財務諸表
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提出書類、表紙 | 有価証券報告書 |
提出日、表紙 | 2024-06-20 |
英訳名、表紙 | OLYMPUS CORPORATION |
代表者の役職氏名、表紙 | 取締役 代表執行役 社長兼CEO シュテファン・カウフマン |
本店の所在の場所、表紙 | 東京都八王子市石川町2951番地 |
電話番号、本店の所在の場所、表紙 | 042-642-2111(代表) |
様式、DEI | 第三号様式 |
会計基準、DEI | IFRS |
連結決算の有無、DEI | true |
当会計期間の種類、DEI | FY |
corp
沿革 | 2【沿革】 年月沿革1919年10月東京都渋谷区幡ヶ谷において顕微鏡の国産化とその他光学機械の製作を目的として株式会社高千穂製作所を設立1936年4月写真機の製造を開始1942年6月高千穂光学工業株式会社に商号変更1944年2月長野県伊那市に伊那工場(現 長野事業場)を新設1949年1月オリンパス光学工業株式会社に商号変更1949年5月東京証券取引所に株式を上場1952年5月医療機器の製造を開始1955年5月株式会社高千穂商会の経営に参加、写真機の国内販売を強化1960年10月測定機の製造を開始1963年8月東京都八王子市に八王子事業場(現 技術開発センター石川)を新設1964年5月Olympus Optical Co.(Europa) GmbH(現 連結子会社Olympus Europa SE & Co. KG)を設立、欧州における当社製品の販売を強化(以後、欧州各地に製造・販売拠点を設ける)1968年1月Olympus Corporation of America(現 連結子会社Olympus America Inc.)を設立、米国における顕微鏡・医療機器の販売を強化1969年5月オリンパス精機株式会社(現 連結子会社会津オリンパス株式会社)を設立(以後、国内各地に製造関係会社を設ける)1977年3月Olympus Camera Corporation(現 連結子会社Olympus America Inc.)を設立、米国における写真機の販売を強化1980年2月東京都新宿区西新宿に本社事務所を移転1981年11月長野県上伊那郡に辰野事業場(現 長野事業場)を新設1988年2月東京都八王子市に技術開発センター宇津木を新設1990年6月Olympus USA Incorporated(現 連結子会社Olympus Corporation of the Americas)を設立、米国における事業基盤を強化1993年4月東京都西多摩郡に日の出工場を新設(八王子工場を移転)2003年10月オリンパス株式会社に商号変更2004年10月映像事業および医療分野をオリンパスイメージング株式会社およびオリンパスメディカルシステムズ株式会社として会社分割2005年6月Olympus NDT Corporationを設立、非破壊検査事業を強化2008年2月Gyrus Group PLCを買収し、医療分野における外科の領域を強化2011年4月Olympus Corporation of Asia Pacific Limitedをアジア・オセアニアの統括会社とし、同地域における事業基盤を強化2011年10月オリンパスオプトテクノロジー株式会社と株式会社岡谷オリンパスを合併、長野オリンパス株式会社(現 連結子会社)とする2012年9月情報通信事業を日本産業パートナーズ株式会社が設立したアイジェイホールディングス株式会社に譲渡2015年4月当社を吸収分割承継会社とするオリンパスメディカルシステムズ株式会社の吸収分割および当社とオリンパスイメージング株式会社の合併により、医療分野および映像事業を当社に吸収2016年4月東京都八王子市に本店所在地を変更2020年4月当社医療分野における品質法規制機能の強化を目的に、研究開発・製造・修理企画等の一部機能をオリンパスメディカルシステムズ株式会社に吸収分割2021年1月映像事業をOMデジタルソリューションズ株式会社に承継させ、日本産業パートナーズ株式会社が設立したOJホールディングス株式会社に譲渡2021年2月Quest Photonic Devices B.V.を買収し、医療分野における外科領域の蛍光イメージング技術を強化2021年5月Medi-Tate Ltd.を買収し、医療分野における泌尿器科の領域を強化2021年10月医療事業の国内販売機能をオリンパスメディカルサイエンス販売株式会社に承継させ、オリンパスメディカルサイエンス販売株式会社は商号をオリンパスマーケティング株式会社に変更2022年4月科学事業を株式会社エビデントとして会社分割2022年12月Odin Medical Ltd.を買収し、医療分野におけるデジタル技術の活用を強化2023年4月株式会社エビデントをBain Capital Private Equity, LPが投資助言を行う投資ファンドが間接的に株式を保有する特別目的会社である株式会社BCJ-66に譲渡2024年4月東京都八王子市石川町に本社事務所を移転 |
事業の内容 | 3【事業の内容】 当社グループは、オリンパス株式会社(当社)、子会社89社および関連会社3社で構成されており、内視鏡、治療機器およびその他製品の製造販売を主な事業とし、さらに各事業に関連する持株会社および金融投資等の事業活動を展開しています。 次の「内視鏡事業」「治療機器事業」及び「その他事業」の3事業は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 6.事業セグメント」に掲げるセグメントの区分と同一です。 区分主要製品及び事業の内容主要な会社名内視鏡消化器内視鏡、外科内視鏡、医療サービス当社(連結子会社)オリンパスメディカルシステムズ㈱、オリンパスマーケティング㈱、会津オリンパス㈱、白河オリンパス㈱、長野オリンパス㈱、ティーメディクス㈱、Olympus America Inc.、Olympus Europa SE & Co. KG、Olympus Deutschland GmbHKeyMed (Medical & Industrial Equipment) Ltd.Olympus Winter & Ibe GmbH、Olympus (Beijing) Sales & Service Co.,Ltd.、Olympus Korea Co., Ltd.、Olympus Singapore Pte. Ltd.(関連会社)ソニー・オリンパスメディカルソリューションズ㈱治療機器消化器科処置具、泌尿器科製品、呼吸器科製品、エネルギー・デバイス、耳鼻咽喉科製品、婦人科製品当社(連結子会社)オリンパスメディカルシステムズ㈱、オリンパスマーケティング㈱、青森オリンパス㈱、ティーメディクス㈱、Olympus America Inc.、Olympus Europa SE & Co. KG、Olympus Deutschland GmbHGyrus ACMI, Inc.、Olympus Winter & Ibe GmbH、Olympus (Beijing) Sales & Service Co.,Ltd.、Olympus Korea Co., Ltd.、Olympus Singapore Pte. Ltd.Olympus Vietnam Co.,Ltd.その他生体材料、整形外科用器具 他当社(連結子会社)オリンパステルモバイオマテリアル㈱FH ORTHO SAS共通持株会社、金融投資当社(連結子会社)Olympus Corporation of the Americas、Olympus Europa Holding SE、Olympus Europa SE & Co. KG、Olympus (China) Co.,Ltd.、Olympus Corporation of Asia Pacific Limited.、Olympus Global Treasury Services Limited 以上に述べた事項を事業系統図によって示すと、当社グループの2024年3月31日現在の状況は次のとおりです。 |
関係会社の状況 | 4【関係会社の状況】 (2024年3月31日現在)名称住所資本金又は出資金主要な事業の内容議決権の所有割合(%)関係内容役員の兼務等資金援助貸付金営業上の取引主要な損益情報等(1)売上高(2)営業利益(3)当期利益(4)資本合計(5)資産合計(百万円)提出会社役員提出会社社員(連結子会社) オリンパスメディカルシステムズ㈱ (注) 2東京都八王子市90百万円内視鏡事業及び治療機器事業製品の製造100ありありなし当社製品の製造 会津オリンパス㈱ (注) 2福島県会津若松市214百万円内視鏡事業製品の製造100なしありなし当社製品の製造 青森オリンパス㈱ 青森県黒石市26百万円治療機器事業製品の製造100なしありなし当社製品の製造 長野オリンパス㈱ 長野県上伊那郡辰野町100百万円内視鏡事業製品の製造100なしあり運転資金866百万円貸付当社製品の製造 白河オリンパス㈱ 福島県西白河郡西郷村80百万円内視鏡事業製品の製造100なしありなし当社製品の製造 オリンパスマーケティング㈱ (注)2、3東京都新宿区96百万円内視鏡事業及び治療機器事業製品の販売100なしありなし当社製品の販売(1)111,026 (2)12,568(3)7,770(4)33,663(5)69,174オリンパステルモバイオマテリアル㈱(注)1東京都渋谷区72百万円生体材料製品及び再生医療に関する研究開発並びに製造販売95.7(100)なしあり 運転資金374百万円貸付 生体材料製品の製造及び販売の開発 ティーメディクス㈱(注)1東京都新宿区50百万円内視鏡事業製品の賃貸100(100)なしあり なし 当社製品の販売 オリンパスサポートメイト㈱東京都八王子市10百万円国内関係会社向け総務サービス100なしあり運転資金21百万円貸付総務サービスの提供 名称住所資本金又は出資金主要な事業の内容議決権の所有割合(%)関係内容役員の兼務等資金援助貸付金営業上の取引主要な損益情報等(1)売上高(2)営業利益(3)当期利益(4)資本合計(5)資産合計(百万円)提出会社役員提出会社社員Olympus Corporationof the Americas(注)2Pennsylvania,U.S.A.15千米ドル米州の関係会社に対する総合経営企画及び金融支援を行う持株会社100ありありなし当社製品の販売 Olympus America Inc.(注)1、3Pennsylvania,U.S.A.0千米ドル内視鏡事業及び治療機器事業製品の販売100(100)なしありなし当社製品の販売(1)323,994 (2)65,316(3)57,925(4)126,398(5)196,447Olympus LatinAmerica, Inc.(注)1Florida,U.S.A.0千米ドル内視鏡事業及び治療機器事業製品の販売100(100)なしありなし当社製品の販売 Gyrus ACMI, Inc.(注)1、2Massachusetts,U.S.A.1千米ドル治療機器事業製品の製造100(100)ありありなしなし Gyrus ACMI LP(注)1Minnesota,U.S.A.0千米ドル治療機器事業製品の製造100(100)なしなしなしなし Olympus Innovation Ventures, LLC(注)1Massachusetts, U.S.A.0千米ドル内視鏡事業及び治療機器事業における投資100(100)ありなしなしなし Olympus EuropaHolding SE Hamburg,Germany1,000千ユーロ欧州の関係会社に対する総合経営企画を行う持株会社100ありありなしなし Olympus EuropaSE & Co. KG(注)1、2Hamburg,Germany100,000千ユーロ持株会社並びに内視鏡事業及び治療機器事業の販売100(100)なしなしなし当社製品の販売 Olympus DeutschlandGmbH(注)1Hamburg,Germany10,100千ユーロ内視鏡事業及び治療機器事業製品の販売100(100)なしありなし当社製品の販売 Olympus France S.A.S.(注)1Rungis Cedex,France3,914千ユーロ内視鏡事業及び治療機器事業製品の販売100(100)なしなしなし当社製品の販売 名称住所資本金又は出資金主要な事業の内容議決権の所有割合(%)関係内容役員の兼務等資金援助貸付金営業上の取引主要な損益情報等(1)売上高(2)営業利益(3)当期利益(4)資本合計(5)資産合計(百万円)提出会社役員提出会社社員Olympus Winter & IbeGmbH(注)1Hamburg,Germany8,182千ユーロ内視鏡事業及び治療機器事業製品の製造100(100)ありありなし当社製品の製造 KeyMed(Medical &Industrial Equipment)Ltd.(注)1Essex,U.K.10千英ポンド内視鏡事業の製造及び販売100(100)なしありなし当社製品の製造及び販売 Quest Photonic Devices B.V.(注)1North HollandThe Netherlands21千ユーロ内視鏡事業製品の開発100(100)なしありなし当社製品の開発 Arc Medical Design Limited(注)1West Yorkshire,U.K.52千英ポンド治療機器事業製品の製造100(100)なしありなし当社製品の製造 FH ORTHO SAS(注)1HeimsbrunnFrance44,757千ユーロ整形外科用器具の販売及び製造100(100)なしありなし当社製品の製造及び販売 Olympus Global Treasury Services Limited(注)2Essex,U.K.266,693千英ポンドグループ全体の資金管理100ありありなしなし Odin Medical Ltd.London, U.K.1英ポンド内視鏡事業製品の開発100なしありなし当社製品の開発 Medi-Tate Ltd.(注)1Or-Akiva, Israel28千イスラエルシェケル治療機器事業製品の開発及び製造100(100)なしありなし当社製品の製造 Olympus Corporation of Asia Pacific Limited(注)2香港1,729,704千香港ドルアジア域内の関係会社に対する総合経営企画を行う持株会社100ありありなしなし Olympus Hong Kongand China Limited(注)1香港540,000千香港ドル内視鏡事業及び治療機器事業製品の販売100(100)なしありなし当社製品の製造及び販売 Olympus (China)Co., Ltd.(注)1中国北京市31,000千米ドル中国国内の関係会社に対する総合経営企画を行う持株会社100(100)ありありなしなし Olympus (Beijing)Sales & Service Co.,Ltd.(注)1、3中国北京市5,000千米ドル内視鏡事業及び治療機器事業製品の販売100(100)なしありなし当社製品の販売(1)105,583 (2)3,620(3)2,877(4)8,526(5)52,085Olympus Trading(Shanghai) Limited(注)1、2中国上海市1,000千米ドル内視鏡事業及び治療機器事業製品の販売100(100)なしありなし当社製品の輸入販売 Olympus Korea Co.,Ltd.大韓民国ソウル市18,000百万韓国ウォン内視鏡事業及び治療機器事業製品の販売100ありありなし当社製品の販売 名称住所資本金又は出資金主要な事業の内容議決権の所有割合(%)関係内容役員の兼務等資金援助貸付金営業上の取引主要な損益情報等(1)売上高(2)営業利益(3)当期利益(4)資本合計(5)資産合計(百万円)提出会社役員提出会社社員Olympus SingaporePte. Ltd.(注)1Singapore330千シンガポールドル内視鏡事業及び治療機器事業製品の販売100(100)なしありなし当社製品の販売 Olympus Vietnam Co., Ltd. Vietnam24,000米ドル治療機器事業製品の製造100 ありありなし当社製品の製造 Olympus AustraliaPty Ltd.(注)1Victoria,Australia7,928千オーストラリアドル内視鏡事業及び治療機器事業製品の販売100(100)なしありなし当社製品の販売 その他53社―――――――――(持分法適用関連会社) ソニー・オリンパス メディカルソリューションズ㈱ 東京都八王子市50百万円内視鏡事業製品の開発49なしあり運転資金1,960百万円貸付当社製品の開発 その他2社――――――――― (注)1 議決権に対する所有割合欄の( )内の数字は間接所有割合(内数)です。2 特定子会社に該当します。3 オリンパスマーケティング㈱、Olympus America Inc.及びOlympus (Beijing)Sales & Service Co.,Ltd.は、連結売上高に占める割合が100分の10を超えています。4 有価証券届出書又は有価証券報告書を提出している会社は、ありません。 |
従業員の状況 | 5【従業員の状況】 (1) 連結会社の状況 (2024年3月31日現在)セグメントの名称従業員数(人)内視鏡14,948(452)治療機器8,337(228)その他441(12)本社管理部門5,112(250)合計28,838(942)(注)1 従業員数は、就業人員数です。2 当社グループ外への出向者は含まず、当社グループへの出向受入者を含む就業人員であり、臨時雇用者は年間の平均人員を( )外数で記載しています。3 科学セグメントについては、当連結会計年度において、当社の科学セグメントを承継した株式会社エビデントが当社の子会社でなくなったため、上記記載から除外しています。科学セグメントの従業員の前連結会計年度からの減少数は4,124名です。4 当連結会計年度より、従業員数の集計基準をグループ全体で統一しました。 (2) 提出会社の状況 (2024年3月31日現在)従業員数(人)平均年齢(歳)平均勤続年数(年)平均年間給与(円)2,83443.1813.6310,410,683 セグメントの名称従業員数(人)内視鏡729治療機器361その他2本社管理部門1,742合計2,834(注)1 従業員数は、就業人員数です。2 当社外への出向者は含まず、当社への出向受入者は含んでいます。3 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでいます。 (3) 労働組合の状況(2024年3月31日現在)名 称 オリンパス労働組合労使関係 安定しており特記すべき事項はありません。組合員数 4,571人 (4) 多様性に関する指標 当連結会計年度の多様性に関する指標は、以下の通りです。 提出会社及び連結子会社全従業員数(人) (注) 1管理職に占める女性の割合(%) (注) 2男性の育児休業等取得率(%) (注) 2男女の賃金差異(%) (注) 1全従業員うち正規雇用従業員うちパート・有期従業員提出会社6,6139.188.077.176.472.0長野オリンパス㈱5121.873.368.467.888.3会津オリンパス㈱2,04614.282.268.570.385.5白河オリンパス㈱9827.7100.064.764.573.0青森オリンパス㈱89712.1100.060.962.662.3オリンパスマーケティング㈱6096.068.470.269.974.3オリンパステルモバイオマテリアル㈱10812.980.065.072.158.6オリンパスサポートメイト㈱16518.2- (注) 3108.1110.675.2ティーメディクス㈱670.00.083.080.294.4(注)1 出向者は出向元の従業員として集計しています。2 出向者は出向先の従業員として集計しています。3 男性の育児休業等の取得対象となる従業員が無いことを示しています。4 対象期間は以下となります。 管理職に占める女性従業員の割合:2024年3月時点 男性の育児休業等取得率、男女の賃金差異:2023年度(2023年4月~2024年3月)5 管理職に占める女性の割合については、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27 年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。海外現地法人に関しても、上記基準に照らし算出し ています。6 男性の育児休業等取得率については、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に 関する法律施行規則(平成3年労働省令第25号)第71条の4第2号における育児休業等及び育児目的休 暇の取得割合を算出しています。7 集計対象は国内9社です。 男女の賃金の差異女性活躍推進の指標の一つである男女の賃金の差異に関して、当社では77.1%となっています。勤続年数が男性の方が長いこと、平均年齢が男性の方が高いこと、そして給与の高い職群の比率が女性よりも男性のほうが高いこと、これらが差異に影響していると考えています。これらを解消するための取組みとして、日本全体で女性活管理職比率を目標設定し、女性活躍推進を中期方針の一つに掲げ、仕事と生活の両立を実現する環境を強化し、管理職や上級管理職、役員の女性比率を向上させるための施策を実行しています。 多様性に関する目標1.2028年3月期末までに、当社グループにおける女性管理職比率30%、オリンパス株式会社(日本)で13%を目指す。2.2026年3月期末までにオリンパス株式会社(日本)の男性育児休業等取得率100%を目指す。3.当社グループにおける国籍・文化のダイバーシティを高めるとともに、従業員エンゲージメントスコアのさらなる改善を図る。 現在の状況・当社グループにおける女性管理職比率:25.4%(2024年3月1日時点)・オリンパス株式会社の女性管理職比率:9.1%(2024年3月1日時点)・オリンパス株式会社における男性育児休業等取得率:88.0%(2023年4月1日~2024年3月31日) |
