財務諸表

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提出書類、表紙有価証券報告書
提出日、表紙2024-06-21
英訳名、表紙PASCO CORPORATION
代表者の役職氏名、表紙代表取締役社長 高 橋 識 光
本店の所在の場所、表紙東京都目黒区下目黒一丁目7番1号
電話番号、本店の所在の場所、表紙03(5722)7600(代表)
様式、DEI第三号様式
会計基準、DEIJapan GAAP
連結決算の有無、DEItrue
当会計期間の種類、DEIFY

corp

沿革 2 【沿革】
1953年10月パシフィック航空測量株式会社として創業1960年6月航空機使用事業免許取得1962年12月東京証券取引所市場第二部に上場1974年2月東京証券取引所市場第一部に上場1981年10月米国のESRI社の地理情報システム(GIS)基本ソフトの販売開始1983年10月商号を「株式会社パスコ」に変更1985年7月株式会社GIS北海道(設立時社名・㈱北海道測技)を設立(現・連結子会社)1986年11月株式会社GIS関東(設立時社名・㈱大宮測技)を設立(現・連結子会社)1989年2月米国のERDAS社(現 Hexagon Geospatial社)のGIS関連ソフトの販売開始1989年6月フィリピン共和国にPASCO Philippines Corporation(設立時社名・PASCO-CERTEZA COMPUTER MAPPING Corp.)を設立(現・連結子会社)1992年2月国立野辺山天文台の電波ヘリオグラフアンテナの精密測量実施1997年3月山梨県リニアモーターカー実験線のGPS基準点測量、精密測量を実施1998年7月全庁型GISパッケージソフト「PasCAL」リリース1999年7月「品質マネジメントシステム(QMS):ISO 9001[JISQ 9001]」の認証取得1999年8月セコムグループ入り・無償減資および第三者割当増資(引受先 セコム株式会社)2000年8月航空写真測量のフルデジタル化技術の導入2002年3月三次元デジタル都市モデル「MAPCUBE」サービス開始2002年12月「情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS):ISO/IEC 27001[JISQ 27001]」の認証取得2003年2月「環境マネジメントシステム(EMS):ISO 14001[JISQ 14001]」の認証取得2003年6月タイ王国の測量会社PASCO (Thailand) Co., Ltd.(通称パスコ・タイ)の株式取得(現・連結子会社)2003年8月配送計画支援システム「LogiSTAR」販売開始2003年11月エリアマーケティング「MarketPlanner」サービス開始2004年4月デジタル画像自動処理システムの稼動開始2005年2月ドイツ連邦共和国のInfoterra GmbH(現・Airbus Defence and Space GmbH)と衛星利用に関するパートナー契約を締結2005年11月「プライバシーマーク[個人情報保護マネジメントシステム(PMS)]:[JISQ 15001]」の認定取得2006年12月インドネシア共和国のPT. Nusantara Secom InfoTech(通称パスコ・インドネシア)の株式取得(現・連結子会社)2007年11月人工衛星データ受信局(沖縄地球局)を設置2007年12月ドイツ連邦共和国Infoterra GmbH(現・Airbus Defence and Space GmbH)の合成開口レーダ(SAR)衛星「TerraSAR-X」の運用とサービスを開始2010年8月MMS(モービル・マッピング・システム)高精度情報センター開設2010年12月東日本総合計画株式会社(取得時社名・東武計画㈱)の株式取得(現・連結子会社)2011年10月GIS(地理情報システム)クラウドサービス「PasCAL for LGWAN」の提供を開始2011年11月フランス共和国のSpot Image S.A.,(現・Airbus DS Geo S.A.)と超高解像度光学衛星「Pleiades(プレアデス)」のダイレクトアクセスサービス契約を締結(販売権の取得)2014年11月陸域観測技術衛星2号「だいち2号」(ALOS-2)データ等の配布開始2014年12月フランス共和国のAirbus DS Geo S.A.と衛星画像等の日本国内における総代理店契約を締結 株式会社サテライトイメージマーケティング(取得時社名・東京スポットイマージュ㈱)の株式取得(現・連結子会社)2016年7月「国土強靭化貢献団体」としてレジリエンス認証取得2016年8月「アセットマネジメントシステム(AMS):ISO 55001[JISQ 55001]」の認証取得2017年10月「ITサービスマネジメントシステム(ITSMS):ISO/IEC 20000-1[JISQ 20000-1]」の認証取得2017年11月「クラウドセキュリティ(ISMS-CLS):ISO/IEC 27017[JISQ 27017]」の認証取得 2018年5月「パスコグループ中期経営計画 2018-2022」を策定2018年9月配送計画からナビゲーションまでをワンストップで提供するため、株式会社ナビタイムジャパンと業務提携2018年12月平成30年度大規模自然災害等の被災地域支援活動に対し、環境大臣賞を受賞2019年3月衛星地上局の共同利用と衛星データ利活用分野の新事業創出を目指し、宇宙関連事業でスカパーJSAT株式会社と業務提携2019年4月水陸同時計測できるドローン搭載型グリーンレーザースキャナの販売開始2019年7月高精細な3次元データで森林を細部まで把握し、森林の適切な管理を支援するため、最新の航空機搭載型レーザー計測機(Terrain Mapper)を日本初導入2019年10月超小型人工衛星を利用した北極域観測技術の構築に向けて、北海道大学、東北大学および国立台湾海洋大学と共同開発した海洋観測カメラによる有色溶存有機物の観測に成功2019年12月インドネシア共和国における農地管理の高度化を目指し、インドネシア航空宇宙研究所(LAPAN)と地球観測衛星データの活用に関する実証実験を開始2020年1月「スマート農業」普及のため、東京農業大学および東京情報大学と包括連携協定を締結 配送計画からバース予約までをワンストップで提供するため、株式会社モノフルと業務提携2020年3月応用地質株式会社と協業に向けた覚書を締結(リスク情報プラットフォーム構築の検討) 空間情報事業分野におけるAI(人工知能)人材の育成に特化した独自の教育プログラムを東京大学EdTech連携研究機構と共同で開発 九州大学と連携した「G空間情報技術を活用した地域防災システム」の研究と社会実装の成果が評価され、内閣府の「第4回宇宙開発利用大賞 環境大臣賞」を受賞2020年6月AIで解析する「衛星を活用した森林変化情報サービス」を開始2020年9月長年にわたる開発途上国など海外の国土開発への協力に対し、小沢海外功労賞を受賞2020年11月米スカイライン・ソフトウェア・システムズ社と戦略的パートナーシップ提携に向けた覚書を締結道路計測車両システム「Real Dimension(リアルディメンション)」の運用を開始2020年12月国土交通省が全国約50都市で取り組む「まちづくりの DX」事業に参画2021年3月 2019年度、2020年度大規模自然災害等の被災地域支援活動に対し、環境大臣賞を受賞2021年4月三菱電機株式会社はじめ衛星データを取り扱う6社共同で「衛星データサービス企画株式会社」の設立に合意2021年5月東京都目黒区下目黒に本店を移転2021年7月セコムグループの一員として「SBT」認定を取得、「RE100」に加盟2021年8月セコム株式会社と自律飛行ドローンを活用した公共インフラ巡回監視の実証実験に着手2021年10月米Vexcel Imaging社(ベクセル社)と日本国内における航空写真データの整備に関する契約を締結2021年11月不動産ソリューション「LandManager Realestate(LMR)売買版」のサービスを開始2021年12月港湾 DX と洋上風力発電の調査・計画を支援するため海洋における空間情報の計測体制を強化2022年4月東京証券取引所の新市場区分「スタンダード市場」に移行2022年5月米スカイライン・ソフトウェア・システムズ社と販売代理店契約を締結世界で評価されている3次元ビジュアライゼーションソフトウェアの販売を開始2022年6月次世代のTMS「LogiSTAR Geospatial LINKS」のサービスを開始2022年7月データ処理能力向上と事業継続リスク低減に向けて新潟市に空間情報処理センターを開設2022年8月森林内での現地調査ツール「SmartSOKURYO POLE」のサービス提供を開始2022年9月防犯カメラ等の映像から浸水状況を即時把握するAI解析モデルを開発2022年11月経済産業省が選定する「DX認定事業者」に認定2023年3月国土交通省から「インフラDX 大賞」を受賞 IoTインフラ遠隔監視サービス「Infra Eye」の販売を開始2023年4月セコム株式会社と実施した、自律飛行ドローンを活用した公共インフラ巡回監視の実証実験が「ジャパン・レジリエンス・アワード」準グランプリ・二階俊博国土強靱化提唱者賞を受賞 天草市・京都大学と共同でメタバースを活用した文化遺産の保存と活用のための実証を開始 2023年5月ENEOS株式会社と航空レーザー計測を活用した森林由来J-クレジット創出事業における連携 3次元地理空間情報データ配信プラットフォーム「TerraVerse」の提供を開始 2023年8月「パスコグループ中期経営計画2023-2025」を策定 タイ地理情報・宇宙技術開発機関(GISTDA)と空間情報事業開発などの検討協力に関する基本合意書を締結2023年11月環境省が主導する「生物多様性のための30by30アライアンス」へ参加2023年12月パスコ初版となる「サステナビリティレポート2023」を発行2024年1月茨城県と共同で衛星画像とAIを活用した不法投棄の早期発見に関する実証を開始2024年3月森林変化情報提供サービス「MiteMiru森林」が「宇宙開発利用大賞」農林水産大臣賞を受賞
事業の内容 3 【事業の内容】
当社グループ(セコム㈱の子会社である当社および連結子会社)は、「国内部門」と「海外部門」からなる空間情報サービス事業(地理空間情報の収集、加工・処理・解析、ICT技術を活用した高品質な情報サービス提供事業)を単一事業として行っています。国や地方自治体等をお客様とする「国内公共部門」では、航空写真撮影や地図整備のほか、自治体行政事務の効率化と住民サービスの向上を図るためのソリューション提供を行っています。また、自治体の財政健全化や地方創生に資する取り組みや、人工衛星や航空機の撮影データを活用した災害・環境モニタリング等のサービスを提供しています。 流通業や製造業、金融業等様々な民間企業をお客様とする「国内民間部門」では、企業経営を支援する商圏分析等のエリアマーケティング分野や、配送計画や移動体の管理等のロジスティクス分野向けにサービスを提供するほか、災害時の初動対応やBCP(事業継続計画)策定の支援サービスを提供しています。 「海外部門」では開発途上国や新興国等を中心に、国土基盤図の整備や社会インフラ整備に必要な地図整備、コンサルティングサービスを提供しています。 当社および当社の関係会社(親会社および親会社の子会社等ならびに当社の連結子会社8社、持分法適用関連会社1社(2024年3月31日現在))の主要な会社の位置付けは下記の事業系統図のとおりです。  
関係会社の状況 4 【関係会社の状況】
 名称住所資本金(百万円)主要な事業の内容議決権の所有(又は被所有)割合(%)関係内容(親会社) セコム㈱ ※1東京都渋谷区66,427警備サービス業(被所有)72.2システム開発の受託等。親会社従業員の役員兼任…有(4名)(連結子会社) ㈱GIS北海道札幌市中央区50国内(測量・計測)100.0測量、計測作業を受委託。当社より資金援助を受けております。㈱GIS関東さいたま市見沼区40国内(測量・計測)84.5測量、計測作業を委託。当社は建物を賃借しております。役員の兼任…有(1名)東日本総合計画㈱ ※2さいたま市大宮区200国内(測量・計測)100.0測量、計測作業を委託。当社は資金援助を受けております。役員の兼任…有(1名)PT. Nusantara Secom InfoTech ※3インドネシア共和国ジャカルタ$ 3,304千海外(情報処理)51.0 PASCO (Thailand) Co., Ltd.※4タイ王国バンコクTHB  129百万海外(情報処理)100.0測量関連情報処理作業を委託。その他 3社 (持分法適用関連会社) 共立航空撮影㈱東京都三鷹市66国内(航空測量)40.0(20.0)測量写真撮影を委託。役員の兼任…有(1名)  
(注) 1 「主要な事業の内容」欄には、セグメント情報に記載された名称を記載しております。2 議決権の所有割合の( )内は、間接所有割合を内数で示しております。3 ※1:有価証券報告書を提出しております。4 ※2:特定子会社であります。5 ※3:資本金の通貨単位の略号$は米ドルであります。6 ※4:資本金の通貨単位の略号THBはタイバーツであります。
従業員の状況 5 【従業員の状況】
(1) 連結会社の状況2024年3月31日現在セグメントの名称従業員数(名)国内2,426〔457〕海外255〔 2〕全社157〔 9〕合計2,838〔468〕
(注) 従業員数は就業人員であり、臨時従業員数は〔 〕内に年間の平均人員を外数で記載しております。
(2) 提出会社の状況2024年3月31日現在従業員数(名)平均年齢(歳)平均勤続年数(年)平均年間給与(円)30歳従業員 平均年間給与(円)2,340〔449〕43.812.27,015,3405,216,448 セグメントの名称従業員数(名)国内2,157〔440〕海外26〔 -〕全社157〔 9〕合計2,340〔449〕
