財務諸表

CoverPage

提出書類、表紙有価証券報告書
提出日、表紙2024-06-14
英訳名、表紙YAMATO HOLDINGS CO., LTD.
代表者の役職氏名、表紙取締役社長  長尾 裕
本店の所在の場所、表紙東京都中央区銀座二丁目16番10号
電話番号、本店の所在の場所、表紙(03)3541-4141(大代表)
様式、DEI第三号様式
会計基準、DEIJapan GAAP
連結決算の有無、DEItrue
当会計期間の種類、DEIFY

corp

沿革 2【沿革】
 当社の前身(大和運輸株式会社)は1919年11月29日東京市京橋区において資本金10万円をもって創立されました。1929年2月増資手続として第二大和運輸株式会社を設立し、同社は、大和運輸株式会社を合併するとともに商号を大和運輸株式会社と改称し、資本金25万円で発足しました。 1919年11月東京市京橋区において資本金10万円、車両数4台で創立。1929年4月東京-横浜間に定期便を開始(わが国最初の路線事業)。1949年5月東京証券取引所の再開とともに株式を上場。1950年3月通運事業を開始。1951年1月C.A.T.(シヴィル・エア・トランスポート)航空と代理店契約を締結し、航空貨客の取扱を開始。1952年1月海上貨物取扱船積業務を開始。1957年10月大和商事株式会社(現ヤマトオートワークス株式会社)を設立。1958年6月美術品梱包輸送事業を開始。1958年8月日本航空株式会社と代理店契約を締結し、国内航空貨物の取扱を開始。1960年2月国際航空混載貨物の取扱を開始。1966年4月1973年1月1976年1月一般港湾運送事業の営業を開始。コンピュータ部門を分離し、ヤマトシステム開発株式会社を設立。小口貨物の宅配システム「宅急便」のサービスを開始。1977年3月極東リース株式会社(現ヤマトリース株式会社)を設立。1980年3月YAMATO TRANSPORT U.S.A., INC.(現米国ヤマト運輸株式会社)を設立。1981年9月当社株式が東京証券取引所の市場第一部に指定替え。1982年10月1985年7月大和運輸株式会社からヤマト運輸株式会社に商号変更。引越を商品化した新サービスを開始。1985年9月1986年7月ヤマトホームサービス株式会社(現ヤマトホームコンビニエンス株式会社)を設立。ヤマトコレクトサービス株式会社(ヤマトフィナンシャル株式会社)を設立。1986年10月オランダヤマト運輸株式会社(現欧州ヤマト運輸株式会社)を設立。1988年7月1996年12月日本初の低温管理による宅配システム「クール宅急便」のサービスを開始。宅急便の年末年始営業を開始。365日営業となる。1997年3月1997年11月2002年1月2003年4月「クロネコメール便」の全国でのサービスを開始。小笠原諸島へのサービス開始により、宅急便の全国ネットワークが完成。ヤマト・スタッフ・サプライ株式会社を設立。ロジスティクス事業の一部を分割し、ヤマトロジスティクス株式会社に統合。海上フォワーディング事業、通関事業、美術品輸送事業および国際引越事業を分割し、ヤマトグローバルフレイト株式会社に統合。 四国ヤマト運輸株式会社をヤマト運輸株式会社に統合。九州ヤマト運輸株式会社をヤマト運輸株式会社に統合。2003年10月引越部門を分割し、ヤマトホームコンビニエンス株式会社に統合。自動車整備部門を分割し、ヤマトオートワークス株式会社に統合。2004年10月ヤマトロジスティクス株式会社とヤマトパーセルサービス株式会社を吸収合併によりヤマトグローバルフレイト株式会社に統合し、同社をヤマトロジスティクス株式会社に商号変更。2004年11月グループ会社の経理・会計業務や人事業務を受託するヤマトマネージメントサービス株式会社を設立。2005年4月ファインクレジット株式会社(現ヤマトクレジットファイナンス株式会社)に経営参画。2005年11月純粋持株会社への移行に伴い、ヤマト運輸株式会社からヤマトホールディングス株式会社に商号変更。デリバリー事業などをヤマト運輸分割準備株式会社(現ヤマト運輸株式会社)に承継。2008年4月ヤマト運輸株式会社のエキスプレス事業を分割し、ヤマトグローバルエキスプレス株式会社に統合。2008年8月ヤマトロジスティクス株式会社を、ロジスティクス事業等を行うヤマトロジスティクス株式会社、国際物流サービス事業等を行うヤマトグローバルロジスティクスジャパン株式会社に分割。2013年9月総合物流ターミナル「羽田クロノゲート」を竣工。2015年3月「クロネコメール便」のサービスを廃止。2015年4月「宅急便コンパクト」「ネコポス」および新たな投函サービス「クロネコDM便」のサービスを開始。2016年1月マレーシア宅配大手のGD EXPRESS CARRIER BHD.(現GDEX BHD.)と業務・資本提携。2016年7月フランスのネオポストグループとの合弁会社Packcity Japan株式会社が、オープン型宅配便ロッカー事業を開始。2016年8月マレーシアを本拠地とするクロスボーダー陸上幹線輸送会社であるOTLグループ3社の株式取得およびベトナム事業取得に合意。2020年4月ヤマトリース株式会社の発行済株式数の60%を芙蓉総合リース株式会社に譲渡。2020年6月EC事業者向け新配送商品「EAZY(イージー)」のサービスを開始。2021年4月ヤマトロジスティクス株式会社、ヤマトフィナンシャル株式会社を含む7社をヤマト運輸株式会社に吸収合併および吸収分割。2021年9月ヤマトマネージメントサービス株式会社をヤマト運輸株式会社に統合。2022年1月ヤマトホームコンビニエンス株式会社の発行済株式数の51%をアート引越センター株式会社に譲渡。2022年4月東京証券取引所の市場区分の見直しにより、東京証券取引所の市場第一部からプライム市場に移行。2023年9月ヤマト・スタッフ・サプライ株式会社の発行済株式数の51%を株式会社ワールドスタッフィングに譲渡。2023年10月日本郵政グループとの協業により「クロネコゆうパケット」のサービスを開始。2024年1月「クロネコDM便」のサービスを廃止。2024年2月日本郵政グループとの協業により「クロネコゆうメール」のサービスを開始。
事業の内容 3【事業の内容】
 ヤマトグループは、ヤマトホールディングス株式会社(当社)および、子会社42社、関連会社34社により構成されており、顧客セグメント単位に基づく「リテール部門」と「法人部門」の2セグメントにおいて事業を営んでおります。 事業内容と各関係会社等の当該事業における位置づけおよび報告セグメントとの関連は、次のとおりであります。 また、当社は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しております。これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。セグメントの名称事業内容主要な会社リテール部門宅急便をはじめとする小口輸送サービスを国内のあらゆるお客様に提供する。ヤマト運輸㈱、ヤマトコンタクトサービス㈱、Packcity Japan㈱個人および中小法人顧客向け宅配事業法人部門企業物流のサプライチェーン全体へ価値を提供する。 ヤマト運輸㈱、沖縄ヤマト運輸㈱、ヤマトマルチチャーター㈱、神戸ヤマト運輸㈱、湖南工業㈱、ヤマトダイアログ&メディア㈱、YAMATO TRANSPORT U.S.A., INC.、YAMATO TRANSPORT EUROPE B.V.、YAMATO ASIA PTE. LTD.※1、YAMATO TRANSPORT (S) PTE. LTD.、YAMATO TRANSPORT (M) SDN. BHD.、雅瑪多管理(中国)有限公司、雅瑪多(香港)有限公司※1、雅瑪多国際物流有限公司、雅瑪多運輸(香港)有限公司、TAIWAN YAMATO INTERNATIONAL LOGISTICS INC.、GDEX BHD.、その他42社大規模法人顧客向け運送事業、物流センターの企画運営業、通関業、航空運送代理店業、決済サービス事業 その他リテール・法人の両セグメントを支えるITやメンテナンスの機能、および多様な形態の輸送事業を備えることにより、グループとしてのお客様への価値提供を最大化する。ヤマト運輸㈱、ヤマトシステム開発㈱、ヤマトオートワークス㈱、ヤマトオートワークス岩手㈱、ヤマトオートワークス北信越㈱、ヤマトオートワークス四国㈱、ヤマトオートワークス沖縄㈱、ヤマトボックスチャーター㈱、ヤマトクレジットファイナンス㈱、YMT-GB投資事業有限責任組合、ボックスチャーター㈱、ヤマトリース㈱、ヤマトホームコンビニエンス㈱、ヤマト・スタッフ・サプライ㈱※2、その他2社ITシステムの開発および運用管理事業、自動車整備事業、燃料販売事業、損害保険代理店業、貨物自動車運送事業、ロールボックスパレット貸切輸送事業 ※1.前連結会計年度の当社取締役会において、YAMATO ASIA PTE.LTD.および、雅瑪多(香港)有限公司を清算することが承認され、現在清算手続きに向けた準備を進めております。※2.ヤマト・スタッフ・サプライ株式会社は2023年9月1日付で当社が保有する株式の一部を譲渡したことにより、子会社から関連会社になっております。※3.連結子会社であったエキスプレスネットワーク株式会社は2023年12月21日付で清算結了したことにより、連結の範囲から除外しております。 以上の企業集団の状況について事業系統図によって示すと、次のとおりであります。
関係会社の状況 4【関係会社の状況】
名称住所資本金事業の内容議決権の所有割合(%)関係内容 (連結子会社) ヤマト運輸㈱※1※2東京都中央区百万円50,000リテール部門法人部門100役員の兼任当社役員4名 資金の援助資金の貸付21,000百万円を行っている。 営業上の取引当社の事務業務等を委託している。 設備の賃貸借施設を賃貸借している。 その他なし ヤマトコンタクトサービス㈱東京都豊島区百万円20リテール部門100役員の兼任当社役員1名 資金の援助なし 営業上の取引なし 設備の賃貸借なし その他なし 沖縄ヤマト運輸㈱沖縄県糸満市百万円50法人部門100役員の兼任当社役員1名 資金の援助資金の貸付2,700百万円を行っている。 営業上の取引なし 設備の賃貸借なし その他なし ヤマトマルチチャーター㈱京都市伏見区百万円96法人部門100役員の兼任なし 資金の援助なし 営業上の取引なし 設備の賃貸借なし その他なし 神戸ヤマト運輸㈱神戸市中央区百万円20法人部門100役員の兼任なし 資金の援助なし 営業上の取引なし 設備の賃貸借なし その他なし 湖南工業㈱浜松市中央区百万円20法人部門100役員の兼任なし 資金の援助なし 営業上の取引なし (100) 設備の賃貸借なし その他なし ヤマトダイアログ&メディア㈱東京都中央区百万円100法人部門100役員の兼任当社役員1名 資金の援助なし 営業上の取引なし 設備の賃貸借なし その他なし 名称住所資本金事業の内容議決権の所有割合(%)関係内容 YAMATO TRANSPORTU.S.A.,INC.カリフォルニアアメリカ合衆国百万US$4法人部門100役員の兼任当社役員1名 資金の援助なし 営業上の取引なし 設備の賃貸借なし その他なし YAMATO TRANSPORTEUROPE B.V.スキポールライクオランダ百万EURO8法人部門100役員の兼任当社役員1名 資金の援助なし 営業上の取引なし 設備の賃貸借なし その他なし YAMATO ASIA PTE.LTD.※1シンガポール百万S$352法人部門100役員の兼任当社役員2名 資金の援助なし 営業上の取引なし 設備の賃貸借なし その他清算手続きに向けた準備として当社に関係会社株式等の譲渡をしている。 YAMATO TRANSPORT(S)PTE.LTD.シンガポール百万S$55法人部門100役員の兼任当社役員1名 資金の援助なし 営業上の取引なし 設備の賃貸借なし その他なし YAMATO TRANSPORT(M)SDN.BHD.セランゴールマレーシア百万RM125法人部門60役員の兼任なし 資金の援助なし 営業上の取引なし 設備の賃貸借なし その他なし 雅瑪多管理(中国)有限公司上海中国百万RMB50法人部門100役員の兼任当社役員1名 資金の援助なし 営業上の取引なし 設備の賃貸借なし その他なし 雅瑪多(香港)有限公司※1香港百万HK$970法人部門100役員の兼任なし 資金の援助なし 営業上の取引なし 設備の賃貸借なし その他清算手続きに向けた準備として当社に関係会社株式の譲渡および資金の預け入れをしている。 名称住所資本金事業の内容議決権の所有割合(%)関係内容 雅瑪多国際物流有限公司上海中国百万RMB120法人部門100役員の兼任当社役員2名 資金の援助なし 営業上の取引なし (100) 設備の賃貸借なし その他なし 雅瑪多運輸(香港)有限公司香港百万HK$640法人部門100役員の兼任当社役員1名 資金の援助なし 営業上の取引なし 設備の賃貸借なし その他なし TAIWAN YAMATOINTERNATIONALLOGISTICS INC.台北台湾百万NT$21法人部門100役員の兼任当社役員1名 資金の援助なし 営業上の取引なし 設備の賃貸借なし その他なし ヤマトシステム開発㈱東京都江東区百万円1,800その他100役員の兼任当社役員2名 資金の援助なし 営業上の取引当社のシステムの運営管理を委託している。 設備の賃貸借なし その他なし ヤマトオートワークス㈱東京都中央区百万円30その他100役員の兼任当社役員2名 資金の援助なし 営業上の取引なし 設備の賃貸借なし その他なし ヤマトオートワークス岩手㈱岩手県北上市百万円1その他95役員の兼任なし 資金の援助なし 営業上の取引なし (95) 設備の賃貸借なし その他なし ヤマトオートワークス北信越㈱新潟市西区百万円30その他95役員の兼任なし 資金の援助なし 営業上の取引なし (95) 設備の賃貸借なし その他なし ヤマトオートワークス四国㈱香川県仲多度郡百万円1その他100役員の兼任なし 資金の援助なし 営業上の取引なし (100) 設備の賃貸借なし その他なし 名称住所資本金事業の内容議決権の所有割合(%)関係内容 ヤマトオートワークス沖縄㈱沖縄県糸満市百万円30その他100役員の兼任なし 資金の援助なし 営業上の取引なし (100) 設備の賃貸借なし その他なし ヤマトボックスチャーター㈱東京都中央区百万円400その他100役員の兼任なし 資金の援助なし 営業上の取引なし 設備の賃貸借なし その他なし ヤマトクレジットファイナンス㈱東京都豊島区百万円500その他70役員の兼任当社役員1名 資金の援助資金の貸付26,903百万円を行っている。 営業上の取引なし 設備の賃貸借なし その他なし YMT-GB 投資事業有限責任組合東京都渋谷区百万円4,000その他99.50役員の兼任なし 資金の援助なし 営業上の取引なし 設備の賃貸借なし その他なし ボックスチャーター㈱東京都千代田区百万円230その他55.87役員の兼任当社役員1名 資金の援助なし 営業上の取引なし 設備の賃貸借なし その他なし 名称住所資本金事業の内容議決権の所有割合(%)関係内容 (持分法適用関連会社) Packcity Japan㈱東京都千代田区百万円1,500リテール部門49役員の兼任なし 資金の援助なし 営業上の取引なし (49) 設備の賃貸借なし その他なし GDEX BHD.セランゴールマレーシア百万RM337法人部門23.24役員の兼任なし 資金の援助なし 営業上の取引なし 設備の賃貸借なし その他なし ヤマトリース㈱東京都豊島区百万円30その他40役員の兼任当社役員1名 資金の援助なし 営業上の取引なし 設備の賃貸借なし その他なし ヤマトホームコンビニエンス㈱東京都中央区百万円100その他49役員の兼任当社役員2名 資金の援助なし 営業上の取引なし 設備の賃貸借なし その他なし ヤマト・スタッフ・サプライ㈱東京都中央区百万円100その他49.02役員の兼任当社役員1名 資金の援助なし 営業上の取引なし 設備の賃貸借なし その他なし その他25社 ※1.ヤマト運輸株式会社、YAMATO ASIA PTE.LTD.および雅瑪多(香港)有限公司は、特定子会社に該当しております。※2.ヤマト運輸株式会社については、営業収益(連結会社相互間の内部営業収益を除く。)の連結営業収益に占める割合が10%を超えております。しかし、当該会社の営業収益(セグメント間の内部売上高又は振替高を含む。)が、セグメント情報におけるリテール部門および法人部門の営業収益の90%超であるため、主要な損益情報等の記載を省略しております。 (注) 議決権の所有割合の( )内は、間接所有割合で内数であります。
従業員の状況 5【従業員の状況】