経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 | 1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下の通りです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 (1) 会社の経営の基本方針 当社グループは、事業活動を通じて、健康・安心・心の豊かさといった世界の人々、社会の根源的な要請に応え、広く社会に貢献するという考え方を経営理念の「私たちの存在意義」として「世界の人々の健康と安心、心の豊かさの実現」と示し、すべての活動の基本思想としています。また、2024年1月には、グローバル・メドテックカンパニーとして変革するため、従業員の行動規範である「Our Core Values」を改定しました。 当社グループはこれからも、経営理念実現のために、革新的な製品やサービスを社会に提供し、事業の持続的成長と企業価値向上に努めていきます。 また2023年4月以降、「患者様の安全と持続可能性」、「成長のためのイノベーション」、「生産性の向上」の3つを基本的な指針として掲げています。誠実で透明性のある企業であり続けるために、規制当局やステークホルダーと協力して、強固で持続的な組織の構築に努め、ヘルスケア業界ならびにESGを主導する企業となるべく、あらゆる取り組みにおいて顧客体験価値を中心に据えていきます。また、患者様の安全を第一に掲げ、QA/RA(品質保証および法規制対応)に注力し、「グローバル全地域での品質システムと業務プロセスの統一を目指した改革の実施」「グローバルな品質・コンプライアンス機能の強化による、一貫した施策の展開」「コンプライアンス上の問題を解決したうえで、是正活動の完遂」等の取り組みを推進します。そして、長期的な戦略に沿った高品質な製品・サービスをさまざまな分野で提供し、事業の持続的成長と企業価値向上に努めていきます。 (2) 経営戦略 経営理念の実現のために当社は2023年に新たな経営戦略を発表しました。 (長期的かつ持続的な成長のための戦略的な価値の源泉) 今後は、「Shift to Grow」という新たなステージにおいて、成長と収益性の両面に注力することを念頭に、主要セグメントにおける当社の市場ポジションの拡大や、最終的に患者様の体験価値と治療成果の改善を目指しています。これに資する長期的かつ持続可能な成長を支える価値の源泉として、4つのキードライバーとして、「ⅰ)事業拡大とグローバル展開」「ⅱ)戦略的M&A」「ⅲ)ケア・パスウェイの強化」「ⅳ)インテリジェント内視鏡医療エコシステム」です。ⅰ)事業拡大とグローバル展開 世界的な人口動態の変化と疾病発生の増加を受けて、当社の製品・サービスが対象とする疾患に対するソリューションへのニーズが高まる中、引き続き当社がリーディングポジションを持つ消化器科・泌尿器科・呼吸器科の3つの領域に注力し、「先進イメージング」「精緻な治療」「高付加価値ソリューション」を通じて、患者様のケア・パスウェイに最適なソリューションを提供します。・主力の消化器内視鏡システム「EVIS X1(イーヴィス・エックスワン)」:2021年3月期に欧州、アジア、日本で、2024年3月期には米国、中国でも発売しました。今後さらなる拡販を目指します。・シングルユース内視鏡:2022年3月期に気管支鏡を、2024年3月期に咽喉鏡を発売しました。2025年3月期には尿管鏡を発売予定であり、今後は十二指腸鏡、胆道鏡の領域においてもシングルユース内視鏡の発売を目指しています。(一部地域では未承認、未発売の技術を含みます)・中国市場:当社にとって戦略的に重要な市場の一つであり、「臨床医の教育プログラムやトレーニングへの投資」「中国の医療従事者のアンメットニーズの探索」を継続します。また、中国国内に現地生産拠点を準備中で、中国市場向けに中国国産製品を提供することを検討しています。 ⅱ)戦略的M&A 消化器科、泌尿器科、呼吸器科における既存の疾患領域や高い成長が期待できる関連分野において、タックイン M&Aの機会を通じて製品ポートフォリオを継続的に強化し、「臨床・治療ワークフローの変革」「ケアの向上」「事業の地理的拡大」を図ります。包括的なソリューションの提供によって患者様の治療成果の向上に貢献していきます。 ⅲ)ケア・パスウェイの強化 当社は、医療水準の向上によって患者様のアウトカムを改善することを目指しています。消化器科・泌尿器科・呼吸器科の3つの領域を中心に、早期発見や診断、ステージ分類、治療、予後のケアに至るまでのケア・パスウェイの中で、当社のソリューションを通して患者様と医療従事者のエクスペリエンスを向上させ、より多くの患者様に医療アクセスを提供し、診療の質と成果を改善します。 ⅳ)インテリジェント内視鏡医療エコシステム 慢性疾患の増加と高齢化を受けて、より良い治療成果をより多くの人に届け、医療提供者と患者様のエクスペリエンスを向上させながら、医療コストを抑えることの必要性が一層高まっています。当社はこのような課題に対して、コネクティビティ、AI、データインサイトを活用したインテリジェント内視鏡医療によるソリューションの提供を検討しており、「ワークフロー管理」「CAD*およびリアルタイムな手技の支援」「AIによる臨床・業務インサイト」等を通じて、ユーザーエクスペリエンスを標準化していきます。AIを活用したインテリジェント内視鏡医療エコシステムは、新たなソフトウェアプラットフォームによって、お客様、当社、そして、パートナー企業との間で価値の共創を可能にし、プラットフォームのソフトウェアやアプリケーションのアップグレードによって、常にイノベーションを提供し続けるビジネスモデルに移行することを目指し、より精度の高い早期発見、診断、治療を実現していきます。*Computer Aided Detection/Diagnosis:AIによる検出/診断支援 (投資とイノベーションを可能にする取り組み) 当社は、投資やイノベーションといった価値創造の取り組みを実現する基盤の強化のため、特に以下の4点に注力して取り組んでいます。・QA/RA:一貫性のある強固な品質システム導入や体制強化によるQA/RAの改革および是正活動の完遂・R&D:イノベーションの加速に向けたR&D投資のスピードアップと投資額の増加。より強固なイノベーション・パイプラインの構築、より積極的な戦略パートナーシップ推進、市場投入までの期間の短縮・製造、サプライチェーンマネジメント:売上原価の改善、組織規模と拠点構造の最適化、プロセスの合理化とデジタル化、更なる効率化の追求・GTOM(Global Target Operating Model):グローバルのガバナンスとオペレーションの継続的な改善。意思決定プロセスの明確化、イノベーション推進に向けたより効率的なリソース配分を可能にするハイパフォーマンスな組織の実現 (財務ガイダンス) 2024年3月期から2026年3月期の3年間の財務ガイダンスは以下の通りです。「Shift to Grow」という新たなステージにおいて、成長と収益性の両面に注力することを念頭に、約5%の売上高CAGRと、20%前後の調整後営業利益率を維持しつつ、EPSは売上成長を上回る約8%のCAGRを目指し、安定的な価値創造と競争力のある成長を実現していきます。* 為替前提を固定** 特殊要因調整後:その他の収益および費用等を除く。為替レート変動による影響は調整せず。実際の為替レートを使用 (3) 総合的な品質変革プログラム「Elevate」 基本的な指針における「患者様の安全と持続可能性」に関連して、当社は2024年3月期から2026年3月期までの3年間、QA/RAシステムやプロセス、ケイパビリティを強化するための取り組みを実施しています。このプログラムを通じて、当社の潜在能力を最大限に引き出すとともに、将来のイノベーションに向けた強固な基盤を構築し、持続的な成長の実現に繋げていきます。 |
サステナビリティに関する考え方及び取組 | 2【サステナビリティに関する考え方及び取組】 (1)サステナビリティ共通 当社グループはその存在意義である、「世界の人々の健康と安心、心の豊かさの実現」を目指す活動を通じて社会に貢献することで、当社グループ自身がサステナブルな企業であり続けることができると認識しており、当社のESG戦略はそれを実現する上で重要なものです。 <ガバナンス> ESGの推進においては、2021年4月にESG担当役員を新設し、中長期事業計画の中でKPIを設定する仕組みを構築する等、その強化を図っています。ESG担当役員はESGを包括的に推進するとともに進捗状況をモニタリングし、グループ経営執行会議および取締役会に報告しています。また、2021年3月期より執行役の報酬について、長期インセンティブ報酬の業績連動型株式報酬の一部が外部ESG評価機関の評価結果と連動するようになりました。その比率は2024年3月期において10%でしたが、2025年3月期は20%に引き上げます。ESGへの取り組みは企業活動そのものと一体である恒久的な取り組みであるため、インセンティブの中でも長期インセンティブを連動の対象とすると共に、成果に対する評価は単年度の成果ではなく3年間の取組成果と連動する設計となっています。2023年3月期には当社のESG戦略の推進体制の再検討を行い、2024年3月期より新しいグループレベルでのガバナンス体制を新設しました。この新しいガバナンス体制のもと、各事業・各機能部門の責任者を中心に構成され、ESG戦略の遂行及びモニタリングを推進する「ESG委員会 (ESG Committee)」を設置し、その下に機能横断的に取り組む必要のあるテーマごとにテーマ別ワーキンググループを置いて戦略の実施を推進しています。またESG委員会を通じてグループ経営執行会議及び取締役会に対して戦略の実施状況や活動成果、課題等が定期的に報告されています。2024年3月期では1年間で2回の定期報告が実施されました。グループ経営執行会議並びに取締役会からの指示・助言を受けることで、適切なガバナンス体制の下、ESG戦略を適切に実行しています。 <ガバナンス体制> <戦略> 2023年3月期に従来のESG戦略をベースに、戦略の見直しと調整を実施しました。2024年3月期を初年度とする新しい経営戦略において、ESGを重要項目の一つと位置付け、従来以上にESG戦略と経営戦略・事業戦略・機能戦略との親和性・一貫性を強化しました。 従来のESG戦略の骨子・枠組みを残しながら、新たにステークホルダーの皆様のご意見をお聞きし、近年の社会から企業が求められるサステナビリティへの期待値・要求事項を踏まえ、メドテック業界における動向も参考にしながら、グループ経営執行会議および 取締役会に諮る等のプロセスを経て、「6つの重要領域 (Focus Area)」の下に「25項目の重要課題(Materiality Topics)」を特定しました。また、この「25項目の重要課題(Materiality Topics)」を特定するプロセスの中では、「ステークホルダーにとっての重要性」と「当社の事業へのインパクト」の2つの軸から、これら「25項目の重要課題(Materiality Topics)」をTop Priority / High Priority/ Othersの3段階に優先順位付けをしています。この「6つの重要領域 (Focus Area)」及び「25項目の重要課題(Materiality Topics)」は、当社グループの経営活動・事業活動と一体化し、これらの活動を通じて広く社会課題の解決に貢献することを表明するものです。当社グループが競争力あるグローバル・メドテックカンパニーへと成長し、サステナブルな社会の実現に貢献するために、ESGを重要な課題と捉えています。マテリアリティは社会・事業変化によって可変のものであり、今後も必要に応じて見直しを行います。 6つの重要領域(Focus Area)・医療機会の幅広い提供およびアウトカムの向上・コンプライアンスおよび製品の品質安全性への注力・責任あるサプライチェーンの推進・健やかな組織文化の醸成・社会と協調した脱炭素・循環型社会実現への貢献・コーポレートガバナンスの強化 <リスク管理> 全社的なリスクアセスメントを実施する中で、サステナビリティ・ESGに関するリスク項目を抽出し、全社のリスクモニタリング管理体制を通じてリスク管理を実施しています。合わせて、その結果は適宜グループ経営執行会議や取締役会にも報告しています。 <指標と目標> 2024年3月期においても前年度に引き続き世界の代表的なコーポレート・サステナビリティ評価指標である「Dow Jones Sustainability Index(DJSI)」をESG活動の指標とし、各種Indexに選定されることを目標としています。当社はこれまでの間、2018年に初めて「DJSI Asia Pacific」の構成銘柄に初めて選定された後、執行役の長期インセンティブと外部ESG評価機関の評価結果との連動を開始した2022年3月期の翌年、2022年12月に初めて「DJSI World」の構成銘柄に選定されました。それ以降、2024年3月期までDJSI Worldは3年連続、DJSI Asia Pacificは5年連続の選定となりました。 また、2023年3月期においては、ESG戦略の見直しの中で、特に重要度の高いTop Priorityに位置付けられる「重要課題(Materiality Topics)」を中心に、これを実施するための具体的な「代表的実施項目(flagship initiatives)」を定め、それぞれに定量的・定性的なKPI及びターゲットを定めてきました。 2024年3月期においては、従来のDJSIという外部指標だけに基づく役員報酬の成果評価の構造を見直し、当社が定めたESG戦略のKPI及びターゲットに基づく成果評価も併せて総合的な評価ができる評価構造を検討しました。2025年3月期からは客観性の高い外部評価指標であるDJSIを引き続きESG活動の指標の一つとしながら、当社のESG戦略における「代表的実施項目(flagship initiatives)」のKPI・ターゲットに基づいた成果評価を加えることで、総合的な成果指標をもとにESG活動を進めていきます。 2024年3月期 実績 (2)気候変動<ガバナンス> 当社グループは、製品開発、調達、製造、物流、販売、修理といったバリューチェーン全体を通した環境負荷の低減に取り組んでいます。気候変動対応を含む環境活動の最高責任者であるCEOの下、EHS(環境・健康・安全衛生)機能を管轄するCHRO(Chief Human Resources Officer)が、当社グループ全体の環境活動を統括しています。 EHS統括部門はCHROの指示のもと、当社グループ全体の「環境安全衛生ポリシー」を策定するとともに、温室効果ガス使用量削減目標を含む環境行動計画を策定し、当社グループ全体の環境行動計画の推進と進捗状況をモニタリングし、継続的な改善を進めています。最高責任者(CEO)は、必要に応じて環境活動の進捗状況の報告を受け、必要な改善指示を行います。取締役会は気候変動の対応状況について適宜報告を受け、取り組み状況をモニタリングしています。 ※最高責任者は2024年3月期まではCEOおよびCHRO、2024年4月1日からはCEOに変更 ※環境統括責任者は2024年3月期まではHuman Resources Head、2024年4月1日からはCHROに変更 環境推進体制 (本有価証券報告書提出時) <戦略> 当社グループは、シナリオ分析の手法を用いて、短期、中期および長期の時間軸ごとに気候変動関連のリスクと機会を特定しています。シナリオ分析では、IEA(国際エネルギー機関)が提示している「1.5℃:RCP1.9(NZE)(産業革命前からの世界の平均気温上昇を1.5℃未満とするシナリオ)」および「4℃:RCP8.5(産業革命前からの世界の平均気温上昇を4℃と想定するシナリオ)」に沿って気候変動の事業活動への影響を分析しています。短期的(1~5年)には、自然災害発生による操業停止・サプライチェーン断絶、気候変動への対応不足や不十分な開示によるステークホルダーからの評価・評判の低下を、中長期的(10~20年)には、炭素税の導入や温室効果ガス削減規制の強化による事業コスト増加を主な課題としています。 気候変動のリスクは、当社グループの戦略・財務計画に影響を与えますが、影響度合いは比較的小さいと推定しております。例えば、物理的リスクとしては、自然災害の自社工場操業への影響についても台風や物理的なリスクが低い場所にあることを確認しており、有事の際にも事業活動が継続できるよう各拠点で事業継続計画を作成しています。サプライチェーンの面でも、昨今世界規模で台風や洪水が発生し、資材調達や製品供給の面での影響が想定されるため、代替サプライヤーによる生産確保等の体制構築を進めています。 また、気候変動の機会については、温室効果ガス削減に寄与する製品へのニーズの高まりを機会ととらえて、省エネルギー等に配慮した環境配慮型製品の開発を継続していきます。ただし、当社グループの製品は製品自体が小型で使用によるエネルギー消費量が少ないこと、気候変動による製品・サービス需要への影響が小さいことから、事業活動に大きな影響を及ぼすほどの機会ではないと認識しています。 環境変化リスク機会対策1.5℃シナリオ低炭素社会への移行に伴う規制強化と市場の変化<移行リスク>炭素税・排出権取引や各国の温室効果ガス削減規制の強化による調達・操業コストの増加 製品に対する温室効果ガス削減規制の強化への対応不足による市場競争力の低下 気候変動への対応不足、不十分な開示によるステークホルダーからの評価・評判の低下省エネルギーによる事業コスト削減 環境配慮型製品の開発による市場競争力の向上 ステークホルダーとの関係強化 エネルギー効率改善 再生可能エネルギー導入拡大 サプライヤーの多様化 サプライヤーとのエンゲージメント強化 気候変動対応への考え方・取り組みの開示情報の充実 製品・サービスの設計開発段階での環境配慮設計4℃シナリオ気温上昇・異常気象の発生増加<物理的リスク>台風や洪水等の自然災害規模の拡大による操業停止およびサプライチェーンの断絶(サプライヤ―からの納品停止、物流拠点及び販売・修理サービス拠点の休業による顧客への納入停止等 <リスク管理> 当社グループは、経営戦略や事業計画の策定段階において、当社の事業に影響を及ぼす可能性があるリスクを抽出し、事業運営への影響度が高いリスクを特定・評価しています。その中には気候変動などをはじめとする環境に関連する規制や技術などの移行リスク、自然災害による物理的リスクの内容も含みます。 リスクとして特定されたものは、各組織においてリスクが顕在化した場合の影響度および発生可能性をもとにリスク評価と優先順位付けを行い、その結果を踏まえて単年および複数年の事業計画を策定してリスクを管理します。環境法規制に関するリスクについては、品質管理機能が製品関連の環境法規制の動向を、各法人の環境統括部門が事業所関連の環境法規制の動向をモニタリングし、順守状況を定期的に評価して必要な対策を講じています。 また、特に事業運営への影響度の大きなリスクについては、組織のリスクマネジメント状況を定期的にモニタリングし、その結果をグループ経営執行会議および取締役会へ報告されます。CEOは、リスクマネジメント状況のモニタリング結果の報告を受けて、活動の有効性が不足している場合は活動計画の見直しを指示します。 <指標と目標> 当社グループは2031年3月期までに自社事業所からの温室効果ガス排出量(Scope1,2)を実質ゼロとすること、2031年3月期までに自社の事業所で使用する電力を100%再生可能エネルギー由来とすることの目標を設定しています。また、脱炭素社会の実現に広く貢献するためには、自社からの温室効果ガス排出量に加えて、サプライチェーン全体の温室効果ガス排出量までを含めた取り組みが必要であると考え、2023年5月にサプライチェーン全体の温室効果ガス排出量(Scope1,2,3)を2040年3月期までにネットゼロとする目標を策定し発表しました。そして2023年10月には、SBTi(The Science Based Targets initiative)より当社グループの短期目標及びネットゼロ目標がパリ協定で定められている1.5℃目標の水準と整合したものであるとの認定を取得しました。 SBTi認定に関する情報は当社ホームページに掲載していますので、ご参照ください。 URL:https://www.olympus.co.jp/news/2023/nr02588.html 2023年3月期における実績は、温室効果ガス排出量(Scope1,2)を対2020年3月期比で45.7%削減、再生可能エネルギーの電力導入率71.9%を達成しました。今後は2031年3月期までの目標達成に向け、世界各国の拠点での継続的な製造改善活動や省エネの推進と、再生可能エネルギーの導入を進めます。また、サプライチェーン全体での温室効果ガスを削減するために、環境配慮型製品の開発、グリーン調達の推進、物流効率の改善等に継続的に取り組みます。 2023年3月期の実績と目標 実績目標2023年3月期2031年3月期温室効果ガス排出量(Scope1,2)45.7%削減(2020年3月期比)カーボンニュートラル達成※再生可能エネルギー電力導入率71.9%100%※カーボンニュートラル:自社事業所からの温室効果ガス排出量(Scope1,2)を削減し、残存する温室効果ガス排出量に相当する量をカーボンオフセットで相殺し全体としてゼロとすること。 サプライチェーン全体の温室効果ガス排出量(単位:t-CO2e)カテゴリー2023年3月期Scope127,967Scope218,374合計(scope1+2)46,341Scope3659,891合計(scope1+2+3)706,232※実績データは本有価証券報告書提出時に第三者保証が得られている2023年3月期のもの 詳細な情報は当社ホームページ並び「サステナビリティレポート2023」に掲載していますので、ご参照ください。