(注) 1 従業員数は就業人員であり、臨時従業員数は〔 〕内に年間の平均人員を外数で記載しております。2 平均年間給与は、賞与および基準外賃金を含んでおります。 (3) 労働組合の状況当社グループにおける労働組合活動は、当社の労働組合のみが行っており、その内容は以下のとおりであります。当社の労働組合は、1965年5月15日に結成され、パスコ労働組合と称し、2024年3月31日現在の組合員数は351名でオープンショップ制であります。なお、労使関係につきましては特記すべき事項はありません。 (4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異 ① 提出会社2024年3月31日現在当事業年度管理職に占める女性労働者の割合(%)(注1)男性労働者の育児休業取得率(%)(注2)労働者の男女の賃金の差異(%) (注1)全労働者正規雇用労働者 (注3)パート・有期労働者(注4) 7.257.551.272.540.4
(注) 1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。3 当社の賃金規程では、男女の差はなく、同一の月額基本給基準表を適用しております。差異の要因は、平均勤続年数が女性よりも男性が長いことにあります。4 当社のパート・有期労働者は、主に、定型的補助業務に従事する者、定年再雇用者、臨時従業員に分類されます。差異の要因は、それぞれの区分で男女の人数に差異があることが影響しております。  ② 連結子会社2024年3月31日現在当事業年度名称管理職に占める女性労働者の割合(%)(注1)男性労働者の育児休業取得率(%)(注1)全労働者正規雇用労働者パート・有期労働者東日本総合計画㈱3.033.333.30.0
(注) 1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
将来に関する事項は有価証券報告書提出日現在での判断です。 (1) 基本的な経営方針当社グループは、「常に世界一の空間情報事業者であるために、革新的な思考と行動により、常に変化を創造し行動する」ことを経営方針に掲げ、品質方針、環境方針、情報管理方針、労働安全衛生方針、人材育成方針のもと、事業を通じて社会に貢献する企業を目指しております。また、パスコの経営理念では、①空間情報事業を通じて、安心で豊かな社会システムの構築に貢献する、②社会的に公正であることを判断基準として、法令遵守、社会倫理を尊重し、常に正しさを追求する、③お客様の信頼を誇りに、最高レベルの空間情報を提供する、と定めております。そして、2017年に当社グループの経営ビジョン「地球をはかり、未来を創る~人と自然の共生にむけて~」を新たに設定し、測量・計測技術によって地球上を捉えることだけに留まらず、あらゆる「はかる」を空間情報に融合させ、人と自然が共生した未来社会の構築を目指しております。また、企業活動の持続可能性(サステナビリティ)を維持・発展させるために、企業の社会的責任(CSR)を包含したEnvironment(環境)・Social(社会)・Governance(企業統治)に配慮した経営のもと、空間情報事業を通して国際的な持続可能な開発目標(SDGs)の達成を目指しております。
(2) 中長期的な経営戦略当社は「地球をはかり、未来を創る ~人と自然の共生にむけて~」を経営ビジョンに掲げ、空間情報事業を通じて自然環境や社会と共存し、持続可能な社会の一員として企業活動を持続的に発展させていくために中長期的な経営戦略を推進しています。当社の強みである空間情報の基盤技術(はかる・くらべる・みせる)をさらに磨くとともに自動化や超空間、未来予測等の最先端基礎研究・開発を強化し、空間情報イノベーション(つなぐ・ひろめる・いかす)を実現してまいります。また、様々なステークホルダーとの連携を強化し、真に価値ある空間情報サービスの提供を通じて社会に貢献してまいります。そして、2023年8月には、「“真に信頼される企業経営”への変革を第一に、空間情報の活用による新たな市場戦略の礎を築く」を基本方針とする「パスコグループ中期経営計画2023-2025」を策定し、「経営の真価」と「事業の進化」の2本柱の計画に基づく、活動に邁進しております。 (3) 会社の対処すべき課題① 不適切な会計処理当社の過年度決算において、年度内に作業が完了したにもかかわらず、作業が残存するとして案件を翌期に繰り越す処理、および年度内にすべての作業が完了しなかった案件について翌期に発生するであろう残作業を過大に見積もる処理が行われていたことが判明いたしました。その結果、本来は当該年度に計上すべき売上高および利益が翌期に繰り越される不適切な会計処理が行われていました。過去に複数回、不適切な会計処理が行われてきた背景として、経営陣は現場に対する過度な業績達成のプレッシャーが過去の不適切会計の原因であることを認識していたにもかかわらず、それを深刻に受け止めず、コンプライアンス意識の向上、不適切な会計処理への対応にあたり危機感をもって行動することができておりませんでした。経営陣としては、改善のための施策が浸透したものと判断していたものの、その確認が疎かなまま現場は変わったと考えておりました。結果として、経営陣が現場の実情を熟慮することなく現場が正しく行動できるであろうという前提のもとに施策、指示を発信し、現場との認識の間に乖離が生じたことが、今回の不祥事の根本原因と考えております。 不適切な会計処理の判明を受けて設置した特別調査委員会からの提言を踏まえ、以下の再発防止策を講じて適正な内部統制の整備・運用を図ってまいりました。再発防止策の浸透は単年度で完了するものではなく、今後も運用を継続してまいります。但し、c.「現場発案による再発防止策の検討」、h.「稟議等にかかるルールの見直し」および、i.「決算期についての検討」については完了とします。 a. 経営陣の意識改革 (ア)社長メッセージの発信 (イ)取締役に対するリスクマネジメントおよび組織マネジメント研修実施 (ウ)事業部の組織マネジメントおよび業務執行を支援する本社組織の設置b. 経営陣の意識が伝わるメッセージの発信 (ア)事業計画の在り方と計画策定プロセスの見直し (イ)会社施策に対する現場意見聴取のチャンネル設置 (ウ)2023年度階層別研修における不適切会計事案の学習と危機感共有c. 現場発案による再発防止策の検討d. 売上の繰越しルールの明確化およびチェック体制の強化 (ア)売上/繰越しの判断基準の明確化 (イ)繰越し時の処理プロセスの明確化 (ウ)繰越しの妥当性をチェックする体制の整備e. 全ての役職員を対象とする意識や危機感を共有する研修の実施 (ア)CSR・コンプライアンス研修の新設 (イ)グローバルコンプライアンス教育の見直し・実効性向上f. 人事異動の促進と人事評価制度のさらなる改善 (ア)人事異動のさらなる促進 (イ)人事評価制度のさらなる改善g. 実行予算の見直し(モニタリングの強化)h. 稟議等にかかるルールの見直しi. 決算期についての検討j. ガバナンスを含むチェック機能の見直し ② 中期経営計画当社は2023年4月7日付「特別調査委員会の調査報告書受領に関するお知らせ」にて適時開示いたしましたとおり、特別調査委員会より利益の繰り越しに関する不適切な会計処理に対する調査報告書を受領したことを受け、調査報告書において指摘された原因分析と再発防止策に関する提言を真摯に受け止め、検討を重ね、今後取り組むべき再発防止策を策定いたしました。このような状況のなか、当社グループは、過去の不祥事を二度と繰り返さないよう、社会の一員として、その存在を期待され、持続可能な地球環境の創出及び社会基盤の構築に貢献するため、経営の健全化と事業を通じて社会に貢献することを主眼とし、2023年8月に「パスコグループ中期経営計画 2023-2025」(以下、「本計画」という。)を策定いたしました。当社グループは本計画に基づき、「“真に信頼される企業経営”への変革を第一に、空間情報の活用による新たな市場戦略の礎を築く」を基本方針として、「経営の真価計画」と「事業の進化計画」を掲げ、計画の実行性を高めるための具体的なアクションを実施してまいります。 a.経営の真価計画社会に存在を期待され、持続可能な企業経営を維持するため、経営理念を重視した健全な経営を遂行するための計画を定め、パスコの真の価値を再構築するb.事業の進化計画持続可能な地球環境の創出及び社会基盤の構築に貢献するため、3つの“しんか(深化・伸化・新化)”計画を策定し、空間情報事業の拡大・成長を目指す ③ サステナビリティへの取り組み当社グループでは、持続可能性(サステナビリティ)を巡る課題が重要な経営課題であると認識し、ステークホルダーに配慮しながら、課題解決と継続的な改善に向けた事業活動に取組んでおります。2022年6月には、当社グループ全体におけるサステナビリティ推進の取組みのレベルを更に向上させるため、「サステナビリティ推進委員会」を設置いたしました。同委員会は、取締役会からの指示・監督のもと、サステナビリティ経営に係る基本方針の策定・改定、重要課題(マテリアリティ)の設定・開示、達成状況の評価などを行います。あわせて、「サステナビリティ基本方針」を策定し、空間情報事業を通じて、自然環境や社会と共存し、持続可能な社会の一員としてステークホルダーに配慮した事業活動の持続的な発展を目指すことを掲げています。2023年3月には、この取り組みを具体化するため重要課題(マテリアリティ)の特定をいたしました。重要課題の特定プロセスは、セコムグループの一員としてセコム株式会社の「サステナビリティ重要課題」を踏まえつつ、当社の事業特性等を考慮して持続可能な企業成長に向けて優先的に取り組む経営上の課題の整理・抽出を行い、①お客様視点のサービス、②先端技術の活用とパートナーシップ、③社員の自己実現とダイバーシティ、④人権尊重と誠実な企業活動、⑤脱炭素・循環型社会、⑥地域コミュニティとの共生の6カテゴリを重要課題といたしました。2023年11月には、環境省が主導する「生物多様性のための30by30アライアンス」に参加を表明し、事業をとおした地球環境保全への取組みを推進しています。また、2023年12月には、多くのステークホルダーに当社の取り組みを発信すべく『パスコグループサステナビリティレポート2023』を刊行しました。持続的な企業成長に向けた価値創造ストーリー、TCFD(気候変動財務情報開示タスクフォース)に基づくリスクや機会の特定、温室効果ガス排出量等を公表しています。今後も、企業活動の持続可能性(サステナビリティ)を維持・発展させるために、企業の社会的責任(CSR)を包含したESGに配慮した経営のもと、空間情報事業を通して国際的な持続可能な開発目標(SDGs)の達成を目指してまいります。
サステナビリティに関する考え方及び取組 2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】
当社グループのサステナビリティに関する考え方および取組は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) サステナビリティ課題全般(ガバナンス、リスク管理)当社では、持続可能性(サステナビリティ)を巡る課題が重要な経営課題であると認識し、ステークホルダーに配慮しながら、課題解決と継続的な改善に向けた事業活動に取組んでおります。2022年6月には、パスコグループ全体におけるサステナビリティ推進の取組のレベルを更に向上させるため、「サステナビリティ推進委員会」を設置しております。サステナビリティ推進委員会は、サステナビリティ推進担当役員を委員長とし、外部有識者を含めた委員で構成されます。取締役会の指示のもと、サステナビリティ経営に係る基本方針の策定・改定、重要課題(マテリアリティ)の設定・開示、達成状況の評価、リスクの評価ならびに対応策等に関する検討・審議を行います。その審議結果は、適切な時期に取締役会へ報告いたします。あわせて、「サステナビリティ基本方針」を策定し、空間情報事業を通じて、自然環境や社会と共存し、持続可能な社会の一員としてステークホルダーに配慮した事業活動の持続的な発展を目指すことを掲げています。2023年3月には、この取り組みを具体化するため重要課題(マテリアリティ)の特定をいたしました。重要課題の特定プロセスは、セコムグループの一員としてセコム株式会社の「サステナビリティ重要課題」を踏まえつつ、当社の事業特性等を考慮して持続可能な企業成長に向けて優先的に取り組む経営上の課題の整理・抽出を行い、①お客様視点のサービス、②先端技術の活用とパートナーシップ、③社員の自己実現とダイバーシティ、④人権尊重と誠実な企業活動、⑤脱炭素・循環型社会、⑥地域コミュニティとの共生の6カテゴリを重要課題といたしました。また、2023年12月には、これらの取組を『パスコグループ サステナビリティレポート2023』として公表しています。今後も、企業活動の持続可能性(サステナビリティ)を維持・発展させるために、企業の社会的責任(CSR)を包含したESGに配慮した経営のもと、空間情報事業を通して国際的な持続可能な開発目標(SDGs)の達成を目指してまいります。