(1)連結会社の状況 2024年3月31日現在セグメントの名称従業員数(人)リテール部門154,130法人部門16,952その他6,329全社19合計177,430 (注)1.リテール部門の従業員数には、ヤマト運輸株式会社の輸送および本社部門の従業員が含まれております。2.全社の従業員数は、当社の従業員であります。3.その他の従業員数が前連結会計年度末に比べ14,341人減少しております。これは主に、ヤマト・スタッフ・サプライ株式会社の株式を譲渡したことにより、連結の範囲から除外したことによるものであります。 (2)提出会社の状況 2024年3月31日現在従業員数(人)平均年齢(歳)平均勤続年数(年)平均年間給与(円)1951.324.111,917,837 (注)平均年間給与(税込)には基準外手当および賞与を含んでおります。 (3)労働組合の状況 ヤマトグループには、ヤマト運輸労働組合等が組織されております。なお、労使関係について、特に記載すべき事項はありません。 (4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異 ヤマトグループでは、多様な社員が活躍することができるよう、働き方に関する好事例の水平展開を積極的に進めております。勤務時間や勤務地等、限定された就労条件で勤務するパート・有期労働者を含め、職場における多様性、公平性及び包摂性を推進していきます。当事業年度提出会社及び 連結子会社管理職に占める 女性労働者の割合(%) (注)1男性労働者の 育児休業取得率(%) (注)2労働者の男女の賃金の差異(%)(注)1、3全労働者うち正規雇用 労働者うちパート・ 有期労働者ヤマト運輸㈱5.425.446.974.197.6ヤマトコンタクトサービス㈱32.9100.059.570.9104.3沖縄ヤマト運輸㈱11.023.953.476.984.6ヤマトマルチチャーター㈱0.00.038.979.592.8湖南工業㈱5.0-70.773.282.5ヤマトシステム開発㈱6.122.763.676.365.1ヤマトオートワークス㈱6.526.858.775.883.3ヤマトボックスチャーター㈱5.666.655.772.463.6ヤマトクレジットファイナンス㈱6.3----(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。3.「労働者の男女の賃金の差異」について、人事・賃金制度上において性別による差異はありません。男女の賃金の差異は、主に女性労働者においては勤務時間が短いパートタイムが多いことおよび職種ごとの在籍者数の差異等によるものです。
経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
 ヤマトグループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在においてヤマトグループが判断したものであります。 (1)経営方針 ヤマトグループは、社会的インフラとしての宅急便ネットワークの高度化、より便利で快適な生活関連サービスの創造、革新的な物流システムの開発を通じて、豊かな社会の実現に貢献することを経営理念に掲げ、生活利便性の向上に役立つ商品・サービスを開発してまいりました。 今後も、社会の一員として社会の課題に正面から向き合い、お客様、社会のニーズに応える「新たな物流のエコシステム」を創出することで、豊かな社会の創造に持続的に貢献してまいります。また、テクノロジーを起点に次世代の営業・幹線輸送・ラストマイルオペレーションを構築し、収益力の強化に努めることで、安定した経営を目指してまいります。 (2)経営環境、経営戦略及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 当社は、2027年3月期を最終年度とするヤマトグループ中期経営計画「サステナビリティ・トランスフォーメーション2030 ~1st Stage~」(「SX2030 ~1st Stage~」)を策定しました。 ヤマトグループは、経営理念に掲げる「豊かな社会の実現への貢献」を通じた持続的な企業価値の向上を実現するため、グループ各社の経営資源を結集したグループ経営体制の下、中期経営計画「Oneヤマト2023」に基づき、生活様式の変化と流通構造の変化に対応するサプライチェーンの変革に向けて、お客様や社会のニーズに対し総合的な価値提供に取り組んでまいりました。グループ経営構造改革により、経営資源を結集した「Oneヤマト体制」を2021年4月からスタートさせるとともに、「法人ビジネス領域の拡大」「ネットワーク・オペレーション構造改革」を柱とした事業構造改革を推進しました。 小売市場全体は伸び悩む一方、BtoC-EC市場(物販)においては市場規模およびEC化率は拡大傾向にあり、CtoCからBtoCへと物流が変化しつつある中、「ネットワーク・オペレーション構造改革」については、既存(宅急便)ネットワークの強靭化を進めるための土台として、都市部を中心に、増加するEC荷物専用の「EC物流ネットワーク」を構築し、運用を開始しました。 また、EC以外の荷物が伸び悩む中、既存(宅急便)ネットワークについては、セールスドライバーの集荷割合が低下するなど宅配便の顧客構成が変化していること、都市部を中心に小型のラストマイル集配拠点が密集していること、ターミナル拠点については、老朽化・狭隘化が進んでいること、都市部を中心に荷物の発送と到着のバランスが崩れていること、仕分け作業に関わる社員数が多く、単純作業の外注化が進んでいないなどの構造的な課題を抱えていることから、ラストマイル集配拠点の集約・大型化、ターミナル機能の見直しに加え、デジタルテクノロジーを駆使した人事戦略などの強靭化施策をスタートさせました。 一方、「法人ビジネス領域の拡大」においては、アカウントマネジメントを強化するとともに、サプライチェーンの「End to End」に対する提供価値の拡大に取り組み、越境ECや3温度帯(常温・冷蔵・冷凍)ロジスティクスへの対応、LLP(リード・ロジスティクス・パートナー)案件創出など、新たな領域における成果が出始めました。 このような「Oneヤマト2023」における取組みを確固たる成果に結びつけていくとともに、目指す姿として定めた「持続可能な未来の実現に貢献する価値創造企業」に向けて、今般策定した「SX2030 ~1st Stage~」では、2025年3月期~2027年3月期の3年間を「ヤマトグループにおけるサステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)を実現する期間」と位置付け、下記の主要施策に取り組んでいきます。 目指す姿 「SX2030 ~1st Stage~」主要施策①基盤領域:宅急便ネットワークの強靭化と提供価値の拡大 「宅急便」「宅急便コンパクト」「EAZY」のカーボンニュートラリティ、サービスラインアップの拡充、顧客体験価値の向上、および外部コスト上昇などを踏まえたプライシング戦略の強化により、営業収益を拡大するとともに、ネットワーク・オペレーション構造改革を推進し、個当たりコストの改善と安定的に利益成長できる構造へ転換していきます。 ②成長領域:法人ビジネス領域の拡大 宅急便ネットワークや貨物専用機(フレイター)での輸送を活用し、顧客のサプライチェーン改革に資するビジネスソリューションを推進するとともに、M&Aや提携による事業の拡大を推進します。 ③新規領域:新たなビジネスモデルの事業化 持続可能な未来の実現に向けて、既存の経営資源を活用しつつ、多様なパートナーとともに、多様化する顧客や社会のニーズに応える新たなビジネスモデルの事業化を推進します。 ④グループ経営基盤の強化 持続的な企業価値向上を実現するための基盤として、引き続き、人事戦略、デジタル戦略、サステナブル経営の強化、コーポレート・ガバナンスの強化に取り組みます。 ⑤資本効率をより重視した経営の浸透 資本コストを上回る資本収益性の実現に取り組むため、ROICを新たな経営指標として設定し、資本効率をより重視した経営の浸透を図ります。  なお、当該中期経営計画の最終年度となる2027年3月期において、連結営業収益2兆~2兆4,000億円、連結営業利益1,200~1,600億円(連結営業利益率6%以上)、ROE12%以上、ROIC8%以上の達成を目標として設定し、事業ポートフォリオの変革を進めていきます。 (3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 ヤマトグループを取り巻く事業環境は、世界的なインフレ傾向に落ち着きが見られるものの、国内においては、個人消費の低迷が続いているなど、依然として本格的な景気回復が見通しづらい状況にあります。また、2024年4月から、自動車運転業務における時間外労働の上限規制が適用(2024年問題)されるなど、外部環境の変化に伴うコスト上昇が見込まれます。さらに、中長期的には、EC化の進展や地政学リスクの増大、少子高齢化・過疎化の進展、労働力不足や気候変動のさらなる深刻化などを想定しています。このような中、ヤマトグループは、経営理念に掲げる「豊かな社会の実現への貢献」を通じた持続的な企業価値の向上を実現するため、「持続可能な未来の実現に貢献する価値創造企業」を2030年の目指す姿として定め、2027年3月期を最終年度として策定した中期経営計画「サステナビリティ・トランスフォーメーション2030 ~1st Stage~」に基づき、以下①~⑤の取組みを推進していきます。 ① 宅急便ネットワークの強靭化と提供価値の拡大 EC化の進展や少子高齢化・過疎化の進展、労働力不足や気候変動のさらなる深刻化を踏まえ、社会的インフラとしての宅急便ネットワークをより効率的かつ持続的な形に強靭化すべく、引き続き、ネットワーク・オペレーションの構造改革を推進します。具体的には、業務量変動への柔軟な対応や拠点間輸送の効率化、荷待ち時間の短縮などを実現するため、小規模・多店舗展開してきたラストマイル集配拠点の集約・大型化やターミナル機能の再定義、デジタルテクノロジーを活用した「仕分け作業」や 「運び方」、「働き方」の変革に取り組みます。さらに、第一線の社員の管理間接業務やバックオフィス業務の標準化、電子化によるBPR(業務プロセス改革)にも継続して取り組むことにより、オペレーションの安全・品質および、社員・パートナーにとっての働きやすさや働きがいの維持・向上を図るとともに、オペレーティングコストの適正化を実現していきます。 また、輸送サービスのラインアップ拡充や個人向け会員サービス「クロネコメンバーズ」を通じた顧客体験価値の向上、宅配便3商品の「カーボンニュートラル配送」などにより、お客様への提供価値を拡大するとともに、外部環境の変化を踏まえた届出運賃の年次での見直し、および法人顧客との個別契約の見直しなど、適正な運賃・料金収受を推進していきます。 ② 法人ビジネス領域の拡大 ヤマトグループは、世界の政治・経済とサプライチェーンのブロック化や環境問題などのリスク要因が増大する中、サプライチェーン全体に拡がるお客様の経営課題の解決を目指すソリューションビジネスを成長領域と位置付け、コントラクト・ロジスティクス事業とグローバル事業の拡大に注力します。 コントラクト・ロジスティクス事業においては、エクスプレス事業とのシナジーを重視し、宅配便を利用するお客様の課題解決や事業成長を支援するソリューションの提供を通じて、宅配便のさらなる利用拡大や提供価値に応じたプライシングの適正収受、新たなロジスティクス収入の獲得などの取組みを強化します。また、セールスドライバーがお客様との接点から得る気づきなどの情報を活用し、各地域に配置した法人営業担当者が最適な提案を行えるよう、営業サポート体制の整備や営業担当者のスキル向上などに取り組んでいきます。 グローバル事業においては、サプライチェーンの変化を好機と捉え、これまで宅配便で培った国内の膨大な顧客基盤を活かしつつ、オートモーティブやハイテク産業など、ヤマトグループが強みを発揮している領域のさらなる拡大に努めるとともに、日本、米国・メキシコ、インド、東南アジアを中心に営業力を強化します。また、注力市場を絞り込むことでフォワーディングの混載効率を向上させることや、拡大する越境ECへの提案強化、注力する地域における消費財などの内需拡大に伴う物流需要の取り込みなどに取り組んでいきます。 なお、成長領域の拡大を加速させるため、自律的な成長施策に加え、M&Aや戦略的業務提携を推進していきます。M&Aの検討においては、コントラクト・ロジスティクス事業やグローバル事業の成長戦略との適合性を重視するとともに、投資効果を測る定量基準の設定など、収益責任部門とM&A専門部署が一体となり、規律を持って推進していきます。 ③ 新たなビジネスモデルの事業化 持続可能な未来の実現に向けて、既存の経営資源を活用しつつ、多様なパートナーとともに、多様化する顧客や社会のニーズに応える新たなビジネスモデルの事業化を推進します。 モビリティ事業においては、車両整備事業を基盤に、これまでにヤマトグループ内での環境投資や実証実験を通じて蓄積したEV、太陽光発電設備、エネルギーマネジメントなどのノウハウを活用した商用EV導入・運用支援など、脱炭素と経済性を両立する基盤・エコシステムを開発し、社会・物流業界全体のサステナビリティに貢献します。また、地域社会の多様なニーズに応えるため、荷物の発送・受取サービスに加えて、新たなサービス提供を目指す「ネコサポステーション」の展開や、IoT電球「HelloLight」を活用した「クロネコ見守りサービス ハローライト訪問プラン」の拡販など、新たな価値の創出に取り組みます。さらに、安定的なスピード輸送の提供による新たな需要の獲得と流通拡大による地域経済の活性化、輸送サービス品質の維持・向上を図るため、2024年4月より貨物専用機(フレイター)の運航を開始しました。今後、順次運航数を拡大するとともに、柔軟な運航区間・ダイヤの設定によりお客様の新たなニーズに対応していきます。 ④ グループ経営基盤の強化 ヤマトグループは、持続的な企業価値向上を実現するための基盤として、引き続き、人事戦略、デジタル戦略、サステナブル経営の強化、コーポレート・ガバナンスの強化に取り組みます。 人事戦略については、事業構造改革と連動した人材の最適配置を優先課題として、組織・要員の適正化と評価・報酬制度の見直しに取り組みます。また、付加価値を創出する人材の育成に向けて、自主・自律的なキャリア形成を促進する人材マネジメント体系の整備・運用を推進します。そして、多様な社員の働きやすさと働きがいの向上に向けて、多様化する社員のライフプランに適合する福利厚生制度の構築や社員の健康管理・健康増進施策を推進するとともに、ダイバーシティの推進や人権デューデリジェンスの実施、女性活躍の推進に継続的に取り組みます。これらの取組みを通じて、社員一人ひとりの活躍と貢献を最大化し、より高い付加価値の創出を目指していきます。 デジタル戦略については、DX推進体制を強化し、デジタル基盤を活用したお客様への提供価値の拡大や「仕分け作業」や「運び方」、「働き方」の変革、バックオフィスの業務プロセス改革など、事業と一体となったDX推進に取り組みます。 サステナブル経営の強化については、中長期的な企業価値の向上と持続可能な社会の実現に向けた2つのビジョン「つなぐ、未来を届ける、グリーン物流」「共創による、フェアで、“誰一人取り残さない”社会の実現への貢献」に基づき、特定した各重要課題(マテリアリティ)に対する取組みを強化していきます。環境の領域については、「2050年温室効果ガス(GHG)排出実質ゼロ(自社排出)」および「2030年温室効果ガス(GHG)排出量48%削減(2021年3月期比)」の実現に向け、引き続き「EV23,500台の導入」「太陽光発電設備810基の導入」「再生可能エネルギー由来電力の使用率向上」などの施策を推進するとともに、サプライチェーン(Scope3)排出量の把握方法の策定などに取り組みます。また、社会の領域については、引き続き、人材の多様性を尊重し、社員が活躍できる職場環境を整備するとともに、社会の諸課題に向き合い、ビジネスパートナーとの定期的な協議の実施や課題の早期発見と解消のための体制・プロセス・仕組みの整備など、適切な関係構築を通じたサステナブル・サプライチェーンの構築を推進していきます。 コーポレート・ガバナンスの強化については、引き続き、経営の監督と執行の分離、経営の透明性の維持・強化などに取り組むとともに、株主・投資家との建設的な対話や情報開示の充実を通じて、持続的な企業価値向上に努めていきます。 ⑤ 資本効率をより重視した経営の浸透 ヤマトグループは、上記の①~④の戦略施策を推進することに加え、資本効率をより重視した経営の浸透を図ることで、資本コストを上回る資本収益性の実現に取り組むため、営業利益率やROEに加えて、ROICを新たな経営指標として設定しました。本中期経営計画期間においては、オペレーションの効率化に資する拠点戦略やDX推進などへの成長投資を積極的に実施するとともに、お客様に対する環境負荷の少ない物流サービスの提供とオペレーションのエネルギー効率向上の両立を通じた低炭素社会の実現に向けて、EVや太陽光発電設備等への環境投資も実施します。なお、成長領域であるコントラクト・ロジスティクス事業およびグローバル事業では、自律的な成長施策に加え、M&Aや戦略的業務提携も活用していきます。 上記計画を財務面から支えるため、キャッシュの創出状況、保有現預金や自己資本比率等の状況、グループ資金の有効活用など、財務の健全性と効率性を意識しながら、必要に応じて金融機関からの借入および社債の発行を通じた資金調達を実施していきます。財務の健全性の観点から自己資本比率は45~50%程度、D/Eレシオは0.3~0.5倍程度を目安とし、格付け水準(R&I格付投資情報センター/AA-)の維持に努めます。株主還元については、親会社株主に帰属する当期純利益を基準とする配当性向40%以上、総還元性向50%以上を目標とし、自己株式の取得については、成長投資の進捗状況、キャッシュ・フローの動向、株価等の観点を踏まえ、柔軟に検討していきます。
