財務諸表
CoverPage
提出書類、表紙 | 有価証券報告書 |
提出日、表紙 | 2024-06-19 |
英訳名、表紙 | Japan Tissue Engineering Co., Ltd. |
代表者の役職氏名、表紙 | 代表取締役 社長執行役員 畠 賢一郎 |
本店の所在の場所、表紙 | 愛知県蒲郡市三谷北通6丁目209番地の1 |
電話番号、本店の所在の場所、表紙 | 0533(66)2020(代表) |
様式、DEI | 第三号様式 |
会計基準、DEI | Japan GAAP |
当会計期間の種類、DEI | FY |
corp
沿革 | 2【沿革】 1999年 2月株式会社ニデック(設立:1971年7月、本社:愛知県蒲郡市、事業内容:眼科医療機器ならびに眼鏡関連機器の開発・製造・販売、自家培養角膜の研究)、株式会社INAX(現 株式会社LIXIL)、富山化学工業株式会社(現 富士フイルム富山化学株式会社)ならびに株式会社セントラル・キャピタル(現 三菱UFJキャピタル株式会社)との共同出資により、ティッシュエンジニアリングを技術ベースに再生医療を事業領域とする企業として愛知県蒲郡市に当社を設立。1999年 9月愛知県蒲郡市三谷北通に本社を移転。2000年 12月自家培養表皮の治験前の確認申請を厚生省(現 厚生労働省)に提出。2001年 9月自家培養軟骨の治験前の確認申請を厚生労働省に提出。2003年 8月イタリアの角膜バンクであるベネトアイバンクから技術を導入し、培養角膜上皮の研究開発を開始。2003年 9月東京女子医科大学病院等の施設において治験審査委員会の承認を受け、自家培養表皮の治験を開始。2004年 5月広島大学病院等の施設において治験審査委員会の承認を受け、自家培養軟骨の治験を開始。2004年 10月自家培養表皮の製造承認申請を厚生労働省に提出。2004年 11月愛知県蒲郡市三谷北通に新社屋竣工、移転。2005年 3月研究用ヒト培養組織LabCyte EPI-MODEL(ラボサイト エピ・モデル)の販売を開始。2007年 5月自家培養角膜上皮(開発名:EYE-01M)の治験前の確認申請を厚生労働省に提出。2007年 10月日本初の再生医療等製品として、重症熱傷の治療を目的とした自家培養表皮ジェイスの製造承認を厚生労働省から取得。2007年 12月ジャスダック証券取引所NEO(現 東京証券取引所 グロース市場)へ株式を上場。2008年 5月培養表皮の開発者である米国ハーバード大学医学部のHoward Green教授と顧問契約を締結。2009年 1月自家培養表皮ジェイスの保険収載。2009年 8月自家培養軟骨の製造販売承認申請を厚生労働省に提出。2010年 7月研究用ヒト培養組織LabCyte CORNEA-MODEL(ラボサイト 角膜モデル)の販売を開始。2010年 10月富士フイルム株式会社を割当先とした第三者割当増資を実施。筆頭株主が株式会社ニデックから富士フイルム株式会社へ異動。2012年 5月表皮水疱症の治療を目的とした自家培養表皮ジェイスの治験を開始。2012年 7月整形外科領域における日本初の再生医療等製品として、自家培養軟骨ジャックの製造販売承認を厚生労働省から取得。2013年 4月自家培養軟骨ジャックの保険収載。2014年 1月先天性巨大色素性母斑の治療を目的とした自家培養表皮ジェイスの治験を開始。2014年 10月角膜上皮幹細胞疲弊症の治療を目的とした自家培養角膜上皮(開発名:EYE-01M)の治験を開始。2014年 11月新規事業として、再生医療等安全性確保法のコンサルティング事業ならびに細胞培養受託事業を開始。2014年 12月富士フイルムホールディングス株式会社が親会社へ異動。2015年 10月医療機関等から細胞培養加工を受託するための「特定細胞加工物製造許可」を取得。2016年 4月新規事業として、再生医療等製品に特化したCRO(臨床開発業務受託)事業を開始。2016年 9月先天性巨大色素性母斑の治療を目的とした自家培養表皮ジェイスの一部変更承認を取得(適応拡大)。2016年 12月自家培養表皮ジェイス(先天性巨大色素性母斑)の保険収載。2017年 6月自家培養表皮ジェイス(重症熱傷)の再審査終了。2018年 6月名古屋大学・信州大学と、CD19陽性 急性リンパ性白血病の自家細胞由来治療薬開発に関するCAR-T細胞の製造技術の特許ライセンス契約を締結。2018年 7月白斑の治療を目的としたメラノサイトを保持した自家培養表皮(開発名:ACE02)の治験を開始。2018年 7月外傷等に起因する二次性の変形性膝関節症の治療を目的とした自家培養軟骨ジャックの治験を開始。2018年 9月富士フイルム株式会社が親会社へ異動。2018年 12月表皮水疱症の治療を目的とした自家培養表皮ジェイスの一部変更承認を取得(適応拡大)。2019年 1月低侵襲化・移植手技簡便化を目的とした自家培養軟骨ジャックの一部変更承認を取得(仕様変更)。2019年 3月自家培養角膜上皮(開発名:EYE-01M)の製造販売承認申請を提出。2019年 7月自家培養表皮ジェイス(表皮水疱症)の保険収載。2019年 9月富士フイルムのヒトiPS細胞由来腸管上皮細胞「F-hiSIEC™(エフ-ハイシーク)」について、製造及び販売を開始。2020年 3月眼科領域における日本初の再生医療等製品として、自家培養角膜上皮ネピックの製造販売承認を厚生労働省から取得。2020年 6月自家培養角膜上皮ネピックの保険収載。2020年 9月自家培養口腔粘膜上皮(開発名:COMET01)の製造販売承認申請を提出。2021年 3月帝人株式会社による当社株式に対する公開買付けにより、当社の親会社及び筆頭株主が富士フイルム株式会社から帝人株式会社へ異動。2021年 6月眼科領域における第2号の再生医療等製品として、自家培養口腔粘膜上皮オキュラルの製造販売承認を厚生労働省から取得。2021年 11月Ⅱ度熱傷の治療を目的とした他家(同種)培養表皮(開発名:Allo-JaCE03)の治験を開始。2021年 12月自家培養口腔粘膜上皮オキュラルの保険収載。2021年 12月富士フイルムのヒトiPS細胞由来腸管上皮細胞「F-hiSIEC™(エフ-ハイシーク)」について、製造及び販売を終了。2022年 4月東京証券取引所の市場区分の見直しにより、東京証券取引所のJASDAQグロースからグロース市場に移行。2022年 4月メラノサイト(色素細胞)含有自家培養表皮(開発名:ACE02)の製造販売承認申請を提出。2022年 6月自家培養軟骨ジャックについて、厚生労働省による再審査が終了。2022年 9月がんをはじめとする未解決の疾患への革新的治療法の創出を目指し、再生医療等製品の研究・開発から、事業計画策定、商用生産までの過程をワンストップで実現する「再生医療プラットフォーム」を産学連携で千葉県柏の葉に構築。2022年 10月社名を「株式会社ジャパン・ティッシュエンジニアリング」へ変更2023年 3月白斑治療を目的としたメラノサイト含有自家培養表皮(販売名:ジャスミン)の製造販売承認を厚生労働省から取得。2024年 3月当社株式が貸借銘柄に選定。2024年 6月自家培養軟骨ジャックの保険償還価格改定。2024年 6月変形性膝関節症の治療を目的とした自家培養表軟骨ジャック(適応拡大)の一部変更承認申請を提出。 |
事業の内容 | 3【事業の内容】 当社は、「医療の質的変化をもたらすティッシュエンジニアリングをベースに、組織再生による根本治療を目指し、21世紀の医療そのものを変えてゆく事業を展開する」ことを会社設立の趣旨とする企業です。「再生医療をあたりまえの医療に」をビジョンに掲げ、再生医療等製品の開発、製造、販売を行う再生医療製品事業、再生医療に関する開発及び製造等を受託する再生医療受託事業、研究用ヒト培養組織の開発、製造、販売を行う研究開発支援事業を展開しております。当社は、2021年3月9日付で帝人グループとなりました。親会社である帝人株式会社との協創により事業を拡大してまいります。2023年8月1日に設立された帝人リジェネット株式会社(帝人株式会社の100%子会社)とは、再生医療CDMO事業において連携しています。 [事業の系統図](1)当社事業の根幹となる技術近年、細胞培養や生体材料工学等の技術進歩により、生物から採取した細胞を用いて、性質の改変、体外での培養、組織・臓器の再形成、新たな機能の付加あるいは機能の修復等が試みられるようになりました。このような要素技術を利用して組織の再生を実現するための技術がティッシュエンジニアリングと呼ばれるものであり、当社事業の根幹となる技術です。ティッシュエンジニアリングを実現するためには、生きた細胞、人工的に作られた材料・素材、細胞や生体に影響をもたらす種々の生理活性物質が必要であり、医学・工学・理学・薬学等の異分野間の国際的な研究交流が必要とされます。我が国では、ティッシュエンジニアリングにより作り出された組織や臓器を製品として医療目的で製造・販売するためには、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(医薬品医療機器等法)のもとで、厚生労働省からの許認可が必要になります。この許認可には、製造管理及び品質管理に関する基準が含まれており、当社が保有している製造施設・設備、創業以来の研究開発活動で培ってきた製造方法、品質管理に関するノウハウ、そして販売に関する組織体制やノウハウも、当社事業の根幹となる技術であるといえます。また、細胞培養に用いる細胞は、その由来に応じて、自家細胞(本人)、同種細胞(本人以外)、異種細胞(ヒト以外の動物)に分類されますが、自家移植は、一般的に免疫拒絶反応が少なく、生体への生着能が高いといわれております。当社は、当該技術を活用することにより、ヒトの細胞を培養して組織や臓器を作り出し、これを医療用途及び研究用途に提供することを目的として事業を展開しております。 (2)再生医療製品事業再生医療とは、従来の薬物治療とは異なり、われわれの身体に備わっている組織の再生能力を引き出すことにより、失われた組織や臓器の機能を細胞を使って回復させることに主眼をおいた医療です。当社は、ティッシュエンジニアリングを利用した再生医療等製品を開発し、当該製品を医療機関向けに医療目的で製造販売しております。①当社の再生医療等製品現在、日本において再生医療等製品は20製品が承認されており、当社の自家培養表皮ジェイスは国内第1号として製造販売承認を取得しました。自家培養軟骨ジャックと自家培養角膜上皮ネピックは、それぞれ整形外科領域と眼科領域における国内初の再生医療等製品として製造販売承認を取得しました。自家培養口腔粘膜上皮オキュラルは、眼科領域における国内2つ目の再生医療等製品として製造販売承認を取得しました。また、当社5つ目の再生医療等製品として、2023年3月にメラノサイト含有自家培養表皮ジャスミンの製造販売承認を取得しました。(a)自家培養表皮ジェイス1975年、米国マサチューセッツ工科大学のHoward Green教授(2015年没、米国ハーバード大学医学部 名誉教授)らは、ヒトの正常な表皮細胞の培養方法を確立し、皮膚(表皮)に類似した細胞シートを開発しました。1984年には、重症熱傷を負った米国の2人の小児に対して、わずかに焼け残った自身の皮膚から培養表皮シートを作製・移植した報告が、大きな注目を集めました。自家培養表皮ジェイスは、この技術を使用しており、当社は、開発者であるHoward Green教授から技術指導を受け、培養表皮シートの開発を進めてきました。本品は、患者自身の皮膚組織を少量取り、約3週間の培養期間を経て、患者本人に移植する自家培養表皮シートです。本品は、2007年10月に重症熱傷治療を目的とした製品として製造販売承認を取得、2009年1月より保険適用を受け、我が国で第1号となる再生医療等製品となりました。本品は、適応拡大として2016年9月には先天性巨大色素性母斑の治療を目的とした製品として一部変更承認を受け、2016年12月より保険適用を受けました。さらに2018年12月には表皮水疱症の治療を目的とした製品として一部変更承認を受け、2019年7月より保険適用を受けました。(b)自家培養軟骨ジャック膝や肘の関節軟骨は、血管がないために、ケガ等で一度損傷を受けると自然には治りません。また、これらを薬等で治療することは非常に困難です。広島大学大学院整形外科の越智光夫教授(現、広島大学長)は、アテロコラーゲンというゲル状の物質の中で軟骨細胞を3次元培養する軟骨損傷治療用の移植組織を開発しました。従来、軟骨細胞懸濁液の移植治療が知られていましたが、越智教授が開発された移植組織は軟骨細胞が本来有する性質を維持しており、細胞が漏出しない点において優位性を持っております。自家培養軟骨ジャックは、この技術を使用しており、開発者である越智教授から技術指導を受け、培養軟骨組織の開発を進めてきました。本品は、軟骨損傷患者の関節(非荷重部)から少量採取した軟骨細胞をアテロコラーゲンゲルの中で約4週間培養し、患者本人の軟骨欠損部に移植する自家培養軟骨組織です。本品は、2012年7月に膝関節における外傷性軟骨欠損症又は離断性骨軟骨炎(変形性膝関節症を除く)の臨床症状の緩和を目的とした製品として製造販売承認を取得、2013年4月より保険適用を受け、整形外科領域で国内初の再生医療等製品となりました。2019年1月には自家培養軟骨ジャック移植時に患者自身の骨膜に代わって人工のコラーゲン膜を使用する一部変更申請承認を受けました。これにより患者の身体的負担軽減と医師の手技の簡便化を図ることができます。当社は、2018年7月から変形性膝関節症を対象とする適応拡大のための治験を実施し、2024年2月に治験終了届を独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)に提出しました。本試験においては、統計的に有意な臨床症状の改善が示されたことに加え、変形性膝関節症による軟骨欠損部において硝子軟骨様組織による修復が確認されました。これらのデータをまとめて、2024年6月に一部変更承認申請書をPMDAに提出しました。 (c)自家培養角膜上皮ネピック1997年、Pellegrini教授(現、イタリアModena and Reggio Emilia大学教授)らは、角膜と結膜の境界である角膜輪部組織から分離した角膜上皮細胞をフィブリンゲル製剤を足場として培養・作製した自家培養角膜上皮を角膜上皮幹細胞疲弊症の患者本人に世界で初めて移植し、良好な結果を報告しました。角膜輪部組織には角膜上皮幹細胞が存在し、角膜上皮細胞を供給するとともに結膜上皮細胞の侵入を阻み、角膜上皮の透明性を維持する重要な役割を担っております。自家培養角膜上皮ネピックは、この技術を使用しており、患者自身の角膜輪部組織から角膜上皮幹細胞を採取してシート状に培養したもので、本品を移植することにより角膜上皮を再建させることを目的としております。当社は株式会社ニデックから本品の製品開発を受託し、開発者であるG. Pellegriniの技術指導のもと、自家培養角膜上皮の開発を進めてきました。本品は、2020年3月に角膜上皮幹細胞疲弊症の治療を目的とした製品として製造販売承認を取得、2020年6月より保険適用を受け、眼科領域で国内初の再生医療等製品となりました。(d)自家培養口腔粘膜上皮オキュラル本品の開発において、大阪大学大学院医学系研究科(脳神経感覚器外科学(眼科学))の西田幸二教授、大家義則講師らにより、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)からの支援を受けて、角膜上皮幹細胞疲弊症を対象とした医師主導治験が実施されました。