(2) テーマ別気候変動への対応当社では、金融安定理事会(FSB)により設立された「TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)」提言に賛同し、気候変動に関するリスクと機会についてTCFD 提言に沿った分析、評価を行うとともに、情報開示の充実に取組んでまいります。 ①ガバナンス・リスク管理当社は、サステナビリティ推進委員会において、気候変動によるリスク・機会の分析、CO2排出量等、各KPIの策定ならびに今後の達成状況の評価等を協議しています。本委員会で協議された内容は、定期的に取締役会へ報告され、取締役会が適切な助言や指示・承認を行うとともに、重要事項は取締役会の決議で決定されています。認識されたリスクは、サステナビリティ推進委員会において審議します。対応が必要と評価されたリスクに関しては、各部門と連携しながら取締役会へ報告しています。 ②戦略当社では、気候変動によるリスクと機会の特定にあたり、IPCC(International Panel on Climate Change:気候変動に関する政府間パネル)やIEA(International Energy Agency:国際エネルギー機関)等、国際機関が公表するシナリオをもとに1.5℃シナリオと4℃シナリオの世界観を整理し、2030年、2050年時点における当社事業への影響を考察し、それぞれの世界観におけるリスクと機会を特定しています。 ③指標及び目標CO2排出量の算出にあたっては、全国64拠点の排出量から算定しました。売上当たりのマーケット基準排出量は6.22t‐CO2/億円となりました。燃料別内訳では電気による排出が約8割を占めます。当社は、セコムグループの一員として、セコム株式会社が2021年5月に公表している通り、2045年に自社の温室効果ガス(GHG)排出ゼロ(カーボンゼロ)を目指す、その通過点として、2030年度までに温室効果ガス排出を2018年度比で45%削減する目標に沿って、排出削減に向けた施策を強化し、脱炭素・循環型社会の実現を目指します。 人的資本への対応①戦略当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下のとおりです。 a. 人材育成方針当社では、最高レベルの空間情報を提供するため、真の適材適所の人事戦略とともに、価値創造型の人材の育成を図り、生産性向上と付加価値の最大化に努めています。また、性別、国籍、新卒・中途採用等の区別なく、多様な人材の登用を進めてまいります。 (ア) 未来を担う多様な人材の育成社員一人ひとりが持つ能力を最大限に発揮できるよう、若手社員の早期戦力化や管理職のマネジメント能力の向上を図る階層別研修の実施、新規事業創出のための知見を獲得する場となるPASCO大学の開催、技術力の強化を推進する資格取得支援等を行っています。 (イ) 女性活躍の推進当社では、管理職における女性の割合と全社員における女性社員の割合の増加を目指しています。今後も女性社員の職域の拡大や新卒採用における応募者の増加に向けた取り組みを継続することにより、女性管理職比率をはじめとした女性社員の活躍の場を増やしてまいります。 (ウ) 外国人・中途採用者活躍の推進外国人・中途採用者においては、国籍、採用時期に関わらず、管理職にふさわしい人材を登用しています。外国人については、当社の今後のグローバル展開に合わせて、グループ内において人材強化策を推進し、積極的な登用を進めていくこととし、中途採用者においては、定着・早期活躍策を推進し、社内のバランスを考慮しながら、適正な登用を継続していきます。 b. 社内環境整備方針当社では、多様な働き方の実現に向けて、以下に掲げる、社内環境の整備に努めてまいります。(ア) テレワーク制度の推進(イ) 「子の看護休暇」、「介護休暇」に時間単位取得の利用促進(ウ) 休暇取得推進等によるワークライフバランスの向上(エ) 男性の育児休業取得の促進 ②指標及び目標当社グループでは、上記「①戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に係る指標については、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取組が行われているものの、連結グループに属するすべての会社では行われていないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、次の指標に関する目標及び実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。 人材育成方針に関する取り組み内容2024年3月31日現在指標目標実績(当連結会計年度)女性管理職比率現状より増加させる 7.2%(前期比1.6ポイント増)女性管理職候補(係長)比率現状より増加させる15.9%(前期比1.8ポイント減)新卒採用における女性比率現状の水準を確保するべく、現行の採用活動を継続する45.5%(前期比15.5ポイント増)正社員における女性比率現状より増加させる17.9%(前期比3.0ポイント増)外国人管理職比率現状より増加させる 1.1%(前期0.1ポイント減)中途採用者管理職比率現状を維持58.8%(前期比0.8ポイント減)正社員における中途採用者比率現状を維持64.6%(前期比2.7ポイント増)中途採用者の定着率(入社日より1年以内)現状を維持100%(前期比6.7ポイント増) 社内環境整備方針に関する取り組み内容2024年3月31日現在指標目標実績(当連結会計年度)テレワーク制度の推進現状を維持テレワーク環境の普及率:100%(前期比±0)「子の看護休暇」、「介護休暇」に時間単位取得の利用促進現状より増加させる「子の看護休暇」、「介護休暇」の時間単位取得率:70.6%(前期比8.8ポイント増)休暇取得推進等によるワークライフバランスの向上現状より増加させる年次有給休暇年間平均取得数:11.3日(前期比0.7日増)男性の育児休業取得の促進2026年3月までに60%とすることを目標として、現状より増加させる男性の育児休業取得率:57.5%(前期比9.6ポイント増)
人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略 a. 人材育成方針当社では、最高レベルの空間情報を提供するため、真の適材適所の人事戦略とともに、価値創造型の人材の育成を図り、生産性向上と付加価値の最大化に努めています。また、性別、国籍、新卒・中途採用等の区別なく、多様な人材の登用を進めてまいります。 (ア) 未来を担う多様な人材の育成社員一人ひとりが持つ能力を最大限に発揮できるよう、若手社員の早期戦力化や管理職のマネジメント能力の向上を図る階層別研修の実施、新規事業創出のための知見を獲得する場となるPASCO大学の開催、技術力の強化を推進する資格取得支援等を行っています。 (イ) 女性活躍の推進当社では、管理職における女性の割合と全社員における女性社員の割合の増加を目指しています。今後も女性社員の職域の拡大や新卒採用における応募者の増加に向けた取り組みを継続することにより、女性管理職比率をはじめとした女性社員の活躍の場を増やしてまいります。 (ウ) 外国人・中途採用者活躍の推進外国人・中途採用者においては、国籍、採用時期に関わらず、管理職にふさわしい人材を登用しています。外国人については、当社の今後のグローバル展開に合わせて、グループ内において人材強化策を推進し、積極的な登用を進めていくこととし、中途採用者においては、定着・早期活躍策を推進し、社内のバランスを考慮しながら、適正な登用を継続していきます。 b. 社内環境整備方針当社では、多様な働き方の実現に向けて、以下に掲げる、社内環境の整備に努めてまいります。(ア) テレワーク制度の推進(イ) 「子の看護休暇」、「介護休暇」に時間単位取得の利用促進(ウ) 休暇取得推進等によるワークライフバランスの向上(エ) 男性の育児休業取得の促進
人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績、指標及び目標 人材育成方針に関する取り組み内容2024年3月31日現在指標目標実績(当連結会計年度)女性管理職比率現状より増加させる 7.2%(前期比1.6ポイント増)女性管理職候補(係長)比率現状より増加させる15.9%(前期比1.8ポイント減)新卒採用における女性比率現状の水準を確保するべく、現行の採用活動を継続する45.5%(前期比15.5ポイント増)正社員における女性比率現状より増加させる17.9%(前期比3.0ポイント増)外国人管理職比率現状より増加させる 1.1%(前期0.1ポイント減)中途採用者管理職比率現状を維持58.8%(前期比0.8ポイント減)正社員における中途採用者比率現状を維持64.6%(前期比2.7ポイント増)中途採用者の定着率(入社日より1年以内)現状を維持100%(前期比6.7ポイント増) 社内環境整備方針に関する取り組み内容2024年3月31日現在指標目標実績(当連結会計年度)テレワーク制度の推進現状を維持テレワーク環境の普及率:100%(前期比±0)「子の看護休暇」、「介護休暇」に時間単位取得の利用促進現状より増加させる「子の看護休暇」、「介護休暇」の時間単位取得率:70.6%(前期比8.8ポイント増)休暇取得推進等によるワークライフバランスの向上現状より増加させる年次有給休暇年間平均取得数:11.3日(前期比0.7日増)男性の育児休業取得の促進2026年3月までに60%とすることを目標として、現状より増加させる男性の育児休業取得率:57.5%(前期比9.6ポイント増)
事業等のリスク 3 【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 経営環境の変化について当社グループは、国および地方自治体を主要顧客としており、これらの官公庁等への依存度は高い状況となっております。このため、公共投資額の変動、および事業遂行上重大な支障を与えると認められる法令等の制定・変更により経営成績および財政状態に影響を与える可能性がありますが、公共系分野も多岐に渡るため有望分野への対応、人員のシフトにより収益性の向上を図ります。民間事業においては、経済環境の変化等により顧客企業の投資の抑制が顕著になった場合や、市場環境・物価の変動があった場合、当社の経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。得意分野への人員、資源を集中させ収益の確保を図ります。衛星事業においては、人工衛星、地上システム等に不具合が生じた場合や、衛星事業パートナー事業者との契約解除が生じた場合、経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。このため、複数拠点での対応、定期的なメンテナンスの実施、管理による故障リスクの低減を図るとともに損害保険に付保して万一の場合に備えております。
(2) 成果品の契約不適合責任について当社グループの成果品に重大な契約不適合があった場合には、経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。本社および各事業部門に品質管理担当組織を設置するとともに、業務工程に応じたレビューの実施、従業員の能力向上を図るための社内外での教育訓練を実施しております。 (3) 自然災害・パンデミック等の異常事態について当社グループ各事業所が、大規模な台風や地震等の自然災害、新型コロナウイルス感染症のようなパンデミック等の異常事態に見舞われた場合は、生産活動に支障が生じ、経営成績および財政状態に直接的または間接的に影響を与える可能性があります。当社グループでは、勤務場所や時間に左右されない在宅勤務・モバイルワーク・サテライトオフィス勤務等のテレワーク環境と制度を構築し、事業リスクの低減に向けた施策を推進しております。BCP(事業継続計画)を作成し、業務実施場所の分散、被災した場合でも速やかに事業を復旧することが可能なように準備を進めております。 (4) 国際的な事業活動について当社グループが海外各地において展開している事業については、各地域固有の商慣行、政情不安等が、経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。カントリーリスクを考量した受注段階での選別、業務実施場所を分散させてリスクの低減を図っております。また、為替変動により外貨建取引における債権および債務の円貨換算額に影響を与える可能性があります。為替の市場動向をモニタリングするとともに、必要に応じヘッジ手続きを実行することにより、為替変動の影響を低減することとしております。 (5) 工事原価総額の見積りの妥当性について当社グループは、請負業務に関する工事収益の計上に際して、一定の期間にわたり充足される履行義務については、履行義務の充足に係る進捗度に基づいて収益を一定の期間にわたって認識しております。当該収益認識に係る進捗度は、発生した原価の累計額が工事原価総額に占める割合で算定しており、工事原価総額の見積りは請負業務の契約内容や性質による個別性が高く、原価項目が多岐にわたるため、業務の完了に必要な全ての作業に係る費用が工事原価総額に含まれている必要があります。工事原価総額の見積りにあたっては高い不確実性を伴い、請負業務から損失が見込まれる場合には、経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。当社グループは、工事原価総額を網羅的に見積り、変動があった場合には適時に見直すことにより、適切な収益認識となるよう対応しておりますが、「第1 企業の概況 (3) 会社の対処すべき課題」に記載のとおり、見積りの一層の妥当性向上に取り組んでまいります。 (6) 投資有価証券の評価について 当社グループは、金融商品に関する会計基準等に従い定期的に保有資産の時価を算定し、時価が著しく下落した場合には評価損の発生が予測され、経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。当社グループは、保有意義が乏しいと判断される投資については縮減を進めております。 (7) 固定資産の評価について当社グループは、既存事業の競争力強化ならびに新規事業の創出のため設備投資およびシステム開発を行っております。固定資産の減損に係る会計基準等に従い、定期的に保有資産の将来キャッシュ・フローを算定し資産性を検証しております。十分なキャッシュ・フローが見込めない場合は、減損損失の発生が予測され、経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。当社グループは、厳格な投資審査およびモニタリングにより、適正なリスクコントロールに努めております。 (8) 年金資産および年金債務について当社グループの年金資産の運用利回りが期待運用収益率を下回った場合や、予定給付債務の数理計算の基礎数値等に変更があった場合には、数理計算上の差異が発生し経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。当社グループは、確定給付型と確定拠出型を組み合わせた退職給付制度を導入しており、年金資産の運用において安全性と収益性を考慮した投資配分等を定期的に検証し、リスクを低減する取り組みを行っております。 (9) 人材の確保・育成について当社グループの持続的発展のためには、高度な専門能力や管理能力を有する優れた人材の確保・育成が必要不可欠であり、人材の量的・質的不足は経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。新卒・キャリア採用の促進、シニア社員の積極的な登用を図ることで、顧客都合による納期の期末集中等を原因とする長時間労働などの労務問題が解消され、働き方改革に貢献するものと考えております。また、技術者を中心とした公的資格の取得促進、教育研修や配置転換によるノウハウ蓄積、能力に対する人事評価などにより、個々のキャリアパスの実現を図っております。さらに、女性活躍の機会を増やし、キャリア・障害者の採用を促進しており、その結果として多様性が高まることで組織風土が変化し、定着率の向上やハラスメント等の人権問題解決にも貢献するものと考えております。 (10) 法令遵守等について 当社グループの経営および事業活動に求められる法令遵守・倫理規範の水準は高まっており、法令や規制の改正への的確かつ迅速な対応や倫理的な企業活動の継続が経営成績および財政状態に重要な影響を与える可能性があります。最優先方針として独占禁止法を厳格に遵守し、談合行為等は完全に排除しております。また、法規制の変更に基づくリスクを回避するため関係当局の動向を注視し適時適正に対応するとともに、コンプライアンス重視の方針を役職員に徹底しております。 (11) 情報セキュリティについて当社グループは、業務遂行上、顧客の重要な秘密情報や個人情報を取扱っており、これらの情報が漏洩または不正利用された場合には、経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。厳格な情報管理を行うため、情報資産管理規程および個人情報管理規程に基づき、情報セキュリティマネジメントシステムおよび個人情報マネジメントシステムを構築し、サイバー攻撃を含む情報漏洩等の事故発生防止のための社内体制の整備と社員教育を行っております。 (12) 訴訟その他法的紛争等について当社グループは、国内外における事業に関連して、作業現場における事故、第三者との間の権利・義務に関して訴訟その他法的紛争等の当事者となるリスクが存在し、このリスクが顕在化した場合には、経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。当社法務部は、契約審査等を通じて未然防止に努めるとともに、万が一、訴訟その他法的紛争等が発生した場合には、顧問その他外部弁護士および親会社の法務部との連携を図り、当社グループへの影響を低減するよう努めております。また、ソフトウエアライセンスに関しては、これを一元管理し、契約上の使用許諾条件と著作権法を遵守する運用を徹底しております。
