ユーザー数(注2):6,000万人 ①3,072万件②6,304万人(2) 誰もが情報へアクセスできる環境の提供(3) ICT活用による新たなライフスタイルと生活基盤の高度化 オープンイノベーションによる新規ビジネスの創出・パートナーとの協業を通じた人材・知見の獲得とスピーディな事業展開により、市場シェアを早期に獲得・共創によるイノベーションの進化や深化、参入市場規模や事業規模の拡大(1) 最先端テクノロジーによる新しいビジネスモデルの展開HAPS商用化の実現に向けた取り組み推進-HAPS実現に向けた要素技術の開発-高性能軽量バッテリー商用化(2025年度)-成層圏対応高効率軽量モーター実用化(2027年度)-通信サービス提供に向けた成層圏対応無線機開発(2027年度)商用化に向けた取り組み:・バッテリー:高性能軽量バッテリー商用化(400Wh/kg級のセル)・モーター:新デザインのプロトタイプモーター(ニデック)設計完了・成層圏対応無線機:-シリンダアンテナによるエリア最適化技術の実証成功-ルワンダにて成層圏からの5Gの通信試験に成功(2) 海外最先端ビジネスのインキュベートとスパイラルアップ(3) 成長をけん引する人材採用・育成と事業創出のための仕組みの構築 マテリアリティ機会創出価値目標KPI実績テクノロジーのチカラで地球環境へ貢献・IoTなどを活用したエネルギー効率に優れたソリューション市場拡大・シェアリングエコノミー関連ビジネスの拡大・再生可能エネルギー関連ビジネスの拡大(1) テクノロジーや事業を通じた気候変動への貢献ネットゼロ(スコープ1、2、3(注3))達成(2050年度)カーボンニュートラル(スコープ1、2)達成(2030年度)(注4)(自社使用電力(注5)に占める、実質再生可能エネルギー比率:2030年度までに100%)・再生可能エネルギーへの切替推進・テクノロジーを活用した省エネルギー施策の検討/追加性のある再生可能エネルギー導入の検討(注6)・スコープ3削減推進に向け社内体制構築(2) 循環型社会の推進(サーキュラーエコノミー)(3) 自然エネルギー普及を通じた豊かな社会の実現質の高い社会ネットワークの構築・5Gエリア全国展開による通信の高速・大容量化を反映したARPUの向上と収益拡大・自動運転や遠隔医療など5Gを活用した新たな産業やサービスの展開・高い通信品質やセキュリティへの信頼性に対する顧客満足度の向上(1) 持続的な生活インフラの整備5G展開計画5G SA(スタンドアローン)エリア拡大:全都道府県主要部スマホSA化(2026年度)東京、大阪、名古屋の3都市完了(2) 防災・減災に貢献する盤石な通信インフラ構築(3) データセキュリティとプライバシー保護の取り組みの推進レジリエント(強靭)な経営基盤の発展・コーポレート・ガバナンスやサプライチェーンマネジメントに対する投資家の信認・働き方改革、ダイバーシティ推進によるモチベーションの向上とイノベーションの創発・先進的なワークスタイルによる生産性向上、培った業務プロセスの改革やノウハウの商材化(1) コーポレート・ガバナンスの高度化と実効性の担保女性管理職比率:20%以上(2035年度)-その過程である2030年度には15%以上(2021年度比で2倍)を実現9.2%(2) ステークホルダーとの協働による持続的な発展(3) 社員の幸福度向上とダイバーシティ&インクルージョン(4) 先進的な職場環境による生産性の向上 (注) 指標と目標KPIおよび実績の範囲は、特に記載がない限り、ソフトバンク㈱のみが対象(注1) 当社グループで集計、CAGR:年平均成長率(注2) PayPay㈱のみが対象(注3) スコープ1:自らによる温室効果ガスの直接排出、スコープ2:他社から供給された電気、熱・蒸気の仕様に伴う間接排出、スコープ3:スコープ1、スコープ2以外の間接排出(事業者の活動に関連するサプライチェーンでの排出)(注4) 当社のスコープ1(自らによる温室効果ガスの直接排出)およびスコープ2(他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出)の合計が対象(注5) 自社およびWireless City Planning㈱の合計(注6) 従来の再生可能エネルギーの活用に加えて、新たな再生可能エネルギー電源拡大に寄与するための検討を実施 当社は、環境の変化にいち早く対応するため、原則毎年目標KPIを見直しております。最新年度の目標KPIは以下の通りです。マテリアリティ目標KPIDXによる社会・産業の構築ソリューション等事業売上:CAGR10% (注1)人・情報をつなぎ新しい感動を創出スマホ累計契約数:年100万件水準の純増PayPay登録ユーザー数:7,000万人 (注2)オープンイノベーションによる新規ビジネスの創出3,900億パラメーターの国産LLM(Large Language Models)(注3)を構築テクノロジーのチカラで地球環境へ貢献・ネットゼロ(スコープ1、2、3)達成(2050年度)・カーボンニュートラル(スコープ1,2)達成(2030年度)(注4)(自社使用電力(注5)に占める、実質再生可能エネルギー比率:2030年度までに100%)質の高い社会インフラの構築5G展開計画・5G SA(スタンドアローン)エリア拡大:全都道府県主要部スマホSA化(2026年度)レジリエント(強靭)な経営基盤の発展女性管理職比率:15%以上(2030年度)、20%以上(2035年度) (注) 指標と目標KPIおよび実績の範囲は、特に記載がない限り、ソフトバンク㈱のみが対象(注1) 当社グループで集計、CAGR:年平均成長率(注2) PayPay㈱のみが対象(注3) 大規模言語モデル(注4) 当社のスコープ1(自らによる温室効果ガスの直接排出)およびスコープ2(他社から供給された電気、熱・蒸気の仕様に伴う間接排出)の合計が対象(注5) 自社およびWireless City Planning㈱の合計 (3) 気候変動TCFD提言にもとづく情報開示当社は、気候変動への取り組みをマテリアリティ(重要課題)の1つと認識し、ネットゼロへの取組を強化しています。2020年4月にTCFD提言への賛同を表明し、TCFDが企業に推奨する「ガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標」のフレームワークに沿って、積極的な情報開示とその充実に努めています。 a.ガバナンス代表取締役 社長執行役員 兼 CEOの宮川潤一がESG推進の最高責任者として、気候変動関連のリスク・機会に関わる戦略などサステナビリティ活動全体の最終責任を取締役会の監督のもと担っています。また、気候関連リスク等の管理及び取り組みの社内推進、業務遂行を担う機関として、ESG推進の担当役員のもとで、環境委員会を設置しています。環境委員会は、CSR部門の本部長を委員長とし、当社各部門および当社グループの担当者で構成し、気候変動に向けた対応を推進します。 気候変動を含むサステナビリティ全般のガバナンスについては、「(2) サステナビリティ全般 a.ガバナンス」をご参照ください。 b.リスク管理気候変動関連のリスクの評価、モニタリング、見直しに関する管理体制は「(2) サステナビリティ全般 b.リスク管理」をご参照ください。 c.戦略当社は、基地局設備をはじめとし多くの電力を使用する通信事業を行っており、気候変動のリスクを大きく受ける可能性があると認識しています。気候変動により将来起こりうる事象に適応するための戦略を勘案し、急速に脱炭素社会が実現する1.5℃シナリオと気候変動対策が進まず温暖化が進行する4℃シナリオの2つのシナリオ分析を実施し、バリューチェーン上流下流を含む事業に与える財務影響が特に大きい2050年までに発生が予見されるリスクを特定しました。<気候変動に関わるリスクと機会>1.5℃シナリオでは、電力使用量増加に伴う炭素税をはじめとする法規制リスクが潜在することを特定しました。4℃シナリオでは、海面上昇、気温上昇によるリスクは限定的な一方、豪雨災害による電力断に伴う基地局の停波の発生頻度が増加するリスクを特定しました。また、リスク対応策および機会として2030年度までに事業活動で使用する電力などのエネルギーを全て再生可能エネルギー化するカーボンニュートラル2030を宣言し、基地局電力の再生可能エネルギー推進計画や実質再生可能エネルギーの電力提供推進を行っています。<ビジネス戦略および財務計画への影響>1.5℃シナリオでは、事業に影響を与えるレベルの気候変動による急性あるいは慢性的な物理リスクは生じない一方、気候変動対策の政策・法規制が強化されると仮定し、2025年からCO2換算1t当たり16,000円程度の炭素税が課された場合の影響額を試算しました。4℃シナリオでは、気候変動対策の強化をはじめとする政策・法規制の強化や、技術、市場、評判などの移行リスクは顕在化しない一方、異常気象の激甚化等、気候変動の物理的な影響が生じると仮定しました。例えば、令和2年7月の豪雨災害の場合、約3.3億円の復旧費用を投じました。当社は基地局を全国で稼働しており、災害に対する復旧費用等の財務影響に関する分析に基づき予算を確保し迅速に対応できるよう備えています。 d.指標と目標気候変動が当社に及ぼすリスクと機会を管理するため、温室効果ガス排出量(スコープ1、2、3)をはじめとする環境負荷データの管理を行っています。2022年度の温室効果ガス排出量(スコープ1、2)は579,919t-CO2、スコープ3は9,368,649t-CO2となりました。主な目標として、2030年度までに、事業活動で使用する電力などによる温室効果ガスの排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラル目標を設定し、自社が事業で使用する電力のすべての実質再生可能エネルギー化を推進します。また、長期の再生可能エネルギー調達契約を結び、自社 (注)で使用する電力の50%以上を追加性のある再生可能エネルギー(風力や太陽光などの再生可能エネルギーによる発電からの新規調達)にしていくことで温室効果ガスの排出を削減し、当社のカーボンニュートラル達成と脱炭素社会の実現に貢献します。長期の再生可能エネルギー調達契約は、電気代の高騰影響を受けにくい事業構造へ転換を後押しします。さらに省エネ機器へのリプレイスや空調設備の効率化などネットワーク設備のさらなる省エネ化を推進することにより温室効果ガスの削減に取り組みます。カーボンニュートラル目標の対象は、スコープ1(自らによる温室効果ガスの直接排出)、およびスコープ2(他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出)になります。 また、取引先などで排出される温室効果ガスである「スコープ3」(スコープ1、2以外の間接排出、事業者の活動に関する他社の排出)の排出量も含めたサプライチェーン排出量を、2050年度までに実質ゼロにする「ネットゼロ」目標を設定しました。 2023年度の温室効果ガス排出量実績(スコープ1、2、3)に関しては、当社ホームページなどに掲載予定です。(2024年7月予定) (注) 自社およびWireless City Planning㈱の合計 (4) 人的資本 当該事業年度の人的資本に関する記載はソフトバンク㈱単体に関する記載となります。 a.ガバナンス人的資本に関するガバナンス体制は、サステナビリティ全般と同様、代表取締役 社長執行役員 兼 CEOの宮川潤一がESG推進の最高責任者として、リスク・機会に関わる戦略などの最終責任を取締役会の監督のもと担っています。人的資本の中でもダイバーシティ(女性活躍推進)と人権については、社内推進、業務遂行を担う機関として、「人権委員会」「女性活躍推進委員会」を設置しています。人権委員会では、人権デュー・ディリジェンスの管理、人権侵害のおそれのある事項の調査・対処、および人権に関する研修の企画・実施による人権意識の内部浸透などの日々の活動を通じ、当社の人権活動を推進しています。女性活躍推進委員会では、外部の有識者をアドバイザーに迎えて、女性活躍推進に向けた本格的な取り組みを推進しています。 b.リスク管理人的資本関連のリスクの評価、モニタリング、見直しに関する管理体制は「(2) サステナビリティ全般 b.リスク管理」をご参照ください。 c.人材戦略-人材戦略の方向性当社は、創業以来「情報革命で人々を幸せに」という経営理念の下、「人」と「事業」をつなぎ、双方の成長を実現することを人事ミッションとしています。また、当社ならではの活力を生み出すため、チャレンジする人の可能性を支援し、成果を出した人にはしっかりと応えると共に、多様な人材がいきいきと働く環境を支援する人事ポリシーを貫いています。社員に対する考え方は、従来のように「資源」と捉え管理することから「資本」と捉え活用・成長支援をしていくことにシフトしています。当社では、従来より社員の自己成長や挑戦を後押ししていますが、さらなる事業成長のため、社員がいきいきと働き、今まで以上に成長・挑戦していけるよう、能力開発、エンゲージメント向上、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)、健康経営など、人的資本への様々な投資を行っています。当社では、特にダイバーシティの推進に従前から力を入れており、多様な人材が活躍できる環境整備や社内周知の徹底、研修実施等に取り組んでいます。当社の事業の多様化が進むとともに、多様な人材活用の必要性が一層高まっており、多様な人材が活躍できる企業風土実現のため、積極的にDE&Iを推進し、ソフトバンクを躍動感のあふれる会社にしていくことを目指しています。 d.主な取組(社内環境整備)-チャレンジ・成長できる環境整備新規事業の立ち上げや新会社設立の際には、ジョブポスティング制度でメンバーを公募し、従業員が自己成長・自己実現できる機会を提供しているほか、社内起業制度であるソフトバンクイノベンチャーで独創性・革新性に富んだアイデア(新規事業)を募集しています。このように、社員全員が変化を楽しみワクワクしながら目標に向かって進む、当社はそんな活力あふれる組織となることを目指しています。 -デジタル人材確保・育成の取り組み(事業即応性)デジタル技術の進展により、企業および社会のデジタル化が進展しています。当社の事業戦略において、デジタル人材育成は非常に重要なテーマの一つです。当社ではデジタル人材を、データやテクノロジーを使って産業界に大きな変革を起こせる人材と定義し、育成の取り組みを進めています。全社員向けには「ソフトバンクユニバーシティTech」を立ち上げ、社員がテクノロジーとデータについて学べる環境づくりを進めています。また、法人統括内では、デジタル化に取り組む法人企業に対し顧客の経営課題解決に直結するソリューションセールスを推進できる人材を育成する「コンサルティング営業育成プログラム」や、社会のデジタル化を担う新規事業開発人材を育成する「事業プロデューサー制度」など、エンタープライズ事業が進めるデジタル戦略の中核を担うデジタル人材の育成に積極的に取り組んでいます。成長戦略「Beyond Carrier」を推進していく中で、既存事業に比べ、短期での個々人の成果が見えにくい新たな取り組みをいかに評価し、必要な人材を配置していくかなど、評価制度や人材活用に関する人事的な課題にも対応しています。事業戦略に沿った新たな事業を育てるために、人事が柔軟に変化・対応していくことが非常に重要だと考えています。 -ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの取り組み当社では、年齢、性別、国籍、障がいの有無などにかかわらず、多様な人材が個性や能力を発揮できる機会と環境の整備に取り組んでいます。社内におけるダイバーシティの推進は、人事を担当する専務執行役員 兼 CHRO(最高人事責任者)が責任を持ち、その監督のもとで行っています。組織ごとの課題に向き合い、人事本部の専任組織・ダイバーシティ推進課を中心に、全社員対象のアンコンシャスバイアスに関するeラーニング研修や、管理職対象のダイバーシティマネジメント研修の実施などの取り組みを行っています。 -健康経営当社は、社員一人一人が心身共に健康であることが、会社と個人の夢・志の実現に向けた原動力であり、社員の健康を維持・向上させることは重要な経営課題の一つと位置付け、「健康経営宣言」を掲げています。情報革命の新たなステージに挑戦し、成長し続けるためには、常に活力あふれた集団であることが最も大事な基盤です。ソフトバンクらしく最先端のテクノロジーを積極的に活用し、社員とその家族の健康維持・増進に取り組む健康経営を推進します。 e.具体的な施策等および指標と目標チャレンジ・成長できる環境整備項目内容指標目標2023年度実績ジョブポスティング・フリーエージェント制度新規事業の立ち上げや新会社設立の際には、ジョブポスティング制度 (JP) でメンバーを公募し、従業員が自己成長・自己実現できる機会を提供するなど、誰もがチャレンジできる制度と環境を整備しています。また、“意欲ある社員が自らキャリアアップにチャレンジできる”制度として、年1回フリーエージェント制度 (FA) を実施しており、LINEヤフー㈱をはじめとするグループ会社とも連携し、グループ会社間の人材交流を実現しています。両制度を利用して異動した社員は、2024年4月時点で累計2,800人を超えています。JP異動実績継続実施230名FA異動実績継続実施174名ソフトバンクイノベンチャー社員の積極的な新規事業提案を奨励するため、社内起業制度「ソフトバンクイノベンチャー」で支援しています。自ら考えた事業化アイデアを提案でき、事業化が決定した場合、提案者自らが事業推進に参画することが可能です。事業化数継続実施1件SB流社内副業制度「成長機会や能力発揮機会を望む意欲ある社員」と「組織外の視点や経験、専門性を必要とする組織」のニーズをマッチングする制度として、2021年2月よりSB流社内副業制度を導入しています。社員の更なる成長と組織におけるイノベーション促進の実現を目的としています。社内副業従事者数継続実施146名(延べ)働き方改革の推進社員が最適な働き方で組織と個人の生産性を最大化することを目的に、テクノロジーの活用など、多様な働き方を採り入れて生産効率を上げる働き方改革の推進を行っています。業務状況などに応じて始業・終業時刻を柔軟に調整できる「スーパーフレックスタイム制」を導入している他、在宅・サテライトオフィス勤務の活用やテクノロジーによる業務効率化によって創出した時間を自己啓発や人材交流、家族や友人とのコミュニケーションに充て、個々の成長の機会とすることで、社員一人一人が、そして会社全体がイノベーティブかつクリエーティブになり、より高い成果へ結び付けることを目指しています。テレワーク実施率90%以上95.3% 年休取得率70%以上77.7% デジタル人材確保・育成の取組(事業即応性)項目内容指標目標2023年度実績ソフトバンクユニバーシティソフトバンクユニバーシティ(SBU) は、経営理念の実現に貢献する人材の育成を目的として2010年9月に設立した実践的プログラムを提供する育成機関です。従業員の多様性を尊重し、個性豊かな人材の育成を実現するために、従業員による自律的なキャリア開発が行われることを重視しています。このような考え方の下、ソフトバンクユニバーシティでは、会社主導の一律的なキャリア開発や研修体系ではなく、従業員が自己のキャリア目標に合わせて主体的に選択していくという自律的なキャリア開発の仕組みを整えています。役職・役割が変わる節目(新入社員、管理職等)で必要となるスキルの取得や成長をサポートする階層別プログラムの他、eラーニング、動画配信など、ICTをフルに活用したソフトバンクらしい学習スタイルも提供しています。受講者数受講機会の継続的な創出約29,100名(延べ)提供プログラム数ニーズに合わせたコンテンツの継続的な提供SBU集合研修:66コース eラーニング:83コースAI人材育成プログラム AI Campusエンジニア職だけでなく、利用者・サービス企画者等含めた社員全体のAIスキル習得を目指し、2021年度よりAI人材育成プログラム(AI Campus) をリリースし、プログラム提供に力を入れています。具体的には初学者から学べるeラーニングの提供や、日本ディープラーニング協会が実施するG検定、E資格の学習支援や、外部の有識者による講演会等を随時実施しています。 コンテンツ受講者数受講機会の継続的な創出約6,000名(延べ) ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの取り組み項目内容指標目標2023年度実績ジェンダー・ペイ・ギャップの解消当社では、性別に関わらない公平な賃金の支払いに努めるとともに、性別による賃金格差(ジェンダー・ペイ・ギャップ)の解消を目指しています。このような方針のもと、実態把握のために全社の役員、管理職、非管理職を対象として、「基本給のみ」または「基本給と賞与」の金額の比較を年に1回実施しています。当社では、男女で同一の給与体系を適用していますが、現状等級構成などに起因して報酬総額に男女差が発生しています。これらの状況も踏まえ、女性の活躍推進の各種取り組みを進めています。男女間賃金格差差異の縮小76.1%女性管理職比率の向上当社は女性活躍推進を目的に、女性管理職比率を2030年度までに15%以上、2035年度までに20%以上とする目標を2021年に設定しました。その達成に向けて、役員や外部の有識者などで構成する「女性活躍推進委員会」を同年7月に発足させました。同委員会では、CEOを委員長とし、各組織を統括する役員が推進委員を務め、女性活躍の推進・強化に向けた方針や新たな施策に関する議論、各施策の進捗確認などを実施しています。女性管理職比率2035年度20%以上9.2% 健康経営項目内容指標目標2023年度実績健康経営の推進社員一人一人が心身共に健康で活力あふれた集団であることが経営の重要な基盤と捉え、「健康管理」「安心安全な職場環境」「健康維持・増進」の三つのアプローチから各種指標をモニタリングし、PDCAサイクルを通して継続的な業務改善を図っています。プレゼンティーイズム(注1)90.0%以上86.0%アブセンティーイズム(注2)4.5日以下4.4日 (注) 指標と目標および実績の範囲は、ソフトバンク㈱のみが対象(注1) SPQ(Single-Item Presenteeism Question 東大1項目版)にて取得(注2) 傷病による欠勤・休職 |
