財務諸表
CoverPage
提出書類、表紙 | 有価証券報告書 |
提出日、表紙 | 2024-06-27 |
英訳名、表紙 | Tsubota Laboratory Incorporated |
代表者の役職氏名、表紙 | 代表取締役社長 坪田 一男 |
本店の所在の場所、表紙 | 東京都新宿区信濃町34番地トーシン信濃町駅前ビル304 |
電話番号、本店の所在の場所、表紙 | 03-6384-2866 |
様式、DEI | 第三号様式 |
会計基準、DEI | Japan GAAP |
連結決算の有無、DEI | false |
当会計期間の種類、DEI | FY |
corp
沿革 | 2 【沿革】 年 月概 要2012年5月当社の前身となる、ドライアイ新規薬剤、ドライアイケアグッズの開発・製造等を目的として東京都港区に㈱ドライアイKT設立2014年6月近視予防物品及び近視予防セットに関する特許を出願(当社パイプラインTLG-001)2015年2月㈱ドライアイKTが㈱近視研究所、㈱老眼研究所を吸収合併し、㈱坪田ラボに商号変更2015年12月近視予防又は近視の進行を遅らせること等ができる身体装着用の照射装置に関する特許を出願(当社パイプラインTLG-001)2017年3月近視予防又は抑制剤、マウス近視誘導モデルの作製方法及び近視予防又は抑制医薬スクリーニング方法に関する特許を出願(当社パイプラインTLG-001)2017年5月近視予防用組成物及び機能性食品に関する特許を出願(当社パイプラインTLM-005)2019年2月坪田一男が当社代表取締役社長に就任2019年3月住友ファーマ㈱とバイオレットライトを用いたうつ病及び認知症に関する共同研究契約を締結(当社パイプラインTLG-005)2019年4月近視進行抑制を目指した医療機器TLG-001による探索治験を開始当社として慶應義塾大学信濃町キャンパス内総合医科学研究棟(リサーチパーク)4S7研究室を開設2019年5月㈱ジンズホールディングスとTLG-001(バイオレットライトを用いた近視予防を目的とした眼鏡型の医療機器)に関する実施許諾契約を締結2019年6月本社を慶應義塾大学信濃町キャンパス内2号棟5階へ移転2019年11月国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構の2019年度「研究開発型ベンチャー支援事業/シード期の研究開発型ベンチャーに対する事業化支援」の事業者に選出(当社パイプラインTLG-005)2020年6月本社を慶應義塾大学信濃町キャンパス内2号棟5階から東京都新宿区信濃町34番地トーシン信濃町駅前ビル304へ移転2020年10月 ロート製薬㈱と当社が保有する近視抑制点眼薬に関する知的財産権及び研究開発成果に関する実施許諾契約を締結(当社パイプラインTLM-003)ロート製薬㈱と近視抑制のメカニズム、リバウンド等の基礎研究に関する共同研究開発契約を締結(当社パイプラインTLM-003)2021年3月住友ファーマ㈱と脳活性化バイオレットライトメガネTLG-005を用いた、うつ病、軽度認知障害及びパーキンソン病についての共同研究契約を締結2021年4月マルホ㈱とマイボーム腺機能不全の処置剤に関する国内及びアメリカ、フランス、イギリス、ドイツ等への実施許諾契約を締結(当社パイプラインTLM-001)2021年9月ロート製薬㈱と2020年10月に締結した実施許諾契約の対象国に、台湾、ベトナム、インドネシアの3カ国を追加する覚書を締結2022年6月東京証券取引所グロース市場に株式を上場2022年11月Twenty Twenty Therapeutics社とTLG-001の北及び南アメリカ大陸を対象とした独占実施許諾契約を締結 年 月概 要2022年12月Laboratoires Théa社とTLM-003の米欧等を対象とした独占実施許諾契約を締結2023年6月日本スタートアップ大賞 審査委員会特別賞を受賞2023年9月「老齢犬の認知機能低下に対する認知機能改善機器の研究開発」が成長型中小企業等研究開発支援事業(Go-Tech 事業)として採択2023年10月近視進行抑制を目指した医療機器TLG-001 検証的臨床試験の被験者組み入れ完了2024年3月「網膜色素変性症に対する革新的医療機器の開発」がTOKYO 戦略的イノベーション促進事業における助成事業として採択2024年3月「光照射による月経不順治療機器の開発」が女性のためのフェムテック開発支援・普及促進事業における助成事業として採択2024年3月ロート製薬㈱と当社が保有する点眼薬に関する知的財産権及び研究開発成果に関する知的財産権実施許諾契約を締結 |
事業の内容 | 3 【事業の内容】 株式会社坪田ラボは「ビジョナリーイノベーションで未来をごきげんにする」をミッションに掲げ、近視(*1)・ドライアイ(*2)・老眼(*3)・脳疾患の治療に画期的なイノベーションを起こすことを目標に設立した、慶應義塾大学医学部発ベンチャーです。2012年5月に慶應義塾大学医学部眼科学教室の研究成果を社会に届けるために、また、イノベーションを起こすために、当社の前身である株式会社ドライアイKT(現 当社)が設立されました。近視、ドライアイ、老眼は、超高齢社会における健康長寿とQuality of Visionの観点から眼科医療領域において大きな課題と認識されておりますが、いまだ原因療法が確立していない、いわゆるアンメット・メディカル・ニーズ領域(*4)であります。世界では、近視は約26億人、ドライアイは約7.5億人、老眼は約18億人の患者数が推定されています。当社では、これらの3領域に加えて、眼と同じ中枢神経系である脳関連の疾患にも研究領域を拡大し、患者様に対して画期的なイノベーションによる研究開発成果を届けるため、提携大学と連携し先進的な研究を行っております。その研究成果を評価するパートナー企業と共同開発を行い、新しい価値を提供する製品を上市しております。なお、当社の事業セグメントは、研究開発事業のみの単一セグメントであります。 主な提携研究機関 :学校法人慶應義塾主なパートナー企業:株式会社ジンズホールディングス、ロート製薬株式会社、 住友ファーマ株式会社、わかもと製薬株式会社、マルホ株式会社、Twenty/Twenty Therapeutics、Laboratoires Théa (1) ビジネスモデル当社のビジネスモデルは、パートナー企業との共同研究開発契約および実施許諾契約による契約一時金、マイルストーン・ペイメントならびに事業化後(上市後)のロイヤリティ契約によるロイヤリティで収益化し、その収益を新しい研究に投資することで、新たな価値創造につなげることです。大学は研究のレベルが高く、特許を取得し、研究内容に関する論文の執筆までは行いますが、社会全体にその研究開発成果を届けることが難しくなっています。大学単独ではイノベーションが起こりにくいことを踏まえ、当社では慶應義塾大学発ベンチャーとして、大学の研究成果・知的財産“サイエンス”を商業化“コマーシャリゼーション”してイノベーションを生み出すべく、日々研究開発・事業展開に取り組んでおります。当社の事業領域は基礎的な研究開発から一部治験までとなっております。これらの研究開発成果に基づく製品は、患者様に利用いただくことになると思いますが、当社は患者様との直接的な接点を持っていないため、最終的なユーザーである患者様に接する大手企業が当社の直接的な顧客となるB to Bのビジネスモデルとなっております。当社の研究開発では、多くの研究が外部委託研究員によって進められています。これが当社の特徴の一つであり、各外部委託研究員は様々な領域で、高度な専門性を持つ研究者であり、当社の幅広いパイプラインに対し、確固たるエビデンスに基づいた研究成果を上げ、新たなパイプラインを創出する役割を果たしています。 また、医薬品、医療機器の開発・販売には時間を要するため、コモディティの開発・販売も並行して進めるデュアル戦略を採っております。さらにコンサルティング業務などで安定的な収入も得ております。現在までに数十社の企業と早期に契約を締結しています。 以下の図は、当社の標準的な収益構造を示しております。当社の研究成果、知財をパートナー企業に提供し、その対価として、共同研究開発契約又は実施許諾契約の契約一時金、ならびに開発のステージに伴うマイルストーン・ペイメントを順次受け取ります。そして事業化後(上市後)はロイヤリティ収入を得るビジネスモデルですが、現時点で当社収益の中心は、契約一時金とマイルストーン・ペイメントとなっております。 (当社における収益構造)収 益内 容契約一時金共同研究開発契約及び実施許諾契約の契約締結時に、当社が提供するそれまでの研究成果及び知財実施権許諾の対価等として受け取る収入マイルストーン・ペイメント契約相手先の研究開発の進捗(契約書に規定された研究開発段階の達成)又は売上の進捗(契約書に規定された売上高の達成)に応じて受け取る収入ロイヤリティ医薬品、医療機器等の上市後に販売額の一定料率を受け取る収入コンサルティング製薬会社等へのコンサルティングの対価として受け取る収入 (事業系統図) また、成長戦略の基本としてT型戦略(「深化」と「探索」)の概念を取り入れ、サイエンス(研究)においては、研究予算全体の70%を深化(研究の深掘り、知財の導出等)に、30%を探索(基礎研究による発見、新規知財等)に配分し、バランスの取れた研究を目指しております。 (2) 事業の概要a 近視領域近視は、失明の主要因であり、有病率の増加は大きな社会問題となっております。近視が激増している現在、世界保健機関(WHO)が発表した「THE IMPACT OF MYOPIA AND HIGH MYOPIA」によると、世界には2020年時点において約26億人の患者が存在しており、2050年には約48億人にもなると試算されています。また、近視は単にメガネをかければよいものではなく、失明につながる重大な疾患であり、予防方法の確立が急がれています。その市場規模は数兆円ともいわれ、巨大なアンメット・メディカル・ニーズが存在する研究領域であります。 当時、当社代表取締役社長坪田一男が教授を務めていた慶應義塾大学医学部眼科教室では2017年に、バイオレットライト(波長360~400nmの可視光)(*5)の光が近視の予防に効果がある事を発見いたしました。バイオレットライトは、OPN5(*6)という非視覚系光受容体(*7)を刺激し、脈絡膜(*8)を介した眼の血流を維持、増大することが判明いたしました。これら一連の発見の知財化を進めてきております。「現代社会で欠乏しているバイオレットライトを効率的に子供たちに供給することにより近視の進行を抑える」ということが当社の基盤技術となっており、以下の図の様な研究アプローチとなっております。 (a) TLG-001(Tsubota-Lab Glassframe-001)[株式会社ジンズホールディングス][Twenty/Twenty Therapeutics]TLG-001は、バイオレットライトを1日に3時間310μW/cm2の強度(東京における水平方向で東西南北方位の年間平均バイオレットライト放射照度)で供給することにより、子供の近視の予防を行うメガネフレーム型近視予防デバイスであります。探索治験によりバイオレットライトの安全性が確認されており、医療機器製造販売承認に向け、2022年6月より最終的な検証治験(*9)を実施しております。当社は株式会社ジンズホールディングスと日本国内における実施許諾契約を締結しており、近視予防を請求できる医療機器製造販売承認を株式会社ジンズホールディングスが取得し販売開始する計画があります。ビジネスモデルとしては開発契約金に加えて、マイルストーン・ペイメント、ロイヤリティ収入を受け取る契約となっております。また海外においては、2022年11月にTwenty/Twenty Therapeuticsと、当社が所有する知的財産権のアメリカ大陸における独占的実施許諾契約を締結しました。 (b) TLM-003(Tsubota Lab Medicine-003) [ロート製薬株式会社][Laboratoires Théa]TLM-003は1日1回~2回の点眼によって近視の進行を予防する、新しいタイプの近視進行予防点眼薬です。TLG-001がバイオレットライトにより眼の血流を増大させ近視予防をするのに対して、本点眼薬は強膜の菲薄化を抑制することにより、強膜の伸展を抑え、近視となることを抑制します。すでにマウスの動物実験において、近視進行抑制効果を証明しており、ロート製薬株式会社と長期の開発契約を締結し、ロート製薬株式会社が2023年から第1相臨床試験を開始しております。また海外においては、2022年12月にLaboratoires Théaと、米欧を中心とした地域において、当社が所有する知的財産権の独占的実施許諾契約を締結しました。 (c) TLM-007 (Tsubota Lab Medicine-007)TLM-007は血流増大の効果がある緑内障の点眼薬を適用拡大し、近視の進行を予防する点眼薬としての開発をしています。2024年から特定臨床試験を開始しております。 b ドライアイ領域現代の視覚情報化社会において眼は酷使され、乾燥による蒸発増大や、現代社会のストレスによる涙液分泌の低下によりドライアイを引き起こします。症状としては眼が乾く、眼が疲れる、眼が重いなどの不定愁訴(*10)が多く、日本だけで2,000万人(ドライアイ研究会ホームページより)の潜在患者がいると考えられております。ドライアイは涙液層の不安定さを伴う不定愁訴であり、現代社会においては急増しており、特に新型コロナウイルス感染症の影響による在宅勤務の増大により、ドライアイ症状を持つ患者が急増していると考えられております。涙液層の不安定化の原因は主に3つの要因から成り立っており、涙液そのものの減少、ムチン層(*11)の減少、異常及び油層(*11)の異常による蒸発量の亢進とされております。現在この3つのメカニズムについて全世界で治療法の開発が行われており、当社では眼の周りの環境を整えるためのメガネや、涙液の量を増やすためのサプリメントの開発などを行っております。 (a) TLM-001 (Tsubota Lab Medicine-001) [マルホ株式会社]ドライアイは上図にありますように3層からなる涙液層が不安定になり、慢性疼痛を引き起こす疾患です。3層は油層、涙液層(水層)、ムチン層(*11)から構成されておりどの層が障害を受けても涙液層は不安定となります。最近増えているタイプのドライアイはこのうち油層に影響するものが多いとされています。油層を構成する油成分はまぶたの縁にあるマイボーム腺という脂腺から分泌されます。