当社は、西田幸二教授が世界に先駆けて開発した自家培養口腔粘膜上皮細胞シート移植の技術を導入するとともに、当該医師主導治験を引き継ぎ、開発を行ってきました。自家培養口腔粘膜上皮オキュラルは、患者自身の口腔粘膜組織を採取し、分離した細胞を培養して作製するヒト(自己)口腔粘膜由来上皮細胞シートです。患者の眼表面に本品を移植することにより、患者自身の口腔粘膜上皮細胞が生着・上皮化し、欠損した角膜上皮を修復することを目的としております。本品は、2021年6月に角膜上皮幹細胞疲弊症の治療を目的とした再生医療等製品として製造販売承認を取得、2021年12月より保険適用を受け、眼科領域で2つ目の再生医療等製品となりました。角膜上皮幹細胞疲弊症によって両眼の角膜が広範囲に障害を受け、視力が著しく低下した患者に対する新たな治療法として期待されております。(e)メラノサイト含有自家培養表皮ジャスミン メラノサイト含有自家培養表皮ジャスミンは、患者自身の皮膚組織を採取し、分離した細胞をメラノサイトが保持されるように培養した、患者自身に使用する表皮細胞シートです。非外科的治療が無効又は適応とならない白斑の患部に対して、表皮層を薄く削った後に移植します。本品の移植によりメラノサイトが供給され、色素を再生することを目的としています。ジャスミンは既存の外科的治療に比べ、少ない面積の皮膚組織を用いて製造するため患者への侵襲が少なく、かつ一度に広範囲の治療を行うことが可能となります。また、本治療法で色素再生することにより、患者の整容面での心理的重圧の軽減と生活の質(QOL)の向上も期待されます。 本品は、2023年3月に白斑の治療を目的とした再生医療等製品として製造販売承認を取得しました。現在は保険収載の申請中であり、速やかに保険適用を目指します。 [当社の再生医療等製品一覧] ②自家細胞を用いた再生医療等製品のビジネスモデル当社は培養技術を利用した再生医療等製品を開発し、医療機関向けに医療目的で製造販売しております。当社の再生医療等製品は、現在、患者本人の細胞を培養し、患者本人に移植する「自家移植」を対象としております。当社は、長年にわたって自家移植を対象とした再生医療等製品を製造販売してきたことにより、自家の再生医療等製品に関する製造管理や品質管理に関するノウハウに加え、製品開発や販売に関する組織体制やノウハウを蓄積してきました。このようなノウハウは、当社の今後の事業に大きく役立たせることができます。 (3)再生医療受託事業当社は、医薬品医療機器等法のもと、再生医療等製品の承認を目的として臨床研究を実施するアカデミアや、医師主導治験を実施する医療機関、再生医療等製品の開発を行っている企業を対象に、再生医療等製品に特化した開発製造受託(CDMO)サービス・開発業務受託(CRO)サービスを提供しております。自社製品の開発、製造販売で培った薬事開発、規制当局対応のノウハウ、GCTP適合の製造設備等の豊富な実績及びノウハウを生かし、細胞種(体細胞・幹細胞・iPS細胞)や製品形態を問わず、シーズの開発段階から実用化後までトータルかつシームレスに支援しております。さらに、2014年11月に施行された再生医療等安全性確保法に則った、再生医療の提供機関に対するコンサルティングならびに特定細胞加工物製造受託サービスを提供しております。コンサルティングサービスでは、再生医療等提供計画の作成・細胞加工施設の運営体制の構築等、臨床研究・治療提供のために必要な行政手続きを支援しております。特定細胞加工物製造受託では、厚生労働省より許可を得た当社の細胞加工施設で特定細胞加工物の製造を受託しております。 (4)研究開発支援事業種々の医薬品や化粧品の開発に際して、開発製品の安全性や有効性を確認する等の目的により、動物を用いた試験が実施されております。当社は再生医療等製品の開発を通じて蓄積したティッシュエンジニアリングに係る技術、ノウハウを水平展開し、研究用ヒト培養組織ラボサイトシリーズを開発、製造、販売しております。ラボサイトは、「エピ・モデル」「角膜モデル」「エピ・キット」の3つの製品ラインアップを揃えております。「エピ・モデル」はヒトの正常な表皮細胞を培養して重層化したヒト3次元表皮モデルであり、ヒト表皮に類似した構造をしております。ヒトの皮膚に適用される外用医薬品や化粧品の開発、皮膚科医の基礎研究、化成品原材料の安全性研究等に有用な材料であると同時に、動物を使った皮膚試験の代替としての使用が想定されます。なお、「エピ・モデル」を用いた皮膚刺激性試験に関する試験法は、2013年7月に経済協力開発機構(OECD)の試験法ガイドラインTG439へ収載され、「エピ・モデル24」を含む皮膚腐食性試験法は、2019年6月にOECDの試験法ガイドラインTG431へ収載されました。さらに、現在は「エピ・モデル24」を用いた新たな標準法として、皮膚感作性試験の試験法ガイドライン収載に向けた準備を進めています。「角膜モデル」はヒト正常角膜上皮細胞を重層培養したヒト3次元角膜モデルです。角膜モデルでは、ムチン等のタンパク質の発現や細胞間接着構造等を確認しており、化合物の眼刺激性試験に加えて、角膜上皮の分子生物学的解析に利用できます。「角膜モデル」を用いた眼刺激性試験法については、2018年6月にOECDの試験法ガイドラインTG492へ収載されました。「エピ・キット」は顧客自身でヒト表皮モデルを作製できるヒト3次元表皮モデルの作製キットです。ヒト表皮モデルへの評価物質の添加やモデルの解析等を自由に設定できます。また、予め細胞に処理を行ったヒト表皮モデルの作製・解析等応用研究に使用できます。 (5)新規パイプラインの開発当社は、今後の成長を加速させるため、新たなパイプラインの開発に積極的に取り組んでおります。①他家(同種)培養表皮(開発名:Allo-JaCE03)の開発わが国で初となる他人の皮膚を原材料としたレディメイド(事前に製造・保存しておき、必要な時に遅滞なく使用することができる)製品である他家(同種)培養表皮(開発名:Allo-JaCE03)については、2021年8月に日本医療研究開発機構(AMED)の補助事業として「同種培養表皮の開発・事業化」に関する案件が採択され、2021年11月に治験計画届書を提出しました。さらに、「再生医療等製品の原材料となるヒト(同種)細胞の安定供給体制の構築」に関する案件が2021年6月にAMEDの委託事業として採択されており、他家(同種)細胞を用いた再生医療の産業化を進めております。 ②CAR-T細胞製剤の開発CD19陽性の急性リンパ性白血病(Acute Lymphoblastic Leukemia, ALL)を対象とした自家CAR-T細胞製剤について、2019年9月より「piggyBacトランスポゾンベクターを用いた自家CD19CAR-T療法の企業治験開始に向けた研究開発」(ウイルスベクターを用いない新技術による国産のCAR-T細胞製剤の開発)に関するAMEDの補助事業として開発を進めてきました。並行して、技術導入元である名古屋大学において同技術を用いた急性リンパ性白血病に対する臨床研究が実施されるとともに、自社の製造工程の効率化を図りました。また、同大学が支援しているタイ王国チュラロンコン大学のCAR-T細胞を用いた臨床研究についても、2023年3月、悪性リンパ腫を患う5名の患者の治療に効果があったことが報告されました。さらに、今後、名古屋大学でも日本での悪性リンパ腫に対するCAR-T細胞を用いた医師主導治験の開始を予定していることも合わせて報告され、日本での医師主導治験に用いられるCAR-T細胞は、当社が製造する予定です。これに加え、当社は本品の開発で得た知見やノウハウを生かし、柏の葉スマートシティ内に構築する「再生医療プラットフォーム」において帝人、国立研究開発法人国立がん研究センター、三井不動産株式会社と協働し、がん領域における本格的な事業展開に繋げていきます。 |
関係会社の状況 | 4【関係会社の状況】 親会社は次のとおりであります。名称住所資本金(百万円)主要な事業の内容議決権の所有割合又は被所有割合(%)関係内容(親会社)帝人株式会社大阪市北区71,833合成繊維、化成品等の研究、製造、販売他 被所有57.72当社への開発委託業務提携(注) 帝人株式会社は、有価証券報告書提出会社であります。 |
従業員の状況 | 5【従業員の状況】 (1) 提出会社の状況 2024年3月31日現在従業員数(名)平均年齢(歳)平均勤続年数(年)平均年間給与(円)211(22)38.6010.005,729,425 セグメントの名称従業員数(名)再生医療製品事業90(9)再生医療受託事業24(3)研究開発支援事業10(1)報告セグメント計124(13)全社(共通)87(9)合計211(22)(注)1 従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であり、臨時雇用者数(パートタイマー・嘱託社員)は、年間の平均人員を( )外数で記載しております。2 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。 (2) 労働組合の状況 労働組合は結成されておりませんが、労使関係は良好に推移しております。 (3) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異当事業年度管理職に占める女性労働者の割合(%)(注)1男性労働者の育児休業取得率(%)(注)2労働者の男女の賃金の差異(%)(注)1全労働者正規雇用労働者パート・有期労働者34.9100.071.574.039.0(注)1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。 |
経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 | 1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。(1)経営方針 当社は、「医療の質的変化をもたらすティッシュエンジニアリングをベースに、組織再生による根本治療を目指し、21世紀の医療そのものを変えてゆく事業を展開する。」ことを会社設立の趣旨とし、次の経営理念・ビジョン・行動指針に基づいて、再生医療製品事業、再生医療受託事業及び研究開発支援事業を展開しております。経営理念:再生医療の産業化を通じ、社会から求められる企業となる。法令・倫理遵守の下、患者様のQOL向上に貢献することにより、人類が生存する限り成長し続ける企業となる。その結果、全てのステークホルダーがより善く生きることを信条とする。ビジョン:再生医療をあたりまえの医療に行動指針:一、一貫性と柔軟性のバランス感覚を持つ。一、勇気を持って変化に挑戦する。一、異なる文化や考え方を尊重する。一、徹底的に現場を重視する。一、J-TECを代表する社員として深く考え行動する。サステナビリティ方針:私たちは、「再生医療をあたりまえの医療に」というビジョンのもと、再生医療のリーディングカンパニーとして持続可能な社会の実現に貢献し、企業価値の向上に努めます。 (2)経営戦略成長戦略1(基盤強化):再生医療製品の提供活動で培ったノウハウを強みとして、既存事業の売上利益を最大化し、黒字体質の基盤を確立する。①再生医療製品事業・ジェイスは重症熱傷治療の標準治療として浸透。広範囲な重症熱傷に加え、受傷面積の小さい症例でも使用実績を増やし、当社の事業基盤を支える。母斑・表皮水疱症向けは拠点施設及び患者団体との関係強化で確実に発生症例を獲得し、ゴールドスタンダード化を進める。・ジャックはコロナ禍で苦戦したが、その影響の緩和を受け医療機関への営業活動を再開。7年間に渡る全例を対象とした使用成績調査を終え、再審査により有効性と安全性が改めて確認されるなど、良好な治療エビデンスを蓄積したオンリーワンの製品として訴求し、事業拡大を目指す。・ネピック、オキュラルは株式会社ニデックとの連携により、拠点施設を中心に販売体制を構築している。眼科の主要学会にて製品の認知度向上や治療成績の情報発信を行うなど、一層の普及に向けた施策を実施し、根治療法の存在しなかった角膜上皮疾患に対する治療を提供する。②再生医療受託事業・顧客である企業やアカデミアはコロナ禍で中止していた開発を再開。優良な案件に注力して安定的に収益を獲得する。親会社である帝人と連携し新たなCDMO事業を構想・実行する。③研究開発支援事業・ラボサイトシリーズは、コロナ禍でも安定して受注を獲得。更なる成長に向けて、市場の大きい皮膚感作性試験のOECDガイドライン化を進めつつ、欧州やアジア圏への海外展開も積極的に推進する。 成長戦略2(市場拡大):既存製品とは異なる対象患者の多い市場をターゲットとした新規自家製品の上市・適応拡大により、売上を大幅に拡大させる。①再生医療製品事業・皮膚領域では、白斑を対象としたメラノサイト含有自家培養表皮(販売名:ジャスミン)の製造販売承認を取得。ジェイスで培った販売ノウハウや医師との関係を最大活用し、早期の普及を狙う。・膝領域では、ジャックの変形性膝関節症への適応拡大により、本来ジャックが狙っていた巨大市場に改めて挑戦する。先行してヘビーユーザーの医療機関と連携し、自由診療による同疾患の治療(メディカルツーリズム等)に着手し、承認後の迅速展開を図る。・ネピックとオキュラルをラインナップすることで、片眼性と両眼性の両方の角膜上皮幹細胞疲弊症患者に根治療法を提供し、眼科領域における再生医療のスタンダードとなる。これまで根治療法がないため治療を諦め埋没した患者に訴求し、潜在市場を開拓する。 ②再生医療受託事業・帝人と連携した新たなCDMO事業により、顧客(国内・海外)を拡大する。・従来のCDMO事業に加え、海外での承認品目の国内製造受託(CMO)を積極的に獲得する。③研究開発支援事業・帝人の海外ネットワークを活用し、海外展開を加速する。・薬機法の制約がない製品であるため、製法改良等のコストダウンで利益率向上を図る。 成長戦略3(領域展開):同種製品やがん免疫治療等の新たな製品・領域への展開を実現し、中期目標:売上高50億円、営業利益率10%超を達成する。①再生医療製品事業・皮膚領域では、当社初となる同種細胞を用いた培養表皮を上市する。Ⅱ度熱傷の新たな治療方法として、ジェイスで開拓した販路や医療機関とのネットワークを生かし普及させる。・膝領域では、ジャックで実施してきた営業施策と適応拡大に加え、施設基準緩和に取り組み、これらの相乗効果で売上を飛躍させ、膝領域の再生医療として確たる地位を築く。・新たな領域として、名古屋大学と開発中の自家CAR-T細胞製剤を上市する。低コストで供給できる強みを生かし、他社との差別化を図る。・細胞培養に関する実績・ノウハウと、帝人の有するエンジニアリングでシナジーを発揮し自家製品の製造自動化や同種製品の大量生産に向けた生産革新を実現し大幅なコスト低減を図る。②再生医療受託事業・CDMO事業の拡大に伴い、帝人グループとして新規生産拠点を立ち上げ、製造受託のキャパシティを増大させる。・皮膚、整形外科等の領域戦略に加え、培養法の相同性など、当社事業との親和性を活用する。③研究開発支援事業・ラボサイトシリーズでは、感作性試験OECDガイドライン化の実現と、帝人との連携による海外展開のシナジーにより、事業規模を飛躍的に成長させる。 (3)経営環境 2012年に京都大学iPS細胞研究所 所長 山中伸弥教授がノーベル生理学・医学賞を受賞したことを契機に、わが国は再生医療を成長戦略の一つとして位置付けました。