事業等のリスク | 1【事業等のリスク】 当第1四半期連結累計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。また、前連結会計年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。 なお、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況につきましては、次のとおりであります。また、文中の将来に関する事項は、当第1四半期連結累計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。 (継続企業の前提に関する重要事象等について) 当社グループは前連結会計年度において、半導体製造工場の生産調整の影響から、売上高は407,449千円と回復基調にあるものの、営業損失は558,459千円となり、親会社株主に帰属する当期純損失を554,572千円計上しております。 前連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症の行動制限の影響で始まった巣ごもり需要が終焉を迎えることとなり民生半導体のダブつきが発生したため、多くの半導体製造工場では生産調整から新規設備投資を凍結しておりました。当第1四半期連結累計期間において多くの半導体生産工場の生産調整は、順次終了し、半導体の超過在庫も最悪の6か月超から3か月程度に改善され、増産に舵を切り始めたお客様からの装置引き合いが増える方向となりました。当第1四半期の半導体製造会社の各社は様子見の状況であり、スマートフォンや情報端末の販売は緩やかな上昇は見られるものの、まだ市場をけん引するほどの力強さは見られる状況ではありません。しかし、半導体製造工場各社は、当社第2四半期、当社第3四半期に向けて増産の準備を始めている状況であることから、増産に伴う設備投資も慎重さはあるものの、上昇に向かいつつあると考えております。なお、2024年1月15日に受注いたしました装置の出荷売上は順調に進み、当第1四半期末までに完了しております(製造工場:受託製造工場、製造会社:デザインハウスと受託製造工場全体を指す)。 以上より、当社グループの連結ベース売上高は、211,959千円となり、前年同期比で156.7%の増加となりました。しかし、売上増となったものの、上述のような状況から赤字脱却までにはいたらず、営業損失71,113千円となりました。親会社株主に帰属する四半期純損失は46,602千円を計上しております。 上記のとおり、業績は改善傾向にあるものの、依然として継続的な営業損失が発生している状況にあり、当社グループには継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。 当社グループはこうした状況を早期に解消又は改善すべく、以下の対応策を継続して実施しております。 事業施策1.中国国内での受注販売活動の促進 上記のように、前連結会計年度からの半導体工場各社における在庫調整及び新規設備投資の凍結という状況から回復しつつある市場は、当第1四半期中は、新規設備投資に慎重な企業が多く様子見が続いておりました。米Bloomberg社(2024年4月5日付)によると、第2四半期以降は、特に半導体製造工場が集中する中国において、在庫調整は底を打ち急加速するとみられており、今後中国各社の動きが活発化して行くものと考えております。一方で、第2四半期以降の半導体市場は、各国で声高に叫ばれている電気自動車(EV)は期待に反し大きく鈍化するとの観測もありますが、ChatGPTに代表される生成A.I.向けGPU(画像を含む高速情報処理チップ)などのハイエンド・ミックスデバイスや各国政府の進めるDX(デジタルトランスフォーメーション)のさらなる進展、脱炭素化推進に向けたペーパーレス化、高齢化社会に向け期待の高まる自動運転や5G、6Gなどの高速通信環境がもたらす新しい世界(VRやメタバース)が急速に拡大し、各種クラウドデータセンターは勿論、GX投資(グリーン投資)など、官民連携によるインフラの整備がけん引役となり、力強く成長すると見られております(Techinsight)。また、同社によると、今後の10年の半導体市場では、これまでスマートフォン、PCや情報端末が占めていたニーズは、将来的に産業用途・医療・自動車向けのものに変わるものと予想されています。 近年の半導体の複雑化や集積度向上(例、線幅4nmから2nm)は半導体の機能の増加を意味し、検査時間の伸長に繋がります。しかしながら、同時に量産性も要求されるため、半導体テスタ市場は、装置能力の向上に加え装置台数の増加が期待される方向と考えております。 当社グループが「主力装置」と位置付けるディスプレイ・ドライバーIC検査装置は、液晶パネルに使われるディスプレイドライバーIC(ディスプレイに絵や文字を表示するIC)の検査に使用されており、また、それら情報機器ではディスプレイ・ドライバーICだけではなく、当社が得意とするCMOSイメージセンサーIC、ロジックICなど多種にわたる周辺半導体デバイスが使われております。 