加齢や炎症によってこの脂腺の機能が落ちますが、我々はビタミンD関連物質がこの機能を回復させることを動物実験および臨床研究によって証明しました。現在ビタミンD関連物質を主体とした眼軟膏を開発しており、すでにマルホ株式会社と全世界の導出に関する契約を結んでおります。開発が進むにつれてマイルストーン収入を得ますとともに、上市されればロイヤリティ収入を受け取る契約となっております。 c 老眼領域老眼は加齢によって水晶体が硬くなるために生じる調節力障害であり、40歳以降の多くの人が罹患します。顕著な症状として、近くのものが見にくくなります。従来は多焦点メガネや眼内レンズ等で対応しておりますが、根本的に老眼を予防治療する医薬品はまだ開発されておりません。現在、患者数は40歳または50歳以上の全人類に相当するといわれ、超高齢化社会の到来とともに老眼問題はさらに拡大するのが予測されます。水晶体の老化は、まさにエイジングそのものであるため、代謝からの新しい切り口により、医薬品等の開発を進めて参ります。 d 脳疾患領域(a) TLG-005 (Tsubota Lab Glassframe-005)[住友ファーマ株式会社]眼が脳の神経組織の一部であることを考えると、バイオレットライトが眼の血流を上げるだけでなく脳の血流も上げることを予期し研究を重ねた結果、実際にこの現象を発見いたしました。バイオレットライトには、近視の予防効果があることに加えて、うつ病や認知症等の脳に対しても効果があることが徐々に解明されており、うつ病、パーキンソン病や軽度認知障害については複数の特定臨床研究を行っております。2023年度に、うつ病およびパーキンソン病の研究を終了し、また、軽度認知障害についても被験者組み入れが完了しております。(注)パーキンソン病につきましては、2024年5月22日に開催された取締役会において、住友ファーマ株式会社とのプロジェクト終了を決議しております。 e その他バイオレットライトによる脈絡膜の機能維持期に貢献できるとの仮説のもとに、後眼部疾患への応用も検討中です。更に、光による角膜コラーゲンのクロスリンク(*12)を目指した円錐角膜治療の臨床研究TLG-003でも、データを蓄積しており、至適治療条件を探索する研究が進んでいます。更に、OPN5は網膜の局所的な概日光同調にとって必要かつ十分な感光色素であることが判明しており、脳中枢を介してサーカディアンリズム(*13)を改善し、現代の生活スタイルに根付く生活習慣病の治療に展開する準備の一つとして、女性の月経不順に対してバイオレットライトによる治療に挑戦します。また、これらの知見はペット領域への展開も検討中であり、老犬の体調管理に対する試験を公的支援のもと実施中です。 (3) 当社のパイプライン以下の表は、当社の開発製品並びにその適応症、市場、開発段階及び本書提出日現在の進捗状況を示しております。なお、製品の開発に際しては様々なリスクを伴います。当社製品の開発リスクの概要については、「第2[事業の状況] 3[事業等のリスク]」の通りであります。 用語意味・内容*1近視無調節の状態で眼に入る平行光線が網膜の前方で結像する眼の屈折状態。視力障害を伴うものは疾患であり、進行抑制・治療の必要がある。*2ドライアイドライアイは、様々な要因により涙液層の安定性が低下する疾患であり、眼不快感や視機能異常を生じ、眼表面の障害を伴うことがある。*3老眼老眼は40歳前後からはじまる誰もがなる眼の老化で、水晶体の弾力性が弱まり、調節力が低下した結果、近いところが見えにくくなる症状のこと。*4アンメット・メディカル・ニーズ領域いまだ有効な治療方法がない疾患に対する医療ニーズがある領域のこと。*5バイオレットライト波長360~400nmの光を指し、JIS Z 8120 「光学用語」により、この波長域の光は可視光波長域の短波長限界と定義されている。*6OPN5人において380nmにその吸収スペクトルのピークを持つ、非視覚系光受容体のこと。*7非視覚系光受容体光受容体のなかで、「見るため」ではない目的で働く種類のものを指す。OPN5は非視覚系光受容体の一種のこと。*8脈絡膜網膜と強膜の間にあり、眼球壁を形成する膜のこと。*9検証治験医療機器開発における、医療機器承認を目指した、主に有効性を評価する臨床試験のこと。*10不定愁訴頭痛や食欲不振など主観的な多岐にわたる自覚症状の訴えがあるものの、検査をしても客観的所見に乏しく、原因となる病気が見つからない状態。*11涙液層(水層)、油層、ムチン層涙を構成する3層。涙液(水)は上まぶたの涙腺から、ムチンという粘性成分は結膜から分泌される。最表層である油層は、上下まぶた裏側にあるマイボーム腺から出て、水分の蒸発を防ぐ役割がある。*12クロスリンキングドイツのSeilerらが開発した円錐角膜の手術方法のこと。リボフラビンなどを点眼し、365nmの波長の光を照射すると、角膜のコラーゲン繊維が架橋(クロスリンキング)される。*13サーカディアンリズム体内時計である約24時間周期のリズムを概日リズム(サーカディアンリズム)と呼ぶ。 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関係会社の状況 | 4 【関係会社の状況】 該当事項はありません。 |
従業員の状況 | 5 【従業員の状況】 (1) 提出会社の状況 2024年3月31日現在従業員数(名)平均年齢(歳)平均勤続年数(年)平均年間給与(千円)751.03.410,507 事業部門の名称従業員数(名)研究開発本部4事業開発本部2管理本部1合計7 (注) 1.当社は単一セグメントであるため、事業部門別の従業員数を記載しております。2.臨時従業員数は、在籍していないため、人員を記載しておりません。3.前事業年度に比べ従業員が3名減少しておりますが、主に自己都合退職によるものです。 (2) 労働組合の状況当社には、労働組合は組成されておりませんが、労使関係は良好に推移しております。 (3) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異当社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(平成27年法律第64号)」及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成3年法律第76号)」の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。 |
経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 | 1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文章中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。 (1) 会社の経営方針当社は、“ビジョナリーイノベーションで未来をごきげんにする“をミッションに掲げ、「近視、ドライアイ、老眼、脳疾患の治療に画期的なイノベーションを起こす」という目標のもと、慶應義塾大学発ベンチャーとして、世界的な近視の激増、ドライアイによるQOL(クオリティーオブライフ)の低下、老眼の予防治療、また同じ中枢神経系である脳関連の疾患に対する治療への高い需要という社会課題に真正面からチャレンジし、企業価値の増大を目指しております。 (2) 経営戦略当社は、短期的な利益の最大化よりも、社会課題を解決するという大きな課題に長期にわたって真正面から取り組み、特許に繋がる発明(Invention)×パートナー企業との協働によって実現する社会実装(Implementation)によって確実なイノベーションを起こしていくCSV経営(*1)を実現し、パートナー企業とともに新たな社会価値を創造し、長期的な視野で企業価値の最大化を図ってまいります。*1 CSV(Creating Shared Value)とは、社会的な課題を自社の強みで解決することで、企業の持続的な成長へとつなげていく差別化戦略であります。 (3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社は、各パイプラインの事業化(上市)を目指して共同研究または実施許諾を行うベンチャー企業であり、事業化後(上市後)のロイヤリティ収入を安定的に計上するステージにはまだありません。従いまして、当社は、ROA(総資産利益率)やROE(自己資本利益率)といった経営指標を目的とせず、各パイプラインの進捗状況等を適時かつ正確に管理することを目標においた事業活動を推進してまいります。 (4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題① 基礎研究、知財発掘および管理の強化当社は、近視、ドライアイ、老眼および脳疾患の領域において、先進的な研究を行っております。当社の目指す将来的なビジネスモデルは、共同開発によってパートナー企業より上市された製商品販売によるロイヤリティ収入を得ることであります。現在はまだ研究段階であり、その研究成果を評価するパートナー企業とともに共同研究開発を行うため、今後も基礎研究の強化を図ってまいります。また研究開発の成果としての知財の管理強化による導出力の向上も重要な課題と認識しております。 ② 国内・海外事業開発の強化当社のビジネスモデルは、パートナー企業との共同研究開発契約及び実施許諾契約による契約一時金、マイルストーン・ペイメント並びに事業化後(上市後)のロイヤリティ契約によるロイヤリティで収益化し、その収益を新しい研究に投資することで、新たな価値創造につなげることです。当社のような小規模のバイオベンチャーにおいては、強固かつ効率的な共同研究開発体制の構築は、研究開発活動の質の向上および製造能力の確保の観点からも重要な課題であります。事業開発においては、今後も国内外の多くの有力企業と共同研究開発を行うため適切なコミュニケーションを図りつつ、事業開発の強化を進めてまいります。 ③ レギュラトリーサイエンス(*1)の強化研究開発を独立行政法人医薬品医療機器総合機構からの承認取得、さらには事業化へと繋げていく為には、レギュラトリーサイエンスへの対応力の強化は不可欠です。こうした認識のもと、当社では組織の細分化や人材確保により、研究開発本部を中心に強化を図っております。*1 レギュラトリーサイエンスとは、医療分野の研究開発の成果の実用化に際し、その品質、有効性及び安全性を科学的知見に基づき適正かつ迅速に予測、評価及び判断することに関する科学です。 ④ 企業体質の強化CSV経営を目指し、OKR(*2)を導入し企業体質の強化を図ってまいります。*2 OKR(Objective and Key Results)とは、会社として達成したい目標をブレークダウンしたものであり、会社が長期で成し遂げたいビジョンやミッションに紐づくものであります。 ⑤ 経営体制の強化a 人材の確保と育成他のバイオベンチャーと同様に当社も新規性のある医薬品及び医療機器の研究開発を行っていることから、個々の研究員には非常に高度な専門性が要求されております。現在ほとんどの研究員が業務委託になっております。しかしながら、事業の安定的継続的な発展のためには独自の研究室、独自の研究員をそろえる必要があると考え、専門性を有する当社独自の研究員を採用してまいります。また、大学発ベンチャーでは、サイエンスが強くてもビジネスの観点から評価が得られないという現状があり、そのため、株式上場によって得られた信用力や知名度を活用しながら、世界からより多くのビジネス人材を確保し、今後拡大・加速していくことが予想される事業スピードに対応してまいります。 b コーポレート・ガバナンスの強化当社にとって共同研究開発体制の構築は重要な課題であり、また株主を含めたステークホルダーとの良好な関係も重要な課題であります。社外関係者との良好な関係の構築のためには、社会的信用を維持・向上させていく必要があると認識しております。特に、当社の取引先は主に上場企業、医療機関、公的な研究機関でありますので、共同研究開発体制を構築し、取引関係を維持していくには、当社も社会的信用を維持していく必要があります。また、世間に広く有効なバイオテクノロジーを提供していく社会的責任を果たす必要があると認識しております。そのため、当社は小規模ではありますが、コーポレート・ガバナンス体制を構築し、内部管理体制及び人員増を含めた管理部門の強化を推進してまいります。また、内部監査人と監査役との連携強化等の施策により業務執行の適法性・妥当性を監視する機能を強化し、財務報告に係るリスクを最小化して、経営の健全化に努めてまいります。 c 資金調達・財務基盤の強化当社はバイオベンチャーであり、実際の製品化までの研究開発活動において年単位の時間を要するものであります。製品化までの研究開発活動において設備投資、人材の採用・育成及びその他事業活動に多額の資金が必要となってまいります。これらの資金を外部から調達する必要があり、中長期的な視点から、財務基盤の強化のためにも、株式市場からの必要な資金の獲得や銀行からの融資、補助金等を通して、研究開発に必要な資金調達の多様化を図ってまいります。その一環で、運転資金を確保することを目的に、バックアップラインとして金融機関との間で、当座貸越契約(当座貸越極度額10億円)を締結しております。 ⑥ 慶應義塾大学および他大学との研究協力体制の構築慶應義塾大学医学部のみならず、慶應義塾大学理工学部、その他複数の大学との共同研究も開始しております。将来的に安定した研究開発を行うためには慶應義塾大学医学部との関係だけに頼るのではなく、異なる技術を持ちつつ研究所が確保できる大学との協力体制を構築することが必要と考えております。そのため、他の大学や学部との共同研究契約や寄付講座などを含めて、幅広く取り組んでまいります。 |