サステナビリティに関する考え方及び取組 2【サステナビリティに関する考え方及び取組】
 ヤマトグループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在においてヤマトグループが判断したものであります。 (1)サステナブル経営の推進 気候変動や労働人口の減少、人権・格差など、社会全体で取り組まねばならない喫緊の課題に直面している中、各企業もこのような社会的な課題に応えていく必要性が高まっています。ヤマトグループは、このような状況を踏まえ、中長期的な企業価値の向上と持続可能な社会の実現を目指し、サステナブル経営を推進しています。 ①ガバナンス 当社は、サステナビリティに関する重要事項について、経営会議および取締役会で審議・決議を実施しています。また、サステナブル経営を推進するため、代表取締役社長を委員長、ヤマト運輸株式会社の執行役員等および主要グループ会社社長を構成員とする、ヤマトグループ環境委員会および、ヤマトグループ社会領域推進委員会を年1回開催し、サステナビリティに関する課題についての審議や決議を実施しています。そして、環境の分野では3つの部会(エネルギー・気候・大気、資源・廃棄物、マネジメント・協働)、社会の分野では3つの部会(人権・ダイバーシティ、サプライチェーンマネジメント、地域コミュニティ)をそれぞれ年3回開催し、施策の検討や進捗確認を実施しています。 (サステナビリティ推進体制) (ヤマトグループ環境委員会および社会領域推進委員会の役割)ヤマトグループ環境委員会① ヤマトグループの環境に関わる取組みの意思決定機関として、環境マネジメントシステムの運用を確認するとともに、取組みの方向性を明確にし、検討、審議、決議を行う② 会議メンバーより報告を受け、トップマネジメントである環境統括責任者(ヤマトホールディングス代表取締役社長)が活動実績の評価および見直し(トップマネジメントレビュー)を行い、今後の施策などについて決定するヤマトグループ社会領域推進委員会① ヤマトグループの社会に関わる取組みの意思決定機関として、社会領域の重要課題に対する取組みの方向性を明確にし、推進施策の検討、審議、決議を行う② ヤマトグループ社会部会およびヤマトグループ各社の報告を受け、トップマネジメントであるヤマトホールディングス代表取締役社長が活動実績の評価および見直しを行い、今後の施策などについて決定する ②戦略 当社は、中長期的な企業価値の向上と持続可能な社会の実現に向けて、中長期の経営のグランドデザイン「YAMATO NEXT100」において、環境・社会に関するビジョンを掲げるとともに、重要かつ優先的に取り組むマテリアリティを特定しました。そして、「ヤマトグループ環境方針」「ヤマトグループ人権方針」「ダイバーシティ基本方針」「ヤマトグループ責任ある調達方針」の下、マテリアリティへの具体的な行動と2023年の到達目標を定めた「サステナブル中期計画2023」に基づき、取組みを推進しました。その結果、温室効果ガス(GHG)削減量(自社排出)などの目標を達成し、未達成となった項目についても、今後取り組むべき課題を明確化できました。 2025年3月期より当社は、「持続可能な未来の実現に貢献する価値創造企業」を2030年の目指す姿として定め、2027年3月期を最終年度として策定した中期経営計画「サステナビリティ・トランスフォーメーション2030 ~1st Stage~」に基づき、宅急便ネットワークの強靭化による基盤領域の利益成長、ビジネスソリューションの提供を通じた法人ビジネス領域の拡大、多様化する顧客や社会のニーズに応える新たなビジネスモデルの事業化、およびサステナブル経営の強化などに取り組み、「経済価値」を生み出すとともに、社会の持続可能性への取組みによる「環境価値」「社会価値」を創造していきます。 (環境・社会ビジョン)環境ビジョン「つなぐ、未来を届ける、グリーン物流」「つなぐ、未来を届ける、グリーン物流」へヤマトグループはさらに進化します。人や資源、情報を高度につなぎ、輸送をより効率化させ、環境や生活、経済によりよい物流を実現します。温室効果ガス(GHG)排出実質ゼロ*1に挑戦し、持続可能な資源の利用・消費モデルを創造し、強く、スマートな社会を支えます。*1 国内連結会社および株式会社スワンの自社排出(Scope1とScope2)社会ビジョン「共創による、フェアで、“誰一人取り残さない*2”社会の実現への貢献」ヤマトグループは社会的インフラを担う企業として、フェアで効率的な事業プロセスを通じて、あらゆる人々にものや価値を届けることで、社会における様々な格差や障害を解消・低減し、社員やお客様など様々な人々の生活の質(QOL)向上に貢献します。リアルの強みとデジタルイノベーションの推進、そして多様なパートナーとの共創により、社会課題の解決を目指し、“誰一人取り残さない”社会の実現にリーディングカンパニーとして貢献していきます。*2 誰一人取り残さない:SDGsが掲げる基本理念 (マテリアリティ) ③リスク管理 当社は、サステナブル経営を推進していく上での課題やリスクについて、ヤマトグループ環境委員会およびヤマトグループ社会領域推進委員会で審議・決議を実施しています。また、重要事項については、適宜、経営会議や取締役会で審議・決議を実施しています。 気候変動に関するリスク管理については、「(3)気候変動への対応」に記載しています。 ④指標及び目標 当社は、「サステナブル中期計画2023」において、マテリアリティへの到達目標を定めています。具体的な目標および進捗については、統合レポートに記載しています。(統合レポート2023_サステナブル経営の強化)https://www.yamato-hd.co.jp/investors/library/annualreport/pdf/j_ir2023_2_03_08.pdf  なお、2024年3月期の進捗、および2027年3月期を最終年度として策定した中期経営計画「サステナビリティ・トランスフォーメーション2030 ~1st Stage~」に基づく目標については、2025年3月期に公表する「統合レポート2024」に記載予定です。 (2)経営戦略を支える人事戦略の推進 ヤマトグループは、経営理念に掲げる「豊かな社会の実現への貢献」を通じた持続的な企業価値向上を実現する基盤として、「ヤマトグループ 人材マネジメント方針」に基づき、経営戦略と連動した人事戦略を推進しています。 (ヤマトグループ 人材マネジメント方針)ヤマトグループは、未来への価値創出に挑戦し、豊かな社会の実現に貢献する企業であり続けるために成長します公正な評価とフィードバックを通じて社員の貢献や成長を称え、社員一人ひとりが働きがいを実感できる職場風土を目指します顧客起点の思考と当事者意識を持って誠実に行動し、たゆまぬ挑戦や努力を続ける社員に対して、仕事を通じた成長の機会を提供します ①戦略 ヤマトグループは、事業構造改革と連動した人材の最適配置を優先課題として、組織・要員の適正化と評価・報酬制度の見直しに取り組みます。また、付加価値を創出する人材の育成に向けて、自主・自律的なキャリア形成を促進する人材マネジメント体系の整備・運用を推進します。そして、多様な社員の働きやすさと働きがいの向上に向けて、多様化する社員のライフプランに適合する福利厚生制度の構築や社員の健康管理・健康増進施策を推進するとともに、ダイバーシティの推進や人権デューデリジェンスの実施、女性活躍の推進に継続的に取り組みます。これらを通じて、社員一人ひとりの活躍と貢献を最大化し、より高い付加価値の創出を目指していきます。 ⅰ.付加価値創出に向けた最適な人材ポートフォリオの構築 経営戦略の柱の一つである「ネットワーク・オペレーション構造改革」で推進するラストマイル集配拠点の集約・大型化およびターミナルの機能見直し等と連動し、経営資源の有効活用に向けて、宅急便の事務および作業オペレーションを担う人材の再配置を推進しています。2024年3月期は、日本郵政グループと締結した協業に関する基本合意書に基づき「クロネコゆうパケット」「クロネコゆうメール」の取扱いを開始したことに伴い、投函サービスに従事していた人材の社内外への再配置を推進しました。2025年3月期は、顧客接点となるセールスドライバー職や営業所長職の役割を再定義し、処遇の見直しによる人材の確保と育成を推進していきます。 また、職務を起点とした人材マネジメント体系の整備・運用を推進し、2024年3月期は、ヤマト運輸本社組織階層の改正、および執行役員、経営役職ポジションの整理を行うとともに、経営役職層の評価制度改定、タレントプールごとの人材開発施策の推進、社内公募制度の導入などに取り組みました。新たな事業成長を支える人材ポートフォリオの構築が課題であり、ポジションの可視化による要員管理の適正化、採用チャネルの拡充と社内公募による的確な人材確保・配置、パフォーマンス向上を図る教育制度の拡充、ミドル・シニア人材に対するセカンドキャリア支援策の展開などを通じて、事業ごとの要員計画に基づく適正人材の充足に取り組んでいきます。デジタル領域においては、引き続き、デジタル人材のニーズを踏まえた採用を推進するとともに、スキル強化研修および事業部門を対象としたデジタルリテラシー向上研修を推進していきます。 経営戦略と連動する最適な人材ポートフォリオの構築に向けて、適所適材の考え方に基づく人的資本への投資が必要であり、「人的生産性」を主要な指標として設定するなど、投資と効果の実現を中長期でモニタリングするための体制を整備し、取組みを推進していきます。 ⅱ.多様な社員の働きやすさと働きがいの向上 持続的な成長を実現する基盤を構築するため、人権と多様性を尊重する企業風土の醸成と、社員が生き生きと活躍できる労働環境を整備する施策を推進しています。そして、仕事を通じた社員自身の成長実感ならびに、会社の成長・発展への貢献実感を高める施策を通じて、社員の働きやすさや働きがいの向上、さらにはエンゲージメントの向上につなげていきます。 ヤマトグループは「職場において外国籍社員が取り残されない環境整備」と、「多様な人材が活躍できる環境整備と女性活躍の支援」を優先課題に位置付けています。多数の外国籍社員が勤務するヤマト運輸株式会社のターミナルにおいてより良い職場環境を構築するため、就業規則や業務内容の理解に資する多言語マニュアルを整備し、職場での活用を促進するとともに、職場内外に外国籍社員が多言語で相談できる窓口を設置し、周知活動に取り組んでいます。 また、女性管理職の登用に向けた施策として、「営業所長を目指す女性社員を対象とした育成プログラム」を推進し、プログラム参加者の育成プランの作成や、「無意識の思い込みや偏見(アンコンシャス・バイアス)の払拭」をテーマとした研修を、参加者のみならずその上司とともに実施し、意欲ある女性社員の活躍を後押ししています。今後は、大卒定期採用社員を対象とした中期育成施策の展開によりキャリア形成を支援しつつ、意欲ある女性社員については、営業所長に限定せず、適性が高い管理職ポジションへのステップアップも含めた自律的なキャリア形成を支援していきます。 障がい者雇用においては、雇用推進担当者を全国に配置し、担当者会議を毎月開催することで、雇用推進に向けた課題や好事例の共有を行い、採用活動・定着支援を推進しています。また、当社が出資している株式会社ミライロと共同開発した「ユニバーサルマナー検定」による教育を順次展開しており、「自分とは違う誰か」の視点に立ち行動する人材を育てることで、多様な人材が活躍できる環境整備を進めています。 働きがいの向上においては、経営者と社員が意見を交わすことで職場改善につなげる取組みを推進しています。ヤマト運輸株式会社において、職場における課題について意見を交わし、相互理解を深めるため、全国の各拠点で「職場ディスカッション」を開催しており、2022年からは営業所長、ロジセンター長など業務役職者を対象としたディスカッションを実施しています。また、職場でのハラスメントを防止するため、全社員を対象とした教育を実施し、働きやすい職場環境作りを推進しています。 ②指標及び目標(2027年3月期に向けた指標及び目標)目標:労働生産性の向上指標:人的生産性*1*1 (連結営業収益-連結下払経費)÷連結人件費 目標:エンゲージメントの向上指標:社員意識調査*2*2 対象範囲:国内連結会社および株式会社スワン (2024年3月期を最終年度とするサステナブル中期計画の指標及び目標)マテリアリティ指標及び2024年3月期目標2024年3月期実績労働社員1人当たり営業収益向上(対2021年3月期伸率)+16.3%社員1人当たり残業時間削減2021年3月期比 20%削減*17.2%削減有給休暇取得率 90%*289.4%人権・ダイバーシティ女性管理職(役職者)数2021年3月期比2倍(672名)/女性管理職比率 10%*21.1倍(362名)/5.9%障がい者雇用率 2.5%*33.1%全社員(フルタイマー)の人権教育受講率 100%*2全ての対象社員に人権教育実施*1 対象範囲:国内連結会社*2 対象範囲:国内連結会社および株式会社スワン*3 対象範囲:国内連結会社および株式会社スワン(障害者雇用状況報告対象外の会社については除く。) (3)気候変動への対応 ヤマトグループは、気候変動問題が社会と企業に与えるリスクと機会を洗い出し、影響を評価し、対応策を立案していくことが、事業の持続可能性に不可欠であると認識し、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言に基づいて、2024年3月期にヤマト運輸株式会社を対象としてシナリオ分析を行いました。気候変動問題の事業インパクトを明確化し、影響の大きな事項を中心に対応策に取り組むことで、事業の持続性を向上させるとともに、ステークホルダーとの対話を重ねることにより、企業価値向上につなげていきます。 ①ガバナンス ヤマトグループは、気候変動を含む環境課題に対し、ヤマトグループ環境委員会を意思決定機関とした環境マネジメント体制に基づき、審議・決議を実施しており、取締役会は執行状況を監督しています。 具体的には、代表取締役社長が環境委員会の委員長を務め、環境マネジメントの統括責任を担っています。そして、環境委員会で審議された気候変動を含む環境課題に関する基本方針などの重要事項については、上位にある経営会議や取締役会で審議・決議を実施します。 また、環境分野を担当する執行役員や各地域を統括する執行役員、グループ会社の社長は環境責任者として、必要な経営資源を整えるなど、環境マネジメントの確実な実施と維持、管理に責任を持ちます。 さらに、原則としてすべての部長や現場組織の責任者は「環境管理者」として、気候変動を含む環境に関するリスクと機会の管理に責任を持ちます。 ②戦略STEP1リスク重要度の評価[重要度の評価基準] 1年間に発生する収益・費用における財務影響の評価基準を基に重要度を3段階(大・中・小)で設定しています。大=100億円以上、中=10億円以上~100億円未満、小=10億円未満[発現時期]短期(~2026年)、中期(2027年~2030年)、長期(2031年~) STEP2シナリオ群の定義 2024年3月期に実施したシナリオ分析では、ヤマト運輸株式会社を対象とし、国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)や国際エネルギー機関(IEA)の情報*1などをもとに下記2つのシナリオを想定しました。ⅰ.1.5℃シナリオ*2:規制強化や燃料・電力の価格上昇に加えて炭素排出低減に対応するコストが必要になる一方で、サステナブルが製品の競争力につながる社会ⅱ.4℃シナリオ:従来型の経営が継続されるが、各所での自然災害等に対応するためのコストが必要となる社会 *1IPCC…RCP8.5 IEA …Net Zero Emissions by 2050 Scenario、Sustainable Development Scenario、Stated Policies Scenarioなど*21.5℃でシナリオがない項目は2℃シナリオを参照 STEP3事業インパクト評価 2024年3月期は、抽出したリスクの中でも炭素税導入や異常気象・災害が収益・費用について大きな影響を与える可能性があることを認識し、以下の分析・事業インパクト評価を実施しました。●評価を実施した項目ⅰ.炭素税導入による財務影響ⅱ.異常気象・災害による収益の減少や施設・設備の修理費用増加の財務影響ⅲ.洪水による収益の減少や施設・設備の被害による財務影響 ●詳細ⅰ.炭素税導入による財務影響評価 炭素税が本格導入された際の精算に関わる2030年、2050年の事業インパクトを算出しました。