再生医療への期待が急速に高まる中で、再生医療の普及を迅速に進めるための法整備が進められ、2014年11月に薬事法は医薬品医療機器等法として改正され、新たに再生医療等製品が定義されると同時に、再生医療等製品に条件・期限付承認制度が導入されました。また、再生医療を安全かつ迅速に実施するための再生医療等安全性確保法が施行されました。 このような状況の下、同種細胞を用いた再生医療製品の開発や、国内外技術導入による製薬企業の参入、iPS細胞による再生医療が臨床応用ステージに入る等の動きが加速しており、承認を取得した再生医療等製品も増えてきております。その一方で、国民医療費は、高齢化の進展、疾病構造の変化、医療の高度化、高額な製品の登場などによって年々増大しており、医療保険制度の持続可能性の確保が喫緊の課題となっております。(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 当社は、再生医療の産業化を推進するために、会社が対処すべき課題を以下のとおり認識し、その解決に向けた取り組みを展開しております。①再生医療製品事業(a) 自家培養表皮ジェイス 自家培養表皮ジェイスは、重症熱傷、先天性巨大色素性母斑及び表皮水疱症の治療のための再生医療等製品です。先天性巨大色素性母斑及び表皮水疱症への使用については、現在、使用成績調査が課せられています。調査には人員や費用の負担がありますが、当社は調査で得られた情報を適切に医療機関に提供することで、有効性及び安全性の確保・向上に努め、医療機関や医師、患者さんの信頼を獲得していきます。 また、保険収載における留意事項において、重症熱傷では40枚(医学的に必要がある場合に限り50枚)、先天性巨大色素性母斑では30枚、表皮水疱症では50枚が保険算定できる最大使用枚数として制限されています。当社は、引き続き使用実績を踏まえて更なる算定限度の緩和を追求し、ジェイス治療の質向上を目指します。(b) 自家培養軟骨ジャック 自家培養軟骨ジャックは、外傷性軟骨欠損症又は離断性骨軟骨炎(変形性膝関節症を除く)の治療のための再生医療等製品です。当社は、本品移植時の患者さんや医師の負担を少しでも軽減させるため、患者さん自身の骨膜に代えて人工のコラーゲン膜を使用するなど、低侵襲化や移植手技の簡便化を行ってまいりました。今後もこれら活動を通じて、製品価値の向上に取り組んでまいります。 また当社は、2018年7月から変形性膝関節症を対象とする適応拡大のための治験を実施し、2024年2月に治験終了届を独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)に提出しました。本試験においては、統計的に有意な臨床症状の改善が示されたことに加え、変形性膝関節症による軟骨欠損部において硝子軟骨様組織による修復が確認されました。これらのデータをまとめて、2024年6月に一部変更承認申請書をPMDAに提出しました。今後もジャックのさらなる市場拡大に努めます。(c) 自家培養角膜上皮ネピック・自家培養口腔粘膜上皮オキュラル 自家培養角膜上皮ネピックは、2020年6月に保険収載された眼科領域で国内初となる再生医療等製品であり、角膜上皮幹細胞疲弊症(スティーヴンス・ジョンソン症候群・眼類天疱瘡・移植片対宿主病・無虹彩症等の先天的に角膜上皮幹細胞に形成異常を来す疾患・再発翼状片・特発性の角膜上皮幹細胞疲弊症の患者さんを除く)を適応対象としています。 自家培養口腔粘膜上皮オキュラルは、2021年12月に保険収載された眼科領域の再生医療等製品であり、角膜上皮幹細胞疲弊症(原因を問わず)を適応対象としています。本品は、角膜上皮細胞を用いるネピックとは異なり、口腔粘膜上皮細胞を用いて角膜上皮幹細胞疲弊症を治療する世界初の再生医療等製品です。 当社は、眼科領域で2つの再生医療等製品を有することを強みとして株式会社ニデックと連携し、営業活動を実施します。さらに、両製品を通じて、根治療法の存在しなかった角膜上皮疾患に対する新たな治療の選択肢を提供することにより、眼科領域における再生医療の普及を加速させます。②再生医療受託事業 当社は、自社製品の開発・製造・販売を通じて蓄積したノウハウ等を活用し、再生医療等製品の受託開発及びコンサルティング、特定細胞加工物製造受託を行っています。受託案件は多種多様で、それぞれが異なる開発ステージに属するだけでなく、委託元のニーズも異なります。各々の課題を的確にとらえ、委託元と密に連携して着実に業務を進めています。当社は、既存案件及びさらなる良質な新規案件を獲得することで安定的に収益を獲得するとともに、帝人との協業により本事業の拡大を目指します。③研究開発支援事業 研究用ヒト培養組織ラボサイトシリーズは、表皮細胞のエピ・モデルと角膜上皮細胞の角膜モデルをラインナップしており、動物実験を代替する試薬として使用されています。 本シリーズでは、これまでに使用方法の国際標準化に向けた対応を進めてきた結果、エピ・モデル24を用いた皮膚刺激性試験法及び皮膚腐食性試験法、ならびに角膜モデル24を用いた眼刺激性試験法がOECDテストガイドラインに収載されています。当社は、ラボサイトシリーズが信頼性の高い動物実験代替材料として活用できることを訴求し、一層の売上増加を目指します。さらなる成長に向けて、市場の大きい皮膚感作性試験法のOECDガイドライン化を進めつつ、海外展開も積極的に推進します。④新規再生医療等製品の開発 当社は、既存の皮膚・軟骨・角膜領域に加え、新たな領域への展開を目指し、新製品の開発を進めています。新領域への挑戦は様々な課題が予測されますが、これまでの再生医療等製品の開発・適応拡大で培ってきた経験・ノウハウを生かしてこれらを解決していきます。また、帝人の医薬品・医療機器事業との連携による新技術の開発・事業拡大を目指します。 ⑤生産技術の開発 当社の取り扱う自家の再生医療等製品や開発受託サービスは生産の計画性や汎用性が低く、受注等のタイミングに応じて繁閑が大きくなります。顧客に高品質な製品を安定して供給するために、このような変動の多い作業を効率化・平準化するよう生産体制の改善を進めてきました。今後の製品ラインナップの追加は売上増加に大きく寄与しますが、一方で繁閑拡大や量産化対応等の課題が予測されます。当社は、これまで着手してきた独自の生産体制のさらなる革新を目指し、生産プロセス効率化・最適化、生産設備拡大を図ります。⑥販売力の強化 販売体制については、製品ラインナップの追加により新たな領域・分野での営業戦略・営業手法を確立する必要があります。当社は、これまで培ってきた営業ノウハウや顧客との信頼関係をもとに、適切な医療情報の収集・提供の仕組みを再整備し、当社の製品がより適切に使用されるよう万全を尽くすとともに、販売力の強化を図ります。⑦働きがいのある企業風土の醸成 当社は、再生医療の産業化という新しい領域への挑戦を日々続けており、今後も想定を超えた課題に直面する可能性があります。これに際し、自ら考え行動して解決策を見出せる人材の獲得と育成がきわめて重要であり、社員のチャレンジ精神を阻害しない制度や企業風土を醸成すべく取り組んでいます。また、今日では働き方の多様化も求められており、公平かつ一層働きがいのある職場環境をつくりあげていきます。⑧海外展開 当社は、さらなる事業の発展のために、帝人の海外ネットワークを活用して、海外展開に向けた取り組みを行っています。再生医療製品事業では、開発を進めている他家(同種)培養表皮において、海外展開による市場拡大を目指します。他家(同種)細胞を用いた製品であることや乾燥品であることの特長を生かし、国内だけでなく海外市場への展開も加速させていきます。研究開発支援事業では、研究用ヒト培養組織ラボサイトシリーズにおいて、皮膚感作性試験のOECDガイドライン化を実現するとともに海外展開を加速し、事業規模の飛躍的成長を推進していきます。 (5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 当社の経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標は、売上高、対前期成長率、営業利益、営業利益率、経常利益、純利益となります。 当社は、2024年5月9日付の「事業計画及び成長可能性に関する事項」において、2024年3月期の黒字化を中期経営計画通り達成し、2026年3月期に売上高50億円、営業利益率10%超を達成することを目指しています。※当社が展開する3事業(再生医療製品事業・再生医療受託事業・研究開発支援事業)の売上の相似拡大(うち再生医療製品事業は、主に今後上市予定の新製品による売上伸長)を主要因として売上目標を設定しています。 |
サステナビリティに関する考え方及び取組 | 2【サステナビリティに関する考え方及び取組】 当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。(1)ガバナンス 当社は、サステナビリティ方針に基づく様々な活動について、関係するそれぞれの部署が責任をもって推進しています。これらの活動が社会要請に基づく適正な活動であることを俯瞰的に確認する機関として、社長執行役員を委員長とする「コンプライアンス委員会」を設置しております。 また、これらの活動に伴うリスクを組織横断的に監視する機関として、社長執行役員を委員長とする「リスク管理委員会」を設置しております。リスク管理委員会では、顕在化したリスク(インシデント)を各部署から報告させ、インシデントの発生状況等から全社的なリスクマップの更新を定期的に行うことで重大リスクの把握に努めています。 各委員会の活動については、当社取締役会に報告されます。 (2)戦略 当社は「再生医療をあたりまえの医療に」というビジョンのもと、再生医療のリーディングカンパニーとして持続可能な社会の実現に貢献し、企業価値の向上に努めることをサステナビリティ方針としております。本方針のもと、地域との連携をはじめ、次世代への教育、支援、社員にとってより働きやすい職場づくり、再生医療の普及に向けた啓発活動などに取り組みます。 また、当社における人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針(人材育成方針)及び社内環境整備に関する方針(社内環境整備方針)は、以下のとおりです。・人材育成方針 当社は「再生医療をあたりまえの医療に」をビジョンに掲げており、新しい世界に向けて挑戦する意欲のある人材を必要としています。ビジョンの実現には、年齢や性別、身につけた専門知識や技術等の多様な人材を集め、それぞれの力を最大限に発揮する必要があります。当社は、様々な背景や個性を持つ社員一人ひとりと向き合い、それぞれの特性に応じた人材育成に取り組んでいます。1.個々の専門性(知識・技能)の向上 社員のよりどころ(軸)となる知識や技能を一人ひとりの背景や個性に応じてサポートし、仕事への自信につなげます。2.仕事を通じた自己成長の促進 身につけた知識や技能を仕事を通じて活用し、応用することでより高度な人格を形成させ、自律した社員を育成します。3.キャリア形成に対するサポート 社員一人ひとりが持つ様々な事情や希望を踏まえ、すべての社員が活躍できるキャリア形成をサポートします。4.自己啓発に対する支援 社員が意欲的に学び、チャレンジする姿勢を促し、社員の成長につながる自己啓発や自己活動を支援します。・社内環境整備方針 当社が再生医療の産業化を実現し、永続的に成長するためには、社員が安心して生き生きと働ける職場環境の実現が必要です。当社は、社会環境や社員のライフステージの変化に対応できるように、多様な働き方が選べる制度を整備していきます。年齢や性別、専門性や雇用形態などの違いを踏まえ、すべての社員一人ひとりが自分のキャリアに向き合い、将来を見据えて挑戦していく社内風土の醸成を目指します。1.ワークライフマネジメントの推進 仕事とプライベートを単純に切り分けるのではなく、仕事とプライベートを融和させ、働きがいや自己成長につなげます。2.働くことのよろこび 社員一人ひとりの役割や能力にあう目標を設定し、これを達成することで働くことへのよろこびや満足につなげます。3.持続可能な社会への貢献 顧客やエンドユーザーの声を社員に伝えることで自分の仕事が社会に貢献していることを認識させ、人生の充実につなげます。4.コミュニケーションの充実 社員間の対話が活発に行われる社内風土を醸成し、よい人間関係を構築することにより自己肯定感の向上につなげます。 (3)リスク管理 当社は、リスク管理に関する規定を策定するとともに、サステナビリティを含む様々なリスクに対応するため、それぞれの部署の部長がリスク管理責任者を務め、事業リスクを把握、分析し、必要な対応策を講じます。当社は、事業展開その他に関してリスクとなり得る事項を特定し、発生の回避及び発生した場合の早期対応に努めています。 また、サステナビリティに密接に関連する環境保全、安全及び健康の確保に努め、持続可能な社会に貢献すると同時に、リスクが発生する可能性の高い環境(Environment)、安全・防災(Safety)、健康(Health)に関する方針をコンプライアンスポリシー内に定め、ESHマネジメントを運営する体制を整備しています。ESHマネジメント活動については年1回マネジメントレビューを実施し、適切で妥当かつ有効なシステムであることを確認しています。 (4)指標及び目標 当社では、上記の人材育成方針及び社内環境整備方針の達成状況を様々な指標で確認しており、重要な指標及び実績(2024年3月期)は以下のとおりです。1.満足度 当社は、社員のエンゲージメント調査を年1回実施しています。2024年3月期のエンゲージメントスコアは58ポイントでした。2026年3月期においてエンゲージメントスコアが62ポイント以上となることを目標とし、働きがいのある職場環境の整備に努めます。 2.離職 当社を離職する社員は一定数いますが、離職の原因はご家庭の事情やキャリアアップなどの様々な要因もあり、社内環境に満足できないことのみが理由ではありません。しかしながら、当社事業の安定的な稼働を踏まえ、様々な働き方や多様性を認めていくことで職場環境の整備に努め、離職の低下に取り組みます。・正社員離職率:7.1%(c.f. 2023年3月期:2.8%) 目標:事業年度単位で5%以下を目指します。・早期(3年以内)離職率:10.5% 目標:2026年3月期において8.0%以下となることを目指します。3.有給休暇 当社は、有給休暇取得率を適正なワークライフマネジメントの指標のひとつとしてとらえ、有給休暇を取得しやすい雰囲気づくりや、希望日に取得できる労働環境となるように職場環境の整備に努めています。・有給休暇取得率:82.4%(c.f. 2023年3月期:73.5%) 目標:2023年3月期に掲げた目標(事業年度単位で75%以上)を達成しました。当期水準の維持に努めます。4.ジェンダー 当社は、役割資格に基づく賃金制度を導入しているため、制度的なジェンダーによる賃金格差はありませんが、年齢層によって男女比率が異なる(平均年齢:男性 41.1歳、女性 36.9歳)ことや、女性社員の約10%(2024年3月期:15名)が育児短時間勤務制度を活用していることなどを要因として賃金差異が生じています。 当社は、既に女性比率が5割を超えており、女性活躍を実践しているため、女性活躍に目を向けた女性比率の向上だけを目標とはせず、優秀な人材をジェンダーに関係なく継続的に採用することで全体バランス(男女比や年齢層別など)の適正化を図ります。・男女比率(全社員):男性 40.3%、女性 59.7%(c.f. 2023年3月期:男性 42.0%、女性 58.0%)・男女比率(管理職):男性 65.1%、女性 34.9%(c.f. 2023年3月期:男性 67.4%、女性 32.6%) 目標:2028年3月期において女性比率40.0%以上を目指します。・労働者の男女の賃金差異:74.0%(正社員)(c.f. 2023年3月期:73.1%)・労働者の男女の賃金差異:71.5%(全社員)5.育児休暇 配偶者が出産した場合の当社の男性社員の育児休業取得は、以下のとおりです。引続き、男性社員が育児休業を取得しやすい社内風土及び環境を維持していきます。・育児休業取得率:100%(6名)(←c.f. 2023年3月期:100%(7名))・育児休暇取得日数(平均):67日・育児休暇取得日数(最長):194日 |