サステナビリティに関する考え方及び取組 | 2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】 当社は、“ビジョナリーイノベーションで未来をごきげんにする“をミッションに掲げ、「近視、ドライアイ、老眼、脳疾患の治療に画期的なイノベーションを起こす」という目標のもと、慶應義塾大学発ベンチャーとして、世界的な近視の激増、ドライアイによるQOL(クオリティーオブライフ)の低下、老眼の予防治療、また同じ中枢神経系である脳関連の疾患の治療への強いニーズという社会課題に真正面からチャレンジしています。こうした社会課題の解決をミッションとして、経営の取り組みを行っており、この取り組みが「持続的な成長」につながるものと考えています。 ①ガバナンスサステナビリティに関する方針を決定し活動を円滑に進めるため、当社では、原則として月1回定時取締役会を開催する他、必要に応じて臨時取締役会を開催しております。経営に関する重要事項を柔軟かつ迅速に決定し、経営基盤の強化、拡充に注力するとともに、その過程で生じた課題や問題点の解決も図っています。また経営及び業務執行に関する機動的な意思決定機関として経営会議を設置しており、毎月1回開催し、経営に関する重要事項の審議及び決議等を行っています。また、持続可能な成長を目指し、大学の研究成果や知的財産を活用した商業化を通じて、社会実装を推進しています。国連の持続可能な開発目標(SDGs)にも貢献し、特に「3すべての人に健康と福祉を」「4質の高い教育もみんなに」「9産業と技術革新の基礎をつくろう」の3つの目標に対して、事業を通じて積極的に取り組んでいます。 ②戦略 研究開発推進と新たなパイプライン創出アカデミア、研究機関といった共同研究先との継続的な研究開発と新規知財の発見、パートナー企業への知財の導出に注力しております。また新たなパイプラインの創出に向けて、共同研究先との新規契約を締結する等、陣容の拡大を図っています。 人材の獲得医療やライフサイエンスの領域におけるイノベーションは、世界が直面している社会課題の解決に強く結びついており、その事業推進力の源泉は優秀な人材の確保にあります。当社では自社のシーズ・パイプラインに関連する研究をしている研究者を国内外から招聘し、オープンイノベーションによって外部の技術・アイディアを取り入れることで、既存事業の深化と新規事業の探索を目指しており、基礎研究、知財、臨床研究等で知見を有する人材に対して、国籍、性別、バックグランド、年齢を問わず、幅広く門戸を広げています。また当社は事業の深化と新規事業に向けた探索を同時に追求するT型戦略を実践していくことに努めておりますが、このことは企業だけではなく、個々人の生き方にも言えるとの考えから、社員一人一人が自身の専門性を更に深化させるとともに、それを軸として専門以外の分野にも幅広く関心を持ち、ネットワークを築き、知識を広げていくことができる取り組みを進めています。同時に、女性活躍をはじめとするダイバーシティの推進も推進しています。 社内環境整備に関する方針当社では、在宅勤務やフレックス制度等、社員が個々の事情に合わせて働きやすい環境づくりに注力しており、今後も多様性の確保に向けた施策を推進してまいります。 ③リスク管理当社では、安定的に事業の継続を確保していくことを目的に、リスク・コンプライアンス委員会を原則として半期に1回開催し、当社のリスク管理体制の基盤となる「リスク管理規程」に基づき、経営における重大な損失、不利益等を最小限にくい止めるためリスクの把握、評価、対応を継続的に行っております。当委員会は、代表取締役社長、常勤取締役、非常勤取締役、執行役員、本部長、常勤監査役及び非常勤監査役で構成されており、代表取締役社長が議長を務めています。 ④指標及び目標人材育成方針や社内環境整備方針に関する具体的な指標は設定しておりません。しかしながら、経営陣が社員と定期的に面接を実施し、各社員が日常業務の中で感じていることのヒアリングを行うとともに、人材獲得や育成方針、また労働環境等について意見交換を実施し、より働きやすい環境の実現や社内制度の改善に向けての取り組みも推進しております。 |
戦略 | ②戦略 研究開発推進と新たなパイプライン創出アカデミア、研究機関といった共同研究先との継続的な研究開発と新規知財の発見、パートナー企業への知財の導出に注力しております。また新たなパイプラインの創出に向けて、共同研究先との新規契約を締結する等、陣容の拡大を図っています。 人材の獲得医療やライフサイエンスの領域におけるイノベーションは、世界が直面している社会課題の解決に強く結びついており、その事業推進力の源泉は優秀な人材の確保にあります。当社では自社のシーズ・パイプラインに関連する研究をしている研究者を国内外から招聘し、オープンイノベーションによって外部の技術・アイディアを取り入れることで、既存事業の深化と新規事業の探索を目指しており、基礎研究、知財、臨床研究等で知見を有する人材に対して、国籍、性別、バックグランド、年齢を問わず、幅広く門戸を広げています。また当社は事業の深化と新規事業に向けた探索を同時に追求するT型戦略を実践していくことに努めておりますが、このことは企業だけではなく、個々人の生き方にも言えるとの考えから、社員一人一人が自身の専門性を更に深化させるとともに、それを軸として専門以外の分野にも幅広く関心を持ち、ネットワークを築き、知識を広げていくことができる取り組みを進めています。同時に、女性活躍をはじめとするダイバーシティの推進も推進しています。 社内環境整備に関する方針当社では、在宅勤務やフレックス制度等、社員が個々の事情に合わせて働きやすい環境づくりに注力しており、今後も多様性の確保に向けた施策を推進してまいります。 |
指標及び目標 | ④指標及び目標人材育成方針や社内環境整備方針に関する具体的な指標は設定しておりません。しかしながら、経営陣が社員と定期的に面接を実施し、各社員が日常業務の中で感じていることのヒアリングを行うとともに、人材獲得や育成方針、また労働環境等について意見交換を実施し、より働きやすい環境の実現や社内制度の改善に向けての取り組みも推進しております。 |
人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略 | 人材の獲得医療やライフサイエンスの領域におけるイノベーションは、世界が直面している社会課題の解決に強く結びついており、その事業推進力の源泉は優秀な人材の確保にあります。当社では自社のシーズ・パイプラインに関連する研究をしている研究者を国内外から招聘し、オープンイノベーションによって外部の技術・アイディアを取り入れることで、既存事業の深化と新規事業の探索を目指しており、基礎研究、知財、臨床研究等で知見を有する人材に対して、国籍、性別、バックグランド、年齢を問わず、幅広く門戸を広げています。また当社は事業の深化と新規事業に向けた探索を同時に追求するT型戦略を実践していくことに努めておりますが、このことは企業だけではなく、個々人の生き方にも言えるとの考えから、社員一人一人が自身の専門性を更に深化させるとともに、それを軸として専門以外の分野にも幅広く関心を持ち、ネットワークを築き、知識を広げていくことができる取り組みを進めています。同時に、女性活躍をはじめとするダイバーシティの推進も推進しています。 社内環境整備に関する方針当社では、在宅勤務やフレックス制度等、社員が個々の事情に合わせて働きやすい環境づくりに注力しており、今後も多様性の確保に向けた施策を推進してまいります。 |
人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績、指標及び目標 | しかしながら、経営陣が社員と定期的に面接を実施し、各社員が日常業務の中で感じていることのヒアリングを行うとともに、人材獲得や育成方針、また労働環境等について意見交換を実施し、より働きやすい環境の実現や社内制度の改善に向けての取り組みも推進しております。 |
事業等のリスク | 3 【事業等のリスク】 当社の事業展開その他に関するリスク要因となる可能性がある主な事項を以下に記載しております。また、当社として必ずしも重要なリスクと考えていない事項及び具体化する可能性が必ずしも高くないと想定される事項についても、投資判断の上で又は当社の事業活動を理解する上で重要と考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から開示しております。当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、リスクの発生をすべて回避できる保証はありません。また、以下の記載内容は当社のリスクすべてを網羅するものではありませんのでご留意下さい。当社は、医薬品、医療機器等の開発を行っていますが、医薬品、医療機器等の開発には長い年月と多額の研究費用を要し、各パイプラインの開発が必ずしも成功するとは限りません。特に研究開発段階のパイプラインを有する製品開発型バイオベンチャー企業は、事業のステージや状況によっては、一般投資者の投資対象として供するには相対的にリスクが高いと考えられており、当社への投資はこれに該当します。また、本項記載の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、不確実性を内包しているため、実際の結果とは異なる可能性があります。 ① 医薬品及び医療機器パイプラインの開発及びそれに伴う収益獲得の不確実性発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大医薬品及び医療機器の開発には多額の研究開発投資と長い年月を要しますが、臨床試験で有用な効果を発見できないこと等により、研究開発が予定どおりに進行せず、開発の延長や中止の判断を行うことは稀ではありません。また、日本国内はもとより、海外市場への展開においては、各国の薬事関連法等の法的規制の適用を受けており、新薬等の製造及び販売には各国別に厳格な審査に基づく承認を取得しなければならないため、有効性、安全性及び品質等に関する十分なデータが得られず、予定していた時期に上市できずに延期になる、又は上市を断念する可能性があります。これは、当社のパイプラインを他社に導出した場合も同様であり、当社が研究開発を行った医薬品及び医療機器候補及び他社に導出した医薬品及び医療機器の候補の上市が延期又は中止された場合、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす場合があります。 ② 副作用発現発生可能性:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大医薬品及び医療機器には、臨床試験段階からさらには上市以降において、予期せぬ副作用が発現する可能性があり、当社に対する信頼に悪影響が生じる可能性があります。これら予期せぬ副作用が発現した場合、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす場合があります。 ③ 医薬品、医療機器等法その他の規制に関する事項発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大当社の属する医薬品及び医療機器業界は、研究、開発、製造及び販売のそれぞれの事業活動において、各国の医薬品、医療機器等法、薬事行政指導、医療保険制度及びその他関係法令等により、様々な規制を受けております。医薬品及び医療機器は基礎研究から製造販売承認を取得するまでには、多大な開発コストと長い年月が必要となります。研究開発期間中に当初は見込んでいない法的規制の改定等により、医薬品及び医療機器として規制当局が認めない場合には、承認が計画どおり取得できず上市が困難になる可能性があります。これは開発品を他社に導出する場合も同様であり、当初計画した条件での導出が行えない可能性、導出そのものが困難になる可能性、導出した場合にその契約内容が変更になる可能性若しくは導出契約が解消される可能性があります。また、当社開発品への承認を取得できた際にも、健康保険の対象として保険収載されない場合や、計画どおりの保険価格が付されない可能性があります。このような事象が生じた場合、また、将来各国の医薬品、医療機器等法等の諸規制に大きな変化が生じた場合、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす場合があります。 ④ 資源投入リスク発生可能性:小、発生する可能性のある時期:3年以内、影響度:中当社は、上場時の公募増資等により調達した資金を用いて、研究開発の強化及び研究員を拡充することとしております。当該計画に基づき、研究開発力を核とした持続的成長を実現するための研究開発に、積極的に経営資源を投入する方針であり、2024年以降も引き続き、特定臨床研究費及び治験費への投入を計画しております。しかしながら、研究開発の成果が目標から大きく乖離した場合には、業績等に影響を及ぼす可能性があります。また、臨床試験の結果、予測していた有効性が証明できない、あるいは予測していない副作用が発現した等の理由で承認申請を断念しなければならない可能性があります。 ⑤ 競合について発生可能性:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中医薬品及び医療機器業界は、国内外の製薬企業、バイオ関連企業、研究機関等が激しく競争しており、技術革新が急速に進む環境下にあります。このため、これらの競合先との競争の結果により、当社が導出した開発品あるいは研究開発中の開発品が市場において優位性を失い、研究開発の中止を余儀なくされるおそれがあります。また、当社の開発品がいち早く上市できた場合でも、これらの競合先が優位性のある製品を市場に投入し、当社の市場シェアが奪われる場合、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす場合があります。 ⑥ 海外市場について発生可能性:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中当社は、事業拡大戦略の一環として、海外展開を行ってまいります。進出にあたっては、現地の市場動向や関連法令の有無・内容等に関する調査を行い、慎重な判断を行っておりますが、今後、予期しない法規制の変更、政情不安等による社会的混乱等のリスクが顕在化し、当初の計画どおりに事業展開が進展しなかった場合には、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。 ⑦ 技術革新について発生可能性:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中当社が携わる研究開発領域は、技術の革新及び進歩が著しく速いバイオテクノロジー分野に属しております。そのため、当社は、大学、公的研究機関及び大手製薬会社等との連携を通じ、最先端の研究成果・情報を速やかに導入できる体制を構築する予定であります。