戦略 | ⅰ.サステナビリティ戦略当社は、「すべてのモノ・情報・心がつながる世の中を」を掲げるとともに、そのコンセプトを実現していくためのテーマとして、6つのマテリアリティ(重要課題)を特定しています。これらは持続可能な社会への貢献とともに、当社の持続可能な成長をしていくためのキードライバーとして捉え、将来のあるべき姿の実現に向けたビジョナリーなマテリアリティとなっています。 ⅱ.マテリアリティ(重要課題)6つの「マテリアリティ(重要課題)」は、事業活動で社会課題の解決を図っていく「DXによる社会・産業の構築」「人・情報をつなぎ新しい感動を創出」「オープンイノベーションによる新規ビジネスの創出」に加え、企業活動を通じて社会課題の解決を図る「テクノロジーのチカラで地球環境へ貢献」「質の高い社会インフラの構築」(注)「レジリエントな経営基盤の発展」により構成しています。また、この6つマテリアリティは、経営理念の「情報革命で人々を幸せに」を具現化するとともに、成長戦略「Beyond Carrier」とをつなぐ重要な羅針盤であると考えています。 (注)マテリアリティ5「質の高い社会ネットワークの構築」は2024年度より「質の高い社会インフラの構築」に名称変更をしています。 a.デジタルトランスフォーメーション(DX)による社会・産業の構築5GやAIなどの最新のテクノロジーを活用し、新しい産業を創出するとともに、世の中のさまざまなビジネスを変革していくためのソリューションを提供します。 b.人・情報をつなぎ新しい感動を創出スマートデバイスの普及を促進し、これらを活用した新しい体験の提供を通じてお客さまの豊かなライフスタイルを実現すると同時に、人・情報をつなぐ魅力的なプラットフォームを提供し、お客さまとパートナー双方に価値を生み出します。 c.オープンイノベーションによる新規ビジネスの創出新規ビジネスの創出および最新のテクノロジーやビジネスモデルを日本で展開するとともに、新たなビジネスの拡大や普及を支えていく高度な人材の育成と組織の構築を推進します。 d.テクノロジーのチカラで地球環境へ貢献持続可能性のある地球を次の世代につなぐため、最新のテクノロジーを活用し、気候変動への対応や循環型社会の推進、自然エネルギーの普及に貢献します。 e.質の高い社会インフラの構築どんなときでも安定的につながる通信ネットワークの維持に全力を尽くすとともに、お客さまの大切なデータを保護します。また、AIの加速度的な進化により急増すると予見されるデータ処理や電力の需要に対応できる構造を持った「次世代社会インフラ」の構築を推進します。 f.レジリエント(強靭)な経営基盤の発展コーポレート・ガバナンス体制の高度化を図るとともに、ステークホルダーの皆さまとの継続的な対話を通じて、社会に信用される誠実な企業統治を行います。また、最新のテクノロジーを活用しながら、多様な人材が活躍できる先進的職場環境を整備するとともに、従業員とその家族の健康維持・増進に取り組む健康経営を推進し、イノベーションの創発と従業員の幸福度向上を図ります。 ⅲ.マテリアリティ(重要課題) 特定プロセス国際ガイドラインや国際会議などでの議論、有識者や投資家の見解など外部(ステークホルダー)の重要度、および各統括・部門・子会社での議論を踏まえた自社の重要度から課題を抽出するとともに、双方の観点に基づく評価により設定しています。また、ダブルマテリアリティの考え方に基づき、社会や環境に対する当社への影響だけではなく、当社が及ぼす社会や環境を含めた各ステークホルダーへの影響についても考慮しています。これらの影響や重要度はマテリアリティおよび創出価値に反映し、取締役会の承認のもと特定しています。各マテリアリティは、複数の創出価値(事業や取り組みを通じて創出する価値)を構成し、ビジネスや事業機会の創出につなげています。 |
指標及び目標 | ⅳ.マテリアリティ(重要課題)指標と目標2023年度における目標KPIと実績は以下の通りです。マテリアリティ機会創出価値目標KPI実績 DXによる社会・産業の構築・「情報革命で人々を幸せに」という経営理念の実現、顧客や投資家からの当社の企業活動に対する支持・デジタル化を社会実装する各種ソリューションビジネスの拡大・高齢化社会対策や地方創生のためのソリューション提供機会の拡大(1) 最先端テクノロジーによる産業基盤拡充と効率化ソリューション等売上:CAGR(注1) 10%16%増(2) DXによる新しい産業の創出(3) 地域社会の活性化(地方創生) 人・情報をつなぎ新しい感動を創出・スマートフォン契約者数拡大と大容量データ使用ユーザーの増加・スーパーアプリ提供による非通信領域へのビジネス拡大・データドリブンマーケティング深化による収益機会拡大(1) スマートデバイス普及を通じた魅力的な顧客価値の実現①スマホ累計契約数:3,000万件(2023年度)②PayPay登録ユーザー数(注2):6,000万人 ①3,072万件②6,304万人(2) 誰もが情報へアクセスできる環境の提供(3) ICT活用による新たなライフスタイルと生活基盤の高度化 オープンイノベーションによる新規ビジネスの創出・パートナーとの協業を通じた人材・知見の獲得とスピーディな事業展開により、市場シェアを早期に獲得・共創によるイノベーションの進化や深化、参入市場規模や事業規模の拡大(1) 最先端テクノロジーによる新しいビジネスモデルの展開HAPS商用化の実現に向けた取り組み推進-HAPS実現に向けた要素技術の開発-高性能軽量バッテリー商用化(2025年度)-成層圏対応高効率軽量モーター実用化(2027年度)-通信サービス提供に向けた成層圏対応無線機開発(2027年度)商用化に向けた取り組み:・バッテリー:高性能軽量バッテリー商用化(400Wh/kg級のセル)・モーター:新デザインのプロトタイプモーター(ニデック)設計完了・成層圏対応無線機:-シリンダアンテナによるエリア最適化技術の実証成功-ルワンダにて成層圏からの5Gの通信試験に成功(2) 海外最先端ビジネスのインキュベートとスパイラルアップ(3) 成長をけん引する人材採用・育成と事業創出のための仕組みの構築 マテリアリティ機会創出価値目標KPI実績テクノロジーのチカラで地球環境へ貢献・IoTなどを活用したエネルギー効率に優れたソリューション市場拡大・シェアリングエコノミー関連ビジネスの拡大・再生可能エネルギー関連ビジネスの拡大(1) テクノロジーや事業を通じた気候変動への貢献ネットゼロ(スコープ1、2、3(注3))達成(2050年度)カーボンニュートラル(スコープ1、2)達成(2030年度)(注4)(自社使用電力(注5)に占める、実質再生可能エネルギー比率:2030年度までに100%)・再生可能エネルギーへの切替推進・テクノロジーを活用した省エネルギー施策の検討/追加性のある再生可能エネルギー導入の検討(注6)・スコープ3削減推進に向け社内体制構築(2) 循環型社会の推進(サーキュラーエコノミー)(3) 自然エネルギー普及を通じた豊かな社会の実現質の高い社会ネットワークの構築・5Gエリア全国展開による通信の高速・大容量化を反映したARPUの向上と収益拡大・自動運転や遠隔医療など5Gを活用した新たな産業やサービスの展開・高い通信品質やセキュリティへの信頼性に対する顧客満足度の向上(1) 持続的な生活インフラの整備5G展開計画5G SA(スタンドアローン)エリア拡大:全都道府県主要部スマホSA化(2026年度)東京、大阪、名古屋の3都市完了(2) 防災・減災に貢献する盤石な通信インフラ構築(3) データセキュリティとプライバシー保護の取り組みの推進レジリエント(強靭)な経営基盤の発展・コーポレート・ガバナンスやサプライチェーンマネジメントに対する投資家の信認・働き方改革、ダイバーシティ推進によるモチベーションの向上とイノベーションの創発・先進的なワークスタイルによる生産性向上、培った業務プロセスの改革やノウハウの商材化(1) コーポレート・ガバナンスの高度化と実効性の担保女性管理職比率:20%以上(2035年度)-その過程である2030年度には15%以上(2021年度比で2倍)を実現9.2%(2) ステークホルダーとの協働による持続的な発展(3) 社員の幸福度向上とダイバーシティ&インクルージョン(4) 先進的な職場環境による生産性の向上 (注) 指標と目標KPIおよび実績の範囲は、特に記載がない限り、ソフトバンク㈱のみが対象(注1) 当社グループで集計、CAGR:年平均成長率(注2) PayPay㈱のみが対象(注3) スコープ1:自らによる温室効果ガスの直接排出、スコープ2:他社から供給された電気、熱・蒸気の仕様に伴う間接排出、スコープ3:スコープ1、スコープ2以外の間接排出(事業者の活動に関連するサプライチェーンでの排出)(注4) 当社のスコープ1(自らによる温室効果ガスの直接排出)およびスコープ2(他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出)の合計が対象(注5) 自社およびWireless City Planning㈱の合計(注6) 従来の再生可能エネルギーの活用に加えて、新たな再生可能エネルギー電源拡大に寄与するための検討を実施 当社は、環境の変化にいち早く対応するため、原則毎年目標KPIを見直しております。最新年度の目標KPIは以下の通りです。マテリアリティ目標KPIDXによる社会・産業の構築ソリューション等事業売上:CAGR10% (注1)人・情報をつなぎ新しい感動を創出スマホ累計契約数:年100万件水準の純増PayPay登録ユーザー数:7,000万人 (注2)オープンイノベーションによる新規ビジネスの創出3,900億パラメーターの国産LLM(Large Language Models)(注3)を構築テクノロジーのチカラで地球環境へ貢献・ネットゼロ(スコープ1、2、3)達成(2050年度)・カーボンニュートラル(スコープ1,2)達成(2030年度)(注4)(自社使用電力(注5)に占める、実質再生可能エネルギー比率:2030年度までに100%)質の高い社会インフラの構築5G展開計画・5G SA(スタンドアローン)エリア拡大:全都道府県主要部スマホSA化(2026年度)レジリエント(強靭)な経営基盤の発展女性管理職比率:15%以上(2030年度)、20%以上(2035年度) (注) 指標と目標KPIおよび実績の範囲は、特に記載がない限り、ソフトバンク㈱のみが対象(注1) 当社グループで集計、CAGR:年平均成長率(注2) PayPay㈱のみが対象(注3) 大規模言語モデル(注4) 当社のスコープ1(自らによる温室効果ガスの直接排出)およびスコープ2(他社から供給された電気、熱・蒸気の仕様に伴う間接排出)の合計が対象(注5) 自社およびWireless City Planning㈱の合計 |
人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略 | c.人材戦略-人材戦略の方向性当社は、創業以来「情報革命で人々を幸せに」という経営理念の下、「人」と「事業」をつなぎ、双方の成長を実現することを人事ミッションとしています。また、当社ならではの活力を生み出すため、チャレンジする人の可能性を支援し、成果を出した人にはしっかりと応えると共に、多様な人材がいきいきと働く環境を支援する人事ポリシーを貫いています。社員に対する考え方は、従来のように「資源」と捉え管理することから「資本」と捉え活用・成長支援をしていくことにシフトしています。当社では、従来より社員の自己成長や挑戦を後押ししていますが、さらなる事業成長のため、社員がいきいきと働き、今まで以上に成長・挑戦していけるよう、能力開発、エンゲージメント向上、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)、健康経営など、人的資本への様々な投資を行っています。当社では、特にダイバーシティの推進に従前から力を入れており、多様な人材が活躍できる環境整備や社内周知の徹底、研修実施等に取り組んでいます。当社の事業の多様化が進むとともに、多様な人材活用の必要性が一層高まっており、多様な人材が活躍できる企業風土実現のため、積極的にDE&Iを推進し、ソフトバンクを躍動感のあふれる会社にしていくことを目指しています。 d.主な取組(社内環境整備)-チャレンジ・成長できる環境整備新規事業の立ち上げや新会社設立の際には、ジョブポスティング制度でメンバーを公募し、従業員が自己成長・自己実現できる機会を提供しているほか、社内起業制度であるソフトバンクイノベンチャーで独創性・革新性に富んだアイデア(新規事業)を募集しています。このように、社員全員が変化を楽しみワクワクしながら目標に向かって進む、当社はそんな活力あふれる組織となることを目指しています。 -デジタル人材確保・育成の取り組み(事業即応性)デジタル技術の進展により、企業および社会のデジタル化が進展しています。当社の事業戦略において、デジタル人材育成は非常に重要なテーマの一つです。当社ではデジタル人材を、データやテクノロジーを使って産業界に大きな変革を起こせる人材と定義し、育成の取り組みを進めています。全社員向けには「ソフトバンクユニバーシティTech」を立ち上げ、社員がテクノロジーとデータについて学べる環境づくりを進めています。また、法人統括内では、デジタル化に取り組む法人企業に対し顧客の経営課題解決に直結するソリューションセールスを推進できる人材を育成する「コンサルティング営業育成プログラム」や、社会のデジタル化を担う新規事業開発人材を育成する「事業プロデューサー制度」など、エンタープライズ事業が進めるデジタル戦略の中核を担うデジタル人材の育成に積極的に取り組んでいます。成長戦略「Beyond Carrier」を推進していく中で、既存事業に比べ、短期での個々人の成果が見えにくい新たな取り組みをいかに評価し、必要な人材を配置していくかなど、評価制度や人材活用に関する人事的な課題にも対応しています。事業戦略に沿った新たな事業を育てるために、人事が柔軟に変化・対応していくことが非常に重要だと考えています。 -ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの取り組み当社では、年齢、性別、国籍、障がいの有無などにかかわらず、多様な人材が個性や能力を発揮できる機会と環境の整備に取り組んでいます。社内におけるダイバーシティの推進は、人事を担当する専務執行役員 兼 CHRO(最高人事責任者)が責任を持ち、その監督のもとで行っています。組織ごとの課題に向き合い、人事本部の専任組織・ダイバーシティ推進課を中心に、全社員対象のアンコンシャスバイアスに関するeラーニング研修や、管理職対象のダイバーシティマネジメント研修の実施などの取り組みを行っています。 -健康経営当社は、社員一人一人が心身共に健康であることが、会社と個人の夢・志の実現に向けた原動力であり、社員の健康を維持・向上させることは重要な経営課題の一つと位置付け、「健康経営宣言」を掲げています。情報革命の新たなステージに挑戦し、成長し続けるためには、常に活力あふれた集団であることが最も大事な基盤です。ソフトバンクらしく最先端のテクノロジーを積極的に活用し、社員とその家族の健康維持・増進に取り組む健康経営を推進します。 |
人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績、指標及び目標 | e.具体的な施策等および指標と目標チャレンジ・成長できる環境整備項目内容指標目標2023年度実績ジョブポスティング・フリーエージェント制度新規事業の立ち上げや新会社設立の際には、ジョブポスティング制度 (JP) でメンバーを公募し、従業員が自己成長・自己実現できる機会を提供するなど、誰もがチャレンジできる制度と環境を整備しています。また、“意欲ある社員が自らキャリアアップにチャレンジできる”制度として、年1回フリーエージェント制度 (FA) を実施しており、LINEヤフー㈱をはじめとするグループ会社とも連携し、グループ会社間の人材交流を実現しています。両制度を利用して異動した社員は、2024年4月時点で累計2,800人を超えています。JP異動実績継続実施230名FA異動実績継続実施174名ソフトバンクイノベンチャー社員の積極的な新規事業提案を奨励するため、社内起業制度「ソフトバンクイノベンチャー」で支援しています。自ら考えた事業化アイデアを提案でき、事業化が決定した場合、提案者自らが事業推進に参画することが可能です。事業化数継続実施1件SB流社内副業制度「成長機会や能力発揮機会を望む意欲ある社員」と「組織外の視点や経験、専門性を必要とする組織」のニーズをマッチングする制度として、2021年2月よりSB流社内副業制度を導入しています。社員の更なる成長と組織におけるイノベーション促進の実現を目的としています。社内副業従事者数継続実施146名(延べ)働き方改革の推進社員が最適な働き方で組織と個人の生産性を最大化することを目的に、テクノロジーの活用など、多様な働き方を採り入れて生産効率を上げる働き方改革の推進を行っています。業務状況などに応じて始業・終業時刻を柔軟に調整できる「スーパーフレックスタイム制」を導入している他、在宅・サテライトオフィス勤務の活用やテクノロジーによる業務効率化によって創出した時間を自己啓発や人材交流、家族や友人とのコミュニケーションに充て、個々の成長の機会とすることで、社員一人一人が、そして会社全体がイノベーティブかつクリエーティブになり、より高い成果へ結び付けることを目指しています。テレワーク実施率90%以上95.3% 年休取得率70%以上77.7% デジタル人材確保・育成の取組(事業即応性)項目内容指標目標2023年度実績ソフトバンクユニバーシティソフトバンクユニバーシティ(SBU) は、経営理念の実現に貢献する人材の育成を目的として2010年9月に設立した実践的プログラムを提供する育成機関です。従業員の多様性を尊重し、個性豊かな人材の育成を実現するために、従業員による自律的なキャリア開発が行われることを重視しています。このような考え方の下、ソフトバンクユニバーシティでは、会社主導の一律的なキャリア開発や研修体系ではなく、従業員が自己のキャリア目標に合わせて主体的に選択していくという自律的なキャリア開発の仕組みを整えています。役職・役割が変わる節目(新入社員、管理職等)で必要となるスキルの取得や成長をサポートする階層別プログラムの他、eラーニング、動画配信など、ICTをフルに活用したソフトバンクらしい学習スタイルも提供しています。受講者数受講機会の継続的な創出約29,100名(延べ)提供プログラム数ニーズに合わせたコンテンツの継続的な提供SBU集合研修:66コース eラーニング:83コースAI人材育成プログラム AI Campusエンジニア職だけでなく、利用者・サービス企画者等含めた社員全体のAIスキル習得を目指し、2021年度よりAI人材育成プログラム(AI Campus) をリリースし、プログラム提供に力を入れています。具体的には初学者から学べるeラーニングの提供や、日本ディープラーニング協会が実施するG検定、E資格の学習支援や、外部の有識者による講演会等を随時実施しています。 コンテンツ受講者数受講機会の継続的な創出約6,000名(延べ) ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの取り組み項目内容指標目標2023年度実績ジェンダー・ペイ・ギャップの解消当社では、性別に関わらない公平な賃金の支払いに努めるとともに、性別による賃金格差(ジェンダー・ペイ・ギャップ)の解消を目指しています。このような方針のもと、実態把握のために全社の役員、管理職、非管理職を対象として、「基本給のみ」または「基本給と賞与」の金額の比較を年に1回実施しています。当社では、男女で同一の給与体系を適用していますが、現状等級構成などに起因して報酬総額に男女差が発生しています。これらの状況も踏まえ、女性の活躍推進の各種取り組みを進めています。男女間賃金格差差異の縮小76.1%女性管理職比率の向上当社は女性活躍推進を目的に、女性管理職比率を2030年度までに15%以上、2035年度までに20%以上とする目標を2021年に設定しました。その達成に向けて、役員や外部の有識者などで構成する「女性活躍推進委員会」を同年7月に発足させました。同委員会では、CEOを委員長とし、各組織を統括する役員が推進委員を務め、女性活躍の推進・強化に向けた方針や新たな施策に関する議論、各施策の進捗確認などを実施しています。女性管理職比率2035年度20%以上9.2% 健康経営項目内容指標目標2023年度実績健康経営の推進社員一人一人が心身共に健康で活力あふれた集団であることが経営の重要な基盤と捉え、「健康管理」「安心安全な職場環境」「健康維持・増進」の三つのアプローチから各種指標をモニタリングし、PDCAサイクルを通して継続的な業務改善を図っています。プレゼンティーイズム(注1)90.0%以上86.0%アブセンティーイズム(注2)4.5日以下4.4日 (注) 指標と目標および実績の範囲は、ソフトバンク㈱のみが対象(注1) SPQ(Single-Item Presenteeism Question 東大1項目版)にて取得(注2) 傷病による欠勤・休職 |