経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況の概要ならびに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。なお、将来に関する事項は有価証券報告書提出日現在における判断です。 (1)経営成績当社グループを取り巻く事業環境においては、政府主導の「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」や「デジタル田園都市国家構想」、国土交通省主導の「Project PLATEAU(プラトー)」などが引き続き推進されております。また、2024年問題を抱える建設・物流業界などの分野では、デジタルトランスフォーメーション(DX)の拡大も続いており、当社グループが持つ技術やノウハウなどを発揮する事業領域に対するニーズは、継続して高い水準にあります。このような事業環境下において2023年11月に創業70周年を迎えた当社グループは、2023年8月に「パスコグループ中期経営計画2023-2025」をスタートいたしました。本計画は、新たな飛躍に向けた経営基盤の再構築を目的としており、「“真に信頼される企業経営”への変革を第一に、空間情報の活用による新たな市場戦略の礎を築く」を基本方針とし、「経営の真価計画」「事業の進化計画」の達成に向けて、活動を開始しております。「経営の真価計画」では、経営理念を重視した健全な経営を遂行するため、パスコの真の価値を再構築することとしております。また、「事業の進化計画」では、3つの“しんか(深化・伸化・新化)”計画を策定し、空間情報事業の拡大・成長に向けた取り組みを進めております。 (具体的な活動)中期経営計画の初年度となる当期は、計画の方針に則り、以下の通り着実な歩みを進めてまいりました。経営の真価については、「公正・公平な業務姿勢の徹底」のため、コンプライアンス教育の徹底や社内体制の強化に取り組みました。また、「環境に配慮した事業活動への転換」の一環としては、環境省主導の「生物多様性のための30by30アライアンス」への参加や、当社初となる「サステナビリティレポート」を発行いたしました。事業の進化については、「深化」(既存事業の革新・強化)のために、生産性向上に向けた取り組みや、事業領域拡大に向けた体制強化を進めております。また、「伸化」(持続可能な事業の拡大)のために、タイ王国との衛星分野における基本合意の締結や、茨城県との衛星とAIを活用した不法投棄早期発見の実証、森林変化情報サービス提供などに取り組んでおります。さらに、「新化」(多様性による新たな事業創造)のために、メタバースを活用した実証プロジェクトへの参加など、新たな事業創造に向けた活動も進めております。また、空間情報事業者の使命として、2024年1月に発生した令和6年能登半島地震をはじめとする大規模自然災害などの被災状況把握に努め、二次災害の予防と迅速な復旧活動計画の策定などを支援いたしました。 各部門の活動の状況につきましては、以下の通りです。国内公共部門においては、政府のデジタル規制改革の追い風により、「デジタル田園都市国家構想」に基づく各種台帳のデジタル化業務や、その利活用のためのシステム導入が、引き続き順調に拡大しております。国内民間部門においては、次の飛躍期に向けたサービスラインナップの充実と販売戦略の強化に努め、継続型サービスの拡大に注力いたしました。海外部門においては、新たな海外市場戦略に基づき、コア技術の海外展開を図るなど、引き続き、ビジネスチャンスの拡大に注力しております。 (当期の経営成績)当期および前期の連結経営成績は下記のとおりであります。 連結経営成績 (単位:百万円) 前連結会計年度当連結会計年度前期比増減率(%)売上高62,01660,704△1,311△2.1営業利益6,4325,306△1,126△17.5経常利益6,5255,433△1,092△16.7親会社株主に帰属する当期純利益4,0995,09299224.2 受注高、売上高等の損益の状況を四半期ごとに示すと下記のとおりであります。 当社グループは、主要顧客である官公庁からの受注が第1四半期に集中し、収益は年度末の納期に向けて増加する季節的変動があります。 当連結会計年度(2023年4月1日~2024年3月31日) (単位:百万円) (会計期間)当連結会計年度第1四半期第2四半期第3四半期第4四半期受注高25,67013,80510,31212,26162,049売上高10,23512,18916,18722,09160,704営業利益△1,304△7051,9925,3245,306経常利益△1,230△7001,9815,3825,433親会社株主に帰属する当期純利益201△5211,6883,7235,092 前連結会計年度(2022年4月1日~2023年3月31日) (単位:百万円) (会計期間)前連結会計年度第1四半期第2四半期第3四半期第4四半期受注高26,06815,5469,4219,58460,620売上高11,22313,09516,19821,49862,016営業利益△421691,8424,9426,432経常利益△378751,8444,9836,525親会社株主に帰属する当期純利益450271,3102,3114,099 受注高、売上高の状況をセグメントごとに示すと下記のとおりであります。 当連結会計年度(2023年4月1日~2024年3月31日) (単位:百万円/前期比:%) 前連結会計年度末受注残高受注高前期比売上高前期比当連結会計年度末受注残高前期比1 国内部門23,79860,1123.958,366△1.925,5437.3 (1) 公共部門18,35056,4806.753,527△0.821,30216.1 
(2) 民間部門5,4483,631△26.54,838△13.44,240△22.22 海外部門(1,228)1,2591,937△29.82,338△6.4858△30.2合計(25,027)25,05762,0492.460,704△2.126,4015.5
(注) 1 前連結会計年度末受注残高の上段( )内表示額は、前連結会計年度における年度末受注残高であり、下段は当連結会計年度の外国為替相場の変動を反映させたものであります。  <国内部門>(公共部門・民間部門)  国内公共部門の受注高は、国土強靭化による受注や衛星データ受信業務が好調だったことから前期比3,556百万円増加(前期比6.7%増)の56,480百万円となりました。売上高は、各種台帳業務等が堅調に推移し、前期と同水準となる前期比406百万円減少(同0.8%減)の53,527百万円となりました。受注残高は、複数年契約の受注が増加したことから前期比2,952百万円増加(同16.1%増)の21,302百万円となりました。  国内民間部門の受注高は、車両搭載型レーザー(MMS:モービル・マッピング・システム)による測量業務等が減少したことにより、前期比1,307百万円減少(同26.5%減)の3,631百万円となりました。売上高は、MMSによる測量業務等の減少により前期比746百万円減少(同13.4%減)の4,838百万円となりました。受注残高は前期比1,207百万円減少(同22.2%減)の4,240百万円となりました。  この結果、国内部門(公共部門・民間部門)合計では、受注高が前期比2,249百万円増加(同3.9%増)の60,112百万円、売上高は前期比1,152百万円減少(同1.9%減)の58,366百万円、受注残高は前期比1,745百万円増加(同7.3%増)の25,543百万円となりました。  <海外部門>  海外部門の受注高は、前期に当社において大型の国土基盤図整備業務の受注があったこと、およびインドネシア共和国の子会社において大型案件の受注があったことにより、前期比821百万円減少(同29.8%減)の1,937百万円となりました。売上高は、前期に3次元地図データ整備業務が好調だったことから、前期比158百万円減少(同6.4%減)の2,338百万円、受注残高は前期比370百万円減少(同30.2%減)の858百万円となりました。   この結果、受注高合計は前期比1,428百万円増加(同2.4%増)の62,049百万円、売上高は前期比1,311百万円減少(同2.1%減)の60,704百万円、受注残高は前期比1,374百万円増加(同5.5%増)の26,401百万円となりました。   利益面につきましては、売上総利益は、売上高の減少により、前期比567百万円減少(同3.2%減)の17,184百万円となりました。  営業損益は、人員増加および賃上げ実施に伴う人件費増加の影響で販売費及び一般管理費が前期比558百万円増加(同4.9%増)、および売上総利益の減少により前期比1,126百万円減少(同17.5%減)の5,306百万円の営業利益となりました。  経常損益は、営業利益の減少により前期比1,092百万円減少(同16.7%減)の5,433百万円の経常利益となりました。  税金等調整前当期純損益は、経常利益が減少したものの、前期に先進光学衛星「だいち3号」(ALOS-3)の打上げ失敗による減損損失1,722百万円の計上、および当期にその打上げ失敗に係る受取損害保険金1,625百万円の計上により、前期比1,689百万円増加(同29.8%増)の7,349百万円の税金等調整前当期純利益となりました。  親会社株主に帰属する当期純損益は、税金等調整前当期純利益の増加により前期比992百万円増加(同24.2%増)の5,092百万円の親会社株主に帰属する当期純利益となりました。
(2)財政状態当社グループは、納品後の入金が年度明けの4、5月に集中することから、「受取手形、売掛金及び契約資産」および「短期借入金」が年度末にかけて増加していき、第1四半期で減少する傾向があります。「受取手形、売掛金及び契約資産」および「短期借入金」の推移を四半期ごとに示すと下記のとおりであります。 当連結会計年度 (単位:百万円) 第1四半期連結会計期間第2四半期連結会計期間第3四半期連結会計期間連結会計年度受取手形、売掛金及び契約資産9,38417,23828,05637,985短期借入金--10,00016,900 前連結会計年度 (単位:百万円) 第1四半期連結会計期間第2四半期連結会計期間第3四半期連結会計期間連結会計年度受取手形、売掛金及び契約資産10,18518,08428,88636,970短期借入金-3,50011,50018,500 当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末(以下「前期末」)より3,144百万円増加し74,121百万円となりました。その主な要因は、前期末より「退職給付に係る資産」が1,283百万円増加、「受取手形、売掛金及び契約資産」が1,014百万円増加したことによるものです。 負債合計は前期末より1,995百万円減少し41,249百万円となりました。その主な要因は、当期に前期末営業債権の多くが回収され、回収資金で借入金を返済し、前期末より2,400百万円減少したことによるものです。 純資産合計は、前期末より5,140百万円増加し32,872百万円となりました。その主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益5,092百万円により「利益剰余金」が増加したことによるものです。 (3)キャッシュ・フロー当連結会計年度末における「現金及び現金同等物」(以下「資金」)は、前連結会計年度末に比べ634百万円増加し19,729百万円となりました。当期におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりです。(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは5,386百万円の資金の増加(前期は3,576百万円の資金の増加)となりました。主な資金の増加要因は、税金等調整前当期純利益7,349百万円、固定資産の減価償却費1,841百万円です。また、主な資金の減少要因は、法人税等の支払額2,249百万円です。(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは1,528百万円の資金の減少(前期は444百万円の資金の減少)となりました。主な資金の減少要因は、生産機材・ツール等の有形・無形固定資産の取得による支出2,230百万円です。