2030年は炭素税価格を140ドル/t、2050年は250ドル/tと想定し費用増加影響を試算した結果、2030年には157億円、2050年には281億円と算出しました。 ⅱ.異常気象・災害による収益の減少や施設・設備の修理費用増加の財務影響評価 台風の激甚化や線状降水帯による豪雨など異常気象による収益の減少や施設・設備の修理費用*3について事業インパクトを試算した結果、2030年には19億円、2050年には38億円と算出しました。*3過去に発生した災害を参考に試算 ⅲ.洪水による収益の減少や施設・設備の被害の財務影響評価 ハザードマップやAQUEDUCT*4などを使用した洪水の浸水深予測に基づき、国土交通省「TCFD提言における物理的リスク評価の手引き」にて示されている浸水深別被害率を使用して営業停止による損失額ならびに施設・設備の資産損害額について事業インパクトを試算しました。 その結果、4℃シナリオ(RCP8.5)における100年に1度の確率で発生する洪水(浸水深)による営業停止損失額と資産損害額の年間影響は、2030年には4億円、2050年には4.3億円と算出しました。[分析に用いた要件] ・5つの気候モデル*5の平均値を採用 ・空間解像度1kmで当該拠点を含む周辺も含めた3km四方の平均値を採用 ・ハザードマップ上で浸水の可能性がある拠点を含む49拠点を調査*4世界資源研究所(WRI)が開発したリスク評価ツールAQUEDUCT(アキダクト)*5GFDL-ESM2M(米国海洋大気庁)、HadGEM2-ES(英国気候研究機関)、IPSL-CM5A-LR(仏国気候研究機関)、MIROC-ESM-CHEM(東京大学など)、NorESM1-M(ノルウェー気候研究機関) STEP4対応策の方向性ⅰ.炭素税導入 ヤマトグループは、温室効果ガス(GHG)排出量削減に向け2050年自社排出実質ゼロの高い目標を掲げて取り組んでいます。イ.2030年の目標値を2021年3月期比48%削減と掲げ、実現に向けて主な施策として2030年までに低炭素車両(主にEV)23,500台の導入や太陽光発電設備810基の設置などを計画しています。これにより、取り組まなかった場合と比較して、2030年には74億円の削減効果があると試算しています。ロ.2050年に向けて、カートリッジ式EVを含む低炭素車両の導入やさらなる太陽光発電設備の設置により再生可能エネルギー由来電力の使用率を高めるなど、他の施策も強化することで自社排出実質ゼロを達成した場合、炭素税の財務影響は解消すると想定しています。ハ.低炭素化に向けた設備投資が積極的に行われることを目指し、インターナルカーボンプライシングの導入を検討しています。 ⅱ.異常気象・災害による収益の減少や施設・設備の修理費用の増加 ヤマトグループでは、ハザードマップを活用した出店やBCPマニュアルの定期的な更新に加え、社内やパートナーへの気候変動に適応する情報の発信を検討しています。今後、レジリエンスを高める再生可能エネルギーやカートリッジ式EVの利用モデルの実証を行っていきます。 さらに発生場所や発生規模の想定を高めるなど、前提条件を加えながら事業インパクトを再評価することで、対応策の検討を継続します。 ⅲ.消費者・顧客の環境意識の高まりを機会に捉えた取組み ヤマトグループは、「2050年温室効果ガス(GHG)排出実質ゼロ(自社排出)」に向けて、EVや太陽光発電設備の導入など、温室効果ガス(GHG)排出量削減を推進するとともに、お客様が保有する在庫や生産活動の最適化に向けて、より環境負荷の少ないサプライチェーンを構築するため、国際規格ISO 14083:2023に準拠したGHG排出量可視化ツールの開発など、法人顧客への新たな提供価値の創出に取り組んでいます。2024年3月期には、「宅急便」「宅急便コンパクト」「EAZY」(宅配便3商品)を対象とした「カーボンニュートラリティ宣言」を実施しました。本宣言は、2023年3月期(2022年4月~2023年3月)において、国際規格ISO 14068-1:2023に準拠したカーボンニュートラリティを達成したことを示すとともに、今後も事業活動に伴う温室効果ガス(GHG)自社排出量の削減に向けて継続的に取り組むことで、2050年までの宅配便3商品のカーボンニュートラリティ実現をコミットメントしたものです。ヤマトグループは、このような気候変動に配慮した輸送サービスの提供を通じて、個人および法人顧客のさらなる利用促進につなげていきます。また、多様化する顧客や社会のニーズに応える新たなビジネスモデルの事業化を推進します。車両整備事業を基盤に、これまでにヤマトグループ内での環境投資や実証実験を通じて蓄積したEV、太陽光発電設備、エネルギーマネジメントなどのノウハウを活用した商用EV導入・運用支援など、脱炭素と経済性を両立する基盤・エコシステムを開発することで、ヤマトグループの利益成長と社会・物流業界全体のサステナビリティへの貢献に取り組んでいきます。 ③リスク管理 ヤマトグループ全体の気候変動に関わる対応の推進統括のための専任部署を当社に設けています。また、各グループ会社にも環境責任者(代表取締役社長)や環境推進代表(推進担当者)を配置し、グループを挙げて気候変動への対応を推進しています。 代表取締役社長を委員長、ヤマト運輸株式会社の執行役員等および主要グループ会社社長を構成員とする、ヤマトグループ環境委員会を毎年1回開催し、気候変動を含む環境に関する課題やリスクについての審議・決議を実施しています。また、重要事項については適宜、経営会議や取締役会で審議・決議を実施しています。 ④指標及び目標ⅰ.戦略・リスク管理プロセスに則して気候関連リスク・機会評価に用いる指標 ヤマトグループでは気候変動への対応を管理する指標として、移行リスクに関しては、[IEA]World Energy Outlookにて公表される「炭素税価格」などのエネルギー関連指標を参照しています。また、物理的リスクに関しては、国土交通省や文部科学省、気象庁が公表している気候変動を踏まえた資料などから、洪水の発生頻度などを参考とし傾向の変化を把握しています。 ⅱ.温室効果ガス(GHG)排出量(単位:tCO2e) 2021年3月期2022年3月期2023年3月期2024年3月期Scope1668,554673,213659,537656,732Scope2252,307229,042200,674166,350Scope1 & 2合計(自社排出)920,861902,254860,211823,082Scope31,750,7162,297,2062,215,6912,218,292Scope1 & 2 & 3合計2,671,5773,199,4603,075,9023,041,374・Scope1とScope2の範囲:国内連結会社および株式会社スワン・Scope3の範囲:カテゴリー1,2,3,5,6,7,11,12 ⅲ.気候関連リスク・機会の管理に用いる目標及び実績[GHG排出削減量目標*1]短期:2023年までに2021年3月期比10%削減2026年までに2021年3月期比25%削減中期:2030年までに2021年3月期比48%削減長期:2050年までに排出実質ゼロ [GHG排出量実績*1]2024年3月期 823,082tCO2e(2021年3月期比11%削減)*1 国内連結会社および株式会社スワンの自社排出(Scope1とScope2) [再生可能エネルギー由来電力使用率目標]短期:2023年までに全体の40%使用*22026年までに全体の70%使用*2 GHG排出削減量の短期目標達成に向けて、環境中期計画策定時の目標(全体の30%使用)から引き上げました [再生可能エネルギー由来電力使用率実績]2024年3月期 40%使用  なお、④指標及び目標で記載した、GHG排出量および再生可能エネルギー由来電力使用率の2024年3月期実績は、有価証券報告書提出日現在における暫定値です。確定値は、2025年3月期に公表する「統合レポート2024」に記載予定です。  上記目標の達成に向けた施策を実施することと並行して、SBT1.5℃認証の取得に向けた具体的な準備を進めています。  なお、「2[サステナビリティに関する考え方及び取組]」について、当社および連結子会社の状況と非連結子会社等を含むヤマトグループの状況に大きな差異はないものと判断し、開示しています。
戦略 ②戦略 当社は、中長期的な企業価値の向上と持続可能な社会の実現に向けて、中長期の経営のグランドデザイン「YAMATO NEXT100」において、環境・社会に関するビジョンを掲げるとともに、重要かつ優先的に取り組むマテリアリティを特定しました。そして、「ヤマトグループ環境方針」「ヤマトグループ人権方針」「ダイバーシティ基本方針」「ヤマトグループ責任ある調達方針」の下、マテリアリティへの具体的な行動と2023年の到達目標を定めた「サステナブル中期計画2023」に基づき、取組みを推進しました。その結果、温室効果ガス(GHG)削減量(自社排出)などの目標を達成し、未達成となった項目についても、今後取り組むべき課題を明確化できました。 2025年3月期より当社は、「持続可能な未来の実現に貢献する価値創造企業」を2030年の目指す姿として定め、2027年3月期を最終年度として策定した中期経営計画「サステナビリティ・トランスフォーメーション2030 ~1st Stage~」に基づき、宅急便ネットワークの強靭化による基盤領域の利益成長、ビジネスソリューションの提供を通じた法人ビジネス領域の拡大、多様化する顧客や社会のニーズに応える新たなビジネスモデルの事業化、およびサステナブル経営の強化などに取り組み、「経済価値」を生み出すとともに、社会の持続可能性への取組みによる「環境価値」「社会価値」を創造していきます。 (環境・社会ビジョン)環境ビジョン「つなぐ、未来を届ける、グリーン物流」「つなぐ、未来を届ける、グリーン物流」へヤマトグループはさらに進化します。人や資源、情報を高度につなぎ、輸送をより効率化させ、環境や生活、経済によりよい物流を実現します。温室効果ガス(GHG)排出実質ゼロ*1に挑戦し、持続可能な資源の利用・消費モデルを創造し、強く、スマートな社会を支えます。*1 国内連結会社および株式会社スワンの自社排出(Scope1とScope2)社会ビジョン「共創による、フェアで、“誰一人取り残さない*2”社会の実現への貢献」ヤマトグループは社会的インフラを担う企業として、フェアで効率的な事業プロセスを通じて、あらゆる人々にものや価値を届けることで、社会における様々な格差や障害を解消・低減し、社員やお客様など様々な人々の生活の質(QOL)向上に貢献します。リアルの強みとデジタルイノベーションの推進、そして多様なパートナーとの共創により、社会課題の解決を目指し、“誰一人取り残さない”社会の実現にリーディングカンパニーとして貢献していきます。*2 誰一人取り残さない:SDGsが掲げる基本理念 (マテリアリティ)
指標及び目標 ④指標及び目標 当社は、「サステナブル中期計画2023」において、マテリアリティへの到達目標を定めています。具体的な目標および進捗については、統合レポートに記載しています。(統合レポート2023_サステナブル経営の強化)https://www.yamato-hd.co.jp/investors/library/annualreport/pdf/j_ir2023_2_03_08.pdf  なお、2024年3月期の進捗、および2027年3月期を最終年度として策定した中期経営計画「サステナビリティ・トランスフォーメーション2030 ~1st Stage~」に基づく目標については、2025年3月期に公表する「統合レポート2024」に記載予定です。
人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略 ①戦略 ヤマトグループは、事業構造改革と連動した人材の最適配置を優先課題として、組織・要員の適正化と評価・報酬制度の見直しに取り組みます。また、付加価値を創出する人材の育成に向けて、自主・自律的なキャリア形成を促進する人材マネジメント体系の整備・運用を推進します。そして、多様な社員の働きやすさと働きがいの向上に向けて、多様化する社員のライフプランに適合する福利厚生制度の構築や社員の健康管理・健康増進施策を推進するとともに、ダイバーシティの推進や人権デューデリジェンスの実施、女性活躍の推進に継続的に取り組みます。これらを通じて、社員一人ひとりの活躍と貢献を最大化し、より高い付加価値の創出を目指していきます。 ⅰ.付加価値創出に向けた最適な人材ポートフォリオの構築 経営戦略の柱の一つである「ネットワーク・オペレーション構造改革」で推進するラストマイル集配拠点の集約・大型化およびターミナルの機能見直し等と連動し、経営資源の有効活用に向けて、宅急便の事務および作業オペレーションを担う人材の再配置を推進しています。2024年3月期は、日本郵政グループと締結した協業に関する基本合意書に基づき「クロネコゆうパケット」「クロネコゆうメール」の取扱いを開始したことに伴い、投函サービスに従事していた人材の社内外への再配置を推進しました。2025年3月期は、顧客接点となるセールスドライバー職や営業所長職の役割を再定義し、処遇の見直しによる人材の確保と育成を推進していきます。 また、職務を起点とした人材マネジメント体系の整備・運用を推進し、2024年3月期は、ヤマト運輸本社組織階層の改正、および執行役員、経営役職ポジションの整理を行うとともに、経営役職層の評価制度改定、タレントプールごとの人材開発施策の推進、社内公募制度の導入などに取り組みました。新たな事業成長を支える人材ポートフォリオの構築が課題であり、ポジションの可視化による要員管理の適正化、採用チャネルの拡充と社内公募による的確な人材確保・配置、パフォーマンス向上を図る教育制度の拡充、ミドル・シニア人材に対するセカンドキャリア支援策の展開などを通じて、事業ごとの要員計画に基づく適正人材の充足に取り組んでいきます。デジタル領域においては、引き続き、デジタル人材のニーズを踏まえた採用を推進するとともに、スキル強化研修および事業部門を対象としたデジタルリテラシー向上研修を推進していきます。 経営戦略と連動する最適な人材ポートフォリオの構築に向けて、適所適材の考え方に基づく人的資本への投資が必要であり、「人的生産性」を主要な指標として設定するなど、投資と効果の実現を中長期でモニタリングするための体制を整備し、取組みを推進していきます。 ⅱ.多様な社員の働きやすさと働きがいの向上 持続的な成長を実現する基盤を構築するため、人権と多様性を尊重する企業風土の醸成と、社員が生き生きと活躍できる労働環境を整備する施策を推進しています。そして、仕事を通じた社員自身の成長実感ならびに、会社の成長・発展への貢献実感を高める施策を通じて、社員の働きやすさや働きがいの向上、さらにはエンゲージメントの向上につなげていきます。 ヤマトグループは「職場において外国籍社員が取り残されない環境整備」と、「多様な人材が活躍できる環境整備と女性活躍の支援」を優先課題に位置付けています。多数の外国籍社員が勤務するヤマト運輸株式会社のターミナルにおいてより良い職場環境を構築するため、就業規則や業務内容の理解に資する多言語マニュアルを整備し、職場での活用を促進するとともに、職場内外に外国籍社員が多言語で相談できる窓口を設置し、周知活動に取り組んでいます。 また、女性管理職の登用に向けた施策として、「営業所長を目指す女性社員を対象とした育成プログラム」を推進し、プログラム参加者の育成プランの作成や、「無意識の思い込みや偏見(アンコンシャス・バイアス)の払拭」をテーマとした研修を、参加者のみならずその上司とともに実施し、意欲ある女性社員の活躍を後押ししています。今後は、大卒定期採用社員を対象とした中期育成施策の展開によりキャリア形成を支援しつつ、意欲ある女性社員については、営業所長に限定せず、適性が高い管理職ポジションへのステップアップも含めた自律的なキャリア形成を支援していきます。 障がい者雇用においては、雇用推進担当者を全国に配置し、担当者会議を毎月開催することで、雇用推進に向けた課題や好事例の共有を行い、採用活動・定着支援を推進しています。また、当社が出資している株式会社ミライロと共同開発した「ユニバーサルマナー検定」による教育を順次展開しており、「自分とは違う誰か」の視点に立ち行動する人材を育てることで、多様な人材が活躍できる環境整備を進めています。 働きがいの向上においては、経営者と社員が意見を交わすことで職場改善につなげる取組みを推進しています。ヤマト運輸株式会社において、職場における課題について意見を交わし、相互理解を深めるため、全国の各拠点で「職場ディスカッション」を開催しており、2022年からは営業所長、ロジセンター長など業務役職者を対象としたディスカッションを実施しています。また、職場でのハラスメントを防止するため、全社員を対象とした教育を実施し、働きやすい職場環境作りを推進しています。