事業等のリスク | 3 【事業等のリスク】 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクならびにリスクの管理体制および管理手法を記載しています。なお、主要なリスクは、当社グループが事業を遂行する上で発生しうるすべてのリスクを網羅しているものではありません。また、文中における将来に関する事項は別段の記載のない限り、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 1.リスク管理体制当社では、さまざまな角度から全社的なリスクを特定し、リスクの顕在化を防止するため、「3ラインモデル」の考え方に基づく管理体制を整えています。第1線として、本社各部門が現場で各種施策を立案する際にリスクを含めた検討を実施するとともに、自部門におけるリスク管理を遂行しています。第2線として、リスク管理の責任者であるリスク管理室長のもと、事業部門から独立した組織であるリスク管理室が、全社的・網羅的にリスクの把握と対策状況を確認し(年2回実施)、リスク管理委員会に報告しており、社長、副社長、CFOなどを委員とし、監査役や関係部門長が参加するリスク管理委員会では、リスクの重要度や対応する責任者(リスクオーナー)を定め、対策指示などを行い、リスク管理室長を通じて状況を取締役会に報告しています。なお、リスク管理委員会では、情報セキュリティ経験を有する取締役(代表取締役 社長執行役員 兼 CEO 宮川 潤一)が中心となり当社グループに重要な影響を与えるリスクを監督しています。内部監査室は第3線として、第1線と第2線から独立した立場から、これら全体のリスク管理体制・状況を監査しています。また、これとあわせて、リスク抽出プロセス等を含むリスク管理委員会における検討の内容を、リスク管理室長より会社業務の執行を監督する社外取締役および監査役に報告し、リスク管理手法や改善点等に関する意見を得て、リスク管理の対策等に反映しています。なお、グループ全体のリスク管理の観点から、子会社・関連会社からの報告体制を整備するとともに、それぞれが抽出した事業に関連するリスクとその対策状況の定期的なチェックを実施しています。 ※1 リスクトレンド分析:最新のニュースや公開情報をもとにした分析を行い、新しい視点でのリスク抽出の材料とする手法※2 KRI(Key Risk Indicators):重要リスク評価指標※リスク管理と監査について、それぞれの責任者であるリスク管理室長と内部監査室長が、それぞれの職責に基づき独立して取締役会に報告しています。※当社では、外部からのリスク管理に関する評価として、金融商品取引法で定められている内部統制報告制度及びSSAE18に準拠した第三者機関による内部統制の評価(年に1回)を受け、リスク体制の更なる精度向上に努めています。 2.リスク管理手法当社は、各種施策の立案時にビジネスの機会とあわせて潜在するリスクも検討することに加え、当社グループのリスクを幅広く抽出、選定、評価するため、リスクの見直しを含めて、年度ごとに以下のようなPDCAサイクルを回すことにより、 複雑化・多様化するリスクの発見、低減、顕在化の未然防止に取り組んでいます。 (1) Plan:リスク管理室は、リスク分類表(当社と当社の子会社・関連会社の事業遂行に関わりのあるリスクシナリオから構成)を用いたリスクアセスメントや、当社の各本部長および主要子会社・関連会社の経営陣へのヒアリングを実施することに加え、当該年度のリスクオーナー(リスクの責任者)等へのインタビューを行っています。リスク管理委員会においては、現場と経営の双方の目線に基づき抽出したリスクを対象に、当社に重要な影響を与えるリスクを選定し、リスクオーナーを指名しています。その際、さまざまな観点からリスクを抽出するために、事前にリスクおよび機会を含めた外部環境レポート等の情報提供や、短期/中長期の観点も含めた質問を通じ、情報を収集することで、より多面的なリスク分析を行っています。(2) Do:リスクオーナーは、リスク管理委員会が選定した当社に重要な影響を与えるリスクに基づき、リスクの対策等を検討し、実施しています。(3) Check:リスク管理室は、リスクオーナーによる対策状況を月次でモニタリングし、経営陣に報告するとともに、リスク管理委員会に対策状況等を報告し、リスク管理委員会は、報告に基づき、対策の実施状況等の確認やリスクの見直しおよび追加対策の必要性等を確認しています。(4) Action:リスクオーナーは、リスク管理委員会で追加対策が必要と判断された場合には、改善策や追加対策等を検討し、実施しています。 ※「取締役会」には、社外取締役・監査役への事前説明会を含みます。 研修等の実施新入社員を含む当社の全社員に向けては、取り組むべきリスクの社内周知やリスク管理に関する研修(eラーニングなど)等を実施し、加えて社内からの相談窓口を設置しているほか、子会社・関連会社に対しては当社と共通の研修資料を共有し、必要に応じて研修を実施しています。加えて、リスク管理は管理職を含めた従業員の能力評価に組み込まれるとともに、報酬に関する評価に反映されています。また、取締役・監査役に向けては、定期的に、リスク管理、コンプライアンスなどに関する社内外の研修等を実施しており、社外取締役や社外監査役に対しても、リスク管理に関する適切な助言を得るため、就任時、また就任後も定期的に、リスクの選定と対策状況、リスクの見直し結果をはじめ、当社グループの事業内容、直近のリスク動向・技術動向を含めた最新のリスク関連情報などを説明し、理解する機会を設けています。 3.事業等のリスク(1) 経営戦略上のリスク当社グループは、スマートフォンやブロードバンド契約数の拡大、および5Gの取り組みを通じ、通信事業のさらなる成長を目指しています。そのため、安全性と信頼性の高い通信ネットワークを構築し、継続して安定的に運用していくことや、特長の異なる3つのブランドを提供するマルチブランド戦略の推進などが重要であると考えています。また、「Yahoo! JAPAN」、「LINE」といったインターネットサービスや、キャッシュレス決済サービス「PayPay」などAI、IoT、FinTechなどの最先端テクノロジーを活用したビジネスの立ち上げを通じ、引き続き通信以外の領域の拡大を目指します。係る戦略に関連して経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下の通りです。 a. 経済情勢、規制環境および市場環境の変化、他社との競合について (a)市場環境の変化 日本の人口は高齢化と少子化が進むなか減少に向かっており、国内の通信関連市場、インターネット関連市場および金融関連市場等の拡大の継続性には、不透明な要素があります。・通信関連市場 近年、日本の通信関連市場においては、競争促進政策の強化や異業種からの新規参入などによって経営環境が大きく変化し、利用者からはより低廉で多様なサービスを求める動きが高まっています。しかし、これらの市場環境に対応するため、当社グループは、例えば、特長の異なる3つのブランド(「ソフトバンク」、「ワイモバイル」、「LINEMO」)を提供するマルチブランド戦略の推進など、消費者の志向に合ったサービス・商品・販売方法を導入していますが、当社グループが料金プランや通話・データ通信の品質等の面で消費者の期待に沿えない場合や当社グループが提供するサービス・商品に重大な瑕疵が存在した場合、既存の契約者数を維持できない可能性があります。また、法令・規制・制度などの制定、改正または解釈・適用の変更等により、当社グループが顧客に提供できるサービス・商品・販売方法および料金プラン等が実質的な制約を受け、収入の減少や金銭的負担の発生・増加が起きることにより、当社グループの事業、財政状態および業績に影響を及ぼす可能性があります。その他にも、予期せぬ市場環境の変化によりコストが増大する、または想定しているコスト効率化が実現できない可能性があります。・DX/ソリューション関連市場 デジタルトランスフォーメーション(DX)の動きがますます加速しており、急速に拡大する企業のデジタル化ニーズに応えたDX/ソリューション商材の販売等や、パートナーとの「共創」を通じ、社会課題の解決に取り組んでいます。しかし、当社の提供する商品またはサービスが企業のニーズを捉えることができなかった場合、当社グループの事業、財政状態および業績に影響を及ぼす可能性があります。・インターネット関連市場 日本のインターネット全体の利用規模、景気の動向、有料会員数、有料サービスの利用状況などに影響を受ける可能性があります。当社グループでは、利用者にとって正確で有益なサービスの提供、安心、安全な利用体験、広告媒体としての価値を向上させる活動、啓発、有料会員向けの魅力的な特典、コンテンツの提供などを通じ、利用者の維持拡大に努めていますが、これらの施策が十分に奏功せず、市場環境の変化等が当社グループの事業、財政状態および業績に影響を及ぼす可能性があります。 ・金融関連市場 政府や自治体の経済対策の進展を受け、日本ではキャッシュレス化が進んでいます。利用者にとって利便性の高いサービスを提供するために、キャッシュレス決済サービスの機能の見直し、拡充に取り組むとともに、当社グループのキャッシュレス決済サービスが利用可能な加盟店の拡大にも努めています。しかし、市場環境や規制の変化に当社グループが適時かつ適切に対応できず、または何らかの事由により当社グループの期待通りにサービスを提供できないもしくは顧客を維持・獲得できない状況が生じた場合、当社グループの事業、財政状態および業績に影響を及ぼす可能性があります。・新規事業関連市場 当社グループは、当社グループが有する通信、eコマース、決済、SNSといった異なる複数の分野における顧客基盤を強みに、AI、FinTech、モビリティ、ヘルスケア、再生可能エネルギーなどの領域で、最先端テクノロジーを活用した革新的な新規事業の創出・拡大を目指します。しかし、経済情勢、規制環境および市場環境の変化等により、当社グループの事業が想定どおりに進展せず、当社グループの事業、財政状態および業績に影響を及ぼす可能性があります。(b)他社との競合 日本の市場において、当社グループの競合他社は、その資本力、サービス・商品、技術開発力、価格競争力、顧客基盤、営業力、ブランド、知名度およびこれらの総合力などにおいて、当社グループより優れている場合があります。競合他社がその優位性を現状以上に活用してサービスや商品の販売に取り組んだ場合、当社グループが価格競争を含む販売競争で劣勢に立たされ、当社グループの期待通りにサービス・商品を提供できない、顧客を維持・獲得できない、またはARPU (注)が低下することも考えられます。その結果として、当社グループの事業、財政状態および業績に影響を及ぼす可能性があります。 また、通信、インターネット、キャッシュレス決済に係る市場では、設立間もない新興企業や新規参入者によるサービス・商品がユーザーの支持を集め、急速に広まることがあります。当社グループでは、ユーザーの意見や動向を捉え、ユーザーの支持を集めることができるサービス・商品の提供を追求していきますが、設立間もない新興企業や新規参入者のサービス・商品が当社グループのサービス・商品に対する競合となる可能性、または当社グループが競争優位性を発揮するための新規サービス・商品の開発に費用がかかり、当社グループの事業、財政状態および業績に影響を及ぼす可能性があります。 (注) ARPU(Average Revenue Per User):1契約当たりの月間平均収入b. 技術・ビジネスモデルへの対応について 当社グループは、技術やビジネスモデルの移り変わりが早い情報産業を主な事業領域としています。情報産業においては、AI、IoT、ビッグデータの活用が急速に進展し、DXの動きが加速するに連れて、業界を超えたより多様かつ高度なサービスの提供が求められるようになってきています。特に生成AIの分野の発展はめざましく、既存のビジネスモデルに大きな影響を与えています。当社グループは、常に最新の技術動向や市場動向の調査、技術的優位性の高いサービスの導入に向けた実証実験、および他社とのアライアンスの検討などの施策を講じていますが、新たな技術への対応が想定通りの時間軸に沿って進むこと、想定通りの効果を上げること、共通の基準や仕様が確立すること、および商用性を持つようになることについての保証もなく、また、これらの施策を行ったとしても、新たな技術やビジネスモデルの出現を含む市場環境の変化に当社グループが適時かつ適切に対応できず、または迅速かつ効率的に設備を配備できないことにより、市場変化に適した優れたサービス、技術やビジネスモデルを創出または導入できない可能性があります。その場合、当社グループのサービスが市場での競争力を失い、当社グループが維持・獲得できる契約数が抑制される、またはARPUが低下することにより、当社グループの事業、財政状態および業績に影響を及ぼす可能性があります。 c. 情報の流出や不適切な取り扱いおよび当社グループの提供する商品やサービスの不適切な利用について 当社グループは、事業を展開する上で、顧客情報(個人情報を含みます。)やその他の機密情報を取り扱っています。当社グループは、チーフ・テクノロジー・オフィサー(CTO)および最高情報セキュリティ責任者であるチーフ・インフォメーション・セキュリティ・オフィサー(CISO)が主導し、顧客情報やその他の機密情報に関する作業場所を所定のエリアに限定し、当該エリア専用の入退室管理ルールを設けるなど徹底した物理的管理を行っています。技術的管理としても、当該エリア内にあるセキュリティ・オペレーション・センター(SOC)などにおいて、AIを活用した内部不正の予兆検知(ふるまい検知)を強化し、役職員による業務パソコンの使用状況、社内ネットワークの利用状況、社内の各サーバーへのアクセス状況等を監視するとともに、社外からのサイバー攻撃による不正アクセスを監視・防御することで、セキュリティレベルの維持・管理を行っています。また、情報のセキュリティレベルに応じて、当該情報に対するアクセス権限や使用するネットワークなどの分離・独立を実施しています。さらに、チーフ・データ・オフィサー(CDO)およびCDO室が主導し、社内外データの管理・戦略的利活用の方針およびルールを整備し、通信の秘密・個人情報等の取り扱いに関する社内管理体制を強化しています。加えて、国内外で事業を展開する上で必要となる各国の個人情報保護等に関する法令への対応も行っています。対策の実施にあたり、役職員にセキュリティ教育・訓練を徹底し、当社の情報資産にかかわる全員が、情報セキュリティリテラシーを持って業務を遂行できる体制の構築や、OA環境および業務用スマートフォンの管理の強化を行っています。これらの取り組みにもかかわらず、当社グループ(役職員や委託先の関係者を含みます。)の故意・過失、または悪意を持った第三者によるサイバー攻撃、ハッキング、コンピューターウイルス感染、その他不正アクセスなどにより、これらの情報の流出や消失などが発生する可能性があります。 また、当社グループの提供する商品やサービスが詐欺等の犯罪等に不正に利用された場合、当社グループの信用および信頼の低下を招く可能性があります。 こうした事態が生じた場合、当社グループの信頼性や企業イメージが低下し顧客の維持・獲得が困難になるほか、競争力の低下や、損害賠償やセキュリティシステム改修のために多額の費用負担が発生する可能性があります。その結果、当社グループの事業、財政状態および業績に影響を及ぼす可能性があります。 なお、LINEヤフー㈱については、2023年10月1日付でZホールディングス㈱を存続会社とし、同社ならびにLINE㈱およびヤフー㈱を中心としたグループ内再編に関する手続きが完了し、Zホールディングス㈱からLINEヤフー㈱に商号変更されました。LINEヤフー㈱においては、LINEヤフー㈱のグループ会社全体のデータガバナンスが円滑かつ適切に機能するよう体制を整え、その強化に取り組んでいます。今後もこうした取り組みを継続していきますが、係る対策やガバナンス強化の施策が有効に機能しないことによる当局から当社グループへの行政処分、当社グループの信用の毀損、当社グループのサービスへの需要の減少、追加の対策の策定・実施、また、データの漏洩やその恐れとなる事象の発生等により、当社グループの事業、財政状態および業績に影響を及ぼす可能性があります。 また、LINEヤフー㈱は、同社が2023年11月27日に公表した不正アクセスの事案に関し、総務省および個人情報保護委員会へ報告を行い、2024年3月5日および4月16日に総務省より行政指導を、同年3月28日に個人情報保護委員会より勧告および報告等の求めを受けました。現在、LINEヤフー㈱はこれらの行政指導および勧告を踏まえた対応等を進めており、総務省に対しては2024年4月1日に再発防止等に向けた取組に関する報告書、個人情報保護委員会に対しては同年4月26日に再発防止策の実施状況等をまとめた報告書を提出し、対応を進めています。しかし、LINEヤフー㈱および当社の取り組みが適切ではない、または十分ではないと判断された場合、当社グループの信用の毀損、当社グループのサービスへの需要の減少等により、当社グループの事業、財政状態および業績に影響を及ぼす可能性があります。 d. 国際情勢の不安定化について 当社グループは、通信機器・設備、顧客向け商品や開発資材などを国内外の取引先からも調達しています。また、通信サービスを提供する上では、基地局やネットワーク設備、データセンターなどで多くの電力を使用しています。当社グループは、サービス・商品の提供を安定的に行うため、国際情勢に関する情報収集やサプライヤーの分散化・多様化などによりサプライチェーンの強化に努めています。また、中長期的には環境負荷の少ない通信インフラや次世代電池の実用化に向けた研究開発のほか、政府や業界団体との連携により、電力価格の変動による事業運営への影響を最小限に抑えるよう取り組んでいます。これらの対策にも関わらず、国際社会における国家間の対立、地域紛争や武力行使等により、世界的な輸送遅延、半導体などの不足、サイバー攻撃などに起因する取引先の事業停滞・停止によるサプライチェーンの分断などが起こった場合には、当社グループの事業、財政状態および業績に影響を及ぼす可能性があります。また、原油価格の高騰による輸送費等の増加や、国際情勢の変化による国家の政策や法規制などの変更により、基地局やネットワーク設備などに関する取引先の変更や設備の切り替えのための費用が発生する可能性があります。さらに、継続的に電力価格が上昇する場合や、エネルギー調達に支障が生じてサービス・商品の安定的な供給が困難となる場合には、当社グループの事業、財政状態および業績に影響を及ぼす可能性があります。 また、経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律(以下、経済安全保障推進法)に基づき、2023年11月16日に当社およびLINEヤフー㈱は電気通信事業における特定社会基盤事業者(基幹インフラ事業者)に指定されました。2024年5月17日から本制度の規律が適用されていますが、当社またはLINEヤフー㈱が経済安全保障推進法が定める国による審査に適切に対応できなかった場合、当局からの当社またはLINEヤフー㈱に対する事業の是正や中止の勧告、命令等の行政措置、それに伴う事業の一時停止、遅延、追加の設備投資並びに追加の対策やコスト、当社グループの信用の毀損が生じる可能性があります。その結果、当社グループの事業、財政状態および業績に影響を及ぼす可能性があります。 