(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは3,437百万円の資金の減少(前期は3,416百万円の資金の減少)となりました。主な資金の減少要因は、短期借入金の純減額1,600百万円、長期借入金の返済による支出800百万円、配当金の支払額1,007百万円です。 (4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益および費用の報告額に影響を及ぼす見積りおよび仮定を用いておりますが、これらの見積りおよび仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りおよび仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。(貸倒引当金)債権の貸倒による損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額について貸倒引当金を計上しております。経済状況、販売先の財務状況、支払能力および支払状況、担保の処分可能見込額等の前提条件に重要な変動が生じた場合、これらの貸倒引当金の見積りに重要な影響を及ぼす可能性があります。(固定資産の減損)当社グループは、事業用資産については管理会計上の区分に基づいて、賃貸用資産および遊休資産については個別物件単位でグルーピングを行っております。収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失として計上しております。回収可能価額は、将来キャッシュ・フローを割り引いた使用価値または不動産鑑定評価額等より処分費用見込額を控除した正味売却価額により算定しております。将来キャッシュ・フローは、中期経営計画の前提となった数値を、経営環境等の外部要因に関する情報や当社グループが用いている内部の情報(過去における経営計画の達成状況・予算等)と整合的に修正し、各資産グループの現在の使用状況や合理的な使用計画等を考慮して見積っております。将来キャッシュ・フロー、割引率および不動産鑑定評価額等の前提条件に重要な変動が生じた場合、固定資産の減損の見積りに重要な影響を及ぼす可能性があります。(繰延税金資産)繰延税金資産の回収可能性は、将来の税金負担額を軽減する効果を有するかどうかで判断しております。当該判断は、収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性、タックス・プランニングに基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性および将来加算一時差異の十分性のいずれかを満たしているかどうかにより判断しております。収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性を判断するにあたっては、一時差異等の解消見込年度および繰戻・繰越期間における課税所得を見積っております。課税所得は、中期経営計画の前提となった数値を、経営環境等の外部要因に関する情報や当社グループが用いている内部の情報(過去における経営計画の達成状況、予算等)と整合的に修正し見積っております。当該見積りおよび当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する繰延税金資産および法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能性があります。(工事原価総額の見積り)請負業務に関する工事収益の計上に際して、一定の期間にわたり充足される履行義務については、履行義務の充足に係る進捗度に基づいて収益を一定の期間にわたって認識しております。当該収益認識に係る進捗度は、発生した原価の累計額が工事原価総額に占める割合で算定しております。工事原価総額の見積り時に想定していなかった原価の発生等により工事原価総額を見直した場合は、工事進捗度が変動するため、売上高および売上原価の金額に重要な影響を与える可能性があります。 (工事損失引当金)将来損失が発生すると見込まれ、かつ、連結会計年度末時点で当該損失額を合理的に見積ることが可能な請負業務について、翌連結会計年度以降の損失見積額を引当計上しております。受注規模の大きい請負業務において、想定していなかった原価の発生や工期の延長等により見積りを超えた原価が発生する場合は、工事損失引当金の見積りに重要な影響を及ぼす可能性があります。(退職給付に係る負債)確定給付制度の退職給付債務および関連する勤務費用は、数理計算上の仮定を用いて退職給付見込額を見積り、割り引くことにより算定しております。数理計算上の仮定には、割引率、期待運用収益率等の様々な計算基礎があります。当該見積りおよび当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する退職給付に係る負債および退職給付費用の金額に重要な影響を与える可能性があります。
経営上の重要な契約等 5 【経営上の重要な契約等】
該当事項はありません。
研究開発活動 6 【研究開発活動】
当社グループの研究開発活動は、連結財務諸表提出会社(当社国内部門)が担当しており、総合研究所が中心となって各種の要素技術および応用技術の研究・開発を行っています。新製品の開発や既存商品の機能強化などについては、関連部署と連携してチームを組み、積極的に取り組んでいます。当社は、研究開発活動の成果を基に技術的優位性の確立、品質と生産効率の向上、ならびに価格競争力の向上に注力し、国内外を問わず既存市場の振興と新分野の開拓に努めています。当連結会計年度における研究開発費の実績額は308百万円であり、その主な研究開発および取り組み内容は以下のとおりです。(1) 空間情報の取得・解析・表現に関する基礎的技術の研究・開発航空機レーザーやMMS(モービル・マッピング・システム)で取得された3次元点群、画像、航空機やUAVで撮影された多視点画像などを使用し、高精度な3次元都市空間モデルの自動構築・高速化に取り組んでいます。また、航空機レーザー計測から得られた3次元点群を地盤点とその他の点に分類するフィルタリング処理およびクラスタリング処理の実用化・効率化に資する技術の開発や、レーザー点群から地形特徴量を抽出し、視覚的に理解しやすい情報を提供するための可視化技術の研究開発も進めています。
(2) 空間情報にかかる新しい応用分野や業務効率化の研究・開発人工知能技術を活用した社内業務の自動化や、新たなサービスの開発・提供を目指しています。特に、航空写真、衛星写真、レーザー点群、定点カメラなどの画像や点群を用いて、AIによる、固定資産業務における地目自動判読、建物異動自動判読、森林資源解析における樹種自動判読、砂防基礎調査における土地改変・ソーラーパネル・伐採地・盛土の自動判読、風水害時の浸水深自動判読などの技術開発を行っています。また、林地境界判定に有効なモノクロ画像のカラー化技術や、画像を詳細化する超解像技術の開発にも取り組んでいます。(3) AI人材教育社内の研究開発や事業において人工知能技術を有効に活用できる人材を育成するために、東京大学EdTech連携研究機構と連携してAI人材教育教材を共同開発しています。この教材を用いて、昨年度は当社の技術者約280名に教育を実施し、2019年度からこれまでに延べ約1,200名の技術者を対象に高度な知識を提供し、育成に努めてきました。
設備投資等の概要 1 【設備投資等の概要】
当社グループ(当社および連結子会社)における設備投資は、生産効率および事務効率の向上を図るため、特に生産部門においては新たな技術開発のために、生産計画、利益計画等総合的に勘案して行っております。当連結会計年度における投資は、主に計測機器整備、民間企業向けの地理情報システムを核とする各種ソリューションシステム構築および衛星ビジネスの拡大に向けた投資として、有形固定資産に1,165百万円および無形固定資産に1,196百万円の投資を行いました。セグメントごとの投資額は、国内部門1,886百万円、海外部門117百万円、全社資産357百万円であります。
主要な設備の状況 2 【主要な設備の状況】
当社グループ(当社および連結子会社)における主要な設備は、以下のとおりであります。(1) 提出会社 2024年3月31日現在事業所名所在地設備の内容帳簿価額(百万円)従業員数(人)建物及び構築物機械装置及び運搬具土地(面積㎡)工具、器具及び備品その他合計国内(セグメント) (東北地区) 東北事業部仙台市宮城野区 13--36-50181〔 35〕(関東甲信越北海道地区) 東日本事業部等東京都目黒区 22923135(41.86)8223351,6541,288〔182〕(中部地区) 中部事業部名古屋市中区 11 --25-36138〔 20〕(関西地区) 作業所 関西事業部大阪市浪速区及び2510-298-335220〔 21〕(中四国地区) 事務所 中四国事業部広島市中区 10--84-94109〔 11〕(九州地区) 九州事業部福岡市博多区 270-60-87135〔 24〕(沖縄地区) 沖縄支店空間情報処理センター(総称)沖縄県糸満市 2180168(4,456.49)774-1,16086〔147〕小計536242203(4,498.35)2,1023353,4192,157〔440〕海外(セグメント) 中央事業部等東京都目黒区事務所等2--8-1126〔 -〕小計2--8-1126〔 -〕全社 (本社)東京都目黒区他事務所等 経理部、総務部人事部等40-0(35,725.00)22817287157〔 9〕厚生施設横浜市青葉区他保養所社員寮395-643(867.60)4-1,043 賃貸施設 ---14-14 小計435-644(36,592.60)247171,345157〔 9〕合計974242847(41,090.95)2,3583524,7762,340〔449〕
(2) 国内子会社国内(セグメント) 2024年3月31日現在会社名所在地設備の内容帳簿価額(百万円)従業員数(人)建物及び構築物機械装置及び運搬具土地(面積㎡)工具、器具及び備品その他合計㈱GIS関東さいたま市見沼区他作業所及び事務所139-168(1,292.00)12232239〔 7〕 (3) 在外子会社重要性が乏しいため、記載を省略しております。
(注) 1 提出会社のソフトウエア(ソフトウエア仮勘定を含む)は、国内2,304百万円、全社721百万円であります。2 現在休止中の主要な設備はありません。3 従業員数の〔 〕は、臨時従業員数を外書しております。
設備の新設、除却等の計画 3 【設備の新設、除却等の計画】
該当事項はありません。
研究開発費、研究開発活動308,000,000
設備投資額、設備投資等の概要357,000,000

Employees

平均年齢(年)、提出会社の状況、従業員の状況44
平均勤続年数(年)、提出会社の状況、従業員の状況12
平均年間給与、提出会社の状況、従業員の状況7,015,340
管理職に占める女性労働者の割合、提出会社の指標0
全労働者、労働者の男女の賃金の差異、提出会社の指標1
正規雇用労働者、労働者の男女の賃金の差異、提出会社の指標1
非正規雇用労働者、労働者の男女の賃金の差異、提出会社の指標0

Investment

株式の保有状況 (5) 【株式の保有状況】
① 投資株式の区分の基準及び考え方当社は保有する株式について、主として株式の価値の変動または株式に係る配当によって利益を受けることを目的とするものを純投資目的である投資株式に区分し、それ以外を純投資目的以外の目的である投資株式に区分しております。 ② 保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式a.保有方針及び保有の合理性を検証する方法並びに個別銘柄の保有の適否に関する取締役会等における検証の内容上場株式の政策保有は、当社のサービスおよび商品取引等の維持・拡大が期待され、有益かつ重要と判断できる場合に限り行っております。保有意義が不十分であるまたは資本政策に合致しない政策保有株式については縮減を進めます。また、取締役会において、政策保有株式として保有する全ての上場株式について、過去3年間の売上高等の取引実績をもとに保有による便益やリスクが資本コストに見合っているか、政策保有株主との間の取引の経済合理性があるか等を毎年検証し、保有の適否に関する評価を実施しております。 b.銘柄数及び貸借対照表計上額 銘柄数(銘柄)貸借対照表計上額の合計額(百万円)非上場株式1268非上場株式以外の株式2735 (当事業年度において株式数が増加した銘柄) 銘柄数(銘柄)株式数の増加に係る取得価額の合計額(百万円)株式数の増加の理由非上場株式1-当社持分比率が減少し関連会社に該当しなくなった会社の振り替えのため。非上場以外の株式1-非上場株式が新規上場に伴い上場株式に振り替わったため。 (当事業年度において株式数が減少した銘柄) 銘柄数(銘柄)株式数の減少に係る売却価額の合計額(百万円)非上場株式1- c.特定投資株式及びみなし保有株式の銘柄ごとの株式数、貸借対照表計上額等に関する情報特定投資株式銘柄当事業年度前事業年度保有目的、定量的な保有効果及び株式数が増加した理由当社の株式の保有の有無株式数(株)株式数(株)貸借対照表計上額(百万円)貸借対照表計上額(百万円)㈱ジェノバ875,000-主に事業強化のため。2023年4月18日付で東京証券取引所グロース市場へ新規上場をしております。無733-アジア航測㈱ ※2,1062,106主に情報収集等のため。有21 (注)1 ※印を付した銘柄は貸借対照表計上額が資本金額の100分の1以下ですが、上場株式のすべてを記載しております。2 定量的な保有効果については記載が困難であります。保有の合理性は、「a.保有方針及び保有の合理性を検証する方法並びに個別銘柄の保有の適否に関する取締役会等における検証の内容」に記載しております。
株式数が増加した銘柄数、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社1
株式数が増加した銘柄数、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社1
銘柄数、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社12