URL:https://www.olympus.co.jp/csr/download/pdf/Olympus_Sustainability_Report_2023_jp.pdfなお、「サステナビリティレポート2024」は2024年10月頃に当社ホームページにて掲載予定です。 (3)人的資本・多様性<戦略>当社の考える人的資本経営 当社グループにおいて、最も重要な経営資源は「人」であり、世界中の従業員がその無限の可能性を結集させることでイノベーションを創出し、Our Purposeである「世界の人々の健康と安心、心の豊かさの実現」を目指しています。 多様な人材が共通の価値観で結びつき、個々人の成長に会社と従業員が誠実に向き合い、互いに成長を続けるという組織としての盤石な基盤のもと、変化の激しい世界情勢や患者さんのニーズに速やかに対応できる人材・組織を必要としており、その実現に向け方針を掲げています。 健やかな組織文化 当社グループでは、企業変革の一環として、健やかな組織文化の実現に向けて取り組んでいます。会社のニーズと従業員の日々の経験の両方に目が向けられ、この2つの要素のバランスが取れたとき、私たちの組織は健やかな状態であり、従業員は自身の可能性を最大限に発揮することができます。従業員一人ひとりがベストな状態でパフォーマンスを発揮できる文化により、持続的な成長、私たちの存在意義「世界の人々の健康と安心、心の豊かさの実現」が達成できると考えています。 これらを実現し、グローバル・メドテックカンパニーとして更に前進するために、私たちは「『患者さん第一』の企業文化の強化」、「健やかな組織を推進する体制の強化」、「多様な人材が成長しグローバルで活躍できる機会の創出」、という三つの課題を特定し、グローバルで様々な取組みを推進しています。 健やかな組織文化を実現するための施策 ■「Our Core Values 私たちのコアバリュー」改定 当社グループでは、「Our Core Values 私たちのコアバリュー」を2024年1月に改定しました。患者さんの安全と製品に対するステークホルダーからの期待と責任は日に日に増しています。オリンパスはメドテックに特化した企業に進化し、グローバルでの存在感も高まりました。これらの変化と、それに伴って生まれた課題を受けて、会社としての優先事項を実現するにあたり、従業員それぞれが必要となる行動に集中できるようにするため、今回の改定に至りました。 これまでの「誠実」「共感」「長期的視点」「俊敏」「結束」に代わる新たなコアバリューは、「患者さん第一」「誠実」「イノベーション」「実行実現」「共感」です。全ての従業員が当社製品やサービスが患者さんにどのような影響を与えるかを理解して日々の仕事に取り組む、そのようなマインドを強化します。 私たちの存在意義である「世界の人々の健康と安心、心の豊かさの実現」を実現するため、私たちはこの新たなコアバリューに沿って行動し、日々の業務に取り組んでいきます。そして、コアバリューの浸透を図るため、リーダー向けのワークショップ、アンバサダー制度の導入、e-learningの実施といった様々な施策を、順次展開していきます。 ■グローバル共通のタレント&サクセッションマネジメント 従業員の活躍の場は特定の地域に限定されることなく、広く多くの機会が提供されるべきです。当社ではグローバル人事戦略のもと、数年前より人事プロセスのグローバル統一を推進しています。タレントレビュー・後継者計画プロセスを2019年にトップマネジメントポジションに導入以降、グローバルポジションへ適用を拡大してきました。2021年にリーダーシップの指針となるGLCM(グローバル・リーダーシップ・コンピテンシー・モデル)を本格導入、世界中の従業員が利用できる能力開発プログラムやラーニングコンテンツを順次展開、そして、2023年には全従業員の目標設定と評価をグローバル共通で可視化するパフォーマンスマネジメントシステムを導入しました。グローバルリーダー及びビジネスリーダーが、“Leaders Developing Leaders”を体現し、人材配置のプロセス、報酬、育成・スキル開発等の情報にアクセスできるような仕組みの構築にも取り組んでいます。グローバルでの適所適材を促進し、意欲ある従業員の成長を加速します。 ■ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン 当社グループでは、私たちの存在意義である「世界の人々の健康と安心、心の豊かさの実現」にあたって、DEIは欠かすことのできない重要な戦略と考えています。 2023年3月期に策定したESG戦略の「6つの重要領域」及び「25項目の重要課題」においても、ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョンの推進を特に重要度の高いTop Priorityに位置付けられる「重要課題」の一つとして掲げ、DEI戦略を発表しました。更に、取組みを監督、推進するためにCDO(チーフ ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン オフィサー)を新設し、執行役員の楊文蕾が就任しています。 取り組むにあたり、4つの主要テーマをグローバルにおける戦略的な重点領域と位置づけています。全世界の事業所において、DEIを実現する取り組みを深化させ、健やかな組織文化の醸成を図っていきます。 ①ジェンダーとライフプライオリティ 女性、およびライフイベントによって時間的な制約を抱えるすべての「ケアテイカー」をサポートする。 ②国籍・文化 多様性を高め、あらゆる国籍・文化、言語を持つ人々に機会へのアクセスを公平に提供する。 ③キャリア・経験 幅広い経験を増やし、チームや組織の視野を広げる。 ④インクルーシブな環境 心理的安全性を確保し、誰もが自分らしくいられて、安心して発言でき、積極的に協力し合えるような環境 を構築する。 <指標及び目標> 本項「人的資本・多様性」における具体的な指標及び目標については、「第1 企業の概況 5 従業員の状況」掲載の、①管理職に占める女性従業員の割合、②男性の育児休業等取得率、③男女の賃金差異をご参照ください。 |
戦略 | <戦略> 2023年3月期に従来のESG戦略をベースに、戦略の見直しと調整を実施しました。2024年3月期を初年度とする新しい経営戦略において、ESGを重要項目の一つと位置付け、従来以上にESG戦略と経営戦略・事業戦略・機能戦略との親和性・一貫性を強化しました。 従来のESG戦略の骨子・枠組みを残しながら、新たにステークホルダーの皆様のご意見をお聞きし、近年の社会から企業が求められるサステナビリティへの期待値・要求事項を踏まえ、メドテック業界における動向も参考にしながら、グループ経営執行会議および 取締役会に諮る等のプロセスを経て、「6つの重要領域 (Focus Area)」の下に「25項目の重要課題(Materiality Topics)」を特定しました。また、この「25項目の重要課題(Materiality Topics)」を特定するプロセスの中では、「ステークホルダーにとっての重要性」と「当社の事業へのインパクト」の2つの軸から、これら「25項目の重要課題(Materiality Topics)」をTop Priority / High Priority/ Othersの3段階に優先順位付けをしています。この「6つの重要領域 (Focus Area)」及び「25項目の重要課題(Materiality Topics)」は、当社グループの経営活動・事業活動と一体化し、これらの活動を通じて広く社会課題の解決に貢献することを表明するものです。当社グループが競争力あるグローバル・メドテックカンパニーへと成長し、サステナブルな社会の実現に貢献するために、ESGを重要な課題と捉えています。マテリアリティは社会・事業変化によって可変のものであり、今後も必要に応じて見直しを行います。 6つの重要領域(Focus Area)・医療機会の幅広い提供およびアウトカムの向上・コンプライアンスおよび製品の品質安全性への注力・責任あるサプライチェーンの推進・健やかな組織文化の醸成・社会と協調した脱炭素・循環型社会実現への貢献・コーポレートガバナンスの強化 |
指標及び目標 | <指標と目標> 2024年3月期においても前年度に引き続き世界の代表的なコーポレート・サステナビリティ評価指標である「Dow Jones Sustainability Index(DJSI)」をESG活動の指標とし、各種Indexに選定されることを目標としています。当社はこれまでの間、2018年に初めて「DJSI Asia Pacific」の構成銘柄に初めて選定された後、執行役の長期インセンティブと外部ESG評価機関の評価結果との連動を開始した2022年3月期の翌年、2022年12月に初めて「DJSI World」の構成銘柄に選定されました。それ以降、2024年3月期までDJSI Worldは3年連続、DJSI Asia Pacificは5年連続の選定となりました。 また、2023年3月期においては、ESG戦略の見直しの中で、特に重要度の高いTop Priorityに位置付けられる「重要課題(Materiality Topics)」を中心に、これを実施するための具体的な「代表的実施項目(flagship initiatives)」を定め、それぞれに定量的・定性的なKPI及びターゲットを定めてきました。 2024年3月期においては、従来のDJSIという外部指標だけに基づく役員報酬の成果評価の構造を見直し、当社が定めたESG戦略のKPI及びターゲットに基づく成果評価も併せて総合的な評価ができる評価構造を検討しました。2025年3月期からは客観性の高い外部評価指標であるDJSIを引き続きESG活動の指標の一つとしながら、当社のESG戦略における「代表的実施項目(flagship initiatives)」のKPI・ターゲットに基づいた成果評価を加えることで、総合的な成果指標をもとにESG活動を進めていきます。 2024年3月期 実績 |
人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略 | <戦略>当社の考える人的資本経営 当社グループにおいて、最も重要な経営資源は「人」であり、世界中の従業員がその無限の可能性を結集させることでイノベーションを創出し、Our Purposeである「世界の人々の健康と安心、心の豊かさの実現」を目指しています。 多様な人材が共通の価値観で結びつき、個々人の成長に会社と従業員が誠実に向き合い、互いに成長を続けるという組織としての盤石な基盤のもと、変化の激しい世界情勢や患者さんのニーズに速やかに対応できる人材・組織を必要としており、その実現に向け方針を掲げています。 健やかな組織文化 当社グループでは、企業変革の一環として、健やかな組織文化の実現に向けて取り組んでいます。会社のニーズと従業員の日々の経験の両方に目が向けられ、この2つの要素のバランスが取れたとき、私たちの組織は健やかな状態であり、従業員は自身の可能性を最大限に発揮することができます。従業員一人ひとりがベストな状態でパフォーマンスを発揮できる文化により、持続的な成長、私たちの存在意義「世界の人々の健康と安心、心の豊かさの実現」が達成できると考えています。 これらを実現し、グローバル・メドテックカンパニーとして更に前進するために、私たちは「『患者さん第一』の企業文化の強化」、「健やかな組織を推進する体制の強化」、「多様な人材が成長しグローバルで活躍できる機会の創出」、という三つの課題を特定し、グローバルで様々な取組みを推進しています。 健やかな組織文化を実現するための施策 ■「Our Core Values 私たちのコアバリュー」改定 当社グループでは、「Our Core Values 私たちのコアバリュー」を2024年1月に改定しました。患者さんの安全と製品に対するステークホルダーからの期待と責任は日に日に増しています。オリンパスはメドテックに特化した企業に進化し、グローバルでの存在感も高まりました。これらの変化と、それに伴って生まれた課題を受けて、会社としての優先事項を実現するにあたり、従業員それぞれが必要となる行動に集中できるようにするため、今回の改定に至りました。 これまでの「誠実」「共感」「長期的視点」「俊敏」「結束」に代わる新たなコアバリューは、「患者さん第一」「誠実」「イノベーション」「実行実現」「共感」です。全ての従業員が当社製品やサービスが患者さんにどのような影響を与えるかを理解して日々の仕事に取り組む、そのようなマインドを強化します。 私たちの存在意義である「世界の人々の健康と安心、心の豊かさの実現」を実現するため、私たちはこの新たなコアバリューに沿って行動し、日々の業務に取り組んでいきます。そして、コアバリューの浸透を図るため、リーダー向けのワークショップ、アンバサダー制度の導入、e-learningの実施といった様々な施策を、順次展開していきます。 ■グローバル共通のタレント&サクセッションマネジメント 従業員の活躍の場は特定の地域に限定されることなく、広く多くの機会が提供されるべきです。当社ではグローバル人事戦略のもと、数年前より人事プロセスのグローバル統一を推進しています。タレントレビュー・後継者計画プロセスを2019年にトップマネジメントポジションに導入以降、グローバルポジションへ適用を拡大してきました。2021年にリーダーシップの指針となるGLCM(グローバル・リーダーシップ・コンピテンシー・モデル)を本格導入、世界中の従業員が利用できる能力開発プログラムやラーニングコンテンツを順次展開、そして、2023年には全従業員の目標設定と評価をグローバル共通で可視化するパフォーマンスマネジメントシステムを導入しました。グローバルリーダー及びビジネスリーダーが、“Leaders Developing Leaders”を体現し、人材配置のプロセス、報酬、育成・スキル開発等の情報にアクセスできるような仕組みの構築にも取り組んでいます。グローバルでの適所適材を促進し、意欲ある従業員の成長を加速します。 ■ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン 当社グループでは、私たちの存在意義である「世界の人々の健康と安心、心の豊かさの実現」にあたって、DEIは欠かすことのできない重要な戦略と考えています。 2023年3月期に策定したESG戦略の「6つの重要領域」及び「25項目の重要課題」においても、ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョンの推進を特に重要度の高いTop Priorityに位置付けられる「重要課題」の一つとして掲げ、DEI戦略を発表しました。更に、取組みを監督、推進するためにCDO(チーフ ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン オフィサー)を新設し、執行役員の楊文蕾が就任しています。 取り組むにあたり、4つの主要テーマをグローバルにおける戦略的な重点領域と位置づけています。全世界の事業所において、DEIを実現する取り組みを深化させ、健やかな組織文化の醸成を図っていきます。 ①ジェンダーとライフプライオリティ 女性、およびライフイベントによって時間的な制約を抱えるすべての「ケアテイカー」をサポートする。 ②国籍・文化 多様性を高め、あらゆる国籍・文化、言語を持つ人々に機会へのアクセスを公平に提供する。 ③キャリア・経験 幅広い経験を増やし、チームや組織の視野を広げる。 ④インクルーシブな環境 心理的安全性を確保し、誰もが自分らしくいられて、安心して発言でき、積極的に協力し合えるような環境 を構築する。 |
人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績、指標及び目標 | <指標及び目標> 本項「人的資本・多様性」における具体的な指標及び目標については、「第1 企業の概況 5 従業員の状況」掲載の、①管理職に占める女性従業員の割合、②男性の育児休業等取得率、③男女の賃金差異をご参照ください。 |
事業等のリスク | 3【事業等のリスク】 当社グループの業績は、今後起こりうる様々なリスク(不確実性)によって大きな影響を受ける可能性があります。当社グループは、経営理念や企業戦略などの事業目的達成を支援するため、グローバルなエンタープライズ・リスクマネジメント手法を導入しており、リスクマネジメントは、「リスクマネジメント及び危機対応方針」及び関連規程に基づいています。また、当社グループは、「機会」と「脅威」の両面からエンタープライズ・リスクマネジメントに取り組んでいます。機会は、当社グループの持続的な成長と価値創造につながる積極的かつ適切なリスクテイクを通じて捉えられる一方、脅威は、事業目標の確実な達成とコンプライアンス違反の防止のために特定され、優先順位をつけて対処されます。 2023年4月より当社グループは、ガバナンス・リスク・コンプライアンス(以下、GRC)に関連するリスク&コントロール、コンプライアンス、プライバシー、情報セキュリティの4つの機能を統合し、グローバルGRC組織として新たに立ち上げました。加えて、既存のエンタープライズ・リスクマネジメント・ポートフォリオを先進的な手法に移行し、当社の全ての機能で、この強化された方法にしたがってグローバルなリスクポートフォリオを検証、改良するためのリスク評価を実施しました。 特に注力したエンタープライズ・リスクマネジメントの活動は以下の通りです。- グローバルなリスクコントロール機能の構築- グローバルな手法とアプローチの構築- グローバルに調和したプロセスの構築 これらの活動に注力することで、合理的なエンタープライズ・リスクマネジメントが実行され、事業計画及び財務計画にリスクを反映することを企図しています。また、十分な情報に基づいた経営の意思決定をサポートすることで、当社の事業目標と企業戦略の達成の確度を高めることを目指しています。 エンタープライズ・リスクマネジメントの組織体制 当社グループは、グローバルおよび地域レベルの新しい委員会組織として、グローバル及び地域リスクアシュアランス・コンプライアンス委員会(以下、G-RACC、R-RACC、総称してRACCs)を設立しました。RACCsは、リスクに対処し、適用される方針、法律、規制を遵守するための枠組みを確立、実施、管理することを目的としています。また、勧告、指導、重要リスクについては、グループ経営執行会議(以下、GEC)、取締役会、 監査委員会に定期的に報告され、継続的なモニタリングが行われます。 また、リスクオーナーとして、グローバル事業・機能責任者、地域事業・機能責任者を任命しました。また、各事業・機能でリスク管理を担うリスクコーディネーターを任命しました。リスクオーナーは、自身が管轄する領域において対策(例:組織体制、プロセス準備、重点対策など)を講じる責任を負います。 <エンタープライズ・リスクマネジメント体制> エンタープライズ・リスクマネジメントの手法とアプローチ 当社グループでは、5つのリスクカテゴリー(1.戦略(外部環境変化を含む)、2.オペレーション&製品、3.ファイナンス、4.ガバナンス、5.IT&デジタル)、及びそれらを具体化したサブカテゴリーによるエンタープライズ・リスクマネジメント手法とアプローチを用いています。 <エンタープライズ・リスクマネジメント リスクカテゴリー> また、当社グループでは、事業目的の達成や企業戦略に影響を及ぼす可能性のある個々のリスクを評価し、明示するために、3つのリスク評価基準(1.エクスポージャー、2. 脆弱性、3.速度)を用いています。- エクスポージャーは、発生可能性と発生時の影響によって決定します。可能性とは、リスクが顕在化する確率を示し、影響度とは、リスクが顕在化した場合の結果の重大性を示します。可能性と影響度のレベルは、定量的(財務的数値に基づく)または定性的基準として評価します。- 脆弱性(Vulnerability)とは、リスクが発生した場合に、組織がそのリスクを管理する準備がどの程度できているかを示します。- 速度 (Velocity)とは、リスク発生後、当社がどの程度の速さでリスクの影響を受けるかを示します。 これらの基準に基づき、当社グループは積極的にリスクを特定、軽減し、監視しており、対応策を定期的に見直し、有効性を検証しています。また、リスクを可視化して管理するため、エクスポージャー、脆弱性、速度を組合わせてリスク評価結果を4つの象限に分け、当該リスクにどのように対処するべきかについて示す「3Dリスクマトリックス」と呼ばれる手法を用いています。さらに、最新のITツールを用いたデータベース及びダッシュボードを導入することにより、十分な情報に基づくリスクベースの意思決定を行うための支援も行っています。 <エンタープライズ・リスクマネジメント評価手法> エンタープライズ・リスクマネジメント・プロセス 当社グループのエンタープライズ・リスクマネジメント・プロセスの主な構成要素は以下の通りです。- リスクアセスメント(リスクの特定、分析、評価)- 対応策(リスクの低減、リスクマネジメント活動の実行及び調整)- リスクモニタリング(リスクモニタリングプロセスの設計、実施、リスクトリートメント活動の有効性の評価)- リスク報告(リスク及びその対応策を集約・評価し、関連するステークホルダーに定期的に報告する。リスク報告は、リスクマネジメントの年次計画の一部として立案・社内へ展開される) エンタープライズ・リスクマネジメント・プロセスでは、スリーラインモデルの考え方に沿って、リスクコントロール機能と各事業・機能が緊密に連携を行っています。また、リスクコントロール機能は、エンタープライズ・リスクマネジメント手法及び運用ガイダンスを提供、維持、開発する責任を負っており、新しい組織体制・手法の社内への浸透を進めています。 <エンタープライズ・リスクマネジメント・プロセス> マクロ経済ビジネス環境 ウクライナにおける戦争と中東情勢の影響により、世界のマクロ経済が大きな影響を受けており、エネルギー価格は上昇し、世界レベルで高止まりしています。さらに、インフレの進展は、引き続きサプライチェーンの混乱の影響も受けています。顕著な技能労働者の不足もあり、経済と消費の全体的な減速につながっていましたが、供給サイドの問題が解消され、金融引き締めが続く中、ほとんどの地域でインフレ率は想定よりも早く低下しつつあります。 また、地政学的な不安定性は経済成長にとって最大の脅威の1つであり、他にもサイバー攻撃、大きな災害を伴う異常気象、原材料や部品の調達から製品供給までの不確実性などに起因し、潜在的な影響の大きいサプライチェーン・リスクは近年増加しています。貿易摩擦が激化し、原材料の安定的な調達が難しくなることで、原材料価格の上昇や製品の供給不足が発生しており、サプライヤー管理の強化に集中的に取り組む必要があります。 さらに、世界的に環境問題への意識が著しく高まっており、あらゆるステークホルダーからの要請が増加しています。 技術面では、あらゆる領域でデジタルトランスフォーメーションが加速しています。それに伴い、開発サイクルの短縮が求められる傾向にあり、いわゆる技術革新領域(AI/ロボット/ICT)の実用化も進んでいます。 業界特有のビジネス環境 医療分野では、医療費の抑制や医療サービスの安全性・有効性の向上による患者のQOL(Quality of Life:生活の質)の向上を目指し、国内外で医療制度改革が継続的に実施されています。その結果、米国食品医薬品局(以下、FDA)や欧州医療機器規制(以下、EU-MDR)をはじめ、各国の医療機器申請・登録に対する法規制要件は年々厳格になっています。また、感染予防や再処理(洗浄・消毒・滅菌)に関する要件も複雑化しています。 各国の医療政策の変化、医療費の削減、医療関連法規の強化、感染予防や再処理に対する要求のさらなる高まりなどにより、技術開発のハードルや複雑さは増しています。それに伴い、新技術や代替技術だけでなく、IT技術大手をはじめとする異業種からの医療業界への参入もあり、事業環境は厳しさを増しています。 さらに、先進国を中心に社会の高齢化が進むにつれ、医療に対するニーズは確実に高まっています。高騰する医療費を適正化し、効果的で質の高い医療サービスを提供するため、各国で医療制度改革が進められています。また、このような状況下、当社グループが関わる事業領域には多くの競合他社が存在し、技術革新も進んでおり、特に治療機器事業における競争は、一層激化しています。 中国市場では、米中貿易摩擦が激化し、国産優遇政策や集中購買の推進など、不透明感が強まっており、今後も注意が必要ですが、当社グループは、中国市場を持続的な成長が期待できる市場であると認識しています。その他の新興国市場においても、経済成長とともに医療ニーズが高まっており、さらなる成長が期待出来ると考えています。 また、当社グループが事業を展開する業界では、 グローバルで人材獲得競争が激化しており、労働市場の変化で退職率の高まりもみられ、人材の採用・育成・確保がますます重要になっています。 当社グループのリスク状況(2024年3月期) 2024年3月期に実施したグローバルリスクアセスメントに基づき、リスクを特定・評価しました。 3DリスクマトリックスにおいてImproveの領域に特定されたリスクについては、対応策の優先順位を高く設定しています。Testの領域に特定されたリスクについては、既にコントロールが実施されていますが、同時に、定期的なモニタリングにより、既存のコントロールが適切にかつ効果的に機能しているか、確認しています。Monitorの領域に特定されたリスクは、エクスポージャーが許容可能なレベルであることを継続的に確認し、必要に応じて追加の対応策を設定します。 リスクカテゴリー:戦略(外部環境変化を含む)リスクタイプ:機会と脅威リスクシナリオ このリスクカテゴリーは、「計画・資源配分」、「事業開発・投資」、「コミュニケーション・ステークホルダーマネジメント」、「マーケットダイナミクス」、及び「不可抗力」のサブカテゴリーで構成されています。最も高いリスクとして評価されたのは、地政学の脅威、サプライチェーンの中断、不安定な市場における事業展開であり、このカテゴリーには市場・競合状況に関するリスクも含まれています。以下はその一例です:•価格、技術、品質等において、競争力を有する製品を適時に投入する必要がありますが、その成否によっては収益確保に影響を及ぼす可能性があります。•M&A先の選定には、機会と脅威の両方があり、リスクに基づいた慎重な選定、契約前のデューデリジェンス、デューデリジェンス結果をフォローアップする統合プロセス、契約後のデューデリジェンスが必要ですが、その成否によっては当社グループの事業遂行に影響が生じるほか、のれんの減損や、その他これに伴う費用の発生など、業績および財政状態に影響を与える可能性があります。対応策 当社グループでは、上記のリスクに対応するために以下の対応策を実施しています。•市場における代替技術・製品の出現などを含めた競争環境を注視し、マーケティングや知的財産および関連部署との協力の下で、採用すべき新技術の選定および開発の迅速化に努めています。社内での開発のみならず、M&Aやアライアンス等を通じた社外の技術の取り込みも積極的に検討するとともに、市場ニーズに即した高付加価値の新製品・技術の開発にも取り組んでいます。•サプライチェーンの脆弱性を低減するための、サプライチェーンのビジビリティを高める取り組み。•グローバルな事業継続マネジメントシステムの強化。•合併・買収プロセスの見直しと強化。経営戦略・方針との関連:成長のためのイノベーション、生産性の向上 リスクカテゴリー:オペレーション&製品リスクタイプ:機会と脅威リスクシナリオ このカテゴリーは、「研究開発」、「製造・修理」、「エンド・ツー・エンド・サプライチェーン」、「販売・マーケティング・サービス」、「品質」、「資産」、及び「人的資源」のサブカテゴリーで構成されています。最も重大なリスクは、製品品質、エンド・ツー・エンドのサプライチェーン、マーケティング&セールスに存在します。これらは、製品のライフサイクルだけでなく、製品の安定的な供給に関するリスクも含まれています。以下はその一例です:•2023年3月期にFDAより受領した警告書のフォローアップ活動に関連し、大規模な品質改善プログラムと改善活動の推進により、製造、品質、サプライチェーンマネジメント、及び研究開発の非常に多くのリソースが用いられ、通常行うべき業務とリソースのバランスを保つ必要があり、その成否によっては当社グループの事業遂行に影響を及ぼす可能性があります。•地政学的危機、自然災害、その他サプライチェーン上の課題が増加する中で、サプライチェーンの外的な混乱に対する当社の回復力を更に向上させる必要性を認識しています。自然災害リスクが顕在化した例としては、令和6年能登半島地震があり、当社の製造機能にとって重要なサプライヤー及び当該サプライヤーからの短期・中期的な原材料供給に影響を与えています。対応策 当社グループは、患者様の安全に最も重点を置き、顧客に高品質な製品・サービスを提供するため、エンド・ツー・エンド・サプライチェーンの安定と品質プロセスの改善に注力しています。主な活動は以下の通りです:•品質マネジメントシステムと品質プロセスをグローバルかつ持続的に強化し、調和させるために、グローバルな複数年にわたる品質プログラムを実施。•サプライチェーンの可視性を向上させ、特定のサプライヤーに依存しない体制を構築するためのプロジェクトを実施。•グローバルな事業継続マネジメントシステムの強化。経営戦略・方針との関連:患者様の安全と持続可能性、生産性の向上 リスクカテゴリー:ファイナンスリスクタイプ:機会と脅威リスクシナリオ このカテゴリーは、「資本構造」、「会計・報告」、「流動性・信用」、「収益サイクル」、及び「税務」のサブカテゴリーで構成されています。 当社グループは、世界のさまざまなマーケットにおいて製品およびサービスを提供しており、為替についてのリスクを認識しています。為替が円高に推移した場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼし、一方、円安は好影響を与える可能性があります。外貨建債権・債務について可能なものについてはヘッジを行っていますが、急激な為替変動が生じた場合、あるいはヘッジの対象となる債権・債務の発生が予定と大きく異なった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 資金調達のリスクについて、当社グループは、金融機関等からの借入、社債発行による資金調達を行っていますが、金融市場の環境変化によっては、当社グループの資金調達に影響が生じる可能性があります。また、当社グループの業績悪化等により資金調達コストが上昇した場合、当社グループの資金調達に悪影響が生じ、一方、業績良化等により資金調達コストが低下した場合、好影響を与える可能性があります。 さらに、世界各国の租税法令またはその解釈や適用指針の変更等により、追加の税負担が生じる可能性があります。繰延税金資産については、経営状況の変化や組織再編の実施等により、回収可能性の評価を見直した場合、繰延税金資産に対する評価性引当金の積み増しが必要となる可能性があります。そのような事態が生じた場合、当社グループの業績および財政状態に影響が生じる可能性があります。 この他にも、当社グループでは、顧客や取引先等の信用リスクなども認識しています。対応策 当社グループでは、為替変動リスクを軽減することを目的として、先物為替予約や通貨スワップ等のデリバティブ取引を利用しています。また、グローバル・キャッシュ・プーリングの導入により、グループ資金の効率化などを通じて、外貨建債権・債務の縮小を図っています。 資金調達に関するリスクに対しては、コマーシャル・ペーパーや公募社債の発行等、資金調達手段の多様化による調達コストの低減に取り組んでおり、長期の有利子負債は基本的に固定金利を採用することで、金利上昇の影響を限定的にしています。また、グローバル・キャッシュ・プーリングの導入により、グループ資金の効率化や財務管理の強化を図っています。 世界各国の租税法令またはその解釈や適用指針の変更等に関しては、法令の改正や規則の変更に対するモニタリングを行いながら、社内の取引ルールを適宜見直していきます。繰延税金資産については、グループ各社の収益性をモニタリングしながら、それぞれの会社が適切な収益を確保出来る様に業績を管理することに加えて、グループ会社間の組織再編においても再編後の収益性の変化に留意することでリスクの最小化を図ります。 また、信用リスクについては、与信先の財務状態等をモニタリングの上、必要に応じた対応を行います。経営戦略・方針との関連性:生産性の向上 リスクカテゴリー:ガバナンスリスクタイプ:機会と脅威リスクシナリオ このカテゴリーは、「カルチャー」、「規制、法務」、「コンプライアンス」、「データプライバシー」、及び「コーポレートガバナンス」のサブカテゴリーで構成されています。以下はその一例です:•契約管理プロセスと契約管理データベースの統合が不十分なことで、透明性の欠如を引き起こし、契約違反やクレーム、債務を誘発する可能性があります。•多くの医療機器規制や法律、複雑な貿易規制に直面しており、書類の不備や違反が直ちに製品供給に影響を及ぼす可能性があります。•2023年3月期にFDAから受領した警告書で指摘された事項に対して実施中の是正活動は、規制を遵守するために完全に実行する必要がありますが、今後の経過によっては、FDAによりさらなる規制措置が取られる可能性があります。•グローバルに一貫した事業継続マネジメントシステムの統合に遅れが生じる可能性があります。対応策 これらのリスクに対して実施・継続している主な活動は、以下の通りです。•契約管理プロセスの評価および強化。•規制要件に対応する改善プロジェクト及び全社の品質向上プログラムを統合し、総合的な品質・規制対応を強化。また、グローバルなメドテック企業での経験と知見を有する社外取締役で構成される品質保証及び法規制委員会を設置し、同プログラムの活動の監督および戦略的な助言を実施。•当社と規制当局の間における、計画と期待の整合性を確保するための緊密なコミュニケーションの確立。•グローバルに一貫した事業継続マネジメントシステムを構築し実行するためのプロジェクトをキックオフし、既存の事業継続措置との統合を目指す。経営戦略や方針との関連:患者様の安全と持続可能性 リスクカテゴリー:IT&デジタルリスクタイプ:機会と脅威リスクシナリオ このカテゴリーは、「ITセキュリティ・サイバー」、「ITアプリケーション」、「ITガバナンス」、「ITインフラ・サービス」及び「デジタル」のサブカテゴリーで構成されています。当社においてはサイバーセキュリティ侵害のリスクを重く評価しており、常に注意と対応が必要だと考えています。 また、患者様への治療の質と効率を向上させるために、当社製品にデジタル技術を活用することが増えており、サイバーセキュリティの侵害に対する対策は、製品開発からバリューチェーン全体に及んでいます。対応策 サイバーセキュリティ侵害を回避し、適切に管理するための最も重要な対応策は以下のとおりです。•ITおよび情報セキュリティに関する取り組みの維持・管理のため、ITおよび情報セキュリティ機能を強化。全社的なセキュリティ態勢強化のため、グローバルプロジェクトを実施・継続•エンタープライズ・リスクマネジメントシステムに直結する、ITリスクマネジメントフレームワークを導入•サードパーティのプロバイダーとのセキュリティおよび連携要件を見直し、強化•サイバーセキュリティ侵害が顕在化した際に顧客や患者様への影響を最小限に留めるため、事業継続管理を全社で整合させるプロジェクトのもと、事業継続計画と災害復旧計画を強化 •サイバーセキュリティ侵害から製品とデジタルサービスを守るため、最新のサイバーセキュリティ要件を考慮した技術やプロセスなどの対策を講じるための全社的な取り組みを開始•サイバーセキュリティの脅威や日常の業務で取ることのできる回避策について、従業員教育を定期的に実施経営戦略・方針との関連:患者様の安全と持続可能性、生産性の向上 リスク評価手法の変更およびリスクポートフォリオの全面的な見直しにより、リスクの内容および順位を変更しました。この結果、以下のリスクは前述のトップリスクよりも評価が低くなったため、上記に記載していません。なお、これらのリスクはすべて、当社グループのリスクポートフォリオに含まれており、現在も対応・モニタリングを行っています。•訴訟に関するリスク•人材に関するリスク•気候および環境を含むサステナビリティに関するリスク |
経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 | 4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 (1)業績等の概要① 業績 前第2四半期連結会計期間において、当社は、Bain Capital Private Equity, LP(そのグループを含み、以下「ベインキャピタル」)が投資助言を行う投資ファンドが間接的に株式を保有する特別目的会社である株式会社BCJ-66との間で科学事業の譲渡に関する株式譲渡契約を締結しました。これに伴い、前第2四半期連結会計期間より、科学事業に関わる損益を非継続事業に分類しています。なお、売上高、営業利益、調整後営業利益、税引前利益、継続事業からの当期利益については、非継続事業を除いた継続事業の金額を、親会社の所有者に帰属する当期利益については、継続事業及び非継続事業を合算した数値を表示しています。 また、当社グループは、従来「内視鏡事業」「治療機器事業」「科学事業」及び「その他事業」の4区分を報告セグメントとしておりましたが、前第2四半期連結会計期間より「内視鏡事業」「治療機器事業」及び「その他事業」の3区分に変更しています。 なお、上記の株式譲渡契約に基づき、当社から吸収分割により当社の科学事業を承継した当社の連結子会社である株式会社エビデント(以下、エビデント)の全株式については、2023年4月3日に譲渡を完了しました。 業績全般に関する動向 当連結会計年度における世界経済は、持ち直しの動きが継続しましたが、世界的な金融引き締めや中国経済の先行き懸念は、景気下振れのリスクとなっており、中東地域をめぐる情勢による影響も注視する必要があります。また、ウクライナにおける戦争や世界的なインフレもあり、原材料価格の上昇や、サプライチェーンの制約による影響が発生しました。わが国経済においても、景気は緩やかに持ち直している一方で、為替の変動や世界経済と同様に原材料価格の上昇、サプライチェーンの制約による影響、令和6年能登半島地震による影響が発生しました。 こうした環境下にあるものの、当社グループは、2023年5月に公表した経営戦略に沿って、「患者さんの安全と持続可能性」「成長のためのイノベーション」「生産性の向上」という3つの優先事項のもと、グローバル・メドテックカンパニーへの変革に向けて引き続き取り組んでいます。 業績の状況 以下(1)から(10)は継続事業の業績を、(11)は継続事業と非継続事業の合計の業績をそれぞれ示しています。(単位:百万円) 2023年3月期2024年3月期増減額増減率(%)(1)売上高881,923936,21054,2876.2% (2)売上原価285,074311,08726,0139.1%(3)販売費及び一般管理費420,547473,23152,68412.5%(4)持分法による投資損益/その他の収益/その他の費用10,307△108,294△118,601-(5)営業利益186,60943,598△143,011△76.6%(6)調整後営業利益176,793151,534△25,259△14.3%(7)金融損益△4,315△7,744△3,429-(8)税引前利益182,29435,854△146,440△80.3%(9)法人所得税費用44,3048,881△35,423△80.0%(10)継続事業からの当期利益137,99026,973△111,017△80.5%(11)親会社の所有者に帰属する当期利益143,432242,56699,13469.1%為替レート(円/米ドル)135.47144.629.15-為替レート(円/ユーロ)140.97156.8015.83-為替レート(円/人民元)19.7520.140.39- (1)売上高 前期比542億87百万円増収の9,362億10百万円となりました。内視鏡事業、治療機器事業、その他事業の全ての事業で増収となりました。詳細は次ページのセグメント別の動向に関する分析に記載しています。 (2)売上原価 前期比260億13百万円増加の3,110億87百万円となりました。売上原価率は、内視鏡事業で高速気腹装置の市場是正処置に係る費用約52億円や、小腸内視鏡システムの自主回収に伴う費用約42億円を引当計上したことにより、33.2%と前期比0.9ポイント悪化しました。(3)販売費及び一般管理費 前期比526億84百万円増加の4,732億31百万円となりました。主な要因は、総合的な品質変革プログラム Elevateや、生産性向上などを目的とした事業運営基盤の整備・強化などの持続的成長に向けた費用です。(4)持分法による投資損益/その他の収益/その他の費用 持分法による投資損益、その他の収益およびその他の費用の合算で1,082億94百万円の費用となり、前期比で損益は、1,186億1百万円悪化しました。その他の収益に関して、前期は固定資産売却益として約164億円、Medi-Tate Ltd.の買収対価の一部である条件付対価の公正価値が変動したことによる買収対価の修正により約14億円を計上した一方で、当期は「その他事業」に含まれていたコラーゲン事業等の譲渡益約11億円を計上した結果、前期比で190億40百万円減少しました。その他の費用に関しては、前期に「Transform Olympus」を推進するための関連費用約24億円を計上した一方で当期においては、Veran Medical Technologies, Inc.の電磁ナビゲーションシステム等の製造・販売終了に関する損失約519億円、総合的な品質変革プログラム Elevateに係る一時的な費用約230億円、「その他事業」に含まれている整形外科事業に関する損失約86億円、内視鏡事業における開発資産及び仕掛中の研究開発の減損損失それぞれ約60億円と約46億円、治療機器事業における開発資産の減損損失約23億円、Taewoong Medical Co., Ltd.の株式取得契約の締結及び解除に関連する費用約20億円、社外転進支援制度の実施に伴う特別支援金等の費用約59億円を計上しており、前期比で987億12百万円増加しました。(5)営業利益 上記の要因により、前期比1,430億11百万円減益の435億98百万円となりました。(6)調整後営業利益 営業利益からその他の収益およびその他の費用を除外した調整後営業利益は、上記の要因により、前期比252億59百万円減益の1,515億34百万円となりました。(7)金融損益 金融収益と金融費用を合わせた金融損益は77億44百万円の損失となり、前期比で損益は34億29百万円悪化しました。損益の悪化は、主として各通貨に対して円安が進行したことにより為替差損が拡大したことによるものです。(8)税引前利益 上記の要因により、前期比で1,464億40百万円減少となる358億54百万円となりました。(9)法人所得税費用 税引前利益が減少したことにより、前期比で354億23百万円減少し、88億81百万円となりました。(10)継続事業からの当期利益 上記の要因により、前期比で1,110億17百万円減少となる269億73百万円となりました。