戦略 | (2)戦略 当社は「再生医療をあたりまえの医療に」というビジョンのもと、再生医療のリーディングカンパニーとして持続可能な社会の実現に貢献し、企業価値の向上に努めることをサステナビリティ方針としております。本方針のもと、地域との連携をはじめ、次世代への教育、支援、社員にとってより働きやすい職場づくり、再生医療の普及に向けた啓発活動などに取り組みます。 また、当社における人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針(人材育成方針)及び社内環境整備に関する方針(社内環境整備方針)は、以下のとおりです。・人材育成方針 当社は「再生医療をあたりまえの医療に」をビジョンに掲げており、新しい世界に向けて挑戦する意欲のある人材を必要としています。ビジョンの実現には、年齢や性別、身につけた専門知識や技術等の多様な人材を集め、それぞれの力を最大限に発揮する必要があります。当社は、様々な背景や個性を持つ社員一人ひとりと向き合い、それぞれの特性に応じた人材育成に取り組んでいます。1.個々の専門性(知識・技能)の向上 社員のよりどころ(軸)となる知識や技能を一人ひとりの背景や個性に応じてサポートし、仕事への自信につなげます。2.仕事を通じた自己成長の促進 身につけた知識や技能を仕事を通じて活用し、応用することでより高度な人格を形成させ、自律した社員を育成します。3.キャリア形成に対するサポート 社員一人ひとりが持つ様々な事情や希望を踏まえ、すべての社員が活躍できるキャリア形成をサポートします。4.自己啓発に対する支援 社員が意欲的に学び、チャレンジする姿勢を促し、社員の成長につながる自己啓発や自己活動を支援します。・社内環境整備方針 当社が再生医療の産業化を実現し、永続的に成長するためには、社員が安心して生き生きと働ける職場環境の実現が必要です。当社は、社会環境や社員のライフステージの変化に対応できるように、多様な働き方が選べる制度を整備していきます。年齢や性別、専門性や雇用形態などの違いを踏まえ、すべての社員一人ひとりが自分のキャリアに向き合い、将来を見据えて挑戦していく社内風土の醸成を目指します。1.ワークライフマネジメントの推進 仕事とプライベートを単純に切り分けるのではなく、仕事とプライベートを融和させ、働きがいや自己成長につなげます。2.働くことのよろこび 社員一人ひとりの役割や能力にあう目標を設定し、これを達成することで働くことへのよろこびや満足につなげます。3.持続可能な社会への貢献 顧客やエンドユーザーの声を社員に伝えることで自分の仕事が社会に貢献していることを認識させ、人生の充実につなげます。4.コミュニケーションの充実 社員間の対話が活発に行われる社内風土を醸成し、よい人間関係を構築することにより自己肯定感の向上につなげます。 |
指標及び目標 | (4)指標及び目標 当社では、上記の人材育成方針及び社内環境整備方針の達成状況を様々な指標で確認しており、重要な指標及び実績(2024年3月期)は以下のとおりです。1.満足度 当社は、社員のエンゲージメント調査を年1回実施しています。2024年3月期のエンゲージメントスコアは58ポイントでした。2026年3月期においてエンゲージメントスコアが62ポイント以上となることを目標とし、働きがいのある職場環境の整備に努めます。 2.離職 当社を離職する社員は一定数いますが、離職の原因はご家庭の事情やキャリアアップなどの様々な要因もあり、社内環境に満足できないことのみが理由ではありません。しかしながら、当社事業の安定的な稼働を踏まえ、様々な働き方や多様性を認めていくことで職場環境の整備に努め、離職の低下に取り組みます。・正社員離職率:7.1%(c.f. 2023年3月期:2.8%) 目標:事業年度単位で5%以下を目指します。・早期(3年以内)離職率:10.5% 目標:2026年3月期において8.0%以下となることを目指します。3.有給休暇 当社は、有給休暇取得率を適正なワークライフマネジメントの指標のひとつとしてとらえ、有給休暇を取得しやすい雰囲気づくりや、希望日に取得できる労働環境となるように職場環境の整備に努めています。・有給休暇取得率:82.4%(c.f. 2023年3月期:73.5%) 目標:2023年3月期に掲げた目標(事業年度単位で75%以上)を達成しました。当期水準の維持に努めます。4.ジェンダー 当社は、役割資格に基づく賃金制度を導入しているため、制度的なジェンダーによる賃金格差はありませんが、年齢層によって男女比率が異なる(平均年齢:男性 41.1歳、女性 36.9歳)ことや、女性社員の約10%(2024年3月期:15名)が育児短時間勤務制度を活用していることなどを要因として賃金差異が生じています。 当社は、既に女性比率が5割を超えており、女性活躍を実践しているため、女性活躍に目を向けた女性比率の向上だけを目標とはせず、優秀な人材をジェンダーに関係なく継続的に採用することで全体バランス(男女比や年齢層別など)の適正化を図ります。・男女比率(全社員):男性 40.3%、女性 59.7%(c.f. 2023年3月期:男性 42.0%、女性 58.0%)・男女比率(管理職):男性 65.1%、女性 34.9%(c.f. 2023年3月期:男性 67.4%、女性 32.6%) 目標:2028年3月期において女性比率40.0%以上を目指します。・労働者の男女の賃金差異:74.0%(正社員)(c.f. 2023年3月期:73.1%)・労働者の男女の賃金差異:71.5%(全社員)5.育児休暇 配偶者が出産した場合の当社の男性社員の育児休業取得は、以下のとおりです。引続き、男性社員が育児休業を取得しやすい社内風土及び環境を維持していきます。・育児休業取得率:100%(6名)(←c.f. 2023年3月期:100%(7名))・育児休暇取得日数(平均):67日・育児休暇取得日数(最長):194日 |
人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略 | また、当社における人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針(人材育成方針)及び社内環境整備に関する方針(社内環境整備方針)は、以下のとおりです。・人材育成方針 当社は「再生医療をあたりまえの医療に」をビジョンに掲げており、新しい世界に向けて挑戦する意欲のある人材を必要としています。ビジョンの実現には、年齢や性別、身につけた専門知識や技術等の多様な人材を集め、それぞれの力を最大限に発揮する必要があります。当社は、様々な背景や個性を持つ社員一人ひとりと向き合い、それぞれの特性に応じた人材育成に取り組んでいます。1.個々の専門性(知識・技能)の向上 社員のよりどころ(軸)となる知識や技能を一人ひとりの背景や個性に応じてサポートし、仕事への自信につなげます。2.仕事を通じた自己成長の促進 身につけた知識や技能を仕事を通じて活用し、応用することでより高度な人格を形成させ、自律した社員を育成します。3.キャリア形成に対するサポート 社員一人ひとりが持つ様々な事情や希望を踏まえ、すべての社員が活躍できるキャリア形成をサポートします。4.自己啓発に対する支援 社員が意欲的に学び、チャレンジする姿勢を促し、社員の成長につながる自己啓発や自己活動を支援します。・社内環境整備方針 当社が再生医療の産業化を実現し、永続的に成長するためには、社員が安心して生き生きと働ける職場環境の実現が必要です。当社は、社会環境や社員のライフステージの変化に対応できるように、多様な働き方が選べる制度を整備していきます。年齢や性別、専門性や雇用形態などの違いを踏まえ、すべての社員一人ひとりが自分のキャリアに向き合い、将来を見据えて挑戦していく社内風土の醸成を目指します。1.ワークライフマネジメントの推進 仕事とプライベートを単純に切り分けるのではなく、仕事とプライベートを融和させ、働きがいや自己成長につなげます。2.働くことのよろこび 社員一人ひとりの役割や能力にあう目標を設定し、これを達成することで働くことへのよろこびや満足につなげます。3.持続可能な社会への貢献 顧客やエンドユーザーの声を社員に伝えることで自分の仕事が社会に貢献していることを認識させ、人生の充実につなげます。4.コミュニケーションの充実 社員間の対話が活発に行われる社内風土を醸成し、よい人間関係を構築することにより自己肯定感の向上につなげます。 |
人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績、指標及び目標 | 当社では、上記の人材育成方針及び社内環境整備方針の達成状況を様々な指標で確認しており、重要な指標及び実績(2024年3月期)は以下のとおりです。1.満足度 当社は、社員のエンゲージメント調査を年1回実施しています。2024年3月期のエンゲージメントスコアは58ポイントでした。2026年3月期においてエンゲージメントスコアが62ポイント以上となることを目標とし、働きがいのある職場環境の整備に努めます。 2.離職 当社を離職する社員は一定数いますが、離職の原因はご家庭の事情やキャリアアップなどの様々な要因もあり、社内環境に満足できないことのみが理由ではありません。しかしながら、当社事業の安定的な稼働を踏まえ、様々な働き方や多様性を認めていくことで職場環境の整備に努め、離職の低下に取り組みます。・正社員離職率:7.1%(c.f. 2023年3月期:2.8%) 目標:事業年度単位で5%以下を目指します。・早期(3年以内)離職率:10.5% 目標:2026年3月期において8.0%以下となることを目指します。3.有給休暇 当社は、有給休暇取得率を適正なワークライフマネジメントの指標のひとつとしてとらえ、有給休暇を取得しやすい雰囲気づくりや、希望日に取得できる労働環境となるように職場環境の整備に努めています。・有給休暇取得率:82.4%(c.f. 2023年3月期:73.5%) 目標:2023年3月期に掲げた目標(事業年度単位で75%以上)を達成しました。当期水準の維持に努めます。4.ジェンダー 当社は、役割資格に基づく賃金制度を導入しているため、制度的なジェンダーによる賃金格差はありませんが、年齢層によって男女比率が異なる(平均年齢:男性 41.1歳、女性 36.9歳)ことや、女性社員の約10%(2024年3月期:15名)が育児短時間勤務制度を活用していることなどを要因として賃金差異が生じています。 当社は、既に女性比率が5割を超えており、女性活躍を実践しているため、女性活躍に目を向けた女性比率の向上だけを目標とはせず、優秀な人材をジェンダーに関係なく継続的に採用することで全体バランス(男女比や年齢層別など)の適正化を図ります。・男女比率(全社員):男性 40.3%、女性 59.7%(c.f. 2023年3月期:男性 42.0%、女性 58.0%)・男女比率(管理職):男性 65.1%、女性 34.9%(c.f. 2023年3月期:男性 67.4%、女性 32.6%) 目標:2028年3月期において女性比率40.0%以上を目指します。・労働者の男女の賃金差異:74.0%(正社員)(c.f. 2023年3月期:73.1%)・労働者の男女の賃金差異:71.5%(全社員)5.育児休暇 配偶者が出産した場合の当社の男性社員の育児休業取得は、以下のとおりです。引続き、男性社員が育児休業を取得しやすい社内風土及び環境を維持していきます。・育児休業取得率:100%(6名)(←c.f. 2023年3月期:100%(7名))・育児休暇取得日数(平均):67日・育児休暇取得日数(最長):194日 |
事業等のリスク | 3【事業等のリスク】 当社は再生医療製品事業、再生医療受託事業及び研究開発支援事業を展開しておりますが、以下において、当社の事業展開その他に関してリスクとなり得る主な事項を記載しております。当社として必ずしも事業上のリスクとは考えていない事項についても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から記載しております。なお、当社はこれらのリスクを認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努めますが、それらをすべて回避できる保証はありません。以下の記載は、当事業年度末において当社が判断したものであり、当社事業に関連するすべてのリスクを網羅するものではありませんのでご留意ください。 重大リスク影響する事業セグメント主なリスク内容顕在化可能性顕在時影響リスク対応策市場規模再生医療製品事業・当社製品の市場規模は限定的で、一定以上のシェアを確保していたとしても、対象患者の発生状況や他社の参入により、売上高が大きく変動する可能性あり。中大・医療機関との緊密な連携や周知活動により、対象患者を適切に把握し、影響の最小化に取り組んでいる。再生医療受託事業・開発状況や委託元の方針変更等により受託業務の解約や規模縮小等の可能性あり。・委託元と密に連携し、委託元の意向や計画を把握することで適時、適切な対応や提案により影響の最小化に取り組んでいる。法規制再生医療製品事業再生医療受託事業・予測できない法改正や医療行政の方針変更等による急激な環境変化が生じると、当社の経営戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性あり。中中・薬事承認に関する経験やノウハウを磨き、規制当局に緊密な相談を行い、影響の最小化に取り組んでいる。製品の安定製造再生医療製品事業再生医療受託事業研究開発支援事業・代替の利かない原材料、資材等を一定数使用しているため、これらが調達できない場合、自社製品及び受託製品の製造中止の可能性あり。中大・サプライヤーと安定供給契約等を締結する。・重要度の高い原材料、資材から優先的に代替品の調査、検討、選定を行う。・製造方法や検査方法等の新規開発により代替技術を確立する。人材流出・競合企業が増えており、専門人材の離職の可能性あり。・テレワーク導入企業の増加により在宅希望者の離職の可能性あり。・専門性の高い従業員の離職は、補填、育成に時間がかかるため、一時的な影響が出る可能性あり。高中・様々な働き方に対応するため、社内外の状況に応じて制度の再整備、見直し等を行う。・ブランド向上や働きがいのある業務設計・報酬体系等により従業員満足度向上を図る。情報流出・従業員が意図せずに第三者に機密情報を情報提供する可能性あり。・コンピューターウイルスの侵入等のサイバー攻撃による情報漏洩等の可能性あり。中中・就業規則や誓約書、教育等による従業員への秘密情報管理の意識づけを徹底する。・ネットワークセキュリティの強化や社員教育の徹底を行う。 重大リスク影響する事業セグメント主なリスク内容顕在化可能性顕在時影響リスク対応策大規模災害パンデミック再生医療製品事業再生医療受託事業研究開発支援事業・本社と生産拠点が一ヶ所にまとまっており、災害で両方の機能が停止する可能性あり。・医療体制が逼迫すると不急の手術などは敬遠され、手術の延期や治験の停滞による売上減少、開発スケジュール遅延の可能性あり。・委託元や顧客(研究機関等)の研究開発状況の変化により当社業績にマイナス影響を及ぼす可能性あり。・サプライチェーン寸断により原材料等が調達できない可能性あり。小大・大規模災害等を想定したインフラ整備や運用整備を図っている。・医療機関との緊密な関係から実情や情勢を把握し、新たな営業活動等を推進することで、事業への影響を小さくすることに取組んでいる。・原材料、資材等の代替品の調査、検討、選定を行う。取引先との有事に備えた関係を構築する。 |