e. 安定的なネットワークの提供について(a) 通信ネットワークの増強について 当社グループは、競争力の維持および顧客基盤の維持・拡大を目的として通信サービスの品質を維持・向上させるために、将来のトラフィック(通信量)を予測し、その予測に基づいて継続的に通信ネットワークを増強していく必要があります。これらの増強は計画的に行っていく方針ですが、実際のトラフィックが予測を大幅に上回った場合、または通信ネットワークの増強(例えば、必要な周波数の確保を含みますが、これに限りません。)を適時に行えなかった場合、サービスの品質および信頼性や企業イメージの低下を招き顧客の維持・獲得に影響を及ぼすほか、追加の設備投資が必要となり、その結果、当社グループの事業、財政状態および業績に影響を及ぼす可能性があります。 また、当社グループの通信サービスの提供はネットワークシステムのパフォーマンスおよび十分な周波数帯の確保に依存しています。将来において、必要な周波数帯を確保できなかった場合、競合他社と比べてサービスの品質が低下し、または計画通りにネットワークを拡大することができなくなり、顧客の維持・獲得が困難になる可能性があります。さらに、周波数帯の割当てにオークション制度が導入されたり、割当ての要件として一定の費用負担を行うことが求められるようになる場合など、多額の資金拠出が必要になる可能性があり、当社グループの事業、財政状態および業績に影響を及ぼす可能性があるとともに、新規事業者の参入が容易になる可能性があります。(b) 自然災害など予測困難な事情について 当社グループは、インターネットや通信などの各種サービスの提供に必要な通信ネットワークや情報システムなどを構築・整備しています。近年、南海トラフ地震や首都圏直下型地震の発生確率の高まりや気候変動の進行等から、地震や台風など大型の自然災害の被害を受けるリスクが増加しています。地震・ (b) 自然災害など予測困難な事情について台風・洪水・津波・竜巻・豪雨・大雪・火山活動などの自然災害および近年の気候変動に伴うこれら災害の大規模化、火災や停電・電力不足、テロ行為、新型コロナウイルスなどの感染症の流行などにより、通信ネットワークや情報システムなどが正常に稼働しなくなった場合、当社グループの各種サービスの提供に支障を来す可能性があります。当社グループは、こうした事態が発生した場合においても安定した通信環境を確保できるようにネットワークの冗長化、応急復旧体制の構築、ネットワークセンターおよび基地局での停電対策等を導入しているほか、ネットワークセンターやデータセンター等の重要拠点やIT監視体制の拠点を全国に分散することでサービス提供への影響の低減を図る対策を講じています。 もっとも、係る対策はあらゆる障害を回避できるものではなく、実際に各種サービスの提供に支障を来す場合、およびこれらの影響が広範囲にわたり、復旧に相当時間を要した場合、信頼性や企業イメージが低下し、顧客の維持・獲得が困難になる可能性があります。また、通信ネットワークや情報システムなどを復旧・改修するために多額の費用負担が発生する可能性があります。その結果、当社グループの事業、財政状態および業績に影響を及ぼす可能性があります。f. 他社の買収、業務提携、合弁会社設立、グループ内組織再編等について 当社グループは、戦略を実行していく上で、合弁企業の設立や子会社化を行うなど、他社の買収やその他の株式投資を行う可能性があります。また、当社グループの事業、財務、業績にとって戦略的に重要と思われる他の資産を買収する可能性があります。加えて、当社グループの内部においても戦略上の必要に応じて株式や資産の移動を伴う再編を実施する可能性があります。 当社グループは、各投資の実行の検討に際し、必要十分なデュー・ディリジェンスを実施した上で、定められた承認プロセスを経て投資判断を行っていますが、当社グループの投資先会社が見込み通りの業績を上げることができない場合、当社グループが投資時の企業価値算定を過大に見積もっていた場合、または既存事業への新規事業の統合や統合後の内部管理体制の構築が奏功しない場合、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループが将来的な買収や投資のために資金を借り入れた場合、または買収した企業に未払いの負債があることが判明した場合、当社グループの債務負担が増加し、キャッシュ・フローを悪化させ、事業運営資金の不足に陥る可能性があります。これらのリスクの顕在化は当社グループの事業、財政状態および業績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループの業務提携先や合弁先と共同事業を行う場合には、一般的に当局の許認可の取得や、当該業務提携先や合弁先と共同事業の内容についての合意が前提となります。また、当社グループの業務提携先や合弁先に対して当社グループが支配権を有するとは限らず、これらの会社が、当社グループの意向にかかわらず、事業戦略を大幅に変更する可能性があります。さらに、第三者割当増資や当社グループ以外の株主がコールオプションを行使したことによる当社グループの持株比率の低下や、その経営成績や財政状態の大幅な悪化の可能性もあります。これらの場合、その業務提携、合弁事業などが期待通りの成果を生まない可能性や、継続が困難となる可能性があります。また、特定の第三者との業務提携や合弁事業などを実施したことにより、他の者との業務提携や合弁事業などが制約される可能性もあります。その結果、当社グループの事業、財政状態および業績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループ内部における再編を行う場合には、重複する経営資源の効率化、意思決定の迅速化や事業間におけるより大きなシナジーの創出などを目的としています。しかし、期待した再編の効果を十分に発揮できない場合、展開するサービスの連携の不調・遅れ、戦略やシナジーへの悪影響、再編に伴う混乱などの問題の発生などにより、当社グループの事業、財政状態および業績に影響を及ぼす可能性があります。 g. 他社経営資源への依存について(a) 業務の委託 当社グループは、提供する各種サービス・商品に係る販売、顧客の維持・獲得、通信ネットワークの構築およびメンテナンス、ならびにそれらに付随する業務の全部または一部について、他社に委託しているほか、情報検索サービスにおいて他社の検索エンジンおよび検索連動型広告配信システムを利用しています。 当社グループは、業務委託先を含むサプライヤーの選定時には購買規程に則った評価・選定を行うとともに、新規取引開始時には、当社の「サプライヤー倫理行動規範」を遵守することを盛り込んだ取引基本契約書を締結した上で、取引開始後もサステナビリティ調達調査を通じたリスクアセスメントの実施、サプライヤー評価および課題の抽出、サプライヤーへのヒアリング実施などPDCAサイクルの構築によって、サプライチェーン上のリスクの低減に努めています。しかし、これらの対策にも関わらず、業務委託先(役職員や関係者を含みます。)が当社グループの期待通りに業務を行うことができない場合や、顧客に関する情報の不正取得や人権侵害等に関連する問題を起こした場合、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。 また、上述のような事象により当該業務委託先の信頼性や企業イメージが低下した場合には、当社グループの信頼性や企業イメージも低下し、事業展開や顧客の維持・獲得に影響を及ぼす可能性があり、その結果、当社グループの事業、財政状態および業績に影響を及ぼす可能性があります。 このほか、当該業務委託先において法令などに違反する行為があった場合、当社グループが監督官庁から警告・指導を受けるなど監督責任を追及される可能性があるほか、当社グループの信頼性や企業イメージが低下し顧客の維持・獲得が困難になる可能性があります。その結果、当社グループの事業、財政状態および業績に影響を及ぼす可能性があります。(b) 他社設備などの利用 当社グループは、通信サービスの提供に必要な通信ネットワークを構築する上で、他の事業者が保有する通信回線設備などを一部利用しています。当社グループでは、原則として、複数の事業者の通信回線設備などを利用していく方針を採用していますが、今後、複数の事業者の当該設備などを継続して利用することができなくなった場合、または使用料や接続料などが引き上げられるなど利用契約が当社グループにとって不利な内容に変更された場合、当社グループの事業、財政状態および業績に影響を及ぼす可能性があります。(c) 各種機器の調達 当社グループは、通信機器やネットワーク関連機器など(例えば、携帯端末や携帯電話基地局の無線機を含みますが、これらに限りません。)を調達しています。当社グループでは、原則として複数のサプライヤーから機器を調達してネットワークを構築していく方針を採用していますが、それでもなお特定のサプライヤーへの依存度が高い機器が残ることも予想されます。特定のサプライヤーへの依存度が高い機器の調達において、供給停止、納入遅延、数量不足、不具合などの問題が発生しサプライヤーや機器の切り替えが適時に多額のコストを要さずに行うことができない場合、または性能維持のために必要な保守・点検が打ち切られた場合、当社グループのサービスの提供に支障を来し、顧客の維持・獲得が困難になる可能性やサプライヤーの変更のために追加のコストが生じる可能性のほか、通信機器の売上が減少する可能性があります。その結果、当社グループの事業、財政状態および業績に影響を及ぼす可能性があります。 h. 「ソフトバンク」ブランドの使用および侵害について 当社は、2018年3月にソフトバンクグループ㈱との間で締結した、ライセンス料一括支払いによる同年3月31日から原則無期限のブランド使用権および再許諾権が付与される旨の契約に基づき、社名、社標、商標およびドメインネームとして「ソフトバンク」ブランドを使用(移動体通信における通信サービスおよび携帯端末などに関する商標使用は専用的使用)すること、また当社の子会社に対して当該使用を再許諾(サブライセンス)することができます。 当社グループは、「ソフトバンク」ブランドのイメージの維持・向上を図り、顧客からの信頼を守るため、各種ブランド保護施策を推進しています。しかし、当社または再許諾を受けた当社の子会社が、当該契約への違反を一定期間継続した場合やソフトバンクグループ㈱の信用または利益を害する行為をした場合などには、ソフトバンクグループ㈱は、当該契約を解約することができます。これにより当社は「ソフトバンク」ブランドの使用および再許諾を継続できなくなり、関連して資産計上している商標利用権の減損損失が発生する可能性があります。また、ソフトバンクグループ㈱が保有している「ソフトバンク」ブランドなどの知的財産権が第三者により侵害された場合には、当社グループの信頼性や企業イメージが低下する可能性があります。i. 関連システムの障害などによるサービスの中断・品質低下について 当社グループでは、通信ネットワークや顧客向けのシステム、「Yahoo! JAPAN」、「LINE」、「PayPay」をはじめとする各種サービスを提供しています。これらサービスにおいて人為的なミスや設備・システム上の問題、第三者によるサイバー攻撃、ハッキングその他不正アクセスなどに起因して各種サービスを継続的に提供できなくなること、または各種サービスの品質が低下することなどの重大なトラブルが発生する可能性があります。当社グループは、提供サービスに応じた責任者(CTO、チーフ・ネットワーク・オフィサー(CNO)、およびチーフ・インフォメーション・オフィサー(CIO)など)を設置しており、それらの者が主導し、ネットワークを冗長化するとともに、障害やその他事故が発生した場合に備え、復旧手順を明確にしています。また、障害やその他事故が発生した場合、規模に応じて事故対策本部を設置するなど、適切な体制を構築して復旧にあたっています。これらの対策にもかかわらず、サービスの中断や品質低下を回避できず、サービスの中断・品質低下による影響が広範囲にわたり、復旧に相当時間を要した場合、信頼性や企業イメージが低下し、顧客の維持・獲得が困難になる可能性があります。その結果、当社グループの事業、財政状態および業績に影響を及ぼす可能性があります。j. 人材の育成・確保について 当社グループは、技術革新に即応できる人材の育成・確保が重要であるとの考えから、人材育成に注力していますが、期待通りの効果が出るまで一定の期間を要することがあります。また、人材の育成・確保のための人材投資コストが将来的に増加する可能性があります。当社グループでは、チーフ・ヒューマン・リソーシズ・オフィサー(CHRO)および人事部門長などの責任者が主導し、高市場価値の人材に対し、その専門性の高さを踏まえた報酬制度を導入することで人材の確保を図っています。加えて、各社員の職場への適応状況や今後のキャリアについての定期的な面談や調査等の実施により、事業の持続的な成長を支える優秀な人材の定着を図っています。これらの取り組みにもかかわらず、事業運営に必要な技術者等の人材を予定通り確保できない場合、当社グループの事業、財政状態および業績に影響を及ぼす可能性があります。 また、当社グループはダイバーシティの推進に力を入れており、多様な人材が活躍できる環境整備や社内周知の徹底、研修実施等に取り組んでいますが、多様性を認め合い、生かすことに関する社会的要求に応えられなかった場合、当社グループの信頼性や企業イメージの低下、人材を予定通りに確保できないことなどにより、当社グループの事業、財政状態および業績に影響を及ぼす可能性があります。k. 気候変動について 当社グループは、基地局設備を始めとして多くの電力を使用する通信事業を行っていることから、気候変動への対応が不可欠と捉えています。そのため、当社グループでは、温室効果ガス排出量をサプライチェーン全体で実質ゼロにする「ネットゼロ」の実現に向けて、当社グループの事業活動で使用する電力などによる温室効果ガスの排出量を2030年度までに実質ゼロにする(注1)「カーボンニュートラル2030宣言」に加え、2050年度までに取引先などで排出される温室効果ガスの排出量も含めた「サプライチェーン排出量」を実質ゼロ(注2)とすることに取り組んでいます。また、当社は、2020年4月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明し、TCFDの提言に基づきシナリオ分析など気候変動の影響の評価を実施しています。これ ら評価結果や温室効果ガス排出量等の環境負荷データについては、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3) 気候変動 c.戦略」および「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3) 気候変動 d.指標と目標」に記載しています。 これらの対策にもかかわらず、気候変動の進行に伴い、自然災害による甚大な被害が発生した場合や、脱炭素化社会の実現に向けた新たな法令・規制の導入や強化がなされた場合等には、当社グループの所有する通信ネットワークや情報システム設備に係る費用の負担が増加するなど、当社グループの事業、財政状態および業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの気候変動に関する取り組みや開示が不十分と判断された場合や、顧客、従業員、サプライヤー、投資家、地域社会、国・行政機関等からの理解が十分に得られなかった場合、事業運営に支障を来す可能性があります。(注1) ソフトバンク㈱単体のスコープ1(自らによる温室効果ガスの直接排出)とスコープ2(他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出)が対象(注2) スコープ、スコープに加え、スコープ3(事業者の活動に関連する他社の排出)が対象 (2) 法令・コンプライアンスに関するリスクa. 法令・規制・制度などについて 当社グループは、電気通信事業法、電波法、金融、電力、デジタルプラットフォームなどの事業固有の法令はもとより、企業活動に関わる各種法令・規制・制度(環境、公正な競争・取引の透明性、消費者保護、個人情報・プライバシー保護、贈収賄禁止、労務、知的財産権、租税、為替、輸出入に関するものを含みますが、これらに限りません。)の規制を受けています。また、事業を営むために必要な許認可等の多くには、さまざまな条件が付されることがあり、その遵守が求められます。 当社グループ(役職員を含みます。)がこれらの法令・規制・制度などに違反する行為を行った場合、違反の意図の有無にかかわらず、行政機関から行政指導や行政処分(登録・免許の取消や罰金を含みますが、これらに限りません。)を受けたり、取引先から取引契約を解除されたりする可能性があります。 当社グループは、法務部門主導で、各種法令および法令に基づくガイドラインの改正のモニタリングを行うとともに、改正がある場合には必要に応じて業務の運用方法の変更などの対策を講じているほか、必要に応じて弁護士等の外部専門家への相談を行っていますが、すべての違反行為を未然に防ぐことは困難な場合があります。その結果、当社グループの信頼性や企業イメージが低下したり、事業展開に支障が生じたりする可能性があるほか、金銭を含む経営資源に係る負担の発生等により、当社グループの事業、財政状態および業績に影響を及ぼす可能性があります。ただし、当連結会計年度末現在において、これらの免許および登録の取消事由および更新拒否事由は存在していません。 また、当社グループは、各子会社・関連会社からの報告体制の整備やコミュニケーション強化、リスクアセスメント等による子会社・関連会社のリスク把握に努めていますが、不正等を未然に防止することができなかった場合には、当社グループの信用の毀損、当社グループのサービスへの需要の減少等により、当社グループの事業、財政状態および業績に影響を及ぼす可能性があります。 さらに、将来、当社グループの事業に不利な影響を与え得る法令・規制・制度の導入や改正が実施される可能性があります。当社グループの展開する移動通信事業は、無線周波数の割当てを行政機関より受けており、その意向による直接的・間接的な影響を受けやすい事業です。今後、当社グループの事業に不利な影響を与え得る法令・規制・制度が導入されるかどうか、および、その導入による当社グループ事業への影響を正確に予測することは困難ですが、仮に導入された場合には、当社グループが顧客に提供できるサービス・商品および料金プラン等が実質的な制約を受け、収入の減少や金銭的負担の発生・増加が起きることにより、当社グループの事業、財政状態および業績に影響を及ぼす可能性があります。 b. 訴訟などについて 当社グループは、事業活動を行うにあたり、適用のある法令・規則・制度や契約書等に記載されている契約条件を確認し、これに違反することのないよう十分留意していますが、顧客、取引先、株主(子会社・関連会社・投資先の株主を含みます。)および従業員等を含む第三者の権利(知的財産権を含みます。)および法的に保護されている利益を侵害した場合、権利侵害の差止め、損害賠償、対価等の請求を受ける、または行政機関による調査等の対象となる可能性があります。その結果、当社グループの企業イメージが低下する可能性があるほか、サービス・商品および事業上の慣行について変更を余儀なくされたり、金銭を含む経営資源に係る負担の発生等により、当社グループの事業、財政状態および業績に影響を及ぼす可能性があります。 (3) 財務・経理に関するリスクa. 資金調達について 当社グループは、銀行借入や社債発行、債権流動化、リース等による資金調達を行っています。よって、金利が上昇した場合、または当社および子会社の信用力が低下した場合、これらの調達コストが増加し、当社グループの事業、財政状態および業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループでは、財務部門長が主導し、資金調達手段(銀行借入や社債発行、債権流動化による借入、リースを含みますが、これらに限りません。)の多様化等を通じて十分な資金および融資枠を保持する財務基盤を構築するとともに、手元流動性を考慮しつつ、資金調達のコントロールを行っていますが、金融市場の環境によっては、資金調達が当社グループの想定通り行えず、当社グループの事業、財政状態および業績に影響を及ぼす可能性があります。 また、当社グループの金融機関からの借入に際しては財務制限条項が付帯されています。内容については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 24.有利子負債」をご参照ください。 当社グループでは、財務制限条項に抵触しないよう、財務部門において各事業部門の事業計画を横断的にモニタリングするとともに、債務保証や貸付等の財務制限条項に抵触する可能性のある取引の実行は、財務部門の事前の承認があることを前提条件としています。