貸借対照表計上額、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社68,000,000
銘柄数、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社2
貸借対照表計上額、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社735,000,000
株式数、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社2,106
貸借対照表計上額、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社2,000,000
株式数が増加した理由、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社当社持分比率が減少し関連会社に該当しなくなった会社の振り替えのため。
株式数が増加した理由、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社非上場株式が新規上場に伴い上場株式に振り替わったため。
銘柄、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社アジア航測㈱ ※
保有目的、業務提携等の概要、定量的な保有効果及び株式数が増加した理由、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社主に情報収集等のため。
当該株式の発行者による提出会社の株式の保有の有無、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社

Shareholders

大株主の状況 (6) 【大株主の状況】
2024年3月31日現在
氏名又は名称住所所有株式数(千株)発行済株式(自己株式を除く。)の総数に対する所有株式数の割合(%)
セコム㈱東京都渋谷区神宮前1-5-110,31671.66
日本マスタートラスト信託銀行㈱東京都港区赤坂1-8-12041.42
NORTHERN TRUST CO.(AVFC) RE IEDU UCITS CLIENTS NON LENDING 15 PCT TREATY ACCOUNT(常任代理人 香港上海銀行)50 BANK STREET CANARY WHARF LONDON E14 5NT, UK (東京都中央区日本橋3-11-1)1901.32
UBS AG LONDON A/C IPB SEGREGATED CLIENT ACCOUNT(常任代理人 シティバンク、エヌ・エイ) BAHNHOFSTRASSE 45, 8001 ZURICH, SWITZERLAND(東京都新宿区新宿6-27-30) 1541.07
パスコ社員持株会東京都目黒区下目黒1-7-11511.05
GOLDMAN SACHS BANK EUROPE SE (常任代理人 ゴールドマン・サックス証券㈱)MARIENTURM, TAUNUSANLAGE 9-10, 60329 FRANKFURT AM MAIN, GERMANY(東京都港区六本木6-10-1)1501.04
JPモルガン証券㈱東京都千代田区丸の内2-7-31481.03
木下 圭一郎東京都千代田区930.65
㈱日本カストディ銀行東京都中央区晴海1-8-12800.56
花井 利次静岡県浜松市660.46計-11,55580.26
(注) 1 当社は自己株式21,548株(発行済株式総数に対する所有株式数の割合0.15%)を所有しております。2 
日本マスタートラスト信託銀行㈱の持株数204千株は、全て信託口のものであります。3 
㈱日本カストディ銀行の持株数は、信託口68千株、年金信託口分2千株、年金特金口分0千株、信託A口分 2千株、信託口4分6千株であります。
株主数-金融機関12
株主数-金融商品取引業者33
株主数-外国法人等-個人16
連結株主資本等変動計算書 ③【連結株主資本等変動計算書】
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) (単位:百万円) 株主資本資本金資本剰余金利益剰余金自己株式株主資本合計当期首残高8,758-14,344△323,099当期変動額 剰余金の配当 △576 △576親会社株主に帰属する当期純利益 4,099 4,099自己株式の取得 △23△23自己株式の処分 △0 00資本剰余金の負の残高の振替 0△0 -株主資本以外の項目の当期変動額(純額) 当期変動額合計--3,523△233,499当期末残高8,758-17,868△2626,599 その他の包括利益累計額非支配株主持分純資産合計その他有価証券評価差額金為替換算調整勘定退職給付に係る調整累計額その他の包括利益累計額合計当期首残高022624246947424,043当期変動額 剰余金の配当 △576親会社株主に帰属する当期純利益 4,099自己株式の取得 △23自己株式の処分 0資本剰余金の負の残高の振替 -株主資本以外の項目の当期変動額(純額)0206△7712959188当期変動額合計0206△77129593,688当期末残高143316459853327,732 当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) (単位:百万円) 株主資本資本金資本剰余金利益剰余金自己株式株主資本合計当期首残高8,758-17,868△2626,599当期変動額 剰余金の配当 △1,007 △1,007親会社株主に帰属する当期純利益 5,092 5,092自己株式の取得 △4△4自己株式の処分 0 00資本剰余金の負の残高の振替 -株主資本以外の項目の当期変動額(純額) 当期変動額合計-04,084△44,079当期末残高8,758021,952△3130,679 その他の包括利益累計額非支配株主持分純資産合計その他有価証券評価差額金為替換算調整勘定退職給付に係る調整累計額その他の包括利益累計額合計当期首残高143316459853327,732当期変動額 剰余金の配当 △1,007親会社株主に帰属する当期純利益 5,092自己株式の取得 △4自己株式の処分 0資本剰余金の負の残高の振替 -株主資本以外の項目の当期変動額(純額)506△108585983771,060当期変動額合計506△108585983775,140当期末残高5073247501,58261032,872
株主数-外国法人等-個人以外74
株主数-個人その他8,211
株主数-その他の法人103
株主数-計8,449
氏名又は名称、大株主の状況花井 利次
株主総利回り2
株主総会決議による取得の状況 (1) 【株主総会決議による取得の状況】
該当事項はありません。
株主総会決議又は取締役会決議に基づかないものの内容 (3) 【株主総会決議又は取締役会決議に基づかないものの内容】
区分株式数(株)価額の総額(円)当事業年度における取得自己株式2,4974,403,567当期間における取得自己株式404793,070 (注)当期間における取得自己株式には、2024年6月1日から有価証券報告書提出日までの単元未満株式の買取りによる株式は含めておりません。

Shareholders2

自己株式の取得-4,000,000
自己株式の取得による支出、財務活動によるキャッシュ・フロー-4,000,000
発行済株式及び自己株式に関する注記 1 発行済株式に関する事項株式の種類当連結会計年度期首増加減少当連結会計年度末普通株式(株)14,418,025--14,418,025 2 自己株式に関する事項株式の種類当連結会計年度期首増加減少当連結会計年度末普通株式(株)19,0972,4974621,548 (変動事由の概要)増加数の内訳は、次のとおりであります。 単元未満株式の買取りによる増加      2,497株減少数の内訳は、次のとおりであります。 買増請求にかかる売却による減少          46株

Audit

監査法人1、連結有限責任 あずさ監査法人
独立監査人の報告書、連結 独立監査人の監査報告書及び内部統制監査報告書 2024年6月21日株式会社パスコ取締役会 御中有限責任 あずさ監査法人 東京事務所 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士桑  本  義  孝 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士中  根  正  文 <連結財務諸表監査>監査意見当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられている株式会社パスコの2023年4月1日から2024年3月31日までの連結会計年度の連結財務諸表、すなわち、連結貸借対照表、連結損益計算書、連結包括利益計算書、連結株主資本等変動計算書、連結キャッシュ・フロー計算書、連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項、その他の注記及び連結附属明細表について監査を行った。当監査法人は、上記の連結財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、株式会社パスコ及び連結子会社の2024年3月31日現在の財政状態並びに同日をもって終了する連結会計年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。 監査意見の根拠当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準における当監査法人の責任は、「連結財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。 監査上の主要な検討事項監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。当監査法人は、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、「請負業務に係る工事収益及び工事原価の会計処理の妥当性」及び「工事原価総額の見積りの妥当性」が監査上の主要な検討事項に該当すると判断した。なお、前連結会計年度に係る内部統制報告書において、会社は「全社的な内部統制上の不備」及び「案件の予算管理および売上計上に係る業務プロセスにおける不備」を開示すべき重要な不備として識別していた。これを受けて、前連結会計年度の連結財務諸表の監査においては、「請負契約に係る収益の繰越処理の適切性」を監査上の主要な検討事項の一つとしていた。当連結会計年度においては、前連結会計年度に識別された開示すべき重要な不備が是正されたことを踏まえ、「請負契約に係る収益の繰越処理の適切性」は、当連結会計年度の連結財務諸表の監査における監査上の主要な検討事項とはしていない。ただし、請負業務に係る工事収益の会計処理の妥当性の検討は、当連結会計年度の連結財務諸表の監査においても引き続き特に重要な事項であり、前連結会計年度の連結財務諸表の監査における監査上の主要な検討事項の一つとしていた「工事案件ごとの原価計上額の妥当性」と併せて、「請負業務に係る工事収益及び工事原価の会計処理の妥当性」として、当連結会計年度の連結財務諸表の監査における監査上の主要な検討事項とした。 請負業務に係る工事収益及び工事原価の会計処理の妥当性監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応会社は、空間情報サービスの提供事業(地理空間情報の収集、加工・処理・解析等)を行っており、その多くは請負業務である。注記事項「(重要な会計上の見積り)1.工事原価総額の見積り(1)当連結会計年度の連結財務諸表に計上した金額」に記載のとおり、当連結会計年度の連結損益計算書において、請負業務に係る売上高48,073百万円及び売上原価32,138百万円が計上されており、それぞれ連結売上高の79.2%及び連結売上原価の73.8%を占めている。注記事項(「(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)4.会計方針に関する事項の(5)重要な収益及び費用の計上基準」)に記載のとおり、会社は、請負業務に係る工事収益の計上に際して、一定の期間にわたり充足される履行義務については、履行義務の充足に係る進捗度に基づいて収益を一定の期間にわたって認識している。この進捗度の見積りは、発生した原価の累計額が工事原価総額に占める割合として算定されている。空間情報サービスの提供は無形のサービス提供であることから、業務内容及び進捗過程の視認性が低いという特性を有する。この特性から請負業務に係る工事収益及び工事原価の会計処理には以下の潜在的なリスクが存在し、意図的な損益の過大計上又は過小計上に繋がるリスクがある。● 発生した工事原価を本来の案件ではなく利益率がより高い別の案件に付け替えることで、利益を過大に計上するリスク● 一部の工程が未了の案件を完了したものとして不適切に処理することで、翌連結会計年度以降の工程の進捗に応じて計上すべき工事収益を当連結会計年度に繰り上げ計上し、利益を過大に計上するリスク● 必要以上に多くの作業が翌連結会計年度以降に生じるという不適切な仮定を置き、工事原価総額を過大に見積ることで進捗度を下げ、当連結会計年度に計上すべき工事収益を翌連結会計年度以降に繰り越し、利益を過小に計上するリスク● 発生した工事原価を、自社制作ソフトウエアの原価に付け替えることで資産化し、利益を過大に計上するリスク以上から、当監査法人は、請負業務に係る工事収益及び工事原価の会計処理の妥当性が、当連結会計年度の連結財務諸表監査において特に重要であり、監査上の主要な検討事項の一つに該当すると判断した。当監査法人は、請負業務に係る工事収益及び工事原価の会計処理の妥当性を検討するため、主に以下の監査手続を実施した。(1) 内部統制の評価請負業務に係る工事収益及び工事原価の会計処理の妥当性に関連する内部統制の整備状況及び運用状況の有効性を評価した。評価に当たっては、次の点に特に焦点を当てた。● 発生した工事原価を適切な案件に集計するための統制● 見積工事原価総額を適時に見直すための統制● 案件の完了確認に関する統制● 自社制作ソフトウエアの資産計上に関する統制