しかしながら、急激な研究の進歩等により医薬品及び医療機器の研究開発において有効と思われる研究成果等への対応が困難となった場合、当社の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、必要な研究成果を常に追求するためには多額の費用と時間を要することから、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす場合があります。 ⑧ 共同研究型パイプラインについて発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大当社は、開発中の医薬品及び医療機器に関し、パートナーである有力企業又は製薬会社等と共同研究開発契約及び実施許諾契約を締結しており、パートナーと締結する共同研究開発契約による契約金並びに現在開発中のパイプラインの導出時の契約一時金、開発進捗に伴うマイルストーン・ペイメント及びロイヤリティ収入等による収入を元にした事業収益計画を有しております。しかしながら、このような提携契約には、パートナーによる解除が可能である旨の条項が含まれていることがあるため、パートナーの経営方針の変更や経営環境の極端な悪化等の当社がコントロールし得ない何らかの事情により、期間満了前に終了する可能性があります。現時点では現在のパイプラインに対してこれらの契約が終了となる状況は発生していませんが、本契約が期間満了前に終了した場合は、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす場合があります。また、当社がパートナーに導出した医薬品及び医療機器候補は、パートナーが主体となって臨床試験及び承認申請を行うことになりますが、その進捗と結果が当社の事業戦略及び経営成績に大きな影響を及ぼします。当社は、導出後もパートナーをサポートしますが、臨床試験及び承認申請はパートナーが行うものであり、当社でコントロールすることはできません。したがって、臨床試験及び承認申請の進捗が当社の予期しない事由により遅滞が発生し得ること、臨床試験及び承認申請が断念されることによりマイルストーン・ペイメントやロイヤリティが得られず、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす場合があります。なお、当社では今後、こうした開発中のパイプラインの中断や中止による経営成績や財政状態への影響を避けるため、パイプラインの複線化を行うとともに、早期より共同研究開発パートナーとの提携や導出することによって将来収益の一部を受けることと引き換えにリスクの低減を行ってまいります。また、技術的問題が要因で開発が中断した際には、成功確率がより高いターゲットへ研究資源の再配分を実施いたします。一方でパートナーの戦略的判断による中止の場合で当社が開発継続に合理性があると判断する場合は、自社又は別のパートナーとの共同研究によって開発を継続することを検討いたします。その他、医薬品及び医療機器の研究開発には多額の資金が必要となることから、当業界においては組織再編やM&Aが盛んであり、パートナーの組織再編、競合他社による買収(競合他社から買収される)等、業界における競争の構図が短期間に塗り替えられる可能性があります。こうした大規模な企業組織再編が当社のパートナーに生じた場合、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす場合があります。 ⑨ 特定の販売先への依存について発生可能性:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中当社の販売先のうち、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 c. 販売実績」に記載のとおり、総販売実績に対する割合が10%を超える相手先がロート製薬株式会社及び株式会社ジンズホールディングスの2社となっております。当社といたしましては、特定顧客への依存度を引下げるため、大口新規顧客の開拓、既存顧客の深耕開拓に注力しておりますが、見込みどおりに顧客開拓が進まず、かつ、同社の業績が悪化した場合、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす場合があります。 ⑩ 経営上の重要な契約について発生可能性:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中経営上重要と思われる契約の概要は、「第2 事業の状況 5 経営上の重要な契約等」に記載のとおりであります。現時点において、経営上の重要な契約の相手先とは、当該契約の遂行に支障をきたすような事象は発生しておりませんが、今後において、当該契約の期間満了、相手先の経営状態の悪化や経営方針の変更による契約解除その他の理由による終了、若しくは当社にとって不利な改定が行われた場合、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす場合があります。 ⑪ 提携関係に関する事項についてa パートナー企業との提携関係について発生可能性:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中当社は、開発品の導入や導出のほか、研究開発の各段階において広範な提携関係を構築し、それによって固定費の増加を回避しつつ最先端技術の取込みを図っております。特に研究開発本部では、組織の規模拡大を一義とせず、自社では専門性を有する少数の人材を確保するに留め、パートナー企業との協力・協業によって研究開発活動を遂行しております。当社は、自社の研究開発人員とこれらの提携関係をもって研究開発体制を構築しております。これら提携関係のうち、特に重要と考えられる契約は、「第2 事業の状況 5 経営上の重要な契約等」に記載のとおりであります。今後も事業基盤の強化、効率的な経営の実現に向けて、広範な提携関係の構築を推進してまいりますが、当社の計画どおりに提携関係が構築できない場合、提携関係に想定し得ない変化が生じた場合、提携の効果が当初の計画を下回る場合、若しくは提携関係が当社の意図に反して解消された場合、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす場合があります。 b 外部委託研究員との提携関係について発生可能性:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中当社の研究開発活動は、研究開発の各段階において外部委託研究員と広範な提携関係を構築し研究開発活動を行っており、研究開発活動において重要な役割を果たしております。当社では、これらに外部委託研究員に過度に依存しない研究開発体制を築くために、研究開発体制の強化を図っております。しかしながら、当面の間はこれら外部委託研究員への依存度が高い状態で推移するものと考えております。このような状態において、これら外部委託研究員の研究開発活動への関与が何らかの理由により困難となった場合、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす場合があります。 ⑫ 収益計上について発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大当社の収益は、原則として(a)契約金に始まり順次、(b)成功報酬(マイルストーン・ペイメント)、(c)売上ロイヤリティで構成されております。(a)契約金、(b)成功報酬(マイルストーン・ペイメント)は、当社の事業活動に依拠する部分が大きいものの、特に(b)について、パートナー企業における研究開発の進捗状況に大きく依存するものであり、研究開発結果により達成が困難となり共同研究開発が終了し、それ以降の収益が計上できなくなる可能性があります。(c)売上ロイヤリティに至っては、パートナー企業における業務の進行状況に大きく依存するものであり、当社でのコントロールは困難な収益であります。そのため、当社の計画に対してパートナー企業における販売スケジュールの遅れや販売計画に変更等があった場合、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす場合があります。 ⑬ 剰余金の分配について発生可能性:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小当社は、株主への利益還元については、重要な経営課題と認識しており、将来的には経営成績及び財政状態を勘案しつつ剰余金の分配を検討する所存でありますが、当面は、多額の先行投資を行う研究開発活動の継続的かつ計画的な実施に備えた資金の確保を優先するため、配当等の株主還元は行わない方針としております。この点、収益計上額の大きな変動若しくは、収益計上の時期の変更等により、将来的な剰余金の分配について遅れる可能性があります。 ⑭ 会社組織に関する事項a 社歴に関する事項発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中当社では、医薬品等業界又はその他専門分野での経験を有する人材を登用することに努めておりますが、企業体としての経験はいまだ浅く、今後予測できない事業上の問題等が発生し、これに対応する人材を確保できない場合には、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす場合があります。 b 小規模組織に関する事項発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中当社は、医薬品等を取り扱う企業としては小規模組織であるために、役職員一人一人が担当する業務及び責任範囲は相対的に広範となる場合が多く、退職あるいは休職等に対応する補充要員が十分でない環境にあります。今後の事業拡大に伴い、必要な人員増加を図ってまいりますが、多くの人材流出等があった場合には、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす場合があります。 c 人材の確保及び育成に関する事項発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小当社の事業活動は、現在の経営陣、事業を推進する各部門の責任者や構成員等に強く依存しております。そのため、常に必要とされる人材の確保と育成に努めておりますが、このような人材確保又は育成が計画どおりに行えない場合は、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす場合があります。 ⑮ 訴訟等に関する事項発生可能性:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小当社は、本書提出日現在において提起されている訴訟はありません。しかしながら、将来何らかの事由の発生により、訴訟等による請求を受ける可能性を完全に回避することは困難であり、このような事態が生じた場合、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす場合があります。 ⑯ 知的財産権発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中当社では研究開発をはじめとする事業展開において知的財産を使用する場合があり、必要に応じて使用許諾を他社から受けてまいります。また、当社が保有している現在出願中の特許が全て成立する保証はありません。さらに、特許が成立した場合でも、当社の研究開発を超える優れた他社の研究開発により、当社の特許に含まれる技術が淘汰される可能性は常に存在しております。当社の特許権の権利範囲に含まれない優れた技術が他社により開発された場合には、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす場合があります。また、当社では他社の特許権の侵害を未然に防止するため、当社として必要と考える特許の調査を実施しており、これまでに、当社の開発パイプラインに関する特許権等の知的財産権について第三者との間で訴訟が発生した事実はありません。しかし、当社のような研究開発型企業にとって知的財産権侵害の問題を完全に回避することは困難であり、第三者との間で知的財産権に関する紛争が生じた場合には、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす場合があります。 ⑰ 職務発明について発生可能性:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小役員、従業員等の職務発明の発明者から特許等を譲り受ける場合、当社は特許法に基づき相当の対価を支払わなければなりません。当社では「職務発明取扱規程」を設けておりますが、これまで発明者との間で問題は生じておりません。しかしながら、将来、発明者との間で対価の支払請求等について問題が生じる可能性があります。その場合、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす場合があります。 ⑱ 特定人物への依存について発生可能性:中、発生する可能性のある時期:15年以内、影響度:大当社はこれまで、慶應義塾大学医学部眼科学教室の教授を務めていた坪田一男が近視、ドライアイ、老眼の医療機器、医薬品等の開発を目的に設立した企業であり、坪田一男を中心として、基礎研究・研究開発をはじめとする事業の全般を推進してまいりました。当社設立は、坪田一男の研究成果の事業化を目的とするものであり、また、現在の当社と慶應義塾大学医学部眼科学教室との共同研究においても中心となっていることから、当社の研究開発活動において重要な位置付けを有しており、その依存度は極めて高いと考えられます。また、坪田一男は、当社の筆頭株主であり、当社の経営基盤の安定のためにも、重要な位置づけを有しております。当社は、今後においても坪田一男の当社への関与が重要であると考えており、何らかの理由により坪田一男の関与が困難となった場合等には、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす場合があります。 ⑲ 慶應義塾大学医学部眼科学教室との関係について発生可能性:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中当社は、自社での研究活動の他、慶應義塾大学医学部眼科学教室と共同研究を実施しており、特許権について共同保有する等しております。外部委託研究員の多くが慶應義塾大学にも所属しております。