(11)親会社の所有者に帰属する当期利益(継続事業及び非継続事業の合算) 当連結会計年度に非継続事業において科学事業の譲渡益約3,490億円を計上したことにより、前期比で991億34百万円増益となる2,425億66百万円となりました。 (研究開発支出および設備投資) 当期においては、非継続事業を除いた継続事業で863億68百万円の研究開発費を投じるとともに、807億27百万円の設備投資を実施しました。 (為替影響) 為替相場は前期に対して、対米ドル、ユーロ及び人民元は円安で推移しました。期中の平均為替レートは、1米ドル=144.62円(前期は135.47円)、1ユーロ=156.80円(前期は140.97円)、1人民元=20.14円(前期は19.75円)となり、売上高では前期比で514億4百万円の増収要因、営業利益では前期比で122億79百万円の増益要因、調整後営業利益では前期比で171億2百万円の増益要因となりました。なお、為替の影響を除くと、連結売上高は前期比0.3%の増収、連結営業利益は前期比83.2%の減益となります。 セグメント別の動向に関する分析 売上高営業利益又は営業損失(△)前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円)増減率(%)前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円)増減率(%)内視鏡551,823586,6176.3152,769104,684△31.5治療機器318,207337,3316.063,692△8,466-その他11,89312,2623.1△914△7,809-小計881,923936,2106.2215,54788,409△59.0消去又は全社---△28,938△44,811-連結計881,923936,2106.2186,60943,598△76.6(注) 製品系列を基礎として設定された事業に、販売市場の類似性を加味してセグメント区分を行っています。 [内視鏡事業] 内視鏡事業の連結売上高は、5,866億17百万円(前期比6.3%増)、営業利益は1,046億84百万円(前期比31.5%減)となりました。 消化器内視鏡領域では、反腐敗運動による入札活動の遅れなどの影響を受けた中国で売上が減少した一方、消化器内視鏡システム「EVIS X1」を発売した北米が好調に推移し、為替の円安効果もあって前期比プラス成長となりました。 外科内視鏡領域では、事業環境が厳しい中、一部製品の出荷停止による影響を受けた北米と中国で減収となった一方、外科内視鏡システム「VISERA ELITEⅢ」を発売した欧州やアジア・オセアニアの売上が増加し、為替の円安効果もあって前期比プラス成長となりました。 医療サービス領域では、保守サービスを含む既存のサービス契約の安定的な売上に加えて、新規契約の増加もあり、全ての地域で前期比プラス成長となりました。 内視鏡事業の営業損益は、増収による売上利益の増加があったものの、高速気腹装置の市場是正処置に係る費用約52億円や、小腸内視鏡システムの自主回収に伴う費用約42億円を引当計上、要員の増加およびインフレに伴う報酬の増加等の販売部門における費用の増加や、総合的な品質変革プログラム Elevateに関する費用の発生に加え、総合的な品質変革プログラムElevateに係る一時的な費用約147億円や、開発資産及び仕掛中の研究開発の減損損失それぞれ約60億円と約46億円をその他の費用として計上したこともあり、減益となりました。 なお、為替の影響を除くと、売上高は前期比0.5%の増収、営業利益は前期比40.5%の減益となっています。 [治療機器事業] 治療機器事業の連結売上高は、3,373億31百万円(前期比6.0%増)、営業損失は84億66百万円(前期は636億92百 万円の営業利益)となりました。 消化器科処置具領域では、北米や欧州を中心にプラス成長となり、前期比増収となりました。また、膵管や胆管などの内視鏡診断・治療に使用するERCP(内視鏡的逆行性胆道膵管造影術)用の製品群、病変の切除に使用されるESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)、EMR(内視鏡的粘膜切除術)用の製品群の売上が増加しました。 泌尿器科領域では、欧州やアジア・オセアニアを中心にプラス成長となり、為替の円安効果もあって前期比増収となりました。また、BPH(前立腺肥大症)用の切除用電極等も売上の増加に貢献しました。 呼吸器科領域では、一部製品の供給不足や反腐敗運動による入札活動の遅れなどの影響があった中国で減収となった一方、北米や欧州を中心にプラス成長となり、為替の円安効果もあって前期比増収となりました。EBUS-TBNA(超音波気管支鏡ガイド下針生検)で主に使われる処置具の売上が増加しました。 その他の治療領域では、Gyrus Medical社の売却に伴い売上が減少したもの、為替の円安効果もあり前期比増収となりました。 治療機器事業の営業損益は、増収による売上利益の増加があったものの、総合的な品質変革プログラム Elevateに関する費用の発生や、サプライチェーンマネジメントの強化に係る費用の増加に加え、Veran Medical Technologies, Inc.の電磁ナビゲーションシステム等の製造・販売終了に関する損失約519億円や、総合的な品質変革プログラムElevateに係る一時的な費用約84億円、Taewoong Medical Co., Ltd.の株式取得契約の締結及び解除に関連する費用約20億円、開発資産の減損損失約23億円をその他の費用として計上したこともあり、減益となりました。 なお、為替の影響を除くと、売上高は前期並み、営業損益は前期比718億89百万円の減益となっています。 [その他事業] その他事業では、人工骨補填材等の生体材料、整形外科用器具などの開発・製造・販売等を行っているほか、新規事業に関する研究開発や探索活動に取り組んでいます。 その他事業の連結売上高は、122億62百万円(前期比3.1%増)、営業損失は78億9百万円(前期は9億14百万円の営業損失)となりました。 売上高は、中国などでプラス成長となり、増収となりました。その他事業の営業損益は、整形外科事業に関する損失約86億円をその他の費用として計上したこともあり、悪化しました。 ② 財政状態の状況 前連結会計年度末(百万円)当連結会計年度末(百万円)増 減(百万円)増減率(%)資産合計1,508,7011,534,21625,5151.7資本合計641,234757,186115,95218.1親会社所有者帰属持分比率42.4%49.4%7.0% [資産] 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末から255億15百万円増加し、1兆5,342億16百万円となりました。流動資産では、自己株式の取得により1,800億2百万円を支出したものの科学事業の譲渡対価3,790億91百万円の受領を主因に現金及び現金同等物が1,716億4百万円増加、棚卸資産が270億36百万円増加、営業債権及びその他の債権が229億27百万円増加、さらに、科学事業の譲渡益等に対する未収法人所得税が207億26百万円増加した一方で、科学事業の譲渡完了に伴い売却目的で保有する資産が1,695億66百万円減少しています。非流動資産では、有形固定資産が212億37百万円増加、営業債権及びその他の債権が187億84百万円増加、デリバティブ資産を中心としたその他の金融資産が126億70百万円増加した一方で、科学事業の譲渡益等に対する繰延税金資産が842億19百万円減少し、また、Veran Medical Technologies, Inc.の減損を主因に無形資産が247億96百万円減少しています。[負債] 負債合計は、前連結会計年度末から904億37百万円減少し、7,770億30百万円となりました。科学事業の譲渡益等 に対する未払法人所得税が609億9百万円減少、科学事業の譲渡完了に伴い売却目的で保有する資産に直接関連する負債が432億53百万円減少、また、社債及び借入金が404億41百万円減少しています。 [資本] 資本合計は、前連結会計年度末から1,159億52百万円増加し、7,571億86百万円となりました。自己株式の取得1,800億2百万円、剰余金の配当202億40百万円を行った一方で、科学事業の譲渡益等、親会社の所有者に帰属する当期利益を2,425億66百万円計上したこと、また在外営業活動体の換算差額を中心にその他の資本の構成要素が718億47百万円増加したことが主な要因です。 また、当社は2023年5月12日開催の取締役会決議に基づき、1,000億円の自己株式の取得及び2024年2月29日付での自己株式1,048億円の消却を行っています。そして、2023年11月9日開催の取締役会決議に基づく自己株式800億円の取得を行ったこと等により、自己株式739億31百万円増加(資本におけるマイナス表示額の拡大)しています。 以上の結果、親会社所有者帰属持分比率は前期末の42.4%から49.4%となりました。 ③ キャッシュ・フローの状況 前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円)増減(百万円)営業活動によるキャッシュ・フロー98,49042,365△56,125投資活動によるキャッシュ・フロー△58,414359,992418,406財務活動によるキャッシュ・フロー△143,178△276,010△132,832現金及び現金同等物期末残高205,512340,933135,421 [営業活動によるキャッシュ・フロー] 当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、423億65百万円の増加(前連結会計年度は984億90百万円の増加)となりました。法人所得税の支払1,373億90百万円があったものの、減価償却費及び償却費の調整659億40百万円、減損損失の調整645億68百万円、税引前利益358億54百万円等により増加しています。[投資活動によるキャッシュ・フロー] 当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、3,599億92百万円の増加(前連結会計年度は584億14百万円の減少)となりました。有形固定資産の取得による支出464億25百万円、無形資産の取得による支出181億99百万円があったものの、科学事業の譲渡対価として3,790億91百万円を受領したこと、またエビデント等に対する貸付金533億73百万円を回収したことが主な要因です。 また、Taewoong Medical Co., Ltd.の株式取得契約に基づく支出436億47百万円に対して、2024年3月7日付の株 式取得契約の解除に伴い当連結会計年度では311億10百万円を回収しています。 [財務活動によるキャッシュ・フロー] 当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、2,760億10百万円の減少(前連結会計年度は1,431億78百万円の減少)となりました。自己株式の取得による支出1,800億2百万円、社債の償還及び長期借入金の返済による支出500億円、配当金の支払202億40百万円、リース負債の返済による支出195億18百万円が主な要因です。 以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比較して1,354億21百万円増加し、3,409億33百万円となりました。なお、関連指標については、社債及び借入金が前期末から404億41百万円減少したものの、営業活動によるキャッシュ・フローが423億65百万円と前連結会計年度と比較して561億25百万円減少したことにより、キャッシュ・フロー対有利子負債比率が前期末の3.5年から7.1年となりました。また、インタ レスト・カバレッジ・レシオは前期末の18.3倍から8.8倍になりました。 (2)生産、受注及び販売の実績① 生産実績セグメントの名称生産高(百万円)前期比(%)内視鏡426,7871.4治療機器253,96910.1その他8,470-3.2計689,2264.4(注) 金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっています。 ② 受注実績 当社グループの製品は見込生産を主体としているため、受注状況の記載を省略しています。③ 販売実績セグメントの名称販売高(百万円)前期比(%)内視鏡586,6176.3治療機器337,3316.0その他12,2623.1計936,2106.2(注) セグメント間の取引については相殺消去しています。 (3)経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において判断したものです。 ① 当連結会計年度の財政状態及び経営成績の分析 当社グループは、2023年5月に発表した経営戦略において、2024年3月期から2026年3月期までの3年間の財務ガイダンスを、売上高成長率、EPS成長率、特殊要因を調整した調整後営業利益率で定めています。 売上高の年平均成長率(CAGR)は、5%程度を目指しています。内視鏡事業においては、主に消化器内視鏡システム「EVIS X1」の拡販によって、5%のCAGRを、治療機器事業についても、消化器科処置具、泌尿器科、呼吸器科の3領域を中心に製品ポートフォリオの拡大とM&Aを通して5%超のCAGRを、それぞれ目指しています。 また、EPSについては、持続的な売上成長をベースとして、資本効率の改善によって、売上高の成長率を上回る約8%のCAGRを、調整後営業利益率については、20%前後で維持することを、それぞれ目指します。 2024年3月期においては、中国における反腐敗運動による入札遅れや、サプライチェーン課題の長期化、インフレ、令和6年能登半島地震など、当初想定していなかった影響があり、売上高は、為替の影響を除くと、前期比0.3%の増収となりました。調整後営業利益率は、増収による売上利益の増加があったものの、持続的成長に向けた、総合的な品質変革プログラム「Elevate」や、生産性向上を目的とした事業運営基盤の整備・強化などの費用により、16.2%となりました。今後も財務ガイダンスの達成に向けて、売上成長を図るとともに、収益性のさらなる改善に取り組みます。 ② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る状況(i) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容 「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)業績等の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおり、当社グループは、当連結会計年度において、投資活動によるキャッシュ・フローにより資金が増加した一方で、自己株式の取得による支出、法人所得税の支払等があったことで、当連結会計年度末時点で保有する手元資金は3,409億33百万円(前連結会計年度末より1,354億21百万円増加)となりました。この手元資金規模は、安定した事業運営および財務基盤の確保に十分な水準であると認識しています。(ⅱ) 財務政策 当社グループは、適切な財務レバレッジのコントロールによる、財務健全性の維持と資本効率性の向上の両立を、財務政策の基本方針としています。この基本方針のもと、有利子負債/EBITDA倍率や自己資本比率等の指標を意識し、財務健全性を維持する財務政策を行っています。加えて、国内および海外の資本市場での公募社債の発行等、資金調達手法の多様化により資金調達基盤を強化し、資金調達コストの低減にも努めています。 当社は、格付投資情報センター、S&Pグローバル・レーティング・ジャパン、およびムーディーズ・ジャパンより信用格付けを取得しており、2024年3月31日現在における状況は、次のとおりです。 格付投資情報センター:A+(長期、見通し安定的)、a-1(短期)S&Pグローバル・レーティング・ジャパン:BBB+(長期、見通し安定的)ムーディーズ・ジャパン:Baa1(長期、見通し安定的) (ⅲ) 資金需要 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、当社グループの製品を製造するための材料および部品の購入費のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用によるもので、主な営業費用は、人件費および広告・販売促進費等のマーケティング費用です。また、当社グループの投資資金需要のうち主なものは、主力の製造拠点である国内工場および欧米を中心とした製造、修理拠点の拡充など、生産効率向上のための設備投資です。将来の成長に向けた戦略的な投資への資金需要に対しても、財務健全性の維持と資本効率性の向上を両立させながら、引き続き積極的に対応していきます。 (ⅳ) 資金調達 当社グループの運転資金および設備投資資金は、内部資金により充当していますが、必要に応じて金融機関からの借入や社債の発行により資金を調達しています。これらの借入金および社債については、営業活動から得られるキャッシュ・フローによって十分に完済できると考えています。また、主要な取引先金融機関とは良好な取引関係を維持していることに加えて、(ⅱ) 財務政策に記載の通り、格付投資情報センターの信用格付けはA+、S&Pグローバル・レーティング・ジャパンはBBB+およびムーディーズ・ジャパンはBaa1となっていることから、安定的かつ低コストで適時滞りなく資金調達が可能と考えています。さらに、主要通貨(米ドル・ユーロ・円)によるグローバルコミットメントラインを設定しており、機動的かつ円滑な資金調達が可能な体制を構築しています。財務健全性の維持と資本効率性の向上を両立させながら、今後も資金需要に応じて適切な資金調達を検討していきます。 (ⅴ) 資金配分 当社グループの持続的な成長を実現させるため、資金は、成長ドライバーへの投資に優先的に配分していく方針であり、収益性の高い既存事業への投資や成長機会への戦略的な投資を実施していきます。また、事業成長等への投資を優先しつつ、株主価値を考慮した積極的な株主還元も実施していきます。配当については、安定的かつ段階的に増配し、自己株式の取得については、投資機会と資金状況に応じて機動的に実施する方針です。安定した事業運営に十分な手元資金を確保しながら、成長投資や株主還元にも適切に資金配分をしていきます。 ③ 重要性がある会計方針および見積り 当社グループは、IFRSに準拠して連結財務諸表を作成しています。この連結財務諸表の作成にあたり、必要と思われる見積りにつきましては、合理的な基準に基づいて実施しています。重要性がある会計方針及び見積りの詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載のとおりです。 |
経営上の重要な契約等 | 5【経営上の重要な契約等】 (1)提携契約契約会社名相手先国名契約内容契約期間オリンパス㈱ソニー㈱日本医療事業における合弁会社の設立2012年9月28日以降、期間の定めなし (2)協業契約契約会社名相手先国名契約内容オリンパス㈱1. ソニー㈱ 2. ソニー・オリンパスメディカルソリューションズ㈱日本次世代内視鏡システムの製品開発における協業の実施 (3)子会社持分の追加取得 当社とテルモ株式会社は、2023年7月24日付で、当社の連結子会社であるオリンパステルモバイオマテリアル株式会社(以下、OTB)の全株式を当社グループが取得することで合意しました。この合意に基づき、当社グループは、2023年8月4日付でOTBの全株式を取得しました。この結果、OTBは当社グループの完全子会社になりました。 なお、当連結会計年度において終了した重要な契約は以下のとおりです。 (提携契約)契約会社名相手先国名契約内容契約期間オリンパス㈱テルモ㈱日本医療機器分野における開発・販売の提携2001年4月25日より1年、但し毎年自動延長(注)当社とテルモ株式会社は、2023年10月30日付で、上記提携契約を個別契約に移行することに合意しました。 (子会社株式の取得) 当社は、2023年2月24日付で、韓国の消化器用金属製ステントなどの医療機器メーカーであるTaewoong MedicalCo., Ltd.(以下「Taewoong Medical」)の発行済株式の全てを取得する契約を締結しましたが、Taewoong Medicalの元株主との合意に基づき、2024年3月7日付で当該株式取得契約を解除しました。 |