(2) 請負業務に係る工事収益及び工事原価の会計処理の妥当性の検討請負業務に係る工事収益及び工事原価の会計処理の妥当性を検討するため、主に以下の監査手続を実施した。● データ分析の専門知識を有する者を関与させ、データ分析技法を用いて案件ごとの原価発生状況を時系列で可視化し、異常な原価発生カーブを示す案件を抽出した。抽出された案件における原価発生状況を各案件の責任者に質問したうえで、原価発生状況と契約書に定められた受注内容、工事原価積算書、稟議書等と照合することで、不適切な原価付替の有無を検討した。● 予算の達成状況に照らして工事収益の繰り上げ計上のリスクがあると判断した部署を対象に、決算月に完了した金額的に重要な案件を抽出した。抽出された案件について、完了したことを示す検査合格通知等と照合することで、工事収益の繰り上げ計上の有無を検討した。● 契約書等に定められた完了期日を超過している金額的に重要な未了案件を抽出した。抽出された案件について、契約書に定められた受注内容、工事原価積算書、稟議書等と照合することで、完了又は未了の判断の適切性を検討した。● 請負業務に係る案件と自社利用のソフトウエア制作が複合的に行われる案件を抽出した。抽出された案件について、案件の開始に関する取締役会議事録、投資委員会議事録、原価積算書を閲覧し、自社利用のソフトウエア制作の事実及び計上額の妥当性を検討した。また、当連結会計年度に計上されたソフトウエア仮勘定について、発注稟議の閲覧及び受領した請求書等との照合により、その資産性を検討した。 工事原価総額の見積りの妥当性監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応会社は、空間情報サービスの提供事業(地理空間情報の収集、加工・処理・解析等)を行っており、その多くは請負業務である。注記事項「(重要な会計上の見積り)1.工事原価総額の見積り(1)当連結会計年度の連結財務諸表に計上した金額」に記載のとおり、当連結会計年度の連結損益計算書において、請負業務に係る売上高48,073百万円及び売上原価32,138百万円が計上されており、それぞれ連結売上高の79.2%及び連結売上原価の73.8%を占めている。注記事項(「(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)4.会計方針に関する事項の(5)重要な収益及び費用の計上基準」)に記載のとおり、会社は、請負業務に係る工事収益の計上に際して、一定の期間にわたり充足される履行義務について、履行義務の充足に係る進捗度に基づいて収益を一定の期間にわたって認識している。この進捗度の見積りは、発生した原価の累計額が工事原価総額に占める割合として算定されている。工事原価総額の見積りは、案件の契約内容や性質による個別性が高いうえ、原価項目が多岐にわたるため、案件の完了に必要な全ての作業に係る費用が見積工事原価総額に含まれているか否かについて、複雑な判断が必要となる。また、請負業務着手後の作業内容の変更について、適時かつ適切に見積工事原価総額に反映されているか否かの判断も必要となり、高い不確実性を伴う。以上から、当監査法人は、工事原価総額の見積りの妥当性が、当連結会計年度の連結財務諸表監査において特に重要であり、監査上の主要な検討事項の一つに該当すると判断した。 当監査法人は、工事原価総額の見積りの妥当性を検討するため、主に以下の監査手続を実施した。(1) 内部統制の評価工事原価総額の見積りプロセスに関連する内部統制の整備状況及び運用状況の有効性を評価した。評価に当たっては、特に以下に焦点を当てた。● 作業内容ごとの工数の積算、使用する情報やデータの収集、不確定要素の反映等、工事原価総額が社内規定に則って適切に見積られることを担保するための統制● 請負業務着手後の状況の変化を、適時かつ適切に工事原価総額に反映するための統制
(2) 工事原価総額の見積りの妥当性の評価工事原価総額の見積りの妥当性を評価するため、その根拠について経営者に質問したほか、以下を含む監査手続を実施した。● 当連結会計年度における完了した案件について、過年度に見積られた工事原価総額と工事原価発生実績とを比較し、その差異内容を検討することで、工事原価総額の見積りの精度を評価した。そのうえで、把握された見積実績差の内容が、当連結会計年度末における一部の工程が未了の案件に係る見積工事原価総額の見直しに反映されているか否かを検討した。● 期末日後一定期間における見積工事原価総額の変更の実績を把握し、当連結会計年度の見積工事原価総額に反映すべき変更の要因の有無を検討した。● 請負業務の契約期間に占める期末日までの経過期間の割合と期末日における発生原価に基づく進捗度には一定の相関関係が認められることから、データ分析の専門知識を有する者を関与させ、データ分析技法を用いて進捗度に異常性が認められる案件を抽出した。抽出された案件について、工事原価総額の見積りの基礎となる工事原価積算書を入手し、関連部署の担当者に質問するとともに、見積書や過去の類似案件の工事原価積算書と比較することで、工事原価総額の見積りの妥当性を検討した。 その他の記載内容その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。当監査法人の連結財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。連結財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と連結財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 連結財務諸表に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して連結財務諸表を作成し適正に表示することにある。これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない連結財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。連結財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき連結財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。監査役及び監査役会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 連結財務諸表監査における監査人の責任監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての連結財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から連結財務諸表に対する意見を表明することにある。虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、連結財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。・不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。・連結財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。・経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。・経営者が継続企業を前提として連結財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において連結財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する連結財務諸表の注記事項が適切でない場合は、連結財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。・連結財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた連結財務諸表の表示、構成及び内容、並びに連結財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。・連結財務諸表に対する意見を表明するために、会社及び連結子会社の財務情報に関する十分かつ適切な監査証拠を入手する。監査人は、連結財務諸表の監査に関する指示、監督及び実施に関して責任がある。監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。 監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。監査人は、監査役及び監査役会と協議した事項のうち、当連結会計年度の連結財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。 <内部統制監査>監査意見当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第2項の規定に基づく監査証明を行うため、株式会社パスコの2024年3月31日現在の内部統制報告書について監査を行った。当監査法人は、株式会社パスコが2024年3月31日現在の財務報告に係る内部統制は有効であると表示した上記の内部統制報告書が、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して、財務報告に係る内部統制の評価結果について、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。 監査意見の根拠当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に準拠して内部統制監査を行った。財務報告に係る内部統制の監査の基準における当監査法人の責任は、「内部統制監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。 内部統制報告書に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任経営者の責任は、財務報告に係る内部統制を整備及び運用し、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して内部統制報告書を作成し適正に表示することにある。監査役及び監査役会の責任は、財務報告に係る内部統制の整備及び運用状況を監視、検証することにある。なお、財務報告に係る内部統制により財務報告の虚偽の記載を完全には防止又は発見することができない可能性がある。 内部統制監査における監査人の責任監査人の責任は、監査人が実施した内部統制監査に基づいて、内部統制報告書に重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、内部統制監査報告書において独立の立場から内部統制報告書に対する意見を表明することにある。監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。・内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果について監査証拠を入手するための監査手続を実施する。内部統制監査の監査手続は、監査人の判断により、財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性に基づいて選択及び適用される。・財務報告に係る内部統制の評価範囲、評価手続及び評価結果について経営者が行った記載を含め、全体としての内部統制報告書の表示を検討する。・内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果に関する十分かつ適切な監査証拠を入手する。監査人は、内部統制報告書の監査に関する指示、監督及び実施に関して責任がある。監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した内部統制監査の範囲とその実施時期、内部統制監査の実施結果、識別した内部統制の開示すべき重要な不備、その是正結果、及び内部統制の監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。 <報酬関連情報>当監査法人及び当監査法人と同一のネットワークに属する者に対する、会社及び子会社の監査証明業務に基づく報酬及び非監査業務に基づく報酬の額は、「提出会社の状況」に含まれるコーポレート・ガバナンスの状況等 (3)【監査の状況】
に記載されている。 利害関係会社及び連結子会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。 以 上 ※1 上記の監査報告書の原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。 2 XBRLデータは監査の対象には含まれていません。