経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 | 4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 (1)経営成績等の状況の概要当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 ①財政状態及び経営成績の状況当事業年度(2023年4月1日から2024年3月31日)におけるわが国経済は、5月に新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行して以降、行動制限の緩和や各種政策の効果によるインバウンド需要の回復などが景気を支える一方で、ロシア・ウクライナ紛争の長期化や欧州経済の低迷、米国経済の堅調さによる円安などが、物価上昇を進行させました。大企業を中心とした賃金上昇や日経平均株価の上昇などの堅調な成長もみられましたが、これらの影響は一部の企業に限られており、依然として先行き不透明な状況が継続しています。再生医療・細胞治療分野では、岸田内閣の下「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」が提唱され、再生・細胞治療・遺伝子治療等を含む科学技術・イノベーションへの重点的投資を含む、バイオテクノロジー領域の成長を促す政策が注目されています。その一例として、経済産業省が令和4年度補正予算「再生・細胞医療・遺伝子治療の社会実装に向けた環境整備事業」において総額50億円の補助金を拠出することを決定し、当社の取り組みもその事業の1つとして採択されました。また、「再生医療・遺伝子治療の産業化に向けた基盤技術開発事業」として、安定的かつ効率的な製造技術基盤の確立や、原料となる細胞の供給環境の整備等の取り組みが開始されています。さらに2023年11月には、経団連バイオエコノミー委員会が「バイオ医薬品の産業強化に向けて-再生医療等製品の普及と産業化-」として意見書を公開し、産業界から見た本領域の課題が整理されました。これらの活動を通じて、わが国の再生医療等製品(細胞加工製品及び遺伝子治療用製品)は当社5製品を含む20品目となりました。このような状況の下、当事業年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。 a. 財政状態 当事業年度末において、総資産は6,988,774千円(前期と比べ105,454千円増加)、負債は908,431千円(前期と比べ37,714千円減少)、純資産は6,080,342千円(前期と比べ143,168千円増加)となりました。 当事業年度における資産、負債及び純資産の状況に関する分析は以下のとおりであります。(流動資産) 当事業年度末における流動資産の残高は5,339,279千円となり、前事業年度末から127,915千円増加いたしました。この主な要因は、現金及び預金が増加したことによるものであります。(固定資産) 当事業年度末における固定資産の残高は1,649,495千円となり、前事業年度末から22,461千円減少いたしました。この主な要因は、減価償却によるものであります。(流動負債) 当事業年度末における流動負債の残高は873,531千円となり、前事業年度末から37,714千円減少いたしました。この主な要因は、流動負債の「その他」に含まれる未払消費税等の増加があったものの未払金が減少したことによるものであります。(固定負債) 当事業年度末における固定負債の残高は前事業年度末と同じ34,900千円となりました。(純資産) 当事業年度末における純資産の残高は6,080,342千円となり、前事業年度末から143,168千円増加いたしました。この主な要因は、当期純利益の計上によるものであります。 b. 経営成績当事業年度における売上高は、再生医療受託事業の売上が大幅に拡大し、研究開発支援事業の売上も順調に伸長した結果、全体としての売上が堅調に推移し、2,514,190千円(前期比23.7%増)となりました。営業利益は144,506千円(前期は728,119千円の営業損失)、経常利益は147,009千円(前期は725,477千円の経常損失)、当期純利益は143,169千円(前期は729,317千円の当期純損失)となりました。セグメント別では、再生医療製品事業の売上高は、1,406,614千円(前期比0.0%増)、再生医療受託事業の売上高は、865,533千円(前期比106.4%増)、研究開発支援事業の売上高は、242,042千円(前期比17.0%増)となりました。 各セグメントにおける概況及び新規パイプライン開発に関する特記事項は、以下のとおりです(□内は当事業年度における主な成果です)。 [再生医療製品事業]当社は再生医療製品事業として自家培養表皮ジェイス、自家培養軟骨ジャック、自家培養角膜上皮ネピック及び自家培養口腔粘膜上皮オキュラルの製造販売を行っています。・自家培養表皮ジェイス自家培養表皮ジェイスは、2009年1月に重症熱傷を適応として保険収載された国内初の再生医療等製品であり、先天性巨大色素性母斑及び表皮水疱症(栄養障害型と接合部型)にも適応を拡大しています。ジェイスの保険適用に関しては、患者さんの一連の製造につき保険算定できる枚数の上限が設定されており、熱傷治療は40枚(医学的に必要がある場合に限り50枚)、先天性巨大色素性母斑治療は30枚、表皮水疱症(栄養障害型と接合部型)治療は50枚が保険算定限度となっています。・自家培養軟骨ジャック自家培養軟骨ジャックは、2013年4月に保険収載された国内第2号の再生医療等製品であり、膝関節における外傷性軟骨欠損症又は離断性骨軟骨炎(変形性膝関節症を除く)を適応としています。2019年1月には、ジャックの移植時に用いていた患者さん自身の骨膜に代わって人工のコラーゲン膜を使用する一部変更承認を取得して、手術侵襲の低減と簡便化を実現しました。2022年6月には、承認後の使用成績調査について再審査が終了し、承認時の有効性及び安全性が改めて確認されました。・自家培養角膜上皮ネピック自家培養角膜上皮ネピックは、2020年6月に保険収載された眼科領域では国内初となる再生医療等製品であり、角膜上皮幹細胞疲弊症(スティーヴンス・ジョンソン症候群・眼類天疱瘡・移植片対宿主病・無虹彩症等の先天的に角膜上皮幹細胞に形成異常を来す疾患・再発翼状片・特発性の角膜上皮幹細胞疲弊症の患者さんを除く)を適応としています。・自家培養口腔粘膜上皮オキュラル自家培養口腔粘膜上皮オキュラルは、角膜上皮幹細胞疲弊症を適応としており、2021年12月に保険収載されました。口腔粘膜上皮細胞を用いて両眼性の角膜上皮幹細胞疲弊症を治療することが可能な、世界初の再生医療等製品です。当事業年度における再生医療製品事業の売上は、1,406,614千円(前期比0.0%増)となりました。売上の主な内訳は以下のとおりです。当事業年度におけるジェイスの売上は、911,436千円(前期比10.2%増)となりました。重症熱傷では、救急搬送ルートの変容や救命救急科スタッフの異動に狙いを定めた医局説明会や地方学会の施策が奏功し、適応症例の受注獲得が加速して売上をけん引しました。先天性巨大色素性母斑では、拠点施設を中心に営業活動を展開しましたが、治療の候補となる患者さんが少ない状況は変わらず苦戦が続きました。一方、11月に開催された母斑研究会において、母斑が広範囲にわたる症例に対する新しい治療法が議論され、それとジェイスを併用する検討が開始されており、今後の受注増加が期待されます。表皮水疱症では、候補患者の移植スケジュール調整が進み、順調に売上が拡大しました。次年度も当期に展開した営業基本戦略を継続するとともに、ジェイスの臨床的意義を最大限訴求する施策を実行し、売上増加につなげます。当事業年度におけるジャックの売上は、320,508千円(前期比13.8%減)となりました。コロナ禍で受注が途絶えた医療機関や新規施設からの受注は堅調でしたが、ジャックの売上をけん引する大口施設の受注が回復しませんでした。医師の異動先の医療機関が施設要件を満たしていない影響が大きく、受注の回復に時間を要しています。一方、12月に開催された日本膝関節学会では、ジャックによる関節温存治療の有効性が示され、医師からの評価は高まっています。それを追い風にエビデンスを訴求し、拠点施設を増やすことで売上の底上げを図ります。また変形性膝関節症への適応拡大に向けた治験についても、計画通り着実に申請準備を進めています。当事業年度における眼科領域・その他の売上は、174,670千円(前期比15.7%減)となりました。ネピックに続きオキュラルの販売開始でこれまで眼科領域の売上は拡大してきましたが、拠点施設での候補となる待機患者への移植が一巡したことにより売上が伸び悩みました。一方、新たな動きとして、片眼にオキュラルを移植した両眼性疾患の患者さんに対する対側眼への受注が入り始めました。今後も全国の角膜専門医へ眼科領域初の再生医療を継続的に訴求して、治療対象となる患者さんの掘り起しに努めます。さらに、販売を担う株式会社ニデックと協働し、主要学会での一般眼科医への製品認知度向上や治療成績に関する情報発信を行うとともに、潜在患者への直接的な治療啓発への取り組みを具体化し、売上増加につなげます。当社はニデックと連携し、根治療法の存在しなかった角膜上皮疾患に対して再生医療というソリューションを広く提供していきます。 [再生医療受託事業]当社は再生医療受託事業において、再生医療等製品の受託開発ならびにコンサルティング及び特定細胞加工物製造受託を行っています。・再生医療等製品の受託開発当社は、医薬品医療機器等法のもと、再生医療等製品の承認を目的として臨床研究を実施するアカデミアや、医師主導治験を実施する医療機関、再生医療等製品の開発を行っている企業を対象に、再生医療等製品に特化した開発製造受託(CDMO)サービス・開発業務受託(CRO)サービスを提供しています。自社製品の開発、製造販売で培った薬事開発、規制当局対応のノウハウ、GCTP適合の製造設備等の豊富な実績及びノウハウを生かし、細胞種(体細胞・幹細胞・iPS細胞)や製品形態を問わず、シーズの開発段階から実用化後までトータルかつシームレスに支援しています。・コンサルティング及び特定細胞加工物製造受託当社は、再生医療等安全性確保法のもと、再生医療の提供機関に対するコンサルティングならびに特定細胞加工物製造受託サービスを提供しています。コンサルティングサービスでは、再生医療等提供計画の作成・細胞加工施設の運営体制の構築等、臨床研究・治療提供のために必要な行政手続きを支援しています。特定細胞加工物製造受託では、厚生労働省より許可を得た当社の細胞培養加工施設で特定細胞加工物の製造を受託しています。当事業年度における再生医療受託(CDMO)事業の売上は、865,533千円(前期比106.4%増)となりました。新規顧客、既存顧客及び親会社である帝人株式会社からの受託がそれぞれ順調に増加しました。2023年4月19日付で帝人と再生医療受託事業に係るライセンス契約を締結し、本契約に基づくマイルストン対価の一部(170,000千円)を計上したことも大きな増加要因となりました。当社の再生医療製品等の製造販売による実績や経験を基に、お客様の課題解決に貢献することに努める一方、事業部内の業務効率化、体制強化に取り組んだ結果、よりお客様への役務提供へ注力できる好循環を生み出し、CDMO事業としての着実な実績を積み上げてきました。当期に設立された帝人リジェネット株式会社をはじめ、帝人グループの関連各社と協働し、CDMO事業の拡大を通じて社会に貢献します。 [研究開発支援事業]当社は研究開発支援事業において、自社製品の開発で蓄積した高度な培養技術を応用した研究用ヒト培養組織の製造販売を行っています。・ラボサイトシリーズ研究用ヒト培養組織ラボサイトシリーズは、動物実験を代替する試薬です。日用品、医薬品、化粧品及び化学品メーカーなど、化学物質を扱う企業向けに販売しています。当事業年度における研究開発支援事業の売上は、242,042千円(前期比17.0%増)となりました。研究用ヒト培養組織ラボサイトシリーズは、円安による原材料価格及び物流コストの高騰のため、2023年4月に価格改定を行いました。価格改定によるユーザー離れが懸念されましたが、オンライン面談による製品使用方法及び疑問点へのきめ細やかな説明、新規使用方法のウェビナー開催などを実施した結果、前年同期に対し売上が増加しました。また、同年4月よりラボサイトシリーズの製造、販売、開発機能を集約した「研究開発支援事業部」を設立し、機動的な製品開発、コンパクトな組織運営による事業利益拡大を図っています。エピ・モデル24を用いた皮膚刺激性試験法及び皮膚腐食性試験法ならびに、角膜モデル24を用いた眼刺激性試験法は、標準法の一つとして経済協力開発機構(OECD)のテストガイドラインに収載されており、日本国内においてはトップシェアを占めるモデルとなっています。また、現在エピ・モデル24を用いた新たな標準法として、皮膚感作性試験のテストガイドライン収載に向けた準備を進めており、今後の収載を足掛かりに、国内外での売上増加を狙います。当社は引き続き、ラボサイトシリーズが信頼性の高い動物実験代替材料として活用できることを国内外に発信し、顧客ニーズの把握ならびに新規顧客獲得を通じて売上増加を目指します。 [新規パイプラインの開発]当社は、今後の成長を加速させるため、新たなパイプラインの開発に積極的に取り組んでいます。2023年5月には経済産業省 令和4年度第二次補正予算「再生・細胞医療・遺伝子治療の社会実装に向けた環境整備事業費補助金」において、再生医療等製品の価値向上とその社会実装に向けた活動が採択され、当社既承認製品の市場拡大と新規製品の臨床使用の推進を目指す環境整備を進めています。当事業年度における特記事項は以下のとおりです。-非外科的治療が無効又は適応とならない白斑の治療を目的とするメラノサイト(色素細胞)含有自家培養表皮(販売名:ジャスミン)については、2023年3月17日付で製造販売承認を取得し、保険収載に向けて活動しています。早期の保険適用を目指すとともに、患者さんの生活の質(QOL)向上に貢献します。-わが国で初となる他人の皮膚組織を原材料としたレディメイド(事前に製造・保存しておき、必要な時に遅滞なく使用することができる)製品である他家(同種)培養表皮(開発名:Allo-JaCE03)については、2021年8月に日本医療研究開発機構(AMED)の補助事業として「同種培養表皮の開発・事業化」に関する案件が採択され、2021年11月よりⅡ度熱傷を対象とした治験を実施しています。治験においては最終症例の治療が終了し、全例の経過観察を完了しました。