人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績、指標及び目標 ②指標及び目標(2027年3月期に向けた指標及び目標)目標:労働生産性の向上指標:人的生産性*1*1 (連結営業収益-連結下払経費)÷連結人件費 目標:エンゲージメントの向上指標:社員意識調査*2*2 対象範囲:国内連結会社および株式会社スワン (2024年3月期を最終年度とするサステナブル中期計画の指標及び目標)マテリアリティ指標及び2024年3月期目標2024年3月期実績労働社員1人当たり営業収益向上(対2021年3月期伸率)+16.3%社員1人当たり残業時間削減2021年3月期比 20%削減*17.2%削減有給休暇取得率 90%*289.4%人権・ダイバーシティ女性管理職(役職者)数2021年3月期比2倍(672名)/女性管理職比率 10%*21.1倍(362名)/5.9%障がい者雇用率 2.5%*33.1%全社員(フルタイマー)の人権教育受講率 100%*2全ての対象社員に人権教育実施*1 対象範囲:国内連結会社*2 対象範囲:国内連結会社および株式会社スワン*3 対象範囲:国内連結会社および株式会社スワン(障害者雇用状況報告対象外の会社については除く。)
事業等のリスク 3【事業等のリスク】
 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、ヤマトグループの経営成績等に重要な影響を与えると認識している主要なリスクについて、経営への影響と顕在化する可能性の観点から重要なものを、事業環境およびそれに対応した戦略に係るリスクと、事業運営に係るリスクに分類して、以下のように取り纏めております。 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在においてヤマトグループが判断したものであります。 (1)事業環境およびそれに対応した戦略に係るリスク①市場・競争環境の変化によるリスク EC化の進展、世界の政治・経済とサプライチェーンのブロック化、気候変動の深刻化や労働力人口の減少を踏まえた持続可能な物流に対するニーズの拡大など、ヤマトグループを取り巻く市場環境は変化しています。また、EC化の進展に伴い、物流事業者との競争の激化のみならず、自社物流化を進めるECプラットフォーマーとの戦略的な関係性がより重要となることに加え、デジタルで商慣習を変える可能性があるスタートアップ企業を意識する必要があるなど、競争環境も変化しています。このような状況下、変化、多様化する生活者のニーズや、既存の流通構造を再構築する法人顧客の物流ニーズに対応できない場合、営業収益の減少や成長機会の逸失によりヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。また、持続可能な社会の発展に向けた企業活動に取り組まない場合、お客様の支持が低下することや地域社会との関係が悪化すること、優秀な人材確保が困難になること、資金調達コストが上昇することなどにより、中長期的に、ヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。 このようなリスクを踏まえ、ヤマトグループは、「持続可能な未来の実現に貢献する価値創造企業」を2030年の目指す姿として定め、企業価値の向上に向けた取組みを推進しています。 宅急便ネットワークの強靭化と提供価値の拡大においては、社会的インフラとしての宅急便ネットワークをより効率的かつ持続的な形に強靭化すべく、小規模・多店舗展開してきたラストマイル集配拠点の集約・大型化やターミナル機能の再定義、デジタルテクノロジーを活用した「仕分け作業」や「運び方」、「働き方」の変革に取り組んでいます。また、輸送サービスのラインアップ拡充や個人向け会員サービス「クロネコメンバーズ」を通じた顧客体験価値の向上、宅配便3商品の「カーボンニュートラル配送」などにより、お客様への提供価値の拡大を推進しています。 また、法人ビジネス領域の拡大においては、世界の政治・経済とサプライチェーンのブロック化や環境問題などのリスク要因が増大する中、サプライチェーン全体に拡がるお客様の経営課題の解決を目指すソリューションビジネスを成長領域と位置付け、コントラクト・ロジスティクス事業とグローバル事業の拡大に注力しています。 さらに、持続可能な未来の実現に向けて、既存の経営資源を活用しつつ、多様なパートナーとともに、多様化する顧客や社会のニーズに応える新たなビジネスモデルの事業化を推進しています。 そして、これらの事業構造改革を支えるためのグループ経営基盤として、人事戦略、デジタル戦略、サステナブル経営の強化、コーポレート・ガバナンスの強化に努めています。 ②労働人口の減少によるリスク ヤマトグループの展開する事業は労働集約型の事業が多く、労働力としての質の高い人材の確保、適正な要員配置が必要不可欠です。国内の労働人口の減少により労働需給がさらに逼迫し、輸配送パートナーを含め人材を十分に確保できない場合や、人材獲得競争の激化によりコストが大幅に増加した場合、ヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。 このようなリスクを踏まえ、ヤマトグループは、人材マネジメント方針に基づき、人材の獲得・定着に資する魅力ある人事・評価制度により、社員が働きがいを持ちイキイキと活躍する環境の構築を推進しています。また、人権や多様性が尊重され、より安心して働くことができる職場環境の整備や、安全面や品質面も含めた輸配送パートナーとの連携強化に取り組んでいます。さらに、小規模・多店舗展開してきたラストマイル集配拠点の集約・大型化やターミナル機能の再定義、デジタルテクノロジーを活用した「仕分け作業」や「運び方」、「働き方」の変革を通じたネットワーク全体の生産性向上に取り組むとともに、第一線の社員の管理間接業務やバックオフィス業務の標準化、電子化によるBPR(業務プロセス改革)を推進しています。 ③テクノロジーの進化に係るリスク ヤマトグループが事業を展開する物流業界において、AI・IoT・ビッグデータ等の活用によるリソースの最適化や、ロボティクスの活用による倉庫業務の自動化、ドローン・自動運転の活用による幹線輸送やラストワンマイルの変革等、テクノロジーの進化に伴う様々な変化が生じています。短中期的に見込まれる新たなビジネスモデルの出現に対してヤマトグループが適切に対応できない場合や、技術トレンドの誤った理解および先端テクノロジーの導入手法に不備が発生した場合、期待通りの投資効果を得られず、ヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。 このようなリスクを踏まえ、ヤマトグループは、デジタル戦略を持続的な企業価値向上を実現するためのグループ経営基盤の一つと位置づけ、事業と一体となったDX推進に取り組むとともに、デジタル分野への直接投資やCVCファンドを通じて、ヤマトグループの脅威となりうるテクノロジーや事業モデルの早期察知、およびオープンイノベーションによる新たな成長モデルの創出に取り組んでいます。 ④情報セキュリティに係るリスク ヤマトグループは、営業上の機密情報に加え、物流業務や情報処理の受託等を通じて多くの個人情報・顧客情報を保有しています。サイバー攻撃や管理の不徹底等により情報が外部に漏えいした場合やデータ喪失が発生した場合、社会的信用の低下や損害賠償請求の発生、さらには推進しているデジタル戦略に疑念が生じることなどにより、ヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。また、サイバー攻撃等によりシステムがダウンし、全国で宅急便の荷受けを停止した場合、収益機会の逸失等によりヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。 このようなリスクを踏まえ、ヤマトグループは、サイバー攻撃の高度化・巧妙化を想定した上で、国内外で組織的・人的な対策と多層防御等による技術的な対策に取り組んでおります。その他のセキュリティ対策としては、ネットワークへの不正アクセスや施設への不正侵入に対する監視を24時間365日実施しています。また、広域災害によるシステム停止への対策として、重要なシステムのデータセンターを分散し、相互にバックアップする運用を行っています。加えて、システム故障への対策として、ハードウェアの経年劣化や製品の潜在的なバグに対応するため、メーカーとの保守契約を結び、常に不具合情報の連携を図っています。 ⑤地域の過疎化によるリスク ヤマトグループの主な市場である日本国内は、総人口が減少するとともに、地域生活、地域経済において様々な課題が発生しています。過疎化や高齢化が進む地域では、配送効率の低下や集配を担う人材不足が顕在化しており、今後、地域経済が縮小することにより地域社会インフラの衰退などの問題が深刻化する場合や、そのような地域における収益性が低下することで、中長期的な観点で全国をきめ細かくカバーする物流ネットワークの維持が困難になる場合、ヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。 このようなリスクを踏まえ、ヤマトグループは、社会的インフラとしての宅急便ネットワークをより効率的かつ持続的な形に強靱化するため、都市部を中心としたラストマイル集配拠点の集約・大型化やターミナル機能の再定義、デジタルテクノロジーを活用した「仕分け作業」や「運び方」、「働き方」の変革に取り組んでいます。また、荷物の発送・受取サービスに加えて、新たなサービス提供を目指す「ネコサポステーション」の展開や、IoT電球「HelloLight」を活用した「クロネコ見守りサービス ハローライト訪問プラン」の拡販など、パートナーと協業や共創しながら、地域社会の持続可能性に貢献する取組みを推進していきます。 ⑥気候変動に係るリスク ヤマトグループは、事業を行うにあたり多数の車両を使用しております。気候変動をはじめとした地球規模の環境問題がさらに深刻化し、温室効果ガス(GHG)の排出規制や削減義務の強化、炭素税の引き上げ等がされる場合、低炭素車両の導入や設備改修などの費用が増加し、ヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。また、生活者の環境に配慮した消費意識や、顧客企業のサプライチェーン全体での温室効果ガス(GHG)排出量削減に向けた要請が高まる中、期待される低炭素輸送に対応できない場合、お客様の支持が低下することなどにより営業収益が減少し、ヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。加えて、低炭素社会への移行が進まない場合、長期的な影響として、自然災害の激甚化や頻度上昇による社員や施設の被災、道路寸断、電力・燃料供給停止などにより頻繁に事業活動が停止し、ヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。 このようなリスクを踏まえ、ヤマトグループは、長期目標である「2050年温室効果ガス(GHG)排出実質ゼロ(自社排出)」の実現に向け、中期目標として「2030年温室効果ガス(GHG)排出量48%削減(2021年3月期比)」を設定し、「EV23,500台の導入」「太陽光発電設備810基の導入」「再生可能エネルギー由来電力の使用率向上」などの施策を推進するとともに、サプライチェーン(Scope3)実質排出量の把握や削減目標設定などに取り組みます。さらに、2024年3月期においては、「宅急便」「宅急便コンパクト」「EAZY」(宅配便3商品)を対象とした「カーボンニュートラリティ宣言」を実施しました。本宣言は、2023年3月期(2022年4月~2023年3月)において、国際規格ISO 14068-1:2023に準拠したカーボンニュートラリティを達成したことを示すとともに、今後も事業活動に伴うGHG自社排出量の削減に向けて継続的に取り組むことで、2050年までの宅配便3商品のカーボンニュートラリティ実現をコミットメントしたものです。ヤマトグループは、このような気候変動に配慮した輸送サービスの提供を通じて、個人および法人顧客のさらなる利用促進につなげていきます。 また、自然災害による様々な緊急事態を想定し危機管理体制の強化を図るなど、グループ全体でレジリエンスの向上に取り組んでいます。具体的には、BCPに基づく訓練や施設の水害リスク評価、拠点の再配置、発災後の対応や予期せぬ災害に備えた集配停止・保全作業等に係るマニュアルの継続的な見直しなどを進めています。 ⑦M&Aおよび戦略的業務提携に係るリスク ヤマトグループは、世界の政治・経済とサプライチェーンのブロック化や環境問題などのリスク要因が増大する中、サプライチェーン全体に拡がるお客様の経営課題の解決を目指すソリューションビジネスを成長領域と位置付けており、その拡大を加速させるため、自律的な成長施策に加え、M&Aや戦略的業務提携を推進しています。しかしながら、事業環境や競争状況の変化により期待する成果が得られない場合や、予期せぬ事業上の問題が発生する場合、経営成績等に影響を与える可能性があります。 このようなリスクを踏まえ、ヤマトグループは、コントラクト・ロジスティクス事業やグローバル事業の成長戦略との適合性を重視するとともに、投資効果を測る定量基準の設定など、収益責任部門とM&A専門部署が一体となり、規律を持って推進していくとともに、実行後は、事業性判定ルールに照らし合わせ、定期的なモニタリングを継続実施しています。 (2)事業運営に係るリスク①コンプライアンスに係るリスク ヤマトグループは、コンプライアンスを最優先とした経営を推進しています。しかしながら、商品・サービスや労働・安全、サプライチェーン全体におけるコンプライアンス上のリスクを完全には回避できない可能性があり、各種法令に抵触する事態が発生した場合、ヤマトグループの社会的信用やブランドイメージの低下、発生した事象に対する追加的な費用の発生等により、ヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。 このようなリスクを踏まえ、ヤマトグループは、グループ経営の健全性を高めるため、商品管理規程に基づく商品管理プロセスの適切な運用や、社員への理念教育の実施、不適切事案の早期発見と適切な対応を行うための社内通報制度および取引先向けの相談窓口の設置、ビジネスパートナーとの定期的な協議の実施と適切な体制・プロセス・仕組みの整備など、グループガバナンスの強化に取り組んでいます。 ②大規模自然災害等に係るリスク ヤマトグループは、車両による荷物の輸送が主要な業務であり、社員の安全と健康、車両や施設の保全と燃料、電気の安定供給等を前提に事業を運営しております。予期せぬ大規模自然災害や停電等が発生した場合、社員の被災等による人材の不足、車両・情報機器・施設等の損壊・水没、停電・断水や燃料・備品の供給不足等による事業停止、および車両、施設等の修理・買替費用等の発生、ならびに顧客の被災による出荷量の減少が発災直後から中長期に渡り生じることなどにより、ヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。また、予期せぬ感染症の流行等が発生した場合、社員の罹患等による人材の不足や、衛生用品の供与等に係る費用の発生、さらには事業継続が困難になることなどによりヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。 このようなリスクを踏まえ、ヤマトグループは、社会的インフラを担う企業グループとして、不測の事態においても安定したサービス提供が継続できるよう、事業継続計画(BCP)を策定しています。様々な緊急事態を想定し、グループ全体で危機管理体制の強化を図っており、BCP訓練や施設のリスク評価・再配置等を行うとともに、発災後の対応や予期せぬ災害に備えた集配停止・保全作業等に係るマニュアルの継続的な見直しなどに取り組んでいます。緊急事態の発生時には、「人命を最優先する」「グループ各社の事業の早期復旧を目指す」「社会的インフラとして地域社会からの期待に応える」を柱とするヤマトグループBCP基本方針のもと、基準にもとづき当社内に対策本部を立ち上げ、グループ各社と連携して対応するとともに、被災した地域や顧客の課題に対する価値提供に取り組んでまいります。 ③重大交通事故・労働災害に係るリスク ヤマトグループは、公道を使用して車両により営業活動を行っており、重大交通事故を発生させてしまった場合は、社会的信用が低下するとともに、行政処分による車両の使用停止や、「違反点数制度」による事業所の営業停止、事業許可の取り消し等が行われ、事業の中断や中止の可能性があります。また、社員等の労働安全を損なう重大な労働災害を発生させてしまった場合も、ヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。 このようなリスクを踏まえ、ヤマトグループは、人命の尊重を最優先に、運輸安全マネジメントおよび労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)に沿った取組みの推進や、安全確保のためのルールの策定・遵守と設備・システムの整備、社員への安全教育および安全意識の浸透、監査部による運行・整備管理の法令遵守状況の定期的な確認、労働安全衛生法に基づく安全・安心な職場環境の確保などに取り組んでいます。 ④労務関連法制に係るリスク ヤマトグループの展開する事業は労働集約型の事業が多く、労働力としての質の高い人材の確保、適正な要員配置が必要不可欠です。労働や社会保険等に係る法令や制度等が改正された場合、対応するための費用の大幅な増加などにより、ヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。また、2024年4月から自動車運転業務に時間外労働の上限規制が適用開始されたことに伴い、運送業界における長距離輸送のキャパシティが減少し、輸送パートナーへの委託コストが上昇することなどにより、ヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。 このようなリスクを踏まえ、ヤマトグループは、法制度に適切に対応した労働環境や人事制度の整備を推進するとともに、業務量変動への柔軟な対応や拠点間輸送の効率化、荷待ち時間の短縮などを実現するため、小規模・多店舗展開してきたラストマイル集配拠点の集約・大型化やターミナル機能の再定義、デジタルテクノロジーを活用した「仕分け作業」や「運び方」、「働き方」の変革に取り組んでいます。また、長距離輸送の効率化に資するスーパーフルトレーラSF25をはじめとしたトレーラの活用拡大やモーダルシフトを推進するとともに、持続的な物流ネットワークの構築に向けて、これまで長距離輸送を担ってきたトラック、鉄道、フェリー、旅客機床下貨物スペースに加え、2024年4月から新たな輸送手段として貨物専用機(フレイター)の運航を開始しています。 ⑤国際情勢等の影響によるリスク ヤマトグループが営業活動を行っている地域や、主要な取引先が営業活動を行っている地域がテロ・戦争等の国際紛争や貿易摩擦の影響を被った場合、サプライチェーンの寸断等による物流の停滞や社員の避難等により、ヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。また、ヤマトグループは、車両による荷物の輸送を主要な事業としており、軽油等燃料が常時安定的かつ適正に供給されることは事業を行う上で不可欠であります。国際情勢等の影響により供給に制約が発生した場合や、燃料価格等が高騰した場合、ヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。 このようなリスクを踏まえ、ヤマトグループは、グローバルに拡がる顧客のサプライチェーンに対して、陸海空の多様な輸送手段を組み合わせて提供価値の拡大に向けた取組みを推進しています。また、ネットワーク・オペレーションの構造改革による輸配送の効率化、モーダルシフト、より燃費効率の良い車両の導入、エネルギーマネジメントシステムの導入等、エネルギー効率を向上する施策を推進するとともに、燃料価格等の高騰を踏まえた、顧客へのプライシングの適正化に取り組んでいます。 ⑥金融市場の影響によるリスク ヤマトグループは、事業継続および事業成長に対する投資計画に照らし、必要資金についてはグループ資金を活用するとともに、原則として金融機関からの借入および社債発行により対応しております。今後の国内外の経済情勢により、金融市場が機能不全となった場合や、金融機関の貸出先選別により、資金調達が困難になる可能性や、金利上昇により支払利息が増大する可能性があります。 このようなリスクを踏まえ、キャッシュ創出状況、保有現預金や自己資本比率水準等の財務の健全性を維持・強化するとともに、資金調達先および時期の適度な分散を図ってまいります。
経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要 当連結会計年度におけるヤマトグループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在においてヤマトグループが判断したものであります。 ① 財政状態及び経営成績の状況ⅰ.財政状態 総資産は1兆1,358億95百万円となり、前連結会計年度末に比べ283億8百万円増加しました。 負債は5,439億14百万円となり、前連結会計年度末に比べ527億57百万円増加しました。 純資産は5,919億80百万円となり、前連結会計年度末に比べ244億49百万円減少しました。 ⅱ.経営成績 当連結会計年度における経済環境は、国際情勢の不安定化に伴い高騰した資源・エネルギー価格が下落に転じるなど、世界的なインフレ傾向に落ち着きが見られる中、欧米の金融当局は政策金利を据え置くなど、今後の景気減速に備えた動きが進んでいます。一方、国内においては、物価上昇に対する価格転嫁の動きが続く中、行楽需要やインバウンド需要の回復に伴うサービス消費の拡大や設備投資の増加など、足元の景況感は改善しつつあるものの、実質賃金が上昇していないことなどによる個人消費の低迷、人手不足の深刻化など、依然として本格的な景気回復が見通しづらい状況にあります。 このような状況下、ヤマトグループは、経営理念に掲げる「豊かな社会の実現への貢献」を通じた持続的な企業価値の向上を実現するため、グループ各社の経営資源を結集したグループ経営体制の下、お客様や社会の多様化するニーズに対する総合的な提供価値の拡大に向けた取組みを推進しています。 当連結会計年度の連結業績は、以下のとおりとなりました。 区分前連結会計年度当連結会計年度増減伸率(%)営業収益(百万円)1,800,6681,758,626△42,041△2.3営業利益(百万円)60,08540,059△20,025△33.3経常利益(百万円)58,06640,458△17,607△30.3親会社株主に帰属する当期純利益(百万円)45,89837,626△8,271△18.0  当連結会計年度の営業収益は1兆7,586億26百万円となり、前連結会計年度に比べ420億41百万円の減収となりました。これは、プライシングの適正化を進めたものの、宅配便の取扱数量や国際輸送の需要が減少したことなどによるものです。 営業費用は1兆7,185億66百万円となり、前連結会計年度に比べ220億16百万円減少しました。これは、資源・エネルギー価格、時給単価など外部環境の変化によるコスト上昇が継続した中で、オペレーティングコストの適正化に向けた取組みに注力したことなどによるものです。 この結果、当連結会計年度の営業利益は400億59百万円となり、前連結会計年度に比べ200億25百万円の減益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、固定資産売却益の計上などにより376億26百万円となり、前連結会計年度に比べ82億71百万円の減益となりました。 なお、当社は、2023年7月27日開催の取締役会において、株式会社ワールドホールディングスとの戦略的な業務提携に関する合意書の締結を決議するとともに、当社の連結子会社であるヤマト・スタッフ・サプライ株式会社の発行済株式の51%を、株式会社ワールドホールディングスの連結子会社である株式会社ワールドスタッフィングに譲渡しました。本株式譲渡に伴い、当社のヤマト・スタッフ・サプライ株式会社に対する議決権所有割合は49%となり、第2四半期連結会計期間より、同社は当社の持分法適用関連会社になりました。 <ヤマトグループ全体としての取組み> ヤマトグループは、経営理念に掲げる「豊かな社会の実現への貢献」を通じた持続的な企業価値の向上を実現するため、お客様や社会の多様化するニーズに対する総合的な提供価値の拡大に向けた取組みを推進しています。また、外部環境の変化等に伴うコスト上昇に対応するため、プライシングの適正化を進めるとともに、パートナー企業のコスト上昇に対して適時適切に対応するなど、輸配送ネットワークの維持・強化とお客様により良いサービスを提供し続ける環境の構築に取り組んでいます。 イ.ネットワーク・オペレーションの構造改革EC需要への対応や企業間物流における小口・多頻度化の進展など、多様化する物流ニーズに最適化した専用ネットワークの構築を進めるとともに、業務量の変動に対するより柔軟な対応や拠点間輸送の効率化、荷待ち時間の短縮などを実現するため、小規模・多店舗展開してきたラストマイル集配拠点の集約・大型化やターミナル機能の再定義、デジタルテクノロジーを活用した「仕分け作業」や「運び方」の変革、事務処理の効率化など、宅急便ネットワークの強靭化に向けた取組みを推進しています。また、当連結会計年度においては、日本郵政グループと締結した協業に関する基本合意書に基づき、「クロネコゆうパケット」「クロネコゆうメール」の取扱いを開始しました。引き続き、両社の経営資源を有効活用し、お客様の利便性向上に資する輸送サービスの構築と事業成長を図るとともに、物流業界が抱える「2024年問題」や「カーボンニュートラル」などの課題解決に向けた取組みを推進しています。 ロ.法人ビジネス領域の拡大世界の政治・経済とサプライチェーンのブロック化や環境問題などのリスク要因が増大する中、ヤマトグループは、サプライチェーン全体に拡がる顧客の経営課題の解決を目指すソリューションビジネスを新たな成長領域と位置づけています。かかる中、引き続き、営業とオペレーションが一体となり、グループの経営資源を最大限活用し、国内からグローバルに拡がるサプライチェーン全体に対する提供価値の拡大に取り組んでいます。また、「2050年温室効果ガス(GHG)排出実質ゼロ(自社排出)」に向けて、EVの導入やドライアイスを使わない保冷輸送など、当社のGHG排出量削減を推進するとともに、お客様が保有する在庫や生産活動の最適化に向けて、より環境負荷の少ないサプライチェーンを構築するため、国際規格ISO 14083:2023に準拠したGHG排出量可視化ツールの開発など、引き続き、法人顧客への新たな提供価値の創出に取り組んでいます。当連結会計年度においては、「宅急便」「宅急便コンパクト」「EAZY」(宅配便3商品)を対象とした「カーボンニュートラリティ宣言」を実施しました。本宣言は、2023年3月期(2022年4月~2023年3月)において、国際規格ISO 14068-1:2023に準拠したカーボンニュートラリティを達成したことを示すとともに、今後も事業活動に伴うGHG自社排出量の削減に向けて継続的に取り組むことで、2050年までの宅配便3商品のカーボンニュートラリティ実現をコミットメントしたものです。ヤマトグループは、このような気候変動に配慮した輸送サービスの提供を通じて、個人および法人顧客のさらなる利用促進につなげていきます。 ハ.持続的な企業価値向上を実現する戦略の推進ヤマトグループは、サプライチェーンの「End to End」に対する提供価値を拡大し、持続的な企業価値向上を実現するための基盤として、デジタル戦略、人事戦略の推進、サステナブル経営およびガバナンスの強化に取り組んでいます。デジタル戦略については、「事業とデジタル」を一体的に推進する体制を整備するとともに、あらゆる情報をリアルタイムに把握し、社内外のシステムと連携できるデジタル情報基盤「ヤマトデジタルプラットフォーム」の活用による、お客様に対する提供価値の拡大やオペレーションの効率化に取り組んでいます。当連結会計年度においては、引き続き、顧客体験価値のさらなる向上を図るため、デジタルテクノロジーを活用して、お客様の声の収集・分析およびサービスの改善・設計を推進しています。人事戦略については、社員の成長をグループの成長につなげる「人材マネジメント方針」に基づき、新たな付加価値創出に向けた最適な人材ポートフォリオの構築や、多様な社員の働きやすさと働きがいの向上などに取り組んでいます。サステナブル経営の強化については、中長期的な企業価値の向上と持続可能な社会の実現に向けた2つのビジョン「つなぐ、未来を届ける、グリーン物流」「共創による、フェアで、“誰一人取り残さない”社会の実現への貢献」に基づき、特定した重要課題(マテリアリティ)への取組みを推進しています。環境の領域については、「2050年温室効果ガス(GHG)排出実質ゼロ(自社排出)」および「2030年温室効果ガス(GHG)排出量48%削減(2021年3月期比)」の実現に向け、引き続き、「EV23,500台の導入」「太陽光発電設備810基の導入」「再生可能エネルギー由来電力の使用率向上」などの施策を推進しています。当連結会計年度においては、EV運用オペレーションの最適化に向けた取組みや再生可能エネルギー由来電力の活用など、エネルギーマネジメントの実証拠点となる京都府の八幡営業所がリニューアルオープンしました。同営業所はモデル店として、全国で初めて、全集配トラック(32台)をEV化するとともに、太陽光発電設備や蓄電池を導入し、再生可能エネルギー由来電力の活用や電力平準化システムの導入による電力使用ピークの偏りの緩和などに取り組んでいます。また、自動車メーカー様と連携し、カートリッジ式バッテリーを用いた軽EVの集配業務における実証実験を開始するなど、サステナブルな物流の実現に向けた取組みを進めています。社会の領域については、引き続き、人材の多様性を尊重し、社員が活躍できる職場環境を整備するとともに、社会の諸課題に向き合い、共創による地域づくりを推進するなど、豊かな社会の実現に向けて取り組んでいます。ガバナンスの強化については、引き続き、経営の監督と執行の分離、経営の透明性の維持、強化など、コーポレート・ガバナンスの強化を推進するとともに、意思決定のスピードを重視したガバナンス体制の下で、事業構造改革に取り組んでいます。 ニ.中期経営計画「サステナビリティ・トランスフォーメーション2030 ~1st Stage~」の策定ヤマトグループは「持続可能な未来の実現に貢献する価値創造企業」を2030年の目指す姿として定め、本年2月、2027年3月期を最終年度とした中期経営計画「サステナビリティ・トランスフォーメーション2030 ~1st Stage~」を策定しました。本中期経営計画では、宅急便ネットワークの強靭化と提供価値の拡大、サプライチェーン全体に拡がるソリューションの提供を通じた法人ビジネス領域の拡大、多様化する顧客や社会のニーズに応える新たなビジネスモデルの事業化、グループ経営基盤の強化などに取り組み、「経済価値」を生み出すとともに、社会の持続可能性への取組みによる「環境価値」「社会価値」を創造していきます。なお、2025年3月期より本中期経営計画で定義した「エクスプレス事業」「コントラクト・ロジスティクス事業」「グローバル事業」「モビリティ事業」の4事業によるセグメントに変更します。 <セグメント別の概況>○リテール部門イ.リテール部門は、宅急便をはじめとする高品質な小口輸送サービスを提供するとともに、グループ全体のビジネスの起点として、生活様式やビジネス環境に伴うお客様の変化を第一線の社員が汲み取り、法人営業担当者と連携してグループの経営資源を活用したソリューション提案を行うなど、宅急便のサービス提供によって生み出されるお客様との接点という利点を活かし、お客様のニーズに応える価値提供に取り組んでいます。そして、5,000万人以上にご登録いただいている「クロネコメンバーズ」、法人のお客様170万社以上にご利用いただいている「ヤマトビジネスメンバーズ」を中心に「送る」「受け取る」をより便利にするサービスの提供や、輸送以外の生活・ビジネスに役立つ様々なサービスの拡充に取り組んでいます。 ロ.また、ネットワーク・オペレーション全体の生産性を向上させるため、宅急便ネットワークの強靭化に向けた取組みを推進しています。当連結会計年度は、引き続き、都市部を中心に小規模・多店舗展開してきたラストマイル集配拠点の集約・大型化や、保冷専用ネットワークの構築を推進するとともに、配達エリアや配達ルートを、業務量の変動に合わせて柔軟に設定する仕組みの構築を進めました。ハ.外部顧客への営業収益は、宅配便の単価は上昇したものの、取扱数量が減少したことなどにより8,779億48百万円となり、前連結会計年度に比べ1.9%減少しました。営業利益は、オペレーティングコストの適正化に向けた取組みを推進しているものの取扱数量の減少分を補うには至らず、前連結会計年度に比べ97億8百万円減少しました。 ○法人部門イ.法人部門は、国内からグローバルに拡がるサプライチェーン全体に対する提供価値の拡大に向けて、営業とオペレーションが一体となり、専用ネットワークの構築・拡大を推進するとともに、物流オペレーションの改善や効率化に留まらず、お客様の経営課題に立脚した改善提案や、より実効性のあるプロジェクトの構築や管理運営など、アカウント営業の強化に取り組んでいます。ロ.EC需要が集中する都市部において、仕分け・輸送からラストマイルまでのオペレーションプロセスを簡素化したEC物流ネットワークの構築を推進するとともに、大手EC事業者様との連携の下、オンラインショッピングモールに出店するEC事業者様の物流最適化に向けて、受注から出荷・配送までの全部または一部の機能を代行するサービスの拡販とさらなる利便性の向上に取り組んでいます。ハ.