監査上の主要な検討事項、連結 監査上の主要な検討事項監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。当監査法人は、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、「請負業務に係る工事収益及び工事原価の会計処理の妥当性」及び「工事原価総額の見積りの妥当性」が監査上の主要な検討事項に該当すると判断した。なお、前連結会計年度に係る内部統制報告書において、会社は「全社的な内部統制上の不備」及び「案件の予算管理および売上計上に係る業務プロセスにおける不備」を開示すべき重要な不備として識別していた。これを受けて、前連結会計年度の連結財務諸表の監査においては、「請負契約に係る収益の繰越処理の適切性」を監査上の主要な検討事項の一つとしていた。当連結会計年度においては、前連結会計年度に識別された開示すべき重要な不備が是正されたことを踏まえ、「請負契約に係る収益の繰越処理の適切性」は、当連結会計年度の連結財務諸表の監査における監査上の主要な検討事項とはしていない。ただし、請負業務に係る工事収益の会計処理の妥当性の検討は、当連結会計年度の連結財務諸表の監査においても引き続き特に重要な事項であり、前連結会計年度の連結財務諸表の監査における監査上の主要な検討事項の一つとしていた「工事案件ごとの原価計上額の妥当性」と併せて、「請負業務に係る工事収益及び工事原価の会計処理の妥当性」として、当連結会計年度の連結財務諸表の監査における監査上の主要な検討事項とした。 請負業務に係る工事収益及び工事原価の会計処理の妥当性監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応会社は、空間情報サービスの提供事業(地理空間情報の収集、加工・処理・解析等)を行っており、その多くは請負業務である。注記事項「(重要な会計上の見積り)1.工事原価総額の見積り(1)当連結会計年度の連結財務諸表に計上した金額」に記載のとおり、当連結会計年度の連結損益計算書において、請負業務に係る売上高48,073百万円及び売上原価32,138百万円が計上されており、それぞれ連結売上高の79.2%及び連結売上原価の73.8%を占めている。注記事項(「(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)4.会計方針に関する事項の(5)重要な収益及び費用の計上基準」)に記載のとおり、会社は、請負業務に係る工事収益の計上に際して、一定の期間にわたり充足される履行義務については、履行義務の充足に係る進捗度に基づいて収益を一定の期間にわたって認識している。この進捗度の見積りは、発生した原価の累計額が工事原価総額に占める割合として算定されている。空間情報サービスの提供は無形のサービス提供であることから、業務内容及び進捗過程の視認性が低いという特性を有する。この特性から請負業務に係る工事収益及び工事原価の会計処理には以下の潜在的なリスクが存在し、意図的な損益の過大計上又は過小計上に繋がるリスクがある。● 発生した工事原価を本来の案件ではなく利益率がより高い別の案件に付け替えることで、利益を過大に計上するリスク● 一部の工程が未了の案件を完了したものとして不適切に処理することで、翌連結会計年度以降の工程の進捗に応じて計上すべき工事収益を当連結会計年度に繰り上げ計上し、利益を過大に計上するリスク● 必要以上に多くの作業が翌連結会計年度以降に生じるという不適切な仮定を置き、工事原価総額を過大に見積ることで進捗度を下げ、当連結会計年度に計上すべき工事収益を翌連結会計年度以降に繰り越し、利益を過小に計上するリスク● 発生した工事原価を、自社制作ソフトウエアの原価に付け替えることで資産化し、利益を過大に計上するリスク以上から、当監査法人は、請負業務に係る工事収益及び工事原価の会計処理の妥当性が、当連結会計年度の連結財務諸表監査において特に重要であり、監査上の主要な検討事項の一つに該当すると判断した。当監査法人は、請負業務に係る工事収益及び工事原価の会計処理の妥当性を検討するため、主に以下の監査手続を実施した。(1) 内部統制の評価請負業務に係る工事収益及び工事原価の会計処理の妥当性に関連する内部統制の整備状況及び運用状況の有効性を評価した。評価に当たっては、次の点に特に焦点を当てた。● 発生した工事原価を適切な案件に集計するための統制● 見積工事原価総額を適時に見直すための統制● 案件の完了確認に関する統制● 自社制作ソフトウエアの資産計上に関する統制
(2) 請負業務に係る工事収益及び工事原価の会計処理の妥当性の検討請負業務に係る工事収益及び工事原価の会計処理の妥当性を検討するため、主に以下の監査手続を実施した。● データ分析の専門知識を有する者を関与させ、データ分析技法を用いて案件ごとの原価発生状況を時系列で可視化し、異常な原価発生カーブを示す案件を抽出した。抽出された案件における原価発生状況を各案件の責任者に質問したうえで、原価発生状況と契約書に定められた受注内容、工事原価積算書、稟議書等と照合することで、不適切な原価付替の有無を検討した。● 予算の達成状況に照らして工事収益の繰り上げ計上のリスクがあると判断した部署を対象に、決算月に完了した金額的に重要な案件を抽出した。抽出された案件について、完了したことを示す検査合格通知等と照合することで、工事収益の繰り上げ計上の有無を検討した。● 契約書等に定められた完了期日を超過している金額的に重要な未了案件を抽出した。抽出された案件について、契約書に定められた受注内容、工事原価積算書、稟議書等と照合することで、完了又は未了の判断の適切性を検討した。● 請負業務に係る案件と自社利用のソフトウエア制作が複合的に行われる案件を抽出した。抽出された案件について、案件の開始に関する取締役会議事録、投資委員会議事録、原価積算書を閲覧し、自社利用のソフトウエア制作の事実及び計上額の妥当性を検討した。また、当連結会計年度に計上されたソフトウエア仮勘定について、発注稟議の閲覧及び受領した請求書等との照合により、その資産性を検討した。 工事原価総額の見積りの妥当性監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応会社は、空間情報サービスの提供事業(地理空間情報の収集、加工・処理・解析等)を行っており、その多くは請負業務である。注記事項「(重要な会計上の見積り)1.工事原価総額の見積り(1)当連結会計年度の連結財務諸表に計上した金額」に記載のとおり、当連結会計年度の連結損益計算書において、請負業務に係る売上高48,073百万円及び売上原価32,138百万円が計上されており、それぞれ連結売上高の79.2%及び連結売上原価の73.8%を占めている。注記事項(「(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)4.会計方針に関する事項の(5)重要な収益及び費用の計上基準」)に記載のとおり、会社は、請負業務に係る工事収益の計上に際して、一定の期間にわたり充足される履行義務について、履行義務の充足に係る進捗度に基づいて収益を一定の期間にわたって認識している。この進捗度の見積りは、発生した原価の累計額が工事原価総額に占める割合として算定されている。工事原価総額の見積りは、案件の契約内容や性質による個別性が高いうえ、原価項目が多岐にわたるため、案件の完了に必要な全ての作業に係る費用が見積工事原価総額に含まれているか否かについて、複雑な判断が必要となる。また、請負業務着手後の作業内容の変更について、適時かつ適切に見積工事原価総額に反映されているか否かの判断も必要となり、高い不確実性を伴う。以上から、当監査法人は、工事原価総額の見積りの妥当性が、当連結会計年度の連結財務諸表監査において特に重要であり、監査上の主要な検討事項の一つに該当すると判断した。 当監査法人は、工事原価総額の見積りの妥当性を検討するため、主に以下の監査手続を実施した。(1) 内部統制の評価工事原価総額の見積りプロセスに関連する内部統制の整備状況及び運用状況の有効性を評価した。評価に当たっては、特に以下に焦点を当てた。● 作業内容ごとの工数の積算、使用する情報やデータの収集、不確定要素の反映等、工事原価総額が社内規定に則って適切に見積られることを担保するための統制● 請負業務着手後の状況の変化を、適時かつ適切に工事原価総額に反映するための統制
(2) 工事原価総額の見積りの妥当性の評価工事原価総額の見積りの妥当性を評価するため、その根拠について経営者に質問したほか、以下を含む監査手続を実施した。● 当連結会計年度における完了した案件について、過年度に見積られた工事原価総額と工事原価発生実績とを比較し、その差異内容を検討することで、工事原価総額の見積りの精度を評価した。そのうえで、把握された見積実績差の内容が、当連結会計年度末における一部の工程が未了の案件に係る見積工事原価総額の見直しに反映されているか否かを検討した。● 期末日後一定期間における見積工事原価総額の変更の実績を把握し、当連結会計年度の見積工事原価総額に反映すべき変更の要因の有無を検討した。● 請負業務の契約期間に占める期末日までの経過期間の割合と期末日における発生原価に基づく進捗度には一定の相関関係が認められることから、データ分析の専門知識を有する者を関与させ、データ分析技法を用いて進捗度に異常性が認められる案件を抽出した。抽出された案件について、工事原価総額の見積りの基礎となる工事原価積算書を入手し、関連部署の担当者に質問するとともに、見積書や過去の類似案件の工事原価積算書と比較することで、工事原価総額の見積りの妥当性を検討した。
全体概要、監査上の主要な検討事項、連結 監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。当監査法人は、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、「請負業務に係る工事収益及び工事原価の会計処理の妥当性」及び「工事原価総額の見積りの妥当性」が監査上の主要な検討事項に該当すると判断した。なお、前連結会計年度に係る内部統制報告書において、会社は「全社的な内部統制上の不備」及び「案件の予算管理および売上計上に係る業務プロセスにおける不備」を開示すべき重要な不備として識別していた。これを受けて、前連結会計年度の連結財務諸表の監査においては、「請負契約に係る収益の繰越処理の適切性」を監査上の主要な検討事項の一つとしていた。当連結会計年度においては、前連結会計年度に識別された開示すべき重要な不備が是正されたことを踏まえ、「請負契約に係る収益の繰越処理の適切性」は、当連結会計年度の連結財務諸表の監査における監査上の主要な検討事項とはしていない。ただし、請負業務に係る工事収益の会計処理の妥当性の検討は、当連結会計年度の連結財務諸表の監査においても引き続き特に重要な事項であり、前連結会計年度の連結財務諸表の監査における監査上の主要な検討事項の一つとしていた「工事案件ごとの原価計上額の妥当性」と併せて、「請負業務に係る工事収益及び工事原価の会計処理の妥当性」として、当連結会計年度の連結財務諸表の監査における監査上の主要な検討事項とした。
見出し、監査上の主要な検討事項、連結工事原価総額の見積りの妥当性
内容及び理由、監査上の主要な検討事項、連結 会社は、空間情報サービスの提供事業(地理空間情報の収集、加工・処理・解析等)を行っており、その多くは請負業務である。注記事項「(重要な会計上の見積り)1.工事原価総額の見積り(1)当連結会計年度の連結財務諸表に計上した金額」に記載のとおり、当連結会計年度の連結損益計算書において、請負業務に係る売上高48,073百万円及び売上原価32,138百万円が計上されており、それぞれ連結売上高の79.2%及び連結売上原価の73.8%を占めている。注記事項(「(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)4.会計方針に関する事項の(5)重要な収益及び費用の計上基準」)に記載のとおり、会社は、請負業務に係る工事収益の計上に際して、一定の期間にわたり充足される履行義務について、履行義務の充足に係る進捗度に基づいて収益を一定の期間にわたって認識している。この進捗度の見積りは、発生した原価の累計額が工事原価総額に占める割合として算定されている。工事原価総額の見積りは、案件の契約内容や性質による個別性が高いうえ、原価項目が多岐にわたるため、案件の完了に必要な全ての作業に係る費用が見積工事原価総額に含まれているか否かについて、複雑な判断が必要となる。また、請負業務着手後の作業内容の変更について、適時かつ適切に見積工事原価総額に反映されているか否かの判断も必要となり、高い不確実性を伴う。以上から、当監査法人は、工事原価総額の見積りの妥当性が、当連結会計年度の連結財務諸表監査において特に重要であり、監査上の主要な検討事項の一つに該当すると判断した。
開示への参照、監査上の主要な検討事項、連結注記事項「(重要な会計上の見積り)1.工事原価総額の見積り(1)当連結会計年度の連結財務諸表に計上した金額」
開示への参照2、監査上の主要な検討事項、連結注記事項(「(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)4.会計方針に関する事項の(5)重要な収益及び費用の計上基準」)
監査上の対応、監査上の主要な検討事項、連結 当監査法人は、工事原価総額の見積りの妥当性を検討するため、主に以下の監査手続を実施した。(1) 内部統制の評価工事原価総額の見積りプロセスに関連する内部統制の整備状況及び運用状況の有効性を評価した。評価に当たっては、特に以下に焦点を当てた。● 作業内容ごとの工数の積算、使用する情報やデータの収集、不確定要素の反映等、工事原価総額が社内規定に則って適切に見積られることを担保するための統制● 請負業務着手後の状況の変化を、適時かつ適切に工事原価総額に反映するための統制
(2) 工事原価総額の見積りの妥当性の評価工事原価総額の見積りの妥当性を評価するため、その根拠について経営者に質問したほか、以下を含む監査手続を実施した。● 当連結会計年度における完了した案件について、過年度に見積られた工事原価総額と工事原価発生実績とを比較し、その差異内容を検討することで、工事原価総額の見積りの精度を評価した。そのうえで、把握された見積実績差の内容が、当連結会計年度末における一部の工程が未了の案件に係る見積工事原価総額の見直しに反映されているか否かを検討した。● 期末日後一定期間における見積工事原価総額の変更の実績を把握し、当連結会計年度の見積工事原価総額に反映すべき変更の要因の有無を検討した。● 請負業務の契約期間に占める期末日までの経過期間の割合と期末日における発生原価に基づく進捗度には一定の相関関係が認められることから、データ分析の専門知識を有する者を関与させ、データ分析技法を用いて進捗度に異常性が認められる案件を抽出した。抽出された案件について、工事原価総額の見積りの基礎となる工事原価積算書を入手し、関連部署の担当者に質問するとともに、見積書や過去の類似案件の工事原価積算書と比較することで、工事原価総額の見積りの妥当性を検討した。
その他の記載内容、連結 その他の記載内容その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。当監査法人の連結財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。連結財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と連結財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。