これらの対応策にもかかわらず、財務制限条項を遵守することができない場合、当社グループは期限の利益を失い、借入金の一部または全額の返済を求められ、または新規借入が制限される可能性があります。b. 会計制度・税制の変更などについて 当社グループでは、研修などを通じて従業員に会計制度や税制の変更などについて周知徹底するとともに、必要に応じて顧問税理士等の外部専門家への相談を行っていますが、会計基準や税制が新たに導入・変更された場合や、税務当局との見解の相違により追加の税負担が生じた場合、当社グループの事業、財政状態および業績に影響を及ぼす可能性があります。c. 減損損失について 当社グループは、事業を遂行する過程で、資金をさまざまな資産に投資します。その結果、例えば、通信ネットワークの構築に必要な無線設備、交換機、鉄塔、アンテナ、その他ネットワーク機器、建物、備品などの有形固定資産や、ソフトウエア、商標利用権、周波数関連費用、のれんなどの無形資産、他社との業務提携や合弁会社設立にあたり出資した関連会社株式等の金融資産を含む資産を保有しています。 当社グループではこれらの資産につき定期的にモニタリングする体制を構築し、IFRSに基づき、適切に減損の判定を実施していますが、その結果、投資金額を回収するのに十分な将来の経済的便益が見込めないと判断した場合には、減損損失が発生し、当社グループの事業、財政状態および業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当該判断には当社グループによる見積りの要素が大きく、また減損損失の発生時期および金額を正確に予測することはできません。 (4) 上記以外に、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項a. 経営陣について 当社グループの重要な経営陣に不測の事態が発生した場合に備え、他の役員による職務の代行が可能な体制を構築していますが、代行が十分に機能しない場合、当社グループの事業に支障が生じる可能性があります。 b. 親会社との関係について(a) 親会社が株主総会の決議事項に関する支配権または重大な影響力を有することについて 当社の親会社であるソフトバンクグループ㈱は、当連結会計年度末において、当社の議決権のうち40.68%をソフトバンクグループジャパン㈱を介して実質保有しています。ソフトバンクグループ㈱の当社株式の所有割合および当社に対する議決権保有割合は、当社による自己株式の取得や新株予約権の保有者による行使などの状況により変動しますが、ソフトバンクグループ㈱は、株主総会の特別決議を要する事項(例えば、吸収合併、事業譲渡、定款変更等を含みますが、これらに限りません。)および普通決議を必要とする事項(例えば、取締役の選解任、剰余金の処分や配当等を含みますが、これらに限りません。)に関して、その時々の議決権保有割合に応じて特別決議を要する事項についての拒否権を含む重大な影響力を有することになります。当社は、独立社外取締役およびCEOで構成され独立社外取締役が議長を務める指名委員会および報酬委員会の2つの委員会を任意に設けることで独立性の担保を図っています (注)。しかし、それでもなお株主総会の承認を必要とする事項に関し、ソフトバンクグループ㈱が影響を及ぼす可能性があります。なお、事前承認事項等はありません。 また、ソフトバンクグループ㈱との良好な関係は当社グループの事業の核であり、何らかの理由により関係が現実に悪化した場合または悪化したと受け取られた場合には、当社グループの事業、財政状態および業績に影響を及ぼす可能性があります。 当社とソフトバンクグループ㈱との間の主な関係等についての詳細は、下記「(b)役員の兼任について」から「(e)ソフトバンクグループとの取引関係について」に記載の通りです。 (注)特別委員会については、当社の取締役の過半数が独立社外取締役となったことにともない、2024年6月20日付で廃止しました。(b) 役員の兼任について 当社の取締役のうち、孫正義氏がソフトバンクグループ㈱の役員を兼任しています。孫氏は、親会社であるソフトバンクグループ㈱の代表取締役会長 兼 社長執行役員を兼任しています。これは、孫氏がソフトバンクグループを率いてきた豊富な実績と経験が、当社取締役会の機能強化に資すると考えているためです。 また、当社の監査役のうち、君和田和子氏はソフトバンクグループ㈱の常務執行役員を兼任しています。これは当社の監査体制強化を目的とするものです。(c) 従業員の出向および兼任について ソフトバンクグループでは、業務の効率性、事業上の必要性、人材育成および各職員の将来像を踏まえたキャリアパス形成の観点から、積極的なグループ内での人材交流が行われており、当社においてもソフトバンクグループ㈱を含めたグループ内他社から出向社員を受け入れています。 ただし、この場合には業務分掌を受けた組織体の責任者であるライン長(各組織体における組織長)以上については、親会社からの独立性および経営の安定性の観点から、グループ内他社との兼務はしない方針です。また、ソフトバンクグループ㈱との間の出向については、当社の事業上必要と判断するものを除きライン長以外の社員の兼務も解消しています。 当社からソフトバンクグループ㈱を含めたグループ内他社への出向については、当社の事業上必要と判断するもののみ実施しており、その範囲において、今後も継続する方針です。 (d) ソフトバンクグループ内の他社との競合について 現在当社グループの方針決定および事業展開の決定については、当社グループ独自に決定しており、また、ソフトバンクグループ内の他社との競合関係はありません。しかし、ソフトバンクグループ㈱およびその子会社は世界中でさまざまな事業の運営に関わっており、また、新たな事業や投資の検討を日々行っていることから、今後、当社グループは投資機会の追求にあたりグループ内他社と競合する可能性があります。当社グループとしては、それらの会社との連携を検討するなどの対応を行っていきますが、当社グループの事業に何らかの影響を及ぼす可能性があります。(e) ソフトバンクグループとの取引関係について 当社グループは、ソフトバンクグループ内の各社と取引を行っています。 当社は、独立性の観点を踏まえ、ソフトバンクグループ㈱も含めた関連当事者との取引について「関連当事者規程」および「関連当事者取引管理マニュアル」を定めており、特に重要な取引については、これらの規程やマニュアルに基づき、その取引が当社グループの経営上合理的なものであるか、取引条件が外部取引と比較して適正であるかなどの観点から、都度取締役会の承認を得ることとしています。 |
経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 | 4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 当連結会計年度における経営者の視点による当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況に関する認識および分析・検討内容は次の通りです。文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 (1) 連結経営成績の状況a.事業全体およびセグメント情報に記載された区分ごとの状況(a) 事業全体の状況ⅰ.経営環境と当社グループの取り組み当社グループは、「情報革命で人々を幸せに」という経営理念の下、情報・テクノロジー領域においてさまざまな事業を手がけ、「世界に最も必要とされる会社」になるというビジョンを掲げ企業価値の最大化に取り組んでいます。このため、取り組むべき6つのマテリアリティ(重要課題)(注1)を特定し、事業を通じてさまざまな社会課題の解決に貢献しています。2024年3月期の国内景気は、地政学リスクの高まりやインフレによる先行き不透明感が継続した一方でコロナ禍からの経済活動正常化やインバウンド需要の回復などにより緩やかな回復傾向にありました。一方、テレワークやオンラインショッピング、非接触型決済の利用拡大など、コロナ禍をきっかけとした人々の生活様式の変化や深刻化する人手不足に対応するため、企業や行政のデジタル化は必要不可欠なものとなりました。デジタル化は、生産性向上やイノベーションの創発を促すことで今後の日本の社会を変革していく原動力となり、さらに、文章・画像・プログラムコードなどさまざまなコンテンツを生成することができる生成AIの出現により、変革のスピードは加速すると考えています。このような環境の下、情報・テクノロジー領域のさまざまな事業を展開する当社グループが果たすべき役割は、ますます重要性を増しています。当社は2023年5月、3ヵ年の中期経営計画とともに、長期的に「デジタル化社会の発展に不可欠な次世代社会インフラを提供する企業」を目指すことを発表しました。これは、AIの加速度的な進化により急増すると予見されるデータ処理や電力の需要に対応できる構造を持ったインフラを構築し、未来の多様なデジタルサービスを支える不可欠な存在となることを意図しています。そして、この長期ビジョンの実現に向け、本中期経営計画においては事業基盤を着実に再構築することを目的として掲げています。すなわち、成長戦略「Beyond Carrier」を推進することにより通信料の値下げの影響からの回復に取り組み、この計画期間の最終年度である2026年3月期において、親会社の所有者に帰属する純利益を最高益となる5,350億円とすることを目指します。成長戦略「Beyond Carrier」とは、コアビジネスである通信事業の持続的な成長を図りながら、通信キャリアの枠を超え、情報・テクノロジー領域のさまざまな分野で積極的にグループの事業を拡大し、企業価値の最大化を目指すものです。また、通信事業とそれらのグループ事業との連携を強化することを通じて、通信事業の競争力を高め、さらにグループ事業のサービス利用者数の拡大やユーザーエンゲージメントの向上などのシナジーの創出を推進します。 <経営環境に関する認識>当社グループが認識している主な外部環境要因および対応は以下の通りです。金利上昇当社は長期有利子負債の9割程度について固定金利での借り入れを行っており、直ちに重要な影響はありません。(注2)為替変動当社の為替エクスポージャーは限定的ですが、よりリスクの低減を図るため、必要に応じて為替予約取引を利用しています。燃料価格高騰 当社は基地局やネットワークセンターなどで多くの電力を使用しており、燃料価格高騰の影響を受けます。2024年3月期は燃料価格の上昇が収まりつつあり、前期に比べてその影響が緩和されています。今後も省エネ設備の導入などにより、電力量の削減に取り組んでいきます。なお、1kWh当たりの電力料金が1円上がった場合の年間影響額は約23億円です。(注3) 半導体不足半導体不足の影響は軽減され、通信設備等の当社への納入までのリードタイム長期化の問題は概ね改善しました。一部の影響は改善途上ですが、5Gネットワークの構築に重要な影響はありません。 <主な取り組み>・2023年6月、当社は、「ネットゼロ」の取り組みをグループ企業に拡大することを公表しました。当社の「ネットゼロ」とは、自社の事業活動や電力消費などに伴い排出する温室効果ガス「スコープ1」および「スコープ2」に加えて、取引先などで排出される温室効果ガス「スコープ3」も含めた事業活動に関わる全ての温室効果ガス排出量(サプライチェーン排出量)を2050年までに実質ゼロにすることを意味します。当社グループはこの「ネットゼロ」の達成に向け、再生可能エネルギー発電事業者と再生可能エネルギーの調達契約を締結し、通信事業で使用している電力量相当(約20億kWh)の調達を行うなど、さまざまな取り組みを実施しています。・高まる生成AIニーズに迅速に対応し、当社は次世代社会インフラの構築に向けて、NVIDIAと協業し「分散型AIデータセンター」の構築を進めるとともに、AIと共存する未来に必要な計算基盤のサービスの提供を行う取り組みを開始しました。2023年7月、この計算基盤のサービス提供に関わる取り組みが経済安全保障推進法に基づく特定重要物資である 「クラウドプログラム」の供給確保計画として、経済産業省に認定されました。さらに、今後構築する国内最大規模の計算基盤を活用し、国産生成AIの自社開発を目指します。また、2023年8月には、日本マイクロソフト㈱と日本市場における企業や自治体のお客さまのDX(デジタルトランスフォーメーション)を加速することを目指し、クラウドサービスや生成AI領域を中心とした戦略的提携に合意しました。このように、当社は国産生成AIの自社開発に取り組みつつ、パートナー企業が開発する複数の生成AIも活用する「マルチ生成AI体制」により、企業のさまざまなニーズに対応したソリューションを提供していきます。なお、生成AIを用いたサービスの実現や次世代社会インフラの構築のための投資資金については、当社が2023年11月1日を払込期日として発行した第1回社債型種類株式による調達資金の一部を充当する予定です。社債型種類株式とは、普通株式への転換権がなく、当初設定された優先配当金以上の配当が行われない、議決権の希薄化が生じない設計となっており、普通株式の株主に配慮した形での自己資本の拡充を通じ資金調達を行う手法です。・コンシューマ事業では、2023年10月から「ソフトバンク」と「ワイモバイル」の両ブランドで新しい料金プランを提供開始しました。「ソフトバンク」ブランドでは、グループシナジーを生かした取り組みとして、「PayPay」の利用状況などに応じたポイント付与率やデータ容量が異なる3種類の「ペイトク」プランを開始しました。「ワイモバイル」ブランドでは、高速データ通信をより多く楽しみたいというユーザーのニーズに応え、従来からデータ容量を増加させた「シンプル2 S/M/L」を開始しました。・メディア・EC事業では、2023年10月に当社子会社のZホールディングス㈱を存続会社とし、同社ならびにLINE㈱およびヤフー㈱を中心としたグループ内再編に関する手続きが完了しました。同日をもって、Zホールディングス㈱はLINEヤフー㈱に、LINE㈱はZ中間グローバル㈱に商号変更され、ヤフー㈱は消滅しました。グループ内再編を通じ、LINEヤフー㈱は、シナジー創出のスピードを加速させ、プロダクト創出力と収益力の向上を追求し、新たな価値の創出を目指します。・エンタープライズ事業では、2024年3月、当社はコネクテッドカーおよびSDCV向けにIoTプラットフォームをグローバル展開するCubic Telecom Ltd.の株式の54.3%(議決権所有割合)を取得しました (以下「本取引」)。当社とCubic Telecom Ltd.は本取引を通して、次世代社会インフラの要となるグローバルIoTプラットフォームの構築に共に取り組み、コネクテッドカーやSDCV、IoTモビリティ(注4)領域におけるグローバルビジネスを主導していきます。 (注1) マテリアリティ(重要課題)の詳細については、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2) サステナビリティ全般 c.戦略及び指標及び目標 ⅱ.マテリアリティ(重要課題)」をご参照ください。(注2) 長期有利子負債は、短期借入金およびIFRS第16号「リース」適用による影響を除いた有利子負債(銀行ローン・社債・リース負債・債権流動化)を指します。固定金利での借り入れは、固定金利および金利スワップ取引等により支払利息の固定化を行った一部の変動金利の借入金を含みます。(注3) 当社および主な子会社における2023年3月期の電気使用量2,278,902MWhに基づいた試算です。(注4) IoTモビリティは、自動車やバイク、大型車両、商業用車両、農業用車両、重機械、ドローンなどを含みます。 ⅱ.連結経営成績の概況(単位:億円) 3月31日に終了した1年間 2023年2024年増減増減率 売上高59,12060,8401,7202.9%営業利益10,6028,761△1,841△17.4%税引前利益8,6298,059△570△6.6% 法人所得税△2,087△2,156△693.3%純利益6,5415,903△639△9.8% 親会社の所有者5,3144,891△423△8.0% 非支配持分1,2281,012△216△17.6% 調整後EBITDA(注1)15,66416,6771,0126.5% (注1) 調整後EBITDAの算定方法は、「(4) <財務指標に関する説明>IFRSに基づかない指標」をご参照ください。 当期の連結経営成績の概況は、以下の通りです。(ⅰ) 売上高当期の売上高は、前期比1,720億円(2.9%)増の60,840億円となりました。ファイナンス事業は2022年10月に子会社化したPayPay㈱の影響などにより905億円、ディストリビューション事業はICT(情報通信技術)関連の商材およびサブスクリプションサービスの堅調な増加などにより566億円、メディア・EC事業はアスクルグループ(アスクル㈱および子会社)およびZOZOグループ(㈱ZOZOおよび子会社)の成長に伴うコマース売上の増加、アカウント広告の成長に伴うメディア売上の増加により524億円、エンタープライズ事業はデジタル化に伴うソリューション需要の増加などにより372億円、それぞれ増収となりました。一方で、コンシューマ事業は物販等売上、ブロードバンド売上、モバイル売上が増加したものの、でんき売上の減少により591億円の減収となりました。なお、当期のコンシューマ事業におけるモバイル売上は、2021年春に実施した通信料の値下げの影響の縮小やスマートフォン契約数の増加などにより、前期の945億円減少から、当期では83億円増加へ反転しました。 (ⅱ) 営業利益当期の営業利益は、前期比1,841億円(17.4%)減の8,761億円となりました。これは主として、メディア・EC事業が382億円、コンシューマ事業が331億円、エンタープライズ事業が265億円、ファイナンス事業が74億円、ディストリビューション事業が20億円、それぞれ増益となった一方、前期に計上したPayPay㈱の子会社化に伴う段階取得に係る差益2,948億円が剥落したことによるものです。なお、当該段階取得に係る差益の影響を除いた場合、当期の営業利益は、前期比1,107億円(14.5%)の増益となりました。 (ⅲ) 純利益当期の純利益は、前期比639億円(9.8%)減の5,903億円となりました。これは主として、前期において、保有する投資有価証券の評価損を計上したことに加えて、当期においては、前期に繰り入れた訴訟に係る引当金について戻入を計上したこと、およびLINEヤフーグループが保有するWebtoon Entertainment Inc.に対する持分比率の変動に伴う持分変動利益を計上したことが増益に寄与した一方、前述のとおり、営業利益が減少したことによるものです。 (ⅳ) 親会社の所有者に帰属する純利益当期の親会社の所有者に帰属する純利益は、前期比423億円(8.0%)減の4,891億円となりました。また、前述の段階取得に係る差益の影響を除いた場合、当期の親会社の所有者に帰属する純利益は、前期比1,529億円(45.5%)の増益となりました。なお、非支配持分に帰属する純利益は、主としてLINEヤフーグループの純利益が減少したことに伴い、前期比216億円(17.6%)減の1,012億円となりました。 (ⅴ) 調整後EBITDA当期の調整後EBITDAは、前期比1,012億円(6.5%)増の16,677億円となりました。これは主として、前期に計上したPayPay㈱の子会社化に伴う段階取得に係る差益を除いた営業利益が増加していることによるものです。 (b) セグメント情報に記載された区分ごとの状況ⅰ.コンシューマ事業<事業概要>コンシューマ事業では、主として国内の個人のお客さまに対し、モバイルサービス、ブロードバンドサービスおよび「おうちでんき」などの電力サービスを提供しています。また、携帯端末メーカーから携帯端末を仕入れ、ソフトバンクショップ等を運営する代理店または個人のお客さまに対して販売しています。 <業績全般>(単位:億円) 3月31日に終了した1年間 2023年2024年増減増減率売上高28,83128,239△591△2.1%営業費用 (注)24,20723,284△922△3.8% うち、減価償却費及び償却費4,2753,959△316△7.4%セグメント利益4,6244,9553317.2% (注) 営業費用には、売上原価、販売費及び一般管理費、その他の営業収益、その他の営業費用を含みます。 売上高の内訳(単位:億円) 3月31日に終了した1年間 2023年2024年増減増減率サービス売上23,03321,885△1,148△5.0% モバイル15,13515,219830.6% ブロードバンド3,9684,051832.1% でんき3,9302,615△1,315△33.5%物販等売上5,7986,3545579.6% 売上高合計28,83128,239△591△2.1% コンシューマ事業の売上高は、前期比591億円(2.1%)減の28,239億円となりました。