速やかにデータをまとめて申請準備を行います。さらに、「再生医療等製品の原材料となるヒト(同種)細胞の安定供給体制の構築」に関する案件が2021年6月にAMEDの委託事業として採択されており、多種多様な間葉系幹細胞の特性を明らかにするとともに、国産の他家(同種)細胞を用いた再生医療の産業化を進めてきました。-ジャックの適応拡大に向けて、変形性膝関節症を対象とした治験を実施し、治験終了届を独立行政法人医薬品医療機器総合機構に提出しました。治験で得られた症例に関するデータをまとめており申請準備を進めています。本適応拡大を通じて、対象患者の多い市場への展開を目指します。また、2023年6月には、愛知県が公募した「新あいち創造研究開発補助金」事業において膝領域の新規製品開発に関する案件が採択され、膝治療のための細胞や材料開発を進めています。-帝人株式会社との共同研究を実施しており、皮膚や膝領域の治療を目的として、細胞(移植細胞又は移植部周囲の細胞)との親和性が高い材料の開発を進めています。-CD19陽性の急性リンパ性白血病(Acute Lymphoblastic Leukemia)の治療を目的とする自家CAR-T細胞製剤については、2019年から「piggyBacトランスポゾンベクターを用いた自家CD19 CAR-T療法の企業治験開始に向けた研究開発」(ウイルスベクターを用いない新技術による国産のCAR-T細胞製剤の開発)に関する3年間のAMEDの補助事業として開発を進めてきました。並行して、技術導入元である名古屋大学において同技術を用いた急性リンパ性白血病に対する臨床研究が実施されるとともに、自社の製造工程の効率化を図りました。また、タイ王国チュラロンコン大学における臨床研究で効果が確認された悪性リンパ腫に対するCAR-T細胞を用いた治療について、名古屋大学でも日本での医師主導治験の開始を予定しており、当社は、日本での医師主導治験に用いられるCAR-T細胞の製造に向けて準備を進めています。これに加え、当社は本品の開発で得た知見やノウハウを生かし、柏の葉スマートシティ内に「再生医療プラットフォーム」を構築しており、帝人株式会社、国立研究開発法人国立がん研究センター、三井不動産株式会社と協働し、がん領域における本格的な事業展開に取り組んでいます。 ②キャッシュ・フローの状況 当事業年度末における現金及び現金同等物は、前事業年度末に比べて31,773千円増加し、2,066,344千円となりました。 当事業年度のキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。(営業活動によるキャッシュ・フロー) 営業活動の結果獲得した資金は274,138千円(前期は622,600千円の使用)となりました。これは主に、税引前当期純利益(147,009千円)及び減価償却費(134,048千円)によるものであります。(投資活動によるキャッシュ・フロー) 投資活動の結果使用した資金は242,230千円(前期は1,124,654千円の獲得)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出(195,909千円)によるものであります。(財務活動によるキャッシュ・フロー) 財務活動の結果使用した資金は134千円(前期は803千円の使用)となりました。これは主に、リース債務の返済(133千円)によるものであります。 ③生産、受注及び販売の実績a. 生産実績当事業年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称当事業年度(自 2023年4月1日至 2024年3月31日) 前期比(%) 再生医療製品事業(千円)1,406,614100.0再生医療受託事業(千円)865,533206.4研究開発支援事業(千円)242,042117.0合計(千円)2,514,190123.7(注)1.金額は販売価格によっております。2.当事業年度における生産実績の著しい変動の要因については、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。 b. 受注実績当事業年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称受注高(千円)前期比(%)受注残高(千円)前期比(%)再生医療製品事業1,500,53297.5167,152101.7再生医療受託事業1,038,989250.3220,815466.3研究開発支援事業242,809117.013,535106.0合計2,782,331128.7401,503178.9(注)1.金額は販売価格によっております。2.当事業年度における受注実績の著しい変動の要因については、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。 c. 販売実績 当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称当事業年度(自 2023年4月1日至 2024年3月31日) 前期比(%) 再生医療製品事業(千円)1,406,614100.0再生医療受託事業(千円)865,533206.4研究開発支援事業(千円)242,042117.0 合計(千円)2,514,190123.7(注)1.当事業年度における販売実績の著しい変動の要因については、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。2.最近2事業年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。 相手先前事業年度(自 2022年4月1日至 2023年3月31日)当事業年度(自 2023年4月1日至 2024年3月31日)金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)株式会社ニデック207,20010.2--帝人株式会社--325,76313.0(注) 前事業年度の帝人株式会社に対する販売実績及び当事業年度の株式会社ニデックに対する販売実績については、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満のため記載を省略しております。 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。 ①財政状態の分析当事業年度の財政状態の状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。 ②キャッシュ・フローの状況当事業年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。 ③資本の財源及び資金の流動性当社の運転資金需要のうち主なものは、製造費、研究開発費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、主に設備投資によるものであります。当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金は自己資金を基本としております。設備投資や長期運転資金の調達につきましては、自己資金及び金融機関からの長期借入を検討した上での調達を基本としております。なお、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は2,066,344千円となっております。 ④セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容 当事業年度のセグメントごとの経営成績につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。 セグメントごとの財政状態につきましては、次のとおりであります。 再生医療製品事業のセグメント資産は1,479,178千円となり、前事業年度末から68,714千円増加となりました。再生医療受託事業のセグメント資産は330,480千円となり、前事業年度末から24,395千円減少となりました。研究開発支援事業のセグメント資産は96,675千円となり、前事業年度末から86,067千円減少となりました。 ⑤経営成績に重要な影響を与える要因 当社の経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。 ⑥経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりであります。 ⑦重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものにつきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。 |
経営上の重要な契約等 | 5【経営上の重要な契約等】 契約書名新技術開発成果実施契約書相手方名独立行政法人科学技術振興機構(現 国立研究開発法人科学技術振興機構)契約締結日2009年2月13日契約期間原権利(特許権)の消滅する日まで主な契約内容当社は、独立行政法人科学技術振興機構より「自動制御培養法を用いたヒト培養軟骨」の新技術に関する特許(特許出願を含む)等(以下「本開発成果」という)の実施許諾を受けてこれを実施し、当社はその対価として売上の一定割合を開発納付金として15年間、もしくは開発納付金の累計額が、独立行政法人科学技術振興機構が当社に支出した委託開発費の2倍(最大で約9億2千万円)に達する時点まで支払う。(注)本契約は、独立行政法人科学技術振興機構と2000年3月31日に締結した「新技術開発委託契約」にかかる本開発成果が、同機構のPO(プログラム・オフィサー)評価会議の審査を受け、2008年2月に成功と認定されたことによるものです。(注)本契約は、開発納付金の支払期間の満了により2024年3月31日をもって終了しました。 契約書名共同研究開発基本契約書相手方名株式会社セルシード契約締結日2009年10月30日契約期間契約締結日から3年間(2009年10月30日から2012年10月29日まで)とする。ただし、期間満了の3か月前までに両者のいずれからも解約の意思表示のないときは、本基本契約はさらに満1年間自動的に継続更新されるものとし、以後も同様とする。主な契約内容株式会社セルシードと当社は、両社が保有する技術及びノウハウを活用し、次世代再生医療製品及びサービスならびにビジネスモデルを共同開発する。本基本契約に基づいて株式会社セルシードと当社が共同で取り組む研究開発テーマは、両社合意の上で別途個別共同研究開発契約をもって定める。 契約書名実施許諾契約書相手方名国立大学法人名古屋大学(現 国立大学法人東海国立大学機構)、国立大学法人信州大学契約締結日2018年6月22日主な契約内容当社は、対象特許(PCT/JP2016/079989「キメラ抗原受容体を発現する遺伝子改変T細胞の調製方法」)について、CD19陽性細胞の急性リンパ性白血病を対象とした自家細胞を用いたCD19分子を標的とする非ウィルスベクターを用いたキメラ抗原受容体T細胞製剤の日本における開発・製造・販売する独占的実施権の許諾を受ける。 契約書名資本業務提携契約書相手方名帝人株式会社契約締結日2021年1月29日契約期間公開買付けの決裁開始日に効力を生じる主な契約内容・当社を帝人株式会社の連結子会社にすること(資本提携)。・両当事者の事業上のシナジーを実現させ、企業価値を向上させる目的で相互に知見やノウハウ、リソース、インフラ等を提供すること(業務提携)。・資本提携下における当社の運営等に関する取決め。 契約書名独占的販売契約書相手方名株式会社ニデック契約締結日2022年3月15日契約期間2021年12月1日から5年間とする。ただし、期間満了の2ヶ月前までに両者のいずれよりも反対の意思表示がない場合は、更に満1年間自動的に継続更新されるものとし、以後も同様とする。主な契約内容当社は、当社が製造販売する再生医療等製品「オキュラル(一般的名称:ヒト(自己)口腔粘膜由来上皮細胞Bシート)」について、株式会社ニデックに対して日本国内における独占的販売店の地位を与える。 契約書名業務委託基本契約書相手方名帝人株式会社契約締結日2022年3月31日契約期間2022年4月1日から2023年3月31日までとする。ただし、当該有効期間が満了する日の2ヶ月前までに甲乙いずれからも本契約の修正又は不更新の申し出がない場合は、本契約は同一条件をもってさらに1年間更新されるものとし、以後も同様とする。主な契約内容帝人株式会社の再生医療に関連する新規事業の立ち上げに伴う業務について、当社の技術・ノウハウを活用して当社がこれを受託する。本基本契約に基づく帝人株式会社からの委託取引の内容は、両社合意の上で別途個別契約をもって定める。(注)本契約は、2023年7月20日付け「使用許諾契約に基づく業務委託基本契約書」の締結により当該契約の 発効日(2023年4月19日)に遡って終了しました。 契約書名使用許諾契約書相手方名帝人株式会社契約締結日2023年4月19日契約期間2023年4月19日から2034年3月31日までとする。ただし、期間満了の1年前までに一方当事者から他方当事者に対して終結の通知がない場合には、同条件を以て自動的に2年間延長され、その後も同様とする。主な契約内容当社の再生医療受託事業(CDMO事業)に係るノウハウを非独占的に使用する権利を帝人株式会社に許諾する。その対価として、帝人株式会社のCDMO事業の立上げ段階に応じたマイルストン対価と帝人株式会社のCDMO事業の売上に連動したランニングロイヤルティを受領する。当社と帝人株式会社は協働体制のもと、さらに積極的に再生医療受託事業に取り組む。(注)本契約は、2023年8月1日に帝人リジェネット株式会社に承継されました。 契約書名使用許諾契約に基づく業務委託基本契約書相手方名帝人株式会社契約締結日2023年7月20日契約期間2023年4月19日に遡って効力を発生し、2024年3月31日までとする。ただし、当該有効期間が満了する日の2ヶ月前までに甲乙いずれからも本契約の修正又は不更新の申し出がない場合は、本契約は同一条件をもってさらに1年間更新されるものとし、以後も同様とするが、最長でも2031年3月31日までとする。主な契約内容帝人株式会社の再生医療受託事業(CDMO事業)に関連する技術指導業務について、当社の技術・ノウハウを活用して当社がこれを受託する。本基本契約に基づく帝人株式会社からの委託取引の内容は、両社合意の上で別途個別契約をもって定める。(注)本契約は、2023年8月1日に帝人リジェネット株式会社に承継されました。(注)本契約は、帝人リジェネット株式会社との2024年3月19日付け「使用許諾契約に基づく業務委託基本契約 書」の締結により2024年3月31日をもって終了しました。 契約書名業務委託基本契約書相手方名帝人株式会社契約締結日2023年8月1日契約期間2023年8月1日から2024年3月31日までとする。ただし、当該有効期間が満了する日の2ヶ月前までに甲乙いずれからも本契約の修正又は不更新の申し出がない場合は、本契約は同一条件をもってさらに1年間更新されるものとし、以後も同様とするが、最長でも2031年3月31日までとする。主な契約内容帝人株式会社の再生医療事業に関する指導業務及びその他の業務について、当社の技術・ノウハウを活用して当社がこれを受託する。本基本契約に基づく帝人株式会社からの委託取引の内容は、両社合意の上で別途個別契約をもって定める。(注)本契約は、帝人株式会社との2024年3月19日付け「業務委託基本契約書」の締結により2024年3月31日を もって終了しました。 契約書名使用許諾契約に基づく業務委託基本契約書相手方名帝人リジェネット株式会社契約締結日2024年3月19日契約期間2024年4月1日から2025年3月31日までとする。ただし、当該有効期間が満了する日の2ヶ月前までに甲乙いずれからも本契約の修正又は不更新の申し出がない場合は、本契約は同一条件をもってさらに1年間更新されるものとし、以後も同様とするが、最長でも2031年3月31日までとする。主な契約内容帝人リジェネット株式会社の再生医療受託事業(CDMO事業)に関連する技術指導業務について、当社の技術・ノウハウを活用して当社がこれを受託する。本基本契約に基づく帝人リジェネット株式会社からの委託取引の内容は、両社合意の上で別途個別契約をもって定める。(注)本契約は、2023年7月20日に締結した契約を更新して締結したものです。 契約書名業務委託基本契約書相手方名帝人株式会社契約締結日2024年3月19日契約期間2024年4月1日から2025年3月31日までとする。ただし、当該有効期間が満了する日の2ヶ月前までに甲乙いずれからも本契約の修正又は不更新の申し出がない場合は、本契約は同一条件をもってさらに1年間更新されるものとし、以後も同様とするが、最長でも2031年3月31日までとする。主な契約内容帝人株式会社の再生医療事業に関する指導業務及びその他の業務について、当社の技術・ノウハウを活用して当社がこれを受託する。本基本契約に基づく帝人株式会社からの委託取引の内容は、両社合意の上で別途個別契約をもって定める。(注)本契約は、2023年8月1日に締結した契約を更新して締結したものです。 |