研究開発活動 | 6【研究開発活動】 当社グループは、経営理念である「私たちの存在意義」を「世界の人々の健康と安心、心の豊かさの実現」とし、持続的発展の実現を目指して、研究開発活動を行っています。 当社グループが強みを持つ消化器科、泌尿器科および呼吸器科の領域に投資・リソースを集中させ、収益性の高い持続的な成長の実現や、患者さんのアウトカムの改善を目指しています。 経営戦略において、当社の発展に不可欠なイノベーションのための最も重要な価値創造の柱として研究開発を位置づけており、アンメットニーズに対応したイノベーション手法の導入、将来のイノベーションを実現するための適切な投資、戦略パートナーシップの積極的な推進、製品の市場投入の迅速化を目指しています。・顧客主導のイノベーション:アンメットニーズに対応しつつ、医療費の削減を図るために、医療従事者との共同開発体制を深化させ、臨床主導でのイノベーションに注力します。・戦略パートナーシップ:ジョイントベンチャーやアーリーステージ投資、M&A、共創による戦略パートナーシップを積極的に推進します。・効率的で優れた研究開発組織:グローバルな経営資源を最大限に活用し、能力と適応力を強化することで、プロジェクトのより効率的かつ確実な実行を目指します。・適切な投資:長期的成長の実現に向け、適切な将来への投資を行っていきます。 当連結会計年度の非継続事業を除いた継続事業の研究開発支出は、前期比12.4%増の864億円であり、売上高に対する比率は前期から0.5ポイント増加し9.2%となりました。 売上高に対する研究開発支出の比率は、メドテック業界における同業他社の平均値も反映し、2026年3月期において約8.5%を研究開発活動に投資することを目指しています。当社グループが世界をリードするメドテックカンパニーとして飛躍していくためには、競争力のある革新的な製品を迅速に市場に提供していくことが重要であり、事業維持のための研究開発活動から、中期的なイノベーション・技術開発へ、そして、次世代製品のための臨床的アンメットニーズに主眼を置いた戦略遂行を支援します。また、さらなる革新的技術や画期的技術の探索への投資も推進します。 ○ 内視鏡事業 内視鏡ビデオスコープシステムや外科手術用内視鏡システムなど、病気の早期発見と患者様の負担の少ない低侵襲治療に貢献する医療機器の研究開発を主に行っています。 当期の主な成果としては、当社最上位機種の内視鏡システム「EVIS X1」の米国発売や中国発売に向けた開発および上部消化管汎用ビデオスコープ「GIF-1100」、大腸ビデオスコープ「CF-HQ1100DL/I」の米国発売に向けた開発を行いました。また、次世代内視鏡システム開発におけるソニー株式会社との協業を強化し、超音波内視鏡システム開発におけるキヤノンメディカルシステムズ株式会社との協業を推進しながら、各種製品の開発を進めています。 当事業領域に係わる研究開発支出は、前期比17.5%増の520億円です。 ○ 治療機器事業 消化器科内視鏡処置具、呼吸器科および泌尿器科治療機器など、患者様の負担の少ない低侵襲治療に貢献する医療機器の研究開発を主に行っています。 当期の主な成果としては、消化器内視鏡用処置具「FlexLifter」、「SutuArt」の欧州発売や、外科手術用デバイス「THUNDERBEAT」との組み合わせが可能になったエネルギージェネレーター「ESG-410」の米国発売、それに接続する腹腔鏡手術用血管封止デバイス「POWRERSEAL Straight Jaw」などを開発しました。また、シングルユース軟性尿管鏡「RenaFlex」の米国ローンチに続き、その他の領域におけるシングルユース内視鏡の開発を進めています。 当事業領域に係わる研究開発支出は、前期比13.9%増の259億円です。 〇 その他事業及び全社共通 内視鏡事業および治療機器事業のさらなる発展を目指し、様々な分野における研究開発を行っています。 当期の主な成果としては、早期診断・観察機能向上を実現する光学技術やAIを含む画像処理技術、低侵襲治療を 実現するためのデバイス技術やロボティクスを含む精密制御技術の開発、および内視鏡や治療器をはじめとした医療分野新製品の高機能化、低コストを実現するシミュレーション技術開発や材料技術開発、高精度レンズ量産化の加工技術開発や、自動化ラインに繋がる設備開発などの生産技術に関する取り組みなどです。 当事業領域に係わる研究開発支出は、前期比14.3%減の85億円です。 |
設備投資等の概要 | 1【設備投資等の概要】 当連結会計年度における設備投資は、当社を中心に新製品開発、生産合理化、販売体制の強化及び老朽設備の更新を主な目的として実施しており、当社グループ全体で807億円となりました。 報告セグメントごとの状況は、以下のとおりです。内視鏡事業 当連結会計年度の内視鏡事業の設備投資は、507億円となりました。 国内では、研究開発資産の投資、販売促進を目的とした投資及び次世代内視鏡システムの生産設備に対する投資が中心となっています。海外においては、販売促進を目的とした投資、研究開発資産の投資に加え、中国における生産拠点に係る投資を実施しました。治療機器事業 当連結会計年度の治療機器事業の設備投資は、193億円となりました。国内では、研究開発資産の投資、処置具製品のラインアップ強化及び増産に対応するための機械装置等の増強に対する投資が中心となっています。海外においては、販売促進を目的とした投資及び研究開発資産の投資を実施しました。その他事業 当連結会計年度のその他事業の設備投資は、14億円となりました。主に整形外科事業に関する設備投資が中心となっています。本社管理 当連結会計年度の本社管理の設備投資は、93億円となりました。主に国内における八王子事業場・長野事業場再開発に関する設備投資が中心となっています。(注)1 設備投資額には、有形固定資産の他、無形資産への投資額を含んでいます。 2 非継続事業に分類した事業は含めておりません。 |
主要な設備の状況 | 2【主要な設備の状況】 (1) 提出会社(2024年3月31日現在) 事業所(所在地)セグメントの名称設備の内容設備の種類別の帳簿価額(百万円)従業員数(人)建物及び構築物機械装置及び運搬具土地(面積千㎡)リース資産(有形)その他合計グローバル本社(東京都八王子市)内視鏡治療機器本社管理事務所設備及び試験研究用設備13,19980893(49)2314,40318,7341,509技術開発センター宇津木(東京都八王子市)内視鏡治療機器本社管理試験研究用設備及びその他備品2,9131534,231(41)125987,907230長野事業場 辰野(長野県上伊那郡辰野町)内視鏡事務所設備及び製造設備8,8898001,110(120)258711,388157長野事業場 伊那(長野県伊那市)内視鏡製造設備563167(32)―96401白河事業場(福島県西白河郡西郷村)内視鏡事務所設備及びその他備品3,39744――9234,364281相模原物流センター(神奈川県相模原市南区)内視鏡治療機器販売促進用備品89431――2654633幡ヶ谷 旧本社(東京都渋谷区)本社管理事務所設備及びその他備品――280(1)――280―新宿サテライトオフィス(東京都新宿区)137―――137274586 貸与設備 長野オリンパス㈱(長野県上伊那郡辰野町)内視鏡製造設備1,338129――2331,700―会津オリンパス㈱(福島県会津若松市)内視鏡製造設備3,390―――663,456―青森オリンパス㈱(青森県黒石市)治療機器製造設備2,173―184(31)――2,357―白河オリンパス㈱(福島県西白河郡西郷村)内視鏡製造設備―37――171208―オリンパスメディカルシステムズ㈱(東京都西多摩郡日の出町)内視鏡治療機器製造設備315――――315―その他――203――――203―厚生施設(独身寮・社宅)――621―2,609(21)―43,234―その他――201108―8577,6548,82037合計 37,4282,5118,574(295)1,10214,81164,4262,834(注)1 帳簿価額は、日本基準に基づく個別財務諸表の帳簿価額を記載しています。 2 その他は工具、器具及び備品、並びに建設仮勘定、無形資産です。 3 IFRSとの主要な差異として使用権資産(土地、建物及び構築物)1,959百万円があります。 4 連結会社以外からの主要な賃借設備の内容は、下記のとおりです。 (賃借契約)(2024年3月31日現在) 事業所(所在地)セグメントの名称設備の内容面積(千㎡)年間賃借料(百万円)新宿サテライトオフィス(東京都新宿区)本社管理事務所用建物5764 (リース契約)(2024年3月31日現在) 事業所(所在地)セグメントの名称設備の内容リース期間リース契約額(百万円)年間リース料(百万円)リース契約残高(百万円)その他本社管理ネットワーク機器2024年3月から2029年2月3616355 (2) 主要な国内子会社(2024年3月31日現在) 会社名事業所名(所在地)セグメントの名称設備の内容設備の種類別の帳簿価額(百万円)従業員数(人)建物及び構築物機械装置及び運搬具土地(面積千㎡)リース資産(有形)その他合計オリンパスメディカルシステムズ㈱日の出工場(東京都西多摩郡日の出町)内視鏡治療機器製造設備1305311,440(10)―1192,220254 管理部門 石川(東京都八王子市) 内視鏡治療機器試験研究用設備及びその他備品―631―393,5944,2642,156 技術開発センター宇津木(東京都八王子市) 内視鏡治療機器試験研究用設備及びその他備品―208―101,1911,409156 貸与設備長野オリンパス㈱(長野県上伊那郡辰野町)内視鏡製造設備151,217――1641,396― 会津オリンパス㈱(福島県会津若松市)内視鏡製造設備1,0222,4841,232(76)―6835,421― 青森オリンパス㈱(青森県黒石市)治療機器製造設備439836420(40)―1141,809― 白河オリンパス㈱(福島県西白河郡西郷村)内視鏡製造設備1791,011868(75)―6892,747― 厚生施設(独身寮・社宅)――15―40(3)――55― その他―――609―61,7242,339191 合計 1,8007,5274,000(204)558,27821,6602,757(注)1 帳簿価額は、日本基準に基づく金額を記載しています。 2 その他は工具、器具及び備品、並びに建設仮勘定、無形資産です。3 IFRSとの主要な差異として研究開発資産26,583百万円があります。 4 連結会社以外からの主要な賃借設備の内容は、下記のとおりです。 (賃借契約)(2024年3月31日現在) 事業所(所在地)セグメントの名称設備の内容面積(千㎡)年間賃借料(百万円)相模原物流センター(神奈川県相模原市南区)内視鏡治療機器倉庫32571 (3) 主要な在外子会社(2024年3月31日現在) 会社名(所在地)セグメントの名称設備の内容設備の種類別の帳簿価額(百万円)従業員数(人)建物及び構築物機械装置及び運搬具土地(面積千㎡)その他合計Olympus Corporation of the AmericasPennsylvania,U.S.A.本社管理事務所建物販売促進用備品及びその他設備13,3001,021―2,06116,382978Olympus America Inc.Pennsylvania,U.S.A.内視鏡治療機器 事業用資産5,02646887(219)32,20338,1621,401Gyrus ACMI, Inc.Massachusetts,U.S.A.治療機器製造設備、販売促進用備品及びその他設備8,8371,751139(43)19,77530,5022,670Olympus Vietnam Co.,Ltd.Dong Nai Province, Vietnam治療機器その他事務所建物製造設備4,703776―2765,7551,742Olympus (Beijing) Sales & Service Co.,Ltd.Beijing,China内視鏡治療機器 販売促進用備品及びその他設備2,4517―17,22919,6871,355KeyMed(Medical &IndustrialEquipment)Ltd.Essex,U.K.内視鏡 製造設備、販売促進用備品及びその他設備4,701218154(55)5,25610,329829Olympus Europa SE & Co. KGHamburg,Germany内視鏡治療機器 事務所建物販売促進用備品及びその他設備21,34241―5,62027,003789Olympus Winter & Ibe Properties GmbH & Co. KGHamburg,Germany内視鏡治療機器事務所建物土地12,706―2,181(34)―14,887―Olympus Winter & Ibe GmbHHamburg,Germany内視鏡治療機器事務所建物製造設備3,3502,145―1,9547,4491,523Medi-Tate Ltd.Or-Akiva,Israel治療機器無形資産1315―9,6519,67913(注)1 帳簿価額はIFRSに基づく金額を記載しています。 2 上記のうちには建設仮勘定及びソフトウエア仮勘定は含んでいません。3 その他は工具、器具及び備品並びに無形資産です。 |
設備の新設、除却等の計画 | 3【設備の新設、除却等の計画】 当グループの2024年3月末現在で計画している当連結会計年度後1年間の設備投資計画(新設・拡充)は以下のとおりです。(1) 重要な設備の新設等会社区分会社名又は事業所名(所在地)セグメントの名称設備の内容投資予定額総額(百万円)既支払額(百万円)資金調達方法完成後における生産能力提出会社長野事業場 辰野(長野県上伊那郡辰野町)内視鏡土地30―自己資金現在の生産能力と同程度となる見込みです。建物及び附属設備9,07879機械装置471―その他81―合計9,66079長野事業場 伊那(長野県伊那市)内視鏡建物及び附属設備366―自己資金その他187―合計553―グローバル本社(東京都八王子市)内視鏡治療機器本社管理建物及び附属設備6,1661,067自己資金試験研究用設備5096ソフトウェア5,701―その他1,21010合計13,5861,083貸与資産 会津オリンパス㈱内視鏡建物及び附属設備57166自己資金工具203―その他30―合計80466貸与資産 青森オリンパス㈱治療機器建物及び附属設備169―自己資金工具286―その他2503合計7053貸与資産 白河オリンパス㈱内視鏡建物及び附属設備1,032―自己資金その他444―合計1,476―貸与資産 その他―建物及び附属設備221―自己資金その他80―合計301―その他―建物及び附属設備242―自己資金試験研究用設備202―その他1812,617合計6252,617合計 27,7103,848 国内子会社オリンパスマーケティング㈱(東京都八王子市)内視鏡治療機器建物及び附属設備187―自己資金販売促進用備品10,452―その他34―合計10,673―国内子会社オリンパスメディカルシステムズ㈱(東京都八王子市)内視鏡治療機器機械装置2,1209自己資金試験研究用設備2,1682その他1835合計4,47116(注)1 日本基準に基づく金額を記載しています。 2 IFRSとの主要な差異として研究開発資産6,763百万円、使用権資産4,481百万円があります。 3 既支払額には、建設仮勘定を含んでいます。 会社区分会社名又は事業所名(所在地)セグメントの名称設備の内容投資予定額総額(百万円)既支払額(百万円)資金調達方法完成後における生産能力在外子会社Olympus Corporation of theAmericas,Olympus America Inc.他(米州)内視鏡治療機器その他建物及び附属設備2,678△319自己資金現在の生産能力と同程度となる見込みです。機械装置2,3831,434ソフトウェア8892,110販売促進用備品10,143―研究開発資産8,054―その他314443合計24,4603,669Olympus Europa SE & Co. KG,Olympus Winter & Ibe GmbH他(欧州・中東)内視鏡治療機器その他建物及び附属設備5,4001,549自己資金機械装置3,3662,279工具284103ソフトウェア1,050771販売促進用備品7,074195研究開発資産3,657―その他660157合計21,4915,052Olympus (Beijing) Sales &Service Co.,Ltd.(Beijing, China)内視鏡治療機器その他建物及び附属設備2,600―自己資金販売促進用備品3,244―その他6315合計5,90715Olympus (Suzhou) MedicalDevice Co.,Ltd.(Suzhou, China)内視鏡機械装置966―自己資金研究開発資産1,445―その他1054合計2,5164Olympus Vietnam Co.,Ltd.(Dong Nai Province, Vietnam)治療機器建物及び附属設備1,286―自己資金機械装置343―その他26―合計1,655― (2) 重要な設備の除却等 重要なものはありません。 |
研究開発費、研究開発活動 | 8,500,000,000 |
設備投資額、設備投資等の概要 | 1,400,000,000 |
Employees
平均年齢(年)、提出会社の状況、従業員の状況 | 43 |
平均勤続年数(年)、提出会社の状況、従業員の状況 | 14 |
平均年間給与、提出会社の状況、従業員の状況 | 10,410,683 |
管理職に占める女性労働者の割合、提出会社の指標 | 0 |
全労働者、労働者の男女の賃金の差異、提出会社の指標 | 1 |
正規雇用労働者、労働者の男女の賃金の差異、提出会社の指標 | 1 |
非正規雇用労働者、労働者の男女の賃金の差異、提出会社の指標 | 1 |
Investment
株式の保有状況 | (5)【株式の保有状況】 ①投資株式の区分の基準および考え方 当社は、保有目的が純投資目的である投資株式と純投資目的以外の目的である投資株式の区分について、「純投資目的」とは専ら株式の価値の変動または株式に係る配当によって利益を受けることを目的とすることと定義していますが、社内規程に則り、余剰資金の運用は、元本保証あるいはそれに準ずる安全性が確保されている方法に限定し、リスクのある投資運用は行わないこととしています。「純投資目的以外」とは、保有することによって当社グループの事業運営上、中長期的な企業価値向上に資することを目的とすることと定義しています。 ②保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式a.保有方針および保有の合理性を検証する方法ならびに個別銘柄の保有の適否に関する取締役会等における検証の内容 当社は、中長期的な経済合理性や将来の見通しを検証のうえ当社グループの中長期的な企業価値向上に資すると判断した上場株式を保有します。毎年、取締役会で個別の政策保有株式(純投資目的以外で保有する株式)について、保有目的、保有に伴う便益、リスク等を総合的に勘案の上、保有の適否を検証し、保有に適さないと判断した株式については順次縮減します。政策保有株式について、株主としての権利を行使すべく、全ての議案に対して議決権を行使することとし、政策保有先の中長期的な企業価値向上の観点から当該企業の経営状況を勘案し、議案ごとの賛否を適切に判断します。 当事業年度は、保有意義を検証した結果、1銘柄の株式を売却しました。また、1銘柄の株式を除却しています。 b.銘柄数および貸借対照表計上額 銘柄数(銘柄)貸借対照表計上額の合計額(百万円)非上場株式542非上場株式以外の株式1538 (当事業年度において株式数が増加した銘柄) 銘柄数(銘柄)株式数の増加に係る取得価額の合計額(百万円)株式数の増加の理由非上場株式---非上場株式以外の株式--- (当事業年度において株式数が減少した銘柄) 銘柄数(銘柄)株式数の減少に係る売却価額の合計額(百万円)非上場株式277非上場株式以外の株式-- c.特定投資株式およびみなし保有株式の銘柄ごとの株式数、貸借対照表計上額等に関する情報特定投資株式銘柄当事業年度前事業年度保有目的、業務提携等の概要、定量的な保有効果及び株式数が増加した理由当社の株式保有の有無株式数(株)株式数(株)貸借対照表計上額(百万円)貸借対照表計上額(百万円)㈱オハラ400,000400,000同社株式は当社の医療事業における円滑な取引関係の維持・強化のため保有しています。同社は当社医療用内視鏡に用いる光学ガラスの供給パートナーであり、協働し強固なサプライチェーンを構築しています。無538470 みなし保有株式 該当株式の保有はありません。 ③保有目的が純投資目的である投資株式 該当株式の保有はありません。 |
銘柄数、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 5 |
貸借対照表計上額、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 42,000,000 |
銘柄数、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 1 |
貸借対照表計上額、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社 | 538,000,000 |
株式数、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社 | 400,000 |
貸借対照表計上額、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社 | 538,000,000 |
銘柄、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社 | ㈱オハラ |
保有目的、業務提携等の概要、定量的な保有効果及び株式数が増加した理由、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社 | 同社株式は当社の医療事業における円滑な取引関係の維持・強化のため保有しています。同社は当社医療用内視鏡に用いる光学ガラスの供給パートナーであり、協働し強固なサプライチェーンを構築しています。 |
当該株式の発行者による提出会社の株式の保有の有無、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社 | 無 |
Shareholders