そのうち、サービス売上は前期比1,148億円(5.0%)減の21,885億円となり、物販等売上は前期比557億円(9.6%)増の6,354億円となりました。サービス売上のうち、モバイルは前期比83億円(0.6%)増加しました。これは、2021年春に実施した通信料の値下げにより平均単価が減少した影響が縮小傾向にあるなか、スマートフォン契約数が「ワイモバイル」ブランドを中心に伸びたことなどによるものです。通信料の値下げによる平均単価の減少は、主に「ソフトバンク」「ワイモバイル」の両ブランドにおいて2021年春に導入した料金プランの浸透、および「ソフトバンク」から「ワイモバイル」への移行が進んだことによるものです。なお、各四半期連結会計期間のモバイル売上(顧客獲得施策影響を除く)は前年同期比の減少幅の縮小が続いていましたが、2024年3月期は第3四半期以降において前年同期比で増収に転じたことにより、通期でも増収に反転しました。(単位:億円) 2023年3月期2024年3月期 第1四半期第2四半期第3四半期第4四半期第1四半期第2四半期第3四半期第4四半期モバイル売上3,9043,9253,7233,5833,8463,9203,7483,704うち、顧客獲得施策影響 (注)--△159△284--△183△227モバイル売上(顧客獲得施策影響を除く)3,9043,9253,8823,8673,8463,9203,9303,931前年同期比△177△113△117△95△58△54964 (注) 一部の顧客獲得施策はIFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」に基づき、モバイル売上から控除しています。 ブロードバンドは前期比83億円(2.1%)増加しました。これは主として、光回線サービス「SoftBank 光」契約数が増加したことによるものです。でんきは前期比1,315億円(33.5%)減少しました。これは主として、電力市場での取引が減少したことによるものです。物販等売上の増加は、主として、スマートフォンなどの販売単価および台数が増加したことによるものです。営業費用は23,284億円となり、前期比で922億円(3.8%)減少しました。これは主として、スマートフォンなどの仕入原価が増加した一方、電力の仕入原価および減価償却費が減少したことなどによるものです。上記の結果、セグメント利益は、前期比331億円(7.2%)増の4,955億円となりました。 ⅱ.エンタープライズ事業<事業概要>エンタープライズ事業では、法人のお客さまに対し、モバイル回線提供や携帯端末レンタルなどのモバイルサービス、固定電話やデータ通信などの固定通信サービス、データセンター、クラウド、セキュリティ、グローバル、AI、IoT、デジタルマーケティング等のソリューションサービスなど、多様な法人向けサービスを提供しています。 <業績全般> (単位:億円) 3月31日に終了した1年間 2023年2024年増減増減率売上高7,5037,8753725.0%営業費用 (注)6,1526,2591071.7% うち、減価償却費及び償却費1,5401,54880.5%セグメント利益1,3511,61526519.6% (注) 営業費用には、売上原価、販売費及び一般管理費、その他の営業収益、その他の営業費用を含みます。 売上高の内訳(単位:億円) 3月31日に終了した1年間 2023年2024年増減増減率モバイル3,2003,249491.5%固定1,8211,754△67△3.7%ソリューション等2,4822,87139015.7% 売上高合計7,5037,8753725.0% エンタープライズ事業の売上高は、前期比372億円(5.0%)増の7,875億円となりました。そのうち、モバイルは前期比49億円(1.5%)増の3,249億円、固定は前期比67億円(3.7%)減の1,754億円、ソリューション等は前期比390億円(15.7%)増の2,871億円となりました。モバイル売上の増加は、主として、端末売上および通信売上が増加したことによるものです。固定売上の減少は、主として、電話サービスの契約数が減少したことによるものです。ソリューション等売上の増加は、企業のデジタル化需要をとらえ、クラウドサービスやセキュリティソリューションなどの売上が増加したことなどによるものです。営業費用は6,259億円となり、前期比で107億円(1.7%)増加しました。これは主として、前期に繰り入れた訴訟に係る引当金について戻入を計上した一方で、上記ソリューション等売上の増加に伴い原価が増加したことや、前期においてヘルスケアテクノロジーズ㈱の子会社化に伴い段階取得に係る差益を計上したことによるものです。上記の結果、セグメント利益は、前期比265億円(19.6%)増の1,615億円となりました。 ⅲ.ディストリビューション事業<事業概要>ディストリビューション事業は、変化する市場環境を迅速にとらえた最先端のプロダクトやサービスを提供しています。法人のお客さま向けには、クラウドサービス、AIを含めた先進テクノロジーを活用した商材を提供しています。個人のお客さま向けには、メーカーあるいはディストリビューターとして、ソフトウエアやモバイルアクセサリー、IoTプロダクト等、多岐にわたる商品の企画・提供を行っています。 <業績全般>(単位:億円) 3月31日に終了した1年間 2023年2024年増減増減率売上高5,9006,4665669.6%営業費用 (注)5,6586,2045469.7% うち、減価償却費及び償却費414437.3%セグメント利益243262208.1% (注) 営業費用には、売上原価、販売費及び一般管理費、その他の営業収益、その他の営業費用を含みます。 ディストリビューション事業の売上高は、前期比566億円(9.6%)増の6,466億円となりました。これは主として、法人向けのICT(情報通信技術)関連の商材や注力しているクラウド、SaaSなどのサブスクリプションサービスが堅調に伸びたことによるものです。営業費用は6,204億円となり、前期比で546億円(9.7%)増加しました。これは主として、売上高の増加に伴い売上原価が増加したことによるものです。上記の結果、セグメント利益は、前期比20億円(8.1%)増の262億円となりました。 ⅳ.メディア・EC事業<事業概要>メディア・EC事業は、メディアおよびコマースを中心としたサービスを展開し、オンラインからオフラインまで一気通貫でサービスを提供しています。メディア領域においては、総合インターネットサービス「Yahoo! JAPAN」やコミュニケーションアプリ「LINE」での広告関連サービス、コマース領域においては「Yahoo!ショッピング」、「ZOZOTOWN」などのオンラインショッピングサービスや「Yahoo!オークション」などのリユースサービス、戦略領域においては、メディア・コマースに次ぐ新たな収益の柱となるよう取り組んでいるFinTechサービス等の提供を行っています。 <業績全般>(単位:億円) 3月31日に終了した1年間 2023年2024年増減増減率売上高15,61716,1415243.4%営業費用 (注)14,01914,1621421.0% うち、減価償却費及び償却費1,5991,613130.8%セグメント利益1,5971,98038223.9% (注) 営業費用には、売上原価、販売費及び一般管理費、その他の営業収益、その他の営業費用を含みます。 売上高の内訳(単位:億円) 3月31日に終了した1年間 2023年2024年増減増減率メディア (注)6,8656,9991352.0%コマース (注)7,9108,1972873.6%戦略 (注)7858769111.6%その他 (注)57691220.6% 売上高合計15,61716,1415243.4% (注) 2023年6月30日に終了した3カ月間において、LINEヤフーグループでは、事業の管理区分を見直し、「メディア」および「その他」の一部サービスについて管理区分間で移管しました。さらに、2023年12月31日に終了した3カ月間において、Zホールディングス㈱ならびにLINE㈱およびヤフー㈱を中心としたグループ内再編に伴い、一部のサービスについて管理区分間で移管しました。これに伴い、2023年3月31日に終了した1年間におけるメディア・EC事業の売上高の内訳すべてを修正再表示しています。 メディア・EC事業の売上高は、前期比524億円(3.4%)増の16,141億円となりました。そのうち、メディアは前期比135億円(2.0%)増の6,999億円、コマースは前期比287億円(3.6%)増の8,197億円、戦略は前期比91億円(11.6%)増の876億円、その他は前期比12億円(20.6%)増の69億円となりました。メディア売上の増加は、主として、アカウント広告の増収によるものです。コマース売上の増加は、主として、アスクルグループやZOZOグループにおける増収によるものです。戦略売上の増加は、主として、FinTech領域の売上が増加したことによるものです。営業費用は14,162億円となり、前期比で142億円(1.0%)増加しました。これは主として、販売促進費や広告宣伝費が減少した一方、アスクルグループの売上原価に加えて減価償却費の増加などがあったことによるものです。上記の結果、セグメント利益は、前期比382億円(23.9%)増の1,980億円となりました。 ⅴ.ファイナンス事業<事業概要>ファイナンス事業では、QRコード決済やクレジットカードなどのキャッシュレス決済サービス、加盟店のマーケティングソリューションの開発・提供、資産運用などの金融サービス、およびクレジットカード・電子マネー・QRコードなど多様化する決済を一括で提供する決済代行サービスなどを提供しています。 <業績全般>(単位:億円) 3月31日に終了した1年間 2023年2024年増減増減率売上高1,4232,32890563.6%営業費用 (注)1,5472,37883153.7% うち、減価償却費及び償却費1312097859.2%セグメント利益△124△5074△59.7% (注) 営業費用には、売上原価、販売費及び一般管理費、その他の営業収益、その他の営業費用を含みます。 ファイナンス事業の売上高は、前期比905億円(63.6%)増の2,328億円となりました。これは主として、2022年10月のPayPay㈱の子会社化および同社における増収の影響によるものです。営業費用は2,378億円となり、前期比で831億円(53.7%)増加しました。これは主として、上記PayPay㈱の子会社化の影響によるものです。上記の結果、セグメント利益は、前期比74億円増の△50億円となりました。 b. 生産、受注及び販売の実績当社グループは、コンシューマ、エンタープライズ、ディストリビューション、メディア・EC、ファイナンスの5つのセグメントと、それ以外の事業から構成されています。いずれも、受注生産形態をとらない事業であるため、セグメントごとに生産の規模および受注の規模を金額あるいは数量で示すことはしていません。なお、当連結会計年度における販売の状況については以下の通りです。 セグメントの名称金額(億円)前期比(%)コンシューマ28,239△2.1エンタープライズ7,8755.0ディストリビューション6,4669.6メディア・EC16,1413.4ファイナンス2,32863.6その他1,6872.4セグメント間の内部売上高または振替高△1,8965.2合計60,8402.9 (注) 1 金額は、外部顧客に対する売上高とセグメント間の内部売上高または振替高の合計です。2 主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上に該当する相手先がないため、記載を省略しています。 (2) 連結財政状態の状況 (単位:億円) 2023年3月31日2024年3月31日増減増減率 流動資産49,48152,6803,1996.5% 非流動資産97,341102,5395,1985.3%資産合計146,822155,2198,3975.7% 流動負債63,72670,8537,12611.2% 非流動負債46,26545,010△1,255△2.7%負債合計109,991115,8635,8715.3%資本合計36,83139,3562,5266.9% (単位:億円) 3月31日に終了した1年間 2023年2024年増減設備投資(注1)7,8866,509△1,378 うち、コンシューマ事業およびエンタープライズ事業の設備投資(注2)4,0753,128△948 (注1) 設備投資は検収ベースでの記載です。(注2) コンシューマ事業およびエンタープライズ事業の設備投資は、レンタル端末への投資額、他事業者との共用設備投資(他事業者負担額)およびIFRS第16号「リース」適用による影響は除きます。 (資産)当期末の資産合計は、前期末から8,397億円(5.7%)増加し、155,219億円となりました。これは主として、営業債権及びその他の債権の増加2,713億円、銀行事業の有価証券の増加2,334億円、その他の金融資産の増加2,270億円があったことによるものです。 (負債)当期末の負債合計は、前期末から5,871億円(5.3%)増加し、115,863億円となりました。これは主として、営業債務及びその他の債務の増加2,177億円、有利子負債の増加1,864億円、銀行事業の預金の増加1,709億円があったことによるものです。有利子負債の増加は、主として、ソフトバンク㈱において各種の資金調達を実施したことによるものです。 (資本)当期末の資本合計は、前期末から2,526億円(6.9%)増加し、39,356億円となりました。親会社の所有者に帰属する持分は、1,521億円増加しました。これは主として、剰余金の配当による減少4,069億円、自己株式の取得による減少1,000億円があった一方、当期の純利益の計上による増加4,891億円、第1回社債型種類株式を含む新株の発行による増加1,373億円があったことによるものです。 (設備投資)当期の設備投資は、前期比1,378億円減の6,509億円となりました。これは主として、生成AI基盤に係る投資を行った一方、5Gのエリア展開が一巡したことや、LINEヤフーグループの設備投資が減少したことによるものです。 (3) 連結キャッシュ・フローの状況(単位:億円) 3月31日に終了した1年間 2023年2024年増減営業活動によるキャッシュ・フロー11,55812,397839投資活動によるキャッシュ・フロー△1,548△9,276△7,728財務活動によるキャッシュ・フロー△4,953△3,5711,382現金及び現金同等物の期末残高20,59219,929△663フリー・キャッシュ・フロー(注1)10,0103,121△6,889 割賦債権の流動化による影響(注1)196779583調整後フリー・キャッシュ・フロー(注1)10,2063,900△6,306調整後フリー・キャッシュ・フロー(LINEヤフーグループ、PayPay等除く)(注2)6,1865,328△858 (注1) フリー・キャッシュ・フロー、割賦債権の流動化による影響、調整後フリー・キャッシュ・フローの算定方法は、「(4) <財務指標に関する説明>IFRSに基づかない指標」をご参照ください。(注2) LINEヤフーグループ、PayPay等のフリー・キャッシュ・フロー、役員への貸付などを除き、Aホールディングス㈱からの受取配当を含みます。なお、PayPay等にはAホールディングス㈱、Bホールディングス㈱、PayPay㈱、PayPayカード㈱、PayPay証券㈱、PPSCインベストメントサービス㈱を含みます。 a.営業活動によるキャッシュ・フロー当期の営業活動によるキャッシュ・フローは12,397億円の収入となりました。前期比では839億円収入が増加しており、これは主として、営業債権及びその他の債権の増加に伴う支出の増加があった一方で、調整後EBITDAが増加し、銀行事業に係る預金や貸付金の増減により収入が増加したことによるものです。 b.投資活動によるキャッシュ・フロー当期の投資活動によるキャッシュ・フローは9,276億円の支出となりました。前期比では7,728億円支出が増加しており、これは主として、前期においてPayPay㈱を子会社化した際の現金及び現金同等物残高の受け入れに伴う収入が3,973億円あったことによる反動と、当期において銀行事業の有価証券の取得による支出が増加したことによるものです。 c.財務活動によるキャッシュ・フロー当期の財務活動によるキャッシュ・フローは3,571億円の支出となりました。これは、銀行借入・リース・社債・債権流動化・第1回社債型種類株式の発行などの資金調達による収入が29,736億円あった一方で、借入金の弁済・配当金支払・自己株式の取得などの支出が33,307億円あったことによるものです。 d.現金及び現金同等物の期末残高a.~c.の結果、当期末における現金及び現金同等物の残高は、前期末比663億円減の19,929億円となりました。 e.調整後フリー・キャッシュ・フロー当期の調整後フリー・キャッシュ・フローは3,900億円の収入となりました。前期比では6,306億円減少しましたが、これは割賦債権の流動化による収入が増加し、上記の通り、営業活動によるキャッシュ・フローの収入が増加した一方で、投資活動によるキャッシュ・フローの支出の増加があったことによるものです。 f.資本の財源及び資金の流動性に係る情報当社の財務戦略については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営方針 d.財務戦略」をご参照ください。 (キャッシュ・フロー関連指標の推移) 3月31日に終了した1年間 2023年2024年親会社所有者帰属持分比率15.2%15.3%キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)5.35.1インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)25.526.5 <各指標の計算方法> 親会社所有者帰属持分比率:親会社の所有者に帰属する持分合計/資産合計キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債(※1)/キャッシュ・フロー(※2)インタレスト・カバレッジ・レシオ:調整後EBITDA(※3)/支払利息(※4)(※1) 有利子負債は連結財政状態計算書の流動負債と非流動負債の中の有利子負債の合計値を使用しています。(※2) キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しています。(※3) 算出方法は、「(4)<財務指標に関する説明>IFRSに基づかない指標 a.調整後EBITDA」をご参照ください。(※4) 支払利息は、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しています。 (4) <財務指標に関する説明>IFRSに基づかない指標当社グループは、IFRSで定義されていないか、IFRSに基づき認識されない財務指標を使用しています。経営者は、当社グループの業績に対する理解を高め、現在の業績を評価する上での重要な指標として用いることを目的として、当該指標を使用しています。当該指標はIFRSでは定義されていないため、他社において当社グループとは異なる計算方法または異なる目的で用いられる可能性があります。そのため、比較可能性を担保する観点から、その有用性を制限しています。 a.調整後EBITDA調整後EBITDAは、営業利益に「減価償却費及び償却費(固定資産除却損を含む)」、「株式報酬費用」および通常の事業活動では発生しない費用・収益である「その他の調整項目」を加減算したものです。「その他の調整項目」には、連結損益計算書に記載されている「その他の営業収益」および「その他の営業費用」が含まれています。 当社グループは、非現金取引の影響を除いた業績評価のための指標として調整後EBITDAを使用しています。調整後EBITDAは、当社グループの業績をより適切に評価するために有用かつ必要な指標であると考えています。 営業利益と調整後EBITDAの調整は、以下の通りです。(単位:億円) 2023年3月31日に終了した1年間 2024年3月31日に終了した1年間営業利益 10,602 8,761(加算)減価償却費及び償却費 (注) 7,951 7,691(加算)株式報酬費用 218 230(加算(△は減算))その他の調整項目:事業譲渡益 - △105(加算(△は減算))その他の調整項目:子会社の支配喪失に伴う利益 △35 △48(加算(△は減算))その他の調整項目:企業結合に伴う再測定による利益 △3,101 -(加算(△は減算))その他の調整項目:減損損失 56 147(加算(△は減算))その他の調整項目: その他の調整項目 △27 -調整後EBITDA 15,664 16,677 (注) 上表の「減価償却費及び償却費」には、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 d. 