研究開発活動 | 6【研究開発活動】 当社は、ティッシュエンジニアリングを学術的基盤として、生きた細胞を用いた人工組織・臓器の開発に取り組み、再生医療の発展に貢献すべく活動しております。 当事業年度における事業別の研究開発活動は以下のとおりで研究開発費の総額は407,014千円であります。なお、研究開発費の金額は助成金の対象となる費用(370,644千円)控除後の金額であります。 (1)再生医療製品事業①自家培養表皮ジェイス自家培養表皮ジェイスは、2007年10月に日本で最初の再生医療等製品として広範囲の重症熱傷を対象とした製造販売承認を取得しました。さらに新たな疾患に対する適応拡大を目指して研究開発活動を推進した結果、2016年9月には先天性巨大色素性母斑の切除創を対象とした一部変更承認を取得(再生医療等製品として国内初の適応拡大)、2018年12月には栄養障害型及び接合部型の表皮水疱症患者に発生する難治性のびらん・潰瘍部位を対象とした一部変更承認を取得することができました。また、重症熱傷の製造販売承認から7年の市販後調査の結果を再審査申請し、2019年7月に再審査が終了しました(再生医療等製品として国内初の再審査終了)。今後もさらなる市場への普及を目指して適応拡大に向けた研究開発を続けていきます。②自家培養軟骨ジャック自家培養軟骨ジャックは、2012年7月に日本で2番目の再生医療等製品として膝関節における外傷性軟骨欠損症又は離断性骨軟骨炎(変形性膝関節症を除く)を対象とした製造販売承認を取得しました。上市後の研究開発活動としては、ジャックの移植手術の簡便化・低侵襲化の実現に向け、患者自身の骨膜に代わって人工のコラーゲン膜を使用する一部変更の検討を進め、2019年1月に承認を取得しました。適応拡大に向けた活動としては、2018年7月から外傷等に起因する二次性の変形性膝関節症への適応拡大に向けた治験を実施しており、速やかにデータをまとめて申請準備を行います。また、2022年6月には、製造販売承認から7年の使用成績調査について再審査が終了し、承認時の有効性及び安全性が改めて確認されました。今後も整形外科領域の市場への普及を目指して適応拡大に向けた研究開発を進めていきます。③自家培養角膜上皮ネピック・自家培養口腔粘膜上皮オキュラル自家培養角膜上皮ネピックは、2020年3月に眼科領域で最初の再生医療等製品として主に片眼性の角膜上皮幹細胞疲弊症を対象とした製造販売承認を取得しました。さらに原材料となる患者自身の角膜輪部を採取できない両眼性の角膜上皮幹細胞疲弊症の患者を対象として、2021年6月に眼科領域で2番目の再生医療等製品として自家培養口腔粘膜上皮オキュラルの製造販売承認を取得しました。この2つの製品で治療法のなかった角膜上皮幹細胞疲弊症に対する有効な治療法提供するとともに、眼科領域の市場への普及を目指して引き続き研究開発活動を進めます。④メラノサイト含有自家培養表皮ジャスミンメラノサイト(色素細胞)を保持した自家培養表皮ジャスミンは、2023年3月に非外科的治療が無効又は適応とならない白斑を対象とした製造販売承認を取得しました。今後、速やかに保険適用を目指すとともに、皮膚科・形成外科領域の市場への普及を目指して引き続き研究開発活動を進めます。 (2)再生医療受託事業当社の研究開発活動の中には、様々なアカデミア・医療機関・企業に対する開発製造受託(CDMO)サービス・開発業務受託(CRO)サービスの提供に係るものも含んでおります。 (3)研究開発支援事業研究用ヒト培養組織ラボサイトの研究開発活動としては、エピ・モデル24を用いた皮膚刺激性試験法が2013年7月にOECDテストガイドラインに収載され、国際的な知名度向上によって拡販に寄与したことから、それ以降テストガイドライン収載を目指した活動を進めております。2018年6月には角膜モデルを用いた眼刺激性試験法が、また2019年6月にはエピ・モデル24を用いた皮膚腐食性試験法がOECDテストガイドラインに収載される等、活動の成果が表れております。今後も動物実験代替試験の市場への普及を目指して引き続き研究開発活動を進めます。 (4)その他の開発活動当社は、既存の皮膚領域、軟骨領域、眼科領域に加え、がん領域への展開や他家(同種)細胞を用いた新たな製品開発を進めております。2018年6月に、CD19陽性の急性リンパ性白血病(Acute Lymphoblastic Leukemia, ALL)を対象とした自家CAR-T細胞治療薬(開発名:JPCAR019)に関して名古屋大学及び信州大学とライセンス契約を締結して本治療薬の開発を開始し、2019年9月から日本医療研究開発機構(AMED)の3年間の補助事業(国家プロジェクト)に採択されて研究開発を進めました。技術導入元である名古屋大学において同技術を用いた急性リンパ性白血病に対する臨床研究が実施されるとともに、自社の製造工程の効率化を図りました。また、我が国で初となる他家細胞を用いた大量生産型レディメイド(事前に製造・保存しておき、必要な時に遅滞なく使用することができる)製品の実現を目指し、2018年10月から3年間のAMEDの委託事業(国家プロジェクト)に採択されて同種培養表皮の開発を進め、京都大学において皮膚欠損創の治療を目的とした臨床研究を実施しました。さらに2021年10月から3年間のAMEDの補助事業(国家プロジェクト)に採択されて、同年11月から企業治験を実施しています。それ以外にも、産業利用を目的とした他家細胞の安定供給体制の構築を目指して、2018年10月から3年間、及び2021年7月から3年間のAMEDの委託事業(国家プロジェクト)に採択されており、国内の再生医療産業化の推進に寄与する開発も進めています。 |
設備投資等の概要 | 1【設備投資等の概要】 当事業年度における設備投資は、研究開発に係る設備機器等の導入等により総額69,292千円であります。 |
主要な設備の状況 | 2【主要な設備の状況】 2024年3月31日現在 事業所名(所在地)セグメントの名称設備の内容帳簿価額(千円)従業員数(名)建物機械及び装置土地(面積㎡)その他合計本社(愛知県蒲郡市)再生医療製品事業・再生医療受託事業・研究開発支援事業統括業務施設677,485124,462582,770(5,671.46)126,1621,510,880211(22)(注)1 帳簿価額のうち「その他」は、構築物、工具、器具及び備品、建設仮勘定であります。2 現在休止中の設備はありません。3 従業員数の( )は、平均臨時雇用者数を外書しております。 |
設備の新設、除却等の計画 | 3【設備の新設、除却等の計画】 (1)重要な設備の新設 該当事項はありません。 (2)重要な設備の改修 該当事項はありません。 (3)重要な設備の除却等 該当事項はありません。 |
研究開発費、研究開発活動 | 407,014,000 |
設備投資額、設備投資等の概要 | 69,292,000 |
Employees
平均年齢(年)、提出会社の状況、従業員の状況 | 39 |
平均勤続年数(年)、提出会社の状況、従業員の状況 | 10 |
平均年間給与、提出会社の状況、従業員の状況 | 5,729,425 |
管理職に占める女性労働者の割合、提出会社の指標 | 0 |
全労働者、労働者の男女の賃金の差異、提出会社の指標 | 1 |
正規雇用労働者、労働者の男女の賃金の差異、提出会社の指標 | 1 |
非正規雇用労働者、労働者の男女の賃金の差異、提出会社の指標 | 0 |
Investment
株式の保有状況 | (5)【株式の保有状況】 該当事項はありません。 |
Shareholders
大株主の状況 | (6)【大株主の状況】 2024年3月31日現在 氏名又は名称住所所有株式数(株)発行済株式(自己株式を除く。)の総数に対する所有株式数の割合(%) 帝人株式会社大阪府大阪市北区中之島3丁目2-4中之島フェスティバルタワー・ウエスト23,439,17357.71 株式会社ニデック愛知県蒲郡市拾石町前浜34-144,227,20010.40 前田 陽子東京都練馬区342,4000.84 小澤 洋介愛知県蒲郡市292,0000.71 五味 大輔長野県松本市290,0000.71 株式会社SBI証券東京都港区六本木1丁目6番1号280,6850.69 J-TEC従業員持株会愛知県蒲郡市三谷北通6丁目209-1238,1830.58 サーラエナジー株式会社愛知県豊橋市駅前大通1丁目55番地サーラタワー184,0000.45 上田八木短資株式会社大阪市中央区高麗橋2丁目4-2166,9000.41 楽天証券株式会社東京都港区南青山2丁目6番21号137,3000.33計-29,597,84172.88 |
株主数-金融機関 | 4 |
株主数-金融商品取引業者 | 23 |
株主数-外国法人等-個人 | 22 |
株主数-外国法人等-個人以外 | 33 |
株主数-個人その他 | 10,497 |
株主数-その他の法人 | 73 |
株主数-計 | 10,652 |
氏名又は名称、大株主の状況 | 楽天証券株式会社 |
株主総利回り | 1 |
株主総会決議による取得の状況 | (1)【株主総会決議による取得の状況】 該当事項はありません。 |
株主総会決議又は取締役会決議に基づかないものの内容 | (3)【株主総会決議又は取締役会決議に基づかないものの内容】 区分株式数(株)価額の総額(円)当事業年度における取得自己株式1533当期間における取得自己株式--(注) 当期間における取得自己株式には、2024年6月1日からこの有価証券報告書提出日までの単元未満株式の買取りによる株式は含まれておりません。 |
Shareholders2
自己株式の取得 | 0 |
自己株式の取得による支出、財務活動によるキャッシュ・フロー | 0 |
発行済株式及び自己株式に関する注記 | 1 発行済株式に関する事項 (単位:株) 当事業年度期首株式数当事業年度増加株式数当事業年度減少株式数当事業年度末株式数普通株式40,610,200--40,610,200 2 自己株式に関する事項 (単位:株) 当事業年度期首株式数当事業年度増加株式数当事業年度減少株式数当事業年度末株式数普通株式2451-246 |
Audit1
監査法人1、個別 | 有限責任 あずさ監査法人 |
独立監査人の報告書、個別 | 独立監査人の監査報告書及び内部統制監査報告書 2024年6月18日株式会社ジャパン・ティッシュエンジニアリング 取締役会 御中 有限責任 あずさ監査法人 名古屋事務所 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士新家 德子 指定有限責任社員業務執行社員 公認会計士福田 秀敏 <財務諸表監査>監査意見当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられている株式会社ジャパン・ティッシュエンジニアリングの2023年4月1日から2024年3月31日までの第26期事業年度の財務諸表、すなわち、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、キャッシュ・フロー計算書、重要な会計方針、その他の注記及び附属明細表について監査を行った。当監査法人は、上記の財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、株式会社ジャパン・ティッシュエンジニアリングの2024年3月31日現在の財政状態並びに同日をもって終了する事業年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。 監査意見の根拠当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準における当監査法人の責任は、「財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。 監査上の主要な検討事項監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 固定資産の減損の兆候に関する判断の妥当性監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応株式会社ジャパン・ティッシュエンジニアリングの2024年3月31日に終了する事業年度の貸借対照表において、有形固定資産1,510,880千円及び無形固定資産102,527千円が計上されており、これら固定資産の総額は総資産の23%を占めている。これらの固定資産は規則的に減価償却されるが、注記事項「(重要な会計上の見積り)固定資産の減損」 に記載されているとおり、減損の兆候があると認められる場合には、資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額と帳簿価額を比較することによって、減損損失の認識の要否を判定する必要がある。判定の結果、減損損失の認識が必要とされた場合、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、帳簿価額の減少額は減損損失として認識される。同社においては、過年度においては継続的に営業損益がマイナスとなっていたことから、減損の兆候が認められていた。当事業年度においては、再生医療受託事業の売上の大幅な拡大等により、営業損益がプラスに転じており、翌事業年度以降においても営業損益はプラスとなることが見込まれていることから、経営者は、固定資産に減損の兆候は認められないと判断している。当該判断に用いられた翌事業年度以降の営業損益は、経営者が作成した事業計画を基礎として見積もられており、主として以下の仮定が使用されている。