大株主の状況 | (6)【大株主の状況】 2024年3月31日現在 氏名又は名称住所所有株式数(株)発行済株式(自己株式を除く。)の総数に対する所有株式数の割合(%) 日本マスタートラスト信託銀行㈱(信託口)東京都港区赤坂1丁目8番1号赤坂インターシティAIR237,227,50020.35 ㈱日本カストディ銀行(信託口)東京都中央区晴海1丁目8番12号90,256,1007.74 ㈱SMBC信託銀行(㈱三井住友銀行退職給付信託口)東京都千代田区丸の内1丁目3番2号39,509,3003.39 SSBTC CLIENT OMNIBUS ACCOUNT(常任代理人 香港上海銀行東京支店)アメリカ ボストン(東京都中央区日本橋3丁目11番1号)37,975,3763.26 JP MORGAN CHASE BANK 385632(常任代理人 ㈱みずほ銀行)イギリス ロンドン(東京都港区港南2丁目15番1号品川インターシティA棟)27,218,9572.34 STATE STREET BANK WEST CLIENT - TREATY 505234(常任代理人 ㈱みずほ銀行)アメリカ ノース・クインシー(東京都港区港南2丁目15番1号品川インターシティA棟)22,672,9121.95 STATE STREET BANK AND TRUST COMPANY 505223(常任代理人 ㈱みずほ銀行)アメリカ ボストン(東京都港区港南2丁目15番1号品川インターシティA棟)21,827,5891.87 日本生命保険(相)東京都千代田区丸の内1丁目6番6号21,258,5721.82 GOLDMAN, SACHS & CO. REG(常任代理人 ゴールドマン・サックス証券㈱)アメリカ ニューヨーク(東京都港区六本木6丁目10番1号六本木ヒルズ森タワー)16,953,6441.46 BNYM AS AGT / CLTS 10 PERCENT(常任代理人 ㈱三菱UFJ銀行)アメリカ ニューヨーク(東京都千代田区丸の内2丁目7番1号)16,132,4791.38計-531,032,42945.56(注)1 2021年6月21日付で公衆の縦覧に供されている大量保有報告書の変更報告書において、三井住友信託銀行㈱他共同保有者2名が2021年6月15日現在で82,941,600株を保有している旨が記載されていますが、当社として2024年3月31日時点における実質所有株式数の確認ができないため、上記大株主の状況には含めていません。なお、当該大量保有報告書の変更報告書の内容は次のとおりです。氏名または名称所有株式数(株)発行済株式総数に対する所有株式数の割合(%)三井住友信託銀行㈱3,556,0000.27三井住友トラスト・アセットマネジメント㈱37,309,5002.87日興アセットマネジメント㈱42,076,1003.24合計82,941,6006.382 2021年7月9日付で公衆の縦覧に供されている大量保有報告書において、Baillie Gifford & Co他共同保有者1名が2021年6月30日現在で65,597,033株を保有している旨が記載されていますが、当社として2024年3月 31日時点における実質所有株式数の確認ができないため、上記大株主の状況には含めていません。なお、当該大量保有報告書の内容は次のとおりです。氏名または名称所有株式数(株)発行済株式総数に対する所有株式数の割合(%)Baillie Gifford & Co27,961,6562.15Baillie Gifford Overseas Limited37,635,3772.90合計65,597,0335.05 3 2022年11月4日付で公衆の縦覧に供されている大量保有報告書の変更報告書において、ブラックロック・ジャパン㈱他共同保有者7名が2022年10月31日現在で78,732,691株を保有している旨が記載されていますが、当社として2024年3月31日時点における実質所有株式数の確認ができないため、上記大株主の状況には含めていません。なお、当該大量保有報告書の変更報告書の内容は次のとおりです。氏名または名称所有株式数(株)発行済株式総数に対する所有株式数の割合(%)ブラックロック・ジャパン㈱26,958,5002.10BlackRock Investment Management LLC1,416,4520.11BlackRock (Netherlands) BV2,028,3120.16BlackRock Fund Managers Limited2,992,3590.23BlackRock Asset Management Ireland Limited6,743,4720.52BlackRock Fund Advisors19,848,9001.54BlackRock Institutional Trust Company, N.A.17,083,0721.33BlackRock Investment Management (UK) Limited1,661,6240.13合計78,732,6916.124 2023年5月10日付で公衆の縦覧に供されている大量保有報告書の変更報告書において、野村アセットマネジメント㈱他共同保有者1名が2023年4月28日現在で85,792,527株を保有している旨が記載されていますが、当社として2024年3月31日時点における実質所有株式数の確認ができないため、上記大株主の状況には含めていません。なお、当該大量保有報告書の変更報告書の内容は次のとおりです。 氏名または名称所有株式数(株)発行済株式総数に対する所有株式数の割合(%)NOMURA INTERNATIONAL PLC2,882,6270.23野村アセットマネジメント㈱82,909,9006.55合計85,792,5276.78 |
株主数-金融機関 | 59 |
株主数-金融商品取引業者 | 44 |
株主数-外国法人等-個人 | 224 |
株主数-外国法人等-個人以外 | 838 |
株主数-個人その他 | 54,270 |
株主数-その他の法人 | 516 |
株主数-計 | 55,951 |
氏名又は名称、大株主の状況 | BNYM AS AGT / CLTS 10 PERCENT(常任代理人 ㈱三菱UFJ銀行) |
株主総利回り | 2 |
株主総会決議による取得の状況 | (1)【株主総会決議による取得の状況】 該当事項はありません。 |
株主総会決議又は取締役会決議に基づかないものの内容 | (3)【株主総会決議又は取締役会決議に基づかないものの内容】 区分株式数(株)価額の総額(円)当事業年度における取得自己株式1,6192,098,910当期間における取得自己株式100233,752(注)1 当事業年度における取得自己株式のうち639株は、譲渡制限付株式報酬制度により無償取得したものです。2 当期間における取得自己株式には、2024年6月1日からこの有価証券報告書提出日までの単元未満株式の買取りによる株式は含んでいません。 |
Shareholders2
自己株式の取得 | -180,002,000,000 |
Audit
監査法人1、連結 | EY新日本有限責任監査法人 |
独立監査人の報告書、連結 | 独立監査人の監査報告書及び内部統制監査報告書 2024年6月20日オリンパス株式会社 取締役会 御中 EY新日本有限責任監査法人東京事務所 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士山﨑 隆浩 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士吉田 哲也 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士今野 光晴 <連結財務諸表監査>監査意見 当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられているオリンパス株式会社の2023年4月1日から2024年3月31日までの連結会計年度の連結財務諸表、すなわち、連結財政状態計算書、連結損益計算書、連結包括利益計算書、連結持分変動計算書、連結キャッシュ・フロー計算書及び連結財務諸表注記について監査を行った。 当監査法人は、上記の連結財務諸表が、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条により規定された国際会計基準に準拠して、オリンパス株式会社及び連結子会社の2024年3月31日現在の財政状態並びに同日をもって終了する連結会計年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。 監査意見の根拠 当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準における当監査法人の責任は、「連結財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。 監査上の主要な検討事項 監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 治療機器セグメントのれんの評価監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応 連結財務諸表注記「16.非金融資産の減損 (2)のれんの減損テスト」に記載されているとおり、会社は当連結会計年度において治療機器セグメント(資金生成単位)に関するのれんの減損テストを実施している。2024年3月31日現在、治療機器セグメントに関するのれんの金額は147,910百万円(連結総資産の9.6%)である。 会社は治療機器セグメントに関するのれんの減損テストの実施にあたり、回収可能価額を使用価値により測定している。使用価値は経営者が承認した5年を限度とした事業計画によるキャッシュ・フローと事業計画の期間経過後の成長率を基礎とした継続価値を、現在価値に割り引いて算定されている。使用価値の算定に際しての主要な仮定は、以下のとおりである。・事業計画における成長率と営業利益率・計画期間経過後の成長率・割引率 これら主要な仮定は経営者の見積りに伴う不確実性を含んでおり、使用価値の算定に重要な影響を及ぼす。このうち、事業計画における成長率と営業利益率は、処置具やデバイスのポートフォリオ拡充と手技の普及による成長を前提としているが、これらは会社が治療機器事業を展開する国・地域の医療機器に関する規制や、他社製品との競合といった外部環境の影響を受ける。 当連結会計年度においては、FDA(米国食品医薬品局)から前連結会計年度に受領したWarning Letterに対応するための改善活動が継続するとともに、過年度に治療機器事業において買収したVeran Medical Technologies, Inc.(以下、VMT)社の製品の製造・販売の終了という治療機器事業の事業計画と資産に影響を与える意思決定が行われていることから、当監査法人は当該事項を監査上の主要な検討事項と判断した。 当監査法人は、治療機器セグメントのれんの評価を検討するにあたり、主として以下の監査手続を実施した。 ●5年を限度とした事業計画の前提となる治療機器事業の戦略を理解するため、経営者への質問を行うとともに、以下の事項について協議した。・ 会社が2023年5月に公表した経営戦略と治療機器事業の戦略との整合性・ VMT製品の製造・販売の終了が治療機器事業の戦略に与える影響・ Warning Letterの指摘に対する改善計画の進捗と今後の見通しが新製品の開発活動や市場への導入時期に与える影響、また、改善活動に関連する将来コストの見積り 加えて、取締役会等での関連する議事資料を閲覧した。●事業計画に用いられている成長率及び営業利益率について、過去実績、市場予測及び利用可能な外部データとの比較を行った。仮定に含まれるリスク要因に対して一定のストレスを加味した監査人独自の感応度分析を実施した。●当監査法人のネットワーク・ファームの評価専門家を関与させ、以下の手続を実施した。・ 計画期間経過後の成長率について、市場予測及び利用可能な外部データとの比較を行った。・ 割引率について、評価専門家が設定した許容範囲と比較し、算定方法の合理性及び算定基礎として利用された外部データの信頼性を評価した。・ 使用価値算定について、算定方法の合理性を評価した。 Veran Medical Technologies, Inc.関連資産の減損損失の計上監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応 連結財務諸表注記「16.非金融資産の減損(1)減損損失」に記載されているとおり、会社は、当連結会計年度において連結子会社であるVMT社製品の製造・販売を終了することを決定した。 会社はVMTの製造・販売に関連する固定資産について、従前は治療機器セグメント内の他の資産とのシナジー等を考慮し、当事業セグメントを資金生成単位とした減損テストを実施していたが、当該決定に伴い、事業セグメント単位ではなく、同社の買収に関して発生した固定資産に対して個別に減損テストを実施し処分費用控除後の公正価値を零と評価した上で、のれん20,227百万円を含む固定資産の減損損失41,704百万円を「その他の費用」に計上している。 減損テストに関し、帰属する資産の資金生成単位からの分離は経営者の重要な判断を伴うとともに、関連する減損損失の影響額は連結財務諸表に対して重要な影響を及ぼすことから、当監査法人は当該事項を監査上の主要な検討事項に該当するものと判断した。 当監査法人は、VMT社関連資産の減損損失の計上について、主として以下の監査手続を実施した。 ●VMT 社製品の製造・販売終了の事業戦略上の背景を理解するため、経営者への質問を行うとともに、取締役会等での議事資料を閲覧した。●当該意思決定が、関連する資金生成単位である治療機器セグメントに及ぼす影響を考慮し、減損対象となるのれんの範囲、金額についての妥当性を評価した。●減損損失の測定が適切に行われていることを評価するため、構成単位の監査人を関与させて、以下の手続を実施した。・ VMT 社の固定資産が網羅的に減損検討の対象とされていることを検証するため、VMT 社の残高試算表を閲覧し、固定資産の勘定科目残高と減損計上額との比較を行った。・ 回収可能価額について、処分費用控除後の公正価値を零として評価することの妥当性を検討した。 繰延税金資産の評価監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応 会社は2024年3月期に係る連結財政状態計算書において、繰延税金資産72,324百万円を計上しており、連結財務諸表注記「37.法人所得税(1)繰延税金資産及び繰延税金負債」に記載されているとおり、繰延税金負債との相殺前金額は111,159百万円である。 連結財務諸表注記「3.重要性がある会計方針(21)法人所得税」に記載のとおり、会社及び一部の子会社はグループ通算税制を適用しており、繰延税金資産については、将来減算一時差異、未使用の繰越税額控除及び繰越欠損金について、それらを回収できる課税所得が生じると見込まれる範囲内において認識される。 繰延税金資産の回収可能性の判断に用いられる課税所得金額の見積りは、経営者が作成した事業計画を基礎として行われるが、その主要な仮定である成長率、営業利益率は経営者の判断を含んでいる。特に当連結会計年度においては、FDA(米国食品医薬品局)から前連結会計年度に受領したWarning Letterに対応するための改善活動が継続しており、この進捗および見通しに関する経営者の判断は主要な仮定に影響を与える。 このため、当監査法人は当該事項を監査上の主要な検討事項と判断した。 当監査法人は、繰延税金資産の回収可能性の判断の妥当性を評価するにあたり、主として以下の監査手続を実施した。 ●将来の課税所得見込の基礎となる事業計画策定の見積りプロセスの有効性を評価するため、過年度の事業計画と実績とを比較した。●事業計画に用いられている成長率及び営業利益率について、過去実績、市場予測及び利用可能な外部データとの比較を行った。●Warning Letter の指摘に対する改善活動に関連するコストの見積りについて経営者への質問を行うとともに、当該コストが将来課税所得計算に与える影響を評価するため、会社が作成した資料を閲覧した。●将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金の残高について、解消見込年度のスケジューリングの妥当性を評価するため、会社作成のスケジューリング関連資料を閲覧した上で、これと将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金の解消時期の比較を行った。 その他の記載内容 その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査委員会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における執行役及び取締役の職務の執行を監視することにある。 当監査法人の連結財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。 連結財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と連結財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 連結財務諸表に対する経営者及び監査委員会の責任 経営者の責任は、国際会計基準に準拠して連結財務諸表を作成し適正に表示することにある。これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない連結財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。 連結財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき連結財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、国際会計基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。 監査委員会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における執行役及び取締役の職務の執行を監視することにある。 連結財務諸表監査における監査人の責任 監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての連結財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から連結財務諸表に対する意見を表明することにある。虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、連結財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。 監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。・ 不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。・ 連結財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。・ 経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。・ 経営者が継続企業を前提として連結財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において連結財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する連結財務諸表の注記事項が適切でない場合は、連結財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。・ 連結財務諸表の表示及び注記事項が、国際会計基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた連結財務諸表の表示、構成及び内容、並びに連結財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。・ 連結財務諸表に対する意見を表明するために、会社及び連結子会社の財務情報に関する十分かつ適切な監査証拠を入手する。監査人は、連結財務諸表の監査に関する指示、監督及び実施に関して責任がある。監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。 監査人は、監査委員会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。 監査人は、監査委員会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。 監査人は、監査委員会と協議した事項のうち、当連結会計年度の連結財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。 <内部統制監査>監査意見 当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第2項の規定に基づく監査証明を行うため、オリンパス株式会社の2024年3月31日現在の内部統制報告書について監査を行った。 当監査法人は、オリンパス株式会社が2024年3月31日現在の財務報告に係る内部統制は有効であると表示した上記の内部統制報告書が、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して、財務報告に係る内部統制の評価結果について、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。 監査意見の根拠 当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に準拠して内部統制監査を行った。財務報告に係る内部統制の監査の基準における当監査法人の責任は、「内部統制監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。 内部統制報告書に対する経営者及び監査委員会の責任 経営者の責任は、財務報告に係る内部統制を整備及び運用し、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して内部統制報告書を作成し適正に表示することにある。 監査委員会の責任は、財務報告に係る内部統制の整備及び運用状況を監視、検証することにある。 なお、財務報告に係る内部統制により財務報告の虚偽の記載を完全には防止又は発見することができない可能性がある。 内部統制監査における監査人の責任 監査人の責任は、監査人が実施した内部統制監査に基づいて、内部統制報告書に重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、内部統制監査報告書において独立の立場から内部統制報告書に対する意見を表明することにある。 監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。・ 内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果について監査証拠を入手するための監査手続を実施する。内部統制監査の監査手続は、監査人の判断により、財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性に基づいて選択及び適用される。・ 財務報告に係る内部統制の評価範囲、評価手続及び評価結果について経営者が行った記載を含め、全体としての内部統制報告書の表示を検討する。・ 内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果に関する十分かつ適切な監査証拠を入手する。監査人は、内部統制報告書の監査に関する指示、監督及び実施に関して責任がある。監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。 監査人は、監査委員会に対して、計画した内部統制監査の範囲とその実施時期、内部統制監査の実施結果、識別した内部統制の開示すべき重要な不備、その是正結果、及び内部統制の監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。 監査人は、監査委員会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。 <報酬関連情報> 当監査法人及び当監査法人と同一のネットワークに属する者に対する、会社及び子会社の監査証明業務に基づく報酬及び非監査業務に基づく報酬の額は、「提出会社の状況」に含まれるコーポレート・ガバナンスの状況等(3)【監査の状況】 に記載されている。 利害関係 会社及び連結子会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。 以 上※ 1.上記の監査報告書の原本は、当社が連結財務諸表及び内部統制報告書に添付する形で別途保管しています。2.XBRLデータは監査の対象には含まれていません。 |