連結キャッシュ・フロー計算書」に記載されている減価償却費及び償却費(2023年3月31日に終了した1年間7,642億円 2024年3月31日に終了した1年間7,438億円)に加えて、同計算書に記載されている固定資産除却損(2023年3月31日に終了した1年間309億円 2024年3月31日に終了した1年間253億円)が含まれています。 b.営業利益マージンおよび調整後EBITDAマージン営業利益マージンは営業利益を売上高で除して計算しています。調整後EBITDAマージンは上記a.調整後EBITDAを売上高で除して計算しています。 当社グループは、以下の業績指標を使用しています。(a) 営業利益マージン当社グループは、営業利益に対する影響を管理する指標として営業利益マージンを使用しています。 (b) 調整後EBITDAマージン調整後EBITDAは上記の営業利益から「減価償却費及び償却費(固定資産除却損を含む)」、「株式報酬費用」および「その他の調整項目」を加減算して算出されています。当社グループは、調整後EBITDAマージンが本業の経常的な収益性を理解するのに適しており、業績評価をより適切に行うために有用かつ必要な指標であると考えています。 営業利益マージンおよび調整後EBITDAマージンの算定方法は以下の通りです。(単位:億円) 2023年3月31日に終了した1年間 2024年3月31日に終了した1年間売上高 59,120 60,840営業利益 10,602 8,761営業利益マージン 17.9% 14.4%調整後EBITDA 15,664 16,677調整後EBITDAマージン 26.5% 27.4% c.フリー・キャッシュ・フローおよび調整後フリー・キャッシュ・フローフリー・キャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローに投資活動によるキャッシュ・フローを加算して計算される指標です。調整後フリー・キャッシュ・フローは、フリー・キャッシュ・フローから端末の割賦債権流動化による資金調達額を加算し、当該返済額を減算して計算される指標です。当社グループは、調整後フリー・キャッシュ・フローが、当社グループの実質的な資金創出能力を示し、債務返済能力や事業への追加投資能力の評価を行うために有用な指標であると考えています。財務活動によるキャッシュ・フローには、割賦債権流動化による資金調達額および返済額が含まれています。当社グループでは、割賦債権は営業活動の中で発生するものであることから、当該債権の流動化によるキャッシュ・フローを、営業活動によるキャッシュ・フローに加減算したものが、当社グループの経常的な資金創出能力をより適切に表すと考えています。従って、割賦債権流動化の資金調達額および返済額をフリー・キャッシュ・フローの調整項目として加減算することにより、調整後フリー・キャッシュ・フローを計算しています。 フリー・キャッシュ・フローと調整後フリー・キャッシュ・フローの調整項目および調整額は以下の通りです。 (単位:億円) 2023年3月31日に終了した1年間 2024年3月31日に終了した1年間営業活動によるキャッシュ・フロー 11,558 12,397投資活動によるキャッシュ・フロー(設備支出)(注1) △6,075 △5,522投資活動によるキャッシュ・フロー(設備支出以外)(注2) 4,528 △3,754フリー・キャッシュ・フロー 10,010 3,121 割賦債権流動化取引:調達額(注3) 3,781 4,588 割賦債権流動化取引:返済額(注3) △3,585 △3,809割賦債権の流動化による影響 196 779調整後フリー・キャッシュ・フロー 10,206 3,900 (注1) 投資活動によるキャッシュ・フロー(設備支出)に関連するキャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書に含まれる投資活動によるキャッシュ・フローの「有形固定資産及び無形資産の取得による支出」および「有形固定資産及び無形資産の売却による収入」の純額です。(注2) 投資活動によるキャッシュ・フロー(設備支出以外)に関連するキャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書に含まれる投資活動によるキャッシュ・フローの「投資の取得による支出」、「投資の売却または償還による収入」、「銀行事業の有価証券の取得による支出」、「銀行事業の有価証券の売却または償還による収入」、「子会社の支配獲得による収支(△は支出)」および「その他」の純額です。(注3) 割賦債権流動化取引:調達額および割賦債権流動化取引:返済額に関連するキャッシュ・フローは、主として連結キャッシュ・フロー計算書に含まれる財務活動によるキャッシュ・フローの「短期有利子負債の純増減額(△は減少額)」、「有利子負債の収入」および「有利子負債の支出」に含まれています。なお、割賦債権流動化取引のうち、短期間で調達および返済を行う取引については純額表示しています。 (5) 重要な判断を要する会計方針及び見積りIFRSに準拠した連結財務諸表の作成において、経営者は、当社グループにとって最適な会計方針を採用し、一定の前提条件に基づく見積りを行う必要があります。連結財政状態計算書上の資産および負債、連結損益計算書上の収益および費用、または開示対象となる偶発負債および偶発資産などに重要な影響を与える可能性がある項目に関して、経営者は、過去の経験や決算日時点の状況として妥当と考えられる様々な要素に基づき見積りを行っています。以下の各項目は、その認識および測定にあたり、経営者の重要な判断および会計上の見積りを必要とするものです。 a.企業結合により取得した無形資産およびのれんの公正価値測定ならびに減損に係る見積り企業結合により取得した無形資産およびのれんは、支配獲得日における公正価値で認識しています。企業結合時の取得対価の配分に際しては、経営者の判断および見積りが、連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。企業結合により識別した無形資産(顧客基盤や商標権など)およびのれんは、見積将来キャッシュ・フローや割引率、既存顧客の逓減率、対象商標権から生み出される将来売上予想やロイヤルティレート等の仮定に基づいて測定しています。企業結合により取得した無形資産およびのれんの取得価額は、当連結会計年度は904億円(前連結会計年度は6,438億円)です。また、無形資産およびのれんの減損を判断する際に、資金生成単位の回収可能価額の見積りが必要となりますが、減損テストで用いる回収可能価額は、資産の耐用年数、資金生成単位により生じることが予想される見積将来キャッシュ・フロー、市場成長率見込、市場占有率見込および割引率等の仮定に基づいて測定しています。これらの仮定は、経営者の最善の見積りによって決定されますが、将来の不確実な経済条件の変動により影響を受ける可能性があり、仮定の見直しが必要となった場合には連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。企業結合により取得した無形資産およびのれんの公正価値に関連する内容については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針 (2) 企業結合」および「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 6.企業結合」をご参照ください。無形資産およびのれんの減損に関連する内容については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針 (11) 有形固定資産、使用権資産、無形資産およびのれんの減損」および「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 15.のれんおよび無形資産」をご参照ください。 b.有形固定資産および無形資産の残存価額・耐用年数の見積り有形固定資産および無形資産は、当社グループの総資産に対する重要な構成要素です。見積りおよび仮定は、資産の帳簿価額および減価償却費または償却費に重要な影響を及ぼす可能性があります。資産の減価償却費は、耐用年数の見積りおよび残存価額(有形固定資産の場合)を用いて算出されます。資産の耐用年数および残存価額は、資産を取得または創出した時点で見積りを行い、その後、各連結会計年度末に見直しを行います。資産の耐用年数および残存価額の変更は、連結財務諸表に対して重要な調整を必要とする可能性があります。経営者は、資産を取得または創出した時点ならびに見直し時に、同種資産に対する経験に基づき、予想される技術上の変化、除却時の見積費用、当該資産の利用可能見込期間、既存顧客の逓減率、当該資産から得られると見込まれる生産高またはこれに類似する単位数および資産の耐用年数に制約を与える契約上の取決めなどの関連する要素を勘案して、当該資産の耐用年数および残存価額を決定しています。有形固定資産の減価償却費は、当連結会計年度は3,079億円(前連結会計年度は2,955億円)であり、無形資産の償却費は、当連結会計年度は2,764億円(前連結会計年度は2,562億円)です。有形固定資産および無形資産の帳簿価額・減価償却費または償却費に関連する内容については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 14.有形固定資産」および「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 15.のれんおよび無形資産」をご参照ください。有形固定資産および無形資産の残存価額・耐用年数の見積りに関連する内容については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針 (7) 有形固定資産、(9) 無形資産」をご参照ください。 c.金融商品の公正価値の測定方法当社グループは、特定の金融商品の公正価値を評価する際に、市場で観察可能ではないインプットを利用する評価技法を用いています。観察可能ではないインプットは、将来の不確実な経済条件の変動の結果によって影響を受ける可能性があり、見直しが必要となった場合、連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。市場で観察可能ではないインプットを用いた金融資産の公正価値は、当連結会計年度末は3,451億円(前連結会計年度末は3,246億円)です。金融商品の公正価値に関連する内容については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 30.金融商品の公正価値 (1) 公正価値ヒエラルキーのレベル別分類、(2) レベル3に分類した金融商品の公正価値測定」をご参照ください。 d.契約獲得コストの償却期間の見積り当社グループは、契約獲得コストについて、契約獲得コストに直接関連する財またはサービスが提供されると予想される期間(すなわち、契約獲得コストの償却期間)にわたって、定額法により償却しています。契約獲得コストの償却期間は、契約条件および過去の実績データなどに基づいた解約率や機種変更までの予想期間などの関連する要素を勘案して決定しています。契約獲得コストの償却期間の変更は、連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。契約獲得コストに係る償却費は、当連結会計年度は2,421億円(前連結会計年度は2,335億円)です。契約獲得コストに関連する内容については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針 (16) 収益 b.契約コスト」および「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 16.契約コスト」をご参照ください。 |
経営上の重要な契約等 | 5 【経営上の重要な契約等】 該当事項はありません。 |
研究開発活動 | 6 【研究開発活動】 当社グループは、通信を基盤とした様々なサービスの提供を目指し、AI、IoT、ロボット、6G、HAPS (注)、デジタルツイン、自動運転や量子技術などの先端技術の研究開発を実施しています。「情報革命で人々を幸せに」という経営理念を実現し、通信を介してヒト・モノ・コトをつなぎお客さまに新たな体験や価値を提供するため、より良い技術の実現を目指して日々研究開発に取り組んでいます。なお、当社グループの研究開発は複数のセグメント間に共通した基礎技術に関するものがほとんどであるため、特定のセグメントに区分して記載していません。 (注)HAPS(High Altitude Platform Station)とは、成層圏を長期間飛び続ける無人航空機を通信基地局のように運用し広域エリアに通信サービスを提供するシステムの総称です。 (研究開発活動の目的)お客さまに対して最先端技術の製品を安定的に供給していくこと、および当社グループ内での情報通信技術の中長期的なロードマップを策定していくことを目標に、情報通信技術に関わる最先端技術の動向の把握、対外的なデモンストレーションを含む研究開発および事業化検討を目的としています。 (研究成果)当連結会計年度における研究開発活動の主な成果は以下の通りです。 ルワンダ政府と協力して世界で初めて成層圏からの5Gの通信試験に成功当社は、成層圏通信プラットフォーム(以下「HAPS」)の研究開発の一環として、HAPSの無人航空機の試験機体に自社で開発した5Gに対応するペイロード(通信機器)を搭載し、2023年9月24日に、成層圏で5Gの通信試験に成功しました。本試験は、当社とルワンダ共和国の政府が協力し、ルワンダの領空で実施したものです。HAPSの無人航空機を活用して、成層圏からの5Gの通信試験に成功したのは、世界で初めてです。 (注)当社が開発したペイロードは、成層圏の高度最大16.9kmにおいて、約73分間連続して5Gの通信を提供し、厳しい条件下でも想定通りの性能を発揮しました。本試験では、一般に販売されている5G対応スマートフォンを使用し、通常の通信で利用されている電波を利用して、ルワンダの試験場と日本の間で5Gによるビデオ通話(Zoom)を実現しました。本試験の結果を受け、当社とルワンダ政府は、ルワンダなどのアフリカ地域におけるHAPSの活用の可能性と商用化に向けた研究に取り組む予定です。その他、通信環境が整っていない農村地域の学校やコミュニティーのデジタル化なども検討していきます。 (注)成層圏において、飛行機型のHAPSを活用した5Gの通信試験に成功したのは世界初。2023年10月17日時点での公開情報に基づく。当社調べ。 国内最大級の生成AI開発向け計算基盤の稼働および国産大規模言語モデル(LLM)の開発を本格開始当社は、生成AI(人工知能)開発向けの計算基盤の稼働を開始し、当社の子会社であるSB Intuitions㈱(以下「SB Intuitions」)は、この計算基盤を活用して、日本語に特化した国産大規模言語モデル(LLM)の開発を本格的に開始しました。当社の経営理念である「情報革命で人々を幸せに」の実現に向けて、デジタル社会の発展に不可欠な次世代社会インフラを提供するという長期ビジョンを、2023年5月に発表しました。この長期ビジョンの実現に向けて、生成AI開発向けの計算基盤の構築に取り組んでいます。この計算基盤は、2023年7月に経済産業省から、経済安全保障推進法に基づく特定重要物資である「クラウドプログラム」の供給確保計画について認定を受けております。この計算基盤は、NVIDIA Tensor コア GPUを2,000基以上搭載したAI スーパーコンピューター NVIDIA DGX SuperPOD™、NVIDIA ネットワーキング、NVIDIA AI Enterpriseソフトウエアで構成された大規模クラスターで、国内最大級の (注)計算基盤となります。また、伊藤忠テクノソリューションズ㈱の協力の下、設備導入および構築をスピーディーに進め、稼働を開始しました。この計算基盤は、まず当社とSB Intuitionsで段階的に利用しながら、早期に大学や研究機関、企業などに提供する予定です。計算基盤の稼働開始に伴い、SB Intuitionsは事前検証を完了させて、日本語に特化した国産LLMの開発を本格的に開始しました。高速処理が可能な計算基盤と豊富な技術者、圧倒的な顧客接点を持つ当社が、日本語のデータセットを活用した高品質な国産LLMを開発することで、日本の商習慣や文化に適した生成AIサービスの提供を実現します。 (注)2023年10月31日時点での公開情報に基づく。当社調べ。 AI-RANアライアンス設立~AIを駆使し、5Gおよび来るべき6G時代に備えたRANの変革に向けた研究開発を推進~AI-RANアライアンスは、Amazon Web Services, Inc.、Arm、DeepSig Inc.、Telefonaktiebolaget LM Ericsson、Microsoft Corporation、Nokia、 Northeastern University、NVIDIA、Samsung Electronics、当社およびT-Mobile USA, Inc.により設立されました。AI-RANアライアンスは、モバイルネットワークの効率性をグローバル規模で向上させ、ネットワークによる消費電力を削減し、既存のインフラを改善することで、5Gおよび6Gに向けて、AIを活用した新たなビジネスの機会を創出することをミッションとします。 加盟企業・大学は、それぞれのリーダーシップと技術力を活用し、下記の主要な三つのテーマに関する研究開発に取り組みます。・ AI for RAN:AIの活用により、既存のRANの周波数利用効率および性能を向上させる・ AI and RAN:AIとRANの処理を統合し、インフラの利用効率を上げることで、AIを活用した新たな収益機会を創出・ AI on RAN:RANを通じて、ネットワークエッジ側にAIを展開。RANの運用効率を上げ、モバイルユーザー向けの新規サービスを展開今後は、加盟企業・大学で連携して、AI-RANの研究や実証実験を進め、新規技術の普及を推進していきます。 NISTが開催した映像解析コンテスト「TRECVID 2023」の映像検索部門と映像説明文生成部門で世界最高水準の精度を達成明星大学と当社が共同研究した映像解析技術が、米国国立標準技術研究所(以下「NIST」)が開催した世界的な映像解析コンテスト「TRECVID 2023」の映像検索部門(AVS:Ad-hoc Video Search)と映像説明文生成部門(VTT:Video To Text)において、世界最高水準の精度を達成しました。映像検索部門では、メインタスクで世界第2位、プログレスタスクで世界第1位、映像説明文生成部門では、五つの評価指標のうち三つで世界第1位を、二つで第3位を獲得し、明星大学と当社の技術が世界最高水準の精度であることが示されました。「TRECVID」は、世界各国の企業や大学などが参加して、映像解析に関するさまざまな課題について技術の性能を競い合う、世界的にも権威のあるコンテストです。近年、ディープラーニングなどの機械学習技術の発展により、物体などを高精度に検出・分類することは可能になりつつありますが、文章と映像が持つ意味の概念を正確に関連付けることができないという問題点がありました。明星大学と当社は、多種多様な映像について、画像と言語を関連付けて処理することができるマルチモーダル学習に関する研究をはじめとした、映像解析技術の研究開発を進めています。これらの映像解析技術は、将来的にさまざまな映像コンテンツを自動解析することができ、多くのサービスやソリューションへの応用が期待できる技術です。例えば、人間の目視による映像の確認作業を軽減し、作業の省力化や迅速化につながることが期待されます。 Beyond 5G/6Gの実現に向けて障害物による電波の遮蔽に強いテラヘルツ無線伝送を自己修復ビームにより実証当社と岐阜大学工学部、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)、名古屋工業大学大学院工学研究科(以下「本研究グループ」)は、Beyond 5G/6G時代を見据え、障害物による電波の遮蔽に強い300GHz帯(注1)テラヘルツ無線伝送(以下「テラヘルツ無線(注2)」)を自己修復ビーム(注3)により実証しました。このたび本研究グループは、300GHz帯においてベッセルビーム(注4)を生成し、ベッセルビーム断面内に設置された障害物により乱されたビーム形状が、伝搬とともに自己修復することと、通常のガウスビームと比べて障害物による通信エラーの発生が少なくなることを実験的に確認しました。自己修復ビームにより、障害物による電波の遮蔽に強いテラヘルツ無線通信路が形成可能であることを示した本研究成果は、これまでテラヘルツ無線の大きな弱点であるとされてきた、障害物によるビーム遮蔽に脆弱であるという問題を解決し、Beyond 5G/6G時代の超高速無線通信の実用化への重要な一歩と位置付けられます。