● 上市予定を含む再生医療製品事業の売上予測● CDMO事業の拡大によるマイルストン対価及びランニングロイヤルティ収入の獲得見込みを含む再生医療受託事業の売上予測● 国内外への販路拡大見込みを含む研究開発支援事業の売上予測翌事業年度以降の営業損益の見積りには不確実性を伴い、上記の仮定に関する経営者による判断が、固定資産の減損の兆候の有無に重要な影響を及ぼす。以上から、当監査法人は、同社の固定資産の減損の兆候に関する判断の妥当性が、当事業年度の財務諸表監査において特に重要であり、監査上の主要な検討事項に該当すると判断した。当監査法人は、固定資産の減損の兆候に関する判断の妥当性を評価するため、主に以下の監査手続を実施した。(1) 内部統制の評価固定資産の減損の兆候に関する判断に関連する内部統制の整備及び運用状況の有効性を評価した。評価に当たっては、事業計画に含まれる再生医療製品事業、再生医療受託事業及び研究開発支援事業の売上予測の適切性を評価するための統制に特に焦点を当てた。 (2) 減損の兆候に関する判断の妥当性の評価固定資産の減損の兆候の判断に利用された事業計画に含まれる主要な仮定の適切性を評価するため、主に以下の手続を実施した。● 再生医療製品事業、再生医療受託事業及び研究開発支援事業の売上予測に関する仮定について、次の手続を実施した。・上市予定の再生医療製品について、同社が過去に厚生労働省へ提出した保険適用に関する申請書類及び患者数を示す外部機関の公表情報を閲覧し、事業計画で想定する当該製品の売上金額の見込みの合理性を評価した。・CDMO事業に関するマイルストン対価及びランニングロイヤルティ収入の見込みについて、契約書を閲覧するとともに、取引先から入手した事業計画との整合性を確認した。・研究開発支援事業の国内外の売上金額の見込みについて、外部機関が公表している皮膚刺激・腐食・感作性試験の市場予測との整合性を確認した。● 上記手続の実施結果や過去の事業計画の達成状況及び差異の原因についての検討結果を踏まえて、事業計画に含まれる主要な仮定に一定の不確実性を織り込んだ場合の、翌事業年度以降の営業損益の見込みに与える影響について検討した。 その他の記載内容その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、財務諸表及びその監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。当監査法人の財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 財務諸表に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して財務諸表を作成し適正に表示することにある。これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。監査役及び監査役会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。 財務諸表監査における監査人の責任監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から財務諸表に対する意見を表明することにある。虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。・不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。・財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。・経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。・経営者が継続企業を前提として財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する財務諸表の注記事項が適切でない場合は、財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。・財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた財務諸表の表示、構成及び内容、並びに財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。監査人は、監査役及び監査役会と協議した事項のうち、当事業年度の財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。 <内部統制監査>監査意見当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第2項の規定に基づく監査証明を行うため、株式会社ジャパン・ティッシュエンジニアリングの2024年3月31日現在の内部統制報告書について監査を行った。当監査法人は、株式会社ジャパン・ティッシュエンジニアリングが2024年3月31日現在の財務報告に係る内部統制は有効であると表示した上記の内部統制報告書が、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して、財務報告に係る内部統制の評価結果について、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。 監査意見の根拠当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に準拠して内部統制監査を行った。財務報告に係る内部統制の監査の基準における当監査法人の責任は、「内部統制監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。 内部統制報告書に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任経営者の責任は、財務報告に係る内部統制を整備及び運用し、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して内部統制報告書を作成し適正に表示することにある。監査役及び監査役会の責任は、財務報告に係る内部統制の整備及び運用状況を監視、検証することにある。なお、財務報告に係る内部統制により財務報告の虚偽の記載を完全には防止又は発見することができない可能性がある。 内部統制監査における監査人の責任監査人の責任は、監査人が実施した内部統制監査に基づいて、内部統制報告書に重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、内部統制監査報告書において独立の立場から内部統制報告書に対する意見を表明することにある。監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。・内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果について監査証拠を入手するための監査手続を実施する。内部統制監査の監査手続は、監査人の判断により、財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性に基づいて選択及び適用される。・財務報告に係る内部統制の評価範囲、評価手続及び評価結果について経営者が行った記載を含め、全体としての内部統制報告書の表示を検討する。・内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果に関する十分かつ適切な監査証拠を入手する。監査人は、内部統制報告書の監査に関する指示、監督及び実施に関して責任がある。監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した内部統制監査の範囲とその実施時期、内部統制監査の実施結果、識別した内部統制の開示すべき重要な不備、その是正結果、及び内部統制の監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。 <報酬関連情報>当監査法人及び当監査法人と同一のネットワークに属する者に対する、会社の監査証明業務に基づく報酬及び非監査業務に基づく報酬の額は、「提出会社の状況」に含まれるコーポレート・ガバナンスの状況等 (3)【監査の状況】 に記載されている。 利害関係会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。以 上 (注)1.上記の監査報告書の原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。2.XBRLデータは監査の対象には含まれていません。 |
監査上の主要な検討事項、個別 | 監査上の主要な検討事項監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 固定資産の減損の兆候に関する判断の妥当性監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由監査上の対応株式会社ジャパン・ティッシュエンジニアリングの2024年3月31日に終了する事業年度の貸借対照表において、有形固定資産1,510,880千円及び無形固定資産102,527千円が計上されており、これら固定資産の総額は総資産の23%を占めている。これらの固定資産は規則的に減価償却されるが、注記事項「(重要な会計上の見積り)固定資産の減損」 に記載されているとおり、減損の兆候があると認められる場合には、資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額と帳簿価額を比較することによって、減損損失の認識の要否を判定する必要がある。判定の結果、減損損失の認識が必要とされた場合、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、帳簿価額の減少額は減損損失として認識される。同社においては、過年度においては継続的に営業損益がマイナスとなっていたことから、減損の兆候が認められていた。当事業年度においては、再生医療受託事業の売上の大幅な拡大等により、営業損益がプラスに転じており、翌事業年度以降においても営業損益はプラスとなることが見込まれていることから、経営者は、固定資産に減損の兆候は認められないと判断している。当該判断に用いられた翌事業年度以降の営業損益は、経営者が作成した事業計画を基礎として見積もられており、主として以下の仮定が使用されている。● 上市予定を含む再生医療製品事業の売上予測● CDMO事業の拡大によるマイルストン対価及びランニングロイヤルティ収入の獲得見込みを含む再生医療受託事業の売上予測● 国内外への販路拡大見込みを含む研究開発支援事業の売上予測翌事業年度以降の営業損益の見積りには不確実性を伴い、上記の仮定に関する経営者による判断が、固定資産の減損の兆候の有無に重要な影響を及ぼす。以上から、当監査法人は、同社の固定資産の減損の兆候に関する判断の妥当性が、当事業年度の財務諸表監査において特に重要であり、監査上の主要な検討事項に該当すると判断した。当監査法人は、固定資産の減損の兆候に関する判断の妥当性を評価するため、主に以下の監査手続を実施した。(1) 内部統制の評価固定資産の減損の兆候に関する判断に関連する内部統制の整備及び運用状況の有効性を評価した。評価に当たっては、事業計画に含まれる再生医療製品事業、再生医療受託事業及び研究開発支援事業の売上予測の適切性を評価するための統制に特に焦点を当てた。 (2) 減損の兆候に関する判断の妥当性の評価固定資産の減損の兆候の判断に利用された事業計画に含まれる主要な仮定の適切性を評価するため、主に以下の手続を実施した。● 再生医療製品事業、再生医療受託事業及び研究開発支援事業の売上予測に関する仮定について、次の手続を実施した。・上市予定の再生医療製品について、同社が過去に厚生労働省へ提出した保険適用に関する申請書類及び患者数を示す外部機関の公表情報を閲覧し、事業計画で想定する当該製品の売上金額の見込みの合理性を評価した。・CDMO事業に関するマイルストン対価及びランニングロイヤルティ収入の見込みについて、契約書を閲覧するとともに、取引先から入手した事業計画との整合性を確認した。・研究開発支援事業の国内外の売上金額の見込みについて、外部機関が公表している皮膚刺激・腐食・感作性試験の市場予測との整合性を確認した。● 上記手続の実施結果や過去の事業計画の達成状況及び差異の原因についての検討結果を踏まえて、事業計画に含まれる主要な仮定に一定の不確実性を織り込んだ場合の、翌事業年度以降の営業損益の見込みに与える影響について検討した。 |
全体概要、監査上の主要な検討事項、個別 | 監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。 |
見出し、監査上の主要な検討事項、個別 | 固定資産の減損の兆候に関する判断の妥当性 |
その他の記載内容、個別 | その他の記載内容その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、財務諸表及びその監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。当監査法人の財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。 |
報酬関連情報、個別 | <報酬関連情報>当監査法人及び当監査法人と同一のネットワークに属する者に対する、会社の監査証明業務に基づく報酬及び非監査業務に基づく報酬の額は、「提出会社の状況」に含まれるコーポレート・ガバナンスの状況等 (3)【監査の状況】 に記載されている。 |
BS資産
電子記録債権、流動資産 | 82,362,000 |
仕掛品 | 55,679,000 |
原材料及び貯蔵品 | 172,886,000 |
工具、器具及び備品(純額) | 61,387,000 |
土地 | 582,770,000 |
建設仮勘定 | 63,296,000 |
有形固定資産 | 1,510,880,000 |
ソフトウエア | 23,165,000 |
無形固定資産 | 102,527,000 |
長期前払費用 | 34,172,000 |
投資その他の資産 | 36,086,000 |
BS負債、資本
未払金 | 210,469,000 |
未払法人税等 | 35,443,000 |
未払費用 | 19,646,000 |
賞与引当金 | 161,792,000 |
資本剰余金 | 2,788,763,000 |
利益剰余金 | -1,666,875,000 |
負債純資産 | 6,988,774,000 |
PL
売上原価 | 823,556,000 |
販売費及び一般管理費 | 1,546,127,000 |
受取利息、営業外収益 | 782,000 |
受取配当金、営業外収益 | 0 |
営業外収益 | 3,429,000 |
その他、流動資産 | 203,651,000 |
営業外費用 | 927,000 |
補助金収入、特別利益 | 130,789,000 |
特別利益 | 130,789,000 |
固定資産圧縮損、特別損失 | 130,789,000 |
特別損失 | 130,789,000 |
法人税、住民税及び事業税 | 3,840,000 |
法人税等 | 3,840,000 |