当社は同大学から、商業化を行う大型特許については、全て買取をしておりますが、まだ商業化を計画していない一部の特許については買取をしていないため、今後同大学との間で、共有特許について同大学から独占的実施権の許諾を受け、契約一時金及びかかる特許権を第三者に実施許諾したことによる収入(契約一時金、マイルストーン収入、ロイヤリティ収入)の一定料率に相当する金額を同大学に支払うこと等を定めた契約を締結した場合は、当該契約に基づき、上記に該当する収入を受け取った場合には、一定率の金額を慶應義塾大学に支払うことになります。また、同大学との取引については、良好な関係を維持しつつも当社又は株主の利益を害することのないよう、法規制を遵守するとともに、取締役会の監視等を通じて十分留意しております。しかしながら、このような留意にかかわらず、利益供与を疑われる等の事態が発生した場合や同大学との取引が継続できない事態が発生した場合は、当社の利益及び社会的評価を損ねる可能性があり、その結果として当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす場合があります。 ⑳ 情報管理に関する事項発生可能性:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小当社は、事業の過程において技術、営業に関しての機密情報を保持し、また一定の個人情報を有しております。これらの情報の外部への不正な流出を防止するため、セキュリティシステムの継続的な改善を図るとともに、情報の取り扱いに関する社員教育や、情報へのアクセス管理等、内部管理体制についても強化しております。しかしながら、予期せぬ事態により情報が流出する可能性は存在し、このような事態が生じた場合、社会的信用の失墜を招き、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす場合があります。 風評上の問題の発生について 発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中当社は、開発における安全性の確保、法令遵守、知的財産権管理、個人情報管理等に努めております。しかしながら、当社に関してマスコミ報道等において事実と異なる何らかの風評上の問題が発生した場合、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす場合があります。 自然災害等の発生 発生可能性:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中当社は、東京都新宿区に本社及びラボを設置しており、事業活動や研究開発活動に関する設備及び人員が現所在地に集中しております。このため、現所在地の周辺地域において、地震等の自然災害、大規模な事故、テロ等が発生し、当社設備の損壊、各種インフラの供給制限等の不測の事態が発生した場合には、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 大株主について 発生可能性:大、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中当社創業者かつ代表取締役社長である坪田一男の当事業年度末日現在での議決権所有割合は、直接所有分として49.25%であります。また、坪田一男の資産管理会社である株式会社坪田及び二親等内血族の議決権を合算した所有割合は64.06%となっており、引き続き大株主となる見込みであります。坪田一男は、安定株主として引き続き一定の議決権を保有し、その議決権行使にあたっては、株主共同の利益を追求するとともに、少数株主の利益にも配慮する方針を有しています。坪田一男は、当社の創業者かつ代表取締役社長であるため、当社としても安定株主であると認識していますが、将来的に何らかの事情により当社株式が売却された場合には、当社株式の市場価格及び流通状況に影響を及ぼす可能性があります。 当社株式の流動性について 発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中当社は、当社株式の流動性の確保に努めることとしておりますが、㈱東京証券取引所の定める流通株式比率は当事業年度末日現在において30.90%であります。今後、何らかの事情により上場時よりも流動性が低下する場合には、当社株式の市場における売買が停滞する可能性があり、それにより当社株式の需給関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。今後は、大株主からの売出、当社の事業計画に沿った成長資金の公募増資による調達、ストック・オプションの行使による流通株式数の増加分を勘案し、これらの組み合わせにより、流動性の向上を図っていく方針でございます。 |
経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 | 4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 (1) 経営成績等の状況の概要当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。① 経営成績の状況当事業年度(2023年4月1日~2024年3月31日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが変更されたこと等により経済活動に緩やかな持ち直しの動きがみられました。一方で、不安定な国際情勢等の影響による原材料価格やエネルギー価格の高騰に加え、円安進行に伴う物価上昇が続いており、依然として先行き不透明な状況が続いております。こうした環境下、当社は慶應義塾大学発ベンチャーとして、“ビジョナリーイノベーションで未来をごきげんにする”をミッションに掲げ、近視、ドライアイ、老眼、脳疾患の治療に画期的なイノベーションを起こすという目標のもと、中長期的な事業の拡大と収益向上を目指し、事業活動を行ってまいりました。研究開発では引き続き、新規知財の発見及び新規パイプライン追加のための基礎研究、知財の導出及び共同研究先であるパートナー企業との研究開発を強化いたしました。また、バイオレットライト技術を用いた近視進行抑制のための医療機器開発(TLG-001)の検証的臨床試験(治験)における被験者の組み入れが完了し、脳疾患関連のパイプラインであるTLG-005のパーキンソン病、うつ病、軽度認知障害(MCI)の特定臨床研究における被験者組み入れも完了いたしました。この他にも、眼血流増大の効果がある緑内障の点眼薬を適応拡大し、近視の進行を予防する点眼薬として開発しているプロジェクト(TLM-007)の特定臨床研究が開始されました。公的資金においては、3つの大型公的研究助成金を獲得いたしました。「老齢犬の認知機能低下に対する介入による認知機能改善機器の研究開発」が、令和5年度成長型中小企業等研究開発支援事業(GoTech 事業)として、「網膜色素変性症に対する革新的医療機器の開発」が、令和5年度TOKYO戦略的イノベーション促進事業における助成事業として、「光照射による月経不順治療機器」が、令和5年度女性のためのフェムテック開発支援・普及促進事業における助成事業として採択されました。事業開発では、TLG-001の検証的臨床試験の被験者の組み入れが完了し、株式会社ジンズホールディングスと締結したライセンス契約のマイルストーンを達成いたしました。また、当社が保有し、また今後保有する点眼薬に関する知的財産権及び研究開発成果に関し、ロート製薬株式会社と知的財産権実施許諾契約を締結し、新しい点眼薬(TLM-018)の開発に着手いたしました。この他、ヘルスケア分野でのコモディティ開発にも注力し、NECパーソナルコンピュータ株式会社との特許等実施・使用許諾契約に基づき、同社よりバイオレットライトLED搭載ノートパソコンが発売されました。一方で、2026年3月期に終了予定であるTLG-001の検証的臨床試験およびその後に実施される統計解析(期間は1年を予定)に係る費用が契約一時金を超過する見込みとなり、契約損失引当金として328,303千円を計上いたしました。これらの結果、当事業年度における当社の経営成績は以下のとおりとなりました。なお、当社は研究開発事業の単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載は行っておりません。(単位:千円) 売上高営業利益又は営業損失(△)経常利益又は経常損失(△)当期純利益又は当期純損失(△)1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失(△)当事業年度673,532△649,554△636,371△641,317△25.15円前事業年度954,693167,031144,22190,1813.66円増減△281,161△816,585△780,592△731,498△28.82円 ② 財政状態の状況 前事業年度当事業年度増減資産合計(千円)2,672,9612,295,159△377,801負債合計(千円)722,588927,927205,339純資産合計(千円)1,950,3731,367,231△583,141自己資本比率(%)73.059.6△13.41株当たり純資産(円)77.0753.45△23.61 (流動資産)当事業年度末の流動資産の残高は、2,223,696千円となり、前事業年度末に比べて344,919千円減少いたしました。これは、未収還付法人税等が28,998千円増加し、現金及び預金が277,616千円、仕掛品が69,643千円及び前払費用が18,145千円減少したことが主な要因であります。(固定資産)当事業年度末の固定資産の残高は、71,463千円となり、前事業年度末に比べて32,882千円減少いたしました。これは、工具、器具及び備品が24,883千円、特許権が2,553千円及び繰延税金資産が3,996千円減少したことが主な要因であります。(流動負債)当事業年度末の流動負債の残高は、837,547千円となり、前事業年度末に比べて229,819千円増加いたしました。これは、契約損失引当金が328,303千円増加し、買掛金が12,248千円、未払金が13,181千円、未払法人税等が36,705千円及び契約負債が44,054千円減少したことが主な要因であります。(固定負債)当事業年度末の固定負債の残高は、90,380千円となり、前事業年度末に比べて24,480千円減少いたしました。これは、長期借入金が24,480千円減少したことが要因であります。 (純資産)当事業年度末の純資産合計は、1,367,231千円となり、前事業年度末に比べて583,141千円減少いたしました。これは、新株予約権の行使により資本金及び資本準備金がそれぞれ29,088千円増加し、当期純損失641,317千円を計上したことが要因であります。 ③ キャッシュ・フローの状況当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、1,883,400千円となりました。当事業年度期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果使用した資金は301,350千円(前年同期は28,491千円の収入)となりました。これは主に、契約損失引当金の増減額328,303千円、棚卸資産の増減額69,643千円、減価償却費35,744千円、その他の資産の増減額17,929千円、未払消費税等の増減額13,948千円の増加要因があった一方、税引前当期純損失636,371千円、契約負債の増減額44,054千円、仕入債務の増減額12,248千円、未払金の増減額8,949千円及び法人税等の支払額60,443千円の減少要因があったことによるものです。(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果使用した資金は12,001千円(前年同期は54,027千円の支出)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出12,001千円の支出があったことによるものです。(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果得られた資金は35,736千円(前年同期は1,011,623千円の収入)となりました。これは、株式の発行による収入58,176千円の収入があった一方で、長期借入金の返済による支出22,440千円の支出があったことによるものです。 ④ 生産、受注、仕入及び販売の状況a. 生産実績当社は直接的な生産活動は行っておりませんが、製造原価の品目としては主に経費のみであることから、生産実績にはなじまないため、記載を省略しております。 b. 受注実績当社の事業による共同研究は受注形態をとっておりませんので、記載を省略しております。 c. 販売実績販売実績は、次のとおりであります。なお、当社は、研究開発事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。 セグメントの名称販売高(千円)前期比(%)研究開発事業673,53270.5合計673,53270.5 (注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次の通りであります。なお、当事業年度のLaboratoires Théaに対する販売実績はありません。相手先前事業年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)当事業年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)販売高(千円)割合(%)販売高(千円)割合(%)ロート製薬㈱382,16340.0531,54878.9㈱ジンズホールディングス207,96421.8105,10715.6Laboratoires Théa286,86030.0―― (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において判断したものであります。 ① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容経営成績の分析当事業年度末の経営成績につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」に記載のとおりでありますが、主要な表示科目に沿った認識及び分析は次のとおりであります。 ・売上高当事業年度の売上高は673,532千円(前期比281,161千円減)となりました。これは主に、国内を対象としたTLG-001(*1)の実施許諾契約による、マイルストーン・ペイメント100,000千円、TLM-003(*2)の共同研究契約による、マイルストーン・ペイメント80,000千円及び当社が保有し、また今後保有する点眼薬に関する知的財産権及び研究開発成果に関し、知的財産実施許諾契約を締結したことによる契約一時金450,000千円、合計630,000千円の計上によるものであります。*1 バイオレットライト技術を用いた、近視進行抑制のための医療機器開発*2 近視進行抑制作用を発揮する点眼薬開発 ・売上原価、売上総利益当事業年度の売上原価は652,153千円(前期比416,596千円増)となりました。これは主に、TLG-001の治験等における研究費の計上及び2026年3月期に終了予定であるTLG-001の検証的臨床試験およびその後に実施される統計解析(期間は1年を予定)に係る費用が契約一時金を超過する見込みとなり、契約損失引当金として328,303千円を計上したことによるものであります。その結果、売上総利益は21,379千円(前期比697,757千円減)となりました。 ・販売費及び一般管理費、営業利益当事業年度の販売費及び一般管理費は670,934千円(前期比118,828千円増)となりました。これは主に、事業拡大による人件費218,578千円(前期比27,351千円増)、研究開発強化による研究開発費205,296千円(前期比79,030千円増)及び特許費用53,569千円(前期比27,874千円増)等の計上によるものであります。その結果、営業損失は649,554千円(前期比816,585千円減)となりました。 ・営業外収益、営業外費用、経常利益当事業年度の営業外収益は14,528千円(前期比10,216千円増)となりました。これは主に、助成金収入5,354千円(前期比2,712千円増)及び償却債権取立益7,550千円の計上によるものであります。営業外費用は1,344千円(前期比25,776千円減)となりました。これは、支払利息1,005千円(前期比227千円増)及び為替差損339千円(前期比6,269千円減)の計上によるものであります。その結果、経常損失は636,371千円(前期比780,592千円減)となりました。 ・特別損失、法人税等合計、当期純利益当事業年度の特別利益、特別損失の計上はありません。当事業年度の法人税等合計額は4,946千円(前期比49,093千円減)となりました。これは、法人税、住民税及び事業税を950千円(前期比55,148千円減)及び法人税等調整額3,996千円(前期比6,055千円増)計上したことによるものであります。これらの結果を受け、当事業年度の当期純損失は641,317千円(前期比731,498千円減)となりました。 ② 財政状態財政状態につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載のとおりであります。 ③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討キャッシュ・フローの分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。 ④ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の分析・検討内容当社は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおり、各パイプラインの事業化(上市)を目指して実施許諾または共同研究開発を行うベンチャー企業であり、事業化後(上市後)のロイヤリティ収入を安定的に計上するステージにはまだありません。従いまして、当社は、ROA(総資産利益率)やROE(自己資本利益率)といった経営指標を目的とせず、各パイプラインの進捗状況等を適時かつ正確に管理することを目標においた事業活動を推進してまいりました。当事業年度の達成状況につきまして、売上高については、国内を対象としたTLG-001の実施許諾契約によるマイルストーンを達成、TLM-003の共同研究契約によるマイルストーンを達成及び当社が保有し、また今後保有する点眼薬に関する知的財産権及び研究開発成果に関し、知的財産実施許諾契約を締結したことによる契約一時金等により673,532千円となりました。また、研究開発費については、205,296千円となりました。当期の経営成績並びに研究開発活動の詳細につきましては「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」並びに「第2 事業の状況 6研究開発活動」に記載のとおりであります。今後もパートナー企業とともに共同研究開発を行うため、基礎研究の強化を図るとともに、国内に展開している各パイプラインを海外へと横展開を推進し、各パイプラインの進捗状況等を目標に努めてまいります。なお、パイプラインの開発の進捗については、「第1 企業の概況 3 事業の内容 (3) 当社のパイプライン」に記載しております。 ⑤ 資本の財源及び資金の流動性当社の資金の状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。当社は、事業上必要な資金を手許資金で賄う方針でありますが、事業収益から得られる資金だけでなく、株式市場からの必要な資金の獲得や銀行からの融資、補助金等を通して、安定的に開発に必要な資金調達の多様化を図ってまいります。資金の流動性については、資産効率を考慮しながら、現金及び現金同等物において確保を図っております。資金需要としては、継続して企業価値を増加させるために、主に継続した研究開発や必要な設備投資資金となります。 ⑥ 重要な会計方針及び見積り当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成に当たりましては、資産、負債、収益及び費用に影響を与える見積り及び判断を必要としております。当社は財務諸表の基礎となる見積り及び判断を過去の実績を参考に合理的と考えられる判断を行った上で計上しております。しかしながら、これらの見積り及び判断は不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。詳細については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。また、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、特に重要なものは次のとおりであります。 (仕掛品の評価)仕掛品の貸借対照表価額は、収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定しております。当該収益性の見積りには、マイルストーンの達成などの将来の未確定事象に係る見積要素が含まれており、パートナー企業における研究開発の進捗状況に大きく依存するものであります。そのため、翌事業年度において、研究開発結果によりマイルストーンの達成が困難となり共同研究開発が終了した場合には、損失が発生する可能性があります。 (TLG-001(国内)実施許諾契約に係る契約損失引当金の見積り)TLG-001(国内) 実施許諾契約に係る契約損失引当金は、実施許諾契約で定められているマイルストーン達成に必要な見積り総費用が、マイルストーン達成時に得られる収入を超過する額を見積り損失額として算定しています。 契約損失引当金の見積り要素として、マイルストーン達成までに要する期間とその費用が含まれております。マイルストーン達成までに要する期間とは、実施許諾契約で定められている条項を達成するために要する期間であり、当初予見していなかった事象が生じた場合、その期間が延長されます。その結果、翌事業年度において、マイルストーン達成までに要する期間が延長され、追加費用の見積りが必要になるため、見積りの不確実性は高まります。 ⑦ 経営成績に重要な影響を与える要因について経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照下さい。 ⑧ 経営者の問題認識と今後の方針にあたって当社は、“ビジョナリーイノベーションで未来をごきげんにする“をミッションに掲げ、「近視、ドライアイ、老眼、脳疾患の治療に画期的なイノベーションを起こす」ということを経営方針としております。この経営方針実現のために、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載の課題に対して取り組んでまいります。 |
経営上の重要な契約等 | 5 【経営上の重要な契約等】 (1) 実施許諾契約相手先の名称相手先の所在地契約品目契約締結日契約期間契約内容㈱ジンズホールディングス日本TLG-001実施許諾契約2019年5月13日製造販売承認取得日以後に到来する最初の4月1日から10年間が経過する日まで近視進行抑制を目的としたTLG-001を医療機器としての製造販売承認を目指すため、その開発や製造等に対して必要な知的財産を実施許諾する契約ロート製薬㈱日本TLM-003実施許諾契約2020年10月1日発効日からロート製薬㈱から当社への対価の支払いが全て終了する日まで当社が保有する近視予防に関する知的財産権及び研究開発成果に関しての実施許諾マルホ㈱日本TLM-001実施許諾契約2021年4月20日製品販売した日から10年間マイボーム腺機能不全の処置剤に関する国内およびアメリカ、フランス、イギリス、ドイツ等への特許実施許諾Twenty TwentyTherapeutics米国カリフォルニア州TLG-001実施許諾契約2022年11月12日各国、対象知的財産権の存続期間が全て終了する日又は2045年1月1日のいずれか早い日までTLG-001及び改良品を北及び南アメリカ大陸で販売するための独占実施許諾契約Laboratoires ThéaフランスTLM-003実施許諾契約2022年12月21日各国、対象知的財産権の存続期間が全て終了する日又は上市後10年経過する日のいずれか遅い日までTLM-003を米欧で開発製造販売するための独占実施許諾契約ロート製薬㈱日本TLM-018実施許諾契約2024年3月8日発効日からロート製薬㈱から当社への対価の支払いが全て終了する日までTLM-018に関する知的財産権及び研究開発成果に関しての実施許諾 (注) 上記契約の対価として契約一時金及びマイルストーン・ペイメントを受けとっております。 (2) 共同研究開発契約相手先の名称相手先の所在地契約品目契約締結日契約期間契約内容ロート製薬㈱日本共同研究契約2020年10月1日2020年10月1日から2028年3月31日まで近視抑制のメカニズム、リバウンド等の基礎研究に関する共同研究開発住友ファーマ㈱日本共同研究契約2021年3月30日2021年3月30日から2024年3月31日まで脳活性化バイオレットライトメガネTLG-005を用いたバイオレットライトのうつ病、軽度認知障害、パーキンソン病についての共同研究 (注) 上記契約の対価として契約一時金及びマイルストーン・ペイメントを受けとっております。 (3) 基本合意契約相手先の名称相手先の所在地契約品目契約締結日契約期間契約内容参天製薬㈱日本TLG-001実施許諾に関する基本合意契約2021年9月10日契約締結日から2045年1月1日又はライセンスの対象知的財産権の存続期間が全て満了する日のいずれか遅い日までTLG-001および改良品の中国、シンガポール、マレーシア、ベトナム、香港、マカオ、タイ、フィリピン、韓国へ販売するための独占実施許諾の契約締結に向けたライセンス対価を含む基本合意 (注) 2024年2月8日に開催された取締役会において、本基本合意契約の解約を決議しております。 (4) 研究機関等の主な受託・共同研究契約相手先の名称相手先の所在地契約品目契約期間契約内容(学)慶應義塾(医学部眼科学教室)日本共同研究契約2024年4月1日から2025年3月31日まで近視進行の分子機序の解明とそれに基づく治療開発(学)慶應義塾(医学部整形外科教室)日本共同研究契約2024年4月1日から2025年3月31日まで外的光刺激による老化制御機構の解析 |
研究開発活動 | 6 【研究開発活動】 当社では、近視、ドライアイ、老眼、脳疾患領域に関する研究開発に注力しており、当事業年度における研究開発費は205,296千円であります。なお、当社は研究開発事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載はしておりません。各領域に関する研究開発活動は以下のとおりであります。 (a) 近視領域バイオレットライトによる近視進行抑制機器であるTLG-001は、日本で2022年6月より検証治験を実施しております。2023年10月に患者登録を終了しています。近視進行抑制薬であるTLM-003は、ロート製薬株式会社と長期の開発契約を締結しており、ロート製薬が日本で2023年11月から第1相臨床試験を開始しております。また、海外においては、2022年12月にLaboratoires Théaと、米欧を中心とした地域において、当社が所有する知的財産権の独占的実施許諾契約を締結しており、欧州での臨床試験を準備中です。近視進行抑制薬であるTLM-007は、2024年2月から日本で小規模の特定臨床研究を開始しております。慶應義塾大学医学部眼科学教室とは、近視進行の分子機序の解明とそれに基づく治療開発に関する共同研究を行っており、バイオレットライトによる近視進行抑制の根本的な機序解明や新たな近視治療薬の探索活動を行っております。 (b) ドライアイ領域マイボーム腺機能不全治療薬であるTLM-003は、マルホ株式会社に国内及びアメリカ、フランス、イギリス、ドイツ等への実施許諾契約を締結長期の開発契約を締結しており、マルホ株式会社が国内での臨床試験を準備中です。 (c) 脳疾患領域バイオレットライトによる脳神経疾患治療機器であるTLG-005は、うつ病、パーキンソン病や軽度認知障害については複数の特定臨床研究を行っております。うつ病に関しては、2024年5月に治験を完了しており、論文化の準備中です。パーキンソン病に関しても、2024年3月に治験を完了しております。軽度認知障害については、被験者の登録が2024年3月に完了し、臨床研究を継続中です。 (d) その他領域その他の研究として、公的研究助成事業として採択された以下の活動を行っております。円錐角膜治療機器であるTLG-003は、特定臨床研究が終了し、今後の開発方針を検討中です。網膜色素変性症に対する革新的医療機器の開発、および光照射による月経不順治療機器については、特定臨床試験の準備中です。また、老齢犬の認知機能改善のパイロット試験を実施中です。 |