また、成長が加速する越境ECにおいては、輸入通関に関わるシステムと国内配送ネットワークを円滑に連携し、お届けまでのリードタイム短縮を実現する取組みを推進するなど、サプライチェーンの「End to End」に対する提供価値の拡大に向けた取組みを進めています。当連結会計年度においては、越境ECを利用する購入者に対し、低コストかつスピーディーな納品を実現する、越境EC事業者向け海上小口輸送サービスの提供を開始しました。ニ.外部顧客への営業収益は、国際輸送の需要が減少したことなどにより8,240億96百万円となり、前連結会計年度に比べ2.6%減少しました。営業利益は、リテール部門への配達委託に関する費用が増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ85億51百万円減少しました。(参考)区分前連結会計年度当連結会計年度増減伸率(%)宅急便・宅急便コンパクト・EAZY(百万個)1,9261,886△40△2.1ネコポス・クロネコゆうパケット(百万個)413409△3△0.9クロネコDM便・クロネコゆうメール(百万冊)800626△173△21.7 ○その他イ.当連結会計年度においては、引き続き、複数の企業グループのネットワークを用いたボックス輸送や車両整備サービスの拡販に取り組みました。ロ.外部顧客への営業収益は565億81百万円となり、前連結会計年度に比べ5.8%減少しました。また、営業利益は127億34百万円となり、前連結会計年度に比べ8.4%減少しました。 <安全・地域共創などの取組み>イ.ヤマトグループは、人命の尊重を最優先とし、安全に対する様々な取組みを実施しており、輸送を主な事業とするグループ各社を中心に、安全管理規程の策定および管理体制の構築、年度計画の策定など、運輸安全マネジメントに取り組んでいます。当連結会計年度においては、引き続き「こども交通安全教室」を幼稚園・小学校などで開催するとともに、グループ全体での「交通事故ゼロ運動」や全国のドライバーが安全運転の技能や知識を競い合う「全国安全大会」を開催するなど、安全意識の向上を図る取組みを推進しました。ロ.ヤマトグループは、より持続的な社会的価値の創造に向けて、社会と価値を共有するCSV(クリエーティング・シェアード・バリュー=共有価値の創造)という概念に基づいた取組みを推進しています。引き続き、地域社会の健全で持続的な発展と地域の皆様の安心・快適な生活をサポートする地域密着のコミュニティ拠点として「ネコサポステーション」を運営し、家事サポートサービスや、IoT電球「HelloLight」を活用した「クロネコ見守りサービスハローライト 訪問プラン」を展開するなど、生活全般に関わる相談窓口の設置、地域の皆様が交流できるイベント開催などに取り組んでいます。また、当連結会計年度においては、北海道でドラッグストアを展開する小売事業者様とヤマト運輸株式会社が締結したパートナーシップ協定に関する基本合意書に基づき、宅急便営業所や移動販売専用車を活用した買い物支援の拡充、ドラッグストア店舗での荷物の受け取り、店舗で購入した商品の自宅への配送、効率的で安定した店舗納品など、北海道が抱える社会課題の解決や持続可能な地域社会の実現に向けた取組みを推進しています。ハ.ヤマトグループは、社会とともに持続的に発展する企業を目指し、公益財団法人ヤマト福祉財団を中心に、障がい者が自主的に働く喜びを実感できる社会の実現に向けて様々な活動を行っています。具体的には、パン製造・販売を営むスワンベーカリーにおける積極的な雇用や、就労に必要な技術や知識の訓練を行う就労支援施設の運営など、障がい者の経済的な自立支援を継続的に行っています。 ② キャッシュ・フローの状況○営業活動によるキャッシュ・フロー 営業活動によるキャッシュ・フローは643億33百万円の収入となり、前連結会計年度に比べ収入が256億20百万円減少しました。これは主に、税金等調整前当期純利益が517億4百万円となり、収入が51億11百万円減少したこと、および土地売却に伴う固定資産売却益を122億39百万円計上したことによるものであります。○投資活動によるキャッシュ・フロー 投資活動によるキャッシュ・フローは224億35百万円の支出となり、前連結会計年度に比べ支出が269億85百万円減少しました。これは主に、有形固定資産の売却による収入が161億63百万円増加したこと、およびその他の支出が56億84百万円減少したことによるものであります。○財務活動によるキャッシュ・フロー 財務活動によるキャッシュ・フローは307億77百万円の支出となり、前連結会計年度に比べ支出が78億39百万円減少しました。これは主に、借入れによる収支が265億53百万円増加したことおよび社債の発行による収入が199億28百万円あった一方で、自己株式の取得による支出が400億6百万円増加したことによるものであります。  以上により、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は1,947億2百万円となり、前連結会計年度末に比べ114億76百万円増加しました。 ③ 生産、受注及び販売の実績 セグメントごとの営業収益は次のとおりであります。 なお、ヤマトグループは、貨物運送事業を中心とするサービスを主要な商品としているため、生産および受注の実績は記載を省略しております。 セグメントの名称 前連結会計年度(自 2022年4月1日  至 2023年3月31日) 当連結会計年度(自 2023年4月1日  至 2024年3月31日) 比 較 増減率 (%) 収入金額(百万円)構成比(%)金額(百万円)構成比(%)リテール部門運送収入1,191,26466.21,181,25167.2△0.8物流支援収入3,3520.23,6400.28.6その他25,8581.428,9131.611.8内部売上消去△325,901△18.1△335,857△19.13.1計894,57449.7877,94849.9△1.9法人部門運送収入617,22134.3627,09635.71.6物流支援収入259,52514.4226,52212.9△12.7その他33,3571.931,8421.8△4.5内部売上消去△64,051△3.6△61,364△3.5△4.2計846,05347.0824,09646.9△2.6その他運送収入24,6161.422,8351.3△7.2その他155,1878.6141,1158.0△9.1内部売上消去△119,763△6.7△107,369△6.1△10.3計60,0403.356,5813.2△5.8合   計1,800,668100.01,758,626100.0△2.3 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点によるヤマトグループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在においてヤマトグループが判断したものであります。 ① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容ⅰ.財政状態 総資産は1兆1,358億95百万円となり、前連結会計年度末に比べ283億8百万円増加しました。これは主に、リテール部門を中心に拠点の新設や改修をしたことなどにより有形固定資産が117億36百万円、現金及び預金が96億87百万円、および投資有価証券が時価評価等により81億8百万円増加したことによるものであります。 負債は5,439億14百万円となり、前連結会計年度末に比べ527億57百万円増加しました。これは主に、借入金が210億円増加したこと、およびグリーンボンドの発行により社債が200億円増加したことによるものであります。 純資産は5,919億80百万円となり、前連結会計年度末に比べ244億49百万円減少しました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益が376億26百万円となった一方で、剰余金の配当を164億32百万円実施したことに加え、自己株式を500億1百万円取得したことによるものであります。 以上により、自己資本比率は前連結会計年度の55.1%から51.6%となりました。 ⅱ.経営成績 当連結会計年度の営業収益は1兆7,586億26百万円となり、前連結会計年度に比べ420億41百万円の減収となりました。これは、プライシングの適正化を進めたものの、宅配便の取扱数量や国際輸送の需要が減少したことなどによるものです。 営業費用は1兆7,185億66百万円となり、前連結会計年度に比べ220億16百万円減少しました。これは、資源・エネルギー価格、時給単価など外部環境の変化によるコスト上昇が継続した中で、オペレーティングコストの適正化に向けた取組みに注力したことなどによるものです。 この結果、当連結会計年度の営業利益は400億59百万円となり、前連結会計年度に比べ200億25百万円の減益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、固定資産売却益の計上などにより376億26百万円となり、前連結会計年度に比べ82億71百万円の減益となりました。 1株当たり当期純利益は107.23円となり、前連結会計年度に比べ19.41円減少しました。 ○リテール部門 外部顧客への営業収益は、宅配便の単価は上昇したものの、取扱数量が減少したことなどにより8,779億48百万円となり、前連結会計年度に比べ1.9%減少しました。営業利益は、オペレーティングコストの適正化に向けた取組みを推進しているものの取扱数量の減少分を補うには至らず、前連結会計年度に比べ97億8百万円減少しました。 ○法人部門 外部顧客への営業収益は、国際輸送の需要が減少したことなどにより8,240億96百万円となり、前連結会計年度に比べ2.6%減少しました。営業利益は、リテール部門への配達委託に関する費用が増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ85億51百万円減少しました。 ○その他 外部顧客への営業収益は565億81百万円となり、前連結会計年度に比べ5.8%減少しました。また、営業利益は127億34百万円となり、前連結会計年度に比べ8.4%減少しました。② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に関する情報ⅰ.キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。 ⅱ.資本の財源及び資金の流動性 ヤマトグループは、本年2月、中期経営計画「サステナビリティ・トランスフォーメーション2030 ~1st Stage~」を策定しました。本中期経営計画期間においては、オペレーションの効率化に資する拠点戦略やDX推進などへの成長投資を積極的に実施するとともに、お客様に対する環境負荷の少ない物流サービスの提供とオペレーションのエネルギー効率向上の両立を通じた低炭素社会の実現に向けて、EVや太陽光発電設備等への環境投資も実施します。なお、成長領域であるコントラクト・ロジスティクス事業およびグローバル事業では、自律的な成長施策に加え、M&Aや戦略的業務提携も活用していきます。 上記計画を財務面から支えるため、キャッシュの創出状況、保有現預金や自己資本比率等の状況、グループ資金の有効活用など、財務の健全性と効率性を意識しながら、必要に応じて金融機関からの借入れおよび社債の発行を通じた資金調達を実施していきます。財務の健全性の観点から、自己資本比率は45~50%程度、D/Eレシオは0.3~0.5倍程度を目安とし、格付け水準(R&I格付投資情報センター/AA-)の維持に努めます。株主還元については、親会社株主に帰属する当期純利益を基準とする配当性向40%以上、総還元性向50%以上を目標とし、自己株式の取得については、成長投資の進捗状況、キャッシュ・フローの動向、株価等の観点を踏まえ、柔軟に検討していきます。 ③ 目標とする指標の達成状況等 ヤマトグループは、サプライチェーン全体の変革を支援することで、個人、法人のお客様、そして社会全体に対する価値提供を目指す中期経営計画「Oneヤマト2023」に基づき、持続的成長に向けた事業構造改革を推進しました。当中期経営計画の最終年度となる2024年3月期の連結業績については、物価高や消費動向など外的環境の変化などを考慮し、計画策定時に設定した連結営業収益2兆円、連結営業利益1,200億円(連結営業利益率6.0%)、ROE10%の目標を見直し、連結営業収益1兆8,600億円、連結営業利益800億円(連結営業利益率4.3%)、ROE8.3%に目標を変更しましたが、実績は連結営業収益1兆7,586億26百万円、連結営業利益400億59百万円(連結営業利益率2.3%)、ROE6.3%となりました。当中期経営計画においては、グループ各社の経営資源を結集したOneヤマト体制が始動するとともに、多様化する物流ニーズに最適化した専用ネットワークの構築や小規模・多店舗展開してきたラストマイル集配拠点の集約・大型化など、ネットワーク・オペレーションの構造改革を推進したことで、経営基盤の強化に一定の成果があったものと考えています。 2027年3月期を最終年度とした中期経営計画「サステナビリティ・トランスフォーメーション2030 ~1st Stage~」では、宅急便ネットワークの強靭化と提供価値の拡大、サプライチェーン全体に拡がるソリューションの提供を通じた法人ビジネス領域の拡大、多様化する顧客や社会のニーズに応える新たなビジネスモデルの事業化、グループ経営基盤の強化などに取り組み、「経済価値」を生み出すとともに、社会の持続可能性への取組みによる「環境価値」「社会価値」を創造していきます。なお、本中期経営計画の最終年度となる2027年3月期の連結業績については、連結営業収益2兆~2兆4,000億円、連結営業利益1,200~1,600億円(連結営業利益率6%以上)、ROE12%以上、ROIC8%以上を目標としています。 ④ 重要な会計上の見積り及び見積りに用いた仮定 ヤマトグループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っております。 重要な会計上の見積り及び見積りに用いた仮定につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
経営上の重要な契約等 5【経営上の重要な契約等】
該当事項はありません。
研究開発活動 6【研究開発活動】
 ヤマトグループでは、物流サービスの高度化を実現するデジタルテクノロジーに関する研究開発などに取り組んでおります。当連結会計年度における研究開発活動の総額は3,345百万円であり、その内訳は、連結子会社のヤマト運輸株式会社(リテール部門および法人部門)が3,267百万円および当社(全社)が77百万円となっております。
設備投資等の概要 1【設備投資等の概要】
 ヤマトグループでは、宅急便ネットワークの強靭化に向けたネットワーク・オペレーションの構造改革の推進やサプライチェーン全体に対する提供価値の拡大に向けた成長投資を中心に56,780百万円の設備投資(敷金を含む。)を実施しました。 リテール部門におきましては、低温輸配送センター東京南エリア冷凍冷蔵化工事、車両の購入など45,926百万円の設備投資を実施しました。 法人部門におきましては、各拠点の改修など4,184百万円の設備投資を実施しました。 全社(当社)におきましては、新社屋建築など5,150百万円の設備投資を実施しました。 その他におきましては、特に記載すべき事項はありません。当連結会計年度完成の主な設備投資としましては、リテール部門における、低温輸配送センター東京南エリア冷凍冷蔵化工事などがあります。また、当連結会計年度の重要な設備の除却、売却等としましては、輸送部門における、東京ベースの土地の売却があります(売却額17,247百万円)。なお、当該拠点(建物)の使用を目的とした借地契約を売却先と締結しており、輸配送能力に重要な影響はありません。
主要な設備の状況 2【主要な設備の状況】