当社の主力検査装置WTS-577SRにつきましては、当第1四半期連結累計期間において、当該装置に開発の完了した新規機能を搭載したハードウエアを順次搭載することで、顧客の新規開発の次世代ディスプレイ・ドライバーICのベンチマークを積極的に受け、複数の顧客から量産評価の完了と順次竣工予定の新工場への導入に向けた引合い協議を進めております。 今後、当社連結子会社ウインテスト武漢との協力体制強化を土台にして、さらに中国市場攻略を確実にするため、これまでの販売店に依存した営業戦略を見直し、販売店の営業チャンネルや人的チャンネルを有効に活用しながら、当社、営業、及び技術でタッグを組み直接営業を行う戦略に代えてまいります。 2.技術開発の強化 先端ロジックIC検査装置(1024チャンネル、875Mbps)に関しては、国内・台湾・中国顧客向けを想定した開発を継続しており、多くの部分を現在開発中の次世代ディスプレイ・ドライバー検査装置と共用することで、より広範囲のロジックIC検査に対応できるように計画し、協力企業と共に2024年末までにベンチマークを終了する予定です。 また、新たな収益の柱を構築するための成長戦略として、2025年までに当社グループがこれまで培ってきた検査技術や画像処理技術、高精度センサー技術、データ解析技術を応用しつつ、外部専門会社からの協力のもと、今後の市場拡大が見込まれる5Gとその後の6G通信規格の台頭とともに注目を集めるパワーデバイス検査分野への進出を目指しております。さらに、M&Aなども視野にシナジーの高い事業会社との資本・業務提携を積極的に進め、当該分野への新規参入、対応可能検査範囲の拡充と展開を計画しており、収益基盤の拡充に取り組んでまいります。 3.隣接領域の展開と製品化 検査装置向け工場FA化機器技術(「自重補償機構技術」)については、学校法人慶應義塾大学慶應義塾先端科学技術研究センターと共同開発を進めており、特許等の申請については終了しております。当該技術は当社の検査装置とウエーハ搬送装置との間のドッキングアダプター(以下「ポゴタワー」という。)の着脱(約25㎏~30㎏)をオペレータ一ひとりで簡単に安全に行うための補助アーム(以下「マニピュレータ」という。)で製品化を目指しております。さらに、ロボットを得意とする専門工場と協議し、2024年問題で揺れる「物流市場」におけるトラック向け荷役補助装置の製品化を考えており、ご協力いただける中小型トラック事業会社様を選定中です。 奈良県立大学と進めております脈波(BCG,ECG)を利用したヘルスケア管理システムは、現在特定のお客様への試験販売を継続しつつ、同大学並びに株式会社TAOS研究所とアライアンスを継続し機能の強化を進めており、当面は病院、介護施設への試験販売を行っております。なお、個人家庭向け製品につきましては、機能面の見直しと量産体制が整い次第、お知らせいたします。 財務施策 財務面については、前連結会計年度に行った新株予約権行使による資金調達が昨今の株価低迷により当初計画した調達予定額に達しなかったこと、売上及び入金が一部持ち越しとなったことから、財務基盤を強化する目的のため、2024年2月19日の取締役会の決議において、GFA株式会社を借入先とする1億円の借入を決議し、2024年2月26日に実行されております。また、同目的のため、2024年2月20日の取締役会の決議において、楽言海外国際(香港)有限公司を借入先とする1億円の借入を決議し、2024年2月20日、21日及び22日の3回に分けて実行されております。 今後も、筆頭株主である武漢精測と諮りながら、同社グループ及び金融機関からの借入並びに資本増強等による資金確保についての施策を今後も継続して実施してまいります。 |
経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 | 2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 (1)経営成績の状況 当第1四半期連結累計期間(2024年1月1日~2024年3月31日)における世界経済成長率は、IMF(アイ・エム・エフ、国際通貨基金)によると3.1%前後と数十年ぶりの低成長率と見積もられていますが、インフレ率は、2024年で5.9%程度であり、2025年は4.5%と想定されていることから安定的に鈍化の傾向であると言われています。しかし長引くロシアによるウクライナ侵攻やイスラエルとハマスの紛争が発生、イラン、米国をも巻込むなど更に混迷を深めており、更に兼ねてより大きな懸念となっている米中間の半導体をめぐる台湾を挟んでの対立など、世界情勢の見通しは再び不透明さを増しております。このような中、IMFでは先進国の2024年の成長率を1.7%程度、2025年は1.8%前後と見込んでおりますが(2024年4月発表)、しかし上述の世界情勢の不安定さが、先進国の成長率を相殺するとの懸念も出ており、予断を許さない状況が続いております。 