監査上の主要な検討事項、連結 | 監査上の主要な検討事項 監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 治療機器セグメントのれんの評価監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応 連結財務諸表注記「16.非金融資産の減損 (2)のれんの減損テスト」に記載されているとおり、会社は当連結会計年度において治療機器セグメント(資金生成単位)に関するのれんの減損テストを実施している。2024年3月31日現在、治療機器セグメントに関するのれんの金額は147,910百万円(連結総資産の9.6%)である。 会社は治療機器セグメントに関するのれんの減損テストの実施にあたり、回収可能価額を使用価値により測定している。使用価値は経営者が承認した5年を限度とした事業計画によるキャッシュ・フローと事業計画の期間経過後の成長率を基礎とした継続価値を、現在価値に割り引いて算定されている。使用価値の算定に際しての主要な仮定は、以下のとおりである。・事業計画における成長率と営業利益率・計画期間経過後の成長率・割引率 これら主要な仮定は経営者の見積りに伴う不確実性を含んでおり、使用価値の算定に重要な影響を及ぼす。このうち、事業計画における成長率と営業利益率は、処置具やデバイスのポートフォリオ拡充と手技の普及による成長を前提としているが、これらは会社が治療機器事業を展開する国・地域の医療機器に関する規制や、他社製品との競合といった外部環境の影響を受ける。 当連結会計年度においては、FDA(米国食品医薬品局)から前連結会計年度に受領したWarning Letterに対応するための改善活動が継続するとともに、過年度に治療機器事業において買収したVeran Medical Technologies, Inc.(以下、VMT)社の製品の製造・販売の終了という治療機器事業の事業計画と資産に影響を与える意思決定が行われていることから、当監査法人は当該事項を監査上の主要な検討事項と判断した。 当監査法人は、治療機器セグメントのれんの評価を検討するにあたり、主として以下の監査手続を実施した。 ●5年を限度とした事業計画の前提となる治療機器事業の戦略を理解するため、経営者への質問を行うとともに、以下の事項について協議した。・ 会社が2023年5月に公表した経営戦略と治療機器事業の戦略との整合性・ VMT製品の製造・販売の終了が治療機器事業の戦略に与える影響・ Warning Letterの指摘に対する改善計画の進捗と今後の見通しが新製品の開発活動や市場への導入時期に与える影響、また、改善活動に関連する将来コストの見積り 加えて、取締役会等での関連する議事資料を閲覧した。●事業計画に用いられている成長率及び営業利益率について、過去実績、市場予測及び利用可能な外部データとの比較を行った。仮定に含まれるリスク要因に対して一定のストレスを加味した監査人独自の感応度分析を実施した。●当監査法人のネットワーク・ファームの評価専門家を関与させ、以下の手続を実施した。・ 計画期間経過後の成長率について、市場予測及び利用可能な外部データとの比較を行った。・ 割引率について、評価専門家が設定した許容範囲と比較し、算定方法の合理性及び算定基礎として利用された外部データの信頼性を評価した。・ 使用価値算定について、算定方法の合理性を評価した。 Veran Medical Technologies, Inc.関連資産の減損損失の計上監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応 連結財務諸表注記「16.非金融資産の減損(1)減損損失」に記載されているとおり、会社は、当連結会計年度において連結子会社であるVMT社製品の製造・販売を終了することを決定した。 会社はVMTの製造・販売に関連する固定資産について、従前は治療機器セグメント内の他の資産とのシナジー等を考慮し、当事業セグメントを資金生成単位とした減損テストを実施していたが、当該決定に伴い、事業セグメント単位ではなく、同社の買収に関して発生した固定資産に対して個別に減損テストを実施し処分費用控除後の公正価値を零と評価した上で、のれん20,227百万円を含む固定資産の減損損失41,704百万円を「その他の費用」に計上している。 減損テストに関し、帰属する資産の資金生成単位からの分離は経営者の重要な判断を伴うとともに、関連する減損損失の影響額は連結財務諸表に対して重要な影響を及ぼすことから、当監査法人は当該事項を監査上の主要な検討事項に該当するものと判断した。 当監査法人は、VMT社関連資産の減損損失の計上について、主として以下の監査手続を実施した。 ●VMT 社製品の製造・販売終了の事業戦略上の背景を理解するため、経営者への質問を行うとともに、取締役会等での議事資料を閲覧した。●当該意思決定が、関連する資金生成単位である治療機器セグメントに及ぼす影響を考慮し、減損対象となるのれんの範囲、金額についての妥当性を評価した。●減損損失の測定が適切に行われていることを評価するため、構成単位の監査人を関与させて、以下の手続を実施した。・ VMT 社の固定資産が網羅的に減損検討の対象とされていることを検証するため、VMT 社の残高試算表を閲覧し、固定資産の勘定科目残高と減損計上額との比較を行った。・ 回収可能価額について、処分費用控除後の公正価値を零として評価することの妥当性を検討した。 繰延税金資産の評価監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応 会社は2024年3月期に係る連結財政状態計算書において、繰延税金資産72,324百万円を計上しており、連結財務諸表注記「37.法人所得税(1)繰延税金資産及び繰延税金負債」に記載されているとおり、繰延税金負債との相殺前金額は111,159百万円である。 連結財務諸表注記「3.重要性がある会計方針(21)法人所得税」に記載のとおり、会社及び一部の子会社はグループ通算税制を適用しており、繰延税金資産については、将来減算一時差異、未使用の繰越税額控除及び繰越欠損金について、それらを回収できる課税所得が生じると見込まれる範囲内において認識される。 繰延税金資産の回収可能性の判断に用いられる課税所得金額の見積りは、経営者が作成した事業計画を基礎として行われるが、その主要な仮定である成長率、営業利益率は経営者の判断を含んでいる。特に当連結会計年度においては、FDA(米国食品医薬品局)から前連結会計年度に受領したWarning Letterに対応するための改善活動が継続しており、この進捗および見通しに関する経営者の判断は主要な仮定に影響を与える。 このため、当監査法人は当該事項を監査上の主要な検討事項と判断した。 当監査法人は、繰延税金資産の回収可能性の判断の妥当性を評価するにあたり、主として以下の監査手続を実施した。 ●将来の課税所得見込の基礎となる事業計画策定の見積りプロセスの有効性を評価するため、過年度の事業計画と実績とを比較した。●事業計画に用いられている成長率及び営業利益率について、過去実績、市場予測及び利用可能な外部データとの比較を行った。●Warning Letter の指摘に対する改善活動に関連するコストの見積りについて経営者への質問を行うとともに、当該コストが将来課税所得計算に与える影響を評価するため、会社が作成した資料を閲覧した。●将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金の残高について、解消見込年度のスケジューリングの妥当性を評価するため、会社作成のスケジューリング関連資料を閲覧した上で、これと将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金の解消時期の比較を行った。 |
全体概要、監査上の主要な検討事項、連結 | 監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 |
見出し、監査上の主要な検討事項、連結 | 繰延税金資産の評価 |
内容及び理由、監査上の主要な検討事項、連結 | 会社は2024年3月期に係る連結財政状態計算書において、繰延税金資産72,324百万円を計上しており、連結財務諸表注記「37.法人所得税(1)繰延税金資産及び繰延税金負債」に記載されているとおり、繰延税金負債との相殺前金額は111,159百万円である。 連結財務諸表注記「3.重要性がある会計方針(21)法人所得税」に記載のとおり、会社及び一部の子会社はグループ通算税制を適用しており、繰延税金資産については、将来減算一時差異、未使用の繰越税額控除及び繰越欠損金について、それらを回収できる課税所得が生じると見込まれる範囲内において認識される。 繰延税金資産の回収可能性の判断に用いられる課税所得金額の見積りは、経営者が作成した事業計画を基礎として行われるが、その主要な仮定である成長率、営業利益率は経営者の判断を含んでいる。特に当連結会計年度においては、FDA(米国食品医薬品局)から前連結会計年度に受領したWarning Letterに対応するための改善活動が継続しており、この進捗および見通しに関する経営者の判断は主要な仮定に影響を与える。 このため、当監査法人は当該事項を監査上の主要な検討事項と判断した。 |
開示への参照、監査上の主要な検討事項、連結 | 連結財務諸表注記「37.法人所得税(1)繰延税金資産及び繰延税金負債」 |
開示への参照2、監査上の主要な検討事項、連結 | 連結財務諸表注記「3.重要性がある会計方針(21)法人所得税」 |
監査上の対応、監査上の主要な検討事項、連結 | 当監査法人は、繰延税金資産の回収可能性の判断の妥当性を評価するにあたり、主として以下の監査手続を実施した。 ●将来の課税所得見込の基礎となる事業計画策定の見積りプロセスの有効性を評価するため、過年度の事業計画と実績とを比較した。●事業計画に用いられている成長率及び営業利益率について、過去実績、市場予測及び利用可能な外部データとの比較を行った。●Warning Letter の指摘に対する改善活動に関連するコストの見積りについて経営者への質問を行うとともに、当該コストが将来課税所得計算に与える影響を評価するため、会社が作成した資料を閲覧した。●将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金の残高について、解消見込年度のスケジューリングの妥当性を評価するため、会社作成のスケジューリング関連資料を閲覧した上で、これと将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金の解消時期の比較を行った。 |
その他の記載内容、連結 | その他の記載内容 その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査委員会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における執行役及び取締役の職務の執行を監視することにある。 当監査法人の連結財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。 連結財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と連結財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 |
報酬関連情報、連結 | <報酬関連情報> 当監査法人及び当監査法人と同一のネットワークに属する者に対する、会社及び子会社の監査証明業務に基づく報酬及び非監査業務に基づく報酬の額は、「提出会社の状況」に含まれるコーポレート・ガバナンスの状況等(3)【監査の状況】 に記載されている。 |
Audit1
監査法人1、個別 | EY新日本有限責任監査法人 |
独立監査人の報告書、個別 | 独立監査人の監査報告書 2024年6月20日オリンパス株式会社 取締役会 御中 EY新日本有限責任監査法人東京事務所 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士山﨑 隆浩 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士吉田 哲也 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士今野 光晴 <財務諸表監査>監査意見 当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられているオリンパス株式会社の2023年4月1日から2024年3月31日までの事業年度の財務諸表、すなわち、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、重要な会計方針、その他の注記及び附属明細表について監査を行った。 当監査法人は、上記の財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、オリンパス株式会社の2024年3月31日現在の財政状態及び同日をもって終了する事業年度の経営成績を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。 監査意見の根拠 当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準における当監査法人の責任は、「財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。 監査上の主要な検討事項 監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 (繰延税金資産の評価) 会社は2024年3月期に係る貸借対照表において、繰延税金資産11,198百万円を計上しており、財務諸表注記の(重要な会計上の見積り)5.繰延税金資産の回収可能性に記載されているとおり、繰延税金負債との相殺前金額は17,261百万円である。 当該事項について、監査人が監査上の主要な検討事項と決定した理由及び監査上の対応は、連結財務諸表の監査報告書に記載されている監査上の主要な検討事項(繰延税金資産の評価)と同一内容であるため、記載を省略している。 その他の記載内容 その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査委員会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における執行役及び取締役の職務の執行を監視することにある。 当監査法人の財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。 財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 財務諸表に対する経営者及び監査委員会の責任 経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して財務諸表を作成し適正に表示することにある。これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。 財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。 監査委員会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における執行役及び取締役の職務の執行を監視することにある。 財務諸表監査における監査人の責任 監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から財務諸表に対する意見を表明することにある。虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。 監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。・ 不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。・ 財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。・ 経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。・ 経営者が継続企業を前提として財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する財務諸表の注記事項が適切でない場合は、財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。・ 財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた財務諸表の表示、構成及び内容、並びに財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。 監査人は、監査委員会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。 監査人は、監査委員会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。 監査人は、監査委員会と協議した事項のうち、当事業年度の財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。 <報酬関連情報> 報酬関連情報は、連結財務諸表の監査報告書に記載されている。 利害関係 会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。 以 上※ 1.上記の監査報告書の原本は、当社が財務諸表に添付する形で別途保管しています。2.XBRLデータは監査の対象には含まれていません。 |
監査上の主要な検討事項、個別 | 監査上の主要な検討事項 監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 (繰延税金資産の評価) 会社は2024年3月期に係る貸借対照表において、繰延税金資産11,198百万円を計上しており、財務諸表注記の(重要な会計上の見積り)5.繰延税金資産の回収可能性に記載されているとおり、繰延税金負債との相殺前金額は17,261百万円である。 当該事項について、監査人が監査上の主要な検討事項と決定した理由及び監査上の対応は、連結財務諸表の監査報告書に記載されている監査上の主要な検討事項(繰延税金資産の評価)と同一内容であるため、記載を省略している。 |
全体概要、監査上の主要な検討事項、個別 | 監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 |
見出し、監査上の主要な検討事項、個別 | (繰延税金資産の評価) |