 ヤマトグループにおける主要な設備は次のとおりであり、セグメントごとの数値とともに主たる設備の状況を開示する方法によっております。なお、主要な設備には無形固定資産を含めて記載しております。(1)セグメント内訳セグメントの名称帳簿価額(百万円)従業員数(人)車両運搬具建物及び構築物機械及び装置土地(面積千㎡)リース資産その他の有形固定資産無形固定資産合計リテール部門26,841137,49513,094151,92224,6547,07530,219391,302154,130(1,861)[5,918]法人部門2,26716,7534,39212,3077,2125,9985,59554,52816,952(127)[820]その他658,1857895,9304,1565242,78222,4346,329(17)[368]全社-2,781246,632-25733210,02919(1)合計29,173165,21618,300176,79336,02413,85638,930478,294177,430(2,007)[7,108] (2)提出会社事業所名(所在地)セグメントの名称 設備 の内容帳簿価額(百万円)従業員数(人)車両運搬具建物及び構築物機械及び装置土地(面積千㎡)リース資産その他の有形固定資産無形固定資産合計本社(東京都中央区)全社--2,781246,632-25733210,02919(1) (3)国内子会社会社名(所在地)セグメントの名称 設備 の内容帳簿価額(百万円)従業員数(人)車両運搬具建物及び構築物機械及び装置土地(面積千㎡)リース資産その他の有形固定資産無形固定資産合計ヤマト運輸㈱本社(東京都中央区)リテール部門法人部門-19,9151354,53014,57033634,39563,8842,472(5)[2] 会社名(所在地)セグメントの名称 設備 の内容帳簿価額(百万円)従業員数(人)車両運搬具建物及び構築物機械及び装置土地(面積千㎡)リース資産その他の有形固定資産無形固定資産合計ヤマト運輸㈱北海道統括(札幌市厚別区)リテール部門法人部門営業所物流倉庫他1,5283,9252212,32710346798,5836,498(181)[310]ヤマト運輸㈱東北統括(仙台市泉区)リテール部門法人部門営業所物流倉庫他1,4115,0129132,3237,6325201117,82610,351(124)[650]ヤマト運輸㈱東京統括(東京都大田区)リテール部門法人部門営業所物流倉庫他4,43558,2453,74397,0685811,368585166,02726,678(234)[379]ヤマト運輸㈱南関東統括(横浜市鶴見区)リテール部門法人部門営業所物流倉庫他4,01517,6853,69810,2944371,2849537,51121,098(155)[896]ヤマト運輸㈱北関東統括(さいたま市中央区)リテール部門法人部門営業所物流倉庫他3,4819,0631,7936,6986941,2499423,07519,404(181)[862]ヤマト運輸㈱北信越統括(新潟市西区)リテール部門法人部門営業所物流倉庫他1,4673,1491665,980225481411,47410,295(136)[449]ヤマト運輸㈱中部統括(愛知県豊田市)リテール部門法人部門営業所物流倉庫他2,52819,7951,6766,3202317371231,30116,482(252)[627]ヤマト運輸㈱関西統括(大阪府茨木市)リテール部門法人部門営業所物流倉庫他5,40812,3032,66313,2294871,23521235,54225,783(209)[897]ヤマト運輸㈱中国・四国統括(岡山市北区)リテール部門法人部門営業所物流倉庫他1,9913,5981953,9011835211110,40212,500(198)[605]ヤマト運輸㈱九州統括(福岡市東区)リテール部門法人部門営業所物流倉庫他1,9754,7404957,351742891816,20513,859(247)[732]ヤマトコンタクトサービス㈱(東京都豊島区)リテール部門--44--119681342,076[12]沖縄ヤマト運輸㈱(沖縄県糸満市)法人部門-6296,1421,5981,057-1981439,7691,415(24)[68]ヤマトマルチチャーター㈱(京都市伏見区)法人部門-946932,2155,8758188,285348(11)[22]神戸ヤマト運輸㈱(神戸市中央区)法人部門-6311209935535297
(2)[33]湖南工業㈱(浜松市中央区)法人部門-027816426131943428(13)[61]ヤマトダイアログ&メディア㈱(東京都中央区)法人部門--14---5355433[0]ヤマトシステム開発㈱(東京都江東区)その他--3,506-3,5622,1843511,06910,6742,627(5)[23]ヤマトオートワークス㈱(東京都中央区)その他-474,1126781,4051,099718728,2881,941(9)[208]ヤマトオートワークス岩手㈱(岩手県北上市)その他-0-12--2-1556[8] 会社名(所在地)セグメントの名称 設備 の内容帳簿価額(百万円)従業員数(人)車両運搬具建物及び構築物機械及び装置土地(面積千㎡)リース資産その他の有形固定資産無形固定資産合計ヤマトオートワークス北信越㈱(新潟市西区)その他-0045--0-4658[11]ヤマトオートワークス四国㈱(香川県仲多度郡)その他-126-2232-23547[8]ヤマトオートワークス沖縄㈱(沖縄県糸満市)その他-1445-4619-52319[1]ヤマトボックスチャーター㈱(東京都中央区)その他-13601-18741413451,327[108]ヤマトクレジットファイナンス㈱(東京都豊島区)その他--483-962-324471,924234(1)YMT-GB投資事業有限責任組合(東京都渋谷区)その他----------ボックスチャーター㈱(東京都千代田区)その他--14---1335137920[0] (4)在外子会社会社名(所在地)セグメントの名称 設備 の内容帳簿価額(百万円)従業員数(人)車両運搬具建物及び構築物機械及び装置土地(面積千㎡)リース資産その他の有形固定資産無形固定資産合計YAMATO TRANSPORTU.S.A.,INC.(カリフォルニア アメリカ合衆国)法人部門-12113716279-1,787162,305347(8)[42]YAMATO TRANSPORTEUROPE B.V.(スキポールライク オランダ)法人部門-0512--55578144[18]YAMATO ASIA PTE.LTD.(シンガポール)法人部門----------YAMATO TRANSPORT(S)PTE.LTD.(シンガポール)法人部門-0162--1358163141[8]YAMATO TRANSPORT(M)SDN.BHD.(セランゴール マレーシア)法人部門-1----12822112[3]雅瑪多管理(中国)有限公司(上海 中国)法人部門------5053[0]雅瑪多(香港)有限公司(香港)法人部門----------雅瑪多国際物流有限公司(上海 中国)法人部門-917---42618472197[19]雅瑪多運輸(香港)有限公司(香港)法人部門-048---79944892186[18]TAIWAN YAMATOINTERNATIONALLOGISTICS INC.(台北 台湾)法人部門--6---5071514135[14] (注)1.車両運搬具、建物及び構築物、機械及び装置、リース資産、その他の有形固定資産および無形固定資産は減価償却累計額控除後の帳簿価額であります。2.上記には連結会社間における賃貸借設備を含めております。3.土地の面積の( )は自社所有面積、[ ]は賃借面積を示しております。4.その他の有形固定資産は、工具器具備品などであります。5.無形固定資産は、ソフトウエアなどであります。6.上記には仮勘定の残高は含まれておりません。
設備の新設、除却等の計画 3【設備の新設、除却等の計画】
 ヤマトグループの設備投資計画につきましては、サービス体制の強化と生産性の向上を目的に、投資効率とキャッシュ・フローの動向を検討し、連結会社各社が個別に策定の上、当社と調整し実施しております。 なお、当連結会計年度末現在における重要な設備投資の計画は次のとおりであります。会社名セグメントの名称設備の内容投資予定額(百万円)資金調達方法着手及び完了予定年月総額既支払額着手完了ヤマト運輸㈱リテール部門車両購入8,380-自己資金、社債2024.42025.3 法人部門(1,227台) MFLP・LOGIFRONT 東京板橋入居改修工事11,5752,974自己資金、借入金2023.122025.2 (52,932㎡) 荷役機器・事務通信機器購入12,881-自己資金2024.42025.3 ヤマトホールディングス㈱全社新社屋建築15,3958,199 〃2022.52024.10 (17,676㎡)
研究開発費、研究開発活動3,345,000,000
設備投資額、設備投資等の概要4,184,000,000

Employees

平均年齢(年)、提出会社の状況、従業員の状況51
平均勤続年数(年)、提出会社の状況、従業員の状況24
平均年間給与、提出会社の状況、従業員の状況11,917,837

Investment

株式の保有状況 (5)【株式の保有状況】
① 投資株式の区分の基準及び考え方 当社は、純投資目的株式には、専ら株式価値の変動または株式に係る配当によって利益を受けることを目的として保有する株式を区分しております。また、純投資目的以外の株式には、グループが展開する事業との関係性や収益性、事業機会の創出可能性等について中長期的な視点で総合的に勘案し、保有意義があると判断し保有する株式を区分しております。 ② 保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式ⅰ.保有方針及び保有の合理性を検証する方法並びに個別銘柄の保有の適否に関する取締役会等における検証の内容 当社は、グループが展開する事業との関係性や収益性、事業機会の創出可能性等について中長期的な視点で総合的に勘案し、保有意義のある株式を保有する方針としております。 毎年、取締役会において、取引実績、時価等を踏まえて、保有に伴う便益やリスク等を定量的、定性的に検証し、保有の継続について判断しており、検証の結果、保有意義が乏しいと判断した株式については、縮減を図っております。 当事業年度においては、2023年12月20日開催の取締役会において、取引関連利益、受取配当金、評価差額を検証するとともに、グループが展開する事業との関係性や今後の事業機会の創出可能性等を中長期的な視点で検証し、総合的に保有の継続について判断しております。保有意義が乏しいと判断した株式については、市場への影響等に配慮しつつ、今後縮減を図ります。 なお、当事業年度においては5銘柄(2銘柄は一部売却)の株式の売却を実施しております。 ⅱ.銘柄数及び貸借対照表計上額 銘柄数(銘柄)貸借対照表計上額の合計額(百万円)非上場株式102,253非上場株式以外の株式1922,057 (当事業年度において株式数が増加した銘柄) 銘柄数(銘柄)株式数の増加に係る取得価額の合計額(百万円)株式数の増加の理由非上場株式12当社の連結子会社より株券方式のゴルフ会員権を取得したため非上場株式以外の株式--- (当事業年度において株式数が減少した銘柄) 銘柄数(銘柄)株式数の減少に係る売却価額の合計額(百万円)非上場株式--非上場株式以外の株式51,845 ⅲ.特定投資株式の銘柄ごとの株式数、貸借対照表計上額等に関する情報  特定投資株式銘柄当事業年度前事業年度保有目的、業務提携等の概要、定量的な保有効果及び株式数が増加した理由 ※1当社の株式の保有の有無株式数(株)株式数(株)貸借対照表計上額(百万円)貸借対照表計上額(百万円)ANAホールディングス株式会社1,305,5001,305,500輸送ネットワークの維持・発展を図るため有4,1903,754Palantir Technologies Inc.1,075,2681,075,268デジタルデータ経営加速のため無3,7461,213日本郵船株式会社618,600618,600輸送ネットワークの維持・発展を図るため有2,5191,910株式会社三越伊勢丹ホールディングス906,000906,000法人部門等における中長期的な営業取引関係の維持・発展を図るため無2,2601,342セイノーホールディングス株式会社802,000802,000輸送ネットワークの維持・発展を図るため有1,6961,170株式会社みずほフィナンシャルグループ ※2465,628517,167安定的で円滑な金融取引を行うため無1,418971株式会社三井住友フィナンシャルグループ133,393133,393安定的で円滑な金融取引を行うため無1,188706NIPPON EXPRESSホールディングス株式会社137,700137,700輸送ネットワークの維持・発展を図るため有1,0641,097大日本印刷株式会社226,000226,000法人部門等における中長期的な営業取引関係の維持・発展を図るため有1,055837キユーピー株式会社245,000245,000法人部門等における中長期的な営業取引関係の維持・発展を図るため有693545鹿島建設株式会社161,500161,500安定調達を通じ、事業活動の円滑化を図るため有504258レンゴー株式会社360,000360,000安定調達を通じ、事業活動の円滑化を図るため有421309ENEOSホールディングス株式会社535,000535,000安定調達を通じ、事業活動の円滑化を図るため無391248オイシックス・ラ・大地株式会社219,700219,700法人部門等における中長期的な営業取引関係の維持・発展を図るため無286504SOMPOホールディングス株式会社19,95019,950事業活動に必要な保険取引等の円滑化を図るため無190104 銘柄当事業年度前事業年度保有目的、業務提携等の概要、定量的な保有効果及び株式数が増加した理由 ※1当社の株式の保有の有無株式数(株)株式数(株)貸借対照表計上額(百万円)貸借対照表計上額(百万円)楽天グループ株式会社208,000208,000法人部門等における中長期的な営業取引関係の維持・発展を図るため無176127スズキ株式会社16,80016,800法人部門等における中長期的な営業取引関係の維持・発展を図るため有11680ラクスル株式会社 ※278,200300,000輸送ネットワークの維持・発展を図るため無84412光村印刷株式会社31,72831,728安定調達を通じ、事業活動の円滑化を図るため有5238日揮ホールディングス株式会社 ※3-451,528法人部門等における中長期的な営業取引関係の維持・発展を図るため前事業年度:有当事業年度:無-740J.フロント リテイリング株式会社 ※3-290,500法人部門等における中長期的な営業取引関係の維持・発展を図るため無-384株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ ※3-241,700安定的で円滑な金融取引を行うため無-204 ※1.業務提携等の概要については、保有目的に則した内容となっております。また、株式保有による定量的な効果については、事業上の機密事項に該当するため記載しておりません。なお、2023年12月20日開催の取締役会において、取引関連利益、受取配当金、評価差額を検証するとともに、グループが展開する事業との関係性や今後の事業機会の創出可能性等を中長期的な視点で検証し、総合的に保有の継続について判断しております。なお、当事業年度において株式数が増加した銘柄はありません。 ※2.当事業年度において一部売却しております。 ※3.当事業年度において売却しております。 ③ 保有目的が純投資目的である投資株式該当事項はありません。 ④ 当事業年度中に投資株式の保有目的を純投資目的から純投資目的以外の目的に変更したもの該当事項はありません。 ⑤ 当事業年度中に投資株式の保有目的を純投資目的以外の目的から純投資目的に変更したもの該当事項はありません。
株式数が増加した銘柄数、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社1
株式数が減少した銘柄数、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社5
銘柄数、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社10
貸借対照表計上額、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社2,253,000,000
銘柄数、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社19
貸借対照表計上額、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社22,057,000,000
株式数の増加に係る取得価額の合計額、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社2,000,000
株式数の減少に係る売却価額の合計額、非上場株式以外の株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社1,845,000,000
株式数、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社31,728
貸借対照表計上額、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社52,000,000
株式数が増加した理由、非上場株式、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式、提出会社当社の連結子会社より株券方式のゴルフ会員権を取得したため
銘柄、保有目的が純投資目的以外の目的である特定投資株式の明細、提出会社ラクスル株式会社 ※2