当第1四半期における我が国経済に目を向けると、日銀短観では、2024年は、「マイナス金利」の政策転換、利上げを継続的に計画し、政策金利の誘導目標を0~0.1%程度に引き上げることを決定していますが、数十年ぶりと言われる円安を記録するなど、企業活動や市民生活の下振れ不安は拭いきれない状況です。特に電気・石油・ガスなどエネルギー価格の高騰が大きく影響し、多方面に大きな影響が出ており、デフレ終息が期待されるも消費の低迷を招く恐れがあります。一部サービス品目は伸びているとしているが、極端な円安は、原材料高を引起こし我が国経済を直撃、製造業を中心に景況感が低迷する懸念が叫ばれています。 当社グループが属する半導体並びにフラットパネルディスプレイ業界におきましては、2023年に起こった世界的な巣ごもり需要の減少を背景に、民生品向け半導体やフラットパネルディスプレイの需要が急減、在庫がダブつく事態となり、最終製品の出荷数量も、PCモニタやノートPC、スマートフォンなどを中心に全体の数量として大きく減少しました。その結果、多くの半導体工場は、工場の稼働率を下げる動きが目立ち、それに伴い新規設備投資凍結を行いました。米Bloombergの調査によると、当第1四半期には徐々に半導体在庫も正常値と言われる3か月程度となり、慎重さはみられるものの半導体工場の稼働率も上がってきており、下半期には急激に回復するといわれています。台湾の半導体・FPD市場動向調査会社であるTrendForce社の調査によると、2024年の特徴として、主に生成AI分野の急成長に引っ張られる形で関連するDRAM及びNAND、そしてパネル等の需要が増え、車載、AR/VR、パブリックディスプレイなどの新規アプリの需要も大きく回復するであろうと言われております。また今後の半導体市場の10年は、上述の生成AI向けデータセンターやGX投資(グリーン投資)など、官民両輪によるインフラの整備が牽引役となり、力強く成長すると見られております。 このような環境下、当社グループの主要事業である半導体検査装置事業では、2023年に営業を中心として顧客チャンネル構築、お客様新デザインICチップ向けベンチマークの積極的引受けを行い、ブランド戦略を取ってまいりました。その結果、中国、台湾のディスプレイ・ドライバーIC等のデザインハウスやOSAT各社経営陣からの直接訪問を頂けました。また、中国における各社半導体工場の新設に合わせたお引合いを頂けることとなり、2024年下半期における設備投資意欲の上向き予測に向け社内の体制を整えております。開発方面では、引続き現地の顧客ニーズに適合したディスプレイ・ドライバーIC検査装置や、次世代検査ユニットなどの開発を継続しています。 また、営業面では販売店に集中させていた、販売方法を見直し当社の製造子会社の営業を含めた直接販売を拡大することとし、現地マーケットに集中した営業展開を行っております。当第1四半期連結累計期間においては、上述のように、新規設備投資に関するお引き合いはあるものの、依然慎重な姿勢が強く、本格投資は第2四半期以降になるものと予測しております。 この結果、当第1四半期連結累計期間の当社グループの売上高は211,959千円(前年同四半期比156.7%増)、営業損失71,113千円(前年同四半期は営業損失131,890千円)、経常損失45,983千円(前年同四半期は経常損失138,499千円)、親会社株主に帰属する四半期純損失46,602千円(前年同四半期は親会社株主に帰属する四半期純損失139,119千円)となりました。 (2)財政状態の状況(資産) 当第1四半期連結会計期間末における流動資産は、前連結会計年度に比べ156,000千円増加し、2,105,076千円(前連結会計年度末比8.0%増)となりました。この主な要因は、現金及び預金が156,223千円増加したことによるものです。 固定資産は、前連結会計年度に比べ163千円減少し、24,425千円(前連結会計年度末比0.7%減)となりました。この主な要因は、投資その他の資産のその他が163千円減少したことによるものです。(負債) 流動負債は、前連結会計年度に比べ196,283千円増加し、361,114千円(前連結会計年度末比119.1%増)となりました。この主な要因は、短期借入金が200,000千円増加したことによるものです。 固定負債は、前連結会計年度に比べ8,034千円減少し、135,616千円(前連結会計年度末比5.6%減)となりました。この主な要因は、長期借入金が8,016千円減少したことによるものです。(純資産) 純資産は、前連結会計年度に比べ32,411千円減少し、1,632,771千円(前連結会計年度末比2.0%減)となりました。この主な要因は、利益剰余金が46,602千円減少したことによるものです。 (3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。 (4)研究開発活動 当第1四半期連結累計期間における研究開発活動の金額は57,948千円であります。 なお、当第1四半期連結累計期間において、当社の研究開発活動の状況に重要な変更はありません。 |