今後は、今回の研究成果を拡張し、屋外でのデータ通信のユースケースを目指した長距離化や、さらに大きな障害物でも対応を可能にする自己修復ビームの発生に関する研究を進めていきます。 (注1)200GHz~300GHzは大気の窓と呼ばれる吸収が低い周波数領域であり、中距離(~1km程度)で利用可能な帯域として期待されている。(注2)100GHz~3THzの周波数領域を用いた無線通信技術であり、特に100GHz~300GHzがBeyond 5G/6Gでの利用が期待されている。(注3)通常の電磁ビームが障害物によって一部分遮蔽されると、ビーム断面内の強度分布は乱され、元のビーム分布と異なったものとなる。一方、自己修復ビームは、障害物によって乱された強度分布が伝搬とともに修復され、元のビーム強度分布に近い分布にまで戻る性質を持つ。(注4)ビーム断面内の振幅分布がベッセル関数に従うビーム。自己修復特性がある。 光無線を活用したQKDの動作実証に成功~都市部のQKDセキュアネットワークの拡大へ前進~当社と東芝デジタルソリューションズ㈱は、東芝デジタルソリューションズ㈱の量子鍵配送(Quantum Key Distribution、以下「QKD」)システムを、当社の光無線通信の試験環境に導入し、光ファイバーと光無線を組み合わせたQKDの動作実証に成功しました。現代社会において、国家安全保障や銀行取引、個人情報の保護など、幅広い分野でサイバーセキュリティが重要な課題となっています。特に量子コンピューター技術の急速な発展や暗号解読アルゴリズムの研究の進展により、従来の暗号技術の危殆化が懸念されています。QKDは重要な機密データを保護するための暗号鍵を配信する仕組みで、量子力学の原理に基づき、暗号鍵を盗聴して解読することが理論上不可能な通信技術です。QKDは、量子力学に基づく原理を通信に応用することで、データの送信側と受信側の双方に共通の暗号鍵(以下「共通鍵」)をそれぞれ生成し、共通鍵を生成するための情報を光子(光の粒子)に乗せて伝送します。従来のQKDでは、都市部の拠点間の接続には光ファイバーを用いる必要があるため、ビル間や公道をまたいだ建屋間など、光ファイバーの敷設が困難な拠点や敷設に多くの時間を要する拠点では、QKDの導入が阻害されてしまう場合があります。この課題を解決するため、従来のQKDの構成に光無線も加えて活用する実証実験を行いました。動作実証において、光子の伝送路の途中に光無線を組み合わせた場合でも、光ファイバー向けのQKDシステムを変更することなく安定した鍵生成が可能であることを確認できました。また、性能評価において、暗号鍵の生成が可能な伝送路全体の光の減衰量について把握することができました。今後さらに特性の把握を深めることで、光無線を組み合わせたQKDシステムの運用に必要となる無線機の要件定義や無線区間の回線設計が可能になるため、QKDセキュアネットワークの設計に大きく寄与するものと考えています。将来的には、ビルの屋上などに光無線機を設置して活用することで、光ファイバーを新設することなく短期間でQKDを利用することが可能になります。当社と東芝デジタルソリューションズは、今後も光無線の伝送路の長距離化によるエリア拡大など、QKDセキュアネットワークの拡張性を高める技術の研究開発を進めていきます。 上記の他、主にAI、HAPS、広告関連サービスやアプリの研究開発を行い、当連結会計年度における研究開発費は60,380百万円となりました。 |
設備投資等の概要 | 1 【設備投資等の概要】 当連結会計年度は、主にコンシューマ事業およびエンタープライズ事業に係る通信サービスの拡充並びに品質の向上等を目的に、効率的に設備投資を実施しました。5Gのエリア展開に係る設備投資やLINEヤフーグループの設備投資が減少した一方で、生成AI基盤に係る設備投資が増加したことにより、当連結会計年度の設備投資の総額は650,856百万円(レンタル端末投資額60,066百万円、IFRS第16号の適用による投資額73,486百万円を含む)となりました。 (注) 設備投資額は建設仮勘定を含む有形固定資産、無形資産の取得、長期前払費用(その他の非流動資産)およびIFRS第16号の適用による投資額です。なお、資産除去債務に係る有形固定資産の増加額、のれんおよび商標利用権の増加額は含まれていません。 |
主要な設備の状況 | 2 【主要な設備の状況】 (1) 提出会社 2024年3月31日現在事業所名(所在地)セグメントの名称設備の内容帳簿価額(百万円)従業員数(名)機械設備空中線設備建物及び構築物工具、器具及び備品土地(面積㎡)ソフトウエアその他合計本社(東京都港区)他コンシューマ・エンタープライズ・その他基地局、ネットワーク設備他746,108315,43699,51545,91118,147(700,671)450,292289,1681,964,57718,889(4,695) (注1) 帳簿価額の金額は、有形固定資産および無形固定資産の帳簿価額であり、そのうち建設仮勘定、商標権は含んでいません。(注2) 従業員数欄の(外書)は、臨時従業員の年間平均雇用人員です。 (2) 国内子会社資産が少額であるため記載を省略しています。 (3) 在外子会社資産が少額であるため記載を省略しています。 |
設備の新設、除却等の計画 | 3 【設備の新設、除却等の計画】 翌連結会計年度における当グループの設備の新設等に係る投資予定金額(総額)は756,000百万円(レンタル端末投資額、IFRS第16号の適用による投資額を含む)です。 重要な設備の新設、除却等の計画は以下の通りです。 (1) 重要な設備の新設等 2024年3月31日現在会社名 事業所名(所在地セグメントの名称設備の内容投資予定額(百万円)資金調達方法着手年月完了予定年月完成後の増加能力ソフトバンク㈱他本社(東京都港区)他コンシューマ・エンタープライズ基地局、ネットワーク設備他330,000自己資金、ファイナンス・リース及び借入金等2024年4月2025年3月- (注)2LINEヤフー㈱本社(東京都千代田区)他メディア・ECネットワーク関連設備およびデータセンター設備他117,977自己資金2024年4月2025年3月インターネット接続環境の増強およびデータセンター設備の増強、サービスおよび業務効率の拡大 (注1) 検収ベースの投資予定額です。 (注2) 完成後の増加能力については、計数的把握が困難であるため、記載を省略しています。 (2) 重要な設備の除却等 重要な設備の除却等の計画はありません。 |
研究開発費、研究開発活動 | 60,380,000,000 |
設備投資額、設備投資等の概要 | 650,856,000,000 |
Employees
平均年齢(年)、提出会社の状況、従業員の状況 | 41 |
平均勤続年数(年)、提出会社の状況、従業員の状況 | 14 |
平均年間給与、提出会社の状況、従業員の状況 | 8,105,000 |
管理職に占める女性労働者の割合、提出会社の指標 | 0 |
全労働者、労働者の男女の賃金の差異、提出会社の指標 | 1 |
正規雇用労働者、労働者の男女の賃金の差異、提出会社の指標 | 1 |
非正規雇用労働者、労働者の男女の賃金の差異、提出会社の指標 | 1 |
Investment
株式の保有状況 | (5) 【株式の保有状況】 a. 保有目的が純投資目的である投資株式と純投資目的以外の目的である投資株式の区分の基準や考え方当社では、株式の価値の変動または株式に係る配当によって利益を受けることを目的として保有している株式を「純投資目的である投資株式」と区分しています。また、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式を「政策保有株式」と区分し、以下の保有方針に従って取得・保有しています。 b. 保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式(非上場以外の株式)(a)保有方針及び保有の合理性を検証する方法ⅰ 保有方針 当社における政策保有株式の保有目的は、事業展開または業務運営における優位性の確保やシナジーの創出、人材・技術の確保・コスト削減等の効果の享受です。当社では、保有の意義が希薄と考えられる政策保有株式については、できる限り速やかに処分・縮減していく基本方針のもと、毎年、個別の政策保有株式について、政策保有の意義、経済合理性等を検証し、保有継続の可否および保有株式数を見直します。ⅱ 保有の合理性を検証する方法 当社では、毎年個社別に、保有目的に応じた取引関係の継続確認や、経済合理性の観点で、政策保有株式の出資額に対して発行会社が当社利益に寄与した金額の割合の算出を行っています。保有意義が希薄化した場合や上記利益に寄与した金額の割合が当社の単体3年平均ROAの50%を下回る場合には、売却検討対象とします。また、簿価から30%以上時価が下落した銘柄及び、ガバナンスの観点から不祥事への対処も精査したうえで検討します。さらに、新規事業に関連する出資に関しては、出資の効果として、新規事業の進捗状況の検証を行っています。(b)個別銘柄の保有の適否に関する取締役会における検証の内容政策保有株式の保有の適否に関して、13銘柄について保有目的の希薄化が認められ、総合的に検証した結果、12銘柄は今後継続して保有する合理性がないと判断し売却済みです。1銘柄は一部を売却済みです。これらの検証内容は、取締役会へ報告しています。 c. 保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式に関する増減(a) 保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式(非上場株式)すべての非上場株式50銘柄貸借対照表計上額の合計額22,790百万円株式数が増加した銘柄3銘柄取得価額の合計額2,133百万円株式数が減少した銘柄3銘柄売却価額の合計額232百万円 (注1) 株式数が増加した銘柄は、事業展開または業務運営における優位性の確保やシナジーの創出、人材・技術の確保・コスト削減等の効果の享受を目的とする投資によるものです。(注2) 株式数が増加した銘柄のうち2銘柄は新規取得に伴うものです。残りの1銘柄は追加取得により株式数が増加しています。(注3) 株式数が減少した銘柄のうち2銘柄は全株式の売却に伴うものです。残りの1銘柄は会社清算等により投資有価証券から減少しています。 (b) 保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式(非上場以外の株式)すべての非上場以外の株式10銘柄貸借対照表計上額の合計額15,604百万円株式数が増加した銘柄- 取得価額の合計額- 株式数が減少した銘柄13銘柄売却価額の合計額1,692百万円 (注) 株式数の減少のうち、サイジニア㈱、㈱山善、㈱ジャックス、パナソニックホールディングス㈱、㈱スターフライヤー、ゼビオホールディングス㈱、江崎グリコ㈱、㈱T&Dホールディングス、㈱トマト銀行、日本ハム㈱、㈱りそなホールディングス、㈱ドウシシャの12銘柄は全株式の売却に伴うものです。また、残りの1銘柄は㈱ベクターホールディングスの株式の一部を売却したことによるものです。 d. 保有目的が純投資目的以外の目的の投資株式(非上場以外の株式)の保有区分、銘柄、株式数、貸借対照表計上額、保有目的・定量的な保有の効果、相手方の保有の有無、株式数増加の理由(a) 特定投資株式 保有の効果の検証は、「b. 保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式(非上場以外の株式)(a)保有方針及び保有の合理性を検証する方法」に記載のとおり個別銘柄毎に検証しています。なお、各社との取引金額は機密性が高いものであることから、記載は省略します。銘柄(当事業年度)株式数(株)貸借対照表計上額(百万円)(前事業年度)株式数(株)貸借対照表計上額(百万円)保有目的・定量的な保有の効果相手方の保有の有無株式数増加の理由㈱ヤマダホールディングス24,200,00024,200,000当社のコンシューマ事業の円滑な業務運営を図る目的であり、円滑な業務運営が実現されたことにより取引金額が当初期待された金額を超過しており、出資時点の効果を有しています。発行会社は当社株式を保有していません。 10,67711,035㈱ベルパーク715,500715,500当社のコンシューマ事業の円滑な業務運営を図る目的であり、円滑な業務運営が実現されたことにより取引金額が当初期待された金額を超過しており、出資時点の効果を有しています。発行会社は当社株式を保有しています。 1,2221,246九州旅客鉄道㈱276,100276,100当社のエンタープライズ事業の円滑な業務運営を図る目的であり、円滑な業務運営が実現されたことにより取引金額が当初期待された金額を超過しており、出資時点の効果を有しています。発行会社は当社株式を保有していません。 978814上新電機㈱300,000300,000当社のコンシューマ事業の円滑な業務運営を図る目的であり、円滑な業務運営が実現されたことにより取引金額が当初期待された金額を超過しており、出資時点の効果を有しています。発行会社は当社株式を保有していません。 698586RPAホールディングス㈱2,300,0002,300,000当社との取引関係強化によるシナジー効果を享受する目的であり、関係の継続が確認されております。発行会社は当社株式を保有していません。 656991㈱プラザホールディングス270,0001,350,000当社のコンシューマ事業の円滑な業務運営を図る目的であり、円滑な業務運営が実現されたことにより取引金額が当初期待された金額を超過しており、出資時点の効果を有しています。発行会社は当社株式を保有していません。 期中に発行会社が株式併合をした結果、株式数が減少しています。 615549㈱ビックカメラ230,000230,000当社のコンシューマ事業の円滑な業務運営を図る目的であり、円滑な業務運営が実現されたことにより取引金額が当初期待された金額を超過しており、出資時点の効果を有しています。発行会社は当社株式を保有していません。 295256㈱サカイホールディングス450,000450,000当社のコンシューマ事業の円滑な業務運営を図る目的であり、円滑な業務運営が実現されたことにより取引金額が当初期待された金額を超過しており、出資時点の効果を有しています。発行会社は当社株式を保有しています。231247㈱ベクターホールディングス928,9002,278,900当社との取引関係強化によるシナジー効果を享受する目的です。しかしながら、当事業年度において保有意義が薄れたと判断し、一部売却したことにより株式数が減少しています。残りの株式については2025年3月までにシナジー効果を検証する予定です。発行会社は当社株式を保有していません。128551㈱トーシンホールディングス144,000144,000当社のコンシューマ事業の円滑な業務運営を図る目的であり、円滑な業務運営が実現されたことにより取引金額が当初期待された金額を超過しており、出資時点の効果を有しています。発行会社は当社株式を保有していません。 10496 銘柄(当事業年度)株式数(株)貸借対照表計上額(百万円)(前事業年度)株式数(株)貸借対照表計上額(百万円)保有目的・定量的な保有の効果相手方の保有の有無株式数増加の理由サイジニア㈱-1,261,726当社との取引関係強化によるシナジー効果を享受する目的です。しかしながら、保有目的の希薄化が認められたため2023年4月に売却済みです。発行会社は当社株式を保有していません。 -1,129㈱山善-100,000当社のエンタープライズ事業の円滑な業務運営を図る目的です。しかしながら、保有目的の希薄化が認められたため2023年12月に売却済みです。発行会社は当社株式を保有していません。 -102㈱ジャックス-20,000当社のエンタープライズ事業の円滑な業務運営を図る目的です。しかしながら、保有目的の希薄化が認められたため2023年11月に売却済みです。発行会社は当社株式を保有していません。-88パナソニックホールディングス㈱-60,000当社のエンタープライズ事業の円滑な業務運営を図る目的です。しかしながら、保有目的の希薄化が認められたため2023年11月に売却済みです。発行会社は当社株式を保有していません。-71㈱スターフライヤー-12,000当社のエンタープライズ事業の円滑な業務運営を図る目的です。しかしながら、保有目的の希薄化が認められたため2023年12月に売却済みです。発行会社は当社株式を保有していません。-30ゼビオホールディングス㈱-25,500当社のエンタープライズ事業の円滑な業務運営を図る目的です。しかしながら、保有目的の希薄化が認められたため2023年11月に売却済みです。発行会社は当社株式を保有していません。-27江崎グリコ㈱-5,500当社のエンタープライズ事業の円滑な業務運営を図る目的です。しかしながら、保有目的の希薄化が認められたため2023年11月に売却済みです。発行会社は当社株式を保有していません。-18㈱T&Dホールディングス-8,470当社のエンタープライズ事業の円滑な業務運営を図る目的です。しかしながら、保有目的の希薄化が認められたため2023年12月に売却済みです。発行会社は当社株式を保有していません。-14㈱トマト銀行-10,000当社のエンタープライズ事業の円滑な業務運営を図る目的です。しかしながら、保有目的の希薄化が認められたため2023年12月に売却済みです。発行会社は当社株式を保有していません。-10日本ハム㈱-1,000当社のエンタープライズ事業の円滑な業務運営を図る目的です。しかしながら、保有目的の希薄化が認められたため2023年11月に売却済みです。発行会社は当社株式を保有していません。-4㈱りそなホールディングス-3,525当社のエンタープライズ事業の円滑な業務運営を図る目的です。しかしながら、保有目的の希薄化が認められたため2023年12月に売却済みです。発行会社は当社株式を保有していません。-2㈱ドウシシャ-600当社のエンタープライズ事業の円滑な業務運営を図る目的です。しかしながら、保有目的の希薄化が認められたため2023年12月に売却済みです。発行会社は当社株式を保有していません。-1 (注) RPAホールディングス㈱は、2024年6月1日付で、オープングループ㈱へ商号変更しています。 (b) みなし保有株式該当事項はありません。 e. 保有目的が純投資目的である投資株式の銘柄数、貸借対照表計上額、受取配当金、売却損益及び評価損益該当事項はありません。 |
株式数が増加した銘柄数、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 3 |
株式数が減少した銘柄数、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 13 |
銘柄数、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 50 |
貸借対照表計上額、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 22,790,000,000 |
銘柄数、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 10 |
貸借対照表計上額、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 15,604,000,000 |
株式数の増加に係る取得価額の合計額、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 2,133,000,000 |
株式数の減少に係る売却価額の合計額、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 1,692,000,000 |
株式数、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社 | 144,000 |
貸借対照表計上額、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社 | 104,000,000 |
銘柄、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社 | ㈱ドウシシャ |
保有目的、業務提携等の概要、定量的な保有効果及び株式数が増加した理由、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社 | 当社のエンタープライズ事業の円滑な業務運営を図る目的です。しかしながら、保有目的の希薄化が認められたため2023年11月に売却済みです。発行会社は当社株式を保有していません。 |