設備投資等の概要 | 1 【設備投資等の概要】 当事業年度中に実施した設備投資の総額は、7,769千円であり、主に研究に使用する工具、器具及び備品によるものです。なお、有形固定資産のほか、無形固定資産への投資も含めて記載しております。また、当事業年度において重要な設備の除却、売却等はありません。 |
主要な設備の状況 | 2 【主要な設備の状況】 当社における主要な設備は、以下のとおりであります。2024年3月31日現在事業所名 (所在地)設備の内容帳簿価額(千円) 従業員数 (名)建物及び構築物工具、器具及び備品特許権ソフトウエア合計本社(東京都新宿区)事務所4,1285,6048,8013718,5724研究室(東京都新宿区)他2拠点研究施設―42,933――42,9333 (注) 1.現在休止中の主要な設備はありません。2.上記の他、本社は賃借しており、年額賃借料は、9,041千円であります。3.上記の他、研究室は賃借しており、年額賃借料は、7,636千円であります。4.当社は、研究開発事業の単一セグメントのため、セグメント別の記載を省略しております。 |
設備の新設、除却等の計画 | 3 【設備の新設、除却等の計画】 該当事項はありません。 |
研究開発費、研究開発活動 | 205,296,000 |
設備投資額、設備投資等の概要 | 7,769,000 |
Employees
平均年齢(年)、提出会社の状況、従業員の状況 | 51 |
平均勤続年数(年)、提出会社の状況、従業員の状況 | 3 |
平均年間給与、提出会社の状況、従業員の状況 | 10,507,000 |
Investment
株式の保有状況 | (5) 【株式の保有状況】 該当事項はありません。 |
Shareholders
大株主の状況 | (6) 【大株主の状況】 2024年3月31日現在 氏名又は名称住所所有株式数(株)発行済株式(自己株式を除く。)の総数に対する所有株式数の割合(%) 坪田 一男東京都港区12,595,70049.25 株式会社坪田千葉県船橋市西船五丁目26番7号3,200,00012.51 大高 功静岡県静岡市葵区1,840,0007.19 竹村 敬司愛媛県松山市328,7001.29 合同会社マーズ東京都千代田区神田錦町三丁目1番地250,0000.98 株式会社ジンズホールディングス群馬県前橋市川原町二丁目26番4号220,0000.86 ロート製薬株式会社大阪府大阪市生野区巽西一丁目8番1号220,0000.86 原 裕栃木県大田原市219,8000.86 山田 進太郎神奈川県鎌倉市191,2000.75 株式会社テムル・パートナーズ東京都千代田区丸の内一丁目8番1号160,0000.63計-19,225,40075.17 (注) 株式総数に対する所有株式数の割合は、小数点以下第3位を四捨五入しております。 |
株主数-金融機関 | 2 |
株主数-金融商品取引業者 | 28 |
株主数-外国法人等-個人 | 48 |
株主数-外国法人等-個人以外 | 19 |
株主数-個人その他 | 6,703 |
株主数-その他の法人 | 45 |
株主数-計 | 6,845 |
氏名又は名称、大株主の状況 | 株式会社テムル・パートナーズ |
株主総利回り | 0 |
株主総会決議による取得の状況 | (1) 【株主総会決議による取得の状況】 該当事項はありません。 |
株主総会決議又は取締役会決議に基づかないものの内容 | (3) 【株主総会決議又は取締役会決議に基づかないものの内容】 該当事項はありません。 |
Shareholders2
発行済株式及び自己株式に関する注記 | 1 発行済株式に関する事項株式の種類当事業年度期首増加減少当事業年度末普通株式(株)25,306,800270,700―25,577,500 (変動事由の概要)新株予約権の行使による新株の発行により270,700株、発行済株式数が増加しております。 2 自己株式に関する事項該当事項はありません。 |
Audit1
監査法人1、個別 | 有限責任 あずさ監査法人 |
独立監査人の報告書、個別 | 独立監査人の監査報告書及び内部統制監査報告書 2024年6月27日株式会社坪田ラボ取締役会 御中 有限責任 あずさ監査法人 東京事務所 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士阿 部 博 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士瀧 浦 晶 平 監査意見当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられている株式会社坪田ラボの2023年4月1日から2024年3月31日までの第12期事業年度の財務諸表、すなわち、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、キャッシュ・フロー計算書、重要な会計方針、その他の注記及び附属明細表について監査を行った。当監査法人は、上記の財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、株式会社坪田ラボの2024年3月31日現在の財政状態並びに同日をもって終了する事業年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。 監査意見の根拠当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準における当監査法人の責任は、「財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。 監査上の主要な検討事項監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 ライセンス取引に係る売上高の期間帰属の適切性監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応会社は医薬品・医療機器とそれ以外のコモディティの開発・販売の権利(ライセンス)に関して他社との業務提携を行っている。財務諸表の「【注記事項】 (収益認識関係)」に記載のとおり、当事業年度の売上高673,532千円のうち、ライセンス取引に係る売上高は655,746千円であり、売上高全体の97.4%を占めている。ライセンス取引に係る売上高には、契約一時金、マイルストーン・ペイメント、ロイヤリティといった複数の形態が組み込まれている場合がある。「【注記事項】 (重要な会計方針) 5.収益及び費用の計上基準 」に記載のとおり、契約一時金は、実施許諾契約及び共同研究開発契約等の契約条項に基づいて、ライセンスを付与した時点で収益を認識し、マイルストーン・ペイメントは、実施許諾契約及び共同研究開発契約等の契約条項に基づいて、事後に収益の重要な戻入が生じる可能性を考慮し、当事者間で合意したマイルストーンが達成された時点で収益を認識している。また、ロイヤリティは、実施許諾契約及び共同研究開発契約等の契約条項に基づき、基礎となる売上が発生した時点で収益を認識している。ライセンス取引に係る売上高は、経営者及び財務諸表利用者が会社の業績・経営成績を判断する上で重視する指標の一つであるが、主に以下の理由から、売上高が不適切な会計期間に計上されるリスクが存在する。・契約内容や契約条件は各契約によって異なる性質上、会計処理は複雑かつ非定型的で重要な判断を伴うことがある。・ライセンス取引の中には、1件当たりの契約金額が多額となる契約が含まれており、会計処理の判断や計上時点を誤った場合には、期間損益に大きな影響を与える。以上から、当監査法人は、ライセンス取引に係る売上高の期間帰属の適切性が当事業年度の財務諸表監査において特に重要であり、監査上の主要な検討事項に該当すると判断した。当監査法人は、ライセンス取引に係る売上高の期間帰属の適切性を検証するため、主に以下の手続を実施した。(1) 内部統制の評価ライセンス取引に係る売上高の計上プロセスに係る内部統制の整備状況及び運用状況の有効性を評価した。評価に当たっては、特に以下に焦点を当てた。・職務権限規程に沿って、契約金額に応じた決裁権限者が、契約の事実を確かめることができる契約書等の関連証憑を基に契約内容を確認する統制・事業開発本部の担当者が、マイルストーン・ペイメントの進捗を契約の相手先と確認する統制・事業部門とは独立した管理本部の財務・経理部長が、契約書と報告書等の日付及び金額を照合する統制 (2) 実証手続ライセンス取引に係る売上高の期間帰属の適切性を確認するため、会社の担当取締役等に対して質問したほか、以下の手続を実施した。ライセンス取引に係る売上高のうち特定の基準により取引を抽出するとともに、売上計上日及び売上計上金額について、契約書や報告書等に記載の日付及び金額とそれぞれ照合し、入金について取引銀行の取引明細との照合を行った。また、経営者が作成した契約の進捗に係る資料及び議事録と整合しているか否かを検討した。 TLG-001(国内) 実施許諾契約に係る契約損失引当金の見積 監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応会社の当事業年度の貸借対照表において、TLG-001(国内) 実施許諾契約に係る契約損失引当金328,303千円が計上されている。財務諸表の【注記事項】 「(重要な会計方針)3.引当金の計上基準」 に記載されているとおり、契約案件に係る将来の損失に備えるため、当事業年度末において将来の損失が見込まれ、かつ、当該損失額を合理的に見積ることが可能なものについて、損失見積額を契約損失引当金として貸借対照表に計上している。また、財務諸表の【注記事項】 「(重要な会計上の見積り)」 に記載されているとおり、TLG-001(国内) 実施許諾契約に係る契約損失引当金は、実施許諾契約にて定められているマイルストーン達成のために必要な見積総費用がマイルストーン達成による収入額を超過する額を損失見積額として算定している。契約損失引当金の見積りにおける主要な仮定は、財務諸表の【注記事項】 「(重要な会計上の見積り)」に記載されているとおり、マイルストーン達成までに要する期間及び費用である。マイルストーン達成までに要する期間とは、実施許諾契約に記載の項目を達成するために要する期間であり、それは経営者の重要な判断を伴う領域であることから、特に当初予見していなかった事象が生じた場合、期間が延長される。期間が延長されることで費用を追加的に見積る必要があるため、見積りの不確実性は相対的に高まる。以上から、当監査法人は、TLG-001(国内) 実施許諾契約に係る契約損失引当金の見積りが、当事業年度の財務諸表監査において特に重要であり、監査上の主要な検討事項に該当すると判断した。 当監査法人は、TLG-001(国内) 実施許諾契約に係る契約損失引当金の見積りにおける主要な仮定に関する会社の判断を検討するため、主に以下の手続を実施した。(1) 内部統制の評価契約損失引当金の見積りプロセスに係る内部統制の整備状況及び運用状況の有効性を評価した。評価に当たっては、特に以下に焦点を当てた。・研究開発本部において会社作成の治験実施計画書のスケジュールと実績を比較し、マイルストーン達成までに要する期間を見直しする統制・研究開発本部において、見積総原価総額と実際発生額とのモニタリングを行い、適時・適切に見積原価総額を見直しする統制・管理本部において、財務・経理部長が、契約損失引当金計上額に関する資料と契約損失引当金計上額を照合する統制 (2) 契約損失引当金の見積りの合理性の評価契約損失引当金の見積りの合理性を評価するため、会社の担当取締役等に対して質問したほか、以下の手続を実施した。・マイルストーン達成までの期間について、治験実施計画書の閲覧及び外部機関が公表するデータとの比較を行い、その見積りの合理性を評価した。・検討対象の治験実施内容について、関連資料の閲覧や担当者への質問により取引内容を把握するとともに、関連資料と突合し、実施許諾契約の損失幅の合理性を評価した。・治験の進捗について研究開発担当者及び財務・経理部長に質問するとともに、契約損失引当金計上額に関する資料におけるスケジュールと治験委託先から入手したスケジュールとの整合性を確認し、将来発生費用の網羅性を検証した。・直近の見積費用と実績を比較し、実施許諾契約から生じる損益に係る会社の見積り方法の合理性を評価した。 その他の記載内容その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、財務諸表及びその監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。当監査法人の財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 財務諸表に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して財務諸表を作成し適正に表示することにある。これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。監査役及び監査役会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 財務諸表監査における監査人の責任監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から財務諸表に対する意見を表明することにある。虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。・不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。・財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。・経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。・経営者が継続企業を前提として財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する財務諸表の注記事項が適切でない場合は、財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。 ・財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた財務諸表の表示、構成及び内容、並びに財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。監査人は、監査役及び監査役会と協議した事項のうち、当事業年度の財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。 <内部統制監査>監査意見当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第2項の規定に基づく監査証明を行うため、株式会社坪田ラボの2024年3月31日現在の内部統制報告書について監査を行った。当監査法人は、株式会社坪田ラボが2024年3月31日現在の財務報告に係る内部統制は有効であると表示した上記の内部統制報告書が、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して、財務報告に係る内部統制の評価結果について、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。 監査意見の根拠当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に準拠して内部統制監査を行った。財務報告に係る内部統制の監査の基準における当監査法人の責任は、「内部統制監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。 内部統制報告書に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任経営者の責任は、財務報告に係る内部統制を整備及び運用し、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して内部統制報告書を作成し適正に表示することにある。監査役及び監査役会の責任は、財務報告に係る内部統制の整備及び運用状況を監視、検証することにある。なお、財務報告に係る内部統制により財務報告の虚偽の記載を完全には防止又は発見することができない可能性がある。 内部統制監査における監査人の責任監査人の責任は、監査人が実施した内部統制監査に基づいて、内部統制報告書に重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、内部統制監査報告書において独立の立場から内部統制報告書に対する意見を表明することにある。監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。・内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果について監査証拠を入手するための監査手続を実施する。内部統制監査の監査手続は、監査人の判断により、財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性に基づいて選択及び適用される。・財務報告に係る内部統制の評価範囲、評価手続及び評価結果について経営者が行った記載を含め、全体としての内部統制報告書の表示を検討する。・内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果に関する十分かつ適切な監査証拠を入手する。監査人は、内部統制報告書の監査に関する指示、監督及び実施に関して責任がある。監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した内部統制監査の範囲とその実施時期、内部統制監査の実施結果、識別した内部統制の開示すべき重要な不備、その是正結果、及び内部統制の監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。 <報酬関連情報>当監査法人及び当監査法人と同一のネットワークに属する者に対する、会社の監査証明業務に基づく報酬及び非監査業務に基づく報酬の額は、「提出会社の状況」に含まれるコーポレート・ガバナンスの状況等 (3)【監査の状況】 に記載されている。 利害関係会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。以 上 (注) 1 上記の監査報告書の原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。2 XBRLデータは監査の対象には含まれていません。 |
監査上の主要な検討事項、個別 | 監査上の主要な検討事項監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 ライセンス取引に係る売上高の期間帰属の適切性監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応会社は医薬品・医療機器とそれ以外のコモディティの開発・販売の権利(ライセンス)に関して他社との業務提携を行っている。財務諸表の「【注記事項】 (収益認識関係)」に記載のとおり、当事業年度の売上高673,532千円のうち、ライセンス取引に係る売上高は655,746千円であり、売上高全体の97.4%を占めている。ライセンス取引に係る売上高には、契約一時金、マイルストーン・ペイメント、ロイヤリティといった複数の形態が組み込まれている場合がある。「【注記事項】 (重要な会計方針) 5.収益及び費用の計上基準 」に記載のとおり、契約一時金は、実施許諾契約及び共同研究開発契約等の契約条項に基づいて、ライセンスを付与した時点で収益を認識し、マイルストーン・ペイメントは、実施許諾契約及び共同研究開発契約等の契約条項に基づいて、事後に収益の重要な戻入が生じる可能性を考慮し、当事者間で合意したマイルストーンが達成された時点で収益を認識している。また、ロイヤリティは、実施許諾契約及び共同研究開発契約等の契約条項に基づき、基礎となる売上が発生した時点で収益を認識している。ライセンス取引に係る売上高は、経営者及び財務諸表利用者が会社の業績・経営成績を判断する上で重視する指標の一つであるが、主に以下の理由から、売上高が不適切な会計期間に計上されるリスクが存在する。・契約内容や契約条件は各契約によって異なる性質上、会計処理は複雑かつ非定型的で重要な判断を伴うことがある。・ライセンス取引の中には、1件当たりの契約金額が多額となる契約が含まれており、会計処理の判断や計上時点を誤った場合には、期間損益に大きな影響を与える。以上から、当監査法人は、ライセンス取引に係る売上高の期間帰属の適切性が当事業年度の財務諸表監査において特に重要であり、監査上の主要な検討事項に該当すると判断した。当監査法人は、ライセンス取引に係る売上高の期間帰属の適切性を検証するため、主に以下の手続を実施した。(1) 内部統制の評価ライセンス取引に係る売上高の計上プロセスに係る内部統制の整備状況及び運用状況の有効性を評価した。評価に当たっては、特に以下に焦点を当てた。・職務権限規程に沿って、契約金額に応じた決裁権限者が、契約の事実を確かめることができる契約書等の関連証憑を基に契約内容を確認する統制・事業開発本部の担当者が、マイルストーン・ペイメントの進捗を契約の相手先と確認する統制・事業部門とは独立した管理本部の財務・経理部長が、契約書と報告書等の日付及び金額を照合する統制 (2) 実証手続ライセンス取引に係る売上高の期間帰属の適切性を確認するため、会社の担当取締役等に対して質問したほか、以下の手続を実施した。ライセンス取引に係る売上高のうち特定の基準により取引を抽出するとともに、売上計上日及び売上計上金額について、契約書や報告書等に記載の日付及び金額とそれぞれ照合し、入金について取引銀行の取引明細との照合を行った。また、経営者が作成した契約の進捗に係る資料及び議事録と整合しているか否かを検討した。 TLG-001(国内) 実施許諾契約に係る契約損失引当金の見積 監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応会社の当事業年度の貸借対照表において、TLG-001(国内) 実施許諾契約に係る契約損失引当金328,303千円が計上されている。財務諸表の【注記事項】 「(重要な会計方針)3.引当金の計上基準」 に記載されているとおり、契約案件に係る将来の損失に備えるため、当事業年度末において将来の損失が見込まれ、かつ、当該損失額を合理的に見積ることが可能なものについて、損失見積額を契約損失引当金として貸借対照表に計上している。また、財務諸表の【注記事項】 「(重要な会計上の見積り)」 に記載されているとおり、TLG-001(国内) 実施許諾契約に係る契約損失引当金は、実施許諾契約にて定められているマイルストーン達成のために必要な見積総費用がマイルストーン達成による収入額を超過する額を損失見積額として算定している。契約損失引当金の見積りにおける主要な仮定は、財務諸表の【注記事項】 「(重要な会計上の見積り)」に記載されているとおり、マイルストーン達成までに要する期間及び費用である。マイルストーン達成までに要する期間とは、実施許諾契約に記載の項目を達成するために要する期間であり、それは経営者の重要な判断を伴う領域であることから、特に当初予見していなかった事象が生じた場合、期間が延長される。期間が延長されることで費用を追加的に見積る必要があるため、見積りの不確実性は相対的に高まる。以上から、当監査法人は、TLG-001(国内) 実施許諾契約に係る契約損失引当金の見積りが、当事業年度の財務諸表監査において特に重要であり、監査上の主要な検討事項に該当すると判断した。 当監査法人は、TLG-001(国内) 実施許諾契約に係る契約損失引当金の見積りにおける主要な仮定に関する会社の判断を検討するため、主に以下の手続を実施した。(1) 内部統制の評価契約損失引当金の見積りプロセスに係る内部統制の整備状況及び運用状況の有効性を評価した。評価に当たっては、特に以下に焦点を当てた。・研究開発本部において会社作成の治験実施計画書のスケジュールと実績を比較し、マイルストーン達成までに要する期間を見直しする統制・研究開発本部において、見積総原価総額と実際発生額とのモニタリングを行い、適時・適切に見積原価総額を見直しする統制・管理本部において、財務・経理部長が、契約損失引当金計上額に関する資料と契約損失引当金計上額を照合する統制 (2) 契約損失引当金の見積りの合理性の評価契約損失引当金の見積りの合理性を評価するため、会社の担当取締役等に対して質問したほか、以下の手続を実施した。・マイルストーン達成までの期間について、治験実施計画書の閲覧及び外部機関が公表するデータとの比較を行い、その見積りの合理性を評価した。・検討対象の治験実施内容について、関連資料の閲覧や担当者への質問により取引内容を把握するとともに、関連資料と突合し、実施許諾契約の損失幅の合理性を評価した。・治験の進捗について研究開発担当者及び財務・経理部長に質問するとともに、契約損失引当金計上額に関する資料におけるスケジュールと治験委託先から入手したスケジュールとの整合性を確認し、将来発生費用の網羅性を検証した。・直近の見積費用と実績を比較し、実施許諾契約から生じる損益に係る会社の見積り方法の合理性を評価した。 |
全体概要、監査上の主要な検討事項、個別 | 監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 |
見出し、監査上の主要な検討事項、個別 | TLG-001(国内) 実施許諾契約に係る契約損失引当金の見積 |
その他の記載内容、個別 | その他の記載内容その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、財務諸表及びその監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。当監査法人の財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 |
報酬関連情報、個別 | <報酬関連情報>当監査法人及び当監査法人と同一のネットワークに属する者に対する、会社の監査証明業務に基づく報酬及び非監査業務に基づく報酬の額は、「提出会社の状況」に含まれるコーポレート・ガバナンスの状況等 (3)【監査の状況】 に記載されている。 |
BS資産
仕掛品 | 285,500,000 |
建物及び構築物(純額) | 4,128,000 |
工具、器具及び備品(純額) | 48,538,000 |
有形固定資産 | 52,667,000 |
ソフトウエア | 37,000 |
無形固定資産 | 8,839,000 |
長期前払費用 | 4,066,000 |
投資その他の資産 | 9,956,000 |
BS負債、資本
1年内返済予定の長期借入金 | 26,520,000 |
未払金 | 44,068,000 |
未払法人税等 | 4,880,000 |
資本剰余金 | 802,060,000 |
利益剰余金 | -252,888,000 |
負債純資産 | 2,295,159,000 |
PL
売上原価 | 652,153,000 |
販売費及び一般管理費 | 670,934,000 |
受取利息、営業外収益 | 18,000 |
営業外収益 | 14,528,000 |
支払利息、営業外費用 | 1,005,000 |
その他、流動資産 | 490,000 |
営業外費用 | 1,344,000 |
法人税、住民税及び事業税 | 950,000 |
法人税等調整額 | 3,996,000 |
法人税等 | 4,946,000 |
PL2
当期変動額合計 | -583,141,000 |
営業活動によるキャッシュ・フロー
減価償却費、営業活動によるキャッシュ・フロー | 35,744,000 |
支払利息、営業活動によるキャッシュ・フロー | 1,005,000 |
棚卸資産の増減額(△は増加)、営業活動によるキャッシュ・フロー | 69,643,000 |
仕入債務の増減額、営業活動によるキャッシュ・フロー | -12,248,000 |
未払消費税等の増減額、営業活動によるキャッシュ・フロー | 13,948,000 |
その他、営業活動によるキャッシュ・フロー | -5,614,000 |